(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】高度カラー電気泳動ディスプレイおよび改良された駆動電圧を伴うディスプレイのための改良された駆動電圧
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20230922BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20230922BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G02F1/167
G09G3/34 C
G09G3/20 612R
G09G3/20 621B
G09G3/20 641C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516509
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021050201
(87)【国際公開番号】W WO2022060700
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラダバック, コスタ
(72)【発明者】
【氏名】ホーゲブーム, クリストファー エル.
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BB13
2K101BB23
2K101BB40
2K101BC02
2K101BC13
2K101BC41
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2K101BD61
2K101EC08
2K101ED13
2K101ED26
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2K101ED51
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2K101ED75
2K101EG52
2K101EJ15
2K101EK35
5C080AA13
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD01
5C080EE29
5C080EE30
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5C080KK07
5C080KK08
5C080KK30
5C080KK34
5C080KK49
(57)【要約】
散乱粒子と、少なくとも2つの減法的粒子とを含む、4粒子電気泳動媒体を駆動するための改良された方法。そのような方法は、薄膜トランジスタのアレイを有する、バックプレーンを含む、カラー電気泳動ディスプレイ等のディスプレイを可能にし、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体の層を含む。金属酸化物トランジスタは、より高速かつより高電圧な切替を可能にし、したがって、トッププレーン切替を必要とすることなく、4粒子電気泳動媒体の直接的な色切替を可能にする。結果として、カラー電気泳動ディスプレイは、より高速に更新され得、色が、より確実に生産される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
視認表面における光透過性電極と、
ピクセル電極に結合される薄膜トランジスタのアレイを含むバックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体の層を含む、バックプレーンと、
前記光透過性電極と前記バックプレーンとの間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備える、カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項2】
第3のタイプの粒子および第4のタイプの粒子によって形成される凝集体を分離するために要求される第1の電場は、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される凝集体を分離するために要求される第2の電場よりも大きい、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項3】
前記第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項4】
前記第1の粒子は、白色であり、前記第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、非光散乱性である、請求項3に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の粒子および第3の粒子は、負荷電であり、前記第2の粒子および第4の粒子は、正荷電である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項6】
前記第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、それぞれ、白色、シアン色、黄色およびマゼンタ色であり、白色粒子および黄色粒子は、負荷電であり、マゼンタ色粒子およびシアン色粒子は、正荷電である、請求項5に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項7】
顔料が、前記顔料と、1.55未満の屈折率の液体とを備える厚さ1μmの層内に、体積比15%で略等方的に分布されるとき、黄色顔料、マゼンタ色顔料、およびシアン色顔料は、それぞれ、2.5%未満の黒色背景を覆って測定される650nm、550nm、および450nmにおいて、拡散反射率を呈する、請求項6に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項8】
前記液体は、約5未満の誘電定数を有する非極性液体である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項9】
前記流体は、約20,000を超過する平均分子量の数値を有し、前記粒子上に本質的に非吸着性であるポリマーを、その中に溶解または分散している、請求項8に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項10】
前記金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項11】
請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイを備える、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブ。
【請求項12】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
ピクセル電極に結合される薄膜トランジスタのアレイを含むバックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体の層を含む、バックプレーンと、
前記光透過性電極と前記バックプレーンとの間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
前記コントローラは、前記ピクセル電極に、複数の駆動電圧を提供するように構成され、それによって、前記光透過性電極を定電圧で維持しながら、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、各ピクセル電極において表示されることができる、
カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項13】
前記コントローラは、25ボルトを上回る電圧および-25ボルト未満の電圧を前記ピクセル電極に提供するように構成される、請求項12に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項14】
前記コントローラは、25V~0Vの電圧および-25V~0Vの電圧を付加的に提供するように構成される、請求項13に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項15】
前記金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である、請求項12に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項16】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
バックプレーン電極と、
前記光透過性電極と前記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
前記コントローラは、前記光透過性電極に、第1の高電圧および第1の低電圧を提供し、かつバックプレーン電極に、第2の高電圧、ゼロ電圧、および第2の低電圧を提供するように構成され、それによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、前記視認表面において表示されることができ、
前記第1の高電圧、前記第1の低電圧、前記第2の高電圧、および前記第2の低電圧のうちの少なくとも1つの大きさは、同一ではない、
カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項17】
前記第1の高電圧の大きさおよび前記第2の高電圧の大きさは、同一である、請求項16に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項18】
前記第1の低電圧の大きさおよび前記第2の低電圧の大きさは、同一であり、前記第1の高電圧の大きさおよび前記第1の低電圧の大きさは、同一ではない、請求項17に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項19】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
バックプレーン電極と、
前記光透過性電極と前記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
前記コントローラは、以下の駆動電圧、すなわち、
第1の時間のための高電圧、第2の時間のための低電圧、および第3の時間のための高電圧、または
第1の時間のための低電圧、第2の時間のための高電圧、および第3の時間のための低電圧
のうちの1つを前記光透過性電極に提供しながら、複数の時間依存性駆動電圧のうちの1つを、前記バックプレーン電極に提供することによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色を前記視認表面において表示させるように構成される、
カラー電気泳動ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2020年9月15日に出願された、米国仮特許出願第63/078,829号の優先権を主張する。本明細書に開示される、全ての特許および公開は、参照することによって、全体として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電気泳動ディスプレイ(EPD)は、光透過性視認表面に対する荷電着色粒子の位置を修正することによって、色を変更する。そのような電気泳動ディスプレイは、結果として生じるディスプレイが、紙上のインクとほぼ同様に、高コントラストを有し、太陽光可読であるため、典型的には、「電子ペーパー」または「eペーパー」と称される。電気泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイが、書籍同様の読書体験を提供し、少ない消費電力を使用し、ユーザが、軽量な手持ちデバイス内に数百冊の書籍のライブラリを携行することを可能にするため、AMAZON KINDLE(登録商標)等、電子書籍読取機において幅広い採用を享受している。
【0003】
何年もの間、電気泳動ディスプレイは、2つのタイプの荷電色粒子、すなわち、黒色および白色のみを含んでいた(確実にするために、「色」は、本明細書内で使用されるように、黒色および白色を含む)。白色粒子は、多くの場合、光散乱型であり、例えば、二酸化チタンを含む一方、黒色粒子は、可視スペクトルを横断して吸収性であり、カーボンブラック、または銅クロマイト等の吸収性金属酸化物を含んでもよい。最も単純な意味では、黒色および白色電気泳動ディスプレイは、視認表面における光透過性電極、背後電極、および反対荷電白色および黒色粒子を含む、電気泳動媒体のみを要求する。1つの極性の電圧が、提供されるとき、白色粒子は、視認表面に移動し、異極性の電圧が、提供されるとき、黒色粒子は、視認表面に移動する。背後電極が、制御可能領域(ピクセル)、すなわち、分割電極、またはトランジスタによって制御されるピクセル電極のアクティブマトリクスのいずれかを含む場合、あるパターンが、視認表面において電子的に現れるように作製されることができる。本パターンは、例えば、書籍にとっての本文であり得る。
【0004】
さらに最近では、3色ディスプレイ(黒色、白色、赤色および黒色、白色、黄色)および4色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、黄色)を含む、様々な色の選択肢が、電気泳動ディスプレイのために商業的に利用可能となっている。黒色および白色電気泳動ディスプレイの動作と同様に、3つまたは4つの反射性顔料を伴う、電気泳動ディスプレイは、所望の色粒子が、視認表面に対して駆動されるため、単純な黒色および白色ディスプレイと同様に動作する。本駆動スキームは、黒色および白色のみのものよりはるかに複雑であるが、最終的には、粒子の光学機能は、同一である。
【0005】
