(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ポリジオルガノシロキサンの調製
(51)【国際特許分類】
C08G 77/38 20060101AFI20230925BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20230925BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20230925BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20230925BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20230925BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230925BHJP
【FI】
C08G77/38
C09D183/04
C09D7/40
C09K3/10 G
C08L83/06
C08K3/013
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512016
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 US2021039299
(87)【国際公開番号】W WO2022046275
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ザイツ、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、マイケル エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、フィル
【テーマコード(参考)】
4H017
4J002
4J038
4J246
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB15
4H017AD01
4H017AE05
4J002CP051
4J002CP052
4J002DE236
4J002DJ009
4J002DJ016
4J002ED009
4J002EX037
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4J002EX039
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4J002EX078
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4J002FD016
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4J002FD208
4J002FD209
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4J246AA03
4J246AA11
4J246AB01
4J246BA040
4J246BA04X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB023
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4J246BB133
4J246BB13X
4J246CA120
4J246CA12E
4J246CA12U
4J246CA12X
4J246CA130
4J246CA13E
4J246CA13M
4J246CA13X
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4J246CA24X
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4J246CA34M
4J246CA34X
4J246FA082
4J246FA132
4J246FA322
4J246FB232
4J246GA11
4J246HA32
(57)【要約】
少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子からなる末端封鎖触媒出発物質の存在下で、ジメチルシラノール末端ポリジオルガノシロキサンを1つ以上のジ、トリ、及び/又はテトラアルコキシシランで末端封鎖するプロセス。得られる封鎖ポリマー材料は、例えばポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物においてポリマーとして利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラノール末端封鎖ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセスであって、
(i)前記シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、以下の構造の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質
【化1】
(式中、bは、0、1、又は2であり、R
2は、1~15個の炭素を有する直鎖状又は分岐状であってよいアルキル基であり、R
1は、任意の好適な基、すなわち、R
2、シクロアルキル基等の一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、及び前述の有機基における水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基であってよい)と、
出発物質組成物の0.0005~0.75重量%の量の少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は前記アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子からなる末端封鎖触媒出発物質の存在下で反応させることを含む、プロセス。
【請求項2】
前記末端封鎖触媒出発物質が、直鎖状、分岐状、若しくは環状ケイ素含有分子又は以下に示す基(1)~(4)のうちの1つ以上を含有する直鎖状、分岐状、若しくは環状有機分子を含む
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
(式、各R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、同一であっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてよく、あるいはR
4及びR
5、又はR
6及びR
5、又はR
7及びR
5、又はR
8及びR
4は、任意選択で、不均一置換されたアルキレン基を形成して、環構造を形成してもよく、この場合、不均一置換は、酸素又は窒素原子を用いる)、請求項1に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製する、プロセス。
【請求項3】
前記末端封鎖触媒出発物質が、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、トリアザビシクロデセン(1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項4】
前記プロセスが、スタティックミキサー内で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項5】
前記アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンが、前記プロセスの完了時に安定化されない、中和されない、若しくは安定化及び中和されない、並びに/又は前記プロセスの終了時に除去される前記末端封鎖出発物質を有しない、請求項1~4のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項6】
前記末端封鎖触媒を、固体としてそのまま、又は相溶性シリコーン若しくは有機溶媒中の溶液中で、又は前記シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを末端封鎖するために利用される前記ポリアルコキシシラン出発物質中で若しくはそのうちの1つ中で添加してよい、請求項1~5のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項7】
30~100℃の温度で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項8】
前記プロセスの完了後、前記アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンの最終生成物を使用前に3~7日間貯蔵する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項9】
前記ポリアルコキシシランが、シーラント組成物を作製するために利用される場合に架橋剤として機能するために未反応のポリアルコキシシランを利用可能であるように過剰に提供される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項10】
アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンが、その後、以下の成分:
(a)請求項1~9のいずれか一項に従って調製されたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物、
(b)充填剤、
(c)架橋剤、
(d)縮合硬化触媒、及び任意選択で
(c)架橋剤、及び/又は
(e)接着促進剤を混合することによって調製されるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物において成分としてその後使用される、請求項1~9のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセスから得ることができるか又は得られる、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー。
【請求項12】
請求項10に記載のプロセスから得ることができるか又は得られる、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物。
【請求項13】
前記ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物が、-OHスカベンジャーを更に含む、請求項12に記載のポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物。
【請求項14】
前記組成物が一部型組成物であり、前記硬化触媒(d)がスズ系触媒である、請求項12又は13に記載のポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物。
【請求項15】
請求項12、13、又は14のいずれか一項に従って調製されたポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物を硬化させることによって得られる、シリコーンエラストマー。
【請求項16】
ファサード、絶縁ガラス、窓建築、自動車、ソーラー、及び建築の分野におけるシーラントにおける、請求項1~9のいずれか一項に従って調製されたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを末端封鎖することによって、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製する方法に関する。本発明はまた、水分の非存在下において貯蔵安定性であり、周囲温度で大気水分によって架橋される縮合硬化性ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の必須成分のうちの1つとしてのアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンの使用に関する。
【0002】
アルコキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーを調製するためのいくつかの経路が当該技術分野において公知である。ジ-、トリ-、又はテトラアルコキシシラン(ポリアルコキシシラン)とシラノール末端ポリジオルガノシロキサンポリマーとを触媒の存在下で反応させることによって、アルコキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーを調製できることが当該技術分野において知られている。
【0003】
予想できることだが、この反応は容易ではない。実際、シラノール基は、触媒の非存在下では、周囲温度でアルコキシシラン基と容易には反応しない。この目的に好適な触媒として多種多様な化合物が提案されてきた。いくつか、例えば、硫酸、塩酸、ルイス酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化テトラメチルアンモニウムは、一般に化学的に過酷であり、シラノールとアルコキシシランとの縮合に関与する場合、結合の切断及びランダムな再配置を引き起こすことが見出されている。アミン、無機酸化物、酢酸カリウム、チタン/アミンの組合せ、カルボン酸/アミンの組合せ、アルコキシアルミニウムキレート、N,N’-二置換ヒドロキシルアミン、カルバメート、水酸化リチウム等の金属水酸化物、及びオキシム含有有機化合物を含む、好適な触媒として提案されている他の化合物は、様々な理由から望ましくない。例えば、特にプロセスに関与する多くのアルコキシシランの反応性のレベルに鑑みると、アミン触媒系は遅い。更に、アミン及びカルボン酸触媒は腐食性であり、反応が所望の完了状態まで進行したら、特別な取り扱い及び除去プロセスが必要になる。無機固体である水酸化リチウムは、それを溶液として反応に導入するためにメタノール等の極性溶媒を必要とする。しかしながら、メタノールの存在により、例えばリチウムメトキシドの形態の触媒が連続的に再生され、その結果、得られるポリマー反応生成物が、当該再生されたリチウム触媒との相互作用に起因する急速な粘度低下を示す。更に、これらの触媒の多くは不快な臭気を放出する場合があり、目及び皮膚にとって危険であるが、それらの除去は困難である場合が多く、面倒で費用のかかる余分な工程が必要になる。
【0004】
チタンテトライソプロプリオネート(tetraisoproprionate)等の有機チタン触媒は、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーの調製について既に検討されているが、それらはシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質と錯体を形成し、ポリマーマトリックスを著しく増粘させる。このチタン-ケイ素錯体形成は可逆的であるが、厚い相を分解するために高剪断混合を必要とし、これは、追加のコスト及び時間が必要になるので産業にとって望ましくない。
