(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】PDEIV媒介性の疾患又は状態を処置する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 251/52 20060101AFI20230922BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20230922BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230922BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230922BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230922BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230922BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230922BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230922BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20230922BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230922BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230922BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20230922BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230922BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230922BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C07D251/52 A CSP
A61K31/53
A61P17/00
A61P17/06
A61P17/04
A61P17/02
A61P17/10
A61P29/00
A61P37/00
A61P43/00 105
A61P11/06
A61P19/00
A61P29/00 101
A61P17/14
A61P27/02
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515808
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 US2021049870
(87)【国際公開番号】W WO2022056265
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006588
【氏名又は名称】バンダ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VANDA PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】コプリヴィツァ,ヴーク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB21
4C076BB24
4C076BB25
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC10
4C076CC18
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4C086AA01
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4C086BC64
4C086MA01
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4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA33
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4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZC20
(57)【要約】
本開示は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用する、炎症性疾患又は状態を含むPDEIV媒介性の疾患又は状態の処置のための方法及び組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態を有する患者の処置のための方法であって、前記患者に、前記疾患又は状態を治療するのに有効な量の式(I)の化合物:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、炎症性疾患又は状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PDEIV媒介性の疾患又は状態が、炎症性皮膚疾患である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、乾癬、尋常性乾癬、アトピー皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、鬱血性皮膚炎、斑状強皮症、ベーチェット症候群、狼瘡、脱毛、前頭線維性脱毛、白斑、ざ瘡、扁平苔癬、ブドウ膜炎、結節性痒疹、又は円板状エリテマトーデスである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、乾癬である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、アトピー性皮膚炎である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、接触皮膚炎である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、乾癬性関節炎、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、又はCOPDである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、免疫障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、慢性炎症性障害、喘息、関節リウマチ、又はベーチェット症候群である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、サイトカインによって媒介される疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、好中球媒介性疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、神経変性障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記患者がヒトである、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が、前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が、局所的に、経口で、経口的に、坐剤として、静脈内に、非経口的に、腹腔内に、筋肉内に、病巣内に、くも膜下腔内に、鼻腔内に、又は皮下に投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が局所投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が経口投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
哺乳動物炎症細胞からの炎症性サイトカインの放出を阻害する方法であって、前記哺乳動物炎症細胞を、前記哺乳動物炎症細胞からの前記炎症性サイトカインの前記放出を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩に接触させることを含む、方法。
【請求項20】
前記炎症性サイトカインが、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、若しくはIL-12を含むインターロイキン(IL)、又はアルファ-インターフェロン、ベータ-インターフェロン、若しくはガンマ-インターフェロンを含むインターフェロンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
哺乳動物炎症細胞におけるPDEIV活性を阻害する方法であって、前記哺乳動物炎症細胞を、前記哺乳動物の前記炎症細胞において前記PDEIV活性を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物:
【化3】
又はその薬学的に許容される塩に接触させることを含む、方法。
【請求項22】
アレルギー性結膜炎を有する患者を処置する方法であって、前記患者に、前記アレルギー性結膜炎を処置するのに有効な量の式(I)の化合物:
【化4】
又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項23】
前記アレルギー性結膜炎を治療するのに有効な式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の前記量が、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状を軽減するのに有効な量である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アレルギー性結膜炎の徴候又は症状が、眼の痒み、結膜発赤、毛様体発赤、上強膜発赤、結膜浮腫、眼瞼腫脹、流涙、鼻漏、鼻の掻痒、耳若しくは口蓋の掻痒、又は鼻の鬱血である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(I)の化合物:
【化5】
ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態を有する患者を処置する際に使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、前記使用が、前記疾患又は状態を処置するのに有効な量の前記化合物を前記患者に投与することを含む、使用のための化合物使用。
【請求項26】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、炎症性疾患又は状態である、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項27】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、炎症性皮膚疾患である、請求項25又は請求項26のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項28】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、乾癬、尋常性乾癬、アトピー皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、鬱血性皮膚炎、斑状強皮症、ベーチェット症候群、狼瘡、脱毛、前頭線維性脱毛、白斑、ざ瘡、扁平苔癬、ブドウ膜炎、結節性痒疹、又は円板状エリテマトーデスである、請求項25又は請求項26のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項29】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、乾癬である、請求項28に記載の使用のための化合物。
