(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】生体侵食性眼薬送達挿入物及び治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/404 20060101AFI20230920BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230920BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230920BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230920BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230920BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61K31/404
A61K9/70
A61P27/02
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K45/06
A61K47/32
A61K47/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515802
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021050085
(87)【国際公開番号】W WO2022056392
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522129856
【氏名又は名称】アイポイント ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】サイム, サイード
(72)【発明者】
【氏名】ハワード‐スパークス, ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】パッジャリーノ, ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】カルゾウン, バーゼル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA73
4C076BB11
4C076CC10
4C076EE06
4C076FF31
4C076FF68
4C084AA17
4C084AA20
4C084AA24
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4C084ZA33
4C084ZC751
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4C086BC13
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA58
4C086NA12
4C086NA20
4C086ZA33
(57)【要約】
本発明は、活性医薬成分を眼に送達するための埋め込み可能な生体侵食性挿入物に関する。本発明はまた、そのような挿入物を使用する処置の方法及びそのような挿入物を製造する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスポリマー及びボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む固体マトリックスコアを含む眼薬送達挿入物であって、前記挿入物中の前記ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩の量が約10%w/w~約98%w/wであり、前記挿入物の薬物放出速度が少なくとも14日間で約0.01μg/日~約100μg/日であり、前記挿入物が95日以内に少なくとも20%の侵食が可能である、眼薬送達挿入物。
【請求項2】
前記挿入物中の前記ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩の量が約60%w/w~約98%w/wである、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項3】
440日以内に少なくとも90%の侵食が可能である、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項4】
薬物放出速度が約0.1μg/日~約20μg/日である、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項5】
薬物放出速度が約0.1μg/日~約10μg/日である、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項6】
薬物放出速度が約0.1μg/日~約2μg/日である、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項7】
前記コアが約200μg~約2000μgのボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項8】
ボロラニブの放出の持続期間が少なくとも約90日である、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項9】
ボロラニブの放出の持続期間が約60日~約270日である、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項10】
前記コアが約1%w/w~約15%w/wのPVAを含む、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項11】
約130℃~約150℃で約30分~約4時間硬化された、請求項10に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項12】
およそゼロ次放出速度動態を有する、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項13】
円筒形の形状である、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項14】
20~27ゲージ針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されており、約1mm~約10mmの長さを有する、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項15】
25ゲージよりも小さい針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されており、約1mm~約6mmの長さを有する、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項16】
PVAを水溶液に溶解してPVA溶液を形成し、前記PVA溶液をボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩と混合してマトリックス混合物を形成し、前記混合物を、分注先端を通して押し出して細長い形状のマトリックスを形成し、前記細長い形状のマトリックスを約140℃~約160℃の温度で約30分~約2時間硬化させ、前記細長い形状のマトリックスを分割することにより作製される、請求項1に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項17】
前記コアを実質的に囲むコーティングをさらに含む、請求項1又は2に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項18】
送達ポートをさらに含む、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項19】
440日以内に少なくとも90%の侵食が可能である、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項20】
前記コアが約200μg~約2000μgのボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項21】
薬物放出速度が約0.1μg/日~約20μg/日である、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項22】
薬物放出速度が約0.1μg/日~約10μg/日である、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項23】
薬物放出速度が約0.1μg/日~約2μg/日である、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項24】
ボロラニブの放出の持続期間が少なくとも約90日である、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項25】
前記マトリックスポリマーがPVAを含む、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項26】
前記コーティングがPVAを含む、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項27】
前記コーティングがPVAを含む、請求項25に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項28】
前記コーティングが、前記マトリックスポリマーと異なるグレードのPVAを含む、請求項27に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項29】
前記コーティングがPVAを含む1つより多くの被膜を含み、少なくとも1つの被膜中の前記PVAのDHが前記マトリックスポリマーのPVAのDHと異なる、請求項27に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項30】
前記コーティング中の前記PVAのMWが、前記マトリックスポリマーのPVAのMWと異なる、請求項27に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項31】
前記コーティングがPVAを含む少なくとも2つの被膜を含み、前記被膜の少なくとも1つが、少なくとも1つの他の被膜と異なるグレードのPVAを含む、請求項17又は25に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項32】
PVAを含む少なくとも2つの被膜中の前記PVAがDHにおいて異なる、請求項31に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項33】
PVAを含む少なくとも2つの被膜中の前記PVAがMWにおいて異なる、請求項31に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項34】
約130℃~約150℃で約30分~約4時間硬化された、請求項17~33のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項35】
およそゼロ次放出速度動態を有する、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項36】
円筒形の形状である、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項37】
20~27ゲージ針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されており、約1mm~約10mmの長さを有する、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項38】
25ゲージよりも小さい針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されている、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項39】
コーティングの量が前記挿入物の約5%w/w~約20%w/wである、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項40】
PVAを水溶液に溶解してPVA溶液を形成し、前記PVA溶液をボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩と混合してマトリックス混合物を形成し、前記混合物を、分注先端を通して押し出して細長い形状のマトリックスを形成し、前記細長い形状のマトリックスをPVA溶液でコーティングし、前記細長い形状のマトリックスを約140℃~約160℃の温度で約30分~約2時間硬化させ、前記細長い形状のマトリックスを分割することにより作製される、請求項17に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項41】
それを必要とする対象において眼の状態を処置又は防止する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項42】
それを必要とする対象における眼において血管新生を阻害する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項43】
それを必要とする対象の眼においてVEGFR及びPDGFRを阻害する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項44】
それを必要とする対象において黄斑変性を処置する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項45】
治療有効量のTie-2活性化剤を含む医薬組成物を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記医薬組成物が請求項94に記載の眼薬送達挿入物からなる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記Tie-2活性化剤がラズプロタフィブ、又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンである、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
治療有効量のステロイド性抗炎症剤を含む医薬組成物を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
PVAを水溶液に溶解してPVA溶液を形成するステップと、前記PVA溶液をボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩と混合してマトリックス混合物を形成するステップと、前記混合物を、分注先端を通して押し出して細長い形状のマトリックスを形成するステップと、前記細長い形状のマトリックスを約140℃~約160℃の温度で約30分~約6時間硬化させるステップと、前記細長い形状のマトリックスを分割するステップとを含む、眼薬送達挿入物を作製する方法。
【請求項50】
前記細長い形状のマトリックスが、前記細長い形状のマトリックスを硬化する前に、PVAを含むコーティングで覆われる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
それを必要とする対象において、黄斑変性、網膜静脈閉塞及び糖尿病性網膜症からなる群から選択される状態を処置する方法であって、約0.01μg/日~約100μg/日のボロラニブを前記対象の眼に直接投与するステップを含む方法。
【請求項52】
前記ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩が、ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む1つ又は複数の眼薬送達挿入物を前記眼に注射することにより送達される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
挿入物が硝子体内注射により投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
1~6つの挿入物が注射される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
挿入物の各々が約200μg~約2000μgを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
全ての挿入物中のボロラニブの総量が約600μg~約6000μgである、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記1つ又は複数の眼薬送達挿入物の各々が、約0.1μg/日~約100μg/日の薬物放出速度を少なくとも60日間有する、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記1つ又は複数の眼薬送達挿入物が、約1μg/日~約50μg/日のボロラニブの総平均1日用量を少なくとも30日間送達する、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記1つ又は複数の眼薬送達挿入物が、約1μg/日~約20μg/日のボロラニブの総平均1日用量を少なくとも30日間送達する、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が地図状萎縮を有するか、前記対象が地図状萎縮を発症するリスクがあるか、前記対象が視力喪失を有するか、前記対象が視力喪失を発症するリスクがあるか、前記対象が虚血性網膜静脈閉塞を有するか、又は前記対象が非虚血性網膜静脈閉塞を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
それを必要とする対象において黄斑変性を処置する方法であって、前記対象の眼の硝子体液に1つ又は複数の眼薬送達挿入物を埋め込むステップを含み、投与手順中に投与される挿入物の数が1~6つの挿入物であり、前記1つ又は複数の挿入物の各々が約0.01μg/日~約100μg/日のボロラニブの薬物放出速度を少なくとも30日間有する、方法。
【請求項62】
それを必要とする対象において糖尿病性網膜症を処置する方法であって、前記対象の眼の硝子体液に1つ又は複数の眼薬送達挿入物を埋め込むステップを含み、投与手順中に投与される挿入物の数が1~6つの挿入物であり、前記1つ又は複数の挿入物の各々が約0.01μg/日~約100μg/日のボロラニブの薬物放出速度を少なくとも30日間有する、方法。
【請求項63】
前記対象が加齢性黄斑変性を有する、請求項44又は61に記載の方法。
【請求項64】
API及び少なくとも2種の異なるグレードのPVAを含む固体マトリックスコアからなる眼薬送達挿入物であって、挿入物の薬物放出速度が少なくとも30日間で約0.0001μg/日~約200μg/日であり、前記挿入物が95日以内に少なくとも20%の侵食が可能であり、前記挿入物が20~27ゲージ針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されている、眼薬送達挿入物。
【請求項65】
前記2種の異なるグレードのPVAが、MW78,000、88%加水分解及びMW78,000、98%加水分解の混合物;MW78,000、88%加水分解及びMW78,000、99+%加水分解の混合物;MW6,000、80%加水分解及びMW78,000、98%加水分解の混合物;MW6,000、80%加水分解及びMW78,000、99+%加水分解の混合物;MW78,000、88%加水分解及びMW125,000、88%加水分解の混合物;並びにMW6,000、80%加水分解及びMW125,000、88%加水分解の混合物を含むリストから選択される混合物である、請求項64に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項66】
(a)PVA及びAPIを含む固体マトリックスコア、並びに(b)前記コアを実質的に囲むPVAを含むコーティングを含む眼薬送達挿入物であって、少なくとも2種の異なるグレードのPVAを含み、95日以内に少なくとも20%の侵食が可能であり、20~27ゲージ針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されている眼薬送達挿入物。
【請求項67】
前記コーティングが前記コアのPVAと異なるグレードのPVAを含む、請求項66に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項68】
前記コーティング中の前記PVAのDHが前記コアのPVAのDHと異なる、請求項66又は67に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項69】
前記コーティング中の前記PVAのMWが前記コアのPVAのMWと異なる、請求項67に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項70】
前記コーティングがPVAを含む少なくとも2つの被膜を含み、前記被膜の少なくとも1つが、少なくとも1つの他の被膜と異なるグレードのPVAを含む、請求項66に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項71】
少なくとも2つの被膜中の前記PVAがDHにおいて異なる、請求項70に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項72】
