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特表2023-541065非接触式安全システムを備えた携帯型電動剪定鋏
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】非接触式安全システムを備えた携帯型電動剪定鋏
(51)【国際特許分類】
   A01G 3/037 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
A01G3/037
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516099
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021074992
(87)【国際公開番号】W WO2022053645
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】20306015.7
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】522350575
【氏名又は名称】イノヴァシオン ファブリカシオン コメルシアリザシオン インファコ
【氏名又は名称原語表記】INNOVATION FABRICATION COMMERCIALISATION INFACO
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】ゴーチエ,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】グー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】エスキルドセン,ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】コフォエド キールシュテイン,ラウ
(57)【要約】
本発明は、保持側の手と呼ばれるユーザの一方の手で保持されるように意図された長手本体(102)と;前記本体(102)の遠位端部(108)に配置された切削具(110)と;前記切削具(110)を作動させるための電気モータ(112)と;前記ユーザを保護するために提供される安全システムとを具備する携帯型電動剪定鋏(100)であって、前記安全システムは、少なくとも1つの電磁波を放射するためのエミッタ(118)及び前記エミッタ(118)により放射された少なくとも1つの電磁波を受信するためのレシーバ(124)であって、一方は前記携帯型電動剪定鋏(100)に埋め込まれており、他方はフリーハンド(122)と呼ばれるユーザの他方の手に着用されるように意図されている、エミッタ及びレシーバと;前記レシーバ(124)が受信した波に応じて切削具(110)の作動に対して作用するための制御ユニット(126)とを具備している、剪定鋏に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 保持側の手と呼ばれるユーザの一方の手で保持されるように意図された長手本体(102)と、
- 前記本体(102)の遠位端部(108)に配置された切削具(110)と、
- 前記切削具(110)を作動させるための電気モータ(112)と、
- 前記ユーザを保護するために提供される安全システムと
を具備する携帯型電動剪定鋏(100;200;300;400;500)であって、
前記安全システムは、
- 少なくとも1つの電磁波を放射するためのエミッタ(118)及び前記エミッタ(118)により放射された少なくとも1つの電磁波を受信するためのレシーバ(124)であって、一方は前記携帯型電動剪定鋏(100;200;300;400;500)に埋め込まれており、他方はフリーハンド(122)と呼ばれるユーザの他方の手に着用されるように意図されている、エミッタ及びレシーバと、
- 前記レシーバ(124)が受信した波に応じて切削具(110)の作動に対して作用するための制御ユニット(126)と
を具備している、剪定鋏。
【請求項2】
前記エミッタ(118)は、各々が異なる波を異なる方向に放射する数個の放射用モジュールを具備することを特徴とする、請求項1に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項3】
放射用モジュールのうち少なくとも1つ、特に各々が、放射用コイル(602,604,606)を具備することを特徴とする、請求項2に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項4】
前記エミッタ(118)は前記ユーザの前記フリーハンド(122)に着用されるように意図されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項5】
