(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】設計が強化された3D印刷された支持ブロック
(51)【国際特許分類】
B41F 15/20 20060101AFI20230926BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230926BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230926BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20230926BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20230926BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B41F15/20
B33Y80/00
B33Y10/00
B29C64/118
B41F15/08 303E
H05K3/34 505D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507431
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 US2020049945
(87)【国際公開番号】W WO2022055482
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514073570
【氏名又は名称】ジャビル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バージェス,ダリン
(72)【発明者】
【氏名】クロケット,ランディ
(72)【発明者】
【氏名】デロゼット,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】サンタクマール,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】クリムチャク,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド,アンワル エー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】シン,ハープニート
(72)【発明者】
【氏名】トーレス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】トーレス,フェリペ
【テーマコード(参考)】
2C035
4F213
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA25
4F213AA45
4F213AA50
4F213AG07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL23
5E319AA03
5E319AA08
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD29
5E319GG20
(57)【要約】
プリント回路板(PCB)およびプリント回路板アセンブリ(PCBA)のための支持ブロックであって、支持ブロックは、3D印刷プロセスから製作される。支持ブロックは、真空接続部を有する下面と、少なくとも1つの真空穴を有する上面と、上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、真空接続部から少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷された支持ブロックであって、
真空接続部を有する下面と、
少なくとも1つの真空穴を有する上面と、
前記上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、
前記真空接続部から前記少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路と
を備える、3D印刷された支持ブロック。
【請求項2】
前記3D印刷された支持ブロックは、押し出されたポリマーの連続片から製作される、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項3】
前記3D印刷された支持ブロックの少なくとも一部は、静電気放電防護されたポリエチレンテレフタレートグリコールから製作される、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項4】
前記3D印刷された支持ブロックの一部は、熱可塑性エラストマーから製作される、請求項3記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項5】
前記3D印刷された支持ブロックの一部は、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンから製作される、請求項3記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項6】
前記上面または前記少なくとも1つの凹設面から前記下面に向かって延在する磁石用通路をさらに備える、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項7】
前記磁石用通路は、前記磁石用通路の上側に隣接する開口と、前記開口内に配置されたインサートホルダとを含む、請求項6記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項8】
前記磁石用通路内に少なくとも1つの磁石が配置される、請求項6記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項9】
前記3D印刷された支持ブロックは、前記3D印刷された支持ブロックに隣接して位置決めされた少なくとも1つの平行支持ブロックに機械的または磁気的に固定される、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項10】
前記3D印刷された支持ブロックの一部を形成するように第1の材料が堆積させられ、前記少なくとも1つの真空穴の周囲に周方向に第2の材料が堆積させられる、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項11】
3D印刷された支持ブロックを製作するための方法であって、
真空接続部を有する下面と、
少なくとも1つの真空穴を有する上面と、
前記上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、
前記真空接続部から前記少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路と
を備える支持ブロックを3D印刷するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記3D印刷された支持ブロックは、ISO14644-1クリーンルーム規格によって定義されるクリーンルーム内で印刷される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記3D印刷のための原材料は、液化されてリサイクルされる3D印刷された支持ブロックから製作される、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記3D印刷された支持ブロックは、スクリーンプリンタにおいてプリント回路板またはプリント回路板アセンブリを保持する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記3D印刷された支持ブロックは、X線検査機械においてプリント回路板またはプリント回路板アセンブリを保持する、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記3D印刷された支持ブロックは、前記上面または前記少なくとも1つの凹設面から前記下面に向かって延在する磁石用通路をさらに備える、請求項11記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項17】
前記磁石用通路は、前記磁石用通路の上側に隣接して形成された開口と、前記開口内に配置されたインサートホルダとを有する、請求項16記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項18】
前記磁石用通路の各々の内部に少なくとも1つの磁石が位置決めされる、請求項16記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項19】
前記支持ブロックは、スクリーンプリント回路板アセンブリ、試験固定具、通止固定具、またはウェーブはんだ付けパレットのうちの1つに配置される、請求項17記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項20】
前記上面は、第1の材料から製作され、前記3D印刷された支持ブロックの残りの部分は、第2の材料から製作される、請求項11記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項21】
物品上にスクリーン印刷するためのスクリーンプリンタであって、
リフトプレートと、
前記リフトプレート上に配置された真空ブロックと、
前記リフトプレート上に取外し可能に配置された少なくとも1つの支持バーと、
前記真空ブロックおよび前記少なくとも1つの支持バー上に載置される下面、ならびに前記スクリーン印刷中に前記物品を支持するように構成された上面を有する3D印刷された支持ブロックと
を備える、スクリーンプリンタ。
【請求項22】