少なくとも2つの被膜中の前記PVAがMWにおいて異なる、請求項70又は71に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項73】
前記挿入物中の前記APIの量が約60%w/w~約98%w/wである、請求項64~72のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項74】
前記コアが約20%w/w~約60%w/wのPVAを含む、請求項64~72のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項75】
コーティングの量が、前記挿入物の約5%w/w~約20%w/wである、請求項66~73のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項76】
440日以内に少なくとも90%の侵食が可能である、請求項64~75のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項77】
前記挿入物がおよそゼロ次放出速度動態を有し、前記挿入物の薬物放出速度が少なくとも30日間で約0.0001μg/日~約200μg/日である、請求項64~75のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項78】
薬物放出速度が少なくとも30日間で約0.001μg/日~約100μg/日である、請求項64~75のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項79】
前記APIの放出の持続期間が少なくとも約90日である、請求項64~78のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項80】
前記APIの放出の持続期間が約60日~約270日である、請求項64~79のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項81】
約130℃~約150℃で約30分~約4時間硬化された、請求項64~79のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項82】
円筒形の形状である、請求項64~82のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項83】
前記挿入物の少なくとも1つの末端が送達ポートを形成する、請求項83に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項84】
約1mm~約10mmの長さを有する、請求項83に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項85】
25ゲージよりも小さい針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されている、請求項64~85のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項86】
(a)MW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99
+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、MW146,000~186,000、99+%加水分解、及びこれらの混合物からなる群から選択されるPVA、並びにAPIを含む固体マトリックスコア、並びに
(b)前記コアを実質的に囲むPVAを含む少なくとも1つのコーティングであり、前記コーティング中の前記PVAが、MW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99
+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、MW146,000~186,000、99+%加水分解、及びこれらの混合物からなる群から選択されるPVAから選択される、コーティング
を含む眼薬送達挿入物であって、
前記コア中の前記PVA及び少なくとも1つのコーティング中の前記PVAが異なるグレードのPVAである、眼薬送達挿入物。
【請求項87】
前記挿入物がPVAの少なくとも2つの被膜を含み、最も外側の被膜中の前記PVAのDHが他の被膜の各々のいずれの前記PVAのDHよりも低い、請求項86に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項88】
前記APIが1000AMU以下の分子量及び25℃で約200μg/mL未満の水溶性を有する、請求項64~86のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項89】
前記APIがVEGF阻害剤である、請求項64~86のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項90】
前記APIがTKI阻害剤である、請求項64~86のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項91】
前記APIがボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩である、請求項64~86のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項92】
前記APIがアキシチニブ又はその薬学的に許容できる塩である、請求項64~86のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項93】
前記APIがTie-2活性化剤である、請求項64~86のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項94】
前記APIがラズプロタフィブ又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンである、請求項64~86のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物。
【請求項95】
それを必要とする対象において眼の状態を処置又は防止する方法であって、請求項64~92のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項96】
それを必要とする対象における眼において血管新生を阻害する方法であって、請求項64~92のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項97】
それを必要とする対象の眼においてVEGFRを阻害する方法であって、請求項64~92のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項98】
それを必要とする対象において黄斑変性を処置する方法であって、請求項64~92のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項99】
それを必要とする対象において、黄斑変性、網膜静脈閉塞及び糖尿病性網膜症からなる群から選択される状態を処置する方法であって、請求項64~92のいずれか一項に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を投与するステップを含む方法。
【請求項100】
それを必要とする対象における眼において血管新生を阻害する方法であって、請求項93又は94に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項101】
それを必要とする対象において黄斑変性を処置する方法であって、請求項93又は94に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項102】
それを必要とする対象において、黄斑変性、網膜静脈閉塞及び糖尿病性網膜症からなる群から選択される状態を処置する方法であって、請求項93又は94に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を投与するステップを含む方法。
【請求項103】
治療有効量のTie-2活性化剤を含む医薬組成物を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項95~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
治療有効量のステロイド性抗炎症剤を含む医薬組成物を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項95~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
それを必要とする対象の眼においてVE-PTPを阻害する方法であって、請求項93又は94に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項106】
それを必要とする対象において緑内障を処置する方法であって、請求項93又は94に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項107】
それを必要とする対象において上昇したIOPを処置する方法であって、請求項93又は94に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項108】
それを必要とする対象においてIOPを低下させる方法であって、請求項93又は94に記載の眼薬送達挿入物のうちの1つ又は複数を前記対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法。
【請求項109】
VEGF阻害剤を投与するステップをさらに含む、請求項101~102及び105~108のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001][0002]本発明は、活性医薬品を眼に送達するための埋め込み可能な生体侵食性挿入物に関する。本発明はまた、そのような挿入物を使用して治療的軽減を必要とする患者を処置する方法、及びそのような挿入物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003][0004]埋め込み可能な薬物送達挿入物には、経口投与又は静脈内注射などの従来の薬物送達方法を超えるある特定の利点がある。例えば、従来の投薬方法では、薬物(活性医薬成分)の濃度はかなり変動することがあり、投与直後に最大濃度(Cmax)に到達し、その後、急に低下する。治療レベルを維持するために薬物を高い投与量で投与する必要があることがあり、潜在的に毒性である高い薬物濃度を一時的にもたらすことがある。薬物が身体により代謝又は排除されるにつれて、薬物濃度は安全なレベル及び治療レベルに低下する可能性がある。薬物レベルが治療量以下のレベルに下がる場合、別の用量を投与しなければならず、したがってサイクルが反復される。したがって、従来の投薬に関する問題は、ある特定の種類の薬物について、患者が、処置に必要とされる反復投薬サイクルから不必要に高いレベルの薬物に慢性的に曝露されることがあることである。加えて、頻繁な投薬が必要とされることがあり、患者の服薬遵守が低下する。
【0003】
[0005]埋め込み可能な薬物送達挿入物は、頻繁な投薬の必要を減らし、薬物の高い全身濃度を避けることができる。しかし、許容される持続期間に一定の投薬速度(いわゆるゼロ次放出)を達成することは困難である。
【0004】
[0006]加えて、多くの埋め込み可能な薬物送達挿入物は、薬物の全てが投与された後でさえ患者の身体内に永久的に残存する非生分解性材料を含有する。これは、特に容積が小さい解剖学的位置への薬物送達に問題となることがある。埋め込みによる反復治療的処置は、埋め込み可能な薬物送達デバイスの非生分解性部分の望ましくない蓄積ゆえに制限されることがある。
【0005】
[0007]加えて、最小の不快感で患者に埋め込むのに十分小さいが、治療レベルの薬物の持続送達を提供するのに十分な薬物を含有するのに十分大きいサイズの埋め込み可能な薬物送達デバイスを提供することは極めて困難である。
【0006】
[0008]これらの因子を考慮して、当技術分野では、所望の局所又は全身生理学的又は薬理学的効果を得るために、患者への薬物の制御及び持続放出を提供する埋め込み可能な薬物送達デバイスの設計及びそれを調製する方法を改善する必要性が依然としてある。
【0007】
[0009]薬物送達の改善が必要な眼科的状態の1つは加齢性黄斑変性(「AMD」)である。AMDは世界的に失明の主な原因であり、世界保健機関は、約1400万人がAMDゆえに盲目である又は重度の障害があると推定している。AMDは、網膜の中心の特別な領域である黄斑における変性及び新生血管変化に起因する中心視力の進行性の喪失を引き起こす。一般的に、黄斑変性は、ゆっくり又は突然の視力喪失をもたらすことがある。
【0008】
[0010]2つの型のAMD、乾燥型AMD及び湿潤型AMDが存在する。典型的には、AMDは、網膜色素上皮と下の脈絡膜の間に、黄斑における黄色の斑点様の沈着物であるドルーゼンが形成することにより特徴付けられる乾燥型AMDとして始まる。乾燥型AMD患者の約15%は、脈絡膜における新しい血管の形成(脈絡膜新生血管形成)及び視力喪失により特徴付けられる湿潤型AMDを発症する。
【0009】
[0011]乾燥型黄斑変性は、湿潤型AMDよりも一般的であり、AMD患者の約90%は乾燥型AMDと診断される。乾燥型のAMDは、加齢及び黄斑組織が薄くなること、黄斑における色素の沈着、又は2つのプロセスの組合せから生じることがある。湿潤型の疾患は通常、より重篤な視力喪失につながる。湿潤型AMDでは、新しい血管が網膜の下に成長し、血液及び流体が漏出する。この漏出は、網膜細胞を死滅させ、中心視力に盲点を作る。
【0010】
[0012]AMDの治療法はないとは言え、湿潤型AMDのためのいくつかの処置が存在する、しかし、それらの多くは不便である又は重大な有害作用を有する。
【発明の概要】
【0011】
[0013]本発明の様々な実施形態に従い、且つ大規模な実験後に、本発明者らは、活性医薬成分(API)及び生体侵食性ポリマーを含む新規の生体侵食性薬物送達挿入物を発明した。この挿入物は、眼への有効量のAPIの局所送達に特に有用である。加えて、挿入物はAPIの持続放出を提供する。一部の態様では、挿入物は、眼内での挿入物の完全な侵食に必要とされる期間とほぼ一致する期間の持続放出を提供する。
【0012】
[0014]これらの挿入物は、眼内に、例えば、硝子体内に、脈絡膜上に、及び前房内に、又は結膜下に投与されてもよい。例えば、挿入物は、針又はカニューレ、例えば硝子体内注射により設置されてもよい。したがって、一部の態様では、本発明は、低い全身濃度のAPIを送達して、例えば、毒性又は他の望ましくない副作用のリスクを低減しながら、有効な眼内濃度のAPIを送達することができる薬物送達挿入物に関する。
【0013】
[0015]一部の態様では、本発明は、API又はその薬学的に許容できる塩の局所(例えば眼内)投与により、眼疾患を処置又は防止するための方法に関する。
【0014】
[0016]一実施形態では、本発明は、マトリックスポリマー及びボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む固体マトリックスコアを含む眼薬送達挿入物であって、挿入物中のボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩の量が約10%w/w~約98%w/wであり、挿入物の薬物放出速度が少なくとも14日間で約0.01μg/日~約100μg/日であり、挿入物が95日以内に少なくとも20%の侵食が可能である、眼薬送達挿入物に関する。別の実施形態では、挿入物中のボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩の量は、約60%w/w~約98%w/wである。
【0015】
[0017]別の実施形態では、挿入物はコアを実質的に囲むコーティングをさらに含む。一部の実施形態では、コーティングの量は挿入物の約5%w/w~約20%w/wである。追加の実施形態では、挿入物は送達ポートをさらに含む。
【0016】
[0018]別の実施形態では、挿入物は、20~27ゲージ針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形され、挿入物は約1mm~約10mmの長さを有する。さらに別の実施形態では、挿入物は、25ゲージよりも小さい針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形される。さらなる実施形態では、挿入物は約1mm~約6mmの長さを有する。
【0017】
[0019]一部の実施形態では、マトリックスポリマーはPVAを含む。一部の実施形態では、マトリックスポリマーはPVAからなる。一部の実施形態では、コーティングはPVAを含む。一部の実施形態では、コーティングはPVAからなる。
【0018】
[0020]一部の態様では、コーティングはマトリックスポリマーと異なるグレードのPVAを含む。一部の実施形態では、コーティングはPVAを含む1つより多くの被膜を含み、少なくとも1つの被膜中のPVAのDHはマトリックスポリマーのPVAのDHと異なる。一部の実施形態では、コーティング中のPVAのMWは、マトリックスポリマーのPVAのMWと異なる。さらなる実施形態では、コーティングはPVAを含む少なくとも2つの被膜を含み、被膜の少なくとも1つは、少なくとも1つの他の被膜と異なるグレードのPVAを含む。さらに他の態様では、PVAを含む少なくとも2つの被膜中のPVAはDHにおいて異なる。挿入物の一部の実施形態では、PVAを含む少なくとも2つの被膜中のPVAはMWにおいて異なる。
【0019】
[0021]さらに別の実施形態では、挿入物は440日以内に少なくとも90%の侵食が可能である。
【0020】
[0022]挿入物の一態様では、薬物放出速度は約0.1μg/日~約20μg/日である。挿入物の別の態様では、薬物放出速度は約0.1μg/日~約10μg/日である。挿入物のさらに別の態様では、薬物放出速度は約0.1μg/日~約2μg/日である。
【0021】
[0023]一実施形態では、コアは約200μg~約2000μgのボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む。
【0022】
[0024]別の実施形態では、ボロラニブの放出の持続期間は少なくとも約90日である。さらに別の実施形態では、ボロラニブの放出の持続期間は約60日~約270日である。
【0023】
[0025]本発明の一態様では、コアは約1%w/w~約15%w/wのPVAを含む。
【0024】
[0026]本発明の別の態様では、挿入物は約130℃~約150℃で約30分~約4時間硬化された。
【0025】
[0027]本発明のさらに別の態様では、挿入物はおよそゼロ次放出速度動態を有する。
【0026】
[0028]一実施形態では、挿入物は円筒形の形状である。さらなる実施形態では、挿入物の少なくとも1つの末端は送達ポートを形成する。
【0027】
[0029]別の実施形態では、挿入物は、PVAを水溶液に溶解してPVA溶液を形成し、PVA溶液をボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩と混合してマトリックス混合物を形成し、混合物を、分注先端を通して押し出して細長い形状のマトリックスを形成し、細長い形状のマトリックスを約140℃~約160℃の温度で約30分~約2時間硬化し、細長い形状のマトリックスを分割することにより作製される。
【0028】
[0030]他の実施形態では、挿入物は、PVAを水溶液に溶解してPVA溶液を形成し、PVA溶液をボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩と混合してマトリックス混合物を形成し、混合物を、分注先端を通して押し出して細長い形状のマトリックスを形成し、細長い形状のマトリックスをPVA溶液でコーティングし、細長い形状のマトリックスを約140℃~約160℃の温度で約30分~約2時間硬化し、細長い形状のマトリックスを分割することにより作製される。
【0029】
[0031]本発明はまた、それを必要とする対象において眼の状態を処置又は防止する方法であって、挿入物(複数可)のうちの1つ又は複数を対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法に関する。
【0030】
[0032]加えて、本発明は、それを必要とする対象において黄斑変性を処置する方法であって、挿入物(複数可)のうちの1つ又は複数を対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法に関する。一部の実施形態では、処置される黄斑変性は加齢性黄斑変性である。
【0031】
[0033]別の態様では、本発明は、PVAを水溶液に溶解してPVA溶液を形成するステップと、PVA溶液をボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩と混合してマトリックス混合物を形成するステップと、混合物を、分注先端を通して押し出して細長い形状のマトリックスを形成するステップと、細長い形状のマトリックスを約140℃~約160℃の温度で約30分~約6時間硬化するステップと、細長い形状のマトリックスを分割するステップとを含む、眼薬送達挿入物を作製する方法を提供する。
