(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(54)【発明の名称】積荷取扱デバイス
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517951
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2021075703
(87)【国際公開番号】W WO2022058550
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリン、ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ハベル、マレク
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022MM01
(57)【要約】
保管システム内に積み重ね可能な1つ以上のコンテナを持ち上げて移動させるための積荷取扱デバイス(130)であって、保管システムは、格子構造(115)を備え、格子構造(115)は、格子構造上で積荷取扱デバイスの移動をガイドするための格子パターンに配置された複数の格子部材(122a、122b)を備え、積荷取扱デバイス(130)は、a)格子構造の上方に位置付けられたコンテナ収容空間と、b)コンテナをスタックからコンテナ収容空間内に持ち上げるように配置された持ち上げ機構と、c)車体(132)と、d)車体を支持するように配置された車輪アセンブリと、車輪アセンブリは、第1の方向における積荷取扱デバイス(130)の移動をガイドするために格子部材の第1のセット(122a)と係合するための第1のセットの車輪(134)と、第2の方向における積荷取扱デバイス(130)の移動をガイドするために格子部材の第2のセット(122b)と係合するための第2のセットの車輪(136)とを備え、第2の方向は、第1の方向を横切り、第1のセットの車輪(134)および第2のセットの車輪(136)の各車輪(134、136)は、それぞれの第1の回転軸およびそれぞれの第2の回転軸の周りで回転可能であり、それぞれの第2の回転軸は、それぞれの第1の回転軸から半径方向にオフセットされ、e)車輪の第1のセット及び車輪の第2のセットのそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を選択的に駆動するための駆動機構と、車輪の第1および第2のセットの各車輪(134、136)は、車輪(134、136)をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させて、車輪の第1のセット(134)または車輪の第2のセット(136)を車体に対して選択的に下降または上昇させ、それによって、車輪の第1のセットを第1の格子部材セットと、または車輪の第2のセットを第2の格子部材セットと選択的に係合または係合解除するように構成された車輪位置付け機構を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管システム内に積み重ね可能な1つ以上のコンテナ10を持ち上げて移動させるための積荷取扱デバイス130であって、前記保管システムは、格子構造115を備え、前記格子構造115は、前記格子構造115上で前記積荷取扱デバイスの移動をガイドするための格子パターンに配置された複数の格子部材を備え、前記積荷取扱デバイス130は、
a)前記格子構造115の上方に位置付けられたコンテナ収容空間40と、
b)コンテナ10をスタックからコンテナ収容空間40内に持ち上げるように配置された持ち上げ機構と、
c)車体132と、
d)前記車体132を支持するように配置された車輪アセンブリと、前記車輪アセンブリは、第1の方向における前記積荷取扱デバイス130の移動をガイドするために格子部材の第1のセット122aと係合するための車輪の第1のセット134と、第2の方向における前記積荷取扱デバイス130の移動をガイドするために格子部材の第2のセット122bと係合するための車輪の第2のセット136とを備え、前記第2の方向は、前記第1の方向を横切り、前記車輪の第1のセット134および前記車輪の第2のセット136の各車輪は、それぞれの第1の回転軸およびそれぞれの第2の回転軸の周りで回転可能であり、前記それぞれの第2の回転軸は、前記それぞれの第1の回転軸から半径方向にオフセットされ、
e)前記車輪の第1のセット134及び前記車輪の第2のセット136のそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を選択的に駆動するための駆動機構とを備え、
前記車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、前記車輪をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させて、前記車体132に対して前記車輪の第1のセット134又は前記車輪の第2のセット136を選択的に下降又は上昇させ、それによって、前記車輪の第1のセット134を前記格子部材の第1のセット122aと選択的に係合若しくは係合解除し、又は前記車輪の第2のセット136を前記格子部材の第2のセット122bと選択的に係合又は係合解除するように構成された車輪位置付け機構を備える、積荷取扱デバイス130。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記車輪の第1のセット134及び/又は前記車輪の第2のセット136の各車輪150が、
a)車輪の第1のセット134および/または車輪の第2のセット136の各それぞれの車輪150のそのそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を駆動するための第1の駆動機構を備え、
前記車輪位置付け機構は、
b)その第2の回転軸の周りの車輪150の回転を駆動するための第2の駆動機構を備える、請求項1に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項3】
1つ以上のプロセッサと、命令を記憶するメモリとを備えるコントローラをさらに備え、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記1つ以上のプロセッサに、前記第1の駆動機構を作動させて、前記車輪の第1または第2のセット136の各車輪150をそのそれぞれの第1の回転軸の周りで同期して回転させる、請求項2に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、前記第2の駆動機構を作動させて、前記車輪の第1のセット134または前記車輪の第2のセット136のいずれかの各それぞれの車輪150をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで同期して回転させるための命令を記憶する前記メモリを実行する、請求項3に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項5】
前記第1の駆動機構は、前記それぞれの第1の回転軸の周りで環状である外側ロータ162と、内側ハブ166とを備え、前記外側ロータ162は、前記外側ロータ162が前記それぞれの第1の回転軸の周りの前記内側ハブ166の周りで回転可能であるように、前記内側ハブ166の外周に回転可能に取り付けられる、請求項2から4のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項6】
前記第1の駆動機構はハブモータ160を備える、請求項5に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項7】
前記第1の駆動機構は、格子部材/トラック122と係合するための外面と、環状ギアを形成するための複数の半径方向の歯を有する内面とを有する外側ロータ162と、ピニオンギアが取り付けられた駆動軸とを備え、前記ピニオンギアは、前記環状ギアと噛み合ってトルクを伝達し、前記外側ロータ162をそのそれぞれの第1の回転軸の周りで回転させる複数の歯を備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項8】
前記第1の駆動機構は、スプロケット590が取り付けられた駆動シャフトを備える外側ロータ462と、トルクを伝達して前記外側ロータ462をそのそれぞれの第1の回転軸の周りで回転させるために前記スプロケット590に結合された歯付きベルト588とを備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項9】
前記第1の駆動機構は、モータまたは電気モータを備える、請求項6または7に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項10】
前記車輪位置付け機構は、ラックアンドピニオンギア機構182を備え、前記ラックアンドピニオンギア機構182は、
i)複数の歯を有する湾曲ラック184と、
ii)前記湾曲ラック184の前記複数の歯と係合可能であり、前記第2の回転軸の周りで前記湾曲ラック184の周りを回転可能なピニオンギア186とを備え、
前記ピニオンギア186は、前記湾曲ラック184の周りの前記ピニオンギア186の回転が、前記車体132に対して前記車輪の第1のセット134または前記車輪の第2のセット136の前記車輪150を選択的に上昇または下降させるように、前記車輪150の一部に取り付けられる、請求項2から9のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項11】
前記第2の駆動機構は、前記第2の回転軸の周りの前記湾曲ラック184の周りの前記ピニオンギア186の回転を駆動するように構成される、請求項10に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項12】
前記第2の駆動機構は、前記湾曲ラック184に対する前記ピニオンギア186の回転を駆動するか、または前記ピニオンギア186に対する前記湾曲ラック184の回転を駆動するように構成される、請求項10または11に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項13】
前記第2の駆動機構は、前記車輪150をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させるように構成された駆動シャフトを備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項14】
前記車輪位置付け機構は、遊星ギア788および太陽ギア790を備える遊星ギア機構を備え、前記遊星ギア788は、前記車輪150の一部に取り付けられ、前記第2の駆動機構によって前記第2の回転軸の周りの前記太陽ギア790の周りを回転するように前記太陽ギア790と係合される、請求項2から4のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項15】
前記太陽ギア790は、前記第2の回転軸の周りの回転軸を有する、請求項14に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項16】
前記第2の駆動機構は、前記第2の回転軸の周りの前記太陽ギア790の回転を駆動するように構成される、請求項14または15に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項17】
前記第2の駆動機構は、前記太陽ギア790の周りの前記遊星ギア788の回転を駆動するように構成される、請求項16に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項18】
前記車輪位置付け機構は、複数の半径方向の歯を備える内面を有する環状ギア792をさらに備え、前記太陽ギア790は、前記環状ギア792と同軸であり、前記遊星ギア788は、前記第2の回転軸の周りで前記太陽ギア790によって前記環状ギア792の前記内面の周りで駆動されるように、前記環状ギア792の前記複数の半径方向の歯と係合される、請求項14から17のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項19】
前記車輪位置付け機構は、前記第1の回転軸の周りの回転可能な遊星ギア688と、太陽ギア690とを備える遊星ギア機構を備え、前記遊星ギア688は、前記車輪150の一部に取り付けられ、前記太陽ギア690と係合され、前記駆動機構による前記太陽ギア690の回転は、前記遊星ギア688を前記第1の回転軸の周りに回転させて、前記格子構造115上で前記第1の方向又は前記第2の方向のいずれかに前記積荷取扱デバイス130を移動させ、前記太陽ギア690は、前記第2の回転軸の周りに回転軸を有する、請求項1に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項20】
前記車輪位置付け機構は、前記遊星ギア688が前記太陽ギア690によって前記第2の回転軸の周りに駆動されることを可能にするように、前記第1の回転軸の周りの前記遊星ギア688の回転をロックするように構成されたロック機構を備える、請求項19に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項21】
前記車輪位置付け機構980は、ベルトまたはチェーン982を備え、前記ベルトまたはチェーン982は、前記車輪の第1のセット34または前記の車輪の第2のセット36の1つ以上の車輪150の回転をそれらのそれぞれの第2の軸の周りで駆動するように構成され、それにより、前記ベルトまたはチェーン982の移動は、前記車体32に対して前記1つ以上の車輪150を選択的に上昇または下降させる、請求項2から9のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項22】
