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特表2023-541536ステンシル作成のためのプラテン及び放出流体制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ステンシル作成のためのプラテン及び放出流体制御システム
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/14 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
B41C1/14 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511570
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2020072899
(87)【国際公開番号】W WO2022033702
(87)【国際公開日】2022-02-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519245622
【氏名又は名称】デュラルクローム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベーア、レネ ユリウス
(72)【発明者】
【氏名】ハーウェル、ジョン セシル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルモン、シュロモ
【テーマコード(参考)】
2H084
【Fターム(参考)】
2H084AA30
2H084BB07
2H084BB08
2H084BB13
2H084BB15
2H084CC10
(57)【要約】
スクリーンステンシルを作成するためのダイレクトツーメッシュ(DtM)スクリーンプリンタ(100)が提供される。DtMスクリーンプリンタは、噴射可能なエマルジョン(122)の塗布中に予め延伸されたメッシュ(112)を所定の位置に保持する、フレーム(114)を保持するための固定具(116)と、プラテン(124)であって、キャビティとプラテン(124)の上面における穴(212)の配列とを有し、予め延伸されたメッシュ(112)の一方側に当て付いて位置され、キャビティが、上面の穴を通じて分配されて予め延伸されたメッシュの一方側に対して放出流体層(402)を形成する放出流体(122)を保持する、プラテン(124)と、プラテンのキャビティ内に放出流体を分配して放出流体層を形成するための放出流体制御システム(126)と、プラテン(124)とは反対側の予め伸びたメッシュ(112)の側に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッド(132)を支持するプリンタキャリッジ(134)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンステンシルを作成するためのダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタであって、
噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュを所定の位置に保持するためのフレームと、
前記フレームを保持するための固定具と、
キャビティ及び穿孔された上面を有するプラテンであって、前記キャビティが、前記上面の穴を通じて分配されて前記予め延伸されたメッシュの一方側に対して放出流体層を形成する放出流体を保持する、プラテンと、
前記プラテンの前記キャビティ内に前記放出流体を分配して前記放出流体層を形成するための放出流体制御システムと、
前記プラテンとは反対側の前記予め延伸されたメッシュの側に前記噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッドを支持するプリンタキャリッジと、
を含む、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項2】
前記固定具は、前記噴射可能なエマルジョンの塗布中に前記フレームを前記予め延伸されたメッシュと共に所定の位置に確実に強固に保持する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項3】
前記プラテンは、前記放出流体を受けるための少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの前記キャビティ内へ放出流体を分配するための少なくとも1つの出力ポートとを有する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項4】
前記プラテンの前記穿孔された表面の前記穴が、少なくとも1つの前記キャビティまで延在する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項5】
前記放出流体制御システムは、
制御弁を伴う放出流体リザーバと、
前記放出流体リザーバから前記放出流体を受けるとともに、流体コネクタによって前記プラテンの前記キャビティに接続される流体レベル入口タンクと、
前記流体レベル入口タンク内の前記放出流体のレベルを監視するように位置されるレベルセンサと、
前記流体コネクタを通じて流れる前記放出流体の一部を前記放出流体リザーバに圧送する排出ポンプであって、前記放出流体層内の放出流体の量が、制御値及び前記排出ポンプの操作によって前記流体レベル入口タンク内の前記放出流体の前記レベルに対応するように制御される、排出ポンプと、
を含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項6】
前記放出流体制御システムは、
制御弁を伴う放出流体リザーバと、
前記放出流体リザーバから前記放出流体を受けるとともに、流体コネクタによって前記プラテンの前記キャビティに接続される流体レベル入口タンクと、
前記流体レベル入口タンク内に位置される流体レベルシリンダと、
前記流体レベル入口タンク内の前記放出流体のレベルを監視するように位置されるレベルセンサと、
前記流体レベル入口タンクを保持するとともに、流体コネクタによって前記放出流体リザーバに接続されるオーバーフロータンクと、
前記流体レベルシリンダに接続された機械式リフトであって、前記流体レベルシリンダを上昇又は下降させるために前記機械式リフトを使用することによって、前記放出流体層内の放出流体の量が前記流体レベル入口タンク内の前記放出流体の前記レベルに対応するように制御される、機械式リフトと、
を含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項7】
前記放出流体制御システムは、
前記放出流体を保持するとともに、流体コネクタによって前記プラテンの前記キャビティに接続される流体レベル入口タンクと、
前記放出流体層内の所望量の前記放出流体を得るために前記放出流体の所望のレベルを特定する測定装置であって、前記放出流体層内の放出流体の量が、前記流体レベル入口タンクを上昇又は下降させることによって制御される、測定装置と、
を含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項8】
前記放出流体は、硬化後の前記噴射可能なエマルジョンのための滑らかで非反応性の表面をもたらしつつドットゲインを抑制する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項9】
前記放出流体は、水と、前記放出流体の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤とを含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項10】
前記噴射可能なエマルジョンは、約4cP~約15cPの低い粘度を有し、耐久性及び可撓性/弾性の両方を有する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項11】
前記噴射可能なエマルジョンは、硬化後にエラストマー品質を伴うUV活性化アクリレートモノマーである、請求項8に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項12】
前記噴射可能なエマルジョンを硬化させてスクリーン印刷用のステンシルを形成するためのUV源を更に含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項13】
噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュを所定の位置に保持する、フレームを保持するための固定具と、プラテンであって、キャビティと前記プラテンの上面における穴の配列とを有し、前記予め延伸されたメッシュの一方側に当て付いて位置されるプラテンと、前記プラテンとは反対側の前記予め延伸されたメッシュの側に前記噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッドを支持するプリンタキャリッジとを含む、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタと、
前記フレームを前記固定具に配置するステップと、
放出流体が前記穴を通過して前記プラテンの上面に放出流体層を形成するように、前記プラテンの前記キャビティ内に前記放出流体を分配するステップと、
前記放出流体層内の前記放出流体が前記メッシュの下面を濡らすように、前記プラテンと前記メッシュとを1つにまとめるステップと、
前記メッシュ上に前記噴射可能なエマルジョンを印刷するステップと、
UV放射線を使用して前記噴射可能なエマルジョンを硬化させるステップと、
を含むプロセス。
【請求項14】
硬化後の前記噴射可能なエマルジョンがスクリーンステンシルを形成し、前記スクリーンステンシルの開口が表面上に画像を形成するために使用されるようになっている、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記放出流体は、その硬化後に前記噴射可能なエマルジョンに付着しない状態でドットゲインを抑制する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記放出流体は、水と、前記放出流体の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤とを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記噴射可能なエマルジョンは、硬化後にエラストマー品質を伴うUV活性化アクリレートモノマーである、請求項13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スクリーン印刷は、ブロッキングステンシルとも呼ばれるスクリーン印刷ステンシルによってインクを透過させないようにされる領域を除き、メッシュを使用してインクを基板上に転写する印刷技術である。ブレード又はスキージが、開放メッシュ開口部をインクで満たすためにスクリーンを横切って移動され、その後、逆行程が、スクリーンを接触線に沿って瞬間的に基板に接触させる。これにより、ブレードが通過した後にスクリーンが跳ね返るときに、インクが基板を濡らしてメッシュ開口部から引き出される。
【0002】
スクリーン印刷ステンシルの作成は、面倒で労働集約的な作業である。その作業は、幾つものプロセスステップ、化学製品、大量の水を必要とし、大部分が手動である作業である。それは、現在のスクリーン印刷ビジネスの最も自動化されていない部分である。
【0003】
本開示の例の特徴は、以下の詳細な説明及び図面を参照することによって明らかになり、図面中、同様の参照番号は、おそらく同一ではないが、同様の構成要素に対応する。簡潔にするために、前述の機能を有する参照番号又は特徴は、それらが現れる他の図面に関連して説明されてもされなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の一例に係るダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを示す。
図2A】プラテン、フレーム及び固定具の上面図を示す。
図2B図2Aに示されるプラテン、フレーム、及び固定具の断面図を示す。
図2C図2Aに示されるプラテン、フレーム、及び固定具の断面図を示す。
図3】プラテン並びにプラテンの天板及び底板の上面図を示す。
図4A】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
図4B】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
図4C】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
図4D】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
図4E】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
図5】エマルジョンによるメッシュのストランド(又は糸)の封入を助けるための放出流体の毛細管挙動の断面図を示す。
図6】本開示の一例に係る放出流体制御システムを示す。
図7】本開示の一例に係る放出流体制御システムを示す。
図8】本開示の一例に係る放出流体制御システムを示す。
図9】本開示の一例に係るスクリーン印刷の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
スクリーン印刷用のステンシルを形成するためにメッシュを直接コーティングするための以前の解決策の幾つかの例がある。ここで、これらについて説明する。
【0006】
メッシュ調製及びコーティング:
エマルジョンの直接塗布:これは機械又は手のいずれかで行われる。スクリーンの両面は、適切な被覆を確保するためにエマルジョンでコーティングされなければならない。機械又は自動バージョンは、厳密には人間に取って代わる機械である。機械は、正確な量のエマルジョンを塗布し、均一な被覆率を得るのにはるかに正確である。機械は、一般に、廃棄物が少ない。
【0007】
毛細管フィルム:これらは、エマルジョンでプレコーティングされるフィルムである。メッシュを水で過飽和にし、フィルム(エマルジョン面下)を過飽和メッシュに当接させる。毛細管作用により、エマルジョンがメッシュ内に引き込まれる。これにより、厚さ及びカバーの両方において、エマルジョンのより正確なコーティングが得られる。エマルジョンがメッシュ内に拡散したら、フィルムを剥離する。
【0008】
スクリーンメッシュが乳化されたら、乾燥させなければならない。乾燥すると、ステンシルの画像転写又は作製の準備が整う。エマルジョンが乾燥すると、それは収縮してメッシュに適合し、粗い不均一な表面を引き起こす。(この粗い表面は、印刷プロセス中にスキージの劣化を加速させる。)
【0009】
今日の殆どのエマルジョンは、紫外線(UV)放射(すなわち、UV活性化)によって活性化されるが、可視光で活性化されてもよい。コーティングされると、ステンシルは、光へのいかなる暴露からも保護されなければならない(通常の可視光でさえ、硬化プロセスを開始するのに十分なUVを有する)。以下、エマルジョンはUV活性化/硬化したものとする。
【0010】
フィルムポジティブインク:透明なプラスチックシート上に完全に黒色のUV吸収剤層が印刷される。印刷は、通常、特殊なフィルムポジティブインク(フィルムポジティブインクとは、可視光及びUV光を完全に遮断する不透明度の高い黒色インクを意味する)を用いたレーザ又はインクジェットプリンタによって行われる。次いで、フィルムをプレコートメッシュに取り付け、UV光に曝露する。取り付けは、通常、取り外し可能なテープ(マスキングテープなど)によるものである。露光したら、フィルムを除去し、未硬化エマルジョンを洗い流す。
【0011】
しかしながら、この手法は全ての段階で非常に労働集約的であり、多くのステップを自動化することは不可能である。更に、それは、フィルムを取り付ける間、正しいフィルムを使用する間、印刷前に最終的なステンシルを調整する間などにエラーを起こしやすい。多くの化学薬品及び洗浄、並びに多くの消耗品(インク、フィルム)が必要とされる。
【0012】
熱スクリーン:この方法では、メッシュが熱活性化エマルジョンでプレコーティングされる。一般に、メッシュ(フレームを伴わない)をサーマルプリンタに入れ、エマルジョンを直接硬化/活性化する。完了したら、未露光エマルジョンを洗い流し、ステンシルをフレームに取り付け、印刷する。
【0013】
しかしながら、この手法は、限られたメッシュ数に悩まされる。また、エマルジョンは、一般に、それほど堅牢ではない。前処理されたメッシュは高価である。ステンシル位置合わせは、より集中的である。最後に、ステンシルは、取り付けられている間に損傷する可能性がある。
【0014】
コンピュータ-スクリーン(CtS):
CtS-印刷:この方法では、コーティングされたメッシュが、高不透明度の黒色インクで乳化スクリーン上に直接印刷される。これは、フィルムを伴わないフィルムポジティブインクと同様である。全てのプロセスは同じである。
