(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】アビトレーション集合を用いる異数性の自動スクリーニング
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230921BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06T7/00 630
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516276
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 US2021050058
(87)【国際公開番号】W WO2022056374
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】シャフィー,ハディ
(72)【発明者】
【氏名】ボーマン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】カナカサバパシー,マノジュ,クマール
(72)【発明者】
【氏名】ティルマラジュ,プラディヴィ
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA13
5L096EA39
5L096FA32
5L096FA69
5L096GA30
5L096GA34
5L096HA11
5L096KA04
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】本発明は、ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】対応するイメージャーから胚の画像を取得してニューラルネットワークへ提供することで第1臨床パラメータを生成する。胚を受ける患者と、ヒト胚を生成するための卵子と、胚を生成するための精子と、胚を生成するための精子を提供する精子ドナーと、卵子を提供する卵子ドナーとのうちの1つを表す少なくとも1つの生体パラメータのセットを検索し、予測モデルで少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成する。第1臨床パラメータ及び第2臨床パラメータから、胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングの方法であって、
対応するイメージャーから前記胚の画像を取得することと、
前記胚の画像をニューラルネットワークへ提供することで第1臨床パラメータを生成することと、
前記胚を受ける患者と、前記ヒト胚を生成するための卵子と、前記胚を生成するための精子と、前記胚を生成するための精子を提供する精子ドナーと、前記卵子を提供する卵子ドナーとのうちの1つを表す少なくとも1つのパラメータのセットを検索することと、
予測モデルで前記少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成することと、
前記第1臨床パラメータ及び前記第2臨床パラメータから、前記胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記胚の画像を前記ニューラルネットワークへ提供することは、前記胚の画像を再帰型ニューラルネットワークへ提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記胚の画像を前記ニューラルネットワークへ提供することは、前記胚の画像を敵対的生成ネットワークの一部として訓練された識別的分類器へ提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記胚の画像を前記ニューラルネットワークへ提供することは、前記胚の画像を畳み込みニューラルネットワークへ提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパラメータのセットは、前記胚を生成するために前記受精卵を提供する前記卵子ドナーの年齢を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパラメータのセットは、受精により前記胚を生成した卵母細胞とともに収穫される卵母細胞から正常に受精される胚の数を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパラメータのセットは、前記胚を受精させるための前記精子の品質を表す値を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行される機器の実行可能な指令が記憶される非一時的コンピュータ可読媒体と、を含み、
前記機器の実行可能な指令は、
対応するイメージャーから前記胚の画像を受信するように構成されるイメージャーインターフェースと、
前記胚の画像から第1臨床パラメータを生成するように構成されるニューラルネットワークと、
前記胚を受ける患者と、前記ヒト胚を生成するための卵子と、前記胚を生成するための精子と、前記胚を生成するための精子を提供する精子ドナーと、前記卵子を提供する卵子ドナーとのうちの1つを表す少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成するように構成される予測モデルと、
前記第1臨床パラメータ及び前記第2臨床パラメータから、前記胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成するように構成されるアビトレータと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
特徴抽出器を更に含み、
前記特徴抽出器は、前記画像を示す特徴ベクトルを生成し、前記特徴ベクトルを前記予測モデルへ提供し、前記予測モデルは、前記少なくとも1つのパラメータのセットを表す少なくとも1つのパラメータから前記第2臨床パラメータを生成するように構成されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記アビトレータは、前記複合パラメータを少なくとも前記第1臨床パラメータと前記第2臨床パラメータとの重み付き線形結合として生成するように構成されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記アビトレータは、前記複合パラメータを少なくとも前記第1臨床パラメータと前記第2臨床パラメータとの平均値として生成するように構成されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記予測モデルは、第1予測モデルであり、前記少なくとも1つのパラメータのセットは、少なくとも1つのパラメータの第1セットであり、前記システムは、第2予測モデルを更に含み、前記第2予測モデルは、少なくとも1つのパラメータの第2セットから第3臨床パラメータを生成するように構成され、前記第1臨床パラメータと前記第2臨床パラメータと前記第3臨床パラメータとのうちのそれぞれは、分類パラメータであり、前記アビトレータは、少なくとも前記第1臨床パラメータ、前記第2臨床パラメータ及び前記第3臨床パラメータの多数決によって前記複合パラメータを生成するように構成されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記予測モデルは、サポートベクターマシンとして実施されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記予測モデルは、全結合のフィードフォワードニューラルネットワークとして実施されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのパラメータのセットは、前記卵子の年齢、卵子ドナーの年齢、精子ドナーの年齢、前記胚の受精方法、前記卵子ドナーのホルモンプロファイル、前記卵子ドナーの過去診断状況及び前記精子ドナーの過去診断状況のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングの方法であって、
対応するイメージャーから胚の画像を取得することと、
畳み込みニューラルネットワークにおいて前記胚の画像から第1臨床パラメータを生成することと、
対応するメモリから、受精によって前記胚を生成する前記卵母細胞を提供する前記卵子ドナーの年齢と、前記胚を生成するための精子の品質を表す値と、受精により前記胚を生成した卵母細胞とともに収穫される卵母細胞から正常に受精される胚の数とを含むパラメータのセットを検索することと、
第1予測モデルで前記パラメータのセットの第1サブセットから第2臨床パラメータを生成することと、
第2予測モデルで前記パラメータのセットの第2サブセットから第3臨床パラメータを生成することと、
前記第1臨床パラメータ、前記第2臨床パラメータ及び前記第3臨床パラメータから、前記胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記第1臨床パラメータ、前記第2臨床パラメータ及び前記第3臨床パラメータから前記複合パラメータを生成することは、前記第1臨床パラメータ、前記第2臨床パラメータ及び前記第3臨床パラメータの多数決によって前記複合パラメータを生成することを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1予測モデルは、サポートベクターマシンとして実施され、且つ前記第2予測モデルは、全結合のフィードフォワードニューラルネットワークとして実施されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1予測モデルで前記パラメータのセットの前記第1サブセットから前記第2臨床パラメータを生成することは、前記第1予測モデルで前記パラメータのセットから前記第2臨床パラメータを生成することを含み、前記第2予測モデルで前記パラメータのセットの前記第2サブセットから前記第3臨床パラメータを生成することは、前記第2予測モデルで前記パラメータのセットから前記第3臨床パラメータを生成することを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記パラメータのセットの前記第1サブセットと前記パラメータのセットの前記第2サブセットとは、何れも前記パラメータのセットの適切なサブセットであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年9月11日に出願された、「移植前の胚の異数性スクリーニングを支援するための人工知能支援システム」と題された米国仮特許出願第63/077,405号、及び、2020年9月11日に出願された、「卵細胞質内精子注入法(ICSI)とアシステッドハッチング(AH)手順とに用いられる卵母細胞と移植前の胚との位置合わせのための人工知能支援システム」と題された米国仮特許出願第63/077,398号に対して優先権を主張し、その開示の全てがあらゆる目的で引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(政府権利声明)
本発明は、米国国立衛生研究院からの援助番号がR01AI118502、R01AI138800及びR21HD092828のうちの1つ又は複数である政府援助によって完了されたものである。政府は、本発明に対して一定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、概して、補助出産分野に関し、より具体的に、予測モデルのアビトレーション集合を用いる異数性の自動スクリーニングに関する。
【背景技術】
【0004】
不妊症は、軽視された医療・健康管理の問題であり、世界中で4,800万を超えるカップルに影響を及ぼし、苦痛、憂鬱、差別の原因となっている。体外受精(IVF)のような補助生殖技術(ART)は、不妊症の負担をある程度軽減したが、非効率であり、2015年に米国で報告された平均成功率は約26%である。IVFは依然として高価な解決策であり、米国では、ARTサイクルあたり、7000ドルから20,000ドルの費用がかかるが、これは通常保険の対象外である。さらに、多くの患者は、妊娠を達成するために、複数のIVFサイクルを必要とする。移植するための最高品質の胚の非侵襲的選択は、ARTを成功させる最も重要な要因の1つであるが、この重要なステップは、依然として重要な課題である。
【0005】
着床前胚染色体異数性検査(PGT―A)は、移植用の胚をスクリーニングするための広く使用されるツールとなっている。限られた研究は、このような処理プロセスが35歳以下の女性について効果を有することを示す。逆に、幾つかのレポートは、若年患者がPGT―Aを使用する時に低下した累積妊娠率を有することを示す。これらの低い結果は、正確ではないPGT―A結果、又は胚の生検と凍結保存の侵入性過程に関わることによる尤度がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングの方法を提供する。当該方法は、対応するイメージャーから前記胚の画像を取得してニューラルネットワークへ提供することで第1臨床パラメータを生成する。前記胚を受ける患者と、前記ヒト胚を生成するための卵子と、前記胚を生成するための精子と、前記胚を生成するための精子を提供する精子ドナーと、前記卵子を提供する卵子ドナーとのうちの1つを表す少なくとも1つのパラメータのセットを検索し、予測モデルで前記少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成する。前記第1臨床パラメータ及び前記第2臨床パラメータから、前記胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのシステムを提供する。