(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】油濾過のための濾過システム、特に船舶エンジンのような船舶用ユニットのための濾過システム
(51)【国際特許分類】
B01D 35/02 20060101AFI20230925BHJP
B01D 27/00 20060101ALI20230925BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20230925BHJP
F01M 1/10 20060101ALI20230925BHJP
F01M 11/03 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B01D35/02 E
B01D27/12
B01D29/38 510C
F01M1/10 A
F01M1/10 B
F01M11/03 B
F01M11/03 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515626
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 IB2021058549
(87)【国際公開番号】W WO2022058975
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】202020105401.5
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515342066
【氏名又は名称】ボル アンド キルヒ フィルターバオ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンセル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヌスバウム、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】カルタリウス、カルステン
【テーマコード(参考)】
3G015
3G313
4D116
【Fターム(参考)】
3G015BG05
3G015BG06
3G015BG09
3G015BG12
3G015BG22
3G015EA05
3G313AB12
3G313CA11
3G313FA06
3G313FA10
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4D116AA07
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4D116RR16
4D116RR21
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4D116VV03
4D116VV04
(57)【要約】
船舶用エンジンのための濾過システムは、メインポンプ22を有するオイル回路と、回路の供給ラインに配置された少なくとも1つの逆洗可能なメインフィルタ4と、エンジン1の上流の濾過されたオイル濾液のための濾液ライン9と、逆洗流体の処理のための処理フィルタ31を有する処理ブランチと、メインフィルタ4の逆洗出口と処理フィルタ31の流体入口35との間の処理ブランチにおける複数の切換可能な切替弁と、少なくとも1つのポンプ25とを備える。濾過システムを単純化するために、純度および分離度ならびに差圧に関するエンジン製造業者の要件を満たしながら、処理フィルタ31の出口37は濾液ライン9に接続され、少なくとも第1および第2の弁出口を有する切換可能な多方弁40が処理ブランチ30に配置され、第1の弁出口42は処理フィルタの流体入口35に接続され、第2の弁出口43はメインフィルタ4の上流の供給ライン3に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油の濾過のための濾過システム、特に、メインポンプ(22;122;222)を有するオイル回路における、船舶エンジンなどの船舶用ユニットの油の濾過のための濾過システムであって、
前記濾過システムは、
オイル回路の供給ラインに配置され、オイル入口、濾液出口、逆洗出口および逆洗装置を有するフィルタハウジングを含む、少なくとも1つの逆洗可能なメインフィルタ(4;104;204)を備え、
前記濾液出口(7)と前記船舶用ユニット(1;101;201)との間に、濾過されたオイル濾液のための濾液ライン(9;109;209)を備え、
前記逆洗出口に接続され、フィルタハウジング(32)、流体入口(35)および流体出口(37)を有する少なくとも1つの処理フィルタ(31;131;231)を有する、逆洗流体のための処理ブランチを備え、
複数の切換可能な切換弁を備え、及び、
前記メインフィルタの前記逆洗出口と前記処理フィルタの前記流体入口との間の前記処理ブランチ内に少なくとも1つのポンプを備え、
前記処理フィルタ(31;131;231)の前記流体出口(37)は、前記濾液ライン(9;109;209)に接続され、
弁入口(41)ならびに少なくとも第1の弁出口(42)および第2の弁出口(43;143;243)を有する切換可能な多方弁(40;140;240)が前記ポンプ(25;125)と前記処理フィルタの前記流体入口(35)との間の前記処理ブランチ(30;130;230)に配置され、
前記多方弁の前記第1の弁出口(42)は前記処理フィルタ(31)の前記流体入口(35)に接続され、前記第2の弁出口(43;143;243)は前記メインフィルタ(4)の上流の前記供給ライン(3;103;203)に接続される、
