(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】プラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20230926BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20230926BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20230926BHJP
【FI】
H01B13/00 Z
H01M10/0562
H01M10/054
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564232
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 CN2022091285
(87)【国際公開番号】W WO2023024569
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110976883.X
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285805
【氏名又は名称】昆明理工大学
(71)【出願人】
【識別番号】522411522
【氏名又は名称】江蘇風馳▲たん▼基新材料研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】Jiangsu Fengchi Carbon-based New Materials Research Institute Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 1 Factory Of The Pilot Base Park On The North Side Of Huancheng Road & The West Side Of Taishan Road, Pizhou Economic Development Zone Xuzhou, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梁 風
(72)【発明者】
【氏名】侯 敏杰
(72)【発明者】
【氏名】石 祥剛
(72)【発明者】
【氏名】張 涛
(72)【発明者】
【氏名】向 孫祖
(72)【発明者】
【氏名】楊 斌
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AL13
5H029AM12
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ06
5H029CJ08
5H029CJ12
5H029CJ28
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ14
5H029HJ18
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、プラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法を開示し、前記方法は次のステップを含む。ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理を行い、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を取得し、ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を所定の割合で秤量し、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を有機溶媒の中に溶解して混合溶液を取得し、その後、前記混合溶液を所定の金型の中に注入して、さらに乾燥して前記有機溶媒を除去し、且つ複合固体電解質膜に成形し、前記所定の金型から前記複合固体電解質膜を取り出してロールプレスし、ローリング処理された後の複合固体電解質膜を得る。本発明の方法は、生産周期が短く、コストが低く、大規模な商業化ができ、さらに商業化における固体電解質の応用を実現する。本発明の方法は、製造サイクルが短く、低コストであり、大規模な商業化が可能であり、さらに商業化における固体電解質の適用を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理を行い、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得るプラズマ改質処理ステップと、
ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を所定の割合で秤量し、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を有機溶媒の中に溶解して混合溶液を取得し、その後、前記混合溶液を所定の金型に注入し、乾燥させて前記有機溶媒を除去して複合固体電解質膜に成形し、前記所定の金型から前記複合固体電解質膜を取り出してロールプレスし、ローリング処理された後の複合固体電解質膜を得る複合固体電解質の製造ステップと、を含むことを特徴とするプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項2】
前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理を行うステップでは、前記プラズマ改質処理は、予め設定されたプラズマ雰囲気、予め設定されたガス流速、予め設定された電圧、予め設定された電流、及び第1のプリセット時間を採用し、
前記予め設定されたプラズマ雰囲気は、窒素、酸素、アルゴン、窒素酸素混合気体、窒素アルゴン混合気体及び空気の中の1つであり、圧力が大気圧であり、前記予め設定された電圧は、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に印加される電圧であり、且つ電圧範囲が10V~150Vであり、前記予め設定された電流は、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に印加され、且つ電流範囲が0.2A~2Aであり、前記第1のプリセット時間は、1min~60minであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項3】
前記所定の割合は、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子との質量比であり、
前記質量比の範囲は、10wt.%~80wt.%であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項4】
