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特表2023-541233電力網における変圧器の状態、状況、及び電力品質を分析するための方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電力網における変圧器の状態、状況、及び電力品質を分析するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/14 20060101AFI20230922BHJP
   G01R 31/62 20200101ALI20230922BHJP
【FI】
G01R31/14
G01R31/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513898
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 DK2021050265
(87)【国際公開番号】W WO2022042812
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】PA202070562
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523067241
【氏名又は名称】オクト・グリッド・アーペーエス
【氏名又は名称原語表記】OKTO Grid ApS
【住所又は居所原語表記】Thoravej 24,2400 Kobenhavn NV,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】サデグニア、ゴラム・レザ・ベールク
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ、ポール・ヘンリ・マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン、ラスムス・ペル
(72)【発明者】
【氏名】フィルテンボリ、アナス
【テーマコード(参考)】
2G014
2G015
【Fターム(参考)】
2G014AA18
2G014AA34
2G014AB04
2G015AA07
2G015BA04
2G015CA03
(57)【要約】
本発明は、電力網に接続された電力変圧器の状態に関する。本発明の目的は、網における電力変圧器の状態を分析するための方法及び検出システムを提供することである。方法及び検出システムは、電力変圧器における過負荷を防止するための解決策を提供し、電力変圧器の作動状態を決定するときに、電力変圧器の正しく信頼性の高い測定を確実にしなければならない。本発明は、リアルタイムで電力変圧器を監視し、故障がシステムにとって破壊的になる前に故障を予測することによって、保守コストを低減し、電力変圧器の寿命を拡大する方法を提供しなければならない。検出システムは、既存及び新しい電力変圧器に実装しやすくなければならない。本発明は、電力網における電力変圧器の状態を分析するためのコンピュータ実施方法を提供することによってこの問題に対処し、ここで、本方法は、望ましくない負荷を検出することが可能であり、それは、電力変圧器に関連し、本方法は、a)電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサを提供する行為と、b)少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの振動音響信号を取り出す行為と、c)高速フーリエ変換を使用して時間領域から周波数領域への少なくとも1つの振動音響信号の時間-周波数分解を実行する行為と、d)少なくとも1つの振動音響信号の高速フーリエ変換によって提供された1つ以上の振動音響高調波周波数を識別する行為と、e)1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出する行為と、f)少なくとも1つのEMFセンサを使用して、電力変圧器から発せられた電磁信号を取り出す行為、及び/又は、少なくとも1つの温度センサ測定を使用して、電力変圧器によって生成された温度を取り出す行為と、g)1つ以上の振動音響高調波周波数並びに電磁信号及び/又は温度に関連する振幅値及び位相角から少なくとも1つの分析された情報を提供する行為とを備え、少なくとも1つの分析された情報は、電力変圧器の状態に関連する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力網における電力変圧器の状態を分析するためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
a)前記電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサを提供する行為と、
b)前記少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの振動音響信号を取り出す行為と、
c)高速フーリエ変換を使用して時間領域から周波数領域への前記少なくとも1つの振動音響信号の時間-周波数分解を実行する行為と、
d)前記少なくとも1つの振動音響信号の前記高速フーリエ変換によって提供された1つ以上の振動音響高調波周波数を識別する行為と、
e)前記1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出する行為と、
f)少なくとも1つのEMFセンサを使用して、前記電力変圧器から発せられた電磁信号を取り出す行為、及び/又は、少なくとも1つの温度センサ測定を使用して、前記電力変圧器によって生成された温度を取り出す行為と、
g)前記1つ以上の振動音響高調波周波数並びに前記電磁信号及び/又は温度に関連する前記振幅値及び前記位相角から少なくとも1つの分析された情報を提供する行為と
を備え、前記少なくとも1つの分析された情報は、前記電力変圧器の状態に関連する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記高速フーリエ変換を実行する前に前記少なくとも1つの振動音響信号の少なくとも1つのノイズ低減を実行する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
-前記1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する位相不平衡情報を算出する行為をさらに備え、前記位相不平衡情報は、前記電力変圧器中の位相の状態に関する情報を備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
-前記1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する行為と、
-前記1つ以上の負荷高調波周波数に関連する前記振幅値及び前記位相角を分析し、負荷情報のTHDを算出する行為と、
-前記負荷情報のTHDに基づいて熱モデルを提供する行為と、
をさらに備え、前記熱モデルは、前記電力変圧器中のトップオイル温度及び/又はホットスポット温度の状態に関連する温度情報を提供することが可能である、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
-前記1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する行為と、
-前記1つ以上の負荷高調波周波数に関連する前記振幅値及び前記位相角を分析し、負荷情報のTHDを提供する行為と、
-前記負荷情報の前記THDに基づいて磁気モデルを提供する行為と、
