(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】改善された機械的特性を有する、ミクロフィブリル化セルロース含有パルプシート
(51)【国際特許分類】
D21H 11/18 20060101AFI20230920BHJP
D21C 9/00 20060101ALI20230920BHJP
D21D 1/20 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
D21H11/18
D21C9/00
D21D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514763
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2021000606
(87)【国際公開番号】W WO2022053865
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リーヴ-ラーソン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィンドバンク,マーク
(72)【発明者】
【氏名】イングル,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】パラディ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】スクーゼ,デビッド,アール.
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC01
4L055AC03
4L055AC05
4L055AC06
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4L055AG04
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4L055AG27
4L055AG94
4L055AH01
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4L055EA15
4L055EA16
4L055EA20
4L055EA25
4L055EA28
4L055EA32
4L055FA22
4L055FA30
4L055GA19
4L055GA50
(57)【要約】
バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースを含む、これから本質的に構成される、またはこれから構成される部分乾燥シート、または、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源として使用するのに好適なパルプのブレンドを含む、これから本質的に構成される、またはこれから構成される乾燥シートを製造する方法であって、前記シートは、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される高せん断分散機、ミキサまたはリファイナを用いて再分散させることができ、シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の乾燥シートと比べて、比引張強度を維持し、または、これが実質的に劣化されない、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダとして使用するための、ミクロフィブリル化セルロースを含む部分乾燥シートまたは乾燥シートを製造する方法であって、方法は、
約0.5wt%~約30wt%総固体の範囲のパルプスラリーを調製するステップ;
ミクロフィブリル化セルロースのスラリーを調製するステップ;
前記パルプスラリーと前記ミクロフィブリル化セルロースのスラリーを混合するステップであって、前記パルプスラリー中のミクロフィブリル化セルロースの含量は総乾燥質量の約0.5wt%~約99.5wt%である、ステップ;
ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプを含むシートを形成するステップ;ならびに
前記シートを所望の含水量まで脱水し、乾燥させるステップ
を含み、
前記部分乾燥シートの前記含水量は約20重量%~約85重量%の水分の範囲であり;または前記部乾燥シートの前記含水量は約20重量%以下であり;ならびに
前記部分乾燥シートまたは前記乾燥シートが水性媒体中に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、前記部分乾燥シートまたは乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、前記MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない、方法。
【請求項2】
前記部分乾燥シートまたは前記乾燥シートは、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において1つ以上の無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ、前記繊維性基材対前記無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり、前記ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、前記ミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ミクロフィブリル化セルロースは約0.5wt%~約50wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ミクロフィブリル化セルロースは約0.5wt%~約25wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ミクロフィブリル化セルロースは約0.5wt%~約15wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ミクロフィブリル化セルロースは約0.5wt%~約10wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ミクロフィブリル化セルロースは約0.5wt%~約5wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ミクロフィブリル化セルロースは約0.5wt%~約75%wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ミクロフィブリル化セルロースは約0.5wt%~約90wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ミクロフィブリル化セルロースは約20wt%~約40wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ミクロフィブリル化セルロースは約10wt%~約20wt%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の無機微粒子材料は、板状ミネラル、カオリンおよび/またはタルクを含む、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の無機微粒子材料は炭酸カルシウムまたはカオリン、またはその混合物である、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、またはその混合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、ベントナイト、含水カンダイト粘土、カオリン、ハロイサイト.、ボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、メタカオリン、完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライト、セピオライト、ハンタイト、けいそう土、マグネサイト、ケイ酸塩、珪藻土、ブルーサイト、アルミニウム三水和物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、再生パルプ、損紙パルプ、紙工場廃水ストリーム、紙工場からの廃棄物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるパルプから得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記パルプは北部針葉樹さらしクラフトパルプ(「NBSK」)、またはさらしケミサーモメカニカルパルプ(「BCTMP」)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記パルプはクラフトパルプ、またはさらし長繊維クラフトパルプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記パルプは、エゾマツパルプ、マツ、モミパルプ、カラマツパルプ、ヘムロックパルプおよび混合針葉樹パルプからなる群より選択される針葉樹パルプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記パルプは、ユーカリ、ヤマナラシおよびカバノキ、または混合広葉樹パルプからなる群より選択される広葉樹パルプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記パルプは、ユーカリパルプ、ヤマナラシパルプ、カバノキパルプおよび混合広葉樹パルプからなる群より選択される広葉樹パルプである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
増加した引張特性を有するミクロフィブリル化セルロースの調製のために前記パルプを選択することは、下記のステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法:
(i)セルロースを含む多様な繊維性基材を提供するステップ;
(ii)セルロースを含む前記繊維性基材のNm/gで表されるゼロスパン比引張強度、および、ヘミセルロース含量を決定するステップ;
(iii)セルロースを含む前記繊維性基材の前記ヘミセルロース含量と繊維ゼロスパン比引張強度の積からNm/gで表される前記MFC比引張強度を予測するステップ;ならびに
(iv)所望のMFC比引張強度を有するセルロースを含む前記繊維性基材を選択するステップ。
【請求項24】
前記方法は、物品、生成物または組成物において、またはその製造において、前記再分散された部分乾燥シートの使用をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、物品、生成物または組成物において、またはその製造において、前記再分散された乾燥シートの使用をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記再分散は、高せん断分散機の使用を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記再分散は、低せん断分散機の使用を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記再分散は、高せん断ミキサの使用を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記再分散は、低せん断ミキサの使用を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記再分散は、リファイナの使用を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記部分乾燥シートは、紙またはコーティング紙、塗料およびコーティング、インク、油田ケミカル、複合物、消費者製品、化粧品、医薬品および食品を製造する方法において使用するのに好適である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記乾燥シートは、紙またはコーティング紙、塗料およびコーティング、インク、油田ケミカル、複合物、消費者製品、化粧品、医薬品および食品を製造する方法において使用するのに好適である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
繊維峻度は下記式により決定される、請求項33に記載の方法:峻度=100×(d
30/d
70)。
【請求項35】
セルロースを含む前記繊維性基材は、450cm
3以下のカナダ標準ろ水度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項36】
粉砕媒体をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項37】
前記粉砕媒体は前記水性媒体の少なくとも約10体積%の量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記粉砕媒体は前記水性媒体の最大約70体積%までの量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記粉砕媒体は約0.5mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記粉砕媒体は少なくとも約2.5の比重を有する粒子を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
セルロースを含む前記繊維性基材は前記水性媒体中に、少なくとも約5wt%の初期固体含量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項42】
前記粉砕はタワーミルまたはスクリーングラインダーにおいて実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項43】
前記スクリーングラインダーは撹拌媒体デトライターである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記スクリーングラインダーは、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーンを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記粉砕は粉砕容器のカスケードで実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項46】
前記粉砕媒体は、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、または、カオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼させることにより生成されるムライトリッチ材料からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記粉砕媒体は、カオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼させることにより生成されるムライトリッチ材料である、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)、ならびに、MFCおよびパルプのブレンドを含む部分乾燥、または、乾燥シートを製造する方法に関し、そのシートは乾燥および水性媒体中への再分散後に維持され、または実質的に劣化しない改善された機械的特性を示す。
【背景技術】
【0002】
紙およびボード業界で使用される木材パルプは、様々な形態で、商業的パルプ製造会社によってもたらされる。これらのパルプ形態は機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプおよび化学パルプを含み、例えば、北部針葉樹さらしクラフトパルプ(「NSBK」)、針葉樹さらしクラフトパルプ、広葉樹さらしパルプ、未さらし針葉樹および広葉樹クラフトパルプ、さらし亜硫酸パルプ、さらしケミサーモメカニカルパルプ(「BCTMP」)および再生パルプが挙げられる。
【0003】
パルプは多くの木材源から得ることができ、それは典型的には、2つのクラス、すなわち針葉樹および広葉樹パルプに分類される。針葉樹パルプは多くの適用において好まれ、というのも、セルロース繊維が典型的にはより長いからである。針葉樹パルプは、エゾマツ、マツ、モミ、カラマツおよびヘムロックから加工することができ、一方、広葉樹パルプは、典型的には、例えば、ユーカリ、ヤマナラシおよびカバノキから加工される。
【0004】
パルプは従来、木材チップからパルプシートに処理され、これらが、例えば、製紙工場に、紙および板紙に加工するために出荷される。クラフト化学処理には辺材の製材残材チップが典型的には使用されるが、辺材に加えて原木の心材を含む全木チップも使用され得る。辺材は化学処理に有利であり、というのも、辺材は、リグニンが少なく、密度が低く、木材抽出物が少なく、酸性度が低く、含水量が高く、生細胞が多い繊維であるからであり;その結果として、蒸解がより容易となる。心材は、辺材よりも蒸解液が浸透しにくい。
【0005】
木材チップ源に関係なく、とりわけ、複数の木材チップ源が一緒にパルプ化される場合、クラフトプロセスにより生成された、結果として得られる木材パルプは多くの変数を有し、例えば、不良品、樹皮含量、含水量、カッパー価変動、生物学的節、腐朽材、硫化率および多くの他の変数が挙げられる。これらの変数は使用されるパルプ化プロセスの型により影響される。クラフトプロセスの目的は、均一な脱リグニンならびに高い蒸解収率およびパルプ品質を提供することである。
【0006】
木材パルプに加工された木材チップは水とは別に、3つの主成分を有し、これらはセルロース繊維、リグニンおよびヘミセルロースである。これら3つの成分は、針葉樹または広葉樹源から木材チップをパルプ化するために採用される処理の型に基づいて大いに区別される。
【0007】
様々な最終用途適用に使用可能な最も商業的に重要な木材パルプの1つは北部針葉樹さらしクラフトパルプ、またはNBSKである。市販のNBSKパルプは、長細いセルロース含有繊維を含み、それらは、優れた接着および引張特性を提供する。NBSKパルプは、従来、様々な紙製品、例えば、印刷および筆記用紙、特殊グレード、およびある範囲のティッシュ製品を製造するために使用される。
【0008】
ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を生成する様々な方法が当技術分野で知られている。粉砕手順により生成されるミクロフィブリル化セルロースを含むある一定の方法および組成物がWO-A-2010/131016号に記載される。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, “Paper filler composition,” PCT国際出願第WO-A-2010/131016、この内容はこれによりその全体が参照により組み込まれる。そのようなミクロフィブリル化セルロースを含む紙製品は優れた紙特性、例えば、紙破裂および引張強度を示すことが示されている。WO-A-2010/131016号において記載される方法によっても、ミクロフィブリル化セルロースの生成が経済的に可能になる。
【0009】
WO2010/131016号は、無機微粒子材料ありまたはなしでのミクロフィブリル化セルロースの生成のための粉砕手順を記載する。そのような粉砕手順は以下に記載される。WO-A-2010/131016号において明記されたプロセスの一実施形態では、プロセスは、セルロース繊維の機械的崩壊を利用し、ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)をコスト効率良く、かつ、大規模に生成させ、セルロース前処理が必要とされない。方法の一実施形態は、撹拌媒体デトライター粉砕技術を使用し、これは、粉砕媒体ビーズをかくはんすることにより繊維をMFCに崩壊させる。このプロセスでは、炭酸カルシウムまたはカオリンなどのミネラルが粉砕助剤として添加され、必要とされるエネルギーが大きく低減される。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, “Paper filler composition,” 米国特許US9127405B2号(これにより、その内容が参照によりその全体として組み込まれる)。
【0010】
前記進歩にもかかわらず、依然として、部分的に乾燥され、または、乾燥され得る、かつ、第2の場所へ、例えば、製紙工場へ輸送され得る、ミクロフィブリル化セルロースならびにミクロフィブリル化セルロースおよびパルプブレンドのシートを調製することが必要なままであり;そのようなシートは、シートとして使用される場合、引張特性の増加を示し、水などの液体媒体中で再分散され得、そうすると、MFC含有シートはその有益な引張特性を維持し、紙または板紙のための抄紙完成紙料に添加することができ、よって、最終紙または板紙製品の引張特性が増強される。
【発明の概要】
【0011】
本明細書の記載、図面、実施例および特許請求の範囲によれば、発明者らはミクロフィブリル化セルロースを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)シート、あるいは、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプブレンドを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)シートの製造のためのプロセスを発明し、それらは乾燥および水性媒体中への再分散後に維持され、または、実質的に劣化されない改善された機械的特性を有する。ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプブレンドを含むシートを対象とする本開示の一態様では、MFCは、市場パルプの特性を増強させ、それを別の製造場所への輸送に好適なものとするために使用することができる。一方、MFCおよびパルプブレンドシート中へのMFCの組み入れにより付与された有益な特性が維持される。
【0012】
本発明はミクロフィブリル化セルロースを含む組成物の使用に基づき、これは市場パルプに添加され、その後、乾燥され、MFCなしで生成されたパルプシートと比べて増強された機械的特性を有するシートに成形され、さらに、MFCの増強された機械的特性は維持され、または実質的に劣化されないが、完成紙料強度は、通常通り、乾燥および再スラッシュ生成サイクルのために低減する可能性がある。
【0013】
本発明の一態様では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0014】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。
【0015】
別の態様における本発明はミクロフィブリル化セルロース、および任意で無機微粒子材料を含む組成物の使用に基づき、これは、増強された機械的特性を有するMFCシートに成形され、MFCシートが部分的に乾燥され、または、乾燥され、および、再パルプ化された場合、増強された機械的特性は維持され、または実質的に劣化されない。
【0016】
約0.5wt%~約50wt%の投与量での市場パルプへのMFCの添加、その後、乾燥およびシートへの成形により、機械的特性および不透明度の改善が得られる。濾水性、嵩、多孔度および粗さは低減され、白色度にもわずかな低減がある。MFC含有パルプシートの機械的特性の改善は、MFCおよびパルプシートが乾燥され、再パルプ化される場合、維持され、または実質的に劣化されない。したがって、MFC含有パルプシートは、最終用途適用のための商業的に有用な代替パルプ形態を提供し、パルプリファイニングは低減され、または排除され得、嵩および比引裂強さを含む機械的特性が改善される。乾燥または部分乾燥およびシートへの成形前の約0.5~約50wt%MFCの市場パルプへの投与は、例えば嵩および比引裂強さを含む、市場パルプの機械的特性に大いに影響することが示されている。
【0017】
MFC含有パルプブレンドシートを調製する前記態様の一実施形態では、MFCは、約0.5wt%~約40wt%、または約0.5wt%~約30wt%、または約0.5wt%~約25wt%、または約0.5wt%~約20wt%、または約0.5wt%~約15wt%、または約0.5wt%~約12.5wt%、または約0.5wt%~約10wt%、または約0.5wt%~約9wt%、または約0.5wt%~約8wt%、または約0.5wt%~約7wt%、または約0.5wt%~約6wt%、または約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約4wt%、または約0.5wt%~約3wt%、または約0.5wt%~約2.5wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約0.5wt%~約1.5wt%、または約0.5wt%~約1wt%の投与量で添加され得る。
【0018】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる実施形態では、乾燥または部分乾燥MFCシート、または、乾燥または部分乾燥MFCおよびパルプブレンドシート中のMFCは、MFCシートまたはMFCおよびパルプブレンドシートを生成する前にMFCに添加される1つ以上の無機微粒子材料の添加の結果としての、または、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスによる、少なくとも1つ以上の無機微粒子材料をさらに含むことができ、繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は、粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で、または両方の添加様式により実施される。
【0019】
本開示の様々な態様および実施形態では、「乾燥シート」という用語は、20重量%以下の水分(例えば、水)を含むシートを意味する。
【0020】
本開示の様々な態様および実施形態では、「部分乾燥シート」という用語は、約20重量%超~約60重量%、または約20重量%~約85重量%の水分(例えば、水)を含むシートを意味する。
【0021】
本開示の様々な態様および実施形態では、「機械的特性」という用語は、引張強度、引張伸び、比引張強度、破裂強度、引裂強度、比引裂強さ、スコットボンド、破断エネルギーおよび破断伸びの1つ以上を意味する。
【0022】
本開示の一態様では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースを含む部分乾燥シートまたは乾燥シートを製造する方法が提供され、方法は、下記ステップを含み:
約0.5wt%~約30wt%総固体の範囲のパルプスラリーを調製するステップ;
ミクロフィブリル化セルロースのスラリーを調製するステップ;
パルプスラリーとミクロフィブリル化セルロースのスラリーを混合するステップであって、パルプスラリー中のミクロフィブリル化セルロースの含量は総乾燥質量の約0.5wt%~約99.5wt%であってもよいステップ;
ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプを含むシートを形成するステップ;ならびに
シートを所望の含水量まで脱水し、乾燥させるステップ;
部分乾燥シートの含水量は約20重量%~約85重量%水分の範囲であり;または乾燥シートの含水量は約20重量%以下であり;ならびに
部分乾燥シートまたは乾燥シートが水性媒体中に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートまたは乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0023】
本開示の別の態様では、部分乾燥シートまたは乾燥シートの本開示の前記態様および実施形態は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む。
【0024】
本開示のさらなる態様では、本開示の前記態様および実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ、繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は粉砕の完了後に除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される。
【0025】
本開示の別の態様では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースを含む部分乾燥シートを製造する方法が提供され;部分乾燥シートの含水量は約20%超~約60%、または約20重量%~85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。部分乾燥シートは約20重量%超~約60重量%、または約20重量%~約85重量%(例えば、水)の含水量まで任意の従来の脱水および乾燥技術により乾燥させることができる。
【0026】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0027】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0028】
本開示の一態様では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースから本質的に構成される部分乾燥シートを製造する方法が提供され;部分乾燥シートの含水量は約20重量%超~約60%、または約20重量%~85重量%の水分(例えば、水)の範囲であり;重量での水;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含む部分乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0029】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0030】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0031】
