IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンロイ メディカル エービーの特許一覧

特表2023-541346誘電体負荷の過熱を防止するためのカセット
<>
  • 特表-誘電体負荷の過熱を防止するためのカセット 図1
  • 特表-誘電体負荷の過熱を防止するためのカセット 図2
  • 特表-誘電体負荷の過熱を防止するためのカセット 図3
  • 特表-誘電体負荷の過熱を防止するためのカセット 図4
  • 特表-誘電体負荷の過熱を防止するためのカセット 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】誘電体負荷の過熱を防止するためのカセット
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/14 20230101AFI20230925BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20230925BHJP
   A61J 3/00 20060101ALN20230925BHJP
【FI】
A61J1/14 524
C12M1/00 A
A61J3/00 301
A61J3/00 300Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505438
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 SE2021050782
(87)【国際公開番号】W WO2022035367
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】2000137-6
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518061421
【氏名又は名称】コンロイ メディカル アーベー
【氏名又は名称原語表記】Conroy Medical AB
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エケマ,ラース
【テーマコード(参考)】
4B029
4C047
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029DG10
4B029GB10
4C047AA11
4C047AA31
4C047BB03
4C047BB11
4C047CC01
4C047CC30
4C047DD40
4C047GG40
4C047JJ06
(57)【要約】
400MHz未満の電磁界を用いて凍結血漿などの繊細な有機材料を解凍/加熱する時、例えばホース及び他の突出部分は、血漿の残りの部分よりも速く解凍され、これにより凝固した血漿が生じる。これにより、血漿は、輸血に適さなくなる。突出部分を金属導電性材料の表面の間に配置することにより、これらの部分は、過熱から保護される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊細な誘電体材料を解凍及び加熱するためのカセットであって、脱イオン水などのフィールドイコライザ材料で満たされた上部容器及び下部容器を備え、印加周波数での誘電率が75未満であり、誘電損率が250未満であり、前記誘電体負荷の突出部分が導電性材料により部分的に囲まれていることを特徴とする、前記カセット。
【請求項2】
蓋及び下面から成り、前記蓋ならびに前記下面の一部は、全体的または部分的に導電性材料から成ることを特徴とする、先行請求項に記載のデバイス。
【請求項3】
前記解凍/加熱行程の間、前記蓋及び前記底部の前記導電性材料は、電気的に接触していることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記カセットの前記下部のみがフィールドイコライザ誘電体材料を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれかに記載のデバイス。
【請求項5】
フィールドイコライザ材料で満たされた容器の上に、凍結有機材料または液体有機材料が入ったバッグ/容器が配置されること、及び凍結有機材料または液体有機材料が入った前記バッグ/容器の上に配置された前記蓋には、完全にまたは部分的にフィールドイコライザ材料が存在すること、及び前記蓋には、測定のためにIR放射を通す穴が存在することを特徴とする、先行請求項のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
