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特表2023-540993テクスチャ形成済みガラス物品及びその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】テクスチャ形成済みガラス物品及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 15/00 20060101AFI20230920BHJP
   C03C 3/083 20060101ALI20230920BHJP
   C03C 3/085 20060101ALI20230920BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C03C15/00 Z
C03C3/083
C03C3/085
C03C3/091
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515120
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021048451
(87)【国際公開番号】W WO2022051281
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,761
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,ロバート ランドール ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ユィホイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,アイザァ
【テーマコード(参考)】
4G059
4G062
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AB05
4G059AB09
4G059AC01
4G059BB04
4G059BB12
4G059BB14
4G059BB15
4G059BB16
4G062AA01
4G062BB06
4G062DA05
4G062DA06
4G062DB04
4G062DB05
4G062DC01
4G062DC02
4G062DC03
4G062DD01
4G062DD02
4G062DE01
4G062DE02
4G062DF01
4G062EA01
4G062EA02
4G062EA03
4G062EA10
4G062EB01
4G062EB02
4G062EB03
4G062EB04
4G062EC01
4G062EC02
4G062ED01
4G062ED02
4G062ED03
4G062EE01
4G062EF01
4G062EG01
4G062FA01
4G062FA10
4G062FB01
4G062FB02
4G062FC01
4G062FD01
4G062FE01
4G062FE02
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH12
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM12
4G062NN04
(57)【要約】
テクスチャ形成済みガラス物品は:16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3以下であるアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、上記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;上記第1の表面から延在する複数の多面体状表面特徴部分であって、上記複数の多面体状表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、上記第1の表面から延在する複数の小面、及び上記基部における10μm以上かつ100μm以下の表面特徴部分サイズを備え、各上記多面体状表面特徴部分の上記複数の小面は互いに向かって集束する、多面体状表面特徴部分と;50%以上の透過ヘイズとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、前記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;
前記第1の表面から延在する複数の樹状表面特徴部分であって、前記複数の樹状表面特徴部分はそれぞれ、前記第1の表面上の基部、及び前記基部における10μm以上かつ350μm以下の表面特徴部分サイズを備える、樹状表面特徴部分と;
50%以上の透過ヘイズと
を備える、テクスチャ形成済みガラス物品。
【請求項2】
前記表面特徴部分サイズは10μm以上かつ100μm以下である、請求項1に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【請求項3】
前記表面特徴部分サイズは100μm超かつ350μm以下である、請求項1に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【請求項4】
前記テクスチャ形成済みガラス物品の表面粗度Raは1μm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【請求項5】
前記テクスチャ形成済みガラス物品は:
48重量%以上かつ58重量%以下のSiO
20重量%以上かつ32重量%以下のAl
0重量%以上かつ5重量%以下のB
5重量%以上かつ12重量%以下のNaO;
0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO;
0重量%以上かつ5重量%以下のLiO;及び
0重量%以上かつ3重量%以下のMgO
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【請求項6】
前記アルミノシリケートガラスは:
52重量%以上かつ62重量%以下のSiO
16重量%以上かつ28重量%以下のAl
0重量%以上かつ5重量%以下のB
8重量%以上かつ13重量%以下のNaO;
0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO;
0重量%以上かつ4重量%以下のLiO;及び
0重量%以上かつ1.5重量%以下のMgO
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【請求項7】
前記テクスチャ形成済みガラス物品は電子デバイスの裏蓋である、請求項1~3のいずれか1項に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【請求項8】
テクスチャ形成済みガラス物品を形成する方法であって、前記方法は:
アルミノシリケートガラス物品をエッチング液と接触させるステップであって、前記アルミノシリケートガラス物品は16重量%以上のAlを含み、第1の表面を有し、また前記エッチング液のpHは3.0超である、ステップ;
前記アルミノシリケートガラス物品を洗浄するステップ;並びに
前記アルミノシリケートガラス物品を乾燥させて前記テクスチャ形成済みガラス物品を形成するステップであって、前記テクスチャ形成済みガラス物品は、前記第1の表面から延在する複数の樹状表面特徴部分を備え、前記複数の樹状表面特徴部分はそれぞれ、前記第1の表面上の基部、及び前記基部における10μm以上かつ350μm以下の表面特徴部分サイズを備え、前記テクスチャ形成済みガラス物品の透過ヘイズは50%以上である、ステップ
を含む、方法。
【請求項9】
前記アルミノシリケートガラス物品を前記エッチング液と接触させる前記ステップは、ケイ素系沈殿物より多量のアルミニウム系沈殿物を生成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチング液は:
5重量%以上かつ40重量%以下の塩であって、前記塩は、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、フッ化水素カリウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、塩;及び
1重量%以上かつ50重量%以下の酸であって、前記酸は、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、シュウ酸、酢酸、重硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、酸
を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本明細書は、2020年9月4日出願の米国仮特許出願第63/074,761号、発明の名称「テクスチャ形成済みガラス物品及びその作製方法(Textured Glass Articles and Methods of Making Same)」の利益を主張するものであり、上記仮特許出願は参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本明細書は一般にガラス物品に関し、特に、強反射性の外観及び/又は強化された触覚的印象を有するガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
アルミノシリケートガラス物品は、優れたイオン交換性及び落下性能を示すことができる。家電業界を含む様々な業界で、同一又は同等の強度及び破壊靭性を有する、反射性の、及び/又はテクスチャ形成された材料が望まれている。しかしながら従来のテクスチャ形成プロセスは、特定のアルミノシリケートガラス物品に対して、所望の外観及び/又はテクスチャを形成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、強反射性の外観及び/又は強化された触覚的印象を有するアルミノシリケートガラス物品を製造するための別の方法に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様A1によると、テクスチャ形成済みガラス物品は:16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3以下であるアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、上記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;上記第1の表面から延在する複数の多面体状表面特徴部分であって、上記複数の多面体状表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、上記第1の表面から延在する複数の小面、及び上記基部における10μm以上かつ100μm以下の表面特徴部分サイズを備え、各上記多面体状表面特徴部分の上記複数の小面は互いに向かって集束する、多面体状表面特徴部分と;50%以上の透過ヘイズとを備えてよい。
【0006】