前記第2の駆動機構は、前記ベルトまたはチェーン982を駆動するように構成される、請求項21に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項23】
前記第2の駆動機構は、前記車輪の第1のセット134または前記車輪の第2のセット136の1つ以上の車輪150のそれらのそれぞれの第2の軸の周りの回転を駆動するように構成されたリニアアクチュエータ1082を備え、前記リニアアクチュエータの動きは、前記車体132に対して前記1つ以上の車輪150を選択的に上昇または下降させる、請求項2から9のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項24】
前記リニアアクチュエータ1082は、1つ以上の枢動リンケージ1088によって前記1つ以上の車輪150に接続され、前記1つ以上の枢動リンケージ1088は、前記リニアアクチュエータ1082の直線運動を前記1つ以上の車輪150のそれらのそれぞれの第2の軸の周りの回転運動に変換する、請求項23に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項25】
前記車輪の第1のセット134または前記車輪の第2のセット136を上昇ポジションまたは下降ポジションにロックするように構成されたロック機構をさらに備える、請求項1から24のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項26】
前記第2の回転軸は、10mmから30mm、より好ましくは10mmから15mmの範囲で前記第1の回転軸から半径方向にオフセットされている、請求項1から25のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項27】
前記車体132は、1つ以上の動作構成要素を収容し、前記車輪の第1のセット134は、前記車体132の対向する側の第1の対に取り付けられ、前記車輪の第2のセット136は、前記車体132の対向する側の第2の対に取り付けられる、請求項1から26のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項28】
前記車輪位置付け機構は、前記車輪150に一体化される、請求項1から27のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130の格子構造115上での移動を制御する方法であって、前記格子構造115は、格子パターンで配置された複数の格子部材122を備え、前記方法は、前記車輪の第1のセット134又は前記車輪の第2のセット136の各車輪150をそのそれぞれの第2の回転軸の周りに回転させて、前記車体132に対してそれぞれの車輪150を上昇又は下降させ、前記車輪の第1のセット134を前記格子部材の第1のセット122aと係合又は係合解除させ、又は前記車輪の第2のセット136を前記格子部材の第2のセット122bと係合又は係合解除させる、方法。
【請求項30】
i)車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136の各車輪150がそれぞれ格子部材の第1のセット122a及び格子部材の第2のセット122bと係合するように、車輪の第1のセット134の各車輪150をそのそれぞれの第2の回転軸の周りに回転させることによって車輪の第1のセット134を下降させるステップと、
ii)車輪の第2のセット136の各車輪150をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させて、各車輪150を格子部材の第2のセット122bから係合解除することによって、車輪の第2のセット136を上昇させるステップとをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記車輪の第1のセット134または前記車輪の第2のセット136の各車輪を上昇ポジションおよび/または下降ポジションにロックするステップをさらに含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
保管システムであって、
i)格子構造上の積荷取扱デバイスの移動をガイドするための格子パターンに配置された複数の格子部材を備える格子構造115と、
ii)前記格子構造115の下に位置付けられた複数の積み重ね可能なコンテナ10と、前記複数の積み重ね可能なコンテナ10のそれぞれは、単一の格子空間または格子セルを占有し、
iii)請求項1から28のいずれか一項に記載の積荷取扱デバイス130と、前記積荷取扱デバイス130は、1つ以上のコンテナを移動させるために前記格子構造115上で遠隔操作され、
i)前記格子構造115の上方に位置付けられたコンテナ収容空間40と、
ii)単一のコンテナをスタックからコンテナ収容空間40へと持ち上げるように配置されている持ち上げデバイスとをさらに備える、保管システム。
【請求項33】
前記持ち上げデバイスは、使用時に、コンテナ10を解放可能に把持し、前記コンテナを前記スタックから前記コンテナ収容空間40内に持ち上げるように構成された持ち上げ駆動アセンブリおよびグラバーデバイスと、前記格子構造115上で前記積荷取扱デバイス130を移動させるように動作可能に配置された駆動機構とを備える、請求項32に記載の保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ね可能なコンテナの格子を備える倉庫において保管コンテナ又はビンを取り扱うための積荷取扱デバイスの分野に関し、より具体的には、格子上の積荷取扱デバイスの方向を変更するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に保管コンテナ/ビンが互いの上に積み重ねられる3次元保管格子構造を備える保管システムがよく知られている。PCT公開番号WO2015/185628A(Ocado)は、既知の保管及びフルフィルメントシステムを説明しており、ビン又はコンテナのスタックは、格子フレームワーク構造内に配置されている。ビン又はコンテナは、格子フレームワーク構造の最上部に位置付けられているトラック上で動作可能な積荷取扱デバイスによってアクセスされる。このタイプのシステムが、添付の図面の
図1から
図3に概略的に図示される。
【0003】
図1及び
図2に示されるように、ビン10として知られる積み重ね可能なコンテナは、互いの上に積み重ねられてスタック12を形成する。スタック12は、貯蔵所又は製造環境における格子フレームワーク構造14内に配置される。格子フレームワーク構造は、複数の保管カラム又は格子カラムで構成される。格子フレームワーク構造内の各格子は、コンテナのスタックを保管するための少なくとも1つの格子カラムを有する。
図1は、格子フレームワーク構造14の概略的な斜視図であり、
図2は、フレームワーク構造14内に配置されているビン10のスタック12を示している上面から見下ろした図である。各ビン10は、典型的に、複数の製品アイテム(図示せず)を保持し、ビン10内の製品アイテムは、同一であってもよく、又は用途に応じて異なる製品タイプのものであってもよい。
【0004】
格子フレームワーク構造14は、水平部材18、20を支持する複数の直立部材16を備えている。直立の部材16によって支持されている複数の水平の格子構造15を形成するために、平行な水平部材18の第1のセットは、平行な水平部材20の第2のセットに直角に配置されている。部材16、18、20は、典型的に、金属から製造される。フレームワーク構造14がビン10のスタック12の水平移動に対してガードし、ビン10の垂直の移動をガイドするように、ビン10は、格子フレームワーク構造14の部材16、18、20の間で積み重ねられている。
【0005】
格子フレームワーク構造14の最上レベルは、スタック12の最上部にわたって格子パターンに配置されたレール22を含む格子又は格子構造15を備えている。
図3を更に参照すると、レール22は、複数のロボット積荷取扱デバイス30を支持する。平行なレール22の第1のセット22aは、格子フレームワーク構造14の一番上に渡って、第1の方向(例えば、X方向)におけるロボット積荷取扱デバイス30の移動をガイドし、平行なレール22の第2のセット22bは、第1のセット22aに対して直角に配置され、第1の方向に対して直角な第2の方向(例えば、Y方向)において、積荷取扱デバイス30の移動をガイドする。この方法において、レール22は、水平X-Y平面における、2次元での横方向のロボット積荷取扱デバイス30の移動を可能にするので、積荷取扱デバイス30は、スタック12のうちのいずれか上のポジションに移動できる。
【0006】
車体32を備える、
図4及び
図5に示される既知の積荷取扱デバイス30は、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許公報第WO2015/019055号(Ocado)に記載されており、各積荷取扱デバイス30は、格子フレームワーク構造14の1つの格子空間のみを覆う。ここで、積荷取扱デバイス30は、第1の方向へのデバイスの移動をガイドするためにレール又はトラックの第1のセットと係合するための、車体32の前部の一対の車輪及び車体32の後部の一対の車輪34からなる車輪の第1のセット34と、第2の方向へのデバイスの移動をガイドするためにレール又はトラックの第2のセットと係合するための、車体32の各側の一対の車輪36からなる車輪の第2のセット36とを備える車輪アセンブリを備える。車輪のセットのそれぞれは、レールに沿って、車両のX及びY方向への移動を可能にするように駆動される。車輪の一方又は両方のセットを垂直に移動させて、車輪の各セットをそれぞれのレールから離して持ち上げることができ、それによって、車両が格子上で所望の方向に移動することが可能になる。
【0007】
WO2017/153583(Ocado Innovation Limited)は、車輪の第1又は第2のセットのうちのいずれかをレール又はとトラックの第1又は第2のセット(22a、22b)に選択的に係合することを可能にすることにより、2つの横方向のうちの1つへのデバイスの横方向の移動を可能にする車輪位置付け機構を備える積荷取扱デバイスを教示している。車輪位置付け機構は、車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットを選択的に下降又は上昇させて、トラックもしくはレールの第1のセット又はトラックもしくはレールの第2のセットと係合又は係合解除させるために、リニアアクチュエータ又はモータによって駆動されるリンケージの複雑な配置を備える。
【0008】
積荷取扱デバイス30は、保管コンテナを上方から持ち上げるための持ち上げデバイス又はクレーン機構を備えている。クレーン機構は、スプール又はリール(図示せず)に巻かれたウインチテザー又はケーブル38と、グラバーデバイス39とを備える。持ち上げデバイスは、垂直方向に伸長し、保管コンテナ10への解放可能な接続のために、別名グラバーデバイス(グラバーデバイスの4つの角のそれぞれの近くに1つのテザー)として知られる持ち上げフレーム39の4つの角の近く又は角に接続された持ち上げテザーのセット38を備える。グラバープレート39は、
図1から2中に示したタイプの保管システムにおいて、コンテナのスタックからそれを持ち上げるために、保管コンテナ10の頂部を解放可能に把持するように構成されている。
【0009】
車輪34、36は、下部において、コンテナ収容凹部又はコンテナ収容空間40として知られている空洞又は凹部の周辺に配置されている。
図5(a及びb)中に示すように、クレーン機構によってコンテナ10が持ち上げられるとき、凹部は、コンテナ10を収容するようなサイズである。凹部において、コンテナが下のレールから完全に持ち上げられるとき、車両は、異なるロケーションへと横方向に移動できる。ターゲットロケーション、例えば、別のスタック、保管システム中のアクセスポイント、又は、コンベヤベルトに達すると、ビン又はコンテナは、コンテナ収容部分から下げられ、グラバーデバイスから取り外されることができる。
【0010】
したがって、格子構造上で2つの横方向X及びY方向に移動するように積荷取扱デバイスを選択的に駆動するために、代替の車輪位置付け機構が必要とされる。
【0011】
この出願は、2020年9月18日に出願された英国出願第2014789.8号に基づく優先権を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0012】
本出願人は、車輪がその中心回転軸からオフセットされた軸の周りを回転するように車輪を偏心して取り付けることによって、車輪は、その偏心軸の周りの車輪の回転方向を制御することによって上昇又は下降させることができることを認識した。この概念を積荷取扱デバイスの車輪に適用することによって、格子構造上の積荷取扱デバイスの方向は、車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットが、車輪のそれぞれの回転中心軸からオフセットされた(すなわち、偏心した)軸の周りを回転して、車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットを積荷取扱デバイスの車体に対して選択的に上昇又は下降させることを可能にすることによって変更できる。
【0013】