前記エミッタ(118)は、前記ユーザの前記フリーハンド(122)に着用されるように意図された手袋(120)又はリストバンド(302)と一体であることを特徴とする、請求項4に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項6】
前記エミッタは、埋め込み型バッテリ、特に充電式の埋め込み型バッテリを動力源とすることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項7】
前記レシーバ(124)は、各々が異なる方向の入射波を受信する数個の受信用モジュールを具備することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項8】
少なくとも1つの受信用モジュールは受信コイル(602,604,606)を具備することを特徴とする、請求項7に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項9】
前記レシーバ(124)は前記剪定鋏の前記本体(102)と一体であるか、又は前記本体に埋め込まれることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項10】
レシーバ(124)は前記本体(102)の筐体の着脱自在な小部品と一体であるか、又は該小部品に埋め込まれることを特徴とする、請求項9に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項11】
前記レシーバ(124)は前記剪定鋏の電源装置を動力源とすることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項12】
前記制御ユニット(126)は、前記切削具(110)の作動の停止、及び/又は前記切削具(110)の開口を行う命令を発するために、前記電気モータ(112)、又は前記剪定鋏(100;200;300;400;500)の制御装置(114)に対して作用することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の剪定鋏(100;200;300;400;500)。
【請求項13】
制御ユニット(126)は、
- 前記レシーバ(124)が受信した波に基づいた前記レシーバ(124)に対する前記エミッタ(118)の距離の計算、
- 前記距離と少なくとも1つの所定の閾値(402)との比較、
- 前記距離が前記閾値(402)を下回る場合の前記切削具(110)の作動に対する作用
を行うようにプログラムされることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の剪定鋏(400)。
【請求項14】
前記制御ユニット(126)は、
- 前記レシーバ(124)が受信した波に基づいた、前記レシーバ(124)の三次元座標系における前記エミッタ(118)の位置の計算、
- 前記位置と、前記レシーバ(124)の前記三次元座標系における所定の領域(502)との比較、
- 前記位置が前記所定の領域(502)に含まれる場合の前記切削具(110)の作動に対する作用
を行うようにプログラムされることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の剪定鋏(500)。
【請求項15】
前記制御ユニット(126)は、
- 前記エミッタ(118)が前記レシーバ(124)に接近する、接近速度と呼ばれる速度の計算、及び
- 前記接近速度に応じた、前記切削具(110)の作動に対する作用
を行うようにプログラムされることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の剪定鋏(400;500)。
【請求項16】
前記閾値の距離(402)、及び/又は前記所定の領域(502)の大きさは、前記接近速度に応じて変化することを特徴とする、請求項13~15のいずれか1項に記載の剪定鋏(400;500)。
【請求項17】
前記安全システムの前記制御ユニット(126)は前記剪定鋏(300)の制御装置(114)に統合されることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の剪定鋏(300)。
【請求項18】
前記切削具(110)は可動刃及び固定刃を具備することを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の剪定鋏(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式安全システムを装備した携帯型電動剪定鋏に関する。
本発明の分野は、携帯型電動剪定鋏の分野であり、より具体的には、剪定鋏のユーザの負傷を防止する安全システムを装備した携帯型電動剪定鋏の分野である。
【背景技術】
【0002】
