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特表2023-541091オリゴヌクレオチドを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】オリゴヌクレオチドを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6561 20060101AFI20230921BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230921BHJP
   C40B 50/14 20060101ALN20230921BHJP
【FI】
C07F9/6561 Z
C12N15/11 Z ZNA
C40B50/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577378
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 CN2020101401
(87)【国際公開番号】W WO2022006871
(87)【国際公開日】2022-01-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522486139
【氏名又は名称】チャンヂョウ シンザオール ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU SYNTHEALL PHARMACEUTICALS CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】522486140
【氏名又は名称】シャンハイ エスティーエー ファーマシューティカル アールアンドディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI STA PHARMACEUTICAL R&D CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フー, チェンチェン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ, チャン
(72)【発明者】
【氏名】リ, チン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジミン
【テーマコード(参考)】
4H050
【Fターム(参考)】
4H050AA02
(57)【要約】
オリゴヌクレオチドを調製するための方法を開示する。この方法は、(a)式X-1の化合物を式X-2の化合物に変換するステップであって、R10はオリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー)の残基であり;R11はアミン保護基であり;式X-1の化合物は固体支持体に結合されていないステップと;及び(b)任意選択で式X-2の化合物における保護基を除去してオリゴヌクレオチドを得るステップと;を含む。本明細書に記載された合成方法は、標的ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの収率及び純度を向上でき、4-ニトロスチレン付加物不純物を低減できる等、多くの側面において有利であるが、これに限定されない。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式X-1の化合物を式X-2の化合物に変換するステップ
【化1】

(式中:
10は、出発オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー)の残基であり、
11は、アミン保護基であり、
前記式X-1の化合物は、固体支持体に結合していない。)と、
(b)任意選択で前記式X-2の化合物中の保護基を除去して、オリゴヌクレオチドを得るステップと、
を含む、オリゴヌクレオチドを調製するための方法。
【請求項2】
前記変換するステップが、好ましくは溶液中の前記式X-1の化合物を、アルカリ試薬、及び式X-3の化合物と反応できる捕捉剤を含む混合物に添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【化2】
【請求項3】
前記アルカリ試薬が、水中でのpKaが約9以上の塩基性有機アミンであり、例えば、前記アルカリ試薬が、環状塩基性アミン、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記捕捉剤が、-SH部分又は1,3-ジカルボニル部分を有し、例えば、前記捕捉剤がX-4の化合物である、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【化3】

(式中、
qは0、1、又は2であり、
は、存在ごとに、独立的に、置換されていてもよいC1~6アルキル(例えば、メチル)である。)
【請求項5】
前記捕捉剤が、チミン又はその誘導体である、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
11が、NHによる処理によって除去され得るアミン保護基、例えば、R11がアシル基、例えば-C(=O)-R(式中、Rは置換されていてもよいC1~6アルキル、例えばC1~6アルキル(例えば、イソプロピル)、アリールで置換されたC1~6アルキル(例えば、ベンジル)、又はアリールオキシで置換されたC1~6アルキルである。)である、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(a)式X-5の化合物を式X-6の化合物に変換するステップ
【化4】

(式中、
m1及びm2は、独立的に0~50の整数(例えば、0~30)であり、
11は、アミン保護基であり、
Baseは、存在ごとに、独立的に、G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)、及びT(チミン)、それらの修飾類似物、及びそれらの保護された誘導体より選択される塩基であり、ただし、前記式X-5におけるBaseが保護された塩基である場合、式X-6の対応するBaseは同じ保護された塩基又は対応する一部若しくは完全に脱保護された塩基であってよく、
式中、
は適当な5’末端基(例えば、短いペプチド、置換されていてもよいアルキルアミノ基、置換されていてもよい複素環基等)であり、及び
は適当な3’末端基、例えば水素又は保護基(例えば、アシル基、トリチル等)である。)と、
(b)前記式X-6の化合物中の保護基を任意選択で部分的又は完全に除去して、オリゴヌクレオチドを得るステップと、
を含む、オリゴヌクレオチドを調製するための方法。
【請求項8】
式X-5又はX-6におけるBaseが、存在ごとに、以下から独立的に選択される、請求項7に記載の方法。
【化5】

(式中、R11はアミン保護基である。)
【請求項9】
m1及びm2の一方が0であるか、又はm1もm2も0でない、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
m1とm2との和が5~50、例えば10~40である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
が、置換されていてもよいアルキルアミン又は置換されていてもよい複素環、例えば、アミド(例えば、-C(O)NH)で置換されたアルキルアミン、例えば、
【化6】

、置換されていてもよいピペリジン環、例えば、
【化7】

、(式中、Rは、アシル基、アシルオキシ基、又はペプチド残基である。)である、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
が、水素、トリチル又はアシル基(例えば、アセチル)である、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記変換するステップが、好ましくは溶液中の前記式X-5の化合物を、アルカリ試薬及び式X-3の化合物と反応できる捕捉剤を含む混合物に添加することを含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【化8】
【請求項14】
前記アルカリ試薬が、水中でのpKaが約9以上の塩基性有機アミンであり、例えば、前記アルカリ試薬が、環状塩基性アミン、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記捕捉剤が、-SH部分又は1,3-ジカルボニル部分を有し、例えば、前記捕捉剤がX-4の化合物である、請求項13又は14に記載の方法。
【化9】

(式中、
qは0、1、又は2であり、
は、存在ごとに、独立的に置換されていてもよいC1~6アルキル(例えば、メチル)である。)
【請求項16】
前記捕捉剤が、チミン又はその誘導体である、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
11が、NHでの処理によって除去可能なアミン保護基であり、例えば、R11が、アシル基、例えば-C(=O)-R(式中、Rは置換されていてもよいC1~6アルキル、例えば、C1~6アルキル(例えば、イソプロピル)、アリールで置換されたC1~6アルキル(例えば、ベンジル)、又はアリールオキシで置換されたC1~6アルキルである。)である、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
NHで式X-6の化合物を処理して、式X-6における保護基を部分的又は完全に除去するステップを更に含む、請求項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記式X-5の化合物は、式X-7のオリゴヌクレオチドから固体支持体を例えばNHにより切断することを含む過程によって調製される、請求項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【化10】

(式中、
SSは固相支持体、例えばポリスチレン固体支持体であり、
はリンカー、例えば、サルコシン系リンカー、例えば、
【化11】

(式中、窒素末端がリン原子に結合し、カルボニル末端が固体支持体とアミド結合を形成している。)であり、
式X-7におけるm1、m2、及びR11は、式X-5における対応する基と同じであり、
Baseは、存在ごとに、独立的に、G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)、及びT(チミン)、それらの修飾類似物、及びそれらの保護された誘導体より選択される塩基であり、ただし、前記式X-7におけるBaseが保護された塩基である場合、式X-5における対応する塩基は同じ保護された塩基又は対応する部分的若しくは完全に脱保護された塩基であってよく、及び
は、適当な3’末端基、例えば水素又は保護基(例えば、アシル基、トリチル)である。)。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法により製造された製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本開示は、一般に、オリゴヌクレオチド、例えばホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)、を調製するための方法に関する。
【0002】
[背景]
ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー、すなわちPMOは、相補的なRNAに配列特異的に堅く結合する核酸類似物であり、タンパク質合成の調節、ひいては遺伝子発現の調節に有用である。このオリゴマーは、モルフォリノ骨格系で支持された塩基対認識部分(複素環塩基)からなる。このようなオリゴマーの合成に使用するモルフォリノサブユニットは、入手が容易で安価な前駆体である、対応するリボヌクレオシドから容易に調製することが可能である。
【0003】
このような合成の間、従来のオリゴヌクレオチド合成と同様、複素環塩基上の官能基は合成変換の妨げにならないよう、通常遮蔽される。
【0004】
O6-非保護グアニンサブユニットは、オリゴマーの段階で副反応を起こすことが知られている。例えば、O6酸素はカップリングステップにおいて活性化サブユニットと反応でき、O6-リン酸化種又は誘導体種を形成して、塩基の保護基をアンモニアで最終切断する際、アンモニアはC6で反応して、これらの種を置換し、ジアミノプリン誘導体が得られる。このような不純物はクロマトグラフィーで除去することが困難であり、収率を大きく低下させる原因となる。
【0005】
従来のオリゴヌクレオチド合成において、保護されていないグアニンO6位の副反応を低減するために、当該技術分野では様々な保護スキームが提案されている。しかし、これらのプロトコルをホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー合成に適用すると、ほとんど失敗した。したがって、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー合成、特にGモルフォリノサブユニットの使用において、収率と純度を高めるための改善法が必要とされている。
【0006】
[概要]
モルフォリノ化学に特有の課題として、塩基の保護基はいくつかの要件を満たす必要がある。保護基は、複素環部分に容易に導入でき、導入後、サブユニットの活性化、精製条件、固相合成に対して安定である必要がある。保護基は、成長する鎖のモルフォリノアミン部分と反応性であってはならず、活性化モルフォリノサブユニットが成長するオリゴマー鎖ときれいにカップリングできる必要がある。保護基は、新たな不純物を導入することなく、好ましくはアンモニアで、切断されなければならない。最後に、活性化の前にクロマトグラフィーによる精製を必要としないように、結晶性のサブユニット誘導体に至る必要がある。
【0007】
米国特許出願公開第2009/0131624号に記載されているように、O6-位の4-ニトロフェネチル(NPE)基は、これらの基準を十分に満たしていない。NPE基は、アルカリ試薬によりβ-エリミネーション機構により切断される。これらの条件では、反応性の副産物である4-ニトロスチレンを生成しやすく、この化合物はオリゴマーの反応部位と反応できる。オリゴマーによる副生成物の捕捉を防ぐために、脱保護混合物に様々な捕捉剤(チオールや1,3-ジカルボニル化合物等)を導入したが、この内部回帰の問題を完全に解決するものはなかった。精製後であっても、このサブユニットを使用して調製したオリゴマーは、黄色味を帯びていた。様々な実施形態において、本開示は、これらの問題の1つ又は複数を解決するのに有用な方法及び過程を提供する。
【0008】
1つの態様において、本開示は、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(「PMO」)等のオリゴヌクレオチドを調製するための方法を提供する。
【0009】
更なる態様において、本開示は、固相支持されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴヌクレオチドの調製に有用な方法及び組成物を提供する。
【0010】
本明細書に記載されたPMOの合成方法は、多くの側面において有利であり、例えば、目的のホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの収率及び純度の向上、及び4-ニトロスチレン付加物の不純物の低減が挙げられるが、これらに限らない。
【0011】
本開示のこれら及び他の目的及び特徴は、以下の本開示の詳細な説明を読めば、より完全に明らかとなる。
【0012】
[開示の詳細な説明]
オリゴヌクレオチド合成の例示的方法
本開示は、
(a)式X-1の化合物を式X-2の化合物に変換するステップ:
【化1】