ことを特徴とする、濾過システム。
【請求項2】
前記逆洗可能なメインフィルタ(4)は逆洗装置を有する第1のメインフィルタユニット(4A;104A;204A)と、逆洗装置を有する第2のメインフィルタユニット(4B;104B;204B)とを有し、
前記メインフィルタユニットの前記逆洗装置は別々の逆洗出口(8A;8B)に割り当てられ、
それぞれの逆洗出口は、切換可能な洗浄弁(11A;11B)を備える洗浄ライン(12A;12B)によって、前記ポンプの上流の前記処理ブランチ(30;130;230)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
制御ユニット(45;245)が動作中の任意の動作時に、2つの前記切換可能な洗浄弁(11A;11B)の少なくとも1つが閉じられることを確実にする手段として使用されることを特徴とする、請求項2に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記メインフィルタ(4)または各メインフィルタユニット(4A;4B)は間欠式フラッシャとして設計され、逆洗は好ましくは関連する洗浄弁(11A;11B)が開いているときにのみ行われることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項5】
前記メインフィルタまたはメインフィルタユニットには保護フィルタ(53)を含むバイパスブランチ(51)と、圧力逃がし弁(52)を有するオーバーフローユニットとが割り当てられ、
前記バイパスブランチ(51)は前記保護フィルタ(53)および前記オーバーフローユニットの下流の前記濾液ライン(9)に開口することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項6】
前記メインフィルタまたは前記メインフィルタユニットに差圧監視装置が割り当てられ、
前記オーバーフローユニットの前記圧力逃がし弁は前記差圧監視装置によって決定される差圧に応じて作動することができ、または作動され、予め設定された差圧を超えたときに開くことができる、または開かれることを特徴とする、請求項5に記載の濾過システム。
【請求項7】
前記オーバーフローユニットの前記圧力逃がし弁はトリガ圧力のための調整装置を有し、
前記圧力逃がし弁は前記トリガ圧力を超えたときに開き、
前記調整装置は、好ましくは前記調整装置によってプレストレスを調整することができる圧縮ばねを有することを特徴とする、
請求項5に記載の濾過システム。
【請求項8】
前記オーバーフローユニットには前記圧力逃がし弁の開弁を手段検出することができる検出ユニットが割り当てられており、好ましくは開弁動作ごとに制御装置に伝達することができることを特徴とする、
請求項5~7のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項9】
前記船舶用ユニットと前記供給ラインとの間の前記オイル回路内にオイルサンプ(190)が介在し、
前記処理ブランチ内の前記多方弁の前記第2の弁出口(143)が、前記メインポンプ(122)の上流の前記供給ライン(103)内に直接開口することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項10】
前記船舶用ユニットと前記供給ラインとの間の前記オイル回路内にオイルサンプ(290)が介在し、前記処理ブランチ内の前記多方弁(240)の前記第2の弁出口(243)が、前記メインポンプを備える前記供給ライン(203)も接続される前記オイルサンプ(290)内に直接開口することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項11】
前記メインフィルタまたはメインフィルタユニットが少なくともβ
6≧8、またはβ
6≧10のフィルタ媒体(6)を有する1つまたは複数のフィルタ要素を有すること、及び/又は、
前記処理フィルタが少なくともβ
6≧8、またはβ
6≧10、好ましくはβ
6≧75のフィルタ媒体(36)を有するフィルタ要素を有することを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項12】
前記保護フィルタ(53)が、25mm(マイクロメートル)以下のフィルタ微細度を有するフィルタ媒体を有することを特徴とする、請求項5に記載の濾過システム。
【請求項13】
前記メインフィルタまたは各メインフィルタユニットは、逆洗装置として、フィルタカートリッジの中心軸を中心に回転できるようにフィルタカートリッジの内部に配置された逆洗部材(68)を有するフィルタカートリッジ(66)を有し、
前記逆洗部材は、好ましくは回転駆動装置(70)、特に回転駆動装置としての電気モータに連結されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項14】
回転駆動装置(70)、または回転駆動部のための制御装置が1つの洗浄弁または複数の洗浄弁に結合され、1回の開動作当たりの前記洗浄弁の開きの持続時間がフィルタカートリッジ(66)内の逆洗部材(68)の360°回転の持続時間と一致するようになっていることを特徴とする、
請求項2又は請求項13に記載の濾過システム。
【請求項15】
