(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物およびケトン体の経口送達方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20230925BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230925BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230925BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230925BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230925BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230925BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230925BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230925BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230925BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230925BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230925BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230925BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230925BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230925BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230925BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230925BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230925BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230925BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230925BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
A61K31/19
A61K9/06
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K45/00
A61K47/02
A61K47/44
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/10
A61P25/00
A61P3/00
A61P43/00
A61P35/00
A61P29/00
A61P25/08
A61P21/00
A61K9/20
A61K9/08
A61P43/00 107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512075
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021050302
(87)【国際公開番号】W WO2022040644
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520178065
【氏名又は名称】アクセス・グローバル・サイエンシーズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AXCESS GLOBAL SCIENCES, LLC
【住所又は居所原語表記】2157 LINCOLN STREET, SALT LAKE CITY, UTAH 84106, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ミレー,ゲイリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA36
4C076BB01
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4C206ZB22
4C206ZB26
4C206ZC21
4C206ZC35
4C206ZC52
(57)【要約】
経口送達用のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を実質的に含まず、十分に希釈した形態でおよび/またはゲルもしくは懸濁液として消費される場合、急性アシドーシスまたは胃腸(GI)障害を引き起こすことなく、血中ケトンレベルを急激に上昇させるのに有効である。アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有するベータ-ヒドロキシブチレート塩を除外することによって(例えば、1重量%未満)、ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液、ゲルまたは懸濁液は、電解質バランスを顕著に変化させることなく、外因性ケトン体を送達することができる。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、pH約3.5~4のやや酸性であるとはいえ、十分な水で希釈されると、水が擬似緩衝剤として作用し、経口消費されるときに不快な酸の影響を相殺する。ゲルおよび懸濁液もまた、ベータ-ヒドロキシ酪酸を部分的に封入することによって、酸の影響を緩和させることができる。ベータ-ヒドロキシ酪酸は、R-またはS-エナンチオマー、ラセミ混合物、純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸、または純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における血中ケトンレベルを上昇させるための経口送達用の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物であって、
水と、
ベータ-ヒドロキシ酪酸と
を含み、前記組成物が、前記ベータ-ヒドロキシ酪酸およびあらゆるベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対してベータ-ヒドロキシブチレート塩を1%未満含有するように、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まないまたは実質的に含まない、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項2】
前記組成物は、前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が約0.4%w/v~約6%w/vの濃度を有する希釈溶液である、請求項1に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項3】
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が、約0.6%w/v~約5.5%w/v、または約0.9%w/v~約5%w/v、または約1.2%w/v~約4.5%w/v、または約1.5%w/v~約4%w/vの濃度を有する、請求項2に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項4】
前記組成物約4oz.(約120ml)~約16oz.(約475ml)が、ベータ-ヒドロキシブチレートを約0.5グラム~約25グラム提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項5】
前記組成物約4oz.(約120ml)~約16oz.(約475ml)が、ベータ-ヒドロキシブチレートを約0.75グラム~約20グラム、または約1グラム~約15グラム、または約1.5グラム~約12グラム、または約2グラム~約10グラム、0.5グラム~約25グラム提供する、請求項4に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項6】
前記組成物は、前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が約6%w/v~約60%w/vの濃度を有する濃縮溶液である、請求項1から5のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項7】
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が、約8%w/v~約55%w/v、または約10%w/v~約50%w/v、または約12.5%w/v~約45%w/v、または約15%w/v~約40%w/vの濃度を有する、請求項6に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記ベータ-ヒドロキシ酪酸およびいずれのベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対してベータ-ヒドロキシブチレート塩を0.9%未満、または0.8%未満、または0.7%未満、または0.6%未満、または0.5%未満、または0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%未満、または0.1%未満含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項9】
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された非ラセミ混合物であり、エナンチオマーの当量で50%を超え100%未満のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸ならびにエナンチオマーの当量で50%未満および0%を超えるS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項10】
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が、S-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された非ラセミ混合物であり、エナンチオマーの当量で50%を超え100%未満のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸ならびにエナンチオマーの当量で50%未満および0%を超えるR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項11】
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が、エナンチオマーの当量で50%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸、およびエナンチオマーの当量で50%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有するラセミ混合物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項12】
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が、鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸であり、エナンチオマーの当量で100%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で0%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項13】
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸が、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸であり、エナンチオマーの当量で100%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で0%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項14】
アセト酢酸、1,3-ブタンジオール、ベータ-ヒドロキシブチレートエステル、ビタミン、ミネラル、中枢神経系刺激薬、食用酸、アミノ酸、筋肉促進化合物およびカンナビノイドから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項15】
前記組成物が、ゲルであり、少なくとも1つのゲル化剤をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項16】