をさらに備え、前記磁気モデルは、前記電力変圧器中の鉄心飽和の状態に関連する鉄心飽和情報を提供することが可能である、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記電力変圧器は、3相電力変圧器である、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
電力網における電力変圧器の状態を分析するための1つ以上の行為を実行するための手段を備えるデータ処理システムであって、前記データ処理システムは、
前記電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサと、ここで、前記少なくとも1つのセンサは、前記電力変圧器によって生成された振動音響信号を取り出すことが可能であり、
-前記センサによって取り出された前記振動音響信号を処理し、少なくとも1つの分析された情報を提供するように構成された処理ユニットと、ここで、前記少なくとも1つの分析された情報は、前記電力変圧器の状態に関連し、
-前記少なくとも1つの分析された情報を記憶するためのコンピュータ可読記憶媒体と
を備える、データ処理システム。
【請求項8】
前記処理ユニットは、3相電力変圧器から取り出された前記振動音響信号を処理することが可能である、請求項7に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
電力網における電力変圧器の状態を分析するための命令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
請求項7又は8に記載のデータ処理システムにおいて実行されたとき、請求項1~6のいずれか一項に記載の行為を実行するために、少なくとも1つのデータ情報を生成するための命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の行為が実行されたとき、請求項7又は8に記載のデータ処理システムによって提供されるデータ情報を記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力網に接続された電力変圧器の状態及び状況に関する。
【背景技術】
【0002】
電力網に関連する電力変圧器が広く使用されている。電力網は、可変の再生可能エネルギーからの変動する生産、分散型エネルギー貯蔵、及び柔軟な消費により、より複雑になっている。インバータ及びコンバータを使用する電力変換の複雑さの追加及び導入に伴って、電力系統高調波が更に導入される。電力変圧器は、発電所から住宅への送電の全ての段階において重要な機器であり、従って、電力変圧器の動作信頼性は非常に重要である。
【0003】
電力変圧器は電力網にとって重要であるが、変圧器の故障は一般的であり、コストが掛かる。故障には、絶縁不良、設計及び/又は製造エラー、油汚染、過負荷、ラインサージ、緩い接続、湿気、及び他の人為的又は自然の原因など、多くの原因がある。
【0004】
電力変圧器は、電力網において使用されることが多い。例えば、3相電力変圧器は、大電力設備において必要とされる所与の量の電力を送電するために、より少ない導体材料を使用するので、通常、同等の単相変圧器よりも経済的である。
【0005】
対称3相電源システムでは、3つの導体が各々、共通基準に対して同じ周波数及び電圧振幅の交流電流を搬送するが、各々の間には3分の1サイクルの位相差がある。共通基準は、通常、接地に接続され、多くの場合、ニュートラルと呼ばれる電流搬送導体に接続される。また、等しくない電圧又は位相シフトを有する非対称3相電力系統を設計及び実装することも可能である。
【0006】
電力変圧器は、特に、今日の複雑な電気波形のために設計されていないインフラストラクチャにとって、より高次の高調波に対して特に脆弱である。特に、高調波負荷は、変圧器の巻線においてより高い温度上昇を引き起こし、それは次に、これらの巻線を劣化させ、変圧器の予想寿命を低下させる。いつ変圧器が過負荷になり、最終的にどの故障が発生し得るかを知ることは容易ではない。
【0007】
文献US8,849,587B1は、振動測定を通して変圧器の健全性を決定するための方法を開示している。物理的な機械的振動又は聴覚信号の形態の振動信号がセンサにおいて受信される。振動信号は、その高調波を導出するために信号の周波数表現に変換される。振動信号における高調波についての電力レベルに基づいて、変圧器中の高調波電流比が算出される。高調波電流比は、変圧器の健全性を定量化するために共に合計される。この値は、Kファクタと呼ばれ、変圧器の健全性の定量化である。しかしながら、Kファクタは、エラーのタイプに関する情報を提供せず、それは、変圧器の健全性を損なうか、又はやがては損ない得る。
【0008】
更に、今日使用されている監視及び/又は信頼性システムは、環境からのノイズ、並びに周囲信号及び/又はノイズ、等などの、電力変圧器又は電力変圧器の測定に対する影響を考慮に入れていない。これは、誤った結果に容易につながり得、システムは、電力変圧器及び周囲にとって重大であり得る重要な故障を見逃し得る。
[発明の目的]
【0009】
本発明の目的は、網における電力変圧器の状態及び電力品質を分析するための方法及びデータ処理システムを提供することである。方法及びデータ処理システムは、電力変圧器中の過負荷を監視するための解決策を提供し、電力変圧器の作動状態及び状況を決定するときに、電力変圧器の正しく信頼性の高い測定を確実にしなければならない。
【0010】
本発明は、リアルタイムで電力変圧器を監視し、故障が電力変圧器にとって破壊的になる前に故障を予測することによって、保守コストを低減し、電力変圧器の寿命を拡大する方法を提供しなければならない。データ処理システムは、既存及び新しい電力変圧器に実装しやすくなければならない。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、電力網における電力変圧器の状態を分析するコンピュータ実施方法を提供することによってこの問題に対処し、ここで、本方法は、電力変圧器に関連し、望ましくない負荷を検出することが可能であり、並びに/又はどのエラーが電力変圧器中で生じ得るかを示し、及び/若しくは予測し、本方法は、
a)電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサを提供する行為と、
b)少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの振動音響信号を取り出す行為と、
c)高速フーリエ変換を使用して時間領域から周波数領域への少なくとも1つの振動音響信号の時間-周波数分解を実行する行為と、
d)少なくとも1つの振動音響信号の高速フーリエ変換によって提供された1つ以上の振動音響高調波周波数を識別する行為と、
e)1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出する行為と、
f)少なくとも1つのEMFセンサを使用して、電力変圧器から発せられた電磁信号を取り出す行為、及び/又は、少なくとも1つの温度センサ測定を使用して、電力変圧器によって生成された温度を取り出す行為と、
g)1つ以上の振動音響高調波周波数並びに電磁信号及び/又は温度に関連する振幅値及び位相角から少なくとも1つの分析された情報を提供する行為と
を備え、少なくとも1つの分析された情報は、電力変圧器の状態に関連する。
【0012】
