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特表2023-541370硬質ポリウレタンフォーム及びフォームを含む多層断熱アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】硬質ポリウレタンフォーム及びフォームを含む多層断熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230925BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20230925BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20230925BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20230925BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230925BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G18/76
C08G18/38 019
C08G18/66 074
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512471
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 US2021047052
(87)【国際公開番号】W WO2022046582
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】102020000020662
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】モシャッティ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジロッティ、セシリア
(72)【発明者】
【氏名】ベルクハウス、カルステン
(72)【発明者】
【氏名】クラマー、ハンス
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA05
4J034CB04
4J034CB07
4J034CD01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG22
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB07
4J034HB08
4J034HC06
4J034HC12
4J034HC52
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC66
4J034HC71
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB03
4J034KC02
4J034KD02
4J034KD07
4J034KD12
4J034KE02
4J034NA03
4J034NA06
4J034QB01
4J034QB11
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA14
(57)【要約】
硬質ポリウレタンフォームは、4~33重量%のトリイソプロパノールアミンを含むポリオールの混合物を用いて作製される。ポリオールの混合物を、発泡剤、フォーム安定化界面活性剤、及びウレタン触媒の存在下で芳香族ポリイソシアネートと反応させて、フォームを生成する。フォームは、工業用及び商業用の、冷凍庫及び冷蔵庫用の電化製品のキャビネット及び壁等の多層断熱アセンブリにおける断熱層として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
95~150のイソシアネート指数を特徴とするポリウレタン形成反応混合物の反応生成物である硬質ポリウレタンフォームであって、前記ポリウレタン形成反応混合物が、
A)芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物であって、2~4のイソシアネート官能価及び80~175のイソシアネート当量を有する芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物と、
B)ポリオールの混合物であって、125~225の平均ヒドロキシル当量及び1分子あたり3.5~6個のヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有し、トリイソプロパノールアミンが、前記ポリオールの混合物の4~33重量パーセントを構成し、6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、前記ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、かつ前記ポリオールの混合物が、12重量パーセント以下のアルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールを含有する、ポリオールの混合物と、
C)最高42kg/mのフォーム密度を生成するのに十分な量の1つ以上の発泡剤と、
D)少なくとも1つのウレタン触媒と、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤と、
を含む、硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
アルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールが、前記ポリオールの混合物の1重量パーセント以下を構成している、請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、前記ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、前記ポリオールの混合物の40~70重量パーセントを構成する1つ以上のソルビトール開始ポリエーテルポリオールである、請求項1又は2に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
300~750のヒドロキシル当量及び2~3のヒドロキシル官能価を有する1つ以上のポリエーテルポリオールが、前記ポリオールの混合物の5~35重量パーセントを構成している、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
トリエタノールアミンとトリイソプロパノールアミンとは異なる脂肪族アミン開始ポリオールとを合わせて、前記ポリオールの混合物の5重量パーセント以下を構成している、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
トリイソプロパノールアミンが、前記ポリオールの混合物の6~20重量パーセントを構成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の硬質ポリウレタンフォームを作製する方法であって、95~150のイソシアネート指数を有することを特徴とする反応混合物を形成及び硬化させることを含み、前記反応混合物が、
