(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02F 3/00 20060101AFI20230925BHJP
F02F 3/18 20060101ALI20230925BHJP
F02F 3/20 20060101ALI20230925BHJP
F02F 1/00 20060101ALI20230925BHJP
F01P 1/10 20060101ALI20230925BHJP
F02F 5/00 20060101ALI20230925BHJP
F01B 7/14 20060101ALI20230925BHJP
F02B 75/28 20060101ALI20230925BHJP
F16J 1/01 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
F02F3/00 302A
F02F3/00 301Z
F02F3/18
F02F3/20
F02F1/00 E
F01P1/10
F02F5/00 E
F01B7/14
F02B75/28 E
F16J1/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517802
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 GB2021052412
(87)【国際公開番号】W WO2022058736
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523095990
【氏名又は名称】カーノット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Carnot Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アーチー ワッツ-ファーマー
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン ダンバー
(72)【発明者】
【氏名】ボー ゴランソン
【テーマコード(参考)】
3G024
3J044
【Fターム(参考)】
3G024AA22
3G024AA26
3G024CA27
3G024FA04
3G024FA10
3G024HA10
3J044AA08
3J044AA20
3J044BA05
3J044CA01
3J044DA09
(57)【要約】
内燃機関(10)用のピストン装置(12)は、少なくとも一部がテクニカルセラミック材料から構築される1つ以上のピストン(14)を備える。伝熱部材(22)を受けるために軸方向に設けられる孔(20)が前記ピストン(14)のうちの少なくとも一に設けられる。前記伝熱部材(22)は、前記ピストンが往復運動する際に前記ピストン棒(16)から熱を運び去ることで冷却するように、固体である第1状態から、前記伝熱部材(22)の少なくとも一部が液体状態である第2状態へ再構成可能である。前記内燃機関(10)用のシリンダ装置(46)は、少なくとも一部がテクニカルセラミック材料から構築される1つ以上のシリンダ(48)を備える。1つ以上の溝(54)は、前記シリンダ(48)の内部と外部との間での温度勾配を減少させるように前記シリンダ(48)内に形成される。前記内燃機関(10)用のピストン(14)は、少なくとも一部がテクニカルセラミック材料から構築されるピストン棒(16)とピストンクラウン(18)を備える。前記ピストン棒(16)と前記ピストンクラウン(18)との間に位置する断熱装置(40)は複数のセグメント(42)を備え、前記複数のセグメント(42)は、該複数のセグメント(42)の間に軸方向スロットすなわち軸方向空間が画定されるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用のピストン装置であって、
対向するように配置される複数のピストンを備え、
前記複数のピストンのうちの1つ以上の少なくとも一部はテクニカルセラミック材料で構築される、ピストン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のピストン装置であって、前記1つ以上のピストンの全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築される、ピストン装置。
【請求項3】
請求項1に記載のピストン装置であって、前記1つ以上のピストンの一部が前記テクニカルセラミック材料から構築される、ピストン装置。
【請求項4】
請求項1,2,又は3に記載のピストン装置であって、前記テクニカルセラミック材料は、窒化ケイ素を含むか、あるいは窒化ケイ素である、ピストン装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のピストン装置であって、前記複数のピストンの少なくとも1つの少なくとも一部は金属材料から構築される、ピストン装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のピストン装置であって、前記1つ以上のピストンの各々がピストン棒を含む、ピストン装置。
【請求項7】
請求項6に記載のピストン装置であって、
前記少なくとも1つのピストンのピストン棒は内部に形成されて軸方向に設けられた孔を有し、
伝熱部材が、前記ピストン棒の孔内に設置するように構成され、
前記伝熱部材は、固体である第1状態から、前記伝熱部材の少なくとも一部が液体状態である第2状態へ再構成可能で、
前記第2状態にある前記伝熱部材は、前記ピストンが往復運動する際に前記ピストン棒から熱を運び去ることで前記ピストン棒を冷却するように前記ピストン棒の孔に対して移動可能である、
ピストン装置。
【請求項8】
請求項7に記載のピストン装置であって、前記伝熱部材は金属材料で構成される、ピストン装置。
【請求項9】
請求項8に記載のピストン装置であって、前記伝熱部材はナトリウムで構成される、ピストン装置。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか一項に記載のピストン装置であって、
前記ピストン棒はプッシュロッド部と楔部を含み、
前記ピストン棒の前記楔部は複数のセグメントを含む、
ピストン装置。
【請求項11】
請求項6~10のいずれか一項に記載のピストン装置であって、
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つは、前記ピストン棒とピストンクラウンとの間に介在される断熱装置を備え、
前記断熱装置は複数のセグメントを含み、
前記断熱装置は、前記ピストン棒上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように構成及び/又は配置される、
ピストン装置。
【請求項12】
請求項11に記載のピストン装置であって、前記断熱装置はテクニカルセラミック材料で構築される、ピストン装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のピストン装置であって、前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンは中空であるか、かつ/あるいは1つ以上の孔、ポケット、及び/又は空洞を含む、ピストン装置。
【請求項14】
請求項6~13のいずれか一項に記載のピストン装置であって、前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンのピストン棒は先細り形状である、ピストン装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のピストン装置であって、
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンは流体連通構造を備え、
前記流体連通構造は、1つ以上の軸方向孔又は半径方向孔を含み、
前記半径方向孔は、前記1つ以上の軸方向孔と連通する、
ピストン装置。
【請求項16】
内燃機関用のピストンとシリンダの組立体であって、
請求項1~15のいずれか一項に記載のピストン装置と、
当該ピストン装置の前記ピストンを受ける複数のシリンダを有するシリンダ装置、を備えるピストンとシリンダの組立体。
【請求項17】
請求項16に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記シリンダ装置の少なくとも一部はテクニカルセラミックで作られる、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項18】
請求項17に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記複数のシリンダのうちの1つ以上の全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項19】
請求項17に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記複数のシリンダのうちの1つ以上の一部が前記テクニカルセラミック材料から構築される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項20】
請求項17,18,又は19に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記テクニカルセラミック材料は、窒化ケイ素を含むか、あるいは窒化ケイ素である、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか一項に記載のピストンとシリンダの組立体であって、1つ以上の溝が前記シリンダのうちの少なくとも1つの外側表面内に形成されるか、あるいは設けられる、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項22】
請求項21に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記溝のうちの少なくとも1つは、微細溝を含むか、あるいは微細溝である、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項23】
請求項22に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記溝のうちの少なくとも1つは1μm~100mmの範囲の幅を有する、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項24】
請求項16~23のいずれか一項に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記シリンダ装置と動作上関連付けられる気体除去装置を備える、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項25】
請求項1~15のいずれか一項に記載のピストン装置及び/又は請求項16~24のいずれか一項に記載のピストンのシリンダの組立体を備える内燃機関。
【請求項26】
請求項25に記載の内燃機関であって、排気貯蔵部を画定する排気貯蔵部用筐体を備え、
1つ以上の溝が前記排気貯蔵部用筐体の内側表面内に形成されるか、あるいは設けられる、
内燃機関。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の内燃機関であって、当該内燃機関の燃料噴射装置用の冷却装置を備え、前記冷却装置は1つ以上のヒートパイプを備える、内燃機関。
【請求項28】
請求項27に記載の内燃機関であって、前記1つ以上のヒートパイプは、ヒートシンクに結合されるか、あるいはヒートシンクと動作上関連付けられる、内燃機関。
【請求項29】
請求項27又は28に記載の内燃機関であって、前記1つ以上のヒートパイプのうちの少なくとも1つは、
包囲体と、
飽和作動流体と、
ウィック
を有する、内燃機関。
【請求項30】
請求項25~29のいずれか一項に記載の内燃機関を備える発電機の組。
【請求項31】
内燃機関用のシリンダ装置であって、
当該内燃機関のピストンを受けるシリンダを備え、
前記シリンダの少なくとも一部はテクニカルセラミック材料から構築され、
1つ以上の溝が前記シリンダの外側表面内に形成されるか、あるいは設けられる、
シリンダ装置。
【請求項32】
請求項31に記載のシリンダ装置であって、前記シリンダの全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築される、シリンダ装置。
【請求項33】
請求項31に記載のシリンダ装置であって、前記シリンダの一部は、前記テクニカルセラミック材料から構築される、シリンダ装置。
【請求項34】
請求項31,32,又は33に記載のシリンダ装置であって、前記溝うちの少なくとも1つは、微細溝を含むか、あるいは微細溝である、シリンダ装置。
【請求項35】
請求項34に記載のシリンダ装置であって、前記溝のうちの少なくとも1つは1μm~100mmの範囲の幅を有する、シリンダ装置。
【請求項36】
内燃機関用のピストンとシリンダの組立体であって、
請求項31~35のいずれか一項に記載のシリンダ装置と、
1つ以上のピストンを有するピストン装置
を備える、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項37】
請求項36に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記1つ以上のピストンのうちの少なくとも1つのピストンの少なくとも一部はテクニカルセラミック材料から構築される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項38】
請求項37に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記少なくとも1つのピストンの全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項39】
請求項37に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記少なくとも1つのピストンの一部は、前記テクニカルセラミック材料から構築される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項40】
請求項37,38,又は39に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記テクニカルセラミック材料は、窒化ケイ素を含むか、あるいは窒化ケイ素である、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項41】
請求項36~40のいずれかに記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記少なくとも1つのピストンの少なくとも1つの少なくとも一部は金属材料から構築される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項42】