前記ゲル化剤が、ジェランガム、ペクチン、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸、デンプン、加工デンプン、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、コンニャク、トラガカントゴム、アカシアゴム、カラヤゴム、メチルセルロース、寒天、プルラン、コンニャク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のセルロース系化合物、他の多糖類ガム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、他のタンパク質、シリカフューム、および粉砕されたチアシードから選択される、請求項15に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項17】
ベータ-ヒドロキシ酪酸を溶解して懸濁液となるようにするために必要とされる水よりも少ない水を含有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項18】
対象における血中ケトンレベルを上昇させるための経口送達用の水溶液を作製するために使用するベータ-ヒドロキシ酪酸組成物であって、
固体または粉末形態のベータ-ヒドロキシ酪酸と、
風味材料と、
安定剤と
を含み、前記組成物が、前記ベータ-ヒドロキシ酪酸およびあらゆるベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対してベータ-ヒドロキシブチレート塩を1%未満含有するように、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まないまたは実質的に含まない、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項19】
アセト酢酸、アセトアセテート、1,3-ブタンジオール、ベータ-ヒドロキシブチレートエステル、ビタミン、ミネラル、中枢神経系刺激薬、向知性薬、食用酸、アミノ酸、筋肉促進化合物およびカンナビノイドからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項18に記載のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項20】
1つまたは複数の発泡性の錠剤で提供され、酸と反応して二酸化炭素を放出する重炭酸塩または炭酸塩をさらに含む、請求項18または19に記載のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項21】
ベータ-ヒドロキシ酪酸以外の1つまたは複数の食用酸をさらに含む、請求項20に記載のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項22】
対象にケトン体を投与するためのキットであって、
請求項1から21のいずれか一項に記載のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物と、
前記ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物が置かれている容器であり、カートン、箱、缶、ジャー、バッグ、パウチ、瓶、ジャグおよび小さい樽からなる群から選択される、容器と、
粉末または固体形態の混合塩組成物の単位用量またはその画分を、中に保持するように構成されている測定装置であり、前記測定装置がパケット、パウチ、カップ、スクープ、シリンジ、スポイト、スパチュラおよびスプーンからなる群から選択され、前記ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物の単位用量が、ベータ-ヒドロキシ酪酸とあらゆる任意のベータ-ヒドロキシブチレート化合物との組み合わせを約0.5g~約25g含有する、測定装置と
を含む、キット。
【請求項23】
対象における血中ケトンレベルを上昇させるための経口送達用の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物であって、
水と、
R-エナンチオマーに対してS-エナンチオマーで富化されたベータ-ヒドロキシ酪酸と
を含み、前記組成物が、前記ベータ-ヒドロキシ酪酸およびあらゆるベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対してベータ-ヒドロキシブチレート塩を4%未満含有するように、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まないまたは実質的に含まない、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物。
【請求項24】
肥満を治療的または予防的に処置するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項25】
食欲を抑制するか、体重減少を促進するか、脂肪減少を促進するか、または体重増加を回避するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項26】
高血糖またはII型糖尿病を治療的または予防的に処置するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項27】
インスリン抵抗性を治療的または予防的に処置するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項28】
血糖レベルを低下させるための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項29】
脳障害を治療的もしくは予防的に処置するか、外傷性脳損傷を軽減させるか、または認知機能を改善するための、脳の強壮剤としての、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項30】
運動能力を強化するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項31】
代謝機能不全を治療的または予防的に処置するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項32】
代謝健康を改善するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項33】
ミトコンドリアの欠損を治療的または予防的に処置するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項34】
神経障害を治療的または予防的に処置するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項35】
老化防止効果を促進するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項36】
がんを軽減させるための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項37】
炎症を軽減させるための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項38】
てんかん発作を治療的または予防的に処置するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項39】
気分を改善するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項40】
体力を増加させるか、筋肉量を増加させるか、または身体組成を改善するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物またはキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、水性飲料、液体および粉末飲料用添加剤ならびに液体および粉末食品用添加剤、ならびに外因性ケトン体を、それを必要とする対象に送達するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]絶食、激しい運動、および/または低炭水化物消費の期間中は、体内のグルコースおよびグリコーゲンの貯蔵が急激に使用され、急速に枯渇する可能性がある。グルコースの貯蔵が枯渇するにつれて、身体はエネルギーのためにケトン体を作り出すことに代謝的に移行する。ケトン体は、身体の細胞によって、身体のエネルギー需要を満たすために、燃料として使用される場合がある。長期の絶食の間は、例えば、血中ケトンレベルは、2~3mmol/L、またはそれ以上にまで上昇する場合がある。血中ケトンが0.5mmol/Lより上に上昇すると、心臓、脳および末梢組織は、ケトン体(例えば、ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテート)を主要燃料源として使用することが、従来より理解されている。この状態は「ケトーシス」といわれる。1.0mmol/Lから3.0mmol/Lの間の状態は、「栄養学的ケトーシス」と呼ばれる。
【0003】
[0003]ケトーシスに移行すると、すなわち、肝臓でのケトジェニック代謝の間、身体は、食物性脂肪および身体の脂肪を主要エネルギー源として使用する。その結果、ケトーシスのときは、食物性脂肪の摂取を制御し、低炭水化物摂取およびケトーシスを持続する血中レベルを維持することによって、体脂肪の減少を誘導することができる。
【0004】
[0004]ケトーシスの間、身体はケトン体生成状態であり、その主要燃料として、本質的に脂肪を燃焼する。身体は、脂肪を脂肪酸およびグリセロールに分解し、脂肪酸をアセチルCoA分子に変換し、このアセチルCoA分子は、ケトン体生成によって、肝臓で水溶性ケトン体ベータ-ヒドロキシブチレート(「β-ヒドロキシブチレート」または「ベータ-ヒドロキシブチレート」)、アセトアセテートおよびアセトンに変換される。ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテートは、エネルギーのために身体によって使用されるが、アセトンは、ケトン体生成の副産物として取り除かれる。
【0005】
[0005]ケトン体の代謝は、抗けいれん効果、脳による代謝亢進、神経保護、筋肉温存特性、認知および身体能力の改善、ならびに後成的効果(正の遺伝子発現または有益な遺伝子発現)などの代謝機能のいくつかの改善に関連している。ケトン補給によって管理される、細胞代謝の効率性における科学に基づく改善は、身体的、認知的健康および心理的健康に有益な影響を及ぼし、肥満、心血管疾患、神経変性疾患、糖尿病およびがんなどの一般的な回避できる疾患に関する健康に長期的な影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
[0006]ケトン体は、大抵の場合、塩またはエステルとして投与される。ケトン塩は一般に安全であるが、過度に消費されると、過剰量の電解質を導入する可能性がある。ケトンエステルは電解質をもたらさないが、ケトン体として使用可能になる前に、加水分解されなくてはならない。ケトンエステルのマイナス面は、これらが不快な味を有し、加水分解されると体内にアルコールを導入する可能性があることである。
【0007】
[0007]ベータ-ヒドロキシブチレートの遊離酸形態およびアセトアセテートの遊離酸形態は、使用頻度が低い。ラセミ体のベータ-ヒドロキシ酪酸の溶液を静脈内に投与することが報告されている。ケトン体酸が、低いpHおよび等張性欠乏(isotonic deficiency)の悪影響を予防するために静脈内に送達される場合には、希釈溶液が必要とされる。例えば、ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液1mmol/Lは、ケトン体を0.0104%w/vのみ含有する。このような溶液は、ケトン体1グラムを得るために、およそ10リットルを消費しなければならないと思われるので、ケトン体の経口送達には役に立たない。
【0008】
[0008]部分的に緩衝した酸組成物として、ケトン体の経口送達を提案したものもある。例えば、米国特許出願公開第2018/0057846号明細書(Llosaら)は、遊離酸を最大で99%およびケトン塩を少なくとも1%含む、部分的に緩衝した鏡像異性的に純粋なまたは富化したD-ベータ-ヒドロキシブチレート組成物を含有する溶液を開示している。Llosaらは、「治療用量の上限でのβ-HBの純粋な遊離酸形態の使用は、急性アシドーシスまたは胃腸(GI)障害の可能性のために望ましくないと考えられてきた」ならびに「β-ヒドロキシ基は、低いpHの存在下では不安定である」(段落[0035])ことをさらに教示している。米国特許出願公開第2018/0021274号明細書(Arnoldら)は、ベータ-ヒドロキシ酪酸およびベータ-ヒドロキシブチレート塩を最大「塩約7部あたり遊離酸約125部」の比で含有する組成物を開示しており(段落[0019])、これは遊離酸濃度最大約94.7重量%および塩濃度少なくとも約5.3重量%に等しい。
【発明の概要】
【発明を解決するための手段】
【0009】
[0009]ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まないまたは実質的に含まない経口送達用の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、十分に希釈した形態で消費されると、急性アシドーシスまたは胃腸(GI)障害を引き起こすことなく、血中ケトンレベルを急激に上昇させるのに有効であることが、予想外にも見出された。アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する著しい量のベータ-ヒドロキシブチレート塩の非存在下で、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、電解質バランスを顕著に変化させることなく、外因性ケトン体を送達することができる。特定の範囲内の濃度で水性ベータ-ヒドロキシ酪酸をもたらすことによって、ベータ-ヒドロキシ酪酸を安定に維持し、自己エステル化および沈澱を予防することができる。
