(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有する共重合体を含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20230926BHJP
C08L 71/00 20060101ALI20230926BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20230926BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230926BHJP
【FI】
C08L77/00
C08L71/00
C08L63/00
C08K3/013
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511566
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 FR2021051579
(87)【国際公開番号】W WO2022058680
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】テステュー, ブランディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ピノー, クエンタン
(72)【発明者】
【氏名】アブグラル, フローラン
(72)【発明者】
【氏名】コケト, クリオ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB06Z
4J002BB07Z
4J002BB20Z
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4J002GB00
4J002GC00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GP00
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、ポリアミドブロックと、エポキシド官能基と反応した少なくとも1つのカルボン酸鎖端を含むポリエーテルブロックと、を含有する共重合体を含む組成物、その調製方法及びその使用に関する。本発明はまた、この組成物から形成された発泡体、その調製方法及びその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドブロックのカルボン酸鎖端を含むポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有する共重合体(PEBA共重合体)を含む組成物であって、前記鎖端は、エポキシド化合物によって担持されるエポキシド官能基によってブロックされ、エポキシド化合物の数平均官能価(Efn)は、2より大きく、好ましくは3以上であり、エポキシド化合物のエポキシド当量(EEW)は、80~700g/molであり、前記組成物は、以下の式
η
*=K(ω)
n-1 (I)
(式中、
・Kは、定数であり、
・ωは、ISO 6721-10による組成物の融点より30℃高い温度で線形範囲の振動レオメトリーで適用される角周波数であり、
・nの値は、角周波数ωの0.135~1.35rad/sの範囲にわたって、0.55~0.95、優先的には0.60~0.90、さらにより優先的には0.65~0.85、又は0.70~0.85である)によって定義されるべき法則に従う複素粘度(η
*)を有する、組成物。
【請求項2】
80000~300000g/mol、好ましくは90000~250000g/mol、より優先的には100000~200000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
数平均モル質量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比が2.4以上であり、かつ/又は重量平均分子量Mwに対するz平均モル質量(Mz)の比が2以上、好ましくは2.5以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリアミドPAブロックが、PA6、PA11、PA12、PA5.4、PA5.9、PA5.10、PA5.12、PA5.13、PA5.14、PA5.16、PA5.18、PA5.36、PA6.4、PA6.9、PA6.10、PA6.12、PA6.13、PA6.14、PA6.16、PA6.18、PA6.36、PA10.4、PA10.9、PA10.10、PA10.12、PA10.13、PA10.14、PA10.16、PA10.18、PA10.36、PA10.T、PA12.4、PA12.9、PA12.10、PA12.12、PA12.13、PA12.14、PA12.16、PA12.18、PA12.36若しくはPA12.Tのブロック、それらの混合物、又はそれらのコポリアミドから選択され、かつ/又はポリエーテルブロックが、PEG、PPG、PO3G、PTMG、それらの混合物又はそれらの共重合体から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
PEBA共重合体が、ジカルボキシル鎖端を有するポリアミドブロックとポリエーテルジオールとの重縮合から生じる、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
エポキシド化合物が、エポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、アルケンモノマー、酢酸ビニルモノマー、非官能性(メタ)アクリル系モノマー、スチレンモノマー、又はこれらの実体の1つ以上の混合物から選択される少なくとも1つのモノマーとの共重合によって得られる、エポキシド官能基を有する(メタ)アクリレートのランダム共重合体から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ポリアミド、官能性ポリオレフィン、コポリエーテルエステル、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリレートの共重合体、及びエチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体から選択される少なくとも1つの成分(C)、及び/又は核形成剤、充填剤、特に鉱物充填剤、例えばタルク、強化繊維、特にガラス又は炭素繊維、染料、UV吸収剤、抗酸化剤、特にフェノール系抗酸化剤、又はリン系若しくは硫黄系抗酸化剤、ヒンダードアミン光安定剤又はHALS、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の添加剤(D)をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物を製造するための方法であって、典型的には溶融状態で、PEBA共重合体、エポキシド当量(EEW)が80~700g/molであるエポキシド化合物、任意選択的に1つ以上の成分(C)及び/又は1つ以上の添加剤(D)を混合する工程を含み、それにより、PEBA共重合体の少なくとも1つのカルボン酸鎖端が、エポキシド化合物のエポキシド官能基と反応し、前記組成物が、以下の式、
η*=K(ω)
n-1 (I)
(式中、
・Kは、定数であり、
・ωは、ISO 6721-10による組成物の融点より30℃高い温度で線形範囲の振動レオメトリーで適用される角周波数であり、かつ
・nの値は、角周波数ωの0.135~1.35rad/sの範囲にわたって、0.55~0.95、優先的には0.60~0.90、さらにより優先的には0.65~0.85、又は0.70~0.85である)によって定義されるべき法則に従う複素粘度(η*)を有する、方法。
【請求項9】
PEBA共重合体が、10~200μmol/gのカルボン酸鎖端含有量を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
PEBA共重合体のカルボン酸鎖端含有量の、エポキシド化合物のエポキシド官能基含有量に対するモル比が、典型的には2~20、好ましくは3~10である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
典型的には押出機における反応押出によって行われる、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる組成物。
【請求項13】
請求項1から7又は12のいずれか一項に記載の組成物の発泡体。
【請求項14】
繊維、織物、フィルム、シート、発泡体ブロック、発泡体粒子、ロッド、チューブ、射出成形及び/又は押出部品などの物品であって、請求項1から7又は12のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13に記載の発泡体からなる少なくとも1つの要素からなるか、又はそれを含む物品。
【請求項15】
