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特表2023-541170Z-AATタンパク質のレベルを低下させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】Z-AATタンパク質のレベルを低下させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7105 20060101AFI20230921BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230921BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230921BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230921BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230921BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230921BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20230921BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20230921BHJP
   C07K 14/81 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A61K31/7105
A61K48/00
A61P1/16
A61P29/00
A61P35/00
A61P1/16 101
A61P43/00 105
C12N15/113 Z ZNA
C07K14/47
C07K14/81
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516545
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 US2021050247
(87)【国際公開番号】W WO2022060721
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/078,658
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/180,487
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512219840
【氏名又は名称】アローヘッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ドーン クリスティアンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ シー.ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ギブン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA75
4C084ZA76
4C084ZB11
4C084ZB21
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZA76
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA56
4H045EA20
(57)【要約】
アルファ-1アンチトリプシン(AAT)のPiZZ遺伝子型を有するヒト対象において、AAT RNAi剤を含む医薬組成物を使用して肝臓Z-AATタンパク質のレベルを低下させる方法を記載する。本明細書に開示するAAT RNAi剤を含む医薬組成物は、PiZZ変異を有するヒト対象に投与された場合、可溶性及び不溶性Z-AATタンパク質の両方を含めた肝臓Z-AATタンパク質のレベルを低下させる。かかる低下により、AAT欠乏症と関連する肝疾患、例えば、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌のリスクの増加、高トランスアミナーゼ血症、胆汁うっ滞、線維化、劇症肝不全、及び他の肝臓関連の疾患の治療につながり得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ-1アンチトリプシンのPiZZ遺伝子型を有するヒト対象における肝臓Z-AATタンパク質のレベルを低下させる方法であって、
a.前記対象に対して、表2に記載のAAT RNAi原薬を含む医薬組成物の初回投与を、前記AAT RNAi原薬の用量約5mg~約300mgにて施すこと、
b.前記対象に対して、前記初回投与の約4週または約1か月後に、前記医薬組成物の第二回投与を施すこと、及び
c.前記対象に対して、前記第二回投与の約12週または約3か月後に、前記医薬組成物の第三回投与を施すこと
を含む前記方法であり、前記投与が、皮下注射によって施される、前記方法。
【請求項2】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約25mg~約300mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約25mg~約200mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約100mg~約200mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約100mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約200mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約200mg以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
可溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベル及び可溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルの両方が低下する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記第三回投与の後にさらなる投与を施すことを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法であって、前記さらなる投与が、その後約12週ごとまたは約3か月ごとに施される、前記方法。
【請求項12】
前記肝臓Z-AATタンパク質のレベルが、前記初回投与から6か月以内に低下する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記肝臓Z-AATタンパク質のレベルが、前記初回投与から約1年以内に低下する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記Z-AATタンパク質のレベルが、AAT RNAi原薬の前記3回のみの投与の施用後に低下する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記肝臓が、線維化の悪化を示さないか、または改善を示す、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
肝臓酵素であるALT、GGT、またはその両方が低下する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
線維形成マーカーであるPro-C3が減少する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
門脈性の肝炎が減少する、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
トランジェントエラストグラフィ(FibroScan(登録商標))による肝硬度の非侵襲的測定値が改善される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、さらに、AATDの治療用のさらなる治療薬を投与される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、さらに、内因的に分泌されるAATタンパク質の欠乏によって引き起こされる肺損傷、肺気腫、または他の肺疾患もしくは障害の治療のための治療薬を投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記さらなる治療薬が、ヒトAATタンパク質、精製ヒトアルファ-1プロテイナーゼインヒビター、または組み換えAATタンパク質を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬組成物が、キット、容器、パック、ディスペンサー、プレフィルドシリンジ、またはバイアルに包装される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物が、表3.1または表3.2に記載の製剤化AAT RNAi原薬を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記医薬組成物の前記1回以上の投与の施用が、前記対象によって行われる、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記医薬組成物の前記1回以上の投与の施用が、医療専門家によって行われる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象が、成人である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
アルファ-1アンチトリプシンのPiZZ遺伝子型を有するヒト対象におけるAATDの治療方法であって、
a.前記対象に対して、表2に記載のAAT RNAi原薬を含む医薬組成物の初回投与を、前記AAT RNAi原薬の用量約5mg~約300mgにて施すこと、
b.前記対象に対して、前記初回投与の約4週または約1か月後に、前記医薬組成物の第二回投与を施すこと、及び
c.前記対象に対して、前記第二回投与の約12週または約3か月後に、前記医薬組成物の第三回投与を施すこと
を含む前記方法であり、前記投与が、皮下注射によって施される、前記方法。
【請求項29】
前記AATDによって引き起こされる状態または疾患が、肝疾患である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記肝疾患が、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌のリスクの増加、高トランスアミナーゼ血症、胆汁うっ滞、線維化、または劇症肝不全である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約100mg~約200mgである、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記AAT RNAi原薬の前記用量が、約200mg以下である、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
モノマー(可溶性)の肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する、請求項28~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する、請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベル及び可溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルの両方が低下する、請求項28~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
さらに、前記第三回投与の後にさらなる投与を施すことを含む、請求項28~35のいずれか1項に記載の方法であって、前記さらなる投与が、その後約12週ごとまたは約3か月ごとに施される、前記方法。
【請求項37】
前記肝臓Z-AATタンパク質のレベルが、前記初回投与から約6か月以内に低下する、請求項28~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記肝臓Z-AATタンパク質のレベルが、前記初回投与から約1年以内に低下する、請求項28~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記Z-AATタンパク質のレベルが、AAT RNAi原薬の前記3回のみの投与の施用後に低下する、請求項28~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記表2に記載のAAT RNAi原薬(ADS-001)を含む前記医薬組成物の前記ヒト対象への前記投与により、
(i)線維化の低下、
(ii)門脈周囲肝細胞のレベルの低下、
(iii)血清Z-AATの低下、
(iv)全肝臓Z-AATの低下、
(v)可溶性肝臓Z-AATの低下、
(vi)不溶性肝臓Z-AATの低下、
(vii)ALTの低下、
(viii)GGTの低下、
(ix)Pro-C3の低下、
(x)脂肪症の組織学的改善、または
(xi)それらの組み合わせ
がもたらされる、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記血清Z-AATの低下が、少なくとも約70%である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記血清Z-AATの低下が、約70%~約100%である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記全肝臓Z-AATの低下が、少なくとも約70%である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記全肝臓Z-AATの低下が、約70%~約100%である、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記可溶性肝臓Z-AATの低下が、少なくとも約50%である、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記可溶性肝臓Z-AATの低下が、約50%~約97%である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記不溶性肝臓Z-AATの低下が、少なくとも約40%である、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記不溶性肝臓Z-AATの低下が、約40%~約97%である、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記ALTの低下が、少なくとも約30%である、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記ALTの低下が、約30%~約75%である、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記GGTの低下が、少なくとも約25%である、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記GGTの低下が、約25%~約85%である、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記線維化の低下が、FIBROSCAN(登録商標)によって測定して、少なくとも約15%である、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記線維化の低下が、FIBROSCAN(登録商標)によって測定して、約15%~約90%である、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記Pro-C3の低下が、少なくとも約15%である、請求項40に記載の方法。
【請求項56】
前記Pro-C3の低下が、約15%~約90%である、請求項40に記載の方法。
【請求項57】
前記ヒト対象が、脂肪症の組織学的改善を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項58】
前記表2に記載のAAT RNAi原薬(ADS-001)を含む前記医薬組成物の前記ヒト対象への前記投与により、線維化、門脈炎症、インターフェイス肝炎、全門脈管病変、PAS+Dゾーン位置、ゾーン1「小球」門脈周辺病変、またはそれらの任意の組み合わせの改善がもたらされる、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2020年9月15日に出願された米国仮出願第63/078,658号及び2021年4月27日に出願された米国仮出願第63/180,487号の優先権の利益を主張する。当該仮出願の両方は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
本出願とともに出願された、ASCIIテキストファイル(名称3817_084PC02_SequenceListing.txt、サイズ:5,721バイト、及び作成日:2021年9月12日)で電子的に提出された配列表の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書に開示するのは、アルファ-1アンチトリプシン遺伝子の発現を阻害するRNA干渉(RNAi)剤を含む医薬組成物を使用して、アルファ-1アンチトリプシン欠損症(AATD)のZ型変異を有するヒト対象における肝臓Z-AATタンパク質のレベルを低下させる方法である。
【背景技術】
【0004】
アルファ-1アンチトリプシン(AAT、α1-アンチトリプシン、またはA1AT)は、SERPINA1遺伝子によってヒトにおいてコードされるセルピンスーパーファミリーに属するプロテアーゼインヒビターである。正常なAATタンパク質は、主に肝細胞によって肝臓で合成され、血中に分泌される血中糖タンパク質プロテアーゼインヒビターである。AATの既知の生理学的機能は、好中球プロテアーゼを阻害することであり、これは、炎症時の非特異的損傷から宿主組織を保護する働きをする。
【0005】
AATDは、常染色体共優性遺伝性疾患であり、これにより、AATの血中レベルが低くなり、成人で早期肺疾患、小児及び成人で肝疾患を引き起こす。AATDの有病率の範囲は、約1,500~5,000人に1人であり、ヨーロッパ系の人が最も多く罹患する。
【0006】
AATDの臨床的に最も重要で深刻な形態は、グルタミン酸をコードする一塩基多型が当該成熟タンパク質の342位でリジンに置換されている(Glu342Lys)Z型変異(PiZZ遺伝子型と呼ばれる)のホモ接合性によって引き起こされる。Z型変異対立遺伝子は、単一点突然変異により、変異Z型AATタンパク質(「Z-AATタンパク質」)を、フォールディング異常を起こしやすい状態にし、肝細胞の小胞体(ER)での細胞内保持を引き起こす。よりまれな他の突然変異もまた、ミスフォールドして蓄積したタンパク質を肝細胞にもたらす。変異型Z-AATタンパク質モノマーは、「小球」と呼ばれることもあるポリマー凝集体を蓄積することができる。ポリマーのZ-AATは、ERに圧力を加え、連続的な肝細胞の損傷と回復のサイクルを引き起こし、線維化、肝硬変、及び肝細胞癌のリスクの増加につながる。さらに、血中抗プロテアーゼ活性の欠如は、特に肺炎症の場合に、肺を好中球エラスターゼによる損傷に対して無防備な状態にし、呼吸器合併症、例えば、肺気腫または他の肺疾患の発症を引き起こす。
【0007】
ホモ接合性PiZZ遺伝子型を有する患者は、機能性AATが極端に欠乏している。精製ヒトAATを使用したAAT増強療法を毎週使用することが、罹患患者の肺損傷予防に役立つ。現在市販されているかかる製剤としては、例えば、PROLASTIN(登録商標)-C、PROLASTIN(登録商標)、GLASSIA(商標)、ARALAST(登録商標)NP、及びZEMAIRA(登録商標)が挙げられる。しかしながら、精製AATの投与は、内因的に分泌されるAATの欠如または低レベルによって引き起こされる肺損傷を改善または予防するのに役立ち得るが、AATD患者(ポリマー形成をもたらすAAT変異を有する)は、過剰なフォールディング異常のAATタンパク質の堆積及び蓄積によって引き起こされる小胞体肝蓄積症を引き起こしやすいままである。肝細胞において「小球」コンフォメーションで蓄積されたZ-AATタンパク質は、AATD肝疾患の周知の組織学的特徴であり、AATD患者における肝臓細胞の損傷及び死ならびに慢性肝障害を含めた肝損傷の誘発に関与するタンパク質毒性効果につながると考えられている(例えば、D.Lindblad et al.,Hepatology 2007,46:1228-1235参照)。AATを産生しないヌル/ヌル患者は重度の肺疾患を発症するが、正常な肝臓形態を有することが報告されており、血中AATの欠如ではなく、変異型AATの蓄積が肝疾患につながるという証拠を提供している(Feldman,G.et al,The Ultrastructure of Hepatocytes in alpha-1 antitrypsin deficiency with genotype Pi_,Gut.1975;16:796-799)。
【0008】
