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特表2023-541137バイフィットインソールボード及び関連する方法を用いたフットウェア組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】バイフィットインソールボード及び関連する方法を用いたフットウェア組立体
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/12 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
A43B13/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514987
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 US2021048873
(87)【国際公開番号】W WO2022051500
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,408
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523075796
【氏名又は名称】ラクロス フットウェア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス ガブリエル フリーダム
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン カイル マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジズ デ オルテガ ダニロ カラベオ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA43
4F050BF01
(57)【要約】
ミッドソールの上にヒールインソールボードと、前足部分よりも硬いかかと部分を有するバイフィットインソールボードと、を有するインソール組立体を有するフットウェア組立体である。アッパーの下縁フランジは、取り付け移行領域の後方で、バイフィットインソールボードのかかと部分及びアーチ部分の側部の周りを巻き込む。フランジの少なくとも一部は、バイフィットインソールボードとヒールインソールボードの間に接着されている。アッパーのフランジは、バイフィットのインソールボードの下に巻き込まれることなく、取り付け移行領域の前方にあるバイフィットインソールボードの前足部分とアーチ部分の側部に隣接して位置決めされる。アッパーのフランジは、バイフィットインソールボードの前足部及び取り付け移行領域の前方のアーチ部の頂部又は縁に縫合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側及び外側側部フランジを形成する縁部分を有するアッパーと、
前記アッパーに結合され、アウトソールと、前記アウトソールの上のミッドソールと、前記ミッドソールの上のインソール組立体と、を有するソール組立体と、を含み、
前記ミッドソールは、前記アウトソールから離れて面する第1の頂面を有し、第2の外側及び内側の側面を有し、第1のかかと部分と、第1の前足部分と、前記第1のかかと部分と前記前足部分との間に第1のアーチ部分と、を有し、
前記インソール組立体は、前記ミッドソールの前記第1の頂面に結合され、前記インソール組立体は、前記ミッドソールの少なくとも前記第1のかかと部分の上部に位置決めされた第1のインソールボードを有するとともに前記ミッドソールの上に支持されているバイフィットインソールボードを有し、前記第1のインソールボードは、前記ミッドソールと前記バイフィットインソールボードの間にあり、前記バイフィットインソールボードは、前記ミッドソールの前記第1のかかと部分、前記アーチ部分及び前記前足部分の上部にそれぞれ位置決めされた第2のかかと部分と、第2のアーチ部分と、第2の前足部分と、を有し、前記バイフィットボードの前記第2のかかと部分は、第1の剛性を有し、前記第2の前足部分は、前記第1の剛性よりも小さい第2の剛性を有するとともに、前記第2のかかと部分と前記前足部分との間に、前記第1及び前記第2の剛性の間で移行する剛性移行部分を有し、
前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、それぞれ、前記第2のかかと部分の前記第1の内側及び外側側部と、取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードの前記第2のアーチ部分の後方部分と、を巻き込み、前記内側及び外側縁フランジ部分は、前記内側及び外側側部フランジの少なくとも一部が前記バイフィットインソールボードの底部と前記第1のインソールボードの頂部との間にしっかりと保持された状態で、前記取り付け移行領域の後方の前記第2のかかと部分及び前記第2のアーチ部分の下に固定され、
前記アッパーの前記内側及び前記外側側部フランジは、前記バイフィットインソールボードの下に巻き込まれることなく、前記バイフィットインソールボードの前記第2の前足部分の第2の内側及び外側側部と前記第2のアーチ部分の前方部分に隣接して位置決めされ、前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、前記第2の前足部分の頂部又は縁部と、前記取り付け移行領域の前方の前記第2のアーチ部分の前記前方部分と、に縫合され、前記アッパーの内側及び外側側部フランジは、前記取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードに縫合されておらず、前記内側及び外側側部フランジは、前記取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードの下の位置から、前記取り付け移行領域の前方の前記フィットインソールボードに隣接して又はその上方に移行する、
ことを特徴とするフットウェア組立体。
【請求項2】
前記ミッドソールの前記第1のアーチ部分と前記バイフィットインソールボードの前記第2のアーチ部分との間に位置決めされた剛性移行部材を更に備える、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項3】
前記剛性移行部材は、前記剛性移行領域及び取り付け移行領域の下に延びる、
請求項2に記載のフットウェア組立体。
【請求項4】
前記剛性移行部材は、前記剛性移行領域の下に延びる土踏まず部である、
請求項2に記載のフットウェア組立体。
【請求項5】
前記アッパーに取り付けられ、前記第1のインソールボードの周辺部分に縫合された前記内側及び外側側部フランジの少なくとも一部を有するヒールカップを更に備える、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項6】
前記剛性移行部分は、前記ミッドソールと前記バイフィットインソールボードの前記第2のアーチ部分との間に捕捉された土踏まず部である、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項7】