請求項36~41のいずれか一項に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記1つ以上のピストンの各々がピストン棒を含む、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項43】
請求項42に記載のピストンとシリンダの組立体であって、
前記少なくとも1つのピストンのピストン棒は、内部に形成されて軸方向に設けられた孔と、前記ピストン棒の孔内に設置するように構成される伝熱部材を有し、
前記伝熱部材は、固体である第1状態から、前記伝熱部材の少なくとも一部が液体状態である第2状態へ再構成可能で、
前記第2状態にある前記伝熱部材は、前記ピストンが往復運動する際に前記ピストン棒から熱を運び去ることで前記ピストン棒を冷却するように前記ピストン棒の孔に対して移動可能である、
ピストンとシリンダの組立体。
【請求項44】
請求項43に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記伝熱部材は金属材料で構成される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項45】
請求項44に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記伝熱部材はナトリウムで構成される、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項46】
請求項36~45のいずれか一項に記載のピストンとシリンダの組立体であって、
当該ピストン装置は、対向するように配置される複数のピストンを備える、
ピストンとシリンダの組立体。
【請求項47】
請求項42~46のいずれか一項に記載のピストンとシリンダの組立体であって、
前記ピストンのうちの少なくとも1つのピストン棒はプッシュロッド部と楔部を含み、
前記ピストン棒の前記楔部は複数のセグメントを含む、
ピストンとシリンダの組立体。
【請求項48】
請求項42~47のいずれか一項に記載のピストンとシリンダの組立体であって、
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つは、該少なくとも1つのそれそれの前記ピストン棒とピストンクラウンとの間に介在される断熱装置を備え、
前記断熱装置は複数のセグメントを含み、
前記断熱装置は、前記ピストン棒上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように構成及び/又は配置される、
ピストンとシリンダの組立体。
【請求項49】
請求項48に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記断熱装置はテクニカルセラミックで構築される、ピストンとシリンダの組立体
【請求項50】
請求項36~49のいずれか一項に記載のピストンとシリンダの組立体であって、前記シリンダ装置と動作上関連付けられる気体除去装置を備える、ピストンとシリンダの組立体。
【請求項51】
請求項31~35のいずれか一項に記載のシリンダ装置及び/又は請求項36~50のいずれか一項に記載のピストンのシリンダの組立体を備える内燃機関。
【請求項52】
請求項51に記載の内燃機関であって、排気貯蔵部を画定する排気貯蔵部用筐体を備え、
1つ以上の溝が前記排気貯蔵部用筐体の内側表面内に形成されるか、あるいは設けられる、
内燃機関。
【請求項53】
請求項51又は52に記載の内燃機関であって、当該内燃機関の燃料噴射装置用の冷却装置を備え、前記冷却装置は1つ以上のヒートパイプを備える、内燃機関。
【請求項54】
請求項53に記載の内燃機関であって、前記1つ以上のヒートパイプは、ヒートシンクに結合されるか、あるいはヒートシンクと動作上関連付けられる、内燃機関。
【請求項55】
請求項53又は54に記載の内燃機関であって、前記1つ以上のヒートパイプのうちの少なくとも1つは、
包囲体と、
飽和作動流体と、
ウィック
を有する、内燃機関。
【請求項56】
請求項51~55のいずれか一項に記載の内燃機関を備える発電機の組。
【請求項57】
内燃機関用のピストン装置であって、
1つ以上のピストンであって、該1つ以上のピストンのうち少なくとも1つのピストンのピストン棒は内部に形成されて軸方向に設けられた孔を有する、1つ以上のピストンと、
前記ピストン棒の孔内に設置するように構成される伝熱部材を備え、
前記伝熱部材は、固体である第1状態から、前記伝熱部材の少なくとも一部が液体状態である第2状態へ再構成可能である。前記第2状態にある前記伝熱部材は、前記ピストンが往復運動する際に前記ピストン棒から熱を運び去ることで前記ピストン棒を冷却するように前記ピストン棒の孔に対して移動可能である、
ピストン装置。
【請求項58】
内燃機関用のピストンとシリンダの組立体であって、
請求項57に記載のピストン装置と、
当該ピストン装置の前記1つ以上のピストンのぞれぞれを受ける複数のシリンダを有するシリンダ装置、を備えるピストンとシリンダの組立体。
【請求項59】
請求項57に記載のピストン装置及び/又は請求項58に記載のピストンのシリンダの組立体を備える内燃機関。
【請求項60】
請求項59に記載の内燃機関を備える発電機の組。
【請求項61】
内燃機関の燃料噴射装置用の冷却装置であって、1つ以上のヒートパイプを備える、冷却装置。
【請求項62】
請求項61に記載の冷却装置を備える内燃機関。
【請求項63】
請求項62に記載の内燃機関を備える発電機の組。
【請求項64】
内燃機関用のピストン封止部であって、
第1テクニカルセラミック材料を含むか、あるいは第1テクニカルセラミック材料である第1部品と、
前記第1テクニカルセラミック材料とは異なる第2テクニカルセラミック材料を含むか、あるいは第2テクニカルセラミック材料である第2部品を備えるピストン封止部。
【請求項65】
請求項64に記載のピストン封止部であって、前記第1テクニカルセラミック材料は、ケイ素系テクニカルセラミックを含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックである、ピストン封止部。
【請求項66】
請求項65に記載のピストン封止部であって、前記第1テクニカルセラミック材料は、窒化ケイ素を含むか、あるいは窒化ケイ素である、ピストン封止部。
【請求項67】
請求項64,65又は66に記載のピストン封止部であって、前記第2テクニカルセラミック材料は、チタン系テクニカルセラミックを含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミックである、ピストン封止部。
【請求項68】
請求項67に記載のピストン封止部であって、前記第2テクニカルセラミック材料は、窒化チタンを含むか、あるいは窒化チタンである、ピストン封止部。
【請求項69】
請求項64~68のいずれか一項に記載のピストン封止部のうちの1つ以上を備えるピストン装置。
【請求項70】
請求項69に記載のピストン装置を備えるピストンとシリンダの組立体。
【請求項71】
請求項64~68のいずれか一項に記載のピストン装置及び/又は請求項70に記載のピストンのシリンダの組立体を備える内燃機関。
【請求項72】
請求項71に記載の内燃機関を備える発電機の組。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は内燃機関に関し、より詳細にはテクニカルセラミック部品を利用する内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、たとえば静電発電機の一部又は車両の動力伝導機構として原動力を供するために広範な用途及び環境において利用されている。
【0003】
しかし内燃機関によって用いられているエネルギーの約1/3が、許容される動作パラメータの範囲内で内燃機関の金属部品を維持するのに必要とされる冷却系に捨てられる。その結果内燃機関の平均動作効率は低く、典型的には約30%である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テクニカルセラミックは、金属部品の欠陥を克服する手段として提案されてきた。しかしセラミックの使用には多数の課題が存在する。たとえばテクニカルセラミックは金属と比較して脆い。そのため金属部品をセラミックで作られた部品に単純に置き換えることは、その部品が強い引っ張りサイクル負荷を受けるため可能ではない。しかもテクニカルセラミックには、高い温度勾配が生じたときには容易にひびが入ってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様は、内燃機関に関し、より詳細にはテクニカルセラミック部品を利用する内燃機関に関する。
【0006】
第1態様によると、内燃機関用のピストン装置が供される。当該ピストン装置は、対向するように配置される複数のピストンを備える。前記複数のピストンのうちの1つ以上の少なくとも一部はテクニカルセラミックで作られる。
【0007】
有利なことに、本発明の実施形態は、どの部品も引っ張りサイクル負荷を受けず、顕著な温度勾配が進展しないので従来システムの問題を解決又は部分的に緩和する。よって本発明の実施形態は、少なくとも70%のブレーキ熱効率で少なくとも30000時間の寿命を実現できる。
【0008】
前記テクニカルセラミック材料は、ケイ素系テクニカルセラミック-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。
【0009】
前記1つ以上のピストンの全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0010】
あるいはその代わりに前記1つ以上のピストンの一部が前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは10%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは20%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは30%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは40%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは50%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは60%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは70%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは80%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは90%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0011】
前記1つ以上のピストンが50%~100%のテクニカルセラミックから構築され得る特別であっても排他的ではない一部の実施形態では、当該ピストン装置は、ピストンライナー-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンライナー-及び/又はピストンコーティング-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンコーティング-を不要にし得る。
【0012】
他の実施形態では、当該ピストン装置は、ピストンライナー-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンライナー-及び/又はピストンコーティング-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンコーティング-を備えてよい。前記ピストンライナー及び/又はピストンコーティングは、チタン系テクニカルセラミック-たとえば窒化チタン-を含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミックであってよい。
【0013】
前記ピストンコーティングは、前記ピストンの外側表面内に埋め込まれてよい。
【0014】
前記複数のピストンの少なくとも1つは、1つ以上の封止部-たとえばピストンリング-を含み得る。前記1つ以上の封止部は、1つのテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上の封止部は、複数のテクニカルセラミック材料部品から構築され得る。前記複数のテクニカルセラミック材料部品は第1部品と第2部品を含み得る。前記第2部品は、前記第1部品内に埋め込まれ得る。前記第1部品は、ケイ素系テクニカルセラミック材料-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミック材料であってよい。前記第2部品は、チタン系テクニカルセラミック材料-たとえば窒化チタン-を含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミック材料であってよい。
【0015】
前記複数のピストンの少なくとも1つの少なくとも一部は金属材料-たとえば金属又は金属合金-から構築され得る。たとえば前記ピストンの1つ以上の少なくとも一部は鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0016】
前記複数のピストンの各々はピストン棒を含み得る。
【0017】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストン棒は、内部に生成される軸方向に設けられた孔を有し得る。特別な実施形態では、当該ピストン装置の各ピストン棒には各対応する孔が設けられ得る。
【0018】
当該ピストン装置は、前記ピストン棒の孔内に設置するように構成される伝熱部材を備えてよい。前記伝熱部材は、固体である第1状態から、前記伝熱部材の少なくとも一部が液体状態である第2状態へ再構成可能である。前記第2状態にある前記伝熱部材は、前記ピストンが往復運動する際に前記ピストン棒から熱を運び去ることで前記ピストン棒を冷却するように前記ピストン棒の孔に対して移動可能である。
【0019】
使用時、前記ピストン棒は、当該内燃機関の動作中に加熱する。前記伝熱部材の少なくとも一部の温度が事前に選択された温度閾値-たとえば前記伝熱部材の融点-を超えるとき、前記伝熱部材の少なくとも一部-及び特別な実施形態では前記伝熱部材の全部又はほとんどの部分-は、固体である前記第1状態から前記第2状態へ再構成される。前記伝熱部材を再構成することで、前記伝熱部材は前記ピストン棒に対して移動するので、前記ピストンが該ピストン底部のちょうど中心(BDC)の位置と上部のちょうど中心(TDC)の位置との間で往復運動する際に熱いピストン端部から熱を運び去ることが可能となる。
【0020】
前記伝熱部材は金属材料で構成され得る。特別な実施形態では、前記伝熱部材はナトリウムで構成され得る。
【0021】