前記処理フィルタ(31)は沈殿チャンバを有するか、または沈殿チャンバを形成し、好ましくは、底部が閉鎖された交換可能なフィルタバスケット(75)と、前記フィルタバスケットの上方に配置された流入開口部と、前記フィルタバスケットを取り囲む洗浄オイル濾液のための収集空間(76)とを有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の濾過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油(オイル)の濾過のための濾過システムに関し、特に、メインポンプを有するオイル回路(oil circuit)における、船舶エンジンなどの船舶用ユニットの油の濾過のための濾過システムに関し、当該濾過システムは、オイル回路の供給ラインに配置され、オイル入口(oil inlet)、濾液出口(filtrate outlet)、逆洗出口(backflush outlet)及び逆洗装置を有するフィルタハウジングを有する、少なくとも1つの逆洗(バックフラッシュ)可能なメインフィルタを備え、
濾液出口と船舶用ユニットとの間に、濾過されたオイル濾液のための濾液ラインを備え、逆洗出口に接続され、フィルタハウジング、流体入口および流体出口を有する少なくとも1つの処理フィルタを有する、逆洗流体のための処理ブランチを備え、複数の切換可能な切換弁を備え、及び、メインフィルタの逆洗出口と処理フィルタの流体入口との間の処理ブランチ内に少なくとも1つのポンプを備える。
【背景技術】
【0002】
船舶のオイル回路内の濾過システムは、濾過システムに接続された船舶用ユニットを保護する役割を果たす。油のための濾過システムは、船舶、特に船舶を推進するために使用される船舶エンジン、例えば特に大型ディーゼルエンジンの潤滑オイル回路において使用される。この場合、大量の流れが濾過されなければならず、一方、潤滑油または作動油の高レベルの汚染が確実に除去されなければならず、同時に、船舶はエンジンを連続的に動作して数週間にわたって移動することがあるので、濾過システムの故障のない動作が極端なまたは極端に変動する温度および圧力でさえ正確であるために、長期間にわたって必要とされるので、多くの要件が濾過システムに課される。したがって、海洋エンジン製造業者はそのような濾過システムで維持されなければならない純度を定義するが、それは、そうでなければ、この製造業者のエンジン用の濾過システムの認証および承認を達成することが不可能であるからである。
【0003】
対応する濾過システムのための多数の解決策および提案が、従来技術において既に存在している。一例として、本出願人のWO2018/0028221A1、およびJP2007/125479AまたはJP6469198B1が参照される。上述の全ての濾過システムにおいて、切換可能な多方弁が、メインフィルタの上流に配置され、処理フィルタは同時に、適切な場合、船舶用ユニットに供給される濾液の処理に対して唯一の責任を負うバイパスフィルタを形成する。しかしながら、通常の動作ではメインフローフィルタが流れを受けているとき、処理フィルタで処理された逆洗流体はオイルサンプ(oil sump)に供給される。
【0004】
本発明の前提は、WO2017/085643A1に基づいている。当該タイプの濾過システムではメインフィルタの上流に切換可能な多方弁が配置され、主流フィルタに油溜めから直接オイルが供給され、処理フィルタが逆洗流体の処理を行うか、またはエンジンの始動段階では処理フィルタがメインフィルタの上流に接続され、特にエンジンの始動段階ではエンジンの製造からも生じ得る不純物をより大量に濾過することを確実にする。このとき、処理回路内に配置されたポンプを手段として用いて、上流側に配置された多方弁のこの切換位置において、メインフィルタで発生する逆洗液(backflush fluid)を処理フィルタの上流側に導くことができるようにする。一方、通常動作では、処理フィルタで処理された流体オイルがエンジンサンプ又はオイルサンプに供給される。
【0005】
船舶用ユニットのための濾過システムに対する要求は増加している。いくつかの船舶エンジン製造業者は、現在、濾過システムが連続動作においてさえ、比較的大きな圧力変動を回避できるように設計されなければならないことを要求している。これは原理的には、不釣り合いに大きいフィルタ表面積が利用可能にされるならば、既存の濾過システムで可能であるが、これはスペースの理由だけでも船舶では不可能であり、全体的に経済的にも実行可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は船舶用ユニットのための濾過システムをさらに単純化し、同時に、純度および分離度ならびに維持すべき差圧に関してエンジン製造業者の要件を満たし、また、動作中の濾過システムのためのメンテナンスオプションを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、処理フィルタの流体出口が濾液ラインに接続され、弁入口ならびに少なくとも1つの第1の弁出口および第2の弁出口を有する切換可能な多方向弁がポンプと処理フィルタの入口との間の処理分岐に配置され、多方向弁の第1の弁出口が処理フィルタの流体入口に接続され、第2の弁出口がメインフィルタの上流の供給ラインに接続されることを提案する。本発明による解決策では自動フィルタが船舶用ユニットに流れるオイルの濾過を実質的に連続的に実行し、したがって、メインフィルタの上流に処理フィルタを接続するために、問題のタイプの濾過システムに設けられた切り替えは省かれる。逆洗可能なメインフィルタ(自動フィルタ)は海洋エンジン製造業者によって要求される純度および分離の程度に関して、すでに要求を満たすことができ、実際にはそれを上回ることさえできるという事実が使用される。