(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】超音波屈曲導波管
(51)【国際特許分類】
A61N 7/00 20060101AFI20230922BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61N7/00
A61M25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516515
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 US2021050063
(87)【国際公開番号】W WO2022056377
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521148326
【氏名又は名称】スオーノ バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケロッグ, スコット
(72)【発明者】
【氏名】ショールハマー, カール
(72)【発明者】
【氏名】ファリーニャ, アルバート
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160JJ14
4C160JJ38
4C160MM53
4C267AA02
4C267BB45
4C267CC26
(57)【要約】
本発明は、標的組織の部位において、薬物を含む液体に超音波エネルギーを伝達することによって標的組織への薬物の生体内送達を向上させるデバイスおよび方法を提供する。超音波エネルギーは、標的組織への薬物の送達を向上させる。本発明のあるデバイスでは、トランスデューサは、使用中である間、対象の外部に留まったままであり、シースおよびワイヤは、内視鏡の管を介して対象の中へと挿入される。そのようなデバイスは、内視鏡管内に嵌合する小型トランスデューサを使用する必要がなく、より大きな超音波エネルギーを標的組織に送達し、遠位電気絶縁に対する必要性を排除するため、従来技術の超音波デバイスより有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
超音波周波数において振動することが可能である超音波トランスデューサと、
前記超音波トランスデューサに結合されている屈曲可能ワイヤを備えるプローブと、
前記屈曲可能ワイヤを被包する屈曲可能シースであって、前記屈曲可能シースは、1つまたはそれより多くの貫通孔を備える、屈曲可能シースと
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記トランスデューサから前記屈曲可能ワイヤへの振動の移行を可能にするように前記超音波トランスデューサに結合されている適合機構をさらに備え、前記屈曲可能ワイヤをその長手方向軸に対して横断方向に発振させ、それによって、前記超音波トランスデューサによって生み出される前記振動を伝達する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記屈曲可能シースは、複数の貫通孔を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記屈曲可能シースは、生体内の粘膜組織が前記屈曲可能ワイヤと直接接触することを防止する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記屈曲可能ワイヤは、ニチノールまたはチタンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記屈曲可能ワイヤは、0.635mmの直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記屈曲可能ワイヤは、約10cm~約30cmの長さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記屈曲可能シースは、約2mm~約4mmの直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記屈曲可能シースは、約10cm~約30cmの長さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記屈曲可能シースは、シリコーンゴムを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
生体内標的組織に薬物を送達するための方法であって、前記方法は、
デバイスを対象の身体開口部の中へと導入することであって、前記デバイスは、超音波周波数において振動することが可能である超音波トランスデューサと、前記超音波トランスデューサに結合されている屈曲可能ワイヤを備えるプローブと、前記屈曲可能ワイヤを被包する屈曲可能シースとを備え、前記屈曲可能シースは、1つまたはそれより多くの貫通孔を備え、薬物を含む液体が、前記身体開口部内に存在する、ことと、
前記屈曲可能ワイヤを振動させることであって、前記屈曲可能ワイヤからの前記振動によって生み出されるエネルギーが、前記貫通孔から退出し、前記薬物と相互作用し、それによって、前記薬物を前記身体開口部内の標的組織に送達する、ことと
を含む、方法。
【請求項12】