高度カラー電子ペーパー(ACePTM)はまた、4つの粒子を含んだが、シアン色、黄色およびマゼンタ色粒子が、反射性ではなく減法的であり、それによって、数千色が、各ピクセルにおいて生産されることを可能にする。本色プロセスは、オフセット印刷およびインクジェットプリンタにおいて長い間使用されてきた、印刷方法と機能的に同等である。所与の色は、明るい白色ペーパー背景上で、シアン色、黄色およびマゼンタ色の正しい比率を使用することによって生産される。ACePの事例では、視認表面に対する、シアン色、黄色、マゼンタ色および白色粒子の相対的な位置が、各ピクセルにおける色を決定するであろう。本タイプの電気泳動ディスプレイは、各ピクセルにおいて数千色を可能にするが、厚さ約10~20ミクロンの作業空間内で、(50~500ナノメートルサイズの)顔料のそれぞれの位置を慎重に制御することが、極めて重要である。明白なこととして、顔料の位置の変動は、誤った色が、所与のピクセルにおいて表示されることをもたらすであろう。故に、精緻な電圧制御が、そのようなシステムに対して要求される。本システムのさらなる詳細は、以下の米国特許、すなわち、米国特許第9,361,836号、第9,921,451号、第10,276,109号、第10,353,266号、第10,467,984号、および第10,593,272号において入手可能であり、その全てが、参照することによって全体として組み込まれる。
【0006】
本発明は、カラー電気泳動ディスプレイに関し、具体的には、排他的ではないが、複数の着色粒子、例えば、白色、シアン色、黄色およびマゼンタ色粒子を備える、電気泳動材料の単一層を使用して、2つを上回る色をレンダリング可能である、電気泳動ディスプレイに関する。いくつかの事例では、粒子のうちの2つは、正荷電であり、2つの粒子は、負荷電である。いくつかの事例では、1つの正荷電粒子は、厚いポリマーシェルを有し、1つの負荷電粒子は、厚いポリマーシェルを有する。
【0007】
用語「グレー状態」は、結像技術におけるその従来的な意味で本明細書で使用され、ピクセルの2つの極限光学状態の中間の状態を指し、必ずしもこれら2つの極限状態の間の黒色-白色遷移を含意するわけではない。例えば、下記に参照されるE Ink特許および公開された出願のうちのいくつかは、中間グレー状態が実際には淡い青色であろうように、極限状態が白色および濃青色である、電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べられたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒色および白色」は、以降では、ディスプレイの2つの極限光学状態を指すために本明細書で使用され得、通常、厳密に黒色および白色ではない、極限光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むものとして理解されたい。
【0008】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する表示要素を備え、その第1の表示状態または第2の表示状態のいずれかを呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するであろう、ディスプレイを指すために本明細書で使用される。グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限黒色および白色状態においてだけではなく、また、その中間グレー状態においても安定しており、同じことがいくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイに当てはまることが、米国特許第7,170,670号に示されている。本タイプのディスプレイは、適切には、「双安定」ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0009】
用語「インパルス」は、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用されるとき、ディスプレイが駆動される周期の間の時間に対する、印加電圧の積分を指すために本明細書で使用される。
【0010】
広帯域または選択された波長のいずれかにおいて、光を吸収、散乱、または反射させる、粒子は、本明細書では、着色または顔料粒子と称される。染料またはフォトニック結晶等の光を吸収または反射させる、顔料(不溶性着色材料を意味するとものとしてのその用語の厳密な意味において)以外の種々の材料もまた、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用されてもよい。
【0011】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、何年にもわたって、精力的研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイでは、複数の荷電粒子(時として、顔料粒子とも称される)が、電場の影響下で流体を通して移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画質に伴う問題は、その広範な使用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な耐用年数をもたらす。
【0012】
前述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。大部分の先行技術電気泳動媒体では、本流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産されることもできる。例えば、Kitamura, T., et al., Electrical toner movement for electronic paper-like display, IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1およびYamaguchi, Y., et al., Toner display using insulative particles charged triboelectrically, IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4を参照されたい。また、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直面に配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする配向で使用されるとき、粒子沈降に起因して、液体ベースの電気泳動媒体と同一タイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、液体のものと比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度が、電気泳動粒子のより高速な沈降を可能にするため、ガスベースの電気泳動媒体では、液体ベースのものより深刻な問題であると考えられる。
【0013】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義である、多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体内で使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを備え、それ自体がそれぞれ、電気泳動的可動粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセルは、それ自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節
【化1】
(h)ディスプレイを駆動するための方法
【化2-1】
【化2-2】
(これらの特許および出願は、以降、MEDEOD(電気光学ディスプレイを駆動するための方法)出願と称され得る)
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号、および米国特許出願公開第2015/0277160号、および米国特許出願公開第2015/0005720号および2016/0012710号参照)
【0014】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体内の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され、したがって、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、ポリマー材料の連続相とを備える、いわゆる「ポリマー分散型電気泳動ディスプレイ」を生産し得、そのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴は、いかなる離散カプセル膜も各個々の液滴と関連付けられないにもかかわらず、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0015】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、伝搬媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に留保される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0016】
電気泳動媒体は、多くの場合、不透過性であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透過性であり、1つが光透過性である、いわゆる「シャッタモード」で動作するように作製されることができる。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依拠し、類似のモードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのために、多層構造で使用されることができる。そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより離れた第2の層を暴露または隠蔽する。
【0017】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多種多様な可撓性および剛性基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する(「印刷」という語の使用は、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワード・リバースロールコーティング、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号参照)、および他の類似技法を含む、あらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図している)。したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷されることができるため、ディスプレイ自体は、安価に作製されることができる。
【0018】
上記に示されるように、最も単純な先行技術電気泳動媒体は、本質的に、2つの色のみを表示する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なる色を有する着色流体中の第1の色を有する単一タイプの電気泳動粒子(その場合、第1の色は、粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、粒子が視認表面から離間されるときに表示される)、または非着色流体中の異なる第1の色および第2の色を有する第1のタイプおよび第2のタイプの電気泳動粒子(その場合、第1の色は、第1のタイプの粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、第2のタイプの粒子が視認表面に隣接して存在するときに表示される)のいずれかを使用する。典型的には、2つの色は、黒色および白色である。フルカラーディスプレイが所望される場合、色フィルタアレイが、モノクロ(黒色および白色)ディスプレイの視認表面にわたって堆積されてもよい。色フィルタアレイを伴うディスプレイは、面積共有および色混成に依拠して、色刺激を作成する。利用可能なディスプレイ面積は、赤色/緑色/青色(RGB)または赤色/緑色/青色/白色(RGBW)等の3または4原色間で共有され、フィルタが、1次元(ストライプ)または2次元(2×2)反復パターンで配列されることができる。他の選択肢の原色または3つを上回る原色もまた、当技術分野において公知である。3つ(RGBディスプレイの場合)または4つ(RGBWディスプレイの場合)のサブピクセルが、意図される視認距離において、それらが視覚的にともに均一色刺激(「色混成」)を伴う単一ピクセルに混成するように十分に小さくあるように選定される。面積共有の固有の不利点は、着色剤が常時存在し、色が、下層モノクロディスプレイの対応するピクセルを白色または黒色に切り替える(対応する原色をオンまたはオフに切り替える)ことによってのみ変調されることができることである。例えば、理想的RGBWディスプレイでは、赤色、緑色、青色および白色原色はそれぞれ、ディスプレイ面積の4分の1(4つのうちの1つのサブピクセル)を占有し、白色サブピクセルは、下層モノクロディスプレイの白色と同程度に明るいが、着色サブピクセルはそれぞれ、モノクロディスプレイの白色の3分の1より明るくない。全体としてディスプレイによって示される白色の明るさは、白色サブピクセルの明るさの2分の1を上回り得ない(ディスプレイの白色面積は、各4つのうちの1つの白色サブピクセルに加えて、白色サブピクセルの3分の1に匹敵するその着色形態における各着色サブピクセルを表示することによって生産され、したがって、組み合わせられる3つの着色サブピクセルは、1つの白色サブピクセルを上回って寄与しない)。色の明るさおよび飽和は、黒色に切り替えられる色ピクセルとの面積共有によって低下される。面積共有は、黄色を混合するとき、それが、等しい明るさの任意の他の色より明るく、飽和された黄色が、白色とほぼ同程度に明るいため、特に問題となる。青色ピクセル(ディスプレイ面積の4分の1)から黒色への切替は、黄色を著しく暗くさせる。