船舶用ユニットに流入するオイルは始動段階を含む動作時、常にメインフィルタ(オートフィルタ)によって濾過されるので、メインフィルタのフィルタ表面積は動作時に常に利用可能である。同時に、本発明は処理フィルタで処理された流体流が同様に、使用可能な量のオイルとして船舶用ユニットに利用可能であることを可能にし、したがって、メインフィルタに供給されるオイルの全量が、通常の動作において、逆洗(バックフラッシング)が現在行われていないときだけでなく、メインフィルタの逆洗段階中にも、船舶用ユニットに利用可能である。処理フィルタで処理されたフラッシュオイルは船舶用ユニットに利用可能であり、メインフィルタのフィルタ領域は常に利用可能であるので、処理フィルタのみが始動段階で濾過を行うシステムと比較して、処理フィルタに必然的に設けられなければならないフィルタ領域を低減することができる。また、船舶用ユニットに利用可能な濾過油の量も減少しない。従来技術における多数の解決策の場合とは異なり、治療分岐における切換可能な多方向弁は、動作中に治療フィルタを維持すること、特に洗浄すること、または交換することを可能にする。そのような場合、未処理のフラッシュオイルは、メインフィルタもしくはメインフィルタユニットの上流に一時的に戻されるか、またはオイルサンプの存在下で、メインフィルタユニットに供給することもできる。
【0008】
特に好ましい実施形態によれば、逆洗可能なメインフィルタは逆洗装置を有する第1のメインフィルタユニットと、逆洗装置を有する第2のメインフィルタユニットとを有し、メインフィルタユニットの逆洗装置はそれぞれ別個の逆洗出口に割り当てられ、各逆洗出口は切換可能な洗浄弁を備える専用の洗浄ラインによって、ポンプの上流の処理分岐に接続されるか、または開く。一方のメインフィルタユニットが故障した場合、他方のメインフィルタユニットは、それにもかかわらず、一方のメインフィルタユニットが故障した場合に作動中に差圧が上昇する可能性があったとしても、船舶用ユニットに十分な量の濾過油が供給されることを保証することができる。別々の洗浄弁を有する2つのメインフィルタユニットのケースでは、2つの切換可能な洗浄弁のうちの少なくとも1つが動作中の任意の動作時に閉じられることを確実にする手段として、制御ユニットが使用されると、特に好都合である。これにより、バックフラッシング(逆洗)の有効性を高めることができると同時に、バックフラッシングに必要なフラッシングオイルの量を低減することができる。
【0009】
濾過システムの構成は好ましくはメインフィルタまたは各メインフィルタユニットが間欠式(intermittent)のフラッシャ(flusher)として設計されるようなものであり、バックフラッシングは、好ましくは関連する洗浄弁が開いているときにのみ行われる。間欠式のフラッシャとしてのメインフィルタまたはメインフィルタユニットの構成は、治療分岐における追加の動作可能性および動作変形例を同時に開く。
【0010】
メインフィルタまたはメインフィルタユニットが保護フィルタを含むバイパス分岐と、圧力逃がし弁を有するオーバーフローユニットとを割り当てられ、バイパス分岐が保護フィルタおよびオーバーフローユニットの下流の濾液ラインに開口する場合、それ自体公知の方法で特に有利である。両方のメインフィルタユニットが故障した場合であっても、船舶用ユニットへの濾過された油の十分な流体流を提供することができるが、この例外的な場合には濾過が保護フィルタによって排他的に実行される。一変形形態によれば、このために、メインフィルタまたはメインフィルタユニットに差圧監視装置を割り当てることができ、オーバーフローユニットの圧力逃がし弁は差圧監視装置によって決定される差圧に応じて作動させることができ、または作動され、予め設定された差圧を超えたときに、特に切換動作によって開くことができ、または開かれる。代替の変形例によれば、オーバーフローユニットの圧力逃がし弁はトリガー圧力のための調整装置を有することができ、圧力逃がし弁は、トリガー圧力が超過されると自動的に開く。このために、特に、調整装置は、調整装置によってプレストレスを調整することができるコンプレッションスプリングを有することができる。両方の変形例において、オーバーフローユニットに検出ユニットが割り当てられ、そによって圧力逃がし弁の開弁が検出されることができ、好ましくは、それぞれの開弁動作が制御装置に伝達されることができる場合、特に好都合である。評価において、各開動作は、次いで、いつでも追跡され得、分析が実行され得、適切な場合、オーバーフローユニットがどのくらいの時間アクティブであったか、または開かれたかを決定することも可能である。しかしながら、多くの場合、オーバーフローユニットが開いていたという知識は、メンテナンスを実行するのに既に十分である。
【0011】
濾過システムは、オイルサンプなしで管理することを可能にする。しかしながら、オイルサンプは通常、船舶用ユニットと供給ラインとの間のオイル回路に介在され、オイルサンプがある場合、一実施形態によれば、処理ブランチ内の多方弁の第2の弁出口が、メインポンプの上流の供給ラインに直接開くことが可能である。オイル回路内にオイルサンプを有する濾過システムの代替的な構成によれば、処理ブランチ内の多方弁の第2の弁出口は、メインポンプが設けられた供給ラインも接続されるオイルサンプ内に直接開くことができる。
【0012】