【0015】
しかしながら、これらの機械は、通常のインクジェットインクよりも高価である高不透明度インクを必要とする。
【0016】
CtS-ワックス:この方法は、CtS-Printedに近いが、ワックスを使用してUV光を遮断する。他は全て同じである。
【0017】
しかしながら、溶融ワックスの使用に起因して、これらの機械は穏やかであり得る。更に、それらは、ワックスを加熱してメッシュに塗布することを必要とする。
【0018】
CtS-直接露光:この技術は、UVレーザを使用してエマルジョンを直接露光する。
【0019】
しかしながら、この技術で使用される機械は、一般に非常に高価である。更に、このプロセスは、粗いグレードのメッシュでは同様に機能しない。最後に、UVレーザは、交換が必要な場合、依然として非常に高価である。
【0020】
上記の方法のそれぞれは、何らかの後処理/フォローアップを必要とする。熱活性化及びCtS直接露光を除いて、全てのステンシルは、画像ブロッキングが適用された後に露光されなければならない(フィルム又はCtS印刷及びワックスのいずれか)。このプロセスは、例えば、強力な開発者の場合、スクリーンあたり少なくとも約1~2分かかる。
【0021】
全てのスクリーンは、過剰なエマルジョンを洗い流さなければならない。エマルジョンが排液システムに入らないように注意しなければならない。スクリーンは洗浄後に完全に乾燥させなければならない。
【0022】
フィルム及び熱活性化方法の場合、適切な位置合わせを確保するために、完成したステンシルは、カルーセル上に配置されたときに微調整されなければならない。
【0023】
本開示:
現在の技術の前述の説明から、より少ない化学物質及びより少ない水を使用するより単純な手法が望ましいことは明らかである。
【0024】
ダイレクトツーメッシュ(DtM)手法を使用して、インクジェット技術を用いてエマルジョンをスクリーン上に直接塗布し活性化/露光することによってステンシルを形成する。特に、本明細書の教示によれば、DtMスクリーンプリンタは、
噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュを所定の位置に保持するためのフレームと、
フレームを保持するための固定具と、
キャビティ及び穿孔された上面を有するプラテンであって、キャビティが、上面の穴を通じて分配されて予め延伸されたメッシュの一方側に対して放出流体層を形成する放出流体を保持する、プラテンと、
プラテンのキャビティ内に放出流体を分配して放出流体層を形成するための放出流体制御システムと、
プラテンとは反対側の予め延伸されたメッシュの表面上に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッドを支持するプリンタキャリッジと、
を含む。
【0025】
本明細書に開示され、特許請求されるように、本明細書の教示によれば、プラテンは、穿孔された上面を含み、メッシュの下にあってメッシュと接触している放出流体のレベルを導入し維持するために使用される。穿孔された上面の穴の配列は、メッシュが放出流体によって均一にコーティングされるようにする。放出流体制御システムは、メッシュへの放出流体の浸透を制御し、エマルジョンをメッシュ上に印刷する間、メッシュの本質的に一定の放出流体水分レベルを維持するために使用することができる。
【0026】
図1は、ダイレクトツーメッシュ(DtM)プリンタ100のブロック図を示す。DtMプリンタ100は、フレーム114によって所定の位置に保持された予め延伸されたメッシュ112を含むメッシュ支持システム110を含む。フレーム114は、固定具116によって保持される。固定具116は、噴射可能なエマルジョンの塗布中に、フレーム114を予め延伸されたメッシュ112と共に所定位置に確実に強固に保持する。
【0027】
本明細書で使用される場合、メッシュ112は、ここでは十字パターンで織られた、織物、繊維、金属、又は他の可撓性/延性材料の接続されたストランドから形成される。メッシュを構成する材料は、シルク;ポリエステル;ステンレス鋼等の金属;ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のプラスチック;又はガラス繊維を含む幾つかの織物のいずれかであってもよい。ストランドの直径は、スクリーン印刷で一般的な任意の直径であってもよく、メッシュサイズも、スクリーン印刷で一般的な任意のサイズであってもよい。より粗いメッシュは、一般に、より大きな直径(ゲージ)のストランドで織られており、エマルジョンのより厚い塗布を必要とする。
【0028】
DtMプリンタ100は、プラテン124によって予め延伸されたメッシュ112の下面に対して保持された放出流体122を含むプラテン支持システム120を更に含む。プラテン124は、放出流体122が予め延伸されたメッシュ112の底面に対して強固に保持されるための滑らかな平坦面をもたらす。プラテン124は、穴が穿孔されて、滑らかであり、凹み及び亀裂に耐える表面を含む。プラテンは、メッシュの下方に位置されるプラテンの表面をコーティングするために穴を突き抜ける力である放出流体を貯蔵するためのキャビティを含む。また、プラテン124は、UV硬化源208(図1には示されないが、図2Dに示される)からエネルギーを散逸させるように作用することもできる。
【0029】
放出流体122は、噴射可能なエマルジョンを塗布する前に、メッシュがプラテン上にわたる所定の位置にある時点でメッシュ112上に塗布されてもよい。例えば、放出流体制御システム126は、キャビティからプラテン124の表面上に注入される放出流体122のレベルを制御する。特に、放出流体制御システム126は、放出流体のメニスカス及び放出流体の毛細管作用によりエマルジョンがメッシュの糸の周りに巻き付くことができるように、プラテン124の表面上に配置された放出流体のレベルを制御する。
【0030】
放出流体122は、硬化性エマルジョンと反応しないことにより、印刷媒体中に広がる印刷流体の影響であるドットゲインを抑制する。ドットゲインは、エマルジョン流体が噴射された後に非常に迅速に硬化が起こるため、短時間だけ抑制される必要がある。
【0031】
最後に、DtMプリンタ100は、プリンタキャリッジ134に取り付けられた印字ヘッド132を含むインクジェットプリンタ130を含む。印字ヘッド132は、プラテン124の側とは反対側の予め延伸されたメッシュ112の側に噴射可能なエマルジョンを印刷する。プリンタキャリッジ134は、噴射可能なエマルジョンを構築しながら、一回以上のパスにわたる正確な液滴配置をサポートするために、X直交方向及びY直交方向の両方において正確な高精度プリンタキャリッジである。実際に、エマルジョンは、非常に細かいものから非常に粗いものまで、広範囲のメッシュゲージに対応するように「構築」することができる。積層は、エマルジョンを構築するときに高分解能を維持するために使用することができる。
【0032】
印字ヘッド132は、サーマルインクジェット、圧電インクジェット、ドロップオンデマンドインクジェット、又は本明細書に開示される噴射可能なエマルジョンを含む流体を噴射することができる他の適切な噴射印字ヘッドなどのインクジェット印字ヘッドであってもよい。
【0033】
任意の種類のものであってもよいスクリーンメッシュ112は、フレーム114上へと延伸される。フレーム114は、メッシュ112の下方のプラテン124の表面上に分配された放出流体122と共にインクジェットプリンタ130に入れられる。次いで、噴射可能なエマルジョンは、インクジェットプリンタ130によってマスキング領域に塗布され、高強度UVランプ又はUV発光ダイオード(LED)などの他の適切なUV源で実質的に同時に露光される。UVランプ(又はLED)の波長は、最適な性能のために噴射可能なエマルジョンの反応範囲に調整することができる。本明細書に開示される噴射可能なエマルジョンの場合、エマルジョンは395ナノメートル(nm)の波長で反応する。他の噴射可能なエマルジョンは、395nm未満を含む他の反応波長を有してもよい。粗いメッシュの場合、塗布は、必要なエマルジョン厚さを構築するためにマルチパス操作であってもよい。「粗いメッシュ」とは、緩い織りを有し、したがって細かいメッシュスクリーンよりもストランド間の隙間が大きいメッシュを意味する。メッシュ数は、tpi(1インチ当たりの糸数)又はT(1センチメートル当たりの糸数)のいずれかとして与えられる。例えば、335tpi(130T)メッシュ数は細かいメッシュであると考えられ、一方、110tpi(43T)メッシュ数は粗いメッシュであると考えられ、ここでメッシュ数は平方インチ当たりの糸交差の数である。110tpi(43T)は、一般的なテキスタイル印刷に最も一般的に使用される。