前記剛性移行部分の少なくとも一部は、前記バイフィットインソールボードの前記第2のかかと部分にある、
請求項1記載のフットウェア組立体。
【請求項8】
前記バイフィットインソールボードは、前記剛性移行部分に一体型の補強部材を有する、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項9】
前記バイフィットインソールボードの前記第2のかかと部分の少なくとも一部は、前記第1の剛性を有する第1の材料で作られ、前記バイフィットインソールボードの前記第2の前足部の少なくとも一部は、前記第1の材料とは異なった前記第2の剛性を有する材料から作られ、
前記バイフィットインソールボードは、前記剛性移行部分で前記第1の材料と前記第2の材料との間で移行する、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項10】
前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジの部分は、前記バイフィットインソールボードの前記底部及び前記第1インソールボードの前記頂部に接着剤で接着されている、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項11】
前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジの前記部分は、前記バイフィットインソールボードの前記第2の前足部分の前記縁に当接して係合し、縫合されている、
請求項10に記載のフットウェア組立体。
【請求項12】
前記第1インソールボードは、外側脚部分と内側脚部分との間に内部開口部を有するU字型であり、
前記内部開口部は、着用者の足のかかとの下になるように位置決めされる、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項13】
前記第1のインソールボードは、前記剛性移行領域の後方にある前端で終了する、
請求項1に記載のフットウェア組立体。
【請求項14】
内側及び外側側部フランジを有するアッパーと、
前記アッパーに結合されるインソール組立体と、
前記インソール組立体の下方にあり、第1のかかと部分、前足部分、及びアーチ部分を有するミッドソールと、を含み、
前記インソール組立体は、前記ミッドソールの少なくとも前記第1のかかと部分の上部に位置決めされた第1のインソールボードを有し、前記ミッドソールとバイフィットインソールボードの間に前記バイフィットインソールボードを有し、前記バイフィットインソールボードは、前記ミッドソールの前記第1のかかと部分、前記アーチ部分及び前記前足部分の上部にそれぞれ第2のかかと部分と、第2のアーチ部分と、第2の前足部分と、を有し、前記バイフィットボードの前記第2のかかと部分は、第1の剛性を有し、前記第2の前足部分は、前記第1の剛性よりも小さい第2の剛性を有し、前記第2のかかと部分と前記前足部分との間に、前記第1及び前記第2の剛性の間で移行する剛性移行部分を有し、
前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、それぞれ、前記第2のかかと部分の前記第1の内側及び外側側部に巻き込まれるとともに、取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードの前記第2のアーチ部分の少なくとも後方部分に沿った前記第2のアーチ部分の第2の内側及び外側側部に巻き込まれ、前記内側及び外側側部フランジ部分は、前記内側及び外側側部フランジが前記第2のかかと部分にある前記バイフィットインソールボードの底部と前記第1のインソールボードの頂部との間にしっかりと保持された状態で、前記取り付け移行領域の後方の前記第2のかかと部分及び前記第2のアーチ部分の下に固定され、
前記アッパーの前記内側及び前記外側側部フランジは、前記バイフィットインソールボードの下に巻き込まれることなく、前記バイフィットインソールボードの前記第2の前足部分の第3の内側及び外側側部と前記第2のアーチ部分の前方部分に隣接して位置決めされ、前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、前記第2の前足部分の頂部又は縁と、前記取り付け移行領域の前方の前記第2のアーチ部分の前記前方部分と、に縫合され、
前記アッパーの内側及び外側側部フランジは、前記取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードに縫合されておらず、前記内側及び外側側部フランジは、前記取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードの下の位置から、前記取り付け移行領域の前方の前記フィットインソールボードに隣接して又はその上方に移行する、
ことを特徴とするフットウェア組立体。
【請求項15】
前記ミッドソールの前記第1のアーチ部分と前記バイフィットインソールボードの前記第2のアーチ部分との間に位置決めされた剛性移行部材を更に備え、
前記剛性移行部材は、前記剛性移行領域及び前記取り付け移行領域の下に延びる、
請求項14に記載のフットウェア組立体。
【請求項16】
前記バイフィットインソールボードの前記第2のかかと部分の少なくとも一部は、前記第1の剛性を有する第1の材料で作られ、前記バイフィットインソールボードの前記第2の前足部分の少なくとも一部は、第2の剛性を有する前記第1の材料とは異なった第2の材料で作られ、前記バイフィットインソールボードは、剛性移行部分で第1の材料と第2の材料との間で移行する、請求項14に記載のフットウェア組立体。
【請求項17】
前記アッパーの内側及び外側側部フランジは、前記バイフィットインソールボードの前記第2の前足部分の前記縁に当接して係合し、縫合されている、
請求項14に記載のフットウェア組立体。
【請求項18】
前記第1インソールボードは、前記ミッドソールを露出する内部開口部を有し、
前記内部開口部は、着用者の足のかかとの下になるように位置決めされる、
請求項14に記載のフットウェア組立体。
【請求項19】
前記内側及び外側側部フランジを有するアッパーと、
前記アッパーに取り付けられ、アウトソールと、前記アウトソールの上部のミッドソールと、前記ミッドソールの上部のインソール組立体と、土踏まず部と、を有するソール組立体と、を含み、
前記ミッドソールは、第2の外側及び内側側部を有し、第1のかかと部分と、第1の前足部分と、前記第1のかかと部分と前記前足部分との間に第1のアーチ部分と、を有し、
前記インソール組立体は、前記ミッドソールの少なくとも第1のヒール部分の上に位置するU字型の第1のインソールボードを有し、
前記第1のインソールボードは、前記ミッドソールを露出するとともに着用者の足のかかとの下に位置決めされた内部開口を有し、前記ミッドソールの上に支持されたバイフィットインソールボードを有し、前記第1のインソールボードは、前記ミッドソールの第1のかかと部分と前記バイフィットインソールボードとの間に挟まれ、前記バイフィットインソールボードは、前記ミッドソールの前記第1のかかと部分、アーチ部分及び前足部分の上にそれぞれ位置決めされた第2のかかと部分と、第2のアーチ部分と、第2の前足部分と、を有し、前記バイフィットボードの前記第2のかかと部分は、第1の剛性を有する第1の材料で作られ、前記第2の前足部分は、前記第1の材料とは異なるとともに前記第1の剛性よりも小さい第2の剛性を有する第2の材料で作られ、前記第2のかかと部分と前足部分の間に、前記第1及び第2の材料間で前記第1及び第2の剛性との間で移行する剛性移行部分を有し、