AATDにより、小児及び成人の患者での肝疾患及び成人の患者での早期発症型の肺気腫が生じやすくなる。AATD患者は、多くの場合肝疾患を発症し、幼年期であっても重篤または致命的になり得る。一部のAATD患者は、病初では検出を逃れるが、最終的に線維化が蓄積し、臨床的に明らかな肝疾患に至る。肝臓の損傷の臨床症状としては、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌のリスクの増加、高トランスアミナーゼ血症、胆汁うっ滞、線維化、さらには劇症肝不全が挙げられる。
【0009】
肝細胞におけるZ-AATタンパク質の蓄積は、AATD患者の進行性肝疾患の原因として明確に特定されている。肝細胞における変異タンパク質蓄積の排除により、肝疾患の進行が停止する可能性がある。該変異タンパク質損傷の除去は、すでに存在する線維化の退行も可能にし得る。現在、AATDによって引き起こされる肝疾患の発症の予防、進行の遅延、または他の方法での治療のための臨床的に承認された治療法はない。
【0010】
RNAi剤は、AATD患者を治療するための有望な手段として浮上している。投薬方法は、RNAi剤でAATDを治療する際に考慮すべき重要事項である。低頻度の投与は、患者にとって大切であり、服薬順守の向上につながるとともに、投与量が少ないほど、当該薬物の全体的な安全性プロファイルに有利であり得る。したがって、AATDの治療のための低用量、低頻度の方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本明細書に記載するのは、AATDのZ型変異を有するヒト対象における肝臓Z-AATタンパク質のレベルを低下させる方法である。1つの態様では、該方法は、表2に記載の組成物を含む医薬組成物(すなわち、本明細書ではADS-001とも呼ばれるAAT RNAi原薬、またはその塩)を、該AAT RNAi原薬(例えば、ADS-001、またはその塩)の用量約5mg~約300mgにてヒト対象に投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、例えば、皮下に投与され、投与間隔は、例えば、約1か月または約4週である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法で使用される医薬組成物は、表3.1に記載の製剤化AAT RNAi原薬(本明細書ではADS-001-1とも呼ばれる、もしくはその塩)または表3.2の製剤(本明細書ではADS-001-2とも呼ばれる)を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。本明細書で使用される場合、文脈に応じて、「約」または「およそ」という用語は、所与の値または範囲の5%以内、例えば、5%、4%、3%、2%、または1%以内を意味する。
【0012】
さらに、本明細書に記載するのは、AATDのZ型変異を有するヒト対象におけるZ-AAT肝臓タンパク質のレベルを低下させる方法であり、該方法は、表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001、またはその塩)を含む医薬組成物を、用量約5mg~約200mgにて該ヒト対象に投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、例えば、皮下に投与され、投与間隔は、例えば、少なくとも約1か月(すなわち、約1か月に1回の投与)である。
【0013】
本明細書にさらに記載するのは、AATDの治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であり、該方法は、表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001、またはその塩)を含む医薬組成物を、用量約5mg~約300mgにて該ヒト対象に投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、例えば、皮下に投与され、投与間隔は、例えば、約3か月(すなわち、3か月ごとの投与)である。
【0014】
同様に本明細書に記載するのは、AATDの治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であり、該方法は、表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)を含む医薬組成物を、用量約5mg~約200mgにて該ヒト対象に投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、例えば、皮下に投与され、投与間隔は、例えば、約3か月(すなわち、3か月ごとの投与)である。
【0015】
本明細書に記載するのは、AATDの治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であり、該方法は、表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)を含む医薬組成物を、用量約5mg~約300mgにて該ヒト対象に投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、例えば、皮下に投与され、初回投与後に、例えば、第二回投与が約4週または約1か月後に続き、その後、それに続く投与に関しては、投与間隔は、例えば、約3か月である。
【0016】
本明細書に記載するのは、AATDの治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であり、該方法は、表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)を含む医薬組成物を、用量約5mg~約200mgにて該ヒト対象に投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、例えば、皮下に投与され、初回投与後に、例えば、第二回投与が約1か月後に続き、その後、それに続く投与に関しては、投与間隔は、例えば、約3か月である。
【0017】
いくつかの実施形態では、各投与で施されるAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)の用量は、例えば、約25mg~約200mgである。いくつかの実施形態では、各投与で施されるAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)の用量は、約100mg~約200mgである。いくつかの実施形態では、各投与で施されるAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)の用量は、約100mgである。いくつかの実施形態では、各投与で施されるAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)の用量は、約200mgである。いくつかの実施形態では、各投与で施されるAAT RNAi原薬の用量は、200mg以下である。
【0018】
本明細書に開示する治療方法は、AATDを有するヒト対象における肝疾患の進行を遅延または停止させることができ、これにより線維性組織の修復を可能にすることができる。本明細書に開示する方法は、いくつかの実施形態では、AATDによって引き起こされる線維化、肝硬変、肝細胞癌のリスクの増加、慢性肝炎、高トランスアミナーゼ血症、胆汁うっ滞、劇症肝不全、ならびに他の肝臓関連の状態及び疾患を含めたAATD肝疾患を治療することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示する方法は、本明細書に開示するAATD肝疾患を予防すること、その発症を遅延すること、またはその症状、合併症、及び/または後遺症を改善することができる。
【0019】
本明細書に開示するAAT RNAi剤(例えば、ADS-001またはその塩)を含む医薬組成物をヒト対象に投与することで、該対象におけるアルファ-1アンチトリプシン遺伝子の発現を阻害することができる。いくつかの実施形態では、該対象は、以前にAATDを有すると診断されたことがあるヒトである。
【0020】
本発明の別の態様は、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症(AATD)の治療を必要とするヒト対象におけるその治療のための表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)の使用を提供し、該使用は、該対象に対して、表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)を含む医薬組成物を、該AAT RNAi原薬の用量約5mg~約300mgにて投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、毎月1回、例えば、皮下注射によって投与される。
【0021】
本発明の別の態様は、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症(AATD)の治療を必要とするヒト対象におけるその治療のための表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)の使用を提供し、該使用は、該対象に対して、表2に記載のAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)を含む医薬組成物を、該AAT RNAi原薬の用量約5mg~約300mgにて投与することを含み、ここで、該医薬組成物は、3か月に1回、例えば、皮下注射によって投与される。
【0022】
いくつかの態様では、本開示は、アルファ-1アンチトリプシンのPiZZ遺伝子型を有するヒト対象における肝臓Z-AATタンパク質のレベルを低下させる方法を提供し、該方法は、(i)該対象に対して、表2に記載のAAT RNAi原薬を含む医薬組成物の初回投与を、該AAT RNAi原薬の用量約5mg~約300mgにて施すこと、(ii)該対象に対して、該初回投与の約4週または約1か月後に該医薬組成物の第二回投与を施すこと、及び(iii)該対象に対して、該第二回投与の約12週または約3か月後に該医薬組成物の第三回投与を施すことを含み、ここで、これらの投与は、皮下注射によって施される。
【0023】
いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約25mg~約300mgである。いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約25mg~約200mgである。いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約100mg~約200mgである。いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約100mgである。いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約200mgである。いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約200mg以下である。いくつかの態様では、可溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する。いくつかの態様では、不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する。いくつかの態様では、不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベル及び可溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルの両方が低下する。
【0024】
いくつかの態様では、該方法はさらに、該第三回投与の後にさらなる投与を施すことを含み、該さらなる投与は、その後約12週ごとまたは約3か月ごとに施される。いくつかの態様では、該肝臓Z-AATタンパク質のレベルは、初回投与から6か月以内に低下する。いくつかの態様では、該肝臓Z-AATタンパク質のレベルは、初回投与から約1年以内に低下する。いくつかの態様では、該Z-AATタンパク質のレベルは、AAT RNAi原薬の3回のみの投与の施用後に低下する。いくつかの態様では、該肝臓は、線維化の悪化を示さないか、または改善を示す。いくつかの態様では、肝臓酵素であるALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、GGT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)、またはその両方が低下する。いくつかの態様では、線維形成マーカーであるPro-C3が低下する。いくつかの態様では、門脈性の肝炎が減少する。いくつかの態様では、トランジェントエラストグラフィ(FIBROSCAN(登録商標))による肝硬度の非侵襲的測定値が改善される。
【0025】
いくつかの態様では、該対象はさらに、AATDの治療用のさらなる治療薬を投与される。いくつかの態様では、該対象はさらに、内因的に分泌されるAATタンパク質の欠乏によって引き起こされる肺損傷、肺気腫、または他の肺疾患もしくは障害の治療のための治療薬を投与される。いくつか態様では、該さらなる治療薬は、ヒトAATタンパク質、精製ヒトアルファ-1プロテイナーゼインヒビター、または組み換えAATタンパク質を含む。
【0026】
いくつかの態様では、表2に記載のAAT RNAi原薬を含む医薬組成物は、キット、容器、パック、ディスペンサー、プレフィルドシリンジ、またはバイアルに包装される。いくつかの態様では、該医薬組成物は、表3.1または表3.2に記載の製剤化AAT RNAi原薬を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。いくつかの態様では、該医薬組成物の1回以上の投与の施用は、該対象によって行われる。いくつかの態様では、該医薬組成物の1回以上の投与の施用は、医療専門家によって行われる。いくつかの態様では、該対象は、成人である。
【0027】
本開示はまた、アルファ-1アンチトリプシンのPiZZ遺伝子型を有するヒト対象におけるAATDの治療方法を提供し、該方法は、(i)該対象に対して、表2に記載のAAT RNAi原薬を含む医薬組成物の初回投与を、該AAT RNAi原薬の用量約5mg~約300mgにて施すこと、(ii)該対象に対して、該初回投与の約4週または約1か月後に該医薬組成物の第二回投与を施すこと、及び(iii)該対象に対して、該第二回投与の約12週または約3か月後に該医薬組成物の第三回投与を施すことを含み、ここで、これらの投与は、皮下注射によって施される。いくつかの態様では、該AATDによって引き起こされる状態または疾患は、肝疾患である。いくつかの態様では、該肝疾患は、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌のリスクの増加、高トランスアミナーゼ血症、胆汁うっ滞、線維化、または劇症肝不全である。いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約100mg~約200mgである。いくつかの態様では、該AAT RNAi原薬の用量は、約200mg以下である。
【0028】
本明細書に開示する方法のいくつかの態様では、モノマー(可溶性)の肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する。いくつかの態様では、不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルが低下する。いくつかの態様では、不溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベル及び可溶性肝臓Z-AATタンパク質のレベルの両方が低下する。本明細書に開示するアルファ-1アンチトリプシンのPiZZ遺伝子型を有するヒト対象におけるAATDの治療方法のいくつかの態様では、該方法はさらに、該第三回投与の後にさらなる投与を施すことを含み、該さらなる投与は、その後約12週ごとまたは約3か月ごとに施される。いくつかの態様では、該肝臓Z-AATタンパク質のレベルは、初回投与から約6か月以内に低下する。いくつかの態様では、該肝臓Z-AATタンパク質のレベルは、初回投与から約1年以内に低下する。いくつかの態様では、該Z-AATタンパク質のレベルは、AAT RNAi原薬の3回のみの投与の施用後に低下する。
【0029】
本明細書に開示する方法のいくつかの態様では、表2に記載のAAT RNAi原薬(ADS-001)を含む医薬組成物のヒト対象への投与により、(i)線維化の低下、(ii)門脈周囲肝細胞のレベルの低下、(iii)血清Z-AATの低下、(iv)全肝臓Z-AATの低下、(v)可溶性肝臓Z-AATの低下、(vi)不溶性肝臓Z-AATの低下、(vii)ALTの低下、(viii)GGTの低下、(ix)Pro-C3の低下、(x)脂肪症の組織学的改善、または(xi)それらの組み合わせがもたらされる。
【0030】
いくつかの態様では、該血清Z-AATの低下は、少なくとも約70%である。いくつかの態様では、該血清Z-AATの低下は、約70%~約100%である。いくつかの実施形態では、該血清Z-AATの低下は、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、または約99%である。いくつかの態様では、該全肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約70%である。いくつかの態様では、該全肝臓Z-AATの低下は、約70%~約100%である。いくつかの実施形態では、該全肝臓Z-AATの低下は、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、または約99%である。いくつかの態様では、該可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約50%である。いくつかの態様では、該可溶性肝臓Z-AATの低下は、約50%~約97%である。いくつかの実施形態では、該可溶性肝臓Z-AATの低下は、約55%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。いくつかの態様では、該不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約40%である。いくつかの態様では、該不溶性肝臓Z-AATの低下は、約40%~約97%である。いくつかの実施形態では、該不溶性肝臓Z-AATの低下は、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。いくつかの態様では、該ALTの低下は、少なくとも約30%である。いくつかの態様では、該ALTの低下は、約30%~約75%である。いくつかの実施形態では、該ALTの低下は、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、または約70%である。いくつかの態様では、該GGTの低下は、少なくとも約25%である。いくつかの態様では、該GGTの低下は、約25%~約85%である。いくつかの実施形態では、該GGTの低下は、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、または約80%である。いくつかの態様では、該線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)によって測定して、少なくとも約15%である。いくつかの態様では、該線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)によって測定して、約15%~約90%である。いくつかの実施形態では、該線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)によって測定して、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、または約85%である。いくつかの態様では、該Pro-C3の低下は、少なくとも約15%である。いくつかの態様では、該Pro-C3の低下は、約15%~約90%である。いくつかの態様では、該ヒト対象は、脂肪症の組織学的改善を有する。いくつかの実施形態では、該Pro-C3の低下は、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、または約85%である。いくつかの態様では、表2に記載のAAT RNAi原薬(ADS-001)を含む医薬組成物の該ヒト対象への投与により、線維化、門脈炎症、インターフェイス肝炎、全門脈管病変、PAS+Dゾーン位置、ゾーン1「小球」門脈周辺病変、またはそれらの任意の組み合わせの改善がもたらされる。
【0031】
上記のすべての変化は、所定の閾値、該AAT RNAi原薬を投与される前の対象におけるレベル、該AAT RNAi原薬を投与されていない対象におけるレベル、またはある集団で測定される対照レベルを基準とする。線維化、門脈周囲肝細胞、血清Z-AAT、肝臓Z-AAT、可溶性肝臓Z-AAT、不溶性肝臓Z-AAT、ALT、GGT、Pro-C3、または脂肪症の測定は、本開示に記載の通りに、または当技術分野で既知の方法を使用して行われる。
【0032】
本発明の他の目的、特徴、態様、及び利点は、以下の発明を実施するための形態、添付の図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】ナトリウム塩型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現(本明細書ではADS-001と呼ばれる。すなわち、センス鎖の5’末端で標的指向性三座N-アセチル-ガラクトサミン基にコンジュゲートしたAAT RNAi剤)。
