IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アーの特許一覧

特表2023-540979乾式分画された植物性タンパク質濃縮物飲料のテクスチャー及び機能性を改善する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】乾式分画された植物性タンパク質濃縮物飲料のテクスチャー及び機能性を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/14 20060101AFI20230920BHJP
   C12P 1/00 20060101ALI20230920BHJP
   A23L 9/20 20160101ALI20230920BHJP
   A23L 11/60 20210101ALI20230920BHJP
   C07K 14/415 20060101ALN20230920BHJP
   A23L 5/41 20160101ALN20230920BHJP
   A23F 5/24 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
A23J3/14
C12P1/00 A
A23L9/20
A23L11/60
C07K14/415
A23L5/41
A23F5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514914
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021074967
(87)【国際公開番号】W WO2022053631
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】20195595.2
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ウースター, ティモシー, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ボルトリン, マリナ
(72)【発明者】
【氏名】ペンセイレス, リュドヴィク
(72)【発明者】
【氏名】リション, ピエール‐アラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァフェイアディ, クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B020
4B025
4B027
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE05
4B018MA07
4B018MC01
4B018MF02
4B018MF04
4B018MF12
4B020LB18
4B020LB27
4B020LG09
4B020LK06
4B020LK19
4B020LP15
4B020LQ06
4B025LB20
4B025LG18
4B025LG19
4B025LG23
4B025LG29
4B025LG32
4B025LG34
4B025LG42
4B025LP01
4B025LP10
4B025LP19
4B027FB24
4B027FC02
4B027FK05
4B027FK07
4B027FK08
4B027FQ19
4B064AG01
4B064BE01
4B064CA21
4B064CB01
4B064CC07
4B064CD22
4B064DA10
4H045BA10
4H045CA33
4H045EA01
4H045FA70
(57)【要約】
本発明は、全般的に、植物系液体を製造する方法であって、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることと、エマルジョンを形成することと、エマルジョンに熱処理を適用することと、熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、を含む、方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物系液体を製造する方法であって、
a.0.5~20重量%の乾式分画された植物性タンパク質を水に溶解させて、6.7~9、好ましくは6.7~8のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成することと、
b.任意選択で、前記植物性タンパク質混合物を酵素と共にインキュベートすることと、
c.任意選択で、親水コロイドを前記植物性タンパク質混合物に添加することと、
d.前記植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることと、
e.前記植物性タンパク質混合物を均質化して、エマルジョンを形成することと、
f.前記エマルジョンに熱処理を適用することと、
g.前記熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
アスコルビン酸ナトリウムが、工程f)の前に前記植物性タンパク質混合物又はエマルジョンに溶解される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物性タンパク質源が、エンドウマメ、ソラマメ、ヒヨコマメ又はレンズマメなどのマメ科植物源に由来する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾式分画された植物性タンパク質が、空気分級された植物性タンパク質源である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
リン酸塩源及び糖が、前記植物性タンパク質混合物中に溶解され、前記リン酸塩源が、リン酸三カルシウム及びリン酸二カリウムを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記植物性タンパク質混合物を7~8のpHに調整した後、酵素と共にインキュベートする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素が、アミラーゼ及びグリコシレートである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エマルジョンが、2段階高圧ホモジナイザーを使用して形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エマルジョンの平均粒径が、d[3,2]については0.1~1μmであり、d[4,3]については0.3~2μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記剪断処理が、高剪断ホモジナイザーを使用して適用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
剪断処理後の前記植物系液体の粘度が、25℃において10s-1の剪断速度で0.5~30mPa.sである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記植物系液体が、2重量%未満のデンプンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記植物系液体が乳類似物である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13に記載の方法によって製造された、植物系乳類似物。