前記土踏まず部は、前記ミッドソールの第1のアーチ部分と前記バイフィットインソールボードの前記第2のアーチ部分との間に位置決めされ、
前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、それぞれ、前記第2のかかと部分の前記第1の内側及び外側側部と、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードの前記第2のアーチ部分の後方部分とを巻き込み、前記内側及び外側側部フランジは、前記取り付け移行領域の後方の前記第2のかかと部分及び前記第2のアーチ部分の下で前記バイフィットインソールボードの底面に接着され、前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、前記第1のインソールボードの頂部と前記バイフィットインソールボードの前記第2のかかと部分の底面との間にしっかりと保持され、
前記アッパーの内側及び外側側部フランジは、前記バイフィットインソールボードの前記第2の前足部分の前記第2の内側及び外側側部と前記第2のアーチ部分の前方部分とに隣接して、前記バイフィットインソールボードの下に巻き込まれずに位置決めされ、前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、前記第2の前足部分の頂部又は縁と前記取り付け移行領域の前方の前記第2のアーチ部分の前方部分に縫合され、前記アッパーの前記内側及び外側側部フランジは、前記取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードに縫合されず、前記内側及び外側側部フランジは、前記取り付け移行領域の後方の前記バイフィットインソールボードの下の位置から、前記取り付け移行領域の前方の前記フィットインソールボードに隣接して又はその上方に移行し、
前記土踏まず部は、前記剛性移行領域及び前記取り付け移行領域の下に延びる
ことを特徴とするフットウェア組立体。
【請求項20】
前記バイフィットインソールボードは、前記剛性移行部分に一体型の補強部材を有する、
請求項19に記載のフットウェア組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2020年9月3日に出願された、バイフィットインソール及び関連する方法を用いたフットウェア組立体という名称の米国仮特許出願第63/074,408号の利益及び優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、踏み面に沿った剛性移行を有するフットウェア組立体に関し、より詳細には、可変剛性インソール組立体を有するソール組立体を有するフットウェア組立体に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フットウェア用品は、歩行、ランニング、ハイキング、トレッキング、狩猟、バックパッキング、及び屋内及び屋外活動を含む多種多様な身体活動のために設計されてきた。例えば、ハイキング及び作業用ブーツは、典型的には、凹凸のある又は荒れた地形でのハイキングや歩行に適した快適さ及びサポートを着用者に提供するように設計されている。しかしながら、従来のハイキングや作業用ブーツは、比較的重い場合がある。歩行中やハイキング中など、着用者は、着用者が一歩踏み出すたびに、ブーツの重量を持ち上げなければならない。何百、何千歩と歩くと、追加の重量が、着用者の脚を疲れさせる場合がある。したがって、フットウェアの安定性と支持性を過度に損なうことなく、フットウェアの重量を最小限にすることが非常に望ましい。
【0004】
ブーツなどのフットウェアは、しばしば、典型的な着用者の歩行サイクルを考慮して設計される。典型的な歩行サイクルは、かかと着地、平坦歩行、かかと離地及びつま先離地を含むいくつかの段階を含む。かかと着地中、ブーツはまず、ブーツのかかと領域のほぼ後方の内側部分で地面にぶつかる。荷重は、かかと着地からフラットフットへと歩行サイクルが進むにつれて、かかと部分の内側に沿ってかけられる。荷重は、典型的には、平坦歩行からかかと離地、つま先離地へと進むにつれて、ブーツの前足領域へと前方に、そして、ブーツの内側から外側へと斜めに移動する。したがって、主な荷重は、かかと離地とつま先離地の間、着用者がつま先で押し出すまでは前足の側面にある。適切に設計されたブーツ又は他のフィットウェアは、着用者の足と脚に安定性と支持力を提供しながら、着用者の歩行サイクルを容易にすることができる。
【0005】
米国特許第6,484,420号明細書、第6,757,990号明細書、第8,789,292号明細書及び第9,591,888号明細書は、非常に安定したプラットフォームを維持しながら軽量のフットウェア組立体を達成するためのフットウェア技術における重要な進歩を開示している。米国特許第6,484,420号明細書、第6,757,990号明細書、第8,789,292号明細書及び第9,591,888号明細書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。軽量フットウェア組立体は、アッパーの外側及び内側周辺フランジの少なくとも一部が、指骨部分及び/又はかかと部分でインソールに縫合されるが、アーチ部分を通ってインソールに縫合されない構造を組み込んでいる。加えて、アッパーの外側及び内側周辺フランジは、アーチ部分でインソールの外側周辺縁の周囲に巻き付けられ、アッパーの内側周辺フランジは、アーチ部分でインソールの内側周辺縁の周囲に巻き付けられている。更に、外側周辺フランジ及び内側周辺フランジは、インソールのアーチ部分の底面に固定されている。本構造は、非常に軽量で安定したプラットフォームが提供されるが、選択されたフットウェアに対して改良がおこなわれる可能性のある領域がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,484,420号明細書
【特許文献2】米国特許第6,757,990号明細書
【特許文献3】米国特許第8,789,292号明細書
【特許文献4】米国特許第9,591,888号明細書
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本技術の一実施形態によるフットウェア組立体の側面図である。
図2図1のフットウェア組立体の部分分解斜視図である。
図3A図1の3A-3A線に実質的に沿った断面端面図である。
図3B図1の3B-3B線に実質的に沿った断面端面図である。
図4図1のフットウェア組立体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