純度に関する機関製造業者の要求を満たすだけでなく、それを超えるために、メインフィルタまたはメインフィルタユニットが少なくともβ6≧8のベータ値、すなわち、フィルタのそれぞれ上流および下流の特定の同一の大きさの粒子の個数の間の比率を有する1つまたは複数のフィルタ要素を有する場合、少なくともβ6≧10、またはβ6≧20を有する場合、および/または処理フィルタが少なくともβ6≧8、またはβ6≧10、またはβ6≧20、またはβ6≧75のベータ値を有するフィルタ要素を有する場合、特に有益である。保護フィルタを有するオーバーフローユニットが存在する場合、保護フィルタが≦25mm(マイクロメートル)のフィルタ繊度を有するフィルタ媒体を有する場合、特に有利である。
【0013】
メインフィルタユニットが少なくともβ6≧8又はβ6≧10のフィルタ媒体を備えている場合、通常動作のための多くのエンジン製造業者の要件を超えるので、全ての動作状態の分離性能をメインフィルタで満たすことができる。逆洗可能なメインフィルタユニットにより、フィルタを変更する必要なしに、長い耐用年数を容易に達成することができる。システム全体からの不純物の除去は処理フィルタ内で行われるので、処理フィルタのサイズに関して高度の柔軟性および適応性があり、その結果、濾過システムに必要とされる船舶上の全体の面積をさらに低減することができる。処理フィルタの上流に接続されたポンプによって、処理フィルタの吸収能力がさらに高まり、処理フィルタの上流に接続されたフラッシングポンプが、動作の任意の時点で主流の送出速度を扱うことができなくてもよいので、比較的小さな送出速度のためのフラッシングポンプを設計することが充分である。
【0014】
特に好都合な構成ではメインフィルタまたは各メインフィルタユニットが好ましくは逆洗装置として、フィルタカートリッジの中心軸を中心に回転できるようにフィルタカートリッジの内部に配置された逆洗部材を有する1つのフィルタカートリッジのみを有し、逆洗部材は好ましくは回転駆動装置、特に回転駆動装置としての電気モータに結合される。回転駆動装置、または回転駆動装置のための制御装置が洗浄弁または洗浄弁に結合され、それにより、開動作あたりの洗浄弁の開口の持続時間が、フィルタカートリッジ内のバックフラッシング部材の360°回転の持続時間と一致する場合、特に有利である。
【0015】
特に、メインフィルタまたはメインフィルタユニットが間欠式フラッシャとして設計される場合、1つの有利な構成によれば、処理フィルタが沈殿チャンバを有するかまたは沈殿チャンバを形成し、好ましくは、底部が閉鎖された交換可能なフィルタバスケットと、フィルタバスケットの上方に配置された流入開口部と、フィルタバスケットを取り囲む濾液のための収集空間とを有することが可能である。沈殿の提供は、汚れ吸収能力を著しく増加させ、したがって、処理フィルタの耐用年数も著しく増加させる。同時に、沈降は、処理フィルタの微細度を、おそらくβ6≧100まで、さらに高めることを可能にする。
【0016】
本発明による濾過システムのさらなる利点および構成は、図面に示される有利な例示的実施形態の以下の説明から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、通常動作における船舶用ユニットのためのオイル回路のための本発明による濾過システムの概略図を示す。
【
図2】
図2は、第1のメインフィルタユニットのバックフラッシングプロセス中の
図1の濾過システムを概略的に示す。
【
図3】
図3は、第2メインフィルタ単位のバックフラッシング処理中の
図1からの濾過システムを概略的に示す。
【
図4】
図4は、第1のメインフィルタユニットのバックフラッシングプロセス中および処理ブランチが遮断された状態での
図1からの濾過システムを概略的に示す。
【
図5】
図5は、メインフィルタの好ましい例示的な実施形態の非常に簡略化された長手方向断面を概略的に示す。
【
図6】
図6は、沈殿チャンバを有する処理フィルタの好ましい例示的な実施形態の非常に簡略化された縦断面を概略的に示す。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の変形例による第1のメインフィルタユニットのバックフラッシングプロセス中の、オイルサンプを有する船舶用ユニット用のオイル回路のための本発明による濾過システムの概略図を示す。
【
図8】
図8は、第2の実施形態の変形例による第1のメインフィルタユニットのバックフラッシングプロセス中のオイルサンプを有する船舶用ユニット用のオイル回路のための本発明による濾過システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~
図4において、参照符号10は、船舶用ユニット1のためのオイル回路のための本発明による濾過システム全体を示している。図に示されるオイル回路は船舶用ユニット1から始まる供給ライン3内にメインポンプ22を有し、これによって、オイルが船舶用ユニット1の後段のメインフィルタ4に供給される。図示した例示的な実施形態では破線によってユニットとして示されるメインフィルタ4が互いに同一の構造を有することができる2つのメインフィルタユニット4A、4Bで具現化され、2つのメインフィルタユニット4A、4Bの各々は示されているだけのオイル入口5、適切なフィルタ媒体6、第1のメインフィルタユニット4Aにおける濾液出口7および逆洗出口8A、ならびに第2のメインフィルタユニット4Bにおける逆洗出口8Bを有する。同時に、破線は、メインフィルタ4の標準ハウジング13を象徴的に示す。図示の例示的な実施形態では2つのメインフィルタユニット4A、4Bの濾液出口7は中間ラインを介して濾液ライン9に接続され、それを介して、直接的に図示の例示的な実施形態ではメインフィルタ4またはメインフィルタユニット4A、4Bによって濾過されたオイル濾液が船舶用ユニット1に供給される。2つのメインフィルタユニット4A、4B内のフィルタ媒体6は後述するように、適切な逆流装置で逆流させることができ、メインフィルタ4の逆流出口8Aまたは逆流出口8Bで生じる逆洗流体(洗浄油)のために、処理分岐30が設けられ、ここでは、個別の処理フィルタ31が設けられる。処理ブランチ30内の処理フィルタ31は同様に、フィルタハウジング32と、処理フィルタ31の流体入口35と流体出口37との間の適切なフィルタ要素またはフィルタ媒体36とを有する。
