(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】ジクロロプロペンからペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 17/25 20060101AFI20230925BHJP
C07C 19/01 20060101ALI20230925BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230925BHJP
【FI】
C07C17/25
C07C19/01
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516214
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 US2021049669
(87)【国際公開番号】W WO2022056129
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515160552
【氏名又は名称】ブルー キューブ アイピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティルトウィドジョジョ、マックス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ、ジョン・ディー.
(72)【発明者】
【氏名】セル、マルク
(72)【発明者】
【氏名】ザルツバウアー、フランク
(72)【発明者】
【氏名】デチェン、イムケ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC24
4H006AC30
4H006BA02
4H006BA29
4H006BA67
4H006BA73
4H006BA93
4H006BD10
4H006BE53
4H006EA02
4H006EA03
4H039CA21
4H039CG20
(57)【要約】
1,3-ジクロロプロペンから1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン、又はこれらの混合物を製造する方法。この方法は、2つの連続した塩素化反応及び脱塩化水素反応を含み得る。第1の塩素化反応において、1,3-ジクロロプロペンが塩素化剤と反応させられ、1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む第1の塩素化反応生成物を形成する。この第1の塩素化反応生成物は、第1の脱塩化水素反応において脱塩化水素試薬と反応させられ、トリクロロプロペンを含む第1の脱塩化水素反応生成物を生成する。トリクロロプロペン含有反応生成物は、第2の塩素化反応において塩素化剤と反応させられ、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのうちの少なくとも一方を含む第2の塩素化反応生成物を生成する。この反応生成物は、第2の脱塩化水素反応において脱塩化水素試薬と反応させられ、1,1,2,3-テトラクロロプロペン又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンを有する第2の脱塩化水素反応生成物を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の塩素化反応において、1,3-ジクロロプロペンを塩素化剤と反応させて、1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む第1の塩素化反応生成物を形成すること、
第1の脱塩化水素反応において、前記第1の塩素化反応生成物を脱塩化水素試薬又は脱塩化水素触媒と反応させて、1つ以上のトリクロロプロペンを含む第1の脱塩化水素反応生成物を形成すること、
第2の塩素化反応において、前記第1の脱塩化水素反応生成物を同一又は異なる塩素化剤と反応させて、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのうちの少なくとも一方を含む第2の塩素化反応生成物を形成すること、
を含む方法。
【請求項2】
第2の脱塩化水素反応において、前記第2の塩素化反応生成物を脱塩化水素試薬又は脱塩化水素触媒と反応させて、1,1,2,3-テトラクロロプロペン又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンのうちの少なくとも一方を含む第2の脱塩化水素反応生成物を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩素化剤は、塩素である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1,3-ジクロロプロペンと前記塩素化剤との前記反応は、液相中であり、前記塩素化剤は、気体として導入されるか、又は液体溶媒に吸収される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の脱塩化水素反応は、前記第1の塩素化反応生成物を前記脱塩化水素試薬と反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記脱塩化水素試薬は、アルカリ金属水酸化物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリ金属水酸化物は、NaOHである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の脱塩化水素反応は、前記第1の塩素化反応生成物を前記触媒と反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒は、ルイス酸触媒である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の塩素化反応における1,3-ジクロロプロペンから1,1,2,3-テトラクロロプロパンへの変換は、少なくとも80%の選択率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の塩素化反応生成物は、増加された濃度の1,1,2,3-テトラクロロプロパンを得るために、前記第1の脱塩化水素反応に先立って精製される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の脱塩化水素反応生成物中の1つ以上のトリクロロプロペンは、1,1,3-トリクロロプロペン、2,3,3-トリクロロプロペン、1,2,3-トリクロロプロペン、及びこれらの混合物の群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の脱塩化水素反応生成物は、前記第1の脱塩化水素反応生成物中の増加された濃度の1つ以上のトリクロロプロペンを得るために、前記第2の塩素化反応に先立って精製される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の塩素化反応における1つ以上のトリクロロプロペンの塩素化は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、又はこれらの混合物に対して少なくとも90%の選択率を有する生成物を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1,3-ジクロロプロペンは、粗ジクロロプロペンのストリームの一部として提供され、前記粗ジクロロプロペンのストリームは、1,2-ジクロロプロパン、又は1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペンの異性体の少なくとも1つを更に含み、前記1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペンは、3,3-ジクロロプロペン、2,3-ジクロロプロペン、及びこれらの混合物の群から選択されるメンバを含み、
前記第1の塩素化反応において、前記1,3-ジクロロプロペンを前記塩素化剤と反応させることは、前記粗ジクロロプロペンを前記塩素化剤と接触させて前記塩素化反応生成物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の塩素化反応生成物は、1,2,2,3-テトラクロロプロパンを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1,2,2,3-テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、前記第1の塩素化反応にリサイクルされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1,2,2,3-テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、フリーラジカル開始剤が提供される別個の塩素化反応に供給される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1,2,2,3-テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、相間移動触媒が提供される別個の脱塩化水素反応に供給される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の脱塩化水素反応に相間移動触媒を更に提供する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記相間移動触媒は、四級アンモニウム塩を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、別個のストリームに分離され、相間移動触媒の存在下で脱塩化水素反応に供される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の塩素化反応及び前記第2の塩素化反応は、単一の塩素化反応器中でともに実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記単一の塩素化反応器からの前記塩素化生成物は、蒸留されて、前記第1の脱塩化水素反応に供給され得るテトラクロロプロパンに富むストリーム、及びペンタクロロプロパンを含むストリームを回収する、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年9月11日に出願された米国仮出願番号第63/077,252号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、ハロゲン化アルカン及びアルケン、特に塩素化アルカン及びアルケンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハロゲン化アルカン及びアルケンは、農産物、医薬品、洗浄溶剤、発泡剤、溶剤、ガム、シリコーン、及び冷媒を含む、多くの製品において使用される化合物を生成するための有用な中間体である。
