IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベットの特許一覧

特表2023-540955炭化水素生成物の製造のための方法における不純物の除去
<>
  • 特表-炭化水素生成物の製造のための方法における不純物の除去 図1
  • 特表-炭化水素生成物の製造のための方法における不純物の除去 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】炭化水素生成物の製造のための方法における不純物の除去
(51)【国際特許分類】
   C10G 65/02 20060101AFI20230920BHJP
   C10G 45/02 20060101ALI20230920BHJP
   C10G 45/62 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C10G65/02
C10G45/02
C10G45/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514713
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2021072607
(87)【国際公開番号】W WO2022053260
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】20196013.5
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ファクンド
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129CA04
4H129CA05
4H129CA06
4H129CA07
4H129CA09
4H129CA20
4H129CA22
4H129CA29
4H129KC03Y
4H129KC04Y
4H129KC05Y
4H129KC13Y
4H129KD15Y
4H129KD16Y
4H129KD22Y
4H129KD24Y
4H129KD25Y
4H129KD26Y
4H129MA01
4H129MA07
4H129MA08
4H129MA12
4H129MB16A
4H129MB19B
4H129NA02
4H129NA08
4H129NA29
(57)【要約】
炭化水素生成物を製造するための方法であって、以下のi)、ii)を含む方法:
i)再生可能資源および/または化石資源に由来する供給材料を、メインの水素化処理されたストリームを生成するためにハイドロプロセッシングステップを通過させること;前記ハイドロプロセッシングステップは以下を含む:第1の水素化処理されたストリームを生成するために、水素の供給下で、前記供給材料を1つ以上の接触水素化処理ユニットを通過させること;特に不純物HS、CO、COおよびHOを除去するために、第1の水素化処理されたストリームを、分離ユニットの使用を含む第1の分離ステップに通すこと;前記の第1の分離ステップから、オーバーヘッドストリームを取り出し、それのオーバーヘッド炭化水素液体ストリームを分離し、それを還流ストリームとして前記の第1の分離ユニットに通すこと;前記の第1の分離ステップから、底部ストリームを取り出し、前記のメインの水素化処理されたストリームを生成するために、前記底部ストリームの少なくとも一部を、水素の供給下で、1つ以上の接触水素化処理ユニットの使用を含む脱ろうステップに通すこと;ならびに
ii)前記の炭化水素生成物を生成するために、メインの水素化処理されたストリームを第2の分離ステップに通すこと。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素生成物を製造するための方法であって、以下のi)、ii):
i)再生可能資源におよび/または化石資源に由来する供給材料を、メインの水素化処理されたストリームを生成するためにハイドロプロセッシングステップに通過させること;ここで前記ハイドロプロセッシングステップは以下を含む:
-第1の水素化処理されたストリームを生成するために、水素の供給下で、前記供給材料を1つ以上の接触水素化処理ユニットに通過させること、ここで、前記の水素化処理されたストリームは不純物HS、NH、CO、COおよびHOを含む;
-不純物を除去するために、第1の水素化処理されたストリームを、分離ユニットの使用を含む第1の分離ステップに通すこと;
-前記の第1の分離ステップから、オーバーヘッドストリームを取り出し、それのオーバーヘッド炭化水素液体ストリームを分離し、その少なくとも一部を還流ストリームとして前記の第1の分離ユニットに通すこと;
-前記の第1の分離ステップから、底部ストリームを取り出すこと;
-前記のメインの水素化処理されたストリームを生成するために、前記底部ストリームの少なくとも一部を、水素の供給下で、1つ以上の接触水素化処理ユニットの使用を含む脱ろうステップに通すこと;
ii)前記の炭化水素生成物を製造するために、メインの水素化処理されたストリームを第2の分離ステップに通すこと;
を含み、
前記の第1の水素化処理されたストリームを生成するための1つ以上の接触水素化処理ユニットは、水素化脱酸素(HDO)および任意選択的にまた水素化脱窒素(HDN)を含み;
前記のメインの水素化処理されたストリームを生成するための脱ろうステップにおける1つ以上の接触水素化処理ユニットは、貴金属触媒の存在下での水素化脱ろう(HDW)、および任意選択的にまた水素化分解(HCR)を含み;
