(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】遠骨縫合ボタン
(51)【国際特許分類】
A61B 17/88 20060101AFI20230920BHJP
A61B 17/84 20060101ALI20230920BHJP
A61B 17/04 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61B17/88
A61B17/84
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515291
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 US2021049414
(87)【国際公開番号】W WO2022055962
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】フェダーシュピール,ジョシュア ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンヴリート,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】パレク,セリーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンガー,アラステア
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ,マーク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒントン,グレッチェン
(72)【発明者】
【氏名】サンティッチ,アン
(72)【発明者】
【氏名】ボイトラー ジュニア.,ウイリアム エー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160LL29
4C160LL30
4C160LL31
4C160LL37
(57)【要約】
2つの骨を共に固定するための縫合ボタンが開示されている。縫合ボタンを用いることで、外科医が足首の靭帯結合損傷を修復するなどのために縫合ボタン技術をより容易かつ効果的に実施することを可能にすることができる。第1の縫合ボタンはボタンヘッドから延びるプーリペグを含む。第1の縫合ボタンの設置の際にプーリペグを、骨穴を用いて配置することができ、これにより、縫合糸を保護するのを補助することができ、生じる可能性がある患者の不快感を低減するのを補助することができる。第2の縫合ボタンは、第2の縫合ボタンがボタン挿入器具から展開される際に転回して定位置に配置され易くするのを補助する。提供されている第1および第2の縫合ボタンの各々は、設置処置の際にそれぞれのボタンと縫合糸との間の摩擦を抑えるのを補助することができる。提供されている第1および第2の縫合ボタンを外科処置において共に用いてもよいし、他の適切なボタンまたはアンカーと共に個別に用いてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸と、
挿入先端部を有するシャフトと、前記シャフト内にある押出しロッドと、トリガとを含むボタン挿入器具であって、前記トリガを動かすと、前記押出しロッドが前記シャフト内で平行移動する、ボタン挿入器具と、
1つの開口部を有する支持部、
前記支持部から延びる第1のウイング、および
前記第1のウイングの正反対の側で前記支持部から延びる第2のウイングであって、前記第2のウイングは面取りされた端部を含む、第2のウイング
を含む縫合ボタンと
を備え、
前記縫合糸は前記1つの開口部を通って前記ボタン挿入器具の側部に配置され、
前記縫合糸がある前記ボタン挿入器具の前記側部の方に、前記面取りされた端部が向くように、前記第2のウイングは前記挿入先端部内に配置される、
縫合ボタン挿入システム。
【請求項2】
前記縫合ボタンは第1の縫合ボタンであり、前記システムは、前記縫合糸によって前記第1の縫合ボタンに結合される第2の縫合ボタンまたはアンカーをさらに備える、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項3】
前記面取りされた端部は20~60度の角度で面取りされる、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項4】
前記面取りされた端部は30度に等しい角度で面取りされる、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項5】
前記支持部の前記1つの開口部は前記第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央に配置される、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項6】
前記支持部の前記1つの開口部は前記第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央からずらされて配置される、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項7】
前記支持部の前記中央からずらされて配置された1つの開口部は前記縫合糸がある前記ボタン挿入器具の前記側部の方に中央からずれて配置される、請求項6に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項8】
前記第1および第2のウイングの全長および全幅にわたって広がる平面が前記1つの開口部の中心軸線に平行である、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項9】
前記挿入先端部は少なくとも1つのスリットを含む、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項10】
前記第2のウイングが前記挿入先端部内に完全に配置されたときに前記少なくとも1つのスリット内において前記縫合ボタンと前記ボタン挿入器具との間に隙間が残る、請求項9に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項11】
前記挿入先端部の内面は、少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分に隣接する少なくとも1つの、凹所が設けられた部分を含み、
前記第2のウイングは上面と下面とを含み、前記上面は、少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分に隣接する少なくとも1つの、凹所が設けられた部分を含み、
前記挿入先端部の前記少なくとも1つの、凹所が設けられた部分は、前記第2のウイングの前記少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分に対応し、
前記挿入先端部の前記少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分は、前記第2のウイングの前記少なくとも1つの、凹所が設けられた部分に対応する、
請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項12】
前記押出しロッドは、前記第1および第2のウイングの前記全長および全幅にわたって広がる平面に実質的に垂直な平坦な端面を含む、請求項1に記載の縫合ボタン挿入システム。
【請求項13】
第1の骨と第2の骨とを貫通する骨穴を形成するステップと、
ボタン挿入器具により縫合ボタンを前記骨穴に通して挿入するステップであって、前記縫合ボタンが前記骨穴の向こう側から出るように挿入し、
前記ボタン挿入器具は、挿入先端部を有するシャフトと、前記シャフト内にある押出しロッドと、トリガとを含み、前記トリガを動かすと、前記押出しロッドが前記シャフト内で平行移動し、
