(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】マイクロニードルパッチ
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20230921BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20230921BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230921BHJP
【FI】
A61M37/00 530
A61M37/00 520
A61K9/00
A61K47/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505236
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 KR2021015029
(87)【国際公開番号】W WO2023017907
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0106705
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522032327
【氏名又は名称】フェロカ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】FEROKA INC.
【住所又は居所原語表記】411, 412-ho, 14, Seongsui-ro 10-gil Seongdong-gu Seoul 04784 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン イスル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB11
4C076EE41N
4C076FF34
4C076FF68
4C267AA72
4C267BB06
4C267BB24
4C267BB40
4C267CC05
4C267EE08
4C267GG16
(57)【要約】
本発明は、マイクロニードルパッチに関する発明である。本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチは、ベース及び前記ベースの表面に配置され、ベース物質、有効成分及び活性促進物質を含むマイクロニードルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース及び
前記ベースの表面に配置され、ベース物質、有効成分及び活性促進物質を含むマイクロニードルを含む、マイクロニードルパッチ。
【請求項2】
前記活性促進物質は、細胞外基質(extracellular; ECM)を分解し、前記有効成分の吸収率を高める、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項3】
前記活性促進物質は、前記有効成分より先に活性化される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項4】
前記活性促進物質は、前記マイクロニードルの表面に隣接した内側に配置される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項5】
前記活性促進物質は、前記マイクロニードルの中心から外側に向かって濃度が高くなるように配置される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項6】
前記マイクロニードルの外側に配置され、前記活性促進物質を含むコーティング層をさらに含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項7】
前記マイクロニードルは、第1ベース物質と前記有効成分とを含み、
前記コーティング層は、前記第1ベース物質と異なる第2ベース物質と前記活性促進物質とを含み、
前記第2ベース物質は、前記第1ベース物質より分解速度が速い、請求項6に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項8】
前記活性促進物質は、単位体積当たりの質量、単位体積当たりのモル数及び単位体積当たりの体積のうち少なくともいずれか1つが前記有効成分より小さい、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項9】
前記活性促進物質は、ヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)である、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項10】
前記マイクロニードルは、
第1ベース物質、第1有効成分及び前記活性促進物質を含む第1ニードル部、並びに
前記ベースと前記第1ニードル部との間に配置され、第2ベース物質、第2有効成分及び前記活性促進物質を含む第2ニードル部を含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項11】
前記マイクロニードルは、
第1ベース物質、第1有効成分及び前記活性促進物質を含む第1ニードル部、並びに
前記ベースと前記第1ニードル部との間に配置され、第2ベース物質及び前記活性促進物質を含む第2ニードル部を含み、
前記第2ベース物質は、前記第1ベース物質の分解速度より速い、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項12】
前記マイクロニードルは、
第1ベース物質、第1有効成分及び前記活性促進物質を含む第1ニードル部、並びに
前記ベースと前記第1ニードル部との間に配置され、第2ベース物質及び第2有効成分を含む第2ニードル部を含み、
前記第1ベース物質は、前記第2ベース物質より分解速度が速い、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルパッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体内への薬物投与は、伝統的には針が付いた注射で行われていたが、針が付いた注射は大きな痛みを引き起こす。そのため、非侵襲的薬物投与方法も開発されたが、投与量に比べて所要薬物の量が多すぎるという問題がある。
【0003】
これらの問題を解決するために、薬物送達システム(Drug Delivery System(DDS)について多くの研究が行われてきており、ナノ技術の発達でより大きな進歩を成し遂げられるようになった。
【0004】
マイクロニードルは、従来の注射針とは異なり、皮膚を貫通する際の痛みが少なく、外傷を残さないという特徴を有する。 さらに、マイクロニードルは、皮膚の角質層を貫通しなければならないため、ある程度の硬度が必要であり、 生理活性物質が皮膚の表皮層または真皮層まで到達するために、適切な長さを必要とすることがある。また、数百のマイクロニードルの生理活性物質が効果的に皮膚内に送達されるためには、マイクロニードルの皮膚透過率が高いと同時に、皮膚に挿入された後、溶解されるまで一定時間維持されなければならない。
