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特表2023-541273サドル型車両のためのバランシングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】サドル型車両のためのバランシングシステム
(51)【国際特許分類】
   B62H 7/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B62H7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516614
(86)(22)【出願日】2021-09-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 IN2021050896
(87)【国際公開番号】W WO2022054098
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】202041039817
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196110
【氏名又は名称】ティーヴィーエス モーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TVS MOTOR COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナンドゥ,スレシュ
(72)【発明者】
【氏名】カラナム,ヴェンカタ マンガ ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】アビシェーク,シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】サントシュ,マノハラン
(72)【発明者】
【氏名】バラス,モハン
(57)【要約】
本発明は、二輪車両に関する。より詳細には、排他的ではないが、2つまたは3つの車輪だけを使用して車両のバランスをとるためのバランシングシステムに関する。サドル型車両(100)は、ヘッドチューブ(106)と、車両縦軸(MN)に沿って前記ヘッドチューブ(106)から斜め後方に延びる第1のフレーム部材(107)と、前記車両縦軸(MN)に沿って前記第1のフレーム部材(107)から上向き後方に延びる1つまたは複数の第2のフレーム部材(108)と、中央フレーム(111)と前記中央フレーム部材(111)から下向きに延びる支持構造(201)と、前記車両(100)の安定化を可能にするバランシングシステム(202)とを備え、前記バランシングシステム(202)は、前記支持構造(201)によって支持されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドル型車両(100)であって、
ヘッドチューブ(106)と、
車両縦軸(MN)に沿って前記ヘッドチューブ(106)から斜め後方に延びる前フレーム部(107)と、
前記車両縦軸(MN)に沿って前記前フレーム部(107)から上向き後方に延びる後フレーム部(108)と、
前記前フレーム部(107)と前記後フレーム部(108)との中間に配設された中央フレーム部(111)であって、前記前フレーム部(107)および前記後フレーム部(108)よりも低く配設されている中央フレーム部(111)と、
前記中央フレーム部(111)から下向きに延びる支持構造(201)と、
前記車両(100)の安定化を可能にするバランシングシステム(202)であって、前記支持構造(201)によって支持されているバランシングシステム(202)と、
を備えるサドル型車両(100)。
【請求項2】
前記支持構造(201)は、揺動アーム(207)を支持するように構成されている、請求項1に記載のサドル型車両。
【請求項3】
前記中央フレーム部(111)は、前記前フレーム部(107)および前記中央フレーム部(111)を連結する第1の接合(107a)と、前記中央フレーム部(111)および前記後フレーム部(108)を連結する第2の接合(108a)との間に配設されている、請求項1に記載のサドル型車両(100)。
【請求項4】
前記支持構造(201)は、第1のアーム(201a)と、第2のアーム(201b)と、連結アーム(201c)とを含み、前記第1のアーム(201a)は、前記第1の接合(107a)から下向きに延び、前記第2のアーム(201b)は、前記第2の接合(108a)から下向きに延び、前記連結アーム(201c)は、前記車両縦軸(MN)に沿って実質的に平行な第1のアーム端部(201ax)および第2のアーム端部(201bx)を連結するように構成されている、請求項1または3に記載のサドル型車両(100)。
【請求項5】
前記第1のアーム(201a)および前記第2のアーム(201b)は、前記車両縦軸(MN)に実質的に直交し、前記連結アーム(201c)は、前記中央フレーム部(111)の下方に、前記中央フレーム部(111)と実質的に平行に配設されている、請求項4に記載のサドル型車両(100)。
【請求項6】
前記支持構造(201)は、バランシングシステム(202)を回転可能に支持するように構成されている、請求項1に記載のサドル型車両(100)。
【請求項7】
前記車両(100)は第1の幅W1を備え、前記バランシングシステム(202)は第2の幅W2を備え、前記第1の幅W1は<(1/2)W2である、請求項6に記載のサドル型車両(100)。
【請求項8】
前記バランシングシステム(202)は、ケーシング部材(209)によって回転可能に支持されたフライホイール(202b)を含み、前記バランシングシステム(202)は、前記ケーシング部材(209)の回転を可能にするように構成された第1の駆動部材(204)と、前記フライホイール(202b)の回転を可能にするように構成された第2の駆動部材(208)とを含む、請求項6に記載のサドル型車両(100)。
【請求項9】
前記ケーシング部材(209)は、1つまたは複数の面(209l、209r、209f、209r、209t、および209b)を含み、前記1つまたは複数の面(209l、209r、209f、209r、209t、および209b)は、上面(209t)および底面(209b)を含み、前記上面(209t)は、前記第1の駆動部材(204)の出力シャフト(202bx)を回転可能に支持するように構成されており、前記底面(209b)は、前記連結アーム(201c)に回転可能に取り付けられている、請求項8に記載のサドル型車両(100)。
【請求項10】