携帯型電動剪定鋏は一般に、ユーザが手で保持するように意図された長手本体、本体の遠位端部に配置された切削具、及び前記切削具を作動させるための電気モータを具備している。本体には一般に、電気モータの働きを制御するために使用される制動装置が装着されている。
【0003】
携帯型電動剪定鋏は、果樹の剪定に、特にブドウの木を剪定するためによく利用されている。果樹を剪定する時、ユーザは一般に一方の手に剪定鋏を握り、フリーハンドとも呼ばれる他方の手は、一般に木の枝又は果実それ自体の一部分を取り扱う。こうしてユーザは、剪定鋏の切削具の配置状態を調整することができる。しかし、ユーザのフリーハンドが切削具のすぐ近くにあるのは危険であり、ユーザが重傷を負う原因となる可能性がある。
【0004】
ユーザの負傷を防止するために、携帯型電動剪定鋏は安全システムを装備している。それらの安全システムのほとんどは、切削具とユーザの身体との間の物理的接触、又はユーザが導電性の衣服を着用することを必要とする。それらのシステムは、ユーザとの物理的接触を必要とし、かつ必ずしも負傷を回避するとは限らないので、ユーザにとって限定的な安全性しか提供しない。
【0005】
切削具とユーザとの間の電気容量の計測値に基づいた剪定鋏用の安全システムが知られている。それらのシステムは、非接触式の安全対策であるとされているが効果的ではなく、かつブドウ畑によく見られる湿気、金属ワイヤなどを原因とする支障を来しやすい。
【0006】
本発明の目的は、これらの欠点のうち少なくとも1つを克服することである。
本発明の別の目的は、より安全に使用できる携帯型電動剪定鋏を提案することである。
本発明のさらに別の目的は、使用する作業者の負傷を完全に回避する携帯型電動剪定鋏を提案することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記目的のうち少なくとも1つの達成を、
- 保持側の手と呼ばれるユーザの一方の手で保持されるように意図された長手本体と、
- 前記本体の遠位端部に配置された切削具と、
- 前記切削具を作動させるための電気モータと、
- 前記ユーザを保護するために提供された安全システムと
を具備する携帯型電動剪定鋏であって、
前記安全システムは、
- 少なくとも1つの電磁波を放射するためのエミッタ及び前記エミッタにより放射された少なくとも1つの電磁波を受信するためのレシーバであって、一方は前記携帯型電動剪定鋏に埋め込まれており、他方はフリーハンドと呼ばれるユーザの他方の手に着用されるように意図されている、エミッタ及びレシーバと、
- 前記レシーバが受信した波に応じて切削具の作動に対して作用するための制御ユニットと
を具備する携帯型電動剪定鋏によって、可能とする。
【0008】
よって本発明は、少なくとも1つの電磁波の使用に基づく安全システムを装備した携帯型電動剪定鋏を提供する。電磁波は、例えば電気容量と比較して、湿度、金属ワイヤの水分の影響を全く、又はごくわずかしか受けない。よって、本発明の剪定鋏の安全システムは、既存の安全システムを装備している携帯型電動剪定鋏と比較して環境条件の影響を受けにくい。その結果、本発明の携帯型剪定鋏は、既存の携帯型剪定鋏と比較して、より安全に使用することができる。
【0009】
さらに、本発明の剪定鋏の安全システムは電磁波の伝送に基づいてユーザのフリーハンドを検知するように構成され、これはユーザのフリーハンドと切削具との間の物理的接触を必要としない。よって、本発明の携帯型剪定鋏は、ユーザのフリーハンドが切削具に触れる前に剪定鋏の切削具を停止又は開口させるように安全システムをプログラムすることができるので、ユーザの負傷を完全に回避する。
【0010】
エミッタは放射用モジュールを1つだけ具備していてもよい。
【0011】
有利には、エミッタは、各々が異なる方向の異なる波を放射する数個の放射用モジュールを具備してもよい。
よって本発明は、特定方向の波を放射することができるエミッタを提供する。結果として、レシーバによるエミッタの検出及び追跡が改善される。
従って、安全システムによって提供される安全性が向上する。
【0012】
好ましい実施形態では、エミッタの放射用モジュールは、エミッタが互いに垂直な方向の波を放射することができるように配置される。
【0013】
優先的な実施形態において、エミッタの放射用モジュールは、空間における3方向に相当する各々が互いに垂直な3つの異なる方向の波をエミッタが放射することができるように、配置される。
【0014】
より優先的な実施形態では、エミッタは、空間における3方向に相当する各々が互いに垂直な3つの異なる方向の波をエミッタが放射することができるように配置された、3つの放射用モジュールを具備する。
【0015】
実施形態において、放射用モジュールは任意の種類の放射用モジュール、例えばパッチアンテナであってよい。
【0016】
有利には、少なくとも1つの放射用モジュール、特に各々の放射用モジュールが、放射用コイルを具備することができる。