これにより、精密な量の薬物を送達し、ターゲット位置を正確に設定できるマイクロニードルに対する関心が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有効成分を定量的に、目標位置に効果的に送達できるマイクロニードルパッチを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチは、ベース及び前記ベースの表面に配置され、ベース物質、有効成分及び活性促進物質を含むマイクロニードルを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチは、有効成分と活性促進物質を含むことで、有効成分が体内に迅速かつ効果的に送達されることができる。
【0008】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチは、多層構造を有することで、各層の生体内分解速度を異なるように設定し、各層に含まれた有効成分が異なる活性時間を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチを示す斜視図である。
【
図2】
図1のマイクロニードルパッチの断面を示す図である。
【
図4】
図2のマイクロニードルパッチが取り付けられ、薬物が送達される過程を示す図である。
【
図17】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチは、ベース及び前記ベースの表面に配置され、ベース物質、有効成分及び活性促進物質を含むマイクロニードルを含む。
【0011】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記活性促進物質は細胞外基質(extracellular; ECM)を分解し、前記有効成分の吸収率を高めることができる。
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記活性促進物質は前記有効成分より先に活性化されることができる。
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記活性促進物質は前記マイクロニードルの外側に配置されることができる。
【0012】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記活性促進物質は前記マイクロニードルの中心から外側に向かって濃度が高くなるように配置されることができる。
【0013】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記マイクロニードルの外側に配置され、前記活性促進物質を含むコーティング層をさらに含むことができる。
【0014】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記マイクロニードルは第1ベース物質と前記有効成分とを含み、前記コーティング層は前記第1ベース物質とは異なる第2ベース物質と活性促進物質とを含み、前記第2ベース物質は前記第1ベース物質より分解速度が速くてもよい。
【0015】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記活性促進物質は、単位体積当たりの質量、単位体積当たりのモル数及び単位体積当たりの体積のうち少なくともいずれか1つが前記有効成分より小さくてもよい。
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記活性促進物質はヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)であってもよい。
【0016】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記マイクロニードルは、第1ベース物質、第1有効成分及び前記活性促進物質を含む第1ニードル部、並びに前記ベースと前記第1ニードル部との間に配置され、第2ベース物質、第2有効成分及び前記活性促進物質を含む第2ニードル部分を含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記マイクロニードルは、第1ベース物質、第1有効成分及び前記活性促進物質を含む第1ニードル部分及び前記ベースと前記第1ニードル部との間に配置され、第2ベース物質及び前記活性促進物質を含む第2ニードル部を含み、前記第2ベース物質は前記第1ベース物質の分解速度より速くてもよい。
【0018】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチにおいて、前記マイクロニードルは、第1ベース物質、第1有効成分及び前記活性促進物質を含む第1ニードル部、並びに前記ベースと前記第1ニードル部との間に配置され、第2ベース物質及び第2有効成分を含む第2ニードル部を含み、前記第1ベース物質は前記第2ベース物質より分解速度が速くてもよい。
前述したもの以外の他の側面、特徴、利点は、以下の発明を実施するための形態、請求範囲及び図面から明らかになるであろう。
【0019】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施例に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術の範囲に含まれるすべての変換、等価物乃至代替物を含むこととして理解されるべきである。本発明の説明において、他の実施例に示されていても、同じ構成要素に対しては同じ識別番号を使用する。
【0020】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明するものとし、図面を参照して説明するとき、同一又は対応する構成要素は同一の図面符号を付与し、これに対する重複の説明は省略する。
以下の実施例において、第1、第2などの用語は限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で用いられた。
以下の実施例において、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0021】
以下の実施例において、含むまたは有するなどの用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在することを意味するものであり、1つまたは複数の他の特徴または構成要素が追加される可能性を予め排除するものではない。
【0022】
図面では、説明の便宜上、構成要素はその大きさが誇張または縮小されてもよい。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上任意に示されているため、本発明は必ずしも示されたものに限定されなるものではない。
【0023】
以下の実施例において、x軸、y軸及びz軸は直交座標系上の3軸に限定されず、それらを含む広い意味で解釈することができる。例えば、x軸、y軸及びz軸は互いに直交していてもよいが、互いに直交しない異なる方向を指してもよい。
