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特表2023-541512プロセストレースのための自動窓生成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】プロセストレースのための自動窓生成
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
G06F11/34 166
G06F11/34 152
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504306
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021042840
(87)【国際公開番号】W WO2022020640
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/055,885
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】520266557
【氏名又は名称】ピーディーエフ ソリューションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バーチ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】国俊 一樹
(72)【発明者】
【氏名】有賀 美知雄
(72)【発明者】
【氏名】龝谷 宜親
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042HH30
5B042MA08
5B042MA13
5B042MA14
5B042MC08
(57)【要約】
トレース分析のための窓の自動定義。各プロセスステップに対して、トレースデータが、プロセスステップの始まりおよびプロセスステップの終わりの両方に位置合わせされて、変化率を含む統計量が、プロセスステップの始まりおよびプロセスステップの終わりの両方から計算される。計算された統計量の分析に基づき窓が生成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置トレースデータの分析のための自動窓定義のための方法であって、
半導体プロセスの複数のプロセスステップ中に複数の装置センサーから複数のセンサートレースを受信することと、
前記複数のプロセスステップの各それぞれのステップに対して、
各センサートレースを前記それぞれのステップの始まりに位置合わせすること、
前記それぞれのステップの前記始まりに位置合わせされた各センサートレースに対して第1の変化率を計算すること、
各センサートレースを前記それぞれのステップの終わりに位置合わせすること、および
前記それぞれのステップの前記終わりに位置合わせされた各センサートレースに対して第2の変化率を計算すること、
を行うことと、
境界を付けるために複数の窓を定義して、前記複数のセンサートレースの各々に対して計算された前記第1および第2の変化率に主に基づき各窓内の前記センサートレースを分析することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記定義ステップは、
前記第1の変化率または前記第2の変化率が閾値よりも増大または減少している少なくとも第1の領域内でセンサートレースの境界を付けるために第1のタイプの窓を定義することと、
前記第1の変化率または前記第2の変化率が前記閾値を超えていない少なくとも第2の領域内でセンサートレースの境界を付けるために第2のタイプの窓を定義することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算ステップの各々に対して、
前記それぞれのステップの前記始まりに位置合わせされた各センサートレースに対して第1のセットの他の統計計算を実行すること、および
前記それぞれのステップの前記終わりに位置合わせされた各センサートレースに対して第2のセットの他の統計計算を実行すること
を行うことと、
前記複数のセンサートレースの各々に対して計算された前記第1および第2の変化率ならびに前記第1および第2のセットの他の統計計算に基づいて前記複数の窓を定義することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記位置合わせステップの前に前記複数のセンサートレースの各々をスケーリングすること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記定義ステップは、
各プロセスステップの前記始まりおよび前記終わりにおいて複数の遷移期間を識別することと、
前記複数の遷移期間の間に、前記入力データをクラスター化して類似の変化率を有するセンサートレースをグループ化することと、
前記複数の遷移期間を拡張することと、
前記遷移期間内および前記遷移期間の間の類似の窓を併合することと