A)芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物であって、2~4のイソシアネート官能価及び80~175のイソシアネート当量を有する芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物と、
B)ポリオールの混合物であって、125~225の平均ヒドロキシル当量及び1分子あたり3.5~6個のヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有し、トリイソプロパノールアミンが、前記ポリオールの混合物の4~33重量パーセントを構成し、6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、前記ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、かつ前記ポリオールの混合物が、12重量パーセント以下のアルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールを含有する、ポリオールの混合物と、
C)最高42kg/mのフォーム密度を生成するのに十分な量の1つ以上の発泡剤と、
D)少なくとも1つのウレタン触媒と、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤と、
を含む、方法。
【請求項8】
多層断熱アセンブリを製造する方法であって、
1)外側シェル部材及び内側シェル部材を、それらを互いに対して固定位置に維持する機械的装置内に保持することによって位置決めし、前記外側シェル部材と前記内側シェル部材との間にキャビティを画定することと、
2)95~150のイソシアネート指数を特徴とするポリウレタン形成反応混合物を前記キャビティに導入することと、
3)膨張し、反応する前記ポリウレタン形成反応混合物を硬化させて、前記キャビティを充填し、かつ前記外側シェル部材及び前記内側シェル部材に接着するポリウレタンフォームを生成して、多層断熱アセンブリを生成することと、
4)次いで、前記多層断熱アセンブリを前記機械的装置から取り出すことによって前記多層断熱アセンブリを離型することと、
を含み、反応系が、
A)芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物であって、2~4のイソシアネート官能価及び80~175のイソシアネート当量を有する芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物と、
B)ポリオールの混合物であって、125~225の平均ヒドロキシル当量及び1分子あたり3.5~6個のヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有し、トリイソプロパノールアミンが、前記ポリオールの混合物の4~33重量パーセントを構成し、6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、前記ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、かつ前記ポリオールの混合物が、12重量パーセント以下のアルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールを含有する、ポリオールの混合物と、
C)最高42kg/mのフォーム密度を生成するのに十分な量の1つ以上の発泡剤と、
D)少なくとも1つのウレタン触媒と、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤と、
を含むポリウレタン形成反応混合物を含む、方法。
【請求項9】
工程4)が、工程2)の2.5~20分後に行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程4)が、工程2)の3~6分後に行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
アルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールが、前記ポリオールの混合物の1重量パーセント以下を構成している、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、前記ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、前記ポリオールの混合物の40~70重量パーセントを構成する1つ以上のソルビトール開始ポリエーテルポリオールである、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
300~750のヒドロキシル当量及び2~3のヒドロキシル官能価を有する1つ以上のポリエーテルポリオールが、前記ポリオールの混合物の5~35重量パーセントを構成している、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
トリエタノールアミンと、トリイソプロパノールアミンとは異なる脂肪族アミン開始ポリオールとを合わせて、前記ポリオールの混合物の5重量パーセント以下を構成している、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
トリイソプロパノールアミンが、前記ポリオールの混合物の6~20重量パーセントを構成している、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォームを含む多層断熱アセンブリ、並びにそのようなフォーム及び断熱アセンブリの作製方法に関する。
【0002】
多層断熱アセンブリは、冷蔵庫及び冷凍庫のキャビネットとして、ウォークイン冷蔵ユニットの壁及びドアのために、冷却器として、並びに他の用途で使用される。断熱は、多くの場合、片側又は両側で金属又はプラスチックのシェル又はライナーに接着される硬質ポリウレタンフォームの層によって提供される。例えば、冷蔵庫及び冷凍庫のキャビネットは、典型的には、外側シェル及び内側ライナーを有し、これら2つの間にポリウレタンフォーム層が挿入されている。これらは、フォーム層をその場で生成することによって製造される。フォーム層が望まれる領域に硬化性フォーム製剤を導入し、そこで膨張及び硬化させてフォームを生成する。
【0003】
具体的には、電化製品の製造では、外側シェル及び内側ライナーは、一般に「治具」と呼ばれる装置に配置され、この治具は、それらの間にフォームで充填される画定されたキャビティを有する適切な相対位置にそれらを保持する。次いで、1つ以上の注入口を通してフォーム製剤をキャビティ内に導入する。フォーム製剤は、ガスを含有していてもよく、又は混合時にガスを生成してもよく、そのガスはフォーム製剤を膨張させ、キャビティを充填する。膨張したフォーム製剤を適所で硬化させて、シェル及びライナーの両方に接着する硬質断熱フォームを形成する。
【0004】
得られたキャビネットアセンブリは、フォームが寸法的に安定になるのに十分な程度にフォーム製剤が硬化するまで治具内に保持されなければならない。治具から取り外す(「離型する」)のが早すぎた場合、フォームは膨張し続けるので、シェル及び/又はライナーが歪み、欠陥製品が生じることになる。
【0005】