【0024】
ある実施例が他に実装可能である場合、特定の工程順序は、説明される順序とは異なる方法で実行されてもよい。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に実行されてもよく、説明される順序とは逆の順序で進行されてもよい。
【0025】
本出願で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、1つまたは複数の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものの存在または追加の可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0026】
図1は、本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチ100を示す斜視図であり、
図2は、
図1のマイクロニードルパッチ100の断面を示す図であり、
図3は、
図2の一部を拡大して示す図である。
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチ100は、ベース110とマイクロニードル120とを含むことができる。
【0027】
ベース110は複数のマイクロニードル120を支持することができる。ベース110の形状は特に限定されず、一面は、複数のマイクロニードル120が配置されるように平らな形状を有することができる。マイクロニードルパッチ100がユーザの皮膚に配置された状態で、ベース110の一面は皮膚と接触し、他面は外部に露出されることができる。
【0028】
ベース110は、マイクロニードル120が皮膚に埋め込まれた後に除去されることができる。例えば、マイクロニードル120が皮膚に浸透した状態で、ユーザは力を加えてベース110を皮膚から除去することができる。そうするために、ベース110及びマイクロニードル120は、所定の外力が加えられれば分離できるように取り外し可能な形で接続されることができる。
【0029】
他の実施例として、マイクロニードルパッチ100が皮膚に配置された状態で、ベース110とマイクロニードル120との接続部分が溶けたり、溶解されることができる。例えば、ベース110とマイクロニードル120の接続部分は、体温程度の温度に一定時間露出される場合、溶けるように構成されることができる。これにより、ユーザはベース110をマイクロニードル120と分離することができる。または、ベース110とマイクロニードル120の接続部分は、常温または大気中に一定時間以上露出されると溶けたり、溶解されるように構成されることができる。他の実施例として、ユーザがベース110を溶解させるための物質を塗布または噴射してベース110を除去することができる。
【0030】
一実施例として、ベース110は、マイクロニードル120に含まれた物質のうちいずれか1つを含むことができる。例えば、ベース110は、マイクロニードル120の複数の層のうちいずれか1つと同じ物質を含むことができ、当該物質は生分解性物質であってもよい。
【0031】
一実施例として、ベース110は生理活性物質を含むことができる。マイクロニードルパッチ100を皮膚に取り付けると、ベース110から出る生理活性物質によってマイクロニードル120の有効成分EMが効果的に患者に送達されることができる。また、ベース110から出る生理活性物質によって、ベース110とマイクロニードル120が容易に分離できるようになる。
【0032】
一実施例として、ベース110は水溶性高分子を含むことができる。例えば、ベース110は水溶性高分子からなるか、その他の添加物(例えば二糖類など)を含むことができる。また、ベース110は有効成分EMまたは他の有効成分を含まなくてもよい。
【0033】
一実施例として、ベース110は生体適合性物質を含むことができる。ベース110は、後述するマイクロニードル120のベース物質と同じまたは異なる生体適合性物質を含むことができる。
【0034】
マイクロニードル120は皮膚に挿入され、薬物または活性促進物質を皮膚の内部に直接投与することができる。マイクロニードル120は、ベース110の一面に複数個配置されることができる。マイクロニードル120は、ベース物質として生体適合性物質と添加剤を含むことができる。
【0035】
生体適合性物質は、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose; CMC)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン(Pectin)、カラギーナン(Carrageenan)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin Sulfate)、デキストラン硫酸(dextran Sulfate)、キトサン(Chitosan)、ポリリジン(polylysine)、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(Agarose)、プルラン(pullulan)、ポリ酸無水物(polyanhydride)、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリヒドロキシ酪酸(Poly butyric acid)、ポリヒドロキシ吉草酸(Poly valeric acid)、ポリアクリレート(polyacrylate)、エチレン酢酸ビニル(ethylene-vinyl aceta)重合体、アクリル置換セルロースアセテート、ポリビニルクロライド(polyvinyl chloride)、ポリビニルフルオライド(polyvinyl Fluoride)、ポリビニルイミダゾール(polyvinyl)、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulphonate polyolefins)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)、マルトース(Maltose)、ラクトース(Lactose)、トレハロース(Trehalose)、セロビオス(Cellobiose)、イソマルトース(Isomaltose)、ツラノース(Turanose)及びラクツロース(Lactulose)のうち少なくともいずれか1つを含むか、そのような高分子を形成するモノマーの共重合体及びセルロースからなる群から選ばれた1以上の高分子である。
【0036】