【0034】
本明細書に開示されるダイレクトツーメッシュ(Direct to Mesh)プロセスは、低粘度の噴射可能なエマルジョンの最近の開発によって可能になった。「低粘度」とは、約4センチポアズ(cP)~約15cP(約4ミリパスカル秒~約15ミリパスカル秒)の範囲を意味する。これらの噴射可能なエマルジョンは、UVプリンタで多種多様な材料にエンボス効果を作り出すために使用される。これらの新たな噴射可能なエマルジョンは、より弾性でもあるため、以前のエマルジョンの代替としてより容易に使用することができる。ステンシルを検証するために僅かなコントラストを提供するべくライトシアン又はライトマゼンタを使用することができるが、透明又は透明を含む任意の色を噴射可能なエマルジョンに使用することができる。
【0035】
本明細書に開示されるプロセスにおいて適切に使用され得る噴射可能なエマルジョンの例は、硬化後にエラストマー品質を伴うUV活性化アクリレートモノマーである。噴射可能なエマルジョンは、基板上に迅速に構築する高耐久性/耐性層の両方へと迅速に硬化する特殊なエンボス「ワニス」ポリマーである。また、硬化ポリマーは、耐久性があり、可撓性/弾性である(剛性であれば、使用中に容易に割れ、ステンシルを役に立たなくする)。VersaUV(Roland DG)技術は、本明細書の教示の実施に有用であり得る材料の一例である。
【0036】
放出流体122は、メッシュ112の下方に滑らかで非反応性の印刷面を提供する。また、放出流体は、印刷されたエマルジョンのドットゲインを制限するのにも役立つ。ドットゲインは、噴射された液滴(又はドット)がUV光源に対する暴露(すなわち、UV硬化)前に膨張又は広がるときに発生する。これは、ハーフトーンが使用される場合、すなわち、メッシュ内の全体よりも少ない空間がエマルジョンで充填される場合に特に重要である。しかしながら、ドットゲインは、エマルジョンが噴射された後にUV硬化が非常に迅速に起こるため、短期間だけ抑制される必要がある。
【0037】
放出流体122は、ドットゲインを管理する流体であり、硬化エマルジョンと非反応性であり、エマルジョンをメッシュ112から持ち上げたり分離したりすることがない。放出流体122のための流体は、表面張力、イオン混合物、極性又は非極性成分を変化させる界面活性剤又は湿潤剤の添加、又は流体が水性であるか非水性であるかどうかを含むがこれらに限定されない放出流体122の特定の特性を変更することによって、噴射可能なエマルジョンに関して変更又は調整することができる。
【0038】
放出流体122は、水のみ、又は放出流体の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤を伴う水系(例えば、蒸留水)であってもよい。乳化剤の例としては、界面活性剤として知られている乳化剤のクラスと共に、ポリソルベート、グリセリン及びグリコール、例えばブチルセロソルブが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、乳化剤は、放出流体122の蒸発を防止するために、少なくとも3体積%~5体積%の量で存在してもよい。放出流体122の更なる例としては、酢酸ブチル、キシレン、キシロール、ジメチルベンゼン、及びそれらの組み合わせなどの水系ワニスが挙げられる。
【0039】
現在の技術分野における大部分の調製物において、エマルジョンはかなり粗いものであり得る。これは、多くの場合、乾燥プロセス中にエマルジョンがメッシュに適合することによって引き起こされる。この粗いエマルジョン表面は、スキージで摩耗する可能性があり、スキージーブレードのリサーフェシング又は交換を必要とする。しかしながら、ダイレクトツーメッシュプロセスでは、噴射可能なエマルジョンがメッシュ内に構築されると、放出流体122が、メッシュストランドの封入を確保する(例えば、図5及びその関連する説明を参照)。
【0040】
メッシュ112に塗布されたエマルジョンはブロッキング領域にのみあるため、マスク領域へのUV光の反射からのオーバーシュート又は過剰露光のリスクは本質的に殆どない。これにより、はるかに滑らかでより鮮明な画像が提供される。(これらのオーバーシュート領域及び過剰露光領域は、画像内、特にエッジの周りにスポット又は液滴を生成する可能性がある。これらはピン穴の「逆」である。)
【0041】
プラテンの例を図2A図3に示す。
【0042】
図2Aにおいて、プラテン124は、固定具116上に配置され、フレーム114によって取り囲まれる。固定具114は、印刷中にフレーム114及びプラテン124を所定位置に保持するクランプ(図示せず)を含むことができる。破線202及び204は、プラテン124の4つの内部キャビティ206~209を分離する内壁を特定する。一般に、壁202及び204などの壁は、プラテン124の内部の放出流体の流れを制御するためのものである。図2Bは、プラテン124、固定具116及びフレーム114のA-A線方向の断面図を示す。断面図は、壁204によって分離されたキャビティ206及び207を示している。また、断面図は、プラテン124の上面210がキャビティ206及び207に通じる穴212で穿孔されることを示している。キャビティの容積を減少させ、各キャビティ内の放出流体の均一な分配を助けるために、キャビティにインサートを追加することができる。図2Cは、インサート214及び216がそれぞれ内部キャビティ206及び207内に配置された、線A-Aで示される方向におけるプラテン124、固定具116、及びフレーム114の断面図を示す。インサート214及び216は、発泡体、プラスチック、又は木材から形成することができる。インサート214及び216は、放出流体の量を減少させる。
【0043】
プラテン124の各キャビティは、入力ポートを有し、出力ポートを有してもよい。特定の実施態様において、プラテン124は、入力ポートのみを有し、出力を有さなくてもよい。プラテン124がもはや使用されていないときに、放出流体の流れを制御し、放出流体を排出するために、出力ポートが含まれてもよい。出力ポートが含まれない場合、放出流体レベルを迅速に低下させるために、入力ポートは双方向である。また、プラテン124は、天板及び底板も備える。
【0044】
図3において、プラテン124は、天板302と底板304とに分離される。図3は、底板304の長辺に沿って位置される入力ポート306a~306dと、底板304の短辺に沿って位置される出力ポート308a~308dとを示す。方向矢印310a~310dは、放出流体が入力ポート306a~306dを通じてキャビティ206~209に流入することを表す。方向矢印312a~312dは、キャビティ206~209から出力ポート308a~308dを通じた放出流体の流出を示す。拡大図314は、底板304の長辺に位置される入力ポート306cを示す。他の実施態様において、出力ポートは、底板304の長辺に沿って位置されてもよく、入力ポートは、底板304の短辺に沿って位置されてもよい。更に他の実施態様において、入力ポート306a~306d及び/又は出力ポート308a~308dは、底板304の下面に位置されてもよい。拡大図316は、底板304のキャビティ208の下方に位置される入力ポート306cの一例を示す。
【0045】
入力ポート及び出力ポートは、金属又はプラスチック製の返し付きの取付具であってもよい。例えば、底板304の長辺及び短辺、又は縁部に沿って位置された入力ポート及び出力ポートに関しては、真っ直ぐな返し付きの取付具を使用することができる。或いは、返し月のL字型取付具を下面取り付けのために使用できる。
【0046】
なお、底板304は、4つのキャビティに限定されない。他の実施態様において、底板304は、複数の入力ポート及び出力ポート(例えば、壁202及び204は省略される場合がある)を伴う単一のキャビティを含むことができる。他の実施態様では、底板304が2つのキャビティを有してもよく、各キャビティは、少なくとも1つの入力ポートと少なくとも1つの出力ポートとを有する。更に他の実施態様では、底板204が6つ以上のキャビティを有してもよく、各キャビティは、少なくとも1つの入力ポート及び少なくとも1つの出力ポートを有する。
【0047】
図3において、天板302は、天板の厚さを延長する穴の配列により穿孔される。拡大図318は、天板302の上面を示す。天板302に位置された穴212は、放出流体の通過を可能にする。プラテン124の天板302は、滑らかで硬い平坦面をもたらす。放出流体がキャビティ206~209内に分配されて穴212の配列を通じて出現すると、天板302における穴212の分布は、放出流体がプラテン124の上面を均一にコーティングできるようにし、エマルジョンが塗布される均一で平坦な表面を確保するようにピンと張ったメッシュ112を穏やかに押す。「滑らか」とは、表面が規則的である限り、板302の表面が研磨/光沢又はつや消し/つや消しであることを意味する。