以下の物品:スポーツ用品、靴部品、スポーツ靴部品、靴底、特にスタッド、スキー部品、特にスキーブーツ又はスキーブーツシェル、スケート靴などのスポーツ用具、スキーアタッチメント、ラケット、スポーツバット、ボード、馬蹄、保護用レギンス、フリッパー、ゴルフボール、レジャー用品、DIY用品、道路整備用具又は機器、保護用具又は物品、例えばヘルメットバイザ、ゴーグル、ゴーグルアーム、自動車部品、ダッシュボード、エアバッグ、ヘッドランププロテクタ、バックミラー、オフロード車用小型部品、タンク、特にスクータ、モペット又はオートバイ用の自動車部品、産業部品、産業用添加剤、電気、電子、情報技術、タブレットコンピュータ、電話又はコンピュータ部品、安全用品、店舗標識、照明ストリップ、情報及び宣伝用パネル、プレゼンテーションケース、エングレービング、家具、買い物用品、装飾、接触ボール、医療機器、歯科補綴物、インプラント、眼科物品、血液透析機械膜、光学繊維、美術品、彫刻、写真撮影カメラレンズ、使い捨て写真撮影カメラレンズ、印刷支持体、特にUVインクによる直接印刷のための支持体、写真撮影台、窓、サンルーフ、伝動ベルト、帯電防止添加剤、防水通気性製品又はフィルム、活性分子支持体、着色剤、溶接剤、装飾要素、及び/又はポリアミド添加剤、レールソール、ベビーカー部品、ホイール、ハンドル、シート部品、チャイルドカーシート部品、建築部品、オーディオ機器、音響絶縁及び/又は断熱部品、輸送手段によって生成されるものなどの衝撃及び/又は振動を吸収するための部品、タイヤ、織物、織布又は不織布などの乗り心地をよくするホイール、包装、蠕動ベルト、コンベヤベルト、合成皮膚及び/又は皮革のうちの1つの少なくとも一部を構成する、請求項14に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドブロックと、エポキシド官能基と反応した少なくとも1つのカルボン酸鎖端を含むポリエーテルブロックと、を含有する共重合体を含む組成物、その調製方法及びその使用に関する。本発明はまた、この組成物から形成された発泡体、その調製方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有する様々な共重合体は、特に、その機械的特性、特にその優れた弾性戻り特性のために、ソール又はソール部品、手袋、ラケット又はゴルフボール、特にスポーツを行うための個人用保護製品(ジャケット、ヘルメットの内部分、シェルなど)などのスポーツ用具の分野で特に使用されている。具体的には、これらの共重合体は、インソール及び/又はアウターソールを直接製造することを可能にする半剛性タイプ又は可撓性タイプのソールとしてスポーツ靴に有利に使用することができる。
【0003】
しかしながら、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有する共重合体、より具体的には、一般に55ショアD未満の硬度を有する「可撓性」共重合体は、機械的強度、典型的には耐摩耗性、引裂き強度及び圧縮強度に関して制限があることが観察されている。
【0004】
それらはまた、オーバーモールドプロセスによる多層構造体の製造において、例えばポリウレタン熱可塑性樹脂などの他の材料と組み合わせた場合に接着性に関して制限を有することができる。
【0005】
より効果的な材料、すなわち改善された機械的強度特性、特に耐摩耗性、引裂き強度及び圧縮強度特性を有する材料に対する市場の継続的な需要がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、良好な機械的強度特性、特に良好な耐摩耗性、引裂き強度及び圧縮強度特性、並びにオーバーモールド中のより良好な接着性の中で1つ以上の所望の有利な特性を有する、特定のポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有する共重合体に基づく組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、第一に、ポリアミドブロックのカルボン酸鎖端を含むポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含有する共重合体(PEBA共重合体)を含む組成物であって、鎖端は、エポキシド化合物によって担持されるエポキシド官能基によってブロックされ、エポキシド化合物の数平均官能価(Efn)は、2より大きく、好ましくは3以上であり、エポキシド化合物のエポキシド当量(EEW)は、80~700g/molであり、前記組成物は、以下の式
η*=K(ω)n-1 (I)
(式中、
・Kは、定数であり、
・ωは、ISO 6721-10による組成物の融点より30℃高い温度で線形範囲の振動レオメトリーで適用される角周波数であり、かつ
・nの値は、角周波数ωの0.135~1.35rad/sの範囲にわたって、0.55~0.95、優先的には0.60~0.90、さらにより優先的には0.65~0.85、又は0.70~0.85である)によって定義されるべき法則に従う複素粘度(η*)を有する、組成物に関する。
【0008】
本発明の文脈において、融点は、ISO 11357-1に従って、20℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0009】
一実施形態によれば、本発明によるポリマー組成物は、80000~300000g/mol、好ましくは90000~250000g/mol、より優先的には100000~200000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0010】
一実施形態によれば、組成物の数平均モル質量(Mn)に対する組成物の重量平均分子量(Mw)の比は、2.4以上である。
【0011】
一実施形態によれば、共重合体の重量平均分子量(Mw)に対する組成物のz平均モル質量(Mz)の比は、2以上、好ましくは2.5以上である。
【0012】
一実施形態によれば、PEBA共重合体のポリアミド(PA)ブロックは、PA6、PA11、PA12、PA5.4、PA5.9、PA5.10、PA5.12、PA5.13、PA5.14、PA5.16、PA5.18、PA5.36、PA6.4、PA6.9、PA6.10、PA6.12、PA6.13、PA6.14、PA6.16、PA6.18、PA6.36、PA10.4、PA10.9、PA10.10、PA10.12、PA10.13、PA10.14、PA10.16、PA10.18、PA10.36、PA10.T、PA12.4、PA12.9、PA12.10、PA12.12、PA12.13、PA12.14、PA12.16、PA12.18、PA12.36若しくはPA12.Tのブロック、それらの混合物、又はそれらのコポリアミド、好ましくはPA11、PA12、PA6、PA6.10、PA6.12、PA10.10若しくはPA10.12のブロック、又はそれらの混合物から選択される。
【0013】
一実施形態によれば、PEBA共重合体のポリエーテルブロックは、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PO3G)、ポリテトラヒドロフラン(PTMG)、若しくはそれらの混合物、又はそれらの共重合体のブロック、好ましくはポリエチレングリコール又はポリテトラヒドロフランのブロックから選択される。
【0014】
一実施形態によれば、
・PEBA共重合体のポリアミドブロックは、400~20000g/mol、好ましくは500~10000g/molの数平均モル質量を有し、かつ/又は
・PEBA共重合体のポリエーテルブロックは、100~6000g/mol、好ましくは200~3000g/molの数平均モル質量を有する。
【0015】
一実施形態によれば、PEBA共重合体のポリエーテルブロックに対するポリアミドブロックの質量比は、0.1~20、好ましくは0.3~10、又は0.3~5、又はさらにより優先的には0.3~1である。
【0016】
本発明の文脈において、エポキシド化合物の数平均エポキシド官能価(Efn)は、2超であり、有利には3以上であり、30までの範囲であり得る。好ましくは、官能価(Efn)は3~20である。
【0017】
一実施形態によれば、エポキシド化合物のエポキシド当量(EEW)は、80~700g/mol、好ましくは80~100g/mol、又は100~200g/mol、又は200~300g/mol、又は300~400g/mol、又は400~500g/mol、又は500~600g/mol、又は600~700g/molである。
【0018】
本発明の組成物は熱可塑性の特質を有し、リサイクル可能であることが観察されている。
【0019】
したがって、本発明は、改善された機械的強度を有すると同時に優れたリサイクル可能性特性を有する新しいタイプの組成物を提供する。
【0020】
これは、特定の複素粘度を有する、特定のエポキシ化合物によって分岐されたポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含む共重合体の使用によって達成される。
【0021】
組成物はまた、ポリアミド、官能性ポリオレフィン、コポリエーテルエステル、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリレートの共重合体、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体から選択される少なくとも1つの成分(C)、及び/又は核形成剤、充填剤、特に鉱物充填剤、例えばタルク、強化繊維、特にガラス又は炭素繊維、染料、UV吸収剤、抗酸化剤、特にフェノール系抗酸化剤、又はリン系若しくは硫黄系抗酸化剤、ヒンダードアミン光安定剤又はHALS、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の添加剤(D)をさらに含む。