【請求項15】
植物性タンパク質及びトリグリセリドを含むエマルジョンから植物系液体を製造するための、熱処理とそれに続く剪断処理の使用であって、前記植物性タンパク質が、乾式分画された植物性タンパク質である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物系(非乳製品)乳代替飲料組成物及び当該組成物の製造方法に関する。
【0002】
[背景技術]
近年、植物系(非乳製品)乳代替製品に対する需要が非常に増加している。非乳製品製乳代替物は、(ノン)フレーバード飲料、例えばコーヒー、ココア、茶などの温かい飲料及び冷たい飲料の白色付与剤などの多種多様な用途において乳の代わりに使用することができ、又はシリアルの上に添加することができる。非乳製品製乳代替物は、様々な異なる風味をもたらし、口当たり、ボディ、白色付与、及び滑らかなテクスチャーを提供することができる。
【0003】
消費者は、持続可能であり、癖のない味(neutral taste)、乳様の外観、心地よい低粘度のテクスチャー、及び当該乳によるフォームをクリーム化する能力をもたらす、植物系乳代替物を求めている。しかしながら、植物系成分には、多くの場合、嫌な香味及び異味が伴う。多くの植物系製品の外観、テクスチャー、及び機能性はまた、消費者へのそれらの訴求力も更に制限し得る。
【0004】
植物系乳製品代替物は、主に、生の植物フラワーから精製する際に大量の水及び化学物質を必要とするタンパク質単離物を使用して製造される。原料タンパク質中に存在するデンプン及び繊維はまた、製品のゲル化、又はデンプン及び/若しくは繊維の沈降をもたらし得る。飲料製品のゲル化及び/又は熱処理時の粘度上昇は、消費者訴求力並びに製品の機能性及び加工性を低下させる過度に粘性のテクスチャーを有する製品をもたらす。植物系乳製品代替物はまた、乳の白さとの類似性に欠くことにより消費者訴求力に悪影響を及ぼす、褐色又は灰色を有することが知られている。
【0005】
乳の訴求力のある低粘度及び視覚的外観を有する、美味で、栄養価が高く、手頃な植物系乳製品代替物を提供するための新しい方法及びレシピの解決策を開発することが明らかに必要とされている。
【0006】
[発明の概要]
本発明者らは、上記の課題を解決し、優れた植物系液体飲料をもたらす方法を開発した。
【0007】
第1の態様において、本発明は、植物系液体を製造する方法であって、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることと、エマルジョンを形成することと、エマルジョンに熱処理を適用することと、熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、を含む、方法に関する。
【0008】
第2の態様において、本発明は、本明細書に記載の方法によって製造された、植物系液体に関する。
【0009】
第3の態様において、本発明は、植物性タンパク質混合物を含むエマルジョンから植物系液体を形成するための、熱処理とそれに続く剪断処理の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エンドウマメ濃縮乳(6.5%エンドウマメ濃縮物、2.6%脂肪、0.8%スクロース)における変化。A)はi)UHT前及びii)UHT後の顕微鏡観察DIC×10を示す。B)はi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前の粘度、及びii)直接UHT熱処理後の粘度を示す。
図2】エンドウマメ濃縮乳(6.5%エンドウマメ濃縮物、2.6%脂肪、0.8%スクロース)における変化。A)熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後の熱処理の関数としての粘度、並びに炭水化物加工のiii)UHT後コロイドミル及びiv)UHT前アミラーゼ消化の関数としての粘度を示す。B)熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後の熱処理の関数としての粘度、並びに炭水化物加工のiii)UHT後コロイドミル及びiv)UHT前アミラーゼ消化の関数としての粘度を示す。C)i)のUHT及びコロイドミル後、並びにii)のUHT及びアミラーゼ消化後の顕微鏡観察を示す。
図3】エンドウマメ濃縮乳(6.5%エンドウマメ濃縮物、2.6%脂肪、0.8%スクロース)における変化。A)タンパク質含有量を、熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後、及び炭水化物加工のiii)UHT後コロイドミル、及びiv)UHT前アミラーゼ消化の関数として示す。B)遊離グルコース含有量を、熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後、及び炭水化物加工のiii)UHT後コロイドミル、及びiv)UHT前アミラーゼ消化の関数として示す。
図4】A)UHT後のエンドウマメ(PEA)参照乳の外観、B)UHT後のPEA-酵素乳の外観、及びC)UHT後のPEA-剪断乳の外観を示す。
図5】ソラマメ(FABA)濃縮乳(5.8%ソラマメ濃縮物、2.6%脂肪、0.8%スクロース)における変化。A)粘度を、熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後の関数として示す。B)タンパク質含有量を、熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後の関数として示す。C)遊離グルコース含有量を、熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後の関数として示す。D)i)UHT前、ii)UHT処理後の、ソラマメ乳の顕微鏡観察DIC×10を示す。
図6A】ソラマメ(FABA)濃縮乳(5.8%ソラマメ濃縮物、2.6%脂肪、0.8%スクロース)における変化。A)熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後、並びに炭水化物加工のiii)UHT前アミラーゼ消化及びiv)UHT後コロイドミルの関数としての粘度を示す。B)熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後、並びに炭水化物加工のiii)UHT前アミラーゼ消化及びiv)UHT後コロイドミルの関数としての粘度を示す。
図6B】ソラマメ(FABA)濃縮乳(5.8%ソラマメ濃縮物、2.6%脂肪、0.8%スクロース)における変化。C)i)のUHT及びアミラーゼ消化後、並びにii)のUHT及びアスコルビン酸ナトリウムによるアミラーゼ消化後の顕微鏡観察(×10)を示す。D)UHTせん断後の顕微鏡観察(×10)を示す。
図7】ソラマメ(FABA)濃縮乳(5.8%ソラマメ濃縮物、2.6%脂肪、0.8%スクロース)における変化。A)タンパク質含有量を、熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後、並びに炭水化物加工のiii)及びiv)UHT後コロイドミル及びv)UHT前アミラーゼ消化の関数として示す。B)遊離グルコース含有量を、熱処理のi)直接UHT熱処理(143℃、5秒)の前、及びii)直接UHT熱処理後、並びに炭水化物加工のiii)及びiv)UHT後コロイドミル及びv)UHT前アミラーゼ消化の関数として示す。