前記縫合ボタンは、
1つの開口部を有する支持部、
前記支持部から延びる第1のウイング、および
前記第1のウイングの正反対の側で前記支持部から延びる第2のウイングであって、前記第2のウイングは面取りされた端部を含む、第2のウイング
を含み、
縫合糸が前記1つの開口部を通って前記ボタン挿入器具の側部に配置され、
前記縫合糸がある前記ボタン挿入器具の前記側部の方に、前記面取りされた端部が向くように、前記第2のウイングは挿入の際に前記挿入先端部内に配置される、ステップと、
前記ボタン挿入器具から前記縫合ボタンを展開することによって、前記縫合糸がある前記ボタン挿入器具の前記側部の方に前記縫合ボタンを回転させるステップであって、
前記縫合ボタンの展開は、前記トリガを動かすことによって、前記挿入先端部から前記縫合ボタンを強制的に出すことを前記押出しロッドにさせることを含む、ステップと
を備える縫合ボタン挿入方法。
【請求項14】
前記トリガを動かすと、前記押出しロッドの端部が平行移動して前記挿入先端部の外部に出る、請求項13に記載の縫合ボタン挿入方法。
【請求項15】
前記縫合ボタンの前記面取りされた端部は前記押出しロッドに対して近い縁および遠い縁を含み、前記押出しロッドによって前記挿入先端部から前記縫合ボタンを強制的に出す際に前記押出しロッドは前記近い縁に当接する、請求項13に記載の縫合ボタン挿入方法。
【請求項16】
前記縫合ボタンを展開する前に放射線撮像イメージングにより前記縫合ボタンの所望の配置を決定するステップをさらに備える、請求項13に記載の縫合ボタン挿入方法。
【請求項17】
中心軸線を持つ1つの開口部を有する支持部と、
前記支持部から延びる第1のウイングと、
前記第1のウイングの正反対の側で前記支持部から延びる第2のウイングであって、前記第2のウイングは、下面の正反対の側にある上面と、面取りされた端部とを含み、前記上面は凹所が設けられていない部分に隣接する少なくとも1つの、凹所が設けられた部分を含む、第2のウイングと
を備え、
前記第1および第2のウイングの全長および全幅にわたって広がる平面が前記1つの開口部の前記中心軸線に平行である、
縫合ボタン。
【請求項18】
前記第2のウイングは第2の長さよりも長い第1の長さを持ち、前記第1のウイングは第3の長さを持ち、前記第1の長さと前記第3の長さとは等しい、請求項17に記載の縫合ボタン。
【請求項19】
前記支持部は前記第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央に配置される、請求項17に記載の縫合ボタン。
【請求項20】
前記支持部は前記第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央からずらされて配置される、請求項17に記載の縫合ボタン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は2020年9月10日に出願された米国出願第17/017,056号の優先権とその利益とを主張する。本米国出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は概して、2つの骨を共に保持する手術用手技に関する。特に、本出願では、外科医やその他一切の適切なヘルスケア提供者が足首の靭帯結合損傷を修復するなどのために縫合ボタン技術をより容易かつ効果的に実施することを可能にする縫合ボタンが提供される。
【背景技術】
【0003】
様々な事例において、患者の損傷の回復を補助するために第1の骨すなわち近骨を第2の骨すなわち遠骨に固定することを要する損傷を患者が受ける場合がある。足首関節の損傷は、そのようなタイプの損傷の1つであり得る。足首関節は、脛骨と腓骨の2つの骨で構成され、遠位脛腓靭帯結合によって共に保持される。場合によっては、例えば足首の損傷後、靭帯結合が断裂され、脛骨と腓骨との間に隙間が残る可能性がある。足首の不安定性を防止し、続いて変形性足関節症のリスクを低下させるために、断裂または不安定であることが判明した場合には、靭帯損傷を修復する必要がある。
【0004】
近骨(near bone)を遠骨(far bone)に固定する1つの方法は、縫合ボタン技術である。縫合ボタン技術は、縫合糸で第2のボタンに結合された第1のボタンを含む骨固定構造を展開することを含む。縫合糸は、近骨を遠骨に固定するために張力がかけられ得る。例えば、靭帯損傷を修復するために、縫合ボタン技術は、腓骨(例えば、近骨)および脛骨(例えば、遠骨)を共に保持する2つのボタンと、腓骨および脛骨における穿孔された骨孔を通して2つのボタンを接続する縫合糸とを伴う。ボタンは、典型的には、針および引き抜き縫合糸を用いて、またはボタン挿入器具を用いて定位置に配置される。
【0005】
しかし、縫合ボタン技術に用いられる一般的なボタンにはいくつかの欠点がある。近骨に圧力を加えるボタンを用いて、近骨ボタンと遠骨ボタンとの間の縫合糸の張力を増すために縫合糸の端部を引っ張る、すなわち縫合糸の端部に張力をかけることも可能にしつつ、縫合糸をくくりつけなければならない。縫合糸を引っ張る、すなわち縫合糸に張力を及ぼすのに応じて、縫合糸が2つのボタンに対して必ず動く、すなわち摺動する。しかし、一般的な近骨ボタンは近骨ボタンと縫合糸との間に意図しない大きさの摩擦が発生するように構成される場合がある。例えば、一般的な近骨ボタンは、縫合糸の別々の部分すなわち両端部に用いられる複数の個別開口部を有する場合がある。個別開口部によって縫合糸の動きが制限されて、摩擦が生じるおそれがある。他の事例では、縫合糸が同様に制限されて摩擦が生じるようなサイズの縫合糸用の開口部を一般的な近骨ボタンが有する場合がある。摩擦が過剰に大きい場合、そのために縫合糸に破損が生じるおそれがあり、破損すると、外科医は処置をやり直したり、患者が回復する前に縫合糸の機能が衰えるようになるおそれがあったりする。摩擦の大きさが意図しない大きさであると、外科医が処置を行なうことがより困難になるおそれもある。例えば、外科医が縫合糸に張力をかけている間に縫合糸が縁部に引っかかるおそれがある。
【0006】
上記に加えて、一般的な近骨ボタンは設置の後に近骨から意図しない分だけ延び出す場合がある。これにより、近骨ボタンの高さが近骨の高さとより一致する場合よりも、患者の不快度が大きくなるおそれがある。
【0007】
遠骨に圧力を加えるのに用いられるボタンを、骨穴を通して送った後、ボタンが骨穴を通って戻ってこないように調節する場合がある。遠骨ボタンを調節するには、ボタン挿入器具から遠骨ボタンを展開することが必要である場合があり、展開によって遠骨ボタンの向きの変化が生じる。しかし、一般的には、このような展開には、挿入器具から遠骨ボタンを強引に離して、遠骨ボタンに、向きを変えるのに十分な空間を与えることが必要である場合がある。組織(例えば皮膚)によって遠骨ボタンが押され、変化中の遠骨ボタンの向きの阻害となる場合など、いくつかの事例では、空間の大きさが要求されることで、容易かつ効果的に遠骨ボタンを展開することが困難になるおそれがある。
【0008】
上記に加えて、遠骨ボタンによって遠骨ボタンを近骨ボタンに結合させる縫合糸をくくりつける。遠骨ボタンおよび近骨ボタンを設置するために縫合糸に張力をかけるのに応じて、縫合糸は遠骨ボタンに対して必ず動く。一般的な遠骨ボタンによって一般的な遠骨ボタンと縫合糸との間に所望の大きさよりも大きい摩擦が発生するおそれがある。例えば、多くの一般的な遠骨ボタンは縫合糸が通って動く少なくとも2つの穴を含み、各穴と縫合糸との間に摩擦が発生する。少なくとも2つの穴を有するこのような一般的な構成を用いると、縫合糸がボタン挿入器具に装着(ロード)されたりボタン挿入器具から展開されたりするときに縫合糸それ自体に巻きついたりよじれたりするようになるおそれもある。
【0009】
したがって、上記の欠点を解決する近骨ボタンが望まれる。これに加えて、上記の欠点を解決する遠骨ボタンが望まれる。