【0005】
更に、触媒を除去できないと、例えば、架橋又はポリマー成長若しくはポリマー鎖切断に起因するゲル化(時に、硬化前復元(pre-cure reversion)とも呼ばれる)により、ポリマー反応生成物又はポリマーを含有する組成物の貯蔵安定性にとって有害であり得る。更に、アミン触媒の一部を除去できないと、化合物若しくはその後に調製されるシーラント、接着剤、コーキング組成物等、及び/又は硬化した際のそれらのそれぞれのエラストマー生成物の貯蔵中に変色が引き起こされ得る。
【0006】
したがって、先行技術の触媒の問題点に悩まされることのない触媒を使用してシラノール末端ポリジオルガノシロキサンを迅速に末端封鎖することによって、粘度安定性のアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーを作製するプロセスが依然として必要とされている。
【0007】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセスであって、
(i)当該シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、以下の構造の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質
【化1】
(式中、bは、0、1、又は2であり、R
2は、1~15個の炭素を有する直鎖状又は分岐状であってよいアルキル基であり、R
1は、任意の好適な基、すなわち、R
2、シクロアルキル基等の一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、アミノアルキル基、(メタ)アクリレート基、グリシジルエーテル基、並びに前述の有機基における水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることによって得られた基であってよい)
と、反応の完了時に出発物質組成物の0.0005~0.75重量%の量の少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子からなる末端封鎖触媒出発物質の存在下で反応させることを含むプロセスが、本明細書に提供される。
【0008】
また、(i)シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、以下の構造の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質
【化2】
(式中、bは、0、1、又は2であり、R
2は、1~15個の炭素を有する直鎖状又は分岐状であってよいアルキル基であり、R
1は、任意の好適な基、すなわち、R
2、シクロアルキル基等の一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、アミノアルキル基、(メタ)アクリレート基、グリシジルエーテル基、並びに前述の有機基における水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることによって得られた基であってよい)
と、出発物質組成物の0.0005~0.75重量%の量の少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子からなる末端封鎖触媒出発物質の存在下で反応させることによって得ることができるか又は得られるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンが本明細書に提供される。
【0009】
以下の成分を一緒に混合することによって、上記のシラノール末端ポリジオルガノシロキサンからアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製し、次いで、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物を調製するプロセスも本明細書に提供される:
(a)本明細書に記載のプロセスによって得られる当該アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー、
(b)充填剤、
(d)縮合硬化触媒、及び任意選択で
(e)接着促進剤、及び/又は
(c)架橋剤。
【0010】
また、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製におけるポリマーとしての、本明細書に記載するプロセスによって調製されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーの使用も提供される。
【0011】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、1分子当たり少なくとも2つのシラノール基を有し、以下の式を有し得る:
【化3】
(式中、各Rは、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価の有機基であり、
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり、nは、0、1、又は2であり、yは、0、1、又は2であり、zは、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計又は1000mPa.s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計のいずれかを使用し、ポリマー粘度に従って速度(剪断速度)を適合させて、上記ポリジオルガノシロキサンポリマー出発物質が、25℃で30~100,000MPa・s、あるいは25℃で1,000~90,000mPa.sの粘度を有するような整数である)。
【0012】
典型的には、上記において、dは0であり、qは1であり、nは1又は2である。このような場合、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、以下の構造を有する:
【化4】
R、y、及びzが上記の通りである場合、yの平均値は約2である、すなわち、シラノール末端ポリマーは実質的に(すなわち、(>)90%超直鎖、あるいは>97%直鎖)である。
【0013】
各Rは、アルキル基、あるいは1~10個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはメチル又はエチル基、アルケニル基、あるいは2~10個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子を有するアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、及びヘキセニル基、芳香族基、あるいは6~20個の炭素原子を有する芳香族基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等の置換脂肪族有機基、アミノアルキル基、ポリアミノアルキル基、及び/又はエポキシアルキル基から個別に選択される。
【0014】
各Zは、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。一代替例では、各Zは、独立して、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基から選択され、更なる代替例では、各Zは、独立して、2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。各アルキレン基は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、及び/又はヘキシレン基から個別に選択され得る。しかしながら、先に示したように、本例では、dは通常0(ゼロ)である。
【0015】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa.sの範囲の粘度用に設計を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計又は1000mPa.s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計のいずれかを使用し、ポリマー粘度に従って速度(せん断速度)を適合させて、25℃で1,000~100,000MPa・s、あるいは25℃で5,000~90,000mPa.sの粘度を有し、したがって、zは、そのような粘度を可能にする整数であるか、あるいはzは、200~5000の整数である。
【0016】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサンポリマー出発物質は、式(1)によって表される単一のシロキサンであってもよく、又は上記式によって表されるポリジオルガノシロキサンポリマーの混合物であってもよい。したがって、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質に関する「シロキサンポリマー混合物」という用語は、任意の個々のポリジオルガノシロキサンポリマー出発物質又はポリジオルガノシロキサンポリマー出発物質の混合物を含むことを意味する。
【0017】
重合度(Degree of Polymerization、DP)(すなわち、実質的に上記式におけるz)は、通常、シリコーンの巨大分子若しくはポリマー又はオリゴマー分子中のモノマー単位の数として定義される。合成ポリマーは、異なる重合度を有する巨大分子種、したがって異なる分子量を有する巨大分子種の混合物から本質的になる。異なるタイプの平均ポリマー分子量が存在し、それらは異なる実験で測定することができる。2つの最重要のものは、数平均分子量(number average molecular weight、Mn)及び重量平均分子量(weight average molecular weight、Mw)である。シリコーンポリマーのMn及びMwは、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel permeation chromatography、GPC)によって、約10~15%の精度で測定することができる。この技術は標準的であり、Mw、Mn、及び多分散指数(polydispersity index、PI)が得られる。重合度(DP)=Mn/Muであり、式中、MnはGPC測定からの数平均分子量であり、Muはモノマー単位の分子量である。PI=Mw/Mnである。DPは、Mwによりポリマーの粘度に関連し、DPが高くなるほど粘度が高くなる。
【0018】
プロセスの第1段階では、上記のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、以下の構造の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質と反応させる:
【化5】
(式中、bは、0、1、又は2、あるいは0又は1であり、R
2は、1~15個の炭素、あるいは1~10個の炭素、あるいは1~6個の炭素を有するアルキル基であり、直鎖状又は分岐状であってよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、ペンチル、及びヘキシル、あるいはメチル又はエチルであるか、あるいはR
2はメチル基であってもよい。R
1は、任意の好適な基、すなわち、置換されていても置換されていなくてもよい、例えばフッ素及び塩素等のハロゲンによって置換されていてよいR
2等の一価炭化水素基、例えば、トリフルオロプロピル及び/又はペルフルオロプロピル;シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基);アルケニル基(例えば、ビニル基及びアリル基);アリール基(例えば、フェニル基及びトリル基);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル基)並びに前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基が挙げられる。一実施形態では、R
1は、ビニル、メチル、又はエチル基、あるいはビニル又はメチル基、あるいはメチル基であってよい。bが0又は1である場合、これは、ポリアルコキシシランが4つ又は3つのアルコキシ基を有することを意味する。典型的には、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、末端ケイ素1つ当たり1つの末端シラノール結合(-Si-OH)を有し、そのような場合、末端封鎖反応によって、3つのSi-アルコキシ結合又は2つのSi-アルコキシ結合を含む(-Si-OH)を置換する末端基、例えば、アルキル又はビニル等が生成される。
【0019】
典型的には、末端封鎖反応のための出発物質中に存在するポリアルコキシシラン出発物質の量は、ポリマー上の-OH基の量に対して少なくとも等モル量のポリアルコキシシランが存在するように決定される。したがって、出発物質として使用されるポリマーの粘度/鎖長が大きいほど、典型的には、ポリマー中に存在する-OH基が少なくなり、その結果、必要なポリアルコキシシランが少なくなる。同様に、その逆も正しい、すなわち、出発物質として使用されるポリマーの粘度/鎖長が小さいほど、典型的には、ポリマー中に存在する-OH基の数が多くなり、その結果、より多くの量のポリアルコキシシランが必要になる。しかしながら、場合によっては、著しくモル過剰のポリアルコキシシランを含むことが好ましく、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物が、例えばシリコーンシーラント組成物として使用するためのオルガノポリシロキサンエラストマー組成物において成分として使用される場合/ときには、末端封鎖反応の終了時に、すなわち、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物中に存在する残りの未反応ポリアルコキシシランを架橋剤として利用する。したがって、本明細書の一実施形態では、好ましくは、末端封鎖されるポリマー上の-OH基に対してモル過剰のポリアルコキシシランが存在する。したがって、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物は、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー、又は未反応ポリアルコキシシランと混合された/を含有するアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーであってよい。
【0020】