図8】A)UHT後のFABA参照乳の外観。B)UHT後のFABA-酵素乳の外観。C)UHT後のFABA-酵素及びアスコルビン酸ナトリウムの乳の外観。
図9】ソラマメ濃縮乳(5.8%ソラマメ濃縮物、0.8%スクロース、2.6%脂肪)の、スチールタンク内65℃でのインキュベーション中の色(明度*)の変化を、i)0.07%アスコルビン酸ナトリウム添加、ii)添加なし(参照)、iii)0.1%EDTA添加、の関数として示す。
図10】ヒヨコマメ濃縮溶液(4.2%ヒヨコマメ濃縮物、3.25%スクロース)の粘度における変化を、65℃での酵素とのインキュベーション時間のi)0分後及びii)2時間後の関数として示す。また、ヒヨコマメ濃縮乳(4.2%ヒヨコマメ濃縮物、3.25%スクロース、3.5%脂肪)の粘度における変化を、iii)直接UHT熱処理(143℃、5秒)後及びUHT後コロイドミルの関数として示す。
図11A】ソラマメ濃縮物乳代替物(4.15%のソラマメ濃縮物、3.25%のスクロース、3.5%の脂肪)における変化を示す。A)C)~E)の粘度を示す。B)C)~E)の、25℃で25日後の貯蔵安定性についてのlumifuge不安定性指数を、ジェラン含有量の関数として示す。
図11B】ソラマメ濃縮物乳代替物(4.15%のソラマメ濃縮物、3.25%のスクロース、3.5%の脂肪)における変化を示す。A)C)~E)の粘度を示す。B)C)~E)の、25℃で25日後の貯蔵安定性についてのlumifuge不安定性指数を、ジェラン含有量の関数として示す。
図12】ソラマメコーヒークリーマー(0.85~2.5%のソラマメ濃縮物、27%のスクロース、7.5%の脂肪)における変化。A)粘度を示す。B)~D)0.06重量%のジェラン及び0.06重量%のグアーガムの存在下、25℃で25日後の貯蔵安定性を、ソラマメタンパク質含有量(0.5~1.5%のソラマメタンパク質)の関数として示す。
図13】ソラマメエマルジョン(4.2%のソラマメ濃縮物、3.5%の脂肪)における変化。A)色を示す。B)85℃でのスチールタンク内加熱後の明度*を、重亜硫酸ナトリウム添加の関数、すなわち、i)重亜硫酸ナトリウム非添加及びii)0.03%w/w重亜硫酸ナトリウム添加の関数として示す。
図14】実施例13についての図である。
【0011】
[発明が解決しようとする課題]
本発明は、全般的に、植物系液体を製造する方法であって、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることと、エマルジョンを形成することと、エマルジョンに熱処理を適用することと、熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、を含む、方法に関する。
【0012】
特に、本発明は、植物系液体を製造する方法であって、植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることであって、植物性タンパク質混合物が、乾式分画(dry fractionated)された植物性タンパク質を水に溶解させることによって形成される、分散させることと、エマルジョンを形成することと、エマルジョンに熱処理を適用することと、熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、を含む、方法に関する。
【0013】
具体的には、本発明は、植物系液体を製造する方法であって、
a.植物性タンパク質を水に溶解させて、6.7~9、好ましくは6.7~8のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成することと、
b.任意選択で、植物性タンパク質混合物を酵素と共にインキュベートすることと、
c.任意選択で、親水コロイドを植物性タンパク質混合物に添加することと、
d.植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることと、
e.植物性タンパク質混合物を均質化して、エマルジョンを形成することと、
f.エマルジョンに熱処理を適用することと、
g.熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、を含む、方法に関する。
【0014】
より具体的には、本発明は、植物系液体を製造する方法であって、
a.分画された植物性タンパク質を水に溶解させて、6.7~9、好ましくは6.7~8のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成することと、
b.任意選択で、植物性タンパク質混合物を酵素と共にインキュベートすることと、
c.任意選択で、親水コロイドを植物性タンパク質混合物に添加することと、
d.植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることと、
e.植物性タンパク質混合物を均質化して、エマルジョンを形成することと、
f.エマルジョンに熱処理を適用することと、
g.熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、を含む、方法に関する。
【0015】
より具体的には、本発明は、植物系液体を製造する方法であって、
a.乾式分画された植物性タンパク質を水に溶解させて、6.7~9、好ましくは6.7~8のpHを有する植物性タンパク質混合物を形成することと、
b.任意選択で、植物性タンパク質混合物を酵素と共にインキュベートすることと、
c.任意選択で、親水コロイドを植物性タンパク質混合物に添加することと、
d.植物性タンパク質混合物中にトリグリセリドを分散させることと、
e.植物性タンパク質混合物を均質化して、エマルジョンを形成することと、
f.エマルジョンに熱処理を適用することと、
g.熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用して、植物系液体を形成することと、を含む、方法に関する。
【0016】
いくつかの実施形態において、0.5~20重量%の間の乾式分画された植物性タンパク質が溶解されて、植物性タンパク質混合物を形成する。好ましくは、1~10重量%の乾式分画された植物性タンパク質が溶解されて、植物性タンパク質混合物を形成する。
【0017】
植物系液体を製造するときに、望ましくない灰色が形成されることを防止するために、更なる成分、例えばアスコルビン酸ナトリウムを添加することができる。いくつかの実施形態において、アスコルビン酸ナトリウムは、植物性タンパク質混合物中に溶解される。好ましくは、アスコルビン酸ナトリウムは、工程f)の前に植物性タンパク質混合物又はエマルジョンに溶解される。いくつかの実施形態において、アスコルビン酸ナトリウム又はアスコルビン酸ナトリウム代替物を使用してもよい。
【0018】
好ましい植物性タンパク質は、植物性タンパク質濃縮物である。好ましくは、植物性タンパク質源は、マメ科植物源に由来する。いくつかの実施形態において、植物性タンパク質源は、エンドウマメ、ソラマメ、ヒヨコマメ、又はレンズマメなどのマメ科植物源、好ましくはソラマメに由来する。
【0019】
いくつかの実施形態において、乾式分画された植物性タンパク質は、空気分級された植物性タンパク質である。
【0020】
いくつかの実施形態において、乾式分画された植物性タンパク質は、乾燥基準で14重量%未満、好ましくは乾燥基準で5~14重量%のデンプン画分を有する。
【0021】
いくつかの実施形態において、乾式分画された植物性タンパク質は、乾燥基準で少なくとも50重量%、又は乾燥基準で少なくとも60重量%、又は乾燥基準で50~80重量%、又は乾燥基準で50~70重量%のタンパク質含有量を有する。