【発明の概要】
【0010】
本開示で開示されている縫合ボタン、システムおよび方法は概して、2つの骨を共に保持する手術手技に関する。特に、外科医やその他一切の適切なヘルスケア提供者が足首の靭帯結合損傷を修復するなどのために、縫合ボタン技術をより容易かつ効果的に実施することを可能にする縫合ボタンが開示されている。近骨と遠骨とを固定するために縫合ボタン技術の一部として最も近い骨(例えば腓骨の骨)と接するように構成される第1の縫合ボタンが開示されている。遠骨に近骨を固定するために縫合ボタン技術の一部として最も遠い骨(例えば脛骨の骨)と接するように構成される第2の縫合ボタンが開示されている。外科医が靭帯結合損傷を修復するために縫合ボタン技術を実技するときに、提供されている第1の縫合ボタンと提供されている第2の縫合ボタンとを用いることができる。これの代わりに、外科医は提供されている第1の縫合ボタンを別の適切な縫合ボタンまたはアンカーと共に用いてもよいし、提供されている第2の縫合ボタンを別の適切な縫合ボタンまたはアンカーと共に用いてもよい。
【0011】
本開示にわたって、第1の縫合ボタンを腓骨ボタンと呼び、第2の縫合ボタンを脛骨ボタンと呼ぶが、提供されている第1の縫合ボタンと提供されている第2の縫合ボタンとを、腓骨および脛骨とは異なる複数の骨を共に固定するのに用いてもよいことが当然分かる。
【0012】
本開示に記載されている技術的特徴に鑑みて、別段記載されていない限り他の任意の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第1の態様では、縫合ボタン挿入システムは縫合糸、ボタン挿入器具および縫合ボタンを含むが、これに限定されない。ボタン挿入器具は、挿入先端部を有するシャフトと、シャフト内にある押出しロッドと、トリガとを含む。トリガを動かすと、押出しロッドがシャフト内で平行移動する。縫合ボタンは、1つの開口部を有する支持部と、支持部から延びる第1のウイングと、第1のウイングの正反対の側で支持部から延びる第2のウイングとを含む。第2のウイングは面取りされた端部を含む。縫合糸は1つの開口部を通ってボタン挿入器具の側部に配置される。縫合糸があるボタン挿入器具の側部の方に、面取りされた端部が向くように、第2のウイングは挿入先端部内に配置される。
【0013】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば第1の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第2の態様では、縫合ボタンは第1の縫合ボタンであり、システムは、縫合糸によって第1の縫合ボタンに結合される第2の縫合ボタンまたはアンカーをさらに含む。
【0014】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1または第2の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第3の態様では、面取りされた端部は20~60度の角度で面取りされる。
【0015】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1または第2の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第4の態様では、面取りされた端部は30度に等しい角度で面取りされる。
【0016】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第4の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第5の態様では、支持部の1つの開口部は第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央に配置される。
【0017】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第4の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第6の態様では、支持部の1つの開口部は第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央からずらされて配置される。
【0018】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば第6の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第7の態様では、支持部の中央からずらされて配置された1つの開口部は縫合糸があるボタン挿入器具の側部の方に中央からずれて配置される。
【0019】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第7の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第8の態様では、第1および第2のウイングの全長および全幅にわたって広がる平面が1つの開口部の中心軸線に平行である。
【0020】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第8の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第9の態様では、挿入先端部は少なくとも1つのスリットを含む。
【0021】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば第9の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第10の態様では、第2のウイングが挿入先端部内に完全に配置されたときに少なくとも1つのスリット内において縫合ボタンとボタン挿入器具との間に隙間が残る。
【0022】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第10の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第11の態様では、挿入先端部の内面は、少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分に隣接する少なくとも1つの、凹所が設けられた部分を含む。第2のウイングは上面と下面とを含み、上面は、少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分に隣接する少なくとも1つの、凹所が設けられた部分を含む。挿入先端部の少なくとも1つの、凹所が設けられた部分は、第2のウイングの少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分に対応し、挿入先端部の少なくとも1つの、凹所が設けられていない部分は、第2のウイングの少なくとも1つの、凹所が設けられた部分に対応する。
【0023】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第11の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第12の態様では、押出しロッドは、第1および第2のウイングの全長および全幅にわたって広がる平面に実質的に垂直な平坦な端面を含む。
