(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ディスプレイ及び光学フィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20230922BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20230922BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20230922BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20230922BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230922BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G02B5/20
H10K59/35
H10K59/38
G02B5/28
G09F9/30 349B
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516653
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 IB2021057407
(87)【国際公開番号】W WO2022058812
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】メンケ,スティーブン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,アダム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴトリック,ケビン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,ニコラス シー.
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
2H148AA01
2H148AA12
2H148AA18
2H148AA22
2H148AA24
2H148GA01
2H148GA12
2H148GA22
2H148GA24
2H148GA32
2H148GA61
2H149AA18
2H149DA01
2H149DA02
2H149DA12
2H149FA08Y
2H149FA41Y
2H149FD04
3K107AA01
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3K107EE24
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3K107EE26
3K107FF06
3K107FF15
5C094BA27
5C094ED03
(57)【要約】
ディスプレイは、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて、発光ピークを有する複数の青色発光画素、緑色発光画素、及び赤色発光画素を含む画素化発光面を含む。ディスプレイは、複数の青色、緑色、及び赤色発光画素に一対一に対応して位置合わせされた複数の青色発光源を含む。光学フィルムが、発光面と複数の青色発光源との間に配置される。青色発光源と対応する青色発光画素との間に配置された光学フィルムの各領域は、青色ピーク波長を有する実質的な垂直入射光の少なくとも70%を透過する。各青色発光源とこれに対応する緑色発光画素又は赤色発光画素との間に配置された光学フィルムの各領域は、青色ピーク波長を有する実質的な垂直入射光の少なくとも50%を反射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素化発光面であって、前記発光面において画像を表示するように構成され、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて青色発光ピーク、緑色発光ピーク、及び赤色発光ピークのそれぞれを含む青色発光スペクトル、緑色発光スペクトル、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する、複数の青色発光画素、緑色発光画素、及び赤色発光画素を含む、画素化発光面と、
前記複数の青色、緑色、及び赤色の発光画素に一対一に対応して位置合わせされた複数の青色発光源であって、各青色発光源は、前記青色ピーク波長において前記青色発光ピークを含む前記青色発光スペクトルを実質的に有する、複数の青色発光源と、
前記発光面と前記複数の青色発光源との間に配置され、それらと実質的に同一の広がりを有し、合計で少なくとも10個の複数の層を含む光学フィルムであって、各層が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的な垂直入射光に対して、かつ相互に直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、
各青色発光源とこれに対応する青色発光画素との間に配置された前記光学フィルムの各領域は、前記青色ピーク波長を有する前記入射光の少なくとも70%を透過し、
各青色発光源とこれに対応する緑色発光画素又は赤色発光画素との間に配置された光学フィルムの各領域は、前記緑色及び赤色ピーク波長の各々について前記入射光の少なくとも70%を透過し、前記青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも50%を反射する、光学フィルムと、
を備える、ディスプレイ。
【請求項2】
実質的な垂直入射光に対して、かつ前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態の各々に対して、
各青色発光源とこれに対応する青色発光画素との間に配置された前記光学フィルムの各領域について、前記複数の層は、前記青色ピーク波長を有する前記入射光の少なくとも80%を透過し、
各青色発光源とこれに対応する緑色発光画素又は赤色発光画素との間に配置された前記光学フィルムの各領域について、前記複数の層は、前記緑色ピーク波長及び前記赤色ピーク波長の各々について前記入射光の少なくとも80%を透過し、前記青色ピーク波長を有する前記入射光の少なくとも80%を反射する、
請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記光学フィルムと前記複数の青色発光源との間に配置され、複数の緑色光変換領域及び赤色光変換領域を含む光変換フィルムを更に備え、