第2の態様A2は、各上記多面体状表面特徴部分の上記複数の小面が、互いに向かって集束して少なくとも1つの頂点を形成し、上記少なくとも1つの頂点は、先鋭形状、丸みを帯びた形状、又は切頭形状である、第1の態様A1に記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0007】
第3の態様A3は、上記テクスチャ形成済みガラス物品の表面粗度Raが1μm以上である、第1の態様A1又は第2の態様A2に記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0008】
第4の態様A4は、上記複数の多面体状表面特徴部分それぞれの上記基部が、少なくとも3つの辺を備え、少なくとも1つの上記辺が少なくとも1つの別の上記辺に向かって集束する、第1の態様A1~第3の態様A3のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0009】
第5の態様A5は、上記複数の多面体状表面特徴部分がそれぞれ、上記基部から延在する樹状構造を備える、第1の態様A1~第4の態様A4のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0010】
第6の態様A6は、上記テクスチャ形成済みガラス物品のピーク位置最大値(ピークGU)が50GU以上かつ150GU以下である、第1の態様A1~第5の態様A5のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0011】
第7の態様A7は、上記テクスチャ形成済みガラス物品の半値全幅が10GU以上かつ70GU以下である、第1の態様A1~第6の態様A6のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0012】
第8の態様A8は、上記テクスチャ形成済みガラス物品のGU値の範囲が100GU以上かつ300GU以下である、第1の態様A1~第7の態様A7のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0013】
第9の態様A9は、上記テクスチャ形成済みガラス物品の歪度が0.05以上かつ0.7以下である、第1の態様A1~第8の態様A8のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0014】
第10の態様A10は、上記テクスチャ形成済みガラス物品の超過尖度が0.5以上かつ3以下である、第1の態様A1~第9の態様A9のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0015】
第11の態様A11は、上記テクスチャ形成済みガラス物品が:52重量%以上かつ67重量%以下のSiO;16重量%以上かつ28重量%以下のAl;0重量%以上かつ5重量%以下のB;8重量%以上かつ15重量%以下のNaO;0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO;0重量%以上かつ4重量%以下のLiO;及び0重量%以上かつ5重量%以下のMgOを含む、第1の態様A1~第10の態様A10のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0016】
第12の態様A12は、上記テクスチャ形成済みガラス物品が電子デバイスの裏蓋である、第1の態様A1~第11の態様A11のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0017】
第13の態様A13によると、テクスチャ形成済みガラス物品は:16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3超であるアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、上記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;上記第1の表面から延在する複数の樹状表面特徴部分であって、上記複数の樹状表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、及び上記基部における100μm超かつ350μm以下の表面特徴部分サイズを備える、樹状表面特徴部分と;50%以上の透過ヘイズとを備えてよい。
【0018】
第14の態様A14は、上記テクスチャ形成済みガラス物品の表面粗度Raが2μm以上である、第13の態様A13に記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0019】
第15の態様A15は、上記アルミノシリケートガラスが:52重量%以上かつ62重量%以下のSiO;16重量%以上かつ28重量%以下のAl;0重量%以上かつ5重量%以下のB;8重量%以上かつ13重量%以下のNaO;0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO;0重量%以上かつ4重量%以下のLiO;及び0重量%以上かつ1.5重量%以下のMgOを含む、第13の態様A13又は第14の態様A14に記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0020】
第16の態様A16は、上記テクスチャ形成済みガラス物品が電子デバイスの裏蓋である、第13の態様A13~第15の態様A15のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む。
【0021】
第17の態様A17によると、テクスチャ形成済みガラス物品を形成する方法は:アルミノシリケートガラス物品をエッチング液と接触させるステップであって、上記アルミノシリケートガラス物品は16重量%以上のAlを含み、少なくとも1つの表面を有し、また上記エッチング液のpHは3.0以下である、ステップ;上記アルミノシリケートガラス物品を洗浄するステップ;並びに上記アルミノシリケートガラス物品を乾燥させて上記テクスチャ形成済みガラス物品を形成するステップであって、上記テクスチャ形成済みガラス物品は、上記テクスチャ形成済みガラス物品の第1の表面から延在する複数の表面特徴部分を備え、上記複数の表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、及び上記基部における10μm以上かつ350μm以下の表面特徴部分サイズを備え、上記テクスチャ形成済みガラス物品の透過ヘイズは50%以上である、ステップを含んでよい。
【0022】
第18の態様A18は、上記アルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比が0.3以下であり、上記複数の表面特徴部分が多面体状表面特徴部分であり、上記基部における上記表面特徴部分サイズが10μm以上かつ100μm以下である、第17の態様A17に記載の方法を含む。
【0023】
第19の態様A19は、上記アルミノシリケートガラス物品を上記エッチング液と接触させる上記ステップが、アルミニウム系沈殿物より多量のケイ素系沈殿物を生成する、第18の態様A18に記載の方法を含む。
【0024】
第20の態様A20は、上記アルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比が0.3超であり、上記複数の表面特徴部分が樹状表面特徴部分であり、上記基部における上記表面特徴部分サイズが100μm超かつ350μm以下である、第17の態様A17に記載の方法を含む。
【0025】
第21の態様A21は、上記アルミノシリケートガラス物品を上記エッチング液と接触させる上記ステップが、ケイ素系沈殿物より多量のアルミニウム系沈殿物を生成する、第20の態様A20に記載の方法を含む。
【0026】
第22の態様A22は、上記エッチング液が:20重量%以上かつ40重量%以下の塩;及び30重量%以上かつ65重量%以下の酸を含む、第17の態様A17~第21の態様A21のいずれか1つに記載の方法を含む。
【0027】
第23の態様A23は、上記塩が、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、フッ化水素カリウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、第22の態様A22に記載の方法を含む。
【0028】
第24の態様A24は、上記酸が、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、シュウ酸、酢酸、重硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、第22の態様A22又は第23の態様A23に記載の方法を含む。
【0029】
第25の態様A25は、上記エッチング液が:20重量%以上かつ40重量%以下のフッ化アンモニウム;25重量%以上かつ45重量%以下の硝酸;5重量%以上かつ20重量%以下のフッ化水素酸;及び20重量%以上かつ40重量%以下の水を含む、第17の態様A17~第24の態様A24のいずれか1つに記載の方法を含む。
【0030】
第26の態様A26は:前面、背面、及び側面を有するハウジング;並びに少なくとも一部が上記ハウジング内に設けられた電気部品であって、上記電気部品は、少なくとも1つのコントローラ、メモリ、及びディスプレイを含み、上記ディスプレイは上記ハウジングの上記前面に、又は上記前面に隣接して設けられる、電気部品を備え、上記ハウジングの上記背面は、上記第1の態様A1に記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む、消費者向け電子デバイスを含む。
【0031】
本明細書に記載のテクスチャ形成済みガラス物品の更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載されており、その一部は、当業者には「発明を実施するための形態」から容易に明らかとなるか、又は以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲、及び添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実践することによって理解されるだろう。
【0032】
上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」の両方は、様々な実施形態を説明するものであり、請求対象の主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、これらの様々な実施形態の更なる理解を提供するために含まれており、また本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。これらの図面は、本明細書に記載の上記様々な実施形態を図示し、本記載と併せて、請求対象の主題の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態による、テクスチャ形成済みガラス物品の概略斜視図
