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特表2023-541010ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4995 20060101AFI20230919BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230919BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230919BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
A61K31/4995
A61K39/395 U
A61K39/395 T
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515171
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020074860
(87)【国際公開番号】W WO2022048775
(87)【国際公開日】2022-03-10
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ONCOIMMUNOLOGY2019,VOL.8,NO.11,e1656502に公開された「Lurbinectedin synergizes with immune checkpoint blockade to generate anticancer immunity」 (2)ONCOIMMUNOLOGY 2020,VOL.9,NO.1,1-3に公開された 「 Lurbinectedin: an FDA-approved inducer of immunogenic cell death for the treatment of small-cell lung cancer」 (3) Nature reviews. Clinical oncology,(20201200)Vol.17,No. 12,pp. 725-741に公開された「Immunostimulation with chemotherapy in the era of immune checkpoint inhibitors」 (4)OncoImmunology,2020,Vol.9,No.1,1-4に公開された「An unexpected link between immunogenic cell death and inhibition of gene transcription」 (5)OncoImmunology,2020,Vol.9,No.1,e1703449に公開された「Trial watch:chemotherapy-induced immunogenic cell death in immuno-oncology」 (6)Journal for ImmunoTherapy of Cancer,2020;8:e000337に公開された「Consensus guidelines for the definition,detection and interpretation of immunogenic cell death」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (7)OncoImmunology,2019,Vol.8,No.11,e1657375に公開された「A synergistic triad of chemotherapy,immune checkpoint inhibitors,and caloric restriction mimetics eradicates tumors in mice」 (8)EMBO Molecular Medicine,2020,Vol.12,No.5,e11622に公開された「Inhibition of transcription by dactinomycin reveals a new characteristic of immunogenic cell stress」 (9)データーベース「ClinicalTrials.gov」に公開された「 History of Changes for Study: NCT04358237.Lurbinectedin (PM01183)Combined With Pembrolizumab in Small Cell Lung Cancer.(LUPER)」 (10)データーベース「ClinicalTrials.gov」に公開された「History of Changes for Study:NCT04253145.Study to Assess Safety,Tolerability,Efficacy of PM01183 and Atezolizumab in Patients w/ Advanced Small Cell Lung Cancer」 (11)Cancer Immunology Research,2019,Vol.7,No.12,pp.2036-2051に公開された「Trabectedin Reveals a Strategy of Immunomodulation in Chronic Lymphocytic Leukemia」
(71)【出願人】
【識別番号】505404208
【氏名又は名称】ファルマ、マール、ソシエダード、アノニマ
【氏名又は名称原語表記】PHARMA MAR,S.A.
【住所又は居所原語表記】Poligono Industrial La Mina,Avda.de los Reyes,1,Colmenar Viejo,E-28770 Madrid,SPAIN
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギード・クレーマー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ケップ
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB31
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
固形腫瘍の処置のための併用療法が記載されており、前記療法は、ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1、抗PD-L1又は抗CTLA-4抗体を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形腫瘍の処置方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施し、それによって固形腫瘍を処置する工程を含む、方法。
【請求項2】
免疫チェックポイント阻害剤が、免疫チェックポイント分子を標的とする免疫グロブリン分子、好ましくは抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
免疫チェックポイント分子が、CTLA-4、PD-1、及びPD-L1から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
免疫チェックポイント阻害剤が、複数の免疫チェックポイント分子、好ましくはCTLA-4及びPD-1を標的とする複数の阻害剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
免疫チェックポイント阻害剤が、CTLA-4を特異的に結合するか、又はPD-1を特異的に結合するか、又はPD-L1を特異的に結合するモノクローナル抗体を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
モノクローナル抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ(REGN2810)、カムレリズマブ(SHR1210)、エンバフォリマブ(KN035)、シンチリマブ(IBI308)、スパルタリズマブ(PDR001)、ティスレリズマブ(BGB-A317)、プロルゴリマブ(BCD-100)、トリパリマブ(JS001)、ドスタルリマブ(TSR-042、WBP-285)、及びトレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675,206)から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤が、同時、別々又は逐次に投与される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ルルビネクテジンを最初に、続いて免疫チェックポイント阻害剤を投与する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ルルビネクテジン若しくは免疫チェックポイント阻害剤のいずれか、又は両方が、複数回投与される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ルルビネクテジンが、静脈内注入により投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
免疫チェックポイント阻害剤が、静脈内注入により投与される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
固形腫瘍が、前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、黒色腫、膀胱がん、脳/CNSがん、子宮頸がん、食道がん、胃がん、頭/頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、リンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、及び肉腫からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
固形腫瘍が、肺がん、黒色腫であるか、又は乳がんである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
固形腫瘍がPD-L1を発現する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