前記ポリマーの種類は、ポリオキシエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-cо-ヘキサフルオロプロピレン、及びポリエチレングリコールのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒は、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、及びN-メチルピロリドンのうちの一種または二種を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項6】
前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子とを有機溶媒の中に溶解して混合溶液を得るステップにおいて、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子とを前記有機溶媒の中に溶解して、機械的ボールミリングにより前記混合溶液を得ることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項7】
前記機械的ボールミリングは、所定の機械的ボールミリングの回転数で実施され、前記所定の機械的ボールミリングの回転数の範囲は、150r/min~400r/minであり、前記機械的ボールミリングの時間は、第2のプリセット時間であり、前記第2のプリセット時間の範囲は、5h~48hであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項8】
前記混合溶液を所定の金型の中に注入し、さらに乾燥させて前記有機溶媒を除去して、複合固体電解質膜に成形するステップは、前記混合溶液を前記所定の金型の中に注入し、且つ真空乾燥箱に入れて、前記真空乾燥箱の温度を所定の温度に調整し、且つ第3のプリセット時間保持することにより、前記複合固体電解質膜を取得し、
前記第3のプリセット時間の範囲は、15h~48hであり、前記所定の温度の範囲は、40℃~100℃であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項9】
前記ローリング処理された後の複合固体電解質膜の厚さは、30μm~100μmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【請求項10】
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ活性化処理を行い、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得るステップと、
前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を利用して厚さが30μm~100μmである複合固体電解質膜を得るステップと、
を含むことを特徴とするプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新エネルギー材料分野に関し、特にプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「デュアルカーボン」という国家戦略目標のもと、エネルギー構造の最適化を加速させ、新エネルギーを主体とした新型電力システムの構築が必然的な傾向となっている。新型エネルギー材料とエネルギー貯蔵装置の開発は、エネルギーのグリーン転換の推進、極端な事件への対応、エネルギーの安全保障、エネルギーの質の高い発展の促進、「デュアルカーボン」目標の実現に重要な意義がある。
【0003】
固体ナトリウムイオン電池は「21世紀に向けたグリーンエネルギー」と呼ばれ、伝統的なリチウム電池に比べて、固体ナトリウムイオン電池は原材料の埋蔵量が豊富で、生産コストが低く、安全性能が高く、作業環境の温度範囲が広く、環境にやさしいなどの利点がある。固体ナトリウムイオン電池の規模化応用は新型電力システムの相応の需要を満たすことができ、エネルギー分野の「カーボンピーク、カーボンニュートラル」の重要なサポートの1つとなっている。
【0004】
近年、ナトリウム金属負極の質量比容量が高く、電気化学ポテンシャルが低いことから、次世代の高エネルギー密度固体ナトリウムイオン電池のキー負極材料とされている。しかし、ナトリウム金属を負極とする場合、ナトリウムデンドライトの成長はセパレータを貫通して、電池内部が短絡し、熱暴走、可燃性及び爆発性などの問題をもたらし、固体電解質の使用は有機電解液による安全問題を根本的に解決することが期待されている。
【0005】
また、固体電解質は以下の幾つかの利点がある。1)安全性が高く、漏れと可燃性問題の発生を回避し、電池パックの包装要求を低減する。2)拡張可能な電位窓。3)高エネルギー密度。そのため、固体ナトリウムイオン電池の開発は広範な応用の将来性を持つだけでなく、エネルギー貯蔵装置と応用の革命的な変化を引き起こすのに十分であり、国家エネルギー安全戦略にも非常に重要な役割を果たしている。使用する固体電解質の種類に応じて、固体ナトリウムイオン電池は主に無機固体電解質電池とポリマー電池などに分けることができる。現在、優れた性能を持つ固体ナトリウムイオン電池の開発は、多くの科学と技術的課題に直面している。
【0006】
複合固体電解質はポリマー電解質と無機固体電解質とを結合し、界面インピーダンスが小さく、循環寿命が長く、記憶機能がなく、質が軽くて柔軟で加工し易いなどの独特な利点があり、電池の小型化と携帯化を実現する鍵である。しかし、このような材料の室温イオン伝導率が低く、成膜力学性能が悪く、気孔率が高く、電位窓が狭く、電極間界面との適合性が悪いなどの問題は固体ナトリウムイオン電池への応用を制限している。無機固体電解質粒子の表面エネルギーを増強し、ポリマー界面との親和性を改善し、性質が均一で、低気孔率、高イオン伝導率の複合固体電解質を得ることは、高性能全固体ナトリウムイオン電池を発展させるために解決すべき重要な問題である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、プラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法を提供し、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の表面エネルギーを高め、それとポリマー間の界面親和性を強め、低気孔率、安全で信頼性が高く、コストが安く、界面インピーダンスが小さい複合固体電解質を取得し、さらに、上記複合固体電解質を用いた固体ナトリウムイオン電池の循環寿命と電気化学特性を最適化する。
【0008】
上記の発明目的を達成するために、本発明の一実施例が提供するプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質は、以下のステップを含む。
プラズマ改質処理ステップ:ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理を行い、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