【0022】
緩衝剤として作用する更なる成分、及び糖を添加することができる。いくつかの実施形態において、リン酸塩源が、植物性タンパク質混合物中に溶解される。いくつかの実施形態において、糖が、植物性タンパク質混合物中に溶解される。好ましくは、リン酸塩源は、リン酸三カルシウム及びリン酸二カリウムを含む。好ましくは、糖はスクロースである。いくつかの実施形態において、糖は、スクロース代替物である。
【0023】
植物性タンパク質混合物は、任意選択で、液体粘度を低下させるために酵素と共にインキュベートされる。いくつかの実施形態において、植物性タンパク質混合物を7~8のpHに調整した後、酵素と共にインキュベートする。いくつかの実施形態において、酵素は、アミラーゼ及びグリコシレート(glycosylate)である。
【0024】
植物性タンパク質混合物は乳化される。いくつかの実施形態において、エマルジョンは、2段階高圧ホモジナイザーを使用して形成される。いくつかの実施形態において、エマルジョン平均粒径は、d[3,2]については0.1~1μmであり、d[4,3]については0.3~2μmである。好ましくは、エマルジョン平均粒径は、d[3,2]については0.1~0.7μmであり、d[4,3]については0.3~1μmである。
【0025】
エマルジョンに熱処理を適用して、エマルジョンを微生物学的に安定なものにするとともに、エマルジョンの粘度を低下させる。一実施形態において、熱処理は、超高温処理(UHT)である。
【0026】
熱処理されたエマルジョンに剪断処理を適用する。いくつかの実施形態において、剪断処理は、高剪断ホモジナイザーを用いて適用される。いくつかの実施形態において、剪断処理後の植物系液体の粘度は、25℃において10s-1の剪断速度で0.1~100mPa.s、好ましくは0.5未満~30mPa.s、より好ましくは0.5~15mPa.sである。
【0027】
植物性タンパク質混合物は、典型的にはデンプンが少ない。いくつかの実施形態において、植物系液体は、2重量%未満のデンプン、好ましくは1重量%未満のデンプン、より好ましくは0.5重量%未満のデンプンを含む。
【0028】
植物系液体は、いくつかの形態をとることができる。いくつかの実施形態において、植物系液体は乳類似物である。
【0029】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって製造された、植物系乳類似物を提供する。
【0030】
本発明はまた、植物性タンパク質源、任意選択で、親水コロイド、及びトリグリセリド、を含む植物系液体を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態において、植物系液体は、アスコルビン酸ナトリウム又はアスコルビン酸ナトリウム代替物を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、植物性タンパク質は、乾式分画された植物性タンパク質濃縮物である。
【0033】
いくつかの実施形態において、植物性タンパク質源は、マメ科植物源に由来する。
【0034】
いくつかの実施形態において、植物性タンパク質源は、ソラマメ、エンドウマメ、ヒヨコマメ又はレンズマメなどのマメ科植物源、好ましくはソラマメに由来する。
【0035】
いくつかの実施形態において、植物系液体は糖を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、植物系液体はリン酸塩源を含む。
【0037】
好ましくは、リン酸塩源は、リン酸三カルシウム及びリン酸二カリウムを含む。好ましくは、糖はスクロースである。
【0038】
いくつかの実施形態において、植物系液体は可溶性コーヒーを構成する。
【0039】
いくつかの実施形態において、植物系液体は、d[3,2]について0.1~1μm、及びd[4,3]について0.3~2μmのエマルジョン平均粒径を有する。好ましくは、エマルジョン平均粒径は、d[3,2]については0.1~0.7μmであり、d[4,3]については0.3~1μmである。
【0040】
いくつかの実施形態において、植物系液体は、25℃において10s-1の剪断速度で、0.1~100mPa.s、好ましくは0.5未満~30mPa.s、より好ましくは0.5~15mPa.sの粘度を有する。
【0041】
植物系液体は、典型的にはデンプンが少ない。いくつかの実施形態において、植物系液体は、2重量%未満のデンプン、好ましくは1重量%未満のデンプン、より好ましくは0.5重量%未満のデンプンを含む。
【0042】
本発明はまた、植物性タンパク質及びトリグリセリドを含むエマルジョンから植物系液体を製造するための、熱処理とそれに続く剪断処理の使用を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態において、植物性タンパク質は、酵素と共にインキュベートされたものである。好ましくは、酵素は、アミラーゼ及びグリコシレートである。
【0044】
いくつかの実施形態において、エマルジョンは親水コロイドを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、エマルジョンは、アスコルビン酸ナトリウム又はアスコルビン酸ナトリウム代替物を含む。
【0046】
一実施形態において、植物性タンパク質は、植物性タンパク質濃縮物である。好ましくは、植物性タンパク質は、乾式分画された植物性タンパク質、例えば空気分級された植物性タンパク質である。好ましくは、植物性タンパク質源は、マメ科植物源に由来する。いくつかの実施形態において、植物性タンパク質源は、エンドウマメ、ソラマメ、ヒヨコマメ又はレンズマメなどのマメ科植物源に由来する。
【0047】
いくつかの実施形態において、植物性タンパク質濃縮物は、8%の最大含水量を有する。いくつかの実施形態において、植物性タンパク質濃縮物は、乾燥基準で55%の最小タンパク質含有量を有する。いくつかの実施形態において、植物性タンパク質濃縮物は、乾燥基準で4%の最小デンプン含有量を有する。いくつかの実施形態において、植物性タンパク質濃縮物は、乾燥基準で4%の最大脂肪含有量を有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、植物系液体は糖を含む。好ましくは、糖はスクロースである。
【0049】
いくつかの実施形態において、エマルジョン平均粒径は、d[3,2]については0.1~1μmであり、d[4,3]については0.3~2μmである。好ましくは、エマルジョン平均粒径は、d[3,2]については0.1~0.7μmであり、d[4,3]については0.3~1μmである。
【0050】
一実施形態において、熱処理は、超高温処理(UHT)である。
【0051】
いくつかの実施形態において、剪断処理は、高剪断ホモジナイザーを用いて適用される。いくつかの実施形態において、植物系液体の粘度は、25℃において10s-1の剪断速度で0.1~100mPa.s、好ましくは0.5未満~30mPa.s、より好ましくは0.5~15mPa.sである。
【0052】
いくつかの実施形態において、植物系液体は、2重量%未満のデンプン、好ましくは1重量%未満のデンプン、より好ましくは0.5重量%未満のデンプンを含む。
【0053】
[発明を実施するための形態]
