(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】座瘡の治療のためのプロバイオティクス組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/747 20150101AFI20230922BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20230922BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230922BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230922BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230922BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230922BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61K35/747
A61K35/741
A61K9/19
A61K9/14
A61K9/08
A61K9/20
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023516518
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2021075219
(87)【国際公開番号】W WO2022053711
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442062
【氏名又は名称】ビオノウ リサーチ エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァーロ ロペス ヴィセンテ
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァーロ モラタッラ ローラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC18
4C076CC40
4C076FF70
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA17
4C087MA34
4C087MA43
4C087MA44
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA89
(57)【要約】
細菌株L.ラムノーサスCECT 30031と細菌株アルスロスピラ・プラテンシス(スピルリナ・パラカ)とを含むプロバイオティクス組成物が本発明において提供される。開示のプロバイオティクス組成物は、座瘡の治療に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. ブダペスト条約に基づき、Spanish Type culture Collection(CECT)にアクセッション番号CECT 30031で寄託されたラクトバチルス・ラムノーサス株と、
b. Banco Espanol de Algasにアクセッション番号BEA_IDA_0074Bで寄託されたアルスロスピラ・プラテンシス(S.パラカ)株と、
を含む、プロバイオティクス組成物。
【請求項2】
自然乾燥又は凍結乾燥(フリーズドライ)した粉末の形態である、請求項1に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項3】
液体形態又は固体形態での投与用配合物、好ましくは経口投与用配合物である、請求項1又は2に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項4】
薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項5】
栄養組成物又は栄養サプリメントである、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項6】
前記組成物が錠剤、ロゼンジ、菓子、チュアブル錠、チューインガム、カプセル、サシェ、粉末、顆粒、コーティング粒子又はコーティング錠、錠剤、並びに胃耐性の錠剤及びカプセル、並びに分散性のストリップ及びフィルムからなる群より選択される配合物の形態、又は経口溶液、懸濁液、エマルション及びシロップからなる群より選択される液体配合物の形態である、請求項5に記載の栄養組成物若しくは栄養サプリメント又は請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
治療用である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
緩和、軽減、治療及び/又は予防を必要とする被験体、好ましくはヒト被験体において座瘡、特に尋常性座瘡を緩和、軽減、治療及び/又は予防し、より具体的には面皰を緩和、軽減、治療及び/又は予防する方法用である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項9】
被験体に有効量の前記組成物を経口投与し、それにより座瘡を治療することを更に含む、治療を必要とする被験体、好ましくはヒト被験体において座瘡を治療する方法用である、請求項8に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの付加的な化合物が座瘡の治療に有効な量で前記被験体に投与され、前記プロバイオティクス組成物がアジュバントとして作用する、治療を必要とする被験体、好ましくはヒト被験体において座瘡を治療する方法用である、請求項8又は9に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項11】
前記座瘡が尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、電撃性座瘡、グラム陰性菌毛嚢炎及び顔面膿皮症からなる群より選択される、請求項8~10のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項12】
前記座瘡が尋常性座瘡である、請求項11に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項13】
緩和、軽減、治療及び/又は予防を必要とする被験体、好ましくはヒト被験体において座瘡、特に尋常性座瘡を緩和、軽減、治療及び/又は予防し、より具体的には面皰を緩和、軽減、治療及び/又は予防する方法用である、Banco Espanol de Algasにアクセッション番号BEA_IDA_0074Bで寄託されたアルスロスピラ・プラテンシス(S.パラカ)株を含むプロバイオティクス組成物。
【請求項14】
緩和、軽減、治療及び/又は予防を必要とする被験体、好ましくはヒト被験体において座瘡、特に尋常性座瘡を緩和、軽減、治療及び/又は予防し、より具体的には面皰を緩和、軽減、治療及び/又は予防する方法用である、ブダペスト条約に基づき、Spanish Type culture Collection(CECT)にアクセッション番号CECT 30031で寄託されたラクトバチルス・ラムノーサス株を含むプロバイオティクス組成物。
【請求項15】
前記座瘡が尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、電撃性座瘡、グラム陰性菌毛嚢炎及び顔面膿皮症からなる群より選択され、好ましくは前記座瘡が尋常性座瘡である、請求項13又は14に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項16】
前記緩和、軽減、治療及び/又は予防を必要とする被験体に経口投与される、請求項13~15のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
座瘡の治療に有用なプロバイオティクス組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスという用語は、「十分量を摂取したときに宿主に健康効果を与える生きた微生物」と定義されている(世界保健機関及び国連食糧農業機関、2001年)。プロバイオティクスに関する最も古い報告は、1907年に遡り、Elie Metchnikoffがヨーグルト中の乳酸産生菌の摂取と長寿との間の相関を記載している。過去数十年間で、消化器系の健康に関してだけでなく、炎症性疾患の管理においてもプロバイオティクスに新たな関心が寄せられている。
【0003】
経口プロバイオティクスは、動物モデルにおいてインスリン感受性を改善するとともに、腸管関連リンパ組織との相互作用によって皮膚における炎症性サイトカインの放出を調節することが示されている(非特許文献1)。実際に、腸-脳-皮膚軸により、経口プロバイオティクスとの相互作用による影響を受ける胃腸の健康と、皮膚の健康及び健全性とを結び付ける機構が示唆される(非特許文献2)。この意味で、ラクトバチルスの幾つかの株が、全身的な抗炎症効果を有することが示されている。ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)は、インターロイキン(IL)-10等の全身性抗炎症性サイトカインを誘導することが研究から示されている。L.ロイテリ(L. reuteri)に由来する可溶性因子は、炎症誘発性サイトカインの産生を阻害し、マウス由来のL.ロイテリ6798の培養上清は、活性化マクロファージの腫瘍壊死因子(TNF)産生を阻害する(非特許文献3)。
【0004】
ラクトバチルスの幾つかの株も抗炎症特性を示す。ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)NCC2461の添加は、皮膚モデルにおける神経性炎症を阻害することが示され、リンパ球培養物へのL.パラカゼイ(L. paracasei)NCC2461の添加は、CD-4+T細胞の増殖活性を用量依存的に強く阻害し、抗炎症性サイトカインIL-10及びTGF-βを誘導することが示されている。プロバイオティクスを7日間摂取したマウスは、顕著に高い抗体応答及びin vivo T細胞媒介性免疫応答を示し、L.パラカゼイがB細胞及びT細胞の両方の機能に影響を与えることが示された。同様に、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)で処置したマウスは、IL-10を産生し、制御性T細胞機能を促進する能力が高まった。制御性T細胞の増加は、このプロバイオティクスが、刺激に対する免疫系の応答のバランスを取るのに役立ち得ることを示唆している(非特許文献1)。結果として、或る特定のプロバイオティクス株は、例えば有害な病原性の脅威に対する適切な免疫応答を潜在的に高め得る一方で、慢性炎症状態に見られる不必要な免疫応答を抑制し得る。