複合固体電解質の製造ステップ:ポリマーと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を所定の割合で秤量し、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を有機溶媒に溶解して混合溶液にし、その後、前記混合溶液を所定の金型の中に注入し、さらに真空乾燥して前記有機溶媒を除去して複合固体電解質膜に成形し、前記所定の金型から前記複合固体電解質膜を取り出してロールプレスを行い、ローリング処理された後の複合固体電解質膜を得る。
【0009】
従来の技術に比べて、上記のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の方法では、プラズマ改質処理を用いて前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ活性化処理を行い、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の表面エネルギーを増加させ、ポリマーとの親和性を改善した。調製した複合固体電解質の気孔率が低下し、イオン伝導率が増大し、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の凝集現象が改善された。固体ナトリウムイオン電池に応用すると、界面インピーダンスを減少させ、電池分極を低下させ、リチウムデンドライトの成長を抑制し、電池の循環寿命を延長し、電池パックの電気化学性能を向上させることができる。また、上記のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子及び複合固体電解質の製造プロセスは簡単で、基本的に複雑な反応プロセスに関連せず、エネルギー消費と設備の投資を低減した。また、本発明のいかなる技術段階にも「三廃」の発生はほとんどなく、グリーン産業理念に合致し、環境にやさしい。
【0010】
幾つかの実施例において、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理を行うステップでは、前記プラズマ活性化処理は、予め設定されたプラズマ雰囲気、予め設定されたガス流速、予め設定された電圧、予め設定された電流、及び第1のプリセット時間を採用し。前記予め設定されたプラズマ雰囲気は、窒素、酸素、アルゴン、窒素酸素混合気体、窒素アルゴン混合気体及び空気の中の1つであり、圧力が大気圧である。前記予め設定された電圧は、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に印加される電圧であり、且つ電圧範囲が10V~150Vである。前記予め設定された電流は、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に印加され、且つ電流範囲が0.2A~2Aである。前記第1のプリセット時間は、1min~60minである。具体的には、前記プラズマ活性化処理は、以上のような予め設定されたプラズマ雰囲気、予め設定されたガス流速、予め設定された電圧、予め設定された電流及び第1のプリセット時間を用いて、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質が高い表面エネルギー及びポリマー界面との優れた親和性を有するようにすることができる。
【0011】
幾つかの実施例において、所定の割合は、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子との質量比である。前記質量比の範囲は、10wt.%~80wt.%である。具体的には、上記の所定の割合に従って、気孔率を低下させ、ポリマーの結晶化を効果的に抑制し、ガラス転移温度を低下させ、比較的良い機械性とイオン伝導性を呈し、最終的に得られた複合固体電解質膜の機械性能とイオン伝導率が高く、しかも、電池が比較的優れた循環性能を有する。
【0012】
幾つかの実施例において、前記ポリマーの種類は、ポリオキシエチレン(PEO)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-cо-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)、ポリエチレングリコール(PEG)のうちの少なくとも1つを含む。具体的には、上述のポリマーを用いると、その電気化学的安定性がよく、誘電率が高く、熱力学的安定性がよく、イオンの急速な移行に有利な構造などの優位性で、最終的に得られた前記複合固体電解質膜が比較的優れた気孔率、イオン伝導率、機械的性能及び電気化学的性能を持つようになる。
【0013】
幾つかの実施例において、前記有機溶媒は、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、N-メチルピロリドン(NMP)のうちの1つまたは2つを含む。具体的には、上記の溶媒を用いる場合、上記のポリマーとの相溶性が良好であり、最終的に得られた上記複合固体電解質膜がより優れた微細構造及び機械的特性を有する。
【0014】
幾つかの実施例において、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を前記有機溶媒の中に溶解して混合溶液を得るステップでは、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を前記有機溶媒に溶解し、且つ機械的にボールミルして前記混合溶液を得る。具体的には、前記機械的ボールミリングは、所定の機械的ボールミリングの回転数で行われ、150r/min~400r/minの範囲であってよい。前記機械的ボールミリングの時間は第2のプリセット時間であり、前記第2のプリセット時間の範囲は5h~48hであってよい。具体的には、上記の回転数及び時間を用いた機械的ボールミリングは、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を前記有機溶媒中により均一に溶解させ、気泡の発生を減少させ、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の結晶粒をさらに微細化することができ、前記複合固体電解質をより小さいインピーダンス、より長いサイクル性能、より優れた電気化学性能を持たせることができる。
【0015】
幾つかの実施例において、前記混合溶液を所定の金型の中に注入し、さらに乾燥して前記有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜に成形するステップは、前記混合溶液を前記所定の金型の中に注入し、且つ真空乾燥箱に入れ、その後、前記真空乾燥箱の温度を所定の温度に調整し、且つ第3のプリセット時間保持することにより、前記複合固体電解質膜を得る。前記第3のプリセット時間の範囲は、15h~48hである。前記所定の温度の範囲は、40℃~100℃である。