【0032】
[0034]別の態様では、細長い形状のマトリックスは、マトリックスを硬化する前に、PVAを含むコーティングで覆われる。
【0033】
[0035]加えて、本発明は、それを必要とする対象において、黄斑変性、網膜静脈閉塞、及び糖尿病性網膜症からなる群から選択される状態を処置する方法であって、約0.01μg/日~約100μg/日のボロラニブを対象の眼に直接投与するステップを含む方法に関する。
【0034】
[0036]一実施形態では、ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩は、ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む1つ又は複数の眼薬送達挿入物を眼に注射することにより送達される。
【0035】
[0037]別の実施形態では、挿入物は硝子体内注射により投与される。
【0036】
[0038]一部の実施形態では、挿入物は25ゲージよりも小さい針又はカニューレを通して注射される。一部の実施形態では、切開は注射に必要とされない。
【0037】
[0039]一部の態様では、1~6つ挿入物が注射される。
【0038】
[0040]一部の態様では、挿入物の各々は約200μg~約2000μgを含む。
【0039】
[0041]一部の態様では、注射される全ての挿入物中のボロラニブの総量は約600μg~約6000μgである。
【0040】
[0042]一部の実施形態では、1つ又は複数の眼薬送達挿入物の各々は、約0.1μg/日~約100μg/日の薬物放出速度を少なくとも60日間有する。
【0041】
[0043]一部の実施形態では、1つ又は複数の眼薬送達挿入物は、約1μg/日~約50μg/日のボロラニブの総平均1日用量を少なくとも30日間送達する。
【0042】
[0044]他の実施形態では、1つ又は複数の眼薬送達挿入物は、約1μg/日~約20μg/日のボロラニブの総平均1日用量を少なくとも30日間送達する。
【0043】
[0045]本発明は、API及び少なくとも2種の異なるグレードのPVAを含む固体マトリックスコアからなる眼薬送達挿入物であって、挿入物の薬物放出速度が、少なくとも30日間で約0.0001μg/日~約200μg/日であり、挿入物が95日以内に少なくとも20%の侵食が可能であり、挿入物が20~27ゲージ針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されている、眼薬送達挿入物も提供する。この挿入物の一部の実施形態では、2種の異なるグレードのPVAは、MW78,000、88%加水分解及びMW78,000、98%加水分解の混合物;MW78,000、88%加水分解及びMW78,000、99+%加水分解の混合物;MW6,000、80%加水分解及びMW78,000、98%加水分解の混合物;MW6,000、80%加水分解及びMW78,000、99+%加水分解の混合物;MW78,000、88%加水分解及びMW125,000、88%加水分解の混合物;並びにMW6,000、80%加水分解及びMW125,000、88%加水分解の混合物を含むリストから選択される混合物である。
【0044】
[0046]加えて、本発明は、(a)PVA及びAPIを含む固体マトリックスコア、並びに(b)コアを実質的に囲むPVAを含むコーティングを含む眼薬送達挿入物であって、少なくとも2種の異なるグレードのPVAを含み、95日以内に少なくとも20%の侵食が可能であり、20~27ゲージ針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形されている眼薬送達挿入物を提供する。
【0045】
[0047]挿入物の一部の実施形態では、コーティングは、コアのPVAと異なるグレードのPVAを含む。一部の実施形態では、コーティング中のPVAのDHは、コアのPVAのDHと異なる。他の実施形態では、コーティング中のPVAのMWは、コアのPVAのMWと異なる。さらに他の実施形態では、コーティングはPVAを含む少なくとも2つの被膜を含み、被膜の少なくとも1つは、少なくとも1つの他の被膜と異なるグレードのPVAを含む。さらなる実施形態では、少なくとも2つの被膜中のPVAはDHにおいて異なる。一部の実施形態では、少なくとも2つの被膜中のPVAはMWにおいて異なる。
【0046】
[0048]挿入物の他の態様では、挿入物中のAPIの量は約60%w/w~約98%w/wである。さらに他の態様では、コアは約20%w/w~約60%w/wのPVAを含む。さらなる実施形態では、コーティングの量は挿入物の約5%w/w~約20%w/wである。他の実施形態では、挿入物は440日以内に少なくとも90%の侵食が可能である。
【0047】
[0049]一部の実施形態では、挿入物はおよそゼロ次放出速度動態を有し、挿入物の薬物放出速度は少なくとも30日間で約0.0001μg/日~約200μg/日である。さらに他の実施形態では、薬物放出速度は少なくとも30日間で約0.001μg/日~約100μg/日である。さらなる実施形態では、APIの放出の持続期間は少なくとも約90日である。追加の実施形態では、APIの放出の持続期間は約60日~約270日である。
【0048】
[0050]挿入物の一部の態様では、挿入物は約130℃~約150℃で約30分~約4時間硬化された。
【0049】
[0051]他の態様では、挿入物は円筒形の形状である。別の実施形態では、挿入物の少なくとも1つの末端は送達ポートを形成する。さらなる実施形態では、挿入物は約1mm~約10mmの長さを有する、又は25ゲージよりも小さい針又はカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形される。
【0050】
[0052]本発明は、
(a)MW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、MW146,000~186,000、99+%加水分解、及びこれらの混合物からなる群から選択されるPVA、並びにAPIを含む固体マトリックスコア、並びに
(b)コアを実質的に囲むPVAを含む少なくとも1つのコーティングであり、コーティング中のPVAがMW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、MW146,000~186,000、99+%加水分解、及びこれらの混合物からなる群から選択されるPVAから選択される、コーティング
を含む眼薬送達挿入物であって、
コア中のPVA及び少なくとも1つのコーティング中のPVAが、異なるグレードのPVAである、眼薬送達挿入物も提供する。
【0051】
[0053]一部の実施形態では、挿入物はPVAの少なくとも2つの被膜を含み、最も外側の被膜中のPVAのDHは、他の被膜の各々のいずれのPVAのDHよりも低い。
【0052】
[0054]本発明の挿入物の他の実施形態では、APIは1000AMU以下の分子量及び25℃で約200μg/mL未満の水溶性を有する。他の実施形態では、APIはVEGF阻害剤である。他の実施形態では、APIはTKI阻害剤である。さらに他の実施形態では、APIはボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩である。さらなる実施形態では、APIはアキシチニブ又はその薬学的に許容できる塩である。さらに他の実施形態では、APIはTie-2活性化剤である。一部の実施形態では、APIはラズプロタフィブ又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンである。
【0053】
[0055]本発明の方法の一部の態様では、対象は地図状萎縮を有するか、対象は地図状萎縮を発症するリスクがあるか、対象は視力喪失を有するか、対象は視力喪失を発症するリスクがあるか、対象は虚血性網膜静脈閉塞を有するか、又は対象は非虚血性網膜静脈閉塞を有する。
【0054】
[0056]本発明は、それを必要とする対象における眼において血管新生を阻害する方法であって、対象の眼の硝子体に1つ又は複数の眼薬送達挿入物を埋め込むステップを含み、投与手順中に投与される挿入物の数が1~6つの挿入物であり、1つ又は複数の挿入物の各々が約0.01μg/日~約100μg/日のボロラニブの薬物放出速度を少なくとも30日間有する、方法も提供する。
【0055】
[0057]本発明は、それを必要とする対象の眼においてVEGFR及びPDGFRを阻害する方法であって、対象の眼の硝子体に1つ又は複数の眼薬送達挿入物を埋め込むステップを含み、投与手順中に投与される挿入物の数が1~6つの挿入物であり、1つ又は複数の挿入物の各々が約0.01μg/日~約100μg/日のボロラニブの薬物放出速度を少なくとも30日間有する、方法も提供する。
【0056】
[0058]加えて、本発明は、それを必要とする対象において黄斑変性を処置する方法であって、対象の眼の硝子体に1つ又は複数の眼薬送達挿入物を埋め込むステップを含み、投与手順中に投与される挿入物の数が1~6つの挿入物であり、1つ又は複数の挿入物の各々が約0.01μg/日~約100μg/日のボロラニブの薬物放出速度を少なくとも30日間有する、方法を提供する。一部の実施形態では、処置される黄斑変性は加齢性黄斑変性である。
【0057】
[0059]一部の実施形態では、処置又は投与の方法は、治療有効量のTie-2活性化剤を含む医薬組成物を対象に投与するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、Tie-2活性化剤はラズプロタフィブ、又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンである。さらに他の実施形態では、処置の方法は、治療有効量のステロイド性抗炎症剤を含む医薬組成物を対象に投与するステップをさらに含む。
【0058】
[0060]加えて、本発明は、それを必要とする対象の眼においてVE-PTPを阻害する方法であって、挿入物のうちの1つ又は複数を対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法を提供する。他の態様では、本発明は、それを必要とする対象において緑内障を処置する方法であって、挿入物のうちの1つ又は複数を対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法を提供する。さらに他の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において上昇したIOPを処置する方法であって、挿入物のうちの1つ又は複数を対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法を提供する。さらに別の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象においてIOPを低下させる方法であって、挿入物のうちの1つ又は複数を対象の眼の硝子体内に注射するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、方法はVEGF阻害剤を投与するステップをさらに含む。
【0059】
[0061]一部の態様では、本発明は、それを必要とする対象において眼の状態を処置又は防止するのに使用するための挿入物を提供する。
【0060】
[0062]他の態様では、本発明は、それを必要とする対象における眼において血管新生を阻害するのに使用するための挿入物を提供する。
【0061】
[0063]さらに他の態様では、本発明は、それを必要とする対象の眼においてVEGFR及びPDGFRを阻害するのに使用するための挿入物を提供する。
【0062】
[0064]一部の態様では、本発明は、それを必要とする対象において加齢性黄斑変性を処置するのに使用するための挿入物を提供する。
【0063】
[0065]一部の態様では、本発明は、それを必要とする対象の眼において網膜静脈閉塞を処置するのに使用するための挿入物を提供する。
【0064】
[0066]一部の態様では、本発明は、それを必要とする対象の眼において糖尿病性網膜症を処置するのに使用するための挿入物を提供する。
【0065】
[0067]一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の眼においてVE-PTPを阻害するのに使用するための挿入物を提供する。
【0066】
[0068]一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の眼において緑内障を処置するのに使用するための挿入物を提供する。
【0067】
[0069]他の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の眼において上昇したIOPを処置するのに使用するための挿入物を提供する。
【0068】
[0070]さらに他の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の眼においてIOPを低下させるのに使用するための挿入物を提供する。
【0069】
[0071]追加の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の眼においてぶどう膜炎を処置するのに使用するための挿入物を提供する。
【0070】
[0072]さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の眼において後眼部に影響を及ぼす慢性非感染性ぶどう膜炎を処置するのに使用するための挿入物を提供する。
【0071】
[0073]一部の実施形態では、挿入物は25ゲージよりも小さい針又はカニューレを通して注射される。一部の実施形態では、切開は注射に必要とされない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】本発明の例示的な眼薬送達挿入物を表す図である。
【
図2】PBS中での24時間の浸漬後の異なるグレードのPVAのフィルムの平均重量変化を示すグラフである。
【
図3】評価されたフィルムの相対的なフィルム強度を示すスケールを表す図である。
【
図4A】140℃で4時間硬化されたコーティングされた製剤である製剤Aインプラントからの薬物放出累積パーセントを示すin vitro薬物放出プロファイルを表す図である。
【
図4B】製剤Aインプラントから放出された薬物の累積量(μg)を示すin vitro薬物放出プロファイルを表す図である。
【
図5】溶解媒体中での314及び447日間の浸漬後に取り出された侵食された製剤Aインプラントの写真であり、447日のインプラントの写真は比較のために無傷のインプラントを含む。
【
図6】コーティングがないことを除いて製剤Aと同じであるコーティングされていない製剤Aインプラントのin vitro薬物放出プロファイルを表す図である。
【
図7】溶解媒体中での287及び352日間の浸漬後に取り出された、侵食されたコーティングされていない製剤Aインプラントの写真であり、352日のインプラントの写真は比較のために無傷のインプラントを含む。
【
図8A】140℃/30分で硬化されたコーティングされた製剤である製剤Bインプラントからの薬物放出累積パーセントを示すin vitro薬物放出プロファイルを表す図である。
【
図8B】製剤Bインプラントからの薬物放出累積量(μg)を示すin vitro薬物放出プロファイルを表す図である。
【
図9】溶解媒体中での59、88及び155日間の浸漬後に取り出された侵食された製剤Bインプラントの写真である。
【
図10】硬化されていないコーティングされた製剤である製剤Cのin vitro薬物放出プロファイルを表す図である。
【
図11】溶解媒体中での37℃で98日間、次いで室温で113日間の浸漬後に取り出された侵食された製剤Cインプラントの2つの試料の写真である。
【
図12】製剤A、B及びCのin vitro薬物放出プロファイルの比較を表す図である。
【
図13A】ウサギの眼に埋め込まれた挿入物を様々な時点で取り出し、挿入物中に残存するボロラニブの量(μg)を決定するためにアッセイしたin vivo研究についての、時間に対する挿入物中に残存する薬物の平均量を表すグラフである。一方の曲線は、3つの挿入物が埋め込まれた眼からの挿入物についてのレベルを示し、他方は、6つの挿入物が埋め込まれた眼からの挿入物についてのレベルを示す。
【
図13B】同じin vivo研究からの取り出された挿入物についての時間に対する放出された薬物の累積パーセントを表すグラフである。一方の曲線は、3つの挿入物が埋め込まれた眼からの挿入物についてのレベルを示し、他方は、6つの挿入物が埋め込まれた眼からの挿入物についてのレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
1.活性医薬成分(API)
[0090]本発明の挿入物は活性医薬成分(API)を含む。APIは、本明細書において「薬物」と称されることがある。
【0074】
[0091]一部の実施形態では、本発明の挿入物及び方法のためのAPIは、1000AMU以下の分子量及び25℃で約200μg/mL未満の水溶性を有するAPIである。他の実施形態では、APIの水溶性は、25℃で約100μg/mL未満、25℃で約75μg/mL未満、25℃で約50μg/mL未満、25℃で約10μg/mL未満、又は25℃で約5μg/mL未満である。一部の実施形態では、25℃でのAPIの水溶性は、約0.1μg/mL~約200μg/mL、約0.1μg/mL~約150μg/mL、約0.1μg/mL~約100μg/mL、約0.1μg/mL~約75μg/mL、約0.1μg/mL~約50μg/mL、約0.1μg/mL~約20μg/mL、約0.1μg/mL~約10μg/mL、又は約0.5μg/mL~約50μg/mLである。
【0075】
[0092]本発明の眼の挿入物を使用して、様々なクラスのAPIを送達することができる。これらのクラスのAPI及び特定のAPIの例は以下を含む。
【0076】
[0093]一部の実施形態では、APIは血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤(抗VEGFと称されることもある)、チロシンキナーゼ(TKI)阻害剤などのキナーゼ阻害剤、血管内皮タンパク質チロシンホスファターゼ(VE-PTP)阻害剤、Ang-1阻害剤、Ang-2阻害剤、Tie-2活性化剤、Tie-2アゴニスト、又はmTOR阻害剤である。これらの活性のうちの1つ又は複数を有するAPIは、アルチラチニブ、レバスチニブ、アファチニブ、アレクチニブ、アパチニブ、ASP-3026、アキシチニブ、バフェチニブ、バリシチニブ、ビニメチニブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セディラニブ、CEP-11981、CEP-37440、セリチニブ、コビメチニブ、コパンリシブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、CYT387、ダブラフェニブ、ダムナカンタール、ダサチニブ、ドラマピモド、エヌトレクチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、フィルゴチニブ、フォレチニブ、フォスタマチニブ、ゲフィチニブ、グランジニン、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、IPI-145、JSI-124、ラパチニブ、レンバチニブ、レスタウルチニブ、リニファニブ、マシチニブ、モテサニブ、ムブリチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パクリチニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ペリホシン、ペクスメチニブ、PF-06463922、ポナチニブ、PX-866、キザルチニブ、ラドチニブ、ラズプロタフィブ(AKB-9778)、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、セルメチニブ、セマクサニブ、シロリムス、ソラフェニブ、トシル酸ソラフェニブ、スタウロスポリン、スニチニブ、リンゴ酸スニチニブ、SU6656、テムシロリムス、TG101348、チボザニブ、トセラニブ、トファシチニブ、トラメチニブ、TSR-011、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、ボロラニブ、及びX-396を含む。
【0077】
[0094]一部の実施形態では、APIは、ステロイド又はコルチコステロイドなどのステロイド性抗炎症剤であってもよく、ステロイド性抗炎症剤の非限定的な例は、フルオシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21-リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメトロン及びベタメタゾンである。
【0078】
[0095]他の実施形態では、APIは、プロスタグランジン又はビマトプロスト、ラタノプロスト、ラタノプロステンブノド、タフルプロスト、若しくはトラボプロストなどのプロスタグランジン類似体若しくはアゴニストである。
【0079】
[0096]さらに他の実施形態では、APIは、ブリモニジン、酒石酸ブリモニジン、又はパモ酸ブリモニジンなどのアルファ-2アドレナリン作動性受容体アゴニストである。
【0080】
[0097]一部の態様では、APIは、チモロールなどのベータ-遮断薬である。
【0081】
[0098]他の態様では、APIは、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、又はメタゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)である。
