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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】回転アトマイザ
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20230925BHJP
   B05B 3/10 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B05B5/04 A
B05B3/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517660
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 GB2021052446
(87)【国際公開番号】W WO2022064184
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】2014947.2
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】17/326,629
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519426678
【氏名又は名称】ノバンタ テクノロジーズ ユーケイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビーズリー、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ストラットン、ジョン
【テーマコード(参考)】
4F033
4F034
【Fターム(参考)】
4F033PA11
4F033PB16
4F033PC07
4F033PD03
4F034AA03
4F034BA23
4F034BB02
(57)【要約】
回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支されるシャフト(1a)と、シャフト(1a)上に取り外し可能に取り付けられたベルカップ(2)とを有する回転アトマイザスピンドルを備える回転アトマイザスピンドル装置。ベルカップ(2)は、使用時の回転中に、媒体を噴霧するためのベル部分(21)と、ベルカップがシャフト(1a)に取り付けられる取り付け部分(22)とを有する。シャフト及びベルカップの取り付け部分は、ベルカップがシャフトに取り付けられるときにシャフトに対してベルカップ内に位置する締まり嵌めを互いに形成する、それぞれの相補的なテーパ部分(11、23)を備える。回転アトマイザスピンドル装置は、ベルカップ(2)及びシャフト1aが互いに対して第1の相対回転位置にあるときに相補的なテーパ部分(11、23)を互いに対して付勢するための保持付勢手段を有するベルカップ保持装置(5、24)を備え、ベルカップ保持装置(5、24)は、ベルカップ(2)及びシャフト(1a)が互いに対して第2の相対回転位置にあるときに、ベルカップ(2)をシャフト1aから少なくとも取り外すことを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支されているシャフトと、前記シャフト上に取り外し可能に取り付けられたベルカップであって、前記ベルカップが、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分と、前記ベルカップが前記シャフト上に取り付けられる取り付け部分とを有し、前記シャフト及び前記ベルカップの取り付け部分が、前記ベルカップが前記シャフト上に取り付けられるときに前記シャフトに対して前記ベルカップ内に位置する互いに締まり嵌めを形成するそれぞれの相補的なテーパ部分を備える、ベルカップとを有する回転アトマイザスピンドルを備える回転アトマイザスピンドル装置であって、前記回転アトマイザスピンドル装置が、前記ベルカップ及び前記シャフトが互いに対して第1の相対回転位置にあるときに前記相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段を有するベルカップ保持装置を備え、前記ベルカップ保持装置が、前記ベルカップ及び前記シャフトが互いに対して第2の相対回転位置にあるときに前記ベルカップを前記シャフトから少なくとも取り外すことを可能にし、前記ベルカップ保持装置が、前記ベルカップ及び前記シャフトを前記第1の相対回転位置にラッチするためのラッチ手段を備える、回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項2】
前記ベルカップ保持装置が、前記シャフト及び前記ベルカップの一方の上に担持され、前記保持付勢手段、並びに前記相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための前記保持付勢手段の作用下で前記シャフト及び前記ベルカップの他方に作用するための少なくとも1つの第1の係合部分を有するスリーブを備える保持アセンブリを備える、請求項1に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項3】
前記スリーブが、前記シャフト及び前記ベルカップに対して軸方向に移動するように、及び前記ベルカップの前記シャフトへの取り付け及び/又は前記シャフトからの取り外しの間の前記付勢手段の前記作用に反して配置されている、請求項2に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項4】
前記スリーブが、前記保持アセンブリが担持されている前記シャフト及び前記ベルカップの前記一方に対する回転に反して保持されている、請求項2又は請求項3に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項5】
前記保持アセンブリが前記シャフト内に担持され、前記シャフトが、前記シャフトに対する前記スリーブの軸方向移動を制限し、前記シャフトに対する回転に反して前記スリーブを保持するための複数の内部位置決め突起を備える、請求項4に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項6】
前記ベルカップ保持装置が、前記保持付勢手段の作用下で前記少なくとも1つの第1の係合部分と係合するために、前記シャフト及び前記ベルカップの前記他方に設けられた少なくとも1つの相補的な保持係合部分を備える、請求項2から5のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項7】
