(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】身体部分用の緊締装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/132 20060101AFI20230920BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61B17/132
A61L2/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515664
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2021066864
(87)【国際公開番号】W WO2022053193
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】102020123496.1
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516142045
【氏名又は名称】カイムテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kimetec GmbH
【住所又は居所原語表記】Gerlinger Str. 36-38, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア キルヒナー
(72)【発明者】
【氏名】ハンスイェアク キルヒナー
(72)【発明者】
【氏名】カロリーネ イーレ
【テーマコード(参考)】
4C058
4C160
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB06
4C058KK02
4C160DD05
4C160DD43
4C160MM22
(57)【要約】
本発明は、身体部分用の緊締装置、特に静脈止血帯であって、バックルハウジング(2)と緊締バンド(3)とを備え、バックルハウジング(2)内に、下側を底壁(27)によって、側部を2つの側壁(26,26’)によって、かつ上側をカバー壁(24)によって画定されていて、長手方向に延びる貫通路(230)が形成されており、緊締バンド(3)は、緊締バンドの一方の端部である後側の端部に固定された係止シュー(5)を用いて、バックルハウジング(2)の後方の区分に解除可能に係止されておりまたは係止可能であり、他方の端部で、サイズ可変のループ(31)を形成するために後側から貫通路(230)を貫いて案内されておりまたは案内可能であり、かつ収容された身体部分のサイズに応じて、クランプ手段を用いて、特にバックルハウジング(2)内で旋回支持機構に旋回可能に支持されたロッカ(4)を用いてクランプ可能である、緊締装置に関する。有利な使用特性は、緊締バンド(3)が、天然ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)のようなゴム弾性材料から、またはシリコーンから製造されていることによって得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体部分用の緊締装置、特に静脈止血帯であって、バックルハウジング(2)と緊締バンド(3)とを備え、前記バックルハウジング(2)内に、下側を底壁(27)によって、側部を2つの側壁(26,26’)によって、かつ上側をカバー壁(24)によって画定されていて、長手方向に延びる貫通路(230)が形成されており、前記緊締バンド(3)は、該緊締バンドの一方の端部である後側の端部に固定された係止シュー(5)を用いて、前記バックルハウジング(2)の後方の区分に解除可能に係止されておりまたは係止可能であり、他方の端部で、サイズ可変のループ(31)を形成するために後側から前記貫通路(230)を貫いて案内されておりまたは案内可能であり、かつ収容された身体部分のサイズに応じて、クランプ手段を用いて、特に前記バックルハウジング(2)内で旋回支持機構に旋回可能に支持されたロッカ(4)を用いてクランプ可能である、緊締装置において、
前記緊締バンド(3)は、天然ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)のようなゴム弾性材料から、または特にシリコーンから製造されていることを特徴とする、緊締装置。
【請求項2】
前記緊締バンド(3)は、平滑化されたかつ/または硬化させられた表面を有することを特徴とする、請求項1記載の緊締装置。
【請求項3】
表面平滑化および表面硬化は、前記緊締バンドが製造されるゴム弾性バンド、特にシリコーンバンドのフッ化物処理によって行われていることを特徴とする、請求項2記載の緊締装置。
【請求項4】
前記緊締バンド(3)は、長方形の横断面を有し、前記緊締バンド(3)の幅は、10~40mm、好ましくは20~30mmであり、前記緊締バンド(3)の厚さは、0.8~3mm、好ましくは1~2.5mmであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の緊締装置。
【請求項5】
バンド上面(32)および/またはバンド下面(33)は、減摩性のレリーフ状の構造を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の緊締装置。
【請求項6】