前記3D印刷された支持ブロックは、前記3D印刷された支持ブロック内に配置された少なくとも1つの磁石を含み、前記少なくとも1つの支持バーは、磁気吸引材料から形成され、前記少なくとも1つの支持バーは、前記3D印刷された支持ブロック内に配置された前記少なくとも1つの磁石を磁気吸引するように構成される、請求項21記載のスクリーンプリンタ。
【請求項23】
前記3D印刷された支持ブロックの下面は、前記真空ブロックの上面に形成された真空ポートと流体連通する真空接続部を含む、請求項21記載のスクリーンプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクリーンプリント回路板アセンブリ、試験固定具、通止固定具、ウェーブはんだ付けパレットなどのための3D印刷された支持ブロックの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この区分では、本開示に関連する背景情報が提供され、背景情報は、必ずしも先行技術ではない。プリント回路板アセンブリ(PCBA)は、ある位置から別の位置に電子を運ぶための導電性トレースを含むプリント回路板(PCB)を備える。このトレースは、通常、銅製であり、ある部品から別の部品に電子が流れることを可能にする。部品として、集積回路、抵抗器、コンデンサ、ダイオードなどが挙げられる。表面実装技術(SMT)とは、プリント回路板の表面上に電子部品を直接実装する方法のことである。
【0003】
SMTプロセスでは、スクリーンプリンタを使用して、PCB上の決められた位置にはんだペーストを堆積させることができる。はんだペーストは、フラックス材料中に懸濁された少量の導電性金属を含有する。フラックス材料は、熱を加えて金属を溶融させる加熱リフロー工程の前に、一時的に部品を回路基板に付着させて、部品と回路基板とを融着させるものである。はんだペーストが回路基板上に堆積させられた後、部品が湿潤はんだペースト上に配置され、組み合わせたPCB、湿潤はんだペースト、および(所定の位置にある)部品が、リフロープロセスにおいて一緒に融着される。リフロープロセスは、湿潤はんだを加熱して、湿潤はんだ内に含有される金属を溶融させるものである。これにより、部品が回路基板に融着し、PCBと部品との間の良好な接触が保証される。リフロー工程の後、PCBAは特定の速度で冷却され、はんだが凝固し、それによって、部品がPCBAに取り付けられる。
【0004】
スクリーンプリンタは、PCBおよびPCBA上にステンシルを配置するものである。ステンシルは、開口を有し、はんだペーストが開口に堆積させられる。はんだペーストは、ステンシル上の第1の面に厚く塗り広げられ、スキージを用いて、ステンシル上にはんだペーストが均一に塗り広げられる。はんだペーストは、ステンシル内の開口(穴)を充填し、ステンシルの下に位置するPCB(またはPCBA)上に堆積させられる。スキージによってPCB(またはPCBA)全体にはんだペーストを塗り広げた後、ステンシルはPCB(またはPCBA)から分離され、特定の位置に湿潤はんだペーストを有するPCB(またはPCBA)が残る。次いで、これらの特定の位置に部品が取り付けられる。
【0005】
スキージは、回路基板に下向きの力を加えながら、はんだペーストを回路基板全体に塗り広げる。したがって、回路基板の撓みを防止するとともに、はんだペーストの厚みが不均一になることを防止するために、回路基板が下方から支持される。平坦な下面を有する回路基板の場合、平坦な支持体を使用することができる。しかしながら、両面に部品を有する回路基板の場合、部品が存在することにより、平坦な支持体は機能しない。回路基板の下側面上の部品は、平坦な支持体と回路基板との間で圧縮されることで損傷を受ける可能性がある。さらに、部品が基板の下面に存在し、かつ支持体が平坦である場合、基板の上面が不均一になる可能性が高い。両面に部品を有する回路基板の場合、種々の高さのピンまたは特殊な支持ブロック(プレートまたはパレットとも称される)が一般的に使用される。特殊な支持ブロックとして、典型的には、2つの部品、すなわち、上側ブロックおよび下側ブロックが挙げられる。支持ブロックの構成材料は、典型的にはアルミニウムである。上側ブロックは、平坦ではなく、PCBAの下側の部品が内部に受容されることを可能にするための切欠きを有する。下側ブロックは、上側ブロックの下に取り付けられ、その結果、上側ブロックおよび下側ブロックの外縁は密に封止される。下側ブロックは、典型的には、真空源を取り付けるための開口を有する。PCBAが上側ブロックの上にある場合、PCBAを上側ブロックに固定するために、下側ブロックの開口を通して真空引きが行われる。真空圧は、PCBAを取り除く前に除去される。
【0006】
上述した支持ブロックは、スクリーン印刷プロセスにおいて有用であるが、最適な表面平坦性を提供するものではない。この問題は、2ブロック設計の場合、各ブロックに寸法公差(変動)があり、組み合わせた支持ブロックの合計寸法公差(変動)が個々の公差の各々の和となるため悪化する。現在の支持ブロックは高価であり、現場外で製作してPCBA組立の現場に輸送することが要求されていることが多い。支持ブロックは、多くの場合、CNC機械加工などの除去製造によって製造されている。除去製造プロセスでは、所望の形状を達成するために、固体材料の開始片から材料が除去される。したがって、除去製造によってPCBA支持ブロックを製作する場合、PCBA上の部品の数が増大するにつれて、PCBA支持ブロックを製作するための加工時間およびコストが増大する。さらに、現在のアルミニウム製の支持ブロックは重い。その結果、輸送コストが高くなり、人間工学的な問題、ならびに持ち上げる作業者が怪我をする可能性もある。現在のPCBA支持ブロックはまた、真空が適用される方法において非効率的である。
【0007】
少なくともこういった理由により、当該技術分野では、PCBA支持ブロックを改良することが必要とされている。
【0008】
3次元(3D)印刷とは、材料がコンピュータ制御下で接合または固化されて3次元物体を作製する種々のプロセスのうちの1つである。3D印刷材料は、添加された液体分子または粉末粒子もしくは溶融供給材料の層の形態などで、ベース上に「添加」され、この印刷材料がベースに連続的に融着することで、3D物体が形成される。したがって、3D印刷は、付加製造(AM)の一種である。
【0009】
3D印刷された物体は、ほぼ任意の形状または幾何学形状とすることができ、典型的には、3D物体の作製を監督するコンピュータ制御が、デジタルデータモデルまたは同様の付加製造ファイル(AMF)、すなわち、「印刷プラン」から実施される。通常、このAMFは、層ごとに実施され、レーザまたは熱源などの、層を形成するために使用される他のハードウェアの制御を含むことができる。製作用の部品は、全体を通して説明するように、仮想的に言うと、印刷プランのなかで層に「スライス」され、次いで、この層が実際の層になる。
【0010】
AMFの実施に使用される多くの様々な技術が存在している。例示的な技術として、熱溶解積層法(FDM)、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、高速焼結(HSS)、インクジェット印刷および/または粒子噴射製造(IPM)、積層物体製造(LOM)、電子ビーム溶融(EBM)、および直接エネルギー堆積(DED)が挙げられる。
【0011】
前述の方法の一部は、印刷材料を溶融または軟化させて、印刷層を生成するものである。例えば、FDMでは、3D物体は、硬化して層を形成する材料の小さなビーズまたは流れを押し出すことによって製作される。熱可塑性材料、ワイヤ、または他の材料などのフィラメントを押出成形用ノズルヘッドに供給し、押出成形用ノズルヘッドが材料を加熱し、流れをオンおよびオフにすることが一般的である。
【0012】
レーザ技術または同様のビーム系技術または焼結技術などの他の方法により、粉末顆粒を溶融させて層を形成する目的で、印刷粉末などの印刷材料を加熱するかあるいは活性化することができる。例えば、かかる方法は、高エネルギーレーザを使用して粉末を溶融させて、従来の製造方法の機械的特性と同様の機械的特性を有しうる完全に緻密な材料を作り出すことができる。SLSは、例えば、レーザを使用して、ポリマー、金属、または複合材料の粒子を固化および接合して層を形成し、3D物体を製作する。レーザは、各層スライスのパターンを粉末ベッドにトレースし、次いで、そのベッドが下降して別の層がトレースされ、先の層の上に接合される。
【0013】
対照的に、IPMなどの他の同様の方法は、粉末の層を塗り広げ、3D物体の断面に結合剤を印刷することによって、一度に1層ずつ3D物体を作製することができる。この結合剤は、インクジェットのようなプロセスを使用して印刷することができる。
【0014】
さらなる例として、当業者によって理解されるように、高速焼結(HSS)では、赤外線(IR)ランプなどの加熱ランプの使用による部品形成が用いられる。より具体的には、全体を通して説明するように、製作用の部品は、仮想的に言うと、印刷プランのなかで層に「スライス」され、次いで、この層は、印刷ベッドの処理された領域への印刷プロセスによるIRの印加時に実際の層になる。
【0015】
すなわち、HSSは、典型的には、粉末印刷材料の「ベッド」を使用して行われる。印刷プランにより、粉末ベッド内に、部品生成位置として機能する1つ以上の位置を選択することができる。各部品層は、熱吸収インクを使用して粉末ベッド内の部品生成パターン上に「印刷」される。次いで、典型的なプロセスでは、広帯域IRランプにより、印刷ベッド全体に熱が送達される。この熱は、熱吸収インクによって吸収され、それによって、上述したように、粉末ベッド上に配置されたインクのパターンによって示される形状特性のみを有する部品層が形成される。
【0016】
次に、完成部品が形成されるまで、前述のプロセスが層ごとに繰り返される。したがって、HSSプロセスは、高度に精緻化された設計を可能にするものであり、所与の部品の内部側面の間であっても、内部移動および同様の相互作用を可能にすることができる。さらに、かかる精緻なパターニングを可能にするために、所与の層パターンの印刷境界の周りの選択した位置に水などの抗熱剤を配置し、これによって、その層による望ましくない熱の吸収ひいては部品の形成不良を防止することもできる。
