(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】液晶組成物及びその液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
C09K 19/30 20060101AFI20230925BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20230925BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20230925BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20230925BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20230925BHJP
C09K 19/16 20060101ALI20230925BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20230925BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230925BHJP
G02F 1/139 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
C09K19/30
C09K19/12
C09K19/34
C09K19/20
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/18
G02F1/13 500
G02F1/139
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511873
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 CN2021112260
(87)【国際公開番号】W WO2022057532
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】202010981910.8
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514025683
【氏名又は名称】ジアンスー ヘチェン ディスプレイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】Building 2,China-Japan Cooperation Innovation Park,16 Zidan Road,Qinhuai District,Nanjing,210000 Jiangsu China
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ユンユン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ディー
(72)【発明者】
【氏名】シュー シュアン
(72)【発明者】
【氏名】シュー ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ リーファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヤーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ チェンティン
(72)【発明者】
【氏名】パン ディーケ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ フェイ
【テーマコード(参考)】
2H088
4H027
【Fターム(参考)】
2H088GA02
2H088HA08
2H088JA05
2H088JA09
2H088JA13
2H088KA06
2H088KA08
2H088KA27
2H088MA01
2H088MA09
2H088MA20
4H027BA01
4H027BD02
4H027BD07
4H027BD09
4H027BD24
4H027BE04
4H027BE05
4H027CA05
4H027CD01
4H027CD05
4H027CG05
4H027CK05
4H027CM01
4H027CM05
4H027CQ01
4H027CQ02
4H027CQ05
4H027CR05
4H027CT02
4H027CT05
4H027CW01
4H027CW02
(57)【要約】
液晶組成物及びその液晶表示装置であり、前記液晶組成物は、少なくとも1種の一般式Iの化合物と、少なくとも1種の一般式IIの化合物とを含む。該液晶組成物は、適切な透明点、適切な光学異方性及び適切な誘電率異方性の絶対値を維持しながら、更に大きな垂直誘電率(ε
⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε
⊥/|Δε|)、大きなK
aveの値、高い透過率を有する。これにより、それを含む液晶表示装置は、適切な使用可能な温度範囲及び適切な閾値電圧を維持しながら、良好なコントラスト、速い応答速度、高い透過率を有する。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の一般式Iの化合物と、
【化1】
少なくとも1種の一般式IIの化合物とを含み、
【化2】
ここで、R
1が、2~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基、又は2~11個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルケニルオキシ基を表し、
R
2が、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化3】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
R
3及びR
4が、それぞれ独立して、1~11個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基を表し、
L
1、L
2、L
3及びL
4が、それぞれ独立して、-F、-Cl、-CF
3、-OCF
3又は-CHF
2を表し、
n
1は、0又は1を表す、ことを特徴とする液晶組成物。
【請求項2】
前記一般式Iの化合物は、
【化4】
の化合物からなる群から選択され、
ここで、aが、0~4の整数を表し、bが、1~4の整数を表す、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の一般式I-2の化合物を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
少なくとも2種の一般式IIの化合物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のn
1が1を表す一般式IIの化合物を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の液晶組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の一般式Mの化合物を更に含み、
