(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】連続的な経口薬物送達の方法
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20230920BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230920BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230920BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230920BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20230920BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230920BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230920BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230920BHJP
A61P 9/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230920BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230920BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230920BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230920BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/195 20060101ALI20230920BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/4425 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20230920BHJP
A61K 31/341 20060101ALI20230920BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61J7/00 A
A61P9/12
A61P29/00
A61P37/08
A61P37/02
A61P31/04
A61P35/00
A61P29/02
A61P25/04
A61P37/06
A61P25/20
A61P25/22
A61P9/06
A61P9/04
A61P25/08
A61P3/10
A61P13/12
A61P9/02
A61P25/00
A61P13/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P25/28
A61P1/04
A61P15/00
A61P11/00
A61P13/10
A61P25/16
A61K31/198
A61K31/195
A61P21/04
A61K31/4425
A61K31/4178
A61K31/341
A61K9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515758
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021050024
(87)【国際公開番号】W WO2022056360
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516131728
【氏名又は名称】シンアジャル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー, アダム
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C047CC04
4C047NN08
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4C076BB01
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4C206AA01
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(57)【要約】
本発明は、経口注入によって(例えば、医薬組成物を連続投与するために口内に固定された薬物送達デバイスを介して)薬物を連続的に投与する方法、及び被験者を事前にスクリーニングし、必要に応じてH.ピロリ(H.Pylori)に感染している被験者を治療して、被験者における口腔内連続投与のPKパフォーマンスを向上させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に少なくとも1種類の薬物を含む医薬組成物を投与する方法であって、
(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、
(ii)前記対象者の口内に薬物送達デバイスを挿入することであって、前記薬物送達デバイスは少なくとも1種類の薬物を含む前記医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記医薬組成物を連続的又は半連続的に投与すること
を含む方法。
【請求項2】
対象者に少なくとも1種類の薬物を含む医薬組成物を投与する方法であって、
(i)対象者を提供することであって、ここで前記対象者は、H.ピロリ(H.Pylori)による感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)について治療されている、提供すること、
(ii)前記対象者の口内に薬物送達デバイスを挿入することであって、前記薬物送達デバイスは少なくとも1種類の薬物を含む前記医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に連続的又は半連続的に前記医薬組成物を投与すること
を含む方法。
【請求項3】
前記薬物送達デバイスが、前記対象者の口腔内の表面に取り外し可能に取り付けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬組成物が、4時間、8時間、16時間、24時間、又はそれ以上の時間の送達期間にわたって前記対象者に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記送達期間の各時間中の前記医薬組成物の送達速度が、前記送達期間中の平均送達速度の±25%以内又は±10%以内である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記薬物の半減期が、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間、30分、20分又は10分未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記薬物の変動指数が、前記送達期間中に2.0、1.5、1.0、0.75、0.50、0.25、又は0.15以下である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記薬物の変動指数が、同じ病状の、同じ療法を受けているがH.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者で観察される平均変動指数より低い、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、約4時間以上約7日以下の送達期間の間、前記薬物送達デバイスから前記対象者に前記薬物を投与することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記薬物リザーバが、ある量の前記医薬組成物を含み、前記方法が、前記送達期間中、1時間あたり約15μL~1時間あたり約1.25mLの範囲の速度での経口投与をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、約0.015mL/時間~約0.25mL/時間の範囲の速度での経口投与を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、約0.25mL/時間~約0.5mL/時間、約0.5mL/時間~約0.75mL/時間、又は約0.75mL/時間~約1.0mL/時間の範囲の速度での経口投与を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記薬物が、1時間あたり0.01mg以上及び1時間あたり250mg以下の平均速度で前記対象者に投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記薬物が、1時間あたり0.01mg~1時間あたり1mg、1時間あたり1mg~1時間あたり10mg、1時間あたり10mg~1時間あたり100mg、又は1時間あたり100mg~1時間あたり250mgの範囲の1時間あたり速度で前記対象者に投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物が、少なくとも60分ごとに1回、前記対象者に投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記医薬組成物が、少なくとも30分ごとに1回、前記対象者に投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬組成物が、少なくとも15分ごとに1回、前記対象者に投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物が連続的に前記対象者に投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象者の疾患を治療することをさらに含み、前記疾患は、粘膜炎、アレルギー、免疫疾患、無感覚症、細菌感染、癌、疼痛、臓器移植、睡眠障害、てんかん若しくは発作、不安、気分障害、心的外傷後ストレス障害、不整脈、高血圧症、心不全、痙性、又は糖尿病性腎症である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
対象者の疾患を治療することをさらに含み、前記疾患は、多発性硬化症、脳性麻痺、痙性、神経原性起立性低血圧、ウイルソン病、シスチン尿症、関節リウマチ、アルツハイマー病、1型ゴーシェ病、C型ニーマンピック病、好酸球性胃腸炎、慢性肥満細胞症、潰瘍性大腸炎、胃食道逆流症、胃腸炎、妊娠悪阻、多形膠芽腫、未分化星状細胞種、肺高血圧症、冠動脈心疾患、鬱血性心不全、狭心症、2型糖尿病、COPD、ぜんそく、過敏性腸症候群、過活動膀胱又は切迫尿失禁である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬組成物が、レボドパ若しくはレボドパプロドラッグ、バクロフェン若しくはバクロフェンプロドラッグ、ピリドスチグミン若しくはピリドスチグミンプロドラッグ、ピロカルピン若しくはピロカルピンプロドラッグ、フロセミド若しくはフロセミドプロドラッグ、メチルフェニデート、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トレプロスチニル、ベラプロスト、ニモジピン、及びテストステロンから選択される1種又は複数種の薬物を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(a)前記対象者がパーキンソン病に罹患し、(b)前記薬物リザーバがレボドパ又はレボドパプロドラッグを含み、(c)前記方法が、30mg/時間~150mg/時間の範囲の1時間あたり速度で少なくとも4時間の期間、前記対象者の口内に前記レボドパ又はレボドパプロドラッグを投与することを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
1,200ng/mLを超え2,500ng/mL未満の循環血漿レボドパ濃度が、前記投与の間、少なくとも4時間の期間にわたって継続的に維持される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象者が、ホーン・ヤールスケールで4及び5のスコアを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法がそれを必要とする対象者において痙性を治療することを含み、前記薬物がバクロフェン又はバクロフェンプロドラッグである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法がそれを必要とする対象者において重症筋無力症を治療することを含み、前記薬物がピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記方法がそれを必要とする対象者においてドライマウスを治療することを含み、前記薬物がピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法がそれを必要とする対象者において浮腫又は高血圧を治療することを含み、前記薬物がフロセミド又はフロセミドプロドラッグである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
投与中、循環薬物血漿濃度が、少なくとも1時間、2時間、又は4時間の期間、その平均から±20%未満又は±10%未満変化する、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬物の有効な循環血漿濃度が、投与中に少なくとも8時間の期間にわたって継続的に維持される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記薬物送達デバイスが、対象者の口内に取り外し可能に挿入されるように、及び前記薬物の連続的又は半連続的な口腔内投与のために構成され、前記デバイスは、
(i)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口の表面に取り外し可能に固定する留め具、
(ii)電気又は機械式ポンプ、及び、
(iii)前記医薬組成物を含み容量が0.1mL~5mLである、薬物リザーバ
を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
パーキンソン病の治療におけるレボドパ又はレボドパプロドラッグの使用であって、前記レボドパ又はレボドパプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記レボドパ又はレボドパプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記レボドパ又はレボドパプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項33】
パーキンソン病の治療におけるレボドパ又はレボドパプロドラッグの使用であって、前記レボドパ又はレボドパプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)対象者を提供することであって、ここで前記対象者はH.ピロリ(H.Pylori)による感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ感染について治療されている、提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記レボドパ又はレボドパプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記レボドパ又はレボドパプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項34】
前記使用が、30mg/時間~150mg/時間の範囲の1時間あたり速度で、少なくとも4時間の期間、前記レボドパ又はレボドパプロドラッグを前記対象者の口内に投与することを含む、請求項32又は33に記載の使用。