【0022】
一実施形態によれば、組成物の融点は、PEBA共重合体の融点に対応する。
【0023】
いくつかのPEBA共重合体が組成物中に存在する場合、組成物の融点は、PEBA共重合体の最高融点に対応する。
【0024】
1つ以上の成分(C)が組成物中に存在する場合、組成物の融点は、PEBA共重合体及び成分(C)の最高融点に対応する。
【0025】
一実施形態によれば、組成物は、組成物の総重量に対して、
0%~49%、好ましくは0.1%~49重量%の、ポリアミド、官能性ポリオレフィン、コポリエーテルエステル、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリレートの共重合体、及びエチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体から選択される少なくとも1つの成分(C)、
及び/又は0%~10%、好ましくは0.1%~10重量%の、核形成剤、充填剤、強化繊維、染料、UV吸収剤、抗酸化剤、光安定剤及びこれらの混合物から選択される1つ以上の添加剤(D)を含む。
【0026】
本発明はまた、上記のような組成物を製造するための方法であって、典型的には溶融状態で、PEBA共重合体、エポキシド当量(EEW)が80~700g/molであるエポキシド化合物、場合により1つ以上の成分(C)及び/又は1つ以上の添加剤(D)を混合する工程を含み、それにより、PEBA共重合体の少なくとも1つのカルボン酸鎖端が、エポキシド化合物のエポキシド官能基と反応し、前記組成物が、以下の式によって定義されるべき法則に従う複素粘度(η*)を有し、
η*=K(ω)n-1 (I)
式中、
・Kは、定数であり、
・ωは、ISO 6721-10による組成物の融点より30℃高い温度で線形範囲の振動レオメトリーで適用される角周波数であり、かつ
・nの値は、角周波数ωの0.135~1.35rad/sの範囲にわたって、0.55~0.95、優先的には0.60~0.90、さらにより優先的には0.65~0.85、又は0.70~0.85である、方法に関する。
【0027】
PEBA共重合体は、典型的には、10~200μmol/g、好ましくは15~150μmol/g、例えば20~100μmol/gのカルボン酸鎖端含有量を有する。
【0028】
エポキシド化合物のエポキシド当量(EEW)は、80~700g/mol、好ましくは80~100g/mol、又は100~200g/mol、又は200~300g/mol、又は300~400g/mol、又は400~500g/mol、又は500~600g/mol、又は600~700g/molである。
【0029】
一実施形態によれば、PEBA共重合体のカルボン酸鎖端含有量のエポキシド化合物のエポキシド官能基含有量に対するモル比は、典型的には2~20、好ましくは3~10である。
【0030】
一実施形態によれば、本方法で使用されるエポキシド化合物の量は、PEBA共重合体の総重量に対して、0.01%~5重量%、好ましくは0.01%~2重量%、より好ましくは0.05%~1重量%である。
【0031】
1つの好ましい実施形態によれば、この方法において使用されるエポキシド化合物の量は、PEBA共重合体の総重量に対して重量で1%未満、典型的には0.15%~0.95%、好ましくは0.3%~0.9%、又は0.35%~0.85重量%である。
【0032】
本発明はまた、上記の方法に従って得ることができる組成物に関する。
【0033】
本発明はまた、上記の組成物の発泡体に関する。
【0034】
一実施形態によれば、発泡体は、800kg/m3以下、好ましくは600kg/m3以下、より優先的には400kg/m3以下、より優先的にはさらに300kg/m3以下の密度を有する。
【0035】
実施形態によれば、発泡体は、65%以下、好ましくは50%以下(規格ISO 7214:2012に従って測定した、30分の弛緩後に50℃で6時間かけて加えられた変形の50%)、又は45%以下、又は40%以下、又は35%以下の圧縮ひずみを有する。
【0036】
本発明は、改善された発泡性を有し、低密度を有し、以下:低応力負荷時の高い弾性エネルギー復元能力、小さい圧縮ひずみ(したがって耐久性が向上する)、圧縮時の高い疲労強度、優れた弾力性、特に優れた耐摩耗性から1つ以上の有利な特性を有する均質で均一なポリマー発泡体の形成を可能にする組成物を提供する。
【0037】
本発明による発泡体に使用される本発明の組成物の利点の1つは、非架橋熱可塑性挙動を有することである。したがって、本発明による発泡体は、リサイクル可能であるという利点を有する非架橋発泡体である。
【0038】
本発明の主題はまた、発泡体の形態に変換される前記共重合体の容量を改善すると同時にそのリサイクル可能性を保持するための、上で定義したPEBAブロック共重合体における上で定義した少なくとも1つのエポキシド化合物の使用である。
【0039】
本発明はまた、上記の組成物からなる少なくとも1つの要素からなる又はそれを含む物品に関する。
【0040】
本発明はまた、上述のように、組成物、典型的には発泡体からなる少なくとも1つの要素からなるか又はそれを含む物品に関する。
【0041】
有利には、本発明による物品は、繊維、織物、フィルム、シート、発泡体ブロック、発泡体粒子、ロッド、チューブ、射出成形及び/又は押出部品から選択される。
【0042】
有利には、本発明による物品は、履物ソール、大型又は小型ボール、手袋、個人用保護具、レールタイパッド、自動車部品、建築部品及び電気及び電子機器部品から選択され、例えば、物品は、履物ソール、特にインソール、ミッドソール又はアウターソールなどのスポーツ用履物ソール、スキーブーツライナー、靴下、ラケット、小型ボール、大型ボール、フロータ、手袋、個人用保護具、ヘルメット、レールタイパッド、自動車部品、ベビーカー部品、タイヤ、ホイール、タイヤなどのスムーズライディングホイール、ハンドル、座席要素、チャイルドカー座席部品、建築部品、電気及び/又は電子機器部品、電子保護部品、オーディオ機器、音響絶縁及び/又は断熱部品、衝撃又は振動を減衰させることを目的とする部品から選択され、例えば、輸送手段によって生成されたもの、パディング要素、玩具、スプリントなどの医療用物体、整形装具、頸部カラー、ドレッシング、特に抗菌発泡体ドレッシング、アート又は手工品、ライフジャケット、バックパック、膜、カーペット、スポーツマット、スポーツフロアカバー、カーペット下敷き、及びこれらの物品の混合物を含む任意の物品から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を、以下の説明において非限定的に、より詳細に説明する。
【0044】
別途指示がない限り、全ての百分率は質量百分率である。
【0045】
組成物
本発明の組成物は、ポリアミドブロックと、エポキシド官能基と反応した少なくとも1つのカルボン酸鎖端を含むポリエーテルブロックと、を含む共重合体を含む。
【0046】
本発明の文脈において、3つのタイプのポリアミドブロックをPEBA共重合体に有利に使用することができる。
【0047】
第1のタイプによれば、ポリアミドブロックは、直鎖又は分岐脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸、特に4~36個の炭素原子を含むもの、好ましくは6~18個の炭素原子を含むもの、及び直鎖又は分岐脂肪族、脂環式又はアルキル芳香族ジアミン、特に2~20個の炭素原子を含むもの、好ましくは4~14個の炭素原子を含むものの縮合に由来する。
【0048】
一実施形態によれば、ポリアミドブロックは、直鎖又は分岐脂肪族、脂環式又は芳香族のジカルボン酸と、直鎖又は分岐脂肪族又は脂環式のジアミンとの縮合に由来する。
【0049】
一実施形態によれば、ポリアミドブロックは、直鎖又は分岐脂肪族又は脂環式ジカルボン酸と、直鎖又は分岐脂肪族又は脂環式ジアミンとの縮合に由来する。
【0050】
ジカルボン酸の例としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸が挙げられるが、二量体化脂肪酸も挙げられる。
【0051】
ジアミンの例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)の異性体、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)及び2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)、パラアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジン(Pip)が挙げられる。
【0052】
有利には、ポリアミドブロックPA4.12、PA4.14、PA4.18、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA6.18、PA9.12、PA10.10、PA10.12、PA10.14及びPA10.18が使用される。表記PAX.Yにおいて、Xは、従来と同様に、ジアミン残基に由来する炭素原子の数を表し、Yは、二酸残基に由来する炭素原子の数を表す。