図1B】ナトリウム塩型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現(本明細書ではADS-001と呼ばれる。すなわち、センス鎖の5’末端で標的指向性三座N-アセチル-ガラクトサミン基にコンジュゲートしたAAT RNAi剤)。
図1C】ナトリウム塩型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現(本明細書ではADS-001と呼ばれる。すなわち、センス鎖の5’末端で標的指向性三座N-アセチル-ガラクトサミン基にコンジュゲートしたAAT RNAi剤)。
図1D】ナトリウム塩型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現(本明細書ではADS-001と呼ばれる。すなわち、センス鎖の5’末端で標的指向性三座N-アセチル-ガラクトサミン基にコンジュゲートしたAAT RNAi剤)。
図1E】ナトリウム塩型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現(本明細書ではADS-001と呼ばれる。すなわち、センス鎖の5’末端で標的指向性三座N-アセチル-ガラクトサミン基にコンジュゲートしたAAT RNAi剤)。
図2A】遊離酸型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現。
図2B】遊離酸型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現。
図2C】遊離酸型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現。
図2D】遊離酸型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現。
図2E】遊離酸型で示される、表2に記載のAAT RNAi原薬の化学構造表現。
図3】表2に記載のAAT RNAi原薬(本明細書ではADS-001と呼ばれる。すなわち、センス鎖の5’末端で標的指向性三座N-アセチル-ガラクトサミン基にコンジュゲートしたAAT RNAi剤)の修飾センス鎖及びアンチセンス鎖の概略図。図3では、以下の略語が使用されている:a、c、g、及びuは、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドであり、Af、Cf、Gf、及びUfは、2’-フルオロ(当技術分野では2’-デオキシ-2’-フルオロとも呼ばれる)修飾ヌクレオチドであり、oは、ホスホジエステル結合であり、sは、ホスホロチオエート結合であり、invAbは、反転脱塩基残基またはサブユニットであり、(NAG37)sは、以下の化学構造を有する標的指向性三座N-アセチル-ガラクトサミンリガンドである:
【化1】
(ナトリウム塩型で示される)、または
【化2】
(遊離酸型で示される)。
図4】実施例2に記載の最終的な第I相試験デザイン及び第I相臨床試験の用量漸増スケジュール。
図5】実施例2に記載の第I相臨床試験からのプラセボ(全コホート)または35mgのAAT RNAi原薬(コホート1)を投与された健常ヒト志願者(NHV)における血清AATレベルを示すグラフ。図5~11に示す「活性物質」とは、表2に記載のAAT RNAi原薬を指す(表3.1に記載の製剤化AAT RNAi原薬として投与される)。
図6】実施例2に記載の第I相臨床試験からのプラセボ(全コホート)または単回100mg用量のAAT RNAi原薬(コホート2b)を投与されたNHVにおける血清AATレベルを示すグラフ。
図7】実施例2に記載の第I相臨床試験からのプラセボ(全コホート)または単回200mg用量のAAT RNAi原薬(コホート3b)を投与されたNHVにおける血清AATレベルを示すグラフ。
図8】実施例2に記載の第I相臨床試験からのプラセボ(全コホート)または単回300mg用量のAAT RNAi原薬(コホート4b)を投与されたNHVにおける血清AATレベルを示すグラフ。
図9】実施例2に記載の第I相臨床試験からのプラセボ(全コホート)または月1回投与の3回100mg用量のAAT RNAi原薬(コホート2)を投与されたNHVにおける血清AATレベルを示すグラフ。
図10】実施例2に記載の第I相臨床試験からのプラセボ(全コホート)または月1回投与の3回200mg用量のAAT RNAi原薬(コホート3)を投与されたNHVにおける血清AATレベルを示すグラフ。
図11】実施例2に記載の第I相臨床試験からのプラセボ(全コホート)または月1回投与の3回300mg用量のAAT RNAi原薬(コホート4)を投与されたNHVにおける血清AATレベルを示すグラフ。
図12】実施例3に記載の第II相臨床試験の第II相試験デザイン及び用量漸増スケジュール。
図13】実施例3に記載の第II相臨床試験からの3回200mg用量のAAT RNAi原薬(コホート1)を投与されたPiZZ遺伝子型の被験者における血清Z-AATレベルを示すグラフ。x軸の下向きの矢印は投与のタイミングを示す。LLOQ:定量下限。
図14】実施例3に記載の第II相臨床試験からの3回100mg用量のAAT RNAi原薬(コホート2)を投与されたPiZZ遺伝子型の被験者における血清Z-AATレベルを示すグラフ。x軸の下向きの矢印は投与のタイミングを示す。LLOQ:定量下限。
【発明を実施するための形態】
【0034】
RNAi剤
本明細書に記載の方法は、ヒト対象への医薬組成物の投与を含み、ここで、該医薬組成物は、AAT遺伝子の発現を阻害することが可能なRNAi剤(本明細書及び当技術分野ではRNAi剤またはRNAiトリガーと呼ばれる)、例えば、ADS-001またはその塩を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、ヒト対象への医薬組成物の投与を含み、該医薬組成物は、表2に記載のAAT RNAi原薬(ADS-001とも呼ばれる、またはその医薬的に許容される塩)を含む。本開示の文脈において、「その塩」及び「その医薬的に許容される塩」という用語は、同等及び同義であると考えられる。本明細書で使用される、「含む(includes)」及び「含む(comprises)」という用語は同義で使用され得る。
【0035】
本明細書に開示する方法での使用に適した組成物は、ヒト対象におけるAAT遺伝子の発現を阻害するRNAi剤、及び標的指向性部分または標的指向性基で構成される。いくつかの実施形態では、該RNAi剤は、表1.1及び1.2に示されるヌクレオチド配列、例えば、配列番号2のアンチセンスオリゴヌクレオチド及び配列番号4のセンスオリゴヌクレオチドを含み、該RNAi剤のセンス鎖、例えば、配列番号4のセンスオリゴヌクレオチドはさらに、3つの標的指向性N-アセチル-ガラクトサミン部分を含む標的指向性基に連結またはコンジュゲートされる(例えば、表B参照)。ヒト対象におけるAAT遺伝子の発現を阻害するRNAi剤は、「AAT RNAi剤」と呼ばれる。「連結される」及び「コンジュゲートされる」という用語は、2つの部分、例えば、配列番号4のセンスオリゴヌクレオチドと標的指向性部分(例えば、N-アセチル-ガラクトサミン等の標的指向性アシアロ糖タンパク質受容体部分)(例えば、NAG37)との間の共有結合を指す。いくつかの実施形態では、「連結される」または「コンジュゲートされる」とは、固相合成プロセス(SPSS)のステップとして、例えば、1つ以上のN-アセチル-ガラクトサミン部分を含むホスホロアミダイト化合物を使用した、標的指向性部分のオリゴヌクレオチド配列への結合を指す。いくつかの実施形態では、「連結される」または「コンジュゲートされる」とは、SPSS後の別のステップとして、例えば、二官能性試薬を使用した、配列番号4のセンスオリゴヌクレオチドと標的指向性部分(例えば、N-アセチル-ガラクトサミン等の標的指向性アシアロ糖タンパク質受容体部分)(例えば、NAG37)との共有結合を指す。本明細書で使用される、「連結される」及び「コンジュゲートされる」という用語は、同義で使用される。
【0036】
一般に、AAT RNAi剤は、センス鎖(パッセンジャー鎖とも呼ばれる)及びアンチセンス鎖(ガイド鎖とも呼ばれる)を含み、これらがアニールされて二重鎖を形成する。本明細書に開示するAAT RNAi剤は、配列特異的にAAT mRNAのメッセンジャーRNA(mRNA)転写物の翻訳を低下させることまたは阻害することが可能なRNAまたはRNA様(例えば、化学的に修飾されたRNA)オリゴヌクレオチド分子を含む。本明細書に開示するAAT RNAi剤は、RNA干渉メカニズム(すなわち、哺乳類細胞のRNA干渉経路機構(RNA誘導サイレンシング複合体またはRISC)との相互作用を通じてRNA干渉を誘発する)を通じて、または任意の代替メカニズム(複数可)または経路(複数可)によって作用し得る。AAT RNAi剤は、その用語が本明細書で使用される場合、主にRNA干渉メカニズムを通じて作用すると考えられるが、本開示のRNAi剤は、いかなる特定の経路にも作用機序にも拘束されることも限定されることもない。RNAi剤は一般に、各々16~49ヌクレオチド長のセンス鎖及びアンチセンス鎖で構成され、短鎖または低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、及びダイサー基質を含むがこれらに限定されない。
【0037】
AAT RNAi剤のセンス鎖の長さは、通常は16~49ヌクレオチド長であり、AAT RNAi剤のアンチセンス鎖の長さは、通常は18~49ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、該センス鎖及びアンチセンス鎖は、独立して、17~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、該センス鎖及びアンチセンス鎖は、独立して、21~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、該センス鎖及びアンチセンス鎖は、独立して、21~24ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、該センス鎖及び/またはアンチセンス鎖は、独立して、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、該センス鎖及び該アンチセンス鎖は両方、21ヌクレオチド長である。該センス鎖及びアンチセンス鎖は、同じ長さの場合もあれば、異なる長さの場合もある。該センス鎖及びアンチセンス鎖はまた、該AAT RNAi剤の一端または両端にオーバーハングヌクレオチドを形成する場合もある。
【0038】
AAT RNAi剤は、AAT遺伝子発現を阻害、サイレンシング、またはノックダウンする。本明細書で使用される、「サイレンシングする」、「低減する」、「阻害する」、「下方制御する」、または「ノックダウンする」という用語は、AATの発現に言及する場合、当該遺伝子の発現が、該遺伝子から転写されるRNAのレベルで測定して、または該遺伝子が転写される細胞、細胞群、組織、臓器、もしくは対象におけるmRNAから翻訳されるポリペプチド、タンパク質、もしくはタンパク質サブユニットのレベルで測定して、該細胞、細胞群、組織、臓器、もしくは対象が、該RNAi剤で処理された場合に、処理されていない第二の細胞、細胞群、組織、臓器、もしくは対象と比較して減少することを意味する。場合によっては、該遺伝子発現の減少は、AAT RNAi剤を含む組成物の投与前のヒト対象におけるAAT mRNAまたはAATタンパク質のベースラインのレベルを、該治療を施した後のAAT mRNAまたはAATタンパク質のレベルと比較することによって測定される。
【0039】
AAT遺伝子の阻害、サイレンシング、またはノックダウンは、当技術分野で知られている任意の適切なアッセイまたは方法で測定され得る。本明細書に記載の非限定的な実施例、及び参照により全体として本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2018/132432号に記載の実施例は、AAT遺伝子発現阻害を測定するための適切なアッセイのある特定の例を提供している。正常な野生型のヒトの参照AAT mRNA遺伝子転写物(SERPINA1)(転写物バリアント1と呼ばれる。GenBank NM_000295.4)は、配列番号1に見出され得る。
【0040】
本明細書に開示する方法での使用に適したAAT RNAi剤は、1つ以上のN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む標的指向性基、例えば、N-アセチル-ガラクトサミン等の標的指向性アシアロ糖タンパク質受容体部分を含む肝臓標的基に、共有結合またはコンジュゲートされ得る。実施形態では、本明細書に開示する方法での使用に適したAAT RNAi剤は、1つ以上のN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む標的指向性基に共有結合またはコンジュゲートされ、それによって表2に記載のAAT RNAi原薬、すなわち、配列番号6のセンス鎖及び配列番号2のアンチセンス鎖を含む二重鎖RNA(二本鎖RNA)を形成する。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、表2に記載のAAT RNAi原薬、すなわち、配列番号6のセンス鎖及び配列番号2のアンチセンス鎖を含む二重鎖RNA(二本鎖RNA)の投与を含む。表2に記載のAAT RNAi原薬は、表1.1(配列番号2のアンチセンス鎖)及び表1.2(配列番号4のセンス鎖)に示されるAAT RNAi剤を含む。該N-アセチル-ガラクトサミン部分は、肝細胞の表面に存在しやすいアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)へのAAT RNAi剤の標的化を促進し、これにより、エンドサイトーシスまたは他の手段によるAAT RNAi剤の内在化がもたらされる。
【0042】
本明細書に開示する方法での使用に適し得るAAT RNAi剤には、AAT mRNA、すなわちAAT mRNA標的配列の少なくとも一部に相補的な領域を有するアンチセンス鎖が含まれる。本開示の方法での使用に適したAAT RNAi剤及びAAT RNAi原薬は、国際特許出願公開第WO2018/132432号に記載されており、当該公開は、前述の通り、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0043】
本明細書で使用される、「配列」及び「ヌクレオチド配列」という用語は、標準的な命名法を使用して文字の連続で記載される、核酸塩基またはヌクレオチドの並びまたは順序を意味する。特に明記しない限り、ヌクレオチド配列は、左から右に5’から3’の方向で書かれている。本明細書で使用される、「核酸塩基」及び「ヌクレオチド」という用語は、当技術分野で一般に理解されているものと同じ意味を有する。したがって、本明細書で使用される「ヌクレオチド」という用語は、糖部分、塩基部分、及び共有結合した基(結合基)、例えば、ホスフェートまたはホスホロチオエートのヌクレオシド間結合基を含むグリコシドを指し、天然に存在するヌクレオチド、例えば、DNAまたはRNA、及び修飾糖及び/または塩基部分を含む本明細書ではヌクレオチドアナログとも呼ばれる天然に存在しないヌクレオチドを網羅する。本明細書では、単一のヌクレオチドは、モノマーまたはユニットと呼ばれ得る。
【0044】
本明細書で使用される、第一のヌクレオチド配列(例えば、RNAi剤のアンチセンス鎖)を第二のヌクレオチド配列(例えば、RNAi剤のセンス鎖または標的mRNA配列)との関連で示すために使用される場合の「相補的」という用語は、該第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドが、該第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドと、哺乳類の生理的条件(または他の適切な条件)下でハイブリダイズし(塩基対の水素結合を形成し)、ある特定の標準条件下で二重鎖または二重らせん構造を形成する能力を意味する。当業者には、ハイブリダイゼーション試験に最適な一連の条件を選択することが可能であろう。相補的配列には、ワトソン-クリック塩基対または非ワトソン-クリック塩基対が含まれ、少なくとも上記のハイブリダイゼーション要件が満たされる範囲で、天然もしくは修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド模倣物が含まれる。配列の同一性または相補性は、修飾とは無関係である。例えば、本明細書で定義される、a及びAfは、U(またはT)と相補的であり、同一性または相補性の決定においてはAと同一である。
【0045】
本明細書で使用される、「完全に相補的」または「十分に相補的」とは、第一のオリゴヌクレオチドの連続した配列における塩基のすべて(100%)が、第二のオリゴヌクレオチドの連続した配列における同数のヌクレオチドとハイブリダイズすることを意味する。該連続した配列は、第一または第二のヌクレオチド配列のすべてを含む場合もあれば、一部を含む場合もある。
【0046】
本明細書で使用される、「部分的に相補的」とは、ヌクレオチド配列のハイブリダイズした対において、第一のオリゴヌクレオチドの連続した配列における塩基のすべてではないが、少なくとも70%が、第二のポリヌクレオチドの連続した配列における同数の塩基とハイブリダイズすることを意味する。
【0047】
本明細書で使用される、「実質的に相補的」とは、ヌクレオチド配列のハイブリダイズした対において、第一のオリゴヌクレオチドの連続した配列における塩基のすべてではないが、少なくとも85%が、第二のポリヌクレオチドの連続した配列における同数の塩基とハイブリダイズすることを意味する。本明細書において、「相補的」、「十分に相補的」、「部分的に相補的」、及び「実質的に相補的」という用語は、RNAi剤のセンス鎖とアンチセンス鎖との間、またはRNAi剤のアンチセンス鎖とAAT mRNAの配列の間のヌクレオチドの一致に関して使用される。
【0048】
本明細書で使用される、核酸配列に適用される「実質的に同一」または「実質的に同一性」という用語は、ある核酸配列が、参照配列に対して、少なくとも約85%以上の配列同一性、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含むことを意味する。配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウにわたって最適にアラインされた2つの配列を比較することによって決定される。該パーセンテージは、一致した位置の数を得るために両配列に同一の核酸塩基が生じる位置の数を測定し、一致した位置の数を比較ウィンドウ内の全位置数で除し、配列同一性のパーセンテージを得るためにその結果に100をかけることによって計算される。本明細書に開示する本発明は、本明細書に開示するものと実質的に同一のヌクレオチド配列を包含する。
【0049】
本明細書に記載の化合物は、いくつかの不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体、またはジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在し得る。いくつかの実施形態では、該不斉中心は、不斉炭素原子であり得る。
【0050】
2つ以上の核酸における「同一の」または「同一性」パーセントという用語は、配列同一性の一部として保存的置換を考慮に入れずに、最大一致のために比較及びアラインした場合(必要であればギャップを導入して)、同じである2つ以上の配列、または特定のパーセンテージの同じであるヌクレオチドを有する2つ以上の配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを使用して、または目視検査によって測定され得る。ヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用され得る様々なアルゴリズム及びソフトウェアは、当技術分野で既知である。
【0051】
配列アラインメントは、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal XまたはClustal Omega)、MUSCLE等の当技術分野で既知の方法を使用して行うことができる。
【0052】
ポリヌクレオチド参照配列とアラインする単一のポリヌクレオチド標的配列内の異なる領域は、各々独自の配列同一性パーセントを有し得る。配列同一性パーセント値は、小数第2位で四捨五入されることが留意される。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。長さの値は常に整数であることもまた留意される。
【0053】
ある特定の実施形態では、第一の核酸配列の第二の核酸配列に対する同一性パーセント(%ID)は、%ID=100×(Y/Z)で計算され、ここで、Yは、第一及び第二の配列のアラインメント(目視検査または特定の配列アラインメントプログラムによってアラインされたもの)において完全な一致として採点された核酸塩基の数であり、Zは、第二の配列における残基の合計数である。第一の配列の長さが第二の配列より長い場合、該第一の配列の該第二の配列に対する同一性パーセントは、該第二の配列の該第一の配列に対する同一性パーセントより高い。
【0054】