【請求項35】
1,200ng/mLを超え2,500ng/mL未満の循環血漿レボドパ濃度が、前記投与の間、少なくとも4時間の期間にわたって継続的に維持される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記対象者がホーン・ヤールスケールで4及び5のスコアを有する、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記医薬組成物がカルビドパ又はカルビドパプロドラッグをさらに含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記医薬組成物がベンセラジドをさらに含む、請求項32~37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
痙性の治療におけるバクロフェン又はバクロフェンプロドラッグの使用であって、前記バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項40】
痙性の治療におけるバクロフェン又はバクロフェンプロドラッグの使用であって、前記バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)対象者を提供することであって、ここで前記対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)の感染について治療されている、提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項41】
前記対象者が多発性硬化症に罹患している、又は脊髄損傷の状態である、請求項39又は40に記載の使用。
【請求項42】
重症筋無力症の治療におけるピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグの使用であって、前記ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項43】
重症筋無力症の治療におけるピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグの使用であって、前記ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)対象者を提供することであって、ここで前記対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリの感染について治療されている、提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項44】
ドライマウスの治療におけるピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグの使用であって、前記ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口内に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項45】
ドライマウスの治療におけるピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグの使用であって、前記ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)対象者を提供することであって、ここで前記対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)の感染について治療されている、提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口内に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項46】
前記ドライマウスがシェーグレン症候群又は放射線療法に関連している、請求項44又は45に記載の使用。
【請求項47】
高血圧又は浮腫の治療におけるフロセミド又はフロセミドプロドラッグの使用であって、前記フロセミド又はフロセミドプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを対象者の口内に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記フロセミド又はフロセミドプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記フロセミド又はフロセミドプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項48】
高血圧又は浮腫の治療におけるフロセミド又はフロセミドプロドラグの使用であって、前記フロセミド又はフロセミドプロドラッグは前記薬物送達デバイスを介して投与され、前記使用は、
(i)対象者を提供することであって、前記対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)の感染について治療されている、提供すること、
(ii)前記薬物送達デバイスを前記対象者の口内に挿入することであって、前記薬物送達デバイスは、前記フロセミド又はフロセミドプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び、
(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で前記対象者の前記口内に前記フロセミド又はフロセミドプロドラッグを連続的又は半連続的に投与すること
を含む使用。
【請求項49】
前記浮腫が、心不全、腎臓病、又は肝臓病に関連している、請求項47又は48に記載の使用。
【請求項50】
前記薬物送達デバイスが、前記対象者の口腔内の表面に取り外し可能に取り付けられる、請求項32~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記医薬組成物が、4時間、8時間、16時間、24時間、又はそれ以上の時間の送達期間にわたって前記対象者に投与される、請求項32~50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記送達期間の各時間中の前記医薬組成物の送達速度が、前記送達期間中の平均送達速度の±25%以内又は±10%以内である、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグの半減期が、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間、30分、20分又は10分未満である、請求項32~52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグの変動指数が、前記送達期間中、2.0、1.5、1.0、0.75、0.50、0.25、又は0.15以下である、請求項51~53のいずれか一項に記載の使用。
【請求項55】
前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグの変動指数が、同じ病状の、同じ療法を受けているがH.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者で観察される平均変動指数より低い、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
前記使用が、前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグを、約4時間以上約7日以下の送達期間の間、薬物送達デバイスから前記対象者に投与することを含む、請求項32~55のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
前記薬物リザーバが、ある量の前記医薬組成物を含み、前記方法が、前記送達期間中、1時間あたり15μL~1時間あたり約1.25mLの範囲の速度での口腔投与をさらに含む、請求項32~56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記使用が、約0.015mL/時間~約0.25mL/時間の範囲の速度での経口投与を含む、請求項32~57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記使用が、約0.25mL/時間~約0.5mL/時間、約0.5mL/時間~約0.75mL/時間、又は約0.75mL/時間~約1.0mL/時間の範囲の速度での経口投与を含む、請求項32~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグが、1時間あたり0.01mg以上及び1時間あたり250mg以下の平均速度で前記対象者に投与される、請求項32~59のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグが、1時間あたり0.01mg~1時間あたり1mg、1時間あたり1mg~1時間あたり10mg、1時間あたり10mg~1時間あたり100mg、又は1時間あたり100mg~1時間あたり250mgの範囲の1時間あたり速度で前記対象者に投与される、請求項32~60のいずれか一項に記載の使用。
【請求項62】
前記医薬組成物が、少なくとも60分ごとに1回、前記対象者に投与される、請求項32~61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項63】
前記医薬組成物が、少なくとも30分ごとに1回、前記対象者に投与される、請求項32~61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項64】
前記医薬組成物が、少なくとも15分ごとに1回、前記対象者に投与される、請求項32~61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項65】
前記医薬組成物が前記対象者に連続的に投与される、請求項32~61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項66】
投与中、循環レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミンピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグの血漿濃度が、少なくとも1、2、又は4時間の期間、その平均から±20%以内又は±10%未満で変化する、請求項32~65のいずれか一項に記載の使用。
【請求項67】
前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグの有効な循環血漿濃度が、投与中に少なくとも8時間の期間にわたって、継続的に維持される、請求項32~66のいずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
前記薬物送達デバイスが、被験者の口内に取り外し可能に挿入されるように、及び前記レボドパ、バクロフェン、ピリドスチグミン、ピロカルピン、フロセミド、又はそれらのプロドラッグを連続的又は半連続的に口腔内に投与するように構成され、前記デバイスが、
(i)前記薬物送達デバイスを前記被験者の口の表面に取り外し可能に固定するための留め具、
(ii)電気式又は機械式ポンプ、及び
(iii)前記医薬組成物を含み容量が0.1mL~5mLである、薬物リザーバ
を含む、請求項32~67のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口注入により(例えば、医薬組成物を連続投与するために口内に固定された薬物送達デバイスを介して)薬物を連続投与する方法、及び対象者を事前にスクリーニングし、必要に応じてH.ピロリ(H.pylori)に感染した対象者の治療を行い、対象者における連続的な口腔内投与のPKパフォーマンスを向上させることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、経口経路を介した連続的又は半連続的な薬物投与のための方法に関する。本発明の目的は、生理的半減期が短い薬物(例えば、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間、30分、20分又は10分より短い)及び/又は現在1日に複数回投薬されている薬物の狭い治療窓に関するいくつかの問題を解決することである:1日に複数回又は夜間に投薬しなければならない薬物を服用することは不便であり、薬物の薬物動態及び効力は最適ではない可能性があり、副作用は頻度及び/又は深刻度を増大し得る。連続投与又は半連続投与は、半減期(例えば、血漿中)が短く、及び/又は薬物の生理学的効果の持続性が短く、及び/又は治療窓が狭い、以下のものなどの薬物に特に有益であり得る。レボドパ(LD)、筋弛緩剤(例えば、痙縮を管理するためのバクロフェン)、抗てんかん薬(例えば、オクスカルバゼピン、トピラマート、ラモトリギン、ガバペンチン、カルバマゼピン、バルブロ酸、レベチラセタム、プレガバリン)、副交感神経作動薬(例えば、ピリドスチグミン)及び睡眠薬(例えば、ザレプロン)。口の中で連続的又は半連続的に注入することにより、臓器又は流体、例えば血液又は血漿中の薬物の濃度の変動を減らすことができる。便利な薬物の自動投与により、特に夜間に薬を服用しなければならない患者や認知症の患者に関して、患者の服薬コンプライアンスを向上させることもできる。
【0003】
連続的に経口投与される薬物によって管理される病状には、パーキンソン病、痙性、筋力低下、細菌感染、癌、疼痛、臓器移植、睡眠障害、てんかん及び発作、不安、気分障害、心的外傷後ストレス障害、不整脈、高血圧症、心臓不全、認知症、アレルギー、糖尿病性腎臓障害などがある。
【0004】
経口投与を意図した薬物の多くは、1日に1回又は複数回投与される固形物(例えば、錠剤、タブレット)、溶液、又は懸濁液として処方されている。このような薬物は、連続的又は半連続的な、一定速度の口腔内投与の要件を満たすように処方されていない。例えば、多くの懸濁液や溶液は、その機能、特に発話を妨げることなく口の中に収まらない、比較的大量の1日量で処方されており、及び/又は体温下に1日の間に物理的又は化学的に不安定である製剤で処方されており、錠剤やタブレットは、1日を通して頻繁に服薬するのに適した単位及び服薬量で処方されることはほとんどない。
【0005】
病気によっては、治療のために大量の薬剤を投与する必要がある。例えば、進行したパーキンソン病の患者には、1日1,000mgのレボドパが投与されるのが一般的である。このような大量の薬物を、何時間も口内に快適に収まる液量(通常5mL未満)で口内に連続投与するためには、薬物含有ペーストなど、連続的に口内に押し出すことができる高濃度でしばしば粘性のある薬物の液剤を採用することが時に必要である。粘性流体の使用は、本発明の薬物及び方法に望まれる少量、高濃度、均一な薬物分散、保存安定性、及び操作安定性を提供することができる。その結果、粘性流体を圧送するのに必要な圧力を提供するように調整された小型化されたポンプを採用することがしばしば必要である。
【0006】
具体的な例として、パーキンソン病(PD)は、黒質のドーパミン作動性ニューロンが神経伝達物質であるドーパミンを生成できないことを特徴とする。PDは、運動能力、認知プロセス、自律神経機能、及び睡眠を損なう。運動症状としては、振戦、硬直、動作緩慢(運動緩徐)、動作開始能力の低下(アキネジア)(総称して「オフ」状態)などがある。PDの非運動性症状には、認知症、嚥下障害(飲み込み困難)、不明瞭な言語、起立性低血圧、脂漏性皮膚炎、尿失禁、便秘、気分変化、性機能障害、睡眠問題(例えば、日中の傾眠、不眠)などがある。
【0007】