【0005】
皮膚バリア機能の破壊は、局所レチノイド及び過酸化ベンゾイルを含む多くの座瘡薬物治療の既知の副作用である。これらの薬物治療による炎症、刺激感及び乾燥は、座瘡療法
のコンプライアンスに悪影響を及ぼす可能性がある。酒さ及びアトピー性皮膚炎は、皮膚バリアが損なわれている他の皮膚病態であり、皮膚バリアが強化されると症状が改善する。或る特定のプロバイオティクス株の経口摂取は、皮膚バリアを改善し、皮膚保湿及び経表皮水分蒸散量に影響を与えることが示されている。実際に、非特許文献4では、無作為化プラシーボ対照臨床試験において健常な女性ボランティアに対するL.パラカゼイNCC2461対プラシーボの経口補給の効果が試験された。カプサイシン試験を用いて皮膚感受性をモニタリングし、経表皮水分蒸散量及び皮膚科学的評価を用いて皮膚バリア機能を測定した。皮膚感受性及び皮膚バリア機能の両方がプロバイオティクス群において改善された。また、プロバイオティクス群が29日後にTGF-βの血清濃度の上昇を示したのに対し、プラシーボ群では上昇が見られなかった。TGF-βは、皮膚の完全性に重要な役割を果たすことが示されている。
【0006】
したがって、全体として、プロバイオティクスは免疫系の発達を調節し、多くの場合、免疫応答を調節及び抗炎症状態へと移行させる。慢性炎症状態を変更するプロバイオティクスのこの能力は、プロバイオティクスが炎症性腸疾患から反応性気道疾患、座瘡、酒さ、アトピー性皮膚炎及び紫外線による老化に及ぶ慢性炎症状態の治療において役割を有し得ることを示唆する(非特許文献5)。この意味で、ヒト研究における座瘡に対するプロバイオティクス介入での証拠を下記表1にまとめる。
【0007】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hacini-Rachinel G., Gheit H., Le Luduec J.B., Dif F., Nancey S., Kaiserlian D. Oral probiotic control skin inflammation by acting on both effector and regulatory T cells. PLoS One. 2009;4:e4903
【非特許文献2】Bowe W.P., Logan A.C. Acne vulgaris, probiotics and the gut-brain-skin axis: back to the future? Gut Pathog. 2011;3:1
【非特許文献3】Livingston M., Loach D., Wilson M., Tannock G.W., Baird M. Gut commensal Lactobacillus reuteri 100-23 stimulates an immunoregulatory response. Immunol Cell Biol. 2009;88:99-102
【非特許文献4】Gueniche et al. (2014) (Gueniche A., Phillippe D., Bastien P., Reuteler G., Blum S., Castiel-Higounenc I. Randomised double-blind placebo-controlled study of the effect of Lactobacillus paracasei NCC 2461 on skin reactivity. Benef Microbes. 2014;5:137-145)
【非特許文献5】Benyacoub J., Bosco N., Blanchard C., Demont A., Phillippe D., Castiel-Higounenc I. Immune modulation property of Lactobacillus paracasei NCC2461 (ST11) strain and impact on skin defenses. Benef Microbes. 2014;5:129-136
【発明の概要】
【0009】
しかしながら、依然として、座瘡の全体的治療における顕著な改善、特に包括的座瘡評点方式(GAGS)又はAGSS(座瘡包括的重症度尺度)等の既知の認められた評点方式に従う顕著な改善をもたらす更なるプロバイオティクス組成物を提供する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のプロバイオティクスブレンド研究に用いたコンソート図である。
【
図2】実施例1のプロバイオティクスブレンド研究についての6週間及び12週間の時点でのGAGS(包括的座瘡評点方式)指数の評価を示す図である。
【
図3】実施例1のプロバイオティクスブレンド研究についての6週間及び12週間の時点でのAGSS(座瘡包括的重症度尺度)指数の評価を示す図である。
【
図4】実施例1のプロバイオティクスブレンド研究についての6週間及び12週間の時点での炎症を起こした座瘡病変の数の評価を示す図である。
【
図5】実施例1のプロバイオティクスブレンド研究についての6週間及び12週間の時点での患者の見解の評価及び主観的評価を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、本発明者らは、1g当たり少なくとも1×109cfu(コロニー形成単位)を含む2つの株の混合物を含有する、Bths-03と名付けた新規のマルトデキストリンベースの配合を試験した(実施例1を参照されたい)。特に、上記2つの株の混合物は、細菌株ラクトバチルス・ラムノーサスCECT 30031と、細菌株アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)BEA_IDA_0074B(スピルリナ・パラカ(Spirulina paraca)(S.パラカ(S. paraca))とも称される)とを含むものであった。
【0012】
L.ラムノーサスは、プロバイオティクスとして一般に使用されている細菌であり、主にヨーグルト、及び乳児用調製粉乳を含む他の乳製品に含まれている。L.ラムノーサスの科学的分類は、ドメイン:細菌、門:ファーミキューテス、綱:バチルス、目:ラクトバチルス、科:乳酸桿菌科、属:ラクトバチルス、種:ラクトバチルス・ラムノーサスである。
【0013】
アルスロスピラ・プラテンシスは、ドメイン:細菌;門:シアノバクテリア;綱:藍藻;属:シアノバクテリアに含まれる水生の原核糸状グラム陰性菌であり、原核細菌性微生物であるにも関わらず、青色/緑色の微細藻類として分類されることが多い。その商品化されたバイオマスの一般名は「スピルリナ」であり、その製造により、この微生物は世界で最も多く培養されている。アルスロスピラ・プラテンシスは、したがって、スピルリナ・パラカ(S.パラカ)という名称でも知られている。
【0014】
上記の混合物を用いて、本発明者らは、本明細書に添付の実施例1に示すように、中等度の尋常性座瘡を有し、抗生物質の局所及び全身投与による治療を受けた患者が参加するパイロット研究を行った。実施例1に示されるように、包括的座瘡評点方式(GAGS)によるプロバイオティクス群の応答率は61.8%であり、プラシーボ群では35.4%であった。このおよそ26ポイントの改善率の絶対値の差は、臨床的に関連し、統計的有意性を有すると見なされた。測定した更なる臨床的に重要な変数は、AGSS(座瘡包括的重症度尺度)変数であった。この変数についても群間差が認められ、特にプロバイオティクス群では指数が58%改善し、プラシーボ群では33%改善した。変数「炎症性病変の数」については、この変数は、臨床的関連性及び統計的関連性の2つの群間の差を示し、プロバイオティクス群では76.5%の病変に改善が示されたが、プラシーボ群では23.78%の病変にしか改善が示されなかった。この最後に述べた変数は、治療中に最も大きな改善が認められた変数であり、プロバイオティクスブレンドで治療した群に有利であった。加えて、患者の主観的印象は、プロバイオティクス群では治療の終了時に29.58%の改善を示したのに対し、プラシーボ群では、この変数は4.75%の改善を示した。さらに、全ての主変数(主要及び副次)が、プラシーボ群とデータを比較した場合にプロバイオティクス群でより有利なスコアを示し、それらの一部は、重要な臨床的関連性及び統計的有意性を有していた。治療の順守は、両群とも90%であり、記載された副作用の数は少なく、研究に用いた治療に起因するものではなかった。
【0015】
これらの結果に基づき、本発明者らは、本発明が少なくとも2つの株、特に種L.ラムノーサスに属する細菌株及び種アルスロスピラ・プラテンシス(スピルリナ・パラカ)に属する細菌株の組合せを含むプロバイオティクス組成物による座瘡の新規の改善された治療を提供すると結論付けることができる。より具体的には、本発明は、少なくとも、AcnePro-Bthsと名付けられた、Bioithas(03080 Sant Vicent del Raspeig,Alicante,Spain)によってSpanish Type culture Collection(CECT)(C/ Catedratico Agustin Escardino, 9. 46980 Paterna (Valencia). Spain)にアクセッション番号CECT 30031で2019年12月3日に寄託された細菌株ラクトバチルス・ラムノーサス(以下、本明細書全体を通してL.ラムノーサスCECT 30031と称する)と、SPF-bioithas 001と名付けられた、Bioithas(03080 Sant Vicent del Raspeig,Alicante,Spain)によってBanco Espanol de Algas(Muelle de Taliarte, s/n 35214 - Telde Gran Canaria - Spain)にアクセッション番号BEA_IDA_0074Bで2019年10月25日に寄託されたアルスロスピラ・プラテンシス株(以下、本明細書全体を通してS.パラカBEA_IDA_0074B又はアルスロスピラ・プラテンシスBEA_IDA_0074Bと称する)との組合せに関する。
