IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

特表2023-541199血栓除去の方法および関連するデバイスおよびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】血栓除去の方法および関連するデバイスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/221 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
A61B17/221
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517236
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 US2021050156
(87)【国際公開番号】W WO2022060684
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/078,706
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバート マクラフリン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ソウォーズ
(72)【発明者】
【氏名】デバン アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー マイゼナー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160EE24
4C160MM36
(57)【要約】
血管アクセス器具は、血管アクセスデバイスを介して挿入するように構成され得る。血管アクセス器具は、近位端および近位端の反対側の遠位端を含み得るワイヤを含み得る。遠位端は、血栓の除去を容易にし得る曲がった形状を含み得る。曲がった形状は、ループ部分を含み得る。曲がった形状は、U字形部分に近接するS字形部分を含み得る。曲がった形状は、らせん状を含み得る。器具前進デバイスは、血管アクセス器具をカテーテルアセンブリ内の格納位置からカテーテルの遠位端を越えた前進位置に前進させるように構成され得る。血管アクセス器具は、カテーテルの遠位開口部を形成するカテーテルの縁の周りでカテーテルの内側部分から外側表面に曲がることができる管腔内層を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスデバイスを介して挿入するように構成された血管アクセス器具であって、
近位端と、
前記近位端の反対側にある遠位端であって、曲がった形状に構成された前記遠位端と、
を備えるワイヤを含む、血管アクセス器具。
【請求項2】
前記曲がった形状は、ループ部分を含む、請求項1に記載の血管アクセス器具。
【請求項3】
前記ループ部分を通って延びる中心軸は、前記血管アクセスデバイスの長手方向軸に対して垂直に配向されるように構成される、請求項2に記載の血管アクセス器具。
【請求項4】
前記ワイヤは、中間部分をさらに備え、前記中間部分は、前記近位端と前記遠位端との間で前記遠位端に近接して配置され、前記中間部分は直線であり、前記ループ部分の中心は、前記中間部分に対して垂直に配向される、請求項2に記載の血管アクセス器具。
【請求項5】
前記遠位端の遠位先端が近位方向に向けられている、請求項2に記載の血管アクセス器具。
【請求項6】
前記曲がった形状は、U字形部分に近接するS字形部分を含み、前記U字形部分の口は、近位方向に面する、請求項1に記載の血管アクセス器具。
【請求項7】
前記遠位端の遠位先端が近位方向に向けられている、請求項6に記載の血管アクセス器具。
【請求項8】
前記ワイヤは、前記近位端と前記遠位端との間に配置され、前記遠位端に近接する中間部分をさらに備え、前記中間部分は直線であり、前記S字形部分および前記U字形部分は概して平面であり、前記S字形部分および前記U字形部分の平面は、前記中間部分と整列している、請求項6に記載の血管アクセス器具。
【請求項9】
前記曲がった形状は、らせん状を含む、請求項1に記載の血管アクセス器具。
【請求項10】
前記遠位端の遠位先端が遠位方向に向けられている、請求項9に記載の血管アクセス器具。
【請求項11】
前記らせん状は、第1の端部、第2の端部、および前記第1の端部と前記第2の端部との間の中間部分を含み、前記らせん状の前記第1の端部および前記第2の端部は、それぞれ、前記中間部分の外径未満の外径を有する、請求項9に記載の血管アクセス器具。
【請求項12】
血管アクセスシステムであって、
カテーテルアダプタ、および、前記カテーテルアダプタから遠位方向に延びるカテーテルを備えるカテーテルアセンブリと、
前記カテーテルアセンブリに結合された器具前進デバイスであって、前記器具前進デバイスが血管アクセス器具を含み、前記血管アクセス器具を、前記カテーテルアセンブリ内の格納位置から前記カテーテルの遠位端を越えた前進位置に前進させるように構成される前記器具前進デバイスと、を含む、血管アクセスシステム。
【請求項13】
前記血管アクセス器具が前記格納位置から前記前進位置に前進することに応答して、前記血管アクセス器具は、自動的に折り畳まれてU字形の遠位端を形成するように構成される、請求項12に記載の血管アクセスシステム。
【請求項14】
前記血管アクセス器具が前記格納位置にあることに応答して、前記血管アクセス器具の前記遠位端は波形である、請求項13に記載の血管アクセスシステム。
【請求項15】
前記血管アクセス器具は、チューブを含み、前記チューブの外径は、前記カテーテルの内径に接触する、請求項12に記載の血管アクセスシステム。