よって本発明は、広く入手可能であり小型化して小さなフォームファクタにすることが可能であってなおも完全な機能を維持することができる放射用モジュールを装備した、携帯型電動剪定鋏を提供する。
【0017】
結果として、携帯型電動剪定鋏は精密でありつつより安価に生産される。放射用モジュールの実装面積が小さいことにより、位置決め及び新設又は先在の電動剪定鋏安全システムとの一体化が容易になる。
別例として、又は追加として、エミッタは小型のモノブロック型ユニットであってもよい。
【0018】
実施形態において、エミッタは剪定鋏の本体と一体であってもよいし、本体に埋め込まれてもよい。
有利には、エミッタは、ユーザのフリーハンドに着用されるようになされてもよい。
この場合レシーバは、剪定鋏の上/中に設けることができる。この実施形態では、受信された電磁波は剪定鋏上で分析可能であり、かつ制御モジュールが剪定鋏に容易に作用することができる。この実施形態は、レシーバが剪定鋏の側にない実施形態と比較して、実装がより簡単であり、かつ危険が生じた場合にはより速く剪定鋏の作動に対して作用する。
【0019】
有利には、エミッタは、ユーザのフリーハンドに着用されるようになされた手袋又はリストバンドと一体であってもよい。
よって本発明は、エミッタを具備する手袋又はリストバンドのような着用可能な装置を提供する。したがって、該装置内におけるエミッタの位置を選ぶこと、又は少なくとも位置を知ることが可能である。例えば、エミッタを、指の先又は手のひらの中央に相当する手袋の部位に位置付けることができる。
【0020】
結果として、使用時、ユーザのフリーハンドの位置をエミッタの位置との関連でより確実に測定することが可能であり、安全システムの有効性が改善される。
加えて、エミッタを着用可能な装置に一体化することにより、安全システム及び携帯型電動剪定鋏の使い易さが改善される。
【0021】
有利には、エミッタは埋め込み型バッテリ、特に充電式の埋め込み型バッテリを動力源とすることができる。
よって本発明は、剪定鋏とは独立に動力源を有するエミッタを提供する。その結果、エミッタ及びそのバッテリは、制約を受けず剪定鋏とは独立に位置付けることができる。
さらに該エミッタは、もはや電源ケーブルでエミッタを剪定鋏の電源装置に接続する必要がないので、煩雑さも低減される。
【0022】
別例として、エミッタは剪定鋏の電源装置を動力源とすることも可能である。その結果、剪定鋏及びエミッタの両方が同じ動力源に依存する。これにより、エミッタに動力が供給されていない時に切削具を作動させるリスクが低減されて剪定鋏がより安全になる。
【0023】
レシーバは受信用モジュールを1つだけ具備していてもよい。
【0024】
有利には、レシーバは、各々が異なる方向の入射波を受信する数個の受信用モジュールを具備することができる。
【0025】
よって本発明は、様々な方向のエミッタの位置を検知することが可能なレシーバを提供する。結果として、安全システムはエミッタの位置をより確実に追跡することが可能であり、従って安全システムの安全性が向上する。
【0026】
好ましい実施形態では、レシーバの受信用モジュールは、レシーバが互いに垂直な方向の入射波を受信することができるように配置されるとよい。
【0027】
優先的な実施形態において、レシーバの受信用モジュールは、空間における3方向に相当する各々が他の方向に対して垂直な3つの異なる方向の入射波をレシーバが受信することができるように、配置されてよい。
【0028】
より優先的な実施形態では、レシーバは、空間における3方向に相当する各々が他の方向に対して垂直な3つの異なる方向の入射波をレシーバが受信することができるように配置された、3つの受信用モジュールを具備する。
【0029】
実施形態において、受信用モジュールは任意の種類の放射用モジュール、例えばパッチアンテナであってよい。
【0030】
有利には、少なくとも1つの受信用モジュールは受信コイルを具備することができる。
よって本発明は、広く入手可能であり小型化して小さなフォームファクタにすることが可能であってなおも完全な機能を維持することができる受信用モジュールを装備した、携帯型電動剪定鋏を提供する。
結果として、携帯型電動剪定鋏は精密でありながらより安価に生産される。受信用モジュールの実装面積が小さいことにより、位置決め及び新設又は先在の電動剪定鋏安全システムとの一体化が容易になる。
別例として、又は追加として、エミッタは小型化されたモノブロック型ユニットであってもよい。
【0031】
実施形態において、レシーバはユーザのフリーハンドに着用されるように意図される。
例えば、レシーバは、ユーザのフリーハンドに着用されるように意図されたリストバンド又は手袋と一体であってよい。
【0032】
有利には、レシーバは剪定鋏の本体と一体であるか、又は本体に埋め込まれることが可能である。