【0017】
上記によれば、HSSにおける部品特性は、使用されるインクおよび/または印加される熱のレベルなどに基づいて、層ごとに、または層内であっても変化させることができる。さらに、ベッド全体を使用して、IRランプが印刷粉末ベッド上を1回通過するたびに、多くの部品の個々の層パターンを作製することができる。
【発明の概要】
【0018】
開示された例示的な装置、システムおよび方法は、スクリーン印刷プロセスにおいて利用することができる3D印刷された支持体を提供して、プリント回路板(PCB)またはプリント回路板アセンブリ(PCBA)上へのはんだペーストのより均一な塗布を達成するものである。特定の実施形態は、(重量が)より軽く、寸法公差がより良好であり(より小さく)、平坦性が向上し、より的確な真空システムを有し、一体形設計を有する3D印刷されたPCBA支持ブロックに関する。
【0019】
一実施形態では、3D印刷された支持ブロックは、真空接続部を有する下面と、少なくとも1つの真空穴を有する上面と、上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、真空接続部から少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路とを備える。支持ブロックは、例えば、スクリーンプリント回路板アセンブリ、試験固定具、通止固定具、ウェーブはんだ付けパレットなどのために設けることができる。
【0020】
3D印刷された支持ブロックを製作する方法において、方法は、真空接続部を有する下面と、少なくとも1つの真空穴を有する上面と、上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、真空接続部から少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路とを備える支持ブロックを3D印刷することを含む。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、プリント回路板またはプリント回路板アセンブリなどの物品上にスクリーン印刷するためのスクリーンプリンタも開示される。スクリーンプリンタは、リフトプレートと、リフトプレート上に配置された真空ブロックと、リフトプレート上に取外し可能に配置された少なくとも1つの支持バーと、真空ブロックおよび少なくとも1つの支持バーの両方の上に載置される下面、ならびにスクリーン印刷中に物品を支持するように構成された上面を有する3D印刷された支持ブロックとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
開示される非限定的な実施形態は、本明細書に添付され、本明細書の一部を形成する図面に関連して論じられ、同様の数字は同様の要素を示す。
【
図1】従来技術によるプリント回路板アセンブリの概略図である。
【
図2】従来技術によるスクリーン印刷装置の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による支持ブロックの概略斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による真空接続部を有する支持ブロックの概略斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による真空分配システムを示すために一部が切り取られた支持ブロックの概略斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による支持ブロックの概略斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、3D印刷されたインサートホルダおよび磁石の分解斜視図である。
【
図8】本発明の別の実施形態による、3D印刷されたインサートホルダおよび磁石の分解斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態による取外し可能な支持バーのアレイを含むスクリーン印刷装置の斜視図である。
【
図11A】リフトプレートの有効領域内に取外し可能な支持バーを配置する前のスクリーン印刷装置の斜視図である。
【
図11B】リフトプレートの有効領域内に取外し可能な支持バーのうちの第1の支持バーを配置した後のスクリーン印刷装置の斜視図である。
【
図11C】リフトプレートの有効領域内に複数の取外し可能な支持バーを配置した後のスクリーン印刷装置の斜視図である。
【
図12A】リフトプレートが下降位置にあるときのスクリーン印刷装置の正面図である。
【
図12B】リフトプレートが上昇位置にあるときのスクリーン印刷装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明および添付の図面は、本発明の種々の実施形態を説明および例示する。説明および図面は、当業者が本発明を作製および使用することを可能にする役割を果たし、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。開示される方法に関して、提示されるステップは、本質的に例示的であり、したがって、ステップの順序は、必要または重要ではない。
【0024】
図1は、プリント回路板アセンブリ(PCBA)100を示している。PCBA100は、
図1に101a,101b,101c,101d,101e,101fおよび101gとして表され、プリント回路板(PCB)102に取り付けられた部品を含む。トレース103は、ある位置から別の位置に電子を運ぶために使用される。部品101a,101b,101c,101d,101e,101fおよび101gは、3次元形状であり、PCBから延在している。
【0025】
図2は、PCB102上にはんだペーストをスクリーン印刷するために一般的に使用される装置を示している。ステンシル200は、ステンシル200から切り出された開口201(および
図2の正方形および長方形によって示されるような他の開口)を含む。PCB102(
図2には図示せず)は、ステンシルの直下に配置されており、はんだペースト202が、開口201内に堆積させられ、PCB102の表面上の所定の位置に堆積させられる。はんだペースト202がステンシル200上に堆積させられ、スキージ203が矢印204の方向に移動して、はんだペースト202をステンシル200全体にわたって開口201内に均一に塗り広げる。はんだペースト202がステンシル200全体にわたって均一に塗り広げられた後、ステンシル200はPCBから分離される。この時点で、PCBは、適切な位置に湿潤はんだペーストを有しており、通常はピックアンドプレース機械によってその上に部品を配置する準備が整うことになる。
【0026】
図3は、本発明の一実施形態による支持ブロック300を示している。図示の支持ブロック300は、付加製造プロセスによって3D印刷され、
図3に示すような一体形設計を有することができる。一体形設計は、支持ブロック300の寸法公差を最小化し、その平坦性を最適化するため、有益である。2ブロック設計では、下側ブロックが寸法公差を有し、上側ブロックが寸法公差を有する。したがって、2ブロック支持システムの合計の寸法公差は、下側ブロックの寸法公差と上側ブロックの寸法公差の合計に等しくなってしまう。一方、一体形設計の場合、寸法公差は1つしか存在しない。単一の公差のみが存在するため、本発明の一体形設計により、特にPCBA(またはPCB)を保持する支持ブロック300の上面302上で支持ブロック300の平坦性をより容易に達成することができる。一例としてPCBが本明細書に記載されているが、支持ブロックは、例えば、試験固定具、通止固定具、ウェーブはんだ付けパレットなどの他のシステムのために提供することができることが理解される。支持ブロック300内に形成された三角形の支持体301は、支持ブロック300の上面302に加えられる(例えば、スキージからの)下向きの圧力を、支持ブロック300の下面303に直接効率的に伝達する。三角形の支持体301は、以下でより詳細に説明する真空通路として機能することもできる。図示のような支持ブロック300には、アルミニウム系などの従来技術の支持ブロックシステムを上回る利点があり、z強度(上下方向における強度)は、(例えば、水平配向した上面が下方から支持されない場合)支持ブロックの上面の強度および厚さの関数となる。
図3はまた、磁石用開口304、磁石用通路305、および凹設領域306を示している。一実施形態では、磁石用開口304および磁石用通路305は、内部に磁石(図示せず)を受容するように構成される。磁石は、球形、パック形、円筒形、または他の形状などの望ましい形状を有することができる。磁石用通路305の形状は、使用される磁石の形状に適合するように選択することができる。例えば、円形の磁石用通路が、球形の磁石用に設けられてよく、正方形の磁石用通路が、立方体または正方形の磁石用に設けられてよい。一実施形態では、凹設領域306は、PCBAの部品が凹設領域306内に嵌合するように構成される。一実施形態では、真空穴307(および支持ブロック300内に形成された関連する真空通路)が設けられ、PCBまたはPCBAを支持ブロック300に固定するのに役立つ。
【0027】
本発明による3D印刷された支持ブロック300は、製造プロセス中に使用される真空吸引をより効率的に使用することができる。一体形設計と、特定の位置における最適な真空のための特定の幾何学的形状を有する真空通路を作製する能力とにより、3D印刷された支持ブロック300は、真空が必要とされる特定の位置においてのみ真空が適用されることを可能にする。3D印刷によって可能になる独特の幾何学形状により、特定の位置で真空を提供する真空通路を、3D印刷された支持ブロック300内に含めることができる。これにより、(吸引によって)所望の真空圧に達するまでに排気する必要がある体積が最小化されるため、より効率的な真空プロセスとなる。
【0028】