およびオーバーヘッド炭化水素液体ストリーム全体を、還流ストリームとして前記分離ユニットに通す、
前記方法。
【請求項2】
ステップii)が、前記のメインの水素化処理されたストリームを、水性ストリーム(サワー水ストリーム)と、水素リッチストリームと、後続のストリッピングセクションにおいて前記炭化水素生成物にさらに分離される炭化水素ストリームとを生成するために、セパレーター、好ましくは低温セパレーターに通すことを含み;前記水素リッチストリームは、それを前記の第1の水素化処理されたストリームを生成するための前記1つ以上の接触水素化処理ユニットに供給することによって、当該方法における単一のリサイクルループとして供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに以下:
水素リッチストリームを脱ろうステップに供給しないこと;メイクアップ水素ガス、例えば外部源からのメイクアップ水素ガスを脱ろうステップに供給し、それが脱ろうステップを通過した後に、水素リッチストリームと混合し、従って混合水素ストリームを生成し、これを次いで前記の単一のリサイクルループとして供給すること、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに以下:
第1の分離ステップからの前記オーバーヘッドストリームから、不純物を含むオーバーヘッドガスストリームを分離し、前記のオーバーヘッドガスストリームを、好適にはそれを前記のメインの水素化処理されたストリームと混合した後に、および好適には引き続き例えば空気冷却器において冷却することによって、ステップii)において前記セパレーターに通すこと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記の炭化水素生成物が、30℃超で沸騰し、ジェット燃料、ディーゼル油、ナフサ、及び任意選択的にまた潤滑油ベースストックのうちの1種以上を含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
第1の分離ステップにおいて、分離ユニットが高圧ストリッパー、好適にはメイクアップ水素ガスをストリッピング媒体として使用し、40~70bargの圧力範囲および150~250℃の温度範囲で操作されるストリッピングカラムの形態の高圧ストリッパーである、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
第1の分離ステップがさらに、前記分離ユニットの上流で高温セパレーター、好適には、頂部からのガスストリームと底部からの液体ストリームとを有し、100℃を超える温度で運転され、それによって水が前記ガスストリームにおける蒸気として除去される、二相または三相、好ましくは二相の垂直または水平セパレーターの形態の高温セパレーターを使用することを含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
ステップi)において、リサイクル油ストリームが、前記底部ストリームから分けられ、上流で前記の1つ以上の接触水素化処理ユニットに通される、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
再生可能資源に由来する供給材料が、例えば植物、藻類、動物、魚類、植物油精製、家庭廃棄物、プラスチックに富む廃棄物、トール油もしくは黒液などの工業有機廃棄物に由来する、再生可能資源の原料から得られるか、あるいは、トリグリセリド類、脂肪酸、樹脂酸、ケトン類、アルデヒド類またはアルコール類からなる群から選ばれる1種以上の含酸素物質から誘導された供給材料であり、ここで前記の含酸素物質は、生物源、ガス化プロセス、熱分解プロセス、フィッシャー・トロプシュ合成またはメタノールをベースとする合成のうちの1つ以上に由来する、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
化石燃料源に由来する供給材料が、ディーゼル油、灯油、ナフサおよび真空ガス油(VGO)から選択される、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記供給材料が再生可能資源におよび化石資源に由来し、ここで、化石資源はそれの小部分に相当し、供給材料の最大で30重量%またはそれ未満、例えば最大で10重量%である、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素、特に30℃超で沸騰する炭化水素、例えばジェット燃料を、再生可能資源および/または化石資源に由来する供給材料から製造する方法に関し、好適には、前記化石資源はそれの小部分に相当し、供給材料の最大で30重量%またはそれ未満、例えば最大で10重量%である。前記方法は、1つ以上の接触水素化処理ユニットの使用を含むハイドロプロセッシングステップ、および脱ろうステップに供給材料を通すことを含み、但し、脱ろうステップの前に分離ステップにおいて、不純物、例えばHS、HO、COおよびCO(これらは脱ろうステップに使用される触媒に有害であり得る)の含有量を著しく低下させる。
【背景技術】
【0002】