前記緊締バンド(3)は、その伸長時に変化するマーキングを備え、該マーキングによって、前記緊締バンド(3)の、緊縛に相当する緊締状態が認識可能であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の緊締装置。
【請求項7】
前記緊締バンド(3)は透明であり、特にUV範囲における放射線に対しても透明であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の緊締装置。
【請求項8】
前記バックルハウジング(2)は、UV放射線に対して、特にUVC放射線に対して透明であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の緊締装置。
【請求項9】
前記貫通路(230)内で壁区分のまたは場合により設けられているロッカ(4)の、バンド上面(32)および/またはバンド下面(33)に向けられた面のうちの少なくとも1つの面に、前記バックルハウジング(2)の長手方向に延びる突出したリブ状の滑り構造が配置されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の緊締装置。
【請求項10】
前記ロッカ(4)の下面は、後側に向かって前記旋回支持機構の後方に配置された後側の区分において、前記底壁(27)の上面にばねアセンブリを用いて支持されており、該ばねアセンブリによって前記ロッカ(4)は、前記ループ(31)の無負荷時に、クランプしない休止位置にもたらされていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の緊締装置。
【請求項11】
前記ばねアセンブリは、前記ロッカ(4)に一体成形された、前記底壁(27)に向かって突出している戻しばね(44)として形成されていることを特徴とする、請求項10記載の緊締装置。
【請求項12】
前記緊締バンド(3)は、前記係止シュー(5)とは反対側の他方の端部である前側の端部に、保持部として形成された終端片(6)を備えることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の緊締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体部分用の緊締装置、特に静脈止血帯であって、バックルハウジングと緊締バンドとを備え、バックルハウジング内に、下側を底壁によって、側部を2つの側壁によって、かつ上側をカバー壁によって画定されていて、長手方向に延びる貫通路が形成されており、緊締バンドは、緊締バンドの一方の端部である後側の端部に固定された係止シューを用いて、バックルハウジングの後方の区分に解除可能に係止されておりまたは係止可能であり、他方の端部で、サイズ可変のループを形成するために後側から貫通路を貫いて案内されておりまたは案内可能であり、かつ収容された身体部分のサイズに応じて、クランプ手段を用いて、特にバックルハウジング内で旋回支持機構に旋回可能に支持されたロッカを用いてクランプ可能である、緊締装置に関する。
【0002】
このような緊締装置は、欧州特許第1458296号明細書に記載されている。身体部分用のこの公知の緊締装置では、底壁と、2つの側壁と、上側におけるカバー壁とを有するバックルハウジング内に、バックルハウジングの後側および前側で開放した、緊締バンドのための貫通路が形成されている。緊締バンドは、その後方の端部に係止シューを備えていて、この係止シューを介して、バックルハウジングの後方の区分に解除可能に係止可能であり、緊締バンドの前方の端部は、バックルハウジングの後側から、サイズ可変のループを形成しながら貫通路を貫いて案内されており、これによって、緊締すべき身体部分がループ内に収容可能であり、例えば静脈の血流を止めるために必要な緊縮を伴って緊締可能である。緊締バンドは、取扱い者によって調整された緊縮状態下で、バックルハウジングにおいてロッカを用いて、バックルハウジングに一体成形された中間壁にクランプされ、緊縮状態を解除するために、ロッカの操作によってループを拡大して解放することができる。係止シューの解除によって、係止シューをバックルハウジングから引き出し、ループを完全に開放することができる。処置を受ける人の観点からも、本来の処置行為に集中することが必要な使用者の観点からも、衛生に関する高い要求も含める必要がある緊締装置の可能な限り良好な機能性が極めて重要となる。
【0003】
上述したものと基本構造が類似している緊締装置は、欧州特許第0633747号明細書にも開示されている。
【0004】
また、特に単回使用に適した、簡単に製造可能で安価な緊締装置、特に静脈止血帯として形成された緊締装置が、欧州特許第3068314号明細書に開示されている。この緊締装置の緊締バンドは、簡単なロック装置、特にベルクロファスナを備えていて、そのために、ベルクロファスナのためのループを形成し、かつ例えばスリング織布またはスパンフリースを含む、つまり糸または毛から形成されたフリース材料から成っており、適切な材料としては、ビスコース、ポリエステルまたはポリプロピレンが挙げられる。このような材料は、柔軟でありかつ固有弾性を有している。
【0005】