図4は、支持ブロック404に形成された真空接続部401を有する本発明の一実施形態を示している。真空源(図示せず)、例えば、真空ホースまたはダクトは、真空接続部401に接続して、支持ブロック404内に形成された真空穴402および真空通路403に真空を引き込むことができる。必要に応じて、支持ブロック404内に形成された複数の真空穴402および真空通路403が存在してよい。
図4において、真空穴402は、真空接続部401内に形成されている。真空穴402は、必要に応じて、支持ブロック404の上面または他の場所に位置することができる。図示の真空通路403は、真空接続部401の周囲に配置されているが、必要に応じて他の場所に形成することもできる。図示の真空通路403は、囲まれた通路であり、支持ブロック404の上面上の特定の位置に通じている。真空通路403は、本発明の範囲から逸脱することなく他の構成を有しうることが理解される。
【0029】
図5は、本発明の一実施形態による支持ブロック500の断面図を示している。
図5は、真空分配システムをより良く可視化するための断面図を示している。真空接続部501は、真空源を支持ブロック500に接続するための接続点を提供する。真空接続部501は、特定の形状で3D印刷することができ、特定の形状により、所与の真空ダクトまたは真空ホースは、(
図5の下側から)真空接続部501に容易に接続することができる。真空穴502は、支持ブロック500の上面に位置する。真空が真空接続部501に適用され、真空穴502を通して真空引きが行われる。加えて、真空通路503により、真空接続部501が分配真空位置505に接続され、分配真空位置505に真空が提供される。真空接続部501は、(真空通路503の上側の穴として示される)分配真空位置505の各々に流体接続されるため、真空接続部501に真空を適用することで、分配真空位置505の各々に真空が適用される。このようにして、PCBまたはPCBAは、排気を要する(真空下に置く必要がある)体積を最小限にしながら、分配型真空システムによって適切に保持されうる。支持ブロック500は、必要に応じて、任意の数の真空穴502、真空通路503、および分配真空位置505を含むことができる。支持ブロック500は、真空通路503のうちの1つ以上を含みうる。真空通路503は、支持ブロック500の上側に直接接続し、支持ブロック500の下面に直接接続する堅固な構造を提供することによって、支持ブロック500の上側を支持することができる。このようにして、真空通路503は、真空分配通路と構造支持体との両方として機能することができる。
【0030】
CNC機械加工などの除去製造プロセスを用いた場合、開口面積の量が増大するにつれて、無駄な材料の量が増大する。PCBA上の部品の数が増大するにつれて、より多くの開口面積が必要となる。したがって、除去製造プロセスを用いた場合、多数の部品を有するPCBAのための支持ブロックを製造する機械加工時間は、少数の部品を有するPCBAのための支持体を作製する機械加工時間よりも長くなる。3D印刷(例えば、フィラメント溶解製法(FFF)印刷など)などの付加製造プロセスを使用する場合、支持ブロックの作製に使用される材料の量および支持ブロックの製作に必要な機械加工時間は、PCBA基板上の部品の数に反比例する。換言すれば、多数の部品を有するPCBAのための3D印刷されたPCBA支持ブロックは、より少ない数の部品を有するPCBAのために設計された支持ブロックと比較して、より少ない材料を必要とし、より速く製造される。PCBAの部品点数が増えるにつれて、3D印刷された支持ブロックの魅力はますます高まることとなる。
【0031】
3D印刷されたPCBA支持ブロックはまた、標準的なアルミニウム製の支持ブロックよりも重量を軽くすることができる。3D印刷された支持ブロック(フィラメント溶解製法(FFF)によって製作される)は、中実コアを有さない。代わりに、(FFFを用いた)3D印刷された支持ブロックでは、空隙領域が充填材で充填されており、これは、空隙空間を部分的に充填し、3D印刷された物体に構造を提供する反復構造である。例えば、
図6に示す支持ブロック600などの3D印刷された支持ブロックは、20%の充填率(すなわち、20%の充填密度)で製作され、アルミニウム製の支持ブロックよりもはるかに軽量の支持ブロックをもたらすことができる。充填密度は、20体積%であってよい。充填量は、所望の強度および/または重量を達成するために変更されてよい。ポリマー/複合材料を使用することによって、かつ100%未満の充填材を使用することによって、PCB/PCBA支持ブロックの重量を大幅に削減することができる。例えば、アルミニウム機械加工されたブロックは、10ポンド(約4536グラム)以上の重量でありうるが、20%の充填材を有する3D印刷されたブロックは、2ポンド(約907グラム)未満の重量でありうる。その結果、エルゴノミクスの向上、取扱い時の人身事故のリスク低減、輸送コストの低減が得られる。重量が低減した3D印刷された支持ブロックはまた、スクリーンプリンタにおいて位置決めすることがより容易となり、支持ブロックを交換する際にオペレータが取り扱うことがより容易となる。本発明の範囲から逸脱することなく、MPMブランドまたはDEKブランドのスクリーンプリンタなどの任意のスクリーンプリンタを使用することができることが理解される。
【0032】
重量を考慮して3D印刷可能な材料を選択することに加え、他の特性を考慮して材料を選択することもできる。例えば、静電気放電防護されたポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG-ESD)は、導電性のアルミニウムとは異なり、腐食せず、消散性であるため、望ましい材料である。高いヤング率を有するPCBA支持ブロック(剛性支持ブロック)を3D印刷するために、炭素充填ナイロンを使用することができる。ESD安全アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS ESD)、ESD安全ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC-ABS ESD)、および/またはESD安全ポリカーボネートもまた、3D印刷されたPCBA支持ブロックを製造するために使用することができる。
【0033】
さらに、複数の材料を使用して、3D印刷された支持ブロックを製造することができる。例えば、第1の材料が、PCBA支持ブロックの大部分を3D印刷するために使用されてよく、第2の材料が、真空穴の周囲に周方向の密閉を作製して、PCBAまたはPCBへの真空密閉を改善するために使用されてよい。この例では、第1の材料は、PETG-ESDであってよく、第2の材料は、(PCBAまたはPCBへの真空密閉を改善するため、かつ/またはPCBAまたはPCBと支持ブロックとの間にクッションを提供するための)スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性エラストマーであってよい。加えて、第2の材料は、真空通路を作製するために使用されてよい。例えば、より良好な(より低圧の)真空を達成するために、低いガス透過性を有する材料が選択され、真空通路を作製するために使用されてよい。これらの複数の材料は、3D印刷プロセスにおいて容易に使用される。
【0034】
別の実施形態では、第1の材料が、PCBA支持ブロックの大部分を3D印刷するために使用されてよく、第2の材料が、支持ブロックの上面のために使用されてよい。この例では、第1の材料は、PETG-ESDであってよく、第2の材料は、(PCBAまたはPCBへの真空密閉を改善するため、かつ/またはPCBAまたはPCBと支持ブロックとの間にクッションを提供するための)スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性エラストマーであってよい。
【0035】
複数の材料はまた、堅固な材料/剛性の材料を使用して印刷されるベースと、エラストマー材料を使用して印刷される1つ以上の上層とを有する支持ブロックを印刷するために使用されてもよい。この例では、エラストマー材料は、PCBAのためのクッションを提供するか、または真空が適用される際にPCBAをより良好に保持するための「吸引特徴」を提供することができる。実施形態では、真空穴の周囲にエラストマー材料を追加することができる。実施形態では、エラストマー材料を使用して、3D印刷された支持ブロックの上面を構築することができる。
【0036】
さらに、複合材料の印刷により、良好な平坦性を達成する能力のために選択した材料で作製された最上層および最下層を含み、3D印刷された支持体の中間層が別の特性(例えば、コスト、強度、重量、密度など)のために選択した材料で作製された3D印刷された支持ブロックを提供することができる。
【0037】
3D印刷された支持ブロックの平坦性は、磁石を使用してさらに改善することができる。
図6に示すように、3D印刷された支持ブロック600は、磁石ホルダ位置601を用いて製造することができる。支持ブロックの平坦性を向上させるために、磁石602を磁石ホルダ位置601に挿入することができる。磁石602は、磁石ホルダ位置601に圧入されてよい。すなわち、磁石602は、磁石ホルダ位置601内に緊密に嵌合させて、磁石ホルダ位置601内に磁石602を保持させることができる。磁石602は、3D印刷された支持ブロック600の下に位置する金属表面に磁気吸引することができる。3D印刷されたPCBA支持ブロック600は、ある程度の可撓性を有するため、磁石は、3D印刷されたPCBA支持ブロック600を曲げ/屈曲させて、平坦性を改善することができる。アルミニウム製などの高い剛性のPCBA支持ブロックは、磁石で曲げるのに必要な可撓性を有していない。
【0038】
図7は、種々の実施形態に含まれうる3D印刷されたインサートホルダを示している。例えば、インサートホルダ700は、3D印刷された支持ブロックの一体の部分として3D印刷されてよい。インサートホルダ700は、ルーフ701と、少なくとも1つの支持スタンド702とを含む。支持スタンド702は、ルーフ701を所望の配向または位置に維持するための材料の柱またはストランドでありうる。磁石用通路703は、外周704によって画定される。磁石705は、ルーフ701の下で磁石用通路703内に位置決めするか、または摺動させて磁石用通路703内で下向きに落下させることができる。磁石705の位置決めは、