繊細な誘電体材料を解凍及び加熱するためのカセットであって、脱イオン水などのフィールドイコライザ材料で満たされた上部容器及び下部容器から成り、印加周波数での誘電率が75未満であり、誘電損率が250未満であり、両容器は、前記負荷の突出部分が存在する領域/複数の領域が導電性材料により部分的に囲まれていることを特徴とする、前記カセット。
【請求項7】
蓋及び下面から成り、前記負荷と前記IR検出器との間に存在する前記フィールドイコライザ材料は、完全にまたは部分的に除去されることを特徴とする、先行請求項のいずれかに記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体負荷の過熱を防止するためのカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なサイズ及び様々な種類の有機材料の負荷を解凍及び加熱できることが、ますます求められている。負荷のサイズは、数十グラムから数キログラム(kg)まで、様々であり得る。負荷の加熱に対する性質及び感度も様々であり得る。
【0003】
例えば、幹細胞などの生細胞は、凍結状態で保存される。細胞の生存率は解凍時間に依存する。解凍時間が短いほど、細胞の生存率は高くなる。医療用途では、輸血前に血漿を急速に解凍し、赤血球を加温する必要がある。これらの負荷は、熱に非常に敏感であり、いかなる状況下でも、部分的であっても、40℃を超えて加熱してはならない。
【0004】
マイクロ波による加熱、従来の熱放射による加熱、及び熱対流による加熱などの確立された加熱技術の共通点として、浸透深度を無視できるほど負荷の熱吸収は小さいという特徴があること、及び負荷の内部部分の加熱は、加熱された表面部分からの熱輸送により起こることが挙げられる。数ミリリットルを超える体積の生細胞を解凍する場合、許容可能な生存率を得るには、非常に長い解凍時間が必要となる。
【0005】
導電性の壁を備えたキャビティにおいて、アンテナ/複数のアンテナから900MHz未満の周波数の電磁放射/電磁場を発することにより、キャビティ内に配置された誘電体材料を加熱できることも、以前から知られている。(例えばスウェーデン特許第9400777-0号及びスウェーデン特許第9703033-2号)。フィールドレベリング目的で誘電体材料を使用できることも知られている(例えば欧州特許第EP02727030.5号)。
【0006】
これらの実施例は、文献SE1450703に記載されており、脆弱な誘電体負荷と物理的に接触する誘電体材料(脱イオン水)を含むカセットが説明されている。
【0007】
より簡潔に言うと、文献SE1450703に記載されるカセットは、底に脱イオン水が満たされたプラスチックバッグを備えた箱として、説明され得る。凍結血漿などの繊細な誘電体負荷は、プラスチックバッグの上に配置される。そして負荷の上に、脱イオン水で満たされた別のプラスチックバッグが配置される。その後、解凍プロセスが開始される。例えば、150MHzの振動電界が印加される。フィールドイコライザ材料は、50~300の範囲の誘電率、及び0.04~2の範囲の誘電損率を有する必要がある。
【0008】
実際に、この解決策は、数多くの事例でうまく機能することが示されているが、いくつかの事例では問題が生じている。凍結血漿の温度に比べて、脱イオン水の温度は高く設定される。広げられた凍結血漿のバッグを解凍する時、バッグのチューブに含まれる血漿は、凍結血漿を含むバッグの残りの内容物より先に解凍される。また、脱イオン水が入った上部バッグと、凍結血漿が入ったバッグとの熱接触が不均一であるため、結果、小さな局所群が解凍されることも示されている。
【0009】
解凍された血漿は、周りの凍結血漿と比較して著しく高い誘電値を有することから、例えば150MHzの振動電界が印加されると、凍結血漿は凍結状態のまま、既に解凍された血漿が凝固を伴って加熱されるという結果になる。これにより、血漿は、輸血目的に使用不可能となる。解凍する繊細な凍結誘電体負荷の種類に関係なく、問題が残る。
【0010】
また、解凍中の負荷内の熱分布を、より正確に測定できるようにする必要もある。これは、フィールドイコライザの上部プラスチックバッグを完全にまたは部分的に取り外して、表面温度をIR技術で読み取ることができれば、部分的に行うことが可能である。
【0011】
本発明は、これらの必要性及び問題を解決する。
【0012】
発明の目的
本発明の実施形態の目的は、前述の欠点及び問題を軽減または解決する解決策を提供することである。
【発明の概要】
【0013】
本明細書で説明される主題により、上記の目的及びさらなる目的が達成される。本発明のさらなる有利な実施態様が、本明細書でさらに定義される。本発明の第1の態様によれば、本発明の目的が達成される。本発明の実施形態のさらなる用途及び利点が、下記の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