【0048】
プラテン124を使用するダイレクトツーメッシュ(DtM)プロセスの例示的なステップが、DtM装置及びプラテン124の断面図である図4A図4Eに示される。
【0049】
図4Aにおいて、フレーム114は、プラテン124を取り囲む。フレーム114を支持するための固定具116は、この図及び図4B図4Eでは省略されている。フレーム固定具116は、当技術分野で現在使用されているものと同様である。放出流体122は、プラテン124のキャビティを満たし、穴212を通って出て、プラテン124の上面124aに放出流体層402を形成する。以下、図6及び図7を参照して、プラテン124のキャビティ内及びプラテン124の上面124a上に放出流体を分配するための放出流体制御システムの例について説明する。
【0050】
図4Bでは、メッシュ112がフレーム114の上端にわたって配置される。プラテン124は、プラテン124の表面124a上に支持された放出流体122の薄い均一な放出流体層402を伴うメッシュ112の下方に位置される。幾つかの実施形態では、放出流体122の厚さが約20マイクロメートル(μm)であるが、いずれにせよメッシュのゲージよりも小さく、±0.5μm以内の平面度である。放出流体122は、メッシュ112をバックアップして、それが塗布される際に噴射可能なエマルジョンを良好に覆う。放出流体122は、プラテン124への噴射可能なエマルジョンの付着を回避するように配合される。放出流体122の配合物は、エマルジョンがプラテン124に結合、反応、又はその他の方法で固着するのを防止する。場合によっては、エマルジョンは、放出流体122と反応してもよいが、その相互作用/反応は、一般に、プラテン124へのいかなる付着も可能にし得ない。プラテン124への付着力がメッシュ112への付着力よりも大きい場合、エマルジョンはメッシュから離脱/剥離することができる。これにより、ピンホール又はベアパッチが発生する可能性がある。最悪の場合、それはメッシュを損傷させたり引き裂いたりする可能性がある。
【0051】
図4Cでは、放出流体層402を伴うプラテン124をメッシュ112まで移動させ、メッシュ112を締め付け、メッシュ112の下面を放出流体層402に押し込む。これは、エマルジョンを印刷するための滑らかで張力が付与された平らな表面をもたらす。プラテン124の移動は、矢印404によって示される。或いは、メッシュ112が取り付けられたフレーム114は、メッシュ112の下面が放出流体層402に押し込まれた状態で下方に移動されてもよい。
【0052】
図4Dにおいて、印字ヘッド132は、プリンタキャリッジ134(図4Dには示されていないが、図1には示されている)によって並進可能であり、ブロッキング画像又はステンシル406(図4Eに見られる)をメッシュ112上に直接印刷(すなわち、エマルジョンを堆積させる)し、ブロッキング画像は、適切な印刷媒体上に印刷又はスクリーン印刷される実際の画像の逆又はネガである。印字ヘッド132は、矢印408で示す方向で横方向に移動して、メッシュ112上にスクリーンステンシル406を形成する。印字ヘッドから放出される「インク」は、前述のUV硬化噴射可能エマルジョンであり、これは、この例では、本質的にUV源410によって適用されるときにUV硬化される。一例では、UV源410は、矢印412によって示される方向で横方向に移動する。図4Dは、メッシュ112を横切って移動する印字ヘッド132及びUV供給源410を示す。しかしながら、メッシュ112及びフレーム114(及び固定具116)を含むメッシュ支持システムは、印字ヘッド132及びUV光源410に対して並進され得る。UV源410は、メッシュ112の双方向印刷を容易にするために印字ヘッド132の両側に取り付けることができる。
【0053】
図4Eには、結果として得られるステンシル406が示される。ステンシル406は、一般に、プリンタから取り外され、更なる調製又は処理を何ら伴うことなく直ちに使用され得る。より厚いエマルジョン被覆(例えば、メッシュ上の20%を超えるエマルジョン)では、後工程硬化を使用して、ステンシルの硬化を完了することができる。
【0054】
幾つかの実施形態において、プラテンの天板の上面は、ミラー、透明ガラス、又は白色ポリエチレンなどのUV反射材料又は別の材料でコーティングされて、メッシュ112の下面をコーティングするエマルジョンへ向かうUV光の上方への反射を生み出すことができる。
【0055】
このプロセスは、前(すなわち、エマルジョンの塗布)と後(未露光エマルジョン及びインクを洗い流す)の両方で追加の処理を必要とするCtS(コンピュータ対スクリーン)と区別するためにダイレクトツーメッシュ(DtM)と呼ばれる。DtMプロセスでは、一般に、噴射可能なエマルジョンの塗布の前後に追加の処理が行われず、したがってステンシル406の作成が簡単になる。
【0056】
図5は、エマルジョンによるメッシュ112のストランド(又は糸)の封入を助けるための放出流体層402の毛細管挙動の断面図を示す。放出流体122は、プラテン124のキャビティを満たし、穴212を通って出て、プラテン124の上面124aに放出流体層402を形成する。拡大図502は、図4Cに示されるメッシュ112及び放出流体層402のストランド504の拡大断面図を示す。放出流体は、メニスカスを有し、放出流体をメッシュ112のストランド間の空間に充填させる毛細管現象を示す。放出流体のメニスカス及び毛細管作用の組み合わせにより、放出流体は、図4Dを参照して前述した印刷中のエマルジョン508によるメッシュ112のストランド504の封入を容易にすることができる。拡大図506は、図4Eに示されるステンシル406を形成するためにエマルジョン508によって封入されたメッシュ112のストランド504を示す。
【0057】
放出流体制御システム126の例が、図6図7、及び図8に示される。放出流体制御システムは、放出流体層402内の放出流体の量及びレベルを維持するために使用される。
【0058】
図6において、放出流体制御システムの一例は、プラテン124及び固定具116に接続される。この例において、放出流体制御システムは、流体レベルタンク602と、一端が流体レベルタンク602の基部に接続されて他端がパイプ又はホース606に接続される可撓性ホース604から形成された流体分配システムとを含み、パイプ又はホース606は、(例えば、図3を参照して前述したようにプラテン124の側面又は底部を介して)プラテン124のキャビティ122に接続される。流体レベルタンク602、流体分配システム、及びプラテン124のキャビティは、放出流体を収容する。流体レベル入口タンク604の垂直位置は、機械式リフト610によって維持及び制御することができる。機械式リフト610は、例えば、ラチェットジャッキ又はスクリュージャッキであってもよい。流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルは、一点鎖線608で表されるように放出流体層402の所望のレベルに対応するマーク614を含むリニアエンコーダなどの測定装置612で監視することができる。機械式リフト610を使用して、流体レベル入口タンク604を上昇又は下降させることができる。放出流体層402を形成するために分配される放出流体の量が流体レベル入口タンク602内の放出流体のレベル又は高さに対応するようにするために、大気圧及び重力に依存する。放出流体層402内の放出流体の量は、流体レベル入口タンク602を上昇又は下降させることによって制御される。機械式リフト610を使用して流体レベル入口タンク604を上昇させることなどによって、流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルがマーク614より上に上昇すると、大気圧及び重力が更なる放出流体を放出流体層402に押し込む。或いは、機械式リフト610を使用して流体レベル入口タンク604を下げることなどによって、流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルがマーク614より下に下げられると、大気圧及び重力が放出流体を流体分配システムを通じて押し戻して、流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルを上昇させ、それにより、放出流体層402内の放出流体の量が減少される又は放出流体層402が消失される。図6に示される放出流体制御システムは、0.8mmなど、約1mm未満の位置精度を与える。
