(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】医薬組み合わせおよび腫瘍治療
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20230920BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20230920BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/497
A61K31/53
A61K31/47
A61K31/4745
A61K31/4545
A61P43/00 121
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515183
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021049310
(87)【国際公開番号】W WO2022055893
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520492547
【氏名又は名称】イデアヤ、バイオサイエンシズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IDEAYA BIOSCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ムニエ、ジネブ
(72)【発明者】
【氏名】ワーグル、マリー-クレア
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィンドラン、ナンディニ
(72)【発明者】
【氏名】パンカジャクシャン、ディヴィヤ
(72)【発明者】
【氏名】ラックナー、マーク アール.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086BC36
4C086BC48
4C086CB05
4C086CB09
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
転移性ブドウ膜黒色腫および他の増殖性疾患(例えば、GNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍)を治療するために有用である、選択的プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含む併用療法が記載される。併用療法は、医薬品、治療方法、またはキットによって提供することができる。併用療法は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤の使用を含み得る。患者を選択するために、または治療の過程を指示するために有用な方法もまた提供される。様々な例において、プロテインキナーゼCは、式IIによる構造を有してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療方法であって、
転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を選択することと、
前記患者に、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、を含み、
前記プロテインキナーゼC阻害剤が、式II:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩によって表され、式中
Xは、NまたはCRであり;
R、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R
5は、H、
2H、-CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2OH、およびC
2~3アルキルからなる群から選択され、C
2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R
5aおよびR
5bは、それぞれ独立して、H、
2H、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5aおよびR
5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R
5cおよびR
5dは、それぞれ独立して、H、
2H、フッ素、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5cおよびR
5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH
2-O-架橋基を形成し;
R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R
6およびR
8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、前記炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、治療方法。
【請求項2】
転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者を治療する方法であって、
転移性ブドウ膜黒色腫の生検を評価することによって決定される上昇したcMETの存在を有する転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者を選択することと、
前記患者に、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、を含み、
前記プロテインキナーゼC阻害剤が、式II:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中
Xは、NまたはCRであり;
R、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R
5は、H、
2H、-CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2OH、およびC
2~3アルキルからなる群から選択され、C
2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R
5aおよびR
5bは、それぞれ独立して、H、
2H、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5aおよびR
5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R
5cおよびR
5dは、それぞれ独立して、H、
2H、フッ素、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5cおよびR
5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH
2-O-架橋基を形成し;
R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R
6およびR
8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、前記炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、方法。
【請求項3】
GNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を治療する方法であって、
GNAQ/11腫瘍の生検を評価することによって決定される上昇したcMETの存在を有するGNAQ/11腫瘍を有する患者を選択することと、
前記患者に、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、を含み、
前記プロテインキナーゼC阻害剤が、式II:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中
Xは、NまたはCRであり;
R、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R
5は、H、
2H、-CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2OH、およびC
2~3アルキルからなる群から選択され、C
2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R
5aおよびR
5bは、それぞれ独立して、H、
2H、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5aおよびR
5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R
5cおよびR
5dは、それぞれ独立して、H、
2H、フッ素、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5cおよびR
5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH
2-O-架橋基を形成し;
R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R
6およびR
8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、前記炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、方法。
【請求項4】
前記転移性ブドウ膜黒色腫の生検を得ること、または生検に関する情報を得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記GNAQ/11の生検を得ること、または生検に関する情報を得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生検中のcMETの存在を評価することをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記生検を評価することによって決定される上昇したcMETの存在を有する患者を選択することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生検中の総cMET、リン酸化cMET、非リン酸化cMET、またはそれらの組み合わせを定性的または定量的に測定することを含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ELISA、ウェスタンブロッティング、IHC-F、IHC-P、免疫細胞化学、免疫蛍光、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、免疫沈降、またはcMET RNAトランスクリプトーム分析を行うことによって、前記生検中の上昇したcMETの存在を決定することを含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者から前記生検を得ることと、
前記生検中のcMETの濃度レベルを決定することと、
決定された前記生検中のcMETのレベルが、cMETの所定のレベル以上であるか否かを評価することと、
をさらに含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者における遺伝子変異を評価することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記GNAQ/11腫瘍が、膵臓、胃、大腸、子宮、子宮頸部、膀胱、肝細胞癌、頭頸部、前立腺、乳房、肺腺癌、または皮膚黒色腫である、請求項1または3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を治療する方法であって、
前記転移性ブドウ膜黒色腫または前記GNAQ/11腫瘍の生検におけるcMETの存在または活性を評価することと、
前記cMETの存在または活性が前記転移性ブドウ膜黒色腫または前記GNAQ/11腫瘍において上昇している場合、前記患者にcMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、
cMETの存在が前記転移性ブドウ膜黒色腫または前記GNAQ/11腫瘍において上昇していない場合、前記cMET阻害剤を伴わずに前記プロテインキナーゼC阻害剤を前記患者に投与することと、を含み、
前記プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R
5は、H、
2H、-CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2OH、およびC
2~3アルキルからなる群から選択され、C
2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R
5aおよびR
5bは、それぞれ独立して、H、
2H、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5aおよびR
5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R
5cおよびR
5dは、それぞれ独立して、H、
2H、フッ素、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5cおよびR
5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH
2-O-架橋基を形成し;
R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R
6およびR
8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、前記炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、方法。
【請求項14】
前記プロテインキナーゼC阻害剤は、
【化5】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項1~5または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プロテインキナーゼC阻害剤は、
【化6】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プロテインキナーゼC阻害剤と、cMET阻害剤と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬品であって、前記プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【化7】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中
Xは、NまたはCRであり;
R、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R
5は、H、
2H、-CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2OH、およびC
2~3アルキルからなる群から選択され、C
2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R
5aおよびR
5bは、それぞれ独立して、H、
2H、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5aおよびR
5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R
5cおよびR
5dは、それぞれ独立して、H、
2H、フッ素、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5cおよびR
5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH
2-O-架橋基を形成し;
R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R
6およびR
8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、前記炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、医薬品。
【請求項17】
それぞれが薬学的に許容される担体を含む1つ以上の医薬組成物に、一緒にまたは別々に、製剤化されたプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤と、
併用療法において前記プロテインキナーゼC阻害剤および前記cMET阻害剤を一緒に使用することについての説明書と、を含むキットであって、
前記プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【化8】
または薬学的に許容されるその塩によって表され、式中 Xは、NまたはCRであり;
R、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R
5は、H、
2H、-CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2OH、およびC
2~3アルキルからなる群から選択され、C
2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R
5aおよびR
5bは、それぞれ独立して、H、
2H、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5aおよびR
5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R
5cおよびR
5dは、それぞれ独立して、H、
2H、フッ素、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5cおよびR
5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH
2-O-架橋基を形成し;
R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R
6およびR
8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、前記炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、キット。
【請求項18】
プロテインキナーゼC阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物と、
cMETの存在を評価するためのプローブまたは参照標準と、を含むキットであって、
前記プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【化9】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R
5は、H、
2H、-CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-CH
2OH、およびC
2~3アルキルからなる群から選択され、C
2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R
5aおよびR
5bは、それぞれ独立して、H、
2H、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5aおよびR
5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R
5cおよびR
5dは、それぞれ独立して、H、
2H、フッ素、ヒドロキシル、C
1~3アルコキシ、およびC
1~3アルキルからなる群から選択され、C
1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC
1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR
5cおよびR
5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH
2-O-架橋基を形成し;
R
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、H、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C
1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC
1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R
6およびR
8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、前記炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、
2H、ハロゲン、C
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、C
3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C
1~3アルキルおよびC
1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、キット。
【請求項19】
前記cMET阻害剤が、クリゾチニブ、カプマチニブ、カボザンチニブ、チバンチニブ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記cMET阻害剤がクリゾチニブである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ブドウ膜黒色腫は、成人における最も一般的な原発眼内腫瘍である。比較的まれであるが、この癌は非常に致命的であり得る。放射線、切除、および除核は、第一選択治療として広く使用されるが、これらの治療は、多少有効であるにすぎない。除核後であっても、この癌は、最大で半数の患者に再発し、拡散する可能性がある。転移の一般的な部位としては、主に肝臓、ならびに肺、骨、皮下組織、およびリンパが挙げられる。患者全体に対して、5年生存率は約15%である。転移性疾患を有する患者について、生存期間の中央値は約10か月である。現在、転移性ブドウ膜黒色腫の治療のための承認された薬物療法はない。転移性ブドウ膜黒色腫は、治癒されない疾患のままである。非特許文献1を参照されたい。
【0002】
プロテインキナーゼCは、転移性ブドウ膜黒色腫を治療するための標的として研究されている。ブドウ膜黒色腫腫瘍の約90%は、PKCファミリータンパク質および腫瘍増殖に関与する下流のMAPK経路を活性化するように機能し得る、グアニンヌクレオチド結合タンパク質GNAQまたはGNA11に変異を有する。非ブドウ膜腫瘍もまた、このような変異を示し得る。ヒトにおいて、PKCファミリーは、多数の異なるアイソフォームを含み、各タンパク質アイソフォームは、互いに異なる調節特性および細胞内局在化特性を付与する。ヒトPKCアイソフォームには、「古典的」カルシウム依存性PKCアルファ(α)、ベータ-1(βI)、ベータ-2(βII)、およびガンマ(γ);「新規」カルシウム非依存性PKCデルタ(δ)、イプシロン(ε)、エータ(η)、およびシータ(θ);ならびに「非定型」PKCゼータ(ζ)およびイオタ(ι)が含まれる。
【0003】
ソトラスタウリンは、PKCアイソフォームのファミリーにわたって非選択的または「汎選択的」活性を示すとともにPKCファミリー以外のいくつかのキナーゼに対して活性を示す、マレイミド型PKC阻害剤である。特許文献1を参照されたい。別のマレイミド型PKC阻害剤であるエンザスタウリンは、古典的カルシウム依存性PKCアイソフォーム、具体的にはPKCアイソフォームベータ-1を標的とするPKC阻害剤である。特許文献2を参照されたい。どちらの化合物もヒトにおける治療的使用について承認されていない。
【0004】
IDE196は、新しいクラスのPKC阻害剤を表し、新規PKCアイソフォームおよび古典的PKCアイソフォームに対して高い効力を示し、古典的PKCアイソフォームに対するよりも新規カルシウム非依存性PKCアイソフォームに対して活性であり、原発ブドウ膜黒色腫に対して有意な治療を送達する。特許文献3を参照されたい。しかし、転移性ブドウ膜黒色腫は、治療法の開発に抵抗するようである。
【0005】
したがって、ブドウ膜黒色腫、特に転移性ブドウ膜黒色腫、ならびにGNAQ変異およびGNA11変異を有する腫瘍によって特徴付けられる癌を治療することができる治療法に対する満たされていない需要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2014/174478号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0267742号明細書
【特許文献3】国際公開第2019/053595号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Croce et al.,Targeted Therapy of Uveal Melanoma:Recent Failures and New Perspectives,Cancers 2019,11(6),846
【発明の概要】
【0008】
これらおよび他の需要は、転移性ブドウ膜黒色腫、GNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍、および他の増殖性疾患を治療するために有用な医薬品、組成物、方法、およびキットに関する本発明によって満たされる。様々な態様において、本発明は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含む併用療法を含む。
【0009】
例えば、本発明の一態様は、癌治療の方法に関する。様々な態様において、転移性ブドウ膜黒色腫、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者が選択され、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤が、選択された患者に共投与される。
【0010】
プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【0011】
【0012】
またはその薬学的に許容される塩によって表すことができ、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換される)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく、またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンもしくはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレンもしくはエチレンもしくは-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい。
【0013】
別の態様では、本方法は、転移性ブドウ膜黒色腫の生検を評価することによって決定することができる、上昇したcMETの存在を示す転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者において癌を治療することを含んでもよい。このような形態の転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者は、cMET阻害剤と、上記の式IIによって表すことができるプロテインキナーゼC阻害剤との共投与によって治療することができる。
【0014】
さらに別の態様では、本方法は、GNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有し、上昇したcMETの存在を示す腫瘍を有する患者における癌を治療することを含んでもよい。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。GNAQ/11腫瘍における上昇したcMETの存在は、生検を評価することによって決定することができる。このような患者は、cMET阻害剤と、上記の式IIによって表すことができるプロテインキナーゼC阻害剤との共投与によって治療することができる。
【0015】
本発明はまた、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍などの増殖性疾患を有する患者を選択および治療するのに有用な医薬品およびキットを提供する。本明細書に記載される様々な製品、キット、および組成物は、PKC阻害剤およびcMET阻害剤を含む薬剤の組み合わせを組み込む。
【0016】
PKC阻害剤の好ましい例は、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド(化合物A)である。cMET阻害剤の好ましい例としては、クリゾチニブ、カプマチニブ、カボザンチニブ、チバンチニブ、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A-1】MEL-202原発ブドウ膜黒色腫細胞におけるIDE196(以下に定義される化合物A)に対するHGFの拮抗作用を示すチャートを提供する。
【
図1B】MEL-202原発ブドウ膜黒色腫細胞株における、IDE196(化合物A)およびHGFの薬力学的効果(個別および併用)を示すウェスタンブロットを提供する。
【
図2A-1】92.1原発ブドウ膜黒色腫細胞におけるIDE196(化合物A)に対するHGFの拮抗作用を示すチャートを提供する。
【
図2B】92.1原発ブドウ膜黒色腫細胞株における、IDE196(化合物A)およびHGFの薬力学的効果(個別および併用)を示すウェスタンブロットを提供する。
【
図3A-1】MM28転移性ブドウ膜黒色腫細胞におけるIDE196(化合物A)に対するHGFの拮抗作用を示すチャートを提供する。
【
図3B】MM28転移性ブドウ膜黒色腫細胞株における、IDE196(化合物A)およびHGFの薬力学的効果(個別および併用)を示すウェスタンブロットを提供する。
【
図4】MEL-202、92.1、およびMM28ブドウ膜黒色腫細胞株におけるcMETの相対的存在を比較するウェスタンブロットを提供する。T-METは総cMET濃度に対応し、P-METはリン酸化cMET濃度に対応する。GAPDHは参照標準である。
【
図5A-1】HGFが存在する場合のMEL-20原発ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対する、例えばIDE196(化合物A)などのPKC阻害剤、およびcMET阻害剤(クリゾチニブ、図では「crizo」とも略される)の効果を示すチャートを提供する。
【
図5B-1】HGFが存在する場合のMEL-20原発ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対する、例えばIDE196(化合物A)などのPKC阻害剤、およびcMET阻害剤(カプマチニブ、図では「cap」とも略される)の効果を示すチャートを提供する。
【
図5C】cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物治療の薬力学的効果を示すウェスタンブロットを提供する。
【
図6A-1】HGFが存在する場合の92.1原発ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対する、例えばIDE196(化合物A)などのPKC阻害剤、およびcMET阻害剤(クリゾチニブ)の効果を示すチャートを提供する。
【
図6B-1】HGFが存在する場合の92.1原発ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対する、例えばIDE196(化合物A)などのPKC阻害剤、およびcMET阻害剤(カプマチニブ)の効果を示すチャートを提供する。
【
図6C】cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物治療の薬力学的効果を示すウェスタンブロットを提供する。
【
