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特表2023-541042操作可能な医療デバイス、医療デバイス用のハンドル、および医療デバイスを動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】操作可能な医療デバイス、医療デバイス用のハンドル、および医療デバイスを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/01 20060101AFI20230920BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61M25/01
A61M25/092 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515744
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2021057570
(87)【国際公開番号】W WO2022053896
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/076,472
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アヴィヴィ、ドラン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジャン-フン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB04
4C267BB51
4C267CC07
4C267HH22
(57)【要約】
医療デバイス用のハンドルは、ハンドル本体と、ハンドル本体に対して回転可能なノブとを含む。第1のギヤが、ノブに関連付けられる。スライド組立体が、ハンドル本体またはノブ内に収容される。スライド組立体は、第1の送りねじを含む。第2のギヤが、スライド組立体に関連付けられる。第3のギヤが、ハンドル本体またはノブ内に収容され、第1のギヤと第2のギヤとの間に結合される。ノブの回転は、第1のギヤの回転を駆動し、第1のギヤの回転は、第3のギヤの回転を駆動し、第3のギヤの回転は、第2のギヤの回転を駆動し、第2のギヤの回転は、送りねじの回転を駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル本体、および前記ハンドル本体に対して回転可能なノブを有するハンドルと、
前記ノブに関連付けられた第1のギヤと、
前記ハンドル内に収容されたスライド組立体であって、第1の送りねじを備える、スライド組立体と、
前記スライド組立体に関連付けられた第2のギヤと、
前記ハンドル内に収容され、前記第1のギヤと前記第2のギヤとの間に結合された第3のギヤであって、前記ノブの回転が、前記第1のギヤの回転を駆動し、前記第1のギヤの回転が、前記第3のギヤの回転を駆動し、前記第3のギヤの回転が、前記第2のギヤの回転を駆動し、前記第2のギヤの回転が、前記送りねじの回転を駆動する、第3のギヤと、
前記ハンドルから延びる細長いツールと、
前記スライド組立体と前記ツールとの間に結合された少なくとも1つの制御ワイヤであって、それによって、前記送りねじの回転が、前記制御ワイヤの張力を引き起こし、前記制御ワイヤの張力が、前記ツールの偏向を引き起こす、少なくとも1つの制御ワイヤと
を備える、操作可能な医療デバイス。
【請求項2】
前記第1のギヤが、前記回転可能なノブの内部ギヤであり、
前記第2のギヤが、前記送りねじに対して固定されたサン・ギヤであり、
前記第3のギヤが、前記内部ギヤと前記サン・ギヤとの間に結合されたプラネタリ・ギヤである、請求項1に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項3】
前記内部ギヤと前記サン・ギヤとの間に結合された追加のプラネタリ・ギヤをさらに備える、請求項2に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項4】
前記プラネタリ・ギヤが、前記内部ギヤおよび前記サン・ギヤに対して適所に固定される、請求項2に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項5】
前記スライド組立体が、前記送りねじおよび前記制御ワイヤに対して結合されたスライダをさらに備え、前記送りねじの回転が、前記送りねじに対する前記スライダの並進を引き起こし、前記スライダの並進が、前記制御ワイヤの張力を引き起こす、請求項1に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項6】
