IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ムスタング バイオ,インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ シティ・オブ・ホープの特許一覧

特表2023-541253癌標的のCAR-T細胞を含む併用療法と、それを癌治療に使用する方法
<>
  • 特表-癌標的のCAR-T細胞を含む併用療法と、それを癌治療に使用する方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】癌標的のCAR-T細胞を含む併用療法と、それを癌治療に使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20230922BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 35/768 20150101ALI20230922BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230922BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230922BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230922BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230922BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230922BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20230922BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230922BHJP
【FI】
A61K35/12
A61P35/00
A61K35/768
A61K35/76
A61K35/17
C12N15/62 Z
C12N5/10
C12N7/01
C07K19/00
C12N15/13 ZNA
C12N15/12
C12N5/0783
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515784
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 US2021049597
(87)【国際公開番号】W WO2022056085
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/076,805
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522348169
【氏名又は名称】ムスタング バイオ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】598004424
【氏名又は名称】シティ・オブ・ホープ
【氏名又は名称原語表記】City of Hope
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【弁理士】
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】ニス,ヌット
(72)【発明者】
【氏名】カッシム,サディク エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリスティーン イー.
(72)【発明者】
【氏名】フォーマン,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バダイ,ベナム
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C087BB37
4C087BB63
4C087BC83
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZB26
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
CAR-T免疫療法および腫瘍溶解性ウイルス療法を利用する二重アプローチ法を用いて悪性神経膠腫などの固形腫瘍を治療するための改善された方法が記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における多形膠芽腫(GBM)を治療する方法であって、GBMを有する対象に(i)キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞集団、および(ii)腫瘍溶解性ウイルスを投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記CARを発現する前記細胞集団および前記腫瘍溶解性ウイルスが同時投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CARを発現する前記細胞集団および前記腫瘍溶解性ウイルスが順次投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CARを発現する前記細胞集団が最初に投与され、前記腫瘍溶解性ウイルスが二番目に投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記腫瘍溶解性ウイルスが最初に投与され、前記CARを発現する前記細胞集団が二番目に投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が、原発性GBM腫瘍および/または転移性腫瘍を除去するための外科手術を以前に受けている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記CARを発現する前記細胞集団が、T細胞を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記T細胞が、セントラルメモリーT細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記CARを発現する前記細胞集団が、NK細胞を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記CARが、結合ドメイン、スペーサードメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記CARがIL-13Rα2またはHER2に選択的に結合する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記結合ドメインがGPVPPSTALRYLIEELVNITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGMYCAALESLINVSGCSAIEKTQRMLSGFCPHKVSAGQFSSLHVRDTKIEVAQFVKDLLLHLKKLFREGRFN(配列番号1)またはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKGSTSGGGSGGGSGGGGSSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)を含む、請求項10または11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記スペーサードメインが、IgG4 Fcドメインを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記IgG4 Fcドメインが、
(i)
ESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号10)、
(ii)ESKYGPPCPPCPGGGSSGGGSGGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号2)、
(iii)ESKYGPPCPSCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHQAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号3)、
(iv)PKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHQAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSV MHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号4)、または
(v)GQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号5)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記膜貫通ドメインが、CD4膜貫通ドメインまたはCD8膜貫通ドメインを含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記CD4膜貫通ドメインが、MALIVLGGVAGLLLFIGLGIFF(配列番号6)を含むか、または前記CD8膜貫通ドメインが、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号11)、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLY(配列番号12)、またはIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号13)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記共刺激ドメインが、4-1BB共刺激ドメインを含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記4-1BB共刺激ドメインがKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号7)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記CARが、GPVPPSTALRYLIEELVNITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGMYCAALESLINVSGCSAIEKTQRMLSGFCPHKVSAGQFSSLHVRDTKIEVAQFVKDLLLHLKKLFREGRFNESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELGGGRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号8)、または
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKGSTSGGGSGGGSGGGGSSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELGGGRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号14)を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記CARを発現する前記細胞集団が、選択タグも発現する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記選択タグが、切断型CD19配列(CD19t)または切断型上皮成長因子受容体配列(EGFRt)であり、任意選択的に、前記CD19tまたは前記EGFRtが、T2Aスペーサー配列によって前記CARから分離される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、遺伝子操作された単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍溶解性ウイルスに複製能力がある、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ICP34.5遺伝子が前記腫瘍溶解性ウイルスの前記ゲノムから欠失され、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)IRS1遺伝子をコードする遺伝子が、前記腫瘍溶解性ウイルスの前記ゲノム内に導入される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記腫瘍溶解性ウイルスがC134である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記CARを発現する前記細胞集団が、セントラルメモリーT細胞であり、前記CARが、配列番号8または配列番号14を含み、前記腫瘍溶解性ウイルスがC134である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記CARを発現する前記細胞集団および前記腫瘍溶解性ウイルスが、同じ投与経路で投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記CARを発現する前記細胞集団および前記腫瘍溶解性ウイルスが、異なる投与経路で投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記投与経路が、脳室内、腫瘍内、くも膜下腔内、および切除された腫瘍空洞内から成る群から選択される、請求項27または28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記CARを発現する細胞集団および前記腫瘍溶解性ウイルスが、前記対象の前記中枢神経系(CNS)に直接投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法(35 U.S.C.)第119(e)項に基づき、2020年9月10日に出願された米国仮出願第63/076,805号に対する優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、腫瘍免疫療法、特に悪性神経膠腫CAR-T療法の分野に関する。