【0024】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第2から第12の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第13の態様では、縫合ボタン挿入方法は、第1の骨と第2の骨とを貫通する骨穴を形成するステップを含む。ボタン挿入器具により縫合ボタンを骨穴に通して挿入し、縫合ボタンが骨穴の向こう側から出るように挿入する。ボタン挿入器具は、挿入先端部を有するシャフトと、シャフト内にある押出しロッドと、トリガとを含む。トリガを動かすと、押出しロッドがシャフト内で平行移動する。縫合ボタンは、1つの開口部を有する支持部と、支持部から延びる第1のウイングと、第1のウイングの正反対の側で支持部から延びる第2のウイングとを含む。第2のウイングは面取りされた端部を含む。縫合糸が1つの開口部を通ってボタン挿入器具の側部に配置される。縫合糸があるボタン挿入器具の側部の方に、面取りされた端部が向くように、第2のウイングは挿入の際に挿入先端部内に配置される。本方法は、ボタン挿入器具から縫合ボタンを展開することによって、縫合糸があるボタン挿入器具の側部の方に縫合ボタンを回転させるステップを含んでもよい。縫合ボタンの展開は、トリガを動かすことによって、挿入先端部から縫合ボタンを強制的に出すことを押出しロッドにさせることを含む。
【0025】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第13の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第14の態様では、トリガを動かすと、押出しロッドの端部が平行移動して挿入先端部の外部に出る。
【0026】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第14の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第15の態様では、縫合ボタンの面取りされた端部は押出しロッドに対して近い縁および遠い縁を含み、押出しロッドによって挿入先端部から縫合ボタンを強制的に出す際に押出しロッドは近い縁に当接する。
【0027】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第13から第15の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第16の態様では、本方法は、縫合ボタンを展開する前に放射線撮像イメージングにより縫合ボタンの所望の配置を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0028】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1、第3から第7および第13の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第17の態様では、縫合ボタンは、1つの開口部を有する支持部と、支持部から延びる第1のウイングと、第1のウイングの正反対の側で支持部から延びる第2のウイングとを含む。第2のウイングは、下面の正反対の側にある上面と、面取りされた端部とを含む。上面は凹所が設けられていない部分に隣接する少なくとも1つの、凹所が設けられた部分を含む。第1および第2のウイングの全長および全幅にわたって広がる平面が1つの開口部の中心軸線に平行である。
【0029】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1、第3から第7、第13および第17の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第18の態様では、第2のウイングは第2の長さよりも長い第1の長さを持ち、第1のウイングは第3の長さを持ち、第1の長さと第3の長さとは等しい。
【0030】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1、第3、第4、第13、第17および第18の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第19の態様では、支持部は第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央に配置される。
【0031】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1、第3、第4、第13、第17および第18の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第20の態様では、支持部は第1および第2のウイングを通って延びる軸線を基準にして中央からずらされて配置される。
【0032】
開示された方法および装置の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図に記載され、それらから明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点は、すべてを含むものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点が、図および説明を考慮すると当業者には明らかであろう。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読み易さおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】本開示の1つの態様に係る、円形の開口部を有するヘッドを有する腓骨ボタンの斜視図を示す。
【
図1B】本開示の1つの態様に係る、円形の開口部を有するヘッドを有する腓骨ボタンの斜視図を示す。
【0034】
【
図1C】本開示の1つの態様に係る、丸い端部を有するプーリペグを有する腓骨ボタンの斜視図を示す。
【0035】
【
図1D】本開示の1つの態様に係る、ヘッドを有し、ヘッドの上面にある面取りされた面がヘッドの開口部につながる、腓骨ボタンの斜視図を示す。
【0036】
【
図1E】本開示の1つの態様に係る、ヘッドを有し、ヘッドの下面にある面取りされた面がヘッドの開口部につながる、腓骨ボタンの斜視図を示す。
【0037】
【
図2A】本開示の1つの態様に係る、アールが付されたプーリペグを有する腓骨ボタンの断面側面図を示す。
【
図2B】本開示の1つの態様に係る、アールが付されたプーリペグを有する腓骨ボタンの断面側面図を示す。
【0038】
【
図2C】本開示の1つの態様に係る、アールが付されていないプーリペグを有する腓骨ボタンの断面側面図を示す。
【0039】
【
図3A】本開示の1つの態様に係る脛骨ボタンの斜視図を示す。
【
図3B】本開示の1つの態様に係る脛骨ボタンの上面図を示す。
【0040】
【
図3C】本開示の1つの態様に係る、角度が付けられた挿入器具端部を有する脛骨ボタンの側面図を示す。
【
図3D】本開示の1つの態様に係る、別の角度が付けられた挿入器具端部を有する脛骨ボタンの側面図を示す。
【0041】
【
図3E】本開示の1つの態様に係る、中央からずらされて配置された開口部を有する脛骨ボタンの側面図を示す。
【0042】
【
図4A】本開示の1つの態様に係る、ボタン挿入器具、縫合ボタンおよび縫合糸を含むシステムの例の側面図を示す。
【
図4B】本開示の1つの態様に係る、ボタン挿入器具、縫合ボタンおよび縫合糸を含むシステムの別の例の側面図を示す。
【0043】
【
図5A】本開示の1つの態様に係る、腓骨ボタンが装着(ロード)されているボタン挿入器具装置の例の一部の上面図を示す。
【0044】
【
図5B】本開示の1つの態様に係る、ボタン挿入器具の挿入先端部の例の断面正面図を示す。
【0045】
【
図6A】本開示の1つの態様に係る、ボタン挿入器具の挿入先端部に装着(ロード)されている脛骨ボタンの斜視側面図を示す。
【
図6B】本開示の1つの態様に係る、ボタン挿入器具の挿入先端部に装着(ロード)されている脛骨ボタンの斜視側面図を示す。
【0046】
【
図6C】本開示の1つの態様に係る、脛骨ボタンを展開している
図6Bのボタン挿入器具の斜視側面図を示す。
【
図6D】本開示の1つの態様に係る、脛骨ボタンを展開している