添加剤は、トレアロース(trehalose)、オリゴ糖(oligosaccharide)、スクロース(sucrose)、マルトース(maltose)、ラクトース(lactose)、セロビオス(cellobiose)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン(Pectin)、カラギーナン(Carrageenan)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin Sulfate)、デキストラン硫酸(dextran Sulfate)、キトサン(Chitosan)、ポリリジン(polylysine)、コラーゲン、ゼラチン、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(Agarose)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)、ゲンチオビオース(gentiobiose)、セトリミド(alkyltrimethylammonium bromide(Cetrimideex)) 、ゲンチアナバイオレット(Gentian Violet)、塩化ベンゼトニウム(benzethonium chloride)、ドクサートナトリウム塩(docusate sodium salt)、スパン系の界面活性剤(a SPAN-type surfactant)、ポリソルベート(polysorbate(Tween))、ラウリル硫酸ナトリウム(SDD)、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)及びオレイン酸グリセリル(glyceryl oleate)のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0037】
一実施例として、生体適合性物質と添加剤からヒアルロン酸(Hyaluronic Acid; HA)は除外することができる。活性促進物質がヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)である場合、活性促進物質がベース物質として使用されるヒアルロン酸を分解するため、マイクロニードル120の性能が低下する。したがって、マイクロニードル120が活性促進物質としてヒアルロニダーゼを含む場合、ベース物質はヒアルロン酸を含まない。
【0038】
選択的な実施例として、マイクロニードル120は粘着剤を含むことができる。粘着剤は、シリコーン、ポリウレタン、ヒアルロン酸、物理的接着剤(ゲッコ)、ポリアクリル、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチレン酢酸ビニル及びポリイソブチレンからなる群から選択された1以上の粘着剤である。
選択的な実施例として、マイクロニードル120は、金属、高分子ポリマーまたは粘着剤をさらに含むことができる。
【0039】
マイクロニードル120は、有効成分EM及び活性促進物質APMを含むことができる。マイクロニードル120は、少なくとも任意の一部に薬学的、医学的または化粧品的有効成分EMを含むことができる。非限定的な例として有効成分は、タンパク質/ペプチド医薬を含むが必ずしもこれに限定されるものではなく、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、シグナル伝達タンパク質またはその一部、抗体またはその一部、単鎖抗体、結合タンパク質またはその結合ドメイン、抗原、接着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及びワクチンのうち少なくともいずれか1つを含む。より具体的には、前記タンパク質/ペプチド医薬は、インスリン、IGF-1(insulinlikegrowth factor 1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G-CSF(granulocyte-colony stimulating factors)、GM-CSF(granulocyte/macrophage-colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン-1アルファ及びベータ、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-6、インターロイキン-2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin) , ACTH(adrenocorticotropic hormone), TNF(tumor necrosis factor), アトビスバン(atobisban), ブセレリン(buserelin), セトロレリックス(cetrorelix), デスロレリン(deslorelin), デスモプレシン(desmopressin) 、ダイノルフィンA(dynorphin A)(1-13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRHII(growth hormone releasing hormone-II)、ゴナドレリン(gonadorelin) )、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン(oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカリド(sincalide)、テルリプレシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセジン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormonereleasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T-20(enfuvirtide)、チマルファシン(thymalfasin)及びジコノチドのうちいずれか1つを含むことができる。また、有効成分EMは、美白、フィラー、しわ除去または抗酸化剤などの美容成分であることができる。
【0040】
一実施例において、有効成分EMは、微粒子の形態でマイクロニードル120を形成する溶媒内に分散されたコロイドであることができる。前記微粒子は、それ自体が有効成分EMであるか、有効成分EMを担持しているコーティング材を含むことができる。
有効成分EMは、マイクロニードル120において全体的に均一または不均一に分布することができる。
【0041】
他の実施例いおいて、有効成分EMがマイクロニードル120内に溶解されることができる。前述した生分解性物質などのマイクロニードル120のベース物質内に有効成分EMが溶解され、マイクロニードル120を構成することができる。有効成分EMは、前記ベース物質に均一な濃度で溶解されることもでき、前述した微粒子のようにマイクロニードル120の特定の高さに集中的に分布することもできる。
【0042】
一実施例において、マイクロニードル120上に薬学的、医学的または化粧品有効成分EMがコーティングされることができる。有効成分EMは、マイクロニードル120全体にコーティングされてもよく、マイクロニードル120の一部のみにコーティングされてもよい。
【0043】
活性促進物質APMは有効成分EMと共にマイクロニードル120に含まれ、有効成分EMが体内に効果的に吸収されるようにする。活性促進物質APMは、有効成分EMの吸収率を高めることができる様々な物質を含み、一実施例として様々な化学結合を切断することを触媒する酵素であってもよい。
【0044】
