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特表2023-541332物体を保持する手段を備える包装用品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-29
(54)【発明の名称】物体を保持する手段を備える包装用品
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B65D5/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523110
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2021078710
(87)【国際公開番号】W WO2022084203
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】2010712
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519104318
【氏名又は名称】ピーエー コット エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピエール アラン コット
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン リムーザン
(72)【発明者】
【氏名】ドニ ムーラン
(72)【発明者】
【氏名】シャルル コラ
(72)【発明者】
【氏名】ロナン アフレ ドゥ サン ローム
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BC02
3E060CB02
3E060CC18
3E060CC19
(57)【要約】
本発明は底部(3)を有する箱(2)を備えるパッケージ(1)に関し、パッケージ(1)は、箱(2)の底部(3)に対して少なくとも1つの物体(O)を保つための弾性変形可能な膜(8)を備える保持手段(6)をさらに備え、弾性変形可能な膜(8)は、中央弾性領域(9)と、中央弾性領域(9)の周りにある周辺弾性領域(10)とを有し、中央弾性領域(9)は周辺弾性領域(10)より低い弾性を有し、弾性変形可能な膜(8)は、周辺弾性領域(10)と接しながら、中央弾性領域(8)を弾性変形可能な膜(8)の縁の方向へ延長する少なくとも1つの弾性第3領域(11)を備え、前記弾性第3領域(11)は中央弾性領域(9)の弾性以下の弾性を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(3)を有する箱(2)を備え、前記箱(2)内で少なくとも1つの物体(O)を保つ保持手段(6)をさらに備え、前記保持手段(6)は、前記底部(3)に置かれた前記物体(O)を覆うことを意図された弾性変形可能な膜(8)を備え、前記弾性変形可能な膜(8)は、中央弾性領域(9)と、前記中央弾性領域(9)の周りにある周辺弾性領域(10)とを有し、前記中央弾性領域(9)は前記周辺弾性領域(10)より低い弾性を有し、前記弾性変形可能な膜(8)は、前記周辺弾性領域(10)と接しながら、前記中央弾性領域(8)を前記弾性変形可能な膜(8)の縁の方向へ延長する少なくとも1つの弾性第3領域(11)をさらに備え、前記弾性第3領域(11)は前記中央弾性領域(9)の弾性以下の弾性を有することを特徴とする、パッケージ(1)。
【請求項2】
前記中央弾性領域(9)及びそれぞれの弾性第3領域(11)は第1材料で作られ、前記周辺弾性領域(10)は前記第1材料と異なる第2材料で作られ、前記第1材料は前記第2材料より低い弾性を有することを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ(1)。
【請求項3】
前記中央弾性領域(9)及びそれぞれの弾性第3領域(11)は複数の第1切抜き部(91)を有し、前記周辺弾性領域(10)は複数の第2切抜き部(101)を有し、前記第1切抜き部(91)の密度及び寸法は前記第2切抜き部(101)の密度及び寸法より小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のパッケージ(1)。
【請求項4】
前記弾性変形可能な膜(8)は、矩形の形状を有し、4つの弾性第3領域(11)を備え、前記4つの弾性第3領域(11)は、それぞれ、前記矩形の形状の角の1つに向かって延伸することを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載のパッケージ(1)。