上述したように、前記伝熱部材は前記ピストン棒の孔内に設置するように構成され得る。たとえば前記伝熱部材の前記寸法及び/又は形状は、前記ピストン棒の孔内での前記伝熱部材の設置を容易にするように選ばれ得る。
【0022】
前記伝熱部材は、円筒部材又は実質的円筒部材を含むかあるいは、円筒部材又は実質的円筒部材であり得る。しかし前記伝熱部材は、設けられるそれぞれの孔に適合する任意の適切な形状及び/サイズであってよいことがわかるだろう。前記伝熱部材は、材料の塊を含むか、あるいは材料の塊であってよい。
【0023】
上述したように、当該ピストン装置は複数のピストンを備える。たとえば当該ピストン装置は、2つのピストン、4つのピストン、6つのピストン、又は8つのピストンを備える。
【0024】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンのピストン棒又は該ピストン棒の少なくとも一部は、金属材料-たとえば金属又は金属合金-で構築され得る。前記ピストン棒は、鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0025】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンのピストン棒はプッシュロッド部を含み得る。前記プッシュロッド部は、鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0026】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンのピストン棒は楔部を含み得る。前記楔部は、鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0027】
結合装置が前記プッシュロッド部と前記楔部との間に供され得る。前記結合装置は、機械式結合部-たとえばネジ式結合部-を含むか、あるいは機械式結合部であってよい。
【0028】
前記ピストン棒の前記楔部は複数のセグメントを含み得る。前記楔部が複数のセグメントを含む場合、前記複数のセグメントは共に前記結合装置の一部-たとえば前記プッシュロッド部上の対応するネジ式結合部と係合するネジ式結合部-を構成し得る。
【0029】
前記複数のピストンの各々はピストンクラウンを含み得る。前記ピストンクラウンは、前記ピストンの端部に結合するか、あるいは前記ピストンの端部を形成し得る。前記ピストンクラウンは、当該内燃機関のシリンダ内に設置されるように構成され得る。前記ピストンクラウンは、前記シリンダを封止した状態で係合し得る。使用時には、燃焼反応は、前記ピストンクラウンを前記シリンダに対して動かす。前記ピストンクラウンは、前記ピストン棒へ結合するように構成され得る。前記ピストンクラウンは締りばめによって前記ピストン棒に結合され得る。前記ピストンクラウンは、前記ピストンの前記楔部と相補的に係合するように構成-形状及び/又はサイズ-にされる楔部を備えてよい。
【0030】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンの前記ピストンクラウン又は該ピストンクラウンの少なくとも一部はテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記テクニカルセラミックは、ケイ素系テクニカルセラミック-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。
【0031】
使用時での前記ピストンの構成は、前記燃焼反応によって前記ピストンクラウンに加えられる負荷力が前記ピストンクラウンを圧縮させるように起こる。前記ピストンクラウンがセラミック材料から構成される場合、前記セラミック材料が圧縮状態であることを保証することで、セラミック材料に共通する故障モードが回避される。
【0032】
当該ピストン装置は断熱装置を備え得る。前記断熱装置は、前記複数のピストンのうちの少なくとも1つの前記ピストン棒と前記ピストンクラウンとの間に介在され得る。
【0033】
前記断熱装置は一体構造であり得る。特別な実施形態では、前記断熱装置はモジュール構成であり得る。前記断熱装置は複数のセグメントを含み得る。
【0034】
前記断熱装置は前記セラミック材料から構築され得る。前記断熱装置は酸化ジルコニウム材料-たとえばジルコニア(登録商標)-から構築され得る。
【0035】
前記断熱装置は、前記ピストン棒上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように構成及び/又は配置され得る。前記断熱装置は、前記ピストン棒の楔部上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように構成及び/又は配置され得る。
【0036】
有利には、前記ピストン棒(特に前記ピストン棒の楔部)上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように断熱装置を構成及び/又は配置することによって、前記ピストンクラウンとピストン棒との間を断熱しながら前記ピストンの複数の部品で熱膨張差を生じさせることが可能となる。
【0037】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンは潤滑部を備え得る。前記潤滑部は前記ピストンクラウン上に供され得る。前記潤滑部は前記ピストンクラウンの外周面上に供され得る。前記潤滑部は、固体潤滑剤を含むか、あるいは固体潤滑剤であり得る。前記固体潤滑剤は、前記ピストン(の各々)に塗布されるコーティング内に埋め込まれ得る。
【0038】
前記ピストン装置は冷却装置を含み得る。前記冷却装置は、(複数の)ピストンシャフトを冷却するように構成され得る。前記冷却装置は、冷却材-特に冷却噴流-を前記(複数の)ピストンシャフトへ導くように構成される1つ以上の案内ノズルを含み得る。前記冷却材は油又は油系冷却材を含み得る。
【0039】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンは中実ピストンであり得る。有利なことに中実ピストンを設けることで製造が容易になる。
【0040】
あるいはその代わりに前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンは中空であるか、かつ/あるいは1つ以上の孔、ポケット、及び/又は空洞を含み得る。
【0041】
有利なことに中空又は1つ以上の孔及び/若しくはポケットを含む1つ以上のピストンを設けることで、前記ピストンの質量が減少する。この結果、前記内燃機関内部で往復するピストンの質量が減少する。このことは、前記内燃機関が高回転数-たとえば3000rpm~7000rpmだがこの範囲に限定されない-で動作しているとしても、慣性負荷を減少させることで当該ピストン装置の動作寿命を顕著に向上させる。
【0042】
前記1つ以上の孔、ポケット、及び/又は空洞は、穴あけ加工によって形成され得る。前記1つ以上の孔、ポケット、及び/又は空洞は、ミリング加工によって形成され得る。前記1つ以上のピストンは、鋳造-たとえばロストコア鋳造-によって形成され得る。前記1つ以上のピストンは、注入鋳型成型加工によって形成され得る。前記1つ以上のピストンは、付加的製造プロセス-たとえば3Dプリント-によって形成され得る。
【0043】
前記1つ以上のピストンが複数の孔、ポケット、及び/又は空洞を含む場合、前記複数の孔、ポケット、及び/又は空洞のうちの1つ以上の断面は円形であり得る。あるいはその代わりに又はそれに加えて、前記1つ以上のピストンが複数の孔、ポケット、及び/又は空洞を含む場合、前記複数の孔、ポケット、及び/又は空洞のうちの1つ以上の断面は環状又は部分的に環状であり得る。
【0044】
前記1つ以上のピストンが複数の孔、ポケット、及び/又は空洞を含む場合、前記複数の孔、ポケット、及び/又は空洞のうちの少なくとも2つは同一サイズ及び/又は形状であり得る。
【0045】
あるいはその代わりに前記1つ以上のピストンが複数の孔、ポケット、及び/又は空洞を含む場合、前記複数の孔、ポケット、及び/又は空洞のうちの少なくとも一は、前記複数の孔、ポケット、及び/又は空洞のうちの少なくとも他とは異なるサイズ及び/又は形状を有し得る。
【0046】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンのピストン棒は先細り形状であり得る。たとえば前記ピストン棒の遠端部は、前記ピストン棒の近端部よりも大きな外側寸法-たとえば直径-を画定し得る。
【0047】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンは流体連通装置を備え得る。前記流体連通構造は、たとえば穴あけ加工及び/又はミリング加工によって前記ピストン棒内に形成又は提供される1つ以上の軸方向孔を含むか、あるいは軸方向孔であり得る。前記流体連通構造は、たとえば穴あけ加工及び/又はミリング加工によって前記ピストン棒内に形成又は提供される1つ以上の半径方向孔を含み得る。前記半径方向孔は、前記ピストンクラウン内の前記1つ以上の軸方向孔と連通し得る。
【0048】
使用時、前記流体連通構造は、動作中に前記ピストンクラウン上に設けられる1つ以上の封止部-たとえばピストンリング-を円筒孔に抗する状態にするのを容易にし得る。
【0049】
有利なことにこれは、前記封止部-たとえばピストンリング-が前記シリンダに抗するように動作させ、かつ/あるいは前記シリンダに抗するようなさらなる動力を与えるように機能する。
【0050】
あるいはその代わりに前記ピストンリングは電源内蔵型であり得る。
【0051】
第2態様によると、内燃機関用のピストンとシリンダの組立体が供される。当該ピストンとシリンダの組立体は、
第1態様のピストン装置と、
当該ピストン装置の前記ピストンを受ける複数のシリンダを有するシリンダ装置、を備える。
【0052】
前記シリンダ装置の少なくとも一部はテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記テクニカルセラミックは、ケイ素系テクニカルセラミック-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。
【0053】
前記複数のシリンダのうちの1つ以上の全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0054】
あるいはその代わりに前記複数のシリンダのうちの1つ以上の一部が前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。前記複数のシリンダのうちの1つ以上は10%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは20%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは30%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは40%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは50%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは60%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは70%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは80%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のシリンダは90%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0055】
前記1つ以上のピストンは50%~100%のテクニカルセラミックから構築され得る特別であっても排他的ではない一部の実施形態では、当該シリンダ装置は、シリンダライナー及び/又はシリンダコーティングを不要にし得る。
【0056】
他の実施形態では、当該シリンダ装置はシリンダライナー及び/又はシリンダコーティングを備え得る。前記シリンダコーティングは、前記シリンダ内に埋め込まれてよい。
【0057】
前記シリンダライナー及び/又はシリンダコーティングは、テクニカルセラミック材料を含むか、あるいはテクニカルセラミック材料であってよい。前記テクニカルセラミック材料は、チタン系テクニカルセラミック-たとえば窒化チタン-を含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミックであってよい。
【0058】
前記複数のシリンダのうちの少なくとも1つのシリンダは、該少なくとも1つシリンダの外側表面内に形成されるか、あるいは設けられる1つ以上の溝を有し得る。
【0059】
使用時、熱い排出気体-たとえば約5barだがこれに限定されない-が高速で前記溝を貫流することで、相対的に高い温度で前記シリンダの前記外側表面を維持する。
【0060】
有利なことに前記排出気体の流れを促進して前記シリンダの外側での温度を維持することによって、前記1つ以上の溝は、前記シリンダの内部と外部との間での温度勾配を減少させる。前記シリンダがセラミック材料から構築される場合、前記シリンダの内部と外部との間での温度勾配が減少することで、セラミック材料の故障モードが緩和される。
【0061】
前記1つ以上の溝のうちの少なくとも1つは、前記シリンダの外側表面内に加工されるか、あるいは形成され得る。
【0062】
前記1つ以上の溝は微細溝を含むか、あるいは微細溝であり得る。前記1つ以上の溝のうちの少なくとも1つは1μm~100mmの範囲の幅を有し得る。
【0063】
前記シリンダが複数の溝を有する場合、前記複数の溝のうちの少なくとも2つは同一の幅であってよい。前記シリンダが複数の溝を有する場合、前記複数の溝のうちの少なくとも2つは異なる幅であってよい。
【0064】
前記シリンダは1つ以上の吸気ポートを有し得る。
【0065】
前記シリンダは1つ以上の排気ポートを有し得る。
【0066】
前記シリンダは潤滑部を備え得る。前記潤滑部は前記シリンダ上に供され得る。前記潤滑部は前記シリンダの内周面上に供され得る。前記潤滑部は、固体潤滑体を含むか、あるいは固体潤滑体であり得る。前記固体潤滑体は、前記シリンダに付与される被覆体内に埋め込まれ得る。
【0067】
前記シリンダは断熱スリーブを含み得る。前記断熱スリーブは前記シリンダの周辺に設けられ得る。前記断熱スリーブはセラミック断熱材料から構築され得る。前記断熱スリーブは非構造セラミック発泡体断熱材料から構築され得る。
【0068】
当該ピストンとシリンダの組立体は気体除去装置を備え得る。前記気体除去装置は前記シリンダと動作上関連付けられ得る。
【0069】
前記気体除去装置は、プラグ流入チャージエアが燃焼生成物を変位させて前記燃焼生成物の混合を最小にするように構成され得る。
【0070】
前記気体除去装置は、相対的に大きな吸気及び/又は排気総ポート流領域を供する段階を有し得る。
【0071】
有利なことに前記気体除去装置は、前記シリンダへの均一な周辺熱流を供することで周辺温度勾配を最小にする。
【0072】