【0003】
(配列表に関する記述)
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれる。配列リストを含むテキストファイルの名前は118180-0600_ST25.txtである。テキストファイルは約28kBで、2020年9月8日に作成され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0004】
免疫受容体を発現するように操作されたT細胞を使用した新しい治療は、癌や自己免疫疾患を含む広範囲の難治性疾患に対する有望な免疫療法をもたらしてきた。
【0005】
癌はヒトの健康に対する顕著な脅威であり、生活の質の低下につながり、大抵は死亡につながる。様々な形態の癌の治療および予防にあたり国、地域、および現地の医療機関に課せられる負担は、必要な資源および人員という点で大きい。ヒトが疾患と闘うために持つ主要な武器の一つは、機能する免疫系である。変異型抗原を含む抗原は、例えばマウスにおいて、腫瘍破壊の強力な標的であり、これらの抗原を標的とする腫瘍浸潤性リンパ球は、患者において耐久力のある腫瘍退縮を引き起こすことができる。
【0006】
高親和性インターロイキン-13受容体α2(IL13Rα2)は、多形膠芽腫(GBM)によって、また他の腫瘍型でも高頻度で選択的に発現される。この腫瘍特異的受容体を標的化するための一つのアプローチは、細胞傷害性分子にコンジュゲートされた同族リガンド(IL-13)を利用する。しかしながら、IL-13のためのより低い親和性の受容体(IL13Rα1)は非癌組織において広く発現されるため、このアプローチは特異性に欠ける。ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)は、いくつかの種類の癌、特に乳癌において検証された癌標的であるが、最近になって、HERはGBMの最大80%で発現するものの、正常な出生後のニューロンまたはグリアでは発現しないことが判明した。
【0007】
多くのヒト癌には、癌性組織上または癌性組織中に予想通りに存在し、T細胞などの免疫細胞による効果的な軽減の標的としての役目を果たす能力があるような、特異的抗原がない。それぞれの癌細胞型は、異なる腫瘍特異的抗原を引き起こす固有の一連の変異を宿す。養子免疫療法における有効な固有の抗原の特定や、自己T細胞の形質導入のための適切なT細胞受容体の単離は、当該技術分野の進歩にもかかわらず、引き続き困難である。しかしながら、キメラ抗原受容体(CAR)および二重特異性T細胞係合タンパク質(BiTE)を用いた養子T細胞免疫療法の利用の成功は、主に腫瘍性血液疾患に限定されている。固形腫瘍の治療における養子免疫療法を困難にしている多数の要因は、主にT細胞に対する好ましくない腫瘍微小環境に起因する。
【0008】
したがって、固形腫瘍、特にGBMを治療するための養子免疫療法を特定する必要性がある。本開示はこの必要性に対処する。
【発明の概要】
【0009】
一部の態様では、本開示は一般的に、対象における多形膠芽腫(GBM)を治療する方法であって、GBMを有する対象に(i)キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞集団、および(ii)腫瘍溶解性ウイルスを投与することを含む、方法に関する。一部の態様では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスが同時投与される。一部の態様では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスが順次投与される。一部の態様では、CARを発現する細胞集団が最初に投与され、腫瘍溶解性ウイルスが二番目に投与される。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスが最初に投与され、CARを発現する細胞集団が二番目に投与される。一部の態様では、対象は、原発性GBM腫瘍および/または転移性腫瘍を除去するための外科手術を以前に受けている。
【0010】
一部の態様では、当該CARを発現する細胞集団はT細胞を含む。一部の態様では、T細胞は、セントラルメモリーT細胞である。一部の態様では、当該CARを発現する細胞集団はNK細胞を含む。
【0011】
一部の態様では、CARは、結合ドメイン、スペーサードメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARはIL-13Rα2に選択的に結合する。一部の態様では、結合ドメインは配列番号1を含む。一部の態様では、スペーサードメインはIgG4 Fcドメインを含む。一部の態様では、IgG4 Fcドメインは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5を含む。
【0012】
一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD4膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、CD4膜貫通ドメインは、MALIVLGGVAGLLLFIGLGIFF(配列番号6)を含む。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、またはCD8膜貫通ドメインは、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号11)、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLY(配列番号12)、またはIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号13)を含む。一部の態様では、共刺激ドメインは、4-1BB共刺激ドメインを含む。一部の態様では、4-1BB共刺激ドメインは、配列番号7を含む。一部の態様では、CARは、配列番号8または配列番号14を含む。
【0013】
一部の態様では、CARを発現する細胞集団はまた、選択タグを発現する。一部の態様では、選択タグは、切断型CD19配列(CD19t)または切断型上皮成長因子受容体配列(EGFRt)である。一部の態様では、CD19t配列またはEGFRt配列は、T2Aスペーサー配列によってCARから分離される。
【0014】
一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスは、遺伝子操作された単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)である。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスは複製能力がある。一部の態様では、ICP34.5遺伝子が腫瘍溶解性ウイルスのゲノムから欠失され、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)IRS1遺伝子をコードする遺伝子が腫瘍溶解性ウイルスのゲノム内に導入される。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスはC134である。
【0015】
一部の態様では、CARを発現する細胞集団は、セントラルメモリーT細胞であり、CARは配列番号8または配列番号14を含み、ここで腫瘍溶解性ウイルスはC134である。一部の態様では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、同じ投与経路で投与される。一部の態様では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、異なる投与経路で投与される。
【0016】
一部の態様では、投与経路は、脳室内、腫瘍内、くも膜下腔内、および切除された腫瘍空洞内から成る群から選択される。一部の態様では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、対象の中枢神経系(CNS)に直接投与される。
【0017】
本明細書で説明し、特許請求の範囲対象となる発明は、発明の概要および以下の図面の簡単な説明および発明を実施するための形態に規定または記載または参照されたものを含むがこれらに限定されない、多くの属性および実施形態を有する。全てを網羅することは意図されておらず、本明細書に説明し、特許請求の範囲対象となる発明は、発明の概要で特定される特徴または実施形態に限定、もしくはそれらによって限定されるものではなく、例示のみを目的としており、制限を目的としない。追加の実施形態は、以下の発明を実施するための形態で開示されうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例4で実施される投与およびアッセイの例示的なスキームのグラフィカル表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、IL-13Rα2またはHER2を発現または提示する細胞によって特徴付けられる広範な癌を、(1)IL-13Rα2またはHER2と特異的に相互作用(例えば、それらに結合)するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する免疫学的細胞と(2)腫瘍溶解性ウイルスとの組み合わせを投与することによって治療する方法に関する。
【0020】
I.定義
以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、本開示の主題の説明を容易にするために以下の定義が記載されている。
【0021】
「a」または「an」という用語は、その主体のうちの一つまたは複数を指してもよく、すなわち複数の指示対象を指してもよい。そのため、「a」または「an」、「一つ以上」および「少なくとも一つ」という用語は、本明細書では互換的に使用される。さらに、不定冠詞「a」または「an」による「要素」への言及は、文脈上、要素の一つのみが存在することが明確に要求されない限り、複数の要素が存在する可能性を排除するものではない。
【0022】
本明細書全体を通して、「一つの実施形態」、「実施形態」、「一つの態様」、または「態様」は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所における「一つの実施形態では」または「実施形態では」という語句の外観は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、一つ以上の実施形態で、任意の適切な様式で組み合わせることができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、数値に先行する「約」または「およそ」という用語は、数値の±10%の範囲の値を示す。例えば、「約10」は「10」および「9~11」として理解されるべきである。
【0024】
当業者によって理解されることになるように、すべての目的のために、特に、記載された説明を提供するという観点から、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、可能性のあるすべての部分範囲とその部分範囲の組み合わせとを包含する。列挙されたいかなる範囲も、十分に記載されて同じ範囲を少なくとも均等な半分、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一などに分割できるものとして、容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で議論された各範囲は、下位三分の一、中位三分の一、および上位三分の一などに容易に分けることができる。また当業者によって理解されることになるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言葉遣いは、上記で議論されたような部分範囲にその後分割できる範囲を記載し指示する数を含む。最後に、当業者によって理解されることになるように、範囲は、それぞれの個別のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1個、2個、または3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1個、2個、3個、4個、または5個の細胞を有する群などを指す。
【0025】
本開示の様々な態様を、範囲形式で提示することができる。範囲形式の記載は、単に便宜上および簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する融通性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、すべての可能性のある部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6を具体的に開示したとみなされるべきである。これは、範囲の広がりに関係なく適用される。
【0026】