その時間が経過すればユニットを離型することができるという時間(「離型時間」)は、製造設備の生産性において直接的な役割を果たす。離型時間が短縮されると、装置をより高頻度で使用することができるようになり、単位時間当たりの生産が増加する。これを達成することには、大きな経済的利益がある。したがって、離型時間をより短くすることができるフォーム製剤が非常に望ましい。
【0006】
フォーム製剤は、更に追加の要件も満たさなければならない。それは、熱伝導率が低くなければならないことである。離型時間を短縮するフォーム製剤への改変は、熱伝導率に対して、仮にあったとしても、せいぜいわずかな悪影響しか及ぼしてはならない。
【0007】
フォーム製剤の別の重要な特徴は、複雑なキャビティを完全に充填する能力である。この特徴は、一般に「フローインデックス」又は単に「フロー」と呼ばれる。これは、型のキャビティを充填するのに必要なフォーム製剤の量の、フリーライズ(free-rise)条件下で同等の体積を充填するのに必要な量に対する比として表される。最適には、この比は可能な限り1に近い。実際問題として、フォーム製剤が単にフリーライズするよりも、複雑な形状を充填することの方が困難であり、フォーム製剤は、密閉された型内では大気に対してフリーライズする場合よりも大きな圧力に対して上昇しなければならないので、この比は1より大きく、典型的には1.2以上である。フローインデックスが高いほど、型のキャビティを充填するためにより多量のフォーム製剤が必要になる。比例して原料コストも増加する。離型時間を短縮するための最も直接的な方法は反応性を増大させることによるものなので、離型時間の改善は、一般に、フローインデックスの著しい増加を犠牲にして得られる。したがって、フローインデックスに著しい影響を与えることなく離型時間を短縮することが非常に望ましい。
【0008】
現在、短い離型時間と、低いフローインデックスと、硬化したときの良好な断熱との優れた組み合わせを示すフォーム製剤は、オルト-トルエンジアミンで開始されたポリエーテルポリオールを含有するフォーム製剤を使用して生成することができる。オルト-トルエンジアミンの世界的な供給は一貫しておらず、この理由から、不足したり大きな価格変動があったりすることがよくある。したがって、オルト-トルエンジアミンポリオールは高価であり、室温における高い粘度を考えると取り扱いが困難である。オルト-トルエンジアミンポリオールに基づくフォームと同様に、又はそれよりも更に良好に機能するフォームが特に望ましい。
【0009】
アルコキシル化脂肪族アミン、例えば、エチレンジアミンのプロポキシレートが、硬質ポリウレタンフォームの作製に使用されてきた。それらの使用は、粘度が非常に高いことから制限されている。ほとんどの場合、これらの材料はほんの少量しか許容することができない。
【0010】
特開第2013-224368(A)号には、10重量%のトリイソプロパノールアミン、20重量部の指定されていない当量のトルエンジアミン開始ポリオール、及び70部の同様に指定されていない当量の糖開始ポリオールを含有するポリオール混合物を使用して作製された硬質ポリウレタンフォームが記載されている。これらのポリオール混合物は、高価であり、高い粘度を有するという問題点を有する。特開第2013-224368(A)号によれば、これらの高い粘度は、フォーム製剤を発泡させるキャビティから製剤が漏出するのを防ぐために必要である。
【0011】
中国特許第10533089号には、TIPAを含有するポリウレタンフォーム製剤が記載されている。これらの製剤は、冷蔵庫噴霧に有用であると言われている。
【0012】
中国特許第106832188号には、TIPAを含有するポリウレタンフォーム製剤を使用して作製された容器が記載されている。
【0013】
中国特許第107903380号には、TIPAを含有するフォーム製剤を使用して作製されたビール樽が記載されている。
【0014】
本発明は、一態様では、硬質ポリウレタンフォームを作製する方法である。方法は、95~150のイソシアネート指数を有することを特徴とする反応混合物を形成及び硬化することを含み、反応混合物は、
A)芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物であって、2~4のイソシアネート官能価及び80~175のイソシアネート当量を有する芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物と、
B)ポリオールの混合物であって、125~225の平均ヒドロキシル当量及び1分子あたり3.5~6個のヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有し、トリイソプロパノールアミンが、ポリオールの混合物の4~33重量パーセントを構成し、6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、かつポリオールの混合物が、12重量パーセント以下のアルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールを含有する、ポリオールの混合物と、
C)最高42kg/mのフォーム密度を生成するのに十分な量の1つ以上の発泡剤と、
D)少なくとも1つのウレタン触媒と、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤と、
を含む。
【0015】
フォーム製剤中のトリイソプロパノールアミン(TIPA)の存在は、フロー及び断熱能力には無視できるほど小さな変化しか与えないが、離型後のフォームの後膨張を著しく減少させることが見出された。冷蔵庫及び冷凍庫等の電化製品を生産する場合、離型後のフォームの後膨張の減少により、生産中の離型時間を短縮することができ、製造設備の利用率を10~20%、又はそれ以上増加させることができる。この効果は、TIPAに特有であると考えられる。TIPAをトリエタノールアミン等の他の低分子量アミノアルコール及びグリセリン等の非アミン分子で置換しても、所望の効果は得られない。
【0016】
特定の態様では、本発明は、多層断熱アセンブリを製造する方法であって、
1)外側シェル部材及び内側シェル部材を、それらを互いに対して固定位置に維持する機械的装置内に保持することによって位置決めし、外側シェル部材と内側シェル部材との間にキャビティを画定することと、
2)95~150のイソシアネート指数を特徴とするポリウレタン形成反応混合物をキャビティに導入することと、
3)膨張し、反応するポリウレタン形成反応混合物を硬化させて、キャビティを充填し、かつ外側シェル部材及び内側シェル部材に接着するポリウレタンフォームを生成して、多層断熱アセンブリを生成することと、
4)次いで、多層断熱アセンブリを機械的装置から取り出すことによって多層断熱アセンブリを離型することと、
を含み、反応系が、
A)芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物であって、2~4のイソシアネート官能価及び80~175のイソシアネート当量を有する芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物と、