第3態様によると、第1態様のピストン装置及び/又は第2態様のピストンのシリンダの組立体を備える内燃機関が供される。
【0073】
当該内燃機関は排気貯蔵部を有し得る。前記排気貯蔵部は前記シリンダの外側表面部の周りに設けられ得る。当該内燃機関は排気貯蔵部用筐体を備え、前記排気貯蔵部用筐体は前記排気貯蔵部を画定する。
【0074】
前記排気貯蔵部は、前記燃焼反応から排出物を受けるように構成され得る。
【0075】
1つ以上の溝は、前記排気貯蔵部用筐体の内側表面内に形成されるか、あるいは設けられ得る。前記1つ以上の溝は微細溝を含むか、あるいは微細溝であり得る。前記溝は、前記排気貯蔵部用筐体の1つ以上の内側表面-たとえば前記排気貯蔵部用筐体の軸方向端面-に加工され得る前記1つ以上の溝のうちの少なくとも1つは1μm~100mmの範囲の幅を有し得る。
【0076】
使用時、熱い排出気体-たとえば約5barだがこれに限定されない-が高速で前記溝を貫流することで、相対的に高い温度で前記シリンダの前記外側表面を維持する。
【0077】
有利なことにこれは、前記シリンダの内部と外部との間での温度勾配を減少させる。前記シリンダがセラミック材料から構築される場合、前記シリンダの内部と外部との間での温度勾配が減少することで、セラミック材料の故障モードが緩和される。
【0078】
前記排気貯蔵部用筐体はモジュール構造であり得る。たとえば前記排気貯蔵部用筐体は2つ以上の部品で製造され得る。有利なことにこれにより、前記排気貯蔵部用筐体の軸方向端面上に前記溝を設けることが容易になる。
【0079】
前記排気貯蔵部用筐体は、燃料噴射部を受ける孔を備え得る。
【0080】
前記排気貯蔵部用筐体は主部を有し得る。前記主部は、前記燃料噴射部を受ける孔を取り囲み得る。前記主部は、前記排気貯蔵部用筐体の周辺壁から半径方向内側へ延在し得る。
【0081】
当該内燃機関は燃料噴射装置を備え得る。前記燃料噴射装置は、前記シリンダの壁の内部に及び/又は貫通して設けられるポートを有し得る。前記ポートは前記複数のピストンの間に介在され得る。
【0082】
前記燃料噴射装置は、前記排気貯蔵部用筐体の内部設けられる主部を備え得る。前記主部は、前記排気貯蔵部用筐体の一部として形成され、又は前記排気貯蔵部用筐体へ結合するように構成され得る。たとえば前記主部は、締りばめによって前記排気貯蔵部用筐体へ結合され得る。あるいはその代わりに又はそれに加えて、パイプが、機械的結合-たとえばスナップフィット接続、ネジ式コネクタ、又はたとえばボルトのような1つ以上の機械式固定部-によって前記排気貯蔵部用筐体に結合され得る。前記主部は前記排気貯蔵部用筐体の壁から延在し得る。前記主部は、前記排気貯蔵部用筐体によって画定されるチャンバへ入り込むように延在し得る。前記主部の遠端部は、前記シリンダの外側表面と係合するように構成-たとえば形状及び/又は寸法に-され得る。前記主部の孔は前記燃料噴射装置のポートと連通し得る。前記孔は前記ポートを取り囲み得る。
【0083】
燃料噴射装置は、1つ以上の燃料噴射部を含み得る。前記燃料噴射部は前記主部内部に設けられ得る。前記燃料噴射部は前記ポートを連通し得る。
【0084】
当該内燃機関は、は前記燃料噴射装置用の冷却装置を備え得る。
【0085】
有利なことにこれにより、前記燃料噴射部が、高温-たとえば約1000℃-でシリンダの壁内に設けられているときでさえ最大使用温度の範囲内のままであることが保証される。
【0086】
前記冷却装置は、ヒートパイプ型冷却装置を含み得るか、あるいはヒートパイプ型冷却装置であり得る。
【0087】
前記燃料噴射装置はスリーブを備え得る。前記スリーブは前記主部内部-すなわち前記主部の内壁上-に設けられ得る。前記スリーブは、断熱スリーブを含み得るか、あるいは断熱スリーブであり得る。
【0088】
前記スリーブの少なくとも一部はテクニカルセラミック材料-特に低熱伝導度のテクニカルセラミック-から構築され得る。前記スリーブの少なくとも一部はジルコニアから構築され得る。前記スリーブの少なくとも一部はグラファイトとセラミックの発泡体から構築され得る。
【0089】
前記燃料噴射装置は円筒型ブロックを備え得る。前記円筒型ブロックは前記スリーブ内部に設けられ得る。前記スリーブは外側スリーブを画定し、かつ、前記円筒型ブロックは内側スリーブを画定し得る。
【0090】
前記円筒型ブロックの少なくとも一部は、テクニカルセラミック-具体的には高熱伝導度のテクニカルセラミック-から構築され得る。前記円筒型ブロックはアルミニウム窒化物から構築され得る。
【0091】
前記冷却装置は1つ以上のヒートパイプたとえば2,3,4,5,6,それ以上のヒートパイプを備え得る。前記ヒートパイプは互いに平行に配置され得る。前記ヒートパイプは周囲を取り囲むように配置され、かつ/あるいは周囲を取り囲むように離間され得る。
【0092】
前記1つ以上のヒートパイプは、ヒートシンクに結合されるか、あるいはヒートシンクと動作上関連付けられ得る。前記ヒートシンクは排気体積の外に存在し得る。前記ヒートシンクは貯蔵体積内に設けられ得る。前記貯蔵体積は冷却され得る。前記1つ以上のヒートパイプの長さは前記燃料噴射部よりも長くてよい。たとえば前記1つ以上のヒートパイプは、前記燃料噴射部(付近)から前記燃料噴射部の先端部を超えて延在し得る。
【0093】
前記1つ以上のヒートパイプは包囲体を有し得る。
【0094】
前記1つ以上のヒートパイプは飽和作動流体を含み得る。前記作動流体は、周辺温度の液体を含むか、あるいは周辺温度の液体であり得る。前記作動流体はナトリウムを含み得る。前記作動流体は水銀を含み得る。
【0095】
前記1つ以上のヒートパイプはウィックを有し得る。
【0096】
使用時、前記燃料噴射部が加熱し、かつ、前記作動流体の温度が前記作動流体の沸点を超えるとき、前記作動流体は蒸発して、上方に向かって(複数の)前記ヒートパイプを通って前記ヒートシンクへ向かう。前記ヒートシンクでは、前記作動流体が凝縮して、毛管圧力によって前記ウィック構造を介して熱い端部へ戻される。有利なことに前記冷却装置は、蒸発の潜熱によって前記燃料噴射部からの熱を伝え得る。
【0097】
前記1つ以上のヒートパイプは、金属材料-たとえば金属又は金属合金-から構築され得る。たとえば前記1つ以上のヒートパイプは、鋼-具体的にはステンレス鋼-から構築され得る。
【0098】
当該内燃機関はスリーブ軸受を備え得る。
【0099】
有利なことに前記スリーブ軸受は、クランクからの側部負荷を支持する。
【0100】
当該内燃機関はフレームを備え得る。前記フレームは、金属材料-たとえば金属又は金属合金-から構築され得る。
【0101】
有利なことに前記フレームは、前記クランクの動作から生じる軸方向の燃焼及び/又は慣性負荷及び/又は側部負荷に抗するように反応し得る。
【0102】
第4態様によると、第3態様の内燃機関を備える発電機の組が供される。
【0103】
当該発電機の組は発電機を含み得る。前記発電機は当該内燃機関に結合され得る。前記発電機は、当該内燃機関から出力される機会エネルギーを電気エネルギーへ変換するように構成され得る。
【0104】
当該発電機の組は電源を備え得る。前記電源はバッテリーを含み得る。前記電源は、再充電可能な電源-具体的には再充電可能なバッテリーだがこれに限定されない-を含むか、あるいは再充電可能な電源であり得る。前記発電機は、電気エネルギーを供給することで前記電源を充電し得る。
【0105】
当該発電機の組は、モーターを備えるか、あるいはモーターに結合され得る。前記モーターは、回転駆動、リニアモーター、又は、電力を動力に変換する他の駆動装置を含むか、あるいはそれらであり得る。前記モーターは、電気モーターを含むか、あるいは電気モーターであり得る。前記モーターは、前記バッテリーに結合され得る。前記バッテリーは、前記電気エネルギーを前記モーターへ供給することで前記モーターを駆動させ得る。あるいはその代わりに前記モーターは、前記発電機によって直接駆動され得る。あるいはその代わりに又はそれに加えて、前記バッテリーは、前記電気エネルギーを他の部品又はシステム-たとえば車両の電気系だがこれに限定されない-へ供給してもよい。
【0106】
第5態様によると、内燃機関用のシリンダ装置が供される。当該シリンダ装置は、
当該内燃機関のピストンを受けるシリンダを備え、
前記シリンダの少なくとも一部はテクニカルセラミックから構築され、
1つ以上の溝が前記シリンダの外側表面内に形成されるか、あるいは設けられる。
【0107】
使用時、熱い排出気体-たとえば約5barだがこれに限定されない-が高速で前記溝を貫流することで、相対的に高い温度で前記シリンダの前記外側表面を維持する。
【0108】
有利なことに前記排出気体の流れを促進して前記シリンダの外側での温度を維持することによって、前記1つ以上の溝は、前記シリンダの内部と外部との間での温度勾配を減少させる。前記シリンダがセラミック材料から構築される場合、前記シリンダの内部と外部との間での温度勾配が減少することで、セラミック材料の故障モードが緩和される。
【0109】
前記テクニカルセラミック材料は、ケイ素系テクニカルセラミックを含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。たとえば前記テクニカルセラミック材料は、窒化ケイ素を含むか、あるいは窒化ケイ素であってよい。
【0110】
前記シリンダの全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0111】
あるいはその代わりに前記シリンダの一部が前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは10%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは20%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは30%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは40%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは50%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは60%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは70%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは80%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記シリンダは90%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0112】
前記シリンダが50%~100%のテクニカルセラミックから構築され得る特別であっても排他的ではない一部の実施形態では、当該シリンダ装置は、シリンダライナー及び/又はシリンダコーティングを不要にし得る。
【0113】
他の実施形態では、当該シリンダ装置はシリンダライナー及び/又はシリンダコーティングを備え得る。前記シリンダコーティングは、前記シリンダ内に埋め込まれてよい。
【0114】
前記シリンダライナー及び/又はシリンダコーティングは、テクニカルセラミック材料を含むか、あるいはテクニカルセラミック材料であってよい。たとえば前記テクニカルセラミック材料は、チタン系テクニカルセラミック-たとえば窒化チタン-を含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミックであってよい。
【0115】
前記1つ以上の溝のうちの少なくとも1つは、前記シリンダの外側表面内に加工されるか、あるいは形成され得る。
【0116】
前記1つ以上の溝は微細溝を含むか、あるいは微細溝であり得る。前記1つ以上の溝のうちの少なくとも1つは1μm~100mmの範囲の幅を有し得る。
【0117】
前記シリンダが複数の溝を有する場合、前記複数の溝のうちの少なくとも2つは同一の幅であってよい。前記シリンダが複数の溝を有する場合、前記複数の溝のうちの少なくとも2つは異なる幅であってよい。
【0118】
前記シリンダは1つ以上の吸気ポートを有し得る。
【0119】
前記シリンダは1つ以上の排気ポートを有し得る。
【0120】
前記シリンダは潤滑部を備え得る。前記潤滑部は前記シリンダ上に供され得る。前記潤滑部は前記シリンダの内周面上に供され得る。前記潤滑部は、固体潤滑体を含むか、あるいは固体潤滑体であり得る。前記固体潤滑体は、前記シリンダに付与される被覆体内に埋め込まれ得る。
【0121】
前記シリンダは断熱スリーブを含み得る。前記断熱スリーブは前記シリンダの周辺に設けられ得る。前記断熱スリーブはセラミック断熱材料から構築され得る。前記断熱スリーブは非構造セラミック発泡体断熱材料から構築され得る。
【0122】
当該シリンダ装置は複数のシリンダを含み得る。
【0123】
第6態様によると、内燃機関用のピストンとシリンダの組立体が供される。当該ピストンとシリンダの組立体は、
第5態様のシリンダ装置と、
1つ以上のピストンを有するピストン装置、を備える。
【0124】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンの少なくとも一部はテクニカルセラミック材料から構築され得る。たとえば前記テクニカルセラミック材料は、ケイ素系テクニカルセラミック-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。
【0125】
複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンの全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0126】
あるいはその代わりに前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンの一部は前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。前記テクニカルセラミック材料は、ケイ素系テクニカルセラミック-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。
【0127】
前記1つ以上のピストンの全部又は実質的に全部は、前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0128】
あるいはその代わりに前記1つ以上のピストンの一部が前記テクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは10%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは20%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは30%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは40%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは50%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは60%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは70%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは80%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上のピストンは90%以上のテクニカルセラミック材料から構築され得る。