【0010】
[0010]一部の実施形態では、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、体積約4oz.(約120ml)~約16oz.(約475ml)で、胃に害を及ぼすことまたは著しいアシドーシスを引き起こすことなく約0.5グラム~約25グラムの範囲の量のケトン体を送達することができるような、十分に希釈された濃度を有することが可能である。例えば、希釈水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、約0.4%w/v~約6%w/vの範囲のベータ-ヒドロキシ酪酸の濃度を有することができる。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、pH約3.5~4のやや酸性であるとはいえ、十分な水で希釈されると、水自体が擬似緩衝剤として作用し、経口消費されるときに不快な酸の影響を相殺する。
【0011】
[0011]一部の実施形態では、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、後で使用者が、水、ジュース、飲料、エナジーショット(energy shot)または他の水性組成物などで、約0.4%w/v~約6%w/vの範囲の濃度に希釈するための濃縮物として提供され得る。濃縮溶液は、約6%w/v~約60%w/vの範囲のベータ-ヒドロキシ酪酸を含んでもよく、次いで使用者によって、所望により水、ジュース、飲料または他の水性組成物で、約2~約30倍などに所望により希釈されてもよい。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、自己重合し顕著な量の沈澱物を形成するほどには濃縮しないことが好ましい。このような重合した沈殿物は、十分な水と消費されると無害であるが、ベータ-ヒドロキシ酪酸の単量体型の有効性を欠くことを理解されたい。
【0012】
[0012]一部の実施形態では、濃縮または希釈ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、ベータ-ヒドロキシ酪酸の粉末または他の固体形態を、水、飲料、ビバレッジ、ソース、ゲル、または他の液体もしくは半液体飲料、エネルギー製品、または食品と組み合わせることによって製造することができる。ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液、飲料、ソースまたはゲルが使用者によって調製される場合、ベータ-ヒドロキシ酪酸の粉末または他の固体形態は、風味付けされることができ、また、安定剤、ビタミン、ミネラル、刺激薬、向知性薬、血管拡張剤、カンナビノイド、アミノ酸などの1つまたは複数の他の添加剤を含有してもよい。粉末は、予め用量に分けられた(pre-dosed)個別のパケット、パウチ、錠剤もしくはカプセル剤で提供されてもよく、または予め決められた用量もしくはその画分を量り分けるように構成された測定装置とともにキットで提供されてもよい。単回用量を表す複数の(例えば、2つまたは3つ)溶ける錠剤は、パケット、パウチまたは他の容器に一緒に包装され得る。一部の実施形態では、溶ける錠剤は、水に添加されると、発泡しシューと音を立てることもある。発泡性の錠剤の場合、水に溶解したときに所望の発泡作用を実現し、しかしながら1%未満の全ベータ-ヒドロキシブチレート塩をもたらすように、重炭酸塩または炭酸塩と一緒に、ある量の食用酸(例えば、クエン酸またはリンゴ酸)を含むことが望ましいこともある(すなわち、食用酸がベータ-ヒドロキシ酪酸よりも低いpKaを有する場合、ベータ-ヒドロキシブチレート塩よりも優先的に食用酸の塩が形成する)。
【0013】
[0013]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ベータ-ヒドロキシ酪酸およびベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対して1つまたは複数のベータ-ヒドロキシブチレート塩を1%未満含有するように、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まない、または実質的に含まない。現在好ましい実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を本質的にまたは全く含まない、すなわち、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を0重量%含有する。
【0014】
[0014]一部の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、水のほかに、1つまたは複数の栄養学的にまたは薬学的に許容できる担体または添加剤を含有してもよい。例えば、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、アセト酢酸、1,3-ブタンジオール、ベータ-ヒドロキシブチレートエステル、ビタミン、ミネラル、中枢神経系刺激薬、向知性薬、食用酸、アミノ酸、筋肉促進化合物(例えば、ベータ-ヒドロキシベータ-メチルブチレート)、1つまたは複数のカンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノールおよび/またはカンナビジオール)などから選択される少なくとも1つの添加剤を任意に含み得る。
【0015】
[0015]様々な実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸、鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸、R-およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ混合物(すなわち、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸の1:1エナンチオマー比を有する混合物)、R-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物、またはS-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物を含み得る。一部の実施形態では、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸に加えて、またはR-ベータ-ヒドロキシ酪酸の代わりに、少なくともいくらかの量のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含むことが有利である。
【0016】
[0016]第1の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、エナンチオマーの当量で50%を超え100%未満の外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で50%未満であり0%を超える外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸のような、R-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物を含有する。
【0017】
[0017]第2の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、エナンチオマーの当量で50%を超え100%未満の外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で50%未満であり0%を超える外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸のような、S-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物を含有する。
【0018】
[0018]第3の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ混合物を含有する、すなわち、これは、エナンチオマーの当量で50%の外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で50%の外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する。
【0019】
[0019]第4の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、すなわち、これは、エナンチオマーの当量で100%の外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で0%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する。
【0020】
[0020]第5の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、すなわち、これは、エナンチオマー当量で100%の外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマー当量で0%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する。
【0021】
[0021]鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸および/またはR-ベータ-ヒドロキシブチレートのみが、哺乳動物によって内因的におよび天然に産生され、天然産物であることが一般に理解されている。生物学的pHで、ベータ-ヒドロキシ酪酸の内因性形態は、実質的に脱プロトン化されたR-ベータ-ヒドロキシブチレートアニオンとしてのみ存在し、粉末、固体、濃縮溶液、またはましてや開示された濃度内の希釈R-ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液としては存在しない。
【0022】
[0022]S-ベータ-ヒドロキシ酪酸(生物学的pHではS-ベータ-ヒドロキシブチレート)は、哺乳動物によって内因的に産生されず、一部の者には非天然で有害な可能性があるとよって信じられているが、他の有益な効果をもたらす可能性がある。これらには、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテートの内因性産生の増加、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテートの一方または両方への内因性変換、脂肪酸およびステロールへの内因性変換、長期のケトーシス、S-ベータ-ヒドロキシブチレートのR-ベータ-ヒドロキシブチレートおよび/またはアセトアセテートへの変換とは独立したS-ベータ-ヒドロキシブチレートの代謝、胎児の発育の改善、成長年数(growth years)の増加、ケトーシスの間のアセトンの内因性産生の低下、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびグルコースの代謝を調節するためのシグナル伝達、抗酸化活性、ならびにアセチル-CoAの産生のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0023】
[0023]鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化されたか、または鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有するベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、体内にR-ベータ-ヒドロキシブチレートの同じ急激な供給を得るために、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された組成物、または鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する組成物よりも高い用量で投与してもよい。このような場合、ベータ-ヒドロキシ酪酸の酸性度をさらに相殺するために、ベータ-ヒドロキシ酪酸およびベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対して4%、3%または2%未満などの増加的に高いがなお少量のベータ-ヒドロキシブチレート塩を含むことが望ましいこともある。
【0024】
[0024]本明細書に開示されるベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、組成物が投与される対象において、電解質バランスに顕著に影響を及ぼすことなく、ケトーシスを誘導するおよび/または持続する働きをすることがある。これによって、塩形態で投与される場合にどのくらいのベータ-ヒドロキシブチレートを投与できるのかということに関する限定要因が取り除かれる。また、ベータ-ヒドロキシブチレートエステルは、特にベータ-ヒドロキシブチレートエステル自身またはベータ-ヒドロキシブチレートの主要な供給源である場合、不快な味を有し、必ずしも十分に許容されるとは限らない。