本開示の一態様では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースから構成される部分乾燥シートを製造する方法が提供され;シートの含水量は約20重量%超~約60%、または約20重量%~約85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0032】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。一実施形態では、パルプストックが処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされる。
【0033】
本開示の一態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源と使用するのに好適なパルプのブレンドを含む部分乾燥シートを製造する方法が提供され;シートの含水量は約20重量%~約60%、または約20重量%~85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0034】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0035】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0036】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0037】
本開示の一態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源と使用するのに好適なパルプのブレンドから本質的に構成される部分乾燥シートを製造する方法が提供され;シートの含水量は約20重量%超~約60%、または約20重量%~約85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0038】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0039】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0040】
本開示の一態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源として使用するのに好適なパルプのブレンドから構成される部分乾燥シートを製造する方法が提供され;シートの含水量は約20重量%超~約60%、または約20重量%~85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0041】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0042】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0043】
本開示の一態様では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースを含む乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下(例えば、水)であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含む乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0044】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0045】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0046】
本開示の一態様では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースから本質的に構成される乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含む乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0047】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0048】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0049】
本開示の一態様では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースから構成される乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含む乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0050】
本開示の一態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源として使用するのに好適なパルプのブレンドを含む乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含む乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0051】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0052】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0053】
本開示の一態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源として使用するのに好適なパルプのブレンドから本質的に構成される乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサまたは分散機を用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含む乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0054】
本開示の一態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源として使用するのに好適なパルプのブレンドから構成される乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機またはミキサを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0055】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0056】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0057】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料のブレンドならびにパルプ源として使用するのに好適なパルプを含む部分乾燥シートを製造する方法が提供され;シートの含水量は約20重量%超~約60重量%、または約20重量%~約85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機材料ならびにパルプ源を含む部分乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されず;ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ;繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり;ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される。
【0058】
本開示の前記態様の一実施形態では、パルプストックは、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプから調製される。パルプストック(またはスラリー)の固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲である。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および少なくとも1つの無機微粒子材料の液体懸濁液(またはスラリー)とされる。次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。本発明の前記態様の一実施形態では、パルプストックの一部が処理されて、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)および1つ以上の無機微粒子材料の液体懸濁液(またはスラリー)とされ、次いで、これがパルプストックに総乾燥質量の0.5wt%~99.5wt%の範囲で添加される。
【0059】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0060】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0061】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料のブレンドならびにパルプ源として使用するのに好適なパルプから本質的に構成される部分乾燥シートを製造する方法が提供され;シートの含水量は約20重量%超~約60重量%、または約20重量%~約85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機材料ならびにパルプ源を含む部分乾燥シートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されず;ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ、繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される。
【0062】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0063】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料のブレンドならびにパルプ源として使用するのに好適なパルプから構成される部分乾燥シートを製造する方法が提供され;シートの含水量は約20重量%超~約60重量%、または約20重量%~約85重量%水分(例えば、水)の範囲であり;部分乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機材料ならびにパルプ源を含む部分乾燥シートと比べて、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されず;ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ;繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり;ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される。
【0064】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0065】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料のブレンドならびにパルプ源として使用するのに好適なパルプを含む乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機材料ならびにパルプ源を含む乾燥シートと比べて、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されず;ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ、繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり;ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される。
【0066】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0067】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料のブレンドならびにパルプ源として使用するのに好適なパルプから本質的に構成される乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機材料ならびにパルプ源を含む乾燥シートと比べて、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されず;ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ、繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される。
【0068】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0069】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料のブレンドならびにパルプ源として使用するのに好適なパルプから構成される乾燥シートを製造する方法が提供され;乾燥シートの含水量は約20重量%以下の水であり;乾燥シートが水性媒体に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロース、少なくとも1つの無機材料およびパルプ源を含む乾燥シートと比べて、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されず;ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材が粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化される同時粉砕ミクロフィブリル化プロセスにより得られ;繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり;ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し;ならびに、任意で、ミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施される。
【0070】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0071】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、乾燥または部分乾燥シートはMFCを、約0.5wt%~約40wt%、または約0.5wt%~約30wt%、または約0.5wt%~約25wt%、または約0.5wt%~約20wt%、または約0.5wt%~約15wt%、または約0.5wt%~約12.5wt%、または約0.5wt%~約10wt%、または約0.5wt%~約9wt%、または約0.5wt%~約8wt%、または約0.5wt%~約7wt%、または約0.5wt%~約6wt%、または約0.5wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約4wt%、または約0.5wt%~約3wt%、または約0.5wt%~約2.5wt%、または約0.5wt%~約2wt%、または約0.5wt%~約1.5wt%、または約0.5wt%~約1wt%の投与量で添加することにより調製される。
【0072】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、乾燥または部分乾燥シートは湿潤ラップであってもよい。
【0073】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、シートはパッドであってもよい。
【0074】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、シートはリールであってもよい。
【0075】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、シートはベールであってもよい。
【0076】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、物体としてさらに成型または成形されてもよい。
【0077】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、MFCは約20~約50の繊維峻度を有し得る。
【0078】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、繊維峻度は下記式により決定される:峻度=100×(d30/d70)。
【0079】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、乾燥シートは、乾燥および再分散前のシートと比べて、MFCの機械的特性および粘度を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0080】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、部分乾燥シートは、乾燥および再分散前のシートと比べて、MFCの機械的特性および粘度の両方を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0081】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、乾燥シートはMFCを含み、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む。
【0082】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、部分乾燥シートはMFCを含み、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む。
【0083】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材を水性媒体において1つ以上の無機微粒子材料の存在下で粉砕することを含む同時粉砕プロセスにより得られ、繊維性基材対無機微粒子材料は、約99.5:0.5~約0.5:99.5の比であり、任意でミクロフィブリル化は粉砕の完了後除去されることになっている粉砕媒体の存在下で実施され、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有する。
【0084】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物が提供され、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、さらしパルプ、再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプまたは生物学的に(酵素的に)処理されたパルプを含む(またはこれから本質的に構成される、またはこれから構成される)群から選択されるパルプストックと混合される。
【0085】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、セルロースを含む繊維性基材は450cm3以下のカナダ標準ろ水度を有する。
【0086】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、方法は、粉砕媒体をさらに含む。さらなる実施形態では、粉砕媒体は水性媒体の少なくとも約10体積%、または水性媒体の最大約70体積%までの量で存在する。別の実施形態では、粉砕媒体は、約0.5mm~約6mmの範囲にある平均直径を有する粒子を含む。別の実施形態では、粉砕媒体は少なくとも約2.5の比重を有する粒子を含む。
【0087】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、セルロースを含む繊維性基材は水性媒体中に、少なくとも約5wt%の初期固体含量で存在する。
【0088】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、初期固体含量は少なくとも約0.5wt%である。
【0089】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、固体含量は約0.5wt%~約30wt%の範囲にあってもよい。
【0090】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、粉砕はタワーミルまたはスクリーングラインダーにおいて実施される。
【0091】
一実施形態では、スクリーングラインダーは撹拌媒体デトライターである。
【0092】
別の実施形態では、スクリーングラインダーは、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーンを含む。
【0093】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、粉砕は粉砕容器のカスケードで実施される。
【0094】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、粉砕媒体はアルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、または、カオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼させることにより生成されるムライトリッチ材料から選択される(または、これらからなる群より選択される)。
【0095】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、粉砕媒体はカオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度か焼させることにより生成されるムライトリッチ材料である。
【0096】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は板状ミネラル、カオリンおよび/またはタルクを含む。
【0097】
前記態様または実施形態のいずれかの一実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は炭酸カルシウムまたはカオリン、またはその混合物である。
【0098】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は炭酸カルシウムを含む。
【0099】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムである。
【0100】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、重質炭酸カルシウムは、大理石、石灰石および/または白亜;およびそれらの混合物から選択される天然重質炭酸カルシウムである。
【0101】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、炭酸カルシウムは沈降炭酸カルシウムである。
【0102】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、炭酸カルシウムはバテライト、方解石またはアラゴナイト結晶構造である。
【0103】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、沈降炭酸カルシウムは、超微細分離柱状、偏三角面体または菱面体沈降炭酸カルシウムである。
【0104】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は炭酸カルシウムまたはカオリン、またはその混合物である。
【0105】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、またはその混合物である。
【0106】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、ベントナイト、含水カンダイト(kandite)粘土、例えば、カオリン、ハロイサイト、ボールクレー、無水(か焼)カンダイト粘土、例えば、メタカオリンまたは完全か焼カオリン、タルク、雲母、パーライトセピオライト、ハンタイト、けいそう土、マグネサイト、ケイ酸塩、または珪藻土、またはそれらの組み合わせから選択される(またはこれらからなる群より選択される)。
【0107】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ(例えば、クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、またはサーモメカニカルパルプ、例えば、例として、北部針葉樹さらしクラフトパルプ(「NBSK」)、さらしケミサーモメカニカルパルプ(「BCTMP」)、または再生パルプ(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、または損紙パルプ、または紙工場廃水ストリーム、または紙工場からの廃棄物、またはそれらの組み合わせから得られる。
【0108】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、パルプ源はクラフトパルプ、またはさらし長繊維クラフトパルプである。
【0109】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、パルプ源はエゾマツ、マツ、モミ、カラマツおよびヘムロックまたは混合針葉樹パルプから選択される針葉樹パルプである。
【0110】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、パルプ源はユーカリ、ヤマナラシおよびカバノキ、または混合広葉樹パルプから選択される広葉樹パルプである。
【0111】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、パルプ源はユーカリパルプ、エゾマツパルプ、マツパルプ、ブナパルプ、ヘンプパルプ、アカシア綿パルプ、およびそれらの混合物である。
【0112】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、増加した引張特性を有するミクロフィブリル化セルロースの調製のためのパルプ源は、下記のステップをさらに含む:
(i)セルロースを含む多様な繊維性基材を提供するステップ;
(ii)セルロースを含む繊維性基材のNm/gで表されるゼロスパン比引張強度、および、ヘミセルロース含量を決定するステップ;
(iii)セルロースを含む繊維性基材のヘミセルロース含量と繊維ゼロスパン比引張強度の積からNm/gで表されるMFC比引張強度を予測するステップ;ならびに
(iv)所望のMFC比引張強度を有するセルロースを含む繊維性基材を選択するステップ。
【0113】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、乾燥または部分乾燥シートが、1つ以上の塩、1つ以上の糖、1つ以上のグリコール、尿素、カルボキシメチルセルロースおよびグアーガムからなる群より選択される1つ以上の添加物の存在下で再分散される。
【0114】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、糖は、単糖、二糖、オリゴ糖および多糖の1つ以上から選択される。
【0115】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、1つ以上の塩は塩化ナトリウムを含む。
【0116】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、1つ以上のグリコールはエチレングリコールを含む。
【0117】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、前記方法は、物品、生成物または組成物における、またはその製造における再分散された部分乾燥、または、乾燥シートの使用をさらに含む。
【0118】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、前記再分散は、高せん断分散機の使用を含む。
【0119】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、前記再分散は、高せん断ミキサの使用を含む。
【0120】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、セルロースを含む繊維性基材は、450cm3以下のカナダ標準ろ水度を有する。
【0121】
前記態様および実施形態のいずれかの一実施形態では、この方法により得られる、増強された粘度および/または比引張強度特性を有する、ミクロフィブリル化セルロース、および、任意で無機微粒子材料を含む、これから本質的に構成される、またはこれから構成される乾燥または部分乾燥シートは、紙またはコーティング紙、塗料およびコーティング、インク、油田ケミカル、複合物、消費者製品、化粧品、医薬品および食品を製造する方法において使用するのに好適である。
【0122】
本明細書で開示される原理、およびその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併用してなされた下記記載が参照される。
【0123】
本明細書で開示される原理、およびその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併用してなされた下記記載が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【
図1】1.5%繊維固体で粉砕された、ミネラルを含まないNBSKについてのFLTインデックス対比エネルギー入力のプロットである。
【
図2】NBSKパルプとの比較目的で、1.5%繊維固体で粉砕された、ミネラルを含まないBotnia RMA90パルプについてのFLTインデックス対比エネルギー入力のプロットを提供する。
【
図3】1.5%繊維固体で粉砕された、Sodra BlueとBotnia RMA90の間のエネルギースイープ比較を示す。
【
図4】2%繊維固体で粉砕された、ミネラルを含まないSodra BlueおよびBotnia RMA90パルプについてのFLTインデックス対比エネルギー入力のプロットである。