をさら含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
遷移期間を識別する前記ステップは、
前記複数のセンサートレースの値が急激に変化している領域を識別すること
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
遷移期間を拡張する前記ステップは、
前記複数のセンサートレースの値があまり急激に変化していない隣接した領域の小さな部分を遷移期間に組み込むこと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
半導体装置トレースデータの前記分析における自動窓定義のための方法であって、
複数の半導体装置センサーから取得されたトレースデータを受信することであって、前記トレースデータは半導体プロセス内の複数のプロセスステップと関連付けられていることと、
各プロセスステップに対する前記トレースデータを、第1のインスタンスにおいて、前記プロセスステップの始まりに、第2のインスタンスにおいては、前記プロセスステップの終わりに位置合わせすることと、
各プロセスステップに対して位置合わせされたトレースデータの前記第1のインスタンスおよび第2のインスタンスに対する変化率を含む統計量を計算することと、
前記位置合わせされたトレースデータに対して前記計算された統計量の分析から前記トレースデータに対する複数の窓を生成することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記生成ステップは、
各プロセスステップの前記始まりおよび前記終わりにおいて複数の遷移期間を識別することと、
前記複数の遷移期間の間で、トレースデータをクラスター化して類似の変化率を有するトレースデータをグループ化することと、
前記複数の遷移期間を拡張することと、
類似の窓を併合することと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
遷移期間を識別する前記ステップは、
前記複数のセンサートレースが急激に変化している領域を識別すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
遷移期間を拡張する前記ステップは、
前記センサートレースがあまり急激に変化していない隣接した領域の小さな部分を遷移期間に組み込むこと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トレースデータを前記位置合わせステップにスケーリングすること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
半導体装置トレースデータの前記分析における自動窓定義のための方法であって、
複数の半導体装置センサーから取得されたトレースデータを受信することであって、前記トレースデータは半導体プロセス内の複数のプロセスステップと関連付けられていることと、
前記半導体プロセスの各ステップに対して、
前記ステップと関連付けられた前記トレースデータを前記ステップの前記始まりに位置合わせすること、
前記ステップの前記始まりに位置合わせされた前記トレースデータに対する変化率を含む統計量を計算すること、
前記ステップと関連付けられた前記トレースデータを前記ステップの前記終わりに位置合わせすること、
前記ステップの前記終わりに位置合わせされた前記トレースデータに対する変化率を含む統計量を計算すること、
前記ステップの前記始まりに位置合わせされた前記トレースデータおよび前記ステップの前記終わりに位置合わせされた前記トレースデータに対して前記計算された統計量を分析すること
を行うことと、
前記計算された統計量の前記分析に基づき前記トレースデータに対する窓を計算することと
を含む、方法。
【請求項14】
窓を計算する前記ステップは、
各プロセスステップの前記始まりおよび前記終わりにおいて複数の遷移期間を識別することと、
前記複数の遷移期間の間で、トレースデータをクラスター化して類似の変化率を有するトレースデータをグループ化することと、
前記複数の遷移期間を拡張することと、
類似の窓を併合することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
遷移期間を識別する前記ステップは、
前記複数のセンサートレースが急激に変化している領域を識別すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
遷移期間を拡張する前記ステップは、