概して、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学およびタンパク質ならびに核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法は周知であり、当該技術分野で一般的に使用される。本明細書に提供される方法および技術は、通常、当該技術分野で周知の従来的な方法に従って、また別段の示唆がない限り、本明細書全体を通して引用および考察される様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されるように実施される。酵素反応および精製技術は、当該技術分野で一般的に達成されるかまたは本明細書に記載されるように、製造業者の仕様に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、および医薬および医薬化学に関連して使用される命名法は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されているものである。標準技術は、化学合成、化学分析、医薬調製、製剤、および送達、ならびに患者の治療に使用される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「対照」は、比較目的で実験で使用される代替的な試料である。対照は、「陽性」または「陰性」とすることができる。本明細書で使用される場合、「対照試料」または「参照試料」とは、実験試料と比較するための対照として機能する試料または参照を指す。例えば、実験試料は、バイアル中に化合物A、B、およびCを含み、対照は、実験試料と同一に処理されたものであるが、化合物A、B、またはCのうちの一つ以上を欠く、同じタイプの試料であってもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの鎖として定義される。さらに、核酸はヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書で使用される核酸およびポリヌクレオチドは互換性がある。当業者であれば、核酸がポリヌクレオチドであり、単量体である「ヌクレオチド」内に加水分解され得るという一般知識を有する。単量体であるヌクレオチドを、ヌクレオシドに加水分解することができる。ポリヌクレオチドには、当該技術分野で利用可能な任意の手段によって取得されるすべての核酸配列が含まれるがこれらに限定されず、これには、組み換え手段、すなわち、通常のクローニング技術およびポリメラーゼ連鎖反応などを使用した組み換えライブラリーまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニング、および合成的な手段が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基から成る化合物を指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも二つのアミノ酸を含有する必要があり、タンパク質配列またはペプチド配列を構成しすることができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合された二つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、当該技術分野において一般に、例えばペプチド、オリゴペプチド、およびオリゴマーとも呼ばれる短い連鎖と、当該技術分野において一般にタンパク質と呼ばれ、多くの種類がある、より長い連鎖の両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性の断片、実質的に相同的なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドは、天然ペプチド、組み換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、任意選択的に指定量での指定成分(例えば、本明細書に提供される腫瘍溶解性ウイルス)を含有する生成物、ならびに任意選択的に指定量での指定成分の組み合わせから直接的または間接的にもたらされる任意の生成物を包含することが意図される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用できる組成物を指す。数多くのベクターが当該技術分野で周知であり、これには、直鎖ポリヌクレオチド、イオン性化合物または両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスが含まれるが、これらに限定されない。したがって、「ベクター」という用語は、自己複製するプラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、例えば、ポリリシン化合物、リポソームなどの細胞への核酸の輸送を促進する非プラスミドおよび非ウイルス性化合物を含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、センダイウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、HSVベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に動作可能に連結された発現制御配列を含む、組み換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用性要素を含み、発現のための他の要素は、宿主細胞によって、またはインビトロ発現系内で供給され得る。発現ベクターは、組み換えポリヌクレオチドを組み込む、コスミド、プラスミド(例えば、ネイキッド、またはリポソーム内に含有される)、およびウイルス(例えば、センダイウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス)など、当該技術分野で周知の全てのものを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、そのプロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳として定義される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、免疫応答を誘発し、B細胞応答および/またはT細胞応答を誘発することができる抗原上の小さな化学分子として定義される。抗原は、一つ以上のエピトープを有し得る。ほとんどの抗原は、多くのエピトープを有する、すなわち、多価である。一般に、エピトープは、およそ約10個のアミノ酸および/または糖のサイズである。好ましくは、エピトープは、約4~18個のアミノ酸、より好ましくは約5~16個のアミノ酸、さらにより好ましくは6~14個のアミノ酸、より好ましくは約7~12個のアミノ酸、最も好ましくは約8~10個のアミノ酸である。当業者であれば、分子の特異的な直鎖状配列ではなく全体的な三次元構造が概して抗原特異性の主な基準であり、従って一つのエピトープを別のエピトープから区別することを理解している。本開示に基づいて、本発明のペプチドはエピトープとすることができる。
【0035】
別段の指定がない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、かつ同じアミノ酸配列をコードする、全てのヌクレオチド配列を含む。「タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列」という語句はまた、一部のバージョンでタンパク質をコードするヌクレオチド配列がイントロンを含有し得る程度までイントロンを含んでもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、「自己」という用語は、後にその個体に再導入されるのと同じ個体に由来する任意の材料を指すことを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「同種異系」とは、同じ種の異なる動物に由来する任意の材料を指す。「異種」は、異なる種の動物に由来する任意の材料を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗原受容体」または「CAR」という用語は、免疫細胞上に発現され、標的タンパク質または抗原に特異的に結合するように操作された人工受容体を指す。CARは、養子細胞移植を用いた療法として使用されてもよく、ここでは、T細胞が患者から除去され、CARを発現するように改変され、次いで患者に再導入される。一部の実施形態では、CARは、選択された標的、例えば、前立腺特異的膜抗原を発現する細胞に対する特異性を有する。CARはまた、細胞内活性化ドメイン、膜貫通ドメイン、および腫瘍関連抗原結合領域を含む細胞外ドメインを含んでもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「共刺激リガンド」という語句は、同族の共刺激分子をT細胞上に特異的に結合し、それにより、例えば、ペプチドに装填されたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合により提供される一次シグナルに加えて、増殖、活性化、分化等を含むがこれらに限定されないT細胞応答を媒介するシグナルを提供する、抗原提示細胞(例えば、人工APC(aAPC)、樹状細胞、B細胞など)上の分子を含む。共刺激リガンドには、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体を結合する作動薬もしくは抗体、またはB7-H3に特異的に結合するリガンドを含むが、これらに限定されない。共刺激リガンドはまた、とりわけ、CD27、CD28、4-1BB、0X40、CD30、CD40、PD-l、ICOS、リンパ球機能関連抗原l(LFA-l)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびCD83と特異的に結合するリガンドなどの、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体を包含する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「共刺激分子」とは、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって増殖を含むがこれに限定されない、T細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族の結合パートナーを指す。共刺激分子には、MHCクラスI分子、BTLA、およびTollリガンド受容体が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル」とは、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせたシグナルを指し、T細胞増殖および/または主要分子の上方制御または下方制御をもたらす。
【0042】
本明細書で使用される場合、「有効量」および「治療有効量」という語句は互換的に使用され、特定の生物学的結果を達成する、または治療的な利益もしくは予防的な利益を提供するために有効な、本明細書に記載される化合物、製剤、材料、または組成物の量を指す。こうした結果には、哺乳動物(例えば、ヒト患者)に投与された時に、腫瘍サイズ、数、または体積の減少、癌/腫瘍細胞死、および/または腫瘍退縮を引き起こす量が含まれてもよいが、これらに限定されない。当業者であれば、本明細書で投与される組成物の量は、治療対象の癌、治療対象の哺乳動物の年齢や健康、身体状態、癌の段階/疾患の重症度、投与される特定の化合物などの多くの要因に基づいて変化し、容易に決定できることを理解するであろう。
【0043】
本明細書で使用される場合、CARまたはその抗原結合ドメインに関して「特異的に結合する」という語句は、CARは特定の抗原を認識するが、試料中の他の分子を実質的には認識または結合しないことを意味する。例えば、一つの種に由来する抗原に特異的に結合するCARは、一つ以上の種に由来するその抗原に結合してもよい。しかし、こうした交差反応性自体は、抗体の分類を特異的なものとして変えるものではない。別の例では、抗原に特異的に結合するCARは、抗原の異なる対立遺伝子型に結合してもよい。しかし、こうした交差反応性自体は、分類を特異的なものとして変えるものではない。
【0044】
II.キメラ抗原受容体
一部の態様では、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む、改変免疫細胞またはその前駆体、例えば、T細胞またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)のための組成物および方法を提供する。したがって、一部の態様では、免疫細胞は、CARを発現するように遺伝子改変されている。一部の態様では、本開示のCARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、ヒンジドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARは、抗原結合ドメイン、スペーサードメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含む。
【0045】
一部の態様では、抗原結合ドメインは、細胞内での発現のために、本明細書の別の箇所で記載される膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインなどのCARの別のドメインに動作可能に連結されてもよい。一部の態様では、抗原結合ドメインをコードする第一の核酸配列は、膜貫通ドメインをコードする第二の核酸に動作可能に連結され、さらに細胞内ドメインをコードする第三の核酸配列に動作可能に連結される。
【0046】
一部の態様では、本明細書に記載される抗原結合ドメインは、本明細書に記載される膜貫通ドメインのいずれか、本明細書に記載される細胞内ドメインもしくは細胞質ドメインのいずれか、または本発明のCARに含まれうる本明細書に記載される他のドメインのいずれかと組み合わせることができる。一部の態様では、CARはまた、本明細書に記載されるようにスペーサードメインを含んでもよい。一部の態様では、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインの各々は、リンカーによって分離される。
【0047】
抗原結合ドメイン
CARの抗原結合ドメインは、タンパク質、炭水化物、および糖脂質を含む特定の標的抗原に結合するためのCARの細胞外領域である。一部の態様では、CARは、標的細胞上の標的抗原との親和性を含む。標的抗原は、標的細胞と関連付けられた任意のタイプのタンパク質またはそのエピトープを含んでもよい。例えば、CARは、標的細胞の特定の病態を示す標的細胞上の標的抗原との親和性を含んでもよい。
【0048】
例示的な態様では、標的細胞抗原は、細胞表面上に発現されるIL-13Rα2である。一部の態様では、CARは、IL-13Rα2、IL-13Rα2エピトープ、IL-13Rα2変異体、および/またはIL-13Rα2断片に対する親和性または特異性を有する。
【0049】
別の例示的な態様では、標的細胞抗原は、細胞表面上に発現されるHER2である。一部の態様では、CARは、HER2、HER2エピトープ、HER2変異体、および/またはHER2断片に対する親和性または特異性を有する。
【0050】
