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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】免疫調節製剤及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/185 20060101AFI20230922BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230922BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230922BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K47/14
A61K47/22
A61K9/48
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023510395
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 US2021046032
(87)【国際公開番号】W WO2022036278
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/065,301
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523049074
【氏名又は名称】ビッカーズ、アレクサンダー
【氏名又は名称原語表記】VICKERS,Alexander
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ビッカーズ、アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC35
4C076DD46A
4C076DD52
4C076DD52Q
4C076DD60
4C088AB12
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA37
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB33
(57)【要約】
免疫調節のための組成物及び対応する方法。組成物は、活性成分と混合された薬学的に許容される担体から形成されたエマルジョンを含む。薬学的に許容される担体は、組成物の15~85重量%である。活性成分は、外因性カンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、カンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のカンナビノイド増強剤、アントラージュ効果を介してカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、不安を軽減するための有効量のカヴァ(kava)抽出物、及び上記活性成分のうちの1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイドを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド受容体を標的とすることによってSARS-CoV-2の感染症を治療するための組成物であって、
活性成分と混合された薬学的に許容される担体から形成されたエマルジョンを含み、前記薬学的に許容される担体は、前記組成物の15~85重量%であり、前記活性成分は、
外因性カンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、
カンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のカンナビノイド増強剤、
アントラージュ効果を介してカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、
不安を軽減するための有効量のカヴァ(kava)抽出物、及び
前記活性成分のうちの1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイド
を含む組成物。
【請求項2】
前記薬学的に許容される担体は中鎖トリグリセリドであり、
前記カンナビノイド増強剤はオレアミドであり、
前記脂肪酸アミドはパルミトイルエタノールアミド(PEA)であり、
前記アルカロイドはピペリンである、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヘンプ抽出物の有効量は、前記組成物の5~40重量%であり、
前記カンナビノイド増強剤の有効量は、前記組成物の1.5~6重量%であり、
前記脂肪酸アミドの有効量は、前記組成物の1.5~11重量%であり、
前記アルカロイドの有効量は、前記組成物の0.2~3重量%である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記活性成分の少なくとも一部はレシチンで少なくとも部分的にカプセル化されており、レシチンは前記組成物の約0.2~3重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性成分の前記少なくとも一部は前記アルカロイドを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヘンプ抽出物は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビゲロール、カンナビノール、テルペンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記CBDは前記ヘンプ抽出物中のカンナビノイドの99.5%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ヘンプ抽出物はCBDを含み、前記CBDは全スペクトルCBD又はCBD単離物のいずれかである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記CBDはCBD単離物であり、前記ヘンプ抽出物の有効量は8重量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヘンプ抽出物は、前記組成物の0.005~0.03重量%の量でβ-カリフィレンを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
SARS-CoV-2の感染症を治療するための組成物を調製する方法であって、前記方法は、
薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせることで溶液を形成するステップであって、前記活性成分は、
外因性カンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、
カンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のカンナビノイド増強剤、
アントラージュ効果を介してカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、及び
前記活性成分のうちの1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイド
を含む、前記溶液を形成するステップ、
前記溶液を約60℃未満の温度に冷却するステップ、
冷却した前記溶液にカヴァ抽出物を添加するステップ、及び
前記冷却した溶液を約0℃未満の温度にさらに冷却することで前記組成物を形成するステップ
を含む方法。
【請求項12】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記活性成分を前記薬学的に許容される担体と組み合わせる前に、前記薬学的に許容される担体を少なくとも約80℃の温度に加熱することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記薬学的に許容される担体の温度が約80℃~約90℃のときに、レシチンを前記薬学的に許容される担体に溶解させることで、第1中間溶液を形成するをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記第1中間溶液の温度が約70℃~約80℃のときに、カンナビノイド増強剤を前記第1中間溶液に溶解させることで、第2中間溶液を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記第2中間溶液の温度が約70℃~約80℃のときに、前記脂肪酸アミドを前記第2中間溶液に溶解させることで、第3中間溶液を形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記第3中間溶液の温度が約70℃~約85℃のときに、前記アルカロイドを前記第3中間溶液に溶解させることで、第4中間溶液を形成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
第4中間溶液の温度が約70℃~約85℃のときに、ヘンプ抽出物を第4中間溶液に添加することで、溶液を形成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液を乳化することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記さらに冷却するステップは、約5時間~約10時間にわたって行われ、前記冷却した溶液に前記カヴァ抽出物を添加することは、前記冷却した溶液を乳化することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ヘンプ抽出物がカンナビジオール単離物であり、前記方法は、前記冷却した溶液にβ-カリフィレンを添加することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患又は障害を治療及び/又は予防するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
SARS-CoV-2(COVID-19)は、表面にエンベロープ及びスパイク様の突起を持つセンスRNAウイルスである。コロナウイルスは、ヒトを含む広範囲の脊椎動物に感染することができる。コロナウイルスは、軽度から重度までのさまざまな症状(例えば、ウイルス性疾患、発熱、咳、疲労、息切れ、下気道の感染、肺炎、肺の小血管の血栓を伴う線維症など)を呈し、死亡に至ることさえある。コロナウイルスはまた、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの、制御不能な免疫応答に関連する合併症を引き起こし得る。病気の重症度は、罹患した個人の免疫系の効率及び併存疾患の存在に依存し得る。共通の特徴は強い炎症反応であり、これは、C反応性タンパク質(CRP)の上昇、炎症誘発性サイトカインの産生(Il-6、IL-10、IL-1)、TNF-αの上昇、好中球数の増加、Dダイマー及び血中尿素の上昇を通じて現れる。SARS-CoV-2は、通常のインフルエンザよりも高い0.8%~3%の割合で集団内に広がり、高い親和性でアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合してヒトに感染する。
【発明の概要】
【0003】
開示される原理は、コロナウイルスに対する免疫調節のための組成物、前記組成物の製造方法、及び、コロナウイルスやコロナウイルスによる感染に起因するヒトに見られる症状と闘い、治療するための免疫調節方法を提供する。
【0004】
一実施形態では、前記組成物は、活性成分と混合された薬学的に許容される担体から形成されたエマルジョンを含む。薬学的に許容される担体は、前記組成物の15~85重量%である。前記活性成分は、外因性カンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、カンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のカンナビノイド増強剤、アントラージュ効果を介してカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、不安を軽減するための有効量のカヴァ(kava)抽出物、及び前記活性成分のうちの1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイドを含む。本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、当業者の健全な判断の範囲内で、治療される状態の正の変化を有意に誘導できる化合物の十分な量であるが、望ましくない副作用を回避するのに十分低い量を意味する。化合物の有効量は、治療される特定の状態、治療される生物学的対象の年齢及び状態、その状態の重症度、治療期間、ならびに当業者の知識及び技量の範囲内の他の要因によって変化し得る。
【0005】
別の実施形態では、組成物を製造する方法は、薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせて溶液を形成するステップを含み得る。活性成分は、外因性カンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、カンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のカンナビノイド増強剤、アントラージュ効果を介してカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、及び上記活性成分のうちの1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイドを含む。この方法はまた、前記溶液を約60℃未満の温度に冷却するステップ、冷却した前記溶液にカヴァ抽出物を添加するステップ、及び前記冷却した溶液を約0℃未満の温度にさらに冷却することで組成物を形成するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、以下の説明及び添付の図面を参照する。
図1】例示的な実施形態に従って免疫調節組成物を形成するための方法のフローチャートを示す。
図2】例示的な実施形態による、薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせて溶液を形成する方法のフローチャートを示す。
図3】例示的な実施形態による免疫調節組成物を使用して病気を治療するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を含み、本願の一部を形成する添付の図面を参照する。ここでの図は、開示された原理が実施され得る実施形態を示すために示されている。本開示の範囲から逸脱することなくなされた構造上の変更及び修正を含み得る他の実施形態が利用され得る。
【0008】
現在、COVID-19のサポート治療は、このウイルスによって引き起こされる副作用、例えば炎症や肺線維症(最初に死因として認識された)、及び対症療法と呼吸支援(酸素療法と体外式膜型人工肺(ECMO))に焦点を当てている。状況によっては、回復期患者血漿と免疫グロブリンGが患者に投与されている。インフルエンザウイルスに対して一般的に使用される抗ウイルス薬と全身性コルチコステロイド治療は、COVID-19の治療には効果的ではない。このウイルスから個人を守るために開発されたワクチンは、感染を完全に防ぐほどの効果はない。さらに、一部のワクチンは、COVID-19ウイルスの突然変異に対して効果が低下していることが証明されている。
【0009】
SARS-CoV-2ウイルスが非常に「成功」している(すなわち危険である)理由の1つは、この非特異的免疫反応を抑制できることである。さらに、このウイルスはヒト細胞がウイルスタンパク質PLpro(パパイン様プロテアーゼ)を産生できるようにする。PLproには2つの機能がある。新しいウイルス粒子の成熟と放出に関与すること、及び、1型インターフェロンの発生を抑制することである。インターフェロン(IFN)は、宿主細胞によって作られ、いくつかのウイルスの存在に応答して放出されるシグナル伝達タンパク質のグループである。IFNは、病原体を根絶するのに役立つ免疫系の保護防御を引き起こすために細胞間の伝達に使用される分子である、サイトカインとして知られる大きなクラスのタンパク質に属する。インターフェロンは、ウイルス感染から細胞を保護することによってウイルスの複製を「妨害(interfere)」する能力にちなんで名付けられた。IFNは他にもさまざまな機能を有する。IFNは、ナチュラルキラー細胞やマクロファージなどの免疫細胞を活性化する。IFNは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)抗原の発現を増加させることにより、抗原提示をアップレギュレートすることにより、宿主の防御を強化する。発熱、筋肉痛、「インフルエンザ様症状」などの感染症の特定の症状も、IFNやその他のサイトカインの産生によって引き起こされる。
【0010】
カンナビノイドは、サイトカイン及びケモカインの産生をダウンレギュレートすることができ、一部のモデルでは、制御性T細胞をアップレギュレートして炎症反応を抑制する。エンドカンナビノイドシステムは免疫調節にも関与している。例えば、エンドカンナビノイドの投与又はエンドカンナビノイドを分解する酵素の阻害剤の使用は、免疫抑制と、肝臓などの臓器に対する免疫介在損傷からの回復をもたらした。エンドカンナビノイドの操作及び/又はin vivoでの外因性カンナビノイドの使用は、炎症性疾患に対する強力な治療法を構成できる。
【0011】
本明細書に開示される化合物は、コロナウイルス(例えば、COVID-19)に、ならびに多発性硬化症(MS)、ライム病、及びリンパ腫を含む他の自己免疫に関連する疾患の可能性に対抗し、治療するための免疫調節(免疫能ブースター)のマルチレセプター法として使用され得る。開示された化合物の成分の開示された調製物は、相乗作用して免疫機能を「免疫調節」又は調節/増強し、また高血圧を軽減することができる。開示された化合物は、SARS CoV-2ウイルスが体内に侵入する組織でのACE2発現を調節すること、及び、TMPRSS2(これは、ウイルスによるACE2部位でのSタンパク質プライミングに使用される(Hoffmannら、2020))をダウンレギュレートすることも示されている構成要素(すなわち成分)を含み得る。開示された構成要素は、1型インターフェロンの放出を刺激し、ウイルスによって生成されて新しいウイルスを生成及び放出し、1型インターフェロンの発生を抑制する物質であるPlPro(Hoffmannら、2020)に対抗することができる。開示された化合物は、CBアゴニストと共に、古典的カンナビノイド2型受容体すなわちCB受容体を標的とすることでインターフェロンを放出し得る。
【0012】
ACE2はアンジオテンシン変換酵素2の略称であり、これは、人体の多くの種類の細胞の表面に存在するタンパク質である。ACE2受容体は、SARS-CoV、NL63及びSARS-CoV-2の3種のコロナウイルス株の細胞への侵入を仲介する。ACE2受容体は心臓、血管、腸、肺(特に2型肺胞細胞及びマクロファージ)、腎臓、精巣及び脳の至る所に広く発現している。ACE2はほとんどが細胞膜に結合しており、可溶型で循環中に存在することはほとんどない。膜結合型及び可溶性ACE2の重要かつ有益な機能は、アンジオテンシンIIのアンジオテンシン1-7への分解である。その結果、ACE2受容体は、アンジオテンシンIIのATI受容体への結合に起因する、血管収縮、炎症及び血栓症の増強を含むいくつかの有害な影響を制限する。アンジオテンシン1-7の生成の増加は、Gタンパク質共役型Mas受容体への結合を介して逆調節保護効果も引き起こす。
【0013】
残念ながら、膜融合によるSARS-CoV2の細胞への侵入は、ACE2受容体を著しくダウンレギュレートし、膜の外部部位でのこれらの受容体の触媒効果が失われる。肺の炎症及び凝固の増加は、ACE→アンジオテンシンII→ATI受容体軸を介して増強された無競合のアンジオテンシンII効果の望ましくない効果として報告されている。SARS-CoV-2に感染した患者は、感染及び疾患の重症度に関連するいくつかの特徴(例えば、高齢、高血圧、糖尿病、心血管疾患)が、さまざまな程度のACE2欠乏症を共有していることを示す。開示された化合物に関して、ウイルス侵入によって誘発されるACE2ダウンレギュレーションは、上記の状態に関連するベースラインACE2欠乏症の人々に有害であり得る。ウイルス侵入後の追加のACE2欠乏は、「有害な」ACE→アンジオテンシンII→ATI受容体軸及び「保護的な」ACE2→アンジオテンシンl-7→Mas受容体軸の間の調節不全を増幅する可能性がある。肺では、このような調節不全は、アンジオテンシン1-7によって競合されない局所的アンジオテンシンII活性過剰によって引き起こされる炎症及び血栓症のプロセスの進行を助長し得る(Hoffmannら、2020)。ACE2は、SARS-CoV-2が結合する場所であるという点で重要である。ACE2アミノ酸は、SARS-CoV-2のスパイクが収まる又は「結合する」溝のようなポケットを形成する。これは、SARS-CoV-2が細胞を乗っ取り、複製を開始して、COVID-19を生成する感染をもたらす場所である。したがって、ACE2の発現が多いほど、対象のコロナウイルスが侵入して拡散する必要のある結合部位が多くなる。ゲートウェイ組織のACE2発現を調節することにより、コロナウイルスが細胞に侵入する能力を低下させることで、病気の感受性を低下させるとともに、感染中の個人における侵入ポイントを減少させる。