再生可能な供給材料から、または従来の化石燃料供給材料との共処理によって、ジェット燃料またはジェット燃料およびディーゼル油を製造することへの関心が高まっている。特に、再生可能な供給材料を処理する場合、水素化処理において、供給材料中の酸素は主にHOとして除去され、これにより、トリグリセリドの基本骨格におけるのと同じ炭素原子数を有するパラフィンからなるパラフィン系燃料が得られる。これは、水素化脱酸素(HDO)経路と呼ばれる。酸素は脱炭酸経路によっても除去することができ、これはHOの代わりにCOを生成する:
【0003】
【化1】
一部の再生可能資源はまた窒素も含んでいる。窒素の除去もまた、水素、すなわち水素化脱窒素(HDN)を必要とする。
【0004】
炭化水素生成物、特にジェット燃料、またはジェットおよびディーゼル油を製造する場合、供給材料に、ハイドロプロセッシングセクションにおけるハイドロプロセッシングステップを通過させる。このステップは、典型的には、水素化処理されたストリームを得るためにHDOを含み、前記の水素化処理されたストリームは次いで第1の分離ステップに通され、当該分離ステップは通常、分離ユニット、例えば高圧ストリッパー(HPストリッパー)の使用を含み、そこからオーバーヘッドストリームが取り出される。このオーバーヘッドストリームは部分的に凝縮され、得られた炭化水素液体留分は、ハイドロプロセッシングステップまたはハイドロプロセッシングセクションに含まれる脱ろうセクションにおける下流の脱ろうステップに直接送られ、そこでは、水素異性化、および場合により水素化分解の副反応が起こる。脱ろうステップの後、水素化処理されたストリームは通常、炭化水素生成物を製造するための別の分離ステップに通される。
【0005】
脱ろうステップでは貴金属触媒が使用され、これらは容易に汚染され、それによって、炭化水素液体中に持ち越された不純物、特にHSによって損なわれる。他の不純物、例えばHO、NH、COおよびCOも存在し得る。化石燃料源に由来する供給材料を用いて操作する場合、高い含有量の硫黄が存在し、従って、水素化脱硫(HDS)または水素化脱窒素(HDN)の形態での水素化処理が通常行われる。再生可能資源に由来する供給材料を用いて操作する場合、硫黄の含有量は非常に低く、従って、水素化処理はむしろHDOおよび任意選択的にまたHDN処理を含む。結果として、水素化処理されたストリームは、HSだけでなく、HO、NH、COおよびCOも不純物として含有し、これらは下流の脱ろうステップの前に除去される必要がある。
【0006】
EP2362892A1(WO2010/053468A1)(特許文献1)は、バイオ成分素材から誘導された燃料原料材のハイドロプロセッシング、並びにバイオ成分および鉱油の燃料原料材のブレンドのハイドロプロセッシングを開示している。より具体的には、この引用した文献は、ディーゼル燃料をバイオ成分原料から製造するための方法であって、原料の水素化処理、およびそれに続く接触脱ろうを含む方法を開示している。水素化処理された原料は脱ろうステップに直接カスケードされてもよく、または、水素化処理された原料は、分離ユニット、例えば分留塔において中間分離を受けてもよい。分離ユニットにおける還流の使用の明示的または暗示的な開示はない:分留塔の使用は、必ずしもそれが還流を有することを意味しておらず、それは明らかにこの引用した文献の目的ではない。第1段階への供給を含み、リサイクルのない再沸騰塔は、容易に分留塔と見なすことができた。
【0007】
US2002/112990A1(特許文献2)は、2つ以上のハイドロプロセッシング段階で化石燃料をハイドロプロセッシングするための方法であって、第1段階からの液体および蒸気生成物は、分離ゾーン(S)に送られ、ここで、気化した重質炭化水素成分を含有する気相画分から液相画分が分離される前記方法を開示している。気相画分は、収着剤(STA)の存在下で収着ゾーン(ST)に通され、ここで重質炭化水素成分の少なくとも一部が除去される。液相画分および収着された重質炭化水素成分の両方が、少なくとも1つの追加的なハイドロプロセッシング段階に送られる。任意選択的に、蒸気画分から高沸点炭化水素成分(ヘビーテイル(heavy tail))を除去するために、収着ゾーン(ST)において部分的凝縮および還流が存在する。分離ゾーン(S)にはストリッピングも還流もなく、従って、底部ストリームの不純物HS、HO、NH、COおよびCOは、第2のハイドロプロセッシング段階へ直接行くであろう。
【0008】
US2005/167334A1(特許文献3)は、化石燃料の水素化処理を開示しており、ここで、前記水素化処理は、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属(バナジウム、ニッケル、鉄、ナトリウム、チタン、ケイ素、銅などの1つ以上の金属を除去するための)、および水素化脱芳香族である。ハイドロプロセッシングは第1のステップからの流出物の中間ストリッピングを有し、還流を含む少なくとも2つの反応ステップを含み、各々のステップは、当該ステップに限定された水素リサイクルループを用いて実施され、それによって、形成されるHSの一部を除去する。第1の反応ステップにおける水素化処理はHDOを含まず、従って、その流出物は、HOに加えて、CO、COの形態の追加的な不純物を含まない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP2362892A1(WO2010/053468A1)
【特許文献2】US2002/112990A1
