(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】効率的な通信のためのワイヤレスネットワークノードの同期化
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20230921BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20230921BHJP
【FI】
H04W56/00 150
H04W52/02 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517251
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-07
(86)【国際出願番号】 US2021050166
(87)【国際公開番号】W WO2022060690
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】クマラン ヴィジャヤサンカール
(72)【発明者】
【氏名】ウォンソー キム
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE25
(57)【要約】
幾つかの例において、電子デバイス(200)が、送受信機(206)と、送受信機に結合されたプロセッサ(202)とを含む。このプロセッサは、送受信機を介して別の電子デバイスから受信した多数のパケットにおける経過時間表示を用いて、電子デバイスのクロック(214)を、別の電子デバイスのクロックに同期させるように構成される。このプロセッサは、電子デバイスの同期されたクロックを用いて、送受信機を介してパケットを送信するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
送受信機と、
前記送受信機に結合されるプロセッサと、
を含み、前記プロセッサが、
前記電子デバイスのクロックを、前記送受信機を介して別の電子デバイスから受信された複数のパケットにおける経過時間表示を用いて前記別の電子デバイスのクロックに同期させ、
前記電子デバイスの前記同期されたクロックを用いて前記送受信機を介してパケットを送信する、
ように構成される、
電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサが、前記複数のパケットのうちの第1のパケットの受信と、前記複数のパケットのうちの第2のパケットの受信との間に、スリープ状態に入り、前記スリープ状態から出るように構成される、電子デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記経過時間表示が、
基準時間から経過した第1の時間であって、前記複数のパケットのうちの第1のパケットに含まれる前記第1の時間と、
前記基準時間から経過した第2の時間であって、前記複数のパケットのうちの第2のパケットに含まれる前記第2の時間と、
を含む、電子デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサが、前記第1の時間と前記第2の時間との間の差を判定し、前記差を用いて前記電子デバイスの前記クロックを同期させるように構成される、電子デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサが、前記基準時間から経過した第3の時間に前記差を加算するように構成され、前記第3の時間が前記電子デバイスによって測定される、電子デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサが、前記別の電子デバイスにハートビート・パケットを送信しないように構成される、電子デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスが、前記別の電子デバイスとのみ通信するように構成される、電子デバイス。
【請求項8】
電子デバイスであって、
送受信機と、
前記送受信機に結合されたプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサが、
前記送受信機を介して別の電子デバイスから第1のパケットを受信することであって、前記第1のパケットが基準時間から第1の時間が経過したことを示し、前記プロセッサが前記基準時間から第2の時間が経過したことを示す、前記第1のパケットを受信することと、
前記第1のパケットの受信に続いて、前記送受信機を介して前記別の電子デバイスから第2のパケットを受信することであって、前記第2のパケットが、前記基準時間から第3の時間が経過したことを示す、前記第2のパケットを受信することと、
前記第1、第2、及び第3の時間を用いて、前記電子デバイスのクロックを前記別の電子デバイスのクロックに同期させることと、
前記送受信機を介して及び前記電子デバイスの前記同期されたクロックを用いて、前記別の電子デバイスにパケットを送信することと、
を行う、