前記第1のギヤが、前記ノブに対して装着された第1のベベル・ギヤであり、
前記第2のギヤが、前記スライド組立体に対して装着された第2のベベル・ギヤであり、
前記第3のギヤが、前記第1のベベル・ギヤと前記第2のベベル・ギヤとの間に結合された第3のベベル・ギヤである、請求項1に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項7】
前記第1のベベル・ギヤが、前記ノブに対して固定される、請求項6に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項8】
前記第1のベベル・ギヤ、前記第2のベベル・ギヤ、前記第3のベベル・ギヤ、および前記送りねじが、前記ノブおよび前記ハンドル本体に対して並進可能である、請求項6に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項9】
前記送りねじの回転が、前記送りねじの並進を引き起こし、前記送りねじの並進が、前記制御ワイヤの張力を引き起こす、請求項8に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項10】
前記ツールが、シース、カテーテル、または導入器である、請求項1に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項11】
医療デバイス用のハンドルであって、前記ハンドルが、
ハンドル本体、および前記ハンドル本体に対して回転可能なノブと、
前記ノブに関連付けられた第1のギヤと、
前記ハンドル本体または前記ノブ内に収容されたスライド組立体であって、第1の送りねじを備える、スライド組立体と、
前記スライド組立体に関連付けられた第2のギヤと、
前記ハンドル本体または前記ノブ内に収容され、前記第1のギヤと前記第2のギヤとの間に結合された第3のギヤであって、前記ノブの回転が、前記第1のギヤの回転を駆動し、前記第1のギヤの回転が、前記第3のギヤの回転を駆動し、前記第3のギヤの回転が、前記第2のギヤの回転を駆動し、前記第2のギヤの回転が、前記送りねじの回転を駆動する、第3のギヤと
を備える、ハンドル。
【請求項12】
前記第1のギヤが、前記回転可能なノブの内部ギヤであり、
前記第2のギヤが、前記送りねじに対して固定されたサン・ギヤであり、
前記第3のギヤが、前記内部ギヤと前記サン・ギヤとの間に結合されたプラネタリ・ギヤである、請求項11に記載のハンドル。
【請求項13】
前記内部ギヤと前記サン・ギヤとの間に結合された追加のプラネタリ・ギヤをさらに備える、請求項12に記載のハンドル。
【請求項14】
前記プラネタリ・ギヤが、前記内部ギヤおよび前記サン・ギヤに対して適所に固定される、請求項12に記載のハンドル。
【請求項15】
前記スライド組立体が、前記送りねじに対して結合されたスライダをさらに備え、前記送りねじの回転が、前記送りねじに対する前記スライダの並進を引き起こす、請求項11に記載のハンドル。
【請求項16】
前記第1のギヤが、前記ノブに対して装着された第1のベベル・ギヤであり、
前記第2のギヤが、前記スライド組立体に対して固定された第2のベベル・ギヤであり、
前記第3のギヤが、前記第1のベベル・ギヤと前記第2のベベル・ギヤとの間に結合された第3のベベル・ギヤである、請求項11に記載のハンドル。
【請求項17】
前記第1のベベル・ギヤが、前記ノブに対して固定される、請求項16に記載のハンドル。
【請求項18】
前記第1のベベル・ギヤ、前記第2のベベル・ギヤ、前記第3のベベル・ギヤ、および前記送りねじが、前記ノブおよび前記ハンドル本体に対して並進可能である、請求項16に記載のハンドル。
【請求項19】
前記送りねじの回転が、前記送りねじの並進を引き起こす、請求項18に記載のハンドル。
【請求項20】
医療デバイスを動作させるための方法であって、
a.ハンドルのノブを回転させる工程と、
b.前記ハンドル内に収容されたギヤ・トレーンを介して、前記ノブの回転をスライド組立体の送りねじに伝達して、前記送りねじの回転を引き起こす工程と、
c.前記送りねじの回転によって、制御ワイヤの張力を引き起こす工程と、
d.前記制御ワイヤの張力によって、ツールの偏向を引き起こす工程と
を備える、方法。
【請求項21】