【0016】
上記のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の方法において、プラズマ改質処理を用いて前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ活性化処理を行い、それを膜に成形し、前記ナトリウム超イオン伝導体型複合固体電解質膜に固体-固体界面の互換性を増加させ、界面インピーダンス及び電池の分極を低下させ、また、上記の複合固体電解質膜を用いた固体電池の循環寿命を延ばすことができ、且つ性能に優れている。具体的には、第3のプリセット時間及び前記所定の温度範囲を用いて、最終的に活性化された前記複合固体電解質膜を微細構造、機械的特性に優れたものとすることもできる。
【0017】
幾つかの実施例において、ローリング処理後の複合固体電解質膜の厚さは30μm~100μmであり、活性化された後の複合固体電解質膜の性能を良くすることができ、例えばナトリウムイオン輸送性能が良く、電池サイクル性能が良いという利点を有するようになる。
【0018】
さらに、上述のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子及び複合固体電解質の製造方法のプロセスフローは簡単であり、基本的に複雑な反応プロセスに関連せず、エネルギー消費と設備の投資を低減した。また、本発明のいかなる技術段階にも「三廃」の発生はほとんどなく、グリーン産業理念に合致し、環境にやさしい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の実施例における技術的態様をより明確に説明するために、以下では、実施例において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本願の幾つかの実施例を示すものにすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0020】
【
図1】本発明に係るプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の方法手順の概略図である。
【
図2】本発明が提供する別のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の方法手順の概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施例により得られた未改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造する場合の走査電子顕微鏡図(SEM)である。
【
図4】本発明の第1の実施例により得られたプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造する場合の走査電子顕微鏡図(SEM)である。
【
図5】本発明の第1の実施例により得られたプラズマ改質/非改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子のX線回折図(XRD)である。
【
図6】本発明の第1の実施例により得られた未改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造する場合のエネルギースペクトル分析(EDS)である。
【
図7】本発明の第1の実施例により得られたプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造する場合のエネルギースペクトル分析(EDS)である。
【
図8】本発明の第1の実施例により得られたプラズマ改質/非改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造した対称電池(Na/複合固体電解質/Na)の循環比較図である。
【
図9】本発明の第1の実施例により得られたプラズマ改質/未改質処理のナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造する場合の電気化学インピーダンススペクトル(EIS)の比較図である。
【
図10】本発明の第2の実施例により得られたプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造した対称電池(Na/複合固体電解質/Na)の循環図である。
【
図11】本発明の第3の実施例により得られたプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子で複合固体電解質を製造する場合の電気化学インピーダンススペクトル(EIS)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面及び具体的な実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の保護範囲は上記に限定されるものではない。
【0022】
前述のように、現在開発されている性能に優れた固体ナトリウムイオン電池は、依然として多くの科学と技術的課題に直面している。例えば、大きな界面(電極/固体電解質)抵抗、電極材料の体積変化、電極活物質の低負荷、及びサイクル安定性が悪いなどの問題がある。多くの挑戦の中で、早急に解決しなければならない重要な挑戦の1つは、固体電解質の密度を高め、気孔率を下げ、リチウム金属の空隙における不均一な堆積を抑制することである。この挑戦を克服する鍵は、無機固体電解質粒子に対して表面改質を行い、無機固体電解質と有機物の界面親和性を高めることができるかということである。
【0023】
本発明の実施例に係るナトリウム超イオン伝導体(NASICON)型固体電解質粒子のナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の分子式は、NaxZr2Six-1P4-xO12(1≦x≦4)である。本発明の実施例は、プラズマ改質機能を利用して、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の表面エネルギーを効果的に向上させ、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子とポリマーとの間の界面親和性を改善した。調製した複合固体電解質膜の気孔率が低下し、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の分布が均一であり、リチウム金属の均一な堆積を促進し、固体ナトリウムイオン電池の安定性と循環寿命を高めた。
【0024】
具体的には、
図1に示すように、本発明が提供するプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の方法は、以下のステップを含む。
プラズマ改質処理ステップ:ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理を行い、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