【請求項16】
前記チューブの遠位端が漏斗形状を含む、請求項12に記載の血管アクセスシステム。
【請求項17】
血管アクセスシステムであって、
カテーテルアダプタ、および、前記カテーテルアダプタから遠位方向に延びるカテーテルを備えるカテーテルアセンブリと、
前記カテーテルアセンブリに結合された器具格納デバイスであって、前記器具格納デバイスが、前記カテーテル内に配置された管腔内層を含み、前記管腔内層は、前記カテーテルアセンブリ内の第1の位置から第2の位置に格納するように構成される、前記器具格納デバイスと、を備える、血管アクセスシステム。
【請求項18】
前記管腔内層が前記第1の位置にあることに応答して、前記管腔内層が、前記カテーテルの遠位開口部を形成する前記カテーテルの縁の周りで前記カテーテルの内側部分から外側表面に湾曲し、前記管腔内層を前記第1の位置から前記第2の位置に格納させることに応答して、前記血管アクセス器具がまっすぐになる、請求項17に記載の血管アクセスシステム。
【請求項19】
前記カテーテルの遠位端の前記管腔内層は、前記カテーテルの前記遠位端を材料に浸漬することによって形成される、請求項17に記載の血管アクセスシステム。
【請求項20】
前記カテーテルの遠位端の前記管腔内層が、形状記憶材料で構成される、請求項17に記載の血管アクセスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管アクセス器具および血管アクセスシステムに関する。
【0002】
本出願は、2020年9月15日に出願された「血栓除去および関連デバイスおよびシステムの方法」と題された米国仮出願第63/078,706号の優先権を主張し、その開示全体が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、患者の血管系に流体を注入するために一般的に使用される。例えば、カテーテルは、生理食塩水、種々の薬剤、または全非経口栄養を注入するために使用され得る。カテーテルはまた、患者から血液を引き出すために使用されてもよい。
【0004】
カテーテルは、オーバーザニードル末梢静脈内(「IV」)カテーテルを含み得る。この場合、カテーテルは、鋭い遠位端を有する導入針の上に取り付けられ得る。カテーテルおよび導入針は、導入針の遠位端が、カテーテルの遠位端を越えて延び、針の斜角(bevel)を患者の皮膚から離れる方向に向くように組み立てられ得る。カテーテルと導入針は、通常、皮膚から浅い角度で患者の血管系に挿入される。
【0005】
血管内の導入針および/またはカテーテルの適切な配置を検証すべく、臨床医は、一般的に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバー内に血液の「フラッシュバック」があることを確認する。針の配置が一度確認されると、臨床医は、針を取り外し、カテーテルを将来の採決や輸血のためにそのままにしておくことができる。
【0006】
カテーテルを使用した採血は、特に、血管系内のカテーテルの滞留時間が1日を超える場合に、いくつかの理由により困難であり得る。カテーテルを患者に長い期間の間挿入したままにした場合に、カテーテルまたは静脈は、狭窄する、壊れる、ねじれる、デブリ(例えば、血栓)により閉塞すること、および血管系へのカテーテルの先端の付着することの影響をより受けやすくなる場合がある。このため、カテーテルは、カテーテルを留置した時に血液サンプルを取得するために使用されることが多いが、カテーテル留置期間中に血液サンプルを取得するために使用される頻度は低い。したがって、血液サンプルが必要な場合に、採血のための静脈へのアクセスをもたらす追加の針刺しが多く、これは、患者にとって苦痛となる場合があり、材料費が結果的により高くなる。
【0007】
いくつかの例では、追加の針刺しを回避するために、血管アクセス器具を使用して、カテーテルを介して患者の血管系にアクセスすることがある。血管アクセス器具は、カテーテルを通って血管系に挿入されて、カテーテルの寿命を延ばし、追加の針刺しなしでカテーテルを通って採血することを可能にし得る。
【0008】
本明細書で請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態や、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本明細書で説明されるいくつかの実施例を実行し得る技術領域の一例を示すために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、一般に、血管アクセスデバイス、システムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、血栓除去および関連するデバイスおよびシステムの方法に関する。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、血管アクセスデバイスを介して挿入するように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、ワイヤを含み得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、近位端および近位端の反対側の遠位端を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位端は、血栓の除去を容易にし得る曲がった形状を含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、曲がった形状は、ループ部分を含み得る。