【0019】
多方弁40は、処理ブランチ30内の処理フィルタ31の上流に接続され、この多方弁40は弁入口41と、第1の弁出口42と、第2の弁出口42とを有し、好ましくは3/2方弁からなる。処理フィルタ31の流体出口37は中間ライン38を介して濾液ライン9に接続され、中間ライン38は任意の所望の遮断部材39を備える。処理ブランチ30内の切換可能な多方弁40の第1の弁出口42は、処理フィルタ31の流体入口35に接続される。切換可能な多方弁40の弁入口41は2つのメインフィルタユニット4A、4Bのうちの1つの逆流装置が現在動作中であるならば、ポンプ25を介在させて逆洗流体または洗浄油を供給される。両方のメインフィルタユニット4A、4Bは、フィルタ媒体6を連続的に逆洗せず、ある期間だけ逆洗する間欠式のフラッシャとして具現化されるので、対応して逆洗流体もまた、処理ブランチ30内に連続的に存在しない。逆洗流体は実際には逆流出口8Aとポンプ25との間に配置された洗浄弁11Aが開いているとき、またはメインフィルタユニット4Bの逆流出口8Bとポンプ25との間に介在された洗浄弁11Bが開いているときにのみ生じる。洗浄油出口8A、8Bとポンプ25との間の供給ラインはそれぞれ、対応する洗浄ライン12A、12Bを介してもたらされ、それぞれの洗浄弁11A、11Bはそれに応じて配置される。フラッシングバルブ11A、11Bは次に、2つの電子制御ライン46A、46Bを介して、または無線リンクを介して、この場合は中央にある制御ユニット45に接続され、動作中、フラッシングバルブ11A、11Bのいずれも特定の動作時に開いておらず、この点において、バックフラッシングが起こらないか、または2つのフラッシングバルブ11A、11Bの少なくとも1つのみが開いていることを保証し、したがって、制御ユニット45は、2つのフラッシングバルブ11A、11Bの少なくとも1つが閉じていることも監視する。処理ブランチ30内の切換可能な多方弁40の第2の弁出口43は中間ライン48を介して供給ライン3に接続されるが、ポンプ22の上流であり、適切な遮断部材24または逆流遮断部材の下流に接続される。
【0020】
上述の構造の濾過システム10は、多数の有利な動作モードを可能にする。
図1は、全てのシステム構成要素を有する全体図のみを示す。
図2はメインフィルタユニット4Aの濾材6が部分的に逆流されている動作状態における濾過システム10を示しており、一方、メインフィルタユニット4Bの濾材6の濾材表面積全体は、濾液ライン9を介して船舶用ユニット1に供給される油の量を濾過するために完全に利用可能である。
図2に示す図では、閉止されているオイルが流れていないラインを一点鎖線で示し、少なくとも部分的にオイルが流れているラインを実線で示す。洗浄弁11Aが開いているので、洗浄弁11Bは、それに応じて閉じられ、流体は洗浄ライン12Aを通るのとは異なり、洗浄ライン12Bを通って流れることはない。逆洗流体(フラッシュオイル)はポンプ25を介して多方弁40に、また多方弁の弁出口42を介して処理フィルタ31の流体入口35に、相応に増加した圧力で通過する。洗浄油は、処理フィルタ31の濾材36で適切に処理され、遮断部材39が開いているときに濾液ライン9に供給される。したがって、ある時点で、この動作モードのために、メインポンプ22によって送達される流体の流れ全体は船舶用ユニット1に利用可能であるが、2つのメインフィルタユニットのうちの1つ、すなわちここではメインフィルタユニット4Aは部分的に逆流モードにある。
【0021】
図3は、比較可能な図の手段によるメインフィルタユニット4Bの逆洗を示す。これに応じて、洗浄弁11Bが開き、洗浄弁11Aが閉じられる。メインフィルタユニット4Bで発生する逆洗流体はポンプ25および切換可能な多方弁40を介して、処理ブランチ30内の処理フィルタ31に供給され、次に、濾液ライン9を介して船舶用ユニット1に利用可能である。
【0022】
図4に示す図では、特別な動作ケース、すなわち、処理ブランチ30内の処理フィルタ31のフィルタ容量が使い果たされている場合が示されている。本発明による処理フィルタ31上の流体入口35の上流に接続された切換可能な多方弁40の結果として、この場合、処理フィルタ31への任意の流体供給を中断することができ、その代わりに、多方弁40は、
図4による図において
図1と同様にメインフィルタユニット4Aから生じる逆洗流体が接続ライン49を介してメインポンプ22の上流の供給ライン3に未処理で戻される切換位置にある。ここでも、制御ユニット45は洗浄弁11Aのみが開いていることを保証するように働き、同時に洗浄弁11Bは閉じている。切換弁40の対応する切換状態において、処理フィルタ31は特に船舶用ユニット1及び濾過システム10全体の動作中に、洗浄又は交換することができる。
【0023】
2つのメインフィルタユニット4A、4Bを有するメインフィルタ4は、