【請求項30】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、アトピー性皮膚炎である、請求項28に記載の使用のための化合物。
【請求項31】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、接触性皮膚炎である、請求項28に記載の使用のための化合物。
【請求項32】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、乾癬性関節炎、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、又はCOPDである、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項33】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、免疫障害である、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項34】
前記PDEIV媒介性の疾患又は状態が、慢性炎症性障害、喘息、関節リウマチ、又はベーチェット症候群である、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項35】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、サイトカインによって媒介される疾患である、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項36】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、好中球媒介性疾患である、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項37】
前記ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態が、神経変性障害である、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項38】
前記患者が、ヒトである、請求項25に記載の化合物。
【請求項39】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が、前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として投与される、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項40】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が、局所的に、経口で、経口的に、坐剤として、静脈内に、非経口的に、腹腔内に、筋肉内に、病巣内に、くも膜下腔内に、鼻腔内に、又は皮下に投与される、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項41】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が局所投与される、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項42】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が経口投与される、請求項25に記載の使用のための化合物。
【請求項43】
哺乳動物炎症細胞からの炎症性サイトカインの放出を阻害する際に使用するための、式(I)の化合物、
【化6】
又はその薬学的に許容される塩であって、前記使用が、前記哺乳動物炎症細胞を、前記哺乳動物炎症細胞からの前記炎症性サイトカインの前記放出を阻害するのに有効な量の前記化合物と接触させることを含む、使用のための化合物。
【請求項44】
前記炎症性サイトカインが、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、若しくはIL-12を含むインターロイキン(IL)、又はアルファ-インターフェロン、ベータ-インターフェロン、若しくはガンマ-インターフェロンを含むインターフェロンである、請求項43に記載の使用のための化合物。
【請求項45】
哺乳動物炎症細胞からの炎症性サイトカインの放出を阻害する際に使用するための、式(I)の化合物、
【化7】
又はその薬学的に許容される塩であって、前記使用が、前記哺乳動物の炎症細胞を、前記哺乳動物の前記炎症細胞における前記PDEIV活性を阻害するのに有効な量の前記化合物と接触させることを含む、使用のための化合物。
【請求項46】
アレルギー性結膜炎を有する患者を処置する際に使用するための、式(I)の化合物;
【化8】
又はその薬学的に許容される塩であって、前記使用が、前記アレルギー性結膜炎を処置するのに有効な量の前記化合物を前記患者に投与することを含む、使用のための化合物。
【請求項47】
前記アレルギー性結膜炎を治療するのに有効な式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の前記量が、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状を軽減するのに有効な量である、請求項46に記載の使用のための化合物。
【請求項48】
前記アレルギー性結膜炎の徴候又は症状が、眼の痒み、結膜発赤、毛様体発赤、上強膜発赤、結膜浮腫、眼瞼腫脹、流涙、鼻漏、鼻の掻痒、耳若しくは口蓋の掻痒、又は鼻の鬱血である、請求項47に記載の使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年9月10日に出願された米国仮出願第63/076,774号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、PDEIV媒介性の疾患又は状態の処置のための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ホスホジエステラーゼIV(phosphodiesterase IV、PDEIV)は、4つの別個の遺伝子産物A~DからなるcAMP特異的ホスホジエステラーゼ酵素のファミリーである。D P Rotella,Phosphodiesterases,Comprehensive Medicinal Chemistry II,2007,919-957を参照。PDE4酵素は、CNS及び他の神経系組織、平滑筋、炎症性細胞及び内皮細胞、並びに心臓において発現される。
【0004】
PDEIVは、多くのタイプの細胞におけるcAMP異化及び炎症の調節に関与する。PDEIVのいくつかの小分子阻害剤は、抗炎症特性を発揮している。例えば、Sekut,L.,et al.,(1995),Anti-inflammatory activity of phosphodiesterase(PDE)-IV inhibitors in acute and chronic models of inflammation.Clinical & Experimental Immunology,100:126-132.を参照。炎症性疾患又は障害、並びに炎症性成分を有する他の疾患及び障害は、現代の人々を苦しめている状態のかなりの部分を占める。
【0005】
炎症が望ましくない態様である多数の状態を考慮すると、炎症関連障害に罹患している患者を処置する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、とりわけ、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態を有する患者を処置するための方法であって、患者に、ある量の式(I)の化合物:
【0007】
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法に関する。
【0008】
他の態様では、本開示は、哺乳動物炎症細胞を、哺乳動物炎症細胞からの炎症性サイトカインの放出を阻害するのに有効な量の式(I):の化合物:
【0009】
【化2】
又はその薬学的に許容されるその塩に接触させることによって、哺乳動物炎症細胞からの炎症性サイトカインの放出を阻害する方法に関する。
【0010】
更に他の態様において、本開示は、哺乳動物炎症細胞を、PDEIV活性を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物:
【0011】
【化3】
又はその薬学的に許容される塩と接触させることによって、哺乳動物炎症細胞におけるPDEIV活性を阻害する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1における無作為化後の群ごとの体重を示す。
【
図2】実施例1における6時間後の群ごとの体重を示す。
【
図3】実施例1における24時間後の群ごとの体重を示す。
【
図4】実施例1における6時間後の群ごとの右耳厚を示す。
【
図5】実施例1における6時間後の群ごとの左耳厚を示す。
【
図6】実施例1における24時間後の群ごとの右耳厚を示す。
【
図7】実施例1における24時間後の群ごとの左耳厚を示す。
【
図8】実施例1における0~6時間後の群ごとの右耳厚の変化を示す。
【
図9】実施例1における0~6時間後の群ごとの左耳厚の変化を示す。
【
図10】実施例1における0~24時間後の群ごとの右耳厚の変化を示す。
【
図11】実施例1における0~24時間後の群ごとの左耳厚の変化を示す。
【
図12】実施例1における6時間後の群ごとの右耳重量を示す。
【
図13】実施例1における6時間後の群ごとの左耳重量を示す。
【
図14】実施例1における24時間後の群ごとの右耳重量を示す。
【
図15】実施例1における24時間後の群ごとの左耳重量を示す。
【
図16】実施例1における6時間後の群ごとの耳組織MPOを示す。
【
図17】実施例1における24時間後の群ごとの耳組織MPOを示す。
【
図18】実施例1における6時間後の群ごとの耳組織総タンパク質を示す。
【
図19】実施例1における24時間後の群ごとの耳組織総タンパク質を示す。
【
図20】実施例1における群ごとの耳組織ホモジェネート中のG-CSF及びエオタキシンを示す。
【
図21】実施例1における群ごとの耳組織ホモジェネート中のGM-CSF及びIL-1βを示す。
【
図22】実施例1における群ごとの耳組織ホモジェネート中のIL-2及びIL-5を示す。
【
図23】実施例1における群ごとの耳組織ホモジェネート中のIL-6及びIL-10を示す。
【
図24】実施例1における群ごとの耳組織ホモジェネート中のKC(ケラチノサイト化学誘引様)及びMCP-1(単球化学誘引タンパク質1)を示す。
【
図25】実施例1における群ごとの耳組織ホモジェネート中のMIP-1β及びTNF-αを示す。
【
図26】実施例1における式(I)の化合物の血漿及び耳組織濃度を示す。
【
図28】実施例2における群ごとの体重変化パーセントを示す。
【
図30】実施例2における群ごとの背中皮膚厚を示す。
【
図34】実施例2における群ごとの累積臨床スコアを示す。
【
図35】実施例2における群ごとの脾臓重量を示す。
【
図36】実施例2における群ごとの正規化脾臓重量を示す。
【
図38】実施例2における耳ホモジェネート中のサイトカインレベルを示す。
【
図39】実施例2における耳ホモジェネート中のサイトカインレベルを示す。
【
図40】実施例2における耳ホモジェネート中のサイトカインレベルを示す。
【
図41】実施例2における式(I)の化合物の血漿及び耳組織濃度を示す。
【
図42】実施例2における耳組織病理学スコアを示す。
【
