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特表2023-541376(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/06 20060101AFI20230925BHJP
   C07C 43/13 20060101ALI20230925BHJP
   C07C 43/04 20060101ALI20230925BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20230925BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230925BHJP
【FI】
C07C41/06
C07C43/13 B
C07C43/04 B
B01J29/70 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513595
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2021048830
(87)【国際公開番号】W WO2022051469
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,563
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】キロス、ベアタ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】バーン、アディティア
(72)【発明者】
【氏名】ウェッツェル、エイミー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェン-シェン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC40B
4G169BC42B
4G169BC44B
4G169CB71
4G169DA06
4G169ZA19A
4G169ZA19B
4H006AA02
4H006AC43
4H006BA08
4H006BA30
4H006BA71
4H006BA81
4H006BC10
4H006GN21
4H006GP01
4H039CA61
4H039CF10
(57)【要約】
実施形態は、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法を対象とする。本方法は、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物を提供することと、液相プロセスにおいて、混和物の存在下で、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させて、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成することと、を含む。混和物の存在下でのオレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとの反応は、80℃~200℃の温度においてである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法であって、
結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物を提供することであって、前記金属が、3族金属、ランタニド元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、提供することと、
液相プロセスにおいて、前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と前記金属の前記酸化物との前記混和物の存在下で、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させて、前記(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、0.5~1.2ナノメートルの細孔径を有する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、アルミノシリケートゼオライト触媒である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、BEA型ゼオライト構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、ブレンステッド酸部位を提供するプロトン(H)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、Fe、Ga、及びBからなる群から選択される少なくとも1つの金属元素を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、5~150のケイ素対金属原子比を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化物の前記金属が、イットリウム、ランタン、ネオジム、ガドリニウム、ホルミウム、イッテルビウムの元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化物の前記金属が、Y、La、Nd、Gd、Ho、Yb、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記オレフィンが、6~30個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アルファ-オレフィンが、10~20個の炭素原子を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(ポリ)アルキレングリコールが、2~8個の炭素原子を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記(ポリ)アルキレングリコールが、モノ-エチレングリコールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混和物の存在下での前記オレフィンと前記(ポリ)アルキレングリコールとの反応が、80℃~200℃の温度においてである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記混和物の存在下での前記オレフィンと前記(ポリ)アルキレングリコールとの反応が、100℃~150℃の温度においてである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルの生成を対象とする。
【背景技術】
【0002】
結晶性メタロシリケートシーブ触媒、特にベータゼオライトが、オレフィン及び(ポリ)アルキレングリコールから(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するために使用されてきた。100℃~200℃の典型的な反応温度で、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒はそれぞれ、約60%~95%のモノ-エーテル選択率及び約5%~40%のジ-エーテル選択率で、約10%~50%のオレフィン変換パーセンテージ率を有する。オレフィン変換率が増加するにつれて、モノ-エーテル及びジ-エーテル選択率は、通常、それぞれ減少及び増加する。モノ-エーテルが所望の生成物であり、これを下流のエトキシル化プロセスで使用して、所望のアルコールエトキシレート界面活性剤生成物を生成する。対照的に、ジ-エーテルの存在は、界面活性剤生成物の特性に影響を与える可能性があるため望ましくない。モノ-エーテルが所望の生成物であるため、高いオレフィン変換率で増加したモノ-エーテル選択率を維持することが所望される。