【特許文献3】US2005/167334A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、脱ろうステップにおいて使用される貴金属触媒に接触し得る不純物HS、HO、NH、COおよびCOの含有量を大幅に減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的および他の目的は、本発明によって解決される。
【0012】
従って、本発明は炭化水素生成物を製造するための方法であって、以下のi)、ii):
i)再生可能資源におよび/または化石資源に由来する供給材料を、メインの水素化処理されたストリームを生成するためにハイドロプロセッシングステップを通過させること;前記ハイドロプロセッシングステップは以下を含む:
-第1の水素化処理されたストリーム、例えばC1~C30+炭化水素を含有するストリームを生成するために、水素の供給下で、前記供給材料を1つ以上の接触水素化処理ユニットを通過させること、ここで、前記の水素化処理されたストリーム、すなわち第1の水素化処理されたストリームは不純物HS、NH、CO、COおよびHOを含む;
-不純物を除去するために、第1の水素化処理されたストリームを、分離ユニットの使用を含む第1の分離ステップに通すこと;
-前記の第1の分離ステップから、例えば前記分離ユニットから、オーバーヘッドストリームを取り出し、それのオーバーヘッド炭化水素液体ストリームを分離し、その少なくとも一部を還流ストリームとして前記の第1の分離ユニットに通すこと;
-前記の第1の分離ステップから、例えば前記の分離ユニットから、底部ストリームを取り出すこと;
-前記のメインの水素化処理されたストリームを生成するために、前記底部ストリームの少なくとも一部を、水素の供給下で、1つ以上の接触水素化処理ユニットの使用を含む脱ろうステップに通すこと;
ii)前記の炭化水素生成物を製造するために、メインの水素化処理されたストリームを第2の分離ステップに通すこと;
を含み、
前記の第1の水素化処理されたストリームを生成するための1つ以上の接触水素化処理ユニットは、水素化脱酸素(HDO)および任意選択的にまた水素化脱窒素(HDN)を含み;
前記のメインの水素化処理されたストリームを生成するための脱ろうステップにおける1つ以上の接触水素化処理ユニットは、貴金属触媒の存在下での水素化脱ろう(HDW)、および任意選択的にまた水素化分解(HCR)を含み;および
オーバーヘッド炭化水素液体ストリーム全体(すなわち、前記のオーバーヘッド炭化水素液体ストリームの少なくとも一部がオーバーヘッド炭化水素液体ストリーム全体である)が、還流ストリームとして分離ユニットに通される、
前記方法を提供する。
【0013】
不純物は、HS、NH、CO、COおよびHO、またはそれらの組み合わせであることが理解されよう。例えば、不純物はCOおよびCOであり得る。
【0014】
接触水素化処理ユニットからの第1の水素化処理されたストリームは、通常そのような不純物を含み、それらは後続の脱ろうステップにおいて使用される触媒にとって有害であり得る。いわゆるスイートモードで操作する場合、本発明におけるように、脱ろうステップの接触水素化処理ユニット(水素化脱ろうユニット、HDW)において使用される触媒は、不純物に感受性である貴金属触媒であり、それによって、不純物の含有量を低減するために高圧セパレーターまたはカラムの形態の分離ユニットの使用など、第1の分離ステップを使用することが必要となる。
【0015】
本発明により、(例えば分離ユニットの)オーバーヘッド炭化水素液体ストリームを供給原料の一部として脱ろうステップに送る代わりに、このオーバーヘッド炭化水素液体ストリームを分離ユニットへの還流として使用する。脱ろうステップへの供給原料中における不純物、特にHOおよびHSは、下記の例において示されるように著しく減少し(例えば1桁減少)、それによって、そこで使用される貴金属触媒の劣化が回避されることが見出された。
【0016】
本発明は、ジェット燃料、またはジェット燃料およびディーゼル油を製造する場合に特に有用である。ディーゼル油のみを製造する場合、第1の分離ステップにおける分離ユニット、例えば、HPストリッパーからのオーバーヘッドストリームは、通常、脱ろうステップにおける接触水素化処理ユニットを完全に迂回するので、それを保護する必要はない。最後にそれは全ディーゼル生成物ストリームのうちの小さな部分となるので、もしそれが脱ろうステップにおける接触水素化処理ユニットを通過しなかったとしても、これはディーゼル特性全体に影響を与えないため、許容可能であろう。
【0017】
しかしながら、第1の分離ステップにおける分離ユニットからのオーバーヘッドストリームは、いくつかのジェット沸点範囲成分(jet-boiling range components)を含有する。従って、ジェット燃料を製造する場合、これらの成分は、それらを異性化するために脱ろうステップを経る必要がある。そうでない場合、ジェット燃料製品仕様、特にジェット燃料の凝固点に関する仕様に達しないリスクがある。そこで、本発明により、分離ユニットのオーバーヘッドストリーム、例えばHPストリッパーオーバーヘッドストリームが取り出され、部分的に例えば空気冷却器において凝縮され、凝縮された炭化水素液体ストリーム、すなわちオーバーヘッド炭化水素液体ストリームを取り出すためにさらに別の(低温)セパレーターに送られる。このストリームは通常、脱ろうステップへの供給原料として直接送られるが、本発明は代わりにそれをカラムへの還流として使用し、それにより、驚くべきことに、より良好な全般的な不純物除去を得、その結果、脱ろうステップにおいて使用される接触水素化処理ユニット(複数可)をより良好に保護する。