【0129】
前記1つ以上のピストンが50%~100%のテクニカルセラミックから構築され得る特別であっても排他的ではない一部の実施形態では、当該ピストン装置は、ピストンライナー-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンライナー-及び/又はピストンコーティング-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンコーティング-を不要にし得る。
【0130】
他の実施形態では、当該ピストン装置は、ピストンライナー-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンライナー-及び/又はピストンコーティング-たとえばテクニカルセラミックを含むピストンコーティング-を備えてよい。前記ピストンライナー及び/又はピストンコーティングは、チタン系テクニカルセラミック-たとえば窒化チタン-を含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミックであってよい。
【0131】
前記ピストンコーティングは、前記ピストンの外側表面内に埋め込まれてよい。
【0132】
前記複数のピストンの少なくとも1つは、1つ以上の封止部-たとえばピストンリング-を含み得る。前記1つ以上の封止部は、1つのテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記1つ以上の封止部は、複数のテクニカルセラミック材料部品から構築され得る。前記複数のテクニカルセラミック材料部品は第1部品と第2部品を含み得る。前記第2部品は、前記第1部品内に埋め込まれ得る。前記第1部品は、ケイ素系テクニカルセラミック材料-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミック材料であってよい。前記第2部品は、チタン系テクニカルセラミック材料-たとえば窒化チタン-を含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミック材料であってよい。
【0133】
前記複数のピストンの少なくとも1つの少なくとも一部は金属材料-たとえば金属又は金属合金-から構築され得る。たとえば前記ピストンの1つ以上の少なくとも一部は鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0134】
有利なことに、本発明の実施形態は、どの部品も引っ張りサイクル負荷を受けず、顕著な温度勾配が進展しないので従来システムの問題を解決又は部分的に緩和する。よって本発明の実施形態は、少なくとも70%のブレーキ熱効率で少なくとも30000時間の寿命を実現できる。
【0135】
前記1つ以上のピストンの各々はピストン棒を含み得る。
【0136】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストン棒は、内部に生成される軸方向に設けられた孔を有し得る。特別な実施形態では、当該ピストン装置の各ピストン棒には各対応する孔が設けられ得る。
【0137】
当該ピストン装置は、前記ピストン棒の孔内に設置するように構成される伝熱部材を備えてよい。前記伝熱部材は、固体である第1状態から、前記伝熱部材の少なくとも一部が液体状態である第2状態へ再構成可能である。前記第2状態にある前記伝熱部材は、前記ピストンが往復運動する際に前記ピストン棒から熱を運び去ることで前記ピストン棒を冷却するように前記ピストン棒の孔に対して移動可能である。
【0138】
使用時、前記ピストン棒は、当該内燃機関の動作中に加熱する。前記伝熱部材の少なくとも一部の温度が事前に選択された温度閾値-たとえば前記伝熱部材の融点-を超えるとき、前記伝熱部材の少なくとも一部-及び特別な実施形態では前記伝熱部材の全部又はほとんどの部分-は、固体である前記第1状態から前記第2状態へ再構成される。前記伝熱部材を再構成することで、前記伝熱部材は前記ピストン棒に対して移動するので、前記ピストンが該ピストン底部のちょうど中心(BDC)の位置と上部のちょうど中心(TDC)の位置との間で往復運動する際に熱いピストン端部から熱を運び去ることが可能となる。
【0139】
前記伝熱部材は金属材料で構成され得る。特別な実施形態では、前記伝熱部材はナトリウムで構成され得る。
【0140】
上述したように、前記伝熱部材は前記ピストン棒の孔内に設置するように構成され得る。たとえば前記伝熱部材の前記寸法及び/又は形状は、前記ピストン棒の孔内での前記伝熱部材の設置を容易にするように選ばれ得る。
【0141】
前記伝熱部材は、円筒部材又は実質的円筒部材を含むかあるいは、円筒部材又は実質的円筒部材であり得る。しかし前記伝熱部材は、設けられるそれぞれの孔に適合する任意の適切な形状及び/サイズであってよいことがわかるだろう。前記伝熱部材は、材料の塊を含むか、あるいは材料の塊であってよい。
【0142】
上述したように、当該ピストン装置は1つ以上のピストン-すなわち1つ又は複数のピストン(たとえば当該ピストン装置は、2つのピストン、4つのピストン、6つのピストン、又は8つのピストン)-を備える。
【0143】
当該ピストン装置が複数のピストンを含む場合、前記複数のピストンは任意の適切な構成で配置され得る。たとえば前記複数のピストンは対向する構成で配置され得る。
【0144】
前記複数のピストンのうちの少なくとも1つのピストンのピストン棒又は該ピストン棒の少なくとも一部は、金属材料-たとえば金属又は金属合金-で構築され得る。前記ピストン棒は、鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0145】
前記ピストン棒はプッシュロッド部を含み得る。前記プッシュロッド部は、鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0146】
前記ピストン棒は楔部を含み得る。前記楔部は、鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0147】
結合装置が前記プッシュロッド部と前記楔部との間に供され得る。前記結合装置は、機械式結合部-たとえばネジ式結合部-を含むか、あるいは機械式結合部であってよい。
【0148】
前記ピストン棒の前記楔部は複数のセグメントを含み得る。前記楔部が複数のセグメントを含む場合、前記複数のセグメントは共に前記結合装置の一部-たとえば前記プッシュロッド部上の対応するネジ式結合部と係合するネジ式結合部-を構成し得る。
【0149】
前記複数のピストンの各々はピストンクラウンを含み得る。前記ピストンクラウンは、前記ピストンの端部に結合するか、あるいは前記ピストンの端部を形成し得る。前記ピストンクラウンは、当該内燃機関のシリンダ内に設置されるように構成され得る。前記ピストンクラウンは、前記シリンダを封止した状態で係合し得る。使用時には、燃焼反応は、前記ピストンクラウンを前記シリンダに対して動かす。
【0150】
前記ピストンクラウンは、前記ピストン棒へ結合するように構成され得る。前記ピストンクラウンは締りばめによって前記ピストン棒に結合され得る。前記ピストンクラウンは、前記ピストンの前記楔部と相補的に係合するように構成-形状及び/又はサイズ-にされる楔部を備えてよい。
【0151】
前記ピストンクラウンの少なくとも一部はセラミック材料-具体的にはテクニカルセラミック材料-から構築され得る。たとえば前記ピストンクラウンの少なくとも一部は窒化ケイ素Si3N4から構築され得る。
【0152】
使用時での前記ピストンの構成は、前記燃焼反応によって前記ピストンクラウンに加えられる負荷力が前記ピストンクラウンを圧縮させるように起こる。前記ピストンクラウンがセラミック材料から構成される場合、前記セラミック材料が圧縮状態であることを保証することで、セラミック材料に共通する故障モードが回避される。
【0153】
当該ピストン装置は断熱装置を備え得る。前記断熱装置は、前記複数のピストンのうちの少なくとも1つの前記ピストン棒と前記ピストンクラウンとの間に介在され得る。
【0154】
前記断熱装置は一体構造であり得る。特別な実施形態では、前記断熱装置はモジュール構成であり得る。前記断熱装置は複数のセグメントを含み得る。
【0155】
前記断熱装置は前記セラミック材料から構築され得る。前記断熱装置は酸化ジルコニウム材料-たとえばジルコニア(登録商標)-から構築され得る。
【0156】
前記断熱装置は、前記ピストン棒上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように構成及び/又は配置され得る。前記断熱装置は、前記ピストン棒の楔部上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように構成及び/又は配置され得る。
【0157】
有利には、前記ピストン棒(特に前記ピストン棒の楔部)上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように断熱装置を構成及び/又は配置することによって、前記ピストンクラウンとピストン棒との間を断熱しながら前記ピストンの複数の部品で熱膨張差を生じさせることが可能となる。
【0158】
前記複数のピストンの各々は潤滑部を備え得る。前記潤滑部は前記ピストンクラウン上に供され得る。前記潤滑部は前記ピストンクラウンの外周面上に供され得る。前記潤滑部は、固体潤滑体を含むか、あるいは固体潤滑体であり得る。前記固体潤滑体は、前記ピストンの各々に塗布されるコーティング内に埋め込まれ得る。
【0159】
当該ピストンとシリンダの組立体は気体除去装置を備え得る。前記気体除去装置は前記シリンダと動作上関連付けられ得る。
【0160】
前記気体除去装置は、プラグ流入チャージエアが燃焼生成物を変位させることで前記燃焼生成物の混合を最小にするように構成され得る。
【0161】
前記気体除去装置は、相対的に大きな吸気及び/又は排気総ポート流領域を供する段階を有し得る。
【0162】
有利なことに前記気体除去装置は、前記シリンダへの均一な周辺熱流を供することで周辺温度勾配を最小にする。
【0163】
他の態様に関して前述又は後述する当該ピストンとシリンダの組立体の特徴もまた、本態様のピストンとシリンダの組立体において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0164】
第7態様によると、第5態様のシリンダ装置及び/又は第6態様のピストンのシリンダの組立体を備える内燃機関が供される。
【0165】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該内燃機関の特徴もまた、本態様の内燃機関において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0166】
第8態様によると、第7態様の内燃機関を備える発電機の組が供される。
【0167】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該発電機の組の特徴もまた、本態様の発電機の組において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0168】
第9態様によると、内燃機関用のピストン装置が供される。当該ピストン装置は、
1つ以上のピストンであって、そのうち少なくとも1つのピストンのピストン棒は内部に形成されて軸方向に設けられた孔を有する、1つ以上のピストンと、
前記ピストン棒の孔内に設置するように構成される伝熱部材を備え、
前記伝熱部材は、固体である第1状態から、前記伝熱部材の少なくとも一部が液体状態である第2状態へ再構成可能である。前記第2状態にある前記伝熱部材は、前記ピストンが往復運動する際に前記ピストン棒から熱を運び去ることで前記ピストン棒を冷却するように前記ピストン棒の孔に対して移動可能である。
【0169】
前記複数のピストンの少なくとも1つのうちの少なくとも一部はテクニカルセラミック材料から構築され得る。前記テクニカルセラミック材料は、ケイ素系テクニカルセラミック-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。
【0170】
前記複数のピストンの少なくとも1つの少なくとも一部は金属材料-たとえば金属又は金属合金-から構築され得る。たとえば前記ピストンの1つ以上の少なくとも一部は鋳鉄、鋼-たとえばステンレス鋼又はオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金(たとえばインコネル(登録商標))-から構築され得る。
【0171】
使用時、前記ピストン棒は、当該内燃機関の動作中に加熱する。前記伝熱部材の少なくとも一部の温度が事前に選択された温度閾値-たとえば前記伝熱部材の融点-を超えるとき、前記伝熱部材の少なくとも一部-及び特別な実施形態では前記伝熱部材の全部又はほとんどの部分-は、固体である前記第1状態から前記第2状態へ再構成される。前記伝熱部材を再構成することで、前記伝熱部材は前記ピストン棒に対して移動するので、前記ピストンが該ピストン底部の下死点(BDC)の位置と上死点(TDC)の位置との間で往復運動する際に熱いピストン端部から熱を運び去ることが可能となる。
【0172】
有利なことに、本発明の実施形態は、どの部品も引っ張りサイクル負荷を受けず、顕著な温度勾配が進展しないので従来システムの問題を解決又は部分的に緩和する。よって本発明の実施形態は、少なくとも70%のブレーキ熱効率で少なくとも30000時間の寿命を実現できる。
【0173】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該ピストン装置の組の特徴もまた、本態様のピストン装置の組において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0174】
第10態様によると、内燃機関用のピストンとシリンダの組立体が供される。当該ピストンとシリンダの組立体は、
第9態様のピストン装置と、
当該ピストン装置の前記1つ以上のピストンのそれぞれを受ける1つ以上のシリンダを備えるシリンダ装置を備える。
【0175】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該ピストンとシリンダの組立体の特徴もまた、本態様のピストンとシリンダの組立体において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0176】
第11態様によると、第9態様のピストン装置及び/又は第10態様のピストンとシリンダの組立体を備える内燃機関が供される。