【0003】
世界的なアルコールエトキシレート界面活性剤市場は、現在、一級アルコールエトキシレート(primary alcohol ethoxylate、PAE)によって支配されている。二級アルコールエトキシレート(secondary alcohol ethoxylate、SAE))は、優れた性能(例えば、湿潤性、発泡性、取り扱い性など)を提供するが、PAEと比較して価格がより高いため、市場シェアは小さい。それらのより高いコストの1つの理由は、SAEが、限定された入手可能性、かつそれに関連する高いコストを伴う出発材料(例えば、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル中間体)とのいくつかのコスト集約的な反応を必要とすることである。
【0004】
SAE生成に使用される(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル出発材料の供給源が限定されており、コストが高いことを考慮すると、当該技術分野において、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための代替的なコスト効果的アプローチが必要とされている。したがって、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルの生成における触媒安定性とともに、高い選択率及び良好なオレフィン変換率(>10%)を有する触媒プロセスの開発が、当該技術分野において所望され、必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、コスト効果的な方法で二級アルコールエトキシレート(SAE)を生成するのに使用するための(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルの生成を提供する。本開示の方法は、高選択率及び高収率の両方を有する(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成する方法を提供することによって、従来技術の上述の問題に対処するのに役立つ。具体的には、本開示は、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルの高い選択率及び高いオレフィン変換率の両方をともに提供する、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物を提供する。加えて、金属の酸化物の存在に起因する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒の安定性の改善は、本明細書で議論されるように、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒の選択性及び活性を維持するのに役立つ。
【0006】
本開示は、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物を提供することであって、金属が、3族金属、ランタニド元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、提供することと、液相プロセスにおいて、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物の存在下で、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させて、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成することと、を含む、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法を提供する。
【0007】
様々な実施形態について、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、0.5~1.2ナノメートルの細孔径を有する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒である。追加の実施形態では、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、アルミノシリケートゼオライト触媒である。好ましくは、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、BEA型ゼオライト構造である。追加の実施形態では、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒上にブレンステッド酸部位を提供するプロトン(H)を含む。様々な実施形態について、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒はまた、Fe、Ga、及びBからなる群から選択される少なくとも1つの金属元素も含有し得る。様々な実施形態について、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、5~150のケイ素対金属原子比を有する。
【0008】
様々な実施形態について、酸化物の金属は、イットリウム、ランタン、ネオジム、ガドリニウム、ホルミウム、イッテルビウムの元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。具体例では、酸化物の金属は、Y、La、Nd、Gd、Ho、Yb、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
様々な実施形態について、オレフィンは、6~30個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンである。いくつかの実施形態では、アルファ-オレフィンは、10~20個の炭素原子を有する。様々な実施形態について、(ポリ)アルキレングリコールは、2~8個の炭素原子を有する。1つの特定の実施形態では、(ポリ)アルキレングリコールは、モノ-エチレングリコールである。
【0010】
本開示の方法は、バッチ反応器、連続反応器、又は半連続反応器で実行され得る。本開示の方法はまた、液相中で行われ、ここで、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、固定床、流動床、又は懸濁液のいずれかにある。混和物の存在下でのオレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとの反応は、80℃~200℃の温度においてである。混和物の存在下でのオレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとの反応は、100℃~150℃の温度においてである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、コスト効果的な方法で二級アルコールエトキシレート(SAE)を生成するのに使用するための(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルの生成を提供する。本開示の方法は、高選択率及び高収率の両方を有する(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成する液相方法を提供することによって、従来技術の上述の問題に対処するのに役立つ。具体的には、本開示は、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルの高い選択率及び高いオレフィン変換率の両方とともに、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとの間の高い反応速度をともに提供する、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物を提供する。加えて、金属の酸化物の存在に起因する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒の安定性の改善は、本明細書で議論されるように、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒の選択性及び活性を維持するのに役立つ。