組成が重量%を単位として本明細書に記載される場合、これは、別途記載のない限り、レシピ合計の重量%を意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、「約」は、数値範囲内、例えば、参照数字の-30%から+30%の範囲内、又は参照数字の-20%から+20%の範囲内、又は参照数字の-10%から+10%の範囲内、又は参照数字の-5%から+5%の範囲内、又は参照数字の-1%から+1%の範囲内の数を指すものと理解されたい。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、45~55の開示は、46~54、48~52、49~51、49.5~50.5などの範囲をサポートするものとして解釈されるべきである。
【0055】
本明細書で使用する場合、物質の「類似物」は、その主要な特性のうちの1つ以上に関して、その物質と類似しているものとみなされる。本明細書で使用する場合、「乳類似物」は、目的、使用、及び栄養の主要な特徴において、乳に類似する。乳類似物は、同程度のレベルのエネルギー、タンパク質、炭水化物、ビタミン、及びミネラルを有する。好ましくは、乳類似物は、牛乳の類似物である。
【0056】
用語「ビーガン」は、動物製品又は動物由来の製品を全く含まない食用組成物を指す。
【0057】
ソラマメ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ササゲ、ウズラマメ、ムングマメ、アズキマメ、コモンビーンズ、インゲンマメ、シロインゲンマメ又は同様の高炭水化物(>30重量%)-低脂肪(<15%)作物などに基づく植物性タンパク質原料を使用することができる。
【0058】
アミラーゼ、α-アミラーゼ(任意の種由来、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来)などのデンプン分解酵素、より好ましくは糖化α-アミラーゼ(例えば、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(アミロサッカロリチクス(amylosacchariticus))由来)、又は最も好ましくはグルコアミラーゼ(アミログルコシダーゼとしても知られ、例えばnovozymes製のAMG 1100 BG)などと組み合わせたアミラーゼを使用することができる。
【0059】
脂肪源としては、植物油、動物性脂肪、乳脂肪、魚油、藻類油、ヒマワリ油、オリーブ油、キャノーラ油、綿実油、パーム脂肪、パームステアリン、パーム核油、トウモロコシ油、ヤシ油、及び/又は高オレイン酸ヒマワリ油、精製ヤシ油などの任意の固体脂肪原料、無水乳脂肪、水素化植物油、獣脂、ラード、アーモンドバター、ピーナッツバター、クルミバター、カシューバターなどの任意のナッツバター/油、及び/又は水素化若しくは部分水素化脂肪を挙げることができる。好ましくは、脂肪源は、植物系脂肪源、例えば、植物油、藻類油、ヒマワリ油、オリーブ油、キャノーラ油、綿実油、パーム脂肪、パームステアリン、パーム核油、トウモロコシ油、ヤシ油、及び/又は高オレイン酸ヒマワリ油、精製ヤシ油などの任意の固体脂肪原料、無水乳脂肪、水素化植物油、アーモンドバター、ピーナッツバター、クルミバター、カシューバターなどの任意のナッツバター/油、及び/又は水素化若しくは部分水素化脂肪である。
【0060】
アスコルビン酸ナトリウム代替物としては、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、パルミチン酸ビタミンC、ビタミンCに富む果汁(100mL当たり≧500mgのビタミンC)、アセロラ抽出物、重亜硫酸ナトリウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウムなどの亜硫酸塩誘導体が挙げられる。
【0061】
緩衝剤代替物 リン酸二カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、リン酸三カリウム、重炭酸ナトリウム、重曹、重炭酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一カリウム、クエン酸、レモン果汁。
【0062】
カルシウム源としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、グリセロールリン酸カルシウム、クエン酸カルシウムが挙げられる。
【0063】
スクロース代替物としては、サトウキビ糖、ビート糖、グルコースシロップ、マルトデキストリン、蜂蜜、及びアガベなどの他の天然糖シロップが挙げられる。好ましくは、スクロース代替物はグルコースシロップである。
【0064】
親水コロイドは、(高アセチル又は低アセチル)ジェラン、グアーガム、(高メトキシ又は低メトキシ)ペクチン、ローカストビーンガム、アルギネート、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、カードラン、又はキサンタンガムなどに基づく安定剤を意味し、使用することができる。一実施形態において、親水コロイドはジェランである。
【0065】
植物性タンパク質混合物は乳化される。いくつかの実施形態において、エマルジョンは、2段階高圧ホモジナイザーを使用して形成される。いくつかの実施形態において、脂肪エマルジョンの平均粒径は、d[3,2]について0.1~1μm、d[4,3]について0.3~2μmであり、好ましくは、脂肪エマルジョンの平均粒径は、d[3,2]について0.1~0.7μm、d[4,3]について0.3~1μmである。
【0066】
パスチャライズ熱処理は、60℃~100℃の範囲内にて1秒~300秒間であってもよい。
【0067】
熱処理、例えば、直接及び間接UHT熱処理は、110℃~150℃の範囲内にて3秒~60秒間であってもよく、好ましくは、熱処理は間接熱処理である。
【0068】
この製品に与えられる熱プロセスであるレトルト熱処理は、5.0~15分(又はそれ以上)の範囲で致死率(Fo)を与えるように設計することとする。但し、いかなる場合にも3.0分未満にしない。レトルト下で所定の最低温度に達するための上昇時間(CUT)の確立に基づき、殺菌工程において致死範囲を満たすことができる時間及び温度範囲は、119~125℃で、7~25分である。CUT及び滅菌時間は、適格な熱処理当局によって確立される。
【0069】
植物性タンパク質混合物は、典型的には、乾燥重量基準で、最大20重量%、好ましくは2~14重量%のデンプン、及び最大20重量%、好ましくは6~18重量%の繊維を含有する。
【0070】
マメ科植物は、マメ科(Fabaceae)(又はLeguminosae))の植物であり、このような植物の種子(パルスとも呼ばれる)である。マメ科植物は、主にヒトによる摂取のために、畜産飼料及びサイレージのために、並びに土壌を強化する緑肥として、農業生産される。本明細書で使用するとき、用語「マメ科植物」は、エンドウ、ソラマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、インゲンマメ、シロインゲンマメ、ウズラマメ、ハリコットマメ、リママメ、バターマメ、アズキマメ、ムングマメ、ゴールデングラム、グリーングラム、ブラックグラム、ウーラットマメ、ベニバナインゲンマメ、ツルアズキ、ガルバンゾマメ、クランベリーマメ、リママメ、グリーンピース、サヤエンドウ、スナップエンドウ、スプリットピー、及びクロメマメを包含し得る。
【0071】
ソラマメ(Vicia faba)は、料理の観点でソラマメ(broad bean)、ソラマメ(fava bean)、又はソラマメ(faba bean)、又はソラマメ(faba)としても知られており、エンドウマメ及びマメ科(Fabaceae)の顕花植物の種である。
