(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】高い屈折率及び低い密度を有するシリコボレート及びボロシリケートガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 3/064 20060101AFI20230925BHJP
C03C 3/066 20060101ALI20230925BHJP
C03C 3/068 20060101ALI20230925BHJP
C03C 3/072 20060101ALI20230925BHJP
C03C 3/074 20060101ALI20230925BHJP
G02B 1/00 20060101ALN20230925BHJP
【FI】
C03C3/064
C03C3/066
C03C3/068
C03C3/072
C03C3/074
G02B1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516167
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 US2021046897
(87)【国際公開番号】W WO2022055688
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ガスパール マルケス,パウロ ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ルピカール,アントワーヌ マリー ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】マー,リーナー
(72)【発明者】
【氏名】プライヴェン,アレクサンダー アイ
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA04
4G062BB01
4G062BB05
4G062DA02
4G062DA03
4G062DA04
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4G062HH20
4G062JJ01
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4G062KK01
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4G062MM02
4G062NN01
4G062NN02
4G062NN29
4G062NN33
(57)【要約】
ガラス形成剤として二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化ホウ素(B2O3)を含有し、587.56nmで測定した場合に1.7以上の屈折率ndと、25℃で測定した場合に4.5g/cm3以下の密度とを有する、ガラスが提供される。任意に、上記ガラスは、低い光分散、上記電磁スペクトルの可視及び近紫外(近UV)範囲における高い透過率、並びに/又は良好なガラス形成性を特徴としてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.3重量%~30.0重量%のSiO
2;
0.3重量%~30.0重量%のB
2O
3;
0.3重量%~50.0重量%のNb
2O
5;並びに
ZrO
2、SrO、CaO、Li
2O、MgO、ZnO、Y
2O
3、Ta
2O
5、BaO、PbO、TiO
2、Gd
2O
3、GeO
2、K
2O、La
2O
3、及びNa
2Oから選択される、少なくとも1つの酸化物であって、
2.5重量%~15.0重量%のZrO
2、
0.5重量%~25.0重量%のCaO、
0.0重量%~20.0重量%のGd
2O
3、
0.0重量%~10.0重量%のY
2O
3、
0.0重量%~7.05重量%のTiO
2、
0.0重量%~2.0重量%のZnO、
0.0重量%~2.0重量%のLi
2O、
0.0重量%~2.0重量%のGeO
2、
0.0重量%~1.0重量%のTa
2O
5
という条件に従う、少なくとも1つの酸化物
を含む、ガラスであって、
前記ガラスは更に、(酸化物の重量パーセントで):
18.0重量%~50.0重量%の(Nb
2O
5+TiO
2)の合計;
1.0重量%~30.0重量%の(SiO
2+B
2O
3)の合計;
0.0重量%~40.0重量%の(La
2O
3+Gd
2O
3)の合計;
0.2重量%以上の(CaO+SrO+BaO)の合計;
0.0重量%~1.0重量%の(PbO+V
2O
5)の合計;
0.50以上の比CaO/(Li
2O+Na
2O+K
2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO);
0.0超かつ0.50以下の比(SiO
2/(SiO
2+B
2O
3));及び
0.45以上の比(CaO+SrO+BaO)/(Nb
2O
5+TiO
2)
によって定義され、
前記ガラスはフッ素を実質的に含まない、ガラス。
【請求項2】
前記ガラスは、結晶化することなく、空気中で1100℃から500℃まで2.5分間で冷却できることを特徴とする、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
3.0モル%~50.0モル%のSiO
2;
18.0モル%~33.0モル%のB
2O
3;
1.0モル%~30.0モル%のNb
2O
5;並びに
WO
3、ZrO
2、SrO、CaO、Li
2O、MgO、ZnO、Y
2O
3、Ta
2O
5、BaO、CdO、Bi
2O
3、PbO、HfO
2、TeO
2、TiO
2、Al
2O
3、Gd
2O
3、GeO
2、K
2O、La
2O
3、Na
2O、MoO
3、FeO、Fe
2O
3、及びYb
2O
3から選択される、少なくとも1つの酸化物であって、
TiO
2は0.0モル%~22.0モル%であり、
ZnOは0.0モル%~10.0モル%であり、
(SiO
2+B
2O
3)の合計は3.0モル%~50.0モル%であり、
(Y
2O
3+GeO
2+Ta
2O
5+Al
2O
3+MoO
3+PbO+TeO
2+FeO+Fe
2O
3)の合計は0.0モル%~0.5モル%であり、
2価金属酸化物ROの総含有量とアルカリ金属酸化物Alk
2Oの総含有量との合計(RO+Alk
2O)は0.0モル%~40.0モル%であり、
(Bi
2O
3+PbO)の合計は0.0モル%~20.0モル%である
という条件に従う、少なくとも1つの酸化物
を含む、ガラスであって、
前記ガラスはフッ素を実質的に含まず、
前記ガラスは、式(XVI):
【数1】
を満たし、ここでP
nは、1.7~1.95の値を有する屈折率パラメータであり、式(XIV):
【数2】
に従って計算され、ここでP
dは、式(XV):
【数3】
に従って計算される密度パラメータであり、前記ガラスの透過率指数T
iは0.485~0.600であり、ここでT
iは式(XII):
【数4】
に従って計算され、式(XIV)、式(XV)、及び式(XII)中に列挙された各酸化物は、前記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す、ガラス。
【請求項4】
前記ガラスは:
1.7~1.95の屈折率n
dであって、ここでn
dは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、屈折率n
d;及び
25℃で測定された密度d
RT(g/cm
3)
を有し、
前記ガラスは、式(IV):
【数5】
を満たす、請求項3に記載のガラス。
【請求項5】
前記ガラスは、結晶化することなく、空気中で1100℃から500℃まで2.5分間で冷却できることを特徴とする、請求項3又は4に記載のガラス。
【請求項6】
前記ガラスは更に33以下のアッベ数ν
dを有し、式(VI)及び式(VII):
【数6】
及び
【数7】
を満たし、ここでP
g-Fは前記ガラスの部分分散比であり、式(II):
【数8】
に従って計算され、ここでn
gは435.8nmで測定された屈折率であり、n
Fは486.1nmで測定された屈折率であり、n
cは656.3nmで測定された屈折率である、請求項3~5のいずれか1項に記載のガラス。
【請求項7】
前記ガラスは更に、式(III):
【数9】
に従った密度d
RT及び屈折率n
dを有し、ここでd
RTは、25℃で測定された密度(g/cm
3)であり、n
dは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、請求項3~6のいずれか1項に記載のガラス。
【請求項8】
3.0モル%以上のSiO
2;
1.0モル%以上のB
2O
3;
0.5モル%~25.0モル%のNb
2O
5;
3.0モル%以上の2価金属酸化物ROの総含有量;並びに
WO
3、ZrO
2、SrO、CaO、Li
2O、MgO、ZnO、Y
2O
3、Ta
2O
5、BaO、CdO、Bi
2O
3、PbO、HfO
2、TeO
2、TiO
2、Al
2O
3、Gd
2O
3、GeO
2、K
2O、La
2O
3、Na
2O、及びYb
2O
3から選択される、少なくとも1つの酸化物であって、
CaOは0.0モル%~32.0モル%であり、
Li
2Oは0.0モル%~7.0モル%であり、
MgOは0.0モル%~5.0モル%であり、
Y
2O
3は0.0モル%~1.5モル%であり、
Ta
2O
5は0.0モル%~0.5モル%であり、
BaOは0.0モル%~12.0モル%であり、
CdOは0.0モル%~10.0モル%であり、
Bi
2O
3は0.0モル%~20.0モル%であり、
PbOは0.0モル%~1.0モル%であり、
HfO
2は0.0モル%~5.0モル%であり、
TeO
2は0.0モル%~5.0モル%であり、
TiO
2は0.0モル%~18.0モル%であり、
ZnOは0.0モル%~2.0モル%であり、
フッ素は0.0原子%~1.0原子%であり、
希土類金属酸化物RE
2O
3の総含有量は0.0モル%~23.0モル%であり、
(RE
2O
3+TiO
2+Nb
2O
5+ZrO
2+Bi
2O
3+WO
3)の合計は25.0モル%以上であり、
(SiO
2+B
2O
3)の合計は0.0モル%超~50.0モル%であり、
(SiO
2+B
2O
3+Alk
2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合計は4.0モル%~69.0モル%であり、ここでAlk
2Oはアルカリ金属酸化物の総含有量である
という条件に従う、少なくとも1つの酸化物
を含む、ガラスであって、
前記ガラスは式(XVII):
【数10】
を満たし、ここでP
nは、1.75~1.95の値を有する屈折率パラメータであり、式(XIV):
【数11】
に従って計算され、ここでT
iは式(XII):
【数12】
に従って計算されるガラスの透過率指数であり、前記ガラスは、4.5未満の密度パラメータP
dを有し、前記密度パラメータP
dは、式(XV):
【数13】
に従って計算され、式(XIV)、式(XV)、及び式(XII)中に列挙された各酸化物は、前記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す、ガラス。
【請求項9】
前記ガラスは更に屈折率n
dを有し、前記屈折率n
d及び透過率指数T
iは、式(XIII):
【数14】
を満たし、ここでn
dは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、請求項8に記載のガラス。
【請求項10】
前記ガラスは更に33以下のアッベ数ν
dを有し、式(VI)及び式(VII):
【数15】
及び
【数16】
を満たし、ここでP
g-Fは前記ガラスの部分分散比であり、式(II):
【数17】
に従って計算され、ここでn
gは435.8nmで測定された屈折率であり、n
Fは486.1nmで測定された屈折率であり、n
Cは656.3nmで測定された屈折率である、請求項8又は9に記載のガラス。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で2020年9月10日出願の米国仮特許出願第63/076,540号からの優先権を主張するものであり、上記仮特許出願はその全体が参照によって本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は一般に、高い屈折率及び低い密度を有するシリコボレート及びボロシリケートガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスは、拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、複合現実デバイス、アイウェア等を例として含む多様な光学デバイスに使用される。このタイプのガラスに望まれる特性には、高い屈折率及び低い密度が含まれることが多い。更なる望ましい特性には、電磁スペクトルの可視及び近紫外(近UV)範囲での高い透過、並びに/又は低い光分散が含まれる場合がある。これらの特性の望ましい組み合わせを有し、かつ良好なガラス形成性を有する組成物から形成できる、ガラスを見つけ出すことは、困難である可能性がある。例えば一般に、ガラスの屈折率が上昇すると、密度も上昇する傾向がある。ガラスの密度を上昇させずにガラスの屈折率を上昇させるために、TiO2及びNb2O5等の種を添加することが多い。しかしながら、これらの材料は青色光及びUV光を吸収することが多く、これは望ましくないことに、ガラスによるスペクトルのこの範囲の光の透過率を低下させる可能性がある。低い密度を維持したまま、またスペクトルの青色及びUV範囲の透過率を低下させることなく、ガラスの屈折率を上昇させる試みは、材料のガラス形成性を低下させる結果となる場合が多い。例えば、業界で一般的に許容可能な冷却速度でガラス溶融物を冷却する間に、結晶化、及び/又は液相‐液相分離が発生する場合がある。典型的には、ガラス形成性の低下は、ZrO2、Y2O3、Sc2O3、BeO等といった特定の種の量が増加した場合に見られる。
【0004】
低密度かつ高屈折率のガラスは多くの場合、使用されるガラス形成剤に基づいて、以下の2つのタイプの化学系のうちの一方に属する:(a)SiO2及び/又はB2O3がメインのガラス形成剤として使用される、シリコボレート又はボロシリケートガラス;並びに(b)P2O5がメインのガラス形成剤として使用される、リン酸ガラス。メインのガラス形成剤としてGeO2、TeO2、Bi2O3、及びV2O5といった他の酸化物に依存するガラスは、コスト、ガラス形成性、光学特性、及び/又は製造要件を理由として、使用が困難となる場合がある。
【0005】
リン酸ガラスは高い屈折率及び低い密度を特徴とすることができるが、リン酸ガラスは、溶融物からのP2O5の揮発、及び/又は白金との不適合性のリスクにより、製造が困難である場合がある。更にリン酸ガラスは多くの場合強く着色され、所望の透過率特性を有するガラスを提供するためには、追加の漂白ステップを必要とすることがある。更に、高い屈折率を示すリン酸ガラスは、光分散が上昇する傾向も有する。
【0006】
シリコボレート及びボロシリケートガラスは典型的には製造が容易であり、漂白ステップを行わなくても高い透過率を示すことができる。しかしながら、シリコボレート及びボロシリケートガラスは典型的には、リン酸ガラスに比べて、屈折率を上昇させた場合に密度の上昇を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの事項を考慮すると、任意に、可視及び近UV範囲での高い透過率を示すこと、低い光分散を示すこと、並びに/又は良好なガラス形成性を提供する組成物から作製されることと併せて、高い屈折率及び低い密度を有する、シリコボレート及びボロシリケートガラスに対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある実施形態によると、ガラスは:0.3重量%~30.0重量%のSiO2;0.3重量%~30.0重量%のB2O3;0.3重量%~50.0重量%のNb2O5;並びにZrO2、SrO、CaO、Li2O、MgO、ZnO、Y2O3、Ta2O5、BaO、PbO、TiO2、Gd2O3、GeO2、K2O、La2O3、及びNa2Oから選択され、2.5重量%~15.0重量%のZrO2、0.5重量%~25.0重量%のCaO、0.0重量%~20.0重量%のGd2O3、0.0重量%~10.0重量%のY2O3、0.0重量%~7.05重量%のTiO2、0.0重量%~2.0重量%のZnO、0.0重量%~2.0重量%のLi2O、0.0重量%~2.0重量%のGeO2、0.0重量%~1.0重量%のTa2O5という条件に従う、少なくとも1つの酸化物を含む。上記ガラスは更に、酸化物の重量パーセントで:18.0重量%~50.0重量%の(Nb2O5+TiO2)の合計;1.0重量%~30.0重量%の(SiO2+B2O3)の合計;0.0重量%~40.0重量%の(La2O3+Gd2O3)の合計;0.2重量%以上の(CaO+SrO+BaO)の合計;0.0重量%~1.0重量%の(PbO+V2O5)の合計;0.50以上の比CaO/(Li2O+Na2O+K2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO);0.0超かつ0.50以下の比(SiO2/(SiO2+B2O3));及び0.45以上の比(CaO+SrO+BaO)/(Nb2O5+TiO2)によって定義される。上記ガラスは更に、フッ素を実質的に含まない。
【0009】
本開示の別の実施形態によると、ガラスは:3.0モル%~50.0モル%のSiO2;18.0モル%~33.0モル%のB2O3;1.0モル%~30.0モル%のNb2O5;WO3、ZrO2、SrO、CaO、Li2O、MgO、ZnO、Y2O3、Ta2O5、BaO、CdO、Bi2O3、PbO、HfO2、TeO2、TiO2、Al2O3、Gd2O3、GeO2、K2O、La2O3、Na2O、MoO3、FeO、Fe2O3、及びYb2O3から選択され、TiO2は0.0モル%~22.0モル%であり、ZnOは0.0モル%~10.0モル%であり、(SiO2+B2O3)の合計は3.0モル%~50.0モル%であり、(Y2O3+GeO2+Ta2O5+Al2O3+MoO3+PbO+TeO2+FeO+Fe2O3)の合計は0.0モル%~0.5モル%であり、2価金属酸化物ROの総含有量とアルカリ金属酸化物Alk2Oの総含有量との合計(RO+Alk2O)は0.0モル%~40.0モル%であり、(Bi2O3+PbO)の合計は0.0モル%~20.0モル%であるという条件に従う、少なくとも1つの酸化物を含み、上記ガラスはフッ素を実質的に含まない。
更に上記ガラスは、式(XVI):
【0010】
【数1】
を満たし、ここでP
nは、1.7~1.95の値を有する屈折率パラメータであり、式(XIV):
【0011】
【数2】
に従って計算され、ここでP
dは、式(XV):
【0012】
【数3】
に従って計算される密度パラメータであり、上記ガラスの透過率指数T
iは0.485~0.600であり、ここでT
iは式(XII):
【0013】
【数4】
に従って計算され、式(XIV)、式(XV)、及び式(XII)中に列挙された各酸化物は、上記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す。
【0014】
本開示の更なる一実施形態によると、ガラスは:3.0モル%以上のSiO2;1.0モル%以上のB2O3;0.5モル%~25.0モル%のNb2O5;3.0モル%以上の2価金属酸化物ROの総含有量;並びにWO3、ZrO2、SrO、CaO、Li2O、MgO、ZnO、Y2O3、Ta2O5、BaO、CdO、Bi2O3、PbO、HfO2、TeO2、TiO2、Al2O3、Gd2O3、GeO2、K2O、La2O3、Na2O、及びYb2O3から選択され、CaOは0.0モル%~32.0モル%であり、Li2Oは0.0モル%~7.0モル%であり、MgOは0.0モル%~5.0モル%であり、Y2O3は0.0モル%~1.5モル%であり、Ta2O5は0.0モル%~0.5モル%であり、BaOは0.0モル%~12.0モル%であり、CdOは0.0モル%~10.0モル%であり、Bi2O3は0.0モル%~20.0モル%であり、PbOは0.0モル%~1.0モル%であり、HfO2は0.0モル%~5.0モル%であり、TeO2は0.0モル%~5.0モル%であり、TiO2は0.0モル%~18.0モル%であり、ZnOは0.0モル%~2.0モル%であり、フッ素は0.0原子%~1.0原子%であり、希土類金属酸化物RE2O3の総含有量は0.0モル%~23.0モル%であり、(RE2O3+TiO2+Nb2O5+ZrO2+Bi2O3+WO3)の合計は25.0モル%以上であり、(SiO2+B2O3)の合計は0.0モル%超~50.0モル%であり、(SiO2+B2O3+Alk2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合計は4.0モル%~69.0モル%であり、ここでAlk2Oはアルカリ金属酸化物の総含有量であるという条件に従う、少なくとも1つの酸化物を含む。上記ガラスは式(XVII):
【0015】
【数5】
を満たし、ここでP
nは、1.75~1.95の値を有する屈折率パラメータであり、式(XIV):
【0016】
【数6】
に従って計算され、ここでT
iは式(XII):
【0017】
【数7】
に従って計算されるガラスの透過率指数であり、上記ガラスは、4.5未満の密度パラメータP
dを有し、上記密度パラメータP
dは、式(XV):
【0018】
【数8】
に従って計算され、式(XIV)、式(XV)、及び式(XII)中に列挙された各酸化物は、上記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す。
