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特表2023-541209ベイパーチャンバーの製造方法、ベイパーチャンバー及びミドルフレーム付きベイパーチャンバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(54)【発明の名称】ベイパーチャンバーの製造方法、ベイパーチャンバー及びミドルフレーム付きベイパーチャンバー
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
H05K7/20 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540983
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2021074018
(87)【国際公開番号】W WO2022147861
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110033052.9
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523093239
【氏名又は名称】東莞領傑金属精密制造科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN LINGJIE PRECISION MACHINING TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 102, No. 2, Yuyuan 4th Road, Huangjiang Town, Dongguan, Guangdong 523750, China
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】于 全耀
(72)【発明者】
【氏名】梁 平平
(72)【発明者】
【氏名】李 学華
(72)【発明者】
【氏名】陳 光
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA06
5E322DA04
5E322DB12
(57)【要約】
本発明は、ベイパーチャンバーの製造方法、ベイパーチャンバー及びミドルフレーム付きベイパーチャンバーを開示し、放熱技術分野に関する。ベイパーチャンバーの製造方法は、ベイパーチャンバーの各部分の異なる原材料を用意し、各部分の所定の形状に基づき、各部分に対応する原材料を用いて加工成形することと、加工成形されたベイパーチャンバーの各部分を組み立て、組み立てが完了した後のベイパーチャンバーの各部分を溶接密封することと、溶接密封後のベイパーチャンバーを表面熱処理することと、表面熱処理後のベイパーチャンバーを不動態化処理することと、不動態化処理後のベイパーチャンバーと注液管とを組み立てることと、注液管と組み立てた後のベイパーチャンバーに注水することと、注水後のベイパーチャンバーを真空引きすることと、真空引きした後のベイパーチャンバーをシール処理することと、シール処理後のベイパーチャンバーに補強リブ111を溶接することと、を含む。上記方法は、ベイパーチャンバーに高い力学的強度を備えさせ、且つミドルフレーム付きベイパーチャンバーの放熱効果を高くする。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベイパーチャンバー(100)の各部分の異なる原材料を用意し、前記各部分の所定の形状に基づき、前記各部分に対応する前記原材料を用いて加工成形することと、
加工成形された前記ベイパーチャンバー(100)の前記各部分を組み立て、組み立てが完了した後の前記ベイパーチャンバー(100)の前記各部分を溶接密封することと、
溶接密封後の前記ベイパーチャンバー(100)を表面熱処理することと、
表面熱処理後の前記ベイパーチャンバー(100)を不動態化処理することと、
不動態化処理後の前記ベイパーチャンバー(100)と注液管とを組み立てることと、
前記注液管と組み立てた後の前記ベイパーチャンバー(100)に注水することと、
注水後の前記ベイパーチャンバー(100)を真空引きすることと、
真空引きした後の前記ベイパーチャンバー(100)をシール処理することと、
シール処理後の前記ベイパーチャンバー(100)に補強リブ(111)を溶接することと、を含む、
ことを特徴とするベイパーチャンバーの製造方法。
【請求項2】
ベイパーチャンバー(100)の各部分の異なる原材料を用意し、前記各部分の所定の形状に基づき、前記各部分に対応する前記原材料を用いて加工成形することは、
前記ベイパーチャンバー(100)の上蓋(110)の所定の形状に基づき、ステンレス鋼板材をプレス又はエッチングして前記上蓋(110)を取得することと、