いくつかの実施形態では、ループ部分を通って延びる中心軸は、血管アクセスデバイスの長手方向軸に対して垂直に配向されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、中間部分を含み得る。いくつかの実施形態では、中間部分は、近位端と遠位端との間に配置され、遠位端に近接し得る。いくつかの実施形態では、中間部分は直線であってもよい。いくつかの実施形態では、ループ部分の中心は、中間部分に対して垂直に配向され得る。いくつかの実施形態では、遠位端の遠位先端は、近位方向に向けられ得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、曲がった形状は、「傘形状」を形成するためにU字形部分に近接するS字形部分を含み得る。いくつかの実施形態では、U字形部分の口は、近位方向に面し得る。いくつかの実施形態では、遠位端の遠位先端は、近位方向に向けられ得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、近位端と遠位端との間に配置され、遠位端に近接する中間部分を含み得る。いくつかの実施形態では、中間部分は直線であってもよい。いくつかの実施形態では、S字形部分およびU字形部分は、概して平面であってもよい。いくつかの実施形態では、S字形部分およびU字形部分の平面は、中間部分と整列され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、曲がった形状は、らせん状を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位端の先端は、近位方向に向けられ得る。いくつかの実施形態では、らせん状は、第1の端部、第2の端部、および第1の端部と第2の端部との間の中間部分を含み得、らせん状の第1の端部および第2の端部はそれぞれ、中間部分の外径未満の外径を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、血管アクセスシステムは、カテーテルアセンブリを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、カテーテルアダプタと、カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルと、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、血管アクセスシステムは、カテーテルアセンブリに結合された器具前進デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、血管アクセス器具を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、血管アクセス器具をカテーテルアセンブリ内の格納位置(retracted position)からカテーテルの遠位端を越えた前進位置(advanced position)に前進させるように構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、器具前進デバイスを介してカテーテルアセンブリを介して患者の血管系に送達され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、患者の血管系内でのカテーテルアセンブリのカテーテルの滞留期間の増加を促進し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルが血栓、弁、および/または血液採取を防ぐことができるカテーテル内またはカテーテルの周りのフィブリンシースなどの障害物を克服するために妥協されるとき、器具前進デバイスを使用して、血管アクセス器具をカテーテル内に、および/またはカテーテルの遠位端を超えて前進させ得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイスは、血管系内に留置されている既存のカテーテルを利用することによって、採血、流体送達、患者またはデバイスのモニタリング、または他の臨床処置の前に、患者の血管系への血管アクセス器具の無針送達を提供し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、血管アクセス器具が格納位置から前進位置に前進することに応答して、血管アクセス器具は、自動的に折り畳まれてU字形の遠位端を形成するように構成され得、これは、血栓除去を容易にし得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具が格納位置にあることに応答して、血管アクセス器具の遠位端は波形であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、血管アクセス器具は、チューブを含み得る。いくつかの実施形態では、チューブの外径は、カテーテルの内径に接触し得る。いくつかの実施形態では、チューブの遠位端は、漏斗形状を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、血管アクセスシステムは、カテーテルアセンブリを含み得、カテーテルアダプタおよびカテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルを含み得る。いくつかの実施形態では、血管アクセスシステムは、カテーテルアセンブリに結合された器具格納デバイス(instrument retraction device)を含み得る。いくつかの実施形態では、器具格納デバイスは、管腔内層(intraluminal layer)を含み得る。いくつかの実施形態では、管腔内層は、カテーテルアセンブリ内の第1の位置から第2の位置に後退するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管腔内層が第1の位置にあることに応答して、管腔内層は、カテーテルの内側部分からカテーテルの縁の周りのカテーテルの外側表面まで曲がり、カテーテルの遠位開口部を形成する。いくつかの実施形態では、管腔内層を第1の位置から第2の位置に格納することに応答して、血管アクセス器具はまっすぐになる。