【0014】
ACE2はウイルス侵入の受容体であるが、TMPRSS2はウイルスのスパイクタンパク質を刺激するため、宿主細胞へのSARS-CoV2の侵入に不可欠である。最近の研究で、TMPRSS阻害剤がウイルスの侵入を阻止することが明らかになった。いくつかのアサ(C.sativa)抽出物は、EpiOral組織及びEpiIntestinal組織におけるTMPRSS2遺伝子発現をダウンレギュレートすることが示されている(Wangら、2020)。
【0015】
開示された成分は、内因性インターロイキン-1受容体を刺激することでプロ抗炎症性サイトカインIl-1Raを放出し、抗炎症性サイトカインIL-4、IL-10、及びIL-6ミオカインの放出を促進することも示されている。これは、COVID-19が生成する「サイトカインストーム」を停止する。
【0016】
開示された化合物は、さまざまな経路で免疫系を調節することにより、COVID-19の症状を軽減するために使用され得る。開示された化合物の少なくとも1つは、天然物、FDAによるGRAS(一般に安全とみなされているもの(generally regarded as safe))、栄養補助食品として販売されているもの、又は内因性神経化学物質を含む。開示された化合物はエンドカンナビノイドシステムに集中するものと考えられる。カンナビノイドはサイトカイン及びケモカインの産生をダウンレギュレートし、T制御細胞(Treg)をアップレギュレートすることで炎症反応を抑制する能力を示す。エンドカンナビノイドシステムは免疫調節にも関与している。例えば、エンドカンナビノイドの投与又はエンドカンナビノイドを分解する酵素の阻害剤の使用は、免疫抑制と、肝臓などの臓器への免疫介在損傷からの回復をもたらした。エンドカンナビノイドの操作及び/又はin vivoでの外因性カンナビノイドの使用は、炎症性疾患に対する強力な治療法を構成することができる。
【0017】
本明細書に開示される化合物は、ヒトカンナビノイドシステムを標的とするように製剤化することができる。例えば、化合物は、古典的カンナビノイド受容体1型(CB)及び2型(CB)、GPR55、及びGPR119を標的とし得る。さらに、開示された化合物は、IL-1BならびにTRPVイオンチャネルを標的とし得る。eCBEの異なるタイプの例には、脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)インヒビターが含まれる。これは、人体におけるカンナビノイドの効果及び持続時間を強化する。製剤中の選択されたカンナビノイド及びeCBEは、天然のものであり得る。開示された化合物は、CB受容体に対して高い親和性を有することが示されているカンナビノイドを使用し得る。CBの刺激は、SARS-CoV-2患者の炎症反応を軽減し、患者の全体的な状態を改善することが示されている。CBの刺激は、多数のサイトカインの産生を減少させる能力から考えて、いくつかのチェックポイントで炎症カスケードを制御する。さらに、複数の供給源からの複数のカンナビノイドを使用し、eCBEと共にそれらの効果を高めることにより、一般に「アントラージュ効果」として知られるものを生み出す。アントラージュ効果は、テトラヒドロカンナビノール(THC)以外の大麻化合物が相乗的に(互いに)作用し、その植物(カンナビノイド)の全体的な効果を調節するという提案されたメカニズムである。カンナビノイドシステムに加えて、γ-アミノ酪酸A型受容体(GABAAR)を標的にすることで、高血圧を軽減し、幸福感を与える。
【0018】
開示された化合物の成分のいくつかはエンドカンナビノイド増強剤(eCBE)であり得る。これは、エンドカンナビノイドの細胞外濃度を増加させることにより、エンドカンナビノイドシステムの活性を増強するために使用され得る。開示された化合物は、CB受容体に対して高い親和性を有するeCBE及びカンナビノイドを組み込んでいてもよい。その理由は、CB受容体の刺激がSARS-CoV-2患者の炎症反応を軽減し、インターフェロン(IFN)を放出する可能性があるためである。アゴニストでカンナビノイド受容体を標的にすることで、重要な抗炎症性サイトカインであるIL-1ra受容体が生成される。カンナビノイドシステムを標的とすることにより、開示された化合物はIL-1raの放出を増強し得、これは免疫系を刺激して抗炎症性サイトカインを産生させる。抗炎症性サイトカインの産生により、新しいウイルスの放出及び産生が停止する。開示された化合物はまた、「メッセンジャー」インターフェロンの放出を刺激することができ、それはどの細胞が感染しているかを体に伝えるとともに、隣接する細胞に防御力を高めるように知らせる。開示された化合物は、γ-アミノ酪酸A型受容体(GABAR)を標的とするように製剤化されてもよい。これは、高血圧を軽減し、幸福感をもたらす。
【0019】
炎症誘発性サイトカインは、感染性又は非感染性の起源の炎症性疾患において中心的な役割を果たす。PAMP及びDAMPは、最初は炎症誘発性サイトカイン(IL-1、IL-6、IL-8、IL-12、IFN-γ、IL-18、及びTNF自体)で構成されるサイトカインカスケードを引き起こす(Srinivasanら、2017)。これらのサイトカインは、局所及び全身の炎症応答の活性化を通じて、炎症病巣を封じ込め、解消する働きをする。TNFはまた、炎症誘発性サイトカインの合成を阻止する抗炎症性サイトカインのサイトカインカスケード、ならびに炎症誘発性サイトカインの作用をブロックするサイトカインインヒビターの引き金となる。ほとんどの場合、炎症反応は正常に消退する。しかし、サイトカインの過剰な産生、又は、炎症誘発性サイトカインの産生を停止できないことは、体循環におけるサイトカイン濃度の増加につながる可能性がある(「サイトカインストーム」)。この継続的なサイトカイン産生は、低血圧、血管内血栓症、肺水腫、及び出血の発症により、宿主に有害な影響を与える可能性がある。このプロセスがチェックされないままだと、多臓器不全や死に至る可能性がある。この状態は、しばしば全身性炎症反応症候群(SIRS)と呼ばれる。この用語は、血管透過性の上昇につながる広範な内皮炎症の臨床症状を表す。この状態は、細菌性敗血症、虚血、火傷、外傷及び組織損傷、出血性ショックなどの多様な障害のグループにおける病理学的プロセスの始まりである。
【0020】
炎症誘発性メディエーターと抗炎症性メディエーターの間の相互作用が炎症反応を調節することが明らかになっている。抗炎症性サイトカイン、特にIL-10は、特定のサイトカインインヒビターのレベルを増加させながら、炎症誘発性サイトカインの合成と接着分子の発現を阻害する。しかし、抗炎症性サイトカインの過剰産生は、免疫細胞機能の抑制を通じて微生物を除去する宿主の能力を損なう可能性がある。バランスが維持されていない場合、結果として過剰な炎症誘発性反応又は免疫抑制が起こり、二次感染に対する感受性が高まる。したがって、サイトカインカスケードは炎症反応を開始することにより、宿主にとって有益であり得る。ただし、炎症誘発性又は抗炎症性内因性メディエーターの過剰産生又は産生不足は、実際には宿主に有害である可能性がある(Srinivasanら、2017)。
【0021】
今日まで、TNFやIL-1βなどの炎症誘発性サイトカインを標的とする治療戦略は、SIRSの治療に効果がないことが証明されてきた。炎症誘発性メディエーターのアンタゴニストの多くの臨床試験は改善を示さず、場合によっては生存率を悪化させたのである。炎症誘発性サイトカインは炎症反応の開始に重要である。しかし、SIRSの臨床徴候や症状が明らかになる前に、そのレベルがピークに達している可能性がある。さらに、過炎症反応が敗血症関連死の一部の原因である可能性があるが、他の多くの場合、特に新生児や高齢者などの免疫系が弱まっている集団では、優勢な抗炎症反応又は全体的なサイトカイン抑制が原因である可能性がある。その結果、最近の治療アプローチは、リンパ球の補充に重要な役割を果たしている顆粒球単球コロニー刺激因子又はIL-7などの免疫調節メディエーター又は免疫刺激メディエーターにより重点を置いている。さらに、病気の進行の後期に現れるメディエーターは、重度の敗血症及び自己免疫疾患の状況で制御されていない炎症に対する治療的介入の可能性も秘めている可能性がある。HMGB1、ミトコンドリアDNA、熱ショックタンパク質、ミトコンドリアホルミルペプチドなどのDAMPは、重要な後期炎症誘発性メディエーターである。HMGB1はもともとDNA結合タンパク質として同定されていたが、現在では敗血症及びSIRSの後期メディエーターとして認識されている。HMGB1は、炎症反応中にマクロファージや内皮細胞から能動的に放出されるだけでなく、壊死細胞からも受動的に放出される。HMGB1は、局所的にも全身的にもさまざまな炎症誘発性作用を媒介する。HMGB1に対する抗体又はアンタゴニストは、敗血症及びSIRSの動物モデルにおいて保護作用をする。
【0022】
別の後期炎症誘発性メディエーターであるマクロファージ阻害因子は、もともとマクロファージ移動のモジュレーターとして同定されていたが、現在では炎症反応の重要な調節因子であることが認識されている。感染症及び敗血症の動物モデルでは、抗マクロファージ阻害因子療法は生存率を有意に改善した。したがって、これらの「後期」炎症誘発性メディエーターは、SIRSの治療のための新しい治療標的を提供し得る。PAMPに対する適切な免疫応答を可能にしながら、DAMP関連の炎症反応を選択的に標的とする戦略は、SIRS及び敗血症の状況において特に興味深いものである。外因性及び内因性の両方のカンナビノイドは、Toll様受容体(TLR)を介して刺激されるマクロファージによる炎症誘発性サイトカインの産生を阻害する。TLRは、マクロファージが危険を感知して炎症反応を引き起こすことに重要な役割を果たす。さらに、マヌカハニーの抗菌特性は、従来のハチミツとは一線を画しており、例示的な開示された配合物にも導入され得る。メチルグリオキサールはその活性成分であり、これらの抗菌効果を担っている可能性がある。さらに、マヌカハニーには、抗ウイルス、抗炎症、及び抗酸化の利点がある。
【0023】
組成物の製剤
全般的な実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体と混合された活性成分から形成されるエマルジョンである。活性成分には、ヘンプ抽出物、カンナビノイド増強剤、脂肪酸アミド、カヴァ抽出物、及びアルカロイドが含まれ得る。より具体的な実施形態では、薬学的に許容される担体は中鎖トリグリセリド(MCT)であり、カンナビノイド増強剤はオレアミドであり、脂肪酸アミドはパルミトイルエタノールアミド(PEA)であり、アルカロイドはピペリンである。いくつかの実施形態では、組成物はレシチンを含むことができる。
【0024】