工程a.が、前記ノブの内部ギヤを回転させる工程を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程b.が、前記内部ギヤに係合されたプラネタリ・ギヤを回転させる工程と、前記プラネタリ・ギヤに係合され、前記送りねじに対して固定されたサン・ギヤを回転させる工程とを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程c.が、前記送りねじに沿ってスライダを並進させて、前記制御ワイヤの張力を引き起こす工程を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程a.が、前記ノブに対して装着された第1のベベル・ギヤを回転させる工程を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
工程b.が、前記第1のベベル・ギヤに係合された第3のベベル・ギヤを回転させる工程と、前記第3のベベル・ギヤに係合され、前記送りねじに対して装着された第2のベベル・ギヤを回転させる工程とを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程c.が、前記送りねじに沿ってスライダを並進させて、前記制御ワイヤの張力を引き起こす工程を備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
工程c.が、前記送りねじを並進させて、前記制御ワイヤの張力を引き起こす工程を備える、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文献は、医療デバイスに関する。より詳細には、本文献は、操作可能なシース、カテーテル、および導入器などの操作可能な医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野において、操作可能な医療デバイスの改善が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
以下の概要は、詳細な説明のさまざまな態様を読み手に紹介するように意図されるものであり、いかなる発明も定義または画定するようには意図されない。
操作可能な医療デバイスが開示される。いくつかの態様によれば、操作可能な医療デバイスは、ハンドル本体と、ハンドル本体に対して回転可能なノブとを有するハンドルを含む。第1のギヤが、ノブに関連付けられる。スライド組立体が、ハンドル内に収容される。スライド組立体は、第1の送りねじを含む。第2のギヤが、スライド組立体に関連付けられる。第3のギヤが、ハンドル内に収容され、第1のギヤと第2のギヤとの間に結合される。ノブの回転は、第1のギヤの回転を駆動し、第1のギヤの回転は、第3のギヤの回転を駆動し、第3のギヤの回転は、第2のギヤの回転を駆動し、第2のギヤの回転は、送りねじの回転を駆動する。細長いツールが、ハンドルから延び、少なくとも1つの制御ワイヤが、スライド組立体とツールとの間に結合される。送りねじの回転は、制御ワイヤの張力を引き起こし、制御ワイヤの張力は、ツールの偏向を引き起こす。
【0004】
いくつかの例では、第1のギヤは、回転可能なノブの内部ギヤであり、第2のギヤは、送りねじに対して固定されたサン・ギヤであり、第3のギヤは、内部ギヤとサン・ギヤとの間に結合されたプラネタリ・ギヤである。医療デバイスは、任意選択により、内部ギヤとサン・ギヤとの間に結合された追加のプラネタリ・ギヤをさらに含むことができる。プラネタリ・ギヤは、任意選択により、内部ギヤおよびサン・ギヤに対して適所に固定され得る。
【0005】
いくつかの例では、スライド組立体は、送りねじおよび制御ワイヤに対して結合されたスライダをさらに含む。送りねじの回転は、送りねじに対するスライダの並進を引き起こすことができ、スライダの並進は、制御ワイヤの張力を引き起こすことができる。
【0006】
いくつかの例では、第1のギヤは、ノブに対して装着された第1のベベル・ギヤであり、第2のギヤは、スライド組立体に対して装着された第2のベベル・ギヤであり、第3のギヤは、第1のベベル・ギヤと第2のベベル・ギヤとの間に結合された第3のベベル・ギヤである。第1のベベル・ギヤは、任意選択により、ノブに対して固定され得る。第1のベベル・ギヤ、第2のベベル・ギヤ、第3のベベル・ギヤ、および送りねじは、任意選択により、ノブおよびハンドル本体に対して並進可能であることができる。
【0007】
いくつかの例では、送りねじの回転は、送りねじの並進を引き起こし、送りねじの並進は、制御ワイヤの張力を引き起こす。
いくつかの例では、ツールは、シース、カテーテル、または導入器である。
【0008】
医療デバイス用のハンドルもまた、開示される。いくつかの態様によれば、医療デバイス用のハンドルは、ハンドル本体と、ハンドル本体に対して回転可能なノブとを含む。第1のギヤが、ノブに関連付けられる。スライド組立体が、ハンドル本体またはノブ内に収容され、スライド組立体は、第1の送りねじを含む。第2のギヤが、スライド組立体に関連付けられる。第3のギヤが、ハンドル本体またはノブ内に収容され、第1のギヤと第2のギヤとの間に結合される。ノブの回転は、第1のギヤの回転を駆動し、第1のギヤの回転は、第3のギヤの回転を駆動し、第3のギヤの回転は、第2のギヤの回転を駆動し、第2のギヤの回転は、送りねじの回転を駆動する。