【請求項5】
前記弾性変形可能な膜(8)は、矩形の形状を有し、8つの弾性第3領域(11)を備え、前記8つの弾性第3領域(11)のうち、4つの弾性第3領域(1)は、それぞれ、前記矩形の領域の角の1つに向かって延伸し、他の4つの弾性第3領域(1)は、それぞれ、前記矩形の形状の辺の1つに向かって延伸することを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載のパッケージ(1)。
【請求項6】
前記弾性変形可能な膜(8)は、
前記中央弾性領域(9)及び前記周辺弾性領域(10)を囲む環状部(12a)、
それぞれ、前記弾性変形可能な膜(8)の前記縁から延伸し、前記中央弾性領域(9)の方向に向く複数のV字形状部(12b)、
のうちの少なくとも1つの補助領域(12)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載のパッケージ(1)。
【請求項7】
前記箱(2)は剛性フレーム(7)を備え、前記弾性変形可能な膜(8)は前記剛性フレーム(7)の内側を延伸することを特徴とする、請求項1から6の何れかに記載のパッケージ(1)。
【請求項8】
前記箱(2)は前記底部(3)を延長する周縁部(4)を備え、前記剛性フレーム(7)は前記周縁部(4)に回転可能に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載のパッケージ(1)。
【請求項9】
前記周縁部(4)に回転可能に取り付けられた蓋(5)と、
一方で前記蓋(5)に回転可能に取り付けられ、他方で前記剛性フレーム(7)に回転可能に取り付けられた連結ロッド(13)と、をさらに備え、
前記周縁部(4)、前記蓋(5)、前記連結ロッド(13)、及び前記剛性フレーム(7)は一緒に変形可能な平行四辺形を形成することを特徴とする、請求項8に記載のパッケージ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は物流の分野である。
【0002】
より具体的に、本発明は、パッケージによって、物体を2つの目的地の間で運搬するための、パッケージ又は物流梱包手段、即ち容器に関する。
【背景技術】
【0003】
物体を全く安全にかつ確実に運送するために、箱又は段ボール箱のようなパッケージが知られている。
【0004】
一般に、パッケージは、運送される物体が収容される内部空間を一緒に定める底部及び周縁部を有する箱を備える。
【0005】
周縁部は箱の底部に対して可動であり得る。従って、それは箱の底部の上に又は底部の延長上に幾つかの折畳みパネルを備える。
【0006】
また、パッケージは箱に対して可動な蓋を備える。これらの蓋は、特に、蓋が箱の内部空間を塞ぐ閉位置を取り得る。
【0007】
運送物の保護を可能にするために、運送される物体を箱内に保つ保持手段を備えるパッケージもある。
【0008】
箱及び蓋に統合された発泡パネルの形を取る保持手段が知られている。発泡パネルは、必要に応じて、箱に持って来ることができる。換言すれば、発泡パネルは、それらの存在が必要とされる場合に限り、箱に統合することができる。
【0009】
より具体的に、発泡パネルは、箱の底部に、ことによるとその周縁部に、及び蓋に固定される。
【0010】
そして、運送される物体は、内部空間に挿入され、発泡体に接触し、少なくとも底部の発泡体及び蓋の発泡体によって動きを阻止される。
【0011】
この型の保持手段は、その厚さ、換言すれば、それが箱の内部空間で占める容積を重大な欠点として有する。
【0012】
実際、発泡体は箱の内部空間の大部分を占める。しかし、発泡体は、弾性特性を有し、変形可能な保持手段を形成し、運送される物体の外形に適合する。
【0013】
しかし、物体の寸法に応じて、幾つかのパッケージを用意しなければならない。
【0014】
例えば、嵩張った物体と小さな物体に対して、同じ箱を使用することはできない。小さな物体の場合、大きな物体に適した箱又はパッケージを使用すれば、発泡体は小さな物体と接触したときに適切に変形せず、従って小さな物体は損傷の危険を伴って箱の内部空間内で移動するかもしれない。
【0015】