結果として、レシーバは、限定するものではないが特に同じく剪定鋏の本体と一体であるか又は本体に埋め込まれた制御ユニットを備えた実施形態について、制御ユニットに信号を送るのに理想的な位置に設けられる。レシーバが剪定鋏の本体とは別個である実施形態とは対照的に、この実施形態のレシーバは、ブルートゥースのような無線又は有線の伝送に依存することなく信号を制御ユニットに効率的に送ることができる。剪定鋏の安全システムの反応性が改善される。
【0033】
有利には、レシーバは前記本体の筐体の着脱自在な小部品と一体であるか又は該小部品に埋め込まれてもよい。
よって本発明は、剪定鋏に容易に着脱できるレシーバを提供する。その結果、安全システムの保守の容易さが改善される。
優先的には、着脱自在なレシーバは剪定鋏の回路基板上に存在するコネクタを介して該回路基板に接続することが可能である。その結果、着脱自在なレシーバは既存の剪定鋏に容易に実装することができる。
【0034】
有利には、レシーバは剪定鋏の電源装置を動力源とすることができる。
よって本発明は、剪定鋏の電源装置を動力源とすることが可能なレシーバを提供する。その結果、剪定鋏及びレシーバの両方が同じ動力源に依存する。これにより、エミッタに動力が供給されていない時に切削具を作動させるリスクが低減されて剪定鋏がより安全なものとなる。
さらに、個別又はレシーバ専用の追加の電源装置を必要とせず、安全システムの費用及び実装面積が低減される。
【0035】
別例として、レシーバは専用の埋め込み型バッテリ、特に充電式バッテリを動力源とすることができる。
【0036】
有利には、制御ユニットは、電気モータに、又は剪定鋏の制御装置に作用して、切削具の動作を修正するために前記モータ又は前記制御装置に向けた命令を発することができる。
この命令は、切削具の停止、及び/又は切削具の開口を要求するものであってよい。切削具の停止は、
- モータの停止;
- 遮断手段、例えば機械的若しくは電気的手段の活性化;及び/又は
- モータのエンジンブレイク
によって行うことができる。
よって本発明は、レシーバが受信した波に応じて切削具の動きの停止及び/又は切削具の開口を行うことができる携帯型電動剪定鋏を提供する。
【0037】
その結果、携帯型電動剪定鋏の安全性が改善される。実際に、安全システムはユーザのフリーハンドが切削具と接触する前に切削具を停止させることができる。加えて、安全システムは、切削具が停止される前にユーザのフリーハンドが切削具に接触してしまうという通常考えにくい場合においても、切削具を開口させて、剪定鋏をより安全にすることができる。
【0038】
有利には、制御ユニットは、
- レシーバが受信した波に基づいたレシーバに対するエミッタの距離の計算、
- 前記距離と少なくとも1つの所定の閾値との比較、及び
- 前記距離が前記閾値を下回る場合の切削具の作動に対する作用
を行うようにプログラムすることができる。
【0039】
よって本発明は、エミッタがレシーバから事前設定した値よりも短い距離にある場合に切削具の作動に作用することができる、携帯型電動剪定鋏を提供する。
【0040】
結果として、前記エミッタ又はレシーバのうち一方の周りに、例えば球形の、閾値に等しい半径を有する、切削具全体を含む領域を設定することが可能である。その結果、レシーバ、エミッタそれぞれについて、計算される距離が閾値を下回ることなく切削具に接触することは不可能である。
【0041】
優先的には、該領域は可能なかぎり切削具の近くに配置される。
ゆえに、剪定鋏の安全システムは、フリーハンドが切削具に決して接触しないように構成することができる。従って、剪定鋏の安全性が改善される。
【0042】
有利には、制御ユニットは、
- レシーバが受信した波に基づいた、レシーバの三次元座標系におけるエミッタの位置の計算、
- 前記位置と、レシーバの前記三次元座標系における所定の領域との比較、及び
- 前記位置が前記所定の領域に含まれる場合の、切削具の作動に対する作用
を行うようにプログラムすることができる。
【0043】
よって本発明は、エミッタがレシーバの三次元座標系の中に設定された所定の領域に入った場合に切削具の作動に対して作用することができる、携帯型電動剪定鋏を提供する。
【0044】
その結果、切削具を含み、かつより近接して切削具を包囲する領域を定義することが可能である。さらに、レシーバを含まないように領域を定義することも可能である。ゆえに、制御ユニットが、特にエミッタが剪定鋏本体の近位端部からレシーバに接近する場合の偽陽性をあまり生成しなくなるので、安全システムはより効果的であり剪定鋏は一層使いやすい。
【0045】
例えば、所定の領域を、エミッタが
- 剪定鋏の切削具側において鋏の前10cmに置かれると前記所定の領域に含まれ、
- 剪定鋏の切削具とは反対の側において鋏の後ろ10cmに置かれると前記所定の領域に含まれず、かつ
- 剪定鋏本体に対して径方向に、鋏の本体の横10cmに置かれると前記所定の領域に含まれない
ような状態に設定することが可能である。
【0046】
これは、限定するものではないが、剪定鋏の本体と一体であるか又は本体に埋め込まれたレシーバを備え、かつ前記レシーバは各々が互いに垂直な3つの異なる方向の入射波を受信することが可能である実施形態に、特によく適合している。