【0072】
以下の実施例は、限定するものではなく例として、本発明の様々な実施形態を例示する。
【0073】
[実施例]
実施例1
対照エンドウマメ系液体の製造
Ingredion Pea Concentrate-Vitessence Pulse 1550を、エンドウマメタンパク質源として使用した。製造業者によれば、このタンパク質源は、エンドウマメ(Pisum sativum)の脱皮したスプリットイエローエンドウマメ子葉に由来する100%エンドウマメタンパク質粉末である。この粉末は、8%の最大含水量、55%(乾燥基準)の最小タンパク質含有量、4%(乾燥基準)の最小デンプン含有量、及び4%(乾燥基準)の最大脂肪含有量を有する。
【0074】
4.3kgのエンドウマメタンパク質濃縮物を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、図1に示す顕微鏡写真の微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。得られた製品はクリーム色であり、粘度/テクスチャーがかなり上昇し(図1B-ii)、ある期間にわたって沈降した(図4A)。乳のテクスチャーは比較的低粘度であることが既知であるので、UHT熱処理中の製品の劇的な増粘は、代替乳飲料を望む消費者に対してかなり不利になる。
【0075】
実施例2
エンドウマメ系液体の粘度低下に対する酵素処理の効果
この増粘に対抗するために、本発明者らは、酵素処理の使用により製品粘度を驚くほど低下させることができることを発見した。酵素処理を使用した低粘度エンドウマメ乳製品は、以下のように製造した:4.3kgのエンドウマメタンパク質濃縮物(Ingredion vitessence1550)を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。52グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び13グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、エンドウマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を、65℃で2時間インキュベートした。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、図2Bに示す顕微鏡写真の微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。得られた製品はクリーム色であり、参照製品と比較してはるかに低い粘度/テクスチャーを有し(図2A)、ある期間にわたって沈降した(図4B)。酵素処理の前及び後の製品中の遊離グルコースの分析から、遊離グルコースの小幅な増加が明らかであり、これによりデンプンのグルコースへの変換が示される(図3B)。最終製品が含有するデンプンが、わずか0.4%という非常に少量であることは驚くべきことである。このような液体製品において、25℃で、10s-1で40mPa.sまで粘度を上昇させるためには、1重量%超のデンプン濃度が典型的には必要とされる。このような少量のデンプンの加水分解がこのようなかなりの粘度低下をもたらすことは、予想されていない。
【0076】
実施例3
エンドウマメ系液体の粘度低下に対する剪断処理の効果
本発明者らは、驚くべきことにまた、熱機械的処理を用いることにより製品の粘度を低下させることもできることを発見した。UHT後高剪断を使用した低粘度エンドウマメ乳製品は、以下のように製造した:4.3kgのエンドウマメタンパク質濃縮物(Ingredion Vitessence 1550)を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、図2Bに示す顕微鏡写真の微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。次いで、UHT冷却管の直後かつ充填ステーションの前に配置されたローターステーターホモジナイザー(Silverson Verso-1.6mm円形メッシュ二段)に生成物を通した。得られた製品はクリーム色であり、また参照製品と比較してはるかに低い粘度/テクスチャーを有し(図2A)、ある期間にわたって沈降した(図4C)。酵素処理の前及び後の製品中の遊離グルコースの分析から、遊離グルコースに変化がないことが明らかであり、これによりデンプンのグルコースへの変換がないことが示される(図3B)。このような機械的処理により製品の粘度を減少させることができることは驚くべきことである。高剪断ホモジナイザーを用いたUHT前の製品の予備均質化は、より低い粘度を有する製品をもたらし(実施例1)、粘度低下があるのは、UHT後に剪断が適用された場合のみである。
【0077】
実施例4
参照ソラマメ乳製品の製造
Ingredion FABA Concentrate-Vitessence Pulse 3600又は3602を、ソラマメ源として使用した。製造業者によれば、この製品は、ソラマメ(又はファーバ)マメ(Vicia faba))の脱皮したスプリットソラマメ(又はファーバ)の子葉に由来する、100%ソラマメタンパク質粉末である。この粉末は、9%の最大含水量、60%(乾燥基準)の最小タンパク質含有量、4%(乾燥基準)の最小デンプン含有量、及び4%(乾燥基準)の最大脂肪含有量を有する。
【0078】
3.8kgのソラマメタンパク質濃縮物を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、図5Dに示す顕微鏡写真の微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。得られた製品は、明るい灰色であり(図8A)、粘度/テクスチャーがかなり上昇し(図5A)、ある期間にわたって沈降した(図8A)。
【0079】
実施例5:ソラマメ乳製品の粘度低下に対する酵素処理の効果
3.8kgのソラマメタンパク質濃縮物(Ingredion Vitessence 3600又は3602)を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。52グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び13グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、エンドウマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を、65℃で2時間インキュベートした。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、図6C i)に示す顕微鏡写真の微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。得られた製品は、参照製品と比較してはるかに低い粘度/テクスチャーを有し(図6A及び図6B)、クリーム暗灰色であり(図8B)、ある期間にわたって沈降した。酵素処理の前及び後の製品中の遊離グルコースの分析から、遊離グルコースの小幅な増加が明らかであり、これによりデンプンのグルコースへの変換が示される(図7B)。最終製品が含有するデンプンが、≦0.5%という非常に少量であることは驚くべきことである。このような液体製品において、25℃で、10s-1で50mPa.sまで粘度を上昇させるためには、1重量%超のデンプン濃度が典型的には必要とされる。このような少量のデンプンの加水分解がこのようなかなりの粘度低下をもたらすことは、予想されていない。