反対に、小さな物体を収容することを意図された箱の内部空間に大きな物体を挿入すれば、パッケージは内部空間における十分な空間の不足のために使用に適さなくなるかもしれず、それ故に蓋は箱の内部空間を実際に塞ぐように適切に閉じられ得ない。その結果、物体は、実際に保護されず、パッケージを運ぶ誰にでも見え、そのことは物体の盗難の危険に繋がり得る。
【0016】
それ故、運送業者又は梱包専門業者は、運送される物体の寸法に応じて異なる寸法のパッケージを持たなければならない。
【0017】
別の公知の技術によれば、保持手段はプラスチック製のカバーの形をしており、その中に、運送される物体を滑り込ませる。それから、カバーは変形され、その壁は運送される物体に接触してそれをその位置に保持する。
【0018】
第1の型によれば、カバーは箱の底部に固定され得、それらの変形は、例えば、材料、一般にプラスチック材料を収縮させるように加熱し、それが物体と接触したときに固くなることで達成され得る。
【0019】
この解決策の欠点は、加熱によってカバーの変形を達成するとき、誰でもカバーの変形を達成できるわけではないという事実にある。なぜなら、この技術は特定の加熱装置の使用を必要とするからである。
【0020】
実際、例えば熱ヒーターのような加熱手段が使用されなければならず、それは特別な訓練を必要とするかもしれず、そのため専門業者しかカバーを変形し得ない。
【0021】
その上、カバーが箱の底部に固定される場合、これは箱の完全性にとって重大な欠点を有し得、特にそれが段ボールで作られる場合、過度の熱が段ボールを燃やして破壊し得る。
【0022】
加えて、運送される物体をカバーに挿入することは、困難になり、不可能にさえなり得る。
【0023】
これは、特に、箱が形成され、即ち内部空間が定められた時点で、運送される物体がカバーに挿入される場合に確かめられ、箱の周縁部は物体のカバーへの挿入に対する重大な障害となる。
【0024】
これを克服するために、まず物体をカバーに挿入し、次に箱を形成し、最後にカバーを変形する必要があるかもしれない。
【0025】
これは、特にカバーを変形し又は箱を成形するために、専門業者にとって弊害をもたらし、さらに個人にとって達成不可能になり得るかなりの処理時間を要することを意味する。
【0026】
また、第2の型によれば、カバーは箱に収容されることを意図されたプレートに固定され得る。この場合、物体をカバーに挿入してから、物体を固定及び保持するために、プレートの縁を折り曲げることでカバーを変形し、カバーの2つの壁を引き伸ばして物体を囲む。これが完了すると、折り曲げられたプレートを箱に挿入でき、それから可動の蓋を箱の上で閉じることができる。
【0027】
これらの保持手段も特定の欠点を有する。
【0028】
実際、物体をカバーに挿入することは問題を引き起こさないが、プレートの変形、特にその縁の折り曲げは、複雑な操作となり、物体が嵩張り、変形されるカバーが変形に対してかなりの抵抗を示す場合、達成不可能にさえなる。従って、カバーの変形は、時間を食い、専門業者を落胆させ、従って、専門業者は、不完全な変形を行い、又はより高い運送費用を最終消費者に発生させるより大きなサイズのパッケージを提供するだろう。
【0029】
加えて、これは、箱、蓋、及び保持手段の同時の保管を必要とし、それは、全体の容積が不利益をもたらし、従って追加費用がたいてい最終的な顧客に転嫁されることを意味する。
【0030】
また、運送される物体をパッケージ内で固定し、それを運送中に保護するために、くしゃくしゃの紙、エアー緩衝材、ダンボール製の仕切り、又は発泡ビーズを追加することが知られている。
【0031】
パッケージ内で物体を保持する必要に応えながら、公知の技術と比較して簡便な作業方法を提供する別の技術が開発されている。
【0032】
この技術は、保持手段が蓋に固定され、また保持手段が弾性変形可能な膜を備えることを提供する。弾性変形可能な膜は、パッケージに収容された物体に接触して、それを覆い、それを箱の底部に押し付けて保持する。
【0033】
そのような解決策が十分だとしても、それは依然として完全になり得る。
【0034】
実際、可撓性を有する膜は物体に加えられる張力を有し、それは、特に物体が特に壊れやすい場合、前記物体を損傷するかもしれない。
【0035】
その上、弾性変形可能な膜が適切な保持を保証し得ない複雑な形状を有する物体もあるかもしれない。従って、物体の一部のみが弾性変形可能な膜によって保持され、別の部分は、パッケージ内で自由に移動可能なままであり、パッケージが激しく変位する場合に箱にぶつかる危険に晒されることが起こり得る。
【0036】