したがって、本発明は、保管システム内に積み重ねられた1つ以上のコンテナを持ち上げて移動させるための積荷取扱デバイスを提供し、保管システムは、格子構造上で積荷取扱デバイスの移動をガイドするための格子パターンに配置された複数の格子部材を備える格子構造を備え、積荷取扱デバイスは、
a)格子構造の上方に位置付けられたコンテナ収容空間と、
b)コンテナをスタックからコンテナ収容空間内に持ち上げるように配置された持ち上げ機構と、
c)車体と、
d)車体を支持するように配置された車輪アセンブリと、車輪アセンブリは、第1の方向における積荷取扱デバイスの移動をガイドするために格子部材の第1のセットと係合するための車輪の第1のセットと、第2の方向における積荷取扱デバイスの移動をガイドするために格子部材の第2のセットと係合するための車輪の第2のセットとを備え、第2の方向は、第1の方向を横切り、車輪の第1のセット及び車輪の第2のセットの各車輪は、それぞれの第1の回転軸及びそれぞれの第2の回転軸の周りで回転可能であり、それぞれの第2の回転軸は、それぞれの第1の回転軸から半径方向にオフセットされ、
e)車輪の第1のセット及び車輪の第2のセットのそれらのそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を選択的に駆動するための駆動機構と、
車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、車輪をその第2の回転軸の周りに回転させて、車体に対して車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットを選択的に下降又は上昇させ、それによって、車輪の第1のセットを第1の格子部材セットと選択的に係合又は係合解除するか、又は車輪の第2のセットを第2の格子部材セットと選択的に係合又は係合解除するように構成された車輪位置付け機構を備える。
【0014】
積荷取扱デバイスの車輪アセンブリは、車輪の第1のセットと車輪の第2のセットとを備える。
図5を参照すると、任意選択的に、車輪の第1のセットは、第1の方向におけるデバイスの移動をガイドするために格子部材の第1のセットと係合するための、車体の前部上の一対の車輪と、車体の後部上の一対の車輪とを含む。同様に、車輪の第2のセットは、任意選択で、第2の方向へのデバイスの移動をガイドするために格子部材の第2のセットと係合するための、車両の各側の1対の車輪を含む。しかしながら、車輪の第1のセットは、車体の前部及び後部に少なくとも1つの車輪を備えることができるので、車輪の第1のセットは、格子構造上の積荷取扱デバイスの安定性を確実にするために車体の前部及び後部に一対の車輪を備える必要はない。好ましくは、車体の前部及び後部の車輪の第1のセットの少なくとも1つの車輪は、互いに対角線上に対向するように配置される。同様に、車輪の第2のセットは、車体の両側に少なくとも1つの車輪を備えることができる。好ましくは、車輪の第2のセットの車体の両側の少なくとも1つの車輪は、互いに対角線上に対向している。
【0015】
車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、2つの回転軸、すなわち第1の回転軸及び第2の回転軸の周りを回転するように配置される。別の言い方をすると、車輪の第1及び第2のセットの全ての車輪はそれぞれ、2つの回転軸、すなわち第1の回転軸及び第2の回転軸の周りを回転するように配置される。したがって、車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、車輪の第1のセットが第1の格子部材セットと係合しているか、又は車輪の第2のセットが第2の格子部材セットと係合しているかに応じて、第1の方向又は第2の方向に積荷取扱デバイスを移動させるために、第1の回転軸の周りを回転するように配置される。好ましくは、積荷取扱デバイスは、車輪の第1のセット及び車輪の第2のセットのそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を選択的に駆動する駆動機構を備える。
【0016】
格子構造上の積荷取扱デバイスの方向を変更するために、車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、車輪をその第2の回転軸の周りを回転させて、車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットを車体に対して選択的に下降又は上昇させ、それによって、車輪の第1のセットを第1の格子部材セットと、又は車輪の第2のセットを第2の格子部材セットと選択的に係合又は係合解除するように構成された車輪位置付け機構を備える。本発明の目的のために、車体は、車両フレーム又は車両シャーシを含むことができる。
【0017】
好ましくは、駆動機構が配置され、車輪の第1のセット及び/又は車輪の第2のセットの各車輪は、
a)車輪の第1のセット及び/又は車輪の第2のセットの各それぞれの車輪の、そのそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を駆動するための第1の駆動機構を備え、
車輪位置付け機構は、
b)車輪のその第2の回転軸の周りの回転を駆動するための第2の駆動機構を備えている。
【0018】
車輪位置付け機構は、車輪をその第2の回転軸の周りで回転させることによって、車体に対して車輪を下降又は上昇させるアクチュエータとして機能するように想定することができる。本発明の目的のために、格子部材と係合するための車輪の下降は、車輪の展開と呼ぶことができ、格子部材から車輪を係合解除するための車輪の上昇は、車輪の収容と呼ぶことができる。任意選択的に、車輪の第1のセット及び/又は車輪の第2のセットの各それぞれの車輪のそのそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を駆動するための第1の駆動機構は、車輪の第1のセット及び/又は車輪の第2のセットの各それぞれの車輪のそのそれぞれの第1の回転軸の周りの回転を駆動するための第1の駆動機構を含む。したがって、車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、第1の回転軸の周りの車輪の第1のセット及び/又は車輪の第2のセットのそれぞれの各車輪の回転を駆動するための第1の駆動機構と、その第2の回転軸の周りの車輪の回転を駆動するための第2の駆動機構を備える車輪位置付け機構とを備える。例えば、車輪は、好ましくは車輪ハブを含む。第1の駆動機構及び車輪位置付け機構は、好ましくは、車輪ハブに一体化される。車輪は、車輪ハブに回転可能に取り付けられた外側ロータを備えることが好ましい。
【0019】
各車輪は、駆動機構及び車輪位置付け機構を備えるので、第1の方向及び/又は第2の方向に積荷取扱デバイスを移動させるために、車輪は、車輪の第1のセット及び/又は車輪の第2のセットの全てが実質的に同時に下降又は上昇されるように、同期して又は同時にそれらのそれぞれの第1の軸の周りを回転される必要がある。好ましくは、積荷取扱デバイスは、コントローラをさらに備え、コントローラは、1つ以上のプロセッサと、命令を記憶するメモリとを備え、命令が1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに、第1の駆動機構を作動させて車輪の第1又は第2のセットの各車輪をそれらのそれぞれの第1の回転軸の周りで同期して回転させる。コントローラは、それぞれの第1の駆動機構を同期して作動させるように構成され、その結果、それぞれの車輪のそれぞれは、そのそれぞれの第1の回転軸の周りを同期して回転するように駆動される。同様に、各車輪のそれぞれの車輪位置付け機構又はアクチュエータは、同期して又は同時に作動されて、車輪の第1及び/又は第2のセットの全てをそれらのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させる。好ましくは、1つ以上のプロセッサは、第2の駆動機構を作動させて、車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットのいずれかのそれぞれの車輪をそれぞれの第2の回転軸の周りで同期して回転させるための命令を記憶するメモリを実行する。言い換えれば、コントローラは、車輪の第1及び/又は第2のセットの各車輪のそれぞれの第2の駆動機構を同期して作動させて、それぞれの車輪のそれぞれがそのそれぞれの第2の回転軸の周りを回転するように駆動されて、車輪の第1又は第2のセットのいずれかを車体に対して同期して又は同時に上昇又は下降させるように構成される。
【0020】
任意選択的に、車輪の第1のセット及び/又は第2のセットの車輪のそれぞれの第1の駆動機構及び/又は第2の駆動機構は、互いに独立して動作することができるが、それらのそれぞれの第1の駆動機構及び/又は第2の駆動機構を同期して作動させるように共通のコントローラから制御することができる。車輪の第1のセット及び車輪の第2のセットのそれぞれの車輪がそれぞれの第1及び第2の回転軸の周りを回転するために、第1の駆動機構は、内側ハブ又は車輪ハブの周りを回転可能な外側ロータを備えることが好ましい。これにより、内側ハブ又は車輪ハブを第2の回転軸の周りで回転可能であるように車体に固定することができる。
【0021】
車輪をそれぞれの第1の回転軸の周りで駆動するための第1の駆動機構の様々な例がある。本発明の一例では、好ましくは、第1の駆動機構は、それぞれの第1の回転軸の周りで環状である外側ロータと、内側ハブとを備え、外側ロータは、外側ロータがそれぞれの第1の回転軸の周りで内側ハブの周りを回転するように、内側ハブの外周に回転可能に取り付けられる。外側ロータは、格子部材又はトラックと係合するための外面を備える。この例では、車輪の外側リング又はロータは、第1の回転軸の周りで内側ステータの周りを回転するように構成される。好ましくは、第1の駆動機構はハブモータを備え、外側ロータは、車輪ハブ内に一体化された内側ステータの内側コイルの周りを回転するように配置された複数の永久磁石を備える。
【0022】
さらに別の例では、第1の駆動機構は、格子部材/トラックと係合するための外面と、環状ギアを形成するための複数の半径方向歯を有する内面とを有する外側ロータと、その上に取り付けられるピニオンギアを伴う駆動シャフトとを備え、ピニオンギアは、トルクを伝達し、外側ロータをそのそれぞれの第1の回転軸の周りで回転させるために、環状ギアと噛合する複数の歯を備える。この例では、駆動シャフトに取り付けられたピニオンギアは、複数の歯を備え、モータによって駆動され、第1の回転軸の周りの外側ロータの回転を駆動するために使用される。
【0023】
さらに別の例では、第1の駆動機構は、スプロケットが取り付けられた駆動シャフトを備える外側ロータと、外側ロータをそのそれぞれの第1の回転軸の周りで回転させるトルクを伝達するためにスプロケットに結合された歯付きベルトとを備える。好ましくは、車輪及びスプロケットは同心であり、モータによって駆動される歯付きベルトは、スプロケット、したがって車輪を第1の回転軸の周りで回転させる。
【0024】
第1の回転軸の周りで車輪を回転させる様々な例と同様に、偏心軸又は第2の回転軸の周りで車輪の回転を駆動する様々な例もある。一例では、車輪位置付け機構は、ラックアンドピニオンギア機構を備え、ラックアンドピニオンギア機構は、複数の歯を有する湾曲ラックと、湾曲ラックの複数の歯と係合可能であり、第2の回転軸の周りで湾曲ラックの周囲で回転可能なピニオンギアとを備え、ピニオンギアは、湾曲ラックの周囲のピニオンギアの回転が、車体に対して車輪のそれぞれの第1又は第2のセットの車輪を選択的に上昇又は下降させるように、車輪の一部に取り付けされる。この例では、ラックは、車輪の第2の回転軸に対応する原点において曲率半径を有する。別の言い方をすれば、湾曲ラックの曲率中心は、第2の回転軸にある。湾曲ラックは、ピニオンギアが車輪の第2の回転軸の周りで湾曲ラックの周りを回転可能であるように、車体に取り付けられる。第2の回転軸が車輪の中心点から半径方向にオフセットされ、ピニオンギアが車輪の一部に取り付けられるので、第2の回転軸の周りのピニオンギアの回転、したがって車輪の回転は、車輪を上昇又は下降させる。車輪は、外側ロータとハブとを備える。車輪のハブに取り付けられたピニオンギアの回転が車輪を上昇又は下降させるように、車輪の一部は車輪ハブであってもよい。任意選択的に、第2の駆動機構は、第2の回転軸の周りの湾曲ラックの周りのピニオンギアの回転を駆動するように構成される。第2の駆動機構は、任意選択で、車輪ハブに一体化された電気モータを備えることができる。湾曲ラックの周りのピニオンギアの回転は、湾曲ラックに対するピニオンギアの回転を駆動するように、又は代替的に、ピニオンギアに対する湾曲ラックの回転を駆動するように構成された第2の駆動機構によるものであることがある。
【0025】
車輪位置付け機構のさらに別の例では、第2の駆動機構は、車輪の一部に偏心して取り付けられ、それらのそれぞれの第2の回転軸の周りの車輪を回転させるように構成された駆動シャフトを備える。この例では、別個のモータが、第2の回転軸の周りで車輪を回転させるように配置された駆動シャフトを有する車輪に偏心して取り付けられることができる。別のモータ(第2モータ)は、車体に固定されている。
【0026】
さらに別の例では、車輪位置付け機構は、遊星ギア及び太陽ギアを備える遊星ギア機構(周転円ギア機構)を備え、遊星ギアは、車輪(車輪ハブ)の一部に取り付けられ、第2の駆動機構によって第2の回転軸の周りで太陽ギアの周りを駆動されるように太陽ギアと係合される。太陽ギアは、車輪の第1の回転軸からオフセットされるように車体に取り付けられる。したがって、車輪ハブに取り付けられ、太陽ギアの周りを回転するように駆動される遊星ギアは、車輪を第2の回転軸の周りで回転させる。第2の回転軸は、車体への太陽ギアの取り付けと同軸である。好ましくは、第2の駆動機構は、第2の回転軸の周りの太陽ギアの回転を駆動するように構成される。遊星ギアが太陽ギアと適切に係合する(噛み合う)ことを確実にするために、好ましくは、車輪位置付け機構は、複数の半径方向の歯を備える内面を有する環状ギアをさらに備え、太陽ギアは、環状ギアと同軸であり、遊星ギアは、第2の回転軸の周りで太陽ギアによって環状ギアの内面の周りで駆動されるように、環状ギアの複数の半径方向の歯と係合する。その結果、太陽ギアは、環状ギアの内側の周りで遊星ギアを駆動する。