(式中、
10は、出発オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー)の残基であり;
11は、アミン保護基であり;
好ましくは、式X-1の化合物は、固体支持体に結合していない。)と
(b)任意選択で式X-2の化合物中の保護基を除去して、オリゴヌクレオチドを得るステップと
を含む、オリゴヌクレオチドを調製するための方法を提供する。
【0013】
式X-1及びX-2において、R10は、同じ又は異なってもよく、それは式X-1における出発オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー)の残基が、NPE基が除去される条件下で変化するかどうかに依存することは、当業者には明らかである。例えば、いくつかの実施形態において、式X-1で示されるNPE基以外、他の保護基が脱保護されないならば、R10は式X-1とX-2で同じであり得る。いくつかの実施形態において、式X-2中のR10は、式X-1中のR10の脱保護バージョンを表し得る。
【0014】
オリゴヌクレオチド(及び出発オリゴヌクレオチド)は、特に限定されない。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーである。通常、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に配列特異的に結合するためのターゲティング塩基配列を含む。標的配列とターゲティング配列は、逆平行な配置でハイブリダイゼーションが起こる場合、互いに「相補的」であると説明される。ターゲティング配列は、標的配列に対して、「近い」又は「実質的な」相補性を有していてもよく、ここで記載されている方法の目的のために依然として機能する、すなわち、依然として「相補的」であってよい。好ましくは、ここで記載されている方法で採用されるオリゴヌクレオチド類似化合物は、10ヌクレオチドごとに標的配列とのミスマッチが最大1個、好ましくは20ヌクレオチドごとにミスマッチが最大1個である。或いは、採用されるアンチセンスオリゴマーは、本明細書で指定される例示的なターゲティング配列と、少なくとも80%の配列相同性、少なくとも90%の配列相同性、又は少なくとも95%の配列相同性を有する。RNA標的への相補的結合のため、及び以下に議論されるように、グアニン塩基はシトシン又はウラシルRNA塩基のいずれかと相補的であってよい。
【0015】
11として、様々なアミン保護基を使用できる。通常、R11は、NHで処理することによって除去できるアミン保護基である。例えば、いくつかの実施形態において、R11は、アシル基、すなわち、R-C(=O)-であり、ここで、Rは、例えば、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールであってよく、それらのそれぞれが置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、R11は、-C(=O)-Rであり、ここでRは、置換されていてもよいC1~6のアルキル、例えば,C1~6のアルキル(例えば、イソプロピル)、アリール置換されたC1~6アルキル(例えば、ベンジル)、又はアリールオキシ置換されたC1~6アルキルである。いくつかの特定の実施形態において、R11は、-C(=O)-Rであってよく、ここでRは、C1~6アルキル(例えば、イソプロピル)、アリール(例えば、フェニル)又はアリール置換されたC1~6アルキル(例えば、ベンジル)で、好ましくはRは、イソプロピルである。
【0016】
いくつかの好ましい実施形態において、式X-1の化合物は、固体支持体に結合していない。理論に縛られることは望まないが、固体支持体に結合することなく、式X-1のNPE基の脱保護を制御でき、それによって4-ニトロスチレン副生成物が式X-2の化合物よりも反応媒体中で捕捉剤と優先的に反応できると考えられる。しかしながら、いくつかの実施形態においては、式X-1の化合物は固体支持体に結合してもよく、例えば、過剰量の捕捉剤を加えることによって反応を制御でき、それによって、4-ニトロスチレン副生成物が式X-2の化合物よりも反応媒体中で捕捉剤と優先的に反応できる。
【0017】
式X-1の化合物を式X-2の化合物に変換する際の条件は、特に限定されない。しかしながら、いくつかの好ましい実施形態において、変換するステップは、式X-1の化合物を、好ましくは溶液中で、アルカリ試薬(例えば、本明細書に記載)及び式X-3の化合物と反応できる捕捉剤を含む混合物に加えることを含む。
【化2】
【0018】
アルカリ試薬は、通常、塩基性有機アミンである。例えば、いくつかの実施形態において、アルカリ試薬は、水中でのpKaが約9以上、例えば、約9~15、約10~14、約12、約13、又は約14、である塩基性有機アミンである。いくつかの実施形態において、アルカリ試薬は、塩基性環状アミンである。いくつかの実施形態において、アルカリ試薬は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(「DBU」)又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(「DBN」)である。
【0019】
アルカリ試薬は、通常、過剰に添加され、例えば、式X-1の化合物のNPE基(複数可)に対するアルカリ試薬のモル比は、通常、1:1を超え、例えば1.2:1、1.5:1、2:1、5:1若しくは10:1、又は列挙された値の間の任意の範囲、例えば1:1~10:1である。
【0020】
捕捉剤は、式X-3の副生成物と反応できるものであれば、特に限定されない。通常、捕捉剤は-SH又は1,3-ジカルボニル部分を有する。いくつかの実施形態において、捕捉剤は、式X-4の化合物であってよい:
【化3】

(式中:
qは0、1、又は2であり、
は、存在ごとに、独立的に置換されていてもよいC1~6アルキル(例えば、メチル)である。)。
【0021】
いくつかの実施形態において、qは0である。いくつかの実施形態において、qは1であり、Rは、置換されていてもよいC1~6アルキル、例えばメチルである。式X-4の化合物が式X-3の化合物の捕捉剤として作用できるのであれば、Rは利用可能ないずれの位置にも付着できる。いくつかの特定の実施形態において、捕捉剤はチミン又はその誘導体である。いくつかの特定の実施形態において、捕捉剤はチミンである。
【0022】
捕捉剤も、通常、過剰に使用される。例えば、式X-1の化合物のNPE基(複数可)に対する捕捉剤のモル比は、通常、1:1を超え、例えば1.2:1、1.5:1、2:1、5:1、10:1、又は列挙された値の間の任意の範囲、例えば1:1~10:1である。式X-1の化合物が4-ニトロスチレンと反応できる塩基を1個又は複数個有する場合、捕捉剤の量を、例えば、式X-1の化合物のNPE基(複数可)に対して50:1(又はそれを超える)まで更に増やすことができる。
【0023】
式X-1から式X-2への変換は、通常、1種又は複数種の溶媒を使用する。様々な溶媒が適合する。有用な溶媒は、本明細書に記載されるもののいずれかを非限定的に含む。例えば、いくつかの実施形態において、溶媒は、非プロトン性極性溶媒、例えばDMF、DMA、DMI、NMP等であってよい。いくつかの好ましい実施形態において、溶媒はNMPであってよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、式X-1の化合物のアルカリ試薬と捕捉剤の混合物への添加は、オリゴヌクレオチドに対するNPE付加物の量が最小になるように、例えば、10%未満、例えば5%未満となるように、制御できる。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法は、式X-2の化合物をNHで処理して、式X-2の保護基を部分的又は完全に除去することを更に含む。例えば、いくつかの実施形態において、R11は、C1~6アルキル-C(=O)-であり、NHで処理すると、R11基が除去されて脱保護された塩基Gが生成する。
【0026】
式X-1の化合物を式X-2に変換する例示的な手順は、本明細書に記載してあり、その記載から当業者は本開示の実施形態に容易に適合させることができる。
【0027】
PMO合成の例示的方法
いくつかの特定の実施形態において、本開示は、PMOを調製するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、
(a)式X-5の化合物を式X-6の化合物に変換するステップ:
【化4】

(式中:
m1及びm2は、独立的に0~50の整数(例えば、0~30)であり;
11は、アミン保護基であり;
Baseは、存在ごとに、独立的に、G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)、及びT(チミン)、それらの修飾類似物、及びそれらの保護された誘導体より選択される塩基であり、ただし式X-5におけるBaseが保護された塩基である場合、式X-6の対応するBaseは同じ保護された塩基又は対応する部分的若しくは完全に脱保護された塩基であってよく;
式中:
は適当な5’末端基(例えば、短いペプチド、置換されていてもよいアルキルアミノ基、置換されていてもよい複素環基等)であり;及び
は適当な3’末端基、例えば水素又は保護基(例えば、アシル基、トリチル等)である。)と;
(b)式X-6の化合物中の保護基を任意選択で部分的又は完全に除去して、オリゴヌクレオチドを得るステップと
を含む。
【0028】
式X-5又はX-6のオリゴヌクレオチドは、配列の様々な位置に様々な数のGモノマーを有し得る。いくつかの実施形態において、m1は0である。いくつかの実施形態において、m2は0である。いくつかの実施形態において、m1もm2も0でない。いくつかの実施形態において、m1とm2との合計は、5~50の間、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、又は列挙された値の間の任意の範囲、例えば10~40、15~30である。
【0029】
式X-5又はX-6におけるBaseは、G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)、及びT(チミン)、それらの修飾類似物、及びそれらの保護された誘導体より独立的に選択できる。本明細書で使用される修飾類似物としては、非標準的な塩基、例えば5-メチルシトシン、イノシン(I)、及び7-デアザ-G塩基が挙げられる。いくつかの実施形態において、式X-5又はX-6におけるBaseは、以下から独立的に選択できる。
【化5】
【0030】
いくつかの実施形態において、式X-5におけるBaseがGモノマー単位である場合、それはNPEGであってよい:
【化6】

(式中、R11は、本明細書において定義されている。いくつかの実施形態において、式X-5のGモノマー単位のすべてが、NPEGであってよい。)。
【0031】
オリゴヌクレオチド、例えばPMOは、5’末端や3’末端に様々な末端を持つことができる。本明細書に記載された合成方法では、このような末端の正確な識別は重要ではなく、PMOに適した既知の末端のいずれかを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、式X-5又は式X-6におけるTは、置換されていてもよいアルキルアミン、例えば、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)であって、この場合、2つのC1~6アルキルは同じ又は異なっていてよく、これらのそれぞれは例えばアミドにより置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、式X-5又はX-6におけるTは、アミド(例えば、-C(O)NH)で置換されたアルキルアミン、例えば、
【化7】

であってよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、式X-5又はX-6におけるTは、置換されていてもよい複素環、例えば、N、O、及びSから独立的に選択される1個又は2個の環ヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~7員複素環、例えば置換されていてもよいピペリジン環等、例えば、
【化8】