前記第1の駆動部材(204)は、マウント構造(206)上にマウントされ、前記マウント構造(206)は、前記中央フレーム部(111)によって支持されている、請求項8に記載のサドル型車両(100)。
【請求項11】
前記第1の駆動部材(204)および前記第2の駆動部材(208)は、前記ケーシング部材(209)にしっかりと取り付けられている、請求項8に記載のサドル型車両(100)。
【請求項12】
前記1つまたは複数の車両構成要素(202、207)は、バランシングシステム(202)を含み、前記バランシングシステム(202)は、前記車両(100)の実質的に縦中央に配設されている、請求項1に記載のサドル型車両(100)のためのフレーム組立体(105)。
【請求項13】
サドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)であって、
第1の軸(VX)を中心にして回転可能なケーシング部材(209)と、
横軸(TR)を中心にして回転可能なフライホイール(202b)であって、前記ケーシング部材(209)の内側に収容されたフライホイール(202b)と、
前記ケーシング部材(209)に回転運動を可能にするように構成された第1の駆動部材(204)と、
前記フライホイール(202b)に回転運動を可能にするように構成された第2の駆動部材(208)と、を備え、
前記フライホイール(202b)は、1つまたは複数の中空部(H1およびH2)を含む、バランシングシステム(202)。
【請求項14】
前記1つまたは複数の中空部(H1およびH2)は、前記第2の駆動部材(208)のかなりの部分を受け入れることができる、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項15】
前記ケーシング部材(209)は、第1の側面(209l)、第2の側面(209rt)、前面(209f)、後面(209r)、上面(209t)、および底面(209b)を備える直方体である、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項16】
前記第1の側面(209l)は、前記車両の上方向から見たときに、前記ケーシング部材(209)の右側または左側の一方に位置し、
前記第1の側面(209l)は、第1の回転可能化部材(202lx)を含み、
前記第1の回転可能化部材(202lx)は、前記フライホイール(202b)のフライホイールシャフト(202bx)の一部を支持するように構成され、
前記第1の回転可能化部材(202lx)は、前記車両(100)の前記横軸(TR)を中心にして前記フライホイール(202b)に回転運動を与えるように構成され、
前記第2の側面(209rt)は、前記ケーシング部材(209)の左側に位置し、前記第2の側面(209rt)は、前記第2の駆動部材(208)を支持するように構成され、
前記上面(209t)は、前記第1の駆動部材(204)の一部を受け入れるように構成されている、
請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項17】
前記第1の駆動部材(204)は、ギアボックス(205)に結合されている、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項18】
前記ケーシング部材(209)は、複数のルーバ(212)で構成された1つまたは複数の面(209l、209r、209f、209r、209t、および209b)を含む、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項19】
前記1つまたは複数の中空部(H1およびH2)は、前記車両100の前記横軸TRに沿って前記第2の駆動部材208の全長の3/4を受け入れることができる、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項20】
前記フライホイール(202b)は、外半径(ro)および幅(w)で構成され、前記外半径(ro)と前記幅(w)の比は、0.1から1.5の範囲内で変わる、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項21】
前記フライホイール(202b)は、パッケージ容積(V)で構成され、前記第2の駆動部材(208)は、回転速度(w)で構成され、前記パッケージ容積(V)と前記回転速度(w)の第2の比は、4から7の範囲内である、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項22】
前記フライホイール(202b)は、中実である中央部(301)を含み、前記中央部(301)の両側に反対側に配設された開放端付き側部(302、303)を含む、請求項13に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【請求項23】
前記中央部(301)および各前記開放端付き側部(302、303)は、その間に1つまたは複数の中空部(H1およびH2)を含む、請求項22に記載のサドル型車両(100)のためのバランシングシステム(202)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車両に関する。より詳細には、排他的ではないが、2つまたは3つの車輪だけを使用して車両のバランスをとるためのバランシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
開発途上国において、二輪車両または三輪車に対する依存度は増加している。大多数の人々は、そのような国における運送について二輪車をいっそう頼っている。しかしながら、多くのユーザは、オートバイもスクータも操作したがらないまたは操作することができない。そのようなユーザは、社会の高齢者、低身長の人、アマチュアライダーなどを含む。クラッシュの場合における安全性の懸念、および車両の使用中に車両の安定性を維持するのに必要な能力により、自分で2つの車輪を用いて車両のバランスをとることができない人もいる。理想的には、二輪車両は、直立しているべきである。しかしながら、車両の右手側または左手側には、少量のアンバランスな重量が常に存在する。そのため、二輪車両は、車両のそのそれぞれの側におけるアンバランスな重量に応じて右手側または左手側にもたれがちである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