【0009】
いくつかの例では、第1のギヤは、回転可能なノブの内部ギヤであり、第2のギヤは、送りねじに対して固定されたサン・ギヤであり、第3のギヤは、内部ギヤとサン・ギヤとの間に結合されたプラネタリ・ギヤである。ハンドルは、任意選択により、内部ギヤとサン・ギヤとの間の結合された追加のプラネタリ・ギヤをさらに含むことができる。プラネタリ・ギヤは、任意選択により、内部ギヤおよびサン・ギヤに対して適所に固定され得る。
【0010】
いくつかの例では、スライド組立体は、送りねじに対して結合されたスライダをさらに含む。送りねじの回転は、送りねじに対するスライダの並進を引き起こすことができる。
いくつかの例では、第1のギヤは、ノブに対して装着された第1のベベル・ギヤであり、第2のギヤは、スライド組立体に対して固定された第2のベベル・ギヤであり、第3のギヤは、第1のベベル・ギヤと第2のベベル・ギヤとの間に結合された第3のベベル・ギヤである。第1のベベル・ギヤは、任意選択により、ノブに対して固定され得る。第1のベベル・ギヤ、第2のベベル・ギヤ、第3のベベル・ギヤ、および送りねじは、任意選択により、ノブおよびハンドル本体に対して並進可能であることができる。
【0011】
いくつかの例では、送りねじの回転は、送りねじの並進を引き起こす。
医療デバイスを動作させるための方法もまた、開示される。いくつかの態様によれば、医療デバイスを動作させるための方法は、a.ハンドルのノブを回転させる工程と、b.ハンドル内に収容された少なくとも1つのギヤを介して、ノブの回転をスライド組立体の送りねじに伝達して、送りねじの回転を引き起こす工程と、c.送りねじの回転によって、制御ワイヤの張力を引き起こす工程と、d.制御ワイヤの張力によって、ツールの偏向を引き起こす工程とを含む。
【0012】
いくつかの例では、工程a.は、ノブの内部ギヤを回転させる工程を含む。
いくつかの例では、工程b.は、内部ギヤに係合されたプラネタリ・ギヤを回転させる工程と、プラネタリ・ギヤに係合され、送りねじに対して固定されたサン・ギヤを回転させる工程とを含む。
【0013】
いくつかの例では、工程c.は、送りねじに沿ってスライダを並進させて、制御ワイヤの張力を引き起こす工程を含む。
いくつかの例では、工程a.は、ノブに対して装着された第1のベベル・ギヤを回転させる工程を含む。
【0014】
いくつかの例では、工程b.は、第1のベベル・ギヤに係合された第3のベベル・ギヤを回転させる工程と、第3のベベル・ギヤに係合され、送りねじに対して装着された第2のベベル・ギヤを回転させる工程とを含む。
【0015】
いくつかの例では、工程c.は、送りねじに沿ってスライダを並進させて、制御ワイヤの張力を引き起こす工程を含む。
いくつかの例では、工程c.は、送りねじを並進させて、制御ワイヤの張力を引き起こす工程を含む。
【0016】
添付の図は、本開示の物品、方法、および装置の例を示すためのものであり、限定的であることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的な医療デバイスの斜視図。
図2】ハンドルの内部を示す、図1の医療デバイスのハンドルの切断平面図。
図3図2の線3-3に沿って切り取られた断面図。
図4】ハンドルの内部を示す、別の医療デバイスのハンドルの切断平面図。
図5図4の線5-5に沿って切り取られた断面図。
図6】ハンドルの内部を示す、別の医療デバイスのハンドルの切断平面図。
図7】ハンドルの内部を示す、別の医療デバイスのハンドルの切断平面図。
図8】ハンドルの内部を示す、別の医療デバイスのハンドルの切断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
さまざまな装置またはプロセスまたは構成が、特許請求される主題の実施形態の例を提供するために以下に説明される。以下に説明される例は、いずれの請求項をも限定するものではなく、いずれの請求項も、以下に説明されるものとは異なるプロセスまたは装置または構成を対象としてもよい。特許請求の範囲は、以下に説明される任意の1つの装置もしくはプロセスもしくは構成の特徴のすべてを有する装置もしくはプロセスもしくは構成、または以下に説明される装置もしくはプロセスもしくは構成の複数またはすべてに共通する特徴に限定されない。以下に説明される装置またはプロセスまたは構成が、本特許出願の発行によって付与される任意の専有権の実施形態ではないことが可能である。以下に説明され、本特許出願の発行によってその専有権が付与されていない任意の主題は、別の保護的文書、たとえば、継続特許出願の主題である場合があり、出願人、発明者、または所有者は、任意のそのような主題を、本文献におけるその開示によって、放棄、免責、または公共に供することを意図しない。