複合固体電解質の製造ステップ:ポリマーと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を所定の割合で秤量し、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を有機溶媒の中に溶解して、混合溶液を得る。その後、前記混合溶液を所定の金型に流し込み、更に真空乾燥を行い、前記有機溶媒を除去して複合固体電解質膜に成形し、前記所定の金型から前記複合固体電解質膜を取り出してロールプレスを行い、ローリング処理され後の複合固体電解質膜を得る。
【0025】
従来の技術に比べて、前記プラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の方法では、プラズマ改質処理を用いて前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をプラズマ活性化処理し、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子から製造する複合固体電解質の気孔率を低下させ、リチウムデンドライトの成長を抑制し、界面インピーダンス及び電池の分極を低下させ、そして、前記プラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を用いて製造された複合固体電解質の固体電池の循環寿命を延長し、且つ電気化学性能が優れている。また、上記のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法及び応用のプロセスフローは簡単で、基本的に複雑な反応プロセスに触れず、エネルギー消費と設備の投資を低減した。また、本発明のいかなる技術段階にも「三廃」の発生はほとんどなく、グリーン産業理念に合致し、環境にやさしい。
【0026】
前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理を行うステップは、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ改質処理し、且つ前記プラズマ改質処理は、予め設定されたプラズマ雰囲気、予め設定されたガス流速、予め設定された電圧、予め設定された電流、及び第1のプリセット時間を採用する。前記予め設定されたプラズマ雰囲気は、窒素、酸素、アルゴン、窒素酸素混合気体、窒素アルゴン混合気体及び空気の中の1つであり、圧力が大気圧である。前記予め設定された電圧は、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に印加される電圧であり、且つ電圧範囲が10V~150Vである。前記予め設定された電流は、前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に印加され、且つ電流範囲が0.2A~2Aである。前記第1のプリセット時間は、1min~60minである。具体的には、前記プラズマ活性化処理は、以上のような予め設定されたプラズマ雰囲気、予め設定されたガス流速、予め設定された電圧、予め設定された電流及び第1のプリセット時間を用いて、前記複合固体電解質が優れた微視的結晶構造、気孔率、イオン伝導率及び電池サイクル性能を有するようにすることができる。
【0027】
幾つかの実施例において、前記所定の割合は、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子との質量比であり、前記質量比は10wt.%~80wt.%の範囲である。具体的には、上記の所定の割合に従って、気孔率を効果的に低下させ、ポリマーの結晶化を抑制し、ガラス転移温度を低下させることができ、最終的に得られた前記ナトリウム超イオン伝導体型複合固体電解質膜の機械的性能とイオン伝導率が高く、しかも、電池が比較的優れた循環性能を有する。
【0028】
幾つかの実施例において、前記ポリマーの種類は、ポリオキシエチレン(PEO)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-cо-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)、ポリエチレングリコール(PEG)のうちの少なくとも1つを含む。具体的には、上述のポリマーを用いると、その電気化学的安定性がよく、誘電率が高く、熱力学的安定性がよく、イオンの急速な移行に有利な構造などの優位性で、最終的に得られた前記複合固体電解質膜が比較的優れた気孔率、イオン伝導率、機械的性能及び電気化学的性能を持つようになる。
【0029】
幾つかの実施例において、前記有機溶媒は、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、N-メチルピロリドン(NMP)のうちの1つまたは2つを含む。具体的には、上記の溶媒を用いる場合、上記のポリマーとの相溶性が良好であり、最終的に得られた上記複合固体電解質膜がより優れた微細構造及び機械的特性を有する。
【0030】
幾つかの実施例において、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を前記有機溶媒に溶解させて、150r/min~400r/minの範囲の所定の機械的ボールミル回転数で機械的ボールミルを行う。具体的には、上記の回転数の機械的ボールミリングを用いることにより、前記ポリマーと前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子とを前記有機溶媒の中により均一に混合させ、気泡の発生を減少させ、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の結晶粒をさらに微細化することができ、前記複合固体電解質により小さなインピーダンス、より長いサイクル性能、より優れた電気化学性能を持たせることができる。
【0031】
さらに、本発明が提供するプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質の方法は、以下のように簡単に要約することができる。
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ活性化処理を行い、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を用いて複合固体電解質膜を得る。
【0032】
ここで、ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ活性化処理を行い、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得るステップは、上記の
図1に示すプラズマ改質処理を採用する具体的なステップを含むことができる。前記活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を用いて複合固体電解質膜を得るステップは、上記の