四輪車とは異なり、二輪車(特に)および三輪車のような小容積の車両は、アンバランスになりがちである。例えば、二輪車においては、アンバランスは、より低速でより高くなる。たくさんの事故は、特に低速で、ロール方向に沿った二輪車両の不安定性により生じる。前述の通り、人々は、交通渋滞状態にあるとき、二輪車のバランスをとるのに苦闘する。二輪車が重い場合、二輪車のバランスをとることの難しさが悪化する。二輪車事故は、ユーザに致命的であり得るとともに、車両に破損を引き起こす。これは、二輪車両のユーザに安全上の脅威をもたらす。
【0004】
二輪車は、ロール方向に本来の不安定性を有する。このため、車両は、より低速でひとりでに倒れる。車両の重量が増加するにつれて、車両のバランスをとることはますます難しくなる。普通の人々は、二輪車のこの不安定性により交通渋滞に苦闘する。
【0005】
従来の二輪車では、ライダーは、低速で二輪車のバランスをとるのは難しいことが分かっている。二輪サドル車両のバランスをとるために、ライダーは、車両が極端に低速に落ちないように補正的なステアリングトルクを加えることが必要とされる。この物理現象は、単純な自転車にもやはり当てはまる。
【0006】
車両のバランスをとる目的のために、セルフバランシングシステムが、当業界で知られている。既存のシステムの大部分は、車両のバランスをとるために複数のフライホイールを使用する。知られている技術では、2つのジャイロスコープが、車両のバランスをとるために二輪車において使用されている。制御システムは、オートバイの傾斜角に基づいてジャイロスコープの角度および速度を制御する。システムは、複数のフライホイール(コントロールモーメントジャイロ(CMG))を有し、フライホイールを駆動するモータは、二輪車のバランスをとるために3自由度を有する。
【0007】
別の知られている技術では、制御システムは、車両の速度および角度位置が入力としてとられ、フライホイールの一方の速度および角度位置がオートバイのバランスをとるために制御されるように構成されている。
【0008】
しかしながら、これらの知られているシステムは、車両のレイアウト内で非常に大きい量の空間を占める。知られているシステムは、二輪車または三輪車に実装される場合、モータビークルにおいて多量の空間を占める可能性があり、そこで、ユーザが使用するために利用可能なユーティリティスペースが影響を受ける。二輪車では、任意の追加のシステムは、車両の見た目を嵩張ってより重いものにさせ得る。さらに、既存のシステムは、あまりに複雑で高価である。
【0009】
当業界で知られているいくつかのシステムでは、車両の全幅または全高が、バランシングシステムにより影響を受け、従来の使用についてそれらを実用的でないものにさせる。二輪車または三輪車のような車両のためのバランシングシステムを提供するために課題が存在する。
【0010】
さらに、知られている技術において、いくつかの他のシステムは、低速および停止で二輪車のバランスをとるためにフロントステアリングを使用する。これらのシステムは、平穏を乱す衝動がより高い場合、車両のバランスをとるのに苦闘する。このタイプのシステムは、より重い制御アクチュエータを要求する。ある既存のシステムは、より高い衝動の用心および停止時のバランスのために車両のキャスタを増加させる規定を有する。これは、システムをあまりに複雑にさせ、製造可能性上の問題を招き、コストを増加させる結果となる。これらの種類のシステムは、二輪車のステアリング機構に重いモータをやはり必要とする。他の既存のシステムは、ロール角評価とバランシングのために高価なセンサおよびコントローラを使用する。大部分の知られているシステムは、車両の遅延した安定化をもたらす。そのような遅延は、ライダーによって知覚され、結果として、ライダーは、神経質な感情になり、自信を失い、このことは、望ましくない。
【0011】
したがって、上述した全ての問題および制限、ならびに知られている技術の他の問題を克服する二輪車両のバランスをとるための費用対効果が高い単純な小型のシステムが望まれる。
【0012】
本発明は、先行技術における上述したおよび他の問題に対処するために提案される。小型で、システムを組み込むのが容易であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を踏まえた上で、本発明は、サドル型車両のための改善されたバランシングシステムを開示する。バランシングシステムは、車両のロール方向とは反対側にリアクショントルクの形態の出力を与えて、車両が倒れるのを防ぎ、このようにして、サドル型車両をロール方向に安定させる。
【0014】
本発明の目的は、ロール方向に車両を安定させるために車両にリアクショントルクを与え、より低速でも直立に留まるバランシングシステムを備えたサドル型車両を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による例示的なサドル型車両の側面図である。
図2】本発明の一態様によるバランシングシステムを用いる例示的な車両を示す図である。
図3】車両のフレーム組立体に取り付けられたバランシングシステムの一部を示す図である。
図4】本発明の一態様によるサドル型車両の平面図である。
図5】本発明の一態様によるバランシングシステムの組立体(5a)及びバランシングシステムの分解図(5b)である。
図6図3に示されるような垂直軸VXに沿って得られるバランシングシステムの断面図である。
図7】本発明の一態様によるバランシングシステムのフライホイールの斜視図(7a)及び当該斜視図に示されるように軸方向に沿って得られるようなバランシングシステムのフライホイールの断面図(7b)である。
図8】本発明の一態様によるバランシングシステムのケーシング部材の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明は、添付図面を用いてサドル型二輪の一実施形態を参照して説明される。同じ番号は、図面全体を通じて、同じ特徴および構成要素を参照するために使用される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、サドル型車両は、バランシングシステムを備える。バランシングシステムは、バランシングシステムの他の部材を支持するように構成されたケーシング部材を含む。バランシングシステムは、ケーシング部材の内側で回転可能に支持されたフライホイールを含む。ケーシング部材は、第1の軸を中心にして回転可能である。第1の駆動部材は、ケーシング部材に回転運動を与えるように構成されている。フライホイールは、第2の軸を中心にして回転可能である。第2の軸は、フライホイールの軸方向に沿っている。第2の駆動部材は、フライホイールに回転運動を与えるように構成されている。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、第1の駆動部材および第2の駆動部材は、ケーシング部材によってしっかりと支持されている。