レボドパ(LD)療法は、40年を超える臨床使用の後、PDを管理するための最も効果的な方法であり、運動機能に最も大きな改善をもたらす。その結果、LD投与はPDの主要な治療法である。LDは通常、経口投与される。経口投与されたLDは血液に入り、血液中のLDの一部は血液脳関門を通過する。LDは脳内で一部代謝され、ドーパミンとなり、PDの運動症状を一時的に軽減させる。PDの基礎となる神経変性が進行すると、患者が必要とするLDの量は増え、脳内ドーパミンレベルの変動も大きくなる。LDが脳に運ばれすぎると、ジスキネジア(身悶え、痙攣、震えなどの制御不能な運動)が起こり、運ばれる量が少なすぎると、患者は再びオフ状態になる。さらに、PDの進行に伴い、LDの口腔製剤の治療窓が狭くなり、運動合併症を誘発することなくPDの運動症状を制御することがますます困難になる。さらに、ほとんどのPD患者は、服薬終了時の効果が減耗し、突然のオン/オフ、オンまでの時間の遅延、及び応答障害など、間欠的な口腔LD療法に対する応答変動を発現する。
【0008】
特に、半減期が短く(例えば、血漿中)、薬物の生理学的効果の持続性が短く、治療窓が狭い薬物について、治療の有効性及び/又は安全性を改善するために、信頼できる安定した薬物動態性能をもたらすために、被験者への薬物の連続又は半連続投与を可能にする方法及びデバイスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、経口注入によって(例えば、医薬組成物を連続投与するために口内に固定された薬物送達デバイスを介して)薬物を連続投与する方法、及び対象者を事前にスクリーニングし、必要に応じてヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)(H.pylori)に感染した対象者を治療して、対象者における連続投与の薬物動態性能を向上させることを特徴とする。
【0010】
本発明は、対象者に医薬組成物を投与する方法であって、(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、(ii)対象者の口内に薬物送達デバイスを挿入することであって、薬物送達デバイスは医薬組成物内に少なくとも1種類の薬物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内に医薬組成物を連続的又は半連続的に投与することを含む方法を特徴とする。
【0011】
本発明はさらに、対象者に医薬組成物を投与する方法であって、(i)対象者を提供することであって、ここで対象者は、H.ピロリ(H.Pylori)による感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)について治療されている、提供すること、(ii)対象者の口内に薬物送達デバイスを挿入することであって、薬物送達デバイスは、医薬組成物内に少なくとも1種類の薬物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内に連続的又は半連続的に医薬組成物を投与することを含む方法を特徴とする。
【0012】
本発明はまた、パーキンソン病の治療におけるレボドパ又はレボドパプロドラッグの使用であって、レボドパ又はレボドパプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口に挿入することであって、薬物送達デバイスは、レボドパ又はレボドパプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にレボドパ又はレボドパプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0013】
本発明はさらに、パーキンソン病の治療におけるレボドパ又はレボドパプロドラッグの使用であって、レボドパ又はレボドパプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)対象者を提供することであって、ここで対象者はH.ピロリ(H.Pylori)による感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ感染について治療されている、提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口に挿入することであって、薬物送達デバイスは、レボドパ又はレボドパプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口にレボドパ又はレボドパプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0014】
いくつかの実施形態において、使用は、30mg/時間~150mg/時間の範囲の1時間あたり速度で、少なくとも4時間の期間、レボドパ又はレボドパプロドラッグを対象者の口内に投与することを含む。いくつかの実施形態において、1,200ng/mLを超え2,500ng/mL未満の循環血漿レボドパ濃度が、投与の間、少なくとも4時間の期間にわたって継続的に維持される。いくつかの実施形態において、対象者は、ホーン・ヤール(Hoehn and Yahr)スケールで4及び5のスコアを有する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、カルビドパ又はカルビドパプロドラッグをさらに含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物はベンセラジドをさらに含む。
【0015】
本発明はまた、痙性の治療におけるバクロフェン又はバクロフェンプロドラッグの使用であって、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は、(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口に挿入することであって、薬物送達デバイスは、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にバクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0016】
本発明はさらに、痙性の治療におけるバクロフェン又はバクロフェンプロドラッグの使用であって、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)対象者を提供することであって、ここで対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)の感染について治療されている、提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口に挿入することであって、薬物送達デバイスは、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にバクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0017】
いくつかの実施形態において、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグで治療される対象者は、多発性硬化症に罹患している、又は脊髄損傷の状態である。
【0018】
本発明はまた、重症筋無力症の治療におけるピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグの使用であって、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口に挿入することであって、薬物送達デバイスは、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0019】
本発明はさらに、重症筋無力症の治療におけるピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグの使用であって、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)対象者を提供することであって、ここで対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリの感染について治療されている、提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口に挿入することであって、薬物送達デバイスは、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0020】
本発明はまた、ドライマウスの治療におけるピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグの使用であって、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口内に挿入することであって、薬物送達デバイスは、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0021】
本発明はさらに、ドライマウスの治療におけるピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグの使用であって、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)対象者を提供することであって、ここで対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)の感染について治療されている、提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口内に挿入することであって、薬物送達デバイスは、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0022】
いくつかの実施形態において、ドライマウスは、シェーグレン症候群又は放射線療法に関連している。
【0023】
本発明はまた、高血圧(高血圧症)又は浮腫の治療におけるフロセミド又はフロセミドプロドラッグの使用であって、フロセミド又はフロセミドプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)H.ピロリ(H.Pylori)に感染していないと認定された対象者を提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口内に挿入することであって、薬物送達デバイスは、フロセミド又はフロセミドプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にフロセミド又はフロセミドプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0024】
本発明はさらに、高血圧(高血圧症)又は浮腫の治療におけるフロセミド又はフロセミドプロドラッグの使用であって、フロセミド又はフロセミドプロドラッグは薬物送達デバイスを介して投与され、使用は:(i)対象者を提供することであって、対象者はH.ピロリ(H.Pylori)の感染について検査され、感染している場合、H.ピロリ(H.Pylori)の感染について治療されている、提供すること、(ii)薬物送達デバイスを対象者の口内に挿入することであって、薬物送達デバイスは、フロセミド又はフロセミドプロドラッグを含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含む、挿入すること、及び(iii)0.001mL/時間~1.25mL/時間の速度で対象者の口内にフロセミド又はフロセミドプロドラッグを連続的又は半連続的に投与することを含む使用を特徴とする。
【0025】
いくつかの実施形態において、浮腫は、心不全(例えば、うっ血性心不全)、腎臓病、又は肝臓病(例えば、肝硬変又は肝線維症)に関連している。
【0026】
薬物送達デバイスは、対象者の口腔内の表面に取り外し可能に取り付けることができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、4時間、8時間、16時間、24時間、又はそれ以上の時間の送達期間にわたって対象者に投与される。いくつかの実施形態において、送達期間の各時間中の医薬組成物の送達速度は、送達期間中の平均送達速度の±25%以内又は±10%以内である。特定の実施形態において、薬物の半減期は、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間、30分、20分又は10分未満である。特定の実施形態において、薬物の変動指数は、送達期間中に2.0、1.5、1.0、0.75、0.50、0.25、又は0.15以下である。特定の実施形態において、薬物の変動指数は、同じ病状の、同じ療法を受けているがH.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者で観察される平均変動指数より低い。
【0028】
方法又は使用は、約4時間以上約7日以下の送達期間の間、薬物送達デバイスから対象者に薬物を投与することを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、薬物リザーバは、ある量の医薬組成物を含み、方法又は使用は、送達期間中、1時間あたり15μL~1時間あたり約1.25mLの範囲の速度での経口投与をさらに含む。例えば、方法又は使用は、約0.015mL/時間~約0.25mL/時間、約0.25mL/時間~約0.5mL/時間、約0.5mL/時間~約0.75mL/時間、又は約0.75mL/時間~約1.0mL/時間の範囲の速度での経口投与を含み得る。
【0030】
特定の実施形態において、薬物は、1時間あたり0.01mg以上及び1時間あたり250mg以下の平均速度で対象者に投与される。例えば、薬物は、1時間あたり0.01mg~1時間あたり1mg、1時間あたり1mg~1時間あたり10mg、1時間あたり10mg~1時間あたり100mg、又は1時間あたり100mg~1時間あたり250mgの範囲の1時間あたり速度で対象者に投与され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも60分ごとに1回、対象者に投与される。例えば、医薬組成物は、少なくとも30分ごとに1回、少なくとも15分ごとに1回、対象者に投与され得、又は望ましくは、医薬組成物は対象者に連続的に投与される。
【0032】
特定の実施形態において、方法は、対象者における疾患を治療することをさらに含み、疾患は、粘膜炎、アレルギー、免疫疾患、無感覚症、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、寄生虫関連障害、滅菌性炎症性疾患、癌、疼痛、臓器移植、睡眠障害、てんかん若しくは発作、不安、気分障害、心的外傷後ストレス障害、不整脈、高血圧症、心不全、痙性、又は糖尿病性腎症である。
【0033】
いくつかの実施形態において、方法は、対象者における疾患を治療することをさらに含み、疾患は、多発性硬化症、脳性麻痺、痙性、神経原性起立性低血圧、ウイルソン病、シスチン尿症、関節リウマチ、アルツハイマー病、1型ゴーシェ病、C型ニーマンピック病、好酸球性胃腸炎、慢性肥満細胞症、潰瘍性大腸炎、胃食道逆流症、胃腸炎、妊娠悪阻、多形膠芽腫、未分化星状細胞種、肺高血圧症、冠動脈心疾患、鬱血性心不全、狭心症、2型糖尿病、COPD、ぜんそく、過敏性腸症候群、過活動膀胱又は切迫尿失禁である。
【0034】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、メチルフェニデート、レボドパ若しくはレボドパプロドラッグ、バクロフェン若しくはバクロフェンプロドラッグ、ピリドスチグミン若しくはピリドスチグミンプロドラッグ、ピロカルピン若しくはピロカルピンプロドラッグ、フロセミド若しくはフロセミドプロドラッグ、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トレプロスチニル、ベラプロスト、ニモジピン、及びテストステロン、又は本明細書に記載の任意の他の薬物から選択される1種又は複数種の薬物を含む。
【0035】