接着剤及び縫合によって強化インソールボードにしっかりと取り付けられたアッパーを有するフットウェア組立体及びそのような組立体を使用及び製造するための関連する方法は、本開示の実施形態に従って、本明細書に詳細に記載されている。本明細書に記載されるフットウェア組立体は、前足領域でコンプライアンスへの移行を伴ってかかと及びアーチ領域における安定性を向上させる特徴を含む。この点に関して、いくつかの構成は、ユーザの歩行サイクルのかかと着地及び平坦歩行の間の安定性及び支持を可能にする一方で、平坦歩行からかかと離地及びつま先離地への移行においてコンプライアンス、エネルギー伝達及び/又は快適性を向上させる。
【0009】
一実施形態では、例えば、フットウェア組立体は、複数の剛性を有する全長バイフィットインソールボードに結合されたU字型の第1のインソールボードを有するソール組立体に結合されたアッパーと、フットウェアのアーチ領域及びかかと領域などの異なる剛性の領域間の移行部でバイフィットインソールボードにそれぞれ取り付けられた移行部材と、を有する。したがって、移行部材は、バイフィットのインソールボードの移行領域にまたがり、アーチ領域から前足領域に向かって前方に且つかかと領域に向かって後方に少なくとも部分的に延びる。かかと領域では、第1のインソールボードは、かかと領域の周辺部分の周囲に延びる。バイフィットインソールボードは、アーチ領域でバイフィットインソールボードの底面に結合された移行部材と、かかと領域で第1のインソールボードの少なくとも一部と、を有する全長インソールボードとすることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、前足部分領域におけるアッパーの周縁部分は、バイフィットインソールボードの頂面に縫合されるか、又はバイフィットインソールボードに横方向に縫合される。縫合は、前足部分の周囲に延び、移行部材の上のアーチ部分の中間位置のみまでの、内側及び外側で終了する。アーチ部分の縫合が終了する位置が移行点であり、その後、アッパーの周縁部分は、バイフィットのインソールボードの底面の周囲に巻きつけられる。アッパーの周縁部分がバイフィットインソールボードの底面に巻き付けられる移行点の後方の領域(例えば、アーチ領域の一部及びかかと領域)では、アッパーは、移行部材及び第1のインソールボードの頂面とバイフィットインソールボードの底面との間、及び移行部材、第1のインソールボード及びバイフィットインソールボードの1つもしくは2つ以上の底面のいずれかに接着される。移行点は、移行部材上部のアーチ領域の中間位置にあり、アッパーに沿った縫合は、以下でより詳細に説明するように、フットウェアのアーチ領域を通ってかかと領域まで完全に延びず、移行部材は、移行点の両側の領域にまたがる。他の実施形態では、アッパーは、防水膜などの追加の層を有して、即ちバイフィットインソールボード上方を完全に滑り止めして(例えば、ストロベル構造)もよく、ガスケットによって覆われてもよい。
【0011】
フットウェア組立体は、従来技術で経験された欠点を克服し、他の利点を提供する。特定の詳細は、本開示の様々な実施形態の完全且つ可能な説明を提供するために、以下の説明及び図1~4に記載されている。しかしながら、フットウェア及びそのような組立体を形成する方法にしばしば関連する周知の構造及び構成要素を説明する他の詳細は、本開示の様々な実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために以下には記載されていない。図示される詳細、寸法、角度、構成要素の相対的なサイズ、及び/又は他の特徴の多くは、本開示の特定の実施形態の単なる例示に過ぎない。したがって、他の実施形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の細部、寸法、角度、サイズ及び/又は特徴を有することができる。加えて、本開示の更なる実施形態は、以下に説明される詳細のいくつかを有さずに実施されてもよく、本開示の他の実施形態は、依然として、追加の詳細及び/又は特徴を有して実施されることもできる。図中の、同一の参照番号は、同一の、又は少なくともほぼ同様の要素を特定する。更に、当業者であれば、上方、下方、上、下などの任意の相対的な位置の用語は、本明細書に記載されるようなフットウェア組立体の特定の向きを必ずしも必要としないことは理解されたい。寧ろ、これらの用語又は類似の用語は、本明細書に記載される開示の様々な特徴の相対的な位置を説明することを意図している。
【0012】
図1は、本技術の一実施形態にしたがって構成されたフットウェア組立体100(「組立体100」)の側面図である。組立体100は、ブーツ、靴又は他のフットウェア用品に含まれることができ、図1に示されるフットウェアに限定されない。図示された実施形態では、組立体100は、ソール組立体104に取り付けられたアッパー102を有する。ソール組立体104は、ミッドソール108に結合されたアウトソール106と、図2~4を参照して以下に詳細に説明されるように、アッパー102及びミッドソール108に取り付けられたインソール組立体と、を有する。ソール組立体104は、かかと部分112と前足部分114との間に位置決めされたアーチ部分110を有する。ソール組立体104、特にアーチ部分110及びかかと部分112は、支持及び安定性の向上と共にアッパー102への確実な取り付けを提供するように構成される。
【0013】
図2は、ソール組立体104のいくつかの特徴を示す、図1のフットウェア組立体100の等角部分分解図である。アウトソール106は、外部トレッド部分117を有し、アウトソールかかと部分116とアウトソール前足部分119との間にアウトソールアーチ部分118を有する。アウトソール106は、ゴム(例えば、天然又は合成)、革又は他の適切なフットウェア材料もしくは材料の組合せから作ることができる。アウトソール106の頂部は、ミッドソール108に取り付けられている。図示の実施形態では、ミッドソール108は、かかと部分122と前足部分126との間にアーチ部分124を有する全長ミッドソールである。かかと部分122は、かかと部分122に追加の支持又はクッション性を提供するクッション性のあるヒールセクション(図示せず)を有してもよい。アーチ部分及び/又はかかと部分124、122は、以下により詳細に説明するように、インソール組立体130の部分など、フットウェア組立体100の他の構成要素を受け入れるように構成された1つ又は2つ以上の凹部又はくぼみを有してもよい。ミッドソール108は、1つの構成要素として示されているが、他の実施形態では、ミッドソール108は、任意の数の部分から形成することができる。更に、更なる実施形態では、ミッドソール108は、アウトソール106と一体的に形成する、又はソール組立体104から除くことができる。ミッドソール108は、ゴム、エチレンビニルアセテート(EVA)、独立気泡発泡体材料及び/又は他の適切なフットウェア材料から形成することができる。このように、ミッドソール108は、ユーザの体重を分散させて安定性及び/又は衝撃吸収を提供することによって、ユーザに支持及び快適さを提供することができる。
【0014】