【
図5】1.5%と2%繊維固体でのBotnia粉砕パルプ間の比較を示す。
【
図6】1.5%と2%繊維固体でのSodra Blueパルプ間の比較を示す。
【
図7A-D】実施例6において各試験ポイントについて達成された濾水性特性および灰分のプロットを示す。ショッパーリグラー値はCSF測定からの計算した変換であった。
図7Aは80g/m
2ハンドシートでの、濾水時間(シート形成機)対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図7Bはカナダ標準ろ水度(CSF)対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図7Cは(計算した)ショッパーリグラー度対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図7Dは、80g/m
2ハンドシートでの、灰分対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
【
図8A-D】実施例6においてValmet FS5繊維分析器で得られた、各試験ポイントについての主繊維分析器特性を示す。
図8Aは繊維長(ISO)対MFC投与量のプロットである。
図8Bは繊維幅対MFC投与量のプロットである。
図8Cは光学粗さ対MFC投与量のプロットである。
図8Dはフィブリル化パーセンテージ対MFC投与量のプロットである。
【
図9】ハンドシートにおける比引裂強さ対MFC投与量のプロットであり、この場合、MFCがNBSK完成紙料(リファイニングされていない)に添加され、その後、ハンドシートが80g/m
2で、調製され、および、MFC-パルプ組成物が再スラッシュされ、80g/m
2で、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20wt%のMFC投与量に対して、ハンドシートに再製造される。
【
図10A-D】ハンドシートの紙特性のプロットを示し、この場合、MFCがNSBK完成紙料(リファイニングされていない)に添加され、その後、ハンドシートが80g/m
2で調製され、および、MFC-パルプ組成物が再スラッシュされ、80g/m
2で、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20wt%のMFC投与量に対して、ハンドシートに再製造される。
図10Aは80g/m
2ハンドシートでの、スコットボンド値対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図10Bは80g/m
2ハンドシートでのBendtsen多孔度対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図10Cは80g/m
2ハンドシートでの粗さ対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図10Dは80g/m
2ハンドシートでの嵩対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。プロットされた紙特性はTL=スコットボンド、TR=Bendtsen多孔度、BL=PPS粗さ、およびBR=嵩である。
【
図11A-D】ハンドシートの追加の紙特性のプロットを示し、この場合、MFCがNBSK完成紙料(リファイニングされていない)に添加され、その後、ハンドシートが80g/m
2で調製され、および、MFC-パルプ組成物が再スラッシュされ、80g/m
2で、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20wt%のMFC投与量に対して、ハンドシートに再製造される。
図11Aは80g/m
2ハンドシートでの比破裂強さ対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図11Bは80g/m
2ハンドシートでの引張破断エネルギー対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図11Cは80g/m
2ハンドシートでの引張伸び対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図11Dは80g/m
2ハンドシートでの比引張強度対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。プロットされた紙特性はTL=比破裂強さ、TR=引張破断エネルギー、BL=引張伸び、BR=比引張強度である。
【
図12A-D】ハンドシートの追加の紙特性のプロットを示し、この場合、MFCがNSBK完成紙料(リファイニングされていない)に添加され、その後、ハンドシートが80g/m
2で調製され、および、MFC-パルプ組成物が再スラッシュされ、80g/m
2で、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20wt%のMFC投与量に対して、ハンドシートに再製造される。
図12Aは80g/m
2ハンドシートでの不透明度対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図12Bは80g/m
2ハンドシートでの白色度対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図12Cは80g/m
2ハンドシートでの光散乱係数対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。
図12Dは80g/m
2ハンドシートでの光吸収係数対100%Sodra Blue完成紙料(リファイニングされていない)に対するMFC投与量のプロットである。プロットされた紙特性はTL=不透明度、TR=白色度、BL=光散乱係数、BR=光吸収係数である。
【
図13】MFCがNBSK完成紙料に添加された実験試料についての、Valmet FS5繊維分析計を用いて記録された繊維分析データの表である。
【
図16】新規連続法から製造したままのミネラルを含まないMFCシートの3つのSEM画像を示す。ミネラルが存在せず、しっかりと結合された繊維の複雑なウェブが存在することが観察できる。
【
図17】新規連続法から製造された50wt%POP H60/Botniaシートの2つのSEM画像を示す。ミネラルが存在し、繊維のウェブが存在することが観察できる。
【
図18】20wt%POPでのパルプ+ミネラルを含まないMFCのFLT比引張強度のプロットであり、実施例11において記載されるように、ミネラルを含まないMFCおよびBotniaパルプブレンドを1分のSilversonに供する効果を示す。
【
図19】パルプ+ミネラルを含まないMFC再分散4.4gシートのFLT比引張強度のプロットである。
【
図20】パルプ+ミネラルを含まないMFC再分散8.8gシートのFLT比引張強度のプロットであり、
図20は、実施例2に従い測定される対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、ミネラルを含まないMFC/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【
図21】パルプ+50wt%POP MFCシートのSilverson混合の効果のプロットである。
図21は、実施例11において記載されるように、50wt%POP H60/Botnia MFCおよびBotniaパルプブレンドを1分のSilverson混合に供する効果を示す。
【
図22】Botniaパルプ+50wt%POP Botnia/H60 FiberLean再分散4.4gシートのFLT比引張強度のプロットである。
図22は、実施例2に従い測定した対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、50wt%POP H60/Botnia MFC/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【
図23】Botniaパルプ+50wt%POP Botnia/H60 FiberLean再分散8.8gシートのFLT比引張強度のプロットである。
図23は、実施例2に従い測定される対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、50wt%POP H60/Botnia FiberLean/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【発明を実施するための形態】
【0125】
本明細書で提供される表題、見出しおよび小見出しは、開示の様々な態様を制限するものと解釈されるべきではない。したがって、以下で規定される用語は、明細書を全体として参照することにより、より詳しく規定される。本明細書で引用される全ての参考文献は全体として参照により組み込まれる。
【0126】
本発明は、1つの態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプを含むシートの調製に関する。本発明はミクロフィブリル化セルロースを含むバインダ組成物の使用に基づき、これらはパルプに添加され、MFCなしで生成されたパルプシートと比べて増強された機械的特性を有するシートに成形され、さらに、MFC含有パルプシートが乾燥され、再分散された場合、増強された機械的特性は維持され、または実質的に劣化されない。
【0127】
前記は、下記の発明の詳細な説明が、よりよく理解され得るように、本開示の特徴および技術利点をかなり広く概説している。発明の追加の特徴および利点が本明細書で記載されており、これが発明の特許請求の範囲の主題を形成する。本明細書で開示されるいずれの概念および特定の実施形態も、本開示の同じ目的を実施するための他の手段を改変または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者により認識されるべきである。そのような等価手段は添付の特許請求の範囲において明記される発明の精神および範囲から逸脱しないこともまた、当業者により理解されるべきである。その組織および動作方法の両方に関して、発明の特徴であると考えられる新規特徴は、さらなる目的および利点と共に、下記説明から、添付の図面と共に考えるとよりよく理解されるであろう。しかしながら、いずれの説明、図、実施例、なども例示および説明の目的のみのために提供され、決して、発明の限界を規定することを意図しないことが明確に理解されるべきである。
【0128】
別に規定されない限り、本明細書で使用される科学および技術用語は、当業者により普通に理解される意味を有する。さらに、文脈により別段要求されない限り、単数形用語は複数形を含み、複数形用語は単数形を含む。
【0129】
本出願では、「または」の使用は、別記されない限り「および/または」を意味する。多数項従属クレームとの関連では、「または」の使用は、選択的にのみ1を超える先行独立または従属クレームに戻って参照する。
【0130】
「含む」という用語と共に使用される場合の単語「1つの(aまたはan)」の使用は、は「1つ(one)」を意味し得るが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」および「1つまたはそれ以上」の意味とも一致する。「または」という用語の使用は、代替案が相互排他的である場合にのみ代替案を示すことが明確に示されない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、開示は代替案のみ、および、「および/または」を示す定義を支持する。本出願を通して、「約」という用語は、値は、定量装置、その値を決定するために採用される方法についての誤差の固有の変動、または研究対象間に存在する変動を含むことを示すために使用される。例えば、制限はしないが、「約」という用語が使用される場合、指定された値は、±12パーセント、または11パーセント、または10パーセント、または9パーセント、または8パーセント、または7パーセント、または6パーセント、または5パーセント、または4パーセント、または3パーセント、または2パーセント、または1パーセントだけ変動し得る。「少なくとも1つの」という用語の使用は、1つならびに1を超える任意の量、例えば、限定はされないが、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100、などを含むと理解されるであろう。「少なくとも1つの」という用語は、それが付着されている用語によって、最大100または1000またはそれ以上まで拡大可能である。加えて、100/1000の量は、制限するものと考えられるべきではなく、より低いまたはより高い限界もまた、満足のいく結果を生成させることができる。加えて、「X、Y、およびZの少なくとも1つ」という用語の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、ならびにX、Y、およびZの任意の組み合わせを含むと理解されるであろう。
【0131】
序数用語(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、など)は2つ以上のアイテム間で区別するためだけのものであり、別記されない限り、1つのアイテムの別のアイテムを超えるいずれかの順序または順番または重要性、または、いずれかの添加の順序を暗示することを意味しない。
【0132】
本明細書では、「含む(comprising)」(およびcomprisingの任意の形態、例えば、「comprise」、「comprises」、および「comprised」)、「有する(having)」(およびhavingの任意の形態、例えば、「have」および「has」)、「包含する(including)」(およびincludingの任意の形態、例えば、「includes」および「include」)、または「含有する(containing)」(およびcontainingの任意の形態、例えば、「contains」および「contain」)という用語は包括的であり、または制約がなく、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを排除しない。加えて、「含む」という用語と併用して使用される用語はまた、「から構成される」または「から本質的に構成される」という用語と併用して使用することができることが理解される。
【0133】
本明細書では、「包含する(include)」という用語およびその文法的変形は、非限定的であることが意図され、そのため、アイテムのリストでの列挙は、リスト化されたアイテムと置換することができ、またはこれに追加することができる他の同様のアイテムを排除しない。
【0134】
セルロースを含む繊維性基材(本明細書で様々に、「セルロースを含む繊維性基材」、「セルロース繊維」、「繊維性セルロース原料」、「セルロース原料」および「セルロース含有繊維(または繊維性)」などと呼ばれる)は、バージンもしくは再生パルプまたは紙工場損紙および/または産業廃棄物、または紙工場からのミネラルフィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームに由来し得る。
【0135】
本明細書では、「FLTインデックス」は実施例2の手順に従い実施される引張強度測定である。
【0136】
本明細書では、部分乾燥MFCシートおよび乾燥MFC-パルプブレンドシートの「機械的特性」は下記の1つ以上を含む:引張強度、引張伸び、比引張強度、破裂強度、引裂強度、比引裂強さ、スコットボンド、破断エネルギーおよび破断伸び。
【0137】
本明細書では、「実質的に」という用語は、その後に記載されるイベントまたは状況が完全に起こること、または、その後に記載されるイベントまたは状況が大体、または、大部分起こることを意味する。例えば、特定のイベントまたは状況に関しては、「実質的に」という用語は、その後に記載されるイベントまたは状況が少なくとも80%の確率で、または少なくとも85%の確率で、または少なくとも90%の確率で、または少なくとも95%の確率で起こることを意味する。反対に、機械的特性、例えば、FLT比引張強度および/または粘度が「実質的に劣化されない」または同様の文体となることを示すために使用される場合、比引張強度および/または粘度の劣化は制御特性から15%超、または10%超または5%超だけ減少されない。
【0138】
本明細書では、「X~Yの整数」という句は、終点を含む任意の整数を意味する。例えば、「1~5の整数」という句は1、2、3、4、または5を意味する。
【0139】
ミクロフィブリル化セルロース
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、ここで開示されるおよび/または特許請求される発明概念(複数可)のために、当技術分野においてよく知られており、説明されているが、ミクロフィブリル化セルロースは単離されたセルロースミクロフィブリルおよび/またはセルロースのミクロフィブリル束のいずれかの形態(どちらも、セルロース原料に由来する)のミクロフィブリルからなるセルロースとして規定される。よって、ミクロフィブリル化セルロースは、部分的にまたは完全にフィブリル化されたセルロースまたはリグノセルロース繊維を含むと理解されるべきであり、これは、当技術分野で知られている様々なプロセスにより達成され得る。
【0140】
本明細書では、「ミクロフィブリル化セルロース」は、「ミクロフィブリルセルロース」、「ナノフィブリル化セルロース」、「ナノフィブリルセルロース」、「セルロースのナノファイバー」、「ナノスケールフィブリル化セルロース」、「セルロースのミクロフィブリル」と同じ意味で使用することができ、および/または、単に「MFC」として使用することができる。加えて、本明細書では、「ミクロフィブリル化セルロース」と代替可能である以上で列挙される用語は完全にミクロフィブリル化されているセルロース、または、実質的にミクロフィブリル化されているが、依然としてある量の非ミクロフィブリル化セルロースを、本明細書で記載される、および/または、特許請求されるミクロフィブリル化セルロースの利点を妨害しないレベルで含むセルロースを示し得る。
【0141】
「ミクロフィブリル化」により、セルロースのミクロフィブリルが、予備ミクロフィブリル化パルプの繊維と比べて、個々の種として、または、小さな強凝集体として遊離される、または部分的に遊離されるプロセスが意味される。抄紙において使用するのに好適な、典型的なセルロース繊維(すなわち、予備ミクロフィブリル化パルプ)は、数百または数千の個々のセルロースフィブリルのより大きな強凝集体を含む。
【0142】
ミクロフィブリル化セルロースはセルロースを含み、これは繰り返しグルコース単位を含む天然起源のポリマーである。「ミクロフィブリル化セルロース」という用語は、MFCとも示され、この明細書では、ミクロフィブリル化/ミクロフィブリルセルロースおよびナノフィブリル化/ナノフィブリルセルロース(NFC)(この材料はナノセルロースとも呼ばれる)を含む。
【0143】
ミクロフィブリル化セルロースは機械的せん断により、酵素または化学前処理あり、またはなしで曝露されている可能性があるセルロース繊維の外層を剥ぎ取ることにより調製される。当技術分野で知られているミクロフィブリル化セルロースを調製する多くの方法が存在する。
【0144】
非限定的例では、ミクロフィブリル化セルロースという用語は、100nm未満の少なくとも1つの寸法をしばしば有するナノスケールセルロース粒子繊維またはフィブリルを含むフィブリル化セルロースを記載するために使用される。セルロース繊維から遊離されると、フィブリルは典型的には100nm未満の直径を有する。セルロースフィブリルの実際の直径は、起源およびそのようなフィブリルを測定する方法ならびに採用される製造方法に依存する。
【0145】
フィブリル化セルロース繊維に付着された、または、遊離ミクロフィブリルとしてのセルロースミクロフィブリルの粒子サイズ分布および/またはアスペクト比(長さ/幅)はミクロフィブリル化プロセスにおいて採用される起源および製造方法に依存する。
【0146】
非限定的例では、ミクロフィブリルのアスペクト比は典型的には高く、個々のミクロフィブリルの長さは1マイクロメートルを超える可能性があり、直径は約5~60nmの範囲内にある可能性があり、数平均直径は典型的には20nm未満である。ミクロフィブリル束の直径は1ミクロンより大きい可能性がある。
【0147】
非限定的例では、最小フィブリルは従来、基本フィブリルと呼ばれ、これは一般におよそ2-4nmの直径を有する。基本フィブリルが強凝集することも一般的であり、これもまた、ミクロフィブリルと考えることができる。
【0148】
非限定的例では、ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも部分的にナノセルロースを含み得る。ナノセルロースは主に、100nm未満である直径およびミクロン範囲またはそれ以下にあり得る長さを有するナノサイズのフィブリルを含み得る。最小ミクロフィブリルはいわゆる基本フィブリルと同様であり、その直径は典型的には2~4nmである。当然、ミクロフィブリルおよびミクロフィブリル束の寸法および構造は、ミクロフィブリル化セルロースを生成する方法に加えて使用される原料に依存する。それにもかかわらず、当業者であれば、ここで開示されるおよび/または特許請求される発明概念(複数可)との関連で、「ミクロフィブリル化セルロース」の意味を理解するであろうことが予測される。
【0149】
セルロース繊維源およびセルロース繊維をミクロフィブリル化するために採用される製造プロセスによって、フィブリルの長さはしばしば、約1~10マイクロメートル超まで変動する可能性がある。
【0150】
粗MFCグレードは、かなりの割合のフィブリル化繊維、すなわち仮道管(セルロース繊維)からの突出フィブリルを含むことができ、仮道管(セルロース繊維)から遊離されたある一定量のフィブリルを有する。
【0151】
一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースはまた、再生パルプまたは紙工場損紙および/または産業廃棄物、または紙工場からのミネラルフィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームから調製され得る。
【0152】
セルロースを含む繊維性基材は粉砕容器に乾燥状態で添加することができる。例えば、乾燥損紙はグラインダー容器に直接添加され得る。次いで、グラインダー容器内の水性環境は、パルプの形成を促進する。
【0153】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の同時粉砕プロセス
一実施形態では、本発明は、WO-A-2010/131016号(その全内容はこれにより参照により組み込まれる)に記載される方法および組成物に対する改変、例えば、改善に関する。
【0154】
WO-A-2010/131016号は、例えば、セルロースを含む繊維性材料を、任意で粉砕媒体および/または無機微粒子材料の存在下で粉砕することによりミクロフィブリル化することを含む、ミクロフィブリル化セルロースを調製するためのプロセスを開示する。紙中のフィラーとして、例えば、従来のミネラルフィラーの代用物または部分代用物として使用される場合、前記プロセスにより得られるミクロフィブリル化セルロースは、任意で無機微粒子材料と共に、紙の破裂強度特性を改善することが予想外に見出された。すなわち、排他的にミネラルフィラーで満たされた紙に対して、ミクロフィブリル化セルロースで満たされた紙は破裂強度を改善したことが見出された。言い換えれば、ミクロフィブリル化セルロースフィラーは、紙破裂強度増強属性を有することが見出された。その発明の1つの特に有利な実施形態では、セルロースを含む繊維性材料は粉砕媒体の存在下、任意で無機微粒子材料と共に粉砕され、20~約50の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0155】
本開示の前記態様および実施形態のさらなる実施形態では、バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースを含む、これから本質的に構成される、またはこれから構成される部分乾燥シート、または、ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプ源として使用するのに好適なパルプのブレンドを含む、これから本質的に構成される、またはこれから構成される乾燥シートを製造する方法が提供され、前記シートは、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される高せん断分散機、ミキサまたはリファイナを用いて再分散させることができ、シートは水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の乾燥シートと比べて、比引張強度を維持し、または、これが実質的に劣化されず、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維峻度を有し、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の同時粉砕複合物を製造することを含む方法により得ることができる。
【0156】
セルロースを含む繊維性基材および少なくとも1つの無機微粒子材料の共処理
本明細書では、「ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む同時粉砕(または「同時粉砕された」)複合物または組成物」という用語は、「同時粉砕ミクロフィブリル化プロセス」により得られた複合物または組成物を示し、セルロースを含む繊維性基材は粉砕装置内の水性環境において、少なくとも1つの無機微粒子材料、および任意で、少なくとも1つの無機微粒子材料以外の粉砕媒体の存在下でミクロフィブリル化される(または、言い換えれば、セルロースを含む繊維性基材を少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下、湿式粉砕装置において、任意で少なくとも1つの無機微粒子材料以外の粉砕媒体(粉砕後に除去される)の存在下で「共処理」することにより、ミクロフィブリル化セルロースが生成される)。例示的なミクロフィブリル化プロセスおよび湿式粉砕プロセスの下記説明を参照されたい。
【0157】
共処理されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料複合物を形成するための共処理後、追加の無機微粒子材料が添加され得(例えば、ブレンディングまたは混合により)、共処理されたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料複合物のミクロフィブリル化セルロース含量が低減される。
【0158】
一実施形態では、MFCは、タワーミルまたはスクリーングラインディングミル(screened grinding mill)例えば、撹拌媒体デトライターを使用して製造され得る。
【0159】
撹拌媒体ミルは、運動エネルギーを小さな粉砕媒体ビーズに伝達する回転羽根車から構成され、ビーズはせん断、圧縮、および衝撃力の組み合わせにより充填物を細かく粉砕する。様々な粉砕装置が、本明細書で開示された方法によりMFCを生成するために使用され得、例えば、タワーミル、スクリーングラインディングミル、または撹拌媒体デトライターが挙げられる。
【0160】
ミクロフィブリル化プロセス
本開示のさらなる態様および実施形態によれば、セルロースを含む繊維性基材を、少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化する方法が提供される。本方法の特定の実施形態によれば、ミクロフィブリル化ステップはミクロフィブリル化剤として作用する1つ以上の無機微粒子材料の存在下で実施される。別の実施形態によれば、ミクロフィブリル化ステップは、無機微粒子材料および少なくとも1つの無機微粒子材料以外の粉砕媒体(粉砕後に除去される)の存在下で実施される。
【0161】
しかしながら、本発明において使用されるミクロフィブリル化セルロースは単一の製造方法に制限されない。そのようなミクロフィブリル化プロセスが例示を目的として提示される。
【0162】
「ミクロフィブリル化」により、セルロースのミクロフィブリルが個々の種として、または予備ミクロフィブリル化セルロース含有パルプの繊維と比べてより小さな強凝集体として遊離される、または部分的に遊離されるプロセスが意味される。抄紙において使用するのに好適な典型的なセルロース繊維(すなわち、予備ミクロフィブリル化セルロース含有パルプ)は数百または数千の個々のセルロースミクロフィブリルのより大きな強凝集体を含む。セルロースをミクロフィブリル化することにより、特定の特徴および特性、例えば、限定はされないが、本明細書で記載される特徴および特性がミクロフィブリル化セルロースならびにミクロフィブリル化セルロースおよび少なくとも1つの無機微粒子材料を含む組成物に付与される。
【0163】
ミクロフィブリル化のステップは任意の好適な装置において実施され得る。1つの実施形態では、ミクロフィブリル化ステップは粉砕容器において湿式粉砕条件下で実施される。別の実施形態では、ミクロフィブリル化ステップはホモジナイザーにおいて実施される。
【0164】
湿式粉砕ミクロフィブリル化プロセス
粉砕は粉砕媒体の存在下での摩砕粉砕プロセスであってもよく、または、自生粉砕プロセス、すなわち、粉砕媒体なしで実施されるものであってもよい。粉砕媒体により、セルロースを含む繊維性基材と同時粉砕される1つ以上の無機微粒子材料以外の媒体が意味される。
【0165】
粉砕媒体は、存在する場合、天然または合成材料であってもよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬いミネラル、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料は、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、または、カオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼させることにより生成されるムライトリッチ材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が使用される。あるいは、好適な粒子サイズの天然砂の粒子が使用され得る。
【0166】