【0019】
本開示の上述の及びそれ以外の態様、目的、及び特徴は、当業者には、以下の明細書、特許請求の範囲、及び図面を研究すれば理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】いくつかの従来技術のガラス、及び本開示のある実施形態による例示的なガラスに関する、測定屈折率n
d(587.56nmで測定)とアッベ数ν
dとの間の関係を示すプロット
【
図2】いくつかの従来技術のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、アッベ数ν
dと部分分散比P
g-Fとの間の関係を示すプロット
【
図3】いくつかの従来技術のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、測定屈折率n
d(587.56nmで測定)と、波長400nmでの内部透過率τ
intとの間の関係を示すプロット
【
図4】電磁スペクトルの青色及び近UV範囲内の入射波長に対する、ガラス試料の透過率の依存度を概略的に示すプロット
【
図5】いくつかの比較例のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、測定屈折率n
d(587.56nmで測定)と屈折率パラメータP
nとの間の関係を示すプロット
【
図6】いくつかの比較例のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、測定密度と密度パラメータP
dとの間の関係を示すプロット
【
図7】本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、「15分試験」条件及び「2.5分試験」条件に従った例示的な冷却スケジュールのプロット
【
図8】いくつかの比較例のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、密度パラメータP
dと屈折率パラメータP
nとの間の関係を示すプロット
【
図9】いくつかの比較例のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、測定屈折率n
d(587.56nmで測定)と測定密度との間の関係を示すプロット
【
図10】いくつかの比較例のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、屈折率パラメータP
nと、ガラスの青色透過率を特徴付ける透過率指数T
iとの間の関係
【
図11】いくつかの比較例のガラス、及び本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、測定屈折率n
d(587.56nmで測定)と、ガラスの青色透過率を特徴付ける透過率指数T
iとの間の関係
【
図12】いくつかの比較例のガラス、及び本開示のある実施形態による例示的なガラスに関する、透過率スペクトル
【
図13】いくつかの比較例のガラス、及び低い密度を特徴とする本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、アッベ数ν
dと部分分散比P
g-Fとの間の関係を示すプロット
【
図14】いくつかの比較例のガラス、並びに高い測定屈折率及び低い測定密度を特徴とする本開示のある実施形態によるいくつかの例示的なガラスに関する、アッベ数ν
dと部分分散比P
g-Fとの間の関係を示すプロット
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の「発明を実施するための形態」では、限定ではなく説明を目的として、具体的詳細を開示する例示的実施形態を記載することによって、本開示の様々な原理の完全な理解を提供する。しかしながら、本開示を、本明細書で開示される上記具体的詳細から逸脱した他の実施形態においても実践できることは、本開示の利益を享受した当業者には明らかであろう。更に、本開示の様々な原理の説明を不明瞭にしないよう、公知のデバイス、方法、及び材料の説明を省略する場合がある。最後に、適用可能な限り、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0022】
特段明記されていない限り、本明細書に記載のいずれの方法も、その複数のステップをある特定の順序で実施することを要求するものとして解釈されることを全く意図していない。従って、方法クレームに、その複数のステップが従うべき順序が実際に記載されていない場合、又は特許請求の範囲若しくは本説明に、複数のステップがある特定の順序に限定されるべきであることが具体的に明記されていない場合、いかなる点においても、ある順序が推測されることは意図されていない。これは:複数のステップの配置又は動作フローに関する論理の問題;文法的構成又は句読点から導出される明白な意味;及び本明細書に記載の実施形態の個数又はタイプを含むがこれらに限定されない、解釈のためのいずれの非明示的根拠にも当てはまる。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「及び/又は(及び/又は)」は、2つ以上の項目の列挙において使用される場合、列挙された項目のうちのいずれの1つを単独で採用でき、又は列挙された項目のうちの2つ以上のいずれの組み合わせを採用できることを意味する。例えば、ある組成物が成分A、B、及び/又はCを含有するものとして説明される場合、当該組成物は:Aを単独で;Bを単独で;Cを単独で;A及びBを組み合わせて;A及びCを組み合わせて;B及びCを組み合わせて;又はA、B、及びCを組み合わせて含有できる。
【0024】
当業者及び本開示を作製又は使用する者には、本開示の修正形態が想起されるだろう。従って、図面に示され、かつ上述された実施形態は、例示を目的としたものにすぎず、均等論を含む特許法の原理に従って解釈される以下の特許請求の範囲によって定義される、本開示の範囲を限定することを意図したものではないことが理解される。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「約(about)」は、量、サイズ、処方、パラメータ、並びに他の量及び特徴が、正確ではなくかつ正確である必要がないものの、必要に応じて許容誤差、換算係数、丸め、測定誤差等、及び当業者に公知のその他の因子を反映した、おおよそのもの、及び/又は大きい若しくは小さいものであってよいことを意味している。一般に、量、サイズ、処方、パラメータ、又は他の量若しくは特徴は、そのように明記されているかいないかにかかわらず、「約」又は「おおよそ(approximate)」のものである。用語「約」がある値又はある範囲のある端点を記述する際に使用される場合、本開示は、言及された具体的な値又は端点を含むことを理解されたい。本明細書中の数値又は範囲の端点が「約」として記載されているかどうかにかかわらず、上記数値又は範囲の端点は、2つの実施形態、即ち:「約」で修飾された実施形態、及び「約」で修飾されていない実施形態を含むことを目的としている。更に、各範囲の端点は、他の端点との関連においても、他の端点とは独立したものとしても、重要であることが理解されるだろう。
【0026】
用語「…から形成される(formed from)」は、「…を含む(comprise)」、「…から本質的になる(consist essentially of)」、又は「…からなる(consists of)」のうちの1つ以上を意味することができる。例えば、ある特定の材料から形成された構成部品は、この特定の材料を含む場合も、この特定の材料から本質的になる場合も、この特定の材料からなる場合もある。
【0027】
特段の指定がない限り、全ての組成は、バッチ処理されたままの状態のモルパーセント(モル%)で表される。当業者には理解されるように、様々な溶融成分(例えばフッ素、アルカリ金属、ホウ素等)は、これらの成分の溶融中に、(例えば蒸気圧、溶融時間、及び/又は溶融温度に応じて)様々なレベルの揮発を受ける可能性がある。従って、このような成分に関する用語「約」は、本明細書中で提供されるバッチ処理されたままの状態の組成物と比較して、最終的な物品を測定した場合に約0.2モル%以内の値を包含することを意図している。以上を念頭に置くと、最終的な物品とバッチ処理されたままの状態の組成物との間に、実質的な組成の同等性が期待される。いくつかの実施形態では、そのように示されている場合には、組成はバッチ処理されたままの状態の酸化物の重量パーセント(重量%)で表される場合がある。
【0028】
フッ素を酸化物ガラスに添加する、又はフッ素が酸化物ガラス中に存在する場合、結果として得られるガラス組成物の分子表示は、異なる複数の方法で表現できる。本開示では、フッ素が存在する場合、単一の項としてのフッ素の含有量は、原子パーセント(原子%)を単位として表現され、これは、ガラス組成物中の全ての原子の総計に対するフッ素の分率を100倍したものに基づいて決定される。
【0029】
本開示では、フッ素含有組成物及び濃度範囲の以下の表示方法が使用される。全ての酸化物(例えばSiO2、B2O3、Na2O等)に関する濃度の限界は、それぞれの陽イオン(例えばケイ素[Si4+]、ホウ素[B3+]、ナトリウム[Na+]等)が、対応する酸化物の形態で最初に提示されるという想定の下で、提示される。フッ素が存在する場合、組成物の成分の濃度を計算するために、酸化物中の酸素の一部を等価のフッ素で置換する(即ち1つの酸素原子が2つのフッ素原子で置換される)。上記フッ素は、フッ化ケイ素(SiF4)の形態で存在すると想定されるため、全ての酸化物とSiF4との総計は、全ての組成物において100モルパーセント又は100重量%となる。
【0030】
用語「含まない(free)」及び「実質的に含まない(substantially free)」は、ガラス組成物中の、意図的に添加されたものではない特定の成分の量及び/又は不在を指すために、相互交換可能なものとして使用される。ガラス組成物は、微量の特定の構成成分を、0.10モル%未満の量で、混入物質又はトランプとして含有する場合がある。
【0031】
ガラス組成物中の特定の構成成分を説明するために使用される場合、本明細書中で使用される用語「トランプ(tramp)」は、ガラス組成物に意図的に添加されたものではなく、0.05モル%未満の量で存在する構成成分を指す。トランプ成分は、別の構成成分中の不純物として、及び/又は又はガラス組成物の加工中にトランプ成分が組成物へと移動することにより、ガラス組成物に意図せず添加される場合がある。
【0032】
用語「ガラス形成剤(glass former)」は本明細書において、ガラス組成物中に単独で(即ちトランプを除く他の成分を伴わずに)存在して、約200℃/分~約300℃/分以下の速度で溶融物を冷却したときにガラスを形成できる、成分を指す。
【0033】
本明細書中で使用される場合、用語「改質剤(modifier)」は、1価又は2価金属の酸化物、即ちM2O又はMO(「M」は金属を表す)を指す。改質剤をガラス組成物に添加することにより、溶融物及び結果として得られるガラスの原子構造を変化させることができる。いくつかの実施形態では、改質剤は、ガラス形成剤中に存在する陽イオン(例えばB2O3中のホウ素)の配位数を変化させることができ、これにより、より重合した原子ネットワークを形成でき、その結果としてより良好なガラス形成を提供できる。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「RO」は2価金属酸化物の総含有量を指し、用語「R2O」は1価金属酸化物の総含有量を指し、用語「Alk2O」はアルカリ金属酸化物の総含有量を指す。用語R2Oは、例えばAg2O、Tl2O、及びHg2Oといった他の1価金属酸化物に加えて、アルカリ金属酸化物(Alk2O)を包含する。以下で説明されるように、本開示では、希土類金属酸化物は、希土類金属が酸化還元状態「+3」を有するその正規化された式(RE2O3)で呼称されるため、希土類金属酸化物は用語「RO」には包含されない。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「希土類金属(rare earth metal)」はIUPAC周期表のランタニド系列に列挙されている金属に加えて、イットリウム及びスカンジウムを指す。本明細書中で使用される場合、用語「希土類金属酸化物(rare earth metal oxide)」は、ランタンはLa2O3中で「+3」、セリウムはCeO2中で「+4」、ユーロピウムはEuO中で「+2」等といった、様々な酸化還元状態の、希土類金属の酸化物を指すために使用される。一般に、酸化物ガラス中での希土類金属の酸化還元状態は変化する可能性があり、特に酸化還元状態は、溶融中に、バッチ組成、並びに/又はガラスが溶融及び/若しくは熱処理される(例えばアニーリングされる)炉内の酸化還元条件に基づいて変化する可能性がある。特段の指定がない限り、希土類金属酸化物は、本明細書では、希土類金属が酸化還元状態「+3」を有するその正規化された式で呼称される。従って、「+3」以外の酸化還元状態を有する希土類金属をガラス組成物バッチに添加する場合、ガラス組成物は、化学量論を維持するためにいくらかの酸素を追加又は除去することによって再計算される。例えばCeO2(酸化還元状態「+4」のセリウムを含む)をバッチ成分として使用する場合、結果として得られるガラス組成は、2モルのCeO2が1モルのCe2O3と等価であるという想定で再計算され、結果として得られるガラス組成はCe2O3に関して提示される。本明細書中で使用される場合、用語「REmOn」は、存在する全ての酸化還元状態の希土類金属酸化物の総含有量を指すために使用され、用語「RE2O3」は、「+3」の酸化還元状態の希土類金属酸化物の総含有量を指すために使用される。
【0036】
本明細書中で報告されるガラスの測定密度の値は、0.001g/cm3の誤差を有するヘリウムピクノメータを用いて、g/cm3を単位として室温で測定されたものである。本明細書中で使用される場合、室温での密度測定値(dRTとして記載される)は、20℃又は25℃で測定されたものとして示され、20℃~25℃の範囲内であってよい温度で得られた複数の測定値を包含する。室温は約20℃と約25℃との間で変動する可能性があることが理解されるが、本開示の目的のために、20℃~25℃の温度範囲内での密度の変動は、0.001g/cm3の誤差より小さいと予想されるため、本明細書中で報告される室温での密度測定値には影響しないと予想される。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「低い密度(low density)」は、4.5g/cm3以下の密度を意味し、用語「低い密度パラメータ(low density parameter)」は、4.5g/cm3以下の密度パラメータPdの値を意味する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「良好なガラス形成性」は、材料を冷却する際に溶融物が失透に耐えられることを指す。ガラス形成性は、溶融物の臨界冷却速度を決定することによって測定できる。用語「臨界冷却速度(critical cooling rate)」又は「vcr」は、本明細書では、所与の組成物の溶融物が、100倍~500倍の倍率の光学顕微鏡下で確認できる結晶を含まないガラスを形成する、最低の冷却速度を指すために使用される。臨界冷却速度は、組成物のガラス形成性、即ち所与のガラス組成物の溶融物が冷却時にガラスを形成できる能力を測定するために使用できる。一般に、臨界冷却速度が低いほど、ガラス形成性は良好となる。
【0039】
用語「液相線温度(liquidus temperature)」は、本明細書では、ガラスの構成成分が結晶化することなくガラス組成物が完全に液体となる最低温度を指すために使用される。本明細書中で報告される液相線温度の値は、DSCを用いて、又は白金箔に包まれた試料の静水圧保持によって、試料を測定することによって得られたものである。DSCを用いて試料を測定するために、粉末化された試料を10K/分で1250℃まで加熱した。結晶の融解に対応する吸熱イベントの終了時に液相線温度が得られた。第2の技法(静水圧保持)のためには、ガラスブロック(約1cm3)を白金箔で包んで揮発を回避し、所与の温度の炉内に17時間置いた。次にガラスブロックを光学顕微鏡で観察して、結晶を検査した。
【0040】
本明細書中で報告される屈折率の値は、特段の指定がない限り室温(約25℃)で測定されたものである。ガラス試料の屈折率の値は、約±0.0002の誤差を有するMetricon Model 2010プリズムカプラ屈折計を用いて測定された。Metriconを用いて、ガラス試料の屈折率を、約406nm、473nm、532nm、633nm、828nm、及び1064nmという2つ以上の波長で測定した。測定された依存性は分散を特徴付けるものであり、これをコーシーの法則の式又はセルマイヤーの式に当てはめることによって、上記複数の測定波長の間の関心対象の所与の波長における試料の屈折率を計算できた。用語「屈折率nd」は、本明細書では、ヘリウムd線波長に対応する波長587.56nmにおける、上述のようにして計算された屈折率を指すために使用される。用語「屈折率nC」は、本明細書では、波長656.3nmにおける、上述のようにして計算された屈折率を指すために使用される。用語「屈折率nF」は、本明細書では、波長486.1nmにおける、上述のようにして計算された屈折率を指すために使用される。用語「屈折率ng」は、本明細書では、波長435.8nmにおける、上述のようにして計算された屈折率を指すために使用される。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「高い屈折率(high refractive index又はhigh index)」は、特段の指示のない限り、少なくとも1.70以上であるガラスの屈折率の値を指す。指示がある場合、「高い屈折率」は、少なくとも1.75以上、1.80以上、又は1.85以上であるガラスの屈折率の値を指す。用語「高い屈折率パラメータ(high refractive index parameter)」は、少なくとも1.70以上である屈折率パラメータPnの値を指す。
【0042】
用語「分散(dispersion)」及び「光分散(optical dispersion)」は、所定の波長における複数のガラス試料の屈折率の差又は比を指すために、相互交換可能なものとして使用される。本明細書中で報告される光分散の1つの数値的尺度はアッベ数であり、これは式:νx=(nx-1)/(nF-nC)によって計算でき、本開示では、「x」は一般に使用される波長のうちの1つ(例えば587.56nm[d線]又は589.3nm[D線])を表し、nxはこの波長における屈折率であり、nF及びnCはそれぞれ波長486.1nm(F線)及び656.3nm(C線)における屈折率である。νd及びνDの数値は、ごくわずかに、多くの場合±0.1%~±0.2%以内で異なっている。本明細書中で報告される場合、ガラス試料の分散はアッベ数(νd)で表され、これは、3つの異なる波長における試料の屈折率の間の関係を、式(I):
【0043】
【数9】
に従って特徴付けるものであり、ここでn
dは587.56nm(d線)において計算された屈折率であり、n
Fは486.1nmにおいて計算された屈折率であり、n
Cは656.3nmにおいて計算された屈折率である。より高いアッベ数は、より低い光分散に対応する。
【0044】
「高い分散(high dispersion)」又は「低い分散(low dispersion)」に対応するアッベ数の数値は、アッベ数が計算される屈折率に応じて変化し得る。場合によっては、高屈折率ガラスに関する「低い分散」に対応するアッベ数が、低屈折率ガラスに関する「低い分散」に対応するアッベ数より小さくなり得る。換言すれば、計算された屈折率の値が増加すると、低い分散に対応するアッベ数の値は減少する。
【0045】
本明細書中で使用される場合、部分分散比Pg-Fは、式(II):
【0046】
【数10】
に従って決定でき、ここでn
gは435.8nmにおいて計算された屈折率であり、n
Fは486.1nmにおいて計算された屈折率でありn
Cは656.3nmにおいて計算された屈折率である。
【0047】
本明細書中で使用される場合、特段の指定がない限り、用語「内部透過率(internal transmittance)」は、フレネル損失について補正された、ガラス試料を通る透過率を指すために使用される。用語「透過率(transmittance)」は、フレネル損失が考慮されていない透過率の値を指すために使用される。ガラス試料の透過率を、厚さ2mmの試料について、波長250nm~2500nm、分解能1nmのCary 5000分光光度計で、積分球を用いて測定した。厚さ10mmの試料に関する内部透過率の値を、上記測定屈折率と、測定された生の透過率とを用いて、375nm~1175nmで計算した。
【0048】
用語「青色光(blue light)」は、本明細書では、約330nm~約480nmの波長に対応する青色及び紫外光を指すために使用される。用語「青色光に関する内部透過率」は、フレネル損失について補正された、青色光に関する透過率を指す。用語「青色光に関する透過率」は、フレネル損失が考慮されていない、青色光に関する透過率を指す。
【0049】