ミッドソール108は、組立体100に挿入されたときにユーザの足の真下に位置決めされるようにそれぞれ構成されたインソール組立体130及び移行部材132を支持する。図示の実施形態では、インソール組立体130は、第1のインソールボード135と第2のバイフィットインソールボード140とを有するマルチピース組立体であり、これをバイフィットインソールボード140と称することができる。移行部材132は、組立体100のアーチ領域にほぼ位置決めされるように構成され、細長いプレート構成に形成されている。より具体的には、移行部材132は、第2又は上面138に対向する第1又は下面139を有する土踏まず部補強材又は支持体とすることができる。下面139は、ミッドソール108及び/又はアウトソール106に面し、上面138は、バイフィットインソールボード140に面する。組み立てられたとき、移行部材132の位置は、第1のインソールボード135のほぼ前方であり、前足部分126に向かって前方に延びる。しかしながら、他の実施形態では、移行部材132は、第1のインソールボード135に、例えば、内側開口部137内に重なることができる。更に別の実施形態では、移行部材132は、任意の適切な形状を有し、及び/又は(複数の)内部開口部を有する。移行部材132は、図3A~4を参照して以下でより詳細に説明されるように、バイフィットインソールボード140の移行部及びアッパー102とバイフィットインソールボード140との間の取り付け部分の移行部にまたがるように構成される。
【0015】
図示の実施形態の第1のインソールボード135は、組立体100のかかと領域に位置決めされるように構成され、ほぼU字型の構成を有する。より具体的には、第1のインソールボード135は、第2の又は上面131に対向する第1の又は下面133を有する補強材又は支持体とすることができる。下面133は、ミッドソール108及び/又はアウトソール106に面し、上面131は、バイフィットインソールボード140に面する。第1のインソールボード135は、U字型構成の対応する脚部又は端部134(第1の脚部134a及び第2の脚部134bとして個別に特定される)の間に少なくとも部分的に規定された第1のインソール内側開口部137を更に有する。しかしながら、他の実施形態では、第1のインソールボード135の内側開口部137は、より小さく、半円形、楕円形又は完全に囲まれていてもよい。更に別の実施形態では、第1のインソールボード135は、内部開口部のない構造とすることができる。
【0016】
図示の実施形態のバイフィットインソールボード140は、追加の支持を提供するように構成された全長インソール構成要素である。バイフィットインソールボード140は、第2又は上面141に対向する第1又は下面143を有する。バイフィットインソールボード140は、前足部分146とかかと部分142との間に位置決めされたアーチ部分144を更に有する。いくつかの実施形態では、バイフィットインソールボード140は、アーチ部分144及び/又は前足部分146と比較して、かかと部分142が異なる剛性(例えば、より高い剛性材料、より厚い断面、及び/又は隆起、厚み付けされたセグメント、長手方向の溝波形/チャネルもしくは他の特徴などの剛性/屈曲特徴)を有する、二重構造を有している。バイフィットインソールボード140の剛性は、例えば、線、円弧などの任意の適切な形状とすることができ、又は剛性が長さに沿った距離にわたって変化する移行領域であってもよく、移行部172などの、バイフィットインソールボード140の長さに沿った1つ又は2つ以上の場所で変化してもよい。より具体的には、移行部172の後方にあるバイフィットインソールボード140の部分は、(例えば、異なる材料、厚さ、デュロメータ、及び/又は剛性/屈曲特徴の使用によって)移行部172の前方のバイフィットインソールボード140の残りの部分よりも高い剛性を有していてもよく、移行部172は、移行部材132がバイフィットインソールボード140の部分に接続され、移行部172にわたってまたがり、移行部172から離れて前方及び後方に延びるように、移行部材132の少なくとも一部の上方に位置決めされるのがよい。移行部172は、第1のインソールボード135の前方にある。他の実施形態では、バイフィットインソールボード140は、長さに沿って複数の移行部又は移行領域を有するのがよく、移行部は、第1の移行部における材料変化、第2の移行部に沿った厚さの変化、第3の移行部に沿った剛性/屈曲特徴など、又はそれらの任意の組み合わせのような、異なる剛性変化の種類を有することができる。
【0017】
図示の実施形態では、バイフィットインソールボード140は、移行部172で相互接続する2つ又は3つ以上の材料で作られている。相互接続、つまり移行部172は、材料間で漸次的に混合された相互接続とすることができ、又は異なる材料の混合が実質的にない、材料間の急激なもしくは明確な移行であってもよい。移行部材132と、インソール組立体130の第1及びバイフィットインソールボード135、140とは、紙ボード、不織布ボード、プラスチック、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、及び/又はフットウェア組立体におけるインソール組立体に適した他の材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、移行部材132及び第1のインソールボード135は、かかと及びアーチ領域などのボードが配置される領域に、追加の支持及び安定性を提供するようにバイフィットインソールボード140よりも厚い及び/又は高い剛性であるのがよい。
【0018】
図示された実施形態の追加の特徴によれば、アッパー102は、アッパー102の下部セクションの周囲に延びる周縁部分150を有する。アッパー102は、かかと部分152と前足部分156との間にアーチ部分154を更に有する。以下により詳細に説明するように、アッパー102の周縁部分150は、インソール組立体130にしっかりと取り付けられるように構成されている。図示の実施形態では、外部ヒールカップ136がかかと部分に設けられ、アッパー102のかかと部分と第1のインソールボード135の上面131とを接合する。ヒールカップ136は、第1のインソールボード135に縫合されるのがよい。ヒールカップ136は、組立体100のかかと領域において剛性及び/又は支持を提供するように構成されることができる。図示の実施形態では、ヒールカップ136は、外部ヒールカップが見えるように、フットウェアの外部かかと部分を形成する外部ヒールカップである。他の実施形態では、ヒールカップ136は、フットウェアの外側からは見えない内部構成要素とすることができる。ヒールカップ136は、革、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリウレタン(PU)、合成材料などの1つ又は2つ以上の適切な材料を備えることができる。
【0019】