図2】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態による、テクスチャ形成済みガラス物品それぞれの概略平面図
図3】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態による、テクスチャ形成済みガラス物品の概略斜視図
図4】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態による、テクスチャ形成済みガラス物品それぞれの概略平面図
図5】本明細書に記載されている1つ以上の実施形態による、テクスチャ形成済みガラス物品を形成する方法のフローチャート
図6】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるエッチングプロセスのあるステップの概略図
図7】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるエッチングプロセスの別のステップの概略図
図8】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるエッチングプロセスの別のステップの概略図
図9】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるエッチングプロセスの別のステップの概略図
図10】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品のいずれかを組み込んだ例示的な電子デバイスの平面図
図11図10の例示的電子デバイスの斜視図
図12図10の例示的電子デバイスの斜視図
図13】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品の、倍率50倍での共焦点画像
図14】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品の、倍率50倍での共焦点画像
図15】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品の、倍率50倍での共焦点画像
図16】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品のXRDスペクトル
図17】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品の、倍率50倍での共焦点画像
図18】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品の、倍率50倍での共焦点画像
図19】本明細書に図示及び記載されている1つ以上の実施形態によるテクスチャ形成済みガラス物品のXRDスペクトル
【発明を実施するための形態】
【0034】
これより、強反射性の外観及び/又は強化された触覚的印象を有するテクスチャ形成済みガラス物品の様々な実施形態を詳細に参照する。実施形態によると、テクスチャ形成済みガラス物品は:16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3以下であるアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、上記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;上記第1の表面から延在する複数の多面体状表面特徴部分であって、上記複数の多面体状表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、上記第1の表面から延在する複数の小面、及び上記基部における10μm以上かつ100μm以下の表面特徴部分サイズを備え、各上記多面体状表面特徴部分の上記複数の小面は互いに向かって集束する、多面体状表面特徴部分と;50%以上の透過ヘイズとを含む。他の実施形態によると、テクスチャ形成済みガラス物品は:16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3超であるアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、上記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;上記第1の表面から延在する複数の樹状表面特徴部分であって、上記複数の樹状表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、及び上記基部における100μm超かつ350μm以下の表面特徴部分サイズを備え、各上記多面体状表面特徴部分の上記複数の小面は互いに向かって集束する、樹状表面特徴部分と;60%以上の透過ヘイズとを含む。テクスチャ形成済みガラス物品及びその作製方法の様々な実施形態を、添付の図面を具体的に参照しながら本明細書で説明する。
【0035】
本明細書において、範囲が、「約(about)」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現される場合がある。範囲がこのように表現される場合、別の実施形態は、上記1つの特定の値から、及び/又は上記別の特定の値までを含む。同様に、先行語句「約」の使用によって、値が近似値として表現されている場合、上記特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるだろう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係においても、他方の端点とは独立しても、重要であることが理解されるだろう。
【0036】
本明細書中で使用される場合、方向に関する用語、例えば「上(up)」、「下(down)」、「右(right)」、「左(left)」、「前(front)」、「後(back)」、「上部(top)」、「下部(bottom)」は、図示されている状態の図面を参照して使用されているだけのものであり、絶対的な配向を含意することを意図したものではない。
【0037】
特段の記載がない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、その複数のステップをある具体的な順序で実施することを必要とするものとして解釈されること、又はいずれの装置によって具体的な配向が要求されることは、全く意図されていない。従って、ある方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に示していない場合、又はいずれの装置クレームが、個々の構成部品に対してある順序若しくは配向を実際に記載していない場合、又は上記複数のステップがある具体的な順序に限定されることが請求項又は本説明において具体的に言明されていない場合、又はある装置の構成部品に対する具体的な順序若しくは配向が記載されていない場合、ある順序を暗示することは、いかなる点においても一切意図されていない。これは、以下を含む、解釈に関するいずれの可能な非明示的基礎に関しても当てはまる:ステップ、操作フロー、構成部品の順序、又は構成部品の配向の構成に関する論理問題;文法的な編成又は句読法に由来する平易な意味;及び本明細書に記載された実施形態の数又はタイプ。
【0038】
本明細書において使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記(the)」は、そうでないことが文脈によって明示されていない限り、複数の指示物を含む。従って例えば、「ある」部品に関する言及は、そうでないことが文脈によって明示されていない限り、2つ以上のこのような部品を有する態様を含む。
【0039】
本明細書に記載のガラス組成物の実施形態では、構成成分(例えばSiO、Al等)の濃度は、特段の記載がない限り、酸化物ベースの重量パーセント(重量%)で指定される。
【0040】
本明細書に記載のX線回折(XRD)スペクトルは、Bruker Corporation(マサチューセッツ州ビレリカ)製の、LYNXEYE XE‐T検出器を備えるD8 ENDEAVOR X線回折システムを用いて測定される。
【0041】
本明細書に記載の「共焦点画像(confocal image)」は、LeicaSCANソフトウェアパッケージと関連付けられたLeica DCM8顕微鏡を倍率50倍で用いて得られる。テクスチャ形成済みガラス物品の表面特徴部分サイズ及び表面粗度は、共焦点画像を用いて測定される。テクスチャ形成済みガラス物品の透過ヘイズ、透過率、及び450nm反射率は、iColor分析プログラムと関連付けられた、Pantone x‐Rite提供のCi7800分光光度計を用いて分析される。
【0042】
「表面特徴部分サイズ(surface feature size)」は、共焦点画像内の3つの異なる位置からの、大きい方から10個の表面特徴部分の基部の断面を横断する平均最大距離を指す。従って、3つの異なる位置からの、大きい方から10個の表面特徴部分の最長寸法を測定する。30個の特徴部分サイズ測定値の平均値を計算することにより、テクスチャ形成済みガラス物品の表面特徴部分サイズが得られる。
【0043】
本明細書に記載の「表面粗度(Surface roughness:Ra)」は、評価長さ内で記録された平均線からのプロファイルの高さの偏差の絶対値の算術平均によって定量化された、テクスチャ形成済みガラス物品の表面テクスチャを指す。特に明記されていない限り、本明細書で報告される値は、マイクロメートル、即ちμmを単位として報告されている。
【0044】
本明細書に記載の「透過ヘイズ(transmittance haze)」は、全光線透過率にわたる全ての透過光に対する、法線から2.5°を超える角度で散乱された透過光の比率を指す。本明細書に記載の透過ヘイズは、特段の指示のない限り、波長範囲360nm~750nm、厚さ0.8mmで測定される。
【0045】
本明細書中で使用される場合、「透過率(transmission)」は、所与の波長範囲内で得られる透過率の平均値を指す。本明細書に記載の実施形態では、特段の指示のない限り、厚さ0.8mmで波長範囲360nm~750nmにわたって報告される。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「450nm反射率(450 nm reflectance)」は、特段の指示のない限り、波長範囲450nm、厚さ0.8mmで得られる反射率を指す。
【0047】
本明細書に記載の「表面特徴部分高さ(surface feature height)」は、表面特徴部分の基部と表面特徴部分の最も高い頂点との間の距離を指す。
【0048】
本明細書に記載の「小面角度(facet angle)」は、アルミノシリケートガラス物品の第1の表面に対して垂直な平面と小面との間の角度を指す。小面角度は、表面特徴部分のarctan(高さ/(長さの1/2))によって測定される。
【0049】