本明細書の開示に従って利用される末端封鎖触媒出発物質は、アミジン基、グアニジン基、当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物から選択される1つ以上の基を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子から選択される。
【0021】
アミジン基、グアニジン基、当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物から選択される1つ以上の基を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子は、直鎖状、分岐状、若しくは環状ケイ素含有分子又は以下に示す基(1)~(4)のうちの1つ以上を含有する直鎖状、分岐状、若しくは環状有機分子を含んでいてよい。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
式中、各R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、同一であっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてよく、あるいは、R
4及びR
5、又はR
6及びR
5、又はR
7及びR
5、又はR
8及びR
4は、任意選択で、環構造、例えば不均一置換されたアルキレン基を形成して、環構造を形成してもよく、当該不均一置換は、酸素又は窒素原子を用いる。
【0022】
一実施形態では、式(1)~(4)は、窒素がアルキレン基を介してケイ素原子に結合しているシラン構造の一部であってもよく、例えば、
【化10】
(式中、Zは、上記の通りであり、各R
10は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基及び/又は加水分解性基(本明細書において後で架橋剤(c)に関連して記載されるもの等)、アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基であってよく;Aは、上記(1)~(4)のうちの1つである)である。
【0023】
更なる代替例では、上記構造(1)~(4)のいずれか1つは、アルキド樹脂、油変性アルキド樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、天然油、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、エチレン-プロピレンコポリマー、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びそれらの塩、フェノール樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスルフィドゴム、ニトロセルロース、酪酸ビニル、ビニルポリマー、エチルセルロース、酢酸及び/若しくは酪酸セルロース、レーヨン、シェラック、ワックス、エチレンコポリマー、有機ゴム、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、並びに/又はポリエーテルカーボネートからなる群から選択されるポリマー基に連結され得る。構造(1)~(4)がシロキサンラジカルに連結される場合、それらは、206~50,000g/mol、特に280~25,000g/mol、特に好ましくは354~15,000g/molの範囲の平均分子量を有するポリシロキサン基に結合し得る。そのようなポリシロキサン基を有する末端封鎖触媒は、典型的には室温で液体であり、低い蒸気圧を有し、シリコーンポリマーをベースとする硬化性組成物中で特に容易に相溶可能であり、これに関連して特にほとんど分離も移行もしない傾向がある。
【0024】
例えば、末端封鎖触媒出発物質は、構造
【化11】
を有する1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)であってもよく、又は以下の構造のシランであってもよい:
【化12】
(式中、R
2、R
1、及びbは、上記の通りであり、aは、1であり、R
3は、
【化13】
(式中、R
5及びR
4は、上記で定義した通りであり、Z
1は、2~6個の炭素を有するアルキレン又はオキシアルキレン基である)であり、aは1である)。
具体例としては、2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン及び2-[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン等が挙げられる。
【0025】
あるいは、末端封鎖触媒出発物質は、例えば、以下に示すようなトリアザビシクロデセン(1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、
【化14】
又は以下に示すような7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(mTBD)等の環状グアニジンであってもよい。
【化15】
【0026】
あるいは、末端封鎖触媒出発物質は、例えば、以下に示すような1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、
【化16】
又は以下に示すような1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)等の環状アミジンであってもよい。
【化17】
【0027】
反応物を連続的に混合することができる場合(例えば、磁気撹拌子又はオーバーヘッド機械式撹拌器)、末端封鎖触媒を固体としてそのまま添加してもよい。更に、末端封鎖触媒を微粉末の形態で反応環境に導入することができる場合がある。反応物を混合し、静置する場合、末端封鎖触媒は、確実に均一に分散させるために溶液として送達される。溶液で送達される場合、溶媒は、例示の目的で、例えば、トリメチル末端ポリジメチルシロキサン又はトルエン等の相溶性シリコーン又は有機溶媒であってよい。しかしながら、VOCの問題を最小限に抑えるために、末端封鎖触媒を送達するための好ましい液体は、実際には、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を末端封鎖するために利用されるポリアルコキシシランのうちの1つ、例えば、ビニルトリメトキシシラン及び/又はメチルトリメトキシシランであることが見出された。
【0028】
本明細書における主な利点は、プロセスが架橋又はポリマー成長を最小限に抑えるので、ポリマー粘度の安定性を維持しながらポリマーを封鎖できることである。安定性とは、架橋又はゲル化、あるいは切断等により著しく変化(すなわち、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーの(>)10%超)することのない3~7日間の期間を意味する。これは、定量的NMR(重合度を求める)により試料を定期的に試験することによって、又は粘度測定によって決定することができる。使用したNMRは、内部標準として重水素化溶媒(例えば、CDCl3δ7.26)を使用する400MHz機器を使用して測定したプロトンNMRであった。29Si NMRは、重水素化溶媒(例えば、重水素化クロロホルム(CDCl3))中0.02Mクロム(III)アセチルアセトネート(Cr(acac)3)の溶液を使用して、80MHz機器によって測定される。粘度は、0.051mmのギャップを有するコーン及びプレート形状を使用して、TA Instruments ARES Rheometerによって測定した。粘度は、対数目盛で10ポイント/ディケイドで1~10s-1の平均粘度として報告された。
【0029】
典型的には、上記の末端封鎖プロセスは他の成分の非存在下で行われるが、必要に応じて、可塑剤/増量剤及び/又は顔料等の本明細書に記載の末端封鎖プロセスに干渉しない必要な追加成分が、所望であれば、プロセスの前に組成物中に存在していてもよい。しかしながら、これらは一般に、本明細書で後述するように、本明細書におけるプロセスによって提供される末端封鎖されたポリマーを利用する後続の組成物の調製中に添加される。
【0030】
更に、所望であれば、先に記載したプロセスの前に又は更にはそれと同時に鎖延長剤を導入して、アルコキシシランで末端封鎖する前にポリマー鎖の長さを延長してもよい。鎖延長剤は、例えば、二官能性シランであってよい。好適な二官能性シランは、以下の構造を有し得る。
【化18】
式中、各R
11は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状、分岐状、又は環状であってよいが、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質の-OH基又は加水分解性基と非反応性であるという点で非官能性基である。したがって、各R
11基は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はフェニル等のアリール基から選択される。一代替例では、R
11基は、アルキル基又はアルケニル基のいずれかであるか、あるいは1分子当たり1つのアルキル基及び1つのアルケニル基が存在していてもよい。アルケニル基は、例えば、ビニル、プロペニル、及びヘキセニル基などの直鎖又は分岐状アルケニル基から選択され得、アルキル基は、メチル、エチル、又はイソプロピルなどの1~10個の炭素原子を有する。更なる代替例では、R
11は、環状でありかつ2つの位置でSi原子に結合するR
111によって置き換えられてもよい。
【0031】
各基R12は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基又は加水分解性基と反応可能である。基R12の例としては、アルコキシ、アセトキシ、オキシム、ヒドロキシ、及び/又はアセトアミド基が挙げられる。あるいは、各R12は、アルコキシ基又はアセトアミド基のいずれかである。R12がアルコキシ基である場合、上記1~10個の炭素原子を含有するアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロプロキシ、ブトキシ、及びt-ブトキシ基。本明細書における好適なニ官能性シラン鎖延長剤の具体例としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン等のアルケニルアルキルジアルコキシシラン;ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシラン、ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシラン等のアルケニルアルキルジオキシモシラン;ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルエチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルエチルジアセトキシシラン等のアルケニルアルキルジアセトキシシラン;並びにビニルメチルジヒドロキシシラン、ビニルエチルジヒドロキシシラン、ビニルメチルジヒドロキシシラン、及びビニルエチルジヒドロキシシラン等のアルケニルアルキルジヒドロキシシランが挙げられる。
【0032】
R
12がアセトアミドである場合、ジシランは、ジアルキルジアセトアミドシラン又はアルキルアルケニルジアセトアミドシランであってよい。そのようなジアセトアミドシランは、例えば、米国特許第5017628号及び同第3996184号に記載されているような低弾性率シーラント製剤のための公知の鎖延長材料である。ジアセトアミドシランは、例えば、次の構造を有し得、
【化19】
(式中、各R
13は、同一であっても異なっていてもよく、上記で定義したRと同じであってよく、あるいは、各R
13は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素、あるいは1~4個の炭素を有するアルキル基を含んでいてよい)。各R
14はまた、同一であっても異なっていてもよく、また、上記で定義したRと同じであってよく、1~6個の炭素、あるいは1~4個の炭素を有するアルキル基、又は2~6個の炭素、あるいは2~4個の炭素を有するアルケニル基、あるいはビニルを含んでいてよい。使用中、ジアセトアミドシランは、以下のうちの1つ以上から選択され得る。
N,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N’-(ジエチルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N’-(ジエチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-プロピルアセトアミド]
N,N’-(ジエチルシリレン)ビス[N-プロピルアセトアミド]
N,N’-(ジプロピルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N’-(ジプロピルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N’-(メチルビニルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N’-(エチルビニルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N’-(プロピルビニルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N’-(メチルビニルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N’-(エチルビニルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]及び/又は
N,N’-(プロピルビニルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]。
代替例では、ジアルキルジアセトアミドシランは、N,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]及び/又はN,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]から選択されるジアルキルジアセトアミドシランであり得る。あるいは、ジアルキルジアセトアミドシランは、N,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]である。
【0033】
存在する場合、鎖延長剤は、組成物の0.01~5重量%、あるいは0.05~1重量%の量で存在する。
【0034】
上記のプロセスを行う場合、最終混合物の重量に基づいて、(例えば、最終シーラント又は同様の組成物を作製するための追加の工程の非存在下で)以下を含んでいてよい:
(ai)成分の40重量%~99.5重量%、あるいは出発物質の60~99.5重量%、あるいは成分の70~99.5重量%、あるいは出発物質の80~99.5重量%、あるいは出発物質の90~99.5重量%、あるいは出発物質の95~99.5重量%の量のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質;
(aii)以下の構造の1つ以上のポリアルコキシシラン
【化20】
(式中、bは、0、1、又は2であり、R
2は、1~15個の炭素を有する直鎖状又は分岐状であってよいアルキル基であり、R
1は、任意の好適な基、すなわち、R
2、シクロアルキル基等の一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、及び前述の有機基における水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基であってよい)出発物質の約0.5~60重量%、あるいは出発物質の0.5~40重量%、出発物質の0.5~30重量%、出発物質の0.5~20重量%、成分の0.5~10重量%、あるいは成分の0.5~5重量%、あるいは出発物質の0.25~2.5重量%の量
(aiii)出発物質の0.0005~0.75重量%の量の、少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子からなる末端封鎖触媒。出発成分の総重量%(wt.%)は100wt.%であることが理解されるであろう。
【0035】
最終生成物内の末端封鎖触媒の中和は先行技術のプロセスにおいて重大な問題であったが、本発明のプロセスでは末端封鎖触媒含量が低いことに鑑みると、反応の終了時に末端封鎖触媒を除去する必要がないと判定された。中和は、末端封鎖触媒の物理的除去、化学的中和(例えば、酸/塩基反応)、化学吸着(例えば、吸着又は金属イオン封鎖)、又は生成物の精製及び末端封鎖触媒の除去の他の標準的な実施の形態で行ってよい。更に、いくつかのアミジン及びグアニジンは非常に刺激の強い香りを有する場合があることが知られているが、存在する末端封鎖触媒の量に鑑みると、これのことは現行のプロセスにおいて重大な問題ではないことが見出されている。本開示の更なる利点は、たとえ除去しなくても、末端封鎖触媒の添加のレベルによって中和工程の必要性をなくすことである。
【0036】
一実施形態では、典型的には、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質(ai)を好適なミキサーに導入し、撹拌し、次いで、1つ以上のポリアルコキシシラン(aii)を添加し、得られた混合物を再び混合する。工程(i)には、任意の好適な混合時間、例えば10~30分、あるいは10~20分を使用してよい。任意選択で、工程(i)における混合は、約100℃以下、例えば30~100℃、あるいは50~80℃の高温で行ってよい。末端封鎖触媒は、必要であると考えられる場合、1つ以上のポリアルコキシシランの添加前に、添加と同時に、又は添加後に導入してよい。
【0037】
所望であれば、得られたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物を副生成物及び末端封鎖触媒等から単離してもよい。あるいは、過剰のポリアルコキシシラン(aii)出発物質が存在しないように、等モル量のポリマー(ai)及びポリアルコキシシラン(aii)出発物質を反応プロセスにおいて利用してもよいが、同様に、所望であれば、任意の過剰のポリアルコキシシラン(aii)を、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の調製において架橋剤(c)又は架橋剤(c)の一部として利用することを意図して、過剰のポリアルコキシシラン(aii)出発物質を上記反応混合物に添加してもよい。
【0038】
ポリマーが鎖延長されることが望ましい場合には、鎖延長プロセス工程も行われる。典型的には、この場合、鎖延長剤を1つ以上のポリアルコキシシランの代わりに第1の工程において添加し、次いで、上記のような末端封鎖触媒を伴う鎖延長工程が完了したとみなされた後、鎖延長されたポリマーを末端封鎖することを意図して、ポリアルコキシシランを混合物に導入する。混合は、任意の好適なタイプのミキサー、例えば、スピードミキサー又はTurelloミキサーで行うことができる。あるいは、シランが異なる場合、鎖延長シラン及び末端封鎖シランを同時に添加してもよい。あるいは、同じシランである場合、鎖延長シラン及び末端封止シランを別々に添加してもよい。
【0039】
同様に、先に示したように、アルコキシ末端封鎖ポリマーが生成から3~7日間以下の期間内に利用される限り、ほとんどの先行技術の方法論とは異なり、最終生成物を中和する必要はない。
【0040】
得られたアルコキシ末端封鎖ポリマー反応最終生成物は、収集し、生成から3~7日間の期間内、将来の使用のために貯蔵してもよいが、好ましくは、以下を含むポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物を調製するためのプロセスの一部として直ちに使用される:
(a)上記のように調製されたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン、すなわち、アルコキシ末端封鎖ポリマー反応最終生成物、
(b)充填剤、
(c)架橋剤、
(d)縮合硬化触媒、
並びに任意選択的に、
(e)接着促進剤。
【0041】
架橋剤は、組成物の架橋剤として使用され得る過剰の未反応のポリアルコキシシランとして、末端封鎖反応最終生成物中の末端封鎖されたポリマー(a)と共に供給され得ることに留意されたい。あるいは、ポリアルコキシシランを用いて末端封鎖反応を完了させた場合、架橋剤を添加してもよい。あるいは、末端封鎖反応においてポリアルコキシシランを完了するまで使用した場合、架橋剤を添加してもよく、さもなければ、架橋剤は、部分的に過剰であり、部分的にこの段階で新たに添加される2つの混合物であってもよい。
【0042】
アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)は、典型的には、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の40~80重量%、あるいはシーラント組成物の約40~65重量%の量で組成物中に存在する。
【0043】
上記組成物はシーラントエラストマー組成物として好適であり、硬化時に低弾性率を有する、並びに/又は可塑剤及び/若しくは増量剤(時に、加工助剤と称されることもある)が漏出せず、コンクリートブロック若しくは他の建築材料等の隣接する基材を汚染しない点で非汚染性である生成物を形成するように設計してよい。
【0044】
典型的には、低弾性率シーラント組成物が望ましい場合、本明細書に記載のプロセスによって作製されるポリマーは、アルコキシ末端封鎖ポリマー(a)が高分子量/鎖長になるように設計されるように、上記のように鎖延長されている。
【0045】
充填剤(b)は、補強充填剤及び/若しくは非補強充填剤、例えば、1つ以上の微粉化補強充填剤、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、及び/若しくは沈降シリカを含んでいてよい、並びに/又は所望であれば、沈降炭酸カルシウム及び粉砕炭酸カルシウム等の他の充填剤を含んでいてもよい。典型的には、充填剤(b)の表面積は、ISO 9277:2010に準拠してBET法に従って測定して、沈降炭酸カルシウムの場合は少なくとも15m2/g、あるいは沈降炭酸カルシウムの場合は15~50m2/g、あるいは15~25m2/gである。シリカ補強充填剤は、少なくとも50m2/gの典型的な表面積を有する。一実施形態では、充填剤(b)は、沈降炭酸カルシウム、沈降シリカ、及び/又はヒュームドシリカであるか、あるいは沈降炭酸カルシウムである。高表面積ヒュームドシリカ及び/又は高表面積沈降シリカの場合、これらは、ISO 9277:2010に準拠してBET法を用いて測定して75~400m2/gの表面積、あるいはISO 9277:2010に準拠してBET法を用いて100~300m2/gの表面積を有し得る。
【0046】
典型的には、補強充填剤(b)は、選択された充填剤に応じて、組成物の約5~45重量%、あるいは組成物の約5~30重量%、あるいは組成物の約5~25重量%の量で組成物中に存在する。
【0047】
例えば、1つ以上の脂肪酸、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸若しくはステアレート等の脂肪酸エステルで、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザン、例えば、ヘキサアルキルジシラザン若しくは短鎖シロキサンジオールで疎水性処理して充填剤(b)を疎水性にし、それによって、他の接着剤成分との均質な混合物を取り扱うこと及びそれを得ることをより容易にし得る。充填剤の表面処理により、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)によって容易に濡れるようになる。これらの表面変性充填剤は、凝集せず、基本成分のアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)に均一に組み込むことができる。これにより、未硬化組成物の室温での機械的特性が改善される。充填剤は、前処理されてもよく、又はアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)と混合される場合はその場で処理されてもよい。
【0048】
シーラント組成物は、縮合硬化触媒(d)も含む。任意の好適な縮合硬化触媒(d)を利用することができる。上記縮合硬化触媒は、例えば、スズトリフレート、有機スズ系硬化触媒、例えば、酒石酸トリエチルスズ、オクタン酸スズ、オレイン酸スズ、ナフテン酸スズ、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエート、酪酸スズ、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエート、及びジオルガノスズ塩、特にジオルガノスズジカルボキシレート化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTDL)、ジメチルスズジブチレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズビスネオデカノエート、ジブチルスズジベンゾエート、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズビス(2,4-ペンタンジオネート、ジメチルスズジネオデカノエート(DMTDN)、及びジブチルスズジオクトエート等の1つ以上のスズ系触媒を含み得る。
【0049】
あるいは又は更に、縮合硬化触媒(d)は、例えば、一般式Ti[OR22]4又はZr[OR22]4(式中、各R22は、同一であっても異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状であり得る一価の第一級、第二級、又は第三級の脂肪族炭化水素基を表す)によるチタネート及び/又はジルコネート系触媒を含み得る。任意選択で、チタネート及び/又はジルコネートは、部分不飽和基を含有してもよい。R22の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級ブチル及び分枝状第二級アルキル基、例えば2,4-ジメチル-3-ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、各R22が同一である場合、R22は、イソプロピル基、分枝状第二級アルキル基又は第三級アルキル基、特に、第三級ブチルである。一代替例では、触媒はチタネートである。好適なチタネートの例としては、テトラn-ブチルチタネート、テトラt-ブチルチタネート、チタンテトラブトキサイド、テトライソプロピルチタネートが挙げられる。好適なジルコネートの例としては、テトラn-プロピルジルコネート、テトラn-ブチルジルコネート及びジルコニウムジエチルシトレートが挙げられる。
【0050】
あるいは、チタネート及び/又はジルコネートは、キレート化されていてもよい。キレート化は、アルキルアセチルアセトネート、例えばメチル又はエチルアセチルアセトネートなどの、任意の好適なキレート剤によってもよい。あるいは、チタネートは、例えば、2-プロパノラト、トリスイソオクタデカノアトチタネート、又はジイソプロポキシ-ビスエチルアセトアセテートチタネート等の3つのキレート剤をもたらすモノアルコキシチタネートであってよい。
【0051】
縮合硬化触媒(d)は、典型的には、組成物の0.25~4.0重量%、あるいは組成物の0.25~3重量%、あるいは組成物の0.3重量%~2.5重量%の量で組成物中に存在する。ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、組成物の全ての成分が一緒に貯蔵される一部型組成物であってもよく、又は早期硬化を防止するために使用前には成分が2つの部分に貯蔵される二部型組成物であってもよい。
【0052】
好ましい実施形態では、本明細書におけるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、一部型ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物、好ましくは、縮合硬化触媒(d)がスズ系縮合硬化触媒である一部型ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物である。
【0053】
上記ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の調製中の、上記組成物への架橋剤(c)の別個の添加は任意選択である。その理由は、架橋剤(c)は上記ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物における必須成分であるが、
上記の末端封鎖反応において使用される構造
【化21】
(式中、R
2、R
1、及びbは、上述した通りである)の1つ以上のポリアルコキシシランと同じであってもよいためである。この場合、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の調製時に追加の架橋剤(c)を必要としない末端封鎖反応時に、シラノールポリマーを末端封鎖するための反応混合物にポリアルコキシシランを十分過剰に導入することが可能である。しかしながら、必要と思われる場合には、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の調製時に追加の架橋剤を添加してもよい。
【0054】