【0053】
第2のタイプによれば、ポリアミドブロックは、4~36個の炭素原子を含有するジカルボン酸又はジアミンの存在下で、1つ以上のα、ω-アミノカルボン酸及び/又は6~12個の炭素原子を含有する1つ以上のラクタムの縮合から生じる。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタム及びラウリルラクタムを挙げることができる。α、ω-アミノカルボン酸の例として、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸を挙げることができる。
【0054】
有利には、第2のタイプのポリアミドブロックは、PA11(ポリウンデカンアミド)、PA12(ポリドデカンアミド)又はPA6(ポリカプロラクタム)ブロックである。PAXの表記において、Xはアミノ酸残基由来の炭素数を表す。
【0055】
第3のタイプによれば、ポリアミドブロックは、少なくとも1種のα、ω-アミノカルボン酸(又はラクタム)、上記のタイプの少なくとも1つのジアミン及び上記のタイプの少なくとも1つのジカルボン酸の縮合から生じる。
【0056】
この場合、ポリアミドPAブロックは、
・X個の炭素原子を含むジアミンの、
・Y個の炭素原子を含むジカルボン酸の、及び
・ラクタム及びZ個の炭素原子を含有するα、ω-アミノカルボン酸、並びにX1個の炭素原子を含有する少なくとも1つのジアミン及びY1個の炭素原子を含有する少なくとも1つのジカルボン酸の等モル混合物から選択され、(X1、Y1)は(X、Y)とは異なる、コモノマー{Z}の
重縮合によって調製され、
・前記コモノマー{Z}は、ポリアミド前駆体モノマーの総量に対して、有利には50%まで、好ましくは20%まで、さらにより有利には10%までの範囲の重量割合で導入される、
・ジカルボン酸から選択される鎖制限剤の存在下において、である。
【0057】
有利には、Y個の炭素原子を含有するジカルボン酸は、ジアミンの化学量論に対して過剰に導入される鎖制限剤として使用される。
【0058】
この第3のタイプの1つの変形によれば、ポリアミドブロックは、少なくとも2つのα、ω-アミノカルボン酸、又は6~12個の炭素原子を含有する少なくとも2つのラクタム、又は1つのラクタムと同数の炭素原子を有さない1つのアミノカルボン酸との、任意選択の鎖制限剤の存在下での縮合から生じる。脂肪族α、ω-アミノカルボン酸の例として、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸を挙げることができる。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタム及びラウリルラクタムを挙げることができる。脂肪族ジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンを挙げることができる。脂環式二酸の例としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。脂肪族二酸の例として、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸及び二量体化脂肪酸を挙げることができる。これらの二量体化脂肪酸は、好ましくは少なくとも98%の二量体含有量を有する。それらは好ましくは水素化されている;例えば、Crodaによって商標名Pripolで、又はBASFによって商標名Empolで、又はOleonによって商標名Radiacidで、及びポリオキシアルキレンα、ω-二酸で販売されている製品である。芳香族二酸の例としては、テレフタル酸(T)及びイソフタル酸(I)が挙げられる。脂環式ジアミンの例としては、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)及び2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)、並びにパラアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体が挙げられる。一般的に使用される他のジアミンは、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジンであり得る。
【0059】
第3のタイプのポリアミドブロックの例として、以下を挙げることができる。
・PA6.6/6(6.6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、6はカプロラクタムの縮合から生じる単位を表す)、
・PA6.6/6.10/11/12(6.6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン、6.10はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン、11はアミノウンデカン酸の縮合に由来する単位、12はラウリルラクタムの縮合に由来する単位を表す)。
【0060】
PAX/Y、PAX/Y/Zなどの表記は、X、Y、Zなどが上記のホモポリアミド単位を表すコポリアミドに関する。
【0061】
有利には、本発明で使用される共重合体のポリアミドブロックは、ポリアミドPA6、PA11、PA12、PA5.4、PA5.9、PA5.10、PA5.12、PA5.13、PA5.14、PA5.16、PA5.18、PA5.36、PA6.4、PA6.9、PA6.10、PA6.12、PA6.13、PA6.14、PA6.16、PA6.18、PA6.36、PA10.4、PA10.9、PA10.10、PA10.12、PA10.13、PA10.14、PA10.16、PA10.18、PA10.36、PA10.T、PA12.4、PA12.9、PA12.10、PA12.12、PA12.13、PA12.14、PA12.16、PA12.18、PA12.36若しくはPA12.Tブロック、又はそれらの混合物若しくは共重合体を含む。好ましくはポリアミドPA6、PA11、PA12、PA6.10、PA10.10若しくはPA10.12ブロック、又はそれらの混合物若しくは共重合体を含む。
【0062】
一実施形態によれば、ポリアミドブロックは芳香族単位を含まない。
【0063】
ポリエーテルブロックは、アルキレンオキシド単位から形成される。
【0064】
ポリエーテルブロックは、特に、PEG(ポリエチレングリコール)ブロック、すなわちエチレンオキシド単位から形成されたブロック、及び/又はPPG(ポリプロピレングリコール)ブロック、すなわちプロピレンオキシド単位から形成されたブロック、及び/又はPO3G(ポリトリメチレングリコール)ブロック、すなわちトリメチレングリコールエーテル単位から形成されたブロック、及び/又はPTMG(ポリテトラメチレングリコール)ブロック、すなわちポリテトラヒドロフランとしても知られるテトラメチレングリコール単位から形成されたブロックであり得る。共重合体は、その鎖中にいくつかのタイプのポリエーテルを含んでいてもよく、コポリエーテルはおそらくブロック又は統計的形態である。
【0065】
ビスフェノール、例えばビスフェノールAのオキシエチル化によって得られるブロックを使用してもよい。後者の生成物は、文献欧州特許第613919号に特に記載されている。
【0066】
一実施形態によれば、ポリエーテルブロックは、エトキシル化ビスフェノールに由来するポリエーテルブロックを含まない。
【0067】
ポリエーテルブロックは、エトキシル化一級アミンからなることもできる。エトキシル化一級アミンの例として、式:
[化1]
(式中、m及びnは1~20の整数であり、xは8~18の整数である)の生成物を挙げることができる。これらの製品は、例えば、Arkemaから商品名Noramox(登録商標)で、Clariantから商品名Genamin(登録商標)で市販されている。
【0068】
ポリエーテルブロックは、OH鎖端を有するα、ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロック(ポリエーテルジオールと呼ばれる)を含み得る。
【0069】
ポリエーテルブロックは、ジアミンNH2鎖端を有するポリオキシアルキレンブロック(ポリエーテルアミンと呼ばれる)を含んでもよく、そのようなブロックは、ポリエーテルジオールと呼ばれるα、ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノアセチル化によって得ることができる。より具体的には、市販品Jeffamine又はElastamineを使用することができる(例えば、Huntsmanからの市販品であるJeffamine(登録商標)D400、D2000、ED 2003、XTJ 542、また、文献特開2004-346274号公報、特開2004-352794号公報及び欧州特許第1482011号にも記載されている)。
【0070】
一実施形態によれば、共重合体中のポリエーテルブロックはポリエーテルジオールである。
【0071】
ポリエーテルジオールブロックは、非修飾の形態で使用され、カルボキシル末端基を有するポリアミドブロックと共縮合されるか、又はアミノ化されてポリエーテルジアミンに変換され、カルボキシル末端基を有するポリアミドブロックと縮合される。