【0080】
実施例6:ソラマメ乳製品における酵素処理+EDTAの効果
3.8kgのFABAマメタンパク質濃縮物(Ingredion Vitessence 3600又は3602)を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに、235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、50グラムのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。52グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び13グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、ソラマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を、65℃で2時間インキュベートした。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。鉄をキレートさせて鉄タンニン酸錯体の形成を回避するためにEDTAを添加したにもかかわらず、最終製品が強い灰色のままであることは驚くべきことである(図9iv))。
【0081】
実施例7:ソラマメ乳製品における酵素処理+アスコルビン酸Naの効果
3.8kgのFABAマメタンパク質濃縮物(Ingredion vitessence 3600又は3602)を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに、235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、45グラムのアスコルビン酸ナトリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。52グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び13グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、エンドウマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を、65℃で2時間インキュベートした。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、図6C ii)に示す顕微鏡写真の微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。得られた製品はクリーム色であり(図8C)、また参照製品と比較してはるかに低い粘度/テクスチャーを有し(図6A)、ある期間にわたって沈降した(図8C)。酵素処理の前及び後の製品中の遊離グルコースの分析から、遊離グルコースの大幅な増加が明らかであり、これによりデンプンのグルコースへの変換が示される(図7A及び図7B)。最終製品が、灰色を帯びていない(no evidence of)クリーム色を有することは驚くべきことである。アスコルビン酸ナトリウムが、鉄の最良のキレート剤として広く知られているEDTAと比較して優れた性能を有することは、非常に驚くべきことである。65℃でのインキュベーション時間にCIE L測色計によって明度を分析して、ソラマメ乳試料の変色を評価した(図9)。
【0082】
実施例8:アスコルビン酸ナトリウムの代替としての重亜硫酸ナトリウムの色安定性効果
250gのソラマメタンパク質濃縮物(Ingredion Vitessence 3600)を、撹拌しながら5.54kgの水に50℃で溶解させた。タンパク質溶液を2つのバッチに分けた。バッチ1では、105gのヒマワリを撹拌下で添加した。バッチ2では、105gのヒマワリ油及び0.9gの重亜硫酸ナトリウムを撹拌下で添加した。次いで、両方の混合物のpHを、1M NaOHでpH 7.5に調整した。次いで、微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に両方の混合物を通すことによって作製した。得られた2通りのエマルジョンをスチールタンク内で85℃まで30分かけて加熱した。得られた製品は、加熱工程後に色が異なっていた。重亜硫酸ナトリウムを入れていないバッチは薄灰色になったが、重亜硫酸ナトリウムを入れたバッチは淡いベージュ色のままであった(図13)。CIE L測色計により明度を分析し、重亜硫酸ナトリウムを添加したエマルジョンと添加していないエマルジョンとを比較して、ソラマメエマルジョン試料の変色を評価した。この評価は、同じ処理条件において、重亜硫酸ナトリウムにより、灰色形成が防止されることを示す。したがって、アスコルビン酸ナトリウム又は重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を使用すると、ソラマメ濃縮物中に存在する鉄の酸化が防止され、このような条件下での鉄とタンニンとの錯体形成が制限される。
【0083】
実施例9:剪断処理によるFABA乳の粘度低下
3.8kgのFABAマメタンパク質濃縮物(Ingredion vitessence 3600又は3602)を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに、235グラムのリン酸三カルシウム、100グラムのリン酸二カリウム、2kgのスクロース、及び45グラムのアスコルビン酸ナトリウムを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。次いで、1.7kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、図6Dに示す顕微鏡写真の微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。次いで、UHT冷却管の直後かつ充填ステーションの前に配置されたローターステーターホモジナイザー(Silverson Verso-1.6mm円形メッシュ二段)に生成物を通した。得られた製品はクリーム色であり、参照製品と比較してはるかに低い粘度/テクスチャーを有し(図6A及び図6B)、ある期間にわたって沈降した(図8D)。酵素処理の前及び後の製品中の遊離グルコースの分析から、遊離グルコースに変化がなかったことが明らかであり、これによりデンプンのグルコースへの変換がないことが示される(図7B)。このような機械的処理により製品の粘度を減少させることができることは驚くべきことである。高剪断ホモジナイザーを用いたUHT前の製品の予備均質化は、より低い粘度を有する製品をもたらした(実施例1)。粘度低下があるのは、UHT後に剪断が適用された場合のみである。
【0084】
実施例10:ヒヨコマメ系乳のUHT処理後の高剪断