図6Bのボタン挿入器具の斜視側面図を示す。
【0047】
【
図7】本開示の1つの態様に係る、腓骨ボタンと脛骨ボタンとが装着(ロード)され、脛骨ボタンを骨穴の向こう側に送るために骨穴に通されて配置されているボタン挿入器具を示す。
【0048】
【
図8】本開示の1つの態様に係る、2つの骨を共に固定している設置された腓骨ボタンおよび脛骨ボタンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示で開示される縫合ボタン、システムおよび方法は概して、2つの骨を共に保持する手術手技に関する。特に、外科医やその他一切の適切なヘルスケア提供者が足首の靭帯結合損傷を修復するなどのために、縫合ボタン技術をより容易かつ効果的に実施することを可能にする縫合ボタンが開示されている。一例では、外科医がボタンを展開するのにボタン挿入器具を用いることができる。このような例では、本開示で開示されている第1の縫合ボタンが、骨固定構造の一部として近骨に当接するように構成される。本開示で開示されている第2の縫合ボタンが、近骨および遠骨に形成された骨穴に通されて送られてから、骨固定構造の一部として遠骨に当接するように構成される。本開示にわたって、第1の縫合ボタンを腓骨ボタンと呼び、第2の縫合ボタンを脛骨ボタンと呼ぶが、提供されている第1の縫合ボタンと提供されている第2の縫合ボタンとを、腓骨および脛骨とは異なる任意の2つの骨を共に固定するのに用いてもよいことが当然分かる。
【0050】
外科医が靭帯結合損傷を修復するなどのために縫合ボタン技術を実技するときに、提供されている腓骨ボタンと提供されている脛骨ボタンとを用いることができる。これの代わりに、外科医は提供されている腓骨ボタンを別の適切な縫合ボタンまたはアンカーと共に用いてもよいし、提供されている脛骨ボタンを別の適切な縫合ボタンまたはアンカーと共に用いてもよい。
【0051】
いくつかの事例では、提供されている腓骨ボタン構成を用いることで、提供されている腓骨ボタンに広い空間が含まれ、この広い空間を縫合糸が腓骨ボタンの金属部品に当たらずに通ることができることによって、一般的な近骨ボタンと比較して、腓骨ボタンの設置の際に腓骨ボタンと縫合糸との間の摩擦が抑えられる。提供されている腓骨ボタンはヘッドと、ヘッドから延びるプーリペグとを含んでもよい。ヘッドは1つの開口部を含み、プーリペグとヘッドとの間の空間が第2の開口部である。開口部の各々のサイズは、縫合糸の複数のストランドが開口部を自由に通って動くことができるように設定される。縫合糸はより大きい空間を通ってより自由に動くことができ、この空間により、縫合糸の部分間の摩擦と、縫合糸と腓骨ボタンとの間の摩擦とが抑えられる。提供されている腓骨ボタンは摩擦をさらに抑えるように様々な曲面や滑らかな面や面取りされた面をさらに含んでもよい。
【0052】
いくつかの事例では、腓骨ボタンのプーリペグのサイズはプーリペグを骨穴に挿入することができるように設定される。骨穴にプーリペグを挿入することは、腓骨ボタンが骨の表面に単に置かれているだけである場合よりも高度に腓骨ボタンを定位置に係止するのに有用である。また、骨穴にプーリペグを挿入することで、近骨に対する腓骨ボタンの起伏が一般的な近骨ボタンよりもなだらかになることが可能になる。これに加えて、プーリペグが設置されると、骨穴内に配置されることで、張力がかかっている縫合糸を、他の組織に対して縫合糸が多く露出することになる骨表面上ではなく、骨の内部に留めることが可能になる。したがって、本腓骨ボタンを用いることで、患者の複数の骨の1つから突出する設置済みのボタンまたは縫合糸から生じ得る可能性がある患者の刺激または不快感を小さくするのを補助することができる。また、本腓骨ボタンを用いることで、将来破損することがないように張力がかかっている縫合糸を保護するのを補助することもできる。これに加えて、張力がかかっている縫合糸を骨内に留めておくことで、張力がかかっている縫合糸を外科医が切断するおそれをなくしつつ、縫合糸の自由端を切断してその高さを腓骨ボタンの表面の高さにすることができる。
【0053】
提供されている脛骨ボタン構成により、一般的な遠骨ボタンと比較して、脛骨ボタンの設置の際の脛骨ボタンと縫合糸との間の摩擦を抑えることができる。例えば、提供されている脛骨ボタンは、縫合糸が通る1つの大きい開口部を含む。1つの大きい開口部により、縫合糸に用いられる複数の開口部を含む一般的なボタンと比較して、脛骨ボタンと縫合糸との間の接触する可能性がある箇所の個数が減少する。脛骨ボタンは摩擦をさらに抑えるように様々な曲面や滑らかな面や面取りされた面も含んでもよい。提供されている脛骨ボタンは、縫合糸をボタン挿入器具に対して一方の側のみに導くことによって、脛骨ボタンをボタン挿入器具に装着(ロード)したり脛骨ボタンをボタン挿入器具から展開させたりするときに縫合糸がそれ自体に巻きつくのを防止するのにさらに有用である。
【0054】
提供されている脛骨ボタンは、ボタン挿入器具に装着(ロード)されるときに回転したり側方に平行移動したりすることが防止されるようにも構成されてもよい。提供されているボタン挿入システムは、脛骨ボタンがボタン挿入器具から展開される際に転回し易くするのを補助することができる。脛骨ボタンは、ボタン設置器具に装着(ロード)されているときに、脛骨ボタンを第2のボタン(例えば腓骨ボタン)に結合させる縫合糸の方に向く面取りされた端部を含む。縫合糸による張力に加えて、面取りされた端部が向いている方向に向かって回転するように脛骨ボタンが自然に傾くことにより、脛骨ボタンが当該方向に転回し易くなる。さらに、脛骨ボタンを展開するために、ボタン挿入器具は、脛骨ボタンが装着(ロード)された先端部から脛骨ボタンを押し出すようにボタン挿入器具の先端部を僅かに越えて延びる押出しロッドを含んでもよい。ボタン挿入システムの転回容易化態様により、脛骨ボタンがボタン挿入器具先端部の近傍で転回し、これらの間の空間をほとんど用いないことが可能になる。
【0055】
脛骨ボタンがボタン挿入器具の方で転回する近さと、脛骨ボタンが転回し易くするのを補助する態様とにより、脛骨ボタンを押し得る組織(例えば皮膚)による反力に脛骨ボタンが打ち勝つのを補助する強い転回力が発生する。さらに、上記の態様の各々により、脛骨ボタンが目的の方向または所望の方向に確実にその向きを変える、すなわち転回するのを補助することによって、少なくともいくつかの一般的なボタン挿入システムと比較して、脛骨ボタンを展開するし易さを増すのを補助することができる。図の以下の説明から、提供されている腓骨ボタンおよび提供されている脛骨ボタンのさらなる効果が明らかになる。
【0056】
図1Aおよび
図1Bは腓骨ボタンの例100Aの斜視図を示す。腓骨ボタンの例100Aはボタンヘッド102と、ボタンヘッド102から延びるプーリペグ108とを含む。ボタンヘッド102とプーリペグ108との間には開口部114が形成されている。ボタンヘッド102は上面104と下面110とを含む。様々な態様では、腓骨ボタン100Aが患者に設置された場合に周囲の組織に対する破損を防止するのを補助するように上面104にはアールを付してもよい。いくつかの態様では、下面110は図示されているように平坦であってもよい。ボタンヘッド102は、上面104から下面110までボタンヘッド102を貫通して延びる開口部106も含む。開口部106のサイズは、開口部106を通って動く縫合糸の複数のストランドを開口部106に入れることができるように設定されている。いくつかの事例では、開口部106内に縫合糸の結び目を配置することができるように、開口部106のサイズを十分に大きく設定してもよい。上面104は開口部106につながる面取りされた面116を含んでもよい。面取りされた面116はボタンヘッド102と、開口部106を通って動く縫合糸との間の摩擦を抑えるのを補助することができる。様々な事例では、開口部106の断面が図示されているように円形であってもよい。