各緑色光変換領域は、各緑色発光画素とこれに対応する青色発光源との間に配置され、前記青色発光源によって放射された青色光の少なくとも一部を変換された緑色光に変換し、前記変換された緑色光を前記光学フィルムを通して前記緑色発光画素に向けて透過するように構成されており、
各赤色光変換領域は、各赤色発光画素とこれに対応する青色発光源との間に配置され、前記青色発光源によって放射された青色光の少なくとも一部を変換された赤色光に変換し、前記変換された赤色光を前記光学フィルムを通して前記赤色発光画素に向けて透過するように構成されている、
請求項1又は2の記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記光変換フィルムは、蛍光体、蛍光染料、及び量子ドットのうちの1つ以上を含む、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記複数の層のうちの前記層の少なくともいくつかは、ポリマー性である、請求項1~4のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記複数の層のうちの前記層の少なくともいくつかは、無機性である、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記複数の層における各層の最大複屈折率は、前記青色ピーク波長、前記緑色ピーク波長、及び前記赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて約0.01未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項8】
合計で少なくとも20個の複数の層を含む多層連続光学フィルムであって、前記複数の層の各々は約500nm未満の平均厚さを有し、前記多層連続光学フィルムは、複数の少なくとも交互の第1の領域及び第2の領域を含み、前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域の行及び列に沿って配置され、ディスプレイの複数の画素に一対一に対応して位置合わせされるように構成され、約400nm~約2000nmの間の所望の波長範囲内の波長を有する実質的な垂直入射光に対して、かつ相互に直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、
前記多層連続光学フィルムの前記第1の領域は、前記所望の波長範囲内の第1の波長を有する前記入射光の少なくとも70%を透過し、前記所望の波長範囲内の第2の波長を有する前記入射光の少なくとも70%を反射し、
前記多層連続光学フィルムの前記第2の領域は、前記第1の波長を有する前記入射光の少なくとも70%を反射し、前記第2の波長を有する前記入射光の少なくとも70%を透過する、
多層連続光学フィルム。
【請求項9】
前記複数の層のうちの前記層は、ポリマー性である、請求項8に記載の多層連続光学フィルム。
【請求項10】
前記複数の層のうちの前記層は、無機性である、請求項8に記載の多層連続光学フィルム。
【請求項11】
前記複数の層は、交互のポリマー層及び無機層を含む、請求項8に記載の多層連続光学フィルム。
【請求項12】
前記複数の層のうちの各層は、相互に直交する面内のx方向及びy方向のそれぞれに沿った屈折率nx及びnyと、前記x方向及び前記y方向に直交する前記層の厚さ方向に沿った屈折率nzとを含み、nx、ny、及びnzの最大差の大きさが、前記第1の波長及び前記第2の波長のうちの少なくとも1つについて約0.01未満である、請求項8~11のいずれか一項に記載の多層連続光学フィルム。
【請求項13】
ディスプレイであって、前記ディスプレイの発光面において画像を表示するように構成され、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて青色発光ピーク、緑色発光ピーク、及び赤色発光ピークのそれぞれを含む青色発光スペクトル、緑色発光スペクトル、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する、複数の青色発光画素、緑色発光画素、及び赤色発光画素を備え、各発光画素は、
前記青色ピーク波長において前記青色発光ピークを含む前記青色発光スペクトルを実質的に有する青色発光源と、
前記発光面と前記青色発光源との間に配置され、合計で少なくとも10個の複数の層を含む多層光学フィルムであって、各層が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的な垂直入射光に対して、かつ相互に直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、
各青色発光画素における前記複数の層は、前記青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも70%を透過し、
前記緑色発光画素及び前記赤色発光画素の各々における前記複数の層は、前記青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも70%を反射し、前記緑色ピーク波長及び前記赤色ピーク波長の各々について前記入射光の少なくとも70%を透過する、多層光学フィルムと、
を備える、ディスプレイ。
【請求項14】
前記複数の発光画素内の前記多層光学フィルムは、連続光学フィルムを形成する、請求項13に記載のディスプレイ。
【請求項15】
緑色発光画素及び赤色発光画素の各々について、前記多層光学フィルムの前記複数の層は、前記多層光学フィルムの厚さ方向に沿って積層された交互の第1の層及び第2の層を含み、前記青色ピーク波長、前記緑色ピーク波長、及び前記赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて、前記第1の層の第1の屈折率は、前記第2の層の第2の屈折率よりも少なくとも約0.2大きい、請求項13又は14に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、青色発光層と、青色光から緑色光及び赤色光を生成する緑色変換材料及び赤色変換材料とを含むことができる。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、概して、ディスプレイ及び光学フィルムに関する。光学フィルムは、光学フィルムの異なる領域において異なる反射率を有するようにパターン化することができる。ディスプレイは、ディスプレイの発光面と複数の青色発光源との間に配置された光学フィルムを含むことができる。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイが提供される。