【0018】
いくつかの実施形態では、管腔内層は、ライニング、カテーテル、またはコーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端に配置された管腔内層は、カテーテルの遠位端を材料に浸漬することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端の管腔内層は、形状記憶材料で構成される。いくつかの実施形態では、管腔内層は、ワイヤ、繊維、またはメッシュで構成され得る。いくつかの実施形態では、管腔内層は、コイルを含み得る。いくつかの実施形態では、管腔内層は、複数の同心円状材料を含み得る。
【0019】
上述の概略の説明、および、以下の詳細な説明の両方は、例示であり、また、説明のためのものであり、特許請求された本開示を限定するものではないことが理解されるべきである。様々な実施形態は、図面に示された配置および血管アクセス器具に限定されないことが理解されるべきである。また、図面は必ずしもスケールに合わせているわけではない。また、実施形態を組み合わせることができることを理解されたい。例えば、特定の血管アクセス器具の1つまたは複数の特徴は、別の特定の血管アクセス器具の1つまたは複数の特徴と組み合わされ得る。また、他の実施形態が用いられてよいこと、および、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による、例示的な格納位置にある例示的な血管アクセス器具を示す、例示的な血管アクセスシステムの上面斜視図である。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、例示的な前進位置にある血管アクセス器具を示す、血管アクセスシステムの上面斜視図である。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による、前進位置にある別の血管アクセス器具を示す、血管アクセスシステムの一部の側面図である。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態による、前進位置にある別の例示的な血管アクセス器具を示す、血管アクセスシステムの一部の側面図である。
図2C図2Cは、いくつかの実施形態による、前進位置にある別の血管アクセス器具を示す、血管アクセスシステムの一部の側面図である。
図2D図2Dは、いくつかの実施形態による、前進位置にある血管アクセス器具を示す、図2Cの血管アクセス器具の遠位端図である。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態による、近位位置から前進位置に移動する別の血管アクセス器具を示す、血管アクセスシステムの一部の側面図である。
図3B図3Bは、いくつかの実施形態による、図3Aよりも遠位方向にさらに前進した図3Aの血管アクセス器具を示す、血管アクセスシステムの一部の側面図である。
図3C図3Cは、いくつかの実施形態による、前進位置にある図3Aの血管アクセス器具を示す、血管アクセスシステムの一部の側面図である。
図4図4は、いくつかの実施形態による、別の例示的な血管アクセス器具の上面斜視図である。
図5図5は、いくつかの実施形態による、他の例示的な血管器具の上面斜視図である。
図6A図6Aは、いくつかの実施形態による、例示的な管腔内層の断面図である。
図6B図6Bは、いくつかの実施形態による、第1の位置から第2の位置に移動する管腔内層の断面図である。
図6C図6Cは、いくつかの実施形態による、図6Bから近位に移動した管腔内層の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、図1A図1Bを参照すると、いくつかの実施形態による、血管アクセスシステム10が示されている。いくつかの実施形態では、血管アクセスシステム10は、カテーテルアセンブリ12を含んでもよく、このカテーテルアセンブリ12は、カテーテルアダプタ14およびカテーテル16を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル16は、末梢静脈カテーテル、末梢挿入型中心カテーテル、または、正中線(midline)カテーテルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14は、遠位端18、近位端20、および遠位端18と近位端20を通って延びる管腔(lumen)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル16は、カテーテルアダプタ14の遠位端18から遠位に延びてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14は、カテーテルアダプタ14のサイドポート24から延在し得る延長チューブ22と統合され得る。いくつかの実施形態では、例えば、YアダプタまたはTアダプタなどのアダプタ26は、延長チューブ22の近位端に結合され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス28は、様々な方法でカテーテルアセンブリ12に結合され得る。