【0027】
別の例では、車輪位置付け機構は、ベルト又はチェーンの動きが車体に対して1つ以上の車輪を選択的に上昇又は下降させるように、それらのそれぞれの第2の軸の周りの車輪の第1又は第2のセットの1つ以上の車輪の回転を駆動するように構成されたベルト又はチェーンを備える。第2の駆動機構は、ベルト又はチェーンを駆動するように構成されてもよい。
【0028】
別の例では、第2の駆動機構は、リニアアクチュエータの移動が車体に対して1つ以上の車輪を選択的に上昇又は下降させるように、それらのそれぞれの第2の軸の周りの車輪の第1又は第2のセットの1つ以上の車輪の回転を駆動するように構成されたリニアアクチュエータを備える。リニアアクチュエータは、1つ以上の枢動リンケージがリニアアクチュエータの直線運動を1つ以上の車輪のそれらのそれぞれの第2の軸の周りの回転運動に変換するように、1つ以上の枢動リンケージによって1つ以上の車輪に接続されてもよい。
【0029】
上述した例の全てにおいて、車輪は、第1及び第2の駆動機構によって駆動される。第1及び第2の駆動機構は、第1及び第2のモータ、例えば第1及び第2の電気モータを備えることができる。第1のモータは、第1の回転軸の周りで車輪を駆動するためのものであり、第2のモータは、第2の回転軸の周りで車輪の回転を駆動するためのものである。
【0030】
本発明のさらに別の例では、車輪は、単一の駆動機構によって駆動することができ、すなわち、第1の回転軸の周りで車輪を駆動するための駆動機構はまた、第2の回転軸の周りで車輪を回転させることによって車輪を持ち上げるために使用することができる。一例では、車輪位置付け機構は、第1の回転軸の周りを回転可能な遊星ギアと太陽ギアとを備える遊星ギア機構を備える。遊星ギアは、車輪の一部に取り付けられ、太陽ギアと係合され、駆動機構による太陽ギアの回転が遊星ギアを第1の回転軸の周りで回転させて、格子構造上で第1の方向又は第2の方向のいずれかに積荷取扱デバイスを移動させ、太陽ギアは、第2の回転軸の周りに回転軸を有する。好ましくは、遊星ギアは、第2の回転軸の周りを回転するように構成される。
【0031】
好ましくは、車輪位置付け機構は、遊星ギアが太陽ギアによって第2の回転軸の周りで駆動されることを可能にするように、第1の回転軸の周りの遊星ギアの回転をロックするように構成されたロック機構を備える。1つのコンフィギュレーションでは、遊星ギアは、第1の回転軸であるその回転軸の周りを回転するように受動的である。遊星ギアは車輪の一部(すなわち車輪ハブ)に取り付けられているので、太陽ギアによって駆動される遊星ギア自体の軸の周りの遊星ギアの回転は、車輪を第1の回転軸の周りで回転させる。遊星ギアのその回転軸の周りの回転を選択的に制動することにより、遊星ギアは、太陽ギアの回転によって太陽ギアの上/下及び周りにかみ合う。太陽ギアが第2の回転軸の周りを回転すると、遊星ギアに取り付けられた車輪は、太陽ギアの周りを上昇又は下降する。
【0032】
好ましくは、第2の回転軸は、10mmから20mm、より好ましくは10mmから15mmの範囲で第1の回転軸から半径方向にオフセットされて、格子部材又はトラックから車輪を持ち上げるときに格子構造から十分なクリアランスを提供する。
【0033】
好ましくは、車体は、1つ以上の動作構成要素を収容し、車輪アセンブリは、車輪の第1のセットが車体の第1の対の対向する側に取り付けられ、車輪の第2のセットが車体の第2の対の対向する側に取り付けられるように配置される。格子構造上の積荷取扱デバイスの動作のための1つ以上の動作構成要素は、モータに電力を提供するためのバッテリー、PCB制御基板等を含むことができるが、それらに限定されない。好ましくは、車輪位置付け機構は車輪に一体化される。より好ましくは、第1の回転軸の周りの車輪の回転を駆動するための第1の駆動機構は、車輪に組み込まれる。例えば、モータ、ギアなどの車輪位置付け機構の構成要素は、車輪の内側ハブ又はハブに取り付けることができる。本発明の目的のために、車輪は車輪ハブを備える。
【0034】
本発明は、格子パターンに配置された複数の格子部材を備える格子構造上での本発明の積荷取扱デバイスの移動を制御する方法を提供し、この方法は、それぞれの車輪を車体に対して上昇又は下降させ、そして車輪の第1のセットを格子部材の第1のセットと係合又は係合解除するか、あるいは車輪の第2のセットを格子部材の第2のセットと係合又は係合解除するように、車輪の第1又は第2のセットの各車輪をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させるステップを含む。
【0035】
方法は、
i)車輪の第1及び第2のセットの各車輪が格子部材の第1のセット及び格子部材の第2のセットとそれぞれ係合するように、車輪の第1のセットの各車輪をそのそれぞれの第2の回転軸の周りを回転させることによって、車輪の第1のセットを下降させるステップと、
ii)各車輪を格子部材の第2のセットから係合解除するように、車輪の第2のセットの各車輪をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させることによって、車輪の第2のセットを上昇させるステップとをさらに含む。
【0036】
車輪の第2のセットが上昇される前に、車輪の第1及び第2のセットの全ては、最初に、格子部材のそれらのそれぞれの第1及び第2のセットと係合される。これは、それらのそれぞれの車輪を上昇又は下降させるときに、車輪の第1又は第2のセットのうちのいずれか1つが積荷取扱デバイスの重量を支える必要性を軽減し、そうでなければ、第2の駆動機構は、最大210kgの重量であることがある積荷取扱デバイスを持ち上げるために十分なトルクを提供する必要がある。
【0037】
好ましくは、方法は、車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットの各車輪を車体に対して上昇ポジション及び/又は下降ポジションにロックするステップをさらに含む。車輪位置付け機構は、車体に対して下降ポジション又は上昇ポジションに車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットをロックするためのロック機構、例えばソレノイドを備えることができる。例えば、ロック機構は、上昇(収容)ポジションを表す第1の回転角度及び下降(展開)ポジションを表す第2の回転角度で第2の回転軸の周りを回転されるときに、それぞれの車輪をロックするように作動されることができる。
【0038】
本発明はまた、保管システムをさらに提供し、保管システムは、
i)格子構造上での積荷取扱デバイスの移動をガイドするための格子パターンに配置された複数の格子部材を備える格子構造と、
ii)格子構造の下に位置付けられた複数の積み重ね可能なコンテナと、複数の積み重ね可能なコンテナのそれぞれは単一の格子空間又は格子セルを占有し、
iii)本発明による積荷取扱デバイスとを備え、積荷取扱デバイスは、1つ以上のコンテナを移動させるために格子構造上で遠隔操作され、
i)格子構造の上方に位置付けられたコンテナ収容空間と、
ii)単一のコンテナをスタックからコンテナ収容空間へと持ち上げるように配置され持ち上げデバイスとをさらに備える。
【0039】
格子構造は、複数の直立部材によって支持されて、
図1から
図3を参照して上述され、その内容が参照により本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2015/185628A号(Ocado)に記載されている格子フレームワーク構造を形成することができる。
【0040】
持ち上げデバイスは、持ち上げ駆動アセンブリと、使用時にコンテナを解放可能に把持し、コンテナをスタックからコンテナ収容空間内に持ち上げるように構成されたグラバーデバイスと、格子構造上で積荷取扱デバイスを移動させるように動作可能に配置された駆動機構とを備えることができる。
【0041】
本発明は、車両を提供し、車両は、
i)車体と、
ii)車体を支持するように配置された車輪のセットと、車輪のセットの各車輪は、それぞれの第1の回転軸及びそれぞれの第2の回転軸の周りを回転可能であり、それぞれの第2の回転軸は、それぞれの第1の回転軸から半径方向にオフセットされ、
iii)それぞれの第1の回転軸の周りの車輪のセットの回転を駆動するための駆動機構とを備え、
車輪のセットの各車輪は、少なくとも1つの車輪を車体に対して選択的に下降又は上昇させるために、少なくとも1つの車輪をそのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させるように構成された車輪位置付け機構を備えている。
【0042】
車輪位置付け機構は、積荷取扱デバイスを参照して上述した車輪位置付け機構を備える。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の更なる特徴及び態様は、図面を参照してなされる実例となる実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、既知のシステムによる、格子フレームワーク構造の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のフレームワーク構造内に配置されたビンのスタックを示す上面図の概略図である。
【
図3】
図3は、格子フレームワーク構造上で動作する積荷取扱デバイスを示す既知の保管システムの概略図である。
【
図4】
図4は、上方からコンテナを把持している持ち上げデバイスを示す積荷取扱デバイスの概略斜視図である。
【
図5】
図5の(a)及び(b)は、(a)積荷取扱デバイスのコンテナ収容空間内に収容されたコンテナと、(b)積荷取扱デバイスのコンテナ収容空間とを示す、
図4の積荷取扱デバイスの概略斜視断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による、格子構造上の積荷取扱デバイスの概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態による、格子構造のダブルトラック上に並ぶ2つの積荷取扱デバイスの概略斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による、2つの回転の軸を示す積荷取扱デバイスの車輪の概略斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、回転の中心軸の周りで車輪を駆動するために使用されるハブモータの分解図である。
【
図10】
図10は、(a)格子構造と係合解除するための上昇(収容)ポジション、及び(b)格子構造と係合するための下降(展開)ポジションにおける、車輪アセンブリの一対の車輪の概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施形態による、駆動機構及び車輪位置付け機構の概略斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略斜視(a)背面図及び(b)断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略斜視(a)背面図及び(b)断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第4の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略斜視(a)背面図及び断面図(b)である。
【
図15】
図15は、本発明の第5の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の第6の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略斜視(a)背面図及び(b)断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第7の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略図である。
【
図18】
図18は、動力が
図17に示される車輪のそれぞれによって提供される、格子構造上の積荷取扱デバイスの概略斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の第8の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構を備える車輪の概略斜視断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の第1の実施形態による、(a)第2の「持ち上げ」モータをロックするためのショットボルトソレノイドロック機構と、(b)第1の「駆動」モータをロックするためのショットボルトソレノイドロック機構とを示す車輪の概略斜視断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第2の実施形態による電磁保持ロック機構を示す車輪の概略斜視断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態による車輪アセンブリ制御及びインターフェースアーキテクチャである。