前記センサートレースがあまり急激に変化していない隣接した領域の小さな部分を遷移期間に組み込むこと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記位置合わせステップの前に前記トレースをスケーリングすること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体装置故障の検出および分類のためのプロセストレース分析の使用に関し、より詳細には、プロセストレース分析のための窓を自動的に定義するための機械ベースの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装置センサーの時系列トレースを監視することによる装置故障の検出は、長く認識されているが、半導体製造においては非常に困難な問題である。典型的には、故障検出および分類(「FDC」)のための方法は、複雑なトレースを論理「窓」に分割し、次いで窓内のトレースデータに関して統計量(指標またはキー番号と呼ばれることが多い)を計算することから始まる。指標は、主に工学知識に基づき特徴または異常を識別するために統計的プロセス管理(「SPC」)技術を使用して監視でき、予測モデルおよび根本原因分析のための入力として利用できる。しかし、指標の品質は全ての後続の分析の値を決定し:高品質指標は高品質窓定義を要求する。
【0003】
従来の方式で、窓定義はほとんどが手動であり、FDC技術の使用における鍵となる制限および最大コストの1つである。さらに、既存の自動窓掛けアルゴリズム(automatic windowing algorithm)があるが、それらは典型的には、高品質の窓を生成するために広範囲におよぶ手動介入を必要とする。従って、FDC解析方式においてトレース窓を定義および使用するための改善された技術を発見することは望ましいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】半導体製造プロセスの複数のステップに対して経時的に取得されたトレースデータのグラフ表示である。
図1B】トレースデータの上に定義された窓をもつ図1Aのグラフ表示である。
図2】自動的に窓を定義するためのプロセスを例示する流れ図である。
図3A】ステップIVの始まりに位置合わせされた図1AのステップIVからのデータのグラフ表示である。
図3B】ステップIVの終わりに位置合わせされた図1AのステップIVからのデータのグラフ表示である。
図4A図3Aから取られてステップIVの始まりに位置合わせされた目盛り付きデータのグラフ表示である。
図4B図4Aの各時点におけるセンサーデータに対する変化率または安定度のグラフ表示である。
図5A図3Bから取られてステップIVの終わりに位置合わせされた目盛り付きデータのグラフ表示である。
図5B図5Aの各時点におけるセンサーデータに対する変化率または安定度のグラフ表示である。
図6】窓を自動的に計算するためのプロセスを例示する流れ図である。
図7A図1Aからのトレースデータに関する図6のプロセス中の第1のステップの実行結果のグラフ表示である。
図7B図7Aからのトレースデータに関する図6のプロセス中の第2のステップの実行結果のグラフ表示である。
図7C図7Bからのトレースデータに関する図6のプロセス中の第3のステップの実行結果のグラフ表示である。
図7D図7Cからのトレースデータに関する図6のプロセス中の第4のステップの実行結果のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書では、用語「センサートレース」は、装置の動作中に定期的に重要な物理量、例えば、各時点において物理センサーのサンプル値、を測定する時系列データを指す。サンプリングレートは変動し得、サンプル間の期間は必ずしも同じではないことに留意されたい。用語「トレース」または「装置トレース」は、特定の処理インスタンスに対して識別された全ての重要なセンサーに対するセンサートレースの集合を指す。用語「ステップ」は、別個の装置処理期間、例えば、プロセスレシピ内のステップの1つを指す。
【0006】
図1Aを参照すると、400の個々のトレースから取られたデータ、すなわち、半導体製造プロセスの6つの個々のステップI~VI中に取られた、別個のセンサーからの時系列値を表す、トレースデータの例示的なグラフィカルプロット100が提示されている。ステップIの開始から始まるx軸上の秒単位で測定された実際の経過時間に対して、センサー値がy軸上にプロットされている。プロセスの各ステップは図1Aで固有のアイコンとして表され、特に遷移期間において、センサー挙動をより良く例示して区別する。プロセスステップは通常、特定の時点において開始するが、ステップの長さはプロセスの異なる実行中に変わり得ることに留意されたい。
【0007】
図1Aにおける経時的なセンサーデータの単純目視観測から、基本的な統計指標の計算に関連する問題は明らかなはずである、すなわち、特にトレース値が急激に変化している場合、統計的尺度は単純にはセンサー活動の全体像を提供できない。例えば、ステップIVにおいては明らかに多くが進行中であり、基本的な統計的尺度はその活動を完全には説明できない。
【0008】
ステップIは、t=0から略t=10秒まで、公称センサー値で実行する。ステップIIは、略t=10からt=13まで実行し、センサー値は急増して、その後急降下する。ステップIIIは、略t=13からt=25まで実行し、センサー値は初めは降下して終わりは増加し、略t=17~t=22の間は公称センサー値の安定期間である。