さらに、異なる寸法の2つの物体を同じパッケージで運送しなければならない場合、それらを両方ともパッケージ内で保持することが必要である。それは2つの物体の間に挿入されるスペーサ又はウェッジによってのみ可能である。それ故、これは、パッケージに重みを付けること、特にスペーサを形成し得る任意の手段を用意することを必要とする。
【0037】
加えて、パッケージが受取人に到着したとき、物体は取り去られ、パッケージは再利用され得るが、スペーサは、もはや役に立たないので、捨てられる。従って、これは、特にスペーサが再生利用の回路の中で捨てられない場合、又はその再生利用が不可能な場合、環境汚染の危険につながる。
【発明の概要】
【0038】
本発明は、特に従来技術の欠点を克服することを目的とする。
【0039】
より具体的に、本発明は、特に機械的な抵抗力に関して及び形状に関して、それぞれの物体の特性に自動的に適応することで、少なくとも1つの物体の固定の可能にする解決策を提案することを目的とする。
【0040】
また、本発明は、パッケージ内に様々な保持力の領域を作ることを可能にするそのような解決策を提供することを目的とする。
【0041】
また、本発明は、パッケージの発送人にとって実行が簡単なそのような解決策を提供することを目的とする。
【0042】
さらに、本発明は、パッケージが2回の使用の間で保管されるときに小さな容積を有するそのような解決策を提供することを目的とする。
【0043】
これらの目的、及び後で現れるだろう他の目的は、底部を有する箱を備えるパッケージに関する発明のおかげで達成され、そのパッケージは、箱内で少なくとも1つの物体を保つ保持手段をさらに備え、保持手段は、底部に置かれた1つ又は複数の物体を覆うことを意図された弾性変形可能な膜を備え、弾性変形可能な膜は、中央弾性領域と、中央弾性領域の周りにある周辺弾性領域とを有し、中央弾性領域は周辺弾性領域より低い弾性を有し、弾性変形可能な膜は、周辺弾性領域と接しながら、中央弾性領域を弾性変形可能な膜の縁の方向へ延長する少なくとも1つの弾性第3領域をさらに備え、前記弾性第3領域は中央弾性領域の弾性以下の弾性を有することを特徴とする。
【0044】
1つ又は複数の第3領域の存在は、周辺領域の変形にもかかわらず、中央弾性領域が底部に対して間隔をあけることを制限することを可能にする。
【0045】
従って、1つ又は複数の第3領域は、弾性変形可能な膜の縁に向かって、それ故に箱の底部に向かって、中央領域を引っ張るための線を形成する。
【0046】
それ故、弾性変形可能な膜の下に置かれた物体は、その形状及び/又はその壊れやすさと無関係に保持され得る。
【0047】
網の異なる弾性によって、運送される物体をパッケージの中央で保持することが可能になり、これは自動的に最大限の保護でなされる。
【0048】
第1の有利な実施形態によれば、中央弾性領域及びそれぞれの弾性第3領域は第1材料で作られ、周辺弾性領域は第1材料と異なる第2材料で作られ、第1材料は第2材料より低い弾性を有する。
【0049】
異なる材料を使用によって、それぞれの領域の弾性を正確に制御することが可能になる。
【0050】
別の有利な実施形態によれば、中央弾性領域及びそれぞれの弾性第3領域は複数の第1切抜き部を有し、周辺弾性領域は複数の第2切抜き部を有し、第1切抜き部の密度及び寸法は第2切抜き部の密度及び寸法より小さい。
【0051】
第1切抜き部及び第2切抜き部の存在によって、箱内での物体の保持を保証するために、弾性変形可能な膜の1つ又は複数の材料の弾性を変更し及び/又は分布させることが可能になる。
【0052】
さらに、切抜き部の存在によって、少なくとも特定の一用途に応じて領域の弾性を変更することが可能になる。
【0053】
有利な一実施形態によれば、弾性変形可能な膜は、矩形の形状を有し、4つの弾性第3領域を備え、4つの弾性第3領域は、それぞれ、矩形の形状の角の1つに向かって延伸する。
【0054】
そのような構成によって、中央弾性領域によって1つの物体に加えられる力が物体上で一様になるように、中央弾性領域の張り領域を分布させることが可能になる。
【0055】
別の有利な実施形態によれば、弾性変形可能な膜は、矩形の形状を有し、8つの弾性第3領域を備え、8つの弾性第3領域のうち、4つの弾性第3領域は、それぞれ、矩形の領域の角の1つに向かって延伸し、他の4つの弾性第3領域は、それぞれ、矩形の形状の辺の1つに向かって延伸する。
【0056】