【0082】
[0099]他の態様では、APIは、ネタルスジルなどのrhoキナーゼ阻害剤である。
【0083】
[00100]非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)も考えられる。NSAIDは、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、モラゾン、ナプロキセン、ペリソキサール、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、スキシブゾン、トロペシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ジロイトン、及びゾメピラクを含む。バルデコキシブ、ロフェコキシブ、及びセレコキシブなどのCOX-2阻害剤も考えられる。
【0084】
[00101]一部の実施形態では、APIは、ニモジピンなどの神経保護薬;テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、若しくはエリスロマイシンなどの抗生物質;又はスルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフイソキサゾール、ニトロフラゾン若しくはプロピオン酸ナトリウムなどの抗菌薬である。
【0085】
[00102]別の実施形態では、APIは、C3阻害剤、例えばAPL-2(ペグセタコプラン)、又はC5阻害剤などの補体阻害剤である。
【0086】
[00103]リドカイン及び関連化合物などの麻酔薬及び鎮痛剤も考えられる。
【0087】
[00104]一部の実施形態では、挿入物は1種より多くのAPIを含む。
【0088】
[00105]加えて、本発明は、APIの類似体、誘導体、薬学的に許容できる塩、エステル、プロドラッグ、共薬(codrug)、及びそれらの保護形態の使用も考える。
【0089】
[00106]所与の化合物の用語「薬学的に許容できる塩」は、所与の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にもその他の点でも望ましくないことがない塩を指す。
【0090】
[00107]薬学的に許容できる塩は、無機酸又は有機酸との塩、及び無機塩基又は有機塩基との塩を含む。当業者は、非毒性の薬学的に許容できる塩を調製するために使用され得る様々な合成方法を認識しているであろう。
【0091】
[00108]塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む無機酸から誘導され得る。塩は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、パモ酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などを含む有機酸から誘導され得る。
【0092】
[00109]一部の実施形態では、塩はアセトニド塩である。
【0093】
[00110]薬学的に許容できる塩基付加塩は、無機及び有機塩基から調製され得る。無機塩基から誘導される塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩を含む。有機塩基から誘導される塩は、第一級、第二級及び第三級アミンの塩を含むが、これらに限定されない。
【0094】
[00111]加えて、薬学的に許容できる塩は、コリン、グルコサミン、トリス、メグルミン、リジン、アルギニン、トリブチルアミン、及びベンザチン塩などの有機塩を含む。
【0095】
[00112]一部の実施形態では、APIは、非晶質形態、結晶形態、多形、水和物、又は溶媒和物である。
【0096】
[00113]特に指定されない限り、本出願に記載の用量(例えば100μg)は、所与のAPI塩又はAPIエステルの重量ではなく、薬理学的に活性な部分の重量を指す。したがって、例えば、挿入物がAPIの薬学的に許容できる塩又はエステル、例えばラズプロタフィブナトリウムを含有する場合、重量は、本明細書に記載のAPIの量に等しいAPI塩の量を提供するように調整されなければならない。例えば、100μgのラズプロタフィブナトリウムを含有する挿入物への本明細書における言及は、挿入物が100μgのラズプロタフィブ分子に等しい塩の量を含有することを意味する。別の例では、100μg/日の薬物放出速度は、挿入物が100μg/日の薬理学的に活性な部分(例えばボロラニブ)を放出することを意味する。
【0097】
[00114]本発明の一部の実施形態では、APIはボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩である。
【0098】
[00115]ボロラニブは化学名称(S,Z)-N-(1-(ジメチルカルバモイル)ピロリジン-3-イル)-5-((5-フルオロ-2-オキソインドリン-3-イリデン)メチル)-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドを有する。類義語は用語「X-82」を含む。分子式はC23H26FN5O3である。水中でのボロラニブの溶解性は0.1μg/mL未満である。ボロラニブは以下の構造を有する。
【0099】
【0100】
[00116]本明細書で使用される場合、「ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩」は、ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩の非晶質及び結晶形態、多形、水和物並びに溶媒和物を含む。
【0101】
[00117]ボロラニブは、経口活性マルチキナーゼ阻害剤であり、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)及び血小板由来成長因子受容体(PDGFR)の活性化を阻害することができる。
【0102】
[00118]ボロラニブを製造するための方法は、例えば、各々がその全体において参照により組み込まれる米国特許第7,683,057号、同第8,524,709号、同第8,039,470号、及び米国公開出願第2019/0233403号に記載されている。
【0103】
[00119]一部の実施形態では、APIは、ラズプロタフィブ(AKB-9778)、又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオン、例えば、ラズプロタフィブナトリウム、ラズプロタフィブコリン、ラズプロタフィブグルコサミン、ラズプロタフィブトリス、ラズプロタフィブメグルミン、ラズプロタフィブリジン、ラズプロタフィブアルギニン、ラズプロタフィブトリブチルアミン、ラズプロタフィブベンザチンである。ラズプロタフィブは、VE-PTP(血管内皮タンパク質チロシンホスファターゼ)の触媒活性の強力で選択的な阻害剤である。ラズプロタフィブはTIE2活性化を促進し、ANG1誘発性TIE2活性化を増強し、AKT、eNOS、及びERKを含むTIE2経路におけるシグナル伝達分子のリン酸化を刺激する。
【0104】
[00120]ラズプロタフィブは化学名称[4-[(2S)-2-[[(2S)-2-(メトキシカルボニルアミノ)-3-フェニルプロパノイル]アミノ]-2-(2-チオフェン-2-イル-1,3-チアゾール-4-イル)エチル]フェニル]スルファミン酸を有する。分子式はC26H26N4O6S3である。ラズプロタフィブのCAS登録番号は1008510-37-9である。化学構造は、
【0105】
【0106】
[00121]ラズプロタフィブを製造するための方法は、例えば、その全体において参照により組み込まれる米国特許第7,622,593号に記載されている。
【0107】
[00122]本発明の一部の実施形態では、APIは、アキシチニブ又はその薬学的に許容できる塩若しくはエステルである。
【0108】
[00123]アキシチニブは、化学名称N-メチル-2-[3-((E)-2-ピリジン-2-イル-ビニル)-1H-インダゾール-6-イルスルファニル]-ベンズアミドを有する。分子式はC22H18N4OSであり、分子量は386.47ダルトンである。化学構造は、
【0109】
【0110】
アキシチニブは4.8のpKaを有する。pH1.1~pH7.8の範囲にわたる水性媒体中でのアキシチニブの溶解性は0.2μg/mLを超える。
【0111】
アキシチニブを製造するための方法は、例えば、各々がその全体において参照により組み込まれる米国特許第6,891,044号及び同第8,791,140号に記載されている。
【0112】
[00124]挿入物の製剤化の前に、APIを粉砕して微細な粒径を生じさせることができる。一部の実施形態では、挿入物を製造するのに使用するためのAPIのD90は、200μm未満、100μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、又は15μm未満である。一部の実施形態では、D90は、約0.01μm~約100μm、約0.01μm~約80μm、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約20、約0.1μm~約15μm、約0.1μm~約12μm、約1μm~約50μm、約1μm~約30μm、約1μm~約25μm、約1μm~約20μm、約1μm~約15μm、約1μm~約12μm、約5μm~約10、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、又は約12μmである。
【0113】
2.眼薬送達挿入物
[00125]「眼薬送達挿入物」は、眼に埋め込むことができ、薬物を含有し、埋め込み後に眼内で薬物を放出することができるデバイスである。「眼薬送達挿入物」は、本明細書に記載の全ての挿入物を包含する。
【0114】
[00126]眼薬送達挿入物は、固体マトリックスに分散したAPIを含むコアを含む。一部の実施形態では、コアはコーティングにより少なくとも部分的に覆われている。挿入物は生体侵食性である。
【0115】
[00127]他の実施形態では、挿入物はコアのみからなる。コアはコーティング又はコアを囲む任意の種類のバリアにより囲まれていない。
【0116】
[00128]一部の実施形態では、挿入物は、コア及びコーティングの両方を含む。コーティングは、コアを部分的又は完全に囲む層である。コーティングは、コアの周りに設置される前に所望の形状(例えば、所望の形状はチューブであってもよい)に予め形成されてもよい外層であるか、又はコーティングは、例えば、コア及びコーティングの共押し出し、コーティングをコアに噴霧すること、若しくはコアをコーティング材料に1回若しくは複数回浸漬すること(例えば1~10個の被膜)により形成されてもよい。コアがコーティングされる場合、コーティングは、コアを完全に囲んでもよく、又はコアを部分的にのみ囲んでもよい。
【0117】
[00129]挿入物は、様々な異なる形状、例えば、円筒、棒、球、又は円盤であってもよい。一部の実施形態では、挿入物は円筒形の形状であり、コーティングは棒又は円筒の末端を除いて、円筒の表面全体を覆う。棒の末端は送達ポートとして作用することができる。一部の実施形態では、円筒の一方の末端はコーティングにより覆われ、他方は覆われない。一部の実施形態では、末端のうちの1つは、シリコーンキャップなどの薬物不透過性キャップにより覆われる。棒は平行な辺を有する固体の幾何学的な形であり、辺の長さは直径又は断面の形状の最も長い辺よりも長い。断面形状は、円形、楕円形、四角形、長方形、三角形、又は六角形などの多角形であってもよい。当業者は、製造プロセスゆえに、挿入物形状は正確でないことがあり、例えば、外側は滑らかでなく、完全には均一でないことがあることを認識するであろう。例えば、円筒又は棒の辺は、完全にはまっすぐでない、又は完全には平行でないことがある。円筒の断面は、完全な円形又は楕円形ではないことがある。他の形状の断面は、それらの形状の定義を正確に満たさないことがある。例えば、四角い断面は、完全にまっすぐな辺を有していないことがあり、角の角度は正確に90度でないことがある。球又はペレットは、完全には球形でないことがある。
【0118】
a.マトリックス
[00130]一部の実施形態では、コアは、マトリックス全体に分散した粉末、粒子、又は顆粒などの固体形態で存在し得るマトリックスポリマー及びAPIを含む固体マトリックスである。マトリックス成分及びAPIは、APIが分散した均質な混合物を形成する。マトリックスは室温で固体であり、生体侵食性である。マトリックスはAPIの放出速度を制御し、したがって、製剤化されていないAPIと比較して、API放出速度を調整する。一部の実施形態では、マトリックスは薬物放出速度を遅くし、薬物の長期送達及びより少ない頻度の投薬を提供する。
【0119】
[00131]一部の実施形態では、マトリックスは他の薬学的に許容できる成分も含む。他の実施形態では、マトリックスを形成するために使用される唯一の材料は、1種又は複数のマトリックスポリマーである。
【0120】
[00132]マトリックス(「マトリックスポリマー」)を形成するために使用されるポリマーは、以下のうちの1種又は複数を含んでもよい:ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(dl-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリアルキルシアノアクリレート、又はこれらのコポリマー。
【0121】
[00133]ある特定の実施形態では、マトリックスポリマーはPVAを含む。一部の実施形態では、マトリックス中の唯一の不活性医薬成分はPVAである。
【0122】
[00134]様々なグレードのPVAが使用され得る。PVAの加水分解度(DH)は約70%~約99+%であってもよく、分子量(MW)は約6000~200,000であってもよく、すなわちマトリックスポリマーは、約6,000~200,000の分子量を有する、約70モル%~約99+モル%加水分解PVAである。例えば、DHは約80%~約90%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約88%~約90%、約90%~約99+%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99+%、又は約98~約99+%であってもよく、MWは約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10,000、約15,000、約18,000、約20,000、約25,000、約30,000、約40,000、約50,000、約60,000、約70,000、約75,000、約78,000、約80,000、約85,000、約90,000、約100,000、約108,000、約110,000、約120,000、約125,000、約130,000、約133,000、約140,000、約146,000、約150,000、約160,000、約170,000、約180,000、約186,000、約190,000又は約200,000であってもよい。一部の実施形態では、MWは約5000~10,000、約6000~10,000、約9000~10,000、約10,000~25,000、約25,000~50,000、約30,000~70,000、約60,000~80,000、約70,000~80,000、約75,000~80,000、約75,000~100,000、約89,000~98,000、約85,000~124,000、又は約146,000~186,000であってもよい。ある特定の実施形態では、PVAはMW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、又はMW146,000~186,000、99+%加水分解である。
【0123】
[00135]他の実施形態では、マトリックスポリマーは、2、3、又は4種の異なるグレードのPVAの混合物を含む。一部の実施形態では、PVAは、2種のグレードのPVAの混合物である。一部の実施形態では、混合物中の2種のグレードの比は1:1~1:15である。一部の実施形態では、2種のグレードの比は、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11又は1:12のよりゆっくり侵食されるPVA対より速く侵食されるPVAである。PVA侵食速度は実施例1に記載される通りに測定され得る。例えば、一部の実施形態では、PVAの混合物は、1:9の6000MW、80%DH対125,000MW、88%DHを有する。他の実施形態では、混合物中の2種のグレードの比は、1:1~1:15、例えば、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11又は1:12のより速く侵食されるPVA対よりゆっくり侵食されるPVAである。
【0124】
[00136]PVA混合物の例は、MW6,000、80%加水分解とMW78,000、98%加水分解の混合物;MW6,000、80%加水分解とMW78,000、99+%加水分解の混合物;MW78,000、98%加水分解とMW78,000、99+%加水分解の混合物;及びMW6,000、80%加水分解とMW125,000、88%加水分解の混合物を含む。
【0125】
[00137]MW及びDHは、特定の薬物に望まれる薬物放出速度、眼薬送達挿入物が使用される適応症、望まれる薬物放出の持続期間及び望まれる侵食速度を提供するように選択されるべきである。
【0126】
[00138]マトリックスを形成するために使用されるポリマー溶液は、水又はエタノールなどの溶媒中に約1%w/w~約20%w/w、約1%w/w~約15%w/w、約2%w/w~約15%w/w、約2%w/w~約12%w/w、約2%w/w~約10%w/w、約3%w/w~約10%w/w、約3%w/w~約8%w/w、約3%w/w~約6%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約4.5%w/w、約5%w/w、約5.5%w/w、約6%w/w、約6.5%w/w、約7%w/w、約7.5%w/w、約8%w/w、約8.5%w/w、約9%w/w、約9.5%w/w、約10%w/w、約10.5%w/w、約11%w/w、約11.5%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w又は約15%w/wのPVAなどのポリマーを含んでもよい。
【0127】
[00139]ポリマー溶液及びAPIは、例えば、約0.5:1、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:1.7、又は約1:2w/wのAPI:ポリマー溶液の比で組み合わされてもよい。
【0128】
[00140]一部の実施形態では、コアはボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩及びPVAを含む。一部の実施形態では、コアはボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩及びPVAからなる。
【0129】
[00141]一部の実施形態では、コアはアキシチニブ又はその薬学的に許容できる塩及びPVAを含む。一部の実施形態では、コアはアキシチニブ又はその薬学的に許容できる塩及びPVAからなる。
【0130】
[00142]さらなる実施形態では、PVA溶液及びAPIは、約1:1w/wのAPI:PVA溶液の比で組み合わされる。
【0131】
[00143]一部の実施形態では、PVA溶液及びAPIは、約1:2w/wのAPI:PVA溶液の比で組み合わされる。
【0132】
[00144]一部の実施形態では、コアは、約0.1%w/w~約90%w/w、約0.1%w/w~約80%w/w、約0.1%w/w~約70%w/w、約0.1%w/w~約60%w/w、約0.1%w/w~約50%w/w、約0.1%w/w~約40%w/w、約0.1%w/w~約30%w/w、約0.1%w/w~約25%w/w、約0.1%w/w~約20%w/w、約0.1%w/w~約15%w/w、約0.1%w/w~約10%w/w、約3%w/w~約90%w/w、約3%w/w~約75%w/w、約4%w/w~約60%w/w、約4%w/w~約50%w/w、約4%w/w~約40%w/w、約4%w/w~約25%w/w、約1%w/w~約10%w/w、約1%w/w~約9%w/w、約1%w/w~約8%w/w、約1%w/w~約7%w/w、約1%w/w~約6%w/w、約2%w/w~約8%w/w、約2%w/w~約6%w/w、又は約3%w/w~約5%w/wのマトリックスポリマーなどの不活性(非API)成分を含む。これらの重量パーセンテージは、コアの乾燥重量(すなわち、加工中の任意の乾燥ステップ後)に基づく。
【0133】
[00145]一部の実施形態では、コア中のマトリックスポリマーの量は、約0.1%~約90%w/w、約0.1%w/w~約80%w/w、約0.1%w/w~約70%w/w、約0.1%w/w~約60%w/w、約0.1%w/w~約50%w/w、約0.1%w/w~約40%w/w、約0.1%w/w~約30%w/w、約0.1%w/w~約25%w/w、約0.1%w/w~約20%w/w、約0.1%w/w~約15%w/w、約0.1%w/w~約10%w/w、約3%w/w~約90%w/w、約3%w/w~約75%w/w、約4%w/w~約60%w/w、約4%w/w~約50%w/w、約4%w/w~約40%w/w、約4%w/w~約25%w/w、約1%w/w~約10%w/w、約1%w/w~約9%w/w、約1%w/w~約8%w/w、約1%w/w~約7%w/w、約1%w/w~約6%w/w、約2%w/w~約8%w/w、約2%w/w~約6%w/w、若しくは約3%w/w~約5%w/w、又は約1%w/w、1.5%w/w、2%w/w、2.5%w/w、3%w/w、3.5%w/w、4%w/w、4.5%w/w、5%w/w、5.5%w/w、6%w/w、6.5%w/w、7%w/w、7.5%w/w、8%w/w、8.5%w/w、9%w/w、9.5%w/w、10%w/w、10.5%w/w、11%w/w、11.5%w/w、12%w/w、15%w/w、18%w/w、20%w/w、25%w/w、30%w/w、35%w/w、40%w/w、50%w/w、55%w/w、60%w/w、65%w/w、若しくは70%w/wである。これらの重量パーセンテージは、コアの乾燥重量(すなわち、加工中の任意の乾燥ステップ後)に基づく。
