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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】エッチング組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H01L21/308 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516633
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2021049092
(87)【国際公開番号】W WO2022055814
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/077,283
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブジョロパブリック、ミック
(72)【発明者】
【氏名】バイェステロス、カール
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA07
5F043BB30
5F043DD07
(57)【要約】
本開示は、例えばマルチステップ半導体製造プロセスにおける中間ステップとしての、半導体基板からシリコンゲルマニウム(SiGe)を選択的に除去することのために有用なエッチング組成物を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のフッ素含有酸、ここで前記少なくとも1種のフッ素含有酸はフッ化水素酸又はヘキサフルオロケイ酸を含む;
少なくとも1種の酸化剤;
硫酸、スルホン酸、又はホスホン酸を含む、少なくとも1種の触媒
少なくとも1種の有機酸又はその無水物、ここで前記少なくとも1種の有機酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸を含む;
少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸又はその塩;及び
少なくとも1種のアミン、ここで前記少なくとも1種のアミンは式(I):N-R(式中、Rは、OH若しくはNHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、RはH、又はOHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、Rは、OHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルである)のアミンを含む、
を含むエッチング組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のフッ素含有酸は、前記組成物の約0.01重量%~約2重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の酸化剤は過酸化水素又は過酢酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の酸化剤は、前記組成物の約5重量%~約20重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の触媒は、硫酸、メタンスルホン酸、ホスホン酸、又はフェニルホスホン酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の触媒は、前記組成物の約0.1重量%~約5重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の有機酸又はその無水物は、酢酸又は無水酢酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の有機酸又はその無水物は、前記組成物の約30重量%~約90重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸は、
【化1】

の構造を有するスルホン酸を含み、ここでnは3~6である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸又はその塩は、前記組成物の約0.001重量%~約0.15重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のピリジン含有化合物をさらに含み、前記少なくとも1種のピリジン含有化合物は、C1~C6アルキルで任意に(optionally)置換されたピリジン、ピリジン含有酸、ピリジン含有アルコール、又はそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のピリジン含有化合物は、ピコリン酸、ジピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2-アミノ-イソニコチン酸、イソニコチン酸N-オキシド、4-ピリジル酢酸、3-ピリジル酢酸、2-ピリジル酢酸、4-ピリジンプロパノール、3-ピリジンプロパノール、2-メチルピリジエン、3-メチルピリジン、又はそれらの塩を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のピリジン含有化合物は、前記組成物の約0.01重量%~約1重量%の量である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記式(I)のアミンは、ジイソプロピルアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N-(3-アミノプロピル)-ジエタノールアミン、N-オクチルグルカミン、N-エチルグルカミン、N-メチルグルカミン、又は1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種のアミンは、前記組成物の約0.001重量%~約0.15重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の有機溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、エステル、アルコール、又はアルキレングリコールエーテルを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、酢酸プロピル、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、又はエチレングリコールブチルエーテルを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の有機溶媒は、前記組成物の約10重量%~約40重量%の量である、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
さらに水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記水は、前記組成物の約10重量%~約50重量%の量である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1種のシランをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種のシランは、式(III):
Si-R (III)
のシランを含み、式中、R、R、R、及びRのそれぞれは、独立に、N(RR’)、RC(O)O、C1~C8アルコキシ、N(RR’)Si(R)で任意に(optionally)置換されたC1~C18アルキルであり、R及びR’のそれぞれは、独立に、C1~C10アルキルであり、R、R、及びRのそれぞれは、独立に、C1~C10アルキル又はC1~C10アルコキシである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1種のシランは、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、アセトキシトリメチルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、又はビス(トリメトキシシリル)メタンを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種のシランは、前記組成物の約0.001重量%~約0.5重量%の量である、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物は約0~約3のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1種のフッ素含有酸、ここで前記少なくとも1種のフッ素含有酸はフッ化水素酸又はヘキサフルオロケイ酸を含む;