【0004】
かかるハロゲン化アルカン及びアルケンは、ベース炭素鎖のサイズ、並びに鎖に沿ったハロゲンの数及び配置が様々であり得る。特に求められているハロゲン化アルケンのうちの1つのサブセットは、クロロプロペン、特に1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び2,3,3,3-テトラクロロプロペンである。これらの化合物に対する中間体として生成されるペンタクロロプロパンもまた、価値のあるものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示並びにその利点及び特徴を説明するために、本明細書に簡潔に開示された原理のより具体的な説明が、添付図面に例解される具体的な実施形態への参照によって行われる。これらの図面は、単に本開示の例示的な実施形態を描いたものであり、それゆえ、その範囲を限定するものとみなされないことを理解した上で、本明細書における原理は、添付図面の使用を通じて、追加的な具体性及び詳細性をもって説明及び解説されている。
【0006】
【
図1】2つの塩素化反応器及び2つの脱塩化水素反応器を含む、1,3-ジクロロプロペンから1,1,2,3-テトラクロロプロペンと2,3,3,3-テトラクロロプロペンとの混合物を製造する方法の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】単一の塩素化反応器及び2つの脱塩化水素反応器を含む、粗ジクロロプロペン供給物ストリームからクロロ脂肪族化合物を製造する方法の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の様々な実施形態が、以下に詳細に考察される。本開示の概念は、様々な変更及び代替的な形態に影響を受けやすいが、その特定の実施形態は、図面において例として示されており、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、開示された特定の形態に本開示の概念を限定する意図はなく、反対に、本開示及び添付される請求項に整合する全ての修正、等価物、及び代替物を網羅することが意図されることは、理解されるべきである。
【0008】
図面において、いくつかの構造的又は方法的特徴が、特定の配置及び/又は順序で示され得る。しかしながら、かかる特定の配置及び/又は順序は必要とされない場合があることは、理解されるべきである。むしろ、いくつかの実施形態においては、かかる特徴は、例解的な図に示されるものとは異なる態様及び/又は順序で配置され得る。追加的に、特定の図における構造的又は方法的特徴の包含は、かかる特徴が全ての実施形態において必要とされることを意味することを意図されたものではなく、いくつかの実施形態においては含まれないか、又は他の特徴と組み合わされ得る。
【0009】
序論
フルオロカーボンは、冷媒のような多くの異なる製品に使用され得るフッ素化炭化水素であり、したがって高い需要及び経済的価値を有する。これらのフルオロカーボンを形成するために、塩素化アルカン及びアルケン化合物が採用され得、しばしば中間体と呼ばれる。これらの中間体は、それ自体が価値のあるものであり、その調製のためのよりコスト効率的な方法が見出されると、フルオロカーボンを形成するための総コストが削減される。更に、かかる化合物を、より安価な原料から、より効率的なプロセスで生成することが所望される。
【0010】
中間体として使用され得る特定の塩素化化合物は、例えば、1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び2,3,3,3-テトラクロロプロペンを含む。1,1,2,3-テトラクロロプロペンを調製するための従来のプロセスは、大規模な精製、高い製造コストを必要とし、大量の廃棄物を発生させ得る。1,1,2,3-テトラクロロプロペンを、削減された全体的な製造コストで、コスト効率的にかつ再現可能に調製することができるプロセスを開発することが望ましくあり得る。
【0011】
特定の化合物1,3-ジクロロプロペンは、様々なプロセス又は反応の副生成物であり、時には廃棄物とみなされ得る。本明細書で開示されるものは、1,3-ジクロロプロペンを、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのうちの少なくとも一方に変換するためのプロセスである。ペンタクロロプロパン異性体1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのようなペンタクロロプロパンを、1,1,2,3-テトラクロロプロペン又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンのうちの少なくとも一方に更に変換する実施形態も開示される。このプロセスは、1つ又は2つの連続した脱塩化水素反応器と交番する、1つ又は2つの連続した交番する塩素化反応器を含み得る。
【0012】
特に、このプロセスは、1,3-ジクロロプロペンが塩素化剤と反応させられて、1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む塩素化反応生成物を生成する、第1の塩素化反応から開始し得る。この塩素化反応生成物は次いで、第1の脱塩化水素反応において脱塩化水素試薬又は触媒と反応させられて、1,1,3-トリクロロプロペンのようなトリクロロプロペンを含む脱塩化水素反応生成物を生成する。
【0013】
トリクロロプロペンを含む脱塩化水素反応生成物は次いで、塩素化剤と反応させられることにより第2の塩素化反応に供されて、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン及びこれらの混合物のような、ペンタクロロプロパンを含む第2の塩素化反応生成物を形成することができる。その後、第2の脱塩化水素反応において、この第2の塩素化反応生成物が脱塩化水素試薬又は触媒と反応させられて、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン、又はこれらの混合物を形成し得る。
【0014】
以上に説明されたプロセスにおいて、様々な他の生成物及びが形成され得、これらは分離され得るか、リサイクルされ得るか、又は他の反応に供され得る。
【0015】
前述の反応は、純粋な又は不純な1,3-ジクロロプロペンを用いて実行され得る。産業界においては、1,3-ジクロロプロペンは、本明細書において粗1,3-ジクロロプロペンのストリームと呼ばれる、粗ストリーム中でしばしば生成され得る。この粗ストリームは、1,2-ジクロロプロパンのような他のクロロ脂肪族化合物、及び3,3-ジクロロプロペン又は2,3-ジクロロプロペンのような、1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペン異性体を含み得る。粗ストリーム中のこれらの他の化合物は、他の反応を受け得る。例えば、塩素化反応における2,3-ジクロロプロペンは、1,2,2,3-テトラクロロプロパンを生成する。1,2,2,3-テトラクロロプロパンの脱塩化水素は、反応を促進するために、相間移動触媒の存在下で実行され得る。代替的に、1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、プロセスからパージされ得る。更に代替的に、粗ジクロロプロペンのストリームから1,3-ジクロロプロペンが除去又は精製され、他の化合物及び他の異性体が除去され得る。代替的に、1,2,2,3-テトラクロロプロパンを含む後の反応を避けるために、2,3-ジクロロプロペンも粗製ストリームから除去され得る。
【0016】
1,3-ジクロロプロペンの塩素化
プロセスは、第1の塩素化反応において、1,3-ジクロロプロペンを塩素化剤と反応させることにより開始する。このことは、1,3-ジクロロプロペンを液相で調製することによって実行され得、このとき1,3-ジクロロプロペンは、溶媒に溶解され得る。塩素化剤は、気相であり得るか、又は液相であり得る。気相の塩素化剤は、液相に吸収され、塩素化反応が起こる。
【0017】
1,3-ジクロロプロペン
1,3-ジクロロプロペンは、純粋な又は不純な供給物中に提供され得る。純粋な供給物は、少なくとも約90モル%、代替的に少なくとも約95モル%、代替的に少なくとも約98モル%、代替的に少なくとも約99モル%、代替的に約100モル%の、1,3-ジクロロプロペンを有し得る。1,3-ジクロロプロペンはまた、シス及びトランス異性体の混合物であり得るか、又は代替的にシスのみ又はトランスのみの異性体であり得る。
【0018】
不純な供給物において、1,3-ジクロロプロペンは、クロロアルケン又はクロロアルカン化合物のような他のクロロアリファイド化合物のような他の化合物、及び1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペンの異性体を含み得る。かかるクロロ脂肪族化合物は、炭素数2~5、代替的に炭素数2~4、又は代替的に炭素数2~3、又は代替的に炭素数2、3、4若しくは5のアルカン又はアルケンのようなベース炭化水素鎖を含み得、エタン、エテン、プロパン、プロペン、ブタン、ペンタン、及び/又はペンテン及びこれらの混合物であり得る。ベース炭化水素鎖は、1つ以上の塩素、及び/又は、フッ素のような追加的なハロゲンを用いて官能化され得る。例えば、ベース炭化水素鎖は、1、2、3、4、5又は6個の塩素を用いて官能化され得る。これらは、炭化水素鎖に沿った位置のうちのいずれかにおいて提供され得る。
【0019】