処置される腫瘍がPD-L1を発現しているかどうかを、処置を開始する前に決定する工程を更に含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
処置が、腫瘍の大きさの縮小;腫瘍の増殖遅延;患者の延命;疾患進行の遅延;寛解のうちの1つ又は複数をもたらす、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
固形腫瘍を有する患者の生存を延長する方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施し、それによって患者の生存を延長する工程を含む、方法。
【請求項18】
患者の固形腫瘍の疾患進行を遅延させる方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施し、それによって固形腫瘍の疾患進行を遅延させる工程を含む、方法。
【請求項19】
固形腫瘍の増殖を減少又は遅延させる方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施し、それによって固形腫瘍の増殖を減少又は遅延させる工程を含む、方法。
【請求項20】
固形腫瘍を有する患者を併用療法に関して選択する方法であって、固形腫瘍がPD-L1を発現しているかどうかを決定する工程、及び、発現している場合は、患者を併用療法に関して選択する工程を含み、併用療法が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を施すことを含む、方法。
【請求項21】
前記併用療法を、患者に提供する工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
固形腫瘍の処置のための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、使用。
【請求項23】
固形腫瘍の処置のための医薬の製造における免疫チェックポイント阻害剤の使用であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、使用。
【請求項24】
固形腫瘍の処置のための医薬の製造におけるルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤の使用であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、使用。
【請求項25】
固形腫瘍の処置方法における使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、ルルビネクテジン。
【請求項26】
固形腫瘍の処置方法における使用のための免疫チェックポイント阻害剤であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、免疫チェックポイント阻害剤。
【請求項27】
固形腫瘍の処置方法における使用のためのルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤。
【請求項28】
ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤とを使用する併用療法による、がん、特に固形腫瘍の治療的処置に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)療法は、がん免疫療法の一形態である。この療法は、刺激されたときに免疫刺激に対する免疫応答を弱めることができる免疫系の重要な調節因子の免疫チェックポイントを標的とする。いくつかのがんは、免疫チェックポイント標的を刺激することにより自身を攻撃から守ることができる。チェックポイント療法は、抑制性チェックポイントを遮断して、免疫系の機能を回復させ、免疫系ががんに対して応答できるようにすることができる。
【0003】
重要な免疫チェックポイント阻害剤は、分子CTLA4、PD-1、及びPD-L1を標的とする。PD-1は、膜貫通プログラム細胞死1タンパク質(PDCD1及びCD279とも呼ばれる)であり、PD-L1(PD-1リガンド1、又はCD274)と相互作用する。細胞表面上のPD-L1は、免疫細胞表面上のPD1に結合し、免疫細胞の活性を阻害する。PD-L1の機能のうちで、T細胞の活性に対する制御的役割が重要である。細胞表面上のPD-L1の(がん媒介性)上方制御は、他の状況なら攻撃してくるであろうT細胞を阻害することができると思われる。PD-1又はPD-L1のいずれかに結合して相互作用を遮断する抗体は、T細胞が腫瘍を攻撃するようにし得る。
【0004】
これらの分子を標的とするいくつかのICI療法が幅広い用途で承認されており、更に多くの療法及びがん標的が研究段階にある。承認されたICIとしては、イピリムマブ(CTLA-4を標的とする);ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びセミプリマブ(PD-1を標的とする);並びにアテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブ(PD-L1を標的とする)が挙げられる。
【0005】
ルルビネクテジンは、PM01183としても知られ、当初、トリプタミシジン(tryptamicidin)と呼ばれていた、抗腫瘍活性を有する合成テトラヒドロピロロ[4,3,2-de]キノリン-8(1H)-オンアルカロイド類似体であり、WO03/014127の対象である。ルルビネクテジンは、発癌性転写の選択的阻害剤であり、アポトーシスを引き起こすDNA二重鎖切断を誘導し、腫瘍微小環境をモジュレートする。ルルビネクテジンは、例えば、腫瘍関連マクロファージの活発な転写を阻害することによりIL-6、IL-8、CCL2、及びVEGFを下方制御する。
【0006】
ルルビネクテジンの化学構造は以下のように表される:
【0007】
【化1】
【0008】
ルルビネクテジンは、固形及び非固形腫瘍細胞株に対して非常に強力なインビトロ活性を、並びにマウスに異種移植されたいくつかのヒト腫瘍細胞株、例えば、乳がん、腎臓がん及び卵巣がんのものにおいて顕著なインビボ活性を示す。ルルビネクテジンは、多くの腫瘍が特に依存している発癌性転写プログラムの選択的阻害剤である。ルルビネクテジンは、そのがん細胞に対する効果と共に、腫瘍関連マクロファージの発癌性転写を阻害して、腫瘍の増殖に必須なサイトカインの産生を下方制御する。転写依存は、これらの疾患の広く認められた標的であり、その多くは他の作用可能な標的を欠いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO03/014127
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】https://github.com/kroemerlab
【非特許文献2】100th AACR Annual Meeting、2009年4月18~22日、Denver、CO、Abstract Nr. 2679及びAbstract Nr. 4525
【非特許文献3】Leal JFMらBr. J. Pharmacol. 2010、161、1099~1110
【非特許文献4】Belgiovine, CらBr. J. Cancer、2017; 117(5):628~638
【非特許文献5】Elez, ME.らClin. Cancer Res. 2014、20(8)、2205~2214
【非特許文献6】50th ASCO Annual Meeting、2014年5月30日~6月3日、Chicago、IL、Abstract 5505
【非特許文献7】26th EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeutics;2014年11月18~21日、Barcelona、Spain、Eur. J. Cancer 2014、50 (増刊 6)、13~14頁、Abs. No. 23に掲載
【非特許文献8】51th ASCO Annual Meeting、2015年5月29日~6月2日、Chicago、IL、Abstract No. TPS2604及びAbstract Nr. 7509、J. Clin. Oncol. 33、2015 (増刊)に掲載
【非特許文献9】54th ASCO Annual Meeting、2018年6月1~5日、Chicago、IL、Abstract No. 11519、J. Clin. Oncol. 36、2018 (増刊)に掲載
【非特許文献10】Cruz, C.らJ. Clin. Oncol. 2018;印刷中1~21
【非特許文献11】54th ASCO Annual Meeting、2018年6月1~5日、Chicago、IL、Abstract No. 8570、J. Clin. Oncol. 36、2018 (増刊)に掲載
【非特許文献12】「Medicinal Chemistry and Drug Discovery」第6版(Donald J. Abraham(編)、2001、Wiley)
【非特許文献13】「Design and Applications of Prodrugs」(H. Bundgaard(編)、1985、Harwood Academic Publishers)
【非特許文献14】E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」
【非特許文献15】https://www.r-project.org
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
更に効果的ながん治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、ルルビネクテジンとICIとを使用する併用療法が、ある特定のがん型の処置に効果的であり得ることを見出した。
【0013】
したがって、本発明は、固形腫瘍の処置方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者、好ましくはヒト患者に施し、それによって固形腫瘍を処置する工程を含む、方法を提供する。
【0014】