【0012】
本明細書で提供されるように、本開示は、3族金属(例えば、酸化イットリウム(Y)又はランタニド系列(原子番号57~71)の少なくとも1つの酸化物の中から選択される酸化物を結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒(例えば、ゼオライトベータなどのモレキュラーシーブ触媒)に添加すると、長時間(例えば、100℃~150℃の反応温度で数時間の反応時間)にわたってモノ-エーテル生成中の触媒の安定性及び寿命が著しく増加することを見出した。本明細書で議論されるように、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物は、その後の下流反応に有害であり得る酸素化副生成物の生成を減少させることによって触媒寿命を向上させ、酸素化副生成物は、とりわけ、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、カルボン酸、及び他のアルコールを含む。
【0013】
本明細書で参照される化学元素(例えば、ランタニド系列(原子番号57~71)の3族金属及び元素)は、2018年12月1日付のIUPAC周期表からのものである。
【0014】
本開示は、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物を提供することであって、金属が、3族金属、ランタニド元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、提供することと、液相プロセスにおいて、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物の存在下で、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させて、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成することと、を含む、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法を提供する。
【0015】
本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、角共有SiO及びAlO 四面体から構成される微孔性結晶性シリケート材料である。隣接するSiO及びAlO 四面体は、酸素原子によって架橋され、ケージ及び細孔の三次元系に規則的に配置され、ここで、細孔径は非常に均一であり、これは、それらの「モレキュラーシーブ」能力を生じさせる。これを考慮すると、本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、好ましくは、0.5~1.2ナノメートルの細孔径を有する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒である。より好ましくは、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、0.5~0.8ナノメートルの細孔径を有する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒である。
【0016】
結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒のそのようなモレキュラーシーブの例としては、フレームワーク型ゼオライト及びゼオライト型モレキュラーシーブが挙げられ、それらの構造は、IUPAC Commission on Zeolite Nomenclatureの規則に従ってStructure Commission of the International Zeolite Associationによって分類される。好ましくは、本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、アルミノシリケートゼオライト触媒である。そのようなアルミノシリケートゼオライト触媒構造は、Atlas of Zeolite Framework Types,5th edition,Elsevier,London,England(2001)(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されるような3文字コードが割り当てられる。本開示のためのアルミノシリケートゼオライト触媒の非限定的な例としては、AFO、AEL、EUO、HEU、FER、MEL、MFI、MTW、MTT、TON、及びそれらの置換形態を含む中細孔径を有するもの;並びにEMT、BEA、LTL、FAU、MER、MOR、及びそれらの置換形態を含む大細孔径を有するものが挙げられる。本開示のためのアルミノシリケートゼオライト触媒の好ましいモレキュラーシーブ構造の非限定的な例としては、MFI、MEL、BEA(例えば、BEA型ゼオライト)、FAU(例えば、Y型ゼオライト)、MOR、MTW、及びLTLが挙げられる。好ましくは、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、BEA型ゼオライト構造である。
【0017】
本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒はまた、それらの結晶格子の外側にカチオンを含むように変換され得る。そのようなカチオンとしては、H、NH 、Li、Na、Rb、C、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、La3+、R、R(Rは、H又はアルキル基である)、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。好ましくは、本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒上にブレンステッド酸部位を提供するH(プロトン)を含む。ブレンステッド酸部位の数は、AlO 含有量に比例し、したがって、構造のケイ素対金属(例えば、アルミニウム)原子比に関連する。本開示のゼオライトの全体的なブレンステッド酸特性は、その部位強度及び密度の両方の組み合わせ、したがって、そのケイ素対金属原子比である。様々な実施形態について、本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、好ましくは5~1500のケイ素対金属原子比を有する。より好ましくは、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、5~300のケイ素対金属原子比を有する。最も好ましくは、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、5~150のケイ素対金属原子比を有する。
【0018】
様々な実施形態について、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒はまた、Al原子の代わりに結晶格子に導入された少なくとも1つの他の金属を含み得る。そのような金属元素の具体例としては、B、Ga、In、Ge、Sn、P、As、Sb、Sc、Y、La、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znが挙げられる。好ましくは、本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、Fe、Ga、及びBからなる群から選択される少なくとも1つの金属元素を含有し得る。上述の金属のいずれも、単独で又はそれらの2つ以上の組み合わせのいずれかで使用され得る。