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、第2の駆動部材は、所定の毎分回転数(RPM)でフライホイールを回転させるように構成されている。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、フライホイールおよび第2の駆動部材は、ケーシング部材内に実質的に収容されている。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、バランシングシステムは、車両のフレーム組立体上にマウントされている。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、サドル型車両のフレーム組立体は、ヘッドチューブ、このヘッドチューブからある角度で後方に延びている第1のフレーム部材を含む。第1のフレーム部材は、車両縦軸に沿って後方に延びている。さらに、1つまたは複数の第2のフレーム部材は、第1のフレームから上向き後方に延びる。1つまたは複数の第2のフレーム部材は、車両縦軸に沿って車両の後方に延びている。
【0023】
さらに、車両内の中央空間は、フレーム組立体の中央フレーム部材によって定められる。中央フレーム部材は、車両縦軸に沿って第1のフレーム部材と1つまたは複数の第2のフレーム部材との中間に配設されている。中央フレーム部材は、第1のフレーム部材および1つまたは複数の第2のフレーム部材よりも低い。
【0024】
車両のフレーム組立体は、中央フレーム部材から下向きに延びる支持構造を含む。支持構造は1つまたは複数の車両構成要素を支持するように構成されている。例えば、1つまたは複数の車両構成要素は、バランシングシステム、揺動アームなどを含む。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、支持構造は、第1のアーム、第2のアーム、および連結アームを含む。第1のアームは、第1のフレーム部材の第1の接合から下向きに延びるように構成されている。第2のアームは、1つまたは複数の第2のフレーム部材の第2の接合から下向きに延びるように構成されている。連結アームは、車両縦軸に沿って第1のアーム端部および第2のアーム端部を接続するように構成されている。
【0026】
本発明の一態様によれば、第1のアームおよび第2のアームは、中央フレーム部材から下向きに、および車両縦軸に直交して延びるように構成されている。連結アームは、中央フレームの下方に、中央フレームに平行に配設されている。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、支持構造は、バランシングシステムを回転可能に支持するように構成されている。支持構造は、側面視で見たときにU形構造である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、フライホイールは、形状が円筒形である。形状が円筒形であるフライホイールは、中央で中実であり、中央の両側に反対側に配設された開放端付き側部を含む。フライホイールの中央部と開放端付き側部との間のフライホイールの部分は、中空である。フライホイールは、フライホイールの軸全体を通じて延びるフライホイールシャフトを含む。フライホイールの中空部の一方は、第2の駆動部材の一部を収容するように構成されている。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、フライホイールのシャフトの一方の側は、ケーシング部材に回転可能に取り付けられ、フライホイールシャフトの他方の側は、第2の駆動部材の出力シャフトに回転可能に取り付けられている。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、ケーシング部材は、1つまたは複数の面を含む。組み立てられるときケーシング部材の1つまたは複数の面は、部分的直方体構造を形成する。ケーシング部材の1つまたは複数の面は、複数のルーバを含む。複数のルーバは、ケーシング部材の内側に空気が入るための開口部として機能する。ルーバを通じてケーシング部材に入る大気は、ケーシング部材の内側に配設されている第2の駆動部材が発生する熱を運び去る。
【0031】
フライホイール内の中空部は、フライホイールのサイズの減少を実現するように構成されている。フライホイールの重量は、かなり減少し、小型になる。小型フライホイールは、ケーシング部材の内側のマウントが容易である。小型サイズのフライホイールは、対応する小型ケーシング部材を必要とする。したがって、小型バランシング部材が実現される。車両内で組組み立てられるとき小型バランシング部材は、ほとんど車両の幅以内である。車両の幅以内の小型バランシング部材のパッケージングは、より容易である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ケーシング部材における複数のルーバは、ケーシング部材の総重量を減少させるように構成されている。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、フライホイールは、固体金属で構成される。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、バランシングシステムは、車両横軸に沿って車両の中央に配設され、それによって、コンパクトさおよび車両の横方向に沿った重量バランスを与える。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、バランシングシステムは、車両の下部に配設されている。この位置で重心はより低い、というのも、車両のバランスの改善が実現されるからである。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、サドル型車両は、1つまたは複数のセンサからの入力を処理して車両のロール角を検出するように構成されたコントローラを含む。したがって、コントローラは、車両のバランスをとることが必要なときにバランシングシステムを動作させるように構成されている。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、フライホイールは、第2の軸を中心にして回転している。例えば、第2の軸は、車両横軸に平行である。第2の駆動部材は、所定の回転速度(rpm)でフライホイールを回転させるように構成されている。フライホイールは、所定の回転速度rpmで常に回転する。低速および不安定な状態中、車両は、車両ロール方向に沿ってロールする傾向がある。コントローラは、車両のロール角を検出し、それに応じてケーシング部材の回転運動を可能にするように構成されている。ケーシング部材は、第1の軸を中心にして回転するように構成されている。例えば、ケーシング部材は、垂直軸を中心にして回転するように構成されている。フライホイールおよびケーシング部材の回転の方向に従って、リアクショントルクが、車両縦方向に沿って生成される。結果として、車両のバランスをとるのに必要とされるリアクショントルクが生成される。