【0025】
[0025]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、体重減少サプリメントとして、高血糖またはII型糖尿病の処置として、脳の強壮剤として、運動能力向上剤として、代謝機能不全、ミトコンドリアの欠損、インスリン抵抗性に対する予防薬として、ケトジェニック食の補助剤として、老化防止のサプリメントとして、および代謝健康の改善に関連する他の使用に有用である可能性がある。
【0026】
[0026]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、対象におけるケトーシスを促進することおよび/または持続することを含み、対象に栄養学的にまたは薬学的に有効量のベータ-ヒドロキシ酪酸を投与することを含む、それを必要とする対象においてケトン体レベルを上昇させる方法に使用され得る。対象におけるケトン体レベルが上昇することの利点には、食欲抑制、体重減少、脂肪減少、血糖レベルの低下、精神的覚醒の改善、身体的エネルギーの増加、認知機能の改善、外傷性脳損傷の軽減、糖尿病の影響の軽減、神経障害の改善、がんの軽減、炎症の軽減、老化防止、抗糖化、てんかん発作の軽減、気分の改善、体力の増加、筋肉量の増加、または身体組成の改善のうちの1つもしくは複数が含まれる。
【0027】
[0027]さらなる特徴および利点は、以下の説明に一部は記載され、一部は説明から明らかになり、または本明細書に開示される実施形態の実施によってわかることもある。前述の簡潔な概要および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的なものに過ぎず、本明細書に開示される実施形態または特許請求の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
I.イントロダクション
[0028]本明細書では、電解質バランスに影響を及ぼさず、急性アシドーシスまたは胃腸(GI)障害を引き起こすことなく、対象においてケトーシスを促進することおよび/または持続することを含む、対象にけるケトン体レベルを上昇させるためなどの経口送達用のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物およびこれらを送達するための方法が開示される。ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は通常、水性組成物、懸濁液またはゲルとして投与される。粉末または固体のベータ-ヒドロキシ酪酸は、水、水性液体、他の液体、ゲルまたは食品と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を溶質として含有する溶液またはベータ-ヒドロキシ酪酸粒子を含有する懸濁液を形成することができる。
【0029】
[0029]「ケトーシス」とは、約0.5mmol/Lおよび約16mmol/Lの範囲内の血中ケトンレベルを有する対象を指す。ケトーシスは、ミトコンドリア機能を改善し、活性酸素種の産生を減少させ、炎症を軽減し、神経栄養因子の活性を上昇させることがある。本明細書で使用される場合、「ケト適応(Keto-adaptation)」とは、持続的な非病理性の「穏やかなケトーシス」または「治療的ケトーシス」を得るための長期の栄養学的ケトーシス(>1週間)を指す。
【0030】
[0030]場合によっては、「上昇したケトン体レベル」は、対象が「臨床的ケトーシス」の状態にあることを意味しないことがあるが、しかしながら、エネルギーを産生するためのおよび/またはケトン体の他の有益な効果を実行するための、ケトン供給の上昇を有する。例えば、「ケトン適応(ketone adapted)」した対象は、ケトン体の上昇した血清レベルを、必ずしも有するとは限らないが、「ケトン適応」されていない対象と比較して、より急激に使用可能なケトン体を利用できる。このような場合、「上昇したケトン体レベル」とは、血漿レベルそれ自体というよりも、対象によって利用されているケトン体の総量および/または比率を指す場合がある。
【0031】
[0031]「外因性ケトン体」とは、哺乳動物によって産生されない、ベータ-ヒドロキシブチレート化合物およびアセトアセテート化合物を指す。これらの化合物は、低グルコースレベルの場合の間、またはこれらの化合物が使用できる形態で供給される場合、対象の身体によってエネルギー源として利用されることがある。
【0032】
[0032]「ベータ-ヒドロキシ酪酸」とは、粉末、他の固体、懸濁液(例えば、ソースもしくはゲル)中の固体粒子、または水溶液などの溶液中の溶質の形態とすることができる外因性ベータ-ヒドロキシ酪酸を指す。
【0033】
[0033]「水性ベータ-ヒドロキシ酪酸」とは、水もしくは他の水性液体、粉末もしくは他の固体形態、またはゲルもしくは他の懸濁液に溶解されたベータ-ヒドロキシ酪酸を指す。自己重合を有して不溶性沈殿物を形成するベータ-ヒドロキシ酪酸は、「水性ベータ-ヒドロキシ酪酸」ではないが、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物が、害を引き起こすことなく、不溶性沈殿物を含有する場合があることを当業者なら理解するであろう。
【0034】
[0034]「懸濁液」とは、ベータ-ヒドロキシ酪酸を完全に溶解するのに十分な水を有しない液体、シロップ、ゲル、または他の非硬質組成物を意味し、少なくともその一部は、懸濁用液体、シロップ、ゲル、または他の非硬質組成物もしくは担体によって囲まれた溶解されていない粒子として残る。懸濁化剤の非限定例としては、ゲル、食品、ソース、シロップ、油などが挙げられる。
【0035】
[0035]「ゲル」とは、親水コロイドなどのゲル化剤、および水または水性混合物などの担体を含む、組成物を指す。ゲルは、粘性ニュートン流体などの濃厚な液体の形態、または重力の下では流動しないが圧力もしくは他の力をかけることによって変形され得るビンガム塑性体の形態とすることができる。
【0036】
[0036]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化されるかもしくはそれらを含有し、鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化されるかもしくはそれらを含有し、またはR-およびS-エナンチオマーのラセミ混合物として提供されてもよい。ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物、具体的には、ラセミ混合物を含有するベータ-ヒドロキシ酪酸組成物、または鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化されるかもしくはそれを含有するベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まないまたは実質的に含まない。R-ベータ-ヒドロキシ酪酸よりもS-ベータ-ヒドロキシ酪酸をより多く含有するベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、水と混合される場合、より多くの量のベータ-ヒドロキシブチレート塩で緩衝され得る。
【0037】
[0037]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、アセト酢酸、ベータ-ヒドロキシブチレートおよび/またはアセトアセテートのエステル形態、1,3-ブタンジオールもしくはそのエステルなどのケトン体前駆体を任意に含み得る。
【0038】
[0038]ベータ-ヒドロキシブチレートは、式CH3CH2OHCH2COOHを有するベータ-ヒドロキシ酪酸の脱プロトン化した形態である。典型的な生物学的pHレベルで存在する脱プロトン化した形態は、CH3CH2OHCH2COO-である。ベータ-ヒドロキシブチレートの一般的な化学構造は、
【0039】
【0040】
であり、式中、Xは、水素、金属イオン、アミノ酸からなどのアミノカチオン、アルキル、アルケニル、アリール、またはアシルであり得る。
【0041】
[0039]Xが水素の場合、化合物はベータ-ヒドロキシ酪酸である。Xが金属イオンまたはアミノカチオンの場合、化合物はベータ-ヒドロキシブチレート塩である。Xがアルキル、アルケニル、アリールまたはアシルの場合、化合物はベータ-ヒドロキシブチレートエステルである。前述の化合物は、結晶、粉末、固体、液体、溶液、懸濁液またはゲルなどの、任意の所望の物理的形態であり得る。
【0042】
[0040]アセトアセテートは、式CH3COCH2COOHを有するアセト酢酸の脱プロトン化した形態である。典型的な生物学的pHレベルで存在する脱プロトン化した形態は、CH3COCH2COO-である。アセトアセテートの一般的な化学構造は、
【0043】
【0044】
であり、式中、Xは、水素、金属イオン、アミノ酸からなどのアミノカチオン、アルキル、アルケニル、アリール、またはアシルであり得る。
【0045】
[0041]Xが水素の場合、化合物はアセト酢酸である。Xが金属イオンまたはアミノカチオンの場合、化合物はアセトアセテート塩である。Xがアルキル、アルケニル、アリールまたはアシルの場合、化合物はアセトアセテートエステルである。前述の化合物は、結晶、粉末、固体、液体、溶液、懸濁液またはゲルなどの、任意の所望の物理的形態であり得る。
【0046】
[0042]別段の指定がない限り、「塩」という用語は、結晶、粉末、水に溶解して液体溶液を形成するか液体に分散して懸濁液形成する他の固体形態、またはゲルなどの、何らかの特定の物理的状態を意味または暗示するものではない。塩は、ベータ-ヒドロキシ酪酸を、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、塩基性アミノ酸などの強塩基または弱塩基で少なくとも部分的に中和することなどによって、溶液中に形成することができる。
【0047】
[0043]本明細書では、「対象」または「患者」とは、これらに限定されないが、ヒトおよび他の霊長類などの哺乳動物、げっ歯類、魚類、爬虫類、および鳥類を含む動物界のメンバーを指す。対象は、治療、処置もしくは予防を必要とするいかなる動物、または治療、処置もしくは予防が必要と疑われるいかなる動物であってもよい。予防とは、高グルコースまたは糖尿病が同定される場合などに起こり得る出来事を防止するためにレジメンが行われることを意味する。「患者」および「対象」は、本明細書では互換的に使用される。
【0048】
[0044]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸、鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸、S-ベータ-ヒドロキシ酪酸に対してR-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された非ラセミ混合物、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸に対してS-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された非ラセミ混合物、またはR-およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ混合物を含むことができる。
【0049】
[0045]ベータ-ヒドロキシブチレート遊離酸、塩またはエステルが、R-またはS-エナンチオマーであるかは、平面カルボキシル基との関係における3-炭素(ベータ-炭素)上のヒドロキシの四面体配向性による。R-ベータ-ヒドロキシブチレートは、ベータ-ヒドロキシ酪酸の内因性形態であり、対象における低グルコースレベルの場合の間または患者の身体が使用できる形態のベータ-ヒドロキシブチレートを供給される場合に、燃料源として患者の身体によって利用され得る。S-ベータ-ヒドロキシブチレートは、哺乳動物によって内因的に産生されないが、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテートの内因性産生の増加、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテートの一方または両方への内因性変換、脂肪酸およびステロールへの内因性変換、長期のケトーシス、S-ベータ-ヒドロキシブチレートの直接的な代謝、胎児の発育の改善、成長年数の増加、ケトーシスの間のアセトンの内因性産生の低下、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびグルコースの代謝を調節するためのシグナル伝達、抗酸化活性、ならびにアセチル-CoAの産生のうちの1つまたは複数を促進し得る。
【0050】
[0046]「単位用量」という用語は、特定の量または用量のベータ-ヒドロキシ酪酸を経口送達するように構成された剤形を指す。ベータ-ヒドロキシ酪酸の剤形の例としては、缶、瓶、カートン、ジャグなどの予め測定された形態の飲料(風味付き、ビタミン強化、アルコール性、またはノンアルコール性)、飲料用添加剤、液体エナジーショット、エナジーゲルパック、食品、食品用添加剤、食品学的に(dietetically)許容できるスプレー(風味付きマウススプレーなど)、およびパケット、パウチ、錠剤、カプセル、発泡性の錠剤などの予め測定された量の粉末、固体またはゲルが挙げられるが、これらに限定されない。このような剤形は、完全な単位用量またはその画分(例えば、単位用量の1/2、1/3または1/4)を提供するように構成され得る。
【0051】