【0177】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該内燃機関の特徴もまた、本態様の内燃機関において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0178】
第12態様によると、第11態様の内燃機関を備える発電機の組が供される。
【0179】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該発電機の組の特徴もまた、本態様の発電機の組において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0180】
第13態様によると、内燃機関用のピストンが供される。当該ピストンは、
ピストン棒と、
少なくとも一部がテクニカルセラミック材料から構築されるピストンクラウンと、
前記ピストン棒と前記ピストンクラウンとの間に介在される断熱装置を備え、
前記断熱装置は複数のセグメントを含み、該複数のセグメントは、前記ピストン棒上に設けられるときに前記断熱装置の複数のセグメント間に軸方向スロット又は空間が画定されるように構成及び/又は配置される。
【0181】
有利には、前記ピストン棒(特に前記ピストン棒の楔部)上に設けられるときに軸方向スロット又は空間が前記断熱装置のセグメント間に画定されるように断熱装置を構成及び/又は配置することによって、前記ピストンクラウンとピストン棒との間を断熱しながら前記ピストンの複数の部品で熱膨張差を生じさせることが可能となる。
【0182】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該ピストンの特徴もまた、本態様のピストンにおいて単独又は組み合わせて適用され得る。
【0183】
第14態様によると、内燃機関用のピストンとシリンダの組立体が供される。当該ピストンとシリンダの組立体は、
第13態様のピストンと、
前記ピストンを受けるシリンダを備えるシリンダ装置を備える。
【0184】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該ピストンとシリンダの組立体の特徴もまた、本態様のピストンとシリンダの組立体において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0185】
第15態様によると、第13態様のピストン及び/又は第14態様のピストンとシリンダの組立体を備える内燃機関が供される。
【0186】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該ピストンとシリンダの組立体の特徴もまた、本態様のピストンとシリンダの組立体において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0187】
第16態様によると、第15態様の内燃機関を備える発電機の組が供される。
【0188】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該発電機の組の特徴もまた、本態様の発電機の組において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0189】
第17態様によると、内燃機関の燃料噴射装置用の冷却装置が供される。当該冷却装置は1つ以上のヒートパイプを備える。
【0190】
有利なことに当該冷却装置は、高温-たとえば約1000℃-のシリンダの壁内に設けられるときでさえ(複数の)前記燃料噴射部は最大使用温度の範囲内のままであることを保証する。
【0191】
前記燃料噴射装置はスリーブを備え得る。前記スリーブは、前記主部内部-つまり前記主部の内壁上-に設けられ得る。前記スリーブは断熱スリーブを含むか、あるいは断熱スリーブであり得る。
【0192】
前記スリーブの少なくとも一部はテクニカルセラミック材料-特に低熱伝導度のテクニカルセラミック-から構築され得る。前記スリーブの少なくとも一部はジルコニアから構築され得る。前記スリーブの少なくとも一部はグラファイトとセラミックの発泡体から構築され得る。
【0193】
前記燃料噴射装置は円筒型ブロックを備え得る。前記円筒型ブロックは前記スリーブ内部に設けられ得る。前記スリーブは外側スリーブを画定し、かつ、前記円筒型ブロックは内側スリーブを画定し得る。
【0194】
前記円筒型ブロックの少なくとも一部は、テクニカルセラミック-具体的には高熱伝導度のテクニカルセラミック-から構築され得る。前記円筒型ブロックはアルミニウム窒化物から構築され得る。
【0195】
上述したように、当該冷却装置は1つ以上のヒートパイプを備える。
【0196】
当該冷却装置は複数のヒートパイプたとえば2本のヒートパイプを備え得る。前記複数のヒートパイプは互いに平行に配置され得る。前記ヒートパイプは周囲を取り囲むように配置され、かつ/あるいは周囲を取り囲むように離間され得る。
【0197】
前記1つ以上のヒートパイプは、ヒートシンクに結合されるか、あるいはヒートシンクと動作上関連付けられ得る。前記ヒートシンクは貯蔵体積内に設けられ得る。前記貯蔵体積は冷却され得る。前記1つ以上のヒートパイプの長さは前記燃料噴射部よりも長くてよい。たとえば前記1つ以上のヒートパイプは、前記燃料噴射部(付近)から前記燃料噴射部の先端部を超えて延在し得る。
【0198】
前記1つ以上のヒートパイプは包囲体を有し得る。
【0199】
前記1つ以上のヒートパイプは飽和作動流体を含み得る。前記作動流体は、周辺温度の液体を含むか、あるいは周辺温度の液体であり得る。前記作動流体はナトリウムを含み得る。前記作動流体は水銀を含み得る。
【0200】
前記1つ以上のヒートパイプはウィックを有し得る。
【0201】
使用時、前記燃料噴射部が加熱し、かつ、前記作動流体の温度が前記作動流体の沸点を超えるとき、前記作動流体は蒸発して、上方に向かって(複数の)前記ヒートパイプを通って前記ヒートシンクへ向かう。前記ヒートシンクでは、前記作動流体が凝縮して、毛管圧力によって前記ウィック構造を介して熱い端部へ戻される。有利なことに前記冷却装置は、蒸発の潜熱によって前記燃料噴射部からの熱を伝え得る。
【0202】
前記1つ以上のヒートパイプは、金属材料-たとえば金属又は金属合金-から構築され得る。たとえば前記1つ以上のヒートパイプは、鋼-具体的にはステンレス鋼-から構築され得る。
【0203】
第18態様によると、第17態様の冷却装置を備える内燃機関が供される。
【0204】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該内燃機関の特徴もまた、本態様の内燃機関において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0205】
第19態様によると、第18態様の内燃機関を備える発電機の組が供される。
【0206】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該発電機の組の特徴もまた、本態様の発電機の組において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0207】
第20態様によると、内燃機関用のピストン封止部が供される。当該ピストン封止部は、
第1テクニカルセラミック材料を含むか、あるいは第1テクニカルセラミック材料である第1部品と、
前記第1テクニカルセラミック材料とは異なる第2テクニカルセラミック材料を含むか、あるいは第2テクニカルセラミック材料である第2部品を備える。
【0208】
前記第1テクニカルセラミック材料は、ケイ素系テクニカルセラミック-たとえば窒化ケイ素-を含むか、あるいはケイ素系テクニカルセラミックであってよい。
【0209】
前記第2テクニカルセラミック材料は、チタン系テクニカルセラミック-たとえば窒化チタン-を含むか、あるいはチタン系テクニカルセラミックであってよい。
【0210】
前記ピストン封止部は、ピストンリングを含むか、あるいはピストンリングであってよい。
【0211】
第21態様によると、第20態様のピストン封止部のうちの1つ以上を備えるピストン装置が供される。
【0212】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該ピストン装置の特徴もまた、本態様のピストン装置において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0213】
第22態様によると、第21態様のピストン装置を備えるピストンとシリンダの組立体が供される。
【0214】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該ピストンとシリンダの組立体の特徴もまた、本態様のピストンとシリンダの組立体において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0215】
第23態様によると、第21態様のピストン装置及び/又は第22態様のピストンとシリンダの組立体を備える内燃機関が供される。
【0216】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該内燃機関の特徴もまた、本態様の内燃機関において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0217】
第24態様によると、第23態様の内燃機関を備える発電機の組が供される。
【0218】
本開示の他の態様、例、又は実施形態に関して前述又は後述する当該発電機の組の特徴もまた、本態様の発電機の組において単独又は組み合わせて適用され得る。
【0219】
本明細書で定義される装置もしくは任意の態様、または任意の個々の部材もしくは部材の群は、任意の適切な方法で製造することができる。一部の例では、開示された装置、または任意の個々の部材もしくは部材の群は、付加製造によって製造され得る。そのような記載された付加製造は、典型的には、部材の3次元(3D)情報-例えば3次元コンピュータモデル(または設計ファイル)-に基づいて、部材が製造されるプロセスを含む。したがって本明細書に記載される例は、装置および関連する部材を含むだけでなく、付加製造を介して装置または関連する部材を製造する方法、および付加製造を介して装置および関連する部材の製造を制御するためのコンピュータソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアも含む。以降「製品」という記載はすべて、記載された装置およびすべての関連する部材を含むと解される。製品の構造は、設計ファイルの形態でデジタル的に表現することができる。設計ファイル、又はコンピュータ支援設計(CAD)ファイルは、製品の形状の表面又は体積の状態の1つ以上を符号化する設定ファイルである。すなわち、デザインファイルは、製品の幾何学的配置又は形状を表す。デザインファイルは、現在知られている、または後に開発された任意のファイル形式をとることができる。例えば、デザインファイルは、3D Systems社のステレオリソグラフィCADプログラム用に作成されたステレオリソグラフィまたは「標準テッセレーション言語」(.stl)フォーマット、または、任意のCADソフトウェアが任意の付加製造プリンタで製造される任意の3次元オブジェクトの形状および構成を記述できるように設計された拡張可能マークアップ言語(XML)ベースのフォーマットであるアメリカ機械学会(ASME)標準である付加製造ファイル(.amf)フォーマットであっても良い。設計ファイルフォーマットの例としては、AutoCAD(.dwg)ファイル、Blender(.blend)ファイル、Parasolid(.x_t)ファイル、3D Manufacturing Format(.3mf)ファイル、Autodesk(3ds)ファイル、Collada(.dae)ファイル、Wavefront(.obj)ファイルなどがあるが、他の多くのファイルフォーマットもある。デザインファイルは、モデリング(CADモデリングなど)ソフトウェアを使用して、および/または製品の表面をスキャンして製品の表面形状を測定することによって作成することができる。設計ファイルは入手されると、コンピュータ実行可能命令の組に変換され得る。前記コンピュータ実行可能命令の組は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに付加製造装置を制御させて、設計ファイルで指定された幾何学的配置に従って製品を製造させる。変換は、デザインファイルを、付加製造装置によって順次形成されるスライスまたはレイヤーに変換することができる。命令(別称、幾何学的コードすなわち「Gコード」)は、特定の付加製造装置に較正され、製造プロセスの各段階において形成されるべき材料の正確な位置および量を指定することができる。形成は、堆積によって、焼結によって、または任意の他の形態の付加製造方法によって行うことができる。コード又は命令は、必要に応じて、異なるフォーマット間で翻訳され、データ信号の組に変換されて送信され、データ信号の組として受信されてコードに変換され、保存されるなどしてもよい。命令は、付加製造システムへの入力であってよく、部品設計者、知的財産(IP)プロバイダ、設計会社、付加製造システムのオペレータまたは所有者、または他のソースから来ることができる。付加製造システムは、本明細書に開示された技術または方法のいずれかを使用して製品を製造するために命令を実行することができる。設計ファイルまたはコンピュータ実行可能な命令は、製造される製品を代表するコード、またはコンピュータ可読命令を格納する(一過性または非一過性の)コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ、記憶システムなど)に格納されてもよい。前述のように、製品を定義するコードまたはコンピュータ可読命令は、付加製造システムによるコードまたは命令の実行時に、オブジェクトを物理的に生成するために使用され得る。例えば、命令は、製品の正確に定義された3Dモデルを含み、AutoCAD(登録商標), TurboCAD(登録商標),DesignCAD 3D Maxなどの多種多様な周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムのいずれかから生成することができる。あるいは、部品のモデルまたはプロトタイプがスキャンされることで、部品の三次元情報が決定されてもよい。したがって、コンピュータ実行可能命令に従って付加製造装置を制御することにより、付加製造装置は、製品をプリントアウトするように指示され得る。以上を踏まえて、実施形態は、付加製造による製造方法を含む。これは、製品を表す設計ファイルを取得するステップと、設計ファイルに従って組立式または未組立式で製品を製造するよう付加製造装置に指示するステップとを含む。付加製造装置は、設計ファイルを製品の製造を制御するためのコンピュータ実行可能な命令に自動的に変換するように構成されたプロセッサを含むことができる。これらの実施形態では、設計ファイル自体は、付加製造装置に入力されると、製品の製造を自動的に引き起こす可能性がある。したがって、本実施形態では、デザインファイル自体が、付加製造装置に製品を製造させるコンピュータ実行可能な命令とされてもよい。あるいは、デザインファイルは、外部の情報処理システムによって命令に変換され、その結果、コンピュータ実行可能な命令が付加製造装置に提供されることもある。