前記トランスデューサから前記屈曲可能ワイヤへの振動の移行を可能にするように前記超音波トランスデューサに結合されている適合機構をさらに備え、前記屈曲可能ワイヤをその長手方向軸に対して横断方向に発振させ、それによって、前記超音波トランスデューサによって生み出される前記振動を伝達する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記屈曲可能シースは、複数の貫通孔を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記屈曲可能シースは、生体内の粘膜組織が前記屈曲可能ワイヤと直接接触することを防止する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記屈曲可能ワイヤは、ニチノールまたはチタンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前前記屈曲可能ワイヤは、0.635mmの直径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記屈曲可能ワイヤは、約10cm~約30cmの長さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記屈曲可能シースは、約2mm~約4mmの直径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記屈曲可能シースは、約10cm~約30cmの長さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記屈曲可能シースは、シリコーンゴムを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記屈曲可能ワイヤは、長さが少なくとも100cmである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記屈曲可能ワイヤは、長さが約150cmである、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記屈曲可能ワイヤは、直径が約1mmである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記屈曲可能シースは、内視鏡内に嵌合するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
前記屈曲可能シースは、複数の管腔を備え、前記複数の管腔は、前記シースの長さに沿って延在し、相互から物理的に分離されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項26】
前記複数の管腔の各々は、異なる治療組成物を備える、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記屈曲可能シースは、その遠位端において孔を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項28】
前記屈曲可能シースは、後退可能であり、前記屈曲可能ワイヤの遠位部分は、前記屈曲可能シースの前記遠位端における前記孔を通して延在し、前記屈曲可能シースは、後退させられる、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記シースは、少なくとも2つの長手方向の孔を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
前記シースは、前記屈曲可能ワイヤの遠位先端の近位にあるバルーン区画と、前記ワイヤの前記遠位先端の遠位にあるバルーン区画とのうちの少なくとも1つを備え、各バルーン区画は、前記屈曲可能シースの中の内容物の長手方向の拡散に対する障壁としての役割を果たす、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、超音波振動を使用した薬物送達のためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
粘膜は、薬物治療を必要とする患者において、標的型薬物送達に対する主要な障害物である。薬物化合物を含む粒子状物質は、粘液によって捕捉され、その標的に到達することができない。肺、結腸、膣、および膀胱を含む複数の臓器系内の粘膜の存在は、多くの標的型薬物送達方法に対する課題をもたらす。これは、嚢胞性線維症等の疾患においてさらに深刻であり、粘膜のコーティングが、粘液によってさらに閉塞される。現在、薬剤は、多くの場合、厚い粘液を溶解するための薬剤とともに送達される。しかしながら、これらの方法は、往々にして効果がなく、これらの薬剤と、送達されるべき薬物との間の相互作用は、薬物の有効性に影響を与え得、または、容認できない副作用を引き起こし得る。その結果として、何千人もの人が、効果のない標的型薬物治療に悩まされており、または、潜在的に重篤な的外れな薬の効能を伴う一般化された治療に耐えている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(概要)
本発明は、標的組織の部位において、薬物を含む液体に超音波エネルギーを伝達することによって標的組織への薬物の生体内送達を向上させるデバイスおよび方法を提供する。超音波エネルギーは、標的組織への薬物の送達を向上させる。本発明のデバイスおよび方法は、超音波エネルギー源と組織との間の直接接触を安全に防止しつつ、薬物を含む液体に超音波エネルギーを送達する。
【0004】