[0047]ベータ-ヒドロキシ酪酸の単位用量を提供するために使用され得る別の剤形は、カップ、スクープ、シリンジ、スポイト、スプーン、スパチュラ、またはひしゃくなどの単位用量測定装置であり、これは完全な単位用量またはその画分(例えば、単位用量の1/2、1/3または1/4)に等しい測定された量の組成物をその中に保持するように構成される。例えば、組成物のいくつかの単位用量(例えば、5~250または10~150単位用量)を含有するカートン、箱、缶、ジャー、バッグ、パウチ、瓶、ジャグまたは小さい樽などのバルク容器は、組成物またはその成分の単位用量またはその画分を提供するように構成された単位用量測定装置と一緒に使用者に提供され得る。
【0052】
[0048]本明細書で開示されるようなベータ-ヒドロキシ酪酸をバルク形態で提供し、さらに組成物の単位用量を提供するために使用するキットは、ある量の組成物をその中に保持するバルク容器および組成物またはその成分の単位用量またはその画分を提供するように構成された単位用量測定装置を含んでもよい。1つまたは複数の単位用量測定装置は、販売時にバルク容器の内側に配置されるか、バルク容器の外側に取り付けられるか、より大きなパッケージ内にバルク容器と予め包装されるか、または1つもしくは複数のバルク容器と使用するために販売者もしくは製造者によって提供されてもよい。バルク容器は、液体または固体形態のベータ-ヒドロキシ酪酸を含有してもよい。
【0053】
[0049]キットは、単位用量またはその画分の大きさならびに投与の方法および頻度に関する説明書を含んでもよい。説明書は、バルク容器上に提供されるか、バルク容器と予め包装されるか、バルク容器と販売される包装材料に置かれるか、またはその他の方法で販売者もしくは製造者によって提供され得る(例えば、ウェブサイト上、メーラー、チラシ、商品パンフレットなど)。使用説明書は、単位用量またはその画分を適切に送達するために、単位用量測定装置の使用法についての参照を含み得る。説明書は、バルク容器とともに提供されないカップ、スクープ、シリンジ、スポイト、スプーン、スパチュラ、ひしゃくなどの一般的な単位用量測定装置についての参照を追加的にまたは代替的に含んでもよい(例えば、提供された単位用量測定装置をなくした、または置き忘れた場合に備えて)。このような場合において、バルク容器上にもしくはバルク容器とともに提供され、またはその他の方法で販売者によって提供される、製品および組成物またはその画分の単位用量を適切に送達する方法についての説明書に従う場合、キットはエンドユーザーによって組み立てられてもよい。
【0054】
[0050]一実施形態では、容器は、ある量の錠剤またはカプセル、例えば発泡性の錠剤を含み、そのそれぞれは、総用量または分割用量(fractional dose)としての予め測定された量のベータ-ヒドロキシ酪酸を含む。カプセルまたは錠剤は、それぞれが予め測定された投薬量のベータ-ヒドロキシ酪酸を提供する複数の錠剤またはカプセルを含有する貯蔵容器内の個別のパケットまたはパウチ内に、さらにグループ化され、または含有され得る。
【0055】
[0051]「投与」または「投与する」という用語は、本明細書では、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物が対象に経口送達される過程を説明するために使用される。
【0056】
[0052]一部の実施形態では、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、栄養学的にまたは薬学的に許容できる担体または添加剤と組み合わせられてもよい。
【0057】
II.ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物
[0053]水溶液、容易に消化できるゲルまたは懸濁液の形態のベータ-ヒドロキシ酪酸の投与は、代謝エネルギーを産生するための容易に使用できるケトン体の供給源を提供する。これは、使用者が専門的にケトーシスの状態かどうかにかかわらず、当てはまる。身体は、グルコースおよびケトン体の両方が存在する場合、その両方を代謝することができる。所与の期間に十分な量のベータ-ヒドロキシ酪酸が消費される場合、ケトン体の上昇したおよび/または持続的な血中レベルをもたらすことができ、それによって顕著な量の電解質を血液中に導入することなく、ケトーシスの代謝的および生理的利点を活用することができる。外因性ケトンを使用して血液中のケトン体レベルを上昇させることは、食事のみに基づきケトーシスを誘導し持続することを目的とする方法(例えば、絶食および/または限定された炭水化物摂取に基づく)と比較して、より柔軟な食事の選択肢を対象にもたらす。適切な量のベータ-ヒドロキシ酪酸を消費する対象は、ケトジェニック状態を危うくすることなく、グルコースに基づく代謝状態に戻ることなく、炭水化物または糖質にも基づく食品を時々食べることができる。さらに、外因性ベータ-ヒドロキシ酪酸の投与は通常、ケトーシスに入ることに関連する有害な影響を軽減し、または取り除きながら、ケトジェニック状態への容易な移行を促進する。
【0058】
[0054]ケトジェニック状態に入っているまたはケトジェニック状態を維持する対象は、強化された利尿効果およびインスリンプロファイルの変化を含む、ケトーシスに関わる代謝的な移行のために、すでに電解質不均衡の状態にあることがある。したがって、対象においてケトーシスを促進または持続するためにベータ-ヒドロキシブチレートを投与することには多くの利点があるものの、過剰量および/または不均衡な比の塩を投与すると生じる電解質不均衡、ならびにそれに関連した有害な生理的影響は、ケトーシスの利点を相殺し、および/または、対象が所望のレベルでもしくは所望の期間、ケトーシスを維持することをより困難にする可能性がある。
【0059】
[0055]例えば、高いレベルおよび/または割合のベータ-ヒドロキシブチレートナトリウムを含有する製剤は、対象におけるナトリウムレベルを急激に上昇させる可能性がある。過剰なナトリウムは、高血圧および心血管の健康不良などの有害な影響を有する可能性がある。カリウムに相対して、高いレベルのナトリウムは、高血圧を促進し、心血管疾患のリスクを上昇させる。高いレベルおよび/または割合のベータ-ヒドロキシブチレートカルシウムを含有する製剤は、対象におけるカルシウムレベルを急激に上昇させる可能性がある。過剰なカルシウムは、軟組織に蓄積し、このような組織の有害な石灰化および硬化をもたらし、心疾患(例えば、動脈硬化に関連する)、腎臓結石、関節炎および他の問題のある状態のリスクを上昇させる可能性がある。
【0060】
[0056]水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液、ゲル、および容易に消化できる懸濁液は、顕著なまたは何らかの塩も与えることなく、酸形態、したがって最も容易に使用可能な形態の治療的有効量のベータ-ヒドロキシブチレートをもたらす。このような組成物は、使用者において電解質バランスを顕著に変化させることなく、ケトーシスを促進、開始および/または持続し、ならびに場合によっては、電解質不均衡を改善するまたは緩和するという利点さえも提供する。
【0061】
[0057]一般に、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まないまたは実質的に含まない経口送達用の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、十分に希釈した形態で消費される場合、急性アシドーシスまたは胃腸(GI)障害を引き起こすことなく、血中ケトンレベルを急激に上昇させるのに有効である。アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する顕著な量のベータ-ヒドロキシブチレート塩の非存在下で、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、電解質バランスを顕著に変化させることなく、外因性ケトン体を送達することができる。特定の範囲内の濃度で水性ベータ-ヒドロキシ酪酸をもたらすことによって、ベータ-ヒドロキシ酪酸を安定に維持し、自己エステル化および沈澱を予防することができる。
【0062】
[0058]一部の実施形態では、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、体積約4oz.(約120ml)~約16oz.(約475ml)の範囲で、胃に害を及ぼすことまたは著しいアシドーシスを引き起こすことなく約0.5グラム~約25グラムの範囲の量のケトン体を送達することができるような、十分に希釈された濃度を有することができる。例えば、希釈水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、約0.4%w/v~約0.6%w/v、または約0.6%w/v~約5.5%w/v、または約0.9%w/v~約5%w/v、または約1.2%w/v~約4.5%w/v、または約1.5%w/v~約4%w/vの範囲のベータ-ヒドロキシ酪酸の濃度を有することができる。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、pH約3.5~4のやや酸性であるとはいえ、十分な水で希釈されると、水自体が擬似緩衝剤として作用し、経口消費されるときに不快な酸の影響を相殺する。
【0063】
[0059]一部の実施形態では、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、後で使用者が、水、ジュース、飲料、エナジーショットまたは他の水性組成物などで約0.4%w/v~約6%w/v、または約0.6%w/v~約5.5%w/v、または約0.9%w/v~約5%w/v、または約1.2%w/v~約4.5%w/v、または約1.5%w/v~約4%w/vの範囲の濃度に希釈するための濃縮物として提供され得る。濃縮溶液は、約6%w/v~約60%w/v、または約8%w/v~約55%w/v、または約10%w/v~約50%w/v、または約12.5%w/v~約45%w/v、または約15%w/v~約40%w/vの範囲のベータ-ヒドロキシ酪酸を含んでもよく、次いで使用者によって、所望により水、ジュース、飲料または他の水性組成物で、約2~約30倍、または約3~約25倍、または約4~約2倍、または約5~約15倍など所望により希釈されてもよい。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、自己重合し顕著な量の沈澱物を形成するほどには濃縮しないことが好ましい。このような重合した沈殿物は、おそらく胃の中のある一定の状態下で十分な水と消費されると、無害であり、いくらかは酸性溶液中で再加水分解されることがあることを理解されたい。
【0064】
[0060]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ベータ-ヒドロキシ酪酸およびベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対して、1つまたは複数のベータ-ヒドロキシブチレート塩を1%未満、または0.9%未満、または0.8%未満、または0.7%未満、または0.6%未満、または0.5%未満、または0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%未満、または0.1%未満含有するように、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を含まないまたは実質的に含まない。ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を本質的にまたは全く含まないことができる、すなわち、ベータ-ヒドロキシブチレート塩を0重量%含有し得る。
【0065】
[0061]一部の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、1つまたは複数の栄養学的にまたは薬学的に許容できる担体または添加剤を含んでもよい。例えば、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、アセト酢酸、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ゲル化剤(例えば、ジェランガム、ペクチン、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、アルギネート、デンプン、加工デンプン、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、コンニャクマンナン、トラガカントゴム、アカシアゴム、カラヤゴム、メチルセルロース、寒天、プルラン、コンニャク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のセルロース系化合物、他の多糖類ガム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、他のタンパク質、シリカフューム、粉砕されたチアシード、および他の親水コロイド)、発泡剤(例えば、食用酸および重炭酸塩または炭酸塩化合物)、ベータ-ヒドロキシブチレートエステル、ビタミン、ミネラル、中枢神経系刺激薬、向知性薬、食用酸、アミノ酸、筋肉促進化合物(例えば、ベータ-ヒドロキシベータ-メチルブチレート(HMB))、1つまたは複数のカンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノールおよび/またはカンナビジオール)などから選択される少なくとも1つの添加剤を任意に含み得る。ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、ウィンターグリーン油または柑橘油などの精油、天然および人工甘味料、ならびに当技術分野で公知の他の風味材料(flavorants)などの香味料を含み得る。