不純な供給物、すなわち粗ストリームにおいて、1,3-ジクロロプロペンは、他の化合物を含み得る。かかる粗1,3-ジクロロプロペンは、別の反応の生成物又は副生成物であり得る。粗1,3-ジクロロプロペンのストリームは、シス-1,3-ジクロロプロペン及びトランス-1,3-ジクロロプロペンの両方、他のクロロ脂肪族化合物、並びにジクロロプロペンの他の異性体を含み得る。他のクロロ脂肪族化合物は、例えば3-クロロプロペン、1,2-ジクロロプロパン、1,2,3-トリクロロプロパン、又は1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペンの異性体を含み得、例えば、3,3-ジクロロプロペン又は2,3-ジクロロプロペンのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、2,3-ジクロロプロペンは、1,2,2,3-テトラクロロプロパンの生成を回避するために、供給物から分離され得る。
【0020】
粗1,3-ジクロロプロペンは、約25モル%~約70モル%、代替的に約35モル%~約55モル%の、1,3-ジクロロプロペンを含み得、これらは、完全にシス、完全にトランス、又はほぼ等量の各々であり得る。粗1,3-ジクロロプロペンは、約1モル%~約20モル%、代替的に約1~約10モル%、代替的に約5~約10モル%、代替的に約2モル%~約5モル%の、2,3-ジクロロプロペンを含み得、約60モル%までの、代替的に約50モル%までの、代替的に約40モル%までの、約40モル%~約60モル%の、代替的に約45モル%~約55モル%の、又は存在しない場合には0モル%の、1,2-ジクロロプロパンを含有し得る。
【0021】
反応を実行する際に、1,3-ジクロロプロペンは、塩素化反応器に部分毎に追加され得る。別の実施形態においては、1,3-ジクロロプロペンは、塩素化反応器に連続的に追加される。
【0022】
1,3-ジクロロプロペンは、典型的には乾燥若しくは無水であり、又は少量の水を用いて実行され得る。したがって、供給物は、約1000ppm未満の水、約100ppm未満の水、又は10ppm未満の水を含み得る。1,3-ジクロロプロペンは、分子ふるい、シリカゲル、アルミナ、及びこれらの混合物を用いて乾燥され得る。代替的に、1,3-ジクロロプロペンは、共沸蒸留によって乾燥され得る。
【0023】
1,3-クロロプロペンを溶解するために、塩素化反応において溶媒又は溶媒の混合物が採用され得る。好適な溶媒の非限定的な例は、四塩化炭素(CCl4)、1,2-ジクロロプロパン、又はこれらの混合物を含む。
【0024】
塩素化剤
多種多様な塩素化剤が、上で言及される塩素化反応、及び本明細書に開示される任意の塩素化反応において使用され得る。塩素化剤は、クロロアルケンを含む存在するアルケンと反応する。塩素化剤は、クロロアルケンを含む存在し得るアルカンとも反応し得る。有用な塩素化剤は、塩素、塩化スルフリル(SO2Cl2)、又はこれらの組み合わせを含む。塩素が使用される場合、反応器の全圧は大気圧以上である。塩素化剤は、気体、液体、又はこれらの組み合わせであり得る。塩素ガスは、液相反応物及び/又は溶媒を通してバブリングされ得るか、反応器への導入に先立って液相反応物若しくは溶媒に予め溶解され得るか、又はリサイクルストリームに予め溶解され得る。
【0025】
塩素化剤は、典型的には、1,3-クロロプロペン及び/又は他のクロロ脂肪族反応物に対して過剰に提供されるが、不足当量で使用され得る。一般的に、塩素化剤と1,3-ジクロロプロペンとのモル比は、約0.9:1~約10:1、代替的に約1:1~約5:1、約1.05:1~約3:1、約1.1:1~約2:1、又は約1.2:1~約1.5:1の範囲である。塩素ガスは、1,3-クロロプロペンを含む液相を通してバブリングされ得る。
【0026】
塩素化反応
塩素化は、バッチモード、セミバッチモード、又は連続モードで行われ得、連続モードが特定の実施形態である。反応は、炭素鋼、又はハステロイ、タンタル若しくはガラスライニング反応器のような不活性材料からつくられた反応器中で実行され得る。連続モード反応器は、連続撹拌槽反応器、プラグフロー反応器、又はジェットループ反応器を含み得る。
【0027】
プロセスの効率を増加させるために、反応器の内容物が撹拌され得る。液相反応混合物を撹拌するための非限定的な方法は、ジェット撹拌、機械的インペラ、充填カラム、バッフル、又はこれらの組み合わせを含む。反応器の内容物を混合し、液相反応混合物への増加されたガス吸収を提供する方法の非限定的な例は、少なくとも1つの排出器を使用するジェット撹拌、少なくとも1つのノズル及び少なくとも1つの排出器を含むジェット撹拌、ジェット撹拌が少なくとも1つのノズルを含むジェット撹拌、特殊設計バッフルを有する反応器、及びこれらの組み合わせを含む。
【0028】
少なくとも1つのノズルを利用するジェット混合は、反応器から液相反応混合物の液相の一部を引き出し、少なくとも1つのノズルを通して反応器に液相反応混合物を戻すようにポンピングする。このことは、液相反応混合物中に乱流を生成し、混合を増加させる。少なくとも1つのノズルは、液相反応混合物の表面の下に位置決めされ得るか、液相反応混合物の表面に位置決めされ得るか、又は気相を通して液相反応混合物の中へと向けられ得る。
【0029】
他の実施形態においては、ドラフトチューブがプロセスにおいて利用され得る。ドラフトチューブは、反応器内の液相反応混合物の内部循環を提供する。この循環は、少なくとも1つの液体ジェットからのエネルギー、少なくとも1つのガス排出ノズルからのエネルギー、反応器内の上昇するガス気泡からのエネルギー、又はこれらの組み合わせによって誘導され得る。
【0030】
反応は、反応混合物を超音波処理する装置を利用し得る。超音波処理は、音エネルギーを使用して、プロセスにおいて粒子及び液体を撹拌し、プロセスの反応速度を増加させる。
【0031】
塩素化反応は、内部又は外部の熱交換器を使用して、約0℃~約110℃、代替的に約20℃~約80℃、代替的に約30℃~約60℃の温度を維持するように実施され得る。
【0032】
塩素化反応は、約0psig~約1000psig、代替的に約0psig~約500psig、又は約0psig~約200psigの圧力で実行され得る。
【0033】
塩素化反応プロセスは、反応が十分に完了するまで進行することが可能となる。完全性を決定するために、反応の進行状況を監視するためにクロマトグラフィ(例えばガスクロマトグラフィ)が使用され得る。反応の継続時間は、約1分~約24時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態においては、反応の継続時間は、約10分~約12時間、代替的に約15分~約3時間、代替的に約30分~約2時間、代替的に約20分~約1時間の範囲であり得る。
【0034】
塩素化反応生成物
1,3-ジクロロプロペンは、塩素化剤と反応して、テトラクロロアルカンを含むクロロアルカンを有する塩素化反応生成物を発生させる。かかるテトラクロロアルカンは、1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む。
【0035】
他の実施形態においては、塩素化反応器に入る1,3-ジクロロプロペンの少なくとも50モル%、又は少なくとも70%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%が、1,1,2,3-テトラクロロプロパンに変換される。収率は、生成物のモル数を反応物のモル数で除算したものに100%を乗算したものとして定義され得る。本例においては、収率は、生成された1,1,2,3-テトラクロロプロパンのモル数を、反応した1,3-ジクロロプロペンのモル数で除算して100%を乗算したものであり、かかる収率は、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%であり得る。
【0036】
塩素化反応生成物中の1,1,2,3-テトラクロロプロパンは、分離又は精製され得る。1,1,2,3-テトラクロロプロパンは、少なくとも99%、又は代替的に少なくとも99.9%にまで精製され得る。未反応の1,3-ジクロロプロペン、未反応の塩素、又は未反応の1,3-ジクロロプロペンと未反応の塩素との両方が分離されて、少なくとも部分的に又は完全に塩素化反応器又は供給物にリサイクルされ戻され得る。精製ステップは、塩素化反応生成物を分離器に提供することを含み得、ここで、2つの出口ストリームが形成され、一方は、1,1,2,3-テトラクロロプロパンを、他方は、1,3-ジクロロプロペンを有する。1,1,2,3-テトラクロロプロパンよりも軽い又は重い化合物又は留分を除去する更なる分離が実施され得る。重い化合物とは、1,1,2,3-テトラクロロプロパンと比較して、高い沸点、及び一般的に大きい分子量を有する化合物であり、軽い化合物は、低い沸点、及び一般的に小さい分子量を有する。軽い留分は、反応器にリサイクルされ得る。HClが反応生成物中に生成されるか、又は存在する範囲において、それは分離され得る。例えば、軽い留分は、無水HClを含み得る。無水HClは、軽い留分が塩素化反応器にリサイクルされる前に、軽い留分から分離することができ、しばしば分離される。代替的に、軽い留分の一部は、HClの蓄積を最小化するために、プロセスからパージされ得る。
【0037】
分離器は、蒸留塔、多段蒸留塔、及び/又は蒸発器であり得る。分離器は、再沸器及び/又は底段を含み得る。いくつかの実施形態においては、側流蒸留塔又は中間段からの出口ストリームを提供する蒸留塔、又は、3つ以上の成分の混合物を高純度製品、すなわち製品ストリームに分離することが可能な単殻の完全に熱結合された蒸留塔である分割壁型蒸留塔(DWC)が、分離器として使用され得る。
【0038】
追加的な粗ストリーム反応
1,3-ジクロロプロペンが、粗1,3-ジクロロプロペンのストリームのような不純なストリームの一部として提供される場合、ストリーム中の他の化合物は、反応を受けて、塩素化反応生成物中の他の化合物を生成し得る。上で言及されるように、粗ストリームは、1,2-ジクロロプロパン、及び/又は3,3-ジクロロプロペン、2,3-ジクロロプロペン若しくはこれらの混合物を含むジクロロプロペンの異性体のような、他のクロロ脂肪族化合物を含み得る。
【0039】