少なくとも1種の酸化剤;
少なくとも1種の有機酸又はその無水物、ここで前記少なくとも1種の有機酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸を含む;
少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸又はその塩;
少なくとも1種のアミン、ここで前記少なくとも1種のアミンは式(I):N-R(式中、Rは、OH若しくはNHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、RはH、又はOHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、Rは、OHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルである)のアミンを含む;及び
少なくとも1種のグリコール、
を含むエッチング組成物。
【請求項28】
SiGe膜を含む半導体基板を請求項1の組成物と接触させて、前記SiGe膜を実質的に除去すること、
を含む方法。
【請求項29】
前記SiGe膜は約10原子%~約65原子%のGeを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記接触ステップの後に前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすることをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記リンスステップの後に、前記半導体基板を乾燥させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、SiN、ポリシリコン、SiCO、又はホウ素がドープされたSiGeを実質的に除去しない、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法で形成された、半導体素子である物品。
【請求項34】
前記半導体素子は集積回路である、請求項33に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッチング組成物、及びエッチング組成物を用いるプロセスに関する。特には、本開示は金属導電体(例えば銅)、バリア材料、絶縁材料(例えば、low-k誘電材料)等の、露出した又は下に位置する他材料の存在下でシリコンゲルマニウムを選択的にエッチングすることが可能なエッチング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本願は2020年9月11日に出願された米国仮出願番号63/077,283からの優先権を主張し、該米国仮出願の内容はその全体が参照により本開示に取り込まれる。
【0003】
半導体産業は、微小電子デバイス、シリコンチップ、液晶ディスプレイ、MEMS(マイクロ電気機械システム)、プリント配線板、等々における電子回路及び電子コンポーネントの寸法を急速に減少させ、それらの密度を急速に増加させている。それらの中の集積回路を積層あるいは重ね合わせる際の各回路層間の絶縁層の厚さは絶えず減少し、フィーチャサイズはより小さくなってきている。フィーチャサイズが縮小したことに伴って、パターンはより小さなものとなってきており、デバイス性能パラメータはより厳しく、かつより堅固なものとなってきている。その結果、これまでは許容することが可能であった様々な問題は、より小さいフィーチャサイズのためにもはや許容できず、あるいはより大きな問題となってきている。
【0004】
先進的集積回路の生産において、高められた密度に付随する問題を最小化し、性能を最適化するために、高k絶縁体及び低k絶縁体の両方並びに取り揃えられたバリア層材料が用いられてきた。
【0005】
シリコンゲルマニウム(SiGe)は、半導体デバイス、液晶ディスプレイ、MEMS(マイクロ電気機械システム)、プリント配線板、等々の製造において、ナノワイヤ及び/又はナノシートとして利用することができる。例えば、マルチゲート電界効果トランジスタ(FET)(例えば、全周ゲート型FET)として等、マルチゲート素子中のゲート材料として用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体デバイスの構築において、シリコンゲルマニウム(SiGe)はしばしばエッチングされる必要がある。SiGeの様々なタイプの使用及び素子環境においては、他の層が接触しており、あるいはそれ以外の態様でこの材料がエッチングされるのと同時に露出される。これら他の材料(例えば、金属導電体、誘電体、及びハードマスク)の存在下におけるSiGeの選択的エッチングは、典型的には素子収率及び長寿命のために必要とされる。SiGeのためのエッチングプロセスは、プラズマエッチングプロセスであってもよい。しかし、SiGe層上にプラズマエッチングプロセスを用いると、ゲート絶縁層と半導体基板のうちの一方又は両方にダメージを与えるおそれがある。加えて、このエッチングプロセスは、ゲート電極によって露出したゲート絶縁層をエッチングすることにより、半導体基板の一部を除去してしまうおそれもある。トランジスタの電気的特性は悪影響を受けうる。そのようなエッチングによるダメージを回避するために、追加の保護デバイス製造ステップを用いることができるが、これはそれなりのコストがかかる。
【0007】
本開示は、半導体素子中に存在するハードマスク層、ゲート材料(例えば、SiN、ポリシリコン、若しくはSiOx)、及びlow-k誘電体層(例えば、ホウ素ドープされたSiGe、SiN、ポリシリコン、SiOx、炭素ドープされた酸化物、又はSiCO)に対してSiGeを選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。より具体的には、本開示は、キャリア移動度を向上させることができるlow-k誘電体層、例えばホウ素ドープSiGe、に対してSiGeを選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。
【0008】
1つの態様では、本開示は、(1)少なくとも1種のフッ素含有酸、ここで前記少なくとも1種のフッ素含有酸はフッ化水素酸又はヘキサフルオロケイ酸を含む;(2)少なくとも1種の酸化剤;(3)前記フッ素含有酸とは異なる少なくとも1種の無機酸;(4)少なくとも1種の有機酸又はその無水物、ここで前記少なくとも1種の有機酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸を含む;(5)少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸;及び(6)少なくとも1種のアミン、ここで前記少なくとも1種のアミンは式(I):N-R(式中、Rは、OH若しくはNHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、RはH、又はOHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、Rは、OHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルである)のアミンを含む、を含むエッチング組成物を1つの特色とする。
【0009】
別の態様では、本開示は、(1)少なくとも1種のフッ素含有酸、ここで前記少なくとも1種のフッ素含有酸はフッ化水素酸又はヘキサフルオロケイ酸を含む;(2)少なくとも1種の酸化剤;(3)少なくとも1種の有機酸又はその無水物、ここで前記少なくとも1種の有機酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸を含む;(4)少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸又はその塩;(5)少なくとも1種のアミン、ここで前記少なくとも1種のアミンは式(I):N-R(式中、Rは、OH若しくはNHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、RはH、又はOHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、Rは、OHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルである)のアミンを含む;及び(6)少なくとも1種のグリコール、を含むエッチング組成物を1つの特色とする。
【0010】