【0066】
[0062]一部の実施形態では、濃縮または希釈ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液、ゲル、ソース、および他の組成物は、ベータ-ヒドロキシ酪酸の粉末または他の固体形態を、水、飲料、ビバレッジ、ソース、ゲルまたは他の液体もしくは半液体飲料、または食品と組み合わせることによって製造することができる。ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液が使用者によって調製される場合、ベータ-ヒドロキシ酪酸の粉末または他の固体形態は、有利には香味料を含み、安定剤(例えば、食用酸、シリカ、デンプンなど)、発泡剤(例えば、重炭酸塩、炭酸塩、および任意に別の酸)、ビタミン、ミネラル、刺激薬、向知性薬、血管拡張剤、カンナビノイド、アミノ酸などの1つまたは複数の他の添加剤を含有してもよい。
【0067】
[0063]粉末、他の固体またはゲルは、予め用量に分けられた個別のパケット、パウチ、錠剤もしくはカプセル剤で提供されてもよく、または予め決められた用量もしくはその画分を量り分けるように構成された測定装置とともにキットで提供されてもよい。単回用量を表す複数(例えば、2つまたは3つ)の溶ける錠剤は、パケット、パウチまたは他の容器に一緒に包装され得る。一部の実施形態では、溶ける錠剤は、水に添加されると、発泡しシューと音を立てることもある。発泡性の錠剤の場合、水に溶解したときに所望の発泡作用を実現し、しかしながら1%未満の全ベータ-ヒドロキシブチレート塩をもたらすように、重炭酸塩と一緒に、ある量の食用酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、葉酸または酪酸)を含むことが望ましいこともある(すなわち、食用酸がベータ-ヒドロキシ酪酸よりも低いpKaを有する場合、ベータ-ヒドロキシブチレート塩よりも優先的に食用酸の塩が形成する)。
【0068】
[0064]様々な実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸、R-およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ混合物(すなわち、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸エナンチオマーおよびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸エナンチオマーの1:1比を有する混合物)、R-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物、またはS-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物を含み得る。一部の実施形態では、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸に加えてまたはR-ベータ-ヒドロキシ酪酸の代わりに、少なくともいくらかの量のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含むことが有利である。
【0069】
[0065]第1の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、エナンチオマーの当量で50%を超え100%未満の外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で50%未満であり0%を超える外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸のような、R-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物を含有する。一部の実施形態では、R-およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸の形態の非ラセミ混合物は、エナンチオマーの当量で50.1%~99.9%、50.2%~99.8%、50.3%~99.7%、50.4%~99.6%、50.5%~99.5%、51%~99%、52%~98%、53%~97%、54%~96%、55%~95%、57%~93%、または60%~90%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸、およびエナンチオマーの当量で49.9%~0.1%、49.8%~0.2%、49.7%~0.3%、49.6%~0.4%、49.5%~0.5%、49%~1%、48%~2%、47%~3%、46%~4%、45%~5%、43%~7%、41%~15%、または40%~10%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0070】
[0066]第2の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、エナンチオマーの当量で50%を超え100%未満の外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で50%未満であり0%を超える外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸のような、S-エナンチオマーで富化された非ラセミ混合物を含有する。一部の実施形態では、S-およびR-ベータ-ヒドロキシ酪酸の形態の非ラセミ混合物は、エナンチオマーの当量で50.1%~99.9%、50.2%~99.8%、50.3%~99.7%、50.4%~99.6%、50.5%~99.5%、51%~99%、52%~98%、53%~97%、54%~96%、55%~95%、57%~93%、または60%~90%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸、およびエナンチオマーの当量で49.9%~0.1%、49.8%~0.2%、49.7%~0.3%、49.6%~0.4%、49.5%~0.5%、49%~1%、48%~2%、47%~3%、46%~4%、45%~5%、43%~7%、41%~15%、または40%~10%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0071】
[0067]第3の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ(またはラセミに近い)混合物を含有する、すなわち、これは、エナンチオマーの当量で50%の外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマーの当量で50%の外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する。R-およびS-エナンチオマーの完全な50:50混合物ではないラセミに近い混合物は、エナンチオマーの当量で約49.9%~約50.1%、または約49.92%~約50.08%、または約49.94%~約50.06%、または約49.96%~約50.04%、または約49.98%~約50.02%のR-ベータ-ヒドロキシブチレート、およびエナンチオマーの当量で約50.1%~約49.9%、または約50.06%~約49.94%、または約50.04%~約49.96%、または約50.02%~約49.98%のS-ベータ-ヒドロキシブチレートを含み得る。
【0072】
[0068]第4の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、すなわち、これは、エナンチオマーの当量で100%の外因性S-ベータ-ヒドロキシ酪酸、およびエナンチオマーの当量で0%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する。
【0073】
[0069]第5の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する、すなわち、これは、エナンチオマー当量で100%の外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸、およびエナンチオマー当量で0%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する。水に溶解されて「水緩衝材(water buffer)」と共に水溶液を形成する外因性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸は、天然には見られないので、これは「天然産物」ではない。
【0074】
[0070]鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸および/またはR-ベータ-ヒドロキシブチレートのみが、哺乳動物によって内因的におよび天然に産生され、天然産物であることが一般に理解されている。生物学的pHで、ベータ-ヒドロキシ酪酸の内因性形態は、実質的に脱プロトン化されたR-ベータ-ヒドロキシブチレートアニオンとしてのみ存在し、粉末もしくは他の固体形態、濃縮溶液、またはましてや開示された濃度内の希釈水性R-ベータ-ヒドロキシ酪酸としては存在しない。
【0075】
[0071]S-ベータ-ヒドロキシ酪酸(生物学的pHでS-ベータ-ヒドロキシブチレート)は、哺乳動物によって内因的に産生されず、一部の者には非天然で有害な可能性があると信じられているが、他の有益な効果をもたらす可能性がある。これらには、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテートの内因性産生の増加、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテートの一方または両方への内因性変換、脂肪酸およびステロールへの内因性変換、長期のケトーシス、S-ベータ-ヒドロキシブチレートのR-ベータ-ヒドロキシブチレートおよび/またはアセトアセテートへの変換とは独立したS-ベータ-ヒドロキシブチレートの代謝、胎児の発育の改善、成長年数の増加、ケトーシスの間のアセトンの内因性産生の低下、R-ベータ-ヒドロキシブチレートおよびグルコースの代謝を調節するためのシグナル伝達、抗酸化活性、ならびにアセチル-CoAの産生のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0076】
[0072]鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化されたベータ-ヒドロキシ酪酸、または鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有するベータ-ヒドロキシ酪酸は、体内にR-ベータ-ヒドロキシブチレートの同じ急激な供給を得るために、鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された組成物、または鏡像異性的に純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する組成物よりも高い用量で投与してもよい。このような場合、鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された、または鏡像異性的に純粋なS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を含有する組成物中の、ベータ-ヒドロキシ酪酸のより高濃度および/またはより多い量のより大きい酸性度をさらに相殺するために、ベータ-ヒドロキシ酪酸およびベータ-ヒドロキシブチレート塩の総重量に対して、4.0%未満、または3.75%未満、または3.5%未満、または3.25%未満、または3.0%未満、または2.75%未満、または2.5%未満、または2.25%未満、または2%未満、または1.75%未満、または1.5%未満、または1.25%未満などの増加的に高いがなお少量のベータ-ヒドロキシブチレート塩を含むことが望ましいこともある。
【0077】
[0073]一部の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、酸性pHで正味の正電荷を有するアミノ酸または他の有機化合物によってカチオンがもたらされるベータ-ヒドロキシブチレート塩を任意に含み得る。ベータ-ヒドロキシブチレート-アミノ酸化合物は、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムなどの電解質をもたらすことなく、可溶性形態のベータ-ヒドロキシブチレートを提供することができる。ほとんどのアミノ酸は、酸性pHで正味の正電荷を有する。例としては、アルギニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、オルニチン、シトルリン、グルタミン、または他の適したアミノ酸もしくはアミノ酸の代謝物(例えば、クレアチン)が挙げられる。いくつかのアミノ酸はまた、健康上の利益をもたらす。例えば、アルギニンおよびシトルリンは血液中の一酸化炭素を上昇させることができ、それによって心臓病を有する人の血管を拡張し血液循環を改善する(および勃起不全を患う男性を助けることもある)。
【0078】
