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特表2023-540997免疫細胞を感染、活性化、および拡大させる方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】免疫細胞を感染、活性化、および拡大させる方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20230920BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230920BHJP
   C12N 15/48 20060101ALI20230920BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230920BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230920BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20230920BHJP
   A61K 35/54 20150101ALI20230920BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230920BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230920BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230920BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N5/10
C12N15/48
C12N15/62 Z
A61K35/17
A61K35/545
A61K35/54
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 105
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515125
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021049307
(87)【国際公開番号】W WO2022055892
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/075,651
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/075,747
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518096526
【氏名又は名称】サイトイミューン セラピューティクス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CytoImmune Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, レイ
(72)【発明者】
【氏名】チャダ, スニル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA97X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB071
4C084ZB211
4C084ZB261
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB57
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB07
4C087ZB21
4C087ZB26
(57)【要約】
ナチュラルキラー(NK)細胞およびγδT細胞などの免疫細胞を有効に感染させる、活性化する、および拡大させるための方法および組成物が提供される。一態様では、改変RD114ネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)および改変ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEVTR)を含むシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が本明細書で提供される。一部の実施形態では、RD114TR糖タンパク質は、RD114糖タンパク質の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびに両種指向性マウス白血病ウイルス(MLV-A)糖タンパク質の細胞質ドメインを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変RD114ネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)および改変ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEVTR)を含むシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子であって、
a.前記RD114TR糖タンパク質が、RD114糖タンパク質の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびに両種指向性マウス白血病ウイルス(MLV-A)糖タンパク質の細胞質ドメインを含み、
b.前記BaEVTR糖タンパク質が、ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV)の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびにMLV-A糖タンパク質の細胞質ドメインを含み、
必要に応じて、前記RD114TRおよび前記BaEVTRが、前記ガンマレトロウイルス粒子のエンベロープに膜タンパク質として組み入れられており、
さらに必要に応じて、前記シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、前記エンベロープに封入されたベクターゲノム、必要に応じた逆転写酵素、および必要に応じたインテグラーゼをさらに含み、前記ベクターゲノムが、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれた以下:
(A)キメラ抗原受容体(CAR)、もしくは、必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(B)(A)のリバース相補体、または
(C)1つもしくは複数の認識部位を含むポリヌクレオチドであって、必要に応じて、前記認識部位が、CARコード配列もしくはそのリバース相補体を前記ポリヌクレオチドに挿入するために適した制限酵素によって認識され、切断されるものである、ポリヌクレオチド
のうちの1つまたは複数を含む、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【請求項2】
前記ベクターゲノムが、以下:5’LTR、5’キャップ、3’ポリA尾部、および3’LTRのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1に記載のシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【請求項3】
以下の種:モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちのいずれか1つから選択される、請求項1または2に記載のシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【請求項4】
ナチュラルキラー(NK)細胞の集団を調製するための方法であって、以下:NK細胞、NK細胞の誘導が可能な前駆細胞、またはNK細胞の誘導が可能な幹細胞のうちの1つまたは複数を含む細胞集団を、免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップを含み、前記細胞集団が、細胞集団中のCD3、CD4、CD8、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものであり、前記免疫細胞活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)前記NK細胞、前記前駆細胞もしくは前記幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片であって、必要に応じて、前記抗体が、抗CD2抗体、抗CD16抗体、抗NKG2D抗体、抗DNAM-1抗体、抗2B4抗体、抗NTB-A抗体、もしくは抗NKp46(天然細胞傷害性受容体1(NCR1))抗体のうちの1つもしくは複数から選択される、抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数、
(iii)それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、または
(iv)必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数
のうちの1つまたは複数から選択される、方法。
【請求項5】
以下:
CAR、もしくは必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、発現させるために、培養された細胞集団に導入するステップであって、前記CARが、前記腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を特異的に認識し、これに結合するものである、ステップ;または、
請求項4の導入するステップの後に前記細胞集団を免疫細胞活性化因子と一緒に培養するステップであって、前記免疫細胞活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)前記NK細胞、前記前駆細胞もしくは前記幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数、
(iii)それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、もしくは
(iv)必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数
のうちの1つもしくは複数から選択される、ステップ
のうちの一方または両方をさらに含み、
必要に応じて、前記培養するステップを、同じまたは異なる免疫細胞活性化因子またはこれらの組合せを用いて1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記aAPCが、4-1BBL、膜結合(mb)IL-15、mb IL-21、CD64、CD80、CD83、CD86、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、MICA、CD 40L、CD137L、mb IL-2、mb IL-18、mb IL-12、CD25結合性を欠くmb IL-2変異体、mb IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc)ALT-803、またはCD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数をさらに発現し、必要に応じて、前記aAPCが、mb IL-21および4-1BBLをさらに発現し、必要に応じて、前記aAPCが、操作されたK562細胞であり、必要に応じて、前記aAPCが、照射処理され、それによって細胞増殖を欠くまたは長期生存を欠くものであり、さらに必要に応じて、前記aAPCが、50Gy、100Gy、150Gyまたは200Gyで照射処理されており、必要に応じて、前記aAPCを、前記細胞集団と一緒に、約10:1、約5:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:5、または約1:10の細胞数の比で培養する、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記サイトカインが、B7.1、CCL19、CCL21、CD40L、CD137L、GITRL、GM-CSF、IL-12、IL-2、低毒性IL-2、CD25結合性を欠くIL-2変異体、IL-7、IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc;可溶性ALT-803)、IL-15、IL-18、IL-21、LEC、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、またはMICAからなる群から選択され、必要に応じて、前記細胞集団を、100~500IU/mlのIL-2、20ng/mlのIL-15、または25ng/mLのIL-21のうちのいずれか1つまたはいずれか2つまたは3つ全てと一緒に培養し、必要に応じて、前記細胞集団を、50IU/mlのIL-2および0.5ng/mlのIL-15のいずれかまたは両方と一緒に培養し、必要に応じて、前記細胞集団を、50IU/mlのIL-2と一緒に培養する、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記導入するステップの前後に前記細胞集団と一緒に培養される前記活性化因子が、同じものである、または、前記導入するステップの前後に前記細胞集団と一緒に培養される前記活性化因子が、互いに異なるものである、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を前記培養された細胞集団に導入し、それによって、前記CARをコードするポリヌクレオチドを前記培養された細胞に導入するステップであって、前記粒子が、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれた前記CARをコードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体、RD114TR、およびBaEVTRを含み、必要に応じて、前記シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、5’LTR、5’キャップ、前記CARをコードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体、3’ポリA尾部、および3’LTRを含むベクターゲノムを含み、必要に応じて、前記シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、逆転写酵素およびインテグラーゼのいずれかまたは両方をさらに含み、必要に応じて、前記シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちの任意の種から選択され、必要に応じて、前記シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を、前記培養された細胞集団に、約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9または約10の感染多重度(MOI)で導入する、ステップを含む、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞集団を、前記導入するステップの前に少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、または少なくとも約10日間にわたって培養し、必要に応じて、前記細胞集団を、前記導入するステップの前に7日間以下、8日間以下、9日間以下、10日間以下、11日間以下、12日間以下、13日間以下、14日間以下、15日間以下、3週間以下、または1カ月以下にわたって培養し、必要に応じて、前記細胞集団を、前記導入するステップの前に約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間にわたって培養する、請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記CARをコードするポリヌクレオチドを、前記細胞集団に、前記CARをコードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体を含むウイルスベクターをRetroNectinの存在下で形質導入することによって導入し、必要に応じて、前記RetroNectinが、前記細胞集団への形質導入を行う容器の内部表面にコーティングされており、さらに必要に応じて、前記細胞集団が、インテグリンα4β1(VLA-4)およびインテグリンα5β1(VLA-5)のいずれかまたは両方を発現する、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞集団中のCD56、CD25、CD122、CD212、CD215、CD218、CD360、TGF-βR、またはIL-10Rのうちの任意の1つまたは複数を発現する細胞を富化させるステップをさらに含み、必要に応じて、CD56dim細胞およびCD56bright細胞のいずれかまたは両方を富化させるステップをさらに含む、請求項4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
任意の細胞集団が、ナチュラルキラー(NK)細胞またはその実質的に精製された組成物を含み、必要に応じて、枯渇を有する細胞集団が、以下:NK細胞、前駆細胞、HSC、iPSCまたはそのそれぞれの実質的に精製された集団のうちの1つまたは複数を含み、必要に応じて、前記NK細胞が、以下:前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞のうちの1つまたは複数から誘導されたものを含み、さらに必要に応じて、前記前駆細胞、HSC、またはiPSCのうちの1つまたは複数が、NK細胞の誘導が可能なものであり、必要に応じて、いずれの細胞集団も、T細胞を実質的に含まず、必要に応じて、いずれの細胞集団も、T制御細胞を実質的に含まず、必要に応じて、いずれの細胞集団も、単離、富化または精製されたものである、請求項4から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記CAR発現集団を組成物として製剤化するステップ;または前記CAR発現集団を凍結保存するステップのいずれかまたは両方をさらに含む、請求項4から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
がん細胞の成長を阻害するための方法であって、請求項5から14のいずれか一項に記載の方法によって調製されたCAR発現細胞の集団を前記がん細胞と接触させるステップを含み、前記CARによって認識される抗原が、前記がん細胞によって発現されるTAAである、方法。
【請求項16】
対象におけるがんを処置するための方法であって、請求項5から14のいずれか一項に記載の方法によって調製されたCAR発現免疫細胞の集団を前記対象に投与するステップを含み、前記CARによって認識される抗原が、前記がんの細胞によって発現されるTAAである、方法。
【請求項17】
請求項4から14のいずれか一項に記載の方法によって作製または調製されたNK細胞またはその集団。
【請求項18】
請求項17に記載の細胞またはその集団、および担体、必要に応じて薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項19】
0.5%未満のaAPC、必要に応じて、0.1%未満、または0.2%未満、または0.3%未満、0.4%未満、または0.5%未満のaAPCを含む、請求項17に記載の細胞もしくはその集団、または請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
抗原および細胞表面マーカー:4-1BBL、膜結合(mb)IL-15、mb IL-21、CD64、CD80、CD83、CD86、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、MICA、CD 40L、CD137L、mb IL-2、mb IL-18、mb IL-12、CD25結合性を欠くmb IL-2変異体、mb IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc)ALT-803、またはCD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数を発現する操作されたaAPCであって、必要に応じて、操作されたK562細胞であり、必要に応じて、照射処理され、それによって細胞増殖または長期生存または両方を欠くものであり、さらに必要に応じて、50Gy、100Gy、150Gyまたは200Gyで照射処理されており、必要に応じて、14日間よりも長くは実質的に生存しない、操作されたaAPC。
【請求項21】
本明細書に開示される方法における使用に適した1つまたは複数の薬剤および必要に応じた説明書を含むキットであって、必要に応じて、前記薬剤が、以下:CARまたは別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、細胞表現型を検出するための抗体、免疫細胞を単離または富化または精製するための抗体、前記ポリヌクレオチドを検出するためのプライマー、サイトカイン、およびaAPCのうちの1つまたは複数から選択される、キット。
【請求項22】
γδT細胞の集団を調製するための方法であって、以下:γδT細胞、γδT細胞の誘導が可能な前駆細胞、またはγδT細胞の誘導が可能な幹細胞、のうちの1つまたは複数を含む細胞集団を、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップを含み、前記細胞集団が、細胞集団中の、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものであり、前記活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/または刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)またはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)前記γδT細胞、前記前駆細胞または前記幹細胞のうちの1つまたは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってγδT細胞を活性化するまたは増殖させる抗体またはその抗原結合性断片のうちの1つまたは複数、
(iii)それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、または、必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数
のうちの1つまたは複数から選択される、方法。
【請求項23】
CAR、または必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、発現させるために、培養された細胞集団に導入するステップであって、前記CARが、前記腫瘍関連抗原(TAA)または前記ウイルス抗原を特異的に認識し、これに結合する、ステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞集団を、請求項23に記載の導入するステップの後に、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップであって、前記活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)前記γδT細胞、前記前駆細胞もしくは前記幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数、
(iii)それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、または
(iv)必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数;
のうちの1つまたは複数から選択されるステップをさらに含み、
必要に応じて、前記培養するステップを、同じまたは異なる活性化因子を用いて1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するためのウイルスパッケージングシステムであって、(a)ベクターゲノムを発現するプラスミド;(b)パッケージングプラスミド;ならびに(c)RD114TR、およびBaEVTRを発現するエンベローププラスミドのうちの1つまたは複数を含み、必要に応じて、前記ベクターゲノムが、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれた以下:
(A)キメラ抗原受容体(CAR)、もしくは必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(B)(A)のリバース相補体、または
(C)CARコード配列もしくはそのリバース相補体を前記ポリヌクレオチドに挿入するために適した制限酵素によって認識される1つもしくは複数の認識部位を含むポリヌクレオチド
のうちの1つまたは複数を含み、
必要に応じて、前記ベクターゲノムが、以下:5’LTR、5’キャップ、3’ポリA尾部、および3’LTRのうちの1つまたは複数をさらに含み、
必要に応じて、前記シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちの任意の種から選択される、
ウイルスパッケージングシステム。
【請求項26】
パッケージング細胞株をさらに含み、必要に応じて、前記パッケージング細胞株が、293T細胞株である、請求項25に記載のウイルスパッケージングシステム。
【請求項27】
シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するための方法であって、パッケージング細胞株に、請求項25または26に記載のシステムを、前記シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子のパッケージングに適した条件下で形質導入するステップであって、必要に応じて、前記パッケージング細胞株が、293T細胞株であり、必要に応じて、前記細胞株に、(a)、(b)および(c)のプラスミドを1.5:1.5:1の比で用いて形質導入し、必要に応じて、前記パッケージングシステムが、少なくとも2つのエンベローププラスミドを含み、その一方がRD114TRを発現し、他方がBaEVTRを発現し、さらに必要に応じて、前記細胞株に、(a)のプラスミド、(b)のプラスミド、前記RD114TR発現プラスミド、および前記BaEVTR発現プラスミドを1.5:1.5:1:1の比で用いて形質導入する、ステップを含む、方法。
【請求項28】
レトロウイルス粒子を作製するための方法であって、
(i)ベクター、必要に応じてベクターゲノムを発現するプラスミドを、前記ベクターゲノムを第1のレトロウイルス粒子にパッケージングするために適した第1のパッケージング細胞株に導入するステップと、
(ii)前記第1のレトロウイルス粒子を、前記第1のレトロウイルス粒子を複製するために適した第2のパッケージング細胞株に形質導入するステップと、
(iii)複製されたレトロウイルス粒子を単離するステップと
を含む、方法。
【請求項29】
前記第2のパッケージング細胞株が、細胞膜にレトロウイルスエンベロープタンパク質を含むが、前記細胞膜に前記レトロウイルスエンベロープタンパク質の侵入受容体を含まず、必要に応じて、前記レトロウイルスエンベロープタンパク質が、ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV)であり、その侵入受容体が、アラニン/セリン/システイン/トレオニントランスポーター1(ASCT1)または2型ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター(ASCT2)であり、必要に応じて、前記レトロウイルスエンベロープタンパク質が、RD114レトロウイルス(RD114)のエンベロープ糖タンパク質であり、その侵入受容体が、ASCT2であり、必要に応じて、前記レトロウイルスエンベロープタンパク質が、テナガザル白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質(GALV)であり、その侵入受容体が、ナトリウム依存性リン酸トランスポーター(Pit1)である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項28または29に記載の方法によって作製されたレトロウイルス粒子。
【請求項31】
操作された免疫細胞を作製するための方法であって、請求項30に記載のレトロウイルス粒子を免疫細胞またはその前駆細胞(precursor cell)に形質導入するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、それぞれの内容全体がこれによって参照により本出願に組み込まれる2020年9月8日出願の米国仮出願第63/075,651号;および2020年9月8日出願の同第63/075,747号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
NK細胞は、腫瘍細胞を直接かつ迅速に殺滅することができるので、腫瘍免疫療法における潜在性が高い。遺伝子操作を用いてNK細胞の機能を改めて方向付けること(CAR-NK)は、NK細胞上に発現される多数の抑制性受容体に打ち勝つため、および、標的療法の使用を強化するための効果的な戦略である。現在のところ、前臨床試験および臨床試験により、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するNK細胞が、重要な抗腫瘍の役割を果たすことができ、また、CAR-T細胞療法よりも安全であることが示されている。例えば、Wang et al. Int. Immunopharmacol. 2019; 74: 105695を参照されたい。
それにもかかわらず、CAR-NK細胞療法は、依然として、例えば、初代NK細胞のin vitroにおける拡大および活性化、NK細胞製品の保管および輸送の難しさ、ならびに低形質導入効率など、いくつかの難題に直面している。したがって、療法のためのNK細胞を効率的に調製する組成物および方法が依然として必要とされている。本開示は、これらの必要を満たし、関連する利点も提供するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Wang et al. Int. Immunopharmacol. 2019; 74: 105695
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の要旨
一態様では、改変RD114ネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)および改変ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEVTR)を含むシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が本明細書で提供される。一部の実施形態では、RD114TR糖タンパク質は、RD114糖タンパク質の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびに両種指向性マウス白血病ウイルス(MLV-A)糖タンパク質の細胞質ドメインを含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。それに加えてまたはその代わりに、BaEVTR糖タンパク質は、ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV)の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびにMLV-A糖タンパク質の細胞質ドメインを含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、RD114TRおよびBaEVTRは、粒子のエンベロープに膜タンパク質として組み入れられている。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスの種から選択される。
【0005】
別の態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞の集団を調製する(これだけに限定されないが、感染、活性化、または拡大させることを含む)ための方法が提供される。方法は、以下:NK細胞、NK細胞の誘導が可能な前駆細胞(progenitor cell)、またはNK細胞の誘導が可能な幹細胞のうちの1つまたは複数を含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる細胞集団を、1つまたは複数のNK細胞活性化因子などの免疫細胞活性化因子と一緒に培養するステップを含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、この培養するステップを、同じまたは異なる免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)またはこれらの組合せを用いて1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す。一部の実施形態では、細胞集団は、細胞集団中のCD3、CD4、CD8、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものである。
【0006】
一部の実施形態では、免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)は、以下:必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)および/もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC);NK細胞、前駆細胞もしくは幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数;それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数;またはそれによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数であるか、これらのうちの1つまたは複数から選択される。
【0007】
一態様では、γδT細胞の集団を調製するための方法が提供され、方法は、以下:γδT細胞、γδT細胞の誘導が可能な前駆細胞、またはγδT細胞の誘導が可能な幹細胞のうちの1つまたは複数を含む細胞集団を、1つまたは複数の免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップを含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、細胞集団は、細胞集団中の、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものである。一部の実施形態では、この培養するステップを、同じまたは異なる免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)またはこれらの組合せを用いて、1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す。
【0008】
一部の実施形態では、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)は、必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)および/もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC);γδT細胞、前駆細胞もしくは幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数;それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数;またはそれによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数のうちの1つもしくは複数から選択される。
【0009】
本開示の任意の態様に関し得る一部の実施形態では、aAPCは、4-1BBL、膜結合(mb)IL-15、mb IL-21、CD64、CD80、CD83、CD86、OX40L、ICOSL(誘導可能なT細胞共刺激因子リガンド、B7H2、B7RP1)、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、CD40L、CD137L、mb IL-2、mb IL-18、mb IL-12、CD25結合性を欠くmb IL-2変異体、mb IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc)ALT-803、またはCD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数をさらに発現する。一実施形態では、aAPCは、mb IL-21および4-1BBLをさらに発現する。
【0010】
本開示の任意の態様に関し得る一部の実施形態では、サイトカインは、B7.1、CCL19、CCL21、CD40L、CD137L、GITRL、GM-CSF、IL-12、IL-2、低毒性IL-2、CD25結合性を欠くIL-2変異体、IL-7、IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc;可溶性ALT-803)、IL-15、IL-18、IL-21、LEC、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、またはMICAからなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞集団を、100~500IU/mlのIL-2、20ng/mlのIL-15、または25ng/mLのIL-21のうちのいずれか1つまたはいずれか2つまたは3つ全てと一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、50IU/mlのIL-2および0.5ng/mlのIL-15のいずれかまたは両方と一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、50IU/mlのIL-2と一緒に培養する。
【0011】
本明細書に開示される任意の方法の一部の実施形態は、例えば、ポリヌクレオチドを、本明細書に開示される1つまたは複数の培養するステップの前および/またはその後に、発現させるために、培養された細胞集団に導入するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、CARおよび/または抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体などの別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードする。
【0012】
本明細書に開示される任意の方法の一部の実施形態は、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を培養された細胞集団に導入し、それによって、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを培養された細胞に導入するステップをさらに含む。一部の実施形態では、粒子は、RD114TRおよびBaEVTRをエンベロープタンパク質として含む。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスの種から選択される。
【0013】
本明細書に開示される任意の方法の一部の実施形態は、本明細書に開示されるポリヌクレオチド(例えば、本明細書に開示されるシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子など)を含むレンチウイルスまたはレトロウイルスベクターとポリヌクレオチドが導入される細胞の共局在を促進するためにRetroNectinを使用することをさらに含む。1つの例は、細胞集団への本明細書に開示されるポリヌクレオチドの導入を行う容器の内部表面にRetroNectinをコーティングすることである。RetroNectinは、レンチウイルスに媒介される遺伝子形質導入およびレトロウイルスに媒介される遺伝子形質導入を増強する、組換えヒトフィブロネクチン断片の63kDの断片である。RetroNectinは、TaKaRaから市販されている(www.takarabio.com/products/gene-function/t-cell-transduction-and-culture/retronectin-reagent、2020年9月4日に最後に閲覧)。
【0014】
レトロウイルス粒子(例えば、ガンマレトロウイルス粒子など)を作製するための方法がさらに提供される。方法は、(i)ベクターゲノムを第1のレトロウイルス粒子にパッケージングするために適した第1のパッケージング細胞株に、ベクターゲノムを発現するベクターを導入するステップ、(ii)第1のレトロウイルス粒子を複製するために適した第2のパッケージング細胞株に、第1のレトロウイルス粒子を形質導入するステップ;および(iii)複製されたレトロウイルス粒子を単離するステップを含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、方法は、ベクターが導入された第1のパッケージング細胞株を培養するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、方法は、ベクターが導入された第1のパッケージング細胞株を培養するために第1のレトロウイルス粒子を単離するステップをさらに含む。それに加えてまたはその代わりに、方法は、形質導入された第2のパッケージング細胞株を培養するステップをさらに含む。したがって、方法によって作製されたレトロウイルス粒子、これと共に、作製されたレトロウイルス粒子の、操作された免疫細胞、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された免疫細胞などの作製における使用が提供される。
【0015】
本開示の任意の態様に関し得る一部の実施形態では、細胞集団を、導入するステップの前に少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、または少なくとも約10日間にわたって培養する。それに加えてまたはその代わりに、細胞集団を、導入するステップの前に7日間以下、8日間以下、9日間以下、10日間以下、11日間以下、12日間以下、13日間以下、14日間以下、15日間以下、3週間以下、または1カ月以下にわたって培養する。一実施形態では、細胞集団を、導入するステップの前に約5日間~約10日間にわたって培養する。
【0016】
本開示の任意の態様に関し得る一部の実施形態では、細胞集団は、NK細胞、γδT細胞、幹細胞、造血幹細胞(HSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、幹細胞、HSCもしくはiPSCのうちの任意の1つもしくは複数から誘導されたNK細胞、または幹細胞、HSCもしくはiPSCのうちの任意の1つもしくは複数から誘導されたγδT細胞のうちの任意の1つまたは複数を含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。それに加えてまたはその代わりに、細胞集団は、対象の臍帯血(umbilical cord blood)、対象の末梢血、または対象の骨髄から単離されたものである。
【0017】
一態様では、がん細胞の成長を阻害するための方法が提供される。方法は、本明細書に開示される方法によって調製されたCAR発現細胞の集団をがん細胞と接触させるステップを含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、CARによって認識される抗原は、がん細胞上に発現されるTAAである。接触させるステップは、in vivoまたはin vitroであり得る。
【0018】
別の態様では、対象におけるがんを処置するための方法が提供される。方法は、本明細書に開示される方法によって調製されたCAR発現細胞の集団を投与するステップを含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、CARによって認識される抗原は、がんの細胞によって発現されるTAAである。
【0019】
なお別の態様では、抗原および細胞表面マーカー:4-1BBL、膜結合(mb)IL-15、mb IL-21、CD64、CD80、CD83、CD86、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、MICA、CD 40L、CD137L、mb IL-2、mb IL-18、mb IL-12、CD25結合性を欠くmb IL-2変異体、mb IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc)ALT-803、またはCD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数を発現する操作されたaAPCが提供される。
【0020】
さらなる態様では、本明細書に開示される方法によって調製されたNK細胞、γδT細胞、またはこれらの一方もしくは両方の細胞集団が提供される。一部の実施形態では、細胞および/または細胞集団は、CARおよび/または抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体などの別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドを発現する。
【0021】
一態様では、本明細書に開示される細胞またはその集団および担体、必要に応じて薬学的に許容される担体を含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる組成物が提供される。
【0022】
別の態様では、本明細書に開示される方法における使用に適した1つまたは複数の薬剤および必要に応じた説明書を含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなるキットが提供される。一部の実施形態では、薬剤は、以下:CARまたは別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含むベクター、細胞表現型を検出するための抗体、免疫細胞を単離または富化または精製するための抗体、ポリヌクレオチドを検出するためのプライマー、サイトカイン、およびaAPCのうちの1つまたは複数から選択される。
【0023】
さらに別の態様では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するためのウイルスパッケージングシステム、ならびにシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するための方法が提供される。システムは、(a)ベクターゲノムを発現するプラスミド;(b)パッケージングプラスミド;および(c)RD114TRおよびBaEVTRを発現するエンベローププラスミドのうちの1つまたは複数を含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなり、方法は、システムをパッケージング細胞株に、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子のパッケージングに適した条件下で導入するステップを含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0024】
上記の一般的な記述および以下の詳細な説明は例示的かつ説明的であり、特許を請求する本開示のさらなる説明を提供することを意図している。その他の目的物、利点、および新規な特徴は、以下の図面の簡単な説明および本開示の詳細な説明から当業者には容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ヒト初代NK細胞への治療的遺伝子送達に基づくガンマレトロウイルスベクター(PCIR)の図式を提示する。
【0026】
図2A図2A~2Bは、遺伝子送達のための、成長曲線および初代NK細胞が顕著な増殖状態(proliferative state)に入った時点の決定を提示する。拡大された初代NK細胞へのレトロウイルスによる形質導入の時点を最適化した。遺伝子送達のために、成長曲線を初代NK細胞が顕著な増殖状態に入った時点と一緒に決定した。本開示において使用した初代ヒトNK細胞は、末梢血(PB)由来のものであり、MACSxpress Whole Blood NK Cell Isolation Kit,human(Miltenyi Biotec、130-098-185)を用いて単離されたものであった。細胞をCD56およびCD3抗体で染色することによって純度を決定し、NK細胞をCD56+/CD3-集団と定義した(図2A)。NK細胞を、NK MACS培地(130-114-429)を用い、50IU/mlのヒトIL-2と照射処理されたK562-mb21-41BBLフィーダーが1:1の比で存在する状況で培養した。明白に、単離し、5日間培養した後、初代NK細胞は顕著な増殖状態に入り、したがって、6~10日目の活性化されたNK細胞を遺伝子送達のために使用した(図2B)。
図2B図2A~2Bは、遺伝子送達のための、成長曲線および初代NK細胞が顕著な増殖状態(proliferative state)に入った時点の決定を提示する。拡大された初代NK細胞へのレトロウイルスによる形質導入の時点を最適化した。遺伝子送達のために、成長曲線を初代NK細胞が顕著な増殖状態に入った時点と一緒に決定した。本開示において使用した初代ヒトNK細胞は、末梢血(PB)由来のものであり、MACSxpress Whole Blood NK Cell Isolation Kit,human(Miltenyi Biotec、130-098-185)を用いて単離されたものであった。細胞をCD56およびCD3抗体で染色することによって純度を決定し、NK細胞をCD56+/CD3-集団と定義した(図2A)。NK細胞を、NK MACS培地(130-114-429)を用い、50IU/mlのヒトIL-2と照射処理されたK562-mb21-41BBLフィーダーが1:1の比で存在する状況で培養した。明白に、単離し、5日間培養した後、初代NK細胞は顕著な増殖状態に入り、したがって、6~10日目の活性化されたNK細胞を遺伝子送達のために使用した(図2B)。
【0027】
図3A図3A~3Dは、RetroNectinで実現される、RD114TRおよびBaEVTRでシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子(PCIR)の、高い生存率および収率を伴う高度なレベルのNK細胞への遺伝子移入を可能にする有効性を示す。RetroNectin結合ウイルス(RBV)感染戦略を本開示において使用し、詳細が図3Aに例示されている。感染後に73.51%から82.81%までにわたる別個の生存率が高いNK細胞(大まかな生存細胞ゲートを、低前方散乱(FSC)および高側方散乱(SSC)事象を除外することによって線引きすることができる)(図3B)、3ドナーの間で65.11%から72.75%までにわたるEGFR CAR遺伝子(Fab-AF647陽性)形質導入効率(図3C)、ならびに感染後8日目に3ドナーにおいて最初の感染NK数と比較して25倍、34倍および45倍の高度の増殖状態の収率(図3D)が認められた。
図3B-3D】図3A~3Dは、RetroNectinで実現される、RD114TRおよびBaEVTRでシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子(PCIR)の、高い生存率および収率を伴う高度なレベルのNK細胞への遺伝子移入を可能にする有効性を示す。RetroNectin結合ウイルス(RBV)感染戦略を本開示において使用し、詳細が図3Aに例示されている。感染後に73.51%から82.81%までにわたる別個の生存率が高いNK細胞(大まかな生存細胞ゲートを、低前方散乱(FSC)および高側方散乱(SSC)事象を除外することによって線引きすることができる)(図3B)、3ドナーの間で65.11%から72.75%までにわたるEGFR CAR遺伝子(Fab-AF647陽性)形質導入効率(図3C)、ならびに感染後8日目に3ドナーにおいて最初の感染NK数と比較して25倍、34倍および45倍の高度の増殖状態の収率(図3D)が認められた。
【0028】
図4図4は、同じ送達戦略を用いた、同じ増殖状態(proliferate state)における活性化されたNK細胞の直接感染に基づくレトロウイルス力価測定を提示する。ヒト初代NK細胞への治療的遺伝子送達に基づくガンマレトロウイルスベクター(PCIR)を開発するための本開示では、力価測定方法は、7日目における同じ増殖状態の活性化されたNK細胞についての厳密に同じ感染戦略に基づくものであった。図3A~3Dに示されているこのPCIR-EGFR-CAR-NK送達アッセイに関して、使用した空ベクターは、PCIR-EV-EGFPであった。トランスフェクションの48時間後および72時間後に回収しプールした未加工のウイルス上清の段階希釈物をRetroNectinがコーティングされたプレートに添加し、手順は図1および図3Aと同じであった。CARのためのマウスが供給源である可変一本鎖断片(ScFv)を、Alexa Fluor(登録商標)647 AffiniPureヤギ抗マウスIgG、F(ab’)断片特異的(Jackson ImmunoResearch_115-605-006)を使用して検出した。形質導入単位/mLを、式:TU/mL=(形質導入した細胞の数×パーセント蛍光×希釈係数)/(mL単位の形質導入体積)を使用して算出した。より正確な力価のために、複数の希釈物の平均を取った。本試験ではMOI3を使用した(図3A~3Dを参照されたい)。