別の態様では、本開示はSiGe膜を含む半導体基板を本開示に記載のエッチング組成物と接触させてSiGe膜を除去することを含む方法を1つの特色とする。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は、半導体素子(例えば集積回路)である、上記の方法によって形成された物品を1つの特色とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示における定義では、特に断りの無い限り、記載された全てのパーセント値は、組成物の全重量に対する重量パーセント値であると理解すべきである。
【0013】
一般に、本開示は、(1)少なくとも1種のフッ素含有酸、ここで前記少なくとも1種のフッ素含有酸はフッ化水素酸又はヘキサフルオロケイ酸を含む;(2)少なくとも1種の酸化剤;(3)前記フッ素含有酸とは異なる少なくとも1種の無機酸;(4)少なくとも1種の有機酸又はその無水物、ここで前記少なくとも1種の有機酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸を含む;(5)少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸;(6)少なくとも1種のピリジン含有化合物;及び(7)少なくとも1種のアミン、ここで前記少なくとも1種のアミンは式(I):N-R(式中、Rは、OH若しくはNHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、RはH、又はOHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、Rは、OHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルである)のアミンを含む、を含むエッチング組成物(例えば、SiGeを選択的に除去するためのエッチング組成物)を1つの特色とする。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)フッ素含有酸を含んでいてもよい。本開示に記載のフッ素含有酸は無機酸、例えばHF又はHSiF、であってもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のフッ素含有酸は、本開示のエッチング組成物の約0.01重量%以上(例えば、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、約0.05重量%以上、約0.06重量%以上、約0.08重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、約0.6重量%以上、約0.8重量%以上、約1重量%以上、約1.2重量%以上、約1.4重量%以上、又は約1.5重量%以上)~約2重量%以下(例えば、1.9重量%以下、約1.8重量%以下、約1.7重量%以下、約1.6重量%以下、約1.5重量%以下、約1.2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下)の量である。理論に拘束されることを望むものではないが、フッ素含有酸は、エッチングプロセス中における半導体基板上のSiGeの除去を容易化及び増強することができると考えられる。一方、フッ素含有酸は特定の誘電材料(例えば、SiOx及びホウ素ドープSiGe)の除去も増大させ、このため、そのような誘電材料の除去を最小化することが望ましい場合には、本開示に記載のエッチング組成物中におけるフッ素含有酸の量は好ましくは制限されるべきである。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、マイクロ電子用途における使用に適した少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)酸化剤を含んでいてもよい。好適な酸化剤の例としては、酸化性の酸(例えば、硝酸、過マンガン酸、又は過マンガン酸カリウム)及びその塩、過酸化物(例えば、過酸化水素、ジアルキルペルオキシド、又は尿素過酸化水素)、過スルホン酸(例えば、ヘキサフルオロプロパン過スルホン酸、メタン過スルホン酸、トリフルオロメタン過スルホン酸、又はp-トルエン過スルホン酸)及びその塩、オゾン、ペルオキシカルボン酸(例えば過酢酸)及びその塩、過リン酸及びその塩、過硫酸及びその塩(例えば、過硫酸アンモニウム又は過硫酸テトラメチルアンモニウム)、過塩素酸及びその塩(例えば、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、又は過塩素酸テトラメチルアンモニウム)、並びに過ヨウ素酸及びその塩(例えば、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸アンモニウム、又は過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム)が挙げられる。これらの酸化剤は1種単独で用いても、組み合わせで用いてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の酸化剤は、本開示のエッチング組成物の約5重量%以上(例えば、約6重量%以上、約7重量%以上、約8重量%以上、約9重量%以上、約10重量%以上、約11重量%以上、約13重量%以上、又は約15重量%以上)~約20重量%以下(例えば、約18重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約12重量%以下、又は約10重量%以下)であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、酸化剤は半導体基板上のSiGeの除去を容易化及び増強することができると考えられる。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)触媒を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記触媒は、フッ素含有酸とは異なる酸であってもよい。例えば、前記触媒は、フッ素を含まない酸であってもよい。好適な触媒の例としては、硫酸(HSO)、スルホン酸、及びホスホン酸が挙げられる。
【0018】
好適なスルホン酸の例としては、アルキルスルホン酸(置換若しくは無置換のアルキルスルホン酸を含む)、及びアリールスルホン酸(置換若しくは無置換のアリールスルホン酸を含む)が挙げられる。好適なアルキルスルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(若しくはトリフル酸)、及びヒドロキシエタンスルホン酸(若しくはイセチオン酸)が挙げられる。好適なアリールスルホン酸の例としては、p-トルエンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸が挙げられる。
【0019】
好適なホスホン酸の例としては、式(II)
R-PO(OH) (II)
のものが挙げられ、式中、RはH、C1~C10アルキル、又はアリールである。好適なホスホン酸の例としては、無置換ホスホン酸(HPO)及びフェニルホスホン酸が挙げられる。
【0020】
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示に記載のエッチング組成物に触媒を含ませることは、過酸(例えば過酢酸)の形成速度を増加させることができ、過酸はフッ素含有酸と共に、SiGeの除去を増強することができる、と考えられる。また、触媒は、エッチングプロセス中における半導体基板中の特定の誘電材料(例えばSiOx)の除去を顕著に妨げることができると考えられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の触媒は、本開示のエッチング組成物の約0.1重量%以上(例えば、約0.2重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、約0.6重量%以上、約0.8重量%以上、約1重量%以上、約1.2重量%以上、約1.4重量%以上、又は約1.5重量%以上)~約5重量%以下(例えば、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、又は約1重量%以下)の量である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の触媒は、本開示のエッチング組成物に含ませなくてもよい(例えば、エッチング組成物がグリコールを含む場合)。