電子デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサが、前記第1のパケットを受信した後であり前記第2のパケットを受け取る前に、スリープ状態に入り、スリープ状態から出るように構成される、電子デバイス。
【請求項10】
請求項8に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスの前記クロックを前記別の電子デバイスの前記クロックに同期させるために、前記プロセッサが、前記第3の時間と前記第1の時間との間の差を判定するように構成される、電子デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスの前記クロックを前記別の電子デバイスの前記クロックに同期させるために、前記プロセッサが、前記差と前記第2の時間とを合計するように構成される、電子デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスの前記クロックを前記別の電子デバイスの前記クロックに同期させるために、前記プロセッサが、前記合計を前記基準時間からの現在の経過時間として設定するように構成される、電子デバイス。
【請求項13】
請求項8に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスが、前記別の電子デバイスとのみ通信するように構成される、電子デバイス。
【請求項14】
請求項8に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサが、前記別の電子デバイスのチャネルホッピング方式に従って周波数帯域チャネルにわたってホッピングする一方で前記パケットを送信するように構成される、電子デバイス。
【請求項15】
請求項8に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサが、前記別の電子デバイスにハートビート・パケットを送信しないように構成される、電子デバイス。
【請求項16】
システムであって、
電子デバイスを含み、
前記電子デバイスが、送受信機と、前記送受信機に結合されるプロセッサとを含み、
前記プロセッサが、
前記電子デバイスのクロックを、前記送受信機を介して別の電子デバイスから受信された複数のパケットにおける経過時間表示を用いて前記別の電子デバイスのクロックに同期させることと、
前記別の電子デバイスのチャネルホッピング方式に従って周波数帯域チャネルにわたってホッピングする一方で、前記電子デバイスの前記同期されたクロックを用いて前記送受信機を介して別の電子デバイスにパケットを送信することと、
を行うように構成される、
システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、前記プロセッサが、前記複数のパケットの第1のパケットの受信の後であり前記複数のパケットの第2のパケットの受信の前に、スリープ状態に入り、スリープ状態から出るように構成される、システム。
【請求項18】
請求項16に記載のシステムであって、前記経過時間表示が、
基準時間から経過した第1の時間であって、前記複数のパケットのうちの第1のパケットに含まれる前記第1の時間と、
前記基準時間から経過した第2の時間であって、前記複数のパケットのうちの第2のパケットに含まれる前記第2の時間と、
を含む、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記プロセッサが、前記第1の時間と前記第2の時間との間の差を判定し、前記差を用いて前記電子デバイスの前記クロックを同期させるように構成される、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記プロセッサが、前記基準時間から経過した第3の時間に前記差を加算するように構成され、前記第3の時間が前記電子デバイスによって測定される、システム。
【請求項21】
請求項16に記載のシステムであって、前記電子デバイスが、前記別の電子デバイスとのみ通信するように構成される、システム。
【請求項22】
請求項16に記載のシステムであって、前記別の電子デバイスが、前記電子デバイスのタイミング情報及びチャネルホッピング方式情報を第3の電子デバイスに提供するように構成され、前記第3の電子デバイス及び前記電子デバイスが互いに通信するように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ワイヤレスネットワークはしばしば、データを送受信するために周波数帯域の異なるチャネル間でネットワークノードが切り替わる、チャネルホッピング方式を実装する。一対のネットワークノード間のユニキャスト通信は、特定された(例えば、擬似ランダム)パターンに従ってチャネルをホッピングする受信機ノードと、所与の時点において受信機ノードが動作しているチャネルをまず判定することによってパケットを受信機ノードに送信する送信機ノードとを必要とする。
【0002】