本明細書に記載のグレースケール分布は、光ファイバ導光路に結合された高強度白色LED(Metaphaser LED Light Engine、Metaphase Technologies、米国ペンシルバニア州ブリストル)を用いて物品を照明することによって収集された。上記物品の表面から反射した光を、カメラ/レンズの組み合わせ(Stingray F‐125B、Allied Vision Technologies Gmbh、シュタットローダー(ドイツ);及びM112FM50、株式会社タムロン、埼玉県(日本))によって収集した。レンズ口径はf/2.8であり、作動距離はおよそ300mmであり、露光時間は6msであり、利得は0dbに設定された。収集された画像を用いて、本明細書に記載のテクスチャ形成済みガラス物品、例えば表9に示されている、結果として得られるテクスチャ形成済みガラス物品の、ピーク位置最大値、半値全幅、ピーク位置最大値の値の範囲、歪度、及び超過尖度を計算した。
【0050】
本明細書に記載の「GU」は、グレースケール単位(grayscale unit)を指す。
【0051】
本明細書に記載される、物品の表面から反射した光によって収集された画像から計算される「ピーク位置最大値(location of peak maximum:ピークGU)」は、振幅が最大になるグレースケール値を指す。
【0052】
本明細書に記載される、物品の表面から反射した光によって収集された画像から計算される「半値全幅(full width at half maximum:FWHM)」は、最大振幅の半分となるY軸上の点の間で測定された曲線の幅を指す。
【0053】
本明細書に記載される、物品の表面から反射した光によって収集された画像から計算される「GU値の範囲(range of GU values)」は、所与の画像における最高のグレースケール値と最低のグレースケール値との間の差を指す。
【0054】
本明細書に記載される、物品の表面から反射した光によって収集された画像から計算される「歪度(skewness)」は、実数値ランダム変数の、その平均に関する分布の非対称性を指す。参考までに、正規分布の歪度はゼロである。
【0055】
本明細書に記載の「超過尖度(excess kurtosis)」は、尖度マイナス3を指し、標準正規分布尖度との直接比較として使用される。
【0056】
テクスチャ形成済みガラス物品上の表面特徴部分の構造の説明に使用される場合、「多面体状(polyhedral)」は、平坦な多角形状の面と直線状の縁部とを有する、3次元形状を指す。
【0057】
テクスチャ形成済みガラス物品上の表面特徴部分の構造の説明に使用される場合、「樹状(dendritic)」は、分岐した構造を指す。
【0058】
本明細書に記載の「硝酸(nitric acid)」は、70重量%の硝酸を含有する硝酸原材料の溶液を指す。
【0059】
本明細書に記載の「フッ化水素酸(hydrofluoric acid)」は、49重量%のフッ化水素酸を含有するフッ化水素酸原材料の溶液を指す。
【0060】
エッチング液は、ガラス物品上のテクスチャ形成済み表面を得るために使用されてきた。例えば、優れたイオン交換性及び落下性能を示すアルミノシリケートガラスをエッチングすることによって、同一又は同等の強度及び破壊靭性を有する反射性及び/又はテクスチャ形成済み材料を製造できる。しかしながら、16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラスを単にエッチングしても、所望の反射性の外観及び/又は強化された触覚的印象を生成できない。
【0061】
本明細書で開示されるのは、16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラス(これは優れたイオン交換性及び落下性能を示す)を処理して所望の外観及び/又はテクスチャを生成できるよう、上述の問題を軽減する、テクスチャ形成済みガラス物品及びテクスチャ形成方法である。具体的には、本明細書で開示されるテクスチャ形成済みガラス物品は、強反射性の外観を提供する多面体状表面特徴部分を有するアルミノシリケートガラスで構成されるか、又は強化された触覚的印象を有する樹状表面特徴部分を有するアルミノシリケートガラスで構成される。
【0062】
多面体状表面特徴部分を形成するためには、16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比は0.3以下であってよく、これにより、pHが3.0以下のエッチング液は、多面体状表面特徴部分をもたらすケイ素系沈殿物を優先的に生成し、樹状表面特徴部分をもたらすアルミニウム系沈殿物を最小限に抑える。
【0063】
樹状表面特徴部分を形成するためには、16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比は0.3超であってよく、これにより、pHが3未満のエッチング液は、樹状表面特徴部分をもたらすアルミニウム系沈殿物を優先的に生成し、多面体状表面特徴部分をもたらすケイ素系沈殿物を最小限に抑える。
【0064】
多面体状表面特徴部分
ここで図1及び2を参照すると、実施形態では、本明細書に記載のテクスチャ形成済みガラス物品100は、16重量%以上のAlを含みかつAl/SiO比が0.3以下であるアルミノシリケートガラスで構成される本体102を有する。実施形態では、上記アルミノシリケートガラス物品は、52重量%以上かつ67重量%以下のSiO、16重量%以上かつ28重量%以下のAl、0重量%以上かつ5重量%以下のB、8重量%以上かつ15重量%以下のNaO、0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO、0重量%以上かつ4重量%以下のLiO、及び0重量%以上かつ5重量%以下のMgOを含んでよい。しかしながら、アルミノシリケートガラスが16重量%以上のAlを有し、かつAl/SiO比が0.3以下である限り、他のアルミノシリケートガラスも考えられ、かつ可能であることを理解されたい。
【0065】
本体102は少なくとも1つの第1の表面104を含む。複数の多面体状表面特徴部分106は、第1の表面104から延在する。各多面体状表面特徴部分106は、第1の表面104上の基部108と、第1の表面104から延在する複数の小面110とを含む。
【0066】
実施形態では、各多面体状表面特徴部分106の小面110は、第1の表面104から延在し、互いに向かって集束して、多面体状表面特徴部分106の多面体形状(例えば3回対称、4回対称、6回対称等のピラミッド型)を形成する。実施形態では、各多面体状表面特徴部分106の小面110は、0.5°以上かつ12°以下の小面角度で、互いに向かって集束する。実施形態では、小面110は三角形状、長方形状、又は台形状であってよい。実施形態では、小面110は集束して、少なくとも1つの頂点112a、112b、112cを形成する。実施形態では、上記頂点は先鋭形状の頂点112a、丸みを帯びた形状の頂点112b、又は切頭形状の頂点112cであってよい。
【0067】
各多面体状表面特徴部分106の基部108は、少なくとも3つの辺114を備える。基部108の少なくとも1つの辺114は、少なくとも1つの別の辺114に向かって集束する。実施形態では、基部108は三角形状、長方形状、又は六角形状であってよい。実施形態では、基部108における表面特徴部分サイズは10μm以上かつ100μm以下であってよい。実施形態では、基部108における表面特徴部分サイズは、10μm以上、25μm以上、又は50μm以上であってよい。実施形態では、基部108における表面特徴部分サイズは、100μm以下、95μm以下、又は90μmであってよい。実施形態では、基部108における表面特徴部分サイズは、10μm以上かつ100μm以下、10μm以上かつ95μm以下、10μm以上かつ90μm以下、25μm以上かつ100μm以下、25μm以上かつ95μm以下、25μm以上かつ90μm以下、50μm以上かつ100μm以下、50μm以上かつ95μm以下、又は50μm以上かつ90μm以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0068】
実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の表面粗度Raは、1μm以上、又は1.5μm以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の表面粗度Raは、2μm以下、又は1.8μm以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の表面粗度Raは、1μm以上かつ2μm以下、1μm以上かつ1.8μm以下、1.5μm以上かつ2μm以下、又は1.5μm以上かつ1.8μm、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0069】
比較的高い透過ヘイズは、テクスチャ形成済みガラス物品100が比較的高い表面粗度Raを有することを暗示し得るという点で、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過ヘイズは表面粗度Raと相関し得る。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過ヘイズは、50%以上、60%以上、又は70%以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過ヘイズは、98%以下、又は95%以下、又は90%以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過ヘイズは、50%以上かつ98%以下、50%以上かつ95%以下、50%以上かつ90%以下、60%以上かつ98%以下、60%以上かつ95%以下、60%以上かつ90%以下、70%以上かつ98%以下、70%以上かつ95%以下、又は70%以上かつ90%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0070】
実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過率が比較的高いことにより、テクスチャ形成済みガラス物品100の裏側(即ちテクスチャ形成される側の反対側)にインクを置いて、異なる色若しくはパターンを提供すること、又はテキスト(例えば企業の商標)を含めることができる。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過率は、70%以上、又は80%以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過率は、99%以下、又は95%以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の透過率は、70%以上かつ99%以下、70%以上かつ95%以下、80%以上かつ99%以下、又は80%以上かつ95%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0071】
実施形態では、複数の多面体状表面特徴部分106はそれぞれ、多面体状表面特徴部分106の基部108から延在する樹状構造を備えてよい。樹状特徴部分だけでは強反射性は提供できない。しかしながら、多面体状表面特徴部分106と共に形成された場合、所望の強反射性の外観を得ることができる。
【0072】