電力変圧器は、可聴のブーン又はブンブンという音を発し得る。多くの場合、これらの音は、望ましくないノイズと見なされ、それは、かなりうるさく、煩わしいことがある。しかしながら、音/振動は、変圧器の状況における不規則性への洞察を提供することができ、変圧器が保守の必要性のためにチェックされるべきかどうかを直観的に判断するために使用することができる。
【0013】
任意の変圧器の過負荷を評価するための主要な方法は、油入変圧器の場合、巻線又は油の温度を測定することである。ほとんどの既存の変圧器は、温度測定を有さず、これらを後付けすることは、実行するのがかなり面倒であり、非常に高価である。加えて、温度上昇は2次的な影響であり、様々な異なるタイプの故障及び電力品質から発生し得る。
【0014】
電力変圧器は、それらを通過する電力の品質を反映する。高調波負荷の測定点として変圧器を後付けすることが可能であることは、電力品質及び高調波分布の網全体のビューを確立するために使用され得、本質的に、送電及び配電電力網にわたる他の機器上の歪み及び電力線の後続の分析を可能にする。
【0015】
変圧器がいつ過負荷になるかを知ることによって、動作時間の損失を低減するための緩和措置を講じるように、それに応じて保守を計画することができる。特に、配電ネットワーク中に存在する高調波電流は、重大な問題を提示し得る。例えば、電力損失、過熱、共振及び過電圧、動作不安定、並びに無線周波数妨害である。非線形負荷を提示する任意の電子回路は、本質的に、高調波電流を生成し得る。これらの種類のエラーインジケーションは、保守を計画する際に非常に有用である。変圧器は、変圧器の性能を追跡するために連続的に測定され得る。代替として、変圧器は、周期的に測定され得る。エラーは、従って、問題になる前に、非常に早期に検出することができる。
【0016】
電力変圧器は、信頼性及び投資の両方の観点から電力網における重要な構成要素であるので、変圧器の信頼性は、網運用者にとって主要な関心事である。電力変圧器の信頼性モデルは、電力網の設計、評価、及び運用にとって非常に重要である。
【0017】
本発明は、保守コストを低減し、電力変圧器の寿命を拡大する方法を提供する。電力変圧器の健全性がリアルタイムで監視され得、故障が電力変圧器又は他の機器にとって破壊的になる前に故障が有利に予測され得る。
【0018】
本方法は、網から来る望ましくない負荷の影響を検出し、それは、電力変圧器に関連する。センサは、電力変圧器に対して、例えば、キャビネットの外側又はキャビネットの内側に配置され得る。センサは、音波を取り出すことが可能なマイクロフォンであり得る。センサは、振動を取り出すことが可能な振動センサであり得る。マイクロフォン及び/又は振動センサの両方は、この説明では振動音響信号として説明する信号を取り出すことが可能である。電力変圧器の電磁場を測定するセンサなど、電力変圧器から信号を取り出すことが可能な他のタイプのセンサも選択され得る。本方法は、少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの振動音響信号を取り出すことが可能である。温度測定はまた、電力変圧器の状態のインジケーションとして選択され得る。温度センサは、電力変圧器の外側の温度を取り出し得る。
【0019】
センサから受信される振動音響信号は、時間領域中にある。時間領域から周波数領域への少なくとも1つの振動音響信号の時間-周波数分解は、高速フーリエ変換(FFT)を使用して実行され得、ここにおいて、周波数領域、振動音響高調波周波数が提供され、容易に識別される。
【0020】
1つ以上の高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出するとき、本方法は、1つ以上の振動音響高調波周波数の振幅値及び位相角から電力変圧器の入力電流高調波成分を算出することが可能である。
【0021】
電流の振幅値及び位相角などの、高調波周波数に関連する振幅値や位相角が算出されると、入力DCオフセットが、次いで、高調波周波数に関連する算出の結果に基づいて算出される。入力DCオフセットに対する振幅値及び位相角を分析すると、電力変圧器の状態を決定することができる。
【0022】
電力変圧器から発せされる電磁信号は、少なくとも1つのEMFセンサを使用して取り出され得る。電磁信号は、電磁データに変換され、それは、電力変圧器中で発生し得るエラーを特定及び/又は予測するために使用することができる。電磁データは、高調波周波数に関連する振幅値及び位相角と比較されて、電力変圧器中で発生し得るエラーを特定及び/又は予測し得る。
【0023】
電力変圧器によって生成された温度は、少なくとも1つの温度センサ測定を使用して取り出され得る。温度は、温度データに変換され得、それは、電力変圧器中で発生し得るエラーを特定及び/又は予測するために使用することができる。温度データは、高調波周波数に関連する振幅値及び位相角と比較されて、電力変圧器中でどのエラーが発生し得るかを示し、及び/又は予測し得る。温度データは、高調波周波数及び/又は電磁データに関連する振幅値及び位相角と比較されて、電力変圧器中でどのエラーが発生し得るかを示し、及び/又は予測し得る。
【0024】
分析された情報は、1つ以上の高調波周波数に関連する振幅値及び位相角に関連する処理されたデータを備え得る。分析された情報はまた、電磁データ及び/又は温度データに関連する処理されたデータを備え得る。分析された情報は、電力変圧器中でどのエラーが発生し得るかを示し、及び/又は予測する。
【0025】
システムは、インストールを初期化するときに、システムが使用の準備ができているように、較正を実行し得る。システムは、システム等において使用されるセンサ及び値を自己較正するように構成されさえし得る。自動較正は、特定の電力変圧器に対して較正され得る。較正プロセスは、周囲温度及び/又は電源に関連する温度が指定された量だけ変化した場合に必要とされ得る。プロセスは、完全に自動化されて実行され得るか、又はユーザ介入及び/若しくは外部較正されたアーティファクトの使用を必要とし得る。較正の目的は、システムに固有のエラーの特徴付けによる精度向上を提供することである。自己較正はまた、正規化又は標準化と呼ばれ得る。システムは更にまた、必要に応じて周期的な較正を実行し得る。較正プロセスは、電源投入シーケンス毎、又は連続動作のシフト、日、若しくは週毎に1回などの間隔で必要とされ得る。
【0026】
本発明の有利な方法では、本方法は、高速フーリエ変換を実行する前に少なくとも1つの振動音響信号の少なくとも1つのノイズ低減を実行する。
【0027】
現場で動作する電力変圧器上の1つ以上の振動音響信号を測定する更なる行為を含む、多くの異なる態様を考慮に入れなければならない。周囲に対するノイズは、測定結果にエラーを引き起こし、電力変圧器の健全性に関する誤った結論につながり得る。周囲の音を考慮し、周囲の音を最小限に低減することが重要である。これは、1つ以上の振動音響信号が時間領域中にある間に、ノイズ低減方法を使用することによって行われ得る。ノイズ低減はまた、振動音響高調波周波数の振幅値及び位相角を算出する前に、FFTの直後に実行され得る。これは、算出された結果の信頼性を改善し、電力変圧器の健全性の状態は、より正確である。
【0028】
純粋に線形の負荷の下では、電流及び電圧は両方とも、電力網の基本周波数、例えば50Hz又は60Hzに対応する周波数を有する正弦曲線である。しかしながら、典型的な状況では、負荷は非線形である。この場合、電流信号はより複雑になる。基本正弦波に加えて、より小さい振幅で基本波の整数倍の周波数の他の正弦曲線が電流に寄与する。そのような周波数成分は、典型的には、基本周波数及び2次、3次、等などのより高次の高調波を有する「歪んだ正弦」の周波数成分として説明され、特に、3次高調波周波数の奇数倍は、電力変圧器の健全性を分析するときに考慮に入れることが重要である。