(式中、Rは、アシル基、アシルオキシ基、又はペプチド残基である。)
であってよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、式X-5又はX-6におけるTは、水素であってよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、式X-5又はX-6におけるTは、トリチル基又はメトキシ基置換されたトリチル基(例えば、MMT、DMT等)であってよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、式X-5又はX-6におけるTは、アシル基(例えば、アセチル)であってよい。
【0037】
式X-5又はX-6のPMOは、任意の配列を有してもよく、標的核酸に配列特異的に結合するためのターゲティング塩基配列を好ましくは含む。
【0038】
式X-5又はX-6におけるR11としては、種々のアミン保護基を使用できる。通常、R11は、NHで処理することによって除去できるアミン保護基である。例えば、いくつかの実施形態において、R11は、アシル基、すなわち、R-C(=O)-であり、ここで、Rは、例えば、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールであってよく、それらのそれぞれが置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、R11は、-C(=O)-Rであり、ここでRは、置換されていてもよいC1~6のアルキル、例えば、C1~6アルキル(例えば、イソプロピル)、アリールで置換されたC1~6アルキル(例えば、ベンジル)、又はアリールオキシで置換されたC1~6アルキルである。いくつかの特定の実施形態において、R11は、-C(=O)-Rであってよく、ここでRは、C1~6アルキル(例えば、イソプロピル)、アリール(例えば、フェニル)又はアリールで置換されたC1~6アルキル(例えば、ベンジル)であり、好ましくは、Rは、イソプロピルである。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、式X-5の化合物は、固体支持体に結合していない。
【0040】
式X-5の化合物を式X-6の化合物に変換する際の条件は特に限定されない。しかしながら、いくつかの好ましい実施形態において、変換するステップは、好ましくは溶液中の式X-5の化合物を、アルカリ試薬(例えば、本明細書に記載されている)及び式X-3の化合物と反応できる捕捉剤を含む混合物に添加することを含む:
【化9】
【0041】
アルカリ試薬は、通常、塩基性有機アミンである。例えば、いくつかの実施形態において、アルカリ試薬は、水中でのpKaが約9以上、例えば約9~15、約10~14、約12、約13、又は約14の塩基性有機アミンである。いくつかの実施形態において、アルカリ試薬は、塩基性環状アミンである。いくつかの実施形態において、アルカリ試薬は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(「DBU」)又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(「DBN」)である。アルカリ試薬は、通常、過剰に添加され、例えば、式X-5の化合物のNPE基(複数可)に対するアルカリ試薬のモル比は、通常、1:1を超え、例えば1.2:1、1.5:1、2:1、5:1、10:1、又は列挙された値の間の任意の範囲、例えば1:1~10:1である。
【0042】
捕捉剤は、式X-3の副生成物と反応できるものであれば、特に限定されない。通常、捕捉剤は-SH部分又は1,3-ジカルボニル部分を有する。いくつかの実施形態において、捕捉剤は、式X-4の化合物であってよい:
【化10】

(式中:
qは0、1、又は2であり、
は、存在ごとに、独立的に置換されていてもよいC1~6アルキル(例えば、メチル)である)。
【0043】
いくつかの実施形態において、qは0である。いくつかの実施形態において、qは1であり、Rは、置換されていてもよいC1~6アルキル、例えばメチルである。式X-4の化合物が式X-3の化合物の捕捉剤として作用できるのであれば、Rは利用可能ないずれの位置にも付着できる。いくつかの特定の実施形態において、捕捉剤はチミン又はその誘導体である。いくつかの特定の実施形態において、捕捉剤はチミンである。
【0044】
通常、捕捉剤も過剰に使用される。例えば、式X-5の化合物のNPE基(複数可)に対する捕捉剤のモル比は、通常、1:1を超え、例えば1.2:1、1.5:1、2:1、5:1、10:1、又は列挙された値の間の任意の範囲、例えば1:1~10:1である。式X-5の化合物が4-ニトロスチレンと反応できる1個又は複数個の塩基を有する場合、捕捉剤の量は、例えば、式X-5の化合物のNPE基(複数可)に対して50:1(又はそれを超える)まで更に増やすことができる。
【0045】
式X-5から式X-6への変換は、通常、1種又は複数種の溶媒を使用する。様々な溶媒が適合する。有用な溶媒は、本明細書に記載されるもののいずれかを非限定的に含む。例えば、いくつかの実施形態において、溶媒は、非プロトン性極性溶媒、例えばDMF、DMA、DMI、NMP等であってよい。いくつかの好ましい実施形態において、溶媒はNMPであってよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、式X-5の化合物のアルカリ試薬と捕捉剤の混合物への添加は、オリゴヌクレオチドへのNPE付加物の量が最小になるように、例えば、10%未満、例えば5%未満となるように、制御できる。
【0047】
いくつかの実施形態において、本方法は、式X-6の化合物をNHで処理して、式X-6の保護基を部分的又は完全に除去することを更に含む。例えば、いくつかの実施形態において、R11は、C1~6アルキル-C(=O)-であり、NHで処理すると、R11基が除去されて脱保護された塩基Gが生成する。
【0048】
式X-5の化合物は、本開示の観点から、当業者によって容易に調製できる。例えば、いくつかの実施形態において、式X-5の化合物は、式X-7のオリゴヌクレオチドから固体支持体を、例えば、NHで切断することを含む方法によって調製できる:
【化11】

(式中:
SSは固相支持体、例えばポリスチレン固体支持体であり、
はリンカー、例えばサルコシン系リンカー、例えば、
【化12】

(式中、窒素末端はリン原子に結合し、カルボニル末端は固体支持体とアミド結合を形成している。)であり;
式X-7におけるm1、m2、R11は、式X-5中の対応する基と同じであり、
Baseは、存在ごとに、独立的に、G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)、及びT(チミン)、それらの類似体、及びそれらの保護された誘導体より選択される塩基であり、ただし式X-7におけるBaseが保護された塩基である場合、式X-5における対応する塩基は同じ保護された塩基又は対応する部分的又は完全に脱保護された塩基であってよく;及び
は適当な3’末端基、例えば水素又は保護基(例えば、アシル基、トリチル)である。)。
【0049】
いくつかの実施形態において、SSは、固体支持体、例えばポリスチレン固体支持体であって、-CH-NH基を有し、代替的にSS-CH-NHとされる。
【0050】
いくつかの実施形態において、Lは、サルコシン系のリンカー、例えば
【化13】

(式中、窒素末端がリン原子に結合し、カルボニル末端が固体支持体とアミド結合を形成している。)である。
【0051】
いくつかの実施形態において、式X-7におけるBaseは、以下から独立的に選択できる。
【化14】
【0052】
いくつかの実施形態において、式X-7におけるTは、水素であってよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、式X-7におけるTは、トリチル、又はメトキシで置換されたトリチル基(例えば、MMT、DMT等)であってよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、式X-7におけるTは、アシル基(例えば、アセチル)であってよい。
【0055】
式X-7の化合物は、本開示の観点から、当業者が調製できる。例示された手順は、本明細書の実施例の項にも記載されている。
【0056】
式X-5の化合物を式X-6に変換する例示された手順は、本明細書に記載してあり、その記載から当業者は本開示の実施形態に容易に適合させることができる。
【0057】
本明細書で定義されている、式X-5、X-6、又はX-7の化合物も、本開示の新規組成物であることに留意されたい。加えて、本明細書に記載の方法によって製造されるオリゴヌクレオチドのいずれもが、本開示の新規組成物でもある。いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の方法によって製造されたオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を更に提供する。
【0058】
更なる態様において、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーから4-ニトロフェネチル(NPE)基を脱保護する方法であって、アルカリ試薬及び捕捉剤、例えば1、3-ジカルボニル部分を有するものの存在下で、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを処理することを含む方法が提供される。PMOは、標的核酸に配列特異的に結合するためのターゲティング塩基配列を好ましくは含んでいる。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態において、本方法は、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを、アルカリ試薬及び捕捉剤の混合物中に添加することを含む。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態において、塩基によって保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーは、例えば、本開示に記載されるような式X-5の化合物である。
【0061】
NPE基を脱保護するためのアルカリ試薬は、特に限定されるものではない。しかし、このようなアルカリ試薬は、例えば、PMOの主鎖に対して大きな反応性を持たない。アルカリ試薬は、通常、保護された塩基、例えば保護されたグアニンからNPE基を除去するのに適したpKaを有する。本開示において、アルカリ試薬は、有機アルカリ試薬、例えば、水中で約9以上、例えば約9~15、約10~14、約12、約13、又は約14等のpKaを有する塩基性有機アミンであってよい。いくつかの実施形態において、アルカリ試薬は、塩基性環状アミン、例えばDBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)、DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)又はそれらの混合物、例えば、DBUである。
【0062】
本明細書の方法で使用する捕捉剤は、NPE基(複数可)の脱保護によって生成する4-ニトロスチレンと反応できる当技術分野で公知のもののいずれかが挙げられる。いくつかの実施形態において、捕捉剤は、例えば、本明細書に記載されるような-SH基又は1,3-ジカルボニル部分を有してもよい(例えば、本開示に記載されるような式X-4の化合物)。本開示のいくつかの好ましい実施形態において、捕捉剤は、1,3-ジカルボニル化合物、例えば、チミン、マロン酸ジエチル又はそれらの混合物、例えば、チミンであってよい。
【0063】
一つの実施形態において、塩基によって保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー中のNPE基(複数可)に対するアルカリ試薬のモル比は、1:1より大きく、例えば1:1~10:1、1.2~10:1又は1.5:1~10:1であってよい。一つの実施形態において、アルカリ試薬の量は、NPE基(複数可)に対して過剰である。
【0064】
一つの実施形態において、捕捉剤は、通常、過剰に使用されることもある。例えば、塩基によって保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーにおけるNPE基(複数可)に対する捕捉剤のモル比は、通常、1:1を超え、例えば1.2:1、1.5:1、2:1、5:1、10:1、又は列挙された値の間の任意の範囲、例えば1:1~10:1である。塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーが4-ニトロスチレンと反応できる1個又は複数個の塩基を有する場合、捕捉剤の量は、例えば、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーのNPE基(複数可)に対して50:1まで(又はそれを超える)更に増やすことができる。
【0065】
本開示において、NPE基を脱保護する過程は、溶媒の存在下で行ってよい。溶媒は、NPE基を脱保護するために当技術分野で使用される任意の溶媒であってよい。本開示において、溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばDMF、DMA、DMI、NMP等より選択できる。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態において、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーからNPE基を脱保護する過程は、第1の溶媒中の塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの混合物を、第2の溶媒中のアルカリ試薬及び捕捉剤の混合物に添加することを含む。第1の溶媒と第2の溶媒は、同じでも異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、第1及び第2の溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばDMF、DMA、DMI、NMP等より選択されてよい。第1の溶媒中の塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの混合物において、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの濃度は、0.001M~0.1M、例えば0.01M~0.02Mであってよい。第2の溶媒中のアルカリ試薬と捕捉剤の混合物において、アルカリ試薬の濃度は、0.1M~5M、例えば0.5M~1.0Mであり得;捕捉剤の濃度は、0.1M~5M、例えば0.5M~1.5M、例えば、0.8Mであり得る。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態において、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーからNPE基を脱保護する過程は、第1の溶媒中の塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの混合物を、第2の溶媒中のアルカリ試薬及び捕捉剤の混合物に添加することを含む。第1の溶媒と第2の溶媒は、同じでも異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、第1及び第2の溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばDMF、DMA、DMI、NMP等より選択されてよい。第1の溶媒中の塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの混合物において、塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの濃度は、0.001M~0.1M、例えば0.01M~0.02Mであり得る。第2の溶媒中のアルカリ試薬及び捕捉剤の混合物において、アルカリ試薬の濃度は、0.1M~5M、例えば、0.5M~1.0Mであり得;及び捕捉剤の濃度は、0.1M~5M、例えば、0.5M~1.5M、例えば0.8Mであり得る。一つの実施形態において、添加の速度は、1~10mL/分、例えば、2mL/分、3mL/分、4mL/分、5mL/分、6mL/分、7mL/分、8mL/分又は9mL/分であってよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、本開示は、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを調製するための方法を提供し、これは、本明細書の上記に記載されるように、塩基によって保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーからNPE基(複数可)を脱保護する過程を含む。
【0069】
本明細書におけるオリゴマーの合成は、一般に、本明細書に記載するように、支持体-媒体上で実施される。一般的には、第一の出発原料(例えば、モノマー、例えばモルフォリノサブユニット)を支持媒体に最初に結合させた後、支持体に結合した出発原料にサブユニットを順次カップリングさせることによりオリゴマーを合成する。この反復伸長により、最終的なオリゴマー化合物を生成する。適切な支持媒体は、可溶性でも不溶性でもよく、伸長する支持体に結合したポリマーを所望に応じて溶液中又は溶液外にできるように、異なる溶媒に対して様々な溶解度を有してもよい。従来の支持媒体は、ほとんどの場合不溶性であり、一般的に反応容器に入れられ、オリゴマーが目的の長さになるまで、試薬や溶媒が成長する鎖と反応しながら及び/又は成長する鎖を洗浄しながら、目的の長さになった後は支持体から切断され、必要なら更に加工して、最終的な高分子化合物を生成する。最近のアプローチでは、可溶性高分子支持体を含有する可溶性支持体を導入し、合成の任意の時点で、繰り返し合成される生成物を沈殿、溶解させることができるようになった。
【0070】
特定の実施形態において、モルフォリノは、その安定性及び/又は溶解性を高めるために、オリゴマーの5’又は3’末端で「テール」部分とコンジュゲートされる。例示的なテールとしては、短いペプチド、置換されていてもよいアルキルアミノ基、置換されていてもよい複素環基等、アシル基、トリチル等が挙げられる。一つの実施形態において、好適な5’末端基は、例えば、短いペプチド、置換されていてもよいアルキルアミノ基、置換されていてもよい複素環基等(例えば、-C(O)NH)で置換されたアルキルアミン、例えば、
【化15】