集束する平坦な小面110を有し、比較的大きな基部108に沿って概ね真っ直ぐである、各多面体状表面特徴部分106の構造は、光を異なる複数の方向に反射して、「輝く」(即ち強反射性の)外観を達成する。テクスチャ形成済みガラス物品の「輝く」外観は、多面体状表面特徴部分を有しないテクスチャ形成済みガラス物品に比べて相対的に大きな450nm反射率、ピークGU、FWHM、GU値の範囲、歪度、及び超過尖度によって裏付けることができる。
【0073】
比較的高い450nm反射率は、多面体状表面特徴部分106の集束する平坦な小面110からより多くの光が反射することに対応する。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の450nm反射率は5%以上、又は10%以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の450nm反射率は30%以下、又は25%以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品の450nm反射率は、5%以上かつ30%以下、5%以上かつ25%以下、10%以上かつ30%以下、又は10%以上かつ25%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0074】
GU分布内で比較的高いピークGUは、多面体状表面特徴部分106の集束する平坦な小面110からより多くの光が反射することに対応する。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のピークGUは、50GU以上、60GU以上、70GU以上、又は80GU以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のピークGUは、150GU以下、125GU以下、115GU以下、又は100GU以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品のピークGUは、50GU以上かつ150GU以下、50GU以上かつ125GU以下、50GU以上かつ115GU以下、50GU以上かつ100GU以下、60GU以上かつ150GU以下、60GU以上かつ125GU以下、60GU以上かつ115GU以下、60GU以上かつ100GU以下、70GU以上かつ150GU以下、70GU以上かつ125GU以下、70GU以上かつ115GU以下、70GU以上かつ100GU以下、80GU以上かつ150GU以下、80GU以上かつ125GU以下、80GU以上かつ115GU以下、又は80GU以上かつ100GU以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0075】
比較的大きなFWHM及びGU値の範囲は、表面特徴部分サイズと共に増大するグレースケール値のより広い分布に対応する。
【0076】
実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のFWHMは、10GU以上、又は25GU以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のFWHMは、75GU以下、又は60GU以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のFWHMは、10GU以上かつ75GU以下、10GU以上かつ60GU以下、25GU以上かつ75GU以下、又は25GU以上かつ60GU以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0077】
実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のGU値の範囲は、100GU以上、又は125GU以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のGU値の範囲は、300GU以下、又は250GU以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100のGU値の範囲は、100GU以上かつ300GU以下、100GU以上かつ250GU以下、125GU以上かつ300GU以下、又は125GU以上かつ250GU以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0078】
歪度は、グレースケール分布の非対称性を記述する。比較的大きな歪度は、平均グレースケール値に関する正の(「右側の(right‐handed)」)非対称性に対応し、これは、多面体状表面特徴部分106の集束する平坦な小面110から反射した光の分布に対する(例えば75%四分位範囲の上限外である)高強度の寄与の量が大きいことの指標である。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品の歪度は、0.05以上、又は0.1以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の歪度は0.7以下、又は0.5以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の歪度は、0.05以上かつ0.7以下、0.05以上かつ0.5以下、0.1以上かつ0.7以下、又は0.1以上かつ0.5以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0079】
尖度は、グレースケール分布の外れ値の尺度を提供する。分布の「裾が重い(heavy‐tailed)」ほど、存在する外れ値が多くなる。理想的な正規分布の尖度は3であるため、尖度マイナス3である超過尖度を用いると、正規分布との比較がより容易となる。3を減算することにより、理想化された正規分布の尖度がゼロにシフトされ、試料分布の追加の尖度が超過尖度と呼ばれる。比較的大きな超過尖度は、(例えば75%四分位範囲の上限外である)高強度のグレースケール値の外れ値が相当量存在することを示し、これは、多面体状表面特徴部分106の集束する平坦な小面110から反射した光の分布に対する高強度の寄与の量が大きいことに対応する。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の超過尖度は、0.5以上、又は0.75以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の超過尖度は、3以下、又は2以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品100の超過尖度は、0.5以上かつ3以下、0.5以上かつ2以下、0.75以上かつ3以下、又は0.75以上かつ2以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0080】
樹状表面特徴部分
ここで図3及び4を参照すると、実施形態では、本明細書に記載のテクスチャ形成済みガラス物品200は、16重量%以上のAlを含みかつAl/SiO比が0.3超であるアルミノシリケートガラスで構成される本体202を有する。実施形態では、上記アルミノシリケートガラス物品は、52重量%以上かつ62重量%以下のSiO、16重量%以上かつ28重量%以下のAl、0重量%以上かつ5重量%以下のB、8重量%以上かつ13重量%以下のNaO、0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO、0重量%以上かつ4重量%以下のLiO、及び0重量%以上かつ1.5重量%以下のMgOを含んでよい。しかしながら、アルミノシリケートガラスが16重量%以上のAlを有し、かつAl/SiO比が0.3超である限り、他のアルミノシリケートガラスも考えられ、かつ可能であることを理解されたい。
【0081】
本体202は少なくとも1つの第1の表面204を含む。複数の樹状表面特徴部分206は、第1の表面204から延在する。各樹状表面特徴部分206は、第1の表面204上の基部208を含む。
【0082】
実施形態では、基部208における表面特徴部分サイズは100μm以上かつ350μm以下である。実施形態では、基部208における表面特徴部分サイズは、100μm以上、125μm以上、又は150μm以上であってよい。実施形態では、基部208における表面特徴部分サイズは、350μm以下、250μm以下、又は200μmであってよい。実施形態では、基部208における表面特徴部分サイズは、100μm以上かつ350μm以下、100μm以上かつ250μm以下、100μm以上かつ200μm以下、125μm以上かつ350μm以下、125μm以上かつ50μm以下、125μm以上かつ200μm以下、150μm以上かつ350μm以下、150μm以上かつ250μm以下、又は150μm以上かつ200μm以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0083】
各樹状表面特徴部分206のこの構造は、所望の強化された触覚的印象の達成に役立つ。
【0084】
実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の表面粗度Raは、2μm以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の表面粗度Raは、4μm以下、又は3μm以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の表面粗度Raは、2μm以上かつ4μm以下、又は2μm以上かつ3μm以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0085】
比較的高い透過ヘイズは、テクスチャ形成済みガラス物品200が比較的高い表面粗度Raを有することを暗示し得るという点で、テクスチャ形成済みガラス物品200の透過ヘイズは表面粗度Raと相関し得る。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の透過ヘイズは、50%以上、60%以上、又は70%以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の透過ヘイズは、98%以下、又は95%以下、又は90%以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の透過ヘイズは、50%以上かつ98%以下、50%以上かつ95%以下、50%以上かつ90%以下、60%以上かつ98%以下、60%以上かつ95%以下、60%以上かつ90%以下、70%以上かつ98%以下、70%以上かつ95%以下、又は70%以上かつ90%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0086】