【0072】
上記のブロック共重合体は、上記のように少なくとも1つのポリアミドブロック及び少なくとも1つのポリエーテルブロックを含むが、本発明はまた、3つ、4つ(又はそれ以上)の異なるブロックを含む共重合体も包含し、ただし、これらのブロックは、少なくともポリアミド及びポリエーテルブロックを含む。
【0073】
例えば、本発明による共重合体は、上述のブロックのいくつかの縮合から生じる3つの異なるタイプのブロックを含むセグメント化ブロック共重合体(又は「トリブロック」共重合体)であり得る。前記トリブロックは、例えば、ポリアミドブロック、ポリエステルブロック及びポリエーテルブロックを含む共重合体、又はポリアミドブロック及び2つの異なるポリエーテルブロック、例えばPEGブロック及びPTMGブロックを含む共重合体であり得る。
【0074】
PEBA共重合体は、反応性末端を有するポリアミドブロックと反応性末端を有するポリエーテルブロックとの重縮合、特に、
1)ジアミン鎖端を有するポリアミドブロックとジカルボキシル鎖端を有するポリオキシアルキレンブロックの、
2)例えば、ポリエーテルジオールとして知られるα、ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノエチル化及び水素化によって得られる、ジアミン鎖端を有するポリオキシアルキレンブロックを有するジカルボキシル鎖端を有するポリアミドブロックの、
3)ポリエーテルジオールを有するジカルボキシル鎖端を有するポリアミドブロックであって、得られた生成物は、この特定の場合には、ポリエーテルエステルアミドである、ポリアミドブロックの
重縮合から生じる。
【0075】
好ましくは、PEBA共重合体は、ジカルボキシル鎖端を有するポリアミドブロックとポリエーテルジオールとの重縮合から生じる。
【0076】
ジカルボキシル鎖端を有するポリアミドブロックは、例えば、鎖制限ジカルボン酸の存在下でのポリアミド前駆体の縮合に由来する。ジアミン鎖端を有するポリアミドブロックは、例えば、鎖制限ジアミンの存在下でのポリアミド前駆体の縮合に由来する。
【0077】
本発明の文脈において特に好ましいPEBA共重合体は、PA11及びPEG、PA11及びPTMG、PA12及びPEG、PA12及びPTMG、PA6.10及びPEG、PA6.10及びPTMG、PA6及びPEG、PA6及びPTMGの中からのブロックを含む共重合体である。
【0078】
本発明による共重合体中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、好ましくは400~20000g/mol、より優先的には500~10000g/mol、さらにより優先的には600~6000g/molである。実施形態では、共重合体中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、400~500g/mol、又は500~1000g/mol、又は1000~1500g/mol、又は1500~2000g/mol、又は2000~2500g/mol、又は2500~3000g/mol、又は3000~3500g/mol、又は3500~4000g/mol、又は4000~5000g/mol、又は5000~6000g/mol、又は6000~7000g/mol、又は7000~8000g/mol、又は8000~9000g/mol、又は9000~10000g/mol、又は10000~11000g/mol、又は11000~12000g/mol、又は12000~13000g/mol、又は13000~14000g/mol、又は14000~15000g/mol、又は15000~16000g/mol、又は16000~17000g/mol、又は17000~18000g/mol、又は18000~19000g/mol、又は19000~20000g/molである。
【0079】
ポリエーテルブロックの数平均モル質量は、好ましくは100~6000g/mol、より優先的には200~3000g/molである。実施形態では、可撓性ブロックの数平均モル質量は、100~200g/mol、又は200~500g/mol、又は500~800g/mol、又は800~1000g/mol、又は1000~1500g/mol、又は1500~2000g/mol、又は2000~2500g/mol、又は2500~3000g/mol、又は3000~3500g/mol、又は3500~4000g/mol、又は4000~4500g/mol、又は4500~5000g/mol、又は5000~5500g/mol、又は5500~6000g/molである。
【0080】
数平均モル質量は、鎖制限剤の含有量によって設定される。これは、以下の関係に従って計算することができる。
Mn=nmonomerxMWrepeating unit/nchain limiter+MWchain limiter
【0081】
この式において、nmonomerはモノマーのモル数、nchain limiterは鎖制限剤の過剰モル数、MWrepeating unitは繰り返し単位のモル質量、MWchain limiterは鎖制限剤の過剰モル質量である。
【0082】
ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックの数平均モル質量は、ブロックの共重合前にゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
【0083】
有利には、共重合体のポリエーテルブロックに対するポリアミドブロックの質量比は、0.1~20、好ましくは0.3~10、又は0.3~5、又はさらにより優先的には0.3~1である。特に、共重合体のポリエーテルブロックに対するポリアミドブロックの質量比は、0.1~0.2、又は0.2~0.3、又は0.3~0.4、又は0.4~0.5、又は0.5~0.6、又は0.6~0.7、又は0.7~0.8、又は0.8~0.9、又は0.9~1、又は1~1.5、又は1.5~2、又は2~2.5、又は2.5~3、又は3~3.5、又は3.5~4、又は4~4.5、又は4.5~5、又は5~5.5、又は5.5~6、又は6~6.5、又は6.5~7、又は7~7.5、又は7.5~8、又は8~8.5、又は8.5~9、又は9~9.5、又は9.5~10、又は10~11、又は11~12、又は12~13、又は13~14、又は14~15、又は15~16、又は16~17、又は17~18、又は18~19、又は19~20であってもよい。
【0084】
好ましくは、本発明のPEBA共重合体は、72ショアD以下、好ましくは55ショアD以下、さらにより優先的には40ショアD以下の瞬間硬度を示す。硬度測定は、規格ISO 868:2003に従って行うことができる。
【0085】
本発明の組成物は、80000g/molを超える重量平均分子量Mwを有する。好ましくは、組成物の重量平均分子量は、80000~300000g/mol、より優先的には90000~250000g/mol、さらにより優先的には100000~200000g/molである。重量平均分子量は、PMMA当量(較正標準として使用される)として表され、規格ISO 16014-1:2012に従ってサイズ排除クロマトグラフィーによって測定することができ、共重合体は、0.05Mトリフルオロ酢酸カリウムで安定化されたヘキサフルオロイソプロポノールに常温で24時間、1g/l~2g/lの濃度で溶解された後、カラムを通過し、例えば1ml/分の流速であり、モル質量は示差屈折計によって測定される。サイズ排除クロマトグラフィーは、修飾シリカのカラムを使用して、例えば、300×8mmの寸法及び7μmの粒径を有する1000Åカラム、300×8mmの寸法及び7μmの粒径を有する100Åカラム、及び50×8mmの寸法を有するプレカラムを含む、修飾シリカの2つのカラム及びプレカラム(例えば、Polymer Standards ServiceからのPGFカラム及びプレカラム)のセットで、例えば40℃の温度で行うことができる。
【0086】
実施形態では、本発明の組成物は、80000~90000g/mol、又は90000~100000g/mol、又は100000~125000g/mol、又は125000~150000g/mol、又は150000~175000g/mol、又は175000~200000g/mol、又は200000~225000g/mol、又は225000~250000g/mol、又は250000~275000g/mol、又は275000~300000g/molの範囲の重量平均分子量Mwを有する。
【0087】
本発明の組成物は、30000~100000g/mol、好ましくは35000~80000g/mol、より優先的には40000~70000g/molの範囲の数平均モル質量Mnを有し得る。数平均モル質量は、PMMA当量として表され、規格ISO 16014-1に従って上記の方法に従って測定することができる。
【0088】
実施形態では、組成物は、30000~35000g/mol、又は35000~40000g/mol、又は40000~45000g/mol、又は45000~50000g/mol、又は50000~55000g/mol、又は55000~60000g/mol、又は60000~70000g/mol、又は70000~80000g/mol、又は80000~90000g/mol、又は90000~100000g/molの範囲の数平均モル質量Mnを有する。