図4を参照して説明されるオーバーフロー弁52を有するバイパス分岐51をさらに有する。保護フィルタ53が、オーバーフロー弁52の下流に接続されて、いかなる場合にも、濾過されていない流体が船舶用ユニット1に供給されないことを確実にする。オーバーフロー弁52および保護フィルタ53を有するバイパス分岐部51は、メインフィルタのハウジング13内に配置することができる。圧力逃がし弁52はオーバーフローユニットを形成し、好ましくは、バネによって圧力逃がし弁52が開くトリガ圧力を調整することができるように、バネが調整装置を形成するバネ式圧力逃がし弁(図示せず)からなる。したがって、オーバーフローユニットの圧力逃がし弁52は、2つのメインフィルタユニット4A、4Bにおける差圧が予め設定された値を超えるときにのみ開く。バイパスブランチ51は、保護フィルタ53の下流のみで濾液ライン9に開口している。
図4では、シグナル線55がさらに示されており、そによって、圧力逃がし弁52のそれぞれの開口部は制御ユニット55によって検出することができ、後の分析のために制御ユニット45内に留意することができる。
【0024】
すでに述べたように、メインフィルタ4または各メインフィルタユニット4A、4Bはいずれの場合も、逆洗装置を備えた間欠式フラッシャであり、処理フィルタ31は、好ましくは逆洗することができない沈降チャンバを備えた単体フィルタである。メインフィルタユニットの好ましい構成を
図5に示し、処理フィルタ31の好ましい構成を
図6に示す。まず、
図5を参照されたい。
【0025】
図5は、一例として、2つのメインフィルタユニット4Aまたは4Bのうちの1つを示す。メインフィルタユニット4は多部品フィルタハウジング62を有し、フィルタハウジング62の内部には、フィルタ媒体6をその周壁と共に形成する単一の円筒形フィルタカートリッジ66が配置されている。濾過されるべきオイルはフィルタハウジング62の底部領域を介してフィルタカートリッジ66の内部に流れ、この理由から、明確にするために、フィルタ入口のための参照番号5が、フィルタハウジング62上の対応する接続フランジに割り当てられる。濾液としてフィルタ壁又はフィルタ媒体6を通過してフィルタカートリッジを囲むハウジング62内の環状空間67に入る全ての油は濾液出口7を介して除去することができ、次いで、オイル回路内の濾液ラインに供給することができ、それによって船舶用ユニットに供給することができる。フィルタカートリッジ66はオイルがフィルタカートリッジ66の内部に入ることができるように、少なくともその下端が開いている。フィルタカートリッジ66の内部には、逆洗部材68が配置されており、この逆洗部材はここではフィルタカートリッジ66の高さ全体にわたって延びており、回転駆動部70に連結されており、この回転駆動部はここでは電気式であり、メインフィルタユニット4A、4Bのハウジング62のカバー部69にフランジ取り付けされている。回転駆動部70の作動は、洗浄部材68がフィルタカートリッジ66の内部で連続的に回転するように行うことができる。フラッシング部材68は、フィルタ媒体6を形成するフィルタカートリッジ66の周壁の内側に近接するスロット付き開口部(図示せず)を伴って延在するので、この移動は移動によって引き起こされる渦流と共に、フィルタカートリッジ66のフィルタ壁へのより大きな粒子の付着を非常に大幅に防止するという利点を有する。フィルタ入口5と濾液出口7との間の差圧が制御装置(45、
図1~4)によって検出され得るか、または差圧制御のもとで自動的にトリガされ得る事前設定値を超える場合、各メインフィルタユニットに割り当てられた洗浄弁(11A、11B、
図1~4)は、逆流を開始するために開く。制御装置を用いて、洗浄部材の開放持続時間は開放持続時間がバックフラッシング部材68の約360°の回転に対応するように、回転駆動装置70の回転速度の機能として設定することができる。バックフラッシング部材68は例えば、スロット付き開口部を有するストリップ形状のチャンバのみからなるので、バックフラッシング部材68によって直接覆われていないフィルタカートリッジ66の残りのフィルタ表面積はフィルタ入口5を介してフィルタハウジング2に入る流体を同時に濾過し続けることができ、一方、部分的な流れのみがバックフラッシング流体として、具体的にはバックフラッシングプロセス中にのみ生じる。逆洗流体は、回転駆動部70および逆流部材68と共同回転するように結合された回転シャフト71の内部チャネル(図示せず)を介して、メインフィルタユニット4A、4Bのハウジング2の底部65に対応して配置された逆流出口8A、8Bに供給することができる。
【0026】
次に、
図6を参照すると、処理フィルタ31の例示的な実施形態が概略的に示されている。これはまた、多部品ハウジング32を有し、
図1~4の図のように、流体入口はハウジング32のカバー部分72に近接して配置され、参照番号35によって示され、流体出口はハウジング32上の底部トラフ73に近接して配置され、参照番号37によって示される。流体入口35はカバー部72の近くのフィルタハウジング32の上部に高さに位置し、流体出口37は、それに対応して底部トラフ73の近くの下部に位置する。図示の例示的な実施形態では、フィルタ媒体36がフィルタハウジング32内で底部が閉鎖され、比較的高い高さにわたって延在するフィルタバスケット75の円周壁からなる。図示の例示的な実施形態ではフィルタバスケット75が底部閉鎖プレート77を有し、一方、フィルタバスケット75は上端で開口している。流体入口35を介して処理フィルタ31のハウジング32に間隔をおいてのみ流れる洗浄油は、上方からフィルタバスケット75の内部にゆっくりと均一に流れる。この流入案内の結果として、処理フィルタ31が全体として同時に沈降チャンバの機能を果たすので、逆洗流体と共に処理フィルタ31またはフィルタバスケット75に入るより重い残留物を、沈降によってフィルタバスケット75の底部に堆積させることができる。環状空間76は、フィルタハウジング32内のフィルタバスケット75の高さ全体にわたって延在する。環状空間76内を通過する部分流は次に、流体出口37を介して排出され、濾過システム内の濾液ラインに供給され得る。