図7A-1】HGFが存在する場合のMM28転移性ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対する、例えばIDE196(化合物A)などのPKC阻害剤、およびcMET阻害剤(クリゾチニブ)の効果を示すチャートを提供する。
【
図7B-1】HGFが存在する場合のMM28転移性ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対する、例えばIDE196(化合物A)などのPKC阻害剤、およびcMET阻害剤(カプマチニブ)の効果を示すチャートを提供する。
【
図7C】cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物治療の薬力学的効果を示すウェスタンブロットを提供する。
【
図8A】応答タイプによってグループ分けされたIDE196(化合物A)単剤療法試験(NCT02601378)に登録された転移性ブドウ膜黒色腫患者にわたるcMET発現/MET活性化(METシグネチャー)を示す棒グラフを提供する。患者群は、進行性疾患(転移性ブドウ膜黒色腫)であると決定された臨床転帰を有する者、6ヶ月未満の間安定な転移性ブドウ膜黒色腫を有すると決定された者、6ヶ月超の間安定な転移性ブドウ膜黒色腫を有すると決定された者、および治療に対して部分応答を有する(すなわち、RESIST基準による転移性ブドウ膜黒色腫腫瘍サイズの30%以上の減少)と決定された者を含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
この定義セクションは、発明の詳細な説明の不可欠な部分である。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲の両方における冠詞「a」、「an」、および「the」の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されたい。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンな用語(例えば、「含むがそれに限定されない」を意味する)として解釈されたい。「または」という用語は、別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、非排他的な「または」を指すために使用される。「AおよびBのうちの少なくとも1つ」または「AまたはBのうちの少なくとも1つ」という記述は、「AもしくはB、またはAおよびB」と同じ意味を有する。さらに、本明細書で使用され、別段に定義されていない表現または用語は、説明のみを目的としており、限定を目的としていないことを理解されたい。セクション見出しの任意の使用は、本文書の読解を助けることを意図しており、限定するものとして解釈されるべきではなく、セクション見出しに関連する情報は、その特定のセクションの内部または外部に生じ得る。
【0020】
本出願の文脈における「してもよい(may)」という用語は、「許容される」または「可能である」ことを意味し、「ことができる(can)」という用語の同義語である。本明細書で使用される「してもよい(may)」という用語は、可能性または機会を意味しない。
【0021】
本明細書で説明される方法において、行為は、時間的順序または動作的順序が明示的に記載されている場合を除いて、本発明の原理から逸脱することなく任意の順序で実行することができる。さらに、明示的な請求項の文言に、特定された行為が別々に実行されることが記載されない限り、特定された行為は同時に実行することができる。例えば、特許請求されたXを行う行為および特許請求されたYを行う行為は、単一の動作内で同時に行うことができ、任意の順序で逐次的に行うこともでき、結果として生じるプロセスは、特許請求されたプロセスの文字通りの範囲内に入る。
【0022】
「約」、「およそ(approximately)」、または「およそ(approximate)」という用語は、数値に関連して使用される場合、値の集合または範囲が含まれることを意味する。本明細書で使用される場合、「約X」は、Xの±25%、±20%、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.5%、±0.2%、または±0.1%である値の範囲を含み、Xは数値である。一実施形態では、「約」という用語は、指定された値の25%大きいまたは小さい範囲の値を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、指定された値よりも20%大きいまたは小さい範囲の値を指す。さらに別の実施形態では、「約」という用語は、指定された値よりも10%大きいまたは小さい範囲の値を指す。好ましくは、「約」という用語は、指定された値よりも5%大きいまたは小さい範囲の値を指す。別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されたい。したがって、反対の指示がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において記載される数字パラメータは、本開示によって取得されようとする望ましい特性によって変更され得る近似値である。
【0023】
「アルキル」という語句は、ヘテロ原子を含有しないアルキル基を指す。したがって、この語句は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなど)を含む。この語句はまた、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体を含み、例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:-CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-CH(CH2CH3)2、-C(CH3)3、-C(CH2CH3)3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)(CH2CH3)、-CH2CH(CH2CH3)2、-CH2C(CH3)3、-CH2C(CH2CH3)3、-CH(CH3)-CH(CH3)(CH2CH3)、-CH2CH2-CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)(CH2CH3)、-CH2CH2CH(CH2CH3)2、-CH2CH2C(CH3)3、-CH2CH2C(CH2CH3)3、-CH(CH3)CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)CH(CH3)CH(CH3)2、-CH(CH2CH3)CH(CH3)CH(CH3)(CH2CH3)など。この語句はまた、環状アルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル)、ならびに上記で定義されるような直鎖および分枝鎖アルキル基で置換されたこのような環を含む。したがって、「C1~12アルキル基」という用語は、第一級アルキル基、第二級アルキル基、および第三級アルキル基を含む。アルキル基には、1~12個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基ならびに環状アルキル基が含まれ、環状アルキル基は少なくとも3つの炭素原子を有する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「C1~6アルキル」は、1~6つの炭素原子を有する置換または非置換両方の直鎖または分枝鎖アルキル基を含む。代表的なC1~6アルキル基としては、例えば、C1~3アルキル、C2~3アルキル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、TERT-ブチル、ネオペンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。特に明記しない限り、C1~6アルキル基は、例えばハロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、および/またはシアノ基などで置換されていてもよい。代表的なC1~3ハロアルキルおよびC1~3ヒドロキシアルキルとしては、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロエチル、クロロエチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルなどが挙げられる。他の適切な置換C1~3アルキル部分には、特に明記しない限り、例えば、アリールアルキル、アミノアルキル、アミノアラルキル、カルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アリールカルボニルアミノアルキル、アリールアルキルカルボニルアミノアルキル、アミノアルコキシアルキル、およびアリールアミノアルキルが含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「C1~6アルコキシ」は、ラジカルRO-(式中、RはC1~6アルキルである)を指す。C1~6アルコキシ基の代表的な例としては、C1~3アルコキシ、メトキシ、エトキシ、t-ブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、およびヨード基を指す。「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC1~3アルキルラジカルを指す。「ハロアルコキシ」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたC1~3アルコキシラジカルを指す。
【0027】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、基-OHを指す。
「アミノ」は、本明細書中で基-NH2を指す。
「アリール」という用語は、本明細書において、6~10員の完全不飽和の共役炭素環式環系(例えば、フェニルまたはナフチルが挙げられるが、これらに限定されない)を指す。アリール環(複数可)は、非置換であってもよく、または1つ以上のハロ、C2~3アルキニル、C2~3アルケニル、CN、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ハロアルキル、C1~3ハロアルコキシ、C3~7シクロアルキル、CONH2、CONHC1~3アルキル、CONHC6~10アリール、SO2NH2、SO2NHC1~3アルキル、SO2NHC6~10アリール、ヘテロアリール基、ならびに/またはN、O、およびSから選択される1~3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリル環で置換されていてもよく、該ヘテロシクリル環は、任意選択的に、H、2H、ハロ、CN、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ハロアルキル、およびC1~3ハロアルコキシアルキル基からなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている。
【0028】
「カルボシクロアルキルおよび炭素二環式およびカルボビシクリル」という用語は、全ての環原子が炭素であるC3~16シクロアルキルおよびビシクロアルキル基を指す。シクロアルキル置換基に関連して使用される場合、「多環式」という用語は、本明細書において、縮合および非縮合環式アルキル構造を指す。「炭素二環式またはカルボビシクリル」という用語は、別の炭素環式環、アリール環、ヘテロ環式環、またはヘテロアリール環に縮合した飽和または部分不飽和の炭素環式環を指す。シクロアルキル基は、非置換であるか、または置換されている。
【0029】
用語「C1~3アルキルアミノ」は、本明細書において、基-NRR’を指し、式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素またはC1~3アルキルから選択され、ただし、RおよびR’の少なくとも1つは、C1~3アルキルである。
【0030】
「アリールアミノ」という用語は、本明細書において、基-NRR’を指し、式中、Rは、フェニルを含むC6~10アリールであり、R’は、水素、C1~3アルキル、またはフェニルを含むC6~10アリールである。
【0031】
「ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロ環、およびヘテロ環式」という用語は同義であり、本明細書では、部分的に不飽和であっても完全に飽和であってもよく、環構造中に1~5つ、より典型的には1~4つのヘテロ原子を有してもよい炭素環およびヘテロ原子環を指す。このような環に使用される適切なヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄である。代表的なヘテロシクロアルキル/ヘテロシクリル部分としては、例えば、モルホリノ、ピペラジニル、ピペリジニル、1,2-オキサジナン、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、N-メチルピペラジニル、およびモルホリニルなどが挙げられ、それぞれ任意選択で置換されている。
【0032】
「ヘテロ二環式」という用語は、ヘテロ環式環がベンゼン環または別の5員もしくは6員複素環式環に縮合している二環式基を指す。
ヘテロ環部分は、非置換であるか、またはヒドロキシ、ハロ、オキソ(C=O)、アルキルイミノ(RN=、式中、RはC1~3アルキルまたはC1~3アルコキシ基である)、アミノ、C1~3アルキルアミノ、C1~3ジアルキルアミノ、アシルアミノアルキル、C1~3アルコキシ、C1~3アルキル、シクロアルキル、またはC1~3ハロアルキルから独立して選択される様々な置換基で一置換または二置換されていてもよい。ヘテロ環基(ヘテロシクリル)は、本明細書と併せて有機化学および医薬品化学の当業者には明らかであるように、様々な位置で結合していてもよい。
【0033】
「ヘテロアリール」という用語は、O、N、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1~4つのヘテロ原子を有する縮合環系を含む5~10員不飽和共役ヘテロ環式環系を指す。ヘテロアリール基は、任意選択的に、1つまたは2つの置換基で置換されていてもよい。「ヘテロアリール」系のサブセットは、芳香族環中の環原子として1~4つのヘテロ原子を有し、環原子の残りが炭素原子である芳香族C6~10ヘテロアリール基である。例示的な置換基としては、ハロ、CN、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ハロアルキル、C1~3ハロアルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSから選択される1つまたは2つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルが挙げられるが、これらに限定されず、該ヘテロシクリルは、任意選択的に、ハロ、CN、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ハロアルキル、およびC1~3ハロアルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で置換されている。代表的なヘテロアリール基としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。代表的なヘテロアリールとしては、例えば、イミダゾリル、ピリジニル(アスピリジルとも呼ばれる)、ピラジニル、アゼチジニル、チアゾリル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、アゼチジニル、N-メチルアゼチジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソアゾリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、チエニル、トリアゾリル、ベンゾチエニルジアザピニル、ピリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾイル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、およびベンゾオキサゾリルが挙げられる。ヘテロアリールは、非置換であるか、またはH、2H、ハロ、C2~3アルキニル、C2~3アルケニル、CN、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ハロアルキル、C1~3ハロアルコキシ、C3~7シクロアルキル、CONH2、CONHC1~3アルキル、CONHC6~10アリール、SO2NH2、SO2NHC1~3アルキル、SO2NHC6~10アリール、ならびにN、O、およびSから選択される1~3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1~3つの置換基で置換されており、該ヘテロシクリルは、任意選択的に、H、2H、ハロ、CN、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ヘテロアルキル、およびC1~3ヘテロアルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている。
【0034】
「2H」という用語は、重水素(D)とも呼ばれる水素の重同位体を指す。
有機基の上記定義は、許容できない置換パターン(例えば、5つのフルオロ基で置換されたメチル、または別のハロゲン原子で置換されたハロゲン原子)を含むことを意図しないことが理解される。
【0035】
「リガンド」という用語は、別の物質と共有結合的、複合体的、静電的、疎水性、親水性、親油性、極性、立体的、および/または同様の分子相互作用を形成することができる物質を指す。リガンドは、小分子、荷電有機あるいは無機部分、ペプチド、オリゴペプチド、DNAあるいはRNA断片、免疫タンパク質、抗体断片、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、および/または類似の化学物質であってもよい。リガンドは、必ずしもそうである必要はないが、シグナル伝達基(例えば、放射性基、蛍光基、またはリン光基)を有し得るので、別の物質と分子相互作用を形成する場合、その組み合わせが検出され得る。リガンドは、好ましくは、ペプチド、任意の種類の抗体、または任意の種類の抗体断片であり得る。リガンドのサブセットは、2つのリガンドを含んでよく、第1のリガンドは、別の物質と相互作用し、第2のリガンドは、シグナル伝達基を有するとともに、第1のリガンドと相互作用する。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「PKC」という用語は、プロテインキナーゼCを指す。セリン/トレオニンキナーゼのPKCファミリーは、少なくとも10個のアイソフォームから構成され、特徴的な調節手段による様々な細胞分化プロセスにおいて極めて重要である。文脈に応じて、PKCという用語は、アイソフォームのファミリー全体または特定のアイソフォームを指すことができる。PKCファミリーには、従来型(古典的)アイソフォームアルファ、ベータ-1、ベータ-2、およびガンマ;新規アイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、およびシータ;ならびに非定型アイソフォームゼータおよびイオタが含まれる。本明細書中で使用される場合、「プロテインキナーゼC阻害剤」または「PKC阻害剤」という用語は、1つ以上のPKCアイソザイムに対して汎(マルチサブタイプ)または選択的であり得るプロテインキナーゼC阻害剤を指す。
【0037】
「阻害剤」という用語は、例えば、タンパク質、キナーゼ、または他の生物学的構造(例えば、PKCまたはcMET)の活性を部分的または完全に遮断する、活性化を減少させる、妨げる、遅延させる、不活性化する、脱感作する、または生物学的活性もしくは発現を下方制御する調節分子または化合物を指す。例えば、阻害剤は、競合的に、不競合的に、非競合的に、またはそれらの組み合わせで、可逆的または不可逆的に酵素に結合することができる。
【0038】
「医薬組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容される担体と共に製剤化された活性薬剤を指す。医薬組成物の例としては、非経口溶液が挙げられ、錠剤は、本明細書において、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトの組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために用いられる。
【0039】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書において、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトの組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物、賦形剤、および/または剤形を指すために用いられる。
【0040】
「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患(例えば、腫瘍)または状態または症状を緩和、軽減、または改善する方法、さらなる症状の出現を予防する方法、症状の根本的原因を改善する方法、疾患または状態を阻害する方法、疾患または状態の発症または進行を停止または低減する方法、疾患または状態を緩和する方法、疾患または状態を退縮させる方法、疾患または状態によって引き起こされる状態を緩和する方法、または疾患または状態の症状を停止する方法を指す。様々な態様において、本明細書に記載の治療法は、疾患(例えば、転移性疾患)、または状態、または症状を予防するために予防的に使用することができる。
【0041】
「患者」という用語は、ヒト、特に、必ずしもそうではないが、医師のケアを受けているヒトを指す。例えば、患者は、癌に罹患しているかまたは癌と診断されたヒトであり得る。別の例として、患者は、癌、腫瘍、または転移性疾患を発症するリスクが高いと診断された個体であり得る。例えば、患者は、ブドウ膜黒色腫について以前に診断および治療されていてもよく、現在、転移性疾患の再発または進行のリスクが高いと診断されている。
【0042】
「患者集団」という用語は、1つ以上の共通の疾患特性を有する複数の患者を指す。例えば、患者集団は、同じ組織型の腫瘍に罹患している患者に対応し得る。別の例として、患者集団は、GNAQまたはGNA11に変異を有する同じ組織型の腫瘍を有する複数の患者であり得る。患者集団は、ブドウ膜黒色腫を有する患者であり得る。患者集団は、転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者であり得る。患者集団は、2人以上の患者、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、50、100、500、1000、2000、5000、7000人以上の患者であってもよい。様々な態様において、患者集団は、患者の疾患の相対的重症度を評価するのに適した代表的な集団を提供するように定義することができる。いくつかの場合において、患者集団は、患者のさらにより正確なアセスメントおよび評価を提供する目的で、疾患特徴以外の特徴、例えば、デモグラフィック、表現型、または遺伝子型特徴を含むようにさらに定義され得る。いくつかの態様において、患者集団は、「健康な集団」、または健常者と病気に罹患している患者との両方を有する全般的な集団を代替的に指し得る。
【0043】
「投与」または「投与する」という用語は、疾患またはその症状を治療または予防するために、患者を特定の化合物または組成物と接触させることを指す。様々な例において、投与することは、患者の腫瘍を特定の化合物または組成物と接触させること、または腫瘍が位置する罹患組織を特定の化合物または組成物と接触させることを含む。
【0044】
「疾患」は、本明細書で使用される場合、すべてが、正常な機能を損なうヒトもしくは動物の身体またはその部分の異常な状態を反映し、典型的には徴候および症状を識別することによって現れ、ヒトの寿命および/または生活の質を低下させるという点で、全般的に、「障害」、「症候群」、および「状態」(医学的状態におけるような)という用語と同義であることが意図され、それらと互換的に使用される。「増殖性疾患」は、細胞の悪性増殖を特徴とする疾患である。一例として、疾患は、プロテインキナーゼCまたはその他のものが癌の病因において役割を果たす癌であり得る。別の例として、疾患は、固形腫瘍、転移性腫瘍、またはその両方などの腫瘍であり得る。増殖性疾患の例としては、全般的に、膵臓癌、胃癌、大腸癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、頭頸部癌、眼癌、および脳癌、またはそれらの腫瘍が挙げられる。
【0045】
「治療を必要とする」患者は、本明細書で使用される場合、患者が治療を必要とするか、または治療から利益を得るであろうという医師または他の介護者によってなされる判断を指す。特定疾患と「診断された」患者とは、患者が疾患に罹患しているという医師または他の介護者によってなされる判断を指す。特定疾患に「罹患している」患者とは、病気の進行、または患者が病気に罹患しているという医師もしくは他の介護者による判断に基づいて証明することができる疾患に罹患している患者を指す。そのような判断は、医師または介護者の専門知識の範囲内の様々な要因に基づいて行われ得る。様々な態様において、本明細書に記載される治療は、本明細書に記載される疾患の治療を必要とする、それと診断された、またはそれに罹患している患者に提供される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」という用語は、固形腫瘍、液性腫瘍、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、腫瘍は、原発ブドウ膜黒色腫、転移性ブドウ膜黒色腫、GNAQもしくはGNA11に1つ以上の変異を有する腫瘍、ブドウ膜黒色腫以外の腫瘍、または肝臓における転移性腫瘍であり得る。さらなる例として、腫瘍は、肝臓における転移性ブドウ膜黒色腫、またはGNAQもしくはGNA11に1つ以上の変異を有する原発ブドウ膜黒色腫であり得る。様々な態様において、腫瘍は、悪性(癌性)固形腫瘍である。様々な態様において、腫瘍は液性腫瘍である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「変異」は、ポリヌクレオチド配列における1つ以上の変化を指し得る。変異は、腫瘍細胞において生じ得るか、またはそれらは、腫瘍の出現もしくは診断の前に細胞において生じ得る。変異は後天性であってもよく、生殖系列(遺伝性)変異であってもよい。変異は、ポリヌクレオチド配列および誘導タンパク質の健全な機能からの逸脱を表し得る。変異は、単一ヌクレオチド置換などのヌクレオチド置換、挿入、または欠失であり得る。例として、GNAQ変異およびGNA11変異は、典型的に、αサブユニットの構成的活性化を導く活性化変異である。理論に束縛されるものではないが、構成的活性は、変異体GNAQまたはGNA11タンパク質におけるGTP-ヒドロラーゼ活性の欠如に起因すると考えられる。活性化変異はまた、GαサブユニットのGTP加水分解活性の喪失または減少をもたらす変異を指し得る。GNAQおよびGNA11における変異は、コドンにおけるアルギニンR183の置換またはコドンにおけるグルタミンQ209の置換を含むか、または他の変異であり得る。いくつかの態様では、GNAQおよび/またはGNA11における変異は、Q209P、Q209L、Q209H、Q209K、Q209Y、Q209R、Q209H、R183Q、R183からなる群から選択されてよく、例えば、GNAQ Q209は、PまたはLのいずれかならびにRまたはHに変異され得、GNAQ R183は、Qに変異され得、GNA11 Q209は、LならびにPまたはKに変異され得、GNAQ R183は、CまたはHに変異され得る。遺伝子変異は、以下のいずれかを含むことができる:挿入変異、置換変異、欠失変異、機能獲得変異、機能喪失変異、および非同義変異。機能獲得変異は、新しい分子機能または新しい遺伝子発現パターンを有する変化した遺伝子産物をもたらす。対照的に、機能喪失変異は、等価な野生型遺伝子の分子機能を欠く変化した遺伝子産物を産生する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「GNAQ」という用語は、Gqアルファサブユニット(Gαq)をコードするグアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ-Q遺伝子を指し、「GNA11」という用語は、G11アルファサブユニット(Gα11)サブユニットをコードするグアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ11遺伝子を指す。「GNAQ/11」という用語は、GNAQおよび/またはGNA11を指す。この用語は、GNAQおよびGNA11の核酸および多型改変体、対立遺伝子、変異体、および断片を包含する。GNAQおよびGNA11配列は、当該分野で周知である。ヒトGNAQ配列の例は、NCBIヌクレオチドデータベースにおける参照配列NM_002072(ヌクレオチド配列)、およびアクセッション番号NP_002063.2(ポリペプチド配列)の下で入手可能である。ヒトGNAQは、染色体9q21に局在している。ヒトGNA11配列の例は、NCBIヌクレオチドデータベースにおける参照配列NM_002067(ヌクレオチド配列)およびアクセッション番号NP_002058.2(ポリペプチド配列)の下で入手可能である。ヒトGNA11は、染色体領域19p13.3に局在する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「変異荷重」という用語は、所定の遺伝子セットまたは全ての分析された遺伝子(例えば、所定の遺伝子セットのコード領域)における、予め選択された単位当たり(例えば、メガ塩基当たり)の変化(例えば、1つ以上の変化、例えば、1つ以上の体細胞変化)のレベル、例えば、数を指す。変異荷重は、例えば、全ゲノムもしくはエクソームに基づいて、またはゲノムもしくはエクソームのサブセットに基づいて測定することができる。ある特定の態様では、ゲノムまたはエクソームのサブセットに基づいて測定された変異荷重を外挿することで、全ゲノムまたはエクソーム変異荷重を決定することができる。「変異荷重(mutation load)」、「変異荷重(mutational load)」、「変異負荷(mutation burden)」、および「変異負荷(mutational burden)」という用語は、本明細書において互換的に使用される。腫瘍との関連で、変異荷重は、本明細書において「腫瘍変異負荷(tumor mutational burden)」、「腫瘍変異負荷(tumor mutation burden)」または「TMB」とも称される。
【0050】
BAP1は、BRCA1関連タンパク質-1遺伝子(ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼ;BAP1)を指す。BAP1の核酸およびアミノ酸配列は公知であり、公的に入手可能である(Genbank NM_004656.2、Genbank NP_004647.1)。BAP1は、DNA損傷応答、ならびにアポトーシス、老化、および細胞周期の調節に機能的に関与している。BAP1における欠失および不活性化変異は、以前に乳房および肺の腫瘍と関連付けられており、腫瘍抑制因子としてのBAP1の役割と一致して、BAP1機能の回復は、BAP1変異肺癌細胞株における細胞成長および腫瘍形成性を抑制することが示されている。
【0051】
SF3B1は、スプライシング因子3bサブユニット1をコードする遺伝子を指す。SF3B1の核酸およびアミノ酸配列は公知であり、公的に入手可能である(NM_012433.3、Genbank NP_036565.2)。スプライシング因子3bタンパク質複合体のサブユニット1は、細胞のスプライシング機構においていくつかの重要な役割を果たす。SF3B1における変異は、イントロン配列を含むプレmRNAを成熟mRNAに変換する細胞の能力に影響を及ぼす。
【0052】
E1F1AXは、タンパク質合成において役割を果たす、タンパク質X結合真核生物翻訳開始因子1Aをコードする遺伝子を指す。E1F1AXの核酸およびアミノ酸配列は公知であり、公的に入手可能である(NM_001412.4、Genbank NP_001403.1)。E1F1AXは、ブドウ膜黒色腫において一般的に変異している。