【0057】
様々な態様では、プーリペグ108は第1の端部120から第2の端部122まで延びている。第1の端部120と第2の端部122とをボタンヘッド102の下面110に接続したり下面110と一体化したりしてもよい。いくつかの事例では、プーリペグ108はその端部120および122の各々に平坦面118を含んでもよい。平坦面118は開口部106を通る縫合糸を案内するのを補助することができる。いくつかの事例では、プーリペグ108はその端部120および122の各々に平坦面112を含んでもよい。他の事例では、プーリペグ108はその端部120および122の各々に、腓骨ボタンの例100Bの一部として
図1Cに図示されているような曲面124を含んでもよい。曲面124は、プーリペグ108と、開口部106に向かって動いて開口部106を通って動く縫合糸との間の摩擦を抑えるのを補助することができる。
【0058】
様々な事例では、開口部106の断面は円形以外の適切な断面であってもよい。例えば、開口部106の断面は錠剤形状(pill-shaped)でも、角が丸められた矩形でも、長円形でも、他の適切な形状でもよい。
図1Dは、断面が細長い形状すなわち錠剤形状である開口部130を有するボタンヘッド102を有する腓骨ボタンの例100Cを示す。開口部130の錠剤形状の断面は、縫合糸が自由に動くためのさらなる空間を提供することによって複数の縫合糸ストランドの間の摩擦および/または複数の縫合糸ストランドとボタンヘッド102との間の摩擦を抑えるのを補助することができる。例えば、1つ以上の縫合糸ストランドの端部が、プーリペグ108の最外境界の外側にその他の部分がある状態で開口部130を通って動くことができる。換言すると、1つ以上の縫合糸ストランドの部分の間に摩擦を引き起こすおそれがある中央にある開口部(例えば開口部106)に向かって1つ以上の縫合糸ストランドの端部が内向きに動く必要がない。これに加えて、錠剤形状の開口部130内に縫合糸の結び目を配置することができるように、錠剤形状の開口部130を十分に大きくすることができる。
【0059】
様々な事例では、錠剤形状の開口部130が図示されているようにプーリペグ108に実質的に垂直であってもよい。換言すると、錠剤形状の開口部130は長い境界線(long end)と短い境界線(short end)とを含み、プーリペグ108の2つの端部120および122の中央の部分を通って広がる平面が長い境界線に実質的に垂直である。この実質的に垂直な構成により、プーリペグ108の端部120および122が開口部130の長い境界線の外れにあるとする場合よりも、プーリペグ108の幅を狭くしておくことが可能になる。幅を狭くすることで、プーリペグ108がより狭隘な骨穴に嵌入することが可能になる。
【0060】
様々な事例では、プーリペグ108の最も内側の部分とボタンヘッド102の内側部分(例えば、開口部130を形成する部分)とが連続面132を共有する。換言すると、開口部130を形成するボタンヘッド102の内面がプーリペグ108内まで直に連続する。このことは、開口部130とプーリペグ108の端部120および122との間に下面110上の空間が存在するのとは対照的である。開口部130とプーリペグ108の端部120および122との間にある当該空間を除くことは、縫合糸と腓骨ボタン100Cとの間の摩擦を増大させるおそれがある縁部を除くのに有用である。
【0061】
いくつかの態様では、提供されている腓骨ボタンのボタンヘッドの下面はボタンヘッドの開口部につながる面取りされた面を含んでもよい。例えば、
図1Eは、ボタンヘッド102の下面110が、開口部130につながっている面取りされた面140を含む腓骨ボタンの例100Dを示す。面取りされた面140はボタンヘッド102と、開口部130を通って動く縫合糸との間の摩擦を抑えるのを補助することができる。
【0062】
図2Aおよび
図2Bは腓骨ボタンの例100Aの側面図をそれぞれ示し、これらは互いに対して90度回転している。より詳細に後述されるように、プーリペグ108は縫合糸(例えば、複数の縫合糸ストランドおよび/または1つの縫合糸ストランドの複数の部分)を固定するように構成されている。例えば、
図2Bでは、縫合糸ストランドの両方の自由端が腓骨ボタン100Aから引き離されるときに、プーリペグ108によって縫合糸ストランドを固定するように、縫合糸ストランドの自由端が開口部114の一方の側から入って開口部114の他方の側から出ることができる。本開示の他の態様では、プーリペグ108は、1つ以上の縫合糸ストランドをプーリペグ108によって固定することを可能にする、下面110から外向きに延びる他の適切な形状をとってもよい。例えば、
図2Cはプーリペグ208を含む腓骨ボタンの例200を示す。プーリペグは、クロスバー204によって接続されている2つの脚部202Aおよび202Bを含む。いくつかの事例では、脚部202A,202Bおよびクロスバー204は単一の一体部品であってもよい。他の事例では、クロスバー204は脚部202Aと脚部202Bとに接続されてもよい。
【0063】
腓骨ボタンの例100A,100Bまたは100Cを、生体物質と長期間接触することができるあらゆる適切な医療グレード材料から構成してもよい。例えば、腓骨ボタン100A,100Bまたは100Cをニチノールで構成してもよい。
【0064】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは脛骨ボタンの例300Aの斜視図、上面図および側面図をそれぞれ示す。脛骨ボタン300Aは開口部308を有する支持部302を含む。支持部302は、脛骨ボタン300Aの設置の際に縫合糸と支持部302との間の摩擦を抑える曲面を含んでもよい。これに加えて、脛骨ボタン300Aの設置の間にわたって縫合糸ストランドが動くための1つの開口部308が支持部302に含まれることで、異なる縫合糸ストランドまたは1つの縫合糸ストランドの異なる部分に用いられる複数の開口部を有する一般的な縫合ボタンと比較して、縫合糸と脛骨ボタン300Aとの間の摩擦を抑えるのを補助することができる。ウイング304は支持部302から脛骨ボタン300Aの先端310まで延びる。ウイング306は支持部302から脛骨ボタン300Aの面取りされた端部312まで延びる。ウイング304および306は支持部302に対して様々な適切な長さを持ってもよい。
【0065】
様々な事例では、脛骨ボタン300Aが展開されるまでウイング306が摺動したり、その他、ボタン挿入器具先端部から離れたりしないようにボタン挿入器具先端部と係合するようにウイング306を構成してもよい。例えば、ウイング306は凹所314A,314Bを含んでもよい。ウイング306は凹所314A,314Bを片側に含んでも両側(例えば、図示されていない反対側)に含んでもよい。ウイング306がボタン挿入器具先端部内でスライドするときに、ボタン挿入器具に対する脛骨ボタンの側方の動き(例えば、脛骨ボタン300Aの長軸に垂直な動き)が妨げられるように、ウイング306の凹所が設けられていない1つ以上の部分がボタン挿入器具先端部の1つ以上の凹所に対応してもよい。
【0066】
ウイング306の面取りされた端部312は角度316で面取りされた面を含む。様々な例では、角度316は30度に等しくてもよい。他の例では、ウイング306は15~60度などの別の適切な角度316で面取りされてもよい。例えば、
図3Dは45度の角度316で面取りされた端部312を有するウイング306を有する脛骨ボタンの例300Bを示す。面取りされた端部312が本開示で開示されている脛骨ボタンに対して奏することができる効果は
図6A~6Dに関連してより詳細に説明される。
【0067】
図3A~3Dに図示されている例などの様々な例では、支持部302と、支持部302を貫通する開口部308とをウイング304および306との間の中央に配置してもよい。他の例では、支持部302および/または開口部308をウイング304および306との間の中央からずらして配置してもよい。例えば、