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイント分子を標的とする免疫グロブリン分子、好ましくは抗体を含み得る。「標的とする(targeting)」は、免疫グロブリン分子が、免疫チェックポイント分子のアゴニストであること、及び/又は、免疫チェックポイント分子に特異的に結合して免疫チェックポイントの活性化を遮断し、それによって免疫機能若しくは応答を増強することを意味する。免疫チェックポイント分子は、CTLA-4、PD-1、及びPD-L1から選択され得る。好ましい実施形態では、免疫チェックポイント分子はPD-1である。いくつかの実施形態では、複数の免疫チェックポイント分子が、標的とされ得る;例えば、CTLA-4及びPD-1、又はCTLA-4及びPD-L1、又はCTLA-4及びPD-1及びPD-L1;好ましくはCTLA-4及びPD-1。
【0015】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4を特異的に結合するか、又はPD-1を特異的に結合するか、又はPD-L1を特異的に結合するモノクローナル抗体を含む。そのようなモノクローナル抗体の例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ(REGN2810)、カムレリズマブ(SHR1210)、エンバフォリマブ(KN035)、シンチリマブ(IBI308)、スパルタリズマブ(PDR001)、ティスレリズマブ(BGB-A317)、プロルゴリマブ(BCD-100)、トリパリマブ(JS001)、ドスタルリマブ(TSR-042、WBP-285)、トレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675,206)が挙げられる。
【0016】
特に好ましい組合せとしては、ルルビネクテジンとアテゾリズマブ、ルルビネクテジンとペムブロリズマブ、ルルビネクテジンとニボルマブとイピリムマブ、ルルビネクテジンとデュルバルマブ、及びルルビネクテジンとドスタルリマブが挙げられる。
【0017】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-L1相互作用のペプチド阻害剤、又は低分子阻害剤を含む。そのような例としては、AUNP12、CA-170、及びBMS-986189が挙げられる。
【0018】
ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤は、同時、別々又は逐次に投与され得る。ルルビネクテジン若しくは免疫チェックポイント阻害剤のいずれか、又は両方が、複数回投与され得る。他の投与スケジュールを使用してもよい。
【0019】
ルルビネクテジンは、1~4週間に1回、好ましくは3週間に1回のサイクルで投与することができる。特定の投与サイクルは、21日に1回である。
【0020】
任意の適切な投与経路、例えば、皮下、静脈内、腹腔内を使用することができる。ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤は、様々な投与経路を使用することができる。好ましくは、ルルビネクテジンは、静脈内注入により投与される;例えば、21日若しくは3週間毎に3.2mg/m2の静脈内注入によるか、又は21日若しくは3週間毎に3.2mg/m2の60分にわたる静脈内注入による。ルルビネクテジンは、1~4週間に1回、好ましくは3週間に1回のサイクルで投与することができる。ルルビネクテジンは、1~5mg/m2体表面積、1~2.5mg/m2体表面積、1~2mg/m2体表面積、2~3mg/m2体表面積、約3mg/m2体表面積、3~3.5mg/m2体表面積、2~3.2mg/m2体表面積、1mg/m2、1.5mg/m2、2mg/m2、2.4mg/m2、2.5mg/m2、2.6mg/m2、又は3.2mg/m2体表面積の用量で投与され得る。
【0021】
ルルビネクテジンは、注入液として、好ましくは最大24時間、1~12時間、1~6時間、最も好ましくは1時間の注入時間で投与することができる。
【0022】
ルルビネクテジンは、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウム塩、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン並びに塩基性アミノ酸塩から選択される薬学的に許容される塩の形態で投与され得る。
【0023】
好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、静脈内注入により投与される;例えば、静脈内注入液として、3週間毎に200mgが30分にわたって投与される。
【0024】
好ましくは、固形腫瘍は悪性である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は癌腫である。本発明の一実施形態では、固形腫瘍は、前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、黒色腫、膀胱がん、脳/CNSがん、子宮頸がん、食道がん、胃がん、頭/頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、リンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、及び肉腫からなる群から選択される。例えば、固形腫瘍は、前立腺、乳房、皮膚、結腸、肺、及び泌尿器のがんからなる群から選択され得る。別の実施形態では、固形腫瘍は、前立腺がん、黒色腫、子宮頸がん、食道がん、及び頭及び/又は頸部がんからなる群から選択され得る。好ましい実施形態では、固形腫瘍は黒色腫である。
【0025】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は肉腫であり得る。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はリンパ腫であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍はPD-L1を発現する。いくつかの実施形態では、方法は、処置される腫瘍が、PD-L1を発現しているかどうかを、処置を開始する前に決定する工程を更に含み得る。任意の適切な試験を使用することができる;例えば、免疫組織化学を使用して、腫瘍細胞の細胞表面上のPD-L1発現を検出することができる。
【0027】
処置は、以下の転帰:腫瘍の大きさの縮小;腫瘍の増殖遅延;患者の延命;寛解のうちの1つ又は複数をもたらし得る。これらの転帰は、処置を受けていないか又は代替処置を受けた対照対象(又は仮定対照対象)と比較したものであり得る。
【0028】
上記の特徴はまた、特に記載のない限り、以下の本発明の態様にも適用される。
【0029】
本発明の更なる態様は、固形腫瘍を有する患者の生存を延長する方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施し、それによって患者の生存を延長する工程を含む、方法を提供する。
【0030】
更に提供されるのは、患者の固形腫瘍の疾患進行を遅延させる方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施し、それによって固形腫瘍の疾患進行を遅延させる工程を含む、方法である。
【0031】
更にまた提供されるのは、固形腫瘍の増殖を減少又は遅延させる方法であって、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施し、それによって固形腫瘍の増殖を減少又は遅延させる工程を含む、方法である。
【0032】
本発明の一層更なる態様は、固形腫瘍を有する患者を併用療法に関して選択する方法であって、固形腫瘍がPD-L1を発現しているかどうかを決定する工程を、また、発現している場合は、患者を併用療法に関して選択する工程を含み、併用療法がルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を施すことを含む、方法を提供する。好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1又はPD-L1を標的とする免疫グロブリンを含む。方法は、前記併用療法を、患者に提供する工程を更に含み得る。
【0033】
本発明はまた、固形腫瘍の処置のための医薬の製造におけるルルビネクテジンの使用であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、使用も提供する。
【0034】
本発明はまた、固形腫瘍の処置のための医薬の製造における免疫チェックポイント阻害剤の使用であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、使用も提供する。
【0035】
更にまた提供されるのは、固形腫瘍の処置のための医薬の製造におけるルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤の使用であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、使用である。
【0036】
本発明は更に、固形腫瘍の処置方法における使用のためのルルビネクテジンであって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、ルルビネクテジンを提供する。
【0037】
更に提供されるのは、固形腫瘍の処置方法における使用のための免疫チェックポイント阻害剤であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、免疫チェックポイント阻害剤である。
【0038】
本発明は更に、固形腫瘍の処置方法における使用のためのルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤であって、前記処置が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤を提供する。
【0039】