一例として、器具前進デバイス28は、アダプタ26のポートに結合され得る。別の例として、器具前進デバイス28は、アダプタ26のポートと器具前進デバイス28との間に配置された無針コネクタ29に結合され得る。別の例として、器具前進デバイス28は、カテーテルアダプタ14の近位端20に結合され得る。いくつかの実施形態では、別の延長チューブおよび/または採血デバイスアダプタは、アダプタ26の別のポートに結合され得る。いくつかの実施形態では、採血デバイスアダプタは、例えば、注射器または採血チューブなどの採血デバイスを受信し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス28は、カテーテルアセンブリ12に結合するように構成されたハウジング30を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイス28は、血管アクセス器具32を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進デバイス28は、任意の適切な送達デバイスを含み得る。血管アクセス器具32と共に使用され得る器具前進デバイスのいくつかの例は、「カテーテル送達デバイスおよび関連するシステムおよび方法」と題された2019年1月18日に出願された米国特許公開第2019/0021640号、米国特許公開第2019/0321595号、米国特許公開第2019/0321590号、米国特許公開第2020/0016374号、米国特許公開第2020/0170559号、米国特許出願第62/794,437号、および「流体透過性構造を有する血管アクセス器具および関連するデバイスおよび方法」と題された2019年4月5日に出願された米国特許出願第62/830,286号にさらに記載されており、これらはそれぞれ参照により完全に組み込まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス28は、血管アクセス器具32をカテーテルアセンブリ12に導入するように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32がカテーテルアセンブリ12に導入されることに応答して、血管アクセス器具32は、カテーテルアセンブリ12の流体経路にアクセスしてもよく、および/または血管アクセス器具32は、カテーテルアセンブリ12を通って延在して患者の血管系にアクセスしてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、器具前進デバイス28は、例えば、図1Aに示される格納位置と、例えば、図1Bに示される前進位置との間で血管アクセス器具32を前進させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32の遠位端34は、血管アクセス器具32が前進位置にあることに応答して、カテーテル16の遠位端36の遠位に配置され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32が格納位置にあることに応答して、血管アクセス器具32の遠位端34は、ハウジング30内に配置され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32の近位端37は、前進タブ38に結合されてもよく、前進タブ38は、格納位置と前進位置との間で血管アクセス器具32を移動させるために、ユーザによって把持されてスロット40に沿って移動されてもよい。いくつかの実施形態では、前進タブ38は、スロット40を通って延在し得、血管アクセス器具32の近位端に結合された前進タブ38の一部は、ハウジング30内にあり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、カテーテル16は、フッ素化エチレンプロピレン、TEFLON(商標)、シリコン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、フッ素化ポリマー、親水性材料、疎水性材料、汚染防止材料、または別の適切な材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル16は、抗血栓性コーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32の全てまたは一部は、金属または別の適切な材料で構成され得る。
【0028】
ここで図2A~2Dを参照すると、いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、ワイヤまたは別の適切な器具を含み得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、近位端37(例えば、図1A~1Bを参照)および近位端37の反対側の遠位端34を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位端34は、カテーテル16の遠位端36またはその近くに配置された血栓の除去を容易にし得る曲がった形状44を含み得る。
【0029】