【0016】
さらに、添付の実施例に示されるように、実施例1に記載の研究又は試験の前に、株L.ラムノーサスCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bの各々を別個に尋常性座瘡の治療について評価した。かかる目的で、L.ラムノーサスCECT 30031のみ、S.パラカBEA_IDA_0074Bのみ、又はCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bを用いる3分岐研究の各1つに5人の患者を用いた小規模パイロット研究を行った。この研究の結果を実施例2に提示するが、両株を組み合わせて用いた場合に、株の各々を別個に用いた場合の効果と比較して、効果がどの程度著明に増強され、ひいては顕著に改善されたかがこれに反映される。
【0017】
さらに、同様に実施例1に記載の試験の前に、S.パラカBEA_IDA_0074B株を含むプロバイオティクス組成物を、特に、"Fabbrocini G, Bertona M, Picazo O, Pareja-Galeano H, Monfrecola G, Emanuele E. Supplementation with Lactobacillus rhamnosus SP1 normalises skin expression of genes implicated in insulin signaling and improves adult acne. Benef Microbes. 2016; 7 (5): 625-630. doi: 10.3920 / BM2016.0089"に開示されている既知の株(株1. L.ラムノーサスSP1)を含有するプロバイオティクス組成物と比較した。かかる既知の株は、従来技術において尋常性座瘡の治療に効果的であると考えられていた(上記表1を参照されたい)。結果を実施例3に示す。
【0018】
したがって、L.ラムノーサスSP1株に関連して実施例3に示される結果及びL.ラムノーサスCECT 30031に関して実施例2に示されるデータ(いずれも個別に用いた場合)から、L.ラムノーサスCECT 30031株がL.ラムノーサスSP1株よりも尋常性座瘡の治療に有意に効果的であることが明らかである。さらに、実施例1~実施例3に示される結果に基づき、L.ラムノーサスCECT 30031をS.パラカBEA_IDA_0074B株と組み合わせて用いた場合に抗座瘡効果が著しく増強されることも明らかである。
【0019】
したがって、本発明の第1の態様は、株L.ラムノーサスCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bの組合せを含むプロバイオティクス組成物に関する。
【0020】
本発明において、「プロバイオティクス組成物」という用語は、上記の態様のいずれかで使用される場合、摂取されると、個体の代謝と相互作用し、個体において有益な効果をもたらす、少なくとも1つの微生物を含む組成物として理解される。本発明において、プロバイオティクス組成物は、このように少なくとも微生物L.ラムノーサスCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bの組合せを含む。
【0021】
本発明の第2の態様は、治療及び/又は予防を必要とする被験体又は個体において、座瘡の治療及び/又は予防(特に座瘡を緩和、軽減、治療及び/又は予防する方法)、特に尋常性座瘡の治療及び/又は予防、より具体的には面皰の予防又は治療(例えば面皰の数の低減及び/又は面皰の悪化の予防)に使用される、本発明の第1の態様のプロバイオティクス組成物に関する。
【0022】
本発明の第3の態様は、緩和、軽減、治療及び/又は予防を必要とする被験体、好ましくはヒト被験体において座瘡、特に尋常性座瘡を緩和、軽減、治療及び/又は予防し、より具体的には面皰を緩和、軽減、治療及び/又は予防する方法に使用される、Banco Espanol de Algasにアクセッション番号BEA_IDA_0074Bで寄託されたアルスロスピラ・プラテンシス(S.パラカ)株を含むプロバイオティクス組成物に関する。
【0023】
本発明の第4の態様は、緩和、軽減、治療及び/又は予防を必要とする被験体、好ましくはヒト被験体において座瘡、特に尋常性座瘡を緩和、軽減、治療及び/又は予防し、より具体的には面皰を緩和、軽減、治療及び/又は予防する方法に使用される、ブダペスト条約に基づき、Spanish Type culture Collection(CECT)にアクセッション番号CECT 30031で寄託されたラクトバチルス・ラムノーサス株を含むプロバイオティクス組成物に関する。
【0024】
本発明の第2の態様、第3の態様及び第4の態様の好ましい実施形態においては、座瘡は、尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、電撃性座瘡、グラム陰性菌毛嚢炎及び顔面膿皮症からなる群より選択され、好ましくは、座瘡は、尋常性座瘡である。
【0025】
本発明の第2の態様、第3の態様及び第4の態様の別の好ましい実施形態においては、プロバイオティクス組成物は被験体に経口投与される。
【0026】
本発明の他の態様は、皮脂の過剰分泌を特徴とする疾患、特に面皰を形成する、毛包脂腺単位を塞ぐ疾患の治療及び/又は予防に使用するために提供される本明細書の組成物に関する。別の態様は、特に脂性肌又はニキビ肌の場合の皮膚の清浄化に使用するために提供される本明細書の組成物に関する。
【0027】
本発明において、「被験体」という用語は、「個体」という用語と同等であるため、どちらの用語も本明細書で区別なく使用され得る。「被験体」は、任意の個体に加えて、任意の種に属する任意の動物を意味する。被験体の例としては、商業的関心が集まる動物、例えば鳥類(雌鶏、ダチョウ、ヒヨコ、ガチョウ、ヤマウズラ等)、ウサギ、野ウサギ、愛玩動物(イヌ、ネコ等)、ヒツジ、ヤギ属の動物(goat cattle)(ヤギ等)、イノシシ属の動物(雄ブタ、ブタ等)、ウマ科の家畜(ウマ、ポニー等)、ウシ属の動物(雄ウシ、雌ウシ、去勢した雄ウシ等);狩猟の関心が集まる動物、例えば雄ジカ、シカ、トナカイ等;及びヒトが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、特定の実施形態においては、被験体は哺乳動物であり、特に哺乳動物は、任意の人種、性別又は年齢のヒトである。
【0028】
本発明において、「予防」という用語は、特に個体が病的状態の素因を有するが、未だ診断されていない場合に、個体において疾患又は病的状態の発生を回避することを意味する。本発明の好ましい実施形態においては、疾患又は病的状態は、「座瘡」である。
【0029】
本発明において、「治療する」又は「治療」という用語は、疾患若しくは病的状態を阻害すること、すなわち、その進行を止めること;疾患若しくは病的状態を緩和すること、すなわち、疾患若しくは病的状態の退行を引き起こすこと;疾患若しくは病的状態の症状若しくは兆候の少なくとも1つを緩和若しくは軽減すること;及び/又は個体における疾患若しくは病的状態を安定化させることを含む。本発明の好ましい実施形態においては、疾患又は病的状態は、「座瘡」である。
【0030】
本発明の文脈において、「座瘡」という用語は、毛穴と呼ばれることが多い皮脂腺毛包の疾患として理解されることが本明細書で留意される。各毛包の基部には、皮脂を産生する皮脂腺と呼ばれる腺がある。皮脂は、皮膚の潤い及び柔軟性を保つ油状物質であり、正常な状況下では毛包に沿って皮膚の表面へと移動する。欠陥(blemish)は、皮膚の表面に現れるおよそ2週間~3週間前に始まる。皮膚が再生する際、古い細胞が死に、剥がれ落ちる。細胞が不均一に脱落し、皮脂とともに凝集すると、栓を形成する。通常は表面に排出される皮脂が詰まり、細菌が増殖し始める。細菌の急速な増殖と皮脂の蓄積とにより、毛包が拡大し、非炎症性の面皰と呼ばれる軽度の座瘡が生じる。ホワイトヘッド及びブラックヘッドの両方が、「微小面皰」として始まり、その後、ホワイトヘッド又はブラックヘッドのいずれかの面皰と呼ばれる皮膚の欠陥となる。座瘡は、塞がった毛包内で閉じ込められた皮脂及び細菌(プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium Acnes))が増殖したものである。皮脂腺は顔、胸部、背部、頸部及び頭皮に最も多く、結果として、これらが座瘡の最も一般的な部位である。座瘡を引き起こす最も一般的な要因は、ホルモン、皮脂産生の増加、細菌(プロピオニバクテリウム・アクネス)、全身及び局所的な炎症、並びに毛包内部の変化である。座瘡は、丘疹、膿疱及び結節と呼ばれる赤色の炎症型の座瘡病変へと進行する可能性がある。
【0031】
本発明で使用される場合、座瘡という用語は、軽度から極度に外観を損なうものまで重症度に幅がある多くのタイプの座瘡が存在するため、任意の特定のタイプに限定されない。特に、「座瘡」という用語は、本発明で使用される場合、任意のタイプの座瘡、特に尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、電撃性座瘡、グラム陰性菌毛嚢炎及び顔面膿皮症からなる群より選択されるものを指す。特に、座瘡のタイプは尋常性座瘡である。
【0032】
尋常性座瘡は、幾つかのタイプの吹き出物を含む座瘡の最も一般的な形態である。これらの座瘡病変には、ブラックヘッド、ホワイトヘッド、丘疹、膿疱、結節及び嚢胞が含まれる。軽度ないし中等度の尋常性座瘡は、ホワイトヘッド、ブラックヘッド、丘疹及び膿疱を特徴とする。ホワイトヘッドは、毛穴が完全に塞がり、皮脂、細菌及び死んだ皮膚細胞が皮膚表面の下に閉じ込められ、表面が白く見えるようになることで形成される。ホワイトヘッドは、通常はブラックヘッドよりもライフサイクルが速い。ブラックヘッドは、毛穴が部分的にしか塞がらず、閉じ込められた皮脂、細菌及び死んだ皮膚細胞の一部がゆっくりと表面に排出されることで形成される。黒い色は、空気中の酸素と反応する皮膚自体の色素であるメラニンの反応によるものである。ブラックヘッドは、安定した構造となる傾向がある。ブラックヘッドは、内容物が非常にゆっくりと表面に排出されるため、除去するのに長い時間がかかることが多い。丘疹は、先端のない小さな赤く柔らかい隆起である。丘疹は、通常は典型的な「吹き出物」と見なされるものの発生の最も初期の段階である。丘疹は、座瘡の進行において非炎症段階と炎症段階との中間である。膿疱は、ホワイトヘッドと似ているが、炎症を起こしており、中央が白又は黄色の赤い輪として現れる。