【
図24】
図24(a及びb)は、(a)下降及び(b)上昇ポジションにおける、本発明の第9の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略正面図及び側面図である。
【
図25】
図25(a及びb)は、(a)下降及び(b)上昇ポジションにおける、本発明の第9の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略正面図である。
【
図26】
図26(a及びb)は、(a)下降及び(b)上昇ポジションにおける、本発明の第10の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略正面図及び側面図である。
【
図27】
図27(a及びb)は、(a)下降及び(b)上昇ポジションにおける、本発明の第10の実施形態による駆動機構及び車輪位置付け機構の概略正面図である。
【
図28】
図28(a及びb)は、本発明の第9の実施形態によるロック機構の概略図である。
【
図29】
図29(a及びb)はそれぞれ、
図28(a及びb)のロック機構の概略正面図及び概略背面図である。
【
図30】
図30(a及びb)は、
図28(a及びb)のロック機構を有する車輪の概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明が考案したのは、
図1から
図5を参照して上述した格子フレームワーク構造及び積荷取扱デバイスなどの保管システムの既知の特徴に対してである。
図6は、国際特許出願WO2015/140216(Ocado Innovation Limited)に記載された、本発明の実施形態による積荷取扱デバイス130を示し、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。積荷取扱デバイス130は、上から、荷物としても知られている保管コンテナ又はビンを持ち上げるためのウインチ又はクレーン機構を備える持ち上げ機構(図時せず)を装備している。クレーン機構は、スプール又はリールに巻かれたウインチケーブルと、グラバーデバイスとを備える。グラバーデバイスは、
図4から5中に示したタイプの保管システムにおいて、コンテナのスタックからそれを持ち上げるために、コンテナの頂部を把持するように構成されている。
【0045】
車体132は、上部及び下部を備える。下部は、保管システムの格子フレームワーク構造の上部のレール上を進むように構成された2つの車輪のセット134、136が取り付けられる。本発明の説明のために、車輪の2セットを車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136と定義する。車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136は、下部の積荷取扱デバイス130の周囲に配置されている。車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136のそれぞれは、車体132の下部の対向する側に配置される。車輪の第1及び第2のセットのそれぞれは、車体の対向する側に一対の車輪を備え、すなわち、車輪の第1及び第2のセットのそれぞれは、合計で4つの車輪を備える。
図6に示す本発明の特定の実施形態では、車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136の各車輪は、トラック又はレールに沿ってそれぞれX方向及びY方向への積荷取扱デバイスの移動を可能にするように、車体132の下部の車両フレームに回転可能に取り付けられる。本発明の特定の実施形態は、車体の対向する側に取り付けられた車輪の対を示しているが、本発明は、車体の両側に取り付けられた車輪の対を備える積荷取扱デバイスに限定されない。したがって、車両の対向する側に取り付けられた一対の車輪の代わりに、互いに対角線上に対向するように配置された、車体の対向する側の少なくとも1つの車輪によって、積荷取扱デバイスの安定性を達成することができる。したがって、車輪の第1及び第2のセットはそれぞれ、互いに対角線上に対向するように車体の対向する側に取り付けられた少なくとも1つの車輪を備える。
【0046】
本発明の特定の実施形態では、車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136は、下部のコンテナ収容凹部又はコンテナ収容空間40として知られる空洞又は凹部の周囲に配置される(
図4及び
図5を参照)。
図5(a及びb)中に示すように、クレーン機構によってコンテナ10が持ち上げられるとき、凹部は、コンテナ10を収容するようなサイズである。特定の実施形態は、例えばWO2015/019055(Ocado Innovation Limited)に記載されているように、車体内に配置されたコンテナ収容空間を記載しているが、車体は、WO2019/238702(Autostore Technology AS)に教示されているようなカンチレバーを備えてもよく、この場合、コンテナ収容空間は、積荷取扱デバイスのカンチレバーの下方に位置付けられる。この場合、グラバーデバイスは、コンテナに係合し、コンテナをスタックからカンチレバーの下のコンテナ収容空間に持ち上げることができるように、グラバーデバイスは、カンチレバーによって吊り上げられる。
【0047】
車体132の上部は、積荷取扱デバイスの嵩張る構成要素の大部分を収容することができる。典型的には、車両の上部は、持ち上げ機構を駆動するための駆動機構を、駆動機構及び持ち上げ機構に電力を供給するための、搭載された再充電可能電源と共に収容する。再充電可能な電源は、例えば、リチウムバッテリー又はさらにはキャパシタであるが、これらに限定されない任意の適切なバッテリーであることがある。
【0048】
図6及び
図7に示すように、格子構造115は、複数のセルを含む格子パターンに配置された、第1の方向に伸長する平行な格子部材の第1のセットと、第2の方向に伸長する格子部材の第2のセットとを含む。本発明の説明を容易にするために、第1の方向における水平面内の積荷取扱デバイスの移動は、X方向における移動を表し、第2の方向における移動は、格子構造上のY方向における移動を表す。1つ以上の積荷取扱デバイスが格子構造上を移動することを可能にするために、格子部材の第1のセットはトラックの第1のセット122aを備え、格子部材の第2のセットはトラックの第2のセット122bを備える。任意選択的に、格子部材の第1のセットはトラックの第1のセットの支持体(図示せず)を備え、格子部材の第2のセットはトラックの第2のセットの支持体(図示せず)を備える。任意選択的に、トラックの第1のセット122aは第1のセットのトラック支持体にスナップ嵌めされ、トラックの第2のセット122bはトラックの第2のセットの支持体にスナップ嵌めされる。本発明において同様に妥当であるのは、格子構造の格子部材がトラック及びトラック支持体の両方を備えるように、複数のトラック122a、122bがトラック支持体の第1及び第2のセットに一体化されることができることである。
【0049】
車輪の第1のセット134及び第2のセット136は、垂直に移動して車輪のセットのそれぞれをそれぞれのトラック又はレールから持ち上げ、それによって車両が所望の方向に移動することを可能にするように配置される。
図6及び
図7に示すように、格子構造115上で方向を変更するために(例えば、X方向からY方向に変更するために)、車輪の第1のセット134は、格子部材又はトラックの第1のセット122aから離れて持ち上げられ、車輪の第2のセット136は、格子部材又はトラックの第2のセット122bと係合される。
図6及び
図7の破線は、下降(展開)ポジションから上昇(収容)ポジションまでの車輪のセット134、136のポジションを示す。車輪の第1のセット134が格子部材又はトラックの第1のセット122aと係合するように下げられ、車輪の第2のセット136が格子部材又はトラックの第2のセット122bから離れて持ち上げられるという点で、積荷取扱デバイスが格子構造115上で他の方向に移動する(例えば、Y方向からX方向に変化する)ように配置されるときには、逆が当てはまる。車輪は、車輪の第1のセット134が同期して上昇又は下降されて、X方向に伸長する格子部材又はトラックと係合解除又は係合するように、同期して上昇(収容)又は下降(展開)される。同様に、車輪の第2のセット136は、Y方向に伸長する格子部材又はトラックと係合解除又は係合するように同期して上昇又は下降される。
【0050】
モータなどの駆動機構(図示せず)は、車輪の第1のセット134又は車輪の第2のセット136のいずれかを格子構造115上でX方向又はY方向に駆動する。例えば、車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136の各車輪は、車体132の下部の個々のハブモータによって駆動されて、格子構造115上の積荷取扱デバイス130の4輪駆動能力を提供することができる。換言すれば、車輪の第1及び第2のセットの全ての車輪は、個々のハブモータによって駆動される。これは、セット134、136内の車輪のいずれか1つがレール又はトラック上でスリップした場合に、積荷取扱デバイスが格子構造115上のレール又はトラック122a、122bに沿って移動できるようにするためである。したがって、車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136の車輪のそれぞれは、それぞれの第1の回転軸A-A(
図8参照)の周りの車輪の回転を駆動するための駆動機構、例えばハブモータを備える。換言すれば、駆動機構は、駆動機構が車輪構造の一部を形成するように車輪に一体化することができる。
図8は、本発明の実施形態による、積荷取扱デバイス130の車輪150の斜視図を示している。各個々の車輪の第1の回転軸A-Aは、積荷取扱デバイス130が格子構造115上を直線方向に移動しているときの車輪150の回転に対応する。
【0051】
詳細には、
図8及び
図9に示すハブモータ160は、格子構造(例えば、トラック)と係合するように配置された外面と、ハブモータ160のステータを備える車輪ハブ又は内側ハブ166の周りを回転するように配置されたリング状永久磁石164を備える内面とを備える外側ロータ162を備える。典型的には、ステータは、ハブモータのコイルを含む。車輪の第1又は第2のセットの各車輪150を駆動し、したがって、格子構造上で第1の方向又は第2の方向に積荷取扱デバイスを移動させるために、ハブモータ160の外側ロータ162は、それぞれの車輪の中心軸に対応する第1の回転軸A-Aの周りを回転するように配置される。ロータ162の外面は、任意選択で、トラック又はレールと係合するためのタイヤ168を備えることができる。
図9に示す特定の実施形態では、外側ロータ162は、軸受(図示せず)上で第1の軸の周りを回転し、永久磁石164がその内面に接合された外側ロータ162を備える。タイヤ168は、永久磁石164の外側に任意選択的に位置付けられる。車輪150のそれぞれは、外側ロータ162が車輪ハブ166に対して回転することを可能にするように、ハブモータのステータを備える内側ハブ又はハブ166を車体に結合することによって、積荷取扱デバイスの車体に結合される。特定の実施形態は、格子構造上の積荷取扱デバイスを駆動するための原動力を提供するためのハブモータを備える車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136の車輪150のそれぞれの駆動機構を説明するが、車輪ハブ166の周りで外側ロータ162を回転可能に駆動するための他の手段が、本発明において適用可能である。車輪ハブ166の周りで外側ロータ162を駆動する他の例は、以下の説明でより明らかになる。また、
図9には、車輪ハブ166に入る異物又は汚染物質の進入又は車輪からの潤滑剤の漏れを防止するための任意のシール169が示されている。
【0052】
格子構造上で方向を変えるときに車輪の第1のセット134又は車輪の第2のセット136のいずれかを持ち上げるために、車輪の第1及び第2のセットの各車輪150は、第1の回転軸A-Aからオフセットされた第2の回転軸B-Bの周りを回転するように、すなわち偏心軸の周りを回転するように構成される。したがって、車輪の第1及び第2のセットの各車輪150は、2つの回転軸、すなわち第1の回転軸A-A及び第2の回転軸B-Bの周りを回転するように配置される。車輪150を一方の方向に偏心的に回転させると車輪150が上昇し、他方の方向に回転させると車輪150が下降する。これは、(a)車輪を上昇させ、したがって格子部材又はトラック122a、122bと係合解除するために、それらのそれぞれの第2の回転軸の周りで一方向に回転し、(b)格子部材又はトラック122a、122bと係合するように車輪150を下降させるために、他の方向に回転する車輪の1セットのうちの1対の車輪150の概略図を示す
図10で実証される。
図10の矢印は、(a)上昇状態(収容)から(b)下降状態(展開)に移動するためのそれぞれの車輪の回転方向を示す。これは、時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかであることができる。車輪の第1及び第2のセットの各車輪150は、それぞれの車輪150をそれらの第2の回転軸B-Bの周りで回転させるように配置された車輪位置付け機構を備える。第1の回転軸A-Aの周りで格子構造115上の車輪150を駆動するための原動力が、内側ハブ又は車輪ハブ166の周りで回転可能な外側ロータ162によって提供される車輪アセンブリを有することは、第2の回転軸、すなわち偏心軸の周りで車輪150を回転させるための柔軟性を提供する。車輪位置付け機構は、車輪150を駆動して第2の回転軸B-Bの周りを回転させるための第2のモータ又は第2の駆動機構170(