本開示の実施形態は一般に、高い屈折率及び低い密度を有するシリコボレート及びボロシリケートガラスに関する。いくつかの実施形態では、上記ガラスはまた、電磁スペクトルの可視及び近紫外(近UV)範囲における低い光分散及び/又は高い透過率を特徴とすることができる。本開示のガラスは、ガラス形成剤としてのシリカ(SiO2)及び酸化ホウ素(B2O3)、並びにZrO2、La2O3、Nb2O5、TiO2、及びGd2O3が例として挙げられる1つ以上の追加の改質剤及び/又は屈折率上昇剤を含有できる。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、比較的低い含有量のTiO2、並びに比較的高い含有量のLa2O3、ZrO2、及び/又は他の低吸収性酸化物種を含んでよい。いくつかの実施形態によると、上記ガラスは、SiO2、B2O3、CaO、La2O3、ZrO2、TiO2、及び/又はNb2O5といった酸化物を、許容可能なガラス形成性を有するバッチ組成物を提供する比率で含むことができる。
【0050】
本開示のある実施形態によると、本明細書に記載のガラスは、二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化ホウ素(B2O3)をガラス形成剤として含む。SiO2及びB2O3といったガラス形成性酸化物の量を増加させると、これに対応して、所与の温度における粘度を上昇させることができ、これにより、溶融物を冷却中の結晶化から保護できるため、臨界冷却速度がより低いガラスを提供できる。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、所望の臨界冷却速度、即ち所望の程度のガラス形成性を有するガラスを提供するために、SiO2及びB2O3の両方を含んでよい。
【0051】
一実施形態によると、SiO2は上記ガラス中に、3.0モル%超、4.0モル%超、5.0モル%超、10.0モル%超、15.0モル%超、20.0モル%超、25.0モル%超、30.0モル%超、35.0モル%超、又は40.0モル%超の量で存在できる。いくつかの実施形態では、SiO2は上記ガラス中に、3.0モル%~50.0モル%の量で存在できる。例えばSiO2は、3.0モル%~50.0モル%、4.0モル%~50.0モル%、5.0モル%~50.0モル%、10.0モル%~50.0モル%、15.0モル%~50.0モル%、20.0モル%~50.0モル%、24.0モル%~50.0モル%、29.0モル%~50.0モル%、35.0モル%~50.0モル%、40.0モル%~50.0モル%、45.0モル%~50.0モル%、3.0モル%~45.0モル%、4.0モル%~45.0モル%、5.0モル%~45.0モル%、10.0モル%~45.0モル%、15.0モル%~45.0モル%、20.0モル%~45.0モル%、24.0モル%~45.0モル%、29.0モル%~45.0モル%、35.0モル%~45.0モル%、40.0モル%~45.0モル%、3.0モル%~40.0モル%、4.0モル%~40.0モル%、5.0モル%~40.0モル%、10.0モル%~40.0モル%、15.0モル%~40.0モル%、20.0モル%~40.0モル%、24.0モル%~40.0モル%、29.0モル%~40.0モル%、35.0モル%~40.0モル%、3.0モル%~35.0モル%、4.0モル%~35.0モル%、5.0モル%~35.0モル%、10.0モル%~35.0モル%、15.0モル%~35.0モル%、20.0モル%~35.0モル%、24.0モル%~35.0モル%、29.0モル%~35.0モル%、3.0モル%~29.0モル%、4.0モル%~29.0モル%、5.0モル%~29.0モル%、10.0モル%~29.0モル%、15.0モル%~29.0モル%、20.0モル%~29.0モル%、24.0モル%~29.0モル%、3.0モル%~24.0モル%、4.0モル%~24.0モル%、5.0モル%~24.0モル%、10.0モル%~24.0モル%、15.0モル%~24.0モル%、20.0モル%~24.0モル%、3.0モル%~20.0モル%、4.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、又は15.0モル%~20.0モル%の量で存在できる。
【0052】
いくつかの実施形態では、SiO2は上記ガラス中に、0.3重量%~30.0重量%の量で存在できる。例えばSiO2は、0.3重量%~30.0重量%、1.0重量%~30.0重量%、5.0重量%~30.0重量%、8.0重量%~30.0重量%、10.0重量%~30.0重量%、15.0重量%~30.0重量%、20.0重量%~30.0重量%、25.0重量%~30.0重量%、0.3重量%~25.0重量%、1.0重量%~25.0重量%、5.0重量%~25.0重量%、8.0重量%~25.0重量%、10.0重量%~25.0重量%、15.0重量%~25.0重量%、20.0重量%~25.0重量%、0.3重量%~20.0重量%、1.0重量%~20.0重量%、5.0重量%~20.0重量%、8.0重量%~20.0重量%、10.0重量%~20.0重量%、15.0重量%~20.0重量%、0.3重量%~15.0重量%、1.0重量%~15.0重量%、5.0重量%~15.0重量%、8.0重量%~15.0重量%、10.0重量%~15.0重量%、0.3重量%~10.0重量%、1.0重量%~10.0重量%、又は5.0重量%~10.0重量%の量で存在できる。
【0053】
本開示の一実施形態によると、B2O3は上記ガラス中に、1.0モル%以上の量で存在できる。例えばB2O3は、1.0モル%以上、3.0モル%以上、5.0モル%以上、10.0モル%以上、15.0モル%以上、又は20.0モル%以上の量で存在できる。いくつかの実施形態では、B2O3は上記ガラス中に、1.0モル%~35.0モル%の量で存在できる。例えばB2O3は上記ガラス中に、1.0モル%~35.0モル%、1.0モル%~33.0モル%、1.0モル%~31.0モル%、1.0モル%~30.0モル%、1.0モル%~25.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~19.0モル%、1.0モル%~18.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~9.0モル%、5.0モル%~35.0モル%、5.0モル%~33.0モル%、5.0モル%~31.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~25モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~19.0モル%、5.0モル%~18.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、5.0モル%~9.0モル%、9.0モル%~35.0モル%、9.0モル%~33.0モル%、9.0モル%~31.0モル%、9.0モル%~30.0モル%、9.0モル%~25.0モル%、9.0モル%~20.0モル%、9.0モル%~19.0モル%、9.0モル%~18.0モル%、9.0モル%~15.0モル%、9.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~35.0モル%、10.0モル%~33.0モル%、10.0モル%~31.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~25.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、10.0モル%~19.0モル%、10.0モル%~18.0モル%、10.0モル%~15.0モル%、15.0モル%~35.0モル%、15.0モル%~33.0モル%、15.0モル%~31.0モル%、15.0モル%~30.0モル%、15.0モル%~25.0モル%、15.0モル%~20.0モル%、15.0モル%~19.0モル%、15.0モル%~18.0モル%、18.0モル%~35.0モル%、18.0モル%~33.0モル%、18.0モル%~31.0モル%、18.0モル%~30.0モル%、18.0モル%~25モル%、18.0モル%~20.0モル%、18.0モル%~19.0モル%、19.0モル%~35.0モル%、19.0モル%~33.0モル%、19.0モル%~31.0モル%、19.0モル%~30.0モル%、19.0モル%~25.0モル%、19.0モル%~20.0モル%、20.0モル%~35.0モル%、20.0モル%~33.0モル%、20.0モル%~31.0モル%、又は20.0モル%~30.0モル%の量で存在できる。
【0054】
いくつかの実施形態では、B2O3は上記ガラス中に、0.3重量%~30.0重量%の量で存在できる。例えばB2O3は、0.3重量%~30.0重量%、1.0重量%~30.0重量%、5.0重量%~30.0重量%、8.0重量%~30.0重量%、10.0重量%~30.0重量%、15.0重量%~30.0重量%、20.0重量%~30.0重量%、25.0重量%~30.0重量%、0.3重量%~25.0重量%、1.0重量%~25.0重量%、5.0重量%~25.0重量%、8.0重量%~25.0重量%、10.0重量%~25.0重量%、15.0重量%~25.0重量%、20.0重量%~25.0重量%、0.3重量%~20.0重量%、1.0重量%~20.0重量%、5.0重量%~20.0重量%、8.0重量%~20.0重量%、10.0重量%~20.0重量%、15.0重量%~20.0重量%、0.3重量%~15.0重量%、1.0重量%~15.0重量%、5.0重量%~15.0重量%、8.0重量%~15.0重量%、10.0重量%~15.0重量%、0.3重量%~10.0重量%、1.0重量%~10.0重量%、又は5.0重量%~10.0重量%の量で存在できる。
【0055】
しかしながら、SiO2とB2O3との組み合わせは、屈折率の低下をもたらす場合があり、これにより、所望の高い屈折率を有するガラスを提供することがより困難になる場合がある。従っていくつかの実施形態では、上記ガラス中のSiO2及びB2O3の総量(SiO2+B2O3)を制限してよい。一実施形態によると、本開示のガラスが含むSiO2及びB2O3の総量(SiO2+B2O3)は、0.0モル%超~50.0モル%である。例えば上記ガラス中の(SiO2+B2O3)の合計は、0.0モル%超~50.0モル%、1.0モル%~50.0モル%、3.0モル%~50.0モル%、5.0モル%~50.0モル%、10.0モル%~50.0モル%、15.0モル%~50.0モル%、20.0モル%~50.0モル%、25.0モル%~50.0モル%、30.0モル%~50.0モル%、35.0モル%~50.0モル%、40.0モル%~50.0モル%、45.0モル%~50.0モル%、0.0モル%超~46.0モル%、1.0モル%~46.0モル%、3.0モル%~46.0モル%、5.0モル%~46.0モル%、10.0モル%~46.0モル%、15.0モル%~46.0モル%、20.0モル%~46.0モル%、25.0モル%~46.0モル%、30.0モル%~46.0モル%、32.0モル%~44.0モル%、35.0モル%~46.0モル%、40.0モル%~46.0モル%、0.0モル%超~40.0モル%、1.0モル%~40.0モル%、3.0モル%~40.0モル%、5.0モル%~40.0モル%、10.0モル%~40.0モル%、15.0モル%~40.0モル%、20.0モル%~40.0モル%、25.0モル%~40.0モル%、30.0モル%~40.0モル%、35.0モル%~40.0モル%、0.0モル%超~35.0モル%、1.0モル%~35.0モル%、3.0モル%~35.0モル%、5.0モル%~35.0モル%、10.0モル%~35.0モル%、15.0モル%~35.0モル%、20.0モル%~35.0モル%、25.0モル%~35.0モル%、30.0モル%~35.0モル%、0.0モル%超~30.0モル%、1.0モル%~30.0モル%、3.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、15.0モル%~30.0モル%、20.0モル%~30.0モル%、25.0モル%~30.0モル%、0.0モル%超~25.0モル%、1.0モル%~25.0モル%、3.0モル%~25.0モル%、5.0モル%~25.0モル%、10.0モル%~25.0モル%、15.0モル%~25.0モル%、20.0モル%~25.0モル%、0.0モル%超~20.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、3.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、15.0モル%~20.0モル%、0.0モル%超~15.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、3.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、10.0モル%~15.0モル%、0.0モル%超~10.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、3.0モル%~10.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、0.0モル%超~5.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、3.0モル%~5.0モル%、0.0モル%超~3.0モル%、又は1.0モル%~3.0モル%とすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、酸化物の重量パーセントでの、B2O3に対するSiO2の比(SiO2/B2O3)は、0.40~0.70である。例えば、酸化物の重量パーセントでの、B2O3に対するSiO2の比(SiO2/B2O3)は、0.40~0.70、0.40~0.65、0.40~0.60、0.40~0.55、0.40~0.50、0.45~0.70、0.45~0.65、0.45~0.60、0.45~0.55、0.45~0.50、0.50~0.70、0.50~0.65、0.50~0.60、0.50~0.55、0.55~0.70、0.55~0.65、0.55~0.60、又は0.60~0.70とすることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、(重量%での)SiO2及びB2O3の合計(SiO2+B2O3)は、1.0重量%~30.0重量%である。例えば重量%での合計(SiO2+B2O3)は、1.0重量%~30.0重量%、5.0重量%~30.0重量%、8.0重量%~30.0重量%、10.0重量%~30.0重量%、15.0重量%~30.0重量%、20.0重量%~30.0重量%、25.0重量%~30.0重量%、1.0重量%~25.0重量%、5.0重量%~25.0重量%、8.0重量%~25.0重量%、10.0重量%~25.0重量%、15.0重量%~25.0重量%、20.0重量%~25.0重量%、1.0重量%~20.0重量%、5.0重量%~20.0重量%、8.0重量%~20.0重量%、10.0重量%~20.0重量%、15.0重量%~20.0重量%、1.0重量%~15.0重量%、5.0重量%~15.0重量%、8.0重量%~15.0重量%、10.0重量%~15.0重量%、1.0重量%~10.0重量%、又は5.0重量%~10.0重量%である。
【0058】
他のいくつかの実施形態では、重量%で表される(SiO2/(SiO2+B2O3))の比は、0.0超かつ0.50以下である。例えば重量%で表される(SiO2/(SiO2+B2O3))の比は、0.0超かつ0.50以下、0.0超かつ0.40以下、0.0超かつ0.30以下、0.0超かつ0.20以下、0.0超かつ0.10以下、0.0超かつ0.05以下、0.05以上かつ0.50以下、0.05以上かつ0.40以下、0.05以上かつ0.30以下、0.05以上かつ0.20以下、0.05以上かつ0.10以下、0.10以上かつ0.50以下、0.10以上かつ0.40以下、0.10以上かつ0.30以下、0.10以上かつ0.20以下、0.20以上かつ0.50以下、0.20以上かつ0.40以下、0.20以上かつ0.30以下、0.30以上かつ0.50以下、又は0.30以上かつ0.40以下である。
【0059】
いくつかの実施形態では、SiO2の濃度が3.0モル%未満、かつB2O3の濃度が1.0モル%未満であると、多くの産業的応用に適していない、比較的低いガラス形成性、比較的低い成形性、及び低下した耐化学性を有するガラスがもたらされることが分かった。反対に、SiO2及びB2O3の濃度が高すぎると、所望の高い屈折率を達成するのが困難になり得る。従っていくつかの実施形態では、本開示のガラスは、3.0モル%~50.0モル%の量のSiO2と、1.0モル%以上の量のB2O3とを、SiO2及びB2O3の合計(SiO2+B2O3)が50.0モル%以下となるような量で含む。いくつかの実施形態では、B2O3の量は更に、18.0モル%~33.0モル%であるものとして定義される。
【0060】
本開示のある実施形態によると、上記ガラスは、上記ガラスの屈折率を上昇させるために添加された、1つ以上の屈折率上昇剤を含むことができる。本開示のガラスと共に使用できる屈折率上昇剤の例としては、チタニア(TiO2)、ニオビア(Nb2O5)、ジルコニア(ZrO2)、及び他の希土類金属酸化物が挙げられる。
【0061】
チタニア(TiO2)は一般に、低い密度及び/又は許容可能な低い分散の達成と併せて、ガラスの屈折率を上昇させることが期待されている。いくつかの例では、チタニアは、黄色又は褐色のガラスを生成し得るが、これは、酸化条件下での溶解及び/若しくはアニーリングによるもの、並びに/又はCeO2、As2O5、及びMn2O3等を例とする1つ以上の酸化剤をガラスバッチに添加することによるもの等の漂白によって、対処可能である。場合によっては、あまりに多量のチタニアは、耐火性種、例えばルチル(TiO2)、スフェーン(CaTiSiO5)、及びニオブ酸チタン(例えばTi2Nb10O29)等の結晶化を引き起こす恐れがあり、これはガラスの液相線温度を上昇させる可能性があるため、溶融物のガラス形成性を低下させる可能性がある。更に、チタニアは高濃度において、溶融物の液相‐液相分離を引き起こす恐れがあり、これはガラスの透過率の喪失につながる可能性がある。本開示のある実施形態によると、これらの課題は、上記ガラス中のTiO2の量を45モル%以下に制限することによって対処可能である。場合によっては、上記ガラスはTiO2を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0062】
いくつかの実施形態によると、TiO2は上記ガラス中に、0.0モル%~45.0モル%、0.0モル%~40.0モル%、0.0モル%~35.0モル%、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~25.0モル%、0.0モル%~22.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~18.0モル%、0.0モル%~13.0モル%、0.0モル%~12.0モル%、0.0モル%~6.0モル%、0.03モル%~45.0モル%、0.03モル%~40.0モル%、0.03モル%~35.0モル%、0.03モル%~30.0モル%、0.03モル%~25.0モル%、0.03モル%~22.0モル%、0.03モル%~20.0モル%、0.03モル%~18.0モル%、0.03モル%~13.0モル%、0.03モル%~12.0モル%、0.03モル%~6.0モル%、6.0モル%~45.0モル%、6.0モル%~40.0モル%、6.0モル%~35.0モル%、6.0モル%~30.0モル%、6.0モル%~25.0モル%、6.0モル%~22.0モル%、6.0モル%~20.0モル%、6.0モル%~18.0モル%、6.0モル%~13.0モル%、6.0モル%~12.0モル%、12.0モル%~45.0モル%、12.0モル%~40.0モル%、12.0モル%~35.0モル%、12.0モル%~30.0モル%、12.0モル%~25.0モル%、12.0モル%~22.0モル%、12.0モル%~20.0モル%、12.0モル%~18.0モル%、13.0モル%~45.0モル%、13.0モル%~40.0モル%、13.0モル%~35.0モル%、13.0モル%~30.0モル%、13.0モル%~25.0モル%、13.0モル%~22.0モル%、13.0モル%~20.0モル%、13.0モル%~18.0モル%、18.0モル%~45.0モル%、18.0モル%~40.0モル%、18.0モル%~35.0モル%、18.0モル%~30.0モル%、18.0モル%~25.0モル%、18.0モル%~22.0モル%、18.0モル%~20.0モル%、20.0モル%~45.0モル%、20.0モル%~40.0モル%、20.0モル%~35.0モル%、20.0モル%~30.0モル%、22.0モル%~45.0モル%、22.0モル%~40.0モル%、22.0モル%~35.0モル%、22.0モル%~30.0モル%、30.0モル%~45.0モル%、又は30.0モル%~40.0モル%の量で存在できる。いくつかの例では、TiO2は18モル%以下の量で存在する。いくつかの例では、TiO2は0.0重量%~7.05重量%の量で存在する。例えばTiO2は、0.0重量%~7.05重量%、2.0重量%~7.05重量%、5.0重量%~7.05重量%、又は2.0重量%~5.0重量%の量で存在できる。いくつかの実施形態では、18.0モル%超、場合によっては22.0モル%超のTiO2濃度によって、所望の透過率より低い透過率を有するガラスが形成されること、並びに/又は結晶化及び/若しくは相分離する傾向を有する溶融物がもたらされることが分かった。従っていくつかの実施形態では、上記ガラス中に存在するTiO2の量は、好ましくは22.0モル%以下、より好ましくは18.0モル%以下である。
【0063】