【0038】
図面の右上隅に与えられる場合はいつでも矢印は、車両に関する方向を示しており、矢印Fは前方向を示し、矢印Rは後方向を示し、矢印Upは上方向を示し、矢印Dwは下方向を示す。
【0039】
上で与えられた概要は、本発明の基本的特徴を説明し、本発明の範囲を限定しない。本発明の性質およびさらなる特徴的機能は、添付図面を参照して以下の説明から明らかにされよう。本発明は、添付図面を参照してさらに説明される。明細書および図面は、本発明の原理を示すものに過ぎないことに留意されたい。本明細書中に明示的に説明または図示されていないが、本発明の原理を包含する様々な構成が考案され得る。また、本発明の原理、態様、および例、ならびにその特定の例を挙げる本明細書中の全ての陳述は、その均等物を包含することが意図される。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態による例示的なサドル型車両100の側面図を示す。車両100は、(破線で概略的に示される)フレーム組立体105を有し、フレーム組立体105は、ヘッドチューブ106と、このヘッドチューブ106から下向き後方に延びる第1のフレーム部材107とを含む。第1のフレーム部材107は、1つまたは複数の主チューブと、第1のフレーム部材107の後部から斜め後方に延びる1つまたは複数の第2のフレーム部材108とを備えることができる。1つまたは複数の第2のフレーム部材108は、車両の1つまたは複数の後フレームを含むことができる。本実施形態では、車両100は、フレーム組立体105の中央フレーム部材111によって定められた中央部109を含む。しかしながら、本主題の本態様は、車両100の示されたレイアウトに限定されない。
【0041】
さらに、ハンドル組立体110は、1つまたは複数のフロントサスペンション120を介して前輪115に接続されている。ステアリングシャフト(図示せず)は、ハンドル組立体110をフロントサスペンション120に接続し、ステアリングシャフトは、ヘッドチューブ106を中心にして回転可能にジャーナル軸受けされる。エンジン組立体Eは、フレーム組立体105にマウントされている。エンジン組立体Eは、ICエンジンにマウントされたまたはICエンジンに隣接してマウントされたのどちらかのトラクションモータハブを含むこともできる。示された実施形態では、エンジンEは、1つまたは複数の第2のフレーム部材108の少なくとも一部の下方に配設されている。しかしながら、代替実施形態では、パワーユニットは、前の方におよび主チューブ107の下方にしっかりと配設され得る。エンジン組立体Eは、動力伝達システム(図示せず)を介して後輪130に機能的に接続されている。車両は、1つまたは複数の後輪を含むことができる。また、車両100は、エンジン組立体からの排気ガスの放散を助ける排気システムを含む。排気システム200は、車両100にマウントされたマフラ135を含む。示された実施形態では、マフラ135は、車両100の一の側面の方に配設されている。
【0042】
さらに、後輪130は、1つまたは複数のリアサスペンション(図示せず)を介してフレーム組立体105に接続されている。示された実施形態では、エンジン組立体Eは、トグルリンク150などを介してフレーム組立体105に揺動可能にマウントされている。シート組立体140は、フレーム組立体105によって支持され、ステップスルー部109の後方に配設されている。
【0043】
さらに、車両100は、前輪115の少なくとも一部を覆うフロントフェンダ155を含む。本実施形態では、床板145は、ステップスルー部109に配設され、第1のフレーム部材107および一対のフロアフレーム(図示せず)によって支持されている。一実施形態では、燃料タンク(図示せず)が、シート組立体140の下方でユーティリティボックスの背後に配設されている。リアフェンダ160は、後輪130の少なくとも一部を覆っている。車両100は、ヘッドライト165、テールライト(図示せず)、バッテリ(図示せず)、トランジスタ制御イグニッション(TCI)ユニット(図示せず)、交流発電機(図示せず)、スタータモータ(図示せず)を含む複数の電気/電子構成要素を備える。さらに、車両100は、同期ブレーキシステム、アンチロックブレーキシステムを含むことができる。
【0044】
車両100は、ヘッドチューブ106の前方部分に配設された前パネル170と、ヘッドチューブ106の後方部分に配設されたレッグシールド171とを含む複数のパネルを備える。後パネル組立体172は、シート組立体140の下方に配設され、床板145の後部から車両100の後部の方に後方に延びる右側パネルおよび左側パネルを含む。後パネル組立体172は、シート組立体140の下方に配設されたユーティリティボックスを囲む。また、後パネル組立体172は、エンジン組立体Eを部分的に囲む。また、排気システムのマフラ135は、ICエンジンの排気側に結合され、一実施では、マフラ135は、車両100の一側面の方に配設されている。
【0045】
図2は、本発明の一態様によるバランシングシステムを用いた例示的な車両を示す。本発明の一実施形態によれば、サドル型車両100は、フレーム組立体105を含む。フレーム組立体105は、ヘッドチューブ106と、車両縦軸MNに沿ってヘッドチューブ106から斜め後方に延びる前フレーム部107とを含む。
【0046】
フレーム組立体105は、車両縦軸MNに沿って前フレーム部107から上向き後方に延びる後フレーム部108を含む。フレーム組立体105は、前フレーム部107と後フレーム部108との中間に配設された中央フレーム部111を含む。中央フレーム部111は、前フレーム部107および後フレーム部108よりも低い。さらに、フレーム組立体105は、中央フレーム部111から下向きに延びる支持構造201を含む。支持構造201は、1つまたは複数の車両構成要素202、207を支持するように構成されている。
【0047】
1つまたは複数の車両構成要素は、バランシングシステム202と、揺動アーム207とを含む。中央フレーム部111は、前フレーム部107の第1の接合107aと後フレーム部108の第2の接合108aとの間に配設されている。