図3Aは、図1の線3A-3Aに実質的に沿った組立体100の断面端面図であり、ソール組立体104のかかと部分112のいくつかの特徴を図示している。図3Aに示す実施形態の特徴によると、アウトソール106は、ミッドソール108に直接固定(例えば、接着)され、ミッドソール108は、第1のインソールボード135及びバイフィットインソールボード140のそれぞれに直接固定(例えば、接着)されている。加えて、アッパーの周縁部分150のかかと部分152も、第1インソールボード135の外側縁及び内側縁付近で、第1インソールボード135とバイフィットインソールボード140の間に固定(例えば、接着)されている。このように、上部周縁部分150のかかと部分152は、バイフィットインソールボード140の下面143に直ぐに隣接し、且つ第1のインソールボード135の上面131に隣接して位置決めされる。いくつかの実施形態では、ヒールカップ136は、アッパー102のかかと部分152と、第1のインソールボード135の頂面131とに接着されている。ヒールカップ136は、かかと部分縫合160で第1のインソールボード135に縫合される。他の実施形態では、ヒールカップ136は、アッパー102又は組立体100の他の構成要素に接着又は縫合されるだけである。図示された構成では、かかと部分縫合160は、組立体100のかかと部分112で外部から見える。
【0020】
図示の実施形態の追加の特徴によると、上部周縁部分150は、ソール組立体104のかかと部分112のバイフィットインソールボード140に直接縫合又は縫い付けられず、ソール組立体104のかかと部分112でミッドソール108に直接縫合又は縫い付けられた上部周縁部分150でもない。その代わりに、第1のインソールボード140は、第1のインソールボード135及び/又はアッパー102の周縁部分150に糊付けされるか、そうでなければ接着されることができる。更に、図4を参照して以下に説明するように、上部周縁部分150は、バイフィットインソールボード140のアーチ部分144に沿って、前足部分146から後方に移行点170までだけしか縫合されない。移行点170の後方では、上部周縁部分150は、少なくとも部分的にアーチ部分144の周囲を内側に包み込み、インソール組立体130及び/又はミッドソール108のアーチ部分に糊付けされるか、そうでなければ接着させることができる。このようにして、アッパー102のインソール組立体130及びミッドソール108への取り付けは、プラットフォーム全体の構成要素の構造的安定性を維持しながら、ヒールカップ構成を形成するのを助けることができる。
【0021】
図3Bは、図1の線3B-3Bに実質的に沿った組立体100の断面端面図であり、ソール組立体104の前足部分114のいくつかの特徴を示している。例えば、アウトソール106は、ミッドソール108に直接固定(例えば、接着)され、ミッドソール108は、インソール組立体130に固定(例えば、接着)され、インソール組立体130は、アッパー102に固定(例えば、接着及び/又は縫合)されている。より具体的には、上部周縁部分150の前足部分156は、内方に広がり、前足及びアーチ部分縫合162によって、バイフィットインソールボード140の頂面141又はバイフィットインソールボード140の横方向のいずれかに、縁から縁まで当接する構成で縫合される。例えば、図3Bに示すように、上部周縁部分150は、内方に広がり、ミッドソール108の前足部分126の対応する周縁部分上に位置決めされる。しかしながら、前足及びアーチ部分縫合162は、移行点170の後方のバイフィットインソールボード140のアーチ部144には適用されず(図4参照)、周縁部分150は、移行点170の後方のバイフィットインソールボード140の下及びかかと部分142の周囲に移行する。これらの実施形態では、前足及びアーチ部分縫合162は、例えば、螺旋状の構成、個別の縫合、又は連続的及び個別の縫合の任意の組合せなど、連続的であることができる。他の実施形態では、アッパー102は、防水膜(図示せず)などの層を有するのがよく、即ちバイフィットインソールボード140の上で完全に滑り止め(例えば、ストロベル構造)されてガスケット(図示せず)により覆われていてもよい。
【0022】
図4は、U字型の第1のインソールボード135に結合されたアッパー102と、かかと領域とつま先領域の間に延びる全長バイフィットインソールボード140と、移行部材132と、を有するフットウェア組立体100の一部分の底面図である。アッパー102、移行部材132及び/又は第1及びバイフィットインソールボード135、140は、ミッドソール108及び/又はアウトソール106に結合されるように構成される。しかしながら、図4に図示された実施形態では、移行部材の下面137、133、143と、第1及びバイフィットインソールボード132、135、140との、いくつかの特徴をそれぞれ図示するために、対応するミッドソール及び/又はアウトソールは、組立体100から取り除かれている。図示の実施形態の移行部材132は、細長いプレート構造であり、補強土踏まず部とすることができる。移行部材132は、フットウェアのアーチ部分でミッドソール108に固定され、第1のインソールボード135は、フットウェアのかかと部分でバイフィットインソールボード140に固定されたU字型構造であり、バイフィットインソールボード140は、インソール前足部分146とインソールかかと部分142の間に位置決めされたアーチインソール部分144を有する実質的に全長の構成要素である。図4には示されていないが、他の実施形態では、インソール組立体130は、クッション機能又は他の所望の機能など、ソール組立体の追加の機能を収容するための1つ又は2つ以上の開口部を有することができる。
【0023】
図4に示すように、アッパー102は、かかと部分152と、アーチ部分154と、前足部分156と、を有する周縁部分150を有する。かかと部分152は、少なくともバイフィットインソールボード140のインソールかかと部分142の下面143の少なくとも一部分、且つ少なくとも第1インソールボード135の上面131の上で延び、その周囲で少なくとも部分的に内方に巻き込む。周縁部分150でのアッパー102の取り付けは、一般に組立体100のアーチ部分の中間に位置する移行点170で変化する。移行点170の前方では、周縁部分150の前足部分156及びアーチ部分154の一部が内方に広がり、縁から縁まで当接する構成、又はバイフィットインソールボード140の頂面141に縫合又はそうでなければ結合されているバイフィットインソールボード140に横方向に縫合又はそうでなければ結合されている。移行点170の後方では、周縁部分150のかかと部分152及びアーチ部分154の一部が内方に広がり、第1のインソールボード135とバイフィットインソールボード140との間に固定(例えば、接着)される。このように、上部周縁部分150のかかと部分152及びアーチ部分154の一部は、バイフィットインソールボード140の下面143に直ぐに隣接し、第1のインソールボード135の上面131に隣接して位置決めされる。他の実施形態では、アッパー102は、防水膜(図示せず)などの層を有するのがよく、即ちバイフィットインソールボード140の上で完全に滑り止め(例えば、ストロベル構造)されてガスケット(図示せず)により覆われていてもよい。
【0024】
移行部材132は、フットウェア組立体100の移行部(移行点170及び移行部172)の両方にまたがっている。この点に関して、移行部材132は、インソール組立体130へのアッパーの取り付けが縫合からバイフィットインソールボード140の下での巻き込みに変わる移行点170を横切って延びる。移行部材132は、更に、バイフィットインソールボード140の移行部172を横切って延び、ここでバイフィットインソールボード140の剛性が変化し、移行部172の前方の剛性よりも移行部172の後方の剛性が高くなる。フットウェア組立体の移行は、歩行サイクル中の安定性を維持しながら、着用者に快適さを提供するように構成される。