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)有機酸又はその無水物を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸であってもよい。いくつかの実施形態では、前記有機酸無水物は、ギ酸無水物、無水酢酸、無水プロピオン酸、又は酪酸無水物であってもよい。いくつかの実施形態では、前記エッチング組成物は、有機酸と無水物(例えば、前記有機酸の無水物)との両方を含んでいてもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、有機酸又はその無水物は、半導体基板上のSiGeの除去を容易化又は増強することができると考えられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の有機酸又はその無水物は、本開示のエッチング組成物の約30重量%以上(例えば、約35重量%以上、約40重量%以上、約45重量%以上、約50重量%以上、約55重量%以上、又は約60重量%以上)~約90重量%以下(例えば、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、約65重量%以下、約60重量%以下、約55重量%以下、約50重量%以下、約45重量%以下、又は約40重量%以下)であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸(あるいはポリ(ナフタレンスルホン酸))又はその塩を、例えば界面活性剤として又は選択的阻害剤として、含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記重合したナフタレンスルホン酸は、以下の化学構造を有するスルホン酸であってもよい。
【化1】

式中、nは3、4、5、又は6である。このような重合したナフタレンスルホン酸の市販品例としては、竹本油脂株式会社から入手可能なタケサーフA-47シリーズの製品があげられる。理論に拘束されることを望むものではないが、重合したナフタレンスルホン酸又はその塩は、本開示のエッチング組成物を用いて半導体基板からSiGeが除去される際にSiN、ポリシリコン、及びSiCOの除去を選択的に妨げることができると考えられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の重合したナフタレンスルホン酸又はその塩は、本開示のエッチング組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.03重量%以上、約0.04重量%以上、約0.05重量%以上、又は約0.1重量%以上)~約0.15重量%以上、約(例えば、約0.14重量%以下、約0.12重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、約0.06重量%以下、約0.05重量%以下、又は約0.02重量%以下)であってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)ピリジン含有化合物を含んでいてもよい。例えば、前記ピリジン含有化合物は、C1~C6アルキル(例えば、メチル若しくはエチル)で任意に(optionally)置換されたピリジン、ピリジン含有酸、ピリジン含有アルコール、又はそれらの塩(例えば、それらのHCl塩)を含んでいてもよい。好適なピリジン含有化合物の例としては、ピコリン酸、ジピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2-アミノ-イソニコチン酸、イソニコチン酸N-オキシド、4-ピリジル酢酸、3-ピリジル酢酸、2-ピリジル酢酸、4-ピリジンプロパノール、3-ピリジンプロパノール、2-メチルピリジエン、3-メチルピリジン、及びそれらの塩(例えば、酸のHCl塩)、が挙げられる。理論に拘束されることを望むものではないが、ピリジン含有化合物は、本開示のエッチング組成物を用いて半導体基板からSiGeが除去される際に、ホウ素ドープされたSiGe(これは、向上したキャリア移動度のために必要とされる)の除去を選択的に妨げることができると考えられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のピリジン含有化合物は、本開示のエッチング組成物の約0.01重量%以上(例えば、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、約0.05重量%以上、約0.06重量%以上、約0.08重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、又は約0.5重量%以上)~約1重量%以下(例えば、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.2重量%以下、又は約0.1重量%以下)の量である。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)アミンを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記アミンは式(I):N-R(式中、Rは、OH若しくはNHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、RはH、又はOHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルであり、Rは、OHで任意に(optionally)置換されたC1~C8アルキルである)のアミンであってもよい。式(I)の好適なアミンの例としては、ジイソプロピルアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N-(3-アミノプロピル)-ジエタノールアミン、N-オクチルグルカミン、N-エチルグルカミン、N-メチルグルカミン、及び1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノールが挙げられる。理論に拘束されることを望むものではないが、前記アミンは、本開示のエッチング組成物を用いて半導体基板からSiGeが除去される際にSiN、ポリシリコン、及びSiCOの除去を選択的に妨げることができると考えられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のアミンは、本開示のエッチング組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.008重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、又は約0.1重量%以上)~約0.15重量%以下(例えば、約0.14重量%以下、約0.12重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、約0.06重量%以下、又は約0.05重量%以下)であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は水を溶媒として含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記水は、脱イオンされて超純粋であり、有機夾雑物を含まず、最小抵抗率が約4~約17メガオームである、又は約17メガオーム以上である、ものであってもよい。いくつかの実施形態では、前記水は、エッチング組成物の約10重量%以上(例えば、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、又は約40重量%以上)~約50重量%以下(例えば、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、又は約15重量%以下)の量である。理論に拘束されることを望むものではないが、水の量が組成物の50重量%より大きいとそれは、エッチングプロセスの間の除去を最小化すべきであるSi及びSiOxについて高いエッチング速度を生じてしまうであろうと考えられる。一方、理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のエッチング組成物は、他の全ての成分を可溶化した状態に維持し、エッチング性能の低下を回避するために、ある程度の水(例えば、約10重量%以上)を含むべきであると考えられる。加えて、理論に拘束されることを望むものではないが、上記の範囲内へと水の量を減少させることは、エッチングプロセス中における半導体基板中の特定の誘電材料(例えば、ホウ素ドープSiGe)の除去を顕著に妨げることができると考えられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)有機溶媒をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の有機溶媒は、エステル、アルコール、又はアルキレングリコールエーテルを含んでもよい。好適な有機溶媒の例としては、酢酸プロピル、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、及び3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールが挙げられる。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の有機溶媒は、エッチング組成物の約10重量%以上(例えば、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、又は約35重量%以上)~約40重量%以下(例えば、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、又は約15重量%以下)であってもよい。