【0047】
有利には、制御ユニットは、
- エミッタがレシーバに接近する、接近速度と言われる速度の計算、及び
- 前記接近速度に応じた、切削具の作動に対する作用
を行うようにプログラムすることができる。
よって本発明は、エミッタの接近速度に基づいて切削具の作動に対して作用することができる携帯型電動剪定鋏を提供する。
【0048】
結果として、エミッタのレシーバへの接近が急速すぎる場合に切削具の作動を停止させることができる。これにより、切削具の作動中にフリーハンドが切削具に触れる機会が劇的に低下する。したがって、剪定鋏の安全性が改善される。
【0049】
例えば、制御ユニットは、
- レシーバが受信した波に基づいて、レシーバに対するエミッタの第1の距離及び/又はレシーバの三次元座標系におけるエミッタの第1の位置を計算すること、
- 前記第1の距離及び/又は位置、並びにそれが計算された時間を記憶すること、
- レシーバが受信した波に基づいて、レシーバに対するエミッタの第2の距離及び/又はレシーバの三次元座標系におけるエミッタの第2の位置を計算すること、
- 前記第2の距離及び/又は位置、並びにそれが計算された時間を記憶すること、
- エミッタの接近速度を:
● 計算された第1及び第2の距離、又はレシーバの三次元座標系におけるエミッタの計算された第1及び第2の位置、のいずれかから計算された、エミッタとレシーバとの間の距離の変化、並びに
● 計算された第1及び第2の距離又は位置の間の時間の変化
から計算すること
によって接近速度を測定することができる。
【0050】
実施形態において、距離及び/又は位置、並びに接近速度は、規則的かつ短い間隔で、例えば1秒~4ミリ秒の間隔で計算される。
【0051】
実施形態において、安全システムの制御ユニットは、接近速度が事前設定した値に達した時に切削具の作動に対して作用することができる。
有利には、距離の閾値、及び/又は所定の領域の大きさは、接近速度に応じて変化してよい。
【0052】
よって本発明は、レシーバに対するエミッタの距離及び/又は位置並びにエミッタの接近速度に基づいて切削具の作動に対して作用することができる、携帯型電動剪定鋏を提供する。
【0053】
結果として、エミッタのレシーバへの接近が急速すぎる場合には、閾値及び/又は所定の領域を大きくすることが可能である。その結果、フリーハンドが切削具の作動中に切削具に触れる機会は低減される。したがって、剪定鋏の安全性が改善される。
【0054】
さらに、切削具が低速かつ制御された速さで動いている時にエミッタが切削具に接近することを可能とする、より小さな所定の距離及び/又は領域を設定することも可能である。これは、切削具の作動に対して作用するか否かを決定するために用いられる距離及び/又は領域が接近速度に合わせて変更されるので、鋏の使用の安全性を損なうことなく行うことができる。したがって、該安全システムはより効率的であり、かつ剪定鋏はより使いやすい。
【0055】
好ましい実施形態では、所定の閾値及び/又は所定の領域は、接近速度が正である場合、換言すればエミッタがレシーバに対してより近づいている場合にのみ、変更される。
所定の閾値及び/又は所定の領域は、例えば接近速度に比例して変更される。
別例として、又は追加として、閾値及び/又は所定の領域は、接近速度が事前設定した値に達した場合にのみ変更されてもよい。
【0056】
有利には、安全システムの制御ユニットは剪定鋏の制御装置と一体化されてもよい。
よって本発明は、制御ユニットがより良好に一体化した携帯型電動剪定鋏を提供する。制御ユニットが制御装置に一体化されることにより、必要なケーブル及び接続が低減され、ひいては破損が生じる箇所が低減され、したがって携帯型電動剪定鋏の信頼性がより高くなる。
【0057】
有利には、切削具は可動刃及び固定刃を具備することができる。
別例として、切削具は2つの可動刃を具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
その他の利点及び特性については、全く限定的なものではない実施形態の詳細な説明、及び添付の図面について検討すれば明白となろう。
図1】本発明による携帯型電動剪定鋏の非限定的な実施例を示す略図。
図2】本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例を示す略図。
図3】本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例を示す略図。
図4】本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例を示す略図。
図5図5a及び図5bは、本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例を示す略図である。