B)ポリオールの混合物であって、125~225の平均ヒドロキシル当量及び1分子あたり3.5~6個のヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有し、トリイソプロパノールアミンが、ポリオールの混合物の4~33重量パーセントを構成し、6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、かつポリオールの混合物が、12重量パーセント以下のアルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールを含有する、ポリオールの混合物と、C)最高42kg/mのフォーム密度を生成するのに十分な量の1つ以上の発泡剤と、
D)少なくとも1つのウレタン触媒と、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤と、
を含むポリウレタン形成反応混合物を含む、方法である。
【0017】
本発明はまた、95~150のイソシアネート指数を特徴とするポリウレタン形成反応混合物の反応生成物である硬質ポリウレタンフォームであって、ポリウレタン形成反応混合物が、
A)芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物であって、2~4のイソシアネート官能価及び80~175のイソシアネート当量を有する芳香族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートの混合物と、
B)ポリオールの混合物であって、125~225の平均ヒドロキシル当量及び1分子あたり3.5~6個のヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有し、トリイソプロパノールアミンが、ポリオールの混合物の4~33重量パーセントを構成し、6~8個のヒドロキシル基及び150~300のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールが、ポリオールの混合物の30~90重量パーセントを構成し、かつポリオールの混合物が、12重量パーセント以下のアルコキシル化芳香族アミン開始ポリオールを含有する、ポリオールの混合物と、
C)最高42kg/mのフォーム密度を生成するのに十分な量の1つ以上の発泡剤と、
D)少なくとも1つのウレタン触媒と、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤と、
を含む、硬質ポリウレタンフォームである。
【0018】
ポリウレタン形成反応混合物は、ポリオールの混合物を含有し、そのうちの1つはトリイソプロパノールアミン(TIPA)である。TIPAは、ポリオール混合物の4~33重量%を構成する。TIPAの量は、ポリオールのみの重量に基づいており、ポリウレタン形成反応混合物中に存在する可能性のある他の成分の重量には基づいていない。好ましい下限量は、少なくとも5重量%又は6重量%である。好ましい上限量は、30重量%以下、25重量%以下、22重量%以下、又は20重量%以下である。
【0019】
TIPAは、95~100重量%のTIPAを含有する純粋な又は実質的に純粋な材料の形態で提供され得る。98~99.5%のTIPAを含有する商用グレードが好適である。このような高度に濃縮されたグレードのTIPAは室温で固体であり、ポリオールブレンドの他の成分と組み合わせることが望ましい場合には溶融させてもよい。所望に応じて、好適な溶媒中のTIPAの混合物又は溶液を使用してもよい。そのような混合物又は溶液は、例えば、80~94重量%のTIPAと、それに対応して6~20重量%の別の材料、例えば、水、TIPAとは異なるポリオール、又はイソシアネート反応性ではない溶媒とを含有し得る。そのような混合物又は溶液、特に80~94%のTIPA及び残部の水を含有するものは粘度が低いので、エチレンジアミン等の脂肪族ジアミンに基づくポリオールとは異なり、粘度を過度に増加させることなく反応混合物に組み込むことができる。このような混合物又は溶液中に存在する任意のポリオールは、TIPAの重量ではなく、ポリオールの混合物の重量に対してカウントされる。TIPA自体は、分子量約191.3g/mol及びヒドロキシル官能価3を有する。
【0020】
ポリオールの混合物は、6~8個のヒドロキシル基及び150~300、好ましくは175~275、又は175~225のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含有する。そのようなポリオール又は複数のポリオールは、ポリオールの混合物の少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、かつその95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、又は70重量%以下を構成し得る。そのようなポリオールの例としては、ソルビトール及び/若しくはスクロースのアルコキシレート、又は5個以上のヒドロキシル基を有する他の開始剤(starter)が挙げられる。開始剤は、好ましくは、1,2-プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又は1,2-プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの両方でアルコキシル化されるが、他の重合性オキシランを使用して開始剤をアルコキシル化することもできる。
【0021】
ポリオールの混合物は、125~225の平均ヒドロキシル当量及び1分子あたり3.5~6個のヒドロキシル基の平均ヒドロキシル官能価を有する。平均ヒドロキシル当量は、少なくとも140(ヒドロキシル価400.7mgKOH/g)、少なくとも150(ヒドロキシル価374)、又は少なくとも160(ヒドロキシル価350.6)であってよく、例えば、最大210(ヒドロキシル価267.1)又は最大200(ヒドロキシル価280.5)であってよい。ポリオールの混合物のヒドロキシル当量は、周知の滴定法を使用してブレンドのヒドロキシル価を測定することによって決定することもでき、又は個々のポリオールの当量及び/若しくはヒドロキシル価、並びにそれらの量から計算することもできる。
【0022】
ポリオールの混合物は、トルエンジアミン開始ポリオール等のアルコキシル化芳香族アミンポリオールを12重量パーセント以下含有する。ポリオールの混合物は、その8重量%以下、その4重量%以下、又は1重量%以下のアルコキシル化芳香族アミンポリオールを含有してもよく、全く含有していなくてもよい。
【0023】
ポリオールの混合物は、いくつかの実施形態では、5重量%以下、好ましくは2重量%以下の、TIPA自体以外の任意のアルコキシル化脂肪族アミンポリオール(例えば、トリエタノールアミン又はエチレンジアミン開始ポリオール等)を含有する。ポリオールの混合物は、他のアルコキシル化脂肪族アミンポリオールを全く含有していなくてもよい。
【0024】
ポリオールの混合物は、いくつかの実施形態では、5重量%以下、好ましくは2重量%以下の、TIPA自体以外の任意のアルコキシル化アミンポリオール(アミンが芳香族アミンであろうと脂肪族アミンであろうと)を含有する。ポリオールの混合物は、1重量%以下、0.5重量%以下、又は0.25重量%以下の別のアルコキシル化アミンを含有していてもよく、他のアルコキシル化アミンを含有していなくてもよい。
【0025】
ポリオールの混合物中の他のポリオール又は複数のポリオール(TIPAを除く)は、31~3000又はそれ以上のヒドロキシル当量、及び2~12又はそれ以上のヒドロキシル官能価を有し得るが、ただし、ポリオールの混合物(TIPAを含む)は、前述のような平均ヒドロキシル当量及び官能価を有する。