【0019】
本明細書に全般的に開示されるのは、ハンドルと、シース、カテーテル、または導入器などのツールとを含む操作可能な医療デバイスである。ハンドルは、ユーザがツールを所望の方向に操ることまたは操作することを可能にすることができる。より詳細には、ハンドルは、ハンドルの本体に回転可能に結合されたノブを含むことができる。動作において、第1の方向のノブの回転は、ユーザがツールを第1の方向に操作または偏向することを可能にすることができ、その一方で第2の方向のノブの回転は、ユーザがツールを第2の方向に操作または偏向することを可能にすることができる。ノブの回転は、ハンドル内にあることができるスライド組立体、およびスライド組立体とツールとの間に接続された1つまたは複数の制御ワイヤを介して、ツールの偏向に変換され得る。スライド組立体は、(ボルトとも称される)送りねじを含むことができる。ノブの回転は、送りねじの回転を引き起こすことができる。送りねじの回転は、送りねじの線形並進を引き起こすことができ、または送りねじに沿ったスライダの線形並進を引き起こすことができる。この並進は、これが送りねじ自体のものであろうと、スライダのものであろうと、制御ワイヤの張力を引き起こし、その結果、ツールの偏向を生じさせる。簡単にするために、スライダおよび制御ワイヤの詳細は、本明細書において開示されない。しかし、関連するスライダおよび制御ワイヤは、たとえば、本明細書に全体的に援用する、米国特許第10,661,057号明細書(Daviesら)に開示される。さらに、スライダおよび制御ワイヤを含む操作可能な医療デバイスは、(カナダ、モントリオール所在の)ベイリス・メディカル社(Baylis Medical Company,Inc.)によって、SureFlex(登録商標)操作可能な案内シース(Steerable Guiding Sheath)のブランド名の下で販売されている。
【0020】
本明細書に開示される操作可能な医療デバイスは、ツールの偏向における望ましくない弛緩を回避または最小化または低減し、ツールの操作におけるスロップを回避または最小化または低減するように構成される。より詳細には、本明細書において開示される操作可能な医療デバイスでは、ギヤ・トレーンが、ノブとスライド組立体との間に設けられる。ギヤ・トレーンは、送りねじが比較的小さいねじ山ピッチを有することを可能にすることができ、それによってスロップを低減することができる。さらに、ギヤ・トレーンは、送りねじがノブよりも速く回転することを可能にすることができる。これは、小さいねじ山ピッチの結果とするノブ回転ごとの低減された線形変位を補償することができる。さらに、ギヤ・トレーンは、システム全体の摩擦を増大させることなく、巻き戻しに対する機械的抵抗をもたらすことができる。
【0021】
次に図1を参照すれば、例示的な操作可能な医療デバイス100が示される。操作可能な医療デバイス100は、全般的には、ハンドル102と、ハンドル102から延びる細長いツール104とを含む。ツール104は、たとえば、(それだけに限定されないが)シース、カテーテル、または導入器であることができる。ハンドル102は、ハンドル本体106と、ハンドル本体106に対して回転可能なノブ108とを含む。ノブ108は、ツール104を操作するように回転され得る。第1の方向(たとえば時計回り方向)のノブ108の回転は、ツール104を第1の方向(すなわち図1の点線に示される構成)に偏向させることができ、第2の方向(たとえば反時計回り方向)のノブ108の回転は、ツール104を第2の方向に(すなわち図1の実線で示される構成に戻るように)偏向させることができる。ツール104は、図1にのみ示され、簡単にするために、図2図7では省略されている。
【0022】
ハンドル本体106およびノブ108が、ハンドル102の内部を示すために切断されている図2を参照すれば、スライド組立体110が、ハンドル102内に収容される。以下にさらに詳細に説明されるように、ノブ108は、スライド組立体110に結合されて、ノブ108の回転によってスライド組立体110の移動を駆動する。より詳細には、図示される例では、スライド組立体110は、送りねじ112と、送りねじに対して結合されたスライダ114とを含む。スライダ114は、送りねじ112上に受け入れられ、送りねじ112に沿って並進可能である。ノブ108の回転は、送りねじ112に伝達されて、送りねじ112の回転を引き起こす。送りねじ112の回転は、送りねじ112に沿ったスライダ114の並進を引き起こす。制御ワイヤ116が、さらに、スライド組立体110のスライダ114とツール104(図1に示される)との間に結合される。スライド組立体110の移動、すなわち送りねじ112の回転によって引き起こされるスライダ114の並進は、制御ワイヤ116の張力を引き起こし、制御ワイヤ116の張力は、ツール104の偏向を引き起こす。上記で言及されたように、スライダ114および制御ワイヤ116の詳細、ならびにスライダ114と制御ワイヤ116とツール104との間の接続は、米国特許第10,661,057号明細書(Daviesら)において開示され、本明細書では繰り返されない。