【0032】
本開示のエッチング組成物がグリコールを含む実施形態では、前記触媒は任意(optional)としてよい(つまり、エッチング組成物中に含まれても、非含有でもよい)。好適なグリコールの例としては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、及びエチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)が挙げられる。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のエッチング組成物中にグリコールを含ませることは、特定の誘電材料(例えばSiOx)のエッチング速度を抑制することができると考えられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)ポリアミン(例えば、ポリエチレンイミン)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のポリアミンは、エッチング組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、又は0.05重量%以上)~約0.5重量%以下(例えば、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、約0.06重量%以下、又は約0.05重量%以下)であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のエッチング組成物中にポリアミンを含ませることは、ホウ素がドープされたSiGeのエッチング速度を抑制することができると考えられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)シラン(例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン)をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のシランは、式(III):
Si-R (III)
のシランを含み、式中、R、R、R、及びRのそれぞれは、独立に、N(RR’)、RC(O)O、C1~C8アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)、N(RR’)若しくはSi(R)で任意に(optionally)置換されたC1~C18アルキル(例えば、メチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、又はオクタデシル)である。R及びR’のそれぞれは、独立に、C1~C10アルキルであり、R、R、及びRのそれぞれは、独立に、C1~C10アルキル又はC1~C10アルコキシである。好適なシランの例としては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、アセトキシトリメチルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、又はビス(トリメトキシシリル)メタンが挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のシランは、エッチング組成物の約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.04重量%以上、又は約0.05重量%以上)~約0.5重量%以下(例えば、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、約0.06重量%以下、又は約0.05重量%以下)であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のエッチング組成物中にシランを含ませることは、ホウ素がドープされたSiGeのエッチング速度を抑制することができると考えられる。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)糖アルコール(例えば、マンニトール又はソルビトール)をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の糖アルコールは、エッチング組成物の0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、又は約0.05重量%以上)~約0.1重量%以下(例えば、約0.08重量%以下、約0.06重量%以下、約0.05重量%以下、約0.04重量%以下、約0.02重量%以下、又は約0.01重量%以下)であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のエッチング組成物中に糖アルコールを含ませることは、ポリシリコンエッチング速度を抑制すると考えられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種の、3種の、又は4種の)ボロン酸をさらに含んでいてもよい。例えば、前記ボロン酸は以下の式:R-B(OH)のボロン酸であってもよく、式中、RはC1~C10アルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、アリール又はヘテロアリールは任意に(optionally)1~6個の(例えば、1個の、2個の、3個の、4個の、5個の、又は6個の)C1~C10アルキルによって置換されていてもよい。好適なボロン酸の例としては、フェニルボロン酸及びナフタレン-1-ボロン酸が挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のボロン酸は、エッチング組成物の約0.01重量%以上(例えば、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、又は約0.3重量%以上)~約0.5重量%以下(例えば、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.08重量%以下、又は約0.05重量%以下)であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のエッチング組成物中にボロン酸を含ませることは、SiOxエッチング速度を抑制することができると考えられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、約0以上の(例えば、約0.2以上の、約0.4以上の、約0.5以上の、約0.6以上の、約0.8以上の、約1以上の、約1.2以上の、約1.4以上の、約1.5以上の、約1.6以上の、約1.8以上の、約2以上の、約2.2以上の、約2.4以上の、若しくは約2.5以上の)及び/又は約3以下の(例えば、約2.8以下の、約2.6以下の、約2.5以下の、約2.4以下の、約2.2以下の、約2以下の、若しくは約1.5以下の)pHを有してもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、3より高いpHを有するエッチング組成物は、顕著に増加したlow-k誘電材料エッチング速度を有しうるため、low-k誘電材料(例えば、SiOx)と比しての十分なSiGe選択性を有さないことになるであろうと考えられる。さらに、0より低いpHを有するエッチング組成物は、強い酸性のために、組成物中の特定の成分を分解するおそれがあると考えられる。
【0040】