【0059】
図7において、放出流体制御システムの一例は、プラテン124及び固定具116に接続される。この例において、放出流体制御システムは、放出流体リザーバ702、流体レベル入口タンク704、レベルセンサ706、及び排出ポンプ708を含む。放出流体リザーバ702は、ある量の放出流体122を収容する。放出流体が流体レベル入口タンク704を満たす速度は、制御弁712によって制御される。また、放出流体制御システムは、流体コネクタ714a~714dのネットワークを備える流体分配システムも含む。流体コネクタは、ポンプ、パイプ及び/又はホースの組み合わせであってもよい。方向矢印716a~716dは、放出流体が流体コネクタのネットワーク内を流れることができる方向を表す。コネクタ714aは、放出流体を流体レベルタンク704からプラテン124のキャビティ(例えば、図3を参照して前述したようにプラテン124の底部又は側面を介して)に送る。コネクタ714bは、放出流体をコネクタ714aから排出ポンプ708に運ぶ。コネクタ714cは、放出流体を排出ポンプ708から放出流体リザーバ702に戻す。過剰な放出流体をプラテン124から放出流体リザーバ702に戻すために、コネクタ714dが含まれてもよい。或いは、コネクタ714dを省略し、放出流体を排出できるようにしてもよい。
【0060】
流体レベル入口タンク704は静止している。レベルセンサ706は、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルを測定して、そのレベルが放出流体層402内の放出流体の所望の量に対応するようにする。レベルセンサ706は、超音波センサであってもよく、超音波測距センサであってもよい。レベルセンサ706は、約0.1mm以内まで正確であり得る。制御弁712及び排出ポンプ708における流体体積計量は、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルの変化及び放出流体層402内の放出流体の量の対応する変化を迅速に制御するために組み合わせて使用される。大気圧及び重力は、放出流体層402を形成するためにプラテン124の上面上に分配される放出流体の量が一点鎖線718によって表されるように流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルに対応するようにする。例えば、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルが、例えば、より多くの放出流体を流体レベル入口タンク704内に追加することによってプラテン124の上面より上に上昇される場合、大気圧及び重力は、更なる放出流体を放出流体層402内に押し込む。或いは、例えば、排出ポンプ708を使用することによって流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルがプラテン124の上面より下に低下される場合には、大気圧及び重力が放出流体をコネクタ714aを通じて押し戻して、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルを上昇させ、それにより、放出流体層402内の放出流体の量が減少される又は放出流体層402が消失される。
【0061】
図8において、放出流体制御システムの一例は、プラテン124及び固定具116に接続され、図7の放出流体制御システムと同様である。この例において、放出流体制御システムは、放出流体リザーバ802と、オーバーフロータンク806(すなわち、排水桝)内に位置される流体レベル入口タンク804と、レベルセンサ808と、排出ポンプ810とを含む。また、放出流体制御システムは、流体コネクタ812a~812dのネットワークを備える流体分配システムを含む。流体コネクタは、ポンプ、パイプ及び/又はホースの組み合わせであってもよい。方向矢印814a~814dは、放出流体が流体コネクタのネットワーク内を流れることができる方向を表す。流体コネクタ812aの端部は、オーバーフロータンク806の基部の開口と、流体レベル入口タンク804の基部の開口とを貫通する。シールリング816aが、流体レベル入口タンク804の開口とコネクタ812aとの間に位置されて、放出流体122がオーバーフロータンク806に漏れるのを防止する。シールリング816bが、コネクタ812aとオーバーフロータンク806の開口との間に位置されて、放出流体122がオーバーフロータンク806から漏れるのを防止する。流体レベル入口タンク804内に位置されたコネクタ812aの端部は、開口を含んでもよく、又は放出流体の自由な流れを可能にするために穿孔されてもよい。流体レベル入口タンク804は、リニアエンコーダ又はスクリュージャッキなどの機械式リフト818を使用して上昇又は下降させることができる。排出ポンプ810は、放出流体を元の放出流体リザーバ802に圧送することによって、オーバーフロータンク806内の放出流体122のレベルが流体レベル入口タンク804内の放出流体122のレベルよりも低くなるようにするために使用される。放出流体122は、制御弁820を介して流体レベル入口タンク804に加えられる。或いは、コネクタ812dを省略し、放出流体を排出できるようにしてもよい。
【0062】
レベルセンサ808は、流体レベル入口タンク804の位置を測定して、レベルが放出流体層402内の放出流体の所望の量に対応するようにする。図7の放出流体制御システムとは異なり、放出流体層402内の放出流体の量は、任意の過剰な流体がオーバーフロータンク806内の流体レベル入口タンク804の側面をオーバーフローするように流体レベル入口タンク804を上昇又は下降させることによって制御される。放出流体のレベルがプラテン124の上面のレベルよりも上になるように流体レベル入口タンク804が上昇されると、大気圧及び重力が放出流体を放出流体層402内に押し込む。或いは、流体レベル入口タンク804内の放出流体のレベルがプラテン124の上面のレベルを下回るように流体レベル入口タンク804が下げられると、大気圧及び重力が流体分配システムを介して放出流体を押し戻して、流体レベル入口タンク804内の放出流体のレベルを上昇させ、それにより、放出流体層402内の放出流体の量が減少される又は放出流体層402が消失される。
【0063】
レベルセンサ808及び機械式リフト818は、流体レベル入口タンク804のレベルに関するレベルセンサ808からのフィードバック信号を受信するコンピュータシステム(図示せず)に接続されてもよい。コンピュータシステムは、流体レベル入口タンク804を上昇又は下降させるように機械式リフト818を電子的に制御することができる。
【0064】
図7に示される放出流体制御システムは、流体レベル入口タンク804内の放出流体のレベルを制御して放出流体層402のレベルを維持する際に高い精度及び正確度に依存することに留意されたい。これに対し、図8に示される放出流体制御システムは、流体レベル入口タンク804を位置決めして放出流体層402のレベルを維持する際に高い精度及び正確度に依存する。
【0065】
図9は、スクリーン印刷用のステンシルを準備するための、本明細書の開示に係るDtMプロセス900の一例のフローチャートを示す。DtMプロセス900では、ダイレクトツーメッシュプリンタ100が用意される901。前述したように、DtMプリンタ100は、フレーム114を保持するための固定具116を含み、フレームは、噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュ112を所定位置に保持する。DtMプリンタ100のプラテン124は、放出流体122を保持して、プラテン124の上面の穴の配列を通じて放出流体を分配し、予め延伸されたメッシュ112の一方側に対して放出流体層402を形成できるようにするための少なくとも1つのキャビティを有する。最後に、DtMプリンタ100は、プラテン124とは反対側の予め延伸されたメッシュ112の側に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッド132を支持するプリンタキャリッジ134を含む。
【0066】
DtMプロセス900は、フレーム114を固定具116に配置するステップ902を継続させる。固定具116は、DtMプリンタ100の一部であり、多種多様なフレーム114のサイズを受けるようになっている。固定具116は、フレーム114を所定の位置に正確に保持するため、プリンタキャリッジ134はメッシュ112に正確に位置合わせされる。