【0029】
本発明の更なる有利な方法では、本方法は、1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する位相不平衡情報を算出する更なる行為を備え、位相不平衡情報は、電力変圧器中の位相の状態に関する情報を備える。
【0030】
1つ以上の高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出するとき、本方法は、1つ以上の振動音響高調波周波数の振幅値及び位相角から多相変圧器の場合に位相不平衡を算出することが可能である。
【0031】
電力変圧器が動作しているとき、電力変圧器及び/又は網において生成される1つ以上の位相が正しく平衡を保たれることが重要である。1つ以上の位相が不平衡である場合、網に分配される電力は、望ましくない過負荷を引き起こし得る。電力変圧器は、互いに相互作用し、網における他の電力変圧器及び/又はケーブルに損傷を引き起こす。
【0032】
1つ以上の位相が不平衡になると、ケーブル中で問題が発生し得る。例えば、定常波は、伝播しない電圧及び電流の波であるが、ケーブル線に沿った入射波と反射波との間の干渉の結果である。1つ以上の位相が平衡である場合、ケーブルは、網システムに従って設計される。例として、1つ以上の位相が不平衡である場合、ケーブル及び/又は網システムは、ケーブル中の望ましくない定常波パターンに起因して損傷を受けるリスクがあり得る。
【0033】
本発明のまた更なる有利な方法では、本方法は、
-1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する更なる行為と、
-1つ以上の負荷高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を分析する更なる行為と、
-1つ以上の負荷高調波周波数に基づいて熱モデルを提供する更なる行為と
を備え、熱モデルは、電力変圧器中のトップオイル温度及び/又はホットスポット温度の状態に関連する温度情報を提供することが可能である。
【0034】
熱モデルは、入力としていくつかの値を取り、出力としていくつかの値を生成するアルゴリズムの結果として形成される計算又は式である。熱モデルは、センサによって取り出された振動音響信号からの入力に基づく1つ以上の訓練されたモデルであり得る。
【0035】
負荷高調波周波数は、非線形負荷から取り出された3次、5次、7次高調波、等などの奇数次高調波周波数である。全高調波歪(THD)は、振動音響信号中に存在する奇数次高調波歪から測定され、基本周波数のパワーに対する全ての奇数次高調波成分のパワーの和の比として定義される。
【0036】
振動音響モード周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出するとき、負荷高調波周波数に関連する振幅値及び位相角が算出され、負荷情報のTHDを提供し得る。熱モデルは、負荷情報のTHDに基づいて提供され得、熱モデルは、電力変圧器中のトップオイル温度及び/又はホットスポット温度の状態に関連する温度情報を提供することが可能である。分析された情報はまた、熱モデル、温度情報、電力変圧器中のトップオイル温度及び/又はホットスポット温度の状態を備え得る。
【0037】
本発明のまた更なる有利な方法では、本方法は、
-1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する更なる行為と、
-1つ以上の負荷高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を分析し、負荷情報のTHDを提供する更なる行為と、
-負荷情報のTHDに基づいて磁気モデルを提供する更なる行為と
を備え、磁気モデルは、電力変圧器中の鉄心飽和の状態に関連する鉄心飽和情報を提供することが可能である。
【0038】
1つ以上の高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出するとき、本方法は、1つ以上の振動音響高調波周波数の振幅値及び位相角から電力変圧器の入力総電流高調波歪を算出することが可能である。
【0039】
振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出するとき、負荷高調波周波数に関連する振幅値及び位相角が算出され、負荷情報のTHDを提供し得る。磁気モデルベースはまた、負荷情報のTHDに基づいて提供され得る。
【0040】
磁気モデルは、入力としていくつかの値を取り、出力としていくつかの値を生成するアルゴリズムの結果として形成される計算又は式である。磁気モデルは、センサによって取り出された振動音響信号からの入力に基づく1つ以上の訓練されたモデルであり得る。
【0041】
磁気モデルは、電力変圧器中の鉄心飽和の状態に関連する鉄心飽和情報を提供することが可能である。分析された情報はまた、負荷情報のTHD、磁気モデル、及び/又は鉄心飽和インジケータを備え得る。
【0042】
システムは、電力変圧器によって生成された電磁場を測定し得る。測定された電磁場は、変圧器にどれだけ負荷が掛かっているかのインジケーションであり得る。電力変圧器中で生成されるより高い電流は、より強力な電磁場を生成するであろう。測定された電磁場は、可変値を提供し得る。過負荷又は機械的特性の変動は、電磁場の値、振動の推定された周波数シグネチャ、等のうちの1つ以上から推定することができる。
【0043】
コンピュータ実施方法であって、電力変圧器は、3相電力変圧器である。
【0044】
電力変圧器は、1相又は3相電力変圧器として電力網に設けられ得る。例えば、3相系統は、3つの相が設けられ、即ち、電流は、3つの電線を通過し、アースに故障電流を流すための1つの中性線があり、3相系統として知られている。言い換えれば、発電、送電、及び配電のために3つの電線を使用するシステムは、3相系統として知られる。3相系統はまた、それらの位相及び中性線のうちの1つがそれから取り出された場合、単相系統として使用される。3相系統における線電流の和はゼロに等しく、それらの位相は120°の角度での差分をなす。
【0045】
3相系統は、いくつかの利点を有し、例えば、3相系統は、単相系統と比較してより少ない導体を必要とする。それはまた、負荷に連続的な供給を与える。3相系統は、より高い効率及び最小限の損失を有する。
【0046】
本方法を決定するとき、電力変圧器が1相系統であるか又は3相系統であるかを決定することが重要である。電力変圧器又は更には電力網の健全性を算出することは、1相又は3相のうちのいずれかに対して正しい予め定義されたアルゴリズムを使用することに依存する。これは、振動音響信号又は振動音響高調波周波数を自動的に分析することによって達成され得る。代替として、設定はまた、初期化インストールにおいて提供され得る。
【0047】
本発明はまた、データ処理ステムを提供する。データ処理システムは、電力網における電力変圧器の状態を分析するための1つ以上の行為を実行するための手段を備え、データ処理システムは、
-電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサと、ここにおいて、少なくとも1つのセンサは、電力変圧器によって生成された振動音響信号を取り出すことが可能であり、
-少なくとも1つのセンサによって取り出された振動音響信号を処理し、少なくとも1つの分析された情報を提供するように構成された処理ユニットと、ここで、少なくとも1つの分析された情報は、電力変圧器の状態に関連し、
-少なくとも1つの分析された情報を記憶するためのコンピュータ可読記憶媒体と
