(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】スタイレット、スタイレットを含むシステム、及びスタイレットを使用して医療処置を実行するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/18 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
A61B18/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515713
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2021057592
(87)【国際公開番号】W WO2022053897
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ブロック
(72)【発明者】
【氏名】グラヴェット、マシュー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK36
4C160MM33
(57)【要約】
医療デバイスのシステムは、高周波発生器と、スタイレットと、イントロデューサとを含む。スタイレットは、シャフト近位部分と、シャフト遠位端を画定しているシャフト遠位部分とを有する細長形シャフトを含む。シャフトは剛性である。高周波穿刺電極が、シャフト遠位端にある。高周波穿刺電極は、高周波発生器に電気的に接続可能である。イントロデューサは、チューブ近位部分と、チューブ遠位端を画定しているチューブ遠位部分との間に延びている、細長形チューブを含む。チューブ遠位端から電極が突出している状態で、シャフトをチューブ内に受け入れ可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部分及び遠位部分を有する細長形シャフトであって、前記シャフトが剛性であり、前記遠位部分が、鈍状の遠位端を画定している、細長形シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端における、高周波穿刺電極であって、高周波発生器に電気的に接続可能である、高周波穿刺電極と、
を備える、スタイレット。
【請求項2】
前記シャフトが、金属本体と、前記金属本体上の電気絶縁材料とを含む、請求項1に記載のスタイレット。
【請求項3】
前記高周波穿刺電極が、前記金属本体の電気的に露出している先端部を含む、請求項2に記載のスタイレット。
【請求項4】
前記高周波穿刺電極が、前記金属本体に接合されている金属片を含む、請求項2に記載のスタイレット。
【請求項5】
前記シャフトの前記近位部分に接合されているハブを更に備え、前記ハブが、前記金属本体に沿って前記シャフトの前記近位部分から前記高周波穿刺電極へ高周波エネルギーを送達するために、前記金属本体を前記高周波発生器に電気的に接続するように構成されている、請求項2に記載のスタイレット。
【請求項6】
前記金属本体が、前記近位部分から前記遠位部分まで前記金属本体を貫通して延びている、管腔を含み、前記遠位部分が、前記管腔と流体連通している1つ以上のポートを含む、請求項2に記載のスタイレット。
【請求項7】
前記スタイレットをイントロデューサに固定するために、前記近位部分に取り付けられているロックを更に備える、請求項1に記載のスタイレット。
【請求項8】
高周波発生器と、
スタイレットであって、(i)シャフト近位部分と、シャフト遠位端を画定しているシャフト遠位部分と、を有する細長形シャフトであって、前記シャフトが剛性である、細長形シャフトと、(ii)前記シャフト遠位端における高周波穿刺電極であって、前記高周波発生器に電気的に接続可能である、高周波穿刺電極と、を含む、スタイレットと、
チューブ近位部分と、チューブ遠位端を画定しているチューブ遠位部分との間に延びている細長形チューブを含むイントロデューサであって、前記チューブ遠位端から前記電極が突出している状態で、前記シャフトを前記チューブ内に受け入れ可能である、イントロデューサと、
を備える、医療デバイスのシステム。
【請求項9】
前記シャフト遠位端が、鈍状である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スタイレットが、前記チューブ内に前記シャフトが受け入れられ、かつ前記チューブ遠位端から前記電極が突出している状態で、前記イントロデューサにロック可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記シャフトが、金属本体を含み、前記チューブが、電気絶縁材料を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記チューブ近位部分が、第1の直径を有し、前記チューブ遠位部分の遠位先端部が、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
医療処置を実行するための方法であって、