【0089】
組成物は、200000~1000000g/mol、優先的には300000~800000g/molの範囲のz平均モル質量Mzを有することができる。z平均モル質量は、PMMA当量として表され、規格ISO 16014-1に従って上記の方法に従って測定することができる。
【0090】
実施形態では、組成物は、200000~250000g/mol、又は250000~300000g/mol、又は300000~350000g/mol、又は350000~400000g/mol、又は400000~450000g/mol、又は450000~500000g/mol、又は500000~550000g/mol、又は550000~600000g/mol、又は600000~650000g/mol、又は650000~700000g/mol、又は700000~750000g/mol、又は750000~800000g/mol、又は800000~850000g/mol、又は850000~900000g/mol、又は900000~950000g/mol、又は950000~1000000g/molの範囲のz平均モル質量Mzを有する。
【0091】
組成物の多分散性は、組成物の数平均モル質量Mnに対する組成物の重量平均分子量Mwの比(Mw/Mnモル質量比)及び/又は組成物の重量平均分子量Mwに対する組成物のz平均モル質量Mzの比(Mz/Mwモル質量比)によって定義することができる。
【0092】
本発明による組成物は、2.4以上のMw/Mnモル質量比を有する。実施形態では、共重合体は、2.5以上、又は2.6以上、又は2.7以上、又は2.8以上、又は2.9以上、又は3以上のMw/Mnモル質量比を有する。
【0093】
本発明による組成物は、2以上、好ましくは2.5以上のMz/Mwモル質量比を有し得る。実施形態では、組成物は、2.6以上、又は2.7以上、又は2.9以上、又は3.1以上、又は3.3以上、又は3.5以上のMz/Mwモル質量比を有する。
【0094】
エポキシド化合物
本発明のエポキシド化合物は、2超、有利には3以上であり、30までの範囲であり得る数平均エポキシド官能価(Efn)を有する。好ましくは、官能価(Efn)は3~20である。
【0095】
本発明の目的のために、平均エポキシド官能価は、エポキシド化合物1分子当たりのエポキシド官能基の平均数に対応する。
【0096】
一実施形態によれば、エポキシド化合物のエポキシド当量(EEW)は、80~700g/molである。
【0097】
一実施形態によれば、本発明のエポキシド化合物は、トリグリシジルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ノボラックエポキシ樹脂、及びエポキシ化油から選択される。
【0098】
一実施形態によれば、本発明のエポキシド化合物は、エポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、アルケンモノマー、酢酸ビニルモノマー、非官能性(メタ)アクリル系モノマー、スチレンモノマー、又はこれらの実体の1つ以上の混合物から選択される少なくとも1つのモノマーとの共重合によって得られる、エポキシド官能基を有する(メタ)アクリレートのランダム共重合体から選択される。
【0099】
本発明の目的のために、(メタ)アクリル系モノマーという用語は、アクリル系モノマーとメタクリルモノマーの両方を含む。エポキシド官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーの例は、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む。エポキシド官能基を有するこれらの(メタ)アクリル系モノマーの例には、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートなどの1,2-エポキシド基を含有するモノマーが含まれるが、これらに限定されない。他の適切なモノマーは、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート及びグリシジルイタコネートであり得る。
【0100】
適切なアルケンモノマーは、エチレン、プロピレン、ブチレン、及びこれらの実体の混合物であり得るが、これらに限定されない。
【0101】
適切なアクリレート及びメタクリレートモノマーは、これらに限定されないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、i-アミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-デシルアクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、i-アミルメタクリレート、s-ブチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートであってもよい。
【0102】
スチレンモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、o-クロロスチレン、ビニルピリジン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明で使用するためのスチレンモノマーは、スチレン及びアルファ-メチルスチレンである。
【0103】
一実施形態によれば、本発明のエポキシド化合物は、エポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマー、並びに少なくとも1つの非官能性(メタ)アクリル系モノマー及び/又はスチレンモノマーのモノマーから得られる、エポキシド官能基を有するスチレン-(メタ)アクリレートのランダム共重合体から選択される。
【0104】
一実施形態において、エポキシド化合物は、25%~50重量%のエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、75%~50重量%の少なくとも1つの非官能性(メタ)アクリル系モノマー及び/又はスチレンモノマーと、を含有する。より優先的には、エポキシド化合物は、25%~50重量%のエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、15%~30重量%の少なくとも1つのスチレンモノマーと、20%~60重量%の少なくとも1つの非官能性アクリレートモノマー及び/又はメタクリレートモノマーと、を含有する。
【0105】
一実施形態では、エポキシド化合物は、モノマーの総重量に基づいて、50%~80重量%のエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、20%~50%の少なくとも1つの非官能性(メタ)アクリル系モノマー及び/又はスチレンモノマーと、を含有する。より優先的には、エポキシド化合物は、50%~80重量%のエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、15%~45重量%の少なくとも1つのスチレンモノマーと、0%~5重量%の少なくとも1つの非官能性アクリレートモノマー及び/又はメタクリレートモノマーと、を含有する。
【0106】
一実施形態において、エポキシド化合物は、5%~25重量%のエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、75%~95重量%の少なくとも1つの非官能性(メタ)アクリル系モノマー及び/又はスチレンモノマーと、を含有する。より優先的には、エポキシド化合物は、5%~25重量%のエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマーと、50%~95重量%の少なくとも1つのスチレンモノマーと、0%~25重量%の少なくとも1つの非官能性アクリレートモノマー及び/又はメタクリレートモノマーと、を含有する。
【0107】
実施形態によれば、エポキシド化合物は、エポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマー並びに少なくとも1つの非官能性(メタ)アクリル系モノマー及び/又はスチレンモノマーのモノマーから得られる、エポキシド官能基を有するスチレン-(メタ)アクリレート共重合体から選択され、好ましくはエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマー及び少なくとも1つのスチレンモノマーのモノマーから得られる、エポキシド官能基を有するスチレン-(メタ)アクリレート共重合体から選択される。
【0108】
一実施形態によれば、エポキシド化合物は、エポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマー及び少なくとも1つのスチレンモノマーから得られる。一実施形態によれば、エポキシド化合物は、モノマーの総重量に対して、50%~80重量%のエポキシド官能基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル系モノマー及び20%~50重量%の少なくとも1つのスチレンモノマーを含有する。