MCTは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。本明細書に開示される化合物のためのMCTは、当技術分野で知られているさまざまな分離技術によって、ヤシ油及び/又はパーム核油などの天然源から得ることができる。MCTは、本明細書に開示される化合物の調製のための溶媒として使用され得る。例えば、本明細書に開示される化合物は、MCT中のチンキ剤の形態で調製され得る。舌下粘膜吸収を容易にするためにチンキ媒体を使用することが有利であり、これは患者が挿管されている場合に役立つ。
【0025】
カヴァ抽出物は、1つ以上のカヴァラクトンを含み得る。カヴァ抽出物中のカバラクトンは、デスメトキシヤンゴニン、メチスチシン、ヤンゴニン、ジヒドロメチスチシン、ジヒドロカバイン、カバイン、10-メトキシヤンゴニン、11-メトキシヤンゴニン、11-ヒドロキシヤンゴニン、11-メトキシ-12-ヒドロキシデヒドロカバイン、7,8-ジヒドロヤンゴニン、5-ヒドロキシカバイン、5,6-ジヒドロヤンゴニン、7,8-ジヒドロカバイン、5,6,7,8-テトラヒドロヤンゴニン、5,6-デヒドロメチスチシン、7,8-ジヒドロメチスチシン、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0026】
カバラクトンは、不安の軽減において有効性を示している。例えば、カバインは、サブユニットの組成に関係なく、すべての受容体を正に調節する能力を示している。カバインは、α4β2δGABAARでより強い増強を示している。カバラクトンはまた、脊髄上部位によって指示されるa-及びg-脊髄運動系の減弱を誘発する能力を示しており、筋肉の弛緩を促進するCYP450酵素(CYP1A2、2C9、2C19、2D6、3A4及び4A9/11)のインヒビターであるとも報告されている。さらに、カバラクトンはカルシウムチャネルを阻害することができ、さまざまなカバラクトンが相加的にそうすることで、カルシウム流入を70%も減少させ得る。したがって、カバラクトンはニューロン発火の広範な阻害を促進する可能性がある。
【0027】
いくつかのカバラクトンもナトリウムチャネルを阻害することがわかっており、阻害効果にさらに貢献している。カバラクトンは、他の有益な精神活性特性を有し得る。カバラクトンは、血小板MAOB酵素を可逆的にブロックする能力も示している。カバインは、ヒトMAO-Bのin vitroインヒビターとして優れた効力を発揮する能力を示している。カバインは、MAO-A及びMAO-Bと可逆的かつ競合的に相互作用する。ヤンゴニンは、MAO-A及びMAO-Bの特に強力なMAOインヒビターとなる能力を示している。したがって、カバラクトンの中枢効果(例えば、抗不安)の一部は、MAO阻害によって媒介される可能性がある。カヴァ-カヴァ抽出物は、無傷の血小板及び破壊された血小板ホモジネートにおいて、MAO-Bの可逆的インヒビターになる能力を有する。カバピロンの構造の違いにより、MAO-B阻害の効力が異なる。少なくとも1つの例において、選択されたカバピロンの効力の順序は、デスメトキシヤンゴニン>メチスチシン>ヤンゴニン>ジヒドロメチスチシン>ジヒドロカバイン>カバインであった。この例では、2つの最も強力なカバピロン(デスメトキシヤンゴニン及びメチスチシン)は、特に高い阻害パターンを促進した。したがって、向精神活性のあるカバピロンに富む抽出物を、MAO-Bの阻害のために含めることが有利であり得る。
【0028】
主要な抗不安カバラクトン、ヒト組換え体のカバインの機能的特性には、2電極電圧クランプ技術を使用してアフリカツメガエル卵母細胞で発現されるα1β2、β2γ2L、αxβ2γ2L(x=1、2、3、及び5)、α1βxγ2L(x=1、2、及び3)、及びα4β2δGABAARが含まれ得る。カバインは、サブユニット組成に関係なく、すべての受容体を正に調節する能力を示したが、α1β2γ2LGABAARよりもα4β2δでより高度な増強を示した(Ligrestiら、2012)。ヤンゴニンは、ヒト組換えCB受容体に対するK=0.72μMの親和性と、CB受容体に対する選択性(K>10μM)を示した。ヤンゴニンのCB受容体親和性は、エンドカンナビノイドシステムが、伝統的なカヴァ飲料及びカヴァ植物から得られる抗不安薬の複雑な人間の精神薬理学に寄与し得ることを示している。
【0029】
レシチンは、糖脂質、トリグリセリド、及びリン脂質を含むことが当技術分野で知られている。適切なリン脂質の例は、リン酸-ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びホスファチジル-ノシトールであり得る。大豆レシチンは、カプセル化、制御放出、及び治療因子の細胞内領域への送達の成功に影響を与える能力を示しており、これらの特性は、大きな水性中心(aqueous center)や生体適合性脂質、自己組織化、調整可能な特性、及び高い担持容量などの柔軟な物理化学的及び生物物理学的特性から獲得される。SARS-CoV2は、複製する動力源として肺を使用する。大豆レシチンは、肺を標的とするエアロゾル製品又は気化可能な製品の半減期及び送達を増やすために使用され得る。
【0030】
大豆レシチンリポソームは、薬物担体として、結核(TB)を治療する能力を示している。大豆レシチンリポソームは、結核菌株の薬剤耐性メカニズムを回避しながら、低用量かつ最小限の副作用で抗TB薬の標的投与を達成する追加の生物学的メカニズムを提供することができる。リポソームなどのナノデバイスは、結核菌株の薬剤耐性メカニズムを回避しながら、低用量かつ最小限の副作用で抗TB薬の標的投与を達成するために切望されていた生物学的メカニズムを提供する。場合によっては、吸入薬が治療戦略として好ましい場合がある。これは、細菌が明白に存在し、結核菌株が急速に増殖している気管支樹の空洞病変に到達できるためである。リポソームの助けを借りて、リポソームを含まない吸入可能な乾燥粉末製剤と比較した場合、抗TB療法の半減期及び標的化効率を高めることができる。しかし、以前の研究では、リポソームへの抗TB薬の閉じ込めに関する特定の問題が記録されている。一例では、脂質膜に組み込むためにエチオナミドを使用すると、捕捉効率は42%に増加したが、薬物:脂質の等価モル比は0.04と低すぎて、期待される治療効果を達成できなかった。リポソームは、天然のリン脂質と無毒のコレステロールから生成できる、より小さな球形の人工小胞である(Cruzら、2009)。これは、体内の特定の場所での化合物の体内分布を改善するために開発された。したがって、それらは、それらと関連する化合物の活性を増強及び/又は改変する能力を有する、生物学的に活性な化合物の担体として認識されるようになった。この効果は、化学組成及びリン脂質構造に依存する(Machadoら、2014)。脱水及び再水和プロセスに基づくリポソームDRVタイプの調製の1つの方法は、小さな空のリポソーム(水中で調製)の懸濁液を混合し、混合後に凍結乾燥することを含む。温度(>Tt)及び脂質濃度の特定の条件下でのこの再水和の準備は、DRV(「脱水再水和小胞」)と呼ばれるカプセル化率の高いリポソームの取得につながり、高いカプセル化率を可能にする(Frezardら、2005)。ナノサイズのリポソームを製造するための脂質膜水和の古典的な方法は、単純さと低コストの点から使用され続けている(Mertins、2004)。本開示では、噴霧化、凍結乾燥、攪拌、超音波処理、及び凍結融解押し出しを適用して、補完的な技術として構造を標準化した。
【0031】
ヘンプ抽出物は、1つ以上のカンナビノイドを含み得る。カンナビノイドはグリア細胞及びニューロンに作用して、インターロイキン-1(IL-1)、腫瘍壊死因子(TNF)α、及び一酸化窒素(NO)を含む炎症誘発性分子の放出を阻害し(Molina-Holgadoら、1997,2002;Shohamiら、1997;Puffenbargerら、2000;Cabralら、2001)、また、抗炎症性サイトカインIL-4、IL-10(Kleinら、2000)、及びIL-6(Molina-Holgadoら、1998)の放出を促進する。具体的には、カンナビノイド受容体をアゴニストで標的化すると、重要な抗炎症性サイトカインであるIL-1raが生成される。しかしながら、CB受容体及びCB受容体の両方が内因性IL-1raの放出を調節することは注目に値する。CBの神経保護作用機序は、CB及びCBの両方の受容体依存性経路によって媒介される炎症性又は興奮毒性の傷害に応答して使用される場合がある。さらに、抗炎症性サイトカインIL-1raはニューロン及びグリアに対するCB作用の必須メディエーターであり、CB受容体及びCB受容体の両方が初代培養グリア細胞からのIL-1raの放出を調節する。したがって、カンナビノイドシステムを標的とすることにより、免疫系を刺激して新しいウイルスの放出と産生を停止するPLproの作用を媒介する抗炎症性サイトカインを産生し、Il1-raの放出を促進することにより、Il-1を媒介することができる。開示された化合物及び/又は製剤は、どの細胞が感染しているかを体に伝えるとともに隣接する細胞に防御を強化するように伝える体の細胞の「メッセンジャー」インターフェロンの放出を刺激することができる。
【0032】
ヘンプ抽出物中のカンナビノイドは、任意のN-アシルエタノールアミン、ケンフェロール、任意のN-アルキルアミド、ルタマリン、3,3’-ジインドリルメタン、ビロダミン、ギニーシン(guineesine)、カンナビジオール(CBD)、任意のテトラヒドロカンナビノール(THC)異性体、任意のテルペン、フムレン、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。N-アシルエタノールアミンに結合する官能基のいくつかの例には、リノレオイル、オレオイル、及びパルミトイルが含まれ得る。N-アシルエタノールアミンは、FAAHインヒビターとして作用し得る。N-アシルエタノールアミンもGPR55受容体を標的とし得る。ケンフェロールは、さまざまな濃度でMAGL及びFAAHインヒビターとして作用し得る。例えば、ケンフェロールは、IC50<100nMの濃度でMAGLインヒビターとして治療上有効であり得る。さらに、ケンフェロールは、IC50<1μMの濃度でFAAHインヒビターとして治療上有効であり得る。N-アルキルアミドは、さまざまな濃度でCB受容体に対して選択的親和性を示す。例えば、N-アルキルアミドは、K値<100nMの濃度でCB受容体を選択する際に治療上有効であり得る。N-アルキルアミドは、(ECS)PPAR、イオンチャネル、AEA輸送の阻害、部分的なFAAHインヒビターを標的とする能力も示す。ルタマリンは、さまざまな濃度でCB受容体に対して選択的親和性を示す。例えば、ルタマリンは、Ki値<10μMの濃度でCB2受容体を選択する際に治療上有効であり得る。3,3’-ジインドリルメタンは、さまざまな濃度でCB受容体に対して選択的親和性を示す。例えば、3,3’-ジインドリルメタンは、Ki値=1μMの濃度でCB2受容体を選択する際に治療上有効であり得る。3,3’-ジインドリルメタンはCB2受容体の部分アゴニストである。ビロダミン(O-アラキドノイルエタノールアミン;O-AEA)はエンドカンナビノイドであり、非古典的なエイコサノイドである。エンドカンナビノイド増強剤(eCBE)は、エンドカンナビノイドの細胞外濃度を上昇させることによってエンドカンナビノイドシステムの活性を高めるカンナビノイド作動薬の一種である。異なるタイプのeCBEの例には、脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)インヒビターが含まれる。これにより、人体におけるカンナビノイドの効果及び持続時間が強化される。