【0009】
ステップIVは、これらのステップのいずれかの最も長い期間を有しており、略t=25からt=100まで継続するが、このステップの始まりから終わりまでの間に重要な遷移が生じて、いくつかのセンサートレースは約t=75で降下し始めるが、センサートレースの最後はt>100で降下し、センサー値はステップ時間における変動に起因してやがてさらに大きく広がるので、略t=75~t=85の間で降下するセンサートレースの1つのグループと、略t=90~t=100の間で降下するセンサートレースの第2のグループとの間に明確な時間の区別を明示する。おおよそt=45~t=75の間に長い安定期間も存在する。
【0010】
ステップVで、センサートレースは2つの異なる時間グループで公称値に遷移し、ステップVIで、センサートレースは2つの異なる時間グループにおいて公称値で安定している。
【0011】
従来型のアプローチでは、技術スタッフが、単にグラフ結果の視覚レビューに基づいて手動で窓を確立して、大まかに(i)トレースデータが安定し、かつ(ii)変化率が同じである場所に窓を手動で定義しようとする。例えば、それらの目的を所与として、図1Bは、トレースデータが安定しているか、または変化率が同じであるかのいずれかの領域上に手動で課された窓例を示す。
【0012】
図2は、トレースデータを評価するために有用な窓を自動的に定義するための方法200の一実施形態を示す。項目202で、各プロセスステップに対するトレースデータが、第1のインスタンスでは、プロセスステップの始まりから、第2のインスタンスでは、プロセスステップの終わりから、位置合わせされる。データをプロセスステップの始まりに「位置合わせする」ために、そのプロセスステップ内の各センサートレースに対する最短時間を、そのプロセスステップ内の各センサートレースの各値から差し引く。次いで、全てのセンサートレースの時間変数を一定時間ステップに内挿し、これを「ステップ時間(StepTime)」を呼ぶ。データをプロセスステップの終わりに「位置合わせする」ために、各センサートレースに対するステップ時間の最大値を、そのセンサートレースに対するステップ時間の全ての値から差し引き、これを「レムステップ時間(remStepTime)」と呼ぶ。
【0013】
項目204で、統計量が各プロセスステップの始まりと終わりの両方から計算される。具体的には、安定度の新規の定義が計算された統計量に含まれる。項目206で、ステップの始まりと終わりの両方からの統計量を分析することによって窓が計算される。方法200の各項目がここでさらに詳細に説明される。
【0014】
例えば、図3Aおよび図3Bは、方法項目202の結果を示す。図3Aで、2つの異なるレシピに対するステップIVからのセンサーデータは依然としてy軸上にプロットされるが、全ての値は時間においてステップの始まりに位置合わせされる。同様に、図3Bで、ステップIVからのセンサーデータ値は時間においてステップの終わりから位置合わせされる。トレースの始まりと終わりの両方からの窓を分析することの利点は、位置合わせされたデータを観察するときに明らかである。ステップの処理時間または長さは可変であるので、トレースの第1の部分に対する統計量はトレースの始まりから最も良く計算でき、同様に、トレースの最後の部分に対する統計量はトレースの終わりから最も良く計算できることが図3Aおよび図3Bの例から明らかなはずである。
【0015】
効果的な自動窓定義への第2の鍵は、ステップの始まりと終わりの両方からの各プロセスステップの各時点に対して項目204で統計量を計算することである。要約統計量を両方の方向において構築することにより、たとえステップが時間においてトレースによって異なっても、最適な窓を識別することが可能である。中央値、平均、標準偏差(ロバスト推定を含む)および推定勾配を含む、多数の統計量が有用であることが分かり得る。
【0016】
効果的な窓を構築するための鍵であり新規の1つの追加の統計量は、各時点におけるトレースに対する変化率の推定である。本開示の目的のため、変化率のこの推定は、本明細書では「安定度(stability)」と呼ばれ、遷移窓を安定窓から分離するために最も良い指標である。例えば、図4Aは、ここではy軸上のセンサー値が0から1までの目盛り付きで、変化率、すなわち、安定度が、様々な大きさで変動するセンサー間で同等になるように、ステップ時間またはステップの長さに対してプロットされる点を除いて、図3Aと同様に、ステップの始まりから位置合わせされてプロットされたトレースデータを例示する。この目盛り付きセンサー値は次いで全ての統計量を計算するために使用されて、センサーの元の範囲を考慮することなく、それらの統計量を評価するのを容易にする。図4Aのデータに基づき、各トレースに対する変化率が推定されて、図4Bは、ステップの始まりに位置合わせされた、同じステップに位置合わせされた時間フレームにわたって推定された安定度に対する対応するプロットを示す。同様に、図5Aは、ステップの終わりから位置合わせされてプロットされたステップIVの目盛り付きトレースデータを例示し、図5Bは、ステップの終わりに位置合わせされた、同じステップに位置合わせされたフレームにわたる対応する安定度プロットを示す。