【0018】
ステップii)において、脱ろうステップから得られたメインの水素化処理されたストリームを、第2の分離ステップに通し、これは好適にはセパレーター、例えば低温セパレーター(cold separator)、および生成物ストリッパーおよび分留器、例えば、蒸留塔を含むストリッピングセクションの使用を含み、それによって、炭化水素生成物、特に、ジェット燃料、ディーゼル油およびナフサを生成する。
【0019】
一実施態様において、ステップii)は、前記のメインの水素化処理されたストリームを、水性ストリーム(サワー水ストリーム(sour water stream))、水素リッチストリーム、および炭化水素ストリーム(これはさらに後続のストリッピングセクションにおいて前記炭化水素生成物に分離される)を生成するために、セパレーター、好ましくは低温セパレーターに通すことを含み;前記水素リッチストリームは、それを前記の第1の水素化処理されたストリームを生成するための1つ以上の接触水素化処理ユニットに供給することによって、当該方法における単一のリサイクルループとして供給される。
【0020】
それによって、水素のリサイクリングのための単一の(共通の)リサイクルループが提供され、その結果、低温セパレーターからの水素リッチガスを、例えば第1の分離ステップの前のHDOステップだけでなく、任意選択的に第1の分離ステップ後の脱ろうステップにも供給することができる。HDOまたは脱ろうステップへの水素の独立した供給のための別々のリサイクルコンプレッサーおよび追加的な配管の代わりに、単一の水素リサイクルコンプレッサーが必要とされる。
【0021】
一実施態様において、前記方法は、前記の水素リッチストリームを、前記のメインの水素化処理されたストリームを生成するための1つ以上の接触水素化処理ユニットの使用を含む脱ろうステップに供給することをさらに含む。
【0022】
別の実施態様では、前記水素リッチストリームは、脱ろうステップに供給されない。代わりに、メイクアップ水素ガス(例えば外部源からの)が脱ろうステップに供給される。メイクアップ水素ガスは、脱ろうステップを通過した後に、好適には、水素リッチストリーム(リサイクルガス)と混合され、次いで、単一のリサイクルガスループとして、HDOステップに戻される。換言すると、この実施態様によれば、前記方法はさらに以下を含む:水素リッチストリームを脱ろうステップに供給しないこと、メイクアップ水素ガス(例えば外部源からの)を脱ろうステップに供給すること、およびそれが脱ろうステップを通過した後に、水素リッチストリームと混合し、従って混合水素ストリームを生成し、これを次いで前記の単一のリサイクルループとして供すること。メイクアップ水素ガスのみを使用することが有利であり、なぜならば、水素リッチストリームとは逆に、メイクアップ水素ガスは基本的に純粋なHであり、従って、汚染物質を含まないからである。
【0023】
一実施態様において、前記方法はさらに以下を含む:第1の分離ステップからの前記オーバーヘッドストリームから、不純物を含むオーバーヘッドガスストリームを分離し、前記のオーバーヘッドガスストリームを、好適にはそれを前記のメインの水素化処理されたストリームと混合した後に、および好適には引き続き例えば空気冷却器において冷却することによって、ステップii)において前記セパレーターに通すこと。
【0024】
これにより、不純物、例えばHSおよびNHが、セパレーター、例えば低温セパレーターから取り出されるサワー水ストリームとともに持ち越され、取り出される一方で、同時に、水素のリサイクリングのための前記の単一の(共通の)リサイクルループが供される。このようにして、プロセスのさらなる統合、単純性および柔軟性が達成される。
【0025】
一実施態様において、前記の炭化水素生成物は、30℃超で沸騰し、以下のうちの1つ以上を含む:ジェット燃料、ディーゼル油、ナフサ、および任意選択的にまた潤滑油ベースストック(lube base stock)(潤滑油用基油)。特定の実施態様において、前記炭化水素は、ジェット燃料、またはジェット燃料およびディーゼル油である。
【0026】
本発明により、第1の分離ステップのオーバーヘッド炭化水素液体ストリーム全体(例えば分離ユニットからの)が、還流ストリームとして分離ユニットへ通される。
【0027】
従って、完全な還流が提供され、すなわち、オーバーヘッド炭化水素液体ストリーム全体が使用される。本明細書で使用される場合に「全体」という語句は、オーバーヘッド炭化水素液体ストリームの95重量%以上、好適には100重量%を意味する。それによって、オーバーヘッド炭化水素液体ストリームの完全な還流が存在し、脱ろうステップへの唯一の供給原料のみが、第1の分離ステップの底部から(例えば分離ユニットから)来るものであり、従って、不純物の除去をさらに増加させ、例えば、一部の不純物に関して、より具体的にはHOおよびHSに関して最大で1桁またはそれを超えて増加させる。
【0028】
完全な還流が存在すると、第1の分離ステップからの底部ストリーム、特に分離ユニットからの底部ストリームこそが、脱ろうステップへ進むストリームであることが理解されよう。
【0029】