本明細書に記載されるように、標的細胞上の特定の標的抗原に対する親和性を有する本開示のCARは、標的特異的結合ドメインを含んでもよい。一部の実施形態では、標的特異的結合ドメインは、マウス標的特異的結合ドメインであり、例えば、標的特異的結合ドメインは、マウス起源である。一部の実施形態では、標的特異的結合ドメインは、ヒト標的特異的結合ドメインであり、例えば、標的特異的結合ドメインは、ヒト起源である。例示的な実施形態では、標的細胞上のIL-13Rα2またはHER2との親和性を有する本開示のCARは、IL-13Rα2結合ドメインまたはHER2結合ドメインを含んでもよい。一部の実施形態では、結合ドメインは、マウス結合ドメインであり、例えば、結合ドメインは、マウス起源である。一部の実施形態では、結合ドメインは、ヒト結合ドメインであり、例えば、IL結合ドメインは、ヒト起源である。
【0051】
一部の態様では、本開示のCARは、一つ以上の標的細胞上の一つ以上の標的抗原に対して親和性を有してもよい。一部の態様では、CARは、標的細胞上の一つ以上の標的抗原に対して親和性を有してもよい。こうした態様では、CARは二重特異性CAR、または多重特異性CARである。一部の態様では、CARは、一つ以上の標的抗原に親和性を与える一つ以上の標的特異的結合ドメインを含む。一部の態様では、CARは、同じ標的抗原に親和性を与える一つ以上の標的特異的結合ドメインを含む。例えば、同じ標的抗原に対する親和性を有する一つ以上の標的特異的結合ドメインを含むCARは、標的抗原の別個のエピトープを結合することができる。複数の標的特異的結合ドメインがCAR中に存在する場合、結合ドメインは縦一列に配置されてもよく、リンカーペプチドによって分離されてもよい。例えば、二つの標的特異的結合ドメインを含むCARにおいて、結合ドメインは、オリゴリンカーもしくはポリペプチドリンカー、Fcヒンジ領域、または膜ヒンジ領域を介して、単一のポリペプチド鎖上で互いに共有結合される。
【0052】
一部の態様では、抗原結合ドメインは、抗体、抗原結合断片(Fab)、および単鎖可変断片(scFv)から成る群から選択される。一部の実施形態では、本発明のIL-13Rα2結合ドメインまたはHER2結合ドメインは、IL-13Rα2特異的もしくはHER2特異的な抗体、IL-13Rα2特異的もしくはHER2特異的なFab、およびIL-13Rα2特異的もしくはHER2特異的なscFvから成る群から選択される。一つの実施形態では、IL-13Rα2結合ドメインまたはHER2結合ドメインは、IL-13Rα2特異的もしくはHER2特異的な抗体である。一つの実施形態では、IL-13Rα2結合ドメインまたはHer2結合ドメインは、IL-13Rα2特異的もしくはHER2特異的なFabである。一つの実施形態では、IL-13Rα2結合ドメインまたはHER2結合ドメインは、IL-13Rα2特異的もしくはHER2特異的なscFvである。一部の態様では、抗原結合ドメインは、IL-13サイトカインまたはその変異体、バリアント、または断片(すなわち、「ゼータカイン」)である。例えば、一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、IL13 E13Yムテインを含んでもよい。
【0053】
抗原結合ドメインは、抗原に結合する任意のドメインを含むことができ、また、IL-13Rα2に結合することのできるIL-13タンパク質、ポリペプチド、バリアント、変異体、もしくはその断片、またはHER2に結合することのできるタンパク質もしくはポリペプチド、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、非ヒト抗体、ならびにその任意の断片またはscFvを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、抗原結合ドメイン部分は、哺乳動物抗体またはその断片を含む。抗原結合ドメインの選択は、標的細胞の表面上に存在する抗原の種類および数に依存してもよい。本明細書で使用される場合、「単鎖可変断片」または「scFv」という用語は、VH::VLヘテロ二量体を形成するために共有結合された免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。重鎖(VH)および軽鎖(VL)は、直接結合されるか、またはペプチドをコードするリンカーによって結合され、これはVHのN末端をVLのC末端に、またはVHのC末端をVLのN末端に接続する。一部の実施形態では、抗原結合ドメイン(例えば、IL-13Rα2結合ドメイン)は、N末端からC末端へ、VH-リンカー-VLの構成を有するscFvを含む。一部の実施形態では、抗原結合ドメイン(例えば、IL-13Rα2結合ドメイン)は、N末端からC末端へ、VL-リンカー-VHの構成を有するscFvを含む。当業者であれば、本発明で使用するための適切な構成を選択することができるであろう。scFvのリンカーは通常、柔軟性のためにグリシンが豊富であり、また溶解性のためにセリンまたはトレオニンが豊富である。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域を連結することができる。リンカーの非限定的な例は、米国特許第2014/087010号に開示されている。
【0054】
一部の態様では、抗原結合ドメインは、GPVPPSTALRYLIEELVNITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGMYCAALESLINVSGCSAIEKTQRMLSGFCPHKVSAGQFSSLHVRDTKIEVAQFVKDLLLHLKKLFREGRFN(配列番号1)を含む。
【0055】
一部の態様では、抗原結合ドメインは、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKGSTSGGGSGGGSGGGGSSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)を含む。
【0056】
一部の態様では、結合ドメインにおいて、IL-13Rα2への結合を維持しつつ、耐容性があるバリエーションは、当業者であれば周知となるであろう。一部の態様では、IL-13Rα2結合ドメインは、配列番号1または配列番号9との、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0057】
スペーサードメイン
一部の態様では、CARはスペーサードメインを含む。一部の態様では、スペーサードメインは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびシグナル伝達ドメインのうちの一つ以上を、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびシグナル伝達ドメインのうちの一つ以上に連結するように機能するオリゴペプチドまたはポリペプチドである。一部の態様では、スペーサードメインは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸の長さを含む短いアミノ酸リンカーであってもよい。例えば、グリシン-セリンのダブレットである。一部の態様では、スペーサードメインは、CARの細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間に発生する。一部の態様では、スペーサードメインは、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に発生する。一部の態様では、スペーサードメインは、最大300個のアミノ酸、例えば、10~100個のアミノ酸、または25~50個のアミノ酸を含んでもよい。
【0058】
リンカーの非限定的な例は、WO 2015/105522号に開示されている。
【0059】
一部の態様では、スペーサードメインは免疫グロブリンFcドメインを含む。一部の態様では、スペーサードメインはIgG Fcドメインを含む。一部の態様では、スペーサードメインはIgG4 Fcドメインを含む。一部の態様では、IgG4 Fcドメインは、以下のうちの一つを含む:
ESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号10)、
ESKYGPPCPPCPGGGSSGGGSGGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号2)、
ESKYGPPCPSCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHQAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号3)、
PKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHQAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSV MHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号4)、または
GQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号5)。
【0060】
一部の態様では、IgG4 Fcドメインにおいて耐容性があるバリエーションは、当業者であれば周知となるであろう。一部の態様では、IgG4 Fcドメインは、配列番号2~5または配列番号10のうちの一つとの、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0061】
ヒンジドメイン
一部の態様では、CARはヒンジドメインを含む。CARのヒンジドメインは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置付けられることができる親水性領域である。一部の態様では、このドメインは、数ある機能の中でも、CARに対する適切なタンパク質フォールディングを促進してもよい。ヒンジドメインは、CARの任意選択的な構成要素である。一部の態様では、膜貫通ドメインは、ヒンジドメインをさらに含む。ヒンジドメインは、抗体のFc断片、抗体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工ヒンジ配列、またはそれらの組み合わせから選択されるドメインを含んでもよい。ヒンジドメインの例としては、CD8aヒンジ、3個のグリシン(Gly)と同程度に小さいポリペプチドでできた人工ヒンジ、ならびにIgG(ヒトIgG4など)のCH1ドメインおよびCH3ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
一部の態様では、CARは、抗原結合ドメインを膜貫通ドメインに接続するヒンジドメインを含み、これは次に細胞内ドメインに接続する。ヒンジドメインは、抗原結合ドメインを支持して、標的細胞上の標的抗原を認識し結合することができることが好ましい。一部の態様では、ヒンジドメインは柔軟性のあるドメインであり、したがって、抗原結合ドメインが、腫瘍細胞などの細胞上の標的抗原の特定の構造および密度を最適に認識する構造を有することを可能にする。ヒンジドメインの柔軟性により、ヒンジ領域は多くの異なる立体構造を採用することができる。
【0063】
一部の実施形態において、ヒンジドメインは、免疫グロブリン重鎖ヒンジ領域である。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、受容体(例えば、CD8由来ヒンジ領域)に由来するポリペプチドである。
【0064】
一部の態様では、ヒンジドメインは、約4個のアミノ酸~約50個のアミノ酸、例えば、約4aa~約10aa、約10aa~約15aa、約15aa~約20aa、約20aa~約25aa、約25aa~約30aa、約30aa~約40aa、または約40aa~約50aaの長さを有してもよい。
【0065】
一部の態様では、ヒンジドメインは、容易に選択することができ、1個のアミノ酸(例えば、Gly)~20個のアミノ酸、2個のアミノ酸~15個のアミノ酸、3個のアミノ酸~12個のアミノ酸、4個のアミノ酸から10個のアミノ酸、5個のアミノ酸から9個のアミノ酸、6個のアミノ酸から8個のアミノ酸、または7個のアミノ酸~8個のアミノ酸などの適切な長さの数であってもよく、また1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個のアミノ酸であってもよい。
【0066】
膜貫通ドメイン
一部の態様では、本開示のCARは、CARの抗原結合ドメインをCARの細胞内ドメインに接続する膜貫通ドメインを含んでもよい。対象のCARの膜貫通ドメインは、細胞(例えば、免疫細胞またはその前駆体)の原形質膜の全範囲にわたることができる領域である。膜貫通ドメインは、細胞膜、例えば、真核細胞膜への挿入用である。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CARの抗原結合ドメインと細胞内ドメインとの間にはさまれる。
【0067】
一部の態様では、膜貫通ドメインは、CARの一つ以上のドメインと自然に関連付けられる。一部の態様では、膜貫通ドメインは、こうしたドメインが同一または異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに結合するのを回避し、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するために、一つ以上のアミノ酸置換によって選択または改変されることができる。膜貫通ドメインは、自然源または合成源のいずれに由来してもよい。自然源である場合、ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質、例えば、I型膜貫通タンパク質に由来してもよい。合成源である場合、膜貫通ドメインは、細胞膜、例えば、人工疎水性配列へのCARの挿入を容易にする任意の人工配列であってもよい。一部の態様では、膜貫通ドメインは、T細胞受容体、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134(OX-40)、CD137(4-1BB)、CD154(CD40L)、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9のα鎖、β鎖またはζ鎖に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含む)膜貫通ドメインである。一部の態様では、膜貫通ドメインは合成であってもよく、その場合、これはロイシンおよびバリンなどの主に疎水性残基を含む。好ましくは、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。