図43】実施例2における背中皮膚組織病理スコアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の主題は、本開示の一部を形成する、以下の詳細な説明を参照することにより理解することができる。本明細書は、本明細書に記載される及び/又は示される特定の方法、状態、又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書に使用される専門用語は、例として特定の実施形態を記載する目的のためだけのものであり、特許請求される発明を限定することを意図するものではない。
【0014】
本明細書で別途定義されない限り、本出願に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者により一般的に理解される意味を有するものとする。
【0015】
いくつかの態様では、本開示は、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態を有する患者を処置するための方法であって、疾患又は状態を治療するのに有効な量の式(I)の化合物:
【0016】
【化4】
又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「処置」とは、PDEIV媒介性の疾患又は状態、例えば、炎症性疾患又は状態の処置又は改善における成功の任意の徴候をいい、これには、緩和、寛解、症状の軽減、又は疾患又は状態を患者にとってより耐えられるようにすること、変性又は減退の速度を遅くすること、変性の最終点をあまり衰弱させないようにすること、又は患者の身体的若しくは精神的な健康を改善すること、などの任意の客観的パラメータ又は主観的パラメータが含まれる。症状の治療又は改善は、身体検査、神経精神医学的検査、及び/又は精神鑑定の結果を含む客観的又は主観的パラメータに基づくことができる。用語「処置」及びその活用形は、疾患又は状態の予防を含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、「患者」又は「対象」という用語は、互換的に使用され、式(I)の化合物の投与によって治療することができる疾患又は状態に罹患している、又は罹患しやすい生体を指す。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、及び他の非哺乳動物が挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、患者はヒトである。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態」という句は、PDEIV活性によって特徴付けられるか、又はPDEIV活性から生じる任意の疾患又は状態をいう。PDEIV媒介性の疾患又は状態としては、例えば、種々の炎症性障害、アレルギー性障害、免疫学的障害、CNS障害、アテローム性動脈硬化症、及び血管炎症が挙げられる。このような障害としては、喘息、慢性閉塞性肺病(COPD)(例えば、慢性気管支炎及び/又は肺気腫)、アトピー皮膚炎、じんま疹、アレルギー鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、好酸球性肉芽腫、乾癬、リウマチ性関節炎、敗血性ショック、潰瘍性結腸炎、クローン病、心筋及び脳の再潅流損傷、慢性糸球体腎炎、内毒素ショック、成人呼吸促進症候群、多発性硬化、認識障害(例えば、神経学的障害における)、抑鬱、又は疼痛が挙げられる。例えば、国際公開2004/024728A2号を参照されたい。炎症性疾患の治療におけるPDEIV阻害剤の使用は、一般的に、例えば、Press,Neil J.、及びKatharine H.Banner,「2 PDE4 Inhibitors-A Review of the Current Field.」Progress in Medicinal Chemistry(2009):37;Dasidar、Sunanda G.、Deepa Rajagopal、及びAbhijit Ray.「Therapeutic benefit of PDE4 inhibitors in inflammatory diseases.」Current Opinion in Investigational Drugs 8.5(2007):364;Schafer,P.H.,et al.「Apremilast is a selective PDE4 inhibitor with regulatory effects on innate immunity.」Cellular signalling 26.9(2014):2016-2029;Li,Heng、Jianping Zuo、及びWei Tang.「Phosphodiesterase-4 inhibitors for the treatment of inflammatory diseases.」Frontiers in pharmacology 9(2018):1048に記載されている。
【0021】
炎症皮膚障害の処置におけるPDEIV阻害剤の使用は、例えば、Makins、Caitlyn、Ravina Sanghera、及びParbeer S.Grewal.「Off-Label Therapeutic Potential of Crisaborole.」Journal of Cutaneous Medicine and Surgery(2020):1203475420909794;Kitzen,Jan M.,et al.「Crisaborole and Apremilast:PDE4 Inhibitors with Similar Mechanism of Action,Different Indications for Management of Inflammatory Skin Conditions.」(2018);Dastidar、Sunanda G.、Deepa Rajagopal、及びAbhijit Ray.「Therapeutic benefit of PDE4 inhibitors in inflammatory diseases.」Current Opinion in Investigational Drugs 8.5(2007):364;J.M.Hanifin et al.,「Type 4 phosphodiesterase inhibitors have clinical and in vitro anti-inflammatory effects in atopic dermatitis」,J.Invest.Dermatol.,1996,107(1),51-56(atopic dermatitis);C.E.M.Griffiths et al.,「Randomized comparison of the type 4 phosphodiesterase inhibitor cipamfylline cream,cream vehicle and hydrocortisone 17-butyrate cream for the treatment of atopic dermatitis,」Br.J.Dermatol.,2002,147(2),299-307(atopic dermatitis);T.C.Roos et al.,「Recent advances in treatment strategies for atopic dermatitis,」Drugs,2004,64(23),2639-2666(atopic dermatitis、例えば、2657頁及び参考文献201-209を参照);A.M.Doherty,Current Opinion Chem.Biol.,1999,3(4),466-473(atopic dermatitis;例えば、470頁を参照);及びH.J.Dyke et al.,Expert Opinion Invest.Drugs,2002,11(1),1-13(atopic dermatitis;例えば、7頁及び参考文献74、75、及び76を参照);W.Baumer et al.,Eur.J.Pharmacol.,2002,446,195-200及びW.Baumer et al.,J.Pharmacy Pharmacol.,2003,55,1107-1114(allergic dermatitis)に記載されている。
【0022】
COPDにおけるPDEIV阻害剤の使用は、S.L.Wolda,Emerging Drugs,2000,5(3),309-319;Z.Huang et al.,Current Opinion in Chemical Biology,2001,5:432-438;H.J.Dyke et al.,Expert Opinion on Investigational Drugs,January 2002,11(1),1-13;C.Burnouf et al.,Current Pharmaceutical Design,2002,8(14),1255-1296;A.M.Doherty,Current Opinion Chem.Biol.,1999,3(4),466-473;A.M.Vignola,Respiratory Medicine,2004,98,495-503;D.Spina,Drugs,2003,63(23),2575-2594;及び前述の刊行物に引用された参照文献;並びにG.Krishna et al.,Expert Opinion on Investigational Drugs,2004,13(3),255-267(特に259-261頁及び参考文献.102-111及び201を参照);C.H.Compton et al.,The Lancet,2001,vol.358,265-270),E.Gamble et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.,2003,168,976-982);R.D.Border et al.,Chest,2003,vol.124 Suppl.4,p.170S(要約)及びJ.D.Eddleston et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.,2001,163,A277(要約);B.J.Lipworth,The Lancet,2005,365,167-175、及びその中の参考文献49-50);S.L.Wolda,Emerging Drugs,2000,5(3),309-319)に記載されている。
【0023】
喘息におけるPDEIV阻害剤の使用は、M.A.Giembycz,Drugs,February 2000,59(2),193-212;Z.Huang et al.,Current Opinion in Chemical Biology,2001,5:432-438;H.J.Dyke et al.,Expert Opinion on Investigational Drugs,January 2002,11(1),1-13;C.Burnouf et al.,Current Pharmaceutical Design,2002,8(14),1255-1296;A.M.Doherty,Current Opinion Chem.Biol.,1999,3(4),466-473;P.J.Barnes,Nature Reviews Drug Discovery,October 2004,831-844;及び前述の刊行物に引用された参考文献)に記載されている。
【0024】
アレルギー性鼻炎におけるPDEIV阻害剤の使用は、B.M.Schmidt et al.,J.Allergy & Clinical Immunology,108(4),2001,530-536)に記載されている。
【0025】