テクスチャ形成済みガラス物品200の透過率が比較的高いことにより、テクスチャ形成済みガラス物品200の裏側(即ちテクスチャ形成される側の反対側)にインクを置いて、異なる色若しくはパターンを提供すること、又はテキスト(例えば企業の商標)を含めることができる。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の透過率は、75%以上、又は85%以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の透過率は、99%以下、又は97%以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の透過率は、75%以上かつ99%以下、75%以上かつ97%以下、85%以上かつ99%以下、又は85%以上かつ97%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0087】
実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の450nm反射率は1%以上、又は5%以上であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の450nm反射率は20%以下、又は15%以下であってよい。実施形態では、テクスチャ形成済みガラス物品200の450nm反射率は、1%以上かつ20%以下、1%以上かつ15%以下、5%以上かつ20%以下、又は5%以上かつ15%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0088】
実施形態では、複数の樹状表面特徴部分206はそれぞれ、樹状表面特徴部分206の基部208から、第1の表面204から離れるように延在する、多面体状構造を備えてよい。多面体状表面特徴部分だけでは強化された触覚的印象を提供できない。しかしながら、樹状表面特徴部分206と共に形成された場合、所望の強化された触覚的印象を達成できる。
【0089】
テクスチャ形成済みガラス物品の形成方法
ここで図5を参照すると、テクスチャ形成済みガラス物品を化学エッチングプロセスによって形成する方法が、300に示されている。ブロック302では、図6に示されているように、まず、16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラス物品400を提供する。多面体状表面特徴部分が強反射性の外観を生成することが望まれている実施形態では、アルミノシリケートガラス物品400は、本明細書中でアルミノシリケートガラス物品100を参照して説明されているように、16重量%以上のAlを含み、Al/SiO比が0.3以下である、アルミノシリケートガラス物品であってよい。樹状表面特徴部分が強化された触覚的印象生成することが望まれている実施形態では、アルミノシリケートガラス物品400は、本明細書中でアルミノシリケートガラス物品200を参照して説明されているように、16重量%以上のAlを含み、Al/SiO比が0.3超である、アルミノシリケートガラス物品であってよい。
【0090】
アルミノシリケートガラス物品400は、第1の表面と、上記第1の表面の反対側の、上記第1の表面に対して概ね平行な第2の表面とを備える、プレートの形態であってよい。実施形態では、アルミノシリケートガラス物品400を、水酸化カリウム、フッ化水素酸、塩酸、又はこれらの組み合わせを含む洗浄溶液で予備洗浄してよい。
【0091】
図5のブロック304に戻ると、図7に示されているように、アルミノシリケートガラス物品400をエッチング液と接触させる。エッチング液はアルミノシリケートガラス物品400と反応し、アルミノシリケートガラス物品400からケイ酸塩及び/又はアルミン酸塩種を放出させる。ケイ酸塩及び/又はアルミン酸塩種はエッチング液の要素と組み合わさり、沈殿物を形成する。これらの沈殿物のエッチング液中での溶解度が低い場合、これらはアルミノシリケートガラス物品400の表面上に堆積して結晶種402(例えば塩の外皮)を形成する。
【0092】
図8に示されているように、エッチング液がアルミノシリケートガラス物品400と反応し続けると、結晶種402が成長する。結晶種402はエッチング液中で不溶性であるため、結晶種402はその場でのマスク404として機能する。マスク404は、アルミノシリケートガラス物品400の表面の複数の部分を密閉する。マスク404の周りのガラスをエッチングして除去することにより、表面特徴部分406を生成する。表面特徴部分406の形状はマスク404の形状によって決定でき、マスク404の形状は、エッチング液の組成を変更すること、及び/又はエッチング液がアルミノシリケートガラス物品400と接触する時間の長さを変更することによって、変化させることができる。
【0093】
図5のブロック306に戻ると、図9に示されているように、アルミノシリケートガラス物品400を洗浄して表面からエッチング液及び結晶種402を除去した後、乾燥させることにより、表面特徴部分406を有するテクスチャ形成済みガラス物品410を形成する。実施形態では、脱イオン(DI)水を用いてエッチング液をアルミノシリケートガラス物品400からすすぎ落とす。実施形態では、アルミノシリケートガラス物品400に付着する結晶種402は、例えばスクラバスポンジによって除去できる。図5のブロック308に戻ると、実施形態では、アルミノシリケートガラス物品400を周囲条件下で乾燥させる。あるいはアルミノシリケートガラス物品400を加熱して、このガラス物品を乾燥させてもよい。
【0094】
図8及び9に示されている表面特徴部分406は多面体状表面特徴部分であるが、本明細書に記載の方法を用いて、樹状表面特徴部分も同様に形成できることを理解されたい。
【0095】
多面体状表面特徴部分を形成するためには、16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比は0.3以下であってよく、これにより、pHが3未満である本明細書に記載のエッチング液は、ケイ素系沈殿物を優先的に生成し、アルミニウム系沈殿物を最小限に抑える。ケイ素系沈殿物(例えばフッ化ケイ酸金属(MSiF))は多面体状表面特徴部分をもたらし、これは強反射性の外観をもたらすことができる。
【0096】
樹状表面特徴部分を形成するためには、16重量%以上のAlを含むアルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比は0.3超であってよく、これにより、pHが3未満である本明細書に記載のエッチング液は、アルミニウム系沈殿物を優先的に生成し、ケイ素系沈殿物を最小限に抑える。アルミニウム系沈殿物(例えば金属アルミノフッ化物(MAlF))は樹状表面特徴部分をもたらし、これは強化された触覚的印象をもたらすことができる。
【0097】
従って実施形態では、本明細書に記載のエッチング液のpHは、3.0以下である。実施形態では、エッチング液のpHは、3.0以下、2.8以下、又は2.6以下であってよい。
【0098】
実施形態では、エッチング液は、本明細書中で更に詳細に説明されるように、塩及び酸を含んでよい。
【0099】
エッチング液中に存在する塩は、結晶種の形成を促進する結晶化促進剤として作用する。実施形態では、塩は、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、フッ化水素カリウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含んでよい。エッチング液中の塩の量は、結晶種が確実に形成されるために十分な多さ(例えば20重量%以上)である必要がある。溶解度に到達した後に沈殿し得る未溶解の塩を削減又は防止するために、塩の量を制限してよい(例えば40重量%以下)。未溶解の塩は、エッチング剤とは異なるエッチングを生じさせる可能性があり、テクスチャ形成済みガラス表面の均一性を失わせる可能性がある。実施形態では、エッチング液は20重量%以上かつ40重量%以下の塩を含んでよい。実施形態では、エッチング液中の塩の量は、20重量%以上、24重量%以上、又は28重量%以上であってよい。実施形態では、エッチング液中の塩の量は、40重量%以下、36重量%以下、又は32重量%以下であってよい。実施形態では、エッチング液中の塩の量は、20重量%以上かつ40重量%以下、20重量%以上かつ36重量%以下、20重量%以上かつ32重量%以下、24重量%以上かつ40重量%以下、24重量%以上かつ36重量%以下、24重量%以上かつ32重量%以下、28重量%以上かつ40重量%以下、28重量%以上かつ36重量%以下、又は28重量%以上かつ32重量%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0100】
エッチング液中に存在する酸は、アルミノシリケートガラス物品のガラスネットワークの成分を溶解させて、表面特徴部分を形成する機能を果たす。実施形態では、酸は、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、シュウ酸、酢酸、硫酸水素塩(例えば硫酸水素ナトリウム)、又はこれらの組み合わせを含んでよい。エッチング液中の酸の量は、ガラスが確実にエッチングされてテクスチャ形成済みガラス物品が形成されるために十分な多さ(例えば30重量%以上)である必要がある。表面特徴部分を確実に形成するために、酸の量を制限してよい(例えば65重量%以下)。過剰な量の酸を添加すると、表面特徴部分が腐食してサイズが小さくなり、その強反射性の外観及び/又は強化された触覚的印象が失われる可能性がある。実施形態では、エッチング液は30重量%以上かつ65重量%以下の酸を含んでよい。実施形態では、エッチング液中の酸の量は、30重量%以上、35重量%以上、又は40重量%以上であってよい。実施形態では、エッチング液中の酸の量は、65重量%以下、55重量%以下、又は45重量%以下であってよい。実施形態では、エッチング液中の酸の量は、30重量%以上かつ65重量%以下、30重量%以上かつ55重量%以下、30重量%以上かつ45重量%以下、35重量%以上かつ65重量%以下、35重量%以上かつ55重量%以下、35重量%以上かつ45重量%以下、40重量%以上かつ65重量%以下、40重量%以上かつ55重量%以下、又は40重量%以上かつ45重量%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0101】
実施形態では、エッチング液は更に溶媒を含んでよい。実施形態では、溶媒は、水、酸(例えば塩酸及び/若しくはフッ化水素酸)、又はこれらの組み合わせを含んでよい。実施形態では、エッチング液は20重量%以上かつ40重量%以下の溶媒を含んでよい。実施形態では、エッチング液中の溶媒の量は、20重量%以上、又は25重量%以上であってよい。実施形態では、エッチング液中の溶媒の量は、40重量%以下、又は35重量%以下であってよい。実施形態では、エッチング液中の溶媒の量は、20重量%以上かつ40重量%以下、20重量%以上かつ35重量%以下、25重量%以上かつ40重量%以下、又は25重量%以上かつ35重量%以下、又はこれらの端点のうちのいずれから形成されるあらゆる部分範囲内であってよい。
【0102】
実施形態では、エッチング液は、成分を混合し、少なくとも12時間にわたって撹拌する(即ちエージングする)ことによって調製される。撹拌後、上清をデカントしてエッチング液として使用する。
【0103】