前記ベイパーチャンバー(100)の下蓋(130)の所定の形状に基づき、前記ステンレス鋼板材をプレス又はエッチングして前記下蓋(130)を取得することと、
前記ベイパーチャンバー(100)の吸液芯(120)の所定の形状に基づき、銅メッシュをレーザ切断して前記吸液芯(120)を取得することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のベイパーチャンバーの製造方法。
【請求項3】
加工成形された前記ベイパーチャンバー(100)の各部分を組み立て、組み立てが完了した後の前記ベイパーチャンバー(100)の各部分を溶接密封することは、
前記吸液芯(120)を前記下蓋(130)内に置き、高温焼結又は抵抗溶接で前記吸液芯(120)を前記下蓋(130)上に固定することと、
前記上蓋(110)を前記吸液芯(120)が固定される前記下蓋(130)上に置き、ろう付け、溶接又は圧着を採用して、前記吸液芯(120)を前記上蓋(110)と前記下蓋(130)とで形成されたチャンバ内に密封することと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のベイパーチャンバーの製造方法。
【請求項4】
溶接密封後の前記ベイパーチャンバー(100)を表面熱処理することは、
溶接密封後の前記ベイパーチャンバー(100)をオーブンに置き、前記オーブンの温度を100度~400度の間に保持し、1~5時間焼成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のベイパーチャンバーの製造方法。
【請求項5】
表面熱処理後の前記ベイパーチャンバー(100)を不動態化処理することは、
表面熱処理後の前記ベイパーチャンバー(100)を水素炉内に置き、前記水素炉の温度を500度~950度の間に保持し、1~6時間加熱した後に前記水素炉を停止し、前記ベイパーチャンバー(100)を前記水素炉とともに常温に冷却することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のベイパーチャンバーの製造方法。
【請求項6】
不動態化処理後の前記ベイパーチャンバー(100)と注液管とを組み立てることは、
前記注液管をアニール処理することと、
アニール処理後の前記注液管を前記ベイパーチャンバー(100)の注水口に挿入し、溶接で固定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のベイパーチャンバーの製造方法。
【請求項7】
請求項2に記載のベイパーチャンバー(100)の製造方法を採用して製造される、
ことを特徴とするベイパーチャンバー。
【請求項8】
前記上蓋(110)の前記吸液芯(120)に近接する側の表面に複数の補強リブ(111)が設けられ、前記補強リブ(111)が前記下蓋(130)の前記吸液芯(120)に近接する側の表面と当接し、前記補強リブ(111)が前記下蓋(130)と溶接される、
ことを特徴とする請求項7に記載のベイパーチャンバー。
【請求項9】
前記下蓋(130)の前記吸液芯(120)から離れる側の表面に複数の溶接点(131)が設置され、前記溶接点(131)の位置が前記ベイパーチャンバー(100)の内部の前記補強リブ(111)に正対し、前記溶接点(131)によって前記補強リブ(111)と前記下蓋(130)とを溶接する、
ことを特徴とする、請求項8に記載のベイパーチャンバー。
【請求項10】
開口部(210)が設置されるミドルフレーム(200)と、
前記開口部(210)内に位置して前記ミドルフレーム(200)と溶接される請求項7~9のいずれか一項に記載のベイパーチャンバー(100)と、を含む、
ことを特徴とするミドルフレーム付きベイパーチャンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱技術分野に関し、特にベイパーチャンバーの製造方法、ベイパーチャンバー及びミドルフレーム付きベイパーチャンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術において、携帯電話などの電子製品は、軽量化と薄型化が進み、部品の組立スペースもますます小さくなっているため、ベイパーチャンバーは、放熱技術の応用ホットスポットとして、より多くの種類の携帯電話に応用されている。既存の技術によると、ベイパーチャンバーは、熱処理プロセスを経た後、その材質の強度が極めて弱くなり、力学的強度が不足し、応用上で大きな制限を受けている。なお、既存のベイパーチャンバーは、いずれも従来のミドルフレームにおける電子部品を被覆し、放熱機能しか持たず、機能が比較的単一である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の技術において存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することを意図する。このため、本発明は、耐老化性が高く、且つ放熱効果を有すると共に高い力学的強度を有し、電子部品を取り付ける時に支持として使用することができ、機能が多様なベイパーチャンバーの製造方法を提供する。