を備える。
【0048】
データ処理システムは、マイクロフォン及び/又は振動センサを備え得、ここで、センサのうちの少なくとも1つは、電力変圧器のキャビネット上に直接配置される。処理ユニットは、制御デバイス中に設けられ得る。1人以上のユーザ、例えば保守作業員が、処理ユニットによって提供される情報にアクセスし得るように、ユーザインタフェースが設けられ得る。ユーザは、従って、電力変圧器及び電力網全体の健全性について通知され得る。
【0049】
処理ユニットは、センサによって取り出された信号を処理し、少なくとも1つの分析された情報を提供するように構成される。分析された情報は、電力変圧器の状態に関連し、入力DCオフセット、位相不平衡、THD、1つ以上の熱及び磁気モデルに関する情報を備え得る。この情報は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0050】
データ処理システム又はデータ処理システムの一部は、例えば、キャビネットの外側にセンサを配置することによって、既存の動作電力変圧器上に容易に実装される。データ処理システムはまた、新しい電力変圧器設備に容易に実装される。センサは、キャビネットの外側及び/若しくは内側に配置され得るか、又はキャビネットの内側に内蔵システムとして配置され得る。
【0051】
本発明はまた、データ処理システムを提示し、処理ユニットは、3相電力変圧器から取り出された振動音響信号を処理することが可能である。
【0052】
本発明はまた、コンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、電力網における電力変圧器の状態を分析するための命令を備え、電力網における電力変圧器の状態を分析するコンピュータ実施方法の行為を実行する。
【0053】
コンピュータプログラム製品は、リアルタイム測定を提供し得る。コンピュータプログラム製品は、振動音響信号の1つ以上のシーケンスを提供し、ここで、1つ以上の振動音響信号の各シーケンスが分析されることになる。分析された情報は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶される。振動音響信号の1つ以上のシーケンスは、リモートコンピュータ上のユーザインタフェースを使用してユーザがアクセス可能であり得る。
【0054】
コンピュータ可読記憶媒体は、データ処理システム中で実行されたときに、少なくとも1つのデータ情報を生成するための命令を備え、ここで、コンピュータプログラム製品は、電力網における電力変圧器の状態を分析して、電力網における1相及び/又は3相電力変圧器の状態を分析する方法に備えられた行為を実行する。
【0055】
望ましくない負荷を検出する行為を実行するときに、データ処理システムによって提供されるデータ情報を記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【0056】
以上、本発明をいくつかの例を参照して説明したが、それらの例は、本発明による電力網における電力変圧器の状態を分析するためのコンピュータ実装システムによって達成可能な多くの可能性及び様々な設計の可能性を例示するためにのみ議論したものである。
【0057】
本発明は、網における電力変圧器の状態を分析するための方法及び検出システムを提供する。方法及び検出システムは、電力変圧器の健全性に関する複数の情報を与えられることによって、電力変圧器中の過負荷を防止するための解決策を提供する。本方法及び検出システムは、電力変圧器の作動状態を決定するときに、電力変圧器の正しく信頼性の高い測定を更に確実にする。
【0058】
本発明は、電力変圧器中で電力網にとって重要な信号を分析するための方法及び検出システムを提供する。故障には、絶縁不良、設計及び/又は製造エラー、油汚染、過負荷、ラインサージ、緩い接続、湿気、及び他の人為的又は自然の原因、等など、本発明を使用して問題になる前に検出することができる多くの原因がある。
【0059】
本発明はまた、リアルタイムで電力変圧器を監視し、故障がシステムにとって破壊的になる前に故障を予測することによって、保守コストを低減し、電力変圧器の寿命を拡大する方法を提供する。検出システムは、既存及び新しい電力変圧器に容易に実装される。
【0060】
本発明の実施形態は、下記を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】振動音響又は他のセンサ信号を取り出す第1のステップを例示する簡略化されたブロック図である。
図2】電力変圧器に対してセンサを取り付けたときの測定の図である。
図3】信号分析プロセスを例示する簡略化されたブロック図である。
図4】不負荷DCオフセット対負荷DCオフセットの図である。
図5】スペクトル分布に対する位相の図である。
図6】変圧器の状況のリアルタイム測定の図である。
図7】全高調波歪(THD)の算出のフローチャートを示す。
図8】振動音響信号を前処理するフローチャートを示す。
図9】DCオフセット及び/又は位相不平衡を検出するフローチャートを示す。
図10】トップオイル、ホットスポット、及び寿命損失ファクタを測定するフローチャートを示す。
図11】ユーザインタフェースにリアルタイム測定を提供するコンピュータプログラム製品を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の実施形態は、以下の詳細な説明において説明する。本発明は、その範囲において、以下の説明又は図面に例示するものに限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施及び実行されることが可能である。
【0063】
図1は、電力変圧器1から又は電力変圧器1に対して、振動音響信号2、又は電磁場若しくは温度などの他の信号を取り出す第1のステップを例示する簡略化されたブロック図である。振動音響信号2は、振動、音波、及び/又は電磁信号であり得る。1つ以上の振動音響信号2は、例えば、アナログ信号を取り出すことが可能な取り出しユニット、例えばアナログ前処理ユニット3中でアナログ信号として取り出される。アナログ前処理ユニット3からのアナログ信号は、次いで、ADCユニット4中のデジタル信号にサンプリングされる。ADCユニット4からのデジタル信号は、次いで、処理ユニット5中で処理される。ノイズ低減アルゴリズムが、処理ユニット5中に提供され得る。処理された信号は、有線又は無線で外部コンピュータに送信され得る。処理された信号は、リアルタイム測定として順次送信され得る。
【0064】
図2は、電力変圧器1に対してセンサを取り付けたときの測定の図である。電力変圧器1からの振動、例えばキャビネット中に提供される振動は、1つ以上の振動センサ8を使用して取り出され得、1つ以上の振動センサ8は、発生源分離アルゴリズム10に振動データを提供する。音波は、1つ以上のマイクロフォン7を使用して取り出され得る。音波は、変圧器キャビネット全体及び変圧器部品によって生成されるか、又は部分的に生成される。マイクロフォンのうちの1つ以上は、周囲から音波を取り出し得る。マイクロフォン7は、発生源分離アルゴリズム10に音波データを提供している。電力変圧器1から発せられた電磁信号は、1つ以上のEMFセンサ9を使用して取り出され得、1つ以上のEMFセンサ9は、発生源分離アルゴリズム10に電磁データを提供する。EMFセンサは、電圧レベルを測定することが可能であり、電圧レベルは、電力変圧器中の電圧レベルに対して実質的に線形の関数を有する。EMFセンサは、電圧レベルに関するデータをリアルタイムで提供することが可能である。温度センサ12などの他のセンサが設けられ得る。
【0065】