完全な還流はないが、部分的な還流が存在する場合、第1の分離ステップからの底部ストリーム、特に分離ユニットからの底部ストリームを、オーバーヘッド液体ストリームの還流されない部分と組み合わせることにより、精製された第1の水素化処理されたストリームが任意選択的に形成される。次いで、精製された第1の水素化処理ストリームは、脱ろうステップに通される。第1の分離ステップからの底部ストリームの、特に分離ユニットからの底部ストリームの少なくとも一部、および還流されないオーバーヘッド液体ストリームの一部は、個々に、すなわちこれらのストリームを組み合わせることなく、脱ろうステップに通してもよい。
【0030】
本発明の一実施態様において、前記の炭化水素生成物は30℃超で沸騰し、以下のうちの1種以上を含む:ジェット燃料、ディーゼル油、ナフサ、及び任意選択的にまた潤滑油ベースストック。好適には、前記炭化水素生成物は、ジェット燃料、又はジェット燃料及びディーゼル油である。
【0031】
本発明の一実施態様では、第1の分離ステップにおいて、分離ユニットは高圧ストリッパー(HPストリッパー)である。HPストリッパーは、HPストリッピングカラムとも呼ばれる。
【0032】
HPストリッパーは、当技術分野において周知である。HPストリッパーは、不純物の最適な除去を提供する。HPストリッパーのためのストリッピング媒体は、メイクアップ水素ガス、すなわち、水素リッチメイクアップガス、セパレーターオフガス、例えば、高温セパレーターオフガス(hot separator off-gas)、または窒素であり得る。HPストリッパーは、例えば、40~70bargの圧力範囲および150~250℃の温度範囲で操作してよい。
【0033】
一実施態様において、第1の分離ステップはさらに、分離ユニットの上流で高温セパレーターを使用することを含む。
【0034】
高温セパレーターからの液体は、下流の分離ユニット、例えばHPストリッパーに送られ、それによって、当該プロセスにおけるストリッピングステップの柔軟性および精製性を増加させる。
【0035】
当該技術分野において周知であるように、高温セパレーターは、2相または3相の垂直または水平セパレーターであり、最も一般的には2相であり、頂部からのガスストリームと底部からの液体ストリームとを有し、100℃を超える温度で運転され、それによって、水が前記ガスストリームにおける蒸気として除去される。高温セパレーターは、高圧、中圧または低圧で、例えば1~70bargの範囲で操作することができる。
【0036】
用語「高温セパレーター(hot separator)」は、水が蒸気として除去される場合を指すことが理解されよう。用語「低温セパレーター(cold separator)」は、水が液体として除去される場合を指す。
【0037】
本発明により、前記底部ストリームの少なくとも一部が、脱ろうステップに通される。一実施態様では、ステップi)において、リサイクル油ストリームが、前記底部ストリーム、例えば第1の分離ステップの底部ストリーム(高圧ストリッパーからの)から分けられ、上流で1つ以上の接触水素化処理ユニット、すなわち前記の第1の水素化処理されたストリームを生成するための接触水素化処理ユニットに通される。
【0038】
リサイクル油は、希釈剤として使用されて、特に再生可能資源の供給材料の使用に起因する水素化処理の発熱性を減少させる。再生可能供給材料は、化石燃料をベースとする典型的な炭化水素供給材料よりも反応性が高い。再生可能供給材料は、硫黄、および特により多くの酸素を含み、それぞれHOおよびHSを形成するこれらの反応は、より発熱性である。それによって、プロセスにおけるより高い統合、柔軟性、効率、および特に安全性が達成される。
【0039】
一実施態様において、前記の第1の水素化処理されたストリームを生成するための1つ以上の接触水素化処理ユニットは、水素化脱酸素(HDO)および水素化脱窒素(HDN)である。
【0040】
本明細書で使用される場合、HDOは脱炭酸も包含する。
【0041】
水素化処理における触媒活性な材料は、典型的には活性金属(ニッケル、コバルト、タングステンおよび/またはモリブデンなどの硫化卑金属、しかしながら場合によってはまた白金および/またはパラジウムなどの元素貴金属のいずれか)および耐火性担体(例えばアルミナ、シリカまたはチタニア、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0042】
水素化処理条件は、250~400℃の区間の温度、30~150barの区間の圧力、および0.1~2の区間の液空間速度(LHSV)を含み、これは任意選択的に、低温の水素、供給原料または生成物を用いたクエンチングによる中間冷却を伴う。
【0043】
一実施態様において、脱ろうステップは、貴金属触媒の存在下で水素化脱ろう(HDW)を使用すること、および任意選択的に水素化分解(HCR)も使用することを含む。
【0044】
脱ろうステップにおいて、ワックス含有量は、水素存在下における、異性化条件下での異性化および任意選択的にまた分解によって低減される。従って、本明細書で使用される場合、水素化脱ろう(HDW)という語句は、水素異性化(HDI)という語句と代替可能に使用される。
【0045】
水素化脱ろうにおける触媒活性な材料は、典型的には、活性金属(白金および/またはパラジウムなどの元素貴金属のいずれか)、酸性担体(典型的には、高い形状選択性を示し、MOR、FER、MRE(より具体的にはMRE)、MWW、AEL、TONおよびMTTなどのトポロジーを有するモレキュラーシーブ)、および耐火性担体(例えばアルミナ、シリカまたはチタニア、またはそれらの組み合わせ)を含む。