受信機ノードが動作しているチャネルを送信機ノードが判定するために、送信機ノードは、送信機ノードと受信機ノードとの間のクロック同期性を仮定する。送信機ノード及び受信機ノードは、受信機ノードに送信されるパケットに含まれる送信機ノードタイミング情報を用いてクロック同期性を達成することができ、それによって、自然に発生するクロックドリフトを軽減する。受信機ノードは、受信機ノードが後に送信機ノードにパケットを送信するときなど、将来の参照のためにそのような送信機ノードタイミング情報を格納し得る。
【0003】
クロック同期性を仮定すると、送信機ノードが、前の基準時点からの経過時間を判定し、経過時間を、滞留時間としても知られる各チャネルスロットの持続時間で除算することによって、受信機ノードが動作しているチャネルを判定することができる。この除算動作の商は、基準時点以降に発生したチャネルホッピングの数を示し、受信機ノードのホッピングシーケンスと組み合わせて、受信機ノードが動作している特定のチャネルを判定するのに有用である。次いで、送信機ノードは、そのチャネル上で受信機ノードにパケットを送信することができる。
【発明の概要】
【0004】
幾つかの例において、電子デバイスが、送受信機と、送受信機に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、送受信機を介して別の電子デバイスから受信した複数のパケットにおける経過時間表示を用いて、電子デバイスのクロックを別の電子デバイスのクロックに同期させるように構成される。プロセッサは、電子デバイスの同期されたクロックを用いて、送受信機を介してパケットを送信するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【0006】
【
図1】様々な例に従った、スリーピー(sleepy)ノード及び非スリーピー(non-sleepy)ノードを有するワイヤレスネットワークのブロック図である。
【0007】
【
図2】種々の例に従った、ワイヤレスネットワークノードのブロック図である。
【0008】
【
図3】様々な例に従った、ワイヤレスネットワークノード間のクロック同期を示すタイミング図である。
【0009】
【
図4A】種々の例に従った、ワイヤレスネットワークノード間でクロックを同期させるための方法のフローチャートである。
【0010】
【
図4B】種々の例に従った、ワイヤレスネットワークノード間でクロックを同期させるためのタイミング図である。
【0011】
【
図5】様々な例に従った、ワイヤレスネットワークノード間のチャネルホッピング同期を示すタイミング図である。
【0012】
【
図6】様々な例に従って、ワイヤレスネットワークノード間のクロック同期及びチャネルホッピング方式のための方法のフローチャートである。
【0013】
【
図7】様々な例に従った、同期情報を格納するためのワイヤレスネットワークノードデータ構造の図である。
【0014】
【
図8】種々の例に従った、複数のノードを有するワイヤレスネットワークのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述のように、ユニキャスト通信の文脈では、チャネルホッピングワイヤレスネットワークノードが互いに通信するためにクロック同期性が必要とされる。定期的なクロック同期がないと、クロックドリフトが、ネットワークノードが他のネットワークノードがその上で動作しているチャネルを正確に判定することを妨げ、これにより、ノードが互いに通信することが妨げられる。
【0016】
クロックドリフトを軽減するために、送信機ノードが、ハートビート・パケットを受信機ノードに繰り返し送信し得る。ハートビート・パケットは、送信機ノードに関連付けられたタイミング情報を含み、受信機ノードは、このタイミング情報を捕捉、格納、使用して、その後、送信機ノードと通信し得る。幾つかの応用例において、ネットワークノードは、流量計又はモバイルパーソナルエレクトロニクスなどにおいて、バッテリ駆動であり得る。ハートビート・パケットを繰り返し送信することはエネルギー効率が悪く、この非効率性は、バッテリ駆動のネットワークノードにとって特に問題である。しかしながら、ハートビート・パケットの定期的な送信がない場合、バッテリ駆動のネットワークノードは、クロックドリフトを受け、ネットワーク内の他のノードに対してクロック非同期になり、そのため、バッテリ駆動のネットワークノードがネットワーク内の他のノードと通信することが妨げられる。また、ハートビート・パケット送信に関連する上述の非効率性のため、電力消費を低減するために送信の数を低減することが有用である。
【0017】