2,3-ジクロロプロペンの塩素化は、生成物として1,2,2,3-テトラクロロプロパンを生成する。1,2,2,3-テトラクロロプロパンはまた、塩素化反応のための溶媒として使用され得る。追加的に、1,2-ジクロロプロパンは、塩素化反応において部分的に1,2,3-トリクロロプロパンに塩素化され得る。これらの化合物は、以前に説明されたような分離剤を使用して、塩素化反応生成物から分離され得るか、又は脱塩化水素反応において更なる反応を受け得る。例えば、1,2,2,3-テトラクロロプロパンの脱塩化水素のために、相間移動触媒が採用され得る。代替的に、分離された1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、第1の塩素化反応器にリサイクルされ、そこで部分的に塩素化され得るか、又は、アゾビスイソブチロニトリル(「AIBN」)のようなフリーラジカル開始剤を採用してフリーラジカル塩素化が実行される塩素化反応器に供給され得る。代替的に、分離された1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、相間移動触媒の存在を含む脱塩化水素のために、別個の脱塩化水素反応器に提供され得る。1,2,2,3-テトラクロロプロパンが塩素化されると、有用な1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンが形成される。追加的に、1,2,3-トリクロロプロパンは、2,3-ジクロロプロペンへと脱塩化水素して、第1の塩素化反応にリサイクルすることができる。
【0040】
塩素化反応生成物の脱塩化水素
上で言及されるように、1,3-ジクロロプロペンの塩素化反応の結果として、1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む塩素化反応生成物が生成される。塩素化反応生成物は、脱塩化水素試薬と反応させることにより、第1の脱塩化水素反応に供され得る。
【0041】
脱塩化水素試薬
脱塩化水素試薬は、水性形態であり得る無機塩基のような、塩基を含み得る。塩基は、クロロアルカリプロセスによって生成され得、塩基性成分に加えて溶存塩を含み得る。
【0042】
無機塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基であり得る。これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の非限定的な例は、LiOH、NaOH、KOH、Ba(OH)2、Ca(OH)2、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、KHCO3、又はこれらの組み合わせを含み得る。特に、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基は、NaOH、KOH、又はこれらの組み合わせ、特にNaOHを含み得る。脱塩化水素反応の間、塩基は、塩素化反応生成物中の化合物の塩素又は他のハロゲンのうちの1つ以上と反応し得、それによってアルカリ又はアルカリ土類金属の塩化物塩を形成し得る。本明細書に説明される脱塩化水素反応の結果として形成され得る特定の塩は、塩化ナトリウムである。
【0043】
一般的に、脱塩化水素試薬は水性であり、水のような試薬溶媒中の脱塩化水素試薬の濃度は、5重量%~約50重量%の範囲であり得る。様々な実施形態においては、脱塩化水素試薬の濃度は、5重量%~約50重量%、7重量%~約40重量%、9重量%~約30重量%、又は10重量%~約20重量%の範囲であり得る。特定の実施形態においては、脱塩化水素試薬の濃度は、5重量%~約12重量%の範囲であり得る。
【0044】
一般的に、脱塩化水素試薬と1,1,2,3-テトラクロロプロパンとのモル比は、0.1:1.0~約2.0:1.0の範囲であり得る。脱塩化水素試薬は、1,1,2,3-テトラクロロプロパンよりも多く提供され得る。脱塩化水素試薬と1,1,2,3-テトラクロロプロパンとの比は、ほぼ等しいが、試薬のほうが多くあり得る。様々な実施形態において、脱塩化水素試薬と1,1,2,3-テトラクロロプロパンとのモル比は、0.1:1.0~約2.0:1.0、0.5:1.0~約1.5:1.0、又は0.9:1.0~約1.1:1.0の範囲であり得る。特定の実施形態においては、脱塩化水素試薬と1,1,2,3-テトラクロロプロパンとのモル比は、約1.05:1.0であり得る。脱塩化水素反応器への供給物中の他の成分が脱塩化水素される場合、これらの範囲は、脱塩化水素試薬と脱塩化水素することができる成分の合計との比にも成り立ち得る。
【0045】
脱塩化水素試薬は、反応物であり得、反応において消費され得る。他の実施形態においては、塩素化反応生成物中の1,3-ジクロロプロペン及び他の成分の脱塩化水素は、例えば触媒のような、反応において消費されない一方で反応を補助する成分を含む。
【0046】
脱塩化水素試薬に対する代替として、脱塩化水素触媒が採用されて、脱塩化水素反応を実行し得る。脱塩化水素触媒は、ルイス酸触媒であり得る。ルイス酸触媒は、反応器に追加されることに先立って溶媒に溶解され得る。少なくとも1つのルイス酸触媒の少なくとも一部は、均一な又は不均一な形態であり得る。様々な実施形態において、ルイス酸触媒は、ガリウム、鉄、又はこれらの組み合わせを含む。これらのルイス酸触媒の非限定的な例は、ガリウム金属、ガリウム塩、ガリウム合金、鉄金属、鉄塩、鉄合金、又はこれらの2つ以上の組み合わせであり得る。ルイス酸触媒の形態又は構成の非限定的な例は、液相中の溶解種、固体支持体、パッキング、非構造化パッキング、ホイル、シート、スクリーン、ウール、ワイヤ、ボール、プレート、パイプ、ロッド、バー、塩、又は粉体上に堆積した種であり得る。反応混合物中のルイス酸触媒の重量%(wt%)は、約0.0001重量%~約2.0重量%の範囲であり得る。
【0047】
脱塩化水素反応
脱塩化水素プロセスは、バッチモード又は連続モードで行われ得る。別の実施形態においては、連続モードでのプロセスは、二相系の混合を改善するために、本明細書に開示される方法によって撹拌され得る。反応器の内容物が適切に混合されることを確実にするための1つの特定の方法は、反応器の内容物をインペラなしで混合するジェット撹拌反応器を利用すること、すなわちジェット混合であり得る。ジェット混合は、新鮮な液体供給物、製品廃液ストリーム、リサイクルストリーム、又はこれらの組み合わせを、少なくとも1つのノズルに供給することによって引き起こされる。このジェット撹拌反応器システムにおいては、内部リサイクル、新鮮な供給物又はその両方を含む液体材料が、外部ポンプによって、反応器内へと垂直方向に、接線方向に又は径方向に導入される。
【0048】
プロセスの温度は、関与する化合物の濃度、選択された塩基のタイプ、及び塩基の濃度によって変化し得る。一般的に、プロセスの温度は、一般的に約20℃~約120℃、代替的に約50℃~約110℃、又は約60℃~約100℃であり得る。
【0049】
一般的に、圧力は、約0psig~約1000psig、約0psig~約500psig、又は約0psig~約200psigの範囲であり得る。本プロセスは、窒素、アルゴン又はヘリウムのような不活性雰囲気下で実施され得る。
【0050】
反応は、反応が完了するまで十分な時間の間進行することが可能となり得る。
【0051】
脱塩化水素反応生成物
脱塩化水素反応生成物の形態の脱塩化水素反応は、トリクロロプロペンを含む。これらのトリクロロプロペンは、1,1,3-トリクロロプロペン、1,2,3-トリクロロプロペン(シス及び/又はトランス)、2,3,3-トリクロロプロペン、1,3,3-トリクロロプロペン、及びこれらの混合物を含む。1,1,2,3-テトラクロロプロパンの転化率は、少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%又は少なくとも98%であり得る。トリクロロプロペンへの選択率は、少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%であり得る。トリクロロプロペン混合物の相対量は、それらが生成されるプロセスに依存し得る。例えば、1,1,3-トリクロロプロペンは、反応生成物の約10~約90モル%、約40~約70モル%、代替的に約45~約65モル%、代替的に約50~約60モル%の範囲であり得、2,3,3-トリクロロプロペンは、反応生成物の約10~約50モル%、約15~約25モル%、代替的に約17~約22モル%の範囲であり得、1,2,3-トリクロロプロペンは、約5~約50モル%、約10~約35モル%、又は代替的に約10~約20モル%の、シス及び/又はトランスのいずれか、又は代替的に、ほぼ等量のシス及びトランス形態(例えば5~10%トランス、及び5~10%シス)で、残りは他のトリクロロプロペン異性体又は他のクロロ脂肪酸であり得る。
【0052】
脱塩化水素反応生成物は、トリクロロプロペンの濃度を増加させるために精製され得る。生成物は、少なくとも85モル%、代替的に少なくとも87モル%、代替的に少なくとも89モル%、代替的に少なくとも95モル%、代替的に少なくとも99モル%、代替的に約100モル%まで精製又は別様に濃縮され得る。反応生成物は、全てのトリクロロプロペンが次の塩素化反応に提供され得るように、精製され得るか、又は分離が実行され得る。
【0053】
反応器からトリクロロプロペンを分離することは、少なくとも2つ又は3つの生成物ストリームを含み得る。様々な実施形態において、トリクロロプロペンを分離することは、利用される分離装置に依存して、4つ、5つ、又はそれ以上の生成物ストリームを生成し得る。本明細書に説明されるような分離装置が、採用され得る。
【0054】
分離後の様々な生成物ストリームの一部は、任意選択的に、脱塩化水素反応器にリサイクルされて、増加された反応速度、増加された効率、及び削減されたプロセスの全体的なコストを提供する。一実施形態においては、いかなる未反応又は新たに形成された1,1,2,3-テトラクロロプロパンも、脱塩化水素反応器にリサイクルされ得る。
【0055】
粗ジクロロプロペンからの追加的な反応生成物
供給物が粗ジクロロプロペンである場合のような、第1の塩素化反応への供給物材料が2,3-ジクロロプロペンも含む実施形態においては、2,3-ジクロロプロペンの塩素化が、第1の塩素化ステップにおいて1,2,2,3-テトラクロロプロパンを生成する。1,2,2,3-テトラクロロプロパンはまた、粗ジクロロプロペンにおいてそうなり得るように、供給物材料が1,2-ジクロロプロパンも含有する場合、第1の塩素化ステップにおいて形成され得る。1,2-ジクロロプロパンは、部分的に1,2,3-トリクロロプロパンに塩素化することができ、これが次いで、第1の脱塩化水素ステップにおいて、2,3-ジクロロプロペンに脱塩化水素する。第1の脱塩化水素ステップにおける2,3-ジクロロプロペンのこの形成は次いで、第1の塩素化ステップにリサイクルすることができる。
【0056】