一般に、発明において使用するために選択される粉砕媒体の型および粒子サイズは、特性、例えば、例として、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズ、および化学組成に依存する可能性がある。好ましくは、微粒子粉砕媒体は、約0.1mm~約6.0mmの範囲、より好ましくは、約0.2mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体(または複数)は、充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0167】
粉砕は1つ以上の段階で実施され得る。例えば、粗無機微粒子材料はグラインダー容器内であらかじめ決められた粒子サイズ分布まで粉砕され得、その後、セルロースを含む繊維性材料が添加され、所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで粉砕が続けられる。この発明の第1の態様に従い使用される粗無機微粒子材料は最初に、粒子の約20重量%未満が2μm未満の必須球径(e.s.d)を有し、例えば、粒子の約15重量%未満、または約10重量%未満が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有し得る。別の実施形態では、この発明の第1の態様に従い使用される粗無機微粒子材料は最初に、Malvern Mastersizer S機を使用して測定すると、粒子の約20体積%未満が2μm未満のe.s.dを有する、例えば、粒子の約15体積%未満、または約10体積%未満が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有し得る。
【0168】
粗無機微粒子材料は粉砕媒体なしで、またはその存在下で湿式または乾式粉砕され得る。湿式粉砕段階の場合、粗無機微粒子材料は好ましくは、水性懸濁液中、粉砕媒体の存在下で粉砕される。そのような懸濁液中では、粗無機微粒子材料は好ましくは、懸濁液の約5重量%~約85重量%の量;より好ましくは懸濁液の約20重量%~約80重量%の量で存在し得る。最も好ましくは、粗無機微粒子材料は懸濁液の約30重量%~約75重量%の量で存在し得る。以上で記載される通り、粗無機微粒子材料は、粒子の少なくとも約10重量%が2μm未満のe.s.dを有する、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または約100%重量が2μm未満のe.s.dを有するような粒子サイズ分布まで粉砕され得、その後、セルロースパルプが添加され、2成分が同時粉砕され、セルロースパルプの繊維がミクロフィブリル化される。
【0169】
別の実施形態では、粗無機微粒子材料は、Malvern Mastersizer S機を使用して測定すると、粒子の少なくとも約10体積%が2μm未満のe.s.dを有する、例えば、粒子の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約95体積%、または約100体積%が2μm未満のe.s.dを有するような粒子サイズ分布まで粉砕され、その後、セルロースパルプが添加され、2成分が同時粉砕され、セルロースパルプの繊維がミクロフィブリル化される。
【0170】
1つの実施形態では、無機微粒子材料の平均粒子サイズ(d50)は同時粉砕プロセス中に低減される。例えば、無機微粒子材料のd50は少なくとも約10%だけ低減され得(Malvern Mastersizer S機により測定される)、例えば、無機微粒子材料のd50は少なくとも約20%だけ低減され、または少なくとも約30%だけ低減され、または少なくとも約50%だけ低減され、または少なくとも約60%だけ低減され、または少なくとも約70%だけ低減され、または少なくとも約80%だけ低減され、または少なくとも約90%だけ低減され得る。例えば、同時粉砕前2.5μmのd50および同時粉砕後1.5μmのd50を有する無機微粒子材料は粒子サイズの40%低減を受けたことになるであろう。ある一定の実施形態では、無機微粒子材料の平均粒子サイズは同時粉砕プロセス中、大きくは低減されない。「大きくは低減されない」により、無機微粒子材料のd50は約10%未満だけ低減される、例えば、無機微粒子材料のd50は約5%未満だけ低減されることが意味される。
【0171】
セルロースを含む繊維性基材は少なくとも1つの無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、レーザー光散乱により測定すると、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0172】
セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、約0.1-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズ、および、0.25-20μmの範囲のモード無機微粒子材料粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0173】
セルロースを含む繊維性基材は無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され得、Malvernにより測定すると、約10以上の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の峻度)は下記式により決定される:峻度=100×(d30/d70)。
【0174】
ミクロフィブリル化セルロースは約100以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。
【0175】
粉砕は粉砕容器、例えば、転動ミル(例えば、ロッド、ボールおよび自生)、撹拌ミル(例えば、SAMまたはIsaMill)、タワーミル、撹拌媒体デトライター(SMD)、またはその間に粉砕される供給物が供給される回転平行粉砕プレートを含む粉砕容器において好適に実施される。
【0176】
1つの実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンは、タワーミルの内部の頂上に向かって位置する領域であり、そこでは、最小の粉砕が起こり、または粉砕は起こらず、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む。静止ゾーンは粉砕媒体の粒子が沈降してタワーミルの1つ以上の粉砕ゾーンに入る領域である。
【0177】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に分類器を含み得る。一実施形態では、分類器は上部に取り付けられており、静止ゾーンに隣接して配置される。分類器はハイドロサイクロンであってもよい。
【0178】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方にスクリーンを含み得る。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分類器に隣接して配置される。スクリーンは、粉砕媒体をミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む生成物水性懸濁液から分離し、粉砕媒体沈降を増強するようなサイズとされ得る。
【0179】
一実施形態では、粉砕はプラグ流条件下で実施される。プラグ流条件下では、タワーを通る流れは、タワーを通る粉砕材料の制限された混合が存在するようなものである。これは、タワーミルの長さに沿った異なる点で水性環境の粘度は、ミクロフィブリル化セルロースの細かさが増加するにつれ変動するということを意味する。よって、実際には、タワーミル内の粉砕領域は特性粘度を有する1つ以上の粉砕ゾーンを含むと考えることができる。当業者であれば、粘度に関しては隣接する粉砕ゾーン間に鮮明な境界はないことを理解するであろう。
【0180】
一実施形態では、水が、1つ以上の粉砕ゾーン上方の静止ゾーンまたは分類器またはスクリーンに最も近いミルの上部で添加され、ミル内のそれらのゾーンでの、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液の粘度が低減される。ミル内のこの点で、生成物ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料複合物を希釈することにより、静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーンへの粉砕媒体持ち越しの防止が改善されることが見出されている。さらに、タワーを通る制限された混合により、タワーを下がるより高い固体での処理が可能になり、上部で希釈され、タワーを後退して1つ以上の粉砕ゾーンに入る希釈水の逆流が制限される。ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む生成物水性懸濁液の粘度を希釈するのに有効な任意の好適な量の水が添加され得る。水は粉砕プロセス中連続して、または一定の間隔で、または不規則な間隔で添加され得る。
【0181】
別の実施形態では、水は1つ以上の粉砕ゾーンに、タワーミルの長さに沿って配置された1つ以上の水注入点を介して添加することができ、または各水注入点は1つ以上の粉砕ゾーンに対応する位置に配置される。便宜的に、タワーに沿った様々な点で水を添加することができることにより、ミルに沿ったいずれかまたは全ての位置での粉砕条件のさらなる調整が可能になる。
【0182】
タワーミルはその長さ全体にわたって一連の羽根車ローターディスクが取り付けられた垂直羽根車軸を含み得る。羽根車ローターディスクの動作により、一連の別々の粉砕ゾーンがミル全体にわたって生成される。
【0183】
別の実施形態では、粉砕はスクリーングラインダー、好ましくは撹拌媒体デトライターにおいて実施される。スクリーングラインダーは少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーン(複数可)を含むことができ、例えば、1つ以上のスクリーンは、少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μmの公称開口サイズを有し得る。
【0184】
真上で述べられたスクリーンサイズは以上で記載されるタワーミル実施形態に適用可能である。
【0185】
上述のように、粉砕は粉砕媒体の存在下で実施され得る。一実施形態では、粉砕媒体は約1mm~約6mmの範囲、例えば約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの平均直径を有する粒子を含む粗媒体である。
【0186】
別の実施形態では、粉砕媒体は少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0187】
別の実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含み、少なくとも約2.5の比重を有する。
【0188】
以上で記載される通り、粉砕媒体(または複数)は充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0189】
1つの実施形態では、粉砕媒体は、充填物の約50体積%の量で存在する。
【0190】
「充填物」によりグラインダー容器に供給される供給物である組成物が意味される。充填物は水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料、ならびに本明細書で記載される任意の他の任意的な添加物を含む。比較的粗いおよび/または高密度の媒体の使用は、改善された(すなわち、より速い)沈降速度ならびに静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーン(複数可)を通る低減された媒体持ち越しという利点を有する。
【0191】
比較的粗い粉砕媒体を使用するさらなる利点は、無機微粒子材料の平均粒子サイズ(d50)は粉砕プロセス中大きくは低減されない可能性があることであり、そのため、粉砕システムに付与されるエネルギーは主にセルロースを含む繊維性基材のミクロフィブリル化において消費される。
【0192】
比較的粗いスクリーンを使用する際のさらなる利点は比較的粗いまたは高密度の粉砕媒体がミクロフィブリル化ステップにおいて使用され得ることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、最小約250μmの公称開口を有する)の使用により、比較的高固体の生成物が処理され、グラインダーから除去されることが可能になり、これにより、比較的高固体の供給物(セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料を含む)が経済的に実行可能なプロセスにおいて処理される。以下で記載されるように、高い初期固体含量を有する供給物がエネルギー十分性の観点から望ましいことが見出されている。さらに、より低い固体で(所定のエネルギーで)生成された生成物はより粗い粒子サイズ分布を有することもまた見出されている。
【0193】
よって、1つの実施形態によれば、セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料は水性環境中に少なくとも約4wt%の初期固体含量で存在し、その少なくとも約2重量%はセルロースを含む繊維性基材である。初期固体含量は、少なくとも約10wt%、または少なくとも約20wt%、または少なくとも約30wt%、または少なくとも約40wt%であってもよい。初期固体含量の少なくとも約5重量%はセルロースを含む繊維性基材であってもよく、例えば、初期固体含量の少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%はセルロースを含む繊維性基材であってもよい。
【0194】
別の実施形態では、粉砕は粉砕容器のカスケードで実施され、その1つ以上は1つ以上の粉砕ゾーンを含み得る。例えば、セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料は2以上の粉砕容器のカスケード、例えば、3以上の粉砕容器のカスケード、または4以上の粉砕容器のカスケード、または5以上の粉砕容器のカスケード、または6以上の粉砕容器のカスケード、または7以上の粉砕容器のカスケード、または8以上の粉砕容器のカスケード、または9以上の粉砕容器のカスケード(直列)、または最大10までの粉砕容器を含むカスケードにおいて粉砕され得る。粉砕容器のカスケードは直列もしくは並列または直列とおよび並列の組み合わせで動作可能に連結され得る。カスケード内の粉砕容器の1つ以上からのアウトプットおよび/またはインプットは1つ以上のスクリーニングステップおよび/または1つ以上の分類ステップに供され得る。
【0195】
ミクロフィブリル化プロセスにおいて消費される総エネルギーはカスケード内の粉砕容器の各々にわたって等しく分配され得る。あるいは、エネルギー入力はカスケード内の粉砕容器のいくつかまたは全て間で変動し得る。
【0196】
当業者であれば、1つの容器あたりで消費されるエネルギーはカスケード内の容器間で、各容器内でミクロフィブリル化される繊維性基材の量、任意で各容器内での粉砕速度、各容器内での粉砕期間、各容器内での粉砕媒体の型ならびに無機微粒子材料の型および量によって変動し得ることを理解するであろう。粉砕条件は、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の両方の粒子サイズ分布を制御するために、カスケード内の各容器内で変動し得る。例えば、粉砕媒体サイズは、無機微粒子材料の粉砕を低減させ、セルロースを含む繊維性基材の粉砕を標的にするために、カスケード内の連続容器間で変動され得る。
【0197】
一実施形態では、粉砕は閉回路で実施される。別の実施形態では、粉砕は開回路で実施される。粉砕はバッチモードで実施され得る。粉砕は再循環バッチモードで実施され得る。別の実施形態では、粉砕は、この明細書の他のどこかで記載されるように、連続モードで実施され得る。
【0198】
以上で記載される通り、粉砕回路は粗無機微粒子がグラインダー容器においてあらかじめ決められた粒子サイズ分布まで粉砕される予備粉砕ステップを含むことができ、その後、セルロースを含む繊維性材料は予備粉砕された無機微粒子材料と合わせられ、粉砕が同じかまたは異なる粉砕容器内で所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで続けられる。
【0199】
粉砕される材料の懸濁液は比較的高い粘度を有する可能性があるので、好適な分散剤が好ましくは、粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸またはその塩、または高分子電解質、例えば、80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってもよい。使用される分散剤の量は一般に、乾燥無機微粒子固体材料の重量に基づき0.1~2.0重量%の範囲となるであろう。懸濁液は4℃~100℃の範囲の温度で好適に粉砕され得る。
【0200】
ミクロフィブリル化ステップ中に含めることができる他の添加物としては下記が挙げられる:カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素。
【0201】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7または約7超(すなわち、塩基性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7(すなわち、酸性)未満であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加により調整され得る。好適な塩基はアルカリ金属水酸化物、例えば、例としてNaOHを含んだ。他の好適な塩基は炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸は無機酸、例えば、塩酸および硫酸、または有機酸を含んだ。例示的な酸はオルトリン酸である。
【0202】
同時粉砕される混合物中の無機微粒子材料およびセルロースパルプの量は、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約0.5:99.5の比、例えば、無機微粒子材料の乾燥重量およびパルプ中の乾燥繊維の量に基づき約99.5:0.5~約50:50の比で変動し得る。例えば、無機微粒子材料および乾燥繊維の量の比は約99.5:0.5~約70:30であり得る。一実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の比は約80:20、または例えば、約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1である。好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約95:5である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約90:10である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約85:15である。別の好ましい実施形態では、無機微粒子材料対乾燥繊維の重量比は約80:20である。
【0203】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は典型的には、無機微粒子フィラーの総乾燥重量に基づき約100~1500kWht-1であってもよい。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満であってもよい。そのようなものとして、本発明者らは驚いたことに、セルロースパルプは、それが無機微粒子材料の存在下で同時粉砕される場合、比較的低いエネルギー入力でミクロフィブリル化することができることを見出した。明らかになるように、セルロースを含む繊維性基材中の乾燥繊維1メートルトンあたりの総エネルギー入力は、約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満、例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力はミクロフィブリル化される繊維性基材中の乾燥繊維の量、ならびに任意で粉砕速度および粉砕期間によって変動する。
【0204】
別の実施形態では、粉砕媒体は約3mmの平均直径および約2.7の比重を有する粒子を含む。
【0205】
別の実施形態では、MFCはWO-A-2010/131016号において記載される方法に従い製造され、この方法は、セルロースを含む繊維性基材を、粉砕の完了後に除去されることになっている微粒子粉砕媒体の存在下で粉砕することにより、ミクロフィブリル化するステップを含む。「ミクロフィブリル化」により、セルロースのミクロフィブリルが、予備ミクロフィブリル化パルプの繊維と比べて、個々の種として、または、小さな強凝集体として遊離される、または部分的に遊離されるプロセスが意味される。抄紙において使用するのに好適な、典型的なセルロース繊維(すなわち、予備ミクロフィブリル化パルプ)は数百または数千の個々のセルロースフィブリルのより大きな強凝集体を含む。セルロースをミクロフィブリル化することにより、特定の特徴および特性(本明細書で記載される特徴および特性を含む)が、MFCおよびMFCを含む組成物に付与される。
【0206】
セルロースを含む繊維性基材(本明細書で様々に、「セルロースを含む繊維性基材」、「セルロース繊維」、「繊維性セルロース原料」、「セルロース原料」および「セルロース含有繊維(または繊維性)」などと呼ばれる)は、再生パルプまたは紙工場損紙および/または産業廃棄物、または紙工場からのミネラルフィラーおよびセルロース材料に富む紙ストリームに由来し得る。
【0207】
セルロースパルプはビーティングすることができ(例えば、Valleyビーターにおいて)および/またはそうでなければ、リファイニングすることができ(例えば、コニカルまたはプレートリファイナにおける処理)、cm3で表されるカナダ標準ろ水度(CSF)として当技術分野で報告される任意のあらかじめ決められたろ水度とされる。CSFは、パルプの懸濁液が濾水され得る速度により測定されるパルプのろ水度または濾水速度に対する値を意味し、この試験はT 227 cm-09 TAPPI標準に従い実施される。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前に約10cm3以上のカナダ標準ろ水度を有し得る。セルロースパルプは、約700cm3またはそれ以下、例えば、約650cm3以下、または約600cm3以下、または約550cm3以下、または約500cm3以下、または約450cm3以下、または約400cm3以下、または約350cm3以下、または約300cm3以下、または約250cm3以下、または約200cm3以下、または約150cm3以下、または約100cm3以下、または約50cm3以下のCSFを有し得る。セルロースパルプは、約20~約700のCSFを有し得る。次いで、セルロースパルプは当技術分野でよく知られた方法により脱水され得、例えば、パルプはスクリーンを通して濾過され得、少なくとも約10%固体、例えば少なくとも約15%固体、または少なくとも約20%固体、または少なくとも約30%固体、または少なくとも約40%固体または少なくとも50%固体を含むウェットシートが得られる。パルプはリファイニングされていない状態で、すなわち、ビーティングまたは脱水されずに使用され得、あるいは別様にリファイニングされる。
【0208】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースはセルロースを含む繊維性基材を水性環境において、粉砕媒体(粉砕の完了後に除去されることになっている)の存在下で粉砕することにより、ミクロフィブリル化するステップを含む方法に従い調製され、粉砕はタワーミルまたはスクリーングラインダーにおいて実施され、粉砕は粉砕可能な無機微粒子材料なしで実施される。
【0209】
粉砕可能な無機微粒子材料は、粉砕媒体の存在下で粉砕される材料である。
【0210】
微粒子粉砕媒体は天然または合成材料であってもよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬いミネラル、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料は、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウムまたはカオリン質粘土を約1300℃~約1800℃の範囲の温度でか焼することにより生成されるムライトリッチ材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、好適な粒子サイズの天然砂の粒子が使用され得る。
【0211】
一般に、発明において使用するために選択される粉砕媒体の型および粒子サイズは、特性、例えば、例として、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズ、および化学組成に依存する可能性がある。好ましくは、微粒子粉砕媒体は、約0.5mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。1つの実施形態では、粒子は少なくとも約3mmの平均直径を有する。
【0212】
粉砕媒体は少なくとも約2.5の比重を有する粒子を含み得る。粉砕媒体は少なくとも約3、または少なくとも約4、または少なくとも約5、または少なくとも約6の比重を有する粒子を含み得る。
【0213】
粉砕媒体(または複数)は、充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0214】
セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、レーザー光散乱により測定すると、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0215】
セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、約0.1-500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は存在下でミクロフィブリル化され得、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0216】
セルロースを含む繊維性基材はミクロフィブリル化され得、Malvernにより測定すると、約10以上の繊維峻度を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の峻度)は下記式により決定される:
峻度=100×(d30/d70)
【0217】
ミクロフィブリル化セルロースは約100以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維峻度を有し得る。一実施形態では、好ましい峻度範囲は約20~約50である。
【0218】
MFC繊維および無機微粒子材料の繊維峻度の計算は当技術分野でよく知られている。例えば、5gの乾燥材料を与えるのに十分な同時粉砕されたスラリーのサンプルがビーカー中に秤量され、60gまで脱イオン水で希釈され、5cm3の1.0wt%炭酸ナトリウムおよび0.5wt%ヘキサメタリン酸ナトリウムの溶液と混合される。さらなる脱イオン水が撹拌しながら添加され、80gの最終スラリー重量とされる。次いで、スラリーが1cm3アリコートで、Mastersizer S(またはMastersizer Insitecまたは他の同等装置)に取り付けられた試料調製ユニット中の水に最適レベルのオブスキュレーションが示されるまで(通常、10-15%)添加される。次いで、光散乱分析手順が実施される。選択した計器領域は300RF:0.05-900であり、ビーム長は2.4mmに設定した。炭酸カルシウムおよび繊維を含む同時粉砕された試料については、炭酸カルシウムについての屈折率(1.596)が使用される。カオリンおよび繊維の同時粉砕された試料については、カオリンについてのRI(1.5295)が使用される。粒子サイズ分布がMie理論から計算され、差分体積に基づく分布として出力が与えられる。2つの明らかピークの存在は、ミネラル(より細かいピーク)および繊維(より粗いピーク)から生じるものとして解釈される。
【0219】
より細かいミネラルピークは測定データ点にフィッティングされ、分布から数学的に減算され、繊維ピークが残り、これが累積分布に変換される。同様に、繊維ピークが元の分布から数学的に減算され、ミネラルピークが残り、これもまた、累積分布に変換される。次いで、これらの累積曲線はどちらも、平均粒子サイズ(d50)および分布峻度(d30/d70×100)を計算するために使用することができる。微分曲線がミネラルおよび繊維画分の両方についてのモード粒子サイズを見出すために使用され得る。
【0220】
1つの実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンはタワーミルの内部の上部近くに配置された領域であり、そこでは、最小の粉砕しか起こらず、または、全く粉砕が起こらず、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む。静止ゾーンは粉砕媒体の粒子が沈降してタワーミルの1つ以上の粉砕ゾーンに入る領域である。
【0221】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方に分類器を含み得る。一実施形態では、分類器は上部に取り付けられており、静止ゾーンに隣接して配置される。分類器はハイドロサイクロンであってもよい。
【0222】
タワーミルは1つ以上の粉砕ゾーン上方にスクリーンを含み得る。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分類器に隣接して配置される。スクリーンは、粉砕媒体をミクロフィブリル化セルロースを含む生成物水性懸濁液から分離し、粉砕媒体沈降を増強するようなサイズとされ得る。
【0223】
一実施形態では、粉砕はプラグ流条件下で実施される。プラグ流条件下では、タワーを通る流れは、タワーを通る粉砕材料の制限された混合が存在するようなものである。これは、タワーミルの長さに沿った異なる点で、水性環境の粘度は、ミクロフィブリル化セルロースの細かさが増加するにつれ変動するということを意味する。よって、実際には、タワーミル内の粉砕領域は特性粘度を有する1つ以上の粉砕ゾーンを含むと考えることができる。当業者であれば、粘度に関しては隣接する粉砕ゾーン間に鮮明な境界はないことを理解するであろう。