【化5】
ここで、R
M1及びR
M2が、それぞれ独立して、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化6】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
【化7】
が、それぞれ独立して、
【化8】
を表し、
【化9】
の1つ又は複数の-CH
2-が、-O-で置換されてもよく、かつ環の1つ又は複数の単結合が、二重結合で置換されてもよく、
【化10】
の多くとも1つの-Hが、ハロゲンで置換されてもよく、
Z
M1及びZ
M2が、それぞれ独立して、単結合、-CO-O-、-O-CO-、-CH
2O-、-OCH
2-、-C≡C-、-CH=CH-、-CH
2CH
2-又は-(CH
2)
4-を表し、
n
Mが、0、1又は2を表し、n
M=2である場合、
【化11】
が、同じであっても異なっていてもよく、Z
M2が、同じであっても異なっていてもよい、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の一般式IIIの化合物を更に含み、
【化12】
ここで、R
5及びR
6が、それぞれ独立して、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化13】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
T
1、T
2、T
3、T
4、T
5及びT
6が、それぞれ独立して、-H、1~3個の炭素原子を含有するアルキル基、又はハロゲンを表し、前記一般式IIIの化合物が、少なくとも1つの環構造
【化14】
を含有する、ことを特徴とする請求項6に記載の液晶組成物。
【請求項8】
前記一般式Iの化合物が占める重量百分率は、0.1%~50%であり、前記一般式IIの化合物が占める重量百分率は、0.1%~60%であり、前記一般式Mの化合物が占める重量百分率は、1%~80%であり、前記一般式IIIの化合物が占める重量百分率は、0.1%~30%である、ことを特徴とする請求項7に記載の液晶組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の一般式Nの化合物を更に含み、
【化15】
ここで、R
N1及びR
N2が、それぞれ独立して、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化16】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
【化17】
が、それぞれ独立して、
【化18】
を表し、
【化19】
の1つ又は複数の-CH
2-が、-O-で置換されてもよく、環の1つ又は複数の単結合が、二重結合で置換されてもよく、
【化20】
の1つ又は複数の-Hが、それぞれ独立して、-F、-Cl又は-CNで置換されてもよく、環の1つ又は複数の-CH=が、-N=で置換されてもよく、
Z
N1及びZ
N2が、それぞれ独立して、単結合、-CO-O-、-O-CO-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH
2CH
2-、-CF
2CF
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2O-又は-OCF
2-を表し、
L
N1及びL
N2が、それぞれ独立して、-F、-Cl、-CF
3、-OCF
3又は-CHF
2を表し、
L
N3及びL
N4が、それぞれ独立して、-H、1~3個の炭素原子を含有するアルキル基、又はハロゲンを表し、
n
N1が、0、1、2又は3を表し、n
N2が、0又は1を表し、かつ0≦n
N1+n
N2≦3であり、n
N1=2又は3である場合、
【化21】
が、同じであっても異なっていてもよく、Z
N1が、同じであっても異なっていてもよく、
n
N1+n
N2=0であるか又はn
N1+n
N2=1であり、かつ前記一般式Nの化合物がビスビフェニル構造である場合、R
N1及びR
N2が、アルコキシ基ではなく、
n
N1が2を表し、n
N2が0を表し、かつ前記一般式Nの化合物にビスビフェニル構造が存在する場合、R
N1が、アルケニル基又はアルケニルオキシ基ではなく、
n
N1+n
N2=3である場合、前記一般式Nの化合物が、ターフェニル構造ではない、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の液晶組成物を含む、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶の分野に関し、具体的には、液晶組成物及び前記液晶組成物を含む液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、時計及び電卓をはじめとする様々な家庭用電気機器、測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッサ、コンピュータ、プリンタ、テレビなどに使用することができる。表示モードのタイプに応じて、液晶表示素子は、PC(phase change、相転移)、TN(twist nematic、ねじれネマチック)、STN(super twisted nematic、超ねじれネマチック)、ECB(electrically controlled birefringence、電気制御複屈折)、OCB(optically compensated bend、光学補償ベンド)、IPS(in-plane switching、面内スイッチング)、VA(vertical alignment、垂直配向)などのタイプに分けることができる。素子の駆動方式に応じて、液晶表示素子は、PM(passive matrix、パッシブマトリックス)型とAM(active matrix、アクティブマトリックス)型に分けることができる。PMは、スタティック(static)及びマルチプレックス(multiplex)などのタイプに分けられる。AMは、TFT(thin film transistor、薄膜トランジスタ)、MIM(metal insulator metal、金属-絶縁層-金属)などのタイプに分けられる。TFTのタイプは、アモルファスシリコン(amorphous silicon)及び多結晶シリコン(polycrystal silicon)を含む。後者は、製造プロセスに応じて高温型と低温型に分けられる。光源のタイプに応じて、液晶表示素子は、自然光を利用する反射型と、バックライトを利用する透過型と、自然光及びバックライトの両方を利用する半透過型とに分けることができる。
【0003】
液晶表示素子は、ネマチック相を有する液晶組成物を含み、該組成物は、適切な特性を有する。該組成物の特性を向上させることにより、良好な特性を有するAM素子を得ることができる。組成物の特性とAM素子の特性との関連を下記表1にまとめる。
【表1】
【0004】