リウマチ性関節炎及び多発性硬化におけるPDEIV阻害剤の使用は、H.J.Dyke et al.,Expert Opinion on Investigational Drugs,January 2002,11(1),1-13;C.Burnouf et al.,Current Pharmaceutical Design,2002,8(14),1255-1296;及びA.M.Doherty,Current Opinion Chem.Biol.,1999,3(4),466-473;及びこれらの刊行物に引用されている参考文献に記載されている。
【0026】
疼痛の治療におけるPDEIV阻害剤の使用は、A.Kumar et al.,Indian J.Exp.Biol.,2000,38(1),26-30)に記載されている。
【0027】
認知障害(例えば、アルツハイマー病などの神経障害における認知障害)の治療におけるPDEIV阻害剤の使用は、H.T.Zhang et al.in:Psychopharmacology,June 2000,150(3),311-316;Neuropsychopharmacology,2000,23(2),198-204;及びT.Egawa et al.,Japanese J.Pharmacol.,1997,75(3),275-81に記載されている。
【0028】
抗うつ薬としてのPDEIV阻害剤の使用は、J.Zhu et al.,CNS Drug Reviews,2001,7(4),387-398;O’Donnell,Expert Opinion on Investigational Drugs,2000,9(3),621-625;H.T.Zhang et al.,Neuropsychopharmacology,October 2002,27(4),587-595;J.M.O’Donnell及びH.-T.Zhang,Trends Pharmacol.Sci.,March 2004,25(3),158-163;及びT.E.Renau,Curr.Opinion Invest.Drugs,2004,5(1),34-39)に記載されている。
【0029】
炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及び/又はクローン病)の治療におけるPDEIV阻害剤の使用は、K.H.Banner and M.A.Trevethick,Trends Pharmacol.Sci.,August 2004,25(8),430-436に記載されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態は、炎症性疾患又は状態である。このような疾患及び状態としては、炎症性疾患及び障害、並びに炎症性成分を有する疾患及び障害が挙げられる。このような状態は、当業者に公知であり、慢性関節リウマチ、クローン病、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、悪液質、成人呼吸窮迫症候群、喘息、高酸素肺胞損傷、アレルギー性鼻炎、COPDを含む慢性肺炎症性疾患、うつ病、乾癬性関節炎などの乾癬性関節症、全身性エリテマトーデス、関節炎及び関連する関節炎状態(例えば、変形性関節炎及び慢性関節リウマチ)、リウマトイド脊椎炎、感染に伴う炎症(例えば、HIV、肝炎など)、嚢胞性繊維症、セプシス及びセプシス症候群、内毒素血症、敗血性ショック、毒素性ショック、内毒素性ショック、及び血行力学的ショック、虚血後再潅流障害、脳膜炎、線維症、移植拒絶、骨粗鬆症、多発性硬化、ライ病におけるENL、放射線損傷、骨再吸収病、歯根膜炎、乾癬、アトピー皮膚炎、接触性皮膚炎、ベーチェット症候群、狼瘡、脱毛、前頭線維症脱毛、白斑、ざ瘡、扁平苔癬、ブドウ膜炎、結節性痒疹、及び円板状エリテマトーデスを含む。
【0031】
いくつかの態様において、PDEIV媒介性の疾患又は状態は、炎症性皮膚疾患又は状態である。
【0032】
いくつかの実施形態では、炎症皮膚疾患は、乾癬、尋常性乾癬、アトピー皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、鬱血性皮膚炎、斑状強皮症、ベーチェット症候群、狼瘡、脱毛、前頭線維性脱毛、白斑、ざ瘡、扁平苔癬、ブドウ膜炎、結節性痒疹、又は円板状エリテマトーデスである。
【0033】
いくつかの実施形態では、炎症性皮膚疾患は乾癬である。
【0034】
いくつかの実施形態では、炎症性皮膚疾患は、尋常性乾癬である。
【0035】
他の実施形態では、炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎である。
【0036】
他の実施形態では、炎症性皮膚疾患は、接触性皮膚炎である。
【0037】
他の実施形態では、炎症性皮膚疾患は、脂漏性皮膚炎である。
【0038】
他の実施形態では、炎症皮膚疾患は、鬱血性皮膚炎である。
【0039】
他の実施形態では、炎症皮膚疾患は、斑状強皮症である。
【0040】
いくつかの実施形態では、炎症性疾患又は状態は、乾癬性関節炎、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、又はCOPDである。
【0041】
一部の態様では、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態は、免疫障害である。
【0042】
いくつかの実施形態では、免疫障害は、慢性炎症性障害、喘息、関節リウマチ、又はベーチェット症候群である。
【0043】
一部の態様では、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態は、サイトカインによって媒介される疾患である。
【0044】
いくつかの実施形態では、サイトカインによって媒介される疾患は、歯周炎、乾性眼病、リウマチ性関節炎、骨関節症、クローン病、潰瘍性結腸炎、乾癬性関節炎、外傷性関節炎、風疹性関節炎、炎症性腸疾患、多発性硬化、乾癬、対宿主性移植片病、全身性紅斑性狼瘡、毒素性ショック症候群、過敏性大腸症候群、筋変性、同種移植拒絶、膵臓炎、膵島炎、糸球体腎炎、糖尿病性ネフロパシー、腎線維症、慢性腎臓障害、痛風、ライ病、急性滑膜炎、ライター症候群、痛風関節炎、ベーチェット病、脊椎炎、子宮内膜症、椎間板症候群状態、滑液嚢炎、腱炎、腱鞘炎又は線維筋痛症候群などの非関節炎症状態、限定するものではないが、以下を含む急性又は慢性疼痛、神経痛、神経障害、多発性神経障害、糖尿病関連多発性神経障害、外傷、片頭痛、緊張性及び群発性頭痛、ホートン病、静脈瘤性潰瘍、神経痛、骨格筋疼痛、骨外傷性疼痛、骨折、有痛性骨萎縮症、脊椎関節炎、線維筋痛、幻肢痛、背痛、脊椎疼痛、術後疼痛、ヘルニア性椎間板誘発性坐骨神経痛、癌関連の疼痛、血管疼痛、内臓疼痛、出産、HIV関連の疼痛、アレルギー、代謝病、化学療法/放射線関連合併症、糖尿病I型、糖尿病II型、肝臓病、胃腸障害、眼病、アレルギー性結膜炎、糖尿病性網膜症、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、肺疾患、腎疾患、皮膚炎、HIV関連悪液質、大脳マラリア、強直性脊椎炎、ライ病、線維筋痛、腎不全、脳卒中、慢性心不全、内毒素血症、再灌流傷害、虚血再灌流、心筋虚血、再狭窄、血栓症、血管新生、冠動脈性疾患、冠状動脈疾患、急性冠状動脈症候群、高安動脈炎、心臓機能障害などの心不全、大動脈弁狭窄、心筋症、心筋炎、脈管炎、血管再狭窄、弁膜症、冠状動脈バイパス、高コレステロール血症、急性静脈血栓症、肺動脈塞栓、妊娠中の血栓症、出血性皮膚壊死、急性又は慢性播種性血管内凝固(DIC)、手術からの血栓形成、長期のベッド休止又は長期間の不動、静脈血栓症、劇症髄膜炎菌血症、急性血栓性脳卒中、急性冠静脈閉塞、急性末梢動脈閉塞、大量肺動脈塞栓、腋窩静脈血栓症、大量腸骨大腿骨静脈血栓症、閉塞性動脈又は静脈カニューレ、心筋症、肝臓静脈塞栓症、低血圧、心拍出量低下、血管抵抗の減少、肺高血圧症、肺コンプライアンスの減少、白血球減少症又は血小板減少症などの血液凝固又は線維素溶解に関連する疾患又は状態;アテローム性動脈硬化症、ブドウ膜炎、緑内障、視神経炎、網膜虚血、糖尿病性網膜症、レーザ誘発性視神経損傷、又は手術若しくは外傷誘発性増殖性硝子体網膜症、アレルギー性鼻炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、気腫、気管支炎、粘液過剰分泌、珪肺症、SARS感染症及び気道炎症、乾癬、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、ざ瘡、ギラン・バレー症候群、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症及び他の脱髄性疾患、ウイルス性及び細菌性髄膜炎、CNS外傷、脊髄損傷、発作、痙攣、オリーブ橋小脳萎縮症、AIDS痴呆合併症、MERRF及びMELAS症候群、レーバー病、ウェミケ症候群、レット症候群、ホモシスチン尿症、高プロリン血症、高ホモシステイン血症、非ケトン性高グリシン血症、ヒドロキシ酪酸アミノ酸尿症、亜硫酸オキシダーゼ欠損症、複合系疾患、鉛脳症、トゥレット症候群、肝性脳症、薬物嗜癖、薬物耐性、薬物依存症、うつ病、不安症及び統合失調症、動脈瘤、てんかん、骨吸収性疾患、大理石骨病、骨粗鬆症又は変形性関節症、糖尿病、全身性悪液質、感染又は悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、肥満、無食欲症又は神経性水疱症、敗血症、HIV、HCV、マラリア、感染性関節炎、リーシュマニア症、ライム病、乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌を含むがそれらに限定されない癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、キャッスルマン病、又は薬物耐性である。
【0045】
いくつかの実施形態では、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態は、アレルギー性結膜炎である。
【0046】
一部の実施形態では、本開示は、アレルギー性結膜炎を有する患者の処置方法であって、アレルギー性結膜炎を処置するのに有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に投与するステップを含む方法に関する。
【0047】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の量は、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状を軽減するのに有効である。
【0048】
いくつかの実施形態では、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状は、眼の痒み、結膜発赤、毛様体発赤、上強膜発赤、結膜浮腫、眼瞼腫脹、流涙、鼻漏、鼻の掻痒、耳若しくは口蓋の掻痒、又は鼻閉である。他の実施形態では、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状は、眼の痒みである。更に他の実施形態では、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状は、結膜発赤である。
【0049】
当業者は、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状の低減(すなわち、改善)が起こったかどうかを決定するための方法をどのように考案するかを理解するであろう。実際、そのような方法は当業者にとって既知であり、例えば、客観的方法及び主観的測定を含む。アレルギー性結膜炎の徴候並びにそれらの重症度は、眼科検査によって評価することができ、細隙灯顕微鏡などの機器の使用を含み得る。視覚的アナログ尺度、数値尺度、及び重症度指数などの患者自己評価尺度は、症状及びその重症度の主観的評価のために使用されてもよい。例えば、A.Leonardi,Diagnostic tools in ocular allergy,Allergy.2017;72:1485~1498を参照。
【0050】