方法の特定の実施形態において:(a)対象者はパーキンソン病に罹患し、(b)薬物リザーバはレボドパ又はレボドパプロドラッグを含み、(c)方法は、30mg/時間~150mg/時間の範囲の1時間あたり速度で少なくとも4時間の期間、対象者の口内にレボドパ又はレボドパプロドラッグを投与することを含む。本方法は、1,200ng/mLを超え2,500ng/mL未満の循環血漿レボドパ濃度が、投与中の少なくとも4時間の期間にわたって連続的に維持されるような口腔内投与を含み得る。特定の実施形態において、対象は、ホーン・ヤール(Hoehn and Yahr)スケールで4及び5のスコアを有する。
【0036】
特定の実施形態において、方法は、それを必要とする対象において痙性を治療することを含み、医薬組成物は、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグを含む。
【0037】
特定の実施形態において、方法は、それを必要とする対象において重症筋無力症を治療することを含み、医薬組成物は、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグを含む。
【0038】
特定の実施形態において、方法は、それを必要とする対象においてドライマウスを治療することを含み、医薬組成物は、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグを含む。いくつかの実施形態において、ドライマウスは、シェーグレン症候群又は放射線療法に関連しているか、又はそれによって引き起こされる。
【0039】
特定の実施形態において、方法は、それを必要とする対象において高血圧(高血圧症)又は浮腫を治療することを含み、医薬組成物は、フロセミド又はフロセミドプロドラッグを含む。いくつかの実施形態において、浮腫は、心不全(例えば、うっ血性心不全)、腎臓病、又は肝臓病(例えば、肝硬変又は肝線維症)に関連しているか、又はそれによって引き起こされる。
【0040】
上記方法又は使用のいずれかの1つの実施形態において、投与中、循環薬物血漿濃度は、少なくとも1時間、2時間、又は4時間の期間、その平均から±20%未満又は±10%未満変化する。
【0041】
上記の方法又は使用のいずれかの別の実施形態において、薬物の有効な循環血漿濃度が、投与中に少なくとも8時間の期間にわたって継続的に維持される。
【0042】
本発明の方法又は使用で使用される薬物送達デバイスは、対象者の口内に取り外し可能に挿入されるように、及び薬物の連続的又は半連続的な口腔内投与のために構成され得、デバイスは:(i)薬物送達デバイスを対象者の口の表面に取り外し可能に固定する留め具、(ii)電気又は機械式ポンプであって、後者は推進剤駆動式変形可能ダイヤフラム具備ポンプにより例示される、電気又は機械式ポンプ、及び(iii)医薬組成物を含み容量が0.1mL~5mLである、薬物リザーバを含む。
【0043】
本発明の方法又は使用は、患者の1つ又は複数の歯に取り外し可能に固定することができる薬物送達デバイスで実施することができる。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスを1つ又は複数の歯に取り外し可能に固定する留め具は、バンド、ブラケット、クラスプ、スプリント、又は保持具を含む。例えば、留め具は、5本未満の歯に取り付け可能な透明保持具又は部分保持具を含み得る。
【0044】
本発明の方法又は使用は、本発明の薬物送達デバイスを患者の口腔内表面に取り外し可能に取り付けることを含むことができる。特定の実施形態において、方法又は使用は、口腔内表面からデバイスを取り外すこと、及び/又は約4時間以上約7日以下の送達期間の間、対象者に薬物を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、ある量の薬物を含む薬物リザーバを含み、方法又は使用は、送達期間中、1時間あたり15μL~1時間あたり約1.25mLの範囲の速度(例えば、本明細書に記載されている通り)での口腔投与をさらに含む。特定の実施形態において、薬物の変動指数は、送達期間中、2.0、1.5、1.0、0.75、0.50、0.25、又は0.15以下である。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、薬物を含む医薬組成物を含む薬物リザーバを含むことができ、薬物は、1時間あたり0.01mg以上及び1時間当たり125mg以下の平均速度で患者に投与される(例えば、約0.01mg/時間~約125mg/時間、約0.05mg/時間~約125mg/時間、約0.10mg/時間~約125mg/時間、約0.50mg/時間~約125mg/時間、約1.0mg/時間~約125mg/時間、約5.0mg/時間~約125mg/時間、約10mg/時間~約125mg/時間、約25mg/時間~約125mg/時間、約50mg/時間~約125mg/時間、約100mg/時間~約125mg/時間、約0.01mg/時間~約100mg/時間、約0.01mg/時間~約50mg/時間、約0.01mg/時間~約25mg/時間、約0.01mg/時間~約10mg/時間、約0.01mg/時間~約5.0mg/時間、約0.01mg/時間~約1.0mg/時間、約0.01mg/時間~約0.5mg/時間、約0.01mg/時間~約0.25mg/時間、約0.01mg/時間~約0.1mg/時間、約0.01mg/時間~約0.05mg/時間、又は約1mg/時間~約10mg/時間、約10mg/時間~約100mg/時間)。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも60分ごとに1回、少なくとも30分ごとに1回、又は少なくとも15分ごとに1回、患者に投与され得る。他の実施形態において、医薬組成物は、患者に連続的に投与される。特定の実施形態において、医薬組成物は、約8時間以上(例えば、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、又は24時間超)の送達期間にわたって患者に投与されることができる。
【0045】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物を投与する方法は、患者の疾患を治療することをさらに含み、疾患は、痙性、筋力低下、粘膜炎、アレルギー、免疫疾患、無感覚症、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、滅菌性炎症性疾患、癌、疼痛、臓器移植、睡眠障害、てんかん若しくは発作、不安、気分障害、心的外傷後ストレス障害、不整脈、高血圧症、心不全、又は糖尿病性腎症である。
【0046】
上記方法のいずれかの1つの特定の実施形態において、方法は、患者の疾患を治療することをさらに含み、疾患は、多発性硬化症、脳性麻痺、痙性、神経原性起立性低血圧、ウイルソン病、シスチン尿症、関節リウマチ、アルツハイマー病、重症筋無力症、1型ゴーシェ病、C型ニーマンピック病、好酸球性胃腸炎、慢性肥満細胞症、潰瘍性大腸炎、胃食道逆流症、胃腸炎、妊娠悪阻、多形膠芽腫、未分化星状細胞種、肺高血圧症、冠動脈心疾患、鬱血性心不全、狭心症、2型糖尿病、COPD、ぜんそく、過敏性腸症候群、過活動膀胱及び切迫尿失禁である。1つの特定の実施形態において、方法は、重症筋無力症を治療することを含み、医薬組成物は、ピリドスチグミン、又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0047】
1つの特定の実施形態において、医薬組成物は、レボドパ又はレボドパプロドラッグ、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグ、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグ、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグ、フロセミド又はフロセミドプロドラッグ、メチルフェニデート、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トレプロスチニル、ベラプロスト、ニモジピン、及びテストステロンから選択される1種又は複数種の薬物を含む。さらに他の実施形態において、医薬組成物は、粘着性ポリマーを含む。
【0048】
本発明の方法のいずれかにおいて、医薬組成物は、レボドパ又はレボドパプロドラッグ、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグ、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグ、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグ、フロセミド又はフロセミドプロドラッグ、メチルフェニデート、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トレプロスチニル、ベラプロスト、ニモジピン、及びテストステロンのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0049】
本発明の方法又は使用のいずれかにおいて、医薬組成物は、粒子の形態の薬物を含み得る。
【0050】
略記及び定義
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、温度の値である場合を除き、この用語が先行する値の±10%である数値を指す。温度の場合、「約」は±3℃を意味する。
【0051】
「投与」又は「投与する」という用語は、LD及び/又はカルビドパ(CD)などの治療薬の用量を患者に与える方法を指す。薬物は、ペーストなどの粘性懸濁液など、流体として配合されてもよい。流体は注入されてもよい。本発明の剤形は、好ましくは、注入ポンプなどの薬物送達デバイスを任意選択的に使用して、口内に投与される。薬物は、口内のどこからでも又は胃を介して、嚥下及び/又は吸収することができる。単一のデバイス又は薬物リザーバからの典型的な投与期間は、1日あたり4、8、12、又は16時間を超え、1日あたり最大24時間(それを含む)である。投与はまた、単一のデバイス又は薬物リザーバから複数日にわたって行われてもよく、例えば、2日以上、4日以上、又は7日以上にわたる薬物の投与が可能である。
【0052】
「CD」という用語は、カルビドパを指す。
【0053】
「COMT」という用語は、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼを指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「連続投与」又は「連続注入」は、固体又は流体の形態の薬物の中断されない投与又は注入を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「留め具」という用語は、本発明のデバイス、又はその構成要素を口の表面(例えば、歯)に取り付けるための要素を指す。例示的な取り付け方法は、1本、2本又はそれ以上の歯に縛られた、接着された、セメントで固定された又は糊付けされた留め具、歯科器具、スプリント、透明保持器、金属ワイヤHawley保持器、口の片側の部分保持器(例えば、3、4又は5本の歯に取り付けられる)、典型的にポリプロピレン又はポリ塩化ビニルの材料を含み、典型的には0.020インチ又は0.030インチの厚さの熱成形又は真空成形されたEssix保持器、ポリウレタンを含む熱成形されたZendura保持器、下歯又は上歯の舌側に接合された受動ワイヤを含む接合(固定)保持器、口腔粘膜組織に付着してゆっくりと侵食する粘接着剤、及び歯ぎしり及び睡眠無呼吸の治療に用いられるデンタルスプリントと同様に患者の歯又は軟組織にフィットするように適合又は成形される留め具である。同様に、本発明の薬物送達デバイス、薬物ポンプ、薬物リザーバ及び他のデバイスは、取り外し可能な義歯、人工歯冠、歯科ブリッジ、モラルバンド、ブラケット、マウスガード、又は歯科インプラントに直接的又は間接的に取り付けることができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「変動指数」という用語は、平均血漿濃度に対する血漿中の薬物レベルの上昇及び下降の大きさを指し、[Cmax-Cmin]/Cavgとして定義される。変動指数は、特定の期間にわたって測定される。この期間は、例えば、薬物の血漿濃度が定常状態に達した後、又は定常状態濃度の90%に達した後、又は本発明の薬物送達デバイスのいずれかが口内に挿入されて薬物の送達を開始してから30、60、又は120分後に開始することができる。期間は、例えば、薬物送達デバイスの使用説明書に指定された使用期間の終了時、薬物リザーバが90%枯渇又は実質的に枯渇した時、又は期間の開始後約4、8、16、24、72、又は168時間後に終了することができる。
【0057】
本明細書で使用される際、「流体」という用語は、ポンプ送給可能なあらゆる薬物含有液体又はゲル、或いは、押し出し可能なペーストなどのあらゆる流し込み不可能な懸濁液を包含する。流体は、ニュートン流体又は非ニュートン流体であることができ、変形しやすい固体又は軟質ペーストであることができ、これはすべり流れを経由してプラグとして移動し得る。それは、例えば、粘性のあるニュートン又は非ニュートンの懸濁液であり得る。この用語は、例えば、真性溶液、コロイド溶液、エマルジョン、ペースト、懸濁液、及び口の中に押し出されるのに十分な圧力の下で変形する高密度半固体歯磨き粉様懸濁液を包含する。注入される流体は、水性、非水性、単相、二相、三相又は多相であり得る。エマルジョンは、例えば、水中油型又は油中水型であり得、ミセル及び/又はリポソームを含むことができる。
【0058】
本明細書で使用される際、H.ピロリ(H.pylori)は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)を指す。
【0059】
本明細書で使用される際、「注入された」又は「注入」は、口への注入を含む。
【0060】
「LD」という用語は、L-DOPAとしても知られるレボドパ、又はその塩を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「機械式ポンプ」とは、動力源が電気、磁気、及び重力ではないあらゆる薬物送達デバイスを意味する。機械式ポンプの例としては、ばね、エラストマー、圧縮ガス、又は推進剤の力又は圧力によって薬物が送達される薬物送達デバイスが挙げられる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「口」は、唇、頬、歯肉、歯、舌、口蓋、硬口蓋、軟口蓋、扁桃、口蓋垂、及び腺に隣接する口腔の領域を含む、口腔の領域を含む。
【0063】
略号「M」は、1リットルあたりのモル数を意味する。この用語の使用は、化学でよくあるように、薬物が溶解されていることを暗示するものではない。本明細書で使用される場合、1Mは、1リットルの量が、溶解していない(しばしば固体)及び/又は溶解した薬物の組み合わせの1モルを含むことを意味する。例えば、1MのLDは、1mL中に197mgの固体(未溶解)及び溶解したLDが存在することを意味する。
【0064】
「PD」という用語は、ホーン・ヤール(Hoehn and Yahr)スケールで4及び5のスコアを有する患者を含むパーキンソン病を指す。
【0065】
「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば血液中の加水分解により、インビボで親化合物に急速に変換される化合物を表す。プロドラッグは、従来のエステルであり得る。プロドラッグとして利用されてきたいくつかの一般的なエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C8-C24)エステル、アシルオキシメチルエステル、カルバメート、及びアミノ酸エステルである。例えば、OH基を含む化合物は、そのプロドラッグの形態において、この位置でアシル化されることがある。徹底的な考察は、T.Higuchi and V.Stella,Pro-drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,and Judkins et al,Synthetic Communications 26:4351-4367,1996に提供されており、これらのそれぞれは参照によりここに組み込まれる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「ポンプ」は、4時間以上の期間にわたって流体配合薬物製品を投与することができる任意の機構を指す。ポンプの例としては、バッテリ作動式ポンプ(例えば、シリンジポンプ、圧電ポンプ、蠕動ポンプ、又はダイヤフラムポンプ)、バッテリ作動式でない可動部を有する又は有しない機械式デバイス(例えば、液化推進剤駆動式ポンプ、ガス駆動式ポンプ、ばね駆動式ポンプ、形状記憶合金駆動式ポンプ、及びエラストマーポンプ)、浸透圧ポンプ、及びバッテリ作動式電気浸透ポンプ(可動部を有する又は有しない)が挙げられる。