【0025】
例えば、アッパー102とバイフィットインソールボード140の縫合結合からの移行部は、移行部170の前方の低い剛性材料とともに、かかと離地及びつま先離地の歩行サイクルの段階中に、前足領域に快適性及びコンプライアンスを提供するように構成される。これに対し、移行部172の後方のバイフィットインソールボード140の剛性の高い材料は、第1のインソールボード150及び第1及びバイフィットインソールボード135、140の間のアッパーの構造と共に、かかと着地及び平坦歩行の歩行サイクルの段階中に、かかと領域で向上した安定性を提供する。いくつかの実施形態では、移行点170は、着用者に不快感を与えないように、剛性の移行が急激ではなく緩やかになるように、移行部172からフットウェア組立体100の長さに沿ってオフセットされている。上述のように、移行部材132は、移行点170及び移行部172にまたがるように構成され、これにより、着用者が知覚することのできるフットウェア組立体100の剛性の急激な変化を更に最小限に抑える。この点に関して、移行部材132は、フットウェア組立体100が着用者の歩行サイクルの段階を通じて屈曲する際の剛性に連続性を与え、着用者が知覚することなく剛性かかと領域から適合した前足領域へ移行することを可能にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、本技術の形態は、内側及び外側フランジを形成する縁部分を有するアッパーと、アッパーに結合され、アウトソール、アウトソールの上にあるミッドソール及びミッドソールの上にあるインソール組立体を有するソール組立体と、を備えるフットウェア組立体を提供する。ミッドソールは、アウトソールから離れて面する第1の頂面を有することができ、また、第2の外側及び内側側面を有し、第1のかかと部分と、第1の前足部分と、第1のかかと部分と前足部分との間の第1のアーチ部分を有する。インソール組立体は、ミッドソールの第1の頂面に結合される。インソール組立体は、ミッドソールの少なくとも第1のかかと部分上に位置決めされた第1のインソールボードを有し、ミッドソールの上に支持されたバイフィットインソールボードを有する。第1のインソールボードは、ミッドソールとバイフィットインソールボードの間にある。バイフィットインソールボードは、ミッドソールの第1のかかと部分、アーチ部分及び前足部分の上にそれぞれ位置決めされた第2のかかと部分と、第2のアーチ部分と、第2の前足部分と、を有する。バイフィットボードの第2のかかと部分は、第1の剛性を有し、第2の前足部分は、第1の剛性よりも小さい第2の剛性を有する。バイフィットインソールボードは、第2のかかと部分と前足部分との間に、第1の剛性と第2の剛性との間で移行する剛性移行部分を有する。アッパーの内側及び外側側部フランジは、それぞれ、第2のかかと部分の第1の内側及び側面の周囲、及び取り付け移行部の後方のバイフィットインソールボードの第2のアーチ部分の後部の側面の周囲を巻き込む。内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方で第2のかかと部分及び第2のアーチ部分の下に固定され、内側及び外側側部フランジの少なくとも一部は、バイフィットインソールボードの底部と第1のインソールボードの頂部との間にしっかりと保持される。アッパーの内側及び外側側部フランジは、バイフィットインソールボードの下に巻き込まれることなく、バイフィットインソールボードの第2の前足部分の第2の内側及び外側側部及び第2のアーチ部分の前方部分に隣接して位置決めされる。アッパーの内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の前方の第2の前足部分及び第2のアーチ部分の前方部分の頂部又は縁に縫合される。アッパーの内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードに縫合されておらず、内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードの下の位置から、取り付け移行領域の前方のフィットインソールボードに隣接して又はその上方に移行するように、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードに縫合されない。
【0027】
補強移行部材は、ミッドソールの第1のアーチ部分とバイフィットインソールボードの第2のアーチ部分との間に位置決めされることができる。補強移行部材は、剛性移行領域及び/又は取り付け移行領域の下に延びることができる。ヒールカップは、アッパーに取り付けられ、内側及び外側側部フランジの少なくとも一部が、第1のインソールボードの周辺部分に縫合されることができる。バイフィットのインソールボードの第2のかかと部分の少なくとも一部は、第1の剛性を有する第1の材料で作ることができ、バイフィットのインソールボードの第2の前足部分の少なくとも一部は、第1の材料とは異なった第2の剛性を有する第2の材料で作ることができ、バイフィットのインソールボードは、剛性移行部で第1の材料と第2の材料の間を移行する。アッパーの内側及び外側側部フランジの一部は、バイフィットインソールボードの底部及び第1のインソールボードの頂部に接着剤で付着させることができる。アッパーの内側及び外側側部フランジの一部は、バイフィットインソールボードの第2の前足部分の縁にほぼ係合し、縫合されている。
【0028】
本技術の別の実施形態は、内側及び外側側部フランジを有するアッパーと、アッパーに接続されたインソール組立体と、インソール組立体の下方にあり、第1かかと部分、前足部分及びアーチ部分を有するミッドソールと、を備える、フットウェア組立体を提供する。インソール組立体は、ミッドソールの少なくとも第1のかかと部分の上方に位置決めされた第1のインソールボードを有する。インソール組立体は、ミッドソールとバイフィットインソールボードとの間にバイフィットインソールボードを有する。バイフィットインソールボードは、ミッドソールの第1のかかと部分、アーチ部分及び前足部分の上方に、それぞれ第2のかかと部分、アーチ部分及び前足部分を有する。バイフィットボードの第2のかかと部分は、第1の剛性を有し、第2の前足部分は、第1の剛性よりも小さい第2の剛性を有し、第2のかかと部分と前足部分の間に、第1の剛性と第2の剛性との間で移行する剛性移行部分を有している。アッパーの内側及び外側側部フランジは、それぞれ、第2かかと部分の第1内側及び外側側部に巻き付けられ、取り付け移行部の後方のバイフィットインソールボードの第2アーチ部分の少なくとも後方部分に沿って、第2のアーチ部分の第2の内側及び外側側部に巻き付けられ、第2のアーチ部分の第1の内側及び外側側部に巻き付けられる。内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方で第2のかかと部分及び第2のアーチ部分の下に固定され、内側及び外側側部フランジは、第2のかかと部分でバイフィットインソールボードの底部と第1のインソールボードの上部との間でしっかりと保持されている。アッパーの内側及び外側側部フランジは、バイフィットインソールボードの下で巻き込まれることなく、バイフィットインソールボードの第2の前足部分の第3の内側及び外側側部に隣接し、第2のアーチ部分の前方部分に隣接して位置決めされる。アッパーの内側及び外側側部フランジは、第2の前足部分の頂部又は縁、及び取り付け移行部の前方の第2のアーチ部分の前方部分に縫合される。アッパーの内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードに縫合されず、内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードの下の位置から、取り付け移行領域の前方のフィットインソールボードに隣接して又はその上方に移行する。