【0023】
依然として図2、およびさらに図3を参照すれば、ノブ108の回転によってスライド組立体110の移動を駆動するために、ハンドル102は、ギヤ・トレーン、すなわちノブ108に関連付けられた第1のギヤ118と、スライド組立体110に関連付けられた第2のギヤ120と、第1のギヤ118と第2のギヤ120との間に結合された第3のギヤ122とを含む。ノブ108の回転は、第1のギヤ118の回転を駆動し、第1のギヤ118の回転は、第3のギヤ122の回転を駆動し、第3のギヤ122の回転は、第2のギヤ120の回転を駆動し、第2のギヤ120の回転は、送りねじ112の回転を駆動する。
【0024】
本明細書に使用されるとき、用語「関連付けられる」は、装着される、しっかりと留められる、固定される、接着される、接続される、一体化される、その一部である、共に移動可能である、および/または組み入れられることを意味することができる。それにしたがって、「ハンドル102は、ノブ108に関連付けられた第1のギヤ118を含む」という言及は、たとえば、第1のギヤ118が、(図2および図3を参照して以下に説明されるように)ノブ108に組み入れられること、または第1のギヤ118が、(図6および図7を参照して以下に説明されるように)ノブ108に対して装着された別個のピースであることを意味することができる。
【0025】
依然として図2および3を参照すれば、図示される例では、第1のギヤ118は、ノブ108の内部ギヤである。第2のギヤ120は、送りねじ112に固定されたサン・ギヤである。第3のギヤ122は、ハンドル本体106に対して装着され、内部ギヤ(すなわち第1のギヤ118)とサン・ギヤ(すなわち第2のギヤ120)との間に結合されたプラネタリ・ギヤである。ノブ108の回転は、内部ギヤ(すなわち第1のギヤ118)の回転を引き起こし、内部ギヤの回転は、プラネタリ・ギヤ(すなわち第3のギヤ122)の回転を引き起こし、プラネタリ・ギヤの回転は、サン・ギヤ(すなわち第2のギヤ120)の回転を引き起こし、サン・ギヤの回転は、送りねじ112の回転を引き起こす。
【0026】
図示される例では、プラネタリ・ギヤ(すなわち第3のギヤ122)は、内部ギヤ(すなわち第1のギヤ118)およびサン・ギヤ(すなわち第2のギヤ120)に対して適所に固定される。すなわち、プラネタリ・ギヤは、サン・ギヤを周回しない。代替の例では、プラネタリ・ギヤは、サン・ギヤを周回することができる。
【0027】
図2および図3に示される例では、ハンドル102は、1つのプラネタリ・ギヤを含む。代替の例では、ハンドルは、追加のプラネタリ・ギヤを含むことができる。1つのそのような例が、図4および図5に示される。図4および図5では、図1図3のものと同様である特徴が、300ずつ増分された同様の参照番号によって特定される。さらに、簡潔にするために、図4および図5の特定の特徴のみが説明される。図示される例では、ハンドル402は、ノブ408の内部ギヤの形態の第1のギヤ418と、送りねじ412に固定されたサン・ギヤの形態の第2のギヤ420と、第1のギヤ418と第2のギヤ420との間に結合されたプラネタリ・ギヤの形態の第3のギヤ422および第4のギヤ424とを含む。
【0028】
図1図3の例では、回転可能なノブ108は、ハンドル102の比較的小さい部分であり、ハンドル120の上部にあり、その一方でハンドル本体106は、ハンドル102の比較的大きい部分であり、ハンドル102の底部にある。代替的な例が、図6に示される。図6では、図1図3のものと同様である特徴は、500ずつ増分された同様の参照番号によって特定される。さらに、簡潔にするために、図6の特定の特徴のみが説明される。図6の例では、回転可能なノブ608は、ハンドル602の底部にあるハンドル602の比較的大きい部分であり、ハンドル本体606は、ハンドル602の上部にある比較的小さい部分である。この例では、第1のギヤ618、第2のギヤ620、および第3のギヤ622は、ノブ608内に収容される。
【0029】