単位、接頭辞、及び記号は、国際単位系(SI)が認める形で示される。数値範囲は、該範囲を画定する数値を含む。値の範囲が列挙されている場合、列挙されたその範囲の上限と下限間の各介在整数値、及びその各分数もまた、かかる値間の部分的な範囲の各々とともに具体的に開示されることを理解されたい。任意の範囲の上限及び下限は、独立して、該範囲に含まれる場合も該範囲から除外される場合もあり、上下限のいずれかが含まれる場合、いずれも含まれない場合、または両方とも含まれる場合の各範囲もまた、本開示に包含される。したがって、本明細書に列挙される範囲は、列挙される端点を含め、該範囲内の値のすべてに対する省略であると理解される。例えば、1~10の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むと理解される。
【0055】
値が明示的に列挙される場合、該列挙された値とほぼ同じ量(quantity)または量(amount)の値もまた、本開示の範囲に含まれることが理解される。組み合わせが開示される場合、その組み合わせの要素の部分的な組み合わせの各々もまた、具体的に開示され、本開示の範囲に含まれる。反対に、異なる要素または要素の群が個別に開示される場合、その組み合わせもまた開示される。ある開示の任意の要素が複数の選択肢を有して開示される場合、各選択肢が単独で、または他の選択肢と任意の組み合わせで除外されるその開示の例もまた、本明細書に開示される。ある開示の複数の要素がかかる除外を有する場合があり、かかる除外を有する要素のすべての組み合わせが本明細書に開示される。
【0056】
修飾ヌクレオチド及び修飾ヌクレオシド間結合
本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、AAT mRNA転写物を標的とするdsRNAは、修飾ヌクレオチドで構成される場合があり、該修飾ヌクレオチドは、ヒトにおいて、該RNAi剤の活性を維持することができると同時にその血清安定性を高め、インターフェロン活性を活性化する可能性を最小限に抑えることができる。本明細書で使用される、「修飾ヌクレオチド」は、リボヌクレオチド(2’-ヒドロキシルヌクレオチド)以外のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、該ヌクレオチドの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%が修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、該ヌクレオチドの約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、または約100%が修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、該ヌクレオチドの約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、約90%~約95%、または約95%~約100%が修飾ヌクレオチドである。本明細書で使用される、修飾ヌクレオチドとしては、当技術分野で既知の任意の既知の修飾ヌクレオチドが挙げられ、デオキシリボヌクレオチド、ヌクレオチド模倣物、2’-修飾ヌクレオチド、反転ヌクレオチド、修飾核酸塩基含有ヌクレオチド、架橋ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、2’,3’-secoヌクレオチド模倣物(アンロックド核酸塩基アナログ)、ロックドヌクレオチド、3’-O-メトキシ(2’ヌクレオシド間結合)ヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド、5’-Me,2’-フルオロヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ビニルホスホネート含有ヌクレオチド、及びシクロプロピルホスホネート含有ヌクレオチドが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩の修飾ヌクレオチドは、2’-修飾ヌクレオチド(すなわち、5員糖環の2’位にヒドロキシル基以外の基を有するヌクレオチド)である。2’-修飾ヌクレオチドとしては、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチド(一般には、単に2’-フルオロヌクレオチドと呼ばれる)、2’-デオキシヌクレオチド、2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシエチル)ヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、及び2’-アルキルヌクレオチドが挙げられるがこれらに限定されない。さらなる2’-修飾ヌクレオチドが当技術分野で既知である。所与のRNAi剤のすべてのヌクレオチドが均一に修飾される必要はない。さらに、複数の修飾を単一のAAT RNAi剤に組み込むこともできれば、その単一のヌクレオチドにさえ組み込むこともできる。AAT RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、当技術分野で既知の方法によって合成及び/または修飾され得る。一方のヌクレオチドの修飾は、他方のヌクレオチドの修飾とは無関係である。
【0057】
いくつかの実施形態では、核酸塩基(多くの場合、単に「塩基」と呼ばれる)が修飾され得る。当技術分野で一般に使用される、天然の核酸塩基としては、主要なプリン塩基であるアデニン及びグアニン、ならびに主要なピリミジン塩基であるシトシン、チミン、及びウラシルが挙げられる。核酸塩基を修飾して、これらに限定されないが、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、無差別塩基、サイズ拡張塩基、及びフッ素化塩基を含めてもよい。例えば、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley-VCH,2008を参照されたい。かかる修飾核酸塩基(修飾核酸塩基を含むホスホロアミダイト化合物等)の合成は、当技術分野で既知である。
【0058】
修飾核酸塩基としては、例えば、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンならびにN-2、N-6及びO-6置換プリン(例えば、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、または5-プロピニルシトシン)、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-アルキル(例えば、6-メチル、6-エチル、6-イソプロピル、または6-n-ブチル)誘導体、アデニン及びグアニンの2-アルキル(例えば、2-メチル、2-エチル、2-イソプロピル、または2-n-ブチル)及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-ハロウラシル、シトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-スルフヒドリル、8-チオアルキル、8-ヒドロキシならびに他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ(例えば、5-ブロモ)、5-トリフルオロメチル、ならびに他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、ならびに3-デアザアデニンが挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のすべてまたは実質的にすべてのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。本明細書で使用される、存在するヌクレオチドの実質的にすべてが修飾ヌクレオチドであるRNAi剤とは、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方において4つ以下(すなわち、0、1、2、3、または4つ)のヌクレオチドがリボヌクレオチドである(すなわち、未修飾の)RNAi剤である。本明細書で使用される、存在するヌクレオチドの実質的にすべてが修飾ヌクレオチドであるセンス鎖とは、該センス鎖において2つ以下(すなわち、0、1、または2つ)のヌクレオチドがリボヌクレオチドであるセンス鎖である。本明細書で使用される、存在するヌクレオチドの実質的にすべてが修飾ヌクレオチドであるアンチセンス鎖とは、該センス鎖において2つ以下(すなわち、0、1、または2つ)のヌクレオチドがリボヌクレオチドであるアンチセンス鎖である。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩の1つ以上のヌクレオチドは、非標準的な結合または骨格(すなわち、修飾ヌクレオシド間結合または修飾骨格)によって連結される。修飾ヌクレオシド間結合または骨格としては、ホスホロチオエート基、キラルホスホロチオエート、チオホスフェート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、アルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネートまたは3’-アルキレンホスホネート)、キラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホロアミデート(例えば、3’-アミノホスホロアミデート、アミノアルキルホスホロアミデート、またはチオノホスホロアミデート)、チオノアルキル-ホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、モルホリノ結合、通常の3’-5’結合を有するボラノホスフェート、ボラノホスフェートの2’-5’連結アナログ、またはヌクレオシド単位の隣接対が、3’-5’から5’-3’もしくは2’-5’から5’-2’に連結される反転極性を有するボラノホスフェートが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合または骨格は、リン原子を欠いている。リン原子を欠いている修飾ヌクレオシド間結合としては、短鎖アルキルまたはシクロアルキルの糖間結合、ヘテロ原子とアルキルもしくはシクロアルキルの混合糖間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくはヘテロ環の糖間結合が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間骨格としては、シロキサン骨格、スルフィド骨格、スルホキシド骨格、スルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびにN、O、S及びCHの混合成分を有する他の骨格が挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖は、1、2、3、4、5、もしくは6個のホスホロチオエート結合を含むことができるか、AAT RNAi剤のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、もしくは6個のホスホロチオエート結合を含むことができるか、または該センス鎖及びアンチセンス鎖の両方が、独立して、1、2、3、4、5、もしくは6個のホスホロチオエート結合を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖は、1、2、3、もしくは4個のホスホロチオエート結合を含むことができるか、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のアンチセンス鎖は、1、2、3、もしくは4個のホスホロチオエート結合を含むことができるか、または該センス鎖及びアンチセンス鎖の両方が、独立して、1、2、3、もしくは4個のホスホロチオエート結合を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖は、少なくとも2つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合を含む。いくつかの実施形態では、該少なくとも2つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合は、センス鎖の3’末端からの位置1~3のヌクレオチド間にある。いくつかの実施形態では、該少なくとも2つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合は、センス鎖の5’末端からの位置1~3、2~4、3~5,4~6、4~5、または6~8のヌクレオチド間にある。いくつかの実施形態では、ホスホロチオエートのヌクレオシド間結合は、センス鎖の末端ヌクレオチドを、該ヌクレオチド配列の5’末端、3’末端、または5’及び3’の両末端に存在するキャッピング残基に連結するために使用される。いくつかの実施形態では、ホスホロチオエートのヌクレオシド間結合は、標的指向性基をセンス鎖に連結するために使用される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のアンチセンス鎖は、3つまたは4つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のアンチセンス鎖は、3つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合を含む。いくつかの実施形態では、該3つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合は、アンチセンス鎖の5’末端からの位置1~3のヌクレオチド間、及び該5’末端からの位置19~21、20~22、21~23、22~24、23~25、または24~26のヌクレオチド間にある。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩は、少なくとも2つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合をセンス鎖に含み、3つまたは4つのホスホロチオエートのヌクレオシド間結合をアンチセンス鎖に含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩は、1つ以上の修飾ヌクレオチド及び1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む。いくつかの実施形態では、2’-修飾ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシド間結合と組み合わされる。
【0065】
キャッピング残基または部分
いくつかの実施形態では、該センス鎖は、当技術分野で「キャップ」、「末端キャップ」、または「キャッピング残基」と呼ばれることもある1つ以上のキャッピング残基または部分を含み得る。本明細書で使用される、「キャッピング残基」とは、本明細書に開示するRNAi剤のヌクレオチド配列の1つ以上の末端に組み込むことができる非ヌクレオチド化合物または他の部分である。キャッピング残基は、場合によっては、ある特定の有益な特性、例えば、エキソヌクレアーゼ分解からの防御等をRNAi剤に提供し得る。いくつかの実施形態では、反転脱塩基残基(invAb)(当技術分野では「反転脱塩基部位」とも呼ばれる)が、キャッピング残基として付加される(表A参照)。(例えば、F.Czauderna,Nucleic Acids Res.,2003,31(11),2705-16参照)。キャッピング残基としては、例えば、反転脱塩基残基及び末端C(プロピル)、C13(ヘキシル)、またはC1225(ドデシル)基等の炭素鎖を挙げることができる。いくつかの実施形態では、キャッピング残基は、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖の5’末端、3’末端、または5’及び3’の両末端に存在する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖の5’末端及び/または3’末端は、キャッピング残基として複数の反転脱塩基デオキシリボース部分を含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つ以上の反転脱塩基残基(invAb)が、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖の3’末端に付加される。いくつかの実施形態では、1つ以上の反転脱塩基残基(invAb)が、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖の5’末端に付加される。いくつかの実施形態では、1つ以上の反転脱塩基残基または反転脱塩基部位が、該標的指向性リガンドと本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖のヌクレオチド配列との間に挿入される。いくつかの実施形態では、1つ以上の反転脱塩基残基または反転脱塩基部位を、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖の末端(複数可)にまたはその近くに含むことにより、該RNAi剤の活性の向上または他の所望の特性の向上が可能になる。
【0067】
いくつかの実施形態では、1つ以上の反転脱塩基残基(invAb)が、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖の5’末端に付加される。いくつかの実施形態では、1つ以上の反転脱塩基残基が、該標的指向性リガンドと本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩のセンス鎖のヌクレオチド配列との間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、該反転脱塩基残基は、ホスフェート、ホスホロチオエート(例えば、本明細書では(invAb)s)として示される)、または他のヌクレオシド間結合を介して結合され得る。反転脱塩基デオキシリボース残基の化学構造は、以下の表A、ならびに図1A~1E及び図2A~2Eに示す化学構造に示されている。
【0068】
【表1】
【0069】
標的指向性部分及び標的指向性基
本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩は、標的指向性部分または標的指向性基が挙げられるがこれらに限定されない1つ以上の非ヌクレオチド基にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド配列、例えば、配列番号4のセンス配列を含み得る。標的指向性部分または標的指向性基は、RNAi剤の標的化または送達を増強することができる。いくつかの実施形態では、該標的指向性部分または標的指向性基は、例えば、肝臓標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、該肝臓標的化部分は、アシアロ糖タンパク質受容体に特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、該アシアロ糖タンパク質受容体結合部分は、N-アセチルガラクトサミン(NAGまたはGalNAc)を含む。いくつかの実施形態では、該NAGは、NAG37である。本明細書に開示する3つの標的指向性N-アセチル-ガラクトサミン部分を含む本明細書の表2に記載のAAT RNAi原薬で使用される標的指向性(NAG37)s基の特定の例を表Bに示す。該標的指向性部分または標的指向性基は、該センス鎖(例えば、配列番号4のAAT RNAi剤のセンス鎖)及び/またはアンチセンス鎖(例えば、配列番号2のAAT RNAi剤のアンチセンス鎖)のいずれかの3’及び/または5’末端に共有結合させることができる。いくつかの実施形態では、AAT RNAi剤は、該センス鎖(例えば、配列番号4のAAT RNAi剤のセンス鎖)の3’及び/または5’末端に連結された標的指向性基を含む。いくつかの実施形態では、標的指向性基は、AAT RNAi剤のセンス鎖(例えば、配列番号4のAAT RNAi剤のセンス鎖)の5’末端に連結される。いくつかの実施形態では、該標的指向性基は、構造(NAG37)sを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなり、AAT RNAi剤のセンス鎖(例えば、配列番号4のAAT RNAi剤のセンス鎖)の5’末端に連結される。標的指向性基は、該RNAi剤に、直接またはリンカー/連結基を介して間接的に連結され得る。いくつかの実施形態では、標的指向性基は、該RNAi剤に、不安定な、切断可能な、または可逆的な結合またはリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態では、標的指向性基は、該センス鎖の5’末端で、反転脱塩基残基に連結される。
【0070】
標的指向性基または標的指向性部分は、それらが結合しているコンジュゲートまたはRNAi剤の薬物動態学的または生体内分布特性を増強して、該コンジュゲートまたはRNAi剤の細胞特異的分布及び細胞特異的取り込みを改善することができる。いくつかの実施形態では、標的指向性基は、該RNAi剤のエンドサイトーシスを増強する。標的指向性基は、それが向けられる標的に対して、一価、二価、三価、四価であるか、またはより高い価数を有し得る。代表的な標的指向性基としては、細胞表面分子に親和性のある化合物、細胞受容体リガンド、ハプテン、抗体、モノクローナル抗体、抗体断片、及び細胞表面分子に親和性のある抗体模倣物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0071】