【0029】
図5A図5A~5Cは、ガンマレトロウイルスベクターにより操作されたCAR-NKが、レンチウイルスベクターにより操作されたCAR-NKよりも優れ、長期培養下で、形質導入された遺伝子が高度に安定して発現されたことを示す。レンチウイルスにより操作されたPCIL-EGFR-CAR-NKおよびEV-GFP対照はGFP陽性集団の選別に基づいて富化させ、レトロウイルスにより操作されたPCIR-EGFR-CAR-NKは、ヤギ抗マウスFab-AF647陽性細胞の選別に基づくものであった。選別後10日目に、PCIL-EGFR-CAR-NK形質導入率および発現を評価するためにフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡イメージングの両方を使用し、GFP陽性細胞がPCIL-EGFR-CAR-NKおよびPCIL-GFP空ベクター対照のどちらに関してもおよそ100%から39%まで有意に減少した(図5Aおよび5C)。しかし、フロー分析により、選別後10日目、14日目および25日目に、PCIR-EGFR-CAR-NKについて形質導入された遺伝子の高度に安定な発現が認められたことが実証された(図5Bおよび5C)。
図5B図5A~5Cは、ガンマレトロウイルスベクターにより操作されたCAR-NKが、レンチウイルスベクターにより操作されたCAR-NKよりも優れ、長期培養下で、形質導入された遺伝子が高度に安定して発現されたことを示す。レンチウイルスにより操作されたPCIL-EGFR-CAR-NKおよびEV-GFP対照はGFP陽性集団の選別に基づいて富化させ、レトロウイルスにより操作されたPCIR-EGFR-CAR-NKは、ヤギ抗マウスFab-AF647陽性細胞の選別に基づくものであった。選別後10日目に、PCIL-EGFR-CAR-NK形質導入率および発現を評価するためにフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡イメージングの両方を使用し、GFP陽性細胞がPCIL-EGFR-CAR-NKおよびPCIL-GFP空ベクター対照のどちらに関してもおよそ100%から39%まで有意に減少した(図5Aおよび5C)。しかし、フロー分析により、選別後10日目、14日目および25日目に、PCIR-EGFR-CAR-NKについて形質導入された遺伝子の高度に安定な発現が認められたことが実証された(図5Bおよび5C)。
図5C図5A~5Cは、ガンマレトロウイルスベクターにより操作されたCAR-NKが、レンチウイルスベクターにより操作されたCAR-NKよりも優れ、長期培養下で、形質導入された遺伝子が高度に安定して発現されたことを示す。レンチウイルスにより操作されたPCIL-EGFR-CAR-NKおよびEV-GFP対照はGFP陽性集団の選別に基づいて富化させ、レトロウイルスにより操作されたPCIR-EGFR-CAR-NKは、ヤギ抗マウスFab-AF647陽性細胞の選別に基づくものであった。選別後10日目に、PCIL-EGFR-CAR-NK形質導入率および発現を評価するためにフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡イメージングの両方を使用し、GFP陽性細胞がPCIL-EGFR-CAR-NKおよびPCIL-GFP空ベクター対照のどちらに関してもおよそ100%から39%まで有意に減少した(図5Aおよび5C)。しかし、フロー分析により、選別後10日目、14日目および25日目に、PCIR-EGFR-CAR-NKについて形質導入された遺伝子の高度に安定な発現が認められたことが実証された(図5Bおよび5C)。
【0030】
図6A図6Aおよび6Bは、リアルタイム細胞分析(RTCA)を使用した、ガンマレトロウイルスベクターPCIR/BaEVTRにより操作されたEGFR-CAR-NK細胞の高度な形質導入効率および細胞傷害性の有効性を示す。NovoCyte 3005フローサイトメトリー分析により、4ドナーからのガンマレトロウイルスベクターPCIR/BaEVTRにより操作されたEGFR-CAR-NKについて高度な形質導入効率が実証された。切断型CD19(EV-Tcd19)およびEGFR導入遺伝子を別々に担持する空ベクターについて、形質導入率は平均85%(CD19-PE陽性)および79.6%(ヤギ抗マウスFab-AF647陽性)であった(図6A)。xCELLigence RTCA MP Bundle(ACEA Biosciences、Cat# 00380601040)を使用して免疫細胞殺滅アッセイを実施した。これらのプロットは、2ドナーからの、細胞5,000個/ウェルのLN229を用い、細胞500個/ウェルのエフェクターを添加した(1:10 E:T)実験についてのインピーダンスデータを示すものであった。操作されたEGFR-CAR-NKについて、空ベクターニセ形質導入および形質導入されていないNK群と比較して動的なリアルタイム殺滅が認められ、生細胞指標が最低であった(図6B)。
図6B図6Aおよび6Bは、リアルタイム細胞分析(RTCA)を使用した、ガンマレトロウイルスベクターPCIR/BaEVTRにより操作されたEGFR-CAR-NK細胞の高度な形質導入効率および細胞傷害性の有効性を示す。NovoCyte 3005フローサイトメトリー分析により、4ドナーからのガンマレトロウイルスベクターPCIR/BaEVTRにより操作されたEGFR-CAR-NKについて高度な形質導入効率が実証された。切断型CD19(EV-Tcd19)およびEGFR導入遺伝子を別々に担持する空ベクターについて、形質導入率は平均85%(CD19-PE陽性)および79.6%(ヤギ抗マウスFab-AF647陽性)であった(図6A)。xCELLigence RTCA MP Bundle(ACEA Biosciences、Cat# 00380601040)を使用して免疫細胞殺滅アッセイを実施した。これらのプロットは、2ドナーからの、細胞5,000個/ウェルのLN229を用い、細胞500個/ウェルのエフェクターを添加した(1:10 E:T)実験についてのインピーダンスデータを示すものであった。操作されたEGFR-CAR-NKについて、空ベクターニセ形質導入および形質導入されていないNK群と比較して動的なリアルタイム殺滅が認められ、生細胞指標が最低であった(図6B)。
【0031】
図7図7は、17~24日間のNK細胞拡大を示す。
図8A図8A~8Cは、293Vec-GalVならびに293Vec-BaEVパッケージング細胞、および力価測定に使用した2種の細胞株Jurkat TおよびHT1080におけるレトロウイルス侵入受容体の発現を提示する。図8Aに示されている通り、レトロウイルスの中で、ヒヒ内因性ウイルス(BaEV)とネコ内因性レトロウイルス(RD114)は細胞への侵入のために共通の細胞表面受容体であるASCT2(ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター)を使用する。ヒヒ内因性ウイルス(BaEV)はASCT2に加えてASCT1も細胞侵入受容体として使用する。テナガザル白血病ウイルス(GALV)は侵入受容体としてナトリウム依存性リン酸トランスポーター(Pit1)を使用する。図8Bは、2種のパッケージング細胞株、293Vec-GalVおよび293Vec-BaEV、ならびに力価測定用細胞株、Jurkat TおよびHT1080に対するASCT1、ASCT2、およびPit1についての免疫染色を提示する。ヒストグラムは、ウサギIgGアイソタイプ対照(Invitrogen、cat#02-6102)および対応する二次抗体、Alexa Fluor 647とコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgG(A-21245; Invitrogen)を用いて染色した細胞、抗ASCT1(LifeSpan BioSciences、LS-C179222)および対応する二次抗体を用いて染色した細胞、抗ASCT2(Cell Signaling Technology、8057S)および対応する二次抗体を用いて染色した細胞、ならびに抗Pit1(ThermoFisher、PA5-98650)を用いて染色した細胞の平均蛍光強度(MFI)を表す。図8Cは、どちらの細胞株(Jurkat TおよびHT1080)も、3種のレトロウイルスエンベロープタンパク質(BaEV、RD114およびGALV)の対応する侵入受容体を遍在的に発現しているので、これらのレトロウイルスエンベロープタンパク質力価測定に使用することができることを示す。293に基づくパッケージング細胞株、293Vec GALVおよび293Vec BaEVに関しては、GALVでシュードタイピングされたレトロウイルスのみが、侵入受容体Pit1を使用してこれらの細胞株に感染することができる。細胞型について、図8Cに3つの棒がプロットされている:左側の棒はASCT1の発現を表し、真ん中の棒はASCT2の発現を表し、右側の棒はPit1の発現を表す。
図8B図8A~8Cは、293Vec-GalVならびに293Vec-BaEVパッケージング細胞、および力価測定に使用した2種の細胞株Jurkat TおよびHT1080におけるレトロウイルス侵入受容体の発現を提示する。図8Aに示されている通り、レトロウイルスの中で、ヒヒ内因性ウイルス(BaEV)とネコ内因性レトロウイルス(RD114)は細胞への侵入のために共通の細胞表面受容体であるASCT2(ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター)を使用する。ヒヒ内因性ウイルス(BaEV)はASCT2に加えてASCT1も細胞侵入受容体として使用する。テナガザル白血病ウイルス(GALV)は侵入受容体としてナトリウム依存性リン酸トランスポーター(Pit1)を使用する。図8Bは、2種のパッケージング細胞株、293Vec-GalVおよび293Vec-BaEV、ならびに力価測定用細胞株、Jurkat TおよびHT1080に対するASCT1、ASCT2、およびPit1についての免疫染色を提示する。ヒストグラムは、ウサギIgGアイソタイプ対照(Invitrogen、cat#02-6102)および対応する二次抗体、Alexa Fluor 647とコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgG(A-21245; Invitrogen)を用いて染色した細胞、抗ASCT1(LifeSpan BioSciences、LS-C179222)および対応する二次抗体を用いて染色した細胞、抗ASCT2(Cell Signaling Technology、8057S)および対応する二次抗体を用いて染色した細胞、ならびに抗Pit1(ThermoFisher、PA5-98650)を用いて染色した細胞の平均蛍光強度(MFI)を表す。図8Cは、どちらの細胞株(Jurkat TおよびHT1080)も、3種のレトロウイルスエンベロープタンパク質(BaEV、RD114およびGALV)の対応する侵入受容体を遍在的に発現しているので、これらのレトロウイルスエンベロープタンパク質力価測定に使用することができることを示す。293に基づくパッケージング細胞株、293Vec GALVおよび293Vec BaEVに関しては、GALVでシュードタイピングされたレトロウイルスのみが、侵入受容体Pit1を使用してこれらの細胞株に感染することができる。細胞型について、図8Cに3つの棒がプロットされている:左側の棒はASCT1の発現を表し、真ん中の棒はASCT2の発現を表し、右側の棒はPit1の発現を表す。
図8C図8A~8Cは、293Vec-GalVならびに293Vec-BaEVパッケージング細胞、および力価測定に使用した2種の細胞株Jurkat TおよびHT1080におけるレトロウイルス侵入受容体の発現を提示する。図8Aに示されている通り、レトロウイルスの中で、ヒヒ内因性ウイルス(BaEV)とネコ内因性レトロウイルス(RD114)は細胞への侵入のために共通の細胞表面受容体であるASCT2(ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター)を使用する。ヒヒ内因性ウイルス(BaEV)はASCT2に加えてASCT1も細胞侵入受容体として使用する。テナガザル白血病ウイルス(GALV)は侵入受容体としてナトリウム依存性リン酸トランスポーター(Pit1)を使用する。図8Bは、2種のパッケージング細胞株、293Vec-GalVおよび293Vec-BaEV、ならびに力価測定用細胞株、Jurkat TおよびHT1080に対するASCT1、ASCT2、およびPit1についての免疫染色を提示する。ヒストグラムは、ウサギIgGアイソタイプ対照(Invitrogen、cat#02-6102)および対応する二次抗体、Alexa Fluor 647とコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgG(A-21245; Invitrogen)を用いて染色した細胞、抗ASCT1(LifeSpan BioSciences、LS-C179222)および対応する二次抗体を用いて染色した細胞、抗ASCT2(Cell Signaling Technology、8057S)および対応する二次抗体を用いて染色した細胞、ならびに抗Pit1(ThermoFisher、PA5-98650)を用いて染色した細胞の平均蛍光強度(MFI)を表す。図8Cは、どちらの細胞株(Jurkat TおよびHT1080)も、3種のレトロウイルスエンベロープタンパク質(BaEV、RD114およびGALV)の対応する侵入受容体を遍在的に発現しているので、これらのレトロウイルスエンベロープタンパク質力価測定に使用することができることを示す。293に基づくパッケージング細胞株、293Vec GALVおよび293Vec BaEVに関しては、GALVでシュードタイピングされたレトロウイルスのみが、侵入受容体Pit1を使用してこれらの細胞株に感染することができる。細胞型について、図8Cに3つの棒がプロットされている:左側の棒はASCT1の発現を表し、真ん中の棒はASCT2の発現を表し、右側の棒はPit1の発現を表す。
【0032】
図9図9は、安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293Vec-BaEVを生成するための形質導入戦略のワークフローを例示する。モロニーマウス白血病ウイルス(Mo-MuLV)に基づくレトロウイルスベクター(PCIR)を標的導入遺伝子送達ビヒクルとして使用した。BaEVでシュードタイピングされた293Vec-BaEVパッケージング細胞株を、臍帯血(cord blood)由来NK細胞への感染のためのビヒクル作製のために使用した。2種のパッケージング細胞株をこの作製のために使用した:一過性テナガザル白血病ウイルス(GALV)でシュードタイピングされた上清の作製のために293Vec-GALV、および、最終的なベクターの生成のために293Vec-BaEV。どちらの細胞株もBioVec Pharmaから供給されるものであった。次いで、バルクプロデューサーを作製するために、この上清を使用してBaEVでシュードタイピングされたパッケージング細胞株293Vec-BaEVに形質導入した。高力価クローンを生成するために、この293Vec-BaEVバルクプロデューサーをさらに選別するか、または限界希釈によって、および各クローンから生成された上清の力価測定によって選択された高力価クローンを使用して単一細胞をクローニングすることができる。次いで、高力価の安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293Vec-BaEVから上清を継続的に作製することができる。
【0033】
図10A図10Aおよび10Bは、サイズが大きい導入遺伝子を有するベクターを作製する安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293Vec-BaEVからの未加工の上清の力価の改善を示す。「複数の標的を組み合わせて1つにする(Combination of Multiple Targets in one)」は、出願人によって開発された独特の治療戦略である。BaEVでシュードタイピングされた293Vec-BaEVパッケージング細胞株をビヒクル作製のために使用した。図10Aは、大きな導入遺伝子挿入断片(>11kb)を有する代表的なレトロウイルスが、293Vec-BaEVパッケージング細胞によって一過性にもおよび安定にも作製されたことを提示する。合計350万個の293Vec-BaEVパッケージング細胞を100mmの組織培養皿に播種し、37℃で48~72時間インキュベートした。細胞が90~100%集密に達したら、未加工の上清を収集し、1500gで5分間高速回転させた。上記の上清の力価測定をJurkat T細胞で実施した。ウイルス上清の段階希釈物を、RetroNectinが予めコーティングされた組織培養処理されていない24ウェルプレートにローディングし、10%熱失活ウシ胎仔血清を補充した完全DMEM培地を用いて500μlにした。プレートを32℃、2000gで2時間高速回転させ、Jurkat T細胞10万個を添加し、1000gで5分間高速回転させた。プレートを37℃で48時間インキュベートし、次いで、力価(形質導入単位/ml)を次式に従って決定するためにフロー分析を実施した:形質導入単位(TU)/mL=[(標的細胞数)×(%陽性細胞)]。この例では、レポーター遺伝子RQR8の発現を、ヒトCD34抗体に対するフロー抗体(QBEnd/10)(アロフィコシアニン)(Novus Biologicals,LLC、#FAB7227A)によって検出した。図10Bに示されている通り、サイズが大きい導入遺伝子を有するベクターについて、安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293Vec-BaEVからの未加工の上清の力価(TU=7.2E5)が、一過性に作製されたウイルス(TU=2.2E5)と比較して改善された。
図10B図10Aおよび10Bは、サイズが大きい導入遺伝子を有するベクターを作製する安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293Vec-BaEVからの未加工の上清の力価の改善を示す。「複数の標的を組み合わせて1つにする(Combination of Multiple Targets in one)」は、出願人によって開発された独特の治療戦略である。BaEVでシュードタイピングされた293Vec-BaEVパッケージング細胞株をビヒクル作製のために使用した。図10Aは、大きな導入遺伝子挿入断片(>11kb)を有する代表的なレトロウイルスが、293Vec-BaEVパッケージング細胞によって一過性にもおよび安定にも作製されたことを提示する。合計350万個の293Vec-BaEVパッケージング細胞を100mmの組織培養皿に播種し、37℃で48~72時間インキュベートした。細胞が90~100%集密に達したら、未加工の上清を収集し、1500gで5分間高速回転させた。上記の上清の力価測定をJurkat T細胞で実施した。ウイルス上清の段階希釈物を、RetroNectinが予めコーティングされた組織培養処理されていない24ウェルプレートにローディングし、10%熱失活ウシ胎仔血清を補充した完全DMEM培地を用いて500μlにした。プレートを32℃、2000gで2時間高速回転させ、Jurkat T細胞10万個を添加し、1000gで5分間高速回転させた。プレートを37℃で48時間インキュベートし、次いで、力価(形質導入単位/ml)を次式に従って決定するためにフロー分析を実施した:形質導入単位(TU)/mL=[(標的細胞数)×(%陽性細胞)]。この例では、レポーター遺伝子RQR8の発現を、ヒトCD34抗体に対するフロー抗体(QBEnd/10)(アロフィコシアニン)(Novus Biologicals,LLC、#FAB7227A)によって検出した。図10Bに示されている通り、サイズが大きい導入遺伝子を有するベクターについて、安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293Vec-BaEVからの未加工の上清の力価(TU=7.2E5)が、一過性に作製されたウイルス(TU=2.2E5)と比較して改善された。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
定義
理解されるように、セクションまたはサブセクションの見出しは、本明細書で使用される場合、文書構成の目的のために過ぎず、記載される主題を限定および/または分けるものとして解釈されるべきではない。
【0035】
他に定義されなければ、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料が本開示の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法、デバイス、および材料がこれより記載される。本明細書において引用される全ての技術的および特許刊行物は参照により全体が本明細書に組み込まれる。本明細書におけるいかなる記載も、本開示は先行開示を理由としてそのような開示に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。
【0036】
本開示の実施は、他に示されなければ、当技術分野の技術的範囲内にある、組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来技術を用いる。例えば、Sambrook and Russell eds. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition; the series Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biology; the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press); MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach; Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual; Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5th edition; Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis; U.S. Patent No. 4,683,195; Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization; Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization; Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation; Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press (1986)); Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning; Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory); Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells; Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London); Herzenberg et al. eds (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunology; Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, 3rd edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press (2002)); Sohail (ed.) (2004) Gene Silencing by RNA Interference: Technology and Application (CRC Press)を参照されたい。
【0037】
全ての数値的指定、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、範囲を含めて、おおよそのものであり、適切な場合に、0.1または1.0の増分により(+)または(-)に変動される。常に明示的に述べられるわけではないが、全ての数値的指定は「約」という用語により先行されることが理解されるべきである。常に明示的に述べられるわけではないが、本明細書に記載される試薬は単に例示的なものであり、そのような均等物は当技術分野において公知であることもまた理解されるべきである。
【0038】
「約」という用語は、測定可能な値、例えば量または濃度などを指す場合に本明細書で使用される場合、指定される量の20%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらには0.1%の変動を包含することが意味される。
【0039】
本明細書および請求項において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が他に明確に規定しなければ、複数への言及を含む。例えば、「細胞(a cell)」という用語は、これらの混合物を含む、複数の細胞を含む。
【0040】
当業者には理解される通り、ありとあらゆる目的に関して、本明細書に開示される全ての範囲には、ありとあらゆる可能性のある部分範囲およびその部分範囲の組合せも包含される。さらに、当業者には理解される通り、範囲には、個々のメンバーそれぞれが含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、組成物および方法は列挙される要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することが意図される。「から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、記載される目的のために組合せに対して何らかの本質的な意義を持つ他の要素を除外することを意味するものとする。そのため、本明細書において定義されている要素から本質的になる組成物は、単離および精製方法からの微量の夾雑物ならびに薬学的に許容される担体、例えばリン酸緩衝食塩水および保存剤などを除外しない。「からなる」は、他の成分の微量要素を超えるものおよび本開示の組成物を投与するための実質的な方法ステップまたは組成物を生成するかもしくは意図される結果を達成するための実質的なプロセスステップを除外することを意味するものとする。これらの移行句のそれぞれにより定義される実施形態は本開示の範囲内にある。
【0042】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その後に記載される状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、その結果、記載は、状況が起こる事例およびそれが起こらない事例を含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連付けられて列挙される項目の1つまたは複数の任意のおよび全ての可能な組合せ、ならびに選択肢(「または」)において解釈される場合の組合せの欠如を指し、かつ包含する。
【0044】
「実質的に」または「本質的に」は、何らかの所与の量のほぼ全体または完全、例えば、95%またはそれより高いを意味する。一部の実施形態では、「実質的に」または「本質的に」は、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%を意味する。
【0045】
一部の実施形態では、成分の名称における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」または類似した用語は、それらの名称においてある特定の同一性を共有する1つより多くの成分を区別および同定するために使用される。例えば、「第1の細胞株」および「第2の細胞株」は、2つの細胞株を区別するために使用される。
【0046】
「単離された」という用語は、核酸、例えばDNAまたはRNAに関して本明細書で使用される場合、高分子の天然の供給源において存在する他のDNAまたはRNAからそれぞれ分離された分子を指す。「単離された核酸」という用語は、断片として天然に存在せず、天然の状態において見出されない核酸断片を含むことが意味される。「単離された」という用語はまた、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチド、タンパク質、ウイルスおよび/または宿主細胞を指すために本明細書で使用され、精製されたポリペプチド、タンパク質、ウイルスおよび/または宿主細胞、ならびに組換えポリペプチド、タンパク質、ウイルスおよび/または宿主細胞の両方を包含することが意味される。他の実施形態では、「単離された」という用語は、構成成分、細胞およびその他、通常は天然において付随する細胞、組織、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ウイルス、抗体またはその断片から分離されていることを意味する。例えば、単離された細胞は、異なる表現型または遺伝子型の組織または細胞から分離されている細胞である。当業者に明らかなように、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ウイルス、または抗体もしくはその断片は、その天然に存在する対応物からそれを区別するために「単離」を要求しない。
【0047】
一部の実施形態では、「操作された」または「組換え」という用語は、参照される種の天然に存在するタンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、系統、野生型系統または親宿主系統において通常は見出されない少なくとも1つの改変を有することを指す。一部の実施形態では、「操作された」または「組換え」という用語は、ヒトの介入により合成されていることを指す。本明細書で使用される場合、「組換えタンパク質」という用語は、組換えDNA技術により産生されたポリペプチドを指し、一般に、ポリペプチドをコードするDNAは好適な発現ベクターに挿入され、発現ベクターは次いで、宿主細胞を形質転換して異種タンパク質を産生するために使用される。
【0048】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそのアナログのいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有することができ、既知または未知の、任意の機能を行うことができる。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、ESTまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、例えばメチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログを含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、ポリヌクレオチドのアセンブリの前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって遮られ得る。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識成分とのコンジュゲーションにより、さらに改変され得る。用語はまた、二本鎖分子および一本鎖分子の両方を指す。他に指定または要求されなければ、ポリヌクレオチドである本開示の任意の実施形態は、二本鎖形態および二本鎖形態を構成することが既知であるかまたは予測される2つの相補的な一本鎖形態のそれぞれ両方を包含する。
【0049】
ポリヌクレオチドは、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);チミン(T);およびポリヌクレオチドがRNAである場合にチミンの代わりにウラシル(U)の特定の配列から構成される。そのため、「ポリヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表現である。このアルファベット表現は、中央処理装置を有するコンピュータ中のデータベースに入力し、バイオインフォマティクス応用、例えば機能ゲノミクスおよび相同性検索のために使用され得る。
【0050】
「ポリヌクレオチドの増幅」という表現は、方法、例えばPCR、ライゲーション増幅(またはリガーゼ連鎖反応、LCR)および増幅方法を含む。これらの方法は、当技術分野において公知であり、広く実施されている。例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号ならびにInnis et al., 1990(PCRについて);およびWu et al. (1989) Genomics 4:560-569(LCRについて)を参照されたい。一般に、PCR手順は、(i)DNA試料(またはライブラリー)内の特定の遺伝子へのプライマーの配列特異的なハイブリダイゼーション、(ii)DNAポリメラーゼを使用する複数ラウンドのアニーリング、伸長、および変性を伴うその後の増幅、ならびに(iii)正確なサイズのバンドについてのPCR生成物のスクリーニングから構成される遺伝子増幅の方法を記載する。使用されるプライマーは、重合の開始を提供するための十分な長さおよび適切な配列のオリゴヌクレオチドであり、すなわち各プライマーは、増幅されるべきゲノム座位の各鎖に相補的であるように特異的に設計される。
【0051】
PCRを実行するための試薬およびハードウェアは市販されている。特定の遺伝子領域から配列を増幅するために有用なプライマーは、好ましくは、標的領域またはその隣接領域中の配列に相補的であり、その配列に特異的にハイブリダイズする。増幅により生成される核酸配列は、直接的にシークエンシングされてもよい。あるいは、増幅された配列は、配列解析の前にクローニングされてもよい。酵素的に増幅されたゲノムセグメントの直接的なクローニングおよび配列解析の方法は当技術分野において公知である。
【0052】
「遺伝子」は、転写および翻訳された後に特定のポリペプチドまたはタンパク質をコードする能力を有する少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含有するポリヌクレオチドを指す。
【0053】
「発現する」という用語は、遺伝子産物、例えばmRNA、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の産生を指す。本明細書で使用される場合、「発現」は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセスおよび/または転写されたmRNAがその後にペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞中でのmRNAのスプライシングを含んでもよい。
【0054】
「遺伝子産物」あるいは「遺伝子発現産物」は、遺伝子が転写および翻訳された場合に生成されるアミノ酸(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)を指す。一部の実施形態では、遺伝子産物は、遺伝子が転写された場合に生成されるmRNAを指すことができる。
【0055】
「コードする」という用語は、ポリヌクレオチドに適用される場合、そのネイティブな状態で、または当業者に周知の方法によって操作された場合に、転写および/または翻訳されて、ポリペプチドおよび/またはその断片のmRNAを生じさせることができる場合にポリペプチドを「コードする」といえるポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖は、そのような核酸の相補体であり、アンチセンス鎖からコード配列を推定することができる。
【0056】
「~の発現を方向付ける」としても本明細書で使用される、「転写制御下で」は、当技術分野においてよく理解される用語であり、ポリヌクレオチド配列、通常はDNA配列の転写が、それが、転写の開始に寄与するか、または転写を促進するエレメントに作動可能に連結されていることに依存することを示す。「作動可能に連結された」は、ポリヌクレオチドが、それらが細胞中で機能することを可能とする方式で配置されていることを意図する。
【0057】
「制御配列」、「発現制御エレメント」または「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、転写および/または複製されるべき標的ポリヌクレオチドに作動可能に連結されており、標的ポリヌクレオチドの発現および/または複製を促すポリヌクレオチドを意図する。プロモーターは、発現制御エレメントまたは制御配列の例である。プロモーターは、遺伝子または他のポリヌクレオチドの5’または上流に位置することができ、調節された遺伝子転写のための制御点を提供する。ポリメラーゼIIおよびIIIはプロモーターの例である。
【0058】
「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、コード配列、例えば遺伝子の発現を調節する任意の配列を指す。プロモーターは、例えば、構成的、誘導可能、抑制性、または組織特異的であってもよい。「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御されるポリヌクレオチド配列の領域であるコントロール配列である。それは、調節タンパク質および分子が、例えばRNAポリメラーゼおよび他の転写因子を結合し得る遺伝子エレメントを含有してもよい。プロモーターの非限定的な例はEF1アルファプロモーターおよびCMVプロモーターを含む。EF1アルファ配列は当技術分野において公知である(例えば、addgene.org/11154/sequences/; ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/J04617、それぞれ最終アクセス日2019年3月13日、およびZheng and Baum (2014) Int’l. J. Med. Sci. 11(5):404-408を参照されたい)。CMVプロモーター配列は当技術分野において公知である(例えば、snapgene.com/resources/plasmid-files/?set=basic_cloning_vectors&plasmid=CMV_promoter、最終アクセス日2019年3月13日、およびZheng and Baum (2014)、上掲を参照されたい)。例は、EF1アルファプロモーター配列:配列番号148、および必要に応じてその等価物である。
【0059】
エンハンサーは、標的配列の発現を増加させる調節エレメントである。「プロモーター/エンハンサー」は、プロモーター機能およびエンハンサー機能の両方を提供する能力を有する配列を含有するポリヌクレオチドである。例えば、レトロウイルスの長いターミナルリピートは、プロモーター機能およびエンハンサー機能の両方を含有する。エンハンサー/プロモーターは、「内因性」または「外因性」または「異種」であってもよい。「内因性」エンハンサー/プロモーターは、ゲノム中の所与の遺伝子と天然に連結されているエンハンサー/プロモーターである。「外因性」または「異種」エンハンサー/プロモーターは、遺伝子マニピュレーション(すなわち、分子生物学技術)により遺伝子に並置されているエンハンサー/プロモーターであって、その結果、その遺伝子の転写が、連結されたエンハンサー/プロモーターにより方向付けられる。
【0060】
「ハイブリダイゼーション」は、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基の間の水素結合を介して安定化された複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン-クリック塩基対合、フーグスティーン結合により、または任意の他の配列特異的な方式において起こってもよい。複合体は、デュプレックス構造を形成する2つの鎖、多鎖複合体を形成する3つもしくはより多くの鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組合せを含んでもよい。ハイブリダイゼーション反応は、より大規模なプロセス中のステップ、例えばPCR反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素切断を構成してもよい。
【0061】
ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェンシー」の条件下で行われ得る。一般に、低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション反応は、約40℃で10×SSCまたは同等のイオン強度/温度の溶液中で実行される。中等度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーションは典型的には約50℃で6×SSC中で行われ、高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション反応は一般に約60℃で1×SSC中で行われる。ハイブリダイゼーション反応はまた、当業者に周知の「生理学的条件」下で行われ得る。生理学的条件の非限定的な例は、細胞において通常見出される温度、イオン強度、pHおよびMg2+の濃度である。
【0062】
ハイブリダイゼーションが2つの一本鎖ポリヌクレオチドの間の逆平行の構成において起こる場合、反応は「アニーリング」と呼ばれ、それらのポリヌクレオチドは「相補的」として記載される。二本鎖ポリヌクレオチドは別のポリヌクレオチドに対して、ハイブリダイゼーションが第1のポリヌクレオチドの鎖のうちの1つと第2のポリヌクレオチドの間で起こり得る場合に、「相補的」または「相同的」であり得る。「相補性」または「相同性」(1つのポリヌクレオチドが別のポリヌクレオチドと相補的である程度)は、一般に許容される塩基対合規則にしたがって、互いと水素結合を形成することが予想される対向する鎖中の塩基の割合の観点で定量化可能である。
【0063】
「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチドの間または2つの核酸分子の間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的のためにアライメントされ得る各配列中の位置を比較することにより決定され得る。比較される配列中の位置が同じ塩基またはアミノ酸により占有される場合には、分子はその位置において相同的である。配列の間の相同性の程度は、配列により共有されるマッチするまたは相同的な位置の数の関数である。「無関連の」または「非相同的な」配列は、本開示の配列の1つと40%未満の同一性、あるいは25%未満の同一性を共有する。
【0064】
ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)は、別の配列に対してある特定のパーセンテージ(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)の「配列同一性」を有し、すなわち、アライメントされた場合に、そのパーセンテージの塩基(またはアミノ酸)が、2つの配列の比較において同じである。このアライメントおよび相同性または配列同一性パーセントは、当技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えば、Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biologyに記載されているものを使用して決定され得る。好ましくは、デフォルトのパラメータがアライメントのために使用される。1つのアライメントプログラムは、デフォルトのパラメータを使用するBLASTである。特に、プログラムは、以下のデフォルトのパラメータ:遺伝コード=標準的;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;記述=50配列;ソーティング方法=HIGH SCORE;データベース=非重複、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIRを使用するBLASTNおよびBLASTPである。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレス:www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLASTにおいて見出され得る。別の実施形態では、プログラムは、www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/においてアクセス可能なClustal Omega、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/においてアクセス可能なNeedle(EMBOSS)、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_stretcher/においてアクセス可能なStretcher(EMBOSS)、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/においてアクセス可能なWater(EMBOSS)、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_matcher/においてアクセス可能なMatcher(EMBOSS)、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/lalign/においてアクセス可能なLALIGNのいずれか1つである。さらなる実施形態では、デフォルトの設定が使用される。
【0065】
一部の実施形態では、本明細書に開示されているポリヌクレオチドはRNAである。一部の実施形態では、本明細書に開示されているポリヌクレオチドはDNAである。一部の実施形態では、本明細書に開示されているポリヌクレオチドはDNAおよびRNAのハイブリッドである。
【0066】
一部の実施形態では、参照核酸、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドに対する等価物は、参照によりコードされる同じ配列をコードする。一部の実施形態では、参照核酸、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドに対する等価物は、必要に応じて高いストリンジェンシーの条件下で、参照、相補体参照、リバース参照、および/またはリバース相補体参照にハイブリダイズする。
【0067】
追加的あるいは、等価物核酸、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、参照核酸、ポリヌクレオチド、もしくはオリゴヌクレオチドに対して少なくとも70%、もしくは少なくとも75%、もしくは少なくとも80%の配列同一性、あるいは少なくとも85%の配列同一性、あるいは少なくとも90%の配列同一性、あるいは少なくとも92%の配列同一性、あるいは少なくとも95%の配列同一性、あるいは少なくとも97%の配列同一性、あるいは少なくとも98%の配列同一性を有するものであるか、あるいは等価物核酸は、参照ポリヌクレオチドもしくはその相補体に高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする。一態様では、等価物は、必要に応じて本明細書に記載される1つもしくは複数のアッセイを通じて同定され得る機能的タンパク質をコードしなければならない。追加的あるいは、ポリヌクレオチドの等価物は、参照または親ポリヌクレオチドと同じまたは類似した機能のタンパク質またはポリペプチドをコードする。
【0068】
「形質導入する」または「形質導入」という用語は、操作された細胞、例えばキメラ抗原受容体細胞の産生に適用される場合、外来ヌクレオチド配列が細胞に導入されるプロセスを指す。一部の実施形態では、この形質導入は、ベクター(例えば、ウイルス性ベクターまたは非ウイルス性ベクター)を介して行われる。
【0069】
本明細書で使用される場合、制限酵素は、制限部位として公知の分子内の特異的な認識部位においてまたはその近くでDNAを断片に切断する酵素である。それらは、遺伝子クローニングおよびタンパク質産生実験の間にポリヌクレオチド、例えば遺伝子の、プラスミドベクターへの挿入を補助するために使用される。最適な使用のために、遺伝子クローニングのために一般的に使用されるプラスミド、例えばウイルスベクターゲノムをコードするプラスミドは、制限酵素認識配列に富んだ短いポリリンカー配列(多重クローニング部位、またはMCSと呼ばれる)を含むように改変される。これは、遺伝子断片をプラスミドベクターに挿入する場合に柔軟性を可能とし;遺伝子内に天然に含有される制限部位は、DNAを消化するためのエンドヌクレアーゼの選択に影響を及ぼし、その理由は、望まれるDNAの末端を意図的に切断しながら該DNAの制限を回避することが必要であるからである。遺伝子断片をベクターにクローニングするために、プラスミドDNAおよび遺伝子挿入物の両方は、典型的には同じ制限酵素で切断され、次にDNAリガーゼとして公知の酵素の補助により一緒に接着される。
【0070】
「タンパク質」、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、交換可能におよびそれらの最も広い意味において使用されて、2つまたはより多くのサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログまたはペプチド模倣物の化合物を指す。サブユニットはペプチド結合により連結されてもよい。別の実施形態では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテルなどにより連結されてもよい。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質またはペプチドの配列を構成し得るアミノ酸の最大数に制限はない。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、グリシンおよびDとLの両方の光学異性体、アミノ酸アナログならびにペプチド模倣物を含む、天然のおよび/もしくは非天然のまたは合成のアミノ酸を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子を総称的に指し、これは、例としておよび限定なく、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、これらの組合せ、ならびに任意の脊椎動物、例えば、哺乳動物、例えばヒト、ヤギ、ウサギおよびマウス、ならびに非哺乳動物種において免疫応答の間に産生される類似した分子、例えばサメ免疫グロブリンを含む。特に他に記載されなければ、「抗体」という用語は、他の分子への結合が実質的に除外されて、目的の分子(または高度に類似した目的の分子の群)に特異的に結合するインタクトな免疫グロブリンおよび「抗体断片」または「抗原結合性断片」(例えば、生体試料中の他の分子に対する結合定数よりも少なくとも10-1高い、少なくとも10-1高いまたは少なくとも10-1高い目的の分子に対する結合定数を有する抗体および抗体断片)を含む。「抗体」という用語はまた、遺伝子操作された形態、例えばキメラ抗体(例えば、マウスまたはヒト化非霊長類抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば二特異性抗体)を含む。Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.); Owen et al., Kuby Immunology, 7th Ed., W.H. Freeman & Co., 2013; Murphy, Janeway’s Immunobiology, 8th Ed., Garland Science, 2014; Male et al., Immunology (Roitt), 8th Ed., Saunders, 2012; Parham, The Immune System, 4th Ed., Garland Science, 2014もまた参照。
【0072】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、Bリンパ球の単一のクローンによりまたは単一の抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクトされている細胞により産生される抗体を指す。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法により、例えば免疫脾臓細胞との骨髄腫細胞の融合からハイブリッド抗体形成細胞を作製することにより産生される。モノクローナル抗体はヒト化モノクローナル抗体を含む。
【0073】
抗体構造の観点において、免疫グロブリンは、ジスルフィド結合により相互接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。2種類の軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)がある。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEがある。各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(領域は「ドメイン」としても公知である)。組合せにおいて、重鎖および軽鎖可変領域は抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域により遮られた「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は定義されている(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照されたい;該文献はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)。Kabatデータベースは現在ではオンラインで維持されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は種内で相対的に保存されている。構成成分の軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である、抗体のフレームワーク領域は、概してはβ-シートコンホメーションをとり、CDRは、β-シート構造を接続する、および一部の場合においてその部分を形成する、ループを形成する。そのため、フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合性相互作用により正確な配向性でのCDRの配置を提供するスカフォールドを形成するように作用する。