【0019】
米国特許第8,576,476号および第8,797,634号は、独立してアドレス指定可能なピクセル電極と、共通光透過性フロント電極とを備える、単一バックプレーンを有する、多色電気泳動ディスプレイを説明している。バックプレーンとフロント電極との間には、複数の電気泳動層が配置される。これらの出願に説明されるディスプレイは、原色のいずれか(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、白色および黒色)を任意のピクセル場所にレンダリングすることが可能である。しかしながら、アドレス指定電極の単一セット間に位置する複数の電気泳動層の使用に対して不利点がある。特定の層内の粒子によって被られる電場は、同一電圧でアドレス指定される単一電気泳動層の場合に該当するであろうものより低い。加えて、視認表面に最も近い電気泳動層内の光学損失(例えば、光散乱または望ましくない吸光によって生じる)は、下層電気泳動層内に形成される画像の外観に影響を及ぼし得る。
【0020】
単一電気泳動層を使用してフルカラー電気泳動ディスプレイを提供するための試みが、成されている。例えば、米国特許第8,917,439号は、クリアかつ無色または着色溶媒中に分散される1つまたは2つのタイプの顔料粒子を含む、電気泳動流体を備え、電気泳動流体が、共通電極と複数のピクセルまたは駆動電極との間に配置される、カラーディスプレイを説明している。駆動電極は、背景層を暴露するように配列される。米国特許第9,116,412号は、反対電荷極性を帯び、2つのコントラスト色である、2つのタイプの荷電粒子を含む、電気泳動流体で充填される、ディスプレイセルを駆動するための方法を説明している。2つのタイプの顔料粒子は、着色溶媒またはその中に分散される非荷電または弱荷電着色粒子を伴う溶媒中に分散される。本方法は、全駆動電圧の約1~約20%である駆動電圧を印加することによって、ディスプレイセルを駆動し、溶媒の色または非荷電または弱荷電着色粒子の色を表示するステップを含む。米国特許第8,717,664号および第8,964,282号は、電気泳動流体と、電気泳動ディスプレイを駆動するための方法とを説明している。流体は、第1タイプ、第2タイプ、および第3のタイプの顔料粒子を備え、その全ては、溶媒または溶媒混合物中に分散される。第1のタイプおよび第2のタイプの顔料粒子は、反対電荷極性を帯び、第3のタイプの顔料粒子は、第1のタイプまたは第2のタイプの電荷レベルの約50%未満である電荷レベルを有する。3つのタイプの顔料粒子は、異なるレベルの閾値電圧、または異なるレベルの移動度、または両方を有する。これらの特許出願はいずれも、その用語が以下で使用される意味でのフルカラーディスプレイを開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第7,321,459号明細書
【特許文献2】米国特許第7,236,291号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本明細書に開示されるのは、フルカラー電気泳動ディスプレイを駆動する、改良された方法、およびこれらの駆動方法を使用するフルカラー電気泳動ディスプレイである。一側面では、本発明は、視認表面における、光透過性電極と、ピクセル電極に結合される、薄膜トランジスタのアレイを含む、バックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体層を含む、バックプレーンと、光透過性電極とバックプレーンとの間に配置される、カラー電気泳動媒体とを含む、カラー電気泳動ディスプレイを伴う。カラー電気泳動媒体は、(a)流体と、(b)流体中に分散される、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、(c)流体中に分散される、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第3のタイプおよび第4のタイプの粒子によって形成される、凝集体を分離するために要求される、第1の電場は、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される、凝集体を分離するために要求される、第2の電場よりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性である。いくつかの実施形態では、第1の粒子は、白色であり、第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、非光散乱性である。いくつかの実施形態では、第1の粒子および第3の粒子は、負荷電であり、第2の粒子および第4の粒子は、正荷電である。いくつかの実施形態では、第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、それぞれ、白色、シアン色、黄色およびマゼンタ色であり、白色粒子および黄色粒子は、負荷電であり、マゼンタ色粒子およびシアン色粒子は、正荷電である。いくつかの実施形態では、顔料が、顔料と、1.55未満の屈折率の液体とを備える、厚さ1μmの層内に、体積比15%で略等方的に分布されるとき、黄色顔料、マゼンタ色顔料、およびシアン色顔料は、それぞれ、2.5%未満の黒色背景を覆って測定される、650nm、550nm、および450nmにおいて、拡散反射率を呈する。いくつかの実施形態では、液体は、約5未満の誘電定数を有する、非極性液体である。いくつかの実施形態では、流体は、約20,000を超過する平均分子量の数値を有し、粒子上に本質的に非吸着性である、ポリマーを、その中に溶解または分散している。いくつかの実施形態では、金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である。上記の発明は、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブに組み込まれてもよい。
【0024】
別の側面では、カラー電気泳動ディスプレイは、コントローラと、視認表面における、光透過性電極と、ピクセル電極に結合される、薄膜トランジスタのアレイを含む、バックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体層を含む、バックプレーンとを含む。カラー電気泳動媒体は、光透過性電極とバックプレーンとの間に配置され、(a)流体と、(b)流体中に分散される、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、(c)流体中に分散される、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを含む。コントローラは、ピクセル電極に、複数の駆動電圧を提供するように構成され、それによって、光透過性電極を定電圧で維持しながら、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、各ピクセル電極において表示されることができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、25ボルトを上回る電圧および-25ボルト未満の電圧をピクセル電極に提供するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、25V~0Vの電圧および-25V~0Vの電圧を付加的に提供するように構成される。いくつかの実施形態では、金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である。
【0025】
別の側面では、カラー電気泳動ディスプレイは、コントローラと、視認表面における、光透過性電極と、バックプレーン電極と、光透過性電極とバックプレーン電極との間に配置される、カラー電気泳動媒体とを含む。カラー電気泳動媒体は、(a)流体と、(b)流体中に分散される、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、(c)流体中に分散される、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを含む。コントローラは、光透過性電極に、第1の高電圧および第1の低電圧を、かつバックプレーン電極に、第2の高電圧、ゼロ電圧、および第2の低電圧を提供するように構成され、それによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、視認表面において表示されることができ、第1の高電圧、第1の低電圧、第2の高電圧、および第2の低電圧のうちの少なくとも1つの大きさは、同一ではない。いくつかの実施形態では、第1の高電圧の大きさおよび第2の高電圧の大きさは、同一である。いくつかの実施形態では、第1の低電圧の大きさおよび第2の低電圧の大きさは、同一であり、第1の高電圧の大きさおよび第1の低電圧の大きさは、同一ではない。
【0026】
別の側面では、カラー電気泳動ディスプレイは、コントローラと、視認表面における、光透過性電極と、バックプレーン電極と、光透過性電極とバックプレーン電極との間に配置される、カラー電気泳動媒体とを含む。カラー電気泳動媒体は、(a)流体と、(b)流体中に分散される、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、(c)流体中に分散される、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを含む。コントローラは、以下の駆動電圧、すなわち、1)第1の時間のための高電圧、第2の時間のための低電圧、および第3の時間のための高電圧、または2)第1の時間のための低電圧、第2の時間のための高電圧、および第3の時間のための低電圧のうちの1つを光透過性電極に提供しながら、複数の時間依存性駆動電圧のうちの1つを、バックプレーン電極に提供することによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色を視認表面において表示させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、黒色、白色、減法三原色および加法三原色を表示するときの本発明の電気泳動媒体内の種々の着色粒子の位置を示す、概略断面図である。
【0028】
【
図2A】
図2Aは、概略形態において、多粒子電気泳動媒体内で使用される4つのタイプの異なる顔料粒子を示す。
【0029】
【
図2B】
図2Bは、概略形態において、多粒子電気泳動媒体内で使用される4つのタイプの異なる顔料粒子を示す。
【0030】
【
図3】
図3は、電気泳動ディスプレイの単一ピクセルの例示的等価回路を図示する。
【0031】
【
図4】
図4は、例示的電気泳動カラーディスプレイの層を示す。
【0032】
【
図5】
図5は、3つの減法的粒子および散乱(白色)粒子を含む、電気泳動媒体をアドレス指定するための例示的プッシュプル駆動スキームを示す。
【0033】
【
図6】
図6は、2値リセット相(A)および色遷移相(B)を含む、先行技術からの例示的波形であり、これは、トッププレーン切替を使用して達成される。
【0034】
【
図7】
図7は、4粒子フルカラー電気泳動ディスプレイの更新における、使用可能な色域と双極子(「閃光」)の数との間の相関を描写する。
【0035】
【
図8】
図8は、3つの減法的粒子と、散乱(白色)粒子とを含む、電気泳動媒体内での8つの色の生産のための簡略化されたトッププレーン駆動波形を描写する。
【0036】
【
図9】
図9は、3つの減法的粒子と、散乱(白色)粒子とを含む、電気泳動媒体内で、トッププレーン電圧レールを+2V修正することに関する、計算された効果を示す。
【0037】
【
図10】
図10は、3つの減法的粒子と、散乱(白色)粒子とを含む、電気泳動媒体内で、バックプレーン電圧レールを+2V修正することに関する、計算された効果を示す。
【0038】
【
図11】
図11は、3つの減法的粒子と、散乱(白色)粒子とを含む、電気泳動媒体内で、トッププレーン電圧レールおよびバックプレーン電圧レールの両方を+2Vおよび-2V修正することに関する、計算された効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、4粒子電気泳動媒体を駆動するための改良された方法を含み、粒子のうちの少なくとも2つは、着色かつ減法的であり、粒子のうちの少なくとも1つは、散乱性である。典型的には、そのようなシステムは、白色粒子、およびシアン色、黄色およびマゼンタ色減法原色粒子を含む。そのようなシステムが、
図1に図式的に示され、これは、全てのピクセルにおいて、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色を提供することができる。
【0040】
ACePの事例では、8つの主要色(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、黒色および白色)はそれぞれ、4つの顔料の異なる配列に対応し、それによって、視認者には、白色顔料の視認側にある、それらの着色顔料のみ(すなわち、光を散乱する顔料のみ)が見える。これらの色を作製するために、4つの顔料を適切な構成に配列するための波形は、少なくとも5つの電圧レベル(高い正、低い正、ゼロ、低い負、高い負)を必要とすることが見出されている。
図1を参照されたい。広範囲な色を達成するためには、付加的な電圧レベルが、顔料のより微妙な制御のために使用されなければならない。本発明は、ピクセル色のリフレッシュが、より高速かつより少なく閃光のようであるように、そのような電気泳動媒体を駆動し、視認者にとってより満足のいく色スペクトルをもたらすためのいくつかの改良された方法を提供する。