図8参照)を備える。第1の回転軸A-Aの周りで車輪を駆動するための原動力を提供する第1のモータは、上述したようなハブモータ160とすることができる。第2のモータ170は、第2のモータ170に電力が供給されたときに車輪の持ち上げ動作を提供するように、その第1の回転軸(中心軸)からオフセットされた積荷取扱デバイスの車体に取り付けられる。より具体的には、第2のモータ170のステータは、ハウジング結合を介して車体に取り付けられ、そのロータは、車輪150の内側ハブ又はハブ166の一部を形成する。第2のモータ又は第2のモータのハウジング結合を取り付けることは、車輪が第2の回転軸B-Bの周りを回転するときに必要な固定又は梃子の作用を提供する。
【0053】
第2のモータのロータが回転すると、内側ハブ166、したがって車輪150は、第2の回転軸の周りを回転し、持ち上げ動作を引き起こす。車輪位置付け機構は、車輪をそのそれぞれの第2の回転軸B-Bの周りで回転させることによって車輪150の上昇及び下降を作動させるアクチュエータであると想定することができる。車輪位置付け機構の動作は、第1の回転軸A-A及び第2の回転軸B-Bの周りの車輪を回転させる異なる例から、以下ですぐに明らかになるであろう。本発明の説明のために、1つの車輪150について説明した駆動機構及び車輪位置付け機構は、第1のセットの車輪134及び第2のセットの車輪136の全てに適用することができる。
【0054】
図11に示す本発明の第1の実施形態では、個々の車輪の車輪位置付け機構180は、複数の歯を有する湾曲ラック184と、湾曲ラック184に回転可能に取り付けられたピニオンギア186とを備えるラックアンドピニオンギア機構182を備え、ピニオンギア186の歯は、湾曲ラック184の複数の歯と噛み合う。湾曲ラック184は、車輪150の中心回転軸A-Aからオフセットされる回転軸の周りで湾曲ラック184の周囲の弧を通してピニオンギア186が回転又は進行するように、車輪150の中心回転軸A-Aからオフセットされて取り付けられて示される。
図11に示す特定の実施形態では、車輪150は、積荷取扱デバイスの車体又はシャーシの一部を形成する取り付けプレート188に偏心して結合又は取り付けられ、ピニオンギア186は、車輪150に、より具体的には車輪150の内側ハブ又はハブ166に取り付けられる。車輪150は、ピニオンギア186が取り付けプレート188に取り付けられた湾曲ラック184の周りを回転することができるように、プレート180に取り付けられている。ピニオンギア186は、車輪150を上昇及び下降させるために、第2の回転軸B-Bに対応する軸B-B(偏心軸)の周りで湾曲ラック184の周りを移動し、中心回転軸は、第1の回転軸A-Aに対応する。湾曲ラック184の曲率半径は、車輪150の持ち上げの程度を決定する。取り付けプレート188は、湾曲ラック184の周りのピニオンギア186の移動に対応するように、任意選択で弓形開口部190を備えることができる。本発明の特定の実施形態では、ピニオンギア186は、車輪内に、より具体的には車輪150の内側ハブ又はハブ166内に一体化されたモータ(第2のモータ)によって、湾曲ラック184の周りで駆動され、第1のモータは、第1の回転軸A-Aの周りで車輪を駆動するモータ、例えばハブモータである。同様の車輪の持ち上げ動作は、湾曲ラック184をピニオンギア186に対して回転させることによっても達成することができる。車輪150は、内側ハブ又はハブ166の外周に取り付けられた外側又は外部ロータ162によって直線方向に駆動され、第1の回転軸A-Aに対応する回転軸の周りを回転可能である。外側ロータ162は、ピニオンギア186を駆動するモータ(第2のモータ)とは別のモータ(第1のモータ)によって駆動することができる。例えば、外側ロータ162を駆動するモータ(第1のモータ)は、任意選択的に、上述したようなハブモータとすることができる。
【0055】
図12に示す本発明の第2の実施形態では、車輪位置付け機構280は、第1の回転軸A-Aに対してオフセットして取り付けられたモータ(第2のモータ)282を備え、より具体的には、モータ282は、第2の回転軸B-Bの周りの車輪を回転させるように、第1の回転軸からオフセットして車輪に取り付けられた駆動シャフトを備える。本発明の第1の実施形態と同様に、第2の回転軸の周りに車輪を回転させるためのモータ(第2のモータ)282は、車輪150の内側ハブ166内に一体化することができる。車輪150は、第2のモータ282によって車体、より具体的には車両シャーシに取り付けられ、車輪150を昇降させるのに必要な梃子の作用を提供する。また、本発明の第1の実施形態と同様に、車輪150は、内側ハブ166の外周に取り付けられた外側又は外部ロータ162によって直線方向に駆動され、第1の回転軸A-Aに対応する回転軸の周りを回転可能であり、例えばハブモータである。本発明の第1の実施形態と比較して、本発明の第2の実施形態は、車輪を持ち上げる(すなわち、第2の回転軸の周りを回転する)ためにギアを利用しない。その代わりに、本発明の第2の実施形態は、上述のように外側又は外部ロータを駆動するための第1のモータ、例えばハブモータと、第2の回転軸B-Bに対応するオフセット軸の周りに車輪を回転させるように車輪150に偏心して取り付けられた第2のモータ282とを備える。
【0056】
本発明の第3の実施形態では、第1の回転軸A-Aの周りで車輪150を駆動するための外側又は外部ロータ262は、上述したようなハブモータではなく、ラックとピニオンギアの組み合わせによって駆動される。外側又は外部ロータ262は、格子構造又は任意選択のタイヤのトラック又はレールと係合するように配置された外面と、外側ロータの内周の周りに伸長して環状ギアを形成する複数の歯(図示せず)を備える内面とを有する。外側ロータ262の内部の別個のモータ(第1のモータ)386によって駆動されるピニオンギア384は、ロータ又は環状ギア262の内面の複数の歯と噛合し、車輪150を第1の回転軸A-Aの周りで回転させる。換言すれば、第1のモータ386によって駆動されるピニオンギア384は、第1の回転軸の周りの外側ロータ又は環状ギア262の回転を駆動するために使用される。
図12に示す本発明の第2の実施形態と同様に、車輪位置付け機構380は、第1の「中心」回転軸からオフセットして取り付けられた別個のモータ(第2のモータ)382を備え、その結果、車輪150に取り付けられた第2のモータ382の駆動シャフトは、偏心軸又は第2の回転軸B-Bの周りで車輪を回転させる。第2のモータ382は、第2の回転軸B-Bの周りに車輪を回転させるように車輪に取り付けられた駆動シャフトを有する積荷取扱デバイスの車体又はシャーシに取り付けられる。
図12に示す本発明の第2の実施形態と比較して、外側ロータ262は、ハブモータではなく、ラックとピニオンギアとの組み合わせによって駆動される。第1のモータ386及び第2のモータ382並びにピニオンギア384は、車輪内に一体化され、より具体的には車輪150のハブ166内に収容される。
【0057】
図11及び
図12のそれぞれの本発明の第1及び第2の実施形態と比較して、
図14に示す本発明の第4の実施形態では、外側ロータ362は、ハブモータではなく内側ロータ型モータ486(第1のモータ)によって駆動される。ハブモータのように外側ロータが内側ステータに対して移動可能であるのではなく、外側のリング状永久磁石は静止したままであり(ステータ)、その内側で内側金属コアが回転する(ロータ)。内側金属コア又はロータは、駆動シャフト488を駆動する。外側ロータ362は、車輪150の外側ロータ362が駆動シャフト488によって駆動されるように、駆動シャフト488に取り付けられている。内側ロータ型モータ486は、駆動シャフト488、したがって車輪が第1の回転軸A-Aの周りに駆動されて、積荷取扱デバイスを第1又は第2の方向に移動させるように、車輪に取り付けられる。本発明の第2の実施形態と同様に、車輪の車輪位置付け機構480は、車輪中心軸(第1の回転軸)からオフセットして取り付けられ、第2の回転軸B-Bの周りの車輪を回転させる駆動シャフトを有する別個のモータ(第2のモータ)382を備える。本発明の第1、第2、及び第3の実施形態と同様に、格子構造上の積荷取扱デバイスを駆動するための原動力を提供するための内側ロータタイプのモータ486、及び車輪を上昇及び下降させるように構成された別個のモータ(第2のモータ)382は、任意選択で車輪に一体化され、より具体的には車輪のハブ166内に収容されることができる。
【0058】
図15に示す本発明の第5の実施形態では、車輪150の外側ロータ462は、ハブモータではなく車輪中心軸からオフセットして取り付けられたモータ586に結合された歯付きベルト588によって駆動される。
図15に示すように、歯付きベルト588は、車輪中心軸A-A(第1の回転軸)の周りでモータ586によって駆動されるように、車輪150の中心駆動シャフトに取り付けられたスプロケット590の周りに伸長する。本発明の第2の実施形態と同様に、車輪の車輪位置付け機構580は、車輪中心軸(第1の回転軸)からオフセットして取り付けられ、第2の回転軸B-Bの周りの車輪を回転させる駆動シャフトを有する別個のモータ(第2のモータ)382を備える。
【0059】
図16に示される本発明の第6の実施形態では、車輪位置付け機構680は、太陽ギア690と回転可能に係合可能な又は噛み合う遊星ギア688を備える遊星ギア機構又は周転円ギアを備える。太陽ギア690は、車輪中心軸からオフセットされて取り付けられたモータ(第2のモータ)686によって駆動され、車輪中心軸からオフセットされた軸の周りを回転し、すなわち、車輪を上昇及び下降させるための第2の回転軸B-Bの周りを回転可能である。すなわち、太陽ギア690と噛み合っている遊星ギア688は、太陽ギア690の中心の周りを駆動される。太陽ギア690は、車輪の中心回転軸からオフセットされ、遊星ギア688は、車輪に取り付けられるため、太陽ギア690の周囲の遊星ギア688の回転は、車輪150を上昇又は下降させる。本発明の特定の実施形態では、太陽ギア690は、第2のモータ686の駆動シャフト692によって駆動され、遊星ギア688は、第2のモータ686によって駆動される太陽ギア690の周囲の遊星ギア688の回転が、車輪150を上昇又は下降させるように、車輪150に取り付けられる。遊星ギア688は、車輪の中心、すなわち第1の回転軸に取り付けられて示されている。車輪中心軸からオフセットされた第2のモータ686は、遊星ギア688が第2の回転軸の周りを回転する結果として、車輪が太陽ギア690の周りを回転することを可能にするために必要な梃子作用を提供するように、車体又はシャーシに取り付けられる。遊星ギア機構は、
図11に示す本発明の第1の実施形態を参照して説明したラックアンドピニオンギア機構と同様に機能すると考えることができ、太陽ギア690は、車輪ハブに取り付けられた持ち上げギア688(遊星ギア)の周りを回転するピニオンギアとして機能する。第2のモータ686は、ピニオンギア690の回転を駆動する。
【0060】
本発明の第1の実施形態と同様に、本発明の第6の実施形態における車輪は、ステータの周りを回転する外側の環状の永久磁石を備えるハブモータによって、第1の回転軸A-Aの周りを駆動される。本発明の第1、第2及び第3の実施形態と同様に、周転円ギアは、車輪に、より具体的には車輪のハブ166内に一体化される。
【0061】
車体に対して車輪を位置付けるための周転円ギアの使用の拡張は、
図17に示される本発明の第7の実施形態によって説明される。
図17に示す本発明の第7の実施形態では、遊星ギア788は、太陽ギア790の中心の周りを回転するように配置される。車輪150は、遊星ギア788の回転が車輪を回転させるように遊星ギア788に取り付けられ、遊星ギア788がオフセット軸(第2の回転軸、B-B)の周りで太陽ギア790の周りを回転するので、車輪は、車輪150を上昇又は下降させるために第2の回転軸の周りを回転するように配置される。本発明の第6の実施形態と比較すると、周転円ギア又は遊星ギア機構は、環状ギア792をさらに備える。環状ギア792の中心は、太陽ギア790の回転軸と同軸であり、太陽ギア790の回転軸が第2の回転軸に対応するので、環状ギア792の中心は、第2の回転軸B-Bと同軸である。環状ギア792の内面は、複数の半径方向の歯を備え、遊星ギア788は太陽ギア790によって駆動されるので、遊星ギア788は、第2の回転軸B-Bの周りを太陽ギア790によって環状ギア792の内面の周りを回転するように配置される。
図17に示される本発明の特定の実施形態では、環状ギア792は、車体又はシャーシに固定される。
図17に示されている本発明の特定の実施形態では、環状ギア792は、取り付けプレート188に取り付けられており、この取り付けプレートは、車体に取り付けられている。同様に、太陽ギア790は、車体又はシャーシ又は取り付けプレート188に回転可能に取り付けられている。太陽ギア790の回転は、好ましくは車体内のモータ(第2のモータ)によって駆動される。車輪150(より具体的には車輪ハブ166)に取り付けられ、太陽ギア790によって駆動される遊星ギア788は、車輪150を第2の回転軸B-Bの周りで回転させるように配置される。
【0062】
図17には、太陽ギア790の周りを回転するように配置された第2の遊星ギア789も示されており、第1の遊星ギア788は、車輪150に、より具体的には車輪の中心に取り付けられている。第2の遊星ギア789は、第1の遊星ギア788が両方とも太陽ギア790の周りで駆動されるときに、第1の遊星ギア110の重量を対称的に平衡させる。二次遊星ギア789は、車体に、より具体的には取り付けプレート188に回転可能に取り付けられる。環状ギア792は、遊星ギア788、789(第1及び第2の遊星ギア)の両方を太陽ギア790と係合した状態に保つように構成される。太陽ギア790の周りの遊星ギア788、789の異なる回転ポジションが、