【0033】
O-アラキドノイルエタノールアミンは、アラキドン酸とエタノールアミンがエステル結合で結合したもので、アナンダミドに見られるアミド結合とは反対である。ビロダミンは、CB受容体のアンタゴニスト及びCB受容体のアゴニストとして作用する。ヒトの海馬におけるビロダミンの濃度はアナンダミドの濃度と似ているが、CBを発現する末梢組織では2~9倍高い可能性がある。O-AEAはCYP2J2エポキシゲナーゼのインヒビターである。合わせて、CYP2J2のeCBインヒビターとしてのO-AEAの役割は、in vivoで心血管のCYP2J2の活性を制御し、心血管エンドカンナビノイドとシトクロムP450システムとの間の潜在的なクロストークを制御する可能性がある。ギニーシンは、カンナビノイド輸送モジュレーターとして作用し得る。ギニーシンは、アナンダミドと2-アラキドノイルグリセロールの細胞再取り込みを阻害し得る。これにより、カンナビノイドに分類される2つの神経伝達物質の活性を増すことができる。ギニーシンは用量依存的にカンナビミメティック効果を生み出すことができ、これは強力なカタトニック効果、鎮痛、運動機能低下及び体温低下効果によって示される。ギニーシンは、in vitroではさまざまな濃度でモノアミンオキシダーゼインヒビター(MAOI)にもなる。例えば、ギニーシンはIC50=139.2μMで治療上有効であり得る。ギニーシンは、エンドトキシン血症における炎症誘発性サイトカインの産生を阻害する能力を示している。したがって、開示された化合物にギニーシンを含めることは有利である。
【0034】
CBDは、CB依存的メカニズムを通じて炎症プロセスを調節する能力を示す。CBDは、AEAレベルを上昇させることにより、間接的にCB活性化を誘導することができる。CBDは、炎症誘発性サイトカインを減少させることにより、抗炎症特性を発揮する。CBDは、さまざまな免疫細胞タイプの活性化の直接的な抑制、アポトーシスの誘導、及び調節細胞の促進を行い、それらが次いで他の免疫細胞標的を制御するというメカニズムによるものであり得る免疫抑制剤として作用する能力を示す。抑制の標的には、TNF-α、IFN-γ、IL-6、IL-1β、IL-2、IL-17Aなどのサイトカイン、及びCCL-2などのケモカインが含まれ得る。総じて、CBDは、キナーゼカスケードやさまざまな転写因子の抑制を通じて、エフェクターT細胞やミクログリア細胞などの標的細胞を抑制するように作用する。例えば、リン酸化されたp38のCBD誘導抑制は、AP-1又はNF-κB活性の低下につながる可能性がある。標的細胞の直接的な抑制には、NF-κB活性の低下に寄与する可能性のあるIκBの誘導も含まれる場合がある。CBDによる制御性細胞誘導の関与は、CBDが免疫応答を制御するメカニズムの主要な部分でもあり、CBDはTreg及びMDSCを誘導することが示されている。最後に、CBDに誘導されるアポトーシスは、多くの標的細胞において重要なメカニズムである可能性が高い。さらに、Δ-テトラヒドロカンナビノール(Δ-THC)はTRPV2で強力に作用し、TRPV3、TRPV4、TRPA1、TRPM8、及びCb1を中程度に調節する。THCの値:CB親和性(Ki)=10nM部分アゴニスト;CB親和性(Ki)=24nM部分アゴニスト。表1は、カンナビジオール効果の媒介に関与する受容体を示している。
【0035】
【表1】
【0036】
組成物に含まれ得るテルペンのいくつかの例は、ベータ-カロフィレン((E)-BCP)及び/又はアルファ-フムレンであり得る。(E)-BCPはCB2受容体に選択的に結合し(K=155±4nM)、(E)-BCPを機能的なCB2アゴニストにすることができる。CB2受容体に結合すると、(E)-BCPはアデニル酸シクラーゼを阻害し、これが細胞内カルシウムトランジェントを引き起こし、初代ヒト単球のマイトジェン活性化キナーゼErk1/2及びp38を弱く活性化する。(E)-BCPはまた、末梢血におけるリポ多糖(LPS)誘導性炎症誘発性サイトカインの発現を阻害し、単球におけるLPS刺激によるErk1/2及びJNK1/2リン酸化を弱める。(E)-BCPは、食品中の機能的な非精神活性CB2受容体リガンドであり、大環状抗炎症性カンナビノイドである。(E)-BCPは、経口でのバイオアベイラビリティがあることが実証されている。したがって、経口摂取のために(E)-BCPを含めることは有利であろう。α-カリオフィレン又はα-フムレンとしても知られるフムレンは、β-カリオフィレンの開環異性体である。フムレンには、効果的な抗炎症作用があることが実証されている。フムレンは、局所及び全身の両方の抗炎症特性を有し(Chavesら、2008)、局所、経口、又はエアロゾルで摂取すると効果的な鎮痛剤である(Rogerioら、2009)。フムレンは、アポトーシスを誘導することにより、抗腫瘍効果をもたらすことができる。β-カリオフィレンは相乗的に使用できる(LegaultとPichette、2007)。α-カリオフィレンとしても知られるフムレンは、β-カリオフィレンの開環異性体である。フムレンは、動物モデルにおいてデキサメタゾンと同等の強力な抗炎症活性を有する(Fernandesら、2007)。フムレンは、血管新生の促進を含むさまざまな機能を持つケモカインであるIL-8の分泌を増加させる能力を示しており、創傷治癒に役立つが、抗がん化合物との関連は特にない(Satsuら、2004)。
【0037】
ピペリンは、化学予防及び抗酸化活性を示している。さらに、ピペリンは、免疫調節、抗発がん、刺激、肝保護、抗炎症(DarshanとDoreswamy 2004)、抗菌(Yangら 2002)、及び抗潰瘍活性(BaiとXu 2000)も示している。ピペリンはバイオトランスフォーメーション効果も示しており、リファンピシン、スルファジアジン、テトラサイリン、フェニトインなどのさまざまな薬物のバイオアベイラビリティを、それらの吸収を増加させるか、薬物の代謝を遅くするか、又はこれら2つの組み合わせによって高めることができる(Atalら 1985;Wu 2007)。ピペリンは、膵臓の消化酵素を刺激し、酸化的損傷から保護し、脂質過酸化を低下させ、多くの治療薬のバイオアベイラビリティを高め得る。さらに、ピペリンの抗炎症活性は、カラギーナン誘発ラット足浮腫、コットンペレット誘発肉芽腫、及びクロトン油誘発肉芽腫嚢のラットモデルで実証されている。パイパー種の成分は、ロイコトリエン及びプロスタグランジンの生合成にそれぞれ関与する酵素である5-リポキシゲナーゼ及びCOX-1に対して、in vitroでの阻害活性を示している。したがって、激しい痛みを伴う炎症性疾患を治療するためにピペリンを組み込むことは有利である。ピペリンによる刺激の成分は、痛みを感じる神経細胞である侵害受容器上の、熱及び酸を感知するTRPVイオンチャネルであるTRPV1及びTRPA1の活性化に起因する。ピペリンは、さまざまな濃度で用量依存的にIL6及びMMP13の発現を阻害し、PGEの産生を減少させる能力を示している。例えば、ピペリンは、約10~約100μg/mlの間の濃度で治療上有効であり得る。別の例では、ピペリンは、約10μg/mlのピぺリンの濃度でPGEの阻害において治療上有効である。したがって、ピペリンは、Il-1b(サイトカインのILファミリーのメンバー)を介して、抗炎症、抗侵害受容、及び抗関節炎効果を生み出す実証済みの能力を有する。さらに、ピペリンは、さまざまな薬物のバイオアベイラビリティを30%から200%まで高めることができる。したがって、SARSCoV-2などの病気の悪影響を止めることを意図して、免疫機能の調節を助けるためにピペリンを治療用化合物に組み込むことは有利である。
【0038】
ピペリンは、TPRVイオンチャネルを活性化することもできる。これらのチャネルはイオンの侵入を調節し、温度、圧力、pH、ならびに嗅覚、味覚、視覚、及び痛みの知覚に関与するさまざまな神経信号伝達プロセスを仲介する。多くの疾患には、神経因性疼痛、炎症、呼吸器疾患などの、TRPチャネルの機能不全が関与している。カンナビノイドは、TRPチャネルの特定のサブセットを調節する能力を示す。TRPバニロイド(TRPV)、TRPアンキリン(TRPA)、及びTRPメラスタチン(TRPM)サブファミリーはすべて、いくつかの内因性、植物性、及び合成カンナビノイドによって調節できるチャネルを含むことがわかっている。上記の3つのサブファミリーから少なくとも6つのTRPチャネルがカンナビノイド活性を媒介すると報告されている:TRPV1、TRPV2、TRPV3、TRPV4、TRPA1、及びTRPM8。ピペリンは水にわずかに溶ける(18℃で40mg/L、VasaviramaとUpender 2014)。ピペリンの水への可溶性が低く、溶解度が低いことが、ピペリンの吸収プロセスの律速となっている。ピペリンは水溶性が低く、高濃度で使用すると中枢神経系及び生殖器系に毒性を示す可能性があるため、ピペリンの薬学的活性は制限される可能性がある(Veerareddyら 2004;Pachauriら 2015)。本明細書に開示される化合物のいくつかの例では、ピペリンの脂質カプセル化を組み込んで、ピペリン及び化合物の他の成分のバイオアベイラビリティを高めることができる。
【0039】
シス-9,10-オクタデカノアミド(オレアミド、ODA)は、睡眠誘発物質として使用されることがある(Cravattら、1995)。「アントラージュ」効果が示唆された(Lambert&Di Marzo,1999)。ODAは、酵素FAAHを競合的に阻害することにより、AEAなどのエンドカンナビノイドの効果を増強又は延長する可能性がある(Mechoulamら、1997)。さらに、ODAは完全なカンナビノイドCB受容体アゴニストとして作用し得る。したがって、他の受容体のアロステリック調節及び脂肪酸アミド加水分解酵素阻害によるアントラージュ効果の可能性に加えて、ODAの効果はCB受容体を介して直接媒介される可能性がある。ODAのいくつかの調査では、CYP1A2、CYP2B、及びCYP2C11のタンパク質レベル及び代謝活性の低下、ならびにCYP2D2の代謝活性の低下が明らかになった。オレアミドは、レポーター遺伝子実験でヒトプレグナンX、構成的アンドロスタン、及びアリール炭化水素受容体と相互作用する傾向を示さず、初代ヒト肝細胞において標的P450遺伝子を調節しなかった。in vitroオレアミドは、異物代謝の調節に関与する主要なヒト核受容体のアゴニストでもアンタゴニストでもない。