本発明の局面は、超音波周波数において振動することが可能である超音波トランスデューサを備えるデバイスを提供する。本デバイスは、超音波トランスデューサに結合されている屈曲可能ワイヤを備えるプローブと、屈曲可能ワイヤを被包する屈曲可能シースとをさらに備え、屈曲可能シースは、1つまたはそれより多くの貫通孔を備える。屈曲可能シースは、複数の貫通孔を備え得る。有利なこととして、屈曲可能シースは、生体内組織が屈曲可能ワイヤと直接接触することを防止し得る。例えば、シースは、プローブの屈曲可能ワイヤと組織との間の接触を防止するためのシリコーンゴムを含み得る。
【0005】
本デバイスは、トランスデューサから屈曲可能ワイヤへの振動の移行を可能にするように超音波トランスデューサに結合されている適合機構をさらに備え、屈曲可能ワイヤをその長手方向軸に対して横断方向に発振させ、それによって、超音波トランスデューサによって生み出される振動を伝達し得る。
【0006】
プローブの屈曲可能ワイヤは、超音波トランスデューサから超音波エネルギーを伝達することが可能である任意のワイヤであり得る。例えば、屈曲可能ワイヤは、ニチノールまたはチタンを含み得る。屈曲可能ワイヤは、本質的に、ニチノールまたはチタンから成り得る。屈曲可能ワイヤは、1mm未満の直径を有し得る。例えば、屈曲可能ワイヤは、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6、mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mmの直径、またはこれらの直径の間の任意の直径を有し得る。屈曲可能ワイヤは、1.0mmを上回る直径を有し得る。本発明のある局面では、屈曲可能ワイヤは、0.635mmの直径を有する。屈曲可能ワイヤは、約10cm~約30cmの長さを有し得る。また、シースが屈曲可能ワイヤを保護するため、シースは、約10cm~約30cmであり得る。屈曲可能ワイヤ、および、それによって、プローブの長さは、送達されるべき薬物の場所および標的部位に到達するための経路に基づいて調節され得ることが、理解される。例えば、屈曲可能ワイヤ、シース、および/またはプローブの長さは、1cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、20cm、21cm、22cm、23cm、24cm、25cm、26cm、27cm、28cm、29cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm未満、またはこれらの長さの間にある任意の長さであり得る。屈曲可能ワイヤおよびプローブの長さは、100cmを上回り得る。屈曲可能ワイヤは、シースからシース上の少なくとも1つの点まで延在し、それによって、先端を形成し得る。先端は、先端の点において超音波エネルギーの解放を集中させるために使用され得、標的組織に対して方向付けられ得る。
【0007】
シースの直径は薬物送達の場所および適用されるべき超音波エネルギーに基づいて調節され得ることも、理解される。例えば、シースは、約2mm~約4mmの直径を有し得る。シースの直径は、1mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm未満、またはこれらの直径の間にある任意の直径であり得る。シースの直径は、10mmを上回り得る。
【0008】
有利なこととして、屈曲可能ワイヤ、シース、および/またはプローブは、操向可能であり得る。操向可能なプローブは、ユーザによって機械的に制御され、標的場所に対して方向付けられることができる。例えば、プローブは、生体内標的組織に到達するために外科的切開を通して操向され得る。プローブは、代替として、標的組織に到達するために対象の通路を通して、例えば、標的肺組織に到達するために対象の気管および細気管支を通して操向され得る。
【0009】
本発明は、本発明のデバイスの使用、および生体内標的組織への薬物の送達を向上させるための方法も提供する。
【0010】
本発明の方法は、デバイスを対象の身体開口部の中へと導入することによって生体内標的組織に薬物を送達することを含み、デバイスは、超音波周波数において振動することが可能である超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに結合されている屈曲可能ワイヤを備えるプローブと、屈曲可能ワイヤを被包する屈曲可能シースとを備え、屈曲可能シースは、1つまたはそれより多くの貫通孔を備える。薬物を含む液体が、身体開口部内に存在し、本方法は、屈曲可能ワイヤからの振動によって生み出されるエネルギーが、貫通孔から退出し、薬物と相互作用し、それによって、薬物を身体開口部内の標的組織の中に送達するように屈曲可能ワイヤを振動させることをさらに含む。
【0011】
本発明の局面では、身体開口部の中へと導入されるものは、トランスデューサから屈曲可能ワイヤへの振動の移行を可能にするように超音波トランスデューサに結合されている適合機構を備え、屈曲可能ワイヤをその長手方向軸に対して横断方向に発振させ、それによって、超音波トランスデューサによって生み出される振動を伝達する。
【0012】
身体開口部の中へと導入されるデバイスの屈曲可能シースは、複数の貫通孔を備え得る。有利なこととして、屈曲可能シースは、生体内組織が屈曲可能ワイヤと直接接触することを防止し得る。例えば、シースは、プローブの屈曲可能ワイヤと組織との間の接触を防止するためのシリコーンゴムを含み得る。
【0013】