【0048】
支持構造201は、第1のアーム201aと、第2のアーム201bと、連結アーム201cとを含む。第1のアーム201aは、第1の接合107aから実質的に下向きに延びている。第2のアーム201bは、第2の接合108aから実質的に下向きに延びており、連結アーム201cは、前記車両縦軸MNに沿って第1のアーム端部201axおよび第2のアーム端部201bxを連結するように構成されている。
【0049】
第1のアーム201aおよび第2のアーム201bは、車両縦軸MNに実質的に直交し、連結アーム201cは、中央フレーム部111の下方におよびそれに実質的に平行に配設されている。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、支持構造201は、1つまたは複数の車両構成要素202、207のバランシングシステム202を回転可能に支持するように構成されている。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、バランシングシステム202は、回転するように構成され、回転運動は、第1の駆動部材204によって与えられる。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、第2のアーム201bは、ブラケット201dを含む。ブラケット201dは、第2の接合108aにしっかりと取り付けられている。ブラケット201dは、揺動アーム207の一部を受け入れるように構成されている。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、第1の駆動部材204は、連結器204aを含む。連結器は、第1の駆動部材204の出力シャフト(図示せず)をバランシングシステム202にしっかりと取り付けるように構成されている。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、バランシングシステム202は、車両100の下部に配設されている。重心は、この部分における車両内でより低い。したがって、本発明に開示されているように、バランシングシステム202を下部に組み込むことで、車両のバランスをとることをできるようにする。本実施形態におけるバランシングシステム202は、車両の重心の近くに配設されている。したがって、車両のバランスをとることは、比較的により容易である。
【0055】
図3は、車両のフレーム組立体に取り付けられたバランシングシステムの一部を示す。本発明の一実施形態によれば、第1の駆動部材204は、中央フレーム部111に取り付けられている。詳細には、第1の駆動部材204は、中央フレーム部111に取り付けられたマウント構造206に取り付けられている。一実施形態では、マウント構造206は、平坦部材206aによって支持されている。平坦部材206aは、中央フレーム部111にしっかりと取り付けられている。平坦部材206aは、第1の駆動部材204を安定して支持するように構成されている平坦構造である。第1の駆動部材204は、必要な回転運動をバランシングシステム202に与えるように構成されている。中央フレーム部111上に第1の駆動部材204を安定してマウントすることによって、第1の駆動部材204の安定した動作を可能にする。それによって、バランシングシステム202は、第1の駆動部材204の出力シャフト(図示せず)から何らの遅延なしで、第1の駆動部材204から必要な回転運動を受け取ることができる。
【0056】
図4は、本発明の一態様によるサドル型車両の平面図を示す。バランシングシステム202は、車両の実質的に縦中央、および車両100の横方向に沿った横軸(TR)の中央に配設されている。横軸(TR)は、中央フレーム部材111の上方で中心に存在する。本主題の一態様のように、バランシングシステム202は、W2の第2の幅で構成されている。車両は、第1の幅W1で構成されている。第1の幅W1は、第2の幅W2の幅の2倍よりも大きいように構成されている。第1の幅W1<(1/2)W2である。バランシングシステム202は、それによって、小型のユニットとして構成され、サドル型車両においてパッケージにするのが容易である。本主題のように、バランシングシステム202は、車両のレイアウトにおける利用可能な空間内に収容されることができ、他の車両構成要素の中間で車両にパッケージにするのが容易である。
【0057】
図5aは、本発明の一態様によるバランシングシステムの組立体を示す。バランシングシステム202は、ケーシング部材209を含む。一実施形態では、バランシングシステム202は、部分的な直方体である。バランシングシステムは、フライホイール202bを含む。フライホイール202bは、ケーシング部材209の内側に収容され、マウントされる。フライホイール202bは、ケーシング部材209の内側で回転可能に支持される。一実施形態では、フライホイール202bは、第2の軸(図示せず)を中心にして回転可能である。第2の軸は、車両横方向に沿って横軸TRに平行である。ケーシング部材209は、第3の軸、例えば、垂直軸VXを中心にして回転可能である。第1の駆動部材204は、ケーシング部材209に回転運動を与えるように構成されている。必要なときはいつでも、特に、車両のロール角が検出されるときはいつでも、第1の駆動部材204は、ケーシング部材209に必要な回転運動を与える。ケーシング部材209の回転運動と共に、所定の回転速度(rpm)で、車両横軸TRに沿ったフライホイール202bの回転運動により、バランシングシステムが、第3の軸を中心にして、例えば、車両の車両縦軸MNを中心にして必要なリアクショントルクを生成することを可能にする。生成されるリアクショントルクは、車両のバランスとり、車両に安定した状態を取り戻させるように構成されている。小型のバランシングシステム202は、第1の駆動部材204の安定したマウントと共に、ロール方向に沿った車両のロールがほんの少しでも車両100に必要なリアクショントルクを与えるように構成されている。ジャイロスコープの原理は、これによって、車両のロールに対抗するように所望のバランスカウンタトルクを実現するように実施される。
【0058】
図5bは、本発明の一態様によるバランシングシステムの分解図を示す。フライホイール202bは、第2の駆動部材208の一部を収容するように構成されている。フライホイール202b、およびフライホイール202bの内側に収容される第2の駆動部材208の一部は、ケーシング部材209によって支持され、ケーシング部材209の内側に配設されている。
【0059】
別の実施形態では、ケーシング部材209は、第1の側面209l、第2の側面209rt、前面209f、後面209r、上面209t、および底面209bを備える直方体である。