【0220】
以上を踏まえると、本明細書に記載された主題の実装および操作の設計および製造は、デジタル電子回路を使用して、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア(本明細書に開示された構造およびそれらの構造的等価物を含む)で、またはそれらの1つ以上の組み合わせで実現することができる。例えば、ハードウェアは、プロセッサ、マイクロプロセッサ、電子回路、電子部品、集積回路などを含むことができる。本開示に記載された対象の実装は、データ処理装置による実行のため、またはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化された1つ以上のコンピュータプログラム、すなわちコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールを使用して実現され得る。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝搬信号、例えば、データ処理装置による実行のために適切な受信装置に送信するための情報を符号化するために生成される機械生成電気、光学、又は電磁信号上に符号化されることがある。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、ランダムアクセス若しくはシリアルアクセスメモリアレイ又は装置、又はそれらの1つ以上の組み合わせであってもよいし、それらに含まれていてもよい。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号で符号化されたコンピュータプログラム命令のソースまたは宛先であってもよい。また、コンピュータ記憶媒体は、1つ以上の別個の物理的構成要素または媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶装置)であってもよいし、それらに含まれていてもよい。付加製造技術は、本明細書では、典型的には垂直方向においてオブジェクトをポイントごとに、層ごとに構築することによって複雑な物体の製造を可能にするものとして説明されるが、他の製造方法が可能であり、本対象の範囲内である。例えば、本明細書の議論は、連続する層を形成するための材料の添加に言及しているが、当業者は、本明細書に開示される方法および構造が、任意の付加製造技術または他の製造技術で実施され得ることを理解するであろう。
【0221】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。しかし本開示の目的のために、上記で定義された、または以下で説明される特徴のいずれかが、単独で、または組み合わせて利用され得ることが理解されるであろう。例えば、上記の態様の1つに関連して上述された特徴、または以下の詳細な説明に関連して下述された特徴は、任意の他の態様において利用され、または一緒に新しい態様を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0222】
ここで上記及び他の態様について単なる例に過ぎない添付図面を参照しながら説明する。
【0223】
【
図2】図示される内燃機関のピストン装置の拡大図を示す。図中、ピストンは下死点(BDC)の位置にある。
【
図3】
図2に示された内燃機関のピストン装置の拡大図を示している。図中、ピストンは上死点(TDC)の位置にある。
【
図4】
図1に示された内燃機関のピストンの分解図を示している。
【
図5】
図1に示された内燃機関のシリンダの軸方向断面図を示している。
【
図6】
図1に示された内燃機関の排気貯蔵部用筐体を示している。
【
図7】
図1に示された内燃機関の燃料噴射装置を示す。
【
図8】
図1に示された内燃機関の燃料噴射装置を示す。
【
図9】
図7および
図8に示された燃料噴射装置用の冷却装置を示す。
【
図13】本開示による代替内燃機関の図を示す。図中、ピストンは下死点位置にある。
【
図14】本開示による代替内燃機関の図を示す。図中、ピストンは上死点位置にある。
【
図15】本開示による代替内燃機関の図を示している。
【
図16】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図17】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図18】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図19】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図20】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図21】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図22】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図23】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図24】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図25】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図26】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図27】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図28】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図29】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図30】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図31】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図32】本開示のピストン装置において使用するための多数の異なるピストンを示す。
【
図33】本開示の一実施例によるピストン封止部を示す。
【
図34】本開示の一実施例によるピストン封止部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0224】
添付図面の
図1を最初に参照すると、本開示による内燃機関10が示されている。
【0225】
図1に示すように、内燃機関10は、多数のピストン14(
図1では2つのピストンが示されている)を含む、一般に12と示されるピストン装置を備えている。 以下でさらに説明するように、ピストン14の各々は、ピストン棒16とピストンクラウン18を含む。
【0226】
図1に示され、次に添付図面の
図2および
図3も参照すると、ピストン棒16はそれぞれ、そこに形成された軸方向に配置された孔20を含んでいる。伝熱部材22は、ピストン棒16の孔20内に位置するように構成される。伝熱部材22は、固体である第1状態から、伝熱部材22の少なくとも一部が液体状態である第2状態に再構成可能であり、前記第2状態の伝熱部材22は、ピストン14が往復するときにピストン棒16から熱を運び去り、したがって冷却するように、それぞれの孔20に対して移動可能である。
【0227】
使用中、ピストン棒16は、内燃機関10の運転中に加熱される。伝熱部材22の少なくとも一部の温度が、予め選択された温度閾値、例えば伝熱部材22の融点を超えると、伝熱部材22の少なくとも一部、特定の実施形態では全部または実質的に一部が、第1の固体状態から第2の液体状態へと再構成される。伝熱部材22の再構成によって、ピストン14が下死点(BDC)位置(
図2に示す)と上死点(TDC)位置(
図3に示す)との間を往復する際に、伝熱部材22がそれぞれの孔20内で移動し、したがって高温ピストン端部から熱を運び去ることを可能にする。
【0228】
有利なことに、本発明の実施形態は、どのコンポーネントも引張サイクル荷重を受けず、大きな温度勾配が生じないという点で、従来のシステムの問題点を解決または少なくとも軽減することができる。したがって、本発明の実施形態は、少なくとも70%のブレーキ熱効率で、少なくとも30,000時間の寿命を達成することができる。
【0229】
図示されたピストン装置12では、伝熱部材22はナトリウムから構築されている。 伝熱部材22は、円筒形部材または実質的に円筒形部材の形態をとり、伝熱部材22の寸法および/または形状は、ピストン棒16の孔20内の伝熱部材22の位置を容易にするように選択される。 しかしながら、伝熱部材22は、孔20を補完するための任意の適切な形状及び/又はサイズであってよいことが認識されるであろう。伝熱部材22は、材料の塊を含んでよいし、材料の塊であってもよい。
【0230】
図示されたピストン装置12では、ピストン棒16は、鋳鉄から構築されている。しかしながら、ピストン棒16は、代替的に、鋼、例えばステンレス鋼又はインコネル(登録商標)のようなオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金のような任意の他の適切な材料から構築されてもよいことが理解されるであろう。
【0231】
図2および
図3に示すように、内燃機関10は、ピストンリング24をさらに備えている。 図示された内燃機関10では、ピストンリング24は、テクニカルセラミック材料、すなわち窒化ケイ素から構成されている。
【0232】
添付図面の
図4に、ピストン14の1つの分解図が示されている。
【0233】
図4に示すように、ピストン棒16は、プッシュロッド部26を含む。プッシュロッド部分26は、鋳鉄から構築されている。しかしながら、プッシュロッド部分26は、代替的に、鋼、例えばステンレス鋼またはインコネル(登録商標)のようなオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金のような任意の適切な材料から構築されてもよいことが理解されるであろう。プッシュロッド部26は、プッシュロッド部26を内燃機関10のコンロッド30(
図1に示す)に結合するためのねじ部28を含んで構成されている。プッシュロッド部26は、プッシュロッド部26をピストン棒16の楔部34に結合するためのねじ部32を含む。
【0234】
図4に示すように、楔部分34は、鋳鉄から構成されている。しかしながら、楔部分34は、代替的に、鋼、例えばステンレス鋼又はインコネル(登録商標)のようなオーステナイト系ニッケル-クロムベースの超合金のような任意の適切な材料から構成されてもよいことが理解されるであろう。楔部34は、複数のセグメントを含む。セグメントはそれぞれ、プッシュロッド部26のねじ部32に係合するためのねじ部36を有する。ねじ山部分32、36は、プッシュロッド部分26と楔部分34との間で結合構造を形成する。
【0235】
図4に示すように、ピストンクラウン18は、ピストン14の端部に結合され、または端部を形成している。ピストンクラウン18は、ピストン棒16に結合されるように構成されている。図示の内燃機関10では、ピストンクラウン18は、ピストン棒16に締りばめによって結合される。ピストンクラウン18は、ピストン棒16の楔部28と相補的に係合するように構成された-例えば形状および/または大きさにされた-楔部38を含んでいる。ピストンクラウン18は、窒化ケイ素から構築されている。
【0236】
使用時、ピストン14の構成は、燃焼反応によってピストンクラウン18に及ぼされる負荷力(
図3の矢印F1で示すように)がピストンクラウン18を圧縮状態にすることを意味する。これにより、ピストンクラウン18のセラミック材料が圧縮状態になることが保証されることにより、セラミック材料の一般的な故障モードが解消される。
【0237】
図4に示すように、ピストン14は、一般に40と示される断熱装置を構成している。断熱装置40は、ピストン棒16とピストンクラウン18との間に介在される。
【0238】
図示の内燃機関10では、断熱装置40は、複数のセグメント42を含む。断熱装置40は、ジルコニア(登録商標)などの酸化ジルコニウム材料から構築されている。
【0239】
図4に示すように、断熱装置40は、ピストン棒16上に配置されたときに、断熱装置40のセグメント42の間に軸方向のスロット又は空間が画定されるように構成及び/又は配置されている。
【0240】
有利なことに、これは、ピストンクラウン18とピストン棒16との間を断熱しながら、ピストン14の部材間での熱膨張差を可能にする。
【0241】
再び
図3を参照すると、潤滑部44が提供されている。図示された内燃機関10では、ピストンクラウン18に塗布されたコーティングに埋め込まれた固体潤滑剤の形態をとる潤滑部44が提供される。
【0242】
再び
図1を参照し、今度は添付図面の
図5および
図6も参照すると、内燃機関10は、シリンダ48を含む、一般に46と示されるシリンダ配置を備えている。図示された内燃機関10では、シリンダ48は窒化ケイ素から構築されている。シリンダ48は、1つ以上の吸気ポート50と、1つ以上の排気ポート52を備える。
【0243】
図5に示すように、内燃機関10は、プラグフロー入口チャージエアが燃焼生成物を置換することで混合を最小限にするように構成された、気体除去装置を備える。図示された内燃機関10では、気体除去装置は、相対的に大きな吸気および/または排気総ポート流域を提供する手段を含む。
【0244】
有利なことに、気体除去装置は、周方向の温度勾配を最小化するために、シリンダ48への均一な周方向の熱流を提供する。
【0245】
図6に示すように、シリンダ48の外面には、1つ以上の溝54が形成されるか、さもなければ設けられる。溝(複数可)54は、複数の微細溝を含むか、または複数の微細溝である。図示の内燃機関10では、溝54は、シリンダ48の外面に機械加工されている。
【0246】
使用時には、例えば5バール程度の圧力の高温の排気ガスが高速で溝54を流れ、シリンダ48の外側表面を相対的に高い温度に維持する。
【0247】
有利なことに、これはシリンダ48の内側と外側との間の温度勾配を減少させる。シリンダ48はセラミック材料から構築されているので、シリンダ48の内側と外側の間の温度勾配の減少は、セラミック材料の故障モードを緩和する。
【0248】
図6に示すように、内燃機関10は、燃焼反応からの排気を受けるように構成された排気貯蔵部56を備えている。排気貯蔵部56は、シリンダ48の外周面部の周囲に配置される。排気貯蔵部56は、排気貯蔵部の筐体58によって画定されることがある。
【0249】
図6に示すように、排気貯蔵部の筐体58の内側表面には、1つ以上の溝60が形成されるか、または他の方法で設けられる。溝60は、複数の微小溝を含むか、あるいは微小溝のである。図示の内燃機関10では、溝60は、排気貯蔵部の筐体58の1つ以上の内側表面-例えば排気貯蔵部の筐体58の軸方向端面-に機械加工される。