a.イントロデューサ内にスタイレットが受け入れられている状態で、前記スタイレット及びイントロデューサを、患者の心臓に向けて経皮的に前進させることと、
b.前記スタイレット及びイントロデューサの経路を遮断している組織を穿刺するために、前記スタイレットの電極から高周波エネルギーを送達することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記組織が、線維性組織である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記心臓を前記電極と接触させることと、前記心臓の心膜を穿刺するために、前記電極から高周波エネルギーを送達することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
穿刺部を通して、前記スタイレットの遠位端及び前記イントロデューサの遠位端を前進させることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記イントロデューサから前記スタイレットを後退させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記心臓を前記電極と接触させることと、前記イントロデューサから前記スタイレットを引き抜くことと、前記イントロデューサを通して、二次高周波穿刺デバイスを前記心臓に向けて前進させることと、前記心臓の心膜を穿刺するために、前記二次高周波穿刺デバイスから高周波エネルギーを送達することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ステップa.において、前記スタイレットが、前記イントロデューサにロックされている、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記スタイレットを通して前記スタイレットのポートから造影剤を送出することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、医療デバイスに関する。より具体的には、本明細書は、スタイレットなどの医療デバイス、そのようなスタイレットを含むシステム、及びそのようなスタイレットを使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野において、スタイレットの改善が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
以下の概要は、詳細な説明の様々な態様を読者に紹介することを意図するものであり、いかなる発明をも定義又は限定するものではない。
スタイレットが開示される。いくつかの態様によれば、スタイレットは、近位部分及び遠位部分を有する細長形シャフトを含む。シャフトは剛性である。遠位部分は、鈍状の遠位端を画定している。高周波(radiofrequency、RF)穿刺電極が、遠位端にある。高周波穿刺電極は、高周波発生器に電気的に接続可能である。
【0004】
いくつかの実施例では、シャフトは、金属本体と、金属本体上の電気絶縁材料とを含む。高周波穿刺電極は、金属本体の電気的に露出している先端部、又は、金属本体に接合されている金属片とすることができる。
【0005】
いくつかの実施例では、スタイレットは、シャフトの近位部分に接合されているハブを更に含む。ハブは、金属本体に沿ってシャフトの近位部分から高周波穿刺電極へ高周波エネルギーを送達するために、高周波発生器に金属本体を電気的に接続するように構成することができる。
【0006】
いくつかの実施例では、金属本体は、近位部分から遠位部分まで金属本体を貫通して延びている、管腔を含む。遠位部分は、管腔と流体連通している1つ以上のポートを含み得る。
【0007】
いくつかの実施例では、スタイレットは、スタイレットをイントロデューサに固定するために、近位部分に取り付けられているロックを更に含む。
医療デバイスのシステムもまた開示される。いくつかの態様によれば、医療デバイスのシステムは、高周波発生器と、スタイレットと、イントロデューサとを含む。スタイレットは、シャフト近位部分と、シャフト遠位端を画定しているシャフト遠位部分とを有する細長形シャフトを含む。シャフトは剛性である。高周波穿刺電極が、シャフト遠位端にある。高周波穿刺電極は、高周波発生器に電気的に接続可能である。イントロデューサは、チューブ近位部分と、チューブ遠位端を画定しているチューブ遠位部分との間に延びている、細長形チューブを含む。チューブ遠位端から電極が突出している状態で、シャフトをチューブ内に受け入れ可能である。
【0008】
いくつかの実施例では、シャフト遠位端は鈍状である。
いくつかの実施例では、スタイレットは、チューブ内にシャフトが受け入れられ、かつチューブ遠位端から電極が突出している状態で、イントロデューサにロック可能である。
【0009】
いくつかの実施例では、シャフトは金属本体を含み、チューブは電気絶縁材料を含む。