【0067】
本明細書で互換的に使用される「半連続投与」及び「頻回投与」という用語は、少なくとも120分に1回、好ましくは少なくとも90分、60分、30分、15分、又は5分ごとの頻度で固体又は流体の形態の薬物を投与(例えば、注入)することを指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「連続的又は頻繁な間欠的口腔内送達に適した」という用語は、口腔内送達時に有効かつ安全である本発明の薬物粒子懸濁液を指す。例えば、懸濁液の連続的又は頻繁な間欠的口腔内投与によって生じる口内又は口付近の局所的な有害事象(もしあれば)は、許容できる又は軽度のものである。
【0069】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、予防的及び/又は治療的な目的のために医薬組成物を投与することを指す。「病気を予防する」とは、まだ病気ではないが、特定の病気にかかりやすい、又はその危険性がある患者の予防的治療を指す。「病気を治療する」又は「治療的治療」の使用は、既に病気に罹患している患者に治療を施し、病気を改善し、患者の状態を向上させることを指す。「治療する」という用語はまた、病気又はその症状の進行を遅らせるために患者を治療することも含む。したがって、特許請求の範囲及び実施形態において、治療することは、治療目的又は予防目的のいずれかのために患者に投与することである。
【0070】
本明細書で使用される際「粘度」は、典型的に低せん断速度で測定される、せん断粘度としても知られる動的な粘度を意味する。
【0071】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明は、経口注入により(例えば、医薬組成物を連続投与するために口内に固定された薬物送達デバイスを介して)薬物を連続投与する方法、及び、対象者を事前にスクリーニングし、必要に応じてH.ピロリ(H.Pylori)に感染した対象者を治療して、対象者における連続投与の薬物動態性能を向上させることを特徴とする。
【0073】
本発明の方法を用いて、薬物を口腔内(すなわち、任意の口腔内の表面、例えば、唇、頬、歯肉、歯、舌、口蓋、硬口蓋、軟口蓋、扁桃、口蓋垂、及び腺上又はその近く)に投与することができる。口腔内に投与された薬剤は、典型的には、患者の唾液とともに、患者によって飲み込まれる。薬物は、患者の唾液によって希釈することができ、任意選択的に唾液に一部又は全部を溶解させることができる。薬物は、患者の胃腸管、例えば、小腸又は大腸で吸収され得る。本発明の方法は、信頼できる安定した薬物動態性能をもたらすために、被験者への薬物の連続又は半連続投与を可能にし、特に半減期が短い(例えば、血漿中)、及び/又は薬物の生理的効果の持続が短い、及び/又は治療窓が狭い薬物について、治療の有効性及び/又は安全性を改善するために必要とされる。
【0074】
H.ピロリ(H.Pylori)検査及び治療
H.ピロリ(H.Pylori)で病気になることはほとんどないため、ほとんどの人は自分がH.ピロリ(H.Pylori)に感染していることに気づかない。H.ピロリ(H.Pylori)感染は、世界中の一般人口の48.5%の間で発生しており、地理的なばらつきが大きい(例えば、Hooiら、Gastroenterology.153:420(2017)を参照)。H.ピロリ(H.Pylori)感染の診断アプローチには、侵襲的検査と非侵襲的検査がある(例えば、Zagariら、Dig Liver Dis.47:903(2015)、及び Falloneら、Gastroenterology.151:51(2016)参照)。13C-尿素呼気試験は、感染症の非侵襲的診断のための高感度且つ特異的な検査(感度96%、特異度93%)として確立されている(例えば、Ferwanaら、World J Gastroenterol.21:1305(2015)を参照)。便ベースのモノクローナル抗原検査も利用可能である(例えば、Gisbertら、Am J Gastroenterol.101:1921(2006)を参照)。
【0075】
本発明の方法によれば、H.ピロリ(H.Pylori)陽性であると認定された対象者は、任意の推奨される根絶療法によって治療可能であり、これは経口エソメプラゾール40mg1日1回、経口クラリスロマイシン500mg1日2回、及び経口アモキシシリン1000mg1日2回1週間の組み合わせによる治療により例示される。また、H.ピロリ(H.Pylori)の感染を根絶するために、他の治療法も使用することができる。
【0076】
連続又は半連続の口腔内注入療法を受ける対象者の場合、口腔内注入される薬物の変動指数を低減するために、対象者がH.ピロリ(H.Pylori)陰性であることが有利になり得る。
【0077】
療法
本発明の方法は、半減期が短く、且つ/又は治療レンジが狭い様々な薬物の投与と組み合わせて使用することができる。補完的な薬物は、これらの薬物と共投与又は共注入することができる。このような補完的な薬物は、主要な薬物の薬物動態を改善し、有効性を向上させ、及び/又は副作用を低減し得る。
【0078】
LDから3-OMDへの変換は、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)という酵素によって触媒される。COMT阻害剤の投与により、LD又はLD/CDの必要量を減らすことができ、又はPDの初期段階では、LD又はLD/CDを使用せずに疾患を管理することも可能である。しかしながら、最も頻繁に使用される2種類のCOMT阻害剤、エンタカポンとトルカポンは短命である。エンタカポンは血液脳関門を通過しないため、関門を通過するトルカポンよりも毒性が低い可能性がある。しかしながら、エンタカポンの血漿中半減期はわずか0.4~0.7時間であり、大量且つ頻繁に薬物を投与しなければ十分な血漿中薬物レベルを維持することは困難である。臨床現場では、LD/CD又はLD/ベンセラジドの投薬ごとに200mg錠剤が1錠投与されることが多い。最大推奨用量は200mgを1日10回、すなわち2,000mgである。エンタカポンの連続経口投与は、本薬物の投与量及び/又は頻度及びその副作用を低減し得る。投与量の減少は、ジスキネジア及び/又は胃腸障害、吐き気、腹痛又は下痢などの副作用を軽減し得る。エンタカポンは、小粒子、例えば平均直径100μm未満、例えば、30μm未満、10μm未満、3μm未満又は1μm未満のエンタカポンの粒子を含む水性懸濁液として、患者が覚醒している間に16時間あたり1000mg未満(例えば16覚醒時間あたり500mg未満)の1日当たり量で連続経口投与され得る。或いは、食用油、ココアバター、プロピレングリコール、又はグリセロールなどの非水溶液中の懸濁液として投与することもできる。トルカポンは、半減期2~3時間の可逆的なCOMT阻害剤である。それは中枢神経系及び末梢でCOMT阻害作用を発揮する。その使用は、肝毒性によって制限される。PDの管理におけるトルカポンの典型的な用量は、1日3回、100~200mgである。トルカポンは、幻覚剤持続性知覚障害の治療にも有効で、視覚症状を減少させることができる。トルカポンの継続的な経口投与は、その投与量及び/又は投与頻度を減らし、その肝毒性を軽減することができる。投与量の減少により、その肝毒性を緩和することができる。その1日の投与量は、16覚醒時間あたり500mg未満、例えば、16覚醒時間あたり300mg未満であり得る。それは、例えば、小粒子、例えば、平均直径100μm未満、例えば、30μm未満、10μm未満、3μm未満又は1μmの薬物の粒子を含む懸濁液として、連続的に経口投与され得る。
【0079】
投与は口内であるため、投与に選択される薬物は、大多数の患者が知覚するように、味が中性又は快いものであることが好ましい。患者の大多数が知覚するような不快な味を持つ薬物の製剤には、味をマスキング又は修飾する賦形剤を添加することができる。
【0080】
本発明に従って有用に送達され得る他の薬物には、メチルフェニデート、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トレプロスチニル、ベラプロスト、ニモジピン、ピリドスチグミン又はピリドスチグミンプロドラッグ、ピロカルピン又はピロカルピンプロドラッグ、レボドパ又はレボドパプロドラッグ、バクロフェン又はバクロフェンプロドラッグ、フロセミド又はフロセミドプロドラッグ、及びテストステロンが含まれる。レボドパプロドラッグ製剤は、米国特許第5,607,969号明細書、及び特許出願国際公開第2012/079072号パンフレット及び同第2013/184646号パンフレットに提供されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。口内に投与するための好ましいLDプロドラッグには、高溶解性レボドパアミド、レボドパエステル、レボドパカルボキサミド、レボドパスルホンアミド、レボドパリン酸プロドラッグ(例えば、フォスレボドパ、これはレボドパ4’-モノリン酸とも呼ばれ、例えば、Hutersら、J Org.Chem.2021及びRosebraughら、Ann Neurol.90:52-61、2021参照のこと)、レボドパエチルエステル、レボドパメチルエステル、及びそれらの塩が含まれる。例示的なバクロフェンプロドラッグは、アルバクロフェンプラカルビルである。例示的なピロカルピンプロドラッグには、ピロカルピン酸のアルキル及びアラルキルエステル、ピロカルピン酸ジエステル、及び他のピロカルピン酸誘導体、例えばBundgaardら、J Pharm Sci 75:36-43、1986、Bundgaardら、J Pharm Sci 75:775-83、1986及び米国特許第4742073A号明細書に記載されているものが含まれ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。例示的なフロセミドプロドラッグには、フロセミドエステル、例えば、Morkら、International Journal of Pharmaceutics 60:163-169、1990に記載の中性アルキルエステル、アミノ基含有アルキルエステル、グリコールアミドエステル及びO-アシロキシメチルエステル、Prandiら、Farmaco 47:249-63、1992及びPrandiら、Farmaco 47:1225-34、1992に記載のフロセミドのアシロキシメチルエステル、並びに国際公開第2014039454A2号パンフレットに記載のフロセミド類似体及びプロドラッグが含まれ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
1日4回投薬されるように処方されることが多い薬物の例として以下のものが含まれる:
・アモキシシリン-感染症
・セファレキシン(ケフレックス)-感染症
・クロルプロマジン(ソラジン)-片頭痛の神経弛緩剤
・ジアゼパム(バリウム)-不安及び睡眠
・ジクロフェナク(ボルタレン)-関節炎
・ジルチアゼム-カルシウム拮抗薬
・エリスロマイシン-感染症
・ハロペリドール(ハルドール)-片頭痛の神経弛緩薬
・インプラミン-向精神薬
・イプラトロピウム(アトロベント)-抗コリン作用
・メトクロプラミド(レグラン)-胃食道逆流症、片頭痛
・ニフェジピン-カルシウム拮抗薬
・オランザピン(ジプレキサ)-片頭痛の神経弛緩剤
・プロクロルペラジン(コンパジン)-片頭痛の神経弛緩剤
・プロメタジン(フェナーガン)-片頭痛の神経弛緩薬
・サルブタモール-ぜんそく
・テトラサイクリン-感染症
・テオフィリン(セオレア)-COPD、ぜんそく
・トラゾドン-向精神薬
・ワクチン-免疫療法
・ザレプロン-睡眠障害、不眠症
【0082】
固体として送達される薬物は、崩壊又は分散を向上させるために賦形剤と配合することができる。
【0083】
多くの種類の薬物が、本発明に従って送達され得る。本発明に従って原則的に治療に使用することができる薬物は、任意の既知の薬物であり、ここで、薬物は、本発明による形態でそのまま、又は活性成分の形態で、任意選択的に活性成分の薬学的に許容できる塩の形態で存在し得る。本発明に従って送達され得る薬物としては、限定されないが、以下のものが含まれる。鎮痛剤及び抗炎症剤(例えば、アロキシプリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、ベノリレート、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダック)、抗寄生虫剤(例えば、アルベンダゾール、ベフェニウムヒドロキシナフトエート、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、オキサムニキン、オックスフェンダゾール、オキサンテルエンボネート、プラジカンテル、ピランテルエンボネート、チアベンダゾール)、抗不整脈剤(例えば、アミオダロンHCl、ジソピラミド、フレカニド酢酸、キニジン硫酸、抗菌剤(例えば、ベネタミンペニシリン、シノキサシン、シプロフロキサシンHCl、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、ナリディキシン酸、ニトロフラントイン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセトアミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリム)、抗凝固剤(例えば、ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン、フェニンディオン)、抗うつ剤(例:アモキサピン、マプロチリンHCl、ミアンセリンHCl、ノルトリプチリンHCl、トラゾドンHCl、トリミプラミンマレアート)、抗糖尿病剤(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミド)、抗てんかん薬(例えば、ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスキシミド、プリミドン、スルチアメ、バルプロ酸、トピラマート、ラモトリギン、ガバペンチン、レベチラセタム、プレガバリン)、抗真菌剤(例えば、アンフォテリシン、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、硝酸スルコナゾール、テルビナフィンHCl、テルコナゾール、チオコナゾール、ウンデセン酸)、痛風薬(例えば、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン)、降圧剤(例えば、アムロジピン、ベニジピン、ダロジピン、ジリタゼムHCl、ジアゾキシド、フェロジピン、酢酸グアナベンズ、イズラジピン、ミノキシジル、ニカルジピンHCl、ニフェジピン、ニモジピン、フェノキベンザミンHCl、プラゾシンHCl、レセルピン、テラゾシンHCl)、抗マラリア(例えば、アモディアキン、クロロキン、クロルプログアニルHCl、ハロファントリンHCl、メフロキンHCl、プログアニルHCl、ピリメタミン、硫酸キニーネ)、抗偏頭痛剤(例えば、ジヒドロエルゴタミンメシレート、エルゴタミン酒石酸塩、メチルセルギドマレイン酸塩、ピゾチフェンマレイン酸塩、スマトリプタンコハク酸塩)、抗ムスカリン剤(例えば、アトロピン、ベンゼキソールHCl、ビペリデン、エトプロパジンHCl、ヒヨスチアミン、メペンゾレートブロミド、オキシフェンシクリミンHCl、トロピカミド)、抗新生物剤及び免疫抑制剤(例えば、アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブスルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、マイトタン、ミトザントロン、プロカルバジンHCl、タモキシフェンクエン酸塩、テストラクトン)、抗プロタゾール剤(例えば、ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、フロ酸ジロキサニド、ジニトルミド、ファーゾリドン、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、チニダゾール)、抗甲状腺剤(例えば、カルビマゾール、プロピルチオウラシル)、抗凝固、鎮静、催眠及び神経遮断薬(例えば、アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマル、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾル、クロルプロマジン、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルナニソン、フルニトラゼパム、フルオロマジン、デカン酸フルペンチキソール、デカン酸フルフェナジン、フルラゼパム、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メタカロン、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ペントバルビトン、ペルフェナジンピモジド、プロクロペラジン、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾピクロン)、βブロッカー(例えば、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール)、心臓強心剤(例えば、アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドC、メジゴキシン)、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、酢酸コルチゾン、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルコルトロン、プロピオン酸フルチカゾン、ハイドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソン、トリアムシノロン)、利尿剤(例えば、アセタゾラミド、アミロライド、ベンドロフルアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フロセミド(フルセミド)、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレン)、抗パーキンソン剤(例えば、ブロモクリプチンメシレート、リスリドマレート)、胃腸薬(例えば、ビサコジル、シメチジン、シサプリド、ジフェノキシレートHCl、ドンペリドン、ファモチジン、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、オンダンセトロンHCl、ラニチジンHCl、サルファサラジン)、ヒスタミンH,-レセプターアンタゴニスト(例えば、アクリバスチン、アステミゾール、シナリジン、シクリジン、シプロヘプタジンHCl、ジメンヒドリナート、フルナリジンHCl、ロラタジン、メクロジンHCl、オキサトミド、テルフェナジン)、脂質調整剤(例えば、ベザフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、プロブコール)、硝酸塩及び他の抗狭心症剤(例えば、硝酸アミル、三硝酸グリセリル、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトール)、オピオイド鎮痛剤(例えば、コデイン、デキストロプロポキシフェン、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ペンタゾシン)、性ホルモン(例えば、クロミフェンクエン酸塩、ダナゾール、エチニルエストラジオール、メドロキシプロゲステロンアセテート、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、共役エストロゲン、プロゲステロン、スタノゾロール、スチベストロール、テストステロン、チボロン)及び精神刺激薬(例えば、アンフェタミン、デクスアンフェタミン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、マジンドール)。
【0084】
上記化合物は、それらの国際一般名(INN:international nonproprietary name)によって主に記載され、当業者に知られている。さらなる詳細は、例えば、世界保健機関(WHO)の「医薬品物質の国際一般名(International Nonproprietary Names(INN)for Pharmaceutical Substances)」を参照することによって見出すことができる。
【0085】
薬物送達デバイスは、治療上有効な量の薬物を患者に経口投与するために使用することができる。例えば、PD、粘膜炎、細菌感染、癌、疼痛、臓器移植、睡眠障害、てんかん及び発作、不安、気分障害、心的外傷後ストレス障害、癌、不整脈、高血圧症、心不全、痙性、糖尿病腎症、及びアレルギーなどの疾患の症状を予防、遅延、軽減、又は除去する量が投与される。それらはまた、例えば、舌下免疫療法に使用される剤を口内の粘膜又は組織に接触するように送達することによって、アレルギーの管理に使用することもできる。薬物送達デバイスを用いて、治療すべき与えられた疾患の治療に適切な薬物を、本明細書に記載の方法、組成物、及びデバイスを用いて配合し、投与することができる。
【0086】
狭い治療指数を有する多くの薬物は、小さな変動指数をもたらす薬物送達デバイス及び方法から利益を得る。例えば、表1は、様々な研究で報告された抗てんかん薬の徐放性錠剤製剤の変動指数をまとめたものである(“Extended-release antiepileptic drugs:A comparison of pharmacokinetic parameters relative to original immediate-release formulations”,Ilo E.Leppik and Collin A.Hovinga,Epilepsia,54(1):28-35,2013)。
【0087】
【0088】
本発明の方法は、本明細書に開示されるデバイス、薬物、製剤、及び方法のいずれかを用いて疾患又は病状を治療することをさらに含むことができ、ここで、錠剤によるより高い変動指数は、例えば、2.0、1.5、1.0、0.75、0.50、0.25、又は0.15以下に低減する。例えば、治療すべき疾患又は病状は、パーキンソン病、細菌感染、癌、疼痛、臓器移植、睡眠障害、てんかん及び発作、不安、気分障害、心的外傷後ストレス障害、癌、不整脈、高血圧症、心不全、痙性、認知症、糖尿病腎症、口腔乾燥、及び認知症であり得る。
【0089】
本発明の方法を用いて投与される薬物用量は、従来の不定期投薬レジメンを用いて投与される用量よりも高くても低くてもよい。連続的又は半連続的な投与により、薬物の定常状態の循環血漿濃度の谷が減少し、高いピーク濃度を必要とせずに薬物の血漿濃度を最小有効血漿濃度より上に維持することができる場合、有効性を損なうことなく、より低い1日の用量が可能である。連続的又は半連続的な投与が薬物の定常状態循環血漿濃度のピークを減少させ、高いピーク濃度を必要とせずに薬物の平均血漿濃度の上昇を可能にする場合、副作用を増加させずに、より高い1日の用量が可能である。
【0090】
本発明の方法は、ピーク血漿濃度(すなわち、経口単位剤形の特徴であるCmax)に関連する有害事象が排除されるため、改善された安全性プロファイルを有する投薬レジメンを提供する。したがって、本発明の方法は、治療される患者集団(すなわち、標準的な治療レジメンに不応の患者)において、狭い治療窓を有する薬物を送達するために使用することができる。PDの治療について以下に提供される詳細は、他の疾患の治療のための薬物の配合及び投与に適用可能である。
【0091】
PDの治療のために、典型的な投与量の範囲は、1日当たりLD又はLDプロドラッグの約20μモル/kg~約200μモル/kgである。任意選択的に共投与されるDDC阻害剤の典型的な1日用量は、約5μモル/kg~約50μモル/kgの間である。例えば、体重75kgの患者の典型的な1日用量は、LD又はLDプロドラッグの約1.5ミリモルから約15ミリモルである。任意選択的に、LD又はLDプロドラッグのモル量の約10%~約40%の間、例えば15%~30%の間のDDC阻害剤のモル量を添加することができる。先行技術の例示的なLDプロドラッグ製剤は、米国特許第5,607,969号明細書、及び特許出願国際公開第2012/079072号パンフレット及び同第2013/184646号パンフレットに提供されており、そのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。口内に投与するための好ましいプロドラッグには、高溶解性レボドパアミド、レボドパエステル、レボドパカルボキサミド、レボドパスルホンアミド、レボドパリン酸プロドラッグ(例えば、レボドパ4’-モノリン酸としても知られるフォスレボドパ、例えば、Hutersら、J Org.Chem.2021及びRosebraughら、Ann Neurol.90:52-61,2021参照)、レボドパエチルエステル、レボドパメチルエステル、及びそれらの塩が含まれ、それらは体内で、典型的には酵素触媒反応において、急速に加水分解されてLDを形成することができ、しかも意図する投与期間の間、例えば少なくとも8時間、16時間、24時間、48時間、72時間、薬物送達デバイスのリザーバ内に保存することができる。LDエステルプロドラッグ、LDアミドプロドラッグ、LDダイマーアミドプロドラッグ、キャリア媒介プロドラッグ、ペプチド輸送媒介プロドラッグ、及び環状プロドラッグを含むレボドパプロドラッグの追加の例は、Haddadら、Molecules 23:40,2018に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
固体又は流体を含む薬物の好ましい投与様式は、口内に取り外し可能に固定され、少なくとも4時間の期間にわたって薬物を口内に投与する薬物送達デバイスを介するものである。薬物は可変速度で投与することができるが、一定速度の投与が好ましい。投与は、好ましくは連続的又は半連続的である。
【0093】
口内への投与は、毎日24時間であってもよいし、覚醒期間、典型的には約16時間に限定することもできる。覚醒期間に限定する場合、一定速度の投与よりもLDの血漿濃度をより迅速に上昇させるために、朝の大量瞬時投与を投与することが有利であり得る。朝の大量瞬時投与は、例えば、LDとDDC阻害剤の錠剤を経口により服用するか、薬物デバイスを用いて固体又は流体の薬物を口内に投与することにより、送達することができる。或いは、薬物送達デバイスの外側は、デバイスが最初に口の中に挿入されたときに、薬物の大量瞬時投与が口の中に送達されるように、薬物を含み得る。
【0094】
本発明の方法は、0.1~10mLの薬物の総容量(例えば、0.1~1.0mL、1.0~2.0mL、2.0~3.0mL、3.0~4.0mL、4.0~5.0mL、5.0~6.0mL、6.0~7.0mL、7.0~8.0mL、8.0~9.0mL、又は9.0~10mL)を含む口腔内に存在する1つ又は複数の薬物リザーバから、1種又は複数種の薬物(例えば、LD及びCD)を口の中に投与することをさらに含み得る。本発明の方法は、0.03~1.25mL/時間(例えば、0.03~0.10mL/時間、0.10~0.20mL/時間、0.20~0.30mL/時間、0.30~0.40mL/時間、0.40~0.50mL/時間、0.50~0.60mL/時間、0.60~0.70mL/時間、0.70~0.80mL/時間、0.80~0.90mL/時間、0.90~1.0mL/時間、1.0~1.1mL/時間、又は1.1~1.25mL/時間)の範囲の速度で(固体又は流体のいずれかの形態で)1種又は複数種の薬物を投与することをさらに含み得る。本発明の方法は、1時間あたり1mg未満、1時間あたり1~10mg、1時間あたり10~25mg、1時間あたり25~50mg、1時間あたり50~75mg、1時間あたり75~100mg、1時間あたり100~125mg、又は1時間あたり125mgを超える平均速度で、1種又は複数種の薬物を投与することをさらに含み得る。本発明の方法は、連続的及び/又は半連続的な投与を介して1種又は複数種の薬物を投与することをさらに含み得る。好ましい実施形態では、この方法は、日中の4時間、8時間、12時間、16時間、又は24時間の期間、平均投与速度を一定又はほぼ一定に保つことを含む。例えば、1時間ごとに投与される量は、注入期間中の1時間ごとの平均投与速度から、1時間あたり±10%若しくは±20%未満、又は15分あたり±10%若しくは±20%だけ変化し得る。本発明の方法は、本明細書に開示された薬物送達デバイスのいずれかを使用して口内に1種又は複数種の薬物を投与することをさらに含み得る。
【0095】
本発明の薬物送達デバイス及び製剤を用いた連続的又は半連続的な投与は、体液中、例えば血液、血漿又は血清中の治療薬の濃度変動を低減することができる。それは、例えば、治療薬のピーク濃度と最下濃度との差が、薬物が投与される期間を通じての平均濃度の±70%未満であり、例えばそれは、4時間以上(例えば、8、12、16、又は24時間)の期間にわたって時間平均した濃度の±50%未満、±30%未満、±20%未満、又は±10%未満であり得る血漿濃度プロファイルを提供することができる。
【0096】
本発明の方法は、患者における疾患を治療することをさらに含むことができ、その方法は:(a)薬物送達デバイスを患者の口に挿入すること、(b)デバイスからの薬物投与を開始すること、(c)連続投与又は半連続投与を使用して、1種又は複数種の薬物を患者の口に、4時間~7日の期間、0.015~1.25mL/時間又は1~125mg/時間の範囲の1時間あたり速度で投与すること、及び(d)薬物送達デバイスを口から取り除くことを含み、ここで、薬物送達デバイスは、0.1~5mL容量(例えば、0.1~1mL、0.5~3mL、又は3~5mL)の薬物リザーバを含み、リザーバは、薬物を含む固体又は流体を含む。任意選択的に、本方法はまた、以下の任意選択のステップ:(e)デバイスからの薬物送達を停止すること、を含み得る。本発明はさらに、ステップa、b、c、d及びeが、4時間~7日の期間にわたって少なくとも2回実行される方法を含む。薬物は、合計1ミリモルを超えるLDを含み得る。
【0097】
本発明の方法は、患者における疾患を治療することをさらに含むことができ、その方法は:(a)薬物送達デバイスを患者の口に挿入すること、(b)デバイスからの薬物投与を開始すること、(c)連続投与又は半連続投与を使用して、1種又は複数種の薬物を患者の口に、4時間~7日の期間、0.015~1.25mL/時間又は1~125mg/時間の範囲の1時間あたり速度で投与すること、(d)薬物送達デバイスを口から取り除くこと、及び(e)デバイスからの薬物送達を停止することを含み、ここで(1)薬物送達デバイスは、0.1~5mL容量(例えば、0.1~1mL、0.5~3mL、又は3~5mL)の薬物リザーバを含み、リザーバは薬物を含む固体又は流体を含み、(2)ステップa、b、c、d及びeは4時間~7日の期間にわたって少なくとも2回実行される。薬物は、合計1ミリモルを超えるLDを含み得る。
【0098】