図1に示す複合固体電解質の製造工程を含んでもよく、ここではこれ以上展開して詳細に説明しない。
【0033】
具体的には、前記複合固体電解質膜の厚さは30μm~100μmであってもよい。上記のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の方法において、プラズマ改質処理を用いて前記ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子に対してプラズマ活性化処理を行い、それを膜に成形し、前記ナトリウム超イオン伝導体型複合固体電解質膜に固体-固体界面互換性を増加させ、界面インピーダンス及び電池の分極を低下させ、また、上記の複合固体電解質膜を用いた固体電池の循環寿命を延ばすことができ、かつ性能に優れている。また、前記複合固体電解質膜厚は30μm~100μmであり、前記活性化された後の前記複合固体電解質膜の性能を比較的良くすることができ、例えば、ナトリウムイオン輸送性能が良く、電池サイクル性能が良いという利点がある。さらに、上述のプラズマ改質ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子及び複合固体電解質の製造方法のプロセスフローは簡単で、基本的に複雑な反応プロセスに触れず、エネルギー消費と設備の投資を低減した。また、本発明のいかなる技術段階にも「三廃」の発生はほとんどなく、グリーン産業理念に合致し、環境にやさしい。
【0034】
以下、第1~第8の実施例により、本発明を詳細に説明する。
【0035】
〔第1の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、1Aの動作電流、100Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を5分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0036】
(2)複合固体電解質の製造
20wt.% の割合でPVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、250r/minの回転数で24h機械ボールミリングして混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが20μmとなるようにロールプレスして、温度が80℃である真空乾燥箱に入れて24h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0037】
本実施例は、プラズマ活性化処理を行って得られたPVDF-HFP系ナトリウム超イオン伝導体型複合固体電解質に対して物理及び電気化学試験を行い、
図3と
図4の走査電子顕微鏡図を対比して分かるように、未処理の場合に比べて、低温プラズマ活性化処理を行った後にその表面クラックが減少し、気孔率が低下した。
図5から分かるように、処理前後の回折ピークの位置と強度に明らかな変化はなく、プラズマ活性化処理がナトリウム超イオン伝導体の結晶構造を変化させていないことを確認した。
図6と
図7を比較すると、低温プラズマ活性化処理を経た後、その粒径寸法と元素分布はより均一になり、凝集は明らかに減少したことが分かる。
図8と
図9から分かるように、未処理の場合に比べて、電池の分極は0.85Vから0.55Vまで低下し、1800h以上安定的に循環して、界面インピーダンスは58Ωから24Ωまで低下することができる。
【0038】
〔第2の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、2Aの動作電流、150Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を1分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0039】
(2)複合固体電解質の製造
PVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を80wt.% の割合で秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、400r/minの回転数で5h機械ボールミリングして、混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが100μmとなるようにロールプレスして、温度が80℃である真空乾燥箱に入れて15h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0040】
本実施例では、例えば、
図10に示すように、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子の含有量が80wt.% である複合固体電解質からなる対称電池(Na/複合固体電解質/Na)は、2100h以上安定的に循環でき、且つ0.5Vの安定した分極電圧を有している。
【0041】
〔第3の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、0.2Aの動作電流、10Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を60分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0042】
(2)複合固体電解質の製造
PVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を10wt.% の割合で秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、150r/minの回転数で48h機械ボールミリングして、混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが30μmとなるようにロールプレスして、温度が40℃である真空乾燥箱に入れて48h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0043】
本実施例では、前記複合固体電解質に対して交流インピーダンス試験を行い、
図11に示すように、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子から製造された複合固体電解質は未改質の複合固体電解質に比べて、明らかなインピーダンス低下という優勢があり、界面インピーダンスが58Ωから47Ωに低下した。
【0044】
〔第4の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、1.5Aの動作電流、130Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を5分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0045】