液晶表示装置の応用において、コントラストによる視覚効果への影響は、非常に重要である。一般的には、コントラストが高いほど、画像が鮮明で目立ち、色も鮮やかで美しく、それに対して、コントラストが低ければ、画面全体がぼんやりしている。高コントラストは、画像の鮮明度、ディテールの表現、階調の表現にいずれも大きく寄与する。高コントラストを有する製品は、白黒コントラスト、鮮明度、完全性などの面でいずれも利点を有する。コントラストによるビデオの表示効果への影響も大きく、動的画像の明暗の切り替えが速いため、コントラストが高いほど、人の目でこのような切り替え過程を識別しやすい。
【0005】
IPSモードの透過率の式T
r∝|Δε|/ε
⊥(ここで、T
rが透過率を表し、「∝」が「反比例」関係を表し、Δεが誘電率異方性を表し、ε
⊥が分子軸に垂直な方向における誘電率定数を表す)に基づいて、液晶媒体の透過率を向上させるために、液晶媒体のΔεを低下させることを試みることができるが、一般的に同じ種類の製品の駆動電圧の調整範囲は、限りがある。また、液晶分子は、フリンジ電界の垂直成分の作用下でZ軸方向に傾斜して、その光学異方性が変化することを引き起こし、下記式
【数1】
(ここで、χが液晶層の光軸と偏光板の光軸との間の夾角であり、Δnが光学異方性であり、dが液晶セルの間隔であり、λが波長である)から分かるように、有効Δn*dはT
rに影響を与え、液晶の透過率を向上させるために、Δn*dを大きくすることも考えられるが、各種類の製品の遅延量の設計は一定である。
【0006】
一方、当業者は、従来のIPS-LCDの光漏れ性能の測定に基づいて、液晶表示装置の光漏れの問題を引き起こす主要な原因が光散乱(LC scattering)、摩擦均一性(rubbing uniformity)、カラーフィルタ膜の光漏れ(CF/TFT scattering)及び分極能力(polarize ability)であり、光散乱が光漏れ性能の影響要因の63%を占めることを発見した。
【0007】
下記関係式
【数2】
(ここで、dが液晶セルの間隔を表し、Δnが光学異方性を表し、n
eが異常光屈折率を表し、n
oが常光屈折率を表し、K
aveが平均弾性定数
【数3】
を表し、K
11がスプレイ弾性定数であり、K
22がツイスト弾性定数であり、K
33がベンド弾性定数である)から分かるように、LC ScatteringはK
aveに反比例し、K
aveを向上させる場合、液晶材料の光漏れを低減することができる。
【0008】
また、コントラスト(CR)と輝度(L)の関係式は、以下のとおりである。
CR=L255/L0×100%
ここで、L255が、オン状態輝度であり、L0が、オフ状態輝度である。CRに顕著に影響を与えるのは、L0の変化であることが分かる。オフ状態では、L0は、液晶分子の誘電率特性とは関係がなく、液晶材料自体のLC Scatteringに関係し、LC Scatteringが小さいほど、L0も小さいため、CRが顕著に向上する。
【0009】
前記状況に鑑み、コントラスト及び透過率を向上させる一般的な方式は、(1)液晶組成物の誘電率異方性Δεを保ちながら、ε⊥を大きくすることにより、透過率を効果的に向上させることができる面と、(2)液晶組成物の平均弾性定数Kaveの値を大きくすることで液晶分子の秩序度をより高くし、光漏れをより少なくすることにより、透過率を向上させる面との2つの面から考慮することができる。
【0010】
液晶材料の製造の観点から、液晶材料の各性能が互いに牽制し影響し、ある性能指標の向上により他の性能が変化する可能性がある。したがって、各性能が適切な液晶材料を製造するために、創造的な労力を要することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、適切な透明点、適切な光学異方性及び適切な誘電率異方性の絶対値を維持しながら、更に大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値、及び高い透過率を有する液晶組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記液晶組成物を含む液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の発明の目的を達成するために、本発明は、液晶組成物を提供する。前記液晶組成物は、
少なくとも1種の一般式Iの化合物と、
【化1】
少なくとも1種の一般式IIの化合物とを含み、
【化2】
ここで、
R
1が、2~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基、又は2~11個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルケニルオキシ基を表し、
R
2が、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化3】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
R
3及びR
4が、それぞれ独立して、1~11個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基を表し、
L
1、L
2、L
3及びL
4が、それぞれ独立して、-F、-Cl、-CF
3、-OCF
3又は-CHF
2を表し、
n
1は、0又は1を表す。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、L1及びL2は、いずれも-Fである。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、好ましくは、R2は、1~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~9個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を表し、更に好ましくは、R2は、1~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は1~7個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を表す。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、一般式Iの化合物は、
【化4】
の化合物からなる群から選択され、
ここで、
aが、0~4の整数を表し、