【0053】
TERTは、酵素テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードする遺伝子、または酵素(すなわち、タンパク質)自体のいずれかを指す。TERTは、核タンパク質、または酵素、テロメラーゼの部分を指す。TERT遺伝子は、「より短いテロメア(Ever Shorter Telomeres)」または「EST」遺伝子とも呼ばれている。TERTのプロモーター領域における変異は、甲状腺癌、膀胱癌、および膠芽細胞腫を含むがこれらに限定されない癌と関連付けられている。TERTの核酸およびアミノ酸配列は公知であり、公的に入手可能である(NM_198253.2、Genbank NP_937983.2)。
【0054】
NRASまたは「神経芽細胞腫RASウイルス癌遺伝子ホモログ」とは、染色体1上にコードされる低分子GTPase Rasファミリータンパク質を指す。NRASの核酸およびアミノ酸配列は公知であり、公的に入手可能である(NM_002524、Genbank NP_002515)。
【0055】
BRAFまたは「v-Rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログB」は、AKT1、CRaf、HRAS、およびYWHABと相互作用するRafキナーゼファミリーセリン/トレオニン特異的タンパク質キナーゼを指す。BRAFの配列は、多くの種、例えば、ヒトBRAF(NM_004333、Genbank NP_004324)について当技術分野で周知である。NRASおよび/またはBRAF配列変異は、点変異であり得る。いくつかの態様では、NRAS点変異は、以下のアミノ酸残基変化のうちの1つをもたらす点変異であり得る:G12D、G12S、G13A、G13C、G13D、G12R、G13V、Q61H1、Q61K、Q61L、Q61R1、およびQ61R2。いくつかの態様では、BRAF点変異は、以下のアミノ酸残基変化のうちの1つをもたらす点変異であり得る:V600D TG/AT、V600E T/A、V600E TG/AA、およびV600K GT/AA。
【0056】
詳細な説明
本発明の実施形態は、とりわけ、転移性ブドウ膜黒色腫、GNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍、および他の増殖性疾患(以下、標的腫瘍)を治療するために有用な併用療法を提供する。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。他の増殖性疾患の例としては、組織におけるPKCシグナル伝達経路を活性化するGNAQまたはGNA11に1つ以上の変異を有する、組織における組織異常によって媒介される疾患が挙げられる。併用療法は、医薬品、治療方法、またはキットによって提供することができ、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤の使用を含む。本発明の実施形態はまた、患者を選択するか、または治療の過程を指示するために有用な方法およびキットを提供する。例えば、本発明の実施形態は、プロテインキナーゼC阻害剤とcMET阻害剤との組み合わせを患者に投与するか否かを同定する方法を提供する。
【0057】
本発明は、標的腫瘍に存在するPKCアイソフォームに作用する本実施形態のPKC阻害剤の抗増殖活性が、上昇したcMETの存在によって調節されるという発見に少なくとも部分的に基づく。様々なPKCアイソフォームの機能および下流シグナル伝達は複雑であり、細胞環境に基づいて変化し得る。本実施形態のPKC阻害剤は、新規PKCアイソフォームデルタ(δ)、イプシロン(ε)、エータ(η)、およびシータ(θ)、ならびに古典的PKCアイソフォームアルファ(α)、ベータ-1(βI)、ベータ-2(βII)、およびガンマ(γ)の両方に対して非常に強力である。これらのクラスのPKCアイソフォーム内で、PKC阻害剤は、古典的PKCアイソフォームに対して示されるよりも、新規PKCアイソフォームに対して大きな活性を示す。本実施形態のPKC阻害剤は、オフターゲットキナーゼおよび他のオフターゲットホスホトランスフェラーゼと比較してPKCアイソフォームに対して選択的であり、他の公知の汎PKC阻害剤、および/または古典的PKCアイソフォームに作用するPKC阻害剤と比較して、良好な治療指数およびPKC活性を示す。
【0058】
本実施形態のPKC阻害剤の抗増殖活性は、上昇したcMETの存在を示す標的腫瘍において拮抗されることが発見された。さらに、標的腫瘍におけるcMETの上昇は、例えば、等量の、細胞外cMET受容体に対する内因性リガンドである外因性肝細胞増殖因子(HGF)と接触させた場合に変化し得る。特に、ブドウ膜黒色腫細胞株92.1、MM28、およびMEL-202の各々に対するIDE196の抗増殖効果は、これらの細胞株の各々が同じ濃度のHGFによって実験的に刺激されたとしても、異なる程度で拮抗される。このcMETの拮抗作用は、MEL-202細胞株およびMM28細胞株で最も強く観察され、92.1細胞株ではより弱い。これは、92.1細胞株と比較してMEL-202細胞株またはMM28細胞株のそれぞれにおいて上昇している、これらの細胞株におけるcMETの発現レベルと相関する。
【0059】
さらに、単剤療法としてIDE196を評価するヒト臨床試験からの、記録保存用転移性ブドウ膜黒色腫組織からのデータは、METシグネチャーによって示されるように、cMET発現およびMET活性化もヒト腫瘍において変化し得ること、ならびに上昇したcMET発現およびMET活性化は全般的に、より不良な臨床応答に相関することを示す。これらのデータは、上昇したcMETの存在がIDE196の抗増殖活性に拮抗するというインビトロ細胞実験からの観察と一致する。実施例5ならびに
図8Aおよび8Bを参照すると、この研究において、ある患者は、単剤療法としてIDE196を投与された場合、増殖性標的腫瘍の改善をほとんどまたは全く示さなかったが、他の患者は、少なくとも部分的な応答を示した。全ての患者において、腫瘍の転移性ブドウ膜黒色腫部位は肝臓にあった。IDE196に対する寛解応答がほとんどまたは全くない患者は、より高い腫瘍cMET発現またはMET活性化を示したが、IDE196に対してより応答性の患者は、より低いレベルの腫瘍cMET発現またはMET活性化を示した。これらのインビトロ細胞データおよびインビボヒト臨床データは、HGFの存在よりもむしろcMET発現またはMET活性化のレベルが、標的腫瘍に対するIDE196の抗増殖効果の拮抗作用を決定することを実証する。
【0060】
これらの発見から、本実施形態のPKC阻害剤とcMET阻害剤との組み合わせが、転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者、およびPKCシグナル伝達経路を活性化する変異を含むGNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍を有する患者の有利な治療を提供することが見出された。cMET阻害剤の使用により、cMET発現またはcMET活性化を制御することが知られている。しかしながら、重要なことに、cMET阻害剤は、単独では、試験した細胞株のいずれにおいてもブドウ膜黒色腫細胞生存率に影響を及ぼさない。注目すべきことに、cMET阻害剤/PKC阻害剤の組み合わせについての相乗作用の大きさは、標的腫瘍細胞のcMET発現レベルと相関する。最大の相乗作用は、クリゾチニブまたはカプマチニブ(それぞれ、cMET阻害剤)とIDE196との組み合わせで治療したMEL-202細胞株およびMM28細胞株において観察されるが、クリゾチニブまたはカプマチニブとIDE196との組み合わせは、92.1細胞株に投与した場合、相乗効果の相対的な欠如を示す。
【0061】
そのような組み合わせの使用は、患者選択のための方法、およびPKC阻害剤をcMET阻害剤との併用療法として投与するか否か、またはPKC阻害剤をcMET阻害剤なしで、例えば単剤療法もしくは他の治療剤と組み合わせて投与するか否かを決定するための基準をさらに含むことができる。したがって、様々な態様において、本発明は、転移性ブドウ膜黒色腫、および/またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍などの治療が困難な増殖性疾患の治療に関連する問題を解決する。
【0062】
全般的に、患者に投与されるそれぞれの追加の治療剤は、副作用のリスクをもたらし、処方された治療の治療指数を低下させ得る。しかしながら、治療が、リスクを低減しながら治療的有用性を改善することが好ましい。様々な態様において、本発明は、どの患者がその組み合わせから利益を得る可能性があり、どの患者がそうでないかを特定するという問題を解決し、したがって、改善された治療指数を有する治療を提供するというさらなる利点を提供する。
【0063】
ここで、開示される主題の特定の態様を詳細に参照する。開示される主題は、列挙される特許請求の範囲と併せて説明されるが、例示される主題は、特許請求の範囲を開示される主題に限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0064】
併用療法
本発明は、とりわけ、転移性ブドウ膜黒色腫、GNAQ変異またはGNA11変異、好ましくはPKCシグナル伝達経路を活性化するGNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)、および、例えば、かかる組織においてPKCシグナル伝達経路を活性化するGNAQまたはGNA11における1つ以上の変異を有する組織における組織異常によって媒介される疾患などの他の増殖性疾患を治療するのに有用な、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含む併用療法を提供する。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。併用療法は、医薬品、医薬組成物、治療方法、またはキットによって提供することができ、そのそれぞれは、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含み得る。例えば、併用療法は、転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ/11腫瘍を有する患者を、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を同時にまたは逐次的に患者に共投与することによって、治療することを含み得る。
【0065】
様々な態様において、プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【0066】
【0067】
またはその薬学的に許容される塩によって表される構造を有してもよく、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい。
【0068】
様々な態様において、式IIの化合物は、以下のうちの1つ以上、またはそれぞれを有してもよい。XはNであり;R2、R3、およびR4はそれぞれ独立してHまたはハロであり;R5はHまたはCH3であり;またはR6およびR7はそれぞれ独立してH、ハロ、C1~3ハロアルキル、C1~3ハロアルコキシ、C3~7シクロアルキル、モルホリノ、ピペリジニル、およびピペラジニルから選択される。例えば、R2、R3、およびR4の各々はHであり得る。別の例として、R6およびR7は、C1~3ハロアルキル、C1~3ハロアルコキシ、C3~7シクロアルキル、モルホリノ、ピペリジニル、およびピペラジニルであり、R6およびR7のうちの1つはHである。さらなる様々な態様において、R6およびR7のうちの1つは、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり、R6およびR7のうちの1つはHである。なおさらなる態様では、R5a、R5b、R5c、およびR5dはそれぞれHである。
【0069】
例えば、プロテインキナーゼC阻害剤は、構造:
【0070】
【0071】
またはその薬学的に許容される塩を有してもよい。
さらなる例として、プロテインキナーゼC阻害剤は、3-アミノ-N-(3-(4-アミノピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(メトキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-エチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-クロロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-フルオロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(メトキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-フルオロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-シアノピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-エチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-シアノ-4-メトキシピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(メトキシメチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-フルオロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-シアノ-3-フルオロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-(2-メトキシエチル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、(+)3-アミノ-N-(3-((cis)-4-アミノ-3-フルオロピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-フルオロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-((3S,4R)-4-アミノ-3-フルオロピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-エチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-フルオロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-エトキシ-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-シアノ-4-メトキシピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノピペリジン-1-イル)-6-メチルピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノピペリジン-1-イル)-6-メチルピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-3-メトキシピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-エチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-フルオロ-4-メチルピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-エトキシ-3-フルオロピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-(ヒドロキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、および3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(4-(メトキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩でもよい。
【0072】
様々な好ましい態様において、プロテインキナーゼC阻害剤は、3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミド(化合物A)、またはその薬学的に許容される塩であり得る。プロテインキナーゼC阻害剤は、構造:
【0073】
【0074】
またはその薬学的に許容される塩を有してもよい。
本明細書に記載されるプロテインキナーゼC阻害剤は、利用可能なプロテインキナーゼC阻害剤のサブセットのみを表す。本明細書に記載の併用療法は、他のキナーゼと比較して、PKCアイソフォームに対する有意な効力およびPKCファミリーに対する選択性を有するプロテインキナーゼC阻害剤の使用を含む。多くの既存のキナーゼ阻害剤は、それらの標的キノームに対して特に選択的ではないが、場合によっては、他の非PKCキナーゼとの同じ交差反応性が、生物学的利益の原因となり得る。例えば、ソトラスタウリンは、PKC阻害剤であるが、多種多様な疾患に関与し、悪性細胞の生存において役割を果たし得るGSK-3ベータも阻害する。ソトラスタウリンはまた、汎選択的PKC阻害剤であり、PKCアイソフォームのファミリー全体にわたって高い効力を示し、新規PKCアイソフォームに対してよりも古典的PKCアイソフォームに対して大きな阻害活性を示す。特定のPKCアイソフォームの阻害差異により、異なる生物学的効果が提供されることが認識されるようになったが、各アイソフォームの多様な特性は、全ての生物学的系において完全に理解されているわけではない。アイソフォーム特異的PKC阻害剤の例として、エンザスタウリンは、古典的PKCアイソフォーム、すなわちベータアイソフォームに対して選択的であり、この選択性に基づく癌治療として研究されている。対照的に、本実施形態のPKC阻害剤は、新規および古典的PKCアイソフォームに対して非常に強力であり、古典的アイソフォームに対するそれらの活性と比較して新規アイソフォームに対してより大きな活性を示す。さらなるプロテインキナーゼC阻害剤は、米国特許第9,845,309号明細書に記載されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0075】
機能の任意の特定の理論に限定することを意図するものではないが、転移性ブドウ膜黒色腫における、またはGNAQもしくはGNA11における変異から生じる様々な発癌状態は、細胞内DAGおよび/またはCa+に対する様々な変化をもたらし得る。例えば、活性化されたGNAQまたはGNA11は、PLC-Bをさらに活性化することができ、原形質膜を加水分解することで様々なPKCシグナル伝達物質を放出することができる。PKCファミリーは、RAS、RAF、MEK、次いでERKを介する活性化カスケードを有する、MAPK経路を含む様々な他の酵素経路の活性化を制御する役割を果たす。PKCの阻害は、MAPKキナーゼの下流活性化を減少させることで、ERKリン酸化の減少をもたらし得る。本明細書に記載のPKC阻害剤の抗増殖活性は、この減少したMAPKシグナル伝達およびERK活性の阻害の結果として生じ得る。PKCの活性化はまた、PKC活性化のためのより近位の薬力学的バイオマーカーであるMARCKSをリン酸化する。
【0076】
本明細書中に記載される様々なPKC阻害剤は、他の非PKCキナーゼの有意な交差反応性を有することなく、PKCファミリータンパク質の阻害に対して高度に選択的である。様々な例において、PKC阻害剤は、古典的PKCアイソフォームよりも新規PKCアイソフォームに対して活性である。本明細書中に記載される様々な選択的PKC阻害剤がcMET経路に対して作用するとは考えられないが、肝細胞増殖因子(cMETに対する内因性リガンド)が、特定の腫瘍細胞において、本明細書中に記載されるPKC化合物に対する高度な拮抗作用を誘発し得ることが見出されている。この拮抗作用は、上昇したcMET濃度および本明細書に記載のPKC阻害剤の使用の結果として生じる下流シグナル伝達の競合の結果であることが発見されている。この下流競合の性質は複雑なようであり、HGFレベルに起因して単純に相関しない。このような複雑さは、部分的に、キノーム間シグナル伝達およびcMET輸送に対する様々なPKCアイソフォームの作用差異に起因し得る。例えば、Kang,Protein Kinase C(PKC)Isozymes and Cancer,New Journal of Science,vol.2014、また、Garg et al.,Protein Kinase C And Cancer:What We Know And What We Do Not,Oncogene,vol.33,2014,5225-5237、また、Kermorgant et al.,PKC Controls HGF-Dependent C-Met Traffic,Signaling And Cell Migration,EMBO J.2004 Sep 29;23(19):3721-3734も参照されたく、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0077】
本明細書に記載される併用療法は、1つ以上の新規PKCアイソフォーム、例えば、デルタ、イプシロン、エータ、またはシータに対して高度に活性である、本明細書に記載されるプロテインキナーゼC阻害剤の使用を含み得る。様々な態様において、プロテインキナーゼC阻害剤は、新規PKCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、またはシータのうちの1つ以上、またはそれぞれに対して、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、40、50、60、70、80、90、または100nM以下のIC50を有し得る。
【0078】
様々な態様において、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、他のPKCアイソフォームと比較して、例えば、非新規PKCアイソフォームアルファ、ベータ1、ベータ2、ガンマ、ゼータ、およびイオタと比較して、新規PKCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、またはシータのうちの1つ以上に対してより活性である。特に、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、古典的プロテインキナーゼCアイソフォームアルファ、ベータ1、ベータ2、またはガンマに対してよりも、プロテインキナーゼCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、およびシータのそれぞれに対してより大きな阻害活性を有する。一例として、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、プロテインキナーゼCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、またはシータに対してよりも、プロテインキナーゼCアイソフォームアルファ、ベータ1、ベータ2、またはガンマに対して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍低い阻害活性を示し得る。さらなる例では、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、プロテインキナーゼCアイソフォームシータに対してよりも、プロテインキナーゼCアイソフォームベータ1に対して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍低い阻害活性を示す。よりさらなる例として、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、新規PKCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、またはシータの1つ以上またはそれぞれに対して、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、40、または50nM以下のIC50を有し、古典的PKCアイソフォームアルファ、ベータ1、ベータ2、またはガンマの1つ以上またはそれぞれに対して、約20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100nMを超えるIC50を有し得る。
【0079】
さらなる態様において、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、プロテインキナーゼCキノーム以外の他のキナーゼと比較して、全てのPKCアイソフォームに対して選択的である。例えば、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、新規または古典的プロテインキナーゼCアイソフォームの1つ以上またはそれぞれに対してよりも、非PKCキナーゼに対して、少なくとも100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、2000倍、2500倍、または5000倍低い阻害活性を有し得る。別の例として、本実施形態のPKC阻害剤は、新規または古典的プロテインキナーゼCアイソフォームの1つ以上またはそれぞれに対してよりも、PIM2、GSK3β、またはその両方に対して、少なくとも100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1000倍、2000倍、2500倍、または5000倍低い阻害活性を有し得る。さらなる態様では、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤は、PIM2、GSK3β、PKCゼータ、PKZイオタ、またはそれらの組み合わせに対して、約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、もしくは10,000nM以上のIC50を有し得る。
【0080】
cMET阻害剤は、cMETの小分子阻害剤でもよい。cMET阻害剤は、細胞内ATP-cMETリガンド-受容体結合の阻害剤であり得る。cMET阻害剤の例としては、クリゾチニブ、カプマチニブ、カボザンチニブ、チバンチニブ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
様々な態様において、cMET阻害剤はまた、ALK阻害剤、RAS1阻害剤、またはその両方としての活性を有する。例えば、cMET阻害剤は、クリゾチニブでもよい。
様々なさらなる態様において、cMET阻害剤は、以下の構造:
【0082】
【0083】
のうちの1つまたはその薬学的に許容される塩を有してもよい。
例えば、cMET阻害剤は、
【0084】
【0085】
またはその薬学的に許容される塩でもよい。
別の例として、cMET阻害剤は、
【0086】
【0087】
またはその薬学的に許容される塩でもよい。
治療方法
本発明は、転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異(特に、PKCシグナル伝達経路を活性化するGNAQ変異もしくはGNA11変異を含む)を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を、それぞれの場合において、cMET阻害剤およびPKC阻害剤を含む併用療法を提供することによって治療するための方法を提供する。例えば、本方法は、本実施形態のプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤(特に、クリゾチニブ、カプマチニブ、カボザンチニブ、またはチバンチニブの1つ以上を含む)を、例えば、同時にまたは逐次的に投与するなど、共投与することを含み得る。PKC阻害剤は、上記の式IIに従った化合物でもよい。「共投与」という用語は、例えば、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤などの本明細書に記載される2つ以上の化合物を、2つ以上の化合物のそれぞれの治療的有用性が少なくとも部分的に重複するように、単一の患者に投与することを包含することが意図される。
【0088】
PKC阻害剤およびcMET阻害剤は、単一の組成物として同時に、または別個の組成物として同時に、または別個の組成物として逐次的に患者に投与することができる。例えば、PKC阻害剤およびcMET阻害剤は、各化合物についての処方ラベル規則に従って、または2つの化合物の同時経口投与に関連する薬物動態学的および薬力学的研究に従って、錠剤などの単一の組み合わせ組成物として製剤化されてもよい。あるいは、医療提供者は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤のそれぞれに関連するラベル指示に従って、2つの別個の組成物を服用するように患者に指示してもよい。1つのアプローチでは、医療提供者は、PKC阻害剤およびcMET阻害剤という2つの別個の組成物を同時にまたはほぼ同時に、例えば、同じ患者ケア訪問中に、もしくは0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、60、120、または180分以内に服用するように患者に指示してもよく、そうでなければ、2つの組成物の半減期などの薬力学的/薬物動態学的プロファイルによって示される期間内に別個の組成物を服用するように指示してもよい。2つの阻害剤の薬力学的/薬物動態学的プロファイルの使用は、患者が、検出可能な量、好ましくは臨床的に意義のある量のPKC阻害剤およびcMET阻害剤のそれぞれの活性医薬成分に曝露することを、医療提供者が保証することを可能にする。いくつかの例において、PKC阻害剤は、cMET阻害剤の前に投与されてもよく、他の例において、cMET阻害剤は、PKC阻害剤の前に投与されてもよい。好ましくは、同時であれ逐次的であれ、共投与は、2つ以上の化合物の組み合わせが患者に相加的、相加的以上、または好ましくは相乗的な利益をもたらす。
【0089】
PKC阻害剤およびcMET阻害剤の別個の用量の同時または逐次的投与は、必ずしもそうではないが、好ましくは、同じ投与経路に従い得る。例えば、共投与は、同時または逐次的な、経口経路またはiv経路によるプロテインキナーゼC阻害剤の投与と、坐剤またはivもしくはip経路によるcMET阻害剤の投与とを含み得る。主治医は、2つの阻害剤の別個の用量について最も適切な投与経路を決定することができる。選択は、患者の全般的な健康および状態、患者の嚥下能力、患者の歩行状態、ならびに主治医の知識に従って評価され得る患者の他の身体的および精神的状態を含むいくつかの要因に依存し得る。
【0090】
PKC阻害剤およびcMET阻害剤の別個の用量の投与は、先に投与される化合物が、患者におけるそのCmaxの少なくともまたは約0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.01、0.001、0.0001、または0.00001のインビボ濃度を有しつつ、後に投与される化合物が患者に投与されるような逐次的手順に従ってもよい。後に投与される化合物の逐次的投与は、先に投与される化合物のTmaxの前に、または先に投与される化合物のおよそインビボTmaxで、または先に投与される化合物のインビボTmaxの約5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、もしくは約1000倍以内に遂行され得る。後に投与される化合物の逐次的投与は、先に投与される化合物の半減期以内、または先に投与される化合物のおよそ1半減期に、または先に投与される化合物の約2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10半減期以内に遂行され得る。さらなる例として、プロテインキナーゼC阻害剤は、約42時間の半減期を有するクリゾチニブの投与後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、21、24、36、42、または48時間で、またはそれ以内に、患者に投与されてもよい。さらに別の例として、プロテインキナーゼC阻害剤は、約6.5時間の半減期を有するカプマチニブの投与後、約0.5、1、2、3、4、5、6、6.5、7、8、9、10、11、12、または13時間で、またはそれ以内に、患者に投与されてもよい。いずれにしても、逐次的投与は、好ましくは、投与されるPKC阻害剤およびcMET阻害剤が、相加的、相加的以上、または相乗的効果、例えば、抗増殖効果を提供するプロトコルに従う。