実施形態では、エッチング液は:20重量%以上かつ40重量%以下のフッ化アンモニウム;25重量%以上かつ45重量%以下の硝酸;5重量%以上かつ20重量%以下のフッ化水素酸;及び20重量%以上かつ40重量%以下の水を含んでよい。
【0104】
本明細書に記載のテクスチャ形成済みガラス物品は、例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ウルトラブック、テレビ、及びカメラといった消費者向け又は市販用電子デバイスの裏蓋用途を含む、様々な用途に使用できる。本明細書で開示されるテクスチャ形成済みガラス物品のいずれを組み込んだ例示的な物品を図10~12に示す。具体的には、図10~12は消費者向け電子デバイス500を示し、これは:前面504、背面506及び側面508を有するハウジング502;少なくとも一部又は全体が上記ハウジング内にあり、少なくともコントローラ、メモリ及びディスプレイ510を上記ハウジングの上記前面に又は上記前面に隣接して含む、電子部品(図示せず);並びに上記ディスプレイを覆うように、上記ハウジングの上記前面に、又は上記前面全体の上に配置される、カバー基板512を含むことができる。実施形態では、ハウジング502の一部分、例えば背面506は、本明細書で開示されるテクスチャ形成済みガラス物品のいずれを含んでよい。
【実施例
【0105】
様々な実施形態をより容易に理解できるように、本明細書に記載のテクスチャ形成済みガラス物品の様々な実施形態を例示する以下の実施例を参照する。
【0106】
表1に示されているガラス組成1及び2を有するガラス物品を、以下のように処理した。
【0107】
以下で説明されるように処理されるガラス物品1及び2の組成を表1に示す。なお、「ガラス物品1」及び「ガラス物品2」への言及は、表1に示されている各組成を有するガラス物品を指す。ガラス物品1及び2への言及は、それぞれ、様々なエッチング液で複数回処理された同一のガラス物品1及び2を指すものではない。
【0108】
【表1】
【0109】
表2は、実施例のアンモニウム塩エッチング液1の組成を示す。表3は、結果として得られるテクスチャ形成済みガラス物品それぞれの処理時間及び特性を示す。比較例のテクスチャ形成済みガラス物品CG及びCGを、それぞれガラス物品1及び2から形成した。ガラス物品1及び2を、実施例のエッチング液1で処理することにより、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG~EGを形成した。ガラス物品は50mm×50mm×1.1mmのスライドであった。各アンモニウムエッチング液での処理前に、60℃の4重量%SemiCleanKG洗浄剤(横浜油脂工業株式会社製)を2分間の超音波処理と共に用いて、ガラス物品を予備洗浄し、DI水ですすいで、デシケータ内で乾燥させた。実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGを形成するために使用されたガラス物品以外のガラス物品を、10体積%HF/20体積%HClで、22℃で2分間予備エッチングし、DI水ですすぎ、余剰分を振り払って除去し、各エッチング液中に移した。ガラス物品をエッチング液に垂直に浸漬させて、表3に示されている期間にわたって保持することにより、ガラス物品を各エッチング液で処理した。次にガラス物品をエッチング液から取り出し、DI水ですすぎ、110℃で乾燥させた。
【0110】
【表2】
【0111】
【表3-1】
【0112】
【表3-2】
【0113】
33重量%の硝酸、10重量%のフッ化水素酸、30重量%のフッ化アンモニウム、及び27重量%の水を混合することにより、エッチング液1を調製した。12時間の撹拌後、ガラス物品1及び2の処理のために上清をポリエチレンバイアルにデカントした。
【0114】
ガラス物品2を実施例のエッチング液1で2、4、及び8分間処理することにより、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGをそれぞれ形成した。その表面が図13~15に示されている。図示されているように、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGは、多面体状の結晶構造を有していた。ここで図16を参照すると、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGのXRDスペクトルは、フッ化ケイ酸金属のタイプの沈殿物(即ちフッ化ケイ酸アンモニウム等の、SiFを含有する沈殿物)の存在を示すピークを含んでおり、アルミノフッ化物のタイプの沈殿物(即ちAlを含有する沈殿物)の存在を示すピークを含んでいなかった。従って、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGの、結果として得られるエッチング液沈殿物は、フッ化ケイ酸金属タイプの沈殿物を含んでおり、アルミノフッ化物タイプの沈殿物を含んでいなかった。理論によって束縛されることを望むものではないが、フッ化ケイ酸金属タイプの沈殿物が、大型の多面体状構造をもたらした。
【0115】
実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGの、結果として得られた表面特徴部分の表面特徴部分サイズは、それぞれ87±20μm、90±17μm、及び81±16μmであった。実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGの透過ヘイズは82.9±0.3%、表面粗度は1.6±0.3μm、透過率は91.9±0.02%、450nm反射率は15.2±0.4%であった。実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGの透過ヘイズは96.2±0.5%、表面粗度は1.6±0.2μm、透過率は89.98±0.09%、450nm反射率は18.4±0.2%であった。実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGの透過ヘイズは89.04±0.02%、表面粗度は1.9±0.2μm、透過率は90.66±0.07%、450nm反射率は20.4±0.7%であった。
【0116】
ガラス物品1を実施例のエッチング液1で4分間処理することにより、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG及びEGをそれぞれ形成した。その表面がそれぞれ図17及び18に示されている。図示されているように、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG及びEGは、樹状の結晶構造を有していた。ここで図19を参照すると、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGのXRDスペクトルは、金属アルミノフッ化物のタイプの沈殿物(即ちヘキサフルオロアルミン酸アンモニウム等の、Alを含有する沈殿物)の存在を示すピークを含んでおり、フッ化ケイ酸金属のタイプの沈殿物(即ちSiFを含有する沈殿物)の存在を示すピークを含んでいなかった。従って、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG及びEGの、結果として得られるエッチング液沈殿物は、金属アルミノフッ化物タイプの沈殿物を含んでおり、いかなるフッ化ケイ酸金属タイプの沈殿物も含んでいなかった。理論によって束縛されることを望むものではないが、金属アルミノフッ化物のタイプの沈殿物が、樹状構造をもたらした。
【0117】
実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGの透過ヘイズは85.7±0.9%、表面粗度は2.2±0.5μm、透過率は86.74±0.03%、450nm反射率は7.91±0.01%であった。実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EGの透過ヘイズは83.77±0.04%、表面粗度は2.2±0.3μm、透過率は95.61±0.02%、450nm反射率は8.13±0.02%であった。
【0118】
図12~19並びに表2及び3によって例証されるように、16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3以下であるアルミノシリケートガラス物品を、pHが3.0以下のエッチング液で処理すると、多面体状表面特徴部分が形成され、16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3より大きなアルミノシリケートガラス物品を、pHが3.0以下のエッチング液で処理すると、樹状表面特徴部分が形成される。
【0119】
表4は、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGそれぞれのグレースケール分布特性を示す。
【0120】
【表4】
【0121】
実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGのピークGUが比較的高いことは、比較例のテクスチャ形成済みガラス物品に比べて、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品の表面から反射される光が多いことを示している。
【0122】
実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGのFWHM及びGU値の範囲が比較的大きいことは、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品の多面体状表面特徴部分のグレースケール値の分布が相対的に広いことを示している。
【0123】
正の値は、比較例のテクスチャ形成済みガラス物品に比べて、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGの分布の右側の「裾(tail)」が長く、従って光の分布に対する高強度の寄与が大きいことを示している。
【0124】
実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGの超過尖度の上記レベルは、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品の多面体状表面構造のグレースケール値に有意な量の外れ値が存在することを示している。
【0125】
表3を再び参照すると、実施例のテクスチャ形成済みガラス物品EG、EG、及びEGは、比較例のテクスチャ形成済みガラス物品CGより高い450nm反射率を有していたため、ガラス物品の表面からより多くの光を反射した。理論によって束縛されることを望むものではないが、ガラス物品の表面からより多くの光が反射されることにより、「輝く」(即ち強反射性の)外観が得られた。
【0126】
表4によって例証されるように、16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3以下であるアルミノシリケートガラス物品を処理すると、比較的大きなピークGU、FWHM、GU値の範囲、歪度、超過尖度、及び450nm反射率によって証明されるように、「輝く」(即ち強反射性の)外観を達成する多面体状表面特徴部分が形成される。