【0074】
CDRは、抗原のエピトープへの結合に主に関与する。各鎖のCDRは、一般には、N末端から出発して逐次的に番号付けされてCDR1、CDR2、およびCDR3と称され、また、一般には特定のCDRが位置する鎖によっても識別される(CDRHと標識される重鎖領域、例えば、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3など、ならびにCDRLと標識される軽鎖領域、例えば、CDRL1、CDRL2およびCDRL3など)。したがって、CDRH3は、それが見いだされる抗体の重鎖の可変ドメイン由来のCDR3であり、一方、CDRL1は、それが見いだされる抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。例えば、TNT抗体は、TNT関連抗原に独特の特定のV領域およびV領域配列、したがって、特定のCDR配列を有する。異なる特異性(すなわち、異なる抗原のための異なる結合部位)を有する抗体は異なるCDRを有する。抗体毎に異なるのはCDRであるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置のみが抗原結合に直接的に関与する。CDR内のこれらの位置は特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
【0075】
本明細書で使用される場合、断片結晶性(Fc)領域は、一部の実施形態では、抗体の安定化に役立ち得、必要に応じて、免疫細胞もしくは血小板上のFc受容体と相互作用(例えば、結合)する、または補体タンパク質と結合する、抗体の尾部領域を指す。一部の実施形態では、配列番号81などのヒトIgG4 Fc領域の相当する位置のFcまたはその等価物にヒトIgG4 Fc領域のF234A、L235AおよびN297Qのうちの1つまたは2つまたは3つ全ての突然変異を含むものなどのFc変異体を使用することができ、相当する位置は、配列番号81のアミノ酸(aa)16、aa17およびaa79である。
【0076】
ポリペプチドまたはそのそれぞれの等価物には、カルボキシ末端にさらなる50アミノ酸、あるいは約40アミノ酸、あるいは約30アミノ酸、あるいは約20アミノ酸、あるいは約10アミノ酸、あるいは約5アミノ酸、あるいは約4、または3、または2または1アミノ酸が続き得る。
【0077】
その等価物は、CAR、またはCARをコードするポリヌクレオチドの相補体と高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに対して少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、ここで、高ストリンジェンシーの条件は、インキュベーション温度、約55℃~約68℃;緩衝剤濃度、約1×SSC~約0.1×SSC;ホルムアミド濃度、約55%~約75%;および洗浄溶液、約1×SSC、0.1×SSC、または脱イオン水を含む。
【0078】
代替的な実施形態は、LC可変領域由来の1つまたは複数のCDR(例えば、CDR1、CDR2、CDR3)を他の抗体CDR由来の適当なCDRと共に含む。およびそのそれぞれの等価物。したがって、例として、LC可変領域由来のCDR1およびCDR2を別の抗体のLC可変領域のCDR3と組み合わせることができ、一部の態様では、カルボキシ末端にさらなる50アミノ酸、あるいは約40アミノ酸、あるいは約30アミノ酸、あるいは約20アミノ酸、あるいは約10アミノ酸、あるいは約5アミノ酸、あるいは約4、または3、または2または1アミノ酸を含み得る。別の態様では、EGFR CARは、WO2016/164370に開示されているCARである。
【0079】
一態様では、抗体の「等価物」または「生物学的等価物」という用語は、ELISAまたは他の適切な方法によって測定して、抗体がそのエピトープタンパク質またはその断片に選択的に結合することができることを意味する。生物学的に等価の抗体には、これだけに限定されないが、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、ペプチド、抗体断片、抗体バリアント、抗体誘導体および抗体模倣体が含まれる。
【0080】
本開示が、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドまたは抗体に関する場合、その等価物または生物学的等価物は本開示の範囲内であることが意図されると、明示的な記載なしでおよび他に意図されなければ推測されるべきである。本明細書で使用される場合、「その生物学的等価物」という用語は、参照タンパク質、抗体、ポリペプチドまたは核酸に言及する場合に「その等価物」と同義であることが意図され、所望される構造または機能性を依然として維持しながら最小の相同性を有するものを意図する。特に本明細書に記載されなければ、本明細書において言及される任意のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質はまた、その等価物を含むことが企図される。例えば、等価物は、少なくとも約70%の相同性または同一性、または少なくとも80%の相同性または同一性、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、あるいは98%のパーセント相同性または同一性が意図されたものであり、参照タンパク質、ポリペプチドまたは核酸と実質的に等価の生物活性を示す。あるいは、ポリヌクレオチドに言及する場合、その等価物は、ストリンジェントな条件下で参照ポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドである。
【0081】
「抗体バリアント」という用語は、マウス以外の種において産生される抗体を含むことを意図する。それはまた、抗体または断片の直鎖状ポリペプチド配列に対する翻訳後修飾を含有する抗体を含む。それは、完全ヒト抗体をさらに包含する。
【0082】
「抗体誘導体」という用語は、上記に定義されているエピトープに結合し、本開示のネイティブなモノクローナル抗体の改変または誘導体である分子を包含することが意図される。誘導体は、例えば、二特異性、多特異性、ヘテロ特異性、三特異性、四特異性、多特異性抗体、ダイアボディ、キメラ、組換えおよびヒト化されたものを含むが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用される場合、「特異的結合」という用語は、抗体と抗原との間の、少なくとも10-6Mの結合親和性での接触を意味する。ある特定の態様では、抗体は、少なくとも約10-7M、および好ましくは10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12Mの親和性で結合する。
【0084】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、特定の液性または細胞性免疫の生成物、例えば抗体分子またはT細胞受容体が特異的に結合し得る化合物、組成物、または物質を指す。抗原は、任意の種類の分子であり得、これは、例えば、ハプテン、単純な中間代謝物、糖(例えば、オリゴ糖)、脂質、およびホルモン、ならびに高分子、例えば複合炭水化物(例えば、多糖)、リン脂質、およびタンパク質を含む。抗原の一般的なカテゴリーは、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物および他の寄生生物抗原、腫瘍抗原、自己免疫疾患、アレルギーおよびグラフト拒絶に関与する抗原、毒素、ならびに他の種々雑多な抗原を含むが、これらに限定されない。
【0085】
一部の実施形態では、結合部分、例えば抗体、その抗原結合性断片、またはCARの抗原は、「抗原」に続いて結合部分(例えばBCMA CAR)のフォーマット、または抗原の前の「抗」および抗原の後の結合部分(例えば抗BCMA抗体)を有するフォーマット、または結合部分に続いて「~に対する」もしくは「~に方向付けられた」および次に抗原(例えばCS1に対する抗体)のフォーマットにおいて本明細書において提供され得る。
【0086】
本明細書で使用される場合、腫瘍関連抗原(TAA)、がん抗原、腫瘍抗原、がん関連抗原、および腫瘍関連抗原という用語は、本明細書において交換可能に使用され、がんまたは腫瘍細胞の抗原物質を指す。一部の実施形態では、TAAは、一部の腫瘍またはがん細胞上に存在し、そしてまた、必要に応じてより低いレベルで、一部の正常細胞上に存在する。一部の実施形態では、TAAは、腫瘍またはがん細胞上にのみ存在し、正常細胞上に存在しない。一部の実施形態では、TAAは、Gタンパク質連結受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、B細胞成熟抗原(BCMA)、SLAMF7(CS1またはCD319)、EGFR、野生型上皮細胞増殖因子受容体(EGFRwt)、上皮細胞増殖因子受容体バリアントIII(EGFRVIII)、FLT3、CD70、メソテリン、CD123、CD19、癌胎児性抗原(CEA)、CD133、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)、ERBB2(Her2/neu)、CD22、CD30、CD171、CLL-1(CLECL1)、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、CD5、インターロイキン13受容体アルファ2(IL13Ra2)、グアニリルシクラーゼC(GUCY2C)、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、チミジンキナーゼ1(TK1)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT1)、がん/精巣(CT)、CD33、ガングリオシドG2(GD2)、GD3、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、TAG72、CD38、CD44v6、上皮細胞接着分子前駆体(EpCamまたはEPCAM)、B7H3、KIT、IL-13Ra2、IL-11Rα、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、PRSS21、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ムチン1(Muc1)、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、エフリンタイプA受容体2前駆体(EphA2)、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、タイ2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サービビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、レグマイン、HPV E6、E7、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、グリピカン3(GPC3)、FCRL5、またはIGLL1から選択される。
【0087】
本明細書で使用される場合、ウイルス抗原とは、ウイルスにおいて発現される、および/またはウイルスゲノムによってコードされる抗原を指す。非限定的な例としては、インフルエンザウイルスの赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)、ならびにCOVID-19のスパイクタンパク質、S1、S2、ヌクレオカプシドエンベロープタンパク質が挙げられる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「抗原結合性ドメイン」という用語は、抗原標的に特異的に結合することができる任意のタンパク質またはポリペプチドドメインを指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、細胞に関する「自家」という用語は、単離され、同じ対象(レシピエントまたは宿主)に再び注入される細胞を指す。「同種異系」は非自家細胞を指す。
【0090】
「キメラ抗原受容体」(CAR)という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合する能力を有する細胞外ドメイン、細胞外ドメインが由来するポリペプチドとは異なるポリペプチドに由来する膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内ドメインを含む融合したタンパク質を指す。「キメラ抗原受容体(CAR)」は、「キメラ受容体」、「Tボディ」、または「キメラ免疫受容体(CIR)」と呼ばれることがある。「抗原に結合する能力を有する細胞外ドメイン」は、ある特定の抗原に結合することができる任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。「細胞内ドメイン」または「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、シグナルを伝達して細胞において生物学的プロセスの活性化または阻害を引き起こすドメインとして機能することが公知の任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。ある特定の実施形態では、細胞内ドメインは、一次シグナル伝達ドメインに加えて1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含むか、あるいはから本質的になるか、またはさらには含んでもよい。「膜貫通ドメイン」は、細胞膜を貫通することが公知であり、細胞外およびシグナル伝達ドメインを連結するように機能することができる任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間のリンカーとして役立つ「ヒンジドメイン」を必要に応じて含んでもよい。そのようなドメインの非限定的な例は本明細書に提示され、例えば、ヒンジドメイン:IgG1重鎖ヒンジコード配列:配列番号112である。さらなる非限定的な例としては、当技術分野で公知のIgG4ヒンジ領域、IgDおよびCD8ドメインが挙げられる。さらなる例示される配列は配列表に提示され、例えば、膜貫通ドメイン:CD28膜貫通領域コード配列:配列番号113;細胞内ドメイン:4-1BB共刺激シグナル伝達領域コード配列:配列番号114;細胞内ドメイン:CD28共刺激シグナル伝達領域コード配列:配列番号115;および細胞内ドメイン:CD3ゼータシグナル伝達領域コード配列:配列番号116などである。
【0091】
各例示的なドメイン成分のさらなる実施形態は、上に開示された核酸配列によってコードされるタンパク質と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する他のタンパク質を含む。さらに、そのようなドメインの非限定的な例は本明細書に提示される。
【0092】
本明細書で使用される場合、「CD8αヒンジドメイン」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるCD8αヒンジドメイン配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。ヒト、マウス、および他の種のCD8αヒンジドメインの配列の例はPinto, R.D. et al. (2006) Vet. Immunol. Immunopathol. 110: 169-177に提示されている。CD8 αヒンジドメインに関連付けられる配列は、Pinto, R.D. et al. (2006) Vet. Immunol. Immunopathol. 110: 169-177に提示されている。そのような配列の非限定的な例としては、ヒトCD8アルファヒンジドメイン:配列番号117;マウスCD8アルファヒンジドメイン:配列番号118;およびネコCD8アルファヒンジドメイン:配列番号119が挙げられる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「CD8α膜貫通ドメイン」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるCD8α膜貫通ドメイン配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。ヒトT細胞表面糖タンパク質CD8アルファ鎖(GenBank受託番号:NP_001759.3)のアミノ酸位183~203、またはマウスT細胞表面糖タンパク質CD8アルファ鎖(GenBank受託番号:NP_001074579.1)のアミノ酸位197~217、およびラットT細胞表面糖タンパク質CD8アルファ鎖(GenBank受託番号:NP_113726.1)のアミノ酸位190~210に関連付けられる断片配列により、CD8α膜貫通ドメインの配列のさらなる例が提供される。列挙された受託番号のそれぞれに関連付けられる配列は以下の通り提示される:ヒトCD8アルファ膜貫通ドメイン:配列番号120;マウスCD8アルファ膜貫通ドメイン:配列番号121;およびラットCD8アルファ膜貫通ドメイン:配列番号122。
【0094】
本明細書で使用される場合、「CD28膜貫通ドメイン」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるCD28膜貫通ドメイン配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、少なくとも90%の配列同一性、あるいは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。GenBank受託番号:XM_006712862.2およびXM_009444056.1に関連付けられる断片配列により、CD28膜貫通ドメインのさらなる非限定的な配列の例が提供される。列挙された受託番号のそれぞれに関連付けられる配列は本明細書に提示される。
【0095】
本明細書で使用される場合、「4-1BB共刺激シグナル伝達領域」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示される4-1BB共刺激シグナル伝達領域配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。4-1BB共刺激シグナル伝達領域の非限定的な配列の例は、例えば、以下に提示される例示的な配列:4-1BB共刺激シグナル伝達領域:配列番号123など、米国特許出願公開第20130266551A1号に提示されている。
【0096】
本明細書で使用される場合、「CD28共刺激シグナル伝達領域」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるCD28共刺激シグナル伝達領域配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。CD28共刺激シグナル伝達ドメインの配列の例は、米国特許第5,686,281号;Geiger, T.L. et al., Blood 98: 2364-2371 (2001);Hombach, A. et al., J Immunol 167: 6123-6131 (2001);Maher, J. et al. Nat Biotechnol 20: 70-75 (2002);Haynes, N.M. et al., J Immunol 169: 5780-5786 (2002);Haynes, N.M. et al., Blood 100: 3155-3163 (2002)に提示されている。非限定的な例としては、以下のCD28配列:配列番号124の残基114~220、およびその等価物が挙げられる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「ICOS共刺激シグナル伝達領域」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるICOS共刺激シグナル伝達領域配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。ICOS共刺激シグナル伝達領域の非限定的な配列の例は、米国特許出願公開第2015/0017141A1号に提示されている。以下に提示される例示的なポリヌクレオチド配列:ICOS共刺激シグナル伝達領域コード配列:配列番号125。
【0098】
本明細書で使用される場合、「OX40共刺激シグナル伝達領域」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるOX40共刺激シグナル伝達領域配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、あるいは90%の配列同一性、あるいは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。OX40共刺激シグナル伝達領域の非限定的な配列の例は、米国特許出願公開第2012/20148552A1号に開示されており、以下に提示される例示的な配列:OX40共刺激シグナル伝達領域コード配列:配列番号126、およびその等価物が含まれる。
【0099】
CD27、CD40、CD40L、および/またはTLRのものなどの他の共刺激シグナル伝達領域を使用することができる。例えば、米国特許出願公開第20160340406A1号における開示を参照されたい。
【0100】
本明細書で使用される場合、「CD3ゼータシグナル伝達ドメイン」という用語は、この名称に関連付けられる特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるCD3ゼータシグナル伝達ドメイン配列と少なくとも70%、あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。CD3ゼータシグナル伝達ドメインの非限定的な配列の例は、米国特許出願公開第20130266551A1号に提示されており、例えば、配列番号3である。
【0101】
シグナルペプチドは、本明細書で使用される場合、分泌経路に入ることが運命付けられている、大多数の新たに合成されたタンパク質のN末端に存在する短いペプチド(通常16~30アミノ酸長)を指す(時には、シグナル配列、標的化シグナル、局在化シグナル、局在化配列、輸送ペプチド、リーダー配列またはリーダーペプチドと称される)。一実施形態では、シグナルペプチドは、分泌シグナルである。
【0102】
分泌シグナルは、サイトゾルから分泌経路へのタンパク質のエクスポートを可能とする分泌シグナルペプチドを意図する。タンパク質は、差次的なレベルの成功裏の分泌を示すことができ、多くの場合に、ある特定のシグナルペプチドは、特定のタンパク質とパートナーとなった場合により低いまたはより高いレベルを引き起こすことができる。真核生物において、シグナルペプチドは、真核細胞のサイトゾル中のシグナル認識粒子(SRP)により認識されるアミノ酸の疎水性ストリングである。シグナルペプチドがmRNA-リボソーム複合体から産生された後に、SRPはペプチドに結合し、タンパク質翻訳を停止させる。SRPは次に、mRNA/リボソーム複合体を粗面小胞体に輸送し、タンパク質が小胞体の内腔中に翻訳される。シグナルペプチドは次にタンパク質から切断されて、小胞体中で可溶性の、または膜にタグ付加された(膜貫通領域もまた存在する場合)、タンパク質が産生される。これらは当技術分野において公知であり、ベンダー、例えば、Oxford Geneticsから市販されている。
【0103】
本明細書で使用される場合、切断可能なリンカーとも称される切断可能なペプチドは、例えば酵素により、切断され得るペプチドを意味する。そのような切断可能なペプチドを含む1つの翻訳されたポリペプチドは、2つの最終生成物を産生することができ、したがって、1つのオープンリーディングフレームから1つより多くのポリペプチドを発現することが可能となる。切断可能なペプチドの1つの例は、自己切断性ペプチド、例えば2A自己切断性ペプチドである。2A自己切断性ペプチドは、18~22aaの長さのペプチドのクラスであり、細胞中で組換えタンパク質の切断を誘導することができる。一部の実
施形態では、2A自己切断性ペプチドは、P2A、T2A、E2A、F2AおよびBmCPV2Aから選択される。例えば、Wang Y, et al. 2A self-cleaving peptide-based multi-gene expression system in the silkworm Bombyx mori. Sci Rep. 2015;5:16273. Published Nov 5,2015を参照されたい。
【0104】
本明細書で使用される場合、「T2A」および「2Aペプチド」という用語は、交換可能に使用され、任意の2Aペプチドもしくはその断片、任意の2A様ペプチドもしくはその断片、またはコンセンサスポリペプチドモチーフD-V/I-E-X-N-P-G-P(配列番号177)(Xは、自己切断性であると一般に考えられる任意のアミノ酸を指す)を含有する相対的に短いペプチド配列(起源のウイルスに依存して20アミノ酸ほどの長さ)中に必要なアミノ酸を含む人工ペプチドを指す。
【0105】
「検出可能な標識」、「標識」、「検出可能マーカー」または「マーカー」は、交換可能に使用され、放射性同位体、蛍光色素、化学発光化合物、色素、および酵素を含むタンパク質を含むが、これらに限定されない。検出可能な標識はまた、本明細書に記載されるポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または組成物に取り付けられ得る。
【0106】
本明細書で使用される場合、「標識」または検出可能な標識という用語は、検出されるべき組成物に直接的または間接的にコンジュゲートされる直接的または間接的に検出可能な化合物または組成物、例えば、N末端ヒスチジンタグ(N-His)、磁気活性同位体、例えば、115Sn、117Snおよび119Sn、非放射活性同位体、例えば13Cおよび15N、ポリヌクレオチドまたはタンパク質、例えば抗体であって、「標識された」組成物を生成するようなものを意図する。用語はまた、挿入された配列の発現でシグナルを提供するポリヌクレオチドにコンジュゲートされる配列、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)などを含む。標識は、それ自体が検出可能であってもよく(例えば、放射性同位体標識もしくは蛍光標識)、または、酵素標識の場合、検出可能な基質化合物もしくは組成物の化学的な変更を触媒してもよい。標識は、小スケール検出のために好適であり得るか、またはハイスループットスクリーニングのためにより好適であり得る。そのため、好適な標識は、磁気活性同位体、非放射活性同位体、放射性同位体、蛍光色素、化学発光化合物、色素、および酵素を含むタンパク質を含むが、これらに限定されない。標識は単純に検出されてもよく、または定量化されてもよい。単純に検出される応答は、その存在が単に確認される応答を一般に含む一方、定量化される応答は、定量化可能な(例えば、数値的に報告可能な)値、例えば強度、極性化、および/または他の特性を有する応答を一般に含む。発光または蛍光アッセイにおいて、検出可能な応答は、結合に実際に関与するアッセイ成分と会合した発光団もしくはフルオロフォアを使用して直接的に、または別の(例えば、レポーターもしくはインジケーター)成分と会合した発光団もしくはフルオロフォアを使用して間接的に生成されてもよい。シグナルを生成する発光標識の例は、生物発光および化学発光を含むが、これらに限定されない。検出可能な発光応答は、発光シグナルにおける変化、またはその発生を一般に含む。アッセイ成分を発光的に標識するための好適な方法および発光団は当技術分野において公知であり、例えばHaugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th ed)において記載されている。発光プローブの例は、エクオリンおよびルシフェラーゼを含むが、これらに限定されない。
【0107】
本明細書で使用される場合、「イムノコンジュゲート」という用語は、第2の薬剤、例えば細胞傷害剤、検出可能な薬剤、放射活性剤、標的化剤、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、半合成抗体、または多特異性抗体と会合または連結された抗体または抗体誘導体を含む。
【0108】
好適な蛍光標識の例は、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、Malacite green、スチルベン、Lucifer Yellow、Cascade Blue(商標)、およびTexas Redを含むが、これらに限定されない。他の好適な光学色素は、Haugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research
Chemicals (6th ed.)において記載されている。
【0109】
別の態様では、蛍光標識は、細胞または組織の中またはその表面上に存在する細胞成分、例えば細胞表面マーカーへの共有結合性取付けを促すために官能化される。好適な官能基は、イソチオシアネート基、アミノ基、ハロアセチル基、マレイミド、スクシンイミジルエステル、およびハロゲン化スルホニルを含むが、これらに限定されず、これらの全ては、蛍光標識を第2の分子に取り付けるために使用され得る。蛍光標識の官能基の選択は、リンカー、薬剤、マーカー、または第2の標識化剤のいずれかへの取付けの部位に依存する。
【0110】
本明細書で使用される場合、精製標識またはマーカーは、標識がコンジュゲートされた分子または成分の精製において使用され得る標識を指し、例えばエピトープタグ(Mycタグ、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、FLAGタグを含むがこれらに限定されない)、親和性タグ(グルタチオン-Sトランスフェラーゼ(GST)、ポリヒスチジン(His)タグ、カルモジュリン結合タンパク質(CBP)、またはマルトース結合タンパク質(MBP)を含むがこれらに限定されない)、または蛍光タグである。
【0111】
本明細書で使用される場合、CD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーは、免疫細胞などの細胞上に発現され、CD122シグナル伝達経路および/またはCD132シグナル伝達経路などのIL2経路を活性化することが可能なタンパク質またはポリペプチドまたは別の部分を指す。CD122はインターロイキン2受容体サブユニットベータとしても公知であり、CD132はインターロイキン2受容体サブユニットガンマとしても公知である。インターロイキン2受容体は、T細胞性免疫応答に関与し、インターロイキン2に結合する能力に関して3つの形態で存在する。親和性が低い形態は、アルファサブユニットの単量体であり(CD25とも称される)、シグナルトランスダクションには関与しない。親和性が中間である形態はガンマ/ベータサブユニットヘテロ二量体からなり、一方、親和性が高い形態はアルファ/ベータ/ガンマサブユニットヘテロ三量体からなる。この受容体の親和性が中間である形態と親和性が高い形態はどちらも、受容体媒介性エンドサイトーシスおよびインターロイキン2からの分裂促進シグナルのトランスダクションに関与する。これらのタンパク質はまた、IL-15受容体の3つのサブユニットのうちの1つを形成し、同時に、CD132は、他のリガンド特異的受容体とパートナーを組んで、IL4、IL7、IL9、およびIL21を含めたサイトカインに応答するようにリンパ球を方向付ける。受容体が活性化されると、CD8+エフェクターT細胞の増殖が増大する。例えば、Noguch et al. Science. 262 (5141): 1877-80を参照されたい。したがって、CD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーの非限定的な例としては、IL2受容体、IL4受容体、IL7受容体、IL9受容体、IL15受容体、IL21受容体、膜結合IL2、膜結合IL4、膜結合IL7、膜結合IL9、膜結合IL15、または膜結合IL21が挙げられる。CD122、CD132、IL2受容体、IL4受容体、IL7受容体、IL9受容体、IL15受容体、またはIL21受容体の任意の膜貫通ドメインおよび細胞質基質ドメインと融合した任意の細胞外ドメインなどの他の組換えタンパク質を使用することができる。
【0112】
本明細書で使用される場合、インターロイキン(IL)とは、最初、白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))によって発現されることが分かったサイトカインを指す。免疫系の機能は、大部分がインターロイキンに依存する。大多数のインターロイキンは、ヘルパーCD4Tリンパ球によって、ならびに単球、マクロファージ、および内皮細胞を通じて合成される。これらはTリンパ球およびBリンパ球、ならびに造血細胞の発生および分化を促進する。本明細書で使用される場合、インターロイキンは、細胞から分泌される可溶性サイトカイン、および/または細胞表面上に発現される膜結合(mb)サイトカインであり得る。サイトカインの可溶性形態と膜結合形態は、例えば、サイトカインの膜貫通ドメインおよび/またはシグナルペプチドを操作することなど、当業者が変換することができる。
【0113】
インターロイキン2(IL-2)は、インターロイキンであり、免疫系におけるサイトカインシグナル伝達分子の1つの型である。IL-2は、免疫に関与する白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte)、多くの場合、リンパ球)の活性を制御する15.5~16kDaのタンパク質である。一部の実施形態では、IL-2は、ヒトIL-2である。一部の実施形態では、IL-2は、XP_517425.1のNCBI参照配列を有するチンパンジーIL-2などの他の種のものである。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC04M122451、HGNC(6001)、NCBI Entrez Gene(3558)、Ensembl(ENSG00000109471)、OMIM(登録商標)(147680)、UniProtKB/Swiss-Prot(P60568)、およびOpen Targets atform(ENSG00000109471)の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
したがって、一部の実施形態では、IL-2は、MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT(配列番号178)を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、IL-2は、配列番号178のアミノ酸(aa)21~aa153を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0115】
一部の実施形態では、IL-2は、本明細書で使用される場合、野生型IL-2またはその等価物である。一部の実施形態では、IL-2は、本明細書で使用される場合、in vitroで宿主細胞(例えば、HEK293細胞、またはCHO細胞、またはE.coli、またはPichia pastorisなど)によって産生された組換えIL-2である。例えば、Sigma-Aldrichによって販売されているヒトIL-2(SRP3085、SRP6170、I7908、I2644、H7041、またはI17002)、およびSTEMCELL(商標)Technologiesによって販売されているヒトIL-2(78036)を参照されたい。さらなる実施形態では、IL-2等価物は、野生型IL-2と著しく同様にNK細胞の増殖を刺激する、またはNK細胞の細胞傷害機能を活性化する、またはその両方である。NK細胞の増殖および細胞傷害機能を評価するためのアッセイ、例えば、ex vivo培養および細胞計数(例えば、Choi et al. J Immunother Cancer. 2019 Jul 5; 7 (1): 168を参照されたい)、51クロム放出アッセイ(例えば、Dong et al. Cancer Discov. 2019 Oct; 9 (10): 1422-1437. doi: 10.1158/2159-8290.CD-18-1259. Epub 2019 Jul 24を参照されたい)、比色定量測定に基づく細胞傷害アッセイ(例えば、Chava et al. J Vis Exp. 2020 Feb 22; (156): 10.3791/60714を参照されたい)、またはフローサイトメトリーに基づく細胞傷害アッセイ(例えば、Kim et al. Front Immunol. 2020 Aug 14; 11: 1851を参照されたい)などが当業者には利用可能である。一部の実施形態では、IL-2等価物は、野生型IL-2の断片、例えば、配列番号179のaa22~aa153などを含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。それに加えてまたはその代わりに、IL-2等価物は、例えば、N末端に追加のメチオニンが付加されている、または1つもしくは複数の以下の突然変異:必要に応じてメチオニンに突然変異した、配列番号178のaa38の位置にあるアミノ酸残基、必要に応じてセリンに突然変異した、配列番号178のaa39の位置にあるアミノ酸残基、必要に応じてアラニンもしくはリシンに突然変異した、配列番号178のaa58の位置にあるアミノ酸残基、必要に応じてリシンもしくはイソロイシンもしくはアラニンもしくはグルタミンに突然変異した、配列番号178のaa62の位置にあるアミノ酸残基、必要に応じてアスパラギンもしくはグルタミン酸もしくはアラニンもしくはアルギニンに突然変異した、配列番号178のaa65の位置にあるアミノ酸残基、必要に応じてロイシンもしくはアラニンに突然変異した、配列番号178のaa82の位置にあるアミノ酸残基、必要に応じてバリンに突然変異した、配列番号178のaa88の位置にあるアミノ酸残基、必要に応じてセリンもしくはアラニンに突然変異した、配列番号178のaa145の位置にあるアミノ酸残基、もしくはこれらの任意の組合せを有する、野生型IL-2のバリアントまたはその断片を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。非限定的な例としては、PTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFSQSIISTLT(配列番号179)からなるアルデスロイキン(Aldesleukin)、MAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT(配列番号180)からなるテセロイキン(Teceleukin)、ネオロイキン(Neoleukin)2/15(例えば、Silva et al. Nature. 2019 Jan; 565 (7738): 186-191を参照されたい)、ならびにUS9206243B2またはUS8012465B2に開示されているものが挙げられる。それに加えてまたはその代わりに、IL-2等価物は、グリコシル化、アセチル化、またはリン酸化によって修飾されたものなどのIL-2誘導体を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0116】
インターロイキン-15(IL-15)は、インターロイキン2(IL-2)と構造的に類似したサイトカインである。IL-2と同様に、IL-15は、IL-2/IL-15受容体ベータ鎖(CD122)および共通ガンマ鎖(ガンマ-C、CD132)で構成される複合体に結合し、それを通じてシグナルを伝達する。IL-15は、ウイルスによる感染後に単核食細胞(およびいくつかの他の細胞)によって分泌される。このサイトカインは、ナチュラルキラー細胞の増殖を誘導する。一部の実施形態では、IL-15は、ヒトIL-15である。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC04P141636、HGNC:5977、NCBI Entrez Gene:3600、Ensembl:ENSG00000164136、OMIM(登録商標):600554、またはUniProtKB/Swiss-Prot:P40933の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、IL-15は、ヒトIL-15アイソフォーム1である。したがって、一部の実施形態では、IL-15は、MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号181)を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、IL-15は、配列番号181のアミノ酸(aa)30~aa162を含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、IL-15は、ヒトIL-15アイソフォーム2である。したがって、一部の実施形態では、IL-15は、MVLGTIDLCSCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号182)を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、IL-15は、UniProtKB参照ID P48092を有するアカゲザルIL-15などの、他の種のものである。
【0117】
一部の実施形態では、IL-15は、本明細書で使用される場合、野生型IL-15またはその等価物である。一部の実施形態では、IL-15は、本明細書で使用される場合、in vitroで宿主細胞(例えば、HEK293細胞、またはE.coliなど)によって産生された組換えIL-15である。例えば、Sigma-Aldrichによって販売されているヒトIL-15(SRP6293、またはSRP3077)、およびSTEMCELL(商標)Technologiesによって販売されているヒトIL-15(78031)を参照されたい。さらなる実施形態では、IL-15等価物は、野生型IL-15と著しく同様にNK細胞の増殖を刺激する、またはNK細胞の細胞傷害機能を活性化する、またはその両方である。NK細胞の増殖および細胞傷害機能を評価するためのアッセイが当業者には利用可能であり、本明細書に記載されている。IL-15等価物の非限定的な例としては、US20190263877A1、US10450359B2、およびUS10537615B2に開示されているものが挙げられる。それに加えてまたはその代わりに、IL-15等価物は、グリコシル化、アセチル化、またはリン酸化によって修飾されたものなどのIL-15誘導体を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0118】
インターロイキン21(IL-21)は、本明細書ではIL-21ポリペプチドとも称され、ウイルスに感染した細胞またはがん性細胞を破壊し得るナチュラルキラー(NK)細胞および細胞傷害性T細胞を含めた免疫系の細胞に対する強力な制御効果を有するサイトカインである。このサイトカインは、その標的細胞における細胞分裂/増殖を誘導する。一部の実施形態では、IL-21は、ヒトIL-21である。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC04M122612、HGNC:6005、NCBI Entrez Gene:59067、Ensembl:ENSG00000138684、OMIM(登録商標):605384、およびUniProtKB/Swiss-Prot:Q9HBE4の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
さらなる実施形態では、IL-21等価物は、野生型IL-21と著しく同様に免疫細胞(例えば、NK細胞など)の増殖を刺激する、または生存率を持続させる、またはその両方である。細胞増殖および生存率を評価するためのアッセイ、例えば、ex vivo培養および細胞計数、または生/死細胞染色(例えば、生存細胞についてのテトラゾリウム還元アッセイ、レサズリン還元アッセイ、プロテアーゼ生存率マーカーアッセイ、ATPアッセイ、またはリアルタイムアッセイ)などが当業者には利用可能である。例えば、Choi et al. J Immunother Cancer. 2019 Jul 5; 7 (1): 168、およびRiss et al. Cell Viability Assays. 2013 May 1. In: Markossian et al., editors. Assay Guidance Manual. Bethesda (MD): Eli Lilly & Company and the National Center for Advancing Translational Sciences; 2004-(www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK144065/、2021年5月14日からアクセス可能)を参照されたい。
【0120】
CD122は、インターロイキン2の受容体であり、インターロイキン2受容体サブユニットベータとも称される。このベータサブユニットは、受容体媒介性エンドサイトーシスに関与し、IL2の分裂促進シグナルをトランスダクションする。CD122はたいていIL15RAと関連して、IL15による好中球ファゴサイトーシスの刺激に関与する。このタンパク質または基礎をなす遺伝子またはこのタンパク質を検出するために適した抗体の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC22M037125、HGNC:6009、NCBI Entrez Gene:3560、Ensembl:ENSG00000100385、OMIM(登録商標):146710、またはUniProtKB/Swiss-Prot:P14784の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
本明細書で使用される場合、参照配列中の同定された位置に「相当する」目的の配列中のアミノ酸(aa)またはヌクレオチド(nt)残基位置は、残基位置が、目的の配列と参照配列との間の配列アライメントにおいて同定された位置にアライメントされることを指す。そのような配列アライメントを行うためのClustal OmegaおよびBLASTなどの様々なプログラムが利用可能である。
【0122】
一部の実施形態では、「ベクター」という用語は、分裂していない細胞および/または緩徐に分裂している細胞に感染し、それに形質導入し、標的細胞のゲノムに組み込まれる能力を保持する組換えベクターを意図するものである。
【0123】
「プラスミド」は、染色体DNAと分離された染色体外のDNA分子であり、染色体DNAとは独立に複製することができる。これは多くの場合に環状で二本鎖である。プラスミドは微生物の集団の中で遺伝子の水平移動の機構を提供し、典型的には所与の環境状況の下で選択的な利点を提供する。プラスミドは、競合的な環境ニッチの中で天然に存在する抗生剤への耐性を提供する遺伝子を運搬するか、あるいは産生するタンパク質が同様の状況の下で毒素として作用することがある。多くのプラスミドがそのような用途のために市販で入手できる。複製すべき遺伝子は、特定の抗生剤に対して細胞を耐性にする遺伝子および多重クローニング部位(MCS、またはポリリンカー)を含むプラスミドのコピーに挿入される。MCSは、一般に使用されるいくつかの制限部位を含む短い領域であり、この位置におけるDNA断片の挿入を容易にする。プラスミドの別の主要な使用は、大量のタンパク質の作製である。この場合には、研究者は目的の遺伝子を含むプラスミドを含む細菌を増殖させる。細菌がその抗生剤耐性を付与するタンパク質を産生するのと同時に、挿入された遺伝子から大量のタンパク質を産生するように細菌を誘起することもできる。これは、遺伝子またはこれがコードするタンパク質を大量生産する安価で容易な方法である。
【0124】
「ウイルスベクター」は、in vivo、ex vivo、またはin vitroで宿主細胞中に送達すべきポリヌクレオチドを含む、組換え産生されたウイルスまたはウイルス粒子として定義される。当業者には知られているように、ウイルスには6つのクラスがある。DNAウイルスはクラスIおよびIIからなっている。RNAウイルスおよびレトロウイルスが残りのクラスを構成する。クラスIIIのウイルスは二本鎖RNAゲノムを有している。クラスIVのウイルスはポジティブな一本鎖RNAゲノムを有し、ゲノムそれ自体はmRNAとして作用する。クラスVウイルスはmRNA合成の鋳型として使用されるネガティブな一本鎖RNAゲノムを有している。クラスVIウイルスはポジティブな一本鎖RNAゲノムを有しているが、複製のみでなくmRNA合成においてもDNA中間体を有している。レトロウイルスはその遺伝情報をRNAの形で運搬するが、ウイルスが細胞に感染すれば、RNAはDNA形態に逆転写され、DNAが感染細胞のゲノムDNAの中に一体化される。一体化されたDNA形態はプロウイルスと称される。ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクター等が含まれる。アルファウイルスベクター、例えばセミリキフォレストウイルス系ベクターおよびシンドビスウイルス系ベクターも、遺伝子療法および免疫療法における使用のために開発されてきた。Schlesinger and Dubensky (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 5:434-439 およびYing, et al. (1999) Nat. Med. 5(7):823-827を参照されたい。
【0125】
いくつかの実施形態では、ベクターは野生型ウイルスから誘導されるか、これに基づいている。さらなる実施形態では、ベクターは野生型のアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはレトロウイルス、例えばガンマレトロウイルスもしくはレンチウイルスから誘導されるか、これらに基づいている。レトロウイルスの例には、制限なくモロニーネズミ白血病ウイルス(MMLV)、ネズミ幹細胞ウイルス(MSCV)、またはフレンドネズミ胚幹細胞ウイルス(FMEV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、およびネコ免疫不全ウイルス(FIV)が含まれる。ウイルスベクターは2つまたはそれより多い異なるウイルスから誘導された成分を含んでよく、合成成分を含んでもよい。ベクター成分は、標的細胞特異性等の所望の特性を得るために操作することができる。
【0126】
本開示の組換えベクターは、霊長類および非霊長類から誘導してよい。霊長類レンチウイルスの例には、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)が含まれる。非霊長類レンチウイルスの群には、プロトタイプ「スローウイルス」visna/maediウイルス(VMV)、ならびに関連するヤギ関節炎-脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)および最近記載されたネコ免疫不全ウイルス(FIV)およびウシ免疫不全ウイルス(BIV)が含まれる。先行技術の組換えレンチウイルスベクターは当技術で公知であり、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,924,123号、第7,056,699号、第7,419,829号、および第7,442,551号を参照されたい。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは自己不活化レンチウイルスベクターである。さらなる実施形態では、レンチウイルスベクターはTATAボックスを欠くU3領域を有している。さらにまたはその代わりに、レンチウイルスベクターは転写因子結合部位の1つまたは複数を欠くU3領域を有している。
【0127】
ガンマレトロウイルスおよび/またはレンチウイルス等のレトロウイルスは、(a)脂質および糖タンパク質を含むエンベロープ、(b)標的細胞に送達されるRNA(通常、LTRに隣接する、5’末端にキャップおよび3’末端にポリAテイルを含むダイマーRNA)であるベクターゲノム、(c)カプシド、および(d)プロテアーゼ等のタンパク質を含む。米国特許第6,924,123号は、ある種のレトロウイルス配列が標的細胞ゲノムへの一体化を容易にしていることを開示している。この特許は、それぞれのレトロウイルスゲノムが、ビリオンタンパク質および酵素をコードするgag、pol、およびenvと称される遺伝子を含んでいることを教示している。これらの遺伝子は両端において長いターミナルリピート(LTR)と称される領域に隣接している。LTRはプロウイルスの一体化および転写に関与している。これらは、エンハンサー-プロモーター配列としても働く。換言すれば、LTRはウイルス遺伝子の発現を制御することができる。レトロウイルスRNAのカプシド化は、ウイルスゲノムの5’末端に位置するpsi配列によって生じる。LTRそれ自体は、U3、R、およびU5と称される3つのエレメントに分割できる同一の配列である。U3はRNAの3’末端に特有の配列から誘導される。RはRNAの両末端において繰り返される配列から誘導され、U5はRNAの5’末端に特有の配列から誘導される。3つのエレメントのサイズは、異なるレトロウイルスの間でかなり変動することがある。ウイルスゲノムについては、ポリ(A)付加(終止)の部位は、右手側LTRのRとU5の境界にある。U3はプロウイルスの転写制御エレメントの大部分を含み、細胞の、またある場合にはウイルスの、転写アクチベータータンパク質に関与するプロモーターおよび多重エンハンサー配列を含む。
【0128】