加えて、いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は添加剤を任意成分(optional components)として含んでもよく、例えば、pH調整剤、防錆剤、界面活性剤、追加的有機溶媒、殺生物剤、及び消泡剤が挙げられる。好適な添加剤の例としては、アルコール(例えば、ポリビニルアルコール)、有機酸(例えば、イミノ二酢酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、及びリンゴ酸)、並びに無機酸(例えばホウ酸)が挙げられる。好適な消泡剤の例としては、ポリシロキサン消泡剤(例えば、ポリジメチルシロキサン)、ポリエチレングリコールメチルエーテルポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、及びグリシジルエーテルキャップされたアセチレン性ジオールエトキシレート(例えば、参照により本開示に取り込まれる米国特許第6,717,019に記載されたもの)が挙げられる。好適な界面活性剤の例は、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、又は両性であってもよい。
【0041】
一般に、本開示のエッチング組成物は、比較的高いSiGe/誘電材料(例えば、ホウ素ドープされたSiGe(SiGe:B)、SiN、ポリシリコン、又はSiCO)エッチング選択性(つまり、誘電材料エッチング速度に対するSiGeエッチング速度の比が高い)を有することができる。いくつかの実施形態では、前記エッチング組成物は約2以上の(例えば、約3以上の、約4以上の、約5以上の、約6以上の、約7以上の、約8以上の、約9以上の、約10以上の、約15以上の、約20以上の、約30以上の、約40以上の、若しくは約50以上の)及び/又は約500以下の(例えば、約100以下の)SiGe/誘電材料(例えば、SiGe/SiGe:B)エッチング選択性を有しうる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示のエッチング組成物は、前記添加成分のうちの1つ又は複数(複数の場合は任意の組み合わせ)を特に含まない(exclude)ものであってもよい。そのような成分は、ポリマー、酸素スカベンジャー、4級アンモニウム化合物(4級アンモニウム水酸化物(例えばTMAH)及びその塩を含む)、アミン、塩基(例えば、アルカリ塩基(例えばNaOH、KOH、及びLiOH)及び有機塩基)、界面活性剤、消泡剤、フッ化物含有化合物(例えば、HPF、HBF、NHF、及びテトラアルキルアンモニウムフルオリド)、研磨剤、シリケート、2個を超えるヒドロキシ基を含むヒドロキシカルボン酸、カルボン酸及びポリカルボン酸(例えばアミノ基を有さないもの)、シラン(例えばアルコキシシラン)、環状化合物(例えばアゾール(例えばジアゾール、トリアゾール、又はテトラゾール)、トリアジン、及び2個以上の環を含む環状化合物、例えば置換若しくは無置換のナフタレン、若しくは置換若しくは無置換のビフェニルエーテル)、緩衝剤、防錆剤(例えばアゾール防錆剤又は非アゾール防錆剤)、グアニジン、グアニジン塩、ピロリドン、ポリビニルピロリドン、金属塩(例えば金属ハライド)、並びに触媒(例えば、金属含有触媒)からなる群から選択される。
【0043】
本開示のエッチング組成物は単に成分(複数形)を一緒に混合することで調製でき、又はキット中の2つの組成物をブレンドすることで調製することもできる。キット中の第1の組成物は酸化剤(例えば、H)の水溶液であってもよい。キット中の第2の組成物は、2つの組成物のブレンドにより所望の本開示のエッチング組成物が生み出されるように、本開示のエッチング組成物の残りの成分を所定の比で濃縮形態で含んでいてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つのSiGe膜(例えば、SiGeを含む膜)を含む半導体基板をエッチングする方法を特色とする。前記方法は、前記少なくとも1つのSiGe膜を含む半導体基板を本開示のエッチング組成物に接触させて前記SiGe膜を除去することを含んでもよい。前記方法は、前記接触ステップの後で前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすること、及び/又は、前記リンスステップの後で前記半導体基板を乾燥させること、をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記半導体基板中の金属導電体(例えばCu)又は誘電材料(例えば、SiN、ポリシリコン、SiCO、又はホウ素がドープされたSiGe)を実質的に除去しない。例えば、前記方法は、前記半導体基板中の金属導電体又は誘電材料の約5重量%超(例えば、約3重量%超又は約1重量%超)を除去はしない。
【0045】
いくつかの実施形態では、半導体基板中のSiGe膜は、該SiGe膜中に約10原子%以上の(例えば、約12原子%以上の、約14原子%以上の、約15原子%以上の、約16原子%以上の、約18原子%以上の、若しくは約20原子%以上の)Ge及び/又は約65原子%以下の(例えば、約60原子%以下の、約55原子%以下の、約50原子%以下の、約45原子%以下の、約40原子%以下の、約35原子%以下の、約34原子%以下の、約32原子%以下の、約30原子%以下の、約28原子%以下の、約26原子%以下の、約25原子%以下の、約24原子%以下の、約22原子%以下の、約20原子%以下の、約18原子%以下の、約16原子%以下の、若しくは約15原子%以下の)Geを含んでいてもよい。本開示にいて用いられる場合、「原子%」は原子パーセントを指し、これはモルパーセントと等価である。理論に拘束されることを望むものではないが、35原子%超又は10原子%未満のGeを含む膜と比べて、約10原子%~約35原子%のGeを含むSiGe膜はより容易に半導体基板からエッチング組成物によって除去することができると考えられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記エッチング方法は:
(A)SiGe膜を含む半導体基板を準備するステップ;
(B)前記半導体基板を本開示に記載のエッチング組成物と接触させるステップ;
(C)前記半導体基板を1種又は複数種の適切なリンス溶媒でリンスするステップ;及び
(D)任意に(optionally)、(例えば、リンス溶媒を除去するものの、前記半導体基板の一体性を損ない(compromise)はしない任意の適切な手段により)前記半導体基板を乾燥させるステップ
を含む。
【0047】
この方法においてエッチングの対象となるSiGeを含む半導体基板は、有機残渣及び有機金属残渣、並びにある範囲の金属酸化物を含んでもよく、それらのうちの一部又は全てはエッチングプロセス中にも除去されてもよい。
【0048】
本開示に記載の半導体基板(例えばウエハ)は、典型的には、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAs等のIII~V族化合物、又はそれらの任意の組み合わせで構成される。前記半導体基板は、インターコネクトフィーチャ(例えば、金属線及び誘電材料)等の露出した集積回路構造を追加で含んでもよい。インターコネクトフィーチャに用いられる金属及び金属合金は、アルミニウム、銅と合金化したアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、及びタングステン、を含むがこれらに限定されない。前記半導体基板は、層間絶縁体(interlayer dielectrics)層、ポリシリコン層、ケイ素酸化物層、ケイ素窒化物層、ケイ素炭化物層、酸化チタン層、及び炭素ドープケイ素酸化物層も含んでいてもよい。
【0049】
半導体基板は任意の適切な方法でエッチング組成物と接触させられてよく、その例としては、エッチング組成物をタンクに配置して半導体基板を前記エッチング組成物中に浸漬(immersing)させる及び/又は沈める(submerging)、エッチング組成物を半導体基板上にスプレーする、エッチング組成物を半導体基板上に流す(streaming)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0050】
本開示のエッチング組成物は、約85℃の温度まで(例えば、約20℃~約80℃、約55℃~約65℃、又は約60℃~約65℃)効率的に用いることができる。この範囲内ではSiGeのエッチング速度は温度と共に上昇し、このため、より高温でのプロセスはより短い時間で実行することができる。逆に、より低いエッチング温度は、普通は、より長いエッチング時間を必要とする。
【0051】
用いられる具体的なエッチング方法、厚さ、及び温度に依存して、エッチング時間は広い範囲で変動しうる。浸漬バッチ型プロセスでのエッチングの場合、適切な時間の範囲は、例えば、約10分以下(例えば、約1分~約7分、約1分~約5分、又は約2分~約4分)である。シングルウエハプロセスのためのエッチング時間は、約30秒~約5分(例えば、約30秒~約4分、約1分~約3分、又は約1分~約2分)の範囲であってもよい。