【0068】
一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD4膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、CD4膜貫通ドメインは、MALIVLGGVAGLLLFIGLGIFF(配列番号6)を含む。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、CD8膜貫通ドメインは、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号11)、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLY(配列番号12)、またはIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号13)を含む。
【0069】
一部の態様では、膜貫通ドメインにおいて耐容性があるバリエーションは、当業者であれば周知となるであろう。一部の態様では、膜貫通ドメインは、配列番号6または配列番号13との、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0070】
共刺激ドメイン
一部の態様では、堅牢なCAR-T細胞の増殖、機能、持続性、および抗腫瘍活性を達成するために、共刺激シグナルが必要である。これらは、一つ以上のT細胞共刺激分子からの一つ以上の共刺激ドメインを組み込むことによって提供されてもよい。一部の態様では、共刺激ドメインは、CD3、CD4、CD8、T細胞受容体(TCR)、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、0X40、CD30、CD40、PD-l、ICOS、リンパ球機能関連抗原l(LFA-l)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83またはその断片と特異的に結合するリガンドの共刺激分子から選択される。
【0071】
一部の態様では、共刺激ドメインは、4-1BB共刺激ドメインを含む。一部の態様では、4-1BB共刺激ドメインは、KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号7)を含む。
【0072】
一部の態様では、共刺激ドメインにおける耐容性があるバリエーションは、当業者であれば周知であろう。一部の態様では、共刺激ドメインは、配列番号7との、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0073】
細胞内シグナル伝達ドメイン
一部の態様では、CARは細胞内シグナル伝達ドメインも含む。「細胞内シグナル伝達ドメイン」および「細胞内ドメイン」という用語は、本明細書では互換的に使用される。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが発現される細胞のエフェクター機能(例えば、免疫細胞)の少なくとも一つの活性化を担う。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを形質導入し、細胞(例えば、免疫細胞)に対し、例えば、標的細胞に害を及ぼし、および/または破壊するなどの、その特殊な機能を実施するよう指示する。
【0074】
一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、表面受容体、共刺激分子、またはT細胞におけるシグナル形質導入を開始するために協調して機能する任意の分子の細胞質部分であるほか、これらの要素の任意の誘導体またはバリアントや、同じ機能的能力を有する任意の合成配列である。
【0075】
一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体複合体のz鎖、またはその任意の相同体(例えば、h鎖、FcsRfyおよびb鎖、MB1(IgA)鎖、B29(Ig)鎖)、ヒトCD3 ζ鎖、CD3ポリペプチド(A、dおよびe)、sykファミリーのチロシンキナーゼ(Syk、ZAP 70など)、srcファミリーのチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lynなど)、およびT細胞形質導入に関与するその他の分子(CD2、CD5、CD28など)である。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3 ζ鎖、FcyRIII、FcsRI、Fc受容体の細胞質尾部、細胞質受容体を有する免疫受容活性化チロシンモチーフ(IT AM)、およびそれらの組み合わせであってもよい。
【0076】
一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、TCR、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD86、共通FcRガンマ、FcRベータ(Fcイプシロン Rib)、CD79a、CD79b、FcガンマRlla、DAP 10、DAP 12、T細胞受容体(TCR)、CD8、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX9、0X40、CD30、CD40、PD-l、ICOS、KIRファミリータンパク質、リンパ球機能関連抗原l(LFA-l)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-l、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD1 ID、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-l、ITGAM、CD lib、ITGAX、CD l lc、ITGB1、CD29、ITGB2、CD 18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD 96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD 100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD 162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、本明細書に記載される他の共刺激分子、その任意の誘導体、バリアント、またはその断片、および同じ機能的能力を有する共刺激分子の任意の合成配列、およびそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、一つ以上の分子または受容体の断片またはドメインを含む。
【0077】
一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号15)などのCD3ζシグナル伝達ドメインである。
【0078】
一部の態様では、本開示のCARは、GPVPPSTALRYLIEELVNITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGMYCAALESLINVSGCSAIEKTQRMLSGFCPHKVSAGQFSSLHVRDTKIEVAQFVKDLLLHLKKLFREGRFNESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELGGGRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号8)を含む、または同左から成る。
【0079】
一部の態様では、本開示のCARは、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKGSTSGGGSGGGSGGGGSSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFQSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELGGGRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号14)を含む、または同左から成る。
【0080】
一部の態様では、CARにおける耐容性があるバリエーションは、当業者であれば周知であろう。一部の態様では、CARは、配列番号8または配列番号14との、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0081】
一部の態様では、CARを発現する細胞は、当業者に周知の任意の手段によって宿主細胞内に導入される。発現ベクターは、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含んでもよい。あるいは、発現ベクターは、融合、エレクトロポレーション、バイオリステック法、トランスフェクション、リポフェクションなどによって導入されてもよい。宿主細胞は、発現ベクターの導入前に培養物中で増殖させて、その後にベクターの導入および統合のための適切な処理を行ってもよい。次いで、宿主細胞は増殖され、ベクター中に存在するマーカーによってスクリーニングされてもよい。使用され得る様々なマーカーは、当該技術分野で周知であり、hprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ヒグロマイシン耐性などを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養」という用語は、互換的に使用され得る。一部の実施形態では、宿主細胞は、免疫細胞またはその前駆体、例えば、T細胞、NK細胞、またはNK T細胞である。
【0082】
CARがインビボで発現される場合、CARはリーダー配列またはGMCSFRaシグナルペプチド、例えば、MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIP(配列番号16)を一時的に含んでもよく、これは最終的に成熟CARから切り離される。
【0083】
本開示はまた、CARまたは本開示を含み安定的に発現する、遺伝子操作された細胞を提供する。一部の態様では、操作された細胞は、本開示のドミナントネガティブ受容体および/またはスイッチ受容体、ならびに/または二重特異性抗体、および/またはそれらの組み合わせを発現する。一部の態様では、遺伝子操作された細胞は、遺伝子操作されたTリンパ球(T細胞)、ナイーブT細胞(TN)、メモリーT細胞(例えば、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリー細胞(TEM))、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、および治療に関連する子孫を生じさせることができるマクロファージである。一部の態様では、遺伝子操作された細胞は自己細胞である。改変細胞(例えば、対象のCAR、ドミナントネガティブ受容体および/またはスイッチ受容体を含む、および/または二重特異性抗体および/またはそれらの組み合わせを発現および/または分泌する)は、本開示の核酸を含む発現ベクターを有する宿主細胞を安定的に形質移入することによって産生されてもよい。本開示の改変細胞を生成するための追加の方法には、化学的変換方法(例えば、リン酸カルシウム、デンドリマー、リポソームおよび/またはカチオン性ポリマーを使用)、非化学的変換方法(例えば、エレクトロポレーション、光学変換、遺伝子の電気泳動転写および/または流体力学的送達)、および/または粒子ベースの方法(例えば、遺伝子銃および/またはマグネトフェクションを使用した遺伝子導入法)が含まれるが、これらに限定されない。本開示の対象のCAR、ドミナントネガティブ受容体および/またはスイッチ受容体、ならびに/または二重特異性抗体、および/またはそれらの組み合わせを発現する形質移入された細胞は、エクスビボで増殖されてもよい。
【0084】
一部の態様では、本開示は、CARを発現する改変免疫細胞の集団に関する。一部の態様では、集団は、T細胞、NK細胞、および/またはマクロファージの一つ以上の亜集団を含む。
【0085】
一部の態様では、CARを発現する細胞集団は、選択タグをさらに発現する。一部の態様では、選択タグは、切断型CD19配列(CD19t)(例えば、CGDVEENPGPRMPPPRLLFFLLFLTPMEVRPEEPLVVKVEEGDNAVLQCLKGTSDGPTQQLTWSRESPLKPFLKLSLGLPGLGIHMRPLAIWLFIFNVSQQMGGFYLCQPGPPSEKAWQPGWTVNVEGSGELFRWNVSDLGGLGCGLKNRSSEGPSSPSGKLMSPKLYVWAKDRPEIWEGEPPCVPPRDSLNQSLSQDLTMAPGSTLWLSCGVPPDSVSRGPLSWTHVHPKGPKSLLSLELKDDRPARDMWVMETGLLLPRATAQDAGKYYCHRGNLTMSFHLEITARPVLWHWLLRTGGWKVSAVTLAYLIFCLCSLVGILHLQRALVLRRKR(配列番号17))である。一部の態様では、選択タグは、切断型上皮成長因子受容体配列(EGFRt)である。一部の態様では、CARを発現する細胞集団は、CAR発現細胞の単離および精製を可能にするタグを含む。CD19tおよびEGFRtなどのタグは、T2Aスキップ配列(例えば、LEGGGEGRGSLLT(配列番号18))によって成熟CAR配列から分離されてもよい。
【0086】
III.腫瘍溶解性ウイルス
腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞に特異的に感染して破壊するためにウイルスを利用する免疫療法の一形態である。これらのウイルスの一部は自然発生的であり、一部は合成または改変されたものであるが、いくつかの理由から、癌を治療する有望なアプローチとなっている。癌細胞は、感染に対する感受性を高める抗ウイルス防御が低下していることが多い。自然発生的な腫瘍溶解性ウイルスは、健康な細胞への感染能力を低下させるなど、有利な特性を与えるように改変され得る。感染後、これらのウイルスは、癌細胞を溶解させ、癌細胞を死滅させ、癌細胞抗原を放出させることができる。その後、これらの抗原は免疫応答を刺激し、それが免疫系の抗癌活性を増強することができる。