1つ以上のセンサは、電力変圧器1のキャビネットの外面に容易に取り付けられる。発生源分離アルゴリズム10に統合され得るノイズ低減は、周囲からの望ましくないノイズから振動音響信号を分離又は部分的に分離することが可能であり、それによって、信頼性の高い振動音響信号11を提供する。
【0066】
センサ7、8、9から取り出された信号は、ノイズ低減を提供する前又は後に外部コンピュータに送られ得る。取り出された信号は、有線又は無線接続を使用して送られ得る。無線接続は、wifi、lora、sigfox、NBIoT及び/又は2345G、等であり得る。
【0067】
図3は、信号分析プロセスを例示する簡略化されたブロック図である。電力網における電力変圧器の状態を分析するための方法の重要な部分は、点線を用いて強調されている。
【0068】
高調波は、電圧及び電流の波形における歪みである。それは、いくつかの基準波の整数倍である。高調波は、変圧器の鉄損及び銅損を増大させ、故に、それらの効率を低減する。それはまた、変圧器の絶縁に対する誘電応力を増大させる。3相変圧器では、磁化電流の非正弦曲線的性質は、望ましくない現象を引き起こす正弦曲線フラックスを生成する。変圧器中の位相磁化電流は、正弦曲線フラックスを生成するのに必要な3次高調波及びより高次の高調波を備え得る。
【0069】
振動音響信号は、1つ以上のセンサを使用して取り出される。少なくとも1つの振動信号及び/又は少なくとも音響信号は、予め定義された時間内に測定され、その後、振動信号及び/又は音響信号は、別々に又は組み合わせて分析することができる。振動音響信号は、時間領域中にあり、例えば、秒のサンプルで測定される。振動音響信号のサンプルは、次いで、好ましくは、振動音響高調波周波数の範囲に対して高速フーリエ変換を使用して、時間領域から周波数領域に転送される。
【0070】
振動音響高調波周波数の各々に対する振幅及び位相角の分析は、以下の分析された情報を提供する:入力DCオフセット及び/又は位相不平衡。入力DCオフセットは、負荷DC検出アルゴリズムを使用して、例えば、振動音響データをサンプリングし、次いで、周波数分解、例えば、FFT分析を実行するための以下のステップを使用することによって算出される。電力周波数における大きさを推定する。電力周波数の奇数倍における大きさを推定する。振動音響基本波の大きさを推定する。例えば、電力周波数における大きさと振動音響基本波との間の比を使用して、DCオフセットの存在及び程度を定量化する。電力周波数、奇数倍の電力周波数、及び振動音響基本波における大きさを用いてDCオフセットの存在を分類するために、事前訓練されたANNを使用する。
【0071】
位相不平衡は、位相不平衡検出アルゴリズムを使用して、例えば以下のステップを使用して算出される:振動音響データをサンプリングする。周波数分解を実行する。振動音響基本波の大きさを推定する。振動音響基本波のより高次の高調波を推定する。例えば、より高次の高調波での大きさと振動音響基本波との間の比を使用して、位相不平衡の存在及び程度を定量化する。振動音響基本波の大きさ及び振動音響基本波におけるより高次の高調波を用いて位相不平衡の存在を分類するために事前訓練されたANNを使用する。
【0072】
更に、振動音響高調波周波数は、入力負荷高調波周波数にマッピングされ得る。入力負荷高調波周波数は、基本周波数及び3次、5次、等などのより高次の奇数次高調波の入力負荷高調波周波数として説明され得る。
【0073】
入力負荷高調波周波数は、より正確で堅固な熱モデルを提供するための基本的な情報を提供し得る。
【0074】
更に、入力負荷高調波周波数は、負荷のTHDのより正確な算出のための基本的な情報を提供し得、それは、より正確で堅固な磁気モデルにつながり得る。
【0075】
図4は、負荷高調波周波数の図である。非線形負荷が存在する場合、スペクトルは、入力DCオフセットの程度をはっきりと明らかにするであろう。
【0076】
線形負荷がある場合、振動音響高調波周波数は、負荷の基本周波数と、基本周波数の高調波周波数とを備えるであろう。この例では、負荷の基本周波数は100Hzであり、基本周波数の高調波周波数は200Hz、300Hz、等である。
【0077】
非線形負荷がある場合、振動音響高調波周波数は、負荷の基本周波数と、基本周波数の高調波周波数と、2で除算された負荷の基本周波数と、2で除算された負荷の基本周波数の高調波周波数とを備えるであろう。この例では、負荷の基本周波数は50Hzであり、基本周波数の高調波周波数は100Hz、150Hz、等である。
【0078】
図5は、位相平衡対位相不平衡の図である。不平衡な負荷が存在する場合、スペクトルは、電力変圧器中の位相不平衡の程度をはっきりと明らかにするであろう。平衡を保たれたシステムでは、各線は、互いから等しく離間された位相角で等しい電圧の大きさを生成するであろう。電圧の大きさが等しくない場合、位相不平衡が発生するであろう。
【0079】
3相電力変圧器中の負荷の位相が平衡である場合、位相は、等しい電圧の大きさを有し、それは、負荷の基本周波数と、基本周波数の高調波周波数とを備える。この例では、負荷の基本周波数は100Hzであり、基本周波数の高調波周波数は200Hz、300Hz、及び400Hzである。
【0080】
3相電力変圧器中の負荷の位相が不平衡である場合、位相は、等しい電圧の大きさを有さない。振動音響は、この場合、負荷の基本周波数と、平衡を保たれた3相電力変圧器よりも多くの基本周波数の高調波周波数とを備えるであろう。この例では、負荷の基本周波数は100Hzであり、基本周波数の高調波周波数は200Hz、300Hz、400~800Hzである。高調波周波数におけるエネルギーの量は、平衡を保たれたシステムにおけるよりも高い。
【0081】
図6は、変圧器の状況のリアルタイム測定を示す。データ処理システムは、電力網における電力変圧器の状態を分析するための1つ以上の行為を実行するための手段を備える。データ処理システムは、変圧器から予め定義されたデータフレームにおいて取り出された振動音響信号を処理する。
【0082】
データ処理システムは、センサによって取り出された1つ以上の信号を備える予め定義されたデータフレームを処理し、データフレーム情報を提供するように構成される。分析されたデータフレーム情報は、DCオフセット、DC負荷、位相不平衡、トップオイル及びホットスポット温度、寿命損失及び鉄心飽和などの、変圧器の状態に関連し得るか、又は間接的に関連し得る。分析されたデータフレーム情報は、ユーザインタフェース、例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)上に示すことができる。分析されたデータフレーム情報は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶される。
【0083】
図7は、全高調波歪(THD)の算出のフローチャートを示す。分析されたデータフレーム情報は、THD情報が受信される負荷高調波周波数にマッピングされる振動音響高調波周波数を備え得る。THD情報は、データ処理システムによって取り出された各データフレーム情報に対して算出される。THD情報はまた、ユーザインタフェース、例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)上に示すことができる。THDの分析されたデータフレーム情報は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶される。
【0084】
図8は、変圧器から取り出された振動音響信号を前処理するフローチャートを示す。データサンプルが取り出され、データフレーム中に配置される。