図17(a及びb)に示されている。
図17(a)に示される遊星ギア788、789の第1のポジションでは、遊星ギア788、789は、格子部材又はトラックから係合解除するように、車輪が上昇ポジションにあるように、太陽ギア790の周りである角度まで回転させられ、この場合、垂直に対して90°又は3時である。
図17(b)に示される遊星ギアの第2のポジションでは、遊星ギア788、789は、太陽ギア790の周りを90°だけ時計回り方向に回転され、その結果、車輪は、格子部材又はトラックと係合するように下げられたポジションにあり、この場合、垂直に対して180°又は6時である。
【0063】
車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136は、
図18に示されており、積荷取扱デバイス130の車体132の両側に取り付けられている。車輪の第1及び第2のセットのそれぞれは、格子構造上で第1の方向又は第2の方向に積荷取扱デバイスを駆動するための原動力を提供する。車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、車輪を車体に対して第1の下降ポジションに作動させて格子部材又はトラックと係合させるか、又は車体に対して第2の上昇ポジションに作動させて格子部材又はトラックとの係合を解除させる、上述の車輪位置付け機構を備える。車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、車体に取り付けられる。
図18に示す本発明の特定の実施形態では、各車輪は、車体132に固定された取り付けプレート188に取り付けられている。
図18に示されるトラック122a、122bはダブルトラックであり、それによって、積荷取扱デバイスは、
図7に示されるように、互いに並んで通過することができる。しかしながら、積荷取扱デバイスは、ダブルトラック格子構造上で動作することに限定されず、シングルトラック格子構造上で動作することができる。
【0064】
車輪位置付け機構は、第2の回転軸が車輪の第1の「中心」回転軸から10mmから30mm、より好ましくは10mmから15mmの範囲で半径方向にオフセットされるように構成することができる。例えば、第2の「持ち上げ」モータの回転中心(第2の回転軸)が車輪の中心軸(第1の回転軸)から10mmだけオフセットされる場合、これは、第2の「持ち上げ」モータが完全に180°回転したときに車輪がZ軸において最大20mm移動することを可能にする。
【0065】
本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、及び第7の実施形態で説明した、外側ロータを第1の回転軸の周りで駆動するための駆動機構と、車輪を第2の回転軸の周りで回転させるための車輪位置付け機構との様々な組合せが、本発明において適用可能である。例えば、第1の「中心」軸(第1の軸)の周りの車輪の回転を駆動するためのハブモータを備える駆動機構と、
図13に示される本発明の第2の実施形態に記載されるような車輪の第1の「中心」軸からオフセットして取り付けられた第2のモータを備える車輪位置付け機構との組み合わせは、本発明の範囲内に含まれる。駆動及び車輪位置付け機構の異なる組み合わせの例が、
図19に示される車輪150の断面図に示され、車輪150の分解図が
図20に示される。
【0066】
車輪150は、車輪ハブ上及び車輪ハブ内の両方に取り付けられた2つの一体型モータ(第1及び第2のモータ)を備える。第1のモータであるハブモータ160は、車輪ハブの外側リムに取り付けられ、第1の回転軸の周りで格子構造上の積荷取扱デバイスを駆動するための原動力を提供する。示したハブモータ160のステータ802は、車輪ハブ166に取り付けられ、外側ロータ162は、タイヤ168のリムに固定される。駆動モータステータ802は、車輪ハブ166の表面に結合され、車輪ハブ166の周りで外側車輪表面又は外側ロータ162を回転させる手段を提供する。一対のワイヤレース(wire race)軸受804は、回転する外面又は外側ロータ162を位置付けるステータ802のいずれかの側に任意に位置付けることができる。外側ロータ162は、第1の回転軸A-Aの周りでレース軸受804上を回転し、永久磁石806がロータ162の円周の内側に取り付けられるか、又は接合される鋼ロータを備えることができる。
図19には、車輪の持ち上げ動作を提供する第2のモータ又は持ち上げモータ382も示されている。第2のモータ382のステータ808は、ハウジング結合カップ810を介して車体又は積荷取扱デバイスのシャーシに固定され、一方、そのロータ812は車輪ハブ166の一部を形成する。持ち上げ又は第2のモータステータ808は、ハウジング結合カップ810の中央ボア内に接合される。その結果、第2のモータ382のロータ812は、そのステータ808に対して回転し、したがってハウジング結合カップ810に対して回転する。ニードルローラベアリングのようなローラベアリング814が、ハウジング結合カップ810と車輪ハブ166との間に配置されて示されている。第2のモータ382を車輪ハブ166に保持するために、図示のスナップリング816を任意に使用することができる。持ち上げモータ又は第2のモータ382は、車輪の中心の第1の軸からオフセットして位置付けられ、ロータ812が第2の回転軸の周りを回転するときに持ち上げ動作を提供する。
【0067】
本発明の異なる実施形態は、車輪をその第1の回転軸及び第2の回転軸の周りでそれぞれ駆動するための2つの電気モータ(第1及び第2のモータ)を説明するが、車輪は、単一のモータによってその第1及び第2の回転軸の周りで駆動されることができる。例えば、
図16に示す本発明の第6の実施形態では、単一のモータが太陽ギアを駆動して、第1及び第2の回転軸の周りの遊星ギアの回転を駆動することができる。遊星ギアは、第1の回転軸の周りを回転するように、車輪又は車輪ハブの中心軸に取り付けられる。遊星ギアは、太陽ギアによって車輪中心軸(第1の回転軸)の周りで駆動されるように受動的であり、格子構造上で直線方向に積荷取扱デバイスを移動させるための原動力を提供する。第2の回転軸の周りで車輪を回転させるために、ロック機構は、遊星ギアがそれ自体の軸の周りで回転することを防止するように構成される。太陽ギアの回転は、太陽ギアの中心の周りを回転するように遊星ギアを駆動し、太陽ギアの中心が第2の回転軸にあるので、遊星ギアが太陽ギアの周りを回転するときに遊星ギアを持ち上げる。言い換えれば、遊星ギアは、太陽ギアの円周弧の周りを移動するように強制される。したがって、太陽ギアを駆動する単一のモータを使用して、遊星ギアを駆動し、第1及び第2の回転軸の周りで回転させることができる。
【0068】
車輪を上昇又は下降させて車輪を格子部材又はトラックからそれぞれ係合解除又は係合させるように構成された車輪位置付け機構に加えて、車輪位置付け機構は、任意選択的に、積荷取扱デバイスが格子構造上で第1又は第2の方向に駆動されているときに、車輪を上昇(収容)位置又は下降(展開)位置に保持するように構成されたロック機構を備えることができる。車輪の第1のセットが格子部材の第1のセットと係合されるかどうか、又は車輪の第2のセットが格子部材の第2のセットと係合されるかどうかに応じて、関連する車輪は、車体に対して車輪を上昇又は下降させるように、それらのそれぞれの第2の回転軸の周りで時計回り又は反時計回り方向に回転させられる。車輪の最終ポジションに達すると、ロック機構が作動して車輪を上昇ポジション又は下降ポジションのいずれかに保持し、それによって車輪が格子部材又はトラックと再係合すること(上昇ポジションにあるとき)、又は格子部材又はトラックと係合解除すること(下降ポジションにあるとき)を防止する。車輪を上昇ポジション又は下降ポジションに保持するためのロック機構の例としては、ソレノイド、電磁石保持ブレーキ等が挙げられるが、これらに限定されない。説明のために、ロック機構の動作は、第1の回転軸の周りの車輪の回転を駆動するためのハブモータと、第2の回転軸の周りの車輪の回転を駆動するために第1の軸に対してオフセットして取り付けられた別個のモータとを備える、
図19に示す車輪の例を参照して説明される。
【0069】
図19に示す車輪に基づく
図21(a)に示す特定の実施形態では、車輪を上昇ポジション又は下降ポジションに保持するためのロック機構は、ハウジング結合カップ810内のラッチ穴822内に収容されるように配置された伸長可能なアーマチュア又はロッド820を備えるショットボルトソレノイド818を備える。ショットボルトソレノイド818は、持ち上げ又は第2のモータ382に隣接して、より具体的にはハウジング結合カップ810内に取り付けられ、そのため、そのアーマチュアアーム820は、ハウジング結合カップ810内のアパーチャ822と係合するように構成され、それによって、そのハウジング結合カップ810、したがってそれに取り付けられたステータ808に対するロータ812の回転を防止する。動作中、ショットボルトソレノイド818のアーマチュアアーム820は、ハウジング結合カップ810のアパーチャ822内に収容されるように伸長するように作動され、それによって、ハウジング結合カップ810に対するロータ812の回転を防止し、ステータ808がハウジング結合カップ810に接合されているので、ステータ808に対しても回転を防止する。車体に対して車輪を上昇(持ち上げ)又は下降させるために第2の回転軸の周りの車輪の回転をロックするためのロック機構を有することに加えて、車輪は、格子部材又はトラック上で車輪を駆動する第1の回転軸の周りの外側ロータ162の回転を防止するための第2のロック機構824を任意選択で備えることができる。
図21(b)に示される第2のロック機構824は、任意選択で、車輪を上述の上昇ポジション又は下降ポジションに保持するために使用されるショットボルトソレノイドに基づくことができる。ショットボルトソレノイドのアーマチュアは、第1のモータのステータ802を収容する車輪ハブ166に対する外側ロータ162の回転を防止するように構成される(
図21b参照)。
【0070】
車輪を上昇ポジション又は下降ポジションに保持するためのロック機構の別の例が
図22に示されており、これは、直接的な電磁力又はばね作動力のいずれかを利用して機械的摩擦を生成することによってトルクを機械的に伝達するように、電磁石保持ブレーキ918の使用に基づいている。電磁ブレーキの回転部分は、コイルの通電によって第2のモータのステータに引き寄せられて取り付けられるアーマチュアアセンブリ920を備える。定荷重板ばねは、トルクを伝達して、第2のモータのロータが、ハウジング結合カップ810に取り付けられたそのステータ808に対して回転するのを防止する。第2のモータ382のステータに固定されたハウジング結合カップと協働することによって車輪を上昇ポジション及び/又は下降ポジションに保持するロック機構の他の例が、本発明において適用可能である。
【0071】
図24(a及びb)及び
図25(a及びb)に示す本発明の第9の実施形態では、車輪位置付け機構980は、ベルト又はチェーン982を備える。ベルト又はチェーン982は、一対の車輪150及びスプロケット984の周りを通る。スプロケット984は、積荷取扱デバイス30側の一対の車輪150と同一平面上に配置されている。車輪150はそれぞれ、車輪と同心に配置された円筒形の突起又は車輪スプロケット986を有する。車輪スプロケット986は、車輪150と一体であってもよく、又は任意の好適な締結手段によって車輪に取り付けられた別個の部品であってもよい。スプロケット984及び車輪対の車輪スプロケット986は、ベルト又はチェーン982のリンク又は歯と係合する外歯を有する。各車輪150は、取り付けプレート992によって積荷取扱デバイス30の側に取り付けられている。
【0072】
車輪スプロケット986は、チェーン又はベルト982によって駆動されるとき、偏心軸988の周りを回転するように構成される。取り付けプレート992は、積荷取扱デバイス30の側に取り付けられ、車輪150は、車輪が偏心軸988の周りで回転することができるよう取り付けプレートに枢動可能に接続されている。偏心軸988の周りの車輪スプロケット986の回転は、車輪150をトラック22に対して上昇又は下降させる。スプロケット984を駆動するためにモータ990を使用することができ、スプロケットはベルト又はチェーン982を駆動し、ベルト又はチェーンは車輪スプロケット986をそれらの偏心軸988の周りで駆動して、トラック22に対して車輪150を上昇又は下降させる。
【0073】
図24(a)では、車輪位置付け機構980は、車輪150が下のトラック22と係合した下降状態で示されている。
図24(b)では、車輪位置付け機構980は、車輪150が下のトラック22から係合解除された上昇状態で示されている。
図24(a及びb)に図示する特定の実施形態では、車輪150は、
図24(a)の下降状態と
図24(b)の上昇状態との間で偏心軸988の周りを反時計回りに約60度回転している。同じ動きを
図25(a及びb)に見ることができ、ここでは、車輪スプロケット986がベルト又はチェーン982と係合しているのを見ることができるように、車輪150の面が透明にされており、取り付けプレート992ポジションを見ることができる。
【0074】
いくつかの例では、単一のモータを使用して、積荷取扱デバイスの両側の車輪位置付け機構を駆動することができる。これは、上述したように、ベルト又はチェーンを備える車輪位置付け機構にとって特に便利である。シャフトを使用して、積荷取扱デバイスの両側の2つの車輪位置付け機構を接続することができ、単一のモータを使用して、シャフトを回転させ、積荷取扱デバイスの両側の2つの車輪位置付け機構の2つのベルト又はチェーンを駆動することができる。