身体開口部の中へと導入される、デバイスの屈曲可能ワイヤは、超音波トランスデューサからの超音波エネルギーを伝達することが可能である任意のワイヤであり得る。例えば、屈曲可能ワイヤは、ニチノールまたはチタンを含み得る。屈曲可能ワイヤは、本質的に、ニチノールまたはチタンから成り得る。屈曲可能ワイヤは、1mm未満の直径を有し得る。例えば、屈曲可能ワイヤは、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6、mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mmの直径、またはこれらの直径の間の任意の直径を有し得る。屈曲可能ワイヤは、1.0mmを上回る直径を有し得る。本発明のある局面では、屈曲可能ワイヤは、0.635mmの直径を有する。屈曲可能ワイヤは、約10cm~約30cmの長さを有し得る。また、シースが屈曲可能ワイヤを保護するため、シースは、約10cm~約30cmであり得る。屈曲可能ワイヤ、および、それによって、プローブの長さは、送達されるべき薬物の場所および標的部位に到達するための経路に基づいて調節され得ることが、理解される。例えば、屈曲可能ワイヤ、シース、および/またはプローブの長さは、1cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、20cm、21cm、22cm、23cm、24cm、25cm、26cm、27cm、28cm、29cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm未満、またはこれらの長さの間にある任意の長さであり得る。屈曲可能ワイヤおよびプローブの長さは、100cmを上回り得る。
【0014】
シースの直径は薬物送達の場所および適用されるべき超音波エネルギーに基づいて調節され得ることも、理解される。例えば、シースは、約2mm~約4mmの直径を有し得る。シースの直径は、1mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm未満、またはこれらの直径の間にある任意の直径であり得る。シースの直径は、10mmを上回り得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による例示的デバイスを描写している。
【0016】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による例示的デバイスを描写している。
【0017】
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による、内視鏡とともに使用されるデバイスを描写している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
本発明は、標的組織の部位において、薬物を含む液体に超音波エネルギーを伝達することによって標的組織への薬物の生体内送達を向上させるデバイスおよび方法を提供する。超音波エネルギーは、標的組織への薬物の送達を向上させる。本発明のあるデバイスでは、トランスデューサは、使用中である間、対象の外部に留まったままであり、シースおよびワイヤは、内視鏡の管を介して対象の中へと挿入される。そのようなデバイスは、内視鏡管内に嵌合する小型トランスデューサを使用する必要がなく、より大きな超音波エネルギーを標的組織に送達し、遠位電気絶縁に対する必要性を排除するため、従来技術の超音波デバイスより有利である。
【0019】
超音波エネルギーは、診断的撮像、組織アブレーション、血小板および血栓症の断片化を含むいくつかの医学的使途に関して以前から検討されている。典型的には、超音波プローブによって生み出されるエネルギーは、非常に強烈な高周波数の音振動の形態にあり、機械的作用または「キャビテーション」のいずれかの結果として組織の断片化をもたらし、液体に適用される高エネルギー超音波周波数は、蒸気充填微小気泡または「空洞」を生成し、空洞の急速な膨張および圧潰は、組織の断片化または溶解を引き起こす強烈な局所的な液圧衝撃を伴う。超音波デバイスは、例えば、その内容が全体として本明細書に援用される米国特許第2003-0176791号に説明されている。
【0020】
単一の作用の機構に拘束されることなく、低周波数超音波エネルギーは、最近、細胞機能および薬物送達への影響における使用に対して提案されている。しかしながら、本発明に至るまでの間、生体内の薬物送達を向上させるための超音波の使用は、限定されていた。その内容が全体として本明細書に援用されるTharkar et al. (2019) 「Nano-Enhanced Drug Delivery and Therapeutic Ultrasound for Cancer Treatment and Beyond」, Frontier in Bioengineering and Biotechnology vol. 7, art. 324; and Pitt et al. (2004) 「Ultrasonic Drug Delivery - A General Review」, Expert Opin Drug Deliv. 1(1):37-56を参照されたい。本発明の超音波エネルギーは、粘膜構造を破壊し、薬物が局所的な薬物送達のために組織に進入することを可能にし得る。超音波エネルギーは、薬物分子と相互作用し、薬物の送達を向上させ得る。加えて、本発明によって標的型薬物送達のために超音波エネルギーを生体内に安全に適用し得るデバイスも、初めて提供される。
【0021】