いくつかの実施例では、チューブ近位部分は、第1の直径を有し、チューブ遠位部分の遠位先端部は、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する。
【0010】
医療処置を実行するための方法もまた開示される。いくつかの態様によれば、医療処置を実行するための方法は、a.イントロデューサ内にスタイレットが受け入れられている状態で、スタイレット及びイントロデューサを、患者の心臓に向けて経皮的に前進させることと、b.スタイレット及びイントロデューサの経路を遮断している組織を穿刺するために、スタイレットの電極から高周波エネルギーを送達することと、を含む。
【0011】
いくつかの実施例では、組織は、線維性組織である。
いくつかの実施例では、本方法は、心臓を電極と接触させることと、心臓の心膜を穿刺するために、電極から高周波エネルギーを送達することと、を更に含む。本方法は、穿刺部を通して、スタイレットの遠位端及びイントロデューサの遠位端を前進させることを更に含み得る。本方法は、イントロデューサからスタイレットを後退させることを更に含み得る。
【0012】
いくつかの実施例では、本方法は、心臓を電極と接触させることと、イントロデューサからスタイレットを引き抜くことと、イントロデューサを通して、二次高周波穿刺デバイスを心臓に向けて前進させることと、心臓の心膜を穿刺するために、二次高周波穿刺デバイスから高周波エネルギーを送達することと、を更に含む。
【0013】
いくつかの実施例では、ステップa.において、スタイレットは、イントロデューサにロックされている。
いくつかの実施例では、本方法は、スタイレットを通してスタイレットのポートから造影剤を送出することを含む。
【0014】
添付の図面は、本開示の物品、方法、及び装置を例示するためのものであり、限定することを意図するものではない。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】組み立てられた状態の、医療デバイスのシステムの斜視図である。
【
図2】組み立てられていない状態の、
図1のシステムの斜視図である。
【
図4】医療処置を実行するための方法のステップの概略図である。
【
図5】
図4のステップの後に続くステップを示す概略図である。
【
図6】
図5のステップの後に続くステップを示す概略図である。
【
図7】
図6のステップの後に続くステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特許請求される主題の実施形態の実施例を提供するために、様々な装置、プロセス、又は構成が以下で説明される。以下で説明される実施例は、いずれの請求項をも限定するものではなく、いずれの請求項も、以下で説明されるものとは異なるプロセス、装置、又は構成を包含し得る。特許請求の範囲は、以下で説明されるいずれか1つの装置、プロセス、若しくは構成の特徴の全てを有する、装置若しくはプロセス若しくは構成に、又は、以下で説明される複数若しくは全ての装置、プロセス、若しくは構成に共通の特徴に限定されるものではない。以下で説明される装置、プロセス、又は構成は、本特許出願の発行によって付与される、いずれの排他的権利の実施形態でもない可能性がある。以下で説明され、本特許出願の発行によって排他的権利が付与されないいずれの主題も、別の保護文書、例えば、継続特許出願の主題である場合があり、本出願人、本発明者、又は特許権者は、本明細書におけるその開示によって、そのようないずれの主題も破棄、放棄、又は公衆に解放することを意図するものではない。
【0017】
本明細書では全般的に、心膜穿刺処置などの様々な医療処置において使用することが可能な、スタイレットが開示される。スタイレットは、組織を穿刺するために、高周波(RF)エネルギーを組織に送達するように構成されている。これは、体腔並びに標的組織部位にアクセスするために身体を通過することを容易にすることができる。例えば、心臓などの患者の体内の標的位置に向けて、スタイレットを経皮的に前進させることができる。スタイレットの経路内の通過不可能な組織(例えば、線維性組織)の存在に起因して、標的部位に向けて進めることが困難な場合には、その組織を穿刺するために、スタイレットからRFエネルギーを送達することができる。更には、標的位置に到達すると、スタイレットを任意選択的に使用してその標的位置をRFエネルギーの送達によって穿刺することができる。
【0018】
ここで
図1及び
図2を参照すると、医療デバイスのシステム100が示されている。システム100は、一般に、RF発生器102と、RF発生器102に電気的に接続可能なスタイレット104と、スタイレット104を中に受け入れ可能なイントロデューサ106とを含む。
図1では、スタイレット104は、イントロデューサ106内に受け入れられており、
図2では、スタイレット104は、イントロデューサ106から取り外されている。
【0019】