【0004】
本発明は、上記ベイパーチャンバーの製造方法を採用するベイパーチャンバーをさらに提供する。
【0005】
本発明は、上記ベイパーチャンバーを有するミドルフレーム付きベイパーチャンバーをさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の実施例によるベイパーチャンバーの製造方法は、
ベイパーチャンバーの各部分の異なる原材料を用意し、前記各部分の所定の形状に基づき、前記各部分に対応する前記原材料を用いて加工成形することと、
加工成形された前記ベイパーチャンバーの前記各部分を組み立て、組み立てが完了した後の前記ベイパーチャンバーの前記各部分を溶接密封することと、
溶接密封後の前記ベイパーチャンバーを表面熱処理することと、
表面熱処理後の前記ベイパーチャンバーを不動態化処理することと、
不動態化処理後の前記ベイパーチャンバーと注液管とを組み立てることと、
前記注液管と組み立てた後の前記ベイパーチャンバーに注水することと、
注水後の前記ベイパーチャンバーを真空引きすることと、
真空引きした後の前記ベイパーチャンバーをシール処理することと、
シール処理後の前記ベイパーチャンバーに補強リブを溶接することと、を含む。
【0007】
本発明の実施例によるベイパーチャンバーの製造方法は、次のような有益な効果を少なくとも有する。表面熱処理を採用することによって、ベイパーチャンバーが水と反応せず、ベイパーチャンバーの耐老化性を効果的に向上させることができる。なお、本発明のベイパーチャンバーの製造方法は、ベイパーチャンバーに補強リブを溶接することによって、ベイパーチャンバーの全体的な力学的強度を補強し、ベイパーチャンバーが放熱効果を有するとともに高い力学的強度を有し、電子部品を取り付ける時に、ベイパーチャンバーが支持として使用することができ、機能が多様である。そのため、本発明のベイパーチャンバーの製造方法によって製造されるベイパーチャンバーは、耐老化性が高く、且つ高い力学的強度を有し、電子部品に支持の作用を果たすことができ、機能が多様である。
【0008】
本発明のいくつかの実施例によれば、ベイパーチャンバーの各部分の異なる原材料を用意し、前記各部分の所定の形状に基づき、前記各部分に対応する前記原材料を用いて加工成形することは、
前記ベイパーチャンバーの上蓋の所定の形状に基づき、ステンレス鋼板材をプレス又はエッチングして前記上蓋を取得することと、
前記ベイパーチャンバーの下蓋の所定の形状に基づき、前記ステンレス鋼板材をプレス又はエッチングして前記下蓋を取得することと、
前記ベイパーチャンバーの吸液芯の所定の形状に基づき、銅メッシュをレーザ切断して前記吸液芯を取得することと、を含む。
【0009】
本発明のいくつかの実施例によれば、加工成形された前記ベイパーチャンバーの各部分を組み立て、組み立てが完了した後の前記ベイパーチャンバーの各部分を溶接密封することは、
前記吸液芯を前記下蓋内に置き、高温焼結又は抵抗溶接で前記吸液芯を前記下蓋上に固定することと、
前記上蓋を前記吸液芯が固定される前記下蓋上に置き、ろう付け、溶接又は圧着を採用して、前記吸液芯を前記上蓋と前記下蓋とで形成されたチャンバ内に密封することと、を含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施例によれば、溶接密封後の前記ベイパーチャンバーを表面熱処理することは、
溶接密封後の前記ベイパーチャンバーをオーブンに置き、前記オーブンの温度を100度~400度の間に保持し、1~5時間焼成することを含む。
【0011】
本発明のいくつかの実施例によれば、表面熱処理後の前記ベイパーチャンバーを不動態化処理することは、
表面熱処理後の前記ベイパーチャンバーを水素炉内に置き、前記水素炉の温度を500度~950度の間に保持し、1~6時間加熱した後に前記水素炉を停止し、前記ベイパーチャンバーを前記水素炉とともに常温に冷却することを含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施例によれば、不動態化処理後の前記ベイパーチャンバーと注液管とを組み立てることは、
前記注液管をアニール処理することと、
アニール処理後の前記注液管を前記ベイパーチャンバーの注水口に挿入し、溶接で固定することと、を含む。
【0013】
本発明の第2の態様の実施例によるベイパーチャンバーは、前記ベイパーチャンバーは、上記したベイパーチャンバーの製造方法を採用して製造される。
【0014】
本発明の実施例によるベイパーチャンバーは、耐老化性が高く、高い力学的強度を有し、電子部品に支持の作用を果たすことができるという有益な効果を少なくとも有する。