【0019】
様々な実施形態について、本明細書で提供される結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、単独(例えば、ニート)で、又は結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒のうちの2つ以上の混和物として使用され得る。
【0020】
本明細書で提供される結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、当該技術分野で既知のように合成され得る。一般に、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、水熱合成プロセスによって合成され得る。結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒を生成する水熱合成プロセスは、シリカ源、金属源、及びテトラプロピルアンモニウム塩などの四級アンモニウム塩の組成物を、結晶が形成されるまで100℃~175℃の温度で加熱することを含む。次いで、結晶を濾過し、水で洗浄し、乾燥させる。次いで、乾燥した結晶は、350℃~600℃の温度で焼成される。例として、シリカ源は、他の源の中でも、ケイ酸ナトリウム、シリカゾル、シリカゲル、アルコキシシランから選択され得る。金属源は、当該技術分野で既知である様々な無機又は有機金属化合物から選択され得る。
【0021】
金属化合物の例は、金属塩、例えば、金属硫酸塩〔例えば、Al(SO〕、金属硝酸塩〔例えば、Fe(NO〕、金属酸化物のアルカリ金属塩〔例えば、NaAlO〕など;金属ハロゲン化物、例えば、金属塩化物〔例えば、TiCl〕、金属臭化物〔例えば、MgBr〕など;及び金属アルコキシド〔例えば、Ti(OC〕である。
【0022】
本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒はまた、Conshohocken,PAのZEOLYST INTERNATIONAL(商標)からのCP814E、CP814C、CP811C-300、CBV712、CBV720、CBV760、CBV2314、CBV10Aなどの商業的供給源から市販されている。
【0023】
上記のようにして得られた結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、必要に応じて、その結晶格子の外側にカチオンを含むように変換され得る。例えば、H含有結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒をHCl、NHCl、NHなどの水溶液中で撹拌して、メタロシリケートに含有されるカチオンをH又はNH に変換し、次いで得られた固体生成物を濾過に供し、水で洗浄し、乾燥させ、乾燥生成物を350℃~600℃の温度で焼成することによって調製され得る。H以外の目的のカチオンを含有する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、目的のカチオンの水溶液又は揮発性前駆体を使用し、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒を上記のようなイオン交換手順に供することによって調製され得る。そのような教示の例としては、Na、Ca、Mg交換などの溶液中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属を用いたイオン交換、並びにGa、Mo、Reなどの揮発性分子前駆体を使用する気相イオン交換が挙げられる。
【0024】
本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒は、粉末、顆粒、及び/又は所定の成形形状を含む様々な形態であり得る。
【0025】
本開示のための金属の酸化物は、原子番号57~71を有する元素を含む、3族金属及びランタニド系列金属の酸化物を含む。上述されるように、本明細書で提供される化学元素は、2018年12月1日付のIUPAC周期表からのものである。好ましい酸化物の金属は、イットリウム、ランタン、ネオジム、ガドリニウム、ホルミウム、イッテルビウムの元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましい金属の酸化物は、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ガドリニウム、酸化ホルミウム、酸化イッテルビウム、及びそれらの混合物である。特定の好ましい上で特定された金属の酸化物としては、Y、La、Nd、Gd、Ho、Yb、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化物の金属が挙げられる。好ましくは、本開示の金属の酸化物は、Yである。
【0026】
本開示のための金属の酸化物は、当該技術分野で既知である様々な技術を使用して調製され得る。本明細書で提供される本開示のための金属の酸化物はまた、Sigma-Aldrichなどの商業的供給源から市販されている。
【0027】
本開示の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒との混和物として使用される場合、本明細書で提供されるそのような金属の酸化物は、触媒変換プロセス、特にオレフィン及び(ポリ)アルキレングリコールを変換して、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するうえで利益を提供する。加えて、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物は、反応中の有害な副生成物の生成を驚くほど低減させるのに役立ち、そのような有害な副生成物は、酸素化副生成物を含み得る。そのような酸素化副生成物の例としては、アルカノール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、及びカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本開示による結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒とともに金属の酸化物を使用することはまた、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒の有効寿命を延ばすのに有効である。
【0029】
本開示の混和物は、5~95重量パーセント(重量%)の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と、95~5重量%の金属の酸化物とを含み、重量%は、混和物の総重量に基づく。好ましくは、混和物は、25~90重量%の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と、75~10重量%の金属の酸化物とを含み、重量%は、混和物の総重量に基づく。より好ましくは、混和物は、50~87.5重量%の結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と、50~12.5重量%の金属の酸化物とを含み、重量%は、混和物の総重量に基づく。様々な実施形態について、混和物は、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と、金属の酸化物とだけを含み、これら2つの成分の重量%は、合計で100重量%である。混和物は、室温(23℃)及び大気圧(101,325Pa)下で、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物とを混合することによって生成され得る。