[0074]一部の実施形態では、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、速い送達および吸収のために、ビバレッジ、濃縮エナジーショット、またはマウススプレーの形態などの水溶液として提供され得る。ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、エナジーゲルなどのゲルとして提供され得る。ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ソースまたは調味料などの食品として提供され得る。ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、摂取可能な水溶液、ゲルまたは懸濁液を形成するために、水、飲料または食品に添加され得る粉末または他の固体として提供され得る。
【0079】
[0075]水の他に、ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオールなどの他の液体担体を任意に含み得る。組成物は、ビタミンおよび/またはミネラルを含み得る。他の添加剤には、ケトン体の効果またはミトコンドリアへのケトン体の輸送を強化する代謝物、カフェイン、テオブロミン、およびL-アルファグリセリルホスホリルコリン(「アルファGPC」)などの向知性薬が含まれる。組成物は、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、ウィンターグリーン油または柑橘油などの精油、天然および人工甘味料、ならびに当技術分野で公知の他の風味材料などの香味料を含み得る。
【0080】
[0076]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、1つまたは複数のベータ-ヒドロキシブチレートエステルを任意に含むことができる。ベータ-ヒドロキシブチレートエステルの例としては、モノ、ジ、トリ、オリゴおよびポリエステルが挙げられる。例としては、エタノールのモノエステル、1-プロパノールのモノエステル、1、2-プロパンジオールのモノエステル、1、2-プロパンジオールのジエステル、1、3-プロパンジオールのモノエステル、1、3-プロパンジオールのジエステル、S-、R-もしくはS-R-1,3-ブタンジオールのモノもしくはジエステル、またはグリセリンのモノ、ジもしくはトリエステル、アセトアセテートのエステル、二量体、三量体、オリゴマー、ならびにベータ-ヒドロキシブチレートの繰り返し単位を含有するポリエステル、ならびにベータ-ヒドロキシブチレートの複雑なオリゴマーポリマー、ならびに乳酸、クエン酸、アセト酢酸、キナ酸、シキミ酸、サリチル酸、酒石酸およびリンゴ酸などの1つもしくは複数の他のヒドロキシ-カルボン酸、ならびに/またはベータ-ヒドロキシブチレート、ならびに/または1、3-プロパンジオールおよび1,3-ブタンジオールなどの1つもしくは複数のジオール、ならびに酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸およびフマル酸などの1つもしくは複数のポリ酸が挙げられる。
【0081】
[0077]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、短、中および/もしくは長鎖脂肪酸ならびに/またはそのエステルを任意に含み得る。このような成分のほとんどが、水への限られた溶解度を有し、乳化剤の使用を必要とすることおよび/または懸濁液中で粒子として残ることがあり、一方では、水溶性形態、特に短鎖脂肪酸は、非常に強い風味を有する。短鎖脂肪酸は、2~5個の炭素原子を含有し、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸およびイソ吉草酸が含まれる。中鎖脂肪酸は、6~12個の炭素を含有し、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸およびラウリン酸が含まれる。長鎖脂肪酸は、12個を超える炭素原子を含有し、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ7脂肪酸およびオメガ9脂肪酸が含まれる。好ましい実施形態では、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、5%、4%、3%、2%または1%など、短、中および長鎖脂肪酸ならびにそのエステルを実質的に含まない。
【0082】
III.投与
[0078]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、それを必要とする対象に栄養学的にまたは薬学的に有効量のベータ-ヒドロキシ酪酸を投与することを含む、対象におけるケトーシスを促進することおよび/または持続することを含むケトン体レベルを上昇させる方法に使用され得る。対象におけるケトーシスを促進することおよび/または持続することを含むケトン体レベルを上昇させることの有益な効果の例としては、食欲抑制、体重減少、脂肪減少、血糖レベルの低下、精神的覚醒の改善、身体的エネルギーの増加、認知機能の改善、外傷性脳損傷の軽減、糖尿病の影響の軽減、神経障害の改善、がんの軽減、炎症の軽減、老化防止、抗糖化、てんかん発作の軽減、気分の改善、体力の増加、筋肉量の増加、または身体組成の改善のうちの1つもしくは複数が挙げられる。
【0083】
[0079]ベータ-ヒドロキシ酪酸は、ケトーシスを誘導するまたは持続するために、治療的有効投薬量および/または頻度で対象に投与され得る。一部の実施形態では、単回用量は、約0.5グラム~約25グラム、または約0.75グラム~約20グラム、または約1グラム~約15グラム、または約1.5グラム~約12グラム、または約2グラム~約10グラムのベータ-ヒドロキシ酪酸化合物およびベータ-ヒドロキシブチレート化合物の総重量で提供してもよい。
【0084】
[0080]ベータ-ヒドロキシ酪酸組成物は、ビタミンD3、ビタミン、ミネラル、向知性薬、および当技術分野で公知の他のものなどの他のサプリメントを一緒に含み、またはそれらと一緒に投与することができる。ケトジェニック組成物に添加され得るビタミン、ミネラルおよびハーブ系サプリメントの例としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、5-MTHF、ビタミンB12、ヨウ素、亜鉛、銅、マンガン、クロム、カフェイン、テオブロミン、テアクリン(theacrine)、メチルルベリン(methylliberine)、フペルジンA、エピカテキンおよび酵素の1つまたは複数が挙げられる。
【0085】
[0081]一部の実施形態では、対象は、投与の期間中、炭水化物およびタンパク質の摂取を制限するケトジェニック食に従ってもよい。一例の実施形態では、対象は、食事摂取を約65%の脂肪、約25%のタンパク質、および約10%の炭水化物の比に制限してもよい。得られる治療的ケトーシスは、広範囲な代謝障害に対する代謝治療として急激で持続的なケト適応をもたらし、治療的絶食、体重減少および能力強化のための栄養支持を提供する。したがって、組成物は通常、ケトーシスの状態を促進および/または持続することを望む対象に1日1回、1日2回、または1日3回投与される。
【0086】
[0082]一部の実施形態では、組成物の複数回用量は、時間をかけて投与される。組成物の投与の頻度は、以前の処置からの処置のタイミング、処置の目的などの、任意の様々な要因によって変わる可能性がある。組成物の投与の期間(例えば、薬剤が投与される期間)は、対象の反応、処置の所望の効果などを含む、任意の様々な要因によって変わる可能性がある。
【0087】
[0083]投与される組成物の量は、個々の感受性の程度、個々の年齢、性別および体重、個々の特異体質反応などの要因によって変わる可能性がある。「治療的有効量」は、in vivoで治療的に有効な結果(すなわち、治療的ケトーシス)を促進するのに必要な量である。本開示によれば、適切な単回用量の大きさは、適切な期間にわたって1回または複数回投与される場合、患者における症状を予防するまたは緩和する(軽減しまたは取り除く)ことができる用量である。
【0088】
[0084]投与される組成物の量は、未使用のケトン体の効力、吸収、分布、代謝および排出率、電解質、投与の方法、ならびに処置されている特定の障害、ならびに当業者に公知の他の要因によって決まることになる。用量は、緩和しようとする状態の重症度を考慮に入れて、特定の障害または状態に対する治療または予防的反応などの所望の反応に影響を及ぼすのに十分であるべきである。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、1回投与され得、または分割され時間をかけて投与され得る。投与は、個々の必要性、および組成物を投与する人または組成物の投与を監督する人の専門的な判断によって調整され得ることが理解されるべきである。
【実施例】
【0089】
IV.実施例
[0085]以下は、顕著な量の電解質を送達することなく、それを投与される対象において、ケトジェニック状態を誘導するおよび/または持続することを含めた、それを必要とする対象にケトン体を送達するのに有用な、例示的な水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液、ゲルおよび懸濁液、ならびにこのような溶液、ゲルまたは懸濁液を作製するために使用される固体組成物の説明である。
【0090】
実施例1
[0086]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末または他の固体形態)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を60%w/v含有する高濃縮の溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物10~30部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0091】
実施例2
[0087]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末または他の固体形態)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を50%w/v含有する高濃縮の溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物9~28部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0092】
実施例3
[0088]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を40%w/v含有するそれほど高濃縮ではない溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物8~25部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0093】
実施例4
[0089]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を35%w/v含有するそれほど高濃縮ではない溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物7~22部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0094】
実施例5
[0090]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を30%w/v含有する適度に濃縮した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物6~18部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0095】
実施例6
[0091]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合し、ベータ-ヒドロキシ酪酸を25%w/v含有する適度に濃縮した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物5~15部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0096】
実施例7
[0092]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を20%w/v含有する適度に濃縮した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物4~12部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0097】
実施例8
[0093]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を15%w/v含有するいくらか濃縮した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物3~9部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0098】
実施例9
[0094]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を10%w/v含有するいくらか濃縮した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。濃縮水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を、水、ジュース、ビバレッジまたは他の水性組成物2~8部と混合することによって、ケトジェニック組成物として容易に投与する。