ディスプレイは、発光面において画像を表示するように構成され、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて青色発光ピーク、緑色発光ピーク、及び赤色発光ピークのそれぞれを含む青色発光スペクトル、緑色発光スペクトル、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する、複数の青色発光画素、緑色発光画素、及び赤色発光画素を含む、画素化発光面を含む。ディスプレイは、複数の青色、緑色、及び赤色発光画素に一対一に対応して位置合わせされた複数の青色発光源を含む。各青色発光源は、青色ピーク波長において青色発光ピークを含む青色発光スペクトルを実質的に有する。ディスプレイは、発光面と複数の青色発光源との間に配置され、それらと実質的に同一の広がりを有し、合計で少なくとも10個の複数の層を含む光学フィルムを含み、各層は約500nm未満の平均厚さを有する。実質的な垂直入射光に対して、かつ相互に直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、青色発光源とこれに対応する青色発光画素との間に配置された光学フィルムの各領域は、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも70%を透過し、青色発光源とこれに対応する緑色発光画素又は赤色発光画素との間に配置された光学フィルムの各領域は、緑色ピーク波長及び赤色ピーク波長の各々について入射光の少なくとも70%を透過し、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも50%を反射する。
【0004】
本開示のいくつかの態様では、合計で少なくとも20個の複数の層を含む多層連続光学フィルムが提供され、層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。多層連続光学フィルムは、第1の領域及び第2の領域の行及び列に沿って配置され、ディスプレイの複数の画素に一対一に対応して位置合わせされるように構成されている、複数の少なくとも交互の第1の領域及び第2の領域を含む。約400nm~約2000nmの間の所望の波長範囲内の波長を有する実質的な垂直入射光に対して、かつ相互に直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、多層連続光学フィルムの第1の領域は、所望の波長範囲内の第1の波長を有する入射光の少なくとも70%を透過し、所望の波長範囲内の第2の波長を有する入射光の少なくとも70%を反射し、多層連続光学フィルムの第2の領域は、第1の波長を有する入射光の少なくとも70%を反射し、第2の波長を有する入射光の少なくとも70%を透過する。
【0005】
本開示のいくつかの態様では、ディスプレイの発光面において画像を表示するように構成された、複数の青色発光画素、緑色発光画素、及び赤色発光画素を含むディスプレイが提供される。青色発光画素、緑色発光画素、及び赤色発光画素は、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて青色発光ピーク、緑色発光ピーク、及び赤色発光ピークのそれぞれを有する、青色発光スペクトル、緑色発光スペクトル、及び赤色発光スペクトルを有する。各発光画素は、青色ピーク波長において青色発光ピークを含む青色発光スペクトルを実質的に有する青色発光源と、発光面と青色発光源との間に配置され、合計で少なくとも10個の複数の層を含む多層光学フィルムであって、各層が約500nm未満の平均厚さを有する、多層光学フィルムとを含む。実質的な垂直入射光に対して、かつ相互に直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、各青色発光画素における複数の層は、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも70%を透過し、緑色発光画素及び赤色発光画素の各々における複数の層は、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも70%を反射し、緑色ピーク波長及び赤色ピーク波長の各々について入射光の少なくとも70%を透過する。
【0006】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2A】例示的な青色発光スペクトル、緑色発光スペクトル、及び赤色発光スペクトル、並びに例示的な光学フィルムの一部分の光反射率の概略図である。
【
図2B】例示的な青色発光スペクトル、緑色発光スペクトル、及び赤色発光スペクトル、並びに例示的な光学フィルムの一部分の光反射率の概略図である。
【
図4A】例示的なパターン化された光学フィルムの概略断面図である。
【
図4B】例示的なパターン化された光学フィルムの概略断面図である。
【
図4C】例示的なパターン化された光学フィルムの概略断面図である。
【
図4D】例示的なパターン化された光学フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施され得る点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0009】
青色発光源と、放射された青色光から緑色光及び赤色光を生成する緑色変換材料及び赤色変換材料とを含む有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、当該技術分野で知られており、例えば、韓国特許出願公開第10-2017-0096583号(Parkら)に記載されている。そのようなディスプレイは、緑色発光源又は赤色発光源(緑色発光OLED層又は赤色発光OLED層)を含むことなく、青色発光源(青色発光OLED層)を含んでもよい。ディスプレイは、緑色変換材料及び赤色変換材料を透過した未変換青色光を吸収するためのカラーフィルタを含んでもよい。しかしながら、そのような光を吸収することは、ディスプレイの効率を低下させる。代替案は、緑色変換材料及び赤色変換材料を含む光変換領域に光散乱粒子を含めることである。これは、光変換領域における光の有効経路長を増加させ、したがって、緑色光又は赤色光に変換される青色光の割合を増加させる。しかしながら、散乱粒子を含めることは、その領域を透過した光の偏光を乱す可能性がある。このことは、OLEDディスプレイに典型的に含まれる円偏光子が、偏光保存性でない要素がディスプレイの円偏光子と反射要素との間に含まれるときに周囲反射を低減するのにそれほど有効ではないので、ディスプレイからの周囲反射を増加させる望ましくない影響を有し得る。本明細書のいくつかの実施形態によれば、パターン化された光学フィルムは、円偏光子と光変換層との間に含まれる。光学フィルムは、青色画素に対応する領域において青色光に対して実質的に透過性であり、赤色画素及び緑色画素に対応する領域において青色光に対して実質的に反射性であることができ、それにより、光学フィルムを含む結果、緑色変換材料及び赤色変換材料を透過した未変換青色光が再利用される。これにより、低い周囲反射を犠牲にすることなく、青色から緑色への色変換効率及び青色から赤色への色変換効率を改善することができる。