【0017】
センサートレースが滑らかに変化している場合、変化率は単純に、現在の時刻の値と、前と次の値の間の目盛り付きセンサー値における差を標準時ステップで割った絶対値の最大値である。安定度は、変化率または変化率の何らかの単調な変換であり得る。トレースが、反復データ点または固有の雑音に起因して滑らかに変化していない場合、変化率の計算は、特定の要件に基づくもっと複雑なアルゴリズムを必要とし得る。
【0018】
センサー測定値は、ステップの始まりにおいて(図4B)約t=3~t=18まで、およびt=38~t=100まで、安定している(低値)ように見えるが、ステップの終わりからデータを見ると(図5B)、センサー測定値は約t=80~t=140まで安定しているように見えることが安定度プロットの観察から明らかである。
【0019】
項目204での統計量の計算に続いて、各ステップの始まりと終わりの両方からの統計量を分析することによりステップ206で窓が計算される。図6は、統計量を使用して窓を計算するための一方法600を例示しており、対応するグラフ結果が図7A図7Dに示されている。図7A図7Dで、訓練データセット内の異常トレースを処理するための自動窓掛けプロセスに対する能力を実証するために、異常挙動を示す28のトレースが図1Aに表されたデータに追加された。
【0020】
項目602で、各ステップの始まりと終わりにおける遷移期間、すなわち、トレースが急激に変化している領域が判断される。これは、方法200の項目204で計算された安定度および中央値を分析することによって行うことができる。図7Aは、トレースデータに対する統計量の分析結果を示しており、その図で遷移領域に対する5つの窓が矩形アイコンによって示されており、非遷移領域に対する6つの窓が円形アイコンによって示されている。
【0021】
遷移期間の間の全ての領域が次いで、類似の安定度値を有する隣接点をグループ化するために項目604でクラスター化される。この項目は、内部遷移を識別する。例えば、図7Bは、類似の安定度値に基づく隣接したデータ点のクラスター化の結果を示す。この項目は、図7Aと比較して、追加の遷移窓および非遷移窓の幾分かの分割となる。
【0022】
理想的には、遷移窓は、比較的安定したデータを持つ窓間の急激に変化しているデータを持つ窓のはずである。項目606で、遷移窓は、例えば、変化率/安定係数において小さな差を有する追加点を含むことによって、図7Cに示されるように、その目標に近づくために比較的少量だけ拡張される。
【0023】
項目608で、類似の窓および非常に短い窓が隣接窓と併合されて窓数を削減し、項目610で、最終的な窓数およびタイプが窓内の点の統計量に基づいて推定される。3つの別個のタイプの11の窓をもつ結果が図7Dに示されており:4つの遷移窓が矩形アイコンによって定義され、3つの安定窓が円形アイコンによって示され、4つの一般的な窓(安定でなく、遷移でない)が三角アイコンによって示されている。
【0024】
項目610で割り当てられた窓タイプは、統計指標が、計算された指標の品質を最大限にして、生成された指標の数を最小限にするようにカスタマイズされるのを可能にする。
【0025】
トレース窓の自動生成は、並列処理アーキテクチャの出現および機械学習アルゴリズムの発展によって容易にされ、それらはユーザーが問題をモデル化して洞察を得て、膨大な量のデータを高速で使用して予測を行うのを可能にして、かかるアプローチを適切で現実的にする。機械学習は、データから学習できるシステムの構成および研究を伴う人工知能の分野である。これらのタイプのアルゴリズムは、並列処理能力と共に、遥かに大規模なデータセットが処理されるのを可能にして、特に多変量解析に遥かに良く適する。
【0026】
自動窓掛けのためのプロセッサベースモデルの作成および使用は、デスクトップベース、すなわち、スタンドアロン、またはネットワークシステムの一部にできるが、何らかの対話性と共に処理および表示される大量の情報を所与として、プロセッサ能力(CPU、RAMなど)は有効性を最大限にするために現在の最先端技術にすべきである。半導体製造工場環境では、Exensio(登録商標)解析プラットフォームが、対話型GUIテンプレートを構築するための有用な選択である。一実施形態では、処理ルーチンのコーディングは、Spotfire(登録商標)解析ソフトウェアバージョン7.11以上を使用して行われ得、それは、主に機械言語モデルをコーディングするために使用される、Pythonオブジェクト指向プログラミング言語と互換性がある。
【0027】
前述の説明は、例示のみを目的として提示されており-網羅的であることも、本開示を説明される正確な形に限定することも意図していない。多くの修正および変形が前述の教示に照らせば可能である。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】