bが、1~4の整数を表す。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、一般式Iの化合物が占める重量百分率は、0.1%~50%であり、例えば、0.1%、0.5%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、32%、34%、35%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%であり、好ましくは、液晶組成物において、一般式Iの化合物が占める重量百分率は、0.5%~40%である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物は、少なくとも2種の一般式Iの化合物を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物は、少なくとも1種の一般式I-1の化合物及び/又は一般式I-2の化合物を含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似する場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも1種の一般式I-2の化合物を含み、特に好ましくは、少なくとも1種のa=0の一般式I-2の化合物を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、L3及びL4は、いずれも-Fである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似する場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも2種の一般式IIの化合物を含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似する場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも1種のn1が0を表す一般式IIの化合物を含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似する場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも1種のaが0を表す一般式I-2の化合物と、少なくとも1種のn1が0を表す一般式IIの化合物とを含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似するる場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも1種のn1が1を表す一般式IIの化合物を含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似する場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも1種のaが0を表す一般式I-2の化合物と、少なくとも1種のn1が1を表す一般式IIの化合物とを含む。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似する場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも1種のn1が0を表す一般式IIの化合物と、少なくとも1種のn1が1を表す一般式IIの化合物とを含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、一般式IIの化合物が占める重量百分率は、0.1%~60%であり、例えば、0.1%、0.5%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、32%、34%、35%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、50%、52%、54%、56%、58%、60%であり、好ましくは、液晶組成物において、一般式IIの化合物が占める重量百分率は、0.5%~40%である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の液晶組成物は、少なくとも1種の一般式Mの化合物を更に含み、
【化5】
ここで、
R
M1及びR
M2が、それぞれ独立して、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化6】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
【化7】
が、それぞれ独立して、
【化8】
を表し、
【化9】
の1つ又は複数の-CH
2-が、-O-で置換されてもよく、かつ環の1つ又は複数の単結合が、二重結合で置換されてもよく、
【化10】
の多くとも1つの-Hが、ハロゲンで置換されてもよく、
Z
M1及びZ
M2が、それぞれ独立して、単結合、-CO-O-、-O-CO-、-CH
2O-、-OCH
2-、-C≡C-、-CH=CH-、-CH
2CH
2-又は-(CH
2)
4-を表し、
n
Mが、0、1又は2を表し、n
M=2である場合、
【化11】
が、同じであっても異なっていてもよく、Z
M2が、同じであっても異なっていてもよい。
【0030】
本発明のアルケニル基は、好ましくは、式(V1)~式(V9)のいずれかで表される基から選択され、特に好ましくは、式(V1)、式(V2)、式(V8)又は式(V9)で表される基から選択される。式(V1)~式(V9)で表される基は、以下のとおりである。
【化12】
ここで、*が、結合した環構造中の炭素原子を表す。
【0031】
本発明のアルケニルオキシ基は、好ましくは、式(OV1)~式(OV9)のいずれかで表される基から選択され、特に好ましくは、式(OV1)、式(OV2)、式(OV8)又は式(OV9)で表される基から選択される。式(OV1)~式(OV9)で表される基は、以下のとおりである。
【化13】
ここで、*が、結合した環構造中の炭素原子を表す。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、一般式Mの化合物は、
【化14】
【化15】
の化合物からなる群から選択される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、一般式Mの化合物が占める重量百分率は、1%~80%であり、例えば、1%、2%、4%、6%、8%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、32%、34%、35%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%であり、好ましくは、液晶組成物において、一般式Mの化合物が占める重量百分率は、20%~70%である。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電率異方性の絶対値が同じであるか又は近似する場合、大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値及び高い透過率を得るために、液晶組成物は、好ましくは、少なくとも1種の一側の末端基がアルケニル基である一般式M-12の化合物を含む。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、一般式Mの化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの必要な性能に応じて適切に調整する必要がある。
【0036】