独国特許出願公開第4412832号明細書には、止血カフとしてまたは血圧カフとして形成されていてよいオートクレーブ処理可能なカフが開示されている。この構成では、平らなベースに、細長く延在するループとして形成されたコアが接着されており、ベースとコアとは、蒸気滅菌によって滅菌可能な材料、例えばシリコーンから成っている。特にベースは、コアよりも硬質のシリコーン材料から成っている。緊締バンドのこのような多層構造は、可能な限りコンパクトでかつ片手で簡単に取り扱うことができるバックルハウジングを備えた静脈止血帯に対して幾つかの欠点がある。
【0006】
欧州特許出願公開第0566036号明細書に開示された、身体部分用の緊締装置、特に静脈止血帯では、緊締バンドがバックルハウジングを貫いて案内されていて、バックルハウジング内で、身体部分に接触して緊縮した状態で、軸を中心にして旋回可能に支持されたロッカを用いて、ハウジング壁にクランプされる。ロッカは、ハウジング内に不動に保持された軸に旋回可能に支持されているだけではなく、長手方向で一定範囲移動可能にも案内されている。軸に支持されているばねは、ロッカの曲げられた脚に作用し、ロッカを開放位置に押圧しようとする。緊締装置の使用時に、ロッカは緊締バンドにおける緊締張力に基づいて、ばねの力に抗して、開放位置とは反対側のロッカ位置に引っ張られる。緊締バンドを解除して開放するために、ロッカは、同時に係止ロックの一部をも形成している押しボタンに手動で解除圧を加えることによって、そのクランプ位置から解除位置に旋回させられる。押しボタンに対する手動の解除圧を一時的に中断した後で、ばねはロッカをさらに開放位置に移動させることができ、その後で係止ロックを開放することができ、ひいては緊締バンドによって形成されたループを開放することができる。バックルハウジングは、この特別な機能機構に繊細に適合させられた構成特徴を有しており、緊締の解除もループの開放も共に、押しボタンに対する手動操作によって行われる。そして、ばねは、ロッカを移動させるために働き、ロッカの旋回は、緊締バンドを介したクランプのために行われ、かつ押しボタンを介した解除および開放のために行われる。緊締バンドの構造に関しては、詳細な記載はなされていない。
【0007】
本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態の身体部分用の緊締装置、特に静脈止血帯として構成された緊締装置を改良して、処置を受ける人の観点からも、使用者の観点からも、最適化された機能特性を有する緊締装置を提供することである。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有する緊締装置によって解決される。本発明では、前提部に記載した特徴を有する緊締装置、特に静脈止血帯において、緊締バンドが、天然ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)のような弾性材料から、または特にシリコーンから、つまりシリコーンバンドとして製造されていることが特定されている。本発明者らが見出したように、このようにゴム弾性に形成された緊締バンド、特に一体の、好ましくは中実形材として形成されたシリコーンバンドは、緊締装置の機能性に対して、バックルハウジングと協働させた取扱いのためにも、緊締すべき身体部分の皮膚の周りへの密着性および緊縛を調整するためのある程度の弾性、さらには、衛生に関する特性に基づいても大きな利点を有している。緊締バンドは、1つには、バックルハウジング内および手中における無負荷状態での良好な滑り特性(低摩擦)に基づいて良好に案内可能であり、もう1つには、バックルハウジングの貫通路内で、一貫したゴム弾性に基づいて、バンド材料に係合するロッカおよび/またはハウジング構造を用いて良好にクランプ可能である。一体の構造、特に中実形材としての構造は、構造、機能および取扱いのために有利である。
【0009】
緊締バンドは、平滑化されたかつ/または硬化させられた表面を有することが特定されていると、処置を受ける人の皮膚においても、バックルハウジング内における移動時においても、改善された滑り特性が得られる。それというのは、摩擦(特に静摩擦、しかし滑り摩擦も)が低減されるからである。緊締バンド、特にシリコーンバンドまたはTPEバンドの表面の平滑化および/または硬化には、これらの特性を決定する添加物の導入によって、または例えばUV放射線による処理によっても、良好な影響を及ぼすことができる。このとき、バックルハウジングの材料および構造への適合も可能であり、最適化を実用試験またはシミュレーションによって行うことができる。
【0010】
平滑化されかつ硬化させられた表面を得るための有利な処理は、例えば、表面平滑化および表面硬化が、緊締バンドが製造されるゴム弾性のバンド、特にシリコーンバンドのフッ化物処理によって行われていることにある。
【0011】
製造および機能のためには、(特に一体の、好ましくは中実形材として形成された)緊締バンドは、長方形の横断面を有し、緊締バンドの幅は、10~40mm、好ましくは20~30mmであり、緊締バンドの厚さは、0.8~3mm、好ましくは1~2.5mmである装置がさらに有利である。
【0012】
良好なグリップ特性と同時に良好な滑り特性(少ない摩擦影響)を得るためには、バンド上面および/またはバンド下面は、減摩性のもしくは低摩擦のレリーフ状の構造を備えることによってさらに有利になる。良好な滑り特性は、緊締バンドと、バックルハウジングにおける、緊締バンドに向けられた面領域との間の接触面もしくは摩擦面を減少させながら得られるもしくは維持される。グリップ性および滑り能もしくは少ない摩擦(これらは互いに接触する接触面領域のマイクロ構造とより多く関係する)は、試験を通して経験的に最適化することができる。