【0026】
ポリオールの混合物は、いくつかの実施形態では、10重量%以下、5重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下の、TIPA以外の70未満のヒドロキシル当量を有するポリオールを含有する。ポリオールの混合物は、そのようなポリオールがなくてもよい。
【0027】
ポリオールの混合物は、いくつかの実施形態では、2~3個のヒドロキシル基及び300~750のヒドロキシル当量を有し、窒素原子を含有しない少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含有する。そのようなポリオール又は複数のポリオールは、例えば、ポリオールの混合物の少なくとも1重量%、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%、かつその50重量%以下、35重量%以下、又は20重量%以下を構成し得る。そのようなポリオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の二官能性及び三官能性開始剤のアルコキシレートが挙げられる。開始剤は、好ましくは、1,2-プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又は1,2-プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの両方でアルコキシル化されるが、他の重合性オキシランを使用することもできる。
【0028】
ポリオールの混合物は、上記のものとは異なる、窒素原子を含有しない1つ以上のポリエーテルポリオールを更に含有してもよいが、ただし、ポリオールの混合物は、上記のような平均官能価及びヒドロキシル当量を有する。更に、ポリオールの混合物は、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール等の他のポリオールを含有していてもよいが、ただし、同様に、ポリオールの混合物は、上記のような平均官能価及びヒドロキシル当量を有する。これらの他のポリオールのいずれか及び全てが存在していなくてもよい。
【0029】
芳香族ポリイソシアネート化合物(複数可)は、1分子当たり2つ以上の芳香族結合イソシアネート基を含有する化合物である。好ましいイソシアネートは、メタンジフェニルジイソシアネート(MDI)であり、更により好ましいイソシアネート化合物は、ポリマーMDIである。「ポリマーMDI」とは、MDIと、少なくとも3個のフェニルイソシアネート基を含有するポリメチレンポリフェニルイソシアネートとの混合物を意味する。MDIは、2,4’-若しくは4,4’-異性体のいずれか、又は両方の混合物であってよい。MDI又はポリマーMDIは、カルボジイミド、ウレトンイミン、ウレタン、又はビウレット結合で修飾されていてもよい。
【0030】
芳香族ポリイソシアネート化合物は、好ましくは、125~168のイソシアネート当量及び2.2~4.0の平均イソシアネート官能価を有する。有用なポリイソシアネートの例は、約130~168、特に130~150のイソシアネート当量、及び2.2~約3.5、特に2.5~3.0のイソシアネート官能価を有するポリマーMDIである。
【0031】
95~150のイソシアネート指数を提供するために、ポリイソシアネートがポリウレタン形成反応混合物に提供される。いくつかの実施形態では、イソシアネート指数は、少なくとも100又は少なくとも102、かつ最大125、最大115、又は最大110である。イソシアネート指数は、ポリウレタン形成反応混合物に提供されるイソシアネート反応性基の当量に対するイソシアネート基の当量の比の100倍である。
【0032】
ポリウレタン形成反応混合物は、少なくとも1つのウレタン触媒、すなわち、イソシアネート基とヒドロキシル基との反応のための及び/又は水とイソシアネート基との反応のための触媒を含む。ウレタン触媒の例としては、例えば、第三級アミン化合物、環状アミジン、及び種々の金属カルボキシレート化合物、特にスズカルボキシレート及び四価スズ化合物が挙げられる。アミン触媒は、好ましくは0個、又は多くても1個のヒドロキシル基しか有しない。
【0033】
触媒の選択及び触媒の量は、所望の硬化特性を有するポリウレタン形成反応混合物を提供するように選択してよい。触媒(複数可)の量及び種類は、反応混合物が2~8秒、好ましくは3~6秒のクリームタイム、30~60秒、好ましくは35~50秒のゲルタイム、50~90秒、好ましくは60~80秒のタックフリータイムを示すように選択してよく、これらは全て以下の実施例に記載のように測定される。
【0034】
代表的なアミン触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルピペラジン、1,4-ジアゾビシクロ-2,2,2-オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン、4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-セチルN,N-ジメチルアミン、N-ココ-モルホリン、N,N-ジメチルアミノメチルN-メチルエタノールアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビス(アミノエチル)エーテル、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)N-イソプロパノールアミン、(N,N-ジメチル)アミノ-エトキシエタノール、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、1,8-ジアザビシクロ-5,4,0-ウンデセン-7、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N-ジモルホリノジエチルエーテル、N-メチルイミダゾール、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミノ-2-プロパノール、テトラメチルアミノビス(プロピルアミン)、(ジメチル(アミノエトキシエチル))((ジメチルアミン)エチル)エーテル、トリスジメチルアミノプロピル)アミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ビス(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)アミン、1,2-エチレンピペリジン、及びメチル-ヒドロキシエチルピペラジンが挙げられる。
【0035】
有用なスズ触媒の例としては、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメルカプチド、ジアルキルスズジアルキルメルカプト酸、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズジメルカプチド、ジメチルスズジイソオクチルメルカプトアセテート等が挙げられる。
【0036】