RF発生器102は、Baylis Medical Company(Montreal,Canada)によって商品名RFP-100A RF Puncture Generatorで販売されているRF発生器などの、任意の好適なRF発生器とすることができ、本明細書では詳細に説明しないものとする。
【0020】
図2及び
図3を参照すると、スタイレット104は、一般に、細長形で剛性の(すなわち、通常の使用時に著しく屈曲又は撓曲することのない)シャフト108を含む。シャフト108は、近位端(図示せず、本明細書では「シャフト近位端」とも称される)を画定している近位部分110(本明細書では「シャフト近位部分」とも称される)と、遠位端114(本明細書では「シャフト遠位端」とも称される)を画定している遠位部分112(本明細書では「シャフト遠位部分」とも称される)とを有する。遠位端114は、機械的な力のみで組織を穿刺することを、回避する、又は最小限に抑えるために、鈍状である。
【0021】
更に
図2及び
図3を参照すると、RF穿刺電極116が、シャフト108の遠位端114にあり、RF発生器102(
図3には図示せず)に電気的に接続可能である。図示の実施例では、シャフト108は、電極116をRF発生器102に電気的に接続するための、金属本体118(
図2では不可視)と金属本体118上の電気絶縁材料120とを含む。例えば、金属本体118は、ステンレス鋼カニューレとすることができ、電気絶縁材料120は、高密度ポリエチレンとすることができ、電極116は、金属本体に(例えば、はんだ付け又は溶接によって)接合されている金属片とすることができる。図示の実施例では、スタイレット104は、シャフト108の近位部分110に接合されているハブ122を更に含み、ハブ122は、金属本体118をRF発生器102に電気的に接続するように構成されている。例えば、ハブ122は、(
図2に示される)ケーブル124に、金属本体を電気的に接続することができ、ケーブル124は、RF発生器102に接続可能である。したがって、RF発生器102からケーブル124に、ケーブル124から金属本体118に、及び金属本体118から電極116に、RFエネルギーを送達することができ、この電極116が、組織にRFエネルギーを送達して、組織を穿刺する。
【0022】
代替的実施例(図示せず)では、シャフトは、電極をRF発生器に接続するための、別個の電気コネクタを含み得る。例えば、RF発生器に接続するためのワイヤが、電極からシャフトを通って延びていてもよい。
【0023】
代替的実施例(図示せず)では、電極は、別の構成の電極であってもよい。例えば、電極は、金属本体の電気的に露出している先端部とすることができる。
図3を参照すると、図示の実施例では、金属本体118は、近位部分110から遠位部分112まで金属本体を貫通して延びている、管腔126を含む。遠位部分112は、管腔126と流体連通している流体ポート128(流体ポートのうちの1つのみに符号が付されている)を更に含み、これは、管腔126を通して近位部分110から遠位部分112へ、かつ、流体ポート128を介して管腔126から、流体を送出するためである。以下で説明されるように、流体ポート128を介して送出される流体は、造影剤とすることができる。図示の実施例では、遠位部分112は、2つの流体ポートを含む。代替的実施例では、別の数の流体ポート(すなわち、1つ以上の流体ポート)を設けることができる。
【0024】
図2及び
図3を参照すると、イントロデューサ106は一般に、細長形であるチューブ130を含む。チューブ130は、近位端134(
図3に示され、本明細書では「チューブ近位端」とも称される)を画定している近位部分132(本明細書では「チューブ近位部分」とも称される)と、遠位端138(本明細書では「チューブ遠位端」とも称される)を画定している遠位部分136(本明細書では「チューブ遠位部分」とも称される)とを有する。チューブ130の遠位端138は、組織の穿刺若しくは損傷を、回避する、又は最小限に抑えるために、鈍状である。
【0025】
図3を参照すると、図示の実施例では、チューブ130は、比較的軟質のポリマー材料(例えば、高密度ポリエチレン)の外側層140と、外側層140内の内側補強層142(例えば、ステンレス鋼の層)とを含む。図示の実施例では、内側層142は、チューブの遠位端138に達しない位置まで延びており、チューブ130の遠位先端部144を補強せずに残している。これにより、イントロデューサ106との接触に起因する組織損傷のリスクを、最小限に抑えることができる。更には、遠位先端部144は、チューブ130の近位部分132と比較して、縮小された直径を有する(すなわち、近位部分132は、第1の直径を有し、遠位先端部144は、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する)。以下で説明されるように、これにより、穿刺部を通した遠位先端部144の挿入を容易にすることができる。遠位先端部144は、例えば、約1cm~約4cmの長さを有し得る。代替的実施例では、遠位先端部全体をテーパ状にすることができる。
【0026】
更に
図2及び