そのような構成によって、箱内で保持される物体に中央弾性領域によって加えられる力の分布をさらに改善することが可能になる。
【0057】
さらに別の有利な実施形態によれば、弾性変形可能な膜は、
-中央弾性領域及び周辺弾性領域を囲む環状部、
-それぞれ、弾性変形可能な膜の縁から延伸し、中央弾性領域の方向に向く複数のV字形状部、
のうちの少なくとも1つの補助領域をさらに備える。
【0058】
環状部及びV字形状部の存在によって、弾性変形可能な膜の変形をさらに制御し、箱内での物体の保持を改善することが可能になる。
【0059】
好ましくは、箱は剛性フレームを備え、弾性変形可能な膜は剛性フレームの内側を延伸する。
【0060】
剛性フレームは、間隔をあけて箱の弾性変形可能な膜を配置し、その中に物体を置き、又はそこからそれを取り去ることを可能にするために使用される。そして、物体が箱内に置かれたとき、剛性フレームの配置は箱内での物体の保持を可能にするように行われる。
【0061】
この場合、箱は、有利に、底部を延長する周縁部を備え、剛性フレームは周縁部に回転可能に取り付けられる。
【0062】
そして、箱の底部に対する弾性変形可能な膜の変位は、周縁部に対する剛性フレームの簡単な回転によって行われる。
【0063】
有利に、パッケージは、
-周縁部に回転可能に取り付けられた蓋と、
-一方で蓋に回転可能に取り付けられ、他方で剛性フレームに回転可能に取り付けられた連結ロッドと、をさらに備え、
周縁部、蓋、連結ロッド、及び剛性フレームは一緒に変形可能な平行四辺形を形成する。
【0064】
周縁部、剛性フレーム、及び蓋と共に変形可能な平行四辺形を形成する連結ロッドの存在によって、蓋の操作及び使用を容易にすることが可能になる。なぜなら、蓋の閉位置への簡単な配置、即ち箱へのアクセスの防止によって、剛性フレームを箱の底部に押し付けて置き、従って保持される物体の上に弾性変形可能な膜を伸ばし、それを箱内で固定することが可能になるからである。
【0065】
本発明の他の特徴及び利点は、説明に役立つ非限定的な例として与えられた本発明の好ましい一実施形態の以下の説明、及び添付図面を理解すると、より明瞭に見えてくるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、物体を保持する手段をパッケージ内に備える本発明によるパッケージの斜視上面図である。
図2図2は、パッケージ内で保持手段によって保たれた物体を示す図1のパッケージの縦断面図である。
図3図3は、第1実施形態による、本発明によるパッケージ保持手段の膜の概略図である。
図4図4は、第2実施形態による、本発明によるパッケージ保持手段の膜の概略図である。
図5図5は、第3実施形態による、本発明によるパッケージ保持手段の膜の概略図である。
図6図6は、第4実施形態による、本発明によるパッケージ保持手段の膜の概略図である。
図7図7は、第5実施形態による、本発明によるパッケージ保持手段の膜の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は本発明によるパッケージ1を示す。
【0068】
パッケージ1は箱2を備える。
【0069】
箱2は底部3及び周縁部4を備え、その上面は箱2の開口部を定める。
【0070】
パッケージ1は、箱2を閉じることを、特に開口部を塞ぐことで箱2へのアクセスを認め又は防ぐことを可能にする蓋5をさらに備える。
【0071】
運送される物体Oの保護を保証するために、パッケージ1は箱2内に取り付けられた保持手段6をさらに備える。
【0072】
図1及び2に示されるように、保持手段6は剛性フレーム7及び弾性変形可能な膜8を備える。
【0073】
弾性変形可能な膜8は、剛性フレーム7の内側に置かれ、その中で実質的に伸ばされた状態におかれる。
【0074】
後述されるように、また図2に関して、物体Oがパッケージ1内で保持されることを意図される場合、物体Oは箱2の底部3上に置かれ、フレーム7は箱2の底部3に支えられるように置かれる。この場合、弾性変形可能な膜8は、変形し、少なくとも部分的に物体Oに適合し、それを箱2の底部3に押し付けられた状態におく。
【0075】
弾性変形可能な膜8の弾性特性によって、物体Oが取り得る異なる形状に適応することが可能になる。
【0076】
しかし、パッケージ1は異なる寸法の物体Oの運送を可能にすることを意図されている。
【0077】
そうするために、弾性変形可能な膜8は異なる実施形態に従って作られ得る。
【0078】
図3、4、5、6及び7は弾性変形可能な膜8の異なる実施形態を示す。