【0010】
図1は、いくつかの実施形態によるディスプレイ200の概略断面図である。ディスプレイ200は、画素化発光面10であって、発光面10に画像17を表示するように構成され、複数の青色発光画素(10b)、緑色発光画素(10g)、及び赤色発光画素(10r)を含む、画素化発光面と、複数の青色、緑色、及び赤色発光画素に一対一の対応で位置合わせされた複数の青色発光源30と、発光面と複数の青色発光源との間に配置され、それらと実質的に同一の広がりを有する光学フィルム40と、を含むことができる。青色発光源30は、例えば、OLED又はLED(例えば、ミニロLED又はマイクロLED、量子ドットLED、又は量子ナノロッドLED)源などの任意の青色発光源であり得る。光学フィルム40は、画素化発光面10に実質的に適合してもよい(例えば、光学フィルム40は、画素化発光面10に実質的に平行な平面内に配置されてもよく、又は光学フィルムは、曲面ディスプレイの場合、画素化発光面10の形状に概ね従うように湾曲していてもよい)。ディスプレイ200は、画素化発光面10のそれぞれの複数の青色発光画素(10b)、緑色発光画素(10g)、及び赤色発光画素(10r)を画定する複数の青色発光画素(70b)、緑色発光画素(70g)、及び赤色発光画素(70r)を含むものとして説明することができ、青色発光画素(70b)、緑色発光画素(70g)、及び赤色発光画素(70r)の各々は、青色発光源30と、青色発光源30と画素化発光面10との間のフィルム又は層の対応する部分とを含む。
【0011】
層又は要素は、各層又は各要素の面積の少なくとも約60%が、他の各層又は各要素の面積の少なくとも約60%と同一の広がりを有する場合に、互いに実質的に同一の広がりを有するとして説明することができる。いくつかの実施形態では、互いに実質的に同一の広がりを有するとして説明される層又は要素に関しては、各層又は各要素の面積の少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%が、他の各層又は各要素の面積の少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%と同一の広がりを有する。複数の個別の要素の層の場合、この文脈における面積は、複数の個別の要素によって画定される領域の外側境界内の面積である。例えば、複数の青色発光源30の面積は、青色発光源30が隣接する発光源間に間隙を有して配置される場合であっても、画素化発光面10の全面積であると理解することができる。
【0012】
ディスプレイ200は、光学フィルム40と複数の青色発光源30との間に配置され、複数の緑色光変換領域(60g)及び赤色光変換領域(60r)を含む光変換フィルム60を含むことができ、各緑色光変換領域60gは、各緑色発光画素10gとこれに対応する青色発光源30との間に配置され、青色発光源30によって放射された青色光77bの少なくとも一部を変換された緑色光77gに変換し、変換された緑色光77gを光学フィルム40を通して緑色発光画素10gに向けて透過するように構成されており、各赤色光変換領域60rは、各赤色発光画素10rとこれに対応する青色発光源30との間に配置され、青色発光源30によって放射された青色光77bの少なくとも一部を変換された赤色光77rに変換し、変換された赤色光77rを光学フィルム40を通して赤色発光画素10rに向けて透過するように構成されている。光変換フィルム60は、例えば、自立フィルムであってもよく、又は青色発光源30上に形成された非自立層(単数又は複数)又はコーティングであってもよい。光変換フィルム60は、例えば、印刷され、コーティングされ、堆積され、又はリソグラフィによってパターン化されてもよい。光変換フィルム60は、青色発光画素10bに対応する青色発光源30によって放射された青色光77bを波長変換せずに透過するように構成されてもよい。青色発光源30とこれに対応する青色発光画素10bとの間に配置された光学フィルム40の領域40bは、青色光77bを実質的に透過し得る。青色発光源30とこれに対応する緑色発光画素10g又は赤色発光画素10rとの間に配置された光学フィルム40の領域40g、40rは、変換された緑色光77g又は赤色光77rを実質的に透過し得る一方で、青色光77bの未変換部分77b’を実質的に反射し得る。
【0013】
光変換フィルム60は、それぞれの光変換領域60g、60r内に光変換要素61g、61rを含むことができる。光変換要素61g、61rは、例えば、蛍光体、蛍光染料、又は量子ドットとすることができる。いくつかの実施形態では、光変換フィルム60は、蛍光体、蛍光染料、及び量子ドットのうちの1つ以上を含む。光変換フィルムに好適なダウンコンバート材料は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第10,316,245号(Nelsonら)、同第10,156,754号(Sanetoら)、及び同第7,892,382号(Bellmannら)、米国特許出願公開第2013/0335677号(You)及び同第2017/0371205号(Pelleriteら)、並びにこれらに提供される参考文献に記載されるものが挙げられる。いくつかの実施形態において、光変換フィルム60は蒸着される。光変換フィルムを蒸着する好適な方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第8,487,329号(Von Malm)に記載されているものが挙げられる。
【0014】
ディスプレイ200は、画素化発光面10と光学フィルム40との間に配置され、それらと実質的に同一の広がりを有する、吸収偏光子90、リターダ層80、光学フィルタ100(例えば、減光フィルタ)のうちの1つ以上を更に含むことができる。当技術分野で知られているように、OLEDディスプレイは、典型的には、周囲反射を低減するために円偏光子を含む。同様に、円偏光子は、周囲反射を低減するために他のタイプのディスプレイ(例えば、マイクロLEDディスプレイ)に含まれてもよい。円偏光子85は、吸収偏光子90及びリターダ層80から形成することができる。周囲反射を更に低減するために、減光フィルタを任意選択的に含めることができる。いくつかの実施形態では、周囲反射は、減光フィルタなしで適切に低い。いくつかの実施形態では、光学フィルタ100は省略される。
【0015】
図2A及び