である。別の実施形態において、好適な3’末端基は、例えば、水素又は保護基(例えば、アシル基、トリチル等)である。
【0071】
いくつかの実施形態において、本開示は、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを調製するための方法であって、
(a)保護されていない環窒素を有する、固相に支持されたモルフォリノサブユニットと、保護された環窒素及び5’-環外炭素上の活性化ホスホルアミデート基を有する、塩基が保護されたモルフォリノサブユニットモノマーとを反応させ、
それによって、5’-環外炭素と保護されていない窒素との間にホスホロジアミデート結合を形成するステップ;
(b)保護された窒素を脱保護し、保護されていない窒素を形成するステップ;
(c)ステップ(a)及び(b)を別の塩基が保護されたモルフォリノサブユニットモノマーで1回又は複数回繰り返して、塩基が保護されたモルフォリノ修飾固体支持体を得るステップ;及び
(d)切断及び脱保護の3段階を実施して、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを得るステップであって;切断及び脱保護の3段階は、上記のように塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーからNPE基を脱保護する過程を含むステップ;
を含み、
ここで、塩基が保護されたモルフォリノサブユニットモノマーの少なくとも1個は、(M)の構造を有する保護されたグアニンモルフォリノ化合物である:
【化16】

(式中、Rは、クロロホスホルアミデート基であり;
は、低級アルキル、単環のアリールメチル基、又は単環の(アリールオキシ)メチルであり;
は、トリアリールメチル基である)。
【0072】
モルフォリノ環窒素(R)に対するトリアリールメチル保護基の例は、トリフェニルメチル(トリチル)、4-メチルトリチル、4,4’-ジメチルトリチル、4,4’,4”-トリメチルトリチル、モノメトキシトリチル(例えば、4-メトキシトリチル)、又はジメトキシトリチル(例えば、4,4’-ジメトキシトリチル)であってよい。
【0073】
は、-O-P(=O)-N(CHClであってよい。
【0074】
は、ベンジル又は-CH(CHであってよい。
【0075】
1つの態様において、式(II)の化合物を調製するための方法であって、化合物(E)をデブロッキング剤と接触させて式(II)の化合物を得るステップを含む方法を、本明細書で提供する:
【化17】

(式中、SSは支持媒体であり、Z
【化18】

であり、酸素末端はサルコシン単位に接続し、mは1、2、3、4又は5であり、RはTr(トリフェニルメチル)又はその誘導体、例えばTr(トリフェニルメチル)、MMTr(p-メトキシフェニルジフェニルメチル)又はDMTr(ジ-(p-メトキシフェニル)フェニルメチル)である。好ましい実施形態において、mは3であり、Rは、Tr(トリフェニルメチル)である。)。
【0076】
1つの実施形態において、式(II)の化合物を調製するための方法は、脱ブロックされた化合物を中和剤と接触させるステップを更に含む。
【0077】
別の態様において、式(III)の化合物を調製するための方法であって、式(II)の化合物と式(G)の化合物とをカップリングして式(III)の化合物を得ることを含む方法、を本明細書で提供する。
【化19】
【0078】
Baseは、任意に保護された核酸塩基、例えばPC、T、PA、P5mC、U、I、PG、DPG又はNPEG;G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)及びT(チミン)、それらの修飾類似物、及びそれらの保護された誘導体、例えばPC、T、PA、P5mC、U、I、PG、DPG又はNPEG等の保護されていてもよい核酸塩基より選択される。
【化20】
【0079】
SS、Z、R、R及びRの定義は、本開示で説明したとおりである。
【0080】
1つの実施形態において、式(III)の化合物を調製するための方法は、式(II)の化合物をキャッピング剤と接触させることを更に含む。
【0081】
別の実施形態において、式(II)の化合物は、上記で定義したような方法から得られる。
【0082】
別の態様において、式(IV)の化合物を調製するための方法であって、以下の連続的なステップを含む方法が、本明細書で提供される:
(i)式(II)の化合物を式(G)の化合物とカップリングさせて、式(III)の化合物を得るステップと;
(ii)以下の順次ステップをn-1回反復して行うステップと;
(ii-1)直前のステップで得られた生成物を脱ブロッキング剤と接触させるステップと;
(ii-2)直前のステップで得られた化合物を式(G)の化合物とカップリングさせ、式(IV)の化合物を形成させるステップを含む;
【化21】

ここで、任意選択で塩基の少なくとも1個はNPEGである;
【化22】

(式中、SS、Z、R、R及びRの定義は、本開示に記載のとおりであり;nは10~40の整数、例えば、nは20~30の整数、例えば25であり。
Baseは、存在ごとに、独立的に、保護されていてもよい核酸塩基、例えば、PC、T、PA、P5mC、U、I、PG、DPG又はNPEG;G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)及びT(チミン)、それらの修飾類似物及びそれらの保護誘導体、例えば、保護されていてもよい核酸塩基、例えばPC、T、PA、P5mC、U、I、PG、DPG又はNPEGより選択される塩基である。)。
【0083】
一つの実施形態において、ステップ(ii-1)は、脱ブロックされた化合物を中和剤と接触させるステップを更に含む。
【0084】
別の実施形態において、ステップ(ii-2)は、直前のステップによって得られた化合物を、キャッピング剤と接触させることを更に含む。
【0085】
更に別の態様において、式(V)の化合物を調製するための方法であって、式(IV)の化合物をデブロッキング剤と接触させて式(V)の化合物を得ることを含む方法を、本明細書で提供する。
【化23】

(式中、SS、Z、Base、R及びnの定義は、本開示に記載されている。
一つの実施形態において、式(V)の化合物を調製する方法は、脱ブロックされた化合物を中和剤と接触させるステップを更に含む。)。
【0086】
更に別の態様では、式(VI)の化合物を調製するための方法であって、式(V)の化合物を切断剤と接触させ、式(VI)の化合物を得ることを含む方法を提供する;
【化24】

(式中、SS、Z、Base、R及びnの定義は、本開示に記載されている。)。
【0087】
別の態様において、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを調製するための方法であって、
(a)式(VI)の化合物を脱保護剤と接触させるステップと;
(b)任意選択で、直前のステップで得られた化合物に対してアミノリシス反応を行って、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを得るステップと;
を含む方法を本明細書で提供する;
【化25】

(式中、Base及びnの定義は、本開示で説明したとおりである。)。
【0088】
一つの実施形態において、各過程(ステップ)は、少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。
【0089】
別の実施形態において、中和剤は、ジクロロメタンとイソプロピルアルコールとを含む溶液中に存在する。
【0090】
更に別の実施形態において、中和剤はモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、又はトリアルキルアミンである。
【0091】
これとは別の実施形態において、中和剤は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0092】
好ましい実施形態において、各過程(ステップ)で使用される中和剤は、25%イソプロパノール/ジクロロメタン中5%ジイソプロピルエチルアミンである。
【0093】
別の実施形態において、式(G)の化合物は、エチルモルフォリン及びジメチルイミダゾリジノンを含む溶液中に存在する。
【0094】
更なる実施形態において、式(G)の化合物は、PMO-NPEGモノマー、PMO-PAモノマー、PMO-PCモノマー及びPMO-Tモノマーより選択される;
【化26】
【0095】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、当技術分野で知られている連続流れモード又は非連続流れモードで実行できる。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、特注のペプチドバッチ反応装置において実行されてよい。
【0096】
更に別の態様では、化合物(E)の調製方法であって、化合物(D)を化合物(S)と接触させて化合物(E)を得ることを含む方法を、提供する;
【化27】