【0060】
一実施形態では、第1の側面209lは、ケーシング部材209の右側に位置する。第1の側面209lは、第1の回転可能化部材202lxを含む。第1の回転可能化部材202lxは、フライホイール202bのフライホイールシャフト202bxの一部を支持するように構成されている。第1の回転可能化部材202lxは、車両100の横軸TRを中心にしてフライホイール202bに回転運動を与えるように構成されている。第2の側面209rtは、ケーシング部材209の左側に位置し、第2の側面209rtは、第2の駆動部材208を支持するように構成され、上面209tは、第1の駆動部材204の一部を受け入れるように構成されている。
【0061】
別の実施形態では、第1の駆動部材204は、ギアボックス205に結合されている。ギアボックス205は、トルク増幅器として機能するように構成されている。さらに別の実施形態では、ギアボックス205は、第1の駆動部材204の出力シャフトを介して連結器204aへの出力の方向を変更するように構成されている。
【0062】
本発明の一実施形態では、ケーシング部材209は、複数のルーバ212を含むように構成されている1つまたは複数の面209l、209r、209f、209r、209t、および209bを含む。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、第2の側面209rtは、フライホイール受け入れ部209rxを含む。フライホイール受け入れ部209rxは、フライホイール202bを取り外し可能に受け入れるように構成されている。別の実施形態では、フライホイールは、フライホイールシャフト202bxを含む。フライホイールシャフト202bxの端は、シャフト受け入れ部材209bxaによって受け入れられる。シャフト受け入れ部材209bxasは、フライホイール受け入れ部209rxに取り外し可能に取り付けられている。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、第1の駆動部材204の出力シャフト204bは、連結器204aの一端に回転可能に取り付けられている。連結器204aの別の端は、ケーシング部材202の上面209tに堅く取り付けられている。
【0065】
図6は、図3に示されるような垂直軸VXに沿って得られるバランシングシステムの断面図を示す。第1の駆動部材204は、ケーシング部材209に回転運動を可能にするように構成されている。第1の駆動部材は、連結器204aを介してケーシング部材209へ結合されている出力シャフト204bを含む。一端における連結器は、第2の回転可能化部材206axを含む。第2の回転可能化部材206axは、連結器204bの回転を可能にする。連結器204aの別の端は、ケーシング部材209の上面209tに堅く取り付けられている。回転運動が、引き起こされ、連結器204aを介してケーシング部材209へ伝達される。
【0066】
本発明の一実施形態では、第2の駆動部材208は、フライホイール202bの内側に収容される。フライホイール202bは、第2の駆動部材208と共に、ケーシング部材209に回転可能に取り付けられている。詳細には、フライホイール受け入れ部209rxは、第2の駆動部材208をしっかりと受け入れるように構成されている。第2の駆動部材は、フライホイールシャフト202bxに結合された第2の出力シャフト208aを含む。フライホイールシャフト202bxは、第3の回転可能化部材209ryによって回転運動が与えられる。フライホイールシャフト202bxの一端は、ケーシング部材209の第1の側面209lに回転可能に取り付けられている。フライホイールシャフト202bの別の端は、第2のシャフト部材208aに結合されている。このように、第2の駆動部材208から出力される回転運動は、フライホイールシャフト202bxを介してフライホイール202bへ伝えられる。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、1つまたは複数の面209l、209rt、209t、209b、209f、209rは、直方体構造を形成するように互いに取り外し可能に取り付けられている。底面209bは、ボトムマウント構造210に取り付けられるように構成されている。ボトムマウント構造210は、ボトム回転可能化部材210aを含む。ボトム回転可能化部材210aは、ケーシング部材209に回転運動を可能にするように構成されている。一実施形態では、ボトムマウント構造210は、(図2に示されるような)支持構造201の連結アーム(図2に示されるような201c)によって支持されている。
【0068】
第2の駆動部材208は、フライホイール202bに所定の回転速度(rpm)を与えるように構成されている。フライホイール202bは、横軸TRを中心にして回転可能である。ケーシング部材209は、第1の駆動部材204によって回転するように可能にされている。ケーシング部材209の回転は、コントローラ(図示せず)が車両縦軸に対して車両の任意のロール角のずれを検出するときはいつでも可能にされる。フライホイール202bおよびケーシング部材209の回転は、ジャイロ効果の原理により、それぞれ、フライホイール202bの回転軸とケーシング部材209の回転軸との両方に直交する方向にリアクショントルクを生成する。しかしながら、本発明および図6において、リアクショントルクが沿って生成される軸は、車両縦軸に沿っており、バランシングシステム202の中心における点として示すことしかできない。
【0069】
本発明の一態様によれば、第2の駆動部材208は、フライホイール202bの内側に挿入される。第2の駆動部材208は、それがフライホイール202bの半分の利用可能な中空空間の大部分を占めるように挿入される。上記の構成の結果として、得られたバランシングシステム202は、従来のバランシングシステムおよび知られている技術に述べられるようなバランシングシステムと比較して、小型で軽量であり、バランシングシステム201の幅は、かなり減少させられる。小型で軽量なバランシングシステムは、車両の既存のレイアウトに多くの修正をすることなく、サドル型車両に容易に適合されることが可能である。
【0070】
小型であることに加えて、フライホイール202bは、車両の中心におよび車両の実質的に下部にマウントされることが可能である。本構成により、重心はかなり低い。特に低速における車両のロールまたはキャップサイズのバランシング(roll or capsize balancing)は、従来の車両と比較して改善される。
【0071】