前記保持アセンブリが前記シャフト上に担持され、前記少なくとも1つの相補的な保持係合部分が前記ベルカップ上に設けられる、請求項6に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1の係合部分が、前記スリーブ内に凹部を備え、前記少なくとも1つの相補的な保持係合部分が、突起を備える、請求項6又は請求項7に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項9】
前記スリーブが、複数の第1の係合部分を備え、対応する複数の相補的な保持係合部分が、前記シャフト及び前記ベルカップの前記他方に設けられる、請求項6から8のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項10】
前記第1の係合部分又は各第1の係合部分が、前記スリーブの軸方向に面する表面に設けられる、請求項2から9のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項11】
前記保持アセンブリが前記シャフトと前記ベルカップの前記取り付け部分との間に画定された環状部内に設けられる、請求項2から10のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項12】
前記ラッチ手段が、ラッチ部材と、前記ラッチ部材をラッチ位置に向かって付勢するためのラッチ付勢手段とを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項13】
前記ラッチ部材が、前記ラッチ部材が第1の相対回転位置から離れて前記シャフト及び前記ベルカップの相対回転に抵抗するための前記ラッチ位置にあるときに、それぞれの相補的なラッチ係合部分と係合するための少なくとも1つの戻り止め部分を有する、請求項12に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの戻り止め部分が、凹部を備え、前記少なくとも1つの相補的なラッチ係合部分が、突起を備える、請求項13に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項15】
前記ラッチ部材が前記スリーブを備え、前記戻り止め部分が前記スリーブ上に設けられ、前記相補的なラッチ係合部分が前記シャフト及び前記ベルカップの前記他方上に設けられる、請求項2に直接又は間接的に従属する場合、請求項13から14のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項16】
前記戻り止め部分又は各戻り止め部分が、前記スリーブの軸方向に面する表面に設けられる、請求項15に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの戻り止め部分及び前記少なくとも1つの第1の係合部分の両方が、前記スリーブのそれぞれの共通部分によって提供される、請求項15又は請求項16に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項18】
前記スリーブが、前記ベルカップが前記シャフトに対して前記第1の相対回転位置に向かって及び離れるように回転するとき、前記相補的なラッチ係合部分が、前記戻り止め部分に向かって及び前記戻り止め部分から離れるようにカム面を乗り越えるように、前記少なくとも1つの戻り止め部分に通じる前記カム面を備える、請求項15から17のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項19】
前記戻り止め部分及びカム面が、外部からのねじり力の作用下にあるときに、前記ベルカップ及び前記シャフトが前記第2の回転位置から前記第1の相対回転位置に向かって及び前記第1の回転位置から前記第2の相対回転位置に向かって相対回転することを可能にするが、そのような力がない場合には、前記第1の相対回転位置から離れて前記第2の回転位置に向かって回転に抵抗するように配置されている、請求項18に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項20】
共通の付勢手段が、前記ラッチ付勢手段及び前記保持付勢手段の両方として作用するように設けられている、請求項12から19のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項21】
前記保持装置が、前記第1の相対回転位置から前記第2の相対回転位置に向かって移動するのに必要な向きとは反対に、前記ベルカップ及び前記シャフトを相対回転に対して保持するように配置されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項22】
前記スリーブが、前記スリーブの第1の端部から前記スリーブの第2の端部まで、前記1つの相補的な保持係合部分及び前記相補的なラッチ係合部分の少なくとも一方として作用する突起の通過を可能にするように配置された少なくとも1つの溝を備える、請求項2に直接又は間接的に従属する場合、請求項2又は請求項3から21のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項23】
前記保持アセンブリが、前記シャフト上に担持され、前記スリーブが、前記戻り止め部分及び前記第1の係合部分の両方として作用する少なくとも1つの凹部を備え、前記ベルカップ及び前記シャフトが前記第1の相対回転位置にあるときに、前記ベルカップが、前記相補的な保持係合部分及び前記相補的なラッチ係合部分の両方として作用し、前記凹部と係合する少なくとも1つの突起を備える、請求項13に記載の回転アトマイザスピンドル装置。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の回転アトマイザスピンドル装置と、噴霧される材料を供給するための材料供給装置とを備える回転アトマイザ。
【請求項25】