【0087】
一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスは、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス、シンビスウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、およびヘルペスウイルス(HSV)から選択される。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、パラミキソウイルス、レオウイルス、パルボウイルス、およびラブドウイルスから選択される。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスはワクシニアウイルスである。
【0088】
世界的には、T-VECとH101のウイルス2種について規制当局の承認が得られている。H101は、全身化学療法と組み合わせた上咽頭癌の治療のために中国で承認された、遺伝子改変腫瘍溶解性アデノウイルスである。T-Vecは、手術不能な局所進行性または転移性悪性の黒色腫に対する、組換え顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)含有のヒト単純ヘルペスI型ウイルス(HSV-1)である。
【0089】
本開示の目的のため、開示された坑IL-13Rα2 CARとの組み合わせにあたっては、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルスが好ましい。腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス(oHSV)I型構築物は、悪性神経膠腫を含む様々な悪性腫瘍に対する抗腫瘍薬である。これまで臨床試験から、CNSに直接投与された場合でも、これらの薬剤の安全性が支持されている。これらの薬剤に対する従来の米国食品医薬品局(FDA)の臨床前毒性試験には、マウスおよび霊長類の研究を含む2種の使用が含まれた。特に、キメラoHSV構築物であるC134は、いくつかのモデルシステムで安全かつ有効であることが示された。C134は、神経毒性があり、腫瘍溶解性第二世代であり、複製能力があり、組み換えおよび遺伝子操作された単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)で、これにおいてICP34.5の遺伝子が欠失し、またヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、タンパク質キナーゼR(PKR)回避タンパク質IRS1をコードする遺伝子が、潜在的な腫瘍溶解性活性および免疫賦活性を有する。腫瘍内投与をすると、腫瘍溶解性HSV-1 C134は、急速に分裂するグリオーマ細胞内で特異的に感染・複製し、それによって腫瘍細胞を直接溶解する。次いで、放出されたウイルス粒子は、隣接する腫瘍細胞に感染・複製し、それによって腫瘍細胞をさらに死滅させる。溶解された腫瘍細胞から放出された腫瘍抗原はまた、免疫系を活性化して、腫瘍特異的全身免疫および細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を誘導し、それによって、近くの非感染腫瘍細胞を死滅させる。ICP34.5をコードする遺伝子の欠失は、健康な細胞における複製を防止することによって、腫瘍の選択性を付与する。IRS1発現は、ウイルスが腫瘍内で複製することを可能にするが、ウイルスの広がりは制限される。
【0090】
一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスは遺伝子改変される。一部の態様では、ウイルス中で一つ以上の遺伝子が破壊されている。一部の態様では、ウイルス中で一つ以上の遺伝子が欠失している。一部の態様では、ウイルスに対して異種の一つ以上の遺伝子がウイルスに導入される。一部の態様では、遺伝子改変ウイルスはHSV-1である。一部の態様では、HSV-1は、ICP34.5遺伝子が破壊または欠失されるように改変される。一部の態様では、HSV-1は、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)IRS1遺伝子がウイルスゲノム内に導入されるように改変される。一部の態様では、HSV-1ウイルスはC134である。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスは複製能力がある。
【0091】
IV.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、一つ以上の薬学的または生理学的に許容可能な担体、希釈剤、アジュバント、または賦形剤と組み合わせた、本明細書に記載される遺伝子改変免疫細胞を含んでもよい。こうした組成物は、緩衝剤(中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水など)、炭水化物(グルコース、マンノース、スクロース、またはデキストランなど)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド、またはアミノ酸(グリシンなど)、抗酸化剤、キレート剤(EDTAまたはグルタチオンなど)、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、および保存料を含んでもよい。一部の態様では、本発明の組成物は、静脈内投与のために製剤化されることが好ましい。一部の態様では、本発明の医薬組成物は、中枢神経系への投与のために製剤化されることが好ましい。一部の態様では、レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)ベクターを含む医薬組成物は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与するのに好適である。
【0092】
V.治療方法
一部の態様では、必要とする患者は、(1)CARを発現する細胞集団、および(2)腫瘍溶解性ウイルスの両方を投与される。一部の態様では、必要とする患者は、癌患者である。一部の態様では、癌は、IL-13Rα2および/またはHER2を発現する細胞を含む。一部の実施形態では、癌は多形膠芽腫(GBM)である。
【0093】
一部の態様では、必要とする患者は女性である。一部の態様では、必要とする患者は男性である。一部の態様では、患者は成人(18歳以上)である。一部の態様では、患者は子供である。一部の態様では、子供の年齢は、2歳超、3歳超、4歳超、5歳超、6歳超、7歳超、8歳超、9歳超、10歳超、11歳超、12歳超、13歳超、14歳超、15歳超、または16歳超である。一部の態様では、患者は、50歳超、55歳超、60歳超、65歳超、70歳超、75歳超、80歳超、85歳超、90歳超、95歳超、100歳超、または105歳超の成人である。
【0094】
一部の態様では、患者は、少なくとも6か月、少なくとも9か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも36か月、少なくとも48か月、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年、または少なくとも10年という緩解期の後に、癌が再発または再燃した。
【0095】
一部の態様では、患者は、固形腫瘍を除去するための外科手術を受けている。一部の態様では、固形腫瘍は、本明細書に記載される癌のうちのいずれか一つである。一部の態様では、固形腫瘍は転移性腫瘍である。一部の態様では、外科手術は原発性膠芽腫の除去であった。一部の態様では、膠芽腫は多形膠芽腫である。一部の態様では、患者の癌は、腫瘍溶解療法単独には無応答であった。一部の態様では、患者の癌は、CAR-T療法単独には無応答であった。
【0096】
一部の態様では、患者に、CARを含む細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスが同時投与される。一部の態様では、患者に、CARを含む細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスが別々に投与される。一部の態様では、患者に、CARを含む細胞集団が最初に、腫瘍溶解性ウイルスが二番目に投与される。一部の態様では、患者に、腫瘍溶解性ウイルスが最初に、CARを含む細胞集団が二番目に投与される。
【0097】
一部の態様では、患者に、腫瘍溶解性ウイルスおよびCARを含む細胞集団の少なくとも一回の用量が投与される。一部の態様では、患者に、腫瘍溶解性ウイルスおよびCARを含む細胞集団のそれぞれの少なくとも二回の用量が投与される。一部の態様では、患者に、腫瘍溶解性ウイルスおよびCARを含む細胞集団のそれぞれの少なくとも三回の用量が投与される。一部の態様では、患者に、腫瘍溶解性ウイルスの少なくとも一回の用量およびCARを含む細胞集団の少なくとも二回の用量が投与される。一部の態様では、患者に、CARを含む細胞集団の少なくとも一回の用量および腫瘍溶解性ウイルスの少なくとも二回の用量が投与される。
【0098】
一部の態様では、CARを含む細胞集団が最初に投与され、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日の期間が経過してから、腫瘍溶解性ウイルスが投与される。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルスが最初に投与され、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日の期間が経過してから、CARを含む細胞集団が投与される。
【0099】
一部の態様では、CARを含む細胞集団が最初に投与され、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、少なくとも15日、少なくとも16日、少なくとも17日、少なくとも18日、少なくとも19日、少なくとも20日、少なくとも21日、少なくとも22日、少なくとも23日、少なくとも24日、少なくとも25日、少なくとも26日、少なくとも27日、少なくとも28日、少なくとも29日または少なくとも30日の期間が経過してから、腫瘍溶解性ウイルスが投与される。一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルス最初に投与され、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、少なくとも15日、少なくとも16日、少なくとも17日、少なくとも18日、少なくとも19日、少なくとも20日、少なくとも21日、少なくとも22日、少なくとも23日、少なくとも24日、少なくとも25日、少なくとも26日、少なくとも27日、少なくとも28日、少なくとも29日または少なくとも30日の期間が経過してから、CARを含む細胞集団が投与される。
【0100】
一部の態様では、腫瘍溶解性ウイルス、およびCARを含む細胞集団は、脳室内経路を介して、腫瘍内経路を介して、くも膜下腔内経路を介して、切除された腫瘍空洞内に、頭蓋内経路を介して、または中枢神経系に直接的に、投与される。
【0101】
VI.癌
一部の態様では、本明細書に記載される治療に反応する癌は、IL-13Rα2が発現される癌を含む。一部の態様では、こうした癌は、癌腫および肉腫などの固形腫瘍を含む。癌腫には、上皮細胞に由来する悪性新生物が含まれ、周囲の組織に浸潤して、転移をもたらす。腺癌は、腺組織、または認識可能な腺構造を形成する組織に由来する癌腫である。一部の態様では、癌は、肉腫および線維肉腫を含み、これらは、その細胞が胎生結合組織などの線維性物質または均質物質に埋め込まれた腫瘍である。一部の態様では、癌は、白血病、リンパ腫、および典型的には腫瘍塊として存在しないが、一般的に血管系またはリンパ管系に分布する他の癌などの骨髄性癌またはリンパ性癌を含む。一部の態様では、癌は、成人、子供、男性、および/または女性に特有の、または概して固有の癌を含む。一部の態様では、癌は、原発性癌、二次癌、前転移性癌、後転移性癌、急性癌、慢性癌、良性癌、悪性癌、概して解剖学的位置に局在する癌を含む。
【0102】
一部の態様では、治療され得る癌は、副腎皮質癌、細葉細胞癌、腺房細胞癌、小葉癌、腺嚢癌腫、腺様嚢胞癌、腺様扁平上皮癌、腺腫癌、腺扁平上皮癌、付属器癌、副腎皮質癌、アルドステロン産生癌、アルドステロン分泌癌、肺胞癌、肺胞細胞癌、エナメル上皮癌、膨大部癌、甲状腺未分化癌、アポクリン癌、基底細胞癌、基底細胞癌、肺胞上皮癌、面疱型基底細胞癌、嚢胞性基底細胞癌、斑状強皮症型基底細胞癌、多発性基底細胞癌、結節潰瘍型基底細胞癌、色素性基底細胞癌、硬化性基底細胞癌、表在性基底細胞癌、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、胆管癌、肝外胆管癌、肝内胆管癌、気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、細気管支肺胞上皮癌,気管支肺胞癌、気管支肺胞細胞癌、気管支原性癌、脳状癌、胆管細胞性癌、絨毛膜癌、脈絡叢癌、明細胞癌、肛門管類基底細胞癌、膠様癌、面疱型癌、子宮体癌、子宮体癌、コルチゾール産生癌、篩状癌、円柱癌、円柱細胞癌、腺管癌、腺管癌、前立腺管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、エクリン腺癌、胚性癌、よろい状癌、子宮内膜癌、子宮内膜癌、類内膜癌、類表皮癌、混合腫瘍由来癌、多形腺腫由来癌、外方性癌、線維層状型癌、線維性癌、甲状腺濾胞性癌、胃癌、ゼラチン形態癌、膠様癌、巨細胞癌、甲状腺巨細胞癌、巨細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、副腎様癌、胎児性癌、島細胞癌、炎症性乳癌、上皮内癌(cancer in situ)、腺管内癌、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial)、若年性胎児性癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、軟膜癌、小葉癌、浸潤性小葉癌、浸潤性小葉癌、上皮内小葉癌(LCIS)、リンパ上皮癌、髄様癌、髄様癌、甲状腺髄様癌、甲状腺髄様癌、黒色癌、髄膜癌、メルケル細胞、変型性細胞癌、微小乳頭状癌、軟性癌、粘液性癌、粘液腺癌、粘液細胞性癌、粘表皮癌、粘膜癌、粘液癌、上咽頭癌、皮膚神経内分泌癌、非浸潤性癌、非小細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、燕麦細胞癌、化骨性癌、類骨癌、骨または乳房のパジェット病、乳頭癌、甲状腺乳頭癌、膨大部領域癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、原発性骨内癌、腎細胞癌、瘢痕癌、住血吸虫感染膀胱癌、シュナイダー乳頭腫、スキルス癌、皮脂腺癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、小細胞肺癌(SCLC)、紡錘細胞癌、海綿癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、終末乳管癌、未分化甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、皮膚索状癌、移行細胞癌、管状腺癌、甲状腺未分化癌、子宮体癌、いぼ状癌、絨毛状癌、絨毛癌、卵黄嚢癌、特に頭頸部の扁平上皮細胞癌、食道扁平上皮細胞癌、口腔癌を含む。