本発明の局面は、超音波周波数において振動することが可能である超音波トランスデューサを備えるデバイスを提供する。本デバイスは、超音波トランスデューサに結合されている屈曲可能ワイヤを備えるプローブと、屈曲可能ワイヤを被包する屈曲可能シースとをさらに備え、屈曲可能シースは、1つまたはそれより多くの貫通孔を備える。屈曲可能シースは、複数の貫通孔を備え得る。貫通孔は、シースの長さに沿って横断方向に位置付けられ得る。貫通孔は、GI管に沿った複数の場所において励振および薬物の送達を誘出するために最大ワイヤ振動の場所に位置付けられ得る。
【0022】
単一の作用の機構に拘束されることなく、本デバイスは、薬物を含む液体中に、音響キャビテーション、マイクロ噴射、またはマイクロストリーミングのうちの少なくとも1つを振動から生み出すように構成され得る。「音響キャビテーション」または「キャビテーション」は、超音波振動によって生み出される、衝撃波を意味し、振動は、急速に圧潰される複数の微細な気泡を作成し、力を伴って衝突する水分子による分子衝突をもたらし、それによって、衝撃波を生み出す。「マイクロ噴射」は、微小気泡、例えば、キャビテーションから形成される微小気泡の非対称破裂によって引き起こされる液体の強力な流れである。「マイクロストリーミング」は、気泡等の発振物体の周囲の流体のストリーミングフローを意味する。流体流は、包囲する境界層の発振によって生じる渦巻運動、例えば、発振キャビテーション気泡から生成される。本発明の局面では、本デバイスから解放されるエネルギーは、プローブに対して長手方向に解放される。本発明の局面では、超音波トランスデューサによって生み出される振動は、屈曲変位によって、屈曲可能ワイヤに沿って伝達され得る。例えば、屈曲可能ワイヤの屈曲変位は、約30μm~約100μmであり得る。屈曲可能ワイヤの屈曲変位はプローブの遠位端によって伝達および生み出される振動を調節するために調節され得ることが、理解される。
【0023】
本発明の局面では、本デバイスによって送達される超音波エネルギーは、任意の公知の方法によって調節され得る。例えば、超音波トランスデューサに伝達される電力、または超音波トランスデューサの設定は、送達される超音波エネルギーを調節するために使用され得る。超音波トランスデューサは、超音波トランスデューサの周波数を調節するように調整され得る。「同調」は、超音波発生器の周波数を調節するプロセスであり、プローブの長さに沿って定在波を確立する周波数を選択することを意味する。また、プローブのシースは、超音波トランスデューサによって生成され、プローブに伝達されるエネルギーの伝達が、周囲の環境に提供されることを実質的に防止し得る。屈曲可能シースは、本デバイスによって生成されるエネルギーの制御、またはそれの周囲のエネルギーへの標的型解放を可能にする1つまたはそれより多くの貫通孔を備え得る。加えて、本デバイスのシースは、生体内の粘膜組織が屈曲可能ワイヤと直接接触することを防止し得る。例えば、シースは、プローブの屈曲可能ワイヤと組織との間の接触を防止するためのシリコーンゴムを含み得る。「プローブ」は、広義には、超音波発生器手段に適合させることが可能であるデバイスを意味し、これは、超音波発生器手段によって放出されるエネルギーをその長さに沿って伝搬することが可能であり、機械的エネルギーへの超音波エネルギーの変換を引き起こす音響インピーダンスが可能である。「シース」は、全体または一部において、超音波生成手段に接続されるプローブまたはそのポートを被覆する、包み込む、または遮蔽するための装置を意味する。
【0024】
本発明は、広範囲の治療剤を送達するために使用されることができる。例えば、限定ではないが、薬物は、小分子、大分子、合成分子または半合成分子、タンパク質、ペプチド、ペプチド分子、糖タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、抗体もしくは抗体断片、例えば、モノクローナルヒト化もしくは非ヒト化抗体、遺伝子編集剤、またはRNA干渉をもたらすための薬剤、例えば、dsRNA、miRNA、siRNA、アンチセンスRNA、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。薬物は、薬物の送達に関して、任意の組成物中で送達され得、例えば、生理食塩水、緩衝剤、水、ならびに、水/油乳剤、安定剤、および防腐剤等の乳剤を含む任意の標準的な担体とともに組成物中で送達され得る。
【0025】
本発明の実施形態では、本デバイスから送達される超音波エネルギーは、拡散またはキャビテーションを介したより良好な薬物送達を可能にするためにGI管の粘膜壁から堆積物を除去し得、またはそれらを「清浄化」し得る。また、超音波エネルギーは、標的の細胞内で細孔を開放し得、細孔は、細胞の中への治療剤の進入を促進し得る。
【0026】
図1は、本発明の実施形態による例示的デバイスを開示している。超音波トランスデューサ、例えば、以下に説明されるようなボルト締めランジュバン超音波トランスデューサは、屈曲可能保護用および穿孔付きシース(プローブ)内に被包される。屈曲可能ワイヤに機械的に結合されている屈曲可能ワイヤは、屈曲可能ワイヤによって緩く被包され得る。シースが生体内で内視鏡下で挿入され、周囲の流体を含有する薬物中で超音波によってアクティベートされたとき、屈曲ワイヤは、薬物生成物の経粘膜運搬を増進する音響キャビテーション、マイクロ噴射、および/またはマイクロストリーミングを生み出す。
【0027】