【0033】
重症の尋常性座瘡は、結節及び嚢胞を特徴とする。結節性座瘡は、遥かに大きく、大きな痛みを伴う可能性があり、数ヶ月続くことがある座瘡スポットからなる。結節は、皮膚の表面下の大きく硬い瘤である。結節では瘢痕がよく見られる。座瘡嚢胞は、結節に外観が似ていることがあるが、膿が詰まっており、5mm以上の直径を有すると説明され得る。嚢胞は痛みを伴うことがあり、嚢胞性座瘡では瘢痕がよく見られる。
【0034】
酒さ性座瘡は、上述の尋常性座瘡に外見が似ていることがあり、これら2つのタイプの座瘡は、時として混同される。酒さは、何百万もの人々が罹患し、その殆どが30歳超である。酒さは、通常は頬、鼻、額及び顎に限局される赤い発疹として現れる。発赤は隆起、吹き出物及び皮膚の欠陥を伴うことが多い。血管が皮膚上で目立つようになることもある。ブラックヘッドは、酒さには含まれない。酒さは、女性により多く見られるが、男性に見られる場合により重症となることが多い。治療せずに放置すると、鼻の腫脹及び過剰な組織の増殖を引き起こし、鼻瘤と呼ばれる状態となることがある。
【0035】
集簇性座瘡は、尋常性座瘡の最も重症の形態であり、男性により多く見られる。集簇性座瘡は、互いにつながり、広範囲のブラックヘッドを伴うことがある多数の大きな病変を特徴とする。集簇性座瘡は、皮膚に重大で取り返しのつかない損傷を引き起こし、醜い瘢痕を生じる場合がある。集簇性座瘡は、顔、胸部、背部、臀部、上腕及び大腿に見られる。集簇性座瘡の発症年齢は、通常は18歳~30歳であり、病態が何年にもわたって活動性であり続けることがある。
【0036】
電撃性座瘡は、通常は若い男性が罹患する集簇性座瘡の突然の発症である。重症の結節嚢胞性、しばしば潰瘍性の座瘡の症状は明らかである。集簇性座瘡と同様、極度の醜い瘢痕がよく見られる。電撃性座瘡は、発熱及び関節痛も伴う点で独特である。
【0037】
グラム陰性菌毛嚢炎は、膿疱及び嚢胞を特徴とする細菌感染であり、尋常性座瘡の長期の抗生物質治療に起因する合併症として生じる可能性がある。グラム陰性菌毛嚢炎は、稀な病態であり、男性対女性の有病率は不明である。
【0038】
顔面膿皮症は、重症の顔面座瘡であり、通常は20歳~40歳の女性のみが罹患し、瘢痕を残す可能性がある、痛みを伴う大きな結節、膿疱及び潰瘍を特徴とする。顔面膿皮症は、突然発症し、それまで座瘡を有していなかった女性の皮膚に生じることもある。顔面膿皮症は、顔に限局され、通常は1年以上続くことはないが、非常に短期間で肌荒れを引き起こす場合がある。
【0039】
本発明が、L.ラムノーサスCECT 30031の配列番号1のL.ラムノーサス株の16s rRNA配列と少なくとも99%同一の16s rRNA配列を有し、該L.ラムノーサスCECT 30031の座瘡の進行を軽減及び/又は改善する能力を、それを必要とする個体において保持する、微生物L.ラムノーサスCECT 30031に由来する微生物又は細菌も企図することが留意される。
【0040】
本発明は、S.パラカBEA_IDA_0074Bの16s rRNA配列と少なくとも95%同一の16s rRNA配列を有し、S.パラカBEA_IDA_0074Bの座瘡の進行を軽減及び/又は改善する能力を、それを必要とする個体において保持する、微生物S.パラカBEA_IDA_0074B(アルスロスピラ・プラテンシスBEA_IDA_0074B)に由来する微生物又は細菌も企図する。
【0041】
かかる派生細菌は、座瘡の進行を軽減及び/又は改善する能力を、それを必要とする個体において保持する限り、本発明の上記のプロバイオティクス組成物のいずれかにおいて、微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はS.パラカBEA_IDA_0074Bのいずれかの一部であっても、又はそれを完全若しくは部分的に置き換えてもよい。
【0042】
本発明の文脈において、「座瘡の進行を軽減及び/又は改善する能力を、それを必要とする個体において保持する」とは、プラシーボで治療した被験体と比較して、少なくとも26%のGAGS(包括的座瘡評点スコア)指数の顕著な改善とともに、AGSS(座瘡包括的重症度尺度)指数の少なくとも2つのカテゴリーの改善が、プラシーボ群の被験体の33%と比較してプロバイオティクス群で58%であること、任意に、経口抗生物質での座瘡を患う被験体の治療、及び/又はサリチル酸、アゼライン酸及び/又はダプソンでの局所治療により得られた結果と比較して、炎症を起こした損傷部の数の少なくとも51%の改善と理解されるものとする。
【0043】
上述の本発明のプロバイオティクス組成物のいずれかに含まれる株に由来する株又は微生物の例は、それらが由来する本発明の株のゲノムと比較してゲノムに変異を示すが、個体において座瘡の進行を軽減及び/又は改善する株の能力に影響を及ぼさない、突然変異体及び遺伝子組み換え生物であり得る。L.ラムノーサスCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bに由来する株は、当該技術分野で既知の突然変異誘発法、例えば、限定されるものではないが、突然変異誘発物質若しくはストレス因子の存在下での親株の増殖、又は特定の遺伝子の改変、欠失及び/又は挿入のために行われる遺伝子操作によって自然又は意図的に作製され得る。したがって、上に示したように、本発明は、個体において座瘡の進行を軽減及び/又は改善する能力を保持し、したがって、座瘡の治療に使用される、L.ラムノーサスCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bに由来する遺伝子組み換え生物も企図する。特定の派生株は、親株の16s rRNA配列(配列番号1)と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一の16s rRNA配列を有し、座瘡の進行を軽減及び/又は改善する親株の能力を、それを必要とする個体において保持する。
【0044】
配列番号1:
AGAGTTTGATCCTGGCTCAGGATGAACGCTGGCGGCGTGCCTAATACATGCAAGTCGAACGAGTTCTGATTATTGAAAGGTGCTTGCATCTTGATTTAATTTTGAACGAGTGGCGGACGGGTGAGTAACACGTGGGTAACCTGCCCTTAAGTGGGGGATAACATTTGGAAACAGATGCTAATACCGCATAAATCCAAGAACCGCATGGTTCTTGGCTGAAAGATGGCGTAAGCTATCGCTTTTGGATGGACCCGCGGCGTATTAGCTAGTTGGTGAGGTAACGGCTCACCAAGGCAATGATACGTAGCCGAACTGAGAGGTTGATCGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAAACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCACAATGGACGCAAGTCTGATGGAGCAACGCCGCGTGAGTGAAGAAGGCTTTCGGGTCGTAAAACTCTGTTGTTGGAGAAGAATGGTCGGCAGAGTAACTGTTGTCGGCGTGACGGTATCCAACCAGAAAGCCACGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGTGGCAAGCGTTATCCGGATTTATTGGGCGTAAAGCGAGCGCAGGCGGTTTTTTAAGTCTGATGTGAAAGCCCTCGGCTTAACCGAGGAAGTGCATCGGAAACTGGAAAACTTGAGTGCAGAAGAGGACAGTGGAACTCCATGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATATGGAAGAACACCAGTGGCGAAGGCGGCTGTCTGGTCTGTAACTGACGCTGAGGCTCGAAAGCATGGGTAGCGAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCATGCCGTAAACGATGAATGCTAGGTGTTGGAGGGTTTCCGCCCTTCAGTGCCGCAGCTAACGCATTAAGCATTCCGCCTGGGGAGTACGACCGCAAGGTTGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTACCAGGTCTTGACATCTTTTGATCACCTGAGAGATCGGGTTTCCCCTTCGGGGGCAAAATGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTATGACTAGTTGCCAGCATTTAGTTGGGCACTCTAGTAAGACTGCCGGTGACAAACCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGATGGTACAACGAGTTGCGAGACCGCGAGGTCAAGCTAATCTCTTAAAGCCATTCTCAGTTCGGACTGTAGGCTGCAACTCGCCTACACGAAGTCGGAATCGCTAGTAATCGCGGATCAGCACGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGAGAGTTTGTAACACCCGAAGCCGGTGGCGTAACCCTTTTAGGGAGCGAGCCGTCTAAGGTGGGACAAATGATTAGGGTGAAGTCGTAACAAGGTAGCCGTAGGAGAACCTGCGGCTGGATCACCT
【0045】