【0041】
減法三原色を提供する3つの粒子は、実質的非光散乱(「SNLS」)であってもよい。SNLS粒子の使用は、色の混合を可能にし、同一数の散乱粒子を用いて達成され得るものより多くの色結果を提供する。これらの閾値は、クロストークを回避するために、十分に分離されなければならず、本分離は、いくつかの色に対して高アドレス指定電圧の使用を余儀なくする。加えて、最高閾値を伴う着色粒子をアドレス指定することはまた、全ての他の着色粒子を移動させ、これらの他の粒子は、続いて、より低い電圧において、その所望の位置に切り替えられなければならない。そのような段階的な色アドレス指定スキームは、望ましくない色の閃光および長い遷移時間を生産する。本発明は、そのような段階的な波形の使用を要求せず、全ての色に対するアドレス指定が、以下に説明されるように、2つの正および2つの負電圧のみを用いて達成されることができる(すなわち、5つの異なる電圧、すなわち、2つの正、2つの負、およびゼロのみが、ディスプレイ内で要求されるが、以下に説明されるように、いくつかの実施形態では、ディスプレイをアドレス指定するために、より多くの異なる電圧を使用することが好ましい場合もある)。
【0042】
すでに述べられたように、付随の図面の
図1は、黒色、白色、減法三原色および加法三原色を表示するときの本発明の電気泳動媒体内の種々の粒子の位置を示す、概略断面である。
図1では、ディスプレイの視認表面は、(図示されるように)上部にあると仮定され、すなわち、ユーザは、ディスプレイを本方向から視認し、光は、本方向から入射する。すでに述べられたように、好ましい実施形態では、本発明の電気泳動媒体において使用される4つの粒子のうちの1つのみが、光を実質的に散乱させ、
図1では、本粒子は、白色顔料であると仮定される。本光散乱白色粒子は、白色反射体を形成し、(
図1に図示されるように)それに対して白色粒子の上方の任意の粒子が、視認される。これらの粒子を通して通過する、ディスプレイの視認表面に進入する光は、白色粒子から反射され、これらの粒子を通して戻って通過し、ディスプレイから出現する。したがって、白色粒子の上方の粒子は、種々の色を吸収し得、ユーザに対して現れる色は、白色粒子の上方の粒子の組み合わせから生じるものである。白色粒子の下方(ユーザの視点から背後)に配置される任意の粒子は、白色粒子によってマスクされ、表示される色に影響を及ぼさない。第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、実質的に非光散乱性であるため、相互に対して相対的なその順序または配列は、重要ではないが、すでに述べられた理由から、白色(光散乱)粒子に対するその順序または配列は、重要である。
【0043】
より具体的には、シアン色、マゼンタ色および黄色粒子が、白色粒子の下方に存在するとき(
図1における状況[A])、白色粒子の上方に粒子は、存在せず、ピクセルは、単に、白色を表示する。単一粒子が、白色粒子の上方にあるとき、その単一粒子の色が、それぞれ、
図1における状況[B]、[D]、および[F]において黄色、マゼンタ色およびシアン色で表示される。2つの粒子が白色粒子の上方に存在するとき、表示される色は、これらの2つの粒子のものの組み合わせである。すなわち、
図1において、状況[C]では、マゼンタ色および黄色粒子は、赤色を表示し、状況[E]では、シアン色およびマゼンタ色粒子は、青色を表示し、状況[G]では、黄色粒子およびシアン色粒子は、緑色を表示する。最後に、全3つの着色粒子が、白色粒子の上方に存在するとき(
図1における状況[H])、全ての入射光は、減法三原色着色粒子によって吸収され、ピクセルは、黒色を表示する。
【0044】
1つの減法原色が、光を散乱させる粒子によってレンダリングされ得ることが可能性として考えられ、それによって、ディスプレイは、2つのタイプの光散乱粒子を備え、そのうちの一方が白色であって、他方が着色であるであろう。しかしながら、本場合では、白色粒子を覆う他の着色粒子に対する、光散乱着色粒子の位置が、重要となるであろう。例えば、黒色をレンダリングする際(全3つの着色粒子が白色粒子を覆って存在するとき)、散乱着色粒子は、非散乱着色粒子を覆って存在することができない(そうでなければ、それらは、散乱粒子の背後に、部分的または完全に隠蔽され、レンダリングされる色は、散乱着色粒子のものであって、黒色ではないであろう)。
【0045】
1つを上回るタイプの着色粒子が、光を散乱する場合、黒色をレンダリングすることは容易ではないであろう。
【0046】
図1は、色が汚染されない(すなわち、光散乱白色粒子が、白色粒子の背後に存在する、任意の粒子を完全にマスクする)、理想的状況を示す。実際は、白色粒子によるマスクは、非完璧であり得、それによって、理想的には完全にマスクされるであろう粒子による、光のわずかな吸収が存在し得る。そのような汚染は、典型的には、レンダリングされている色の明度および彩度の両方を低減させる。本発明の電気泳動媒体では、そのような色汚染は、形成される色が、色レンダリングのための産業規格に匹敵する点まで、最小限にされるべきである。特に好ましい規格は、SNAP(新聞広告生産のための規格)であって、これは、上記に参照される8原色毎にL*、a*、およびb*値を規定する(以降、「原色」は、
図1に示されるように、8つの色、すなわち、黒色、白色、減法三原色および加法三原色を指すために使用されるであろう)。
【0047】
図2Aおよび2Bは、本発明の好ましい実施形態において使用される、4つの顔料タイプ(1-4、5-8)の概略断面表現を示す。
図2Aでは、コア顔料に吸着されるポリマーシェルは、暗色陰影によって示される一方、コア顔料自体は、陰影されないものとして示される。当技術分野において周知であるように、球状、針状、または別様に非等軸のより小さい粒子の凝集体(すなわち、「ぶどうの房」)、結合剤中に分散される小顔料粒子または染料を備える、複合粒子等、様々な形態が、コア顔料のために使用されてもよい。ポリマーシェルは、当技術分野において周知であるように、グラフト結合プロセスまたは化学吸着によって作製される、共有結合されたポリマーであってもよい、または粒子表面上に物理吸着されてもよい。例えば、ポリマーは、不溶性および可溶性区画を備える、ブロック共重合体であってもよい。ポリマーシェルをコア顔料に添着するためのいくつかの方法が、以下の実施例に説明される。
【0048】
図2Aの実施形態では、第1の粒子タイプおよび第2の粒子タイプは、好ましくは、第3の粒子タイプおよび第4の粒子タイプより実質的なポリマーシェルを有する。光散乱白色粒子は、第1のタイプまたは第2のタイプである(負または正のいずれかに荷電される)。続く議論では、白色粒子は、負電荷(すなわち、タイプ1)を担持すると仮定されるが、説明される一般原理が、白色粒子が正荷電される粒子のセットにも適用されるであろうことは、当業者に明白であろう。
【0049】
加えて、
図2Bに描写されるように、第3の粒子タイプおよび第4の粒子タイプと比較して、第1の粒子タイプおよび第2の粒子タイプは、差動ポリマー外殻を有することは要求されない。
図2Bに示されるように、4つの粒子上の十分な差動電荷は、粒子の電気泳動的制御および視認表面における所望色の作成を可能にするであろう。例えば、粒子5は、粒子7より大きい大きさの負電荷を有する一方、粒子6は、粒子8と比較して、より大きな大きさの正電荷を有し得る。ポリマーの官能性および電荷(または粒子サイズ)の他の組み合わせも、使用され得ることが可能性として考えられるが、しかしながら、全4つの粒子が、好適な電場、例えば、商業用デジタル電子機器を用いて生産され得る、より低い電圧電場の存在下で、相互から分離され得ることが該当しなければならない。
【0050】
本発明の
図2Aのシステムでは、電荷制御剤を含有する懸濁溶媒中のタイプ3および4の粒子の混合物から形成される凝集体を分離するために要求される電場は、2つのタイプの粒子の任意の他の組み合わせから形成される凝集体を分離するために要求されるものより大きい。一方、第1のタイプおよび第2のタイプの粒子間に形成される凝集体を分離するために要求される電場は、第1の粒子および第4の粒子間または第2の粒子および第3の粒子間に形成される凝集体を分離するために要求されるものより小さい(当然ながら、第3の粒子および第4の粒子を分離するために要求されるものより小さい)。
【0051】
図2Aでは、粒子を構成するコア顔料は、ほぼ同一サイズを有するように示され、各粒子のゼータ電位も、図示されないが、ほぼ同一であると仮定される。変動するのは、各コア顔料を囲繞するポリマーシェルの厚さである。
図2Aに示されるように、本ポリマーシェルは、タイプ1および2の粒子のためには、タイプ3および4の粒子のためより厚い。
【0052】
高分解能ディスプレイを取得するために、ディスプレイの個々のピクセルは、隣接ピクセルからの干渉を伴わずに、アドレス指定可能でなければならない。本目的を達成するための1つの方法は、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生産するために、各ピクセルと関連付けられた少なくとも1つの非線形要素を伴う、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することである。1つのピクセルをアドレス指定する、アドレス指定またはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。典型的には、非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され、本配列は、以下の説明において仮定されるであろうが、本質的に、恣意的であって、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。従来、高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の具体的ピクセルが、1つの規定された行および1つの規定された列の交差点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイで配列される。各列内の全トランジスタのソースは、単一列電極に接続される一方、各行内の全トランジスタのゲートは、単一行電極に接続される。再び、行へのソースおよび列へのゲートの割当は、従来のものであるが、本質的に、恣意的であって、所望に応じて、逆転され得る。行電極は、行ドライバに接続され、これは、本質的に、任意の所与の瞬間において、1つのみの行が選択される、すなわち、選択された行内の全トランジスタが伝導性であることを確実にするような選択電圧が選択された行電極に印加される一方、これらの非選択された行内の全トランジスタが非伝導性のままであることを確実にするように、非選択電圧が全ての他の行に印加されることを確実にする。列電極は、列ドライバに接続され、これは、種々の列電極上に、選択された行内のピクセルをその所望の光学状態に駆動するように選択された電圧をかける(前述の電圧は、従来、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、全体的ディスプレイを横断して延在する、共通フロント電極に対して相対的なものである)。「ラインアドレス時間」として知られる事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除され、次の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。本プロセスは、ディスプレイ全体が行毎様式で書き込まれるように繰り返される。
【0053】
従来、各ピクセル電極は、ピクセル電極およびコンデンサ電極がコンデンサを形成するように、それと関連付けられたコンデンサ電極を有する。例えば、国際特許出願第WO01/07961号を参照されたい。いくつかの実施形態では、N型半導体(例えば、非晶質シリコン)が、トランジスタを形成するために使用されてもよく、ゲート電極に印加される「選択」および「非選択」電圧は、それぞれ、正および負であることができる。
【0054】
付随の図面の
図3は、電気泳動ディスプレイの単一ピクセルの例示的等価回路を描写する。図示されるように、回路は、ピクセル電極とコンデンサ電極との間に形成される、コンデンサ10を含む。電気泳動媒体20は、並列のコンデンサおよび抵抗器として表される。いくつかの事例では、ピクセルと関連付けられたトランジスタのゲート電極とピクセル電極との間の直接または間接結合静電容量30(通常、「寄生静電容量」と称される)は、望ましくない雑音をディスプレイにもたらし得る。通常、寄生静電容量30は、貯蔵コンデンサ10のものよりはるかに小さく、ディスプレイのピクセル行が、選択または選択解除されるとき、寄生静電容量30は、「キックバック電圧」としても知られる、わずかな負のオフセット電圧をピクセル電極にもたらし得、これは、通常、2ボルト未満である。いくつかの実施形態では、望ましくない「キックバック電圧」を補償するために、V
comがキックバック電圧(V
KB)と等しい値に設定されるとき、ディスプレイに供給される全ての電圧が、同一量だけオフセットされ、正味DC非平衡が被られ得ないように、共通電位V
comが、各ピクセルと関連付けられたトッププレーン電極およびコンデンサ電極に供給されてもよい。
【0055】
しかしながら、Vcomがキックバック電圧に対して補償されない電圧に設定されるとき、問題が生じ得る。これは、バックプレーン単独から利用可能なものより高い電圧をディスプレイに印加することが所望されるときに生じ得る。例えば、ディスプレイに印加される最大電圧は、バックプレーンが、例えば、公称+V、0、または-Vの選択肢を供給される一方、Vcomが-Vを供給される場合、2倍にされてもよいことが、当技術分野において周知である。本場合に被られる最大電圧は、+2V(すなわち、トッププレーンに対して相対的に、バックプレーンにおいて)である一方、最小電圧は、ゼロである。負電圧が必要とされる場合、Vcom電位は、少なくともゼロまで上昇されなければならない。トッププレーン切替を使用して、正および負電圧でディスプレイをアドレス指定するために使用される波形は、したがって、1つを上回るVcom電圧設定のそれぞれに配分される特定のフレームを有していなければならない。