ある量の架橋剤(c)をポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の調製時に添加する場合、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)と反応可能な基を1分子当たり少なくとも3つ有する任意の好適な架橋剤を利用してよい。典型的には、添加される任意の架橋剤(c)は、ケイ素結合加水分解性基、例えば、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシ、及びベンゾイルオキシ基)を含有する1つ以上のシラン又はシロキサン;ケトキシミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ(ketoximo)基及びイソブチルケトキシミノ(isobutylketoximino)基);アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソブトキシ基及びプロポキシ基)、並びにアルケニルオキシ基(例えば、イソプロペニルオキシ基及び1-エチル-2-メチルビニルオキシ基)を含む、1つ以上のシラン又はシロキサンであり得る。
【0055】
架橋剤(c)が必要な場合、それは、直鎖状、分岐状、又は環状分子構造を有するシロキサン系架橋剤を含み得る。
【0056】
架橋剤(c)は、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)におけるヒドロキシル及び/又は加水分解性基と反応性であるヒドロキシル及び/又は加水分解性基を1分子当たり少なくとも3つ又は少なくとも4つ有する。架橋剤(c)を添加する必要がある場合、架橋剤(c)は、あるいは、シランであってもよく、シランが1分子当たり合計3つのケイ素結合ヒドロキシル及び/又は加水分解性基を有する場合、第4の基は、好適には非加水分解性ケイ素結合有機基である。これらのケイ素結合有機基は、好適には、フッ素及び塩素などのハロゲンによって任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基);アルケニル基(例えば、ビニル基及びアリル基);アリール基(例えば、フェニル基及びトリル基);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル基)並びに前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基が挙げられる。ただし、好ましくは、第4のケイ素結合有機基は、メチル又はビニルである。
【0057】
架橋剤(c)として使用することができるシラン及びシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。他の好適なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン(alkoxytrioximosilane)、アルケニルトリオキシモシラン(alkenyltrioximosilane)、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ-ブトキシジアセトキシシラン、フェニル-トリプロピオンオキシシラン(phenyl-tripropionoxysilane)、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ(methylethylketoximo))シラン、ビニル-トリス-メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、エチルポリシリケート、n-プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、及び/又はジメチルテトラアセトキシジシロキサンが挙げられる。あるいは、架橋剤(c)は、上記の2つ以上の任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0058】
あるいは、架橋剤(c)は、2つ以上のシリル基を含有するシリル官能性分子を含んでいてもよく、各シリル基は、少なくとも1つの-OH基又は加水分解性基を含有し、架橋剤1分子当たりの-OH基及び/又は加水分解性基の合計数は、少なくとも3である。したがって、ジシリル官能性分子は、各々少なくとも1つの加水分解性基を有する2つのケイ素原子を含み、これらのケイ素原子は有機又はシロキサンスペーサーによって分離されている。典型的には、ジシリル官能性分子上のシリル基は、末端基であってもよい。スペーサーは、シロキサン又は有機ポリマー主鎖を有するポリマー鎖であってもよい。このようなシロキサン又は有機系架橋剤(c)の場合、分子構造は、直鎖状、分岐状、環状、又は巨大分子であってよい。シロキサン系ポリマーの場合、架橋剤(c)の粘度は、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計又は1000mPa.s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計のいずれかを使用し、ポリマー粘度に従って速度(剪断速度)を適合させて測定して、25℃で15~50,000MPa・sの範囲内であり、測定は25℃で行った。
【0059】
例えば、添加する必要がある場合、架橋剤(c)は、ジシリル官能性ポリマー、すなわち、各々が少なくとも1つの加水分解性基を有する2つのシリル基を含有するポリマー、例えば、下記の式
【化22】
(式中、各R及びnは、上記のように個々に選択してよい)
に記載のようなポリマーであってよい。Z
4は、アルキレン(二価炭化水素基)、あるいは1~10個、更にあるいは1~6個の炭素原子を有するアルキレン基、又は当該二価炭化水素基と二価シロキサン基との組み合わせである。
【0060】
各X基は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基又は縮合性若しくは加水分解性基であってよい。用語「加水分解性基」は、室温で水によって加水分解されるケイ素に結合した任意の基を意味する。加水分解性基Xは、式-OTの基を含み、式中、Tは、メチル、エチル、イソプロピル、オクタデシルなどのアルキル基、アリル、ヘキセニルなどのアルケニル基、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、β-フェニルエチルなどの環状基、2-メトキシエチル、2-エトキシイソプロピル、2-ブトキシイソブチル、p-メトキシフェニル、又は-(CH2CH2O)2CH3等の炭化水素エーテル基である。最も好ましいX基は、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である。例示的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ オクタデシルオキシ、及び2-エチルヘキソキシ、メトキシメトキシ又はエトキシメトキシなどのジアルコキシ基、エトキシフェノキシなどのアルコキシアリールオキシである。最も好ましいアルコキシ基は、メトキシ基あるいはエトキシ基である。
【0061】
好ましいジシリル官能性ポリマー架橋剤は、n=0又は1、X=OMeを有し、R4は、4~6個の炭素を有するアルキレン基である。
【0062】
アルコキシ官能性末端基を有するシリコーン又は有機ポリマー鎖を有するジシリルポリマー架橋剤の例としては、少なくとも1つのトリアルコキシ末端を有するポリジメチルシロキサンが挙げられ、その場合、アルコキシ基は、メトキシ基又はエトキシ基であってよい。例としては、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサ-n-プロポキシジシロキサン、ヘキサ-n-ブトキシジシロキサン、オクタエトキシトリシロキサン、オクタ-n-ブトキシトリシロキサン、及びデカエトキシテトラシロキサンを挙げることができる。一実施形態では、架橋剤は、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、及び/又はビニルメチルジメトキシシランのうちの1つ以上であってよい。
【0063】
組成物は、好適には、それが末端封鎖反応から過剰量として生じるか、又は末端封鎖反応の完了後のその添加から生じるか、又はその2つの組み合わせであるかに関係なく、上記のアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)と比較して少なくとも化学量論量の架橋剤(c)を含有する。したがって、存在する量は、利用される架橋剤(c)の特定の性質、特に選択される分子の分子量にも依存する。したがって、架橋剤は、典型的には、組成物の0.1~5重量%の量で組成物中に存在するが、潜在的にはより多量に存在してもよい。
【0064】
存在する場合、成分(e)は、接着促進剤である。好適な接着促進剤(e)は、式R14
hSi(OR15)(4-h)(式中、下付き文字hは、1、2、又は3であるか、あるいはhは3である)のアルコキシシランを含み得る。各R14は独立して一価の有機官能基である。R14は、グリシドキシプロピル基若しくは(エポキシシクロヘキシル)エチル基などのエポキシ官能基、アミノエチルアミノプロピル基若しくはアミノプロピル基などのアミノ官能基、メタクリルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基などのメルカプト官能基、又は不飽和有機基であり得る。各R15は、独立して、少なくとも1つの炭素原子の非置換飽和炭化水素基である。R15は、1~4つの炭素原子、あるいは1~2つの炭素原子を有していてよい。R15は、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルによって例示される。
【0065】
あるいは、接着促進剤は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又は上記のうちの2つ以上を反応させることによって得られる多官能性材料であってよい。例えば、アルキルアルコキシシリコーンの反応生成物、例えばトリメトキシメチルシランと、アミノアルコキシシラン、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシランと、エポキシアルコキシシラン、例えばグリシドキシプロピルトリメトキシシランとを、(i):(ii):(iii)が0.1~6:0.1~5:1の重量比。
【0066】
好適な接着促進剤(e)の例としては、また、構造-
【化23】
(式中、各R’は、同一であっても異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含有するアルキル基であり、gは、2~10であり、qは、2~10である)の分子も含み得る。
【0067】
ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、存在する場合、組成物の重量に基づいて0.01重量%~2重量%、あるいは0.05~2重量%、あるいは0.1~1重量%の接着促進剤を含み得る。好ましくは、生成物ネットワークへの組み込みよりも基材への分子の拡散に有利となるように、接着促進剤の加水分解速度は、架橋剤の加水分解速度よりも遅くする必要がある。
【0068】
必要に応じて他の添加剤を使用してもよい。これらとしては、レオロジー調整剤、安定剤、例えば酸化防止剤、UV及び/又は光安定剤、顔料、-OHスカベンジャー(水分/水/アルコール)スカベンジャー(典型的にはシラザン又は架橋剤として使用されるものと同じ化合物)、可塑剤及び/又は増量剤(時に加工助剤として識別される)、並びに殺真菌剤及び/又は殺生物剤等を挙げることができる。添加剤の一部は複数の添加剤のリストに挙げられることが理解される。その場合、このような添加剤は言及されている全ての異なる用途で機能する能力を有する。
【0069】
本発明による水分硬化性組成物中に組み込むことができるレオロジー調整剤としては、シリコーン有機コポリマー、例えばポリエーテル又はポリエステルのポリオールに基づく欧州特許第0802233号に記載されているもの;ポリアミドワックス等のワックス;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、コポリマー若しくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシド、並びにシリコーンポリエーテルコポリマーからなる群から選択されるノニオン性界面活性剤;シリコーングリコールが挙げられる。いくつかの系について、これらのレオロジー調整剤、特に、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー、及びシリコーンポリエーテルコポリマーにより、基材、特に可塑性基材に対する接着を増強することができる。
【0070】
必要と考えられる場合、任意の好適な酸化防止剤を利用することができる。例としては、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5(メチルヒドロシンナメート)、36443-68-2;テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、6683-19-8;オクタデシル[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロキシシンナメート、2082-79-3;N,N-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒロシンムアミド)、23128-74-7;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸、C7~9分岐状アルキルエステル、125643-61-0;N-フェニルベンゼンアミン、2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物、68411-46-1;例えば、BASF製のIrganox(登録商標)の名称で販売されている酸化防止剤を挙げることができる。
【0071】
UV及び/又は光安定剤は、例えば、ベンゾトリアゾール、紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン光安定剤(HALS)、例えば、Ciba Specialty Chemicals Inc.製のTINUVIN(登録商標)製品ラインを含んでいてよい。
【0072】
顔料は必要に応じて利用され、組成物を着色する。組成物と適合性がある限り、任意の好適な顔料を用いることができる。存在する場合、カーボンブラックは、非補強充填剤及び着色剤の両方として機能し、組成物の1~30重量%、あるいは触媒パッケージ組成物の1~20重量%、あるいは組成物の5~20重量%、あるいは組成物の7.5~20重量%の範囲で存在する。
【0073】