次に図7を参照すれば、ハンドル702の別の例が示される。図7では、図1図3のものと同様である特徴が、600ずつ増分された同様の参照番号によって特定される。さらに、簡潔にするために、図7の特定の特徴のみが説明される。ハンドル702では、第1のギヤ718は、ノブ708に固定され、ノブ708と共に回転可能な第1のベベル・ギヤであり、第2のギヤ720は、スライド組立体710に対して装着されてスライド組立体710の移動を(以下でさらに説明するように)駆動する第2のベベル・ギヤであり、第3のギヤ722は、ハンドル本体706に対して装着され、ハンドル本体706に対して回転可能な第3のベベル・ギヤである。第3のギヤ722は、第1のギヤ718と第2のギヤ720との間に結合され、それにより、ハンドル本体706に対するノブ708の回転は、ハンドル本体706に対する第1のギヤ718の回転を駆動し、第1のギヤの回転は、ハンドル本体706に対する第3のギヤ722の回転を駆動し、第3のギヤ722の回転は、ハンドル本体706に対する第2のギヤ720の回転を駆動する。
【0030】
依然として図7を参照すれば、図示される例では、スライド組立体710は、第2のギヤ720と共に回転可能なプレート726と、プレート726に対して回転可能に装着され、プレート726と共に回転可能な4つの一次送りねじ728のセット(そのうちの2つのみが見える)とを含む。スライダ714は、二次送りねじ730と、二次送りねじ730に固定されたスライダ本体732とを含む。二次送りねじ730は、一次送りねじ728間に配置され、一次送りねじ728に係合される。プレートの回転は、二次送りねじ730周りの一次送りねじ726の周回726を引き起こし、それによって二次送りねじ730およびスライダ本体732の並進を引き起こす。スライダ本体732の並進は、制御ワイヤ716の張力と、ツール(図示されず)の偏向とを引き起こす。
【0031】
次に図8を参照すれば、ハンドル802の別の例が示される。図8では、図1図3のものと同様である特徴は、700ずつ増分された同様の参照番号によって特定される。さらに、簡潔にするために、図8の特定の特徴のみが説明される。この例では、スライド組立体810は、制御ワイヤ816の張力を引き起こすようにハンドル本体806に対してそれ自体が並進可能である送りねじ812を含む(すなわち別個のスライダは設けられない)。すなわち、スライド組立体810は、送りねじ812を含み、ハンドル本体806の内面は、ねじ切りされ、送りねじ812にねじ留め式に係合される。ハンドル本体806に対する送りねじ812の回転は、ハンドル本体に沿った送りねじ812の並進を引き起こし、送りねじ812の並進は、制御ワイヤ816の張力を引き起こす。この例では、制御ワイヤは、並進中のワイヤのねじりを防止するために、送りねじ812に固定されたベアリング823に対して装着される。代替の例では、制御ワイヤは、絡まりを回避または防止するために、送りねじ回転軸に沿ってルーティングされてもよい。
【0032】
依然として図8を参照すれば、図示される例では、ギヤは、図7の例と同様に構成される。すなわち、ハンドル802は、ノブ808に固定され、ノブ808と共に回転可能な第1のベベル・ギヤの形態の第1のギヤ818と、送りねじ812に対して装着されて送りねじ812の回転を駆動する第2のベベル・ギヤの形態の第2のギヤ820と、第1のギヤ818と第2のギヤ820との間に結合された第3のベベル・ギヤの形態の第3のギヤ822とを含む。しかし、図8の例では、第1のギヤ818、第2のギヤ820、および第3のギヤ822は、ハンドル本体806およびノブ808に対して、送りねじ812と一緒になって並進可能である。
【0033】
代替の例では、図8の送りねじ812は、(図7のものと同様である)送りねじのセットによって置き換えられ得る。
上記の説明は、1つまたは複数のプロセスまたは装置または構成の例を提供しているが、他のプロセスまたは装置または構成が付属の特許請求の範囲の範囲内にあってもよいことが理解されよう。
【0034】
任意の技術または従来技術または別の形の技術に関して(本特許出願もしくは特許、または任意の親特許、兄弟特許、もしくは子特許を含む任意の関連する特許出願または特許において)これまでになされた任意の補正、特徴決定、または他の表明が、本出願の本開示によって支持される任意の主題の免責事項として解釈され得る範囲内で、本出願人は、本明細書において、そのような免責事項を破棄し、撤回する。本出願人はまた、任意の親特許、兄弟特許、または子特許を含む任意の関連する特許出願または特許においてこれまでに考慮されたいずれの従来技術も、再照会される必要があり得ることを謹んで提示する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル本体、および前記ハンドル本体に対して回転可能なノブを有するハンドルと、