いくつかの実施形態では、標的指向性基は、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む。いくつかの実施形態では、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、1つ以上のガラクトース誘導体を含むか、またはそれからなる。本明細書で使用される、ガラクトース誘導体という用語は、ガラクトース、及び該アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性が、ガラクトースのものと等しいか、それより高いガラクトース誘導体の両方を含む。ガラクトース誘導体としては、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、N-アセチル-ガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン、及びN-イソ-ブタノイル-ガラクトサミンが挙げられるがこれらに限定されない(例えば、S.T.Iobst and K.Drickamer,J.B.C.,1996,271,6686参照)。オリゴヌクレオチド及び他の分子をインビボで肝臓に標的化するのに有用なガラクトース誘導体、及びガラクトース誘導体のクラスターは、当技術分野で既知である(例えば、Baenziger and Fiete,1980,Cell,22,611-620、Connolly et al.,1982,J.Biol.Chem.,257,939-945参照)。
【0072】
ガラクトース誘導体は、分子を、肝細胞の表面で発現するアシアロ糖タンパク質受容体への結合を介して、インビボで肝細胞に標的化するために使用されてきた。アシアロ糖タンパク質受容体リガンドのアシアロ糖タンパク質受容体(複数可)への結合は、肝細胞に対する細胞特異的標的化及び該分子の肝細胞へのエンドサイトーシスを促進する。アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、単量体(例えば、単一のガラクトース誘導体を有する)でも多量体(例えば、複数のガラクトース誘導体を有する)でもよい。該ガラクトース誘導体またはガラクトース誘導体の「クラスター」は、本明細書に開示するRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖の3’または5’末端に、当技術分野で既知の方法を使用して結合され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、標的指向性基は、ガラクトース誘導体のクラスターを含む。本明細書で使用される、ガラクトース誘導体のクラスターは、2~4つの末端ガラクトース誘導体を有する分子を含む。末端ガラクトース誘導体は、そのC-1炭素を介して分子に結合する。いくつかの実施形態では、該ガラクトース誘導体のクラスターは、ガラクトース誘導体の三量体(三分岐ガラクトース誘導体または三価ガラクトース誘導体とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、該ガラクトース誘導体のクラスターは、N-アセチル-ガラクトサミンを含む。いくつかの実施形態では、該ガラクトース誘導体のクラスターは、3つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。いくつかの実施形態では、該ガラクトース誘導体のクラスターは、ガラクトース誘導体の四量体(四分岐ガラクトース誘導体または四価ガラクトース誘導体とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、該ガラクトース誘導体のクラスターは、4つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。
【0074】
本明細書で使用される、ガラクトース誘導体の三量体は、3つのガラクトース誘導体を含み、その各々が中央の分岐点に連結されている。本明細書で使用される、ガラクトース誘導体の四量体は、4つのガラクトース誘導体を含み、その各々が中央の分岐点に連結されている。該ガラクトース誘導体は、該糖のC-1炭素を介して中央の分岐点に結合され得る。いくつかの実施形態では、該ガラクトース誘導体は、リンカーまたはスペーサーを介して該分岐点に連結される。いくつかの実施形態では、該リンカーまたはスペーサーは、柔軟な親水性スペーサー、例えば、PEG基である(例えば、米国特許第5,885,968号、Biessen et al.J.Med.Chem.1995 Vol.39 p.1538-1546参照)。該分岐点は、3つのガラクトース誘導体の結合を可能にし、さらに該分岐点の該RNAi剤への結合を可能にする任意の小分子であり得る。分岐点基の例は、ジリジンまたはジグルタミン酸である。該分岐点の該RNAi剤への結合は、リンカーまたはスペーサーを介して行うことができる。いくつかの実施形態では、該リンカーまたはスペーサーは、柔軟な親水性スペーサー、例えば、限定されないが、PEGスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、該リンカーは、剛直なリンカー、例えば、環状基を含む。いくつかの実施形態では、ガラクトース誘導体は、N-アセチル-ガラクトサミンを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、該ガラクトース誘導体のクラスターは、ガラクトース誘導体の四量体から構成され、これは、例えば、N-アセチル-ガラクトサミン四量体であり得る。
【0075】
標的指向性基、例えば、N-アセチル-ガラクトサミンを含むガラクトース誘導体クラスターの調製は、例えば、国際特許出願公開第WO2018/044350号(特許出願第PCT/US2017/021147号)及び国際特許出願公開第WO2017/156012号(特許出願第PCT/US2017/021175号)に記載されている。これら両公開の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0076】
例えば、表1.1及び1.2に記載のAAT RNAi剤、すなわち、(i)配列番号2を含む、それからなる、またはそれから本質的になるアンチセンス鎖及び(ii)配列番号4を含む、それからなる、またはそれから本質的になるセンス鎖を含むdsRNAにコンジュゲートした標的指向性リガンドは、以下の表Bに示すように、化学構造(NAG37)sを有する。
【0077】
【表2】
【0078】
AAT RNAi剤及びAAT RNAi原薬(ADS-001)
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法で使用されるAAT RNAi剤は、表2に示すAAT RNAi原薬(ADS-001)、またはその塩のヌクレオチド配列を有する。AAT RNAi原薬に見出されるAAT RNAi剤のヌクレオチド配列は、以下の表1.1に示す配列番号2に示されるアンチセンス鎖のヌクレオチド配列、及び以下の表1.2に示す配列番号4に示されるセンス鎖のヌクレオチド配列を含む。
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
本明細書において表1.1、1.2、及び2で使用される、以下の表記法は、修飾ヌクレオチド、標的指向性基、及び連結基を示すために使用される:A、G、C、及びUは、それぞれ、アデノシン、シチジン、グアノシン、及びウリジンを表し、a、c、g、及びuは、それぞれ、2’-O-メチルアデノシン、2’-O-メチルシチジン、2’-O-メチルグアノシン、及び2’-O-メチルウリジンを表し、Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ、2’-フルオロアデノシン、2’-フルオロシチジン、2’-フルオログアノシン、及び2’-フルオロウリジンを表し、sは、ホスホロチオエート結合を表し、(invAb)は、反転脱塩基デオキシリボース残基を表し(表A参照)、(NAG37)sは、上記表Bに示す構造を表す。
【0082】
当業者には容易に理解されるように、配列によって(例えば、ホスホロチオエート結合「s」等によって)別段の指示がない限り、センス鎖またはアンチセンス鎖に存在する場合、該ヌクレオチドモノマーは、5’-3’のホスホジエステル結合によって相互に連結される。当業者には明確に理解されるように、本明細書に開示する修飾ヌクレオチド配列に示されるホスホロチオエート結合を含むことにより、オリゴヌクレオチドに通常存在するホスホジエステル結合を置き換える。さらに、当業者には、所与のオリゴヌクレオチド配列の3’末端における末端ヌクレオチドが、エキソビボで、リン酸部分の代わりに、通常はヒドロキシル(-OH)基を、所与のモノマーのそれぞれの3’位に有することが容易に理解されよう。さらに、本明細書に開示する実施形態では、それぞれの鎖を5’→3’に見た場合、該反転脱塩基残基は、デオキシリボースの3’位が、それぞれの鎖の先行するモノマーの3’末端で連結されるように挿入される。さらに、当業者には容易に理解及び認識されるように、本明細書に示すホスホロチオエートの化学構造は通常その硫黄原子上にアニオンを示すが、本明細書に開示する本発明は、すべてのホスホロチオエート互変異性体(例えば、硫黄原子が二重結合を有し、アニオンが酸素原子上にある場合)を包含する。本明細書において別段の明確な指示がない限り、当業者のかかる理解は、本明細書に開示するAAT RNAi剤及びAAT RNAi剤を含む組成物を記載する際に使用される。
【0083】
各センス鎖及び/またはアンチセンス鎖は、該センス鎖及び/またはアンチセンス鎖のオリゴヌクレオチド配列の5’及び/または3’末端にコンジュゲートされた上記の任意の標的指向性基または連結基、及び他の標的指向性基または連結基を有し得る。
【0084】
本明細書に開示するAAT RNAi剤のアンチセンス鎖の配列、例えば、配列番号2のアンチセンス鎖は、正常及び変異の両AAT遺伝子由来のAAT mRNA転写物を標的とするように設計され、それにより、AATDのヒト対象のRNA干渉メカニズムを使用して変異Z-AATタンパク質の翻訳をサイレンシングする。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、以下の表2に記載のAAT RNAi原薬を使用する。したがって、いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬は、配列番号6のセンス鎖を含む二本鎖RNA(dsRNA)を含む。いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬は、配列番号2のアンチセンス鎖を含むdsRNAを含む。いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬は、配列番号6のセンス鎖及び配列番号2のアンチセンス鎖を含むdsRNAを含む。したがって、いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬は、配列番号6からなるセンス鎖を含む二本鎖RNA(dsRNA)を含む。いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬は、配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNAを含む。いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬は、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNAを含む。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
AAT RNAi原薬(ADS-001)の概略図を図3に示し、完全な化学構造の表現を図1A~1E(ナトリウム塩型)及び図2A~2E(遊離酸型)に示す。いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬(例えば、ADS-001)は、塩、混合塩、または遊離酸として調製または提供される。いくつかの実施形態では、該AAT RNAi原薬(例えば、ADS-001)は、ナトリウム塩として調製または提供される。
【0089】
医薬組成物及び製剤
本明細書に開示する方法での使用に適したAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩は、ヒト対象に投与するための医薬組成物または製剤として調製され得る。該医薬組成物は、AAT mRNAの発現の阻害またはAATタンパク質のレベルの低下が有効であろう疾患または障害を有する対象、例えば、AATDを有するヒト対象を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、該方法は、治療を必要とする対象に対して、本明細書に記載の標的指向性基または標的指向性リガンド、例えば、肝臓標的化NAG部分に連結されたAAT RNAi剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤(媒体、担体、希釈剤、及び/または送達ポリマー等)が、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩を含む医薬組成物に添加され、それにより、ヒト対象へのインビボ送達に適した医薬製剤が形成される。
【0090】
本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩を含む医薬組成物は、本明細書に開示する方法を使用してヒト対象に投与された場合、該対象におけるAAT mRNAのレベルを低下させる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩を含む本記載の医薬組成物は、AATD、例えば、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌のリスクの増加、高トランスアミナーゼ血症、胆汁うっ滞、線維化、さらには劇症肝不全の対象における臨床症状を治療するためまたは管理するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩を含む治療有効量または予防有効量の1つ以上の医薬組成物が、かかる治療を必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩の投与は、対象における疾患の症状の数、重症度、及び/または頻度を減少させるために使用され得る。
【0092】
本明細書で使用される「有効量」とは、AATDを有する対象を治療するために患者に投与された場合に、該疾患の治療を行う(例えば、既存の疾患または疾患もしくはそれに関連する併存疾患の1つ以上の症状を軽減すること、改善すること、または維持することによって)のに十分な薬剤または組成物の量を含むことを意図している。「有効量」は、当該薬剤または組成物、投与方法、当該疾患及びその重症度ならびに治療を受ける患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、AATDによって媒介される病理過程の段階、もしあれば先行または併用療法のタイプ、及び他の個別の特徴によって変化し得る。
【0093】
本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩を含む本記載の医薬組成物は、AAT mRNAの発現の低下または阻害が有効であろう疾患または障害を有する対象における少なくとも1つの症状を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、該対象は、該症状を治療する本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩を含む1つ以上の医薬組成物の治療有効量の投与を受ける。他の実施形態では、該対象は、該少なくとも1つの症状を予防する1つ以上の本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩の予防有効量の投与を受ける。
【0094】
本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩は、特定の経路に対して適切に調整された調製物で、任意の適切な経路を介して投与され得る。したがって、本明細書に記載の医薬組成物は、注射によって、例えば、静脈内または皮下に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下注射を介して投与される。
【0095】
本明細書で使用される、医薬組成物または薬剤は、薬理学的に有効な量の少なくとも1つの本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩、及び1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む。医薬的に許容される賦形剤(賦形剤)とは、医薬品有効成分(API、治療薬、例えば、AAT RNAi剤)以外の物質であり、薬物送達システムに意図的に含まれる。賦形剤は、意図した投与量で治療効果を発揮せず、発揮することを意図もしない。賦形剤は、a)製造中の薬物送達システムの処理を支援するように、b)APIの安定性、バイオアベイラビリティ、または患者の受容性を保護、支持、または増強するように、c)製剤の識別を支援するように、及び/またはd)保存中または使用中のAPIの全体的な安全性、有効性、または送達の任意の他の属性を増強するように作用し得る。医薬的に許容される賦形剤は、不活性物質であってもなくてもよい。
【0096】
賦形剤としては、吸収促進剤、付着防止剤、消泡剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、送達促進剤、送達ポリマー、デキストラン、デキストロース、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香料、流動促進剤、吸湿剤、滑沢剤、油、ポリマー、防腐剤、生理食塩水、塩、溶媒、糖、懸濁剤、徐放性マトリックス、甘味料、増粘剤、等張化剤、媒体、撥水剤、及び湿潤剤が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0097】
注射用途に適した医薬組成物としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)が挙げられる。皮下投与または静脈内投与の場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、CREMOPHOR(登録商標)ELTM(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられ得る。これは、製造及び保存の条件下で安定であるべきであり、微生物、例えば、細菌及び真菌の汚染作用に対して保護されるべきである。該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)を含む溶媒または分散媒、ならびにそれらの適切な混合物であり得る。
【0098】
滅菌注射剤は、必要量の活性化合物を、適切な溶媒に、必要に応じて上記で列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに入れ、その後濾過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒及び上記で列挙したものから必要とされる他の成分を含む滅菌媒体に入れることによって調製される。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法での使用に適した医薬組成物は、以下の表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬で特定された成分を含む。
【0100】
投与の簡便性及び用量の均一性のため、本明細書に開示するAAT RNAi剤、例えば、ADS-001またはその塩は、組成物に投薬単位形態で製剤化され得る。投薬単位形態とは、治療を受ける対象用の単一の用量として適した物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬約5mg~約300mgである。いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬約25mg~約200mgである。いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬約100mg~約200mgである。いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬約100mgである。いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬約200mgである。いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬少なくとも約5mg、少なくとも約10mg、少なくとも約15mg、少なくとも約20mg、少なくとも約25mg、少なくとも約30mg、少なくとも約35mg、少なくとも約40mg、少なくとも約45mg、少なくとも約50mg、少なくとも約55mg、少なくとも約60mg、少なくとも約65mg、少なくとも約70mg、少なくとも約75mg、少なくとも約80mg、少なくとも約85mg、少なくとも約90mg、少なくとも約95mg、少なくとも約100mg、少なくとも約110mg、少なくとも約120mg、少なくとも約130mg、少なくとも約140mg、少なくとも約150mg、少なくとも約160mg、少なくとも約170mg、少なくとも約180mg、少なくとも約190mg、または少なくとも約200mgである。いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgである。いくつかの実施形態では、該投薬単位は、AAT RNAi原薬、例えば、表3.1または表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬約5~約10mg、約10~約15mg、約15~約20mg、約20~約25mg、約25~約30mg、約30~約35mg、約35~約40mg、約40~約45mg、約45~約50mg、約50~約55mg、約55~約60mg、約60~約65mg、約65~約70mg、約70~約75mg、約75~約80mg、約80~約85mg、約85~約90mg、約90~約95mg、約95~約100mg、約100~約110mg、約110~約120mg、約120~約130mg、約130~約140mg、約140~約150mg、約150~約160mg、約160~約170mg、約170~約180mg、約180~約190mg、または約190~200mgである。