本開示は、バッテリ駆動のネットワークノードが、ハートビート・パケットの送信なしに、クロックを他のネットワークノードと同期させることができる様々な手法について説明する。より具体的には、バッテリ駆動のネットワークノード(以下、子ノード)が、別のネットワークノード(以下、親ノード)から第1のパケットを受け取り得る。子ノードはその後、親ノードから第2のパケットを受け取り得る。子ノードは、第1及び第2のパケットに埋め込まれたタイミング情報に基づいて、親ノードによって登録された第1及び第2のパケット間の経過時間を計算し得る。子ノードは、第1のパケットと第2のパケットとの間の経過時間を、親ノードのものと一致するように調整し得、それによって、子ノードによるエネルギー効率の悪いハートビート・パケットの送信なしに、これら2つのノード間のクロック同期性を達成する。これらのクロックが同期されるので、各ノードは、任意の所与の時間に他のノードが動作しているチャネルを正確に判定することができ、そのため、ノード間の通信を促進する。幾つかの例において、子ノードが自身のクロックを親ノードに同期させ、また、子ノードは、親ノードのチャネルホッピングシーケンスを採用する。このようにして、子ノードは常に親ノードと同じチャネル上にあり、そのため、これら2つのノードのいずれも、他のノードのタイミング情報を格納する必要はなく、また、いずれのノードも、ノード間で送信が成される場合に、他のノードが動作しているチャネルを計算する必要もない。これらの例及びその他の例を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、種々の実施例に従った、スリーピー及び非スリーピーノードを有するワイヤレスネットワーク100のブロック図である。幾つかの例において、ワイヤレスネットワーク100は、半二重の、ロットなしのチャネルホッピングネットワークであるが、本開示の範囲はまた、バッテリ駆動のノードが、ハートビート・パケット送信がないために向上したバッテリ寿命を享受し得る、その他のタイプのワイヤレスネットワークも含む。例示のワイヤレスネットワーク100は、ノード102、104、106、108、110、及び112を含む。ノード102はスリーピーノードであり、これは、ノード102が、バッテリ給電され、バッテリ寿命を保持するためにスリープ(例えば、低電力消費)状態に繰り返し入り、ノード104と通信するために間欠的にスリープ状態から出ることを意味する。幾つかの例において、ノード102がノード104とのみ通信する一方で、ノード104は、ワイヤレスネットワーク100における残りのノードと通信し得る。従って、ノード102は本明細書では子ノードと称し、ノード104は本明細書では親ノードと称する。上述のように、ノード106、108、110、及び112と通信するように構成される親ノード104は、バッテリ電力ノードではなく(例えば、主電源に結合され)、そのため、親ノード104はスリーピーノードではない。同様に、幾つかの例において、ノード106、108、110、及び112はバッテリ駆動のノードではなく、そのため、これらのノードもスリーピーノードではない。子ノード102は、ワイヤレスネットワーク100における唯一のスリーピーバッテリ駆動のノードであるので、本明細書で説明される電力節約手法は概して、バッテリ寿命を改善するために子ノード102上での実装が企図される。しかしながら、これらの手法は、概して電力消費を低減し、ワイヤレスネットワーク100上のトラフィックを低減するために、ワイヤレスネットワーク100における任意の適切なノード上で実装され得る。
【0019】
幾つかの例において、ワイヤレスネットワーク100は、例えば住宅又は商業の文脈における、計量システムの一部である。幾つかの例において、子ノード102は、任意の適切なタイプのバッテリ駆動のメータであり、任意の適切なリソースの使用量を測定するように構成される。親ノード104は、例えば、水又はガスメータであり得、子ノード102が、親ノード104にデータ(例えば、測定値)を提供し得る。次いで親ノード104は、子ノード102から及び親ノード104からの測定値を、ワイヤレスネットワーク100内の残りの非スリーピーノードに提供し得、これらのノードの各々はメータ(例えば、電気メータ)であり得る。ワイヤレスネットワーク100における非スリーピーノードのうちの1つ又は複数が、例えば、ワイヤレスネットワーク100における他のノードの一部又は全てから中央ハブ(図示せず)にデータを提供するなどのために、中央ハブと通信し得る。次いで、中央ハブは、データを処理し得るか、又は、必要に応じた処理及び使用のために、データを別の適切なエンティティに提供し得る。
【0020】
図2は、種々の例に従ったワイヤレスネットワークノード200のブロック図である。例示のノード200は、
図1のワイヤレスネットワーク100におけるノードの各々を表す。ノード200は、プロセッサ202と、プロセッサ202に結合されるストレージ204(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))と、プロセッサ202に結合される送受信機206と、送受信機206に結合されるアンテナ208とを含む。全ての送信及び受信が送受信機206によって行われる。ストレージ204は、実行可能コード210とデータ構造212とを格納し得る。実行可能コード210は、プロセッサ202によって実行されると、プロセッサ202に、上述のように、