構造遺伝子gag、pol、およびenvそれ自体に関しては、gagはウイルスの内部構造タンパク質をコードする。gagタンパク質はタンパク質分解によって成熟タンパク質MA(マトリックス)、CA(カプシド)、およびNC(ヌクレオカプシド)に処理される。pol遺伝子は、DNAポリメラーゼ、付随するRNアーゼH、およびインテグラーゼ(IN)を含む逆転写酵素(RT)をコードし、これらがゲノムの複製を媒介する。一部の実施形態では、これらの構造遺伝子のうちの1つまたは複数は、ベクターゲノム自体ではなく、ウイルスベクターを産生するパッケージング細胞(本明細書では宿主細胞とも称される)によって提供される。
【0129】
ウイルスベクター粒子の産生のため、ベクターRNAゲノムが、宿主細胞中で、それをコードするDNA構築物から発現される。ベクターゲノムによってコードされない粒子の成分は、宿主細胞中で発現される追加の核酸配列(通常、gag/polの一方または両方、およびenv遺伝子を含む「パッケージングシステム」)によってトランスで提供される。ウイルスベクター粒子の産生に必要な配列の組は、過渡的なトランスフェクションによって宿主細胞に導入されるか、宿主細胞ゲノムに一体化されるか、または様々な方法の組合せで提供されてよい。関連する手法は、当業者には公知である。
【0130】
ガンマレトロウイルスは、Retroviridae科の属であり、本開示において使用することができる。種の例は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスである。ガンマレトロウイルスは、直径80nmから100nmにわたる球状のエンベロープを有するビリオンである。ガンマレトロウイルスは、ヌクレオカプシド、逆転写酵素、インテグラーゼ、カプシド、プロテアーゼ、エンベロープおよび表面単位を含有する。ヌクレオカプシドは、ウイルス粒子内の核酸タンパク質アセンブリであり、ビリオンの下部構造である。逆転写酵素は、ビリオン複製サイクルの間のRNAからDNAへの転換に関与する酵素である。インテグラーゼは、逆転写酵素と共に機能してRNAをDNAに変換する。ガンマレトロウイルスのゲノムは、サイズがおよそ8.3kbの一本鎖RNA(+)ゲノムである。ガンマレトロウイルスのゲノムは、5’キャップと3’ポリA尾部を有し、2つの、5’末端および3’末端の両方における長いターミナルリピーター領域を含有する。これらの長いターミナルリピート領域は、U5領域、R領域、およびU3領域、ならびに3’末端におけるポリプリントラクトおよび5’末端におけるプライマー結合性部位を有する。典型的なガンマレトロウイルスゲノムは、gag遺伝子、pol遺伝子、およびenv遺伝子を含有し、これらは全て、遺伝子療法ベクターでは省くことができる。カプシドは、ウイルス粒子のゲノムを取り囲むタンパク質の殻であり、その主要な機能は、ゲノムを保護することおよび宿主細胞に送達することである。ウイルスエンベロープは、ウイルスカプシドを取り囲む膜であり、宿主細胞に由来する脂質二重層である。遺伝子療法のための潜在的なベクターとして、ガンマレトロウイルスには、レンチウイルスベクターとしてのHIVに勝るいくつかの利点がある。具体的には、ガンマレトロウイルスパッケージングシステムでは、gag、pol、またはアクセサリー遺伝子のコード配列とオーバラップするいかなる配列も組み入れる必要がない。例えば、Tobias Maetzig et al. Viruses. 2011 Jun; 3 (6): 677-713. Epub 2011 Jun 3を参照されたい。
【0131】
本明細書で使用される場合、シュードタイピングは、ウイルスまたはウイルスベクターを外来ウイルスエンベロープタンパク質と組み合わせて作製するプロセスである。結果としてシュードタイピングされたウイルス粒子が得られ、これは、シュードウイルスとも称される。この方法を用いると、外来ウイルスエンベロープタンパク質を使用して、宿主トロピズムを変更すること、またはウイルス粒子の安定性を増大もしくは低下させることができる。シュードタイピングされた粒子は、さらなるウイルスエンベロープタンパク質を産生するための遺伝子材料を担持せず、したがって、表現型の変化を後代ウイルス粒子に渡すことはできない。一部の場合では、ウイルスエンベロープタンパク質を産生することができないことにより、シュードウイルスが複製インコンピテントなものになる。このように、より低リスクの状況において、危険なウイルスの特性を検討することができる。シュードタイピングにより、エンベロープタンパク質の発現をコントロールすることが可能になる。頻繁に使用されるタンパク質は、LDL受容体を介した侵入を媒介する、水疱性口内炎ウイルス(VSV)由来の糖タンパク質G(VSV-G)である。シュードウイルスに組み入れられたエンベロープタンパク質により、ウイルスを、種々の細胞型に、対応する宿主受容体を用いて容易に侵入させることが可能になる。
【0132】
レトロウイルスは、特定の受容体を使用して細胞に結合し、侵入する;RD114エンベロープおよびBaEVエンベロープを両方含有するレトロウイルスは、中性アミノ酸(aa)トランスポーター(ASCT2)を使用する。RD114シュードタイプウイルスベクターは、それらの侵入受容体としてナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター(ASCT2)のみを使用し、一方、BaEVは、2つの受容体、ASCT1およびASCT2の両方を細胞への侵入のために使用する。ASCT1 mRNAおよびASCT2 mRNAは、IL-15-NK細胞およびIL-21-NK細胞のどちらにおいても、新しく単離されたNKと比較して上昇し、このことが、BaEVがNK形質導入に好ましいレトロウイルスシュードタイプである理由である可能性が高い(Colmartino et al., Front Immunol. 2019 Dec 16; 10: 2873)。本発明において、出願人は、BaEVエンベロープおよびRD114エンベロープの両方を発現し、その結果、各ビリオンに両方のエンベロープを有するウイルスをもたらし、標的細胞上の両方の受容体を利用することによって形質導入効率の上昇を容易にするレトロウイルス産生細胞株を開発した。
【0133】
本明細書に開示される通り、改変RD114ネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)および改変ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEVTR)である、ガンマレトロウイルスに対して外来である2つの組換えエンベロープタンパク質を使用する。ヒト初代リンパ球の形質導入効率は、レトロウイルスベクターを被覆するために使用されるエンベロープタンパク質の型に依存し、活性化されたNK細胞は、標的への侵入に使用されるヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV-TR)である、中性アミノ酸トランスポーターA(SLC1A4、本明細書ではASCT-1とも称される)および中性アミノ酸トランスポーターB(0)(SLC1A5、本明細書ではASCT-2とも称される)という受容体を高度に発現する。ASCT-2受容体は、細胞への侵入に使用されるネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)である。
【0134】
「侵入受容体」という用語は、本明細書で使用される場合、ウイルス、例えば、ウイルスのエンベロープ糖タンパク質に結合することにより、レトロウイルスなどのウイルスと細胞との間の膜融合を引き起こす受容体を意味する。一部の実施形態では、レトロウイルス侵入受容体、ASCT1、ASCT2およびPit1は、ヒト造血系の細胞上に発現される。さらなる実施形態では、ASCT1、ASCT2またはPit1のうちのいずれか1つまたはいずれか2つまたはいずれか3つが、活性化され、増殖したNKおよびT細胞上に発現され、それにより、対応するエンベロープ糖タンパク質を含むウイルスの形質導入効率が著しく改善される。
【0135】
アラニン/セリン/システイン/トレオニントランスポーター1(ASCT1)は、溶質運搬体ファミリー1メンバー4(SLC1A4)または中性アミノ酸トランスポーターAとも称される。一部の実施形態では、ASCT1は、ヒトASCT1である。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC02P064988、HGNC:10942、NCBI Entrez Gene:6509、Ensembl:ENSG00000115902、OMIM(登録商標):600229、またはUniProtKB/Swiss-Prot:P43007の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
2型ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター(ASCT2)は、溶質運搬体ファミリー1メンバー5(SLC1A5)または中性アミノ酸トランスポーターB(0)とも称される。ASCT2は、RD114/サルD型レトロウイルス受容体、ヒヒM7ウイルス受容体、およびRD114ウイルス受容体である。一部の実施形態では、ASCT2は、ヒトASCT2である。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC19M051483、HGNC:10943、NCBI Entrez Gene:6510、Ensembl:ENSG00000105281、OMIM(登録商標):109190、またはUniProtKB/Swiss-Prot:Q15758の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
リン酸トランスポーター1(Pit1またはPiT-1またはPiT1)は、溶質運搬体ファミリー20メンバー1(SLC20A1)、またはナトリウム依存性リン酸トランスポーター1、またはテナガザル白血病ウイルス受容体1、または白血病ウイルス受容体1ホモログとも称される。Pit1は、レトロウイルス受容体であり、ヒト細胞を、テナガザル白血病ウイルス、サル肉腫関連ウイルス、ネコ白血病ウイルスサブグループB、および10A1マウス白血病ウイルスに感染しやすくする。一部の実施形態では、Pit1は、ヒトPit1である。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC02P118061、HGNC:10946、NCBI Entrez Gene:6574、Ensembl:ENSG00000144136、OMIM(登録商標):137570、またはUniProtKB/Swiss-Prot:Q8WUM9の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
「4-1BBL」、「腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー9」、「TNFSF9」、または「4-1BBLポリペプチド」という用語は、APC(抗原提示細胞)上に見いだされ、4-1BB(CD137としても公知)に結合する2型膜貫通糖タンパク質受容体である。4-1BB/4-1BBL複合体は、活性化されたTリンパ球上に発現されるTNFR:TNFスーパーファミリーに属する。一部の実施形態では、4-1BBLは、ヒト4-1BBLである。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC19P006531、HGNC:11939、NCBI Entrez Gene:8744、Ensembl:ENSG00000125657、OMIM(登録商標):606182、またはUniProtKB/Swiss-Prot:P41273の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
CD56は、神経系細胞接着分子1(NCAM)とも称され、細胞接着タンパク質であり、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、発生および分化の間の細胞間相互作用ならびに細胞-マトリックス相互作用に関与する。CD56は、NK細胞マーカーとして使用されている。例えば、Freud et al. Immunity. 2017 Nov 21; 47 (5): 820-833を参照されたい。このタンパク質または基礎をなす遺伝子またはこのタンパク質を検出するために適した抗体の非限定的な例示的な配列は、Gene Cards ID:GC11P112961、HGNC:7656、NCBI Entrez Gene:4684、Ensembl:ENSG00000149294、OMIM(登録商標):116930、またはUniProtKB/Swiss-Prot:P13591の下に見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。ヒトでは、2つの主要なNK細胞サブセットを区別することができ、これらは、接着分子CD56の示差的な発現および低親和性Fc受容体CD16(FcγRIIIa)を特徴とする。これらは、一般に、CD56brightNK細胞およびCD56dimNK細胞と称される。CD56dimNK細胞は、末梢血において優位を占め、一方、CD56brightNK細胞は二次リンパ組織(例えば、リンパ節)およびいくつかの器官組織(例えば、肝臓、子宮、および腎臓)におけるNK細胞の大部分を構成する。
【0140】
本明細書で言及されるタンパク質または基礎をなす遺伝子またはこのタンパク質を検出するために適した抗体の非限定的な例示的な配列は、www.genecards.org/でアクセス可能なGeneCards、またはwww.uniprot.org/uniprotでアクセス可能なUniProtKBなどの公的に利用可能なデータベースにおいて見いだすことができる。
【0141】
一部の実施形態では、RD114TRは、RD114糖タンパク質の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびに両種指向性マウス白血病ウイルス(MLV-A)糖タンパク質の細胞質ドメインを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、またはさらにこれらからなる。例えば、Sandrin et al. Blood (2002) 100 (3): 823-832を参照されたい。一部のさらなる実施形態では、RD114TRは、MKLPTGMVILCSLIIVRAGFDDPRKAIALVQKQHGKPCECSGGQVSEAPPNSIQQVTCPGKTAYLMTNQKWKCRVTPKISPSGGELQNCPCNTFQDSMHSSCYTEYRQCRRINKTYYTATLLKIRSGSLNEVQILQNPNQLLQSPCRGSINQPVCWSATAPIHISDGGGPLDTKRVWTVQKRLEQIHKAMTPELQYHPLALPKVRDDLSLDARTFDILNTTFRLLQMSNFSLAQDCWLCLKLGTPTPLAIPTPSLTYSLADSLANASCQIIPPLLVQPMQFSNSSCLSSPFINDTEQIDLGAVTFTNCTSVANVSSPLCALNGSVFLCGNNMAYTYLPQNWTRLCVQASLLPDIDINPGDEPVPIPAIDHYIHRPKRAVQFIPLLAGLGITAAFTTGATGLGVSVTQYTKLSHQLISDVQVLSGTIQDLQDQVDSLAEVVLQNRRGLDLLTAEQGGICLALQEKCCFYANKSGIVRNKIRTLQEELQKRRESLATNPLWTGLQGFLPYLLPLLGPLLTLLLILTIGPCVFNRLVQFVKDRISVVQALVLTQQYHQLKPLEYEP(配列番号172)またはその等価物を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0142】
一部の実施形態では、BaEVTRは、ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV)の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびにMLV-A糖タンパク質の細胞質ドメインを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。例えば、Girard-Gagnepain, Blood (2014) 124 (8): 1221-1231を参照されたい。さらなる実施形態では、BaEVTRは、MGFTTKIIFLYNLVLVYAGFDDPRKAIELVQKRYGRPCDCSGGQVSEPPSDRVSQVTCSGKTAYLMPDQRWKCKSIPKDTSPSGPLQECPCNSYQSSVHSSCYTSYQQCRSGNKTYYTATLLKTQTGGTSDVQVLGSTNKLIQSPCNGIKGQSICWSTTAPIHVSDGGGPLDTTRIKSVQRKLEEIHKALYPELQYHPLAIPKVRDNLMVDAQTLNILNATYNLLLMSN TSLVDDCWLCLKLGPPTPLAIPNFLLSYVTRSSDNISCLIIPPLLVQPMQFSNSSCLFSPSYNSTEEIDLGHVAFSNCTSITNVTGPICAVNGSVFLCGNNMAYTYLPTNWTGLCVLATLLPDIDIIPGDEPVPIPAIDHFIYRPKRAIQFIPLLAGLGITAAFTTGATGLGVSVTQYTKLSNQLISDVQILSSTIQDLQDQVDSLAEVVLQNRRGLDLLTAEQGGICLALQEKCCFYVNKSGIVRDKIKTLQEELERRRKDLASNPLWTGLQGLLPYLLPFLGPLLTLLLLLTIGPCIFNRLVQ FVKDRISVVQALVLTQQYHQLKPLEYEP(配列番号173)またはその等価物を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0143】
一部の実施形態では、野生型MLV-Aは、MAARSTLSKPPQDKINPWKPLIVMGVLLGVGMAESPHQVFNVTWRVTNLMTGRTANATSLLGTVQDAFPKLYFDLCDLVGEEWDPSDQEPYVGYGCKYPAGRQRTRTFDFYVCPGHTVKSGCGGPGEGYCGKWGCETTGQAYWKPTSSWDLISLKRGNTPWDTGCSKVACGPCYDLSKVSNSFQGATRGGRCNPLVLEFTDAGKKANWDGPKSWGLRLYRT GTDPITMFSLTRQVLNVGPRVPIGPNPVLPDQRLPSSPIEIVPAPQPPSPLNTSYPPSTTSTPSTSPTSPSVPQPPPGTGDRLLALVKGAYQALNLTNPDKTQECWLCLVSGPPYYEGVAVVGTYTNHSTAPANCTATSQHKLTLSEVTGQGLCMGAVPKTHQALCNTTQSAGSGSYYLAAPAGTMWACSTGLTPCLSTTVLNLTTDYCVLVELWPRVIYHSPDYMYGQ LEQRTKYKREPVSLTLALLLGGLTMGGIAAGIGTGTTALIKTQQFEQLHAAIQTDLNEVEKSITNLEKSLTSLSEVVLQNRRGLDLLFLKEGGLCAALKEECCFYADHTGLVRDSMAKLRERLNQRQKLFETGQGWFEGLFNRSPWFTTLISTIMGPLIVLLLILLFGPCILNRLVQFVKDRISVVQALVLTQQYHQLKPLEYEP(配列番号174)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、野生型MLV-Aのシグナルペプチドは、MAARSTLSKPPQDKINPWKPLIVMGVLLGVGMA(配列番号174のアミノ酸(aa)1~aa33)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型MLV-Aの外部ドメインドメインは、配列番号174のaa1~aa599を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型MLV-Aの膜貫通領域は、LISTIMGPLIVLLLILLFGPCIL(配列番号174のaa600~aa622)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型MLV-Aの細胞質ドメインは、NRLVQFVKDRISVVQAL(配列番号174のaa623~aa639)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型MLV-Aの細胞質ドメインは、NRLVQFVKDRISVVQALVLTQQYHQLKPLEYEP(配列番号174のaa623~aa655)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0144】
一部の実施形態では、タンパク質について言及する場合、BaEVは、ヒヒ内因性ウイルスのエンベロープ糖タンパク質を意味する。このタンパク質の非限定的な例示的な配列は、UniProtKB-P10269またはNCBI参照配列:YP_009109691.1において見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、野生型BaEVは、MGFTTKIIFLYNLVLVYAGFDDPRKAIELVQKRYGRPCDCSGGQVSEPPSDRVSQVTCSGKTAYLMPDQRWKCKSIPKDTSPSGPLQECPCNSYQSSVHSSCYTSYQQCRSGNKTYYTATLLKTQTGGTSDVQVLGSTNKLIQSPCNGIKGQSICWSTTAPIHVSDGGGPLDTTRIKSVQRKLEEIHKALYPELQYHPLAIPKVRDNLMVDAQTLNILNATYNLLLMSN TSLVDDCWLCLKLGPPTPLAIPNFLLSYVTRSSDNISCLIIPPLLVQPMQFSNSSCLFSPSYNSTEEIDLGHVAFSNCTSITNVTGPICAVNGSVFLCGNNMAYTYLPTNWTGLCVLATLLPDIDIIPGDEPVPIPAIDHFIYRPKRAIQFIPLLAGLGITAAFTTGATGLGVSVTQYTKLSNQLISDVQILSSTIQDLQDQVDSLAEVVLQNRRGLDLLTAEQGGICLALQEKCCFYVNKSGIVRDKIKTLQEELERRRKDLASNPLWTGLQGLLPYLLPFLGPLLTLLLLLTIGPCIFNRLTAFINDKLNIIHAMVLTQQYQVLRTDEEAQD(配列番号175)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、野生型BaEVのシグナルペプチドは、MGFTTKIIFLYNLVLVYA(配列番号175のアミノ酸(aa)1~aa18)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型BaEVの外部ドメインドメインは、配列番号175のaa1~aa506を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型BaEVの膜貫通領域は、YLLPFLGPLLTLLLLLTIGPCIF(配列番号175のaa507~aa529)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型BaEVの細胞質ドメインは、NRLTAFINDKLNIIHAM(配列番号175のaa530~aa546)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型BaEVの細胞質ドメインは、NRLTAFINDKLNIIHAMVLTQQYQVLRTDEEAQD(配列番号175のaa530~aa563)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0145】
一部の実施形態では、タンパク質について言及する場合、RD114は、RD114レトロウイルスのエンベロープ糖タンパク質を意味する。このタンパク質の非限定的な例示的な配列は、GenBank:CAA61093.1、CBI参照配列:YP_001497149.1、またはGenBank:BAM17308.1において見いだすことができ、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、野生型RD114は、MKLPTGMVILCSLIIVRAGFDDPRKAIALVQKQHGKPCECSGGQVSEAPPNSIQQVTCPGKTAYLMTNQKWKCRVTPKISPSGGELQNCPCNTFQDSMHSSCYTEYRQCRRINKTYYTATLLKIRSGSLNEVQILQNPNQLLQSPCRGSINQPVCWSATAPIHISDGGGPLDTKRVWTVQKRLEQIHKAMTPELQYHPLALPKVRDDLSLDARTFDILNTTFRLLQMSNFSLAQDCWLCLKLGTPTPLAIPTPSLTYSLADSLANASCQIIPPLLVQPMQFSNSSCLSSPFINDTEQIDLGAVTFTNCTSVANVSSPLCALNGSVFLCGNNMAYTYLPQNWTRLCVQASLLPDIDINPGDEPVPIPAIDHYIHRPKRAVQFIPLLAGLGITAAFTTGATGLGVSVTQYTKLSHQLISDVQVLSGTIQDLQDQVDSLAEVVLQNRRGLDLLTAEQGGICLALQEKCCFYANKSGIVRNKIRTLQEELQKRRESLATNPLWTGLQGFLPYLLPLLGPLLTLLLILTIGPCVFSRLMAFINDRLNVVHAMVLAQQYQALKAEEEAQD(配列番号176)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、野生型RD114のシグナルペプチドは、MKLPTGMVILCSLIIVRA(配列番号176のアミノ酸(aa)1~aa18)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型RD114の外部ドメインドメインは、配列番号176のaa1~aa504を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型RD114の外部ドメインドメインは、配列番号176のaa1~aa507を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型RD114の膜貫通領域は、FLPYLLPLLGPLLTLLLILTIGPCVF(配列番号176のaa505~aa530)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型RD114の膜貫通領域は、YLLPLLGPLLTLLLILTIGPCVF(配列番号176のaa508~aa530)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型RD114の細胞質ドメインは、SRLMAFINDRLNVVHAM(配列番号176のaa531~aa547)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型RD114の細胞質ドメインは、SRLMAFINDRLNVVHAMVLAQQYQALKAEEEAQD(配列番号176のaa531~aa564)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0146】
一部の実施形態では、タンパク質について言及する場合、GALVは、テナガザル白血病ウイルスエンベロープ糖タンパク質のエンベロープ糖タンパク質を意味する。このタンパク質の非限定的な例示的な配列は、UniProtKB-P21415(ENV_GALV)において見いだすことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、野生型GALVは、MVLLPGSMLLTSNLHHLRHQMSPGSWKRLIILLSCVFGGGGTSLQNKNPHQPMTLTWQVLSQTGDVVWDTKAVQPPWTWWPTLKPDVCALAASLESWDIPGTDVSSSKRVRPPDSDYTAAYKQITWGAIGCSYPRARTRMASSTFYVCPRDGRTLSEARRCGGLESLYCKEWDCETTGTGYWLSKSSKDLITVKWDQNSEWTQKFQQCHQTGWCNPLKIDFTDKGKLSKDWITGKTWGLRFYVSGHPGVQFTIRLKITNMPAVAVGPDLVLVEQGPPRTSLALPPPLPPREAPPPSLPDSNSTALATSAQTPTVRKTIVTLNTPPPTTGDRLFDLVQGAFLTLNATNPGATESCWLCLAMGPPYYEAIASSGEVAYSTDLDRCRWGTQGKLTLTEVSGHGLCIGKVPFTHQHLCNQTLSINSSGDHQYLLPSNHSWWACSTGLTPCLSTSVFNQTRDFCIQVQLIPRIYYYPEEVLLQAYDNSHPRTKREAVSLTLAVLLGLGITAGIGTGSTALIKGPIDLQQGLTSLQIAIDADLRALQDSVSKLEDSLTSLSEVVLQNRRGLDLLFLKEGGLCAALKEECCFYIDHSGAVRDSMKKLKEKLDKRQLERQKSQNWYEGWFNNSPWFTTLLSTIAGPLLLLLLLLILGPCIINKLVQFINDRISAVKILVLRQKYQALENEGNL(配列番号183)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型GALVは、配列番号183のaa42~aa685を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、野生型GALVのシグナルペプチドは、配列番号183のaa1~aa41を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型GALVの外部ドメインドメインは、配列番号183のaa1~aa489または配列番号183のaa42~aa489を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型GALVの膜貫通領域は、配列番号183のaa490~aa670を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、野生型GALVの細胞質ドメインは、配列番号183のaa671~aa685を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0147】
本明細書で使用される場合、感染多重度(MOI)とは、感染の間に細胞当たりに添加されるウイルス粒子の数を指す。
【0148】
RetroNectin試薬は、レンチウイルス媒介性遺伝子形質導入およびレトロウイルス媒介性遺伝子形質導入の効率を増強する、組換えヒトフィブロネクチン断片(rFN-CH-296とも称される)の63kDの断片である。RetroNectin試薬は、造血細胞および他のトランスフェクトすることが困難な細胞型に関して特に重要である。形質導入の増強は、ウイルス粒子と標的細胞の共局在に起因するものと考えられる。これは、ウイルス粒子とヘパリン結合性ドメイン内の配列の直接結合および標的細胞インテグリンとrFN-CH-296内の2つの他のドメインとの相互作用によって実現される。RetroNectinは、インテグリンであるインテグリンα4β1(VLA-4)および/またはインテグリンα5β1(VLA-5)を発現する細胞に対して高度に効果的である。VLA-4発現細胞としては、T細胞、B細胞、単球、NK細胞、好酸球、骨髄単核球細胞、およびリンパ球前駆細胞が挙げられる。胸腺細胞、活性化T細胞、および肥満細胞はVLA-5を発現する。
【0149】
遺伝子導入がレンチウイルスベクターによって媒介される態様では、ベクター構築物は、レンチウイルスゲノムまたはその一部および治療用遺伝子を含むポリヌクレオチドを意味する。本明細書で使用される場合、「レンチウイルス媒介遺伝子導入」または「レンチウイルス形質導入」は同じ意味を有し、細胞中に進入し、そのゲノムを宿主細胞のゲノムに一体化するウイルスによって遺伝子または核酸配列が宿主細胞中に安定的に導入されるプロセスを意味する。ウイルスは、その正常な感染機構を介して宿主細胞中に進入することができ、または細胞に進入するために異なる宿主細胞表面受容体またはリガンドに結合するように改変することもできる。レトロウイルスはその遺伝情報をRNAの形態で有しているが、ウイルスがいったん細胞に感染すれば、RNAはDNA形態に逆転写され、これが感染した細胞のゲノムDNAの中に一体化される。一体化されたDNA形態はプロウイルスと称される。本明細書で使用される場合、レンチウイルスベクターは、ウイルスまたはウイルス様の進入機構によって外因性核酸を細胞内に導入することができるウイルス粒子を意味する。「レンチウイルスベクター」は、非分割細胞の形質導入において他のレトロウイルスベクターと比較してある種の利点を有する、当技術で周知のレトロウイルスベクターの型である。Trono D. (2002) Lentiviral vectors, New York: Spring-Verlag Berlin Heidelbergを参照されたい。
【0150】
本開示のレンチウイルスベクターは、オンコレトロウイルス(MLVを含むレトロウイルスのサブグループ)およびレンチウイルス(HIVを含むレトロウイルスのサブグループ)に基づくか、これらから誘導される。例には、ASLV、SNV、およびRSVが含まれ、これらの全てはレンチウイルスベクター粒子産生系のパッケージングおよびベクター成分に分割されている。本開示によるレンチウイルスベクター粒子は、特定のレトロウイルスの遺伝的にまたはその他に(例えばパッケージング細胞系の特定の選択によって)変更されたバージョンに基づいてよい。
【0151】
本明細書で使用される用語「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、この名称に随伴し、dependoparvovirus属、Parvoviridaeファミリーに属するウイルスのクラスのメンバーを意味する。このウイルスの多数の血清型は遺伝子送達に好適であることが知られており、公知の全ての血清型が種々の組織型由来の細胞に感染することができる。連続的に番号付けされた少なくとも11種のAAV血清型が当技術で公知である。本明細書で開示する方法において有用な非限定的で例示的な血清型には、11種の血清型、例えばAAV2、AAV8、AAV9のいずれか、またはバリアントもしくは合成の血清型、例えばAAV-DJおよびAAV PHP.Bが含まれる。AAV粒子は、3つの主要なウイルス粒子:VP1、VP2、およびVP3を含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一実施形態では、AAVは、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV PHP.B、またはAAV rh74を意味する。これらのベクターは市販で入手可能であるか、または特許もしくは技術文献に記載されている。
【0152】
本開示によるベクター粒子が特定のレトロウイルスに「基づいている」ということは、そのベクターがその特定のレトロウイルスから誘導されることを意味する。ベクター粒子のゲノムは、そのレトロウイルスに由来する成分を骨格として含む。ベクター粒子は、逆転写および一体化の系を含む、RNAゲノムと適合性のある基本的なベクター成分を含む。通常、これらは、特定のレトロウイルスから誘導されたgagおよびpolタンパク質を含むことになる。すなわち、ベクター粒子の構造成分の大多数は、通常はそのレトロウイルスに由来することになるが、これらは所望の有用な特性を提供するように遺伝子的にまたはその他に変更されていてよい。しかし、ある種の構造成分および特にenvタンパク質は、異なるウイルスに起源してもよい。ベクター宿主範囲および感染または形質導入された細胞型を、ベクター粒子産生系における様々なenv遺伝子を使用して変更し、ベクター粒子に異なる特異性を付与することができる。
【0153】
本明細書で使用される場合、細胞は原核生物または真核生物の細胞であってよい。さらなる実施形態では、細胞は免疫細胞である。
【0154】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」には、例えば骨髄で産生される造血幹細胞(HSC)から誘導されてよい白血球(ロイコサイト、例えば顆粒細胞(好中球、好酸球、および好塩基球)、単球、およびリンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびNKT細胞))、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびNKT細胞)、および骨髄から誘導される細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)が含まれる。一部の実施形態では、免疫細胞は以下:前駆細胞、胚幹細胞、胚幹細胞から誘導された細胞、胚胎芽細胞、胚胎芽細胞から誘導された細胞、幹細胞、幹細胞から誘導された細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞の1つまたは複数から誘導される。一部の実施形態では、HSCは、対象の臍帯血、対象の末梢血、または対象の骨髄から誘導される。
【0155】
「宿主細胞」は、特定の対象細胞のみでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫を意味する。ある種の改変は突然変異または環境の影響によって継続する世代において起こり得るので、そのような子孫は、事実上、親細胞と同一ではないかもしれないが、それでも本明細書で使用される用語の範囲の中に含まれる。
【0156】
「パッケージング細胞」は、異種ヌクレオチド配列の安定なまたは一過性のトランスフェクションまたは形質導入によって、ウイルスヘルパー構築物を含む核酸分子を持った宿主細胞を指し、ここで、構築物は、ウイルス粒子の産生に対してトランスでもたらすことができる、パッケージング機能、例えば、複製およびカプシド形成のために必要なタンパク質の安定なまたは一過性の発現をもたらすことが可能なものである。ウイルスヘルパー機能の発現は、構成的なものであるか、または、例えば、ヘルパー機能が誘導性プロモーターのコントロール下にある場合など、誘導性のものであり得る。
【0157】
細胞の「富化された集団」は、ある種の定義された特徴を有する実質的に均一な細胞の集団を意図している。細胞は定義された特徴において70%を超え、あるいは75%を超え、あるいは80%を超え、あるいは85%を超え、あるいは90%を超え、あるいは95%を超え、あるいは98%を超えて同一である。
【0158】
用語「増殖させる」は、細胞または細胞の集団を成長させることを意味する。用語「成長させる」も、支持培地、栄養素、増殖因子、支持細胞、または所望の数の細胞もしくは細胞型を得るために必要な任意の化学的または生物学的な化合物の存在下における細胞の増殖を意味する。
【0159】
用語「培養する」は、様々な種類の培地の上または中における細胞または生命体のin vitroの増殖を意味する。培養で増殖した細胞の子孫は親細胞と完全に同一ではないかもしれない(すなわち形態的、遺伝的、または表現型的に)ことが理解される。
【0160】
改変されていない細胞は、時には、「供給源細胞」または「供給源幹細胞」と称される。この細胞は、原核生物の細胞または真核生物の細胞であり得、これだけに限定されないが、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞、および哺乳動物細胞、例えば、ネコ科動物、イヌ科動物、ウマ科動物、マウス、ラット、サル、ウシ、ブタおよびヒトの細胞が含まれる。
【0161】
一実施形態では、「未成熟細胞」は、所望の(成体)表現型または遺伝子型を有さない細胞を指す。例えば、一実施形態では、成熟細胞は、置き換えられている細胞である。細胞の表現型または遺伝子型を「成熟細胞」のものに変化させる、変化を開始させる、または変更する物理学的、生物学的、または化学的プロセスを含む技法に未成熟細胞を供することができる。「成熟細胞」は、所望の表現型または遺伝子型を有する細胞を指す。
【0162】
本明細書で使用される場合、用語「NK細胞」はナチュラルキラー細胞としても知られており、骨髄起源で先天性の免疫系において重要な役割を果たすリンパ球の型を意味する。NK細胞は、細胞表面上の抗体および主要組織適合性複合体の非存在下であってもウイルス感染細胞、腫瘍細胞、またはその他のストレスを受けた細胞に対する迅速な免疫応答を提供する。NK細胞は、市販で入手可能な供給源から単離または取得できる。市販のNK細胞系の非限定的な例には、NK-92系(ATCC(登録商標)CRL-2407(商標))、NK-92MI系(ATCC(登録商標)CRL-2408(商標))が含まれる。さらなる例には、それだけに限らないが、NK系HANK1、KHYG-1、NKL、NK-YS、NOI-90、およびYTが含まれる。そのような市販で入手可能な細胞系の非限定的で例示的な供給源には、American Type Culture Collection、すなわちATCC(www.atcc.org/)およびGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(www.dsmz.de/)が含まれる。
【0163】
本明細書で使用される場合、細胞(例えば、NK細胞、NKT細胞、細胞傷害性T細胞、またはγδT細胞など)の効力は、例えば標的細胞の殺滅に関する細胞の細胞傷害性、および/または細胞によるIFN-γ(本明細書ではIFNγまたはIFN-ガンマとも称される)などのサイトカイン放出を含む。
【0164】
天然に存在する抗原提示細胞(APC)は、抗原を、T細胞などのある特定のリンパ球によって認識されるようにプロセシングし、提示することによって細胞の免疫応答を媒介する免疫細胞を指す。古典的なAPCとしては、樹状細胞、マクロファージ、ランゲルハンス細胞およびB細胞が挙げられる。本明細書で使用される場合、人工抗原提示細胞(aAPC)は、これらのAPCの合成バージョンであり、特定の免疫細胞(例えば、T細胞および/またはNK細胞など)刺激シグナルを種々のマクロおよびミクロ生体適合性表面および/または細胞に付着させることによって作出される。これにより、費用を潜在的に低減させることができるのと同時に、生成される、療法のための多数の機能的な病原体特異的免疫細胞をコントロールすることが可能になる。
【0165】
用語「幹細胞」は、非分化または部分的分化の状態にあり、自己更新する能力および/もしくは分化した子孫を生成する能力を有する細胞を意味する。自己更新は、増殖してより多くのそのような幹細胞を生じる一方、その発達可能性(すなわち分化全能性、多能性(pluripotent)、多能性(multipotent)、その他)を維持する幹細胞の能力として定義される。用語「体性幹細胞」は、本明細書で胎児、若年、および成年の組織を含む非胚組織から誘導された任意の幹細胞を意味するために使用される。天然の体性幹細胞は、血液、骨髄、脳、嗅上皮、皮膚、膵、骨格筋、および心筋を含む広範囲の成年組織から単離されている。天然に存在する例示的な体性幹細胞には、それだけに限らないが、間充織幹細胞(MSC)および神経系またはニューロンの幹細胞(NSC)が含まれる。一部の実施形態では、幹細胞または前駆細胞は、胚幹細胞または誘導多能性幹細胞(iPSC)であってよい。本明細書で使用される場合、「胚幹細胞」は、前胚組織(例えば胚盤胞)、胚組織、または典型的には妊娠約10~12週の前であるが必ずしもそうでなくてもよい妊娠中の任意の時期に採取された胎児組織を含む、受精後で妊娠の終了前に形成された組織から誘導される幹細胞を意味する。最も頻繁には、胚幹細胞は早期の胚または胚盤胞から誘導された多能性細胞である。胚幹細胞は、ヒト組織を含むがそれに限らない好適な組織から、または確立された胚細胞系から直接得ることができる。「胚様幹細胞」は、胚幹細胞の1つまたは複数であるが全てではない特徴を共有する細胞を意味する。
【0166】
「分化」は、専門化されていない細胞が、心細胞、肝細胞、または筋肉細胞等の専門化された細胞の特徴を獲得するプロセスを表現している。「方向付けられた分化」は、特定の細胞型への分化を誘起するための幹細胞の培養条件の操作を意味する。「脱分化した」は、細胞のリニエージの中で関わりが少ない立場に逆行する細胞を定義している。本明細書で使用される場合、用語「分化するまたは分化した」は、細胞のリニエージの中で関わりが大きい(「分化した」)立場をとる細胞を定義している。本明細書で使用される場合、「中胚葉(または外胚葉または内胚葉)リニエージに分化する細胞」は、それぞれ、特定の中胚葉リニエージ、外胚葉リニエージまたは内胚葉リニエージに委ねられる細胞を定義するものである。中胚葉リニエージに分化するまたは特定の中胚葉系細胞を生じさせる細胞の例としては、これだけに限定されないが、脂肪生成性細胞、平滑筋形成(leiomyogenic)細胞、軟骨形成細胞、心臓形成(cardiogenic)細胞、皮膚形成(dermatogenic)細胞、造血性細胞、血管形成(hemangiogenic)細胞、筋原性細胞、腎形成細胞、泌尿生殖器形成(urogenitogenic)細胞、骨形成細胞、心膜形成(pericardiogenic)細胞、または間質細胞が挙げられる。
【0167】
本明細書で使用される場合、用語「分化するまたは分化した」は、細胞のリニエージの中で関わりが大きい(「分化した」)立場をとる細胞を定義している。「脱分化した」は、細胞のリニエージの中で関わりが少ない立場に逆行する細胞を定義している。誘導多能性幹細胞は、脱分化した細胞の例である。
【0168】
一部の実施形態では、第2の細胞に由来する第1の細胞とは、第2の細胞から分化した第1の細胞を指す。それに加えてまたはその代わりに、第2の細胞に由来する第1の細胞は、第2の細胞から、操作により作製された第1の細胞を指す。
【0169】
本明細書で使用される場合、細胞の「リニエージ」は、細胞の遺伝性、すなわちその祖先および子孫を定義している。細胞のリニエージは、細胞を発達および分化の遺伝的スキームの中に置く。
【0170】
「マルチリニエージ幹細胞」または「多能性幹細胞」は、それ自体および区別できる発達リニエージに由来する少なくとも2つのさらに分化した子孫細胞を再生産する幹細胞を意味する。リニエージは、同じ胚葉(すなわち中胚葉、外胚葉、または内胚葉)由来または異なる胚葉由来であってよい。マルチリニエージ幹細胞の分化からの発生リニエージが別個の2つの後代細胞の例は、筋原細胞と脂肪生成性細胞である(どちらも中胚葉系起源であるにもかかわらず、異なる組織を生じさせる)。別の例は、神経形成細胞(外胚葉系起源)と脂肪生成性細胞(中胚葉系起源)である。
【0171】
「前駆体」または「前駆細胞」は、特定の細胞の型に分化する能力を有する細胞を意味することを意図している。前駆細胞は幹細胞であってよい。前駆細胞は幹細胞より特異的であってよい。前駆細胞は単能性または多能性であってよい。成年幹細胞と比較して、前駆細胞は細胞分化の遅い段階にあってよい。前駆細胞の例には、限定なく前駆神経細胞が含まれる。
【0172】
本明細書で使用される場合、「多能性細胞」は、少なくとも2つの区別できる(遺伝型および/もしくは表現型として)さらに分化した子孫細胞を生じることができる低分化の細胞を定義している。別の態様では、「多能性細胞」には、歴史的には1つまたは複数の幹細胞特異的遺伝子の発現を誘起することによって産生されてきた、非多能性細胞、典型的には成年体細胞から人工的に誘導された幹細胞である誘導多能性幹細胞(iPSC)が含まれる。そのような幹細胞特異的遺伝子には、それだけに限らないが、オクタマー転写因子のファミリー、すなわちOct-3/4;Sox遺伝子のファミリー、すなわちSox1、Sox2、Sox3、Sox15、およびSox18;Klf遺伝子のファミリー、すなわちKlf1、Klf2、Klf4、およびKlf5;Myc遺伝子のファミリー、すなわちc-mycおよびL-myc;Nanog遺伝子のファミリー、すなわちOCT4、NANOG、およびREX1;またはLIN28が含まれる。iPSCの例は、Takahashi et al. (2007) Cell advance online publication 20 November 2007; Takahashi & Yamanaka (2006) Cell 126:663-76; Okita et al. (2007) Nature 448:260-262; Yu et al. (2007) Science advance online publication 20 November 2007; およびNakagawa et al. (2007) Nat. Biotechnol. Advance online publication 30 November 2007に記載されている。
【0173】
「胚様体またはEB」は、培養中に形成される、その後の分化を促進する胚性幹細胞の3次元(3D)凝集体である。浮遊培養下で成長させると、EB細胞は、近位内胚葉の外層で囲まれた細胞の小さな凝集体を形成する。増殖および分化すると、EBは、流体が満たされた腔および外胚葉様細胞の内部層を有する嚢胞性胚様体に発達する。
【0174】
「誘導多能性細胞」は、成年細胞から未成熟表現型に再プログラミングされた胚様細胞を意図している。当技術において種々の方法、例えば"A simple new way to induce pluripotency: Acid." Nature, 29 January 2014 が知られており、sciencedaily.com/releases/2014/01/140129184445(2014年2月5日に最後に閲覧)、および米国特許出願公開第2010/0041054号で入手可能である。ヒトiPSCは幹細胞マーカーも発現しており、3つ全ての肺葉に特徴的な細胞を生成することができる。
【0175】
「単為発生幹細胞」は、卵の単為活性化から生じる幹細胞を意味する。単為発生幹細胞を創成する方法は当技術で公知である。例えばCibelli et al. (2002) Science 295(5556):819 およびVrana et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100(Suppl. 1)11911-6を参照されたい。
【0176】
本明細書で使用される場合、用語「多能性遺伝子またはマーカー」は、未成熟または未分化の表現型、例えばOct3/4、Sox2、Nanog、c-Myc、およびLIN-28に相関された、発現した遺伝子またはタンパク質を意図している。これらを同定する方法は当技術で公知であり、これらを同定するシステムは、例えばEMD Millipore(MILLIPLEX(登録商標)Map Kit)から市販で入手可能である。
【0177】
用語「表現型」は、集団の中の個体のサブセットにおいてのみ測定可能であり、発現される個体の形質または特徴の表現を意味する。本開示の一態様では、個体の表現型には、単一細胞、細胞の実質的に均一な集団、分化した細胞の集団、または細胞の集団からなる組織の表現型が含まれる。
【0178】
一部の実施形態では、細胞の集団は、表現型および/または遺伝型において同一の(クローナルな)または非同一の2つ以上の細胞の集合を意図している。集団は、本明細書に記載したように、精製され、高度に精製され、実質的に均一または不均一であり得る。
【0179】
用語「有効な期間(または時間)」および「有効な条件」は、薬剤または組成物が、その意図した結果、例えば所定の細胞型への細胞の分化または脱分化を達成するために必要なまたは好ましい期間またはその他の制御可能な条件(例えばin vitroの方法における温度、湿度)を意味する。
【0180】
「実質的に均一」は、細胞の約50%超、あるいは約60%超、あるいは70%超、あるいは75%超、あるいは80%超、あるいは85%超、あるいは90%超、あるいは95%超が同じまたは同様の表現型である細胞の集団を表現している。表現型は、予め選択した細胞表面マーカーまたはその他のマーカーによって決定することができる。
【0181】
本明細書で使用される場合、「枯渇」という用語は、実質的に欠くことを指す。例えば、CD3+細胞が枯渇した細胞集団は、約0.1%未満、約0.2%未満、約0.3%未満、約0.4%未満、約0.5%未満、約0.6%未満、約0.7%未満、約0.8%未満、約0.9%未満、約1.0%未満、約1.1%未満、約1.2%未満、約1.3%未満、約1.4%未満、約1.5%未満、約1.6%未満、約1.7%未満、約1.8%未満、約1.9%未満、または約2.0%未満のCD3+細胞を含む細胞集団を指す。
【0182】
用語「許容できる」、「有効な」、または「十分な」は、本明細書で開示する任意の成分、範囲、用量形態、その他の選択を表現するために使用される場合には、前記成分、範囲、用量形態、その他が開示した目的に適していることを意図している。
【0183】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置」等は、所望の薬学的および/または生理学的な効果を得ることを意味するために本明細書で使用される。一部の実施形態では、効果は、障害またはその兆候もしくは症状を完全にまたは部分的に防止するという観点で予防的であってよく、および/または障害および/もしくは障害に起因する有害効果の部分的または完全な治癒の観点で治療的であってよい。「処置」の例には、それだけに限らないが、障害に罹患する傾向があるが障害を有するとは診断されていない対象において障害が生じることを防止すること、障害を阻止すること、すなわちその進行を阻むこと、および/または障害の症状を緩和もしくは改善することが含まれる。一態様では、処置は、疾患または障害、例えばがんの症状の進行を阻止することである。一部の実施形態では、処置は、(1)罹患する傾向があるか疾患の症状を呈していない対象において症状または疾患が生じることを防止すること;(2)疾患を阻止するかその進行を阻むこと;または(3)疾患または疾患の症状を改善するか寛解を惹起することを意味する。当技術で理解されるように、「処置」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。本技術の目的のため、有益なまたは所望の結果には、検出可能であっても検出可能でなくても、1つまたは複数の症状の緩和または改善、状態(疾患を含む)の程度の消失、状態(疾患を含む)の状況の安定化(すなわち悪化しないこと)、状態(疾患を含む)の遅延または遅くすること、状態(疾患を含む)の進行、改善、または軽減、状況および寛解(部分的であっても全体的であっても)の1つまたは複数を含み得るが、これらに限らない。疾患ががんである場合には、以下の臨床的エンドポイントが、処置の非限定的な例である:腫瘍負荷の低減、腫瘍成長の遅延、全生存期間の延長、腫瘍進行の長期化、転移の阻止、または腫瘍の転移の低減。一態様では、処置は予防を除外する。一態様では、処置は予防を除外する。