【0102】
医薬組成物は、医薬組成物に一般に見られる他のさらなる成分を含むことができる。かかるさらなる成分としては、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬、または抗炎症剤(例えば、抗ヒスタミン剤、ジフェンヒドラミン等)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0103】
本明細書で使用される、「薬理学的に有効な量」、「治療有効量」、または単に「有効量」とは、RNAi剤が薬理学的、治療的または予防的な効果を生じる量を指す。
【0104】
本記載の医薬的に許容される製剤は、キット、容器、パック、またはディスペンサーに包装され得る。本明細書に記載の医薬組成物は、プレフィルドシリンジまたはバイアルに包装され得る。
【0105】
製剤化AAT RNAi原薬
いくつかの実施形態では、表2に示すAAT RNAi原薬(例えば、ADS-001またはその塩)は、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤とともに製剤化され、ヒト対象に対する投与に適した医薬組成物を形成する。
【0106】
いくつかの実施形態では、表2に記載のAAT RNAi原薬は、水性リン酸ナトリウム緩衝液(0.5mMリン酸二水素ナトリウム、0.5mMリン酸水素二ナトリウム)中、230mg/mLで製剤化され、表3.1に示す製剤化AAT RNAi原薬(ADS-001-1)を形成する。
【0107】
【表7】
【0108】
いくつかの実施形態では、表2に記載のAAT RNAi原薬は、水性リン酸ナトリウム緩衝液(0.5mMリン酸二水素ナトリウム、0.5mMリン酸水素二ナトリウム)中、200mg/mLで製剤化され、表3.2に示す製剤化AAT RNAi原薬(ADS-001-2)を形成する。
【0109】
【表8】
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり、150mg~250mgの本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり、少なくとも約150mg、少なくとも約160mg、少なくとも約170mg、少なくとも約180mg、少なくとも約190mg、少なくとも約200mg、少なくとも約210mg、少なくとも約220mg、少なくとも約230mg、少なくとも約240mg、または少なくとも約250mgの本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、または約250mgの本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり、約150mg~約160mg、約160mg~約170mg、約170mg~約180mg、約180mg~約190mg、約190mg~約200mg、約200mg~約210mg、約210mg~約220mg、約220mg~約230mg、約230mg~約240mg、または約240mg~約250mgの本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり約0.120mgの懸濁剤を含む。いくつかの実施形態では、該懸濁剤は、リン酸塩またはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、該懸濁剤は、リン酸ナトリウム塩またはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、該懸濁剤は、リン酸二水素ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、該懸濁剤は、リン酸水素二ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、該懸濁剤は、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、該リン酸二水素ナトリウムは、一水和リン酸二水素ナトリウムである。いくつかの実施形態では、該リン酸水素二ナトリウムは、無水リン酸水素二ナトリウムである。いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、ほぼ等量の一水和リン酸二水素ナトリウム及び無水リン酸水素二ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり、約0.061mgの一水和リン酸二水素ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり、約0.062mgの無水リン酸水素二ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本開示の製剤化AAT RNAi原薬は、1mLあたり、約0.061mgの一水和リン酸二水素ナトリウム及び約0.062mgの無水リン酸水素二ナトリウムを含む。
【0112】
表3.1及び表3.2による製剤化AAT RNAi原薬は、無菌製剤として調製される。いくつかの実施形態では、該製剤化AAT RNAi原薬は、容器、例えば、ガラスバイアルに包装される。いくつかの実施形態では、該製剤化AAT RNAi原薬は、容量約1.1mLのガラスバイアルに包装され、投与に望ましい体積は、投与に望ましい用量レベルに基づいて計算され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、表3.1及び表3.2に記載の製剤化AAT RNAi原薬は、本明細書に開示する方法を使用してヒト対象に投与される。
【0114】
キット
本明細書に記載の組成物のいずれか、例えば、AAT RNAi剤、AAT RNAi原薬(ADS-001)、またはその塩、AAT RNAi剤またはAAT RNAi原薬(ADS-001)もしくはその塩の医薬組成物及び製剤、あるいは製剤化AAT RNAi原薬(ADS-001)は、キットに含まれ得る。非限定的な例では、該キットは、AAT RNAi原薬(ADS-001)、またはその塩を含む。
【0115】
該キットはさらに、本明細書に記載の組成物を対象に使用するための試薬または使用説明書を含み得る。それはまた、1つ以上の緩衝剤も含み得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、該キットはさらに、AATDの治療のための有効量のさらなる治療薬を含み得る。
【0117】
該キットの成分は、水性媒体または凍結乾燥形態のいずれかで包装され得る。該キットの容器手段は、一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器手段を含み、その中に成分が、好ましくは適切なアリコートにして配され得る。該キットに複数の成分が存在する場合(標識試薬及び標識が一緒に包装され得る)、該キットはまた、一般に、第二、第三またはその他のさらなる容器も含み、その中にさらなる成分が別々に配され得る。該キットはまた、無菌の医薬的に許容される緩衝剤及び/または他の希釈剤を収容するための第二の容器手段も含み得る。しかしながら、成分の様々な組み合わせがバイアルに含まれてもよい。本発明のキットはまた、通常、本発明の組成物、例えば、AAT RNAi原薬(ADS-001)、またはその塩を収容するための手段、及び任意の他の試薬容器を、商用販売用に密閉して含む。
【0118】
該キットの成分が1つ及び/または複数の溶液で提供される場合、該溶液は、水溶液であり、特に好ましくは滅菌水溶液である。しかしながら、該キットの成分は、乾燥粉末(複数可)として提供され得る。試薬及び/または成分が乾燥粉末として提供される場合、該粉末は、適切な溶媒の添加によって再構成され得る。該溶媒はまた、別の容器手段で提供され得ることが想定される。
【0119】
プレフィルドシリンジ
本明細書に記載の組成物のいずれか、例えば、AAT RNAi剤、AAT RNAi原薬(ADS-001)、またはその塩、AAT RNAi剤またはAAT RNAi原薬(ADS-001)もしくはその塩の医薬組成物及び製剤、あるいは製剤化AAT RNAi原薬(ADS-001)は、シリンジに包装され得る。非限定的な例では、該プレフィルドシリンジは、AAT RNAi原薬(ADS-001)、またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、該プレフィルドシリンジは、投薬単位に、AAT RNAi原薬(ADS-001)を、例えば、約100mgまたは約200mg含む。
【0120】
AATDのヒト対象及びAATDの診断
本明細書に開示する方法は、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症(AATD)の治療を必要とするヒト対象におけるその治療を含み、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩、例えば、表2に記載のAAT RNAi原薬を含む医薬組成物を使用した、該ヒト対象においてAATDによって引き起こされる症状及び疾患の治療を含む。いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、表3.1または表3.2に記載の製剤化AAT RNAi原薬を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、該ヒト対象は、AATDと診断された後に投与を受ける。本明細書で述べた通り、AATDは、フォールディング異常を起こしやすいいくつかの変異型が、肝細胞における細胞内保持につながるAATタンパク質の変異型の翻訳をもたらす遺伝子転写物の突然変異によって引き起こされる遺伝性障害である。SERPINA1遺伝子の様々な変異が特定されているが、AATDの最も一般的で重篤な形態であるPiZZ遺伝子型は、単一の塩基対置換によって引き起こされる。PiZZ遺伝子型の対象では、血中AATレベルは、多くの場合、健康なヒトのレベルの15%未満であると報告される。多くの場合、対象は最初、根本原因が特定されることなくCOPD、喘息、または他の肺疾患と診断される。時間の経過とともに、ミスフォールドした(「Z-AAT」)タンパク質の細胞間保持及び肝臓細胞から該タンパク質を適切に分泌することができないことに起因して、肝疾患、例えば、線維化及び肝硬変が発症し得る。小児対象は通常、無症候性の慢性肝炎、成長障害、食欲不振、または肝腫大及び脾腫を含み得る肝疾患の臨床症状を示す。AATDは、対象の血液サンプルの標準的な遺伝子型決定によって診断及び確認され得る。
【0122】
投与及びAAT遺伝子の発現阻害
一般に、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を必要とする対象に対して投与されるその有効量は、約0.1mg/kg~約10mg/kg体重/投与の範囲、例えば、約0.25mg/kg~約5mg/kg体重/投与の範囲である。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の有効量は、投与あたり、約0.5mg/kg~約4mg/kg体重の範囲である。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の有効量は、投与あたり、体重の少なくとも約0.2mg/kg、少なくとも約0.4mg/kg、少なくとも約0.6mg/kg、少なくとも約0.8mg/kg、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約1.2mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約1.6mg/kg、少なくとも約1.8mg/kg、少なくとも約2mg/kg、少なくとも約2.2mg/kg、少なくとも約2.4mg/kg、少なくとも約2.6mg/kg、少なくとも約2.8mg/kg、少なくとも約3mg/kg、少なくとも約3.2mg/kg、少なくとも約3.4mg/kg、少なくとも約3.6mg/kg、少なくとも約3.8mg/kg、少なくとも約4mg/kg、少なくとも約4.2mg/kg、少なくとも約4.4mg/kg、少なくとも約4.6mg/kg、少なくとも約4.8mg/kg、少なくとも約5mg/kg、少なくとも約5.2mg/kg、少なくとも約5.4mg/kg、少なくとも約5.6mg/kg、少なくとも約5.8mg/kg、少なくとも約6mg/kg、少なくとも約6.2mg/kg、少なくとも約6.4mg/kg、少なくとも約6.6mg/kg、少なくとも約6.8mg/kg、少なくとも約7mg/kg、少なくとも約7.2mg/kg、少なくとも約7.4mg/kg、少なくとも約7.6mg/kg、少なくとも約7.8mg/kg、少なくとも約8mg/kg、少なくとも約8.2mg/kg、少なくとも約8.4mg/kg、少なくとも約8.6mg/kg、少なくとも約8.8mg/kg、少なくとも約9mg/kg、少なくとも約9.2mg/kg、少なくとも約9.4mg/kg、少なくとも約9.6mg/kg、少なくとも約9.8mg/kg、少なくとも約10mg/kgである。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の有効量は、投与あたり、体重の約0.2mg/kg、約0.4mg/kg、約0.6mg/kg、約0.8mg/kg、約1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.4mg/kg、約1.6mg/kg、約1.8mg/kg、約2mg/kg、約2.2mg/kg、約2.4mg/kg、約2.6mg/kg、約2.8mg/kg、約3mg/kg、約3.2mg/kg、約3.4mg/kg、約3.6mg/kg、約3.8mg/kg、約4mg/kg、約4.2mg/kg、約4.4mg/kg、約4.6mg/kg、約4.8mg/kg、約5mg/kg、約5.2mg/kg、約5.4mg/kg、約5.6mg/kg、約5.8mg/kg、約6mg/kg、約6.2mg/kg、約6.4mg/kg、約6.6mg/kg、約6.8mg/kg、約7mg/kg、約7.2mg/kg、約7.4mg/kg、約7.6mg/kg、約7.8mg/kg、約8mg/kg、約8.2mg/kg、約8.4mg/kg、約8.6mg/kg、約8.8mg/kg、約9mg/kg、約9.2mg/kg、約9.4mg/kg、約9.6mg/kg、約9.8mg/kg、約10mg/kgである。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の有効量は、投与あたり、体重の約1mg/kg~約2mg/kg、約2mg/kg~約3mg/kg、約3mg/kg~約4mg/kg、約4mg/kg~約5mg/kg、約5mg/kg~約6mg/kg、約6mg/kg~約7mg/kg、約7mg/kg~約8mg/kg、約8mg/kg~約9mg/kg、及び約9mg/kg~約10mg/kgである。
【0127】
いくつかの実施形態では、該有効量は、固定用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の5mg~300mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の25mg~200mgの固定用量が有効用量である。投与量は、総合的な対象の年齢及び健康状態、送達される化合物の相対的な生物学的効率、薬物の製剤、当該製剤における賦形剤の存在及びタイプ、ならびに投与経路等の可変要素に依存する可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約120mg、約140mg、約160mg、約180mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mgまたは約280mg~約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約120mg、約140mg、約160mg、約180mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mgまたは約300mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約25mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約50mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約75mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約100mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約125mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約150mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約175mgの固定用量が有効用量である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約200mgの固定用量が有効用量である。
【0128】
また、最初に施用される投与量を、場合によっては、上記の上限レベルを超えて増加させ、所望の血中レベルまたは組織レベルを迅速に達成してもよいし、または該最初の投与量を、場合によっては、最適量より少なくしてもよいことが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩の約25mg~約200mg、例えば、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、または約200mgの最初の用量が投与され、続いて約4週または1か月後に、約25~200mgの2回目の用量が投与され、その後、さらなる用量(「維持用量」と同様の概念)が約12週または約3か月ごとに1回(すなわち、約3か月に1回)投与される。
【0129】
疾患の治療または疾患の治療のための薬剤もしくは組成物の生成に関して、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を含む本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤、または第二のもしくは他のRNAi剤、低分子薬物、抗体、抗体断片、ペプチド及び/またはアプタマーが挙げられるがこれらに限定されない第二の治療薬もしくは治療と組み合わせることができる。
【0130】