いくつかの実施形態では、アレルギー性結膜炎の徴候又は症状の低減は、一方の極端の徴候又は症状なしから他方の極端の重度の徴候又は症状までの範囲の数値尺度を使用して測定される。例えば、眼の痒みを評価するための数値尺度は、0~5、又は0~10、又は0~20の範囲であってよく、0は痒みがないことを表し、最も高い数値は重度の痒みを表す。同様の尺度を採用して、結膜発赤などのアレルギーの客観的徴候を測定することができる。
【0051】
いくつかの態様では、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態は、好中球媒介性疾患である。
【0052】
いくつかの実施形態では、好中球媒介病は、気管支喘息、鼻炎、インフルエンザ、卒中、心筋梗塞、熱傷、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、外傷後の多臓器損傷、急性糸球体腎炎、急性炎症性成分を伴う皮膚病、急性化膿性髄膜炎、血液透析、白血球フェレーシス、顆粒輸血関連症候群、又は壊死性腸炎である。
【0053】
いくつかの態様は、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態は、神経変性障害である。
【0054】
いくつかの実施形態では、神経変性障害は、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、クローン病及び潰瘍性結腸炎からなる群から選択される炎症性大腸炎、下痢、自己免疫性肝炎、C型肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、又は劇症肝不全からなる群から選択される肝疾患、セリアック病及び非特異的結腸炎からなる群から選択される胃腸疾患、骨粗鬆症などの骨の疾患、アレルギー鼻炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性肉芽腫性炎症、嚢胞性繊維症、及びサルコイドーシスからなる群から選択される肺障害、アテローム性心臓疾患、鬱血性心不全、及び再狭窄からなる群から選択される心臓血管疾患、並びに糸球体腎炎及び血管炎からなる群から選択される腎臓疾患である。
【0055】
いくつかの態様において、ホスホジエステラーゼIV(PDEIV)媒介性の疾患又は状態は、様々な原因(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息)の急性及び慢性(特に炎症及びアレルゲン誘発性)の気道障害;乾癬(尋常性)、中毒性及びアレルギー性接触皮膚炎、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純性苔癬、日焼け、肛門性器部の掻痒、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、濾胞性及び広汎性膿皮症、内因性及び外因性疼痛、酒さ性ざ瘡及び他の増殖、炎症及びアレルギー性皮膚疾患などの(特に増殖、炎症及びアレルギー性タイプの)皮膚病;TNF及びロイコトリエンの過剰放出に基づく疾患、例えば、関節タイプの疾患(リウマチ性関節炎、リウマトイド脊椎炎、骨関節症、及び他の関節炎状態)、免疫系の疾患(AIDS)、ショックタイプ[敗血症ショック、エンドトキシンショック、グラム陰性敗血症、毒素性ショック症候群及び成人呼吸促進症候群(ARDS)]、及び胃腸領域における全身性炎症(クローン病及び潰瘍性結腸炎);上気道の領域(咽頭、鼻)及び隣接領域(副鼻腔、眼)におけるアレルギー性及び/又は慢性の免疫学的偽反応に基づく疾患、例えばアレルギー性鼻炎/副鼻腔炎、慢性鼻炎/副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎及び鼻ポリープ;心不全などのPDE阻害剤によって治療することができる心臓の障害、又は腎臓結石に関連する腎臓及び尿管の疝痛などのPDE阻害剤の組織弛緩作用によって治療することができる障害が含まれる。
【0056】
本発明の方法は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。式(I)の化合物、N2-メチル-N4-フェニル-6-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンは、例えば国際公開第2017112951号に記載されている。See also,S.Lee,et al.,J.Med.Chem.2017;60,3,1210~1218も参照。
【0057】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物が投与される。
【0058】
本発明の方法の他の実施形態では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩が投与される。用語「薬学的に許容される塩」は、比較的非毒性の酸を用いて調製される式(I)の化合物の酸付加塩を指す。酸付加塩は、式(I)の化合物の中性形態を、十分な量の所望の酸中で、適切な又は好適な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって得ることができる。薬学的に受容可能な酸付加塩の例としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸から誘導される塩、並びに比較的非毒性の有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸から誘導される塩が挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al.,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19を参照)。したがって、式(I)の化合物は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩、又はラセミ混合物を含むそれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸などのアミノ酸との塩を含む塩として存在し得る。これらの塩は、当業者にとって既知の方法によって調製され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上において、非天然の割合の原子同位体を含有し得る。例えば、式(I)の化合物は、例えば、重水素(2H)、三重水素3H)、フッ化物(18F)、ヨウ素-125(125I)、又は炭素-14(14C)などの同位体で放射性標識され得る。式(I)の化合物の全ての同位体変種は、放射性であるか否かにかかわらず、本発明の範囲内に包含される。
【0060】
本開示の方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の量は、PDEIV媒介性の疾患又は状態を処置するのに有効である。
【0061】
本明細書で使用される場合、「処置に有効な量」という語句は、述べられた目的を達成する(例えば、それが投与される効果を達成する、疾患を治療する、疾患又は状態の1つ以上の症状を軽減する)のに十分な量を指す。「処置に有効な量」の例は、疾患又は状態の徴候又は症状の治療、予防、又は低減に寄与するのに十分な量である。徴候(複数可)又は症状(複数可)の「低減」(及びこの語句の文法的等価物)は、徴候(複数可)若しくは症状(複数可)の重症度若しくは頻度の減少、又は徴候(複数可)若しくは症状(複数可)の排除を意味する。徴候又は症状のそのような低減は、上で概説した徴候及び/又は症状についての数値尺度を使用して判定することができる。
【0062】
一部の実施形態では、「処置するのに有効な量」は、予防効果を有する、例えば、疾患又は状態の発症(若しくは再発)を予防若しくは遅延させる、又は疾患又は状態若しくはその症状の発症(若しくは再発)の可能性を低減する量である。
【0063】
「処置に有効な量」の投与は、その量を単回用量又は複数回用量で投与することを含み得る。正確な量は、処置の目的に依存し、公知の技術を使用して当業者によって確認可能である(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar,Dosage Calculations(1999);及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20 th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams&Wilkins)を参照)。
【0064】
「処置するのに有効な量」は、アッセイ及び動物モデル(例えば、本明細書中に開示されるもの)から推定され得る。このような情報は、ヒトにおける有用な用量を決定するために当業者によって使用することができる。
【0065】
全身投与のために、投与量及び間隔は、活性部分の適切な血漿レベルを提供するために個々に調整することができる。いくつかの実施形態では、全身投与のための投与量は、約0.1mg/日~約1000mg/日、例えば、1~500mg/日、10~200mg/日、又は100~200mg/日の範囲である。
【0066】
式(I)の化合物が局所投与される実施形態では、「治療に有効な量」は、約0.01mg/cm2~約10mg/cm2、例えば、約0.1mg/cm2~約10mg/cm2、又は約0.1mg/cm2~約2mg/cm2の範囲であり得る。
【0067】
哺乳動物に投与される投薬量及び頻度(単回用量又は複数回用量)は、例えば、哺乳動物がごとの疾患に罹患しているか否か、及びその投与経路;レシピエントのサイズ、年齢、性別、健康、体重、肥満度指数、及び食事;治療される疾患の症状の性質及び程度、併用治療の種類、治療される疾患からの合併症又は他の健康関連問題を含む、種々の因子に依存して変動し得る。確立された投与量(例えば、頻度及び期間)の調整及び操作は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0068】
一部の態様では、本開示は、哺乳動物炎症細胞を、哺乳動物炎症細胞からの炎症性サイトカインの放出を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と接触させることによって、哺乳動物炎症細胞からの炎症性サイトカインの放出を阻害する方法に関する。
【0069】
これらの方法のいくつかの実施形態では、炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、及びIL-12を含むインターロイキン(IL)、アルファ-インターフェロン、ベータ-インターフェロン、若しくはガンマ-インターフェロンを含むインターフェロンである。
【0070】
本明細書で使用される場合、「放出を阻害する」という用語は、式(I)の化合物の非存在下で細胞によって放出される量と比較して、炎症細胞によって放出される炎症性サイトカインの量を防止又は減少させることを意味する。サイトカインレベルを測定する方法は、当業者にとって既知である。
【0071】
本明細書で使用される場合、「接触させること」という用語は、式(I)の化合物を哺乳動物炎症細胞と近接させて、それらが物理的接触を行うことができるようにすることを指す。
【0072】
いくつかの態様では、本開示は、哺乳動物炎症細胞におけるPDEIV活性を阻害する方法であって、哺乳動物炎症細胞を、当該PDEIV活性を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩と接触させることを含む方法に関する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「PDEIV活性を阻害する」という用語は、式(I)の化合物の非存在下でのPDEIV酵素の活性と比較して、PDEIV酵素の酵素活性を防止又は低減することを意味する。PDEIV活性を測定する方法は、当業者にとって既知である。
【0074】
本開示の方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物で投与することができる。
【0075】
「薬学的に許容される賦形剤」は、対象への活性剤の投与及び対象による吸収を補助し、患者に対して著しい有害な毒性学的影響を引き起こすことなく本発明の組成物中に含めることができる物質を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、生理食塩水、乳酸リンゲル液、正常スクロース、正常グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香味料、塩溶液(リンゲル液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロース又はデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色剤などが挙げられる。このような調製物は、滅菌することができ、そして所望であれば、本発明の化合物と有害に反応しない補助剤(例えば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、及び/又は芳香物質など)と混合させることができる。当業者は、他の医薬賦形剤が本発明において有用であることを認識するであろう。
【0076】
本発明の方法における使用に適した薬学的組成物は、患者への投与に適した任意の剤形を含む。このような剤形としては、錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、トローチ剤、アプリケータースティック、液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、ゼリー剤、塗布剤、散剤、エアロゾル剤、糖衣錠、液剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤、坐剤、微小球、リポソーム、及び分散性顆粒剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用する場合、「投与する」という用語は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩(医薬組成物として含む)を、炎症部位に式(I)の化合物が存在するように患者の身体に適用することを意味する。投与には、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、経皮、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、髄腔内、鼻腔内又は皮下投与、徐放デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの対象への移植、経粘膜(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸又は経皮)、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、小動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内及び頭蓋内)が含まれる。他の送達様式としては、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
開示された方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、局所的に、経口的に、経口的に、坐剤として、静脈内に、非経口的に、腹腔内に、筋肉内に、病巣内に、くも膜下腔内に、鼻腔内に、又は皮下に投与される。
【0079】
開示される方法の他の実施形態では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、局所投与される。
【0080】
開示される方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能される塩は、経口投与される。
【0081】
本開示の方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、所与の疾患又は状態を治療するのに有用であることが知られている他の活性薬物と組み合わせて、又は単独では有効ではないが、式(I)の化合物の有効性に寄与し得る補助剤と組み合わせて投与することができる。そのような実施形態では、式(I)の化合物は、1つ以上の追加の薬剤の投与と同時に、その前に、又はその後に投与される。
【0082】
以下の実施例は、本開示の方法の態様を更に説明しており、限定することを意図していない。
【実施例】
【0083】
実施例1
動物
動物をIVCケージに個別に収容し、オートクレーブで処理したトウモロコシ穂軸を床敷材料として使用する。動物を、22±3℃の温度、50±20%の湿度、それぞれ12時間の明/暗サイクル、及び1時間あたり15~20回の新鮮な空気の交換を有する制御された環境において維持する。動物に、認可された照射実験用齧歯類飼料(Nutrilab brand、Tetragon Chemie Pvt.Ltd.、バンガロール)を自由に給餌する。
【0084】
動物の順化
動物を、研究の開始前に約5~7日間にわたって順化させておく。試験当日に、動物を体重に基づいて無作為化する。
【0085】
無作為化
10%未満の群間変動が存在するように、動物を体重に基づいて無作為化する。無作為化の直後に、耳の切り込みによって動物に永久番号を割り当てる。ケージは、研究コード、群番号、性別、用量、ケージ番号、動物の数、及び動物番号の詳細を示すケージカードによって識別される。
【0086】
【0087】
試験品目の詳細
1.デキサメタゾンカタログ番号又はバッチ番号:BCBM4557V(sigma)
デキサメタゾン用のビヒクル(ビヒクル1):アセトン:エタノール(1:1)、20μL/耳
用量:0.1mg/耳
投与量:20μL/耳
2.クリサボロール:PZ0037(Sigma)
ビヒクル(ビヒクル1):アセトン:エタノール(1:1)、20μL/耳
用量:0.1mg/耳
投与量:20μL/耳
3.式(I)の化合物
ビヒクル(ビヒクル1):アセトン:エタノール(1:1)、20μL/耳
用量:0.1mg/耳
投与量:20μL/耳
【0088】
試験群
デキサメタゾン及び試験品目の調製及び適用:
使用液の強度=5mg/ml
0日目に、群1にビヒクルのみ(エタノール:アセトン=1:1)を局所適用する。
群2、3、及び4の動物は、両耳に、PMAチャレンジの30分前に、それぞれデキサメタゾン、クリサボロール及び式(I)の化合物(1:1比のアセトン及びエタノール中の溶液として)を投与される。
【0089】
試験手順
タイムライン:
-24時間-無作為化(体重に基づく)
-30分-局所治療
0分-疾患誘発PMA適用
15分-局所治療
6時間-皮膚厚、皮膚採取(コホート1)
24時間-皮膚厚、皮膚収集(コホート2)
【0090】
【0091】
疾患誘発:
5μg/20μl/右耳及び5μg/20μl/左耳(両耳の前面及び後面において2.5μg/10μl)
【0092】
ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)をアセトン中で250μg/mlの濃度で配合する。この使用液を両耳の前面及び後面に局所的に適用する(各側に10μl)。
【0093】
観察:
耳厚(右耳及び左耳の両方):(PMAチャレンジ前)1時間、PMAチャレンジの6時間後及び24時間後。
【0094】
耳採取:
6時間及び24時間で、動物のそれぞれのコホートを屠殺させ、耳組織を採取する。右耳を採取し、液体窒素中で急速冷凍し、サイトカイン推定のための均質化まで-80℃で保存する(3匹の疑似対照動物を比較のために使用する)。左耳を採取し、組織病理のために10%NBF中で保存する。左耳の半分を薬物濃度測定に使用し、左耳の他の半分を組織病理に使用する。
【0095】
血液採取:
屠殺の直前に、血液を後眼窩放血によってK2-EDTAチューブに採取する。血漿を分離し、(試験品目濃度について)更なる分析のために-80℃で保存する。
【0096】
結果:
図4、5、8、9、12、及び13に示されるように、式(I)の化合物は、デキサメタゾン及びクリサボロールに匹敵する程度まで、6時間でのPMA誘導性耳肥厚及び耳重量増加(すなわち、過形成の徴候)を予防又は低減する。
【0097】
実施例2
動物の飼育及び給餌:
動物をIVCケージに個別に収容し、オートクレーブで処理したトウモロコシ穂軸を床敷材料として使用する。動物を、22±3℃の温度、50±20%の湿度、それぞれ12時間の明/暗サイクル、及び1時間あたり15~20回の新鮮な空気の交換を有する制御された環境において維持する。動物に、認可された照射実験用齧歯類飼料(Nutrilab brand、Tetragon Chemie Pvt.Ltd.、バンガロール)を自由に給餌する。
【0098】
動物の順化:
受領時に、消えないマーカーペンを用いて、動物の尾の付け根に一時的な番号を割り当てる。全ての動物を、研究の開始前に約5~7日間の期間にわたって順化させておく。試験当日に、動物を体重に基づいて無作為化する。
【0099】
無作為化:
10%未満の群間変動が存在するように、動物を体重に基づいて無作為化する。無作為化の直後に、耳の切り込みによって動物に永久番号を割り当てる。ケージは、研究コード、群番号、性別、用量、ケージ番号、動物の数、及び動物番号の詳細を示すケージカードによって識別される。
【0100】
【0101】
試験品目の詳細
1.デキサメタゾンカタログ番号又はバッチ番号:BCBM4557V(sigma)
デキサメタゾン用ビヒクル(ビヒクル1):アセトン:エタノール(1:1)
用量:耳に0.1mg及び背中皮膚に0.25mg
投与量:耳に20μL/及び背中皮膚に50μL
2.クリサボロール:PZ0037(Sigma)
ビヒクル(ビヒクル1):アセトン:エタノール(1:1)
用量:耳に0.1mg及び背中皮膚に0.25mg
投与量:耳に20μL及び背中皮膚に50μL
3.式(I)の化合物
ビヒクル(ビヒクル1):アセトン:エタノール(1:1)
用量:耳に0.1mg及び背中皮膚に0.25mg
投与量:耳に20μL/及び背中皮膚に50μL
【0102】
デキサメタゾン及び試験品目の調製及び適用:
強度=5mg/ml
適用=各耳に100μg/20μl+背中に250μg/50μl G2~G4にデキサメタゾン、クリサボロール、又は試験品目を投与する。毎日の局所処置(D0~D6):IMQ適用の6~8時間後に、各耳に20μl中0.1mg×両耳+50μl中0.25mg(背中)
【0103】
試験手順
タイムライン:
疾患誘発:0~6日目から毎日、5%IMQクリーム40mg(背中)及び5mg(各耳-内表面)の適用
処置:0.5%デキサメタゾン溶液:IMQの8時間後に0.25mg(背中)及び0.1mg(各耳)
2日目-背中領域の脱毛
0日目-観察(体重;デジタルマイクロキャリパを使用した耳厚)
2日目-観察(体重;デジタルマイクロキャリパを使用した耳厚)
4日目-観察(体重;デジタルマイクロキャリパを使用した耳厚)
6日目-観察(体重;デジタルマイクロキャリパを使用した耳厚)採血(PK)及び終了(最終投与の2時間後)・耳採取:PK、サイトカイン、MPO、厚さ・背中皮膚採取、スコアリング及び厚さ測定・組織病理(任意選択)。
【0104】
【表4】
群2~4の動物:上記の表に記載の通り
群1の動物には、アセトン及びエタノールビヒクル(1:1)を1日1回局所投与する。
【0105】
疾患誘発:
疾患誘発:イミキモド5%クリーム
動物の背側後部領域(2cm×2cm)を、ヘアトリマーを用いて脱毛する。5%イミキモドクリーム:50mg/動物(剃毛した背中に40mg+左右の耳の内側部分にそれぞれ5mg)を1日1回0~5日目に適用する(群1~4)。
【0106】
ワセリン:50mg/動物(剃毛した背中に40mg+左右の耳の内側部分にそれぞれ5mg)を、疑似対照マウスに1日1回0~5日目に適用する。それらには、いかなる追加の処置も行わない(群5)。