【0134】
[00146]用語「挿入物は、固体マトリックス及びAPIを含むコアからなる」は、挿入物全体が固体マトリックス及びAPIの形態であることを意味する。マトリックスは追加の成分も含んでもよいが、挿入物はシェル、コーティング、キャップ、覆い、又はチューブ又は他の外層を有せず、そのため、眼の硝子体液又はin vitro薬物放出媒体などの流体環境に浸漬された場合、コアの外側はこの流体と直接接触する。
【0135】
b.コーティング
[00147]本発明の一部の実施形態では、挿入物は、(a)API及び固体マトリックスを含むコア、並びに(b)コーティングを含む又はこれらからなる。他の実施形態では、挿入物はコーティングを含まない。
【0136】
[00148]一部の実施形態では、コーティングは、APIの移動に対して透過性であり、活性医薬成分の拡散膜として作用する。拡散膜は、マトリックスのAPI放出速度を調整することができる。拡散膜は、例えば、マトリックス内への流体の流れを調整すること及び/又はマトリックスの外へのAPIの移動を制限することで作動することができる。他の実施形態では、コーティングは、例えば、用量の加工、包装、及び/又は運搬中に、コーティングされていないコアと比較して、挿入物の耐久性を増加させる。ある特定の実施形態では、コーティングは、API放出速度を調整し、且つ挿入物の耐久性を増加させる。
【0137】
[00149]コーティングは、コアを完全に囲んでもよく、又はコアを部分的にのみ囲んでもよい。一部の実施形態では、コーティングはコアを実質的に覆い、これはコーティングがコアの表面積の少なくとも70%を覆うことを意味する。一部の実施形態では、コーティングは、コアの表面積の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、約70%~約100%、約70%~約95%、約80%~約95%、約80%~約96%、約80%~約99%、約90%~約99%、又は約90%~約98%を覆う。他の実施形態では、コーティングは、コアの表面積の約40%~約98%、約50%~約98%、約60%~約98%、約70%~約98%、又は約80%~約98%を囲む。円筒形の挿入物について、表面積AはA=2πrL+2πr2として計算され、式中、rは半径であり、Lは挿入物の長さである。一部の実施形態では、コアの、ある領域はコーティングにより覆われないままにされて送達ポートを形成する。一部の実施形態では、1つより多くの領域が覆われないままにされて1つより多くの送達ポートを形成する。
【0138】
[00150]送達ポートはAPIに対して透過性である。
【0139】
[00151]一部の実施形態では、挿入物は棒形状、例えば円筒形であり、棒/円筒の2つの末端だけがコーティングされていない。
【0140】
[00152]本発明の眼薬送達挿入物の実施形態の例示を提供するために、
図1は、本発明の一実施形態による眼薬送達挿入物100の縦の断面図を示す。挿入物100は固体マトリックスコア105を含む。挿入物100は、コア105を実質的に囲むコーティング110をさらに含む。挿入物100は、挿入物100の向かい合う末端に位置する2つの送達ポート115も特色とする。この特定の実施形態において、送達ポート115の少なくとも1つは、コア105に含有されるAPIに対して透過性の膜を含み、APIが送達ポート(複数可)115から放出されることを可能にする。
【0141】
[00153]一部の実施形態では、マトリックスのように、コーティングは生体侵食性である。
【0142】
[00154]コーティングはポリマー及び/又は非ポリマー成分を含んでもよい。一部の実施形態では、コーティングは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(dl-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリアルキルシアノアクリレート、又はこれらのコポリマーなどの1種又は複数のポリマーを含む。
【0143】
[00155]コアがコーティングされる実施形態では、コーティングは、ポリマーの1~10個の被膜から形成されてもよい。例えば、コアは1つの被膜、2つの被膜、3つの被膜、4つの被膜、5つの被膜、6つの被膜、7つの被膜、8つの被膜、9つの被膜、又は10個の被膜でコーティングされてもよい。一部の実施形態では、被膜の各々は他の被膜と同じポリマーを含む。ある特定の実施形態では、被膜の各々は他の被膜と同じポリマーからなる。コーティングが1つより多くの被膜から形成される他の実施形態では、被膜の少なくとも2つは異なるポリマーを含む。
【0144】
[00156]ある特定の実施形態では、コーティングはPVAを含む。他の実施形態では、コーティングはPVAからなる。一部の実施形態では、コーティング中の唯一の不活性医薬成分はPVAである。他の実施形態では、マトリックスポリマーがPVAを含み、且つコーティングがPVAを含む。
【0145】
[00157]様々なグレードのPVAが使用され得る。PVAの加水分解度(DH)は約70%~約99+%であってもよく、分子量(MW)は約6000~200,000であってもよく、すなわちマトリックスポリマーは、約6,000~200,000の分子量を有する約70モル%~約99+モル%加水分解PVAである。例えば、DHは約80%~約90%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約88%~約90%、約90%~約99+%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99+%、又は約98~約99+%であってもよく、MWは約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10,000、約15,000、約18,000、約20,000、約25,000、約30,000、約40,000、約50,000、約60,000、約70,000、約75,000、約78,000、約80,000、約85,000、約90,000、約100,000、約108,000、約110,000、約120,000、約125,000、約130,000、約133,000、約140,000、約146,000、約150,000、約160,000、約170,000、約180,000、約186,000、約190,000又は約200,000であってもよい。一部の実施形態では、MWは約5000~10,000、約6000~10,000、約9000~10,000、約10,000~25,000、約25,000~50,000、約30,000~70,000、約60,000~80,000、約70,000~80,000、約75,000~80,000、約75,000~100,000、約89,000~98,000、約85,000~124,000、又は約146,000~186,000であってもよい。ある特定の実施形態では、PVAはMW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、又はMW146,000~186,000、99+%加水分解である。
【0146】
[00158]他の実施形態では、PVAは2、3、又は4種の異なるグレードのPVAの混合物である。一部の実施形態では、PVAは2種の異なるグレードのPVAの混合物である。一部の実施形態では、混合物中の2種のグレードの比は1:1~1:15である。一部の実施形態では、2種のグレードの比は、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11又は1:12のよりゆっくり侵食されるPVA対より速く侵食されるPVAである。PVA侵食速度は、実施例1に記載の通りに測定され得る。例えば、一部の実施形態では、PVAの混合物は、1:9の6000MW、80%DH対125,000MW、88%DHの比を有する。他の実施形態では、混合物中の2種のグレードの比は、1:1~1:15、例えば、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11又は1:12のより速く侵食されるPVA対よりゆっくり侵食されるPVAである。
【0147】
[00159]PVA混合物の例は、MW6,000、80%加水分解とMW78,000、98%加水分解の混合物;MW6,000、80%加水分解とMW78,000、88%加水分解の混合物;MW6,000、80%加水分解とMW78,000、99+%加水分解の混合物;MW78,000、88%加水分解とMW78,000、98%加水分解の混合物;MW78,000、98%加水分解とMW78,000、99+%加水分解の混合物;及びMW6,000、80%加水分解とMW125,000、88%加水分解の混合物を含む。
【0148】
[00160]ある特定の実施形態では、コアは2種の異なるグレードのPVAの混合物を含む。一部の実施形態では、コーティングは2種の異なるグレードのPVAの混合物を含む。さらに他の実施形態では、コア及びコーティングの両方が2種の異なるグレードのPVAの混合物を含む。コーティングがPVAの1つより多くの被膜を含む場合、被膜のうちの1つ又は複数は、2種の異なるグレードのPVAの混合物を含んでもよい。
【0149】
[00161]コア及びコーティングの両方がPVAを含む実施形態では、コアのPVA及びコーティングのPVAは、同じ又は異なるグレードのPVAであってもよい。本明細書で使用される用語「異なるグレードのPVA」は、PVAが分子量(MW)、加水分解度(DH)又はMW及びDHの両方において異なることを意味する。加えて、本明細書で使用される場合、混合物が比較されるPVAが、正確に同じPVAグレードの混合物でない場合、PVAのグレードの混合物は「異なるグレードのPVA」であり、例えば、6,000、80%加水分解PVAとMW78,000、98%加水分解PVAの混合物は、MW78,000、98%加水分解PVAのみを含有するPVA組成、又はMW6,000、80%加水分解PVAとMW125,000、88%加水分解PVAの混合物を含有するPVA組成と異なるグレードのPVAと考えられる。
【0150】
[00162]したがって、コアのPVA及びコーティングのPVAは、同じMW及びDHを有してもよく、又はMW若しくはDHにおいて異なっていてもよく、又はMW及びDHの両方において異なっていてもよい。一部の実施形態では、コアはPVAを含み、挿入物はPVAを含むコーティングを含み、コーティングのPVAのMWはコアのPVAのMWと同じであり、コーティングのPVAのDHは、コアのPVAのDHよりも低い。一部の実施形態では、コーティングのPVAのMW及びDHは各々、コアのPVAのMW及びDHよりも低い。
【0151】
[00163]一部の実施形態では、コーティングは1つより多くの被膜から形成される。挿入物コーティングがPVAの1つより多くの被膜を含む場合、同じMW及びDHを有するPVAがコア及び被膜(複数可)の少なくとも1つに使用されてもよい。他の実施形態では、コアは、少なくとも1つの被膜中のPVAとMW及び/又はDHにおいて異なるPVAを含む。一部の実施形態では、コアは、少なくとも1つの被膜中のPVAとMW及びDHの両方において異なるPVAを含む。他の実施形態では、コア中のPVA及び少なくとも1つの被膜中のPVAは、同じMWを有するが、DHにおいて異なる。一部の実施形態では、少なくとも1つの被膜中のPVAのDHは、コア中のPVAのDHよりも低い。他の実施形態では、コア中のPVA及び少なくとも1つの被膜中のPVAは、MWにおいて異なるが、同じDHを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの被膜中のPVAのMWは、コア中のPVAのMWよりも低い。
【0152】
[00164]一部の実施形態では、挿入物コーティングは、PVAを含む単一の被膜を含む。他の実施形態では、挿入物コーティングは、PVAを含む1つより多くの被膜を含み、各コーティング中のPVAは、同じMW及びDHを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの被膜は、少なくとも1つの他の被膜中のPVAとMW及び/又はDHにおいて異なるPVAを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの被膜は、少なくとも1つの他の被膜中のPVAとMW及びDHの両方において異なるPVAを含む。一部の実施形態では、2つの被膜は同じグレードのPVAを含まず、すなわち、各被膜中のPVAは、他の被膜の各々とMW及び/又はDHにおいて異なる。
【0153】
[00165]挿入物コーティングが、PVAを含む1つより多くの被膜を含む実施形態では、最も外側の被膜中のPVAは、いずれの他の被膜中のPVAよりも可溶性である(PBS中)。一部の実施形態では、被膜の少なくとも1つにおけるPVAは、コアのPVAよりも可溶性である。
【0154】
[00166]ある特定の実施形態では、挿入物は、(a)PVA及びAPIを含む固体マトリックスコア、並びに(b)コアを実質的に囲むPVAを含むコーティングを含み、コーティング中のPVAのDHはコア中のPVAのDHよりも低い。この挿入物の一実施形態では、挿入物はPVAを含む2つの被膜を含む。他の実施形態では、挿入物はPVAを含む3つの被膜を含む。さらに他の実施形態では、挿入物はPVAを含む4つの被膜を含む。さらなる実施形態では、挿入物はPVAを含む5つの被膜を含む。さらに他の実施形態では、挿入物はPVAを含む6つの被膜を含む。
【0155】
[00167]1つより多くの被膜を有する実施形態では、コアに塗布される最初の被膜は最も内側の被膜であり、塗布される最後の被膜は最も外側の被膜である。PVAの1つより多くの被膜を有するこれらの挿入物の一部の実施形態では、最も内側の被膜中のPVAのDHは、最も外側の被膜中のPVAのDHよりも高い。PVAの1つより多くの被膜を有するこれらの挿入物の他の実施形態では、最も内側の被膜中のPVAのMWは、最も外側の被膜中のPVAのMWよりも高い。一部の実施形態では、最も外側の被膜中のPVAのDHは、他の被膜の各々におけるPVAのDHよりも低い。他の実施形態では、最も外側の被膜中のPVAのMW及びDHは、いずれの他の被膜中のPVAのMW及びDHよりも低い。
【0156】
[00168]一部の態様では、挿入物は、(a)MW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、MW146,000~186,000、99+%加水分解、及びこれらの混合物からなる群から選択されるPVA、並びにAPIを含む固体マトリックスコア、並びに(b)コアを実質的に囲むPVAを含む少なくとも1つのコーティングを含み、コーティング中のPVAは、MW6,000、80%加水分解、MW9,000~10,000、80%加水分解、MW25,000、88%加水分解、MW25,000、98%加水分解、MW30,000~70,000、87~90%加水分解、MW78,000、88%加水分解、MW78,000、98%加水分解、MW78,000、99+%加水分解、MW89,000~98,000、99+%加水分解、MW85,000~124,000、87~89%加水分解、MW108,000、99+%加水分解、MW125,000、88%加水分解、MW133,000、99%加水分解、MW146,000~186,000、99+%加水分解、及びこれらの混合物からなる群から選択されるPVAから選択され、コア中のPVA及び少なくとも1つのコーティング中のPVAは異なるグレードのPVAである。この挿入物の他の態様では、挿入物はPVAの少なくとも2つの被膜を含み、最も外側の被膜中のPVAのDHは、他の被膜の各々のいずれのPVAのDHよりも低い。
【0157】
[00169]本発明は、眼の挿入物を製造するために使用されるPVAグレードを合わせる能力を提供する。コア及びコーティングのPVAのMW及びDHは、特定の薬物に望まれる薬物放出速度、眼の挿入物が使用される適応、望まれる薬物放出の持続期間、及び望まれる侵食速度を提供するように選択されるべきである。薬物放出の異なる持続期間が、異なる眼疾患又は状態に望まれる可能性がある。例えば、薬物放出の12カ月の持続期間(製剤Aにより提供されるような)は、糖尿病性網膜症の処置に望ましい可能性があるが、1カ月未満の持続期間が、損傷又は手術により引き起こされる眼の炎症を阻害するための挿入物に望ましい可能性がある。
【0158】
[00170]コーティングを形成するために使用されるポリマー溶液は、水又はエタノールなどの溶媒中に約1%w/w~約20%w/w、約1%w/w~約15%w/w、約2%w/w~約15%w/w、約2%w/w~約12%w/w、約2%w/w~約10%w/w、約3%w/w~約10%w/w、約3%w/w~約8%w/w、約3%w/w~約6%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約4.5%w/w、約5%w/w、約5.5%w/w、約6%w/w、約6.5%w/w、約7%w/w、約7.5%w/w、約8%w/w、約8.5%w/w、約9%w/w、約9.5%w/w、約10%w/w、約10.5%w/w、約11%w/w、約11.5%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w又は約15%w/wのPVAなどのポリマーを含んでもよい。
【0159】
[00171]PVAコーティングを含む挿入物について、挿入物はPVAの溶液の1~10個の被膜で覆われてもよく、すなわち挿入物は1~10個のPVAコーティングを含んでもよい。例えば、挿入物はPVAの1つの被膜、2つの被膜、3つの被膜、4つの被膜、5つの被膜、6つの被膜、7つの被膜、8つの被膜、9つの被膜、又は10個の被膜を含んでもよい。
【0160】
[00172]一部の実施形態では、挿入物コーティングの重量は、挿入物の約0.1%w/w~約60%w/w、約0.1%w/w~約40%w/w、約0.1%w/w~約20%w/w、約1%w/w~約40%w/w、約1%w/w~約30%w/w、約1%w/w~約20%w/w、約1%w/w~約10%w/w、約5%w/w~約30%w/w、約5%w/w~約25%w/w、約5%w/w~約20%w/w、約5%w/w~約15%w/w、約10%w/w~約25%w/w、約10%w/w~約20%w/w、約10%w/w~約18%w/w、又は約12%w/w~約18%w/wである。これらの重量パーセンテージは挿入物の乾燥重量(すなわち、加工中の任意の乾燥ステップ後)に基づく。
【0161】
[00173]一部の実施形態では、挿入物中の不活性成分の総量は、約1%w/w~約70%w/w、約1%w/w~約50%w/w、約3%w/w~約90%w/w、約3%w/w~約75%w/w、約4%w/w~約60%w/w、約4%w/w~約50%w/w、約4%w/w~約40%w/w、約4%w/w~約25%w/w、約5%w/w~約40%w/w、約5%w/w~約30%w/w、約5%w/w~約25%w/w、約5%w/w~約20%w/w、約5%w/w~約15%w/w、約10%w/w~約25%w/w、約10%w/w~約22%w/w、約15%w/w~約25%w/w、約15%w/w~約22%w/w、又は約18%w/w~約22%w/wである。これらの重量パーセンテージは挿入物の乾燥重量(すなわち、加工中の任意の乾燥ステップ後)に基づく。
【0162】
[00174]一部の実施形態では、挿入物中のPVAの量は、約1%w/w~約80%w/w、約1%w/w~約75%w/w、約3%w/w~約80%w/w、約3%w/w~約70%w/w、約4%w/w~約60%w/w、約4%w/w~約50%w/w、約4%w/w~約40%w/w、約4%w/w~約25%w/w、約5%w/w~約40%w/w、約5%w/w~約30%w/w、約5%w/w~約25%w/w、約5%w/w~約20%w/w、約5%w/w~約15%w/w、約10%w/w~約25%w/w、約10%w/w~約22%w/w、約15%w/w~約25%w/w、約15%w/w~約22%w/w、又は約18%w/w~約22%w/wである。これらの重量パーセンテージは挿入物の乾燥重量(すなわち、加工中の任意の乾燥ステップ後)に基づく。
【0163】
[00175]一部の実施形態では、本発明は、挿入物中の不活性成分と比べて非常に高い薬物含有量を有する挿入物を提供し、これは、長期間にわたる薬物の放出を提供する挿入物の能力を考慮すると驚くべきことである。一部の実施形態では、挿入物中のAPIの量は、約5%w/w~約98%、約10%w/w~約98%、約15%w/w~約98%、約20%w/w~約98%、約30%w/w~約98%、約40%w/w~約98%、約50%w/w~約98%、約60%w/w~約98%w/w、約65%w/w~約98%w/w、約70%w/w~約98%w/w、約75%w/w~約98%w/w、約65%w/w~約90%w/w、約70%w/w~約90%w/w、約75%w/w~約90%w/w、又は約80%w/w~約90%w/wである。これらの重量パーセンテージは挿入物の乾燥重量(すなわち、加工中の任意の乾燥ステップ後)に基づく。
【0164】
[00176]一部の実施形態では、挿入物中の唯一の不活性成分はPVAなどのポリマーである。