一般式Mの化合物の含有量について、本発明の液晶組成物の粘度が低く、かつ応答時間が短いことを保つ必要がある場合、好ましくは、その下限値が高くかつ上限値が高く、更に、本発明の液晶組成物の透明点が高く、かつ温度安定性が良好であることを保つ必要がある場合、好ましくは、その下限値が高くかつ上限値が高く、駆動電圧を低く保ちながら、かつ誘電率異方性の絶対値を大きくするために、好ましくは、その下限値を低くし、かつ上限値を低くする。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、RM1及びRM2は、好ましくは、それぞれ独立して、1~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~9個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、RM1及びRM2は、更に好ましくは、それぞれ独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~7個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、RM1及びRM2は、より更に好ましくは、それぞれ独立して、1~5個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~4個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~5個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基である。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、RM1及びRM2は、好ましくは、それぞれ独立して、2~8個の炭素原子を含有する直鎖のアルケニル基であり、更に好ましくは、それぞれ独立して、2~5個の炭素原子を含有する直鎖のアルケニル基である。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、好ましくは、RM1及びRM2のいずれか一方は、2~5個の炭素原子を含有する直鎖のアルケニル基であり、他方は、1~5個の炭素原子を含有する直鎖のアルキル基である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、RM1及びRM2は、好ましくは、それぞれ独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖のアルキル基、又は1~7個の炭素原子を含有する直鎖のアルコキシ基であり、更に好ましくは、それぞれ独立して、1~5個の炭素原子を含有する直鎖のアルキル基、又は1~4個の炭素原子を含有する直鎖のアルコキシ基である。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、好ましくは、RM1及びRM2のいずれか一方は、1~5個の炭素原子を含有する直鎖のアルキル基であり、他方は、1~5個の炭素原子を含有する直鎖のアルキル基、又は1-4個の炭素原子を含有する直鎖のアルコキシ基であり、更に好ましくは、RM1及びRM2の両方は、それぞれ独立して、1~5個の炭素原子を含有する直鎖のアルキル基である。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、信頼性を重視する場合、好ましくは、RM1及びRM2は、いずれもアルキル基であり、化合物の揮発性を低下させることを重視する場合、好ましくは、RM1及びRM2は、いずれもアルコキシ基であり、粘度の低下を重視する場合、好ましくは、RM1及びRM2のうちの少なくとも1つは、アルケニル基である。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の液晶組成物は、少なくとも1種の一般式IIIの化合物を更に含み、
【化16】
ここで、
R
5及びR
6が、それぞれ独立して、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化17】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
T
1、T
2、T
3、T
4、T
5及びT
6が、それぞれ独立して、-H、1~3個の炭素原子を含有するアルキル基、又はハロゲンを表し、
一般式IIIの化合物が、少なくとも1つの環構造
【化18】
を含有する。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、一般式IIIの化合物は、
【化19】
の化合物からなる群から選択される。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、好ましくは、R5及びR6は、それぞれ独立して、1~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~9個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を表し、更に好ましくは、R5及びR6は、それぞれ独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~7個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を表し、より更に好ましくは、R5及びR6は、それぞれ独立して、1~5個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~4個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~5個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を表す。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、一般式IIIの化合物が占める重量百分率は、0%~30%であり、例えば、0%、0.1%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%であり、好ましくは、液晶組成物において、一般式IIIの化合物が占める重量百分率は、0.1%~25%である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の液晶組成物は、少なくとも1種の一般式Nの化合物を更に含み、
【化20】
ここで、
R
N1及びR
N2が、それぞれ独立して、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化21】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、
【化22】
が、それぞれ独立して、
【化23】
を表し、
【化24】
の1つ又は複数の-CH
2-が、-O-で置換されてもよく、環の1つ又は複数の単結合が、二重結合で置換されてもよく、
【化25】
の1つ又は複数の-Hが、それぞれ独立して、-F、-Cl又は-CNで置換されてもよく、環の1つ又は複数の-CH=が、-N=で置換されてもよく、
Z
N1及びZ
N2が、それぞれ独立して、単結合、-CO-O-、-O-CO-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH
2CH
2-、-CF
2CF
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2O-又は-OCF
2-を表し、
L
N1及びL
N2が、それぞれ独立して、-F、-Cl、-CF
3、-OCF
3又は-CHF
2を表し、