当該システムは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行される機器の実行可能な指令が記憶される非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。前記機器の実行可能な指令は、対応するイメージャーから前記胚の画像を受信するように構成されるイメージャーインターフェースと、前記胚の画像から第1臨床パラメータを生成するように構成されるニューラルネットワークと、前記胚を受ける患者と、前記ヒト胚を生成するための卵子と、前記胚を生成するための精子と、前記胚を生成するための精子を提供する精子ドナーと、前記卵子を提供する卵子ドナーとのうちの1つを表す少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成するように構成される予測モデルと、前記第1臨床パラメータ及び前記第2臨床パラメータから、前記胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成するように構成されるアビトレータと、を含む。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングの方法を提供する。当該方法は、対応するイメージャーから胚の画像を取得し、畳み込みニューラルネットワークにおいて前記胚の画像から第1臨床パラメータを生成する。対応するメモリからパラメータのセットを検索する。パラメータのセットは、受精によって前記胚を生成する前記卵母細胞を提供する前記卵子ドナーの年齢と、前記胚を生成するための精子の品質を表す値と、受精により前記胚を生成した卵母細胞とともに収穫される卵母細胞から正常に受精される胚の数とを含む。第1予測モデルで前記パラメータのセットの第1サブセットから第2臨床パラメータを生成し、第2予測モデルで前記パラメータのセットの第2サブセットから第3臨床パラメータを生成する。前記第1臨床パラメータ、前記第2臨床パラメータ及び前記第3臨床パラメータから、前記胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成する。
【0009】
本発明の前述の特徴及び他の特徴は、添付の図面を参照しながら以下の説明を読むことにより、当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのシステムの一例を示す。
【
図2】ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのシステムの別の例を示す。
【
図3】ヒト胚において異数性をスクリーニングするための方法の一例を示す。
【
図4】ヒト胚において異数性をスクリーニングするための方法の別の例を示す。
【
図5】本明細書に開示されたシステム及び方法を実現可能な例示のハードウェア部品の例示的なシステムの模式ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
完全に自動化されたシステムでは、高度な訓練を受けた発生学者の効率的な胚評価におけるスキルをエミュレートすることは、これまで胚のコンピューター支援評価で行われた全ての作業における主な未解決の課題である。現在、胚評価に用いられるコンピュータービジョン法は、半自動化なものであり、発生学者による更なる分析を必要とする指標を提示する特定のパラメータの測定に限られており、また、厳密に制御されたイメージングシステムを必要とする。従来の機械学習手法によってシステムを開発する試みでは、集中的な画像前処理と、その後分類のための胚の特徴の人為的区分が必要である。機械学習手法は、画像処理と区分に依存しているため、このような方法には、コンピュータービジョン技術と同様な制限がある。
【0012】
ここで、本発明者らは、大量の画像を用いて予め訓練されたディープニューラルネットワークを採用することにより、卵子、精子及びそれらの各自のドナーについての生体特徴情報とペアリングし、胚の異数性をスクリーニングし、更に当該挑戦を克服する。胚評価に用いられる従来のコンピュータ支援アルゴリズムと異なり、本明細書に関わるシステム及び方法は、胚学者から如何なる助けも与えられていない状況で異数性を自動的にスクリーニングすることを可能にする。一例において、畳み込みニューラルネットワークは、形態が複雑な胚の間の形状、構造及びテクスチャ変化を識別するために用いられ、1つ又は複数の他の予測モデルを採用して生体特徴データを評価する。複数の機器のデータ収集を使用するため、当該システムは、画像照明及び品質変化に対して余裕度を有する。また、付加的な予測モデルは、ニューラルネットワークと独立して訓練することができるため、当該システムは、効果的にモジュール化され、新たなアプリケーションに応答してモデルを追加するか又は置換することを許可する。
【0013】
ここで「連続パラメータ」というフレーズを用いて数値と分類値又はクラスを区別し、且つ真に連続するデータ及びより伝統的に離散データと呼ばれるデータを準備するべきである。
【0014】
本明細書に使用されるように、1セットの値の「平均値」は、中心傾向の任意のメトリックである。連続パラメータに関し、それは、値の中央値、算術平均値及び幾何平均値のうちのいずれか1つを含む。分類パラメータに関し、平均値は、値の集合のモードである。
【0015】
本明細書で使用される「静的観察」は、胚の発育中の単一の点を代表する胚の画像又は画像群である。静的観察において複数の画像を使用する場合、画像の間に胚の構造及び外観の明らかな変化が発生しない。静的観察から収集されたデータは、胚の形態学的データを表す
【0016】
ここで使用されるセットの「サブセット」とは、当該セットの一部または全部の要素を含むセットを意味する。セットの「適切なサブセット」は、当該セットに比べて少ない全ての要素を含む。
【0017】
本明細書に使用されるように、胚は、46本の染色体を有する場合に、「正倍数性」となる。胚が染色体を有する数は、通常の46本と異なる場合に、「異数性」となる。胚の「倍数性状態」は、正倍数性又は異数性の胚状態であり、それは、分類されるか又は確率的に示される。
【0018】
図1は、ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのためのシステム100の一例示を示す。システム100は、プロセッサ102及び非一時的コンピュータ可読媒体110を含み、当該媒体には、生殖細胞構造における関心位置を示す値を割り当てるための機器の実行可能指令が記憶されている。機器の実行可能指令は、イメージャーインターフェース112を含み、当該イメージャーインターフェース112は、対応するイメージャーから胚の画像を受信する。例えば、イメージャーインターフェース112は、バス又はネットワークを介してイメージャーから画像を受信し、かつ画像を調整してニューラルネットワーク114での分析に用いられる。一例において、ニューラルネットワーク114は、クラウドコンピューティングシステムで実現されてもよく、ここで、画像は、ネットワークインターフェース(図示せず)を介してニューラルネットワーク114を含むサーバに伝送される。