図7の矢印によって示される。
図7に示すように、3D印刷されたインサートホルダ700(具体的には、ルーフ701)は、支持ブロックが上下逆に配向された(磁石用通路703の上側の開口が地表に面した)場合に、磁石705が支持ブロックから落下することを防止する。
【0039】
図8は、パック形状の磁石用に設計された3D印刷されたインサートホルダ800を示している。インサートホルダ800は、ルーフ801と、少なくとも1つの支持スタンド802と、磁石用通路803とを含む。ルーフ801と磁石用通路803の上側との間の距離は、磁石804がルーフ801と磁石用通路803の上側との間で狭く摺動できるように選択され、それによって、インサートホルダ800の外形を最小化することができる。磁石804の位置決めは、
図8の矢印によって示される。
図7および
図8に示すように、3D印刷されたインサートホルダは、種々の形状およびサイズの磁石を収容するように設計することができる。
【0040】
支持ブロックをリサイクルする場合、リサイクル前に磁石を除去することが望ましい場合がある。有利には、
図7および
図8のインサートホルダは、ルーフおよび/またはスタンドが支持ブロックから折り取られて(取り外されて)、支持ブロックを反転させた(逆さまにした)際に磁石が落下するための無制限の開口を形成しうるように設計されてよい。インサートホルダを取り外した後(すなわち、ルーフおよび/またはスタンドを取り外した後)、支持ブロックを単に上下反転させて、磁石を支持ブロックから落下させる(支持ブロックから離す)ことができる。磁石は再使用することができ、磁石のない支持ブロックはリサイクルすることができる。
【0041】
別の実施形態では、改良されたPCBA支持ブロックは、平坦な金属ブロックの上側に取り付けられた(PCBA部品が嵌合するための開口を有する)3D印刷された支持ブロックを備えることができる。3D印刷された支持ブロックは、ボルトまたは他の好適な締結具(ねじ、クランプ、磁石、タイ、接着剤など)を使用して、平坦金属ブロックに取り付けることができる。この設計は、3D印刷を介してカスタムディテールを達成し、3D印刷部分を平坦な金属(または他の剛性材料)の下側ブロックにボルト留めすることによって平坦性を向上させることが可能である。さらに、この設計により、より短い3D印刷された支持ブロックを第2の部品と組み合わせて、高背の支持ブロック形状とともに使用可能な支持ブロックを形成することができる。他の実施形態では、3D印刷された支持ブロックと併せて、平行支持ブロックを使用することができる。平行支持ブロックは、スクリーンプリンタ内の3D印刷された支持ブロックの下に配置することができる。使用される平行支持ブロックの数は、3D印刷された支持ブロックのサイズによって決まる。平行支持ブロックは、金属上面を有しており、磁石を使用して、3D印刷された支持ブロックを平行支持ブロックの上面に取り付けることができる。
【0042】
ポリマー製の3D印刷された支持ブロックはまた、アルミニウム製の支持ブロックと比較して、支持対象のPCBAが傷付くリスクを低減する。
【0043】
3D印刷されたPCBA支持ブロックには、エラープルーフおよび/または在庫管理のための埋込みバーコードを容易に用いることができる。3D印刷されたバーコードは、ブロックの製作時に、PCBA支持ブロック上に直接容易に追加することができる。あるいは、3D印刷プロセス中に、RFIDタグを3D印刷されたPCBA支持ブロックの内部に挿入することでタグの紛失リスクを排除し、遠隔トレーサビリティ機能を追加することができる。
【0044】
3D印刷されたPCBA支持ブロックは、ロジスティクスを単純化し、リサイクル可能である。3D印刷されたPCBA支持ブロックは、PCBAフレームを現場外で製造して、使用される場所に輸送するのではなく、使用するPCBA組立の現場で製造することができる。切削油を使用して金属チップを生成するCNC機械加工とは異なり、ほとんどの3D印刷技術は本質的にクリーンであるため、PCBA製作ラインの隣で3D印刷を実施することができる。例えば、3D印刷は、ISO14644-1クリーンルーム規格によって定義されたISO1、ISO2、ISO3、ISO4、ISO5、ISO6、ISO7、ISO8、またはISO9クラスのクリーンルームで進行させてよい。これにより、支持フレームの設計と支持フレームの使用との間の時間が大幅に短縮する。リサイクル可能なポリマーを使用して、PCBA支持ブロックを製造することができる。これにより、過去に使用された支持ブロックを溶融し、再印刷(3D印刷)し、再び使用することができる。PCBA支持ブロックは、所与のPCBA用にカスタム設計されるため、PCBAが組み立てられる現場でPCBA支持ブロックを3D印刷することによって、時間および材料の大幅な節約になる。過去に使用された3D印刷されたPCBA支持ブロックを(別の位置またはPCBA組立の現場で)リサイクルすることによって、さらに大きな節約を実現することができる。過去に使用された3D印刷された支持ブロックをリサイクルする場合、過去に使用された3D印刷された支持ブロックは、新しい支持ブロックを3D印刷するための供給原料として使用することができる。
【0045】
3D印刷された支持ブロックの別の利点は、エンドユーザの要求に基づいて印刷速度(製作速度)を調整する能力である。例えば、PCBAがファインピッチ部品を有する場合、支持ブロックにはより厳しい公差(平坦性)が要求される。この場合、最適な印刷品質のために、より遅い3D印刷速度を使用することができる。一方、標準ピッチ部品を使用するPCBAは、かかる厳しい公差を必要とせず、より速い印刷速度が可能となりうる。ソフトウェアで最適な速度を調整することができる。例えば、ユーザは、PCBAがファインピッチ部品を有する用途のための支持ブロックを印刷する場合に「精密印刷モード」を選択することができるか、またはユーザは、PCBAが標準ピッチ部品を有する用途のための支持ブロックを印刷する場合に「高速印刷モード」を選択することができる。
【0046】
本願において開示される3D印刷された支持ブロックは、スクリーン印刷以外の分野での応用も可能である。例えば、3D印刷された支持ブロックは、PCBAを検査するために使用されるX線機械で使用されてよい。
【0047】
次に
図9Aに示す実施形態を参照すると、支持ブロック900の下面図が示されている。支持ブロック900は、上側面901および下側面902を有する。また、真空穴903および真空通路904も示されている。真空源を支持ブロック900に接続するための真空接続部905も存在する。
【0048】
図9Bは、支持ブロック900の上面図を示している。支持ブロック900は、上側面901および下側面902を有する。支持ブロック900は、真空穴903と、磁石用開口904と、凹設領域905とを備える。凹設領域905は、PCBA部品を受容することができ、それによって、PCBAを上側面901に平坦に置くことが可能になる。
【0049】
図10は、本発明の一実施形態による装置1000を示している。装置1000は、支持ブロック1001と、リフトプレート1020と、真空ブロック1030と、コンベヤ1040と、少なくとも1つの支持バー1050とを含む。装置1000は、物品1100に対して実施される製造プロセス中に使用するように構成され、物品1100は、製造プロセス中に支持ブロック1001上に支持される。物品1100は、本明細書で前述したように、PCBまたはPCBAでありうる。
【0050】
物品1100に対して実施される製造プロセスは、スクリーン印刷プロセスであってよく、したがって、装置1000は、スクリーンプリンタまたはスクリーンプリンタの機構であってよい。スクリーン印刷プロセスは、物品1100を覆うステンシル(図示せず)上にはんだペーストを堆積させることを含むことができる。ステンシルは、それに形成された開口を有し、スキージ(図示せず)などによってはんだペーストを塗り広げることにより、はんだペーストがステンシル全体にわたって、物品1100の表面と連通する対応する開口内に均一に塗り広げられる。スクリーン印刷プロセスは、下地の支持ブロック1001に向かう方向に物品1100に加えられる圧力を含むため、スクリーン印刷プロセス中に物品1100が載置される支持ブロック1001の上面1002の寸法公差を最小にすることを含むことが望ましい。説明したスクリーン印刷プロセスに加えて、装置1000は、物品1100および支持ブロック1001に対して実施される任意の製造プロセスに対して利用可能であり、ここで支持ブロック1001の上面1002の平坦性は、物品1100に対して実施される製造プロセスを最適化することに関連する。PCBまたはPCBAは、装置1000とともに使用するための物品1100を形成する例として本明細書に説明されているが、支持ブロック1001は、試験固定具、通止固定具、ウェーブはんだ付けパレット、および同等物などの他のシステムのために提供されてよい。
【0051】
支持ブロック1001は、付加製造プロセスによって3D印刷して、支持ブロック1001が一体形設計を有するようにすることができる。支持ブロック1001の一体形設計は、支持ブロック1001の寸法公差を最小化し、その平坦性、特に製造プロセス中に物品1100が載置される支持ブロック1001の上面1002の平坦性を最適化するのに有益である。
【0052】
支持ブロック1001は、