【0107】
観察:
体重を、受け取り時、無作為化の日、処置前、及びその後2日に1回、全ての動物について個々に記録する。動物を一定間隔で死亡率について観察する。
【0108】
血液採取:
6日目に、屠殺の前にイソフルラン麻酔下で後眼窩放血によって血液を採取する。血液をK2-EDTAチューブに採取し、血漿を分離し、(試験品目濃度について)更なる分析のために-80℃で保存する。
【0109】
耳採取:
6日目の化合物処置の2時間後、全ての動物を屠殺させ、耳組織を収集する。右耳を液体窒素中で急速冷凍し、MPO及びサイトカイン推定のために均質化まで-80℃で保存する。
【0110】
左耳の半分を薬物濃度測定に使用する。左耳組織の他の半分を組織病理に使用する。背中皮膚を、視覚的評価(スコアリング)及び組織病理のために採取する。
【0111】
MPO分析:急速凍結した耳組織試料を、キット中に提供される1×アッセイ緩衝液中で均質化させる。ホモジェネートを冷却遠心機で8000gで10分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを可溶化緩衝液(0.5%HTABrを含有する1×アッセイ緩衝液)に再懸濁する。試料を均質化させ、3回の凍結融解に供し、続いて10秒間の短時間の超音波処理に供する。試料を冷却遠心機で12,000gで10分間遠心分離し、得られた上清を蛍光検出キットに基づいてMPOレベルについて分析する。このキットは、過酸化水素及びMPOの存在下で酸化されて、その蛍光類似体を生成する非蛍光検出試薬を使用する(Enzo Life Sciences;ADI-907-029))。
【0112】
組織病理学:試験終了時に、後背部皮膚及び耳皮膚試料を採取する。皮膚試料を通常の組織病理学的方法を用いて処理し、4~5μmのパラフィン切片を調製する。組織切片(3連続切片/マウス)をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色して、表皮肥厚、過剰/不全角化、及び真皮における炎症細胞浸潤を評価する。病変の重症度は、2人の独立した病理学者によって0~4の尺度(0-正常、1-軽度、2-中等度、3-重度、及び4-広範囲又は複数の位置)で、盲検様式で各パラメータについて半定量的に評価する。スコアを評価しながら、病変領域の割合を考慮に入れる。(各パラメータについて)スコアを群ごとに平均する。累積病変スコアは、表皮肥厚、角質増殖、不全角化、及び細胞浸潤のスコアを加算することによって計算される(したがって最大スコア=16)。全ての処置群を病理学的対照群と比較する。
【0113】
結果:
van der Fits et al.,Imiquimod-Induced Psoriasis-Like Skin Inflammation in Mice is mediated via the IL-23/IL-17 Axis.The Journal of Immunology,2009,182:5836-5845を参照。
【0114】
疑似対照動物は、IMQ対照動物と比較した場合、体重の有意な増加を示す。0.5%デキサメタゾンで処置した動物は、IMQ対照動物と比較した場合、有意な体重減少を示す。動物における体重減少は、IMQ対照動物と比較した場合、式(I)の化合物(0.5%)の局所処置で有意に少ない。
図27及び28を参照。
【0115】
IMQ適用は、病気の(IMQ対照)動物における耳厚を増加させる。デキサメタゾン(0.5%)適用は、それぞれ4日目及び6日目に耳厚の有意な減少(p<0.001)をもたらす。クリサボロール(0.5%)及び式(I)の化合物(0.5%)の局所処置は、6日目に耳厚の有意な減少を示す。
図29を参照。
【0116】
背中皮膚の炎症の重症度をスコア付けするために、客観的なスコアリングシステムが開発される。全ての動物を、紅斑、鱗屑形成、及び皮膚厚形成について、独立して0~4の尺度でスコア付けする。累積臨床スコアは、紅斑、皮膚厚、及び鱗屑のスコアを合計することによって計算される。したがって、各動物の最大スコアは12である。スコアリングシステムは、以下のような臨床的乾癬面積及び重症度指数(PASI)に基づく(van der Fits et al.J Immunol 2009)(0-正常1-軽度2-中等度3-顕著4-非常に顕著)。イミキモド適用の2~3日後に、紅斑、皮膚厚、及び鱗屑形成の徴候が動物の背中の皮膚に観察される。疑似対照動物と比較した場合、IMQ対照動物における全ての個々のスコア及び累積臨床スコアにおいて有意な増加が存在する。
【0117】
IMQ対照群は、紅斑、皮膚厚、及び鱗屑を含む累積臨床スコアの有意な増加を示す。デキサメタゾンによる処置は、紅斑の程度、皮膚厚、及び鱗屑、並びに全体的な累積臨床スコアの有意な減少を示す。クリサボロール(0.5%)で処置した動物は、IMQ対照動物と比較して、6日目に累積臨床スコアの有意な減少を示す(p<0.05)。式(I)の化合物による処置は、全体的な累積スコアの有意な減少を示さない。
図31~34を参照。
【0118】
脾腫は、脾臓におけるTh17細胞の分化に起因して、このモデルにおいて観察される。IMQ対照動物は、脾臓重量の有意な増加を示す。デキサメタゾン処置動物は、脾臓重量の有意な減少を示す(p<0.0001)。クリサボロール及び式(I)の化合物で処置した動物は、IMQ対照動物と比較して、脾臓重量又は正規化脾臓重量の有意な減少を示さない。
図35及び
図36を参照。
【0119】
6日目の終了時に、各動物の背中皮膚厚を測定する。疑似対照と比較した場合、IMQ対照動物においてイミキモド適用後に背中皮膚厚の有意な増加が観察される。デキサメタゾン処置動物は、背中皮膚厚の有意な減少を示す(p<0.0001)。クリサボロール及び式(I)の化合物で処置した動物は、背中皮膚厚の有意な減少を示さない。
図30を参照。
【0120】
処置の2時間後の6日目に、式(I)の化合物で処置した動物の血漿及び耳皮膚濃度を評価する。有意な濃度の試験化合物である式(I)の化合物が、血漿及び耳皮膚において観察される。耳皮膚における濃度は、血漿レベルよりもほぼ976倍高い。
図41を参照。
【0121】
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は、好中球に存在する酸化酵素である。炎症の間、耳組織における好中球及び他の免疫メディエータの浸潤がある。MPO活性の増加は、IMQ対照群の耳組織ホモジェネートにおいて観察される。デキサメタゾン処置動物は、MPO活性の有意な阻害を示す(p<0.001)。クリサボロール及び式(I)の化合物で処置した動物は、MPO活性の有意な阻害を示さない。
図37を参照。
【0122】
各等級の関与率を考慮して、各等級の特徴について組織病理(HP)スコアが与えられる。皮膚及び耳の等級付け基準を以下に示す。
【0123】
【0124】
関与率は、以下のように各等級付け特徴についてスコア付けされる。
【0125】
【0126】
【0127】
関与率は、以下のように各等級付け特徴についてスコア付けされる。
【0128】
【0129】
IMQ対照群からの背中及び耳の皮膚切片は、真皮及び表皮における表皮肥厚、角質増殖、不全角化、及び炎症性細胞浸潤を示す。デキサメタゾンによる処置は、表皮肥厚、浸潤の程度並びに耳及び背中の皮膚の全体的な累積HPスコアの有意な減少をもたらす。クリサボロール(0.5%)で処置した動物は、耳皮膚の全体的な累積HPスコアの有意な減少を示す。式(I)の化合物(0.5%)で処置した動物は、表皮肥厚の程度、耳の細胞浸潤、及び耳皮膚の全体的な累積HPスコアの有意な減少を示す。処置はまた、背中皮膚の表皮肥厚の程度の減少を示す。背中の皮膚の累積HPスコアの有意な減少が観察される。全体として、式(I)の化合物(0.5%)で処置した動物は、耳厚の有意な減少を示し、耳及び背中の皮膚の組織病理学スコアの有意な減少を示す。
図42及び43を参照。
【0130】
正常対照動物と比較した場合、IMQ対照動物におけるIMQ適用後の耳組織ホモジェネートにおいてサイトカインレベルの有意な増加が観察される。種々の炎症促進性サイトカインの有意な増加が、疑似対照動物と比較した場合、IMQ対照動物において観察される。動物へのデキサメタゾンの局所処置は、IMQ対照動物と比較した場合、耳におけるIMQ適用に起因して上昇したサイトカインの大部分において有意な減少を示す。クリサボロール及び式(I)の化合物の局所処置は、いくつかの炎症促進性サイトカインの有意な減少を示す。
図38~40を参照。
【0131】
実施例3
ホスホジエステラーゼIVサブタイプにおける式(I)の化合物の活性を評価する。
【0132】
この研究において使用される方法は、信頼性及び再現性を最大化するために科学文献から適合される。
【0133】
参照標準は、得られた結果の妥当性を保証するために各アッセイの不可欠な部分として実行される。参照化合物:
ホスホジエステラーゼPDE10A2パパベリン
ホスホジエステラーゼPDE11A4ジピリダモール
ホスホジエステラーゼPDE1A MMPX
ホスホジエステラーゼPDE2A EHNA
ホスホジエステラーゼPDE3Aシロスタミド
ホスホジエステラーゼPDE4A1Aロリプラム
ホスホジエステラーゼPDE4B1ロリプラム
ホスホジエステラーゼPDE5Aザプリナスト
ホスホジエステラーゼPDE6ザプリナスト
ホスホジエステラーゼPDE7A IBMX
ホスホジエステラーゼPDE7B IBMX
ホスホジエステラーゼPDE8A1ジピリダモール
ホスホジエステラーゼPDE9A2ザプリナスト
【0134】
PDE4アッセイは、文献から採用された方法を用いて行われる。Richter W,et al.(2001)Identification of inhibitor binding sites of the cAMP-specific phosphodiesterase 4.Cell Signal.13(4):287-297;Wang H,et al.(2005)Multiple elements jointly determine inhibitor selectivity of cyclic nucleotide phosphodiesterases 4 and 7.J Biol Chem.280(35):30949-30955を参照。
【0135】
ホスホジエステラーゼPDE4A1A;ホスホジエステラーゼPDE4B1;ホスホジエステラーゼPDE10A2;ホスホジエステラーゼPDE11A4;ホスホジエステラーゼPDE2A;ホスホジエステラーゼPDE3A;ホスホジエステラーゼPDE7A;ホスホジエステラーゼPDE7B;及びホスホジエステラーゼPDE8A1:
供給源:ヒト組換え昆虫Sf9細胞
基質:0.10μM FAM-cAMP
ビヒクル:1.00%DMSO
有意水準:最大刺激又は阻害の≧50%
インキュベーション緩衝液:10mM Tris-HCl、pH7.2、10mM mgCl2、0.05%NaN3、0.1%リン酸塩不含BSA
定量方法:フルオレセイン-AMP-IMAPの定量
前インキュベーション時間/温度:25℃で15分
インキュベーション時間/温度:25℃で30分
【0136】
ホスホジエステラーゼPDE1A;ホスホジエステラーゼPDE5A;及びホスホジエステラーゼPDE9A2:
供給源:ヒト組換え昆虫Sf9細胞
基質:0.10μM FAM-cAMP
ビヒクル:1.00%DMSO
有意水準:最大刺激又は阻害の≧50%
インキュベーション緩衝液:10mM Tris-HCl、pH7.2、10mM mgCl2、0.05%NaN3、0.1%リン酸塩不含BSA
定量方法:フルオレセイン-GMP-IMAPの定量
前インキュベーション時間/温度:25℃で15分
インキュベーション時間/温度:25℃で30分
【0137】
ホスホジエステラーゼPDE6:
出典:ウシ網膜杆体外節
基質:100μM[3H]cGMP+cGMP
ビヒクル:1.00%DMSO
有意水準:最大刺激又は阻害の≧50%
インキュベーション緩衝液:50mM Tris-HCl、pH7.5、5mM mgCl2、