【0103】
一部の態様では、治療され得る肉腫は、脂肪性肉腫、胞巣状軟部肉腫、エナメル上皮線維肉腫、トリ肉腫、ブドウ状肉腫、ブドウ状肉腫、トリ肉腫、緑色腫様肉腫、軟骨形成型肉腫、腎明細胞肉腫、胎児性肉腫、子宮内膜間質肉腫、類上皮肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞性骨肉腫、家禽肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、血管内皮肉腫、ホジキンリンパ腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞免疫芽球肉腫、T細胞免疫芽球肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、白血球性肉腫、リンパ性肉腫、黒色肉腫、混合細胞肉腫、多発性肉腫、リンパ管肉腫、特発性出血性肉腫、多能性原発性骨肉腫、通常型骨肉腫、骨形成肉腫、傍骨性骨肉腫、多形性肉腫、カポジ肉腫様肉腫、細網肉腫、脳細網肉腫、横紋筋肉腫、ラウス肉腫、軟部組織肉腫、紡錘細胞肉腫、滑膜肉腫、血管拡張性骨肉腫、肉腫(骨肉腫)/骨悪性線維性組織球腫、軟部組織肉腫を含む。
【0104】
一部の態様では、治療され得るリンパ腫は、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、T細胞白血病/リンパ腫、アフリカリンパ腫、B細胞リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、ウシ悪性リンパ腫、バーキットリンパ腫、中心細胞リンパ腫、皮膚リンパ腫、びまん性リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、びまん性混合型・小細胞および大細胞型リンパ腫、びまん性・小開裂細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、濾胞中心細胞リンパ腫、濾胞性・小開裂細胞大細胞混合型リンパ腫、濾胞性・大細胞優位型リンパ腫、濾胞性・小開裂細胞優位型リンパ腫、巨大濾胞性リンパ腫、巨大濾胞性リンパ腫、肉芽腫性リンパ腫、組織球性リンパ腫、大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、大細胞開裂型リンパ腫、大細胞非開裂型リンパ腫、レンネルトリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、中間型リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、中間分化型リンパ腫、形質細胞様リンパ腫、リンパ球型・低分化型リンパ腫、小リンパ球型リンパ腫、リンパ球型・高分化型リンパ腫、ウシリンパ腫、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、マントル帯リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、地中海リンパ腫(リンパ球-組織球混合型)、結節性リンパ腫、形質細胞様リンパ腫、多形型リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、小B細胞性リンパ腫、小細胞開裂型リンパ腫、小細胞非開裂型リンパ腫、T細胞リンパ腫、回旋細胞型T細胞リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、小リンパ球性T細胞リンパ腫、未定義のリンパ腫、未定義細胞リンパ腫、未分化リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、滲出液(体腔液性)リンパ腫、胸腺リンパ腫、および皮膚T細胞性リンパ腫を含む。
【0105】
一部の態様では、治療され得る白血病および他の血液細胞悪性腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、リンパ芽球性白血病、骨髄性白血病、リンパ性白血病、骨髄性白血病、白血病、有毛細胞白血病、T細胞白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、顆粒球性白血病、グロス白血病、手鏡形細胞白血病、好塩基球性白血病、血芽球性白血病、組織球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、シリング型白血病、幹細胞性白血病、骨髄単球性白血病、前リンパ球性白血病、小骨髄芽球性白血病、巨核芽球性白血病、巨核球性白血病、リーダー細胞性白血病、ウシ白血病、非白血性白血病、肥満細胞性白血病、骨髄性白血病、形質細胞性白血病、亜白血性白血病、多発性骨髄腫、非リンパ性白血病、および慢性骨髄性白血病を含む。
【0106】
一部の態様では、治療され得る脳・中枢神経系(CNS)癌および腫瘍は、星状細胞腫(小脳星状細胞腫と脳星状細胞腫を含む)、神経膠腫(悪性神経膠腫、神経膠芽腫、脳幹神経膠腫、視経路神経膠腫および視床下部神経膠腫を含む)、脳腫瘍、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、テント上原始性神経外胚葉性腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、頭蓋外生殖細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、乏突起膠腫、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病、骨髄性白血病、骨髄性骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、神経芽細胞腫、形質細胞腫/多発性骨髄腫、中枢神経系リンパ腫、内因性脳腫瘍、星状細胞脳腫瘍、および中枢神経系内での転移性腫瘍細胞の浸潤を含む。
【0107】
一部の態様では、治療され得る胃腸癌は、肝外胆管癌、結腸癌、結腸・直腸癌、結腸直腸癌、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、膀胱癌、島細胞癌(膵内分泌腫瘍)、膵臓癌、膵島細胞癌、前立腺癌、直腸癌、唾液腺癌、小腸癌、結腸癌、および結腸直腸新生物に関連するポリープを含む。
【0108】
一部の態様では、治療され得る骨癌は、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、骨髄癌、骨転移、骨肉腫/骨悪性線維性組織球腫、ならびに骨腫および骨肉腫を含む。
【0109】
一部の態様では、治療され得る乳癌は、小細胞癌および乳管癌を含む。
【0110】
一部の態様では、治療され得る肺癌および呼吸器癌は、気管支腺腫/カルチノイド、食道癌、食道癌、下咽頭癌、喉頭癌、下咽頭癌、肺カルチノイド腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、小細胞肺癌、中皮腫、鼻腔・副鼻腔癌、上咽頭癌、上咽頭癌、口腔癌、口腔・口唇癌、口腔咽頭癌、副鼻腔・鼻腔癌、および胸膜肺芽腫を含む。
【0111】
一部の態様では、治療され得る尿路・生殖器癌は、子宮頸癌、子宮内膜癌、上皮性卵巣癌、性腺外胚細胞腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、脾臓腫瘍、腎臓癌、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、陰茎癌、腎細胞癌(癌腫を含む)、腎細胞癌、腎盂および尿管の癌(移行細胞癌)、腎盂および尿管の移行上皮癌、妊娠性絨毛性腫瘍、精巣癌、腎盂および尿管の癌、移行細胞癌、尿道癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、卵巣癌、原発性腹膜上皮新生物、子宮頸癌、卵胞内の子宮癌および固形腫瘍、表在性膀胱腫瘍、膀胱の浸潤性移行細胞癌、筋層侵襲性膀胱癌を含む。
【0112】
一部の態様では、治療され得る皮膚癌および黒色腫は、皮膚T細胞リンパ腫、眼内黒色腫、ヒト表皮角化細胞の腫瘍進行、基底細胞癌、および扁平上皮癌を含む。標的とされ得る肝臓癌は、肝外胆管癌、および肝細胞癌を含む。標的とされ得る眼癌は、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、および眼内黒色腫を含む。標的とされ得るホルモン性癌は、副甲状腺癌、松果体およびテント上原始性神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、胸腺腫および胸腺癌、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、副腎皮質癌、およびACTH産生腫瘍を含む。
【0113】
一部の態様では、治療され得る他の癌は、進行癌、AIDS関連癌、肛門癌、副腎癌、皮質癌、再生不良性貧血、アニリン、ベテルやブヨほお癌、脳状癌、煙突掃除人癌、土管状癌、膠様癌、接触癌、嚢胞癌、樹状細胞癌、同棲癌、腺管癌、染料業者癌、脳様癌、鎧状癌、子宮内膜癌、内皮癌、上皮癌、腺癌、上皮内癌、カングリ(kang、kangri)癌、潜伏癌、髄様癌、黒色癌、ミュール紡績工癌、非小細胞肺癌、非顕性癌、パラフィン癌、コールタール作業者癌、瘢痕癌、住血吸虫感染膀胱癌、硬性癌、リンパ節癌、小細胞肺癌、軟性癌、すす(soot)癌、紡錘細胞癌、沼地癌、タール癌、管状腺癌、カルチノイド(胃腸および気管支)、キャッスルマン病、慢性骨髄増殖性疾患、腱鞘の明細胞肉腫、ユーイング腫瘍ファミリー、頭頸部癌、口唇および口腔癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、潜在性原発性を伴う転移性頸部扁平上皮癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、ウィルムス腫瘍、菌状息肉症、褐色細胞腫、セザリー症候群、テント上原始性神経外胚葉性腫瘍、原発部位未明の癌、腹水癌、悪性胸水、栄養膜腫瘍、血管周皮細胞腫を含む。
【0114】
一部の態様では、治療され得る癌は、IL-13Rα2が発現される、前述の癌のうちのいずれか一つである。一部の態様では、IL-13Rα2は、癌細胞の細胞外表面上に発現される。一部の態様では、癌は多形膠芽腫である。
【0115】
一部の態様では、治療され得る癌は、HER2が発現される、前述の癌のうちのいずれか一つである。一部の態様では、HER2は、癌細胞の細胞外表面上に発現される。一部の態様では、癌は多形膠芽腫である。
【0116】
癌に加えて、本開示の組成物、使用、および方法は、軟膜疾患を治療することができる。軟膜疾患(LMD、また軟膜転移または癌性髄膜炎とも呼ばれる)は、固形腫瘍、最も一般的には肺癌、乳癌、および黒色腫(数ある中でも特に脳癌)からの進行癌の希少ながらも深刻なことが多い合併症である。患者は、頭蓋脊髄軸の複数領域の同時併発により、広範な兆候や症状を呈する可能性がある。診断にはしばしば高度の指標が必要となり、神経画像処理および脳脊髄液(CSF)解析によって確認される。LMD患者は複雑なニーズがあり、急速に悪化するリスクがある。患者はしばしば、最適な症状管理と生活の質を達成するために、チーム医療を必要とする。多巣性の神経学的な兆候や症状に加え、患者は、水頭症、発作、および視床下部-下垂体軸の機能障害を有することがある。
【0117】