1つ以上の実施形態の下記の詳細説明を考慮することにより、当業者は、本発明の実施形態をより完全に理解すること、ならびに本発明の実施形態のさらなる利点を実現することが可能となる。図のうちの1つ以上に示される同様の要素を識別するために、同様の参照番号が使用されていることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図3では、アプリケータ(G)を備えたキャビティ(H)が示され、この中で、10Khz~600MHzの周波数範囲内で、電磁場が生成される。キャビティの屋根には、解凍中の凍結血漿などの有機材料のバッグの表面温度を測定することができるIRセンサが存在する(図示せず)。
【0016】
有機材料が入ったバッグの温度測定を可能にするために、負荷とIRセンサとの間には、フィールドイコライザ材料が存在してはならない。よって、図2及び図3では、上部フィールドイコライザに、Fの文字で記された穴が描かれている。
【0017】
様々な構成で言及される問題を、半開ファラデーケージが解決することが、実際の経験により示されている。広げられた血漿バッグのチューブ、縁端、及び他の突出部分を、アルミホイルまたは他の導電性材料で包み、次に脱イオン水で満たされた下部容器の上に血漿バッグを置き、次に凍結血漿などの凍結有機材料のバッグの上にフィールドレベリング材料の容器を置くことにより、チューブ及び他の突出部分で凝固を生じることなく、凍結血漿を解凍することが可能となった。同時に、解凍中に、血漿バッグの上面の表面温度を測定することができた。
【0018】
図1は、このようなフィールドイコライザの基本的な解決策を示す。フィールドレベリング材料(A及びD)から成るカセット内に、有機材料、例えば凍結血漿(E)で満たされたバッグが配置される。バッグから突出したチューブは有機材料で満たされており、例えば凍結血漿は、すべての図でBと記された導電性材料から成る半開ファラデーケージにより囲まれている。(いくつかのファラデーケージでは、他の/いくつかの突出したロットにフィールドイコライザを使用することもできる。)
【0019】
図1の実践的解決策は、カセットであり、その下部は、フィールドレベリング材料(例えば蒸留水)が入ったバッグ/容器から成り、またはそのようなバッグ/容器で満たされており、下部バッグの表面は、有機材料の突出部分、例えば凍結血漿が入ったバッグの突出部分に対応する領域が、金属面で覆われている。
【0020】
カセットの蓋も、フィールドレベリング材料を有する上部容器に、またはフィールドレベリング材料を有さない蓋に直接、同様に金属面が装備されており、これも負荷の突出部分に対応する。カセットの蓋内/蓋上の金属面は、カセットの下部に配置された金属面と導電接触している。これにより、突出部分を過熱から保護する半開ファラデーケージが作られる。
【0021】
別の実践的解決策が図2に示される。フィールドレベリング材料で満たされた容器(A)の上に、凍結または液体の有機材料が入ったバッグ(E)が配置される。蓋(D)には、必ずしも必要ではないが、蒸留水などのフィールドイコライザ誘電体材料が存在してもよい。蓋には穴があり、IR放射はこの穴を通って、キャビティの屋根にあるIRセンサを用いて測定され得る。
【0022】
図4では、さらなる実践的解決策が説明される。フィールドイコライザ(A)は、導電性材料(B)により部分的に囲まれ、この事例では凍結血漿である負荷(E)の突出部分が、ここに存在する。
【0023】
この解決策の利点として、導電性材料で囲まれた領域内の負荷の熱分布がより緩やかであることが挙げられる。
【0024】
この解決策の弱点として、IRセンサを用いて負荷の熱分布を測定することができないことが挙げられる。
【0025】
この事例では凍結血漿である有機負荷と、すべてのIRセンサとの間に存在するフィールドイコライザ材料を、全体的または部分的に取り除くことにより、負荷の温度を継続的に測定することが可能となる。
【0026】
図5では、実践的解決策が説明される。負荷Eは、フィールドレベリング材料Aにより囲まれている。
【0027】
フィールドレベリング材料Aの一端は、導電性材料Bにより部分的に囲まれている。フィールドレベリング材料は、穴Fで部分的に除去されている。
【0028】
これにより、負荷の表面熱分布を継続的に測定することが可能となる。
【0029】
最後に、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、添付の独立請求項の範囲内のすべての実施形態に関連し、これらのすべての実施形態を組み込むことを、理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】