(式中、SS、Z及びRの定義は、本開示において定義されているとおりである。)。
【0097】
化合物(E)を調製する過程において、化合物(S)は使用前に活性化する必要がある場合があり、化合物(S)の活性化は、化合物(S)を溶媒に懸濁させて膨潤させるステップと、その後、溶媒を除去して、塩素化炭化水素溶媒及び溶媒中の塩基の混合物で順次洗浄するステップとを含んでもよい。
【0098】
化合物(S)の活性化において、化合物(S)を懸濁させる溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばアルカノン溶媒、例えばNMPより選択できる。溶媒の量は、特に限定されない。化合物(S)に対する溶媒の体積-質量比は、10mL/g~30mL/gであってよい。溶媒を除去する操作は、濾過であってよい。塩素化炭化水素溶媒は、DCMであってよい。混合物中の塩基は、有機塩基、例えばDIPEAであってもよい。混合物中の溶媒は、アルコール溶媒(例えば、IPA)、塩素化炭化水素溶媒(例えば、DCM)又はそれらの組合せであってよく、より好ましくはアルコール溶媒と塩素化炭化水素溶媒の組合せ(例えば、IPAとDCMの組合せ、容量比は1:1~1:5、例えば1:3であってよい)である。混合物中、塩基の質量パーセンテージは、1%~10%、例えば、5%であってよく、%は、混合物の全質量中の塩基の質量を表す。
【0099】
化合物(E)を調製する過程は、溶媒中で行える。溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えば、アルカノン溶媒、アミド溶媒又はそれらの混合物、例えばNMP、DMI、DMF又はそれらの混合物より選択できる。溶媒の量は、特に限定されない。化合物(S)に対する溶媒の体積-質量比は、10mL/g~30mL/gであってよい。
【0100】
化合物(E)の調製過程において、化合物(D)と化合物(S)のモル比は、1:1~1:3であってよい。
【0101】
化合物(E)の調製過程において、反応温度は20~50℃、例えば40~45℃であってよい。反応の進行は、当技術分野における慣用的な検出方法(例えば、TLC、HPLC、GC又はNMR)を使用して監視できる。化合物(D)の消失は、一般に反応の完了と判断される。そして、反応時間は24~48時間であってよい。
【0102】
好ましい実施形態において、化合物(E)を調製する過程は、好ましくは、化合物(D)の溶媒溶液を化合物(S)の溶媒懸濁液に加えて、反応を行うことを含む。
【0103】
化合物(E)の調製過程において、後処理は、当技術分野において、このような反応のための慣用的な後処理であってよい。本開示において、後処理は、好ましくは、得られた混合物を濾過すること、次に濾過ケーキを溶媒(例えば、アルカノン溶媒、塩素化炭化水素溶媒又はそれらの組合せ等;アルカノン溶媒はNMPであってよい;塩素化炭化水素溶媒はDCMであってよい;溶媒がアルカノン溶媒と塩素化炭化水素溶媒の組合せの場合、その容量比は1:1~1:10であってよい。)で洗浄し、次にNEM(0.2~1.0M)の溶媒(例えば、アルカノン溶媒;例えば、NMP;化合物(S)に対する溶媒の体積-質量比は50mL/g~200mL/gであってよい)溶液、及びBzO(0.2~1.0M)の溶媒(例えば、アルカノン溶媒;例えば、NMP;化合物(S)に対する溶媒の体積-質量比は50mL/g~200mL/gであってよい)溶液を順次加えて、キャッピング反応を実行し、キャッピング反応の終了後、得られた混合物を濾過して溶媒(例えば、塩素化炭化水素溶媒、DCM;化合物(S)に対する溶媒の体積-質量比は100mL/g~300mL/gであってよい。)で洗浄して、乾燥させ、化合物(E)を得る。
【0104】
本開示の好ましい実施形態において、化合物(S)はアミノメチルポリスチレン樹脂であり、これはXi’an Lanxiao Technology Co., Ltd.から入手できる。
【0105】
本開示の好ましい実施形態において、化合物(E)を調製する過程は、溶媒中、触媒、塩基及び縮合剤の存在下で、化合物(C)を化合物(SM4)と接触させて、化合物(D)を得ることを更に含んでもよい;
【化28】

(式中、Z及びRの定義は、本開示において定義されているとおりである。)。
化合物(D)の調製過程において、触媒は、当技術分野において、このような反応のための慣用的な触媒である。本開示において、触媒は、DMAPであってよい。化合物(C)に対する触媒のモル比は、0.01:1~0.5:1、例えば0.33:1であってよい。
【0106】
化合物(D)の調製過程において、塩基は当技術分野でこのような反応のための慣用的な塩基である。本開示において、塩基は、有機塩基、例えば、有機アミン、例えば、DIPEAであってよい。塩基の量は、当技術分野でこのような反応のための慣用的な量である。本開示において、化合物(C)に対する塩基のモル比は、1~3:1、例えば、2.5:1であり得る。
【0107】
化合物(D)の調製過程において、縮合剤は、当技術分野において、このような反応のための慣用的な縮合剤である。本開示において、縮合剤は、EDCI、DCC、DIC、又はそれらの混合物であってよい。縮合剤の量は、当技術分野において、このような反応のための慣用的な量である。本開示において、化合物(C)に対する縮合剤のモル比は、1:1~2:1、例えば、1.1:1であってよい。
【0108】
化合物(D)の調製過程において、化合物(C)と化合物(SM4)のモル比は、1:1~1:2、例えば、1:1.02であり得る。
【0109】
化合物(D)の調製過程において、溶媒は当技術分野において、このような反応のための慣用的な溶媒であり得る。本開示において、溶媒は、塩素化炭化水素溶媒、例えばDCMであってよい。化合物(C)に対する溶媒の体積-質量比は、10mL/g~20mL/g、例えば10mL/gであってよい。
【0110】
化合物(D)の調製過程において、反応温度は20~30℃であってよい。反応の進行は、当技術分野における慣用的な検出方法(例えば、TLC、HPLC、GC又はNMR)を使用して監視できる。化合物(C)の消失は、反応の完了と一般的に判断される。
【0111】
好ましい実施形態において、化合物(D)を調製する過程は、化合物(SM4)、触媒、塩基及び縮合剤を、溶媒中の化合物(C)の溶液に添加して反応を行うことを含む。
【0112】
化合物(D)の調製過程において、後処理は、当技術分野において、このような反応のための慣用的な後処理であってよい。本開示において、後処理は、好ましくは、反応混合物をクエン酸(例えば、10%クエン酸溶液)及び塩水で順次洗浄したのち、有機層を濃縮して乾燥し、化合物(D)を得ることを含む。
【0113】
本開示の好ましい実施形態において、化合物(E)を調製する過程は、化合物(B)を溶媒中で化合物(SM3)と接触させて化合物(C)を得ることを含む、化合物(C)の調製過程を更に含んでよい;
【化29】

(式中、mは1~5の整数であり、Rの定義は、本開示において定義されているとおりである。)。
【0114】
化合物(C)の調製過程において、化合物(SM3)に対する化合物(B)のモル比は、1:1~1:2、例えば、1:2であってよい。
【0115】
化合物(C)の調製過程において、溶媒は当技術分野でのこのような反応のための慣用的な溶媒であり得る。本開示において、溶媒は、エーテル溶媒、例えばTHFであってよい。化合物(B)に対する溶媒の体積-質量比は、10~20mL/g、例えば10mL/gであってよい。
【0116】
化合物(C)の調製過程において、反応温度は20~55℃であってよい。反応の進行は、当技術分野における慣用的な検出方法(例えば、TLC、HPLC、GC又はNMR)を使用して監視できる。化合物(B)の消失は、反応の完了と一般的に判断される。
【0117】
好ましい実施形態において、化合物(C)を調製する過程は、化合物(SM3)を溶媒中で化合物(B)の溶液に添加して反応を行うことを好ましくは含む。
【0118】
化合物(C)の調製過程において、後処理は、当技術分野において、このような反応のための慣用的な後処理であってよい。本開示において、後処理は、反応混合物のpHをNaHCO水溶液(例えば、10%NaHCO水溶液)で約8.5に調整した後、エーテル溶媒(例えばMTBE)を添加して、得られた水層のpHをクエン酸溶液(20%クエン酸溶液)で3~5に調整し、その後、塩素化炭化水素溶媒(例えば、DCM)で抽出して、NaSO水溶液(例えば、10%NaSO水溶液)で洗浄し、得られた有機層を濃縮することにより、化合物(C)を得る。
【0119】
本開示の好ましい実施形態において、化合物(E)を調製する過程は、化合物(B)を調製する過程を更に含んでいてよく、この過程は溶媒中で化合物(A)を塩基の存在下で化合物(SM2)と接触させて、化合物(B)を得ることを含む:
【化30】

(式中、mは1~5の整数であり、Rの定義は、本開示において定義されているとおりである。)。
【0120】
化合物(B)の調製過程において、塩基は、当技術分野でこのような反応のための慣用的な塩基である。本開示において、塩基は、金属水素化物、例えばNaHあってよい。化合物(SM2)に対する塩基のモル比は、0.01:1~1:1、例えば、0.01:1であってよい。
【0121】
化合物(B)の調製過程において、化合物(SM2)に対する化合物(A)のモル比は、1:5~1:20、例えば、1:10であってよい。
【0122】
化合物(B)の調製過程において、溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための慣用的な溶媒であってよい。本開示において、溶媒は、アルカノン溶媒;例えば、NMPであってよい。溶媒の量は、特に限定されなくてもよい。化合物(A)に対する溶媒の体積-質量比は、15mL/g~25mL/g、例えば20mL/gであってよい。
【0123】
化合物(B)の調製過程において、反応温度は20~30℃であってよい。反応の進行は、当技術分野における慣用的な検出方法(例えば、TLC、HPLC、GC又はNMR)を使用して監視できる。化合物(A)の消失は、反応の完了と一般的に判断される。
【0124】
好ましい実施形態において、化合物(B)を調製する過程は、化合物(SM2)の溶媒溶液に塩基を撹拌下で添加した後、化合物(A)を添加して反応を行うことを好ましくは含み、より好ましくは、化合物(SM2)の溶媒溶液に20~30℃にて塩基を添加して、得られた混合物を20~30℃にて10~30分間撹拌した後、化合物(A)を添加して反応を行うことを含む。
【0125】
化合物(B)の調製過程において、後処理は、当技術分野において、このような反応のための慣用的な後処理であってよい。本開示において、後処理は、抽出のために水及び有機溶媒(例えば、塩素化炭化水素溶媒、エーテル溶媒又はそれらの混合物、好ましくはDCMとMTBEとの混合溶媒)を反応混合物に添加して、得られた有機層を塩水で洗浄し、得られた有機層を濃縮して精製(例えば、シリカゲルカラム)し、化合物(B)を得ることを含む。
【0126】
本開示の好ましい実施形態において、化合物(E)を調製する過程は、化合物(A)を調製する過程を更に含むことができ、この過程は、溶媒中、化合物(SM1)を塩基の存在下でRClと接触させ、化合物(A)を得ることを含む;
【化31】

(式中、Rは、本開示において定義されているとおりである。)。
【0127】
化合物(A)の調製過程において、塩基は当技術分野におけるこのような反応のための慣用的な塩基である。本開示において、塩基は、有機塩基、例えば、有機アミン、例えば、DIPEAであってよい。塩基の量は、当技術分野におけるこのような反応のために慣用的な量である。本開示において、RClに対する塩基のモル比は、1:1~3:1、例えば、1.5:1であってよい。
【0128】
化合物(A)の調製過程において、RClに対する化合物(SM1)のモル比は、1:1~1:3、例えば1:2であってよい。
【0129】
化合物(A)の調製過程において、溶媒は、当技術分野におけるこのような反応の慣用的な溶媒である。本開示において、溶媒は、アミド溶媒、例えば、アミド溶媒類、アルカノン溶媒類、塩素化炭化水素溶媒又はそれらの混合物、例えば、DMF、DCM、NMP又はそれらの混合物より選択できる。溶媒の量は、特に限定されなくてもよい。本開示において、化合物(SM1)に対する溶媒の体積-質量比は、10mL/g~30mL/g、例えば、10mL/gであってよい。
【0130】
化合物(A)の調製過程において、反応温度は20~25℃であってよい。反応の進行は、当技術分野における慣用的な検出方法(例えば、TLC、HPLC、GC又はNMR)を使用して監視できる。化合物(SM1)の消失は、反応の完了と一般的に判断される。
【0131】
好ましい実施形態において、化合物(A)を調製する過程は、塩基及びRClを、化合物(SM1)の溶媒中溶液に順次添加して反応を行うことを好ましくは含む。
【0132】
化合物(A)の調製過程において、後処理は、当技術分野におけるこのような反応のための慣用的な後処理であってよい。本開示において、後処理は、反応混合物に抽出のための水及び有機溶媒(例えば、エステル溶媒、好ましくはEtOAc)を添加した後、得られた有機層をNaCl水溶液(例えば、20%NaCl水溶液)で洗浄して、得られた有機層を濃縮して精製(例えば、シリカゲルカラム)し、化合物(A)を得ることを含む。
【0133】
更に別の態様では、化合物(E)が提供される:
【化32】