前記回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支され、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分を有するベルカップを受け入れるように配置されているシャフトであって、前記シャフトが、前記ベルカップが前記シャフト上に取り付けられるときに前記シャフトに対して前記ベルカップ内に位置する前記ベルカップの相補的なテーパ部分を受け入れるためのテーパ部分を備える、シャフトを有する回転アトマイザスピンドルであって、前記回転アトマイザスピンドルが、前記ベルカップ及び前記シャフトが互いに対して第1の相対回転位置にあるときに前記相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段を有するベルカップ保持アセンブリを備え、前記ベルカップ保持アセンブリが、前記ベルカップ及び前記シャフトが互いに対して第2の相対回転位置にあるときに前記ベルカップを前記シャフトから少なくとも取り外すことを可能にし、前記ベルカップ保持アセンブリが、前記第1の相対回転位置に前記ベルカップ及び前記シャフトをラッチするためのラッチ手段を備える、回転アトマイザスピンドル。
【請求項26】
回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支されるように配置され、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分を有するベルカップを受け入れるように配置された回転アトマイザシャフトであって、前記シャフトが、前記ベルカップが前記シャフト上に取り付けられるときに前記シャフトに対して前記ベルカップ内に位置する前記ベルカップの相補的なテーパ部分を受け入れるためのテーパ部分を備える、回転アトマイザシャフトを備える回転アトマイザシャフト装置であって、前記回転アトマイザシャフト装置がさらに、前記ベルカップ及び前記シャフトが互いに対して第1の相対回転位置にあるときに、前記シャフト内に取り付けられ、前記相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段を有するベルカップ保持アセンブリを備え、前記ベルカップ保持アセンブリが、前記ベルカップ及び前記シャフトが互いに対して第2の相対回転位置にあるときに前記ベルカップを前記シャフトから少なくとも取り外すことを可能にし、前記ベルカップ保持アセンブリが、前記ベルカップ及び前記シャフトを前記第1の相対回転位置でラッチするためのラッチ手段を備える、回転アトマイザシャフト装置。
【請求項27】
回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支されるように配置され、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分を有するベルカップを受け入れるように配置された回転アトマイザシャフトであって、前記シャフトが、ベルカップが前記シャフト上に取り付けられるときに前記シャフトに対して前記ベルカップ内に位置する前記ベルカップの相補的なテーパ部分を受け入れるためのテーパ部分を備える、回転アトマイザシャフトを備える回転アトマイザシャフト装置であって、前記回転アトマイザシャフト装置がさらに、前記シャフト内に取り付けられたベルカップ保持アセンブリを備え、前記保持アセンブリが、保持付勢手段と担持されたベルカップ上に設けられた保持ラグを受け入れるための少なくとも1つの戻り止め部分を有し、前記シャフトに対して回転に反して前記担持されたベルカップを保持するスリーブとを備え、前記保持付勢手段が、前記戻り止め部分内に担持されたベルカップの前記保持ラグを保持し、担持されたベルカップを前記シャフト内に付勢するため前記スリーブを前記シャフト内に引き込むため前記スリーブに作用する、回転アトマイザシャフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転アトマイザ、回転アトマイザスピンドル及び回転アトマイザベルカップに関する。
【背景技術】
【0002】
回転アトマイザは、表面をコーティングするために様々な状況で使用される。回転アトマイザの1つの特定の用途は、塗料噴霧の分野である。これは、例えば、塗料噴霧車両の自動車産業において一般的である。いくつかのそのような場合、回転アトマイザスピンドルがロボットアームに取り付けられ、これは、車両に塗料を噴霧するために空間を異なる向きに移動される。他の場合には、異なる支持装置が設けられてもよい。
【0003】
より具体的には、回転アトマイザは、大量生産環境で塗料塗布器として使用される。「ペイントベル」又は「ベルアプリケータ」とも呼ばれ、ペイントスプレーガンと比較して、優れた転写効率、パターンの一貫性、及び低い圧縮空気消費量のために、大量の塗料塗布に好ましい。
【0004】
ベルカップは、例えばタービンによって駆動することができる駆動スピンドルのシャフトに固定された円錐形又は湾曲したディスクを備える。塗料は、ディスクの後部の中心に注入され、遠心力によってカップの縁に押し出されることによって噴霧化される。カップ上及び縁からの塗料の流れは、塗料を噴霧化された液滴に分解する。使用される場合、タービンは、カップ直径、所望の噴霧化、及び塗料の物理的特性に応じて、ベルカップを例えば10,000rpm~100,000rpmの範囲の速度で回転させる高速高精度空気モータである。この用途のための典型的なタービンは、実質的に摩擦抵抗なしに圧縮空気のクッション内に回転シャフトが懸架される空気軸受を使用する。
【0005】
典型的には、ワークピースの効率的なコーティングを保証するために静電システムが提供される。静電システムは、内部又は外部(或いは直接的又は間接的な電荷)であってもよく、アプリケータ又はその周囲の空気に高電圧(例えば、30,000~100,000V DC)の電荷を供給するように配置されてもよい。これは、ワークピース上に正電荷の領域を形成させながら塗料を負に帯電させ、塗料とワークピースとの間の静電引力をもたらす効果を有する。
【0006】
様々な環境において、例えば自動車の噴霧、生産ラインの信頼性及び最小限の停止時間が重要となり得る。一般に、定期的に、ベルカップを清掃し、より頻繁に交換する必要がある。典型的には、これを行うために、保守要員が洗浄作業を実行すること、及び/又はベルカップを交換することを可能にするために、スプレーブース製造ラインを停止しなければならない。自動化されたシステムが提供されたとしても、洗浄及び/又は交換が行われている間、依然としてダウンタイムが発生する傾向がある。
【0007】
従来、ベルカップは、駆動シャフトにねじ嵌めされている。
【0008】