【0224】
一実施形態では、水が、1つ以上の粉砕ゾーン上方の静止ゾーンまたは分類器またはスクリーンに最も近いミルの上部で添加され、ミル内のそれらのゾーンでのミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の粘度が低減される。ミル内のこの点で生成物ミクロフィブリル化セルロースを希釈することにより、静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーンへの粉砕媒体持ち越しの防止が改善されることが見出されている。さらに、タワーを通る制限された混合により、タワーを下がるより高い固体での処理が可能になり、上部で希釈され、タワーを後退して1つ以上の粉砕ゾーンに入る希釈水の逆流が制限される。ミクロフィブリル化セルロースを含む生成物水性懸濁液の粘度を希釈するのに有効な任意の好適な量の水が添加され得る。水は粉砕プロセス中連続して、または一定の間隔で、または不規則な間隔で添加され得る。
【0225】
別の実施形態では、水は1つ以上の粉砕ゾーンに、タワーミルの長さに沿って配置された1つ以上の水注入点を介して添加することができ、そのまたは各水注入点は1つ以上の粉砕ゾーンに対応する位置に配置される。便宜的に、タワーに沿った様々な点で水を添加することができることにより、ミルに沿ったいずれかまたは全ての位置での粉砕条件のさらなる調整が可能になる。
【0226】
タワーミルはその長さ全体にわたって一連の羽根車ローターディスクが取り付けられた垂直羽根車軸を含み得る。羽根車ローターディスクの動作により、一連の別々の粉砕ゾーンがミル全体にわたって生成される。
【0227】
別の実施形態では、粉砕はスクリーングラインダー、好ましくは撹拌媒体デトライターにおいて実施される。スクリーングラインダーは、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーン(複数可)を含むことができ、例えば、1つ以上のスクリーンは、少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μm、または少なくとも約1,250μm、または少なくとも約1,500μmの公称開口サイズを有し得る。
【0228】
真上で述べられたスクリーンサイズは以上で記載されるタワーミル実施形態に適用可能である。
【0229】
上述のように、粉砕は粉砕媒体の存在下で実施される。一実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mmの範囲、例えば約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの平均直径を有する粒子を含む粗媒体である。
【0230】
別の実施形態では、粉砕媒体は少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0231】
以上で記載される通り、粉砕媒体(または複数)は充填物の最大約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、または充填物の少なくとも約30体積%、または充填物の少なくとも約40体積%、または充填物の少なくとも約50体積%、または充填物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0232】
1つの実施形態では、粉砕媒体は、充填物の約50体積%の量で存在する。
【0233】
「充填物」により、グラインダー容器に供給される供給物である組成物が意味される。充填物は水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維性基材および任意の他の任意的な添加物(本明細書で記載されるもの以外)を含む。
【0234】
比較的粗いおよび/または高密度の媒体の使用は、改善された(すなわち、より速い)沈降速度ならびに静止ゾーンおよび/または分類器および/またはスクリーン(複数可)を通る低減された媒体持ち越しという利点を有する。
【0235】
比較的粗いスクリーンの使用におけるさらなる利点は、比較的粗いまたは高密度の粉砕媒体がミクロフィブリル化ステップにおいて使用され得ることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、最小約250μmの公称開口を有する)の使用により、比較的高固体の生成物が処理され、グラインダーから除去されることが可能になり、これにより、比較的高固体の供給物(セルロースを含む繊維性基材および無機微粒子材料を含む)が経済的に実行可能なプロセスにおいて処理される。以下で記載されるように、高い初期固体含量を有する供給物がエネルギー十分性の観点から望ましいことが見出されている。さらに、より低い固体で(所定のエネルギーで)生成された生成物は、より粗い粒子サイズ分布を有することもまた見出されている。
【0236】
1つの実施形態によれば、セルロースを含む繊維性基材は水性環境中に少なくとも約1wt%の初期固体含量で存在する。セルロースを含む繊維性基材は水性環中に少なくとも約2wt%、例えば少なくとも約3wt%、または少なくとも約少なくとも4wt%初期固体含量で存在し得る。典型的には、初期固体含量は約10wt%以下である。
【0237】
別の実施形態では、粉砕は粉砕容器のカスケードで実施され、その1つ以上は1つ以上の粉砕ゾーンを含み得る。例えば、セルロースを含む繊維性基材は、2以上の粉砕容器のカスケード、例えば、3以上の粉砕容器のカスケード、または4以上の粉砕容器のカスケード、または5以上の粉砕容器のカスケード、または6以上の粉砕容器のカスケード、または7以上の粉砕容器のカスケード、または8以上の粉砕容器のカスケード、または9以上の粉砕容器のカスケード(直列)、または最大10までの粉砕容器を含むカスケードにおいて粉砕され得る。粉砕容器のカスケードは動作可能に直列もしくは並列または直列とおよび並列の組み合わせで連結され得る。カスケード内の粉砕容器の1つ以上からのアウトプットおよび/またはインプットは1つ以上のスクリーニングステップおよび/または1つ以上の分類ステップに供され得る。
【0238】
ミクロフィブリル化プロセスにおいて消費される総エネルギーはカスケード内の粉砕容器の各々にわたって等しく分配され得る。あるいは、エネルギー入力はカスケード内の粉砕容器のいくつかまたは全て間で変動し得る。
【0239】
当業者であれば、1つの容器あたりで消費されるエネルギーはカスケード内の容器間で、各容器内でミクロフィブリル化される繊維性基材の量、ならびに任意で各容器内での粉砕速度、各容器内での粉砕期間および各容器内での粉砕媒体の型によって変動し得ることを理解するであろう。粉砕条件は、カスケード内の各容器内でミクロフィブリル化セルロースの粒子サイズ分布を制御するために、変化させることができる。
【0240】
一実施形態では、粉砕は閉回路で実施される。別の実施形態では、粉砕は開回路で実施される。
【0241】
粉砕される材料の懸濁液は比較的高い粘度を有する可能性があるので、好適な分散剤が好ましくは、粉砕前に懸濁液に添加され得る。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸またはその塩、または高分子電解質、例えば、80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってもよい。使用される分散剤の量は一般に、乾燥無機微粒子固体材料の重量に基づき0.1~2.0重量%の範囲となるであろう。懸濁液は4℃~100℃の範囲の温度で好適に粉砕され得る。
【0242】
ミクロフィブリル化ステップ中に含めることができる他の添加物としては下記が挙げられる:カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素。
【0243】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7または約7超(すなわち、塩基性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7未満(すなわち、酸性)であってもよく、例えば、懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸または塩基の添加により調整され得る。好適な塩基はアルカリ金属水酸化物、例えば、例としてNaOHを含んだ。他の好適な塩基は炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。好適な酸は無機酸、例えば、塩酸および硫酸、または有機酸を含んだ。例示的な酸はオルトリン酸である。
【0244】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は、典型的には、無機微粒子フィラーの総乾燥重量に基づき、約100~1500kWht1であってもよい。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約400kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満であってもよい。そのようなものとして、本発明者らは驚いたことに、セルロースパルプは、それが無機微粒子材料の存在下で同時粉砕される場合、比較的低いエネルギー入力でミクロフィブリル化することができることを見出した。明らかになるように、セルロースを含む繊維性基材中の乾燥繊維1メートルトンあたりの総エネルギー入力は約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2,000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力はミクロフィブリル化される繊維性基材中の乾燥繊維の量、ならびに任意で粉砕速度および粉砕期間によって変動する。
【0245】
シートにおけるMFCのための調製方法が以下の実施例の記載において明記され、実施例の記載は一般的な発明のプロセスおよびそのようなプロセスに従い製造された物品の記載に組み込まれる。
【0246】
発明の様々な態様は下記サブセクションにおいてさらに詳細に記載される。サブセクションの使用は発明を制限することを意味しない。各サブセクションは発明の任意の態様に当てはまり得る。本出願では、「または」の使用は、別記されない限り、「および/または」を意味する。
【0247】
MFCは連続またはバッチモードで生成され得る。MFCはミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の水性懸濁混合物である。一実施形態では、MFCは、セルロース木材パルプの低固体水性懸濁液を、無機微粒子材料粒子の存在下、湿式垂直撹拌媒体ミルにおいて同時粉砕することにより調製される。ミネラル粒子は粉砕助剤として作用し、パルプリファイニングに類似するプロセスにおけるパルプ繊維のミクロフィブリルへのコスト効率の良いフィブリル化を促進する。
【0248】
使用される無機微粒子材料は標準紙フィラー、しばしば炭酸カルシウムまたはカオリンである。ほとんどのプロセスはカオリン、重質炭酸カルシウムまたは沈降炭酸カルシウムを使用する。無機微粒子材料は水性スラリー形態である。
【0249】
使用されるセルロースは典型的には、製紙工場のパルプ源由来のリファイニングされていないクラフトまたは亜硫酸パルプ(>99%セルロース)または紙および板リサイクリング活動由来の再生パルプである。パルプは製紙工場から、水性スラリーとして通常およそ4-5wt%固体で受け取られる。使用される水は工場のプロセスストリームまたは場合によっては公営(水道用)水由来である。セラミック粉砕媒体は典型的には、か焼カオリン製の3mm直径ビーズである。再生パルプが使用されるいくつかの場合には、パルプはすでにいくつかの無機微粒子材料を含む。
【0250】
例示的なレシピでは:およそ4%固体のクラフトパルプおよびおよそ66%固体の含水カオリンまたはおよそ75%固体の炭酸カルシウムスラリーおよび水がグラインダーに連続して添加される。グラインダーには3mm直径のムライト粉砕媒体が、総充填体積のおよそ50%が媒体により占められるように(総充填体積=ムライト+パルプ+カオリン+水により占められる体積)添加される。スループットは、パルプおよびミネラル混合物が最適化期間の間同時粉砕されるように制御される。典型的には、この最適期間は最大粘度および引張特性の発展に対応する。典型的には、およそ1500-5000kWhr/乾燥メートルトンのMFCが適用される。グラインダー内の温度は、粉砕中に約65セ氏温度に達する。MFC生成物は水性スラリー形態である。
【0251】
場合によっては、連続して実行されるよりもむしろ、同じプロセスがバッチ式で動作される。この場合、材料成分はバッチの開始時に添加され、次いで、グラインダーが、1500-5000kWhr/乾燥メートルトンのMFCが適用されるように割り当てられた時間の間実行され、次いで、バッチの終わりにさらなる水が添加され、生成物が放出され、その後、プロセスが繰り返される。
【0252】
場合によっては、無機微粒子材料が最終用途適用において耐えることができない場合、上記プロセスは無機微粒子材料の添加なしで実施される。
【0253】
粉砕およびスクリーニングプロセスから得られた上記MFC生成物は、性能を低減させ、非常に細かいスクリーニングに供せられた場合閉塞を引き起こし得る弱凝集体を含む。これらの弱凝集体はホモジナイザーの使用により低減され得る。
【0254】
場合によっては、MFC生成物と関連する水のいくらかは、輸送コストを低くするために除去される。これはベルトプレスによる脱水および/または熱風乾燥機を使用した乾燥の使用により、または、当技術分野で知られている他の手段により達成される。脱水され、乾燥された生成物が調製されると、殺生物剤が時として添加され、有効期間が増加され、生成物が分解から保護される。殺生物剤はMFCに、例えば、プラウせん断ミキサを使用して混入される。脱水され、部分的に乾燥された生成物は、通常、バルクバッグに入れて出荷される。
【0255】
使用される殺生物剤は、DBNPA(2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド)、およびCMIT/MIT(5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン/2-メチル-2Hイソチアゾール-3-オン(CMIT/MIT)であり、または、部分乾燥生成物についてはOIT(2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン)である。
【0256】
連続生成プロセスはパススループロセスであり、セルロース、無機微粒子材料および水はミルから供給され、処理後、ミルに戻される。
【0257】
生成を制御するために使用され得るパラメータはレーザー光散乱により測定される生成物d50、および、粘度または引張特性のいずれか、例えば、この明細書のどこかで記載されるFLT比引張強度である。
【0258】
高FLT比引張強度を有するパルプの選択
ヘミセルロースはアモルファス多糖であり、これは、ミクロフィブリル表面上に層を形成し、隣接するミクロフィブリルを分離する。これは、ミクロフィブリル方向に沿って好ましい破壊面を提供することが予測される。文献において、これはミクロフィブリル化を助け、より微細なミクロフィブリルの遊離という結果になることが見出されている。ヘミセルロース含量および細胞形態がセルロースパルプのナノフィブリル化の有効性において重要な役割を果たす。Chaker, A., 2013。発明者らは、多くのセルロース繊維種のヘミセルロース含量はセルロースを含むそのような繊維性基材から生成されたミクロフィブリル化セルロースの比引張強度と正に相関することを発見した。
【0259】
特定的に、セルロース供給繊維のゼロスパン比引張強度は、そのようなセルロース繊維供給物から生成されたMFCの長さ重み付き平均繊維長(Valmet FS5繊維画像分析器により測定されるMFC粒子の最大寸法として規定される)と相関することが見出されている。ゼロスパン比引張強度は、個々の繊維の繊維の断面にわたる破壊に対する抵抗の測定値である。よって、この測定はセルロース繊維構造における欠陥の頻度を示すものと考えることができる。ヘミセルロース含量と繊維ゼロスパン比引張強度の数学的積を使用することにより、セルロースを含むそのような繊維性基材からMFCを実際に生成させる必要なく、ピークMFC比引張強度の合理的に良好な予測が可能である。セルロースを含む繊維性基材のヘミセルロース含量とゼロスパン比引張強度の数学的関係を使用して、好ましいセルロース繊維源を同定し、望ましい引張強度特性を有するMFCを生成すると予測されるセルロース含有繊維およびパルプを選択することができる。
【0260】
高ヘミセルロース含量セルロース繊維は、それらのフィブリル構造にほとんど欠陥がなく(繊維ゼロスパン引張強度により推測)、強いMFCフィブリルにつながることが見出されている。その上、これらの特性は、生成中に最適処理条件を与えることが示されている。繊維画像分析器を用いて測定したMFCの幾何学的特性を同定することにより、ヘミセルロース含量を乗じた場合、MFC繊維長は比引張強度との相関を大きく改善させることが見出された。この関係は、紙比引張強度を予測するための理論的モデルであるPage式に適合するように合理化することができる。Page, D., 1969, “A theory for the tensile strength of paper,” Tappi Journal, 52(4): 674-681。
【0261】
Page式は、以下に述べられ
式:1/T=9/8Z+12Aρ/(τ_B PL(RBA))
式中、Tはシート比引張強度(Nm/g)、Zはゼロスパン比引張強度(Nm/g)であり、Aは繊維断面積(m2)であり、Pは繊維断面外周(m)であり、rは繊維密度(kg/m3)であり、Lは繊維長(m)であり、tBは単位面積あたりのせん断接着強度(Pa)であり、RBAは相対結合面積である。
【0262】
ゼロスパン比引張強度は個々の繊維強度の測定値である。RBAは、繊維間結合のために使用される繊維表面積の割合の測定値である。式の右辺の第1項は個々の繊維の弱さを表し、第2項は繊維間の結合の弱さを表す。通常、紙のシートは繊維破壊よりもむしろ結合破壊により破れ、そのため、第2項が制限する。MFCを繊維完成紙料に添加すると、相対結合面積が著しく増加し、そのため、比引張強度が、かなり改善する傾向となる。Lindstrom T., Fellers, C., Ankerfors, M., Nordmark, G. G., 2016, “On the nature of joint strength of paper - effect of dry strength agents - Revisiting the Page equation, Nordic Pulp & Paper Research Journal, 31(3): 459-4680。
【0263】
Page式を適用し、変更し、結合項のパラメータのいくつかをヘミセルロース含量およびMFC長と置換した。ヘミセルロースなしでの残留強度を表す定数s0の付加が、モデルがデータに適合するために必要であることが見出された。この定数は、粉砕条件、例えばエネルギー入力、粉砕固体、およびエネルギー強度/羽根車回転数によって異なる。示した例では、定数は4.1Nm/gであった。
【0264】
Page式におけるLとしてのMFC長さおよびPage式におけるRBAとしてのヘミセルロース含量を使用して、多様なセルロース原料から調製したMFCの予測比引張強度対測定比引張強度をプロットすることができた。
図11は、多種多様のセルロース繊維についての予測対測定比引張強度の良好な相関を示す。これらはノルディック・パイン、ブラックスプルース、ラジアータパイン、サザンパイン、酵素処理したノルディック・パイン、ダグラスファー、溶解パルプ、カバノキ#1、カバノキ#2、ユーカリ、アカシア、混合ヨーロピアン広葉樹、混合タイ広葉樹、ティッシュダスト、コットンリンター、ジーンズ、アバカ、サイザル麻、バガス、ケナフ、ススキ、ソルガム、ダンチクおよび亜麻であった。
【0265】
経験式を考案して、ヘミセルロース含量および測定MFC繊維長を合わせることにより、比引張強度を予測した。よって、Page式を下記により変更した:
T=1.3(H×L)+4.1
T=比引張強度(Nm/g)
H=ヘミセルロース含量(質量分率)
L=最適エネルギー入力でのMFC粒子の「長さ」(mm)
【0266】
ヘミセルロースおよびMFC繊維長の効果を合わせることにより、適合性が著しく改善された。
【0267】
さらに、繊維のゼロスパン比引張強度は、繊維断面積の品質を測定するものであり、存在する欠陥数に逆相関し、所定のセルロース供給原料から生成されたMFCフィブリルの長さと相関する。
【0268】
初期繊維のゼロスパン比引張強度をMFC長の代わりとして使用した。というのも、ゼロスパン比引張強度により表されるフィブリル構造における欠陥頻度は、MFCが生成された場合、より短い繊維長という結果になるように見えるからである。この代理はより弱い適合という結果になるが、依然として、所定のセルロース供給原料から生成されたMFCの結果として得られた比引張強度に関しては、予測値の観点から、ヘミセルロース含量のみを超える実質的な改善が得られる。
【0269】
よって、発明者らは本明細書で、パルプ繊維のヘミセルロース含量およびゼロスパン比引張強度の測定を使用して、本明細書で記載されるプロセスに従い生成される、結果として得られるMFC比引張強度を正確に予測することができることを示している。したがって、本開示は、ミクロフィブリル化セルロースの生成のための原料として使用するためのセルロース繊維源の選択を助けるための容易な方法を提供する。
【0270】
MFC繊維長の代わりとして繊維ゼロスパン強度を使用すると、下記関係が得られる:
T=0.0021(H×Z)+4.2
T=比引張強度(Nm/g)
H=ヘミセルロース含量(質量分率)
Z=ゼロスパン比引張強度(Nm/g)
【0271】
前記により、固有繊維特性に基づく、MFC比引張強度の合理的な予測が可能になり、これにより、MFCの試料が最初に、実際に生成される必要がなくなる。
【0272】
繊維のヘミセルロース含量およびゼロスパン比引張強度を使用して、MFC比引張強度と相関するパラメータを生成させることができ、よって、MFC品質が供給物特性の測定から予測することができる。
【0273】
そこからセルロース繊維が抽出されるほとんどの植物原材料はまた、は高濃度のヘミセルロースを含む。パルプ化および漂白はヘミセルロースの多くを除去するが、依然として典型的には、繊維細胞壁内に残留分が存在し、その量は繊維種およびパルプ化条件に依存する。
【0274】
ヘミセルロースは、異なるモノマー糖、官能基、および分枝度を有する多種多様の多糖についての広義語である。木材および多くの非木材について、2つの重要なファミリーが存在する;キシランおよびグルコマンナン。キシランは大半の植物において見出され、硬材中のヘミセルロースのほとんど全てを占め、一方、グルコマンナンは軟材において大量に見出される(キシランに匹敵する量)。Ebringerova, A., 2006, “Structural Diversity and Application Potential of Hemicelluloses,” Macromol. Symp. 232: 1-12。
【0275】
セルロースと比べて、ヘミセルロースは常にアモルファスであり、一方、セルロースは一部結晶性であり、ヘミセルロース分子は、セルロースに典型的な300-1700単位と比べて70-200単位の相対的に短い鎖長を有する。Fengel, D., Wegener, G., 1983, “Wood - chemistry, ultrastructure, reactions, De Gruyter; Klemm, D., Heublein, B., Fink, H. P., Bohn, A., 2005, “Cellulose: Fascinating Biopolymer and Sustainable Raw Material” Angew. Chem. Int. Ed., 44:3358-3393。繊維細胞壁内で、ヘミセルロースはセルロースミクロフィブリル表面と密接に結び付き、隣り合うミクロフィブリルを分離する層を形成する。核磁気共鳴分光法は、キシランおよびグルコマンナンはどちらもこれを行い、機能は同じであることを示す。Liitia, T., Maunu, S. L., Hortling, B., Tamminen, T., Pekkala, O., Varhimo, A., 2003, “Cellulose crystallinity and ordering of hemicelluloses in pine and birch pulps as revealed by solid-state NMR spectroscopic methods,” Cellulose, 10:307-316。ヘミセルロースは分枝、アモルファス構造を有し、水中で容易に膨潤し、これはこのプロセス中のゼータ電位の変化を示す研究により示される。Uetani, K., Yano, H., 2012, “Zeta Potential Time Dependence Reveals the Swelling Dynamics of Wood Cellulose Nanofibrils,” Langmuir, 28: 818-827。この親水性はまた、変形に対する繊維の可塑性に役に立ち、これにより、より容易に崩壊してMFCになると予測される。Bolam, F. M., 1965, “Stuff Preparation for Paper and Paperboard Making: Monographs on paperboard and papermaking,” Pergamon。
【0276】
幾人かの著者らによる、異なるパルプ化条件を受けた繊維を使用したNMR研究により、ヘミセルロース含量を低減させると、フィブリル強凝集体寸法サイズが認識できるほどに増加すると考えられることが示された。Hult, E. -L., Larsson, P. T., Iversen T., 2001, “Cellulose fibril aggregation - an inherent property of kraft pulps,” Polymer, 42: 3309-3314; Virtanen, T., Maunu, S. L., Tamminen, T., Hortling, B., Liitia, T., 2008, “Changes in fiber ultrastructure during various kraft pulping conditions evaluated by 13C CPMAS NMR spectroscopy,” Carbohydrate Polymers, 73:156-163;およびDuchesne, I., Hult, E. L., Molin, U., Daniel, G., Iversen, T., Lennholm, H., 2001, “The influence of hemicellulose on fibril aggregation of kraft pulp fibres as revealed by FE-SEM and CP/MAS 13C-NMR,” Cellulose, 8:103-111。これは、ヘミセルロースが隣り合うミクロフィブリルの自然合一を阻止するという所見を支持する。
【0277】
先行技術では、ヘミセルロース含量が抄紙に影響することが理解される。ヘミセルロースがリファイニング前に除去される場合、繊維の引張強度は低減され得る。Bolam, F. M., 1965。リファイニング前に繊維上にヘミセルロースを吸着させると、主に、繊維中で誘導される「キンク」変形の低減により、シート引張強度が改善されることが見出されている。Makela, P., Bergnor, E., Wallbacks, L., Ohman, F., 2010, “Sorption of birch xylan to softwood kraft pulps and its influence on the tensile properties of previously-dried papers under different papermaking conditions,” Innventia Report No. 121 第2版。
【0278】
我々は、より高いヘミセルロース含量は、高品質MFCにつながると仮定した。文献において、アルカリ処理によりヘミセルロースを除去した後、パルプを乾燥させると、不可逆的ミクロフィブリル凝集が得られ、未処理パルプと比べてフィブリル化が阻害されることが示されている。Iwamoto, S., Abe, K., Yano, H., 2008, “The Effect of Hemicelluloses on Wood Pulp Nanofibrillation and Nanofiber Network Characteristics,” Biomacromolecules, 9:1022-1026。
【0279】
多くの著者らは、ヘミセルロース含量は高いミクロフィブリル収率、および、より良好な個別化と一致することを見出した。これは、異なる植物種または同じ植物種由来の繊維を、異なるパルプ化条件を用いて、比較したかどうかに関係なく、真実であると考えられる。Alila, et al., 2013; Desmaisons, J. et al., 2017; and Chaker, A. et al., 2013; Rahman, S., Petroudy, D., Ghasemian, A., Resalati, H., Syverud, K., Chinga-Carrasco, G., 2015, “The effect of xylan on the fibrillation efficiency of DED bleached soda bagasse pulp and on nanopaper characteristics,” Cellulose, 22: 385-395;およびSpence, K. L., Venditti, R. A., Habibi, Y., Rojas, O. J., Pawlak, J. J., 2010, “The effect of chemical composition on microfibrillar cellulose films from wood pulps: Mechanical processing and physical properties,” Bioresource Technology, 101: 5961-5968。