さらに、本発明は、L.ラムノーサスCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074B株によって分泌される細胞成分、代謝産物及び分子、並びに上記成分を含む組成物、及び座瘡の治療及び/又は予防のためのその使用も企図する。細菌の細胞成分には、細胞壁の成分(限定されるものではないが、ペプチドグリカン等)、核酸、膜成分等、例えばタンパク質、脂質及び炭水化物、並びにそれらの組合せ(リポタンパク質、糖脂質又は糖タンパク質等)が含まれ得る。代謝産物には、増殖、技術プロセスへの使用又は製品(本発明の第1のプロバイオティクス組成物)の保管中の代謝活動の結果として細菌又は微細藻類によって産生又は改変される任意の分子が含まれる。これらの代謝産物の例としては、有機酸及び無機酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、酵素、脂質、炭水化物、リポタンパク質、糖脂質、糖タンパク質、ビタミン、塩、ミネラル又は核酸が挙げられるが、これらに限定されない。分泌される分子には、増殖、技術プロセス(例えば、食品加工又は薬物)への使用又は製品の保管中に細菌によって外部に分泌又は放出される任意の分子が含まれる。これらの分子の例としては、有機酸及び無機酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、酵素、脂質、炭水化物、リポタンパク質、糖脂質、糖タンパク質、ビタミン、塩、ミネラル又は核酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
当業者に理解されるように、本発明のプロバイオティクス組成物のいずれかは、医薬投与用に配合され、すなわち、被験体に投与(経口、局所等のいずれか、好ましくは経口)される医薬品の一部を形成し、及び/又は食品管理用に配合され、すなわち、被験体の食事で摂取される食品の一部を形成し、したがって経口投与され得る。したがって、特定の実施形態においては、本発明の組成物又はプロバイオティクス組成物のいずれかは、医薬組成物(以下、本発明の医薬組成物)及び/又は栄養組成物(以下、本発明の栄養組成物)であり得る。このような本発明の医薬組成物は、したがって、皮脂の過剰分泌を特徴とする疾患、特に面皰を形成する毛包脂腺単位を塞ぐ疾患の治療及び/又は予防に使用することができる。特に、このような本発明の医薬組成物は、座瘡、特に尋常性座瘡の予防又は治療、より具体的には面皰の予防又は治療に使用される。面皰は、座瘡を有する人の額及び顎に頻繁に見られる皮膚色の小さな隆起(丘疹)である。単一病変はコメド(comedo)である。開いた面皰はブラックヘッドであり、汚れではなく、表面の色素(メラニン)のために黒色である。閉じた面皰はホワイトヘッドであり、毛包が完全に塞がっている。
【0047】
本発明の医薬組成物は、したがって、微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はS.パラカBEA_IDA_0074B(又は上で定義したようにそれに由来する株)を任意の濃度で含み、座瘡の予防及び/又は治療において、特に面皰の治療又は予防のために、任意の生物学的、薬理学的及び/又は獣医学的に有用な活性を有する1つ以上の成分又は化合物を付加的に含み得る。かかる医薬組成物は、被験体への投与の際に、本発明のプロバイオティクス組成物のいずれかに含まれる株の活性を更に増大、増強及び/又は促進することができる1つ以上の成分を更に含み得る。当業者には理解されるように、付加的な成分又は化合物は、本発明のプロバイオティクス組成物のいずれかの株に適合する必要がある。本発明の文脈において、「医薬組成物」という用語は、動物用組成物も包含する。
【0048】
特定の実施形態においては、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を更に含む。
【0049】
「賦形剤」という用語は、本発明のプロバイオティクス組成物のいずれかの任意の成分若しくは化合物、すなわち、本発明の株の吸収を助けるか、又は成分若しくは化合物を安定化させ、及び/又は一貫性若しくは風味を与えてより快適にするという意味で医薬組成物の調製を補助する物質を指す。したがって、賦形剤は、例としては、限定されるものではないが、成分の結合(例えば、デンプン、糖又はセルロース)、甘味付け、着色、活性成分の保護(例えば、空気及び/又は湿気からの活性成分の隔離)、丸薬、カプセル若しくは任意の他の剤形(presentation)の充填の機能、又は成分の溶解を促進する崩壊機能を有し得るが、本段落に記載されない他の賦形剤を除外するものではない。したがって、「賦形剤」という用語は、ガレヌス形態に含まれ、活性成分又はその結合体に添加され、それらの調製及び安定性を可能にし、それらの官能特性を変更し、又は医薬組成物の物理化学的特性及びそのバイオアベイラビリティを決定する材料と定義される。「薬学的に許容可能な」賦形剤は、医薬組成物の成分又は化合物の活性を可能にし、すなわち、本発明の株に適合する必要がある。
【0050】
「ガレヌス形態」又は「医薬品形態」は、本発明の医薬組成物又は薬物を提供するために活性成分及び賦形剤を適合させる構成である。これは、医薬組成物が製造業者によって与えられる形態とそれが投与される形態との組合せによって定義される。
【0051】
「ビヒクル」又は「担体」は、特に不活性の物質である。担体の機能は、他の成分若しくは化合物の組込みを容易にし、より良好な投薬及び投与を可能にし、及び/又は医薬組成物に一貫性及び形態を与えることである。したがって、担体は、本発明の医薬組成物の成分若しくは化合物のいずれかを所与の体積若しくは重量まで希釈するために薬物に使用される物質、又はこれらの成分若しくは化合物を希釈しなくとも、より良好な投薬及び投与を可能にし、及び/又は薬物に一貫性及び形態を与えることができるものである。剤形が液体である場合、薬学的に許容可能な担体は希釈剤である。担体は、天然又は非天然であり得る。薬学的に許容可能な担体の例としては、水、食塩水、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、デンプン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、脂肪酸エステルペトロエトラール(petroetrals)、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
さらに、賦形剤及び担体は、薬理学的に許容可能でなくてはならず、すなわち、賦形剤及び担体は、それが投与される被験体に損傷を与えないように許容及び評価される。
【0053】
いずれの場合にも、医薬組成物の剤形を、用いられる投与のタイプに適合させる。したがって、組成物は、溶液の形態又は臨床的に許容され得る任意の他の投与形態かつ治療有効量で与えられ得る。医薬組成物は、したがって固体、半固体又は液体の製剤、例えば錠剤、カプセル、粉末(例えば凍結乾燥(フリーズドライ)又は自然乾燥によって得られるもの)、顆粒、溶液、坐剤、ゲル又はマイクロスフェアに配合することができる。特定の実施形態においては、医薬組成物は、液体形態又は固体形態での投与用に配合される。一実施形態においては、組成物はゼラチンカプセルの形態である。
【0054】
別の特定の実施形態においては、固体配合物は、錠剤、ロゼンジ、菓子、チュアブル錠、チューインガム、カプセル、サシェ、粉末、顆粒、コーティング粒子又はコーティング錠、錠剤、丸薬、トローチ、胃耐性の(gastro-resistant)錠剤及びカプセル、並びに分散性のストリップ及びフィルムからなる群より選択される。
【0055】
別の特定の実施形態においては、液体配合物は経口溶液、懸濁液、エマルション及びシロップからなる群より選択される。
【0056】
同様に、例えばリポソーム、マイクロバブル、マイクロ粒子又はマイクロカプセル等へのカプセル化を含む、本発明のプロバイオティクス、医薬又は栄養組成物のいずれかの徐放性投与に使用することができる様々な系が知られている。好適な徐放性形態、並びにその調製のための材料及び方法は、現行の技術水準でよく知られている。したがって、本発明のプロバイオティクス組成物のいずれかの経口投与可能な形態は、少なくとも1つのコーティング又はマトリックスを更に含む徐放性形態である。徐放性コーティング又はマトリックスとしては、限定されるものではないが、天然、半合成若しくは合成ポリマー、非水溶性若しくは変性ワックス、脂肪、脂肪アルコール、脂肪酸、天然、半合成若しくは合成可塑剤、又はそれらの2つ以上の組合せが挙げられる。腸溶コーティングは、当業者に既知の従来のプロセスを用いて施すことができる。
【0057】
上に記載したことに加えて、本発明は、本発明のプロバイオティクス組成物、プロバイオティクス医薬組成物又は栄養組成物(本明細書全体を通して記載される任意の態様又は実施形態に反映される)のいずれかを他の成分又は化合物とともに被験体に投与し得るが、これらが本発明のプロバイオティクス組成物、プロバイオティクス医薬組成物又は栄養組成物の一部ではない可能性も包含する。この意味で、本発明の組成物が栄養組成物として配合される場合、上記栄養組成物は食品であってもよく、又はヒト及び動物の両方の摂取を意図した食品若しくは食品製品に組み込まれていてもよい。したがって、特定の実施形態においては、栄養組成物は、食品(特定の栄養目的の食品又は薬用の食品であり得る)及び栄養サプリメントから選択される。
【0058】
本発明において、「栄養組成物」という用語は、それを摂取する被験体に栄養素を与えるかに関わらず、身体の1つ以上の機能に有益に影響することで、より良好な健康及びウェルネスをもたらす食品を指す。本発明において、上記栄養組成物は、座瘡を緩和、軽減、治療及び/又は予防することを意図している。
【0059】
「食事サプリメント(dietary supplement)」、「栄養サプリメント(nutritional supplement)」、「食品サプリメント(food supplement)」又は「栄養補給サプリメント(alimentary supplement)」又は「栄養補完物(alimentary complement)」という用語のいずれかと同義の「サプリメント」という用語は、栄養的又は生理的効果を有する濃縮栄養素又は他の物質の供給源からなる、通常の食事を補うことを目的とした製品又は調製物を指す。本発明において、栄養補完物が摂取された場合に個体に対して栄養的又は生理的効果を有する「物質」は、本発明のいずれかの組成物の一部である微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はスピルリナ・パラカBEA_IDA_0074Bである。食品サプリメントは、単一の又は組み合わせた形態とすることができ、投薬形態、すなわちカプセル、丸薬、錠剤及び他の同様の形態、粉末のサシェ、液体のアンプル及び滴下投薬ボトル、並びに一回量で服用されるように設計された液体及び粉末の他の同様の形態で販売することができる。