図2Bは、いくつかの実施形態による、青色発光スペクトル、緑色発光スペクトル、及び赤色発光スペクトル、並びに光学フィルムの一部分の光反射率の概略図である。複数の青色発光画素(10b)、緑色発光画素(10g)、及び赤色発光画素(10r)は、青色ピーク波長(13b)、緑色ピーク波長(13g)、及び赤色ピーク波長(13r)のそれぞれにおいて、青色発光ピーク(12b)、緑色発光ピーク(12g)、及び赤色発光ピーク(12r)のそれぞれを含む青色発光スペクトル(11b)、緑色発光スペクトル(11g)、及び赤色発光スペクトル(11r)をそれぞれ有する。
図2Aの光反射率R及び対応する光透過率Tは、青色発光源30とこれに対応する青色発光画素10bとの間に配置された光学フィルムの一部分の反射率及び対応する透過率であり得る。
図2Bの光反射率R1及び対応する光透過率T1は、青色発光源30と、これに対応する緑色発光画素(10g)又は赤色発光画素(10r)との間に配置された光学フィルムの一部分の反射率及び対応する透過率であり得る。他の実施形態では、
図2Bの光反射率R2及び対応する光透過率T2は、青色発光源30とこれに対応する緑色発光画素(10g)又は赤色発光画素(10r)との間に配置された光学フィルムの一部分の反射率及び対応する透過率であり得る。これらの実施例における光透過率は、100%から光反射率を減算した値である(すなわち、光吸収は無視できると解釈される)。他の箇所で更に説明されるように、光学フィルム40は、所望の反射スペクトルを提供するように構成された複数の層を含むことができ、層の少なくともいくつかは、青色発光画素において赤色発光画素又は緑色発光画素とは異なる厚さ又は光学特性を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光50(例えば、垂直入射又は名目上垂直入射の30度以内、又は20度以内、又は10度以内の光)に対して、かつ相互に直交する第1の(例えば、x軸に沿って偏光された)偏光状態及び第2の(例えば、y軸に沿って偏光された)偏光状態の各々に対して、各青色発光源30とこれに対応する青色発光画素10bとの間に配置された光学フィルム40の各領域40bは、青色ピーク波長13bを有する入射光50の少なくとも70%を透過し(例えば、
図2Bの光透過率T1又はT2を参照)、各青色発光源30とこれに対応する緑色発光画素(10g)又は赤色発光画素(10r)との間に配置された光学フィルムの各領域40g、40rは、緑色ピーク波長(13g)及び赤色ピーク波長(13r)の各々について入射光50の少なくとも70%を透過し(例えば、
図2Aの光透過率Tを参照)、青色ピーク波長13bを有する入射光の少なくとも50%を反射する(例えば、
図2Aの光反射率Rを参照)。いくつかの実施形態において、青色ピーク波長13bは、約420nm~約460nmの間であり、緑色ピーク波長13gは、約510nm~約560nmの間であり、赤色ピーク波長13rは、約610nm~約670nmの間である。いくつかの実施形態では、各青色発光画素70bにおける光学フィルム、又は光学フィルムの複数の層は、緑色ピーク波長(13g)及び赤色ピーク波長(13r)の各々について、入射光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%を反射する(例えば、
図2BのR2を参照)。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、青色発光画素70bにおける緑色光及び赤色光を反射して、例えば、赤色画素又は緑色画素内の光学フィルムから反射し、次いで青色発光源30の層から、又はディスプレイ内の他の層から青色画素に向かって反射する赤色光又は緑色光に起因して別様に発生し得る、画素ぼけを低減するように構成される。あるいは又は加えて、光学フィルムは、より多くの光学層を含み、
図2Aに示される反射Rに対してより鋭い右帯域端を画定し、緑色波長及び赤色波長における反射の低減をもたらすことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光50に対して、相互に直交する第1の(例えば、x軸に沿って偏光された)偏光状態及び第2の(例えば、y軸に沿って偏光された)偏光状態の各々に対して、並びに各青色発光源30とこれに対応する青色発光画素10bとの間に配置された光学フィルムの各領域40bについて、領域40b又は領域40b内の光学フィルム40の複数の層は、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも75%、又は80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は99%、又は99.9%を透過する。いくつかのそのような実施形態において、又は他の実施形態において、実質的な垂直入射光50に対して、相互に直交する第1の偏光状態(例えば、x軸)及び第2の偏光状態(例えば、y軸)の各々に対して、並びに各青色発光源30とこれに対応する緑色発光画素(10g)又は赤色発光画素(10r)との間に配置された光学フィルムの各領域(40g、40r)に対して、領域又は領域内の光学フィルム40の複数の層は、緑色ピーク波長及び赤色ピーク波長の各々について入射光の少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%を透過する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、実質的な垂直入射光50に対して、相互に直交する第1の偏光状態(例えば、x軸)及び第2の偏光状態(例えば、y軸)の各々に対して、並びに各青色発光源30とこれに対応する緑色発光画素(10g)又は赤色発光画素(10r)との間に配置された光学フィルム40の各領域(40g、40r)に対して、領域又は領域内の光学フィルム40の複数の層は、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%を反射する。例えば、いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光に対して、かつ第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、各青色発光源とこれに対応する青色発光画素との間に配置された光学フィルムの各領域について、複数の層は、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも80%を透過し、青色発光源と対応する緑色発光画素又は赤色発光画素との間に配置された光学フィルムの各領域について、複数の層は、緑色ピーク波長及び赤色ピーク波長の各々について入射光の少なくとも80%を透過し、青色ピーク波長を有する入射光の少なくとも80%を反射する。