【0015】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記上蓋の前記吸液芯に近接する側の表面に複数の補強リブが設けられ、前記補強リブが前記下蓋の前記吸液芯に近接する側の表面と当接し、前記補強リブが前記下蓋と溶接される。
【0016】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記下蓋の前記吸液芯から離れる側の表面に複数の溶接点が設置され、前記溶接点の位置が前記ベイパーチャンバーの内部の前記補強リブに正対し、前記溶接点によって前記補強リブと前記下蓋とを溶接する。
【0017】
本発明の第3の態様の実施例によるミドルフレーム付きベイパーチャンバーは、
開口部が設置されるミドルフレームと、
前記開口部内に位置して前記ミドルフレームと溶接される上記のようなベイパーチャンバーと、を含む。
【0018】
本発明の実施例によるミドルフレーム付きベイパーチャンバーは、次のような有益な効果を少なくとも有する。ベイパーチャンバーとミドルフレームとを溶接することによって、ベイパーチャンバーとミドルフレームとを一体化し、ミドルフレーム付きベイパーチャンバーの力学的強度を補強し、さらに同様な効果を達成するという前提でミドルフレーム付きベイパーチャンバーの厚さを減少し、且つ大面積放熱が可能である。
【0019】
本発明の追加の態様及び利点は、以下の記述において部分的に示され、部分的には以下の記述から明らかになるか、又は本発明の実践によって理解される。
以下では、図面と実施例を参照しながら、本発明についてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例のベイパーチャンバーの製造方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例のベイパーチャンバーの分解構造概略図である。
図3】本発明の実施例のミドルフレーム付きベイパーチャンバーの構造概略図である。
図4】本発明の実施例のミドルフレーム付きベイパーチャンバーの分解構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例を添付図面に示す。ここで、最初から最後まで同じ又は類似している符号は、同じもしくは類似している素子、又は同じもしくは類似している機能を有する素子を示す。以下で添付図面を参照して説明する実施例は、本発明を解釈するためにのみ使用される例示的なものであり、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【0022】
本発明の記述では、方位記述、例えば上、下、前、後、左、右などに示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願を容易に説明及び簡略化するためのものだけであり、言及された装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作することを示し又は暗示するためのものではなく、したがって、本発明を制限するためのものとして理解されるべきではない。
【0023】
本発明の説明では、いくつかの意味は、1つ以上であり、複数の意味は、2つ以上であり、よりも大きいこと、よりも小さいこと、超えることなどは、本数を含まないものとして理解され、以上、以下、以内などは、本数を含むものとして理解される。第1、第2が説明されている場合、それらは、単に技術的特徴を区別することを目的としたものであり、相対的重要性を指示又は暗示し、又は指示された技術的特徴の数を暗示し、又は指示された技術的特徴の前後関係を暗示しているものとして理解されるべきではない。
【0024】
本発明の説明において、別途明確な限定がない限り、設け、取り付け、接続等の用語は、広義に理解すべきであり、当業者は、技術的解決手段の具体的な内容を結び付けて、上記用語の本発明における具体的な意味を合理的に確定することができる。
【0025】
本発明の記述において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの用語を参照する記述は、該実施例または例に関連して記述される具体的な特徴、構造、材料、または特徴が本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すものではない。さらに、記述された具体的な特徴、構造、材料、又は特徴は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において、適切な方法で組み合わされてもよい。
【0026】
以下では、図1図3を参照して本発明の実施例によるベイパーチャンバーの製造方法を記述する。
【0027】
図1図3に示すように、本発明の実施例によるベイパーチャンバーの製造方法は、
ベイパーチャンバー100の各部分の異なる原材料を用意し、各部分の所定の形状に基づき、各部分に対応する原材料を用いて加工成形することと、