イソシアネート三量化触媒の例としては、アルカリ金属フェノラート、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属カルボキシレート、四級アンモニウム塩、様々なトリアジン化合物等のような強塩基が挙げられる。そのような三量化触媒の例としては、p-ノニルフェノール酸ナトリウム、p-オクチルフェノール酸ナトリウム、p-tert-ブチルフェノール酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、前述のいずれかのカリウム類似体、トリメチル-2-ヒドロキシプロピルアンモニウムカルボキシレート塩、1,3,5-トリス[(3-ジメチルアミノ)プロピル]ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。いくつかのイソシアネート三量化触媒は、ウレタン触媒としても機能し、両方の役割を果たすことができる。
【0037】
触媒は、典型的には、少量で使用される。例えば、使用される触媒の総量は、ポリオールの混合物100重量部あたり、0.0015~3.9、好ましくは0.01~2重量部であってよい。金属触媒は、一般にポリオールの混合物の0.5重量部未満の量で使用される。
【0038】
ポリウレタン形成反応混合物は、発泡剤を含有する。好ましい発泡剤は水であるが、他の化学的(発熱性)及び/又は物理的(吸熱性)発泡剤を水の代わりに又は水に加えて使用してもよい。中でも、有用な物理的発泡剤は、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン及びヒドロフルオロクロロカーボン、並びにジエチルエーテルを含む、10~50℃の沸点を有する化合物である。地球温暖化係数が低い又はゼロであり、かつオゾン層破壊係数が低い又はゼロであるものが好ましい。水は、単独発泡剤として、ポリオールの混合物100重量部あたり、1~5重量部、好ましくは2~4重量部の量で使用してよい。好ましい物理的発泡剤は、C-C炭化水素又はそのような炭化水素の混合物、例えば、シクロペンタン又は50重量%以上のシクロペンタンを含有するC-C炭化水素の混合物である。特に好ましい発泡剤は、水とC-C炭化水素又はそのような炭化水素の混合物との組み合わせ、特に水とシクロペンタンとの組み合わせである。
【0039】
発泡剤は、ポリウレタンフォームが42kg/m以下、好ましくは40kg/m以下又は36kg/m以下の密度を有するような量で使用される。特定の実施形態では、ポリウレタンフォームの密度は、少なくとも20kg/m又は少なくとも24kg/mであってよい。
【0040】
フォーム安定化界面活性剤が、ポリウレタン形成反応混合物中に存在する。ポリウレタン発泡体の作製に一般的に使用されているような多種多様なシリコーン界面活性剤を、本発明のポリマーポリオール又は分散物を用いた発泡体の作製に使用することができる。そのようなシリコーン界面活性剤の例は、Tegostab(商標)(Evonkic)、Niax(商標)Momentive Performance Products)、Vorasurf(商標)(Dow Chemical)、及びDabco(商標)(Evonik)の商品名で市販されている。様々な他の非シリコーンアニオン性、カチオン性、双性イオン性、及び非イオン性界面活性剤もまた有用である。有用な非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドと、1,2-プロピレンオキシド及び1,2-ブチレンオキシド等の高級アルキレンオキシドとのブロックコポリマーが挙げられる。そのようなブロックコポリマーは、例えば、40~90重量%のオキシエチレン単位を含有し、1500~12,000の分子量を有し得る。そのようなブロックコポリマーは、1つ以上のヒドロキシル基を有し得る。好適なブロックコポリマーの例としては、The Dow Chemical CompanyよりTergitol(商標)の商品名で販売されているもの、及びBASFよりPluronics(商標)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0041】
界面活性剤は、使用される場合、典型的には、ポリオールの混合物100重量部当たり0.25~2.5重量部等の量で存在する。
【0042】
反応混合物は、様々な任意の成分を含み得る。そのような任意成分の例としては、燃焼改良剤、例えば、メラミン、トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート等のハロゲンを有する又は有さないリン化合物、ハロゲンを有する又は有さないアルミニウム含有化合物、ハロゲンを有する又は有さない窒素系化合物、塩素化化合物、臭素化化合物、膨張性グラファイト、ホウ素誘導体、及びポリ尿素;粒子状充填剤及び/又は繊維;着色剤;酸化防止剤;抗菌剤及び/又は他の殺生物剤;防腐剤等が挙げられる。
【0043】
フォームは、種々の成分を合わせて反応混合物を形成し、ポリオール(複数可)及びイソシアネート(複数可)が反応し、発泡剤が反応(化学的である場合)又は揮発(物理的である場合)してガスを発生させ、反応混合物が膨張及び硬化するような条件下で反応混合物を硬化させることによって調製される。ポリイソシアネートを除く全ての成分(又はそれらの任意のサブコンビネーション)は、所望であれば、予めブレンドして製剤化されたポリオール組成物にしておいてもよく、次いで、フォームを調製する時にこれをポリイソシアネートと混合する。
【0044】
本発明の利点は、ポリオールの混合物、並びにポリオールの混合物、発泡剤、触媒、及び界面活性剤(複数可)を含有する完全に製剤化されたポリオール組成物が、典型的には、(残りの成分にブレンドされた後の)TIPA自体の低粘度に起因して若干低い粘度を有することである。このような完全に製剤化されたポリオール組成物は、例えば、ASTM D4878-15に従って測定したとき、25℃で300~1500、特に500~800MPa・sの動的粘度を示し得る。
【0045】
所望に応じて成分を予熱してもよいが、これは通常必要ではなく、成分をほぼ室温(~22℃)で合わせて反応を行うことができる。硬化を促進するために組成物に熱を適用することは通常必要ではないが、所望であればこれも行ってよい。
【0046】
本発明は、いわゆる「現場注入(pour-in-place)」用途において特に有用であり、この用途では、反応混合物をキャビティに分注し、キャビティ内で発泡させてキャビティを充填し、アセンブリに構造的及び/又は断熱属性を提供する。「現場注入」という名称は、フォームを一度に作製し、後に別の製造工程で所定の位置に組み立てるのではなく、アセンブリにおけるフォームが必要な場所でフォームを作製することを指す。現場注入プロセスは、断熱フォームを含む壁を有する冷蔵庫、冷凍庫、冷却器、及び同様の製品等の電化製品を製造するために一般に使用される。
【0047】
冷蔵庫、冷凍庫、及び冷却器等の電化製品の壁は、まず外側シェルと内側ライナーとの間にキャビティが形成されるように外側シェル及び内側ライナーを合わせて組み立てることによって、本発明に従って、最も便利に断熱される。キャビティは、断熱される空間、並びに生成されるフォームの寸法及び形状を画定する。典型的には、シェル及びライナーは、フォーム製剤の導入前に、溶接、溶融結合、又はいくつかの接着剤(又はこれらのいくつかの組み合わせ)の使用等の何らかの方法で互いに結合される。シェル及びライナーは、治具又は他の機械的装置を使用して正確な相対位置に支持又は保持され得る。キャビティへの1つ以上の入口が提供され、それを通してフォーム製剤を導入することができる。通常、キャビティがフォーム製剤で充填され、フォーム製剤が膨張する際にキャビティ内の空気を逃がすために、1つ以上の出口が設けられる。