したがって、第1の塩素化反応が、粗ジクロロプロペンのような2,3-ジクロロプロペンを含む場合、上で言及されるように、塩素化反応物は、1,2,3-トリクロロプロパンだけでなく、塩素化反応において1,2,2,3-テトラクロロプロパンを含有し得る。1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、脱塩化水素反応に供給され得るか、別個のストリームに分離され、別個の脱塩化水素反応器中で別個に脱塩化水素反応に供され得るか、又は副生成物としてプロセスから完全に除去され得る。塩素化反応生成物中に1,2,2,3-テトラクロロプロパンが存在する場合、1,2,2,3-テトラクロロプロパンの脱塩化水素に相間移動触媒が有用又は必要となり得る。相間移動触媒は、以上に説明された脱塩化水素反応において、又は別個の脱塩化水素反応において、1,2,2,3-テトラクロロプロパンの脱塩化水素の反応速度を改善するために使用され得る。1,2,2,3-テトラクロロプロパンの脱塩化水素は、1,2,3-トリクロロプロペン異性体を生成し、該異性体は、後続する反応ステップにおいて有用な化合物である。代替的に、1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、相間移動触媒なしで脱塩化水素反応に供給され得、この場合には、本質的に不活性となる。
【0057】
脱塩化水素反応器から離れた1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、脱塩化水素反応生成物から分離され得るか、又は、脱塩化水素反応を離れたトリクロロプロペンとともに塩素化反応に供給され得る。塩素化反応器に供給される場合、1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、溶媒として作用し得、及び/又は、少なくとも一部が1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンに塩素化され得る。1,2,2,3-テトラクロロプロパンが、脱塩化水素生成物から分離される場合、フリーラジカル塩素化の反応速度を改善するために、AIBNのようなフリーラジカル開始剤が追加される別個の塩素化反応に(別個の反応器中での)送られ得る。代替的に、少量の相間移動触媒が、第1の脱塩化水素ステップに追加されて、その蓄積が許容レベルに制限されるように1,2,2,3-テトラクロロプロパンの少なくとも一部を変換し得る。いくつかの実施形態においては、1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、より価値があると考えられ得る他の分子の損失を最小化するように選択されるパージストリームにおいて、プロセスから単にパージされ得る。パージストリームは、蒸留ステップ又は他の分離器によって生成され得る。
【0058】
したがって、いくつかの例においては、脱塩化水素は、相間移動触媒を利用し得る。相間移動触媒の非限定的な例は、四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、及びピリジニウム塩であり得る。いくつかの実施形態においては、相間移動触媒は、四級アンモニウム塩であり得る。好適な塩の非限定的な例は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は酢酸塩である。四級アンモニウム塩の非限定的な例は、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(Aliquat(登録商標)336)、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、Arquad 2HT-75、ベンジルジメチルデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルデシルアンモニウムブロミド、ベンジルジメチルデシルアンモニウムヨージド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムアセテート、テトラヘキシルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、トリドデシルメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヨージド、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態においては、1つよりも多い相間移動触媒が使用される。好ましい実施形態においては、相間移動触媒は、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(Aliquat(登録商標)336)である。
【0059】
相間移動触媒の量は、成分の総重量を基準にして0.001重量%~約10.0重量%、代替的に0.05重量%~7.5重量%、0.02重量%~約2.5重量%、又は0.01重量%~約1.0重量%の範囲であり得る。
【0060】
粗ジクロロプロペン中に1,2-ジクロロプロパンがあり、一部が1,2,3-トリクロロプロパンに塩素化する場合、又は、粗ジクロロプロペン中に3-クロロプロペンがあり、1,2,3-トリクロロプロパンに塩素化する場合のような、塩素化反応生成物から1,2,3-トリクロロプロパンが生成される場合には、1,2,3-トリクロロプロパンが、脱塩化水素反応試薬と反応し得る。かかる脱塩化水素反応においては、1,2,3-トリクロロプロパンは、2,3-ジクロロプロペンに変換され、次いで塩素化反応器にリサイクルされ得る。
【0061】
1,2,2,3-テトラクロロプロパンの反応及び/又はパージ又はリサイクルは、本明細書で考察されるように実行され得るが、多くの場合、2,3-ジクロロプロペン及び1,2-ジクロロプロパンは、任意の塩素化を実施することに先立って、供給物ストリーム中の粗ジクロロプロペンから除去され得る。
【0062】
第2の塩素化プロセス
脱塩化水素反応に続いて、第2の塩素化反応が実行され得る。これは、第1の塩素化反応が実行される反応器とは異なる、異なる又は第2の塩素化反応器中で実行され得る。代替的に、第1の塩素化反応及び第2の塩素化反応は、単一の、すなわち同一の、塩素化反応器中で実行することができる。
【0063】
第2の塩素化においては、トリクロロプロペンを含む脱塩化水素反応からの精製された又は未精製の反応生成物が、塩素化剤と反応させられ得る。1,3-ジクロロプロペンの第1の塩素化におけるものと同一の又は異なる塩素化剤が使用され得、反応条件は以前に説明されるとおりであり、任意選択的に、塩素化反応のための溶媒は、以上に説明されたとおりであり得る。
【0064】
トリクロロプロペンを含む反応生成物の塩素化は、これらのトリクロロプロペンの、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン及びこれらの混合物のようなペンタクロロプロパンを有する塩素化反応生成物への変換に帰着する。
【0065】
トリクロロプロペンの及び/又は1,1,3-トリクロロプロペンの変換率は、少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%であり得る。1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンへの選択率は、少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%であり得る。反応生成物中の1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンは、約75モル%~約99モル%、代替的に約80モル%~90モル%の範囲であり得、又は代替的に少なくとも95%、代替的に少なくとも98%、代替的に少なくとも99%であり得る。
【0066】
ペンタクロロプロパン含有反応生成物は、反応生成物中の1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンを増加させるように精製され得る。生成物は蒸留によって分離され得、このため、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンよりも低い沸点及び/又は高い沸点を有する成分を分離し得る。
【0067】
いくつかの実施形態においては、第2の塩素化反応は、同一の反応器中で第1の塩素化反応と同時に実施することができる。この場合においては、組み合わされた塩素化反応器からの反応生成物は、1,1,2,3-テトラクロロプロパン、1,2,2,3-テトラクロロプロパン、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、及びこれらの混合物を含む、テトラクロロプロパン及びペンタクロロプロパン生成物の両方を含む。反応生成物の分離は、蒸留のような以上に開示された方法を使用して実施されて、第1の脱塩化水素反応に戻され得るテトラクロロプロパンに富むストリーム、及び以下に説明される第2の脱塩化水素反応に向けられ得るペンタクロロプロパンに富むストリームを生成し得る。かかる分離から、軽い又は重い副生成物のような、他の生成物のストリームも生成され得る。
【0068】
第2の脱塩化水素プロセス
ペンタクロロプロパンを含む第2の塩素化反応の反応生成物は次いで、精製されているか、又は精製されていないかにかかわらず、第2の脱塩化水素反応に供され得る。この第2の脱塩化水素反応においては、第2の塩素化反応の反応生成物が、脱塩化水素試薬又は脱塩化水素触媒と反応させられる。脱塩化水素試薬又は脱塩化水素触媒は、第1の脱塩化水素に関して以上に説明されたように使用することができ、第1の脱塩化水素反応において使用される脱塩化水素試薬又は脱塩化水素触媒と同一であり得るか、又は異なり得、また同一の脱塩化水素反応器において使用され得るか、又は異なる脱塩化水素反応器において使用され得る。
【0069】
1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンを有するペンタクロロプロパン含有塩素化反応生成物は、1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び/又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンを含むテトラクロロプロペンを有する第2の脱塩化水素生成物を生成する。反応生成物中の1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び/又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンは、約75モル%~約99モル%、代替的に約85モル%~95モル%の範囲であり得る。