前記ノブに関連付けられた第1のギヤと、
前記ハンドル内に収容されたスライド組立体であって、第1の送りねじを備える、スライド組立体と、
前記スライド組立体に関連付けられた第2のギヤと、
前記ハンドル内に収容され、前記第1のギヤと前記第2のギヤとの間に結合された第3のギヤであって、前記ノブの回転が、前記第1のギヤの回転を駆動し、前記第1のギヤの回転が、前記第3のギヤの回転を駆動し、前記第3のギヤの回転が、前記第2のギヤの回転を駆動し、前記第2のギヤの回転が、前記送りねじの回転を駆動する、第3のギヤと、
前記ハンドルから延びる細長いツールと、
を備える、操作可能な医療デバイス。
【請求項2】
前記スライド組立体と前記ツールとの間に結合された少なくとも1つの制御ワイヤをさらに備え、それによって、前記送りねじの回転が、前記制御ワイヤの張力を引き起こし、前記制御ワイヤの張力が、前記ツールの偏向を引き起こす、請求項1に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項3】
前記第1のギヤが、前記回転可能なノブの内部ギヤであり、
前記第2のギヤが、前記送りねじに対して固定されたサン・ギヤであり、
前記第3のギヤが、前記内部ギヤと前記サン・ギヤとの間に結合されたプラネタリ・ギヤである、請求項1または2に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項4】
前記内部ギヤと前記サン・ギヤとの間に結合された追加のプラネタリ・ギヤをさらに備える、請求項3に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項5】
前記プラネタリ・ギヤが、前記内部ギヤおよび前記サン・ギヤに対して適所に固定される、請求項3または4に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項6】
前記スライド組立体が、前記送りねじおよび前記制御ワイヤに対して結合されたスライダをさらに備え、前記送りねじの回転が、前記送りねじに対する前記スライダの並進を引き起こし、前記スライダの並進が、前記制御ワイヤの張力を引き起こす、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項7】
前記第1のギヤが、前記ノブに対して装着された第1のベベル・ギヤであり、
前記第2のギヤが、前記スライド組立体に対して装着された第2のベベル・ギヤであり、
前記第3のギヤが、前記第1のベベル・ギヤと前記第2のベベル・ギヤとの間に結合された第3のベベル・ギヤである、請求項1または2に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項8】
前記第1のベベル・ギヤが、前記ノブに対して固定される、請求項7に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項9】
前記第1のベベル・ギヤ、前記第2のベベル・ギヤ、前記第3のベベル・ギヤ、および前記送りねじが、前記ノブおよび前記ハンドル本体に対して並進可能である、請求項7に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項10】
前記送りねじの回転が、前記送りねじの並進を引き起こし、前記送りねじの並進が、前記制御ワイヤの張力を引き起こす、請求項9に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項11】
前記ツールが、シース、カテーテル、または導入器である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項12】
前記ノブが、前記ハンドル本体より大きい、請求項1乃至3、5、6、または11のいずれか1項に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項13】
前記第1のギヤ、前記第2のギヤ、および前記第3のギヤが、前記ノブ内に位置付けられる、請求項12に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項14】
前記ハンドル本体が、前記ノブより大きい、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の操作可能な医療デバイス。
【請求項15】
前記第1のギヤ、前記第2のギヤ、および前記第3のギヤが、前記ハンドル本体内に位置付けられる、請求項14に記載の操作可能な医療デバイス。
【国際調査報告】