【0048】
シェル及びライナーの構成材料は、それらがフォーム製剤の硬化及び膨張反応の条件に耐えることができる限り、特に重要ではない。ほとんどの場合、構成材料は、最終製品に望まれる特定の性能属性に関して選択される。鋼等の金属は、シェルとして、特に冷凍庫又は冷蔵庫等のより大型の電化製品において一般に使用される。ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン-アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、又は耐衝撃性ポリスチレン等のプラスチックは、より小さな電化製品(冷却器等)又は重量が小さいことが重要であるもののシェルを作製するためにより多く使用される。ライナーは金属であってもよいが、より典型的には上述したようなプラスチックである。
【0049】
次いで、反応混合物をキャビティに導入する。反応混合物の様々な成分を合わせ、混合物をキャビティに迅速に導入し、そこで反応混合物が反応し、膨張する。ポリオール(複数可)を水及び発泡剤(多くの場合、更に触媒及び/又は界面活性剤)と合わせて予め混合して、製剤化されたポリオールを生成することが一般的である。製剤化されたポリオールは、フォームを調製する時まで保存することができ、その時にポリイソシアネートと混合し、キャビティに導入する。成分をキャビティに導入する前に加熱することは通常必要とされず、また硬化を促進するためにキャビティ内の反応混合物を加熱することも通常必要とされないが、所望に応じてこれらの工程のいずれか又は両方を行ってもよい。シェル及びライナーは、場合によってはヒートシンクとして作用し、反応混合物から熱を除去することができる。必要であれば、このヒートシンク効果を低減するために、又は硬化を促進するために、シェル及び/又はライナーを若干(例えば、最大50℃、より典型的には35~40℃)加熱してもよい。
【0050】
反応混合物が膨張した後に、得られたフォームが、フォームが望まれるキャビティの部分を充填するように、十分な反応混合物を導入する。最も典型的には、本質的にキャビティ全体がフォームで充填される。キャビティを充填するために最小限必要とされるよりも多くの反応混合物を導入することによって、キャビティをわずかに「過剰充填(overpack)」し、それによってフォーム密度をわずかに増加させることが一般に好ましい。過剰充填は、特に離型後の期間において、フォームのより良好な寸法安定性等の利点を提供する。一般に、キャビティは、4~25重量%過剰充填される。ほとんどの電化製品用途のための最終フォーム密度は、好ましくは24~42kg/m、特に24~36kg/mの範囲である。
【0051】
寸法的に安定になるのに十分にフォーム製剤が膨張及び硬化した後、シェル及びライナーをそれらの正確な相対位置に維持するために使用される治具又は他の支持体から得られたアセンブリを取り外すことによって「離型」することができる。離型時間が短ければ、製造設備の所与の部分で単位時間当たりより多くの部品を製造することが可能になるので、短い離型時間は、電化製品産業にとって重要である。本発明の重要な利点は、離型時間が短いことである。離型時間は、以下の実施例に記載されるように評価することができる。離型時間は、最終製品の形状及び複雑さに応じて、例えば3.5~20分間であってよい。冷蔵庫又は冷凍庫のキャビネット等の家庭用電化製品キャビネットの場合、例えば、好ましい離型時間は、2.5~6分間又は3~5分間である。商業用冷凍ユニット用の壁等の非常に大きな多層断熱アセンブリを製造する場合、好ましい離型時間は6~20分間又は8~12分間であり得る。
【0052】
上述したように、フローはフォーム製剤の別の重要な属性であり、これは以下の実施例に記載の通り決定することができる。本発明では、フローインデックス値は、典型的には、1.10~1.5、特に1.15~1.5である。
【0053】
ポリウレタンフォームは、有利なことに、低い熱伝導率又はk係数を示す。フォームのk係数は、いくつかの変数に依存することがあり、そのうち密度が重要な変数である。多くの用途について、28~42kg/mの密度を有する硬質ポリウレタンフォームは、物性、寸法安定性、及びコストの良好な組み合わせを示す。その範囲内の密度を有する本発明によるフォームは、好ましくは、EN 12667に従って測定したとき、23mW/m-°K以下、好ましくは22mW/m-°K以下の10℃k係数を示す。より高密度のフォームは、若干高いk係数を示し得る。
【0054】
上記の電化製品及び断熱フォームに加えて、本発明はまた、車両騒音抑制フォーム、積層ボードの1つ以上の層、パイプ断熱材、及び他のフォーム製品を生産するのにも有用である。本発明は、フォームにおいて迅速な硬化が望まれる場合及び/又は良好な断熱特性が望まれる場合に特に興味深い。
【0055】
所望であれば、本発明のプロセスは、例えば国際公開第07/058793号に記載されている方法と併せて実施してもよく、この場合、減圧下にある密閉型のキャビティ内に反応混合物を注入する。
【0056】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。全ての部及びパーセンテージは、別途指示がない限り重量によるものである。
【0057】
ポリオールAは、プロポキシル化ソルビトールである。ポリオールAは、ヒドロキシル官能価6及びヒドロキシル価477mgKOH/g(当量117)を有する。
【0058】
ポリオールBは、プロポキシル化グリセリンである。ポリオールBは、ヒドロキシル官能価3及びヒドロキシル価156mgKOH/g(当量360)を有する。
【0059】
ポリオールCは、プロポキシル化エチレンジアミンである。ポリオールCは、ヒドロキシル官能価4及びヒドロキシル価500mgKOH/g(当量112)を有する。
【0060】
ポリオールDは、グリセリンとスクロースとの混合物のプロポキシレートである。ポリオールDは、平均ヒドロキシル官能価4.7及びヒドロキシル価360mgKOH/g(当量156)を有する。
【0061】
ポリオールEは、プロポキシル化エチレンジアミンである。ポリオールEは、ヒドロキシル官能価4及びヒドロキシル価640mgKOH/g(当量88)を有する。
【0062】
ポリオールFは、プロポキシル化o-トルエンジアミンである。ポリオールFは、ヒドロキシル官能価4及びヒドロキシル価440mgKOH/g(当量128)を有する。
【0063】
ポリオールGは、プロポキシル化プロピレングリコールである。ポリオールGは、ヒドロキシル官能価2及びヒドロキシル価110mgKOH/g(当量510)を有する。
【0064】
TIPAは、トリイソプロパノールアミンであり、90%水溶液として提供される。以下の表において、水の指定の重量は、このTIPAと共に導入された水の重量を含む。TIPAの重量は、純粋な材料の重量として示される。
【0065】
触媒Aは、N,N,N’,N’,N’-ペンタメチルジエチレントリアミンウレタン触媒である。
【0066】
触媒Bは、酢酸カリウムイソシアネート三量化触媒である。
【0067】
触媒Cは、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールウレタン及びイソシアネート三量化触媒である。