加工成形されたベイパーチャンバー100の各部分を組み立て、組み立てが完了した後のベイパーチャンバー100の各部分を溶接密封することと、
溶接密封後のベイパーチャンバー100を表面熱処理することと、
表面熱処理後のベイパーチャンバー100を不動態化処理することと、
不動態化処理後のベイパーチャンバー100と注液管とを組み立てることと、
注液管と組み立てた後のベイパーチャンバー100に注水することと、
注水後のベイパーチャンバー100を真空引きすることと、
真空引きした後のベイパーチャンバー100をシール処理することと、
シール処理後のベイパーチャンバー100に補強リブ111を溶接することと、を含む。
【0028】
関連技術において、携帯電話は、徐々に軽量化と薄型化が進み、電子部品の組立スペースもますます小さくなっているため、ベイパーチャンバー100は、携帯電話の放熱技術の技術的解決手段として、より多く応用されている。
ベイパーチャンバー100は、表面熱処理プロセスを採用することによって、ベイパーチャンバー100が水と反応せず、耐老化性を効果的に向上させ、ベイパーチャンバー100の信頼性を確保する。なお、ベイパーチャンバー100は、補強リブ111を溶接することによって、ベイパーチャンバー100の全体的な力学的強度を補強し、ベイパーチャンバー100が放熱効果を有するとともに高い力学的強度を有し、電子部品を取り付ける時に、ベイパーチャンバー100が支持として使用することができ、機能が多様である。そのため、本発明のベイパーチャンバー100の製造方法は、耐老化性が高く、且つ高い力学的強度を有し、電子部品の放熱が可能なほか、さらに電子部品取り付けの支持体として使用することができ、機能が多様である。
【0029】
図1に示すように、ステップにおいて、ベイパーチャンバー100の各部分の異なる原材料を用意し、各部分の所定の形状に基づき、各部分に対応する原材料を用いて加工成形することは、
ベイパーチャンバー100の上蓋110の所定の形状に基づき、ステンレス鋼板材をプレス又はエッチングして上蓋110を取得することと、
ベイパーチャンバー100の下蓋130の所定の形状に基づき、ステンレス鋼板材をプレス又はエッチングして下蓋130を取得することと、
ベイパーチャンバー100の吸液芯120の所定の形状に基づき、銅メッシュをレーザ切断して吸液芯120を取得することと、を含む。
【0030】
具体的には、図2に示すように、ベイパーチャンバー100は、上蓋110、吸液芯120と下蓋130を含む。上蓋110と下蓋130の材料は、いずれも原材料としてステンレス鋼板材を採用し、ベイパーチャンバー100により高い力学的強度を備えさせることができる。具体的には、吸液芯120は、多孔質銅メッシュである。
【0031】
具体的には、図2に示すように、各部分の所定の形状に基づき、以下の所定の形状を含む。ベイパーチャンバーの上蓋110は、矩型である。吸液芯120は、複数の貫通孔を有する矩型である。下蓋130は、吸液芯120の貫通孔と嵌合する複数の突起ブロックを有する。下蓋130は、矩型である。
【0032】
図1に示すように、ベイパーチャンバー100は、作動媒体をさらに含む。注液管と組み立てた後のベイパーチャンバー100に注水し、水を作動媒体とする。さらに、ベイパーチャンバー100には作動媒体としてエタノールを注入してもよい。
【0033】
図1に示すように、注水後のベイパーチャンバー100を真空引きする。注水後のベイパーチャンバー100により高い放熱効果を取得させるために、通常、真空引き機器を採用して真空引き処理を行う。
【0034】
図1に示すように、真空引きした後のベイパーチャンバー100をシール処理することは、
ベイパーチャンバー100を加熱し、注液管によってベイパーチャンバーの内部の気体を排出することと、
注液管を順次シールし、裁断することと、を含む。
【0035】
さらに、上記シール処理は、二次脱気機を採用して処理を行う。シール処理は、ベイパーチャンバー内の廃気を効果的に排除し、注液管を効果的に密封し、ベイパーチャンバーの放熱効果を向上させることができる。
【0036】
図1に示すように、シール処理後のベイパーチャンバー100に補強リブ111を溶接することは、
複数の補強リブ111の溶接点131を決定することと、
溶接点131によって、レーザ溶接を採用して上蓋110の突起部を下蓋130上に溶接することと、を含む。
【0037】
補強リブ111を溶接することは、ベイパーチャンバーの力学的強度を効果的に増加させることができる。
【0038】
図1に示すように、加工成形されたベイパーチャンバー100の各部分を組み立て、組み立てが完了した後のベイパーチャンバー100の各部分を溶接密封することは、
吸液芯120を下蓋130内に置き、高温焼結又は抵抗溶接で吸液芯120を下蓋130上に固定することと、