【0184】
本明細書で使用される場合、治療用タンパク質またはポリペプチドとは、これだけに限定されないが、抗体もしくはその断片、酵素、リガンドまたは受容体を含めた、処置に適するタンパク質および/またはポリペプチドを指す。そのような治療用のタンパク質またはポリペプチドは、処置すべき疾患に基づいて医師または当業者によって選択され得る。例えば、がんを処置するためには、免疫チェックポイント受容体またはそのリガンドに対する抗体、例えば抗PD-1抗体および/または抗PD-L1抗体を使用してよい。
【0185】
一実施形態では、本明細書で使用される用語「疾患」または「障害」は、がん、がんを有すると診断される状態、がんを有すると疑われる状態、またはがんを有する高いリスクにある状態を意味する。
【0186】
本明細書で使用される場合、「がん」は、対象における異常な制御できない複製を示す細胞の存在によって特徴付けられる疾患状態であり、一部の態様では、この用語は用語「腫瘍」と相互交換可能に使用してよい。用語「がんまたは腫瘍の抗原」は、がん細胞または腫瘍の細胞もしくは組織に付随し、その表面に発現されることが知られている抗原を意味し、用語「がんまたは腫瘍を標的とする抗体」は、そのような抗原を標的とする抗体を意味する。
【0187】
「固形腫瘍」は、通常は嚢胞または液体区域を含まない組織の異常な密集体である。固形腫瘍は良性または悪性、転移性または非転移性であることがある。様々な型の固形腫瘍が、これを形成する細胞の型について命名されている。固形腫瘍の例には、肉腫、癌腫、およびリンパ腫が含まれる。
【0188】
「組成物」は、活性薬剤と不活性(例えば検出可能な薬剤または標識)または活性な別の化合物または組成物、例えばアジュバント、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバント、その他の組合せを意味し、薬学的に許容される担体を含むことを意図している。
【0189】
担体にも、医薬用の賦形剤および添加剤タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、および炭水化物(例えば単糖、二オリゴ糖、三オリゴ糖、四オリゴ糖、およびオリゴ糖を含む糖類;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖類等の誘導糖類;ならびに多糖または糖ポリマー類)が含まれ、これらは、個別にまたは組合せで存在し、単独でまたは組合せで重量もしくは体積の1~99.99%を構成してよい。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)等の血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン等が含まれる。緩衝容量においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体成分には、アラニン、アルギニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム等が含まれる。炭水化物賦形剤も本技術の範囲内であることを意図しており、その例には、それだけに限らないが、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース等の単糖;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース等の二糖;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン等の多糖;ならびにマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、およびミオイノシトール等のアルジトールが含まれる。
【0190】
「医薬組成物」は、活性なポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体と、組成物をin vitro、in vivo、またはex vivoにおける診断または治療の用途に好適にする、固体支持体等の不活性または活性の担体との組合せを含むことを意図している。
【0191】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、標準的な医薬用担体のいずれか、例えばリン酸塩緩衝食塩溶液、水、およびエマルション、例えば油/水もしくは水/油エマルション、および種々の型の湿潤剤を包含する。組成物は、安定剤および保存剤を含んでもよい。担体、安定剤、およびアジュバントの例については、Martin (1975) Remington’s Pharm. Sci., 15th Ed. (Mack Publ. Co., Easton)を参照されたい。用語「薬学的に許容される担体(または媒体)」は、用語「生物学的に適合する担体または媒体」と相互交換可能に使用されてよく、治療用に投与される細胞およびその他の薬剤と適合するのみでなく、妥当な医学的判断の範囲内で過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の合併症がなく、適正な利益/リスク比に相応する、人類および動物の組織と接触する用途に適した、薬剤、細胞、化合物、材料、組成物、および/または投薬形態を意味する。本開示における使用のために好適な薬学的に許容される担体には、液体、半固体(例えばゲル)、および固体の材料(例えば細胞のスカフォールドおよびマトリックス、チューブ、シートおよびその他の当技術で公知で本明細書でより詳細に記載した材料)が含まれる。これらの半固体および固体の材料は、体内での分解に抵抗する(非生分解性)ように設計してよく、または体内で分解する(生分解性、生浸食性)ように設計してもよい。生分解性材料はさらに生体再吸収性または生体吸収性であってよく、すなわち体液に溶解され吸収されてもよく(水溶性インプラントが1つの例である)、または他の材料への変換もしくは天然の経路を通る分解および排除によって分解され、最終的には身体から排除されてもよい。
【0192】
「薬学的に許容される担体」は、本明細書で開示する組成物中で使用され得る任意の希釈剤、賦形剤、または担体を意味する。薬学的に許容される担体には、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、プロタミン硫酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩等の塩または電解質、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス類、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が含まれる。好適な医薬用担体は、この分野における標準的な参照教科書であるRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyに記載されている。これらは、意図した投与の形態、すなわち経口錠剤、カプセル、エリキシル、シロップ等に関連し、従来の医薬業務と合致するように選択されてよい。
【0193】
本開示に従って使用される組成物は、投与を容易にし、投薬量を均一にするために、投薬単位形態で包装することができる。用語「単位用量」または「投薬量」は、対象における使用のために好適な物理的に離散的な単位を意味し、各単位はその投与、すなわち適切な経路およびレジメンに付随する所望の応答を産生するように計算された所定の量の組成物を含む。投与すべき量は処置の数および単位用量の両方に従い、望ましい結果および/または保護に依存する。組成物の正確な量は臨床医の判断にもより、それぞれの個体に特有である。用量に影響する因子には、対象の身体的および臨床的な状態、投与の経路、意図した処置の目標(症状の緩和と治癒)、ならびに特定の組成物の能力、安定性、および毒性が含まれる。製剤化に際しては、溶液は、投薬製剤と適合する様式で、治療的または予防的に有効な量で、投与される。製剤は、種々の投薬形態、例えば本明細書に記載した注射可能な溶液の型で容易に投与される。
【0194】
本明細書で使用される場合、用語「接触させる」は、2つまたはそれより多い分子の間の直接的または間接的な結合または相互作用を意味する。直接的相互作用の特定の例は結合である。間接的な相互作用の特定の例は、1つの実体が中間の分子に作用し、これが次に第2の参照した実体に作用する場合である。本明細書で使用される接触は、溶液中、固相中、in vitro、ex vivo、細胞中、およびin vivoを含む。in vivoにおける接触は、投与すること、または投与と称することができる。
【0195】
細胞もしくはベクターまたはその他の薬剤およびこれらを含む組成物の「投与」または「送達」は、処置の経過を通して連続的または間欠的に、1つの用量で実施することができる。最も効果的な投与の手段および投薬量を決定する方法は当業者には公知であり、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞、および処置される対象に応じて変動することになる。単回投与または複数回投与は、処置を施す医師または動物の場合には処置を施す獣医によって選択される用量レベルおよびパターンで行うことができる。好適な投薬製剤および薬剤を投与する方法は、当技術で公知である。投与経路を決定することもでき、最も有効な投与経路を決定する方法は当業者には公知であり、処置に使用される組成物、処置の目的、処置される対象の健康状態または疾患のステージ、および標的の細胞または組織によって変動することになる。投与経路の非限定的な例には、経口投与、腹腔内、注入、経鼻投与、吸入、注射、および局所的適用が含まれる。
【0196】
用語「投与」は、限定なく経口、非経口(例えば筋肉内、腹腔内、静脈内、脳室内(ICV)、髄腔内、嚢内の注射または注入、皮下注射、またはインプラント)、吸入スプレイ経鼻、経膣、経直腸、経舌下腺、経尿道(例えば尿道坐剤)による投与または局所投与経路(例えばゲル、軟膏、クリーム、エアロゾル等)を含み、単独で、または従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、および各投与経路に適したビヒクルを含む好適な投薬単位製剤で、製剤化することができる。本開示は、投与経路、製剤、または投薬スケジュールによって限定されない。
【0197】
「投与」は、処置の経過を通して連続的または間欠的に、1つの用量で実施することができる。最も効果的な投与の手段および投薬量を決定する方法は当業者には公知であり、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞、および処置される対象に応じて変動することになる。単回投与または複数回投与は、処置を施す医師によって選択される用量レベルおよびパターンで行うことができる。好適な投薬製剤および薬剤を投与する方法は、当技術で公知である。投与経路を決定することもでき、最も有効な投与経路を決定する方法は当業者には公知であり、処置に使用される組成物、処置の目的、処置される対象の健康状態または疾患のステージ、および標的の細胞または組織によって変動することになる。
【0198】
本開示の薬剤は、任意の好適な投与経路による治療のために投与することができる。最適な経路はレシピエントの状態および年齢、ならびに処置される疾患によって変動することも認識されよう。
【0199】
「対象」、「個体」、または「患者」は本明細書で相互交換可能に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。哺乳動物には、それだけに限らないが、ネズミ、ラット、ウサギ、サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、家畜、運動動物、ペット、ウマ、および霊長類、特にヒトが含まれる。ヒトの処置に有用である他に、本開示は哺乳動物、げっ歯類を含むコンパニオン哺乳動物、外来動物、および家畜化された動物の獣医処置にも有用である。一実施形態では、哺乳動物はウマ、イヌ、およびネコを含む。本開示の別の実施形態では、ヒトは胎児、小児、思春期前の対象、青年、小児患者、または成人である。一態様では、対象は発症前の哺乳動物またはヒトである。別の態様では、対象は疾患の最小限の臨床症状を有している。対象は男性または女性、成人、新生児、または小児対象であってよい。さらなる態様では、対象は成人である。一部の例では、成人は成人のヒト、例えば年齢18歳を超える成人のヒトである。
【0200】
「罹患している」という用語は、「処置」という用語に関連する場合、患者または個体が症候群、がんまたはウイルス感染の診断を受けているまたはその素因があることを指す。患者はまた、1つまたは複数の遺伝子突然変異を有することが原因で疾患に「罹患するリスクがある」とも称され得る。この患者には、まだ特徴的な疾患病理が発生していない。
【0201】
「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な量である。有効量は、1回もしくは複数回の投与、適用、または投薬量で投与することができる。そのような送達は、個別の投薬単位が使用される期間、治療剤の生体利用効率、投与経路等を含むいくつかの変数に依存する。しかし、いずれかの特定の対象に対する本開示の治療剤の特定の用量レベルは、採用した特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、一般的健康状態、性別、および食事、投与の時期、排泄速度、薬物の組合せ、および処置される特定の障害の重症度、および投与の形態を含む種々の因子に依存することが理解される。処置投薬量は、一般に安全性および有効性を最適化するために増減してよい。一般には、in vitroおよび/またはin vivo試験から得られた投薬量と効果の関連性により、患者への投与のための適当な用量に関する有用な指針が最初に提供され得る。一般に、in vitroにおいて効果的であることが見いだされた濃度と釣り合う血清レベルを実現するために効果的な量の化合物を投与することが望まれる。これらのパラメータの決定は、当技術分野の技術の範囲内に十分に入る。これらの考察、ならびに効果的な製剤および投与手順は当技術分野で周知であり、標準の教本に記載されている。
【0202】
薬物または薬剤の「治療有効量」とは、受動免疫などの薬理学的反応を得るために十分な量である、薬物または薬剤の量を指す;あるいは、特定の障害または疾患を有する患者に投与した場合に、意図された効果、例えば、患者における特定の障害または疾患の1つまたは複数の兆候の処置、軽減、好転、緩和または除去を有するために十分である薬物または薬剤の量である。治療効果は、必ずしも1回用量の投与によって生じず、一連の用量を投与して初めて生じる可能性がある。したがって、治療有効量は、1回または複数回の投与で投与される場合がある。
【0203】
「別の療法」は、本明細書で使用される場合、それだけに限らないが、外科的切除、化学療法、凍結療法、放射線療法、免疫療法、および標的療法を含む。細胞増殖を低減するように作用する薬剤は当技術で公知であり、広く使用されている。がん細胞が分裂している場合にのみがん細胞を殺滅する化学療法薬物は、細胞サイクル特異的と称される。これらの薬物には、トポイソメラーゼ阻害剤および代謝拮抗剤を含む、S相で作用する薬剤が含まれる。
【0204】
トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(トポイソメラーゼIおよびII)の作用に干渉する薬物である。化学処置のプロセスの間、トポイソメラーゼ酵素は複製のために必要なDNAの構造の操作を制御し、したがって細胞サイクル特異的である。トポイソメラーゼI阻害剤の例には、上で列挙したカンプトテカンアナログ、イリノテカン、およびトポテカンが含まれる。トポイソメラーゼII阻害剤の例には、アムサクリン、エトポシド、エトポシドホスフェート、およびテニポシドが含まれる。
【0205】
代謝拮抗剤は通常、正常な代謝基質のアナログであり、染色体の複製に関与するプロセスに干渉することが多い。これらは、サイクルの極めて特異的な相で細胞を攻撃する。代謝拮抗剤には、葉酸アンタゴニスト、例えばメトトレキサート;ピリミジンアンタゴニスト、例えば5-フルオロウラシル、フォクスウリジン、シタラビン、カペシタビン、およびゲムシタビン;プリンアンタゴニスト、例えば6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン;アデノシンデアミナーゼ阻害剤、例えばクラドリビン、フルダラビン、ネララビン、およびペントスタチン;その他が含まれる。
【0206】
植物アルカロイドは、ある種の植物から誘導される。ビンカアルカロイドは、ニチニチソウ(Catharanthus rosea)から作られる。タキサン類はタイヘイヨウイチイ(taxus)の樹皮から作られる。ビンカアルカロイドおよびタキサン類は抗微小管剤としても知られている。ポドフィロトキシンはポドフィルム植物から誘導される。カンプトテカンアナログはアジアの「ハッピーツリー」(Camptotheca acuminata)から誘導される。ポドフィロトキシンおよびカンプトテカンアナログは、トポイソメラーゼ阻害剤としても分類されている。植物アルカロイドは一般に細胞サイクル特異的である。
【0207】
これらの薬剤の例には、ビンカアルカロイド類、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビン;タキサン類、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル;ポドフィロトキシン類、例えばエトポシドおよびテニソピド;ならびにカンプトテカンアナログ、例えばイリノテカンおよびトポテカンが含まれる。
【0208】
凍結療法には、それだけに限らないが、温度の低下が関与する療法、例えば低体温療法が含まれる。
【0209】
放射線療法には、それだけに限らないが、当技術で知られているように、放射線、例えばイオン化放射線、UV放射線への曝露が含まれる。例示的な投与量には、それだけに限らないが、少なくとも約2Gy~約10Gyを超えない範囲のイオン化放射線の用量、および/または少なくとも約5J/m2~約50J/m2を超えない範囲、通常約10J/m2の紫外放射線の用量が含まれる。
【0210】
語句「第1線」または「第2線」または「第3線」は、患者が受ける処置の順を意味する。第1線療法レジメンは最初に与えられる処置であり、第2線または第3線の療法は、それぞれ第1線療法の後または第2線療法の後で与えられる。National Cancer Instituteは、第1線療法を「疾患または状態に対する最初の処置」と定義している。がんを有する患者においては、第1次の処置は手術、化学療法、放射線療法、またはこれらの療法の組合せであってよい。第1線療法は、当業者には「第1次の療法および第1次の処置」とも称される。2008年5月1日に最後に閲覧したNational Cancer Instituteのウェブサイトwww.cancer.govを参照されたい。典型的には、患者が第1線療法に対して肯定的な臨床的または準臨床的な応答を示さなかった、または第1線療法が中止されたために、患者には引き続く化学療法レジメンが与えられる。
【0211】
本開示を実施するための様式
本明細書に開示される組成物および/または方法のいくつかの有利な点が観察され、図ならびに実験方法に例示されている。これらの利点としては、これだけに限定されないが、NK細胞などの免疫細胞への遺伝子送達が効率的であること、送達された遺伝子が安定であること、細胞の拡大が上首尾であること、および形質導入された細胞の生存率が高いこと、したがって、形質導入された免疫細胞(例えば、CARを発現する免疫細胞など)の開発および製造が容易になり、改善されることが挙げられる。
【0212】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって調製された細胞集団のうちの少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の細胞が、CARおよび/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドを発現する。様々な方法、例えば、CARおよび/または治療用タンパク質もしくはポリペプチドを特異的に認識し、これに結合する抗体またはその抗原結合性断片を利用する蛍光活性化細胞選別(FACS)または別の免疫染色法などを使用して、そのような発現を評定することができる。
【0213】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって調製された細胞集団は、例えば、細胞培養物中で、CARおよび/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドを、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、少なくとも約20日間、少なくとも約21日間、少なくとも約22日間、少なくとも約23日間、少なくとも約24日間、少なくとも約25日間、少なくとも約26日間、少なくとも約27日間、少なくとも約28日間、少なくとも約29日間、少なくとも約30日間、少なくとも約1カ月、少なくとも約40日間、少なくとも約50日間、少なくとも約60日間、少なくとも約70日間、少なくとも約80日間、少なくとも約90日間、少なくとも約100日間、少なくとも約120日間、少なくとも約150日間、少なくとも約180日間またはより長くにわたって発現する。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって調製された細胞集団のうち少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の細胞が、例えば、細胞培養物中で、CARおよび/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドを少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、少なくとも約20日間、少なくとも約21日間、少なくとも約22日間、少なくとも約23日間、少なくとも約24日間、少なくとも約25日間、少なくとも約26日間、少なくとも約27日間、少なくとも約28日間、少なくとも約29日間、少なくとも約30日間、少なくとも約1カ月、少なくとも約40日間、少なくとも約50日間、少なくとも約60日間、少なくとも約70日間、少なくとも約80日間、少なくとも約90日間、少なくとも約100日間、少なくとも約120日間、少なくとも約150日間、少なくとも約180日間またはより長くにわたって発現する。
【0214】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法により、1×10個の細胞から、1×10個よりも多くの細胞、2×10個よりも多くの細胞、3×10個よりも多くの細胞、4×10個よりも多くの細胞、5×10個よりも多くの細胞、6×10個よりも多くの細胞、7×10個よりも多くの細胞、8×10個よりも多くの細胞、9×10個よりも多くの細胞、1×1010個よりも多くの細胞、2×1010個よりも多くの細胞、3×1010個よりも多くの細胞、4×1010個よりも多くの細胞、5×1010個よりも多くの細胞、6×1010個よりも多くの細胞、7×1010個よりも多くの細胞、8×1010個よりも多くの細胞、9×1010個よりも多くの細胞、1×1011個よりも多くの細胞、2×1011個よりも多くの細胞、3×1011個よりも多くの細胞、4×1011個よりも多くの細胞、5×1011個よりも多くの細胞、6×1011個よりも多くの細胞、7×1011個よりも多くの細胞、8×1011個よりも多くの細胞、9×1011個よりも多くの細胞、1×1012個よりも多くの細胞、2×1012個よりも多くの細胞、3×1012個よりも多くの細胞、4×1012個よりも多くの細胞、5×1012個よりも多くの細胞、6×1012個よりも多くの細胞、7×1012個よりも多くの細胞、8×1012個よりも多くの細胞、9×1012個よりも多くの細胞、または1×1013個よりも多くの細胞が生成される、またはこれに相当する。それに加えてまたはその代わりに、本明細書に開示される方法により、1×10個の細胞から、最大5×1010個の細胞、最大6×1010個の細胞、最大7×1010個の細胞、最大8×1010個の細胞、最大9×1010個の細胞、最大1×1011個の細胞、最大2×1011個の細胞、最大3×1011個の細胞、最大4×1011個の細胞、最大5×1011個の細胞、最大6×1011個の細胞、最大7×1011個の細胞、最大8×1011個の細胞、最大9×1011個の細胞、最大1×1012個の細胞、最大2×1012個の細胞、最大3×1012個の細胞、最大4×1012個の細胞、最大5×1012個の細胞、最大6×1012個の細胞、最大7×1012個の細胞、最大8×1012個の細胞、最大9×1012個の細胞、または最大1×1013個の細胞が生成される、またはこれに相当する。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法により、1×10個の細胞から、約5×1010個の細胞、約6×1010個の細胞、約7×1010個の細胞、約8×1010個の細胞、約9×1010個の細胞、約1×1011個の細胞、約2×1011個の細胞、約3×1011個の細胞、約4×1011個の細胞、約5×1011個の細胞、または約6×1011個の細胞が生成される、またはこれに相当する。当業者は、このような相当する状況を、生成される細胞数と最初の細胞数の両方を同じ正の数で割るまたは生成される細胞数と最初の細胞数の両方に同じ正の数を掛けることによって算出することができる。
【0215】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞集団の生存率は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%であり得る。例えば、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイまたはAPT測定アッセイなど、細胞生存率を試験する多数の方法が利用可能である。
【0216】
シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子
一態様では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が提供される。一部の実施形態では、ガンマレトロウイルス粒子は、改変RD114ネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。それに加えてまたはその代わりに、ガンマレトロウイルス粒子は、改変ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEVTR)を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、RD114TR糖タンパク質は、RD114糖タンパク質の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびに両種指向性マウス白血病ウイルス(MLV-A)糖タンパク質の細胞質ドメインを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。さらなる実施形態では、BaEVTR糖タンパク質は、ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV)の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびにMLV-A糖タンパク質の細胞質ドメインを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、RD114TRおよびBaEVTRは、粒子のエンベロープに膜タンパク質として組み込まれている。
【0217】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、エンベロープに封入されたベクターゲノムをさらに含む。さらなる実施形態では、ベクターゲノムは、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれた、以下:(A)キメラ抗原受容体(CAR)および/もしくは別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;(B)(A)のリバース相補体;または(C)1つもしくは複数の認識部位を含むポリヌクレオチドのうちの1つまたは複数を含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、治療用タンパク質またはポリペプチドは、抗体もしくはその断片、酵素、リガンドまたは受容体から選択される。一部の実施形態では、認識部位は、(A)および(B)のいずれかまたは両方などの目的の配列をポリヌクレオチドに挿入するための適切な制限酵素によって認識され、切断される。
【0218】
一部の実施形態では、ベクターゲノムは、以下:5’LTR、5’キャップ、3’ポリA尾部、および3’LTRのうちの1つまたは複数をさらに含む。
【0219】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、逆転写酵素またはインテグラーゼのいずれかまたは両方をさらに含む。
【0220】
一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、以下の種:モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)、またはネコ白血病ウイルスのうちのいずれか1つに基づくか、これらに由来するか、これらから選択される。
【0221】
人工抗原提示細胞(aAPC)
別の態様では、人工抗原提示細胞(aAPC)が本明細書に提示される。一部の実施形態では、aAPCは、本明細書に開示される腫瘍関連抗原(TAA)またはウイルス抗原またはその両方のうちの1つまたは複数を発現する。さらなる実施形態では、aAPCは、以下:4-1BBL、膜結合(mb)IL-15、mb IL-21、CD64、CD80、CD83、CD86、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、MICA、CD 40L、CD137L、mb IL-2、mb IL-18、mb IL-12、CD25結合性を欠くmb IL-2変異体、mb IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc)ALT-803、またはCD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数を発現する。一実施形態では、aAPCは、mb IL-21および4-1BBLをさらに発現する。一部の実施形態では、本明細書に開示されるaAPCは、NK細胞またはγδT細胞などの免疫細胞の成長を活性化および/または刺激する腫瘍関連抗原(TAA)および/またはウイルス抗原を発現する。
【0222】
一部の実施形態では、aAPCは、操作されたK562細胞である。
【0223】
一部の実施形態では、aAPCは、細胞増殖を欠く、および/または長期生存を欠く。細胞増殖および長期生存は、当業者が、例えば、培養および生細胞の計数によって評価することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるaAPCは、約5日間より長く、約7日間より長く、約10日間より長く、約14日間より長く、約15日間より長く、約21日間より長くまたは約30日間より長くは実質的に生存しない。
【0224】
一部の実施形態では、aAPCを、細胞増殖を阻害し、かつ/または長期生存を低減させるために照射処理する。さらなる実施形態では、aAPCを、50Gyまたはこれよりも高い線量、60Gyまたはこれよりも高い線量、70Gyまたはこれよりも高い線量、75Gyまたはこれよりも高い線量、80Gyまたはこれよりも高い線量、90Gyまたはこれよりも高い線量、100Gyまたはこれよりも高い線量、110Gyまたはこれよりも高い線量、120Gyまたはこれよりも高い線量、130Gyまたはこれよりも高い線量、140Gyまたはこれよりも高い線量、150Gyまたはこれよりも高い線量、160Gyまたはこれよりも高い線量、170Gyまたはこれよりも高い線量、180Gyまたはこれよりも高い線量、190Gyまたはこれよりも高い線量、200Gyまたはこれよりも高い線量、210Gyまたはこれよりも高い線量、220Gyまたはこれよりも高い線量、230Gyまたはこれよりも高い線量、240Gyまたはこれよりも高い線量、250Gyまたはこれよりも高い線量、および/または300Gyまたはこれよりも高い線量で照射処理する。それに加えてまたはその代わりに、aAPCを、1000Gyまたはこれよりも低い線量、900Gyまたはこれよりも低い線量、800Gyまたはこれよりも低い線量、700Gyまたはこれよりも低い線量、600Gyまたはこれよりも低い線量、500Gyまたはこれよりも低い線量、400Gyまたはこれよりも低い線量、350Gyまたはこれよりも低い線量、300Gyまたはこれよりも低い線量、250Gyまたはこれよりも低い線量、240Gyまたはこれよりも低い線量、230Gyまたはこれよりも低い線量、220Gyまたはこれよりも低い線量、210Gyまたはこれよりも低い線量、200Gyまたはこれよりも低い線量、190Gyまたはこれよりも低い線量、180Gyまたはこれよりも低い線量、170Gyまたはこれよりも低い線量、160Gyまたはこれよりも低い線量、150Gyまたはこれよりも低い線量、140Gyまたはこれよりも低い線量、130Gyまたはこれよりも低い線量、120Gyまたはこれよりも低い線量、110Gyまたはこれよりも低い線量、100Gyまたはこれよりも低い線量、90Gyまたはこれよりも低い線量、80Gyまたはこれよりも低い線量、70Gyまたはこれよりも低い線量、または60Gyまたはこれよりも低い線量で照射処理する。一部の実施形態では、aAPCを、これだけに限定されないが、約50Gy~約100Gy、約50Gy~約150Gy、約50Gy~約200Gy、約50Gy~約250Gy、約100Gy~約150Gy、約100Gy~約200Gy、約100Gy~約150Gy、約150Gy~約200Gy、約150Gy~約250Gy、約200Gy~約250Gyを含めた、約50Gy~約300Gyで照射処理する。さらなる実施形態では、aAPCを、約50Gy、約100Gy、約150Gyまたは約200Gyで照射処理する。一部の実施形態では、照射処理は、aAPCを免疫細胞(例えば、NK細胞、NKT細胞および/もしくはγδT細胞のうちの1つもしくは複数など)またはその細胞集団と一緒に培養する前に実施される。
【0225】
NKの感染および拡大
さらなる態様では、ナチュラルキラー(NK)細胞の集団を調製するための方法が提示される。方法は、以下:NK細胞、NK細胞の誘導が可能な前駆細胞、またはNK細胞の誘導が可能な幹細胞のうちの1つまたは複数を含む細胞集団を、免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップを含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、細胞集団は、細胞集団中のCD3、CD4、CD8、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものである。
【0226】
本明細書のいずれかの開示に関する一部の実施形態では、免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)は、以下:必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/または刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)および/またはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC);NK細胞、前駆細胞または幹細胞のうちの1つまたは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってNK細胞を活性化するまたは増殖させる抗体またはその抗原結合性断片のうちの1つまたは複数;それによってNK細胞を活性化するまたは増殖させるサイトカインのうちの1つまたは複数;および/または、必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤またはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってNK細胞を活性化するまたは増殖させる化学的部分のうちの1つまたは複数のうちの1つまたは複数から選択される。
【0227】
一部の実施形態では、刺激性受容体は、以下:CD2、NKp46、CD16、NKG2D、DNAM-1(CD226)、2B4(ナチュラルキラー細胞受容体2B4、CD244)、NTB-A(SLAMファミリーメンバー6、SLAMF6)、および/またはNKp46のうちの1つまたは複数である。例えば、Zamai L, Del Zotto G, Buccella F, et al. Understanding the Synergy of NKp46 and Co-Activating Signals in Various NK Cell Subpopulations: Paving the Way for More Successful NK-Cell-Based Immunotherapy. Cells. 2020; 9 (3): 753. Published 2020 Mar 19. doi: 10.3390/cells9030753を参照されたい。
【0228】
一部の実施形態では、aAPCは、本明細書に開示されるaAPCである。一部の実施形態では、aAPCを、細胞集団と一緒に、細胞数の比(細胞集団中のaAPCの細胞数:細胞集団の細胞数および/またはaAPCの細胞数:免疫細胞(例えば、NK細胞、NKT細胞および/またはγδT細胞のうちの1つまたは複数など)の細胞数)を約100:1またはこれよりも大きい比、約50:1またはこれよりも大きい比、約20:1またはこれよりも大きい比、約10:1またはこれよりも大きい比、約9:1またはこれよりも大きい比、約9:1またはこれよりも大きい比、約8:1またはこれよりも大きい比、約7:1またはこれよりも大きい比、約6:1またはこれよりも大きい比、約5:1またはこれよりも大きい比、約4:1またはこれよりも大きい比、約3:1またはこれよりも大きい比、約2:1またはこれよりも大きい比、約1:1またはこれよりも大きい比、約1:2またはこれよりも大きい比、約1:3またはこれよりも大きい比、約1:4またはこれよりも大きい比、約1:5またはこれよりも大きい比、約1:6またはこれよりも大きい比、約1:7またはこれよりも大きい比、約1:8またはこれよりも大きい比、約1:9またはこれよりも大きい比、約1:10またはこれよりも大きい比、約1:20またはこれよりも大きい比、約1:50またはこれよりも大きい比、または約1:100またはこれよりも大きい比として培養する。それに加えてまたはその代わりに、aAPCを、細胞集団と一緒に、細胞数の比(細胞集団中のaAPCの細胞数:細胞集団の細胞数および/またはaAPCの細胞数:免疫細胞(例えば、NK細胞、NKT細胞および/またはγδT細胞のうちの1つまたは複数など)の細胞数)を、約100:1またはこれよりも小さい比、約50:1またはこれよりも小さい比、約20:1またはこれよりも小さい比、約10:1またはこれよりも小さい比、約9:1またはこれよりも小さい比、約9:1またはこれよりも小さい比、約8:1またはこれよりも小さい比、約7:1またはこれよりも小さい比、約6:1またはこれよりも小さい比、約5:1またはこれよりも小さい比、約4:1またはこれよりも小さい比、約3:1またはこれよりも小さい比、約2:1またはこれよりも小さい比、約1:1またはこれよりも小さい比、約1:2またはこれよりも小さい比、約1:3またはこれよりも小さい比、約1:4またはこれよりも小さい比、約1:5またはこれよりも小さい比、約1:6またはこれよりも小さい比、約1:7またはこれよりも小さい比、約1:8またはこれよりも小さい比、約1:9またはこれよりも小さい比、約1:10またはこれよりも小さい比、約1:20またはこれよりも小さい比、約1:50またはこれよりも小さい比、または約1:100またはこれよりも小さい比として培養する。一部の実施形態では、aAPCを、細胞集団と一緒に、細胞数の比(細胞集団中のaAPCの細胞数:細胞集団の細胞数および/またはaAPCの細胞数:免疫細胞(例えば、NK細胞、NKT細胞および/またはγδT細胞のうちの1つまたは複数など)の細胞数)を約10:1~約1:10、約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2として培養する。一部の実施形態では、aAPCを、細胞集団と一緒に、細胞数の比(細胞集団中のaAPCの細胞数:細胞集団の細胞数および/またはaAPCの細胞数:免疫細胞(例えば、NK細胞、NKT細胞および/またはγδT細胞のうちの1つまたは複数など)の細胞数)を約10:1、約5:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:5、または約1:10として培養する。
【0229】
一部の実施形態では、サイトカインは、B7.1、CCL19、CCL21、CD40L、CD137L、GITRL、GM-CSF、IL-12、IL-2、低毒性IL-2、CD25結合性を欠くIL-2変異体、IL-7、IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc;可溶性ALT-803)、IL-15、IL-18、IL-21、LEC、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、またはMICAからなる群から選択される。
【0230】
一部の実施形態では、サイトカインは、IL-2を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、細胞集団を、約1IU/mL~約1000IU/mlのIL2と一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、約1IU/mLまたはこれよりも多く、約2IU/mLまたはこれよりも多く、約3IU/mLまたはこれよりも多く、約5IU/mLまたはこれよりも多く、約10IU/mLまたはこれよりも多く、約20IU/mLまたはこれよりも多く、約30IU/mLまたはこれよりも多く、約40IU/mLまたはこれよりも多く、約50IU/mLまたはこれよりも多く、約60IU/mLまたはこれよりも多く、約70IU/mLまたはこれよりも多く、約80IU/mLまたはこれよりも多く、約90IU/mLまたはこれよりも多く、約100IU/mLまたはこれよりも多く、約110IU/mLまたはこれよりも多く、約120IU/mLまたはこれよりも多く、約130IU/mLまたはこれよりも多く、約140IU/mLまたはこれよりも多く、約150IU/mLまたはこれよりも多く、約160IU/mLまたはこれよりも多く、約170IU/mLまたはこれよりも多く、約180IU/mLまたはこれよりも多く、約190IU/mLまたはこれよりも多く、約200IU/mLまたはこれよりも多く、約250IU/mLまたはこれよりも多く、約300IU/mLまたはこれよりも多く、約400IU/mLまたはこれよりも多く、約500IU/mLまたはこれよりも多く、約600IU/mLまたはこれよりも多く、約700IU/mLまたはこれよりも多く、約800IU/mLまたはこれよりも多く、約900IU/mLまたはこれよりも多く、または約1000IU/mLまたはこれよりも多くのIL2と一緒に培養する。それに加えてまたはその代わりに、細胞集団を、約2000IU/mLまたはこれよりも少ない、約1500IU/mLまたはこれよりも少ない、約1000IU/mLまたはこれよりも少ない、約900IU/mLまたはこれよりも少ない、約800IU/mLまたはこれよりも少ない、約700IU/mLまたはこれよりも少ない、約600IU/mLまたはこれよりも少ない、約500IU/mLまたはこれよりも少ない、約400IU/mLまたはこれよりも少ない、約300IU/mLまたはこれよりも少ない、約250IU/mLまたはこれよりも少ない、約200IU/mLまたはこれよりも少ない、約100IU/mLまたはこれよりも少ない、約90IU/mLまたはこれよりも少ない、約80IU/mLまたはこれよりも少ない、約70IU/mLまたはこれよりも少ない、約60IU/mLまたはこれよりも少ない、約50IU/mLまたはこれよりも少ない、約40IU/mLまたはこれよりも少ない、約30IU/mLまたはこれよりも少ない、約20IU/mLまたはこれよりも少ない、約10IU/mLまたはこれよりも少ない、約5IU/mLまたはこれよりも少ないIL2と一緒に培養する。一部の実施形態では、サイトカインは、IL-2を含む。さらなる実施形態では、細胞集団を、これだけに限定されないが、約10IU/ml~約100IU/ml、約100IU/ml~200IU/ml、約200IU/ml~約300IU/ml、約300IU/ml~約400IU/ml、約400~約500IU/ml、約100IU/ml~約500IU/mlのIL2を含め、約1IU/mL~約1000IU/mlのIL2と一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、約10IU/mL、約20IU/mL、約30IU/mL、約40IU/mL、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約110IU/mL、約120IU/mL、約130IU/mL、約140IU/mL、約150IU/mL、約160IU/mL、約170IU/mL、約180IU/mL、約190IU/mL、約200IU/mL、約250IU/mL、約300IU/mL、約400IU/mL、約500IU/mL、約600IU/mL、約700IU/mL、約800IU/mL、約900IU/mL、または約1000IU/mLのIL2と一緒に培養する。
【0231】
一部の実施形態では、サイトカインは、IL-15を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、細胞集団を、この中に入るあらゆる範囲および/または数を含め、約0.1ng/mL~約500ng/mLのIL15と一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、これだけに限定されないが、約1ng/ml~約10ng/ml、約10ng/ml~約20ng/ml、約20ng/ml~約30ng/ml、約30ng/ml~約40ng/ml、約40ng/ml~約50ng/mlのIL15を含め、約1ng/mL~約100ng/mlのIL15と一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、約1ng/mL、約5ng/ml、約10ng/ml、約20ng/ml、約30ng/ml、約40ng/ml、約50ng/ml、約60ng/ml、約70ng/ml、約80ng/ml、約90ng/ml、または約100ng/mlのIL15と一緒に培養する。
【0232】
一部の実施形態では、サイトカインは、IL-21を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、細胞集団を、この中に入るあらゆる範囲および/または数を含め、約0.1ng/mL~約500ng/mLのIL21と一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、これだけに限定されないが、約1ng/ml~約10ng/ml、約10ng/ml~約20ng/ml、約20ng/ml~約30ng/ml、約30ng/ml~約40ng/ml、約40ng/ml~約50ng/mlのIL21を含め、約1ng/mL~約100ng/mlのIL21と一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、約1ng/mL、約5ng/ml、約10ng/ml、約15ng/ml、約20ng/ml、約25ng/ml、約30ng/ml、約35ng/ml、約40ng/ml、約45ng/ml、約50ng/ml、約55ng/ml、約60ng/ml、約65ng/ml、約70ng/ml、約75ng/ml、約80ng/ml、約90ng/ml、または約100ng/mlのIL21と一緒に培養する。
【0233】
一部の実施形態では、細胞集団を、1種よりも多くのサイトカイン、例えば、本明細書に開示されるサイトカインの組合せと一緒に培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、100~500IU/mlのIL-2、20ng/mlのIL-15、または25ng/mLのIL-21のうちのいずれか1つまたはいずれか2つまたは3つ全てと一緒に培養する。さらなる実施形態では、細胞集団を、50IU/mlのIL-2および0.5ng/mlのIL-15のいずれかまたは両方と一緒に培養する。
【0234】
一部の実施形態では、化学的部分を免疫細胞活性化因子(例えば、NK活性化因子)として使用することもでき、例えば、ADAM17の阻害剤を用いた処理により、CD16受容体の脱落が防止されることによってNK細胞によるADCCが強化され、また、NK細胞をニコチンアミドで処理することにより、細胞輸送に必須であることが公知であるL-セレクチンのNK細胞による発現が増強されることが示されている。例えば、Peled et al., Blood (2017) 130 (Supplement 1): 657およびChilds RW, Carlsten M. Nat Rev Drug Discov. 2015; 14 (7): 487-498を参照されたい。さらなる例は、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤、および/またはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)である。
【0235】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、CARおよび/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、発現させるために、培養された細胞集団に導入するステップをさらに含む。一部の実施形態では、CARは、腫瘍関連抗原(TAA)および/またはウイルス抗原を特異的に認識し、これに結合する。さらなる実施形態では、CARが認識し、結合する腫瘍関連抗原(TAA)および/またはウイルス抗原は、aAPCによって発現されるものである。一部の実施形態では、治療用タンパク質またはポリペプチドは、抗体もしくはその断片、酵素、リガンドまたは受容体から選択される。
【0236】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、導入するステップの前および/またはその後に、細胞集団を免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、培養するステップを、同じまたは異なる免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)またはこれらの組合せを用いて1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す。
【0237】
一部の実施形態では、導入するステップの前後に活性化因子を細胞集団と一緒に培養する。さらなる実施形態では、導入するステップの前後に細胞集団と一緒に培養する活性化因子の2つは同じである。一部の実施形態では、導入するステップの前後に細胞集団と一緒に培養する活性化因子の2つは互いに異なる。
【0238】
方法の一部の実施形態は、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を培養された細胞集団に導入し、それによって本明細書に開示されるCARおよび/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを培養された細胞集団に導入するステップを含む。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は本明細書に開示される。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、本明細書に開示されるCARおよび/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはそのリバース相補体を含む。さらなる実施形態では、コードするポリヌクレオチドおよび/またはそのリバース相補体は、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれている。それに加えてまたはその代わりに、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、本明細書に開示されるRD114TRおよび/またはBaEVTRを含む。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、5’LTR、5’キャップ、コードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体、3’ポリA尾部、および3’LTRを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなるベクターゲノムを含む。さらなる実施形態では、本明細書に開示される成分は、ベクターゲノムにおいて、5’から3’に位置する。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、逆転写酵素およびインテグラーゼのいずれかまたは両方をさらに含む。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちの任意の種に基づく、および/またはこれらに由来する、および/またはこれらから選択される。
【0239】