【0067】
DtMプロセス900は、放出流体がプラテンの穿孔された上面の穴を通過して上面に放出流体層406を形成するように、プラテン124のキャビティ内に放出流体122を分配するステップ903を継続させる。これは、放出流体122が印刷プロセスで消費され得る又は良好な乳化剤であっても蒸発する時間がある、5,000DPIなどの非常に大きなステンシル又は非常に高いドット密度にとって重要であり得る。
【0068】
DTMプロセス900は、メッシュ112の下面に放出流体を塗布するために、メッシュ112を放出流体122と接触させるステップ904を継続させる。プラテン124の上面は、フレームの上面と面一に又はフレームの上面よりも上に位置される。例えば、プラテン124の上面は、メッシュに殆ど又は全く圧力を及ぼさなくてもよい。
【0069】
DtMプロセス900は、プラテン124の反対側のメッシュ112に噴射可能なエマルジョンを塗布するステップ905を継続させる。前述したように、噴射可能なエマルジョンは、インクジェット印字ヘッド132が噴射可能なエマルジョンを噴射するようになっているインクジェットプリンタ130によってメッシュ112に対して塗布される。
【0070】
DtMプロセス900は、UV放射を使用して噴射可能なエマルジョンを硬化させるステップ906で終了する。UV光源を使用して、LED又はハロゲンランプなどの噴射可能なエマルジョンを硬化させることができる。
【0071】
DtMプロセス900の終わりに、ステンシルが形成及び硬化され、例えば衣類などの適切な印刷面に印刷色をスクリーン印刷するために使用される準備が整う。特に、硬化後の噴射可能なエマルジョンはスクリーンステンシルを形成し、スクリーンステンシルの開口は、印刷面に画像を印刷するために使用される。
【0072】

4つの一連の例を実行した。例及び表において、ここで、以下の定義を与える。
【0073】
「メッシュ分解能」は、1センチメートル(cm)当たりの糸数を指す。メッシュ分解能は、S(小直径)、T(中直径)、又はHD(大直径)など、糸の直径を示す文字を含むことができる。例えば、「43T」は、中程度の直径の43本/cm又は110本/インチの糸を有するメッシュである。
【0074】
「フレームタイプ」は、使用されるフレーム114のタイプを示し、ローラフレーム、アルミニウム、又は大きなローラフレームであってもよい。「アルミニウム」フレームは、開始前にメッシュが特定の張力で接着された固定正方形金属アルミニウムフレームであった。張力の典型的な値は、約26ニュートン(N)であった。「ローラフレーム」は、ステンシルが延伸された後にメッシュの張力を変化させることができる保持可能なフレームであった。ローラフレームは、標準的な正方形フレームよりもはるかに高価であるが、張力を正確に保って再延伸することがはるかに容易である。大きなローラフレームは、ローラフレームよりも幾分大きい。
【0075】
金属メッシュは、ステンレス鋼のニッケルめっきメッシュであった。このタイプのメッシュは、回転スクリーン、又は同じステンシルからの攻撃的な流体又は長期使用(多くの印刷/プレス)に晒されるスクリーンに頻繁に使用される。
【0076】
「単位分解能」は、印字ヘッドから噴射されているドット密度織り交ぜ(DPI)である。
【0077】
「パルス数」は、個々のノズルに送られる発射パルスの数を指す。
【0078】
使用した印字ヘッドは8つのノズル列を有していた。「インクチャネル」という見出しは、流体を噴射するために使用された列の数を指す。「全て」は8列全てを意味する。「11100111」の表記は、中央の2つの列が発射されていないことを示す。これは、噴射間の「ギャップ」の効果をもたらす。
【0079】
「UV%」は、調整可能であったUV LED源208によって放出されたUV放射の強度を指す。生成されたUV光の強度を制御するために、UV LED源208の強度をPMW(パルス幅変調器)で変調した。使用したUV源208の最大値は100W/cmであった。例えば、60%の表記は、UV光の60%が最大強度の60%に変調されたことを意味する。
【0080】
「放出流体」は、プラテン124に塗布された放出流体122の組成を指す。
【0081】
「バックグラウンドタイプ」は、プラテン124の表面上で使用されたものを指す。プラテン124を一定の高さに保った後、「バックグラウンド」をプラテンの上に置いた。バックグラウンドタイプの例としては、4mmミラー、2mm透明ガラス、2Xガラス(2mm透明ガラスの2枚)、「ガラス(上)/ミラー(下)」(2mm/4mmミラー上の2mm透明ガラス)、及び「ポリエチレンホワイト」(白色ポリエチレンシート)が挙げられる。
【0082】
「TEM」は、総エマルジョン測定値を指し、エマルジョンの厚さの指標である。多くの場合、EoM(Emulsion over Mesh)の数値が使用されるが、これは、エマルジョンの厚さをメッシュの厚さで割った比である。ここで、μm単位の数は、エマルジョンの厚さ+メッシュの厚さを含む全体の厚さを指す。
【0083】
「平滑性」は、ステンシルの平滑性を指す。プラテン側では、表面は非常に滑らかでなければならず、認識可能な粗さはない。印刷面では、表面は手触りが滑らかでなければならない。僅かな粗さ(つや消しガラスで経験されるものに類似)は、「許容可能」であると考えられた。「許容できない」とみなされた試験結果では、一般に、表面はサンドペーパーのようであった。
【0084】
平滑性の結果は主観的評価に基づいており、1は許容可能であり、2は僅かに許容可能であり、3は僅かに許容不可能であり、4は許容不可能である。
【0085】
「結果」は、実験の全体的な結果の主観的評価を指す。平滑性について説明したのと同じ主観的評価尺度もここで使用される。
【0086】
「A4印刷時間」は、A4媒体(21.0cm×29.7cm)の寸法を有する画面を印刷するのにかかった時間を指す。
【0087】
例シリーズ1
例シリーズ1では、6回の実験を行った。以下の表IA(試験パラメータ)及び表1B(結果)に詳細を示す。全ての実験は、実験用インクである噴射可能なエマルジョンUV Super Flex 100インクとして使用した。メッシュ色はいずれも白色であった。フレームタイプは、表IAに列挙されるように、様々にローラフレーム、アルミニウム又は大きなローラフレームであった。各場合の単位分解能は1440DPIであった。印刷速度はいずれも300cm/秒であった。パルス数は表IAに記載の通りであった。最初の4つの実験では、8つのインクチャネル全てが発射されたが、最後の2つの実験では、印字ヘッドの中央の2つのノズル列は発射されず、ギャップが残った。各場合のUVは、全強度の60%であった。6つ全ての実験における放出流体は100%蒸留水であった。最初の3つの実験におけるバックグラウンドタイプは4mmのミラーであったが、最後の3つの実験では2mmの透明ガラスであった。
【0088】
表1Bに見られるように、TQMは10μm~22μmの範囲であった(実験1、4、5、6)。シールメッシュがないため、実験2及び3ではTQMは得られなかった。実験1では、平滑性及び結果は許容可能であったが、メッシュがミラーに付着し、得られた22μmのTQMは高すぎると考えられた。実験4、5及び6は、許容可能な平滑性及び結果並びにシールメッシュをもたらした。
【0089】
2mmの透明なガラスが4mmのミラーよりも良好な結果を与え、更に2パルスが1パルスよりも良好な結果を与えたようである。実験2及び3で使用したフレームはアルミニウムであったことにも留意されたい。
【表1】

【表2】
【0090】
例シリーズ2
例シリーズ2では、12回の実験を行った。詳細を以下の表IIA(試験パラメータ)及びIIB(結果)に示す。全ての実験は、噴射可能なエマルジョンUVスーパーフレックス100インクとして使用した。メッシュの色はいずれも黄色であった。フレームタイプはいずれもアルミニウムであった。各場合の単位分解能は1080DPIであった。印刷速度は375cm/秒であった。パルス数は表IIに記載の通りであった。全ての実験において、8つ全てのインクチャネルが発射された。UVが全強度の60%であった実験11を除いて、UVは全ての実験について全強度の40%であった。放出流体122は、表IIAに記載の通りであった。バックグラウンドタイプは、表IIAに記載の通りであった。
【0091】
表IIBに見られるように、TQMは7μm~20μmの範囲であった;実験5ではTQMは得られなかった。実験1~4、6、及び12では、平滑性及び結果は許容可能であった。実験7及び8では、平滑性及び結果は僅かに許容可能であった。実験5、9、10、及び11では、平滑性も結果も許容できなかった。表IIに示すように、これらの実験の結果、プラテン上の印刷面にメッシュが付着した。