【0079】
全ての実施形態に共通して、弾性変形可能な膜8は、中央弾性領域9と、中央弾性領域9の周りにある周辺弾性領域10とを有する。
【0080】
好ましくは、中央弾性領域9は周辺弾性領域10より低い弾性を有する。
【0081】
これにより、弾性変形可能な膜8の下の物体Oの存在に応じて、制御された変形を弾性変形可能な膜8に与えることが可能になる。
【0082】
より具体的に、中央弾性領域9は、保持される物体Oの存在下で、周辺弾性領域10より小さく変形する。
【0083】
従って、以下に説明されるように、物体Oの寸法及び弾性変形可能な膜8に対するその配置に応じて、物体Oは必要に応じて多かれ少なかれ緩く保持され得る。
【0084】
実際、中央弾性領域9の下にのみ置かれた物体Oは、周辺弾性領域10の下への物体Oの配置と比較して、より強く箱2の底部3に押し付けられるだろう。
【0085】
従って、物体Oの壊れやすさに応じて、弾性変形可能な膜8の下への物体Oの配置に応じて物体Oに加えられる保持張力を選択することが可能である。
【0086】
さらに、図4、5、及び7に示されるように、弾性変形可能な膜8は、中央弾性領域9から弾性変形可能な膜8の縁の1つに向かって延伸する弾性第3領域11を有してもよい。
【0087】
弾性第3領域又はそれぞれの弾性第3領域11は、周辺弾性領域10と接しながら、中央弾性領域9を弾性変形可能な膜8の縁の方向に延長する。
【0088】
中央弾性領域9と同様に、弾性第3領域又はそれぞれの弾性第3領域11は周辺弾性領域10より低い弾性を有する。
【0089】
特に、弾性第3領域又はそれぞれの弾性第3領域11は中央弾性領域9の弾性以下の弾性を有する。
【0090】
これにより、中央弾性領域9を箱2の底部3に向かって引っ張るための引張力線を作り出すことができる。
【0091】
それぞれの領域の間の弾性のこの違いを達成するために、第1の技術は異なる材料の幾つかの要素を組み合わせて膜を形成することにある。
【0092】
例として、中央弾性領域9及びそれぞれの弾性第3領域11は第1材料で作られ、周辺弾性領域10は第1材料とは異なる第2材料で作られる。そして、第1材料は第2材料の弾性より低い弾性を有する。
【0093】
異なる材料の組合せは、任意に、次の方法、
-縫う、
-接着する、
-溶接する、
-融解することの1つによって行われ得る。
【0094】
変形例として、それぞれの弾性第3領域11が中央弾性領域9より低い弾性を有する場合、これらは第3材料で作られ得る。そして、第3材料は第1材料の弾性より低い弾性を有する。
【0095】
別の技術によれば、弾性変形可能な膜8は1つの要素で作られ、それぞれの領域は前記弾性変形可能な膜8を切り抜くことで作られる。
【0096】
より具体的に、図3の円形の詳細図に関して、中央弾性領域9は複数の第1切抜き部91を有し、周辺弾性領域10は複数の第2切抜き部101を有する。
【0097】
第1切抜き部91の密度及び寸法は第2切抜き部101の密度及び寸法より小さい。
【0098】
換言すれば、切抜き部の寸法及び密度が大きいほど、膜は、材料を欠き、それ故に高い弾性を有する。
【0099】
従って、弾性第3領域11が中央弾性領域9の弾性と等しい弾性を有する場合、それぞれの弾性第3領域11は複数の第1切抜き部91を有する。
【0100】
他方、弾性第3領域11が中央弾性領域9の弾性より低い弾性を有する場合、それぞれの弾性第3領域11は、密度及び寸法が第1切抜き部91より小さい第3切抜き部(図示せず)を有する。
【0101】
好ましくは、切抜き部は、破断の発端を生じさせるかもしれない角を避けるように、円形又は卵形の形状を有する。実際、弾性変形可能な材料が、特に、時間、熱、又はその摩耗の影響によって固くなると、それは裂ける傾向にあり、裂け目が角の部分に現れると、それらは弾性材料の裂けを促進する。
【0102】
図3に示される第1実施形態によれば、弾性変形可能な膜8は矩形の形状を有し、また弾性変形可能な膜8は弾性のある形状9を有する。形状9は、それぞれ弾性変形可能な膜8の縁を繋ぐ2つの弾性第3領域11によって、矩形の形状のより短い辺の方向における両側で、互いに反対方向に延長される。
【0103】
図4に示される第2実施形態によれば、弾性変形可能な膜8は、矩形状であり、それぞれ中央弾性領域9から弾性変形可能な膜8の矩形の形状の角の方向に延伸する4つの弾性第3領域11を有する。
【0104】