【0013】
取扱い者が、緊締バンドのループを介して、緊締すべき身体部分に加えられる緊縮状態を簡単に監視できるようにするために、有利には、緊締バンドは、その伸長時に変化するマーキングを備え、マーキングによって、緊締バンドの、緊縛に相当する緊締状態が認識可能であることが特定されている。
【0014】
衛生に関する要求を満たすために、有利には、緊締バンドは透明であり、特にUV範囲における放射線に対しても透明であることが特定されていてよく、緊締バンドは、特に衛生に関する理由から、特にUVC範囲において透明であることが有利である。
【0015】
相応に、バックルハウジングが、UV放射線に対して、特にUVC放射線に対して透明であるという処置も、緊締装置の有利な衛生に関する処置に貢献する。それというのは、バックルハウジングにおける、洗浄液もしくは機械的な洗浄手段によってアクセスすることが困難な箇所においても、ウィルス、バクテリア、真菌およびその他の有害物質のような有害な細菌にUV放射線が達し、これらを無害化することができるからである。
【0016】
さらにUV放射線は、特に透明度の認識可能な変化または色効果の結果として、意図的な老化を生じさせるために利用することができ、これによって、既に古くなった緊締装置を排除することができる。
【0017】
バックルハウジングの貫通路内における緊締バンドの好適な滑り特性を得るためには、さらに、貫通路内で壁区分のまたは場合により設けられているロッカの、バンド上面および/またはバンド下面に向けられた面のうちの少なくとも1つの面に、バックルハウジングの長手方向に延びる突出したリブ状の滑り構造が配置されていることが、有利に特定されている。これによって、緊締バンドと、バックルハウジング内の、緊締バンドに向けられた作用面との間における不都合な大きな摩擦面が回避される。
【0018】
機能および取扱いのためにはさらに、ロッカの下面が、後側に向かって旋回支持機構の後方に配置された後側の区分において、底壁の上面にばねアセンブリを用いて支持されており、ばねアセンブリによってロッカは、ループの無負荷時に、クランプしない休止位置にもたらされている処置が有利である。このように構成されていると、緊締バンドを、緊縮状態が解除された場合に、バックルハウジング内で容易に移動させることができ、これによって、例えば適切なループサイズを予め調整すること、またはバックルハウジングを緊締バンドに対して相対的に、例えば接触、取外しまたは保管のために所望の位置にもたらすことができる。
【0019】
このような構成において有利な構成では、ばねアセンブリは、ロッカに一体成形された、底壁に向かって突出している戻しばねとして形成されている。
【0020】
例えば保管のような取扱いのための利点は、さらに、緊締バンドが、係止シューとは反対側の他方の端部である前側の端部に、保持部として形成された終端片を備えることによって得られる。
【0021】
次に本発明を、図面を参照しながら実施例を用いてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】バックルハウジングを貫いて案内されていてループを形成する緊締バンドを備えた緊締装置を示す斜視図である。
【
図2B】
図2Aの断面線A-Aに沿って切断された緊締装置の側面図である。
【
図2C】
図2Bに示した緊締装置のバックルハウジングの一部の領域Zを拡大して示す図である。
【
図3A】バックルハウジングを後側から、斜め下から見た斜視図である。
【
図3B】バックルハウジングを後側から見た図である。
【
図3C】バックルハウジングを上から見た図である。
【
図4A】緊締バンドをクランプするためにバックルハウジング内に挿入可能なロッカを示す平面図である。
【
図4B】
図4Aに示したロッカを、斜め前方上側から見た斜視図である。
【
図4C】
図4Aに示したロッカを、斜め前方下側から見た斜視図である。
【
図4D】
図4Aに示したロッカを、断面線B-Bに沿って断面した横断面図である。
【
図4F】
図4Eに示した断面線A-Aに沿った、ロッカの縦断面図である。
【0023】
図1には、主要な構成部分を備えた緊締装置1のための1つの実施例が、斜め前方上側から見た斜視図で示してあり、この緊締装置1の主要な構成部分は、バックルハウジング2と、バックルハウジング2に旋回可能に支持されたロッカ4と、緊締バンド3とであり、この緊締バンド3は、バックルハウジング2の内部でその後側と前側とが開放している貫通路を長手方向で貫いて案内されていて、サイズ可変のループ31を形成しながら係止シュー5でバックルハウジング2の後側の区分に解除可能に係止されている。緊締バンド3はその後側(後方)の端部もしくは端区分で係止シューに固定されていて、ループ31を形成しながら、バックルハウジング2の後側から、後側で開放している貫通路を貫いて、ロッカ4のロッカプレート(
図1には図示せず)の上で、バックルハウジング2と、ロッカ4の前側に設けられた貫通開口43とを長手方向で貫いて、バックルハウジング2から外に案内されている。緊締バンド3はその他方の前方の端部もしくは前端区分に、保持部として働く終端片6を備えている。