【0068】
触媒Dは、N,N-ベンジルジメチルアミンウレタン触媒である。
【0069】
触媒Eは、1,3,5-トリス[(3-ジメチルアミノ)プロピル]ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンウレタン及びイソシアネート三量化触媒である。
【0070】
触媒Fは、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンウレタン触媒である。
【0071】
ポリマーMDIは、イソシアネート官能価2.7及びイソシアネート含量31重量%を有する。
【0072】
実施例1及び2並びに比較サンプルA
以下の表1に示す成分を使用して、硬質ポリウレタンフォームを作製する。ポリマーMDIを除く全ての成分を予め混合して、製剤化されたポリオールを形成する。製剤化されたポリオールの粘度を、ASTM D4878-15に従って25℃で測定する。製剤化されたポリオール及びポリマーMDIを別々に22~24℃にし、L型ヘッドを備えるAfros Canon A40高圧注入機を使用して、150バールの混合圧力及び200g/sの出力で加工する。得られたフォーム製剤を、35℃で加熱され、最小充填密度及び様々な硬化時間後の離型後膨張を評価するために離型剤でコーティングされた、垂直に配向された20リットル(200cm×20cm×5cm)の「ブレット」型に分注する。フォームを、フリーライズ密度の測定のためにポリエチレンフィルムで裏打ちされた30cm×20cm×20cmの箱に分注する。
【0073】
最小充填密度は、様々な量のフォーム製剤をブレット型に注入して、型を充填するフォームを生成するのに必要なフォーム製剤の最小量を求めることによって求められる。最小充填密度は、得られるフォームの密度である。フローインデックスは、フリーライズ密度に対する最小充填密度の比として計算される。
【0074】
70cm×40cm×10cmの「ジャンボブレット」型でフォームを生成することによって、様々な離型時間での離型後膨張を測定する。所定の硬化時間後にフォームを型から取り出し、その厚さを測定する。更に24時間後、フォームの厚さを再測定する。24時間後の厚さと初期厚さとの差が、フォームの離型後膨張の指標である。
【0075】
Lasercomp Fox 200熱流計を使用して、EN 12667に従ってブレット成形フォームから採取した20cm×20cm×2.5cmのコア試料で、熱伝導率を測定する。平均プレート温度は10℃である。
【0076】
高圧機械においてポリマーMDIと製剤化されたポリオールとを合わせ、得られた反応混合物をプラスチック袋に分注することによって、クリームタイム、ゲルタイム、及びタックフリータイムを測定する。クリームタイムは、注入後、可視反応が観察される時間である。スパチュラを硬化反応混合物の表面に押し付け、除去して、ゲルタイム(混合後、ポリマーの糸がスパチュラに付着する時間)及びタックフリータイム(混合後、ポリマーがスパチュラにそれ以上付着しなくなる時間)を評価する。
【0077】
様々な試験結果は、表2に示す通りである。
【0078】
【表1】

比較例。
【0079】
【表2】

比較例。
【0080】
実施例1及び2は、別のアミン開始ポリオール(ポリオールC)の全て又は非アミン開始ポリオール(ポリオールB)の一部をTIPAで置換する効果を示す。TIPAの予測される触媒活性を補償するために、いずれの場合もウレタン触媒(触媒A)の量を少し減少させる。表2のデータが示すように、TIPAで他のポリオールの一部を置換した場合、ウレタン触媒を減少させても、クリームタイム、ゲルタイム、及びタックフリータイムはほとんど変化しない。熱伝導率はわずかに改善される。
【0081】
TIPAを含有する製剤では、離型後膨張の大幅な減少がみられる。6分間硬化させた後の対照よりも、5分間硬化させた後の本発明のフォームの膨張の方が少ない。6分間硬化させた後の対照よりも、4分間硬化させた後の実施例1の離型後膨張の方が少ない。これらの結果は、TIPAをフォーム製剤に組み込むことによって、離型時間を6分から5分又はそれ以下に短縮することができることを示す。これは、他の望ましい特性を失うことなく、約15%以上の設備利用率が増加することを意味する。
【0082】
実施例3及び比較サンプルB~E
前の実施例と同様の一般的な様式で、ポリウレタンフォームを作製する。成分は、表3に示す通りである。得られたフォームを、クリーム、ゲル、及びタックフリータイム、最小フォーム密度、及び種々の硬化時間後の離型後膨張について評価する。結果は、表4に示す通りである。
【0083】
【表3】

比較例。
【0084】
【表4】

比較例。
【0085】
2.5部のポリオールCをTIPAで置換しても、4分間及び5分間の硬化時間の離型後膨張は減少しない。対照的に、実施例3のようにTIPAの量を5部に増加させると、評価した全ての離型時間で離型後膨張が非常に大きく減少する。既に述べた通り、5分間硬化した後の実施例3の離型後膨張は、6分間硬化した後の対照(及びわずか2.5部のTIPAしか含まないサンプル)よりも少ない。設備利用率を15%以上増加させることが可能である。
【0086】
比較サンプルD及びEは、ポリオールCをそれぞれトリエタノールアミン及びグリセリンで置換した効果を示す。これらの材料のいずれも、離型後膨張においていかなる利点も提供しない。
【0087】
実施例4及び5並びに比較サンプルF
硬質ポリウレタンフォームを作製し、先の実施例に記載の通り評価する。フォーム製剤の成分は、表5に示す通りである。試験結果は、表6に示す通りである。
【0088】
【表5】

比較例。
【0089】
【表6】
【0090】
このフォーム製剤へのTIPAの添加は、クリームタイム、ゲルタイム、タックフリータイム、フリーライズ密度、最小充填密度、フローインデックス、又は熱伝導率に著しい影響を及ぼさない。しかしながら、TIPAを使用して作製されたフォームは、より短い硬化時間で実質的に少ない離型後膨張を示す。
【0091】
TIPAの粘度が低いことにより、高粘度ソルビトール開始ポリオールの量を増加させることが可能になる。これは、系の平均官能価を増加させることができ、系のより大きな架橋密度に起因して、より短い離型時間及びより少ない離型後膨張に更に寄与する。
【0092】
実施例6及び7並びに比較サンプルG
硬質ポリウレタンフォームを作製し、先の実施例に記載の通り評価する。フォーム製剤の成分は、表7に示す通りである。試験結果は、表8に示す通りである。
【0093】
【表7】

比較例
【0094】
【表8】

比較例
【0095】
表中のデータは、o-トルエンジアミン開始ポリオールの一部をTIPAで置換する利点を示す。比較サンプルGは、優れた熱伝導率及びフローインデックスを特徴とする非常に高品質の断熱フォームの代表例であり、短い離型時間のために既に製剤化されている。TIPAは、重量対重量基準でo-トルエンジアミン開始ポリオールのドロップイン代替物である。o-トルエンジアミン開始ポリオールをTIPAで置換しても、クリームタイム、ゲルタイム、及びタックフリータイム、フリーライズ及び最小充填密度、フローインデックス又は熱伝導率に著しい影響を及ぼさない。離型後膨張は、全ての硬化時間で減少するが、この効果は、比較サンプルGの既に優れた性能により、先の実施例よりもこれらの製剤においてそれほど顕著ではない。
【国際調査報告】