【0027】
一方ではメインフィルタユニット4A、4B内のフィルタ媒体6、および他方では処理フィルタ31内のフィルタ媒体36が好ましくは少なくともβ6≧10のフィルタ媒体を有するフィルタ要素がメインフィルタ内で使用されるように選択され、同じフィルタ繊度を有するか、または例えばβ6≧75などのより良好なフィルタ繊度を有するフィルタ要素75が処理フィルタ31内で使用される。このようなシステムでは、循環油(流体)の油質の継続的な改善が行われる。処理ブランチ30における処理フィルタ31のフィルタ要素75の交換は、特定の動作時間後にのみ行われる。
【0028】
図1~4は、オイルサンプのない濾過システムを示す。メインフィルタまたはメインフィルタユニットおよび処理ブランチを有する濾過システムの本発明による構成から生じる利点、ならびに対応して配置された切換要素は、オイルサンプと共に実施することもできる。
図7は濾過システム110の第1の構成を示し、これは、
図1~
図4による例示的な実施形態と実質的に同じ構成であり、その理由のために、同じタイプの機能要素が100だけ増加された参照符号で示される。前の例示的な実施形態と同様に、供給管路103内のオイル循環路内を流れるオイルは、メインフィルタ104によって濾過され、ここでもまた、それぞれ逆洗装置を備えた2つのメインフィルタユニット104A、104Bを有することができる。前の例示的な実施形態と同様に、メインフィルタ104はバイパス分岐151を有し、処理フィルタ131を有する処理分岐130が設けられ、その上流にポンプ125および切換可能な多方弁140が接続され、逆洗流体を処理する。メインフィルタ104によって濾過されたオイルは、濾液管路109を介して船舶用ユニット101に供給される。多方弁140の第1の弁出口または多方弁140の下流に接続された処理フィルタ131のフィルタ出口もまた、濾液ライン109に開口する。前の例示的な実施形態からの逸脱は本質的に、油溜め190の存在のみからなり、その中に流体が船舶用ユニット101の後段に導入され、そこから油が除去され、メインポンプ122によって供給管路103を介してメインフィルタ104に供給される。
図7によく示されているように、第2の弁出口143はここではメインポンプ122の上流ではあるが、供給ライン103に接続されている。逆流遮断部材199は弁出口143が開いているとき、オイルがオイルサンプ190に逆流するのを防止する。そうでなければ、個々の機能要素は前述の例示的な実施形態のように設計することができ、そのためには前述の説明を参照する。
【0029】
図8はまた、最後に記載された実施形態のように、再びオイルサンプ290が設けられた濾過システム210の修正された例示的な実施形態を示す。ここでも、機能的に同一の要素は、100だけ増加された参照符号を備え、メインポンプ222を有する供給ライン203と、2つのメインフィルタユニット204A、204Bを有するメインフィルタ204と、洗浄弁211A、211Bを制御するための制御ユニット245と、処理フィルタ231と、処理フィルタ231の上流に配置された切換可能な多方弁240とを有する処理分岐230とが存在する。多方弁の第2の弁出口243は船舶用ユニット201とオイルサンプ290との間の供給ライン295と同様に、接続ライン286を介してオイルサンプ290に通じる。図示の例示的な実施形態では、メインポンプ222も配置されているメインフィルタ204への供給ライン203がその後、オイルサンプ290の底部に接続される。逆流遮断要素は、ここでは必ずしも必要ではない。ここでも、メインフィルタ204によって濾過された液体は、ろ液管路209を介して船舶用ユニット201に供給され、多方弁240の第1の弁出口または多方弁240の後段に接続された処理フィルタ231のフィルタ出口も開口する。
【0030】
添付の特許請求の範囲の保護範囲内に入ることが意図される多数の改変は、前述の説明から当業者に明らかである。図に示された構造は、濾過システムの動作に不可欠である。メインフィルタユニットはそれぞれ、単一のフィルタ要素のみを有してもよく、単一のメインフィルタが設けられてもよく、又は3つ以上のメインフィルタユニットが設けられてもよい。
図5に示されるメインフィルタ部署の例示的な実施形態は、単なる例示である。メインフィルタユニットは当業者にそれ自体知られているように、単一のハウジング内に複数のフィルタ要素を有することもできる。単一のフィルタ要素を有する単一のメインフィルタのみを設けることも可能である。逆止弁を含む、可能な限り少ないスイッチング部材および遮断部材で管理する努力がなされている場合であっても、回路全体に追加の粗フィルタまたは遮断部材を配置することができる。
【0031】
本発明は、上述の濾過システムの実施形態に限定されない。各実施形態の個々の特徴は、たとえ図面を参照して明示的に言及されていなくても、互いに組み合わせることもできる。さらに、個々の要素はそれらが他の個々の要素と直接的な機能的関係を有さない限り、本出願の保護および開示の範囲から逸脱することなく、省略することもできる。
【国際調査報告】