ここで図2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、曲がった形状44は、ループ部分46を含み得る。いくつかの実施形態では、ループ部分46は、1つまたは複数のループを含み得る。いくつかの実施形態では、ループ部分46は、2つ以上のループを含み得る。いくつかの実施形態では、ループ部分46は、3つ未満のループを含み得、これは、ループ部分の厚さを低減し、ループ部分46が血管系の壁と干渉するリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、ループ部分46は、3つ以上のループを含み得る。いくつかの実施形態では、ループされた部分のループは、近位端37から血管アクセス器具32に沿って遠位に移動する第1の位置合わせ点または接触(点)48から測定され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、ループは、中心軸50の周りに同心円であってもよい。いくつかの実施形態では、ループ部分46を通って延びる中心軸50は、カテーテル16の長手方向軸52に対して垂直に配向されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、中間部分54を含み得る。いくつかの実施形態では、中間部分54は、近位端37と遠位端34との間に配置され、遠位端34に近接し得る。いくつかの実施形態では、中間部分54は、直線であってもよく、および/または長手方向軸52と整列してもよい。いくつかの実施形態では、ループ部分46の中心軸50は、中間部分54に対して垂直に配向され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、遠位端34の遠位先端56は、近位方向に向けられ得る。いくつかの実施形態では、遠位先端56は、血管アクセス器具32の最端部分にある任意の適切な形状を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位先端56は、鈍いまたは尖っていてもよい。いくつかの実施形態では、ループ部分46は、血栓などの血管系内の閉塞物をつかむまたは捕捉するように、および/またはユーザによるカテーテル16からの閉塞の除去を容易にするように構成され得る。
【0032】
ここで、図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、曲がった形状は、「傘形状」を形成するためにU字形部分60に近接するS字形部分58を含み得る。いくつかの実施形態では、U字形部分60の口は、近位方向に面し得る。いくつかの実施形態では、ループ部分46は、血栓などの血管系内の閉塞物をつかむまたは捕捉するように、および/またはユーザによるカテーテル12からの閉塞物の除去を容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、S字形部分および/またはU字形部分は、閉塞物をつかみ、閉塞物を遠位および/または近位に移動させるように構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、遠位端34の遠位先端56は、近位方向に向けられてもよく、これは、遠位先端56と血管系の壁との損傷ある接触のリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、近位端37と遠位端34との間に配置され、遠位端34に近接する中間部分54を含み得る。いくつかの実施形態では、中間部分54は、直線であってもよく、および/または長手方向軸52と整列してもよい。いくつかの実施形態では、S字形部分58は、中間部分54に近接してもよい。いくつかの実施形態では、S字形部分58およびU字形部分60は、概して平面的であってもよい。いくつかの実施形態では、S字形部分およびU字形部分の平面は、中間部分54と整列され得る。
【0034】
ここで図2C~2Dを参照すると、いくつかの実施形態では、曲がった形状44は、らせん状またはコイル状を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位端34の遠位先端56は、近位方向に向けられ得る。いくつかの実施形態では、らせん状は、第1の端部62、第2の端部64、および第1の端部62と第2の端部64との間の中間部分66を含み得る。いくつかの実施形態では、らせん状の第1の端部62および第2の端部64はそれぞれ、中間部分66の外径未満の外径を有する。いくつかの実施形態では、らせん状のループの各々は、ループの次の隣接するループから離間されてもよい。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、格納位置と前進位置との間を移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、長手方向軸52を中心に最大360°まで回転するように構成され得、これは、閉塞物の移動および/または分解を容易にし得る。
【0035】
ここで図3A~3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、例えば図3Cに示されるように、血管アクセス器具32が格納位置から前進位置に前進することに応答して、血管アクセス器具32は、自動的に折り畳まれて血栓除去を容易にし得るU字形68を形成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32が格納位置にあることに応答して、血管アクセス器具32の遠位端34は、カテーテル16などのカテーテルアセンブリ12の内面と接触することによって波形になってもよく、または波形に付勢されてもよい。いくつかの実施形態では、U字形の遠位端の形成に応答して、血管アクセス器具32は、血栓などの血管系内の閉塞物をつかむまたは捕捉し得、および/またはユーザによるカテーテル16からの閉塞物の除去を容易にし得る。
【0036】