図10において、その上面1002に対して平行に対向して配置された下面1003を含むものとして示されている。支持ブロック1001は、少なくとも1つの磁石用開口1004をさらに含み、磁石用開口1004の各々は、対応する磁石用通路1005、少なくとも1つの凹設領域1006、および少なくとも1つの真空穴1007に通じている。磁石用開口1004の各々は、凹設領域1006のうちの1つの内部に形成されるものとして示されているが、磁石用開口1004の一部または全部は、代替的に、上面1002に形成されてよい。磁石用通路1005の各々は、内部に磁石(図示せず)または内部に磁石を封入するインサートホルダ(図示せず)を受容するように構成されてよい。凹設領域1006の各々は、一例として、支持ブロック1001の上面1002に面する物品1100の表面から離れて突出する物品1100の部品を受容するように構成されてよい。物品1100がPCBまたはPCBAである場合、部品は、集積回路、抵抗器、コンデンサ、ダイオードなどの電子部品であってよい。したがって、凹設領域1006の各々は、物品1100から突出する整合した部品の形状および深さに対応する外周形状および深さを含むことができる。真空穴1007の各々は、支持ブロック1001内に形成された1つ以上の対応する真空通路(図示せず)と連通することができる。真空通路の各々は、支持ブロック1001の下面1003と交差する1つ以上の対応する真空接続部(図示せず)と連通することができる。真空接続部の各々は、真空ブロック1030およびその動作を説明する際に以下でより詳細に説明するように、真空ブロック1030の対応する部分と連通するために下面1003上に位置決めされてよい。
【0053】
したがって、図示したような装置1000とともに使用するための支持ブロック1001は、本質的に例示にすぎず、本明細書に開示される支持ブロック300,404,500,600,900のいずれか、ならびにその特徴の任意の説明される変形例または組み合わせを表していてよい。支持ブロック1001はまた、磁石用通路1005のうちの1つ内に受容される磁石を担持するために、開示される挿入ホルダ700,800のうちの1つなどの、独立して提供される任意の部品と併用するために構成されてもよい。
【0054】
リフトプレート1020は、真空ブロック1030および各支持バー1050を支持するための支持面1021を含む。リフトプレート1020は、
図10の軸線1070によって示すように、支持面1021に対して垂直に配置された第1の方向に並進するように構成される。第1の方向は、重力方向に対して平行に配置された垂直方向であってよい。リフトプレート1020は、アクチュエータに動作可能に結合され、
図10に示したものと同じ配向を維持しながらリフトプレート1020の線形移動を引き起こすことができる。
【0055】
コンベヤ1040は、第1の係合面1042を有する第1のコンベヤ要素1041と、第2の係合面1044を有する対向して配置された第2のコンベヤ要素1043とを含む。コンベヤ要素1041,1043および対応する係合面1042,1044は、リフトプレート1020の支持面1021に対して平行にかつ第1の方向に対して垂直に配置された第2の方向に長手方向に延在する。第2の方向は、
図10の軸線1080によって示されている。第2の方向は、重力方向に対して垂直に配置された水平方向であってよい。係合面1042,1044は、支持面1021の平面に対して平行に配置された平面上に配置され、物品1100の対向する側面を支持するように構成される。係合面1042,1044は、コンベヤベルト、摺動キャリッジなどによって形成され、
図10の矢印1045によって示すように、下地のリフトプレート1020に対して第2の方向に物品1100を選択的に平行移動させるように構成することができる。
【0056】
第1のコンベヤ要素1041および第2のコンベヤ要素1043は、支持面1021に対して平行に配置され、第1の方向および第2の方向の各々に対して垂直な第3の方向に関して互いに離間される。第3の方向は、
図10の軸線1090によって示されている。装置1000の一実施形態では、第3の方向に関して第1のコンベヤ要素1041と第2のコンベヤ要素1043との間に存在する空間は、種々の寸法の物品1100を収容するように調整可能でありうる。例えば、第2のコンベヤ要素1043は、真空ブロック1030に隣接する位置で実質的に静止したままであってよいが、第1のコンベヤ要素1041は、第2のコンベヤ要素1043に向かって、またはそこから離れて、第3の方向に対して平行移動するように構成されてよい。第1のコンベヤ要素1041と第2のコンベヤ要素1043との間の間隔はまた、以下に説明するように、コンベヤ要素1041,1043に向かうリフトプレート1020の垂直並進中に、対向するコンベヤ要素1041,1043の間の支持ブロック1001の通過を可能にするように、第3の方向における支持ブロック1001の寸法以上であるように選択されてもよい。
【0057】
真空ブロック1030は、第2のコンベヤ要素1043に向けて付勢される位置において、リフトプレート1020の支持面1021上に配置される。真空ブロック1030は、リフトプレート1020上の所定の位置に固定され、支持バー1050および支持ブロック1001を、真空ブロック1030の固定位置に対してリフトプレート1020上に位置決めすることが可能になる。
【0058】
真空ブロック1030は、支持面1021に対して平行に配置された上面1031を含み、上面1031は、第2のコンベヤ要素1043に向かって配置された支持ブロック1001の下面1003の一部に係合するように構成される。上面1031は、記載されたスクリーン印刷プロセスなどの製造プロセス中に支持ブロック1001の配向ずれまたは不整合を回避するために、平坦であるように設けられて、支持ブロック1001を適切に支持する。上面1031は、第1の方向に延在する真空ブロック1030の高さ寸法だけ支持面1021から離間している。
【0059】
図示の実施形態では、真空ブロック1030は、実質的に直方体の形状であり、第2の方向に長手方向に延在する。その上面1031は、同様に第2の方向に延在しており、上面1031は、第3の方向に対して第1のコンベヤ要素1041と第2のコンベヤ要素1043との間に位置決めされ、第2のコンベヤ要素1043に向かって付勢される。
【0060】
真空ブロック1030は、製造プロセス中に利用される支持ブロック1001および支持バー1050の配置前の装置1000を示す
図11Aに最もよく示されている。真空ブロック1030は、真空マニホールド1033に通じる真空カップリング1032を含む。真空カップリング1032は、真空ブロック1030を、真空マニホールド1033内に吸引圧力を生成するように構成された真空源(図示せず)に流体接続する。真空マニホールド1033は、真空ブロック1030の上面1031に設けられた少なくとも1つの真空ポート1034に流体結合される。真空ポート1034の少なくとも1つは、支持ブロック1001の下面1003上に形成された真空接続部の少なくとも1つと流体連通して配置されるように構成される。本発明の一実施形態では、支持ブロック1001は、その下面1003に形成され、マニホールド開口として機能する1つの細長い真空接続部を含むことができ、真空ポート1034の各々は、単一の真空接続部と流体連通する。他の実施形態では、支持ブロック1001は、真空ポート1034のうちの1つ以上に流体接続された真空接続部の各々を有する複数の真空接続部を含むことができる。真空ブロック1030は、第2の方向に延在する直線アレイ状に配置された複数の真空ポート1034を含むものとして示されているが、真空ポート1034が支持ブロック1001内に形成された真空接続部の位置の各々に対応するように位置決めされる限り、真空ポート1034の代替的な配置を利用することができる。
【0061】
支持バー1050の各々は、リフトプレート1020の支持面1021上に載置されるように構成された下面1051と、支持面1021から離間した上面1052と、対応する支持バー1050の第1の面で下面1051と上面1052とを接続する第1の側面1053と、対応する支持バー1050の反対側の第2の面で下面1051と上面1052とを接続する第2の側面1054とを含む。支持バー1050の各々は、実質的に直方体形状を含み、支持バー1050の各々は、真空ブロック1030の延在方向に対して平行な第2の方向に長手方向に延在する。支持バー1050の各々は、中空であってよく、支持バー1050の各々の対向する端部から貫通して形成された長手方向に延在する開口1055を有する。支持バー1050の各々の中空性は、支持バー1050の各々を形成するために使用される材料の量を最小化するように選択され、それによって、支持バー1050の各々の重量およびコストを最小化することができる。
【0062】
一実施形態では、支持バー1050は全て、支持バー1050が互いに交換可能であるように、同じ形状および同じ寸法を含むように設けることができる。各支持バー1050の長さ寸法は、第2の方向で測定した真空ブロック1030または支持ブロック1001の長さ寸法に対応するように選択することができる。対向する側面1053,1054の間で測定される支持バー1050の各々の幅寸法は、所望の数の支持バー1050が、支持ブロック1001の下、かつ対向するコンベヤ要素1041,1043の間に配置されることを可能にするように選択することができる。一部の実施形態では、異なる幅寸法を含むことができ、支持バー1050のうちの少なくとも一部が所与の量の均一な支持バー1050に実質的に対応しない様々な幅の物品1100に適応する支持バー1050の組み合わせが可能となる。
【0063】
各支持バー1050の高さ寸法は、真空ブロック1030の高さ寸法と等しくなるように選択される。加えて、支持バー1050のうちの一部が異なる幅または長さ寸法を含む場合でも、支持バー1050の全ては、共通の高さ寸法を含むように設けられる。その結果、支持バー1050の上面1052および真空ブロック1030の上面1031は全て、支持面1021に対して平行に配置され、かつ支持バー1050および真空ブロック1030の各々の高さ寸法だけ支持面から隔てられた共通の平面上に配置される。上面1031,1052の全ての同一平面上の配置は、支持ブロック1001の平坦性を確立することを支援するために、支持ブロック1001の下面1003の対応する部分が載置されうる平坦な表面を提供する。
【0064】