定量方法:[3H]グアノシンの定量
前インキュベーション時間/温度:25℃で15分
インキュベーション時間/温度:25℃で20分
【0138】
IC50値は、MathIQTM(ID Business Solutions Ltd.、英国)を用いた非線形最小二乗回帰分析によって求める。阻害定数(Ki)が提示される場合、Ki値は、試験化合物の観察されたIC50、アッセイにおいて使用される放射性リガンドの濃度、及びリガンドのKDについての過去の値を使用して、チェン-プルソフ式(Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22:3099~3108,1973)により計算される。示される場合、競合結合曲線の傾きを定義するヒル係数(nH)は、MathIQTMを用いて計算される。1.0とは有意に異なるヒル係数は、結合置換が単一結合サイトとの質量作用の法則に従わないことを示唆し得る。IC50、Ki、及び/又はnHデータが平均標準誤差(SEM)なしで提示される場合、データは定量的であるには不十分であり、提示された値(Ki、IC50、nH)は慎重に解釈される。
【0139】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【0140】
実施例4
ホスホジエステラーゼIVサブタイプにおける式(I)の化合物の活性を評価する。
【0141】
この研究において使用される方法は、信頼性及び再現性を最大化するために科学文献から適合される。
【0142】
参照標準は、得られた結果の妥当性を保証するために各アッセイの不可欠な部分として実行される。ロリプラムをPDE4アッセイに使用する。
【0143】
PDE4アッセイは、文献から適合された方法を用いて行われる。See Richter W,et al.(2001)Identification of inhibitor binding sites of the cAMP-specific phosphodiesterase 4.Cell Signal.13(4):287-297;Wang H,et al.(2005)Multiple elements jointly determine inhibitor selectivity of cyclic nucleotide phosphodiesterases 4 and 7.J Biol Chem.280(35):30949-30955を参照。
【0144】
ホスホジエステラーゼPDE4A1A:
供給源:ヒト組換え昆虫Sf9細胞
基質:0.10μM FAM-cAMP
ビヒクル:1.00%DMSO
有意水準:最大刺激又は阻害の≧50%
インキュベーション緩衝液:10mM Tris-HCl、pH7.2、10mM mgCl2、0.05%NaN3、0.1%リン酸塩不含BSA
定量方法:フルオレセイン-AMP-IMAPの定量
前インキュベーション時間/温度:25℃で15分
インキュベーション時間/温度:25℃で30分
【0145】
ホスホジエステラーゼPDE4B1:
供給源:ヒト組換え昆虫Sf9細胞
基質:0.10μM FAM-cAMP
ビヒクル:1.00%DMSO
有意水準:最大刺激又は阻害の≧50%
インキュベーション緩衝液:10mM Tris-HCl、pH7.2、10mM mgCl2、0.05%NaN3、0.1%リン酸塩不含BSA
定量方法:フルオレセイン-AMP-IMAPの定量
前インキュベーション時間/温度:25℃で15分
インキュベーション時間/温度:25℃で30分
【0146】
IC50値は、MathIQTM(ID Business Solutions Ltd.、英国)を用いた非線形最小二乗回帰分析によって求める。阻害定数(Ki)が提示される場合、Ki値は、試験化合物の観察されたIC50、アッセイにおいて使用される放射性リガンドの濃度、及びリガンドのKDについての過去の値を使用して、チェン-プルソフ式(Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22:3099~3108,1973)により計算される。示される場合、競合結合曲線の傾きを定義するヒル係数(nH)は、MathIQTMを用いて計算される。1.0とは有意に異なるヒル係数は、結合置換が単一結合サイトとの質量作用の法則に従わないことを示唆し得る。IC50、Ki、及び/又はnHデータが平均標準誤差(SEM)なしで提示される場合、データは定量的であるには不十分であり、提示された値(Ki、IC50、nH)は慎重に解釈される。
【0147】
【0148】
【0149】
実施例5
PDE4D2における式(I)の化合物の活性を評価する。
【0150】
この研究において使用される方法は、信頼性及び再現性を最大化するために科学文献から適合される。
【0151】
ロリプラムを参照標準として使用する。
【0152】
PDE4アッセイは、文献から適合された方法を用いて行われる。See Houslay MD(2005)The long and short of vascular smooth muscle phosphodiesterase-4 as a putative therapeutic target.Mol Pharmacol.68(3):563-567;MacKenzie SJ and Houslay MD(2000)Action of rolipram on specific PDE4 cAMP phosphodiesterase isoforms and on the phosphorylation of cAMP-response element-binding protein(CREB)and p38 mitogen-activated protein(MAP)kinase in U937 monocytic cells.Biochem J.347(Pt 2):571-578を参照。
【0153】
ホスホジエステラーゼPDE4D2:
供給源:ヒト組換え昆虫Sf9細胞
基質:0.10μM FAM-cAMP
ビヒクル:1.00%DMSO
有意水準:最大刺激又は阻害の≧50%
インキュベーション緩衝液:10mM Tris-HCl、pH7.2、10mM mgCl2、0.05%NaN3、0.1%リン酸塩不含BSA
定量方法:フルオレセイン-AMP-IMAPの定量
前インキュベーション時間/温度:25℃で15分
インキュベーション時間/温度:25℃で15分
【0154】
IC50値は、MathIQTM(ID Business Solutions Ltd.、英国)を用いた非線形最小二乗回帰分析によって求める。阻害定数(Ki)が提示される場合、Ki値は、試験化合物の観察されたIC50、アッセイにおいて使用される放射性リガンドの濃度、及び(Eurofins Panlabs,Inc.で実験で得られた)リガンドのKDについての過去の値を使用して、チェン-プルソフ式(Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22:3099~3108,1973)により計算される。示される場合、競合結合曲線の傾きを定義するヒル係数(nH)は、MathIQTMを用いて計算される。1.0とは有意に異なるヒル係数は、結合置換が単一結合サイトとの質量作用の法則に従わないことを示唆し得る。IC50、Ki、及び/又はnHデータが平均標準誤差(SEM)なしで提示される場合、データは定量的であるには不十分であり、提示された値(Ki、IC50、nH)は慎重に解釈される。
【0155】
【0156】
実施例6
前臨床試験において、式(I)の化合物は、インビトロ又はインビボで突然変異又は生物学的に関連する傷害性効果を誘発しない。点眼試験は、式(I)の化合物が十分に許容されることを示す。
【0157】
式(I)の化合物0.034%眼科用液剤は、以下の組成を有する。
【0158】
【0159】
式(I)の化合物0.034%点眼液は、従来の技術を使用して調製することができる。例えば、PEG-400及びプロピレングリコール中の式Iの化合物の溶液は、式IをPEG-400及びプロピレングリコールの混合物に撹拌しながら添加することによって調製される。得られた溶液を、ステアリン酸ポリオキシル40の溶液及び組成物中で使用される水の一部と混合する。得られた溶液を、水、リン酸二水素ナトリウム一水和物、無水リン酸二ナトリウム、CMCナトリウム、塩化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム五水和物、及びEDTA二ナトリウム二水和物の溶液と混合して最終溶液を得、これを濾過(0.2μmのPESフィルタ)によって滅菌する。濾過した溶液を無菌条件下でバイアルに充填し、密封する。組成物を、20mm灰色ストッパ及び20mmフリップオフシールを備えた5mL、20mm、USPタイプI、透明ガラスバイアル(シリカコーティング)に入れる。
【0160】
試験に使用されるアレルギー性結膜炎の臨床モデルは、結膜アレルゲンチャレンジである。例えば、Abelson MB,Chambers W,Smith LM.Conjunctival allergen challenge.Arch Ophthalmol 1990,108:84;Abelson MB and Loeffler O.Conjunctival allergen challenge:models in the investigation of ocular allergy.Curr Allergy Asthma Reports.2003;3:363-368.を参照。
【0161】
診断:アレルギー性結膜炎
【0162】
試験品:式(I)の化合物0.034%
【0163】
各適格対象は、皮膚試験に対して陽性反応を有する場合、アレルゲンを使用して両側結膜アレルゲンチャレンジ滴定を受ける。陽性反応の後結膜アレルゲンチャレンジを誘発する対象は、同じアレルゲンを使用して確認結膜アレルゲンチャレンジを受ける。
【0164】
無作為化は、対象の治験薬への割り当てにおける偏りを回避し、既知及び未知の対象属性(例えば、人口統計及びベースライン特性)が処置群にわたって均等にバランスを保つ可能性を高め、並びに処置群にわたる統計的比較の有効性を向上させるために使用される。最後に、盲検処置を使用して、データ収集及び臨床エンドポイントの評価中の偏りの可能性を低減する。
【0165】
処置は、対象が無作為化された後に開始する。対象は、無作為化されて受ける処置の院内用量を投与される。治験薬の点滴注入の約14~18時間後、対象は結膜アレルゲンチャレンジを受けて、16時間の作用持続時間を評価する。
【0166】
その後の来院において、対象は、同じ試験薬の院内用量を受ける。治験薬の点滴注入の約8時間後、対象は、結膜アレルゲンチャレンジを受けて、8時間の作用持続時間を評価する。
【0167】
その後の来院において、対象は、15分間の作用持続時間を評価するために、結膜アレルゲンチャレンジの約15分前に同じ試験薬の院内用量を投与される。
【0168】
有効性尺度:
この臨床研究は、アレルギー性結膜炎の徴候及び症状の処置について、ビヒクルと比較した式(I)の化合物0.034%の有効性を評価する。
【0169】
眼の痒みは、最大10分の後結膜アレルゲンチャレンジにおいて対象によって評価される。
【0170】
眼の痒みは、一方の極端の痒みなしから他方の極端の重度の痒みまでの範囲の数値尺度を使用して評価される。
【0171】
結膜発赤は、最大25分の後結膜アレルゲンチャレンジにおいて研究員によって評価される。
【0172】
結膜発赤は、一方の極端の発赤なしから他方の極端の重度の発赤までの範囲の数値尺度を使用して評価される。
【0173】
更なる有効性の尺度としては、例えば、毛様体発赤、上強膜発赤、結膜浮腫、眼瞼腫脹、流涙、鼻漏、鼻掻痒、耳又は口蓋掻痒、及び鼻鬱血は、一方の極端の徴候/症状なしから他方の極端の重度の徴候/症状までの範囲の数値尺度を使用して評価される。眼瞼腫脹は、一方の極端の腫脹なしから他方の極端の重度の腫脹までの範囲の数値尺度を用いて評価される。
【国際調査報告】