【0019】
ニューラルネットワーク114は、生殖細胞構造の画像から胚の倍数性状態を表す第1臨床パラメータを特定する。一実施形態において、第1臨床パラメータは、分類パラメータであり、その第1値は、異数性を表し、且つ第2値は、正倍数性を表す。別の実施形態において、第1臨床パラメータは、胚の異数性又は正倍数性の尤度を示す連続パラメータである。ニューラルネットワーク114は、互いに接続された複数のノードを有する。複数の入力ノードには、画像からの値(例えば、各画素に対応付けられた輝度および/または色度値)が供給される。各入力ノードは、1つ以上の中間ノードの層にこれらの入力値を提供する。所定の中間ノードは、前のノードから1つ又は複数の出力値を受信する。受信された値は、分類器のトレーニング期間に確立された一連の重みに応じて重み付けされる。中間ノードは、ノードでの活性化関数に基づいて、受信された値を単一の出力に変換する。例えば、中間ノードは、受信された値を加算し、その和に対して以下の操作、即ち、識別関数、ステップ関数、Sigmoid関数、双曲線正接、整流線形ユニット、漏れ整流線形ユニット、パラメータ整流線形ユニット、ガウス誤差線形ユニット、Softplus関数、指数線形ユニット、ズーム指数線形ユニット、ガウス関数、Sigmoid線形ユニット、増加余弦ユニット、Heaviside関数及びmish関数を行ってもよい。ノードの最後の層は、ニューラルネットワークの出力クラスへ信頼度値を提供し、ここで、各ノードは、分類器の関連出力クラスの1つの信頼度を表す相関値を有する。
【0020】
多くのANN分類器は、完全接続とフィードフォワードである。しかしながら、畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み層を含み、ここで前の層からのノードは、畳み込み層中のノードのサブセットのみに接続される。再帰型ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークであり、ここでノード間の接続は、時系列に沿って有向グラフを形成する。フィードフォワードネットワークとは異なり、再帰型ニューラルネットワークは、前の入力に起因する状態のフィードバックを結合することができ、それにより再帰型ニューラルネットワークが所定の入力に対する出力は、入力された関数だけでなく、1つ又は複数の前に入力された関数であってもよい。例えば、長短期記憶(LSTM)ネットワークは、再帰型ニューラルネットワークの修正バージョンであり、それは、メモリに履歴データをより覚えやすい。幾つかの例において、敵対的方式でニューラルネットワークを訓練し、ここで、生成的分類器は、識別的分類器の新たなインスタンスを生成するように構成される。一般的に、生成的ネットワークは、潜在空間から興味のあるデータ分布へのマッピングを学習する一方、識別的ネットワークは、生成器によって生成された候補者を真のデータ分布と区分させる。生成的ネットワークの訓練目標は、識別的ネットワークのエラーレートを高めることである。各ネットワークの反復学習により、興味のあるクラス間の真のデータ分布をよりよくモデリングする。
【0021】
適切な生殖細胞構造の複数のラベル付け画像でニューラルネットワーク114を訓練する。「ラベル付け画像」とは、画像における胚の倍数性状態が既知であり、例えば、専門家コメントにより、かつトレーニング過程において、倍数性状態に関連する臨床パラメータが画像と共にニューラルネットワークに提供されることを指す。トレーニング期間において、ニューラルネットワーク114内のノードとの間の相互接続に関連する重みが反復的に変更され、一旦ネットワークが変化すると、新たな、ラベル付けされていない画像が表示されたときに、ネットワークの出力は、新たな画像内の胚の倍数性状態を示す臨床パラメータを提供する。第1臨床パラメータは、非一時的コンピュータ可読媒体110に記憶されてもよい。
【0022】
予測モデル116は、少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成するように構成され、当該少なくとも1つのパラメータは、胚を受ける患者、ヒト胚を生成するための卵子、胚を生成するための精子、胚を生成するための精子を提供する精子ドナー及び卵子を提供する卵子ドナーのうちの1つを示す。適切なパラメータの例は、受精卵を提供して胚を生成する卵子ドナーの年齢、胚を生成するための精子の品質を示す値、及び、受精により胚を生成した卵母細胞とともに収穫される卵母細胞から正常に受精される胚の数を含む。第1臨床パラメータと同様に、第2臨床パラメータは、分類パラメータであってもよく、その第1値は、異数性を示し、第2値は、正倍数性を示し、又は、連続パラメータは、胚の異数性又は正倍数性を示す。理解すべきことは、予測モデル116は、付加された生体特徴パラメータを利用することができ、当該付加された生体特徴パラメータは、胚を受ける患者、胚を生成するための精子を提供する精子ドナー、ヒト胚を生成するための卵子、及び、卵子を提供する卵子ドナーのうちの1つを表すことにより、胚の品質、及び胚画像から抽出された数値特徴を特定する。第2臨床パラメータは、非一時的コンピュータ可読媒体110に記憶されてもよい。
【0023】
予測モデル116は、1つ以上のパターン識別アルゴリズムを利用することができ、各アルゴリズムは、抽出された特徴又は抽出された特徴のサブセットを分析することにより、患者を複数の種類のうちの1つに分類し、且つ当該情報を第2臨床パラメータとして提供する。複数の分類又は回帰モデルを使用する場合、アビトレーション要素を利用して複数のモデルからの一致結果を提供することができる。所定の分類器の訓練過程は、その実施に伴って変化するが、訓練は、一般的に訓練データを出力クラスに関連する1つ又は複数のパラメータに統計的に統合することに関する。ルールに基づくモデル(例えばツリー)に対して、例えば1つ又は複数の人間の専門家によって提供された分野知識を使用して訓練データを代替するか又は補充することにより、抽出された特徴を使用して患者を分類するためのルールを選択することができる。様々な技術のいずれも分類アルゴリズムを利用することができ、サポートベクターマシン(SVM)、回帰モデル、自己組織化マッピング、ファジーロジックシステム、データ融合プロセス、Boosting及びBagging方法、ルールベースのシステム又は人工ニューラルネットワークを含む。
【0024】