図1のワイヤレスネットワーク100に示される様々なノードを表す、この例ではノード200に起因する動作の一部又は全部を実施させる。データ構造212は、ワイヤレスネットワーク100内の他のノードに関連するタイミング又はクロック情報、ワイヤレスネットワーク100内の他のノードによって用いられるホッピングシーケンス、及びワイヤレスネットワーク100内の他のノードとのワイヤレス通信に関与するためにノード200に有用であり得る他の情報など、ワイヤレスネットワーク100に関する情報を格納する。データ構造212の例を以下に説明する。ノード200は、プロセッサ202に結合されるクロック214を含む。クロック214は、本明細書で説明されるクロックの一例であり、経過時間及びクロック同期は概して例示のクロック214を参照する。
【0021】
図3は、様々な例に従った、ワイヤレスネットワークノード間のクロック同期を示すタイミング図である。より具体的には、
図3のタイミング図は、親ノード104(
図1)のためのチャネルホッピング方式300と、子ノード102(
図1)のためのチャネルホッピング方式302とを示す。チャネルホッピング方式は、シーケンス要素とタイミング要素の両方を含み、これは、この方式が、ノードがホッピングするチャネルホッピングシーケンスと、そのチャネルホッピングシーケンスを介してノードがホッピングするタイミングとの両方を示すことを意味する。
図3のタイミング図は、各々、自身の周波数帯域を有する、CH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7、CH8の8チャネルを想定している。親ノード104は、CH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7、及びCH8のデフォルトの反復ホッピングシーケンスをこの順で有する。子ノード102は、異なるチャネルホッピングシーケンスを有し、この議論に関連するチャネルは、この順のCH4及びCH2のみである。
【0022】
チャネルホッピングシーケンスは、ノードがパケットを受け取るチャネルを示す。そのため、例えば、CH1、CH2、CH3、及びCH4のチャネルホッピングシーケンスは、対応する受信機ノードが、CH1スロット中(例えば、CH1滞留時間中)にCH1上、CH2スロット中にCH2上などで、パケットを受け取ることができることを意味する。パケットを受信機ノードに送信するために、送信機ノードは、送信時に受信機ノードがその上で受信しているチャネルを識別し、使用しなければならない。そのため、送信機ノードのデフォルトのチャネルホッピングシーケンスは、受信機ノードの現在のチャネルに切り替えるために中断され得、送信機ノードがそのパケットを受信機ノードに送信し終えた後、送信機ノードは、そのデフォルトのチャネルホッピングシーケンスを再開し得る。例えば、チャネルホッピング方式300によって示されるように、親ノード104は、CH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7、及びCH8のデフォルトのチャネルホッピングシーケンスを介して連続的にホッピングするが、親ノード104は、このデフォルトのシーケンスを中断して、符号304によって示されるようにCH4に入り、符号306によって示されるようにCH2に入る。親ノード104は、時間308においてCH4(符号304)に入り、親ノード104は、時間310においてCH2(符号306)に入る。親ノード104は、時間308においてパケット318を子ノード102に送信するので、親ノード104は時間308にCH4に入り、時間308において、チャネルホッピング方式302が符号312で示すように、子ノード102はCH4上にある。同様に、親ノード104は、時間310にパケット320を子ノード102に送信するので、親ノード104は、時間310においてCH2に入り、時間310において、符号314が示すように、子ノード102はCH2上にある。
【0023】
子ノード102はスリーピーノードであるので、子ノード102が省電力スリープ状態にあるとき、子ノード102のチャネルホッピング方式302における各チャネルスロットは、スリープ期間316によって分離される。親ノード104は非スリーピーノードであるので、親ノード104は、スリープ状態に入ることなく、そのチャネルホッピングシーケンスを介して連続的にホッピングする。
【0024】
本明細書で説明する様々な例に従って、子ノード102は有利にもパケット318、320において親ノード104によって提供される情報を捕捉し、この情報を格納し、使用して、ハートビート・パケットを親ノード104に送ることを回避する。具体的には、子ノード102がパケット318、320内の情報を用いて、自身のクロックを親ノード104のクロックと同期させる。ハートビート・パケットは、クロックを同期させることによってクロックドリフトの悪影響を軽減するために用いられるが、子ノード102は親ノード104から受信したパケットを用いて自身のクロックを親ノード104のクロックに同期させるので、もはや子ノード102から親ノード104にハートビート・パケットを送信する必要がない。子ノード102によるハートビート・パケットの送信をなくすことは、電力消費を大幅に低減し、子ノード102におけるバッテリ寿命を保持する。次に、