【0075】
いくつかの例では、1つ以上のテンショナを使用して、チェーン982のベルトの張力を調整することができる。1つ以上のテンショナは、別個の構成要素であることがあり、又はスプロケット984は、例えば、垂直方向に調節可能であることによって、テンショナとして作用することができる。
【0076】
図26(a及びb)並びに
図27(a及びb)に示す本発明の第10の実施形態では、車輪位置付け機構1080は、リニアアクチュエータ1082を備える。リニアアクチュエータは、リニアアクチュエータ1082の内側部分1086に対してリニアアクチュエータの長手方向軸に沿って移動するように構成された外側部分1084を備える。リニアアクチュエータ1082は、一対のリンケージ1088によって一対の車輪150に接続されている。リンケージ1088は、リニアアクチュエータに枢動可能に接続され、モータケーシング/ステータに堅固に接続された枢動リンケージである。各車輪150は、取り付けプレート1092によって積荷取扱デバイス30の側に取り付けられている。取り付けプレート1092は、積荷取扱デバイス30の側に取り付けられ、車輪150は、車輪が偏心軸1090の周りで回転することができるよう取り付けプレートに枢動可能に接続されている。
【0077】
リニアアクチュエータ1082が作動されるとき、リニアアクチュエータの外側部分1084及び内側部分1086は、長手方向軸に沿って離れるように移動する。リンケージ1088は、リニアアクチュエータ1082の移動に適応するように旋回し、車輪150は、それらの偏心軸の周りで回転する。
【0078】
図26(a)では、車輪位置付け機構1080は、車輪150が下のトラック22と係合した下降状態で示されている。
図26(b)では、車輪位置付け機構1080が上昇状態で示されており、車輪150は下のトラック22から係合解除されている。
図26(a及びb)に図示する特定の実施形態では、車輪150は、
図26(a)の下降状態と
図26(b)の上昇状態との間で偏心軸1090の周りを約60度回転している。図の左側の車輪150は反時計回りに回転しており、右側の車輪150は時計回りに回転しており、両方ともそれぞれの偏心軸1090を中心としている。
【0079】
同じ動きを
図27(a及びb)に見ることができ、
図27(a及びb)では、外側部分1084と内側部分1086との相対位置、及び車輪150への枢動リンケージ1088の第2の部分の接続も見ることができるように、リニアアクチュエータ1082が透明にされている。
図24から
図27に図示する車輪位置付け機構の第9及び第10の実施形態は、一対の車輪に適用される車輪位置付け機構を図示しているが、車輪位置付け機構は一対の車輪に限定されない。例えば、車輪のセットは、積荷取扱デバイスの各側に2つより多くの車輪を備えることができ、車輪位置付け機構は、積荷取扱デバイスの一方の側の車輪の全てに作用し、又は別個の車輪位置付け機構を各個々の車輪に対して提供することができ、又は単一の車輪位置付け機構を使用して、積荷取扱デバイスの1つより多くの側の車輪を上昇させ又は下降させることができる。
【0080】
ロック機構の別の例が、
図28(a及びb)、
図29(a及びb)、及び
図30(a及びb)に図示されている。このロック機構は、ベルト又はチェーン982を有する第9の実施形態に適用されて図示されているが、ロック機構のこの例は、異なる車輪位置付け機構にも適用することができ、同様に、異なるロック機構をベルト又はチェーン機構と共に使用することができる。
【0081】
図に図示するロック機構は、積荷取扱デバイス30の側面に取り付けられたリニアソレノイド994を備えている。リニアソレノイド994には、4つの取り付け穴が見える。
図28(a)に示されるように、リニアソレノイド994は、リニアソレノイド994が作動されるときに伸長又は後退されるピン996を備える。ピン996は、車輪150の平面に対して垂直な方向に、車輪150の軸に対して平行に移動するように構成される。ピン994は、1つ以上のラッチ穴998に収容可能である。車輪150をロックするようにロック機構を作動させるために、ピン996は、リニアソレノイド994からラッチ穴998内に伸長し、したがって、車輪150のその偏心軸988の周りの回転を防止する。車輪をロック解除するために、ピン996は、リニアソレノイド994内に引き戻され、そのため、車輪スプロケット986がベルト又はチェーン982によって駆動されるとき、車輪150は、再びその偏心軸988の周りを自由に回転する。
【0082】
図28(b)に図示する例では、2つのラッチ穴998が設けられている。第1のラッチ穴998aは、車輪150を上昇ポジション又は収容ポジションにロックするために使用され、第2のラッチ穴998bは、車輪150を下降ポジション又は展開ポジションにロックするために使用される。
図28(b)の左側では、車輪150は収容位置にあり、レール22の上方に持ち上げられており、ピン996は第1のラッチ穴998aと係合している。
図28(b)の右側では、車輪150は展開位置にあり、レール22と係合しており、ピン996は第2のラッチ穴998bと係合している。
【0083】
図29(a)は、車輪位置付け機構980の正面図であり、リニアソレノイド994及びピン996が見えるように、車輪150の中心が除去されている。
図29(b)は、同じ機構を後方から図示しており、ここでも、ロック機構が見えるように、車輪150の中心が取り除かれている。リニアソレノイド996は、ラッチ穴998と係合していることが分かる。
【0084】
図30(a及びb)は、ロック機構を有する車輪150の拡大図である。
図30(a)では、ピン996はリニアソレノイド994内に後退しており、ロック機構は作動していない。
図30(b)では、リニアソレノイド994からピン996が伸び、ロック機構が作動している。
【0085】
車輪の第1及び第2のセットの各車輪は、各車輪をそのそれぞれの第1及び第2の回転軸の周りで回転させるためのそれ自体の駆動機構を有する。格子構造上で第1又は第2の方向に積荷取扱デバイスを移動させるために、第1又は第2のセットの車輪は、同期して又は実質的に同時にそれらのそれぞれの第1の回転軸の周りを回転するように作動されるように構成され、方向を変更するために、第1及び/又は第2のセットの車輪は、それらのそれぞれの第2の回転軸の周りを回転するように作動されるように構成される。例えば、積荷取扱デバイスを第1の方向に移動させるために、車輪の第1のセットの駆動機構は、車輪の第1のセットのそれぞれをそれらのそれぞれの第1の軸の周りで同期して回転させるように命令されることができる。同様に、積荷取扱デバイスを第2の方向に移動させるために、車輪の第2のセットの駆動機構は、車輪の第2のセットのそれぞれをそれらのそれぞれの第1の軸の周りで同期して回転させるように命令されることができる。格子構造上で方向を変更する、すなわち、第1の方向又は第2の方向に移動するために、車輪の第1及び/又は第2のセットのそれぞれの車輪位置付け機構は、格子部材の第1又は第2のセットと係合又は係合解除するように同期してそれらのそれぞれの第2の回転軸の周りで関連する車輪(車輪の第1又は第2のセット)を回転させるように命令されることができる。
【0086】
車輪の第1及び第2のセットの下降(展開)及び上昇(収容)を介して、格子構造上のX方向からY方向に積荷取扱デバイスのアクティブ走行軸を切り替えるための概念的システムアーキテクチャは、
図23に示される車輪アセンブリ制御及びインターフェースアーキテクチャ1000内に捕捉されることができる。
図23において、積荷取扱デバイスの両側の一対の車輪134は、積荷取扱デバイスをX方向に駆動し、積荷取扱デバイスの両側の一対の車輪136は、積荷取扱デバイスをY方向に駆動する。車輪の第1のセット134及び第2のセット136の車輪の対のそれぞれは、制御モジュール1002によってそれらのそれぞれの第1の回転軸及び第2の回転軸の周りを回転するように命令される。制御モジュール1002は、1つ以上のプロセッサと、命令を記憶しているメモリとを備えることができ、命令が1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに、車輪の第1又は第2のセットに、それらのそれぞれの第1又は第2の回転軸の周りを同期して回転するように命令させる。メモリは、当技術分野で一般に知られている任意の記憶デバイスとすることができ、RAM、コンピュータ読取可能媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、又はデータを記憶するために使用され、プロセッサによってアクセスされることができる他の電子記憶媒体を含むが、それらに限定されない。1つ以上の処理デバイスは、当技術分野で知られている任意の処理デバイスとすることができる。典型的な例は、マイクロプロセッサを含むが、これに限定されない。車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136の車輪のそれぞれの駆動機構及び車輪位置付け機構は、任意の適切な通信インターフェースユニット1004を介して制御モジュールに通信可能に結合される。これらは、当技術分野で知られている任意のワイヤード又はワイヤレス(wireless)通信を含むが、これらに限定されない。
【0087】
動作中、積荷取扱デバイスのアクティブな走行軸の方向をX方向からY方向に、又はその逆に変更するとき、コントローラ又は制御モジュール1002は、格子部材又はトラックと係合するように、車輪の第1のセット134又は車輪の第2のセット136が下げられるように命令する。命令は、上述の車輪位置付け機構の異なる実施形態のいずれかを使用して、車輪の第1のセット134又は第2のセット136をそれらのそれぞれの第2の回転軸の周りで回転させることを含む。1つ以上のセンサ又は位置付けセンサを使用して、上昇又は下降状態にある車輪の第1又は第2のセットのポジションを検出することができる。位置センサは、車輪の第1及び第2のセットの車輪位置付け機構のそれぞれに組み込むことができる。
【0088】
本発明の実施形態によれば、車輪の第1のセット134及び車輪の第2のセット136のすべてが、車輪の第1のセット又は車輪の第2のセットが持ち上げられる、すなわち収容される前に、それぞれの格子部材又はトラックと係合されることが好ましい。これを行うために、収容ポジションにある上昇した車輪は、車輪の他のセットが上昇又は収容される前に、格子部材又はトラックと係合するように最初に下降される。
【0089】
方向を逆に変更する(他方のセットの車輪を下降させる前に、係合された車輪を上昇させる)動作を完了することは、問題となる。車輪の第1及び第2のセットの全てが格子部材又はトラックと係合するように、格子部材又はトラックと現在係合している車輪を上昇させることは、車輪のセットを係合解除するために積荷取扱デバイスを持ち上げるときに、約210kgの重量に達し得る積荷取扱デバイスの全重量を支えるために、車輪の持ち上げ又は第2のモータに大きな負担をかけることになる。これは、ロック機構が係合していない状態では、積荷取扱デバイスの重量が車輪の第1又は第2のセットのいずれかによって支持されるからである。最初に、車輪の一方のセットが上昇させながら積荷取扱デバイスがトラックに対して下降され、次いで、車輪の他方のセットが下降され、積荷取扱デバイスの全重量が再び上昇される間に、車輪の他方のセットが積荷取扱デバイスの重量を支持する必要がある。車輪を下降させる間に車輪位置付け機構に過剰な負荷をかけることに加えて、積荷取扱デバイスの全重量の上昇及び下降は不要であり、エネルギーを浪費する。
図6に示される特定の実施形態では、積荷取扱デバイスの重量は、格子構造と能動的に係合する4つの車輪によって支持される。車輪の第1のセット又は第2のセットは、車輪のそれぞれの個々のロック機構によって展開ポジションに保持される。車輪の第1及び第2のセットの全てが格子部材又はトラックと係合して(すなわち、展開ポジションにある)、積荷取扱デバイスが8つの車輪全てによって支持されると、積荷取扱デバイスがX方向に移動しているかY方向に移動しているかに応じて、関連する車輪セット(車輪の第1又は第2のセット)が上昇又は収容される。ロック機構を解除すると、車輪の第1又は第2のセットが係合解除され、それらのそれぞれの第2の回転軸の周りの回転によって上昇又は収容される。車輪の第1又は第2のセットは、車輪の第1又は第2のセットの全てが実質的に同時に上昇するように、同期して収容ポジションに上昇する。
【0090】
上述の異なる実施形態の全てにおいて、多くの異なる変形及び修正が可能であることが理解されるであろう。例えば、セット内の1つ以上の車輪は、単一のモータから適切な車輪のセットに動力を伝達するための適切な伝達機構を使用して、単一のモータによって動力を供給されることができる。
【0091】
本発明の積荷取扱デバイスは、格子フレームワーク構造を備える保管システム上で動作可能であり、前記格子フレームワーク構造は、格子パターンに配置された水平格子部材を支持する複数の直立部材を備える。格子フレームワーク構造は、
図1及び2を参照して、並びにPCT公開第WO2015/185628A号(Ocado)に記載されており、その詳細は参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
積荷取扱デバイスは、食料品アイテム又は衣類などのアイテムを保管する1つ以上のコンテナを移動させることができる。あるいは、コンテナは輸送用コンテナであってもよく、本発明の積荷取扱デバイスは、格子フレームワーク構造内に積み重ねられた1つ以上の輸送用コンテナを移動させるように配置される。
【国際調査報告】