剤形、医薬品パッケージ及び調製物、並びにキットオブパーツもまた、本発明により提供される。これらは、固形腫瘍の処置方法における使用のためにパッケージ化されたルルビネクテジン及び/又は免疫チェックポイント阻害剤であって、前記処置療が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を、それを必要とする患者に施すことを含む、ルルビネクテジン及び/又は免疫チェックポイント阻害剤を含み得る。剤形、パッケージ、調製物及びキットは更に、患者に処置を提供するための説明書を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】固形腫瘍における免疫原性細胞死の評価。 ヒト骨肉腫U2OS細胞(a)、ヒト乳がんHCC70細胞(b)、ヒト結腸がんHT29細胞(c)及びマウスメチルコラントレン誘導線維肉腫MCA205細胞(d)を、ルルビネクテジン(Lurbi、1nM、10nM、100nM及び1μM)で、示した時間処置した。続けて、細胞を、1μMヘキスト33342及び1μMヨウ化プロピジウムで染色し、自動画像取得によって生存率の低下を評価した。画像をセグメント化し、細胞残屑を除外し、正常な核形態を有する細胞の数を数えた。CALR-GFPを安定的に発現する細胞を上記のように処置した。続けて、細胞を3.7%のPFAで固定し、1μMヘキスト33342により染色し、自動画像取得により評価した。画像をセグメント化し、細胞残屑を除外し、CALR-GFP顆粒性(CALR曝露の代理マーカー)を正常な核形態を有する細胞の細胞質領域において評価した。野生型細胞を、上記のように処置し、次いで自動画像取得、セグメント化及び分析によって細胞質キナクリン顆粒性を評価した(ヘキスト33342と共にATP感受性色素キナクリンでの染色後)。HMGB1-GFPを安定的に発現する細胞を、上記のように処置し、次いで核HMGB1-GFP蛍光強度を評価した。細胞を固定し、ヘキスト33342で染色し、画像を、取得、セグメント化及び分析した。WT細胞は、上記のように処置し、続けて、培地を交換し、細胞を48時間インキュベートした後、上清を使用してMX1-GFPバイオセンサー細胞を更に48時間処置した。細胞を固定し、ヘキスト33342で染色した後、1型IFN応答を自動顕微鏡法によってGFP蛍光強度の増加としてモニターした。ミトキサントロン(MTX、1及び3μM)を陽性対照として使用した。4連での評価の平均値及びp値を、ヒートマップとして表す。(*p<.01;**p<.005;***p<.001、両側スチューデントt検定)。
図2】免疫原性細胞死の特色。 ヒト骨肉腫U2OS細胞を10、50又は100nMルルビネクテジン(Lurbi)で6時間処置した。タプシガルギン(Thaps、3μM)を陽性対照として使用した。細胞を3.7%PFAで固定し、DNAを1μMヘキスト33342で染色した。続けて、真核生物翻訳開始因子2アルファ(eIF2a)のリン酸化を、ホスホネオエピトープ特異的抗体を用いて評価し、自動顕微鏡法によって細胞質蛍光強度の増加としてモニターした。(a、b)転写レベルを、Lurbiで上記のように処置したU2OS細胞において測定した。転写阻害剤アクチノマイシンD(ActD)を対照として使用した。細胞を上記のように固定した後、ヌクレオリンとフィブリラリンの共局在化を転写活性の指標として評価した(c、d)。スケールバーは10μmに等しく、棒グラフは4連での評価の平均値±SDを表す(*p<.01;***p<.001、両側スチューデントt検定)。
図3】ルルビネクテジン処置細胞の抗がんワクチン接種有効性。 1μMルルビネクテジンで20時間処置したMCA205細胞を免疫適格C57BL/6マウスに皮下(s.c.)接種し、該マウスを、7日後、同じ種類の生細胞を用いてs.c.再負荷した。腫瘍増殖をエンドポイントに達するまで測定し、全生存を、その後30日間定期的に評価した(n=6)。(*p<.01、両側スチューデントt検定、他の全ての群と比較)。データをTumGrowthで分析した。
図4】免疫適格及び免疫不全宿主におけるルルビネクテジンの治療有効性。 MCA205生細胞を、(a)のスキームに表されているように、免疫適格C57BL/6マウス又は免疫不全nu/nuマウスに皮下(s.c.)注射した。腫瘍が触知可能になったときに、マウスに、0.14mg/Kgルルビネクテジンで静脈内(i.v.)注射した(1、7及び14日目に)。腫瘍増殖を、その後30日間定期的に評価した。データを、腫瘍増殖曲線(b、d)及び全生存プロット(c、e)として表す。データをTumGrowthで分析した。
図5】二重免疫チェックポイント遮断を伴う逐次ルルビネクテジン処置は、全身抗腫瘍免疫を示す C57BL/6マウスに、マウス線維肉腫MCA205を皮下(s.c.)接種した。(a)に示すように、触知可能な腫瘍を、0.14mg/Kgルルビネクテジン(Lurbi)の逐次静脈内(i.v.)注射で処置した。単一又は二重免疫チェックポイント遮断を、CTLA-4又はPD-1を標的とするモノクローナル抗体の逐次腹腔内(i.p.)注射によって、処置後6、9及び12日目に開始し、腫瘍増殖(b、c)及び全生存(d、e)をその後30日間定期的に評価した。(f、g)免疫記憶の生成を、MCA205及びTC-1を用いた再負荷によって、治癒した動物で評価した。ナイーブ動物を対照として使用した。個々の腫瘍増殖曲線を表す。データをTumGrowthで分析した。
図6】ルルビネクテジンは自然発生腫瘍の増殖を遅らせる。 酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)ペレット(50mg、90日間の放出)を、免疫適格C57BL/6マウスの肩甲骨間領域に皮下移植した。その後、動物に、7週の間、6回強制経口投与により、1mgジメチルベンズアントラセン(DMBA)を与えた。自然発生腫瘍が触知可能になったときに、マウスを、処置後6、9及び12日目に、0.14mg/Kgルルビネクテジン(Lurbi)を単独、又はCTLA-4及びPD-1を標的とするモノクローナル抗体での二重免疫チェックポイント遮断と組み合わせて受けるように無作為に割り当てた(a)。腫瘍面積及び全生存を、倫理的なエンドポイントに達するまで定期的に測定した(b、c、d)。データをTumGrowth(https://github.com/kroemerlab)で分析した。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本出願では、いくつかの一般的な用語及び語句が使用されているが、これらは以下のように解釈されたい。
【0042】
本明細書で使用する用語「処置する(treating)」は、別段の指示がない限り、そのような用語が適用される疾患若しくは状態の進行又はそのような疾患若しくは状態の1つ若しくは複数の症状を、逆転、軽減、緩和又は阻害することを意味する。本明細書で使用する用語「処置(treatment)」は、別段の指示がない限り、すぐ上で定義した「処置する(treating)」のように処置する行為を指す。
【0043】
「患者」は、ヒト、非ヒト哺乳類(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、及びシカ等)並びに非哺乳類(例えば、トリ等)を含む。
【0044】
ルルビネクテジンは、合成アルカロイドであり、以下の構造を有する:
【0045】
【化2】
【0046】
その作用機序及びインビボ有効性に関する情報は、100th AACR Annual Meeting、2009年4月18~22日、Denver、CO、Abstract Nr. 2679及びAbstract Nr. 4525; Leal JFMらBr. J. Pharmacol. 2010、161、1099~1110;並びにBelgiovine, CらBr. J. Cancer、2017; 117(5):628~638で見出すことができる。
【0047】
PM01183(ルルビネクテジン)の臨床開発に関する更なる情報は以下に見出すことができる:
- Elez, ME.らClin. Cancer Res. 2014、20(8)、2205~2214、
- 50th ASCO Annual Meeting、2014年5月30日~6月3日、Chicago、IL、Abstract 5505、
- 26th EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeutics;2014年11月18~21日、Barcelona、Spain、Eur. J. Cancer 2014、50 (増刊6)、13~14頁、Abs. No. 23に掲載
- 51th ASCO Annual Meeting、2015年5月29日~6月2日、Chicago、IL、Abstract No. TPS2604及びAbstract Nr. 7509、J. Clin. Oncol. 33、2015 (増刊)に掲載
- 54th ASCO Annual Meeting、2018年6月1~5日、Chicago、IL、Abstract No. 11519、J. Clin. Oncol. 36、2018 (増刊)に掲載
- Cruz, C.らJ. Clin. Oncol. 2018;印刷中1~21、
- 54th ASCO Annual Meeting、2018年6月1~5日、Chicago、IL、Abstract No. 8570、J. Clin. Oncol. 36、2018 (増刊)に掲載
【0048】
用語「ルルビネクテジン」は、患者に投与されたときに(直接又は間接に)本明細書に記載の化合物を提供し得る任意の薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、水和物、プロドラッグ又は任意の他の化合物を網羅することがここで意図される。しかし、薬学的に許容されない塩は、薬学的に許容される塩の調製に有用であり得るため、同様に本発明の範囲内であることが理解されるであろう。塩の調製は、当技術分野で公知の方法により実施することができる。
【0049】
例えば、本明細書で提供される化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法により合成される。一般に、そのような塩は、例えば、これらの化合物の遊離の酸又は塩基を、水中若しくは有機溶媒中又は両者の混合物中の化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることにより調製される。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、2-プロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。酸付加塩の例としては、鉱酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等、並びに有機酸付加塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。アルカリ付加塩の例としては、無機塩、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウム塩等、並びに有機アルカリ塩、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン及び塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0050】
ルルビネクテジンのプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲及び要旨内である。用語「プロドラッグ」は、その最も広い意味で使用され、PM01183へとインビボで変換されるこれらの誘導体を包含する。プロドラッグは、生物学的条件下で、加水分解、酸化、又はその他方法で反応して、PM01183を生じ得る。プロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバミン酸塩、生加水分解性炭酸塩、生加水分解性ウレイド、及び生加水分解性リン酸類似体等の生加水分解性部分を含む、PM01183の誘導体及び代謝産物が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグは、典型的には、「Medicinal Chemistry and Drug Discovery」第6版(Donald J. Abraham(編)、2001、Wiley)及び「Design and Applications of Prodrugs」(H. Bundgaard(編)、1985、Harwood Academic Publishers)にBurgerによって記載されたもの等の周知の方法を使用して調製することができる。
【0051】
更に、本明細書で言及される任意の薬物は、遊離化合物又は溶媒和物(例えば、水和物)のいずれかとして結晶又は非晶質の形態であることができ、全ての形態が本発明の範囲内であることが意図される。溶媒和の方法は、当技術分野で一般に公知である。
【0052】
更には、本発明に従って使用するためのルルビネクテジンは、参照により本明細書に組み込まれるWO03/014127に開示されているような合成プロセスに従って調製され得る。
【0053】
本発明の組合せの好ましい実施形態では、前記組合せにおけるルルビネクテジン又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体の免疫チェックポイント阻害剤に対するモル比は、1:1000~1000:1である。更なるモル比としては、1:700~700:1、1:500~500:1、1:300~300:1、1:100~100:1、及び1:50~50:1が挙げられる。
【0054】
ルルビネクテジン又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物は、選択された投与経路に従って製剤化され得る。投与形態の例としては、限定されないが、経口、局所、非経口、舌下、直腸、膣、眼及び鼻腔内が挙げられる。非経口投与としては、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入手法が挙げられる。好ましくは、組成物は非経口投与される。医薬組成物は、動物、好ましくはヒトに投与した際に化合物が生体利用可能となるように製剤化され得る。組成物は、1つ又は複数の投薬単位の形態を取ることができ、ここで、例えば、錠剤は、単一の投薬単位であることができ、化合物の容器は、化合物を液体又はエアロゾルの形態で含有することができ、単一又は複数の投薬単位を保持することができる。
【0055】
組成物が例えば錠剤又は粉末の形態となるように、薬学的に許容される担体又はビヒクルは微粒子であり得る。組成物が例えば経口シロップ又は注射用液体である場合、担体は液体であり得る。更に、例えば吸入投与に有用なエアロゾル組成物を提供するために、担体は、気体又は液体であってもよい。散剤もまた吸入剤形に使用することができる。用語「担体」は、本発明による化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント又は賦形剤を指す。そのような医薬担体は、水、並びに石油、動物、植物又は合成起源のものを含む油、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、及びゴマ油等の液体であってもよい。担体は、食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンのり、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素、及び二糖等であってもよい。更に、助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤及び着色剤を使用することができる。一実施形態では、動物に投与される場合、化合物及び組成物及び薬学的に許容される担体は、無菌である。水は、化合物が静脈内投与される場合に好ましい担体である。食塩溶液並びにデキストロース及びグリセロール水溶液もまた、特に注射液のための液体担体として用いることができる。好適な医薬担体としてはまた、賦形剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、及びエタノール等も挙げられる。本組成物はまた、所望の場合、少量の湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤も含有することができる。
【0056】
経口投与が意図される場合、組成物は、好ましくは固体又は液体の形態であり、ここで、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態は、本明細書で固体又は液体のいずれかとしてみなされる形態に含まれる。
【0057】
経口投与のための固体組成物として、組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、又はカシェ剤等の形態へと製剤化することができる。そのような固体組成物は、典型的には、1つ又は複数の不活性希釈剤を含有する。更に、以下の1つ又は複数が存在していてもよい:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、又はゼラチン等の結合剤;デンプン、ラクトース又はデキストリン等の賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、及びトウモロコシデンプン等の崩壊剤等;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤;ショ糖又はサッカリン等の甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料等の着香剤;並びに着色剤。
【0058】
組成物が、カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態である場合、上記の種類の材料に加えて、液体担体、例えば、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン又は脂肪油を含有してもよい。
【0059】
組成物は、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤又は懸濁液剤の液体の形態であり得る。液体は、経口投与又は注射による送達に有用であり得る。経口投与が意図される場合、組成物は、甘味剤、保存料、色素/着色料及び香味増強剤のうちの1つ又は複数を含み得る。注射による投与のための組成物では、界面活性剤、保存料、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤及び等張剤のうちの1つ又は複数もまた含まれ得る。
【0060】
好ましい投与経路は、非経口投与であり、それには、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、脳内、脳室内、クモ膜下腔内、膣内又は経皮が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい投与様式は、実務者の裁量に任され、病状の部位に部分的に依存する。より好ましい実施形態では、本発明による化合物は静脈内投与される。24時間までの注入時間が用いられることが好ましく、より好ましくは1~12時間、1~6時間が最も好ましい。病院に一晩滞在することなく処置を行うことができる短い注入時間が、特に望ましい。しかし、注入は、12~24時間又は必要に応じて更に長くなることもある。注入は、適切な間隔、例えば、1~4週間、好ましくは3週間に1回で行われ得る。
【0061】
液体組成物はまた、溶液、懸濁液又は他の同様の形態であるかどうかに関わらず、以下の1つ又は複数も含むことができる:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩溶液、好ましくは、生理的食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、合成のモノ若しくはジグリセリド等の固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、又は他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン;及び張性を調整するための薬剤、例えば、塩化ナトリウム又はデキストロース。非経口組成物は、ガラス、プラスチック若しくは他の材料製のアンプル、使い捨て注射器又は複数回投薬バイアルに封入することができる。生理的食塩水は、好ましいアジュバントである。
【0062】
組成物は、適切な投薬量が得られるように有効量のルルビネクテジン及び/又は免疫チェックポイント阻害剤を含む。的確な投薬量は、特定の製剤、適用様式、並びにその特定の部位及び宿主に応じて異なる。年齢、体重、性別、食事、投与時間、排出率、宿主の状態、薬剤の組合せ、反応感受性及び疾患の重症度のような他の要因を考慮に入れる必要がある。投与は、最大耐性用量の範囲内で継続的又は定期的に行うことができる。
【0063】
用量は、各化合物の好ましい投与経路及び投薬量に関する既存のデータを考慮に入れて、投薬スケジュールに従って選択される。
【0064】
特定の実施形態では、ルルビネクテジン又は免疫チェックポイント阻害剤は、処置を必要とする領域に局所的に投与することが望ましいとされ得る。一実施形態では、投与は、がん、腫瘍若しくは新生物発生又は新生物発生前組織の部位(又は以前の部位)での直接注射によるものであり得る。