【0085】
少なくとも1つのセンサは、1つ以上のセンサが変圧器によって生成された音響振動を取り出すように、変圧器に対して予め定義された位置に配置され得る。センサから受信した振動音響信号は、時間領域中にある。センサは、例えば、ノイズ低減の目的で、発生源分離を実行するために反対方向に配置されたマイクロフォンであり得る。時間領域から周波数領域への少なくとも1つの振動音響信号の時間-周波数分解は、高速フーリエ変換(FFT)を使用して実行され得る。周波数領域では、更なる処理のために振動音響高調波周波数を容易に識別することができる。振動音響高調波周波数に関する情報は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0086】
電流の振幅値及び位相角などの、高調波周波数に関連する振幅値及び位相角は、各データフレーム中の情報に基づいて算出される。分析された振幅値及び位相角は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0087】
図9は、DCオフセット及び/又は位相不平衡を検出するフローチャートを示す。振動音響高調波周波数、振幅値、及び位相角は、情報が記憶されている場合、コンピュータ可読記憶媒体から取り出される。DCオフセット及び/又は位相不平衡が、次いで、高調波周波数を分析した算出結果から算出される。訓練されたモデルアルゴリズムは、分析された高調波周波数を負荷高調波周波数にマッピングする。負荷高調波周波数は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0088】
図10は、トップオイル、ホットスポット、及び寿命損失ファクタを測定するフローチャートを示す。トップオイル、ホットスポット、及び寿命損失ファクタは、1つ以上のアルゴリズムモデルを使用して、THDに関連して周囲温度から算出され得る。
【0089】
トップオイルモデルは、入力として周囲温度及びTHDなどのいくつかの値を取り、トップオイルモデル出力としていくつかの値を生成するアルゴリズムの結果として形成される計算又は式である。トップオイルモデル出力は、トップオイル温度に関連する。トップオイルモデルは、センサによって取り出された振動音響信号のデータフレーム情報からの入力に基づく1つ以上の訓練されたモデルであり得る。
【0090】
ホットスポットモデルは、入力としてトップオイルモデル出力及びTHDなどのいくつかの値を取り、1つ以上のホットスポットモデル出力としていくつかの値を生成するアルゴリズムの結果として形成される計算又は公式である。ホットスポットモデル出力は、ホットスポット温度及び/又は寿命損失ファクタに関連する値に関連する。ホットスポットモデルは、センサによって取り出された振動音響信号のデータフレーム情報からの入力に基づく1つ以上の訓練されたモデルであり得る。
【0091】
図11は、第1のユーザインタフェース13、例えばAPI、及び/又は第2のユーザインタフェース14、例えばモバイルユニット若しくはサービスパネルにリアルタイム測定を提供するコンピュータプログラム製品を例示する。コンピュータプログラム製品は、電力網における電力変圧器の状態を分析するための命令を備える。
【0092】
1つ以上のセンサを備えるセンサユニット12中のセンサから取り出された信号は、ノイズ低減を提供する前又は後にクラウド11に送られ得る。取り出された信号は、有線又は無線接続を使用してセンサユニット12からクラウド11に送られ得る。クラウドは、データ情報を記憶することが可能なコンピュータ可読記憶媒体を備え得る。変圧器の状態の診断結果を備えるデータ情報は、次いで、第1のユーザインタフェース13及び/又は第2のユーザインタフェースに送られ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力網における電力変圧器の状態を分析するためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
a)前記電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサを提供する行為と、
b)前記少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの振動音響信号を取り出す行為と、
c)高速フーリエ変換を使用して時間領域から周波数領域への前記少なくとも1つの振動音響信号の時間-周波数分解を実行する行為と、
d)前記少なくとも1つの振動音響信号の前記高速フーリエ変換によって提供された1つ以上の振動音響高調波周波数を識別する行為と、
e)前記1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出する行為と、
f)少なくとも1つのEMFセンサを使用して、前記電力変圧器から発せられた電磁信号を取り出す行為、及び少なくとも1つの温度センサ測定を使用して、前記電力変圧器によって生成された温度を取り出す行為と、
g)前記1つ以上の振動音響高調波周波数並びに前記電磁信号及び温度に関連する前記振幅値及び前記位相角から少なくとも1つの分析された情報を提供する行為と
を備え、前記少なくとも1つの分析された情報は、前記電力変圧器の状態に関連する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記高速フーリエ変換を実行する前に前記少なくとも1つの振動音響信号の少なくとも1つのノイズ低減を実行する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
-前記1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する位相不平衡情報を算出する行為をさらに備え、前記位相不平衡情報は、前記電力変圧器中の位相の状態に関する情報を備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する入力DCオフセットを算出する行為をさらに備え、前記入力DCオフセットは前記電力変圧器における前記入力DCオフセットの状態に関する情報を含む、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
-前記1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する行為と、
-前記1つ以上の負荷高調波周波数に関連する前記振幅値及び前記位相角を分析し、負荷情報の全高調波歪であるTHDを算出する行為と、
-前記負荷情報のTHDに基づいて熱モデルを提供する行為と、
をさらに備え、前記熱モデルは、前記電力変圧器中のトップオイル温度及び/又はホットスポット温度の状態に関連する温度情報を提供することが可能である、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
-前記1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する行為と、
-前記1つ以上の負荷高調波周波数に関連する前記振幅値及び前記位相角を分析し、負荷情報のTHDを提供する行為と、
-前記負荷情報のTHDに基づいて磁気モデルを提供する行為と、
をさらに備え、前記磁気モデルは、前記電力変圧器中の鉄心飽和の状態に関連する鉄心飽和情報を提供することが可能である、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