【0070】
1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンの変換率は、少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%であり得る。1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び/又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンに対する選択率は、少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%であり得る。
【0071】
反応生成物は、テトラクロロプロペンの濃度を増加させるために、又は本明細書に開示されるような分離器を採用して望ましくない成分を除去するために、更に精製することができる。いずれの未反応の供給物成分も、第2の脱塩化水素反応のために脱塩化水素反応器にリサイクルされ得る。2,3,3,3-テトラクロロプロペンはまた、異性化反応などを介して、1,1,2,3-テトラクロロプロペンに変換され得、かかる反応は、触媒の存在下で実行され得る。
【0072】
例示的なプロセス
図1は、1,3-ジクロロプロペンから1,1,2,3-テトラクロロプロペン又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンのうちの少なくとも一方を生成するための例示的プロセス100を例解する。図示されるように、1,3-ジクロロプロペンを含む最初の供給物105は、この場合には塩素ガスである塩素化剤110とともに、第1の塩素化反応器115に供給され、ここで第1の塩素化反応が行われる。供給物105は、1,3-ジクロロプレンの純粋な供給物とみなされ得る(かつ、有し得るが、他の実施形態においては、供給物は、他の化合物を有する粗ジクロロプレンであり得る。
【0073】
テトラクロロアルカンを含む第1の塩素化反応生成物120が生成され、かかるテトラクロロアルカンは1,1,2,3-テトラクロロプロパンである。これは、この場合には蒸留塔である分離器125に供給され、そこで未反応の1,3-ジクロロプロペンが軽い留分130として分離され、反応器115にリサイクルされ得る。1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む精製された反応生成物135は次いで、第1の脱塩化水素反応のため、第1の脱塩化水素反応器140に供給され得る。この場合には水性NaOHである脱塩化水素試薬145が、反応器140に提供されて、精製された反応生成物135と反応する。
【0074】
トリクロロプロペンを含む第1の脱塩化水素生成物150が生成される。かかるトリクロロプロペンは、1,1,3-トリクロロプロペン、1,2,3-トリクロロプロペン(シス及びトランス)並びに2,3,3-トリクロロプロペンの混合物を含む。この第1の脱塩化水素生成物150は、デカンタであり得る乾燥器155に供給され得、そこで、水と、反応中に生成された又は別様に存在するNaClのような任意の塩160とが分離され得る。他の実施形態においては、第1の脱塩化水素生成物150は、蒸留、分子ふるい、シリカ又はアルミナによって更に乾燥され得る。乾燥された第1の脱塩化水素生成物175は次いで、この場合には蒸留塔である分離器180に提供され得、そこで、任意の未反応1,1,2,3-テトラクロロプロパンが、リサイクルストリーム170中で分離され得、第1の脱塩化水素反応器140に供給され戻され得る。いくつかの実施形態においては、分離器125は省略され得、その場合には、第1の塩素化反応器115から離れた任意の残余の1,3-ジクロロプロペンは、第1の脱塩化水素反応器140を通って供給され、分離器180から第1の塩素化反応器115にリサイクルされ得る。
【0075】
精製された脱塩化水素生成物185は、第2の塩素化反応のために、第2の塩素化反応器200に供給され得る。この場合には塩素である塩素化試薬190は、第2の塩素化反応器200に供給することができる。1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのようなペンタクロロプロパンを含む第2の塩素化生成物205が生成される。これは、分離器210に提供され得、該分離器は、精製された脱塩化水素生成物185中の任意の未反応トリクロロプロペンを分離し、リサイクルストリーム215を介して第2の塩素化反応器200に提供し戻し得る。精製された第2の塩素化生成物220は、この場合には水性NaOHである脱塩化水素試薬225とともに、第2の脱塩化水素反応のために、第2の脱塩化水素反応器230に供給され得る。
【0076】
第2の脱塩化水素生成物235は、1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び2,3,3,3-テトラクロロプロペンを含む、所望の中間体テトラクロロプロペンを含む。第2の脱塩化水素生成物235は、乾燥器240に供給され、そこで、水と、反応から生成された又は別様に存在するNaClのような塩245とが分離され得る。乾燥された第2の脱塩化水素生成物250は次いで、この場合には蒸留塔である分離器255に供給されて、より高い濃度の1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び2,3,3,3-テトラクロロプロペンを有する精製されたストリーム265、並びにより重い成分のストリーム270を生成し得る。1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのようなストリーム270中の未反応ペンタクロロプロパンは、リサイクル260を介して脱塩化水素反応器230に供給され戻され得る。
図1においては、例解目的のために、乾燥器及び分離器が示されているが、かかるプロセスは省略され得る。同様に、リサイクルのストリームも省略され得る。プロセス100において、乾燥器155及び240とともに、分離器125、180及び210が示されているが、いくつかの実施形態においては、精製又は分離が必要とされない又は所望されない場合、これらは省略され得る。
【0077】
更に、
図1の構成は、単一の塩素化反応器が、第2の別個の塩素化反応器なしでジクロロプロペン及びトリクロロプロペンの合わせた塩素化のために採用される、
図2(以下に説明される)と同様の構成に容易に変換され得る。
【0078】
図2は、粗ジクロロプロペンのストリームからペンタクロロプロパン及び/又は1,1,2,3-テトラクロロプロペン又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンのうちの少なくとも一方を生成するための、例示的なプロセス500を例解する。このプロセスにおいては、2つの脱塩化水素反応を実行することができ、一方は、それぞれジクロロプロペン及びトリクロロプロペンを生成するためのトリクロロプロパン及びテトラクロロプロパンの反応に向けられ、他方は、1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び/又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンを生成するためのペンタクロロプロパンの反応に向けられたものである。
【0079】
図示されるように、粗ジクロロプロペンの供給物ストリーム505は、この場合には塩素ガスである塩素化剤510と組み合わされ、単一の塩素化反応器512に供給され、そこで塩素化反応が実行される。供給物ストリーム505は、粗ジクロロプロペンのストリームであり得るが、他の実施形態においては、1,3-ジクロロプロペン以外は少ない成分しか有さない、より純粋なジクロロプロペンのストリームであり得る。代替的に、粗ジクロロプロペンと塩素化剤とは、独立して反応器512に供給され得る。粗ジクロロプロペンの供給物ストリーム505は、1,3-ジクロロプロペンを含むが、1,2-ジクロロプロパン、3-クロロプロペン、1,2,3-トリクロロプロパン、並びに3,3-ジクロロプロペン及び2,3-ジクロロプロペンを含む1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペンの異性体を含む、他の複数のクロロ脂肪族成分をも含む。
【0080】
第1の塩素化反応器512においては、1,3-クロロプロペン及び3,3-クロロプロペンが、1,1,2,3-テトラクロロプロパンに塩素化する。2,3-ジクロロプロペンは、1,2,2,3-テトラクロロプロパンに塩素化し、1,2-ジクロロプロパンは、1,2,3-トリクロロプロパンに部分的に塩素化する。反応生成物515は、この場合には蒸留塔である分離器520に供給されて、HClを含む任意の軽い留分525を除去し得る。いずれの未反応のジクロロプロペンも、リサイクル530を介してリサイクルされ得る。精製された反応生成物535は、1,2-ジクロロプロパン、1,2,3-トリクロロプロパン、1,2,2,3-テトラクロロプロパン、1,1,2,3-テトラクロロプロパン、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、及び1,1,2,3,3-ペンタクロロプロパン、並びに他の重い留分成分を含む。反応器520から離れたペンタクロロプロパン成分は、以下に考察される反応器545及び後続の乾燥器560から反応器520にリサイクルされる、トリクロロプロペンの塩素化生成物である。
【0081】
精製された反応生成物535は次いで、第2の分離器540に供給され、そこで1,2-ジクロロプロパンを含む軽いストリーム545が除去され、塩素化反応器512に戻されるか、又は廃棄され得る。1,2,3-トリクロロプロパン、1,2,2,3-テトラクロロプロパン、及び1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む留分542は、脱塩化水素反応器545に提供され得、そこに、この場合には苛性基すなわち水性NaOHである脱塩化水素試薬550が供給されて、そこで脱塩化水素反応が実行される。脱塩化水素反応器545において、1,2,2,3-テトラクロロプロパンの脱塩化水素を促進するために相間移動触媒が採用され得るか、又は、1,2,2,3-テトラクロロプロパンが、脱塩化水素反応器545への供給物から分離され、相間移動触媒を用いて別個の脱塩化水素反応器(図示せず)において脱塩化水素され得る。