【0056】
4つの粒子を有するカラー電気泳動ディスプレイを駆動するための波形のセットが、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第9,921,451号に説明されている。米国特許第9,921,451号では、7つの異なる電圧が、ピクセル電極に印加され、すなわち、3つの正、3つの負、およびゼロである。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらの波形において使用される最大電圧は、非晶質シリコン薄膜トランジスタによって扱われ得るものより高い。そのような事例では、好適な高電圧は、トッププレーン切替の使用によって取得されることができる。(上記に説明されるように)Vcomが、VKBに計画的に設定されるとき、別個の電力供給源が、使用されてもよい。しかしながら、トッププレーン切替が使用されるとき、Vcom設定と同数の別個の電力供給源を使用することは、コストがかかり、かつ不便である。さらに、トッププレーン切替は、キックバックを増加させ、それによって、色状態の安定性を劣化させることが知られている。
【0057】
ディスプレイデバイスは、先行技術において公知である、いくつかの方法において、本発明の電気泳動流体を使用して構築されてもよい。電気泳動流体は、マイクロカプセル内にカプセル化される、またはマイクロセル構造の中に組み込まれ、その後、ポリマー層でシールされてもよい。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、導電性材料の透明コーティングを担持するプラスチック基板またはフィルム上にコーティングまたはエンボス加工されてもよい。本アセンブリは、導電性接着剤を使用して、ピクセル電極を担持するバックプレーンにラミネートされてもよい。代替として、電気泳動流体は、ピクセル電極のアクティブマトリクスを含む、バックプレーン上に配列されている、薄い連続セルグリッド上に直接分注されてもよい。充填されたグリッドは、次いで、統合される保護用シート/光透過性電極とともに上部シールされ得る。
【0058】
図4は、本発明と併用するために好適なディスプレイ構造200の概略断面図面(縮尺通りではない)を示す。ディスプレイ200では、電気泳動流体が、マイクロセルに閉じ込められるように図示されているが、マイクロカプセルを組み込む、同等構造も使用され得る。ガラスまたはプラスチックであり得る、基板202は、個々にアドレス指定される区画であるか、またはアクティブマトリクス配列内の薄膜トランジスタと関連付けられるかのいずれかである、ピクセル電極204を担持する(基板202と電極204との組み合わせは、従来の方法では、ディスプレイのバックプレーンと称される)。層206は、バックプレーンに適用される、本発明による、随意の誘電体層である(好適な誘電体層を堆積する方法が、参照することによって組み込まれる、米国特許出願第16/862,750号に説明される)。ディスプレイのフロントプレーンは、透明な導電性コーティング220を担持する、透明な基板222を備える。覆っている電極層220は、随意の誘電体層218である。層(または複数の層)216は、透明な電極層220へのマイクロセルの接着のためのプライマ層を備え得る、ポリマー層であり、いくつかの残留ポリマーは、マイクロセルの底部を構成する。マイクロカップ212の壁は、電気泳動流体214を含有するために使用される。マイクロカップは、層210とともにシールされ、フロントプレーン構造全体が、導電性接着剤層208を使用して、バックプレーンに接着される。マイクロカップを形成するためのプロセスが、先行技術において、例えば、米国特許第6,930,818号に説明されている。いくつかの事例では、マイクロカップは、深さ20μm未満、例えば、深さ15μm未満、例えば、深さ12μm未満、例えば、深さ約10μm、例えば、深さ約8μmである。
【0059】
大部分の商業用電気泳動ディスプレイは、加工設備のより幅広い可用性および種々の出発材料の費用のために、アクティブマトリクスバックプレーン(202/024)の構築において、非晶質シリコンベースの薄膜トランジスタ(TFT)を使用する。残念ながら、非晶質シリコン薄膜トランジスタは、約+/-15Vより高い電圧の切替を可能にするであろうゲート電圧を供給されるとき、不安定になる。それにもかかわらず、下記に説明されるように、ACePの性能は、高い正電圧および負電圧の大きさが、+/-15Vを超過することを可能にされるときに改良される。故に、先の開示に説明されるように、トッププレーン切替としても公知である、バックプレーンピクセル電極上のバイアスに対する、上部光透過性電極のバイアスを付加的に変更することによって、改良された性能が、達成される。したがって、(バックプレーン対して相対的に)+30Vの電圧が、必要とされる場合、トッププレーンは、-15Vに切り替えられ得る一方、適切なバックプレーンピクセルが、+15Vに切り替えられる。トッププレーン切替を用いて、4粒子電気泳動システムを駆動するための方法が、例えば、米国特許第9,921,451号により詳細に説明されている。
【0060】
トッププレーン切替アプローチに対して、いくつかの不利点が存在する。第1に、(典型的であるように)トッププレーンが、ピクセル化されないが、ディスプレイの全体的表面にわたって延在する、単一電極であるとき、その電位は、ディスプレイ内の全てのピクセルに影響を及ぼす。これが、バックプレーン(例えば、最大正電圧)から使用可能な最大の大きさの電圧のうちの1つと一致するように設定される場合、本電圧が、バックプレーン上にアサートされるとき、インクを横断して、正味電圧は存在しないであろう。任意の他の使用可能な電圧が、バックプレーンに供給されるとき、ディスプレイ内の任意のピクセルに供給される、負極性の電圧が、常時、存在する。したがって、波形が、正電圧を要求する場合、これは、トッププレーン電圧が変更されるまで、いずれのピクセルにも供給されない。第3の実施形態の多色ディスプレイ内での使用のための典型的な波形は、正極性および負極性の両方の複数のパルスを使用し、これらのパルスの長さは、異なる色を作製するために使用される波形において、同一の長さではない。加えて、波形の位相は、異なる色に対して異ならない場合もある。換言すると、正パルスは、いくつかの色に対して、負パルスに先行するが、負パルスは、他の色に対して、正パルスに先行し得る。そのような場合に適応させるために、「レスト」(すなわち、一時停止)が、波形の中に構築されなければならない。実際には、これは、波形が、理想的に必要とするものよりはるかに長い(2倍程度)という結果をもたらす。
【0061】
第2に、トッププレーン切替では、選定され得る電圧レベルに限界がある。トッププレーンに印加される電圧が、それぞれ、Vt+およびVt-と表され、バックプレーンに印加される電圧が、それぞれ、Vb+およびVb-と表される場合、電気泳動流体を横断してゼロボルト条件を達成するためには、|Vt+|=|Vb+|および|Vt-|=|Vb-|が該当しなければならない。しかしながら、正および負電圧の大きさが、同一である必要はない。
【0062】
高度カラー電子ペーパー(ACePTM)の先の実施形態では、本発明のディスプレイのバックプレーンのピクセル電極に印加される波形(電圧対時間曲線)が、説明およびプロットされるが、フロント電極は、接地される(すなわち、ゼロ電位)と仮定される。電気泳動媒体によって被られる電場は、当然ながら、バックプレーンとフロント電極との間の電位差と、それらを分離する距離とによって決定される。ディスプレイは、典型的には、そのフロント電極を通して視認され、したがって、これは、ピクセルによって表示される色を制御する、フロント電極に隣接する粒子であって、時として、バックプレーンに対して相対的なフロント電極の電位が考慮される場合、伴われる光学遷移を理解することがより容易である。これは、単に、以下に議論される波形を反転させることによって行われることができる。
【0063】
これらの波形は、ディスプレイの各ピクセルが、+Vhigh、+Vlow、0、-Vlow、および-Vhighとして指定され、30V、15V、0、-15V、および-30Vとして図示される、5つの異なるアドレス指定電圧において駆動され得ることを要求する。実際は、より多数のアドレス指定電圧を使用することが好ましくあり得る。3つの電圧(すなわち、+Vhigh、0、および-Vhigh)のみが、利用可能である場合、電圧Vhighのパルスを伴うが、1/nのデューティサイクルを伴う、アドレス指定によって、より低い電圧(例えば、Vhigh/nであって、nは、正の整数>1である)におけるアドレス指定と同一結果を達成することが可能であり得る。
【0064】
図5は、上記に説明される、4粒子カラー電気泳動ディスプレイシステムを駆動するために使用される、(簡略化された形態での)典型的な波形を示す。そのような波形は、「プッシュプル」構造を有し、すなわち、それらは、異極性の2つのパルスを備える、双極子から成る。これらのパルスの大きさおよび長さは、取得される色を決定する。最低限、5つのそのような電圧レベルが存在するべきである。
図5は、高いおよび低い正電圧および負電圧およびゼロボルトを示す。典型的には、「低い」(L)は、約5~15Vの範囲を指す一方、「高い」(H)は、約15~30Vの範囲を指す。一般に、「高い」電圧の大きさが高くなればなるほど、ディスプレイによって達成される色域は、より良好になる。「中程度」(M)レベルは、典型的には、約15Vであるが、しかしながら、Mに対する値は、幾分、粒子の組成、および電気泳動媒体の環境に依存するであろう。
【0065】
図5は、色を形成するために要求される、最も単純な双極子を示すが、実践的な波形は、これらのパターンの複数回の繰り返し、または非周期的である他のパターンであり、5つを上回る電圧レベルを使用し得ることが理解されるであろう。
【0066】
したがって、汎用駆動電圧は、駆動電子機器が、ディスプレイの選択された行の更新の間、7つもの多くの異なる電圧(+H、+M、+L、0、-L、-M、-H)をデータラインに提供することを要求する。7つの異なる電圧を送達することが可能である、マルチレベルソースドライバが、利用可能であるが、電気泳動ディスプレイのための多くの市販のソースドライバは、単一フレームの間、3つのみの異なる電圧(典型的には、正電圧、ゼロ、および負電圧)が送達されることを可能にする。したがって、先に議論されるように、バックプレーンに供給される3つの電圧(典型的には、+V、0、および-V)がフレーム毎に変更されることができることを前提として、3レベルソースドライバアーキテクチャに適応するように、
図5の汎用波形を修正することが必要である。残りの電圧レベルは、「トッププレーン切替」駆動スキームを使用することによって、達成されることができ、光透過性(トッププレーン)共通電極は、-V、0、および+Vの間で切り替えられる一方、ピクセル電極に印加される電圧もまた、-V、0から+Vに変動することができ、1つの方向におけるピクセル遷移は、共通電極が0にあるときに取り扱われ、他の方向における遷移は、共通電極が+Vにあるときに取り扱われる。
【0067】
当然ながら、
図5の駆動パルスを用いて、所望の色を達成することは、既知の状態からプロセスを開始する、粒子次第であり、これは、ピクセル上に表示される、最後の色である可能性は低い。故に、一連のリセットパルスが、駆動パルスに先行し、これは、第1の色から第2の色にピクセルを更新するために要求される時間量を増加させる。リセットパルスは、参照することによって組み込まれる、米国特許第10,593,272号により詳細に説明されている。これらのパルス(リフレッシュおよびアドレス指定)および任意のレストの長さ(すなわち、それらの間のゼロ電圧の周期)は、波形全体(全体波形にわたる時間に対する電圧の積分)がDC平衡される(すなわち、経時的電圧の積分は、実質的にゼロである)ように選定されてもよい。DC平衡は、リセット相内で供給される正味インパルスが、(その相の間、ディスプレイが、特定の所望の色に切り替えられる)アドレス相内で供給される正味インパルスと大きさが等しく、符号が反対であるように、リセット相内のパルスおよびレストの長さを調節することによって達成されることができる。
【0068】
加えて、波形の前述の議論、具体的には、DC平衡の議論は、キックバック電圧の問題点を無視している。実際は、前述のように、全てのバックプレーン電圧は、キックバック電圧VKBと等しい量だけ、電力供給源によって供給される電圧からオフセットされる。したがって、使用される電力供給源が、3つの電圧+V、0、および-Vを提供する場合、バックプレーンは、実際には、電圧V+VKB、VKB、および-V+VKBを受信するであろう(VKBは、非晶質シリコンTFTの場合、通常、負の数であることに留意されたい)。しかしながら、同一電力供給源は、任意のキックバック電圧オフセットを伴わずに、+V、0、および-Vをフロント電極に供給するであろう。したがって、例えば、フロント電極が、-Vを供給されるとき、ディスプレイは、最大電圧2V+VKBおよび最小電圧VKBを被るであろう。コストがかかり、不便であり得る、別個の電力供給源を使用して、VKBをフロント電極に供給する代わりに、波形は、フロント電極が、正電圧、負電圧、およびVKBを供給される、区分に分割されてもよい。キックバックに加えて、
【0069】
非晶質シリコントランジスタ制御を使用する、商業的実施形態では、7つの異なる電圧、すなわち、3つの正、3つの負、およびゼロがピクセル電極に印加されることができる。いったん、トッププレーン切替の複雑性が、パルスをリセットすると、DC平衡は、結果として生じる波形が、むしろ複雑であることを織り込んでいる。例えば、特許第10,593,272号から取り込まれる、
図6は、単一色を表示するために使用される1つのそのような波形を図式的に描写する。