本明細書に開示する方法のいくつかの態様では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を含む医薬組成物のそれを必要とするヒト対象への投与により、(i)線維化の低下、(ii)門脈周囲肝細胞のレベルの低下、(iii)血清Z-AATの低下、(iv)全肝臓Z-AATの低下、(v)可溶性肝臓Z-AATの低下、(vi)不溶性肝臓Z-AATの低下、(vii)ALTの低下、(viii)GGTの低下、(ix)Pro-C3の低下、または(x)それらの組み合わせがもたらされ得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩を含む医薬組成物のそれを必要とするヒト対象への投与により、線維化、門脈炎症、インターフェイス肝炎、全門脈管病変、PAS+Dゾーン位置、ゾーン1「小球」門脈周辺病変、またはそれらの任意の組み合わせの改善がもたらされ得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与される対象におけるAAT遺伝子の遺伝子発現レベル及び/またはmRNAレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または99%超低下する。該対象における遺伝子発現レベル及び/またはmRNAレベルは、該対象の細胞、細胞群、及び/または組織において低下する。いくつかの実施形態では、該対象における遺伝子発現レベル及び/またはmRNAレベルは、該対象の肝臓細胞、例えば、肝細胞、肝星細胞、肝臓細胞群、及び/または肝臓において低下する。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与される対象におけるAAT遺伝子の遺伝子発現レベル及び/またはmRNAレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または99%超低下する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与される対象におけるAAT遺伝子の遺伝子発現レベル及び/またはmRNAレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約95%~100%低下する。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象におけるAATのタンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超低下する。該対象におけるタンパク質のレベルは、該対象の細胞、細胞群、組織、血液、及び/または他の液体において低下する。いくつかの実施形態では、該対象におけるタンパク質のレベルは、該対象の肝臓細胞、例えば、肝細胞、肝星細胞、肝臓細胞群、及び/または肝臓において低下する。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象におけるAATのタンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超低下する。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象におけるAATのタンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約95%~100%低下する。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与されたAATDを有する対象における肝臓Z-AATタンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または99%超低下する。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与されたAATDを有する対象における肝臓Z-AATタンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または99%超低下する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与されたAATDを有する対象における肝臓Z-AATタンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約95%~100%低下する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与されたAATDを有する対象における肝臓Z-AATの可溶性またはモノマータンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超低下する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与されたAATDを有する対象における肝臓Z-AATの可溶性またはモノマータンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超低下する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与されたAATDを有する対象における肝臓Z-AATの可溶性またはモノマータンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約95%~100%低下する。
【0144】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約95%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の可溶性肝臓Z-AATの低下は、約95%である。いくつかの実施形態では、該可溶性肝臓Z-AATの低下は、約50%~約97%である。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象における肝臓Z-AATの不溶性またはポリマータンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超低下する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象における肝臓Z-AATの不溶性またはポリマータンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超低下する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象における肝臓Z-AATの不溶性またはポリマータンパク質のレベルは、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約95%~100%低下する。
【0148】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約95%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約95%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の不溶性肝臓Z-AATの低下は、約40%~約97%である。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象における肝臓Z-AATの不溶性またはポリマータンパク質のレベル及び該Z-AATの可溶性またはモノマータンパク質のレベルの両方は、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超低下する。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象における肝臓Z-AATの不溶性またはポリマータンパク質のレベル及び該Z-AATの可溶性またはモノマータンパク質のレベルの両方は、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超低下する。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩が投与された対象における肝臓Z-AATの不溶性またはポリマータンパク質のレベル及び該Z-AATの可溶性またはモノマータンパク質のレベルの両方は、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、または約95%~100%低下する。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与することにより、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、血清Z-AATが少なくとも約70%低下する。
【0153】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、少なくとも約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、少なくとも約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、少なくとも約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、少なくとも約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、少なくとも約95%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約95%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約100%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の血清Z-AATの低下は、約70%~約100%である。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与することにより、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、全肝臓Z-AATが少なくとも約70%低下する。
【0155】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、少なくとも約95%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約95%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約100%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の全肝臓Z-AATの低下は、約70%~約100%である。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与することにより、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、ALTが少なくとも約30%低下する。
【0157】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、少なくとも約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、少なくとも約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、少なくとも約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、少なくとも約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のALTの低下は、約30%~約50%である。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与することにより、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、GGTが少なくとも約25%低下する。
【0159】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、少なくとも約25%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、約25%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、少なくとも約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、少なくとも約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、少なくとも約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のGGTの低下は、約25%~約45%である。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与することにより、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、Pro-C3が少なくとも約15%低下する。
【0161】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約15%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約15%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約20%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約20%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約25%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約25%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後のPro-C3の低下は、約15%~約90%である。
【0162】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与することにより、該AAT RNAi原薬が投与される前の該対象または該AAT RNAi原薬を受けない対象に対して、線維化が、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約15%低下する。
【0163】
いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約15%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約15%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約20%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約20%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約25%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約25%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約30%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約35%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約40%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約45%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約50%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約55%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約60%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約65%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約70%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約75%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約80%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約85%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約90%である。いくつかの実施形態では、ADS-001またはその塩をそれを必要とする対象に投与した後の線維化の低下は、FIBROSCAN(登録商標)で測定して約15%~約90%である。
【0164】
AAT遺伝子の発現(PiZZ遺伝子型を含む)、AAT mRNA(PiZZ遺伝子型を含む)、またはAATタンパク質のレベル(Z-AATタンパク質を含む)の低下は、当技術分野で既知の一般的な方法によって評価及び定量化され得る。本明細書に開示する実施例は、AAT遺伝子の発現の阻害及びAATタンパク質のレベルの低下を評価するための一般に知られている方法を示す。該AAT mRNAのレベル及び/またはタンパク質のレベル(Z-AATの可溶性及び不溶性タンパク質のレベルを含む)の低下または減少は、本明細書では、AATの低下もしくは減少、またはAATの発現の阻害もしくは低下と総称される。
【0165】
上記のすべての変化、例えば、門脈周囲肝細胞、血清Z-AAT、肝臓Z-AAT、可溶性肝臓Z-AAT、不溶性肝臓Z-AAT、ALT、GGT、Pro-C3、または脂肪症の変化は、所定の閾値、該AAT RNAi原薬を投与される前の対象におけるレベル、該AAT RNAi原薬を投与されていない対象におけるレベル、またはある集団で測定される対照レベルを基準とする。上記、例えば、線維化、門脈周囲肝細胞、血清Z-AAT、肝臓Z-AAT、可溶性肝臓Z-AAT、不溶性肝臓Z-AAT、ALT、GGT、Pro-C3、または脂肪症の測定のすべては、本開示に記載の通りに、または当技術分野で既知の方法を使用して行われる。
【0166】
本明細書で使用される、「肝臓Z-AATタンパク質の量」、「肝臓Z-AATタンパク質のレベル」、「肝臓Z-AATタンパク質の負荷」という用語は、ヒト対象の肝臓で測定されるZ-AATタンパク質の量を指し、特に明記しない限り、かかる用語は本明細書では同義で使用される。本明細書における非限定的な実施例においてより完全に開示されるように、肝臓生検は、対象から採取することができ、それらのサンプルをホモジナイズした後、存在するZ-AATタンパク質の全量を評価することができる。存在する可溶性Z-AATタンパク質(主にモノマー形態のZ-AATタンパク質)の量を同様に定量化することができ、存在する不溶性(ポリマー)Z-AATタンパク質のレベルは、合計から該可溶性量を差し引くことによって計算され得る。
【0167】
本明細書で使用される、「治療する」、「治療」等の用語は、対象における疾患の1つ以上の症状の数、重症度、及び/または頻度の軽減または緩和を提供するために行われる方法またはステップを意味する。本明細書で使用される、「治療する」及び「治療」とは、対象における疾患の1つ以上の症状の数、重症度、及び/または頻度の防止、管理、予防的治療、及び/または阻害を含み得る。
【0168】
本明細書で使用される、「月1回の投与」または「月1回」の投与とは、28日ごとを意味する。本明細書で使用される、「3か月ごとの投与」または「3か月ごと」の投与とは、84日ごとを意味する。月1回の投与に関連して使用される場合の「約」という用語は、月1回の投与+/-3日を意味する。3か月ごとの投与に関連して使用される場合の「約」という用語は、3か月ごとの投与+/-9日を意味する。投与の週数に関連して使用される場合の「約」という用語は、+/-1週を意味する。
【0169】
本明細書で使用される、本明細書に開示するAAT RNAi原薬、例えば、配列番号6からなるセンス鎖及び配列番号2からなるアンチセンス鎖を含むdsRNA、例えば、ADS-001またはその塩に言及する場合の「細胞に導入する」という句は、該RNAi剤を細胞に機能的に送達することを意味する。「機能的送達」という句は、該RNAi剤が期待される生物活性、例えば、遺伝子発現の配列特異的阻害を有するようにする方法で、該RNAi剤を細胞に送達することを意味する。
【0170】
特に明記しない限り、本明細書で使用される、記号
【0171】
【化3】
【0172】
の使用は、本明細書に記載の本発明の範囲に従って、任意の基(複数可)がそれに連結され得ることを意味する。
【0173】
本明細書で使用される場合、不斉中心が存在し、ひいてはエナンチオマー、ジアステレオマー、または他の立体異性コンフィギュレーションを生じさせる構造ごとに、構造中に特定のコンフォメーションを有するとして具体的に特定されない限り、本明細書に開示する各構造は、それらの光学的に純粋な型及びラセミ体を含め、すべてのかかる可能な異性体を表すことを意図している。例えば、本明細書に開示する構造は、単一の立体異性体だけでなく、ジアステレオマーの混合物もまた含むことを意図している。
【0174】
本明細書における特許請求の範囲で使用される、「~からなる」という句は、当該特許請求の範囲で指定されていない任意の要素、ステップ、または成分を除外する。本明細書における特許請求の範囲で使用される場合、「~から本質的になる」という句は、特許請求の範囲を、特定の材料またはステップならびに請求項にかかる基本的及び新規な特徴(複数可)に実質的に影響を与えないものに限定する。
【0175】
当業者には、本明細書に開示する化合物及び組成物が、ある特定の原子(例えば、N、O、またはS原子)を、該化合物または組成物が置かれる環境に応じて、プロトン化または脱プロトン化状態で有し得ることが容易に理解及び認識されよう。したがって、本明細書で使用される、本明細書に開示する構造は、ある特定の官能基、例えば、OH、SH、またはNH等がプロトン化される場合も脱プロトン化される場合もあることを想定している。本明細書の開示は、当業者には容易に理解されるように、環境(pH等)に基づくプロトン化の状態に関係なく、本開示の化合物及び組成物を含むことを意図している。
【0176】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法及び材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により全体として組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が統制する。さらに、該材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定することを意図していない。
【0177】
国際特許出願第PCT/US20/36359号、表題Methods For The Treatment Of Alpha-1 Antitrypsin Deficiency(AATD)において、出願人は、健常志願者(HBV)におけるAAT RNAi原薬(ADS-001)の第1相試験からのデータを記載した。完全を期すために、その情報を本明細書の実施例2及び図4~11に示す。本出願において、出願人は、AATDと診断されたヒト対象における非盲検第2相試験からの初期データを記載する。驚くべきことにかつ予想外に、AAT RNAi原薬(ADS-001)をわずか6か月及び3回投与後に、肝臓Z-AATタンパク質のレベルの低下が明らかになった。