【0040】
パルミトイルエタノールアミド(PEA)は、核因子アゴニストのクラスに属する脂肪酸アミドである。PEAは核内受容体に結合する能力を示しており、それを介してさまざまな生物学的効果を発揮する。その一部は慢性炎症や痛みに関連する。状況によって、PEAはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPAR-α)を標的とする傾向を示す。PEAは、カンナビノイド様G共役受容体GPR55及びGPR119への親和性も示す。通常、PEAはカンナビノイド受容体CB及びCBに対して親和性を示さない場合がある。しかし、PEA(又は他の構造的に関連するN-アシルエタノールアミン)の存在は、「アントラージュ効果」を通じてアナンダミド活性を高める傾向がある。さらに、PEAはCB受容体を直接的又は間接的に刺激し得る(Re,Barbero,Miolo,&Di Marzo,2007)。PEAは、CB受容体に結合する能力も示している(Lin,Lu,Wu,Huang,&Wang,2015)。PEA及びOEAは、増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)又はGPR119を介してその効果を発揮する傾向がある(Hansen&Artmann,2008)。PEAは、大腸炎のすべての肉眼的徴候を改善し、炎症誘発性サイトカインを減少させる能力も示す。急性又は慢性の炎症がある状況では、PEAレベルが変化し、エンドカンナビノイドシステム(ECS)のバランスが崩れる傾向がある。少なくとも1つの例では、カンナビノイド受容体及びそれらの内因性リガンドの脱制御は、β-アミロイド誘発性神経炎症の発症及び進行を伴う。PEAは、抗炎症、抗侵害受容、神経保護、及び抗痙攣特性を持つ能力も示す。
【0041】
アナンダミド(AEA)、PEA、及びオレオイルエタノールアミド(OEA)は、N-アシルホスファチジルエタノールアミン特異的ホスホリパーゼD(NAPE-PLD)によって膜のリン脂質から合成される。PEA及びOEAはCBRに結合しないが、バニロイド1型(TRPV1)の一過性受容体電位チャネルでAEA活性を高めることができる。AEA、PEA、及びOEAはすべて、脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)によって分解される。OEA及びPEAは、FAAH(主にOEA)をめぐってAEAと競合するか、又はFAAH発現(主にPEA)をダウンレギュレートすることによって、AEAレベルを上昇させることができる。大麻植物の非精神活性成分であるカンナビジオール(CBD)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)及びTPRV1を活性化するとともにFAAHを阻害するため、ASDの小児の低レベルのAEA、OEA、及びPEAを補い得る。
【0042】
開示された化合物は、エピガロカテキン-3-ガラートとしても知られるエピガロカテキンガラート(EGCG)を含み得る。EGCGは、CB受容体に対する親和性を示す。EGCGはCBアゴニストであり、GABAA受容体44のモジュレーターである。開示された化合物は、ビオカニンAも含み得る。ビオカニンAは、一般にフラボノイドとして知られている。ビオカニンAはFAAHインヒビターである。ビオカニンAは、CB又はCB受容体やFAAH-2と大きく相互作用する傾向について実証されていない。ビオカニンAは、約1.8~約2.4μMの範囲のIC50値で、0.5μM AEA FAAHの加水分解を阻害する能力を示す。ビオカニンAは、ホルマリンの足底注射によって産生される細胞外シグナル調節キナーゼの脊髄リン酸化を阻害する能力を示す。両方の化合物の効果は、CB受容体アンタゴニスト/逆アゴニストAM251(30μg i.pl.)によって大幅に減少した。ビオカニンA(15mg・kg-1i.v.)は、脳のAEA濃度を増加させる能力について実証されていないが、10mg・kg-1i.v.AEAの効果の適度な増強をもたらした。
【0043】
開示された化合物は、以下のフラボノイドの少なくとも1つを含む:タキシフォリン、モリン、ケルセチン、フィセチン、アピゲニン、及びガランギン。開示されたフラボノイドは、ウイルス感染及び自己免疫疾患に関連する酵素を阻害する能力を示す。例えば、開示されたフラボノイドは、病気(例えば、コロナウイルス感染症、自己免疫疾患、及びがん)の間に上昇したレベルを示すMAOB酵素を阻害する能力を示す。アピゲニンは、多くの果物、野菜、漢方薬に共通して豊富に含まれる食事由来フラボノイドであり、強力な抗炎症、抗酸化、抗菌及び抗ウイルス活性、血圧低下などの多くの生理学的機能を果たす。アピゲニンは、細胞アポトーシスとオートファジーの誘発、細胞周期停止の誘導、細胞移動と浸潤の抑制、免疫応答の刺激などの多くの生物学的効果により、in vitro及びin vivoでヒトのさまざまながんを抑制する能力を示す。アピゲニンは、栄養補助食品として、又はがん治療の補助化学療法剤として開発できる能力を有することが実証されている。また、上記で紹介したように、マヌカハニーの抗菌特性、及び抗ウイルス、抗炎症、抗酸化の利点が、がんを標的とする製剤に追加され得る。
【0044】
開示された化合物は、クルクミンを含み得る。クルクミン(及びレスベラトロール)は、PIAS3のアップレギュレーションを通じて、STAT3の構成的な活性化を抑制する能力を示す。クルクミンは、MAOインヒビター(MAO-A及びMAO-B)として機能し得る。
【0045】
カンナビノイド受容体を標的とすることによってSARS-CoV-2の感染症を治療するための組成物は、活性成分と混合された薬学的に許容される担体から形成されるエマルジョンを含み得る。薬学的に許容される担体は、組成物の15~85重量%であり得る。組成物が液体形態である実施形態では、薬学的に許容される担体は、50~85重量%であり得る。組成物がゲル形態である別の実施形態では、薬学的に許容される担体は、15~35重量%であり得る。活性成分は以下のものを含むことができる:エンドカンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のエンドカンナビノイド増強剤;アントラージュ効果を介してエンドカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド;不安を軽減するための有効量のカヴァ抽出物;及び活性成分の1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイド。
【0046】
薬学的に許容される溶媒は、中鎖トリグリセリドであり得る。中鎖トリグリセリドは、パーム核油やココナッツ油などの油に由来するものであり得る。例えば、油からの抽出物は、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。一例では、カンナビノイド増強剤はオレアミドであり得る。脂肪酸は、PEA及びビロダミンのうちの少なくとも1つであり得る。アルカロイドはピペリンであり得る。
【0047】
ヘンプ抽出物の有効量は、組成物の5~40重量%であり得る。組成物が液体形態である実施形態では、ヘンプ抽出物は5~13重量%であり得る。組成物がゲル形態である別の実施形態では、ヘンプ抽出物は15~40重量%であり得る。脂肪酸第一級アミドの有効量は、組成物の1.5~6重量%であり得る。組成物が液体形態である実施形態では、脂肪酸第一級アミドは、1.5~4重量%であり得る。組成物がゲル形態である別の実施形態では、脂肪酸第一級アミドは2~6重量%であり得る。脂肪酸アミドの有効量は、組成物の1.5~11重量%であり得る。組成物が液体形態である実施形態では、脂肪酸アミドは、1.5~4重量%であり得る。組成物がゲル形態である別の実施形態では、脂肪酸アミドは5~11重量%であり得る。アルカロイドの有効量は、組成物の0.2~3重量%であり得る。組成物が液体形態である実施形態では、アルカロイドは0.2~3重量%であり得る。組成物がゲル形態である別の実施形態では、アルカロイドは0.5~3重量%であり得る。
【0048】
カヴァ抽出物は、デスメトキシヤンゴニン、メチスチシン、ヤンゴニン、ジヒドロメチスチシン、ジヒドロカバイン、カバイン、10-メトキシヤンゴニン、11-メトキシヤンゴニン、11-ヒドロキシヤンゴニン、11-メトキシ-12-ヒドロキシデヒドロカバイン、7,8-ジヒドロヤンゴニン、5-ヒドロキシカバイン、5,6-ジヒドロヤンゴニン、7,8-ジヒドロカバイン、5,6,7,8-テトラヒドロヤンゴニン、5,6-デヒドロメチスチシン、及び7,8-ジヒドロメチスチシンのうちの少なくとも1つを含み得る。カヴァ抽出物の有効量は、6.0~35重量%であり得る。組成物が液体形態である実施形態では、カヴァ抽出物は6.0~12.0重量%であり得る。組成物がゲル形態である別の実施形態では、カヴァ抽出物は15~35.0重量%であり得る。
【0049】
いくつかの例では、活性成分のいくつかはレシチンで少なくとも部分的にカプセル化されており、レシチンは組成物の約2重量%以上の量で存在し得る。組成物が液体形態である実施形態では、レシチンは0.2~3重量%であり得る。組成物がゲル形態である別の実施形態では、レシチンは0.5~3重量%であり得る。レシチンで少なくとも部分的にカプセル化された活性成分は、アルカロイドを含み得る。
【0050】
ヘンプ抽出物は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビゲロール、カンナビノール、及びテルペンのうちの少なくとも1つを含み得る。CBDが存在する例では、CBDはヘンプ抽出物中のカンナビノイドの99.5%を構成し得る。ヘンプ抽出物は、全スペクトルCBD又はCBD単離物を含み得る。ヘンプ抽出物の有効量は、xx~8重量%であり得る。ヘンプ抽出物は、組成物の0.005~0.03重量%の量でβ-カリフィレンを含み得る。
【0051】
開示された組成物は、タキシフォリン、モリン、ケルセチン、フィセチン、アピゲニン、及びガランギンのうちの少なくとも1つを含み得る。一実施形態において、開示された組成物は、0.1~3重量%の量のタキシフォリン、0.6~4重量%の量のモリン、1.0~6重量%の量のケルセチン、2~8重量%の量のフィセチン、0.3~2重量%の量のアピゲニン、及び8~20重量%の量のガランギンを含み得る。別の実施形態では、開示された組成物は、1~15重量%の量のクルクミンを含み得る。
【0052】
開示された組成物中の成分の有効量は、組成物の形態に応じて変化し得る。表2は、液体形態の組成物中の成分の有効量の一例を示している。表3は、ゲル形態の組成物中の成分の有効量の一例を示している。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