【0060】
特にビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸、繊維、酵素、植物及び植物抽出物を含む広範な栄養素及び他の要素が栄養補完物中に存在していてもよい。それらの役割は、食事における栄養素の供給を補完することであるため、バランスの取れた食事の代用として使用すべきではなく、摂取量は、医師又は栄養士が明示的に推奨する一日量を超えるべきではない。プロバイオティクス組成物は、いわゆる「特別な群の食品」、すなわち、特定の栄養ニーズを満たす食品の一部でもあり得る。
【0061】
本発明の組成物又はプロバイオティクス組成物(微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はスピルリナ・パラカBEA_IDA_0074B(又はそれに由来する株))を含み得る食品の例としては、飼料、乳製品、野菜製品、肉製品、スナック、チョコレート、飲料、離乳食、シリアル、揚げ物、産業用ベーカリー製品及びビスケットが挙げられるが、これらに限定されない。乳製品の例としては、発酵乳に由来する製品(例えば、限定されるものではないが、ヨーグルト又はチーズ)又は非発酵乳に由来する製品(例えば、限定されるものではないが、アイスクリーム、バター、マーガリン又はホエー)が挙げられるが、これらに限定されない。野菜製品は、例えば、限定されるものではないが、発酵(例えば、大豆ヨーグルト、オート麦ヨーグルト等)又は非発酵の任意の形態で提供されるシリアル、及びスナックである。飲料は、非発酵乳であり得るが、これに限定されない。特定の実施形態においては、食品製品又は食品は、果物又は野菜ジュース、アイスクリーム、乳児用調製粉乳、牛乳、ヨーグルト、チーズ、発酵乳、粉乳、凍結乾燥又は自然乾燥製品(液体ビヒクルでの再構成に適している)、シリアル、焼き菓子、牛乳ベースの製品、肉製品及び飲料からなる群より選択される。
【0062】
当業者によって理解されるように、本発明の組成物又はプロバイオティクス組成物のいずれかは、被験体に、例えば局所的に投与されるパーソナルケア製品又は化粧品の一部を形成するものとして配合され得る。したがって、特定の実施形態においては、本発明の組成物又はプロバイオティクス組成物のいずれかは、パーソナルケア製品又は化粧品であり得る。
【0063】
パーソナルケア製品の非限定的な例としては、固形石鹸、液体石鹸(例えばハンドソープ)、ハンドサニタイザー(リンスオフ型及びリーブオン型のアルコールベース及び水性の手指消毒剤を含む)、綿棒及びパッド、シェービングクリーム、タルカムパウダー、トイレットペーパー、術前皮膚消毒剤、ウェットペーパー、クレンジングシート、除菌シート、ボディーソープ、座瘡治療製品、抗真菌性おむつかぶれ用クリーム、抗真菌性スキンクリーム、シャンプー、コンディショナー、化粧品デオドラント、抗菌性クリーム、ボディローション、ハンドクリーム、局所クリーム、アフターシェーブローション、化粧水、口腔衛生製品、並びに日焼け止めローションが挙げられる。本発明の組成物は、創部ケア用品、例えば、限定されるものではないが、創傷治癒軟膏、クリーム及びローション、創傷被覆材、熱傷クリーム、包帯、テープ及びステリストリップ、並びに医療用ガウン、キャップ、マスク及び靴カバー等の医療用品、サージカルドロップ(surgical drops)等にも適用することができる。特定の一実施形態において、パーソナルケア製品は、局所クリーム又はゲルである。
【0064】
さらに、本発明の組成物、プロバイオティクス組成物、医薬又は栄養組成物のいずれか(本明細書全体を通して記載される任意の態様又は実施形態に反映される)は、L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はスピルリナ・パラカBEA_IDA_0074Bに加えて他の微生物を含み得る。したがって、特定の実施形態においては、本発明の組成物、プロバイオティクス、医薬又は栄養組成物のいずれか(本明細書全体を通して記載される任意の態様又は実施形態に反映される)は、特に以下の群:ラクトバチルス属種、ストレプトコッカス属種、ビフィドバクテリウム属種、サッカロミセス属種及びそれらの組合せから選択される1つ以上の微生物を更に含み得る。
【0065】
別の特定の実施形態においては、本発明の組成物のいずれかは、食事によって被験体に投与される。
【0066】
別の特定の実施形態においては、本発明の組成物のいずれかは、経口投与によって被験体に投与される。
【0067】
当業者に理解されるように、微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はスピルリナ・パラカBEA_IDA_0074B(又はそれに由来する任意の微生物)は、座瘡、特に尋常性座瘡の緩和、軽減、治療及び/又は予防、より具体的には面皰の緩和、軽減、治療及び/又は予防において効果を発揮することができるように、本発明のプロバイオティクス、医薬又は栄養組成物(本明細書全体を通して記載される任意の態様又は実施形態に反映される)中に有効量、特に治療有効量で存在する必要がある。本発明において、「有効量」又は「治療有効量」は、被験体に投与した場合に、所望の効果をもたらすのに十分な本発明のプロバイオティクス、医薬又は栄養組成物の成分又は化合物の量である。本発明のプロバイオティクス、医薬又は栄養組成物(本明細書全体を通して記載される任意の態様又は実施形態に反映される)の上記成分又は化合物は、微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はスピルリナ・パラカBEA_IDA_0074Bを指す。治療有効量は、数ある要因の中でも、例えば被験体の年齢、体重、健康全般、性別及び食生活に応じて、並びに投与の様式及び時間、排出率又は薬物の組合せによって異なる。
【0068】
別の特定の実施形態においては、本発明の組成物のいずれかにおける微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はスピルリナ・パラカBEA_IDA_0074B(又はそれに由来する任意の微生物)の総濃度は、103cfu~1012cfu、特におよそ109cfuである。別の特定の実施形態においては、組成物中の微生物L.ラムノーサスCECT 30031及び/又はスピルリナ・パラカBEA_IDA_0074B(又はそれに由来する任意の微生物)の投与用量は、106cfu/日~1012cfu/日、特に109cfu/日であり、別の更に特定の実施形態においては、投与計画は、少なくとも1日1回、特に1日2回、より具体的には1日3回、それぞれの食事摂取(朝食、昼食及び夕食)で1回である。
【0069】
本発明のプロバイオティクス医薬又は栄養組成物(本明細書全体を通して記載される任意の態様又は実施形態に反映される)のいずれかの別の特定の実施形態においては、L.ラムノーサスCECT 30031の濃度は、組成物中に存在する微生物の総濃度に対して少なくとも30パーセント(30%)、特に本発明の組成物のいずれかに存在する微生物の総濃度に対して少なくとも31%、32%、33%、34%又は35%である。別のさらに特定の実施形態においては、L.ラムノーサスCECT 30031の濃度は、本発明の組成物のいずれかに存在する微生物の総量に対して少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%、好ましくは少なくとも60%、65%、70%、75%又は80%、最も好ましくは少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%である。
【0070】
本発明の別の実施形態においては、プロバイオティクス医薬又は栄養組成物のいずれかは、103コロニー形成単位(cfu)~1012コロニー形成単位(cfu)、より好ましくは少なくとも約106cfu、最も好ましくは少なくとも約109cfuのL.ラムノーサスCECT 30031を含む。
【0071】
本発明の好ましい実施形態においては、L.ラムノーサスCECT 30031の濃度は、本発明の組成物中に存在する微生物の総量に対して90%~95%である。好ましくは、L.ラムノーサスCECT 30031のこの濃度は、上記組成物中の103コロニー形成単位(cfu)~1012コロニー形成単位(cfu)、より好ましくは少なくとも約106cfu、最も好ましくは約109cfuのL.ラムノーサスCECT 30031の量をもたらす。
【0072】
本発明の一実施形態においては、S.パラカBEA_IDA_0074Bの量は、本発明の組成物中に存在する微生物の総乾燥重量の少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%である。
【0073】
更なる実施形態においては、本発明の組成物は、2mg~20mg、好ましくは3mg~15mg、最も好ましくは5mg~12mg(乾燥重量)のS.パラカBEA_IDA_0074Bを含む。
【0074】
更なる実施形態においては、本発明の組成物のいずれかは、少なくとも0.5mgのフィコシアニンを含み、該フィコシアニンは、好ましくは該組成物に含まれるS.パラカBEA_IDA_0074Bに由来する。
【0075】
本発明の文脈において、S.パラカBEA_IDA_0074Bの総乾燥重量の約10%が、株自体によって産生されるフィコシアニンで構成されることを理解されたい。したがって、本発明の組成物のいずれかは、好ましくは少なくとも5mg(乾燥重量)のS.パラカBEA_IDA_0074Bを含有し、該組成物中の少なくとも0.5mg(乾燥重量)のフィコシアニンの量をもたらす。
【0076】
本発明のプロバイオティクス医薬又は栄養組成物のいずれかの好ましい実施形態においては、組成物は1日投与単位で提供され、各1日投与単位は、S.パラカBEA_IDA_0074Bに由来する少なくとも0.5mg(乾燥重量)のフィコシアニンと、少なくとも約106cfu、好ましくは約109cfuのL.ラムノーサスCECT 30031とを含む。
【0077】