【0046】
異性化(HDI)条件は、250~400℃の区間の温度、20~100barの区間の圧力、および0.5~8の区間の液空間速度(LHSV)を含み、これは任意選択的に、低温の水素、供給原料または生成物を用いたクエンチングによる中間冷却を伴う。
【0047】
水素化分解における触媒活性な材料は、異性化における触媒活性な材料と類似の性質であり、それは典型的には、活性金属(白金および/またはパラジウムなどの元素貴金属、またはニッケル、コバルト、タングステンおよび/またはモリブデンなどの硫化卑金属のいずれか)、酸性担体(典型的には、高い分解活性を示し、MFI、BEAおよびFAUなどのトポロジーを有するモレキュラーシーブ)、および耐火性担体(例えばアルミナ、シリカまたはチタニア、またはそれらの組み合わせ)を含む。異性化における触媒活性な材料との相違は、典型的には、酸性担体の性質であり、これは異なる構造(非晶質シリカ-アルミナでさえも)であってもよく、または異なる酸性度(例えばシリカ:アルミナ比に起因する)を有していてもよい。本発明の文脈において、金属の性質に相違があり得ること、例えば、HDW用の金属は白金などの貴金属触媒を含み、一方で水素化分解用の金属は、ニッケルおよび/またはモリブデンなどの卑金属を含み得ることは理解されよう。
【0048】
水素化分解条件は、250~400℃の区間の温度、30~150barの区間の圧力、および0.5~8の区間の液空間速度(LHSV)を含み、これは任意選択的に、低温の水素、供給原料または生成物を用いたクエンチングによる中間冷却を伴う。
【0049】
一実施態様では、再生可能資源に由来する供給材料は、例えば植物、藻類、動物、魚類、植物油精製、家庭廃棄物、プラスチックに富む廃棄物、トール油もしくは黒液などの工業有機廃棄物に由来する、再生可能資源の原料から得られるか、あるいは、トリグリセリド類、脂肪酸、樹脂酸、ケトン類、アルデヒド類またはアルコール類からなる群から選ばれる1種以上の含酸素物質から誘導された供給材料であり、ここで前記の含酸素物質は、生物源、ガス化プロセス、熱分解プロセス、フィッシャー・トロプシュ合成またはメタノールをベースとする合成のうちの1つ以上に由来する。
【0050】
一実施態様において、化石燃料源に由来する供給材料は、ディーゼル油、灯油、ナフサ、および真空ガス油(VGO)である。
【0051】
任意選択的に、前記方法において生成する炭化水素生成物のリサイクリング、例えばステップi)における前記のリサイクル油ストリームは、供給材料の一部として提供される。
【0052】
本発明は、再生可能資源に由来する供給材料、または化石燃料源に由来する供給材料、またはそれらの組み合わせ、すなわち共処理の、使用を提供する。一実施態様において、前記供給材料は、再生可能資源におよび化石資源に由来し、ここで、化石資源はそれの小部分に相当し、供給材料の最大で30重量%またはそれ未満、例えば最大で10重量%である。
【0053】
100%の再生可能供給材料、すなわち、再生可能資源に由来する供給材料であって、例えば化石燃料源からの供給材料の共供給を伴わない供給材料、または後者が上記のような小部分にのみ相当する場合は、純粋な化石燃料供給材料よりも顕著に少ない硫黄を含み、そして再生可能供給原料から酸素を除去するためにHDOを含む水素化処理を必要とし、従って、HSだけでなく、より大幅に高い濃度の他の不純物HO、NH、COおよびCOももたらす。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、従来技術による、供給材料からナフサ、ジェットおよびディーゼル油を製造するための概略的なプロセスおよびプラントレイアウトを示す。当該図は、第1の分離ステップで使用される分離ユニットの拡大図を含む。
図2図2は、本発明の一実施態様による、供給材料からナフサ、ジェットおよびディーゼル油を製造するための概略的なプロセスおよびプラントレイアウトを示す。当該図は、第1の分離ステップで使用される分離ユニットの拡大図を含む。
【0055】
図1を詳細に参照すると、全体的なプロセス/プラント10のブロックフロー図が示されている。供給材料12、例えば再生可能資源に由来する供給材料が、ハイドロプロセッシングステップまたはハイドロプロセッシングセクション110に供給される。このステップまたはハイドロプロセッシングセクションは、任意の供給ステップまたは供給セクション112、およびHDOなどの接触水素化処理ユニット114を含む反応器セクション、脱ろうステップまたは脱ろうセクション118、ならびに第1の分離ステップ116(ここでは、HPストリッパーの形態の分離ユニット116の使用によって示される)を含む。ハイドロプロセッシングステップ110から、特に脱ろうステップ118から、メインの水素化処理されたストリーム14が生成され、これは次いで、第2の分離ステップ120に通され、これは、水性(水)ストリーム16;炭化水素、例えば軽質炭化水素ストリームを含み、NH、CO、COおよびHSも含むオフガスストリーム20;およびディーゼル油22、ジェット燃料24およびナフサ26の形態の炭化水素生成物を生成する。
【0056】