支持バー1050の各々は、磁石を磁気吸引するように構成された磁気吸引材料から形成することができ、磁石は、支持ブロック1001の磁石用通路1005内に受容されるように構成される。磁気吸引材料は、鋼またはその種々の合金などの鉄材料であってよい。
【0065】
リフトプレート1020の支持面1021は、保持領域1022と有効領域1023とに細分される。保持領域1022は、支持ブロック1001を支持するのに適した位置のコンベヤ要素1041,1043の間に即座には配置されない支持バー1050のうちのいずれかを支持するように構成される。対照的に、有効領域1023は、支持ブロック1001を支持するために真空ブロック1030と協働するように位置決めされた支持バー1050のうちのいずれかを支持するように構成される。したがって、有効領域1023は、製造プロセスが装置1000によって実施されるとき、第3の方向に関してコンベヤ要素1041,1043の間に、かつ支持ブロック1001の位置の下に配置される。
【0066】
図11A~
図11Cに示すように、支持ブロック1001を後で支持するのに適した支持バー1050のアレイの配置は、最初に1つ以上の支持バー1050を保持領域1022上に配置することによって達成することができる。リフトプレート1020は、支持面1021と第1のコンベヤ要素1041との間の空間が支持バー1050の各々の高さ寸法よりも大きい位置まで、第1の方向に対して移動する。次いで、支持バー1050の各々は、
図11Bの矢印1057によって示すように、第1のコンベヤ要素1041の下で、第3の方向に対して真空ブロック1030に向かって、それぞれの支持バー1050の各々を摺動させることによって、保持領域1022から有効領域1023に平行移動させることができる。このプロセスは、
図11Cに示すように、所望の数の支持バー1050が有効領域1023内に位置決めされるまで繰り返される。次に、真空ブロック1030および所望の数の支持バー1050は、製造プロセスの開始前に支持ブロック1001の下面1003が載置されうる平坦な一連の表面を提供するように位置決めされる。
【0067】
図示していないが、支持バー1050およびリフトプレート1020の支持面1021は、第3の方向に延在する相補的な構造を含むことができ、その上に支持ブロック1001を受容するのに適した位置への支持バー1050の所望の配置およびその後の摺動を可能にする。例えば、支持面1021および支持バー1050の各々の下面1051は、支持バー1050の各々の所望の配向および相対的な位置決めを維持しながら、保持領域1022から有効領域1023への支持バー1050の各々の摺動を規定する相補的なレール、溝、窪み、突起、または他の摺動接続特徴を含んでよい。
【0068】
図12Aおよび
図12Bは、有効領域1023内に所望の数の支持バー1050を配置し、協働する支持バー1050および真空ブロック1030上に支持ブロック1001を配置した後の装置1000の動作方法を示している。支持ブロック1001は、支持ブロック1001の下面1003上に存在する任意の真空接続部が、真空ブロック1030の上面1031上に存在する対応する真空ポート1034と流体連通することを可能にするように真空ブロック1030上に位置決めされる。物品1100はまた、支持バー1050、真空ブロック1030、および支持ブロック1001の上方のコンベヤ1040の係合面1042,1044上で第2の方向に対して位置決めされる。
【0069】
図12Aは、支持ブロック1001がコンベヤ1040の下に位置決めされた下降位置にある場合のリフトプレート1020を示している。リフトプレート1020が下降位置にあるとき、物品1100を支持ブロック1001の上方の位置に搬送することができる。
図12Bは、支持ブロック1001の上面1002が物品1100の下面に係合する上昇位置まで第1の方向に対して上向きに並進した後のリフトプレート1020を示している。物品1100の下側から突出する任意の部品は、支持ブロック1001内に形成された凹設領域1006内に受容される。
【0070】
支持ブロック1001の磁石用通路1005内に受容される任意の磁石は、下地の支持バー1050に磁気吸引され、支持ブロック1001を平坦化することを支援する。例えば、支持ブロック1001のいかなる反りも最小化され、支持ブロック1001の上面1002および下面1003の平坦性が促進されてよい。真空マニホールド1033はまた、真空源と連通して配置されて、真空穴1007、真空通路、真空接続部、および真空ポート1034を通して真空源に向かって空気を引き込み、これは、製造プロセス中に支持ブロック1001の上面1002に物品1100を固定することを支援する。次に、物品1100の平坦性の規格を維持しながら、説明したスクリーン印刷プロセスなどの製造プロセスを物品1100の露出面上で実施することができる。
【0071】
装置1000は、多数の有利な特徴を提供する。支持バー1050は、支持バー1050を形成する際に利用される材料が最小限であるため、容易に製造され、低コストである。より少ないまたはより多くの支持バー1050をリフトプレート1020の有効領域1023内の位置に容易に摺動させることができるため、支持バー1050のモジュール構成により、支持バー1050のアレイをカスタム化して、異なる寸法および構成の物品1100を収容することができる。支持バー1050と真空ブロック1030との協働により、支持ブロック1001を確実に取り付けることができる比較的大きな平坦な領域が提供される。支持バー1050を形成するために用いられる磁性材料により、支持バー1050が、支持バー1050と支持ブロック1001内に配置された任意の磁石との間に存在する磁気吸引力を介して、支持ブロック1001の平坦化を支援することが可能になる。真空ブロック1030のマニホールド構成により、支持ブロック1001内に形成された任意の真空接続部への吸引圧力のより良好な分配が可能となり、真空穴1007の各々で生成された吸引の均等化が促進される。上記の利点の各々を考慮して、物品1100は、スクリーン印刷プロセスが物品1100として作用するPCBまたはPCBAの露出表面全体にわたって均一に行われるようにするなど、製造プロセスが所望の方法で行われるように、寸法公差内で支持ブロック1001に対して平坦化することが可能である。
【0072】
前述の詳細な説明では、本開示を簡潔にするために、種々の特徴が個々の実施形態において一緒にまとめられている場合がある。この開示の方法は、後に特許請求される任意の実施形態が、明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。
【0073】
さらに、本開示の説明は、当業者が開示される実施形態を作製または使用することを可能にするために提供される。本開示に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、本明細書で定義された一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の変形形態に適用されうる。したがって、本開示は、本明細書で説明した例および設計に限定されるものではなく、むしろ、本明細書で開示する原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
さらに、本開示の説明は、当業者が開示される実施形態を作製または使用することを可能にするために提供される。本開示に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、本明細書で定義された一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の変形形態に適用されうる。したがって、本開示は、本明細書で説明した例および設計に限定されるものではなく、むしろ、本明細書で開示する原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
3D印刷された支持ブロックであって、
真空接続部を有する下面と、
少なくとも1つの真空穴を有する上面と、
前記上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、
前記真空接続部から前記少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路と
を備える、3D印刷された支持ブロック。
実施形態2
前記3D印刷された支持ブロックは、押し出されたポリマーの連続片から製作される、実施形態1に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態3
前記3D印刷された支持ブロックの少なくとも一部は、静電気放電防護されたポリエチレンテレフタレートグリコールから製作される、実施形態1に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態4
前記3D印刷された支持ブロックの一部は、熱可塑性エラストマーから製作される、実施形態3記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態5
前記3D印刷された支持ブロックの一部は、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンから製作される、実施形態3に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態6
前記上面または前記少なくとも1つの凹設面から前記下面に向かって延在する磁石用通路をさらに備える、実施形態1に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態7
前記磁石用通路は、前記磁石用通路の上側に隣接する開口と、前記開口内に配置されたインサートホルダとを含む、実施形態6に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態8