【0165】
[00177]コアの周りの被膜の厚みは、例えば、約20μm~約400μm、約20μm~約300μm、約20μm~約200μm、約20μm~約100μm、約5μm~約75μm、約5μm~約50μm、又は約5μm~約25μmであってもよい。
【0166】
c.挿入物の形状及び寸法
[00178]一部の実施形態では、挿入物が眼の硝子体内への埋め込みのために調製される場合、挿入物は、いずれの方向においても約15mmを超えない又は好ましくは約10mmを超えず、そのため、挿入物は15mm以下の切開により挿入され得る。
【0167】
[00179]一部の実施形態では、挿入物は注射用に成形され、サイズ調整されてもよい。一部の実施形態では、挿入物は、20ゲージ以下のカニューレ又は針を通り抜けるようにサイズ調整及び成形される。これは、挿入物が、異常な量の力なしに、記載されているゲージを有するカニューレ又は針のいずれかを通して注射され得ることを意味する。この文脈におけるフレーズ「以下」は、より小さい外径を有することを意味する。より小さい外径は、より大きいゲージサイズ数に対応し、例えば、25ゲージ針は22ゲージ針よりも小さい外径を有する。
【0168】
[00180]一部の実施形態では、挿入物は、20~27ゲージ針若しくはカニューレ、21~27ゲージ針若しくはカニューレ、22~27ゲージ針若しくはカニューレ、23~27ゲージ針若しくはカニューレ、24~27ゲージ針若しくはカニューレ、25~27ゲージ針若しくはカニューレ、又は25.5~27ゲージ針若しくはカニューレを通り抜けるようにサイズ調整及び成形される。
【0169】
[00181]他の実施形態では、挿入物は、20ゲージ以下、22ゲージ以下、23ゲージ以下、24ゲージ以下、25ゲージ以下、25.5ゲージ以下、26ゲージ以下、又は26.5ゲージ以下のカニューレ又は針を通り抜けるようにサイズ調整及び成形される。好ましくは、挿入物は、25ゲージよりも小さい、26ゲージよりも小さい、又は27ゲージよりも小さいカニューレ又は針を通り抜けるようにサイズ調整及び成形される。一部の実施形態では、挿入物は、約29ゲージ~約25.5ゲージ、例えば、約28ゲージ~約25.5ゲージ、又は約28ゲージ~約26ゲージのカニューレ又は針を通り抜けるようにサイズ調整及び成形される。一部の実施形態では、針又はカニューレは約22、22s、23、24又は25ゲージであるが、好ましくは約25.5、26、26.5、26s、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30又は30.5ゲージである。
【0170】
[00182]一部の実施形態では、挿入物は棒形状、円筒形又は球形であり、約12mm未満の長さ及び直径約1mm未満であってもよい。
【0171】
[00183]一部の実施形態では、挿入物は、棒形状又は円筒形であってもよく、長さ8mm及び直径3mmを超えない。
【0172】
[00184]一部の実施形態では、挿入物は約1mm~10mm、2mm~10mm、1mm~4mm、4mm~8mm、6mm~10mm、8mm~10mm、1mm~12mm、2mm~12mm、又は4mm~12mm、約1mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mm、約8mm、約8.5mm、約9mm、約9.5mm、約10mm、約10.5mm、約11mm、約11.5mm、約12mm、約12.5mm、約13mm、約13.5mm、約14mm、約14.5mm、又は約15mmの長さを有する。
【0173】
[00185]一部の実施形態では、挿入物は約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.3mm~約0.5mm、約0.3mm~約0.4mm、約0.2mm~0.4mm、約0.1mm~0.2mm、又は約0.4mm~約0.6mm、約0.57mm、約0.50mm、約0.41mm、約0.42mm、約0.37mm、約0.34mm、約0.31mm、約0.26mm、又は約0.15mmの直径を有する。
【0174】
d.挿入物の製造
[00186]挿入物は、APIをマトリックスポリマーと混合することにより製造され得る。一部の実施形態では、マトリックスポリマーは、溶媒、例えば、水又はエタノール中のポリマーの溶液である。API、マトリックスポリマー溶液、及び任意の他のマトリックス成分は混合されて、分注先端を通した押し出しに適したペーストを形成する。ペーストは、18~25ゲージのカニューレ又は分注先端を通して押し出され得る。一部の実施形態では、21~23ゲージのカニューレ又は分注先端が使用される。例えば、カニューレ又は分注先端のゲージは、20、21、22又は23であってもよい。押し出されたペーストは、本明細書では押し出し物、細長い形状のマトリックス、又は棒と称される。棒は長さ約4~5インチ(約10~13cm)であってもよい。押し出し物は室温で固体である。押し出し物は1つ又は複数の追加の層でコーティングされてもよい。一部の実施形態では、押し出し物は、コーティング前に少なくとも24時間室温で乾燥される。
【0175】
[00187]押し出しプロセスにおいて、流体圧力、流速、及び押し出される材料の温度などの押し出しパラメーターは制御され得る。適切な押し出し機は、分割される場合に、本明細書に記載の通りの針又はカニューレを通して注射され得る生成物を生産するダイヘッド及び出口ポート又は分注先端のサイズで生成物を形成するのに十分な圧力及び流速で、共押し出しされた材料を送達する能力について選択され得る。
【0176】
[00188]ポリマー溶液が使用され、押し出し物がコーティングされる場合、押し出されたAPI-ポリマー混合物はコーティング前に乾燥される。例えば、押し出し物は、コーティング前に室温で約30分~約48時間乾燥されてもよい。
【0177】
[00189]押し出し物は1つ又は複数の層でコーティングされてもよいが、一部の実施形態では、コーティングは塗布されない。好ましくは、コーティングは、所望の挿入物の長さに分割する前に塗布される。コーティングは、押し出し物を液体コーティング材料に浸漬し、それを乾燥させる又は固まらせることにより塗布されてもよい。このプロセスを反復して追加のコーティング層を付加することができる。或いは、コーティングは押し出し物に噴霧されてもよい。
【0178】
[00190]他の実施形態では、コーティング/外層は、例えばチューブ形状に予め形成されてもよく、API-ポリマーペーストはチューブに押し出されてもよい。
【0179】
[00191]マトリックスに使用されるポリマーに応じて、押し出された棒は硬化されてもよい。硬化は、例えば、オーブン中での加熱、マイクロ波加熱又は化学処理により行われてもよい。
【0180】
[00192]一部の実施形態では、マトリックス棒は硬化されない又は80℃未満の温度での加熱により硬化される。他の実施形態では、マトリックス棒は、約80℃~約160℃の温度で約15分~約4時間硬化される。一部の実施形態では、マトリックス棒は、約120℃~約160℃で約15分~約4時間硬化される。さらに他の実施形態では、マトリックス棒は約130℃~約150℃、例えば、約130℃~約140℃又は約140℃~約150℃で約10分~約4時間硬化される。さらに他の実施形態では、マトリックス棒は約130℃~約150℃で約30分~約4時間硬化される。例えば、硬化時間は、約15分、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、又は約120分であってもよく、硬化温度は、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、約155℃又は約160℃であってもよい。硬化後、他の製造ステップが行われる前に、棒は室温に冷却され得る。挿入物がコーティングされる場合、コーティングは硬化前又は後に塗布され得る。
【0181】
[00193]薬物放出速度は、コーティングされていない挿入物及びPVAコーティングされたPVAマトリックス挿入物の両方について評価された。本発明者らは、一般的に、硬化温度が高いほど及び硬化期間が長いほど、薬物放出速度がゆっくりであるだけでなく、侵食もゆっくりであることを見出した。
【0182】
[00194]全ての硬化、冷却並びに/又はコーティング及び乾燥ステップが完了したら、棒は約1mm~約15mmの長さの挿入物、例えば、約1mm~約10mm又は約2mm~約6mmの挿入物に分割される。例えば、棒は約1mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mm、約8mm、約8.5mm、約9mm、約9.5mm、約10mm、約10.5mm、約11mm、約11.5mm、約12mm、約12.5mm、約13mm、約13.5mm、約14mm、約14.5mm、又は約15mmの挿入物に分割されてもよい。
【0183】
[00195]生成物が硬化されたか、硬化されていないか、又は部分的に硬化されたかどうかに応じて変わり得る、棒を切断するための任意の適切な技術により、棒は一連のより短い生成物に分割又はそうでなければ切断され得る。例えば、分割ステーションはピンセット、剪断機、スライス刃、又は任意の他の技術を用いてもよい。適用される技術は、生成物の各切断部分に望まれる輪郭に応じて変わり得る。例えば、開いた末端が望まれる場合、剪断行為が適当であり得る。しかし、切断が行われるときに各末端を閉じることが望まれる場合、ピンセットが使用され得る。
【0184】
[00196]一部の実施形態では、押し出し物は、約1%w/w~約15%w/w、約1%w/w~約10%w/w、約2%w/w~約10%w/w、約2%w/w~約8%w/w、約2%w/w~約6%w/w、約3%w/w~約6%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約4.5%w/w、約5%w/w、約5.5%w/w、約6%w/w、約6.5%w/w、約7%w/w、約7.5%w/w、約8%w/w、約8.5%w/w、約9%w/w、約9.5%w/w、又は約10%w/wのPVAの濃度を有する水中のPVAの溶液中で浸漬コーティングされる。
【0185】
[00197]コーティングされた押し出し物は、次いで空気乾燥され得る。浸漬コーティングのプロセスは、さらに1~10回、好ましくはさらに1~6又は1~5回反復されてもよく、各コーティングの間に空気乾燥される。次いで、コーティングされた押し出し物は、上記の通りに硬化され得る。冷却後、次いで押し出し物は挿入物に切断される。
【0186】
e.挿入物特性
[00198]上記のものを含む一部の眼の疾患は、患者の生涯にわたって処置を必要とすることがある。現在利用可能な療法は、反復治療的処置を必要とする。しかし、眼内への薬物送達デバイスの埋め込みによる反復療法は、デバイスの非生分解性残留物が眼に蓄積するので、非生分解性材料を含有するデバイスについて制限される。したがって、次のデバイスが埋め込まれる必要がある時期の前後に又はその直後に完全に侵食される埋め込み可能な薬物送達デバイスを提供することは、患者にとって非常に有益である。
【0187】
[00199]しかし、かなりの期間にわたって治療レベルの薬物の制御放出を提供し、例えば、数カ月以内又は約1年以内に完全に侵食されることも可能な薬物送達デバイスを設計することは極めて困難である。かなりの期間にわたって薬物放出を制御するのに有効である多くの材料は、生体侵食性でない又はあまりにもゆっくり侵食される。
【0188】
[00200]加えて、最小の不快感で患者の眼内に埋め込むのに十分小さいが、薬物の持続送達を提供するのに十分な薬物負荷を含有することができる薬物送達デバイスを提供することは、上記の困難を著しく増加させる。重大な破損なしにそのようなデバイスを取り扱うこと及び加工することの難しさも困難を増す。
【0189】
[00201]本発明者らは、これらの困難を克服して、数カ月間の薬物の持続送達を提供することができる一方で、デバイスの薬物送達期間が終了してからしばらくして完全に侵食もされる、最小の不快感で眼内に埋め込まれるのに十分小さい薬物送達デバイスを提供した。加えて、本発明者らは、異なる薬物送達期間/持続期間及び送達速度を有するデバイスを提供する方法を見出した。さらに、これらのデバイスは、薬物送達の初期バースト後、薬物の本質的に線形の放出を提供する。加えて、挿入物は、挿入物中の不活性成分と比べて非常に高い薬物含有量を有し、これは長期間にわたり薬物の放出を提供する挿入物の能力を考慮すると驚くべきことである。
【0190】
i.挿入物の侵食:
[00202]一部の実施形態では、挿入物は365日以内に完全に侵食され得る。所与の期間内に侵食される挿入物の能力は、以下の侵食評価プロトコールを使用して評価され得る。試料挿入物を、5mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む10mLのガラスバイアルに入れ、バイアルを37℃でインキュベートし、バイアル中のPBSを対象の期間(例えば、365日、200日、110日)の各日について24時間ごとに1回交換する。この期間の終了時に、挿入物をバイアルから取り出し、乾燥させ、次いで視覚的に検査し、秤量する。元の重量と比較した重量の減少は以下の通りに計算される。
【0191】
【0192】
[00203]例えば、元々500μgの重さがある挿入物が、侵食評価プロトコールに従って、200日間のPBS中でのインキュベーション後に200μgの重さがある場合、挿入物はその元の重量の40%の重さがあり、その重量の60%を失った。挿入物は200日で60%の侵食を受けた。挿入物の元の重量の10%未満が残存している場合、挿入物は完全に侵食されたと考えられる。一部の実施形態では、挿入物は、侵食評価プロトコールを使用して測定された、95日以内に少なくとも20%の侵食、95日以内に少なくとも25%の侵食、95日以内に少なくとも30%の侵食、110日以内に少なくとも30%の侵食、110日以内に少なくとも40%の侵食、180日以内に少なくとも30%の侵食、180日以内に少なくとも40%の侵食、180日以内に少なくとも50%の侵食、180日以内に少なくとも60%の侵食、220日以内に少なくとも40%の侵食、220日以内に少なくとも50%の侵食、220日以内に少なくとも60%の侵食、220日以内に少なくとも70%の侵食、280日以内に少なくとも60%の侵食、280日以内に少なくとも70%の侵食、280日以内に少なくとも80%の侵食、365日以内に少なくとも60%の侵食、365日以内に少なくとも70%の侵食、365日以内に少なくとも80%の侵食、365日以内に少なくとも90%の侵食、400日以内に少なくとも70%の侵食、400日以内に少なくとも80%の侵食、400日以内に少なくとも90%の侵食、440日以内に少なくとも70%の侵食、440日以内に少なくとも80%の侵食、又は440日以内に少なくとも90%の侵食が可能である。
【0193】
ii.薬物放出速度:
[00204]本発明者らは、硬化温度、硬化期間及び挿入物表面積が全て、放出速度に影響を与えることを見出した。長さを一定に維持した直径の増加は、放出速度を増加させた。直径を一定に維持した場合、長さを増加させることは放出速度を増加させた。
【0194】
[00205]一部の実施形態では、挿入物は、約0.01μg/日~約100μg/日、約0.01μg/日~約90μg/日、約0.01μg/日~約80μg/日、約0.01μg/日~約70μg/日、0.01μg/日~約50μg/日、0.01μg/日~約20μg/日、0.01μg/日~約10μg/日、約0.1μg/日~約60μg/日、約0.1μg/日~約50μg/日、約0.1μg/日~約40μg/日、約0.1μg/日~約30μg/日、約0.1μg/日~約20μg/日、約0.1μg/日~約10μg/日、約0.1μg/日~約5μg/日、約0.1μg/日~約2μg/日、約0.1μg/日~約1μg/日、約1μg/日~約40μg/日、約1μg/日~約30μg/日、約1μg/日~約20μg/日、又は約1μg/日~約10μg/日の薬物放出速度を有する。一部の実施形態では、この薬物放出速度は、定常状態放出が達成された後の放出速度である。一部の実施形態では、この薬物放出速度は、2日、3日、5日、8日、10日、15日、20日、25日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、105日又は110日の薬物放出後の放出速度である。
【0195】
[00206]一部の実施形態では、挿入物は、in vitro薬物放出方法により測定して、この放出速度を少なくとも14日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも100日、少なくとも120日、少なくとも180日、少なくとも200日、少なくとも240日、少なくとも270日、少なくとも300日、又は少なくとも365日間有する。
【0196】
[00207]放出された薬物の量を評価するために以下のin vitro薬物放出方法が使用される。挿入物を10mLのガラス管に入れ、5mLのPBSを管に添加する。管を37℃の水浴中でインキュベートする。媒体の試料を定められた期間の各日に取り出し、放出媒体を新しいPBSと交換する。放出されたAPIの量は、実施例2Bに記載の通りのHPLCにより定量的に測定され得る。
【0197】
[00208]挿入物がAPIを放出する持続期間(時間の全長)は、約90日~約365日、約90日~約260日、約90日~約200日であってもよく、又は少なくとも約8週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約18週間、少なくとも約22週間、少なくとも約28週間、少なくとも約30週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、又は少なくとも約52週間である。上記のin vitro薬物放出試験を使用して、挿入物がこの持続期間中に薬物を放出するかどうかを決定することができる。
【0198】
[00209]一部の実施形態では、本発明の挿入物は、定常状態速度を達成する前の期間に、in vivoで薬物の初期の迅速な放出又はバーストを提供する。本発明の好ましい実施形態では、迅速な放出の初期期間は、API放出の総持続期間よりはるかに短い(例えば10%未満)。一部の実施形態では、この初期期間は、例えば、1~120日、20~120日、80~120日、1~20日、2~50日、3~40日、5~60日、1日、2日、3日、4日、5日、8日、10日、12日、15日、20日、25日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、105日、110日である。ウサギの眼で行われたin vitro研究において、本発明者らは、薬物放出の驚くほど高い初期バーストを見出し、これは挿入物からのAPIの初期放出が、定常状態に安定する前で、予想より早かったことを意味する。このバーストは、Cmax及び平衡を素早く達成させ、したがって、眼に治療有効量を局所的に素早く提供するので有益であり得る。このバースト後、API放出速度は安定して、治療有効量のAPIを各日に提供する。
【0199】
[00210]好ましい実施形態では、本発明の挿入物はAPIを実質的に一定の速度で(すなわちゼロ次薬物放出動態、R2は0.7~1である)、埋め込み後の規定の持続期間にわたり、例えば、14日、28日、42日、56日、168日、180日、224日、300日、又は365日間放出する。
【0200】
[00211]挿入物からの実質的に一定のAPI放出の持続期間は、約1~約48カ月、約2~約36カ月、約2~約24カ月、約2~約12カ月又は約3~約9カ月の期間内にあってもよい。一部の実施形態では、持続期間は少なくとも約12週間、少なくとも約18週間、少なくとも約22週間、少なくとも約24週間、少なくとも約30週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、又は少なくとも約52週間である。
【0201】
3.治療方法
a.眼薬送達挿入物の投与
[00212]「眼薬送達挿入物」は埋め込み可能なデバイスである。「眼薬送達挿入物」は本明細書に記載の全ての挿入物を包含する。
【0202】
[00213]眼薬送達挿入物は、それを必要とする対象における眼の状態又は眼の疾患を防止又は処置するために投与され得る。一部の実施形態では、眼薬送達挿入物は、前眼の状態を処置するために投与される。他の実施形態では、眼薬送達挿入物は、後眼の状態を処置するために投与され得る。一部の実施形態では、眼薬送達挿入物は、前眼の状態を防止するために投与される。他の実施形態では、眼薬送達挿入物は、後眼の状態を防止するために投与され得る。
【0203】
[00214]「前眼の状態」は、水晶体包の後壁又は毛様体筋の前方に位置する、眼周囲筋又は眼瞼又は流体などの前(すなわち前部とも称される眼の前方)眼領域又は構造に影響を及ぼす又はこれらを巻き込む疾患、病気、又は状態である。したがって、前眼の状態は、結膜、角膜、前眼房、虹彩、後眼房(虹彩と水晶体の間に位置する)、水晶体又は水晶体包並びに前眼領域又は部位を血管形成又は神経支配する血管及び神経に影響を及ぼすことがある又はこれらを巻き込むことがある。
【0204】
[00215]前眼の状態は、これに限定されないが緑内障などの疾患、病気又は状態を含み得る。
【0205】
[00216]「後眼の状態」は、主に、脈絡膜又は強膜(水晶体包の後壁全体にわたる面の後方の位置)、硝子体、硝子体眼房、網膜、視神経又は視神経円板、並びに後眼領域又は部位を血管形成又は神経支配する血管及び神経などの後(すなわち後部とも称される眼の後方)眼領域又は構造に影響を及ぼす又はこれらを巻き込む疾患、病気又は状態である。
【0206】