図1によれば、バックルハウジング2はその上側にカバー壁24を、両側部に側壁(
図1ではそのうちの1つだけしか見えない)を、かつ底壁(
図1ではほとんど見えない)を有しており、これらの壁は、貫通路を上側と、側部と、下側とで取り囲んでいる。
【0024】
バックルハウジング2における旋回支持機構に旋回可能に支持されたロッカ4を用いて、緊締バンド3は、ループ31の、
図1で見てバックルハウジング2の後側に隣接した区分を(力成分によって)下方に向かって引っ張ることによって、クランプすることができる。緊締バンド3の、ループ31から貫通路内に移行する区分を引っ張ることによって、ロッカ4の、旋回支持機構の後方に位置している区分は、下方に向かって旋回させられ、ロッカ4の、旋回支持機構の前側に配置された区分は、上方に向かって旋回させられ、ロッカ4を介して延びている緊締バンド3は、ロッカプレートの前側の部分によって、バックルハウジング2における緊締バンド3の上に不動に装着された対応受け(
図1では見えない)に押圧され、これによって、クランプされる。これによって、ループ内に収容された身体部分を緊締するために必要なループ幅を固定可能に調整することができる。それというのは、緊締バンド3の、バックルハウジング2の前側で外に案内された区分を引っ張ることによって、緊締すべき身体部分自体が、緊締バンド3の、バックルハウジング2の後側でロッカ4を介して走入している区分を、下方に向かって引っ張るからである。
【0025】
ロッカ4の前側の区分には、ロッカプレート41に一体成形された操作区分42が設けられており、この操作区分42は、ロッカプレートと操作区分42との間の前側に位置している移行領域から、凸面状の湾曲下で上方に向かって、バックルハウジング2のカバー壁24の前側領域に一体成形されていて、相応の輪郭を備えた切欠き内に後方で進入している。操作区分42を押圧することによって、ロッカプレートの、旋回支持機構の前に位置している前側の区分を用いて、上面32でバックルハウジング2の対応受けに押圧ひいてはクランプされる緊締バンド3を、調整して解除するもしくはクランプすることができる。これによって、ループ31はその幅(直径もしくは円周)が可変であり、これによって、緊締バンド3は、相応の緊縮状態での所望の緊縛下で、緊締すべき身体部分に固定可能である。係止シュー5を解除することによって、ループ31を完全に開放することができ、ひいては緊締装置1を、緊締すべき身体部分から取り外すことができ、また逆に、相応に予め選択されたループサイズが得られた場合にバックルハウジング2における係止シュー5の係止によって、ループ31を緊締すべき身体部分の周囲に接触させることができる。このとき、緊締バンド3のバンド上面32は、ループ31の、身体部分に向けられた内側を形成している。この構造およびこの機能は、冒頭に記載した欧州特許第1458296号明細書にも開示されている。
【0026】
【0027】
欧州特許第1458296号明細書およびさらに欧州特許第0633747号明細書にも開示された構成とは異なり、
図1および
図2A、
図2Bおよび
図2Cに示した本発明に係る緊締装置では、(特に一体にかつ好ましくは中実形材として形成された)緊締バンド3は、天然ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)のような弾性材料から、または特に好ましくはシリコーンから、(一体の)シリコーンバンドとして製造されている。このように形成された緊締バンド、特にシリコーンバンドは、本来、緊締装置1が、特に静脈止血帯としての形態で好適であるように、例えば10~40mm、好ましくは20mm~30mmの通常のバンド幅と、例えば0.8mm~3mm、好ましくは1mm~2.5mmのバンド厚さとを有している場合に、機能に関して有利な柔軟性と、さらに弾性、特にゴム弾性とを有している。これによって、緊締バンド3は、有利には、皮膚および皮膚表面の様々な周囲輪郭および組織特性にその形状を良好に適合させることができ、主としてシリコーンバンドとして、良好なしなやかさもしくは良好な触感特性をも有している。
【0028】
皮膚上における滑りおよびバックルハウジング2の内部における向けられた壁領域とロッカ4との滑りをも改善するために、シリコーンバンドとしてもしくはゴム弾性材料から製造された緊締バンド3は、全体的に、またはその上面32および/または下面33だけに、化学的処理、機械的処理もしくは物理的処理によって、平滑化され、かつ/または(その内部領域に対して)硬化させられている。このような平滑化および/または硬化は、例えば滑り特性および/または硬度に影響を及ぼす添加物を製造時に導入することによって、またはUV放射線による処理によって行われる。例えばこの処理はフッ化物処理である。バンド上面32および/またはバンド下面33は、追加的にグリップ特性を改善するレリーフ状の一体成形された構造を備えていることができ、このような構造は、使用者による取扱いのために、かつ処置を受ける人の感触のためにも、触覚に関して利点を提供し、さらにバックルハウジング2内における緊締バンド3の滑りと、バックルハウジング2内における緊締バンド3のクランプとのためにも利点をもたらす。(緊締バンドの無負荷状態または緊締バンドにほとんど負荷が加えられない状態での)改善された滑りには、減じられた接触面もしくは摩擦面によって、かつ緊締バンドとバックルハウジングの内部における、緊締バンドに向けられた面領域との間の表面構造によって影響を及ぼすことができる。バンド上面32およびバンド下面33は、良好で簡単なクリーニング性に関して平滑なまたはレリーフ構造化された構成で構成されており、これによって、衛生に関する高い要求を満たすことができる。