(式中、Zは、
【化33】

であり、酸素端はサルコシン単位に接続され、mは1、2、3、4、又は5であり、SS及びRの定義は、本開示において定義されているとおりである。)。
【0134】
更なる態様において、オリゴヌクレオチド、例えばホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)の調製における、本開示に記載の化合物(E)の使用が提供される。
【0135】
本明細書に記載されているように、NPE保護されたグアニンモノマーユニットを使用することにより、オリゴヌクレオチドを高い収率と純度で調製できることを発見した。また、非固体支持体結合オリゴヌクレオチドからのNPE基の脱保護は、NPE付加物(不純物)を最小限に抑えながら高効率に行えることも発見した。
【0136】
[定義]
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0137】
実施形態が本明細書で「含む」という言葉で記載されている場合、そうでなければ「含有する」、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語で記載される類似の実施形態も提供されることを理解されたい。しかし、移行語句として請求項で使用される場合、それぞれは別々に、適切な法的及び事実的文脈で解釈されるべきである(例えば、請求項では、移行語句「含む」はよりオープンエンドな表現とされ、「からなる」はより排他的であり、「から本質的になる」は中間的な立場である。)。
【0138】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、明示的に記述されているか、又は文脈から明確に意図されていない限り、複数形の参照を含有する。
【0139】
見出しや小見出しは、便宜上及び/又は形式的な遵守のためにのみ使用され、対象技術を限定するものではなく、対象技術の記述の解釈と関連して参照されるものではない。主題の開示の1つの見出し又は1つの小見出しの下で説明される特徴は、様々な実施形態において、他の見出し又は小見出しの下で説明される特徴と組み合わされてもよい。更に、1個の見出し又は1個の小見出しの下にあるすべての特徴が、実施形態で一緒に使用されるとは限らない。
【0140】
値の範囲が挙げられている場合、その範囲内の各値及び小範囲を包含することを意図している。例えば「C1~6」は、C、C、C、C、C、C、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~5及びC5~6を包含することを意図するものである。
【0141】
「モルフォリノオリゴマー」とは、通常のポリヌクレオチドに水素結合可能な塩基を支持する骨格を有する高分子であって、ペントース糖骨格部分、より具体的にはヌクレオチドやヌクレオシドに通常に見られる、リン酸ジエステル結合で連結されたリボース骨格がなく、その代わりに、環窒素を含有し、環窒素を介してカップリングするものを指す。好ましいモルフォリノオリゴマーは、以下に示すような「モルフォリノサブユニット」構造で構成され、オリゴマーにおいてその構造は、好ましくは(チオ)ホスホロジアミデート結合によって連結され、あるサブユニットのモルフォリノ窒素を隣接するサブユニットの5’環外炭素に結合する。各サブユニットは、塩基特異的水素結合によって、ポリヌクレオチド中の塩基に結合するために有効である、プリン又はピリミジン塩基対部分Baseを含む。
【化34】
【0142】
「ホスホロジアミデート」基は、2個の酸素原子と2個の窒素原子が結合したリンを含み、本明細書では1個の酸素原子と3個の窒素原子が結合したリンを指す場合もある。
本明細書に記載のオリゴマーのサブユニット間結合において、第1の窒素は、通常、主鎖につり下がっており、第2の窒素は環窒素mモルフォリノ環構造:下記式(a1)に示すようなものである。代替的に又は追加的に、下記式(b1)及び(c1)に示すように、5’-環外炭素に窒素が存在してもよい。
【化35】
【0143】
Base1、Base2は同じでも異なっていてもよく、その定義は本開示に記載の塩基と同じである。
【0144】
チオホスホロジアミデート結合では、1個の酸素原子、通常、本明細書に記載のオリゴマーの主鎖につり下がっている酸素が、硫黄に置き換えられている。
【0145】
好ましい実施形態において、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーは、以下の一般構造のホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを指す。
【化36】
【0146】
「固相支持されたモルフォリノサブユニット」は、本明細書に記載の固相段階的合成によってモルフォリノオリゴマーに組み込まれた最初又はその後の任意のモルフォリノサブユニットモノマーであってよい。サブユニットは、その5’環外炭素を介して、固体支持体、又は固体支持体上で成長しているオリゴマー鎖に結合している。「塩基が保護された」とは、モルフォリノサブユニット上の塩基対基、例えば、プリン又はピリミジン塩基を、オリゴマーの段階的合成における塩基対基の反応又は干渉を防止するのに適した保護基で、保護することを指す。
【0147】
「活性化ホスホルアミデート基」は、通常、クロロホスホルアミデート基であり、オリゴマー中の最終的なホスホルアミデート結合に含まれることが望まれる窒素での置換を有している。例えば、(ジメチルアミノ)クロロホスホルアミデート、すなわち-O-P(=O)(NMe)Clが挙げられる。
【0148】
「塩基が保護された」又は「塩基保護」とは、モルフォリノサブユニット上の塩基対基、例えばプリン又はピリミジン塩基を、オリゴマーの段階的合成における塩基対基の反応又は干渉を防止するのに適した保護基で、保護することを指す。好ましい実施形態において、塩基が保護されたモルフォリノサブユニットモノマーの少なくとも1個は、構造(M)を有する保護されたグアニンモルフォリノ化合物から誘導される。
【化37】
【0149】
、R及びRの定義は、本開示に記載されているとおりである。
【0150】
「核酸塩基」としては、核酸の合成に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、シトシル基、ウラシル基、チミニル基等のピリミジン塩基、及びアデニル基、グアニル基等のプリン塩基が挙げられる。「保護されていてもよい核酸塩基」とは、例えば、アデニル基、グアニル基又はシトシル基においてアミノ基が保護されていてもよいことを意味し、それは、アミノ基を有する核酸塩基であって、そのアミノ基がモルフォリノヌクレオチドのモルフォリン環窒素原子の脱保護条件下で持続的に保護基によって保護される核酸塩基が好ましい。「アミノ保護基」は、特に限定されず、「アミノ保護基」の具体例としては、ピバロイル基、ピバロイルオキシメチル基、トリフルオロアセチル基、フェノキシアセチル基、4-イソプロピルフェノキシアセチル基、4-tert-ブチルフェノキシアセチル基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、ジメチルホルムアミジニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。加えて、核酸塩基のカルボニル基は保護されていてもよく、例えば、フェノール、2,5-ジクロロフェノール、3-クロロフェノール、3,5-ジクロロフェノール、2-ホルミルフェノール、2-ナフトール、4-メトキシフェノール、4-クロロフェノール、2-ニトロフェノール、4-ニトロフェノール、4-アセチルアミノフェノール、ペンタフルオロフェノール、4-ピバロイルオキシベンジルアルコール、4-ニトロフェネチルアルコール、2-(メチルスルホニル)エタノール、2-(フェニルスルホニル)エタノール、2-シアノエタノール、2-(トリメチルシリル)エタノール、塩化ジメチルカルバモイル、塩化ジエチルカルバモイル、塩化エチルフェニルカルバモイル、塩化1-ピロリジンカルボニル、塩化4-モルフォリンカルボニル、塩化デフェニルカルバモイル等と反応させて、保護される。場合によっては、カルボニル保護基を特に導入する必要はない。更に上記の基に加えて、修飾核酸塩基(例えば、8-ブロモアデニル基、8-ブロモグアニル基、5-ブロモシトシル基、5-ヨードシトシル基、5-ブロモウラシル基、5-ヨードウラシル基、5-フルオロウラシル基、ヒポキサンチニル基等)が挙げられ、これらは、任意の1~3個の置換基(例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ等)により任意の位置で置換された核酸塩基であり、これらも「核酸塩基」に包含される。
【0151】
「低級アルキル」とは、炭素原子1~6個のアルキル基を指し、メチル、エチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソアミル、n-ペンチル、及びイソペンチルが例示される。選択された実施形態において、「低級アルキル」基は、1~4個の炭素原子、又はl~2個の炭素原子、すなわち、メチル又はエチルを有する。
【0152】
「支持体に結合」とは、支持媒体と共有結合している化学物質を指す。
【0153】
用語「支持媒体」とは、例えば、粒子、ビーズ、表面等を含む材料であって、オリゴマーをその上に付着若しくはその上で合成できるもの、又はオリゴマーを付着する若しくは合成するために修飾されるものを指す。代表的な基材としては、無機支持体及び有機支持体、例えば、ガラス、改質又は機能化ガラス、プラスチック(例えば、アクリル、ポリスチレン及びスチレンと他の材料との共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)等が挙げられる。)、多糖類、ナイロン若しくはニトロセルロース、セラミックス、樹脂、シリカ、又はシリコンや変性シリコンを含むシリカ系材料、カーボン、金属、無機ガラス、プラスチック、光ファイバー束、その他様々な高分子が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態のために、特に有用な支持媒体及び固体表面は、フローセル装置内に配置される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、支持媒体は、1%のジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンを含む。本明細書に記載の方法の他の実施形態において、支持媒体は、アミノメチルポリスチレン樹脂(例えば、Xi’an Lanxiao Technology Co.,Ltd.,から購入し、その充填量は、例えば、1mmol/gである。)である。
【0154】
いくつかの実施形態において、代表的な支持媒体は、オリゴマーの付着又は合成のための少なくとも1つの反応部位を含む。例えば、いくつかの実施形態において、本開示の支持媒体は、オリゴマーを付着又は合成するために、流入するサブユニット又は他の活性化基と化学結合を形成できる1個又は複数個の末端アミノ基又は水酸基を含む。
【0155】
用語「フローセル装置」は、1種又は複数種の試薬(液体、気体等)を流すことができる表面(固体表面等)を含むチャンバーを指す。
【0156】
用語「デブロッキング剤」は、保護基を除去するための化学的な酸又は化学的な酸の組合せを含む組成物(例えば、溶液)を指す。デブロッキング剤に使用される例示的な化学的な酸は、ハロゲン化酸、例えば、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸が挙げられる。いくつかの実施形態において、デブロッキング剤は、例えば、オリゴマー、支持体に結合しているオリゴマー、支持体に結合しているサブユニット、又は他の保護された窒素若しくは酸素部分から、1個又は複数個のトリチル基を除去する。別の実施形態において、各過程(ステップ)で使用されるデブロッキング剤は、4-シアノピリジン、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸、トリフルオロエタノール、及び水を含む溶液、又は4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸、トリフルオロエタノール、ジクロロメタン及びエタノールを含む溶液である。好ましい実施形態において、各過程(ステップ)で使用されるデブロッキング剤は、1%エタノールを含む20%トリフルオロエタノール/ジクロロメタン中2%4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩(CYTFA)(w/v)である。
【0157】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素より選択される原子を指す。
【0158】
用語「キャッピング剤」は、例えば、流入するサブユニット又は他の活性化基と化学結合を形成する支持媒体の反応性部位をブロックするのに有用な酸無水物(例えば、無水安息香酸、無水酢酸、無水フェノキシ酢酸等)を指す。一実施形態において、キャッピング剤は、エチルモルフォリンとメチルピロリジノンとを溶液中に含む。好ましい実施形態において、本開示のキャッピング剤は、キャッピングA及びキャッピングBを含み、キャッピングAは、NEMのNMP溶液であり、キャッピングBは、キャッピング剤のNMP溶液である。
【0159】
用語「切断剤」は、例えば、支持体に結合しているオリゴマーを支持媒体から切断するのに有用な化学的塩基(例えば、アンモニア又は1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン)又は化学的塩基の組合せを含む組成物(例えば、液剤又はガス状混合物)を指す。更に別の実施形態において、切断剤は、溶液中にN-メチル-2-ピロリドンを含む。
【0160】
用語「脱保護剤」は、保護基の除去に有用な化学的な塩基(例えば、アンモニア、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、又は炭酸カリウム)又は化学的な塩基の組合せを含む組成物(例えば、液剤又はガス状混合物)を指す。例えば、脱保護剤は、いくつかの実施形態において、例えば、モルフォリノサブユニット、モルフォリノオリゴマーのモルフォリノサブユニット、又はそれらの支持体に結合したバージョンから、塩基保護を除去できる。別の実施形態において、切断剤は、ジチオスレイトールと1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エンを含む。
【0161】