図2は、本発明の実施形態による例示的デバイスを示している。本デバイスは、屈曲可能シース208内に少なくとも部分的に配置される屈曲可能ワイヤ206を含む。本デバイスは、内視鏡の中に少なくとも部分的に嵌合するように構成されている筐体210を含み得る。本デバイスは、圧電セラミック202を含むトランスデューサ204を含み得る。トランスデューサ210は、本デバイスが使用中である間、対象の身体の外部に留まったままである。本デバイスは、トランスデューサの近位端においてボルト214を有し得る。
【0028】
図3は、本発明の実施形態による、内視鏡とともに使用されるデバイスを示している。トランスデューサおよび筐体302は、対象の外部に留まったままであり、内視鏡304の近位端内に嵌合するように構成されている。屈曲可能ワイヤおよびシース306は、それらの近位端においてトランスデューサおよび筐体302に取り付けられ、内視鏡の近位端の中に、挿入管を通して、挿入管の遠位先端を越えて延在する。
【0029】
超音波トランスデューサは電気エネルギーを機械的エネルギーに変換することが、理解される。故に、任意の互換性がある電源が、本発明とともに使用されることができる。例えば、医療用(タイプB、BF、またはCF)の発電機は、超音波トランスデューサの共振周波数に一致し、位相固定される周波数において、実質的に正弦曲線の波形を生み出す。本発明の好ましい局面では、出力は、50kHz、10~100Vrms、および100~1,000mAであり、出力ワット数は、約10W~約100Wの範囲である。特定の部位に適用されるエネルギーの量は、プローブの振動の振幅および周波数、ならびにプローブ先端の長手方向の長さ、先端の組織への近接性、ならびにプローブ先端が組織に曝される程度の関数である。本最後の変数の制御は、本発明のシースを通してもたらされることができる。さらに、シースの使用は、局所的な温度上昇を減らすかまたは防止する。故に、本発明のシースは、超音波プローブの熱的副次的影響から周囲組織を絶縁する手段を提供し得る。特定のデバイスまたは方法において使用されるシースの長さおよび直径は、使用されるプローブのタイプ、プローブの長さが患者の中へと挿入される程度、および、標的にされるべき具体的なエリアに基づいて要求される遮蔽の程度に左右される。
【0030】
例えば、前立腺組織または膀胱が本発明の超音波プローブを用いて尿道内ルートを介して標的にされる用途では、シースは、尿道の組織を保護するために十分な長さのものであり、尿道の中へのシースの挿入を促進するために十分な外径のものであり、プローブを受け入れることが可能である十分な内径のものでなければならない。その長さおよび直径を含むシースの正確な寸法は、具体的な医学的手順の要件によって決定される。シース開口の位置およびサイズ、または開窓/穿孔の数および位置、または組織操作のための手段を提供するためのシース終端上のベベルの存在は、先と同様に、手順のタイプ、および具体的な患者の要件によって決定される。
【0031】
本発明の一局面では、シースは、内側シースおよび外側シースを備える。外側シースは、内側シースに対して外側シースを移動させることが可能であるワイヤ等の1つまたはそれより多くの関節運動手段によって後退トリガに接続され得る。したがって、シースは、後退可能であり得る。各ワイヤは、第1の端部および第2の端部を備える。第1の端部は外側シースに付着させられる一方、第2の端部は、後退トリガに付着させられる。外側シースが内側シースの終端から離れるように摺動して戻るとき、組織は、プローブによって放出されるキャビテーションエネルギーに曝される。また、シースは、ワイヤと関連して後退可能であり得、それによって、シースの後退は、ワイヤの遠位端がシースから突出することを可能にする。
【0032】
別の局面では、シースは、屈曲可能である。2つの端部を備える関節運動ワイヤは、シースおよび関節運動ハンドルに接続される。関節運動ハンドルが操作されるとき、例えば、軸方向に内方向に引動されるとき、屈曲可能シースは、屈曲または関節運動方向に屈曲または関節運動させられ、それによって、超音波プローブが関節運動方向に屈曲または関節運動することを引き起こす。このように、超音波プローブは、それを通してシースおよびプローブが挿入される管腔または血管と軸方向において整合させられていない場所に到達させるために使用されることができる。
【0033】
電気出力は、電気信号を機械的振動に変換する超音波トランスデューサに接続される。ボルト締めランジュバントランスデューサは、鋼鉄製エンドベルとチタン製(6Al4V)フォアベル/音響ホーンとの間に4つの圧電セラミック要素を挟んでいる鋼鉄製中心保持ボルトから成る。ボルトは、約1,000~4,000psiにおいて圧電スタックアセンブリを圧縮し、ホーンは、長手方向の振動を増幅する。好ましいトランスデューサは、長さが約1.5インチ(38mm)であり、直径0.750インチ(19mm)の圧電(タイプPZT-8)素子を挟んでいる。好ましいトランスデューサは、約50kHzにおいて共振する。トランスデューサの遠位先端における長手方向の変位は、10~100μの範囲である。トランスデューサの中心は、トランスデューサを外側筐体に固着する搭載機能を組み込み得る。この中心搭載特徴は、長手方向の変位が本質的にゼロである(搭載のために好適にする)導波管全体において長手方向のノードに常駐し得る。ノードは、プローブに沿った位置上の領域であるか、または、その近位の超音波プローブによって放出される最大エネルギーの領域である。長手方向ノードにおいて半径方向の変位が存在するため、搭載先は、減衰シリコーンOリングを使用して筐体からさらに音響的に隔離され得る。外側筐体は、ユーザによるトランスデューサとの接触を防止し、保護用内視鏡プローブへの接続点を提供するハンドピースの組み込みを可能にするため、有利であり得る。