(2)複合固体電解質の製造
PVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を20wt.% の割合で秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、250r/minの回転数で24h機械ボールミリングして、混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが40μmとなるようにロールプレスして、温度が40℃である真空乾燥箱に入れて48h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0046】
本実施例では、前記複合固体電解質に対して物理及び電気化学試験を行い、未処理のものに比べて、比較的低いインピーダンスと分極を有するとともに、長い循環寿命を有する。
【0047】
〔第5の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、1.5Aの動作電流、130Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を10分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0048】
(2)複合固体電解質の製造
PVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を50wt.% の割合で秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、350r/minの回転数で10h機械ボールミリングして、混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが50μmとなるようにロールプレスして、温度が40℃である真空乾燥箱に入れて36h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0049】
本実施例では、前記複合固体電解質に対して物理及び電気化学試験を行い、未処理のものに比べて、比較的低いインピーダンスと分極を有するとともに、長い循環寿命を有する。
【0050】
〔第6の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、0.8Aの動作電流、60Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を40分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0051】
(2)複合固体電解質の製造
PVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を30wt.% の割合で秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、300r/minの回転数で30h機械ボールミリングして、混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが60μmとなるようにロールプレスして、温度が60℃である真空乾燥箱に入れて36h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0052】
本実施例では、前記複合固体電解質に対して物理及び電気化学試験を行い、未処理のものに比べて、比較的低いインピーダンスと分極を有するとともに、長い循環寿命を有する。
【0053】
〔第7の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、1.2Aの動作電流、80Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を50分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0054】
(2)複合固体電解質の製造
PVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を50wt.% の割合で秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、400r/minの回転数で30h機械ボールミリングして、混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが60μmとなるようにロールプレスして、温度が60℃である真空乾燥箱に入れて36h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0055】
本実施例では、前記複合固体電解質に対して物理及び電気化学試験を行い、未処理のものに比べて、比較的低いインピーダンスと分極を有するとともに、長い循環寿命を有する。
【0056】
〔第8の実施例〕
(1)プラズマ改質処理
ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を窒素ガスの条件下で、10m/sのガス流速、0.5Aの動作電流、40Vの電圧で、低温プラズマ活性化処理を60分間行い、その後、室温まで冷却し、活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を得る。
【0057】
(2)複合固体電解質の製造
PVDF-HFPとステップ(1)で得られた活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子を50wt.% の割合で秤量し、PVDF-HFPと活性化ナトリウム超イオン伝導体型固体電解質粒子をアセトンとN,N-ジメチルホルムアミドの中に溶解し、400r/minの回転数で30h機械ボールミリングして、混合溶液を得る。その後、上記の混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型の中にゆっくりと注入し、さらに厚さが60μmとなるようにロールプレスして、温度が80℃である真空乾燥箱に入れて24h静置することにより、上記の有機溶媒を除去し、複合固体電解質膜を得る。
【0058】
本実施例では、前記複合固体電解質に対して物理及び電気化学試験を行い、未処理のものに比べて、比較的低いインピーダンスと分極を有するとともに、長い循環寿命を有する。
【0059】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は上記の実施例に限定されるものではなく、他のいかなる本発明の精神的実質と原理から逸脱することなくなされた変更、修飾、置換、組み合わせ及び簡略化は、いずれも等価な置換方式であり、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】