【0029】
有利には、緊締バンド3はマーキング70を備えていてよく、このように構成されていると、使用者は、緊締すべき身体部分に接触させられたループ31の緊縮状態を簡単に監視することができる。例えばマーキング70は、使用者に向けられたバンド上面32にエンボス加工されたまたはプリントされた幾何学模様から成っており、このような幾何学模様は、例えば緊締バンド3の長手方向に対して横方向に(直角に)延びる大きな直径を備えた楕円であり、この楕円は、必要な緊縛時に、ひいては、与えられたループ31の緊縮状態において、緊締バンド3の弾性に基づいて良好に認識可能な真円に変形する。(例えば正方形に変化する長方形のような)規定のマーキング変化を容易に認識することができる他の幾何学模様もまた適している。例えば、静脈止血帯におけるこのような得られた緊縮状態は、例えば上述した欧州特許第3068314号明細書に開示されているように、静脈血流を止めるために必要な5mmHg~40mmHg、例えば10mmHgまたは25mmHg未満の圧力に耐える緊縛に相当している。
【0030】
図2Aに平面図で示した緊締装置1から認識できるように、前側から凸面状に一定に湾曲しながら上方に向かって後方に湾曲したロッカ4の操作区分42は、貫通案内された緊締バンド3の長手方向およびバックルハウジング2の長手方向軸線に対して対称的な切欠き内に進入しており、このとき、ロッカ4の操作されていない休止状態では、操作区分42の上面とバックルハウジング2のカバー壁24とは、僅かな、しかしながら、感知可能な幅の中間間隙を介して、実質的に互いに面一に移行し合っている。相応に、バックルハウジング2の後方の区分に係止するように挿入された係止シュー5の、前側に向かって配置された縁部領域が、実質的に面一に、長手方向軸線に対して対称的な適合させられた切欠きを介して、カバー壁24の上面に移行している。この構成によって、緊締すべき身体部分における緊締装置1の、緊縮に即した調整された固定時もしくは緊締装置1の解除時および/または解放時の緊締装置1の有利な操作性が生じる。
【0031】
操作もしくは取扱いおよび保管に関する使用者の利点は、緊締バンド3の前方の端領域に取り付けられた終端片6の取付けによっても生じる。この終端片6は、例えば、バックルハウジング2からの緊締バンド3の意図しない引抜けを回避するためのストッパとして働き、例えば、
図2Aから分かるように、保管のための保持部として働くクランプ舌片および/または保持開口を備えている。緊締バンド3における終端片6の取付けは、例えば終端片6の後側に形成されたクランプ収容部(
図2B参照)を介して、かつ/または単独でまたは追加的に接着または溶接のような材料接続的な結合を介して行われる。
【0032】
図2Bと、
図2Bにおける領域Zの拡大図である
図2Cとがさらに示すように、緊締バンドは、上述したように、ループ31を形成しながら、後側から、ロッカプレート41の上面と、バックルハウジング2に一体成形された中間壁25の下面との間における、バックルハウジング2の内部に形成された貫通路230内に案内されており、前側では、貫通開口43を貫いて、ロッカプレート41の前側とロッカ4の操作区分42との間の移行領域で外に案内されている。中間壁25は、旋回支持機構の前に位置している前側の区分であって、ロッカ4の操作のための僅かな間隙を残して操作区分42の内側にまで延在している前側の区分における下面に、バックルハウジング2の長手延在方向に対して横方向に(好ましくは直角に)延びている前側の下縁部241の形態の保持構造を備えている。この下縁部241は、緊締バンド3の上面32に向かって突出していて、後側に向かっては乗上げ斜面および前側に向かっては急勾配の保持側面を形成しており、これによって、弾性のゴム状の緊締バンドは、ロッカ4の旋回下での中間壁への押付け時に、後側で導入されたループ区分3を下方に向かって引っ張ることで、進入している下縁部251が急勾配の前側側面を用いて引戻しに抗することによって固定されている。操作区分42への押圧によって、使用者は、緊締バンド3の固定もしくはクランプ力を調整して解除することができる。前側の下縁部251の形態の上述した保持構造を備えた中間壁25は、これによって、ロッカ4を用いて緊締バンド3をクランプするための対応受けを形成している。
【0033】
図2Bおよび特に
図2Cがさらに示すように、この実施例で旋回支持機構は、バックルハウジング2の前側と後側との間のほぼ真ん中で、ロッカプレート41の下側の領域に、同様にロッカプレート41に関してほぼ真ん中に形成されている。バックルハウジング2の底部側とロッカプレート41の下側とにおいて旋回支持機構を形成する要素については、以下に
図3A~
図3Cおよび
図4A~
図4Fを参照しながらさらに詳しく記載する。
【0034】
図2Bおよび