【0178】
上記に示した実施形態及び項目を、以下の非限定的な実施例によりここで説明する。
【実施例
【0179】
実施例1.AAT RNAi原薬(ADS-001)の合成及び製剤化
本明細書に開示する方法での使用に適したAAT RNAi原薬は、当技術分野で既知の、固相オリゴヌクレオチド合成における標準的なホスホロアミダイト技術を使用して合成することができる。市販のオリゴヌクレオチド合成装置(例えば、MERMADE96E(登録商標)(Bioautomation)またはMERMADE12(登録商標)(Bioautomation))を使用してもよい。合成は、コントロールド・ポア・ガラス(CPG、500Åまたは600Å、Prime Synthesis,Aston,PA,USAから入手)製の固体支持体上で行うことができる。それぞれの鎖の3’末端に配置されたモノマーが、合成の開始点としてこの固体支持体に結合され得る。すべてのRNA、2’-修飾RNAホスホロアミダイト、及び反転脱塩基ホスホロアミダイトは、商業的に入手することができる。センス鎖の5’末端への付加に適した標的指向性基含有ホスホロアミダイトを合成することができる。当技術分野で既知の標準的な切断、脱保護、精製、及びアニーリングステップを使用することができる。AAT RNAi剤の合成に関するさらなる記載は、例えば、各々が参照により全体として本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2018/132432号(出願第PCT/US2018/013102号)及びWO2018/044350(PCT/US2017/021147)に見出され得る。AAT RNAi原薬は、次に、当技術分野で一般に知られている標準的な医薬的に許容される賦形剤に溶解することによって製剤化され得る。例えば、表3.1及び3.2は、本明細書に開示する方法での使用に適した製剤化AAT RNAi原薬を示す。
【0180】
実施例2.健常ヒト志願者(NHV)におけるAAT RNAi原薬(ADS-001)の第I相臨床試験
以下の例は、国際特許出願第PCT/US20/36359号、表題Methods For The Treatment Of Alpha-1 Antitrypsin Deficiency(AATD)で以前に提示されたものであり、出願人は完全を期すためにその情報をここで繰り返すことを望む。
【0181】
健常志願者(NHV)におけるAAT RNAi原薬(ADS-001)の安全性、忍容性、薬物動態、及び血清AATレベルへの影響を評価するための第1相、単回及び複数回の用量漸増投与試験を行った。この試験の被験者集団には、18~52歳のBMIが19.0~35.0kg/mの健常成人男女を含めた。
【0182】
NHV被験者を、合計7つのコホートに分けた。コホート1~4を、皮下注射として35mg(コホート1)の単回漸増及び100mg(コホート2)、200mg(コホート3)及び300mg(コホート4)の複数回漸増にて投与されるAAT RNAi原薬またはプラセボ(活性物質4:プラセボ4)を受けるようにランダム化した。コホート1~4は二重盲検であった。コホート2b、3b及び4bは、100、200、及び300mgのAAT RNAi原薬の単回投与を受ける4人の被験者からなる非盲検であった。合計44人の被験者が試験を完了した。図4は、第I相臨床試験の最終試験デザインを示す。試験パラメータを以下の表4に要約する。
【0183】
【表9-1】
【0184】
【表9-2】
【0185】
【表9-3】
【0186】
本試験の血清AATの低下の結果は、35~300mgの用量でAAT RNAi原薬を投与することで、プラセボと比較した場合に血清AATが大幅に低下することを示した。当初、1用量あたり400mgのAAT RNAi原薬でのコホートが、本臨床試験プロトコルの一部として提案された。しかしながら、35、100、200、及び300mgの用量での予想外の効力を考慮して、400mgのコホートを本試験のプロトコルから外した。本第I相試験において、35mg、100mg、及び200mgの用量で血清AATが大幅に低下し、100mg及び200mgの両方で複数回投与後、平均血清AAT低下が約90%に達した。図5~11は、本第I相試験における様々なコホートの血清AAT低下について報告する。
【0187】
驚くべきことにかつ予想外に、100mg及び200mgの用量レベルでは、かなりの(約90%に達する)及びより高用量の300mgと同様のノックダウンが生じたことから、全用量レベルにわたって明確な用量依存反応はなかった。最低用量の35mgでもかなり活性であったが、単回投与として施用された100mgほど活性ではなく、ある程度の用量反応を示した。
【0188】
35mgの単回投与からの血清AAT低下(>58%)の持続期間は、当初の予想よりも長く、用量投与後16週まで続き、その後ベースラインに戻った。例えば、35mgの単回投与から34週後、1人の被験者の血清AATレベルは、90mg/dL超に戻ったが、2人目の被験者の血清AATレベルは、40mg/dLのままであった(ベースラインから60.4%低下)。100mg~300mgのAAT RNAi原薬の単回投与による反応持続期間に有意差はなく、単回投与後8週~16週でベースラインに戻った。
【0189】
AAT RNAi原薬の複数回投与は、概して、単回投与よりも長期間にわたって血清AATの大幅な低下を維持する。これらのデータは、29日目(すなわち、初回投与から1か月後)に受けた2回目の投与が、血清AATレベルをさらに低下させるか、または低下を維持する可能性があり、その後の投与は、血清AATの最大の低下を維持するために12週ごと(すなわち、3か月ごと)に施用してもよいことを示唆する。
【0190】
本第I相試験では、死亡も、重篤な有害事象(SAE)も、及び強度が重度と評価された有害事象(AE)もなかった。AAT RNAi原薬を受けた被験者全体で2人の被験者が、3つのAEの強度が中等度であることを報告した(上気道感染症、鼻漏、胸痛全般)。プラセボを受けた被験者全体で3人の被験者が、3つのAEの強度が中等度であることを報告した(胃腸炎2、筋骨格系胸痛-左側)。他のすべてのAEは、軽度と報告されている。被験者の大多数は、試験治療に関連しないAEを報告した。AAT投与中の被験者で生じた1つのAEは、治療の早期中止に至ったが、この被験者を引き続き試験で追跡した。少なくとも単回投与の製剤化AAT RNAi原薬を受けた28人の被験者で、94のAEが報告された。プラセボを受けた17人の被験者では46のAEが報告された。用量漸増に伴うAEの頻度または強度の増加に明確なパターンはない。
【0191】
全製剤化AAT RNAi原薬のコホート全体で、6人の被験者で注射部位での6つのAEが生じ、そのすべてが薬物を受けた被験者で生じた。プラセボ被験者では、注射部位のAEはなかった。報告された注射部位反応には、注射部位の内出血、紅斑、及び疼痛が含まれた。注射部位でのこれらの複合AEは、製剤化AAT RNAi原薬を受けた被験者の21.4%で報告された。製剤化AAT RNAi原薬の50回の注射のうち6回、すなわち、12%が、注射部位のAEをもたらした。単一の被験者で2回以上報告された注射部位のAEはなかった。すべての注射部位のAEは、強度が軽度であると見なされた。
【0192】
実施例3.AAT関連肝疾患患者におけるAAT RNAi原薬(ADS-001)の第II相臨床試験。
アルファ-1アンチトリプシン欠乏関連肝疾患(AATD)患者におけるARO-AATの安全性及び有効性を評価するためのパイロット非盲検、複数回投与、第2相試験を行った。この試験の被験者集団には、18~75歳のPiZZ患者(ベースラインで完成した遺伝子型またはソース検証可能な文書からの遺伝子型に基づく)のAAT対象を含めた。
【0193】
PiZZ被験者を、合計3つのコホートに分けた。すべての被験者は、初回投与前に肝生検を受ける必要があった。図12は、第II相臨床試験の試験デザインを示している。
【0194】
コホート1及び1bは、皮下注射として200mg(コホート1)または100mg(コホート1b)のいずれかの合計3回にて投与されるAAT RNAi原薬を受ける最大4人の被験者からなる。投与は、1日目、初回投与から4週後、及び2回目の投与から12週後に施す。3回目の投与から24週後(初回投与から約40週または約6か月後)、2回目の生検を行う。
【0195】
コホート2は、皮下注射として200mgの合計5回にて投与されるAAT RNAi原薬を受ける最大8人の被験者からなる。投与は、1日目、初回投与から4週後、及び2回目の投与から12週後、3回目の投与から12週後、及び4回目の投与から12週後(すなわち、1日目、ならびに4、16、28、及び40週目)に施す。3回目の投与から48週後(初回投与から約88週または約1年後)、2回目の生検を行う。
【0196】
試験パラメータを、以下の表5に要約する。
【0197】
【表10-1】
【0198】
【表10-2】
【0199】
【表10-3】
【0200】
コホート1
コホート1では、血清Z-AATの低下の結果は、200mgの用量でAAT RNAi原薬を投与することで、血清及び全肝臓Z-AATタンパク質の両レベルが大幅に低下することを示した(例えば、図13参照)。
【0201】
血清Z-AATは、UHPLC-MS/MSを使用してZ-AAT変異を含むトリプシンペプチドを介して定量的に測定した。全及び可溶性肝臓Z-AATタンパク質もまた、UHPLC-MS/MSを使用してZ-AAT変異を含むトリプシンペプチドを介して定量的に測定した。肝臓組織のホモジナイズ後、全Z-AATタンパク質のレベルをUHPLC-MS/MSを使用して測定した。次いで、別のアリコートに対して遠心分離を行い、可溶性画分と不溶性画分を分離した。分離後、UHPLC-MS/MSを使用して、可溶性画分のZ-AATタンパク質のレベルを評価した。測定されない画分(不溶性)は、測定された肝臓Z-AATタンパク質の総量から測定された可溶性画分を差し引くことによって得た。
【0202】
別の方法として、ウエスタンブロットまたは半定量的免疫組織化学等の方法を使用して、Z-AATタンパク質に特異的なプローブまたは抗体を使用することにより、Z-AATタンパク質を定量的または半定量的に測定することができる。かかる方法は一般に知られており、試薬及びツールは市販されているか、他の場合には当業者の知識の範囲内である。
【0203】
以下の表6は、とりわけ、全肝臓(すなわち、肝臓内)Z-AATタンパク質のレベル、モノマー(可溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベル、ポリマー(不溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベル、ALT酵素レベル、及びGGT酵素レベルを示す。FIBROSCAN(登録商標)評価は、各被験者について投与前の肝生検及び24週の両方で行い、追加の評価を各被験者について52週目に行った。これらの結果も表6に示す。
【0204】
【表11】
【0205】
上記表6に示すように、各被験者は、全肝臓Z-AATタンパク質のレベル(Δ%)の70%超の低下及びモノマー(可溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベルの80%超の低下を達成した。さらに、1人を除くすべての被験者がポリマー(不溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベルの低下を示し、4人のうち3人の被験者がZ-AATポリマー(不溶性)タンパク質の68~97%に及ぶレベルの低下を示した。
【0206】
肝臓Z-AATタンパク質のレベルの低下は、24週目でベースラインと比較して、すべての被験者が36~66%に及ぶALTの低下を示し、すべての被験者が43~58%に及ぶGGTの低下を示したことを含め、臨床的に関連するバイオマーカーの改善ももたらした。
【0207】
すべての被験者はさらに、FIBROSCAN(登録商標)スコアの改善を示し、4人のうち3人の被験者が24週目でベースラインと比較して20%超の低下を示した。さらに、4人のうち3人の患者で、24週目に線維形成バイオマーカーであるPro-C3の31~51%に及ぶ低下を示した。
【0208】
ベースライン及び24週目の肝生検の組織学的評価を2人の病理学者によって行い、評価に不一致があった場合に3人目の病理学者が裁定者の役割を果たした。24週目に、すべての被験者で、それぞれのベースラインの生検と比較した場合に少なくとも1つの組織学的パラメータ、例えば、門脈炎症、小葉炎症、インターフェイス肝炎、肝細胞死、及び線維化(Metavir)の改善が見られた。2人の被験者は線維化が改善し、2人の被験者は線維化の悪化がなかった。すべての被験者は、門脈炎症の悪化も改善も示さなかった。さらに、すべての被験者は、Z-AAT負荷の改善を示し、これは、以下の表7に示すように、PAS+D(過ヨウ素酸シッフプラスジアスターゼ)染色によって評価された。
【0209】
【表12】
52週目にコホート1の被験者から採取した血清サンプルは、表6に示す24週目のものと同様のALT、GGT、及び血清Z-AATレベルのベースラインからの低下が依然として維持されていることを示した。
【0210】
コホート2
コホート2では、5人の患者に関する16週までの予備的な血清Z-AATの低下の結果を図14に示し、コホート1の24週でのものと同様のZ-AATタンパク質のレベルの低下が示されている。
【0211】
48週目での以下の表8は、とりわけ、全肝臓(すなわち、肝臓内)Z-AATタンパク質のレベル、モノマー(可溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベル、ポリマー(不溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベル、ALT酵素レベル、及びGGT酵素レベルを48週時点に達したコホート2の最初の5人の被験者に関して示す。FIBROSCAN(登録商標)評価は、各被験者について投与前の肝生検及び48週の両方で行った。これらの結果も表8に示す。
【0212】
【表13】
【0213】
上記表8に示すように、各報告された被験者は、全肝臓Z-AATタンパク質のレベル(Δ%)及びモノマー(可溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベルの75%超の低下を達成した。さらに、すべての被験者がポリマー(不溶性)肝臓Z-AATタンパク質のレベルの低下を示し、報告された5人のうち4人の被験者がZ-AATポリマー(不溶性)タンパク質の80~97%に及ぶレベルの低下を示し、1人の被験者は42.4%の低下を示した。
【0214】
肝臓Z-AATタンパク質のレベルの低下は、48週目でベースラインと比較して、すべての被験者が34~61%に及ぶALTの低下を示し、すべての被験者が26~44%に及ぶGGTの低下を示したことを含め、臨床的に関連するバイオマーカーの改善ももたらした。
【0215】
報告されたすべての被験者は、それぞれ17.7%、17.0%、67.8%、及び35.6%の低下で、FIBROSCAN(登録商標)スコアの改善を示した(5人のうち4人の被験者のみが測定された)。さらに、5人すべての患者で、48週目に線維形成バイオマーカーであるPro-C3の18~37%に及ぶ低下を示した。
【0216】
48週目に、5人中4人の被験者が線維化(METAVIR)の少なくとも1ポイントの改善を示し、5番目の被験者では線維化の悪化は見られなかった。5人のうち3人の被験者で門脈炎症が改善し、他の2人の被験者では悪化が見られなかった。さらに、すべての被験者は、Z-AAT負荷の改善を示し、これは、PAS+D(過ヨウ素酸シッフプラスジアスターゼ)染色によって評価された。
【0217】
コホート1及び2の組織学的評価
24週目(コホート1の場合)及び48週目(コホート2の場合)の肝生検の組織学的評価は、2人の独立した病理学者によって(患者及び時点に対して)盲検化された方法で行われ、最初の2人の病理学者間で評価が分かれた場合に3人目の病理学者を参加させた。線維化の段階はMETAVIRによって採点し、Z-AAT小球負荷は、陽性PAS+D染色に基づいて、以下の各々について0~3(3が最も深刻または最大の負荷)で採点した:小球を含む門脈管の範囲、小球を含む門脈周囲肝細胞の範囲、及びゾーン位置。1ポイント以上改善された主な組織学的特徴を、以下の表9に報告する。
【0218】
【表14】
【0219】
コホート1及び2から入手可能なデータは、ARO-AAT処理により、Z-AATモノマーとZ-AATポリマーの両肝臓内Z-AATタンパク質の一貫した大幅な減少、組織学的小球負荷の一貫した減少、線維化の改善、及び肝臓の健康に関する他のバイオマーカーの改善に至ったことを示している。さらに、脂肪症の組織学的改善は、ベースラインの脂肪肝疾患を有する被験者で見られた。
【0220】
試験の安全性の要約
第II相試験では、データ抽出日である2021年3月15日までに、合計71回(200mgが59回、100mgが12回)の投与を受けた被験者が16人おり、有害事象による死亡も脱落もなかった。ARO-AATは、最長1年間の投与後、概して忍容性が良好であった。投与中に発生した有害事象(TEAE)に関連した試験薬の中止、投与の中断、または早期の試験離脱はなかった。ウイルス性心筋炎、憩室炎、及び呼吸困難という3つの重篤な有害事象(SAE)が200mgのコホートで報告された。重症度はすべて中等度であり、すべて回復した。ウイルス性心筋炎は、EBV感染に関連しており、憩室炎は、危険因子を有する、すなわち、PiZZ遺伝子型を有し、虫垂切除術の既往を有する63歳の被験者に発生し、呼吸困難は、非閉塞性肺気腫の病歴及び肺治療の遅れのある被験者に発生した。AAT RNAi原薬は、ベースラインから48週まで、臨床的に意味のあるppFEV1(1秒間努力呼気容量の予測パーセント)の低下が観察されないことを含め、決定的な安全性シグナルがなく良好な忍容性を示した。
【0221】
2021年8月30日のデータ抽出日までのコホート1、2、及び1bのデータ要約のまとめの更新
上記のように、合計16人のホモ接合型PiZZ被験者が第2相臨床試験に参加した。コホート1及び1bは、200mg(コホート1)または100mg(コホート1b)のAAT RNAi原薬を皮下注射として、1日目、初回投与から4週後、及び2回目の投与から12週後に施される投与の合計3回の投与を受ける4人の被験者で構成した。コホート2は、皮下注射として200mgで合計5回のAAT RNAi原薬の投与を、1日目、初回投与から4週後、及び2回目の投与から12週後、3回目の投与から12週後、及び4回目の投与から12週後(すなわち、1日目、ならびに4、16、28、及び40週目)に受ける8人の被験者で構成した。平均年齢は、52歳(範囲20~66歳)であり、16人のうち14人の被験者が男性であった。
【0222】
ベースライン時及びベースライン後(1群及び2群では24週目及び48週目、1b群では24週目)に収集された比較検討生検、及び2021年8月30日のカットオフデータ抽出日の時点で、比較検討生検は16人のうち14人の被験者で利用可能であった。組織学は、被験者及び時点に対して盲検の3人の病理学者によって評価及び裁定された。主な評価項目には、METAVIR線維化、肝臓Z-AATレベル、及び全小球負荷(門脈管の範囲及びゾーン1の門脈周囲肝細胞病変及びゾーン位置のPAS+D染色の合計)を含めた。
【0223】
比較検討生検を行った14人の被験者のうち、11人はベースラインでF2以上のMETAVIR線維化段階を有していた。ARO-AATは、初回投与後、すべての患者で血清Z-AATタンパク質を大幅に低下させ、これは観察を通じて持続した。全肝臓Z-AATタンパク質の平均低下パーセントは、24週または48週で80%~89%に及んだ。すべての患者で小球負荷が低下した(ベースラインで平均スコア7.3(最大9)が、24週または48週で平均スコア2.5に低下)。200mgのAAT RNAi原薬を投与された11人の患者(すなわち、コホート1及びコホート2の被験者)のうち6人で線維化の改善(1段階以上)が達成されたが、100mgの用量を投与された3人(コホート1b)のうち、改善を示した患者はなかった。コホート2の2人の患者は、ベースラインから48週目まで線維化の悪化(両方ともF2からF3)を示したが、それにもかかわらず両被験者は小球負荷の大幅な減少を示し(ベースラインでのスコアはそれぞれ9及び4で、どちらも48週時にはスコアは0を示し)、投与後にはALTレベル及びGGTレベルは正常化した。
【0224】
すべての群は、ALT及びGGTの正常化を示した。平均低下パーセントは、ALTで42%~56%に及び、28週と72週の間で33%~54%に及んだ。
【0225】
ARO-AATの忍容性は良好で、ppFEV1のベースラインから臨床的に意味のある持続的な変化はなく、試験または試験薬の中止につながる有害事象もなかった。EBV関連の心筋炎、憩室炎、呼吸困難、及び前庭神経炎という4つのSAEが報告された。
【0226】
ある特定の要約データを以下の表10に示す。
【0227】
【表15】
【0228】
要するに、ARO-AATは、すべての患者で血清及び肝臓Z-AATならびに小球負荷を低下させた。これらのデータは、AATD肝疾患の原因因子であるZ-AATの除去が疾患活動性を改善し、線維化の改善につながる可能性があることを示している。
【0229】
他の実施形態
本発明は、その発明を実施するための形態に関連して記載されてきたが、前述の記載は、本発明の範囲を示すことを意図し、限定するものではなく、それは添付の特許請求の範囲で定義されると理解されるべきである。他の態様、利点、及び修正は、以下の特許請求の範囲内である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2023541170000001.app
【国際調査報告】