これにより、ベルカップを固定するために使用される細かいピッチのねじ山のために、取り外し及び交換時間が長くなる可能性がある。さらに、過剰な振れ、したがって高速での振動を引き起こす可能性がある、ベルカップ/シャフトねじ山とこれらの構成要素に設けられた位置テーパとの間の機械的不整合の可能性に起因する製造上の問題が存在する可能性がある。さらに、特にこれらがアルミニウムなどの比較的柔らかい材料で作られている場合、ベル上のねじ山をあまりにも容易に損傷/交差させる。
【0009】
このような問題を克服するために、ベルカップがいくつかの磁石を使用してシャフト内に固定される磁気クリックインシステムが提案されている。しかしながら、そのようなシステムは重大な問題を有することが分かっている。ベルカップを非常に高速で回転させることができることに留意すると、ベルカップがシャフトに不適切に固定されてこの高速回転に抵抗する危険性があり、アトマイザの故障を引き起こす可能性があり、又はベルカップがアトマイザから飛散し、スプレーブース又は噴霧される車両などの周囲の物品に損傷を与える危険性さえある。
【0010】
さらに、そのようなシステムに設けられた磁石は、特に意図的に又は偶発的に指定された動作速度を超えて動作した場合に、経時的に亀裂/故障を被る可能性があることが分かった。
【0011】
さらに、このような磁石を設けることは、システムの回転部、すなわちシャフト及び/又はベルカップ内で重く高価な永久磁石部品を使用する必要性をもたらす傾向があるので望ましくない。システムの回転部に厳密に必要な質量よりも多くの質量を有することは一般に望ましくない。これは、製造コスト及び/又は速度の制約の増加につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0012】
したがって、上記の問題の少なくともいくつかを緩和するように見えるシステムで使用することができる回転アトマイザスピンドル及びベルカップを開発することが望ましいであろう。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支されたシャフトと、シャフトに取り外し可能に取り付けられたベルカップであって、ベルカップは、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分と、ベルカップがシャフト上に取り付けられる取り付け部分とを有し、シャフト及びベルカップの取り付け部分は、ベルカップがシャフト上に取り付けられたときに互いに締まり嵌めを形成してシャフトに対してベルカップ内に位置するそれぞれの相補的なテーパ部分を備える、ベルカップとを有する回転アトマイザスピンドルを備える回転アトマイザスピンドル装置が提供され、回転アトマイザスピンドル装置は、ベルカップ及びシャフトが互いに対して第1の相対回転位置にあるときに相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段を有するベルカップ保持装置を備え、ベルカップ保持装置は、ベルカップ及びシャフトが互いに対して第2の相対回転位置にあるときにベルカップをシャフトから少なくとも取り外すことを可能にし、ベルカップ保持装置は、ベルカップ及びシャフトを第1の相対回転位置にラッチするためのラッチ手段を備える。
【0014】
これにより、相補的なテーパ部分が、例えば、シャフトとベルカップとの間の同心性を容易にするために、シャフトに対して所望のようにベルカップを位置決めするように機能する配置を生じさせることができ、一方、保持装置は、運ばれるベルカップの効果的な保持及びベルカップを取り外すことが所望されるときのベルカップの迅速な取り外しを容易にする。保持付勢手段は、位置合わせのためのテーパ間の効果的な接触を確実にすることができ、ラッチ手段は、ベルカップの意図しない取り外しを防止することができる。
【0015】
一般に、好ましくは、ベルカップ保持装置は、ベルカップとシャフトとが互いに対して第2の相対回転位置にあるときに、ベルカップのシャフトへの取り付け及び取り外しを可能にする。しかしながら、ベルカップとシャフトとが互いに対して第3の相対回転位置にあるときにはベルカップをシャフトから取り付けることを可能にするが、ベルカップとシャフトとが互いに対して第2の相対回転位置にあるときにはそうではないベルカップ保持装置が設けられてもよいことが想定され得る。
【0016】
ベルカップ保持装置は、シャフト及びベルカップの一方の上に担持され、保持付勢手段、及び相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段の作用下でシャフト及びベルカップの他方に作用するための少なくとも1つの第1の係合部分を有するスリーブを備える保持アセンブリを備えることができる。
【0017】
したがって、そのような場合、スリーブはベルカップ保持方向に付勢されることに留意されたい。
【0018】
スリーブは、保持アセンブリが担持されるシャフト及びベルカップの一方に対して回転に反して保持されてもよい。
【0019】
相補的なテーパ部分は、シャフト上に内部テーパ部分があり、ベルカップ上に外部テーパ部分があるように配置されてもよい。現在はあまり好ましくないが、相補的なテーパ部分は、シャフト上に外部テーパ部分があり、ベルカップ上に内部テーパ部分があるように配置されてもよい。そのような配置は、典型的には、回転のためのより大きな質量をもたらすことが予想される。
【0020】
ベルカップ保持装置は、保持付勢手段の作用下で少なくとも1つの第1の係合部分と係合するために、シャフト及びベルカップの前述の他方に設けられた少なくとも1つの相補的な保持係合部分を備えることができる。
【0021】
好ましくは、保持アセンブリはシャフト上に担持される。好ましくは、少なくとも1つの相補的な保持係合部分は、ベルカップ上に設けられる。
【0022】
保持アセンブリがシャフト内に担持される場合、シャフトは、シャフトに対するスリーブの軸方向移動を制限するための複数の内部位置決め突起を備えることができる。内部位置決め突起は、スリーブをシャフトに対して回転に反して保持することができる。
【0023】
一組の実施形態では、少なくとも1つの第1の係合部分は、スリーブ内に凹部を備え、少なくとも1つの相補的な保持係合部分は、突起を備える。
【0024】
好ましくは、スリーブは、複数の第1の係合部分を備え、対応する複数の相補的な保持係合部分が、シャフト及びベルカップの前述の他方に設けられる。
【0025】