【0109】
1つの好ましい実施形態によれば、エポキシド化合物は、スチレンとグリシジルメタクリレートとのランダム共重合体である。
【0110】
エポキシド官能基を有するスチレン-(メタ)アクリレートの共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは25000g/mol未満、より優先的には20000g/mol未満であり、一般に、3000~15000g/mol、好ましくは5000~10000g/molの範囲である。
【0111】
組成物を調製するための方法
本発明の方法は、バッチ法又は好ましくは連続法であり得る。
【0112】
典型的には、プロセスは、溶融状態で混合する工程を含む。この工程に適用される条件は、溶融状態の化合物の密接な混合を可能にするように選択される。
【0113】
一実施形態によれば、組成物の融点より少なくとも5℃高い、好ましくは少なくとも10℃高い温度が混合工程に適用される。本発明の共重合体の熱分解を回避するために、この温度は一般に300℃未満のままであるべきである。
【0114】
本発明の文脈において、1つ以上のPEBA共重合体を導入することができる。単一のPEBA共重合体が使用される場合、適用される温度は、共重合体の融点よりも、少なくとも10℃高く、好ましくは少なくとも30℃高い。いくつかの共重合体が使用される場合、適用される温度は、共重合体の最高融点よりも、少なくとも10℃高く、好ましくは少なくとも30℃高い。
【0115】
一実施形態によれば、溶融状態で混合する工程において適用される温度は、200℃超で300℃未満である。
【0116】
混合工程中に1つ以上の成分(C)が導入される場合、PEBA共重合体及び成分(C)の最高融点よりも少なくとも5℃高い、好ましくは少なくとも10℃高い温度が適用される。
【0117】
一実施形態によれば、調製プロセスの混合工程中に1つ以上の添加剤が添加される。
【0118】
典型的には、添加剤は、安定剤(例えば、抗酸化剤、特にフェノール系抗酸化剤、又はリン系若しくは硫黄系抗酸化剤、ヒンダードアミン光安定剤又はHALS、UV吸収剤及び/又は難燃剤)、充填剤、特に鉱物充填剤、例えばタルク、強化繊維、特にガラス又は炭素繊維、核形成剤(例えば、CaCO3、ZnO、SiO2、又はそれらの2つ以上の組み合わせ)、離型剤、染料、顔料(例えばTiO2又は他の適合性着色顔料)、蛍光増白剤、光発色性添加剤、触媒(例えば、酢酸亜鉛、酢酸チタン、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム)、可塑剤及び/又は潤滑剤、又はそれらの混合物から選択される。
【0119】
一実施形態によれば、PEBA共重合体の総重量に対して0%~10%、好ましくは0.1%~5%の添加剤をプロセスの混合工程で添加することができる。
【0120】
このプロセスは、混合物を溶融状態で押し出す工程を含む。
【0121】
このプロセスは、水を含有する冷却液による冷却によって得られた生成物を回収する工程、及び/又は冷却液と冷却された生成物とを分離する工程、及び/又は冷却された生成物をロッド若しくはリボンの形態で、又は顆粒の形態で直接成形する工程を含み得る。
【0122】
本発明のプロセスを実施するための設備として、当業者に知られている溶融プラスチックを混合、混練又は押出するための任意の装置を使用することができる。例として、内部ミキサー、ロールミル、逆回転又は共回転の単軸又は二軸押出機、コニーダー、又は撹拌反応器を挙げることができる。混練装置は、上述のツールのうちの1つ又はそれらの組み合わせ、例えば、一軸引取押出機と組み合わせたコニーダーであってもよい。
【0123】
好ましくは、本発明による方法の全部又は一部は、共回転二軸スクリュー押出機で実施される。
【0124】
有利には、プロセスは、典型的には押出機における反応押出によって行われる。
【0125】
発泡体
上記のような発泡体は、
・場合により1つ以上の添加剤を含む、上で定義された組成物と、発泡剤と、を含む混合物を提供する工程と、
・混合物を発泡させる工程と、
を含む製造プロセスによって調製することができる。
【0126】
一実施形態によれば、混合物は、ポリアミド、官能性ポリオレフィン、コポリエーテルエステル、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリレートの共重合体、及びエチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体から選択される別の成分を含むことができる。これらの成分は、混合物の総重量に対して、好ましくは0%~50重量%、優先的には5%~30重量%の含有量で添加することができる。
【0127】
発泡剤は、化学的又は物理的な薬剤、あるいはそれらの混合物であってもよい。好ましくは、それは物理的薬剤、例えば二窒素若しくは二酸化炭素、又は水、又は炭化水素、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロフルオロカーボン若しくはヒドロクロロフルオロカーボン(飽和若しくは不飽和)である。例えば、ブタン又はペンタンを使用することができる。
【0128】
物理的発泡剤は、液体又は超臨界形態で組成物と混合され、次いで発泡工程中に気相に変換され得る。物理的発泡剤は、特にそれが独立気泡発泡体である場合、発泡体の気泡内に存在したままであってもよく、及び/又は消散してもよい。
【0129】
それはまた、例えばアゾジカルボンアミドなどの化学剤、又はクエン酸及び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)に基づく混合物(例えば、ClariantのHydrocerol(登録商標)範囲の生成物)であり得る。
【0130】
このようにして形成された発泡体は、上記の組成物(又は、ポリマーの混合物が使用される場合、混合物)及び場合によりマトリックス中に分散された1つ以上の添加剤から本質的になるか、又はさらにはなる。
【0131】
化学発泡剤が使用される場合、発泡体は、上述の組成物(又は、ポリマーの混合物が使用される場合、混合物)に加えて、化学発泡剤の分解生成物を含んでもよく、前記生成物はマトリックス中に分散される。
【0132】
発泡技術は、バッチ発泡、射出成形発泡、単軸又は二軸押出発泡などの押出発泡、オートクレーブ発泡及びマイクロ波発泡であってもよい。
【0133】
一実施形態によれば、混合物を提供する工程は、溶融状態で行われる。
【0134】
有利には、本発明による方法は、前記混合物をモールドに注入する工程と、前記混合物を発泡させる工程とを含む。発泡は、モールドの体積よりも小さい体積のポリマーのモールドへの注入中に、又はモールドの開口部によって生成される。これらの2つの技術は、それぞれ又は組み合わせて、複雑な幾何学的形状を有する三次元発泡物体を直接製造することを可能にする。それらはまた、特に先行技術に記載されているような発泡粒子を溶融する特定のプロセスと比較して、実行が比較的簡単な技術であり、具体的には、発泡ポリマー顆粒をモールドに充填し、続いて発泡体の構造を破壊することなく部品の機械的強度を確保するために粒子を溶融することは困難な作業である。
【0135】
本発明の文脈において使用することができる他の射出成形発泡技術は、特に、通気性のモールド、ガス背圧の印加、計量下、又はVariotherm(登録商標)システムを備えたモールドを用いた射出成形発泡である。
【0136】
一実施形態によれば、本発明による発泡プロセスは、溶融状態の混合物を提供する工程と、前記混合物を押し出し、前記混合物の発泡を押出ダイの出口で直接誘発する工程とを含む。
【0137】
さらに別の実施形態によれば、発泡プロセスは、気体、典型的には不活性気体を、上述のような組成物に由来する物体内に、大気圧より高い圧力で含浸させて、物体内への気体の導入を強制する工程と、圧力を低下させて気体を放散させ、発泡体を生成する工程とを含む。この場合、物体は、典型的には、粒子、射出成形部品又は組成物からの押出部品であり得る。
【0138】
添加剤としては、顔料(TiO2及び他の適合性着色顔料)、接着促進剤(発泡発泡体の他の材料への接着性を改善するため)、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び/又は酸化ケイ素)、核形成剤(純粋な形態又は濃縮形態、例えばCaCO3、ZnO、SiO2、又はそれらの2つ以上の組み合わせ)、ゴム(天然ゴム、SBR、ポリブタジエン及び/又はエチレンプロピレン三元共重合体などのゴム弾性を改善するため)、安定剤、例えば抗酸化剤、UV吸収剤及び/又は難燃剤並びに加工助剤、例えばステアリン酸に言及することができる。添加剤は、好ましくは組成物に対して0%~10重量%の含有量で添加することができる。
【0139】
本発明による発泡体は、好ましくは800kg/m3以下、より優先的には600kg/m3以下、さらにより優先的には400kg/m3以下、特に好ましくは300kg/m3以下の密度を有する。これは、例えば、25~800kg/m3、より特に好ましくは50~600kg/m3の密度を有し得る。密度は、製造プロセスのパラメータを適合させることによって制御することができる。
【0140】