【0280】
2つの重要なメカニズムはこれを説明すると考えられる。第1に、表面ヘミセルロースの存在自体が繊維間結合(またはMFCの場合、フィブリル間結合)を改善し、というのも、アモルファスヘミセルロース鎖は、水に浸漬されると、ミクロフィブリルから外に延び、乾燥させると、隣り合うミクロフィブリル間で架橋するからである。Bolam, F. M., 1965。高ヘミセルロースパルプをMFCに分解させると、より多くのヘミセルロースにコートされた表面積が解放され、この強化効果が、低ヘミセルロースパルプと比べて増強される。ヘミセルロースがナノセルロースから、キシラナーゼ酵素を用いて除去されると、これにより、同様のナノセルロース幾何形状を有したとしても、より不十分な引張特性となり、この効果が明確に証明される。Arola, S., et al., 2013。
【0281】
第2に、前記効果に加えて、様々な研究における顕微鏡画像が示しているように、高ヘミセルロースパルプはより良好な個別化を有するより微細なミクロフィブリルを生成する。Alila et al. (2013); Iwamoto et al. (2008);およびChaker et al. (2013)。同様のミクロフィブリル長が与えられると、これは粒子アスペクト比を増加させ、引張強度を改善する。ヘミセルロースはミクロフィブリル間にアモルファス層を形成し、これは水中で容易に膨潤し、そのため、これにより、ミクロフィブリル長に平行な好ましい破壊面を提供すると予測され、よって、より微細なミクロフィブリルの生成が促進される。加えて、キシランは典型的な処理条件下でのカルボキシル基解離のために表面電荷を発現させ、相互ミクロフィブリル反発を引き起こし、この効果をある程度まで増強する。MFC幾何形状および結合へのその期待される影響のために、ヘミセルロース含量を、本明細書で明記される全ての繊維種について調査した。
【0282】
ゼロスパン比引張強度
我々はこの明細書において、MFCの繊維長は高いMFC比引張強度と相関することを示した。よって、固有繊維特性から結果として得られるMFC繊維長を予測できることが望ましい。他の全てのことが同じなら、繊維構造内の長いフィブリルは長い遊離フィブリルにつながるであろう。また、欠陥がほとんどないフィブリルは、処理中のフィブリル長さ分解度を低減する。本質的に長いフィブリルは、フィブリル終点でのより少ない不連続性を意味する。ダメージを受けていないフィブリルは繊維中のより少ない顕微鏡的弱点を意味する。これらの特性はどちらも繊維断面積の「品質」に影響することが見て取れ、すなわち、長い、ダメージを受けていないフィブリルを有し、欠陥がほとんどない断面積となる。
【0283】
我々は、繊維断面積の比強度を評価することができる測定は、よって、フィブリル欠陥頻度および固有フィブリル長を示すのに有用となり得ると仮定し;ならびに、よって、MFC生成物の長いフィブリル長と相関すると期待される。MFC生成前の繊維シートのゼロスパン比引張強度が、そのような測定になることが見出されている。
【0284】
ゼロスパン引張試験では、試験装置の2つのクランプは本質的に接触しており(互いの数ミクロン内)、クランプ間の繊維の大半を両方のクランプにより直ちに保持させる。というのも、クランプ間の分離距離は典型的な繊維長のごく一部であるからである。試料が引張応力下で破壊された場合、従来の引張試験を用いた場合の繊維間の結合よりもむしろ、これらの固定された繊維が機能しなくなる。ゼロスパン引張試験は重量で正規化されるので、繊維細胞壁の厚さと繊維直径が説明される。
【0285】
繊維ダメージの測定としてのゼロスパン比引張強度の使用は先行技術において支持される。Zeng, X., Retulainen, E., Heinemann, S., Fu, S., 2012, “Fibre deformations induced by different mechanical treatments and their effect on zero-span strength,” Nordic Pulp and Paper Research Journal, 27(2): 335-342。ゼロスパン比引張強度は、均質化により誘導された繊維キンク(すなわち、繊維における急な曲がり)頻度に反比例することが示されており、それは、おそらく断面を横切る不均一な負荷分散のために繊維長を減少させた。Joutsimo, O., Wathen, R., Tamminenm T., 2005, “Effects of fiber deformations on pulp sheet properties and fiber strength,” Paperi Ja Puu/Paper and Timber, 87(6)。
【0286】
さらなる研究により、フィブリルおよびミクロフィブリルスケールのダメージもまた重要であることが示された。酸で処理された繊維は、ミクロフィブリルに対して局部的なダメージを引き起こし、これは、実質的に、ゼロスパン比引張強度を低減させた。さらに、ゼロスパン強度は、熱エージング分解のために繊維全体にわたって均質にダメージを受けたフィブリルにおいて減少した。Nevell, T. P., Nugawela, D., 1987, “Effect of Treatment with Very Dilute Acids on the Wet Tensile Strength and Chemical Properties of Paper,” Carbohydrate Polymers, 7:169-181;およびWathen, R., 2006, “Studies on fiber strength and its effect on paper properties,” PhD Thesis, King’s College London. ISSN 1457-6252。
【0287】
一実施形態では、MFC比引張強度は式T=B2ZH+s0を使用して計算され、式中、ZはNm/gで表される繊維のゼロスパン比引張強度を表し、Hは質量分率としてのヘミセルロース含量を表し、B2は比例係数であり、 s0は4.1Nm/gの値である。
【0288】
別の実施形態では、セルロースを含む繊維性基材は、ノルディック・パイン、ブラックスプルース、ラジアータパイン、サザンパイン、酵素処理したノルディック・パイン、ダグラスファー、溶解パルプ、カバノキ#1、カバノキ#2、ユーカリ、アカシア、混合ヨーロピアン広葉樹、混合タイ広葉樹、ティッシュダスト、綿、ジーンズ、アバカ、サイザル麻、バガス、ケナフ、ススキ、ソルガム、ダンチクおよび亜麻からなる群より選択される。
【0289】
さらに別の実施形態では、ヘミセルロース質量分率と繊維ゼロスパン比引張強度の積は約15~約25Nm/gであり、または5Nm/g超であり、または10Nm/g超であり、または15Nm/g超であり、または20Nm/g超であり、または25Nm/g超であり、または30Nm/g超であり、または35Nm/g超であり、または40Nm/g超であり、または45Nm/g超であり、または50Nm/g超である。
【0290】
さらに別の実施形態では、ヘミセルロース質量分率と繊維ゼロスパン比引張強度の積は約20Nm/gである。
【0291】
別の実施形態では、セルロースを含む繊維性基材のヘミセルロース質量分率は10%超、または約10%~約25%、または約10%~約20%または約25%超、または約30%超または約35%超、または約45%超または約50%超である。
【0292】
別の実施形態では、MFC繊維長は、撹拌媒体ミル内で、300kWh/t、2.5%繊維固体および47.5%MVCで生成される場合、約0.1~0.8mm、または0.1~0.25mm、または0.1~0.3mm、または0.1~0.4mm、または0.1~0.5mm、または0.1~0.6mm、または0.1~0.7mm、または好ましくは、例えば、0.15~0.3mmである。別の実施形態では、MFC繊維長は0.25mm超である。
【0293】
商業的製造プロセス
0.5wt%~30wt%の固体含量を有するパルプストックは、機械パルプ化、サーモメカニカルパルプ化、ケミサーモメカニカルパルプ化、化学パルプ化(クラフト、ソーダまたは亜硫酸)、漂白、再生パルプ化(任意でクリーニングおよび脱墨ステップを組合わせる)、蒸気爆砕繊維パルプ化または生物学的(酵素)パルプ化の任意の1つ以上を含む従来のパルプ化プロセスにより調製される。一実施形態では、パルプストックは水を用いて調製される。他の実施形態では、パルプストックは非水溶媒中で調製することができ、例えば、蒸発による乾燥および脱水が促進される。オルガノソルブ(organosolv)パルプ化プロセスの例は、リグニンを除去するために、メタノール、エタノール、酢酸などの有機溶媒の使用を含む。環境影響を低減させ、パルプ化プロセスの経済を改善するために、パルプ化プロセスは水性環境において実施されることが好ましい。
【0294】
バインダとして使用するのに好適なミクロフィブリル化セルロースを含む部分乾燥シートまたは乾燥シートは約0.5wt%~約30wt%総固体の範囲のパルプスラリーを調製すること;ミクロフィブリル化セルロースのスラリーを調製すること;パルプスラリーとミクロフィブリル化セルロースのスラリーを混合することであって、パルプスラリー中のミクロフィブリル化セルロースの含量は総乾燥質量の約0.5wt%~約99.5wt%であってもよいこと;ミクロフィブリル化セルロースおよびパルプを含むシートを形成すること;ならびにシートを所望の含水量まで脱水し、乾燥させることにより製造され;部分乾燥シートの含水量は約20重量%~約85重量%水分の範囲であり;または、乾燥シートの含水量は約20重量%以下であり;ならびに、部分乾燥シートまたは乾燥シートが水性媒体中に、約10kWh/t~約2,000kWh/tのエネルギー入力で動作される分散機、ミキサ、またはリファイナを用いて再分散される場合、部分乾燥シートまたは乾燥シートは、水性媒体中での再分散で、乾燥および再分散前の同等量のミクロフィブリル化セルロースを含むシートと比べ、MFCの機械的特性を維持し、または、これが実質的に劣化されない。
【0295】
実施例
実施例1.NBSKパルプからのミクロフィブリル化セルロースの調製
ミクロフィブリル化セルロースをNBSK(Sodra Blueから供給)から調製した。
【0296】
ハンドシート試験のために、およそ5リットルのNBSKスラリーを調製した。NBSKから生成させたMFCは、1.1wt%の総固体含量および99.5乾燥wt%のMFC含量を有する。
【0297】
試料を、研究室スケール撹拌媒体デトライター(「SMD」)グラインダーを使用して生成させた。生成プロセスは、ミネラルを含まないNBSKパルプを粉砕することを含んだ。選択した粉砕パラメータは、試料について一連の較正粉砕を実行することにより確立し、主変数は比エネルギー入力(kWh/t)とした。全てのNBSK試料についての一定条件は下記であった:3mmジルコニア媒体、47.5%媒体体積濃度(MVC)、800rpm標的羽根車回転数、1.5%標的粉砕固体および100%標的粉砕乾燥wt%MFC。試料を、1700μm研究室振動スクリーンを使用してスクリーニングし、粉砕媒体を除去した。
【0298】
較正粉砕および最終生成物についての生成条件および試験室試験結果の概要が表1および
図1に示される。
【表1】
【0299】
FLT試験を20乾燥wt%MFCで実施した;この場合、試料を追加のホストミネラル(IC60)を使用して、20乾燥wt%MFCまで希釈し、そのため、それは20乾燥wt%MFCで生成させた実験対照試料と比べることができた。FLTインデックスは、ミクロフィブリル化セルロースおよび再分散させたミクロフィブリル化セルロースの品質を評価するために開発された引張試験である。試験材料のPOPは、ミクロフィブリル化セルロース/無機材料複合物の生成においてどちらの無機微粒子が使用されたとしても(無機微粒子を含まないミクロフィブリル化セルロースの場合、60wt%<2μmGCC炭酸カルシウムが使用される)、これを添加することにより20%に調整される。220gsmシートがこの材料から特注のBuchner濾過装置を使用して形成される。結果として得られるシートはコンディショニングされ、その引張強度が業界標準引張試験機を使用して測定される。
【0300】
実施例2.FLT試験
FLT試験は、シートを純粋MFC試料から、注文製濾過装置上で製造するための迅速測定であり、それはMFCシートの強度を測定するために使用される。
【0301】
下記表2は、2%繊維固体で粉砕されたミネラルを含まないNSBKからの較正データを示す。
図2は、これらの較正の比較を示す。同様の引張強度手順が当技術分野で知られており、例えば、TAPPI T-404 cm-92であり、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本実施例において実施されたFLT試験は以下に言及される手順に従った。
【0302】
FLT引張強度測定の成績
使用した装置は引張試験濾過装置、18.5cm直径、中くらいの速さの濾紙(Whatman No.40または相当するもの)であった。
【0303】
試料の%固体および%POPを、以下で記載される別の実施例で決定されるように記録した。
【0304】
試料の%固体および%POPを記録すること(以下で記載される別の手順を参照されたい)。
【0305】
%POPが20%超である場合、FiberLean製品におけるものと同じ型のミネラルを添加して、20%とすること(FiberLeanハンドシートのための別の手順を参照されたい)。%POPが18%~20%である場合、補正因子が結果に適用される必要があるであろう。
【0306】
およそ4.4g乾燥重量の試料(10%固体試料については44g)を取り、水で400mLまで希釈し、およそ1.1%の総固体(0.22%繊維固体)を得た。これにより、220gsmシートが、装置の15.9cm直径曝露スクリーン上で製造されるであろう。試料を十分撹拌し、確実に良好に分散させた。
【0307】
次いで、1mlの0.2wt%ポリDADMAC溶液を希釈試料に添加し、試料をよく撹拌した。濾過ユニットの上部分を除去し、濾紙をスクリーンの上面に置いた。
【0308】
その後、濾紙を洗浄瓶を用いて濡らし、形成した全ての泡を紙の縁に押しやった。次いで、真空をオンにし、フィルタをスクリーンに接着させ、確実に、それがしわ無く平らになるようにした。装置の上部分を定位置に固定し、真空をオフにし、排水弁を開き、真空を放出し、水を排水させた。試料を上部分にスパチュラまたは同様の器具の端から注ぎ入れ、均等な分配を確保した。試料を濾紙上に直接注ぐのは回避した。試料を数秒間沈降させ、次いで、真空をオンにし、試料を濾過した。これにはおよそ2分かかった。水が消えるとすぐに、真空供給をおよそ1分後にオフにし、排水弁を開き、真空を解放し、水をユニットから除去した。その後、ユニットの上部分を除去し、濾紙および濾過試料を一緒に注意深く除去した。試料およびフィルタを、Rapid Kothenキャリアボード上に注意深く置いた。Rapid Kothenのシートカバーを試料上に置き、Rapid Kothen乾燥機内でおよそ7分間乾燥させた。乾燥試料をフィルタとカバーから分離し、25℃、50%RHで、最低20分間コンディショニングした。
【0309】
次に、シートを秤量し、そのグラム毎平方メートル(「gsm」)を決定した。試料を15mm幅のストリップにカッターを用いて切断した。最低5つのストリップが必要とされた。
【0310】
次に、引張試験機を用いて各ストリップを破壊するのに必要とされる、ニュートンで表される力を測定した。
【0311】
FLTを下記のように計算した。
m2のシートの面積(A)=0.0001×π×(cmの直径)2/4(15.9cm直径シートでは0.0199)
シートgsm=グラム/Aのシートの質量
必要とされるスラリーの質量=100×220×A/TS(TS=%総固体)
FLT(比引張強度)cmkg-1(T)=1000×Fm/(Wxgsm)
ここで、Fm=最大引張力(N)
W=ストリップ幅(標準として15mm)
gsm=試料のgsm
【0312】
各々の場合における5つの測定の平均比引張強度および標準偏差を記録した。
【0313】
上述のように、%POPが20%未満である場合、比引張強度は下記に従い較正される:
T較正=T/[1-7.6*(0.2-%POP)]。
【0314】
較正および手順は、紙試験-T220sp-96において定められるものに従う。
【表2】
【0315】
FLT試験は20乾燥wt%MFCで実施され;この場合、試料を追加のホストミネラル(IC60)を使用して、20乾燥wt%MFCまで希釈し、そのため、それは20乾燥wt%MFCで生成させた実験対照試料と比べることができた。
【0316】
実施例3.比較目的でのBotniaパルプからのミクロフィブリル化セルロースの調製
ミネラルを含まないBotniaから生成させたMFCの試験バッチを、比較目的で、NBSKから生成させたMFCについて使用した同じ条件下で製造した。
【0317】
下記表3は、Botniaパルプから生成させたMFCについての生成条件および試験結果の概要を提示する。
【表3】
【0318】
図2は、NBSKパルプとの比較目的で、1.5%繊維固体で粉砕されたミネラルを含まないBotnia RMA90パルプについてのFLTインデックス対比エネルギー入力のプロットを提供する。
【0319】
図3は、1.5%繊維固体で粉砕された、Sodra BlueとBotnia RMA90の間のエネルギースイープ比較を示す。
【0320】
下記表4は、2%繊維固体で粉砕されたミネラル-Botniaからの較正データを示す。
【表4】
【0321】
図4は2%繊維固体で粉砕された、ミネラルを含まないSodra BlueおよびBotnia RMA90パルプについてのFLTインデックス対比エネルギー入力のプロットである。
【0322】
図5は、1.5%および2%繊維固体でのBotnia粉砕パルプの間の比較を示す。
【0323】
図6は、1.5%および2%繊維固体でのSodra Blueパルプ粉砕パルプの間の比較を示す。
【0324】
実施例のために使用した完成紙料は100%リファイニングされていないNBSKであった。乾燥ボードを供給元から受け取り、調製して、希薄パルプストックにし、次いでこれを、以上で記載されるように調製された100%パーセンテージのパルプ(「POP」)ミクロフィブリル化セルロースとブレンドした。実験デザインは表5に明記される。
【0325】
表5:ハンドシート研究のための実験デザインの概要:
100%リファイニングされていないSodra Blue完成紙料、100%パーセンテージのパルプ(「POP」)NBSK(Sodra Blue)MFC、8つの試験ポイント、Rapid Kothenシート形成機で白水再循環により形成させた試験ポイントあたり80g/m
2での32シート(合計256シート)。
【表5】
【0326】
良好なリテンションを確保するために、カチオン性ポリアクリルアミド歩留向上剤(Percol 292NS、BASF)を、総シート重量に基づき0.03%の投与量で添加した。これを、各シートのシンストック(thinstock)に、ハンドシート形成機に添加する前に直接添加し、所定の試験ポイントについて各シートから得られた白水を再循環させて使用し、その試験ポイントについてその後のシートを生成させた。前の経験に基づき、各試験ポイントについて最後のシート7により、系はリテンション平衡に到達したと仮定された。
【0327】
NBSKパルプ調製
400g乾燥のシートパルプを、10リットルの濾過された水道水(5μmおよび0.5μm粒子フィルタ、連続)に添加し、一晩25リットルバケツ内で浸した(約4%稠度)。
【0328】
追加の12リットルの水を添加し(22リットル総体積、約1.8%稠度)、次いで、パルプ/水混合物を研究室バレービーターに添加した。
【0329】
懸濁液を15分間リファイニングウエイトを添加せずに循環させ、パルプシックストック(thickstock)を得た。ウエイトが添加されなかったので、リファイニングは起こらなかった。このステップは、パルプをスラッシュするために実施されたにすぎない。
【0330】
次いで、シックストックをバレービーターから放出させ、その後の使用のために25リットルバレル中に保存した。
【0331】
6リットルのシックストックを第2バレル中にデカントし、最大10リットルまで、濾過された水道水(約1.1%稠度)を用いて希釈し、次いで破砕機上で10分間混合した。
【0332】
次いで、これを追加の10リットルの水で、およそ約0.54%稠度まで希釈した。
【0333】
実際の稠度を測定し、次いで、混合物を濾過された水道水を用いて、必要に応じて希釈し、0.500%稠度シンストックを達成した(0.495%-0.505%は許容された)。
【0334】
前記ステップを繰り返し、研究全体のために十分なシンストックを作製した。各別々の調製からのシンストックを全て一緒に混合し、ハンドシート形成を開始する前にストック全体の均質性を確保した。
【0335】
稠度測定
典型的には、500mlをストックからサンプリングした。
【0336】
稠度形成機が清浄であることを確保し、真空をオフにし、チャンバを定位置に固定した。
【0337】
500mlのパルプストックを稠度形成機を通して分配バー越しに注いだ。
【0338】
全ての水が通過するまで、真空を適用した。
【0339】
排水を取り出し、水が完全に透明になるまで通過させて戻した(ステップ1~4を繰り返す)。
【0340】
チャンバを緩め、その上に形成されたパッドを有するメッシュを除去した。
【0341】
2つの新規ブロッティングシートを、稠度パッドに対してプレスし、可能な限り多くの水を除去した。
【0342】
パルプパッドをL&W Rapid乾燥機に移し、完全に乾燥させた。
【0343】
パッドを直ちにRapid乾燥機から除去し、化学天秤上で秤量した(小数第4位精度)。
【0344】
直ちに、パッドの重量を記録し、下記式を使用して稠度を計算することができた:
稠度計算例:
【数1】
例:500mlのストックを使用し、パッドは1.7802g重量であった。稠度は何か
【数2】
【0345】
カチオン性ポリアクリルアミド歩留向上剤の添加のために使用した手順は下記の通りであった。
【0346】
ミクロフィブリル化セルローススラリーの調製
ミクロフィブリル化セルロースのスラリーを実施例1における手順に従い生成させた。
【0347】
実施例4:NBSKパルプおよびNBSKパルプから生成させたMFCから生成させたハンドシートの調製
ハンドシート研究のための試料を2リットル瓶に入れ、固体およびPOPについて測定した。
【0348】
総固体含量は、ゼロ水分まで乾燥させた後に残った材料(ミネラルおよび繊維)のパーセンテージ質量である。
【0349】
実施例5.総固体のための方法
少なくとも1gの乾燥重量が乾燥の終わりに残るように、試料の必要質量を推定すること。スラリーの一部をパレットナイフを用いて、薄く、かつ、均一にアルミニウム皿上に延ばし、大きな表面積を提供し、よって、乾燥プロセスを促進させる。皿およびNSBK MFCスラリーを3dpまで秤量し、重量を記録する(W2)。皿を130℃水分抽出オーブンに入れ、最低90分間乾燥させる。乾燥は、乾燥オーブンから取り出した直後に材料の表面の真上に保持された、周囲温度でのガラスのシート上に結露がないことにより示される。皿および試料をオーブンからトングを使用して除去し、デシケーター中で冷却させる。皿および乾燥試料の重量を3dpまで記録する(W3)。
総固体含量「TS」はMFC材料のパーセンテージ質量として表され、下記式により与えられる:
TS=(W3-W1)×100
(W2-W1)
式中、W1=4.2で記録されるアルミニウム試料皿の重量
W2=4.5で記録されるスラリー+試料皿の重量
W3=4.8で記録される乾燥材料+試料皿の重量
標準偏差は総固体について0.1である。
【0350】
実施例6.パルプ計算の総パーセンテージ
総%POPを下記のように決定した。
【0351】
%POP(パルプのパーセンテージ)は、繊維である総固体のパーセンテージ質量である。
【0352】
空のるつぼを4dpまで秤量した(W1)。%固体決定が行われた直後に、>1gオーブン-乾燥生成物をるつぼに添加し、4dpまで秤量した(W2)。長い柄のトングを使用して、るつぼを950℃の炉内に30分間置き、次いで取り出し、デシケーター内で冷却させ、その後、4dpまで再秤量した(W3)。
【0353】
%POPは下記のように計算される。
【0354】
パルプのパーセンテージ「%POP」は繊維である総固体のパーセンテージ質量として表され、下記により提供される:
例えば、MFCが、カオリンを用いてフィブリル化される場合
POP%=((W2-W1)-((W3-W1))/((1-LOI)))/((W2-W1))×100
式中、W1=4.1で記録されるるつぼの重量
W2=4.2で記録されるオーブン-乾燥生成物+るつぼの重量
W3=4.4で記録される灰+るつぼの重量
LOI=強熱減量係数(率として表される-例えば10%は0.1として表される)
カオリンについては、950℃での典型的な強熱減量係数は0.14である
タルクについては、950℃での典型的な強熱減量係数は0.08である
か焼粘土については、950℃での典型的な強熱減量係数はゼロである
理想的に、試料が作製された特定のミネラル試料のLOIは測定されるべきであるが、これが入手不可能である場合、典型的な値を代わりに使用することができる。
標準偏差は%POPについては0.5である。
実施例では、%POP、フィブリル化手順においてミネラルが使用されなかったからである。
【0355】
Percol 292NS(歩留向上剤)調製:
Percol 292NS(BASF)をストックとして0.5%w/v溶液で調製し、次いで、その後の希釈を0.06%w/vまで、ハンドシートに投与するために下記方法に従い行った:97mlの水道水をプラスチック100mlメスシリンダーに量り分けた。
【0356】
0.5g±0.0050gのPercol 292NS顆粒を150mlガラスビーカーに計り分けた。
【0357】
3g±0.5gの工業用変性アルコール(IMS)を添加した。
【0358】
IMSを顆粒に回しかけ、確実にそれらが全て「湿潤」となるようにした。
【0359】
磁気フォロワーを添加し、ビーカーをマグネチックスターラー上に配置した。
【0360】
マグネチックスターラーをオンにし、97mlの水を添加した。
【0361】
速度を、ボルテックスが形成されるように調整し(増加させ)た。
【0362】
懸濁液を1時間混合した(そのため、顆粒が完全に溶解した)。
【0363】
このストック(0.5%)を5日後に廃棄した。
【0364】
0.5%ストックから、0.06%w/vまでの希釈を追加の水道水を使用して実施した。例えば、500mlの0.06%のストックについては、60mlの0.5%ストックと440mlの水が必要とされた。
【0365】
溶液を振盪によりよく混合し、ガラスボトルネックジャーに移した。
【0366】
ハンドシートの製造
シート製造計算
追加量を各試験ポイントについて、実験デザイン/試験プランによって計算した。シート中の各成分の必要とされる量を、全ての成分の100%リテンションに基づき計算した。第1ステップは、標的シート重量(80g/m2)のために必要とされるシートの乾燥質量(g)を計算することであった。これは、標的g/m2(80)にm2のハンドシート面積を乗じることにより得られた。Rapid Kothenシート形成機は19.95cm直径のシートを製造する(およそ312.59cm2または0.031259m2)。よって、各シートのために必要とされる乾燥質量は0.031259を乗じた(すなわち、32で割った)g/m2である。
【0367】
実施例-標的80g/m2:(80)/32=2.5g総乾燥質量。これに基づき、10%MFCがシート中にあることが必要とされる場合、それは下記に等価である:2.5×(10)/100=0.25gのMFC。シートの残りがパルプ繊維であると仮定すると、これは2.5g-0.25g=2.25gの繊維に等しかった。シートの繊維割合がエアコンディショニング中水分を吸収するので、繊維内での吸湿が計算の要素に入れられ、そのため、ある一定の物質が標的とされる場合、エアコンディショニング後にそれに到達される。このため、典型的には、3%水分の値が使用された。
【0368】
上記実施例を連続して使用し、3%水分を使用すると、繊維の質量は下記になる:繊維の質量(g)=2.5×(1-(3/100));パルプの質量(g)=2.425。
【0369】
次のステップは、供給材料の総固体含量および稠度を計算に入れ、乾燥質量と湿潤質量の変換を行うことであった。
【0370】
この後、1シートについて計算した量に、平衡蓄積シート(32シート)を含むその試験ポイントのために必要とされるシートの数を乗じた。これにより全試験ポイントのためのレシピが提供され、これは共に混合され、各試験ポイントについて最終ストックが生成される。これにより、シリーズ内のシート間の連続性が確保される。
【0371】
試験ポイントストック調製:
所定の試験ポイントについての計算した量を使用して、所望の体積のパルプシンストックを500ml、1リットルおよび2リットルメスシリンダーを使用して量り分けた。これを10リットルバケツに添加した。100mlプラスチックポットに、0.1g精度まで、所望の量のNBSK MFCを、トップパンバランスを使用して計り分けた。NBSK MFCは完璧な振盪により2リットル瓶中にサンプリングすると十分均一であった。少量のパルプシンストックをNBSK MFCを含むプラスチックポットに添加し、混合物が希薄になり、NBSK MFCのクラスターが存在しなくなるまで一緒に混合した。このステップはそれをシンストックの残りに添加した場合NBSK MFCを分散させるのを助けた。それを高すぎる固体で添加した場合、それは一緒に凝集し、シンストック全体に均質に分散しなかった。シンストックの残りを撹拌しながら、希釈NBSK MFCを含むプラスチックポットをストック中に注ぎ入れた。ストックを完全に混合し;複数のバケツ移送を実施して、良好な混合を支援した。典型的には、ストックは所定の試験ポイント内のシート全てについて十分な混合物を含むことが必要である。このようにストックを一緒に混合すると、試験ポイントのシート間の連続性が確保され、よって、同じセット内のシート間の変動が低減される。
【0372】
ハンドシート形成
Rapid Kothenシート形成システム(再循環チャンバを含む)を完全に清浄にし、ワイヤーメッシュをジェット洗浄した。最終ストックの計算した量を、各シートについて、500mlプラスチックメスシリンダー中に量り分けた(パルプおよびNBSK MFCを含む)。
【0373】