第1の係合部分又は各第1の係合部分は、スリーブの軸方向に面する表面に設けられてもよい。スリーブは、第1の係合部分又は各第1の係合部分を画定する輪郭形成された軸方向に面する表面を有するリング部分を備えることができる。リング部分は、例えば、スリーブの軸方向端部又はスリーブ上に設けられたフランジを含むことができる。
【0026】
保持アセンブリは、シャフトとベルカップの取り付け部分との間に画定された環状部に設けられてもよい。
【0027】
スリーブは、シャフトとベルカップの取り付け部分との間に画定された環状部に設けられてもよい。
【0028】
保持付勢手段は、シャフトとベルカップの取り付け部分との間に画定された環状部に設けられてもよい。
【0029】
保持付勢手段は、少なくとも1つのばね、例えば金属ばねを備えてもよい。保持付勢手段は、複数のばねを備えるばねパックを備えてもよい。保持付勢手段は、例えば1つ又は複数のOリングなどのプラスチック材料の弾性材料部分を含むことができる。
【0030】
保持アセンブリは、相補的なテーパ部分が互いに対して付勢するときに保持付勢手段が作用する支持面を提供することができる付勢手段支持部分を備えることができる。付勢手段支持部分は、少なくとも1つのばねが作用するばね支持面を有するばねホルダを備えることができる。
【0031】
付勢手段支持部分は、リング状であってもよく、シャフト及び保持アセンブリを担持するベルカップの一方に取り付けるように配置されてもよい。
【0032】
付勢手段支持部分は、シャフトとベルカップの取り付け部分との間に画定された環状部に設けられてもよい。
【0033】
ラッチ手段は、ラッチ部材と、ラッチ部材をラッチ位置に向かって付勢するためのラッチ付勢手段とを備えることができる。
【0034】
ラッチ部材は、ラッチ部材が第1の相対回転位置から離れるシャフト及びベルカップの相対回転に抵抗するためのラッチ位置にあるときに、それぞれの相補的なラッチ係合部分と係合するための少なくとも1つの戻り止め部分を有することができる。
【0035】
一組の実施形態では、少なくとも1つの戻り止め部分は凹部を備え、少なくとも1つの相補的なラッチ係合部分は突起を備える。
【0036】
ラッチ部材は、スリーブを備えてもよい。戻り止め部分は、スリーブ上に設けられてもよく、相補的なラッチ係合部分は、シャフト及びベルカップの前述の他方に設けられてもよい。
【0037】
戻り止め部分又は各戻り止め部分は、スリーブの軸方向に面する表面に設けられてもよい。スリーブは、戻り止め部分又は各戻り止め部分を画定する輪郭形成された軸方向に面する表面を有するリング部分を備えることができる。
【0038】
第1の係合部分又は各第1の係合部分及び戻り止め部分又は各戻り止め部分は、スリーブの軸方向に面する表面に設けられてもよい。スリーブは、第1の係合部分又は各第1の係合部分を画定し、戻り止め部分又は各戻り止め部分を画定する輪郭形成された軸方向に面する表面を有するリング部分を備えることができる。
【0039】
ラッチ付勢手段及び保持付勢手段の両方として作用するように、共通の付勢手段が設けられてもよい。
【0040】
これにより、製造を単純化し、回転システムの質量を最小化することができる。
【0041】
少なくとも1つの戻り止め部分及び少なくとも1つの第1の係合部分は両方とも、スリーブのそれぞれの共通部分によって提供されてもよい。
【0042】
スリーブの前述の共通部分は、凹部を含むことができる。このように、複数の戻り止め部分及び第1の係合部分がある場合、複数のそれぞれの凹部がある。
【0043】
少なくとも1つの相補的な保持係合部分及び少なくとも1つの相補的なラッチ係合部分は両方とも、シャフト及びベルカップの前述の他方のそれぞれの共通部分によって提供されてもよい。
【0044】
シャフト及びベルカップの前述の他方の前述の共通部分は、突起を備えてもよい。そのように、複数の相補的な保持係合部分及び相補的なラッチ係合部分が存在する場合、複数のそれぞれの突起が存在する。
【0045】
保持装置は、バヨネット型の取り付け装置として配置されてもよい。
【0046】
スリーブは、ベルカップがシャフトに対して第1の相対回転位置に向かって回転する及び離れるように回転するとき、相補的なラッチ係合部分は、戻り止め部分に向かって及び戻り止め部分から離れるようにカム面を乗り越えるように、少なくとも1つの戻り止め部分に通じるカム面を備えることができる。カム面は、前述の輪郭形成された軸方向に面する表面を備えることができる。
【0047】
戻り止め部分及びカム面は、外部からのねじり力の作用下にあるときに、ベルカップ及びシャフトが第1の相対回転位置に向かって及び第1の相対回転位置から離れて、第2の回転位置に向かって及び第2の相対回転位置から離れて相対回転することを可能にするが、そのような力がない場合には、第1の相対回転位置から離れて第2の回転位置に向かう回転に抵抗するように配置されてもよい。外からの力は、ユーザ又はロボットなどのアクチュエータシステムによって提供されてもよい。
【0048】
保持装置は、一般に、戻り止め部分及びカム面が存在する場合、第2の相対回転位置に向かって移動するのに必要な方向とは反対の方向でベルカップ及びシャフトの相対回転に抵抗するように配置されてもよい。これは、そうでなければ回転駆動に起因してベルカップとシャフトとの間に生じる傾向がある相対回転に抵抗することができることを意味する。例えば、シャフトに対して時計回りのベルカップの回転が、第1の相対回転位置から第2の回転位置に向かって移動する必要がある場合、保持装置は、ベルカップをシャフトに対して反時計回り方向の方向に回転に反して保持するように配置され、ベルカップは、駆動が相対回転に抵抗する方向に作用するように時計回りの向きに駆動され、実際には不可能である。
【0049】
スリーブは、シャフト及びベルカップに対して軸方向に移動するように、及びベルカップのシャフトへの取り付け及び/又はシャフトからの取り外しの間の付勢手段の作用に反して配置することができる。
【0050】
これにより、相補的なテーパ部分が取り付け及び取り外し中に、特にベルカップのラッチ及びラッチ解除の際に、互いに完全に接触することを容易にすることができ、したがって、ベルカップがシャフトに取り付けられるときにそのような密接な接触を確実にすることができる。このような場合、ラッチの係合部分がカム面を乗り越えると、スリーブは付勢手段の作用に反して押し進められる(「後方に」)。
【0051】
本システムにおける付勢手段は、ベルカップを保持し、ラッチを動作させるように作用することに留意されたい。これは、電球に対するような典型的なバヨネット式装着とは反対の動作であり、ラッチをもたらす付勢手段が被保持体(電球)をそのホルダ(ランプホルダ)から離れるように駆動する。