一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を、培養された細胞集団に、この中に入るあらゆる範囲および/または数を含め、約0.01~約100の感染多重度(MOI)で導入する。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を、培養された細胞集団に、約0.1~約10、約0.2~約5、約1~約10、または約1~約5のMOIで導入する。一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を、培養された細胞集団に、約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9または約10のMOIで導入する。
【0240】
一部の実施形態では、細胞集団を、導入するステップの前に少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、または少なくとも約10日間にわたって培養する。それに加えてまたはその代わりに、細胞集団を、導入するステップの前に7日間以下、8日間以下、9日間以下、10日間以下、11日間以下、12日間以下、13日間以下、14日間以下、15日間以下、3週間以下、または1カ月以下にわたって培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、導入するステップの前に、この中に入るあらゆる範囲および/または数を含め、約1日間~約180日間にわたって培養する。一部の実施形態では、細胞集団を、導入するステップの前に、約5日間~約10日間、例えば、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間などにわたって培養する。
【0241】
一部の実施形態では、コードするポリヌクレオチドを、細胞集団に、コードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体を含むウイルスベクターをRetroNectinの存在下で形質導入することによって導入する。一部の実施形態では、RetroNectinは、細胞集団への形質導入を行う容器の内部表面にコーティングされている。さらなる実施形態では、容器は、細胞培養に適したバッグである。さらなる実施形態では、容器は、細胞培養に適したプレートである。別の実施形態では、容器は、細胞培養に適したフラスコである。一部の実施形態では、細胞集団は、インテグリンα4β1(VLA-4)およびインテグリンα5β1(VLA-5)のいずれかまたは両方を発現する。
【0242】
一部の実施形態では、細胞集団を対象の生体試料(例えば、血液試料など)から単離する。一部の実施形態では、細胞集団は、対象の臍帯血(umbilical cord blood)、対象の末梢血、または対象の骨髄のうちの1つまたは複数から単離される。一部の実施形態では、細胞集団は、前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞を含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、またはさらにはこれらからなる。
【0243】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、細胞集団中の、CD56、CD25、CD122、CD212、CD215、CD218、CD360、TGF-βR、またはIL-10Rのうちの任意の1つまたは複数を発現する細胞を富化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、CD56dim細胞を富化させる、誘導するおよび/または生成するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、CD56dim細胞は、D56表面抗原を低密度に発現し、細胞傷害機能に特化している。それに加えてまたはその代わりに、本明細書に開示される方法は、CD56bright細胞を富化させる、誘導するおよび/または生成するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、CD56bright細胞は、CD56表面抗原を高密度に発現し、サイトカイン分泌に特化している。例えば、Jacobs et al. Eur J Immunol. 2001 Oct; 31 (10): 3121-7を参照されたい。一部の実施形態では、細胞集団は、末梢血NK細胞および/または臍帯血NK細胞を含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。さらなる実施形態では、末梢血NK細胞および/または臍帯血NK細胞は、NCR、CD56、DNAM-1、CD16、IL-2R、CXCR4、KIRS、CD8、CD57、接着分子、NKG2D、NKG2C、および/またはNKG2Aのうちの任意の1つまたは複数を発現する。さらなる実施形態では、末梢血NK細胞および/または臍帯血NK細胞の発現レベルは異なる。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、細胞集団中の、NCR、CD56、DNAM-1、CD16、IL-2R、CXCR4、KIRS、CD8、CD57、接着分子、NKG2D、NKG2C、および/またはNKG2Aのうちの任意の1つまたは複数を発現する細胞を富化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、細胞集団中の、末梢血NK細胞および/または臍帯血NK細胞を富化させるステップをさらに含む。
【0244】
一部の実施形態では、任意のステップおよび/または実施形態および/または態様の細胞集団は、ナチュラルキラー(NK)細胞またはその実質的に精製された組成物を含み得るか、あるいは本質的にこれからなり得るか、さらにこれからなり得る。
【0245】
一部の実施形態では、任意のステップおよび/または実施形態および/または態様の細胞集団(例えば、枯渇を有する細胞集団など)は、以下:NK細胞、前駆細胞、HSC、iPSCまたはそのそれぞれの実質的に精製された集団のうちの1つまたは複数を含み得るか、あるいは本質的にこれらからなり得るか、さらにこれらからなり得る。
【0246】
一部の実施形態では、NK細胞は、以下:前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞のうちの1つまたは複数から誘導されたものを含み得るか、あるいは本質的にこれらからなり得るか、さらにこれらからなり得る。
【0247】
一部の実施形態では、前駆細胞、HSC、またはiPSCのうちの1つまたは複数は、NK細胞の誘導が可能なものである。
【0248】
一部の実施形態では、任意のステップおよび/または実施形態および/または態様の細胞集団は、T細胞を実質的に含まない。一部の実施形態では、任意のステップおよび/または実施形態および/または態様の細胞集団は、T制御細胞を実質的に含まない。
【0249】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態は、細胞集団を単離する、富化させるおよび/または精製するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、任意のステップおよび/または実施形態および/または態様の細胞集団は、単離、富化または精製されたものである。
【0250】
一部の実施形態では、培養するステップにおいて、細胞集団およびaAPCは、StemSpan(Stemcell#09960);NK MACS(登録商標)Medium(Miltenyi research 30-114-429;GMP:170-076-356)、TexMACS(170-076-306 GMP培地)、Cellgenix Serum-free Stem Cell Growth Medium(SCGM、#20806-0500)、またはStemcell technologiesのImmunoCult(商標)-XF Mediumから選択される細胞培養培地中で培養される。
【0251】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態は、CARを発現するものなどの、本明細書に開示される細胞集団を組成物として製剤化するステップ;および/またはCARを発現するものなどの、本明細書に開示される細胞集団を組成物として凍結保存するステップのいずれかまたは両方をさらに含む。
【0252】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態は、ステップのうちの1つまたは複数の前またはその後に、細胞集団を洗浄するステップと、および/またはステップのうちの1つまたは複数の前またはその間またはその後に、以下:(i)細胞集団の生存率;(ii)細胞集団の無菌性;(iii)細胞集団中のマイコプラズマ;(iv)細胞集団のヒト白血球抗原(HLA)型;(v)細胞集団の細胞数;(vi)細胞集団の細胞表現型;(vii)細胞集団または細胞集団を含む組成物中のHHV6またはHHV7またはその両方;(viii)細胞集団または細胞集団を含む組成物中の1型および2型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、I型およびII型ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、CMV、ジカ、ウエストナイル、またはTreponema pallidumのうちの1つまたは複数;(ix)aAPCの細胞表現型;(x)細胞集団を含む組成物中のIL-15レベル;(xi)細胞集団中のCARの発現;(xii)細胞集団または細胞集団を含む組成物中の内毒素;(xiii)細胞集団を含む組成物の残留腫瘍負荷および/またはaAPCによる夾雑;(xiv)細胞集団の効力;(xv)細胞集団によって放出されるIFN-γ、IL-15およびTNF-アルファ;(xvi)細胞集団の細胞傷害活性;(xvii)細胞集団の脱顆粒;ならびに(xviii)培養物についての以下:細胞凝集、グルコース、または乳酸のうちの1つまたは複数のモニタリングまたは決定、のうちの1つまたは複数を検出するステップとのいずれかまたは両方をさらに含む。さらなる実施形態では、表現型の検出は、細胞集団(例えば、aAPCおよび/または免疫細胞)によって発現される、以下:CD3、CD56、CD19などの抗原、CD45、HLA、NKp46、NKG2D、NKG2A、NCR、DNAM-1、CD16、IL-2R、CXCR4、KIRS、CD8、CD57、接着分子、NKG2C、CD107a、CAR、または細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数の細胞での発現および/または発現レベルを検出することを含む。
【0253】
γδT細胞の感染および拡大
さらなる態様では、γδT細胞の集団を調製するための方法が提供される。方法は、以下:γδT細胞、γδT細胞の誘導が可能な前駆細胞、またはγδT細胞の誘導が可能な幹細胞のうちの1つまたは複数を含む細胞集団を、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップを含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、細胞集団は、細胞集団中の、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものである。
【0254】
一部の実施形態では、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)は、以下:必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)および/もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、γδT細胞、前駆細胞もしくは幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、または、必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数のうちの1つまたは複数から選択される。
【0255】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態は、CARおよび/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、発現させるために、培養された細胞集団に導入するステップをさらに含む。一部の実施形態では、治療用タンパク質またはポリペプチドは、抗体もしくはその断片、酵素、リガンドまたは受容体から選択される。一部の実施形態では、CARは、腫瘍関連抗原(TAA)および/またはウイルス抗原を特異的に認識し、これに結合する。さらなる実施形態では、CARが認識し、結合する腫瘍関連抗原(TAA)および/またはウイルス抗原は、aAPC上に発現されるものである。
【0256】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態は、細胞集団を、導入するステップの後に、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)またはこれらの組合せと一緒に培養するステップをさらに含む。一部の実施形態では、培養するステップを、同じまたは異なる活性化因子を用いて1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す。
【0257】
一部の実施形態では、任意のステップおよび/または実施形態および/または態様の細胞集団は、以下:γδT細胞またはその実質的に精製された組成物のうちの1つまたは複数を含み得るか、あるいは本質的にこれからなり得るか、さらにこれからなり得る。一部の実施形態では、任意のステップおよび/または実施形態および/または態様の細胞集団(例えば、本明細書に開示される枯渇を有する細胞集団など)は、以下:γδT細胞、HSC、iPSCまたはそのそれぞれの実質的に精製された集団のうちの1つまたは複数を含み得るか、あるいは本質的にこれからなり得るか、さらにこれからなり得る。
【0258】
一部の実施形態では、前駆細胞、HSC、またはiPSCのうちの1つまたは複数は、γδT細胞の誘導が可能なものである。一部の実施形態では、γδ T細胞は、以下:前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞のうちの1つまたは複数から誘導されたものを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、細胞集団は、TCR α鎖またはTCR β鎖を発現する細胞を実質的に含まない。
【0259】
抗原およびキメラ抗原受容体(CAR)
本明細書に開示されるいずれかの態様の一部の実施形態では、腫瘍関連抗原は、以下またはそのそれぞれの断片のうちの1つまたは複数から選択される:Gタンパク質連結受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、B細胞成熟抗原(BCMA)、SLAMF7(CS1またはCD319)、EGFR、野生型上皮細胞増殖因子受容体(EGFRwt)、上皮細胞増殖因子受容体バリアントIII(EGFRVIII)、FLT3、CD70、メソテリン、CD123、CD19、癌胎児性抗原(CEA)、CD133、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)、ERBB2(Her2/neu)、CD22、CD30、CD171、CLL-1(CLECL1)、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、CD5、インターロイキン13受容体アルファ2(IL13Ra2)、グアニリルシクラーゼC(GUCY2C)、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、チミジンキナーゼ1(TK1)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT1)、がん/精巣(CT)、CD33、ガングリオシドG2(GD2)、GD3、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、TAG72、CD38、CD44v6、上皮細胞接着分子前駆体(EpCamまたはEPCAM)、B7H3、KIT、IL-13Ra2、IL-11Rα、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、PRSS21、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ムチン1(Muc1)、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、エフリンタイプA受容体2前駆体(EphA2)、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、タイ2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サービビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、レグマイン、HPV E6、E7、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、グリピカン3(GPC3)、FCRL5、またはIGLL1。
【0260】
本明細書に開示されるいずれかの態様の一部の実施形態では、本明細書に開示されるCARは、(1)抗原を特異的に認識し、これに結合する抗体の抗原結合性ドメイン;(2)ヒンジドメイン;(3)膜貫通ドメイン;および(4)シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、CARは、シグナルペプチドをさらに含む。
【0261】
本明細書に開示されるいずれかの態様の一部の実施形態では、CARの抗原結合性ドメインは、以下:Gタンパク質連結受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、B細胞成熟抗原(BCMA)、SLAMF7(CS1またはCD319)、EGFR、野生型上皮細胞増殖因子受容体(EGFRwt)、上皮細胞増殖因子受容体バリアントIII(EGFRVIII)、FLT3、CD70、メソテリン、CD123、CD19、癌胎児性抗原(CEA)、CD133、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)、ERBB2(Her2/neu)、CD22、CD30、CD171、CLL-1(CLECL1)、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、CD5、インターロイキン13受容体アルファ2(IL13Ra2)、グアニリルシクラーゼC(GUCY2C)、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、チミジンキナーゼ1(TK1)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT1)、がん/精巣(CT)、CD33、ガングリオシドG2(GD2)、GD3、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、TAG72、CD38、CD44v6、上皮細胞接着分子前駆体(EpCamまたはEPCAM)、B7H3、KIT、IL-13Ra2、IL-11Rα、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、PRSS21、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ムチン1(Muc1)、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、エフリンタイプA受容体2前駆体(EphA2)、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、タイ2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サービビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、レグマイン、HPV E6、E7、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、グリピカン3(GPC3)、FCRL5、またはIGLL1のうちの1つまたは複数を特異的に認識し、これに結合する。
【0262】
本明細書に開示されるいずれかの態様の一部の実施形態では、CARの抗原結合性ドメインは、以下:Gタンパク質連結受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、B細胞成熟抗原(BCMA)、SLAMF7(CS1またはCD319)、EGFR、野生型上皮細胞増殖因子受容体(EGFRwt)、上皮細胞増殖因子受容体バリアントIII(EGFRVIII)、FLT3、CD70、メソテリン、CD123、CD19、癌胎児性抗原(CEA)、CD133、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)、ERBB2(Her2/neu)、CD22、CD30、CD171、CLL-1(CLECL1)、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、CD5、インターロイキン13受容体アルファ2(IL13Ra2)、グアニリルシクラーゼC(GUCY2C)、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、チミジンキナーゼ1(TK1)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT1)、がん/精巣(CT)、CD33、ガングリオシドG2(GD2)、GD3、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、TAG72、CD38、CD44v6、上皮細胞接着分子前駆体(EpCamまたはEPCAM)、B7H3、KIT、IL-13Ra2、IL-11Rα、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、PRSS21、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ムチン1(Muc1)、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、エフリンタイプA受容体2前駆体(EphA2)、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、タイ2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サービビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、レグマイン、HPV E6、E7、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、グリピカン3(GPC3)、FCRL5、またはIGLL1のうちの1つまたは複数を特異的に認識し、これに結合する抗体の6つのCDRを含む。
【0263】
本明細書に開示されるいずれかの態様の一部の実施形態では、CARの抗原結合性ドメインは、抗EGFRwtおよび抗EGFRVIII抗体、抗FLT3抗体、抗BCMA抗体および/または抗CS1抗体から選択される抗体またはそのそれぞれの断片の6つのCDRを含む。
【0264】
一部の実施形態では、ヒンジドメインは、CD8αヒンジドメインを含む。
【0265】
一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメインを含む。
【0266】
一部の実施形態では、細胞内ドメインは、(1)1つもしくは2つもしくはそれより多い共刺激シグナル伝達領域、または(2)JAK-STAT活性化ドメインを含むIL2Rβもしくはその断片、または(1)および(2)の両方をさらに含む。さらなる実施形態では、共刺激シグナル伝達領域は、CD28共刺激シグナル伝達領域または4-1BB共刺激シグナル伝達領域またはその両方を含む。
【0267】
一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。
【0268】
一部の実施形態では、導入されたポリヌクレオチドは、1つまたは複数のサイトカインおよび抗体をさらに発現する、または、方法は、サイトカインおよび/または抗体の1つまたは複数を発現する別のポリヌクレオチドを、枯渇を有する細胞集団に導入するステップをさらに含む。
【0269】
さらなる実施形態では.ポリヌクレオチドによって発現されるサイトカインは、以下:B7.1(可溶性または膜結合)、CCL19(可溶性または膜結合)、CCL21(可溶性または膜結合)、CD40L(可溶性または膜結合)、CD137L(可溶性または膜結合)、GITRL(可溶性または膜結合)、GM-CSF(可溶性または膜結合)、IL-12(可溶性または膜結合)、IL-2(可溶性または膜結合)、低毒性IL-2(可溶性または膜結合)、cd25結合性を欠くIL-2類似体(可溶性または膜結合)、IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質(可溶性または膜結合)、IL-15(可溶性または膜結合)、IL-18(可溶性または膜結合)、IL-21(可溶性または膜結合)、LEC(可溶性または膜結合)、OX40L(可溶性または膜結合)、IL-7(可溶性または膜結合)、ICOSL(B7H2、B7RP1、可溶性または膜結合)、またはMICA(可溶性または膜結合)のうちの1つまたは複数から選択される。
【0270】
それに加えてまたはその代わりに、ポリヌクレオチドによって発現される抗体は、単一特異性抗体、または二特異性抗体、または多特異性抗体である。それに加えてまたはその代わりに、ポリヌクレオチドによって発現される抗体は、NK細胞活性化因子などの免疫細胞活性化因子である。
【0271】
一部の実施形態では、調製されるCAR発現細胞集団は、がん細胞の成長を阻害するために適したものであり、抗原は、がん細胞によって発現される腫瘍関連抗原(TAA)である。
【0272】
コードするポリヌクレオチドおよびベクター
一部の実施形態では、CARおよび/または治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(本明細書ではコードするポリヌクレオチドとも称される)は、シグナルペプチドをさらにコードする。それに加えてまたはその代わりに、CARおよび/または治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、自殺遺伝子をさらに含む。さらなる実施形態では、自殺遺伝子産物は、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシルエステラーゼ、シトクロムP450もしくはPNP(プリンヌクレオシドホスホリラーゼ)、切断型EGFR、または誘起可能なカスパーゼ(「iCasp」)の1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、コードするポリヌクレオチドは、自殺遺伝子の発現を方向付ける制御配列をさらに含む。さらなる実施形態では、制御配列は、誘導性である。
【0273】
一部の実施形態では、コードするポリヌクレオチドは、CARまたは治療用タンパク質またはポリペプチドの発現を方向付ける制御配列(regulator sequence)をさらに含む。さらなる実施形態では、CARまたは治療用タンパク質の発現を方向付ける制御配列(regulator sequence)は、誘導性または構成的に活性なものである。
【0274】
一部の実施形態では、コードするポリヌクレオチドを細胞集団にベクターを介して導入する。さらなる実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである。一部の実施形態では、非ウイルスベクターは、プラスミドである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターまたはヘルペスウイルスベクターから選択される。さらなる実施形態では、ウイルス骨格は、コードするポリヌクレオチドの標的細胞のゲノムへの組込みのために必須の核酸または配列を含有する。一部の実施形態では、標的細胞のゲノムへの組込みのために必要である、必須の核酸は、5’末端および3’末端に、ベクターの組込みのために必要な最小LTR領域を含む。
【0275】
本開示は、必要に応じてウイルス骨格に挿入された本明細書に開示されるポリヌクレオチド(例えば、コードするポリヌクレオチドなど)を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなるベクターも提供する。一部の実施形態では、ベクターは、原核細胞または真核細胞における発現のために選択される。一部の実施形態では、ベクターは、改変されたタンパク質をコードする本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、ベクターは、ポリヌクレオチドの複製を可能にする本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。さらなる実施形態では、ベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結しており、ポリヌクレオチドの複製を方向付ける制御配列をさらに含む。さらなる実施形態では、制御配列は、プロモーター、イントロン、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、サイレンサー、TATAボックス、またはウッドチャック肝炎ウイルス(WHP)転写後制御エレメント(WPRE)のうちの1つまたは複数を含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。
【0276】
一部の実施形態では、コード配列を標的細胞に本明細書に開示されるシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を介して導入する。
【0277】
パッケージングシステム
本開示は、本明細書に記載のベクターを含むウイルスパッケージングシステムであって、必要に応じて、骨格が、ウイルス;パッケージングプラスミド;およびエンベローププラスミドに由来するものである、ウイルスパッケージングシステムも提供する。パッケージングプラスミドは、ヌクレオシド、マトリックスタンパク質、カプシド、およびベクターゲノムをウイルス粒子にパッケージングするために必要な他の成分をコードするポリヌクレオチドを含有する。パッケージングプラスミドは、特許文献、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,262,049号;同第6,995,258号;同第7,252,991号および同第5,710,037号に記載されている。
【0278】
システムは、エンベローププラスミドによってもたらされるシュードタイピングされたエンベロープタンパク質をコードするプラスミドも含有し得る。シュードタイピングされたウイルスベクターは、他のエンベロープを有するウイルスに由来する糖タンパク質を有するか、あるいは機能的部分を含有するベクター粒子からなる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,262,049号を参照されたい。一部の実施形態では、エンベローププラスミドは、必要に応じてウイルス粒子の細胞または細胞の集団への非特異的結合を引き起こさない、エンベロープタンパク質をコードする。ウイルス粒子の特異性は、粒子エンベロープに挿入される抗体結合性ドメインなどのタンパク質またはポリペプチドによって付与することができる。適切なエンベロープタンパク質の例としては、これだけに限定されないが、VSVGまたはRD114ドメインを含有するものが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書で使用されるエンベロープタンパク質としては、これだけに限定されないが、RD114TRおよび/またはBaEVTRが挙げられる。
【0279】
本開示は、適切なパッケージング細胞株も提供する。一態様では、パッケージング細胞株は、HEK-293細胞株である。他の適切な細胞株は、当技術分野で公知であり、例えば、特許文献、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,070,994号;同第6,995,919号;同第6,475,786号;同第6,372,502号;同第6,365,150号および同第5,591,624号に記載されている。一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、293Vec-Galv、293Vec-Ampho、293Vec-RD114、または293Vec-BaEVのうちの1つまたは複数から選択されるか、これらに由来するものである。例えば、Ghani et al., Gene Ther. 2007 Dec; 14 (24): 1705-11; Dakiw Piaceski A et al, Eur Cell Mater. 2018 Feb 14; 35: 73-86;Ghani et al., Hum Gene Ther. 2009 Sep; 20 (9): 966-74;米国特許出願公開第US20060270042号;および米国特許第8034335号を参照されたい。
【0280】
本開示は、本明細書に開示されるウイルス粒子を作製するための方法であって、パッケージング細胞株に上記のウイルスシステムを、ウイルスベクターのパッケージングに適した条件下で形質導入するステップを含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる、方法をさらに提供する。そのような条件は、当技術分野で公知であり、本明細書に簡単に記載されている。ウイルス粒子は、細胞の上清から、当業者に公知の方法、例えば、遠心分離を使用して単離することができる。そのような単離された粒子が本開示によってさらに提供される。
【0281】
本開示は、この方法によって作製される単離されたウイルス粒子をさらに提供する。ウイルス粒子は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。
【0282】
本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、例えば、本明細書に開示されるコードするポリヌクレオチドなどを含むウイルス粒子(例えば、ガンマレトロウイルス粒子)を、本明細書に記載のパッケージング細胞株にベクター、エンベローププラスミドおよびパッケージングプラスミドをベクターのエンベロープ粒子へのパッケージングが容易になる条件下で形質導入することによって調製するための方法も提供する。一部の実施形態では、ウイルス粒子は、シュードタイピングされたウイルス粒子である。さらなる実施形態では、粒子を細胞上清から分離し、細胞特異的標的化のために抗体とコンジュゲートする。
【0283】
レトロウイルス粒子(例えば、ガンマレトロウイルス粒子など)を作製するための方法も提供される。方法は、(i)ベクターゲノムを発現するベクターを、ベクターゲノムを第1のレトロウイルス粒子にパッケージングするために適した第1のパッケージング細胞株に導入するステップ、(ii)第1のレトロウイルス粒子を、第1のレトロウイルス粒子を複製するために適した第2のパッケージング細胞株に形質導入するステップ;および(iii)複製されたレトロウイルス粒子を単離するステップを含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。
【0284】
一部の実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクターである。さらなる実施形態では、ベクターは、プラスミドである。
【0285】
一部の実施形態では、方法は、ベクターが導入された第1のパッケージング細胞株を培養するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、方法は、ベクターが導入された第1のパッケージング細胞株の培養物から、例えば、上清から、第1のレトロウイルス粒子を単離するステップをさらに含む。
【0286】
一部の実施形態では、方法は、形質導入された第2のパッケージング細胞株を培養するステップをさらに含む。
【0287】
一部の実施形態では、ベクターを、2つのステップを使用して作製する:
ステップ1:プラスミド(レトロウイルスベクターゲノムを発現する)を293Vec-GALV細胞にトランスフェクトして、レトロウイルスベクターを作製する。このように作製されたレトロウイルスベクターは、GALVを含む脂質膜のエンベロープを有する。また、このステップでは293Vec-GALV細胞が一過性にトランスフェクトされるので、作製されたレトロウイルスベクターは、一過性ベクターとも称され、図10において試験された。
ステップ2:作製されたレトロウイルスベクターを293Vec-BaEV細胞に形質導入して、レトロウイルスベクターを複製させる。複製されたレトロウイルスベクターは、親レトロウイルスベクターと同じベクターゲノムを有するが、BaEVを含む脂質膜のエンベロープを有する。また、このステップでは293Vec-BaEV細胞が安定に形質導入されるので、複製されたレトロウイルスベクターは、本明細書では安定なベクターとも称され、図10において試験された。
【0288】
驚くべきことに、T細胞(RQR8をコードするレトロウイルスベクターゲノムを用いて形質導入したもの)は、安定なベクターを使用すると一過性ベクターと比較して高レベルでRQR8を発現する。さらに、生成されたこれらの安定なウイルス産生細胞(プロデューサーとも称される)は、安定であり、目的の導入遺伝子が組み込まれている。一部の実施形態では、導入遺伝子によってコードされるタンパク質産物は無毒性である。したがって、理論に縛られることは望まないが、産生細胞はちょうど親パッケージング細胞株と同様であり、これは、対数増殖期にある世代数と同数の世代にわたって継続的にin vitroで培養することができる。一部の実施形態では、プロデューサーをin vitroの培養下で30以下の世代にわたって維持することができる。
【0289】
一部の実施形態では、細胞を、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、または少なくとも約10日間にわたって培養する。それに加えてまたはその代わりに、細胞を、7日間以下、8日間以下、9日間以下、10日間以下、11日間以下、12日間以下、13日間以下、14日間以下、15日間以下、3週間以下、または1カ月以下にわたって培養する。一部の実施形態では、細胞を、この中に入るあらゆる範囲および/または数を含め、約1日間~約180日間にわたって培養する。一部の実施形態では、細胞を、約5日間~約10日間、例えば、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間などにわたって培養する。
【0290】
一部の実施形態では、第1のパッケージング細胞株および第2のパッケージング細胞株は、レトロウイルス粒子のパッケージングのために必要な成分を発現する。さらなる実施形態では、レトロウイルス粒子のパッケージングのために必要な成分は、レトロウイルスgag、レトロウイルスpol、レトロウイルスenv、そのそれぞれの断片、またはこれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数から選択される。
【0291】
一部の実施形態では、第2のパッケージング細胞株は、細胞膜にレトロウイルスエンベロープタンパク質を含むが、細胞膜にレトロウイルスエンベロープタンパク質の侵入受容体は含まない。
【0292】
形質導入された第2のパッケージング細胞株、その細胞、またはその細胞集団がさらに提供される。一部の実施形態では、細胞によりレトロウイルス粒子が安定に産生される。
【0293】
一部の実施形態では、レトロウイルスエンベロープタンパク質はBaEVであり、その侵入受容体はASCT1またはASCT2である。一部の実施形態では、レトロウイルスエンベロープタンパク質はRD114であり、その侵入受容体はASCT2である。一部の実施形態では、レトロウイルスエンベロープタンパク質はGALVであり、その侵入受容体はPit1である。
【0294】
一部の実施形態では、第1のパッケージング細胞株は、第1のレトロウイルス粒子のレトロウイルスエンベロープタンパク質の侵入受容体を含む。他の実施形態では、第1のパッケージング細胞株は、第1のレトロウイルス粒子のレトロウイルスエンベロープタンパク質の侵入受容体を含まない。
【0295】
一部の実施形態では、ベクターを第1のパッケージング細胞株に、この中に入るあらゆる範囲および/または数を含め、約0.01~約100の感染多重度(MOI)で導入する。一部の実施形態では、ベクターを第1のパッケージング細胞株に約0.1~約10、約0.2~約5、約1~約10、または約1~約5のMOIで導入する。一部の実施形態では、ベクターを第1のパッケージング細胞株に約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9または約10のMOIで導入する。
【0296】
一部の実施形態では、第1のレトロウイルス粒子を第2のパッケージング細胞株に、この中に入るあらゆる範囲および/または数を含め、約0.01~約100の感染多重度(MOI)で導入(例えば、形質導入)する。一部の実施形態では、第1のレトロウイルス粒子を第2のパッケージング細胞株に約0.1~約10、約0.2~約5、約1~約10、または約1~約5のMOIで導入(例えば、形質導入)する。一部の実施形態では、第1のレトロウイルス粒子を第2のパッケージング細胞株に約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9または約10のMOIで導入(例えば、形質導入)する。
【0297】
したがって、本明細書に開示される方法によって作製されるレトロウイルス粒子が提供される。
【0298】
さらなる態様では、CARを発現する免疫細胞などの操作された免疫細胞を作製するための方法が提供される。方法は、本明細書に開示される方法を使用して作製されたレトロウイルス粒子を免疫細胞またはその前駆細胞(precursor cell)に導入(例えば、形質導入)するステップを含むか、本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。
【0299】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の遺伝情報(本明細書ではベクターゲノムまたはウイルスゲノムとも称される)は、5’末端および3’末端にベクターの組込みのために必要な最小LTR領域、ならびに、2つのLTR領域の間に本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなるRNAである。一部の実施形態では、2つのLTR領域の間に、ベクターRNAの粒子へのパッケージングのために必要なカプシド形成シグナル(psi領域)がさらに含まれる。一部の実施形態では、psi領域の後に、ベクター粒子への効率的なパッケージングのために全長ベクター転写物を核外に輸送することによってベクター産生を増強する、Rev応答エレメント(Rev-Responsive Element)(RRE)および中心ポリプリントラクト配列(cPPT)が続く。
【0300】
一部の実施形態では、列挙された遺伝子エレメントが全長RNA分子に転写され、これは、ベクター粒子にパッケージングされ、また、形質導入された細胞に組み込まれる遺伝情報の全てを含有する。
【0301】
一部の実施形態では、全長RNA転写物を、パッケージングプラスミドから生成されるヌクレオカプシド、カプシド、およびマトリックスタンパク質を含有するベクター粒子のカプシドの内側にパッケージングする。一部の実施形態では、パッケージングプラスミドから生成される逆転写酵素ポリメラーゼもカプシド内にRNA転写物と共に位置させる。一部の実施形態では、カプシドにより全長RNA転写物が包まれ、保護される。
【0302】
一部の実施形態では、パッケージング細胞株の細胞、例えばHEK-293T細胞を、トランスフェクションの24時間前に完全DMEM培地に75%集密でプレーティングした。細胞をプレーティングしてから少なくとも24時間経った後、トランスフェクション混合物を調製する。無血清培地3ミリリットルをリポフェクション試薬150μlと一緒に室温で20分間インキュベートする。次いで、プラスミドを培地/リポフェクション試薬混合物にある特定の比(パッケージングプラスミド:ウイルスベクタープラスミド:エンベローププラスミド)で添加し、30分間インキュベートする。この最終的なインキュベーション期間後、次いで、培地/リポフェクション試薬/DNA混合物をHEK-293T細胞に添加し、一晩放置してトランスフェクションを生じさせる。翌日、トランスフェクション培地を除去し、新鮮な完全DMEMを添加する。72時間後、細胞培養上清を収集し、20,000rpmで1.5時間にわたって超遠心分離することによって濃縮することができる。
【0303】
ベクター粒子がパッケージング細胞から出芽し、上清中に放出され、このベクター粒子を、粒子を特異的に認識するもしくはこれに結合する抗体によって、および/またはコンジュゲートした抗体を本明細書で定義されている粒子のエンベロープ上にのせることによって単離および/または精製することができる。
【0304】
したがって、一態様では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するためのウイルスパッケージングシステムであって、(a)ベクターゲノムを発現するプラスミド;(b)パッケージングプラスミド;ならびに(c)RD114TR、およびBaEVTRを発現するエンベローププラスミドのうちの1つまたは複数を含む、ウイルスパッケージングシステムが本明細書で提供される。一部の実施形態では、パッケージングシステムは、パッケージング細胞株をさらに含む。さらなる実施形態では、パッケージング細胞株は、293T細胞株である。
【0305】
一部の実施形態では、ベクターゲノムは、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれた以下:(A)キメラ抗原受容体(CAR)および/または別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、(B)(A)のリバース相補体、または(C)コード配列またはそのリバース相補体をポリヌクレオチドに挿入するための適切な制限酵素によって認識される1つまたは複数の認識部位を含むポリヌクレオチドのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、治療用タンパク質またはポリペプチドは、抗体もしくはその断片、酵素、リガンドまたは受容体から選択される。一部の実施形態では、ベクターゲノムは、以下:5’LTR、5’キャップ、3’ポリA尾部、および3’LTRのうちの1つまたは複数をさらに含む。さらなる実施形態では、コードするポリペプチドは、5’キャップと3’ポリA尾部の間に位置する。
【0306】
一部の実施形態では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちの任意の種に基づく、および/またはこれらに由来する、および/またはこれらから選択される。
【0307】
さらなる態様では、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するための方法が提供される。方法は、パッケージング細胞株に、本明細書に開示されるパッケージングシステムを、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子のパッケージングに適した条件下で形質導入するステップを含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。さらなる実施形態では、パッケージング細胞株は、293T細胞株である。
【0308】
一部の実施形態では、細胞株に、(a)、(b)および(c)のプラスミド、すなわち、(ウイルスベクタープラスミド:パッケージングプラスミド:エンベローププラスミド)を、約5:5:1、5:4:1、5:3:1、5:2:1、5:1:1、4:5:1、3:5:1、2:5:1、1:5:1;4:4:1、4:3:1、4:2:1、4:1:1、3:4:1、2:4:1、1:4:1;3:3:1、3:2:1、3:1:1、2:3:1、1:3:1;2:2:1、2:1:1、1:2:1;1.5:1.5:1、1.5:1:1、1:1.5:1;または1:1:1の比で形質導入する。さらなる実施形態では、パッケージングシステムは、少なくとも2つのエンベローププラスミドを含み、一方はRD114TRを発現するものであり、他方はBaEVTRを発現するものである。さらなる実施形態では、RD114TR発現プラスミドおよびBaEVTR発現プラスミドを3:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、または1:3の比で形質導入する。一部の実施形態では、細胞株に(a)のプラスミド、(b)のプラスミド、RD114TR発現プラスミド、およびBaEVTR発現プラスミドを3:3:1:1、2:2:1:1、1.5:1.5:1:1、1:1:1:1、5:5:1:1、5:4:1:1、5:3:1:1、5:2:1:1、5:1:1:1、4:5:1:1、3:5:1:1、2:5:1:1、1:5:1:1;4:4:1:1、4:3:1:1、4:2:1:1、4:1:1:1、3:4:1:1、2:4:1:1、1:4:1:1;3:3:1:1、3:2:1:1、3:1:1:1、2:3:1:1、1:3:1:1;2:2:1:1、2:1:1:1、1:2:1:1;1.5:1.5:1:1、1.5:1:1:1、1:1.5:1:1;または1:1:1:1;2.5:2.5:1:1:1、2.5:2:1:1、2.5:1.5:1:1、2.5:1:1:1、2.5:0.5:1:1、2:2.5:1:1、1.5:2.5:1:1、1:2.5:1:1、0.5:2.5:1:1;2:2:1:1、2:1.5:1:1、2:1:1:1、2:0.5:1:1、1.5:2:1:1、1:2:1:1、0.5:2:1:1;1.5:1.5:1:1、1.5:1:1:1、1.5:0.5:1:1、1:1.5:1:1、0.5:1.5:1:1;1:1:1:1、1:0.5:1:1、0.5:1:1:1;0.75:0.75:1:1、0.75:0.5:1:1、0.5:0.75:1:1;または0.5:0.5:1:1の比で形質導入する。
【0309】
細胞および細胞集団
一態様では、本明細書に開示される細胞集団および/またはその後代が提供される。一部の実施形態では、細胞集団は、クローナルである。一部の実施形態では、細胞集団は、単離および/または富化および/または操作されたものである。
【0310】
一態様では、本明細書に開示される方法によって作製または調製された免疫細胞(例えば、NK細胞などおよび/またはγδT細胞)またはその集団が提供される。細胞またはその集団および担体、必要に応じて薬学的に許容される担体を含む組成物がさらに提供される。一部の実施形態では、免疫細胞またはその集団は、単離および/または富化および/または操作されたものである。
【0311】
それに加えてまたはその代わりに、本明細書に開示される細胞は、幹細胞から誘導されたまたは分化したものである。一部の実施形態では、誘導されたおよび/または分化した細胞および/またはその細胞集団は、免疫細胞を含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の場合では、免疫細胞は、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、骨髄リニエージの細胞、および/または好中球から選択される。一部の実施形態では、T細胞は、CD3を発現しない、すなわち、CD3-T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、CD4を発現しない、すなわち、CD4-T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、CD8を発現しない、すなわち、CD8-T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちのいずれか1つまたは複数を発現しない。一部の実施形態では、T細胞は、TCR γ鎖を発現する。それに加えてまたはその代わりに、T細胞は、TCR δ鎖を発現する。一部の実施形態では、T細胞は、γδT細胞である。一部の場合では、単離された細胞または免疫細胞の富化された集団は、単球、マクロファージ、および/またはミクログリアを含むか、本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0312】
一部の実施形態では、細胞集団は、必要に応じてHSCおよび/または誘導多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞から誘導された免疫細胞を実質的に含む。一部の実施形態では、細胞集団は、必要に応じて免疫細胞へと誘導される、HSCおよび/またはiPSCなどの幹細胞を実質的に含む。
【0313】
一部の実施形態では、細胞集団は、実質的に均一であり、例えば、集団中の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の細胞が同じものである。
【0314】
さらなる態様では、本明細書に開示される方法によって作製または調製されたNK細胞またはその集団が提供される。細胞またはその集団および担体、必要に応じて薬学的に許容される担体を含む組成物がさらに提供される。
【0315】
さらなる態様では、本明細書に開示される方法によって作製または調製されたγδT細胞またはその集団が提供される。細胞またはその集団および担体、必要に応じて薬学的に許容される担体を含む組成物がさらに提供される。