図6に示されるように、全ての色に関する波形は、同一の基本形態を有する。すなわち、波形は、本質的に、DC平衡され、2つの区分または相、すなわち、(1)ディスプレイの「リセット」を、そこから任意の色が再現可能に取得され得、その間に波形の残りのDC非平衡と等しくかつ反対であるDC非平衡が提供される、状態に提供するために使用される、予備的一連のフレームと、(2)レンダリングされるべき色に特定の一連のフレームとを備えることができる。
図6に示される、波形の区分AおよびBを参照されたい。
【0070】
第1の「リセット」相の間、ディスプレイのリセットは、理想的には、前に表示される色に特有の残留電圧および顔料構成を含む、前の状態の任意のメモリを消去する。そのような消去は、ディスプレイが「リセット/DC平衡」相における最大可能電圧にアドレス指定されるとき、最も効果的である。加えて、十分なフレームが、本相において配分され、最も非平衡な色遷移の平衡を可能にしてもよい。いくつかの色は、波形の第2の区分において正のDC平衡、その他において、負の平衡を要求するため、「リセット/DC平衡」相のフレームの約半分において、フロント電極電圧Vcomは、(バックプレーンとフロント電極との間の最大可能負電圧を可能にする)VpHに設定され、残りにおいては、Vcomは、(バックプレーンとフロント電極との間の最大可能正電圧を可能にする)VnHに設定される。実験的に、Vcom=VnHフレームが、Vcom=VpHフレームに先行することが好ましいことが見出されている。
【0071】
「所望」の波形(すなわち、電気泳動媒体を横断して印加することが望ましい、実際の電圧対時間曲線)が、
図6の一番下に図示され、トッププレーン切替を伴うその実装は、その上に示され、フロント電極(V
com)およびバックプレーン(BP)に印加される電位が、図示される。列ドライバが、以下の電圧、すなわち、V
pH、V
nH(典型的には、±10~15Vの範囲内である、最高の正および負電圧)、V
pL、V
nL(典型的には、±1~10Vの範囲内である、より低い正および負電圧)、およびゼロを供給することが可能である電力供給源に接続されて使用されると仮定される。これらの電圧に加え、キックバック電圧V
KB(例えば、米国特許第7,034,783号に説明されるように測定される、使用される特定のバックプレーンに特有の小値)が、付加的電力供給源によってフロント電極に供給され得る。
図6に示されるように、全てのバックプレーン電圧は、電力供給源によって供給される電圧から、V
KB(負の数として示される)によってオフセットされる一方、フロント電極電圧は、フロント電極が、上記に説明されるように、明示的にV
KBに設定されるときを除いて、さほどオフセットされない。
【0072】
潜在的ユーザからのフィードバックに基づいて、
図6に示されるもの等の駆動パルス(波形)が、A)過度に長い、およびB)過度に閃光のようであることが決定されている(「閃光のような」は、更新の間の、「双極子」として公知である、顔料がアドレス指定する、最終状態の過剰な数を指す。更新毎の双極子の数が、増加するにつれて、視認者は、ディスプレイから放出される光が存在しないにもかかわらず、ディスプレイが、「閃光を放っている」と知覚する可能性がより高くなる)。
簡略化されたトッププレーン切替
【0073】
時間の長さおよび更新の閃光性を低減させるために、フロントプレーン切替の複雑性は、利用可能な色をより少なくすることと引き換えに、低減されることができる(双極子(「閃光」)の数の関数としての使用可能な色域の計算が、
図7に提示されている)。加えて、粒子は、電気泳動媒体内で有限の速さを有するため、双極子が印加される時間量もまた、色域のサイズに影響を与える。
【0074】
図8は、簡略化されたトッププレーン切替パルスシーケンスが、使用される、そのような解決策を示し(左上パネル)、簡略化されたバックプレーンパルスシーケンス(左側のその下)は、単一のトッププレーンシーケンスに一致しており、それによって、少なくとも明確に異なる色を提供する。トッププレーンは、2つの電圧、すなわち、1つの正と1つの負との間で切り替えられる一方、バックプレーンは、3つの異なる電圧、すなわち、正、負、およびゼロをとることができる(
図8では、電圧レベルは、相対的であり、すなわち、1、0、-1であるが、多くの事例では、典型的には非晶質シリコン薄膜トランジスタを含む、商業用バックプレーンを用いると、実際には、15V、0、および-15Vである)。バックプレーンパルスシーケンス(
図8左)からトッププレーンのパルスシーケンスを差し引くことによって、
図5の8色のシーケンス(
図8右)が、達成されることに留意されたい。
図5および
図8のパルスシーケンスに関し、電気泳動流体は、負荷電である白色顔料と、正荷電であるマゼンタ色顔料およびシアン色顔料と、正または負荷電のいずれか、または本質的に中性であり得る、黄色顔料とを含むことを理解されたい。他の色/電荷の組み合わせが、可能性として考えられ、波形は、それに応じて、調節されることができる。
【0075】
先に議論されるように、
図8の波形では、少なくとも5つの異なる電圧が、要求される。アクティブマトリクス駆動環境では、これは、(a)特定の行が、特定の時間において選択されるとき、5つの異なる電圧のうちのある選択肢を列に供給することによって、または(b)特定の行が、第1の時間において選択されるとき、より少数の(例えば、3つの)異なる電圧のうちのある選択肢を列に提供し、同一の行が、第2の時間において選択されるとき、電圧の異なるセットを提供することによって、または(c)第1の時間および第2の時間の両方において、3つの電圧のうちの同一の選択肢を列に提供するが、第1の時間と第2の時間との間で、フロント電極の電位を変更することによって達成され得る。選択肢(c)は、特に、供給されることが要求される電圧のうちの少なくとも1つが、バックプレーン電子機器が、支持し得るものより高いときに役に立つ。
【0076】
トッププレーン切替を用いると、高い正電位および高い負電位を同時にアサートすることは、不可能であるため、バックプレーンの-/+双極子に対して、トッププレーンの+/-双極子をオフセットすることが必要である。
図8に示される波形では、遷移毎に1つの双極子のみが存在する。これは、各双極子が、2つの可視光学変化をディスプレイにもたらすため、可能性として考えられる、最も少ない「閃光のような」波形を提供する。本場合では、各行が、選択されるとき、5つの異なる電圧レベルが、バックプレーン電極に供給されることができ、バックプレーン電子機器が、必要とされる最高電圧を支持することができる場合、
図8に示される様式において、双極子をオフセットする必要はない。
修正されたレール電圧を用いた駆動
【0077】
図8の駆動シーケンスに関し、トッププレーンに印加される電圧は、それぞれ、V
t+およびV
t-と表され、バックプレーンに印加される電圧は、それぞれ、V
b+およびV
b-と表され、|V
t+|=|V
t-|=|V
b+|=|V
b-|=Vである。故に、商業用バックプレーンを用いて典型的であるように、最大供給電圧が、+/-15ボルトであるとき、電圧は、電気泳動媒体を横断して、30V、28V、0V、-28V、および-30Vとなる。
【0078】
しかしながら、トッププレーン電極およびバックプレーン電極の最大電圧の大きさ(すなわち、「レール」)は、同一である必要はない。例えば、レール電圧のオフセットは、ある公称最大電圧の大きさの値、すなわち、Vから計算されることができる。レール毎のオフセットは、w、x、y、およびzと表され得るが、ゼロ電圧レールが、ゼロに維持され、トッププレーンに印加されないと仮定される(すなわち、
図8に描写されるように、トッププレーンは、高いおよび低いのみであるが、バックプレーンは、高い、低い、およびゼロである)。
したがって、以下の通りである。
【化3-1】
【化3-2】
【0079】
バックプレーン電圧を参照すると、トッププレーンが、V
t+に設定され、V
H-、V
M-、およびV
L-と表されるとき、高い、中程度、および低い大きさの3つの異なる負電圧が、電気泳動インクに印加され得る(すなわち、V
b-V
tであり、V
bは、上記に示される3つの値のうちのいずれかをとり得る)。
これらの電圧は、以下の通りである。
【化4】
トッププレーンが、V
t-に設定されるとき、使用可能な電圧は、以下の通りである。
【化5】
【0080】
w=x=y=zのとき、中程度の電圧、すなわち、VM+およびVM-aのみが、オフセットによって影響を受けることは明白である。したがって、高電圧の大きさを2Vとして、ゼロ電圧をゼロとして維持することが可能性として考えられる一方、中程度の電圧は、それぞれ、(正であると仮定すると)オフセットの量だけ減少される。2つの中程度の電圧の差は、常時、2Vであろう。
【0081】
例えば、5レベル駆動システムでは、トッププレーンレールが、ある量δだけ増加(または減少)される、すなわち、w=δまたはx=δである一方、バックプレーンレールが、同一のままである場合、いくつかの駆動電圧の全体的大きさは、増加(または減少)し、V
L+とV
L-の状態が、異なるため、オフセットは、新たな駆動レベルを作成するであろう。そのような変更の効果は、w=δまたはx=δであって、δ=+2Vであるとき、計算されることができ、
図9にグラフで示される。
図9では、8つの原色が、駆動電圧の修正に伴って変動することが示されている。
図9では、白抜きの四角形は、「基点」、すなわち、均一に分布される駆動レベルを表し、塗り潰された三角形は、最高駆動レベルの付加的な+2Vを表すが、全ての他のレベルは、同一のままであり、塗り潰された円は、中間上位の駆動電圧に対する付加的な+2Vを表すが、全ての他の状態は、基点駆動の場合と同様に、そのままの状態である。
図9から分り得るように、個々のトッププレーンレールのみを+2V修正することは、微小な効果のみを生産する(白抜きの円の位置を塗り潰された三角形および塗り潰された円と比較されたい)。最も大きな変化は、正のオフセットが、正のレールに印加されるとき(
図9の中央)、白色状態において見られ、本場合では、b*は、(望ましくないが)上昇される。
【0082】
類似方式において、バックプレーンレールが、ある量δだけ増加(または減少)される、すなわち、y=δまたはz=δである一方、トッププレーンレールは、同一のままであり得る。y=z=δ=+2Vの類似するバックプレーンレール調節の効果が、
図10に示されている。
図10では、8つの原色が、駆動電圧の修正に伴って変動することが示されている。
図10では、白抜きの四角形は、「基点」、すなわち、均一に分布される駆動レベルを表し、塗り潰された三角形は、最低駆動レベルの付加的な+2Vを表すが、全ての他のレベルは、同一のままであり、塗り潰された円は、中間のより低い駆動電圧に対する付加的な+2Vを表すが、全ての他の状態は、基点駆動の場合と同様に、そのままの状態である。性能における変化は、顕著ではないが、正または負のレールが、+2V修正されるとき、黄色は、次第に、緑色になる。これは、典型的には、例えば、肌色トーンを緑色に見せるため、望ましくない。しかしながら、いくつかのデジタル看板用途では、黄色トーンをより強い緑色トーンと交換することが好ましい場合がある。
【0083】
驚くことに、同一のオフセットδ=w=x=y=zが、全4つのレール電圧に印加されるとき、電気光学性能におけるより顕著な偏移が、生じ、それによって、具体的な用途によって要求され得るような、電気泳動媒体の色性能を調節するための機会を提供する。
図11では、8つの原色が、駆動電圧の修正に伴って変動することが示されている。
図11では、白抜きの四角形は、「基点」、すなわち、均一に分布される駆動レベルを表し、塗り潰された三角形は、全駆動レベルに対する付加的な+2Vを表し、塗り潰された円は、全駆動レベルに対する付加的な-2Vを表す。
図11では、δが、-2V、0、および+2Vである場合の電気光学性能が、計算されており、電気光学的応答における偏移が、矢印を用いて示されている。いくつかの状態(黄色、赤色、シアン色)は、オフセットの変更によって、極てわずかにのみ影響を受けているが、白色およびマゼンタ色状態は、オフセットが、より負にされると、より負のb*に向かってかなり大幅に偏移されていることが分り得る。上記の方程式から分り得るように、オフセットを、より負にすることは、V
M-をあまり負ではなくし、V
M+をより正にする。これらの効果の最も重要なことは、白色状態における、b*の低減である。
【0084】
したがって、まとめると、これらの結果は、最も有用な調節が、同一のオフセットを全4つの電圧レールに印加することであることを含意する。これは、高電圧の大きさまたはゼロに影響を及ぼすことなく、中程度の電圧(VM)レベルを変更するための能力をもたらす。これを行うことは、白色状態が、特に、b*次元において、より中性であるように調節されることを可能にする。
金属酸化物バックプレーンを用いた高電圧アドレス指定
【0085】
レール電圧を修正することは、4粒子電気泳動システムとは異なる電気光学性能を達成する際に、ある程度の柔軟性を提供するが、トッププレーン切替によって導入される多くの限界が存在する。例えば、典型的には、本発明のディスプレイを用いて白色状態を作製するためには、より低い負電圧VM-が、最大負電圧VH-の半分未満であることが好ましい。しかしながら、上記に方程式に示されるように、トッププレーン切替は、より低い正電圧が、常時、最大正電圧の少なくとも半分である、典型的には、半分を上回ることを要求する。
【0086】