【0052】
本開示のエッチング組成物のエッチング能をさらに高める(promote)ために機械的攪拌手段を用いることができる。適切な撹拌手段の例には、エッチング組成物を基板上(over)で循環させること、エッチング組成物を基板上(over)に流す(streaming)又はスプレーすること、エッチングプロセス中に超音波又はメガソニックによる撹拌を行うこと、が含まれる。地面(ground)に対する半導体基板の向きは任意の角度であってよい。水平又は垂直の向きが好ましい。
【0053】
エッチングの後に、前記半導体基板は適切なリンス溶媒で約5秒~約5分、撹拌手段を用いて又は用いずにリンスしてもよい。異なるリンス溶媒を用いる複数のリンスステップを用いてもよい。適切なリンス溶媒の例は、脱イオン(DI)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリジノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、を含むがこれらに限定されない。これに代えて又はこれに加えて、pH8超での水性リンス(例えば希水酸化アンモニウム水溶液)を用いることもできる。リンス溶媒の例は、希水酸化アンモニウム水溶液、脱イオン水、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール、を含むがこれらに限定されない。リンス溶媒は、本開示に記載のエッチング組成物を適用する(apply)のに用いられる手段と同様の手段を用いて適用することができる。エッチング組成物は、リンスステップの開始の前に半導体基板から除去されていてもよいし、リンスステップの開始の際には依然として半導体基板と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、リンスステップで用いられる温度は16℃と27℃の間である。
【0054】
任意に(optionally)、半導体基板はリンスステップの後で乾燥させられる。当業界で知られている任意の適切な乾燥手段を用いることができる。好適な乾燥手段の例としては、スピン乾燥、半導体基板を横切るように乾燥ガスを流すこと、ホットプレート又は赤外線ランプ等の加熱手段を用いて半導体基板を加熱すること、マランゴニ乾燥、rotagoni乾燥、イソプロピルアルコール(IPA)乾燥、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。乾燥時間は用いられる具体的な方法に依存することになるが、典型的には、30秒~数分までのオーダーである。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示に記載のエッチング方法は、本開示に記載の方法により得られる半導体基板から半導体デバイス(例えば、半導体チップ等の集積回路デバイス)を形成することをさらに含む。
【0056】
以下の実施例を参照して本開示をより詳細に説明するが、実施例は例示目的のものであり、実施例が本開示の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例
【0057】
記載されたパーセントは、いずれも、他に断りが無い限りは重量基準(重量%)である。試験中の制御された撹拌は、他に断りが無い限り、1インチの撹拌棒を250rpmで用いて行った。
【0058】
●一般的手順1
●配合ブレンディング
計算された量の溶媒に、配合の残りの成分を、撹拌しながら加えることにより、エッチング組成物のサンプルを調製した。均一な溶液を達成した後、任意的(optional)添加剤を、該添加剤を使用する場合には、添加した。
【0059】
●一般的手順2
●材料及び方法
膜についてのブランケット膜エッチング速度測定を、0.5インチ×1.0インチの評価用テストクーポンへと角切りされた、パターン形成されていない直径300mmの市販ウエハを用いて行った。試験に用いられた一次ブランケット膜材料は、(1)約500オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、20原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe20-1);(2)約250オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、25原子%のGeを含む、ボロンがドープされたSiGe膜(SiGe25:B)、(3)約400オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、30原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe30-1)、(4)約500オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、20原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe20-2)、(5)約500オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、25原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe25)、(6)約530オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、30原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe30-2)、(7)約590オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、50原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe50)、(8)約240オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、65原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe65)、並びに(9)約1250オングストロームの厚さであり、シリコン基板上に堆積された、SiOx膜(SiOx)を含んでいた。
【0060】
ブランケット膜テストクーポンを、処理前及び処理後の厚さについて測定して、ブランケット膜エッチング速度を決定した。処理前及び処理後にWoollam VASEを用いたエリプソメトリーにより膜厚を測定した。
【0061】
●一般的手順3
●ビーカーテストによるエッチング評価
250rpmで連続して撹拌しながら100gのサンプル溶液を含む125mLガラスビーカー内で全ブランケット膜エッチング試験を室温(21~23℃)又は指定された調整温度で行ったが、ここで蒸発による損失を最小化するためにキャップを常に所定の位置としておいた。一面がサンプル溶液に曝されたブランケット絶縁膜(dielectric film)を有する全てのブランケットテストクーポンを、ビーカースケールの試験のために、ダイアモンドスクライブで0.5インチ×1.0インチ平方のテストクーポンサイズへと角切りした。それぞれの個別テストクーポンは、単一の4インチ長のロック付きプラスチックピンセットクリップを用いて定位置へと保持された。一端をロック付きピンセットクリップによって保持されたテストクーポンを100mL(600mLを取消)PFA瓶中に吊し、100g(200gを取消)の試験溶液に、溶液を連続的に250rpm、室温(又は指定された調整温度)で撹拌しながら浸漬した。(一般的手順3Aで指定された)処理時間が経過するまで、前記テストクーポンを前記撹拌された溶液中に静的に保持した。試験溶液中での処理時間が経過した後、サンプルクーポンは前記125mL PFA瓶からすぐに取り出し、一般的手順3Aに従ってリンスした。最後のIPAリンスステップ後に、全てのテストクーポンを、手持ち窒素ガスブロアーを用いたフィルター済み窒素ガス吹き飛ばし(blow off)ステップに供して、IPAの全ての痕跡を強制的に除去して、試験測定用の最終的な乾燥サンプルを製造した。
【0062】
一般的手順3A(ブランケットテストクーポン)
一般的手順3による2~10分の処理時間の直後に、クーポンを、300mL量の超高純度脱イオン(DI)水に穏やかに撹拌しながら15秒浸漬し、次に300mLのイソプロピルアルコール(IPA)に穏やかに撹拌しながら15秒浸漬し、そして、300mLのIPA中で穏やかに撹拌しながら15秒最終リンスした。処理は一般的手順3に従って完了させた。