いくつかの実施形態では、光学フィルム40は、例えば、青色発光画素10bに対応する光学フィルム40の領域40bに貫通開口を含む。そのような貫通開口は、領域40bにおいて光学フィルムに入射する光の高い透過率を提供することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、各青色発光源30は、青色ピーク波長13bにおいて青色発光ピーク12bを含む青色発光スペクトル11bを実質的に有する。いくつかの実施形態では、各青色発光源30の発光スペクトルが青色発光画素10bの発光スペクトル11bと同じ又はほぼ同じであり得るように、青色発光源30と青色発光画素10bとの間に実質的にダウンコンバート要素又はカラーシフト要素が存在しなくてもよい。本明細書で使用される場合、発光スペクトルは、それらが全体的な正規化まで同じである場合、同じであるとみなすことができ、したがって、減光フィルタ又は他の中性吸収(neutral absorptive)要素(例えば、円偏光子)を含めることは、発光スペクトルを変化させないと考えられる。異なる発光スペクトルは、スペクトルが強度対波長のプロット上で同じ全体的形状を有し、ほぼ同じピーク波長においてピークを有する場合、実質的に同じであると考えることができる。
【0019】
図3は、いくつかの実施形態による複数の層41及び42を含む光学フィルム40の概略断面図である。層の数は、
図3に概略的に示されたものと異なってもよい(他の図についても同様である)。複数の層41、42は、合計で少なくとも10個、又は合計で少なくとも20個とすることができ、各層41、42は、約500nm未満、又は約300nm未満、又は約200nm未満、又は約150nm未満の平均厚さを有することができる。各層41、42は、例えば、約10nm超、又は約20nm超の平均厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、複数の層41、42は、合計で500個、又は300個、又は200個以下である。層の厚さ及び層の数は、当該技術分野で知られているように、所望の反射帯域を提供するように選択することができる(例えば、米国特許第6、967,778号を参照)。例えば、層間の屈折率差が大きい場合には、より少数の層41,42を使用してもよい。光学フィルム40は、例えば、約1マイクロメートル超、又は2マイクロメートル超の平均厚さを有する他の層(例えば、
図4A~4Cに示される基材88又は
図4Dに示されるスキン層88a及び88b)を任意選択的に含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム40は、異なる反射特性を有する異なる領域を含むように、他の箇所で更に説明されるようにパターン化され得る多層連続光学フィルムである。複数の層を含む光学フィルムは、複数の層における各層について、又は複数の層の少なくとも大部分における各層について、フィルムの長さ及び幅にわたって層中に連続経路が存在し、長さ及び幅がフィルムの厚さ方向(例えば、z方向)にそれぞれ直交する直交方向(例えば、x及びy方向)に沿っている場合、連続している。いくつかの実施形態では、連続光学フィルムは、フィルムの層の少なくともいくつかにおいて、別個の離間した貫通孔を含むことができ、貫通孔は、連続経路がフィルムの長さ及び幅にわたって画定されることを妨げない。他の実施形態では、貫通孔は含まれない。いくつかの実施形態では、フィルムの少なくとも1つの層、又は複数の層の少なくとも大部分、又はフィルムの各層は、フィルムの厚さ方向に平行なフィルムの各断面において連続していてもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム40は不連続光学フィルムである。例えば、いくつかの画素配置では、いくつかの実施形態によれば、領域40bは、例えば光学フィルムの幅にわたって連続している光学フィルム内の貫通開口であってもよい。このような実施形態では、フィルムの長さにわたっていずれの層にも連続経路が存在しないため、光学フィルムは不連続である。
【0020】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム40の複数の層41、42のうちの層は、ポリマー材料を含む(例えば、各層は、ポリマー材料の連続相を含むことができる)。いくつかの実施形態では、複数の層41、42のうちの層、又は層のうちの少なくともいくつかはポリマー性である。ポリマー材料は、異なる指示がない限り、有機ポリマー材料であると理解することができる。いくつかの実施形態では、複数の層41、42のうちの層、又は層のうちの少なくともいくつかは、無機性(例えば、金属酸化物)である。例えば、いくつかの実施形態では、第1の層41は、酸化チタン(TiO2)であるか又はそれを含み、第2の層は、二酸化ケイ素(SiO2)であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態では、複数の層は、交互のポリマー層及び無機層を含む(例えば、層41は無機性とし、層42はポリマー性とすることができる)。例えば、第1の層41は金属酸化物を含んでもよく、第2の層42はポリマー材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の層41は、酸化ニオブ(NbOx)若しくは酸化チタン(TiO2)又はそれらの合金であるか又はそれらを含むことができ、第2の層は、アクリレートであるか又はアクリレートを含むことができる。第1の層に使用することができる他の有用な金属酸化物材料としては、酸化ケイ素、酸化ケイ素アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化インジウムスズ、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸窒化ケイ素アルミニウム、及びそれらの合金が挙げられる。例えば、可視波長範囲において実質的に透明である任意の金属酸化物が、第1の層に使用されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、緑色発光画素70g及び赤色発光画素70rにおける多層光学フィルム40又は多層光学フィルム40g、40rの複数の層41、42は、多層光学フィルム40の厚さ方向(例えば、z軸)に沿って交互に積層された第1の層(41)及び第2の層(42)を含み、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて、第1の層の第1の屈折率が、第2の層の第2の屈折率よりも大きくなる。第1の屈折及び第2の屈折は、同じ方向(例えば、x又はy方向などの同じ面内方向)に沿うことができる。