本開示のいくつかの態様では、低い密度を維持しながらガラスの屈折率を上昇させるために、チタニアと同様にニオビア(Nb2O5)を使用できる。しかしながらニオビアは、チタニアと同一の方法では漂白できない黄色の着色をガラスに導入する場合があり、これは、特に青色及びUV範囲において、透過率の喪失をもたらす恐れがある。ニオビアはチタニアと同様に、溶融物の結晶化及び/又は相分離を引き起こす可能性がある。場合によっては、ニオビアはガラスに高い光分散をもたらす可能性があり、上記光分散は、チタニア及び他の何らかの屈折率上昇剤を同様の濃度で添加した場合に誘発されるものよりも有意に高くなり得る。ニオビアの効果は、ガラスの他の成分によって影響され得るため、ニオビアの正確な限界を決定することは困難になる場合がある。従って本開示の一態様によると、ニオビアの量は20モル%以下に制限され、場合によっては上記ガラスはニオビアを含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。しかしながらいくつかの例では、存在するニオビアの量は例えば、上記ガラスの成分の含有量に基づいて、及び/又は高い青色透過率がそれほど優先されない場合に、20モル%超であってよい。いくつかの実施形態では、Nb2O5の量が0.5モル%未満であると、許容可能なガラス密度において所望の高い屈折率のガラスを達成することがより困難になることが分かった。いくつかの実施形態では、Nb2O5の濃度が低いと、低い密度において所望の高い屈折率を有するガラスを達成するのが困難であることが分かった。しかしながら、30.0モル%超、場合によっては25.0モル%超のように、Nb2O5の濃度が高すぎると、結果として得られるガラスの透過率は所望の透過率より低くなり得、並びに/又はガラス溶融物は結晶化及び/若しくは相分離する傾向を有し得る。従っていくつかの実施形態によると、Nb2O5は上記ガラス中に0.0モル%~30.0モル%だけ存在できる。例えばNb2O5は上記ガラス中に、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~25.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~16.0モル%、0.0モル%~12.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~6.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、0.0モル%~0.6モル%、0.0モル%~0.5モル%、0.5モル%~30.0モル%、0.5モル%~25.0モル%、0.5モル%~20.0モル%、0.5モル%~16.0モル%、0.5モル%~12.0モル%、0.5モル%~10.0モル%、0.5モル%~6.0モル%、0.5モル%~1.0モル%、0.5モル%~0.6モル%、0.6モル%~30.0モル%、0.6モル%~25.0モル%、0.6モル%~20.0モル%、0.6モル%~16.0モル%、0.6モル%~12.0モル%、0.6モル%~10.0モル%、0.6モル%~6.0モル%、0.6モル%~1.0モル%、1.0モル%~30.0モル%、1.0モル%~25.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~16.0モル%、1.0モル%~12.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~6.0モル%、6.0モル%~30.0モル%、6.0モル%~25.0モル%、6.0モル%~20.0モル%、6.0モル%~16.0モル%、6.0モル%~12.0モル%、6.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~25.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、10.0モル%~16.0モル%、10.0モル%~12.0モル%、12.0モル%~30.0モル%、12.0モル%~25.0モル%、12.0モル%~20.0モル%、12.0モル%~16.0モル%、16.0モル%~30.0モル%、16.0モル%~25.0モル%、16.0モル%~20.0モル%、20.0モル%~30.0モル%、20.0モル%~25.0モル%、又は25.0モル%~30.0モル%だけ存在できる。いくつかの例では、Nb2O5は、0.3重量%~50.0重量%の量で存在できる。例えばNb2O5は、0.3重量%~50.0重量%、0.3重量%~40.0重量%、0.3重量%~30.0重量%、0.3重量%~20.0重量%、0.3重量%~10.0重量%、5.0重量%~50.0重量%、5.0重量%~40.0重量%、5.0重量%~30.0重量%、5.0重量%~20.0重量%、5.0重量%~10.0重量%、10.0重量%~50.0重量%、10.0重量%~40.0重量%、10.0重量%~30.0重量%、10.0重量%~20.0重量%、20.0重量%~50.0重量%、20.0重量%~40.0重量%、20.0重量%~30.0重量%、30.0重量%~50.0重量%、又は30.0重量%~40.0重量%の量で存在できる。いくつかの例では、Nb2O5は10.2重量%超かつ20.0重量%以下の量で存在できる。いくつかの例では、Nb2O5は10.2重量%超かつ50.0重量%以下の量で存在できる。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、(Nb2O5+TiO2)の合計が8.0重量%~50.0重量%となる量で、Nb2O5及び/又はTiO2を含むことができる。例えばNb2O5及び/又はTiO2は、上記ガラス中に、(Nb2O5+TiO2)の合計が8.0重量%~50.0重量%、10.0重量%~50.0重量%、15.0重量%~50.0重量%、18.0重量%~50.0重量%、22.0重量%~50.0重量%、30.0重量%~50.0重量%、40.0重量%~50.0重量%、8.0重量%~40.0重量%、10.0重量%~40.0重量%、15.0重量%~40.0重量%、18.0重量%~40.0重量%、22.0重量%~40.0重量%、30.0重量%~40.0重量%、8.0重量%~30.0重量%、10.0重量%~30.0重量%、15.0重量%~30.0重量%、18.0重量%~30.0重量%、22.0重量%~30.0重量%、8.0重量%~22.0重量%、10.0重量%~22.0重量%、又は15.0重量%~22.0重量%となるように存在できる。いくつかの例では、(Nb2O5+TiO2)の合計は、22.0重量%超かつ50.0重量%以下である。いくつかの例では、Nb2O5及びTiO2は上記ガラス中に、重量%でのTiO2に対するNb2O5の比(Nb2O5/TiO2)が1.9以上となるように存在できる。
【0065】
ジルコニア(ZrO2)は、本開示のガラスの許容可能な低い密度を維持しながら屈折率を上昇させることができる酸化物の別の例である。いくつかの例では、ZrO2はTiO2及びNb2O5に比べて、同様の屈折率値においてより高い密度をガラスに提供できる。ZrO2はまた、溶融物の粘度を上昇させることもでき、これは溶融物を結晶化から保護するために役立ち得る。ガラスに低い密度を提供できる、TiO2及びNb2O5といった他の屈折率上昇剤とは対照的に、ZrO2は可視及び近UV範囲においてガラスに着色を導入せず、これはガラスの高い透過率を維持するために役立ち得る。しかしながら、高濃度のジルコニアは、ジルコニア(ZrO2)、ジルコン(ZrSiO4)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)等といった耐火性無機物の結晶化を引き起こす場合があり、これは液相線温度を上昇させる可能性がある。その結果、結晶化が比較的低い粘度で発生し得、これによって溶融物のガラス形成性が低下し得る(即ち臨界冷却速度が上昇し得る)。これらの課題に対処するために、本開示の一態様によると、上記ガラス中のジルコニアの濃度は20.0モル%以下であり、いくつかの例では、上記ガラスはジルコニアを含まないか、又は実質的に含まない。ガラス形成性の要件が低い場合等のいくつかの場合には、上記ガラスはより多量のジルコニアを含んでよい。例えばZrO2は上記ガラス中に、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~25.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~30.0モル%、1.0モル%~25.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~25.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~25.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、10.0モル%~15.0モル%、15.0モル%~30.0モル%、15.0モル%~25.0モル%、又は15.0モル%~20.0モル%だけ存在できる。いくつかの例では、ZrO2は上記ガラス中に、0.0重量%~15.0重量%の量で存在する。例えばZrO2は、0.0重量%~15.0重量%、2.0重量%~15.0重量%、2.5重量%~15.0重量%、5.0重量%~15.0重量%、8.0重量%~15.0重量%、10.0重量%~15.0重量%、0.0重量%~10.0重量%、2.0重量%~10.0重量%、2.5重量%~10.0重量%、5.0重量%~10.0重量%、8.0重量%~10.0重量%、0.0重量%~8.0重量%、2.0重量%~8.0重量%、2.5重量%~8.0重量%、又は5.0重量%~8.0重量%の量で存在できる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示のガラスの屈折率を上昇させるために、希土類金属酸化物をガラス組成物に添加してよい。本開示のガラスに添加できる希土類金属酸化物の例としては、La2O3、Gd2O3、Yb2O3、Y2O3、及びSc2O3が挙げられる。末尾の2つの元素の酸化物、即ちY2O3及びSc2O3は、上記ガラスに、同様の屈折率においてチタニア及びニオビアより低い、比較的低い密度を提供することもできる。しかしながら、酸化スカンジウム(Sc2O3)は高価となり得るため、大量生産には望ましくない場合がある。場合によっては、ガラスバッチのコストの優先度が低いと、Sc2O3が許容可能となり得る。酸化イットリウム(Y2O3)のコストは酸化スカンジウムより低い。しかしながら場合によっては、Y2O3は比較的低い濃度でも、上記ガラスのガラス形成性を低下させる(即ち臨界冷却速度を上昇させる)場合がある。従って、本開示のいくつかの実施形態によると、上記ガラスはY2O3を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、0.0~1.5モル%といった少量のY2O3を含んでよい。例えば上記ガラスはY2O3を、0.0モル%~1.5モル%、0.0モル%~1.25モル%、0.0モル%~1.0モル%、0.0モル%~0.75モル%、0.0モル%~0.5モル%、0.0モル%~0.25モル%、0.25モル%~1.5モル%、0.25モル%~1.25モル%、0.25モル%~1.0モル%、0.25モル%~0.75モル%、0.25モル%~0.5モル%、0.5モル%~1.5モル%、0.5モル%~1.25モル%、0.5モル%~1.0モル%、0.5モル%~0.75モル%、0.75モル%~1.5モル%、0.75モル%~1.25モル%、0.75モル%~1.0モル%、又は1.0モル%~1.5モル%の量で含んでよい。いくつかの実施形態では、Y2O3は、密度に対する屈折率の比率が高いガラスの形成を促進できるものの、多量のY2O3は冷却中のガラス溶融物の結晶化をもたらす場合があることが分かった。しかしながら、いくつかの実施形態では、1.5モル%を超えるY2O3濃度で、許容可能なガラス形成性が達成される。従って、本開示の他の実施形態によると、上記ガラスはY2O3を、1.5モル%超の量、例えば最大3.0モル%、若しくは最大4.0モル%、若しくは最大5.0モル%の量、又は1.5モル%~5.0モル%、1.5モル%~4.0モル%、1.5モル%~3.0モル%、2.0モル%~5.0モル%、2.0モル%~4.0モル%、若しくは3.0モル%~5.0モル%の量で含んでよい。いくつかの実施形態では、上記ガラスはY2O3を、0.0重量%~10.0重量%の量で含んでよい。例えば上記ガラスはY2O3を、0.0重量%~10.0重量%、2.0重量%~10.0重量%、又は5.0重量%~10.0重量%の量で含んでよい。
【0067】
希土類金属酸化物の中で、Y2O3及びSc2O3を除くと、いくつかの態様において、酸化ランタン(La2O3)が好ましい屈折率上昇剤となり得る。La2O3は、他のいくつかの希土類金属酸化物と比較した場合に、本開示のガラスに、同様の屈折率においてより低い密度を提供できる。La2O3は、許容可能な程度の良好なガラス形成を提供することもでき、また希土類金属酸化物の中で最もコスト効率が高い。従って、本開示のいくつかの態様では、上記ガラス組成物は少なくとも若干量のLa2O3を含むことができる。しかしながら、場合によっては、La2O3の濃度が高くなりすぎると、酸化ランタンは、ケイ酸ランタン(La4Si3O12、La2SiO5、La2Si2O7)、ホウ酸ランタン(LaBO3、LaB3O6)、ニオブ酸ランタン(LaNbO4)、ジルコン酸ランタン(La2ZrO5、La2Zr2O7)、チタン酸ランタン(La2TiO5、La2Ti2O7)等といった耐火性種の沈殿を引き起こす可能性があり、これはガラスの液相線温度を上昇させる可能性があり、組成物のガラス形成性を低下させる恐れがある。更に、高濃度のLa2O3は、溶融物中での相分離を刺激する可能性があり、これは、結果として得られるガラスの透過率の喪失をもたらす。他の希土類金属酸化物を高濃度で添加した場合にも、同様の悪影響が発生し得る。任意に、Gd2O3及びYb2O3といった他の希土類金属酸化物を、ガラス組成物に添加できる。Gd2O3及びYb2O3といった希土類金属酸化物は、上記ガラスの高い屈折率及び良好な透過率の維持を促進できるものの、望ましくないことに、上記ガラスの密度を上昇させる可能性がある。これらの課題に対処するために、本開示のいくつかの実施形態は、ガラス組成物中のREmOnの含有量を制限することを含む。本開示のある実施形態によると、本発明のガラス組成物に添加される場合、希土類金属酸化物REmOnの総含有量は、45モル%以下とすることができる。いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は希土類金属酸化物を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。例えば、希土類金属酸化物REmOnの総含有量は、0.0モル%~45.0モル%、0.0モル%~40.0モル%、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~23.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~45.0モル%、1.0モル%~40.0モル%、1.0モル%~30.0モル%、1.0モル%~23.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~45.0モル%、5.0モル%~40.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~23.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~45.0モル%、10.0モル%~40.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~23.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、10.0モル%~15.0モル%、15.0モル%~45.0モル%、15.0モル%~40.0モル%、15.0モル%~30.0モル%、15.0モル%~23.0モル%、15.0モル%~20.0モル%、又は20.0モル%~45.0モル%とすることができる。いくつかの実施形態では、REmOnの総含有量が23.0モル%を超えると、冷却中に結晶化する傾向を有するガラス溶融物がもたらされ得る、及び/又はガラスの密度が所望のレベルより高く上昇し得ることが分かった。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示のガラスは任意に、酸化タングステン(WO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化トリウム(ThO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)といった、更なる及び/又は別の屈折率上昇剤を含んでよく、これらは存在する場合には少量だけ使用できる。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、酸化タングステン(WO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化トリウム(ThO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)を含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態では、上記ガラスは任意に、バナジア(V2O5)、酸化モリブデン(MoO3)、ゲルマニア(GeO2)、酸化テルル(TeO2)、フッ化物(例えばZrF4、LaF3等)、及び酸化タリウム(Tl2O)から選択される、更なる及び/又は別の屈折率上昇剤を含んでよい。V2O5、MoO3、GeO2、TeO2、フッ化物、及びTl2Oといった屈折率上昇剤は一般に、透過率の低さ、コスト、及び/又は環境面での懸念を理由として、場合によってはあまり好ましくないものであり得るが、場合によってはこれらの屈折率上昇剤を使用してもよい。
【0069】
Ta2O5は上記ガラスの密度を上昇させることができ、いくつかの例では、冷却時にガラス溶融物の結晶化を引き起こし得る。更にTa2O5のコストは法外なものになる場合がある。従っていくつかの実施形態では、上記ガラス中のTa2O5の量を、0.0モル%~1.5モル%に制限することが好ましい場合がある。例えばTa2O5は、0.0モル%~1.5モル%、0.0モル%~1.0モル%、0.0モル%~0.5モル%、0.0モル%~0.25モル%、又は0.0モル%~0.1モル%の量で存在してよい。いくつかの例では、上記ガラスはTa2O5を含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態では、上記ガラスは0.0重量%~1.0重量%のTa2O5を含んでよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、Bi2O3は上記ガラス中に0.0モル%~20.0モル%の量で存在してよい。例えばBi2O3は上記ガラス中に、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、又は10.0モル%~20.0モル%の量で存在してよい。いくつかの実施形態では、上記ガラスはBi2O3を含まないか、又は実質的に含まない。Bi2O3の量が多いと、上記ガラスの密度が4.5g/cm3超に上昇する場合があり、及び/又はコストが法外なものとなる場合があるため、好ましくは上記ガラス中のBi2O3の量は20.0モル%以下である。
【0071】
いくつかの実施形態では、HfO2は上記ガラス中に0.0モル%~5.0モル%の量で存在してよい。例えばHfO2は、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~4.0モル%、0.0モル%~3.0モル%、0.0モル%~2.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、1.0モル%~4.0モル%、1.0モル%~3.0モル%、又は1.0モル%~2.0モル%の量で存在してよい。HfO2のコストは法外なものとなる可能性があり、またHfO2は高温においてガラス溶融物の結晶化を引き起こす恐れがある。従って上記ガラスは好ましくは、5.0モル%未満、いくつかの例では1.0モル%未満のHfO2を含む。いくつかの実施形態では、上記ガラスはHfO2を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、TeO2は上記ガラス中に0.0モル%~5.0モル%の量で存在してよい。例えばTeO2は、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~4.0モル%、0.0モル%~3.0モル%、0.0モル%~2.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、1.0モル%~4.0モル%、1.0モル%~3.0モル%、又は1.0モル%~2.0モル%の量で存在してよい。TeO2のコストは法外なものとなる可能性があり、またTeO2は望ましくないことに、上記ガラスの密度を上昇させる恐れがある。従って上記ガラスは好ましくは、5.0モル%未満、いくつかの例では1.0モル%未満のTeO2を含む。いくつかの実施形態では、上記ガラスはTeO2を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、GeO2は上記ガラス中に0.0重量%~2.0重量%の量で存在してよい。例えばGeO2は、0.0重量%~2.0重量%、0.1重量%~2.0重量%、0.1重量%~1.5重量%、0.5重量%~2.0重量%、0.5重量%~1.5重量%、又は1.0重量%~2.0重量%の量で存在してよい。