【0065】
経肺投与もまた、例えば、吸入器若しくは噴霧器及びエアロゾル化剤を有する製剤の使用によって、又はフルオロカーボン若しくは合成肺表面活性物質での灌流を介して、用いることができる。ある特定の実施形態では、ルルビネクテジンは、従来の結合剤及び担体、例えばトリグリセリドを用いて坐剤として製剤化され得る。
【0066】
本組成物は、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、液体を含有するカプセル剤、散剤、徐放製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル剤、スプレー剤、懸濁液剤の形態、又は使用に適した他の任意の形態を取ることができる。好適な医薬担体の他の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0067】
医薬組成物は、医薬分野で周知の方法論を使用して調製され得る。例えば、注射により投与されることを意図した組成物は、ルルビネクテジンを、水、又は他の生理学的に適切な希釈剤、例えばリン酸緩衝生理食塩水と、溶液を形成するように組み合わせることにより調製され得る。界面活性剤は、均一な溶液又は懸濁液の形成を促進するように添加することができる。
【0068】
好ましいルルビネクテジンを含む組成物は、以下を含む発明であり得る:
・ルルビネクテジン及び二糖を含む医薬組成物。特に好ましい二糖は、ラクトース、トレハロース、ショ糖、マルトース、イソマルトース、セロビオース、イソサッカロース、イソトレハロース、ツラノース、メリビオース、ゲンチオビオース、及びそれらの混合物から選択される。
・ルルビネクテジン及び二糖を含む凍結乾燥医薬組成物。特に好ましい二糖は、ラクトース、トレハロース、ショ糖、マルトース、イソマルトース、セロビオース、イソサッカロース、イソトレハロース、ツラノース、メリビオース、ゲンチオビオース、及びそれらの混合物から選択される。
【0069】
本発明の実施形態でのルルビネクテジンの二糖に対する比は、二糖の溶解度に従って、また、製剤が凍結乾燥される場合は二糖の凍結乾燥性にも従って、決定される。このルルビネクテジン:二糖の比(w/w)は、いくつかの実施形態では約1:10、他の実施形態では約1:20、更に他の実施形態では約1:50であり得ることが想定される。他の実施形態は、約1:5~約1:500の範囲のそのような比を有し、一層更なる実施形態は、約1:10~約1:500の範囲のそのような比を有することが想定される。
【0070】
ルルビネクテジンを含む組成物は、凍結乾燥される。ルルビネクテジンを含む組成物は、通常、一定量のそのような化合物を含有するバイアルで提示される。
【0071】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書で与えられる定量的表現のいくつかは、用語「約」で修飾されない。用語「約」が明示的に使用されているかいないかに関わらず、本明細書に提示される全ての量は、実際の与えられた値を指すことを意味し、そのような所与の値に関する実験及び/又は測定条件に起因する等価物及び近似物を含めた、当技術分野の通常の技術に基づき合理的に推測されるそのような所与の値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0072】
ここで、本発明を以下の実施例を参照して更に説明する。
【実施例
【0073】
序章
原発性又は移植可能な腫瘍は、アントラサイクリンベースの化学療法に反応し、同系免疫適格マウスでは持続性の応答であるが、免疫不全宿主ではそうはならない(1~3)。それと一致して、化学療法を受けた固形腫瘍を有する患者の遡及的臨床試験では、重度のリンパ球減少症が予後に悪影響を与えることが示されたが(4、5)、これは、化学療法誘発性抗がん免疫が抗がん療法の転帰に重要な役割を果たしているという事実を示している。(6、7)これらの知見に基づき、(1~3)本発明者らは、いくつかの化学療法剤が、腫瘍における免疫原性細胞死(ICD)を誘導し、それらを治療ワクチンへと変えることができ、その結果、残存がん細胞を制御することができる免疫応答を刺激するという仮説を導入した。
【0074】
アントラサイクリン及びオキサリプラチン等の選択された化学療法薬は、ICDを誘導することができる(1~3)が、シスプラチン及びマイトマイシンCを含む多くの他の抗新生物剤は、誘導することができない。ICDが生じたがん細胞は、抗がん免疫を惹起し、マウスで同じ抗原プロファイルを示す生細胞によるその後の負荷から防御するか(1~3)、又は患者での化学療法の間に抗がん免疫応答を誘発することができる。(8)免疫原性細胞死の特徴的性質は、細胞質表面でのカルレティキュリン(CALR)の露出、(3、8、9)ストレスを受けて瀕死の細胞からのオートファジー依存性のATPの遊離、(10、11)核HMGB1(high mobility group box 1)の細胞死に関連する流出(12、13)、及び自己分泌又は傍分泌の1型インターフェロン応答の刺激を含む。(14)CALRは、デノボ取込みシグナルとして機能し、樹状細胞(DC)による瀕死のがん細胞の貪食を刺激する。(3)HMGB1は、DC上に存在するトール様受容体-4(TLR4)に結合し、腫瘍抗原プロセシングを促進するMYD88依存性シグナル伝達を誘発する。(3、15)ATPは、P2X型のプリン受容体をライゲーションし、かくしてNLRP3インフラマソームを活性化して、DCによるインターロイキン-1β(IL-1β)の、ひいてはCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によるインターフェロン-γ(IFNγ)の産生を刺激する。(10、16)
【0075】
ICDの間に放出される損傷関連分子パターン(DAMP)の全てが抗がん免疫を生成するのに必要であり、そのため、Tlr4-/-、P2rx7-/-、Myd88-/-、Nlrp3-/-、Il1r-/-、Ifnγ-/-、Ifnγr-/-、Fpr1-/-、無胸腺又はCD8+ T細胞枯渇マウスに増殖する腫瘍は、免疫原性化学療法レジメンに応答しない。乳がんにおけるFPR1、P2RX7又はTLR4の機能喪失変異は、アントラサイクリンを用いた補助化学療法に対する臨床応答と負の相関がある。(3、10、13、14、17~19)これらの結果は、抗がん免疫応答のICD誘導化学療法の成功への絶対的な寄与を意味する。
【0076】
ここで、本発明者らは、免疫原性DAMPの放出を刺激するルルビネクテジンの能力を調べ、3つの実験インビボモデルで抗がん免疫応答を試験した。本発明者らの結果は、ルルビネクテジンが、腫瘍において免疫原性細胞死を引き起こし、抗がん免疫を生み出すという主張を支持している。
【0077】
結果及び考察
ルルビネクテジンによる免疫原性シグナルの放出
ICDを決定する公知のパラメータは、CALRの形質膜表面への移行、オートファジー依存性のATPの遊離、並びにアポトーシスの前、最中、及び後にそれぞれ生じる非ヒストン結合タンパク質HMGB1の放出である。I型インターフェロン(IFN)の産生は、がん免疫監視の根底にある自己分泌又は傍分泌の回路を制御するので、ICDの顕著な特徴の一覧に加えられた。
【0078】
体系的なスクリーニングキャンペーンでは、がん細胞における免疫原性細胞死を誘導するルルビネクテジンの能力を、CALR移動(CALRの表面露出の代理マーカーとして)、HMGB1放出、及びI型IFN応答の検出のため蛍光バイオセンサーを安定して発現するヒト骨肉腫U2OS細胞において、ATP感受性色素キナクリンで染色したU2OS WT細胞も一緒にして、評価した。ICD関連パラメータは、1nM~1μMのルルビネクテジンへの曝露の4、8、16及び32時間後に、自動化された落射蛍光顕微鏡法とそれに続く自動画像分析によって測定した(図1)。細胞死の誘導を、DNA挿入色素ヘキスト33342によって可視化された核形態の変化に基づいて評価した。ルルビネクテジンは、全ての実験を通して、陽性対照として1及び3μMで使用されたミトキサントロン(MTX)と同等に、用量及び時間に依存する細胞生存率の低下を引き起こした。CALR-GFP(緑色蛍光タンパク質)融合タンパク質の核周囲ERから細胞周辺への移行を、CALR含有小胞の形成の指標として、また、CALR曝露の代理マーカーとして細胞質「顆粒性」(材料及び方法を参照)を評価することにより測定した。ルルビネクテジンは、MTXと同様に、時間及び用量に依存するCALR顆粒性の増加を、未処置対照と比較して、誘導した。細胞内ATPの減少(ATP放出の指標として)を、蛍光プローブキナクリンで染色したATP含有小胞の細胞質顆粒性の減少を測定することによって評価した。ルルビネクテジンでは、未処置対照と比較して、MTXと同様なATPシグナルの大幅な減少が検出可能であった。この効果は、用量に依存し、代謝産物の壊れやすい性質のため、経時的に減少した。HMGB1放出は、HMGB1-GFPキメラの核蛍光の減少として検出された。MTX及びルルビネクテジンでは、中期から後期の時点で核GFPシグナルの大幅な減少が検出された。I型インターフェロン(IFN)産生は、MX1(I型IFN応答遺伝子)プロモーターの制御下でGFPを安定して発現するU2OSバイオセンサー細胞を使用して測定した。この目的のために、処置後のU2OS細胞の上清、及び新鮮な培地での更なる48時間のインキュベーションを使用して、バイオセンサー細胞を処置した。続けて、1型IFN応答を、GFP蛍光強度の増加によってモニターした。デノボGFPシグナル強度の大幅な増加が、ルルビネクテジン及びMTXの両方で全ての時点にわたり検出された(図1(a))。同様の結果は、アプローチを、ヒト乳がんHCC70細胞(図1(b))、ヒト結腸癌HT29(図1(c))及びマウス線維肉腫MCA205細胞(図1(d))で繰り返したときに得られた。次に、本発明者らは、一般的なICD誘導物質の2つの更なる特徴、真核生物翻訳開始因子2アルファ(eIF2α)のリン酸化、及び全般的な転写の阻害を活性化するルルビネクテジンの能力を調べた。実際、ルルビネクテジンは、ホスホネオエピトープ特異的抗体で免疫染色した際に蛍光顕微鏡よりモニターされた用量依存のeIF2αのリン酸化をもたらした(図2(a、b))。ルルビネクテジンはまた、転写抑制を示すものとして認められているヌクレオリンとフィブリラリンの解離を顕微鏡法により可視化することによって評価すると(図2(b、c))、公知の転写阻害剤と同等なレベルでmRNA転写も阻害した。(21)ルルビネクテジンは、記載されるICDのインビトロパラメータの多くを保持しており、したがって、免疫適格動物における更なるインビボでの調査に適しており、依然としてICD媒介性抗がん免疫を決定するのに最も基準となるアッセイである。