【0091】
患者の選択
本明細書に記載の患者を治療する方法は、患者選択ステップ、または患者にどの治療過程を提供するかを決定するステップをさらに含んでもよい。様々な態様において、この方法は、転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)、好ましくはPKCシグナル伝達経路を活性化する変異を有するGNAQ/11腫瘍を有する患者を選択することを包含する。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。患者の選択は、患者の集団の中からの選択を表しても、または個々の患者の治療過程もしくは疾患進行を通して、ある時点もしくは疾患状態の患者を選択することを表してもよい。したがって、患者の選択は、どの患者が本明細書に記載の併用療法を受けるべきかだけでなく、患者がいつそれを受けるべきかをも特定することができる。様々な態様において、患者の選択は、例えば、所与の患者または患者集団に対するリスクを低減するか、または利益を増加させることによって、治療指数増加という利点を提供する。
【0092】
例えば、本発明は、転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)、好ましくはPKCシグナル伝達経路を活性化する変異を有するGNAQ/11腫瘍を有する患者を選択すること、および上記のように、cMET阻害剤と式IIによって表されるプロテインキナーゼC阻害剤とを患者に共投与することを含む、患者の選択および治療の方法を提供する。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。
【0093】
一例として、本方法は、ブドウ膜黒色腫の生検によって決定される上昇したcMETの存在を有する転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者を選択すること、およびcMET阻害剤と式IIによって表されるプロテインキナーゼC阻害剤とを患者に共投与することを含み得る。なおさらなる例では、本方法は、GNAQ/11の生検によって決定される上昇したcMETの存在を有するGNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を選択すること、およびcMET阻害剤と式IIによって表されるプロテインキナーゼC阻害剤とを患者に共投与することを含み得る。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。したがって、患者の選択は、(i)転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者またはGNAQ/11腫瘍を有する患者を選択すること、および(ii)それぞれ転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍の生検によって決定される上昇したcMETの存在を有する患者を選択することの各々を含み得る。
【0094】
選択ステップはまた、どの患者が併用療法から利益を得る可能性があり、どの患者がそうでないかを特定するのに役立ち得る。例えば、選択ステップは、どの患者がcMET阻害剤と一緒に併用療法としてプロテインキナーゼC阻害剤を受けるべきか、およびどの患者がcMET阻害剤なしでプロテインキナーゼC阻害剤(例えば、PKC阻害剤単独または別の組み合わせ薬剤との併用を含む)を受けるべきかを特定することができる。選択ステップはまた、所与の患者がいつ併用療法を受けるべきか、または彼もしくは彼女がいつ単剤療法を受けるべきかを特定することができる。したがって、選択ステップは、患者の治療過程を特定するのにも役立ち得る。
【0095】
さらなる例として、本発明はまた、転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を治療する方法であって
転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍の生検において、cMETの存在を評価することと、
cMETの存在が転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍において上昇している場合、患者にcMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、
cMETの存在が転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍において上昇していない場合、cMET阻害剤を伴わずにプロテインキナーゼC阻害剤を患者に投与することと、を含み、
プロテインキナーゼC阻害剤は、上記の式IIによって表される、方法を提供する。
【0096】
cMETの存在の評価
cMETは、MAPK経路およびPI3K経路を含むいくつかのシグナル伝達経路に関与する受容体チロシンキナーゼである。この受容体に対する天然の内因性リガンドは、肝細胞増殖因子(HGF)である。しかしながら、HGFをブドウ膜黒色腫細胞株に実験的に添加することでcMET発現を刺激するとき、いくつかの細胞株のみが式IIのPKC阻害剤の抗増殖効果である拮抗作用を示すことが見出された。このような実験におけるHGFの濃度は全ての細胞株について同じレベルで維持されるにもかかわらず、いくつかの細胞株は上昇したcMETの存在を有する一方、他の細胞株はそうではなかったことが発見された。したがって、本発明を限定するものではないが、cMETおよびPKC経路を管理する複雑な機構、ならびにHGFではなくリガンド/メッセンジャー交差が、cMETの存在の上昇が発生するか否かを決定する際の重要な要因であると理論付けられる。本発明は、上昇したcMETの存在が、本明細書に記載されるプロテインキナーゼC阻害剤とcMET阻害剤との組み合わせで有利に治療することができる腫瘍サブタイプに対応するというこの発見に少なくとも部分的に基づいている。
【0097】
様々な態様において、本発明は、転移性ブドウ膜黒色腫、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍の生検によって決定されるような上昇したcMETの存在を有する患者にcMET阻害剤およびPKC阻害剤を共投与することによって、治療する方法を提供する。本方法は、患者の生検においてcMETの存在が上昇していることを決定することで、例えば、どの患者が併用療法を受けるべきかを選択し、または併用療法が患者に適していることを確認することを含んでもよい。
【0098】
例えば、本発明は、転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者を治療する方法を提供する。本方法は、転移性ブドウ膜黒色腫の生検において上昇したcMETの存在の存在を決定すること、および上記のように、cMET阻害剤と式IIによって表されるプロテインキナーゼC阻害剤とを患者に共投与することを含む。
【0099】
別の例として、本発明は、GNAQ変異またはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)、好ましくは、PKCシグナル伝達経路を活性化する変異を有するGNAQ/11腫瘍を有する患者を治療する方法を提供する。この方法は、GNAQ/11腫瘍の生検において上昇したcMETの存在の存在を決定すること、および上記のように、cMET阻害剤と式IIによって表されるプロテインキナーゼC阻害剤とを患者に共投与することを含む。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。
【0100】
本明細書で使用される「存在」という用語は、所与の腫瘍、組織、全細胞、細胞溶解物、細胞画分、または細胞ホモジネート中のcMETの量、例えば濃度または数を定性的または定量的に指す。存在は、例えば、IHC、イムノアッセイ、もしくはフローサイトメトリーなどを介してcMETタンパク質自体を測定することによって直接的に、または例えば、RNA-seq他のトランスクリプトームプロファイリングを介してcMETの発現レベルを測定することによって間接的に決定することができる。いくつかの例において、存在はcMET mRNA発現レベルを指すか、または存在はcMETタンパク質レベルを指すか、またはまたさらなる例において、cMET mRNA発現レベルは、mRNA発現とタンパク質の存在との間の相関に起因して、cMETタンパク質レベルの代用として使用され得ることが想定される。存在は、絶対的な意味で、例えば、モル濃度、ng/ml、数、細胞あたりの密度、もしくは発現数、RNA発現レベルに関して記載されてもよく、または存在は、較正標準などのベースラインと比較した相対的な意味で記載されてもよい。例えば、RNA発現レベルによって決定される「存在」は、生検の正常細胞および/もしくは黒色腫細胞にも存在し、ならびに/または患者内の別の場所から採取された同様の型の正常(非黒色腫)細胞にも存在する安定な「ハウスキーピング遺伝子」のRNA発現と比較されてもよい。例えば、cMETタンパク質レベルによって決定される「存在」は、患者もしくは同様の患者から採取された同じ型の健康な組織から、または低いcMETタンパク質レベルを示す原発ブドウ膜黒色腫細胞培養物から採取されたベースラインcMETタンパク質レベル、または患者集団から確立された標準ベースラインcMETタンパク質レベルと比較されてもよい。
【0101】
cMETの存在を評価するためのより具体的な態様は、ELISA、ウェスタンブロッティング、IHC-F、IHC-P、免疫細胞化学、免疫蛍光、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、免疫沈降などの技術によって実施することができる。このような技術は、抗cMET抗体の使用を含み得る。ELISA、IHC、免疫沈降、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、免疫蛍光、および他の技術における使用に適した抗cMET抗体は、Thermo Fisher Scientific(マサチューセッツ州ウォルサム)で入手可能である。cMET RNAの発現レベルは、cMET RNA-seqトランスクリプトーム技術、Nanostring(登録商標)、定量的PCR、またはcMET mRNAの相対レベルを測定する他の類似の方法を用いて評価することができる。このような技術は、以下の実施例5に記載される。
【0102】
特定されていないが相対的な用語で記載される場合、cMETの存在は、同じ組織型の腫瘍を有する患者集団におけるcMETレベルを理解することに精通し、または訓練を受ける病理学者、医師、または他の医療提供者によって決定される典型的なベースラインレベルに対する相対的なものとして理解することができる。様々なさらなる例において、ベースラインは、参照試料、参照値、以前の患者状態、または標準によって定義され得る。さらに、cMETの存在は、組織、全細胞、またはその溶解物、画分、もしくはホモジネートに基づいて決定することができる。それぞれの場合において、相対的cMETが記載されている場合、それは同じ型の試料のcMET評価間の比較である。例えば、cMETは、典型的には、細胞外および細胞内部分の両方を有する膜貫通状態で位置するか、または完全に細胞内であってもよく、または細胞溶解物の場合のように細胞外であってもよい。いくつかの試料において、cMETは、そのような状態の混合として存在し得るが、1つの状態が、典型的には、測定に最も関連するものとして明らかである。様々な態様において、cMETの存在は、膜貫通cMET、細胞内cMET、細胞外cMET、またはそれらの組み合わせを決定することを含み得る。別段の指示がない限り、組織または全細胞におけるcMETの存在は、膜貫通cMET、すなわち細胞表面受容体として機能する膜貫通cMETを指し、溶解物におけるcMETの存在は、細胞外cMETを指す。
【0103】
cMETの存在に関連する「上昇した」という用語は、ベースラインよりも大きいcMETの存在を指す。例えば、cMETの存在は、健康な状態、以前の患者の状態、参照試料、参照値、または標準のいずれかまたは全てと比較して上昇し得る。いくつかの場合には、上昇したcMETは、同じ組織型の腫瘍を有する患者集団におけるcMETレベルを理解することに精通し、または訓練を受ける病理学者、医師、または他の医療提供者の意見または診断によって決定され得る。
【0104】
患者の転移性ブドウ膜黒色腫または患者のGNAQ/11腫瘍におけるcMETの存在の評価は、典型的には、そのような患者の転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍からそれぞれ得られた生検におけるcMETの存在を評価することによって遂行される。生検中のcMETレベルは、生検自体に対して測定を行うことによって、または単に、生検中のcMETの存在レベル、例えば、cMET発現レベル、RNAコピー数、もしくはcMET濃度を示す情報または報告を参照することによって評価することができる。
【0105】
cMETの存在レベルは、従来の生化学的技術を適用することを含む、あらゆる方法で決定することができる。本明細書で使用されるcMETの存在は総cMETに対応し得るが、総cMETを決定するために使用される様々な技術は、総cMET濃度の直接測定を必ずしも必要としない。例えば、特定の技術は、RNA発現レベル、cMETの修飾形態、またはバイオマーカーを測定することで総cMET濃度を決定することを可能にする。
【0106】
様々な態様において、本方法は、患者から生検を、例えば抽出または採取するなど、採取、取得することをさらに含む。例えば、生検は、外科的切除によって、針生検(例えば、コア針生検)によって、または当該分野で公知の他の方法もしくはアプローチによって取得され得る。生検は、典型的には、固形腫瘍生検であり得る。生検の細胞は、単離されても、培養されても、溶解されても、分画されても、もしくはホモジナイズされてもよく、またはそれらの組み合わせでもよい。本方法は、単一の生検を採取すること、または複数の生検を採取することを含み得る。例えば、本方法は、複数の生検を取得すること、または別々の時点で採取された複数の生検におけるcMETの存在に関する情報を得ることを含み得る。経時的に複数の生検を採取することは、患者の疾患がどのように進行したかを決定するのに有用であり得、併用療法が所与の患者に適しているときを特定するのに役立ち得る。
【0107】
様々な態様において、タンパク質またはRNAトランスクリプトームとしてのcMETの存在を評価することは、生検材料を、cMETに特異的なリガンドと、cMETに特異的なリガンドと相互作用するレポーターリガンド(標識リガンド)との組み合わせに接触させることを含む。本明細書で使用される場合、リガンドは、cMETとの結合相互作用を有する化合物または生物学的分子を指す。例えば、リガンドは、cMETに特異的な抗体であってもよく、またはcMET RNAと選択的に結合するRNA配列であってもよい。また、本セクションの文脈におけるcMETの存在という用語は、cMETタンパク質および/またはcMET RNAを意味する。cMETの存在を評価することについての議論の内容は、タンパク質またはRNAが評価されるか否かを示す。リガンドはまた、cMETに結合する小分子であってもよい。リガンドまたは抗体は、標識にコンジュゲートされてもよく、または一次リガンドと会合し得る二次リガンドは、標識を保有してもよい。標識の例としては、発色標識、蛍光標識、放射性標識、または同位体標識が挙げられる。抗cMET抗体は、Thermo Fisher Scientific(マサチューセッツ州ウォルサム)から、コンジュゲート標識型、および非コンジュゲート型で市販されており、使用前に従来の標識技術を用いて標識してもよく、または市販のレポーターリガンドを用いて検出してもよい。抗体は、例えば、放射性標識、蛍光標識、ビオチンなどのハプテン標識、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素で抗体自体を直接標識することによって、または一次抗体に対する二次抗体の使用によって検出することができる。あるいは、cMETに特異的な非標識一次抗体を、一次抗体に特異的な標識二次抗体と共に使用する。あるいは、cMET RNA発現は、RNA-seq、Nanostring、定量的PCR、またはcMET mRNAの相対レベルを測定する他の類似の方法を用いて、生検において測定することができる。RNA発現の閾値およびカットオフは、特定のブドウ膜黒色腫組織が高いcMET RNA発現を有するか、または低いcMET RNA発現を有するかを決定するために、低発現および高発現cMET組織から取得される。
【0108】
抗cMET抗体は、cMETのリン酸化形態に特異的であってもよく、cMETの非リン酸化形態に特異的であってもよく、またはリン酸化あるいは非リン酸化cMETに関して非特異的であってもよい。抗体は、ヒトcMETに特異的であってもよい。リン酸化cMETタンパク質、非リン酸化cMETタンパク質、および総cMetタンパク質は相関しているので、それぞれは、対応して、適切な濃度の上昇したcMETの存在をもたらす。
【0109】
様々な態様において、cMETの存在は、組織切片の形態で調製された生検から決定することができ、これは固定およびパラフィン包埋されていてもよく、または凍結されていてもよい。そのような組織切片を標識抗体と接触させることで、組織中のcMETの存在を評価することができる。相対的なcMETの存在を決定する場合、組織切片は、同じ患者または代表的な患者のいずれかにおいて、生検が由来した同じ型の健康な組織からの組織切片と比較することができる。組織切片は、同じ腫瘍から得られた以前の生検からの組織切片と比較することもできる。例えば、cMETの存在は、患者の転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍から最初の生検を得て、そこから第1の組織切片を調製すること;患者の同じ部位の転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍からその後の生検を得て、そこから第2の組織切片を調製すること;標識cMET抗体を第1の組織切片と接触させること;標識cMET抗体を第2の組織切片と接触させること;第1の組織切片と比較して第2の組織切片における上昇したcMETの存在を決定することによって評価することができる。
【0110】
生検調製物は、cMETの存在に従って比較またはスコア化することができる。そのようなスコアリングシステムは、同じ患者の同じ腫瘍におけるcMETの以前のレベルに対して、または参照試料に基づくcMETレベルに対して、または所与の患者集団において予想されるcMETレベルの範囲を表す値を用いて、考案することができる。このようにして、上昇したcMETの存在を決定することができる。スコアリングシステムは、例えば、0~4のスケールに基づいてもよく、スコア0は、組織におけるcMETの発現がないことに対応し、スコア1は、健康な組織におけるcMET発現に対応し得、cMETの上昇を示す組織は、スコア2以上、または3もしくは4のスコアに対応する。例えば、組織切片は、IHC(免疫組織化学技術)を使用して評価することができ、0~3または4のスケールでスコア化され、スコア0は、組織におけるcMETの発現がないことに対応し、一方、スコア1は、腫瘍が由来する型の健康な組織におけるcMETの存在に対応し得、スコア2、または3もしくは4は、cMETの存在が増加した参照試料に対応する。いくつかの例において、スコア1は、本明細書に記載の併用療法が相乗的な抗増殖効果を有さなかったブドウ膜黒色腫腫瘍に由来する標準的なcMETレベル、すなわち、低いcMETスコアを指し得る。対照的に、スコア2または3または4は、Bliss、HSA、またはLoewe相乗作用/拮抗作用モデルによって決定されるように、組み合わせが相乗的抗増殖効果を示したブドウ膜黒色腫腫瘍に由来する標準cMETレベルを指し得る。他の免疫アッセイ技術も同様に適用可能であり、同様のスコアリングシステムを用いることができる。そのような免疫アッセイ技術は、本明細書の実験セクションの実施例6に記載されており、全般的におよび特に、本発明の様々な態様、実施形態、および下位実施形態のそれぞれに従って上昇したcMETの存在を決定するための好ましいアプローチである。Wikipedia at en.wikipedia.org/wiki/immunohistochemistry(2020);およびJ.A.Ramos-Vara A.Ramos-Vara,“Technical Aspects of Immunohistochemistry,Veterinary Pathology,42(4);405-426(2005)などのその中で引用されている参考文献も参照されたい。あるいは、RNAトランスクリプトーム技術を使用して、cMETの存在を決定することができる。そのような技術は、本明細書の実験セクションの実施例5に記載されており、全般的におよび特に、本発明の様々な態様、実施形態、および下位実施形態のそれぞれに従って上昇したcMETの存在を決定するための好ましいアプローチである。
【0111】
別の例として、cMETの存在は、生検によって得られた腫瘍細胞から決定することができる。生検からの腫瘍細胞は、任意選択的に、単離されても、培養されても、溶解されても、分画されても、もしくはホモジナイズされてもよく、またはそれらの組み合わせでもよい。細胞、またはその溶解物、画分、もしくはホモジネートを標識抗体と接触させることで、細胞中のcMETの存在を評価することができる。相対的なcMETの存在を決定する場合、試験される細胞、溶解物、画分、またはホモジネートは、同じ患者または代表的な患者のいずれかにおいて、生検が由来した同じ型の健康な細胞からの細胞試料と比較することができる。細胞は、同じ腫瘍から得られた以前の生検からの細胞と比較することもできる。他の例において、細胞は、健康な細胞または原発ブドウ膜黒色腫細胞(例えば、上昇したcMETを含有しない細胞株)であり得る参照細胞と比較される。例えば、参照細胞に関してcMETの存在を評価することは、第1に患者の転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍から生検を取得すること、およびそこから細胞調製物を細胞単離物、溶解物、ホモジネート、画分、またはそれらの組み合わせの形態で調製することを含み得る。次に、参照細胞(例えば、92.1ブドウ膜黒色腫細胞または生検と同じ組織型の健康な細胞が挙げられるが、これらに限定されない)が取得され、生検細胞調製物と同じ形態で調製される。標識cMET抗体を用いて、生検細胞調製物および参照細胞調製物中のcMETのレベルを評価した。cMETのレベルを比較して、生検細胞調製物が、参照細胞調製物中のcMETレベルよりも高い乃至有意に高いレベルのcMETを含有するか否かを決定する。上記のようなIHC技術を使用して、この評価を決定することができる。
【0112】
様々な例において、cMETの存在は、生検において、所定のレベルと比較して少なくとももしくは約25%、50%、75%、100%、125%、150%、200%、300%、400%、500%、1000%、2500%、または少なくとももしくは約5000%上昇している。所定のレベルは、同じ患者集団における健康なブドウ膜細胞または生検が由来する型の健康な細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者または患者集団における非転移性ブドウ膜黒色腫細胞または生検が由来する型の非転移性GNAQ/11腫瘍細胞におけるcMETの存在に対して、同じ患者集団における非転移性ブドウ膜黒色腫細胞または生検が由来する型の非転移性GNAQ/11腫瘍細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者からの同じ細胞型の以前の生検におけるcMETの存在の以前評価されたレベルに対して、同じ患者における健康なブドウ膜細胞または生検が由来する型の健康な細胞におけるcMETの存在に対応し得る。
【0113】
腫瘍
本明細書に記載される方法は、転移性ブドウ膜黒色腫、またはGNAQもしくはGNA11に遺伝子変異、好ましくはPKCシグナル伝達経路を活性化するGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)などの増殖性疾患を有する患者を治療または選択することを含み得る。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。例えば、患者は、転移性ブドウ膜黒色腫を同定する経験を有するかまたは訓練を受けている医師または他の医療提供者によって決定または診断された転移性ブドウ膜黒色腫を有し得る。別の例として、患者は、患者からの生検の評価に基づいて決定されるように、GNAQ/11腫瘍を有し得る。GNAQ/11腫瘍は、原発GNAQ/11腫瘍または転移性GNAQ/11腫瘍であり得る。患者生検の評価は、固形腫瘍もしくは液体生検(例えば、血液生検)のDNAシーケンシング(例えば、次世代シーケンシング(NGS))分析、セルフリー循環腫瘍DNA(cfDNA)の検出、または循環腫瘍細胞(CTC)中のDNAの検出を含み得る。
【0114】
GNAQ/11腫瘍は、置換変異、挿入変異、および/または欠失変異を含む、いくつかの変異のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの態様において、GNAQ変異またはGNA11変異は機能獲得変異である。いくつかの態様において、GNAQ変異またはGNA11変異は、PKCシグナル伝達経路を活性化する。様々な態様において、GNAQ変異またはGNA11変異は、コドン209におけるグルタミン(Q209)の置換および/またはコドン183におけるアルギニン(R183)の置換であり得る。GNAQ変異またはGNA11変異は、コドン209におけるグルタミン(Q209)以外の置換、コドン183におけるアルギニン(R183)の置換以外、またはその両方以外であり得る。いくつかの態様において、GNAQ変異は、Q209P、Q209L、Q209H、Q209K、もしくはQ209Yのうちの1つであるか、またはGNA11変異は、Q209P、Q209L、Q209K、もしくはQ209Hのうちの1つである。さらなる態様において、GNAQ変異はR183Qであり得るか、またはGNA11変異はR183CもしくはR183Hであり得る。またさらなる例において、GNAQ変異またはGNA11変異は、R256、L279、R166、A168、R210、R213、R166、A231、A342、D333、G171、R147、R73、T47、E191、E221、R149、T175、T379、T85、A86、E163、D195、E319、E191、E280、E49、P293、R300、R338、R60、D155、D205、D321、I226、R37、またはV240のうちの1つ以上にある。さらなる例では、GNAQ/11腫瘍は、GNAQにおけるQ209P、Q209L、Q209H、Q209K、Q209Y、もしくはR183Q変異のうちの1つ以上を含み得るか、またはGNAQ/11腫瘍は、GNA11におけるQ209P、Q209L、Q209H、もしくはQ209K変異のうちの1つ以上を含み得る。GNAQまたはGNA11における変異のさらなる例は、国際公開第2020/146355号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0115】
様々な態様において、GNAQ/11腫瘍は、原発ブドウ膜黒色腫または転移性ブドウ膜黒色腫である。
様々な態様において、GNAQ/11腫瘍は、非ブドウ膜腫瘍、例えば、膵臓腫瘍、胃腫瘍、大腸腫瘍、子宮腫瘍、頚部腫瘍、膀胱腫瘍、肝細胞癌、頭頸部腫瘍、前立腺腫瘍、乳房腫瘍、肺腺癌、または皮膚黒色腫であり得る。他の態様では、腫瘍は、膠芽細胞腫などの中枢神経系の腫瘍である。さらなる態様では、GNAQ/11腫瘍は、非ブドウ膜腫瘍、または非メラニン細胞腫瘍、または非ブドウ膜非メラニン細胞腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は癌腫である。例えば、腫瘍は、膵臓腺癌、胃腺癌、子宮頸癌、および肺腺癌であり得る。様々な態様では、前述の腫瘍は転移性であり得るか、またはそれらは非転移性であり得る。いくつかの態様において、腫瘍は非転移性非ブドウ膜腫瘍である。例えば、腫瘍は転移性ブドウ膜黒色腫以外であってもよい。またさらなる例において、腫瘍は転移性腫瘍である。
【0116】
例えば、GNAQ/11腫瘍は、肝臓などの二次部位に転移した固形腫瘍であり得る。別の例として、GNAQ/11腫瘍は、肝臓に転移した転移性ブドウ膜黒色腫であり得る。さらなる態様において、GNAQ/11腫瘍は、例えば、Castle Biosciences(テキサス州フレンズウッド)から入手可能なDecisionDx(商標)などの遺伝子発現プロファイルによって決定されるように、再発または転移のリスクが高い。いくつかの態様において、本方法は、例えば、ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍などの腫瘍型の再発または転移のリスクを理解することに精通し、または訓練を受ける病理学者、医師、または他の医療提供者によって決定されるような、ブドウ膜黒色腫再発または転移の高いリスクを有する患者を選択することを含む。
【0117】
様々な態様において、GNAQ/11腫瘍は転移性であり、約0.1ng/ml~約1,000ng/mlのHGF濃度を有する二次部位に転移している。別の例において、患者は、約0.1ng/ml~約1,000ng/mlのHGF濃度を有する二次部位に転移した、または転移するリスクがある転移性ブドウ膜黒色腫を有し得る。そのようなHGF濃度は、例えば、0.1ng/ml~約500ng/ml、1ng/ml~約500ng/ml、1ng/ml~約100ng/ml、1.5ng/ml~約100ng/ml、3ng/ml~約100ng/ml、5ng/ml~約100ng/ml、7ng/ml~約100ng/ml、10ng/ml~約100ng/ml、15ng/ml~約100ng/ml、20ng/ml~約100ng/ml、1ng/ml~約30ng/ml、1.5ng/ml~約30ng/ml、3ng/ml~約30ng/ml、5ng/ml~約30ng/ml、7ng/ml~約30ng/ml、10ng/ml~約30ng/ml、15ng/ml~30ng/ml、20ng/ml~約30ng/ml、1ng/ml~約16ng/ml、1.5ng/ml~約16ng/ml、3ng/ml~約16ng/ml、5ng/ml~約16ng/ml、7ng/ml~約16ng/ml、または10ng/ml~約16ng/mlであり得る。例えば、HGF濃度は、約もしくは少なくとも0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、25.0、30.0、35.0、40.0、50.0、60.0、70.0、80.0、90.0、または約もしくは少なくとも100.0ng/mlであり得る。いくつかの態様では、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍は、肝臓に位置する転移性の腫瘍、すなわち、例えば組織学的に別の組織に由来する、以前の原発腫瘍の肝転移であり得る。
【0118】
別の態様では、GNAQ/11腫瘍は、BRAF、KRAS、もしくはEGRFにおける1つ以上の活性化変異を欠いてもよく、またはGNAQ/11腫瘍は、BAP1、SF3B1、EIF1AX、TERT、BRAF、CDKN2A、NRAS、KRAS、もしくはEGRFのうちの1つ以上における低負荷の変異を有してもよい。
【0119】
遺伝子変異の評価
本発明の態様は、患者、腫瘍、または生検がGNAQまたはGNA11における遺伝子変異を示すか否かを評価することを含み得る。そのような評価は、例えば、患者から液体試料を取得することによって得ることができる、患者における循環セルフリー腫瘍DNA(cfDNA)または循環腫瘍細胞(CTC)中のDNAを同定することによって、例えば、固形腫瘍生検または液体生検(例えば、血液生検)において、患者におけるGNAQ変異またはGNA11変異を同定することを含み得る。液体試料は、血液試料であり得る。遺伝子変異はまた、患者の固形腫瘍から評価され得、これは、典型的には、腫瘍から組織生検を取得することを含む。
【0120】