一実施例として、活性促進物質APMは、細胞外基質(extracelluar; ECM)を分解する様々な酵素のうちいずれか1つであってもよい。これにより、マイクロニードルパッチ100が皮膚に取り付けられると、マイクロニードル120から活性促進物質APMが体内に流入して体内の細胞外基質を分解し、有効成分EMが効果的に体内に吸収されることができる。つまり、活性促進物質APMは、体内の細胞外基質を分解することで有効成分EMの吸収率を高めることができる。例えば、活性促進物質APMは、細胞外基質としてヒアルロン酸を分解または切断する酵素であるヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)であってもよい。
【0045】
一実施例として、活性促進物質APMは、単位体積当たりの質量、単位体積当たりのモル数及び単位体積当たりの体積のうち少なくともいずれか1つが有効成分EMより小さくてもよい。ここで、単位体積は、マイクロニードルパッチ100において有効成分EMと活性促進物質APMが配置された領域、例えばマイクロニードル120の単位体積を意味することができる。
【0046】
単位体積当たりの質量、単位体積当たりのモル数及び単位体積当たりの体積は、それぞれマイクロニードル120の単位体積当たりの有効成分EM及び活性促進物質APMの質量、モル数及び体積を意味する。
【0047】
一実施例として、マイクロニードル120の全体重量において、活性促進物質APMは有効成分EMより大きい重量を占めることができる。例えば、有効成分EMの重量は、活性促進物質APMの重量の5倍~20倍であることができる。好ましくは、有効成分EMの重量は、活性促進物質APMの重量の10倍~12倍であることができる。有効成分EMの重量が活性促進物質APMの5倍より少ない場合、活性促進物質APMが患者の細胞外基質を過度に分解してユーザの細胞を損傷する可能性があり、有効成分EMの吸収を妨げる可能性がある。有効成分EMの重量が活性促進物質APMの20倍より大きい場合、活性促進物質APMが細胞外基質のヒアルロン酸を分解できず、有効成分EMが効果的に活性化されない。
【0048】
一実施例として、活性促進物質APMは有効成分EMより先に活性化されることができる。つまり、マイクロニードル120が体内に挿入された状態で、活性促進物質APMが有効成分EMより先に体内に送達されることができる。または活性促進物質APMと有効成分EMが体内に送達された状態で、活性促進物質APMが体内の細胞外基質を分解した後、特にヒアルロン酸を分解した後に、有効成分EMが反応することができる。
【0049】
マイクロニードル120は、様々な形状を有することができる。マイクロニードル120は錐型状を有することができる。例えば、マイクロニードル120は円錐形、三角錐形、四角錐形などの多角形を有することができる。
【0050】
マイクロニードル120は、一端がベース110に接続され、他端には体内に挿入される先端チップ(sharpened tip, ST)を備えることができる。マイクロニードル120は、先端チップSTに向かって幅が狭くなる形状を有することができる。
【0051】
マイクロニードル120は様々な数とパターンで配置されることができる。例えば、
図1に示すように、マイクロニードル120は、複数の行と列が同じ間隔で配置されることができる。または、複数のマイクロニードル120は、隣接するマイクロニードル120間の間隔が互いに異なるように配置されることができる。
【0052】
マイクロニードル120は、単一層から構成されてもよく、複数の層から構成されてもよい。本実施例では、説明の便宜上、マイクロニードル120が単層である場合を中心に説明する。
図4は、
図2のマイクロニードルパッチ100が取り付けられて有効成分EMが送達される過程を示す図である。
【0053】
図4の(a)に示すように、マイクロニードルパッチ100が皮膚に取り付けられると、マイクロニードル120が体内に挿入される。マイクロニードル120が挿入される深さ、または有効成分EM及び活性促進物質APMが送達される位置は特に限定されない。
図4には、マイクロニードル120が表皮EPMを貫通して真皮DEMまで挿入され、真皮DEM内に有効成分EM及び活性促進物質APMが送達されることを示したが、マイクロニードル120は、先端チップSTが表皮EPMに位置するか、有効成分EM及び活性促進物質APMが表皮EPMに送達されることができる。または、マイクロニードル120は、先端チップSTが脂肪または筋肉に位置するか、有効成分EM及び活性促進物質APMが脂肪または筋肉に送達されることができる。
【0054】
図4の(b)に示すように、ベース110を分解または溶解されることができる。例えば、マイクロニードルパッチ100が皮膚に取り付けられた状態で所定の時間が経過すると、ベース110は自然に分解されることができる。または、体温によってベース110が溶けたり、別の物質などを塗布または噴射してベース110を溶解させることができる。
図4の(c)に示すように、マイクロニードル120から有効成分EMが体内に送達される。
【0055】
より具体的には、
図4の(d)は、マイクロニードル120から有効成分EMと活性促進物質APMが放出される(c)のA領域を拡大して示している。マイクロニードル120から放出された活性促進物質APMは体内に流入し、体内の細胞外基質(ECM、例えばヒアルロン酸)と反応する。そして、
図4の(e)に示すように、活性促進物質APMによって細胞外基質ECMが分解されると、有効成分EMを体内に効果的に送達されることができる。
【0056】
本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチ100は、マイクロニードル120が有効成分EM以外にも活性促進物質APMを含むことで、有効成分EMの送達を妨げる細胞外基質を分解して有効成分EMが効果的に送達されるようにすることができる。
図5~
図16は、
図3の変形例を示す図である。
【0057】
図5を参照すると、マイクロニードル120Aに含まれた有効成分EM及び/または活性促進物質APMは、マイクロニードル120Aの外側領域に配置されることができる。より詳細には、有効成分EM及び/または活性促進物質APMは、マイクロニードル120Aの表面に隣接する内部に配置されることができる。ここで、マイクロニードル120Aの外側は、先端チップSTを通るマイクロニードル120Aの中心軸の外側を意味することができる。例えば、有効成分EM及び活性促進物質APMは、マイクロニードル120Aの中心軸よりマイクロニードル120Aの外面に近接するように配置されることができる。ただし、全ての有効成分EMと活性促進物質APMがマイクロニードル120Aの外側にのみ配置されるものと限定されるものではなく、少なくとも一部がマイクロニードル120Aの中心部に配置されることもできる。
【0058】
このように、マイクロニードル120Aが体内に挿入された状態で有効成分EMと活性促進物質APMが体内に近接した領域に集中的に配置されることで、有効成分EMと活性促進物質APMが迅速かつ効果的に体内に送達されることができる。
【0059】