供給材料12を、任意選択的な供給ステップ112を任意選択的に通過させた後、供給材料12’は、HDOなどの接触水素化処理ユニット114を通過し、ここから第1の水素化処理ストリーム12’’が取り出される。このストリームは次いで、HPストリッパー116を、蒸気ストリーム46、すなわち不純物の大部分を含むオーバーヘッドガスストリーム、底部ストリーム44(ここからリサイクル油ストリーム44’およびストリーム44’’が分けられ、ストリーム44’’はHPストリッパー116からのオーバーヘッド液体ストリームと組み合わされることによって、精製された第1の水素化処理されたストリーム12’’’を形成する)を生成しながら通る。後者は、メインの水素化処理されたストリーム14を生成するために、接触水素化処理ユニット、すなわちHDWユニット118の使用を含む、脱ろうステップ118に入る。水素化分解ユニット(HCRユニット)の形態の追加的な接触水素化処理ユニットもまた、例えばそれぞれ第1の水素化処理されたストリーム12’’またはメインの水素化処理されたストリーム14を生成するためのHDOまたはHDWユニットの下流または上流に供してもよい。
【0057】
第2の分離ステップ120は、セパレーター122、好ましくは低温セパレーター、ならびに生成物ストリッパーおよび分留器、例えば蒸留塔(図示せず)を含むストリッピングセクション124の使用を含む。前のHPストリッパー116で生成したオーバーヘッドガスストリーム46は、セパレーター122の操作のために、メインの水素化処理されたストリーム14と使用してもよく、例えば混合してもよい。セパレーター122から水素リッチストリーム18が取り出され、これは例えば、接触水素化処理ユニット114に入るストリーム12’および44’と混合することによって、水素ガスリサイクルとして使用してもよく、ならびに、セパレーター122はまた、上記の水ストリーム16を生成する。不純物は従って、前記の水ストリーム16(サワー水ストリーム)中に持ち越される。セパレーター122から炭化水素ストリーム14’が生成され、これは次いで、炭化水素を含むオフガスストリーム20、ならびに炭化水素生成物であるディーゼル油22、ジェット燃料24およびナフサ26の生成下で、ストリッピングセクション124に供給される。例えば外部のバッテリーリミットからの、メイクアップ水素ガス40が、HPストリッパー116に、ならびに任意選択的にまたハイドロプロセッシングステップ110の触媒ユニット114、118に供給される。
【0058】
HPストリッパー116の拡大概略図も、図1に提供されている。ストリーム12’’は、例えば、HPストリッパー116の第1の段に供給される。図に示されるように、HPストリッパーオーバーヘッドストリームが取り出され、例えば空気冷却器116’において部分的に凝縮され、凝縮された炭化水素液体ストリーム、すなわちオーバーヘッド炭化水素液体ストリーム28、ならびにサワー水ストリーム30および蒸気ストリーム46を取り出すためにセパレーター116’’に送られる。オーバーヘッド炭化水素液体ストリーム28は、任意選択手にHPストリッパー116から取り出された底部ストリーム44’’と組み合わせた後に、脱ろうステップ118に供給原料として送られる。メイクアップ水素ガス40がストリッピングにおいて使用され、リサイクル油ストリーム44’がHPストリッパー116の底部ストリーム44から分けられ、上流で1つ以上の接触水素化処理ユニット114に通される。
【0059】
ここで本発明に従う実施態様を示す図2を参照すると、全体的なプロセス/プラント10のブロックフロー図は、HPストリッパー116からの底部ストリーム44から分けられたストリーム44’’が脱ろうステップ118への唯一の炭化水素供給原料であることを除いて、図1のものと同一である。
【0060】
HPストリッパー116の拡大概略図は、ここでは、代わりにHPストリッパーへの還流としてのオーバーヘッド液体ストリーム28の使用を示す。ここで示されているように、オーバーヘッド炭化水素液体ストリーム28全体が還流として通され、それによって驚くべきことに、全体的な不純物除去の著しい改善が得られ、その結果、脱ろうステップ118における接触水素化処理ユニット(複数可)をより良好に保護する。
【0061】
セパレーター122、好ましくは低温セパレーターから、水素リッチストリーム18が取り出され、これは水素ガスリサイクルとして使用され得、そしてこれは好適には、当該プロセスにおける単一のリサイクルループとして供され、すなわち、水素リッチストリーム18は第1の水素化処理されたストリーム12を生成するための1つ以上の接触水素化処理ユニット114に供給される。
【実施例
【0062】

従来技術:
図1によれば、加熱前の脱ろうステップまたは脱ろうセクション18への液相中の不純物のレベルは、以下の通りである:
O:1589wppb,NH:14wppb,HS:1528wppb,CO+CO:3798wppb。
【0063】
本発明:
図2によれば、オーバーヘッド炭化水素液体ストリーム28全体が還流としてHPストリッパー116へ、すなわち、完全な還流として通される。図1に関するのと同一の、HPストリッパーにおける操作条件(圧力、温度、ストリッピングガス流)を使用する。加熱前の脱ろうステップまたは脱ろうセクション18への液相中の不純物のレベルはここでは、以下の通りである:
O:136wppb,NH:9wppb,HS:124wppb,CO+CO:1197wppb。
【0064】
それによって、不純物、特にHS、HOおよび/またはCO+COのレベルの驚くべき大幅な減少が達成される。およそ1桁の減少がHSおよびHOに関して得られる。
図1
図2
【国際調査報告】