図1、
図2、
図3、
図4A、及び
図4Bを同時に参照して、子ノード102が、パケット318、320内の情報を捕捉し、使用して、自身のクロックを親ノード104のクロックに同期させて、クロックドリフトを軽減する方式について説明する。
【0025】
図4Aは、種々の例に従った、ワイヤレスネットワークノード間でクロックを同期させるための方法400のフローチャートである。方法400は、子ノード102が親ノード104から例示のパケット318を受け取ること(402)で始まる。子ノード102は、時間308においてパケット318を受け取る。時間308において、子ノード102のクロック(例えば、
図2のクロック214)は、子ノード102及び親ノード104がクロック同期していた以前の時点から時間t1Bが経過したことを示す。この時間は、本明細書では基準時間と称し得る。時間308において、パケット318は、親ノード104のクロック(例えば、
図2のクロック214)が、基準時間から時間t1Aが経過したことを示す。方法400は、子ノード102が、データ構造212(
図2)などのデータ構造に時間t1A及びt1Bを格納すること(404)を含む。方法400は、子ノード102が親ノード104からパケット320を受け取ること(406)を含む。子ノード102は、時間310においてパケット320を受け取る。時間310において、子ノード102のクロックは基準時間から時間t2Bが経過したことを示し、パケット320は、親ノード104のクロックが基準時間から時間t2Aが経過したことを示す。方法400は、子ノード102が、t2A及びt2Bをデータ構造に格納すること(408)を含む。値t1A、t2A、t1B、t2B、及び経過時間の同様の表示は、本明細書では経過時間表示と称することがある。
【0026】
子ノード102は、(時間308において)パケット318を受け取った後、(時間310において)パケット320を受け取る。クロックドリフトのため、子ノード102及び親ノード104のクロックは、時間308と310との間の時間間隔を異なるように登録し得る。時間308における子ノード102のクロックはt1Bであり、時間310におけるクロックはt2Bであった。そのため、子ノード102は、時間308と時間310との間の時間間隔をt2B-t1Bと登録している。これに対し、時間308における親ノード104のクロックはt1Aであり、時間310におけるクロックはt2Aであった。そのため、親ノード104は、時間308と時間310との間の時間間隔をt2A-t1Aと登録している。クロックドリフトのため、量t2B-t1Bはt2A-t1Aとは異なる。子ノード102及び親ノード104は時間を異なるように登録しているため、また、クロックドリフトはただ時間が進むつれて悪化するため、子ノード102は、自身のクロックを親ノード104のクロックに同期させるべきである。しかしながら、このクロック同期性を達成するためにハートビート・パケットを用いる代わりに、子ノード102は、子ノード102に従った時間308、310間の時間差が親ノード104の時間差と同じになるように、自身のクロックを調整する。具体的には、子ノード102は、下記のように、基準時間からの現在の経過時間を示すt2Bにおける自身のクロックを、t1B(これは、時間308における子ノード102のクロックの値である)と、親ノード104によって登録された時間308、310の間の時間の経過である(t2A-t1A)との和に等しくなるように設定する(410)。
t2B=t1B+(t2A-t1A) (1)
【0027】
t1Bの値は、方法400を用いて親ノード104のクロックに同期されていると仮定される。t1Bが親ノード104のクロックに同期されない場合、工程410における計算の結果は、t1Bの値に固有の任意のクロックドリフトを含み得る。方法400は、子ノード102が、t2Bの補正値を用いて親ノード104にパケットを送信することを含む。
【0028】
図4Bは、種々の例に従った、ワイヤレスネットワークノード間でクロックを同期させるためのタイミング図である。
図4Bは、理解し易くするために、上記説明のタイミング態様を視覚的フォーマットで示す。
図4Bは、親ノード104に従った時間の経過(符号450)、子ノード102に従った元の時間の経過(符号452)、及び、方法400に従って調整された子ノード102に従った時間の経過(符号454)を示す。これらの時間は、上述の基準時間、時間308、及び時間310(