図6を参照すると、マイクロニードル120Bに含まれた有効成分EM及び/または活性促進物質APMは、不均一な濃度分布を有することができる。例えば、有効成分EMと活性促進物質APMは、マイクロニードル120Bの高さ方向に沿って先端チップSTに向かい濃度が大きくなるように配置されることができる。これにより、体内に最も深く挿入される先端チップSTを介して目標部位に有効成分EMと活性促進物質APMを迅速かつ効果的に送達することができる。
【0060】
図には示されていないが、他の実施例として、有効成分EMと活性促進物質APMは、マイクロニードル120Bの中心軸を基準にして外側面に向かって濃度が大きくなるように配置されることができる。したがって、体内接触面積が広いマイクロニードル120Bの外側面を介して有効成分EMと活性促進物質APMを迅速かつ効果的に送達することができる。
図7を参照すると、マイクロニードル120Cは、第1ニードル部121Cとコーティング層123Cを含むことができる。
【0061】
コーティング層123Cは、ベース物質と有効成分EM及び活性促進物質APMとを含む第1ニードル部121Cの外側面を包むように配置されることができる。例えば、コーティング層123Cは、第1ニードル部121Cの第1先端チップST1を覆い、第1先端チップST1に対応する第2先端チップST2を備えることができる。ここで、コーティング層123Cをなすベース物質は、第1ニードル部121Cをなす第1ベース物質と同じまたは異なる第2ベース物質であることができる。
【0062】
コーティング層123Cは、第1ニードル部121Cを形成した後、コーティング液に浸漬して形成することができる。コーティング層123Cは、生体適合性高分子で形成されることができ、体内に挿入された後に分解されることができる。
【0063】
一実施例として、コーティング層123Cは活性促進物質を含むことができる。コーティング層123Cが皮膚に挿入されると、第1ニードル部121Cの有効成分EMが送達される前にコーティング層123Cの活性促進物質が先に活性化され、有効成分EMの送達効果を高めることができる。
【0064】
一実施例として、コーティング層123Cは、生体分解速度が速い物質からなることができる。コーティング層123Cは、第1ニードル部121Cより生体分解速度が速い物質で形成されることで、マイクロニードル120Cが体内に挿入された状態でコーティング層123Cが第1ニードル部121Cより速く分解されることができる。
【0065】
他の実施例として、コーティング層123Cは、生体分解速度が遅い物質からなることができる。コーティング層123Cは、第1ニードル部121Cより生体分解速度が遅い物質で形成されることで、マイクロニードル120Cが体内に挿入された状態で第1ニードル部121Cの有効成分EMが直ちに体内に送達されるのではなく、コーティング層123Cが分解される所定の時間が経過した後に有効成分EMが体内に送達されることができる。つまり、目標とする適切な時間に合わせて有効成分EMを体内に送達させることができる。
【0066】
一実施例として、コーティング層123Cは、マイクロニードル120Cの剛性を高めることができる。例えば、コーティング層123Cは、第1ニードル部121Cより剛性の高い物質からなることができる。これにより、マイクロニードル120Cが体内に挿入される際、第1ニードル部121Cの第1先端チップST1が曲がったり折れたりしないように、コーティング層123Cが第1ニードル部121Cを保護することができる。
【0067】
一実施例として、第1ニードル部121Cは、ベース物質として前述した生体適合性物質及び/または添加剤を含むことができる。また、第1ニードル部121Cはベース物質としてヒアルロン酸を含んでもよく、第1ニードル部121Cは、外側を覆うコーティング層123Cの場合、ベース物質としてヒアルロン酸を含まなくてもよい。つまり、コーティング層123Cが活性促進物質APMとしてヒアルロニダーゼを含む場合、マイクロニードル120Cが皮膚に挿入されると、活性促進物質APMがコーティング層123Cのベース物質を分解せず、大量の活性促進物質APMが体内の細胞外基質を分解する。その後、第1ニードル部121Cを介して有効成分EMを迅速に体内に送達することができる。このとき、第1ニードル部121Cは、ヒアルロン酸を含んでいるとしてもコーティング層123Cの活性促進物質APMに影響されない。
図8を参照すると、コーティング層123Dは、より多量の活性促進物質APMを含むように所定の厚さを有することができる。
【0068】
一実施例として、コーティング層123Dは、第1ニードル部121Dをなす第1ベース物質より分解速度が速い第2ベース物質からなることができる。これにより、マイクロニードル120Dが体内に挿入された状態で、多量の活性促進物質APMが体内の細胞外基質を分解し、コーティング層123Dが分解されて第1ニードル部121Dの有効成分EMが迅速に体内に送達されることができる。
【0069】
一実施例として、コーティング層123Dは有効成分EMをさらに含むことができる。つまり、コーティング層123Dは、第2ベース物質、有効成分EM及び活性促進物質APMを含むことができる。
【0070】
一実施例として、第1ニードル部121Dは、ベース物質として前述した生体適合性物質及び/または添加剤を含むことができる。また、第1ニードル部121Dはベース物質としてヒアルロン酸を含んでもよく、第1ニードル部121Dは、外側を覆うコーティング層123Dの場合、ベース物質としてヒアルロン酸を含まなくてもよい。つまり、コーティング層123Dが活性促進物質APMとしてヒアルロニダーゼを含む場合、マイクロニードル120Dが皮膚に挿入されると、活性促進物質APMがコーティング層123Cのベース物質を分解せず、大量の活性促進物質APMが体内の細胞外基質を分解する。その後、第1ニードル部121Dを介して有効成分EMが迅速に体内に送達されることができる。このとき、第1ニードル部121Dは、ヒアルロン酸を含んでいるとしてもコーティング層123Dの活性促進物質APMに影響されない。
【0071】
図9を参照すると、マイクロニードル120Eは、複数の層が積層され、側状構造を成すことができる。例えば、マイクロニードル120Eは、第1ニードル部121E及び第2ニードル部122Eを含むことができる。
【0072】
第1ニードル部121Eは、ベース110から最も遠く離間した位置に配置され、一端部に先端チップSTを含む。第1ニードル部121Eは、第1ベース物質、有効成分EM及び活性促進物質APMを含むことができる。
【0073】
第2ニードル部122Eは、ベース110と第1ニードル部121Eとの間に配置され、第2ベース物質、有効成分EM及び活性促進物質APMを含むことができる。
【0074】
一実施例として、マイクロニードル120Eが体内に挿入された状態で、第1ニードル部121Eは、表皮EPMを貫通して少なくともその一部が真皮DEMまで挿入されることができ、第2ニードル部122Eは表皮EPMに位置することができる。
【0075】
一実施例として、第1ベース物質と第2ベース物質は分解速度が異なっていてもよい。各層の分解速度は、各層を構成する生体適合性物質の種類や含有量などに応じて決定されることができる。
【0076】