システムを水がないか確認し、次いでシステムを再循環モードに切り替えた。形成チャンバを閉じ、定位置で固定した。開始ボタンを押し、シート形成サイクルを開始すると;チャンバが7リットルの濾過された水道水で満たされ始めた。
【0374】
チャンバが満たされる間、歩留向上剤をメスシリンダー中に投与した(総乾燥シート重量に関して0.03%を標的にする)。メスシリンダーを、混合物が均一になるように2回反転させた。チャンバがいっぱいになる前に、混合物を添加した。システムにそのサイクルを実行させた(かくはん5秒、沈降5秒、および脱水/濾水)。
【0375】
チャンバを開き、キャリアボードを、新たに形成させたシート上面上に配置した。
【0376】
カウチロールを使用して、シートをワイヤー上で前後に、次いで左右に横たえた(各方向に一回)。シートが横たえてある間、排水は自動的に再循環タンクにポンピングされた。シートをワイヤーから除去し、カバーをシートの上面に置き、次いでRapid Kothen乾燥機上に7分間(-0.9バール真空、90℃±2℃)配置した。乾いたら、シートを除去し、ラベルを付けた。
【0377】
再循環水を使用して、ステップを、その試験ポイントについてのシートが全て製造されるまで繰り返した(合計32)。
【0378】
前の経験に基づき、白水再循環システムは各試験ポイントについてシート7によりリテンション平衡に到達したことが仮定された。
【0379】
紙試験
下記試験をシート8~12について実施した:物質、950℃での灰、Bendtsen多孔度、PPS粗さ1000kPaおよびキャリパー(嵩について)。-400nmでの光学特性:不透明度白色度、白度、黄色度、L*、a*、b*、Rx、RyおよびRz。
【0380】
機械的特性:破裂、引張、引裂およびスコットボンド。
【0381】
次いで、残りのシート(13~32)を8リットルの水(およそ0.625%稠度となるように計算)に一晩浸し、次いで大きな粉砕機内で10分間スラッシュした。これらの再パルプ化された懸濁液を、次いで、消費して、追加の12シート/試験ポイントを形成させ、次いで、それらについて、MFCを含むパルプシートの乾燥/再パルプ化の影響を評価するために、上記リストに従い紙試験を実施した。
【0382】
試験ポイント全てのパルプストックを濾水性(CSF/SRおよびハンドシート形成機濾水時間)および繊維特性の観点から、Valmet FS5繊維分析計により分析した。
【0383】
カナダ標準ろ水度(CSF)測定
およそ450mlの「シックストック」をバレービーターまたはストックバケツから取り出し、2リットルの濾過された水道水を添加した。これを小さなベンチトップ粉砕機に移し、600カウントの間混合した。パルプの稠度を測定し、追加の濾過された水道水を使用して、正確に0.3%±0.05%稠度まで希釈した。温度計をストック内に入れ、2分間放置し、温度を得た。CSF計器を視覚により確認し、完全に透明である(すなわち、底部の出口穴をブロックするパルプの乾燥塊がない)ことを確認した。底部フラップを閉じた。1リットルの水をチャンバに添加し、上部フラップを閉じた。上部フラップ上の栓を閉じた。底部フラップを開き、1リットルメスシリンダーを側面出口の下に固定し、水を捕えた。上部フラップ上の栓を開き、水が通過した。上記ステップを、水の代わりに0.3%稠度のストックを使用して繰り返した。読み取りを側面出口のシリンダーから行い、温度相関チャートを使用して、温度変動を修正した。CSFを記録した。
【0384】
結果&論考
シート製造およびハンドシート組成物
各試験ポイントについて達成された実際の坪量およびフィラー含量が表6に示される。フィラー含量はパルプ中で見られた残灰によるものであり、よって、100%POP FiberLeanの添加は灰分を増加させなかった(予想通り)。坪量は、場合によっては、標的よりかなり高かった。このための説明は、パルプがリファイニングされておらず、よって、その取り扱いのしやすさの観点から、凝集したというものであり、これにより、サンプリング時に、通常よりも大きな誤差が引き起こされた。坪量依存特性が指数として表され得ると仮定すると、坪量のわずかな変動が確実に説明でき、分析は変動により妨げられない。
【表6】
【表7】
【0385】
濾水性および繊維特性
濾水性結果および繊維特性対MFC投与量の増加が
図7および
図8に示される。結果により、MFCの添加により、濾水性(シート形成機濾水時間の増加、CSFの低減/ショッパーリグラーの増加)が、予想通りに低減することが示される。しかしながら、乾燥および再パルプ化は濾水時間をわずかに減少させるが、依然としてMFCの添加により増加が観察される。
【0386】
灰分は、MFC添加の増加と共に、パルプ中に生じるベースライン残灰に対して未変化のままである。
【0387】
MFCの添加は平均繊維長および光学粗さを低減させ、一方、フィブリル化は増加する。これはリファイニングされていない繊維がフィブリル化セルロースMFCにより置き換えられるためと、予測される。繊維幅の測定はMFC添加で変化しない。乾燥および再パルプ化は繊維幅およびフィブリル化をわずかに低減させるが、繊維長および光学粗さには影響しない。MFC添加の増加に伴うフィブリル化傾向はその峻度の観点から同じままである。
【0388】
MFC添加に伴う濾水時間増加の傾向が乾燥および再パルプ化ステップが起こると(特により高いMFC投与量、>10%で)急勾配でなくなることを考慮すると、データは集合的に、たとえ、乾燥および再パルプ化でMFCからの影響にいくらかの損失があったとしても、MFCを使用した場合に達成可能な基準条件に対して依然として実質的な増強が存在することを示す。
【0389】
紙特性
完成紙料および再スラッシュされたハンドシートへの添加についての、紙特性結果対MFC投与量が
図9~12に示される。
【0390】
図9~12に示される結果により、MFCのNBSK完成紙料への添加および完成紙料からのハンドシートの形成は機械的特性および不透明度を増加させたことが示される。ハンドシートはまた、白色度、多孔度、嵩および粗さの低減を示した。
【0391】
前記ハンドシートを乾燥および再パルプ化させると、機械的特性は減少したが、依然として、MFC投与量の増加に伴う機械的特性の実質的な改善を示した。MFCの添加に伴う機械的改善の増加を示す傾向は、スコットボンド測定に関して最も減少し、比破裂強さおよび引張特性についてはそうでもなかった。興味深いことに、比引裂強さについての峻度の傾向には変化はなかった。粗さ測定は本質的に変化せず、MFCの添加によりもたされた改善は維持された。同様に、MFCを含むハンドシートにおける嵩および多孔度の増加は同様に維持された。最後に、不透明度、光吸収および光散乱係数の増加を、白色度の低減と同様に記録した。
【0392】
2%MFCを使用した場合の、0%MFC基準条件に対するシート特性のパーセンテージ変化が下記表7にまとめて示される。
【0393】
前記実施例1~4の結果は、MFCのパルプシートへの添加は機械的特性および不透明度の増加という結果になったというものである。濾水性、嵩、多孔度および粗さは低減し、白色度にもわずかな低減が存在した。
【0394】
MFC含有シートの乾燥および再パルプ化で、MFCからの影響のいくらかは減少したが;しかしながら、0%MFC基準例に対して依然として実質的な変化が存在し、これにより、乾燥および再パルプ化のサイクル後に、MFCからの合理的な増強が、依然として達成され得ることが示される。
【0395】
MFC投与量の範囲を最大10%または実に20%まで広げると、MFCはパルプ特性に重大な影響を有した。興味深いことに、比較により、比引裂強さの改善は、リファイニングにより達成できず(通常、損失が観察される)、MFCからの嵩への悪影響は、典型的には、リファイニングにより観察されるものより少ない。
【表8】
【0396】
前記により、MFC含有パルプ製品は、優れた嵩および比引裂強さを有しながら、所望の特性を達成するのに、より少ないリファイニングを必要とし、または、さらには全くリファイニングを必要としない可能性がある(使用されるMFC投与量に依存する)ことが示唆される。乾燥および再パルプ化でのMFC増強の観察結果と組合わせたこの観察結果により、MFCは市場におけるMFCの消費および入手可能性を拡大する面白いアプローチであることが示唆される。
【0397】
図13はValmet FS5繊維分析計を用いて記録された繊維分析データを明記する。
【0398】
実施例7.Malvern Insitec L光散乱装置により測定した粒子サイズ分布。粒子サイズを下記のように決定した。この技術はMalvern Insitecレーザー回折計器を使用して、カオリンおよび炭酸カルシウム系FiberLean試料についての粒子サイズ情報を取得した。
【0399】
容器内容物を激しく振盪することにより、MFCスラリーを確実に均一とすること。粉砕媒体が試料中に存在する場合、850ミクロンスクリーンを使用して、粉砕媒体を除去し、その後に、Malvern分析を実行すること。粉砕媒体が存在しない場合、スラリーを試料からピペッティングすること。Malvernユニットの上面のポンプスピードオン/オフボタンを押すことにより、Malver Insitecユニットをスイッチオンし、ポンプを開始し、速度を2500rpmに設定し、超音波をオフにすること。ユニットを2-3回、清浄な室温水±5℃でフラッシングすることにより、確実にMalvern Insitecを清浄にすること。スターラーを印の付けられた排水位置まで上げ、出口ホースをとりはずし、溶液をシステムからサイホン処理し、確実に、入口ホースが持ち上げられ、トラップされた溶液が排出されるようにすること。水を清浄な室温水道水±5℃(800ml~900ml)と置き換えること。Malvernスターラーを完全に押し下げ、ポンプが自動的に開始すること。水が非常に乱れている場合、ポンプをオフにし、再びオンにし、水を沈静化させるのを助ける。出口ホースを持ち上げ、トラップされた空気を除去すること。
【0400】
実施例8.Brookfieldベーンスピンドルを使用した低せん断粘度の決定。下記は、1.0%繊維固体のMFC試料に対して、VanスピンドルV-73を使用するrookfiled R.V.粘度計(または同様の器具)を採用する実施例で使用された粘度試験を記載する。試薬は水道水を含み、試料(典型的には、受理したまま)はおよそ2.0%繊維固体である。試料を振盪させ、均質性を確保する。MFC組成物は、水で希釈することにより特定の濃度に調製される。温度は加熱または冷却を適用することにより20°~30°に維持される。MFC組成物を含むポットを完全に混合する。ベーンは粘度計に取り付けられ、10rpmに設定される。スピンドルは試験開始後30秒間回転させられる。粘度計読み取りが開始後30秒に記録される。MFC組成物の粘度がミリパスカル-秒(mPa.s)で表される。デジタル粘度計では、それはディスプレイから直接読み取られる。試験はISO9001を順守して実施される。
【0401】
希釈計算は下記のように実施される。
FS+TS×POP/100
式中、FS=%繊維固体;TS=%総固体(実施例5);ならびにPOP=生成物についての%パルプ(実施例6)。
【0402】
繊維固体は下記式に従い計算される:
FS=TS×POP/100
式中、FS=%繊維固体;TS-%総固体およびPOP=生成物についての%パルプ。
【0403】
希釈計算は、Rの所望の繊維固体を得るために必要とされる水の体積を決定し、これは下記のように計算される。
V=(FS-R)×W/R
式中、V-必要とされる水の体積
FS=初期wt%繊維固体
R=必要とされるwt%繊維固体。
【0404】
実施例9.Sedigraphの動作
別記されない限り、無機微粒子材料について本明細書で言及される粒子サイズ特性は、よく知られた方法において、Micromeritics Instruments Corporation, Norcross, Ga., USA(電話:+1 770 662 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)により供給されるSedigraph5100機(本明細書で「Micromeritics Sedigraph5100ユニット」と呼ばれる)を使用して、水性媒体中に完全に分散された状態の微粒子材料の沈降により測定される通りである。そのような機械は、測定、および、所定のe.s.d値未満の、当技術分野において「球相当径」(e.s.d)と呼ばれるサイズを有する粒子の累積重量パーセンテージのプロットを提供する。平均粒子サイズd50は粒子e.s.dのこのように決定された値であり、そこでは、50重量%の粒子が、そのd50値未満の球相当径を有する。
【0405】
重量メジアン粒子サイズd50の決定のために、0.5μm超のd50を有する粒子については、Micromeritics社、USA製のSedigraph5100装置が使用され得る。測定は0.1wt% Na4P2O7の水溶液中で実施され得る。試料は高速スターラーおよび超音波を使用して分散され得る。d50≦500nmを有する粒子についての体積メジアン粒子サイズの決定のために、Malvern社、UK製のMalvern Mastersizerが使用され得る。測定は0.1wt%Na4P2O7の水溶液中で実施され得る。試料は高速スターラーおよび超音波を使用して分散され得る。Sedigraph5100は、当技術分野において「球相当径」または「esd」と呼ばれるあるサイズを有する粒子の測定およびその累積重量パーセンテージのプロットを提供する。
【0406】
実施例10.シートに形成される、ならびに、再分散されて、増強された機械的特性、例えば増強された引張強度特性を有するハンドシートに再形成される100wt%ミクロフィブリル化セルロースの調製および試験
この実施例の目的は、100%MFCシートを、より単純な機器およびより低いエネルギー入力を使用して再分散することであった。
【0407】
使用したミネラルはIntracarb60(IC60)と呼ばれるImerys Mineralsから供給される重質炭酸カルシウムとした。この材料はMicromeretics Sedigraph粒子サイズ分析器により決定される60%2μm未満の粒子サイズを有する、大理石に基づく湿潤粉砕物である。Micromeretics Sedigraphについての手順は実施例9において提供される。
【0408】
この実施例で使用されるパルプは針葉樹さらしクラフトパルプであり、Botniaノルディック・パインRMAと呼ばれる。パルプは70-100%マツおよび0-30%エゾマツであった。
【0409】
使用したパルプ化手順は下記であった:2,700リットルの水をパルパーに添加し、混合開始後、次いで、1つの250kgベールのパルプをパルパーに添加し、続いて、さらに2,700リットルの水を添加した。組成物を40分間混合し、その後、パルプタンクに放出した。総固体は4%固体であった。
【0410】
MFCを、セルロース含有パルプのセラミック粉砕材料の存在下での湿式アトリションミリングにより生成させた。MFCスラリーをIC60重質炭酸カルシウム(GCC)およびBotniaパインRMA90パルプから調製した。
【0411】
得られたMFC生成物を下記について分析した:スラリーの総固体含量(実施例5);%POP(パルプのパーセンテージ)(実施例6);Malvern Insitec Lによる粒子サイズ分布(実施例7);低せん断粘度(実施例8)およびFLTシート引張強度(実施例2)。MFCのシートを、ミネラルによる20wt%POPまでの希釈はない、および、異なるシート重量を生成させるために様々な量のスラリーが使用されたことを除き、FiberLeanシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。
【0412】
IC60/Botniaスラリーは1.7wt%の総固体含量(実施例5において記載される方法において測定される)および50.0wt%のPOP値(実施例6の方法により測定される)を有した。
【0413】
実施例11
この実験は、150gの1.7wt%固体、50wt%POP IC60/Botnia FiberLeanを使用するものであった。FiberLeanのシート(およその重量4.4g)を、ミネラルによる20wt%POPまでの希釈はない、および、150gのスラリーを使用したことを除き、FiberLeanシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。結果として得られるシートを様々な時間の間、Rapid Kothen乾燥機上で実施例2において記載されるように乾燥させ、ある範囲の固体含量を有するシートを得た。
【0414】
これらのシートは、測定されたそれらの総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度を試験することができた。半乾燥シートを、研究室Silversonミキサを使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーとした(IC60ミネラルが希釈のために使用される)。
【0415】
Silversonミキサを研究室スケール分散機として使用し、高せん断の適用により、MFCプレスケーキ材料をスラリー中に分散させた。使用した手順は下記であった。空で清浄な平衡ポットをはかりの上に置き、風袋の重さを量る。必要とされる質量のMFCプレスケーキ材料を平衡ポット中に量り分ける。ポット内の質量に基づき、かつ、%POPによって、水を使用して、それぞれ、希釈する。高せん断の四角穴のあるヘッドが取り付けられたSilverson上で、1分間75%パワーで混合し、平衡ポットをある角度で維持し、平衡ポット内で良好な流動様式を確保する。
【0416】
次いでスラリーを、再度実施例2で記載される手順に従い、シートにした。
【0417】
図14は、実施例2に従い測定される、対照および再懸濁半乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、半乾燥シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFCのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、FiberLeanは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。商業規模では、Silversonミキサは商業的グレード高せん断分散機と置換されるであろう。
【0418】
実施例12
実施例11の初期実験を繰り返した。
【0419】
この実験は、150gの1.7wt%固体、50wt%POP IC60/Botnia MFCを使用した。MFCのシート(およその重量4.4g)を、ミネラルによる20wt%POPまでの希釈はないこと、および、150gのスラリーを使用したことを除き、FiberLeanシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。結果として得られるシートを様々な時間の間、Rapid Kothen乾燥機上で実施例2において記載されるように乾燥させた。
【0420】
シートは、測定されたそれらの総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度について試験することができた。半乾燥シートを、研究室Silversonミキサ(実施例11において以上で明記される)を使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーとした(IC60ミネラルが希釈のために使用される)。次いで、スラリーを、再度実施例2で記載される手順に従いシートとした。ブルックフィールド粘度を実施例8において記載される方法を使用して再分散されたスラリーに対して測定した。
【0421】
51.2×51.2mm平方で測定される220gsm FLTシートについて、紙および板紙(光学式文字認識-OCR)におけるTAPPI T537ダートカウントを測定した。手順は試験方法TAPPI/ANSI437om,-12に従い、紙中のダートを決定するための当技術分野で知られている標準試験である。
【0422】
表8はデータのフルセットを強調し、
図15は、引張強度データを示す。
【表9】
【0423】
これらのデータにより、再懸濁シートのFLT引張強度は乾燥前のスラリーよりも全く悪くないことが示され、よって、MFCのシートは、単純な再懸濁プロトコルを使用して、元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。ブルックフィールド粘度およびTAPPIダートカウントは乾燥前の元の試料よりも全く悪くない。
【0424】
実施例13
この実験は750gの1.7wt%固体50wt%POP IC60/Botnia MFCを使用した。MFCのシート(およその重量22g)を、ミネラルによる20wt%POPまでの希釈はないこと、および、750gのスラリーを使用したことを除き、FiberLeanシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。結果として得られるシートをRapid Kothen乾燥機上で、実施例2において記載されるように、様々な時間の間乾燥させた。
【0425】
これらのシートは、測定されたそれらの総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度を試験することができた。半乾燥シートを、研究室Silversonミキサを使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーとした(IC60ミネラルが希釈のために使用される)(実施例11における手順を参照されたい)。
【0426】
次いで、スラリーを、再度実施例2で記載される手順に従いシートとした。
【0427】
データが表9に示される。これらのデータにより、再懸濁シートの特性は乾燥前のスラリーよりも全く悪くないことが示され、よって、MFCのシートは、単純な再懸濁手順を使用して、元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。ブルックフィールド粘度およびTAPPIカウントは乾燥前の元の試料よりも全く悪くない。
【表10】
【0428】
実施例14
この実験は1500gの1.7wt%固体50wt%POP IC60/Botnia MFCを使用した。MFCのシート(およその重量44g)を、ミネラルによる20wt%POPまでの希釈はないこと、および、1500gのスラリーを使用したことを除き、実施例2で記載される手順に従うことにより生成させた。結果として得られるシートをRapid Kothen乾燥機上で、実施例2において記載されるように、様々な時間の間乾燥させた。
【0429】
これらのシートは、測定されたそれらの総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度を試験することができた。半乾燥シートを、研究室Silversonミキサを使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーとした(IC60ミネラルが希釈のために使用される)(実施例11で記載される手順を参照されたい)。次いで、これらのスラリーを、再度、実施例2で記載される手順に従い、シートとした。
【0430】
データが表10に示される。これらのデータにより、これらの再懸濁シートの特性は乾燥前のスラリーよりも全く悪くないことが示され、よって、MFCのシートは単純な手順を使用して元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。ブルックフィールド粘度は乾燥前の元の試料よりも全く悪くない。
【表11】
【0431】
様々な最終固体含量の100%MFCシートの生成が可能である。50wt% POP GCC/NBSKを用いて作製したシートは再分散させて、様々なシート重量での元のスラリーの強度特性に戻すことができる。
【0432】
実施例15.ニブカウント手順
ニブはMFCスラリーのプレスおよび/または乾燥中に形成される凝集粒子クラスターである。プレス/乾燥材料のほとんどが標準混合、続いて高せん断の適用により再分散可能であるが、しかしながら、生成物をプレス/乾燥/再分散するために使用される条件および技術によっては、ニブの集団が存在し続ける可能性がある。典型的には、完全に再分散するのに最も難しいニブ部分は80-200μmの直径を有するニブである。周囲のミクロフィブリルネットワークに対するこのニブ部分のサイズのために、ニブを、繊維性材料をも除去することなくスクリーニングして除くことが可能ではない。最終再分散スラリー中に存在するニブの全体含量は使用される再分散法の最適化により管理される。生成物中のニブの許容される量およびサイズは適用によって変動する。
【0433】
この方法の目的は、220±10g/m2、20.0%±0.5%POP FLTシートの100mm×25mm面積内のニブのサイズを定量し、測定することである。これをするために、MFCシートは、平台スキャナ(写真撮影において使用されるものと同様)を用いて白黒(グレースケール)透過モードで(試料標本を通して見る)走査される。このようにして見ると、ニブは黒点として現れる。画像解析ソフトウェアを使用して、黒点(ニブ)はより明るいバックグラウンドに対して区別することができ、よって、サイズについて、人為的な解釈を必要とせず自動的に定量および測定することができる。
【0434】
上記の(すなわち標準MFCシートについての)許容範囲内の坪量およびPOPを有するMFCシートでは、結果は絶対的なものと考えることができ、よって、研究間の比較が可能である。別のPOPおよび坪量で分析した試料は、対照条件、典型的にはプレス/乾燥前の対応するスラリー試料に対して比較するべきである。異なるミネラル/パルプ型の試料については、異なるFLTシート白色度のために、異なる設定が必要とされる。設定を得るための指針がこの方法、ならびに、一般的に使用されるミネラル型についての「公知の」設定の表において記載される。
【0435】
装置、機器、消耗品&サービス
Epson Perfection V600フォトスキャナ
A4サイズDisplaypro Clear Acrylic Perspexシート/パネル(297mm×210mm)、厚さ5mm
ラップトップまたはデスクトップ(モニタ、マウスおよびキーボードを備える)。注記:モニタは画像がはっきり見えるように十分良好な状態にあることが必要とされる。
走査領域の十分な位置決めを確保するための切り抜きボール紙ステンシル
空調管理された研究室(23.0℃±2.0℃、50%R.H.±5%R.H.)。注記:これは走査には必須ではなく、MFCシートの坪量の確認に必要とされるにすぎない。
4桁化学天秤。注記:これは走査には必須ではなく、MFCシートの坪量の確認に必要とされるにすぎない。
【0436】
ソフトウェア
購入モデルに関連する最新Epsonスキャナドライバー
下記で入手可能なImageJ画像解析ソフトウェア:https://imagej.nih.gov/ij/download.html
最新のMicrosoft Officeプラットフォーム(Office365またはそれ以降)-報告専用
「Nib計算」エクセルスプレッドシート
【0437】
MFCシートを少なくとも20分間空調管理し、4桁化学天秤を使用して秤量し、シート坪量が標的範囲内にあることを確認する。オン/オフスイッチを使用してスキャナをオンにし、トップパネルを除去する。EPSON Scanアプリを開く。
【0438】
アプリに「Professional Mode」を設定する。「Settings」ドロップダウンリストから使用に必要とされる予め規定された設定を選択する(これは各POP/ミネラル/パルプ型について変動する)。確実に、スキャナのガラスから、レンズクリーニングクロスを使用して、グリース(指紋など)、デブリ、ちりおよびかき跡を除去する。確実に、Perspexシートもまた、上記詳細のとおりきれいにする。カード、MFCシートを(シートの最も滑らかな側を下に向けて)配置する。
【0439】
走査:同様の組成を有する試料のバッチの第1の走査のために、「Preview」(赤矢印)を実行し、「Histogram Adjustment」(緑矢印)を開き、設定が、「Settings」セクションにおいて一覧にされたものに、選択されたミネラル/パルプ/POP(例はH60 GCC 20%POPを示す)について一致すること、および、ピークがおよそピークの中央にある灰色三角を用いて位置決めされ、黒および白色三角が、ピークの両側からおよそ等しく空けられて位置決めされることを確認する
【0440】
設定がピーク位置決めと一致しない場合、異なるシート組成/重量が分析され、別の設定が必要とされる可能性がある。
「Scan」を押し、画像を保存する。画像解析:ImageJアプリを開く。「File」および「Open」に行き、保存された画像をフォルダから選択する:画像が現れる。プロセスを繰り返すと、2つの画像が隣同士で視認可能になる。画像の1つのみについて(他方は目視基準のためにそこにあるにすぎない)、「Image」、「Adjust」および「Threshold」に行く。
Thresholdボックスが開く。「Set」ボタン(赤矢印)を押し、必要とされる設定を規定し、「OK」を押す。最も左のThresholdバーはピークの全範囲をカバーするはずであり、元の画像との比較により、全てのニブが明確に同定されるはずである。3回適用すると、ニブが3回同定され、段階が表され、試験をした場合の1つの画像のみが存在するであろう)。「Analyze」、「Analyze Particles…」に行く。サイズを「5-無限大」(赤矢印)に設定し、確実に「Display results」および「Clear results」が確認されるようにする。最後に、「OK」を押す。報告された結果は「Nib Calculation」スプレッドシートに保存することができ、ここから、任意のさらなる報告システムに移すことができる。報告される結果は下記である:(試料ID)総カウント、ついで、サイズ分画80-200μm、200-400μm、400-800μm、>800μm(赤四角により示される)。
【表12】
【0441】
ピクセル面積のミクロンサイズへの変換
「粒子分析(Analyze Particles)」は5-無限大(ピクセル)として規定される。
【0442】
600dpiで、単一ピクセルは25.4/600=0.042mm/ピクセル=42μm/ピクセルである。
【0443】
排除される最大サイズオブジェクトは4ピクセル=2x2ピクセル=2*0.042mm=2*42μm=84μmの面積を有する。
【0444】
排除される最大面積オブジェクトは4ピクセル=2x2ピクセル=2*0.042x2*0.042mm=2*42x2*42μm=7056μm2の面積を有する。
【0445】
検出されない最大ニブは84μmの直径または7056μm2の面積のいずれかを有する。
【0446】
実施例16.