図2Cがさらに示すように、ロッカプレート41はその後方の下側領域に、戻しばね44の形態のばねアセンブリを備えており、このばねアセンブリは、好ましくは旋回支持機構の後方の領域でロッカプレート41に一体に成形されていて、斜め後方下側に向かってロッカプレート41の後方の端部近傍にまで延在している。このように舌片状に形成された戻しばね44は、その後方の端領域の下面でバックルハウジング2の底壁27の上面に支持されており、このとき、戻しばね44の下面とロッカプレート41の上面との間の間隔は、ロッカプレート41が緊締バンド3の無負荷状態(つまりループ31の、後側から導入されたバンド区分に、下方に向けられた引張り力が加えられていない状態)で、中間壁25の下面に対して少なくともほぼ平行に方向付けられているように寸法設定されている。このように構成されていると、緊締バンド3は、如何なる場合でも、ロッカ4によるクランプ力を加えることなしに、貫通路230内で容易に移動可能であり、ひいては、例えば、緊締すべき身体部分における調整された固定が行われる前に、ループ幅をほとんど力を加えることなしに変化させることができる。これによって、係止シュー5の解除によるループ31の開放後でも、緊締バンド3は貫通路230内で容易に移動可能である。バックルハウジング2内での緊締バンド3の容易な移動は、主として、(通常、より硬質のプラスチックから成っている)バックルハウジング2内における緊締バンド3の良好な滑り特性にも関連している。貫通路230は、比較的狭く、緊締バンド3の横断面輪郭に対して単に僅かな遊びを伴って設計することができるので、緊締時におけるクランプおよびループの弛緩時における解除に対する正確な応働が生じる。
【0035】
さらに
図2Bおよび
図2Cから、バックルハウジング2における係止シュー5の導入および係止と、係止シュー5における緊締バンド3の後方の端部の固定とを見ることができる。したがって、図示の実施例では、係止シュー5は差込み区分51でもって、中間壁25の上面とカバー壁24の下面との間に形成された収容通路231内に、バックルハウジング2の後側22における後側の導入開口23(
図3A、
図3Bおよび
図3Cも参照)を通して差し込まれ、そこで、その後側の領域で上方に向かって突出している係止突起を用いて、カバー壁24の内側から下方に向かって突出している係止対応突起に接触しながら係止される。このとき、係止シュー5は、後方に向かって突出している操作部分51の前縁部でもって、バックルハウジング2のカバー壁24の後縁部に、場合により僅かな遊びを伴って当接させられている。
【0036】
緊締バンド3の後方の端部は、操作部分50における導入スリット内に、操作部分50の前側で下方に向かって開放した貫通路を介して導入され、導入スリット内でクランプされており、さらに追加的に材料接続的に、例えば接着または溶接によって固定されていてよい。貫通路から下方に向かって操作部分50から外に案内された緊締バンド3は、ループ31の後方の区分を形成しており、ループ31はさらなる経過でループの前側の区分に移行し、次いで、上述したように、バックルハウジング2を貫いて案内された区分に移行する。操作部分50の、有利には僅かな凹部を備えた上面を、比較的軽く押圧することによって、係止シュー5を簡単に解除して、バックルハウジング2から引き出すことができ、これによって、ループ31を開放することができる。
【0037】
図3A、
図3Bおよび
図3Cには、バックルハウジング2がさらに詳細に示してある。好ましくは操作のための良好な触感を有する滑り止めプラスチック材料から形成されたバックルハウジング2は、そのサイズに関して取扱い者の片手で収容しかつ身体部分に軽く接触するように構成されていて、側壁の間のその移行領域の外側に、前側面、上面および下面に向かって緩やかに延びる、良好な取扱いのための丸み部を有している。ロッカ4の、凸面状に上方に向かって後方に延びている操作区分42が進入している、カバー壁24の前側領域における切欠き240は、操作区分42の上縁部の輪郭経過に相応して成形されていて、バックルハウジング2の鉛直な中心長手方向平面に対して対称的に成形されており、丸み付けされた輪郭経過によって急激な縁部が回避されている。後側22においてカバー壁24およびこれに続く側壁26,26’の後側の縁部は、僅かに前方に向かって凹面状である、バックルハウジング2の鉛直な中心長手方向平面に対して対称的な凹部として成形されていて、係止シュー5の操作部分50の前縁部の輪郭経過に適合させられている。カバー壁24の前側の切欠き240および後方の切欠きの凹面状の湾曲部によって、操作区分42および係止シュー5を挿入するための良好な案内が生じる。
【0038】
本実施例では、収容通路231を下方に向かってかつ貫通路230を上方に向かって画定している中間壁25はその下面に、バックルハウジング2の長手方向に延びていて、下方に向かって横断面(長手方向軸線に対して直角)が丸み付けられた一体成形された滑りリブ250を備えており、これらの滑りリブ250は、摩擦を減少させながら、緊締バンド3のバンド上面32と協働するので、緊締バンド3は、クランプされていない状態で容易に、実際に障害なしに、貫通路230内で所望の範囲移動させることができる。横方向で滑りリブ250の間には、
図3Bから認識できるように、特に前側領域において中間壁25の下面には、前側の下縁部251の形態の保持構造の区分が形成されており、この下縁部251は、貫通路内にループ31から走入する区分を下方に向かって引っ張ると、これによるロッカ4の、旋回支持機構の前に位置している前側の区分の旋回時に、上方に向かって緊締バンド3を中間壁25の下面にクランプして固定する。