用語「溶媒」とは、溶質が溶解している溶液又は混合物の成分を指す。溶媒は、無機物でも有機物でもよい(例えば、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アセチルアセトン、2-アミノエタノール、アニリン、アニソール、ベンゼン、ベンゾニトリル、ベンジルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、2-ブタノン、tert-ブチルアルコール、二硫化炭素、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、フタル酸ジ-n-ブチル、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、ジエチルアミン、ジエチレングリコール、ジグリム、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ジメチルフタレート、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エタノール、エーテル、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、1-ヘプタノール、ヘキサン、1-ヘキサノール、メタノール、酢酸メチル、メチルtert-ブチルエーテル、塩化メチレン、1-オクタノール、ペンタン、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ペンタノン、3-ペンタノン、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、水、p-キシレン)。
【0162】
本開示において、G、C、A、U及びTは、それぞれグアニン、シトシン、アデニン、ウラシル、及びチミンである。
【化38】
【0163】
略称
DMFは、N,N-ジメチルホルムアミドを表す。
DIPEAは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを表す。
TrClは、トリフェニルメチルクロライドを表す。
TLCは、薄層クロマトグラフィーを表す。
EtOAcは、酢酸エチルを表す。
NaClは、塩化ナトリウムを表す。
DBUは1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エンを表す。
DBNは1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンを表す。
DABCOは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを表す。
NMPは1-メチル-2-ピロリジノンを表す。
NPEは、4-ニトロフェネチル(NPE)基を表す。
IPCは工程内管理を表す。
UVは、紫外線を表す。
CYTFAは、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩を表す。
Vol.(vol.)は、容量を表す。
DCMは、ジクロロメタンを表す。
MTBEは、メチルtert-ブチルエーテルを表す。
DMAPはジメチルアミノピリジンを表す。
EDCIは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミンプロピル)カルボジイミド塩酸塩を表す。
IPAは、イソプロピルアルコールを表す。
NEMは、N-エチルモルフォリンを表す。
BzOは、無水安息香酸を表す。
DMIは、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを表す。
PMOは、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを表す。
CAP Aは、キャッピングAを表す。
CAP Bは、キャッピングBを表す。
「a M」は、「a mol/L」を表し、ここでaは数字である。
minは、分を表す。
【実施例
【0164】
以下の実施例は本発明をより詳しく例示するが、本発明は以下の実施例により限定されない。実施例の操作において温度が限定されていない場合、その操作は室温で実行されることを意味する。
【0165】
実施例1 化合物(E)の合成
合成経路
【化39】
【0166】
ステップ1 化合物(A)の合成
化合物(SM1)(35g、0.25mol、1eq.)のDMF(350mL)中溶液に、DIPEA(0.75mol、3eq.)及びTrCl(0.5mol、2eq.)を連続して加えた。化合物(SM1)が完全に消費されたことをTLCが示すまで、20~25℃で反応液を撹拌した。反応混合物に水(1400mL、40vol.)及びEtOAc(1400mL、40vol.)を加えた。有機層を分離して、20%のNaCl水溶液で洗浄し、DMFを除去した。得られた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムで精製して、収率91%で79gの白色粉末(化合物(A))を得た。1H-NMR (CDCl3) δ: 7.56 (d, 6H), 7.30-7.28(m, 6H), 7.20-7.18(m, 6H), 3.71-3.68(m,3H), 2.95(s, 2H), 2.04(s, 3H).
【0167】
ステップ2 化合物(B)の合成
トリグリコール(10eq.)のNMP(500mL、10vol.)中溶液に、60%NaH(0.1eq.、鉱油に溶解)を20~30℃で加えた後、20~30℃で20分間撹拌した。次に、化合物(A)(50g、1eq.)を20~30℃で反応混合物に加えた。化合物(A)の大部分が消費されるまで、20~30℃で反応液を撹拌した。反応後、DCM/MTBE(3/7、1000mL、20vol.)と水(1000mL、20vol.)とを反応混合物に加えた。有機層を分離し、塩水で洗浄した。得られた有機層を濃縮し、粗化合物(B)を得た。粗化合物(B)をシリカゲルカラムで精製し、収率70%で47gの生成物を得た。1H-NMR (CDCl3) δ: 7.56 (d, 6H), 7.30-7.28(m, 6H), 7.20-7.18(m, 6H), 4.36-4.34(m,2H), 3.75-3.60(m, 8H), 3.60-3.59(m, 2H), 3.05(s, 2H), 2.15(s, 3H).
【0168】
ステップ3 化合物(C)の合成
化合物(B)(47g、1eq.)のTHF(470mL)中溶液に、無水コハク酸(2eq.)を加えた。化合物(B)が完全に消費されたことをTLCが示すまで、55℃で2.0時間、反応液を撹拌した。反応後、10%NaHCO水溶液で反応混合物のpHを約8.5に調整した。次に、MTBE(940mL、20vol.)を混合物に添加し、水層を分離した。得られた水層のpHを20%クエン酸溶液で3~5に調整して、DCMで抽出(940mL、20Vol.)し、10%NaSO水溶液(470mL、10vol.)で洗浄し、有機相を得た。濃縮後、収率98%で56gの黄色油状物を得て、これを更に精製することなく次のステップで利用した。1H-NMR (CDCl3) δ: 7.46 (d, 6H), 7.17-7.21(m, 6H), 7.07-7.10(m, 6H), 4.20-4.24(m,2H), 4.17-4.15(m, 2H), 3.65-3.50(m, 8H), 2.96(s, 2H), 2.54-2.52(m, 4H), 2.05(s,3H).
【0169】
ステップ4 化合物(D)の合成
化合物(C)(56g、1eq.)のDCM(560mL)中溶液に、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド(HONB、1.02eq.)、DMAP(0.33eq.)、DIPEA(2.5eq.)を加えた後、EDCI(1.1eq.)を加えた。化合物(C)が完全に消費されたことをTLCが示すまで、20~30℃で反応液を撹拌した。10%クエン酸溶液及び塩水で、混合物を順次洗浄した。有機層を乾燥するまで濃縮し、更に精製することなく次のステップに進んだ。収率93%で67gの発泡固体を得た。1H-NMR (CDCl3) δ: 7.46 (d, 6H), 7.17-7.21(m, 6H), 7.07-7.10(m, 6H), 6.11(d, 2H),4.20-4.24(m, 2H), 4.17-4.15(m, 2H), 3.65-3.50(m, 8H), 3.36(s, 2H), 3.23(s, 2H),2.96(s, 2H), 2.79(t, 2H), 2.63(t, 2H), 2.05(s, 3H), 1.70(d, 1H), 1.44 (d, 1H).
【0170】
ステップ5 化合物(E)の合成
アミノメチルポリスチレン樹脂(10g、充填量は1mmol/gであった)(Xi’an Lanxiao Technology Co.,Ltd.から購入)をNMP(200mL)に懸濁して、1~2時間膨潤した。樹脂の懸濁液を濾過してNMPを除去し、IPA/DCM(200mL、v/v=1:3)中DCM(200mL)及び5%DIPEAで順次洗浄した。NMP(10vol.)中の化合物(D)(2.5eq.)溶液を、NMP(100mL)中のアミノメチルポリスチレン樹脂(10g)の懸濁液に加えた。40~45℃で24~48時間、反応混合物を撹拌した。懸濁液を濾過した後、100mLのNMP及び100mLのDCMで洗浄した。湿った固形物を反応器に移した後、NMP(60mL)中NEM(0.4M)の溶液及びNMP(60mL)中BzO(0.4M)の溶液を添加した。樹脂中に残ったアミノ基を、BzOでキャップした。キャッピング反応の完了後、樹脂を濾過して、DCM(100mL)で洗浄した。乾燥後、サルコシネート修飾アミノメチル樹脂を得て、これをホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの合成に用いた。
【0171】
充填量の決定
代表的な手順:
樹脂の充填量(潜在的に利用可能な反応部位の数)は、乾燥した樹脂の既知重量(25+3mg)をシラン処理した25mL容量のフラスコに移して、約5mLのジクロロメタン中2%(v/v)トリフルオロ酢酸を加える分光分析で決定した。内容物を穏やかに旋回させて混合し、30分間放置した。更なるジクロロメタン中2%(v/v)トリフルオロ酢酸を添加して、容量を25mLに上げ、内容物を十分に混合した。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用して、トリチル含有溶液の一定分量(500μL)を10mL容量フラスコに移し、メタンスルホン酸で容量を10mLに上げた。最終溶液中のトリチルカチオン含有量を406nmのUV吸光度により測定して、化合物Aを基準として使用することにより、樹脂1グラム当たりのトリチル基量(μmol/g)についての樹脂充填量を算出した。分析を2回実行して、平均充填量を算出し、結果を表1に示した。
【表1】
【0172】
実施例2 ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの合成
サルコシネート修飾アミノメチル樹脂から、25サイクルのホスホロジアミデートモルフォリノサブユニットを組み立てて、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの合成を達成した。ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー合成の合成ルートは以下のとおりである。
【化40】
【0173】
ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの合成は、脱トリチル化、中和、カップリング、キャッピング、洗浄のサイクルのためのペプチド合成装置を使用して、トリグリコールサルコシネート修飾支持体から固相合成によって、手動で実行した。反応はすべてガラス製ジャケットカラムで実施し、そのカラム容量は、20mL、100mL、500mL、及び2Lが挙げられる。
【0174】
固体支持体上にモノマーを組み立てる前に、すべての溶液を以下のように調製した。
脱トリチル化溶液:1%エタノールを含む20%トリフルオロエタノール/ジクロロメタン(1:4、v/v)中2% 4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩(CYTFA)(w/v)。
中和液:25%イソプロパノール/ジクロロメタン中5%ジイソプロピルエチルアミン。
カップリング溶液:DMI中0.36Mモルフォリノサブユニット溶液及びDMI中0.8M N-エチルモルフォリン(NEM)。その間、DMI中モルフォリノサブユニット溶液を、モレキュラーシーブで12時間以上処理し、水分量を減少させた。
キャッピング溶液:キャッピングAとしてNMP中0.4M NEM;キャッピングBとしてNMP中0.4M無水安息香酸又は無水酢酸。
【表2】
【0175】
ジャケット式カラム反応器に、サルコシネート修飾アミノメチルポリスチレン樹脂を加えて、その後15vol.の1-メチル-2-ピロリジノン(NMP 15mL/g樹脂)を加え、懸濁液を0.5~1時間静置した。その後、NMPを脱気して、樹脂をDCMで5回洗浄し、脱トリチル化した。各ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーサブユニットを支持体上に組み立てるためには、4つの反応が行われる。
【0176】
第1に、支持体上のトリチル基を除去するために、2%の4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩(CYTFA)(w/v)溶液(2,2,2-トリフルオロエタノール/DCM 1/4と1% EtOH)(15~25vol.)をカラムリアクタに加えた。混合物をNで2~5分間泡立てた後、真空脱気して溶媒を除去した。IPCですべてのトリチル基が除去されたことが確認されるまで、この操作を5~9回繰り返した(IPC:濾液から試料を採取し、メタンスルホン酸で濾液を希釈した。トリチル基が完全に除去されているかどうかを確認するために、UVスペクトロメーターで411nmのUV吸収を試験した)。
【0177】
第2に、脱トリチル化後、ジャケットカラムにIPA/DCM(1/3)中5%DIPEAを加え、樹脂を中和した。カップリングする前に、残留するCYTFAを複数回の洗浄で完全に除去する必要がある。
【0178】
第3に、モルフォリノサブユニット溶液とDMI中NEMの溶液とを反応器に加え、反応液をNで45℃、90分間泡立てることによって、カップリングを実行した。モルフォリノサブユニットを支持体上に組み立てた後、反応混合物を脱気して、DCMで洗浄した。
【0179】
最後に、支持体上の未反応のモルフォリノサブユニットをキャップして伸長を停止させた。
【0180】
目的配列が完成するまで、以下の表3のように4回の反応を繰り返した。
【表3】