例えば、サポートベクターマシン(SVM)分類器は、超平面と呼ばれる複数の関数を利用してN次元特徴空間における境界を概念的に分割することができ、ここで、N次元のそれぞれは、特徴ベクトルの1つの関連特徴を表す。境界は、クラスごとに対応付けられている特徴量の範囲を定義している。それ相応に、所定の入力特徴ベクトルの特徴空間における、境界に対する位置に基づいて、所定の入力特徴ベクトルの出力クラス及び関連する信頼度値を特定することができる。1つの実施形態において、SVMは、線形又は非線形カーネルのカーネル方法を用いて実現することができる。予測モデル116は、前述したような人工ニューラルネットワーク分類器を用いてもよい。
【0025】
ルールベースの分類器は、一組の論理ルールを抽出された特徴に適用することにより、出力クラスを選択する。一般的に、ルールは、順に応用され、ここで各ステップの論理結果は、後のステップの分析に影響する。具体的なルール及びその配列は、任意又は全ての訓練データ、前のケースからの類比推論又は従来の分野の知識に基づいて特定することができる。ルールベースの分類器の一例は、決定木アルゴリズムであり、ここで特徴セットの特徴値を階層ツリー構造における対応する閾値と比較することにより、特徴ベクトルの種類を選択する。ランダムフォレスト分類器は、案内集合又は「袋詰め」方法を用いて決定木アルゴリズムを修正する。このような方法において、訓練セットのランダムサンプルに複数の決定木を訓練し、且つ複数の決定木上の平均値(例えば、平均値、中央値又はモード)結果を返す。分類タスクに関し、各ツリーの結果は、分類されたため、モード結果を使用することができる。
【0026】
アビトレータ118は、第1臨床パラメータ及び第2臨床パラメータから複合パラメータを生成するように構成され、当該複合パラメータは、胚における異数性の尤度を示す。一実施形態において、複合パラメータは、第1臨床パラメータ及び第2臨床パラメータを含む1セットの臨床パラメータの平均値である。別の実施形態において、複合パラメータは、第1臨床パラメータ及び第2臨床パラメータを含む1セットの臨床パラメータの重み付き線形結合と特定される。この場合、各パラメータの重みは、ニューラルネットワーク114、予測モデル116、及びパラメータを生成するための任意の付加モデルの既知の精度に基づいて特定することができる。別の実施形態において、第1臨床パラメータ及び第2臨床パラメータを含む臨床パラメータのセットは、分類されてもよく、且つアビトレータ118は、投票アルゴリズムに基づいて複合パラメータを選択することができる。一例において、大部分又は複数の投票を使用することができる。そして、複合パラメータは、非一時的コンピュータ可読媒体110に記憶され及び/又は関連する出力装置(図示せず)においてユーザへ表示されてもよい。
【0027】
図2は、ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのためのシステム200の別の例示を示す。システム200は、1つ又は複数の胚の画像を取得するイメージャー202を含む。例えば、イメージャー202は、可視光又は赤外線範囲内の画像を生成しかつ適切な光学部品とペアリングして胚の画像を提供することができる1つ又は複数のカメラを含んでもよい。一実施形態において、イメージャー202は、数日発育した胚の画像を遅延胚撮像システムの一部として取得することができる。別の実施形態において、イメージャー202は、胚の静的観察を生成するために用いられ、一組の1つ以上の画像とする。一実施形態において、イメージャー202は、移動装置用の付属装置を含み、それは、移動装置のカメラと共に動作して胚の画像を提供する。付属装置に用いられるハウジングは、サイズが82*34*48 mmのポリ乳酸を用いて3Dプリントを行うことができる。また、ハウジングには、胚の画像を適切に拡大するためのアクリルレンズが含まれていてもよい。
【0028】
別の実施形態において、イメージャー202は、独立して動作するシステムとして実現することができ、当該システムは、ポリ乳酸で3Dプリントされた光学ハウジングと62*92*175 mmの外形サイズを有する。当該ハウジングは、白色発光ダイオード、3ボルト電池及び単極双投スイッチを有する電子回路を含む。胚サンプルは、画像拡大のための10*平面―色消し対物レンズ(n―Achromatic objective lens)及び胚画像データ収集のための相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサにより透過を実現する。CMOSセンサは、単板コンピュータに接続されて撮像画像を処理することができる。イメージャー202は、無線接続(例えば、Wi―Fi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)又は類似する接続)を介してモバイルデバイスに接続され、データ処理及び可視化に用いられる。
【0029】
イメージャー202で取得された1つ又は複数の画像の一部又は全部は、分析システム210に提供され、分析システム210は、プロセッサ212、出力装置214及びプロセッサにより実行可能な指令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体220を含む。当該指令は、実行されてイメージャーインターフェース222を提供することができ、当該イメージャーインターフェース222は、胚の単一画像又は複数の画像を受信する。イメージャーインターフェース222は、1種又は複数種のイメージング条件技術(例えば、トリミング及びフィルタリング)を適用することができ、それにより分析用の画像をよりよく準備する。次に画像をニューラルネットワーク224に提供し、当該ニューラルネットワーク224は、胚の倍数性状態を示す第1臨床パラメータを提供する。示された実施形態において、ニューラルネットワーク224は、正倍数性及び異数性の胚のラベル付け画像において訓練を行い、且つ分類出力を提供し、当該分類出力は、正倍数性を表す第1値及び異数性を表す第2値を呈することができる。
【0030】
一実施形態において、ニューラルネットワーク224は、ネットワークの前の層における値に畳み込みを効果的に適用して、画像内の各特徴のセットを強調する畳み込み層を含む、順伝播型人工ニューラルネットワークである畳み込みニューラルネットワークであってもよい。畳み込み層において、ニューロンのそれぞれは、ニューロンの受容野と呼ばれる前の層におけるニューロンの適切なサブセットにのみ接続されている。一例では、畳み込みニューラルネットワークは、Xceptionアーキテクチャにより実装されている。一実施形態では、各ピクセルに関連付けられた少なくとも1つの色度値(例えば、RGBカラーチャンネル、YCrCbカラーチャンネルまたはグレースケール輝度の値)は、畳み込みニューラルネットワークの初期入力として提供される。
【0031】