患者、腫瘍、または生検が特定の変異、例えば、GNAQまたはGNA11遺伝子変異を有するか否かを決定することは、患者試料を収集および/または分析することを含み得る。目的の患者試料としては、例えば、患者から取得された癌腫組織、癌組織、固形腫瘍組織、腫瘍組織、身体組織、血液、血清、血漿、または体液(例えば、腫瘍DNAを含む循環血液)が挙げられる。本明細書に記載される方法において使用される患者試料はまた、限定されないが、胃腸、粘膜、粘膜下、腸、食道、回腸、直腸、子宮頸部、結腸、表皮、肺、胸腺、膵臓、胃、直腸、皮膚、皮下、またはリンパ試料などの組織試料を含み得る。試料はまた、細胞試料、例えば皮膚細胞試料を含んでもよい。患者由来の試料中の目的の遺伝子変異の存在は、様々な分析を用いて決定され得る。例えば、様々な方法において、遺伝子変異は、例えば、遺伝子シーケンシング、サザンブロッティング、FISH、ハイスループットシーケンシング、ファージディスプレイ、ショットガンシーケンシング、PCR、またはRT-PCRなどのヌクレオチド分析によって決定され得る。遺伝子変異はまた、mRNA、タンパク質レベル、もしくはヌクレオチドレベルを分析することによって、または動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション技術を実施することによって決定され得る。遺伝子変異を評価するための適切な技術は、国際公開第2020/146355号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0121】
HGFの評価
本発明のさらなる態様によれば、本方法は、患者の腫瘍、腫瘍の生検、または腫瘍が位置する非腫瘍組織における肝細胞増殖因子(HGF)レベルを評価することを含み得る。いくつかの型の腫瘍細胞は、HGFを分泌することができ、これは、特定の型の腫瘍において、本明細書に記載のプロテインキナーゼC阻害剤に対するcMET拮抗作用活性を誘発することができる。いくつかの態様において、HGFは腫瘍細胞によって分泌されるが、他の態様では、HGFは、腫瘍組織、または腫瘍細胞が位置する非腫瘍組織によって分泌される。このようなHGFの評価は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって行うことができる。例えば、HGF ELISAキットは、Thermo Fisher Scientific(マサチューセッツ州ウォルサム)から入手可能である。
【0122】
様々な態様において、患者は、生検中に約0.1ng/ml~約1,000ng/mlのHGF濃度を有する転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍を有する。生検は、組織生検もしくは外科的切除、またはその両方の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、本方法は、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍の生検を評価することによって決定されるように、約0.1ng/ml~約1,000ng/mlのHGF濃度を有する転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍を有する患者を選択することをさらに含む。そのようなHGF濃度は、例えば、0.1ng/ml~約500ng/ml、1ng/ml~約500ng/ml、1ng/ml~約100ng/ml、1.5ng/ml~約100ng/ml、3ng/ml~約100ng/ml、5ng/ml~約100ng/ml、7ng/ml~約100ng/ml、10ng/ml~約100ng/ml、15ng/ml~約100ng/ml、20ng/ml~約100ng/ml、1ng/ml~約30ng/ml、1.5ng/ml~約30ng/ml、3ng/ml~約30ng/ml、5ng/ml~約30ng/ml、7ng/ml~約30ng/ml、10ng/ml~約30ng/ml、15ng/ml~30ng/ml、20ng/ml~約30ng/ml、1ng/ml~約16ng/ml、1.5ng/ml~約16ng/ml、3ng/ml~約16ng/ml、5ng/ml~約16ng/ml、7ng/ml~約16ng/ml、または10ng/ml~約16ng/mlであり得る。例えば、HGF濃度は、約もしくは少なくとも0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、25.0、30.0、35.0、40.0、50.0、60.0、70.0、80.0、90.0、または約もしくは少なくとも100.0ng/mlであり得る。
【0123】
医薬品
本発明の態様は、プロテインキナーゼC阻害剤、cMET阻害剤、および薬学的に許容される担体を含む医薬品をさらに提供する。
【0124】
医薬品は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤が一緒にまたは別個に製剤化され得る、1つ以上の医薬組成物を含み得る。例えば、医薬品は、プロテインキナーゼC阻害剤、cMET阻害剤、および薬学的に許容される担体を含む単一の医薬組成物を含み得る。そのような例では、医薬品は、プロテインキナーゼC阻害剤、cMET阻害剤、および薬学的に許容される担体を含む単一剤形によって表され得る。
【0125】
さらなる例において、医薬品は、プロテインキナーゼC阻害剤を含む第1の医薬組成物、およびcMET阻害剤を含む第2の医薬組成物を含有してもよく、それぞれ独立して、薬学的に許容される担体を有する。
【0126】
医薬品は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤などの2つ以上の活性成分の「固定された組み合わせ」および「固定されていない組み合わせ」を含んでもよい。「固定された組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤が、単一の医薬組成物として製剤化されることを意味する。例えば、固定された組み合わせは、同じ単位剤形(例えば、カプセル、錠剤、またはサシェ)中にプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を有してもよい。「固定されていない組み合わせ」という用語は、別個の医薬組成物として独立して製剤化され、患者に別々に投与することができる、2つ以上の活性成分、例えば、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を指す。様々な態様において、固定されていない組み合わせの各活性成分は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤が協調的効果、例えば、相加的、相加的以上、または相乗的効果を示すことを可能にする期間内に投与される。固定されていない組み合わせはまた、1つ以上の固定された組み合わせ製品とともに単一の薬剤の使用を含んでよく、ここで、各々の独立した製剤は、その中に含まれる互いに異なる量の活性成分を有する。したがって、医薬品は、例えば、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤などの活性成分が完全に別個の医薬剤形として投与される例を含むことを理解されたい。様々な例において、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤はそれぞれ、互いに独立して販売される独立した医薬組成物中に存在し得る。
【0127】
医薬品の独立した部分は、同時にまたは時間をずらして投与することができ、すなわち、医薬品の個々の部分はそれぞれ、同じまたは異なる時点で、および任意の所与の成分の投与間の同じまたは異なる時間間隔で投与することができる。例えば、投薬の時間間隔は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤の併用により治療される疾患に対する効果が、プロテインキナーゼC阻害剤またはcMET阻害剤の一方のみの使用によって得られる効果よりも大きく/高くなるように選択することができる。
【0128】
様々な態様では、医薬品は、プロテインキナーゼC阻害剤、cMET阻害剤、および薬学的に許容される担体を含み、プロテインキナーゼC阻害剤は、本明細書中に上記される式IIによって表される。
【0129】
様々な態様において、医薬品は、1つ以上の薬学的に許容される担体を含む単一の単位剤形中に一緒に製剤化されたプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含む。
さらなる態様において、医薬品は、2つの別個の単位剤形に製剤化されたプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含み、各々が独立して選択される薬学的に許容される担体を有する。
【0130】
医薬品は、1つ以上の薬学的に許容される担体を含んでもよい。薬学的に許容される担体は、全般的に安全で、非毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではない医薬組成物を調製するのに有用な担体であり得る。例えば、担体は、ヒト医薬用途に許容され得る。薬学的に許容される担体を含む製品または組成物は、1つ以上のこのような担体を含み得る。薬学的に許容される担体の例としては、固体担体、溶媒、非溶媒液体担体、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素、これらの組み合わせ、または他の担体が挙げられる。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)。薬学的に許容される担体として役立ち得る物質のいくつかの例としては:(1)糖(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース)、(2)デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、および置換または非置換3-シクロデキストリン)、(3)セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース)、(4)トラガント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤(例えば、カカオバターおよび坐剤ワックス)、(9)油(例えば、落花生油、綿種子油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール)、(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール)、(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル)、(13)寒天、(14)緩衝剤(例えば、マグネシウムヒドロキシドおよびアルミニウムヒドロキシド)、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張生理食塩水、(18)リンガー溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、ならびに(21)医薬製剤において使用される他の非毒性適合性物質が挙げられる。
【0131】
様々な開示の方法、医薬品、およびキットは、医薬組成物の一部としてPKC阻害剤およびcMET阻害剤を含み得ることが理解され得る。このような組成物は、例えば、容量単位形態として投与され得る。医薬組成物は、その意図される投与経路に適合するように製剤化されるのがよい。本明細書に記載の化合物および組成物は、様々な投与経路、例えば、経口または非経口または直腸または膣によって投与され得ることが理解されるであろう。投与は、例えば、皮下、膵臓内、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、腹腔内、眼内、または胸骨内注射などの注射によるものであり得る。さらなる例としては、注入技術、吸入スプレー、舌下、皮膚、直腸、または例えば点眼剤の形態での眼投与が挙げられる。
【0132】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液(例えば、1,3-プロパンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、溶媒または懸濁媒として従来から用いられている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の低刺激性固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0133】
経口投与に適した製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味付けされた基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、散剤、顆粒剤、または水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ剤(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性マトリックスを使用)として、および/または洗口剤などの形態であってよく、それぞれ活性成分として所定量の本発明の化合物を含有する。組成物はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与されてもよい。
【0134】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が含まれ得る。このような固体剤形において、活性薬剤は、少なくとも1つの不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトース、またはデンプン)と混合されてもよい。このような剤形はまた、通常の実施のように、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤)を含んでもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤を含んでもよい。錠剤および丸剤はさらに、腸溶コーティングを用いて調製することができる。経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)では、本発明の化合物を、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの1種以上の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれかと混合する。
【0135】
(1)充填剤または増量剤(例えば、デンプン、シクロデキストリン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸);
(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア);
(3)保湿剤(例えば、グリセロール);
(4)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム);
(5)溶解遅延剤(例えば、パラフィン);
(6)吸収促進剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)
(7)湿潤剤(例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール);
(8)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土);
(9)潤滑剤(例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物);ならびに
(10)着色剤。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤を含んでもよい。同様の型の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することもできる。
【0136】
錠剤は、任意選択的に1つ以上の補助成分とともに、圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を使用して調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状阻害剤の混合物を適切な機械で成形することによって作製することができる。
【0137】
錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤などの他の固体剤形は、任意選択で刻み目を入れるか、または腸溶コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらはまた、例えば、所望の放出プロファイルを提供するために様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/またはマイクロスフェアを使用して、その中の活性成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくはいくつかの他の滅菌注射用媒質に溶解され得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。これらの組成物はまた、任意選択的に、不透明化剤を含んでもよく、活性成分のみを放出するか、または優先的に胃腸管の特定の部分において、任意選択的に遅延した様式で、放出する組成物であり得る。
【0138】
使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。本発明の化合物はまた、適切な場合、1つ以上の上記賦形剤と共に、マイクロカプセル化形態であり得る。
【0139】
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒等の当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤、ならびに例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物などの乳化剤を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、ならびに保存剤などのアジュバントを含んでもよい。懸濁液は、活性阻害剤に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物等の懸濁化剤を含有し得る。
【0140】
活性剤は、リポソームの形態で投与することもできる。当技術分野で知られているように、リポソームは全般的にリン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性媒質中に分散された単層状または多層状水和液晶によって形成される。リポソームを形成可能な任意の非毒性の生理学的に許容される代謝可能な脂質を使用することができる。リポソーム形態の本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含有してもよい。脂質の例は、天然および合成の両方のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当技術分野において公知である。例えば、Prescott,Ed.,Methods in Cell Biology,Volume XIV,Academic Press,New York,N.W.,p.33 et seq.(1976)を参照されたい。
【0141】
直腸または膣投与のための製剤は、坐剤として提供され得、これは、1つ以上の阻害剤を、1つ以上の適切な非刺激性賦形剤または担体(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、またはサリチレートを含む)と混合することによって調製され得、これらは、室温で固体であるが、体温で液体であり、従って、直腸または膣腔において融解して活性薬剤を放出する。膣投与に適した製剤には、当技術分野において適切であることが知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤も含まれる。
【0142】
阻害剤の局所または経皮投与のための剤形には、散剤、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴射剤と混合されてもよい。軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本発明の化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。散剤およびスプレー剤は、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有してもよい。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素(ブタンおよびプロパンなど)などの通例の噴射剤をさらに含有してもよい。あるいは、本発明の方法の適用に有用な化合物は、エアロゾルによって投与されてもよい。これは、組成物を含有する水性エアロゾル、リポソーム調製物、または固体粒子を調製することによって達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン噴射剤)懸濁液を使用することができる。音波ネブライザーは、化合物の分解をもたらし得るせん断への薬剤の曝露を最小限にするため、好ましい。通常、水性エアロゾルは、本発明の化合物の水溶液または懸濁液を、従来の薬学的に許容される担体および安定剤と一緒に製剤化することによって作製される。担体および安定剤は、特定の組成物の要件によって異なるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Tween(登録商標)、Pluronic(登録商標)、ソルビタンエステル、レシチン、Cremophor(登録商標))、ポリエチレングリコールなどの薬学的に許容される共溶媒、血清アルブミンのような無害なタンパク質、オレイン酸、グリシンなどのアミノ酸、緩衝剤、塩、糖、または糖アルコールを含む。エアロゾルは全般的に、等張液から調製される。
【0143】
経皮パッチは、本発明の化合物の身体への制御された送達を提供するというさらなる利点を有する。このような剤形は、薬剤を適切な媒質に溶解または分散させることによって作製することができる。吸収促進剤を使用することで、皮膚を通過する阻害剤の流動を増加させることもできる。そのような流動の速度は、速度制御膜を提供するか、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に阻害剤を分散させることによって制御することができる。
【0144】
注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に阻害剤のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比、および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を封入することによって調製される。
【0145】
医薬化合物および組成物は、「全身的に」または「末梢に」投与され得、これは、代謝および他の同様のプロセスに供されるような様式で患者の系に入るような投与(例えば、皮下投与)を意味する。本明細書で使用される「非経口的に投与される」という語句は、通常は注射による、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内注射および注入を含むが、これらに限定されない。
【0146】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1つ以上の本発明の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される滅菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または対象とするレシピエントの血液と等張になる直前に滅菌注射用溶液もしくは分散液に再構成することができる滅菌粉末、または懸濁化剤もしくは増粘剤と組み合わせて含む。本発明の医薬組成物において使用され得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、ならびに注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0147】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含有してもよい。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にすることができる。糖、塩化ナトリウムなどの張度調整剤を組成物中に含めることも望ましい場合がある。さらに、注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤の包含によってもたらされ得る。
【0148】
場合によっては、本発明の方法の実施に有用な化合物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせることが望ましい。例えば、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。
【0149】
様々な態様において、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。そのような塩は、酸性塩または金属塩、例えば、アルカリまたはアルカリ土類塩であり得る。塩は、化合物中の塩基または酸官能基をそれぞれ適切な有機または無機の酸または塩基と別々に反応させることによって、化合物の最終的な単離および精製中にin situで調製することができる。代表的な塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレン-スルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化、およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチルなどのハロゲン化アルキル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルなどの硫酸ジアルキル;塩化、臭化、およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよびフェネチルなどのハロゲン化アラルキルなどの薬剤で四級化することができる。
【0150】
薬学的に許容される酸付加塩を形成するために使用され得る酸の例としては、塩酸、硫酸、およびリン酸のような無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸、およびクエン酸のような有機酸が挙げられる。塩基付加塩は、カルボン酸部分を、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩などの適切な塩基と、またはアンモニアもしくは有機第一級、第二級、もしくは第三級アミンと反応させることによって、本開示の化合物の最終的な単離および精製中にin situで調製することができる。薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づくカチオン(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩など)、ならびに非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンとしては、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0151】
本開示はまた、プロテインキナーゼC阻害剤と、cMET阻害剤と、併用療法においてプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を一緒に使用することについての説明書とを含むキットを提供する。他の態様において、キットは、cMETの存在を評価するためのプローブまたは参照標準と共に、プロテインキナーゼC阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を含んでもよい。そのようなキットは、cMET阻害剤をさらに含有してもよい。例えば、キットは、本明細書に記載の医薬品であるプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を、併用療法においてそれを使用することについての説明書と一緒に、またはcMETの存在を評価することについての説明書と一緒に含んでもよい。
【0152】
例えば、キットは、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含んでもよく、これらは一緒にまたは別々に1つ以上の医薬組成物に製剤化され、それぞれが薬学的に許容される担体を含む。キットは、併用療法においてプロテインキナーゼC阻害剤およびcMet阻害剤を一緒に使用することについての説明書をさらに含んでもよい。プロテインキナーゼC阻害剤は、上記の式IIによって表される。
【0153】
本開示はまた、cMETの存在を評価するためのプローブまたは参照標準を有するキットを提供する。プローブは、cMETに対する標識抗体であり得る。cMETの存在を評価するための参照標準は、例えば、正常なブドウ膜細胞に由来するcMETの量を含んでもよい。
【0154】
例えば、キットは、プロテインキナーゼC阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物と、cMETの存在を評価するためのプローブまたは参照標準とを含んでもよい。プロテインキナーゼC阻害剤は、本明細書に上記される式IIによって表すことができる。
【0155】
本開示はまた、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQもしくはGNA11に変異を有する腫瘍などの本明細書に記載される増殖性疾患の症状を治療、予防、またはさもなければ緩和するための医薬の調製のための、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤の組み合わせ使用などの、本明細書に記載される医薬品、キット、または組成物の様々な使用を提供する。本発明はまた、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQもしくはGNA11に変異を有する腫瘍などの本明細書に記載される増殖性疾患の症状を治療、予防、または緩和するための、医薬品、キット、または様々な記載される組成物の使用を提供する。例えば、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQもしくはGNA11に変異を有する腫瘍の増殖を低減する、成長を低減する、または疾患進行を低減するための、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を含む医薬品、キット、または組成物の使用。
【0156】
本発明はまた、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQもしくはGNA11に変異を有する腫瘍などの本明細書に記載の増殖性疾患を治療するための、例えば、医薬品、キット、または組成物としての、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤の組み合わせを提供する。
【0157】
投薬
本明細書に記載の化合物およびそれらの医薬組成物は、当技術分野において周知であるように、治療される障害、ならびに患者の年齢、状態、および体重に応じて、様々な形態の使用を介して、本明細書に記載の方法に従って投与することができる。医療当局および医薬品に関する政府登録当局によって一貫して推奨され、要求されるように、投与は、最終的に、患者治療を制御する見識、経験、および知識を有する主治医の指導および処方の下で提供される。
【0158】
化合物は、意図される投与様式に適した形態で製剤化することができる。例えば、化合物が経口投与される場合、それらは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、もしくはシロップ剤として製剤化されてもよく、または非経口投与の場合、それらは、注射剤(静脈内、筋肉内、もしくは皮下)、点滴製剤、もしくは坐剤として製剤化されてもよい。眼粘膜経路または他の類似の経粘膜経路による適用のために、それらは、滴剤または軟膏として製剤化されてもよい。
【0159】