【0127】
請求対象の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、本明細書に記載の様々な実施形態の修正及び変形が、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内であるという条件で、このような修正及び変形を包含することが意図されている。
【0128】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0129】
実施形態1
16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3以下であるアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、上記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;
上記第1の表面から延在する複数の多面体状表面特徴部分であって、上記複数の多面体状表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、上記第1の表面から延在する複数の小面、及び上記基部における10μm以上かつ100μm以下の表面特徴部分サイズを備え、各上記多面体状表面特徴部分の上記複数の小面は互いに向かって集束する、多面体状表面特徴部分と;
50%以上の透過ヘイズと
を備える、テクスチャ形成済みガラス物品。
【0130】
実施形態2
各上記多面体状表面特徴部分の上記複数の小面は、互いに向かって集束して少なくとも1つの頂点を形成し、上記少なくとも1つの頂点は、先鋭形状、丸みを帯びた形状、又は切頭形状である、実施形態1に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0131】
実施形態3
上記テクスチャ形成済みガラス物品の表面粗度Raは1μm以上である、実施形態1又は2に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0132】
実施形態4
上記複数の多面体状表面特徴部分それぞれの上記基部は、少なくとも3つの辺を備え、少なくとも1つの上記辺は少なくとも1つの別の上記辺に向かって集束する、実施形態1~3のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0133】
実施形態5
上記複数の多面体状表面特徴部分はそれぞれ、上記基部から延在する樹状構造を備える、実施形態1~4のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0134】
実施形態6
上記テクスチャ形成済みガラス物品のピーク位置最大値(ピークGU)は50GU以上かつ150GU以下である、実施形態1~5のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0135】
実施形態7
上記テクスチャ形成済みガラス物品の半値全幅は10GU以上かつ70GU以下である、実施形態1~6のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0136】
実施形態8
上記テクスチャ形成済みガラス物品のGU値の範囲は100GU以上かつ300GU以下である、実施形態1~7のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0137】
実施形態9
上記テクスチャ形成済みガラス物品の歪度は0.05以上かつ0.7以下である、実施形態1~8のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0138】
実施形態10
上記テクスチャ形成済みガラス物品の超過尖度は0.5以上かつ3以下である、実施形態1~9のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0139】
実施形態11
上記テクスチャ形成済みガラス物品は:
52重量%以上かつ67重量%以下のSiO
16重量%以上かつ28重量%以下のAl
0重量%以上かつ5重量%以下のB
8重量%以上かつ15重量%以下のNaO;
0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO;
0重量%以上かつ4重量%以下のLiO;及び
0重量%以上かつ5重量%以下のMgO
を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0140】
実施形態12
上記テクスチャ形成済みガラス物品は電子デバイスの裏蓋である、実施形態1~11のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0141】
実施形態13
16重量%以上のAlを含み、かつAl/SiO比が0.3超であるアルミノシリケートガラスで構成される本体であって、上記本体は少なくとも1つの第1の表面を有する、本体と;
上記第1の表面から延在する複数の樹状表面特徴部分であって、上記複数の樹状表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、及び上記基部における100μm超かつ350μm以下の表面特徴部分サイズを備える、樹状表面特徴部分と;
50%以上の透過ヘイズと
を備える、テクスチャ形成済みガラス物品。
【0142】
実施形態14
上記テクスチャ形成済みガラス物品の表面粗度Raは2μm以上である、実施形態13に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0143】
実施形態15
上記アルミノシリケートガラスは:
52重量%以上かつ62重量%以下のSiO
16重量%以上かつ28重量%以下のAl
0重量%以上かつ5重量%以下のB
8重量%以上かつ13重量%以下のNaO;
0重量%以上かつ0.2重量%以下のKO;
0重量%以上かつ4重量%以下のLiO;及び
0重量%以上かつ1.5重量%以下のMgO
を含む、実施形態13又は14に記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0144】
実施形態16
上記テクスチャ形成済みガラス物品は電子デバイスの裏蓋である、実施形態13~15のいずれか1つに記載のテクスチャ形成済みガラス物品。
【0145】
実施形態17
テクスチャ形成済みガラス物品を形成する方法であって、上記方法は:
アルミノシリケートガラス物品をエッチング液と接触させるステップであって、上記アルミノシリケートガラス物品は16重量%以上のAlを含み、少なくとも1つの表面を有し、また上記エッチング液のpHは3.0以下である、ステップ;
上記アルミノシリケートガラス物品を洗浄するステップ;並びに
上記アルミノシリケートガラス物品を乾燥させて上記テクスチャ形成済みガラス物品を形成するステップであって、上記テクスチャ形成済みガラス物品は、上記テクスチャ形成済みガラス物品の第1の表面から延在する複数の表面特徴部分を備え、上記複数の表面特徴部分はそれぞれ、上記第1の表面上の基部、及び上記基部における10μm以上かつ350μm以下の表面特徴部分サイズを備え、上記テクスチャ形成済みガラス物品の透過ヘイズは50%以上である、ステップ
を含む、方法。
【0146】
実施形態18
上記アルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比は0.3以下であり、上記複数の表面特徴部分は多面体状表面特徴部分であり、上記基部における上記表面特徴部分サイズは10μm以上かつ100μm以下である、実施形態17に記載の方法。
【0147】
実施形態19
上記アルミノシリケートガラス物品を上記エッチング液と接触させる上記ステップは、アルミニウム系沈殿物より多量のケイ素系沈殿物を生成する、実施形態18に記載の方法。
【0148】
実施形態20
上記アルミノシリケートガラス物品のAl/SiO比は0.3超であり、上記複数の表面特徴部分は樹状表面特徴部分であり、上記基部における上記表面特徴部分サイズは100μm超かつ350μm以下である、実施形態17に記載の方法。
【0149】
実施形態21
上記アルミノシリケートガラス物品を上記エッチング液と接触させる上記ステップは、ケイ素系沈殿物より多量のアルミニウム系沈殿物を生成する、実施形態20に記載の方法。
【0150】
実施形態22
上記エッチング液は:
20重量%以上かつ40重量%以下の塩;及び
30重量%以上かつ65重量%以下の酸
を含む、実施形態17~21のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態23
上記塩は、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、フッ化水素カリウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態22に記載の方法。
【0152】
実施形態24
上記酸は、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、硫酸、シュウ酸、酢酸、重硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態22又は23に記載の方法。
【0153】
実施形態25
上記エッチング液は:
20重量%以上かつ40重量%以下のフッ化アンモニウム;
25重量%以上かつ45重量%以下の硝酸;
5重量%以上かつ20重量%以下のフッ化水素酸;及び
20重量%以上かつ40重量%以下の水
を含む、実施形態17~24のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態26
前面、背面、及び側面を有するハウジング;並びに
少なくとも一部が上記ハウジング内に設けられた電気部品であって、上記電気部品は、少なくとも1つのコントローラ、メモリ、及びディスプレイを含み、上記ディスプレイは上記ハウジングの上記前面に、又は上記前面に隣接して設けられる、電気部品
を備え、
上記ハウジングの上記背面は、実施形態1に記載のテクスチャ形成済みガラス物品を含む、消費者向け電子デバイス。
【符号の説明】
【0155】
100 テクスチャ形成済みガラス物品
102 本体
104 第1の表面
106 多面体状表面特徴部分
108 基部
110 小面
112a 先鋭形状の頂点
112b 丸みを帯びた形状の頂点
112c 切頭形状の頂点
114 辺
200 テクスチャ形成済みガラス物品
202 本体
204 第1の表面
206 樹状表面特徴部分
208 基部
400 アルミノシリケートガラス物品
402 結晶種
404 マスク
406 表面特徴部分
410 テクスチャ形成済みガラス物品
500 消費者向け電子デバイス
502 ハウジング
504 前面
506 背面
508 側面
510 ディスプレイ
512 カバー基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】