組成物の製造
図1を参照すると、例示的な実施形態による組成物を製造するための方法が示されている。フローチャート100は、薬学的に許容される担体が活性成分と組み合わされて溶液を形成するステップ102から始まる。活性成分は、エンドカンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、エンドカンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のエンドカンナビノイド増強剤、アントラージュ効果を介してエンドカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、不安を軽減するための有効量のカヴァ抽出物、及び活性成分の1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイドを含み得る。本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、治療中の状態の快方への変更を有意に誘導できる十分な量であるが、当業者の妥当な判断の範囲内で、望ましくない副作用を回避するのに十分なほど低い化合物の量を意味する。化合物の有効量は、治療される特定の状態、治療される生物学的対象の年齢及び状態、状態の重症度、治療期間、ならびに当業者の知識及び技量の範囲内の他の要因によって変化し得る。
【0056】
ステップ104では、溶液を約60℃未満の温度に冷却する。
ステップ106では、冷却した溶液にカヴァ抽出物を添加する。ヘンプ抽出物がカンナビジオール単離物を含む実施形態では、冷却した溶液にカヴァ抽出物と共にβ-カリフィレンを添加してもよい。いくつかの実施形態では、冷却した溶液を乳化することで、活性成分の1つ以上を担体全体に十分に分散させる。1つの特定の実施形態では、乳化を約1分間行う。
【0057】
ステップ108では、冷却した溶液をさらに約0℃未満の温度まで冷却することにより、組成物を形成する。1つ以上の非限定的な実施形態では、溶液をさらに約0℃未満の温度まで、5~10時間にわたって着実に冷却する。他の実施形態では、溶液をさらに約0℃未満の温度まで冷却した後、5~10時間保持する。
【0058】
図2は、例示的な実施形態に従い、薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせることで溶液を形成する工程のフローチャートである。フローチャート200は、溶媒を約80℃の温度に加熱してから、活性成分のいずれかを薬学的に許容される担体と組み合わせるステップ202から開始する。
【0059】
ステップ204において、薬学的に許容される担体の温度が約80℃~約90℃のときに、レシチンを薬学的に許容される担体に溶解させることで、第1中間溶液を形成する。
ステップ206において、第1中間溶液の温度が約70℃~約80℃のときに、エンドカンナビノイド増強剤を第1中間溶液に溶解させることで、第2中間溶液を形成する。
【0060】
ステップ208において、第2中間溶液の温度が約70℃~約80℃のときに、脂肪酸アミドを第2中間溶液に溶解させることで、第3中間溶液を形成する。
ステップ210において、第3中間溶液の温度が約70℃~約85℃のときに、アルカロイドを第3中間溶液に溶解させることで、第4中間溶液を形成する。
【0061】
ステップ212において、第4中間溶液の温度が約70℃~約85℃のときに、ヘンプ抽出物を第4中間溶液に添加することで、溶液を形成する。いくつかの実施形態において、溶液を乳化することで、活性成分を担体全体に十分に分散させる。1つの特定の実施形態では、乳化は約1分間行われる。
【0062】
開示された原理は、チンキ剤を利用し、撹拌(均質化)及び凍結を含む例において、ある程度のカプセル化を達成するために異なる方法を利用し得る。他の調製では、方法はインライン超音波処理を利用することができる。
【0063】
本明細書に開示されるように、化合物及び治療は、コロナウイルス(例えば、COVID-19)、自己免疫疾患、肺線維症、がん及び多発性硬化症に対して使用され、好ましい結果を得ている。開示された原理は、他の多くの疾患でも好ましい結果をもたらし得る。帯状ヘルペスウイルスの発生(帯状疱疹)に対して良い結果、すなわち、約10分で個人が経験している症状(知覚される痛み)の軽減が観察されている。開示された原理は、「帯状疱疹」の痛みの特に効果的な治療法である。したがって、開示された原理は、COVID-19だけでなく帯状疱疹の治療にも提供される。開示された原理は、全身性炎症反応症候群(SIRS)にも有効であり得る。この用語は、血管透過性の上昇につながる広範な内皮炎症の臨床症状を表す。この状態(SIRS)は、細菌性敗血症、虚血、熱傷、外傷、及び組織損傷などのさまざまな障害のグループにおける病理学的プロセスの開始であるため、開示された原理はそれらの治療法としても見なされるべきである。さらに、開示された原理は、遺伝的な「自己免疫疾患」に苦しんでおり、そのため「常に痛い」すなわち「常に痛みを感じている」、又は「体と骨が痛む」一部の人々によって使用された。これらの人々は、開示された発明を摂取した後、「良くなったと感じる」、「生活の質が向上した」、「初めて正常に感じた」と主張している。各個人は10~30分以内に気分が良くなった、又は「正常」になったという感覚を示した。
【0064】
この開示された製剤の開始(inception)の1つは、COVID-19と戦うことが示されており、わずか15分でいくつかの症状の発症と軽減が見られ、数時間後には全体的な幸福感が得られる。SARS-CoV-2ウイルスは、非特異的又は自然免疫防御を含む、人体のさまざまな防御メカニズムを克服する必要がある。この過程で、感染した体細胞は、1型インターフェロンとして知られるメッセンジャー物質を放出する。これらは、感染した細胞を殺すナチュラルキラー細胞を引き寄せる。
【0065】
使用方法
開示された化合物は、免疫調節を達成するために複数の受容体部位を標的とするために使用され得る。開示された化合物は、カンナビノイド受容体1型(CB1)及び2型(CB2)、GPR55、GPR119、PPAR-a、IL-1B、ならびにTPRVイオンチャネル、GABBA、TLR及びRas/Raf/MAPKシグナル経路を標的とすることができる。開示された化合物は、炎症反応を軽減するとともに、重要な抗ウイルスメディエーターであるI型インターフェロンの産生を刺激する。これを行うことにより、開示された化合物は、Sars-Cov2が我々の免疫系に及ぼす「トリック」に対処する。Sars-Cov2は非常に炎症誘発性であることが示されているため、開示された化合物は、抗炎症効果があることが示されているカンナビノイドを組み込んでもよい。CB2の刺激は、炎症反応を軽減し、SARS-CoV-2患者の場合、患者の全体的な状態を改善する。CB2の刺激は、多数のサイトカイン33の産生を減少させるその能力を考慮すると、いくつかのチェックポイントで炎症カスケードを制御する。TRPV1チャネルは、増殖、アポトーシス、サイトカインの分泌又はT細胞活性化を含む多くの細胞プロセスにとって重要なカルシウムシグナル伝達の調節に関与するため、開示された化合物の使用は、TRPV1又はバニロイド受容体アゴニストを利用することもできる。さらに、TRPV1は、細胞環境クロストークに関与するポリモーダル受容器として現れる。その結果、細胞の挙動だけでなく細胞の運命にも影響を与える可能性がある。開示された化合物は、PPAR-a受容体を活性化して脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)を阻害し、エンドカンナビノイド、アナンダミド、ならびに我々が紹介する全ての外因性カンナビノイドのレベルおよび作用を増強する他の成分を含み得る。これも、炎症を減少させ、I型インターフェロンの産生を刺激することを目的とする。開示された化合物は、「アントラージュ効果」として一般に知られているものを生じ得る。アントラージュ効果は、大麻化合物がそれと(互いに)相乗的に作用することでカンナビノイドの全体的な効果を調節する、提案されたメカニズムである。炎症、不安、及び高血圧は、COVID-19の一般的な症状である。したがって、カンナビノイドシステムに加えて、開示された化合物は、γ-アミノ酪酸A型受容体(GABAAR)を標的とする天然成分も含み得る。GABBA-A受容体は、炎症及び高血圧と密接な関係がある。GABA作動性成分の特徴には、抗高血圧、抗不安、及び抗炎症がある。成人の脳における主要な抑制性神経伝達物質であるGABAは、免疫系において並行して抑制的な役割を果たす。免疫細胞はGABAを合成し、GABA異化作用の機構を有する。抗原提示細胞(APC)は、機能的なGABA受容体を発現し、電気生理学的にGABAに応答する。したがって、免疫系はGABAシグナル伝達に必要なすべての構成要素を保有しており、GABA自体がパラクリン因子又はオートクリン因子として機能し得る。GABA作動性薬剤はAPCに直接作用し、MAPKシグナルを減少させ、多発性硬化症の一部のモデルでもその後の適応炎症反応を減少させる。GABA受容体転写物は免疫細胞に存在し、GABA治療は末梢マクロファージにおける炎症性サイトカイン産生を減少させる。GABA及びGABAタイプA受容体(GABA-A-R)アゴニストは、細胞傷害性免疫応答及び皮膚遅延型過敏反応を減少させる。GABAによる治療は、1型糖尿病の非肥満糖尿病マウスモデルにおけるT細胞自己免疫及び炎症反応の発生を減少させた。しかし、適応免疫応答におけるGABAの作用部位は不明なままである。
【0066】
SARS-CoV-2ウイルスは、非特異的又は自然免疫防御を含む、人体のさまざまな防御メカニズムを克服する必要がある。この過程で、感染した体細胞は、1型インターフェロンとして知られるメッセンジャー物質を放出する。これらは、感染した細胞を殺すナチュラルキラー細胞を引き付ける。SARS-CoV-2ウイルスが非常に「成功」し、したがって危険である理由の1つは、この非特異的免疫反応を抑制できることである。さらに、これは侵入したヒト細胞にウイルスタンパク質PLpro(パパイン様プロテアーゼ)を生成させる。PLproには2つの機能がある:新しいウイルス粒子の成熟及び放出に関与すること、及び、1型インターフェロンの発生を抑制することである。
【0067】
開示された組成物は、SARS-CoV-2の感染を治療するために使用され得る。1型インターフェロンの放出は、免疫系がウイルス感染に反応するきっかけとなる。例えば、内因性インターロイキン-1受容体が刺激されることで、プロ抗炎症性サイトカインIl-1Raを放出すると同時に、抗炎症性サイトカインIL-4、IL-10、及びIL-6の放出を増強する。パパイン様プロテアーゼタンパク質の産生の抑制は、コロナウイルス酵素がウイルスのポリタンパク質を処理して機能的なレプリカーゼ複合体を生成し、ウイルスの拡散を可能にする能力を低下させる。ACE2発現調節は、コロナウイルスが細胞に侵入する能力を低下させる。さらに、ACE2発現調節は、病気の感受性を低下させ、感染者のエントリポイントを減少させる。TMPRSS2遺伝子発現の脱制御は、コロナウイルスが肺で複製する能力を低下させる。さらに、TMPRSS2遺伝子発現の脱制御は、体内の病理を開始する。