【化41】
【0181】
各カップリング反応について、608μmol/gの充填量を伴う250mgの化合物(E)及び2.5eq.のホスホロジアミデートモルフォリノサブユニット(PMO-NPEGモノマー、PMO-PAモノマー、PMO-PCモノマー、PMO-Tモノマー、その構造は実施例2に示した)を使用して、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーの合成を1回実施した。25サイクルの反応の後、2.95gの湿式で塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー修飾固体支持体を得た。塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー修飾固体支持体を、4-ニトロフェネチル基を除去するためのNMP(20mL)中0.5M DBUで15℃、4時間処理し、及び塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを切断し、他の保護基を削除するための濃水酸化アンモニウムによって引き続き処理した。28.8%の4-ニトロスチレン付加物である不純物(LC-MSで測定)を検出し、この物質はホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー合成の収率を著しく低下させた。
【0182】
4-ニトロスチレン付加物である不純物問題を解決するため、3段階の切断と脱保護の戦略を開発した。塩基で保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーを、NMP中DBU及びチミンの溶液(DBUの濃度は0.8M、チミンの濃度は1.0Mであった)にゆっくりと(5mL/min)加えた。標的ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー配列がチミンを含む場合、チミンの濃度は、標的ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー配列中のチミンの濃度よりはるかに大きいこと、例えば、標的ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー配列中のチミンに対するチミンのモル比は10:1より大きいことを、当業者は知っている。3段階の切断と脱保護の後、4-ニトロスチレン付加物である不純物は、大幅に減少した(LC-MSで測定したところ、5%未満であった)。
【0183】
切断と脱保護の3つのステップ
固相組み立て後、グアニン上に4-ニトロフェネチル基を有する塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー修飾固体支持体を得た。その後、以下のように切断と脱保護の3段階を行った。
【0184】
ステップ(1)、まず塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー粗精製物を濃水酸化アンモニア(25%~28%水酸化アンモニア)の使用によって切断して水溶液を得て、これを凍結乾燥又は濃縮して塩基が保護されたホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー粗精製物を生成した。
【0185】
ステップ(2)、ステップ(1)の粗精製物をNMP(粗精製物に対するNMPの体積-質量比は10mL/gであった)に再溶解し、NMP中DBU/チミン(1.0M/0.8M)の溶液(粗精製物に対して10倍容量)にゆっくり(5mL/min)加え、4-ニトロスチレン付加物の不純物を最小限に抑えながら4-ニトロフェネチル基を除去した。
【0186】
ステップ(3)、NPE脱保護後に得られたオリゴヌクレオチドを濃水酸化アンモニア(25%~28%水酸化アンモニア)で再び処理して、イソブチリル等の残存保護基を取り除き、標的ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマーA(PMO-A)を形成し、配列は5’-GTT GCC TCC GGT TCT GAA GGT GTT C-3’(配列番号1)であった。
【化42】

【0187】
PMO-B、PMO-C、PMO-D及びPMO-Eは、PMO-Aの調製方法と同じ方法を使用して調製した。
PMO-Bの塩基配列は、5’- CTC CAA CAT CAA GGA AGA TGG CAT TTC TAG -3’(配列番号2)であった。
PMO-Cの塩基配列は、5’-CTATATAGTTATTCAACA-3’(配列番号3)であった。
PMO-Dの塩基配列は、5’-GGC CAA ACC TCG GCT TAC CTG AAA T -3’(配列番号4)であった。
PMO-Eの塩基配列は5’-CAG CAG CAG CAG CAG CAG-3’(配列番号5)であった。
【0188】
ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー合成時に、いくつかの典型的な不純物が見つかり、その結果を表4に示した。
【表4】
【0189】
FLP純度は、全長生成物のLC-MS純度を表す。
N-A、N-C、N-G、N-Tは、N-1の4つの不純物を表す。
OHはホスホリルデメチルアミンの加水分解による不純物を表す。
N+NPEは4-ニトロスチレン付加物である不純物を表す。
LC-MS: Waters H-Class UPLC、Xevo G2-XS-TOF検出器。
粗精製物は、3段階の切断、脱保護の後に得られた、精製していないPMOを指す。
精製物は、3段階の切断、脱保護を行った後、イオン交換クロマトグラフィーで精製したPMOを指す。
【0190】
2つの好ましい実施形態の前述の説明は、本発明の原理を純粋に例示することを意図しており、それを包括するのではなく、変更及び変形は当業者には明らかであり、本発明は、以下の請求項に明示的に規定される以外に限定することを意図しないことが理解されよう。
【配列表】
2023541091000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式X-1の化合物を式X-2の化合物に変換するステップ
【化1】
(式中:
10は、出発オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー)の残基であり、
11は、アミン保護基であり、
前記式X-1の化合物は、固体支持体に結合していない。)と、
(b)任意選択で前記式X-2の化合物中の保護基を除去して、オリゴヌクレオチドを得るステップと、
を含む、オリゴヌクレオチドを調製するための方法。
【請求項2】
前記変換するステップが、前記式X-1の化合物を、好ましくは溶液中の前記式X-1の化合物を、アルカリ試薬、及び式X-3の化合物と反応できる捕捉剤を含む混合物に添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【化2】
【請求項3】
前記アルカリ試薬が、水中でのpKaが約9以上の塩基性有機アミンであり、例えば、前記アルカリ試薬が、環状塩基性アミン、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記捕捉剤が、-SH部分又は1,3-ジカルボニル部分を有し、例えば、前記捕捉剤がX-4の化合物である、請求項2又は3に記載の方法。
【化3】
(式中、
qは0、1、又は2であり、
は、存在ごとに、独立的に、置換されていてもよいC1~6アルキル(例えば、メチル)である。)
【請求項5】
前記捕捉剤が、チミン又はその誘導体である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
(a)式X-5の化合物を式X-6の化合物に変換するステップ
【化4】
(式中、
m1及びm2は、独立的に0~50の整数(例えば、0~30)であり、
11は、アミン保護基であり、
Baseは、存在ごとに、独立的に、G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)、及びT(チミン)、それらの修飾類似物、及びそれらの保護された誘導体より選択される塩基であり、ただし、前記式X-5におけるBaseが保護された塩基である場合、式X-6の対応するBaseは同じ保護された塩基又は対応する一部若しくは完全に脱保護された塩基であってよく、
式中、
は適当な5’末端基(例えば、短いペプチド、置換されていてもよいアルキルアミノ基、置換されていてもよい複素環基等)であり、及び
は適当な3’末端基、例えば水素又は保護基(例えば、アシル基、トリチル等)である。)と、
(b)前記式X-6の化合物中の保護基を任意選択で部分的又は完全に除去して、オリゴヌクレオチドを得るステップと、
を含む、オリゴヌクレオチドを調製するための方法。
【請求項7】
式X-5又はX-6におけるBaseが、存在ごとに、以下から独立的に選択される、請求項に記載の方法。
【化5】
(式中、R11はアミン保護基である。)
【請求項8】
が、置換されていてもよいアルキルアミン又は置換されていてもよい複素環、例えば、アミド(例えば、-C(O)NH)で置換されたアルキルアミン、例えば、
【化6】
、置換されていてもよいピペリジン環、例えば、
【化7】
、(式中、Rは、アシル基、アシルオキシ基、又はペプチド残基である。)であり、
が、水素、トリチル又はアシル基(例えば、アセチル)である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記変換するステップが、前記式X-5の化合物を、好ましくは溶液中の前記式X-5の化合物を、アルカリ試薬及び式X-3の化合物と反応できる捕捉剤を含む混合物に添加することを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【化8】
【請求項10】
前記アルカリ試薬が、水中でのpKaが約9以上の塩基性有機アミンであり、例えば、前記アルカリ試薬が、環状塩基性アミン、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記捕捉剤が、-SH部分又は1,3-ジカルボニル部分を有し、例えば、前記捕捉剤がX-4の化合物である、請求項9又は10に記載の方法。
【化9】
(式中、
qは0、1、又は2であり、
は、存在ごとに、独立的に置換されていてもよいC1~6アルキル(例えば、メチル)である。)
【請求項12】
前記捕捉剤が、チミン又はその誘導体である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
NHで式X-6の化合物を処理して、式X-6における保護基を部分的又は完全に除去するステップを更に含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項14】
前記式X-5の化合物は、式X-7のオリゴヌクレオチドから固体支持体を例えばNHにより切断することを含む過程によって調製される、請求項6又は7に記載の方法。
【化10】
(式中、
SSは固相支持体、例えばポリスチレン固体支持体であり、
はリンカー、例えば、サルコシン系リンカー、例えば、
【化11】
(式中、窒素末端がリン原子に結合し、カルボニル末端が固体支持体とアミド結合を形成している。)であり、
式X-7におけるm1、m2、及びR11は、式X-5における対応する基と同じであり、
Baseは、存在ごとに、独立的に、G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、U(ウラシル)、及びT(チミン)、それらの修飾類似物、及びそれらの保護された誘導体より選択される塩基であり、ただし、前記式X-7におけるBaseが保護された塩基である場合、式X-5における対応する塩基は同じ保護された塩基又は対応する部分的若しくは完全に脱保護された塩基であってよく、及び
は、適当な3’末端基、例えば水素又は保護基(例えば、アシル基、トリチル)である。)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法により製造された製品。
【国際調査報告】