任意の好適な-OH(水分/水/アルコール)スカベンジャー、例えば、オルトギ酸エステル、分子ふるい、シラザン、例えばオルガノシラザン、ヘキサアルキルジシラザン、例えばヘキサメチルジシラザン、及び/又は以下の構造の1つ以上のシランを使用してよい:
【化24】
(式中、各R
21は、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも2つの炭素原子を含有するアルキル基であり、
jは、1又は0であり、
R
20は、少なくとも2つの炭素を有する置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は前述のうちのいずれか1つから選択されるケイ素結合有機基であって、炭素に結合した少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子によって置換されたもの、又はエポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、若しくはイソシアネート基を有する有機基である)。存在する場合、スカベンジャーは、典型的には、組成物の総重量%の0.5~3.0重量%の範囲の量で組成物に導入されるが、この量は、生成されるアルコール副生成物の量及び組成物を生成するために使用されるプロセスに応じてより多くてもよい。捕捉された副生成物は、可能であれば、安定性を得、そして、貯蔵中の硬化前復元を防ぐために最終シーラント組成物から意図的に除去される。
【0074】
一実施形態では、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、-OHスカベンジャーを含む。
【0075】
可塑剤及び/又は増量剤(時に、加工助剤として識別される)
所望であれば、任意の好適な可塑剤又は増量剤を使用してよい。これらは、参照により本明細書に組み込まれる英国特許第2445821号において特定されている可塑剤又は増量剤のいずれかであってよい。使用する場合、可塑剤又は増量剤は、ポリマーの調製前、調製後、又は調製中に添加してよい。しかし、それは、重合プロセスに寄与することも関与することもない。
【0076】
可塑剤又は増量剤の例としては、ケイ素含有液体、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、及び他の短鎖直鎖シロキサン、例えば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン等)、環状シロキサン、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン;任意選択で、0.5~5000mPa.sについては(5000mPa.sは100℃で試験する必要がある)ガラス毛細管粘度計(ASTM D-445、IP 71)を使用して25℃で測定すると0.5~12,500mPa.sの粘度を有するアリール官能性シロキサンを含む、更なるポリジオルガノシロキサンが挙げられる。5000~12500mPa.sについては、5rpmでコーンプレートCP-52を備えたBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIIIを使用する(ASTM D4287)。
【0077】
あるいは、可塑剤又は増量剤としては、有機液体、例えば酢酸ブチル、アルカン、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、又は成分材料のいずれにも悪影響を及ぼすことなく組成物を希釈することができる任意の他の材料を挙げることができる。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar(登録商標)L(C11~C13)、Isopar(登録商標)H(C11~C12)、水素添加ポリデセン、鉱油、特に水素添加鉱油若しくはホワイト油、液状ポリイソブテン、イソパラフィン系油、又は石油ゼリーが挙げられる。エーテル及びエステルとしては、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールnブチルエーテル、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、及びオクチルパルミテートが挙げられる。更なる有機希釈剤としては、脂肪、油、脂肪酸、及び脂肪族アルコールが挙げられる。希釈剤の混合物もまた使用できる。
【0078】
必要な場合、殺生物剤を組成物中で更に使用することができる。用語「殺生物剤」は、殺菌剤、殺真菌剤、及び殺藻剤などを包含するものであることに留意されたい。本明細書に記載の組成物中で使用することができる、有用な殺生物剤の好適な例としては、例えば:
カルバメート、例えば、メチル-N-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(カルベンダジム)及び他の好適なカルバメートなど、10,10’-オキシビスフェノキサシン、2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、
N-(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、ジヨードメチルp-トリルスルホン、紫外線安定剤との組み合わせに適切な場合、2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾール、3-ヨード-2-プロピニル(propinyl)ブチルカルバメート(IIPBC)、亜鉛2-ピリジンチオール-1-オキサイド、トリアゾリル化合物及びイソチアゾリノン、例えば、4,5-ジクロロ-2-(n-オクチル)-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-(n-オクチル)4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、及びn-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BBIT)など、が挙げられる。他の殺生物剤としては、例えば、亜鉛ピリジンチオン、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-3-(1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)ペンタン-3-オール及び/又は1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾールを挙げることができる。
【0079】
殺真菌剤及び/又は殺生物剤は、好適には、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の0~0.3重量%の量で存在してよく、欧州特許第2106418号に記載されている通り、必要に応じて封入された形態で存在していてもよい。
【0080】
一般に、ポリマー(a)は上記のように調製され、他の成分の添加前に少なくとも部分的に完了する。典型的には、末端封鎖反応は、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の他の成分を添加する前に完了する。更に、短期貯蔵の場合には不要であるが、所望の任意の中和工程及び/又は末端封鎖触媒除去工程は、典型的には、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の他の成分の添加前に行われる。
【0081】
所望であれば、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物からのアルコキシ末端封鎖ポリマーは、任意の好適な順序で組成物に導入される他の成分と共に、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物中の成分(a)として使用されてもよい。先に論じたように、末端封鎖反応からのポリアルコキシシラン過剰分の全部又は一部を架橋剤(c)として利用することができ、したがって、組成物が硬化してエラストマー生成物になるのに十分な架橋剤(ポリアルコキシシラン過剰分)が最終ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物中で利用可能である限り、更なる架橋剤(c)は任意選択である。
【0082】
アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物(a)に添加される第1の成分は、例えば、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン(a)及び充填剤(b)を含むベースを有効に形成するための充填剤(b)であってよい。次いで、他の成分を任意の好ましい添加順序で添加してよく、例えば、必要に応じて追加の架橋剤(c)、続いて、縮合硬化触媒(d)、続いて、必要に応じて他の任意選択の追加成分の添加とともに、必要に応じて接着促進剤(e)を添加してよい。あるいは、例えば貯蔵中に組成物を安定化させるために、接着促進剤(存在する場合)、追加の架橋剤(必要な場合)、及び触媒を最初に添加し、続いて充填剤、最後に-OH(水分/水/アルコール)スカベンジャーを添加してもよい。
【0083】
本明細書に記載されるプロセスは、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーを生成するために利用される。本明細書に記載のプロセスによって生成されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーは、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物に組み込まれ得る。本組成物は、好ましくは、加熱することなく室温で硬化するという点で、室温硬化可能な組成物ではあるが、適切と考えられる場合には、加熱により促進することができる。
【0084】
本明細書に記載のプロセスによって生成されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、低弾性率及び高伸長のシーラント、接着剤、及び/又はコーティング組成物を提供するように設計され得る。低弾性率シリコーンシーラント組成物は、好ましくは「ガン塗布可能」であり、すなわち、ASTMC1183-04で測定される場合、10ml/分、あるいは10~1000mL/分、あるいは100~1000mL/分の好適な押出能力、すなわち最小押出速度を有する。
【0085】
ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物中の成分及びそれらの量は、硬化後のシーラント材料に移動能力を付与するように選択され得る。移動能力は、ASTMC719-13によって測定したときに25%超、あるいは25%~50%の範囲の移動能力である。
【0086】
先に記載したポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、
(i)空間/ギャップ充填用途、
(ii)建設メンブレンにおけるラップ(lap)接合部の縁部を封止するなどの封止用途、又は
(iii)封止貫通用途、例えば、建設メンブレンにおけるベントを封止すること、
(iv)少なくとも2つの基材を一緒に接着すること、
(v)第1の基材、シーラント製品、及び第2の基材の積層体を生成するための2つの基材間の積層層のために使用されるガン塗布可能なシーラント組成物であり得る。
【0087】
上記(v)の場合、積層体における層として使用される場合、生成される積層構造体は、これらの3つの層に限定されない。硬化したシーラント及び基材の追加の層が、適用され得る。積層体における上に記載したガン塗布可能なポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の層は、連続であっても不連続であってもよい。
【0088】
本明細書に記載のプロセスによって生成されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、任意の好適な基材上に塗布してよい。好適な基材としては、ガラス;コンクリート;煉瓦;化粧漆喰;アルミニウム、銅、金、ニッケル、ケイ素、銀、ステンレス鋼合金、及びチタンなどの金属;セラミック材料;Midland,Michigan,U.S.A.のThe Dow Chemical Companyから市販されるもの、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン修飾ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ビニルエステル、ポリフタルアミド、及びポリイミドなどの、ポリアミド樹脂のシンジオタクチオックポリスチレンとのブレンドなどの、エポキシ、ポリカーボネート、ポリ(ブチレンテレフタレート)樹脂、ポリアミド樹脂、及びそれらのブレンド;紙、布、及び木材などのセルロース基材;並びにそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。2つ以上の基材が使用される場合、基材が同じ材料で作製される必要はない。例えば、プラスチック及び金属基材又は木材及びプラスチック基材のラミネートを形成することが、可能である。
【0089】
本明細書に記載のプロセスによって生成されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物の場合、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、シリコーンシーラント組成物として使用されてもよく、2枚の基材間の空間を充填してそれらの間にシールを形成する方法であって、
a)先に記載したポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物を提供することと、
b)当該ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物を第1の基材に塗布し、第2の基材を、当該第1の基材に塗布された当該ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物と接触させること、又は
c)当該第1の基材及び当該第2の基材の配置によって形成された空間を当該ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物で充填し、当該ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物を硬化させること、を含む方法が提供される。
【0090】