【0316】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は、約0.1%未満、約0.2%未満、約0.3%未満、約0.4%未満、約0.5%未満、約0.6%未満、約0.7%未満、約0.8%未満、約0.9%未満、約1.0%未満、約1.1%未満、約1.2%未満、約1.3%未満、約1.4%未満、約1.5%未満、約1.6%未満、約1.7%未満、約1.8%未満、約1.9%未満、または約2.0%未満のaAPCを含む。
【0317】
それに加えてまたはその代わりに、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は、生存率が30%以上、40%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上である。
【0318】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は無菌性である。
【0319】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物に含まれる内毒素は、試験対象(例えば、ウサギなど、例えば、Wachtel and Tsuji, 1976;Dabbah, et al, 1980を参照されたい)における発熱の誘導に要する内毒素活性のレベルの統計学的評定である内毒素の閾値発熱用量(TPD)未満である。そのようなTPDは、投与経路に基づいて決定することができる。一実施形態では、TPDは、例えば、静脈内または筋肉内投与に関して、5EUKg-1-1の内毒素である。一実施形態では、TPDは、例えば、くも膜下腔内投与に関して、0.2EUKg-1-1の内毒素である。
【0320】
一部の実施形態では、開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は、マイコプラズマ、外来ウイルス、またはHHV(例えば、HHV6および/またはHHV7など)のうちの1つまたは複数について陰性である。
【0321】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞集団および/または組成物は、総細胞中、約25%を超える、約30%を超える、40%を超える、約45%を超える、約50%を超える、約55%を超える、約60%を超える、約65%を超える、約70%を超える、約75%を超える、約80%を超える、約85%を超える、約90%を超える、または約95%を超える、CARを発現する細胞を含む。さらなる実施形態では、本明細書に開示される細胞集団および/または組成物は、総細胞中、約25%、約30%、40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の、CARを発現する細胞を含む。
【0322】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞集団および/または組成物は、総細胞中、約25%を超える、約30%を超える、40%を超える、約45%を超える、約50%を超える、約55%を超える、約60%を超える、約65%を超える、約70%を超える、約75%を超える、約80%を超える、約85%を超える、約90%を超える、約95%を超える、または約99%を超える、CD56を発現する細胞を含む。さらなる実施形態では、本明細書に開示される細胞集団および/または組成物は、総細胞中、約25%、約30%、40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%の、CD56を発現する細胞を含む。
【0323】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞集団および/または組成物は、総細胞中、約0.1%未満、約0.2%未満、約0.3%未満、約0.4%未満、約0.5%未満、約0.6%未満、約0.7%未満、約0.8%未満、約0.9%未満、約1.0%未満、約1.1%未満、約1.2%未満、約1.3%未満、約1.4%未満、約1.5%未満、約1.6%未満、約1.7%未満、約1.8%未満、約1.9%未満、または約2.0%未満の、CD3を発現する細胞を含む。
【0324】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は、細胞当たり、約2コピー未満、約3コピー未満、約4コピー未満、約5コピー未満、約6コピー未満、約7コピー未満、約8コピー未満、約9コピー未満、または約10コピー未満のポリヌクレオチドを含む。
【0325】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は、IL-2および/またはIL-21の非存在下では、増殖を欠く。
【0326】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は、本明細書に開示される培養するステップおよび/または導入するステップのいずれによっても調製されていない免疫細胞と比較して、強力な能力(すなわち、効力)、例えば、1倍よりも高い、2倍よりも高い、3倍よりも高い、4倍よりも高い、10倍よりも高い上昇、15倍よりも高い、20倍よりも高いまたはそれよりも高いレベルを有する。そのような効力は、IFNγおよび/もしくは他の炎症促進性サイトカインの分泌ならびに/またはCD107(例えば、CD107aなど)の発現によって測定することができる。例えば、Orange et al. J Exp Med. 1995 Oct 1; 182 (4): 1045-56;およびMcElroy et al. J Immunol Methods. 2007 Dec 1; 328 (1-2): 45-52を参照されたい。
【0327】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物は、CD19などの抗原、NKp46、またはNKG2Dのうちの1つまたは複数を発現する。
【0328】
さらなる実施形態では、これらの細胞、細胞集団、および/または組成物は、それを必要とする対象におけるがんを処置および/もしくは予防するため、または新しい療法を試験するために有用である。
【0329】
一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞および/もしくはその集団、ならびに/または組成物、例えば、それを必要とする対象に投与されるものは、これだけに限定されないが、1キログラム当たり2×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり3×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり4×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり5×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり6×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり7×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり8×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり9×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり1×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり2×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり3×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり4×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり5×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり6×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり7×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり8×10個よりも多くの細胞、1キログラム当たり9×10個よりも多くの細胞、または1キログラム当たり1×10個よりも多くの細胞を含め、処置される対象の体重1キログラム当たり1×10個よりも多くの細胞を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。
【0330】
処置方法
一態様では、がん細胞の成長を阻害するための方法が提供される。方法は、例えば、有効量の、本明細書に開示される方法によって調製されたCAR発現細胞の集団をがん細胞と接触させるステップを含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、CARによって認識される抗原は、がん細胞によって発現される腫瘍関連抗原(TAA)である。一部の実施形態では、接触させるステップは、in vivoまたはin vitroである。
【0331】
さらなる実施形態では、対象におけるがんを処置するための方法が提供される。方法は、例えば、有効量の、本明細書に開示される方法によって調製されたCAR発現免疫細胞の集団を対象に投与するステップを含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。一部の実施形態では、CARによって認識される抗原は、がんの細胞によって発現されるTAAである。一部の実施形態では、投与は、第1選択療法、第2選択療法、第3選択療法、または第4選択療法である。
【0332】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、細胞集団は、NK細胞を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなる。それに加えてもしくはその代わりに、細胞集団は、約0.1%未満もしくはこれと等しい、約0.2%未満もしくはこれと等しい、約0.3%未満もしくはこれと等しい、約0.4%未満もしくはこれと等しい、約0.5%未満もしくはこれと等しい、約0.6%未満もしくはこれと等しい、約0.7%未満もしくはこれと等しい、約0.8%未満もしくはこれと等しい、約0.9%未満もしくはこれと等しい、約1.0%未満もしくはこれと等しい、約1.1%未満もしくはこれと等しい、約1.2%未満もしくはこれと等しい、約1.3%未満もしくはこれと等しい、約1.4%未満もしくはこれと等しい、約1.5%未満もしくはこれと等しい、約1.6%未満もしくはこれと等しい、約1.7%未満もしくはこれと等しい、約1.8%未満もしくはこれと等しい、約1.9%未満もしくはこれと等しい、または約2.0%未満もしくはこれと等しいCD3+細胞を含む。
【0333】
一部の実施形態では、対象に、体重1キログラム当たり1×10未満、2×10未満、3×10未満、4×10未満、5×10未満、6×10未満、7×10未満、8×10未満、9×10未満、1×10未満、2×10未満、3×10未満、4×10未満、5×10未満、6×10未満、7×10未満、8×10未満、9×10未満、1×10未満のT細胞を投与する。
【0334】
一部の実施形態では、がん細胞は、循環系、例えば、心臓(肉腫[血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫]、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、および脂肪腫)、縦隔および胸膜、ならびに他の胸腔内臓器、血管腫瘍および腫瘍関連血管組織;気道、例えば、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、気管、気管支および肺、例えば小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;胃腸系、例えば、食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(stomach)(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃(gastric)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);任意の部位において生じる消化管間質腫瘍および神経内分泌腫瘍;泌尿生殖路、例えば、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および/または尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、胚性癌腫、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓、例えば、ヘパトーマ(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵臓内分泌腫瘍(例えば褐色細胞腫、インスリノーマ、血管作動性腸管ペプチド腫瘍、膵島細胞腫瘍およびグルカゴノーマ);骨、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍、脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨粘液様線維腫(chondromyxofibroma)、類骨腫および巨細胞腫瘍;神経系、例えば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋がん(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症)、脳のがん(星細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);生殖系、例えば、婦人科、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫]、顆粒膜-髄膜細胞腫瘍、セルトリ-ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、胎盤、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)および女性生殖器と関連付けられる他の部位;陰茎、前立腺、精巣、および男性生殖器と関連付けられる他の部位;血液系、例えば、血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];口腔、例えば、唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋、および口の他の部分、耳下腺、および唾液腺の他の部分、扁桃腺、中咽頭、鼻咽頭、梨状洞、下咽頭、ならびに唇、口腔および咽頭中の他の部位;皮膚、例えば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、黒子形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、およびケロイド;副腎:神経芽腫;ならびに結合組織および軟組織、後腹膜および腹膜、目、眼内黒色腫、および付属器、乳房、頭部および/または頸部、肛門領域、甲状腺、副甲状腺、副腎および他の内分泌腺および関連する構造を含む他の組織、リンパ節の二次的なおよび不特定の悪性新生物、呼吸器および消化器系の二次的な悪性新生物ならびに他の部位の二次的な悪性新生物のがん細胞から選択される。
【0335】
一部の実施形態では、がん細胞は、固形腫瘍細胞である。他の実施形態では、がん細胞は、固形腫瘍の細胞ではない。さらなる実施形態では、がん細胞は、白血病がん細胞である。一部の実施形態では、がん細胞は、原発がん細胞または転移性がん細胞である。一部の実施形態では、がん細胞は、癌腫、肉腫、骨髄腫、白血病、またはリンパ腫に由来するものである。
【0336】
必要に応じてさらなる効果的な療法を本開示と組み合わせるおよび/または追加することができる。本明細書に開示される方法の一部の実施形態は、細胞を別の療法と接触させるまたは別の療法を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、別の療法は、外科的切除、化学療法、放射線療法、免疫療法および標的療法を含むか、あるいは本質的にこれらからなるか、さらにこれらからなる。一部の実施形態では、別の療法は、第1選択療法、第2選択療法、第3選択療法、または第4選択療法である。
【0337】
一部の実施形態では、「有効量」、すなわち、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な量が送達される。有効量を1回または複数回の投与、適用または投薬で投与することができる。そのような送達は、個々の投薬単位が使用される期間、治療剤の生体利用効率、投与経路などを含めた多数の変数に依存する。しかし、任意の特定の対象に対する本開示の治療剤の特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、全般的な健康、性別、および食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、ならびに処置される特定の障害の重症度および投与形態を含めた種々の因子に依存することが理解される。一般に、処置投薬量の力価測定を行って、安全性および有効性を最適化することができる。一般には、in vitroおよび/またはin vivo試験から得られた投薬量と効果の関連性により、患者への投与のための適当な用量に関する有用な指針が最初に提供され得る。一般に、in vitroにおいて効果的であることが見いだされた濃度と釣り合う血清レベルを実現するために効果的な量の遺伝子またはタンパク質を投与することが望まれる。これらのパラメータの決定は、当技術分野の技術の範囲内に十分に入る。これらの考察、ならびに効果的な製剤および投与手順は当技術分野で周知であり、標準の教本に記載されている。この定義と一致して、本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、治療的利益をもたらすために十分な量である。
【0338】
投与という用語は、これだけに限定することなく、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、脳室内(ICV)、くも膜下腔内、大槽内注射または注入、皮下注射、または埋込)による、吸入噴霧による経鼻、膣内、直腸内、舌下、尿道内(例えば、尿道坐薬)、頭蓋内、または局部投与経路(例えば、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、エアロゾルなど)による局所投与または全身投与を包含するものとし、単独でまたは一緒に、各投与経路に適した従来の無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、およびビヒクルを含有する適切な投薬単位製剤として製剤化することができる。本開示は、投与経路、製剤、または投薬スケジュールに限定されない。一部の実施形態では、投与は、局所的に、例えば、骨髄にまたは脳内に実施される。一部の実施形態では、投与は、全身的に実施される。一部の実施形態では、投与は、例えば、約1時間、約1.5時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約12時間、または約1日にわたる注入である。
【0339】
本明細書に開示される方法における使用に適した1つまたは複数の薬剤および必要に応じた説明書を含むか、あるいは本質的にこれからなるか、さらにこれからなるキットがさらに提供される。一部の実施形態では、薬剤は、以下:CARまたは別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含むベクター、細胞表現型を検出するための抗体、免疫細胞を単離または富化または精製するための抗体、ポリヌクレオチドを検出するためのプライマー、サイトカイン、および本明細書に開示されるaAPCのうちの1つまたは複数から選択される。
【実施例
【0340】
以下の実施例は、例示することを意図したものであり、本明細書に開示される実施形態を限定するものではない。
実験方法
実験番号1:ヒト初代NK細胞にキメラ抗原受容体を送達し、ヒト初代NK細胞におけるキメラ抗原受容体の機能を試験するための、ガンマレトロウイルスベクター(PCIR)媒介性遺伝子移入の独特の使用
【0341】
ヒト初代NK細胞に遺伝子送達するための効率的な方法がないこと、導入遺伝子が不安定であること、および形質導入されたCAR-NK細胞の生存率が低いことが、上首尾のCAR-NK開発および製造の最も大きな障害である。患者の望ましくない待ち時間は予後不良と相関し、また、不十分なT細胞機能、調製時間および/または再発までの時間が原因で全ての適格患者が療法を受けることができるとは限らないので、vein-to-vein timeが極めて重要である。現在利用可能な療法の効力および/または毒性は変動する。簡単に述べると、患者においてT細胞に欠陥があると、製品の効力が影響を受けることがある。そのような変動性により、予測不可能な処置転帰が引き起こされ得る。さらに、少なくないグレード3~4サイトカイン放出により症候群および神経毒性が引き起こされる。ロジスティックスが複雑であること、規模が非効率なものであること、および利用可能性が限定的であることを考慮すると、作製費用が高い。したがって、製造不首尾として、これだけに限定されないが、患者の出発材料が限定されていることに起因して、個別化療法における在庫を創出することができないこと、および再処置が困難になる恐れがあることが挙げられる。
【0342】
これらの問題に対処するために、ヒト初代NK細胞にキメラ抗原受容体(CAR)を送達し、ヒト初代NK細胞におけるキメラ抗原受容体(CAR)の機能を試験するための、ガンマレトロウイルスベクター(PCIR)媒介性遺伝子移入の独特の使用が本発明で提供される。
【0343】
レンチウイルスおよびレトロウイルスベクター媒介性遺伝子送達は、遺伝子操作のための安全なやり方であることが証明されている。しかし、多くの報告およびさらには出願人自身の実験においても、従来のレンチウイルスベクター媒介性形質導入が、NK細胞に対しては、導入遺伝子の発現がCAR-NK拡大中に劇的に減少することに起因して非効率である。例えば、図5Aおよび5Cを参照されたい。したがって、レンチウイルスベクターの非効率性を克服するために、代替の遺伝子送達方法を見いだすことにさらに務めた。
【0344】
第1に、モロニーマウス白血病ウイルス由来SFGガンマレトロウイルスベクターを、末梢血(PB)由来ヒト初代NK細胞への遺伝子送達に関して試験した。
【0345】
図1に示されている通り、本開示において使用した初代ヒトNK細胞は、末梢血(PB)由来であり、MACSxpress Whole Blood NK Cell Isolation Kit,human(Miltenyi Biotec、130-098-185)を用いて単離したものであった。細胞をCD56およびCD3抗体で染色することによって純度を決定し(図2A)、NK細胞をCD56+/CD3-集団と定義した。NK細胞を、NK MACS培地(130-114-429)を用い、50IU/mlのヒトIL-2および照射処理したK562-mb21-41BBLフィーダーの存在下、1:1の比で培養した。全てのガンマレトロウイルスプラスミド(PCIR)をPEQ-PEM3(-E)を用いてパッケージングし、BaEVTRまたはRD114TRプラスミドを1.5:1.5:1の比で用いてエンベロープを持たせ、293T細胞(ATCC CRL-3216)にリポフェクタミン3000試薬(Invitrogen(商標)L3000075)またはPEI MAX 40K(Polysciences,Inc、Cat#24765)によって一過性にトランスフェクトした。BaEVTRプラスミドは、RD114TRによって認識されるASCT-2と比較して、2種のウイルス侵入受容体ASCT-1およびASCT-2を発現する活性化されたNK細胞へのより大きな挿入断片の送達に関して、実際に有益である。レトロネクチン試薬(TakaRa、T100A/B)がコーティングされた非組織培養プレートを使用して、上記のレトロウイルス粒子を活性化されたNK細胞(7日間培養したもの)に感染させて直接力価測定を実施し、CAR-NK生成のためにMOI3を使用した。明白に、単離し、5日間培養した後、初代NK細胞は顕著な増殖状態に入り、したがって、6~10日目の活性化されたNK細胞を遺伝子送達のために使用した(図2B)。
【0346】
次いで、感染後3日目に形質導入効率を評定した。富化、拡大、機能および他の治療適用を実施した。
【0347】
実験結果から、感染後、73.51%~82.81%までにわたる別個の生存率が高いNK細胞(大まかな生存細胞ゲートを、低前方散乱(FSC)および高側方散乱(SSC)事象を除外することによって線引きすることができる)(図3B)、3ドナーの間で65.11%~72.75%までにわたるEGFR CAR遺伝子(Fab-AF647陽性)形質導入効率(図3C)、ならびに感染後8日目において3ドナーにおいて最初の感染NK数と比較して25倍、34倍および45倍の高度の増殖状態の収率(図3D)が示された。この広範囲にわたる最適化により、初代ヒトNK細胞へのCAR構築物の50%~80%の効率;8日間でCAR NK細胞の1,000~2,000万個から数億個までの25~45倍のex vivo拡大;およびex vivoにおけるNK細胞拡大でのCARの十分な保持での一貫した形質導入が可能になる。
【0348】
より長期間にわたる培養の試験を行った。例えば、図7を参照されたい。この本明細書に開示される広範囲にわたる最適化により、17~24日間でNK細胞数千万個から数百億個までの拡大が可能になり、解凍時に優れた生存率を有する凍結した真に既製品として使える製品がもたらされた。商業的製造の費用は、少なくとも、用量当たり約2000ドルであり、バッチ当たり500を超える用量である。
【0349】
同じ送達戦略を用いた、同じ増殖状態(proliferate state)にある活性化されたNK細胞の直接感染に基づくレトロウイルス力価測定が図4に提示されている。
【0350】
さらに、選別後10日目に、PCIL-EGFR-CAR-NKおよびPCIL-GFP空ベクター対照についてはどちらもGFP陽性細胞がおよそ100%から39%まで有意に減少した(図5Aおよび5C)。しかし、フロー分析により、選別後10日目、14日目および25日目に、PCIR-EGFR-CAR-NKについて高度に安定な形質導入された遺伝子の発現が認められたことが実証された(図5Bおよび5C)。
【0351】
空ベクター切断型CD19(EV-Tcd19)およびEGFR導入遺伝子について別々に平均85%(CD19-PE陽性)および79.6%(ヤギ抗マウスFab-AF647陽性)の形質導入率がさらに観察された(図6A)。また、操作されたEGFR-CAR-NKについて、空ベクターニセ形質導入および形質導入されていないNK群と比較して動的なリアルタイム殺滅が認められ、生細胞指標が最低であった(図6B)。
【0352】
第2に、拡大された初代NK細胞のレトロウイルスによる形質導入の時点を最適化した。ガンマ-レトロウイルスは分裂している細胞に効率的に感染することができるので、遺伝子送達のための、成長曲線および初代NK細胞が顕著な増殖状態に入った時点を決定した。
【0353】
第3に、いくつかの試験により、ヒト初代リンパ球の形質導入効率が、レトロウイルスベクターを被覆するために使用したエンベロープタンパク質の型に依存し、活性化されたNK細胞が、標的への侵入に使用されるヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV-TR)である受容体ASCT-1およびASCT-2を高度に発現することが実際に示されている。ASCT-2受容体は、細胞への侵入に使用されるネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)でもあり、したがって、BaEVTRおよびRD114TRの両方を試験した。BaEVTRプラスミドは、タンデムCAR、デュアルCARおよびBiTE CARなどのより大きな挿入断片の送達のために実際に使用されている。
【0354】
次に、RetroNectin試薬は、標的細胞およびビリオンの共局在を補助することによってレトロウイルス媒介性遺伝子形質導入を増強することができることが証明されている。具体的には、ウイルス粒子がRetroNectin試薬とH-ドメインとの相互作用によって結合し、標的細胞が主に細胞表面インテグリン受容体VLA-5およびVLA-4とそれぞれフィブロネクチンC-ドメインおよびCS-1部位との相互作用を通じて結合する。RetroNectin試薬は、接近を容易にすることにより、インテグリン受容体VLA-4および/またはVLA-5を発現する標的細胞へのレトロウイルス媒介性遺伝子移入を増強することができる。
【0355】
さらに、異なる細胞型に基づく間接的な測定方法によって算出される力価測定の過大評価または過小評価を回避するために、同じ送達戦略を用いた、同じ増殖状態(proliferate state)における活性化されたNK細胞の直接感染に基づくレトロウイルス力価測定についての決定を行った。
【0356】
本明細書に開示される所見から、RD114-TRまたはBaEV-TRでシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子をRetroNectinと組み合わせて使用することが、ヒト初代NK細胞に治療用遺伝子を高い形質導入効率、持続的な導入遺伝子発現、ならびに高度な細胞生存率および拡大率で送達するための上首尾の戦略であることが示される。
【0357】
一部の実施形態では、NK細胞を健康な新生児の臍帯血(umbilical cord blood)から採取した。最良のNK細胞候補の選択を開示されている通り実施した。次いで、フィーダー細胞(例えば、本明細書に開示されるaAPCなど)を使用してNK細胞を拡大させた。拡大したNK細胞に形質導入を行って、CARならびに/または自殺スイッチ、抗体およびサイトカインなどの他の成分を発現するようにした。また外因性IL-2により、ex vivoにおける拡大の継続を駆動した。次いで、最終的な細胞産物を回収し、凍結保存し、患者に既製品として投与するために高い生存率で解凍した。
【0358】
一部の実施形態では、そのような方法により、NK細胞拡大のための最良の臍帯血(umbilical cord blood)産物を選択することが可能になる。本明細書に開示されるaAPCと共培養することにより、大規模なNK細胞拡大が実現される。この作製方法により、必要なレトロウイルスの数量が大幅に減少し、NK細胞拡大のための時間の20%の短縮がもたらされる。CARを発現させる高い形質導入効率が実現される。
【0359】
実験番号2:細胞療法:プロセス開発試験
これだけに限定されないが、StemSpan(Stemcell#09960)、NK MACS(登録商標)Medium(Miltenyi research 30-114-429;GMP:170-076-356)、TexMACS(170-076-306 GMP培地(medium))、およびCellgenix Serum-free Stem Cell Growth Medium(SCGM、#20806-0500)を含めた、NKの成長および/または増幅を支持するための培地および/または添加剤についての試験を行った。
【0360】
収率を最適化するために、以下:100~500U/mlのIL-2、20ng/mlのIL-15、25ng/mLのIL-21のうちの1つまたは複数、またはこれらの任意の組合せなどのサイトカイン添加剤を比較した。
【0361】
NK細胞富化を実施した。以下の市販のキットを試験し、比較した:Stemcell NK depletion EasySep NK Isolation kit(17955RF)、RosetteSep NK enrichment Cocktail(#15065)とMiltenyi NK Isolation kit(130-092-657)およびCD56NK Cell Isolation Kit(130-092-660)。
【0362】
種々のCD3枯渇キットを、CD3+細胞の<0.3%(すなわち、枯渇を有する細胞集団の0.3%未満)までの減少について試験する。これらのキットには、例えば、Miltenti 130-096-535を含む。
【0363】
操作されたK562細胞(例えば、膜結合IL-15(sushiドメイン)および/またはIL-21を発現するものなど)を生成した。操作された細胞のマスターセルバンク(MCB)および/またはワーキングセルバンク(WCB)を現行の医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準(Good Manufacturing Practice)に従って開発した。
【0364】
さらに、これだけに限定されないが、以下の試験:無菌性、内毒素、マイコプラズマ、外来ウイルス試験(in vitroおよびin vivo)、PCRに基づくウイルス試験、アイソザイムアッセイ、核型分析、Sなどのうちの1つまたは複数を含めた、K562 MCBおよびWCBバンクのリリース試験を完了させる。さらに、K562マーカー同時発現の安定性、例えば、CD64/FcγRI、CD86/B7-2、CD137L/4-1BBL、切断型CD19および膜結合IL-21を4週間の培養時間にわたって、および照射処理後(21日間の培養)に決定する。K562細胞の照射処理を試験して、照射装置が適格/有効であることを確実にする。50、100、150Gyでの照射処理の照射処理後1~14日目にプレーティングした後、成長および/または生存率のカイネティクスを試験する。
【0365】
臍帯血由来NK細胞の拡大を、照射処理されたK562細胞を種々のNK:K562比、例えば、1:2;1:1;1:3、1:5の比で使用して試験する。
【0366】
形質導入効率を、RetroNectinをコーティングしたプレートと比較する形で、RetroNectinをコーティングしたAFCバッグを使用して比較する。
【0367】
次いで、例えば、G-Rex、Xuri、BioflowおよびXcellerexバイオリアクターシステムを比較することにより、プロセスをスケールアップする。
【0368】
1×10個のCD56+細胞から出発して、1×1011個よりも多くのCD56+細胞が生成された。最初に小規模の培養を使用して試験を実施して、成長および増幅パラメータを定義し、機能性を確認した。理論に縛られることは望まないが、細胞は、高レベルの増幅に伴って効力を失い、したがって、細胞増幅と機能の間の平衡がスケールアップの重要な考慮事項である。
【0369】
使用した試験抗体/試薬には、これらに限定されないが、抗CD56Brilliant Violet 605(BioLegend、San Diego、CA)、抗CD3 APC-H7、グランザイムB-PE-CF594、CCR4-BV421、CXCR3-PerCP Cy5.5、NKp46-BV711(BD Biosciences、San Jose CA)、CD57-PerCP(Bioss Woburn MA)、抗CD16 Brilliant Violet 650、および抗CD19 PE(Miltenyi Biotec Inc.)、CD44-BV785、CXCR4-BV605、2B4-PE、NKG2D-PE、DNAM-FITC、TbetBV711、CD16-BV650、CX3CR1-PE-Cy7、CD62L-PE-Cy7、CXCR1-PE、CCR7-FITC、PD-1-BV421、NKp30-ビオチン(Biolegendから)、NKp44-PerCP-eflour 710、エオメソデルミン-efluor-660、KLRG-1-PE(eBiosciences San Diego CA)、DAP12-PE、CD158-FITC(R&D Minneapolis MN)、DAP10-FITC(Antibodies-Online Atlanta GA)、NKG2A-PE-Cy7(Beckman Coulter Irving、TX)が含まれる。
【表1】
【0370】
上記の通り、これだけに限定されないが、クローナルなK562-遺伝子改変細胞のバンクを創出すること(細胞がクローナルでない場合には再クローニング);バンクの生存率、無菌性、マイコプラズマ、内毒素、HLA、および/または遺伝子改変された表面マーカー(例えば、mb IL-15、mb IL-21、CD64、CD86、CD137Lなど)について試験すること;K562-遺伝子改変細胞について試験成績書を作成すること;照射装置が較正されたものであり、用量投与が有効であることを確実にすること、ならびに細胞を100Gy、200Gyで照射処理し、14日間にわたって増殖/生存を試験することを含めたK562試験を実施する。
【表2】
【0371】
これだけに限定されないが、以下:1型および2型ヒト免疫不全ウイルス(HIV);I型およびII型ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV);B型肝炎ウイルス(HBV);C型肝炎ウイルス(HCV);CMV、ジカ、ウエストナイル;Treponema pallidum;HHV6/HHV7のうちの1つまたは複数を試験することを含めた、ドナー適格性スクリーニングおよび同種異系製品の試験を実施した。
【0372】
臍帯血は、およそ5×10個の総有核細胞(TNC)を含有し、そのうちの30%がNK細胞である。したがって、核臍帯血単位(60mL)には約1~2×10個のNK細胞が含有される。
【表3】
【表4】
【表5】
【0373】
NK純度を試験した。理論に縛られることは望まないが、患者に急性移植片対宿主病(体重1kg当たり≧0.5×10個のT細胞を受けた場合にGvHD≧グレードII)が発生し、また、T細胞夾雑が体重1kg当たり0.03×10個のT細胞であればNK細胞の投薬は忍容性が良好であるので、NK製品からT細胞を減少させることが極めて重要であり、したがって、許容性基準が≦0.3%のCD3+細胞と規定される。例えば、Stern M, Passweg JR, Meyer-Monard S, et al. Preemptive immunotherapy with purified natural killer cells after haploidentical SCT: a prospective Phase II study in two centers. Bone Marrow Transplant 2013; 48: 433-438を参照されたい。
【0374】
効力アッセイを実施した。CAR+およびCAR-標的細胞をCAR-NK細胞と共に、IFN-ガンマ、IL-15およびTNF-アルファについのELISA;ならびに/または細胞傷害活性についてのアッセイ(例えば、殺滅アッセイ、CD107a脱顆粒アッセイについてのFACSなどの脱顆粒アッセイ、および細胞内サイトカインIFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファについてのFACSなど)使用して試験する。
実験番号3:サイズが大きい導入遺伝子を有するベクターを生成するための安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293VEC-BaEV
【0375】
レトロウイルス侵入受容体の発現を、293Vec-GalVおよび293Vec-BaEVパッケージング細胞、ならびに力価測定に使用した2種の細胞株Jurkat TおよびHT1080において評価した。
【0376】
レトロウイルスの中で、ヒヒ内因性ウイルス(BaEV)とネコ内因性レトロウイルス(RD114)は、細胞への侵入のために共通の細胞表面受容体であるASCT2(ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター)を使用する。ASCT2に加えて、BaEVは、ASCT1も細胞侵入受容体として使用する。テナガザル白血病ウイルス(GALV)は、ナトリウム依存性リン酸トランスポーター(Pit1)を侵入受容体として使用する。図8Aを参照されたい。ASCT1、ASCT2、およびPit1についての免疫染色を2種のパッケージング細胞株、293Vec-GalVおよび293Vec-BaEV、ならびに2種の力価測定用細胞株、Jurkat TおよびHT1080について実施した。図8Bに示されている結果を参照されたい。Jurkat TおよびHT1080のどちらの細胞株も、3種のレトロウイルスエンベロープタンパク質、BaEV、RD114およびGALVの侵入受容体を遍在的に発現しているので、これらの3種のレトロウイルスエンベロープタンパク質の力価測定のために使用することができる。293に基づくパッケージング細胞株、293Vec GALVおよび293Vec BaEVに関しては、GALVでシュードタイピングされたレトロウイルスのみが侵入受容体Pit1を使用して感染することができる。
【0377】
安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293VEC-BaEVを生成するための形質導入戦略のワークフローが本明細書に提示される。
【0378】
モロニーマウス白血病ウイルス(Mo-MuLV)に基づくレトロウイルスベクター(PCIR)を標的導入遺伝子送達ビヒクルとして使用する。BaEVでシュードタイピングされた293Vec-BaEVパッケージング細胞株を、臍帯血由来NK細胞への感染のためのビヒクル作製のために使用した。
【0379】
2種のパッケージング細胞株をこの作製のために使用した:一過性テナガザル白血病ウイルス(GALV)でシュードタイピングされた上清を作製するために、293Vec-GALV、および最終的なベクターを生成するために、293Vec-BaEV。どちらの細胞株もBioVec Pharmaから供給されたものであった。
【0380】
第1に、GALVでシュードタイピングされたレトロウイルス上清を、パッケージング細胞株293Vec-GALVに試薬PEI MAX 40K(Polysciences,Inc、Cat#24765)を一過性にトランスフェクトすることによって生成した。簡単に述べると、トランスフェクションの前日に、60万個の293Vec-GALVを、10%熱失活ウシ胎仔血清を補充した完全DMEM培地3ml中、6ウェルプレートのウェルに播種した。トランスフェクション日に、293Vec-GALVは80%集密であるべきである。標的導入遺伝子を含有する単一のMo-MuLVに基づくレトロウイルスベクター合計2.5μgをOpti-MEM(商標)Reduced-Serum Medium150μl中に希釈した。その間に、合計10μg/10μlのPEI MAX 40KもOpti-MEM(商標)Reduced-Serum Medium150μl中に希釈した。プラスミド/DNAとPEI MAX 40Kの比は1:4である。次いで、希釈したDNAをPEI 40Kに添加し、十分に混合し、フード内、室温で12分間インキュベートした。インキュベーション後、DNA-PEI MAX 40K複合体300μlを培養物3ml中の細胞に穏やかに一滴ずつ添加した。
【0381】
次いで、バルクプロデューサーを作製するために、この上清を使用してBaEVでシュードタイピングされたパッケージング細胞株293Vec-BaEVに形質導入した。高力価クローンを生成するために、この293Vec-BaEVバルクプロデューサーを限界希釈によってさらに単一細胞クローニングし、各クローンから生成された上清の力価測定によって選択された高力価クローンについてスクリーニングすることができる。
【0382】
次いで、高力価の安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293VEC-BaEVから上清を継続的に作製することができる。
【0383】
サイズが大きい導入遺伝子を有するベクターについて、安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293VEC-BaEVからの未加工の上清の力価の改善が観察された。図10を参照されたい。
【0384】
「複数の標的を組み合わせて1つにする(Combination of Multiple Targets in one)」は、出願人によって開発された独特の治療戦略である。BaEVでシュードタイピングされた293Vec-BaEVパッケージング細胞株をビヒクル作製のために使用した。大きな導入遺伝子挿入断片(>11kb)を有するプラスミドのための代表的なレトロウイルスが293Vec-BaEVパッケージング細胞によって一過性にも安定にも作製された。合計350万個の293Vec-BaEVパッケージング細胞を100mmの組織培養皿に播種し、37℃で48~72時間インキュベートした。プレートの集密度を90~100%に到達させるべきである。次いで、未加工の上清を収集し、1500gで5分間高速回転させた。上記の上清の力価測定をJurkat T細胞で実施した。ウイルス上清の段階希釈物を、RetroNectinが予めコーティングされた組織培養処理されていない24ウェルプレートにローディングし、10%熱失活ウシ胎仔血清を補充した完全DMEM培地を用いて500μlにした。プレートを32℃、2000gで2時間にわたって遠心沈澱させ、Jurkat T細胞10万個を添加し、1000gで5分間高速回転させた。プレートを37℃で48時間インキュベートし、次いで、力価(形質導入単位/ml)を形質導入単位(TU)/mL=[(標的細胞数)×(%陽性細胞)]の式に従って決定するためにフローサイトメトリー分析を実施した。この例では、レポーター遺伝子RQR8をヒトCD34抗体に対するフロー抗体(QBEnd/10)(アロフィコシアニン)(Novus Biologicals,LLC、#FAB7227A)によって検出した。B)。サイズが大きい導入遺伝子を有するベクターについて、安定なレトロウイルスウイルスプロデューサー-293VEC-BaEV(TU=7.2E5)からの未加工の上清の力価が、一過性に作製されたウイルス(TU=2.2E5)と比較して改善されている。
【0385】
均等物
本発明を上記の実施形態と併せて記載したが、前述の説明および例は、例示することを意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本発明の範囲内に入る他の態様、利点および改変が、本発明が関する分野の当業者には明らかになるであろう。
【0386】
本開示を特定の実施形態および必要に応じた特色によって具体的に開示したが、本明細書において開示されているその中の実施形態の改変、改善および変形を当業者が行うことができること、ならびに、そのような改変、改善および変形が本開示の範囲内に入るとみなされることが理解されるべきである。本明細書で提供される材料、方法および実施例は、特定の実施形態を代表するものであり、例示であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0387】
本開示の範囲を本明細書において広範かつ包括的に記載した。包括的な開示の範囲内に入る狭義の種および下位概念の分類のそれぞれも本開示の一部を形成する。これには、排除される材料が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、類概念から何らかの対象物を排除する条件または否定的な限定を伴う、包括的な説明が含まれる。
【0388】
さらに、本発明の特色または態様がマーカッシュ群で記載されている場合、それによって、本発明がマーカッシュ群の全ての個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関しても記載されることが当業者には理解されよう。
【0389】
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それぞれが個別に参照により組み込まれる場合と同じ程度に、明白にその全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含めた本明細書が優先される。
【0390】
部分配列一覧表
IgG1ヒンジドメイン:LEPKSCDKTHTCPPCPDPKGT(配列番号1)
【0391】
CD28膜貫通および細胞質ドメイン:FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号2)
【0392】
CD3ゼータシグナル伝達ドメイン:RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号3)
【0393】
IL2シグナルペプチド:MYRMQLLSCIALSLALVTNS(配列番号4)、
【0394】
IgG1シグナルペプチド:MGWSSIILFLVATATGVH(配列番号5)
【0395】
抗NKG2D抗原結合性ドメインのCDR:
CDRL1:SGSSSNIGNNAVN(配列番号6)
CDRL2: YDDLLPS(配列番号7)
CDRL3: AAWDDSLNGPV(配列番号8)
CDRH1: GFTFSSY(配列番号9)
CDRH2: RYDGSN(配列番号10)
CDRH3: DRGLGDGTYFDY(配列番号11)
【0396】
抗NKG2D軽鎖可変領域:QSALTQPASVSGSPGQSITISCSGSSSNIGNNAVNWYQQLPGKAPKLLIYYDDLLPSGVSDRFSGSKSGTSAFLAISGLQSEDEADYYCAAWDDSLNGPVFGGGTKLTVL(配列番号12)
【0397】
抗NKG2D重鎖可変領域:QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAFIRYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDRGLGDGTYFDYWGQGTTVTVSS(配列番号13)
【0398】
ペプチドリンカー:GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号14)
【0399】
ヒトIgG4 Fc領域:ESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号81)
【0400】
F234A、L235AおよびN297Q突然変異(すなわち、それぞれ配列番号81のaa16、aa17およびaa79における突然変異)を有するヒトIgG4 Fc領域等価物ESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号82)
【0401】
ヒト筋肉アルドラーゼ(HMA)ペプチドリンカー:PSGQAGAAASESLFVSNHAY(配列番号83)
【0402】
検出可能マーカー:YPYDVPDYA(配列番号84)
【0403】
T2Aペプチド:HVGSGEGRGSLLTCGDVEENPGP(配列番号85)
【0404】
シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列:ATGGGGTGGTCAAGCATTATTCTGTTTCTGGTCGCTACCGCTACAGGCGTCCAT(配列番号86)
【0405】
シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列:ATGTACAGGATGCAACTCCTGTCTTGCATTGCACTAAGTCTTGCACTTGTCACAAACAGT(配列番号87)
【0406】
リンカーペプチドをコードするヌクレオチド配列:GGTGGGGGCGGCTCTGGTGGCGGTGGCAGCGGCGGAGGTGGCAGT(配列番号88)
【0407】
膜貫通および細胞質ドメインをコードするヌクレオチド配列:TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC(配列番号89)
【0408】
シグナル伝達ドメインをコードするヌクレオチド配列:AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号90)またはその等価物;
【0409】
切断可能なペプチドをコードするヌクレオチド配列:CACGTGGGTTCTGGAGAAGGACGCGGTTCCTTGTTGACGTGTGGCGATGTAGAGGAAAATCCGGGTCCA(配列番号91)
【0410】
リンカーをコードするヌクレオチド配列:CCGAGCGGCCAGGCGGGCGCGGCGGCATCGGAGTCCCTGTTTGTGTCAAATCACGCCTAC(配列番号92)
【0411】
ヒンジドメインをコードするヌクレオチド配列:CTCGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCGGATCCCAAAGGTACC(配列番号109)
【0412】
ペプチドリンカー:(グリシン-セリン)n(nは1から6までの整数である)(配列番号110)
【0413】
6×Hisタグ:His His His His His His(配列番号111)
【0414】
ヒンジドメイン:IgG1重鎖ヒンジコード配列:CTCGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCG(配列番号112)
【0415】
CD28膜貫通領域コード配列:TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTG(配列番号113)
【0416】
4-1BB共刺激シグナル伝達領域コード配列:AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG(配列番号114)
【0417】
CD28共刺激シグナル伝達領域コード配列:AGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC(配列番号115)
【0418】
CD3ゼータシグナル伝達領域コード配列:AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA(配列番号116)
【0419】
ヒトCD8アルファヒンジドメイン:PAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIY(配列番号117)。
【0420】
マウスCD8アルファヒンジドメイン:KVNSTTTKPVLRTPSPVHPTGTSQPQRPEDCRPRGSVKGTGLDFACDIY(配列番号118)。
【0421】
ネコCD8アルファヒンジドメイン:PVKPTTTPAPRPPTQAPITTSQRVSLRPGTCQPSAGSTVEASGLDLSCDIY(配列番号119)。
【0422】
ヒトCD8アルファ膜貫通ドメイン:IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号120)。