【0063】
●実施例1
配合例1~31(FE-1~FE-31)を一般的手順1に従って調製した。配合は表1にまとめられている。
【0064】
【表1】

APDA = N-(3-アミノプロピル)-ジエタノールアミン
AA = 酢酸
PEI = ポリエチレンイミン
PG = プロピレングリコール
2-PA = 2-ピコリン酸
DPA = ジピコリン酸
NA = ニコチン酸
INA = イソニコチン酸
2-AINA = 2-アミノ-イソニコチン酸
INA-NO = イソニコチン酸N-オキシド
4-PAA HCl = 4-ピリジル酢酸HCl塩
3-PAA HCl = 3-ピリジル酢酸HCl塩
2-PAA HCl = 2-ピリジル酢酸HCl塩
4-PP = 4-ピリジンプロパノール
3-PP = 3-ピリジンプロパノール
PA = 酢酸プロピル
3-APTES = 3-アミノプロピルトリエトキシシラン
2-MP = 2-メチルピリジン
【0065】
配合例1~31(FE-1~FE-31)は、20原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe20-1)を有するブランケットウエハ及び25原子%のGeを含むホウ素がドープされたSiGe膜(SiGe25:B)を有するブランケットウエハに対するエッチング速度について、一般的手順2及び3Aに従って評価された。SiGe膜は25℃で1分間エッチングし、ホウ素ドープされたSiGe膜は25℃で2分間エッチングした。評価結果は表2にまとめられている。
【0066】
【表2】

ER = エッチング速度
【0067】
表2に示すように、FE-1~FE-31は全て、比較的高いSiGe20/SiGe25:Bエッチング選択性を示した。言い換えれば、これらの配合物は、エッチングプロセス中における半導体基板上の露出されたホウ素ドープSiGeの除去を最小化しながらSiGe膜を効率的に除去することができた。
【0068】
比較配合例1~6(CFE-1~CFE-6)は一般的手順1に従って調製した。配合は表3にまとめた。
【0069】
【表3】

PBA = フェニルボロン酸
PGDA = プロピレングリコール二酢酸
PSSA = ポリ(4-スチレンスルホン酸)
PHA = リン酸
PEG8000 = ポリエチレングリコール(MW=8000)
【0070】
比較配合例1~6(CFE-1~CFE-6)は、SiGe20-1膜を含むブランケットウエハ及びSiGe25:B膜を含むブランケットウエハに対するエッチング速度について、一般的手順2及び3Aに従って評価された。SiGe膜は25℃で1分間エッチングし、ホウ素ドープされたSiGe膜は25℃で2分間エッチングした。評価結果は表4にまとめられている。
【表4】
【0071】
表3に示されるように、CFE-1~CFE-6は硫酸もピリジン含有化合物も含まず、CFE-1及びCFE-2はタケサーフA-47Qも含まなかった。その結果、表4は、これらの配合物が比較的高いSiGe25:Bエッチング速度、及び比較的低いSiGe20/SiGe25:Bエッチング速度選択性を示したことを示している。
【0072】
●実施例2
配合例32~42(FE-32~FE-42)は一般的手順1に従って調製した。配合は表5にまとめられている。
【表5】

【0073】
配合例32~42(FE-32~FE-42)は、30原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe30-1)を有するブランケットウエハ及びSiOx膜を含むブランケットウエハに対するエッチング速度について、一般的手順2及び3Aに従って評価された。SiGe30膜は25℃で1分間エッチングし、SiOx膜は25℃で2分間エッチングした。FE-32~FE-38は、SiGe25:B(25℃で2分間)、SiGe20-2(25℃で1分間)、SiGe25(25℃で1分間)、SiGe30-2(25℃で1分間)、SiGe50(25℃で1分間)、及びSiGe65(25℃で15秒)に対するエッチング速度についても評価された。評価結果は表6にまとめられている。
【0074】
【表6】

N/A = 該当なし(not available)
【0075】
表6に示されるように、FE-32~FE-42は、ピリジン含有化合物を含んでいなかったにもかかわらず、全て、比較的高いSiGe30エッチング速度を示した。加えて、表6は、比較的低量のHFを含む配合物(例えば、FE-38)はSiOxエッチング速度を顕著に減少させ、それによりエッチングプロセス中におけるSiOx除去を妨げることを示している。さらに、以上の結果は、SiGe膜が増加した量のGeを含む場合にFE-32~FE-38が増加したSiGeエッチング速度を示したことを示している。
【0076】
●実施例3
配合例43~55(FE-43~FE-55)は、一般的手順1に従って調製した。配合は表7にまとめられている。
【表7】

MTMS = メチルトリメトキシシラン
DMATMS = ジメチルアミノトリメチルシラン
ATMS = アセトキシトリメチルシラン
OTMS = オクチルトリメトキシシラン
BTMS = ブチルトリメトキシシラン
DDTMS = ドデシルトリメトキシシラン
HTMS = ヘキシルトリメトキシシラン
ODTMS = オクタデシルトリメトキシシラン
BTMSM = ビス(トリメトキシシリル)メタン
【0077】
配合例43~44(FE-43~FE-44)は、20原子%のGeを含むSiGe膜(SiGe20-1)を有するブランケットウエハ及び25原子%のGeを含むホウ素がドープされたSiGe膜(SiGe25:B)を有するブランケットウエハに対するエッチング速度について、一般的手順2及び3Aに従って評価された。SiGe20膜は25℃で1分間エッチングし、SiGe25:B膜は25℃で2分間エッチングした。評価結果は表8にまとめられている。
【0078】
【表8】
【0079】
表8に示すように、(シランを含む)FE-43~FE-50及びFR52~FE-55は、比較的低いSiGe25:Bエッチング速度及び比較的高いSiGe20/SiGe25:Bエッチング選択性を示した。言い換えれば、これらの配合物は、エッチングプロセス中における半導体基板上の露出されたホウ素ドープSiGeの除去を最小化しながらSiGe膜を効率的に除去することができた。
【0080】
●実施例4
配合例56及び57(FE-56及びFE-57)は一般的手順1に従って調製された。配合は表9にまとめられている。
【0081】
【表9】
【0082】
配合例56及び57(FE-56及びFE-57)は、以下の膜を含むブランケットウエハに対するエッチング速度について一般的手順2及び3Aに従って評価された:SiOx(25℃で2分間)、SiGe25:B(25℃で2分間)、SiGe20-2(25℃で1分間)、SiGe25(25℃で1分間)、SiGe30-2(25℃で1分間)、SiGe50(25℃で1分間)、及びSiGe65(25℃で15秒)。評価結果は表10にまとめられている。
【0083】
【表10】

【0084】
表10に示されるように、HF及び水の量を減少させることにより、FE-56及びFE-57は全て、比較的低いSiOxエッチング速度及び比較的低いSiGe25:Bエッチング速度を示し、そのことによりエッチングプロセス中におけるSiOx及びSiGE25:B除去を妨げた。さらに、以上の結果は、FE-56及びFE-57が比較的良好なSiGe/SiGe25:Bエッチング選択性を示したことを示している。
【0085】
●実施例5
配合例58及び59(FE-58及びFE-59)は一般的手順1に従って調製された。配合は表11にまとめられている。
【表11】

3-MP = 3-メチルピリジン
【0086】
配合例58及び59(FE-58及びFE-59)は、以下の膜を含むブランケットウエハに対するエッチング速度について一般的手順2及び3Aに従って評価された:SiOx(25℃で2分間)、SiGe20-1(25℃で1分間)、及びSiGe25:B(25℃で2分間)。評価結果は表12にまとめられている。
【0087】
【表12】

【0088】
表11に示されるように、FE-58は硫酸を含んでおらず、有機溶媒としてプロピレングリコールを含んでいた一方、FE-59は硫酸を含んでおらず、触媒としてのメタンスルホン酸及び有機溶媒としてのプロピレングリコールを含んでいた。表12は両方の配合物が比較的低いSiOxエッチング速度及び比較的高いSiGe20/SiGe25:Bエッチング選択性を示したことを示している。
【0089】
本発明をその特定の実施形態を参照して詳細に説明してきたが、改変及びバリエーションもまた、記載されまた特許請求された事項の精神及び範囲内にあることが理解されるであろう。
【国際調査報告】