図3)の文脈で示されている。図示のように、親ノード104は、基準時間から時間308までの時間間隔をt1Aとして登録する。親ノード104は、基準時間から時間310までの時間間隔をt2Aとして登録する。そのため、親ノード104は、時間308から時間310までの時間間隔をt2A-t1Aとして登録する。同様に、方法400で説明したような調整の前に、子ノード102は、基準時間から時間308までの時間間隔をt1Bとして登録する。子ノード102は、基準時間から時間310までの時間間隔をt2Bとして登録する。そのため、子ノード102は、時間308から時間310までの時間間隔をt2B-t1Bとして登録する。ただし、t2B-t1Bは、クロックドリフトのためt2A-t1Aとは異なる。子ノード102のクロック及びそのため経過時間を、親ノード104のものと同期させるために、子ノード102は、時間308と310との間に経過した時間をt2A-t1Aと等しくなるようにする。子ノード102はこの計算の結果をt1Bに加算し、これは、方法400の以前の適用のために、既にt1Aと等価であると仮定されている。そのため、基準時間から時間310までの経過時間を示す子ノード102のクロックは、t1B+(t2A-t1A)となる。
【0029】
図5は、様々な例に従った、ワイヤレスネットワークノード間のクロック及びチャネルホッピング同期を示すタイミング図である。
図5のタイミング図は、親ノード104のためのチャネルホッピング方式500と、子ノード102のためのチャネルホッピング方式502とを含む。チャネルホッピング方式500は、
図3のチャネルホッピング方式300と同様であり、デフォルトのチャネルホッピングシーケンスは、CH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7、及びCH8であり、デフォルトのシーケンスは、図示されるように、CH4へのホッピングのために時間504において中断されて、親ノード104が子ノード102にパケット506を送信することを可能にする。子ノード102のためのチャネルホッピング方式502は、パケット506が親ノード104のチャネルホッピングシーケンスと子ノード102とを含み、パケット506を受け取ると、親ノード104のチャネルホッピングシーケンスを捕捉、格納、追従し始めるという点で、
図3のチャネルホッピング方式302とは異なる。例えば、CH4上のチャネルスロット508の後、時間510において、子ノード102がスリープ状態にないときはいつでも、子ノード102のチャネルホッピングシーケンスは、親ノード104のチャネルホッピングシーケンスと同一である。また、子ノード102は、方法400に関して上述したように、自身のクロックを親ノード104のクロックに同期させる。このようにして、子ノード102及び親ノード104は互いにクロック同期されたままである。また、子ノード102は、子ノード102がアウェイクである(例えば、スリープ状態にない)ときはいつでも、一貫して親ノード104と同じチャネル上にある。例えば、時間512において、親ノード104と子ノード102の両方がCH6上にある。その結果、親ノード104は、もはや子ノード102についてのタイミング及びチャネルホッピングシーケンス情報を格納する必要がない。その理由は、親ノード104が現在使用しているのがどのチャネルであっても親ノード104はそのチャネルで送信することができ、子ノード102は、子ノード102が親ノード104と同じチャネル上にあるため、それを受け取るからである。この手法は、子ノード102が親ノード104とのみ通信する限り、子ノード102上に実装され得る。
【0030】
図6は、様々な例に従って、ワイヤレスネットワークノード間でクロック及びチャネルホッピング方式を同期させるための方法600のフローチャートである。方法600を
図5を参照して説明する。方法600は、子ノード102が親ノード104からパケット506を受け取ること(602)で始まる。パケット506は、親ノード104のチャネルホッピングシーケンスを含む。パケット506はまた、親ノード104の観点から、基準時間からt1A経過したことを示す。パケット506を受け取ると、子ノード102は、t1B経過したことを登録する。方法600はまた、子ノード102が、t1A、t1B、及び親ノード104のチャネルホッピングシーケンスを、データ構造(例えば、
図2におけるデータ構造212)に格納すること(604)を含む。方法600は、上述のように、子ノード102が親ノード104のチャネルホッピングシーケンスを採用すること(606)を含む。方法600は、子ノード102が時間512において親ノード104からパケット514(
図5)を受け取ること(608)を含む。パケット514は、親ノード104の観点から、時間512において、基準時間からt2A経過したこと、並びに、子ノード102の観点から、基準時間からt2B経過したことを示す。方法600は、子ノード102がt2A及びt2Bをデータ構造に格納すること(610)を含む。方法600は、子ノード102が、経過時間を上記で提供された式(1)に補正すること(612)を含む。方法600は、子ノード102が、チャネルホッピングすることと、親ホッピングシーケンス及び同期クロックを用いるデータを送受信することとを継続すること(614)を含む。
【0031】
図7は、種々の例に従った、同期情報を格納するためのワイヤレスネットワークノードデータ構造700の図である。データ構造700は、データ構造212(