図3Eは、ウイング304および306の軸線320からずれている中心線を持つ支持部302および開口部308を有する脛骨ボタンの例300Cを示す。設置の際に脛骨ボタン300Cが転回して定位置に配置されることを補助するように、支持部302および開口部308の中心線をウイング306の長い側(例えば、面取りされた端部312に起因して長い)の方にずらしてもよい。このことはより詳細に後述される。他の例では、開口部308がセンタからずれている一方で、支持部302がセンタに配置されてもよい。いくつかの事例では、ウイング304の長さとウイング306の長さとが等しくなるように、支持部302および開口部308を軸線320に沿って中央に配置してもよい。他の事例では、支持部302および/または開口部308が軸線320に沿って中央からずれてもよい。支持部302が軸線320に沿って中央からずれている場合、ウイング304かウイング306かのいずれかの長さが他方の長さよりも長くてもよい。
【0068】
脛骨ボタンの例300A,300Bまたは300Cを、生体物質と長期間接触することができるあらゆる適切な医療グレード材料から構成してもよい。例えば、脛骨ボタン300A,300Bまたは300Cをニチノールで構成してもよい。
【0069】
以降の開示では腓骨ボタンの例100Aと脛骨ボタンの例300Aとについて記載する。ただし、以降の開示を腓骨ボタンの例100Bおよび100C、脛骨ボタンの例300Bおよび300Cにも同様にあてはめることができ、その他一切の適切な腓骨ボタンおよび/または脛骨ボタンが本開示と矛盾しない。
【0070】
いくつかの事例では、提供されている腓骨ボタン100Aおよび/または提供されている脛骨ボタン300Aを針と引き抜き縫合糸とによる手技と共に用いてもよい。他の事例では、患者に設置するために腓骨ボタン100Aおよび/または脛骨ボタン300Aを展開するボタン挿入器具と共に腓骨ボタン100Aおよび/または脛骨ボタン300Aを用いてもよい。外科処置において腓骨ボタン100Aを脛骨ボタン300Aと共に用いてもよい。これの代わりに、外科処置において腓骨ボタン100Aと脛骨ボタン300Aとを互いに独立させて用いてもよい。例えば、腓骨ボタン100Aを脛骨ボタン300Aとは異なる適切なアンカーや縫合ボタンと共に用いてもよい。別の事例では、脛骨ボタン300Aを腓骨ボタン100Aとは異なる適切なアンカーや縫合ボタンと共に用いてもよい。
【0071】
図4Aは本開示で開示されている腓骨ボタン100Aおよび/または脛骨ボタン300Aならびに方法と共に用いることができるボタン挿入器具の例400を示す。ボタン挿入器具の例400はハンドル402、支持突出部404、トリガ406、シャフト414、押出しロッド408、弾性部材412(例えばばね)およびボタン展開部430を含んでもよい。ボタン展開部430は縫合糸ボラード410とボタンポスト416とを含んでもよい。本例では、脛骨ボタン300Aがシャフト414と取り外し可能に係合する。例えば、ボタン300Aが回転および側方方向に関して束縛されるように、脛骨ボタン300Aの一部を脛骨をシャフト414の端部にある挿入先端部432内に配置してもよい。これについては
図6A~
図6Dに関連してより詳細に説明される。図示されているボタン挿入器具の例400の装着(ロード)済みの構成では、脛骨ボタン300Aを縫合糸418の張力によってボタン挿入器具400の長軸に沿って定位置に固定することができる。いくつかの例では、押出しロッド408はボタン展開部430からシャフト414の内側を通って延びて、脛骨ボタン300Aに当接する。
【0072】
縫合糸418は可撓性の材料であってもよく、例えば、縫合糸であっても縫合糸テープであってもよい。いくつかの事例では、縫合糸418は、腓骨ボタン100Aを脛骨ボタン300Aに結合させるように配置される縫合糸の単一のストランドであってもよい。他の事例では、縫合糸418は、腓骨ボタン100Aを脛骨ボタン300Aに結合させるように配置される縫合糸の複数のストランドであってもよい。少なくとも1つの事例では、縫合糸418は調節可能なループであることが可能であるし、調節不能なループであることも可能である。少なくとも1つの事例では、縫合糸418、脛骨ボタン300Aおよび腓骨ボタン100Aの組み合わせは調節可能な結び目のないボタン/ループ構造であることが可能である。結び目のないボタン/ループ構造は自縛(self-locking)構造であってもよい。
【0073】
ボタン挿入器具の例400の装着(ロード)済みの構成では、腓骨ボタン100Aを縫合糸418の張力によってボタンポスト416に寄せつけて保持することができる。展開前に縫合糸418を縫合糸ボラード410に巻くことができる。外科医やその他一切の適切なヘルスケア提供者が脛骨ボタン300Aを第1の骨および第2の骨(例えば腓骨および脛骨)のトンネルに通して挿入するのにボタン挿入器具の例400を用いることができ、図示されている矢印の方向にトリガ406を動かすことによって脛骨ボタン300Aを展開することができる。ボタン挿入器具400を平行移動させて患者から離すことによって腓骨ボタン100Aを展開することができる。その後、展開された腓骨ボタン100Aおよび脛骨ボタン300Aを設置するように縫合糸418に張力をかけて固定することができる。
【0074】
ボタン挿入器具400の代替例として、
図4Bは本開示で開示されている腓骨ボタン100Aおよび/または脛骨ボタン300Aならびに方法と共に用いることができるボタン挿入器具の例440を示す。ボタン挿入器具の例440はハンドル442、支持突出部444、トリガ446、内部ロッド508(
図5)、弾性部材512(
図5)、シャフト452およびボタン展開部530(
図5)を含む。ボタン展開部530は縫合糸ボラード448とボタンポスト450とを含んでもよい。本例では、上述のボタン挿入器具の例400を用いるのと同じ仕方や類似の仕方で脛骨ボタン300Aがシャフト414の挿入先端部432と取り外し可能に係合する。ボタン挿入器具の例440はボタン挿入器具の例400と同様に構成されている。使用者は図示されている矢印の方向にトリガ446を引くことによってトリガ446を動かして脛骨ボタン300Aを展開させることができる。ボタン挿入器具440を平行移動させて患者から離すことによって腓骨ボタン100Aを展開することができる。
【0075】
図5Aはボタン挿入器具の例440の一部の上面図を示す。腓骨ボタンの例100が縫合糸418の張力によってボタンポスト450に寄せつけられて保持される。いくつかの例では、ボタンポスト450は図示されているように2つの別々のポストを含み、これらの間にプーリペグ108用いられる適切な空間がある。これにより、縫合糸418の自由端が開口部106を通して引っ張られることも可能にしつつ、縫合糸418がプーリペグ108によって固定されることが可能になる。
【0076】
図5Bはボタン挿入器具400または440の挿入先端部の例432の断面正面図を示す。挿入先端部432は第1の端部504Aと第2の端部504Bとの間にあるスリット502を含んでもよい。脛骨ボタン300Aがスリット502内に配置されると、脛骨ボタン300Aがその長軸まわりに回転することが防止される。いくつかの事例では、第1の端部504Aは凹所506を含んでもよい。脛骨ボタン300Aのウイング306を挿入先端部432内に挿入することができるように、凹所506は脛骨ボタン300Aの凹所が設けられていない部分(例えば
図3Aを参照)に対応してもよい。すなわち凹所が設けられていない部分に揃えられてもよい。例えば、凹所506の形状は図示されているような丸い断面、四角い断面やその他適切な形状であってもよい。したがって、脛骨ボタン300Aのウイング306の凹所が設けられていない部分が挿入先端部432の凹所506内に配置されることによってボタン挿入器具400または440の短軸に沿って脛骨ボタン300Aが側方に動くことが防止される。脛骨ボタン300Aのウイング306が凹所314Aおよび314Bを両側に含む事例では、挿入先端部432の第2の端部504Bも凹所を含んでもよい。これに加えて、脛骨ボタン300Aがその短軸まわりに回転することが挿入先端部432の凹所506によって防止される。