図6】エミッタ又はレシーバとして使用することが可能なデバイスの非限定的な実施例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0059】
当然ながら、以下に記載される実施形態は全く限定的ではない。具体的には、本明細書中以下に記載された特性の中から、記載された他の特性とは分離して特性が選定され、この特性の選定が技術的な利点を与えるか又は先行技術に対して本発明を差別化するのに十分である場合、この選定された特性のみを具備する本発明の変形形態を想定することが可能である。そのような選定は、少なくとも1つの、好ましくは機能的な特性を含み、構造上の詳細は伴わないか、又は構造上の詳細の一部分のみを、この部分が単独で技術的な利点を与えるか若しくは先行技術に対して本発明を差別化するのに十分である場合に、伴うものである。
図中、いくつかの図面に共通する構成要素は同じ参照番号を有する。
【0060】
図1は、本発明による携帯型電動剪定鋏の非限定的な実施例を示す略図である。
図1に示された剪定鋏100は、ユーザ(図1には示されていない)の片方の手に保持されるように意図された長手本体102を具備する。
剪定鋏100は、近位端部104と呼ばれる長手本体102の一方の端部に、剪定鋏100に動力を供給するために電源ケーブルを接続することができる電源コネクタ106を具備する。
【0061】
別例の実施形態では、剪定鋏は埋め込み型電源装置を具備してもよい。
剪定鋏100は、遠位端部108と呼ばれる長手本体の反対側の端部に、切削具110を具備する。
加えて、剪定鋏100は、切削具110を作動させるための、長手本体102に埋め込まれた電気モータ112を具備する。
剪定鋏100はさらに、電気モータ112に命令を出す制御装置114を具備する。
加えて、剪定鋏100は、引くと制御装置114に活性化信号を送るように使用することができる物理的引き金116を具備する。
【0062】
本発明によれば、剪定鋏100はさらに、
- 長手本体102とは別個であり、かつフリーハンド122と呼ばれるユーザの剪定鋏100を保持しない側の手に着用される手袋120と一体である、エミッタ118と;
- 長手本体102に埋め込まれ、かつ遠位端部108に近接して、特に切削具110に可能な限り近接して位置付けられた、レシーバ124と;
- 長手本体102に埋め込まれた制御ユニット126と
を備えた安全システムを具備する。
【0063】
エミッタ118は、手袋120のうち手122の手背部中央に相当する部分に位置付けられる。エミッタ118は、鋏と同じ動力源から動力を供給されるか又は手袋の中/上に埋設されたバッテリから動力を供給されるかのいずれかであってよいが、動力源又はバッテリはいずれも図1には示されていない。該安全システムのエミッタ118は、少なくとも1つの電磁波を放射するためのものである。
【0064】
安全システムのレシーバ124は、エミッタ118が放射した少なくとも1つの電磁波を受信するためのものである。レシーバ124が受信した波に応じて、制御ユニット126は、切削具110の作動を停止させ、かつ切削具110を開口させる命令を発するために、制御装置114に作用することにより、切削具110の作動に対して作用することができる。別例として、又は追加として、制御ユニット126は、電気モータ112に直接作用することにより、切削具110の作動に対して作用することも考えられる。
【0065】
より具体的には、制御ユニット126は、
図4に関してより詳細に記載されるような、エミッタ118とレシーバ124との間の距離;又は
図5及び図6に関してより詳細に記載されるような、レシーバ124の三次元座標系におけるエミッタ118の位置
のいずれかを計算することができる。
【0066】
その他の実施形態、例えば、エミッタ118が長手本体102に埋め込まれ、かつレシーバ124が長手本体102とは別個であり手袋120と一体である実施形態は、当業者には明白であろう。
【0067】
図2は、本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例の略図である。
【0068】
図2に例証された剪定鋏200は、エミッタ118が手袋120の、指の先端、より具体的には中指の先に相当する部分に位置しているという点で、図1の剪定鋏とは異なっている。
【0069】
その他の実施形態、例えばエミッタ118が手袋202の別の部分、例えば別の指の先端又は手首の隣に位置している実施形態は、当業者には明白であろう。
【0070】
図3は、本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例の略図である。
図3の携帯型電動剪定鋏300は、結合場所に関して図1の剪定鋏とは異なっている。
第1に、ここではエミッタ118は、手袋102の代わりにリストバンド120と一体である。
第2に、制御ユニット126は制御装置114に統合されている。
【0071】