一実施例として、第2ベース物質は、第1ベース物質より分解速度が速くてもよい。これにより、有効成分EMが表皮EPMに迅速に送達されることができる。また、ベース110と第1ニードル部121Eとを接続させる第2ニードル部122Eが第1ニードル部121Eより速く分解することで、ベース110を迅速に除去することができ、第1ニードル部121Eに含まれた有効成分EMを皮膚に迅速に送達することができる。
他の実施例として、第2ベース物質は、第1ベース物質より分解速度が遅くてもよい。これにより、有効成分EMが真皮DEMに迅速に送達されることができる。
【0077】
一実施例として、第1ニードル部121E及び第2ニードル部122Eは異なる剛性を有することができる。例えば、第1ニードル部121Eは、第2ニードル部122Eより高い剛性を有することで、第1ニードル部121Eが体内に容易かつ迅速に進入することができる。また、その後、第1ニードル部121Eが第2ニードル部122Eより速く分解される場合、痛みを最小限に抑えることができる。
図9には、2つの層のみを示したが、層の数は特に限定しない。例えば、マイクロニードル120Eは、3つ以上の層が高さ方向に積層されることができる。
【0078】
図10を参照すると、マイクロニードル120Fは第1ニードル部121F及び第2ニードル部122Fとを含み、第2ニードル部122Fは第2ベース物質のみからなることができる。
【0079】
第2ニードル部122Fの第2ベース物質は、第1ニードル部121Fの第1ベース物質より分解速度が速くてもよい。また、第2ニードル部122Fは第2ベース物質のみからなるため、マイクロニードル120Fが皮膚に挿入された状態で第1ニードル部121Fが挿入された目標位置(例えば真皮DEM)に正確に有効成分EMと活性促進物質APMを送達することができる。
【0080】
図11を参照すると、マイクロニードル120Gは第1ニードル部121G及び第2ニードル部121Gを含み、第2ニードル部122Gは第2ベース物質、第2有効成分EM2及び活性促進物質APMを含むことができる。ここで、第2有効成分EM2は、第1有効成分EM1と異なる薬物であってもよい。
【0081】
これにより、マイクロニードル120Gが体内に挿入された状態で、第1有効成分EM1は第1ニードル部121Gに対応する領域に送達され、第2有効成分EM2は第2ニードル部122Gに対応する体内領域に送達されることができる。つまり、マイクロニードル120Gは体内に挿入され、異なる目標位置に異なる有効成分を送達することができる。
【0082】
活性促進物質APMは、第1ニードル部121Gと第2ニードル部122Gにそれぞれ含まれ、各有効成分が活性化される前に先に体内の細胞外基質を分解し、第1有効成分EM1と第2有効成分EM2の吸収効果を高めることができる。
【0083】
図12を参照すると、マイクロニードル120Hは第1ニードル部121H及び第2ニードル部122Hを含み、第2ニードル部122Hは第2ベース物質及び活性促進物質APMを含むことができる。
【0084】
第2ニードル部122Hは、有効成分EMを含まない代わりに活性促進物質APMを多量に含むことができる。また、第2ニードル部122Hの第2ベース物質は、第1ニードル部121Hの第1ベース物質より分解速度が速くてもよい。
【0085】
これにより、マイクロニードル120Hが体内に挿入された状態で、第2ニードル部122Hが第1ニードル部121Hより速く分解されて、第2ニードル部122Hに含まれた多量の活性促進物質APMは体内の細胞外基質を分解することができる。その後、第1ニードル部121Hの有効成分EMが体内に送達されることで、有効成分EMの活性化速度を短縮させることができる。
図13を参照すると、マイクロニードル120Iは、第1ニードル部121I、第2ニードル部122I及び接着層ADLを含むことができる。
【0086】
接着層ADLは、第1ニードル部121Iと第2ニードル部122Iとの間に配置され、第1ニードル部121Iと第2ニードル部122Iとの間の接着力を高めることができる物質で形成されることができる。これにより、マイクロニードル120Iが皮膚に挿入される際、第1ニードル部121I及び第2ニードル部122Iが分離されないようにすることができる。
接着層ADLは、生体適合性物質または生体分解性物質からなることができる。例えば、接着層ADLは水分層からなることができる。
【0087】
一実施例として、接着層ADLは、第1ニードル部121I及び第2ニードル部122Iより生体分解速度が高い物質からなることができる。これにより、マイクロニードル120Iが皮膚に挿入された後、接着層ADLが先に分解されるため、第1ニードル部121Iと第2ニードル部122Iが分離されることができる。
【0088】
図13には接着層ADLが第1ニードル部121I及び第2ニードル部122Iの境界を区画するように配置されることを示しているが、これに限定されるものではない。例えば、接着層ADLは、第1ニードル部121I及び第2ニードル部122Iが混合された形態を有することができる。第1ニードル部121Iの第1ベース物質と第2ニードル部122Iの第2ベース物質とが混合されて接着層ADLを形成することができる。
【0089】
マイクロニードル120Iは接着層ADLを含むため、第1ニードル部121Iと第2ニードル部122Iとの結合強度を高めることができる。これにより、マイクロニードル120Iが皮膚に挿入される際、マイクロニードルパッチに加わる外力によって、第1ニードル部121Iと第2ニードル部122Iが容易に分離されない。一方、マイクロニードル120Iが皮膚に挿入された後は接着層ADLが先に分解され、第1ニードル部121Iと第2ニードル部122Iとを分離することができる。
【0090】
図14を参照すると、マイクロニードル120Jは、第1ニードル部121Jと接着層ADLとを含むことができる。接着層ADLは、ベース110と第1ニードル部121Jとの間に配置されることができる。
【0091】
一実施例として、接着層ADLは、第1ニードル部121Jより生体分解速度が速い物質からなることができる。これにより、マイクロニードル120Jが皮膚に挿入されると、接着層ADLが第1ニードル部121Jより先に分解されて、ベース110を分離することができる。
図15を参照すると、マイクロニードル120Kは、第1ニードル部121K、第2ニードル部122K及び第3ニードル部123Kを含むことができる。
【0092】
第1ニードル部121Kは、第1ベース物質、有効成分EM及び活性促進物質APMを含み、第2ニードル部122Kは、ベース110と第1ニードル部121Kとの間に配置され、第2ベース物質からなることができる。第3ニードル部123Kは、マイクロニードル120Kの先端チップSTを含むように第1ニードル部121Kの一端部に配置されることができる。
一実施例として、第3ニードル部123Kは活性促進物質APMを含むことができる。
【0093】
一実施例として、マイクロニードル120Kが体内に挿入された状態で、第3ニードル部123は、第1ニードル部121K及び第2ニードル部122Kより速く分解されることができる。
【0094】