用量は、患者の症状、年齢、および体重、患者の性別、治療または予防される障害の性質および重症度、投与経路、ならびに薬物の形態に応じて変化し得るが、全般的に、成人患者に対して、0.0001~2000mg、好ましくは0.001~1000mg、より好ましくは0.001~500mg、特により好ましくは0.001~250mg、最も好ましくは0.001~150mgの化合物の1日用量が推奨され、これは単回用量または分割用量で投与されてよい。あるいは、1日用量は、体重に従って、例えば1ナノグラム/kg(ng/kg)~200mg/kg、好ましくは10ng/kg~100mg/kg、より好ましくは10ng/kg~10mg/kg、最も好ましくは10ng/kg~1mg/kgで与えることができる。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、全般的に、治療効果を生じる化合物の量である。
【0160】
所定の患者における治療の効力に関して最も有効な結果を生じる投与の正確な時間および/または組成物の量は、特定の化合物の活性、薬物動態、および生物学的利用能、患者の生理学的状態(年齢、性別、疾患タイプおよび段階、全般的な身体状態、所定の用量に対する応答性、ならびに薬剤のタイプを含む)、投与経路などに依存する。しかし、上記のガイドラインは、例えば、投与の最適な時間および/または量を決定することなど、治療を微調整するための基礎として使用され得、患者をモニタリングすることならびに用量および/またはタイミングを調整することからなる日常的な実験より多くのことを必要としない。
【0161】
本発明の医薬組成物における本発明の方法の適用に有用な化合物の実際の用量レベルは、特定の患者、組成物、および投与様式に対して所望の治療応答を達成するのに有効であり、患者に対して毒性ではない量の活性成分が得られるように変化させることができる。
【0162】
薬学的に許容される混合物中の、本発明の方法の適用に有用な化合物の濃度は、投与される化合物の用量、使用される化合物の薬物動態特性、および投与経路を含むいくつかの要因に応じて変化する。
【0163】
全般的に、本発明の方法の適用に有用な組成物は、非経口投与のために、他の物質の中に約0.1~10%w/vの本明細書に開示される化合物を含有する水溶液中で提供され得る。典型的な用量範囲は、上記で与えられたものであり、好ましくは、1日あたり約0.001~約500mg/kg体重であり得、1~4回に分けた用量で与えられる。各分割用量は、同じまたは異なる本発明の化合物を含有してもよい。用量は、患者の全体的な健康、ならびに選択された化合物の剤形および投与経路を含むいくつかの要因に応じた有効量である。
【0164】
プロテインキナーゼC阻害剤は、約1、25、50、100、150、200、250、300、400、450、500、600、700、または800mgの用量で投与され得るか、または医薬組成物、製品、もしくはキット中に存在し得る。プロテインキナーゼC阻害剤は、1日に1回、2回、もしくは3回、または2日に1回投与され得る。例えば、プロテインキナーゼC阻害剤は、1日2回(「BID」)投与され得る。
【0165】
様々な態様において、プロテインキナーゼC阻害剤は、第1の投薬シリーズ、それに続く第2の投薬シリーズを含む投薬サイクルを含む投薬レジメンに従って投与され、ここで、(a)第1の投薬シリーズは、約200mg BIDの用量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含み、(b)第2の投薬シリーズは、約400mg BIDの用量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含む。様々な例において、第1の投薬シリーズの長さは5~10日であり、第2の投薬シリーズの長さは18~23日であり、第1の投薬シリーズおよび第2の投薬シリーズを含む第1の投薬サイクルの長さは28日である。さらなる例示的な用量および投薬レジメンは、に記載される。
【0166】
様々な態様において、プロテインキナーゼC阻害剤は、約50mg BID、100mg BID、150mg BID、200mg BID、250mg BID、300mg BID、350mg BID、または400mg BIDの用量で投与される3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミドであり得る。
【0167】
cMTE阻害剤は、約1、10、50、100、200、300、400、500、600、700、または800mgの用量で投与され得るか、または医薬組成物、製品、もしくはキット中に存在し得る。cMET阻害剤は、1日に1回、2回、もしくは3回、または2日毎に投与され得る。例えば、cMET阻害剤は、200、250、300、350、または400mgを1日2回投与され得る。さらなる例として、cMET阻害剤は、400 mgを1日2回経口投与されるカプマチニブであり得る。別の例として、cMET阻害剤は、200mgまたは250mgを1日2回経口投与されるクリゾチニブであり得る。
【0168】
別段の指定がない限り、本開示の特定の化合物(例えば、化合物A)について本明細書で言及される重量または用量は、化合物自体の重量または用量であり、その塩の重量または用量ではなく、意図される治療効果を達成するために異なり得る。本明細書に記載される医薬品および組成物の様々な態様において、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または約1:10の相対重量比で存在し得る。
【0169】
様々な態様において、患者は転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍を有し、プロテインキナーゼC阻害剤は、cMET阻害剤と一緒に摂取された場合に、同じ量のいずれかの化合物単独によって達成されるものよりも大きい治療的有用性を提供する量で投与される。そのような治療的有用性は、同量のいずれかの化合物単独によって達成される治療的有用性と比較して、相加的以上であり得る。いくつかの態様では、組み合わせの使用により治療的有用性を達成するが、いずれかの化合物単独の使用は治療的有用性を提供しない。
【0170】
本明細書に記載の方法、医薬品、およびキットは、転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍を有する患者において様々な治療的有用性を提供することができる。例えば、様々な態様において、PKC阻害剤およびcMET阻害剤の共投与は、患者におけるGNAQ/11腫瘍の細胞増殖を低減させ、または成長を低減させるのに有効であり得る。様々なさらなる態様において、PKC阻害剤およびcMET阻害剤の共投与は、転移性ブドウ膜黒色腫の細胞増殖を低減させ、成長を低減させ、または進行を低減させるのに有効であり得る。さらなる例において、本明細書中に記載される併用療法は、転移性疾患を治療するか、または転移性疾患の進行を予防するのに有効であり得る。
【0171】
例えば、患者がGNAQ/11腫瘍を有する場合、プロテインキナーゼC阻害剤は、cMET阻害剤と一緒に摂取された場合に、GNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたプロテインキナーゼC阻害剤は、患者におけるGNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与され得る。さらに、患者が転移性ブドウ膜黒色腫を有する場合、プロテインキナーゼC阻害剤は、cMET阻害剤と一緒に摂取された場合に、転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたプロテインキナーゼC阻害剤は、患者における転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与され得る。別の例では、患者がGNAQ/11腫瘍を有し、cMET阻害剤は、プロテインキナーゼC阻害剤と一緒に摂取された場合に、GNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたcMET阻害剤は、患者におけるGNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与される。またさらなる例では、患者が転移性ブドウ膜黒色腫を有し、cMET阻害剤は、プロテインキナーゼC阻害剤と一緒に摂取された場合に、転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたcMET阻害剤は、患者における転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与される。
【0172】
様々な態様において、プロテインキナーゼC阻害剤、cMET阻害剤、またはその両方は、BRAF、KRAS、ERK、GSK3-ベータ、PIM2、またはEGRFを活性化することなく患者に投与される。
【0173】
様々なさらなる態様において、本明細書に記載の共投与されるPKC阻害剤およびcMET阻害剤は、疾患の症状を治療、予防、または改善するために、治療有効量で患者に提供される。本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、疾患を治療するのに十分な量で投与される、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物(A))または本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物の量を指す。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を用いて決定することができる。薬物の投与に関連して、「有効量」は、患者にとって有益な効果、例えば、症状の改善、治癒、疾患負荷の低減、腫瘍量もしくは細胞数の低減、寿命の延長、生活の質の改善、または特定のタイプの疾患もしくは状態の治療に精通している医師によってポジティブであると全般的に認識される他の効果をもたらす量を示す。組み合わせ製品、例えば、2つ以上の化合物を含む固定された組み合わせ剤形は、組み合わせ製剤全体の量に対応する有効量を有し、各個々の成分もまた、単独でまたは組み合わせで使用される個々の成分に対応する有効量を有する。
【実施例】
【0174】
以下の実施例は例示的なものであり、本開示の範囲または内容を何ら限定するものではない。
活性薬剤
クリゾチニブは、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から入手することができる。カプマチニブは、Novartis International AG(スイス、バーゼル)から入手することができる。3-アミノ-N-(3-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)ピリジン-2-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピラジン-2-カルボキサミドに相当する化合物Aは、IDEAYA Biosciences(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)から入手することができる。化合物Aは英語明細書の段落0073に示されており、以下の構造を有する。
【0175】
【0176】
細胞株
MEL-202細胞および92.1細胞は、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入することができる。MM28細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)(バージニア州マナッサス)(アクセッション番号CRL-3295)から入手することができる。
【0177】
92.1細胞株は、原発ブドウ膜黒色腫に由来し、MEL-202細胞株は、事前の照射後に眼において再発したブドウ膜黒色腫に由来し、MM28は、転移性ブドウ膜黒色腫細胞に由来する。試験した各細胞株は、GNAQ/11腫瘍に対応し、すなわち、各々は、GNAQまたはGNA11に1つ以上の変異を有する。
【0178】
原発ブドウ膜黒色腫細胞株であるMEL-202および92.1細胞を10%FBS/RPMI培地中で維持し、転移性ブドウ膜黒色腫肝腫瘍に由来するMM28細胞を20%FBS/RPMI培地中で、加湿インキュベータ中、37℃、5%CO2で維持した。
【0179】
細胞生存率測定:全ての実験について、細胞生存率を、Cell Titer-Glo Luminescent Cell Viability Assay kit(Promega)を使用して、MEL-202細胞および92.1細胞については3日目に、MM28細胞については5日目に測定した。プレートリーダ(TECAN)を使用して発光を読み取った。DMSOで処理した細胞の平均発光を100%に設定し、それに従って生存細胞%を計算した。Combenefitソフトウェアを使用して相乗作用/拮抗作用を分析した。単剤HGFまたはクリゾチニブのグラフを、GraphPadを使用して分析した。様々な組み合わせ間の相互作用を、Bliss、HSA、およびLoewe相乗作用/拮抗作用モデルを使用して評価した。ブドウ膜黒色腫細胞(92.1、MEL-202、MM28)をそれぞれ様々な力価で、肝細胞増殖因子(HGF)および化合物Aのマトリックスで4通りに処理することで、Bliss、HSA、およびLoeweモデルを使用してそれらの相乗性、相加性、または拮抗作用を決定した。細胞生存率を、処理の3日/5日後にCTGによって測定した。
【0180】
実施例1および2
IDE196-HGFの組み合わせおよびIDE196-cMET阻害剤の組み合わせ
IDE196-HGFの組み合わせの処理条件:MEL-202細胞、MM28細胞、および92.1細胞を、処理の24時間前に、透明底プレートを有する白色96ウェル中の10%RPMI培地中に2500~5000細胞/ウェルで播種した。24時間後、培地を2%FBS/RPMI培地に交換した。さらに、細胞株を、TECAN(登録商標)デジタルディスペンサーを使用して、表1に従って用量を増加させながら、PKC阻害剤、IDE196単独、または肝細胞増殖因子(HGF)(Peprotech)と組み合わせたものに対する感受性についてスクリーニングした。
【0181】
【0182】
IDE196-MET阻害剤の組み合わせの処理条件:MEL-202細胞、MM28細胞、および92.1細胞を、処理の24時間前に、透明底プレートを有する白色96ウェル中に2500~5000細胞/ウェルで播種した。24時間後、培地を、1.23ng/ml HGFを含有する2%FBS/RPMI培地に交換した。クリゾチニブまたはカプマチニブ、およびIDE196を、表2に従って用量を増加させながら、TECANデジタルディスペンサーを使用して、直ちに分配した。
【0183】
【0184】
薬力学的評価
全ての実験について、細胞を、処理の24時間前に、10%RPMI培地中10cm2組織培養プレートに2.5×106細胞で播種した。IDE196-HGFの組み合わせについては、表3に従って、細胞を2%RPMI培地中のIDE196およびHGFの組み合わせで2時間処理した。IDE196-MET阻害剤の実験では、表4に従って、播種の24時間後に、培地を、1.23~3.7ng/mlのHGFの存在下で2時間、2%RPMI培地中の適切な阻害剤の組み合わせと交換した。
【0185】
全ての実験について、細胞を氷冷PBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を含有するRIPA緩衝液中で細胞を溶解することによってタンパク質溶解物を調製した。タンパク質試料(15ug/ウェル)を4~20%Bis-Tris SDSゲル上で分離し、iBlot(登録商標)(Invitrogen)を使用してニトロセルロース膜にエレクトロブロットした。膜をSuperblock緩衝液中、室温で1時間インキュベートし、続いて一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。一次抗体Phopho-Met(Tyr1234/1235)(3077S)、cMET(3148S)、Phopho-Akt(Ser473)(4060S)、Akt(pan)(2920S)、Phopho-MARCKS(Ser159/163)(11992S)、MARCKS(5607S)、PKCδ(9616S)、Phopho-p44/42 MAPK(ERK1/2)(Thr202/Tyr204)(4377S)、pRAS40は、Cell Signalingから入手した。総ERK(ab184699)およびPKCデルタ(ホスホS299)(ab133456)抗体はAbcam製であった。PBSTで3回洗浄した後、膜をHRPコンジュゲート二次抗体と共に室温で1時間インキュベートし、PBSTで3回洗浄し、増強化学発光(Biorad Chemidoc XRS)を用いて検出した。
【0186】
【0187】
【0188】
実施例3
ブドウ膜黒色腫細胞におけるcMETの存在の上昇
細胞を、処理の24時間前に、10%RPMI培地中、10cm
2組織培養プレートに2.5×10
6細胞で播種した。全ての実験について、細胞を氷冷PBSで洗浄し、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含有するRIPA緩衝液中に細胞を溶解することによってタンパク質溶解物を調製した。タンパク質試料(15ug/ウェル)を4~20%Bis-Tris SDSゲル上で分離し、iBlot(Invitrogen)を使用してニトロセルロース膜にエレクトロブロットした。膜をSuperblock緩衝液中、室温で1時間インキュベートし、続いて一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。一次抗体Phopho-Met(Tyr1234/1235)(3077S)およびMet(3148S)を使用した。PBSTで3回洗浄した後、膜をHRPコンジュゲート二次抗体と共に室温で1時間インキュベートし、PBSTで3回洗浄し、増強化学発光(Biorad Chemidoc XRS)を用いて検出した。細胞株MM28およびMEL-202は高レベルのcMETを産生したが、細胞株92.1は低レベルのcMETを産生した。これらの結果をウェスタンブロットグラフとして
図4に示す。
【0189】
実施例4
IDE196-cMET阻害剤の組み合わせの結果。
上記の細胞調製物を、HGF細胞培養曝露後にIDE196-cMET阻害剤の組み合わせに応じた細胞生存率の評価のために、記載したように培養した。
【0190】
外因性HGF投薬に対するIDE196感受性の結果。
細胞生存率:HGFの存在下でのIDE196感受性を評価するために、本発明者らは、IDE196およびHGFの異なる組み合わせで、MEL-202細胞、92.1細胞、およびMM28細胞における細胞生存率変化を評価した。MEL-202、92.1、MM28では、それぞれEC50=250nM、113nM、342nMで、IDE196に応じた細胞生存率の用量依存的阻害があった(N=3、
図1A、2A、および3A)。これらの細胞株の外因性HGFへの曝露は、MEL-202細胞およびMM28細胞において細胞生存率を有意に増加させたが、92.1細胞においては増加させなかった。これは、92.1細胞と比較して、MEL-202細胞およびMM28細胞におけるcMETのより高い発現に起因する(
図4)。組み合わせの結果は、MEL-202細胞およびMM28細胞ではIDE196の全ての濃度にわたって、3.7ng/mL HGF以上の濃度でIDE196誘導性成長阻害の高い拮抗作用があったことを示した(
図1Aおよび3A)。92.1細胞では、1.23~33.33ng/mLのHGFで穏やかな拮抗作用のみが観察された(
図2A)。結果は、コンベネフィット(combenefit)分析に含まれたHSA、Loewe、およびBlissアルゴリズムを使用して一貫していた。
【0191】
PD分析:cMETは、3つ全ての細胞株において高濃度のHGFによって活性化され、HGFの存在下でIDE196によって減少されなかった(
図1B、2Bおよび3B)。pMARCKSおよびpPKC-デルタの用量依存的減少が、IDE196単独処理後に観察された。HGFの添加は、pMARCKSおよびpPKC-デルタを単独またはIDE196との組み合わせで有意に変化させなかった。HGFの非存在下では、pERKは、3つの細胞株全てにおいて400nMを超える用量でのみIDE196によって阻害された。HGFの添加は、pERK(MAPKシグナル伝達)ならびにpAKTおよびpPRAS40(PI3Kシグナル伝達)を3つ全ての株において用量依存的様式で誘導し、これは、併用治療におけるIDE196の添加によって阻害されなかった。これらの結果は、HGFがcMETを活性化し、これらの細胞株においてMAPKおよびPI3Kシグナル伝達を促進すること、およびこの活性化がこれらの細胞のIDE196に対する感受性を低下させることを実証する。
【0192】
図1Aおよび1Bによって示されるように、HGFは、MEL-202ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対するIDE196の効果に強く拮抗する。
図1Aは、MEL-202細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびHGFの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図1Bは、cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物およびHGF処理の効果を示すPD分析を示す。これらのデータは、外因性HGFによって実験的に誘導されたcMETが、cMETならびにMAPKおよびP13Kシグナル伝達経路を活性化し、MEL-202細胞におけるIDE196抗増殖性活性に強く拮抗することを示す。
【0193】
図2Aおよび2Bによって示されるように、HGFは、92.1ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対するIDE196の効果に穏やかに拮抗する。
図2Aは、92.1細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびHGFの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図2Bは、cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物およびHGF処理の効果を示すPD分析を示す。これらのデータは、外因性HGFがcMETならびにMAPKおよびPI3Kシグナル伝達経路を活性化せず、92.1ブドウ膜黒色腫細胞においてIDE196抗増殖性活性に穏やかに拮抗するのみであることを示す。この細胞株において観察されたより穏やかな拮抗作用は、MEL-202細胞株およびMM28細胞株と比較して、92.1細胞株におけるcMETの比較的低い発現に起因する(
図4)。
【0194】
図3Aおよび3Bによって示されるように、HGFは、MM28ブドウ膜黒色腫細胞の生存率に対するIDE196の効果に強く拮抗する。
図3Aは、MM28細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびHGFの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図3Bは、cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物およびHGF処理の効果を示すPD分析を示す。これらのデータは、外因性HGFによって実験的に誘導されたcMETが、cMET、MAPKおよびPI3Kシグナル伝達経路を活性化し、MM28細胞におけるIDE196抗増殖性活性に強く拮抗することを示す。
【0195】
図4に示すように、ブドウ膜黒色腫細胞株における総MET(total MET)およびホスホ-MET(phospho-MET)の発現をウェスタンブロット上に示す。細胞株92.1についてのP-METおよびT-METについてのかすかな線は、細胞株92.1が他の細胞株と比較してcMETのはるかに低い発現を有することを示す。92.1細胞と比較して、MEL-202細胞およびMM28細胞におけるcMETの存在の上昇が示されている。上昇したcMETの存在を有するこれらのMEL-202細胞株およびMM28細胞株は、HGFの存在下でIDE196(化合物A)に対して観察されたより大きな拮抗作用を示す実施例1のデータと相関する。MEL-202細胞およびMM28細胞は、両方とも総cMET濃度(T-MET)の増加を示す。p-METまたは活性化cMETは総cMET濃度と相関するので、総cMETの決定は、PKC経路に関与する上昇したcMETの存在の程度の評価を提供する。
【0196】
要約すると、これらの相乗作用/拮抗作用モデルは、同じ濃度のHGFで処理された場合であっても、MEL-202細胞およびMM28細胞が、92.1細胞と比較してIDE196(化合物A)に対して予想外に大きな拮抗作用を示すことを示している。さらに、このより大きな拮抗作用は、MEL-202細胞およびMM28細胞において持続し、IDE196(化合物A)の用量が上昇しても、それらの生存率を維持する。したがって、結果は、HGFが、MM28細胞またはMEL-202細胞においてIDE196(化合物A)によって阻害されないcMET、MAPK、およびPI3Kシグナル伝達を活性化することを示す。MAPKは、PKCおよびcMETの両方の下流に存在する。したがって、cMETは、MAPKシグナル伝達に対するIDE196(化合物A)の効果を打ち消す。MM28細胞およびMEL-202細胞は両方とも、同じ薬剤への応答において細胞生存率プロファイルが異なるにもかかわらず、IDE196(化合物A)およびHGFへの応答において同様のシグナル伝達プロファイルを示す。
【0197】
特に、HGFは、MEL-202細胞およびMM28細胞と比較して、92.1細胞において比較的平坦な用量反応曲線を示した。92.1細胞の生存率に対するIDE196(化合物A)の応答は、HGF滴定にわたって比較的平坦であり、一方、MEL-202細胞およびMM28細胞において、HGFのより大きな拮抗作用は、特定の腫瘍に生理学的に関連し得るHGF濃度で急激に上昇した。これらの結果は、化合物Aが、用量シフトの有無にかかわらず、92.1細胞においてHGFの存在下でさえ強力な抗増殖効果を提供することができることを示す。さらに、MEL-202およびMM28について、これらの結果は、HGFによって刺激されたcMETの強力な拮抗作用が、PKC阻害剤のより高い用量への用量シフトによって、特にHGFのより高い濃度において、有意に克服され得ないことを示す。
【0198】
肝臓におけるHGFの生理学的濃度は、0.3ng/ml(正常な肝臓)から肝疾患における1~16ng/mlまたはそれ以上の範囲であり得る。さらに、特定のブドウ膜黒色腫細胞は、HGFを分泌するように変異し得る。このように、HGFの刺激効果は、HGFに富む組織、特に肝臓に転移した腫瘍における関連効果、およびHGFを分泌することができる腫瘍などの他の腫瘍における関連効果を表す。さらに、異なる細胞株におけるIDE196(化合物A)に対する異なる拮抗作用は、治療される腫瘍細胞の種類によって異なり得るcMETの相対的な存在によって異なる治療アプローチの必要性を示す。
【0199】
IDE196(化合物A)-cMET阻害剤の組み合わせ
細胞生存率:HGFの存在下でのIDE196-MET阻害剤の組み合わせに対するブドウ膜黒色腫細胞株の感受性を評価するために、MEL-202細胞、92.1細胞、およびMM28細胞における細胞生存率の変化を、IDE196とcMET阻害剤であるクリゾチニブおよびカプマチニブとの異なる組み合わせで評価した。組み合わせ結果は、MEL-202細胞において、41.15~370.37nMのクリゾチニブ濃度および80~400nMのIDE196濃度で最も高い相乗作用が観察されたことを示した(
図5A)。カプマチニブ-IDE196の組み合わせは、MEL-202中80nMのIDE196の用量から開始して、すべての用量のカプマチニブにわたって高い相乗作用を示した(
図5B)。92.1細胞において、1~3μMのクリゾチニブ濃度および0.8~10μMのIDE196濃度で穏やかな相乗作用が観察された(
図6A)。しかしながら、カプマチニブおよびIDE196は、92.1細胞においていずれの用量の組み合わせでも相乗作用しなかった(
図6B)。MM28では、0.123~10uMのクリゾチニブ濃度および0.8~10uMのIDE196濃度で高い相乗作用が観察された(
図7A)。カプマチニブ-IDE196の組み合わせは、MM28においてすべての用量にわたって高い相乗作用を示した(
図7B)。相乗作用は、コンベネフィット(combenefit)分析で使用されたすべてのアルゴリズム(HSA、Loewe、およびBliss)にわたって見られた。
【0200】
PD分析:HGFは、MEL-202(
図5C)およびMM28(
図6C)においてpMET、pERKレベル(MAPK経路)、ならびにpAKTおよびpPRAS40(PI3K経路)レベルを誘導した。クリゾチニブは、単独またはIDE196との組み合わせで、これらの細胞株における全てのこれらの分析物の活性化を強く阻害した。92.1細胞(
図7C)において、pMETの基礎レベルは、MEL-202およびMM28と比較して低かったが、pERK、pAKT、およびpPRAS40の穏やかな減少が、より高濃度のクリゾチニブ単独またはIDE196との組み合わせで観察された。HGFの存在下において、IDE196単独では最高濃度であってもpERKを阻害せず、全ての細胞株においてpAKTまたはpPRAS40に対する効果はなかった。pMARCKSまたはpPKCδの用量依存的減少が、HGFの存在下で、IDE196単独およびクリゾチニブと組み合わせで観察された。これらの結果は、クリゾチニブとIDE196との組み合わせが、HGF誘導性cMET活性化ならびにMAPKおよびPI3K経路を介したシグナル伝達を阻害することを実証する。このデータは、MEL-202およびMM28で観察された高い相乗作用とよく対応する。92.1では、MAPKおよびPI3K経路を介したシグナル伝達の減少は穏やかであり、これは、クリゾチニブとIDE196との間で観察された穏やかな相乗作用と相関した。
【0201】
図5A、5B、および5Cは、MEL-202細胞の生存率に対するクリゾチニブ/カプマチニブとIDE196との相乗作用、およびクリゾチニブ-IDE196の組み合わせについての関連するPD分析を示す。
図5Aは、MEL-202細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびクリゾチニブの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図5Bは、MEL-202細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびカプマチニブの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図5Cは、cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物処理の効果を示すPD分析を示す。
【0202】
図6A、6B、および6Cは、92.1細胞の生存率に対するクリゾチニブ/カプマチニブとIDE196との相乗作用(もしあれば)の程度、およびクリゾチニブ-IDE196の組み合わせについての関連するPD分析を示す。
図6Aは、92.1細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびクリゾチニブの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図6Bは、92.1細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびカプマチニブの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図6Cは、cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物処理の効果を示すPD分析を示す。
【0203】
図7A、7B、および7Cは、MM28細胞の生存率に対するクリゾチニブ/カプマチニブとIDE196との相乗作用、およびクリゾチニブ-IDE196の組み合わせについての関連するPD分析を示す。