図3を参照すると、図示の実施例では、イントロデューサ106は、チューブ130の近位部分132に接合されているハブ146を更に含む。
任意選択的に、チューブ130は、前進を容易にするために、潤滑性コーティング(図示せず)を含み得る。
【0027】
図3を参照すると、スタイレット104のシャフト108を、イントロデューサ106のチューブ130内に受け入れ可能である。より具体的には、
図3に示されるように、チューブ遠位端138から電極116が突出して、流体ポート128がチューブ遠位端138から突出している状態で、スタイレット104のシャフト108をイントロデューサ106のチューブ130内に受け入れ可能である。更には、スタイレット104とイントロデューサ106とは、
図3に示されている位置で一緒にロック可能である。より具体的には、スタイレット104のハブ122は、イントロデューサ106のハブ146にロック可能である。このロックは、例えば、ねじ込み式ルアーロック型機構によって達成することができる。
【0028】
図示の実施例では、上述のように、スタイレット104は、電気絶縁材料120を含む。代替的実施例(図示せず)では、スタイレットの電気絶縁材料を省略することができ、イントロデューサのチューブが、スタイレットのための電気絶縁材料としての役割を果たしてもよい。
【0029】
上記の実施例のいずれにおいても、スタイレット及び/又はイントロデューサは、蛍光透視下での可視化を容易にするために、1つ以上の放射線不透過性マーカーを含み得る。
ここで
図4~
図7を参照すると、医療処置を実行するための方法、より具体的には、心膜穿刺のための方法が説明される。本方法は、
図1~
図3のシステム100を参照して説明される。しかしながら、本方法は、システム100に限定されるものではなく、システム100は、説明される方法による動作に限定されるものではない。
【0030】
最初に
図4を参照すると、イントロデューサ106内にスタイレット104が受け入れられてロックされ、チューブ遠位端138から電極116が突出している状態で、スタイレット104及びイントロデューサ104を、患者の心臓400に向けて経皮的に前進させることができる。例えば、スタイレット104及びイントロデューサ106は、剣状突起下アプローチによって前進させることができる。最初に機械的な力を使用して、スタイレット104及びイントロデューサ106を前進させることができる。更に
図4を参照すると、組織402(例えば、線維性組織)が、スタイレット104及びイントロデューサ106の経路を遮断していることにより、組織402を通過するために過度の機械的な力が必要となる場合には、組織402を穿刺するために、電極116からRFエネルギーを送達することができる。これにより、過度の機械的な力の使用を回避することができる。
【0031】
組織402が穿刺されると、RFエネルギーの送達を(設定パルスの終了時に自動的に、又は手動で)停止することができ、心臓400に向けてスタイレット104及びイントロデューサ106を前進させ続けるために、機械的な力を再び加えることができる。スタイレット104及びイントロデューサ106は、
図5に示されるように、電極116が心臓400の心膜404に接触するまで前進させることができる。任意選択的に、スタイレット104及びイントロデューサ106の位置を確認するために、蛍光透視下でスタイレット104及びイントロデューサ106を視認しつつ、スタイレット104を通して流体ポート128(
図4~
図7では符号が付されていない)から造影剤を送出することができる。
【0032】
スタイレット104及びイントロデューサ106の位置が確認され、電極116が心膜404と接触している状態で、RF発生器102(
図4~
図7には図示せず)によって電極116からRFエネルギーを送達して、心膜404を穿刺することができる。次いで、シャフト遠位端114及びチューブ遠位端138を、
図6に示されるように、穿刺部を通して心膜腔406内に前進させることができる。任意選択的に、スタイレット104及びイントロデューサ106の位置を再び確認するために、蛍光透視下でスタイレット及びイントロデューサを視認しつつ、スタイレット104を通して流体ポートから造影剤を送出することができる。
【0033】
図7を参照すると、次いで、遠位端138を心膜腔106内の所定の位置に残して、イントロデューサ106からスタイレット104(
図7では不可視)を後退させることができる。次いで、二次医療デバイス(例えば、ガイドワイヤ、図示せず)を、医療処置の後続のステップにおいて使用するために、イントロデューサ106を通して前進させることができる。
【0034】
代替的実施例(図示せず)では、スタイレット104を使用して心膜404を穿刺するのではなく、二次RF穿刺デバイス(図示せず)を使用して心膜を穿刺することができる(すなわち、スタイレットは、心膜を穿刺するためではなく、心臓に向けた前進を容易にするために使用することができる)。例えば、スタイレット及びイントロデューサが、(