本発明の更なる実施形態においては、本発明のプロバイオティクス医薬又は栄養組成物は、少なくとも1つの増量剤及び/又は少なくとも1つの固化防止剤及び/又は少なくとも1つのコーティング剤及び任意に少なくとも1つの乳白剤を更に含む。
【0078】
好ましくは、本発明の上記少なくとも1つの増量剤はマルトデキストリンであり、及び/又は本発明の上記少なくとも1つのコーティング剤はゼラチンであり、及び/又は上記少なくとも1つの乳白剤は二酸化チタンである。
【0079】
本発明の少なくとも1つの固化防止剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカ、ケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、タルク、小麦粉、デンプン、又はそれらの組合せからなる群より選択され得る。
【0080】
好ましい実施形態においては、増量剤はマルトデキストリンであり、固化防止剤はステアリン酸マグネシウムであり、コーティング剤はゼラチンであり、乳白剤は二酸化チタンである。
【0081】
具体的には、本発明のプロバイオティクス組成物、プロバイオティクス医薬組成物又は栄養組成物(本明細書全体を通して記載される任意の態様又は実施形態に反映される)のいずれかは、被験体又は個体において座瘡、特に尋常性座瘡を治療又は予防する方法、より具体的には面皰を緩和、軽減、治療及び/又は予防する方法に使用され、方法は、上記被験体又は個体に、有効量の組成物を特に経口で投与し、それにより上記座瘡又は面皰を治療又は予防することを含む。先に既に示したように、本発明の組成物に使用される経口に適した液体製剤が、例えば水性若しくは油性の懸濁液、溶液、エマルション、シロップ若しくはエリキシルの形態であってもよく、又は使用前に水若しくは他の好適な液体ビヒクルで構成される凍結乾燥(フリーズドライ)又は自然乾燥製品等の乾燥製品として与えてもよいことが留意される。かかる液体製剤は、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含み得る)又は保存料等の従来の添加剤を含有し得る。更なる一実施形態においては、被験体において座瘡を治療する本発明の方法は、上記被験体に有効量の付加的な作用物質、例えばイソトレチノイン、サリチル酸、ウィッチヘーゼル若しくは過酸化ベンゾイル、局所若しくは経口レチノイド、スピロノラクトン、経口避妊薬、アゼライン酸、グリコール酸、局所若しくは経口抗生物質、サルファ系抗生物質、spf/日焼け止め、保湿剤、又は他の実施形態においてはそれらの組合せを順次に、続けて又は同時に投与する工程を更に含み得る。当業者には、本発明の範囲を超えることなく、任意の治療組成物の成分を被験体が示す症状、その重症度、及びかかる治療の成分間の相乗的又は拮抗的な相互作用の可能性に基づいて調整及び最適化し得ることが容易に認識される。
【0082】
更なる一実施形態においては、本発明の方法及び組成物は、座瘡の補助治療又はアジュバント治療として用いられ、本明細書で定義される本発明の組成物のいずれかの有効量が、単独で又はイソトレチノイン、サリチル酸、ウィッチヘーゼル若しくは過酸化ベンゾイル、局所若しくは経口レチノイド、スピロノラクトン、経口避妊薬、アゼライン酸、グリコール酸、局所若しくは経口抗生物質、サルファ系抗生物質、spf/日焼け止め、若しくは保湿剤等の別の化合物(単数又は複数)、特に、限定されるものではないが、局所若しくは経口抗生物質、サルファ系抗生物質等の抗生物質、又は経口避妊薬若しくは抗アンドロゲン等の座瘡治療用のホルモン剤と組み合わせて(同時に、順次に又は続けて)のいずれかで、通例、経口投与される。投与は、一実施形態においては、単一の単位投薬形態にて連続療法で行うことができ、又は別の実施形態においては、単回投与療法で適宜行うことができる。投与の他の実施形態は、座瘡病態の治療に効果的である。他の実施形態においては、本発明の組成物のいずれかは、症状の緩和が特に必要とされる場合、又は一実施形態においては、差し迫った場合に使用される。最後に、本発明の組成物のいずれかは、別の実施形態においては、連続又は予防的治療として更に使用され得る。
【0083】
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む」という単語及びその変形は、他の技術的特徴、添加剤、成分又は工程を除外することを意図したものではない。当業者にとって、本発明の他の目的、利点及び特徴は、一部は記載から、一部は本発明の実施から明らかとなる。以下の実施例及び図面は、説明として提示され、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0084】
実施例1. プロバイオティクスブレンド研究
研究製品:プロバイオティクスブレンド及びプラシーボ
この第1の実施例に使用したプロバイオティクスブレンドは、1g当たり少なくとも1×109cfu(コロニー形成単位)を含む2つの株の混合物を含有するBths-03と名付けたマルトデキストリンベースの配合である。
【0085】
以下の表には、このパイロット試験中に使用した治療の組成物及び機能に関する詳細が含まれる(表2):
【0086】
【0087】
上記組成物は、それぞれ21.7mm±0.5%の寸法を有する、それぞれ570mgの白色ゼラチンカプセル(特に、1製品につき30カプセル)の形態であった。
【0088】
プラシーボは、1カプセル当たり30mgのタピオカマルトデキストリンを含有する実験薬と同じ様式で作製した。
【0089】
研究対象のブレンド製品を作製する方法
プロバイオティクスL.ラムノーサスの凍結乾燥物(lyophile)及びスピルリナの凍結乾燥物をカプセル化の前に混合した。混合は、プロバイオティクス株の生存能力を維持するために低温にてクリーンルーム内で行った。混合後にカプセルをカプセル化した。
【0090】
用量及び製品の摂取方法に関する情報
1日1カプセルを12週間。
【0091】
カプセルは、容易に飲み込むのに適したサイズであった。
【0092】
カプセルは容易に開けることができ、その内容物をコップ1杯の水に分散させるのに適していた。
【0093】
研究対象の適応症
青年及び成人における座瘡症状の改善。
【0094】
研究デザイン
選択されたプロバイオティクスを含む製品をアクティブアームに使用した12週間の無作為化二重盲検プラシーボ対照研究。
【0095】
集団群
中等度の座瘡を有する12歳~30歳の青年及び成人の男女を、1:1の比率で2つの研究群:実験(プロバイオティクス)及びプラシーボに無作為に割り当てた。
【0096】
研究の目的
主要目的
プロバイオティクス混合物Bths-03の摂取が有益な効果を有し、青年及び成人において座瘡の症状を減少させるかを決定すること。
【0097】
副次的目的
患者の治療の順守及びその経験を評価すること。研究治療の安全性を決定すること。
【0098】
研究計画及び方法
研究のデザイン
12週間の試験治療における中等度の座瘡を患う12歳~30歳の患者での経口投与されたプロバイオティクスBths-03の有効性についての二重盲検プラシーボ対照パイロット試験。
【0099】
患者選択基準
本研究には、中等度の座瘡を有する12歳~30歳の青年及び成人の男女が参加し、健常な患者は含まれなかった。研究に参加する被験体は、以下に詳述する組入れ基準の全てを満たし、除外基準を満たさない必要があった。
【0100】
組入れ基準
1. 臨床試験に関する法律に従う患者(及び未成年の場合にはその法定後見人)によるインフォームドコンセントの署名。
2. 12歳~30歳の年齢。
3. AGSS尺度(座瘡包括的重症度尺度)及び/又はGAGS(包括的座瘡評点方式)による中等度の座瘡。
【0101】
除外基準
1. 研究対象の製品の成分のいずれかの禁忌。
2. 過去2週間の抗真菌薬及び抗生物質の局所又は全身的使用。
3. 過去2ヶ月のプロバイオティクスの摂取。
4. 過去6ヶ月の全身性レチノイドの使用。
【0102】
研究における変数
主変数
治療開始時、6週間及び12週間の時点でのGAGS指数スコア(包括的座瘡評点方式)。
【0103】
副次変数
AGSS尺度(座瘡包括的重症度尺度)
デジタル写真の撮影により評価された座瘡病変の数
患者の見解及び主観的評価
患者の治療の順守の研究
治療により生じる可能性がある有害作用の観察
【0104】
構造及び研究結果
各患者の研究における全介入期間は12週間であり、その間に研究製品Bths-03又はプラシーボのいずれかを患者に投与した。研究は、患者が診察を受ける3回の来院:初回来院(0週間)、中間来院(6週間)及び最終来院(12週間)で構成された。以下の図表は、それぞれの研究来院の内容を示す(表3):
【0105】
【0106】
有害作用の収集及び解釈
患者により提供された情報に従い、有害事象を2回目及び3回目の研究来院において収集した。
【0107】
同様に、重篤有害事象(AAG)の場合に従うべき手順があったが、この事象は研究の進行中に起こらなかった。本研究によると、AAGは、用量を問わず、以下を生じるものと見なされた:
死亡、
即座に被験体の生命を脅かすこと、
入院又はその延長をもたらすこと、
持続的又は重大な障害又は不能(生活機能を正しく果たすことができないこと)を生じること、
出生異常又は先天性奇形を引き起こすこと、
女性の場合、妊娠もAAGと見なされる、及び、
上記の基準を満たさなくとも、重要で臨床的に関連すると考えられる有害事象が疑われるもの。
【0108】
統計分析
研究に参加した患者の数
25人の患者のサンプルサイズが研究に参加すると見込まれた。2つの治療群を比較する場合、サンプル算出のために考慮した主要因は以下の通りであった:
1. 検出し得るような2つの群間で測定される変数の差の大きさ。
2. 分析する関心要因に存在する変動性の大きさ。
3. 統計的有意性の基準として用いられることが予想される「p」値(αリスク)。
4. 統計的有意差が存在すると仮定して、それを検出する安全性(βリスク)。
【0109】
無作為化方法
臨床研究は、二重盲検及び無作為化であり、すなわち、研究者及び患者の両方が、各参加患者が服用する製品(プラシーボ又は治療)を知らなかった。
【0110】
この無作為化を維持し、参加患者の評価にバイアスを生じさせないために、各患者の治療への割当ては、無作為化表を用いて行い、各製品に無作為なコードを割り当てることでその識別を回避した。これらの表は、研究外の責任者が担当し、研究者は新たな患者を含めるたびに連絡を取った。