本発明の方法は、患者(ホーン・ヤール(Hoehn and Yahr)スケールで4及び5のスコアを有する患者を含む)においてパーキンソン病を治療することをさらに含み得、この方法は以下を含む:(a)薬物送達デバイスを患者の口内に取り外し可能に挿入することであって、薬物送達デバイスは0.1~5mL容量(例えば、0.1~1mL、0.5~3mL、又は3~5mL)のリザーバを含み、リザーバは合計1ミリモルを超えるLDを含む固体又は流体を含む、挿入すること、(b)少なくとも8時間の期間、0.03~1.25mL/時間又は30~150mg/時間の範囲の時間速度で、固体又は流体を患者の口内に投与することであって、その結果、投与中に400ng/mLを超え7,500ng/mL未満の循環血漿LD濃度が少なくとも8時間の期間継続して維持されるようにする、投与すること、及び(c)患者の口から薬物送達デバイスを取り除くこと。特定の実施形態では、LD懸濁液は、800ng/mL、1,200ng/mL、1,600ng/mL、又は2,000ng/mLを超える循環血漿LD濃度(例えば、患者の状態に応じて、800から1,500、1,000から2,000、1,600から2,500、又は1,500から3,000ng/mL)が、投与中に少なくとも2時間、3時間、4時間、8時間、16時間、又は24時間の期間にわたって継続的に維持される速度で、口内に投与される。特定の実施形態では、LD懸濁液は、400ng/mL、800ng/mL、1,200ng/mL、1,600ng/mL、又は2,000を超える循環血漿LD濃度が注入開始の60分以内に達成されるような速度で口内に投与される。LD懸濁液は、7,500ng/mL、5,000ng/mL、3,500ng/mL、3,000ng/mL、2,500ng/mL、又は2,000ng/mL未満の循環血漿LD濃度が投与中に少なくとも8時間の期間継続して維持される速度で口内に投与され得る。特定の実施形態では、患者は、10mL、7.5mL、5mL、3mL、又は2mL未満のLD懸濁液の平均1日用量を受ける。LD懸濁液は、循環LD血漿濃度が、少なくとも1時間、2時間、3時間、又は4時間の期間、その平均から±20%、±15%、又は±10%未満変化するような速度で口内に投与され得る。
【0099】
本発明の方法は、ベンセラジド、カルビドパ又はカルビドパプロドラッグなどのDDC阻害剤の有効量の共投与をさらに含み得る。カルビドパは、固体、懸濁液若しくは乳剤として、又はカルビドパエチルエステル塩酸塩、カルビドパメチルエステル塩酸塩、カルビドパアミド塩酸塩、又はカルビドパリン酸プロドラッグ(例えば、カルビドパ4’-モノホスフェートとしても知られるフォスカルビドパ、例えば、Hutersら、J Org.Chem.2021及びRosebraughら、Ann Neurol.90:52-61,2021参照)によって例示されるその高水溶性プロドラッグ塩のうちの1つの溶液として共投与することができる。共投与されるDDC阻害剤のモル量は、LDのモル量の10分の1~2分の1、好ましくはLDのモル量の4分の1±8分の1程度であり得る。LD脱炭酸酵素阻害剤であると認識されるカルビドパプロドラッグの調製物は、例えば、米国特許第3,895,052号明細書及び同第7,101,912号明細書、並びに特許公開物DE第2062285A号明細書及びFR第2052983A1号明細書に記載されている。1つの特定の実施形態において、LD懸濁液は、0.5Mを超えるLDを含む(例えば、0.5±0.1、0.6±0.1、0.7±0.1、0.8±0.2、1.0±0.3、1.5±0.5、2.0±0.5、0.6±0.3、0.75±0.25、1.0±0.5、1.5±0.5、2.0±0.5、2.5±0.5、3.0±0.5、3.5±0.5、1.5超、2超、2.5超、又は3.5超モル/リットル)。特定の実施形態において、LD及びDDC阻害剤は、別々に共投与されるか、又は単一の固体若しくは流体に含まれ、患者に投与される。
【0100】
本発明の方法は、パーキンソン病に罹患した患者における運動性又は非運動性の合併症、例えば、振戦、アキネジア、運動緩徐、ジスキネジア、ジストニア、認知障害、及び睡眠障害を緩和し得る。
【0101】
薬物送達デバイス
本発明の方法において有用な薬物送達デバイスは、患者又は介護者によって口内に挿入され、薬物を投与している間は口内に存在し、患者又は介護者によって口内から除去することができるデバイスに対する要件に対処するように設計されている。薬物送達デバイスは、典型的には、約10mL未満、好ましくは7.5、5.0、又は3.0mL未満の総容量を有する。本発明の方法において使用される薬物送達デバイスは、米国特許出願公開第2016-0278899A1号明細書及び同第2017-0172961A1号明細書に記載されるものであることができ、これらのそれぞれは、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0102】
薬物製剤
本発明の方法を用いて薬物送達デバイスを介して送達される薬物の製剤は、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017-0172961A1号明細書に記載される製剤であることができる。本発明の方法において有用な製剤は、典型的には、1種又は複数種の薬物(これは例えば大部分が固体粒子であり得る)及び液体(これは例えばエマルジョンであり得る)を含む懸濁液である。
【実施例】
【0103】
実施例
以下の実施例は、本発明を説明するためのものである。これらは、本発明をいかなる形でも限定することを意味しない。
【0104】
実施例1.連続的経口レボドパの研究
DopaFuse送達システムは、PD患者のために制御された速度でLD/CDを連続的に送達する、新規の口腔内システムである。DopaFuseシステムは、口腔内保持具、そのケース、及び治験薬であるLD/CDペーストを口の奥で連続的に放出する単回使用型の容器から構成される。
【0105】
DopaFuse送達システムは、外科的処置(例えば十二指腸注入)やそれに伴う副作用を必要とせずにLD/CDを連続的に送達するという利点を提供するために開発された。DopaFuseは、歯に装着される保持具に固定され、LD/CDペーストを一定の速度で放出する容器を介して連続的な経口レボドパを提供する。連続的経口レボドパ治療法(5~10分間隔で経口LD/CD懸濁液を少しずつ使用)の概念実証試験において、連続的経口レボドパ治療法は高い耐用性を示し、血漿レボドパ変動及びオフタイムが標準的な経口LD/CD錠剤と比較して著しく減少することが実証された。次のステップとして、本試験は、本システムの薬物動態、安全性、有効性及び耐用性を評価するように設計された。
【0106】
本試験の目的は、参加者の標準的なLD/CD錠剤の間欠投薬(バックグラウンド治療)と比較して、DopaFuseシステムが血漿レボドパレベルの変動を低減できるかどうかを評価し、H.ピロリ(H.Pylori)感染がLD薬物動態(例えばレボドパのばらつき)に与える影響を評価することである。また、本システムが安全で耐用性が高く、運動症状を緩和できるかどうかも評価される。
【0107】
参加者
合計24名と推定される参加者を確保するために約30~35名の参加者をスクリーニングする。H.ピロリ(H.Pylori)が陰性である12名の参加者を含めるように努める。H.ピロリ(H.Pylori)検査は、試験開始1日目から15日目までの間、いつでも行うことができる。患者はパーキンソン病を患い、安定したLD/CD治療を受けており、1日少なくとも2時間のオフタイムを経験する。患者はCOMT阻害剤の服用を中止することを要請される。
【0108】
投薬
DopaFuseは、微粉末化されたレボドパ及びカルビドパの懸濁粒子を含む経口ペーストである。2種類の注入速度:(i)1時間あたり50mgLD/13mgCD、及び(ii)1時間あたり68mgLD/17mgCDで投与される。治療レジメンは、参加者の通常の投薬量及び投薬時間に密接に沿うように個別に設定される。15日間のアクティブな試験期間中、各参加者はDopaFuse治療を3日間入院観察の下で受け、11日間在宅使用により受ける。1日目、参加者は通常の経口即時放出型LD/CDレジメンに従う。2日目、参加者はDopaFuseを単独で受ける。3日目から15日目、参加者は通常通り午前中の早い時間にLD/CDの投薬を受け、その後、1日の残りの時間、連続的DopaFuseを受ける。試験の概要は表2に示すとおりである。
【0109】
【0110】
H.ピロリ(H.Pylori)の状態
本試験はH.ピロリ(H.Pylori)の分析を含む。H.ピロリ(H.Pylori)検査は、提供された承認済みの糞便検査キットを用いて実施される。参加者は、検査の2週間前に、H2受容体拮抗薬、ビスマス、プロトンポンプ阻害薬による治療を、安全に中止できる場合は、その治療を差し控えるよう求められる。施設は、参加者が検査前の4週間に抗生物質を服用していないことを確認する。
【0111】
H.ピロリ(H.Pylori)感染により幽門収縮や十二指腸炎に変化が生じ、レボドパ血漿のばらつきが大きくなる可能性が懸念される。この集団(H.ピロリ(H.Pylori)陽性)においても、レボドパの連続経口投与と間欠経口投与がより安定した血漿レボドパレベルに関連するかどうかを判断し、血漿レボドパレベルの安定性をさらに高めるために対象者にH.ピロリ(H.Pylori)の検査及び治療を行うべきかどうかを評価する。本試験は、H.ピロリ(H.Pylori)の存在によってデータが混乱しないよう、H.ピロリ(H.Pylori)陰性参加者を十分に確保するよう設計されている。
【0112】
薬物動態解析
PK試験の主要評価項目は、1日目(経口レボドパ)と2日目(DopaFuse単独)のレボドパ変動指数(FI、C最大-C最小)/C平均)の差である。レボドパの定常濃度は、連続経口投与の最初の4時間では達成されないと予想されるため、変動指数は4時間~12時間に評価される。統計解析は、連続データについては両側t検定、非連続データについてはWilcoxonの符号順位検定を用いて実行される。感度解析は、Per Protocol集団の変動指標を含む。また、追加の感度解析として、1時間ごとに変動指数を評価する。
【0113】
副次評価項目は、1/2日目と1/3日目の変動係数(CV、レボドパ濃度の標準偏差/平均値)及び変動指数(FI)の差、Cmax、Tmax、AUCの異なる時点での差、並びにH.ピロリ(H.Pylori)の状態(陽性/陰性)によるCV及びFI差である。これらは、主要エンドポイントと同様の方法で解析される。
【0114】
結果
本試験は、H.ピロリ(H.Pylori)の状態が、連続又は半連続口腔内注入によって送達される治療法のPK性能に及ぼす重要性を示すことができる。対象者のH.ピロリ(H.Pylori)の状態を評価し、H.ピロリ(H.Pylori)陽性対象者を(口腔内注入開始前又は開始直後に)治療し、連続又は半連続口腔内薬物注入を受けている対象者の薬物血漿変動をさらに低減する場合、優れた結果を得ることができると考えられる。
【0115】
実施例2.多発性硬化症及び脳性麻痺の痙性状態を管理するための80mg/mLバクロフェンを含有する経口ポンプ送給可能な懸濁液。
カカオ豆から抽出された食用油であるココアバターは、約34℃~36.5℃の典型的な融解範囲を有するので、室温では固体であるが体温では液体となる。バクロフェン1.9gをココアバター20gで均質化することにより、バクロフェンの80mg/mL懸濁液を調製することができる。37±2℃での懸濁液の量は約23.7mLと予想され、バクロフェン濃度は37±2℃において80mg/mL付近と予想される。0.04mL/時間の流量で、約0.51mgのバクロフェンを含む約0.64mLの溶液を、16時間の覚醒時間中に口内にポンプ送給することができる。
【0116】
対象者は、バクロフェン治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、バクロフェン製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環バクロフェン血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0117】
実施例3.肺動脈性高血圧症管理のための50mg/mLのトレプロスチニルを含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:トレプロスチニル(Bio-Techne(ミネソタ州ミネアポリス))、L-チロシン、公称粒度20μm、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0118】
0.8gのポロキサマー188は、60℃に温めることにより、1.5gの水と均質になるように混合することができる。12gのL-チロシンを添加し、混合物を均質化し、次いで、定期的に混合しながら10時間熟成させることが可能である。0.8gのトレプロスチニルを4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812に溶解させることができる。ミグリオール812中のトレプロスチニル溶液は、L-チロシン-ポロキサマー188-水ペーストと混合し、均質化し、定期的に混合しながら3時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。23±2℃での予想濃度は1.25g/mL±0.05g/mLである。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.02mL/時間の連続押し出し速度で、約16mgのトレプロスチニルを含む0.32mLのペーストが、16時間の覚醒時間にわたって口内に押し出されるであろう。
【0119】
対象者は、トレプロスチニルの治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、トレプロスチニル製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環トレプロスチニル血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0120】
実施例4.多発性硬化症及び脳性麻痺における痙性状態を管理するための、80mg/mLのミドリダインを含有する経口押し出し可能なペースト。
0.8gのポロキサマー188は、60℃に温めることにより、1.5gの水と均質になるように混合することができる。1.32gのミドリジン及び12gのL-チロシンを添加し、混合物を均質化し、次いで定期的に混合しながら10時間熟成させることが可能である。次に4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812をバクロフェン-L-チロシン-ポロキサマー188-水ペーストとし、均質化し、定期的な混合をしながら3時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。23±2℃での予想濃度は1.25g/mL±0.05g/mLである。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.04mL/時間の連続押し出し速度で、約51.2mgのミドリジンを含む0.64mLのペーストが、16時間の覚醒時間にわたって口内に押し出されるであろう。
【0121】
対象者は、ミドリジン治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、ミドリジン製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環ミドリジン血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0122】
実施例5.肺動脈性高血圧症の管理のための、0.5mg/mLのイロプロストを含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:0.5gのポロキサマー188は、約60℃に温めることにより、0.8gの脱イオン水と均質になるように混合し、次に6.25gのL-チロシン(D50約20μm粒度)粉末と徹底的に混合することによって均質化することができ、混合物を周囲温度で約24時間熟成し、徹底的に再混合することができる。4mgのイロプロスト及び10mgのBHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)を2.44gのミグリオール812に溶解し、その溶液をL-チロシン-ポロキサマー-水混合物と徹底的に混合し、混合物を周囲温度で少なくとも24時間熟成し、次に徹底的に再混合して再び約24時間熟成することが可能である。次に、混合物を16,000Gで1時間遠心分離して、閉じ込められた空気を除去することができる。得られた混合物は物理的に安定であり、すなわち、23±2℃で通常の重力で22ヶ月超の貯蔵寿命の物理的安定性を示唆する遠心分離の下で相分離を示さない可能性がある。その濃度は、約25℃で1.25±0.05g/mLであることができる。それは23±2℃では注入できないが、37±2℃で押し出すことができる。0.02mL/時間の連続押し出し速度で、0.18mgのイロプロストを含む0.36mLのペーストが、16時間の覚醒時間にわたって毎日口内に押し出されるであろう。