商業規模機器での100%MFCシートの製造
MFCシートを、Botniaノルディック・パインRMAとして同定された針葉樹さらしクラフトパルプから製造した。使用したミネラルは、Hydrocarb 60 MR77%(H60)と呼ばれる、OMYA International AGにより供給される重質炭酸カルシウムとした。この材料は石灰石系、湿潤粉砕物であり、これは、Micromeretics Sedigraph粒子サイズ分析器により決定される60%2μm未満の粒子サイズを有する。Micromeretics Sedigraphのための手順は上記実施例9において提示される。
【0447】
パルプを生産施設に配置された大規模パルパーにおいて湿潤化し、パルプ化した。このパルプ化手順は下記であった:2,700リットル水をパルパーに添加して混合し、次いで、1×250kgベールのパルプをパルパーに添加し、続いて、さらに2,700リットルの水を添加した。パルプスラリーを40分間混合し、その後、パルプタンクに放出した。標的は4%固体であった。
【0448】
H60 GCCおよびBotniaパインRMA90パルプの50%POP FiberLeanスラリーをこれらの実験のために使用し、FiberLean MFC生成物の生成を、セラミック粉砕媒体の存在下での、セルロースおよびミネラルの湿式アトリションミリングにより達成した。
【0449】
ミネラルを含まないMFCスラリーを、100%BotniaパインRMA90パルプを使用することにより、セラミック粉砕媒体の存在下でのセルロースの湿式アトリションミリングを用いて生成させた。
【0450】
加えて、上記2つの生成物の別のMFCバージョンを、生成物をホモジナイザーに通過させることにより製造し、標準生成物と同じ試験方法を使用して評価した。
【0451】
MFC生成物の分析は下記試験を含んだ:
【0452】
スラリーの総固体含量を実施例5に従い実施した。
【0453】
%POP(パルプのパーセンテージ):(繊維である総固体のパーセンテージ質量)を実施例6に従い実施した。
【0454】
Malvern InsitecL光散乱装置により測定される粒子サイズ分布を実施例7に従い実施した。
【0455】
Brookfieldベーンスピンドルを使用する低せん断粘度を実施例11に従い測定した。
【0456】
FiberLeanシート引張強度を実施例2に従い決定した。
【0457】
Silverson再分散手順を実施例11に従い実施した。
【0458】
ニブカウント手順を実施例16に従い実施した。
【0459】
評価した4つのMFCスラリーは下記であった:ミネラルを含まないMFC;ホモジナイズされたミネラルを含まないMFC;50wt%POP Botnia/H60 GCC MFC;ならびにホモジナイズされた50wt%POP Botnia/H60 GCC MFC。
【0460】
表12はこの研究のために使用されたMFCシート製品の特性を示す。
【表13】
【0461】
これらのデータにより、MFCスラリーの「ホモジナイズ」バージョンは、実施例2において記載されるようにFLTシート引張強度試験により測定すると、標準生成物と比べて増強されたFLT引張強度値を有することが示される。
【0462】
100wt%MFCのシート(以上で記載される4つのバージョン全て)を、連続様式で、シート形成および熱乾燥を含む新規方法を使用することにより製造した。
【0463】
実施例17
この実験はミネラルを含まないMFC連続シートを使用した。6つの別々の連続シートを、新規方法を使用して製造した。これらのシートは、測定されたそれらの総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度を試験することができた。シートを、研究室Silversonミキサを使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)(実施例11を参照されたい)。
【0464】
次いで、これらのスラリーを、再度、実施例2で記載される手順に従い、シートとした。
【0465】
表13は、実施例2の手順により測定される対照および再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのものより低いFLTインデックスを有することが示され、よって、100wt%MFCのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁されなかったことが示される。これらのデータにより、ミネラルを含まないMFCは乾燥させてシートにし、再分散させることができ、引張強度は対照のものに戻らないことが示される。それにもかかわらず、乾燥シートを再懸濁させた時に得られる引張およびニブ特性は商業的に有用であり、これらの乾燥シートは高固体MFCシートのための実行可能な製品形態であることが示される。
【表14】
【0466】
図16は、新規連続法から製造したままの、ミネラルを含まないMFCシートの3つのSEM画像を示す。ミネラルが存在せず、しっかりと結合された繊維の複雑なウェブが存在することが観察できる。
【0467】
実施例18.
この実験はホモジナイズされたミネラルを含まないMFC連続シートを使用した。1つの連続シートを、新規方法を使用して製造した。このシートは測定されたその総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度を試験することができた。シートを、実施例11に従い、研究室Silversonミキサを使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0468】
次いで、このスラリーを、再度、実施例2において記載される手順に従いシートにした。
【0469】
表14は、実施例2の手順に従い測定した対照および再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのそれより低いFLTインデックスを有することが示され、よって、100wt%MFCのシートは、元のFLTインデックスに再懸濁されなかったことが示される。これらのデータにより、ホモジナイズされたミネラルを含まないMFCスラリーは乾燥させてシートにし、再分散させることができ、引張強度は対照のものに戻らないことが示される。それにもかかわらず、乾燥シートを再懸濁させた時に得られる引張およびニブ特性は商業的に有用であり、これらの乾燥シートは高固体MFCについての実行可能な製品形態であることが示される。
【表15】
【0470】
実施例19
この実験は50wt%POP H60/Botnia MFC連続シートを使用した。3つの別々の連続シートを、新規方法を使用して製造した。これらのシートは、測定されたそれらの総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度について試験することができた。シートを、実施例11に従い、研究室Silversonミキサを使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0471】
次いで、これらのスラリーを、再度、実施例2で記載される手順に従い、シートとした。
【0472】
表中の(H2O 33%)を有する試料は、より希釈された材料が増強された特性を与えたかどうかを調査するために添加された水を有した。
【0473】
表15は、実施例2の手順に従い測定した対照および再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、再懸濁シートは乾燥前の対照スラリーと同様であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/ミネラルのシートは、おそらく、元のFLTインデックスに再懸濁させることができることが示される。乾燥シートを再懸濁させた時に得られる引張およびニブ特性は商業的に有用であり、これらの乾燥シートは高固体MFCシートについて実行可能な製品形態であることが示される。これらのシートを再懸濁させるために使用されたSilversonミキサ再懸濁手順は、商業的量のMFCシートのために異なる分散機を使用して調整される必要がある可能性があることに注意すべきである。
【表16】
【0474】
図17は、新規連続法から製造された50wt%POP H60/BotniaシートのいくつかのSEM画像を示す。ミネラルが存在し、繊維のウェブが存在することが観察できる。
【0475】
実施例20
この実験は50wt%POP H60/Botnia FiberLean PLUS連続シートを使用した。2つの別々の連続シートを、新規方法を使用して製造した。これらのシートは、測定されたそれらの総固体含量を有し(実施例5を参照されたい)、そのため、シートは再湿潤化され、強度を試験することができた。シートを、研究室Silversonミキサを使用して、実施例11の手順に従い、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0476】
次いで、これらのスラリーを、再度、実施例2で記載される手順に従い、シートとした。
【0477】
表16は、実施例2の手順に従い測定した対照および再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのものより低いFLTインデックスを有することが示され、よって、50wt%POP H60/Botnia MFCのシートは元のFLTインデックスに再懸濁させることができないことが示される。それにもかかわらず、乾燥シートを再懸濁させた時に得られる引張およびニブ特性は商業的に有用であり、これらの乾燥シートは高固体FiberLeanに対する実行可能な製品形態であることが示される。
【表17】
【0478】
100%MFSシートを用いた前記研究に基づき、ミネラルが存在して、または存在なしでの100%MFCシートの生成が可能である。
【0479】
50wt%POP GCC/NBSKを用いて作製したシートはおそらく、再分散させて元のスラリーの強度特性に戻すことができる。
【0480】
両方の場合において、乾燥シートを再懸濁させた時に得られる引張およびニブ特性は商業的に有用であり、これらの乾燥シートは高固体FiberLeanに対する実行可能な製品形態であることが示される。
【0481】
実施例21
MFCおよびバージンパルプブレンドシートの生成
MFCおよびパルプブレンドシートを生成させるために使用されたパルプは、Botniaノルディック・パインRMAとして同定された針葉樹さらしクラフトパルプであった。このパルプを生産施設内の大規模パルパーにおいて湿潤化し、パルプ化した。このパルプ化手順は下記であった:2,700リットル水をパルパーに添加し、混合を開始した。次いで、1×250kgベールのパルプを添加し、続いて、さらに2,700リットルの水を添加した。スラリーを40分間混合し、その後、パルプタンクに放出した。標的は4%固体であった。
【0482】
使用したミネラルはOMYA International AGにより供給され、Hydrocarb 60 MR77%(H60)と呼ばれる、重質炭酸カルシウムとした。この材料は石灰石系、湿潤粉砕物であり、これは、Micromeretics Sedigraph粒子サイズ分析器により、実施例9の手順に従い決定される60%2μm未満の粒子サイズを有する。
【0483】
H60 GCCおよびBotniaパインRMA90パルプのFiberLeanスラリーを、下記実験のために使用し、MFC-パルプブレンドシート製品の生成をセラミック粉砕媒体の存在下での、セルロースおよびミネラルの湿式アトリションミリングにより達成した。
【0484】
ミネラルを含まないMFCスラリーを、100%BotniaパインRMA90パルプを使用することにより、セラミック粉砕媒体の存在下でのセルロースの湿式アトリションミリングを用いて生成させた。
【0485】
MFCおよびパルプブレンドシート製品の分析は下記実施例の各々における下記測定を含んだ。
【0486】
実施例5の手順に従うスラリーの総固体含量。
【0487】
%POP(パルプのパーセンテージ):実施例6の手順に従う(繊維である総固体のパーセンテージ質量)。
【0488】
Malvern InsitecL光散乱装置により、実施例7の手順に従い測定される粒子サイズ分布。
【0489】
Brookfieldベーンスピンドルを使用する低せん断粘度を実施例11の手順に従い測定した。
【0490】
実施例2において記載されるFLTシート引張強度。
【0491】
実施例11の手順に従う、乾燥MFC-パルプブレンドシート製品のSilverson再分散。
【0492】
実施例15の手順に従うニブカウント。
【0493】
実施例22
この実験は様々な量のミネラルを含まないMFCをスラッシュされたバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加されるミネラルを含まないMFCの比は、5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間振盪させ、良好な混合を確保した。MFCのシート(およその重量4.4g)を、ミネラルによる20wt%POPまでの希釈はないことを除き、MFC FLTシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。結果として得られるシートをRapid Kothen乾燥機上で、実施例2において記載されるように乾燥させた。
【0494】
表17はミネラルを含まないMFCをBotniaパルプに添加する効果を示す。総固体含量(実施例5において記載される)は、より多くの、ミネラルを含まないMFCが添加されるにつれ減少する。実施例2において記載されるFLTインデックスは高い引張強度を生成させた。これらのデータは対照であるが、それにもかかわらず、データはブレンドMFC/パルプシートから得ることができる特性を説明する。
【0495】
「スケール外」コメントは、強度がロードセルの範囲を超えた事実による。
【表18】
【0496】
実施例23.
【0497】
この実験は、様々な量の50wt%H60/Botnia MFCをスラッシュされたバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加された50wt%H60/Botnia MFCの比は5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間振盪させ、良好な混合を確保した。
【0498】
MFCのシート(およその重量4.4g)を、ミネラルによる20wt%POPまでの希釈はないことを除き、FLTシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。結果として得られるシートをRapid Kothen乾燥機上で、実施例2において記載されるように乾燥させた。
【0499】
表18は、50wt%H60/Botnia FiberLeanをBotniaパルプに添加する効果を示す。総固体含量(実施例5において記載される)は、より多くの50wt%H60/Botnia MFCが添加されるにつれ増加する。FLTインデックスは、実施例2において記載されるように、高い引張強度値を生成させた。これらのデータは対照であるが、それにもかかわらず、データはブレンドMFC/パルプシートから得ることができる特性を説明する。
【表19】
【0500】
実施例24.
この実験は様々な量のミネラルを含まないFiberLeanをTrebalスラッシュバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加されたミネラルを含まないFiberLeanの比は5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間振盪させ、良好な混合を確保した。
【0501】
MFC-パルプブレンドのシート(およその重量4.4g)を、FiberLeanシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。シートを実施例11において記載されるように、研究室Silversonミキサを使用して、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0502】
表19は、実施例2および16の試験手順に従い測定された、再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)およびニブカウントを示す。これらのデータにより、再懸濁シートは、より多くの、ミネラルを含まないMFCがBotniaバージンパルプに添加されるにつれ増加するFLTインデックスを有することが示される。達成されたFLTインデックスおよびニブカウントにより、これらのブレンドされたFiberLean/パルプシートは高固体MFC-パルプブレンドシートに対する商業的に実現可能な製品形態であることが示される。
【表20】
【0503】
実施例25
この実験は様々な量のミネラルを含まないMFCをスラッシュされたバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加されたミネラルを含まないMFCの比は5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間、研究室Silversonミキサを使用して混合し(実施例11のための手順に従う)、良好な混合を確保した。実施例25と26の間の違いは、初期ブレンドが高せん断Silversonミキサを用いて混合されたことにすぎない。
【0504】
MFCのシート(およその重量4.4g)を、FLTシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。シートを、研究室Silversonミキサを使用して、実施例11の手順に従い、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0505】
表20は、実施例2および16の手順により測定された、再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)およびニブカウントを示す。これらのデータにより、シートは、より多くの、ミネラルを含まないMFCがBotniaバージンパルプに添加されるにつれ増加するFLTインデックスを有することが示される。達成されたFLTインデックスおよびニブカウントにより、これらのブレンドMFC/パルプシートは高固体MFCに対する商業的に実現可能な製品形態であることが示される。
【表21】
【0506】
図18は、ミネラルを含まないMFCおよびBotniaパルプブレンドを実施例11において記載される1分のSilversonに供した効果を示す。これらのデータは、Silversonミキサの使用を比較した場合のFLT値への非常に小さな効果を示す。
【0507】
図19は、実施例2に従い測定される対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、ミネラルを含まないMFC/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【0508】
実施例26.
この実験は様々な量のミネラルを含まないMFCをスラッシュされたバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加されたミネラルを含まないMFCの比は5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間振盪させ、良好な混合を確保した。
【0509】
FiberLeanのシート(およその重量8.8g)を実施例2に従い生成させた。シートを、研究室Silversonミキサを使用して、実施例11の手順に従い、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。次いで、これらのスラリーを、再度、実施例2で記載される手順に従い、シートとした。
【0510】
図20は、実施例2に従い測定される対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、ミネラルを含まないMFC/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【0511】
これらの結果により、ミネラルを含まないMFC/パルプブレンドの乾燥は、再製造シートの結果として得られる引張強度に効果を有さないことが示される(実施例2)。100%ミネラルを含まないMFCシートに関してはわずかな低減が存在する。達成されたFLTインデックスにより、これらのブレンドMFC/パルプシートは高固体MFCに対する商業的に実現可能な製品形態であることが示される。
【0512】
実施例27.
この実験は様々な量の50wt%POP H60/Botnia MFCをスラッシュされたバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加されたミネラルを含まないFiberLeanの比は5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間振盪させ、良好な混合を確保した。
【0513】
MFCのシート(およその重量4.4g)を、実施例2で明記されるMFCシート引張手順で記載される手順に従うことにより生成させた。シートを、研究室Silversonミキサを使用して、実施例11に明記されるように20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0514】
表21は、実施例2および16の手順において測定される再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)およびニブカウントを示す。これらのデータにより、シートは、より多くの50wt%POP H60/Botnia MFCが、Botniaバージンパルプに添加されるにつれ増加するFLTインデックスを有することが示される。達成されたFLTインデックスにより、これらのブレンドMFC/パルプシートは高固体MFCに対する商業的に実現可能な製品形態であることが示される。
【表22】
【0515】
実施例28.
この実験は様々な量の50wt%POP H60/Botnia MFCをスラッシュされたバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加された50wt%POP H60/Botnia MFCの比は5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間、研究室Silversonミキサを使用して、実施例11の手順に従い混合し、良好な混合を確保した。実施例28と29の間の違いは、初期ブレンドが高せん断Silversonミキサを用いて混合されたことにすぎない。
【0516】
FiberLeanのシート(およその重量4.4g)を、FLTシート引張手順(実施例2)で記載される手順に従うことにより生成させた。シートを、研究室Silversonミキサを使用して実施例11の手順に従い、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0517】
表4は、実施例2および実施例16に従い測定した再懸濁シートの引張強度(FLTインデックス)およびニブカウントを示す。これらのデータにより、シートはより多くの、ミネラルを含まないMFCがBotniaバージンパルプに添加されるにつれ増加するFLTインデックスを有することが示される。
【表23】
【0518】
図21は、実施例11において記載されるように50wt%POP H60/Botnia MFCおよびBotniaパルプブレンドを1分のSilversonに供した効果を示す。
【0519】
これらのデータはSilversonミキサの使用に伴うFLTへのわずかな利点を示す。達成されたFLTインデックスにより、これらのブレンドMFC/パルプシートは高固体MFCに対する商業的に実現可能な製品形態であることが示される。
【0520】
図22は、実施例2に従い測定した対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、50wt%POP H60/Botnia MFC/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【0521】
実施例29.
この実験は様々な量の50wt%POP H60/Botnia MFCをスラッシュされたバージンBotniaパインRMA90パルプとブレンドした。Botniaパルプに添加された50wt%POP H60/Botnia MFCの比は5wt%、10wt%、25wt%、50wt%および75wt%であった。これらの添加がなされるとすぐに、合わせた材料を60秒間振盪させ、良好な混合を確保した。
【0522】
FiberLeanのシート(およその重量8.8g)を、実施例2で記載される手順に従うことにより生成させた。シートを、研究室Silversonミキサを使用して、実施例11の手順に従い、20wt%POPで6.25wt%固体スラリーにした(H60ミネラルを希釈のために使用した)。
【0523】
図6は、SOP、Appendix8において測定される対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、50wt%POP H60/Botnia FiberLean/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【0524】
図23は、実施例2に従い測定される対照および再懸濁乾燥シートの引張強度(FLTインデックス)を示す。これらのデータにより、シートは乾燥前の対照スラリーのもの以上であるFLTインデックスを有することが示され、よって、MFC/パルプのシートは元のFLTインデックスまで再懸濁させることができることが示される。これらのデータにより、50wt%POP H60/Botnia MFC/Botniaパルプブレンドは乾燥させてシートにすることができ、容易に再分散させることができ、引張強度は損なわれないことが示される。
【0525】
これらの結果により、50wt%POP FiberLean/パルプブレンドの乾燥は、再製造シートの結果として得られる引張強度に効果を有さないことが示される。達成されたFLTインデックスにより、これらのブレンドMFC/パルプシートは高固体MFCに対する商業的に実現可能な製品形態であることが示される。
【0526】
ミネラルを含まないMFCまたは50wt%POP Botnia/H60MFCのBotniaパルプへの添加は、シートの結果として得られる引張強度を増加させる。
【0527】
ミネラルを含まないMFCまたは50wt%POP Botnia/H60MFCおよびBotniaパルプを含む乾燥シートの再分散は元のシートの引張特性を有する。
【0528】
これらのデータにより、ブレンドMFC/パルプシートは高固体MFCに対する商業的に実現可能な製品形態であることが示される。
【0529】
当業者であれば、本明細書で記載される発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識するであろう、またはわずかルーチン実験を使用して確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記記載に制限されることを意図せず、むしろ、下記特許請求の範囲に明記される通りである。
【0530】
請求要素を改変するための、特許請求の範囲での順序用語、例えば、「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、それ自体、1つの請求要素の別の請求要素を超える優先性、先行性、または順序もしくは方法の動作が実施される時間的順序を暗示しないが、単に、ある一定の名称を有する1つの請求要素を同じ名称を有する別の要素から識別する標識として使用される(が、順序用語の使用については)、請求要素を区別するための標識として使用される。
【0531】
本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される冠詞「1つの(aおよびan)」は、反対のことが明確に示されない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または記載は、群のメンバーの1つ、1超または全てが所定の生成物またはプロセス中に存在する、これにおいて採用される、またはこれに別様に関連する場合、反対のことが示されない限り、または、文脈から別様に明らかにならない限り、満たすと考えられる。発明は、厳密に、群の1つのメンバーが所定の生成物またはプロセス中に存在する、これにおいて採用される、またはこれに別様に関連する実施形態を含む。発明はまた、1を超える、または群全体のメンバーが所定の生成物またはプロセス中に存在する、これにおいて採用される、またはこれに別様に関連する実施形態を含む。さらに、発明は、列挙されたクレームの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、記述用語、などが同じ基本クレームに依存する別のクレーム(または、関連するものとして、任意の他のクレーム)に導入される全ての変更、組合わせ、および置換を、別記されない限り、または、矛盾または不一致が生じるであろうことが当業者に明らかでない限り、包含することが理解されるべきである。要素が、リストとして(例えば、マーカッシュ群または同様のフォーマットで)示される場合、要素の各サブグループもまた開示され、かつ、任意の要素(複数可)が群から除去され得ることが理解されるべきである。一般に、発明、または発明の態様が、特定の要素、特徴、などを含むものとして言及される場合、発明のある一定の実施形態または発明の態様は、そのような要素、特徴、などから構成され、またはこれから本質的に構成されることが理解されるべきである。簡単にするために、それらの実施形態は全ての場合において、本明細書で、正確に、特定的に明記されているわけではない。発明のいずれの実施形態または態様も、特定の排除が明細書において列挙されるかどうかに関係なく、特許請求の範囲から明確に排除することができることもまた理解されるべきである。発明の背景を記載する、および、その実施に関して追加の詳細を提供するために本明細書で言及される刊行物、ウェブサイトおよび他の参考資料はこれにより、参照により組み込まれる。
【国際調査報告】