【0082】
脱塩化水素反応において、1,2,3-トリクロロプロパンは2,3-ジクロロプロペンに変わり、1,1,2,3-テトラクロロプロパン及び1,2,2,3-テトラクロロプロパンはトリクロロプロペンに変換する。脱塩化水素反応器545からの脱塩化水素反応生成物555は、デカンタ、乾燥器、蒸留塔、又はこれらの組み合わせであり得る分離器560に提供され、そこで水とNaCl副生成物とがストリーム570中で分離及び除去され、精製生成物565が塩素化反応器512に向けられる。精製生成物565は、2,3-ジクロロプロペン、1,1,3-トリクロロプロペン、2,3,3-トリクロロプロペン、及び1,2,3-トリクロロプロペンを含み、また未反応テトラクロロプロパンを含有し得、これは、第1の塩素化反応器512に供給され得るか、又は、
図2には図示されていないものの、分離器によって分離され、脱塩化水素反応器545若しくはAIBNのようなフリーラジカル開始剤を採用するフリーラジカル塩素化反応器である別の塩素化反応器(同様に図示せず)にリサイクルされ得る。
【0083】
再び第2の分離器540に戻ると、第2の分離器540を出るものは、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、及び1,1,2,3,3-ペンタクロロプロパンを含む重い留分572であり、これが第3の分離器575に提供され、そこで、1,1,2,3,3-ペンタクロロプロパンを有する重いストリーム580が、他の重い化合物を除去される。1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンを有する軽い精製生成物585は、脱塩化水素反応器590に提供され、そこに、この場合には苛性物質すなわちNaOHである脱塩化水素試薬595が供給されて、そこで脱塩化水素反応が実行される。脱塩化水素反応生成物600は次いで、デカンタ、乾燥器、蒸留塔、又はこれらの組み合わせであり得る分離器605に提供され、そこで水とNaCl副生成物とがストリーム615中で分離され、除去される。
【0084】
1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン、並びに1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのような任意の未反応ペンタクロロプロパンを含む、分離器605からの精製生成物610は、分離器620に提供され、そこで、1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び2,3,3,3-テトラクロロプロペンのようなテトラクロロプロペンを含む生成物ストリーム625が引き出される。更に、ペンタクロロプロパンを有する重質物のストリーム627は、ペンタクロロプロパン成分の分離のために分離器575に提供され戻される。
図2においては、例解目的のために、分離器が示されているが、かかるプロセスは省略され得る。同様に、リサイクルストリームも省略され得る。
図1又は
図2には図示されていないが、生成物ストリーム265又は625はそれぞれ、異性化反応器に供給されて、当該技術分野において知られているプロセスによって1,1,2,3-テトラクロロプロペンを生成し得る。
【0085】
図1及び
図2において、特定の化合物は、それぞれのプロセスにおいて短縮表記で識別される。短縮表記は、化合物の各々が3つの炭素を有するアルカン又はアルケンであり、数字が塩素の位置を示し、「e」の使用が接尾辞「-ene」を示し、「e」の欠如が接尾辞「-ane」を示すようなものである。
【0086】
【0087】
本明細書で開示される、任意選択的に接頭辞であるジ、トリ、ペンタという用語を伴う、クロロプロパン及び/又はクロロプロペンという用語は、化合物の全ての異性体及びプロパン又はプロペンのベース鎖を構成する炭化水素鎖に沿った塩素の全ての位置を包含している。例えば、クロロプロペンという用語は、1-クロロプロペン、2-クロロプロペン、又は3-クロロプロペンを含む、クロロプロペンの全ての異性体を含む。ジクロロプロペンという用語は、1,3-ジクロロプロペン、2,3-ジクロロプロペン、及び3,3-ジクロロプロペンを含む、ジクロロプロペンの全ての異性体を含む。ジクロロプロパンという用語は、1,2-ジクロロプロパンを含む、ジクロロプロパンの全ての異性体を含む。トリクロロプロペンという用語は、例えば1,1,3-トリクロロプロペン、2,3,3-トリクロロプロペン、シス-1,2,3-トリクロロプロペン、トランス-1,2,3-トリクロロプロペンを含む、シス及びトランスを含むトリクロロプロペンの全ての異性体を含む。同様に、トリクロロプロパンという用語は、1,2,3-トリクロロプロパンを含む、トリクロロプロパンの全ての異性体を含む。テトラクロロプロペンという用語は、1,1,2,3-テトラクロロプロペン及び2,3,3,3-テトラクロロプロペンを含む、テトラクロロプロペンの全ての異性体を含む。テトラクロロプロパンという用語は、1,1,2,3-テトラクロロプロパン及び1,2,2,3-テトラクロロプロパンを含む、テトラクロロプロパンの全ての異性体を含む。ペンタクロロプロパンという用語は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、及び1,1,2,3,3-ペンタクロロプロパンを含む、ペンタクロロプロパンの全ての異性体を含む。
【実施例】
【0088】
本開示の理解を促進するために、特定の実施形態の以下の実施例が提供されるが、以下の実施例は、決して本開示の範囲を限定するものとして読まれるべきではない。
【0089】
実施例1:1,1,2,3-テトラクロロプロパンの調製
水凝縮器、磁気撹拌子、及びアルゴンパッドを備えた250mLの三首丸底フラスコに、100gの1,3-ジクロロプロペン(13e)(分子ふるいAW300を用いて乾燥された)を充填した。13eが撹拌され、55℃に加熱された。Cl2が、約0.5~1g/分の速度でバブリングされた。反応混合物は、2時間後にサンプリングされ、90%より高い選択率で1,1,2,3-テトラクロロプロパンを得た。
【0090】
実施例2:1,1,2,3-テトラクロロプロパンからのトリクロロプロペンの調製
実施例1からの生成物が蒸留されて、約99.971モル%の1,1,2,3-テトラクロロプロパン、並びに0.02モル%の1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンを含有する液体混合物を生成した。この混合物の一部50.5gが、250mlの丸底フラスコに追加された。撹拌が開始され、10sccmのアルゴンのパージがヘッドスペースに開始され、フラスコが95℃に加熱され、56.5gの20重量%のNaOH溶液が3時間滴下された。NaOHの溶液の追加後に、反応が94~95℃で更に2.5時間保たれた。反応の終了時に、生成物が冷却され、有機相が回収された。有機相がGCにより分析され、約57.2モル%の1,1,3-トリクロロプロペン、19.5モル%の2,3,3-トリクロロプロペン、7.2モル%のシス-1,2,3-トリクロロプロペン、7.5モル%のトランス-1,2,3-トリクロロプロペンを示した。1,1,2,3-テトラクロロプロパンの転化率は、97%であり、有用なトリクロロプロペン異性体に対する選択率は、94%であった。
【0091】
実施例3:トリクロロプロペンからのペンタクロロプロパンの調製
実施例2からのトリクロロプロペン混合物が、他の同様の実験からの生成混合物と組み合わされ、蒸留されて、約89.1モル%の1,1,3-トリクロロプロペン、8.2モル%のトランス-1,2,3-トリクロロプロペン及び2.5モル%の2,3,3-トリクロロプロペンを含有する混合物を形成した。38.3gのこの材料が、磁気撹拌子及び凝縮器を備えた100mlの丸底フラスコに移された。フラスコは、50℃に加熱された。20gの塩素が、フラスコ内へと2時間バブリングされた。軽いアルゴンのストリーム下で、反応が実行された。フラスコ温度は、53℃に保たれた。生成混合物がGCで分析され、約84.3モル%の1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、及び9.9モル%の1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンを示した。トリクロロプロペンの全転化率は、97%であり、1,1,2,2,3-及び1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンへの全選択率は、97%よりも高かった。
【0092】
実施例4:粗ペンタクロロプロパンからのテトラクロロプロペンの調製
実施例3からの粗ペンタクロロプロパン生成混合物の一部24.8gが、250mlの丸底フラスコに追加された。撹拌を開始され、10sccmのアルゴンのパージがヘッドスペースに開始された。フラスコは95℃に加熱され、27.2gの20重量%のNaOH溶液が3時間滴下され、その後、撹拌及び温度が更に2.5時間維持された。反応の終了時に、生成物が冷却され、有機相が回収された。有機相がGCにより分析され、約42.0モル%の1,1,2,3-テトラクロロプロペン(1230xa)、及び48.4モル%の2,3,3,3-テトラクロロプロペン(1230xf)を示した。1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンの転化率は、>99.9%であった。テトラクロロプロペンに対するペンタクロロプロパンの選択率は、約90.1%であった。
【0093】
実施例5:粗1,3-ジクロロプロペンからの1,1,2,3-テトラクロロプロパンの調製