【0123】
対象者は、イロプロスト治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼすあらゆる有害な影響を排除するために治療を受ける。その後、イロプロスト製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環イロプロスト血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0124】
実施例6.COPD管理のための833mg/mLのカルボシステインペースト。
成分:カルボシステイン、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0125】
0.8gのポロキサマー188を1.5gの水に溶解し、次に10gのカルボシステインと均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させることができ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合することによって均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが期待される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.075mL/時間の連続押し出し速度で、1.43gのカルボシステインを含むペーストの0.72mLが、24時間にわたって口の中に押し出されるだろう。
【0126】
対象者は、カルボシステイン治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、カルボシステイン製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環カルボシステイン血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0127】
実施例7.COPD管理のための800mg/mLエリスロマイシンを含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:エリスロマイシン、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0128】
0.8gのポロキサマー188を1.5gの水に溶解し、次に10gのエリスロマイシンと共に均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合することによって均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.03mL/時間の連続押し出し速度で、576mgのエリスロマイシンを含有する0.72mLのペーストが24時間にわたって口内に押し出されるだろう。
【0129】
対象者は、エリスロマイシンの治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、エリスロマイシン製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環エリスロマイシン血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0130】
実施例8.多発性硬化症及び脳性麻痺の痙性状態を管理するための30mg/mLのチザニジンを含有する経口押し出し可能なペースト。
0.8gのポロキサマー188は、60℃に温めることにより、1.5gの水と均質になるように混合することができる。0.5gのチザニジン及び12gのL-チロシンを添加し、混合物を均質化し、次いで定期的に混合しながら10時間熟成させることが可能である。次に4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812を、バクロフェン-L-チロシン-ポロキサマー188-水ペーストとし、均質化し、定期的な混合をしながら3時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。23±2℃での予想濃度は1.25g/mL±0.05g/mLである。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.04mL/時間の連続押し出し速度で、約20mgのチザジニドを含有する0.64mLのペーストが、16時間の覚醒時間にわたって口内に押し出されるであろう。
【0131】
対象者は、チザジニド治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、チザジニド製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環チザジニド血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0132】
実施例9.尿意切迫及び失禁(「過活動膀胱」)管理用の800mg/mLのフラボキサートを含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:フラボキサート、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0133】
0.8gのポロキサマー188を1.5gの水に溶解し、次に10gのフラボキサートと均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させることができ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合して均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.04mL/時間の連続押し出し速度で、768mgのフラボキサートを含有する0.96mLのペーストが24時間にわたって口内に押し出されるであろう。
【0134】
対象者は、フラボキサート治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、フラボキサート製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環フラボキサート血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0135】
実施例10.例えばアルツハイマー病又はパーキンソン病のような神経障害を管理するための、1.14g/mLの炭酸マグネシウムを含む経口押し出し可能なペースト。
成分:炭酸マグネシウム、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0136】
0.8gのポロキサマー188を5gの水に溶解し、次に20gの炭酸マグネシウムと均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させることができ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合することによって均質化させることができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.2mL/時間の連続押し出し速度で、任意選択的に6時間ごとに交換される1.2mLのペースト含有リザーバから、5.6g又は約0.067モルの炭酸マグネシウムを含むペースト4.8mLが24時間にわたって口内に押し出されるであろう。一対の両側デバイスを用いると、11.2g又は約0.132モルの炭酸マグネシウムが毎日口の中に押し出されるであろう。
【0137】
対象者は、炭酸マグネシウム治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、炭酸マグネシウム製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環マグネシウム血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0138】
実施例11.過敏性腸症候群の管理のための800mg/mLのトリメブチンを含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:トリメブチン、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0139】
0.8gのポロキサマー188を1.5gの水に溶解し、10gのトリメブチンを加えて均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させることができ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合することによって均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.03mL/時間の連続押し出し速度で、576mgのトリメブチンを含むペースト0.72mLが24時間にわたって口内に押し出されるであろう。
【0140】
対象者は、トリメブチン治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)の感染についてスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、トリメブチン製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に対象者に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環トリメブチン血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0141】
実施例12.癌療法のための800mg/mLのクルクミンを含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:クルクミン、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0142】
0.8gのポロキサマー188を1.5gの水に溶解し、10gのクルクミンと均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させることができ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合することによって均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.1mL/時間の連続押し出し速度で、1.92gのクルクミンを含有する2.4mLのペーストが24時間にわたって口内に押し出されるだろう。
【0143】
対象者は、クルクミン治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、クルクミン製剤を口腔内注入により対象者に連続的又は半連続的に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環クルクミン血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0144】
実施例13.癌療法のための800mg/mLのクルクミン-アナログEF31を含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:クルクミン-アナログEF31、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0145】
0.8gのポロキサマー188を1.5gの水に溶解し、次に10gのクルクミン-アナログEF31と均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させることができ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合することによって均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.1mL/時間の連続押し出し速度で、1.92gのクルクミン-アナログEF31を含有するペースト2.4mLが24時間にわたって口内に押し出されるであろう。
【0146】
対象者は、EF31の治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療される。その後、EF31製剤を口腔内注入により連続的又は半連続的に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環EF31血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0147】
実施例14.癌療法のための800mg/mLのクルクミン-アナログUBS109を含有する経口押し出し可能なペースト。
成分:クルクミン-アナログUBS109、約20μmの公称粒度、ポロキサマー188、ミグリオール812(Peter Cremer(オハイオ州シンシナティ))、脱イオン化水。
【0148】
0.8gのポロキサマー188を1.5gの水に溶解し、次に10gのクルクミン-アナログUBS109と均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら23±2℃で10時間熟成させることができ、その後、4.75gの中鎖トリグリセリドのミグリオール812と徹底的に混合することによって均質化することができる。この混合物は、定期的に混合しながら、少なくとも12時間熟成させることができる。得られたペーストは、3000Gでの遠心分離時に物理的に安定であり、遠心分離して閉じ込められた空気を除去することができる。ペーストは、柔らかく、適合性があり、機械的に変形しやすく、変形後も23±2℃でその形状を保持することが予想される。ペーストは、23±2℃では注入できないと予想されるが、37±2℃では押し出しが可能である。0.1mL/時間の連続押し出し速度で、1.92gのクルクミン-アナログUBS109を含むペースト2.4mLが24時間にわたって口内に押し出されるであろう。
【0149】
対象者は、UBS109の治療を受ける前に、H.ピロリ(H.Pylori)感染のスクリーニングを受ける。H.ピロリ(H.Pylori)に感染している対象者は、療法前に感染を除去し、感染が療法の薬物動態学的性能に及ぼし得るあらゆる有害な影響を排除するために治療を受ける。その後、UBS109製剤を口腔内注入により対象者に連続的又は半連続的に投与する。H.ピロリ(H.Pylori)に感染していない対象者は、循環UBS109血漿濃度の変動指数の減少を経験し得る。
【0150】
その他の実施形態
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することのない記載した発明の様々な修正及び変形は、当業者には明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して記載してきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解されるべきである。実際、当業者にとって明らかな、本発明を実施するための記載された態様の様々な修正は、本発明の範囲内にあることが意図されている。
【0151】
他の実施形態は、特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】