前記磁石用通路内に少なくとも1つの磁石が配置される、実施形態6に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態9
前記3D印刷された支持ブロックは、前記3D印刷された支持ブロックに隣接して位置決めされた少なくとも1つの平行支持ブロックに機械的または磁気的に固定される、実施形態1に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態10
前記3D印刷された支持ブロックの一部を形成するように第1の材料が堆積させられ、前記少なくとも1つの真空穴の周囲に周方向に第2の材料が堆積させられる、実施形態1に記載の3D印刷された支持ブロック。
実施形態11
3D印刷された支持ブロックを製作するための方法であって、
真空接続部を有する下面と、
少なくとも1つの真空穴を有する上面と、
前記上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、
前記真空接続部から前記少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路と
を備える支持ブロックを3D印刷するステップを含む、方法。
実施形態12
前記3D印刷された支持ブロックは、ISO14644-1クリーンルーム規格によって定義されるクリーンルーム内で印刷される、実施形態11に記載の方法。
実施形態13
前記3D印刷のための原材料は、液化されてリサイクルされる3D印刷された支持ブロックから製作される、実施形態11に記載の方法。
実施形態14
前記3D印刷された支持ブロックは、スクリーンプリンタにおいてプリント回路板またはプリント回路板アセンブリを保持する、実施形態11に記載の方法。
実施形態15
前記3D印刷された支持ブロックは、X線検査機械においてプリント回路板またはプリント回路板アセンブリを保持する、実施形態11に記載の方法。
実施形態16
前記3D印刷された支持ブロックは、前記上面または前記少なくとも1つの凹設面から前記下面に向かって延在する磁石用通路をさらに備える、実施形態11に記載の方法。
実施形態17
前記磁石用通路は、前記磁石用通路の上側に隣接して形成された開口と、前記開口内に配置されたインサートホルダとを有する、実施形態16に記載の方法。
実施形態18
前記磁石用通路の各々の内部に少なくとも1つの磁石が位置決めされる、実施形態16に記載の方法。
実施形態19
前記支持ブロックは、スクリーンプリント回路板アセンブリ、試験固定具、通止固定具、またはウェーブはんだ付けパレットのうちの1つに配置される、実施形態17に記載の方法。
実施形態20
前記上面は、第1の材料から製作され、前記3D印刷された支持ブロックの残りの部分は、第2の材料から製作される、実施形態11に記載の方法。
実施形態21
物品上にスクリーン印刷するためのスクリーンプリンタであって、
リフトプレートと、
前記リフトプレート上に配置された真空ブロックと、
前記リフトプレート上に取外し可能に配置された少なくとも1つの支持バーと、
前記真空ブロックおよび前記少なくとも1つの支持バー上に載置される下面、ならびに前記スクリーン印刷中に前記物品を支持するように構成された上面を有する3D印刷された支持ブロックと
を備える、スクリーンプリンタ。
実施形態22
前記3D印刷された支持ブロックは、前記3D印刷された支持ブロック内に配置された少なくとも1つの磁石を含み、前記少なくとも1つの支持バーは、磁気吸引材料から形成され、前記少なくとも1つの支持バーは、前記3D印刷された支持ブロック内に配置された前記少なくとも1つの磁石を磁気吸引するように構成される、実施形態21に記載のスクリーンプリンタ。
実施形態23
前記3D印刷された支持ブロックの下面は、前記真空ブロックの上面に形成された真空ポートと流体連通する真空接続部を含む、実施形態21に記載のスクリーンプリンタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷された支持ブロックであって、
真空接続部を有する下面と、
少なくとも1つの真空穴を有する上面と、
前記上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、
前記真空接続部から前記少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路と
を備える、3D印刷された支持ブロック。
【請求項2】
前記3D印刷された支持ブロックは、押し出されたポリマーの連続片から製作される、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項3】
前記3D印刷された支持ブロックの少なくとも一部は、静電気放電防護されたポリエチレンテレフタレートグリコールから製作される、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項4】
前記3D印刷された支持ブロックの一部は、熱可塑性エラストマーから製作される、請求項3記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項5】
前記3D印刷された支持ブロックの一部は、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンから製作される、請求項3記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項6】
前記上面または前記少なくとも1つの凹設面から前記下面に向かって延在する磁石用通路をさらに備える、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項7】
前記磁石用通路は、前記磁石用通路の上側に隣接する開口と、前記開口内に配置されたインサートホルダとを含む、請求項6記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項8】
前記磁石用通路内に少なくとも1つの磁石が配置される、請求項6記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項9】
前記3D印刷された支持ブロックは、前記3D印刷された支持ブロックに隣接して位置決めされた少なくとも1つの平行支持ブロックに機械的または磁気的に固定される、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項10】
前記3D印刷された支持ブロックの一部を形成するように第1の材料が堆積させられ、前記少なくとも1つの真空穴の周囲に周方向に第2の材料が堆積させられる、請求項1記載の3D印刷された支持ブロック。
【請求項11】
3D印刷された支持ブロックを製作するための方法であって、
真空接続部を有する下面と、
少なくとも1つの真空穴を有する上面と、
前記上面からオフセットされた少なくとも1つの凹設面と、
前記真空接続部から前記少なくとも1つの真空穴まで延在する少なくとも1つの真空通路と
を備える支持ブロックを3D印刷するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記3D印刷された支持ブロックは、ISO14644-1クリーンルーム規格によって定義されるクリーンルーム内で印刷される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記3D印刷のための原材料は、液化されてリサイクルされる3D印刷された支持ブロックから製作される、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記3D印刷された支持ブロックは、スクリーンプリンタにおいてプリント回路板またはプリント回路板アセンブリを保持する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記3D印刷された支持ブロックは、X線検査機械においてプリント回路板またはプリント回路板アセンブリを保持する、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記3D印刷された支持ブロックは、前記上面または前記少なくとも1つの凹設面から前記下面に向かって延在する磁石用通路をさらに備える、請求項11記載の
方法。
【請求項17】
前記磁石用通路は、前記磁石用通路の上側に隣接して形成された開口と、前記開口内に配置されたインサートホルダとを有する、請求項16記載の
方法。
【請求項18】
前記磁石用通路の各々の内部に少なくとも1つの磁石が位置決めされる、請求項16記載の
方法。
【請求項19】
前記支持ブロックは、スクリーンプリント回路板アセンブリ、試験固定具、通止固定具、またはウェーブはんだ付けパレットのうちの1つに配置される、請求項17記載の
方法。
【請求項20】
前記上面は、第1の材料から製作され、前記3D印刷された支持ブロックの残りの部分は、第2の材料から製作される、請求項11記載の
方法。
【請求項21】
物品上にスクリーン印刷するためのスクリーンプリンタであって、
リフトプレートと、
前記リフトプレート上に配置された真空ブロックと、
前記リフトプレート上に取外し可能に配置された少なくとも1つの支持バーと、
前記真空ブロックおよび前記少なくとも1つの支持バー上に載置される下面、ならびに前記スクリーン印刷中に前記物品を支持するように構成された上面を有する3D印刷された支持ブロックと
を備える、スクリーンプリンタ。
【請求項22】
前記3D印刷された支持ブロックは、前記3D印刷された支持ブロック内に配置された少なくとも1つの磁石を含み、前記少なくとも1つの支持バーは、磁気吸引材料から形成され、前記少なくとも1つの支持バーは、前記3D印刷された支持ブロック内に配置された前記少なくとも1つの磁石を磁気吸引するように構成される、請求項21記載のスクリーンプリンタ。
【請求項23】
前記3D印刷された支持ブロックの下面は、前記真空ブロックの上面に形成された真空ポートと流体連通する真空接続部を含む、請求項21記載のスクリーンプリンタ。
【国際調査報告】