図5に示されるように)心臓に到達して、電極が心臓と接触している状態になると、スタイレットをイントロデューサから引き抜くことができる。二次RF穿刺デバイス(例えば、RFガイドワイヤ)を、イントロデューサを通して心臓に向けて前進させることができ、RFエネルギーを二次RF穿刺デバイスから送達して、心膜を穿刺することができる。
【0035】
上記の説明は、1つ以上のプロセス、装置、又は構成の実施例を提供しているが、他のプロセス、装置、又は構成も、添付の特許請求の範囲内であり得る点が理解されるであろう。
【0036】
いずれかの先行技術又は他の技術に関して、(本特許、又は、いずれかの親、兄弟、若しくは子を含めた、いずれかの関連特許出願若しくは特許において)以前に為された補正、特徴付け、又は他の主張が、本出願の本開示によってサポートされるいずれかの主題の放棄と解釈される可能性がある限りにおいて、本出願人は、そのような放棄を取り消し、撤回するものである。本出願人はまた、いずれかの親、兄弟、若しくは子を含めた、いずれかの関連特許出願又は特許において以前に検討された、いずれかの先行技術を再検討する必要があり得る点を、謹んで提言するものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部分及び遠位部分を有する細長形シャフトを含む、スタイレットであって、前記シャフトが剛性であり、前記遠位部分が、鈍状の遠位端を画定している、スタイレットと、
前記シャフトの前記遠位端における、高周波穿刺電極であって、高周波発生器に電気的に接続可能である、高周波穿刺電極と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記シャフトが、金属本体と、前記金属本体上の電気絶縁材料とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記高周波穿刺電極が、前記金属本体の電気的に露出している先端部を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記高周波穿刺電極が、前記金属本体に接合されている金属片を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記シャフトの前記近位部分に接合されているハブを更に備え、前記ハブが、前記金属本体に沿って前記シャフトの前記近位部分から前記高周波穿刺電極へ高周波エネルギーを送達するために、前記金属本体を前記高周波発生器に電気的に接続するように構成されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記金属本体が、前記近位部分から前記遠位部分まで前記金属本体を貫通して延びている、管腔を含み、前記遠位部分が、前記管腔と流体連通している1つ以上のポートを含む、請求項2~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
チューブ近位部分と、チューブ遠位端を画定しているチューブ遠位部分との間に延びている細長形チューブを含む、イントロデューサを更に備え、前記チューブ遠位端から前記電極が突出している状態で、前記シャフトを前記チューブ内に受け入れ可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記スタイレットを前記イントロデューサに固定するために、前記近位部分に取り付けられているロックを更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロックが、ルアーロックを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記細長形チューブが、潤滑性コーティングを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記スタイレットが、前記チューブ内に前記シャフトが受け入れられ、かつ前記チューブ遠位端から前記電極が突出している状態で、前記イントロデューサにロック可能である、請求項8~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記細長形チューブが、ポリマー材料の外側層と、内側補強層と、を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記外側層が、前記内側補強層よりも遠位の位置まで延びている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記チューブ近位部分が、第1の直径を有し、前記チューブ遠位部分の遠位先端部が、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する、請求項7~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
高周波発生器を更に備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【国際調査報告】