【0079】
ルルビネクテジンによって誘導される抗がん免疫
単剤療法アプローチにおいて抗がん免疫を刺激するルルビネクテジンの能力を評価し、腫瘍細胞を治療ワクチンへと変えるために、本発明者らは、インビトロで薬物にマウス線維肉腫細胞を曝露し(十分な量の細胞死を誘導するようにあらかじめ確立した条件で)、その後、瀕死のがん細胞を同系免疫適格マウスに注射した。1週間後、動物に同じ種類の生腫瘍細胞を、逆の側腹部に注射して再負荷した(図3(a))。この状態では、腫瘍増殖の減少は、生産的な抗がん免疫応答の証拠として解釈することができる。実際、ルルビネクテジン処置細胞は、腫瘍増殖を大幅に減少させ(p=0.0094)(図3(b))、全生存を増加させた(図3(c))。公知のICD誘導物質(1~3)と比較して、ここで観察されたワクチン接種効果は幾分限定的であったが、統計的に有意であった。次に、本発明者らは、免疫適格又は免疫不全マウスで増殖する確立したがんに対するルルビネクテジンの効果を評価した。MCA 205腫瘍を、免疫適格C57BL/6マウス及び無胸腺nu/nuマウスに皮下移植した。腫瘍が触知可能になったときに、動物を、1、7及び14日目に0.18mg/kgルルビネクテジンの3回連続の静脈内注射で処置した(図4(a))。ルルビネクテジンによる処置は、免疫適格動物において顕著な治療的利点をもたらした。腫瘍増殖は、対照動物と比較して大幅に減少し(p<.0001)(図4(b))、全生存が増加した(図4(c))。この効果は、専ら腫瘍が免疫適格マウスで増殖した場合に観察されたが、腫瘍が無胸腺(nu/nu)マウスで急増した場合に失われた(図4(d、e))。これらの結果は、ルルビネクテジンの化学療法活性に対する免疫系の絶対的な寄与をはっきりと示している。
【0080】
ルルビネクテジンとαPD-1/αCTLA-4二重免疫チェックポイント遮断とのコンビナトリアル効果
確立した腫瘍に対して免疫依存性の抗がん効果を誘導するルルビネクテジンの能力を考慮し、本発明者らは、この薬剤が、CTLA-4又はPD-1を標的とする免疫チェックポイント遮断薬を用いた治療にがんを感作させることができるかどうか調べた。このために、確立したMCA205線維肉腫を、上記のようにルルビネクテジンによって処置し、腫瘍の抗がん免疫応答がピークとなる6、9及び12日目に、CTLA-4、PD-1又は両方の組合せに特異的な抗体による免疫療法に供した(図5(a))。腫瘍のモニタリングから、最も効率的な治療レジメンは、3つの抗がん剤(ルルビネクテジン、αCTLA-4及びαPD-1)全ての組合せであるという推論がもたらされた。単一ICB療法もまた有効であることが示されている(図5(b~e))。腫瘍担持動物におけるルルビネクテジンのαCTLA-4/αPD-1二重チェックポイント遮断との組合せは、平均余命を顕著に延長し、更には、実験の時間枠内で3/8のマウスに腫瘍クリアランスをもたらした(図5(e))。αCTLA-4/αPD-1二重チェックポイント遮断を共に用いたルルビネクテジンの効果は、CD4+及びCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が枯渇した条件下では消失した。50日超の間、腫瘍がなくなったマウスは、治癒したのと同じがん細胞型(MCA205)を用いて再負荷すると腫瘍を拒絶したが、TC1腫瘍細胞を用いて再負荷するとがんを発症した(図5(f、g))。このように、全身性のルルビネクテジンベースの化学療法と免疫療法との組合せにより治癒したマウスは、免疫記憶を生成する特異的な抗がん免疫応答を確立していた。
【0081】
ルルビネクテジンは、発癌物質誘導及び自然発生の乳がんの増殖を遅らせる
乳がん治療へのルルビネクテジンの可能性を探るため、本発明者らは、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)によるプロゲステロン受容体の継続的な刺激及びDNA損傷剤ジメチルベンズアントラセン(DMBA)への繰り返しの曝露によって活性化した、ホルモン/発癌物質誘導の乳がんモデルを活用した。この乳がんの誘導モデルは、免疫系によって調節されていることが知られている。(22)本発明者らは、触知可能なMPA/DMBA誘導腫瘍を有するマウスを、ルルビネクテジンを単独で又はCTLA-4及びPD-1を中和する二重免疫チェックポイント遮断と組み合わせて、全身注射により処置した(図6(a))。両方の介入は、大幅に腫瘍増殖を減少させ、全生存を増加させた。しかし、αCTLA-4/αPD-1との組合せのみが、実験の時間枠内で腫瘍クリアランスをもたらした(図6(b~d))。
【0082】
結語
この研究の結果は、ルルビネクテジンが、幅広い固形腫瘍のパネルで細胞死を効果的に誘導することを示唆している。この手法は、細胞の崩壊死を引き起こすだけでなく、eIF2aのリン酸化及び損傷関連分子パターン(DAMP)の放出を含む免疫原性細胞死の特色も引き起こす可能性が高い。これらの効果を説明する正確な分子メカニズムに関わらず、ルルビネクテジンが引き起こすがん特異的免疫原性を支持するいくつかの証拠が存在する。例えば、確立したがんからルルビネクテジンによって治癒した動物は、同じがん型を用いた再負荷に対して耐性となった。ルルビネクテジンの治療効果は、宿主が免疫無防備状態であるか、又はT細胞が枯渇した状態では中和された。更に、同種移植腫瘍で以前に観察された効果の、異種自然発生腫瘍モデルにおける反復発生は、ここで提示した結果が、高いトランスレーショナルバリューを持っていることを示している。
【0083】
総括すると、これらの結果は、ルルビネクテジンを媒介した免疫化学療法を、臨床的に確立された免疫チェックポイント遮断レジメンと有益に組み合わせることができることを、説得力を持って示している。
【0084】
材料及び方法
細胞培養及び化学薬品
全ての培地及び細胞培養用サプリメントは、Thermo Fisher Scientific社(Carlsbad、CA、US)から入手した。ルルビネクテジンは、PharmaMar社(Madrid、Spain)により提供された。細胞培養用プラスチック及び消耗品は、Greiner Bio-One社(Kremsmunster、Austria)から購入した。前述のように事前に遺伝子改変されたヒト骨肉腫U2OS細胞,23、マウスメチルコラントレン誘導線維肉腫MCA-205細胞、及びマウス肺がんTC-1細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び10mM HEPESを添加したGlutamax(登録商標)含有DMEM培地中で培養した。細胞を、37℃に温度制御された環境で5%CO2を含有する加湿雰囲気にて培養した。
【0085】
自動画像取得及び分析
実験の1日前に、5×103個の細胞を、96ウェルμClearイメージングプレート(Greiner BioOne社)に播種し、標準培養条件下で付着させた。翌日、細胞を、0.001、0.01、0.1及び1μMのルルビネクテジンで4、8、16又は32時間処置した。その後、細胞を、1μg/mlヘキスト33342を添加した3.7%ホルムアルデヒドを用いて、室温で30分間固定した。固定液をPBSに交換し、プレートを自動顕微鏡法によって分析した。ATPに富む小胞の検出のために、細胞を、4、8、16又は32時間のインキュベーション後に蛍光色素キナクリンで標識した(前に記載されているように(23))。簡潔に述べると、細胞を、クレブス・リンゲル液(125mM NaCl、5mM KCl、1mM MgSO4、0.7mM KH2PO4、2mm CaCl2、6mMグルコース及び25mM Hepes、pH7.4)中の5μmキナクリン及び1μg/mlヘキスト33342を用いて、37℃で30分間インキュベートした。その後、細胞をクレブス・リンゲルですすぎ、生存細胞を顕微鏡で調べた。自動蛍光顕微鏡法には、SpectraX光源(Lumencor社、Beaverton、OR、USA)、適切な励起及び発光フィルター(Semrock社、Rochester、NY、USA)、並びに16ビットモノクロームsCMOS PCO.edge 5.5カメラ(PCO Kelheim社、Germany) 並びに20 X PlanAPO対物レンズ(Nikon社、Tokyo、Japan)を備えたロボット支援Molecular Devices IXM XL BioImager (Molecular Devices社、Sunnyvale、CA、USA)を使用して、最低9つの視野を取得し、その後、MetaXpressソフトウェア(Molecular Devices社)内のカスタムモジュールエディターを用いて自動画像処理を行った。利用されるバイオセンサー細胞株に応じて、一次関心領域(ROI)を、核の周りのポリゴンマスクにより規定し、細胞の計数、核の形態的変化及び核蛍光強度の検出を可能とした。細胞残屑を分析から除外し、二次細胞質ROIをCALR-GFP又はキナクリン含有小胞の定量に使用した。後者では、画像をセグメント化し、MetaXpressソフトウェア(Molecular Devices社)を使用して、各細胞の細胞質内の隣接するピクセル群の平均蛍光強度の標準偏差を、同じROI中の平均蛍光強度(変動係数)と比較することによって、GFP顆粒性を分析した。
【0086】
インビボ実験