【0099】
実施例10
[0095]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を6%w/v含有するいくらか希釈した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、そのまま使用するか、または別の物質と混合することができる。
【0100】
実施例11
[0096]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を5%w/v含有するいくらか希釈した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、そのまま使用するか、または別の物質と混合することができる。
【0101】
実施例12
[0097]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を4%w/v含有する適度に希釈した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、そのまま使用するか、または別の物質と混合することができる。
【0102】
実施例13
[0098]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を3%w/v含有するより希釈した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、そのまま使用するか、または別の物質と混合することができる。
【0103】
実施例14
[0099]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を2%w/v含有するさらにより希釈した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、そのまま使用するか、または別の物質と混合することができる。
【0104】
実施例15
[00100]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を1.5%w/v含有する極めて希釈した溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、そのまま使用するか、または別の物質と混合することができる。
【0105】
実施例16
[00101]ベータ-ヒドロキシ酪酸(例えば、粉末もしくは他の固体形態、またはより濃縮した溶液)を水と混合して、ベータ-ヒドロキシ酪酸を1%w/v含有する高希釈溶液を形成することによって、水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液を調製する。水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液は、そのまま使用するか、または別の物質と混合することができる。
【0106】
実施例17
[00102]前述の水性ベータ-ヒドロキシ酪酸溶液のいずれかを、ゲル化剤を含ませることによって改変して、ゲルを形成する。ゲル化剤は、ジェランガム、ペクチン、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、アルギネート、デンプン、加工デンプン、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、コンニャクマンナン、トラガカントゴム、アカシアゴム、カラヤゴム、メチルセルロース、寒天、プルラン、コンニャク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のセルロース系化合物、他の多糖類ガム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、他のタンパク質、シリカフューム、粉砕されたチアシード、および他の親水コロイドの1つまたは複数とすることができる。ゲル化剤は、粘性ニュートン流体またはビンガム塑性体などの所望の粘度のゲルを得るための量で含める。
【0107】
実施例18
[00103]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸溶液またはゲルのいずれかは、ベータ-ヒドロキシ酪酸の粒子を含有する懸濁液を形成するために、ベータ-ヒドロキシ酪酸が不溶性またはそれほど可溶性ではない他の担体物質を含む。場合によっては、水の量を、ベータ-ヒドロキシ酪酸を溶解するために必要とされる量より減らす。懸濁液は、液体、ゲル、ソース、または他の食品材料もしくは飲料材料とすることができる。
【0108】
実施例19
[00104]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかを、1つまたは複数の短鎖脂肪酸またはそのエステルと組み合わせる。
【0109】
実施例20
[00105]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかを、アルギニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、オルニチン、シトルリン、L-グルタミン、またはクレアチンなどのアミノ酸の代謝物から選択されるカチオン性アミノ酸を含有するベータ-ヒドロキシブチレート化合物と組み合わせる。ベータ-ヒドロキシブチレート-アミノ酸化合物は、組成物に電解質を添加することなく、ベータ-ヒドロキシブチレートのさらなる供給源を提供する。
【0110】
実施例21
[00106]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかは、エナンチオマー当量で50%を超え100%未満のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマー当量で50%未満であり0%を超えるS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を提供するために、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸をR-およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ混合物と混合することによって調製することができる、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された非ラセミ混合物を含むことができる。非ラセミ混合物は、より多くのR-エナンチオマーを含むので、所与の投薬量で、同じ投薬量のラセミ混合物と比較して、ケトーシスの開始が早まる。一方、S-エナンチオマーを含むことは、純粋なR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を使用することと比較して、より長いケトーシスの状態および/または本明細書で開示される他の利益をもたらす。
【0111】
実施例22
[00107]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかは、エナンチオマー当量で50%を超え100%未満のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマー当量で50%未満であり0%を超えるR-ベータ-ヒドロキシ酪酸を提供するために、S-ベータ-ヒドロキシ酪酸をR-およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ混合物と混合することによって調製することができる、S-ベータ-ヒドロキシ酪酸で富化された非ラセミ混合物を含むことができる。非ラセミ混合物は、より多くのS-エナンチオマーを含むので、所与の投薬量で、同じ投薬量のラセミ混合物と比較して、ケトーシスの開始が遅くなる。
【0112】
実施例23
[00108]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかは、エナンチオマー当量で50%のR-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびエナンチオマー当量で50%のS-ベータ-ヒドロキシ酪酸を提供するために、R-ベータ-ヒドロキシ酪酸およびS-ベータ-ヒドロキシ酪酸のラセミ混合物を含むことができる。組成物がラセミ混合物を含有するので、所与の投薬量で、S-エナンチオマーで富化された同じ投薬量と比較して、ケトーシスの開始が早まる。一方で、ラセミ混合物は、エナンチオマー当量で50%のS-エナンチオマーを含むので、所与の投薬量で、R-エナンチオマーで富化された同じ投薬量と比較して、ケトーシスが持続する期間が増加する。
【0113】
実施例24
[00109]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかを、1つまたは複数のビタミン、ミネラル、ハーブおよび当技術分野で公知の他のものなどの、1つまたは複数のサプリメントを含むことによって改変する。
【0114】
実施例25
[00110]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかを、1つまたは複数のベータ-ヒドロキシブチレートエステルを含めることによって改変する。
【0115】
実施例26
[00111]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかを、緑茶、緑茶抽出物(例えば、エピガロカテキンガレート(EGCG)などの1つまたは複数の単離緑茶カテキンを含む組成物)、焙煎していないコーヒー豆の抽出物(green coffee extract)、共役リノール酸(CLA)、テトラデシルチオ酢酸(tetradecyl thioacetic acid)(TTA)、Coleus forskohlii(すなわち、フォルスコリン)、ヨヒンビン、ラウオルシン、カプサイシン、ラズベリーケトン(例えば、4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン、p-ヒドロキシベンジルアセトン)、エフェドリン、シネフリン(例えば、ダイダイ抽出物)、オクトパミン、1,3-ジメチルアミルアミン、ヒゲナミン、フコキサンチン、アセチルコリンモジュレーターおよび/またはアデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、カフェイン)、ニコチン、コカ葉誘導体、ウルソル酸、クレンブテロール、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(例えば、ホルデニン、アトモキセチン)、7-オキソデヒドロエピアンドロステン(すなわち、7-ケトDHEA)、甲状腺ホルモン(例えば、トリヨードチロニン)、ならびにこれらの組合せなどの、1つまたは複数の脂肪燃焼サプリメントを含めることによって改変する。得られた組み合わせたサプリメントは、ベータ-ヒドロキシブチレート化合物のみを含む同様の用量よりも、より大きな脂肪分解および/または脂肪の酸化効果をもたらすことが期待される。
【0116】
実施例27
[00112]前述のベータ-ヒドロキシ酪酸組成物のいずれかを、チロシン、L-DOPA(すなわち、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)、トリプトファンおよび5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)などの1つまたは複数の向知性サプリメント、ピラセタム、オキシラセタムおよびアニラセタムなどのラセタム、L-テアニン、D-セリン、ホスファチジルセリン、トルカポン、ウリジン、ビンポセチン、ホルデニンおよびアトモキセチンなどのノルエピネフリン再取り込み阻害薬、Panax ginseng、Ginkgo biloba、Rhodiola rosea、Polygala tenuifolia、Muira puama、Eschscholzia californica、Convolvulus pluricaulis、Centella asiatica、Evolvulus alsinoides、Bacopa monnieri、Epimediumハーブ、アシュワガンダハーブ、フォルスコリンなどの環状アデノシン一リン酸(cAMP)モジュレーター、ニコチン、カフェインおよびアンフェタミンなどの刺激薬、フペルジン-A、ジメチルアミノエタノール、コリンおよびアルファ-グリセロホスホコリンなどのコリン作動性化合物および/またはアセチルコリンモジュレーター、ならびにこれらの組合せを含めることによって改変する。得られた組み合わせたサプリメントは、ベータ-ヒドロキシブチレート化合物のみを含む同様の用量よりも、より大きな認知、覚醒および/または気分の効果をもたらすことが期待される。
【0117】
[00113]本発明は、その要旨または基本的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。記載された実施形態は、あらゆる点で例示的なものに過ぎず、制限するものではないとみなされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明よりも添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等の意味および範囲内に入るすべての変更は、それらの範囲内に包含される。
【国際調査報告】