図2)及び上述したデータ構造の一例である。例示のデータ構造700は、カラム702、704、706、及び708を含む。データ構造700が複数のノードに関連する情報を格納し得るので、カラム702は、異なるノードIDを示す。カラム704は、カラム702において識別されたノードの観点からの基準時間から経過した時間を示す。カラム706は、カラム702において識別されたノードのチャネルホッピングシーケンスを示す。カラム708は、カラム702において識別されたノードに関連し得る雑多な情報を示す。データ構造700は、ロー710及び712などの複数のローを含み、各ローは、ワイヤレスネットワーク内の異なるノードに関する情報を含む。
【0032】
図8は、種々の例に従った、複数のノードを有するワイヤレスネットワーク800のブロック図である。幾つかの例において、ワイヤレスネットワーク800は、ノード802、804、806、及び808を含む。幾つかの例において、ノード802はスリーピーノードであり、残りのノードは非スリーピーノードであるが、本開示の範囲はそのように限定されるわけではない。例えば、幾つかの例において、ノード802、804、806、及び808は非スリーピーノードである。ノード804(例えば、非スリーピー親ノード)は、ノード802(例えば、スリーピー子ノード)から、クロック情報、チャネルホッピング方式情報、及び任意の他の適切な情報を受け取り得る。ノード804は、ノード802に関連する、クロック情報、チャネルホッピング方式情報、及び任意の他の適切な情報を、ワイヤレスネットワーク800内の他のノードと共有し得る。例えば、ノード804は、ブロードキャスト、ユニキャスト、又はそれらの組合せによって、そのような情報をノード806、808のうちの1つ又は複数と共有し得る。ノード804に加えてワイヤレスネットワーク800内の或るノードが、ノード802に関するそのような情報を有する場合、ノード802は、ノード804がビジーになりすぎるかその他の方式で利用不可能になった場合に、そのノードと通信し得る。ノード804は、ワイヤレスネットワーク800内の別の非スリーピーノードに送信されるパケットのヘッダー及び/又はペイロード内のそのような情報を含み得る。タイミング情報には、ノード804がパケットを送信するノード804における時間、ノード802における(又は幾つかの例において、ワイヤレスネットワーク800の非スリーピーノードにおける)時間、及び、ノード802における時間を判定したノード804における時間が含まれ得る。ノード804からパケットを受け取る非スリーピーノードは、ノード804の時間をデータ構造に記録し得、ノード802の時間を計算及び記録し得る。特に、ノード802の時間は、(パケットに格納されている)ノード804の時間と、(パケットに格納されている)ノード802の時間に、ノード802の時間を判定した(パケットに格納されている)ノード804における時間を付加した、ノード804の時間との差として計算し得る。このようにして、ノード804以外の別の非スリーピーノードは、ノード804がもはやノード802と通信し得ないか又は通信するために利用可能でない場合に、ノード802と正確に通信し得る。
【0033】
「結合する」という用語は本明細書全体を通じて用いられている。この用語は、この説明と一貫する機能的関係を可能にする接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行なうためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合され、又は、第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能関係を実質的に変化させない場合にデバイスBがデバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御されるように、デバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【0034】
或るタスク又は機能を実施するように「構成される」デバイスは、製造時に製造者によって、そのタスク又は機能を実施するように構成され(例えば、プログラミング及び/又はハードワイヤードされ)得、或いは、その機能及び/又はその他の付加的な又は代替的な機能を実施するように、製造後にユーザによって構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介してもよく、ハードウェア構成要素の構成及び/又はレイアウトを介してもよく、デバイスの相互接続を介してもよく、又はそれらの組み合わせを介してもよい。
【0035】
特に明記しない限り、或る値に先行する「約」、「およそ」又は「実質的に」は、記載された値の+/-10%を意味する。本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、その他の実施例も可能である。
【国際調査報告】