L
N3及びL
N4が、それぞれ独立して、-H、1~3個の炭素原子を含有するアルキル基、又はハロゲンを表し、
n
N1が、0、1、2又は3を表し、n
N2が、0又は1を表し、かつ0≦n
N1+n
N2≦3であり、n
N1=2又は3である場合、
【化26】
が、同じであっても異なっていてもよく、Z
N1が、同じであっても異なっていてもよく、
n
N1+n
N2=0であるか又はn
N1+n
N2=1であり、かつ一般式Nの化合物がビスビフェニル構造である場合、R
N1及びR
N2が、アルコキシ基ではなく、
n
N1が2を表し、n
N2が0を表し、かつ一般式Nの化合物にビスビフェニル構造が存在する場合、R
N1が、アルケニル基又はアルケニルオキシ基ではなく、
n
N1+n
N2=3である場合、一般式Nの化合物が、ターフェニル構造ではない。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、一般式Nの化合物は、
【化27】
【化28】
【化29】
の化合物からなる群から選択され、
ここで、
R
N1’及びR
N2’が、それぞれ独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は2~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を表し、
R
N1’’が、1~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は1~7個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基を表す。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、一般式Nの化合物が占める重量百分率は、0.1%~60%であり、例えば、0.1%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、32%、34%、35%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%であり、好ましくは、液晶組成物において、一般式Nの化合物が占める重量百分率は、1%~55%である。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の液晶組成物の粘度が低く、かつ応答時間が短いことを保つ必要がある場合、好ましくは、一般式Nの化合物の含有量の下限値が低くかつ上限値が低く、更に、本発明の液晶組成物の透明点が高く、かつ温度安定性が良好であることを保つ必要がある場合、好ましくは、一般式Nの化合物の含有量の下限値が低くかつ上限値が低く、また、駆動電圧を低く保ちながら、かつ誘電率異方性の絶対値を大きくするために、好ましくは、一般式Nの化合物の含有量の下限値を高くし、かつ上限値を高くする。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態では、好ましくは、RN1及びRN2は、それぞれ独立して、1~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、1~9個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~10個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を表し、更に好ましくは、RN1及びRN2は、それぞれ独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は1~7個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を表し、より更に好ましくは、RN1及びRN2は、それぞれ独立して、1~5個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は1~4個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、又は2~5個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を表す。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の液晶組成物は、少なくとも1種の一般式A-1の化合物及び/又は一般式A-2の化合物を更に含み、
【化30】
ここで、
R
A1及びR
A2が、それぞれ独立して、1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化31】
を表し、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、前記1~12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、
【化32】
の1つ又は複数の-Hが、それぞれ独立して、-F又は-Clで置換されてもよく、
【化33】
が、それぞれ独立して、
【化34】
を表し、
【化35】
の1つ又は複数の-CH
2-が、-O-で置換されてもよく、環の1つ又は複数の単結合が、二重結合で置換されてもよく、
【化36】
の1つ又は複数の-Hが、それぞれ独立して、-F、-Cl又は-CNで置換されてもよく、環の1つ又は複数の-CH=が、-N=で置換されてもよく、
Z
A11、Z
A21及びZ
A22が、それぞれ独立して、単結合、-CH
2CH
2-、-CF
2CF
2-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH
2O-又は-OCH
2-を表し、
L
A11、L
A12、L
A13、L
A21及びL
A22が、それぞれ独立して、-H、1~3個の炭素原子を含有するアルキル基、又はハロゲンを表し、
X
A1及びX
A2が、それぞれ独立して、ハロゲン、1~5個の炭素原子を含有するハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アルコキシ基、2~5個の炭素原子を含有するハロゲン化アルケニル基又はハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、
n
A11が、0、1、2又は3を表し、n
A11=2又は3である場合、
【化37】
が、同じであっても異なっていてもよく、Z
A11が、同じであっても異なっていてもよく、
n
A12が、1又は2を表し、n
A12=2である場合、
【化38】
が、同じであっても異なっていてもよく、
n
A2が、0、1、2又は3を表し、n
A2=2又は3である場合、
【化39】
が、同じであっても異なっていてもよく、Z
A21が、同じであっても異なっていてもよい。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、一般式A-1の化合物は、
【化40】
【化41】
の化合物からなる群から選択され、
ここで、
R
A1が、1~8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、前記1~8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、これらの基に存在する1つ又は複数の-Hが、それぞれ独立して、-F又は-Clで置換されてもよく、