【0250】
使用時には、例えば5Bar程度の圧力の高温の排気ガスが溝60を高速で流れ、シリンダ48の外側表面を相対的に高い温度に維持する。
【0251】
図9および
図10に示すように、一般に72と示される冷却装置が、燃料噴射配置62に関連付けられる。冷却装置72は、以下にさらに説明するように、ヒートパイプ型の冷却装置を、またはヒートパイプ型の冷却装置である。
【0252】
有利なことに、冷却配置72は、高温-例えば約1000℃の温度-でシリンダ48の壁内に位置するときでも、燃料噴射装置68が最大使用温度内に留まることを保証する。
【0253】
図9および
図10に示すように、スリーブ74が孔66内に配置される。スリーブ74は、テクニカルセラミック材料-特に熱伝導率の低いテクニカルセラミック-から構築されている。図示された内燃機関10では、スリーブ74はジルコニア(登録商標)から構築されている。スリーブ74内には、円筒形ブロック76が配置されている。円筒形ブロック76は、テクニカルセラミック-特に熱伝導率の高いテクニカルセラミック-から構築されている。図示された内燃機関10では、円筒形ブロック76は窒化アルミニウムから構築されている。
【0254】
図9および
図10に示すように、冷却装置72は、並列に配置され、ヒートシンク80と連通するヒートパイプ78を備える。図示の内燃機関10では、ヒートパイプ78は、ステンレス鋼から構築されている。
【0255】
ヒートシンク80は、一般に82と示される、冷却されるチャージボリューム内に配置される。図示されているように、ヒートパイプ78は、燃料噴射装置68よりも大きな長さを有し、ヒートパイプ78は、燃料噴射装置68の先端またはその付近から燃料噴射装置68の頭部を越えて延在している。
【0256】
図11に示されているように、ヒートパイプ78は、包囲体84と、飽和状態の作動流体86と、ウィック88を備える。作動流体86は、周囲温度で液体を含むか、あるいは液体となる。図示された内燃機関10では、作動流体はナトリウムを含む。
【0257】
使用中、燃料噴射装置68の端部が加熱されて、作動流体86の温度がその沸点を超えると、作動流体86は気化してヒートパイプ68をヒートシンク80に向かって上昇し、そこで凝縮して毛管圧によりウィック88を介して高温端部に戻されることになる。有利なことに、冷却装置72は、気化潜熱により、燃料噴射装置68からの熱を伝導する。
【0258】
有利なことに、これは、燃料噴射装置が、高温-例えば約1000℃の温度-でシリンダ48の壁内に位置するときでさえ、最大使用温度内に留まることを確実にする。
【0259】
再び
図1を参照すると、図示された内燃機関10は、1つ以上のクランク90(
図1では2つのクランク90が示されている)と、クランク90に結合されたピストン14を備える。
【0260】
図示された内燃機関10では、クランク90からの軸方向の燃焼荷重および/または慣性荷重および/または側方荷重に反応するために、金属フレーム92が提供される。スリーブ軸受94は、クランク90からの側方荷重を反応させるために設けられている。
【0261】
図1、
図2および
図3に示されているように、内燃機関10は、襟部96および断熱襟部98をさらに備えている。襟部96は、セラミック材料-すなわち窒化珪素-から構築される。断熱襟部98は、セラミック断熱材料、すなわち酸化ジルコニウムから構築されている。
【0262】
図示された内燃機関10において、内燃機関10は、非構造的な断熱材100をさらに含んでいる。断熱材100は、シリンダ48の外側と排気貯蔵部ハウジング58との間、および排気貯蔵部ハウジング58の外側の周囲に設けられる。
【0263】
添付図面の
図12は、内燃機関10を備える発電機の組102を示す。
【0264】
図12に示されているように、発電機の組102は、内燃機関10に結合された発電機104を含む。発電機104は、内燃機関10から出力される機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する。発電機の組102は、発電機104に結合された図示の発電機の組102では充電式バッテリーの形態をとる電源106を備える。発電機104は、電源106を充電するための電気エネルギーを供給する。
【0265】
図12に示すように、発電機の組102は電気モータ108に結合されている。モータ108は、電源106に結合されている。電源106は、モータ108を駆動するための電気エネルギーを供給する。図示のように、電源106は、例えば、車両の電気システム(図示せず)のみではないが、別の部材またはシステムに電気エネルギーを供給してもよい。
【0266】
使用時、内燃機関10は、一定の負荷/速度およびピーク効率で動作する。発電機の組102は、例えば静的発電機の組用途の電気器具に直接、輸送用途の推進力を提供する電気モータに、および/または補助推進装置(APU)-例えば船舶用APUまたは大型優良車(HGV)APUのいずれか-に電力を提供できる。
【0267】
使用時には、余剰電力を電源(バッテリーなど)に蓄えることができる。バッテリーなどの電源が充電されると、バッテリーが放電するまでの間、内燃機関を停止して全電動運転を行うことができ、このサイクルが繰り返される。
【0268】
発電機の組は、100kWと300kWのパワーモジュールで、熱及び音響を遮断するケーシングに収納される。パワーモジュールは拡張可能であり、エンドユーザーの特定の電力要件を満たすために、複数のモジュールの発電所を使用することができる。
【0269】
請求された発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であることが理解されよう。
【0270】
例えば内燃機関10は、対向ピストンおよびシリンダ配置を示すが、
図13及び
図14は、別の、非対向ピストンおよびシリンダ装置を有する代替内燃機関110を示す。
【0271】
図13および
図14に示すように、内燃機関110は、ピストン114を含む、一般に112と表記されるピストン装置を備えている。ピストン114は、ピストン棒116とピストンクラウン118を含む。
【0272】
ピストン棒116は、その中に形成された軸方向に配置された孔120を含む。伝熱部材122は、ピストン棒116の孔120内に位置するように構成される。伝熱部材122は、固体である第1状態から、伝熱部材122の少なくとも一部が液体状態である第2状態に再構成可能であり、前記第2状態の伝熱部材122は、ピストン114が往復するときにピストン棒116から熱を運び去ることで冷却するように、孔120に対して移動可能である。
【0273】
使用中、ピストン棒116は、内燃機関110の運転中に加熱される。伝熱部材122の少なくとも一部の温度が、予め選択された温度閾値-例えば伝熱部材122の溶融温度-を超えると、伝熱部材122の少なくとも一部-特定の実施形態では全部または実質的に一部-が、固体の第1状態から液体の第2状態へ再構成される。伝熱部材122の再構成は、ピストン114が下死点(BDC)位置と上死点(TDC)位置との間を往復する際に、伝熱部材122がそれぞれの孔120内で移動し、したがって高温ピストン端部から熱を運び去ることを可能にする。
【0274】
図示されたピストン装置112では、伝熱部材122はナトリウムから構成されている。伝熱部材122は、円筒形部材または実質的に円筒形部材の形態をとり、伝熱部材122の寸法および/または形状は、ピストン棒116の孔120内の伝熱部材122の位置を容易にするように選択される。しかしながら、伝熱部材122は、孔120を補完するための任意の適切な形状及び/又はサイズであってよいことが認識されるであろう。伝熱部材122は、材料の塊を含むか、または材料の塊であり得る。
【0275】
図示されたピストン装置112において、ピストン棒116は、鋳鉄から構築されている。しかしながら、ピストン棒116は、代替的に、鋼、例えばステンレス鋼またはインコネル(登録商標)などのオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金などの任意の他の適切な材料から構築されてもよいことが理解されるであろう。
【0276】
次に
図15を参照すると、代替の内燃機関210が示されている。内燃機関210は、内燃機関10と同様であり、同様の参照符号が200だけ増やされる。
【0277】
図15に示すように、内燃機関210は、多数のピストン214(
図12では2つのピストンが示されている)からなる、一般に212と示されるピストン装置を含んでいる。ピストン214の各々は、ピストン棒216とピストンクラウン218を含む。
【0278】
図15に示すように、ピストン棒216はそれぞれ、ピストン棒216内部に形成された軸方向に配置された孔220を含む。伝熱部材222は、ピストン棒216の孔220内に位置するように構成される。伝熱部材222は、固体の第1状態から、伝熱部材222の少なくとも一部が液体状態である第2状態に再構成可能であり、前記第2状態の伝熱部材222は、ピストン214が往復するときにピストン棒216から熱を運び去ることで冷却するようにそれぞれの孔220に対して移動可能である。
【0279】
使用中、ピストン棒216は、内燃機関10の運転中に加熱される。伝熱部材222の少なくとも一部の温度が、予め選択された温度閾値、例えば伝熱部材222の融点を超えると、伝熱部材222の少なくとも一部、特定の実施形態では全てまたは実質的な部分が、第1の固体状態から第2の液体状態へと再設定される。伝熱部材222の再構成は、ピストン214がそれらの下死点(BDC)位置とそれらの上死点(TDC)位置との間で往復するとき、伝熱部材222がそれぞれの孔220内で移動し、したがって熱を高温ピストン端から運び去ることを可能にする。
【0280】
図示されたピストン装置212では、伝熱部材222は、ナトリウムから形成されている。 伝熱部材222は、円筒形部材または実質的に円筒形部材の形態をとり、伝熱部材222の寸法および/または形状は、ピストン棒216の孔220内での伝熱部材222の位置を容易にするように選択される。 しかしながら、伝熱部材222は、孔220を補完するために任意の適切な形状及び/又はサイズであってよいことが認識されるであろう。伝熱部材222は、材料の塊を含むか、または材料の塊であり得る。
【0281】
内燃機関10では、ピストンはモジュール構造であり、少なくとも部分的にテクニカルセラミックから構成されているが、内燃機関210では、ピストン214はそれぞれ一体構造であり、インコネル(登録商標)またはステンレス鋼から構築されている。
【0282】
以上のように、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができる。
【0283】
例えば、添付図面の
図16から
図32は、本開示による多数の異なるピストン314,414,514,614,714を示す。
【0284】
図16に示すピストン314は、中実ピストンである。有利なことに、中実ピストンを提供することにより、製造の容易さが促進される。
【0285】
図17および
図20から
図23は、
図16に示されるピストンに対する代替ピストン414を示す。 示されるように、ピストン414は、図示されたピストン414において、ピストンクラウン418において、ドリルによって形成される複数の軸方向孔424、426を含む。
【0286】
有益なことに、1つ以上の孔424,426からなるピストンを提供することは、ピストン414の質量を減少させる結果となる。 これは、ひいては、内燃機関内の往復質量の減少をもたらし、エンジンが高い回転速度-例えば3000rpm~7000rpm-で運転される可能性があることを考えると、慣性負荷が減少し、したがってピストン装置の作動寿命が著しく改善される。
【0287】
図22に示すように、ピストン414は、一般的に428と示される流体連通構造をさらに備える。流体連絡構造428は、ピストンクラウン418に、例えば、ドリル加工および/またはフライス加工によって形成されるか、そうでなければ設けられる軸方向孔430と、ピストンクラウン418に、例えば、ドリル加工および/またはフライス加工によって形成またはそうでなければ設けられる半径方向孔432(
図22では3つの半径方向孔432が示される)を含んでいる。半径方向孔432は、ピストンクラウン418内の1つ以上の軸方向孔と連通する。
【0288】
使用中、流体連通構造428は、走行中にピストンクラウン418に取り付けられた1つ以上の封止部-例えばピストンリング-をシリンダ孔に対して促すために、流体連通を容易にする。
【0289】
有利なことに、これは、シリンダに対する封止部、例えばピストンリングの通電および/または追加の通電を提供するように作用する。
【0290】
図18および
図24から
図26は、
図16に示されたものに対する代替のピストン514を示す。図示されているように、ピストン514は、複数の孔524と、ピストンクラウン518に形成された複数の部分環状ポケット526を備える。図示のピストン514では、フライス加工によって形成されている。
【0291】
図19および
図27から
図29は、
図16に示すピストンに対してさらに代替のピストン614を示す。図示されているように、ピストン614は、ピストンクラウン618に形成されたキャビティ626を有する。多数の半径方向ストラット634が構造的支持を提供する。ピストン614は、鋳造プロセス-例えばロストコアケーシングプロセスまたは射出成型-によって形成される。
【0292】
図30から
図32は、
図16に示すピストンに対する他の代替ピストン714を示す。 示されるように、ピストン714は、ピストンクラウン718に形成されたキャビティ726を有する。ピストン714は、鋳造プロセス-例えば、ロストコアケーシングプロセスまたは射出成形-によって形成される。
【0293】
ピストンは、代替的にまたは追加的に、3D印刷などの付加製造プロセスを使用して製造されてもよいことが理解されよう。
【0294】
図16から
図32に示されるピストン314、414、514、614、714のそれぞれにおいて、ピストン棒316、416、516、616、716は先細り状であり、すなわちピストン棒316、416、516、616、716の遠位端部分は、ピストン棒316、416、516、616、716の近位端部分よりも大きな外寸例えば直径を規定する。
【0295】
上述したように、請求された発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得る。
【0296】
添付図面の
図33および
図34は、本開示によるピストン封止部800を示し、図示の例では、ピストンリングの形態をとっている。図示されるように、ピストン封止部800は、第1部材802と第2部材804を備える。第1部材802は、第1テクニカルセラミック材料を含むか、または第1テクニカルセラミック材料であり、図示の密封要素800では、窒化ケイ素である。第2部材804は、第1部品802の外面に埋め込まれている。第2部材80は、第1テクニカルセラミック材料とは異なる第2テクニカルセラミック材料を含むか、または第2テクニカルセラミック材料であり、図示された封止部800では、窒化チタンである。
【国際調査報告】