【0423】
マウスCD8アルファ膜貫通ドメイン:IWAPLAGICVALLLSLIITLI(配列番号121)。
【0424】
ラットCD8アルファ膜貫通ドメイン:IWAPLAGICAVLLLSLVITLI(配列番号122)。
【0425】
4-1BB共刺激シグナル伝達領域:KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号123)
【0426】
CD28配列:MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSC KYSYNLFSRE FRASLHKGLDSAVEVCVVYG NYSQQLQVYS KTGFNCDGKL GNESVTFYLQ NLYVNQTDIY FCKIEVMYPPPYLDNEKSNG TIIHVKGKHL CPSPLFPGPS KPFWVLVVVG GVLACYSLLVTVAFIIFWVR SKRSRLLHSD YMNMTPRRPG PTRKHYQPYA PPRDFAAYRS(配列番号124)
【0427】
ICOS共刺激シグナル伝達領域コード配列:acaaaaaaga agtattcatc cagtgtgcac gaccctaacg gtgaatacat gttcatgaga gcagtgaaca cagccaaaaa atccagactc acagatgtga cccta(配列番号125)
【0428】
OX40共刺激シグナル伝達領域コード配列:AGGGACCAG AGGCTGCCCC CCGATGCCCA CAAGCCCCCT GGGGGAGGCA GTTTCCGGAC CCCCATCCAA GAGGAGCAGG CCGACGCCCA CTCCACCCTG GCCAAGATC(配列番号126)
【0429】
リンカー:GGGGS(配列番号134)。
【0430】
リンカー:(GGGGS)n(nは1(配列番号134)、または2(配列番号135)、または3(配列番号14)、または4(配列番号136)、または5(配列番号137)、または6(配列番号138)、または7(配列番号139)、または8(配列番号140)、または9(配列番号141)、または10(配列番号142)、または11(配列番号143)、または12(配列番号144)、または13(配列番号145)、または14(配列番号146)、または15(配列番号147)、またはそれよりも大きい整数であり得る)。
【0431】
EF1アルファプロモーター配列:AAGGATCTGCGATCGCTCCGGTGCCCGTCAGTGGGCAGAGCGCACATCGCCCACAGTCCCCGAGAAGTTGGGGGGAGGGGTCGGCAATTGAACGGGTGCCTAGAGAAGGTGGCGCGGGGTAAACTGGGAAAGTGATGTCGTGTACTGGCTCCGCCTTTTTCCCGAGGGTGGGGGAGAACCGTATATAAGTGCAGTAGTCGCCGTGAACGTTCTTTTTCGCAACGGGTTTGCCGCCAGAACACAGCTGAAGCTTCGAGGGGCTCGCATCTCTCCTTCACGCGCCCGCCGCCCTACCTGAGGCCGCCATCCACGCCGGTTGAGTCGCGTTCTGCCGCCTCCCGCCTGTGGTGCCTCCTGAACTGCGTCCGCCGTCTAGGTAAGTTTAAAGCTCAGGTCGAGACCGGGCCTTTGTCCGGCGCTCCCTTGGAGCCTACCTAGACTCAGCCGGCTCTCCACGCTTTGCCTGACCCTGCTTGCTCAACTCTACGTCTTTGTTTCGTTTTCTGTTCTGCGCCGTTACAGATCCAAGCTGTGACCGGCGCCTAC(配列番号148)
【0432】
配列番号71のリバース配列:AVGTIVDQSAK(配列番号151)
【0433】
IgG1重鎖シグナルペプチドDNA
ATGGAATTTGGGCTGCGCTGGGTTTTCCTTGTTGCTATTTTAAAAGATGTCCAGTGT(配列番号168)
【0434】
タンパク質
MEFGLRWVFLVAILKDVQC(配列番号169)
【0435】
IgG1 FcDNA
GAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGAGCTGCAACTGGAGGAGAGCTGTGCGGAGGCGCAGGACGGGGAGCTGGACGGGCTGTGGACGACCATCACCATCTTCATCACACTCTTCCTGTTAAGCGTGTGCTACAGTGCCACCGTCACCTTCTTCAAGGTGAAGTGGATCTTCTCCTCGGTGGTGGACCTGAAGCAGACCATCATCCCCGACTACAGGAACATGATCGGACAGGGGGCC(配列番号170)
【0436】
IgG1 FcDNAによってコードされるタンパク質
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPELQLEESCAEAQDGELDGLWTTITIFITLFLLSVCYSATVTFFKVKWIFSSVVDLKQTIIPDYRNMIGQGA(配列番号171)
【0437】
本開示の例示される実施形態
実施形態1.改変RD114ネコ内因性レトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(RD114TR)および改変ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEVTR)を含むシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子であって、
a.RD114TR糖タンパク質が、RD114糖タンパク質の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびに両種指向性マウス白血病ウイルス(MLV-A)糖タンパク質の細胞質ドメインを含み、
b.BaEVTR糖タンパク質が、ヒヒエンベロープ糖タンパク質(BaEV)の外部ドメインおよび膜貫通ドメインならびにMLV-A糖タンパク質の細胞質ドメインを含む、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【0438】
実施形態2.RD114TRおよびBaEVTRが、ガンマレトロウイルス粒子のエンベロープに膜タンパク質として組み入れられている、実施形態1に記載のシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【0439】
実施形態3.エンベロープに封入されたベクターゲノムをさらに含み、ベクターゲノムが、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれた以下:
(A)キメラ抗原受容体(CAR)、もしくは、必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(B)(A)のリバース相補体、または
(C)1つもしくは複数の認識部位を含むポリヌクレオチドであって、必要に応じて、認識部位が、CARコード配列もしくはそのリバース相補体をポリヌクレオチドに挿入するために適した制限酵素によって認識され、切断されるものである、ポリヌクレオチド
のうちの1つまたは複数を含む、実施形態1または2に記載のシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【0440】
実施形態4.ベクターゲノムが、以下:5’LTR、5’キャップ、3’ポリA尾部、および3’LTRのうちの1つまたは複数をさらに含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載のシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【0441】
実施形態5.逆転写酵素またはインテグラーゼのいずれかまたは両方をさらに含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【0442】
実施形態6.以下の種:モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちのいずれか1つから選択される、実施形態1から5のいずれか1つに記載のシュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子。
【0443】
実施形態7.ナチュラルキラー(NK)細胞の集団を調製するための方法であって、以下:NK細胞、NK細胞の誘導が可能な前駆細胞、またはNK細胞の誘導が可能な幹細胞のうちの1つまたは複数を含む細胞集団を、免疫細胞活性化因子(例えば、NK細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップを含み、細胞集団が、細胞集団中のCD3、CD4、CD8、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものであり、免疫細胞活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)NK細胞、前駆細胞もしくは幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片であって、必要に応じて、抗体が、抗CD2抗体、抗CD16抗体、抗NKG2D抗体、抗DNAM-1抗体、抗2B4抗体、抗NTB-A抗体、もしくは抗NKp46(天然細胞傷害性受容体1(NCR1))抗体のうちの1つもしくは複数から選択される、抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数、
(iii)それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、または
(iv)必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数
のうちの1つまたは複数から選択される、方法。
【0444】
実施形態8.CAR、もしくは必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質もしくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、発現させるために、培養された細胞集団に導入するステップであって、CARが、腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を特異的に認識し、これに結合するものである、ステップをさらに含む、実施形態7に記載の方法。
【0445】
実施形態9.実施形態8の導入するステップの後に細胞集団を免疫細胞活性化因子と一緒に培養するステップをさらに含み、免疫細胞活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)NK細胞、前駆細胞もしくは幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数、
(iii)それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、もしくは
(iv)必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってNK細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数
のうちの1つもしくは複数から選択され、
必要に応じて、培養するステップを、同じまたは異なる免疫細胞活性化因子またはこれらの組合せを用いて1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す、
実施形態8に記載の方法。
【0446】
実施形態10.aAPCが、4-1BBL、膜結合(mb)IL-15、mb IL-21、CD64、CD80、CD83、CD86、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、MICA、CD 40L、CD137L、mb IL-2、mb IL-18、mb IL-12、CD25結合性を欠くmb IL-2変異体、mb IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc)ALT-803、またはCD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数をさらに発現する、実施形態7から9のいずれか1つに記載の方法。
【0447】
実施形態11.aAPCが、mb IL-21および4-1BBLをさらに発現する、実施形態7から10のいずれか1つに記載の方法。
【0448】
実施形態12.aAPCが、操作されたK562細胞である、実施形態7から11のいずれか1つに記載の方法。
【0449】
実施形態13.aAPCが、照射処理され、それによって細胞増殖を欠くまたは長期生存を欠くものである、実施形態7から12のいずれか1つに記載の方法。
【0450】
実施形態14.aAPCが、50Gy、100Gy、150Gyまたは200Gyで照射処理されている、実施形態13に記載の方法。
【0451】
実施形態15.aAPCを、細胞集団と一緒に、約10:1、約5:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:5、または約1:10の細胞数の比で培養する、実施形態7から14のいずれか1つに記載の方法。
【0452】
実施形態16.サイトカインが、B7.1、CCL19、CCL21、CD40L、CD137L、GITRL、GM-CSF、IL-12、IL-2、低毒性IL-2、CD25結合性を欠くIL-2変異体、IL-7、IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc;可溶性ALT-803)、IL-15、IL-18、IL-21、LEC、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、またはMICAからなる群から選択される、実施形態7から15のいずれか1つに記載の方法。
【0453】
実施形態17.細胞集団を、100~500IU/mlのIL-2、20ng/mlのIL-15、または25ng/mLのIL-21のうちのいずれか1つまたはいずれか2つまたは3つ全てと一緒に培養する、実施形態16に記載の方法。
【0454】
実施形態18.細胞集団を、50IU/mlのIL-2および0.5ng/mlのIL-15のいずれかまたは両方と一緒に培養する、実施形態16に記載の方法。
【0455】
実施形態19.細胞集団を、50IU/mlのIL-2と一緒に培養する、実施形態16に記載の方法。
【0456】
実施形態20.導入するステップの前後に細胞集団と一緒に培養される活性化因子が、同じものである、実施形態9から19のいずれか1つに記載の方法。
【0457】
実施形態21.導入するステップの前後に細胞集団と一緒に培養される活性化因子が、互いに異なるものである、実施形態9から19のいずれか1つに記載の方法。
【0458】
実施形態22.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を培養された細胞集団に導入し、それによって、CARをコードするポリヌクレオチドを培養された細胞に導入するステップを含み、粒子が、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれたCARをコードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体、RD114TR、およびBaEVTRを含む、実施形態8から21のいずれか1つに記載の方法。
【0459】
実施形態23.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、5’LTR、5’キャップ、CARをコードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体、3’ポリA尾部、および3’LTRを含むベクターゲノムを含む、実施形態22に記載の方法。
【0460】
実施形態24.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、逆転写酵素およびインテグラーゼのいずれかまたは両方をさらに含む、実施形態22または23に記載の方法。
【0461】
実施形態25.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちの任意の種から選択される、実施形態22から24のいずれか1つに記載の方法。
【0462】
実施形態26.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を、培養された細胞集団に、約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9または約10の感染多重度(MOI)で導入する、実施形態22から25のいずれか1つに記載の方法。
【0463】
実施形態27.細胞集団を、導入するステップの前に少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、または少なくとも約10日間にわたって培養する、実施形態8から26のいずれか1つに記載の方法。
【0464】
実施形態28.細胞集団を、導入するステップの前に7日間以下、8日間以下、9日間以下、10日間以下、11日間以下、12日間以下、13日間以下、14日間以下、15日間以下、3週間以下、または1カ月以下にわたって培養する、実施形態8から27のいずれか1つに記載の方法。
【0465】
実施形態29.細胞集団を、導入するステップの前に約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間にわたって培養する、実施形態8から27のいずれか1つに記載の方法。
【0466】
実施形態30.CARをコードするポリヌクレオチドを、細胞集団に、CARをコードするポリヌクレオチドまたはそのリバース相補体を含むウイルスベクターをRetroNectinの存在下で形質導入することによって導入する、実施形態8から29のいずれか1つに記載の方法。
【0467】
実施形態31.RetroNectinが、細胞集団への形質導入を行う容器の内部表面にコーティングされている、実施形態30に記載の方法。
【0468】
実施形態32.細胞集団が、インテグリンα4β1(VLA-4)およびインテグリンα5β1(VLA-5)のいずれかまたは両方を発現する、実施形態30または31に記載の方法。
【0469】
実施形態33.細胞集団が、対象の血液試料から単離されたものである、実施形態7から32のいずれか1つに記載の方法。
【0470】
実施形態34.細胞集団が、対象の臍帯血、対象の末梢血、または対象の骨髄のうちの1つまたは複数から単離されたものである、実施形態7から33のいずれか1つに記載の方法。
【0471】
実施形態35.細胞集団が、前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞を含む、実施形態7から34のいずれか1つに記載の方法。
【0472】
実施形態36.細胞集団中のCD56、CD25、CD122、CD212、CD215、CD218、CD360、TGF-βR、またはIL-10Rのうちの任意の1つまたは複数を発現する細胞を富化させるステップをさらに含み、必要に応じて、CD56dim細胞およびCD56bright細胞のいずれかまたは両方を富化させるステップをさらに含む、実施形態7から35のいずれか1つに記載の方法。
【0473】
実施形態37.任意の細胞集団が、ナチュラルキラー(NK)細胞またはその実質的に精製された組成物を含む、実施形態7から36のいずれか1つに記載の方法。
【0474】
実施形態38.枯渇を有する細胞集団が、以下:NK細胞、前駆細胞、HSC、iPSCまたはそのそれぞれの実質的に精製された集団のうちの1つまたは複数を含む、実施形態7から37のいずれか1つに記載の方法。
【0475】
実施形態39.NK細胞が、以下:前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞のうちの1つまたは複数から誘導されたものを含む、実施形態37または38に記載の方法。
【0476】
実施形態40.前駆細胞、HSC、またはiPSCのうちの1つまたは複数が、NK細胞の誘導が可能なものである、実施形態38に記載の方法。
【0477】
実施形態41.いずれの細胞集団もT細胞を実質的に含まない、実施形態7から40のいずれか1つに記載の方法。
【0478】
実施形態42.いずれの細胞集団もT制御細胞を実質的に含まない、実施形態7から41のいずれか1つに記載の方法。
【0479】
実施形態43.いずれの細胞集団も、単離、富化または精製されたものである、実施形態7から42のいずれか1つに記載の方法。
【0480】
実施形態44.培養するステップにおいて、細胞集団およびaAPCを、StemSpan(Stemcell#09960);NK MACS(登録商標)Medium(Miltenyi research 30-114-429;GMP:170-076-356)、TexMACS(170-076-306 GMP培地)、Cellgenix Serum-free Stem Cell Growth Medium(SCGM、#20806-0500)、またはStemcell technologiesのImmunoCult(商標)-XF Mediumから選択される細胞培養培地中で培養する、実施形態7から43のいずれか1つに記載の方法。
【0481】
実施形態45.CAR発現集団を組成物として製剤化するステップ;およびCAR発現集団を凍結保存するステップのいずれかまたは両方をさらに含む、実施形態7から44のいずれか1つに記載の方法。
【0482】
実施形態46.1×10個の細胞から、1×1011個よりも多くの細胞が生成される、実施形態7から45のいずれか1つに記載の方法。
【0483】
実施形態47.ステップのうちの1つまたは複数の前またはその後に、細胞集団を洗浄するステップと、
ステップのうちの1つまたは複数の前またはその間またはその後に、以下:
(i)細胞集団の生存率;
(ii)細胞集団の無菌性;
(iii)細胞集団中のマイコプラズマ;
(iv)細胞集団のヒト白血球抗原(HLA)型;
(v)細胞集団の細胞数;
(vi)細胞集団の細胞表現型;
(vii)細胞集団または細胞集団を含む組成物中のHHV6またはHHV7またはその両方;
(viii)細胞集団または細胞集団を含む組成物中の1型および2型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、I型およびII型ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、CMV、ジカ、ウエストナイル、またはTreponema pallidumのうちの1つまたは複数;
(ix)aAPCの細胞表現型;
(x)細胞集団を含む組成物中のIL-15レベル;
(xi)細胞集団中のCARの発現;
(xii)細胞集団または細胞集団を含む組成物中の内毒素;
(xiii)細胞集団を含む組成物の残留腫瘍負荷および/またはaAPCによる夾雑;
(xiv)細胞集団の効力;
(xv)細胞集団によって放出されるIFN-ガンマ、IL-15およびTNF-アルファ;
(xvi)細胞集団の細胞傷害活性;
(xvii)細胞集団の脱顆粒;ならびに
(xviii)培養物についての以下:細胞凝集、グルコース、または乳酸のうちの1つまたは複数のモニタリングまたは決定
のうちの1つまたは複数を検出するステップと
のいずれかまたは両方をさらに含む、実施形態7から46のいずれか1つに記載の方法。
【0484】
実施形態48.表現型の検出が、細胞集団によって発現される、以下:CD3、CD56、CD19などの抗原、CD45、HLA、NKp46、NKG2D、NKG2A、NCR、DNAM-1、CD16、IL-2R、CXCR4、KIRS、CD8、CD57、接着分子、NKG2C、CD107a、CAR、または細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数の細胞での発現または発現レベルを検出することを含む、実施形態47に記載の方法。
【0485】
実施形態49.表現型の検出が、細胞集団によるCD56の細胞での発現レベルを検出することを含む、実施形態48に記載の方法。
【0486】
実施形態50.CARの抗原結合性ドメインが、以下:Gタンパク質連結受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、B細胞成熟抗原(BCMA)、SLAMF7(CS1またはCD319)、EGFR、野生型上皮細胞増殖因子受容体(EGFRwt)、上皮細胞増殖因子受容体バリアントIII(EGFRVIII)、FLT3、CD70、メソテリン、CD123、CD19、癌胎児性抗原(CEA)、CD133、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)、ERBB2(Her2/neu)、CD22、CD30、CD171、CLL-1(CLECL1)、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、CD5、インターロイキン13受容体アルファ2(IL13Ra2)、グアニリルシクラーゼC(GUCY2C)、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、チミジンキナーゼ1(TK1)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT1)、がん/精巣(CT)、CD33、ガングリオシドG2(GD2)、GD3、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、TAG72、CD38、CD44v6、上皮細胞接着分子前駆体(EpCamまたはEPCAM)、B7H3、KIT、IL-13Ra2、IL-11Rα、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、PRSS21、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ムチン1(Muc1)、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、エフリンタイプA受容体2前駆体(EphA2)、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、タイ2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サービビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、レグマイン、HPV E6、E7、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、グリピカン3(GPC3)、FCRL5、またはIGLL1のうちの1つまたは複数を特異的に認識し、これに結合する、実施形態8から49のいずれか1つに記載の方法。
【0487】
実施形態51.抗原が、以下:Gタンパク質連結受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、B細胞成熟抗原(BCMA)、SLAMF7(CS1またはCD319)、EGFR、野生型上皮細胞増殖因子受容体(EGFRwt)、上皮細胞増殖因子受容体バリアントIII(EGFRVIII)、FLT3、CD70、メソテリン、CD123、CD19、癌胎児性抗原(CEA)、CD133、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)、ERBB2(Her2/neu)、CD22、CD30、CD171、CLL-1(CLECL1)、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、CD5、インターロイキン13受容体アルファ2(IL13Ra2)、グアニリルシクラーゼC(GUCY2C)、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、チミジンキナーゼ1(TK1)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT1)、がん/精巣(CT)、CD33、ガングリオシドG2(GD2)、GD3、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、TAG72、CD38、CD44v6、上皮細胞接着分子前駆体(EpCamまたはEPCAM)、B7H3、KIT、IL-13Ra2、IL-11Rα、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、PRSS21、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ムチン1(Muc1)、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、エフリンタイプA受容体2前駆体(EphA2)、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、タイ2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サービビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、レグマイン、HPV E6、E7、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、グリピカン3(GPC3)、FCRL5、またはIGLL1またはそのそれぞれの断片のうちの1つまたは複数から選択される、実施形態8から50のいずれか1つに記載の方法。
【0488】
実施形態52.CARが、(1)抗原を特異的に認識し、これに結合する抗体の抗原結合性ドメイン;(2)ヒンジドメイン;(3)膜貫通ドメイン;および(4)シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む、実施形態8から51のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
実施形態53.CARが、(1)抗原を特異的に認識し、これに結合する抗体の抗原結合性ドメイン;(2)ヒンジドメイン;(3)膜貫通ドメイン;ならびに(4)シグナル伝達ドメインおよび共刺激ドメインを含む細胞内ドメインを含む、実施形態8から52のいずれか1つに記載の方法。
【0490】
実施形態54.CARが、シグナルペプチドをさらに含む、実施形態8から53のいずれか1つに記載の方法。
【0491】
実施形態55.ヒンジドメインが、CD8αヒンジドメインを含む、実施形態53または54に記載の方法。
【0492】
実施形態56.膜貫通ドメインが、CD8α膜貫通ドメインを含む、実施形態53から55のいずれか1つに記載の方法。
【0493】
実施形態57.細胞内ドメインが、(1)1つまたは2つまたはそれより多い共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、実施形態53から56のいずれか1つに記載の方法。
【0494】
実施形態58.共刺激シグナル伝達領域が、CD28共刺激シグナル伝達領域または4-1BB共刺激シグナル伝達領域またはその両方を含む、実施形態57に記載の方法。
【0495】
実施形態59.シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む、実施形態53から58のいずれか1つに記載の方法。
【0496】
実施形態60.導入されたポリヌクレオチドが、1つまたは複数のサイトカインおよび抗体をさらに発現する、または、方法が、1つまたは複数のサイトカインおよび抗体を発現する別のポリヌクレオチドを、枯渇を有する細胞集団に導入するステップをさらに含む、実施形態8から59のいずれか1つに記載の方法。
【0497】
実施形態61.ポリヌクレオチドによって発現されるサイトカインが、以下:B7.1(可溶性または膜結合)、CCL19(可溶性または膜結合)、CCL21(可溶性または膜結合)、CD40L(可溶性または膜結合)、CD137L(可溶性または膜結合)、GITRL(可溶性または膜結合)、GM-CSF(可溶性または膜結合)、IL-12(可溶性または膜結合)、IL-2(可溶性または膜結合)、低毒性IL-2(可溶性または膜結合)、cd25結合性を欠くIL-2類似体(可溶性または膜結合)、IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質(可溶性または膜結合)、IL-15(可溶性または膜結合)、IL-18(可溶性または膜結合)、IL-21(可溶性または膜結合)、LEC(可溶性または膜結合)、OX40L(可溶性または膜結合)、IL-7(可溶性または膜結合)、ICOSL(B7H2、B7RP1、可溶性または膜結合)、またはMICA(可溶性または膜結合)のうちの1つまたは複数から選択される、実施形態60に記載の方法。
【0498】
実施形態62.ポリヌクレオチドによって発現される抗体が、単一特異性抗体、または二特異性抗体、または多特異性抗体である、実施形態60または61に記載の方法。
【0499】
実施形態63.ポリヌクレオチドによって発現される抗体が、免疫細胞活性化因子である、実施形態60から62のいずれか1つに記載の方法。
【0500】
実施形態64.ポリヌクレオチドが、シグナルペプチドをさらにコードする、実施形態8から63のいずれか1つに記載の方法。
【0501】
実施形態65.ポリヌクレオチドが、自殺遺伝子をさらに含む、実施形態8から64のいずれか1つに記載の方法。
【0502】
実施形態66.自殺遺伝子産物が、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシルエステラーゼ、シトクロムP450もしくはPNP(プリンヌクレオシドホスホリラーゼ)、切断型EGFR、または誘起可能なカスパーゼ(「iCasp」)の1つまたは複数から選択される、実施形態65に記載の方法。
【0503】
実施形態67.ポリヌクレオチドが、自殺遺伝子の発現を方向付ける制御配列をさらに含み、制御配列が、誘導性である、実施形態65または66に記載の方法。
【0504】
実施形態68.ポリヌクレオチドが、CARまたは治療用タンパク質の発現を方向付ける制御配列(regulator sequence)をさらに含む、実施形態8から67のいずれか1つに記載の方法。
【0505】
実施形態69.CARまたは治療用タンパク質の発現を方向付ける制御配列(regulator sequence)が、誘導性または構成的に活性なものである、実施形態68に記載の方法。
【0506】
実施形態70.ポリヌクレオチドが、細胞集団にベクターを介して導入される、実施形態8から69のいずれか1つに記載の方法。
【0507】
実施形態71.ベクターが、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、実施形態70に記載の方法。
【0508】
実施形態72.非ウイルスベクターが、プラスミドである、実施形態71に記載の方法。
【0509】
実施形態73.ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターまたはヘルペスウイルスベクターから選択される、実施形態71に記載の方法。
【0510】
実施形態74.調製されるCAR発現細胞集団が、がん細胞の成長を阻害するために適したものであり、抗原が、がん細胞によって発現される腫瘍関連抗原(TAA)である、実施形態8から73のいずれか1つに記載の方法。
【0511】
実施形態75.がん細胞の成長を阻害するための方法であって、実施形態8から74のいずれか1つに記載の方法によって調製されたCAR発現細胞の集団をがん細胞と接触させるステップを含み、CARによって認識される抗原が、がん細胞によって発現されるTAAである、方法。
【0512】
実施形態76.対象におけるがんを処置するための方法であって、実施形態8から74のいずれか1つに記載の方法によって調製されたCAR発現免疫細胞の集団を対象に投与するステップを含み、CARによって認識される抗原が、がんの細胞によって発現されるTAAである、方法。
【0513】
実施形態77.細胞集団が、NK細胞および0.3%未満または0.3%と等しいCD3+細胞を含む、実施形態76に記載の方法。
【0514】
実施形態78.対象に、体重1キログラム当たり3×10個未満のT細胞を投与する、実施形態76または77に記載の方法。
【0515】
実施形態79.がん細胞が、循環系、例えば、心臓(肉腫[血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫]、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、および脂肪腫)、縦隔および胸膜、ならびに他の胸腔内臓器、血管腫瘍および腫瘍関連血管組織;気道、例えば、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、気管、気管支および肺、例えば小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;胃腸系、例えば、食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(stomach)(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃(gastric)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);任意の部位において生じる消化管間質腫瘍および神経内分泌腫瘍;泌尿生殖路、例えば、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および/または尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、胚性癌腫、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓、例えば、ヘパトーマ(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵臓内分泌腫瘍(例えば褐色細胞腫、インスリノーマ、血管作動性腸管ペプチド腫瘍、膵島細胞腫瘍およびグルカゴノーマ);骨、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍、脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨粘液様線維腫(chondromyxofibroma)、類骨腫および巨細胞腫瘍;神経系、例えば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋がん(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症)、脳のがん(星細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);生殖系、例えば、婦人科、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫]、顆粒膜-髄膜細胞腫瘍、セルトリ-ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、胎盤、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)および女性生殖器と関連付けられる他の部位;陰茎、前立腺、精巣、および男性生殖器と関連付けられる他の部位;血液系、例えば、血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];口腔、例えば、唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋、および口の他の部分、耳下腺、および唾液腺の他の部分、扁桃腺、中咽頭、鼻咽頭、梨状洞、下咽頭、ならびに唇、口腔および咽頭中の他の部位;皮膚、例えば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、黒子形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、およびケロイド;副腎:神経芽腫;ならびに結合組織および軟組織、後腹膜および腹膜、目、眼内黒色腫、および付属器、乳房、頭部および/または頸部、肛門領域、甲状腺、副甲状腺、副腎および他の内分泌腺および関連する構造を含む他の組織、リンパ節の二次的なおよび不特定の悪性新生物、呼吸器および消化器系の二次的な悪性新生物ならびに他の部位の二次的な悪性新生物のがん細胞から選択される、実施形態74から78のいずれか1つに記載の方法。
【0516】
実施形態80.がん細胞が、固形腫瘍細胞である、実施形態74から79のいずれか1つに記載の方法。
【0517】
実施形態81.がん細胞が、固形腫瘍の細胞ではなく、必要に応じて、がん細胞が、白血病がん細胞である、実施形態74から79のいずれか1つに記載の方法。
【0518】
実施形態82.がん細胞が、原発がん細胞または転移性がん細胞である、実施形態74から81のいずれか1つに記載の方法。
【0519】
実施形態83.がん細胞が、癌腫、肉腫、骨髄腫、白血病、またはリンパ腫に由来するものである、実施形態74から82のいずれか1つに記載の方法。
【0520】
実施形態84.接触させるステップが、in vivoまたはin vitroである、実施形態75および79から83のいずれか1つに記載の方法。
【0521】
実施形態85.細胞を別々の療法と接触させるまたは別々の療法を投与するステップをさらに含む、実施形態74から84のいずれか1つに記載の方法。
【0522】
実施形態86.別々の療法が、外科的切除、化学療法、放射線療法、免疫療法および標的療法を含む、実施形態85に記載の方法。
【0523】
実施形態87.別々の療法が、第1選択療法、第2選択療法、第3選択療法、または第4選択療法である、実施形態85または86に記載の方法。
【0524】
実施形態88.実施形態7から74のいずれか1つに記載の方法によって作製または調製されたNK細胞またはその集団。
【0525】
実施形態89.実施形態88に記載の細胞またはその集団、および担体、必要に応じて薬学的に許容される担体を含む組成物。
【0526】
実施形態90. 0.5%未満のaAPCを含む、実施形態88に記載の細胞もしくはその集団、または実施形態89に記載の組成物。
【0527】
実施形態91. 0.1%未満、または0.2%未満、または0.3%未満、0.4%未満、または0.5%未満のaAPCを含む、実施形態88もしくは90に記載の細胞もしくはその集団、または実施形態89もしくは90に記載の組成物。
【0528】
実施形態92.以下の特性:
(A)生存率が70%を下回らない;
(B)無菌である;
(C)含有する内毒素が5EUKg-1-1未満である;
(D)マイコプラズマ、外来ウイルス、またはHHV(HHV6またはHHV7)のうちの1つまたは複数について陰性である;
(E)処置される対象の体重1キログラム当たり1×10個より多くの細胞を含む;
(F)総細胞中40%を超える、CARを発現する細胞を含む;
(G)総細胞中95%を超える、CD56を発現する細胞を含む;
(H)総細胞中0.3%未満の、CD3を発現する細胞を含む;
(I)細胞当たり4コピー未満のポリヌクレオチドを含む;
(J)IL-2またはIL-21の非存在下では増殖しない;
(K)効力を有する、例えば、IFNγ分泌またはCD107アッセイにおいて10倍を超える増大を有する;および
(L)CD19などの抗原、NKp46、またはNKG2Dのうちの1つまたは複数を発現する
のうちの1つまたは複数を有する、実施形態88および90から91のいずれか1つに記載の細胞もしくはその集団または実施形態89から91のいずれか1つに記載の組成物。
【0529】
実施形態93.以下の特性:
(E’)処置される対象の体重1キログラム当たり1×10個よりも多くの細胞を含む;または
(F’)総細胞中50%を超える、CARを発現する細胞を含む
の一方または両方を有する、実施形態92に記載の細胞もしくはその集団または実施形態92に記載の組成物。
【0530】
実施形態94.抗原および細胞表面マーカー:4-1BBL、膜結合(mb)IL-15、mb IL-21、CD64、CD80、CD83、CD86、OX40L、ICOSL(B7H2、B7RP1)、MICA、CD 40L、CD137L、mb IL-2、mb IL-18、mb IL-12、CD25結合性を欠くmb IL-2変異体、mb IL-15-N72DスーパーアゴニストとIL-15RαSushi-Fc融合タンパク質の複合体(IL-15SA/IL-15RαSu-Fc)ALT-803、またはCD122/CD132シグナル伝達を媒介する細胞表面マーカーのうちの1つまたは複数を発現する操作されたaAPC。
【0531】
実施形態95.操作されたK562細胞である、実施形態94に記載のaAPC。
【0532】
実施形態96.照射処理されており、それによって細胞増殖または長期生存またはその両方を欠くものである、実施形態94または95に記載のaAPC。
【0533】
実施形態97.50Gy、100Gy、150Gyまたは200Gyで照射処理されたものである、実施形態96に記載のaAPC。
【0534】
実施形態98.14日間よりも長くは実質的に生存しない、実施形態94から97のいずれか1つに記載のaAPC。
【0535】
実施形態99.実施形態7から87のいずれか1つに記載の方法における使用に適した1つまたは複数の薬剤、および必要に応じた説明書を含むキット。
【0536】
実施形態100.薬剤が、以下:CARまたは別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含むベクター、細胞表現型を検出するための抗体、免疫細胞を単離または富化または精製するための抗体、ポリヌクレオチドを検出するためのプライマー、サイトカイン、およびaAPCのうちの1つまたは複数から選択される、実施形態99に記載のキット。
【0537】
実施形態101.γδT細胞の集団を調製するための方法であって、以下:γδT細胞、γδT細胞の誘導が可能な前駆細胞、またはγδT細胞の誘導が可能な幹細胞、のうちの1つまたは複数を含む細胞集団を、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップを含み、細胞集団が、細胞集団中の、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCR β鎖、またはαβTCRのうちの1つまたは複数を発現する細胞が枯渇したものであり、活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/または刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)またはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)γδT細胞、前駆細胞または幹細胞のうちの1つまたは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってγδT細胞を活性化するまたは増殖させる抗体またはその抗原結合性断片のうちの1つまたは複数、
(iii)それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、または、
(iv)必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数
のうちの1つまたは複数から選択される、方法。
【0538】
実施形態102.CAR、または必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、発現させるために、培養された細胞集団に導入するステップであって、CARが、腫瘍関連抗原(TAA)またはウイルス抗原を特異的に認識し、これに結合する、ステップをさらに含む、実施形態101に記載の方法。
【0539】
実施形態103.細胞集団を、実施形態102に記載の導入するステップの後に、免疫細胞活性化因子(例えば、γδT細胞活性化因子など)と一緒に培養するステップであって、活性化因子が、以下の(i)~(iv):
(i)必要に応じて免疫細胞成長を活性化および/もしくは刺激するものである腫瘍関連抗原(TAA)もしくはウイルス抗原を発現する人工抗原提示細胞(aAPC)、
(ii)γδT細胞、前駆細胞もしくは幹細胞のうちの1つもしくは複数における刺激性受容体を特異的に認識かつ結合し、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる抗体もしくはその抗原結合性断片のうちの1つもしくは複数、
(iii)それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させるサイトカインのうちの1つもしくは複数、または
(iv)必要に応じて、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤もしくはSTING活性化環状ジヌクレオチド(CDN)から選択される、それによってγδT細胞を活性化するもしくは増殖させる化学的部分のうちの1つもしくは複数;
のうちの1つまたは複数から選択されるステップをさらに含み、
必要に応じて、培養するステップを、同じまたは異なる活性化因子を用いて1回、2回、3回、またはこれよりも多く繰り返す、
実施形態102に記載の方法。
【0540】
実施形態104.細胞集団が、以下:γδT細胞またはその実質的に精製された組成物のうちの1つまたは複数を含む、実施形態101から103のいずれか1つに記載の方法。
【0541】
実施形態105.枯渇を有する細胞集団が、以下:γδT細胞、HSC、iPSCまたはそのそれぞれの実質的に精製された集団のうちの1つまたは複数を含む、実施形態101から104のいずれか1つに記載の方法。
【0542】
実施形態106.前駆細胞、HSC、またはiPSCのうちの1つまたは複数が、γδT細胞の誘導が可能なものである、実施形態105に記載の方法。
【0543】
実施形態107.γδ T細胞が、以下:前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、または不死化細胞のうちの1つまたは複数から誘導されたものを含む、実施形態101から106のいずれか1つに記載の方法。
【0544】
実施形態108.細胞集団が、TCR α鎖またはTCR β鎖を発現する細胞を実質的に含まない、実施形態101から107のいずれか1つに記載の方法。
【0545】
実施形態109.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するためのウイルスパッケージングシステムであって、(a)ベクターゲノムを発現するプラスミド;(b)パッケージングプラスミド;ならびに(c)RD114TR、およびBaEVTRを発現するエンベローププラスミドのうちの1つまたは複数を含む、ウイルスパッケージングシステム。
【0546】
実施形態110.ベクターゲノムが、2つの長いターミナルリピート(LTR)に挟まれた以下:
(A)キメラ抗原受容体(CAR)、もしくは必要に応じて抗体もしくはその断片、酵素、リガンドもしくは受容体から選択される別の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(B)(A)のリバース相補体、または
(C)CARコード配列もしくはそのリバース相補体をポリヌクレオチドに挿入するために適した制限酵素によって認識される1つもしくは複数の認識部位を含むポリヌクレオチド
のうちの1つまたは複数を含む、実施形態109に記載のウイルスパッケージングシステム。
【0547】
実施形態111.ベクターゲノムが、以下:5’LTR、5’キャップ、3’ポリA尾部、および3’LTRのうちの1つまたは複数をさらに含む、実施形態109または110に記載のウイルスパッケージングシステム。
【0548】
実施形態112.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、フレンドマウス胚性幹細胞ウイルス(FMEV)、異種指向性MuLB関連ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)およびネコ白血病ウイルスのうちの任意の種から選択される、実施形態109から111のいずれか1つに記載のウイルスパッケージングシステム。
【0549】
実施形態113.パッケージング細胞株をさらに含む、実施形態109から112のいずれか1つに記載のウイルスパッケージングシステム。
【0550】
実施形態114.パッケージング細胞株が、293T細胞株である、実施形態113に記載のウイルスパッケージングシステム。
【0551】
実施形態115.シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子を作製するための方法であって、パッケージング細胞株に、実施形態109から112のいずれか1つに記載のシステムを、シュードタイピングされたガンマレトロウイルス粒子のパッケージングに適した条件下で形質導入するステップを含む、方法。
【0552】
実施形態116.パッケージング細胞株が、293T細胞株である、実施形態115に記載の方法。
【0553】
実施形態117.細胞株に、(a)、(b)および(c)のプラスミドを1.5:1.5:1の比で用いて形質導入する、実施形態115または116に記載の方法。
【0554】
実施形態118.パッケージングシステムが、少なくとも2つのエンベローププラスミドを含み、その一方がRD114TRを発現し、他方がBaEVTRを発現する、実施形態115から116のいずれか1つに記載の方法。
【0555】
実施形態119.細胞株に、(a)のプラスミド、(b)のプラスミド、RD114TR発現プラスミド、およびBaEVTR発現プラスミドを1.5:1.5:1:1の比で用いて形質導入する、実施形態118に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B-3D】
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
【配列表】
2023540997000001.app
【国際調査報告】