図4は、本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例の略図で1ある。
図4は、図1の剪定鋏100の要素をすべて具備する携帯型電動剪定鋏400を例証している。
該剪定鋏の安全システムは、エミッタとレシーバとの間の距離に基づいて安全機能を提供するように構成される。
【0072】
そのために、剪定鋏400の制御ユニット126は、
- レシーバ124が受信した波に基づいた、特に信号の振幅及び強度、例えば受信した波の電圧又は電流の振幅に基づいた、レシーバ124に対するエミッタ118の距離の計算;
- 前記距離と、少なくとも1つの所定の閾値又は閾値距離402との比較;並びに
- 前記距離が前記閾値距離402を下回る場合の、切削具110の作動に対する作用
を行うようにプログラムされる。
【0073】
距離402はレシーバ124に対して計算されて、閾値距離402は、図4において円として概略的に示された、レシーバ124を包囲する球状の領域404を形成する。仮にエミッタ118が前記領域に入ると、制御ユニット126が始動し、次いで制御ユニットは切削具110の作動に対して作用することになろう。
閾値距離402は、球状の領域404が切削具110を包含するように構成されることが好ましい。
【0074】
図5a及び図5bは、本発明による携帯型電動剪定鋏の別の非限定的な実施例の略図である。
図5a及び図5bは、図1の剪定鋏100の要素をすべて具備する携帯型電動剪定鋏500を示す、それぞれ側面図及び等角投影図である。
【0075】
剪定鋏500は、その安全システムが位置に基づいているという点で図4の剪定鋏400とは異なる。そのために、剪定鋏400の制御ユニット126は、
- レシーバ124が受信した波に基づいた、特に、各方向の信号の振幅及び強度、例えば受信した波の電圧又は電流の振幅に基づいた、レシーバ124の三次元座標系におけるエミッタ118の位置の計算;
- 前記位置と、レシーバ124の前記三次元座標系における所定の領域502との比較;
- 前記位置が前記所定の領域502に含まれる場合の、切削具110の作動に対する作用
を行うようにプログラムされている。
【0076】
図5に正方形として概略的に示された所定の領域502は、レシーバ124の三次元座標系において定義されている。しかしながら、前記領域502はレシーバ124を包含する必要はない。したがって本実施形態では、所定の領域502が切削具110を含むと同時に該切削具により近接して包囲するように、設定することが可能である。
剪定鋏500の安全システムが用いる所定の領域502は、切削具110が開口した状態であっても切削具を含む立方体の形状である。
【0077】
他の実施形態、例えば、所定の領域がより近接した状態で切削具を含む、角錐状、円盤状のようなより複雑な形状を有する実施形態は、当業者には明白であろう。
【0078】
距離又は位置に基づいた安全機能について、図4図5a及び図5bに関してのみ説明したが、それらの安全システムは、図1~3に関して記載された実施形態のいずれにおいても実装することができる。
【0079】
図6は、エミッタ又はレシーバとして使用することができるデバイスの非限定的な実施例の概略図である。
図6は、エミッタ又はレシーバとして使用することが可能であり、かつ3個のコイル602、604及び606を具備するデバイス600を例証している。
【0080】
第1のコイル602はx軸の向きに配向される。第2のコイル604は、x軸に対して垂直なy軸の向きに配向される。第3のコイル606は、x軸及びy軸の両方に対して垂直なz軸の向きに配向される。
【0081】
よって、デバイス600がエミッタとして使用される場合、
- 第1のコイル602はx軸に相当する方向に波を放射することが可能であり、
- 第2のコイル604はy軸に相当する方向に波を放射することが可能であり、かつ
- 第3のコイル606はz軸に相当する方向に波を放射することが可能である。
【0082】
別例の実施形態では、各々のコイルを、そのコイルと同じ方向に配向された別の放射用モジュール、例えばパッチアンテナに置き換えることができる。
さらに、デバイス600がレシーバとして使用される場合、
- 第1のコイル602はx軸に相当する方向の入射波を受信することが可能であり、
- 第2のコイル604はy軸に相当する方向の入射波を受信することが可能であり、かつ
- 第3のコイル606はz軸に相当する方向の入射波を受信することが可能である。
【0083】
別例の実施形態では、各々のコイルを、そのコイルと同じ方向に配向された別の放射用モジュール、例えばパッチアンテナに置き換えることができる。
【0084】
当然ながら、本発明は上記に詳述された実施例に限定されない。例えば、本発明の剪定鋏の安全システムは、数個のエミッタ、及び/又は数個のレシーバを具備することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
【国際調査報告】