【0034】
フォアベル/音響ホーンの遠位先端は、屈曲可能ワイヤの近位端に機械的に結合される。アクティベートされたとき、トランスデューサによって生み出される長手方向の変位は、ワイヤ内に共鳴屈曲振動を生み出す。屈曲振動は、ワイヤの弾性率および直径の関数である。本発明の好ましい局面では、ワイヤは、ニチノールまたはチタン(NiTi/6Al4V)であり得る。ワイヤおよび/またはシースは、内視鏡の作業チャネル内に嵌合させるために好適なサイズを有し得る。ワイヤは、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、0.025インチ(0.635mm)、約0.8mm、約1.2mm、約1.5mm、約2.0mm、または約2.5mmの直径を有し得る。ワイヤは、具体的な内視鏡指示の要件によって特化させられた場合、長さが10~30cmであり得る。直腸を通したシースおよびワイヤの挿入に関与する用途に関し、ワイヤは、少なくとも50cm、少なくとも60cm、少なくとも70cm、少なくとも80cm、少なくとも90cm、少なくとも100cm、少なくとも120cm、少なくとも150cm、約50cm、約60cm、約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約120cm、約130cm、約140cm、約150cm、約160cm、約170cm、約180cm、または約200cmであり得る。好ましい局面では、ワイヤの屈曲変位は、30~100μmであり、周囲の流体中での音響キャビテーション、マイクロ噴射、および/またはマイクロストリーミングを誘発するために好適である。
【0035】
屈曲ワイヤは、保護用屈曲可能内視鏡的外側シース内に緩く被包され得る。シースは、周囲の粘膜組織がワイヤと直接接触することを防止しつつ、周囲の流体を含有する薬物中の音響キャビテーション、マイクロ噴射、および/またはマイクロストリーミングを提供するために穿孔される。シースは、直径が2~4mm、長さが10~30cmであり得る。シースは、医療用(生体適合性/一時的な接触)シリコーンゴムまたはぺバックス等の軟質エラストマから作製され得る。
【0036】
シースは、シース内に含まれる治療剤が標的部位または組織に灌注または注入されることを可能にする開口部または孔をその遠位端に有し得る。シースは、複数の管腔を有し得、複数の管腔は、その長さに沿って延在し、薬物または灌注流体等の複数の異なる治療的組成物の同時送達を可能にするために相互から物理的に分離されている。また、シースは、薬物がワイヤを用いて励振された状態になるとき、好ましい場所まで超音波振動ワイヤから薬物を分離するために、その長さに沿って少なくとも2つの長手方向の孔を有し得る。付加的な長手方向の孔は、複数のさらなる別の薬物送達を可能にし得る。シースは、GI管の隔離された区画への薬物の送達および超音波治療を限定するために、遠位ワイヤ先端および横断方向の貫通孔に対して遠位および近位にあるバルーン区画を含み得る。
【0037】
本発明の好ましい局面では、内視鏡挿入シースおよび含有ワイヤ(プローブ)は、単回使用であり、使い捨て可能であり、超音波トランスデューサを備える再利用可能なハンドピース筐体にそれを取り付け、およびそこから取り外す機能を組み込んでいる。
【0038】
本発明の局面では、本発明のデバイスは、灌注チャネルをさらに備え得る。シースは、制御される流率および圧力下で治療物質を含む液体を送達するための灌注手段、例えば、蠕動ポンプまたは他のそのようなデバイスに適合され得、シースは、流体をプローブの場所に方向付ける。灌注チャネルは、灌注手段によって生み出される流体の流動によって生み出される正の圧力下でその構造的完全性を維持するために十分な剛性を有することを条件として、シースと同一の材料から製造され得る。そのような灌注チャネルは、シースの管腔の内側またはシースの外側表面に沿ってのいずれかまたは両方において提供される。灌注チャネルは、第1のシース内に入れ子にされた第2の中空シースであり得、または、灌注チャネルは、シースの本体内に形成され得る。プローブ自体が、灌注チャネルを画定する1つまたはそれより多くの溝を有し得、流体は、灌注チャネルによって方向付けられるので、シースの内側表面とプローブの外側表面との間のプローブの長さに沿って方向付けられる。灌注流体は、プローブを冷却する手段を提供し得る。有利なこととして、灌注チャネルは、薬物を含む液体を送達し得、これに関して、薬物の経粘膜送達は、プローブによって提供されるエネルギーによって向上させられる。シース自体、または第1のシース内に含まれる灌注シースは、薬物または調合薬をプローブ活性の部位に導入する手段を提供することができる。超音波エネルギーは、粘膜に入り込む際に薬物を支援するための手段をさらに提供する。
【0039】
さらに、本発明のデバイスは、灌注および吸引チャネルの両方を備え得る。灌注チャネルに関して、上記に説明されたように、チャネルは、シース管腔内、またはシースの外部、またはその2つの組み合わせに位置し得、直接連通していないことを条件として他のチャネルの近位または遠位に存在することができる。先と同様に、プローブ自体が、吸引チャネルおよび灌注チャネルを画定する複数の溝を有し、流体は、吸引および灌注チャネルによって方向付けられるので、シースの内側表面とプローブの外側表面との間のプローブの長さに沿って方向付けられる。本発明の局面では、シースは、プローブによって放出されるエネルギーを方向付ける、制御する、調整する、および集束させるための手段、吸引手段、灌注手段、または上記の任意の組み合わせを備える。