【0030】
本開示の(ポリ)アルキレングリコールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、若しくはブチレンオキシドのホモポリマー、又はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/若しくはブチレンオキシドのコポリマーを含む。様々な実施形態について、本開示の(ポリ)アルキレングリコールは、2~8個の炭素原子を有する。本開示の(ポリ)アルキレングリコールの具体例としては、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-2,3-ジオール、2,2’-オシジ(エタン-1-オール)2,2’-osydi(ethan-1-ol)、及び2,2’-[エタン-1,2-ジイルビス(オキシ)]ジ(エタン-1-オール)が挙げられるが、これらに限定されない。他の(ポリ)アルキレングリコールも可能である(例えば、ヘキサン-1,6-ジオール)。好ましくは、(ポリ)アルキレングリコールは、モノ-エチレングリコールである。本開示の(ポリ)アルキレングリコールは、単独(例えば、ニート)で、又は(ポリ)アルキレングリコールのうちの2つ以上の混和物として使用され得る。
【0031】
本開示のオレフィンは、6~30個の炭素原子を有するアルケンを含む。好ましくは、本開示のオレフィンは、直鎖(非分岐状)又は分岐状のいずれかであり得る非環状構造を有するアルファ-オレフィンである。好ましくは、本開示のオレフィンは、単一の炭素-炭素二重結合(例えば、モノエン)を有する。好ましくは、本開示のオレフィンは、10~20個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンである。より好ましくは、本開示のオレフィンは、12~14個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンである。本開示のオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブタ-1-エン、ブタ-2-エン、2-メチルプロパ-1-エン、ブタ-1,3-ジエン、ヘキサ-1-エン、ヘキサ-2-エン、ヘキサ-3-エン、オクタ-1-エン、デカ-1-エン、ドデカ-1-エン、トリデカ-1-エン、テトラデン-1-エン、オクタジック-1-エン、及びイコサ-1-エンが挙げられる。好ましくは、オレフィンは、ドデカ-1-エンであり得る。本開示のオレフィンは、単独(例えば、ニート)で、又は2つ以上のオレフィンの混和物として使用され得る。
【0032】
本開示では、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとの間の反応は、液相プロセスで行われる。溶媒の存在下又は非存在下での液相中の反応。そのような溶媒(存在する場合)の例としては、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、デカン、パラフィン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、グアイアコール、クレゾール、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法のためのオレフィンの(ポリ)アルキレングリコールに対する好適なモル比は、0.01~20、0.1~10、0.5~5、及び0.9~4を含み得る。
【0034】
液相中の混和物の存在下でオレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させるための温度は、80℃~200℃、好ましくは100℃~150℃であり得る。
【0035】
液相中の混和物の存在下でオレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させるための圧力は、大気圧(101,325Pa)から低減された圧力、大気圧、又は大気圧より高い圧力であり得る。好ましくは、液相中の混和物の存在下でオレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させるための圧力は、大気圧である。
【0036】
本開示の反応は、液相プロセスとして、バッチ、半バッチ、又は連続プロセスで行われ得る。連続プロセスが使用される場合、反応は、流動床型反応器、固定床型反応器、及び/又は撹拌槽型反応器で行われ得る。
【0037】
液相プロセスについて、本明細書で提供されるような混和物であるオレフィン及び(ポリ)アルキレングリコールは、所与のプロセスの反応器に供給され、ここで、それらは、所望の温度及び圧力で混合されて、オレフィン及び(ポリ)アルキレングリコールが、結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物の存在下で反応して、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成することを可能にする。
【0038】
オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させるときの液相プロセス中に存在する混和物の量は、反応混合物の総重量に基づいて、1重量パーセント(重量%)~30重量%であり得る。好ましくは、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させるときの液相プロセス中に存在する混和物の量は、反応混合物の総重量に基づいて、5重量%~15重量%である。
【0039】
本開示の液相プロセスの反応時間は、0.1~10時間の範囲であり得る。好ましくは、本開示の液相プロセスの反応時間は、0.5~5時間、より好ましくは1時間~3時間の範囲である。理解されるように、反応時間は、反応温度、反応圧力、反応中に存在する触媒の量、並びに反応に使用されるオレフィン及び(ポリ)アルキレングリコールの量及び種類を含む多くの要因に基づいて変化する。
【0040】
反応後、触媒は、遠心分離及び/又は濾過によって反応生成物から分離され得る。触媒を分離した後、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、抽出又は蒸留によって、反応生成物の他の成分(例えば、(ポリ)アルキレングリコール及びオレフィン)から分離され得る。
【実施例
【0041】
材料
以下の材料の各々は、特に明記しない限り、Sigma-Aldrichから市販されている。モノ-エチレングリコール(MEG、62.07グラム(g)/モル、≧99%)、酸化ランタン(III)(La、99.999%)、酸化ホルミウム(III)(Ho、≧99.9%)、酸化ガドリニウム(III)(Gd、99.9%)、酸化ネオジム(III)(Nd、99.99%)、酸化イッテルビウム(III)(Yb、99.9%)、硝酸イットリウム(III)六水和物(Y(NO 6H0、99.8%)、ドデカ-1-エン(1-C12、168.32g/モル、直鎖、≧99.0%)。ドデシル-MEGの分子量は、230.39g/モルに等しい。
【0042】
Zeolyst Internationalから入手可能な、アンモニウム(NH )形態で25のSiO/Alモル比を有するベータゼオライトCP814E。使用前に、一定の空気流(約40~60L/分)を用いて550℃で少なくとも12時間、CP814Eベータゼオライトをマッフル炉(Lindberg blue M)内で焼成する。空気流(100mL/分)中、600℃で少なくとも5時間(時間)にわたる硝酸イットリウム(III)六水和物の熱分解によって酸化イットリウム(III)(Y)を調製する。本明細書で使用される場合、空気流は、大気を意味する。