別の実施形態において、ニューラルネットワーク224は、再帰型ニューラルネットワークとして実現することができる。再帰型ニューラルネットワークでは、ネットワークにおけるノード間の接続を選択してシーケンスに沿って有向グラフを形成し、それが動的な時間挙動を示すことを許可する。別の実施形態において、ニューラルネットワーク224は、敵対的生成モデルにおける識別的ネットワークとして実現されかつ訓練される。ここで、生成的ニューラルネットワーク及び識別的ネットワークが互いにフィードバックを提供することにより、生成的ニューラルネットワークは、ますます複雑なサンプルを生成して識別的ネットワークに分類を試みさせる。ニューラルネットワーク224の構造に関わらず、ニューラルネットワークの幾つか又は全ての層は、他のシステムからのマイグレーションデシジョン学習を介してトレーニングされ得る。ここで、幾つかの層のみが生殖細胞構造の訓練画像にトレーニングされる。ニューラルネットワーク224の最終層は、softmax層として実現することができ、それにより分類結果を提供する。
【0032】
更に、1つ又は複数の画像のうちの一部又は全部を特徴抽出器226に提供することができ、当該特徴抽出器226は、画像データを1つ又は複数の画像コンテンツを表す複数の値を含む特徴ベクトルに減少させる。特に、特徴抽出器226は、複数の特徴を抽出し、これらの特徴は、センサデータの分類、離散及び連続的なパラメータを表すことができる。一例において、特徴抽出器226は、ニューラルネットワーク224からの潜在的な値を利用して1つ又は複数の画像を表す特徴とすることができる。ネットワークインターフェース228は、対応するメモリ(例えば、電子カルテ(EHR)データベース)から、1セットの生体特徴パラメータを検索することができる。生体特徴パラメータは、胚を受け取る患者、ヒト胚を生成するための卵子、胚を生成するための精子、胚を生成するための精子を提供する精子ドナー及び卵子を提供する卵子ドナーのうちの1つ又は複数を示し、関連するメモリに由来する。示された例において、パラメータは、受精によって胚を生成する卵母細胞を提供する卵子ドナーの年齢、胚を生成するための精子の品質を表す値、及び、胚を生成した卵母細胞とともに収穫される卵母細胞から正常に受精される胚の数を含む。
【0033】
特徴ベクトルにおける値の第1サブセットと検索された生体特徴パラメータは、第1予測モデル230に提供されて、第2臨床パラメータを生成することができる。示された実施形態において、第1予測モデル230は、正倍数性と異数性の胚を示すラベル付けデータにおいて訓練されるサポートベクターマシンとして実施され、且つ第2臨床パラメータを分類出力として提供する。当該分類出力は、正倍数性を表す第1値と異数性を表す第2値とを想定することができる。特徴ベクトルにおける値の第2サブセットと検索された生体特徴パラメータは、第2予測モデル232に提供されて、第3臨床パラメータを生成することができる。示された実施形態において、第2予測モデル232は、正倍数性と異数性の胚を示すラベル付けデータにおいて訓練される全結合のフィードフォワードニューラルネットワークとして実施され、且つ第3臨床パラメータを分類出力として提供する。当該分類出力は、正倍数性を表す第1値と異数性を表す第2値を想定することができる。
【0034】
第1臨床パラメータ、第2臨床パラメータ及び第3臨床パラメータを投票システム234に提供し、当該投票システム234は、胚の倍数性状態を示す複合パラメータを生成する。示された実施形態において、第1臨床パラメータ、第2臨床パラメータ及び第3臨床パラメータの多数決によって複合パラメータを生成する。複合臨床パラメータは、ユーザインターフェース236を介して出力装置214においてユーザへ提供することができる。例えば、ユーザインターフェース236は、投票システム234の出力を受信して出力装置214に表示するための適切なソフトウェア命令を含むことができる。一実施形態において、出力装置214は、分析システム210と無線通信する移動装置を含むことができる。
【0035】
上記構成及び機能特徴に鑑み、
図3及び
図4を参照すると、本発明の様々な態様に係る方法をよりよく理解する。説明の目的を簡略化するために、
図3及び
図4の方法がシーケンスで実行されるものとして示されて説明されるが、理解すべきことは、本発明は、示された順番に限定されるものではない。本発明によれば、幾つかの態様は、本明細書に示された説明と異なる順番で発生し及び/又は他の態様で同時に発生することができるからである。また、本発明の1つの態様に係る方法を実現するために全ての示された特徴が要求されるとは限らない。
【0036】
図3は、ヒト胚において異数性をスクリーニングするための方法300の一例を示す。302において、関連するイメージャから胚の画像を取得する。304において、胚の画像をニューラルネットワークへ提供してニューラルネットワークにおいて胚の画像から第1臨床パラメータを生成する。第1臨床パラメータは、分類又は連続的であってもよい。ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、及び、敵対的生成ネットワークの一部として訓練された識別的分類器のうちのいずれかとして実現されてもよい。306において、少なくとも1つのパラメータのセットを検索し、当該少なくとも1つのパラメータは、胚を受ける患者、ヒト胚を生成するための卵子、胚を生成するための精子、胚を生成するための精子を提供する精子ドナー及び卵子を提供する卵子ドナーとの生物特徴パラメータのうちの1つを示す。適切なパラメータの例は、受精によって胚を生成する卵母細胞を提供する卵子ドナーの年齢、胚を生成するための精子の品質を示す値、及び受精により胚を生成した卵母細胞とともに収穫される卵母細胞から正常に受精される胚の数を含む。
【0037】
308において、予測モデルにおける少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成する。一例において、予測モデルは、サポートベクターマシンと全結合のフィードフォワードニューラルネットワークの1つとして実現される。310において、第1臨床パラメータ及び第2臨床パラメータから、胚における異数性の尤度を示す複合パラメータを生成する。複合パラメータは、例えば、第1臨床パラメータと第2臨床パラメータとの臨床パラメータのセットの平均値、臨床パラメータのセットの重み付き線形結合、または、投票アルゴリズムに基づいて生成されてもよい。複合パラメータは、メモリに記憶されてもよく、及び/又は、関連するディスプレイにおいてユーザへ表示されてもよい。
【0038】
図4は、ヒト胚において異数性をスクリーニングするための方法400の別の例を示す。402において、胚の画像を取得する。404において、胚の画像をニューラルネットワークへ提供することで、ニューラルネットワークにおいて胚の画像から第1臨床パラメータを生成する。第1臨床パラメータは、分類又は連続的であってもよい。ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、及び、敵対的生成ネットワークの一部として訓練された識別的分類器のうちのいずれかとして実現されてもよい。406において、対応するメモリからパラメータのセットを検索する。パラメータのセットは、少なくとも、受精によって胚を生成する卵母細胞を提供する卵子ドナーの年齢、胚を生成するための精子の品質を示す値、及び、受精により胚を生成した卵母細胞とともに収穫される卵母細胞から正常に受精される胚の数を含む。