【0074】
本開示のある実施形態によると、上記ガラスは1つ以上の改質剤を含むことができる。上述のように、用語「改質剤」は、1価又は2価金属の酸化物、即ちM2O又はMO(「M」は金属を表す)を指す。改質剤を本開示のガラス組成物に添加することにより、溶融物のガラス形成性の改善を促進でき、即ち臨界冷却速度を低減できる。本開示のガラスで使用できる改質剤の例としては、CaO、MgO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oといったアルカリ及びアルカリ土類改質剤、並びにZnO及びAg2Oといった他の改質剤が挙げられる。一実施形態によると、上記ガラス組成物は、上記ガラスの所望の屈折率と密度との間の比率を提供することが分かった、CaO及び/又はLi2Oを含むことができる。いくつかの実施形態では、他のアルカリ及びアルカリ土類金属酸化物(Na2O、K2O、MgO、SrO、BaO等)、並びに着色をもたらさない他の改質剤(例えばZnO、Ag2O等)を、上記ガラス組成物に含めてよい。こういった他の改質剤は、CaO及びLi2Oのように所望の屈折率及び/又は密度の提供を促進するものではないかもしれないが、これらの改質剤を上記ガラス組成物に添加することによって、他の特性を提供できる。例えば酸化バリウム(BaO)、酸化カリウム(K2O)、酸化ナトリウム(Na2O)等を添加することによって、ガラス溶融物中の屈折率上昇剤(TiO2、Nb2O5、ZrO2等)の溶解度を上昇させることができ、これは、上記ガラスの屈折率の全体的な上昇、及び/又は密度に対する屈折率の比の上昇に繋がり得る。本開示の一実施形態によると、上記ガラスは改質剤として少なくともCaOを含んでよい。これは、CaOが密度、屈折率、及びガラス形成性の所望の属性の良好なバランスを提供することが分かったためである。従って本開示の多くの例では、上記ガラス組成物中に存在する1つ以上の改質剤の全て、又は少なくとも一部は、CaOの形態である。
【0075】
本開示のある実施形態によると、1つ以上の改質剤は個別に、上記ガラス組成物中に0.0モル%~32.0モル%の量で存在できる。例えば1つ以上の改質剤は個別に、上記ガラス組成物中に0.0モル%~32.0モル%、0.0モル%~31.0モル%、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~25.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~8.0モル%、0.0モル%~7.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~2.0モル%、2.0モル%~32.0モル%、2.0モル%~31.0モル%、2.0モル%~30.0モル%、2.0モル%~25.0モル%、2.0モル%~20.0モル%、2.0モル%~15.0モル%、2.0モル%~10.0モル%、2.0モル%~8.0モル%、2.0モル%~7.0モル%、2.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~32.0モル%、5.0モル%~31.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~25.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、5.0モル%~8.0モル%、5.0モル%~7.0モル%、7.0モル%~32.0モル%、7.0モル%~31.0モル%、7.0モル%~30.0モル%、7.0モル%~25.0モル%、7.0モル%~20.0モル%、7.0モル%~15.0モル%、7.0モル%~10.0モル%、8.0モル%~32.0モル%、8.0モル%~31.0モル%、8.0モル%~30.0モル%、8.0モル%~25.0モル%、8.0モル%~20.0モル%、8.0モル%~15.0モル%、8.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~32.0モル%、10.0モル%~31.0モル%、0.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~25.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、又は10.0モル%~15.0モル%の量で存在できる。いくつかの実施形態では、上記ガラスは改質剤を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、CaOは0.0モル%~32.0モル%の量で存在してよい。例えばCaOは上記ガラス組成物中に、0.0モル%~32.0モル%、0.0モル%~31.0モル%、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~25.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~8.0モル%、0.0モル%~7.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~2.0モル%、2.0モル%~32.0モル%、2.0モル%~31.0モル%、2.0モル%~30.0モル%、2.0モル%~25.0モル%、2.0モル%~20.0モル%、2.0モル%~15.0モル%、2.0モル%~10.0モル%、2.0モル%~8.0モル%、2.0モル%~7.0モル%、2.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~32.0モル%、5.0モル%~31.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~25.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、5.0モル%~8.0モル%、5.0モル%~7.0モル%、7.0モル%~32.0モル%、7.0モル%~31.0モル%、7.0モル%~30.0モル%、7.0モル%~25.0モル%、7.0モル%~20.0モル%、7.0モル%~15.0モル%、7.0モル%~10.0モル%、8.0モル%~32.0モル%、8.0モル%~31.0モル%、8.0モル%~30.0モル%、8.0モル%~25.0モル%、8.0モル%~20.0モル%、8.0モル%~15.0モル%、8.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~32.0モル%、10.0モル%~31.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~25.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、又は10.0モル%~15.0モル%の量で存在できる。いくつかの例では、CaOはガラス中に、0.5重量%~25.0重量%、1.0重量%~25.0重量%、5.0重量%~25.0重量%、8.0重量%~25.0重量%、10.0重量%~25.0重量%、0.5重量%~20.0重量%、1.0重量%~20.0重量%、5.0重量%~20.0重量%、8.0重量%~20.0重量%、10.0重量%~20.0重量%、0.5重量%~15.0重量%、1.0重量%~15.0重量%、5.0重量%~15.0重量%、8.0重量%~15.0重量%、10.0重量%~15.0重量%、0.5重量%~10.0重量%、1.0重量%~10.0重量%、5.0重量%~10.0重量%、又は8.0重量%~10.0重量%の量で存在してよい。いくつかの例では、CaOは、8.0重量%超かつ25.0重量%以下の量で存在してよい。いくつかの実施形態では、CaOの濃度が32.0モル%を超えると、比較的高い屈折率を有するガラスの製造がより困難になり得、及び/又は結晶化する傾向を有するガラス溶融物がもたらされ得るがことが分かった。
【0077】
いくつかの実施形態では、ZnOはガラス中に0.0モル%~10.0モル%の量で存在してよい。例えばZnOは、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~8.0モル%、0.0モル%~6.0モル%、0.0モル%~4.0モル%、0.0モル%~2.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~8.0モル%、1.0モル%~6.0モル%、1.0モル%~4.0モル%、1.0モル%~2.0モル%、2.0モル%~10.0モル%、2.0モル%~8.0モル%、2.0モル%~6.0モル%、2.0モル%~4.0モル%、4.0モル%~10.0モル%、4.0モル%~8.0モル%、又は4.0モル%~6.0モル%の量で存在してよい。いくつかの例では、ZnOは2.0モル%以下(0.0モル%を含む)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ZnOの濃度が更に高いと、溶融物のガラス形成性が低下し、溶融物は冷却中に結晶化する傾向を有し得ることが分かった。従っていくつかの例ではZnOの濃度は10.0モル%以下、8.0モル%以下、6.0モル%以下、4.0モル%以下、場合によっては2.0モル%以下である。本開示のいくつかの実施形態では、2.0モル%を超える量のZnOを添加すると、冷却中にガラス溶融物が結晶化することが分かったため、いくつかの実施形態では、好ましくはZnOは2.0モル%以下の量で存在する。いくつかの例では、ZnOは0.0重量%~2.0重量%以下の量で存在する。
【0078】
いくつかの実施形態では、Li2Oはガラス中に0.0モル%~7.0モル%の量で存在してよい。例えばLi2Oは、0.0モル%~7.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~3.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~7.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、1.0モル%~3.0モル%、3.0モル%~7.0モル%、3.0モル%~5.0モル%、又は5.0モル%~7.0モル%の量で存在してよい。いくつかの例では、Li2Oは、0.0重量%~2.0重量%の量で存在する。一部のガラスでは、Li2Oはガラス組成物のガラス形成性に悪影響を及ぼす場合があるため、いくつかの実施形態では、上記ガラスはLi2Oを含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、BaOはガラス中に0.0モル%~15.0モル%の量で存在してよい。例えばBaOは、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~12.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~3.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~12.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、3.0モル%~15.0モル%、3.0モル%~12.0モル%、3.0モル%~10.0モル%、3.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、又は5.0モル%~12.0モル%の量で存在してよい。いくつかの例では、BaOは、0.0重量%~10.0重量%、0.0重量%~8.0重量%、0.0重量%~5.0重量%、0.0重量%~1.0重量%、1.0重量%~10.0重量%、1.0重量%~8.0重量%、又は1.0重量%~5.0重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、BaOの量が15.0モル%を超えると、上記ガラスの密度が所望の限界を超えて上昇する場合があることが分かった。
【0080】
いくつかの実施形態では、MgOはガラス中に0.0モル%~5.0モル%の量で存在してよい。例えばMgOは、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~3.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、1.0モル%~3.0モル%、又は3.0モル%~5.0モル%の量で存在してよい。一部のガラスでは、MgOはガラス組成物のガラス形成性に悪影響を及ぼす場合があるため、いくつかの実施形態では、上記ガラスはMgOを含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0081】
本開示の一実施形態によると、上記1つ以上の改質剤は、CaO/(Li2O+Na2O+K2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)として表される、重量%での(Li2O+Na2O+K2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合計に対するCaOの比が、0.50以上になるような量で、上記ガラス中に存在してよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、上記1つ以上の改質剤は、(RO+Alk2O)として表される、2価金属酸化物(RO)の総含有量とアルカリ金属酸化物(Alk2O)の総含有量との合計が、0.0モル%~40.0モル%となるような量で、存在してよい。例えば上記1つ以上の改質剤は、(RO+Alk2O)が0.0モル%~40.0モル%、0.0モル%~36.0モル%、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~22.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~40.0モル%、1.0モル%~36.0モル%、1.0モル%~30.0モル%、1.0モル%~22.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~40.0モル%、5.0モル%~36.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~22.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~40.0モル%、10.0モル%~36.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~22.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、20.0モル%~40.0モル%、20.0モル%~36.0モル%、20.0モル%~30.0モル%、20.0モル%~22.0モル%、22.0モル%~40.0モル%、22.0モル%~36.0モル%、22.0モル%~30.0モル%、又は30.0モル%~40.0モル%となるような量で存在してよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、上記1つ以上の改質剤は、(RO+R2O)として表される、2価金属酸化物(RO)の総含有量と1価金属酸化物(R2O)の総含有量との合計が、0.0モル%~40.0モル%となるような量で、存在してよい。RO及び/又はR2O改質剤の量がより多くなると、上記ガラス溶融物は結晶化する傾向を有し得、所望の屈折率に到達するのが困難になり得る。更に、RO及びR2Oの量がより多くなると、上記ガラスの耐化学性が低下し得る。1価金属酸化物R2Oの例としては、アルカリ金属酸化物が挙げられる。2価金属酸化物の例としては、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、及びPbOが挙げられる。例えば上記1つ以上の改質剤は、(RO+R2O)が0.0モル%~40.0モル%、0.0モル%~36.0モル%、0.0モル%~30.0モル%、0.0モル%~22.0モル%、0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~40.0モル%、1.0モル%~36.0モル%、1.0モル%~30.0モル%、1.0モル%~22.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~40.0モル%、5.0モル%~36.0モル%、5.0モル%~30.0モル%、5.0モル%~22.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、10.0モル%~40.0モル%、10.0モル%~36.0モル%、10.0モル%~30.0モル%、10.0モル%~22.0モル%、10.0モル%~20.0モル%、20.0モル%~40.0モル%、20.0モル%~36.0モル%、20.0モル%~30.0モル%、20.0モル%~22.0モル%、22.0モル%~40.0モル%、22.0モル%~36.0モル%、22.0モル%~30.0モル%、又は30.0モル%~40.0モル%となるような量で存在してよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、上記ガラスが含む2価金属酸化物(RO)の総量は、3.0モル%以上であってよい。例えば上記ガラスが含むRO(ここでROはアルカリ土類金属酸化物、ZnO、PbO等を含む)の総量は、3.0モル%以上、5.0モル%以上、10.0モル%以上、15.0モル%以上、20.0モル%以上、25.0モル%以上、又は30.0モル%以上であってよい。いくつかの実施形態では、ROの量がより少ないと、ガラス組成物中に、TiO2、Nb2O5、ZrO2等を例とする屈折率上昇性の種を入れるのが困難になり得、これにより、冷却中に結晶化する傾向を有するガラス溶融物がもたらされることが分かった。
【0085】
いくつかの実施形態では、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Bi2O3、及びWO3は、上記ガラス中に存在していなくてもよく、又は(REmOn+TiO2+Nb2O5+ZrO2+Bi2O3+WO3)の合計が25.0モル%以上となるような量で存在してもよく、ここでREmOnは、上記ガラス組成物中の希土類金属酸化物の総量である。いくつかの例では、これらの種が、(REmOn+TiO2+Nb2O5+ZrO2+Bi2O3+WO3)の合計が25.0モル%未満となるように存在する場合、所望の高い屈折率を有するガラスの形成が困難になり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、SiO2、B2O3、Alk2O、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOは、上記ガラス中に存在していなくてもよく、又は(SiO2+B2O3+Alk2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合計が69.0モル%以下となるような量で存在してもよく、ここでAlk2Oは、上記ガラス組成物中のアルカリ金属酸化物の総含有量である。いくつかの例では、(SiO2+B2O3+Alk2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合計は、4.0モル%~69.0モル%であってよい。いくつかの例では、これらの種が、(SiO2+B2O3+Alk2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合計が69.0モル%超となるような量で存在する場合、所望の高い屈折率を有するガラスの形成が困難になり得る。BaOの場合、例えば濃度が高いと、低い密度において所望の高い屈折率を有するガラスの形成が困難になり得る。いくつかの実施形態では、CaO、SrO、及び/又はBaOは、重量%での(CaO+SrO+BaO)の合計が0.2重量%以上となるように、上記ガラス中に存在してよく、又は存在していなくてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、上記ガラスはCdOを0.0モル%~15.0モル%の量で含んでよい。例えばCdOは、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、又は5.0モル%~10.0モル%の量で存在してよい。いくつかの例では、上記ガラスはCdOを含まないか、又は実質的に含まない。
【0088】
いくつかの実施形態では、上記ガラスはPbOを0.0モル%~1.0モル%の量で含んでよい。例えばPbOはガラス中に、0.0モル%~1.0モル%、0.0モル%~0.75モル%、0.0モル%~0.5モル%、又は0.0モル%~0.1モル%の量で存在してよい。いくつかの例では、上記ガラスはPbOを含まないか、又は実質的に含まない。本開示の他の実施形態では、上記ガラスはPbOを、1.0モル%超の量で、例えば最大2.0モル%、若しくは最大3.0モル%、若しくは最大4.0モル%、若しくは最大5.0モル%の量で、又は1.0モル%~5.0モル%、1.0モル%~4.0モル%、1.0モル%~3.0モル%、2.0モル%~5.0モル%、2.0モル%~4.0モル%、若しくは3.0モル%~5.0モル%の量で含んでよい。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態では、上記ガラスは、La2O3、Yb2O3、Gd2O3、TiO2、及びNb2O5のうちの少なくとも1つを含む。例えばSiO2、B2O3、La2O3、Yb2O3、Gd2O3、TiO2、及び/又はNb2O5は、重量%での(SiO2+B2O3)/(La2O3+Yb2O3+TiO2+Nb2O5)の比が0.3以上となるように、上記ガラス中に存在できる。別の例では、SiO2、B2O3、La2O3、Yb2O3、Gd2O3、TiO2、及び/又はNb2O5は、重量%での(TiO2+Nb2O5)/(La2O3+Gd2O3+Yb2O3)の比が1.35未満となるように、上記ガラス中に存在できる。