上蓋110を吸液芯120が固定される下蓋130上に置き、ろう付け、溶接又は圧着を採用して、吸液芯120を上蓋110と下蓋130とで形成されたチャンバ内に密封することと、を含む。
【0039】
具体的には、ろう付けは、高温ろう付けを採用してもよく、溶接は、レーザ溶接を採用してもよく、圧着は、拡散溶接を採用してもよい。上記溶接方式を採用することによって、高い溶接効果を取得することができ、密封効果が高い。
【0040】
図1に示すように、溶接密封後のベイパーチャンバー100を表面熱処理することは、
溶接密封後のベイパーチャンバー100をオーブンに置き、オーブンの温度を100度~400度の間に保持し、1~5時間焼成することを含む。
【0041】
表面熱処理後、ベイパーチャンバー100に優れた耐老化性能を備えさせることができる。
【0042】
図1に示すように、表面熱処理後のベイパーチャンバー100を不動態化処理することは、
表面熱処理後のベイパーチャンバー100を水素炉内に置き、水素炉の温度を500度~950度の間に保持し、1~6時間加熱した後に水素炉を停止し、ベイパーチャンバー100を水素炉とともに常温に冷却することを含む。
【0043】
不動態化処理後、ベイパーチャンバー100に高い防食効果を備えさせることができる。
【0044】
図1に示すように、不動態化処理後のベイパーチャンバー100と注液管とを組み立てることは、
注液管をアニール処理することと、
アニール処理後の注液管をベイパーチャンバー100の注水口に挿入し、溶接で固定することと、を含む。
【0045】
具体的には、注液管をアニール処理し、アニール温度は、400度~800度であり、1時間~3時間保温し、炉と共に室温に冷却し、操作が簡単で、その後の工程に条件を提供する。
【0046】
以下では、図2を参照して本発明の実施例によるベイパーチャンバー100を記述する。
【0047】
図2に示すように、本発明の実施例によるベイパーチャンバー100は、ベイパーチャンバー100は、上記のベイパーチャンバー100の製造方法を採用して製造される。
【0048】
上記プロセスの処理を経て、ベイパーチャンバー100の耐老化性が高く、一定の防食性を有し、且つ高い力学的強度を有し、電子部品に支持の作用を果たすことができる。
【0049】
図2図3に示すように、上蓋110の吸液芯120に近接する側の表面に複数の補強リブ111が設けられ、補強リブ111が下蓋130の吸液芯120に近接する側の表面と当接し、補強リブ111が下蓋130と溶接される。
【0050】
補強リブ111を溶接することによって、ベイパーチャンバーの力学的強度を効果的に補強する。それによって、ベイパーチャンバー100は、放熱効果を有するとともに、電子部品取り付けの支持体として用いることができ、機能が多様である。
【0051】
図2図3に示すように、下蓋130の吸液芯120から離れる側の表面に複数の溶接点131が設置され、溶接点131の位置がベイパーチャンバー100内部の補強リブ111に正対し、溶接点131補強リブ111によって下蓋130と溶接される。
【0052】
具体的には、補強リブ111の溶接方式は、レーザ溶接であり、溶接点131は、4つである。溶接点131の接続線は、正方形を形成し、更に均一に力を受けることに有利である。
【0053】
以下では、図3図4を参照して本発明の実施例によるミドルフレーム付きベイパーチャンバーを記述する。
【0054】
図3図4に示すように、本発明の実施例によるミドルフレーム付きベイパーチャンバーは、
開口部210が設置されるミドルフレーム200と、
開口部210内に位置してミドルフレーム200と溶接される上記のようなベイパーチャンバー100と、を含む。
【0055】
ベイパーチャンバー100とミドルフレーム200とを溶接することによって、ベイパーチャンバー100とミドルフレーム200とを一体化し、ミドルフレーム200のベイパーチャンバー100の力学的強度を補強し、さらに同様な効果を達成するという前提でミドルフレーム200のベイパーチャンバーの厚さを減少し、且つ大面積の放熱が可能である。
【0056】
具体的には、ベイパーチャンバー100とミドルフレーム200との接続方法は、レーザ溶接、かしめ又は接着を用いてもよい。
【0057】
以上、添付図面に関連して本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識の範囲内で、本発明の目的を逸脱することなく種々の変更が可能である。なお、衝突しない場合、本発明の実施例及び実施例における特徴は、相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 ベイパーチャンバー
110 上蓋
111 補強リブ
120 吸液芯
130 下蓋
131 溶接点
200 ミドルフレーム
210 開口部




図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】