本発明の一態様によれば、フライホイール202bは、第2の駆動部材208のかなりの部分を受け入れるように構成されている。フライホイール202bは、(図7に示された)1つまたは複数の中空部H1およびH2を含む。1つまたは複数の中空部H1およびH2は、車両100の横軸TRに沿って第2の駆動部材208の全長の3/4を受け入れることができる。
【0072】
一実施形態では、好ましくは、上述したように、高密度材料が、フライホイール202bを構成するために選ばれる。本主題によるバランスモーメント(質量慣性モーメント)とフライホイール202bの質量の比は、フライホイールとして中実シリンダを含む従来のバランシングシステムと比較して強化される。本発明のこの態様は、以下の段落における数学的表現を参照してさらに説明される。フライホイールとして機能する従来の中実シリンダのバランスモーメントと質量の比は、
【0073】
【数1】
である。
【0074】
ただし、
ρ - シリンダの材料の密度、
r - シリンダの半径、および
h - シリンダの高さ
である。
【0075】
ところが、バランスモーメントとフライホイール202bの質量の比は、
【0076】
【数2】
である。
【0077】
ただし、
ρ - シリンダの材料の密度、
ro - シリンダの外半径、
ri - シリンダの内側半径、および
h - シリンダの高さ
である。
【0078】
ここで、本態様による中空の外半径およびフライホイールの外半径が同じである場合、(すなわち)ro=rであり、
【0079】
【数3】
である。
【0080】
したがって、フライホイールが高いバランスモーメントと質量の比を有するので、高密度材料で構成された1つまたは複数の中空部H1およびH2を含むフライホイールが望ましい。したがって、中空フライホイールが高いバランスモーメントと質量の比を有するので、高密度材料の中空フライホイールが選ばれる。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、フライホイール202bの外半径ro幅wの比は、0.1~1.5の範囲内で変わる。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、フライホイール202bのパッケージ容積と第2の駆動部材208の回転速度の比は、4~7の範囲内である。上記のような比は、必要なリアクショントルクを発生させて車両を安定化するように本主題により構成されている。
【0083】
図7aは、本発明の一態様によるバランシングシステムのフライホイールの斜視図を示す。図に示されるようなフライホイール202bは、2つの反対側開口端を有するボウル形構造である。フライホイール202bは、フライホイールの軸202bに沿って延びるフライホイールシャフト202bxを含む。フライホイールシャフト202bxは、フライホイール202bを第2の駆動部材(図示せず)および第1の回転可能化部材(図示せず)にマウントすることを可能にし、ただし、一実施形態によれば、回転可能化部材は、軸受である。
【0084】
図7bは、図7aに示されるように軸方向に沿って得られるようなバランシングシステムのフライホイールの断面図を示す。本発明の一実施形態によれば、フライホイール202bは、中実である中央部301を含み、中央部301の両側に反対側に配設された開放端付き側部302、303を含む。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、フライホイール202bは、中央部301および各開放端付き側部302、303がその間に1つまたは複数の中空部H1、H2を含むように構成されている。
【0086】
1つまたは複数の中空部H1、H2は、第2の駆動部材(図示せず)の一部を受け入れることを可能にするとともに、軽量フライホイール202bを可能にする。本発明によりそのように得られる小型フライホイール202bは、サドル型車両に適合されるのに適している。
【0087】
図8は、本発明の一態様によるバランシングシステムのケーシング部材の分解図を示す。ケーシング部材209は、1つまたは複数の面を含む。一実施形態では、第1の側面209lおよび第2の側面209rtは、複数のルーバ212をそれぞれ含む。本発明の別の態様では、複数のルーバ212は、開口部である。複数のルーバ212は、大気を受け入れるように構成されている。車両走行状態中に複数のルーバ212に入る大気は、ケーシング部材209の内側に収容およびマウントされる第2の駆動部材(図示せず)を冷却する傾向がある。結果として、バランシングシステム202の耐久性および信頼性が増加する。
【0088】
本発明について、そのいくつかの実施形態を参照してかなり詳細に説明してきたが、他の実施形態が可能である。実施形態の態様は、必ずしも本明細書中に記載された特徴に限定されないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0089】
100 サドル型車両
105 フレーム組立体
106 ヘッドチューブ
107 前フレーム部
107a 第1の接合
108 第2のフレーム部
108a 第2の接合
109 中央部
110 ハンドル組立体
111 ステップスルーフレーム
115 前輪
120 1つまたは複数のフロントサスペンション
130 後輪
135 マフラ
140 シート組立体
145 床板
150 トグルリンク
155 フロントフェンダ
160 リアフェンダ
165 ヘッドライト
170 前パネル
171 レッグシールド
172 後パネル組立体
200 排気システム
201 支持構造
201a 第1のアーム
201b 第2のアーム
201c 連結アーム
201d ブラケット
202、207 1つまたは複数の車両構成要素
201ax 第1のアーム端部
201bx 第2のアーム端部
202 バランシングシステム
202b フライホイール
202bx フライホイールシャフト
202lx 第1の回転可能化部材
204 第1の駆動部材
204a 連結器
204b 出力シャフト
206 マウント構造
206a 平坦部材
206ax 第3の回転可能化部材
207 揺動アーム
208 第2の駆動部材
209 ケーシング部材
209l 第1の側面
209rt 第2の側面
209f 前面
209r 後面
209rx フライホイール受け入れ部
209t 上面
209b 底面
209ry 第3の回転可能化部材
212 複数のルーバ
E エンジン組立体
MN 車両縦軸
TR 横軸
W1 第1の幅
W2 第2の幅
VX 垂直軸
H1、H2 1つまたは複数の中空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】