【0090】
いくつかの実施形態では、上記ガラスはGd2O3を0.0重量%~20.0重量%の量で含んでよい。例えば上記ガラスはGd2O3を、0.0重量%~20.0重量%、0.0重量%~15.0重量%、0.0重量%~10.0重量%、0.0重量%~5.0重量%、2.0重量%~20.0重量%、2.0重量%~15.0重量%、2.0重量%~10.0重量%、2.0重量%~5.0重量%、5.0重量%~20.0重量%、5.0重量%~15.0重量%、5.0重量%~10.0重量%、10.0重量%~20.0重量%、10.0重量%~15.0重量%、又は15.0重量%~20.0重量%の量で含んでよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、上記ガラスはLa2O3及び/又はGd2O3を、重量%での(La2O3+Gd2O3)の合計が0.0重量%~40.0重量%となるような量で含んでよい。例えば、上記ガラス中の、重量%での(La2O3+Gd2O3)の合計は、0.0重量%~40.0重量%、0.0重量%~35.0重量%、0.0重量%~30.0重量%、0.0重量%~25.0重量%、0.0重量%~20.0重量%、0.0重量%~15.0重量%、0.0重量%~10.0重量%、0.0重量%~5.0重量%、5.0重量%~40.0重量%、5.0重量%~35.0重量%、5.0重量%~30.0重量%、5.0重量%~25.0重量%、5.0重量%~20.0重量%、5.0重量%~15.0重量%、5.0重量%~10.0重量%、10.0重量%~40.0重量%、10.0重量%~35.0重量%、10.0重量%~30.0重量%、10.0重量%~25.0重量%、10.0重量%~20.0重量%、10.0重量%~15.0重量%、15.0重量%~40.0重量%、15.0重量%~35.0重量%、15.0重量%~30.0重量%、15.0重量%~25.0重量%、15.0重量%~20.0重量%、20.0重量%~40.0重量%、20.0重量%~35.0重量%、20.0重量%~30.0重量%、20.0重量%~25.0重量%、25.0重量%~40.0重量%、25.0重量%~35.0重量%、25.0重量%~30.0重量%、又は30.0重量%~40.0重量%であってよい。
【0092】
いくつかの実施形態によると、本開示のガラスは、重量%で比(CaO+SrO+BaO)/(Nb2O5+TiO2)が0.45以上となるような量で、CaO、SrO、BaO、Nb2O5、及び/又はTiO2を含むことができる。例えば本開示のガラスは、重量%で比(CaO+SrO+BaO)/(Nb2O5+TiO2)が0.45以上、0.475以上、又は0.50以上となるような量で、CaO、SrO、BaO、Nb2O5、及び/又はTiO2を含むことができる。
【0093】
例えばPbO、MoO3、及びGeO2といった一部の酸化物は、環境への影響、着色、及び/又はコストといった理由から、望ましくない場合がある。例えばAl2O3、Y2O3、及びTa2O5といった一部の酸化物は、ガラス組成物のガラス形成性を低下させる能力を有するため、上記ガラス中に多量に存在するのは望ましくない場合がある。いくつかの実施形態では、Y2O3、GeO2、Ta2O5、Al2O3、MoO3、PbO、TeO2、FeO、及びFe2O3の合計(Y2O3+GeO2+Ta2O5+Al2O3+MoO3+PbO+TeO2+FeO+Fe2O3)は、0.0モル%~0.5モル%である。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、合計(Y2O3+GeO2+Ta2O5+Al2O3+MoO3+PbO+TeO2+FeO+Fe2O3)が0.0モル%となるよう、Y2O3、GeO2、Ta2O5、Al2O3、MoO3、PbO、TeO2、FeO、及びFe2O3を含まないか、又は実質的に含まない。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、フッ素を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。いくつかの実施形態では、上記ガラスは0.0原子%~1.0原子%のフッ素を含んでよい。例えば上記ガラスは、0.0原子%~1.0原子%、0.0原子%~0.5原子%、0.0原子%~0.25原子%、又は0.0原子%~0.1原子%のフッ素を含んでよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、PbO、GeO2、TeO2、WO3、Y2O3、及びLi2Oのうちの少なくとも1つを含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。他の実施形態では、上記ガラスは、PbO、GeO2、TeO2、WO3、Y2O3、及びLi2Oの全てを含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、上記ガラスはアンチモン、ヒ素、フッ素、Bi2O3、及びPbOのうちの少なくとも1つを含まないか、又は実質的に含まない。例えば上記ガラスは、PbO及びBi2O3を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。別の例では、本開示のガラスはヒ素及び/又はアンチモンを含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。更に別の例では、上記ガラスはアンチモン、ヒ素、フッ素、Bi2O3、及びPbOを含まないか、又は実質的に含まない。
【0097】
いくつかの実施形態では、Bi2O3及び/又はPbOは、存在していなくてもよく、又はBi2O3とPbOとの合計(Bi2O3+PbO)が0.0モル%~20.0モル%となるような量で存在してよい。例えばBi2O3及び/又はPbOは、存在していなくてもよく、又は(Bi2O3+PbO)が0.0モル%~20.0モル%、0.0モル%~15.0モル%、0.0モル%~10.0モル%、0.0モル%~5.0モル%、0.0モル%~1.0モル%、1.0モル%~20.0モル%、1.0モル%~15.0モル%、1.0モル%~10.0モル%、1.0モル%~5.0モル%、5.0モル%~20.0モル%、5.0モル%~15.0モル%、5.0モル%~10.0モル%、若しくは10.0モル%~20.0モル%となるような量で存在してよい。Bi2O3及びPbOの濃度がより高いと、形成されるガラスの密度が4.5g/cm3を超えて上昇する場合がある。更に、Bi2O3及びPbOは、コスト及び/又は環境面での懸念から、望ましくない場合があるため、好ましくはBi2O3及び/又はPbOの合計量は20.0モル%未満である。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、Bi2O3及びPbOのうちの一方若しくは両方を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、V2O5及び/又はPbOは、存在していなくてもよく、又は重量%でのV2O5とPbOとの合計(V2O5+PbO)が0.0重量%~1.0モル%となるような量で存在してよい。例えば重量%での(V2O5+PbO)の合計は、0.0重量%~1.0重量%、0.1重量%~1.0重量%、又は0.5重量%~1.0重量%とすることができる。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、V2O5及びPbOのうちの一方若しくは両方を含まなくてよく、又は実質的に含まなくてよい。
【0099】
本開示の別の実施形態によると、上記ガラスは、Fe、Cu、Co、Ni、及びCrを含まないか、又は実質的に含まない。これらの元素は、上記ガラスの望ましくない着色に寄与する可能性があるため、いくつかの実施形態では、上記ガラスは、Fe、Cu、Co、Ni、及びCrといった着色成分を含まないか、又は実質的に含まない。
【0100】
本開示のある実施形態によると、本明細書に記載のガラスは、587.56nmで測定した場合に1.70以上の屈折率ndを有する。いくつかの例では、上記ガラスは、587.56nmで測定した場合に1.70以上、1.75以上、1.80以上、1.83以上、1.85以上、1.88以上、1.90以上の屈折率ndを有する。いくつかの例では、上記ガラスは、587.56nmで測定した場合に1.70~1.95、1.70~1.90、1.70~1.85、1.70~1.83、1.70~1.80、1.70~1.75、1.75~1.95、1.75~1.90、1.75~1.85、1.75~1.83、1.75~1.80、1.80~1.95、1.80~1.90、1.80~1.85、1.80~1.83、1.85~1.95、又は1.85~1.90の屈折率ndを有する。
【0101】
所与の屈折率において、密度が低いことは、ガラスが利用される光学素子の重量が小さくなることに対応する。サイズ及び重量は、多くのタイプの光学デバイス、特に例えば拡張現実システム等の携帯型光学デバイスにおいて重要となり得る。上述のように、本開示のガラスは、低い密度と共に高い屈折率を有する。本開示のある実施形態によると、本明細書に記載のガラスの密度は、25℃で測定した場合に4.5g/cm3以下である。いくつかの例では、本開示のガラスの密度は、25℃で測定した場合に、4.5g/cm3以下、4.4g/cm3以下、4.3g/cm3以下、4.2g/cm3以下、4.1g/cm3以下、4.0g/cm3以下であってよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、式(III):
【0103】
【数11】
に従った屈折率n
d及び密度d
RTを特徴とすることができ、ここで屈折率n
dは587.56nmの波長で測定され、密度は25℃で(g/cm
3を単位として)測定される。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、式(IV):
【0104】
【数12】
に従った屈折率n
d及び密度d
RTを特徴とすることができ、屈折率n
dの値は、587.56nmの波長で測定した場合に1.7~1.95であり、密度は25℃で(g/cm
3を単位として)測定される。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、式(IV)(a)及び/又は(IV)(b):
【0105】
【0106】
ガラスに関する所望の光分散は、特定の用途に応じて変動し得る。ガラスの光分散が低いほど、アッベ数νdは大きくなり、これは、上記ガラスによる光の散乱の程度が低くなることに対応する。比較的低い光分散は、1つのレンズ内で異なる複数の波長の光を集束させる用途において特に望ましい。波長に応じた光の分割といった他の用途では、より高い光分散が望ましい場合がある。本開示のある実施形態によると、本明細書に記載のガラスは、低い光分散を特徴とする。上述のように、光分散はアッベ数νdによって数値的に表すことができる。本開示のある実施形態によると、本明細書に記載のガラスは、35以下のアッベ数νdを特徴とする低い光分散を有する。例えば上記ガラスのアッベ数νdは、35以下又は33以下であってよい。いくつかの実施形態では、屈折率が1.8より高いガラスについて、光分散は、アッベ数νdが約25以上である場合に許容可能な低さであるとみなすことができる。例えば本開示のガラスのアッベ数νdは、25~35、25~33、25~31、25~30、25~28、25~27、27~35、27~33、27~31、27~30、27~28、28~35、28~33、28~31、28~30、30~35、30~33、30~31、31~35、又は31~33であってよい。
【0107】
図1は、複数の光学系企業(Schott AG、HOYA株式会社、株式会社オハラ、及び株式会社住田光学ガラス)のカタログからのいくつかの比較例のガラス、並びに本開示による実施例のガラスである、以下の表6に記載されている実施例のガラス12(「実施例12」)に関する、アッベ数ν
dの関数としての屈折率n
dのプロット(「アッベ図(Abbe diagram)」)を示す。
図1に示されているガラスは、高い屈折率、低い密度、及び低い光分散(即ち高いアッベ数)を有するガラスを形成することの困難さを示す。一般に、ガラスの屈折率を上昇させるほど、典型的にはガラスの密度も上昇することになる。所与の屈折率において、当該技術分野の従来の知見は、光分散が低い(即ちアッベ数が高い)ガラスほど密度が高くなることを示唆している。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、一部の光学用途において有用となり得る、高い屈折率と、低い密度と、低い光分散との間の折衷案を提供できる。
【0108】
光学カメラレンズ及び遠近両用眼鏡レンズといった一部の光学用途では、光学素子(例えばレンズ)によって形成される光学画像の歪みを補正することが望ましい。これらの課題に対処するために、一部の光学系は、例えばアクロマート系のような、異なる複数の屈折率及び分散を有する光学材料で作製された複数の光学素子を含んでよい。一部の用途では、上記複数の材料の光分散が特定の関係を満たすことが好ましい。1つの一般的な関係は「法線(normal line)」と呼ばれ、これは4つの異なる波長:nd(587.56nm)、nF(486.1nm)、nC(656.3nm)、及びng(435.8nm)における試料の屈折率の間の関係を、以下の式(V):
【0109】
【数14】
のように特徴付けるものであり、ここで、本開示における係数A及びBの数値は、2014年5月にSchott Advanced Opticsによって公開されたDr. Ralf Jedamzik著「Color correction in optical systems」(14ページ)で提供されているものであり、A=0.6438、及びB=-0.001682である。P
g-Fは部分相対分散と呼ばれる。式(V)によって記述される値に近いP
g-Fの計算値は、材料が、多くのタイプの光学系において必要とされる「法線」関係を満たすことができることを示す。
図2は、Schott AG、HOYA株式会社、株式会社オハラ、及び株式会社住田光学ガラスの光学カタログからの比較例のガラス、並びに本開示によるいくつかの実施例のガラス(「Ex.ガラス」)に関する、アッベ数ν
dの関数としてのP
g-Fのプロットを示す。
図2は、比較例のガラス及び実施例のガラスの、「法線」に対する関係を示しており、これは、式:y=0.6438-0.001682*xに従った線としてのプロットで示されている。
図2に示されている実施例は、法線と整列するガラス、即ち法線からの偏差又は距離が最小であるガラスを形成するという課題を示している。
【0110】
本開示のいくつかの実施形態によると、本明細書に記載のガラスは、式(VI)及び式(VII):
【0111】
【0112】
【数16】
を満たす部分分散比P
g-Fを有することができ、ここでアッベ数は約33以下である。
【0113】
いくつかの実施形態では、上記ガラスは高い透過率を特徴とする。一般に、ガラスの透過率が高いほど、所与の光学損失において光が通過する経路は長くなり、これによって、多くの用途において光学性能を向上させることができる。高屈折率ガラスは典型的には、光の少なくとも一部分、特に電磁スペクトルの青色及び近UV領域の光を吸収する、TiO2及びNb2O5といった種を含む。本開示の実施形態では、約300nm~2300nmの範囲内の異なる複数の波長に関して、ガラスの透過率を特性決定してよい。いくつかの用途では、可視及び近UV範囲(青色領域)における透過が高いことが特に望ましい。青色における高い透過率を高屈折率ガラスで達成するのは困難である場合がある。屈折率を上昇させるためにガラスに典型的に使用される高レベルのTiO2及び/又はNb2O5は、近UV領域の透過率を低下させ、UVカットオフをより高い波長へとシフトさせる傾向を有する。青色における(フレネル損失を考慮した)内部透過率は、波長460nmにおける厚さ10mmの試料の内部透過率が90%以上である場合に許容可能とみなすことができ、内部透過率が95%以上である場合に良好とみなすことができ、内部透過率が97%以上である場合に優れているとみなすことができる。
【0114】
図3は、Schott AG、HOYA株式会社、及び株式会社オハラの光学カタログからの比較例のガラス、並びに本開示のある実施形態によるいくつかの実施例のガラス(「Ex.ガラス」)に関する、内部透過率τ
intの関数としての屈折率n
dのプロットである。
図3に示されているデータは、厚さ10mmの比較例及び実施例のガラス試料について、波長400nmで測定したものとして得られた。
図3に示されているように、屈折率が1.7、1.8等を超えて上昇すると、ガラスの青色透過率は一般に低下する。何らかの理論によって束縛されることを望むものではないが、密度が低いガラスを形成するために添加されることが多いTiO
2及びNb
2O
5等の種は、青色光を透過させるガラスの能力に悪影響を及ぼし得ると考えられる。従って上述のように、本開示のいくつかの実施形態では、特に青色光の透過率を上昇させる必要がある場合に、本発明のガラス中のTiO
2及び/又はNb
2O
5の量は、本明細書に記載されているように制限され得る。
【0115】
図4は、波長の関数としての全透過率を、特定の値の透過率、即ち5%、70%、及び80%について概略的に示す。これらの特定の透過率の値、即ち5%、70%、及び80%に対応する波長が、それぞれλ
5%、λ
70%、及びλ
80%として表されている。本開示の文脈では、λ
5%、λ
70%、及びλ
80%の量の、より小さい値が、光学ガラスの青色及びUV透過率の向上に対応する。
【0116】
本開示のいくつかの実施形態では、上記ガラスは、式(VIII)及び/又は式(IX):
【0117】
【数17】
に従った、ナノメートルを単位とする波長λ
70%における70%の全透過率を有してよく、ここでn
dは587.56nmの波長で測定された屈折率であり、全透過率は厚さ10mmの試料について測定されている。
【0118】
本開示のいくつかの実施形態では、上記ガラスは、式(X):
【0119】
【数18】
に従った、上記ガラスの部分分散比P
g-Fに基づく、ナノメートルを単位とする波長λ
70%における70%の全透過率を有してよく、ここでP
g-Fは、式(V)に関して上述したガラスの部分分散比である。
【0120】
本開示のいくつかの実施形態では、上記ガラスは、式(XI):
【0121】
【数19】
に従った、ナノメートルを単位とする波長λ
80%における80%の全透過率を有してよい。
【0122】
一実施形態によると、本開示のガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して360nmで測定した場合に10%以上の全透過率τを有することができる。例えば上記ガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して360nmで測定した場合に10%以上、12%以上、15%以上、又は18%以上の全透過率τを有することができる。いくつかの例では、本開示のガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して360nmで測定した場合に10%~20%、10%~18%、10%~15%、又は10%~12%以上の全透過率τを有することができる。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して370nmで測定した場合に25%以上の全透過率τを有することができる。例えば上記ガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して370nmで測定した場合に25%以上、28%以上、30%以上、又は32%以上の全透過率τを有することができる。いくつかの例では、本開示のガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して370nmで測定した場合に25%~35%、25%~32%、25%~30%、又は25%~28%の全透過率τを有することができる。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して380nmで測定した場合に50%以上の全透過率τを有することができる。例えば上記ガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して380nmで測定した場合に50%以上、55%以上、又は58%以上の全透過率τを有することができる。例えば本開示のガラスは、厚さ10mmのガラス試料を通して380nmで測定した場合に50%~60%、50%~58%、又は50%~55%の全透過率τを有することができる。
【0123】
いくつかの実施形態によると、本開示のガラスは、0.485以上の透過率指数Tiを有することができ、ここで透過率指数Tiは、式(XII):
【0124】
【数20】
に従って決定され、式(XII)中に列挙されている各酸化物は、モル%で表されたガラス中の酸化物の量を指す。いくつかの例では、式(XII)による透過率指数T