【0029】
別の実施形態は、内側及び外側側部フランジを有するアッパーと、アッパーに取り付けられ、アウトソールと、アウトソールの上にあるミッドソールと、ミッドソールの上にあるインソール組立体と、土踏まず部と、を有するフットウェア組立体を提供する。ミッドソールは、第2の外側及び内側側面を有し、第1のかかと部分と、第1の前足部分と、第1のかかと部分と前足部分との間の第1のアーチ部分と、を有する。インソール組立体は、ミッドソールの少なくとも第1のかかと部分の上に位置するU字形の第1のインソールボードを有し、第1のインソールボードは、ミッドソールを露出するとともに、着用者の足のかかとの下になるように位置決めされた内部開口を有する。インソール組立体は、ミッドソールの上に支持されたバイフィットインソールボードを有する。第1のインソールボードは、ミッドソールの第1のかかと部分とバイフィットインソールボードとの間に挟まれる。バイフィットインソールボードは、ミッドソールの第1のヒール部、アーチ部及び前足部分の上にそれぞれ位置決めされた第2のかかと部分、第2のアーチ部分及び第2の前足部分を有する。バイフィットボードの第2のかかと部分は、第1の剛性を有する第1の材料で作られ、第2の前足部分は、第1の材料とは異なるとともに第1の剛性よりも小さい第2の剛性を有する第2の材料で作られ、第2のかかと部分と前足部分の間に、第1の材料と第2の材料の間及び第1の剛性と第2の剛性の間で移行する剛性移行部分を有している。土踏まず部は、ミッドソールの第1のアーチ部分とバイフィットインソールボードの第2のアーチ部分との間に位置決めされる。アッパーの内側及び外側側部フランジは、それぞれ、第2のかかと部分の第1の内側及び外側側部と、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードの第2のアーチ部分の後方部分とを包み込む。内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方の第2のかかと部分及び第2のアーチ部分の下のバイフィットインソールボードの底面に接着され、アッパーの内側及び外側側部フランジは、バイフィットインソールボードの第1のインソールボードの頂部と第2のかかと部分の底部との間にしっかりと保持される。アッパーの内側及び外側側部フランジは、バイフィットのインソールボードの下に巻き込むことなく、バイフィットのインソールボードの第2の前足部分の第2の内側及び外側側部、且つ第2のアーチ部分の前方部分に隣接して位置決めされる。アッパーの内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の前方の第2の前足部分及び第2のアーチ部分の前方部分の頂部又は縁に縫合されており、アッパーの内側及び外側側部フランジは、取り付け移行領域の後方のバイフィットインソールボードに縫合されない。内側及び外側側部フランジは、取り付け移行部の後方のバイフィットインソールボードの下の位置から、取り付け移行部の前方のフィットインソールボードに隣接して又はその上方へ移行する。土踏まず部は、剛性移行領域及び取り付け移行領域の下に延びる。
【0030】
前述の記載で使用されるように、「垂直」、「横」、「内側」、「上部」、及び「下部」という用語は、図に示される方向から見て、フットウェア組立体内の特徴の相対方向又は位置を指すことができる。例えば、「上部」又は「最上部」は、別の特徴よりも最上部に近い位置に位置決めされた特徴を指すことができる。しかしながら、これらの用語は、頂部/底部、上/下、上方/下方、上/下、左/右及び遠位/近位が配向に応じて入れ替わることのできる逆さの又は傾斜した配向など、他の配向を有する導波管を含むように広く解釈されるべきである。更に、参照を容易にするために、同一の参照番号が、本開示を通じて類似又は類推される構成要素又は特徴を特定するために同一の参照番号が使用されているが、同じの参照番号の使用は、特徴が同一であると解釈されるべきことを示唆するものではない。実際、本明細書に記載される多くの例では、同一番号の特徴は、構造及び/又は機能が互いに異なる複数の実施形態を有する。更に、組成的に類似する可能性のある断面材料を示すために同じ網掛けを使用していても、同じ網掛けの使用は、本明細書で特に言及しない限り、材料が同一であると解釈されるべきであること示唆するものではない。
【0031】
前述の開示は、更に、数量及び数も参照する場合がある。特に明記しない限り、そのような数量及び数は、限定的なものではなく、新規技術に関連する可能な数量又は数を例示するものであると見なされる。この点に関して、また、本開示は、数量又は数を参照するために、「複数」という用語を使用する場合がある。この点に関して、「複数」という用語は、例えば、2、3、4、5など、1より多い任意の数であることを意味する。本開示の目的のために、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」という語句は、3つより多い要素が列挙されている場合、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)又は(A、B、及びC)の全ての更なる可能な順列を含むことを意味する。
【0032】
以上のことから、新規技術の特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本開示から逸脱することなく様々な変更を行うことができるのは理解されたい。例えば、上記の図の多くは、複数の別個の構成要素を有するものとしてミッドソール及びインソールを図示しているが、他のフットウェア組立体では、ミッドソール及びインソールは、例えば、一体型又はワンピース構成を含む、より多くの又はより少ない構成要素を有することができる。更に、特定の実施形態の文脈で説明した新規技術の特定の形態も、他の実施形態で組み合わせたり、排除したりすることができる。更に、新技術の特定の実施形態に関連する利点がそれらの実施形態の文脈で説明されたが、他の実施形態でもそのような利点を示すことができ、すべての実施形態が本開示の範囲に入るために必ずしもそのような利点を示す必要はない。したがって、本開示及び関連技術は、本明細書において明示的に示されていない又は説明されていない他の実施形態を包含することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】