【0111】
結果の評価及び分析
人口統計学データ及び他の基本特性
本研究では、被験体のデータをデータ収集ノート(CRD)に収集し、それらのデータを統計プログラムSPSS v22で作成したデータベースに入力した。
【0112】
臨床データの管理は、データの完全性を確保するように進行するデータ清浄化の規則及び手順、例えば誤差及び同じものの不一致の消去に従って行った。有害事象及び併用薬の用語は、国際医薬用語集(MedDRA)に従ってコード化した。
【0113】
各治療群に関連する変数の平均値の間に統計的有意差があるかを試験するために、スチューデントt検定を用いた。正規性の条件に明らかに違反する場合には、ノンパラメトリックマンホイットニーU検定を用いた。
【0114】
安全性分析
有害事象は、各介入群におけるそれらの数、重症度及び研究対象の製品との関係によって分析した。
【0115】
欠測、非存在又は非定型データ
研究デザインにおいて10%の追跡不能率が見積もられた。研究(プロトコル)の予定された来院を完了した全ての患者が最終データ分析に含められ(評価可能な被験体)、他の全ての患者は、研究からの離脱後に新たな患者に置き換えずに分析から除外した。
【0116】
結果
研究される集団の特性
組入れ基準を満たし、除外基準を満たさない合計25人の患者を研究中に評価した。下記の表(表4)に、研究に含まれるこの集団全体の一般的特性を示す。
【0117】
【0118】
研究の進行中に合計32人の患者を評価したが、そのうち最終的に7人がプロトコルで定義した組入れ基準及び除外基準を満たさず、及び/又は研究への参加を拒否したため含められなかったことが留意される。総患者数から、残り25人の参加患者を組入れ時に無作為化し、治療群(プロバイオティクス又はプラシーボ)の一方に割り当てた。この過程で、12人の患者がプロバイオティクス群、13人がプラシーボ群に入れられたため、患者は均一に分けられた。研究中に、合計1人の患者(プラシーボ)が自主的に離脱を決め、及び/又は介入中に連絡が途絶えた。本研究に用いたコンソート図を
図1に示す。
【0119】
ベースラインにおけるこれらの変数のデータを分析する際に、2つの群間の特性に有意差が見られなかったため、適当な無作為化が達成された。これらのデータを以下の表5に示す:
【0120】
【0121】
有効性分析
主変数. GAGS(包括的座瘡評点方式)指数
主変数のデータを
図2に示す。GAGS指数(主要転帰)の平均減少が相対的にプロバイオティクス群で61%、プラシーボ群で24%であったことが留意される。示される値と比較した研究終了時の差は、プロバイオティクス群で61.8%、プラシーボ群で35.4%であった。
【0122】
副次変数
AGSS(座瘡包括的重症度尺度)指数
この副次変数のデータを
図3に示す。「2つ以上のカテゴリーが改善した患者のパーセンテージ」という変数における研究終了時の差は、プロバイオティクス群で58%、プラシーボ群で33%であった。群内差は、プロバイオティクス群で統計的に有意であったが、プラシーボ群では有意ではなかった。
【0123】
炎症を起こした座瘡病変の数
この変数は、高解像度デジタル写真によって評価した。この変数については、介入から6週間後に確立された研究の中間分析において、プラシーボ群の19.37%の改善と比較して、プロバイオティクス群で47.58%の改善が見られた。研究終了時のこの変数に関するデータを
図4に示す。研究終了時の差は、プロバイオティクス群で76.5%、プラシーボ群で23.38%であった。群間の差は、臨床的かつ統計的に有意であった(p<0.05)。
【0124】
患者の見解及び主観的評価
この変数において、介入から6週間後に確立された研究の中間分析において、プラシーボ群の3.33%の改善と比較して、プロバイオティクス群で11.67%の改善が見られた。
【0125】
研究終了時の差は、プロバイオティクス群で29.58%、プラシーボ群で4.75%であった。研究終了時のこの変数のデータを
図5に示す。
【0126】
安全性分析及び副作用
事象の数、重症度及び製品との関係性。有害事象の数は非常に少なく、その全てが介入製品に起因するものではなかった。製品の最終調製は忍容性良好であり、介入から6週間後に確立された研究の中間分析において、治療順守はプロバイオティクス群で82.5%、プラシーボ群で86.67%であった。研究終了時のこの変数のデータは、プロバイオティクス群で86.25%、プラシーボ群で86.67%であった。
【0127】
実施例2. 3分岐研究
株L.ラムノーサスCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bの各々を別個に尋常性座瘡の治療について評価した。かかる目的で、L.ラムノーサスCECT 30031、S.パラカBEA_IDA_0074B、又はCECT 30031及びS.パラカBEA_IDA_0074Bを用いる3分岐研究の各1つに5人の患者を用いた小規模パイロット研究を行った。特に、尋常性座瘡を有する合計15人のボランティアを選択し、以下の3つの介入治療のそれぞれ1つに1:1:1の比率で無作為化した:
1. L.ラムノーサスCECT 30031、10E9cfu/投与の総用量で100mgのプロバイオティクス株を含有する1日1カプセル。
2. S.パラカBEA_IDA_0074B、10E9cfu/投与の総用量で合計100mgのプロバイオティクス株を含有する1日1カプセル。
3. 個別に使用したのと同じ用量での2つのプロバイオティクス株の組合せ。
【0128】
介入は12週間続き、かかる介入中に患者を治療開始時、並びに介入終了から1ヶ月後、2ヶ月後及び最終的には3ヶ月後に評価した。各来院時に、活動性指数を用いて治療に対する応答を評価した。
【0129】
3分岐研究の結果を以下にまとめる:
これらの結果には、それぞれの変数について、介入研究の終了時に得られた値と治療開始前の初めに得られた値との間の差が含まれる。3つの介入群のそれぞれについての結果をここに記載する:
【0130】
株1. L.ラムノーサスCECT 30031(個別に使用した場合)
IL-10:研究中にベースライン値から23%増加。
血中のリポ多糖:14%減少。
血中のDNA:2%減少。
GAGS:24%の改善。
AGSS:5例のうち1例で改善。
炎症スポット:23%の症例で減少。
【0131】
株2. スピルリナ・パラカ(個別に使用した場合)
IL-10:研究中にベースライン値から11%増加。
血中のリポ多糖:6%減少。
血中のDNA:3%減少。
GAGS:13%の改善。
AGSS:改善なし。
炎症性病変:11%で減少。
【0132】
L.ラムノーサスCECT 30031及びスピルリナ・パラカを用いたブレンド(併用した場合)
IL-10:研究中にベースライン値から36%増加。
血中のリポ多糖:42%減少。
血中のDNA:68%減少。
GAGS:56%の改善。
AGSS:5例のうち3例で改善。
炎症性病変:57%で減少。
【0133】
結論として、本研究から、両方の株を併用した場合に、別個の株のそれぞれの効果と比較して効果がどのように増強され、したがって顕著に改善されるかが説明される。
【0134】
実施例3. 比較分析
本実施例では、S.パラカBEA_IDA_0074B株を含むプロバイオティクス組成物を、特に、"Fabbrocini G, Bertona M, Picazo O, Pareja-Galeano H, Monfrecola G, Emanuele E. Supplementation with Lactobacillus rhamnosus SP1 normalises skin expression of genes implicated in insulin signaling and improves adult acne. Benef Microbes. 2016; 7 (5): 625-630. doi: 10.3920 / BM2016.0089"に開示されている既知の株(株1. L.ラムノーサスSP1)を含有するプロバイオティクス組成物と比較した。かかる既知の株は、従来技術において尋常性座瘡の治療に効果的であると考えられていた(上記表1を参照されたい)。本研究についてのデザイン、介入製品及び結果を以下にまとめる。
【0135】
研究における変数
治療開始時及び12週間の時点でのGAGS指数スコア(包括的座瘡評点方式)。
治療開始時及び12週間の時点でのAGSS尺度(座瘡包括的重症度尺度)。
デジタル写真の撮影により評価された、治療開始時及び12週間の時点での炎症を起こした座瘡病変の数。
【0136】
構造及び研究結果
各患者の研究における全介入期間は12週間であり、その間にいずれかの研究製品を患者に投与した:5人の患者の1つの群にL.ラムノーサスsp1を与え、第2の群の別の5人の患者にS.パラカBEA_IDA_0074Bを与え、最後に、5人の患者の第3の群にはL.ラムノーサスsp1及びS.パラカBEA_IDA_0074Bの混合物を与えた。研究は、患者が診察を受ける2回の来院:初回来院(0週間)及び最終来院(12週間)で構成された。
【0137】
結果
主変数
GAGS(包括的座瘡評点方式)指数
GAGS指数値の平均減少(治療開始前の値と比較した研究の終了時の差)が相対的にL.ラムノーサスSP1を与えた群で15%であったことが留意される。この減少は、S.パラカBEA_IDA_0074B群の患者で12%、L.ラムノーサスSP1及びS.パラカBEA_IDA_0074Bの混合組成物を与えた5人の患者の群で12%であった。
【0138】
副次変数
AGSS(座瘡包括的重症度尺度)指数
治療中に改善した患者の数(開始時の結果と研究の終了時の結果とを比較)は、L.ラムノーサスSP1群では5人中1人(20%)、S.パラカBEA_IDA_0074B群では5人中0人(0%)、最後に、L.ラムノーサス及びS.パラカBEA_IDA_0074B群の混合物では5人中1人(20%)であった。
【0139】
炎症を起こした座瘡病変の数
この変数は、高解像度デジタル写真によって評価した。この変数については、L.ラムノーサスsp1の群で17%の炎症を起こした病変の数の減少が見られた(研究の終了時の病変数と研究開始時の値とを比較)。減少は、S.パラカBEA_IDA_0074B群で9%、L.ラムノーサス及びS.パラカBEA_IDA_0047Bの混合物を与えた患者の群で12%であった。
【配列表】
【国際調査報告】