図7Aは、MM28細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびクリゾチニブの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図7Bは、MM28細胞の細胞生存率に対する、IDE196およびカプマチニブの個別の、および組み合わせの細胞毒性効果を示す(N=3)。
図7Cは、cMET、MAPK、PI3K、およびPKCシグナル伝達経路の分析物に対する薬物処理の効果を示すPD分析を示す。
【0204】
要約すると、これらのデータおよび様々な参照された図は以下を示す。
a.HGFを含むMEL-202細胞における化合物Aおよびクリゾチニブの用量マトリックスにおける各プレートについての相乗作用/拮抗作用の結果(HSA、Bliss、およびLoewe);同じマトリックスにわたる細胞生存率データの要約、ならびに化合物Aおよびクリゾチニブのそれぞれについての用量反応曲線。
【0205】
b.HGFを含むMEL-202細胞における化合物Aおよびカプマチニブの用量マトリックスにおける各プレートについての相乗作用/拮抗作用の結果(HSA、Bliss、およびLoewe);同じマトリックスにわたる細胞生存率データの要約、ならびに化合物Aおよびカプマチニブのそれぞれについての用量反応曲線。
【0206】
c.HGFを含む92.1細胞における化合物Aおよびクリゾチニブの用量マトリックスにおける各プレートについての相乗作用/拮抗作用の結果(HSA、Bliss、およびLoewe);同じマトリックスにわたる細胞生存率データの要約、ならびに化合物Aおよびクリゾチニブのそれぞれについての用量反応曲線。
【0207】
d.HGFを含む92.1細胞における化合物Aおよびカプマチニブの用量マトリックスにおける各プレートについての相乗作用/拮抗作用の結果(HSA、Bliss、およびLoewe);同じマトリックスにわたる細胞生存率データの要約、ならびに化合物Aおよびカプマチニブのそれぞれについての用量反応曲線。
【0208】
e.HGFを含むMM28細胞における化合物Aおよびクリゾチニブの用量マトリックスにおける各プレートについての相乗作用/拮抗作用の結果(HSA、Bliss、およびLoewe);同じマトリックスにわたる細胞生存率データの要約、ならびに化合物Aおよびクリゾチニブのそれぞれについての用量反応曲線。
【0209】
f.HGFを含むMM28細胞における化合物Aおよびカプマチニブの用量マトリックスにおける各プレートについての相乗作用/拮抗作用の結果(HSA、Bliss、およびLoewe);同じマトリックスにわたる細胞生存率データの要約、ならびに化合物Aおよびカプマチニブのそれぞれについての用量反応曲線。
【0210】
g.92.1細胞(外因性HGFを含む)、MEL-202細胞(外因性HGFを含む)、およびMM28細胞(外因性HGFを含む)における様々な濃度の化合物Aおよびクリゾチニブの組み合わせについての薬力学的結果を提供する。
【0211】
したがって、これらの結果は、IDE196(化合物A)およびクリゾチニブ/カプマチニブの組み合わせが、外因性HGFの存在下で協働して、MAPKシグナル伝達の活性化を遮断し、さらにcMET、MARCKS、およびPI3Kシグナル伝達を遮断することを示す。したがって、cMET阻害剤とPKC阻害剤との組み合わせは、cMETの存在が上昇した腫瘍細胞に対して相乗的な抗増殖効果をもたらす。
【0212】
実施例5
RNA-Seqを用いたブドウ膜黒色腫組織におけるcMETの存在の評価。
IDE196は、単剤療法試験(NCT02601378)において、ヒトで臨床的に試験された。投与前および投与後の生検をこの試験の患者から取得し、全トランスクリプトームRNA-seqをこれらの生検に対して実施することで、治療時の転写変化を決定した。ベースラインの患者試料におけるMET発現/活性を評価するために、STARを用いてRNA-seqデータをGrCh38に対して整列させ、その後、RSEMを用いて100万個あたりの転写物(TPM)を定量化した。次いで、cMET発現を、進行性疾患(PD);6ヶ月未満もしくは6ヶ月超の安定疾患(SD)、または部分応答(PR)を有する患者を含む応答カテゴリーにわたってプロットした。
図8Aを参照されたい。
【0213】
MET遺伝子発現に加えて、
図8Bに示すように、METシグネチャースコアもこれらの試料に適用した。スコアは、cMETと相関する遺伝子のRNA発現から計算した。最初に、各遺伝子の遺伝子レベルTPMとcMETとの間の相関を計算した。相関の分布を調べた後、相関の最も高いサブセットを有する遺伝子:>0.7または<-0.7のcMETとの相関を有する遺伝子を、「モジュール」遺伝子として特徴付けた。これらのモジュール遺伝子の全ての相互間の相関を計算し、次いで、モジュール遺伝子を2つのモジュールに分割した:1)cMETと正に相関する全てのモジュール遺伝子を含む「アップ」モジュール、および2)cMETと負に相関する全ての遺伝子を含む「ダウン」モジュール。各患者についてのアップモジュールおよびダウンモジュールの各々についてのモジュールにおける遺伝子にわたる平均TPMを計算し、患者あたり2つの平均を提供した。次いで、これらの2つの平均を減算して(アップモジュール-ダウンモジュール)、単一の最終cMETシグネチャースコアを作成した。ここで、高い正の数は、コホートの他のものと比較して、患者における相対的により高いcMETシグナル伝達活性を示す。このスコアが応答群間で異なるか否かを統計的に試験するために、ANOVAおよび順序回帰を計算した(線形回帰、ここで、各患者について、応答は、応答のスケール上でそれが適切な順序に入る場所を表す数を割り当てられる;PD=4、SD<6か月=3、SD≧6か月=2、PR=1)。ANOVAはほぼ有意であり(p=0.052)、順序回帰は非常に有意であった(p=0.0079)。ボックスプロットは、cMET発現が、PKC単独療法治療に応答しなかった進行性疾患を有するMUM(転移性ブドウ膜黒色腫)患者において最も高く、単独療法治療に対して部分応答を有した患者、すなわちPR患者において最も低いことを示す。この分析に基づいて、cMET活性化は、進行性疾患を有する患者において最も高く、このヒト臨床試験において部分応答を有した患者において最も低いので、上昇したcMET活性化/発現が、IDE196単独療法に対するあまり好ましくない応答の予後指標であるという発見を裏付けた。例えば、PKC単独療法に応答しなかった患者は、全般的に、2以上のMETシグネチャースコアを有し、ほとんどのスコアは、試験患者集団に対して、約3~5、例えば、約3、3.5、4、および4.5に集まった。対照的に、PKC単独療法に対する応答を示した患者は、全般的に、2未満のスコアを有し、ほとんどのスコアは、試験患者集団に対して、約0~1.5、例えば、約0、0.5、1、および1.5に集まった。
図8Bに示されるMETシグネチャースコアデータを提供した特定のRNA転写物は、以下の表5に示される遺伝子に対応する。
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
実施例6
免疫組織化学(IHC)を用いたブドウ膜黒色腫組織におけるcMETの存在の評価。
cMET発現レベルを、CONFIRM抗総MET(SP44)ウサギモノクローナル一次抗体(Ventana Medical Systems,Inc.;カタログ番号790-4430)を製造業者の説明書に従って使用して記録保存用組織標本において評価したが、これは、10%緩衝ホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋し、次いでIHC検査のために連続4μm組織切片にすることによって組織試料を調製することを含み得る。染色は、Ventana Medical Systems(アリゾナ州オロ・バレー)からのCC1標準抗原賦活を用いて、Ventana Benchmark XT機器で行われる。一次抗体とのインキュベーションを、9.75μg/mLの濃度の一次抗体を使用して37℃で16分間行う。特異的に結合した一次抗体を、ジアミノベンジジンを用いるultraView方法論(Ventana Medical Systems)を使用して検出し、切片をヘマトキシリンで対比染色する。染色強度は、個々の患者の診断を知らされていない2人の病理学者によって評価される。c-METは主に細胞質および膜に局在する。強度は、4段階システムに従ってスコア付けされる。0:染色なし、1+:弱い、2+:中程度、3+:強い。スコアリングシステムは、染色強度(陰性、弱い、中程度、強い)と、それぞれの染色強度を示した腫瘍細胞の割合との両方を評価するように考案された複合スコアリングを表す。50%以上の腫瘍細胞が中程度から強い染色強度を示す腫瘍は、治療割り当てを盲検解除する前に、cMET陽性として予め定義される。Koeppen H,Yu W,Zha J, et al.Biomarker analyses from a placebo-controlled phase II study evaluating erlotinib±onartuzumab in advanced non-small cell lung cancer:MET expression levels are predictive of patient benefit.Clin Cancer Res.2014;20(17):4488-4498.doi:10.1158/1078-0432.CCR-13-1836、Xu et al.,BMC Cancer.2015;15:6、およびSpigel et al.,Clin Lung Cancer.2012;13(6):500を参照されたく、そのそれぞれは参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0218】
第1のスコアリングシステムにおいて、Hスコア評価は、Xu et al.,BMC Cancer.2015;15:6(参照によってその全体が本明細書に援用される)に対応するプロトコルによって決定される。このスコアリングシステムでは、染色強度(0~3)および陽性細胞のパーセンテージ(0~100%)。各個々の強度レベルに細胞のパーセンテージを掛け、全ての値を加えて、0~300の範囲の最終IHCスコアを得る。最終スコアは、膜および細胞質発現における評価のスコアから計算される。ブドウ膜黒色腫を有する患者の集団からの組織のパネルについてのスコアを評価し、中央値を決定した。これは、上昇したcMETおよび上昇していないcMETについてのカットオフ値を定義する。例えば、Xuらにおいて、Hスコア20は、上昇したcMETの存在を有する腫瘍についてのカットオフとして決定される。ここで、カットオフは、代表的な患者集団からの組織試料の分析によって決定される。続いて、スコア0、1、2、または3について代表的な染色された組織試料と比較することによって、スコアリングを決定することができる。
【0219】
第2のスコアリングシステムは、Spigel et al.,Clin Lung Cancer.2012;13(6):500(参照によりその全体が本明細書に援用される)から適合させたスコアリング基準(膜または細胞質および/またはc-MET免疫染色が中程度または強い強度、すなわち2+以上である陽性の腫瘍細胞を50%以上有すると明確に定義される)に基づく。
【0220】
第3のスコアリングシステムは、以下の表に基づいており、ここで、「弱い」染色は、同じ患者における同じ腫瘍部位からの以前の生検に対応するようにスケーリングされ、上昇したcMETは、2以上のスコアに対応する。第4のスコアリングシステムでは、以下の表に基づいて、「弱い」染色は、92.1細胞において見られる染色のレベルに対応し、「中程度」染色は、MEL-202細胞およびMM28細胞において見られる染色の強度レベルに対応し、上昇したcMETは、2以上のスコアに対応する。
【0221】
【0222】
実施例7
IDE196(化合物A)-cMET阻害剤の組み合わせのインビボ評価。
IDE196およびクリゾチニブの組み合わせを、潜在的に2つの異なるヒト化HGF肝臓同所性MUMモデルを使用してインビボで評価する(以下の詳細を参照されたい)。これらのモデルは、ブドウ膜黒色腫腫瘍細胞を肝臓微小環境に直接移植することを可能にし、そこでそれらは薬物治療に応じて測定することができる腫瘍を形成する。このアプローチは、ブドウ膜黒色腫PDXモデルおよび細胞株の両方に使用されている。Sugase et al、Kageyama et al、Chengを参照されたい。この研究では、tdTomato蛍光タンパク質(tdUM001およびtdUM004)およびMM28転移性ブドウ膜黒色腫細胞株を有する同所性ヒトブドウ膜黒色腫肝転移マウスモデルを使用する。腫瘍の対数蛍光シグナル強度(IVIS)および腫瘍サイズ(CTスキャン)を見ることによって、単剤としておよび組み合わせでのIDE196、クリゾチニブによる治療のインビボ有効性を定量化し、インビボ腫瘍PDを評価する。Kageyama K,Ohara M,Saito K,et al.Establishment of an orthotopic patient-derived xenograft mouse model using uveal melanoma hepatic metastasis.J Transl Med.2017;15(1):145.Published 2017 Jun 23.doi:10.1186/s12967-017-1247-z、Cheng H,Terai M,Kageyama K,et al.Paracrine Effect of NRG1 and HGF Drives Resistance to MEK Inhibitors in Metastatic Uveal Melanoma.Cancer Res.2015;75(13):2737-2748.doi:10.1158/0008-5472.CAN-15-0370を参照されたい。
【0223】
マウスモデル
マウスHGFは腫瘍細胞中に存在するヒトMETを活性化することができないので、両マウスモデルは、トランスジェニックプロモーター(第1のモデル)またはhHGFノックイン対立遺伝子の導入(第2のモデル)によって駆動されるhHGFの上昇を示す。第1のモデルは、重症複合免疫不全自然変異(Prkdcscid;一般にscidと呼ばれる)についてホモ接合性であるとともにhHGF-Tg導入遺伝子(Tg(Mt1-HGF)#Gvw;ヒトHGFの発現を駆動するマウスメタロチオネインIプロモーター)についてヘミ接合性であるhHGF-Tg SCIDマウスを利用する。これらのマウスでは、肺、乳房、腎臓、結腸、胃、および膵臓に由来するMET発現ヒト腫瘍異種移植片の成長を増強することが知られている血清hHGF力価が上昇している。Zhang YW,Su Y,Lanning N,et al.Enhanced growth of human met-expressing xenografts in a new strain of immunocompromised mice transgenic for human hepatocyte growth factor/scatter factor.Oncogene.2005;24(1):101-106.doi:10.1038/sj.onc.1208181を参照されたい。
【0224】
第2のモデルは、Hgftm1.1(HGF)Aveo「ヒト化」ノックイン対立遺伝子(hHGFki)を有するNOD.scid.Il2Rγcnull(「NSG」)動物であるNSG-hHGFkiマウスを利用する。hHGFkiについてホモ接合性のマウスは、ヒト型のHGFのみを発現する。これらのマウスは、内在性マウスプロモーターがヒト肝細胞増殖因子(HGF)の発現を駆動するので、内在性マウスHGFの代わりにヒトHGFを発現する。ホモ接合性hHGFkiマウスにおいて、ノックイン対立遺伝子からのHGF発現は、発生中の胚、ならびに成体の肝臓、腎臓、および肺において観察される。Serreze DV,Chapman HD,Post CM,Johnson EA,Suarez-Pinzon WL,Rabinovitch A.Th1 to Th2 cytokine shifts in nonobese diabetic mice:sometimes an outcome,rather than the cause,of diabetes resistance elicited by immunostimulation.J Immunol.2001;166(2):1352-1359、Jangphattananont N,Sato H,Imamura R,et al.Distinct Localization of Mature HGF from its Precursor Form in Developing and Repairing the Stomach.Int J Mol Sci.2019;20(12):2955.Published 2019 Jun 17.doi:10.3390/ijms20122955を参照されたい。
【0225】
例示的な実施形態
以下の例示的な実施形態が提供され、その番号付けは、重要度のレベルを指定するものとして解釈されるべきではない。これらの例示的な実施形態は、治療の方法、医薬組成物製品、組み合わせ組成物、およびキットを含む本発明の態様のさらなる詳細および説明を提供する。
【0226】
実施形態1は、治療の方法であって、
転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を選択することと、
患者に、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、を含み、
プロテインキナーゼC阻害剤が、式II:
【0227】
【0228】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、方法を提供する。
【0229】
実施形態2は、転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者を治療する方法であって、
転移性ブドウ膜黒色腫の生検を評価することによって決定される上昇したcMETの存在を有する転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者を選択することと、
患者に、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、を含み、
プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【0230】
【0231】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、方法を提供する。
【0232】
実施形態3は、GNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を治療する方法であって、
GNAQ/11腫瘍の生検を評価することによって決定される上昇したcMETの存在を有するGNAQ/11腫瘍を有する患者を選択することと、
患者に、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、を含み、
プロテインキナーゼC阻害剤が、式II:
【0233】
【0234】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、方法を提供する。
【0235】
実施形態4は、転移性ブドウ膜黒色腫の生検を得ること、または生検に関する情報を得ることをさらに含む、実施形態1の方法を提供する。
実施形態5は、GNAQ/11腫瘍の生検を得ること、または生検に関する情報を得ることをさらに含む、実施形態1の方法を提供する。
【0236】
実施形態6は、生検中のcMETの存在を評価することをさらに含む、実施形態4または5の方法を提供する。
実施形態7は、生検を評価することによって決定される上昇したcMETの存在を有する患者を選択することをさらに含む、実施形態6の方法を提供する。
【0237】
実施形態8は、患者から生検を得ることをさらに含む、実施形態2~7のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態9は、複数の生検を得ること、または複数の生検におけるcMETの存在についての情報を得ることをさらに含み、各場合において、複数の生検は別々の時点で採取される、実施形態2~8のいずれか1つの方法を提供する。
【0238】
実施形態10は、生検が腫瘍生検である、実施形態2~9のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態11は、生検が組織生検、外科的切除、またはその両方である、実施形態2~10のいずれか1つの方法を提供する。
【0239】
実施形態12は、生検がコア針生検によって得られる、実施形態2~11のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態13は、生検中の総cMET、リン酸化cMET、非リン酸化cMET、またはそれらの組み合わせを定性的または定量的に測定することを含む、実施形態2~12のいずれか1つの方法を提供する。
【0240】
実施形態14は、抗cMET抗体を生検と接触させることを含む、実施形態2~13のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態15は、抗cMET抗体がリン酸特異的である、実施形態14の方法を提供する。
【0241】
実施形態16は、抗cMET抗体がリン酸特異的でない、実施形態14の方法を提供する。
実施形態17は、抗cMET抗体が総cMET(T-MET)を検出する、実施形態14~16のいずれか1つの方法を提供する。
【0242】
実施形態18は、抗cMET抗体は、任意選択的に、標識されるか、または抗cMET抗体を検出可能な第2のレポーター抗体を含む、実施形態14~17のいずれか1つの方法を提供する。
【0243】
実施形態19は、cMETに対するリガンドを生検と接触させることを含む、実施形態2~13のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態20は、リガンドが、cMETの細胞外ドメインのリガンドである、実施形態19の方法を提供する。
【0244】
実施形態21は、リガンドが、cMETの細胞内ドメインのリガンドである、実施形態19の方法を提供する。
実施形態22は、リガンドが抗体である、実施形態19~21のいずれか1つの方法を提供する。
【0245】
実施形態23は、リガンドが、任意選択的に、別個の発色標識、蛍光標識、放射性標識、または同位体標識を担持するか、またはそれによって検出することができる、実施形態18~22のいずれか1つの方法を提供する。
【0246】
実施形態24は、ELISA、ウェスタンブロッティング、IHC-F、IHC-P、免疫細胞化学、免疫蛍光、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、または免疫沈降を行うことによって、生検中の上昇したcMETの存在を決定することを含む、実施形態2~23のいずれか1つの方法を提供する。
【0247】
実施形態25は、生検が組織切片の形態で調製される、実施形態2~24のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態26は、組織切片が固定され、パラフィン包埋される、実施形態25の方法を提供する。
【0248】
実施形態27は、生検が凍結される、実施形態2~24のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態28は、生検が単離細胞、溶解細胞、ホモジネート、細胞画分、またはそれらの組み合わせの形態で調製される、実施形態2~24のいずれか1つの方法を提供する。
【0249】
実施形態29は、生検が培養細胞である、実施形態28の方法を提供する。
実施形態30は、ある期間にわたって患者をモニタリングすることを含み、その期間中、cMETの存在が、その期間にわたる複数の生検においての生検において定期的に評価される、実施形態2~29のいずれか1つの方法を提供する。
【0250】
実施形態31は、
患者から前記生検を得ることと、
生検中のcMETの濃度レベルを決定することと、
決定された生検中のcMETのレベルが、cMETの所定のレベル以上であるか否かを評価することと、をさらに含む、実施形態2~30のいずれか1つの方法を提供する。
【0251】
実施形態32は、
患者の転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍から最初の生検を得て、そこから第1の組織切片を調製することと、
転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍を含む組織と同じ型である患者の健康な組織から第2の生検を得て、そこから第2の組織切片を調製することと、
任意選択的に、標識されたcMET抗体を第1の組織切片と接触させることと、
任意選択的に、標識されたcMET抗体を第2の組織切片と接触させることと、
第1の組織切片と比較して、第2の組織切片において上昇したcMETの存在を決定することと、をさらに含む、実施形態2~31のいずれか1つの方法を提供する。
【0252】
実施形態33は、
患者の転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍から生検を取得し、そこから細胞調製物を細胞単離物、溶解物、ホモジネート、画分、またはそれらの組み合わせの形態で調製することと、
生検細胞調製物と同じ型および同じ形態の健康な細胞を得ることと
任意選択的に、標識されたcMET抗体を生検細胞調製物と接触させることと、
任意選択的に、標識されたcMET抗体を健康な細胞の調製物と接触させることと、
健康な細胞の調製物と比較して、生検細胞調製物中の上昇したcMETの存在を決定することと、を含む、実施形態2~31のいずれか1つの方法を提供する。
【0253】
実施形態34は、生検中のHGF濃度を評価することを含む、実施形態2~33のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態35は、任意選択的に、標識されたcMET抗体が、一次cMET抗体、および一次cMET抗体と結合する二次標識レポーター抗体を含む、実施形態31または32の方法を提供する。
【0254】
実施形態36は、生検が約0.1ng/ml~約1,000ng/mlのHGF濃度を有する、実施形態2~34のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態37は、生検が約1.0ng/ml以上のHGF濃度を有する、実施形態2~35のいずれか1つの方法を提供する。
【0255】
実施形態38は、患者における遺伝子変異を評価することを含む、実施形態1~36のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態39は、患者cfDNAにおける遺伝子変異を評価することを含む、実施形態1~37のいずれか1つの方法を提供する。
【0256】
実施形態40は、cfDNAを含有する試料を得ることを含む、実施形態1~38のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態41は、試料が液体試料である、実施形態1~39のいずれか1つの方法を提供する。
【0257】
実施形態42は、液体試料が血液試料である、実施形態1~40のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態43は、生検における遺伝子変異を評価することを含む、実施形態2~36のいずれか1つの方法を提供する。
【0258】
実施形態44は、遺伝子変異が、遺伝子シーケンシング、サザンブロッティング、FISH、ハイスループットシーケンシング、ファージディスプレイ、ショットガンシーケンシング、PCR、またはRT-PCRによって評価される、実施形態37~42の方法を提供する。
【0259】
実施形態45は、GNAQ変異またはGNA11変異が機能獲得変異である、実施形態1または3~43のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態46は、GNAQ変異またはGNA11変異が、コドン209におけるグルタミン(Q209)の置換、コドン183におけるアルギニン(R183)の置換、またはその両方である、実施形態1または3~44のいずれか1つの方法を提供する。
【0260】
実施形態47は、GNAQ変異またはGNA11変異が、それぞれ、コドン209におけるグルタミン(Q209)の置換以外、コドン183におけるアルギニン(R183)の置換以外である、実施形態1または3~45のいずれか1つの方法を提供する。
【0261】
実施形態48は、GNAQ/11腫瘍が、GNAQにQ209P、Q209L、Q209H、Q209K、Q209Y、またはR183Q変異のうちの1つ以上を含む、実施形態1または3~46のいずれか1つの方法を提供する。
【0262】
実施形態49は、GNAQ/11腫瘍が、GNA11にQ209P、Q209L、Q209H、またはQ209K変異のうちの1つ以上を含む、実施形態1または3~47のいずれか1つの方法を提供する。
【0263】
実施形態50は、GNAQ/11腫瘍が固形腫瘍である、実施形態1または3~48のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態51は、GNAQ/11腫瘍が、膵臓、胃、大腸、子宮、子宮頸部、膀胱、肝細胞癌、頭頸部、前立腺、乳房、肺腺癌、または皮膚黒色腫である、実施形態1または3~49のいずれか1つの方法を提供する。
【0264】
実施形態52は、GNAQ/11腫瘍が、膵臓、胃、大腸、子宮頸部、膀胱、肺腺癌、または皮膚黒色腫である、実施形態1または3~50のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態53は、GNAQ/11腫瘍が皮膚黒色腫である、実施形態1または3~51のいずれか1つの方法を提供する。
【0265】
実施形態54は、GNAQ/11腫瘍が大腸である、実施形態1または3~52のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態55は、GNAQ/11腫瘍が膵臓である、実施形態1または3~53のいずれか1つの方法を提供する。
【0266】
実施形態56は、GNAQ/11腫瘍が肝臓にある、実施形態1または3~54のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態57は、GNAQ/11腫瘍が転移性腫瘍である、実施形態1または3~55のいずれか1つの方法を提供する。
【0267】
実施形態58は、GNAQ/11腫瘍が転移性ブドウ膜黒色腫以外の転移性腫瘍である、実施形態1または3~56のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態59は、GNAQ/11腫瘍が転移性であり、約0.1ng/ml~約1,000ng/mlのHGF濃度を有する二次部位に転移している、実施形態1または3~57のいずれか1つの方法を提供する。
【0268】
実施形態60は、二次部位が約1.0ng/ml以上のHGF濃度を有する、実施形態58の方法を提供する。
実施形態61は、二次部位が肝臓である、実施形態58または59の方法を提供する。
【0269】
実施形態62は、GNAQ/11腫瘍が転移性ブドウ膜黒色腫である、実施形態1または3~49のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態63は、患者が、約0.1ng/ml~約1,000ng/mlのHGF濃度を有する二次部位に転移した、または転移するリスクがあるブドウ膜黒色腫を有する、実施形態1~49または61のいずれか1つの方法を提供する。
【0270】
実施形態64は、二次部位が約1.0ng/ml以上のHGF濃度を有する、実施形態62の方法を提供する。
実施形態65は、二次部位が肝臓である、実施形態62または63の方法を提供する。
【0271】
実施形態66は、GNAQ/11腫瘍が非転移性である、実施形態1または3~55のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態67は、GNAQ/11腫瘍が非ブドウ膜腫瘍である、実施形態1または3~57のいずれか1つの方法を提供する。
【0272】
実施形態68は、GNAQ/11腫瘍が非メラニン細胞腫瘍である、実施形態1、または3~51、53~57のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態69は、GNAQ/11が原発ブドウ膜黒色腫である、実施形態1または3~49のいずれか1つの方法を提供する。
【0273】