したがって、マイクロニードル120Kが体内に挿入されると、第3ニードル部123Kが最初に分解されて活性促進物質APMが活性化されることができる。その後、第1ニードル部121Kの有効成分EMと活性促進物質APMが体内に送達されることができる。
【0095】
一実施例として、第3ニードル部123Kは、第1ニードル部121K及び第2ニードル部122Kより剛性が高い材質からなることができる。したがって、マイクロニードル120Kが体内に挿入される際、先端チップSTが曲がったり損傷されたりすることなく滑らかに挿入されることができる。
【0096】
一実施例として、第2ニードル部122Kは、第1ニードル部121Kの第1ベース物質より分解速度が速い第2ベース物質からなることができる。したがって、マイクロニードル120Kが皮膚に挿入されると、まず第3ニードル部123Kが分解されて活性促進物質APMが活性化され、その後第2ニードル部122Kが分解され、ベース110とマイクロニードル120Kが分離される。その後、第1ニードル部121Kの有効成分EMと活性促進物質APMが体内に送達される。
図16を参照すると、マイクロニードル120Lは、第1ニードル部121L及びシャフト124Lを含むことができる。
【0097】
マイクロニードル120Lは、前述した実施例のマイクロニードルが適用されることができる。ただし、以下では説明の便宜上、
図3のマイクロニードル120を中心に説明する。
【0098】
第1ニードル部121Lは、前述したマイクロニードルまたはニードル部のようにベース物質からなり、有効成分EM及び活性促進物質APMを含むことができる。
【0099】
シャフト124Lは、ベース110と第1ニードル部121Lとを接続させることができる。シャフト124Lは、第1ニードル部121Lの長手方向に延びており、第1ニードル部121Lのベース110側端部より短い直径を有することができる。シャフト124Lの形状は特に限定されず、円柱または多角柱形状を有することができる。
【0100】
シャフト124Lを介し、マイクロニードル120Lは皮膚により深く挿入されることができる。つまり、シャフト124Lによって第1ニードル部121Lのとがった先端STがより深い位置に挿入され、有効成分EM及び活性促進物質APMが皮膚の深くまで送達される。また、マイクロニードル120Lが皮膚に挿入された状態で、第1ニードル部121Lのベース110側端部はストッパーとして機能し、シャフト124Lが分解される前までマイクロニードル120Lが皮膚から容易に離脱しないようにすることができる。
【0101】
シャフト124Lは生分解性物質からなり、第1ニードル部121Lより小さい体積を有するため、皮膚内に挿入された後に第1ニードル部121Lより先に分解されることができる。シャフト124Lが分解されると、第1ニードル部121Lは皮膚内に挿入された状態を維持し、ベース110は容易に除去されることができる。
【0102】
シャフト124Lは、第1ニードル部121Lより分解速度が速い物質からなることができる。つまり、シャフト124Lを構成するベース物質は、第1ニードル部121Lのベース物質より生体内分解速度が速い物質であることができる。これにより、マイクロニードル120Lが対象体の皮膚に挿入されると、シャフト124Lが迅速に溶解され、ベース110を容易に除去されることができる。
図17は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチ200を示す図である。
【0103】
本実施例によるマイクロニードルパッチ200は、複数のマイクロニードル220を含むことができる。また、複数のマイクロニードル220は、形状、大きさ、材質、有効成分EM及び活性促進物質APMのうち少なくともいずれか1つが互いに異なっていてもよい。
【0104】
例えば、複数のマイクロニードル220は、第1マイクロニードル220a、第2マイクロニードル220b、第3マイクロニードル220c、第4マイクロニードル220d及び第5マイクロニードル220eを含むことができる。また、これら複数のマイクロニードル220は、円錐、三角錐、四角錐など、互いに異なる形状を有することができる。また、複数のマイクロニードル220は、異なるサイズまたは異なる分解速度を有するベース物質からなることができる。また、複数のマイクロニードル220は、異なる有効成分EM及び/または異なる活性促進物質APMを含むことができる。また、複数のマイクロニードル220は、同じ種類の有効成分EM及び/または活性促進物質APMを含むが、容量が異なる場合がある。
【0105】
これにより、マイクロニードルパッチ200は、異なる有効成分EMを体内に送達することができ、有効成分EMに応じて異なる活性促進物質APMを用いて有効成分EMを活性化させることができる。また、マイクロニードルパッチ200は、皮膚に取り付けられる位置によって異なる種類または用量の有効成分EMを送達することができる。
【0106】
以上、図面に示された実施例を参照して本発明を説明したが、これは例示に過ぎない。当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、実施例から様々な変形及び均等の他の実施例が可能であることを十分に理解することができる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付された請求の範囲に基づいて決定されるべきである。
【0107】
実施例で説明する特定の技術内容は一実施例であり、実施例の技術範囲を限定するものではない。発明の説明を簡潔かつ明確に説明するために、従来の一般的な技術と構成に関する記載は省略されることができる。また、図面に示された構成要素間の線の接続または接続部材は、機能的な接続及び/または物理的または回路的接続を例示的に示したものであり、実際の装置では代替可能または追加の様々な機能的接続、物理的接続、または回路接続で表すことができる。また、「必須的」、「重要」などのような具体的な言及がなければ、本発明を適用するために必ずしも必要な構成要素ではない可能性がある。
【0108】
発明の説明及び特許請求の範囲に記載されている「前記」または同様の指示は、特に限定されない限り、単数形及び複数形の両方を指すことができる。また、実施例において範囲(range)を記載した場合、前記範囲に属する個別の値を適用した発明を含むもので(これに反する記載がない場合)、詳細の説明に前記範囲を構成する各個別の値を記載したものと同様である。また、実施例に係る方法を構成するステップについて明らかに順序を記載、またはそれに反する記載がない場合、前記ステップは適切な順序で行われてもよい。必ずしも前記ステップの記載順序によって実施例が限定されるものではない。実施例における全ての例または例示的な用語(例えば、等)の使用は、単に実施例を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲によって限定されない限り、前記の例または例示的な用語によって実施例の範囲が限定されるものではない。また、通常の技術者は、様々な修正、組み合わせ及び変更が追加された特許請求の範囲またはその均等物の範囲内で設計条件及び要因によって構成され得ることを理解することができる。
【国際調査報告】