いくつかの実施形態では、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて、第1の層41の第1の屈折率は、第2の層42の第2の屈折率よりも、少なくとも約0.2、又は少なくとも約0.3、又は少なくとも約0.4、又は少なくとも約0.5、又は少なくとも約0.6、又は少なくとも約0.7、又は少なくとも約0.8大きい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の層41は、約2.3の屈折率を有するNbOx層又は約2.3~約2.6の屈折率を有するTiO2層であり、第2の層42は、約1.5の屈折率を有するアクリレート層である。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数の層のうちの層は、蒸着される、又は当該技術分野で知られている他の薄膜堆積技法を使用して堆積される。ポリマー層及び/又は無機層の蒸着法は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,032,461号(Shawら)及び同第7,018,713号(Padiyathら)に記載されている。これらの層は、例えば、色変換層60上に直接蒸着することができる、又は、例えば、ディスプレイ200に後で組み込まれる基材88上に堆積することができる。蒸着された層は、低複屈折及び/又は低リターダンスを有することができる。より高い複屈折及び/又はリターダンスは、光学フィルムから反射される斜め入射光の望ましくない偏光シフトをもたらし、円偏光子の周囲反射の低減効果を低下させる可能性があるので、低複屈折及び/又は低リターダンスが、斜め入射角での周囲光の低反射にとって望ましい場合がある。他の実施形態では、複数の層のうちの層は、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatlyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に全般的に記載されているように、ポリマー層を押出し、配向して、層のうちの少なくともいくつか(例えば、第1の層41)が複屈折性になるように形成される。
【0023】
図4A~
図4Dは、いくつかの実施形態による、パターン化された光学フィルム40’、40’’、40’’’、及び40’’’’の概略断面図である。光学フィルム40は、光学フィルム40’、40’’、40’’’、及び40’’’’のいずれかに対応し得る。光学フィルム40’、40’’、40’’’又は40’’’’は、交互の層41、42及び基材88又はスキン層88a、88bを含んでもよく、又は光学フィルムが基材88上又はスキン層88a、88bの間に配置される場合、交互の層41、42であるとみなされてもよい。蒸着された多層光学フィルムは、フィルムの(例えば、青色画素に対応する)領域がこれらの層を含まない(例えば、貫通孔が存在し得る)ように、マスクを通してフィルムの層を堆積させることによってパターン化することができる。例えば、光学フィルム40’は、領域40bに層41、42を含まない。あるいは、光学フィルムは、(例えば、緑色画素及び赤色画素に対応する)他の領域を遮断する異なるマスクを通した別個の蒸着工程で適用される(例えば、緑色波長及び赤色波長を反射するが、青色波長を反射しないように適合された)層の異なるセットを含むことができる。例えば、光学フィルム40’’は、領域40g、40r内の層41、42とは異なる領域40b内の層41’、42’を含む。いくつかの実施形態では、層はフィルム全体に均一に堆積され、第1の層(41)及び/又は第2の層(42)が最初に部分的に架橋されたポリマー層であり、フィルムは青色反射帯域を提供する。次いで、フィルムは、青色画素に対応する領域のみが紫外線(UV)照射に曝されるように、マスクを通してUV照射に曝すことができる。この結果、照射領域における層の更なる架橋及び収縮をもたらす可能性がある。例えば、
図4Cに概略的に示される光学フィルム40’’’は、領域40g、40r内の層に対して収縮した領域40b内の層を含む。いくつかの実施形態では、層41、42は、交互のポリマー層及び無機層を含み、ポリマー層のみが収縮する。収縮は、青色反射帯域のUV範囲へのシフトをもたらし得る。いくつかの実施形態では、青色反射帯域は、青色反射帯域のUV範囲へのシフトがまた、一次帯域の赤色波長範囲及び/又は緑色波長範囲へのシフトをもたらすように(例えば、
図2Bの反射率R2を提供するように)、近赤外範囲内の一次帯域の高調波である。
【0024】
複屈折層を含む多層光学フィルムは、(例えば、赤外線レーザを使用して)フィルムを局所的に加熱することによって、(例えば、青色画素に対応する)いくつかの領域における反射率を低減して、それらの領域内の前の複屈折層の複屈折を除去するか、又は実質的に低減するようにパターン化することができる。赤外レーザ光の吸収を増加させるために、赤外吸収染料を複屈折層に含めることができる。このようなパターン化技術は、例えば、米国特許第9,019,607号(Merrillら)に記載されている。
図4Dの光学フィルム40’’’’は、このようにしてパターン化され得る。
【0025】
多層光学フィルムのそれぞれの異なる領域(例えば、ディスプレイ内の画素に対応する領域)は、その領域内の多層光学フィルムと称され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ200は、ディスプレイ200の発光面10において画像17を表示するように構成され、青色ピーク波長(13b)、緑色ピーク波長(13g)、及び赤色ピーク波長(13r)のそれぞれにおいて、青色発光ピーク(12b)、緑色発光ピーク(12g)、及び赤色発光ピーク(12r)のそれぞれを含む青色発光スペクトル(11b)、緑色発光スペクトル(11g)、及び赤色発光スペクトル(11r)をそれぞれ有する、複数の青色発光画素(70b)、緑色発光画素(70g)、及び赤色発光画素(70r)を含む。各発光画素は、青色ピーク波長13bにおいて青色発光ピーク12bを含む青色発光スペクトル11bを実質的に有する、青色発光源30と、発光面10と青色発光源30との間に配置され、合計で少なくとも10個の複数の層41、42を含む多層光学フィルム40b、40g、40rと、を含むことができ、各層は約500nm未満の平均厚さを有し、実質的な垂直入射光50に対して、かつ相互に直交する第1の偏光状態(例えば、x軸)及び第2の偏光状態(例えば、y軸)の各々に対して、各青色発光画素内の複数の層41、42は、青色ピーク波長13bを有する入射光50の少なくとも70%を透過し、緑色発光画素(70g)及び赤色発光画素(70r)の各々内の複数の層41、42は、青色ピーク波長13bを有する入射光50の少なくとも70%を反射し、緑色ピーク波長(13g)及び赤色ピーク波長(13r)の各々について入射光の少なくとも70%を透過する。