[00217]後眼の状態は、これらに限定されないが、急性黄斑神経網膜症;ベーチェット病;地図状萎縮;脈絡膜新生血管形成;糖尿病性ぶどう膜炎;ヒストプラズマ症;真菌、細菌、又はウイルスにより引き起こされる感染症などの感染症;新生血管黄斑変性、急性黄斑変性、非滲出型加齢性黄斑変性及び滲出型加齢性黄斑変性などの黄斑変性;黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫及び糖尿病性黄斑浮腫などの浮腫;多病巣性脈絡膜炎;後眼部位又は位置に影響を及ぼす眼の外傷;眼腫瘍;網膜静脈閉塞、網膜中心静脈閉塞、糖尿病性網膜症(増殖性糖尿病性網膜症を含む)、増殖性硝子体網膜症(PVR)、高血圧性網膜症、網膜中心動脈閉塞(CRAO)及び網膜動脈分枝閉塞(BRAO)などの網膜動脈閉塞性疾患、網膜剥離、ぶどう膜炎網膜疾患などの網膜障害;交感性眼炎;フォークト・小柳・原田(VKH)症候群;ぶどう膜拡散;眼のレーザー処置により引き起こされた又は影響を受けた後眼の状態;又は光線力学的療法、光凝固、放射線網膜療法により引き起こされた又は影響を受けた後眼の状態、網膜上膜障害、網膜静脈分枝閉塞、前部虚血性視神経症、非網膜症糖尿病性網膜機能不全、及び網膜色素変性症などの疾患、病気又は状態を含み得る。治療目標は網膜細胞又は視神経細胞への損傷又はその喪失に起因する視力喪失を防止すること又は視力喪失の発生を減少させることであるので(例えば神経保護による)、緑内障も後眼の状態と考えることができる。
【0207】
[00218]したがって、本発明は、眼薬送達挿入物を、それを必要とする対象の眼に投与することにより、様々な眼の状態を防止又は処置する方法を提供する。
【0208】
[00219]特定の眼の状態又は疾患のために投与される挿入物中のAPIは、その眼の状態に対するAPIの適性に基づいて選択される。したがって、例えば、眼内圧を低下させるために投与される挿入物は、眼内圧を下げるのに有効なAPIを含有する。
【0209】
[00220]ある特定の実施形態では、挿入物は、それを必要とする対象において黄斑変性、例えば、乾燥型AMD及び湿潤型AMDなどの加齢性黄斑変性(「AMD」)を防止又は処置するために投与される。挿入物は、網膜色素上皮細胞の死滅を防止するために投与され得る。挿入物は血管新生を阻害するために投与され得る。一部の実施形態では、挿入物は、対象において黄斑変性に関連する視力喪失などの視力喪失を防止又は処置するために投与される。加えて、挿入物は、乾燥型AMDの湿潤型AMDへの進行を防止する又は遅らせるために投与され得る。一部の実施形態では、挿入物は、それを必要とする対象において、網膜静脈閉塞、例えば、網膜中心静脈閉塞(「CRVO」)又は網膜静脈分枝閉塞(「BRVO」)を防止又は処置するために投与される。他の実施形態では、挿入物は、非虚血性網膜静脈閉塞又は虚血性網膜静脈閉塞を防止又は処置するために投与され得る。さらに他の実施形態では、挿入物は、それを必要とする対象の眼において糖尿病性網膜症を処置するために投与される。これらの方法の一部の実施形態では、挿入物は、VEGF阻害剤、TKI阻害剤などのキナーゼ阻害剤、VE-PTP阻害剤、Ang-1阻害剤、Ang-2阻害剤、及び/又はTie-2活性化剤を含む。一部の実施形態では、挿入物はボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む。他の実施形態では、挿入物はアキシチニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む。さらに他の実施形態では、挿入物はラズプロタフィブ又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンを含む。
【0210】
[00221]一部の態様では、挿入物は、それを必要とする対象の眼においてVEGFR及び/又はPDGFRを阻害するために投与される。一部の実施形態では、VEGFR及び/又はPDGFRを阻害するために投与される挿入物は、ボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩を含む。他の実施形態では、挿入物はアキシチニブを含む。
【0211】
[00222]他の実施形態では、挿入物はTie-2を活性化するために投与される。この方法の一部の実施形態では、挿入物はTie-2活性化剤を含む。さらなる実施形態では、Tie-2活性化剤はラズプロタフィブ又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンである。
【0212】
[00223]本発明は、薬物送達挿入物を投与するステップを含む、それを必要とする対象において緑内障を処置する方法も提供する。一部の実施形態では、挿入物は、それを必要とする対象の眼において、上昇した眼内圧(IOP)を処置するために投与される。他の実施形態では、挿入物は、それを必要とする対象の眼において眼内圧を低下させるために投与される。さらなる実施形態では、対象は上昇した眼内圧を有する。別の実施形態では、対象は高眼圧を有する。別の実施形態では、対象は緑内障を有する。IOPの低下は、処置前ベースラインの対象のIOPと比べた挿入物の埋め込み後60日での対象のIOP(水銀柱ミリメートル(mmHg)で)の差異を決定することにより評価され得る。これらの方法の一部の実施形態では、挿入物はTie-2活性化剤を含む。さらなる実施形態では、Tie-2活性化剤はラズプロタフィブ又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンである。これらの方法の他の実施形態では、挿入物はアルファ2-アドレナリン作動性受容体を含む。さらなる実施形態では、アルファ2-アドレナリン作動性受容体はブリモニジン又はその薬学的に許容できる塩である。
【0213】
[00224]さらに他の実施形態では、挿入物はぶどう膜炎を処置するために投与される。さらなる実施形態では、挿入物は、後眼部に影響を及ぼす慢性非感染性ぶどう膜炎を処置するために投与される。一部の実施形態では、挿入物は、眼における術後炎症を処置するために投与される。これらの方法の一部の実施形態では、挿入物はステロイド性抗炎症剤を含む。
【0214】
[00225]一部の実施形態では、本発明は、VEGF阻害剤を含む本発明の眼薬送達挿入物を投与するステップを含む処置の方法を提供する。これらの方法の一部の実施形態では、VEGF阻害剤はボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩である。本発明は、VEGF阻害剤及びTie-2活性化剤による対象の処置又はVEGF阻害剤及びステロイド性抗炎症剤による対象の処置などの併用処置も包含する。
【0215】
[00226]したがって、VEGF阻害剤が投与される方法の一部の実施形態では、方法は、ラズプロタフィブ又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンなどのTie-2活性化剤を投与するステップをさらに含む。この方法の一部の実施形態では、Tie-2活性化剤は本発明の眼薬送達挿入物で投与される。
【0216】
[00227]VEGF阻害剤が投与される方法の他の実施形態では、方法は、フルオシノロンアセトニドなどのステロイド性抗炎症剤を投与するステップをさらに含む。この方法の一部の実施形態では、ステロイド性抗炎症剤は、本発明の眼薬送達挿入物で投与される。
【0217】
[00228]さらに他の実施形態では、本発明は、Tie-2活性化剤を含む本発明の眼薬送達挿入物を投与するステップを含む処置の方法を提供する。この方法の他の実施形態では、方法はVEGF阻害剤を投与するステップをさらに含む。この方法の一部の実施形態では、Tie-2活性化剤はラズプロタフィブ又はその薬学的に許容できる塩若しくは双性イオンである。この方法の追加の実施形態では、VEGF阻害剤はボロラニブ又はその薬学的に許容できる塩である。さらなる実施形態では、VEGF阻害剤はアフリベルセプト、ベバシズマブ、又はラニビズマブである。
【0218】
[00229]本発明の併用処置では、すなわち1種より多くのAPIが処置される対象に投与される方法では、投与される異なるAPIは、同じ眼薬送達挿入物で、別々の挿入物で投与されてもよく、又は1種のAPIは本発明の眼薬送達挿入物で送達されてもよく、他のAPI(複数可)は、異なる種類の剤形であってもよい別の医薬製剤で投与されてもよい。例えば、剤形は、異なる種類の眼のインプラント、点眼薬、注射用液剤、又は注射用懸濁剤であってもよい。加えて、投与される異なるAPIは、同じ注射で同時に、又は同じ手順中に若しくは異なる時間に別々の注射で投与されてもよい。異なるAPIが異なる時間に投与される場合、最初のAPIを送達するために使用される剤形又は挿入物は、他のAPIを含有する剤形又は挿入物が投与されるときに最初のAPIを依然として放出/送達していることが考えられる。
【0219】
[00230]本発明の様々な実施形態は、一般的に、治療有効濃度のAPIを局所的に、例えば対象の眼に送達するために提供される。ある特定の実施形態では、眼の状態を処置するための方法は、挿入物を眼の表面上又は眼内に、例えば、眼の硝子体又は房水に配置するステップを含む。ある特定の実施形態では、本発明の挿入物は、眼内又は眼上の任意の部位、例えば、前部又は後部に送達されてもよい。
【0220】
[00231]挿入物を投与するステップは、挿入物を対象の眼内に挿入すること、例えば、挿入物を房水内に、又は好ましくは眼の硝子体液内に挿入することを含んでもよい。挿入物を投与するステップは、強膜インプラント、結膜下インプラント、脈絡膜上インプラント、強膜上インプラント、又は硝子体内インプラントなど、挿入物を眼内又は眼上に外科的に埋め込むことを含んでもよい。挿入物は、対象の眼内に、例えば、眼の硝子体内に、網膜下に、又は強膜上に外科的に埋め込まれてもよい。一部の実施形態では、挿入物は、針又はカニューレを通して注射により設置されてもよい。挿入物は眼の中でAPIを徐々に放出し、したがって、薬物の痛みがある頻繁な投与を回避することができる。
【0221】
[00232]ある特定の実施形態では、挿入物は対象の眼内に、好ましくは切開を必要とすることなく注射される。ある特定の態様では、挿入物は眼の硝子体内に注射される。好ましい実施形態では、挿入物を投与するステップは硝子体内注射を含む。
【0222】
[00233]一部の実施形態では、20~27のゲージサイズを有する針又はカニューレが注射に使用される。他の実施形態では、25~27のゲージサイズを有する針又はカニューレが使用される。好ましい実施形態では、25ゲージよりも小さい針、例えば、25.5、26、26.5又は27のゲージを有する針が注射に使用される。
【0223】
[00234]本発明の投与の方法の一部の実施形態では、挿入物の注射前に、局部及び/又は結膜下麻酔が注射部位に投与されてもよい。加えて、広域スペクトル殺菌薬が下円蓋内に投与されてもよい。挿入物は、視神経円板の下方及び眼の赤道の後方に設置されてもよい。針を抜いた後に結膜及び強膜の針侵入部位が並ばないように、結膜は動かされ得る。挿入物を注射するために使用される針は、アプリケーターのポジティブストップまで結膜及び強膜を通して挿入することができ、挿入物を眼の後ろに送達するためにプランジャーが押し下げられる。
【0224】
b.対象
[00235]対象は、齧歯類、ウサギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、及び霊長類から選択され得る。好ましい実施形態では、対象はヒトである。本明細書で提供される処置の方法の一部の実施形態では、対象は処置される状態を有するので、対象は記載される処置を必要とする。本明細書で提供される防止の方法の一部の実施形態では、対象は状態のリスクがあるので、対象は記載される状態の予防を必要とする。
【0225】
c.用量
[00236]一部の実施形態では、送達されるAPIの総用量は、約0.0001μg/日~約200μg/日、約0.0001μg/日~約150μg/日、約0.0001μg/日~約100μg/日、約0.0001μg/日~約80μg/日、約0.0001μg/日~約50μg/日、約0.0001μg/日~約30μg/日、約0.0001μg/日~約10μg/日、約0.0001μg/日~約5μg/日、約0.0001μg/日~約1μg/日、約0.001μg/日~約200μg/日、約0.001μg/日~約150μg/日、約0.001μg/日~約100μg/日、約0.001μg/日~約80μg/日、約0.001μg/日~約60μg/日、約0.001μg/日~約40μg/日、約0.001μg/日~約30μg/日、約1μg/日~約25μg/日、約0.001μg/日~約20μg/日、約0.001μg/日~約15μg/日、約0.001μg/日~約10μg/日、約0.001μg/日~約8μg/日、約0.0005μg/日~約15μg/日、又は約0.005μg/日~約10μg/日である。一部の実施形態では、これは定常状態が達成された後に送達される用量である。
【0226】
[00237]一部の実施形態では、APIはボロラニブであり、送達されるボロラニブの総用量は、約0.1μg/日~約100μg/日、約0.5μg/日~約80μg/日、約1μg/日~約50μg/日、約1μg/日~約40μg/日、約1μg/日~約30μg/日、約1μg/日~約25μg/日、約1μg/日~約20μg/日、約1μg/日~約15μg/日、約1μg/日~約10μg/日、約1μg/日~約8μg/日、約4μg/日~約15μg/日、又は約5μg/日~約10μg/日である。一部の実施形態では、これは定常状態が達成された後に送達される用量である。
【0227】
[00238]一部の実施形態では、APIはアキシチニブであり、送達されるアキシチニブの総用量は、約0.0001μg/日~約100μg/日、約0.0001μg/日~約80μg/日、約0.0001μg/日~約50μg/日、約0.0001μg/日~約40μg/日、約0.0001μg/日~約30μg/日、約0.001μg/日~約25μg/日、約0.0001μg/日~約20μg/日、約0.0001μg/日~約15μg/日、約0.001μg/日~約10μg/日、約0.001μg/日~約8μg/日、約0.001μg/日~約15μg/日、又は約0.005μg/日~約10μg/日である。一部の実施形態では、これは定常状態が達成された後に送達される用量である。
【0228】
[00239]この用量は、例えば、1つの眼において1~6つの挿入物を1回で、すなわち単一の処置として投与することにより達成され得る。したがって、1つの処置は、対象の眼当たり1回で1つの挿入物、2つの挿入物、3つの挿入物、4つの挿入物、5つの挿入物、又は6つの挿入物を投与することを必要とすることがある。一部の実施形態では、対象は1つだけの眼又は両方の眼の処置を受けることができる。1つより多くの挿入物が単一の処置として注射される場合、挿入物は別々の注射で個々に注射されてもよく、又はいくつかの挿入物が1つの注射で注射されてもよい。例えば、1、2又は3つの挿入物が、単一の注射で注射されてもよい。1つより多くの挿入物が単一の処置として注射される場合、挿入物はいくつかの注射に分けられてもよい。例えば、4~6つの挿入物が単一の処置として注射される場合、挿入物は2~3つの挿入物/注射の2又は3つの注射で投与されるように分けられてもよい。
【0229】
[00240]各挿入物は、約1μg~約3000μg、約10μg~約2000μg、約10μg~約1000μg、約100μg~約500μg、約10μg~約800μg、約50μg~約600μg、約200μg~約2000μg、約600μg~約2000μg、約800μg~約2000μg、約800μg~約1500μg、約100μg~約500μg、約100μg~約300μg、又は約300μg~約550μgのボロラニブを含んでもよい。例えば、各挿入物は、約400μg、約420μg、約440μg、約480μg、約500μg、約520μg、約540μg、約560μg、約580μg、約600μg、約620μg、約640μg、約660μg、約680μg、約700μg、約720μg、約740μg、約780μg、約800μg、約820μg、約840μg、約860μg、約880μg、約900μg、約920μg、約940μg、約960μg、約980μg、約1000μg、約1020μg、約1040μg、約1045μg、約1060μg、約1080μg、又は約2000μgのAPI、例えばボロラニブを含んでもよい。
【0230】
[00241]全体としての全ての挿入物中のAPI、例えばボロラニブの総量(総ペイロード)は、約200μg~約6000μg、約600μg~約6000μg、約800μg~約6000μg、約600μg~約5040μg、約600μg~約4500μg、約1000μg~約5400μg、約1000μg~約3000μg、又は約2000μg~約4000μgであってもよい。例えば、全ての挿入物の総API量は、約1400μg、約1420μg、約1500μg、約1600μg、約1800μg、約1900μg、約1980μg、約2000μg、約2040μg、約2080μg、約3000μg、約3120μg、約3180μg、約3240μg、約3400μg、約3600μg、約3800μg、約4000μg、約4140μg、約4160μg、約4180μg、約4200μg、約4400μg、約4600μg、約5000μg、又は約5040μgであってもよい。
【0231】
4.定義
[00242]本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、以下の単語及びフレーズは、それらが使用される文脈がそうでないことを示す場合を除き、以下に記載されるような意味を有することが一般的に意図される。
【0232】
[00243]単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明らかに指示しない限り複数の参照物を含む。例えば、「マトリックスポリマー」は1種又は複数のマトリックスポリマーを意味する。
【0233】
[00244]用語「生体侵食される」、「生体侵食」、「生分解する」、及び「生分解」は、本明細書で使用される場合、例えば、1種又は複数の物理的又は化学的分解プロセス、例えば、酵素作用、加水分解、イオン交換、又は可溶化、エマルジョン形成、若しくはミセル形成による溶解による、生物学的系における、ある期間にわたる挿入物の漸進的な崩壊、溶解、又は分解を指す。
【0234】
[00245]用語「防止すること」は、状態に関連して使用される場合、薬物を受けない対象と比べて、対象において医学的状態の症状の頻度を減少させる又はその開始を遅らせるための薬物の投与を指す。したがって、黄斑変性の防止は、例えば、処置されない対照集団に対して処置される集団において黄斑変性の診断数を減少させること、及び/又は処置されない対照集団に対して処置される集団において黄斑変性の症状の開始を遅らせることを含む。乾燥型黄斑変性の防止は、例えば統計的及び/又は臨床的に有意な量で、例えば、処置されない対照集団と比べて予防的処置を受けている対象の集団において検出可能なドルーゼンの数を減少させること、及び/又は処置されない対照集団に対して処置される集団において検出可能なドルーゼンの出現を遅らせることを含む。視力喪失の防止は、例えば、処置されない対照集団に対して処置される集団において対象により経験される視力喪失の規模を減少させる又は代替的に視力喪失を遅らせることを含む。
【0235】
[00246]用語「処置」は、既存の望ましくない状態を減らすか、改善するか、又は安定させることを意味する。
【0236】
[00247]用語「室温」は22℃を意味する。「室温で固体」は22℃の温度で固体を意味する。
【0237】
[00248]用語「約」は、数値又は範囲と共に使用される場合、記載された数値の上及び下に境界を広げることにより、その値又は範囲を修飾する。一般的に、用語「約」は、異なる変動が示されない限り(例えば、±30%、±20%、±5%、±1%、±0.5%など)、数値を定められた値の上及び下に、値の10パーセント上又は下の(より高い又はより低い)変動、すなわち±10%だけ修飾するために本明細書で使用される。
【0238】
[00249]用語「及び/又は」は、列挙された事項の各々を個々に、及び列挙された事項のうちの1つ又は複数のありとあらゆる可能な組合せを指し、包含する。
【0239】
[00250]用語「含む(comprising)」、「からなる」及び「から本質的になる」は、特許法に従うそれらの通常の許容される意味を有する。用語「含む(includes)」又は「含む(including)」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」が請求項において移行語として用いられる場合に解釈されるように、その用語と同様の様式で包含的であることが意図される。
【0240】
[00251]用語「任意選択」及び「任意選択で」は、その後に記載される状況が発生してもよく又は発生しなくてもよいことを意味し、そのため記載は、状況が発生する場合及び発生しない場合を含む。
【0241】
[00252]本開示又は特許請求の範囲の特色又は態様がマーカッシュ群で記載される場合、記載される群は、任意の個々のメンバー及びマーカッシュ群のメンバーの亜群を含む。
【0242】
[00253]当業者により理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などの全ての言葉は、記載された数を含み、後に部分範囲に分けられ得る範囲を指す。最後に、当業者により理解されるように、範囲は各々の個々のメンバーを含み、範囲の終点を含む。例えば、1~3つのメンバーを有する群は、1、2、又は3つのメンバーを有する群を指す。同様に、1~5つのメンバーを有する群は、1、2、3、4、又は5つのメンバーを有する群を指すなどである。
【0243】