【0039】
408において、第1予測モデルでパラメータのセットの第1サブセットから第2臨床パラメータを生成する。一実施形態において、第1予測モデルは、サポートベクターマシンとして実施される。410において、第2予測モデルでパラメータのセットの第2サブセットから第3臨床パラメータを生成する。一実施形態において、第2予測モデルは、全結合のフィードフォワードニューラルネットワークとして実施される。一例において、第1サブセット及び第2サブセットのそれぞれは、パラメータのセットにおける全てのパラメータを含み、それにより第1予測モデル及び第2予測モデルのそれぞれは、パラメータのセット全体を受信する。別の例において、第1サブセットと第2サブセットは、それぞれパラメータのセットの適切なサブセットである。412において、第1臨床パラメータ、第2臨床パラメータ及び第3臨床パラメータから、胚における異数性の尤度を示す複合パラメータを生成する。示された例において、第1臨床パラメータ、第2臨床パラメータ及び第3臨床パラメータの多数決によって複合パラメータを生成する。複合パラメータは、メモリに記憶され、及び/又は、関連するディスプレイにおいてユーザへ表示されてもよい。
【0040】
図5は、
図1-
図4に示されたシステム及び方法、例えば、
図1に示された自動胚評価システムを実装できるハードウェア部品の例示的なシステム500を示す模式ブロック図である。システム500は、様々なシステムおよびサブシステムを含むことができる。システム500は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、コンピュータシステム、電気機器、特定用途向け集積回路(ASIC)、サーバ、サーバブレードセンター、またはサーバファームのいずれかであってもよい。
【0041】
システム500は、システムバス502、処理ユニット504、システムメモリ506、メモリデバイス508、510、通信インターフェース512(例えば、ネットワークインタフェース)、通信リンク514、ディスプレイ516(例えば、ビデオ画面)、及び入力機器518(例えばキーボード及び/またはマウス)を含むことができる。システムバス502は、処理ユニット504及びシステムメモリ506と通信することができる。ハードディスクドライブ、サーバ、スタンドアロンデータベース、またた他の不揮発性メモリなどの追加のメモリデバイス508、510もシステムバス502と通信することができる。システムバス502は、処理ユニット504、メモリデバイス506-510、通信インターフェース512、デスプレイ516、及び入力機器518と相互接続する。いくつかの例では、システムバス502は、追加のポート、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート(図示せず)と相互接続する。
【0042】
システム500は、コンピューティングクラウドに実装することができる。この場合、処理ユニット504、通信インターフェース512、およびメモリデバイス508、510などのシステム500の機能は、ハードウェアの単一または複数のインスタンスを表すことができ、アプリケーションは、ハードウェア(例えば、コンピューター、ルーター、メモリ、プロセッサ、またはそれらの組み合わせ)の複数のインスタンス(つまり、分配式のもの)で実行される。代わりに、システム500を単一の専用サーバに実装することができる。
【0043】
処理ユニット504は、コンピューティングデバイスとすることができ、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。処理ユニット504は、一組の指令を実行して、本明細書に開示された例の操作を実装する。処理ユニットは、処理コアを含むことができる。
【0044】
追加のメモリデバイス506、508及び510は、テキスト又はコンパイルされた形式のデータ、プログラム、指令、データベースクエリ及びコンピュータを動作させるために必要とされ得る任意の他の情報を格納することができる。メモリ506、508及び510は、メモリカード、ディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、またはネットワークを介してアクセス可能なサーバなどのコンピュータ可読媒体(一体または取り外し可能)として実装され得る。いくつかの例では,メモリ506、508及び510は、テキスト、画像、ビデオ及び/またはオディオを含むことができ、その一部は、人間に理解可能なフォーマットで利用可能である。
【0045】
追加又は代替として、システム500は、システムバス502及び通信リンク514と通信することができる通信インターフェース512を介して、外部データソースまたはクエリソースにアクセスすることができる。
【0046】
動作中、システム500は、本発明の胚評価システムの1つまたは複数の部分を実装するのに使用することができる。いくつかの例では、複合アプリケーション試験システムを実装するためのコンピュータ実行可能論理は、システムメモリ506及びメモリデバイス508、510のうちの1つまたは複数に常在している。処理ユニット504は、システムメモリ506及びメモリデバイス508、510からの1つまたは複数のコンピュータ実行可能指令を実行する。コンピュータ可読媒体は、処理ユニットにそれぞれ動作可能に接続された複数のコンピュータ可読媒体を含むことができることが理解されるだろう。
【0047】
実施形態を完全に理解するために、特定の詳細を上記の説明で提供した。しかしながら、これらの特定の詳細がなくても実施形態を実施することができると理解される。例えば、回路は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図で示されている場合がある。公知の回路、工程、アルゴリズム、構造、及び技術は、実施形態を不明瞭にしないために、不必要な詳細なしで示されている場合がある。
【0048】
上述した技術、ブロック、ステップ、手段は、様々な方法で実装することができる。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ、及び手段は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせとして実装できる。ハードウェア実装では、処理ユニットが、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、前述の機能を果たすように設計された他の電子ユニット及び/またはそれらの組み合わせ内に実装されてもよい。