複数の発光画素70b、70g、70rにおける多層光学フィルム40b、40g、40rは、連続光学フィルム40を形成してもよい。いくつかの実施形態では、各青色発光画素70b内の複数の層41、42は、緑色ピーク波長(13g)及び赤色ピーク波長(13r)の各々について、入射光50の少なくとも60%を反射する。光学フィルム40b、40g、40rからの透過率及び反射率は、他の箇所に記載された範囲のいずれかであり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、各発光画素70b、70g、70rは、吸収偏光子90を更に含む。いくつかの実施形態では、各発光画素70b、70g、70rは、リターダ層80を更に含む。リターダ層80は、約400nm~約700nmの範囲内の少なくとも1つの波長に対する4分の1波長リターダとすることができる。いくつかの実施形態では、各発光画素70b、70g、70rは、円偏光子85を更に含む(例えば、吸収偏光子90及びリターダ80は、円偏光子85を画定することができる)。いくつかの実施形態では、各発光画素70b、70g、70rは、減光フィルタ100を更に含む。他の実施形態では、減光フィルタ100は省略される。
【0027】
図5は、いくつかの実施形態による光学フィルム40の概略上面図である。光学フィルム40は、パターン化することができる。例えば、光学フィルム40は、複数の少なくとも交互の第1の領域(例えば、40b)及び第2の領域(例えば、40g)を含むことができ、第1の領域及び第2の領域は、異なる反射特性を有することができる。第1の領域及び第2の領域は、1つの方向に沿って、又は2つの異なる(例えば、直交する)方向に沿って交互配置することができる。例えば、第1の領域及び第2の領域は、第1の領域及び第2の領域の行に沿って、並びに/あるいは第1の領域及び第2の領域の列に沿って交互配置することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、多層連続光学フィルム40は、合計で少なくとも20個の複数の層41、42を含み、層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。多層連続光学フィルム40は、複数の少なくとも交互の第1の領域(40b)及び第2の領域(40g)を含み、第1の領域及び第2の領域は、第1の領域及び第2の領域の行(a軸)及び列(b軸)に沿って配置され、ディスプレイ200の複数の画素(例えば、70b及び70g)に一対一に対応して位置合わせされるように構成され、約400nm~約2000nm、又は約400nm~約700nmの間の所望の波長範囲内の波長を有する実質的な垂直入射光50に対して、かつ相互に直交する第1の(例えば、x軸に沿って偏光された)偏光状態及び第2の(例えば、y軸に沿って偏光された)偏光状態の各々に対して、多層連続光学フィルム40の第1の領域40bは、所望の波長範囲内の第1の波長(例えば、13b)を有する入射光50の少なくとも70%を透過し、所望の波長範囲内の第2の波長(例えば、13g又は13r)を有する入射光50の少なくとも70%を反射し、多層連続光学フィルムの第2の領域40gは、第1の波長を有する入射光の少なくとも70%を反射し、第2の波長を有する入射光の少なくとも70%を透過する。第1の領域(40b)及び第2の領域(40g)、並びに任意選択的に第3の領域(40r)のパターンは、ディスプレイ内の画素のパターンに対応するように選択することができる。第3の領域40rは、第2の領域40gと同じ反射率及び透過率を有してもよい。他の箇所で更に説明されるように、ディスプレイ200は、画素化発光面10と、複数の青色発光源20と、発光面10と複数の青色発光源30との間に配置され、それらと実質的に同一の広がりを持つ多層連続光学フィルム40と、を含むことができる。光学フィルムの領域からの透過率及び反射率は、他の箇所に記載される範囲のいずれかであり得る。
【0029】
他の箇所で更に説明するように、いくつかの実施形態では、低複屈折及び/又は低リターダンスを有する層が望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、複数の層41、42における各層の最大複屈折率は、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて、又は第1の波長及び第2の波長のうちの少なくとも1つについて、約0.01未満である。最大複屈折率は、2つの異なる方向における屈折率の最大差である。いくつかの実施形態では、複数の層における各層は、相互に直交する面内のx方向及びy方向のそれぞれに沿った屈折率nx及びnyと、x方向及びy方向に直交する層の厚さ方向に沿った屈折率nzとを有し、nx、ny、及びnzの間の最大差の大きさは、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて、又は第1の波長及び第2の波長の少なくとも1つについて、約0.01未満である。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光50に対して、複数の層の最大リターダンスは、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて、又は第1の波長及び第2の波長のうちの少なくとも1つについて、約10nm未満、又は約5nm未満、又は約3nm未満、又は約1nm未満である。垂直入射光に対する層の最大リターダンスは、層の面内屈折率の最大差に層の厚さを乗じたものである。第1の波長及び第2の波長のうちの少なくとも1つについて、第1の層41と第2の層42との間の屈折率の差は、青色ピーク波長、緑色ピーク波長、及び赤色ピーク波長のうちの少なくとも1つについて、本明細書の他の箇所で説明される任意の範囲内であり得る。
【0030】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。特定の値の約、ほぼとして与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、本明細書に使用及び記載されている文脈において当業者にとって明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0031】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0032】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例、又は変形例、又は組み合わせも包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】