一代替例では、本明細書に記載のプロセスによって生成されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、自己レベリング性シーラント組成物、例えば、自己レベリング性高速道路用シーラントであってもよい。自己レベリングシーラント組成物は、それが、保存容器から水平接合部に押し出される場合、「自己レベリング」であることを意味し、すなわち、シーラントは、シーラントと接合空間の側面との間に密接な接触を提供するのに十分な重力の下で流動することになる。これにより、接合面に対するシーラントの最大の接着を生じさせることができる。自己レベリングはまた、水平接合部及び垂直接合部の両方で使用するように設計されたシーラントが必要とするように、シーラントを接合部の中に入れた後にシーラントを道具を使用して細工する必要性を排除する。したがって、シーラントは、塗布時に亀裂を充填するのに十分に良く流動する。シーラントは、重力の下で十分な流動を有する場合、不規則な亀裂壁の側面との密接な接触を形成し、良好な結合を形成することになるが、亀裂側壁と接触するように機械的に力を加えるために、クラックへ押し出された後にシーラントを道具を使用して細工する必要はない。
【0091】
本明細書に記載される自己レベリング組成物は、アスファルト舗装の封止における機能に必要な特性の独特な組み合わせを有するシーラントとして有用である。アスファルト舗装材料は、20.32cm等のかなりの厚さの材料を積み上げることによってアスファルトの高速道路を形成するため、そして、10.16cm等の厚さの層で覆うことによって劣化したコンクリートの高速道路を修復するために使用される。アスファルトのオーバーレイは、反射亀裂として知られている現象を受け、この場合、コンクリート中に存在する接合部において下にあるコンクリートが移動することによってアスファルトのオーバーレイに亀裂が形成される。この反射亀裂は、亀裂への水の浸入を防ぐため封止する必要があり、この亀裂は、水が凍結及び膨張した場合に、アスファルト舗装道路を更に破壊することになる。
【0092】
任意の理由、例えば、熱膨張及び収縮による移動に曝される亀裂に対する有効な封止を形成するため、封止材料を亀裂の側壁の界面に結合させなければならず、この封止材料は、亀裂が圧縮及び膨張するときに結合力を失ってはならない。アスファルト舗装の場合、シーラントは、アスファルト自体を破壊させるように界面でアスファルトに十分なひずみを発揮してはならず、すなわち、シーラントの弾性率は、結合線(bond line)に加えられた応力がアスファルトの降伏強度を十分に下回るように、十分に低くなければならない。
【0093】
そのような事例では、硬化した材料の弾性率は、アスファルトを凝集破壊させるのに十分な力をアスファルトに対して発揮しないように、十分に低く設計される。硬化した材料は、張力下に置かれたとき、張力により生じた応力のレベルが時間と共に低下し、伸びが高度の場合でさえも接合部が高応力レベルに曝されないようなものである。
【0094】
あるいは、本明細書に記載のプロセスによって生成されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物は、エラストマーコーティング組成物として、例えば、建築材料のためのバリアコーティングとして、又は屋根のための耐候性コーティングとして利用されてもよく、組成物は、塗料と同様の粘度を有していてよく、それによって、例えば、ブラシ、ローラー、又はスプレーガン等による塗布が可能になる。本明細書に記載のコーティング組成物は、基材に塗布したとき、例えば季節的な熱膨張及び/又は収縮、紫外線、並びに天候によって引き起こされる通常の移動状況下で、例えば空気及び水の浸透からの長期保護を基材に与えるように設計してよい。
【実施例】
【0095】
特に指示しない限り、全ての粘度測定は、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計又は1000mPa.s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計のいずれかを使用し、ポリマー粘度に従って速度(剪断速度)を適合させて行い、測定は25℃で行った。
【0096】
実施例1:
Max100 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(i)42mPa.sの粘度及び1分子当たり平均3.7重量%のSi-OH基を有する40gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)47gのメチルトリメトキシシラン。
次いで、0.6gの1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を添加し、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で18時間放置した。
【0097】
18時間後、得られた生成物が完成し、29Si NMR及び1H NMRによって測定したときに>99.6%の転化率でメチルジメトキシ末端ポリジメチルシロキサンの反応最終生成物が得られた。シラノールシグナルの消失(29Si NMR(80MHz,CDCl3)δ-12及び1H NMR(400MHz,CDCl3)δ0.85)及び対応するメチルジメトキシシリル末端封鎖の出現(29Si NMR(80MHz,CDCl3)δ-48及び1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.48)を観察することによって、転化率を測定した。
【0098】
比較実施例1:
Max100 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(i)42mPa.sの粘度及び1分子当たり平均3.7重量%のSi-OH基を有する40gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)47gのメチルトリメトキシシラン。
【0099】
得られた混合物を2000rpmで20秒間×3回混合し、次いで、23℃で1週間放置した。1週間後に1H及び29Si NMRを用いて混合物を分析したが、いかなる反応が起こった証拠も観察されなかった。反応最終生成物は、未反応の出発物質のみを含有していた。
【0100】
実施例2
Max40 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(i)42mPa.sの粘度及び1分子当たり平均3.7重量%のSi-OH基を有する10gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)5.9gのメチルトリメトキシシラン。
次いで、0.05gのDBUを添加し、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた反応混合物を23℃で放置した。内部標準としてポリジメチルシロキサン骨格シグナルを使用したNMRにより、2及び24時間目に反応混合物を分析した(1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.48,0.06)。ポリジメチルシロキサン骨格と比較したアルコキシシラン末端封鎖基の相対量の比較により、反応が2時間で>99.6%の転化率で進行してメチルジメトキシ末端ポリジメチルシロキサン生成物が得られたと判定された。
【0101】
比較例2
Max100 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(i)42mPa.sの粘度及び1分子当たり平均3.7重量%のSi-OH基を有する10gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)5.9gのメチルトリメトキシシラン。
次いで、0.05gの2-エチルヘキサン酸(2-EHA)及び0.05gのDBUを添加し(すなわち、2-EHAを触媒として、DBUを共触媒として使用)、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。内部標準としてポリジメチルシロキサン骨格シグナルを使用したNMRにより、2及び24時間目に反応混合物を分析した(1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.48,0.06)。ポリジメチルシロキサン骨格と比較したアルコキシシラン末端封鎖基の相対量の比較により、反応が2時間で90%の転化率で進行してメチルジメトキシ末端ポリジメチルシロキサン生成物が得られたと判定された。
【0102】
これは、実施例2で測定されたよりも低い転化率である。
【0103】
比較例3
Max100 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(i)42mPa.sの粘度及び1分子当たり平均3.7重量%のSi-OH基を有する10gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)5.9gのメチルトリメトキシシラン。
次いで、0.017gの酸化バリウムを添加し、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で放置し、1H NMR(400MHz、CDCl3)を使用して2時間及び24時間目にNMRによって分析した。反応は、NMR分析によって2時間でアルコキシシラン末端化生成物に約21%転化されたことを示したが、24時間までに、反応は濁ってみえるようになり、1H NMRによって未同定の生成物の複雑な混合物が示された。更に、メチルトリメトキシシランを過剰に添加したが、24時間後にシラン出発物質は観察されず、このことは、更なる望ましくない反応及び分解を示唆している。
【0104】
実施例3
Max300 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(i)56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有する250gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)4.3gのメチルトリメトキシシラン。
混合物を撹拌し、次いで、0.001gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)を添加した。混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で18時間放置した。18時間後、反応が完了し、1H NMR(400MHz,CDCl3)によって測定したときに>99.6%の転化率でメチルジメトキシ末端ポリジメチルシロキサンの反応最終生成物が得られた。
【0105】
比較例4
Max100 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(j)42mPa.sの粘度及び1分子当たり平均3.7重量%のSi-OH基を有する10gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)5.9gのメチルトリメトキシシラン。
次いで、0.36gのPt溶液(ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン中1.3重量%白金、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体)を添加し、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で放置し、29Si NMR(80MHz、CDCl3)を使用して96時間目にNMRによって分析した。反応は、NMR分析によりアルコキシシラン末端化生成物への転化率約0%を示した。
【0106】
比較例5
Max100 speedmixerカップに以下を仕込んだ:
(j)56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有する40gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)0.69gのメチルトリメトキシシラン。
トルエン中0.4Mリチウムトリメチルシラノレート溶液0.04gを添加した。混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で放置し、29Si NMR(80MHz,CDCl3)を用いて24時間目にNMRによって分析した。反応は、NMR分析によりアルコキシシラン末端化生成物への転化率約0%を示した。
【0107】
実施例4
Max100 SpeedMixerカップに以下を仕込んだ:
(k)56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有する40gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)1.65gの1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン。
混合物を撹拌し、次いで、0.0002gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)を添加した。混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で18時間放置した。18時間後、得られた生成物が完成し、1H NMR(400MHz,CDCl3)及び29Si NMR (80MHz,CDCl3)によって測定したときに>99.6%の転化率でメチルジメトキシ末端ポリジメチルシロキサンの反応最終生成物が得られた。
【0108】
実施例5
Max100 SpeedMixerカップに以下を仕込んだ:
(j)56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有する40gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)0.79gのビニルトリメトキシシラン。
混合物を撹拌し、次いで、0.0002gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)を添加した。混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で2時間放置した。2時間後、得られた生成物が完成し、1H NMR(400MHz,CDCl3)及び29Si NMR (80MHz,CDCl3)によって測定したときに>99.6%の転化率でメチルジメトキシ末端ポリジメチルシロキサンの反応最終生成物が得られた。
【0109】
実施例6
Max300 SpeedMixerカップに以下を仕込んだ:
(m)56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有する250gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)4.3gのメチルトリメトキシシラン。