【0043】
以下の実施例についてのガスクロマトグラフィー(Gas chromatography、GC)を、FID検出器を有するAgilent7890Bガスクロマトグラフィー機器で行った。この実施例の100μLを、1Lの酢酸エチル中に1mLのヘキサデカンを添加して調製された10mLのガスクロマトグラフィー溶液と混合することによって、ガスクロマトグラフィー試料を調製する。モノアルキルエーテル、ジアルキルエーテル、及び2-ドデカノールを含む、1-ドデセン由来種の総量、1-ドデセン及びすべての非1-ドデセン、他のC12異性体を含む、ドデセンの総量を判定する。表1は、関連するガスクロマトグラフィー機器のパラメータを提供する。
【0044】
【表1】
【0045】
計算
以下の実施例(Example、EX)及び比較例(Comparative Example、CE)では、生成物及び副生成物の収率(mol%)、並びに触媒性能測定基準を、以下のようにGC結果に基づいて計算する。
オレフィン変換率(%):ドデセン由来種の総量を、ドデセン由来種の総量及びドデセンの量の合計で除算することによって、オレフィン変換パーセントを計算する。商に100を乗算する。
ME選択率(%):モノアルキルエーテルの総量をドデセン由来種の総量で除算することによって、モノアルキルエーテルの選択パーセントを計算する。商に100を乗算する。
ME収率(%):オレフィン変換値にモノアルキルエーテル選択率値を乗算することによって、モノアルキルエーテルの収率を計算する。
【0046】
反応
実施例及び比較例のエーテル化反応は、以下の通りである。反応器ブロックは、48個の40mLの直壁ガラスシンチレーションバイアルを保持する加熱ブロックからなる。平坦で円形の希土類磁石ディスク(VP 772FN-13-13-150、V&P Scientific,Inc.)を使用した。反応器は、磁気撹拌要素をコロコロと回転させる、横に取り付けられた回転磁気シリンダーからなる。撹拌速度は、インバータによって制御され、典型的な運転では、撹拌は70に設定され、これは800RPMの磁気シリンダーの回転速度に対応する。GC試料を、10mLの内部標準溶液(1Lの酢酸エチルに溶解した1mLのヘキサデカン)中に液体試料を添加することによって調製し、上述の機器パラメータを用いてAgilent7890B GCによってオフラインで分析した。
【0047】
結果
【0048】
【表2】
【0049】
表2は、135℃で1、1.5、2、及び3時間(時間)にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有するベータゼオライトへの0.25gのYの添加が与える影響を示す。Yと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に7.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は23.2%/gゼオライトであったが、Yを添加しない触媒は、2.5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15%/g触媒であった。
【0050】
【表3】
【0051】
表3は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.375gのベータゼオライトへの0.125gのYの添加が与える影響を示す。Yと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に9.9%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は27.8%/gゼオライトであったが、Yを添加しない触媒は、1.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15.7%/g触媒であった。
【0052】
【表4】
【0053】
表4は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.4375gのベータゼオライトへの0.0625gのYの添加が与える影響を示す。Yと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に10.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は24.6%/gゼオライトであったが、Yを添加しない触媒は、2.4%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は17.6%/g触媒であった。
【0054】
【表5】
【0055】
表5は、135℃で1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.25gのベータゼオライトへの0.25gのLaの添加が与える影響を示す。Laと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に4%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は17.5%/gゼオライトであったが、Laを添加しない触媒は、2.5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15%/g触媒であった。
【0056】
【表6】
【0057】
表6は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.375gのベータゼオライトへの0.125gのLaの添加が与える影響を示す。Laと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に6.4%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は18.3%/gゼオライトであったが、Laを添加しない触媒は、1.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15.7%/g触媒であった。
【0058】
【表7】
【0059】
表7は、135℃で1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.25gのベータゼオライトへの0.25gのHoの添加が与える影響を実証する。Hoと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に6.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は30.8%/gゼオライトであったが、Hoを添加しない触媒は、2.5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15%/g触媒であった。
【0060】
【表8】
【0061】
表8は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.375gのベータゼオライトへの0.125gのHoの添加が与える影響を示す。Hoと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は23.5%/gゼオライトであったが、Hoを添加しない触媒は、1.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15.7%/g触媒であった。
【0062】
【表9】
【0063】
表9は、135℃で1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.25gのベータゼオライトへの0.25gのGdの添加が与える影響を実証する。Gdと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に6.4%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は27.4%/gゼオライトであったが、Gdを添加しない触媒は、2.5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15%/g触媒であった。