冷水凝縮器、磁気撹拌子及び加熱マントルを備えた250mLの丸底フラスコに、22.2モル%のシス-1,3-ジクロロプロペン、18.3モル%のトランス-1,3-ジクロロプロペン、51モル%の1,2-ジクロロプロパン、3.4モル%の2,3-ジクロロプロペン、2.0モル%の3,3-ジクロロプロペン、及び1.4モル%の3-クロロプロペンを含む、206.5gの粗1,3-ジクロロプロペンを充填した。粗混合物は撹拌され、10sccmの窒素と150sccmの塩素ガスとの混合物が、液面下でバブリングされた。混合物は、61℃の最高温度にまで自己加熱した。塩素供給物の4.3時間にわたる平均温度は、48℃であった。最終的な反応混合物の重量は、261.8gであり、98%を超える全オレフィン種の転化率を呈した。この混合物は、約2.86モル%の1,2,3-トリクロロプロパン、3.44モル%の1,2,2,3-テトラクロロプロパン、及び42.35モル%の1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含有した。
【0094】
実施例6:粗1,2,2,3-テトラクロロプロパンからのトリクロロプロペンの調製
実施例5からの生成物が蒸留されて、約2.66モル%の1,2,3-トリクロロプロパン、4.62モル%の1,2,2,3-テトラクロロプロパン、89.70モル%の1,1,2,3-テトラクロロプロパン、及び約3モル%の不純物を含有する液体混合物を生成した。この混合物の一部111.3gが、20gの水を入れた500mlの丸底フラスコに追加された。撹拌が開始され、10sccmの窒素のパージがヘッドスペースに開始された。フラスコが90℃に加熱され、128gの20重量%のNaOHが3.9時間滴下された。反応中の最高温度は、97℃であった。反応の終了時に、生成物が冷却され、78.6gの有機相が回収された。有機相がGCにより分析され、約51モル%の1,1,3-トリクロロプロペン、及び31モル%の他のトリクロロプロペンの異性体を示した。1,1,2,3-テトラクロロプロパンの転化率は、98%であり、有用なトリクロロプロペン異性体に対する選択率は、93%であった。
【0095】
実施例7:粗トリクロロプロペンからのペンタクロロプロパンの調製
実施例6からの粗トリクロロプロペン混合物が、他の同様の実験からの生成混合物と組み合わされて、約49モル%の1,1,3-トリクロロプロペン及び31モル%の他のトリクロロプロペン異性体を含有する混合物を形成した。80.6gのこの材料が、いかなる精製又は乾燥も行わずに、100mlの丸底フラスコに移された。このフラスコに、5sccmの窒素とともに、135sccmの速度で撹拌しながら、塩素が3.1時間バブリングされた。フラスコ温度は、26℃~30℃に維持された。トリクロロプロペンの全転化率は、97%であり、1,1,2,2,3-及び1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンへの全選択率は、99%よりも高かった。
【0096】
実施例8:粗ペンタクロロプロパンからのテトラクロロプロペンの調製
実施例7からの粗ペンタクロロプロパン生成混合物が蒸留されて、大部分の軽い成分を除去して、約54モル%の1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、35モル%の1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、1.7モル%の1,2,2,3-テトラクロロプロパン、2.4モル%の1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含有する混合物を得た。この混合物の一部91gが、20gの水を入れた500mlの丸底フラスコに追加された。撹拌が開始され、10sccmの窒素のパージがヘッドスペースに開始された。フラスコが75℃に加熱され、79.5gの20重量%のNaOHが2時間滴下され、その後更に0.5時間撹拌及び温度が維持された。反応の終了時に、生成物が冷却され、71.5gの有機相が回収された。有機相がGCにより分析され、約51.5モル%の1,1,2,3-テトラクロロプロペン(1230xa)、及び30.4モル%の2,3,3,3-テトラクロロプロペン(1230xf)を示した。1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンの転化率は、93.3%であり、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンの転化率は、96.7%であった。テトラクロロプロペンに対するペンタクロロプロパンの選択率は、約97.4%であった。出発材料中の1,1,2,3-テトラクロロプロパンの大部分は、1,1,3-トリクロロプロペンに変換された。
【0097】
本開示の理解を深めるために、様々な実施例が本明細書で提供される。具体的な記述のセットが、以下のように提供される。
【0098】
記述1:第1の塩素化反応において、1,3-ジクロロプロペンを塩素化剤と反応させて、1,1,2,3-テトラクロロプロパンを含む第1の塩素化反応生成物を形成することと、第1の脱塩化水素反応において、第1の塩素化反応生成物を脱塩化水素試薬又は脱塩化水素触媒と反応させて、1つ以上のトリクロロプロペンを含む第1の脱塩化水素反応生成物を形成することと、第2の塩素化反応において、第1の脱塩化水素反応生成物を同一又は異なる塩素化剤と反応させて、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン又は1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンのうちの少なくとも一方を含む第2の塩素化反応生成物を形成することと、を含む、プロセス。
【0099】
記述2:第2の脱塩化水素反応において、第2の塩素化反応生成物を脱塩化水素試薬又は脱塩化水素触媒と反応させて、1,1,2,3-テトラクロロプロペン又は2,3,3,3-テトラクロロプロペンのうちの少なくとも一方を含む第2の脱塩化水素反応生成物を形成することを更に含む、記述1に記載のプロセス。
【0100】
記述3:塩素化剤は、塩素である、記述1又は2に記載のプロセス。
【0101】
記述4:1,3-ジクロロプロペンと塩素化剤との反応は、液相中であり、塩素化剤は、気体として導入されるか、又は液体溶媒に吸収される、記述1~3のいずれか1つに記載のプロセス。
【0102】
記述5:第1の脱塩化水素反応は、第1の塩素化反応生成物を脱塩化水素試薬と反応させることを含む、記述1~4のいずれか1つに記載のプロセス。
【0103】
記述6:脱塩化水素試薬は、アルカリ金属水酸化物である、記述1~5のいずれか1つに記載のプロセス。
【0104】
記述7:アルカリ金属水酸化物は、NaOHである、記述6に記載のプロセス。
【0105】
記述8:第1の脱塩化水素反応は、第1の塩素化反応生成物を触媒と反応させることを含む、記述1~4のいずれか1つに記載のプロセス。
【0106】
記述9:触媒は、ルイス酸触媒である、記述8に記載のプロセス。
【0107】
記述10:第1の塩素化反応における1,3-ジクロロプロペンから1,1,2,3-テトラクロロプロパンへの変換は、少なくとも80%の選択率を有する、記述1~9のいずれか1つに記載のプロセス。
【0108】
記述11:第1の塩素化反応生成物は、増加された濃度の1,1,2,3-テトラクロロプロパンを得るために、第1の脱塩化水素反応に先立って精製される、記述1~10のいずれか1つに記載のプロセス。
【0109】
記述12:第1の脱塩化水素反応生成物中の1つ以上のトリクロロプロペンは、1,1,3-トリクロロプロペン、2,3,3-トリクロロプロペン、1,2,3-トリクロロプロペン、及びこれらの混合物の群から選択される、記述1~11のいずれか1つに記載のプロセス。
【0110】
記述13:第1の脱塩化水素反応生成物は、第1の脱塩化水素反応生成物中の増加された濃度の1つ以上のトリクロロプロペンを得るために、第2の塩素化反応に先立って精製される、記述1~12のいずれか1つに記載のプロセス。
【0111】
記述14:第2の塩素化反応における1つ以上のトリクロロプロペンの塩素化は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、又はこれらの混合物に対して少なくとも90%の選択率を有する生成物を生成する、記述1~13のいずれか1つに記載のプロセス。
【0112】
記述15:1,3-ジクロロプロペンは、粗ジクロロプロペンのストリームの一部として提供され、粗ジクロロプロペンのストリームは、1,2-ジクロロプロパン、又は1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペンの異性体の少なくとも1つを更に含み、1,3-ジクロロプロペン以外のジクロロプロペンは、3,3-ジクロロプロペン、2,3-ジクロロプロペン、及びこれらの混合物の群から選択されるメンバを含み、第1の塩素化反応において、1,3-ジクロロプロペンを塩素化剤と反応させることは、粗ジクロロプロペンを塩素化剤と接触させて塩素化反応生成物を形成することを含む、記述1~14のいずれか1つに記載のプロセス。
【0113】
記述16:第1の塩素化反応生成物は、1,2,2,3-テトラクロロプロパンを更に含む、記述1~15のいずれか1つに記載のプロセス。
【0114】
記述17:1,2,2,3-テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、第1の塩素化反応にリサイクルされる、記述16に記載のプロセス。
【0115】
記述18:1,2,2,3-テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、フリーラジカル開始剤が提供される別個の塩素化反応に供給される、記述16に記載のプロセス。
【0116】
記述19:1,2,2,3-テトラクロロプロパンの少なくとも一部は、相間移動触媒が提供される別個の脱塩化水素反応に供給される、記述16に記載のプロセス。
【0117】
記述20:第1の脱塩化水素反応に相間移動触媒を更に提供する、記述16に記載のプロセス。
【0118】
記述21:相間移動触媒は、四級アンモニウム塩を含む、記述20に記載のプロセス。
【0119】
記述22:1,2,2,3-テトラクロロプロパンは、別個のストリームに分離され、相間移動触媒の存在下で脱塩化水素反応に供される、記述16に記載のプロセス。
【0120】
記述23:第1の塩素化反応及び第2の塩素化反応は、単一の塩素化反応器中でともに実施される、記述1~19のいずれか1つに記載のプロセス。
【0121】
記述24:単一の塩素化反応器からの塩素化生成物が蒸留されて、第1の脱塩化水素反応に供給され得るテトラクロロプロパンに富むストリーム、及びペンタクロロプロパンを含むストリームを回収する、記述23に記載のプロセス。
【国際調査報告】