【0092】
実験4と実験5との間の唯一の違いは、使用したバックグラウンドタイプ(ポリエチレンに対して2倍ガラス)であった。前者は後者よりも良好な結果をもたらすと思われる。
【0093】
実験4と実験7~8との間の唯一の違いは、使用したバックグラウンドタイプであり、2xガラス上対4mmガラス上であった。前者は後者よりも良好な結果をもたらすと思われる。
【0094】
実験9、10及び11に関して、これらは、95%蒸留水及び5% ANODAL ASL(Gedacolor)を含む液体を使用する唯一の実験であった。他の液体、例えば100%蒸留水、80%蒸留水+20%死海塩、80%蒸留水+20%アルコール、及び50%蒸留水+25%窓洗浄剤+25%イソプロパノールは全て、許容可能又は僅かに許容可能な平滑性及び結果を与えた。
【表3】


【表4】
【0095】
例シリーズ3
例シリーズ3では、5回の実験を行った。詳細を以下の表IIIA(試験パラメータ)及びIIIB(結果)に示す。全ての実験は、噴射可能なエマルジョンUVスーパーフレックス100UVインクとして使用した。メッシュの色はいずれも黄色であった。フレームタイプはいずれもアルミニウムであった。各場合の単位分解能は、1080DPI又は1440DPIのいずれかであった。印刷速度は、表IIIAに示すように、300cm/秒又は375cm/秒のいずれかであった。パルスの数は、表IIIAに記載の通りであった。全ての実験において、印字ヘッドの中央の2つのノズル列は発射されず、ギャップ(「11100111」)が残った。UVは完全強度の60%であった。6つ全ての実験における放出流体122は、100%蒸留水であった。全ての実験におけるバックグラウンドタイプは4mmミラーであった。
【0096】
表IIIBに見られるように、TQMは3μm~45μmの範囲であった。全ての実験について、平滑性は許容可能であったが、実験3、4、及び5については、結果は許容可能であった。実験1及び2では、メッシュの僅かな固着に起因して、結果は僅かに許容できなかった。
【0097】
実験1及び2では、パルス数は両方(2)で同じであったが、実験3、4、及び5では、パルス数は異なっていた(1)。この差により、実験1及び2は僅かに許容できない結果を有したようである。
【表5】


【表6】
【0098】
前述の例に基づいて、結果は、流体(エマルジョン及び任意の放出流体の両方)の幾つかの非常に複雑な相互作用、プラテン組成物(例えば、単一ガラス、二重ガラス、ガラス+ミラーなど)、硬化強度(20%~100% UV)、ドット密度(1080,1440)、パルス数などによって左右され得る又は影響を受け得るようである。分析的な観点から、組み合わせはほぼ無限大であるように思われる。現在、パラメータのセットを評価するための唯一の方法は、実用的である。すなわち、各セットは、本明細書の教示に基づいて試験されなければならない。しかしながら、そのような試験は過度であるとは考えられない。
【0099】
DtMプロセスの利点には、以下のようなステンシル調製及び後処理の両方の完全な排除が含まれる。
【0100】
エマルジョンアプリケータ、乾燥器、別個の露光ユニットなどの機械は必要ない。或いは、TQMが高い場合、別々の露光を実行させることができる。
【0101】
穿孔されたプラテンは、メッシュの下方にメッシュと接触して放出流体を導入するために使用される。プラテンの穿孔された上面は、メッシュが放出流体によって均一にコーティングされるようにし、メッシュへの放出流体の浸透を制御して、メッシュ上へのエマルジョンの印刷を通してメッシュの一定の放出流体水分レベルを維持する。
【0102】
なお、前述の実験は、前述の穿孔された上面を有さず、穿孔された表面を有するプラテンを使用して行った。プラテンは同様の結果をもたらしたが、穿孔された上面を有するプラテンは、印刷中に均一に濡れたメッシュを確保することによって、高分解能ステンシル印刷で使用するために非穿孔プラテンよりも優れていた。これに対し、穿孔されていない上部表面を有するプラテンは、メッシュを湿った状態に維持しようとすると課題を生み出した。
【0103】
殆どの化学物質(脱脂剤を除く全て)及び水使用量の80%超が除去される。
【0104】
全ての処理は、特別な低UV光室を有することなく行うことができる。実際、DtMプロセスは、通常の工場/オフィスの照明又は昼光で実行することができる。噴射可能なエマルジョンは、取り扱い時にUV保護されたカートリッジ又はバッグの内部に保持される。これは、メッシュ112上に噴射されたときにのみ日光又はUV光に晒される。
【0105】
本明細書に開示されるプロセスは、従来のより安価なメッシュ112を使用することができるため、水及び化学物質及び特別な洗浄ステーションを必要とするメッシュの洗浄ではなく、メッシュを剥がしてフレーム114に再適用する方が、多くの場合、より効率的で安価であり得る。注記:UV反射を低減するために、白色メッシュよりも高価であり、従来のプロセスで使用される着色メッシュ(黄色)を使用する必要もない。
【0106】
未処理のスクリーン又はメッシュ112は、DtMプリンタ100上に配置され、印刷面上に画像を印刷するためのカルーセル上に直接配置することができるプロセスが完了すると、完全に準備され、すぐに使用できるステンシルがDtMプリンタ100から除去される。
【0107】
DtMプロセス900の更なる利点は、各ステンシルがメッシュ112上に非常に正確に位置合わせされ、その結果、カルーセル上に取り付けられるときに微細位置合わせをスキップすることが可能であることである。DtMプロセス900では、各ステンシルがフレーム114上に(絶対的及び相対的に)正確に位置決めされるので、調整は必要ではなく、又は求められない。これは、固定具116の使用によって達成される。ステンシルフレームは、一般に、それに取り付けられた位置合わせ穴又は点を有する。各異なるカルーセル製造業者は、独自の登録システムを有する。フレーム固定具116は、同じ位置合わせシステム(又は場合によっては別の設計の補助位置合わせシステム)を備えている。フレーム固定具116は、ステンシルフレーム114の正確な位置合わせを可能にする。これを達成するために、テスト印刷が4色(又は6色以上)で行われ、次いでカルーセルが微調整される。カルーセルに変更が加えられず(又はカルーセルが整列から外れない)、全てのステンシルが同じプリンタ上に作成される限り、ステンシルは正確に整列される。
【0108】
本明細書に開示されるDtMプロセス900は、プロセス時間及び複雑さ、労働、及び資本設備(特殊な照明設備を含む)のいずれか又は両方の大幅な削減、並びにプロセス化学物質及び水の大幅な削減を有することが理解され得る。
【0109】
前述のDtMプロセス900は、回転スクリーン印刷にも使用することができる。回転スクリーン印刷は、ラベリング及び他のやや狭いが頻繁に繰り返される印刷プロセス(壁紙、線状リノリウムなど)で使用される。回転スクリーン印刷は、これらの用途にとって極めて高速であり、4つの色(及び任意の特色)のそれぞれがシリンダ上に配置され、材料がその下を通過する。回転スクリーン印刷は、一般に、耐久性及び安定性のためにステンレス鋼メッシュ112を使用する。
【0110】
今日、多くの回転式ステンシルは、大規模なサービス会社によって製造されている(ヨーロッパには約3つある)。各ステンシルは100ユーロを超える費用がかかる可能性があり、ステンシル交換の年間費用は数十万ユーロかかる可能性がある。これは、サービスビューローを使用する不便さを考慮に入れていない。多くの企業は、高価なサービス事務所への依存を減らしながら、数四半期で機械のコストを回収することができる。
【0111】
前述の説明では、例の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細が記載されていることが理解される。しかしながら、例は、これらの特定の詳細に限定されることなく実施され得ることが理解される。他の例では、例の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の方法及び構造を詳細に説明しない場合がある。また、実施例は、互いに組み合わせて使用されてもよい。
【0112】
限られた数の例が開示されているが、そこから多くの修正及び変形があることを理解されたい。例えば、プリンタベッド/テーブルの「向き」は、垂直面への噴射を可能にし得る新しい高速/超高速印字ヘッド技術に起因して、水平から垂直に変更され得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】