【0064】
【表10】
【0065】
表10は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.375gのベータゼオライトへの0.125gのGdの添加が与える影響を示す。Gdと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に4.2%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は17.1%/gゼオライトであったが、Gdを添加しない触媒は、1.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15.7%/g触媒であった。
【0066】
【表11】
【0067】
表11は、135℃で1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.25gのベータゼオライトへの0.25gのNdの添加が与える影響を実証する。Ndと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に5.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は18.7%/gゼオライトであったが、Ndを添加しない触媒は、2.5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15%/g触媒であった。
【0068】
【表12】
【0069】
表12は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.375gのベータゼオライトへの0.125gのNdの添加が与える影響を示す。Ndと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に8.4%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は24.9%/gゼオライトであったが、Ndを添加しない触媒は、1.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15.7%/g触媒であった。
【0070】
【表13】
【0071】
表13は、135℃で1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.25gのベータゼオライトへの0.25gのYbの添加が与える影響を実証する。Ybと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に5.1%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は27.5%/gゼオライトであったが、Ybを添加しない触媒は、2.5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15%/g触媒であった。
【0072】
【表14】
【0073】
表14は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての触媒性能に対する、SiO/Al=25を有する0.375gのベータゼオライトへの0.125gのYbの添加が与える影響を示す。Ybと触媒との物理的混合物は、3時間の反応後に4.5%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は21.3%/gゼオライトであったが、Ybを添加しない触媒は、1.6%のオレフィン変換率を示し、モノ-エーテル累積収率は15.7%/g触媒であった。
【0074】
【表15】
【0075】
表15は、135℃で0.5、1、1.5、2、及び3時間にわたる、MEGを用いたドデカ-1-エンのエーテル化についての0.5gのYの触媒性能を要約する。Yは、ドデカ-1-エンの変換において残留活性を示した。3時間後、オレフィン変換率は、0.2%であった。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成するための方法であって、
結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と金属の酸化物との混和物を提供することであって、前記金属が、3族金属、ランタニド元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、提供することと、
液相プロセスにおいて、前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒と前記金属の前記酸化物との前記混和物の存在下で、オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを反応させて、前記(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、0.5~1.2ナノメートルの細孔径を有する結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、アルミノシリケートゼオライト触媒であるか、又は
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、BEA型ゼオライト構造である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、ブレンステッド酸部位を提供するプロトン(H+)を含むか、又は
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、Fe、Ga、及びBからなる群から選択される少なくとも1つの金属元素を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記結晶性メタロシリケートモレキュラーシーブ触媒が、5~150のケイ素対金属原子比を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化物の前記金属が、イットリウム、ランタン、ネオジム、ガドリニウム、ホルミウム、イッテルビウムの元素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、又は
前記酸化物の前記金属が、Y、La、Nd、Gd、Ho、Yb、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記オレフィンが、6~30個の炭素原子を有するアルファ-オレフィンであるか、又は
前記アルファ-オレフィンが、10~20個の炭素原子を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記(ポリ)アルキレングリコールが、2~8個の炭素原子を有するか、又は
前記(ポリ)アルキレングリコールが、モノ-エチレングリコールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記混和物の存在下での前記オレフィンと前記(ポリ)アルキレングリコールとの反応が、80℃~200℃の温度においてである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混和物の存在下での前記オレフィンと前記(ポリ)アルキレングリコールとの反応が、100℃~150℃の温度においてである、請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】