1.46kgのヒヨコマメタンパク濃縮液(Innovopro-CP-Pro-70、約69重量%のタンパクを含む)を、撹拌しながら30.30kgの水に50℃で溶解させ、これに126グラムのリン酸三カルシウム、56グラムのリン酸二カリウム、及び1.14kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。28グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び7グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、ヒヨコマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を65℃で2時間インキュベートしたところ、0~2時間のインキュベーション時間の間にタンパク質溶液の粘度の明らかな低下が示された(図10A)。次いで、1.26kgの油を混合物に添加し、次いで最終体積を35リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。次いで、UHT冷却管の直後かつ充填ステーションの前に配置されたローターステーターホモジナイザー(Silverson Verso-1.6mm円形メッシュ二段)に生成物を通した。得られた製品はクリーム色であり(図10B)、UHT後に粘度の上昇を示さなかった(図10A)。
【0085】
実施例11:2.2%のタンパク質を有するソラマメ乳製品における酵素処理+アスコルビン酸ナトリウムに対する親水コロイドの効果
2.7kgのFABAマメタンパク質濃縮物(Ingredion vitessence 3600又は3602)を、撹拌しながら56.3kgの水に50℃で溶解させ、これに、192グラムのリン酸二カリウム、45グラムのアスコルビン酸ナトリウム、及び2kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。52グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び13グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、ソラマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を、65℃で2時間インキュベートした。38~78グラムの高アセチルジェラン(DSM ND-103B)を、ローターステーターミキサーを使用して撹拌下、混合物に添加した。1.7kgの油を混合物に添加し、最終体積を65リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。最終製品の粘度は、ジェラン含有量とともに系統的に上昇したが(図11A)、特に、訴求力のある製品の口当たりを生じさせるのに関連する中程度の剪断速度(10s-1超)では、参照製品と比較して常にはるかに低い粘度/テクスチャーであった(図5A)。重要なこととして、得られた製品は、Lumisizer加速貯蔵寿命試験器によって測定されたときの時間に関して優れたクリーム化/沈降安定性を有していた(図11B)。0.06重量%超のジェランを含む製品は、25℃で25日間にわたって沈降しないことが観察された(図11C図11E)。
【0086】
実施例12:0.06%グアー及び0.06%ジェランガムを含むソラマメクリーマー製品におけるタンパク質及び酵素処理+アスコルビン酸Naの効果
0.5kg~1.5kgのFABAマメタンパク質濃縮物(Ingredion vitessence 3600又は3602)を、撹拌しながら38.4~37.4kgの水に50℃で溶解させ、これに、180グラムのリン酸二カリウム、120グラムのクエン酸三ナトリウム、42グラムのアスコルビン酸ナトリウム、及び16kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを1M NaOHで7.5に調整した。7~21グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び1.7~5グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、ソラマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を、65℃で2時間インキュベートした。36gの高アセチルジェラン(DSM ND-103B)及び36グラムのグアーガム(Cargill、Viscogum MP41230)を、ローターステーターミキサーを使用して撹拌下、混合物に添加した。次いで、4.5kgの油を混合物に添加し、最終体積を60リットルにし、ローターステーターミキサーを使用して油を粗く分散させた。次いで、微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(400バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。最終製品の粘度は、特に、訴求力のある製品の口当たりを生じるのに関連する中程度の剪断速度(10s-1超)では、参照製品(図5A)と比較してはるかに低い粘度/テクスチャーであった(図12A)。10s-1未満の低剪断速度領域では、タンパク質含有量が低くなると、粘度が高くようにみえる。特に10s-1の中剪断速度及び高剪断速度を超えると、有意差は見られなかった。製品はクリーム色を示し、25℃で25日間にわたって沈降又はクリーム化(creaming)しないことが観察された(図12B図12D)。
【0087】
実施例13:RTDソラマメカフェラテについてのソラマメ乳製品におけるコーヒー添加の効果
0.5kg~2.0kgのFABAマメタンパク質濃縮物(Ingredion vitessence 3600又は3602)を、撹拌しながら43kgの水に50℃で溶解させ、これに、200グラムのリン酸二カリウム、40グラムのアスコルビン酸ナトリウム、100グラムのクエン酸三ナトリウム、及び2.5kgのスクロースを添加した。この混合物を50℃で30分間混合して、十分な溶解を確保した。次いで、混合物のpHを、1M NaOHで7.3に調整した。52グラムのアミラーゼ(BAN480又はBAN 800)及び13グラムのグリコシレート(AMG 1100)を、ソラマメ濃縮混合物に溶解させた。この混合物を、65℃で2時間インキュベートした。40~80グラムの高アセチルジェラン(DSM ND-103B)を、ローターステーターミキサーを使用して撹拌下、混合物に添加した。1.0kg~1.4kgの油及び500g~750gの可溶性コーヒーを混合物に添加し、最終体積を1MのNaOHでpH7.3に調整し、50リットルにした。ローターステーターミキサーを使用して、油を粗く分散させた。次いで、微細エマルジョンを、2段階高圧ホモジナイザー(350バール/80バールの1段階/2段階均質化圧力)に通すことによって作製した。143℃、5秒間の超高温処理(UHT)を用いる熱処理によって生成物を微生物学的に安定なものにした。最終製品コーヒーソラマメ乳の粘度は、特に、訴求力のある製品の口当たりを生じさせるのに関連する中程度の剪断速度(10s-1超)で、ソラマメ乳そのものと同様であった(図14B)。可溶性コーヒーと混合されたソラマメ乳は、エマルジョン凝集を伴わずに非常に良好な酸安定性を示し(図14A)、この安定性は、訴求力のあるレディトゥドリンク乳製品代替物コーヒーミックスを作製するのに適している。0.10重量%超のジェランを添加した製品は、38℃で4週間にわたって沈降又はクリーム化しないことが観察された(図14C)。
図1
図2
図3
図4A)】
図4B)】
図4C)】
図5
図6A
図6B
図7
図8A)】
図8B)】
図8C)】
図8D)】
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
【国際調査報告】