好ましくは、この発泡体は、規格ISO 8307:2007による、50%以上、好ましくは55%以上の反発弾性を有する。
【0141】
好ましくは、この発泡体は、30分の弛緩後に65%以下、より特に好ましくは50%以下、又は45%以下、又は40%以下、又は35%以下の圧縮ひずみを有する。
【0142】
この発泡体はまた、疲労強度及び湿し性にも優れていることが好ましい。
【0143】
本発明の発泡体の別の利点は、複雑な組み立てを容易にするために、他の要素へのより良好な接着性を提供する。これは、例えば、しばしば多層の形態である履物のソールの準備の状況において、オーバーモールドプロセスを使用して多層構造体を製造する際に特に有利である。
【0144】
本発明による発泡体は、スポーツ靴のソール、スキー靴、ミッドソール、インソール、又はその他の機能性ソール部品などのスポーツ用具を製造するために使用されてもよく、ソールの様々な部分(例えば、踵又はアーチ)のインサートの形態で使用されてもよく、又はその他の靴上部部品は、靴上部の構造への補強又はインサートの形態で使用されてもよく、又は保護の形態で使用されてもよい。
【0145】
それはまた、大型ボール、スポーツ用手袋(例えば、フットボール用手袋)、ゴルフボール部品、ラケット、保護要素(ジャケット、ヘルメットの内部要素、シェルなど)を製造するために使用され得る。
【0146】
本発明による発泡体は、機器製品に適した触覚特性と組み合わせて、有利な耐衝撃性、耐振動性及び耐ノイズ性を有する。したがって、鉄道レールタイパッド、又は自動車産業、輸送、電気及び電子機器、建設又は生産産業における様々な部品を製造するために使用することもできる。
【0147】
一実施形態によれば、本発明による発泡体物品は、例えば、脱気出口を備えた押出機で溶融することによって(場合により、細断して小片にした後に)リサイクルすることができる。
【実施例】
【0148】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明する。
【0149】
使用材料:
PEBA1:PA11ブロックとPTMGブロックを含み、数平均分子量(Mn)がそれぞれ1000g/molである共重合体。共重合体の酸鎖端の含有量は56μmol/gである。
PEBA2:PA12ブロック及びPTMGブロックを含有し、その数平均分子量(Mn)がそれぞれ600及び2000g/molである共重合体。共重合体の酸鎖端の含有量は49μmol/gである。
エポキシド化合物X:スチレンとグリシジルメタクリレートとのランダム共重合体。共重合体の重量平均分子量Mwは、7100g/molである。エポキシド化合物のエポキシド当量(EEW)は、485g/molである。
エポキシド化合物Y:スチレンとグリシジルメタクリレートとのランダム共重合体。共重合体の重量平均分子量Mwは、50000g/molである。エポキシド化合物のエポキシ当量(EEW)は、917g/molである。
エポキシド化合物Z:Lotader AX8900、エチレン、グリシジルメタクリレート及び無水マレイン酸のランダム三元共重合体(重量割合で68/8/24)。エポキシド化合物のエポキシ当量(EEW)は、1775g/molである。
【0150】
調製方法:
PEBA共重合体及びエポキシド化合物は、共回転二軸スクリュー押出機における反応押出プロセスにおいて溶融状態で混合される。使用した装置は、直径26mm、長さ40DのCoperion ZSK 26 MC押出機である。材料は、スクリュー速度を300rpmに設定し、バレル温度を240℃に設定した押出機に7.5kg/hの流量で供給される。押出機出口の生成物は、水中で切断することによって顆粒化される。
【0151】
測定方法:
・示差走査熱量測定(DSC):本発明の文脈において、融点は、ISO 11357-1に従って20℃/分の加熱速度でDSCによって測定される。
・レオロジー:生成物の複素粘度(η*)は、ISO 6721-10による振動レオメトリーによって、直径25mm及びギャップ1mmのプレート-プレート形状で決定される。測定は、窒素パージ下、180℃で線形範囲で行う。0.135~1.35rd/sの角周波数ωの範囲にわたって、組成物の複素粘度(η*)は、以下の式によって定義されるべき法則に従う。
η*=K(ω)n-1
【0152】
実施された測定は、この周波数範囲にわたって係数nの値を計算することを可能にする。
・溶解度試験:溶解度試験は、0.5%の生成物をm-クレゾールの溶液に100℃で2時間撹拌しながら入れることによって行う。
・サイズ排除クロマトグラフィー(又はゲル浸透クロマトグラフィー):ISO 16014-1:2012に従って数平均Mn、重量平均Mw及びz平均Mzモル質量を測定するために使用される。生成物を、1g/lの濃度で常温にて24時間、0.05Mのトリフルオロ酢酸カリウムで安定化されたヘキサフルオロイソプロポノールに可溶化する。次いで、得られた溶液を、0.2μmの多孔度を有するPTFE膜を通して濾過し、次いで、50×8mmの寸法を有するプレカラム、300×8mmの寸法及び7μmの粒径を有する1000Åカラム、及び300×8mmの寸法及び7μmの粒径を有する100ÅカラムからなるPolymer Standards ServiceからのPFGカラムのセットを備えた液体クロマトグラフィーシステムに1ml/分の流量で注入する。モル質量は屈折率によって測定され、PMMA当量(PMMAは較正標準として使用される)として表される。
・耐摩耗性:生成物は、220℃で100×100×2mmのシートの形態で注入される。その耐摩耗性は、ISO 9352:2012に従って測定され、1kgのH18砥石車の1000回転に関連する重量損失によって表される。
・圧縮ひずみ:生成物は、直径29.3mm及び高さ12.7mmの円筒の形態で220℃で注入される。ISO 815-1に従って、25%の圧縮歪みを23℃で70時間シリンダの表面に加える。30分後、次いで24時間の弛緩の後、試料の圧縮ひずみを測定する。
・オーバーモールド:製品のオーバーモールド能力は、TPU Elastollan 1195 A 10000と組み合わせて評価される。170×25×2mmの寸法を有するTPUのインサートを最初に215℃で注入する。24時間後、この冷間インサートをオーバーモールドのモールド内に配置する。170×25×2mmの生成物の新しいストリップをインサートの表面に240℃で注入する。この形成の7日後、界面接着性測定は、ISO 8510-2に従って動力計のフリーコーナ剥離によって行う。TPU及び組成物の2つのストリップの端部は、50mm/分の引張力を加える動力計のジョーに固定される。剥離の伝播中の平衡時の力を測定し、2つのオーバーモールドポリマー間の接着性を特徴付ける。
【0153】
結果:
実施例の組成物は、重量パーセントとして与えられる。
組成物A~Fは、PEBA1を含む。
組成物G~Kは、PEBA2を含む。
[表1]
【0154】
【0155】
振動レオメトリー測定:
様々な組成物の融点を測定する(表2)。複素粘度の測定は、Mp+30℃(分析T°)で行う。
[表3]
[表4]
【0156】
組成物A(100%直鎖PEBA1共重合体、反例)は、n=0.98の値に対応する低周波(ω=0.135~1.35)でニュートンプラトーを示す。本発明の組成物B、C及びDは、0.78、0.70及び0.65のnの値を示す。組成物Eは、0.51でnの値を示す。
【0157】
組成物Fは、n=0.96の値に対応する低周波(ω=0.135~1.35)でニュートンプラトーを示す。
【0158】
組成物G(100%直鎖PEBA2共重合体、反例)は、n=0.99の値に対応する低周波(ω=0.135~1.35)でニュートンプラトーを示す。本発明の組成物Hは、0.87でnの値を示す。
【0159】
【0160】
一方ではBからD、他方ではFからKの組成物は、m-クレゾールに可溶型のままであることが観察され、それによってそれらの熱可塑性及び再循環性挙動を示す。
【0161】
逆に、組成物Eは可溶型ではなく、それによってその架橋が確認される。
【0162】
クロマトグラフィー:Mn、Mw及びMz質量:
[表6]
【0163】
本発明による組成物B、C及びDは、組成物Aと比較して高い重量平均(Mw)及びz平均(Mz)モル質量を有する。これは、組成物B、C及びDのより広い分子量分布を示し、その結果、分散指数Mw/Mn及びMz/Mwの値が高くなる。
【0164】
【0165】
本発明による組成物B、C及びDは、比較例A及び比較例Fと比較して、より良好な耐摩耗性を有する。
【0166】
本発明による組成物Hは、比較例G及びI~Kと比較して、より良好な耐摩耗性を有する。
【0167】
【0168】
本発明による組成物B、C及びDは、組成物A及び比較例Fと比較して、より低い圧縮ひずみを有する。したがって、それらは、より良好な圧縮強度を示す。
【0169】
本発明による組成物Hは、比較例G及びI~Kと比較して、より良好な耐摩耗性を有し、したがってより良好な圧縮強度を示す。
【0170】
【0171】
組成物Dは、TPU支持体上のオーバーモールド中に、より良好な接着性を有することが観察された。
【0172】
したがって、本発明の組成物は、機械的強度、特に耐摩耗性及び圧縮強度に関して改善された特性、並びにオーバーモールド中のより良好な接着性を有する。
【国際調査報告】