【0068】
ここで図3を参照すると、例示的な実施形態による免疫調節組成物で疾患を治療する方法が示されている。フローチャート300は、ステップ302で、1型インターフェロンの放出を刺激することによって開始する。ステップ304では、パパイン様プロテアーゼタンパク質の産生が抑制される。ステップ306では、炎症誘発性分子の放出が阻害される。ステップ308では、ゲートウェイ組織においてACE2発現を調節することで、ウイルス結合部位の数を減少させる。病気がSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症である例示的な実施形態では、ACE2発現を調節することで、SARS-CoV-2結合部位の数を減少させる。ステップ310では、TMPRSS2遺伝子発現がダウンレギュレートされる。
【0069】
本明細書に開示された原理によるさまざまな実施形態が上記で説明されたが、それらは例示としてのみ提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。したがって、本開示の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、本開示から生じる特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。さらに、上記の利点及び特徴は、説明された実施形態で提供されるが、上記の利点のいずれか又はすべてを達成する方法及び構造へのそのように生じた特許請求の範囲の適用を限定するものではない。
【0070】
さらに、本明細書のセクションの見出しは、37C.F.R.1.77の提案と一致するように、あるいは構成上の表題を提供するように設けられている。これらの見出しは、本開示から生じ得る特許請求の範囲に記載されている発明を限定又は特徴付けるものではない。具体的には、例として、見出しは「技術分野」に言及していても、特許請求の範囲は、いわゆる分野を説明するためにこの見出しの下で選択された文言によって制限されるべきではない。さらに、背景情報としての技術の説明は、特定の技術が本開示の任意の実施形態に対する先行技術であることを自認するものとして解釈されるべきではない。「概要」は、発行された特許請求の範囲に記載されている実施形態の特徴付けと見なされるべきではない。さらに、本開示における単数形の「発明」への言及は、本開示に単一の新規点のみが存在すると主張するために使用されるべきではない。本開示から生じる複数の請求項の限定に従って複数の実施形態が記載される場合があり、そのような請求項は、その記載によって保護される実施形態及びそれらの均等物をそれに従って定義する。すべての場合において、そのような特許請求の範囲は、本開示に照らしてそれ自体のメリットに基づいて考慮されるべきであるが、本明細書に記載された見出しによって制約されるべきではない。
【0071】
さらに、要約書は、読み手が技術的開示の性質を迅速に確認できるようにする要約を要求している37C.F.R.§1.72(b)に準拠するために提供されている。これは、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないこという理解で提出されている。さらに、前述の詳細な説明では、開示を簡素化する目的で、さまざまな特徴が単一の実施形態にまとめられていることがわかる。この開示方法は、特許請求の範囲に記載された実施形態が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、開示された単一の実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立している。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド受容体を標的とすることによってSARS-CoV-2の感染症を治療するための組成物であって、
活性成分と混合された薬学的に許容される担体から形成されたエマルジョンを含み、前記薬学的に許容される担体は、前記組成物の15~85重量%であり、前記活性成分は、
外因性カンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、
カンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のカンナビノイド増強剤であって肝酵素によって代謝される前記有効量のカンナビノイド増強剤、
アントラージュ効果を介してカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、
不安を軽減するための有効量のカヴァ(kava)抽出物、及び
前記活性成分のうちの1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイド
を含む組成物。
【請求項2】
前記薬学的に許容される担体は中鎖トリグリセリドであり、
前記カンナビノイド増強剤はオレアミドであり、
前記脂肪酸アミドはパルミトイルエタノールアミド(PEA)であり、
前記アルカロイドはピペリンである、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヘンプ抽出物の有効量は、前記組成物の5~40重量%であり、
前記カンナビノイド増強剤の有効量は、前記組成物の1.5~6重量%であり、
前記脂肪酸アミドの有効量は、前記組成物の1.5~11重量%であり、
前記アルカロイドの有効量は、前記組成物の0.2~3重量%である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記活性成分の少なくとも一部はレシチンで少なくとも部分的にカプセル化されており、レシチンは前記組成物の約0.2~3重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性成分の前記少なくとも一部は前記アルカロイドを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヘンプ抽出物は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビゲロール、カンナビノール、テルペンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記CBDは前記ヘンプ抽出物中のカンナビノイドの99.5%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ヘンプ抽出物はCBDを含み、前記CBDは全スペクトルCBD又はCBD単離物のいずれかである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記CBDはCBD単離物であり、前記ヘンプ抽出物の有効量は8重量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヘンプ抽出物は、前記組成物の0.005~0.03重量%の量でβ-カリフィレンを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
SARS-CoV-2の感染症を治療するための組成物を調製する方法であって、前記方法は、
薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせることで溶液を形成するステップであって、前記活性成分は、
外因性カンナビノイドの供給源を提供するための有効量のヘンプ抽出物、
カンナビノイド加水分解酵素を阻害するための有効量のカンナビノイド増強剤であって肝酵素によって代謝される前記有効量のカンナビノイド増強剤、
アントラージュ効果を介してカンナビノイド活性を増強するための有効量の脂肪酸アミド、及び
前記活性成分のうちの1つ以上のバイオアベイラビリティを高めるための有効量のアルカロイド
を含む、前記溶液を形成するステップ、
前記溶液を約60℃未満の温度に冷却するステップ、
冷却した前記溶液にカヴァ抽出物を添加するステップ、及び
前記冷却した溶液を約0℃未満の温度にさらに冷却することで前記組成物を形成するステップ
を含む方法。
【請求項12】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記活性成分を前記薬学的に許容される担体と組み合わせる前に、前記薬学的に許容される担体を少なくとも約80℃の温度に加熱することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記薬学的に許容される担体の温度が約80℃~約90℃のときに、レシチンを前記薬学的に許容される担体に溶解させることで、第1中間溶液を形成するをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記第1中間溶液の温度が約70℃~約80℃のときに、カンナビノイド増強剤を前記第1中間溶液に溶解させることで、第2中間溶液を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記第2中間溶液の温度が約70℃~約80℃のときに、前記脂肪酸アミドを前記第2中間溶液に溶解させることで、第3中間溶液を形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記薬学的に許容される担体を活性成分と組み合わせるステップは、前記第3中間溶液の温度が約70℃~約85℃のときに、前記アルカロイドを前記第3中間溶液に溶解させることで、第4中間溶液を形成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
第4中間溶液の温度が約70℃~約85℃のときに、ヘンプ抽出物を第4中間溶液に添加することで、溶液を形成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液を乳化することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記さらに冷却するステップは、約5時間~約10時間にわたって行われ、前記冷却した溶液に前記カヴァ抽出物を添加することは、前記冷却した溶液を乳化することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ヘンプ抽出物がカンナビジオール単離物であり、前記方法は、前記冷却した溶液にβ-カリフィレンを添加することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【国際調査報告】