システムに固有のエラーの特徴付けによる精度向上を提供するために、前記少なくとも1つのセンサ及び値を周期的に較正する行為をさらに備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記電力変圧器は、3相電力変圧器である、請求項1~のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
電力網における電力変圧器の状態を分析するための1つ以上の行為を実行するための手段を備えるデータ処理システムであって、前記データ処理システムは、
前記電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサと、ここで、前記少なくとも1つのセンサは、前記電力変圧器によって生成された振動音響信号を取り出すことが可能であり、
-前記センサによって取り出された前記振動音響信号を処理し、少なくとも1つの分析された情報を提供するように構成された処理ユニットと、ここで、前記少なくとも1つの分析された情報は、前記電力変圧器の状態に関連し、
-前記少なくとも1つの分析された情報を記憶するためのコンピュータ可読記憶媒体と
を備える、データ処理システム。
【請求項10】
前記処理ユニットは、3相電力変圧器から取り出された前記振動音響信号を処理することが可能である、請求項に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記処理ユニットは、システムにおいて使用されるセンサ及び値を自己較正するように構成されている、請求項9又は10に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
電力網における電力変圧器の状態を分析するための命令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
請求項9~11のいずれか一項に記載のデータ処理システムにおいて実行されたとき、請求項1~のいずれか一項に記載の行為を実行するために、少なくとも1つのデータ情報を生成するための命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
請求項1~のいずれか一項に記載の行為が実行されたとき、請求項9~11のいずれか一項に記載のデータ処理システムによって提供されるデータ情報を記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
1つ以上のセンサを備えるセンサユニット12中のセンサから取り出された信号は、ノイズ低減を提供する前又は後にクラウド11に送られ得る。取り出された信号は、有線又は無線接続を使用してセンサユニット12からクラウド11に送られ得る。クラウドは、データ情報を記憶することが可能なコンピュータ可読記憶媒体を備え得る。変圧器の状態の診断結果を備えるデータ情報は、次いで、第1のユーザインタフェース13及び/又は第2のユーザインタフェースに送られ得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 電力網における電力変圧器の状態を分析するためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
a)前記電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサを提供する行為と、
b)前記少なくとも1つのセンサから少なくとも1つの振動音響信号を取り出す行為と、
c)高速フーリエ変換を使用して時間領域から周波数領域への前記少なくとも1つの振動音響信号の時間-周波数分解を実行する行為と、
d)前記少なくとも1つの振動音響信号の前記高速フーリエ変換によって提供された1つ以上の振動音響高調波周波数を識別する行為と、
e)前記1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する振幅値及び位相角を算出する行為と、
f)少なくとも1つのEMFセンサを使用して、前記電力変圧器から発せられた電磁信号を取り出す行為、及び/又は、少なくとも1つの温度センサ測定を使用して、前記電力変圧器によって生成された温度を取り出す行為と、
g)前記1つ以上の振動音響高調波周波数並びに前記電磁信号及び/又は温度に関連する前記振幅値及び前記位相角から少なくとも1つの分析された情報を提供する行為と
を備え、前記少なくとも1つの分析された情報は、前記電力変圧器の状態に関連する、コンピュータ実施方法。
[2] 前記高速フーリエ変換を実行する前に前記少なくとも1つの振動音響信号の少なくとも1つのノイズ低減を実行する、[1]に記載のコンピュータ実施方法。
[3] -前記1つ以上の振動音響高調波周波数に関連する位相不平衡情報を算出する行為をさらに備え、前記位相不平衡情報は、前記電力変圧器中の位相の状態に関する情報を備える、[1]又は[2]に記載のコンピュータ実施方法。
[4] -前記1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する行為と、
-前記1つ以上の負荷高調波周波数に関連する前記振幅値及び前記位相角を分析し、負荷情報のTHDを算出する行為と、
-前記負荷情報のTHDに基づいて熱モデルを提供する行為と、
をさらに備え、前記熱モデルは、前記電力変圧器中のトップオイル温度及び/又はホットスポット温度の状態に関連する温度情報を提供することが可能である、[1]又は[2]に記載のコンピュータ実施方法。
[5] -前記1つ以上の振動音響高調波周波数から1つ以上の負荷高調波周波数を算出する行為と、
-前記1つ以上の負荷高調波周波数に関連する前記振幅値及び前記位相角を分析し、負荷情報のTHDを提供する行為と、
-前記負荷情報のTHDに基づいて磁気モデルを提供する行為と、
をさらに備え、前記磁気モデルは、前記電力変圧器中の鉄心飽和の状態に関連する鉄心飽和情報を提供することが可能である、[1]又は[2]に記載のコンピュータ実施方法。
[6] 前記電力変圧器は、3相電力変圧器である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
[7] 電力網における電力変圧器の状態を分析するための1つ以上の行為を実行するための手段を備えるデータ処理システムであって、前記データ処理システムは、
前記電力変圧器に対して配置された少なくとも1つのセンサと、ここで、前記少なくとも1つのセンサは、前記電力変圧器によって生成された振動音響信号を取り出すことが可能であり、
-前記センサによって取り出された前記振動音響信号を処理し、少なくとも1つの分析された情報を提供するように構成された処理ユニットと、ここで、前記少なくとも1つの分析された情報は、前記電力変圧器の状態に関連し、
-前記少なくとも1つの分析された情報を記憶するためのコンピュータ可読記憶媒体と
を備える、データ処理システム。
[8] 前記処理ユニットは、3相電力変圧器から取り出された前記振動音響信号を処理することが可能である、[7]に記載のデータ処理システム。
[9] 電力網における電力変圧器の状態を分析するための命令を備えるコンピュータプログラム製品。
[10] [7]又は[8]に記載のデータ処理システムにおいて実行されたとき、[1]~[6]のいずれか一項に記載の行為を実行するために、少なくとも1つのデータ情報を生成するための命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体。
[11] [1]~[6]のいずれか一項に記載の行為が実行されたとき、[7]又は[8]に記載のデータ処理システムによって提供されるデータ情報を記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】