iが0.485未満である場合、ガラスの透過率は、いくつかの用途にとって十分に高くはならない可能性がある。いくつかの例では、式(XII)による透過率指数T
iは、0.485以上、0.500以上、0.550以上、又は0.575以上であってよい。例えば式(XII)による透過率指数T
iは、0.485~0.600、0.490~0.600、0.500~0.600、0.520~0.600、0.540~0.600、0.560~0.600、0.580~0.600、0.485~0.580、0.490~0.580、0.500~0.580、0.520~0.580、0.540~0.580、0.560~0.580、0.485~0.560、0.490~0.560、0.500~0.560、0.520~0.560、0.540~0.560、0.485~0.540、0.490~0.540、0.500~0.540、0.520~0.540、0.485~0.520、0.490~0.520、又は0.500~0.520であってよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、上記ガラスは、式(XIII):
【0126】
【数21】
を満たす(587.56nmで測定された)屈折率n
d及び透過率指数T
iを特徴としてよい。
【0127】
屈折率及び密度は、ガラスの組成から予測できる2つの特性である。本開示の実施例のガラスの組成空間付近の比較例のガラスの線形回帰分析を実施して、587.56nmの波長における屈折率ndの組成依存性、及び25℃におけるガラスの密度(g/cm3)の組成依存性を予測できる式を決定した。以下の式(XIV)及び(XV)は線形回帰分析から得られたものであり、それぞれガラスの屈折率及び密度の予測に使用された:
【0128】
【0129】
【数23】
ここでP
nは、587.56nmの波長におけるガラスの屈折率n
dを予測する屈折率パラメータであり、P
dは、25℃におけるガラスの密度(g/cm
3)をガラスの組成に基づいて予測する密度パラメータであり、式(XIV)及び(XV)中に列挙された各酸化物は、上記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す。
【0130】
図5は、いくつかの比較例のガラス(「Comp.ガラス」)及び実施例のガラス(「Ex.ガラス」)に関する、屈折率パラメータP
nの関数としての測定屈折率n
d(587.56nmで測定)のプロットである。
図5のデータによって示されているように、屈折率パラメータP
nの組成依存性は、大半のガラスについて、測定屈折率n
dの±0.015単位の範囲内の誤差を有していた。
図6は、いくつかの比較例のガラス及び実施例のガラスに関する、密度パラメータP
dの関数としての(25℃で測定された)測定密度(g/cm
3)のプロットである。
図6のデータによって示されているように、密度パラメータP
dの組成依存性は、大半のガラスについて、測定密度の±0.10g/cm
3の範囲内の誤差を有していた。以下の表1は、式(XIV)及び(XV)が導かれた濃度限界を特定している。式(XIV)及び(XV)を決定するために使用された線形回帰分析は、回帰を進展させるための訓練セットとして使用するためのガラスをランダムに選択し、また、(以下の表1に示されている)事前に定義された組成の限界内での内挿を実施する能力を評価するための検証セットとして使用するためのガラスを選択し、有意でない変数及び外れ値は除外された。従来のガラス組成物の外部データセットを用いて、指定されている組成の限界から外れた特定の特性を妥当な精度で予測する能力を評価した。このプロセスを複数回繰り返して、式(XIV)及び(XV)に対応する、関心対象の各特性の最良のバリアントを決定した。この線形回帰モデリングで使用された比較例のガラス組成物に関するデータは、公開されているSciGlass Information Systemデータベースから取得した。587.56nmでの屈折率n
dに関しては、587.56nmで測定された屈折率n
dを報告していないSciGlass Information Systemデータベースのガラスについて、モデリングシステムによって、その特定のガラスについて提供された屈折率の値に基づいて、587.56nmでの屈折率n
dの内挿を提供した。
【0131】
【表1】
本開示のいくつかの実施形態を表す濃度限界は、以下の表2、3、及び4に明記されている。
【0132】
ある実施形態によると、本開示のガラスは1.7~1.95の屈折率パラメータPnを有することができる。例えば上記ガラスは、1.7~1.95、1.75~1.95、1.80~1.95、1.85~1.95、1.90~1.95、1.7~1.90、1.75~1.90、1.80~1.90、1.85~1.90、1.7~1.85、1.75~1.85、1.80~1.85、1.7~1.80、又は1.75~1.80の屈折率パラメータPnを有することができる。
【0133】
別の実施形態によると、本開示のガラスは、4.5以下の密度パラメータPdを有することができる。例えば上記ガラスは、4.5以下、4.4以下、4.3以下、4.2以下、又は4.1以下の密度パラメータPdを有することができる。
【0134】
本開示の更なる一実施形態によると、本発明のガラスは、式(XVI):
【0135】
【数24】
を満たす屈折率パラメータP
n及び密度パラメータP
dを有することができ、ここで屈折率パラメータP
nの値は1.7~1.95である。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、式(XVI)(a):
【0136】
【数25】
も満たすことができ、また一部のガラスは、式(XVI)(b):
【0137】
【0138】
いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、式(XVII):
【0139】
【数27】
を満たす屈折率パラメータP
n及び透過率指数T
iを有することができ、ここでP
nの値は1.75~1.95である。
【0140】
いくつかの実施形態では、上記ガラスは良好なガラス形成性を特徴とすることができ、上記ガラス形成性は、冷却中の失透に対する耐性として評価できる。上述のように、ガラス形成性は、溶融物の臨界冷却速度、即ち溶融物が結晶化することなくガラスを形成する最低冷却速度を決定することによって、数値的に測定できる。一実施形態によると、上記ガラスは、300℃/分以下、いくつかの例では100℃/分以下の臨界冷却速度を特徴としてよい。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、空気中で、結晶化することなく2.5分で1100℃から500℃まで冷却できることを特徴とすることができる。このガラス形成性を特徴とするガラスは、プレス成型プロセスに対応できる。
【0141】
本開示のいくつかの実施形態による本開示の実施例のガラスAが、以下の表2に示されている。表2は、本開示のいくつかの実施形態による成分の組み合わせ、及び各成分の量を特定している。表2の実施例のガラスAは、本明細書に記載の本開示のいずれの態様による追加の成分を含んでもよい。
【0142】
【表2】
本開示のいくつかの実施形態による本開示の実施例のガラスBが、以下の表3に示されている。表3は、本開示の一実施形態による成分の組み合わせ、及び各成分の量を特定している。表3の実施例のガラスBは、本明細書に記載の本開示のいずれの態様による追加の成分を含んでもよい。
【0143】
【表3】
本開示による実施例のガラスBは、式(XVI):
【0144】
【数28】
も満たすことができ、ここでP
nは1.7~1.95であり、P
n及びP
dはそれぞれ式(XIV)及び式(XV)に従って計算される。実施例のガラスBは、0.485~0.600の透過率指数T
iも有してよく、ここでT
iは式(XII)に従って計算される。
【0145】
本開示のいくつかの実施形態による本開示の実施例のガラスCが、以下の表4に示されている。表4は、本開示の一実施形態による成分の組み合わせ、及び各成分の量を特定している。表4の実施例のガラスCは、本明細書に記載の本開示のいずれの態様による追加の成分を含んでもよい。
【0146】
【表4】
本開示のある実施形態による実施例のガラスCは任意に、0.0原子%~1.0原子%のフッ素を含むことができる。いくつかの実施形態では、実施例のガラスCは、式(XVII):
【0147】
【数29】
を満たし、ここでP
nは1.75~1.95であり、P
nは式(XIV)に従って計算され、T
iは式(XII)に従って計算される。実施例のガラスCは、4.5未満の密度パラメータP
dも有してよく+、ここでP
dは式(XV)に従って計算される。
【0148】
本開示の実施形態は、(25℃で測定した場合に)4.5g/cm3未満又は以下の密度、及び任意に1つ以上の更なる所望の特徴と共に、1.7超、いくつかの実施形態では1.8超の高い屈折率ndを特徴とする、ガラスを提供できる。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、同等の値の密度及び屈折率ndを有する一部の従来技術のシリコボレートガラスと比較した場合の、ガラス形成性の改善を提供できる。このようなガラス形成性の改善により、製造を簡素化でき、コスト節減を提供でき、及び/又は最終的なガラス製品の品質を改善できる。いくつかの実施形態では、本開示のガラスは、同等の屈折率nd及び/又は密度特性を有する従来技術のガラスと比較した場合に、同等の、又は改善された、光分散、青色光の透過率、失透に対する耐性、及び/又は耐化学性を提供できる。
【実施例】
【0149】
以下の実施例は、本開示が提供する様々な特徴及び利点を説明するものであり、本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することは全く意図されていない。
【0150】
実施例のガラス及び比較例のガラスは全て、比較的純粋な酸化物材料を溶融させることによって調製された。以下の表5は、本明細書に記載の実施例のガラス及び比較例のガラスの調製に使用される酸化物の一部に見られる、典型的なトランプ元素を列挙したものである。
【0151】
【表5】
実施例のガラス1~26のためのガラス試料を調製するために、純白金るつぼ内で1キログラムのバッチを調製した。るつぼを1250℃に設定された炉に入れた後、炉内の温度を1300℃まで上昇させ、1300℃で2時間保持した。次に炉の温度を1250℃まで低下させて、ガラスをこの温度で1時間平衡化させた後、鋼鉄製のテーブル上に注ぎ、T
gで1時間アニーリングした。
【0152】
また、一部の試料の溶融物を、ジュール効果によって加熱された「1リットル」白金るつぼ内で溶融させた。このプロセスでは、およそ3700gの原材料を使用した。るつぼを1250℃で、1.5時間で充填した。次に温度を1300℃まで上昇させ、1300℃で1時間保持した。このステップの間、ガラスを60rpmで継続的に撹拌した。その後、温度を1200℃まで低下させて、ガラスを30分間平衡化させ、撹拌速度を20rpmまで低下させた。送達チューブを1225℃に加熱し、ガラスを、冷却されたグラファイト製のテーブル上で鋳造した。ガラスを、厚さおよそ25mm、幅50mm、長さ90cmのバーに成形した。調製したバーを光学顕微鏡で検査して結晶化をチェックした。バーは全て結晶を含まなかった。光学顕微鏡で観察されたガラスの品質は良好であり、バーは脈理及び気泡を含まなかった。おおまかなアニーリングのために、ガラスを徐冷オーブン内で1時間にわたってTgとした。次にバーを静的な炉内で1時間にわたってTgでアニーリングし、その後、温度を1℃/分で低下させた。
【0153】
実施例のガラス27~65のためのガラス試料を調製するために、バッチ原材料から約15グラムの各試料(標的種の含有量は99.99重量%超であった)を、白金るつぼ又は白金‐ロジウムるつぼ((Pt:Rh=80:20))内で、約1300℃で1時間にわたって溶解させた。2つの制御冷却条件を適用した。第1の条件(「15分試験」と呼ばれる)では、試料を炉内で1100℃から500℃に冷却するために約15分かかった。第2の条件(「2.5分試験」と呼ばれる)では、試料を1100℃から500℃に冷却するために約2.5分かかった。温度の読み取り値は、炉の温度の直接的な読み取りによって、又は較正スケーリングを伴うIRカメラを用いて、得られた。第1の条件(15分試験)は、1000℃(この温度の付近で冷却速度は最大値に近づく)における最大300℃/分の冷却速度に概ね対応し、第2の試験は、1000℃における最大600℃/分の冷却速度に概ね対応する。温度がより低くなると、冷却速度も大幅に低下する。第1及び第2の冷却体制の典型的なスケジュールを
図7に示す。試験された試料の化学分析は実施されなかった。これは、別個の溶融物として調製された同様の試料について、XRF法(X線蛍光、B
2O
3を除く全ての酸化物)、及びICP法(誘導結合プラズマ質量分析、B
2O
3)で化学分析を実施したためである。これらの分析により、同様に約1モル%未満であるNb
2O
5等の主要な成分について、バッチ組成からの±2.0質量%以内の偏差が得られた。
【0154】
以下の表6は、本開示の実施形態による実施例のガラス1~65のガラス組成及び特性を列挙したものである。表6は、3つの失透試験「失透試験1」、「失透試験2」、及び「失透試験3」からの観察を含む。「失透試験1」は、光学顕微鏡(倍率100~500倍)下での、1リットルるつぼ内で溶融させたガラス試料の観察の結果を指す。略号「A」、「B」、「C」及び「D」は以下のように使用される:結晶化の証拠なし(「A」);ガラス内の1つ又は2つのスポットのみ、及び表面のみにおいて、顕微鏡下でごく少数の結晶が発見されたが、表面の98%超は結晶を含まない(「B」);表面に更に多数の結晶があるものの、ガラス表面の90%超が結晶を含まない(「C」);るつぼの大半に多少の結晶があり、ガラス表面の90%未満が結晶を含まない(「D」)。「失透試験2」は、上述の「15分試験」冷却手順を指し、「OK」は、ガラス組成物がこの試験に合格したことを指すために使用される。「失透試験3」は、上述の「2.5分試験」冷却手順を指し、観察の「OK」は、ガラス組成物がこの試験に合格したことを指すために使用される。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【表6-9】
以下の表7は、比較例のガラス1~53のガラス組成及び特性を列挙したものである。
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【表7-7】
表7に列挙されている比較例のガラスそれぞれの参照キーは以下の通りである:[1]独国特許出願公開第102006024805A1号明細書(SCHOTT AG);[2]独国特許出願公開第4242859A号明細書(SCHOTT GLASWERKE);[3]特開2002‐173334号公報(ミノルタ株式会社);[4]特開2002‐362939号公報(ミノルタ株式会社);[5]特開2007‐153734号公報(SCHOTT AG);[6]特開昭59‐50048号公報(OBARA OPTICAL GLASS);[7]特開昭61‐168551(日本光学工業株式会社);[8]特開昭61‐232243号公報(株式会社オハラ);[9]米国特許出願公開第2018/251395A号明細書(旭硝子株式会社);[10]米国特許第4732876A号明細書(株式会社オハラ);[11]米国特許第5288669A号明細書(CORNING INC);[12]米国特許第6121176A号明細書(CORNING INC);[13]米国特許第6187702B1号明細書(株式会社オハラ);[14]米国特許第6413894B1号明細書(HOYA株式会社);[15]米国特許第7091145B2号明細書(CARL‐ZEISS‐STIFTUNG);[16]米国特許第7563738B2号明細書(株式会社オハラ);[17]米国特許第7598193B2号明細書(HOYA株式会社);[18]米国特許第8661853B2号明細書(HOYA株式会社);[19]米国特許第8728963B2号明細書(HOYA株式会社)。
【0171】
図8は、表6からの実施例のガラスのうちのいくつか、及び表7からの比較例のガラスのうちのいくつかの、パラメータP
dと屈折率パラメータP
nとの間の関係を示すプロットである。密度パラメータP
d及び屈折率パラメータP
nは、それぞれ式(XV)及び(XIV)に従って決定されたものであり、ここで式中に列挙された各酸化物は、上記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す。
図8に示されている全ての実施例のガラス組成物は、以下の特徴(a)~(i)を有する:
(a)(SiO
2+B
2O
3)≦50.0モル%、ただし3.0モル%≦SiO
2≦50.0モル%、かつ18.0モル%≦B
2O
3≦33.0モル%;
(b)0.0モル%≦R
2O+RO≦40.0モル%、ただしR
2Oはガラス組成物中の1価金属酸化物(例えばアルカリ金属酸化物等)の総含有量であり、ROはガラス組成物中の2価金属酸化物(例えばアルカリ土類金属酸化物、ZnO、CaO等)の総含有量である;
(c)0.0モル%≦Bi
2O
3+PbO≦20.0モル%;
(d)0.0モル%≦TiO
2≦22.0モル%;
(e)1.0モル%≦Nb
2O
5≦30.0モル%;
(f)1.0モル%≦ZnO≦10.0モル%;
(g)フッ素を実質的に含まない;
(h)透過率指数T
i≧0.485;及び
(i)0.0モル%~0.5モル%の(Y
2O
3+GeO
2+Ta
2O
5+Al
2O
3+MoO
3+PbO)。
【0172】
上に列挙されている比較例のガラスは、上述の特徴(a)~(i)を有する既知のガラスのうち、同等の値の密度パラメータPdで、最高値の屈折率パラメータPnを有するものとして選択されている。
【0173】
図8に示されている式y=1.12+0.18*x、及びy=1.135+0.18*xに対応する線は、上述の特徴(a)~(i)を有する比較例のガラスと、本開示による実施例のガラスのうちのいくつかとの差の、視覚的表現を提供する。
図8で確認できるように、線y=1.120+0.18*xより上には、
図8に示されている実施例のガラスのうちのいくつか(黒丸)があり、比較例のガラス(白丸)はない。ここでyは屈折率パラメータP
nに対応し、xは密度パラメータP
dに対応する。換言すれば、式(XVI)(a):
【0174】
【数30】
を、
図8に示されている実施例のガラスのうちのいくつかは満たし、比較例のガラスは満たさない。
【0175】
図8で確認できるように、線y=1.135+0.18*xより上には、
図8に示されている実施例のガラスのうちのいくつかがあり、比較例のガラスはない。ここでyは屈折率パラメータP
nに対応し、xは密度パラメータP
dに対応する。換言すれば、式(XVI)(b):
【0176】
【数31】
を、
図8に示されている実施例のガラスのうちのいくつかは満たし、比較例のガラスは満たさない。
【0177】
これは、上で指定されている条件下において、本開示による実施例のガラスのうちのいくつかが、同等の密度で上述の条件(a)~(i)を満たす比較例のガラスのうち最良のものよりも高い屈折率を有することを意味する。
【0178】
図9は、表6からの実施例のガラスのうちのいくつか、及び表7からの比較例のガラスのうちのいくつかの、測定密度d
RT(25℃で測定、g/cm
3)と測定屈折率n
d(587.56nmで測定)との間の関係を示すプロットである。実施例のガラス11、12、15、17、及び25、並びに比較例のガラスC2、C3、C6、C7、C9、C14、及びC23が、
図9にプロットされている。選択された比較例のガラスは、上述の条件(a)~(i)を満たす表7の比較例のガラスのうち、対応する密度において最高の測定屈折率を有するものとして区別されている。
【0179】
図9に示されている式y=1.12+0.18*x、及びy=1.135+0.18*xに対応する線は、比較例のガラスと、本開示による実施例のガラスのうちのいくつかとの差の、視覚的表現を提供する。
図9で確認できるように、線y=1.120+0.18*xより上には、
図9に示されている実施例のガラスのうちのいくつかがあり、比較例のガラスはない。ここでyは測定屈折率n
dに対応し、xは測定密度d
RTに対応する。換言すれば、式(IV)(a):
【0180】
【数32】
を、表6の実施例のガラスのうちのいくつかは満たし、表7の比較例のガラスは満たさない。
【0181】
これもまた
図9で確認できるように、線y=1.135+0.18*xより上には、
図9に示されている選択された実施例のガラスがあり、選択された比較例のガラスはない。ここでyは測定屈折率n
dに対応し、xは測定密度d
RTに対応する。換言すれば、式(IV)(b):
【0182】
【数33】
を、実施例のガラスのうちのいくつかは満たし、上述の特徴(a)~(i)を有する比較例のガラスは満たさない。
【0183】
図10は、表6からの実施例のガラスのうちのいくつか、及び表7からの比較例のガラスのうちのいくつかの、屈折率パラメータP
nと透過率指数T
iとの間の関係を示すプロットである。
【0184】
図10に示されている全ての実施例のガラス組成物は、以下の特徴(a)~(u)を有する:
(a)(SiO
2+B
2O
3)≦50.0モル%、ただし3.0モル%≦SiO
2≦50.0モル%、かつB
2O
3≧1.0モル%;
(b)(RE
2O
3+TiO
2+Nb
2O
5+ZrO
2+Bi
2O
3+WO
3)≧25.0モル%、ただしRE
2O
3はガラス組成物中の希土類金属酸化物の総含有量である;
(c)(SiO
2+B
2O
3+Alk