【0052】
スリーブは、内部ボアを有してもよい。
【0053】
内部ボアは、ベルカップ又はシャフトの取り付け部分を受け入れるためのものであってもよい。
【0054】
内部ボアは、ベルカップに噴霧される材料を送達するための少なくとも1つの材料送達チューブの通過を可能にするためのものであってもよい。
【0055】
スリーブは、スリーブの第1の端部からスリーブの第2の端部まで、1つの相補的な保持係合部分及び相補的なラッチ係合部分の少なくとも一方として作用する突起の通過を可能にするように配置された少なくとも1つの溝を備えることができる。
【0056】
これにより、スリーブを介したシャフト又はベルカップの取り付け部分の挿入を容易にすることができる。
【0057】
少なくとも1つの溝は、前述の内部ボアを画定する表面に設けられてもよい。
【0058】
少なくとも1つの溝は、直線状であってもよく、スリーブの軸に平行に延びてもよい。
【0059】
少なくとも1つの内部溝の出口は、スリーブの輪郭形成された軸方向に面する表面に通じることができる。
【0060】
一組の実施形態では、保持アセンブリはシャフト上に担持され、スリーブは、戻り止め部分及び第1の係合部分の両方として作用する少なくとも1つの凹部を備え、ベルカップは、相補的な保持係合部分及び相補的なラッチ係合部分の両方として作用し、ベルカップ及びシャフトが第1の相対回転位置にあるときに凹部と係合する少なくとも1つの突起を備える。
【0061】
本発明の別の態様によれば、上記に定義された回転アトマイザスピンドル装置と、噴霧される材料を供給するための材料供給装置とを備える回転アトマイザが提供される。
【0062】
回転アトマイザスピンドル装置は、上記に定義されたスリーブを備えてもよく、材料供給装置は、スリーブ内のボアを通って延びる少なくとも1つの材料供給チューブを備えてもよい。
【0063】
本発明の別の態様によれば、上記に定義された回転アトマイザスピンドル装置の一部として使用するために配置された回転アトマイザスピンドルが提供される。
【0064】
本発明の別の態様によれば、上記に定義された回転アトマイザスピンドル装置の一部として使用するために配置された回転アトマイザシャフトが提供される。
【0065】
本発明の別の態様によれば、回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支され、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分を有するベルカップを受け入れるように配置されたシャフトであって、シャフトは、ベルカップがシャフト上に取り付けられるときにシャフトに対してベルカップ内に位置するベルカップの相補的なテーパ部分を受け入れるためのテーパ部分を備える、シャフトを有する回転アトマイザスピンドルが提供され、回転アトマイザスピンドルは、ベルカップ及びシャフトが互いに対して第1の相対回転位置にあるときに相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段を有するベルカップ保持アセンブリを備え、ベルカップ保持アセンブリは、ベルカップ及びシャフトが互いに対して第2の相対回転位置にあるときにベルカップをシャフトから少なくとも取り外すことを可能にし、ベルカップ保持アセンブリは、ベルカップとシャフトとを第1の相対回転位置でラッチするためのラッチ手段を備える。
【0066】
本発明の別の態様によれば、回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支するように配置され、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分を有するベルカップを受け入れるように配置された回転アトマイザシャフトであって、シャフトは、ベルカップがシャフト上に取り付けられるときにシャフトに対してベルカップ内に位置するベルカップの相補的なテーパ部分を受け入れるためのテーパ部分を備える、シャフトを備える回転アトマイザシャフト、を備える回転アトマイザシャフト装置が提供され、回転アトマイザシャフト装置はさらに、ベルカップ及びシャフトが互いに対して第1の相対回転位置にあるときに、シャフト内に取り付けられ、相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段を有するベルカップ保持アセンブリを備え、ベルカップ保持アセンブリは、ベルカップ及びシャフトが互いに対して第2の相対回転位置にあるときにベルカップをシャフトから少なくとも取り外すことを可能にし、ベルカップ保持アセンブリは、ベルカップとシャフトとを第1の相対回転位置でラッチするためのラッチ手段を備える。
【0067】
保持アセンブリは、相補的なテーパ部分を互いに対して付勢するための保持付勢手段の作用下で、担持されたベルカップに作用するための少なくとも1つの第1の係合部分を有するスリーブを備えることができる。
【0068】
本発明の別の態様によれば、回転アトマイザスピンドルの本体内での回転のために軸支されるように配置され、使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分を有するベルカップを受け入れるように配置された回転アトマイザシャフトであって、シャフトは、ベルカップがシャフト上に取り付けられるときにシャフトに対してベルカップ内に位置するベルカップの相補的なテーパ部分を受け入れるためのテーパ部分を備える、シャフトを備える回転アトマイザシャフト装置が提供され、回転アトマイザシャフト装置はさらに、シャフト内に取り付けられたベルカップ保持アセンブリを備え、保持アセンブリは、保持付勢手段と担持されたベルカップ上に設けられた保持ラグを受け入れるための少なくとも1つの戻り止め部分を有し、シャフトに対して回転に反して担持されたベルカップを保持するスリーブとを備え、保持付勢手段は、戻り止め部分内に担持されたベルカップの保持ラグを保持し、担持されたベルカップをシャフト内に付勢するためスリーブをシャフト内に引き込むためスリーブに作用する。
【0069】
本発明の別の態様によれば、上記に定義された回転アトマイザスピンドル装置の一部として使用するために配置された回転ベルカップが提供される。
【0070】