トッププレーン切替の複雑性に対する代替解決策は、より高い電子移動度を有する、あまり一般的ではない材料から制御トランジスタを加工し、それによって、トランジスタが、より大きな制御電圧、例えば+/-30Vを直接切り替えることを可能にすることによって提供されることができる。新たに開発されたアクティブマトリクスバックプレーンは、タングステン酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、および亜鉛酸化物等の金属酸化物材料を組み込む、薄膜トランジスタを含み得る。これらの適用では、チャネル形成領域は、そのような金属酸化物材料を使用して、トランジスタ毎に形成され、より高い電圧のより高速な切替を可能にする。そのようなトランジスタは、典型的には、ゲート電極と、ゲート絶縁フィルム(典型的には、SiO2)と、金属ソース電極と、金属ドレイン電極と、少なくとも部分的に、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極と重合する、ゲート絶縁フィルムを覆う金属酸化物半導体フィルムとを含む。そのようなバックプレーンは、Sharp/Foxconn、LG、およびBOE等の製造業者から入手可能である。
【0087】
そのような適用のための1つの好ましい金属酸化物材料は、インジウムガリウム亜鉛酸素(IGZO)である。IGZO-TFTは、非晶質シリコンの20~50倍の電子移動度を有する。アクティブマトリクスバックプレーン内でIGZO TFTを使用することによって、好適なディスプレイドライバを介して、30Vよりも大きい電圧を提供することが可能性として考えられる。さらに、少なくとも5つ、好ましくは、7つのレベルを供給することが可能である、ソースドライバは、4粒子電気泳動ディスプレイシステムのための異なる駆動パラダイムを提供する。ある実施形態では、2つの正電圧、2つの負電圧、およびゼロボルトが存在するであろう。別の実施形態では、3つの正電圧、3つの負電圧、およびゼロボルトが存在するであろう。ある実施形態では、4つの正電圧、4つの負電圧、およびゼロボルトが存在するであろう。これらのレベルは、上記に説明されるようなトッププレーンの切替によって課される限定を伴わず、約-27V~+27Vの範囲内で選定され得る。
【0088】
金属酸化物バックプレーン等の高度バックプレーンを使用すると、
図5に説明されるように、好適なプッシュプル波形を用いて、各ピクセルを直接アドレス指定することが可能性として考えられる。これは、各ピクセルを更新するために要求される時間を大幅に低減させ、いくつかの事例では、6秒の更新を1秒未満に変換する。いくつかの場合では、アドレス指定のための始点を確立するために、リセットパルスを使用することが必要であり得る場合があるが、リセットは、より高い電圧において、より迅速に行われることができる。加えて、低減された色セットを有する4色電気泳動ディスプレイでは、
図5に示される、プッシュプル波形よりわずかにのみ長い具体的な波形を用いて、第1の色から第2の色に直接駆動することが、可能性として考えられる。
【0089】
したがって、本発明は、トッププレーン切替を伴うことなく、電気泳動媒体を直接アドレス指定することが可能である、フルカラー電気泳動ディスプレイ、およびそのような電気泳動ディスプレイのための波形を提供する。これまで、本願の技術のいくつかの側面および実施形態が説明されたが、種々の改変例、修正例、および改良例が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような改変例、修正例、および改良例は、本願に説明される技術の精神および範囲内であるように意図される。例えば、当業者は、本明細書に説明される機能を実施する、および/または結果および/または利点のうちの1つまたはそれを上回るものを取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正例はそれぞれ、本明細書に説明される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、単なる日常的実験を使用して、本明細書に説明される具体的実施形態の多くの均等物を認識する、またはそれを確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態は、一例としてのみ提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明されるものと別様に実践されてもよいことを理解されたい。加えて、本明細書に説明される、2つまたはそれを上回る特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
視認表面における光透過性電極と、
ピクセル電極に結合される薄膜トランジスタのアレイを含むバックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体の層を含む、バックプレーンと、
前記光透過性電極と前記バックプレーンとの間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備える、カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項2】
第3のタイプの粒子および第4のタイプの粒子によって形成される凝集体を分離するために要求される第1の電場は、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される凝集体を分離するために要求される第2の電場よりも大きい、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項3】
前記第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項4】
前記第1の粒子は、白色であり、前記第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、非光散乱性である、請求項3に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の粒子および第3の粒子は、負荷電であり、前記第2の粒子および第4の粒子は、正荷電である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項6】
前記第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、それぞれ、白色、シアン色、黄色およびマゼンタ色であり、白色粒子および黄色粒子は、負荷電であり、マゼンタ色粒子およびシアン色粒子は、正荷電である、請求項5に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項7】
顔料が、前記顔料と、1.55未満の屈折率の液体とを備える厚さ1μmの層内に、体積比15%で略等方的に分布されるとき、黄色顔料、マゼンタ色顔料、およびシアン色顔料は、それぞれ、2.5%未満の黒色背景を覆って測定される650nm、550nm、および450nmにおいて、拡散反射率を呈する、請求項6に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項8】
前記液体は、約5未満の誘電定数を有する非極性液体である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項9】
前記流体は、約20,000を超過する平均分子量の数値を有し、前記粒子上に本質的に非吸着性であるポリマーを、その中に溶解または分散している、請求項8に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項10】
前記金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である、請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項11】
請求項1に記載のカラー電気泳動ディスプレイを備える、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブ。
【請求項12】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
ピクセル電極に結合される薄膜トランジスタのアレイを含むバックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体の層を含む、バックプレーンと、
前記光透過性電極と前記バックプレーンとの間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
前記コントローラは、前記ピクセル電極に、複数の駆動電圧を提供するように構成され、それによって、前記光透過性電極を定電圧で維持しながら、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、各ピクセル電極において表示されることができる、
カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項13】
前記コントローラは、25ボルトを上回る電圧および-25ボルト未満の電圧を前記ピクセル電極に提供するように構成される、請求項12に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項14】
前記コントローラは、25V~0Vの電圧および-25V~0Vの電圧を付加的に提供するように構成される、請求項13に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項15】
前記金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である、請求項12に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項16】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
バックプレーン電極と、
前記光透過性電極と前記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
前記コントローラは、前記光透過性電極に、第1の高電圧および第1の低電圧を提供し、かつバックプレーン電極に、第2の高電圧、ゼロ電圧、および第2の低電圧を提供するように構成され、それによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、前記視認表面において表示されることができ、
前記第1の高電圧、前記第1の低電圧、前記第2の高電圧、および前記第2の低電圧のうちの少なくとも1つの大きさは、同一ではない、
カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項17】
前記第1の高電圧の大きさおよび前記第2の高電圧の大きさは、同一である、請求項16に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項18】
前記第1の低電圧の大きさおよび前記第2の低電圧の大きさは、同一であり、前記第1の高電圧の大きさおよび前記第
2の
高電圧の大きさは、同一ではない、請求項
16に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項19】
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
バックプレーン電極と、
前記光透過性電極と前記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
前記コントローラは、以下の駆動電圧、すなわち、
第1の時間のための高電圧、第2の時間のための低電圧、および第3の時間のための高電圧、または
第1の時間のための低電圧、第2の時間のための高電圧、および第3の時間のための低電圧
のうちの1つを前記光透過性電極に提供しながら、複数の時間依存性駆動電圧のうちの1つを、前記バックプレーン電極に提供することによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色を前記視認表面において表示させるように構成される、
カラー電気泳動ディスプレイ。
【請求項20】
方法であって、
カラー電気泳動ディスプレイを提供することであって、前記カラー電気泳動ディスプレイは、コントローラと、視認表面における光透過性電極と、バックプレーン電極と、前記光透過性電極と前記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、(a)流体と、(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを備える、カラー電気泳動媒体とを備える、ことと、
前記光透過性電極に、第1の高電圧および第1の低電圧を印加し、かつバックプレーン電極に、第2の高電圧、ゼロ電圧、および第2の低電圧を印加することであって、それによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、前記視認表面において表示されることができ、前記第1の高電圧、前記第1の低電圧、前記第2の高電圧、および前記第2の低電圧のうちの少なくとも1つの大きさは、同一ではない、ことと
を含む、方法。
【請求項21】
前記第1の高電圧の大きさおよび前記第2の高電圧の大きさは、同一である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の低電圧の大きさおよび前記第2の低電圧の大きさは、同一であり、前記第1の高電圧の大きさおよび前記第2の高電圧の大きさは、同一ではない、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
方法であって、
カラー電気泳動ディスプレイを提供することであって、前記カラー電気泳動ディスプレイは、コントローラと、視認表面における光透過性電極と、バックプレーン電極と、前記光透過性電極と前記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、前記カラー電気泳動媒体は、(a)流体と、(b)前記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、前記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第1の粒子は、光散乱粒子であり、前記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、(c)前記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、前記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、前記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ前記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを備える、カラー電気泳動媒体とを備える、ことと、