図3Cには、中間壁25の前縁部252も示してあり、この前縁部252のところで滑りリブおよび保持構造も終端しており、本実施例では、前縁部252は、平面図で見て歯列を有する前縁部252として形成されていて、長手方向で互いにずらされた、固定のために弾性の緊締バンドに係合する保持構造(突出部、リブまたはこれに類したもの)を備えている。
【0039】
図3Bには、収容通路231および貫通路230内への後側の導入開口23を備えた、バックルハウジング2の開放した後側22が示してあるが、この
図3Bが示すように旋回支持機構は、底壁27の上面に、横方向でバックルハウジング2の長手方向軸線に対して直角に延びるリブ状の旋回支持部270の区分を用いて形成されており、この旋回支持部270の前側および後側には、相補的な旋回支持区分が、ロッカ4の挿入時にロッカプレート41の下面に位置決めされている。互いに相補的な旋回支持区分の間でロッカプレート41の下面に至るまでの旋回支持部270の高さは、ロッカ4の休止位置で、ロッカプレート41の上面と中間壁25の下面との間の貫通路230の内幅が、緊締バンド3の厚さに合わせられて緊締バンド3の実際に妨げられない通過を可能にするように選択されており、他方、旋回角度は、緊締バンド3が、ロッカ4の旋回によってロッカ4の前側の区分の上面と、この上面に向けられた中間壁25の下面との間で保持構造に確実にクランプされるような大きさである。また、例えば、ロッカ4に取り付けられた相補的な支持部分が係合する、例えば両側壁26,26’の内面に側方で配置された支持部分を備えたロッカ4の旋回支持機構も可能である。
【0040】
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、
図4Eおよび
図4Fには、ロッカ4の1つの実施例がより詳細に示してある。この実施例では、ロッカプレート41の前側領域に、凸面状の湾曲下で上方に向かって後方に延びる操作区分42が一体成形されており、特に
図4A、
図4B、
図4Cおよび
図4Fが示すように、ロッカプレート41と操作区分42との間の前側に位置している移行区分に、容易な貫通案内のために緊締バンド3の横断面に適合させられた貫通開口43が設けられている。
図4Bに示したように、操作区分42の、後方に向かって案内された部分の上面には、取扱い者によって良好に触知可能な僅かな操作凹部420が一体成形されている。ロッカプレート41の下面において突出するように、横方向に関して真ん中のロッカプレート41の領域で、旋回支持機構の該当する要素の後方に、ロッカプレート41に一体成形されたばね舌片の形態の、斜め後方下側に向かって突出している戻しばね44が配置されている。横方向で長手延在方向に対して直交して、バックルハウジング2の底壁27の上面における旋回支持部270の区分と協働する旋回支持機構の部分は、下方に向かって突出するように一体成形されており、このとき、旋回支持部270の区分は、互いに相補的な旋回支持区分の前側の部分区分と後方の部分区分との間に収容される。後方の部分区分は、舌片状の区分に形成されており、これらの区分は、走入斜面を介したバックルハウジング2の内部へのロッカ4の挿入のために、上方に向かってばね弾性に変位することができ、ロッカプレート41の上面における該当する区分は、中間壁25の下面に支持されている。ロッカプレート41を挿入するために、戻しばね44も十分にその予荷重に抗して上方に向かって変位することができる。バックルハウジング2におけるロッカプレート41の簡単な挿入もしくは取付けのために、さらに、ロッカプレート41の下面には、長手方向に延びていて、導入斜面を備えた案内リブが形成されており、これらの案内リブは、底壁27の内面における相補的な相応の案内構造と案内するように協働する。ばね弾性に形成された後方の相補的な旋回支持区分は、
図4Cではばね舌片46として示してある。
【0041】
ロッカ4の平面図における
図4Aに示すように、ロッカプレート41の上面には、有利には別の滑りリブ45が一体成形されており、これによって、緊締バンド3のバンド下面33の摩擦を可能な限り少なく保つことができる。戻しばね44は、ロッカプレート41の相応の切欠き451内に配置されている。挿入のためにも、緊締バンド3の簡単な導入のためにも、ロッカ4の後縁部450は、有利には斜め面取りされているかまたは丸み付けられている。ロッカ4もまた、有利には全体的にプラスチック材料から成っているので、ロッカ4は、緊締バンド3のために好適な滑り特性を可能にし、かつ確実なクランプをも可能にし、特に操作区分42は、使用者による操作のために良好なグリップ特性と良好な触感特性とを提供する。
【0042】
有利には、バックルハウジング2、ロッカ4および/または緊締バンド3は、特にUVCスペクトル範囲におけるUV放射線に対して透明に形成されており、これによって、有害な菌を、機械的にアクセスが困難な領域においてもUV放射線を用いて死滅させることができる。
【0043】
ゴム弾性材料から、特にシリコーンバンドとして製造されていて、例えばその外面におけるフッ化物処理を用いてまたは他の添加物またはUV放射線による処置によって平滑化されかつ/または硬化させられた上述した緊締バンド3は、上述したバックルハウジング2およびロッカ4との組合せで、使用時における著しい利点を生じさせる。しかしながら、緊締バンド3は、バックルハウジング2およびクランプ機構の他の構成でも有利に使用することができる。
【国際調査報告】