図5に示される第3実施形態によれば、図4に示される第2実施形態による弾性変形可能な膜8の特性が再現及び改善される。
【0105】
そうするために、弾性変形可能な膜8は、それぞれ中央弾性領域9から弾性変形可能な膜8の矩形の形状の一辺の方向に延伸する4つの弾性第3領域11だけでなく、それぞれ中央弾性領域9から弾性変形可能な膜8の矩形の形状の角の方向に延伸する4つの弾性第3領域11を備える。
【0106】
従って、これにより、箱2の底部3の方向への中央弾性領域9の引張り線を実質的に一様に提供することが可能になる。
【0107】
過度に角のある張り領域を避けるため、弾性第3領域11と中央弾性領域9の間の接合部は丸みのあるように作られる。
【0108】
さらに、物体Oを箱2の底部3に弾性変形可能な膜8によって押し付けるための力を加えるために、弾性変形可能な膜8は、中央弾性領域9、弾性第3領域又はそれぞれの弾性第3領域11、及び周辺弾性領域10の間に重複領域Cを備えてもよい。
【0109】
これは、特に、図6に示される第4実施形態に示される。
【0110】
重複領域Cによって、周辺弾性領域10の弾性より高いが、中央弾性領域9及び/又は弾性第3領域若しくはそれぞれの弾性第3領域11の弾性より低い弾性の領域を作ることが可能になる。
【0111】
図7に示される第5実施形態によれば、弾性変形可能な膜8は、
-中央弾性領域9及び周辺弾性領域10を囲む環状部12a、
-それぞれ、弾性変形可能な膜8の縁から延伸し、中央弾性領域9の方向に向く複数のV字形状部12b、
のうちの少なくとも1つの補助領域12をさらに備える。
【0112】
図7に示されるように、弾性変形可能な膜は環状部12aの形状の補助領域12も6つのV字形状部12bの形状の補助領域12も備える。
【0113】
パッケージ1を使用するとき、図4に矢印Fによって示されるように、弾性第3領域11は、それらの低い弾性によって、中央弾性領域9の変形、即ちそれが箱2の底部3に対して間隔をあけることを制限することを可能にする。これにより、前記物体Oが箱2の底部3と弾性変形可能な膜8の間に配置されると、箱2内で物体Oを固定しておくが可能になる。
【0114】
少なくとも周辺弾性領域10の弾性より低く、好ましくは中央弾性領域9の弾性以下の弾性を有する補助領域12に対して、同じことが当てはまる。
【0115】
図1を参照して、パッケージ1は、蓋5と保持手段6の剛性フレーム7との間に挿入された連結ロッド13をさらに備える。
【0116】
好ましくは、連結ロッド13は、一方で蓋に回転可能に取り付けられ、他方で剛性フレーム7に回転可能に取り付けられる。
【0117】
特定の一実施形態によれば、連結ロッド13は剛性フレーム7の一部を形成する。
【0118】
周縁部4、蓋5、連結ロッド13、及び剛性フレーム7は一緒に変形可能な平行四辺形を形成する。
【0119】
より具体的に、蓋5は、周縁部4に回転可能に取り付けられ、それが、箱2の底部3に実質的に垂直であり、箱2へのアクセスを妨げない開位置と、それが、箱2へのアクセスを妨げ、箱2の底部3に実質的に平行である閉位置とを取り得る。
【0120】
図1に示されるように、蓋5は、その開位置とその閉位置との間の中間位置にある。
【0121】
蓋5が、その閉位置からその開位置へ、逆にその開位置からその閉位置へ移るとき、蓋5及び剛性フレーム7に対する連結ロッド13の回転によって、平行四辺形を変形させ、特に剛性フレーム7を回転させることが可能になる。
【0122】
使用時に、ユーザは蓋5をその開位置に置き、そして、剛性フレーム7は箱2の底部3から間隔をあけて配置される。次に、ユーザは、物体Oを箱に挿入し、それを箱2の底部3上に置く。
【0123】
次に、ユーザは蓋5を操作してそれをその閉位置に置く。
【0124】
そして、この操作中に、連結ロッド13は剛性フレーム7を箱2の底部3の方向へ回転させる。
【0125】
図2に示されるように、蓋5がその閉位置にあるとき、剛性フレーム7は底部3の近くで箱2の底部3に実質的に平行にあり、弾性変形可能な膜8は、箱2の底部3上に位置する物体Oと接触するときに変形する。
【0126】
弾性第3領域11の存在によって、弾性変形可能な膜8の変形、特に中央弾性領域9の変形、即ち箱2の底部3からのその距離を制限することが可能であり、それにより、運送のためのパッケージ1の箱2の底部3上での物体Oの適切な保持を保証することが可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】