[00254]用語「実質的に全て」は、本明細書で使用される場合、総量のほとんど、例えば、総量の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%を指す。
【0244】
[00255]用語%w/wは、重量又は質量で測定されるような、混合物内の特定の物質の割合を意味する。したがって、例えば、コアが少なくとも約8%w/wの不活性成分を含む挿入物について、コア中の不活性成分の総重量は、コアの総重量の少なくとも約8%である。例えば、総コア重量が100mgである場合、このコア中の不活性成分は少なくとも8mgの重さである。
【0245】
[00256]用語%w/vは、溶液の総体積中の成分(溶質など)の重量のパーセントを意味する。2%w/vPVA溶液は、100mLの溶液中2グラムのPVAを意味する。2%w/wPVA溶液は100mgの溶液に対して2グラムのPVAを意味する。
【0246】
[00257]全ての引用された特許、出願公開、科学刊行物及び書籍は、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0247】
[00258]様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されてきたが、他の態様及び実施形態は当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0248】
実施例1
[00259]下記の表に列挙されたグレードのPVAをフィルムにし、次いでフィルムを侵食速度及び強度について評価した。
【0249】
[00260]フィルムを形成するために、水中のPVAの4.5%溶液をトレイに注ぎ、室温で空気乾燥することにより成型した。フィルムが乾燥したら、フィルムを1×1の正方形の試料に切断した。次いで、下記の表に記載される通りに、各フィルムの6つの試料を100℃で3時間、140℃で30分又は140℃で4時間硬化した。試料フィルムの正方形は、硬化した後、秤量し、画像化した。次いで、各試料をPBSに室温で24時間浸漬した。次いで試料をPBSから取り出し、下記の表に記載される通りに、4つの各グレードのPVAを50℃で2時間オーブン乾燥させ、2つの各グレードのPVAをペーパータオル上で、室温で空気乾燥させた。次いで試料を再び秤量し、画像化した。
【0250】
【0251】
[00261]PBS中での24時間の浸漬後の重量平均重量変化を計算し、
図2にグラフで示す。PVA加水分解度(DH)及び分子量(MW)は、フィルムの溶解性を決定する。6000/80%、25,000/88%、125,000/88%、及び6000/80%-125,000/88%ミックスPVAフィルムは各々、試験された全ての硬化条件において1日目の終了までに溶解した。78,000/98%フィルムが最も長く残った。試験されたフィルムの相対的なフィルム強度を
図3に表す。
【0252】
実施例2A
[00262]挿入物を以下の表のパラメーターに従って作製した。
【0253】
【0254】
【0255】
[00263]上記の表で指定されたw/wボロラニブ:PVA溶液比で、ボロラニブを水中の78,000/98%PVAの溶液と混合することにより挿入物を製造した。次いで混合物を20、21又は23ゲージの分注先端から押し出し、室温で乾燥させた。
【0256】
[00264]コーティングされた挿入物について、次いで押し出し物を78,000/98%PVA溶液中で浸漬コーティングし、空気乾燥させた。浸漬コーティングのプロセスを反復して、上の表で指定されたコーティングの数を達成した。コーティングプロセスは、始めの層間で5分の室温乾燥、次いで最後の層/被膜を形成するために浸漬する前に少なくとも10分の乾燥時間を伴う、押し出し物をPVA溶液に浸漬することを含んだ。次いで、コーティングされた押し出し物を表に記載の通りに硬化した。周囲温度に冷却した後、押し出し物を2mm、3.5mm、5mm又は6mm又は8mmの長さの挿入物に切断した。
【0257】
実施例2B
[00265]挿入物の薬物放出速度をin vitroで試験した。各挿入物試料を10mLのガラス管に入れ、5mLのPBSを管に添加する。管を37℃の水浴中でインキュベートした。放出媒体の試料を12~24時間間隔で取り出し、放出媒体を新しいPBSと交換した。放出されたボロラニブの量を実施例2Bに記載の方法に従うHPLCにより定量的に測定した。in vitro放出速度を試験し、平均放出速度を時間に対する累積放出から決定した。
【0258】
実施例2C
[00266]挿入物の試料をAPI含有量についてアッセイした。含有量について試験される挿入物を4片に切断し、全ての4片を標識されたシンチレーションバイアルに入れた。3.0mLのメタノールをバイアルにピペットで入れ、バイアルをキャビネットに入れた。この手順を全ての試料について反復した。試料バイアルを超音波処理器に入れ、適当な量の水を添加し、試料を30分間超音波処理した。超音波処理器を各超音波処理の間に冷却して、超音波処理をさらに5回反復した。APIが完全に溶解することを確実にするために、必要に応じて追加の超音波処理を行うことができる。HPLCを以下のパラメーターで行った:カラム:ZORBAX Eclipse XDB-C18;4.6×150mm;5ミクロン;移動相A:水+0.1%リン酸;移動相B:アセトニトリル+0.1%リン酸;勾配方法;停止時間30分;UV:214nm。
【0259】
実施例2D
[00267]試料挿入物の侵食を評価した。5mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む10mLのガラスバイアルに試料挿入物を入れ、撹拌なしにバイアルを37℃でインキュベートした。バイアル中のPBSを対象期間の各日に24時間ごとに1回交換した。期間の終了時に、試料をバイアルから取り出し、秤量し、写真撮影した。
【0260】
[00268]製剤Aと称される、140℃で4時間硬化されたコーティングされた4.5%PVA製剤についての薬物放出速度曲線を
図4A(薬物放出累積%)及び4B(累積薬物放出(μg))に示す。コーティングされていない製剤Aインプラントの薬物放出速度曲線を
図6に示す。314及び447日間の溶解媒体中への浸漬後に撮られた侵食された製剤Aインプラントの写真を
図5に示す。無傷のインプラントは、比較のために447日の写真に含める。287及び352日間の溶解媒体中への浸漬後に撮られた侵食されたコーティングされていない製剤Aインプラントの写真を
図7に示す。無傷のインプラントは、比較のために352日の写真に含める。
【0261】
[00269]製剤Bと称される、140℃で30分間硬化されたコーティングされた4.5%PVA製剤の薬物放出速度曲線を
図8(薬物放出累積%)及び8B(累積薬物放出(μg))に示す。59、88及び155日間の溶解媒体中への浸漬後に撮られた侵食された製剤Bインプラントの写真を
図9に示す。
【0262】
[00270]製剤Cと称される、硬化されていないコーティングされた4.5%PVA製剤の薬物放出速度曲線を
図10に示す。37℃で98日間、次いで室温で113日間の溶解媒体中への浸漬後に撮られた侵食された製剤Cインプラントの異なる試料を各々示す2つの写真を
図11に示す。
【0263】
[00271]製剤A、B及びCの薬物放出曲線の比較を
図12に示す。
【0264】
[00272]製剤Aは、製剤B及びCよりもゆっくり薬物を放出し、ゆっくり侵食される。製剤Cは、製剤A及びBよりも素早く薬物を放出し、素早く侵食される。
【0265】
実施例3
[00273]1種より多くのグレードのPVAを含む挿入物を以下の表のパラメーターに従って作製した。
【0266】
【0267】
[00274]1:1w/wのボロラニブ:PVA溶液比で、ボロラニブを水中のPVAの溶液と混合してペーストを形成することにより挿入物を製造した。次いで混合物を21ゲージの分注先端から押し出して、およそ4~5インチの長さの棒を形成し、室温で乾燥させた。押し出し物の棒を上記の表に記載の通りに硬化した。
【0268】
[00275]押し出し物を水中のPVAの溶液中で浸漬コーティングして室温で乾燥させた。1つより多くの被膜を有する挿入物について、コーティングプロセスは、始めの層間で5分の室温乾燥、次いで最後の層/被膜を形成するために浸漬する前に少なくとも10分の乾燥時間を伴う、押し出し物をPVA溶液に浸漬することを含んだ。
【0269】
[00276]最後の被膜後、コーティングされた棒を上記の表に記載の条件に従って硬化した。周囲温度に冷却後、かみそり刃を使用して、コーティングされた棒を8mmの長さの挿入物に切断した。
【0270】
[00277]API放出を実施例2Bに記載の方法に従って測定した。
【0271】
[00278]API含有量を実施例2Cに記載の方法に従って測定した。
【0272】
[00279]インプラントの侵食を実施例2Dに記載の方法に従って評価した。
【0273】
[00280]1種より多くのグレードのPVAを含む挿入物を以下の表のパラメーターに従って作製する。
【0274】
【0275】
【0276】
[00281]1:1w/wのボロラニブ:PVA溶液比で、ボロラニブを水中のPVAの溶液と混合してペーストを形成することにより挿入物を製造する。次いで混合物を21ゲージの分注先端から押し出しておよそ4~5インチの長さの棒を形成し、室温で乾燥させる。押し出し物の棒を上記の表に記載の通りに硬化する。
【0277】
[00282]押し出し物を水中のPVAの溶液中で浸漬コーティングし、室温で乾燥させる。1つより多くの被膜を有する挿入物について、コーティングプロセスは、始めの層間で5分の室温乾燥、次いで最後の層/被膜を形成するために浸漬する前に少なくとも10分の乾燥時間を伴う、押し出し物をPVA溶液に浸漬することを含む。
【0278】
[00283]最後の被膜後、コーティングされた棒を上記の表に記載の条件に従って硬化する。周囲温度に冷却後、かみそり刃を使用して、コーティングされた棒を8mmの長さの挿入物に切断する。
【0279】
[00284]API放出は実施例2Bに記載の方法に従って測定する。
【0280】
[00285]API含有量は実施例2Cに記載の方法に従って測定する。
【0281】
[00286]インプラントの侵食は実施例2Dに記載の方法に従って評価する。
【0282】
実施例4
[00287]挿入物を以下の表のパラメーターに従って作製する。
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
[00288]表で指定されるAPI:PVA溶液比でAPIを水中のPVAの溶液と混合してペーストを形成する。20~23のゲージを有する分注先端を通してペーストを押し出して、およそ4~5インチの長さの棒を形成し、室温で乾燥させる。上記の表に記載の通りに、コーティング前又は後に押し出し物の棒を硬化する。
【0287】
[00289]押し出し物を水中のPVAの溶液中で浸漬コーティングする。コーティングプロセスは、始めの層間で5分の室温乾燥、次いで最後の層/被膜を形成するために浸漬する前に少なくとも10分の乾燥時間を伴う、押し出し物をPVA溶液に浸漬することを含む。最後の被膜後、コーティングされた棒を上記の表に従って硬化する又は室温で24時間乾燥させる。
【0288】
[00290]かみそり刃を使用して、コーティングされた棒を2mm、3.5mm、5mm又は6mmの長さの挿入物に切断する。
【0289】
[00291]API放出を実施例2Bに記載の方法に従って測定する。
【0290】
[00292]API含有量を実施例2Cに記載の方法に従って測定する。
【0291】
[00293]インプラントの侵食は実施例2Dに記載の方法に従って評価する。
【0292】
実施例5-薬物動態研究
[00294]硝子体内薬物動態研究を雄のDutch Beltedウサギにおいて行った。この研究の目的は、1日目の両側硝子体内注射後のボロラニブ挿入物の血漿及び眼組織薬物動態を特徴付けることであった。硝子体内挿入物の設置後最大24カ月まで動物を評価した。
【0293】
[00295]下記の表は、群の割り当て用量レベル及び処置を記載する。
【0294】
【0295】
[00296]麻酔の投与後、薬物を少なくとも6カ月間放出するように設計された直径0.37mm×長さ3.5mmの大きさのボロラニブ挿入物を、注射器を使用して、硝子体内に、52匹の雄のDutch-beltedウサギの各眼内に注射した。低用量群(1)は、眼当たり630μgの総用量として、眼当たり3つの挿入物を受けた。高用量群(2)動物は、眼当たり1,260μgの総用量として、2つの別々の注射(注射当たり3つの挿入物)で与えられる眼当たり6つの挿入物を受けた。
【0296】
[00297]各予定屠殺点前に、辺縁耳静脈の穿刺により、1つの全血試料を群当たり標的の2匹の動物から採取した。試料をボロラニブ及びその代謝産物のレベルについて試験した。群当たり2匹の動物を1日目に6、12、24及び48時間で、7及び14日目に、並びに1、2、4、6、8、16及び24カ月で安楽死させた。眼組織薬物分布の分析のために、硝子体液及び眼組織を両方の眼から採取し、挿入物を回収し、組織分布の評価のために肝臓及び腎臓の試料を採取した。
【0297】
[00298]結果:定常状態で、ボロラニブの硝子体レベルは、630μgの低用量について56ng/mL及び1,260μgの高用量について97ng/mL(ほぼ用量比例)であった。網膜/脈絡膜レベルは49ng/g及び89ng/gであった。最初の90日間に薬物放出のバースト期間、続いて定常状態があった。定常状態は105日目までに到達した。硝子体及び網膜/脈絡膜における最大観察濃度は、ほぼ用量比例的であるようである。99日後に血漿レベルにおいて明らかな変化は見出されなかった。180日目まで、630μgの用量について、硝子体Cmaxは232ng/mLであり、Tmaxは336時間であり、AUClastは315.5μg・h/mLであった。180日目まで、1260μgの用量について、硝子体Cmaxは1697ng/mLであり、Tmaxは720時間であり、AUClastは1583.2μg・h/mLであった。
【0298】
[00299]
図13Aは、様々な時点で取り出され、挿入物中に残存するボロラニブの量を決定するためにアッセイされた挿入物についての、時間に対する挿入物中に残存する薬物の平均量を表す。
図13Bは、取り出された挿入物についての、時間に対する放出された薬物の累積パーセントを表す。
【0299】
実施例6-毒物学及び薬物動態研究
[00300]80匹のDutch Beltedウサギ(40匹の雄及び40匹の雌)において、挿入物の18カ月硝子体内毒性研究も行った。硝子体内挿入物の設置後に、動物を6及び18カ月の期間評価した。目的は、両側硝子体内注射後に、ボロラニブ挿入物の眼毒性、血漿薬物動態及び生分解を特徴付けることであった。
【0300】
[00301]下記の表は、群の割り当て及び用量レベルを記載する。毒物学群について、動物を6カ月及び18カ月で屠殺した。血漿薬物動態分析のために、血液試料を1、3、及び7日目、次いで1、2、3、4、5、6、12、14、16及び18カ月で採取した。
【0301】
【0302】
[00302]麻酔の投与後、薬物を少なくとも6カ月間放出するように設計された直径0.37mm×長さ3.5mmの大きさのボロラニブ挿入物を、注射器を使用して、硝子体内に、各Dutch-beltedウサギの各眼内に注射した。プラセボ群(1)動物は、2つのプラセボ挿入物を注射により各眼に受けた。低用量群(2)動物は、2つの挿入物を各眼に受けた。中用量群(3)動物は、2つの別々の注射で与えられる3つの挿入物を各眼に受けた。高用量群(4)動物は、2つの別々の注射(2つの挿入物/注射)で与えられる4つの挿入物を各眼に受けた。最高用量群(5)動物は、2つの別々の注射(3つの挿入物/注射)で与えられる6つの挿入物を各眼に受けた。
【0303】
[00303]各予定時点で、全血を辺縁耳静脈の穿刺により採取した。試料を臨床病理及び血漿薬物動態について分析した。動物を上記の予定に従って安楽死させた。屠殺された又は研究中に死亡しているのが見つかった全ての動物に完全な肉眼的剖検を行った。臓器を秤量し、組織を採取した。眼組織を組織病理検査のためだけに採取した。
【0304】
[00304]結論:血漿薬物動態及び毒物学研究は、それぞれ18及び24カ月の期間の曝露にわたる硝子体Cmax及びAUCに関して安全性の証拠を提供する。加えて、試験された時点で、硝子体及び網膜/脈絡膜内のボロラニブレベルは、VEGFRのためのIC50を著しく上回ったままであった。
【0305】
[00305]有害な所見はボロラニブに起因せず、有害な所見は最大6つの挿入物までなかった。挿入物の無毒性量(NOAEL)は、6つの挿入物/眼(1260μg/眼)であると決定された。
【0306】
[00306]最高観察事象は、用量に関連し、APIの色に起因するようである水晶体の黄変である。水晶体変色に関連する組織病理学的/顕微鏡的所見はなかった。2番目に高い観察事象は限局性、点状又は線状水晶体混濁であり、大部分は注射の数、及びより低い程度で挿入物の数に関連するようである。
【0307】
[00307]軽度の炎症(<2+房水又は硝子体細胞)が初期に全ての群で観察された。全ての炎症細胞は、次第に消散し、3カ月までに消えた。炎症の最高観察事象はプラセボ群(薬物を含まない2つの挿入物)に見られた。
【0308】
[00308]ベースラインからの眼内圧(IOP)の変化はなかったが、いくつかの一過性の変化が観察された。
【0309】
[00309]ボロラニブ血漿レベルは低いpg/mL範囲であった。
【0310】
実施例7-安全性及び有効性
[00310]ボロラニブ挿入物の安全性及び有効性は、レーザー誘発性脈絡膜新生血管形成(CNV)のブタ(ミニブタ)モデルにおいて評価した。この研究の主目的は、ブタでボロラニブ挿入物を使用して、脈絡膜新生血管形成(CNV)のレーザー誘発性モデルにおける長期安全性並びに血管透過性及び新生血管形成の阻害を評価することであった。
【0311】
[00311]実験設計は以下の表に記載する。
【0312】
【0313】
[00312]レーザー照射の日に(群1~4)、間接検眼鏡を通して送達される810nmダイオードレーザーで動物を処置した。およそ6つの単一レーザースポットを網膜静脈間に設けた。両方の眼が上記の表の予定に従ってレーザー処置を受けた。
【0314】
[00313]硝子体内注射の日に、動物に麻酔し、眼を無菌で準備した。結膜をコリブリ鑷子で優しくつかみ、注射(25G注射器針)を上方角膜輪部の2~3mm後方に(扁平部を通して)、針を水晶体との接触を避けるためにちょうどわずかに後方にして行った。動物を手順から正常に戻した。ブタに、4~6時間後に抗生物質点眼液の局部滴下、次いで、少なくとも6時間の投薬間隔でBIDをさらに2日間与えた。レーザーCNV誘発の直後の0日目又はレーザーCNV誘発の7日前に、上記の表の予定に従って動物に投薬した。群5~6の動物は、レーザーCNV手順を受けず、0日目に埋め込んだ。
【0315】
[00314]順化中及び研究の間に、動物を死亡率及び罹患率並びに全体的な健康について、眼に特別な注意をはらって評価した。体重を処置前及び剖検前に量り、群5及び6の動物は毎月秤量した。
【0316】
[00315]眼の表面形態、前部及び後部炎症、白内障形成、並びに網膜変化を評価するための、スリットランプ生体顕微鏡及び間接検眼鏡を使用する完全な眼検査(OE)(改変Hackett及びMcDonald)が、実験設計表に示される通りの時点で獣医眼科医により行われた。局部1%トロピカミドHCLを使用して眼検査のための散瞳を行った。
【0317】
[00316]実験設計表に示される通りの時点で、フルオレセイン血管造影法を、麻酔をかけた動物の両方の眼において行った。
【0318】
[00317]全視野網膜電図(ERG)を動物の両方の眼で、ベースライン及び投薬後3カ月(群5~6のみ)で行った。ERG測定の日に、暗順応後に動物に麻酔をかけた。ミニ全視野光刺激装置を用いて最大強度で送達される0.33Hzの短いフラッシュによりERGを引き出した。20個の応答を各動物について増幅し、フィルタリングし、平均化した。動物は、暗所視(0.01カンデラ)、暗所視(3カンデラ)、及び明所視(25カンデラ)測定を含むISCEV基準により規定される通りの標準ERG測定を受けた。
【0319】
[00318]実験設計表により示される時点で、最終データ収集後に動物を安楽死させた。組織学を群5~6からの眼について評価した。
【0320】
[00319]結果:全体として、用量関連有効性が見出され、臨床的に観察される毒性はなかった。全ての群(1~4)におけるフルオレセイン血管造影法分析は、7日目~28日目に補正総病変蛍光(CTLF)値の減少を有し、アフリベルセプト処置動物はCTLF値の最大の減少を有し、次に高用量が続き、残りの群はCTLF値の同様の減少を有した。ERGb波振幅は、ERGを受けている両方の群においてベースライン~84日目に減少したが、これはERG取得の難しさに起因し得る。
【0321】
[00320]組織学的検査を受けている眼は、なんらかの炎症を示し、これは高用量のインプラントを投薬された動物においてより重度であった可能性がある。インプラント手順は、高用量群で観察された炎症の増加の原因であった可能性がある。
【0322】
[00321]アフリベルセプト及びプラセボインプラントは予想通りに働き、アフリベルセプトはこのモデルにおいて正常量の有効性を有し、プラセボインプラントは十分に忍容された。
【0323】
[00322]結論:
[00323]PK研究におけるボロラニブ血漿レベルは低いpg/mL範囲であった。用量関連有効性が見出され、臨床的に観察される毒性はなかった。したがって、本発明の挿入物は、安全で治療的に有効な定常状態レベルのボロラニブを持続期間にわたり局所的に送達することができた一方で、ごくわずかな全身レベルのボロラニブをもたらした。さらに、挿入物は完全に生体侵食性である。
【国際調査報告】