6~8週齢の雌の野生型C57BL/6及びnu/nuマウスを、Envigo France社(Huntingdon、UK)から入手し、Gustave Roussy Campus Cancerの動物施設で、特定病原体のいない温度制御された環境にて昼12時間、夜12時間のサイクルで飼育し、餌と水を自由に与えた。動物実験は、EU指令63/2010及びプロトコル2013_094Aに準拠して実施し、Gustave Roussy Campus Cancerの倫理委員会により承認された(CEEA IRCIV/IGR no. 26、French Ministry of Researchに登録)。記載されているように(24、25)、C57BL/6マウスにおいてMCA205腫瘍を、5×105個の細胞の皮下(s.c.)注射によって確立した。腫瘍が触知可能になったときに、0.18mg/Kgルルビネクテジンを尾静脈に週1回逐次的に静脈内注射し、動物の健康及び腫瘍増殖をモニターした。合計0.5mgの抗CD8(クローン2.43 BioXCell BE0061)及び抗CD4(クローンGK1.5 BioXCell BE0003-1)の腹腔内(i.p.)注射を、7日毎に繰り返して、実験全体にわたって確実に両方のT細胞集団を完全に枯渇させた。腫瘍の大きさがエンドポイントに達するか、又は処置に関連して明らかな苦痛の兆候が観察された場合に、EU指令63/2010及び我々の倫理委員会の勧告に従って、マウスを屠殺した。腫瘍がなくなった動物を30日間超飼育した後に、免疫記憶の生成を、一方の側腹部に5×105個のTC-1細胞、及び反対側の側腹部に5×105個のMCA205細胞を注射して、s.c.再負荷により試験した。動物をモニターし、腫瘍増殖をエンドポイントに達するまで定期的に記録した。統計分析は、2元ANOVA分析、続けて対照条件と比較してボンフェローニ検定を適用することにより行った(*p<.05、**p<.01及び***p<.001)。マウス線維肉腫MCA205細胞を、1μMルルビネクテジンと共に24時間インキュベートしたところ、約70%の細胞死が生じた。ワクチン接種実験では、3×105個の瀕死のMCA205細胞を、6週齢の雌のC57BL/6マウスの左の側腹部へとs.c.接種した。7~10日後、動物を、3×105個の生きているMCA205細胞で逆の側腹部において再負荷し、腫瘍増殖及び発生率をモニターした。6週齢の雌のC57BL/6マウス(1群あたりn=12)に、緩効性酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)ペレット(50mg、90日間の放出;Innovative Research of America社、Sarasota、Fl、US)をs.c.で外科移植した。200μLの5mg/mLジメチルベンズアントラセン(DMBA、Sigma Aldrich社、St. Louis、MO、US)を、トウモロコシ油に溶解し、週1回、7週間強制経口投与した。
【0087】
免疫チェックポイント遮断
二重又は単一免疫チェックポイント遮断を、ルルビネクテジンによる処置の開始から6、9及び12日目に、PD-1(200μg、クローン29F.1A12、BioXcell社、West Lebanon、NH、USA)又はCTLA-4(200μg、クローン9D9、BioXcell社)に特異的なモノクローナル抗体の繰り返し腹腔内注射によって適用した。動物を定期的にモニターし、腫瘍増殖を倫理的なエンドポイントに達するまで記録した。統計分析は、2元ANOVA分析、続けて対照条件と比較してボンフェローニ検定を用いて行った(*p<.05、**p<.01及び***p<.001)。
【0088】
統計的処理
特に明記されない限り、実験は4連で実施した。データは、自由に利用できるソフトウェアRを用いて分析した(https://www.r-project.org)。有意性を、ウェルチ補正を伴うスチューデントt検定を使用して計算した。各アッセイの閾値を、陽性及び陰性対照のガウス分布に基づいて適用した。インビボ腫瘍増殖を、https://github.com/kroemerlabから自由に利用できるTumGrowthソフトウェアパッケージ(26)を活用して分析した。
【0089】
[参考文献]
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルルビネクテジンを含む、固形腫瘍の処置医薬であって、免疫チェックポイント阻害剤と併して投与される、医薬
【請求項2】
免疫チェックポイント阻害剤を含む、固形腫瘍の処置医薬であって、ルルビネクテジンと併して投与される、医薬。
【請求項3】
ルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤の組合せ医薬であって、固形腫瘍の処置用医薬。
【請求項4】
免疫チェックポイント阻害剤が、免疫チェックポイント分子を標的とする免疫グロブリン分子、好ましくは抗体を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬
【請求項5】
免疫チェックポイント分子が、CTLA-4、PD-1、及びPD-L1から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬
【請求項6】
免疫チェックポイント阻害剤が、複数の免疫チェックポイント分子、好ましくはCTLA-4及びPD-1を標的とする複数の阻害剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項7】
免疫チェックポイント阻害剤が、CTLA-4を特異的に結合するか、又はPD-1を特異的に結合するか、又はPD-L1を特異的に結合するモノクローナル抗体を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬
【請求項8】
モノクローナル抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ(REGN2810)、カムレリズマブ(SHR1210)、エンバフォリマブ(KN035)、シンチリマブ(IBI308)、スパルタリズマブ(PDR001)、ティスレリズマブ(BGB-A317)、プロルゴリマブ(BCD-100)、トリパリマブ(JS001)、ドスタルリマブ(TSR-042、WBP-285)、及びトレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675,206)から選択される、請求項7に記載の医薬
【請求項9】
免疫チェックポイント阻害剤が、アテゾリズマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
免疫チェックポイント阻害剤が、アベルマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項11】
免疫チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項12】
免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項13】
免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項14】
免疫チェックポイント阻害剤が、ドスタルリマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項15】
ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤が、同時、別々又は逐次に投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬
【請求項16】
ルルビネクテジン最初に、続いて免疫チェックポイント阻害剤投与される、請求項15に記載の医薬
【請求項17】
ルルビネクテジン若しくは免疫チェックポイント阻害剤のいずれか、又は両方が、複数回投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬
【請求項18】
ルルビネクテジンが、静脈内注入により投与される、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬
【請求項19】
免疫チェックポイント阻害剤が、静脈内注入により投与される、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬
【請求項20】
固形腫瘍が、前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、黒色腫、膀胱がん、脳/CNSがん、子宮頸がん、食道がん、胃がん、頭/頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、リンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、及び肉腫からなる群から選択される、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬
【請求項21】
固形腫瘍が、肺がん、黒色腫であるか、又は乳がんである、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬
【請求項22】
固形腫瘍がPD-L1を発現する、請求項1から21のいずれか一項に記載の医薬
【請求項23】
処置が、処置される腫瘍がPD-L1を発現しているかどうかを、処置を開始する前に決定する工程を更に含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の医薬
【請求項24】
処置が、腫瘍の大きさの縮小;腫瘍の増殖遅延;患者の延命;疾患進行の遅延;寛解のうちの1つ又は複数をもたらす、請求項1から23のいずれか一項に記載の医薬
【請求項25】
処置が、固形腫瘍を有する患者の生存を延長することを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬
【請求項26】
処置が、患者の固形腫瘍の疾患進行を遅延させることを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の医薬
【請求項27】
処置が、固形腫瘍の増殖を減少又は遅延させることを含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬
【請求項28】
固形腫瘍がPD-L1を発現しているかどうかを決定し、PD-L1を発現している場合は、併用療法が適するという基準と比較することにより、併用療法が、固形腫瘍を有する患者に適するかどうかを試験する方法であって、併用療法が、ルルビネクテジンと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法を施すことを含む、方法。
【請求項29】
ルルビネクテジン及び免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬品パッケージ。
【請求項30】
免疫チェックポイント阻害剤と併用して投与するための説明書とともに、ルルビネクテジンを含む医薬品パッケージ。
【請求項31】
ルルビネクテジンと併用して投与するための説明書とともに、免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬品パッケージ。
【国際調査報告】