【0077】
ボタン挿入器具400および440は、腓骨ボタン100Aおよび/または脛骨ボタン300Aを展開するのに用いることができるボタン挿入器具の例にすぎないことが当然分かる。腓骨ボタン100Aおよび/または脛骨ボタン300Aを展開するのに、本記載で説明されているような腓骨ボタン100Aおよび/または脛骨ボタン300Aの効果と矛盾しないあらゆる適切なボタン挿入器具を用いてもよい。
【0078】
図6Aおよび
図6Bはボタン挿入器具(例えばボタン挿入器具400)の挿入先端部432内に装着(ロード)された脛骨ボタン300Aの互換構成の斜視側面図を示す。
図6Aに示されている構成600Aでは、面取りされた端部312が第1の方向(例えばページの上の方)に向く状態になるように脛骨ボタン300Aが挿入先端部432内にある状態で配置されている。
図6Bに示されている構成600Bでは、面取りされた端部312が第1の方向(例えばページの下の方)の反対方向に向く状態になるように脛骨ボタン300Aが挿入先端部432内に配置されている。構成600Aおよび600Bの各々では、面取りされた端部312が縫合糸418の方に向いている。面取りされた端部312が縫合糸418の方に向くことで、脛骨ボタン300Aが展開された後に脛骨ボタン300Aが所望の方向に転回して定位置に配置され易くすることが補助される。例えば、構成600Aでは、脛骨ボタン300Aが展開されると、矢印602の方向に転回する。これとは逆に、構成600Bでは、脛骨ボタン300Aが展開されると、矢印604の方向に転回する。
【0079】
構成600Aか構成600Bかのいずれかでは、脛骨ボタン300Aの構成により、縫合糸418が挿入先端部432およびボタン挿入器具シャフトの側部の方にあることが可能になり、縫合糸418がボタン挿入器具シャフトや脛骨ボタン300Aそのものに巻きつかない。これに加えて、脛骨ボタン300Aが完全に挿入されたときに脛骨ボタン300Aと挿入先端部432との間に隙間606が残るように脛骨ボタン300Aおよび挿入先端部432を構成してもよい。隙間606は放射線を透過し、したがって、X線での可視化が可能である。脛骨ボタン300Aを展開する前にボタン挿入器具をどの程度挿入しなければならないのかを外科医が差配するのを隙間606によって補助することができる。
【0080】
図6Cおよび
図6Dは展開される際に転回して定位置に配置される脛骨ボタン300Aの例を示すための構成600Bをさらに示す。
図6Cはボタン挿入器具の例400の押出しロッド408が平行移動して挿入先端部432から脛骨ボタン300Aを押し出すことを示す。例えば、ボタン挿入器具400のトリガ406を動かすことで、押出しロッド408を平行移動させることができる。様々な事例では、トリガ406を押し切ると、押出しロッド408が挿入先端部432の端面を越えて延びることができ、これにより、脛骨ボタン300Aがボタン挿入器具400から完全に分離されて、挿入先端部432から完全に押し出されることを確実に行なうのを補助することができる。脛骨ボタン300Aの設置に組織(例えば皮膚)を押すことが必要である場合に、脛骨ボタン300Aがボタン挿入器具400から完全に分離されることを確実に行なうことで、より容易な展開を可能にすることができる。これに加えて、脛骨ボタン300Aに当接する押出しロッド408の端面が面取りされた端部312の最も近い部分にだけ当接するように、当該端面が図示のように平坦であってもよい。押出しロッド408の平坦な端面と脛骨ボタン300Aの面取りされた端部312との間に空間があることで、脛骨ボタン300Aが回転すなわち転回するための空間が与えられる。
【0081】
脛骨ボタン300Aが挿入先端部432から完全に押し出されると、縫合糸418の張力によって脛骨ボタン300Aが縫合糸418の側に(例えば、矢印604の方向に)転回するようになる。脛骨ボタン300Aの面取りされた面312と、押出しロッド408と面取りされた面312との当接が最小であることとは、縫合糸418の側の方に脛骨ボタン300Aを転回し易くすることに有用である。脛骨ボタン300Aが所望の方向または目的の方向に転回し易くすることで、脛骨ボタン300Aが意図しない方向に転回すること(これによって、縫合糸418が絡まったり挟まった状態になったりすることを引き起こす可能性があるおそれがある)によって生じるおそれがある外科処置中の煩雑さを低減するのを補助することができる。また、本開示の提供されている転回容易化により、脛骨ボタン300Aが挿入先端部432のきわめて近くで転回することが可能になり、これにより、脛骨ボタン300Aを展開するし易さを向上させることができる。
図6Dは転回された脛骨ボタン300Aを示す。
【0082】
説明されているように、2つの骨を共に固定するのに縫合糸-ボタン手技の一部として腓骨ボタン100Aと脛骨ボタン300Aとを利用することができる。例えば、足首靭帯結合修復方法(足首骨折の有無にかかわらない)は患者の腓骨と脛骨を貫通する骨穴の穿孔を含んでもよい。ボタン挿入器具(例えばボタン挿入器具400)に脛骨ボタン300Aと腓骨ボタン100Aとを装着(ロード)することができる。外科医はボタン挿入器具により脛骨ボタン300Aを骨穴を通して送ることができる。
図7はボタン挿入器具400により腓骨の骨702および脛骨の骨704の骨穴706に通されて送られる脛骨ボタン300Aを示す。脛骨ボタン300Aを腓骨ボタン100Aに縫合糸418によって結合させる。その後、外科医がボタン挿入器具400のトリガ406を動かしてから、ボタン挿入器具400を平行移動させて患者から離すなどによって、脛骨ボタン300Aと腓骨ボタン100Aとを展開することができる。いくつかの事例では、まず脛骨ボタン300Aが展開してもよく、その後、脛骨ボタン300Aが所定の位置に位置した後に腓骨ボタン100Aを展開させてもよい。
【0083】
展開されると、脛骨ボタン300Aは上述されているように転回して脛骨の骨704の表面に当接する。外科医は骨穴706からボタン挿入器具400を抜くことができる。外科医は縫合糸418に張力をかけて(例えば、調節可能構造を締めつける)、腓骨ボタン100Aを位置決めし、腓骨ボタン100Aを腓骨の骨702の外側面に寄せつけて固定することができる。脛骨ボタン300Aおよび腓骨ボタン100Aが所定の位置に位置した後、縫合糸418を結び目によって固定したり、結び目のないボタン-ループ構造を介して固定したりするなどすることができる。縫合糸418の自由端を切り落として余計な物を取り除くことができる。
図8は設置された腓骨ボタン100Aおよび脛骨ボタン300Aが縫合糸418によって結合され、脛骨の骨704に腓骨の骨702を固定している様子を示す。腓骨ボタン100Aのプーリペグ108が完全に骨穴706内にあり、これにより、腓骨の骨702の表面からは腓骨ボタン100Aのボタンヘッド102しか突出しないことが可能になる。いくつかの事例では、縫合糸418の結び目を腓骨ボタン100Aの開口部106内に配置することができる。
【0084】
本明細書に開示された例および実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。説明した基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明で具体的に開示された実施形態の様々な修正および改善は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、記載された様々な実施形態の特徴の任意の適切な組み合わせが企図される。
【国際調査報告】