以下の駆動電圧、すなわち、
第1の時間のための高電圧、第2の時間のための低電圧、および第3の時間のための高電圧、または
第1の時間のための低電圧、第2の時間のための高電圧、および第3の時間のための低電圧
のうちの1つを前記光透過性電極に印加しながら、複数の時間依存性駆動電圧のうちの1つを、前記バックプレーン電極に印加することによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色を前記カラー電気泳動ディスプレイの前記視認表面において表示させることと
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
別の側面では、カラー電気泳動ディスプレイは、コントローラと、視認表面における、光透過性電極と、バックプレーン電極と、光透過性電極とバックプレーン電極との間に配置される、カラー電気泳動媒体とを含む。カラー電気泳動媒体は、(a)流体と、(b)流体中に分散される、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、(c)流体中に分散される、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを含む。コントローラは、以下の駆動電圧、すなわち、1)第1の時間のための高電圧、第2の時間のための低電圧、および第3の時間のための高電圧、または2)第1の時間のための低電圧、第2の時間のための高電圧、および第3の時間のための低電圧のうちの1つを光透過性電極に提供しながら、複数の時間依存性駆動電圧のうちの1つを、バックプレーン電極に提供することによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色を視認表面において表示させるように構成される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
カラー電気泳動ディスプレイであって、
視認表面における光透過性電極と、
ピクセル電極に結合される薄膜トランジスタのアレイを含むバックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体の層を含む、バックプレーンと、
上記光透過性電極と上記バックプレーンとの間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、上記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)上記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、上記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第1の粒子は、光散乱粒子であり、上記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)上記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、上記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ上記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備える、カラー電気泳動ディスプレイ。
(項目2)
第3のタイプの粒子および第4のタイプの粒子によって形成される凝集体を分離するために要求される第1の電場は、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される凝集体を分離するために要求される第2の電場よりも大きい、項目1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目3)
上記第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子のうちの少なくとも2つは、非光散乱性である、項目1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目4)
上記第1の粒子は、白色であり、上記第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、非光散乱性である、項目3に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目5)
上記第1の粒子および第3の粒子は、負荷電であり、上記第2の粒子および第4の粒子は、正荷電である、項目1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目6)
上記第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子、および第4の粒子は、それぞれ、白色、シアン色、黄色およびマゼンタ色であり、白色粒子および黄色粒子は、負荷電であり、マゼンタ色粒子およびシアン色粒子は、正荷電である、項目5に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目7)
顔料が、上記顔料と、1.55未満の屈折率の液体とを備える厚さ1μmの層内に、体積比15%で略等方的に分布されるとき、黄色顔料、マゼンタ色顔料、およびシアン色顔料は、それぞれ、2.5%未満の黒色背景を覆って測定される650nm、550nm、および450nmにおいて、拡散反射率を呈する、項目6に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目8)
上記液体は、約5未満の誘電定数を有する非極性液体である、項目1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目9)
上記流体は、約20,000を超過する平均分子量の数値を有し、上記粒子上に本質的に非吸着性であるポリマーを、その中に溶解または分散している、項目8に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目10)
上記金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である、項目1に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目11)
項目1に記載のカラー電気泳動ディスプレイを備える、電子ブック読取機、可搬型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、看板、腕時計、棚標識、またはフラッシュドライブ。
(項目12)
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
ピクセル電極に結合される薄膜トランジスタのアレイを含むバックプレーンであって、各薄膜トランジスタは、金属酸化物半導体の層を含む、バックプレーンと、
上記光透過性電極と上記バックプレーンとの間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、上記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)上記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、上記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第1の粒子は、光散乱粒子であり、上記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)上記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、上記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ上記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
上記コントローラは、上記ピクセル電極に、複数の駆動電圧を提供するように構成され、それによって、上記光透過性電極を定電圧で維持しながら、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、各ピクセル電極において表示されることができる、
カラー電気泳動ディスプレイ。
(項目13)
上記コントローラは、25ボルトを上回る電圧および-25ボルト未満の電圧を上記ピクセル電極に提供するように構成される、項目12に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目14)
上記コントローラは、25V~0Vの電圧および-25V~0Vの電圧を付加的に提供するように構成される、項目13に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目15)
上記金属酸化物半導体は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)である、項目12に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目16)
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
バックプレーン電極と、
上記光透過性電極と上記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、上記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)上記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、上記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第1の粒子は、光散乱粒子であり、上記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)上記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、上記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ上記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
上記コントローラは、上記光透過性電極に、第1の高電圧および第1の低電圧を提供し、かつバックプレーン電極に、第2の高電圧、ゼロ電圧、および第2の低電圧を提供するように構成され、それによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色が、上記視認表面において表示されることができ、
上記第1の高電圧、上記第1の低電圧、上記第2の高電圧、および上記第2の低電圧のうちの少なくとも1つの大きさは、同一ではない、
カラー電気泳動ディスプレイ。
(項目17)
上記第1の高電圧の大きさおよび上記第2の高電圧の大きさは、同一である、項目16に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目18)
上記第1の低電圧の大きさおよび上記第2の低電圧の大きさは、同一であり、上記第1の高電圧の大きさおよび上記第1の低電圧の大きさは、同一ではない、項目17に記載のカラー電気泳動ディスプレイ。
(項目19)
カラー電気泳動ディスプレイであって、
コントローラと、
視認表面における光透過性電極と、
バックプレーン電極と、
上記光透過性電極と上記バックプレーン電極との間に配置されるカラー電気泳動媒体であって、上記カラー電気泳動媒体は、
(a)流体と、
(b)上記流体中に分散される複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、上記第1の粒子および第2の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第1の粒子は、光散乱粒子であり、上記第2の粒子は、減法原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、
(c)上記流体中に分散される複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、上記第3の粒子および第4の粒子は、異極性の電荷を担持し、上記第3の粒子および第4の粒子は、それぞれが、相互に異なり、かつ上記第2の粒子と異なる減法原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子と
を備える、カラー電気泳動媒体と
を備え、
上記コントローラは、以下の駆動電圧、すなわち、
第1の時間のための高電圧、第2の時間のための低電圧、および第3の時間のための高電圧、または
第1の時間のための低電圧、第2の時間のための高電圧、および第3の時間のための低電圧
のうちの1つを上記光透過性電極に提供しながら、複数の時間依存性駆動電圧のうちの1つを、上記バックプレーン電極に提供することによって、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色および黒色を上記視認表面において表示させるように構成される、
カラー電気泳動ディスプレイ。
【国際調査報告】