本発明の別の態様によれば、上記に定義された回転アトマイザスピンドルのシャフト上に取り付けるための、及び使用時の回転中に媒体を噴霧するためのベル部分と、ベルカップがシャフト上に取り付けられ、シャフト上の相補的なテーパ部分と締まり嵌めを形成するためのテーパ部分を含む取り付け部分とを有する、回転アトマイザベルカップが提供され、ベルカップは、相補的な保持係合部分及び相補的なラッチ係合部分として作用するように配置された少なくとも1つの突起をさらに備える。
【0071】
一般的な用語において、及び、表現における任意の必要な修正を伴って、上記の本発明の任意の態様に続く上記に定義されたさらなる特徴のすべては、上記に定義された本発明の他のすべての態様のさらなる特徴として適用可能であることに留意されたい。これらのさらなる特徴は、単に簡潔にするために、本発明の各態様の後に再説明されない。
【0072】
ここで本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】塗料噴霧器の形態の回転アトマイザを概略的に示す。
図2図1に示す回転アトマイザの回転アトマイザスピンドル装置を単独で概略的に示す。
図3図1の回転アトマイザ及び図2の回転アトマイザスピンドル装置に含まれる種類のベルカップを分離して概略的に示す。
図4】ベルカップ保持装置の詳細を含む内部詳細を示す、図2に示す回転アトマイザスピンドル装置の一部分の断面図である。
図5A図4に示すベルカップ保持装置の一部を形成するスリーブの斜視図である。
図5B図4に示すベルカップ保持装置の一部を形成するスリーブの斜視図である。
図6図4に示すベルカップ保持装置の一部を形成するばねホルダを示す。
【0074】
図1は、回転アトマイザスピンドル1及び塗料噴霧ベルカップ2を備える塗料噴霧器の形態の回転アトマイザを概略的に示す。回転アトマイザスピンドル1及び塗料噴霧ベルカップ2は共に、回転アトマイザスピンドル装置であると考えることができる。回転アトマイザスピンドル1は、塗料噴霧ベルカップ2を回転駆動するように配置される。スピンドル1は、駆動ガスの作用下でシャフト1aを回転駆動するために、少なくとも1つの空気軸受(図示せず)に軸支され、タービンホイール1b(図2に見える)を担持するシャフト1aを備える。
【0075】
図1に示す塗料噴霧器はまた、供給材料、すなわちこの場合は塗料をリザーバ4からベルカップ2に向かって供給するための供給装置3を備え、その結果、この塗料はベルカップ2によって噴霧化され、塗料でコーティングされる表面に向かって射出され得る。このような塗料噴霧器に典型的であるように、塗料は、スピンドル1と塗装される表面との間に印加される高電圧によって生成される静電気力によって塗装される表面に向かって射出される。
【0076】
代替では、タービン駆動装置以外の他の形態の駆動装置を使用することができ、例えば、シャフトを電気的に駆動することができることに留意されたい。
【0077】
このレベルでの塗料噴霧器の構造及び動作は従来のものであり、そのような塗料噴霧器は当技術分野で広く使用されており、よく理解されている。回転アトマイザスピンドル装置、特にベルカップ2を回転アトマイザスピンドル1に取り付けるための取り付け装置の特徴は、本出願において特に重要である。これらの特徴は、特に図2図6を参照して、以下により詳細に説明される。
【0078】
ベルカップ2は、回転アトマイザスピンドル1上、特にシャフト1a上に取り外し可能に装着可能に配置される交換可能な構成要素である。ベルカップ2は、図3では単独で見ることができ、図1図2、及び図4ではシャフト1aに取り付けられているのを見ることができる。
【0079】
ベルカップ2は、回転しながら媒体を噴霧するためのベル部分21と、ベルカップ2をシャフト1aに取り付ける際に使用するための取り付け部分22とを備える。取り付け部分22は、シャフト1a(図4参照)の端部に設けられた対応する相補的なテーパ部分11と嵌合する、すなわち締まり嵌めを形成するように配置されるテーパ部分23、すなわち部分円錐面を含む。
【0080】
この実施形態では、ベルカップ2上のテーパ部分23は外部テーパであり、シャフト11内のテーパは内部テーパである。しかしながら、代替例では、これら2つは、シャフト1a上に外部テーパ及びベルカップ2上に設けられた内部テーパ内に存在するように反転されてもよい。しかしながら、そのような配置は、回転システムにおける質量の増加をもたらすことが予想され、したがって、ほとんどの状況において、これはおそらくあまり好ましくない。
【0081】
ベルカップ2は、複数の、この実施形態では4つの保持ラグ24をさらに備える。この実施形態では、これらの保持ラグ24は、取り付け部分22の遠位端に設けられている。保持ラグ24は、以下でより詳細に説明するように、保持装置の一部を形成する。
【0082】
この実施形態のシャフト1aは、保持アセンブリ5を収容する。この保持アセンブリ5は、保持ラグ24と相互作用するように配置され、これらの構成要素は一緒にベルカップ保持装置を形成すると考えることができる。
【0083】
保持アセンブリ5は、シャフト1aの主ボア内に設けられ、ベルカップ2がシャフト1a内に取り付けられると、ベルカップ2の取り付け部分22の主要部分が保持アセンブリ5を通って延在する。したがって、保持アセンブリは、シャフト1aとベルカップ2との間に画定された環状部に設けられる。この配置は、供給装置3の一部を形成する1つ又は複数の供給チューブ(図示せず)が回転アトマイザスピンドル1及びベルカップ2を通過して、ベルカップ2に噴霧される材料を供給することができるように、取り付け部分22を通って延在するベルカップ2の内部主ボア25を妨害されずに残す。
【0084】
ベルカップ保持アセンブリは、スリーブ6と、この実施形態では、ばねパック7の形態である付勢手段と、ばねホルダ部分8とを備える。
【0085】
シャフト1aには、スリーブ6が可能な軸方向移動の程度を制御するとともに、シャフト1a内の回転移動に反してスリーブ6を保持するための内側に突出する部分として、複数(この実施形態では、4つ、そのうちの2つが図4に見ることができる)の保持ねじ9がシャフト1a内に設けられている。各保持ねじ9のそれぞれの端部は、スリーブ6内に設けられたそれぞれのスロット61に受け入れられる。図4及び図5Bを考慮すると、これらの保持ねじ9が、スリーブ6の軸方向移動の範囲を可能にしながら、シャフト1aとスリーブ6との間の相対回転にどのように抵抗するかが分かる。ねじ9とスロット61の側壁との相互作用は、回転に反して保持され、一方、ねじ9とスロット61の閉じた端部との相互作用は、軸方向移動を制限する。