2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)≦69.0モル%、ただしAlk
2Oはガラス組成物中のアルカリ金属酸化物の総含有量である;
(d)RO≧3.0モル%、ただしROはガラス組成物中の2価金属酸化物(例えばアルカリ土類金属酸化物、ZnO、CaO等)の総含有量である;
(e)0.5モル%≦Nb
2O
5≦25.0モル%;
(f)0.0モル%≦TiO
2≦18.0モル%;
(g)0.0モル%≦RE
2O
3≦23.0モル%;
(h)0.0モル%≦CaO≦32.0モル%;
(i)0.0モル%≦BaO≦15.0モル%;
(j)0.0モル%≦Bi
2O
3≦20.0モル%;
(k)0.0モル%≦Li
2O≦7.0モル%;
(l)0.0モル%≦MgO≦5.0モル%;
(m)0.0モル%≦HfO
2≦1.0モル%;
(n)0.0モル%≦TeO
2≦5.0モル%;
(o)0.0モル%≦ZnO≦2.0モル%;
(p)0.0モル%≦Y
2O
3≦1.5モル%;
(q)0.0モル%≦CdO≦15.0モル%;
(r)0.0モル%≦PbO≦1.0モル%;
(s)0.0原子%≦F≦1.0原子%;
(t)0.0モル%≦Ta
2O
5≦1.5モル%;並びに
(u)4.5以下の密度パラメータP
d、及び1.75以上の屈折率パラメータP
n。
【0185】
図10に示されている比較例のガラスは、上述の特徴(a)~(u)を有する表7の比較例のガラスのうち、対応する透過率指数T
iの値において最高値の屈折率パラメータP
nを有するものとして選択されたものである。
【0186】
上述のように、透過率指数T
iはガラスの青色透過率と相関する。
図10に示されている式y=2.23-0.71*xに対応する線は、比較例のガラスと本開示による実施例のガラスとの差の、視覚的表現を提供する。
図10で確認できるように、y=2.23-0.71*xより上には、
図10に示されている実施例のガラスのうちのいくつかがあり、比較例のガラスはない。ここでyは屈折率パラメータP
nに対応し、xは透過率指数T
iに対応する。換言すれば、式(XVII):
【0187】
【数34】
を、表6に列挙されている実施例のガラスのうちのいくつかは満たし、上に列挙された特徴(a)~(u)を有する比較例のガラスは満たさない。
【0188】
図11は、表6からの実施例のガラスのうちのいくつか、及び表7からの比較例のガラスのうちのいくつかの、測定屈折率屈折率n
d(587.56nmで測定)と透過率指数T
iとの間の関係を示すプロットである。
図11に示されている式y=2.23-0.71*xに対応する線は、比較例のガラスと本開示による実施例のガラスとの差の、視覚的表現を提供する。
図11で確認できるように、y=2.23-0.71*xより上には、
図11に示されている表6からの実施例のガラスのうちのいくつかがあり、比較例のガラス(及び表7に列挙されている他の比較例のガラス)はない。ここでyは、測定屈折率屈折率n
dに対応し、xは透過率指数T
iに対応する。換言すれば、式(XIII):
【0189】
【数35】
を、表6の実施例のガラスのうちのいくつかは満たし、上述の特徴(a)~(u)を有する比較例のガラスは満たさない。
【0190】
これは、上で指定されている条件(a)~(u)の下において、本開示による実施例のガラスのうちのいくつかが、同等の値の透過率指数Tiで同等の条件下の比較例のガラスのうち最良のものよりも高い屈折率ndを有することを意味する。
【0191】
図12は、約320nm~約500nmの波長において、本開示による実施例のガラス12と、特開2005‐239506からの複数の比較例のガラス(C54~C58)との全透過率τを比較している。
図12に示されているように、実施例のガラス12は約350nm~約380nmの波長において多少の透過を提供し、上記波長において、
図12に示されている比較例のガラスは透過をほとんど、場合によっては全く提供しない。実施例のガラス12及び比較例のガラスの両方に関する、
図12に示されている全透過率τのデータは、厚さ10mmのガラス試料から得られたものである。
図12で確認できるように、実施例のガラス12は、380nmで50%超、370nmで25%超、360nmで10%超の全透過率τを提供する。また
図12のデータは、実施例のガラス12が、比較例のガラスが透過率をほとんど又は全く提供しない350nmにおいても、多少の透過率を提供することを示している。
【0192】
図13及び14は、いくつかの実施例のガラス及びいくつかの比較例のガラスに関する、アッベ数ν
dの関数としての部分分散比P
g-Fを示すプロットである。
図13は、Schott AG、HOYA株式会社、株式会社オハラ、及び株式会社住田光学ガラスの光学カタログから入手可能ないくつかの比較例のガラスを示す。
図14は、先行技術文献、即ち:米国特許第8,647,996号;米国特許第8,883,664号;米国特許第8,852,745号;米国特許第9,416,047号;米国特許第6,333,288号;米国特許出願公開第2016/090320号;独国特許出願公開第102006024805号;香港特許出願公開第1029098号の各明細書からのいくつかの比較例のガラスを示す。
図13及び14のデータは、一部の光学系において有利となり得る複数の属性、即ち低い分散(即ち高いアッベ数ν
d)、低い密度、及び異なる複数の波長における屈折率の特定の比率(これによって、ガラスは、例えばアクロマート系といった画像の収差を補正する光学系内の、低屈折率のガラスとの互換性を得る)の組み合わせを示す。このような系では、ガラスが、上述の「法線」に対応する(即ちこれに近い)属性を有することが望ましい。
図13及び14では、法線は、等式y=0.6438-0.001682*xによって定義される線として示されている。
【0193】
図13及び14に示されているガラスは、測定密度が4.5g/cm
3以下の実施例及び比較例のガラスに限定した。
【0194】
更に、高い屈折率、及び法線に近いことが望ましい用途に関連しない、低い屈折率に関連するデータを排除するために、
図14に示されているガラスは、測定屈折率n
dが1.80以上の実施例及び比較例のガラスに限定した。
【0195】
図13及び14に示されているν
d=33.0における垂線は、ガラスの特性を法線の付近に、P
g-Fの値がこの線から±0.005単位以下しかずれないように維持しながら、達成可能であると思われる、得られる最大のアッベ数(即ち最低の分散)を示す。
図13に示されているように、本明細書中の実施形態で提示される実施例のガラスのうちのいくつかは、比較例のガラスよりもν
d=33.0に近いアッベ数ν
dの値において、ν
d及びP
g-Fの属性の組み合わせを提供する。
【0196】
図14のデータによって示されているように、実施例のガラスのうちのいくつかは、比較例のガラスに比べて法線に一致するアッベ数ν
dの可能な範囲を拡張できる。
図13及び14のデータは、本開示の実施例のガラスのうちのいくつかが、ν
d≦33.0であることを特徴とし、また式(VII)及び(VI):
【0197】
【0198】
【0199】
上述のように、用語「低い分散」及び「高い分散」は各場合に固有のものであり得、場合によっては、同じ光学ガラスが、ある用途では「高分散」、別の用途では「低分散」とみなされ得る。本開示では、1.80以上の高い屈折率と、4.5g/cm3以下の低い密度と、30~35単位のアッベ数νdとを有するガラスを、(同様の属性を有する他のガラスに比べて)「低い分散」とみなすことができる。しかしながら、4.5g/cm3未満の低い密度と、法線に沿った位置とを有するガラスの場合、30~35単位のアッベ数νdは、法線に沿った他のガラスに比べて可能な限り高い分散を特徴付けるものである。
【0200】
図13及び14に示されているように、実施例のガラスのうちのいくつかは、図示されている比較例のガラスには達成できない、多くの用途において望ましい複数の属性の組み合わせ、即ち以下を示す:
(a)比較的低い密度(d
RT≦4.5g/cm
3);
(b)比較的高い屈折率(n
d≧1.80);
(c)比較的低いアッベ数(ν
d≦33.0);
(d)法線との一致(線(y=0.6438-0.001682*x)として図示);及び
(e)所与のアッベ数における比較的低い部分分散比P
g-F(上に列挙されている属性(a)~(d)と併せて、不等式y<0.6800-0.0028*xを、実施例のガラスのうちのいくつかが満たし、比較例のガラスが満たさないことによって実証される)。
【0201】
以下の非限定的な態様が本開示に包含される。まだ記載されていない範囲で、第1の態様~第56の態様の特徴のうちのいずれの1つを、本開示の他の態様のうちのいずれの1つ以上の特徴と部分的又は全体的に組み合わせることによって、追加の態様を形成でき、これはこのような組み合わせが明示的に説明されていない場合であっても可能である。
【0202】
本開示の精神及び様々な原理から実質的に逸脱することなく、本開示の上述の実施形態に多数の変形及び修正を施してよい。全てのこのような修正及び変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図され、以下の特許請求の範囲によって保護される。
【0203】
まだ記載されていない範囲で、本開示の様々な態様の異なる複数の特徴を、必要に応じて互いに組み合わせて用いてよい。ある特定の特徴が、本開示の各態様に関して明示的に図示又は説明されていないことは、該特徴が存在できないこととして解釈されることを意図したものではなく、説明のわかりやすさ及び簡潔さのために行われているものである。よって、異なる複数の態様の様々な特徴を必要に応じて混ぜ合わせるか適合させて、新たな態様を形成でき、これはこれらの新たな態様が明示的に開示されるかどうかには関係ない。
【0204】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0205】
実施形態1
0.3重量%~30.0重量%のSiO2;
0.3重量%~30.0重量%のB2O3;
0.3重量%~50.0重量%のNb2O5;並びに
ZrO2、SrO、CaO、Li2O、MgO、ZnO、Y2O3、Ta2O5、BaO、PbO、TiO2、Gd2O3、GeO2、K2O、La2O3、及びNa2Oから選択される、少なくとも1つの酸化物であって、
2.5重量%~15.0重量%のZrO2、
0.5重量%~25.0重量%のCaO、
0.0重量%~20.0重量%のGd2O3、
0.0重量%~10.0重量%のY2O3、
0.0重量%~7.05重量%のTiO2、
0.0重量%~2.0重量%のZnO、
0.0重量%~2.0重量%のLi2O、
0.0重量%~2.0重量%のGeO2、
0.0重量%~1.0重量%のTa2O5
という条件に従う、少なくとも1つの酸化物
を含む、ガラスであって、
上記ガラスは更に、(酸化物の重量パーセントで):
18.0重量%~50.0重量%の(Nb2O5+TiO2)の合計;
1.0重量%~30.0重量%の(SiO2+B2O3)の合計;
0.0重量%~40.0重量%の(La2O3+Gd2O3)の合計;
0.2重量%以上の(CaO+SrO+BaO)の合計;
0.0重量%~1.0重量%の(PbO+V2O5)の合計;
0.50以上の比CaO/(Li2O+Na2O+K2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO);
0.0超かつ0.50以下の比(SiO2/(SiO2+B2O3));及び
0.45以上の比(CaO+SrO+BaO)/(Nb2O5+TiO2)
によって定義され、
上記ガラスはフッ素を実質的に含まない、ガラス。
【0206】
実施形態2
上記ガラスは更に1.70~1.95の屈折率ndを有し、ここでndは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、実施形態1に記載のガラス。
【0207】
実施形態3
上記ガラスは更に、25℃で測定した場合に4.5g/cm3以下の密度dRTを有する、実施形態1又は2に記載のガラス。
【0208】
実施形態4
上記ガラスは、結晶化することなく、空気中で1100℃から500℃まで2.5分間で冷却できることを特徴とする、実施形態1~3のいずれか1つに記載のガラス。
【0209】
実施形態5
上記ガラスは更に33以下のアッベ数νdを有し、式(VI)及び式(VII):
【0210】
【0211】
【数39】
を満たし、ここでP
g-Fは上記ガラスの部分分散比であり、式(II):
【0212】
【数40】
に従って計算され、ここでn
gは435.8nmで測定された屈折率であり、n
Fは486.1nmで測定された屈折率であり、n
Cは656.3nmで測定された屈折率である、実施形態1~4のいずれか1つに記載のガラス。
【0213】
実施形態6
上記ガラスは更に、式(X):
【0214】
【数41】
に従った、上記ガラスの部分分散比P
g-Fに基づく、波長λ
70%(ナノメートル)における70%の全透過率を有し、ここでP
g-Fは式(II):
【0215】
【数42】
によって定義され、ここでn
gは435.8nmで測定された屈折率であり、n
Fは486.1nmで測定された屈折率であり、n
Cは656.3nmで測定された屈折率であり、全透過率は厚さ10mmのガラス試料で測定される、実施形態1~5のいずれか1つに記載のガラス。
【0216】
実施形態7
3.0モル%~50.0モル%のSiO2;
18.0モル%~33.0モル%のB2O3;
1.0モル%~30.0モル%のNb2O5;並びに
WO3、ZrO2、SrO、CaO、Li2O、MgO、ZnO、Y2O3、Ta2O5、BaO、CdO、Bi2O3、PbO、HfO2、TeO2、TiO2、Al2O3、Gd2O3、GeO2、K2O、La2O3、Na2O、MoO3、FeO、Fe2O3、及びYb2O3から選択される、少なくとも1つの酸化物であって、
TiO2は0.0モル%~22.0モル%であり、
ZnOは0.0モル%~10.0モル%であり、
(SiO2+B2O3)の合計は3.0モル%~50.0モル%であり、
(Y2O3+GeO2+Ta2O5+Al2O3+MoO3+PbO+TeO2+FeO+Fe2O3)の合計は0.0モル%~0.5モル%であり、
2価金属酸化物ROの総含有量とアルカリ金属酸化物Alk2Oの総含有量との合計(RO+Alk2O)は0.0モル%~40.0モル%であり、
(Bi2O3+PbO)の合計は0.0モル%~20.0モル%である
という条件に従う、少なくとも1つの酸化物
を含む、ガラスであって、
上記ガラスはフッ素を実質的に含まず、
上記ガラスは、式(XVI):
【0217】
【数43】
を満たし、ここでP
nは、1.7~1.95の値を有する屈折率パラメータであり、式(XIV):
【0218】
【数44】
に従って計算され、ここでP
dは、式(XV):
【0219】
【数45】
に従って計算される密度パラメータであり、上記ガラスの透過率指数T
iは0.485~0.600であり、ここでT
iは式(XII):
【0220】
【数46】
に従って計算され、式(XIV)、式(XV)、及び式(XII)中に列挙された各酸化物は、上記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す、ガラス。
【0221】
実施形態8
上記ガラスは:
1.7~1.95の屈折率ndであって、ここでndは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、屈折率nd;及び
25℃で測定された密度dRT(g/cm3)
を有し、
上記ガラスは、式(IV):
【0222】
【0223】
実施形態9
上記ガラスは、結晶化することなく、空気中で1100℃から500℃まで2.5分間で冷却できることを特徴とする、実施形態7又は8に記載のガラス。
【0224】
実施形態10
上記ガラスは更に、25℃で測定した場合に4.3g/cm3以下の密度dRT、及び1.85~1.95の屈折率ndを有し、ここでndは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、実施形態7~9のいずれか1つに記載のガラス。
【0225】
実施形態11
上記ガラスは更に、35以下のアッベ数νdを有する、実施形態7~10のいずれか1つに記載のガラス。
【0226】
実施形態12
上記ガラスは更に33以下のアッベ数νdを有し、式(VI)及び式(VII):
【0227】
【0228】
【数49】
を満たし、ここでP
g-Fは上記ガラスの部分分散比であり、式(II):
【0229】
【数50】
に従って計算され、ここでn
gは435.8nmで測定された屈折率であり、n
Fは486.1nmで測定された屈折率であり、n
cは656.3nmで測定された屈折率である、実施形態7~11のいずれか1つに記載のガラス。
【0230】
実施形態13
上記ガラスは更に、式(III):
【0231】
【数51】
に従った密度d
RT及び屈折率n
dを有し、ここでd
RTは、25℃で測定された密度(g/cm
3)であり、n
dは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、実施形態7~12のいずれか1つに記載のガラス。
【0232】
実施形態14
上記ガラスは更に、式(VIII):
【0233】
【数52】
に従った、波長λ
70%(ナノメートル)における70%の全透過率を有し、ここでn
dは、587.56nmの波長で測定された屈折率であり、全透過率は厚さ10mmのガラス試料で測定される、実施形態7~13のいずれか1つに記載のガラス。
【0234】
実施形態15
上記ガラスは更に:
380nmの波長で測定した場合にτ≧50%;
370nmの波長で測定した場合にτ≧25%;及び
360nmの波長で測定した場合にτ≧10%
のうちの少なくとも1つの、厚さ10mmのガラス試料について測定された全透過率τを有する、実施形態7~14のいずれか1つに記載のガラス。
【0235】
実施形態16
3.0モル%以上のSiO2;
1.0モル%以上のB2O3;
0.5モル%~25.0モル%のNb2O5;
3.0モル%以上の2価金属酸化物ROの総含有量;並びに
WO3、ZrO2、SrO、CaO、Li2O、MgO、ZnO、Y2O3、Ta2O5、BaO、CdO、Bi2O3、PbO、HfO2、TeO2、TiO2、Al2O3、Gd2O3、GeO2、K2O、La2O3、Na2O、及びYb2O3から選択される、少なくとも1つの酸化物であって、
CaOは0.0モル%~32.0モル%であり、
Li2Oは0.0モル%~7.0モル%であり、
MgOは0.0モル%~5.0モル%であり、
Y2O3は0.0モル%~1.5モル%であり、
Ta2O5は0.0モル%~0.5モル%であり、
BaOは0.0モル%~12.0モル%であり、
CdOは0.0モル%~10.0モル%であり、
Bi2O3は0.0モル%~20.0モル%であり、
PbOは0.0モル%~1.0モル%であり、
HfO2は0.0モル%~5.0モル%であり、
TeO2は0.0モル%~5.0モル%であり、
TiO2は0.0モル%~18.0モル%であり、
ZnOは0.0モル%~2.0モル%であり、
フッ素は0.0原子%~1.0原子%であり、
希土類金属酸化物RE2O3の総含有量は0.0モル%~23.0モル%であり、
(RE2O3+TiO2+Nb2O5+ZrO2+Bi2O3+WO3)の合計は25.0モル%以上であり、
(SiO2+B2O3)の合計は0.0モル%超~50.0モル%であり、
(SiO2+B2O3+Alk2O+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合計は4.0モル%~69.0モル%であり、ここでAlk2Oはアルカリ金属酸化物の総含有量である
という条件に従う、少なくとも1つの酸化物
を含む、ガラスであって、
上記ガラスは式(XVII):
【0236】
【数53】
を満たし、ここでP
nは、1.75~1.95の値を有する屈折率パラメータであり、式(XIV):
【0237】
【数54】
に従って計算され、ここでT
iは式(XII):
【0238】
【数55】
に従って計算されるガラスの透過率指数であり、上記ガラスは、4.5未満の密度パラメータP
dを有し、上記密度パラメータP
dは、式(XV):
【0239】
【数56】
に従って計算され、式(XIV)、式(XV)、及び式(XII)中に列挙された各酸化物は、上記ガラス中の、モル%を単位として表された酸化物の量を指す、ガラス。
【0240】
実施形態17
上記ガラスは更に1.75~1.95の屈折率ndを有し、ここでndは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、実施形態16に記載のガラス。
【0241】
実施形態18
上記ガラスは更に屈折率ndを有し、上記屈折率nd及び透過率指数Tiは、式(XIII):
【0242】
【数57】
を満たし、ここでn
dは、587.56nmの波長で測定された屈折率である、実施形態16又は17に記載のガラス。
【0243】
実施形態19
上記ガラスは、結晶化することなく、空気中で1100℃から500℃まで2.5分間で冷却できることを特徴とする、実施形態16~18のいずれか1つに記載のガラス。
【0244】
実施形態20
上記ガラスは更に33以下のアッベ数νdを有し、式(VI)及び式(VII):
【0245】
【0246】
【数59】
を満たし、ここでP
g-Fは上記ガラスの部分分散比であり、式(II):
【0247】
【数60】
に従って計算され、ここでn
gは435.8nmで測定された屈折率であり、n
Fは486.1nmで測定された屈折率であり、n
Cは656.3nmで測定された屈折率である、実施形態16~19のいずれか1つに記載のガラス。
【国際調査報告】