【0049】
また、実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロックとして図示されるプロセスとして説明され得ることに留意されたい。フローチャートは、逐次プロセスとして動作を説明し得るが、動作の多くは、並行または同時に行われることができる。さらに、動作の順序は、並べ替えられても良い。プロセスは、その動作が完了されると終了するが、図に含まれないさらに別のステップを有し得る。プロセスは、方法、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラム等に対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し関数またはメイン関数への関数の戻りに対応する。
【0050】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、および/またはそれらの任意の組み合わせによって実装することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、および/またはマイクロコードとして実装される場合、必要なタスクを行うプログラムコードまたはコードセグメントが、記憶媒体などの機械可読媒体に格納されてもよい。コードセグメントまたは機器の実行可能な指令は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、または指令、データ構造、および/またはプログラムステートメントの任意の組み合わせを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、および/またはメモリコンテンツを伝達及び/又は受信することによって、別のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージ伝達、チケット伝達、ネットワーク送信などの任意の適切な手段を介して伝達、転送又は送信することができる。
【0051】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア実装では、方法は、本明細書に記載する機能を果たすモジュール(例えば、プロシージャ、関数など)を用いて実装することができる。本明細書に記載する方法を実装するには、指令を有形に具現化するいかなる機械可読媒体も使用することができる。例えば、ソフトウェアコードをメモリに格納することができる。メモリは、プロセッサ内、またはプロセッサ外に実装することができる。本明細書で使用する「メモリ」という用語は、任意の種類の長期、短期、揮発性、不揮発性その他の記憶媒体を指し、特定のメモリの種類、メモリの数、メモリが格納される媒体の種類に限定されない。
【0052】
さらに、本明細書で開示されるように、「記憶媒体」という用語は、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、および/または情報を格納するための他の機械可読媒体を含む、データを格納するための1つまたは複数のメモリを表し得る。「コンピュータ可読媒体」、「機械可読媒体」という用語は、ポータブルまたは固定記憶デバイス、光記憶デバイス、無線チャネル、ならびに/または指令及び/またはデータを格納、含有、または搬送することのできる様々な他の記憶媒体を含むが、これらに限定されない。「コンピュータ可読媒体」、「機械可読媒体」は、処理ユニットにそれぞれ動作可能に接続された複数種類の媒体を含むことができる。
【0053】
以上、特定の装置および方法を参照して本発明の原理を説明したが、この説明は、本発明の範囲の限定としてではなく例示としてなされているにすぎないことを明確に理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト胚における異数性に対する全自動スクリーニングのシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行される機器の実行可能な指令が記憶される非一時的コンピュータ可読媒体と、を含み、
前記機器の実行可能な指令は、
対応するイメージャーから前記胚の画像を受信するように構成されるイメージャーインターフェースと、
前記胚の画像から第1臨床パラメータを生成するように構成されるニューラルネットワークと、
前記胚を受ける患者と、前記ヒト胚を生成するための卵子と、前記胚を生成するための精子と、前記胚を生成するための精子を提供する精子ドナーと、前記卵子を提供する卵子ドナーとのうちの1つを表す少なくとも1つのパラメータのセットから第2臨床パラメータを生成するように構成される予測モデルと、
前記第1臨床パラメータ及び前記第2臨床パラメータから、前記胚における異数性の尤度を表す複合パラメータを生成するように構成されるアビトレータと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
特徴抽出器を更に含み、
前記特徴抽出器は、前記画像を示す特徴ベクトルを生成し、前記特徴ベクトルを前記予測モデルへ提供し、前記予測モデルは、前記少なくとも1つのパラメータのセットを表す少なくとも1つのパラメータから前記第2臨床パラメータを生成するように構成されることを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アビトレータは、前記複合パラメータを少なくとも前記第1臨床パラメータと前記第2臨床パラメータとの重み付き線形結合として生成するように構成されることを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記予測モデルは、第1予測モデルであり、前記少なくとも1つのパラメータのセットは、少なくとも1つのパラメータの第1セットであり、前記システムは、第2予測モデルを更に含み、前記第2予測モデルは、少なくとも1つのパラメータの第2セットから第3臨床パラメータを生成するように構成され、前記第1臨床パラメータと前記第2臨床パラメータと前記第3臨床パラメータとのうちのそれぞれは、分類パラメータであり、前記アビトレータは、少なくとも前記第1臨床パラメータ、前記第2臨床パラメータ及び前記第3臨床パラメータの多数決によって前記複合パラメータを生成するように構成されることを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパラメータのセットは、前記卵子の年齢、卵子ドナーの年齢、精子ドナーの年齢、前記胚の受精方法、前記卵子ドナーのホルモンプロファイル、前記卵子ドナーの過去診断状況及び前記精子ドナーの過去診断状況のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【国際調査報告】