【0086】
付勢手段(この実施形態ではばねパック7)は、スリーブ6上に設けられたフランジ62と、ばねホルダ8上に設けられた付勢手段(又はばね)支持面81との間に収容されている。ばねホルダ8は、図6に最もよく見ることができるように、リング状の構成要素である。ばねホルダ8は、シャフト1aの端部の相補的なねじ部分に受け入れられるように配置された外部ねじ部分82を有する。
【0087】
したがって、保持ねじ9を定位置にして組み立てる際に、スリーブ6を最初にシャフト1aの端部に導入し、次いでばねパック7を、スリーブ6とシャフト1aの内壁との間に形成された環状部内にある、スリーブ6の周りに位置付け、次いでばねホルダ8を定位置にねじ込んで、ばねパック7をばねホルダ8とスリーブ6との間に捕捉し、ばねパック7がスリーブ6のフランジ62と付勢手段支持面81との間に作用するようにすることができる。
【0088】
この組み立てられた状態では、スロット61の端部が保持ねじ9と接触し、反対方向の軸方向移動が付勢手段、すなわちばねパック7によって対向されると、スリーブ6の第1の方向への軸方向移動が停止される。しかしながら、スリーブ6は、付勢手段7の力に打ち勝つ限り、特定の範囲にわたって軸方向に移動することができる。
【0089】
図5A及び図5Bで最もよく見えるように、スリーブ6はまた、スリーブ6のボアを画定する壁に設けられた複数の(この実施形態では4つの)内部溝63を備える。本実施形態では、内部溝63は、実質的に真っ直ぐであり、スリーブ6の軸に平行に延びる。溝63は、ベルカップ2がシャフト1a上に取り付けられているときに、ベルカップ2上に設けられた保持ラグ24を受け入れるように配置される。この取り付けが行われると、保持ラグ24はそれぞれの溝63に沿って移動する。ベルカップ2がこの経路に沿って完全に挿入されると、各保持ラグ24は、それに沿って移動していた溝63のそれぞれの出口点63a(図5Aを参照)に到達する。この出口点63aは、スリーブ6の軸方向に面する輪郭形成された端部面64に開口する。本実施形態では、4つのそのような出口部分63a(各溝63に1つ)があり、スリーブ64の輪郭形成された軸方向に面する表面は、各々が溝63のそれぞれの出口点63aからそれぞれの戻り止め部分64bに通じる複数(この実施形態では4つ)のカム面64aを含む。この実施形態では、4つの戻り止め部分64bが存在する。カム面64aは、回転駆動されると、それぞれの保持ラグ64がカム面64aを乗り越えてそれぞれの戻り止め部分64bに入り込むことができるように配置される。その方向への各ラグ24のさらなる回転移動は、それぞれの肩部分64cによって防止される。
【0090】
この配置は、ベルカップ2が所定の位置にツイストロックされ得るように、スリーブ6、したがってシャフト1aに対するベルカップ2の回転運動を可能にする。本実施形態では、保持ラグ24をそれぞれの溝63の出口63aからそれぞれの戻り止め部分64bに移動させるのに約1/8の回転が必要である。このねじれが生じると、ベルカップ2は、相補的なテーパ部分23及び11が互いに密接に接触する点までシャフト1a内にさらに引き込まれる傾向がある。この点を超えて、シャフト1に対するベルカップ2のさらなる回転は、保持ラグ24がカム面64aを乗り越えてそれぞれの戻り止め部分64bに入るときに、付勢手段7の作用に反してスリーブ6を後方に駆動する傾向がある。
【0091】
この回転が起こり、保持ラグ24bが戻り止め部分64b内に位置すると、付勢手段、すなわちばねパック7は、ベルカップ2をシャフト1a内に引き込み、相補的なテーパ部分23及び11に互いに負荷をかけるように働く。このようにして、ベルカップ2の正確な位置、及び例えば、ベルカップ2とシャフト1aとの間の良好な同心性は、テーパ23、11の相互作用によって達成することができ、一方、ベルカップ2の保持は、保持装置、すなわち保持アセンブリ5及び保持ラグ24によって保証される。ベルカップ2に作用する負荷は、付勢手段を適切に選択すること、例えばばねの強度を選択することによって制御することができる。
【0092】
シャフト1a及びベルカップ2もまた、この相対的な回転位置においてスリーブ6及び付勢手段(ばねパック7)によってラッチされる。
【0093】
さらに、動作中にシャフト1aとベルカップ2との間で回転駆動が伝達されると、この回転負荷は、相補的なテーパ23、11間の締まり嵌めにおける摩擦力によって、及びそれぞれの保持ラグ24に作用する各戻り止め部分64bに関連付けられた肩部64cによっても、シャフト1aからベルカップ2に伝達することができる。
【0094】
スリーブ6及び付勢手段(ばねパック7)は、保持システムの一部として、すなわちベルカップ2をシャフト1a内に付勢することと、スリーブ6がラッチ部材として作用するラッチ手段の一部としての両方として作用することに留意されたい。保持ラグ24は、ラッチ係合部分及び保持係合部分の両方として作用する。
【0095】
ベルカップ2をシャフト1aから取り外す際に、取り付けに使用される方向とは反対の方向に大きな回転力(ただし手動で加えることができる)によるベルカップ2の回転は、付勢手段の力に打ち勝つため必要である。この段階で、ベルカップ2の回転及び対応する保持ラグ24の回転は、ラグ24が戻り止め部分64bから逃げてカム面64aを乗り越えるときに、スリーブ6を付勢手段、すなわちばねパック7に対して後方に駆動する。そこから、ラグ24は、ベルカップ2をシャフト1aから取り外すことができるように、スリーブ6の溝63に再び入ることができる。
【0096】
ベルカップ2を取り付け及び取り外す間、シャフト1aは、必要に応じていくつかの異なる方法で静止状態に保持することができる。例えば、シャフト1aには、スパナで保持することができる2つのシャフトフラット(図示せず)が設けられてもよく、又は別の例として、シャフトロック機構(図示せず)がシャフト1aと係合してもよい。
【0097】
ベルカップ保持アセンブリがシャフト1a内に担持される上記の配置が好ましいが、状況が逆転され得、ベルカップ保持アセンブリがベルカップ2内に担持され得、適切な保持ラグがシャフト1a上に設けられ得るシステムが想定され得る。ほとんどの状況では、これは、当然ながら時々交換されることが意図されている各ベルカップ2の複雑さ及びコストを増加させる傾向があるため、あまり好ましくないように思われる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】