【0040】
本デバイスは、組織の操作を可能にし、プローブの遠位端近傍で組織を操作することが可能である表面を備え得る。この局面では、シースの終端は、閉鎖され、それによって、シースは、プローブによって放出されるエネルギーから組織を絶縁し、組織を遠位端から離れるように押動するために使用されることができる。代替として、シースは、遠位端においてベベル形または弓形表面を備え、プローブに近接して組織を掛着する、握持する、または別様に保持するための手段を提供することが可能であり得る。シースは、別の外科デバイス、例えば、組織を組織空間の中に操作することが可能であり得る屈曲可能生検鉗子の導入を可能にし、それによって、外科デバイスは、プローブを用いて近接して組織を保持することができる。
【0041】
さらなる局面では、シースの内側表面は、プローブからのエネルギーを増幅または集束するための手段を提供する。この局面では、シースの内側表面は、シース管腔の中に延在する少なくとも1つの構造または反射性要素を備える。反射性要素は、平面、または弓形、またはこれらの形状の組み合わせであり得る。本発明の反射性要素は、シースと同一の材料から加工され得、または、要素の反射性性質を最適化する異なる材料を使用し得る。エネルギーはプローブに沿ったノードにおいて最大に到達するため、ノードの区間は、発生器が動作する超音波周波数によって決定され、シース内の反射性要素の間隔は、超音波デバイスの意図された動作周波数によって決定される。同様に、プローブに沿ったノードの数は、プローブの長さおよび周波数によって決定される。したがって、反射性要素の数は、プローブの長さおよび動作周波数によって決定される。例えば、約3センチメートルの最薄区間22においてある長さを伴うプローブを採用している、約25kHzの周波数において動作する超音波デバイスは、約2ミリメートル離され、約2ミリメートル幅の約7つのノードを表示する。エネルギーは、これらのノードにおいてプローブの周囲に円周方向に放射される。そのようなプローブを伴って有用であるシースは、例えば、限定ではないが、長さが少なくとも約3センチメートルの円筒形シースを含み、これは、7つの反射性要素をさらに備え、幅が約2ミリメートルであり、約2ミリメートル離され、反射性要素がノードにわたって中心に置かれるようにプローブに対して位置付けられる。プローブによって放出されるエネルギーはノードから円周方向に放射されるため、反射性要素がシースの内壁からシースの管腔の中に半径方向に、例えば、シースの内部の周囲にある角度で延在し得る一方、残りの90度は、反射性要素を有さず、それによって、キャビテーションエネルギーをノードからノードの遠位にある位置まで送出するための手段を提供する。本実施例の送出手段は、反射性要素が存在しない領域、または形状または角度が反射性要素と比較して改変される領域、またはノードのエリアからノードの遠位にある位置にエネルギーを方向付ける任意の他のそのような手段であり得る。
【0042】
本発明のデバイスは、プローブ作用の部位、すなわち、薬物を含む液体とプローブの遠位端との間の接触点を視認する手段を備え得る。これは、照明手段および視認手段を含み得る。一局面では、本発明のシースは、(シースの外部にある場合)内視鏡を含む、もしくは導入するための手段、または類似の光学撮像手段を備える。別の局面では、超音波医療デバイスは、撮像システム、例えば、MRI、または超音波撮像、特にカラー超音波と併せて使用される。プローブの作用は、ディスプレイ上に鮮明かつ明るい画像をエコー発生的に生み出し得る。本実施形態におけるシースは、プローブを遮蔽し、それによって、プローブ画像の強度を低減させ、振動しているプローブと周囲の組織との間のコントラストを減らすことによって画像の分解能を増進する。
【0043】
本発明のために有用なシース材料は、プローブ先端によって放出されるキャビテーションエネルギーを吸収する、含有する、または消散させることが可能である音響的または振動的減衰性質を伴う任意の材料を含む。好ましくは、そのような材料は、その構造的完全性を喪失することとなく、例えば、ガンマ線照射またはエチレンオキシドガス(ETO)によって滅菌されることが可能でなければならない。そのような材料は、限定ではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリエーテルイミド等のプラスチック、または医学的手順において使用される他のそのようなプラスチックを含む。セラミック材料も、使用され、高圧蒸気殺菌法によって滅菌され得るという追加の利点を有することができる。前述の材料の組み合わせが、手順に応じて使用され得る。代替として、上記に説明されたように、シースは、単回使用プローブのための使い捨て可能である材料を含み得る。
【0044】
(参照による援用)
特許、特許出願、特許公開、定期刊行物、書籍、研究論文、ウェブコンテンツ等の他の文書の言及および引用が、本開示を通して全体的に行われてきた。そのような文書は全て、あらゆる目的のために、参照によって全体として本明細書に援用される。
【0045】
(均等物)
本発明の種々の修正例およびその多くのさらなる実施形態は、本明細書に示され説明されたものに加えて、本明細書で引用される科学文献および特許文献への参照を含む本文書の全内容から当業者に明白になるであろう。本明細書の主題は、その種々の実施形態およびその均等物において本発明の実践に適合され得る重要な情報、例証、および指針を含む。
【国際調査報告】