実施形態70は、GNAQ/11が再発腫瘍である、実施形態1または3~68のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態71は、GNAQ/11腫瘍が、BRAF、KRAS、またはEGRFにおける1つ以上の活性化変異を欠く、実施形態1または3~69のいずれか1つの方法を提供する。
【0274】
実施形態72は、GNAQ/11腫瘍が、BAP1、SF3B1、EIF1AX、TERT、BRAF、CDKN2A、NRAS、KRAS、またはEGRFのうちの1つ以上に低負荷の変異を有する、実施形態1または3~70のいずれか1つの方法を提供する。
【0275】
実施形態73は、プロテインキナーゼC阻害剤、cMET阻害剤、またはその両方が、BRAF、KRAS、ERK、GSK3-ベータ、PIM2、またはEGRFを活性化することなく患者に投与される、実施形態1~71のいずれか1つの方法を提供する。
【0276】
実施形態74は、cMETの存在の上昇が所定のレベルに対するものである、実施形態2~72のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態75は、cMETの存在の上昇は、同じ患者における健康なブドウ膜細胞、または生検が由来する型の健康な細胞におけるcMETの存在に対するものである、実施形態2~73のいずれか1つの方法を提供する。
【0277】
実施形態76は、cMETの存在の上昇は、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における、健康なブドウ膜細胞、または生検が由来する型の健康な細胞における平均的なcMETの存在に対するものである、実施形態2~73のいずれか1つの方法を提供する。
【0278】
実施形態77は、cMETの存在の上昇が、同じ患者における、生検が由来する型の非転移性ブドウ膜黒色腫細胞または非転移性GNAQ/11腫瘍細胞におけるcMETの存在に対するものである、実施形態2~73のいずれか1つの方法を提供する。
【0279】
実施形態78は、cMETの存在の上昇は、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における、生検が由来する型の非転移性ブドウ膜黒色腫細胞または非転移性GNAQ/11腫瘍細胞における平均的なcMETの存在に対するものである、実施形態2~73のいずれか1つの方法を提供する。
【0280】
実施形態79は、cMETの存在の上昇は、同じ患者からの同じ細胞型の以前の生検におけるcMETの存在の以前に評価されたレベルに対するものである、実施形態2~77のいずれか1つの方法を提供する。
【0281】
実施形態80は、cMETの存在の上昇が、原発ブドウ膜黒色腫細胞培養物の標準原発ブドウ膜黒色腫細胞におけるcMETの存在に対するものである、実施形態2~78のいずれか1つの方法を提供する。
【0282】
実施形態81は、cMETの存在が、IHCスケールによる少なくとも2である組織学スコアによって決定されるように、または同じ患者における健康なブドウ膜細胞もしくは生検が由来する型の健康な細胞におけるcMETの存在に対して、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における生検が由来する型の健康なブドウ膜細胞もしくは健康な細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者における生検が由来する型の非転移性ブドウ膜黒色腫細胞もしくは非転移性GNAQ/11腫瘍細胞におけるcMETの存在に対して、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における生検が由来する型の非転移性ブドウ膜黒色腫細胞もしくは非転移性GNAQ/11腫瘍細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者からの同じ細胞型の以前の生検におけるcMETの存在の以前に評価されたレベルに対して、測定されたcMETの存在が少なくとも25%高いことによって決定されるように、上昇している実施形態2~79のいずれか1つの方法を提供する。
【0283】
実施形態82は、cMETの存在が、IHCスケールによる少なくとも2である組織学スコアによって決定されるように、または同じ患者における健康なブドウ膜細胞もしくは生検が由来する型の健康な細胞におけるcMETの存在に対して、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における生検が由来する型の健康なブドウ膜細胞もしくは健康な細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者における生検が由来する型の非転移性ブドウ膜黒色腫細胞もしくは非転移性GNAQ/11腫瘍細胞におけるcMETの存在に対して、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における生検が由来する型の非転移性ブドウ膜黒色腫細胞もしくは非転移性GNAQ/11腫瘍細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者からの同じ細胞型の以前の生検におけるcMETの存在の以前に評価されたレベルに対して、測定されたcMETの存在が少なくとも50%高いことによって決定されるように、上昇している実施形態2~80のいずれか1つの方法を提供する。
【0284】
実施形態83は、cMETの存在が、IHCスケールによる少なくとも3である組織学スコアによって決定されるように、または同じ患者における健康なブドウ膜細胞もしくは生検が由来する型の健康な細胞におけるcMETの存在に対して、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における健康なブドウ膜細胞もしくは生検が由来する型の健康な細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者における非転移性ブドウ膜黒色腫細胞もしくは生検が由来する型の非転移性GNAQ/11腫瘍細胞におけるcMETの存在に対して、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における非転移性ブドウ膜黒色腫細胞もしくは生検が由来する型の非転移性GNAQ/11腫瘍細胞における平均的なcMETの存在に対して、同じ患者からの同じ細胞型の以前の生検におけるcMETの存在の以前に評価されたレベルに対して、測定されたcMETの存在が少なくとも100%高いことによって決定されるように、上昇している実施形態2~81のいずれかに1つの方法を提供する。
【0285】
実施形態84は、次世代シーケンシング(NGS)を使用してcMET発現の評価を実施することによって、生検中の上昇したcMETの存在を決定することを含む、実施形態2~83のいずれか1つの方法を提供する。
【0286】
実施形態85は、RNA-seqを実施することによって、生検中の上昇したcMETの存在を決定することを含む、実施形態2~84のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0287】
実施形態86は、上昇したcMETの存在は、同じ患者における健康なブドウ膜細胞または生検が由来する型の健康な細胞の発現レベルに対して、同じ組織型の腫瘍を有する患者の患者集団における健康なブドウ膜細胞または生検が由来する型の健康な細胞における平均的なcMETの存在に対して、cMET mRNA発現レベルを測定することによって決定される、実施形態2~85のいずれか1つの方法を提供する。
【0288】
実施形態87は、上昇したcMETの存在が、内部発現参照で標準化されたcMET mRNA発現レベルを測定することによって決定される、実施形態2~86のいずれか1つの方法を提供する。
【0289】
実施形態88は、内部発現参照がハウスキーピング遺伝子である、実施形態87の方法を提供する。
実施形態89は、転移性ブドウ膜黒色腫の細胞増殖を低減するための、実施形態1または2または4~88のいずれか1つの方法を提供する。
【0290】
実施形態90は、GNAQ/11腫瘍の細胞増殖を低減するための、実施形態1または3~89のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態91は、転移性ブドウ膜黒色腫の成長を低減するための、実施形態1または2または4~90のいずれか1つの方法を提供する。
【0291】
実施形態92は、GNAQ/11腫瘍の成長を低減するための、実施形態1または3~91のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態93は、転移性疾患を治療するか、または転移性疾患の進行を予防するための、実施形態1~92のいずれか1つの方法を提供する。
【0292】
実施形態94は、患者がGNAQ/11腫瘍を有し、プロテインキナーゼC阻害剤が、cMET阻害剤と一緒に摂取される場合に、GNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたプロテインキナーゼC阻害剤は、患者におけるGNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与される、実施形態1または3~93のいずれか1つの方法を提供する。
【0293】
実施形態95は、患者が転移性ブドウ膜黒色腫を有し、プロテインキナーゼC阻害剤が、cMET阻害剤と一緒に摂取される場合に、転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたプロテインキナーゼC阻害剤は、患者における転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与される、実施形態1または2または4~94のいずれか1つの方法を提供する。
【0294】
実施形態96は、患者がGNAQ/11腫瘍を有し、cMET阻害剤が、プロテインキナーゼC阻害剤と一緒に摂取される場合に、GNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたcMET阻害剤は、患者におけるGNAQ/11腫瘍の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与される、実施形態1または3~95のいずれか1つの方法を提供する。
【0295】
実施形態97は、患者が転移性ブドウ膜黒色腫を有し、cMET阻害剤が、プロテインキナーゼC阻害剤と一緒に摂取される場合に、転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減するが、同じ量で単独で投与されたcMET阻害剤は、患者における転移性ブドウ膜黒色腫の増殖、成長、またはメタセシスを低減しない量で投与される、実施形態1または2または4~96のいずれか1つの方法を提供する。
【0296】
実施形態98は、生検が、上昇したcMETの存在を有し、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤はそれぞれ、一緒に摂取される場合に治療的有用性を提供するが、同量で単独で投与された各薬剤は治療的有用性を提供しない量で患者に投与される、実施形態2~97のいずれか1つの方法を提供する。
【0297】
実施形態99は、PKC阻害剤およびcMET阻害剤が、単一組成物または別個の組成物として患者に同時に投与される、実施形態1~98のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態100は、PKC阻害剤およびcMET阻害剤が、単一組成物として患者に投与される、実施形態1~99のいずれか1つの方法を提供する。
【0298】
実施形態101は、PKC阻害剤およびcMET阻害剤が、別個の組成物として互いに異なる時間に患者に投与される、実施形態1~100のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態102は、PKC阻害剤およびcMET阻害剤が、各阻害剤の第1の半減期の少なくともいくらかの部分が重複するように、任意の順序で逐次的に投与される、実施形態101の方法を提供する。
【0299】
実施形態103は、PKC阻害剤が最初に投与され、2番目にcMET阻害剤が、PKC阻害剤の1半減期の期間内に投与される、実施形態102の方法を提供する。
実施形態104は、cMET阻害剤が最初に投与され、2番目にPKC阻害剤が、cMET阻害剤の1半減期の期間内に投与される、実施形態102の方法を提供する。
【0300】
実施形態105は、転移性ブドウ膜黒色腫を有するか、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)を有する患者を治療する方法であって、
転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍の生検におけるcMETの存在または活性を評価することと、
cMETの存在または活性が転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍において上昇している場合、患者にcMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤を共投与することと、
cMETの存在が転移性ブドウ膜黒色腫またはGNAQ/11腫瘍において上昇していない場合、cMET阻害剤を伴わずにプロテインキナーゼC阻害剤を患者に投与することと、を含み、
プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【0301】
【0302】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、方法を提供する。
【0303】
実施形態106は、XがNであり、R2、R3、およびR4がそれぞれ独立してHまたはハロである、実施形態1~105のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態107は、R2、R3、およびR4がそれぞれHである、実施形態1~106のいずれか1つの方法を提供する。
【0304】
実施形態108は、R5がHまたはCH3である、実施形態1~107のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態109は、R5がCH3である、実施形態1~108のいずれか1つの方法を提供する。
【0305】
実施形態110は、R6およびR7が、それぞれ独立して、H、ハロ、C1~3ハロアルキル、C1~3ハロアルコキシ、C3~7シクロアルキル、モルホリノ、ピペリジニル、およびピペラジニルから選択される、実施形態1~109のいずれか1つの方法を提供する。
【0306】
実施形態111は、R6およびR7のうちの1つが、C1~3ハロアルキル、C1~3ハロアルコキシ、C3~7シクロアルキル、モルホリノ、ピペリジニル、およびピペラジニルであり、R6およびR7のうちの1つがHである、実施形態1~110のいずれか1つの方法を提供する。
【0307】
実施形態112は、R6およびR7のうちの1つがトリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり、R6およびR7のうちの1つがHである、実施形態1~111のいずれか1つの方法を提供する。
【0308】
実施形態113は、R5a、R5b、R5c、およびR5dはそれぞれHである、実施形態1~112のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態114は、プロテインキナーゼC阻害剤が、
【0309】
【0310】
またはその薬学的に許容される塩である、実施形態1~113のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態115は、プロテインキナーゼC阻害剤が、
【0311】
【0312】
またはその薬学的に許容される塩である、実施形態1~114のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態116は、cMET阻害剤が、細胞内ATP-cMETリガンド-受容体結合の阻害剤である、実施形態1~115のいずれか1つの方法を提供する。
【0313】
実施形態117は、cMET阻害剤が、ATP競合性小分子cMET阻害剤である、実施形態1~116のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態118は、cMET阻害剤が、クリゾチニブ、カプマチニブ、カボザンチニブ、チバンチニブ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、実施形態1~117のいずれか1つの方法を提供する。
【0314】
実施形態119は、cMET阻害剤がカプマチニブである、実施形態1~118のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態120は、cMET阻害剤が、ALK阻害剤、RAS1阻害剤、またはその両方としての活性も有する、実施形態1~118のいずれか1つの方法を提供する。
【0315】
実施形態121は、cMET阻害剤がクリゾチニブである、実施形態1~118のいずれか1つの方法を提供する。
実施形態122は、プロテインキナーゼC阻害剤が約100mg~約1000mg/日の用量で投与される、実施形態1~121のいずれか1つの方法を提供する。
【0316】
実施形態123は、プロテインキナーゼC阻害剤が約10mg~約400mg BIDの用量で投与される、実施形態1~122のいずれか1つに記載の方法を提供する。
実施形態124は、プロテインキナーゼC阻害剤が、約50mg BID、100mg BID、150mg BID、200mg BID、250mg BID、300mg BID、350mg BID、または400mg BIDの用量で投与される、実施形態1~123のいずれか1つの方法を提供する。
【0317】
実施形態125は、プロテインキナーゼC阻害剤が、第1の投薬シリーズと、それに続く第2の投薬シリーズとを含む投薬サイクルを含む投薬レジメンに従って投与され、
(a)第1の投薬シリーズは、約200mg BIDの用量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含み、
(b)第2の投薬シリーズは、約400mg BIDの用量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態1~124のいずれか1つの方法を提供する。
【0318】
実施形態126は、第1の投薬シリーズの長さは5~10日であり、第2の投薬シリーズの長さは18~23日であり、第1の投薬シリーズおよび第2の投薬シリーズを含む第1の投薬サイクルの長さは28日である、実施形態125の方法を提供する。
【0319】
実施形態127は、プロテインキナーゼC阻害剤と、cMET阻害剤と、薬学的に許容される担体とを含む医薬品であって、プロテインキナーゼC阻害剤が式II:
【0320】
【0321】
またはその薬学的に許容される塩で表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、医薬品を提供する。
【0322】
実施形態128は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤が、薬学的に許容される担体を含む単一の単位剤形に一緒に製剤化された、実施形態127の医薬品を提供する。
【0323】
実施形態129は、プロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤が、それぞれ薬学的に許容される担体を有する2つの別個の単位剤形に製剤化された、実施形態128の医薬製品を提供する。
【0324】
実施形態130は、
それぞれが薬学的に許容される担体を含む1つ以上の医薬組成物に、一緒にまたは別々に、製剤化されたプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤と、
併用療法においてプロテインキナーゼC阻害剤およびcMET阻害剤を一緒に使用することについての説明書と、を含むキットであって、
プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【0325】
【0326】
またはその薬学的に許容されるその塩によって表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換される)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、キットを提供する。
【0327】
実施形態131は、
プロテインキナーゼC阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物と、
cMETの存在を評価するためのプローブまたは参照標準と、を含むキットであって、
プロテインキナーゼC阻害剤は、式II:
【0328】
【0329】
またはその薬学的に許容されるその塩によって表され、式中、
Xは、NまたはCRであり;
R、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンで置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
R5は、H、2H、-CH3、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2OH、およびC2~3アルキルからなる群から選択され、C2~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、H、2H、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5aおよびR5bは一緒になって、メチレンまたはエチレン架橋基を形成し;
R5cおよびR5dは、それぞれ独立して、H、2H、フッ素、ヒドロキシル、C1~3アルコキシ、およびC1~3アルキルからなる群から選択され、C1~3アルキルは、任意選択的に、フッ素、ヒドロキシル、およびC1~3アルコキシからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;またはR5cおよびR5dは一緒になって、メチレン、エチレン、または-CH2-O-架橋基を形成し;
R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して、H、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群から選択され、C1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンによって置換されていてもよく、C1~3アルキルは、任意選択的に、ヒドロキシル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシ(任意選択的に、1つ以上のハロゲンによって置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;または
R6およびR8は、任意選択的に、それらが結合しているヘテロアリール環と共に部分不飽和炭素二環式環またはヘテロ二環式環を形成し、炭素二環式環またはヘテロ二環式環は、任意選択的に、2H、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C3~7シクロアルキル、ならびにN、O、およびSからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つ、または3つの基によって置換されていてもよく;
C1~3アルキルおよびC1~3アルコキシは、任意選択的に、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のハロゲンで置換されていてもよい、キットを提供する。
【0330】
実施形態132は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCキノーム以外のキナーゼに対するよりもプロテインキナーゼCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、またはシータに対して少なくとも1000倍大きい阻害活性を有する、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0331】
実施形態133は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCアイソフォームシータに対するよりもGSK3-ベータに対して少なくとも1000倍低い阻害活性を有する、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0332】
実施形態134は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCアイソフォームアルファ、ベータ1、ベータ2、またはガンマに対するよりもプロテインキナーゼCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、およびシータのそれぞれに対して大きい阻害活性を有する、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0333】
実施形態135は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、またはシータに対するよりもプロテインキナーゼCアイソフォームアルファ、ベータ1、ベータ2、またはガンマに対して少なくとも5倍低い阻害活性を示す、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0334】
実施形態136は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCアイソフォームシータに対するよりもプロテインキナーゼCアイソフォームベータ1に対して少なくとも20倍低い阻害活性を示す、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0335】
実施形態137は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、およびシータの1つ以上について50nMより小さいIC50を有する、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0336】
実施形態138は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCアイソフォームデルタ、イプシロン、エータ、およびシータの1つ以上に関して5nMより小さいIC50を有する、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0337】
実施形態139は、プロテインキナーゼC阻害剤が、プロテインキナーゼCアイソフォームベータ1、ベータ2、またはその両方に関して50nMより大きいIC50を有する、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0338】
実施形態140は、プロテインキナーゼC阻害剤が、PIM2、GSK3β、またはその両方に関して5,000nMより大きいIC50を有する、実施形態1~131のいずれか1つの方法、医薬品、またはキットを提供する。
【0339】
実施形態141は、RNA-Seqを行うことが、cMETと相関する1つ以上の遺伝子からのRNA発現の計算に基づいてMETシグネチャースコアを評価することを含む、実施形態85の方法を提供する。
【0340】
実施形態142は、cMETの存在の上昇が、患者の患者集団におけるMETシグネチャースコアに対する患者のMETシグネチャースコアを測定することによって決定される、実施形態141の方法を提供する。
【0341】
実施形態143は、患者の患者集団におけるMETシグネチャースコアが、応答群に従って、好ましくは4=進行性疾患、3=6か月未満の安定疾患、2=6か月以上の安定疾患、1=単剤療法に対する部分応答であるスコアに従ってランク付けされ、患者のMETシグネチャースコアは、2以上、3以上、または約3、3.5、4、もしくは4.5である、実施形態142の方法を提供する。
【0342】
実施形態144は、転移性ブドウ膜黒色腫を有する患者の治療に使用するための、またはGNAQ変異もしくはGNA11変異を有する腫瘍(「GNAQ/11腫瘍」)の治療に使用するための、またはその両方のための、実施形態127~140のいずれか1つの医薬品またはキットを提供する。
【0343】
実施形態145は、実施形態1~126または141~143のいずれか1つの方法において使用するための、実施形態127~140のいずれか1つの医薬品またはキットを提供する。
【0344】
実施形態146は、実施形態1~126または141~143のいずれか1つの方法に従って患者を治療するための医薬の製造のための、cMET阻害剤およびプロテインキナーゼC阻害剤、または実施形態127~129の医薬品の使用を提供する。
【0345】
実施形態147は、前述の実施形態のいずれか1つまたはその組み合わせの方法、医薬品、またはキットを提供し、任意選択で、本明細書に記載されるいずれかまたはすべての要素または選択肢が使用または選択に利用可能であるように構成される。
【0346】
概要説明
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、例示を意図したものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではない。従って、上記から、本発明の特定の非限定的な実施形態が例示の目的で本明細書中に記載されているが、様々な修正が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解されるであろう。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内であり、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。
【0347】
本発明は、本明細書において広く全般的に記載されてきた。全般的な開示に含まれるより狭い種および亜属の分類のそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、削除された物質が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、属から任意の患者物質を除去する条件または否定的限定を有する本発明の全般的な記載を含む。
【0348】
使用された用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用において、示され、説明される特徴またはその一部の任意の均等物を除外する意図はないが、特許請求される発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は、様々な非限定的な実施形態および/または好ましい非限定的な実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、当業者によって再分類され得る、本明細書に開示される概念のありとあらゆる修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲内であると見なされることが理解されるであろう。
【0349】
すべての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、および他の文書、ならびに資料参照または本明細書で言及されるものは、本発明に関する当業者の技術レベルを示しており、そのような参照された文書および資料はそれぞれ、それが逐語的に組み込まれ、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に、参照により本明細書に援用される。権利は、任意のそのような特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、教科書、または他の参照される資料もしくは文書からの任意のおよびすべての資料および情報を本明細書に物理的に組み込むために留保される。
【0350】
本明細書で引用される全ての参考文献は、その全体が本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】