したがって、さらなる態様では、本開示は、GBMを有する対象に、(i)キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞集団、および(ii)腫瘍溶解性ウイルスを投与することを含む、LMDの治療を提供する。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、同時投与される。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、順次投与される。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団が最初に投与され、腫瘍溶解性ウイルスが二番目に投与される。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスが最初に投与され、CARを発現する細胞集団が二番目に投与される。一部の実施形態では、対象は、原発性GBM腫瘍および/または転移性腫瘍を除去するための外科手術を以前に受けている。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団は、セントラルメモリーT細胞などのT細胞を含む。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団はNK細胞を含む。一部の実施形態では、CARは、結合ドメイン、スペーサードメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、IL-13Rα2に選択的に結合してもよく、例えば、結合ドメインは、配列番号1を含んでもよい。一部の実施形態では、スペーサードメインは、IgG4 Fcドメイン(例えば、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5を含むIgG4 Fcドメイン)を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD4膜貫通ドメイン(例えば、MALIVLGGVAGLLLFIGLGIFF(配列番号6)を含むTMドメイン)を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメイン(例えば、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号11)、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLY(配列番号12)、またはIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号13)を含むTMドメイン)を含む。一部の実施形態では、共刺激ドメインは、4-1BB共刺激ドメイン(例えば、配列番号7を含む共刺激ドメイン)を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号8または配列番号14を含む。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、遺伝子操作された単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)である。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力がある。一部の実施形態では、ICP34.5遺伝子は、腫瘍溶解性ウイルスのゲノムから欠失され、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)IRS1遺伝子をコードする遺伝子は、腫瘍溶解性ウイルスのゲノム内に導入される。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはC134である。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団は、セントラルメモリーT細胞であり、CARは配列番号8または配列番号14を含み、腫瘍溶解性ウイルスはC134である。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、同じ投与経路で投与される。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、異なる投与経路で投与される。一部の実施形態では、投与経路は、脳室内、腫瘍内、くも膜下腔内、および切除された腫瘍空洞内から成る群から選択される。一部の実施形態では、CARを発現する細胞集団および腫瘍溶解性ウイルスは、対象の中枢神経系(CNS)に直接投与される。
【0118】
本技術は、本出願に記載される特定の態様に関して限定されるものではなく、本技術の個々の態様の単一の図解として意図される。当業者にとって明らかであるように、本技術の数多くの改変および変形は、その趣旨および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本技術の範囲内の機能的に等価な方法および装置は、前述の記載から当業者には明らかとなろう。そのような改変および変形は、本技術の範囲の範囲内にあることが意図されている。本技術は、特定の方法、試薬、化合物組成物、または生物学的システムに限定されないが、当然のことながら変化する可能性があることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を記載する目的のために過ぎず、限定を意図しないことも理解されたい。
【実施例1】
【0119】
U87無胸腺マウスモデルにおけるCAR-T治療
一部の態様では、無胸腺ヌードマウスを利用した異種移植モデルが使用された。無胸腺ヌードマウスは胸腺の異常な発達を示し、これが重度のT細胞機能障害をもたらすが、マウスは生得的な免疫系成分(好中球および樹状細胞(DC)、NK細胞)およびB細胞をなおも有する。Goldman et al. 1998. Br J Haematol, 103(2):335-342を参照。ヒト異種移植片を作製するための最も古くかつ広範な動物の一つは、ヒト腫瘍細胞が移植される無胸腺ヌードマウスである。このモデルは、特に腫瘍が同所移植される場合、ゲノムの不均一性、腫瘍の構造、および微小環境因子を含め、腫瘍の自然な進展によって媒介される複雑性を正確に反映する。Wang et al. 2017. Int J Cancer, 140(3):662-673およびHoffman 2015. Nat Rev Cancer, 15(8):451-452を参照。造血器腫瘍およびリンパ組織腫瘍の異種移植マウスモデルは、様々な腫瘍を標的とした新しいCAR T細胞療法を評価・開発するために積極的に使用される。Teng et al. 2019. J Immunother, 42(2):33-42およびZah et al. 2017. Cancer Immunol Res, 4(6):498-508を参照。
【0120】
U87は、脳癌研究で一般的に使用されるヒト原発性膠芽腫細胞株である。さらに、U87細胞株は、腫瘍溶解性HSV感染に対して非常に許容的であった。Ghonime et al. 2018. Transl Oncol, 11(1):86-93およびShah et al. 2007. Gene Ther, 14(13):1045-1054を参照。
【0121】
U87ヒト原発性膠芽腫細胞株を含む腫瘍が、マウスに同所性移植された、無胸腺ヌードマウスを利用した異種移植マウスモデルが使用される。移植後約20日経過してから、CAR-T細胞がマウスに投与される。
【0122】
IL-13Rα2またはHER2に選択的に結合するものを含め、本開示のCAR-Tは、各実験において0.5×10~1.0×10 CAR-T細胞を含む用量で、U87無胸腺マウスに頭蓋内注射される。
【0123】
各実験は、各試料時点に対してメスマウス3匹およびオスマウス3匹を含む。時点は、CAR-T投与後0日目(D0)、1日目(D1)、4日目(D4)、8日目(D8)、および14日目(D14)である。各試料について、マウスの脳および血液が採取される。脳が切片化され、切片が免疫組織化学および免疫蛍光分析にかけられる。この分析では、様々な蛍光分子にコンジュゲートされた坑CD8、坑IL-13Rα2または坑HER2、坑PD1、および対応する二次抗体などの抗体を利用する。
【0124】
CAR-Tの持続性が、各時点について腫瘍内および周辺部で評価される。さらに、腫瘍のサイズが移植時の腫瘍のサイズと比較して評価される。
【実施例2】
【0125】
U87無胸腺マウスモデルにおける腫瘍溶解性ウイルス
本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、U87ヒト原発性膠芽腫細胞を含む移植された腫瘍を含むU87無胸腺マウスに脳内投与される。移植後約20日経過してから、CAR-T細胞がマウスに投与される。
【0126】
各実験は、各試料時点に対してメスマウス3匹およびオスマウス3匹を含む。時点は、腫瘍移植後の0日目(D0)、1日目(D1)、4日目(D4)、8日目(D8)、および14日目(D14)である。各試料について、マウスの脳および血液が採取される。各時点で、マウスについて、腫瘍からの腫瘍溶解性ウイルスの回収、および移植時の腫瘍のサイズと比較した腫瘍のサイズが評価された。
【0127】
インビボでのウイルス回収は、限界希釈アッセイおよびTAQMAN定量的PCRによって測定される。腫瘍回収試験については、U87-MG腫瘍をSCIDマウスに誘導し、C134組み換えウイルスで処置した。接種後1日目、2日目、4日目、および8日目に、各治療コホートから3匹の動物を犠牲にし、それらの脳について回収、計量、凍結融解、均質化による機械的な破壊を行い、試料が、QiagenバイオロボットおよびQiagen EZ1組織キットを使用したDNA抽出の後、限界希釈プラークアッセイまたはTAQMAN定量的PCRによって回収されたウイルスを定量化する前に、超音波処理される。
【0128】
ウイルスの平均回収量および標準偏差が、試験した各ウイルスおよび時点について計算される。同様の方法が、非悪性CNSからのインビボ回収試験に使用される。5週齢のCBA/Jマウスのコホートに、等価用量(5×10PFU)のC130またはC101を注射する。2日目、4日目、6日目、および8日目に、動物を犠牲にし、脳を回収し、限界希釈プラークアッセイを使用して感染性ウイルスを測定する。
【実施例3】
【0129】
U87無胸腺マウスモデルにおける腫瘍溶解性ウイルスとCAR-Tの併用療法
この試験では、(1)腫瘍のみ(標識化)、(2)CAR-Tのみ(CAR-Tの最適用量)、(3)C134腫瘍溶解性ウイルスのみ(1×10pfu)、および(4)腫瘍溶解性ウイルスC134の後にCAR-Tというマウスの4つの群がある。
【0130】
U87ヒト原発性膠芽腫細胞を含む腫瘍が、無胸腺マウスに移植される。後の時点で、マウスに(1)CAR-Tのみ、(2)腫瘍溶解性ウイルスのみ、または(3)腫瘍溶解性ウイルスの後にCAR-Tが注射される。
【0131】
各実験は、各群および各試料時点に対してメスマウス3匹およびオスマウス3匹を含む。時点は、C134腫瘍溶解性ウイルスおよび/またはCAR-Tの投与後0日目(D0)、3日目(D3)、5日目(D5)、および7日目(D7)である。C134腫瘍溶解性ウイルスおよびCAR-T試料の組み合わせについては、腫瘍溶解性ウイルスとCAR-Tの投与間での様々な時点が利用される。各試料は、腫瘍溶解性ウイルスおよび/またはCAR-Tが投与されなかった陰性対照と比較した、ライブイメージングを介した腫瘍の評価を含む。
【実施例4】
【0132】
U87無胸腺マウスモデルにおける腫瘍溶解性ウイルスとCAR-Tの3か月間の併用療法
この試験では、(1)腫瘍のみ(標識化)、(2)CAR-Tのみ、(3)C134腫瘍溶解性ウイルスのみ(1×10pfu)、および(4)腫瘍溶解性ウイルスC134の後にCAR-Tというマウスの4つの群がある。
【0133】
U87ヒト原発性膠芽腫細胞を含む腫瘍が、無胸腺マウスに移植される。後の時点で、マウスに(1)CAR-Tのみ、(2)腫瘍溶解性ウイルスのみ、または(3)腫瘍溶解性ウイルスの後にCAR-Tが注射される。
【0134】
各実験は、各群および各試料時点に対してメスマウス5匹およびオスマウス5匹を含む。時点は、C134腫瘍溶解性ウイルスおよび/またはCAR-Tの投与後0日目(D0)、3日目(D3)、5日目(D5)、および7日目(D7)である。C134腫瘍溶解性ウイルスおよびCAR-T試料の組み合わせについては、腫瘍溶解性ウイルスとCAR-Tの投与間での様々な時点が利用される。
【0135】
各試料採取には、(1)CAR-T持続性、(2)C134持続性、(3)炎症誘発性サイトカインの存在、(4)ライブイメージングを介した腫瘍、(5)生存、および(6)罹患率の評価を含む。さらに、毎日の臨床観察が行われ、これには体重測定が含まれる。各試料採取について、犠牲後に、全血/血清、脳、脳脊髄液、肝臓、および脾臓のそれぞれを採取する。投与およびアッセイのグラフィカル表現を図1に示す。一部の実施形態において、CAR T細胞およびOV注射の投与順序は入れ替わってもよいこと(すなわち、D4にCAR T注射で、D7にOV注射)が注目されるべきである。
【0136】
本明細書に例示的に記載される方法は、本明細書に具体的に開示されていない任意の一つまたは複数の要素、一つまたは複数の限定の不在下で、適切に実践され得る。それゆえに、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡張的に限定なく読まれるものとする。加えて、本明細書で用いられる用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されていて、そのような用語および表現の使用において、示され記載された特徴またはその一部のいかなる均等物も除外する意図はない。本開示の範囲内で、様々な改変が可能であることを認識されたい。それゆえに、本開示は好適な態様および随意の特徴によって具体的に開示されているが、本開示で具現化され、本明細書に開示された本開示の改変および変形は、当業者によって用いられる場合があること、またこうした改変および変形は、本開示の範囲内であるとみなされることが理解されるべきである。
【0137】
本開示は、本明細書で広範にかつ一般的に説明されている。一般的な開示の範囲に入るより狭い種および亜属の分類のそれぞれも、方法の一部を形成する。これには、切除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかにかかわらず、その部類から任意の主題を除去するという条件または否定的な限定を伴う、方法の一般的な説明が含まれる。本技術は、本出願に記載される特定の態様に関して限定されるものではなく、本技術の個々の態様の単一の図解として意図される。当業者にとって明らかであるように、本技術の数多くの改変および変形は、その趣旨および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本技術の範囲内の機能的に等価な方法および装置は、前述の記載から当業者には明らかとなろう。そのような改変および変形は、本技術の範囲の範囲内にあることが意図されている。本技術は、特定の方法、試薬、化合物組成物、または生物学的システムに限定されないが、当然のことながら変化する可能性があることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を記載する目的のために過ぎず、限定を意図しないことも理解されたい。
【0138】
本明細書に引用されるすべての参考文献、論文、出版物、特許、特許出版物、および特許出願は、すべての目的に対し、その全体が参照により組み込まれる。
図1
【配列表】
2023541253000001.app
【国際調査報告】