ここで図4~5を参照すると、いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、チューブ70を含み得る。いくつかの実施形態では、チューブ70の外径は、カテーテルの内径に接触し得る。いくつかの実施形態では、チューブ70は、チューブ70の長さの全部または一部に沿って円筒形であってもよい。いくつかの実施形態では、チューブ70は、図6A~6Cに関して記載された管腔内層74を含み得るか、またはそれに対応し得る。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32が前進位置にあることに応答して、チューブ70の遠位端は、カテーテル16の遠位端に同じ高さ(flush)または近位であり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、チューブ70の近位端は、漏斗形状および/または拡大された外径を含み得るキャップ72を含み得る。いくつかの実施形態では、流体経路は、キャップ72を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、キャップ72は、注射器または静脈内(「IV」)ラインに結合するように構成され得、チューブ70に取り外し可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、キャップ72は、ねじ切りを含み得、ねじ切りは、IVラインのシリンジへの結合を容易にし得る。図5は、いくつかの実施形態による、特定の格納位置にあるチューブ70を示す。いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32の前進位置から格納位置への移動に応答して、チューブ70およびキャップ72は、ユーザによるカテーテル16からの閉塞物の破壊または除去を容易にし得る。いくつかの実施形態では、キャップ72は近位方向に移動され得、これはチューブ70の残りの部分を近位方向に引っ張り得る。いくつかの実施形態では、チューブ70は、図6A~6Cの管腔内層74に対応し得る。
【0038】
ここで図6A~6Cを参照すると、血管アクセスシステム10は、カテーテルアセンブリ12に結合された器具格納デバイスを含み得る(例えば、図1A~1Bを参照)。いくつかの実施形態では、器具格納装置は、図1Bの器具前進デバイス28を含んでもよく、またはそれに対応してもよく、組み立て中に図1Bのように前進タブ38を遠位位置に配置してもよい。いくつかの実施形態では、器具格納デバイスは、血管アクセス器具32を近位方向に移動させるように構成された任意の適切な器具格納デバイスを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、血管アクセス器具32は、管腔内層74を含み得る。いくつかの実施形態では、管腔内層74は、例えば、図6Aに示される第1の位置から、カテーテルアセンブリ12内の第2の位置または近位位置に格納(retract)するように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具格納デバイスが遠位位置に前進タブ38で配置する状態で構成されるとき、管腔内層74は、第1の位置に配置され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、管腔内層74が第1の位置にあることに応答して、管腔内層74は、カテーテル16の遠位開口部84を形成するカテーテル16の縁82の周りでカテーテル16の内側部分78からカテーテル16の外側表面80へと湾曲する湾曲部分76を含み得る。いくつかの実施形態では、湾曲部分76は、管腔内層74の管状部分86に結合され、近接してもよい。いくつかの実施形態では、管腔内層を第1の位置から第2の位置に格納することに応答して、例えば、図6Cに示されるように、管腔内層74の湾曲部分76は、まっすぐになってもよく、または湾曲が少なくなってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、管腔内層74は、ライニング、カテーテル、チューブ、コーティング、または湾曲位置から直線位置に移動するように構成された別の適切な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテル16の遠位端にある湾曲部分76または管腔内層74は、カテーテル16の遠位端を材料に浸漬することによって形成され得、これは可撓性でもあり得る。いくつかの実施形態では、カテーテル16の遠位端の管腔内層72は、形状記憶材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、管腔内層74は、ワイヤ、繊維、またはメッシュで構成され得る。いくつかの実施形態では、管腔内層74は、コイルを含み得る。いくつかの実施形態では、管腔内層74は、複数の同心円状材料を含み得る。
【0042】
本明細書に記載されるすべての例および条件付き文言は、本技術を促進するために本発明者によって提供される本開示および概念を読み手が理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、およびそのような具体的に列挙されている例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態は詳細に説明されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に対する、さまざまな変更、置換、および改変がなされ得ることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
【国際調査報告】