R
v及びR
wが、それぞれ独立して、-CH
2-又は-O-を表し、
L
A11、L
A12、L
A11’、L
A12’、L
A14、L
A15及びL
A16が、それぞれ独立して、-H又は-Fを表し、
L
A13及びL
A13’が、それぞれ独立して、-H又は-CH
3を表し、
X
A1が、-F、-CF
3又は-OCF
3を表し、
v及びwが、それぞれ独立して、0又は1を表す。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、一般式A-1の化合物が占める重量百分率は、0%~50%であり、例えば、0%、0.1%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、32%、34%、35%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%である。
【0055】
一般式A-1の化合物の好ましい含有量について、本発明の液晶組成物の粘度が低く、かつ応答速度が速いことを保つ場合、好ましくは、その下限値をわずかに低くし、かつその上限値をわずかに低くし、更に、本発明の液晶組成物の透明点が高く、かつ温度安定性が良好であることを保つ場合、好ましくは、その下限値をわずかに低くし、かつその上限値をわずかに低くし、また、駆動電圧を低く保ちながら、かつ誘電率異方性の絶対値を大きくしようとする場合、好ましくは、その下限値をわずかに高くし、かつその上限値をわずかに高くする。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、一般式A-2の化合物は、
【化42】
【化43】
の化合物からなる群から選択され、
ここで、
R
A2が、1~8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、前記1~8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基の1つ又は隣接しない2つ以上の-CH
2-が、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-CO-O-又は-O-CO-で置換されてもよく、これらの基に存在する1つ又は複数の-Hが、それぞれ独立して、-F又は-Clで置換されてもよく、
L
A21、L
A22、L
A23、L
A24及びL
A25が、それぞれ独立して、-H又は-Fを表し、
X
A2が、-F、-CF
3、-OCF
3又は-CH
2CH
2CH=CF
2を表す。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、一般式A-2の化合物が占める重量百分率は、0%~50%であり、例えば、0%、0.1%、1%、2%、4%、6%、8%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、32%、34%、35%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%である。
【0058】
一般式A-2の化合物の好ましい含有量について、本発明の液晶組成物の粘度が低く、かつ応答速度が速いことを保つ場合、好ましくは、その下限値をわずかに低くし、かつその上限値をわずかに低くし、更に、本発明の液晶組成物の透明点が高く、かつ温度安定性が良好であることを保つ場合、好ましくは、その下限値をわずかに低くし、かつ上限値をわずかに低くし、また、駆動電圧を低く保ちながら、かつ誘電率異方性の絶対値を大きくしようとする場合、好ましくは、その下限値をわずかに高くし、かつその上限値をわずかに高くする。
【0059】
前記化合物に加えて、本発明の液晶組成物は、一般的なネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、ドーパント、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、重合性モノマー又は光安定剤などを含有してもよい。
【0060】
本発明に係る液晶組成物に好ましくは添加される可能性のあるドーパントは、以下に示される。
【化44】
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、ドーパントが占める重量百分率は、0%~5%であり、好ましくは、液晶組成物において、ドーパントが占める重量百分率は、0.01%~1%である。
【0062】
また、本発明の液晶組成物に使用される酸化防止剤、光安定剤などの添加剤は、好ましくは、以下の物質である。
【化45】
【化46】
【化47】
ここで、nが、1~12の正の整数を表す。
【0063】
好ましくは、光安定剤は、以下に示す光安定剤から選択される。
【化48】
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶組成物において、光安定剤が占める重量百分率は、0%~5%であり、好ましくは、液晶組成物において、光安定剤が占める重量百分率は、0.01%~1%であり、より好ましくは、液晶組成物において、光安定剤が占める重量百分率は、0.01%~0.1%である。
【0065】
別の態様では、本発明に係る液晶表示装置は、上記液晶組成物を含む。
【発明の効果】
【0066】
従来の技術に比べて、本発明の液晶組成物は、適切な透明点、適切な光学異方性及び適切な誘電率異方性の絶対値を維持しながら、更に大きいな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値、高い透過率を有する。これにより、それを含む液晶表示装置は、適切な使用可能な温度範囲及び適切な閾値電圧を維持しながら、良好なコントラスト、速い応答速度、及び高い透過率を有する。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明する。なお、以下の実施例は、本発明の例示的なものであり、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明の構想内の他の組み合わせ及び様々な改良を行うことができる。
【0068】
説明を容易にするために、以下の各実施例では、各化合物の基構造を表2に示されたコードで示す。
【0069】
【0070】
以下の構造式の化合物を例とする。
【化49】
該構造式を表2に示されるコードで表す場合、nCCGFとして表すことができ、コードにおけるnは、左端のアルキル基のC原子数を表し、例えばnが「3」である場合、該アルキル基が-C
3H
7であることを表し、コードにおけるCは、1,4-シクロヘキシレン基を表し、Gは、2-フルオロ-1,4-フェニレン基を表し、Fは、フッ素を表す。
【0071】
以下の実施例における測定項目の略号は、以下のとおりである。
Cp 透明点(ネマチック相-等方相の転移温度、℃)
Δn 光学異方性(589nm、25℃)
ε
⊥ 垂直誘電率
Δε 誘電率異方性(1KHz、25℃)
ε
⊥/|Δε| 垂直誘電率と誘電率絶対値との比
K