混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。ARESコーン及びプレートレオメーターによって、初期粘度を測定した。次いで、0.0011gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)を添加し、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で放置した。ARESコーン及びプレートレオメーターコーン及びプレートレオメーターを使用して、異なる時点で粘度を測定し、得られた材料の粘度を以下の表1に示す。
【表1】
【0110】
示されているように、この反応混合物は、変化することなく室温で168時間、わずかな分解のみで336時間貯蔵することができる。
【0111】
実施例7
Max300 SpeedMixerカップに以下を仕込んだ:
(n)56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有する250gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)4.3gのメチルトリメトキシシラン。
混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。ARESコーン及びプレートレオメーターを用いて、初期粘度を測定した。次いで、0.0110gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)を添加し、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で放置した。ARESコーン及びプレートレオメーターを用いて、異なる時点で粘度を測定した。材料の粘度を以下の表2に示す。
【表2】
【0112】
示されているように、反応混合物は、分解することなく室温で72時間貯蔵することができる。
【0113】
実施例8
Max300 SpeedMixerカップに以下を仕込んだ:
(i)56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有する250gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン、及び
(ii)4.3gのメチルトリメトキシシラン。
混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。ARESコーン及びプレートレオメーターを用いて、初期粘度を測定した。次いで、0.1100gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)を添加し、混合物を2000rpmで20秒間×3回混合した。次いで、得られた混合物を23℃で放置した。ARESコーン及びプレートレオメーターによって、異なる時点で粘度を測定した。材料の粘度を以下の表3に示す。
【表3】
【0114】
示されているように、室温で72時間貯蔵した反応混合物は、既に著しい分解を示す。
【0115】
実施例9~15
以下の実施形態では、様々なシランを使用して、シーラント組成物の調製における第1の工程として、本開示に従って作製される末端封鎖ポリマーを調製した。実施例9~15では、56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均0.05重量%のSi-OH基を有するジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、可能な封鎖シラン及び触媒の組合せと混合した。使用した触媒は、トルエン中トリアザビシクロデセン(TBD)の2%溶液であった。混合物をSpeedMixerにおいて2000rpmで20秒間撹拌し、次いで50℃の温度に加熱し、その温度で維持して60分間反応させ、その時点で得られた混合物をサンプリングし、
1H NMRによって分析して、反応が完了したと判定した。
使用した材料を以下の表4に示す。
【表4】
【0116】
表1で使用したポリマーは、25℃で56,000mPa.sの粘度及び1分子当たり平均3.7重量%のSi-OH基を有するジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンであった。この場合、触媒はトルエン溶液中で提供された。後に、触媒が別の出発物質、通常ポリアルコキシシランの溶液中で提供されることが最適であることが見出された。
【0117】
アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物を取り、以下の表5に示す成分を添加することによって、本明細書に記載され、表1中の実施例4~10に関する調製から得られたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物をそれぞれ使用してシーラント製剤を調製した。
【表5】
【0118】
表5中、DBTDLは、スズ系触媒ジブチルスズジラウレートである。
使用した接着促進剤(AP)は、アミノプロピルアミノエチルトリメトキシシランであった。HMDZは、ヘキサメチルジシラザンであり、スカベンジャーとして使用され、使用した充填剤は、Cabot Corporation製のCAB-O-SIL LM-150ヒュームドシリカであった。
【0119】
この一連の実施例では、最初に接着促進剤及びスズ触媒を、ポリマーと架橋剤として使用するための過剰のポリアルコキシシランとを含有するアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物に添加することによってシーラント組成物を調製した。次いで、これらの成分をSpeedMixerにおいて2000rpmで20秒間混合した。次いで、充填剤を混合物に導入し、得られた組成物を2000rpmで40秒間混合した。その後、安定剤(HMDZ)を添加し、得られた混合物を再び2000rpmで20秒間混合した。次いで、将来使用するためにシーラント組成物を貯蔵した。異なる組成物をそれらの物性について試験し、結果を以下の表6に示す。
【表6】
【0120】
表6中、RHEOは、最終生成物がたるみなし(non-sag)又は流動性組成物を提供したかどうかについての視覚的評価であった。表6中のRheoに関して使用される良好という用語は、組成物がたるみのない組成物であったことを示す。
【0121】
スキンオーバー時間(SOT)及び不粘着時間(TFT)を、ASTM C679-15に従って測定した。
【0122】
24時間貯蔵安定性は、シーラント組成物がプロセス完了後最初の24時間にゲル化したかどうかを判定するための目視試験であった。これは、スズ系触媒の導入前にポリマー末端封鎖プロセスが十分に完了しなかった場合に起こり得る。安定な材料は、初期レオロジーから変化せず、具体的にはゲル化しない。このスズ化学において完全に製剤化される前に十分に封鎖されない使用されるポリマーは、短期間で包装においてゲル化する。表6中のこれに関する良好とは、組成物が24時間後にゲル化していないことを示す。試験サンプルをスパチュラでレオロジーについて評価した。
【0123】
24時間硬化評価を使用して、硬化エラストマーが硬化して良好に形成されたエラストマーになったかどうかを評価した。この試験は、シーラントの100ミルのスラブをドローダウンし、24時間硬化させることを含む。「硬化評価」は、その機械的特性を観察しながら、スラブを引き剥がし、引っ張ることであった。エラストマー製品が「剥がれ」、弾性である場合、それは評価に合格し、表6において「良好」とされた。合格しなかった材料は依然としてペースト状態であり、したがって「未硬化」として記録される。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラノール末端封鎖ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセスであって、
(i)前記シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、以下の構造の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質
【化1】
(式中、bは、0、1、又は2であり、R
2は、1~15個の炭素を有する直鎖状又は分岐状であってよいアルキル基であり、R
1は、任意の好適な基、すなわち、R
2、シクロアルキル基等の一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、及び前述の有機基における水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基であってよい)と、
出発物質組成物の0.0005~0.75重量%の量の少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は前記アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む1つ以上の直鎖状、分岐状、又は環状分子からなる末端封鎖触媒出発物質の存在下で反応させることを含む、プロセス。
【請求項2】
前記末端封鎖触媒出発物質が、直鎖状、分岐状、若しくは環状ケイ素含有分子又は以下に示す基(1)~(4)のうちの1つ以上を含有する直鎖状、分岐状、若しくは環状有機分子を含む
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
(式、各R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、同一であっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてよく、あるいはR
4及びR
5、又はR
6及びR
5、又はR
7及びR
5、又はR
8及びR
4は、任意選択で、不均一置換されたアルキレン基を形成して、環構造を形成してもよく、この場合、不均一置換は、酸素又は窒素原子を用いる)、請求項1に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製する、プロセス。
【請求項3】
前記末端封鎖触媒出発物質が、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、トリアザビシクロデセン(1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項4】
前記プロセスが、スタティックミキサー内で行われる、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項5】
前記アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンが、前記プロセスの完了時に安定化されない、中和されない、若しくは安定化及び中和されない、並びに/又は前記プロセスの終了時に除去される前記末端封鎖出発物質を有しない、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項6】
前記末端封鎖触媒を、固体としてそのまま、又は相溶性シリコーン若しくは有機溶媒中の溶液中で、又は前記シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを末端封鎖するために利用される前記ポリアルコキシシラン出発物質中で若しくはそのうちの1つ中で添加してよい、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項7】
前記プロセスが、30~100℃の温度で行われる、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項8】
前記プロセスの完了後、前記アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンの最終生成物を使用前に3~7日間貯蔵する、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項9】
前記ポリアルコキシシランが、シーラント組成物を作製するために利用される場合に架橋剤として機能するために未反応のポリアルコキシシランを利用可能であるように過剰に提供される、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項10】
アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンが、その後、以下の成分:
(a)請求項1~9のいずれか一項に従って調製されたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物、
(b)充填剤、
(c)架橋剤、
(d)縮合硬化触媒、及び任意選択で
(c)架橋剤、及び/又は
(e)接着促進剤を混合することによって調製されるポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物において成分としてその後使用される、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセス。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセスから得ることができるか又は得られる、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー。
【請求項12】
請求項10に記載のプロセスから得ることができるか又は得られる、ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物。
【請求項13】
前記ポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物が、-OHスカベンジャーを更に含む、請求項12に記載のポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物。
【請求項14】
前記組成物が一部型組成物であり、前記硬化触媒(d)がスズ系触媒である、請求項12又は13に記載のポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物。
【請求項15】
請求項12又は13に従って調製されたポリジオルガノシロキサンエラストマー組成物を硬化させることによって得られる、シリコーンエラストマー。
【請求項16】
ファサード、絶縁ガラス、窓建築、自動車、ソーラー、及び建築の分野におけるシーラントにおける、又はエラストマーコーティング組成物としての、請求項1~9のいずれか一項に従って調製されたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーの使用。
【請求項17】
前記エラストマーコーティング組成物が、建築材料のためのバリアコーティングにおいて又は屋根のための耐候性コーティングとして使用される、請求項16に記載の使用。
【国際調査報告】