ave 平均弾性定数(20℃)
T
r 透過率(%)(20℃)
Cpは、融点測定装置による測定で得られる。
Δnは、アッベ屈折計を用いて、ナトリウムランプ(589nm)の光源下にて、25℃で測定して得られる。
Δε:Δε=ε
||-ε
⊥、ここで、ε
||が分子軸に平行な誘電率定数であり、ε
⊥が分子軸に垂直な誘電率定数であり、測定条件は、25℃、1KHz、セル厚さが6μmのVA型測定セルである。
T
rについて、DMS 505光電気統合測定装置を用いて調光デバイスのV-T曲線を測定し、V-T曲線における透過率の最大値を液晶の透過率とし、測定セルは、ネガティブIPS型であり、セル厚さが3.5μmである。
K
ave:
【数4】
であり、K
11、K
22及びK
33は、LCRメータ及びVA測定セルを用いて液晶材料のC-V曲線を測定し、更に計算して得られるものであり、測定条件は、20℃、セル厚さが6μmのVA型測定セルであり、V=0.1~20Vである。
【0072】
以下の実施例で用いられた各成分は、いずれも公知の方法で合成するか、又は商業的なルートで入手することができる。これらの合成技術は、一般的であり、得られた各液晶化合物は、測定により、電子系化合物の基準に合致する。
【0073】
以下の実施例に規定された各液晶組成物の配合比率に従って液晶組成物を製造する。液晶組成物の製造は、本分野の一般的な方法で行われ、例えば加熱、超音波、懸濁などの方式を用いて所定の割合で混合して製造される。
【0074】
[比較例1]
表3に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、比較例1の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0075】
【0076】
[実施例1]
表4に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例1の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0077】
【0078】
比較例1と実施例1とを比較して分かるように、本発明の一般式Iの化合物のみを含む液晶組成物に比べて、本発明の一般式Iの化合物及び一般式IIの化合物を含む液晶組成物は、適切な透明点、適切な光学異方性及び適切な誘電率異方性の絶対値を維持しながら、更に大きな垂直誘電率、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比、大きなKaveの値、高い透過率を有する。
【0079】
[比較例2]
表5に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、比較例2の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0080】
【0081】
[実施例2]
表6に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例2の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0082】
【0083】
比較例2と実施例2とを比較して分かるように、本発明の一般式IIの化合物のみを含む液晶組成物に比べて、本発明の一般式Iの化合物及び一般式IIの化合物を含む液晶組成物は、適切な透明点、適切な光学異方性及び適切な誘電率異方性の絶対値を維持しながら、更に大きな垂直誘電率、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値、高い透過率を有する。
【0084】
[実施例3]
表7に示される各化合物及びそれらの重量百分率に従って、実施例3の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0085】
【0086】
[実施例4]
表8に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例4の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0087】
【0088】
[実施例5]
表9に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例5の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0089】
【0090】
[実施例6]
表10に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例6の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0091】
【0092】
[実施例7]
表11に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例7の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0093】
【0094】
[実施例8]
表12に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例8の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0095】
【0096】
[実施例9]
表13に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例9の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0097】
【0098】
[実施例10]
表14に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例10の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0099】
【0100】
[実施例11]
表15に示される各化合物及びそれらの重量百分率で、実施例11の液晶組成物を調製し、該液晶組成物を液晶ディスプレイの2つの基板の間に充填して性能測定を行う。
【0101】
【0102】
以上により、本発明の液晶組成物は、適切な透明点、適切な光学異方性及び適切な誘電率異方性の絶対値を維持しながら、更に大きな垂直誘電率(ε⊥)、垂直誘電率と誘電率絶対値との大きな比(ε⊥/|Δε|)、大きなKaveの値、高い透過率を有し、特に、液晶組成物は、一般式I-2の化合物を含む場合、性能が顕著に向上し、本発明の液晶組成物を含む液晶表示装置は、適切な使用可能な温度範囲及び適切な閾値電圧を維持しながら、良好なコントラスト、速い応答速度、及び高い透過率を有する。
【0103】
以上の実施形態は、当業者が本発明の内容を理解し、かつ実施することができるように、本発明の技術的思想及び特徴を説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の要旨に基づいて行われる等価的な変形又は修正は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る液晶組成物は、液晶の分野に適用することができる。
【国際調査報告】